1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年二月十七日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 奧村又十郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君
理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君
理事 佐藤觀次郎君
上塚 司君 大泉 寛三君
島村 一郎君 西村 茂生君
西村 直己君 宮幡 靖君
三和 精一君 小川 半次君
加藤 高藏君 吉田 正君
小川 豊明君 久保田鶴松君
坊 秀男君
出席政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 白石 正雄君
大蔵事務官
(主税局長) 渡辺喜久造君
国税庁長官 平田敬一郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(国税庁間税部
長) 篠塚 繁君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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二月十六日
産業投資特別会計法案(内閣提出第五六号)
同日
酒税引下げに関する請願外二件(田中萬逸君紹
介)(第一八五三号)
同外一件(木暮武太夫君紹介)(第一九二九
号)
国内産含蜜糖に対する砂糖消費税撤廃に関する
請願(永田良吉君外九名紹介)(第一九一五
号)
飾物等に対する物品税撤廃等の請願(島村一郎
君紹介)(第一九一八号)
遺族国庫債券担保貸付資金並びに貸付利率に関
する請願(只野直三郎君紹介)(第一九三三
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四〇号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四一号)
富裕税法を廃止する法律案(内閣提出第四二
号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四三号)
酒税法案(内閣提出第四四号)
登録税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四七号)
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四八号)
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案(
内閣提出第五三号)
産業投資特別会計法案(内閣提出第五六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/0
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001・奧村又十郎
○奧村委員長 これより会議を開きます。
本日は、まず昨十六日本委員会に付託されました産業投資特別会計法案を議題として政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。愛知大蔵政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/1
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002・愛知揆一
○愛知政府委員 ただいま議題となりました産業投資特別会計法案につきまして、その提案の理由を説明申し上げます。
わが国経済の再建、産業の開発及び貿易の振興に必要な資金につきましては、政府は、従来から財政資金により積極的にこれが確保をはかつて参つたのでありますが、今回新たに産業投資特別会計を設置し、財政投資の一層の充実強化に資することとした次第であります。
この会計におきましては、米国対日援助見返資金特別会計の資産並びに一般会計の日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対する出資金を承継してこれを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債の発行による収入金とを主要財源として投資を行うことといたしているのであります。
昭和二十八年度予算におきましては、特別減税国債の収入金三百億円を含め七百億円の財源をもつて、日本開発銀行、日本輸出入銀行及び電源開発株式会社に対する資金供給を予定し、重要基礎産業に対する投資に特に意を用いております。
次に、この法律案の概略について申し上げますと、この会計の歳入は、特別減税国債の発行による収入金、出資、貸付金からの収入金等とし、歳出は、出資金、貸付金、国債償還費等とすることとするほか、この会計の予算及び決算に関し必要な事項を規定しております。
なお、この会計の設置に伴い、米国対日援助見返資金特別会計法を廃止する等関係法律について所要の規定の整備をはかつております。以上が、この法律案の提出の理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/2
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003・奧村又十郎
○奧村委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/3
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004・奧村又十郎
○奧村委員長 次に前会に引続き所得税法の一部を改正する法律案外税関係七法案を一括議題として質疑を続行いたします。
質疑は通告順によりこれを許します。小川半次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/4
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005・小川半次
○小川(半)委員 目下提出されております八法案は、いずれも昭和二十八年度予算に関連がありますので、私はこの際二十八年度予算を立案した大蔵省当局——実は本日大臣の出席を求めたのでありますが、予算委員会で多忙のため、この委員会には出席できないとのことでありますから、主として愛知政務次官から御意思をお尋ねしたいのでございます。
二十八年度の予算は九千六百五億円余となつておりますが、初め大蔵省で立案した政府の初案は、すでに十二月三十一日にも発表されたのでありますが、それによりますと、九千四百六十五億円となつていたようでありますが、これに間違いないかどうか、お答え願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/5
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006・愛知揆一
○愛知政府委員 二十八年度の予算の編成につきましては、昨年の十二月二十六日まで御承知のように国会がございましたので、その次の日からわずか数日の間において、政府側としては鋭意研究を進めまして、十二月三十日の夜に一応の案をとりまとめまして、それを三十一日の閣議に提出をしたのであります。そのときの数字は、ただいまお示しの通り九千四百億台であつたと記憶いたしますが、その点には間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/6
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007・小川半次
○小川(半)委員 私は最初の案の方が最後案よりもむしろ妥当であつたと思つておるのであります。もちろん、最初の案にしたところで、これは各省官僚のなれ合いによるところの総花的な消費支出予算であつて、集中的な、そうして生産的な国力増進の基本構想などうかがうことのできない、まつたく官僚らしいうわべだけを化粧した予算であつたのでありますが、それでも今申し上げたように最後案よりも最初案の方がまだ利権的なにおいがなく、幾分かましであつたと思うのであります。ところが最初案の発表によつて驚いたところの自由党では、公約、政策が予算に盛られていないと騒ぎ出して、一月十三日の政府与党の懇談会で百六億円を追加させた。引続き一月十六、十七日にわたつて廣川農林大臣あるいは当時の佐藤建設大臣らが顔役予算というか、公共事業費等という名目でさらに予算を追加されてでき上つたのが二十八年度の予算であると思うのであります。大体こういう経過に間違いなかつたかどうか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/7
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008・愛知揆一
○愛知政府委員 いささか詳細に御説明したいと思うのでありますが、先ほども申しましたように二十八年度の予算の最後のとりまとめにつきましては、例年と違いまして、前回といいますか、第十五国会の年内の審議が非常に遅くまでかかりました関係もありますので、時日に十分の余裕がなかつたということが第一の点でございます。従つて暮れの三十日から三十一日にかけてつくり上げました第一次の政府の案は、あくまで第一次の案であつて、従来の例のごとく、予算の編成については各省所管の各予算案について事務当局間で内示をやつて、そしてそれをだんだん積み上げて、まず大蔵省としては絶対不動の姿勢で行けるというところになつて閣議に提出するという段取りとは、今回のは非常に違つております。この扱い方が違つておるのには二つの点がありまして、今申しましたように、事務的に申しまするならば、本来は各省に内示を十分やつて、各省間との話をだんだんまとめて行つてそして最後に積み上げたものを閣議に提案をするというだけの余裕が今回なかつたという、主として事務的な問題であります。ところが第二の点は、これは私どものかねがねの考えでありますが、およそ独立国になつて政党政治がここに確立される以上は、われわれとしては十分政党内閣としての実を上げるような予算案でなければならない。従つて閣議に提案する第一次の案は、大蔵省としての絶対不動のものではございませんで、一応とりまとめたものを出すのであつて、その後において十分与党との間にも連携をとらなければなりませんし、なお世論にもかんがみまして、直すべきところは十分直すのである。従つて第一回目に閣議に出たところの予算案というものは、ざつくばらんに申しますればウエートが軽いわけであります。これは一応とりまとめた主計局の原案というものを閣議に報告したという程度のことに、ほんとうを言えばお考えいただいてけつこうではなかろうか、私ども提案をする者の気持もさようでございまするし、またそのことは、関係の必要とする向きには十分その間の経緯は説明しておるわけでございます。従つてそういう扱い方でありますから、その後においていろいろの段階を経て、増すべきところは増し、減らすべきところは減らして、そして原案を最もよいものとして、最終的にとりまとめて国会に提案をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/8
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009・小川半次
○小川(半)委員 政務次官の御答弁を聞いておりますると、非常に私たちは大蔵省当局に対して不安を感ずるのです。従来大蔵省当局が立案したところの政府の予算案というものは、非常に自信を持つた、確信を持つた予算案であつた。要するに一応決定したものが後日大幅の増減があるということは、あなたも御承知でしようがあまり例はなかつたのです。ところが今回の予算案を立案するに至つて、ほとんど決定的であつたものが後日やたらに追加されておる。これは国会で修正されるということであれば別でありまするが、いやしくも政府当局が政府の案を立案したものが何回も変更されるというようなことでは、これは自信と確信の乏しいものであつて、国民は不安にたえない。なぜ大蔵省当局が三十一日に案を発表するまでに、各省各閣僚と統一的な、そして後日やたらに変更されぬような確信を持つたところの案を出すに至らなかつたのですか。相当の期間があつたのでしよう。私は最初大蔵省当局の人たちから聞いた話では非常に自信を持つた確信を得た、国会で修正されない限りは政府の方ではもう何らの変更はないというところまで行つていたというようなことも聞いておりまするが、初めからそういうあやふやなものをつくつたのですか、もう一度伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/9
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010・愛知揆一
○愛知政府委員 そういう点に対しては逆にお尋ねしたいくらいに思うのでありますが、そうだとすれば、大蔵省のいわゆる官僚がつくつたものが、それがそのまま通ることの方が御希望であるのかどうかということを伺いたいくらいに思うのでありまして、それはそれといたしまして、私どもといたしましては、十分に政府側としても慎重にやりまするためには、閣議に先に出したがいいか、それとも内示をやつて積み上げて行つて出したがいいか、これは方法論としていずれの方法も利害得失があろうと思いますが、先ほども申しましたように、国会の前回の審議との関係もございますから、わずかの時日の間に、しかも慎重にやるという意味におきまして、まず閣議に一つの案を提出して、それから各省の意見を聞き、あるいは与党との連繋を十分にとるということをやりましても私は一向さしつかえないことだと思うのであります。のみならず私としてはその方が適当であると考えるのでありまして、私どもとしては、現在国会に出しておりまするものがそういう意味において最善ということで自信を持つているわけであります。先ほどお尋ねの点がございましたが、主観的にはいろいろ前の案がよかろう、そういう意見の人も大蔵省にもあつたかもしれませんけれども、しかしこれは慎重に諸般の情勢を考慮して積み上げたものでありますから、今出しておりますものが絶対にわれわれとしては自集あるものと了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/10
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011・小川半次
○小川(半)委員 もう一度言うようですが、国会で修正することは、これは何らさしつかえないし、大いに修正すべきです。あなたは官僚の出したものがそのまま通ることがかえつてわれわれは望ましくないというような御意見ですが、いやしくも政府が——あなたは政府の立場の方ですが、政府が相当の確信を持つて立案したものが、後日与党の議員の圧力によつてそれが相当増額になつたとか、こういうことになれば非常に国民は不安に思う。堂々と国会において与党の議員といえどもこれを論議して、修正する場合は何をか言わんや、政府と関係のないものがその圧力でもつて予算の増減を、国会の審議を経ずして予算というものが左右されるということは国民が不安に思うから、私はこの点をお尋ねしているのです。御承知のように、たとえば予算案を見ましても、二十八年度の予算で想像できるごとく、一千六百十二億円の公共事業費等は款項目の区分がきまつていないし、いかにずさんで、予算のぶんどりの乱脈であつたかということは、吉田総理も大体その点をにおわしておられるし、ある新聞は、予算の決定にあたつて閣僚自体が戦国時代的ぶんどりをやり、群雄割拠の観を呈したと報じている点を見ても明らかであります。そこであなたにお伺いしたいのは、最初の案があなたはよいと思われるか、あるいは最後案の方がよいとお考えになるか、この点を私は伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/11
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012・愛知揆一
○愛知政府委員 その点は先ほども触れたつもりでございますが、私といたしましてはもちろん最後の、今国会に提案されておるものが最善のものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/12
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013・小川半次
○小川(半)委員 実は大蔵省の役人の中でも二三の人たちはどうも最初め案は相当確信を持つてつくつたのに、あとで与党の議員その他から圧力があつて、いろいろ増額しなければならなくなつた、この増額の分は、どうも利権的危険性があるということを大蔵省の役人すら言つていた予算であつて、あなたはそういう予算が非常にけつこうだとおつしやるなれば、それで私は何をか言わんやであります。とにかく今度の大蔵大臣の説明を聞きましても、政府は国民に向つて資本の蓄積とか、あるいは貯蓄の増強を説教しているのでありますが、政府自体がやたらに消費的支出予算を増額しているようなことでは、国民は納得できないのであります。私はこうした立場から、以下二、三点当局にお尋ねしたいと思います。
御承知のように今日政府の方では、市中銀行あるいは相互銀行その他の金融機関に政府指定預金預託をしておるのでありますが、これらの預金預託の期限が、本年三月半ばあるいは三月末となつているものもあるのでありまするが、これらをどう処置されるのであるか、あるいは期限に回収されるのか、あるいは延期されるのか、この点を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/13
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014・愛知揆一
○愛知政府委員 指定預金の問題でございますが、ただいま御指摘のように、三月十日あるいは三月の半ばに期限が来るものが相当ございます。これは御承知のように、国庫金の正常は扱い方といたしますれば、年度を越えて預託をしつぱなしということは相当疑点のある問題でございますから、で垂れば国庫制度としてはこれを回収いたしたいわけでございます。しかし現在の金融情勢から申しますと、特に庶民金融の関係において預託をいたしております指定預金については、これを引揚げるということは相当金融上むずかしい問題だと思いますので、国庫制度の許し得る範囲内におきましては、私どもとしては必要に応じて期限を延期する、あるいは回収を猶予するという措置をとりたいと思つておりますが、まだその詳細な金額等を決定するに至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/14
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015・小川半次
○小川(半)委員 一部では、中小階層に融資すべきこれらの金を自己の建設資金に使つたりしておる銀行なども相当あると聞いておるのであります。われわれは、おそらく政府はそういう趣旨で指定預託をしておるものではなくして、あくまでも中小企業者の産業の振興のためにやつているものだと解釈しているにかかわらず、そういう政策面に融資せずして、今申し上げたように自己の建設資金に充当しておる。こういうことはやはり国民が納得しないのであるが、今日国民の声として最も多く聞くのは、政府は金融資本家を擁護しているということであります。何々銀行、何々相互銀行等という大廈高楼のビルディングが各地に建設されて行く、国民の所得が一向に上昇しないのに、どうも資本家のみがふしぎに太つて行くということは、国民がやはり納得することができない。
〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕
