1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十日(火曜日)
午後一時二十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小野 義夫君
理事
宮城タマヨ君
伊藤 修君
一松 定吉君
委員
左藤 義詮君
長谷山行毅君
岡部 常君
中山 福藏君
内村 清次君
吉田 法晴君
羽仁 五郎君
政府委員
刑 政 長 官 清原 邦一君
法務府特別審査
局長 吉河 光貞君
法務府特別審査
局次長 関 之君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 真道君
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本日の会議に付した事件
○破壞活動防止法案(内閣提出、衆議
院送付)
○公安調査庁設置法案(内閣提出、衆
議院送付)
○公安審査委員会設置法案(内閣提
出、衆議院送付)
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001・宮城タマヨ
○理事(宮城タマヨ君) それでは只今より委員会を開きます。昨日に引続きまして、破壞活動防止法案、公安調査庁設置法案、公安審査委員会設置法案、以上三案を便宜一括して議題に供します。御質疑のおありのかたは御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/1
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002・吉田法晴
○吉田法晴君 細目質問、刑罰規定の点につきまして質疑を行なつておりまして、途中で時間が参つて中断をしたのでありますが、一点、刑罰規定の中で三十七条は、これは五年以下の禁錮ということになつておりますが、三十八条、それから三十九条、それから四十一条、四十二条、これには懲役が入つておりますが、この種の刑罰規定につきましては、殆んど禁錮が従来の処罰の形態であつたと思うのでありますが、この法律或いは今挙げました条文だけについて、懲役という形が出ておるのは如何なる理由によるのか、納得いたしがたいのでお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/2
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003・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの三十八条、三十九条におきましては、それらの行為の既遂類型におきまして懲役が規定されておるわけであります。そこでここにも懲役を規定いたした次第であります。四十一条と四十二条につきましては、これは懲役のみの規定を設くるのが相当であると、その行為の内容から見まして、懲役のみを設くるのが相当であると考えて、かように規定いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/3
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004・吉田法晴
○吉田法晴君 法制意見長官はおられませんが、見えるようになつておるようですが、問題が、例えば三十八条にいたしましても、政治目的云々ということがかぶつております。よく言われることでありますが、殆んどこの条文の適用をされます場合に、政治的な行動が規制の対象になることは、これは実際問題として見込み得るわけであります。或いは殆んどその大部分が確信犯的なものになるかと思うのであります。それに、三十七条の場合には禁錮になつておるけれども、その他の場合については懲役と禁錮と両方並んでおります。どうしても懲役を課するという理論的な根拠は今の御説明を以てしても納得いたしがたいのであります。立法技術と申しますか、考え方につきまして、法制意見局のほうから御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/4
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005・宮城タマヨ
○理事(宮城タマヨ君) 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/5
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006・宮城タマヨ
○理事(宮城タマヨ君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/6
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007・吉田法晴
○吉田法晴君 ではその点はあとで御答弁願うことにいたしまして、それでは特審局にお尋ねすることを中心にして参りたいと思いますが、第三条のこの理由によります規制の仕方について、ここにイ、ロ、ハ或いはイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、ヌと、こう分れておりますが、この中にも例えばりのごとき、公務執行妨害と職務強要と二つございます。ところがそれに「凶器を携え」、或いは「毒劇物を携え」と、要件が別に亘る場合がございます。これらを分けて参つてコンビネーシヨンを作りますというと、例えばリならばリだけでも四つも六つもこれは可能になる内容を含んでおるところのものであります。更に例えばリとヌとコンバインいたしますというと、予備、陰謀、教唆、扇動と、リを例えば二つに分ける。或いはコンビネーシヨンをこしらえて四つになる。これを次のヌと両方合せますならば、コンビネーシヨンの算式、方式は忘れましたけれども、十六以上になることになるのですね。そういうことが行われ得るこの条文では危険性があるのではないか、この点についてどういう工合に解釈しておられますか、一つ特審局の意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/7
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008・関之
○政府委員(関之君) お尋ねのこのリの号でありまするが、これは公務執行の妨害をなす相手方の、公務員のほうですが、これは「検察若しくは警察の職務を行い、若しくはこれを補助する者、法令により拘禁された者を看守し、若しくは護送する者、」こういうふうに分けたのでありまするが、これは第一線でさような治安の維持に任ずる機関というふうに考えておるわけでございます。「凶器又は毒劇物を携え、」これは凶器と毒劇物とは、これは凶器又は毒劇物で、選択関係になるわけであります。
次にそれと多衆共同との関係でございますが、凶器を携え多衆共同して、これは凶器を携え且つ共同してという意味になるわけでございます。そうして毒劇物を携え且つ多衆共同してという、その二つの組合せが出て参るわけであります。そうして態様といたしましては、公務執行妨害、職務強要との二つがここにありますから、それぞれの間に組合せが生ずると思うのであります。そうしてかようなものの既遂の行為と、それに対する予備、陰謀、教唆、扇動というものが、このリとヌとの組合せから出て来ると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/8
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009・吉田法晴
○吉田法晴君 そうしますと、先ほど私が申上げましたように、例えばリならリを四つに分けるといたしますならば、或いは四つの態様があるとするならば、ヌの予備、陰謀、教唆、扇動と結び合せますと、或いは十六以上になる。これはコンビネーシヨンの方式に当てはめて計算して見ませんとわかりませんけれども、そういうことが考えられておる、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/9
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010・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの通り、数はまだ正確に計算して見ませんのですが、この各要件に、一通りの要件が、ここのリで四つなり五つなりの形が考えられますと、それに対してのヌのそれぞれの場合が考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/10
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011・吉田法晴
○吉田法晴君 そうしますと、公安調査庁がこの三条なら三条に掲げてあります一つ一つについて、規制を申請して行く、こういうことが可能になると思うのでありますが、そうすると、例えばそのリの中の警察の職務を行なつておる者に、凶器或いは毒劇物を携えて多衆共同して公務執行妨害ができた、それで申請をして見たけれどもそれは問題にならなかつた。こういう場合には今度は別の、例えばこれは或いは実際とは逆になるかもしれませんけれども、法律の規定により調査に従事する者、これは公安調査官、公安調査庁の職務に従事する者についての公務執行妨害或いは職務強要、別のことで調査をし、或いは審理を行なつて申請して行く。これで行かなければあれ、あれで行かなければこれ、こういう行き方がとにかく可能になり得る、少くとも今の御説明からは出て参ると思うのでありますが、そういうことをするつもりなのか、或いはもつと何と申しますか、一つの団体について申請或いは審査が行われるならば、その効果は他の点についても免責されるのか、規制の問題としてどういう工合に解釈しておられるのか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/11
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012・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 立て方は、それぞれの暴力主義的破壞活動について、団体活動としてそれを行なつた場合におきましては、その団体がそれぞれの暴力主義的破壞活動を行なつたものと認められるわけであります。又併しこれを合一いたしまして、数個の暴力主義的破壞活動を行なつた場合におきましても、団体が団体活動として暴力主義的破壞活動を行なつたと認定を下されるわけであります。ただ規制をする場合は、これに継続又は反覆して将来更に暴力主義的破壞活動を行う明らかな危険性がなければなりません。従いまして要するに特定の団体が過去において暴力主義的破壞活動を行なつたという条件を満たすためには、一つの暴力主義的破壞活動を行なつた場合も当然入りますし、或いは数個の暴力主義的破壞活動を行なつた場合も理論上は入るものと考えております。ただ現実に規制をする場合におきまして、そういう少くとも規制する場合に、調査してわかつておりまする暴力主義的破壞活動につきましては、これを一括して規制の原因にするのが当然であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/12
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013・吉田法晴
○吉田法晴君 こういう形式でありますと、結局睨んだが最後と申しますか、睨まれたら最後、あれで行かなければこれ、これで行かなければあれ、こういうことで結局規制或いは解散をし得る。而も一遍規制をいたしますというと、すぐ脱法行為なり或いは七条違反の行為が罰せられる。多数の刑罰規定に違反する問題が出て来るわけであります。これは蜂の巣をつついたように恐らくなるだろうと思いますが、そこでお尋ねをいたしておりますのは、睨んだら最後、何でもかんでも引つかけるのだ、こういうやり方をおやりになるか、それとも一遍一つの団体について規制をかけたならば、かけるかかけんかという請求をしたならば、そこで審判が行われたならば、その団体が少くとも今までの活動については一応規制すべきものでないということになつたならば免責をする、こういう考え方であるか。この点をお聞きしておるわけであります。もつと明確に一つお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/13
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014・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 理論上は、一たびこの暴力主義的破壞活動を団体の活動として行なつたということを原因として規制をかけると、それ以前にその団体が団体活動として行なつた暴力主義的破壞活動は全部取上げてはならないという建前にはならないものと考えております。併し実際の運営にいたしましては、それまでに調査が完了して、明白に認定されるような暴力主義的破壞活動は一括取上げて、その原因にするのが妥当である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/14
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015・吉田法晴
○吉田法晴君 そこで、今の御答弁を以てしても、この条文の書き方では、先ほど申しましたような、あれで行かなければこれで行くというやり方ができるということにこれは実際になると思うのであります。そこであとはこれは立法の仕方の問題になると思いますけれども、或いはまあ特審局長で御答弁が頂けるならば頂きたいと思うのでありますが、今、後段にお話になりました、実際一遍団体についてその過去の行動について請求をした、或いは審査が行われたということになれば、それによつて一応過去の活動についてはこの法条の免責が得られる、こういう規定を書くべきであるというふうにはお思いになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/15
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016・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。これは非常に廻りくどいほかの例を引用して申上げるのは恐縮でありますが、犯罪として捜査を受ける場合におきましては、例えば殺人罪で起訴されましても、他の犯罪につきましては免責はない、すでに過去において行われた他の犯罪につきましては免責がない。で、この場合、一つの団体が過去におきまして暴力主義的な破壞活動を団体の活動として行なつたという事実についてでありますが、先ほども申上げました通り、これに継続又は反覆して将来更に暴力主義的な破壞活動をなす虞れがなければなりませんので、実際の場合におきまして、そう次から次へとほかの暴力主義的な破壞活動を行なつたという原因を取上げて規制をかけるということは、実際の運用上できないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/16