中小企業者あるいは零細な階級は、ときには二万、三万の金で突き当つてしまうのでございます。しかるに現在の日本においては、市中銀行は十万円以上、相互銀行は、これもかつて無尽会社といつていたころは五万以下でも融資したのでありまするが、銀行という名がついてから非常にいばつてしまつて、五万以下は融資しないというような態度をとつております。こうした実情であつて、零細階級にとつてただ一つ最も頼みとするのは国民金融公庫でありますが、これも運営資金が十分でないために貸付の要望を満たすことができないような状態であります。こうした実社会の中から必然的に起つて来るところの国民の声というものは、市中銀行や相互銀行等の政府指定預託の分を回収して、その分を国民金融公庫あるいは住宅金融公庫に充当することがより民主的であるとともに、社会保障政策上最も必要である、こういう結論が国民の中から起つて来るのであります。従つて私はこういう立場から考えまして、でき得れば三月半ば、あるいは三月末に期限の来るところのこれら市中銀行あるいは相互銀行等の金を、国民金融公庫あるいは住宅金融公庫に充当する意思があるかどうか、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/15
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016・愛知揆一
○愛知政府委員 結論から申し上げますと、さしあたりこの三月に期限が到来するものについて全部回収をして、国民金融公庫あるいは住宅金融公庫へ移しかえるということは考えておりません。これは御承知のごとく、国民金融公庫及び住宅金融公庫に対しましては、現在御審議を願つておる予算案におきましても相当多額の出資を予定しております。それから先般可決されました補正予算においても、国民金融公庫等については出資をやつておりますので、その方で私どもとしては十分だと考えておるわけであります。
それからなおつけ加えて申し上げておきたいと思いますが、この指定預金という制度は、制度自体としてはあまり望ましいものではないと私ども考えておりますが、幸いにしてと申しますか、二十八年度の予算案におきましては、私どもは基礎的な前提条件として、景気が非常によくなるというようなことはなかろう、たとえば国の関係と民間の資金との関係から申しますれば、財政資金はむしろ散布超過になる。その反面において国庫に余裕がないのでありますから、指定預金などをやり得る限度というものは、二十八年度の特に後半期においてはほとんどなくなると思うのであります。そういうところから、問題は根本的にきれいな形になると言つては言い過ぎかもしれませんが、基本的な政策の転回によつて問題が解決されて行くのであつて、こういうふうな権道的な指定預金というものにたよらなければならぬ、またこれをやらなければならぬということが基本的には薄らいで来ると思うのでありまして、自然問題はそういう方面から解決されて行くものと思つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/16
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017・小川半次
○小川(半)委員 大体今の点は了承したのでありますが、政府も努めて社会保障制度の実現に努力したいということを日ごろから言つておるのでありますし、大蔵省当局の立場として社会保障制度のために努力することは、何といつてもやはり金融を通じて零細なる国民を救い上げて行くというところに心をいたさなければならぬと考えます。従つて今申し上げたように、将来は国民金融公庫あるいは住宅金融公庫の方に現在より以上に融資を増額するように、この際特に要望しておきます。
次に預貯金利子に対する所得税の源泉選択課税の税率が、今回百分の五十から四十に引下げられたことは、預金者のために喜ぶべきことでありますが、これは先ほどから申し上げておりまするように、私は、資本蓄積やあるいは貯蓄増強の立場上、さらに引下げるべきであるという意見を持つておるものでありまするが、大蔵省当局の御意見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/17
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018・愛知揆一
○愛知政府委員 この問題は私も御趣旨ごもつともだと思うのでありまして、この税制の改正案をつくりまするときにも、さらにこの税率は下げ得ないものかということを実はずいぶん研究もいたしました。しかし現在のところにおきましては、預貯金の吸収について、この問題に限らずいろいろの方面から政府としても援助をいたしておりまするし、また他との権衡ということも相当考えなければなりませんので、一応源泉の税率を五十から四十に下げるという程度でこの際としては最も適当であろうこういう結論を出したわけでございまするので、なお御趣旨の点につきましては、いろいろの点で機会あるごとに考えて参りたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/18
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019・小川半次
○小川(半)委員 次に民間資本の蓄積上、市中銀行初め各種金融界を通じて利子の引下げが必要と思うのであります。金利が高ければそれだけ生産コストが高くなり、国民は高い品物を買わなければならなくなるし、また貿易の面を見ましても、コストの高い品物は、それだけ海外市場において外国の製品と太刀打ちができない、圧倒されてしまうのでありまして、現在の日本の製品が十分に海外に進出できないのは、大体利子の分だけが外国製品よりも高いからです。私も貿易製品についていろいろ調査して会したが、日本の品物の高いのは、結局金利のためにそれだけ高いのです。もつと金利が安ければ、日本の製品がそれだけコストが安くなつて海外に進出することができる。こういう貿易振興の上から見ても、どうしても日本の生産コストを低くしなければならぬ、生産コストを低くするには、やはり金利を低くすることが最も適切なる方法である、かように私は考えておるのでありまするが、この点について大蔵当局の御意見を伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/19
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020・愛知揆一
○愛知政府委員 金利の引下げにつきましては、大蔵大臣の財政演説の中にも触れておるくらいでございまして、政府としても何とかして金利の引下げをやりたいと考えておるわけであります。ただいま御指摘もございましたが、御承知のように大体の傾向として、世界的に考えまして、戦前長きにわたりまして日本の金利は外国よりは相当高かつたのであります。しかし概して言えば、アメリカの貸付金利に対して二倍程度であつたように私は思うのでありますが、現在はこれが三倍以上になつております。従つて、国際的に見ても現在の金利を少くとも五割程度下げたいということは、これは当然なわれわれの希望なのであります。しかし一方におきまして、金利の引下げについて強権を発動するというようなことになりますと、非常にこれまた弊害が多いので、われわれといたしましては、この点についてはなかなか手の込んだような手を用いて行かなければなるまいと考えておるのでありまするが、さしあたりこの三月の決算期に各金融機関の決算の状況等をよく見まして、少くとも貸付金利については現在より一段下げることをいろいろの点からリコンメンドして、そうして金融界が自主的にさような結論を出してくれることを期待し、またその協力を求めようといたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/20
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021・小川半次
○小川(半)委員 次に目下提出されておりまする法律案に最も関係を持つところの減税の問題についてお尋ねしたいと思います。
個人の所得税減税額が七百三億五千万円であるのに、法人税の減税額が百二十九億円であつて、個人に比べて法人税の減税が至つて僅少であります。しかるに改正案によると、収入見込みは個人も法人もやや同額であります。政府が幾たびとなく言つているように、生産の増強こそ現下の日本に命ぜられたところの最大の課題であります。その生産の役割を果すものは法人組織の企業体であることは私から申し上げるまでもないことであつて、この法人が、資本の蓄積の余裕もなく、ことごとく税金に吸い上げられて行くようでは、経済の自立も困難であり、生産が低下するばかりであります。今日の法人企業者は、一方においては税金に追われ、一方においては金利に苦しめられて十分の成果を上げることができないのでありまして、結局資本の食いつぶしによつてその場を濁しているような現状であります。こういう立場から考えるときに、私は、今回の法人税の減税が至つて僅少であるのではないかと考えるのでありまするが、大蔵省当局の立場を明らかにしていただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/21
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022・愛知揆一
○愛知政府委員 まことに、ごもつともでございまして、これは、昨年暮れの当大蔵委員会において向井大蔵大臣も率直にその見解を申し上げた通りで、ございまして、できればこれは法人のみならず、個人の分についてももつと減税をいたしたいという気持はやまやまでございますが、ただ全体の財政需要に対する計画から申しまして、今の日本の経済の状態が、申し上げるまでもございませんが非常に零細化し分散化しておりまして、ある一定のところに手をつけると歳入が非常な勢いで減りまするので、その関係上現在程度の案におちつけてあるわけでございます。なお、減税の法人、個人を通ずる比率その他につきましては、主税局長かちお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/22
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023・小川半次
○小川(半)委員 このたびの所得税法の改正法案中の第三条の二、第六十七条の二項、第六十七条の二の規定は、これは中小企業者の協同化によるところの経済活動を拒むものであつて中小企業者の権利を著しく侵害するものであるという声が高い。過日社会党の代表者もこの企業組合の点について相当つつ込んだ質問をされたから、私はその深い内容は省きまするが、ともあれ、今回のこの改正案が、企業組合、中小企業等の協同組合を圧迫するものであり、その趣旨に沿わないという意見が強いのであつて、今までの政府の説明あるいは答弁では、この種の組合員たちは納得できないのではないかと思うのございます。従つて私といたしましても、いま一歩納得の行かない点がありますので、この点について政府の十分なる説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/23
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024・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 御説明申し上げます。第三条の二に一応規定がつくられましたのは、これはわれわれはいわゆる実質課税と呼んでおりますが、その意味において、現在においても当然こういうことをやつているつもりでおります。一番顕著な例は、株式会社の株を重役の名義にしているという場合がよくございます。一応商法の関係から見ますと、重役が株主になつておりますから、当然その重役に配当金が行く。しかし内容的に見てみますと、その重役は単に名義だけでございまして、結局会社の方へ全部配当金が行つている。こういう場合に、株主なるがゆえに重役に所得税を課税することは非常に苛酷に当りますので、その内容を見まして、会社の方にはつきり利益に載つている、重役の方の取得になつていないという場合におきましては、現在におきましても会社の方へ課税して重役には課税しない、こういうことをやつておる次第でございます。同じような事例が間々ございまして、その関係はわれわれ当然のことと思つて今まで法律を施行しておりますが、一応この機会にはつきりさせたいというのが、第三条の二の規定でございます。
それでこれに多少関連があるのが、片方の第六十七条の二の問題であります。これが現在一番企業組合の方々が御心配になつている規定でございます。正直に申しまして、われわれは企業組合につきまして、これははつきり中小企業協同組合法でできているのでございますから、企業組合そのものをどうこうしようという意図は毛頭ございません。ただ現在の実情を見て参りますと、企業組合が、いわば一種の届出的なことでもつて自由に設立され得る法制になつているせいもございますが、非常に極端な例を申しますと、何ら実体的に組合らしい姿をとりませんで、会費をとつたようなかつこうでもつて、一応本部ができまして、そこでもつて企業組合というかつこうをとりまして、内容はちつとも昔とかわらない、こういう場合がございます。こういうような姿のものがはたして企業組合かどうかということについて、非常に疑わしい場合があるわけでございます。少くとも課税の上におきまして、そういうものをそのまま企業組合としての課税をやつて参りますれば、普通の個人の営業者の方々との負担の不権衡が非常にひどくなつて来る、こういうことは思わしくないではないか、これはやはりその実体に沿つて課税して行くべきではないか。事実調査をずつと進めて参りますと、ほんとうの意味の企業組合の場合もあれば、間々そういつた場合もあつて、この調査のやり方につきまして、実はずいぶん税務署は苦労しております。結局実体を備えている企業組合でございますと、はつきりその実体を備えているということを見せてくれますから、われわれとしましては非常に仕事がやりやすいのでございますが、実体を備えていない企業組合でありますと、実体を備えていないが豊に、なかなか内容を見せてくださいません。従いまして、何とかしてそれが実体を備えていないものならいないものということをはつきりさせる上におきまして、税務署の方で非常に仕事に手を食う。そのためにほかの一般の方の調査にも手が行き届きかねる。こういつたような事例がございますので、第六十七条の二の規定をつくりまして、そうして実体を備えているかいないかということにつきましては、納税者の方の御協力をお願いする。決してそれ以上にこの規定が目的を持つているわけではございません。ただ企業組合の方が御心配になりますのは、いろいろ従来の経過がございますので、実体を備えているものに対しましてもこの規定を使つて、いわば税務署の方でもつていやがらせ的なことをしやしないかということを非常に心配されておるようでございます。私も企業組合の方に幾人かお目にかかりましてお話を承りました。それで私は申し上げておるのでございますが、前回も申し上げましたが、この規定によつて実体を備えておるものをどうこうするつもりはないし、また健全な企業組合の発達を阻害する気は毛頭ございません。そこで具体的な関係でございますが、少くとも従来税務署が企業組合の実体を備えているものとして認めた分につきましては、この規定を援用することによつてそれをひつくり返すということはしないようにした方がいいのではないか、かように考えております。税務署の方で企業組合として認めたということになつておりますものの中にも、実は内容的に見ますと幾つか疑わしいものもありますが、それにこだわつてこの規定を使うということになりますと、やはり問題が大きくなりますから、そういうものにはこの規定は使わないということをはつきり申し上げまして、これによつて決して健全な企業組合の発達を阻害するものではないということをはつきりさしておきたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/24
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025・小川半次
○小川(半)委員 大体了承できたのでありますが、実体を備えておらない企業組合なども中にはあるだろうと思います。その一部の企業組合によつて多くの実体を備えておる企業組合が非常に迷惑をこうむるとか、あるいは絶えず何らか税務署からにらまれたり、あるいは税務署の人たちが絶えず参つて多忙なる仕事を妨げられる、こういう場合が起り得ると思うので、そういうことのないように十分注意しなければならぬと思うのです。従つて将来は、そういう実体を備えておらない企業組合に対して、十分実体を備えるようにやはり努力しなければならぬ。日本においてこの企業組合制度は、その育成によつては日本独特の非常にいいものになるだろうと思うのです。これが脱税行為のためにああいう企業組合をつくつておるものであるというような、そういう悪意でこれを見たり解釈するような考えもあるいは起り得るだろうけれども、しかし日本の零細な産業には、こういう組合が必要であるという好意的な解釈の上に立つてこれを育成して行くことが私は必要ではないかと思うので、この点において十分の御協力を願つておくものでございます。
最後に物品税に関してお尋ねしたいと思います。従来から物品税は悪税であるといわれて来たのでありまして、国会においても幾たびとなく物品税の廃止を唱えて来たのでございますが、しかし国家予算の関係上、物品税はことごとく全廃するというわけにも行かぬだろうと思うのであります。従つて今回は、一応二十億円の物品税の減税を立案されたのでありますが、私たちあらゆる角度から勘案してみるときに、二十億の減税ではまだ足らぬように思います。できれば六十億か七十億くらいのところまでこぎ着けたいと思うのですが、しかしその結論は一応今後にまつこととして、われわれは大いに修正もし、また意見も述べてみたいと思うのです。そこでどの品目を減税に置くか、あるいは廃止するか、政府の方でもいろいろ案があるだろうと思うのですが、とにかく日本の文化性に富んだものという点を特に私は強調したいのであります。私は方々の国を歩いて参りましたが、特にその国の代表的な美術工芸品というようなものは特別扱いをしておる国などもございます。そうすることによつてその国の美術工芸品を海外に進出せしめ、あるいはまたその国の文化の高さというものをさらに助長する上においても役立つという立場から、諸外国においては、その代表的な文化的、美術的なものに対しては、相当高額なものであつても物品税を課しておらぬ国などがあるのでございます。わが国においても、日本は将来何といたしましても外国貿易に依存しなければならない。日本の象徴たるべき美術工芸的なものを将来大いに海外に発展せしめなければならない。そういうものに対して、物品税などを課するということはどうかと思うのでありまして、あらゆる角度から妥当性のあるところの免税点、あるいは撤廃などを政府において考える必要があると思うのでございます。われわれはもちろん今度の二十億には不満であります。場合によつてはもつと修正の意見を出すかもわからないのですが、こういう点などを十分御考慮に入れておいてほしいと思います。以上をもつて一応私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/25
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026・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 企業組合の点につきましては、私も全然先生の御意見と同感でございます。やはり企業組合を健全に発展さして行くということにつきましては、われわれも十分協力すべきものと思つております。ただそのおい立ちの期間におきまして、いささか不幸な宿命があつた。おそらくその当時の税金が、現在よりもさらに高かつたといつたようなところから、いわばこれをつくりさえすれば、その内容がどうであれ、税金は安くなるのだということだけでできたというところに、不幸な星を背負つているものではないかと思います。今度のような規定をつくりましたのも、でき得ればこれによりまして、本来の企業組合とそうでない企業組合とをむしろはつきりさせようじやないか、そうして現状におきましてそうでないものでも、将来そうである本来の企業組合に発展さして行くというならば、おのずからそこで企業組合としての税金の負担を受けるという姿に持つて行くという意味におきまして、むしろにせものと本物とを区別するということが、企業組合をほんとうに健全に発展さして行くゆえんじやないか。私は少くとも企業組合である限りにおいては、やはり協同組合精神というものがその底に横たわつていて、相当部分においてやはり業者の間に利害関係の共通性がなければおかしいのではないかというような考えを、実は持つておるものであります。そういうふうなほんとうの意味の企業組合が発達して行くためには、やはりそうでないえせ企業組合をこの際はつきりさせる方がいいのじやないかというような気持におきまして、こういうふうな立案をしているわけであります。いい組合が伸びて行くことにつきましては、われわれとしても同じように協力して行くべきものであると考えておるものであることを申し上げておきたいと思います。
それから第二の物品税の問題でございますが、これはいずれ法案が提案されました後に、十分御審議願いたいと思います。目下立案を急いでおりまして、できるだけ早い機会に提案しようと思つております。その点につきましていろいろ御意見がございまして、確かに私も傾聴すべき御意見だと思つております。ただ物品税というものはなかなかむずかしい法律でございまして、文化的に非常に価値があるというものが、別の面から見ますと、たとえば一つの壁飾りのようなものにしましても、値段が非常に高い。値段の点から言いますと、こんな高いものというところが出て来るわけなんであります。そうしますと、これは文化的には値打があるが値段の高いもの、文化的に値打がないが値段が高いものというのがいろいろ交錯して参りまして、非常に複雑な問題になつて参りますので、どうしてもやはり物品税としては課税しなければならぬという問題になります。税率があまり高いということになりますと、そこに問題があるわけでございます。できるだけそこを合理的にやつて行きたいと思つております。ただ歳出の方の関係がいろいろ大きくなつておりますので、税務の当局だけの狭い範囲からしますと、もう少し全体の税率を下げたいという気持を持つておりますが、なかなか歳出の方の要求からそうできないという点もございますので、実は苦慮いたしておるわけでございます。いずれ法案を提出した機会におきまして、十分御審議をお願いしたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/26
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027・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ちよつと関連の質問ですが、おそらく渡辺主税局長よりも、むしろ企業組合をつぶすための案を出されたのは今度国税庁長官になられた平田さんだと思いますので、平田さんにお聞きしたい。一体われわれも、企業組合のことについては、地方において中小企業の救われる道はここよりないと思つて、実は中小企業庁ができて以来、中小企業のために闘つて来たわけでございます。先ほど同僚小川委員から言われましたように、先日福岡県にありました悪質の企業組合をわれわれは現実に知つております。しかしながら、こういうような例外的なもののために、せつかく日本で五千からできた企業組合をつぶすような法律をつくるということは、角をためて牛を殺すという例じやないか。大蔵省はややもすればこういう無慈悲なことをやるのが建前じやないかということが、一般にいわれておるわけであります。この点について、この悪法の原作者である平田国税庁長官に御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/27
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028・平田敬一郎
○平田政府委員 所得税法の規定が大分問題になつているようでございますが、実はこの規定は、渡辺主税局長が現場の体験に基いて非常に苦心してつくりました規定でありまして、決して私どもの方からそそのかしたわけではございませんので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
それから、今規定の趣旨と運用等につきまして、主税局長から大分詳しく説明をいたしましたが、私もまつたく同感でございます。委員の方々から先般もお話がございましたが、基本的には、委員の方々と私どもの意見の差は一つもないように実は感じております。根本の趣旨は、あくまで企業組合として健全に発達するということに対しまする阻害であつてはならない、これはまつたくその趣旨だと思うのでありまして、企業組合がその本来の趣旨と本来の目的に従いましてやる限りにおきましては、この規定は、その阻害すべき要素になつてはならぬ、こういうことにつきましてはまつたく同感でございます。むしろさつき渡辺主税局長が言いましたように、こういう規定を設けましたことによりましてかえつて健全な組合が伸びて行くという道もおのずから開かれて来るのじやないか。また私どもも運用にあたりましては、そういう配慮も加えながら、慎重に運用して行くべきものだということにつきましては、この際はつきり言明申し上げておきたいと思う次第でございます。この規定は本来から行きますと、課税をどうするという規定だけでございますので、そういう間接の効果はどうかと思いますが、実際上は今の企業組合が届出制度だけにとどまつておるために、なかなか中小企業庁の監督が十分行き届いていないという点から行きまして、課税上において弊害のある面も現われておりますので、われわれといたしましてはその面だけをこういう規定によりまして矯正と申しますか、正しい姿にもどせばいいのであります。それを越えまして、本来のあるべき企業組合について云々するということは、行くべき道ではないと考えております。ただ今申し上げましたように、間接的に従来のものに影響がございますので、基本的には、健全な企業組合というものはあくまで伸ばすべきものだということを前提にいたしまして、運用にあたりましては中小企業庁ともよく打合せまして、十分留意いたしまして、御趣旨に沿うように努めますことを、この際はつきり申し上げておきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/28
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029・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 今平田国税庁長官からいろいろ説明を聞きましたが、われわれが一番心配しておりますのは、現在いくら政府の方々が税金を安くすると言われましても、これは数字上は非常に楽でございます。末端に行けば、今まで一番税金に苦んでおるのは中小企業者であると思つております。これは大蔵省の机の上では、数字上から見られる点で非常に楽なように言つておりますけれども、今日地方において一番恐れられておるのは、やはり税務署の役人でございます。それは税務署の役人がこわいのじやない。税務署の役人のとる税金がこわいから恐れておるということをわれわれは認識しておるのでございます。従つて現在大きな会社は法人の組織にしまして、株式会社その他の方法でいろいろ会社の金を使うようないわゆる社用族というものができまして、相当余裕のあることをやつておりますけれども、個人経営をやつております中小工業者は、やはり自分たちが共同して、協同組合化によつて自分たちの生活を助ける以外に道はないという趣旨で、企業組合というものができたわけでございまして、中には先ほど申されましたように、非常に不備な点もございます。これは初めてできたので不備な点もございますけれども、しかし中小企業組合ができた理由は、中小企業が大資本に勝つ道はこれ以外にないという立場からできたのでございます。決して脱税のためにできた組合ではございません。なるほど渡辺主税局長あるいは国税庁長官のようないわゆる有識者、われわれの質問に十分答弁のできるような方のおつしやるその趣旨においては決して間違つておりませんけれども、末端の税務署の方になりますと、簡単にそうは参りません。少くともこの法律ができますと、この法律をたてにしてさらにかれらはかつてやつたような中小企業ぶつつぶしのために急先鋒になつてやることは、今までの例から想像されるのであります。伝家の宝刀を抜くのは最後であつていいので、どうにかこのごろ三年か四年で芽が出て来たものをこういう法律で抹殺するようなことは、今の日本の国情からいたしまして片手落ちではないか、もう少し大きな方の、いわゆる大株式会社の重役やあるいは社用族の征伐をした方がもつとやりがいがあるのじやないかということが一般にいわれております。そういう点において、これについて私はあらためて質問いたしますが、幸いに国税庁長官も来られましたから一応申しておきますが、そういう点で一体あなた方は大蔵省の重要な役人として、中小企業のこれからの行き方をどういう方法で救おうとなさるか、そういうような点について、これを育成するという愛情があるかどうか、この点についてひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/29
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030・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 これは私見でございますが、私は中小企業が伸びて行く上におきまして、協同組合的な動きによつて動いて行くということは非常に大きな問題だというふうに思つております。従いまして、今度の税制におきましても、先ほど小川委員から御質問がありましたように、法人税の方ではあまり減税していないじやないか、何で所得税を中心に減税しているかということは、別にいろいろ申し上げることもございますが、とにかく現在におきまして減税をなすべきとすれば、まずもつて所得税を中心とした減税がなされるべきではないかというような意味において案ができているわけでございます。特に協同組合として中小企業が動いて行くということにつきましては、私はもちろんそうあるべきだと思います。その方向で働くことにつきましては、税制の方ではそれを促進するような措置をこそすれ、ごうも阻害するようなことは考えておりません。ただ繰返し申して恐縮でございますが、遺憾ながら現在企業組合と称しているものの中には——数から申しますと全体で一万ほどございますが、たとえば七割よくても三割、三千という数が残るわけでございまして、それが遺憾ながら実態は備えないで、ただ名前だけで、いわば会費をとつて企業組合という看板をかけているというものがあるようでございましてその意味におきまして、それとほんとうの企業組合と区別して扱わざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/30
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031・久保田鶴松
○久保田委員 今渡辺さんから、にせ物と本物というようなお話がございました。この企業組合に対するにせ物と本物ということが私にはよくわからないのですが、協同組合法に基いて企業組合というものができておる。その企業組合に対するにせ物がある場合には、国税庁の方から出されておる九原則に沿わないものは、全国の税務署において、お前のところは九原則にあてはまつておらないのだから認めるわけには行かないということで、これは規則の面でははつきりしておると思います。それを今あなた方がにせ物、本物というような言葉を使われて、そうして三つ以上の事業所を持つておるものに対しては、これを企業組合と認めない、こう言つておられる。そういうことであれば、合名会社、有限会社、協同組合、企業組合、日本の零細業者というものは全部つぶされてしまう。ここであなた方がいかようなことを申されようとも、そんなことは聞えません。あなた方が末端の税務署の係の方にかわつて仕事をなさるならばこれはまた別です。そうじやありませんか。だからこの法律ができると同時に、佐藤君がただいま申しましたように、零細業者が全部つぶれてしまうということになつてはいけないのです。そこでこういう法律を出される前に、まず今日の日本の個人所得と法人との税の体系といいましようか、この基本的な問題を先に考えてこれを改革すべきである。それを改革せずして、今度六十七条の二、あるいは三条の二項を出されたということが、私たちにはわからないのであります。こうした問題については、私またいろいろ質問いたしますが、あなたがさつきにせ物と本物というような言葉を使われましたので、これに対する関連質問としてお伺いするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/31
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032・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 国税庁で出しました九原則というお話が出ましたので、これについて一言申し上げます。
あれは本来の意味の企業組合であるかそうでない企業組合であるかということを一応外形的に判断する一つのめどとして、国税庁が通達を出したものでありますが、中を見てみますと、実は非常に不十分な点が多々ありまして、問題として解決があとに残されておる点があることは、現在税務の上において幾つか非常な軋轢が起つておることなどから察知されるのじやないかと思つております。やはり企業組合である限りにおきましては、協同組合法にある意味におきましても、協同組合精神というものが貫いておるということが企業組合の中の本質的なものじやないかというふうに思つております。従いましてそれの一つの現われといたしまして、やはり企業組合である限りにおきましては、相当部分において組合員相互間に利害関係の共通性がなければおかしいのじやないかというふうに思つております。それで幾つかの企業組合と称するものについて見てみますと、お互いの間におきましては完全な独立採算でありまして、ただ月に何百円とかいう会費を一応出しておるというだけのものがございますが、これは私は企業組合としてのものじやないのじやないかというふうに思つております。しかし現在の制度は一応届出制度になつております。これは中小企業庁が本質を備えていないものをすぐどうこうするということをやれば、あるいはそれで問題が片づくのかもしれないが、なかなかそういうことは行われておりません。従つてそういうようなものは、やはり企業組合としての本質を備えていないものと私は考えております。それで九原則が一応その境目になつているのですが、九原則の中には実はいささかどうかと思われるような分部がございます。たとえば看板がどうなつているとかいうようなことがあるのですが、そういうような末梢の問題ではなくて、本質的な問題は、今申したような点にあるのじやないかというふうに考えております。それで六十七条の二につきまして、多少誤解があるのじやないかと私は思つておるのですが、これはあえて企業組合だけではなくて、最近また有限会社などの形をとつているものもございますが、どちらにしてもみな同じようなんですが、五つ以上の営業所を持つている場合において、従来の人が相かわらずその店の営業主のような仕事をしていらつしやる場合においては、一応そうした企業組合の本質を備えているということを納税者の方から見せていただきたい。それが今申しましたような原則に合つていれば、本来の企業組合であれば、これはもちろんそれなりに法人税を課税し、他の課税も行つて行く。ただ今まで見て参りますと、そうした税務署へはつきり見せましてちつとも困らないような組合は、実はどんどん見せてくれているのです。それで税務署も納得しているのです。ところが会費をとつているような組合になりますと、見せたいにも見せるものがないのですから、それで税務署の方でもつてまあ調べてみろ、こういうふうな態度に出まして、全然協力しない組合もある。こういうような点につきまして税務署は実際手を焼いておりまして、そのためにほかの仕事もできなくなつている。いろいろの意味において課税上の欠陥もできて来ている。これが遺憾ながら実情だと思います。従いましてやはり税務署にも他の仕事もございますので、もう少しゆとりができますように、何かこういうような規定をつくつていただきたい、これがわれわれの立案した趣旨でありまして、合名会社とか企業組合をつぶそうという意図は全然ございませんことを、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/32
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033・久保田鶴松
○久保田委員 それでは三条の二と六十七条の二項と二、もしもこの法律ができたとしますならば、あなたが今答弁されたようなことで、これが残つていると思いますか。残りませんよ。全部がつぶされてしまいます。合名会社、有限会社、これは三条の二にひつかかります。同時に協同組合あるいは企業組合、これらの日本の零細業者の人たちは全部倒れてしまう、こういう法案は、おそらく自由党の委員の方々も賛成はなさるまいと私は思う。だからこういう問題については、今渡辺さんがお話になりましだこの九條原則の問題とあわせて、私は協同組合法の精神をよく考えていただきたい。そうして会費だけかけて企業組合であるといつているような組合は法に沿わないものであるから、こんな組合はつぶしてもよいと思う。けれども九原則に基いて税務署と相談し合つてやつている組合は、それはそれでいいのではないか。それになぜ無理にこういうような法案を出して零細業者をつぶそうとするのか。これは第二の池田さんのようなお考えをなさるのか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/33
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034・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 今あなたのお話になつたお考えと、私の今考えていることは実は同じなんです。決して違つたことを考えているわけでもございませんし、違つたことを意図しているわけでもございません。六十七条の二は御承知のように推定するという言葉になつております。ですから要するに納税者の方からこういう内容があるものだということをお話くだされば、もちろん推定はそれでもつてすぐくつがえるわけでございます。なおもう一つつけ加えさせていただきたいと思いますが、末端の税務官豪いろいろ立証について意地悪いことをするのではないだろうか、あるいは少くとも今お話になりましたように、もうすでに税務署が認めているものを何もくつがえす必要はないじやないか、これは私も、前については非常に心配しておりますし、あとについてはお話の通りだと思います。末端の税務官吏の監督につきましては、幸い国税庁長官がおりますから、責任ある答弁をしていただきたいと思つております。それから今国税庁、中小企業庁とわれわれが打合せておりますのは、少くとも現在税務署が一応認めて法人税を課税するような組合につきましては、このものについても多少問題が残つているものがないとは言えませんけれども、一応そういう形をとつておりますから、そういうものにつきましては、この推定規定によつてくつがえすということはしない、そのものにはこの推定規定は使わない、こういうことを一応申し合せております。従いましてもうすでに税務署で認めているものにつきましては、この規定によつて、ごたくしたトラブル起さない。それをわれわれの方で一応ははつきり覚書を交換しようとしております。従いまして御心配になつているそういう問題につきましては、われわれはこの新しい条件ができたことによつてとやかくすることはしない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/34
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035・久保田鶴松
○久保田委員 ただいま私と考え方が同じだとおつしやいましたが、そうでございますれば、三条の二、六十七条の二項と二を削除してもらいたい。そうすると私とあなたと考え方が同じになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/35
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036・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 私が申しましたのは、健全ないい企業組合は生かして行くべきではないか、それから今の会費をとつたくらいの組合はつぶれてもやむを得ないというふうにおつしやいました。その意味につきまして、私は同じような考えを持つていると申したのでございます。これを削除するということは、先ほどはまだお話がございませんでしたから、私はそれについて賛成したとは申し上げませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/36