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017・吉田法晴
○吉田法晴君 継続、反覆ということが要件になつておる、ここに問題があるのですが、それはあとからお尋ねすることとして、次に行動が行われた場合に、前の行動が継続、反覆の中になるかどうかということではない。これは伊藤委員から一事不再理の問題がございましたが、これは一つの行動について一事不再理の原則が働く、こういう御答弁を頂いておる。この規制の仕方が非常に多種多様であつて、そして幾らでもコンビネーシヨンができますから、そこで一つで行かなければあれで、こういうことになる虞れがこの法律ではあるから、一応或る事件を隠して、それまでに活動があつた、それについて、これは或いは一つであるかも知れません、或いは二つであるかも知れません、或いは数個の活動なり事件が問題になるかも知れませんが、そこで一応審査をやつて、判断ができます場合にこれは責任がない、規制なり解散の対象にならない。こういうことになつた場合には、その過去の行動については別のとにかく、これは捏造とは申しませんけれども、変えようと思えば、この法律ならばほかの理由でもう一遍とにかく過去の行動についても蒸し返しができる、そういうことはしない、こういうことの言明を頂けるかと、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/17
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018・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの点につきましては、先日来伊藤委員からの一事不再理の問題に関連してお答えしたこともあるかと思うのでありまするが、この本来の法案の立て方が、団体が暴力主義的破壞活動を将来においてなすその可能性について規制を加えるということが、この規制処分の考うるところでありまして、その団体の将来の暴力主義的破壞活動をなす可能性の認定の条件といたしまして、過去において暴力主義的破壞活動をなしたことを先ず条件として、それに対して継続又は反覆というその条件で以て、そういうふうないわば性格化したそういう破壞活動の団体の活動をチエツクするという考え方になるわけであります。そこで過去に行われた暴力主義的破壞活動も、お尋ねの趣旨によりますれば、一回規制に使つた以上は、あとは使わないようにしてはどうかというような御趣旨と思いまするが、この法案の基本の立て方としましては、要するに将来のさような危険を除去するということが考え方の基本でありまして、その条件として、過去にやつたそれに対して継続又は反覆という条件で絞つて、そうしてさような場合においてはやはりその危険は防止しなければ、公共の安全の確保の上にいけないというふうに考えておるわけでありまするからして、その点はやはり過去に行われた暴力主義的破壞活動が現実事実で、それがそれとして認定されるものでありますならば、それを継続又は反覆という関係にある限りにおいてこの規制は行うというふうに私どもは考えてこの法案を立案いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/18
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019・吉田法晴
○吉田法晴君 お尋ねをしておるのはそれではないのです。具体的の例をとりますと、例えば五月一日ならば五月一日皇居前の事件があつた、それをこの調査に従事する者の職務強要ならば職務強要ということで初め請求をして審査にかけた。ところがそれは今の反覆、継続して将来やるかどうかという判断にはならなかつた、一応免責をされた。ところがその同じ事件をこの法律で行くと、例えば警察官の職務執行妨害、こういうことで、これでは規制の対象として請求し得るじやないか。そこで一つの事件或いは活動を土台にして、この今リをとりましたけれども、リで請求をした、そのときには恐らくその活動を中心にして、その過去の行動がどうであつたとか、今後継続又反覆して行く、こういうことが判断されるでありましよう。問題はこの三条に掲げてある一つ一つの理由で、これで行かなかつたらそれではこれで、或いは例えばリで行かなければ、これはまあ該当するかどうかわかりませんけれども、汽車、電車等往来危険に該当するかどうか、或いは又ロならばロの、現在建造物放火にはならんというお話でありましたけれども、そういうので規制の対象とし得るじやないか、こういうことで規制の請求をする、こういうことが三条だけを見ると、可能なように思う。その過去の一つの活動といたしましては相当多方面或いは多岐に亘つておるかも知れません。その場合に一遍規制を請求をした事項には当らなかつたけれども、ほかの理由で再び規制をする、こういうことをする意思なのか。それとも一遍そこで判断をしたならば、その活動についてはこれは行政処分の対象として、或いは審査の対象としては、その同じ行動について、別の条項で、或いは三条の別の号では、号のうちの細かい事項でも問わない、こういう御趣旨なのか、その辺を承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/19
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020・関之
○政府委員(関之君) この法律の私どもの立て方といたしましては、過去において暴力主義的破壞活動をなした団体がありまして、それに対しまして継続又は反覆して将来暴力主義的破壞活動をなす可能性があれば、これに対して規制がかけられるということに相成るわけであります。そこで先ほど局長がお答えいたしたことく、この過去における暴力主義的破壞活動がお尋ねのごとく何回か、あれもこれもというふうに犯した場合も考えられるわけであります。そこで実際の問題といたしますれば、そのばらばらのものがそれぞれの暴力主義的破壞活動を過去においてなした暴力主義的破壞活動ということに相成りまして、極論いたしますれば、そのばらばらのものを一つ一つ使えるではないかというようなお尋ねの趣旨と思うのであります。これは法律の立て方といたしますれば、一回のそれも、二回のそれも別々に使えることにはなると思うのでありまするが、併し実際の扱い方といたしましては、勿論さようなことは相当ではないのでありまして、団体につきまして一切の過去の事実を調べまして、そしてそれに基いて暴力主義的破壞活動だという行き方をなすということを認定して、それに対する継続又は反覆という可能性を調査いたしまして規制の請求をするということに相成るかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/20
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021・吉田法晴
○吉田法晴君 もう一遍特審局長に一つ今のあれを確言を願いたいと思いますが、私が問わんとしておることはおわかりになつて頂けると思いますが、今関さんは幾つかの行動があつたということを述べられました。それも一つの例だと思いますが、例えば一つの行動があつた。併しそれは或いはリの中の先ほど例を挙げましたような調査官の職務執行妨害、職務強要ということでとらえられる面もありましよう、或いは同じ行動で以て警察官の公務執行妨害ということについてとらえられる場合もありましよう。或いは別のところに書いてある、これはロに該当するかどうか知りませんけれども、そういう疑いでとらえられるということもありましよう。一つの行動を、これは集団行動である場合にはそういうことが論理的には考えられると思う。一つの起つた事件について、これはいくらにでもとにかく見ることができる。少くともこの条文はそうなつている。そうして無数のコンビネーシヨンができることになつているのです。ところが一応請求審査は一つの団体について、
〔理事宮城タマヨ君退席、委員長着席〕
今の場合には団体ですが、一つの行動によつて審査の請求がなされる。或いは関さんの場合には幾つかの行動という話でしたが、それを一たび取上げて審査した後においては、少くともその確定した一つ或いは二つの活動については別の理由で次々にこのコンビネーシヨンによるものによつて審査をやつて行く、或いは規制をやつて行く、こういうことはしない方針かということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/21
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022・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) お尋ねの点が二つの場合に分れているようにちよつと受取れるのでありますが、例えば或る団体がこのリの場合でありませんで、殺人をやつた、政治目的の殺人行為をやつた、又政治目的の放火をやつたというような場合、こういう場合におきましても、すでに規制をする場合に、それが調査上わかつておれば、一括して過去におけるその団体が団体の活動として行なつた暴力主義的な破壞活動として取上げるべきだ、リの場合でありますが、一つの行為で幾つにもとれる場合があるのじやないか。例えば兇器を携えて多衆共同して公務執行妨害をやつた場合に、その相手方が警察官であり、それから又公安調査官である、こういうふうな場合一個の行為で両方の公務執行妨害をやつているじやないか、こういうふうな場合はどうなるのかという点につきましては、これはそれを再び繰返して過去において暴力主義的な破壞活動を行なつた原因として蒸返して使うことはこれは穏当でない、そういうことはしないほうがいい。併し片方で政治目的の殺人をやつた。他方政治目的の放火をやつた。この場合規制をする前に審理手続をやりますが、そのときにすでにわかつておつた場合には一括してこれを取上げるのが妥当である。これを隠して、済んだあとで又とつておいて、あとで使おうというような取扱い方はすべきでない。併しその後、規制処分のあつたあとで請求のあつたあとで判明したものは、これは又別個の問題ではなかろうか。かように考えております。併しそれだけで規制処分の請求ができるものではない。やるには将来継続又は反覆して更に暴力主義的な破壞活動を行なう虞れが認定されなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/22
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023・吉田法晴
○吉田法晴君 今政治的目的の殺人というものがあつて、それが分つていなかつた場合にはという仮定を附加えられましたけれども、それを問うておるのではないのです。これは一応常識的に考えますと、規制と申しますか、或いは審査要求の対象になる行動は大体わかつておると思う。そうしてその行動を、恐らく集団的暴行事件にもなると思うが、そのわかつておるものを或る理由で、或いは二つ、或いは三つの理由があるかもわからないが、それを調査し、或いは審査し、そして判断をする、その場合にはこの審査したその活動については再び別の理由では審理の対象にはしない、こういう御趣旨にはつきり今の答弁では聞えたのでありますが、仮定の問題を抜いて、一つ明確に御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/23
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024・関之
○政府委員(関之君) 今のお尋ねの点でございますが、ちよつと聞きとれませんでしたが、今一度御趣旨のところをお尋ね願いたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/24
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025・吉田法晴
○吉田法晴君 例えば皇居前なら皇居前の事件があつた、それをどういう工合に請求をするかということはそのとき実際になされましようが、理由が幾つかつくでしよう。これは大体明らかになつておることであります。それを審理をして結論が出る。責任がないということになつて来る。それを更に別な理由で、ここに挙げておるような別の理由で以て審理を請求すると、或いは審査決定をすると、こういうことはないと、こういう御言明であつたとお聞きしたのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/25
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026・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 私がお答えいたしましたのは、兇器又は劇毒物を携えて多衆が共同してとにかく公務執行妨害をやつたと、その公務執行妨害の相手方は警察官である、公安調査庁調査官、或いは刑務所の看守というようなものが対象になつておつたと、それで三通りの対象を相手に実は公務執行妨害を只今申上げたような形でやつたと、その場合に警察官の公務執行妨害だけをとり上げて、あと隠して置く、それをあとで使う。公安調査官に対する公務執行妨害とか、看守に対する公務執行妨害をあとで順繰りに使うということは絶対にしないというラインであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/26
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027・吉田法晴
○吉田法晴君 隠して使うということはこれはちよつと言葉は極端だと思うのでありますが、そこまでの悪意を考えてはおりません。一つの大勢の活動があつた場合には、いろいろの理由があるでしよう。或いはこれで行きますと、公務執行妨害、それから調査官、或いは警察官、或いはその他にも例えば自動車なら自動車が焼かれたというあれもある、それを調査し、或いは審査の請求をするときには一括して何と申しますか行政処分の対象になつておると思う。ところが実は審理の結果、駄目になつた。ところが探し廻つたところがこれは別に往来妨害罪というか、そういうものが無理に考えてみると考え得るかも知れない。この条文の立て方で行くならば、一応済んだ事件を別な理由で、ここに掲げてある項目の別のところで、コンビネーシヨンならコンビネーシヨンの違つたもので請求するというようなことはしないと、こういう意味だと、こういう御答弁だと了承していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/27