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037・久保田鶴松
○久保田委員 その削除の問題について、あなたと私とは意見が一致しているのだから、重ねて削除してもらいたいということをお願いすると同時に、もう一つは、あなたが申された推定——税務署の人は、業者はそう考えているだろうが、そうは行かない、税務署はこう推定すると言う。これが一番恐ろしい。こういうものがこの中に入つている。これで納税者がどれくらい苦しんでいるかわからない。この推定というものはとんでもない恐ろしい問題だ、そうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/37
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038・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 この問題は、今の企業組合の実態を備えているかいないかという場合についての推定の問題でございます。従いまして私が先ほど言つたように、企業組合がもしそういうふうに会計のはつきりしたものを持つておれば、それをお見せ願うことによつて、税務署も容易に納得するような立場に立つべきものである、かように考えております。なお末端の税務官吏につきましていろいろ心配があろうと思いますが、この点については平田長官から御答弁していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/38
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039・平田敬一郎
○平田政府委員 末端の問題が問題になつておりますが、これを監督しますのは私の責任でございますから、そのような意味におきましてはつきり申し上げておきたいと思います。この問題は、委員会におきましてもこのように非常に重要な問題になつているということを私どもよく頭に入れまして、第一線で実行に移す場合に、慎重な上に慎重な方法をとるようにいたしたい。それは単に説教で言うだけではなくて、適当な手続をとりたい。つまりこの規定を発動する場合におきましては、国税局の承認を得るといつたような方法をとりまして、御趣旨にはずれるようなことがないように、運用の面におきまして十分な措置をとりたいと思いますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/39
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040・坊秀男
○坊委員 所得税の改正等につきまして、渡辺局長にお尋ねをしたいと思います。今回の所得税法の改正によりまして、各種の控除の引上げとか、あるいは少額所得者に対する税率が引下げられたということは、私も非常にけつこうなことだと思います。しかしながら改正案をながめてみましても二十万円超、三十万円超、五十万円超から古万円までくらいの階層に対する税率がすえ置きになつております。おそらく御出席の渡辺局長も平田長官も専門員の方々もこのあたりの階層に属するものだと私は思いますが、これらの階層こそは日本を背負つて立つ中堅の階層でございまして、このあたりの税率が現行法通りにすえ置かれておるということは、これらの階層が決して軽い負担ではない、なお非常に重いということを私は感ずるのでございます。しかしながらこれらの階層たるや所得税の構成上非常に重要なる分子を占めております。税額においても人数におきましても、これは最も重要なる階層だと思います。そこでこの階層に対する減税を行うということはまことに容易ならぬことだとは思いますが、しかしながらひるがえつて考えてみますると、これらの階層に対する減税というものは、相当貯蓄の方面に資金がまわつて行くということも考えられますし、また一方これらの階層に対して給与を支払いまする会社その他にいたしましても、現実に源泉で徴収しておりまするから、如実にこの階層に対する給与を引上げるということはいくら引上げても源泉でもつて非常にたくさん課税しなければならないということがまざまざと感じられるものでございまするので、引上げるべき給与を引上げず、給与として支給すべきものが、往々にして会社等におきましていわゆる社用経費ということで、実物給与の形でもつて飲み食いその他に充てられておるというようなことも見受けられると思います。これらのことから考えてみますると、給与として受けるならば当然自分の月給袋に入つて自分のふところに入つて来るこの金と会社の社用として使われる金と、金に対する考え方が非常に違つて来る。そこで月給袋に入つて来る金なら非常に大事にするが、社用の金ということになりますと、勢い乱費の傾向になつて来る。かようなことから考えてみまして、私はこれらの階級に対する税率は、すでに所得税としての限界に来ておるのじやないか、つまり酒の税率が高いから酒の税率を引下げるということによつて、決して酒税全体が減収にならなくて、むしろ増収になるというようなこともあるのでございますが、この中堅階層に対する所得税の税率をある程度引下げることによつて必ずしも減収にならないのではないか、また減収になつても、これらの階層に対する減税ということは、今日日本としては最も大事なことであろうと思うのでございますが、この点に関しまして渡辺局長の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/40
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041・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。今度の税制改正におきましては、所得税を中心にして減税をやる、その場合におきまして基礎控除あるいは扶養控除の最初の一人の引上げ、それから一審下の税率の引下げということをやりましたことは御承知の通りでございます。確かに御説のいわゆる中堅階層の現在の税負担が重いということは、私もさように思つております。国家の経費がもつとつづめられまして、そうして許すならばやはり相当の減税がなさるべきものであると考えておりますが、片方の国家の歳出の面から見ます、と一応の限度がある、それでこの辺の階層が相当の人数、所得というものを占めておりますので、ここを中心に手を触れるといつた場合に、それではその下をどうするかという問題がまた出て来ると思つております。そこに一応の限度があるわけでございます。従いまして今度なしましたのは、基礎控除の引上げ、扶養控除の引上げ——税率の引下げですが、これによる軽減は中堅層におきましてもすぐに受けるわけでございます。ただ中堅層におきましては全体の所得の額が大きい、従つて税額が大きいということになりますので、絶対額としては所得の小さい方と同じような軽減になるわけでございますが、割合にいたしますと、全体としてはそれほど大きな割合にならないといううらみはございます。しかしやはり何と申しましても、現在所得税を軽減しようとすれば、下の階層を中心に、同時に順次中堅層にも及ぶというふうな手だて以外にはあり得ないのじやないか、もつと大きな減税をなし得るゆとりがございますれば、これはさらに考究する必要がございますが、大体一千億なら一千億という一応のわくのもとに減税案を立てて参りますと、今立てられましたような案が一番適当な案ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/41
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042・坊秀男
○坊委員 前会愛知次官が私に御答弁になりましたが、二十八年度の予算においては一千億円の減税、それから一般、特別両会計を加えて五百二十億の公債発行ということで予算を組み立てておりますが、この一千億円の減税、五百二十億円の公債政策というものは、これは必ずしも不動の数字ではないというふうな趣旨のお答えがありましたが、私もまつたく同感でございます。均衡財政のきゆうくつなわくを一歩踏み破つて今度の予算をつくられたということにつきましては、私は現下の経済情勢にかんがみまして敬意を表するものでございますが、税金と公債との財源によつて財政をまかなつて行くということは、これはもう当然なことでありまして、そこで私は税金と公債とをいかに調整して行くか、どういうバランスをとつて行くかということが財政運用の妙味であると思うのでございます。五百億円の公債を発行するなら、もうあと百億円ふやして六百億円の公債を出してもよいじやないか、六百億円の公債を出すならば、減税が千百億になる。さらに論理を進めまして、一千億円の公債を出すならば減税が千五百億円になるのじやないか、こういうことから考えてみまして、私は財政当局の考え方及び施策のいかんによりましては、中堅階層に対する減税が必ずしも不可能ではないのじやないか、かように感ずるものでありますが、渡辺局長はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/42
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043・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 国債を発行することがすでに不健全な財政であり、すぐにインフレの原因になるというふうには思つておりません。しかし少くとも発行された国債は市中で消化されるということを目標に考えて行くべきものだと思つております。昔ありましたように、日本銀行の背負い込みになりまして、そこから通貨発行のもとになつて行くという姿に持つて行くことは、相当避くべき問題じやないかというふうに考えております。従つて歳出のわくがきまりました場合におきまして、国債としましては、おのづから市中消化の可能な限度ということが一つのわくになるわけだと思います。そこにまたおのずから減税なら減税をなし得る限度というものが出て来るのもやむを得ない結果だと思つております。現在大蔵省として一応そうした観点から判断いたしました結論としましては、貯蓄国債は三百億、減税はおおむね千億、こういつたような数字が、現在の状態におきましては一つの極限だと考えまして立案された次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/43
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044・坊秀男
○坊委員 時間がありませんから、私はこの問題につきましてもう少し質問をしたいのですが、先へ進みます。
このたびの改正案によりますと、法人等の交際費につきまして一定の限度を定めて、その限度以内における交際費は完全に損金と認める。そうしてこれを超過する部分につきましては二分の一を認める、こういう規定になつておりますが、もしこの限界をきめて、交際費に一線を引くということになるならば、それはいろいろな観点から考えられまして妥当な線を引かれるのでありましようが、もしもこの線をあまりに低きに引くような場合には、会社の経理が非常に苦しくなる。高きに引くならば、これはまた非常に会社の経理が楽といいますか、ずさんといいますか、そういうふうになることは明瞭なことでございます。もしもこの制度が実施せられまするならば、いずれにいたしましても、会社はこの線までの交際費は公認の交際費である。公認の損金である。そこで現行法によるならば、会社の交際費は領収書をとつたり、非常に厳密に点検されたものでございますが、あの一線までは当然の公認の交際費だということで、非常に乱脈になるおそれもあります。またさらにその一線を超過する部分については、これは半額だけ損金に認めてもらえるのだ。半額は損金に認めてもらえないということを覚悟の前で、もうかる会社はどんどんと交際費を出すというような結果になるかもしれない。これにつきまして局長の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/44
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045・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 交際費の二分の一否認の問題は、いろいろ御議論のあるところだとは思つております。先日もこの委員会で申し上げましたが、われわれの方として考えておりますのは、何と申しましても現在の日本経済においては、資本の蓄積が大事だ。資本の蓄積につきましては、御承知のように幾つかその促進を促すような税法上の措置があるわけでございます。ところが片かに税金が高いからどうしても濫費するという声があり、あるいはその傾向がある程度あるのじやないか。結局税金が安くなるということが一番いいことでありますが、そこに必ずしもそうできない事情があるわけでございます。そうしますと、いささか窮余の巣のような感じもいたしますが、やはり資本蓄積を促進する意味におきまして、片方が積極的な措置であるとすれば、これはいわば消極的な措置として、濫費にならない場合にはこういうことになるという線を引いて置くことがいいのではなかろうか。ただその線につきましては、お話のような点はわれわれも十分心配をしておりますし、慎重を期したいと思つております。あまりに低きに過ぎますときには、会社の事業が非常にやりにくくなり、高くなれば、今度はあるいはむしろ逆に、今までより会社は下手をすると濫費になつて行く傾向があるのじやないか。しかし私の方としては、そんなに使つていない会社は、これは会社自身の気持の問題が非常に強く働くと思つております。そんなに使つていない会社は、会社がしつかりしておつたり、使う必要のない場合は、こういうことがあつてもそう急に使うわけでもあるまいと思います。それから今まで相当濫費していたような会社におきましては、特に経理の人たちなどは、他を牽制する意味において、こういう規定が相当利用できるのじやないかという話も伺つておりますので、線の引き方につきましては、十分業界の方々などの意見を伺いまして慎重を期したいと思つております。やはりこういう手段によりまして、資本の蓄積の一つの消極的な措置というふうに考えることができるのじやないだろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/45
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046・坊秀男
○坊委員 この措置が資本蓄積のためにとられた措置であるということは、私も了解いたしますが、この措置をとることによつて、かえつて資本蓄積が阻害されるのではないかと心配いたしまして、この質問を申し上げた次第でございます。この点は慎重に措置せられんことを望んでやまない次第であります。
次いで減税国債の問題でございますが、減税国債は、減税をえさにいたしまして、法人なり個人なりから資金を吸い上げようとの趣旨に出たものでありますが、法人にしても個人にいたしましても、このえさにつられまして無理に公債を買うということが起りますと、あとでこれらの法人、個人が資金に非常に困つて、銀行へかけ込んで行く、銀行では従来のお得意さんに対しまして、おれは知らないと言うわけにも行きませんし、また銀行としてもお得意さんをつぶすというようなことに持つて行きたくないというところから、自然銀行が減税国債のしりをぬぐわねばならぬという立場になると、銀行が結局資金を出すということになり、これもかえつて減税国債のために資金が吸収されるのでなくして、銀行から放出するようなことに相なるのじやないか。私はこの減税国債につきまして反対する意味ではありませんが、これも実際運用上気にかかるものでございますから、こういう点について当局は一体どういうお考えを持つておられるかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/46
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047・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。減税国債は今お話がありましたように、民間消化を目的としておりますために、従来普通行われておりました国債よりも相当利回りのいい国債を出そう、こういう仕組みでありまして、その場合に会社の資金繰りなどから考えますと、保険会社のようなものですと別でございますが、一般の事業会社におきましてどれだけこれを持ち続けることができるかということにつきましては、われわれも多少疑問を持つており、いろいろ御議論があろうと思つております。従いましてゆとりのある会社が持つた場合におきまして、すぐ予定以上に資金がいるといつた場合もございましようし、そんな場合に銀行へ持つて行くということもあろうと思つております。ただしかし銀行が日本銀行へ持つて行つて、これを国債担保として扱えということにつきましては、これは少くともここ当分はやらぬということに話をしております。従いまして、銀行といたしましても、これを担保にとる上におきましては、減税国債の減税後の国債につきましては、おのずから額面相場と違つた別の相場が出るのじやないか。同時にそれは日本銀行に持つて行けないということになれば、銀行としても普通の国債とはまた違つた見方においてこれを担保にとることになるのじやないだろうか。そういたしますれば、そこにおのずから一つの限度が出て来るのじやないだろうか。従いまして、これがそのまま民間消化というわくをはずれまして、インフレの要因になるということにはならないのじやないだろうか。かように考えまして、この減税国債の案を立案しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/47
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048・坊秀男
○坊委員 ただいま局長の御答弁によりますと、減税国債の減税後の相場というものは、額面とは離れてある相場が生れて来るだろうというお話でありますが、私も同感でございます。おそらく法人におきましては、一万円の減税国債については、二千百円くらい引いた七千九百円、個人におきましては七千五百円というような線をずつと上下することだろうと思います。この減税国債の相場が七千五百円なり七千九百円と相なりますと、この減税国債を買つたりあるいは譲渡を受けた人にとりましては、非常に利回りがよくなつて来る。こういうことから考えてみますと、銀行がこの減税国債を買い受けるとか、あるいは担保にとるというような傾向に勢いになつて来るのじやないかと私は思つておるのであります。そうなつて来ると、銀行から働きかけるような形におきまして、銀行手持ちの減税国債がふえて来るということに相なりますと、ますます市中の資金が放出せられるということに相なると思いますが、この点につきまして、局長のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/48
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049・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 個人の場合七十五円、あるいは法人で七十九円の相場が立ちますと、ちようど今われわれが申し上げております個人の七十五円ですと一割二分五厘、七十九円ですと一割五厘という利回りになるわけだと思います。割合に高利回りのものですから、銀行が買い込むかどうかという問題でございますが、普通の国債でございますと、これは非常に高利回りになります。しかし銀行が普通に貸出しをしております場合におきましていろいろ考えられますと、必ずしもこれにすぐ飛びつくべきものかどうかという点にも問題があるのじやないかというふうに考えております。従いまして、担保とかなんとかいう問題は起り得ると思いますが、これが好んで銀行の投資の対象になるというふうには必ずしも思つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/49