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028・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの点につきましては、先日伊藤委員からのお尋ねの際に、一事不再理の問題と関連いたしましてお答えした点と関連があると思います。そこでその際は、先ず公安委員会の、今のお尋ねの中には請求者が委員会でだめになつた。だめになつたということは、もとの団体が過去においてなした暴力主義的破壞活動が委員会の決定によつてさような活動は当らないと、これは第三条の破壞活動に当らないというふうな認定を得た場合かと思うのであります。さようなふうにして理由がないとして棄却された場合であるわけであります。この点については、先日来法制長官から詳細なお答えがあつたのでありまするが、お尋ねの点はそれに当る場合かと思うのであります。そこで委員会から、過去においてなした暴力主義的破壞活動が、そういう事実は認められないというふうにして棄却された場合には、その決定は公定力がありまして、調査庁におきましても従つて同様な事実、同様な理由、同様な証拠関係では又請求はできない、かようなふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/28
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029・吉田法晴
○吉田法晴君 今の御説明と、それから先般の伊藤委員の御質問に対して答弁されましたのは、同じ事件、同じ理由、それから証拠が同一であるならば一事不再理の原則は働く、こういう御答弁だ。そうすると、例えば公務執行妨害なら公務執行妨害で、それに証拠をつけて出された、それがだめになつている。それを再び請求することはない、こういうように私共聞いて参つたのであります。ところが実際は、先ほど申上げましたように、集団的な活動が行われた場合には、いろいろのとらえかたはあり得ると思うんです。それを或る場合には、例えば公務執行妨害と何かで請求される、それは一応破壞活動でないと、或いは免責された、そうするとその活動を同じ理由ではできません、或いは同じ証拠じやできません。併し別な理由をくつつけて、この条文の立てかたから言うならば、無数のコンビネーシヨンができるのだから、別の理由で、別の証拠をくつつけてやることができる。実際にはそこに起つた行動というものは一つであります。関さんの場合は二つ並べられたことがありますけれども、これは同一だと思う。その一つの事件或いは一つの活動というものを、一遍済んでも別の態様で捉え、或いは別の証拠をくつつけてやることがこの法律ではできるのじやないか、それをしない、こういう言明を先ほどから私は頂いていると思うのであります。もう一遍答えが違つた場合が出て参りますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/29
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030・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの点におきまして、それが最初にやつたのと同一の事実関係である限りにおきましては、先日来伊藤委員の御質問にお答えしたようなその考えかた、原則で行くわけであります。それが、今お尋ねの中の事実が、最初に請求の原因としたものと異なつたものでありますならば、先ほど局長がお答えしたごとく、全部規制の前にあらゆる努力をいたしまして、事実関係を全部調査いたしまして、そうしてそのすべての過去の破壞活動の全部の実態を明らかにいたしまして、そうしてその上に立ちまして、継続文は反覆の危険性があるならば規制をかける、かようなふうにいたすべきものであり、又いたす方針であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/30
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031・吉田法晴
○吉田法晴君 その後に、従いまして同一の事件については別の理由ではこの審査を請求するようなことはいたしません。これが言えますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/31
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032・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 実は私どもと御質問の間のちよつとした食い違いがあるのじやないか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/32
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033・小野義夫
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/33
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034・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/34
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035・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。特定の団体が暴力主義的破壞活動を行なつたという理由につきまして、事実関係が同一な場合におきましては、これを異なつた角度から後日再び取上げるということはすべきではありません。又規制のための審理手続き前に判明しておりましたあらゆる暴力主義的破壞活動はこれは一括して取上ぐるものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/35
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036・羽仁五郎
○羽仁五郎君 今吉田委員が非常にこの問題を繰返して質問される理由は、本法が末端の調査官によつて運用をされる場合に起つて来る弊害の大きなものを心配されておるからだと思うのです。従つて形式的な御答弁というものがここで行われる、それで本法の審議が通つて行つたということになると、私も納得できないと思うのであります。それで今御答弁されておるのは中央で最高のレベルで答えられる答弁なんです。そのことを特審局長なり或いは次長なりはいつも十分に念頭においておられないのじやないかというふうに私は非常に恐れるのです。あなたがたがその程度の御答弁をやつておれば、地方の末端の調査官というものは極めてあいまいですから、従つてその調査権の濫用というものによつて基本的人権というものを侵す恐るべき弊害が発生して来るのです。あなたがたは、絶えず末端で本法が濫用されることに対しては厳格にこれを防ぐつもりである、公安審査庁の中にはみずから監査するとかいうような機関も作るというようなことを言つておられながら、この法の解釈が常に末端でどういうふうに行われるであろうかということに対しては、私はあなたがたが十分に誠意をもつて、国民の人権というものは何より貴重なものだと考え、それが自分の心臓のようなものだというふうに考えてお答えになつておるとは私はお聞きすることができないのです。残念ながら今のような御答弁であれば、末端では迷い、従つて職務熱心なあまり基本的人権を侵すということが多々あるのです。一体公安審査庁の長官がその調書に基いて委員会に向つて請求をなしたというようなところまで来れば、勿論一事不再理の原則が働かなければならないことは言うまでもない。併し調査の場合でもいわゆる蒸し返しということを始終やつておることは日本の今までの慣習じやありませんか。それでちよつとした瑕瑾があればその人間をつけ狙うということは末端において起つて来た弊害の非常に大きなものですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/36
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037・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 羽仁君にちよつと申上げますが、質問ならよろしいですが、あなたの杞憂や御心配とかいう御意見をこの際あまり陳弁されることは、議事の進行上甚だ迷惑と思います。でありますから、何かあなた質問の要点を明らかにしなければ困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/37
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038・羽仁五郎
○羽仁五郎君 質問の要点を今申上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/38
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039・小野義夫
○委員長(小野義夫君) どれが質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/39
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040・羽仁五郎
○羽仁五郎君 従つて今の御答弁はあまり満足できない。もう少しはつきりと調査権を行使する場合においても、いわゆる叩けばほこりが出ないはずはないという調査権を用いることは絶対に許されない。又総合的な判断に基いて、一回調査を行つたものを後に又蒸し返すことは絶対に許されないという御答弁が中央において一番高いレベルにおいてなされて、初めて末端における濫用を防ぐことができるのじやないか。従つてさつきから伺つておる御答弁の程度では、私は末端の濫用を防ぐことはできないのじやないかと思いますが、そういう点を考慮されていま一応お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/40
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041・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 御答弁が渋滞いたしましたのでお叱りを受けました。ここで御答弁申上げました方針につきましては、末端の公安調査官に十分責任をもちまして徹底するような方針をとらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/41
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042・吉田法晴
○吉田法晴君 第六条の一号、二号でありますが、継続、反覆して破壞活動を行う危険性ということで規制を受ける或いは解散処分に付する、こういう説明でありますけれども、よく読み且つ考えてみますと、一号、二号に書いてありますことは一遍やつたらそれでいきなり解散ができる、こういうことになると思うのです。三号は「第四条第一項の処分を受け、さらに暴力主義的破壞活動を行つた団体」となつておりますから、一遍第四条による活動の制限があつて、そうして更に暴力主義的破壞活動を行なつた、こういうことになつておりますが、一号、二号はそれがない。そうして一遍の活動についていきなりこういうことになるのでありますが、而も二号の場合につきましては、先ほど例を挙げましたリの例、或いは教唆扇動ということになりますと、相当これは軽い程度になると思うのでありますが、一遍で以て解散をする、こういうことになりますならば、継続、反覆して行う危険性があるということには少くとも条文の上からではならんと思うのでありますが、その点はどういう工合に解釈し、運用するおつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/42
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043・関之
○政府委員(関之君) 第六条の立て方でありまするが、第四条と第六条との関係につきましては、各団体の規制は先ずできるだけ第四条の制限的な規制処分を行う。そして第六条の後段のほうに、「第四条第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められる」、かような条件の下に第六条が発動して、第六条の規制措置をなす段階になるわけであります。そこでこれは第四条と第六条との関係におきまして、結局やはり第六条におきましても、過去において暴力主義的破壞活動をなして、過去の暴力主義的破壞活動に、継続又は反覆して破壞活動をなす虞れのある団体がありまして、第四条の規制措置によつては十分その危険を除去することができないというようなふうに仮に認められる場合に、第六条の規制によりまして解散の指定を受けるということになるわけでありまして、やはり適去の暴力主義的破壞活動に継続又は反覆して行うということが条件であります。そこで一号、二号におきましては、これは特に三号と書き分けをいたしましたのは、解散という措置が極めて重大な措置でありまして、単に第三条第一項第二号の又の行為にとどまつた、以上掲げるような各種の刑法所定の行為を予備した者、或いは陰謀にとどまつた者、或いは単に教唆にとどまつた者、単に扇動にとどまつた者、それだけの行為で直ちに継続又は反覆して将来やる虞れがある場合に解散まで行くということは非常に酷である、解散という措置が重大な問題であるから酷である、さようなヌの場合だけにつきましては、第三号におきまして一回処分を受けて更にもう一回やつた場合、こういうようなふうに条件を一層しぼつたわけであります。かような趣旨でありますからして、御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/43
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044・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると第六条の本文の、「且つ、第四条第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められるとき」、こういうのは三号の、「第四条第一項の処分を受け、さらに暴力主義的破壞活動を行つた団体」、これと同じであると、要件として同じであると、こういう解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/44
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045・関之