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050・坊秀男
○坊委員 時間がございませんから端折ります。最後に私は山林所得についてお伺いをいたしたい。今度の改正案によりますと、山林所得につきましては五分五乗をいたしまして、他の所得に総合して課税するという建前になつております。今日の山林の相場というものと比べてみまして、この五分五乗の恩典は山林所得の高額者にとつてきわめて少くなるのではないか、従つて山林所得に対する課税が非常に酷になるのじやないかと懸念するものでございます。たとえて申しまするならば、昭和十二年の租税臨時増徴法実施前の所得税の基本法におきましては、やはり第三種の所得税におきまして、税率は最低千二百円階級から四百万円の超に至るまで、二十階級の区分にわかれておりました。そして最低千二百円に対する税率は〇・八%であり、最高四百万円超に対しましては三六%の税率であつたのでございます。今当時の山林所得について考えてみますと、山林所得が当時五十万円であつた場合には、五分五乗しなければ、五十万円に対する税率は二三%であります。しかしながら五分五乗の結果、十万円ということになりますと、十万円に対する税率は一九%で、二三%と一九%かけの開きがあつたわけでございます。今かりに当時五十万円であつた山林を今の相場に直してみますと、私は不敏にして山林の物価指数につきましては深く知りませんが、少くとも百倍以上にはなつておるだろうと思います。かりにこれを百倍いたしますと、五千万円ということになります。この五千万円を五分いたしますと、一千万円ということに相なりますが、一千万円になりましても、なおかつこれは最高税率の六五%が課せられる。いわんや上積みとして総合せられる場合には、これは遂にたいへんなことに相なると思うのでございますが、この点につきまして局長の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/50
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051・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 五分五乗の考え方は、これはかなり古くからやつておられまして、途中切れましたが、かなり古い制度であることは御承知の通りであります。大体その考え方といたしましては、山林所得というものは、その性格からしまして、毎年生れて来る所得ではあるまい、何年か何十年かの間に一回生れて来る所得である、従つてそういう所得に対して、毎年生れて来る所得において適用されると同じような意味の超過累進税を適用するのは無理であろうというのが、五分五葉の考え方の出たゆえんであることは御承知の通りであります。従いましてその五分五乗をして参りますと、結局税率が非常に間伸びしたものになるわけでございます。その後幾つかの経緯がございましたが、現地におきましてはシヤウプの勧告によりまして、一応変動所得の中に入つている。変動所得は、ある意味においてりくつは相当あると思つております。山林所得の中にも、たとえば奈良県などの地域のように、ほとんど毎年山林所得の相当の額がある場合もあるわけでございまして、そういう場合におきまして五分五乗を適用するのは、あるいはどうかというので、これを合理的に直したのが変動所得の制度だと思つております。ただ変動所得は、何と申しましても制度が複雑でございまして、そして納税者の方にも非常に御迷惑であり、税務署の方の見方からしましても、なかなか扱いにくい制度であるというところに非難があるわけであります。従いまして、この際思い切つてまた昔の五分五乗に返ろう。ところが他の所得と合算する問題でございますが、大体見て参りますと、山林所得が小さくて他の所得の多い方がございます。山林所得を中心になすつていらつしやる方におきましては、他の所得が割合に小さいというのが普通の事例でございます。従いまして全然これを別個にしまして課税するのもいかがかというので、今度のように、他の所得と合算して五分五葉の制度をとつたわけであります。ただしかし山林所得だけの少額の方におきましては、必ずしも五分五葉によつてその利益を受けない場合もあります。従いましてそれと並行いたしまして、現在は一時所得、譲渡所得、山林所得を合せまして、控除十万円といつておりますのを、山林所得は山林所得だけで十五万円の控除をするということで、山林所得の少額の分についての対策は一応講じてある、かようなわけであります。
それで一応ごく大ざつぱに比較してみますと、五分五乗をした場合とそうでない場合との負担は、普通の税率がもし適用された場合、五分五乗をした場合の税率は、三割五分見当税負担が安くなるというふうな勘定をわれわれの方では持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/51
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052・坊秀男
○坊委員 時間がございませんから、私の質問は次に保留いたしまして、終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/52
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053・淺香忠雄
○淺香委員長代理 暫時休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
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午後二時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/53
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054・奧村又十郎
○奧村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案外七税関係法律案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によれてこれを許します。大泉寛三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/54
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055・大泉寛三
○大泉委員 ちよつとこの際お伺いいたします。
証券会社がいわゆる株式の信託投資というようなことで非常に資金を募集せられておりますが、この信託会社が信託を受けて有価証券に投資するということは、一向私たちは問題にしないのであります。証券を売買する業者が証券信託の業と同じような立場にあつて、しかも株式の投機的な投資をされておることを当局としては何ら弊害を認めないのであるかどうか、これをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/55
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056・愛知揆一
○愛知政府委員 今のお尋ねの点は、実は当局としても頭痛の種でございます。非常な弊害を認め、かつこれに対する措置を至急とらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/56
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057・大泉寛三
○大泉委員 それから証券会社はそれでもまだいい、相当な資本を持つていて、万一の場合にはその資本によつて弁済あるいは責任を負うことができますが、近頃法人でもなく、組合でもなく、匿名組合のような投資団の組織が厖大な資金を集めて、とにかく株式に対する思惑的な投資をしている。しかも何といつても今一番安いのは株式であるという立場から、ここ一年半来非常に値上りの利得が相当あるようであります。そういうものはいいときにはいいけれども、もしこれがやはりでこぼこがあつた時代には、えらい被害者が出て来るのではないかというふうに考えますので、これに対する当局のお考えはどんな考えをもつて臨まれるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/57
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058・愛知揆一
○愛知政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる証券会社というよりは、むしろ今お話のございました金融機関類似のものをさしたのでございまして、この問題については、実は当委員会におきましても先般他の委員からも御質疑があり、大蔵大臣からもあるいは銀行局長からも御答弁申し上げたかと思いますが、実は沿革的に申しますと、昭和二十四年であつたかと思いますが、当時いわゆるみなし無尽というものが全国各地で相当な仕事を始めまして、これに対しましては当時いろいろ措置を考えました結果、貸金取締法と無尽業法の一部改正をいたしまして、良質なものは無尽としての認可を与えるということで、当時十数社を無尽会社としての認可を与えたのでございます。それから一方貸金業者は全部届出制にするということで立法をお願いいたしましてこれを現在施行しているわけでございます。ところが当時良質なものであつて、金融機関としても法制上公認してよろしい、同時に当局側でも監督するに値すると思われるものを取上げたのでございます。それ以外のものは大体その後糸を引いておつたかと思うのでございますが、ことにここ一年来ぐらいに大体において匿名組合を組織する。そして銀行法その他の金融業法にも抵触をしないような法の盲点を利用する一方、貸金業ではなくして、匿名組合で、組合員の出資を運用することを委託するというような契約を結んでおりますので、これは現在の法律をもつてしては金融機関として律するわけにも参りませんし、さりとてこれらのもの全部を取上げて新しい立法をいたしまして、これを監督の対象として金融機関にすることが適当であるかと申しますると、これは必ずしも適当でないので、非常な高利を公認することを前提にしなければそういう営業は成り立たぬと思われるのであります。こういうふうな状態にありますので、一方法の盲点を利用している関係上、監督なり、あるいは査察なりということもできかねますし、さりとてこれを公認することを取上げるということでありますと金融の体系を乱すことにもなり、かたがた先ほど冒頭に申し上げましたように、非常な頭痛の種なのでありますが、この際慎重にして、しかも急速な措置を必要といたします。現在関係当局間の協議がようやく整いかけましたので、法律上当局が行使し得る限界内におきまして、適当な措置をすみやかにとることに決意いたしているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/58
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059・大泉寛三
○大泉委員 銀行とか信託会社とかいうのは、それぞれの当局の取締りとか納税義務を果しておりますけれども、そういうようないわゆる匿名組合的な金融機関だか投資機関だか有価証券の売買だか何だかわからぬことをやつている団体においてそういう業務をやるということが、私には不可解でならないのであります。もちろん今日の財産の観念から行きますと、いわゆる個人が、あるいは法人が相当株式なりあるいは出資なりによつてその資産上の支配力を持つている。こういうものはそれ相当の国税の負担もしているけれども、彼らがその財産上の支配力だけ持つておつて何らの義務も果しておらぬということは、はなはだ不都合である。しかも万一の場合には責任の所在がわからぬというようなことに至つては、これはゆゆしき問題であると私は思うのであります。そればかりでなく、今日盛んに行われている、証券会社が一定限度の金額を一まとめにして、大きな資金を信託的に預託を受けている。これですら私は相当疑問がある。証券会社そのものは証券を売買して利ざやをかせいでいるのだが、これがみずから株式の投資を行うに至つては、その弊害のよつて来るべきところは非常に大きなものが出て来る。いわゆる思惑買占め、あるいは思惑投売り、そうしてそれを信頼して投資したものが一ぺんで没収されるというようなはめを来すことが予想されます。これはわれわれとしては、信託会社とか銀行とかいうならば、一定の大蔵省の取締りとか、あるいは指示によつてやるので、安心しておられますけれども、彼らはもともと証券会社であるから、思惑がはずれたからといつてしりの持つて行きどころがない。証券会社ですらそうなんです。ましてや組合のような匿名会社では、最もおそるべきものがあると私は思う。これは一日も早く当局においてしかるべき手段を講じてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/59
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060・愛知揆一
○愛知政府委員 まつたく一々ごもつともでございまして、これは何べんもお約束してまだその措置ができなかつたので、私どもも遺憾の限りだと思つておりますが、今度こそはつきりした態度で適当な措置を至急とることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/60
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061・川野芳滿
○川野委員 ただいま愛知政務次官の御答弁中に、関係当局と打合せの上適当な処置をとる、こういう御発言があつたようでありますが、どういう適当な処置をおとりになる考えであるか。その内容をひとつ具体的にお示しを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/61
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062・愛知揆一
○愛知政府委員 この点は行政権として発動いたします関係上、いわゆる検察当局もございますし、それから税法上の関係の権限を行使することもございます。そういつたような意味合いにおける関係当局でございまして、あらかじめこうこういうことをやるということを申しますと、その権限を発動いたしますときに事前に漏れるというようなこともございますので、非常に慎重に用意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/62
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063・川野芳滿
○川野委員 実は適当な処置という問題が一方的に行われますと、財界に混乱を来し、社会不安を招く。こういうような点から、私先般内藤委員の質問に関連いたしましてお尋ね申し上げたのであります。そこで実は適当な処置を、われわれが当委員会において問題にいたしました二年以前におきましておやりになつたのでございましたならば、私は満腔の賛意を表した次第であります。しかし今日におきましては、御承知のように私の計算では一千億になると存じますが、一千億になんなんとするところの株主相互金融なるものが実は行われておる、こういう際に一方的に断固たる処置だけをしておつたならば、どういう社会不安を招くか、これは私が申し上げるまでもないところであります。そこでどうか適当なる措置をとると同時に、善良なる金融機関はひとつ擁護して行く、こういう方向にしていただかなければ、実は三年以前の殖産金融におきましても、御承知のように非常な不安を招いた、この不安が今日再度また起るかとも考えますので、私は一方において断固たる措置をとると同時に、善良なる金融機関を擁護する、こういう方向に進んでいただきたいと存じまするが、重ねて政務次官の御意見を伺つてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/63
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064・愛知揆一
○愛知政府委員 その適当な措置と申しまする中には、先ほど申しましたことと、それから同時に、やはり今お話のような点をわれわれとしても十分考慮しなければならないものでありますから、一方においては衝撃を与えないように、また善良なるものは何とか方法を講じなければならないというところで今までいろいろ措置が遷延しておつたような次第でございます。十分私どもとしては、その間今川野先生のお示しの通り、昭和二十二、三年以来いろいろな意味で経験をいたしておりますので、これを生かしまして、今御懸念のようなことのないように、しかも一方では相当断固たる措置をとらなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/64
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065・奧村又十郎
○奧村委員長 宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/65
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066・宮幡靖
○宮幡委員 まだ局長さんもお見えにならぬようで、こまかいことはだんだん伺つて参りますが、先般大蔵大臣に対しまして総括質問を始めたわけであります。しかし時間の御都合で御退席になりまして、次の機会にということになつておりますので、大蔵大臣にかわつて政務次官から御答弁をいただきたいと思うのであります。本日の議題は、委員長の宣言の通りおおむね税法八法案が主題のようであります。しかしすでに各委員から議題外とでも申しますか、一般的な御質疑もあつたようでありますので、主として大蔵政務次官には、財政金融の面につきましてすべての政府委員の御出席があるまでお尋ねいたしたいと思うのであります。
先般お伺いいたしましたところ、大蔵大臣からはそうはつきりした答弁はいただけなかつたのでありますが、日米通商条約の進行しておる現在の状況はどんなふうになつておるか、外国事業会社と申しますか、外国事業者の国内活動に対します内国民待遇を与えるのか与えないのか、それに関連をしまして外資法の改正等が要望せられておるが、どういうふうに考えておるか、最近、新聞のことでありますから百パーセントこれをうのみにして信ずるわけではありませんが、外資は必ずしも入らなくてもよいのだという大蔵大臣の談話としての発表がありました。ところがわれわれは第一国会以来、ことに自由党吉田内閣が成立して以来は、その施政方針の中にも、また与党といたしましても、常々外資の導入なくんば国家の荒廃した産業の抜本的な改革は困難である、こういうことを唱えて参りました。おそらく天下に散布しました講演なりあるいは文書なりによりまして、これは国民に対します公約以上のものであると存じております。しかるのに、大蔵大臣のなくてもいいのだ、——あればそれに越したことはないのだということに解釈すれば、あまり問題でもないのでありましようが、まあ外資がなくてもさしつかえないんだということで、それが逆に外資排撃というような思想を持つての言葉であるといたしますならば、長い間唱えて参りました外資導入の促進という基本的方針にそむいているような感じがいたします。また世間もしかく誤解せられないとだれが保証することができるであろうか、かような心配もありますので、この際日米通商条約の現段階の模様並びに外資導入に対しまする大蔵大臣の理念、及び外資法の改正等に関連いたしまして、一応政府の構想を御表明をいただきたい、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/66
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067・愛知揆一