○政府委員(関之君) 御疑念はこの第六条におきまして、一号、二号、三号と三つに書き分けた点にあろうと思うのでありますが、そこでこの文字だけで或いは御疑念をお抱きになるのも御もと思うのでありまするが、この一号は、「団体の活動として第三条第一項第一号に掲げる暴力主義的破壞活動を行つた団体」、これはこういう活動を行なつた団体は明瞭になるからであります。そこで三条一項二号のほうの行為を二号と三号に書き分けてあるのであります。四条二号に、「団体の活動として第三条第一項第二号イからリまでに掲げる暴力主義的破壞活動を行い」、これは既遂類型と申しましようか、実際の実害的行為をやつてしまつた、そういうものと、そうしてこれに準ずるような危険な破壞活動を行なつた者というのが「若しくはその実行に着手してこれを遂げず、又は人を教唆し、若しくはせん動して、これを行わせた団体」、そういう行為をキヤツチしたのであります。そこでこれだけの第三条第一項第二号から第六条の二号に掲げてある行為を取除きますと、あと残るのは単に予備にとどまつた団体、陰謀にとどまつた団体、教唆にとどまつた団体、扇動だけにとどまつた団体というのが残るわけであります。そこで第三号というものに、かような行為だけを限りまして第三号に掲げたのであります。
かような今申上げたようなヌの予備、陰謀、教唆又は扇動だけにとどまる活動につきましては、一回第四条第一項の処分を受けて更に団体活動としてそのような活動をした、そういう二回やつた団体でなければこの解散の措置はとらない、こういうふうに定めたのであります。かようなふうに一号と二号と、特に三号を書き分けたのは、解散という措置が極めて重大なことでありますからして、その活動の悪性に区別を設けましてかような規定にいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/45
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046・吉田法晴
○吉田法晴君 そうするとちよつと疑問が又残るのですが、本文の、第四条第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められたときはというのは、一号、二号にもかかるのであつて、実際はもつとはつきり書くならば、一号、二号についても第四条第一項の処分を受け、更に団体の活動として云々と、こういう書き方と同じ意味だと、こういう御趣旨と解するのですが、そうするともつとそこのところをはつきり書かなければ、法文としては明らかになつておらんということが言えるのじやないかと思いますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/46
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047・関之
○政府委員(関之君) 御疑問は御尤もと思うのでありまするが、この第四条のこの団体の活動の制限の規制措置と第六条の解散とにおきましては、この第六条の一号と二号の関係におきましては、形式といたしますれば、どちらも請求をすることができると、請求が第四条の処分の原因ともなり得れば、又第六条の処分の原因ともなり得ると、こういうことになるわけであります。併し六条三号に掲げる行為、即ちこれは先に申上げたような第三条第一項第二号のヌにとどまる行為、単にヌにとどまる行為につきましては、先ず第四条で行かなければいかん、それについてはいきなり解散の処分はできない。そうして第四条の制限処分のところの請求をしまして、更にその団体が暴力主義的な破壞活動をするというような場合でなければいきなり解散はいけない。こういうふうに考えているわけであります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/47
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048・吉田法晴
○吉田法晴君 例えば今の御説明によりますと、二号にはこの「二号イからリまでに掲げる暴力主義的破壞活動を行い、若しくはその実行に着手してこれを遂げず、又は人を教唆」、若しくはせん動して、これを行わせた団体」と、大体今のヌのあれが書いてあるわけであります。そうすると今の御説明の実際に内容をなすわけだと思うのでございますが、質問の要点は六条本文に書いてあります、「且つ、第四条第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められるときは」と書いてありまして、これは四条の規制によつては目的を達することができないときはと書いてあるのであつて、実際は第四条第一項の処分を受けて、そうして更に一号、二号に書いてある活動をやつたと、こういうことにはならんと思うのです。説明のように一応四条の規制をやつて、そうしてうまく行かない場合には第六条による解散をやる、こういうことであるならば、一号、二号についても三号と同様、第四条第一項の処分を受けというようなことを頭にかぶせなければお話の通りにはならんじやないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/48
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049・関之
○政府委員(関之君) この第六条の第一号、第二号に掲げてあるような行為につきましては、場合によつては第六条の直接解散まで行く必要があるのではないかと、かような過去の暴力主義的破壞活動を継続又は反覆して将来暴力主義的破壞活動をなすと、かような若し団体がありまするならば、第四条だけでは有効にその危険性を除去することができないという場合が入るかと存ずるのであります。
そこでこの第六条の一号、二号の行為につきましては、法律の建前といたしますれば、解散請求もできますれば、或いは第四条の制限的規制の請求もできるというふうなわけであります。併し実際の建前といたしますれば、先ず四条を考えてみて、できるだけ四条で行つて、解散ということはその次である。併し必ず第四条の請求をした、処分をしたあとでなければ第六条は動かしてはならんということに相成りますると、それはこの法案の危険性を除去する、公共の安全を確保するための観点から見まして、目的に副わないと思うのでありますから、そこで建前として一応四条の規制処分もするということを考えて、そこでどうしてもいけないと思うときには六条で行つてもよろしい。併しそれは第六条の一号、二号に掲げる行為だけに限る、あとは必ず第四条の規制の請求をして、そうしてその上になおかつ団体が暴力主義的破壞活動を行なつた、かような団体が更に継続又は反覆してやる場合に六条が行けると、こういうふうになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/49
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050・吉田法晴
○吉田法晴君 そこで御説明の建前から行つても、それから例えばリの職務執行妨害か或いは職務強要の教唆、扇動と、こういう点から言つても、これは正にあなたの説明せられるような一応第四条なら第四条の規制の段階を通つてやるべき事案だと思うのです。それならばその建前から言つても、あなたの言われる建前から言つても、それから公平の観念から言つても、これは一号、二号についても、第四条第一項の処分を受けてというのを私は入れるのは当然じやないか、御説明を聞いておつてもそういう感じがするのでありますが、依然としていきなり解散をすることができる、こういう建前も残つておる。そうすると四条で行くか、六条で行くかというときに、これは今はとにかくとして、暫く時間がたつて参りますと、手間がかかるから、六条に恐らくすぐ参るだろうと思う。その危険性を私ども今から考えられる。建前或いは精神がそうであるならば、一号、二号についても、第四条第一項の処分を受けてというのを入れるほうが、私は今の御説明の立案の趣旨から言つてもそうじやないかと思う。これはまあ議論になるかも知れませんけれども、或いはほかのかたのおられるところで質問したほうがいいかと思いますが、私はそういう工合に考えられる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/50
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051・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。御議論としては、そういう御質問のような立案の立て方も成り立ち得るかと考えるのであります。併しこの法案におきましては、只今関政府委員からお答えいたしました通り、暴力主義的な破壞活動の中で、第六条の一号、二号に掲げているような行為は極めて重大な行為である。こういう行為につきまして、四条の規制処分を以てしてはその効果を十分に収めることができない場合には、直接六条の処分を請求することができる、又六条の処分をすることができるという建前をとつているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/51
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052・吉田法晴
○吉田法晴君 そうしますと、例を引いてお尋ねをいたしますよ。五月一日のメーデーのあとの事件は、騒擾ということで問疑せられておるようでありますが、或いはイにいたしましても、或いはリにいたしましても、特にリのごときはデモでありますとか、或いは大衆行動が行われます場合にはしばしば起つて参る問題だと考えるのであります。そうするとりならリの公務執行妨害それ自身じやなくて、それの教唆、扇動をした、その教唆、扇動を今までの事態から考えてみますと、例えば人民広場に行こう、こういうことが来年のメーデーならメーデーの会場で言われたとするならば、恐らくこれがイで問疑せられますか、或いはリで問疑せられますかわかりませんけれども、まさしくリの或いは教唆、扇動ということに問疑せられるかも知れません。そうするといきなり一回の行動で以て六条の解散が行われる、こういうことにこれはなる危険性が私は多分にあると思う。そういうものを考えてみますと、いきなり六条なら六条で解散するということはこれは不当じやないか、四条なら四条で、この法律の建前から言つても、規制をして、その後になお繰返されるならば、六条の精神に私はなるべきだと思う。そういう場合には恐らくそういう点に帰するだろうという御答弁があつたのでありますが、それならそれで法文の中にはつきりすべきじやないか、こういうことを、これは意見になりますけれども、申述べておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/52
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053・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 御設例の場合に、単に人民広場へ行こうということが騒擾の扇動には該当しない、単に人民広場へ行けというような程度では騒擾の扇動には該当しないのではなかろうか、実際に特定の団体が団体の活動として騒擾を扇動いたしまして、その結果現実に騒擾が行われたというような場合に問題になるのではなかろうか。この場合におきましても、公安調査庁長官が、これは六条でやるべきだ、これは四条の規制処分ではその危険を防止することができないというような考えから、六条処分の請求をいたしましても、公安審査委員会のほうで、これはまだ六条で一挙にやるべきでない、十分四条処分で賄えるというふうに御認定になつた場合におきましては、さような認定ができるように建前ができておりますので、御了承願いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/53
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054・吉田法晴
○吉田法晴君 了承はいたさないのでありますが、今の設例の場合に、人民広場へ行こうということでは騒擾の扇動にはならんという御答弁を頂きましたので、関連しましてお尋ねをいたしますが、これは未必の故意に関連をいたしますけれども、例えば公務執行妨害、デモをやろうという決定をした、そのデモをやろうという決定をした場合には、或いは少々警察官の介入があるかも知らん、それを、そういうことがあつてもデモを計画通り行わなければならん、こういう決定をいたしました場合には、これは菊川君からも御質問がございましたけれども、その公務執行妨害なら公務執行妨害の或いは予備、陰謀、教唆、扇動かと、それから法案の運営について、もう一度はつきり一つ御答弁を頂きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/54
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055・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの問題につきましては、先般総裁からお答え申上げた点でありまするが、この法案におきましては、団体の活動とは団体の意思決定に基いてその実現として行う活動、それが団体の活動ということに相成るのであります。そこでかようなそこにそういう事実関係がなければ団体の活動にはならない。お尋ねの点は、そういうところに団体の意思の決定があつたかどうか、そうしてその実現としてそういう活動が行われたかどうかという問題に相成ろうかと思うのであります。そこで問題といたしましては、将来このデモを行うならば、或いは当然警察官等と公務執行妨害の活動がそこに起るだろうということが予見され、そこに団体において予見されるにもかかわらず、なおデモをやろうというような、団体としてそこに全体としてそういうようなことをきめた、デモをやろうということにきめたことに相成りますならば、かような意思は通常の観念から見ますると、デモもしようし、そして又そこに若し公務執行妨害ということが起るなら、それもあえてやろうというような意思決定が行われたものと解すべき場合が多かろうと思うのであります。さようなふうに団体の意思として決定し、そうして警察等に対して公務執行妨害も、来たらば止むを得ないものとしてやろうというような気持で、団体として、そうしてそれらのことを構成員、役職員において、その団体としての意思決定に基いて、現実にそのことをやつたというようなことがありまするならば、やはりそれは団体の活動、そうして今申上げたような関係がなければ、それは団体の活動でないというふうに解すべきものかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 そこでその団体の意思決定の内容になるのでありますが、そうすると例えば執行委員会と申しますか、或いは中央委員会というか、そういう機関で以て何月何日どういうコースでデモをやろう、こういう決定がなされた。それだけならば、あとで起つても団体の活動として公務執行妨害をやつたのではない。これははつきりいたしますが、併しその場合に、或いは途中で警察官の整理と言いますか、或いは道路上その他で警察官のまあ介入があるかも知れません。その場合にどうするか。これは警察官が道路なら道路、その他に並ぶことは大体予見し得るわけでありますが、そこで論議をされたかどうか。その論議もあるかも知れん。これは想像で、今の場合で言いますと、警察官が交通整理その他のために、交通巡査だけでなくて、最近の事例では殆ど出ておる。これは事実上は予見されます。そこでその機関で論議されたかどうか。その論議の態様による、こういうことになろうかと思うのでありますが、或いはあるかも知れん、併しあつても計画通りデモは行われるべきであるという決定をいたしました場合、或いはそれがごたごたが起つて、公務執行妨害が起るかどうかということは、論議に出ることもあるかも知れない、或いは出ないかも知れない。警察官の或いは出動というところまで話が出たとしても、或いは計画通りやろう、こういう決定で以て公務執行妨害の意思決定があつたとは思われませんけれども、その話とそれから未必の故意というものは、限界が非常に困難だろうと思うのです。そこで心配されますのは、結果から、結果責任と申しますか、あとで公務執行妨害が起つたということで、それではそのデモを決定したときに、計画をしたときにどこまで話があつたか。若し情報等によつて、間違つた情報で以て処罰されてはかなわんのであります。或いは最近の事例で行きますと、その前に調査活動がなされるかも知れないと思うのでありますが、その意思決定があつたかという、どういう話が出たかという事実関係が非常にむずかしい問題になつて来ると思うのであります。その点について、どの辺までの話があつたならば未必の故意があると断定されるのか。或いは結果責任を問わない、如何なる場合でも結果責任は問うものではない、こういう点が言えるかどうか、それを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/56