○愛知政府委員 まず第一の日米通商航海条約の問題でございますが、これは外務大臣その他の方から御答弁申し上げた方が正確だと思うのでありますが、実は日米通商航海条約は、できるだけ早く締結をいたしたいというのが難条約発効以来のわれわれの念願でございますことは、今さら申し上げるまでもないことであります。ただこの内容いかんによりましては、自主的な日本としての経済外交を進めて参ります上に、将来長く支障になるという点があつては困る。また他の国々との間に通商航海条約を結びます場合のこれが基本になるものでもありまするので、大蔵省当局といたしましても非常に大きな関心を持つておることもまた申し上げるまでもないと思います。でこの内容につきましては、いろいろの点について大蔵省として希望しておる点もあるわけでございます。それらにつきましては、実はまだはつきり最終的の態度として、大蔵省として省議をきめるところまでは行つていないわけでございまして、これまた別途の機会に詳細にその経過を大蔵省側としても申し上げることが適当だと思つておりますが、ただいまのところそれだけの準備をして参りませんでしたから、とりそろえまして後刻答弁をさせていただきたいと思います。
それから第二に、外資の導入の問題につきましての大蔵大臣の談話というものは、私もその談話を直接聞いておりませんので何でございますが、私どもの理解しておりまするところでは、外資の導入をぜひやりたいという基本方針に何ら変更を見ておるものではございません。また向井大蔵大臣としても、その気持にいささかのゆるぎもないと思います。ただ外資の導入というても、そうそう簡単にできるものではないので、一方において国内ででき得ることは一生懸命やろうではないかというような考え方が新聞に伝わつたのではなかろうかと想像しておるわけでございます。それはなぜかと申しますると、たとえば電源の開発の問題にいたしましても、御承知の電源開発促進法が議員提案として先般成立いたしましたが、そのときの提案者の御説明でも、もちろんこれは外資導入に一歩前進をするための大きな構想である、しかしながら一面において、それだけをたよりにするのではなくて、財政資金計画を初め、国内の資本蓄積によつてまかない得るものはできるだけそれでやつて行くのであるということを説明しておられる。その気持と同様な気持ではなかろうかと思うのでございます。
外資法の改正の問題につきましては、今の通商航海条約の進み方、あるいはそれに関連する問題として、外資法に必要な点は修正をしなければなるまいかと考えております。まだ成案を御説明するまでには至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/67
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068・宮幡靖
○宮幡委員 第二の点は後の機会に伺うことにいたしますが、ただいま大泉委員から御質問がありました指定金銭信託——指定貸付信託といつた方がよいかもわかりませんが、これに対します運用の問題が取上げられております。大泉委員のお尋ねは、おもに税務的観念から参りました御質問のように拝承しておりましたが、これも一応また考えてみなければなりません。
御承知のように、今導入されておるというか、今滞留しております外資によりまして受益証券を外銀等が買い入れる構想が進んでおります。これは大蔵省もちろん御存じのはずであり、巷間でもすでにこれを知つておるのであります。大体現在の状況で行きますと、間接外資の導入とでも申しましようか、二年くらいの短期の外資まで誘導しなければならないほど日本の実情が差迫つておるのか、これは非常に疑問の多い点であります。大蔵省はこういうものをどういうふうに見ておるか。これは外資法の改正、もちろん日米通商航海条約の中において解決すべき幾多の要素を持つておるのでありましようけれども、いずれにしても国内的にはこの問題を取上げてひとつ検討してみていただくのが妥当であろう。そして貸付信託の設定にあたりましても、適切なる大蔵省の規制というものが加えられないと、あるいは株式市場といわず、あるいは金利体系といわず、この間に悪影響のあることは必然であります。こういう信託の受益証券を外資によつて買い取ろうといたしまするこの考え方、この気構えというものに対しまして、一応大蔵省はどういうお考えを持つておるか、また現在こういうことがすでに行われておるかどうか、そういう具体的問題についておさしつかえのない限りこの際御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/68
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069・愛知揆一
○愛知政府委員 大体の考え方といたしましては、外銀等によりますところの信託の受益証券の買取りというようなことは、私はあまり好ましいことではないと思うのであります。しかし事実一部においてすでにある程度行われておるのではなかろうかと思います。これは根本的には通商航海条約の締結、あるいは外資法の改正にも関連いたしまするが、結局は外銀あるいはその他の外国金融機関の国内における活動の規制をどのくらいやるかということで、これは私どもの希望としては、完全なる内国民待遇と申しますか、日本の金融機関と同様に、国内における活動は規制すべきものではなかろうかというふうに考えておりますが、同時に日本の金融機関に許されることについては、これを許さなければならないということになろうかと思うのであります。この点については、やはり日米通商航海条約の内容の問題といたしましていろいろと検討いたしおるのでございますが、先ほどの問題とあわせまして後刻詳細にお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/69
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070・宮幡靖
○宮幡委員 それではもう一つあわせてお願いいたしておきますが、例の世界銀行の調査員が参りまして、日本の外資導入の希望に応ぜられるか、もつと具体的に言えば、世界銀行からの借入れができるかどうか、こういう問題に対しましていろいろな情報が流れたのであります。その中に私どもの有力に頭に残つておりますのは、外資導入は悲観的であろう、こういうことが述べられております。従いまして多くの期待はできない。たとえば電源開発その他に二億ドルくらいのものをほしいにいたしましても、世界銀行の持つている現在の貸付余裕力がこれに伴わない、また資金の調達の方法もあるでありましようけれども、とにかく日本の希望がいれられないということは現実の問題でございます。そういう段階で、調査員が帰国にあたりまして発表いたしました言葉等を参酌いたしますると、先ほどの、外資はなくともいいんだ、こういう言葉がこういう状況から裏づけされているというような気もいたすのであります。決して皮肉な観察をするのではありませんが、われわれの経済はでき得べくんぱ独立独行で行きたい。別に外資に依存いたしまして産業の回復はいたしたくはない。しかしながら外資によらなければ産業の回復ができないといたしますならば、これに頼るのが当然であります。これらの状況を照し合せてみますると、昨年の十月あたりから今日まで流れておる空気というものは、大きな一つの矛盾とまでは行かないですけれども、判断の中に迷えるものがあるように考える。この迷いがありまして、ただいま審議中の予算であるとか、これに関連いたします諸法制、特に独立によりまして、占領治下になされました諸般の行き過ぎやあるいは不適当なことを是正しなければならない。この国会におきましてはこういう点をぜひ明らかにしていただきたい。外資を入れたいという意欲はあつても、これがないんだ、そういうのなら、われわれはあくまでも独力で行く方法をもつて、政府の予算を中心といたしましての二十八年度の活動に大きなる力を用いる覚悟と決意をしなければなりません。しかし方法によつては、程度あるいは額には相違があつても、外資が入るという態勢ならば、それによつてまた考え方もかえざるを得ない。従いまして適当な機会に御答弁を願う際に、これらの方針を関連してお示し願えれば、国民の迷える姿が国会によつて明らかになるものと思う。こういうふうにお願いいたしておきます。
続いで次に、主税局長さんがお見えになりましたので、順次主題の税の方に入つて参りますが、一つ伺つておきます。これもあとのお答えでもけつこうでありますが、御承知の第二封鎖預金が近く当時の金額において返還になるわけであります。名目的に通貨の量を増すということはないようでございまして、金額の点におきましては前の通貨の名目表示、こういうことになるのでありましようが、われわれの東海地区あたりはおおむね一〇〇%近くの第二封鎖預金の復活、悪いところで古七〇%ということになりましたが、これも財産税の徴収ということから生れたことではありますが、根本的精神は戦時補償の打切りというものと相関連しているのであります。そういう意味からいたしますと、現在外地に活動せられ、不幸にして敗戦の結果国内に引揚げられました方々が外地に残して来ましたいわゆる在外資産、こういうものに対しまして、政府もやはり一つの態度をとるべき必要があると考えております。しかしながら現在の国の財政力から申しますと、ただちにこれを支払つたり、あるいは補償したりするような力がないことも当然であります。これは何人といえども認めていただけるでありましようが、一応封鎖され、打切られました預金が国内的にも生きて来る、こういう段階となりますならば、やはり思いを在外資産にいたすということが正義であり、また正しいやり方であると私どもは信じておるのであります。
そこでいまだアメリカの援助資金に対する返済の方法も立たず、わずかに外債の支払いや長期にわたる返済額の案ができ、どれもアメリカと英国に関する限りで、フランスなどはこれからのようでありますが、そういう事態で、一部債務を返して行こうという気構えなりその実行に着手したという段階、続いては東南アジア地区を中心といたしまする賠償要求の問題、続いてはやはり在外資産の補償というようなことを順次考えるべきだと思いますが、現在大蔵省としてはどの程度までこれらの問題にお考えを及ぼしているか。これはこういうふうにしたいという希望でもけつこうであります。そうしないと、一体どうしてくれるのだかわからない。国民が非常に不安に思うと同時に、何かこれが異なつた思想の政治的策謀の原因となりまして、国内的に大きな動きを示す危険もなきにしもあらずであります。こういう点も含めまして、もしただいま御答弁をいただくならばけつこうですし、次の機会に前の問題とまとめてお話がいただけるならそれでもけつこうでありますが、この点もひとつお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/70
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071・愛知揆一
○愛知政府委員 在外財産の補償の問題でございますが、これは気持の問題と、それから法律的な問題といろいろの観点があると思うのであります。気持の問題としましては、今御指摘の通り、終戦の跡始末というものが、たとえば軍人恩給の問題などによつて大体一巡をいたしました。残つておるところはこの在外財産の問題ということにだんだん帰着して参りました。気持の問題としては、これは何らかの措置をいたしたいものだと考えるのであります。法律的に申しましても、やはりこれはできるならば何とかしてあげなければならぬ問題ではないかと私は考えております。ただこれも非常に行き届いた御質疑で、すでにおあげになつておりますが、たとえば賠償の問題なども御承知のように未解決でもございます。それから現在の国内の財政上の問題としては、とうてい多くを期待することはできない。もしやるにいたしましても、ほんとうの気は心という程度になりはしないかと思うのでありますが、これは将来の見通しの問題で、要するに今のところは、気持においては何とかして差上げなければならぬ問題だという程度に考えておるわけでございますけれども、先般関係者の全国の大会もございましたし、新たなる取上げ方をいたさなければならぬと思つておりますので、先ほどの問題とあわせましてなお詳細に御答弁することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/71
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072・宮幡靖
○宮幡委員 あとは貸金業等の取締に関する法律につきまして、川野委員から関連して質問がありましたので伺おうと思いましたが、これは少し時間を要するであろうと思います。そこできようはこれを保留いたしますが、次の機会に、この問題はむしろ大臣でなくて、政務次官と銀行局長にお伺いをいたしたいと思います。
そこでただいま議題になつています税関係法案についての御質疑をいたしたいと思います。まず最初に、これはたくさんなものでありますから、きよう一日でおしまいにしようといつても無理であります。しかし他の委員の方もありますので、私が一人でかつてなことを申そうという不所存者でないことは御承知願いたいと思います。
第一にお伺いしたいのは、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案であります。これは表を見ただけではまことに適当な大蔵省の考えであり、あるいは国税庁と言つた方がいいかもしれませんが、まことに適当なものであります。しかし内容を見ますと、ごく率直に悪い言葉で申しますれば、なかなかこれは賛成のできない部分を持つている。それは何ページの何行にどういうことが書いてあるから反対だとか賛成だとか、それまで私は言いたくないのでありまして、叡知秀才を集めました大蔵当局においてこれは立案されたものでありますから、決して不行届きなものではなくして、むしろわれわれの感覚の方がまだまだにぶいのであると私は思つております。そういう意味でお尋ねをいたしますが、一体この酒類業組合の性格はどういうものであるか、これはおそらく一種のカルテルだという観念になるかもしれません。しかし私は純粋のカルテルとも考えられません。いわゆるカルテルに類似しました特殊の組各法であるというような観念であります。そしてこれには任意加入、自由脱退という規定が示されておりますが、組合に入らなかつたといたしますならば、いわゆる通俗の言葉で申せば、アウトサイダーはどうして規制して行くつもりか、免許をとつてしまうとか、あるいは免許をしないとかいうだんびらでなく、実際行政措置としてどういうふうに規制して行くのか、その性格と、アウトサイダー、非加入者を規制して行きます方法を具体的にお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/72
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073・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 員御承知のように、酒税は非常に大きな国の財源でありまして、従いましてこれが収入として十分に確保されるか確保されないかということが、国家財政の上に非常に大きな影響を及ぼすところに酒税の特殊性があるわけでございまして、従いましてこれが酒税の問題につきましては、大蔵省としましても特段の関心を持つておるわけでございます。従いましてこの酒税の納税義務を負つていただいている製造業者の方、あるいは販売業者の方、これらの方がやはり協力して一応業界の発展をお進めになることはもちろんでありますが、同時にこの酒税の保全について御協力を願うことがぜひ必要なのではないかというふうに考えております。そのような意味におきまして、現在も私的な団体としては幾つかできておるわけでございますが、業界の御希望もございますので、この機会に製造業者は製造業者、販売業者は販売業者、それぞれ酒類の性質に従つて団体をつくつてもらつたらどうだろうか、そこでやる事業はいろいろ書いてございますが、これは必ずしもこの組合をつくらなければできないというわけのものでもないかもしれませんが、しかし少くともこうした相当公的な性格を加味することによりまして、政府のそうした仕事に協力していただくことを一応常時の組合の仕事というふうに考えております。従いましてこの組合を統制をして行くことは、通常の酒が普通に売れて行く時代におきましてはあまり考えたくないと思つておりますが、ただ最近の事例を見て参りますと、供給過多のために相当濫売も行われているような種類のものがございます。従いましてそういう場合におきましては、現行法によりますと、酒税法の五十二条の規定を使いまして、これはしようちゆうの例でございますが、一応政府が直接乗り出して統制をやらざるを得なかつたことがあつたわけでございます。しかしこの五十二条の規定は戦争中の立法でございまして、いささか戦時色濃厚で、われわれとしてもこういう法律がはたしていいかどうかという点について多分に疑問を持つわけでございます。しかしあの五十二条の規定に書いてあるような事態が起つた場合に、はたして何か手を打たなくてもいいかということになりますと、どうも放任しておくわけにも行くまい、そういうためには、やはりこういう団体をつくりまして、そういう事態が起きた場合に、一応統制をやる必要ができて来るのではないだろうか。ただその場合におきましては、当然独占禁止法との関係の配慮が必要になつて来るわけであります。あるいは事業者団体法との配慮が必要になつて来るわけであります。ですから新しい立法によりまして、特別な事例だけの上に、こういう場合にはこういうことができ得るということを法律の上でもつて認めるような制度にして行かなければならない。そういうわけでこの団体におきましては、そうした趣旨によりましての協定ができることになつておるわけであります。すなはち条文でごらん願いますならば、四十二条に書いてございますが、その第十一項の第五号に「組合員の製造又は販売する酒類の需給が均衡を失したことに因り、酒類の価格がその酒税類及び原価に照らして低下し又は酒類の代金が回収が遅れる等組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となつたため、酒税の納付が困難となり、又は困難となる虞があると認められる場合において、左に掲げる規制を行うこと。」すなわち「組合員が製造する酒類の製造石数、原材料の購入数量又はその製造若しくは貯蔵の設備に関する規制」それから「組合員が販売する酒類の販売石数又はその価格、代金決済の期限その他の取引条件に関する規制」しかしもちろんこの規制は独禁法の特例にもなるわけでございますので、組合が自由にこれを行つて、それをそのまま放置するというわけにも行かないわけでありまして、従いまして、この規制につきましては大蔵大臣の認可が必要である。それで大蔵大臣は、認可する場合におきましては、その規制が、今申しましたような事態の解消のために必要かつ最小限度の範囲を越えていること、不当に差別的であること、それから消費者及び取引の相手方の利益を著しく害すること、こういつたような場合におきましては、これは認可をしてはいかぬ。それと同時に、認可する場合においては公正取引委員会と協議をする、公正取引委員会と十分連絡をとつた上で認可する。それによつて、独占禁止法の一応保護しようとしております消費者の利益とそれから酒税の保全という目的との調和をはかりたい。さような性格の仕事をこの組合にさせることを考えておるわけであります。
それからなおこの組合のアウトサイダーに関する関係はどうなるかという問題につきましては、別に規定が、ございまして、八十四条でございますが、組合の協定ができて大蔵大臣が認可するような場合におきましては、大蔵大臣は、その組合に加入していない者につきましても、これの統制に従うべき旨の勧告ができる。それから、勧告で聞かない場合においては命令することもできる。こういつたような規定を一応つくりまして、アウトサイダーに対しましても、その統制に服従すべき必要があれば服従するように持つて行きたい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/73
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074・宮幡靖
○宮幡委員 丁寧な御説明をいただきましたが、実は性格の点においてそれだけではまだはつきりしないのであります。これは私が愚鈍でわからないのかもしれませんが、とにかくわかりにくいのであります。今までの私設組合を通じて行いましても、この種のことはできたし、できるであろうというような意味のことを申しました。それは全部できるという意味ではありません。しかしながら、そういうこともできるが、さらに酒税の保全その他必要なことをやるのにはこういう組合法をつくつたらよろしいのだ、こう思うというお話でありますが、これはやはり一つの自主協定ができないというものには、純正カクテルというような意味の思想は含まれにくいのであります。大蔵大臣が認可する事前において、公正取引委員会に、——事後でありますか、あるいはそのことに当面してでありますか、あらがじめ公正取引委員会の同意なり承認を得なければならない。大蔵大臣は、必要な処置であると考えて認可しようと思う、あるいはそういう措置を講ずることをあらかじめ申し出て来るように慫慂する場合も、私は行政上の措置としてあろうと思います。その場合に、申し出て来て、公正取引委員会が、それは不可だ、それはいけない、こういつたような事態が起つた場合には、一体どこで調整なさるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/74
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075・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 両方の意見が終局的には結局一致しなければ認可ができないことになるであろうと思つております。しかし行政の実際といたしましては、両方の話合いによりまして、できるだけ必要な措置ならば認可できるように話合いを続けて行くべきものじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/75
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076・宮幡靖
○宮幡委員 それはまことに民主的でよい言葉でありますが、一体大蔵省がそんな気持にまでなれるかどうかどうも疑問であります。大蔵省は各省の上に存在する大蔵省で、今までやつて参つた。それが今度たまたま公正取引委員会に相談して、もしいけないというなら最終的にはやめなければだめだ、認可ができないんだということで默つておつてよいのか。もしそういう事態が——私は現在の公正取引委員会の委員の方々や、つかれておりまする役職員の方々のその思想や行動を言うのではありませんが、公正取引委員会というものが存在する限り、必ずしも大蔵大臣が申し出たことを、この方が酒税の保全にもなるし、また酒造業者の利益も害しない、のみならず消費者の利益も保護できると考えてやりましても、百パーセントこれがよろしいということは出て来ないと思う。どうもこの法律の中に私は矛盾があると思う。その組合の性格がわからなくなるのもそこにあるのであります。大蔵省がこういう組合法をつくつておやりになるとするならば、私は、独占禁止法と事業者団体法のあの両法規は特例の法規であつてほしい、あくまでも大蔵大臣の専決すべき権限に属する法律であつてほしいのであります。もしこれが専決ができないときは、他の関係省との調整ということも必要でありましようが、外部にあります占領政策によつて生れましたところの公正取引委員会などの承認や認可というような形がなければやれないというような法律であるならば、これは独立日本の法律として必要でないと思う。これは極端に言わなければ答えが出ないので申し上げますが、必要ないと思う。なぜ大蔵省がこんなものをつくるか。公正取引委員会の承認がなければやれないようなものをなぜつくるか。そういう組合であるならば断じて不必要だと私は思うが、どういうふうに主税局長はお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/76
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077・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 私は宮幡さんの御意見と違うかもしれませんが、現在独占禁止法なり事業者団体法がございまして、一応消費者の利益保護ということが考えられておるわけでございます。それで、そういう意味の消費者の利益というものも全然無視するべきものではない。これは宮幡さんも先ほどおつしやつておられますからおそらく御同意だと思いますが、ただ酒の方の関係から言いまして、別に酒税の保全という別の要請があるわけでございます。従いまして、そこに独禁法だけで考えているところよりも違つた保護さるべき利益が出て来ている。そこにこの法律における統制あるいは命令、統制のための命令認可というものが、独禁法の一種の特別法といつたような性格を持つのじやないかと思います。従いましてやはり大蔵省といたしましては、公正取引委員会を全然無視して、この関係を全部大蔵省で持つということにつきましては、公正取引委員会の立場もございますし、公正取引委員会が保護しなければならぬ利益というものについても問題がございますので、それを無視するわけにも行くまい。ただ大蔵当局といたしましては、こういう統制の必要があり、ないしその場合の統制の申請が相当理由があり、むしろ認可すべきものであると考えました場合におきましては、十分によく説明すれば、おそらく公正取引委員会の人たちも納得してくれるだろうと思います。またわれわれも、ぜひ納得してもらうように努力して行くということでこの問題を片づけて行きたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/77
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078・宮幡靖
○宮幡委員 気持は十分わかるのであります。また実際もそうでありましようが、しかしながら、どうしても公正取引委員会からはずれた機関であつてほしいと思う。大蔵大臣が、必要があればそれに統制措置と申しますか、あるいは勧告、命令等の措置も比較的自由にとれるというところに置いて初めてこういう法律の必要があるのであります。あるいは大蔵省にそういう独裁的な権限を与えることは悪いという言い方もありましよう。でありましようけれども、酒の醸造というものは、酒税というものと関連いたしましたいわゆる国の国有事務であります以上、大蔵大臣の専決で行い得るということが好ましいのであります。しかし事態は、私がそう申すだけでありまして、そう簡単に行かないかもしれません。公正取引委員会との話合いがおおむね円満に行くであろうと、当の責任者である主税局長からそういう御言明があつたのでありますから、私はあえてそれを追究いたしません。しかし法的に考えまして決してよいものではないと私どもは考えております。
時間の関係もありますので、次に小さい問題を順々にお尋ねして行きますが、この組合をつくつて、既設の酒造組合はそのまま置かれるのかどうか。この法規を一応読ましてもらいますると、これは出資組合でなくて、経費の分賦組合というように見受けられる。そうしてこれに対する諸種の議決権は平等である。これは小さくいえば三十石の最小免許でも、あるいは百万石つくる大きい酒屋でも同じだ、こういうわけであります。人格を尊重いたしまして、平等の観念を打出す点においてもとより異議はありません。しかしながら酒というものも、かつての酒屋の旦那という段階から一段階進めまして、一つの企業化しております。りつぱな企業だと私は考えておる。この考えが間違つておれば、また間違つておると御指摘願つてけつこうでありますが、企業となつておる酒屋であり、酒の醸造である。昔からのいわゆる酒屋で、三百石の酒屋の旦那さんとか、あの蔵は大きいの、一千石だのといわれておる立場の方々、それと終戦後の酒類不足の折柄、続々できて参りましたアルコール分を含有いたします新くふうの諸種の酒類の最小限度の免許を持つておる方々が、平等に議決権を持つということは、これは言葉が当てはまらないかもしれませんが、たまたま船頭多くして船山に上るの感がなきにしもあらずでございます。こういう平等の議決権を持たせるということについては、何か大蔵省としてはそうした方がよいのだというお考えがあつてやつたのか、こうせざるを得ないので当然の常識としてこうしてやつたのか、どつちであるかを明らかにしていただきたい。そして私は酒の生産量といいますか、造石といいますか、その量の大部分を占めますのは、やはり企業化した酒造業の中から生れて来る生産であつて、昔の旦那という酒屋ではない、こう思いますときに、何か平等の議決権の中に割切れないものを感ずるのでありますが、この点について主税局長はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/78
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079・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 お答え申し上げます。確かに一つの考え方といたしまして、ここに提案されている案ですと、組合員は平等、一人一票、御指摘の通りでございますが、別の考え方といたしまして、少くとも製造業者に関する限りの御議論だと思いますが、この製造業者の製造石数にウエートを持たしたような議決権が考えられないかという御意見であります。考え方としては、そういう考え方も一応成り立ち得ると思います。ただどちらが結局一番いい結論が出るだろうかという考え方でございますが、どうも製造石数をそのまま加味して参りますと、場所によりましては大きな酒屋さん一人の意思でもつて全体の意思がきまつてしまう。株式会社でございますと、半数以上の株式を持つておればそれで全体がきまつてしまうということがありまして、この方はそれなりに一応りくつがつくと思いますが、こういう組合において、製造石数が入つて来ることによりまして、大きな酒屋だけの発言が強く出るというのもいかがなものか、ただこういうふうにしますと、今度は逆に小さな酒屋さんだけの発言力が大きくなり過ぎはしないか、こういうような心配もあるわけでありますが、彼此勘案しました結果は、やはり一応は一人一票の方がいいのではないか。それで設立の場合などにおきましては、やはり小さな酒屋さんだけで大きな酒屋さんは入らない、従つてそこの醸造石数のごく一部でもつて組合ができるというのもいかがかと思いましたものですから、設立の関係におきましても、醸造石数の二分の一以上の人が集まるということを一応の要件にはしておりますが、議決権の関係におきましては、いろいろな考え方があるだろうと思いますが、一応やはり一人一票でやる方がいいのではなかろうか、全体といたしましてやはり大きい酒屋さんには少し譲つていただいた方がいいのではなかろうか、こういう一応の結論を出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/79
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080・宮幡靖
○宮幡委員 大醸造家が小醸造家を圧迫するような態勢にありといたしますれば、主税局長さんの後段の御意見に私はすなおに賛成いたします。大醸造家の横暴というものは確かに許すべからざるものがあると思いますが、しかしその内容としましてはりつぱな企業になつておる。だからその酒屋も普通の酒屋という意味とは違うのでありまして、どういたしましても、観念としては一人一票という平等議決権がいいと思うのでありますが、実際の面において一万石の蔵と三十石の蔵と一緒になつて、そして同じことを言うといたしますと、これは現実の問題としてずいぶんふつり合いな、矛盾した事態が生れて来るのではなかろうか。そこでいわゆる横のつながりでやろうとする組合的の組織と、もう一つ縦と申しますか、言葉は悪いかもしれませんが、それをどこかでちよつと切りまして、たとえば、仮定のことでありますが、千石以上あるいは千石以下というところにおきまして組合をつくつてやつたとしたら、これは何か運用の困難がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/80
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081・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 おそらく私は、その場合は運用は困難だろうと思つております。たとえばどの例をあげればいいか存じませんが、あまり酒の例は具体的にあげぬ方がかえつていいかもしれませんが、ある小さな業者だけが一つの団体をつくつておる、それから大きな業者だけが一つの団体をつくつておると仮定いたします。大きな業者の方でやろうとしておる規制の関係、小さな業者の方でやろうとしておる規制の関係、これがばらばらになつて二つ並んで大蔵大臣に行くという場合に、やはりアウトサイダーにもある程度の統制が行かなければならぬ状態ですから、少くとも酒の種類が同じなら同じような規制をしなければ意味がない。そういう場合におきまして、二つ並んで出て来るということになりますと、その上で調整をしなければならぬ。一つの団体になりますと、それは私はお互いの利害関係の対立があり得ると思いますが、しかし一つの家に入つておれば、大きな人にも小さな人の立場がわかつていただけるだろうし、小さな人にも大きな人の立場がわかつていただけるだろう。お互いにその間に相互の利害関係を理解し合う機会があるのではないか。その上でもつて一応一つの規制に出て来るという方が望ましていのではないか。しかしお前の考えておるのは非常に楽観的な場合だけで、そううまく行かない場合もあり得るのではないかと言われれば、私はこのあり得ることを実は心配しております。ただ大蔵大臣の認可の場合に、たとえばそれが非常に差別的であるといつたような場合には認可しないということにいたしまして、実際問題としては、あるいは国税庁なりあるいは国税局なり、あるいは大蔵省なりの事実上の勧告といいますか、あつせんというものが相当物を言うと思いますが、あまり利害関係の衝突を来さないように、勧告等によつて一つのものに、無理のないところへ持つて行くことに努力して行きたい、また行くべきではなかろうか。それはやはり二つの団体がはつきりわかれてしまつて、そしてお互いがそれぞれの主張をはつきり打出すという場合よりもより円満に事が運び得る道ではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/81
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082・宮幡靖
○宮幡委員 それは主税局長さんのお考えとしては一応ごもつともだと私は思います。いろいろのりくつを並べましてもなかなかうまく行くものではないと思います。しかし今のお言葉をただちに借りまして、昨年の四、五月ごろですかに行われましたしようちゆうの庫出、あれによつて小さいしようちゆう業者は一斉に悲鳴をあげました。大しようちゆう業者も悲鳴をあげたでありましようが、これはある程度庫出を停止しました利益というものは必ずはね返つて来る。しようちゆうの無謀なる下落、いわゆる濫売から来ますところの企業の受ける被害というものはむしろ救われたわけでありまして、この利益というものは大しようちゆう業者に多くして零細業者はまつたくみじめである。これは当時の国税庁の酒税課長さんだつたかにも私はお話をしまして、行政的措置によつて適当に勘案するようにいたしたらどうかという御忠告を申し上げたことを記憶いたしております。そして行政的措置でおやりになつたのでありますが、これらを思いますと、やはり平等で、大中小みな取りまぜてありますところにずいぶん困難があります。そこで今の平等議決権そのものを排撃するのではありませんが、その組合法をつくつてはたしてうまく行くかどうかという問題になつて来ますと、今の御言葉をそのまますなおに受けましても、これでうまく行くんだという自信をもつて御賛成申し上げるには若干躊躇しなければならない、こういう事態が生れて来るのでありますが、しかしその問題はこの程度にいたしておきます。
次に第五十条になかなかすぐれ規定があります。「離職従業員の優先雇用」ということが書いてありますが、これはこの業種に限つて特殊の事情であろうと思いますが、どういう意味でこういう条文を設けられたのか、これをひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/82
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083・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。これは特定中小企業の安定に関する臨時措置法の例に習いまして、やはり特定中小企業の安定に関する臨時措置法にこういう意味の規定がございまして、一応こういうような意味の規定をやはりつくつておく方がいいんじやないか、規制等によつて離職された人については優先的に使うという考え方が入つた方がいいんじやないか、そういう意味で規定を入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/83
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084・宮幡靖
○宮幡委員 それは安定法から流れをくんだということはよくわかりますが、具体的にはこの業種はどういう場合に起るのですか。どなたか説明員の方でもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/84
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085・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 具体的にと申しましても、結局書いた通りなのですが、要するに事業を相当縮減したことによりまして雇用を離れたその人が希望したらば、まずその人を優先的に雇う。もちろん希望がなければそれを雇うことも問題になりませんが、そういう意味において、一応そういう気持で仕事をして行くことを書いてあるという程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/85
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086・宮幡靖
○宮幡委員 それも聞いておきますが、それではドレッシング・プレーでありまして、あまり感心したお答えではないと思います。しかし大問題でもありませんので、この程度にしておきます。
そこで平田国税庁長官もお見えになつておりますが、終戦後の税務行政に尽瘁せられた天下切つての税の達人であられるから、何でも明快に御答弁を願いたい。それは酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案について、今二、三主税局長さんとの間に質疑応答をやつた、これをやつております間にも頭に浮んで来るのは、私がこの委員会におきまして、年来主張して参りましたいわゆるマル公制度の改正、これがぜひ必要ではなかろうか。この法律をして効果あらしめるためには、すでに両三回ここで意見を表明しました通り、もはや最低マル公の制度であつて、最高マル公制度というものは廃止して行かなければならないのではないか。酒類の保全をはかつて、そして需給調整に関しましては政府がある程度の命令権、指定権を持てるようになりました以上、これより安く酒を売つてはいかぬという制度を確立して、嗜好と需要のおのおの緊要度によつてよい品物ができ、また見たところがよいもの、感じがよかつたものは高くてもさしつかえない。
〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕
同じ吟上酒一升がデパートで売れば三千円で売れる、いなかのこぎたない店で売れば千八百円という格差がかりについても、これは決して矛盾でない。そこでいよいよもつて最高マル公制度というものを廃止して、指示価格、標準価格を指示して、それより安く売つてはいかぬ、こういうことを行うべき事態になつて参つたのでありますが、この法律の施行とともに、ぜひひとつ新しい面を出しまして、抜本的に酒類の業種をかえてみたらどうか、こう思つておりますが、長官並びに主税局長はどういうふうにお考えになつておるか、この点について御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/86