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057・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 結果責任は問うべきではないと考えております。ただ御質問の場合は、何か集団行動をやる、本来合法的な集団行動をやる場合に、この集団行動をやると、その団体の構成員が必ずや暴力主義的破壞活動に出るかも知れないというようなことが予見されておつて、而もなお且つそういう危険が予見されるにかかわらず、あえてその集団行動を推し進めようというような意思決定があつたという場合が、今御議論になつておる点であろうと思うのでありますが、ここで暴力主義的破壞活動ということは、政治目的を持つた暴力主義的破壞活動でなければなりませんので、ただ偶発的に何も目的のないような暴力主義的の破壞活動が起きても該当しないのではないか。団体が意思決定をして、そういうような明らかに政治目的を持つた暴力主義的の破壞活動が構成員の間で起きるかも知れない、而もそれにもかかわらずそれをやろう。その政治目的を容認してやろう、大衆行動をやろうというような場合は、極めて稀な場合ではなかろうかと考えられるのでありますが、そういうような条件がすべて備わつたということが証拠によつて認められなければ、なかなか認定はされるものではないと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/57
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058・吉田法晴
○吉田法晴君 政治目的を以て破壞活動をやろうという意思決定をなすことは、これは一応今の御説明を聞くと、最初私もそうであろうと、こういう工合に考えて参りましたのでありますが、ところが三条の二号の本文には、政治上の主義若しくは施策を推進し、又は反対するという施策の中には、例えば炭鉱国管その他政治上の主義施策、こういうふうに言われましたが、言い換えますと、具体的な政治的な要求或いはスローガンを掲げたということに相成るかと思います。例えば破壞活動防止法反対という性質或いは目的を持つておる。これは政治上の施策になると思います。政治上の施策を推進する。ですから破壞活動防止法反対のためにデモをやろう、これは政治上の施策を推進する。私どもはそれから先は反対でありますけれども、この間からの政府の考え方によりますというと、デモをやつた場合には、それは政治上の施策をやるための活動だ、その破壞活動防止法反対のためにデモをやる、そのデモをやる場合に、問題のような行動が起るか起らんかにかかつて参りますので、政治上の目的を以て云々ということはそう起るものではないということは、今までの質疑を通じまして明らかにされた、政府の答弁では。そういうことが極めて稀であるというわけには参らんかと思うのであります。そうしますと、先ほどのような問題になつて参るのでありますが、問題は公務執行妨害、或いは職務強要の場合に、今の破壞活動防止法、或いは労働組合法等の改悪反対、こういうことで行われます場合には、特審局長の御答弁にもかかわらず、これは二号の前文とそれからリに該当し得ると特審局が考えられる場合が起り得ると考えるのですが、その点は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/58
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059・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通り、確かに合法的の大衆運動は政治目的を以て行われる場合だろうと思います。その場合は、未必の故意が団体の意思決定として如何なる場合に認められるかという御質問でありましたので、その場合は、そういう大衆行動をやる場合に、明らかに構成員が政治目的を持つた暴力主義的な破壞活動をやるということが予見されるということは、極めて稀な場合ではなかろうかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/59
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060・吉田法晴
○吉田法晴君 この点はもう少し明らかにせられませんと、例えば未必の故意の場合については、規制或いは処罰の対象になるということでは、心配いたしますような法の適用が起つて来る心配がある。その点は法条に明らかにせられなければならんと考えるのであります。これはむしろ質問というよりも、実際の運営について警告を発するのでありますが、先般私どもが学者、文化人と懇談会をいたしましたあと、学生が国会に陳情に参りました。私はあのときに問題が国会の周辺で起ることを非常に憂えて、その防止のために最善を尽したのでありますが、例えばあの場合に垣の外で待つている、或いは中に入りました学生について、これは麹町署であつたかと思うのでありますが、私服の警官でありますが、写真を撮つておつたのであります。そうすると写真を撮ることについて、私服が入つて写真を撮つているということで学生側が感情的になりまして、これを追つ駈けようといたしました。そこで私は、私がその警官に対しては折衝をするからということで学生を抑えて事なきを得たのでありますけれども、ああいう行動が行なわれますというと、これはリの、今の団体の決定を以て云々ということにはならないけれども、別の、この条文と直接関係なくて、その前段階でありますが、或いは公務執行妨害という問題が起る可能性は極めて多いということをそのとき身を以て体験したのであります。ですから、そういう現在の運営については、これは十分一つ自戒を願わなければならんと思う。今後この法律によつて警察官との協力云々、これは自発的な協力云々ということでありますけれども、そういうことが今後しばしば行なわれる危険性も感じますだけに、特に御注意を申上げておかなければならんと考えるのであります。
それからその次に移りますが、今の点について、これは警察の行動でありますけれども、今後調査官についても同様のことが考え得るのでありますから、実際の運営についてどういう所信でありますか、一つはつきりこの際承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/60
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061・清原邦一
○政府委員(清原邦一君) お答え申上げます。只今御指摘の場合によりますと、かかる場合に勢いの激するあまり、或いはその学生諸君が私服の警官に対して暴行する、そういう場合も勿論考え得るのでありますが、それは単に刑法九十五条の公務執行妨害罪が成立し得るや否やの問題に止まるのでございまして、かかる場合に直ちに団体の意思決定として兇器を持ち或いは毒劇物を持つてやるという、そういつたような本法所定のつまり第三条の二号のリに該当するようなことは到底考えられないのでございます。なおついでに、未必の故意の点について御指摘がございましたが、刑法上未必の故意については非常にむずかしい問題がございますから、勿論団体の意思決定として未必の故意に亘るような犯行をやる場合につきまして、これが取締り或いは規制等の問題につきましては十分慎重に検討いたしたい、かように考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/61
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062・内村清次
○内村清次君 今の御答弁によりますと、例えば私服が写真を撮ることも一つの公務として、これは計画的にあなたのほうではそういうことはしているのですか。問題はその点が大きな問題でありまして、この点をあなたのほうの常設的な職務権限の中にあるのだ、こういう御認定でいるのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/62
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063・清原邦一
○政府委員(清原邦一君) 只今の点、私服警官が写真を撮るということはすべて警官の職務活動、さように申上げているのではありません。私の言葉が或いは足りなかつたのかと思いますが、警備活動としまして、私服警官が職務上必要で写真を撮る、そういう場合には職務行為の一つとみなされる場合がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/63
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064・内村清次
○内村清次君 只今の吉田君が聞いたのは、現実のこれはおとといの事件を引例したわけであります。ああいうときに私服が入り込む。これは職務的に入り込むのかも知れませんが、そういう例えば学生と議員との交渉の場面を撮影する、こういうことによつて非常に学生は激高して行く、感情化して行く、こういうことはむしろあなたのほうでは注意をして、そういうことはしてはならない、こういうふうなことに考えてもらわなくては、これも職務権限ですから、激高のあまり妨害したことは、これは又別な罪名で或いはとつてもいいかも知れませんが、いわゆる暴行したこと自体は……。これを直ちに職務妨害ということになつて来ると、これは私たちは異論があると思います。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/64
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065・清原邦一
○政府委員(清原邦一君) 御指摘の点は誠に御尤もでございまするが、私は一昨日の問題につきましては、その当時の実情を見ておりませんから具体的に申上げられませんが、繰返して申上げますが、警察官が犯罪の予防と言いますか、警備の関係におきまして写真をとる、そういう場合について、絶対にそれは職務行為にあらずということは言い得ないのであります。その時の情勢、警備の必要上撮る場合があり、且つそれが警察官の職務行為を構成する場合があろうかと考えます。ただかかる場合に、直ちに写真を撮ることが警察官の行動としていいか悪いか、当、不当の問題につきましてはこれは私の立場から今ちよつと申上げかねます。監督上の何がございませんから申上げかねますが、承わつて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/65
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066・吉田法晴
○吉田法晴君 問題は公務執行の内容になるのでありますが、正当ならざる公務執行行為に抵抗するのは、これは民主主義の基本的な権利だと私は考えるのであります。例えばこれを一昨日の例を引きましたけれども、この破壞活動防止法の運用につきましても、何でもかでも公務執行であり、そしてそれに対する抵抗と申しますか、或いは摩擦というものを全部公務執行妨害で問われはしないか、この点が一番問題だと思う。従つて公務執行妨害という問題を抽象的な問題として論議をしておるわけではございません。で、例えば一昨日のような、これは本質的に見ますれば、学生が議員に面会を求め、或いは陳情に来る、これは数の点は別といたしまして、そういうことは基本的には正当な行動だと考えるのでありますが、そういうような場合に写真を撮る、どういう目的で写真を撮られたのかも知れませんけれども、これを聞きました参議院の警務部長も、面会に来た人を写真に撮るということは、これは院内で行うということは、これは行き過ぎである、妥当でなかろうという意見を述べられたのでありますが、その場合に私は写真を撮るなら、写真を撮るということが妥当な公務執行であるとは考えない。基本的に、公務執行妨害という問題の場合に、その公務が正当な、或いは合法的な公務であるべきということは、これは当然だと思う。何でも公務執行については公務執行妨害罪になり、或いはこの条文の解釈運用について、リに該当していると、こういうことに解釈せられるのかどうか、一つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/66
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067・清原邦一
○政府委員(清原邦一君) 公務員の職務行為の点につきましての御質問でございますが、公務執行といいますのは、公務員が一般的に権限を有する場合と、そしてそれが又形式的に適法であるような場合においては、一応これに対し公務執行妨害罪が成立するわけであります。併しただ公務員の行為について、何でもかでもそれに対して公務執行妨害罪が成立する、そのように申上げてはおりませんのでございまして、一般的の権限を少くとも持つていなければならない、そうして形式的に適法な行為と認められるような行為と、こういうような場合には、これに対して公務執行妨害罪が成立する、かように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/67
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068・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると、この条文が動きます場合は、ああいう事例が多かろうと考えるのでありますが、一般的に権限内である、或いは形式的にも適法であるという抽象的な御説明でございましたけれども、今日警察において特高的な活動をすることは、私は許されておらんと思う。或いは犯人の捜査なら捜査、こういうことで活動がされると、或いは写真が撮られるということならば、私はそれは適法だと考える。そうすると一般的な問題じやなくて、例えば土曜日の話、或いは今後考えられます例えばデモであるとか、集会であるとか、そういう場合の公務執行というか、公務執行の場合には非常にこれは問題になつて来ると思うのです。それで今も言われるような一般的に職権の範囲内、或いは形式的に権限の範囲内だと、これが合法的であると、こういうことを言われましたとしても、実際には個々の場合に問題になるかと思うのでありますが、例を挙げましたから、一昨日の例を引くと、ああいう場合の写真を撮る、こういうことは適法な公務執行と考えられるかどうか、これは所管外だと言われますが、所管外だと言われるなら別の例を挙げてもかまいませんが、一応その例として一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/68
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069・清原邦一
○政府委員(清原邦一君) 御指摘の一昨日の例につきましては、あらかじめお断り申上げました通り、私は実情を見ておりませんが、只今御指摘のような場合の一般的の犯罪の捜査、或いは防犯的の見地から警察官に対し警備活動上その必要があつたのではなかろうかと思いまするが、繰返して申上げますが、実情を見ておりませんから、この程度しか申上げることができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/69
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070・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは、これも私どもの知つておる例でありますけれども、東大事件等の中に出て参りました、これはその一部分だけを取りますから、或いは又逃げられるかも知れませんけれども、身許調査なら身許調査ということで、学校の先生の所に入つて行く、これを警視総監は捜査上適法な行為であるかのごとく言われて参つたのでありますが、私どもはこういう学校の先生について一々身許調査といいますか、予備隊の行かれる心配もないし、実際には思想調査になると思うのでありますが、ああいう活動が行われた場合に、そこで公務執行妨害が行われたという場合に、私どもはこれは適法な公務執行であるとも考えないし、それに伴つて起ります問題を公務執行妨害で論議するわけには参らんと、こういう工合に考えるのでありますが、刑政長官の一つ重ねて御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/70
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071・清原邦一
○政府委員(清原邦一君) この警察官の身許調査の問題は非常にむずかしい問題でありまするが、私の只今申上げしましたのは、具体的に例えばデモがある、或いは暴動が起る危険性がある、こういつた場合にその警備活動として具体的事件に即して警備の一端として写真を撮る、こういうようなことは勿論警察官の職務行為として認容されるべきものである。従つてこれに対し暴行、脅迫を加えるといつた場合には、公務執行妨害罪が成立するものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/71
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072・小野義夫
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/72
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073・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/73
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074・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 警察官が具体的な大衆行動につきまして、それを写真を撮影するということは警察官の職務行為であるかどうかという点につきましては、刑政長官からもお答えしましたが、それが一般の権限に基いて適法な行為の形式を持つ場合においては職務行為と認められるとお答えをしたのでありますが、なお御質問の点につきましては、警察当局の意見も聞きまして、後日更にお答えしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/74
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075・伊藤修
○伊藤修君 今の問題点は、結局警察官の職務行為なりや否やという点にあるのです。だから警察官職務執行法の範疇に属すれば、当然職務行為である。問題はそこにあると思うのです。それからいま一つの問題は、職務行為を執行するに当つてその権限を踰越した場合、逸脱した場合においてそれをも職務行為とみなすかどうか。その場合においては不当なるところの職務行為だから、それに対して反撃を加えた場合に、それはこの本法に言うところの妨害罪にはならないかどうか。この二点にあると思うのですが、その二点を中心にしてお答えになるとはつきりするんじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/75
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076・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 吉田君の質問に対する答弁は保留ということにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/76
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077・吉田法晴
○吉田法晴君 答弁は追つてして頂いてもいいんですが、例えば私どもこういう公務執行妨害ということがこの法文の中に入つて来ます以上、警察官職務執行法その他警察のことをとにかく勉強しなければならん。大変その点は困惑をしておると申しますか、勉強をさせられておるわけでありますが、例は、これは警察の職務それ自身は警察法の範囲内ということになるかと思うのでありますけれども、今の伊藤委員の指摘せられましたような点について、これは特審局のほうですぐに御答弁ができないというようなことでは、これは私は甚だ心許ない。ましてそれが今後警察の解釈によつてどうでもなる。こういうことでは私は困ると思うのであります。範囲を逸脱した云々ということが警察の判断によつてのみ起る。こういうことではならんと思うのです。或いは例えば調査官なら調査官の行動についての公務執行妨害という問題がこの法律の中にありますけれども、それを調査官が属しておる特審局なら特審局の解釈によつてこれが正当な職務行為であるかどうか、或いは踰越をしておつた公務執行にはならん、或いは公務執行妨害の問題も従つて起らない、こういう点をこれは特審局だけで認定をせられますならば、これは正当なるざる公務執行なりというものはなくなつて参ります。そこで客観的な判断を願わなければならんと思いますが、問題が起りました場合に、私はこれらは裁判所が結局きめる問題だと思うのです。それを一応こう書いてあるからということで、今お話のように例えば土曜日の活動が、或いは身許調査が、あれが警察の意見を聞いて、警察が職務行為であつたと言うならば職務行為であるし、そうでなければそうじやない、こんな馬鹿な話はない。これは調査官の場合についても同様だと思う。その点についてそういう行政機関の警察なり或いは特審局の意見によつてのみこの公務執行の内容をきめられるのかどうか、それは一つはつきり承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/77
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078・関之
○政府委員(関之君) この公安調査官に関する問題につきましては、第二十六条以下の一般的な調査のこの権限の範囲内におきまして、勿論それは適法なものが公務の執行に当るのでありまして、適法でないものにつきましては、これはもとより公務の執行とは言うことはできないと思つておるのであります。これは一般的な議論でありまして、警察官の場合でもこの場合は同様なことが言えるのであろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/78
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079・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると、適法なりや否やということは誰が判断をするのでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/79
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080・関之
○政府委員(関之君) 適法なりや否やの判断は勿論問題の終局になりますと、裁判所のあれになるのでありますが、先ず第一におきましては、その調査官がみずから法令その他に基いてこれは適法な行為である、こういうように考えて行動することに相成ると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/80
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081・吉田法晴
○吉田法晴君 最終的には裁判所がきめる、これは勿論問題ございませんけれども、第一次的には当該行政機関、警察或いは特審局長と申しますか、或いは公安調査庁長官ということに恐らく言われるんでしよう。或いは公安調査官と申しますか、そういうことになると思いますが、そういう行政機関によつて判断をせられまして、それが恣意的になつて参ると思いますが、或いは拡大されて参るならば、これは職権濫用が起つて参ります。而も職権濫用罪を適用する云々ということでありますけれども、過去における職権濫用が法的に責任を追及せられたかどうか、その例が極めて稀であつた現実を考えますならば、それが公務なりや否や、或いは公務ならざるやということ、これを行政官で、或いは直接その公務執行をいたします行政機関が認定をすることについては危険がある。こういう点はお認めになると思いますが、それについての御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/81
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082・関之
○政府委員(関之君) 私どもはその点については行政官はやはり法を執行するものである。自分の責任において法を解釈し、そうしてその範囲は適法な範囲である。法の趣旨はここにあるということを考えて、その責任において法を執行するものであり、それが行政官の義務であるというふうに考えておるわけであります。そこでさような行政官が法に基きましていろいろ解釈を下し、かようなものが法の執行であると考える。こういうことが公安調査官のみならず他の一般のすべての行政官、特に執行的義務を持つておる行政官、これがすべて同じようなそこに問題があると思うのであります。そこで公安調査官におきましても、第二十六条以下のこの規定に基きまして調査いたし、これはそういう調査をすることがいろいろ調査官の法律上の義務であり、又権利でもあるわけであります。これはさように調査官が自己の責任において先ず考えて行動する。そういうことが行政官の責任であると思うのであります。さようなことがあとで裁判所の御判断を受けること、これは当然でありますが、先ず第一はさようなふうに考えなければならないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/82
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083・吉田法晴
○吉田法晴君 それだけの話であると、これは濫用か、或いはこれは公務執行であるという主張がどんどんされて参つて、或いは土曜日の会見のようなときに写真を撮ることもこれも正当な公務執行である。或いは身許調査をやることも公務執行である。或いは調査官が今後会合に入ろうという場合にもこれは公務執行である。こういうことに私は相成ると思うのであります。なお、研修とそれから監察制度のことを言われましたけれども、これだけでは私は足りないと思う。その点は議論になりますから、先に移ることにいたします。
これに関連して公務執行と或いは公務執行妨害との問題については、公安調査庁については調査官について今後起る危険性が多分にあると思うのです。この法律の規定により調査に従事する者、これはこの条文の中から私は当然除くべきではないかと考えるのでありますが、この法律全部の中の行為には入つておりますが、或いはこれに対する処罰もございます。そうしますと、結果においてはこれは政府の説明、特審局の説明でありますと、これは任意調査である、これは拒むことができる、こういうことを説明をせられますけれども、こういう公務執行妨害罪が規定されたわけではありませんけれども、一応調査官についての公務執行妨害罪ができるような規定がここに置かれる、或いは処罰があとでなされて参りますと、事実上はそれが裏付けられて調査が強制調査になることは客観的に可能性を持つていると考えられるのでありますが、その点についてどういう工合に考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/83
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084・関之
○政府委員(関之君) この第三条第一項筋二号の「リ」の問題でありますが、これはかような条件をしぼりまして、団体規制の原因として取上げたのであります。そこでこれらの行為は若し現実にかような行為が行われますならば、これは刑法の九十五条の公務執行妨害でその行為者は個人的な責任を刑事上問われるということに相成るわけであります。これはその建前といたしますれば、この法と刑法とは全然別個で、そうして又調査認定する機関も又全然別個であるということに相成るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/84
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085・吉田法晴
○吉田法晴君 刑罰処分が別になることを申しておるのではございません。この「リ」の中で、この法律の規定による調査に従事する者ということを謳つて、そうして三十九条によつて警察官或いはそれと共に調査に従事する者に対する刑法九十五条公務執行妨害罪というものをここにちやんと設けてある。そうすると、これは任意調査だ、強制調査ではございませんとこういう説明をせられますけれども、条文からするならば、裏からこの強制調査にする規定が設けられておるではないか、こういう意見に対してどういう工合に特審局は考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/85
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086・関之
○政府委員(関之君) これはお尋ねのお答えになるかどうかちよつとあれでございますが、御趣旨は三十九条の三号に「この法律の規定により調査に従事する者」というふうに書いてあるのは強制的な調査ができるじやないかというようなお尋ねだと思うのでありまするが、これは公安調査官はやはり公務員でありまして、そうしてこの法律によつて任意ではありまするが、調査の事務を執行するわけであります。そうしてその調査の事務の執行に対しまして若し妨害がありまするならば、これは刑法九十五条の勿論条件に該当しなければなりませんが、それに該当するようなことがありますれば、当然刑法九十五条の発動があるものと、かように考えておるわけであります。それで特にこの三十九条の三号におきましては、破壞活動の「リ」に対応いたしましてかような規定を特に掲げたのでありまして、公安調査官に対する公務執行妨害がもう当然刑法上成立しているということは、全くこれと関係のない問題になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/86
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087・吉田法晴
○吉田法晴君 三十九条によりますと、調査官について刑法第九十五条を適用すると、こういうことは書いてないのであります。「政治上の主義若しくは施策を推進し」云々ということは入つておりますけれども、加重をされております。それがこの三十九条の規定の目的であります。「リ」にしてもそうであります。それによつて団体規制の理由にすると、これは行政的な罰と申しますか、或る意味においては行政罰でしようが、行政罰なり或いは刑罰処分で以て調査官の公務執行が裏付けされておる、或いは刑が加重されておる。この結果は口に任意調査々々々々と言われるけれども、実際には強制調査になるということにこの法律は作つておるのではないかと思う。任意調査だということで私は詐欺にかかつておるという感じがするのであります。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/87
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088・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) この法案の第三条第一項第二号の「リ」でありますが、これは政治目的を持つて凶器若しくは劇毒物を携え、且つ多衆共同してかような行為に出る場合を取上げておるのでありまして、御質問のような個個に公安調査官が調査事務を行う場合につきまして、この調査事務を個々的に妨害するというような事態は刑法九十五条で保護されておるわけでありまして、別にこの「リ」の規定の中に公安調査官を入れたからと申しまして、強制調査権を裏から与えたということにはならないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/88
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089・吉田法晴
○吉田法晴君 まあ説明が、任意調査で拒絶することができる云々と余り立派なことを言われるから、そこでそうでないということに法条もなつておるということを指摘して、それを答弁の矛盾とそれから法案の矛盾を私はまあ指摘をいたしておるのであります。あとは立法上の問題でありますから、私の意見はここでは申上げません。
それから問題が実は多過ぎて私ども困るのでありますが、三条に入りましたから、三条の点をもう一点お尋ねするのでありますが、これは意見長官がおられませんので少し勝手が悪いのでありますが、この三条の一号と二号とを分けた理由がはつきりいたしません。或いは公安調査庁の組織を二つに分けたにしても、この一号、二号で分けてありますが、一号と二号との間にどれだけの違いがあるかという点を、これを質の問題として一つお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/89
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090・関之
○政府委員(関之君) 一号と二号をかように書き分けましたのは、一号のほうにおきましては、申すまでもなく内乱という政府を転覆するために暴動を起すという、さような刑法の中におきまして危険中の危険の行為になるわけであります。これにつきましては、ロ、ハというふうにその危険の行為を喚び起すような危険の行為をここに考えて、そうしてやることが公共の安全を保持する上に必要であるというふうに一号については考えているわけであります。それで二号につきましては、これも内乱行為に至るまでは行かないのでありまするが、要するに政治上のかような目的の下にかような行為をなすことは憲法の定めるところの民主主義の原則を根本から否定するものである。かようなふうにこの項を考えまして、そうしてこれにつきましては、ヌの予備、陰謀、教唆、扇動の範囲にその危険の行為を防止するというふうに考えたのであります。これはこの差異は六条の団体の解散の場合におきましては、一部その考え方を区別いたしまして、規定しているのであります。以上のような次第でありまして、一号と二号とを刑法の各規定に従つて書き分けてみたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/90
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091・吉田法晴
○吉田法晴君 それじやもう少し具体的にわからん点を申上げますが、内乱の構成要件の朝憲紊乱というのは、これは大分質疑がなされましたけれども、それでも明らかではないと思うのであります。特に判例を引いて説明をせられましたけれども、神兵隊事件を法務総裁が言われましたけれども、旧憲法下の朝憲という概念をここに持つて来るというのは、これは今の法律としてとにかく物差しにはならん、こういうことを考えざるを得ないのでありますが、そのことはその朝憲紊乱の具体的な内容として挙げられた点にも関連をして参りますが、それはそれとして、例えば政治上の主義と朝憲とがどれだけ違うか、頂いた政治資金規正法の解釈によるこの「政治上の、主義若しくは施策を推進し、」云々の解釈によりますと、共産主義、社会主義、或いは無政府主義、こういう主義が書いてございます。これが政治上の主義だと言うのであります。そうすると社会主義、共産主義、無政府主義にしてもそうであると思いますが、例えば今の労働組合、或いは労働者は、資本主義の下においては自分たちの本当の生活の安定、或いは向上はないと考えておる、その社会主義の内容をどういう工合にこれを規定するかということは、いろいろございますけれども、少くとも憲法の中にも社会化、或いは社会主義の要素が入つておると私は考える。仮にそういう政治上の、主義というものを社会主義という例にとつてみますと、その社会主義というものと或いは朝憲紊乱というものとどれだけ違うか、これは国会なら国会制度ということになりますと、或いは国会制度を否認するというものは社会主義の中にも極めて少いかと思います。併し例えば天皇制という点を申されましたけれども、これは私は天皇制はないと思います。旧憲法なり、或いは厳密な意味においての天皇制というものは、新憲法の下にはなくなつておると思うのでありますが、統治権の主体としての天皇というものはなくなつておると思いますが、仮にこの天皇制の問題について、象徴としての天皇を残すべきであるという考え、或いはこれを強化すべきだという考え方もございましよう。あることも知つております。併し本当の民主主義の下においては、これは直接選挙の大統領によるべきであるというのは、民主主義の議論として当然あるわけであると思います。そうすると、それが朝憲紊乱に該当するのか、或いは政治上の主義に該当するのか、これはちよつと私にはわかりません。一つお教えを願いたいのであります。
それから例えば五月一日の宮城前の事件は騒擾罪に問疑せられました。ところが五月三十日の事件は、これはたしか公務執行妨害であつたかと思うのでありますが、同じような暴動にいたしましても、場合によつては内乱になり、場合によつては騒擾により、或いは場合によつては公務執行妨害になる、本質的な違いは私はないと思うのであります。而もそれが内乱そのものならとにかく、それが予備、陰謀、教唆、扇動、或いは正当性、必要性を主張した文書図画ということになりますと、この一号と二号の前文がかつたイとりとヌを結び合したものがどういう工合に違うかということは、これは実際問題としてはつきりせんと思うのであります。特にこの法律の適用が考えられる一号にしても、ロとハが殆んど大部分の場合であろう、或いは二号の場合にしても、多くはヌであろうと考えるのでありますが、そうするとその場合にどういう工合に違つて参るか、実際私にはわからんのでありますが、どういう違いがありまするか、その点について一つ明快な御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/91
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092・関之
○政府委員(関之君) どうも明快なお答えになるか、大変疑問でありますが、朝憲紊乱ということと政治上の主義ということと、そこに関連があるか、或いは同じようなことが考えられるか、違つておるのかというお尋ねでありますが、観念の考え方としては一応私は関係がなく考えられるものと思つております。今まですでにお答えいたしましたごとく、朝憲の紊乱とは要するに国家の基本制度、こういうものを言う、それが朝憲でありまして、大体かようなものはこれはすでに判例によつて過去において一応確定しておるところでもありまして、その判例の趣旨とするところは、今日までやはり法律によつて許されておると考えなければならないのであります。そうすると、国家の基本制度とは何かということになりますと、憲法上或いは国会であるとか、或いは司法裁判所であるとか、或いは内閣であるとかいうふうに、憲法において国家統治の基本組織というふうに定められておるもの、こういうものが朝憲に当るものと考えなければならないのであります。お尋ねの或いは大統領主義とか、いろいろなようなことの問題は、そういう主義を主張するというようなことは、これはそういう先ず朝憲という概念をきめまして、それぞれの関連において、或いはその主義が朝憲の或るものに関連する場合もあるかも知れませんが、それはその主義の内容を考察して見て、そうして朝憲の概念のどこに当つてそれが関連を生じておるかという問題になるのではないかと思うのであります。
次に或る特定の事実がここに発生いたしたといたしまして、それがこの第三条の暴力主義的破壞活動のどれに当てはまるかというような、又勝手にいい加減な認定をするのではないかというお尋ねでありますが、この問題は刑事法におきましては一つの事実があつて、或いはこれを横領罪に当てるか、業務横領に当てるか、或いは傷害に当てるか、暴行に当てるかという問題があるのであります。そこでそれはその起きた事実を素直に見て、この第三条各号のどれに当るのが一番素直であるかという健全な常識によりまして、法律的な健全な判断によりまして正確にそれを当てはめて考えて行くということに相成ろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/92
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093・吉田法晴
○吉田法晴君 この辺がもつと御質疑を申上げて参らなければなりません。今の答弁は残念ながら私は答弁としてお頂きしかねるのであります。別の機会に一つお願いをしたほうがいいと思います。なお又こういうことはこれも別の機会に尋ねたほうがいいかも知れませんけれども、関連して一応特審局の御意見を承わつておきたいと思いますが、例えば今の憲法では再軍備が禁止してあります。言論の点については、再軍備を促進する言論は取締られてはおりません。仮に再軍備を、主張して暴動を起したらどうなるか。言論の点から言いますならば、或いはこれは朝憲紊乱ということには、刑法七十七条には、今の政府の気持からするならばむしろ歓迎するので、問題にせられないかも知れないと思うのでありますが、どういう考えであるか伺いたい。もう一つ、それじやこの再軍備をすべきではない、平和主義を守るべきだということで或いは暴動その他が行われました場合、私は再軍備をすべきでないというのは、これは憲法を守ろうということで朝憲紊乱ではないと思うのでありますが、これについて憲法の第九条をめぐります意見が分れて、そうしてそれによつて暴動と申しますか、或いはそこまでは恐らくすぐ現実には問題が起つて参りますまいけれども、それのロハということになつて参りますと、すぐ問題が起つて参ると思うのでありますが、どういう工合に考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/93
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094・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。御質問の、再軍備を目的として暴動を起した場合はどうなるか、その場合におきましては、再軍備に反対する政府がありまして、そういう個々の内閣の打倒を目的として、或いは更迭を目的とするという程度であれば、これは内乱にはならない。併し現在の憲法が再軍備を規定していないから、この憲法を議会制度によらずして叩き壞してしまうというような意味の暴動でありますと、これは相当重大な問題になる。問題は再軍備を主張し暴動を起すと言いますと、暴動によつて何を達成しようかということに相成るであろうと考えるのであります。必ずやそこに国家統治の組織、現行の国家統治組織の基本組織を破壞しようとか、或いは何らかのそこに目的があるのではないかと考える次第であります。
〔委員長退席、理事伊藤修君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/94
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095・吉田法晴
○吉田法晴君 現実には先ほど申上げましたように、再軍備を主張し、或いは再軍備に反対をして暴動というところまでは現実になかなか来ないだろうと思います。問題はその予備、陰謀、或いは教唆、扇動、その正当性、必要性を主張した文書図画の印刷、頒布或いは掲示、所持、こういうことになつておる。街に再軍備促進のポスターが貼つてあります。或いは渋谷駅等で再軍備促進の演説がなされ、或いは再軍備反対の演説がなされておる。そうすると、片つ方の再軍備促進の活動は余り取締られないで、憲法を守ろう、再軍備反対というほうは取締られておるという実情なんであります。それは、問題は単に再軍備問題という朝憲紊乱のことだけでなくて、勿論暴動ということがあるわけでありますが、その暴動までは今のところ書いてございません。併し国会がはつきりしない、或いは政府自身にしても、口では再軍備をいたしません、こう言つておるけれども、警察予備隊であるとか、海上保安隊なり、どんどん強化されておるじやないか。こういう事態に対して、或いはそういう暴動を伴いましたこれから言動が出て来る、こういうことになりますと、イロハというものは今まではなかつたかも知れませんけれども、今後起り得ると考えるわけであります。その場合にどういう考えであるか、一つ今後の問題でありますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/95
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096・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの御趣旨は要するに、再軍備は反対だ、我々はもう再軍備は反対だということだけでありますれば、三条の第一項一号には当らないと思うのであります。この一号は要するに内乱をやろう、どうも政府は我々を見てくれないから暴動によつて根本から倒してしまうということでありまして、そういうことがその主張の中に出ない限りは、一号のいずれにも当らないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/96
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097・吉田法晴
○吉田法晴君 今お尋ねいたしましたのは、暴動の内容がなければというお話でありますが、私は直接行動、こういう言葉を使いました。政府も或いは国会もはつきりしない、そこで行動でということになりますと、それでは一に該当しないかも知れませんけれども、或いは二には該当して来るかも知れません。その行動が殺人その他ということになれば、これはヘに該当して参りますけれども、そこまで行かないで、或いはリと申しますか、職務執行妨害ということになりますけれども、実際には或いはデモをやれ、或いは殺人を示唆するということになる場合が考えられる。殺人をやれということになると、はつきりヘになりますけれども、その直接行動の中味がはつきりしない場合には、それをどれに該当させるかということは、これは結局裁判の問題であり、行政庁の問題である。そういう危険を防止する意味からこの法案を発動する。こういうことになりますれば、恐らく二号のロのどれかに該当しやせんか、こういうことで探して問題にせられるのじやないか、一応調査官なら調査官が、調査を開始するという意味においては問題になるのじやないかと思うのであります。そういうことは全然ないと言われるのでありますか。それとも例えば直接行動の中身がはつきりしないとしても、こういう問題についてどういう解釈、態度をとられますか、これを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/97
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098・関之
○政府委員(関之君) お尋ねの直接行動をせよという言葉でありますが、これは何を意味しておるか、それだけではわからないわけであります。すべて申すまでもなく、言葉はそれが用いられたいろいろな事情を総合いたしまして判断されるべきものであるかと思うのであります。それがどういう、如何なる場合でありますといたしましても、その言葉によつて、例えて申しますならば、二号に当ります場合ならば、政治上の主義で人を殺せということがその言葉にはつきり出て来て……出て来なければいけない。これでなければ、教唆にも、又扇動にも当らないわけであります。さような疑いのある場合に必要な調査を始めるということに相成るわけであります。勿論すべてさような点につきましては、いわゆる調査官に対しまして明確に職務の執行の基準を与えまして、一般の誤解のないようにいたすべきは申すまでもないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/98
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099・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは直接行動を、暴動ということ自体がはつきりいたしませんし、そういう現実がなかなか今差当り具体的に見つかりませんから、前の朝憲という問題に関連して論理的に伺いますけれども、再軍備促進という問題、或いは再軍備反対、こういう問題が朝憲の場合に入るかどうか、その点を一つ明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/99
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100・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 刑法の内乱罪に目的として規定されております朝憲は、朝憲紊乱という言葉でありまして、いわゆる先ほどから御質問になりました通り、非常に古い概念をそのまま用いておるわけでありますが、その概念の中身はやはり日本国憲法を基礎として解決されなければならない。で、日本国憲法によりまして現実に定律された国家統治の基本制度、基本組織というものが朝憲の内容になる。で、朝憲の内容についてそれを不法に破壞することがその目的になるというふうに考えておりまして、現在再軍備というものは日本国憲法で認められていない。だがその再軍備というものは認めてないから朝憲に入るのか、入らないのかというような御質問でございますが、内乱罪といたしましては、朝憲を紊乱するという言葉になつておりまして、そういう意味で国家統治の基本組織を不法に破壞するという概念として考えられなければならんのではないか、でここで普通に朝憲という言葉はそれ以外に一般には使われない用語になつているのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/100
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101・伊藤修
○理事(伊藤修君) 質問は入るのか入らないのかというのですから、入る、入らないと答えればいいのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/101
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102・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 現在日本国憲法におきまして軍備という制度は認めておりません。入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/102
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103・吉田法晴
○吉田法晴君 国家統治の基本組織という言葉を使われましたが、別の機会には憲法の基本原則、こういう言葉を、これは意見長官であつたか知りませんが言われたことがあります。或いは新憲法の一番基本的な問題は民主主義或いは平和主義だと思うのであります。憲法九条は、前文の中にも入つておりますけれども、私は憲法のこれは基本的な一原則だと思うのであります。第九条が変更し得るか変更し得ないかという、変更することはそれは憲法の修正ではなくて、憲法の根本的な破壞であつて、憲法自身が考えられないという有力な意見までもあることであります。単に国会組織或いは内閣制度だけが朝憲であつて、平和主義というものが憲法の基本的原則ではないかのような御答弁はこれは甚だ不可解な議論だと思う。憲法をもう少し御勉強願つて御答弁を更に願いたいと思います。軍備問題は憲法の基本的な原則ではない、こういう工合に言われるのかどうか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/103
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104・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。法制意見長官が憲法に規定されておる各種の平和主義その他の原則を朝憲紊乱の内容になると御答弁申上げた事実は私は記憶していないのであります。私といたしましては、やはり朝憲の内容は、日本国憲法によつて現実に定律された国家統治の基本組織というふうに考えておる次第であります。なおこの点につきましては佐藤法制意見長官の名前が出ましたので、その向をお伝えして更に御答弁することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/104
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105・吉田法晴
○吉田法晴君 今の御答弁の中に佐藤意見長官が非武装或いは平和主義というものを国会、まあ一番先に来るのは天皇制、それから内閣制、或いは国会制と、こういう工合に述べられたことは論理の初めであつたことは私も否定いたしません。朝憲の概念としてその朝憲を具体的に挙げられるほかに、憲法の基本原則という説明までなされたと記憶をいたしておるのでありますが、それはとにかくとして、憲法の諸原則が朝憲に該当するかどうか。これは私は憲法の基本的な原則はいわゆる朝憲の中に入ると思うのであります。旧憲法の下における朝憲の概念の中には平和主義或いは非武装主義というものは入つていなかつたことは明らかであります。問題は朝憲という概念を旧憲法によつて考えるのではなくして、新憲法の下において憲法の基本原則が何であるかということを考えることが今の法律解釈の場合に問題になるので、その憲法の原則から問題を考える場合には当然これは入ると思うのであります。その点は今の特審局長の答弁とは意見が違いますけれども、従来の佐藤意見長官なり、或いは政府側の……佐藤意見長官が個人でこれは持つておられた御意見であつたかと思いまするが、併し政府委員の今の答弁は明らかに食い違つていると思います。その点は一つ別な機会に私も研究いたしますけれども、政府委員においても御研究おきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/105
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106・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通り、更に佐藤法制意見長官に申上げまして、その点を明らかにしたいと思いますが、法務総裁はやはり朝憲の概念につきまして、私と同様な御意見をすでに当委員会におきましてもお述べになつておられると思つている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/106
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107・吉田法晴
○吉田法晴君 それからこれは従来ありました答弁の中で、法務総裁は神兵隊事件を引いて、あのときの行動が朝憲紊乱になるかならんかということに言及せられました。ああいう旧憲法の下における暴力行動と申しますか、或いは内閣なら内閣の閣僚を殺す、こういう行動を旧憲法の下においては、或いは神兵隊のように朝憲紊乱に関連して考えずに、単なる殺人なら殺人として扱われて来たということも承知いたしますけれども、あの旧憲法時代の事件に絡まります判例で以て、新憲法下における内乱を論議することは私は不当だと思います。その点も併せて御研究願い。或いは次の機会に論議をいたしたいと思います。附加えて御注意を喚起いたしておきます。
それから第三条の問題についてまだございますけれども、そういう点になりますと、これは別の機会が適当だと考えますので、少し飛びますけれども、先の問題に移りますが、これは曾つて私ちよつと触れましたけれども、質問として答弁を頂いておらんのでありますが、或いはこれも別の機会のほうが適当かも知れませんけれども、特審局で御答弁願える程度において御質問を申出げますが、衆議院の修正によりまして、公安調査庁の人員として予定せられました中から、公安審査委員会に十名廻すという修正になつております。この十名はどういう人が廻されるのか、その点を一つ特審局長にお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/107
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108・吉河光貞
○政府委員(吉河光貞君) 公安調査庁設置法附則の第四項に規定されます十人は、これは定員でございまして、現実に現在の特審局からこの十人が移つて行くというラインではございません。
〔理事伊藤修君退席、委員長着席〕
これは飽くまで委員会又はその委員長が御採用になるというラインであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/108
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109・伊藤修
○伊藤修君 本日はこの程度で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/109
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110・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X05219520610/110
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