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087・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいまの宮幡さんの御意見は、将来の方向としては確かに傾聴に十分値する御意見だと、前にもたしか申し上げたことがあつたかと思いますが、ただいまもそう思つておる次第でございます。ただ今回といたしましては、相当大幅な減税も行いまするし、それから何と申しましても、清酒につきましてはまだ原料の面で非常に重要な規制をしておるというような関係もありまして、今度の改正前後におきまして、さしあたり今の公定価格の線を大体におきましてそのままにいたしまして、消費者の立場を考えまして、税金もできるだけ下げる。業界の方々にも、犠牲になる必要はないと思いますが、下げてもらうところはできるだけ勉強してもらいまして、そうして公定価格をぴつしり守つて、減税の期待に沿つて第一ぴたつと値段が下つて消費者に喜ばれるというところに持つて行きたいと考えておる次第でございます。入場税等において、一部税は下つたが、料金は下らぬというような非難がございましたが、事酒に関しましては、そのようなことは私ども絶対にいたさない。できますれば、業界もコストが下つた灘につきましては減税と一緒につき合つてもらいまして、できるだけ業者に勉強してもらう、こういう方針で今回のマル公の改正をいたしたいと思う次第でございます。ただ今御指摘の問題は、実は当面の問題というよりも、将来の問題としては非常に傾聴に値する議論でありますが、やはりある段階まで来ますれば、最高価格という意味の公定価格は、ほとんど効果と申しますか、意義が現に非常に少くなつておる。むしろ将来は、安く売つて、税金までたたいて売つてしまつて、その結果が業界もおもしろく行かない、酒税の徴収もうまく行かない、こういうことになるのをむしろチエツクする意味におきまして、今お話の通りむしろ最低価格と申しますか、そういつた意味の価格制度に適当なときに切りかえるときがおそらく来るのではないか。この際に最低価格だけをきめますか、ある程度の幅を持たせました価格にしますか、あるいはものによりましては、公定価格制度、あるいは最低価格といつたものにつきましては政府できめることをよすか、よさないか、その辺は今後の問題としては大きな問題があるのではないかと思います。しかし何しろ酒が高くなつておりますが、価格の相当の部分が酒税でございまして、これが非常に競争が激甚になりまして、税金まで食つてもらうようになつたのではとても税の徴収はできませんから、むしろお話のように適当な最低価格制といつたようなものを何かうまく考えまして、それによつて酒の需給がうまく行きますようにするのが方向ではないかと思います。ただこの問題は、当面の問題としましてはもうちよつとお待ちを願いまして、需給が安定し、ある程度生産その他の計画なり実行もなめらかに行くところを見はからいまして、そういうふうなことも考えて行くという方向に行くべきではないかと思います。ちよつと私の答弁はお答えにならぬと思いますが、当面の問題としましては、最初に申し上げた処置で御了解願いまして、将来の問題もましては、ひとつよくいろいろな角度から慎重に研究しまして、誤りなきを期したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/87
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088・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 私も大体平田長官の言われたのと同じ考え方を持つております。マル公というものがはたしていつまで必要か、あるいはせめて製造者段階だけはとにかくとして、流通段階ははずしてしまうのがよいか、最高価格でなくてあるいは最低価格——最低価格というのもなかなかやりにくい制度だと思つておりますが、あるいはむしろ税務署の一つの取締りの基準としての基準価格くらいをつくるのがよいのではないか、そんな点を考えてみる必要もある。少くとも現在行われているようなきゆうくつな最高価格としてのマル公制度というものは、もう検討されてよい時期が来ているのではないかと思つております。ただ当面している減税の機会におきましては、平田君と同じように、すぐこの際マル公をはずしてしまうということは減税の効果をはつきり出して、そうして酒がこれだけ値下りになつたからということをはつきり表へ示す意味からしまして、この際としてはやはりマル公を存続すべきである。かような考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/88
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089・宮幡靖
○宮幡委員 御答弁としては私は当面満足いたします。この点は今すぐにやれといつても、これは無理なことであります。しかしそういうところに次第に向つて来た、それがだんだん近づいて来たという考えでおられるということについては、まことに適切なるお考えであろうと思います。ただその中で参考に伺つておきたいことが一点あります。それはいわゆる価格安定帯を設けるという問題であります。最高最低というものの幅を設けさせて、ひとつ指示価格のようなことをしてみたいというような平田長官のお話でありましたが、他の農林関係において今価格安定帯を持つておりますのは肥料であります。硫安が最高九百三十円、最低八百七十円という安定帯を持つております。その場合におきましては、肥料のごときはその裏にはいろいろな検討すべき問題がありましようが、一応九百三十円ということで消費者に売つてしまつて、輸出するには低い六百七十円で出すというような、非常な妙な事態ができております。過燐酸石灰でも同様であります。でありますから、もし酒の安定帯価格を設けたといたしました場合に、ただいま一級酒を最高千円、最低七百円ときめたような場合におきましても、一体どの辺へおちついて来るものか。競争から生み出すところの価格は別でありますが、市場にもし行つたならば、酒の場合はどの辺へおちついて行くか、どの程度のものになるか、もしそういうことについて何かお考えがありましたら、ひとつ御参考に伺つておきたいのであります。どうぞその点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/89
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090・平田敬一郎
○平田政府委員 その問題はなかなかむずかしいかと思いますので、私は一つの考えを申したにすぎないのでありまして、最高、最低といつたようなものを、設けるか設けないか、そのこと自体が大いに検討して行かなければならぬ問題だと思います。ただいきなり最低価格だけでうまく行くかと申しますと、これまたなかなかうまく行かないかもしれません。そうすると過渡的にある程度の今言つたような制度も考える。またその場合におきましてどの程度のところにおちつくか、その辺の問題につきましては、率直に申し上げましてまだ非常に突き進んだ検討なり、結論を得ておりません。今後よくひとつ検討いたしまして、どういうふうに価格制度を持つて行くか、慎重に研究してみたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/90
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091・宮幡靖
○宮幡委員 それはそれで了承いたしておきます。それでは今度酒の税に相関連してお尋ねいたします。今度二十二条で拝見いたしますと「酒税の税率は、酒類の種類別、類別、級別及びアルコール分に応じ、石につき、左に掲げる金額とする。」として税率を示してありますが、これによりますと、従来の雑酒が四級までありましたのが二級になつておりますが、これはどういう理由で三級、四級を廃し、一、二級に統制されたのでありますか。酒のつくり方なんかはあまりよく知りませんので、そういうものが不必要になつたのかどうか、その経過をひとつ御参考に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/91
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092・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 御説明申し上げます。新しい改正案によりますと、雑酒は特級、一級、二級となつております。従来は一級、二級、三級四級とわかれておりました。今度は三段階で前のは四段階、従来の一級をそのまま特級という名前にしたわけでございまして、この名前のつけ方は、たとえばサントリーの極上のウイスキーなので、一級より特級という名前を業者の方が希望している。それじや酒の特級と似たような種類のものだから、特級にしようというぐらいの軽い考え方でありますので、今まで四級のものが二級になつたのはどういうわけかという点がおもな御質問の点になるのではないかと思います。従来の雑酒四級ができたのは相当古いことでございますが、現在のように雑酒四級の税率が非常に安くなりましたのは終戦後のことであります。御承知のように、終戦後においてアルコール原料が非常に乏しくなりまして、とにかくアルコールに動員できるものは何でもよいからアルコールにしたらよいのではないかということで、それに結びついて、粗悪といつては失礼かもしれませんが、相当質の落ちたものも一応衛生上害のない限りにおいてはアルコールの飲料として市場に売られて行つた。従いましてそういう粗悪な原料を使つて粗悪な酒をつくつたものについても市場に出ておつた関係からして、その分の税率については特に安い税率を盛つたというのが、現在の雑酒四級の税率が一万四千円にきまつている主たる理由であると思います。最近におきましてはだんだんアルコール原料の材料も豊富になつて参りまして、しようちゆうはどちらかといえば供給過多になつたというような次第でございます。終戦直後におけるような生産状況とは大分異なつて参つたと思つております。従いましてそういう意味においてつくられた、割合安いが、そのかわり安かろう悪かろうの酒は、もうそろそろよい酒に移つてもらいたいというので、この機会において三級、四級を統合しました。しかし従来の四級に比べましてもちよつと低い税率を盛ることによつて従来四級をつくつた方々の分が増税になるということは避けたわけであります。ただ従来四級の人がその後も同じものをつくているとすれば、ほかのものが、たとえば二割とかあるいは二割ちよつと減税になる場合におきまして、一割程度の減税にしかならぬという問題はございますが、もうそろそろそういう酒はよい酒にかわつてもらいたい、こういう希望をもちまして、よい酒にかわればやはりこの程度の税率は適用されてよいのではないかという考え方で、一応従来四段階にわけておつたものを三段階に直した、かようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/92
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093・宮幡靖
○宮幡委員 この点については積極的希望をもつて御改正をなさろうとしておるようで、その御意見は有力だと私は考えております。しかしながらどうも日本人というものは、あるいは日本人というといけませんが、人というものは一つの慣性を持つております、今度はおおむね酒税は二、三割方引上げを行う、そうして酒の供給量を多くして減収とはならないような方向に持つて行くということが、大蔵省が発表し、また政府が大綱として認めたところである。そうすると税率が二、三割下るという恩典は、ひとしくどの酒類にも適用があるものであると考えるのが人の情であります。従いまして希望としては、従来の四級のような粗悪な酒は、需給のバランスをとる上において不足していないので、臨時間に合せのような酒として市場から消えて行つてもらいたい、こういう含みがあるのだという御意見を聞けば、それもごもつともに聞えますが、この三級に統合された四級は、酒造税が下つた割合に下つた割合が一番低いのであります。具体的に申し上げますれば、特殊の事情もいろいろありましようが、大体一割程度しか下つていない。ほかのものは二割一分、二割五分、二割七分というような状況に下つて来ているが、これだけは一割というところに何か割切れないところがあるのであります。そういう間に合せの酒といつたら悪いのでありますが、疑似ビールというような、ビールのまねのようなものは、消費者の嗜好によりまして当然淘汰さるべきだと思いますが、それについて法的措置によつて今一挙にやつて行かなければならないということには多少疑問があります。これらのものに対し、この際一年間なら一年間、一酒造年度なら一酒造年度を限り、当分の間はこれらの酒類に対しては別な税率を設けて、その移りかわりを助成してやる、よい酒にかわつて行くようにしてやる、こういうような親心が大蔵省としては持てないものですかどうですか、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/93
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094・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 その点につきましても実は慎重に考慮したわけであります。確かに原則としては二割ないし三割だが、上の方の清酒の特級だとかウイスキーにつきましては、下げ方を少くしたわけであります。これは今の粗悪酒の例とは全然別であります。こういうものについて一割ちよつと程度しか下げなかつたというのはございますが、これは別なものですから、これがあるからこちらがよいのではないかということは決して考えておりません。今の雑酒四級の点につきましては、他意はないわけでありまして、従来の税率がいささか安きに過ぎた。安きに過ぎた分につきましてはもちろんそれなりの理由があつたわけであります。決して理由なしに安きに過ぎたわけではありません。ところが最近のような原料事情になり、最近のような酒の状態になつて参りますと、もうそういうような現状をもつてすれば、どうもいささか安きに過ぎる、といつて逆にこの分を増税するなんということは、ほかのものが減税している際ですから考えることはもちろんいたしませんが、しかし税率の下り方が多少そこでもつて割合が少いというくらいは、格が一応上るわけでありますから、その辺においてがまんしていただけないものだろうかというふうに考えているわけであります。現在一万四千円で、これがたとえば二割そのまま下れば、二千八百円下るわけですが、一千五百円、千三百円程度一応ほかの方の酒類に近づいていただく。そのような考え方でありまして、その間の措置といたしましては、一ぺんに大きな措置をとるというつもりは毛頭なくて、この程度の措置なら何とかがまんしていただけるのじやないかという考え方で、一応こういうことをやつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/94
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095・宮幡靖
○宮幡委員 了解したことは申しませんが、主税局の考えには、私は理由はあると認めます。しかしながらものにはあくまで経過があるのでありますから、そこにわずかなことで——税額にしてもこれは大したことはないのでありまして、歯牙にかける方があるいは間違いかもしれません。しかし感じといたしましては、やはりどうも不適当だということになるかもしれません。まだ一日、二日の検討の余地もあるのでありますから、私の方も考えます。主税当局でもひとつぜひお考えをいただきたい。必ずこうなれという強い希望を私は持つのではありません。押しつけがましくなつては恐縮でありますからそれはいたしませんが、何分にもこれはふつり合いであります。早のみ込みをした連中は、これは減税にならないだろう——これは小さな部分ですからいいのでありますが、これが清酒の二級でもぶつかつて、今まで清酒と合成酒の差が百十五円でしたが、今度は百十円になる、今ちよつと数字は忘れましたが、そういうようなことに対して、一体清酒と合成酒とどういうふうに見るかという議論をして来ますと、それは大きな違いがあつて、かなり差はありましよう。発泡酒だけが三級になつてしまつたという一つの事実でありまするから、皆さんが見のがしておりますが、われわれ一応審議する建前から行きますと、大綱が二割、三割下るのだ、しかるにこれは一割だということは、これは何となく矛盾があるような気持がいたします。そこでお互いにもうしばらく研究してみようと思います。それから次を伺いますが、これは今度酒税法の中に載つておる利子税が取立てられます。こういうことになると、今まで滞納者は利息を払つておらない、こういうことになりましようぶ、そこで今度はこれに対し日歩四銭の利子を加算する。これは適切な措置でありまして、直接税関係なんかから見ますと、むしろ今までの不平等を是正した意味で、これはよい立法であろうと私は考えております。ところで酒屋さんにはなかなか滞納が多い。今までの滞納が累積せられて、場合によりましては何千万円あるいは億を越えておる者もあるやに伺つておる。こういうものが三月までの納期、これは四月一日に施行されるといたします。あるいは三月一日でもけつこうでありますが、施行されるといたしました場合において、かりに今度資金の融通がついて納めに来る場合には、一体滞納税額に先に充てるのか、利子税のつく方に充てるのか、これは行政措置として相当問題になると思うのでありますが、現在ではどういう方針をとられるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/95
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096・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 最初の問題についてちよつと一言付言さしていただきますと、現在雑酒四級の適用を受けておりますものの中では、合成のぶどう酒のようなものがむしろ量的には多いのでございます。お話の発泡酒は実は量的には非常に少い部分しか占めておりません。そういうものは、われわれは全体として三級、四級というものを考えておるということだけをつけ加えさしていただきます。
それから今の利子税の問題ですが、ただいま利子税はやはりとるのが当然だと先生から御賛同をいただいて、幸いといたします。それで現在滞納になつておる分につきましては、これは実のところ、りくつから言えば、少くとも過去にさかのぼることはともかくとしまして、この法律ができたあとにおきましては、やはり利子税をとつてもいいんじやないかという議論が内部でもございました。それでいろいろ検討はしてみたのですが、ただ現在相当大きな滞納を控えていらつしやる方のその滞納の解消だけで税務署も苦労をし、納税者も苦労しているような状態でございますので、過去における滞納の分についての利子税は当分見送るようなつもりでこの法案はできております。いろいろりくつから言いますと、とつてもいいわけなんですけれども、実は現在できている滞納を満足に解消するだけに苦労しておりまして、そういう場合におきましては、おそらくはかの債権者との振合いからしまして、徴収法の規定などを使つた場合におきましては、滞納を免除するというような別の規定を働かせないと滞納は解消しないのではないかというような事態も憂慮されますので、従つて今後に起る滞納の分についてだけ四銭というようなことを適用するような規定を書いてございます。実はいろいろ議論はありますが、どうも実行上からしますと、それが適切じやないかと思います。それからもう一つ、一般的な議論でございますが、利子税と本税があります場合においては、これは各税を通じましてまず本税の方に充当する、利子税はあとまわしにする、こういうやり方を大体を通じてとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/96
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097・宮幡靖
○宮幡委員 趣旨には私は賛同いたしますが、ただ一つ、これは末端行政の中に現われて来ることでありますが、滞納には四月からは利子税がかかる。そこで前回に滞納が多く、今度納める分を合せました場合に資金が足りない。おおむね新しい分は納められて若干滞納部分もあるかもしれない、こういうような事態になりました場合には、滞納として先に取るのですか、滞納税額に引当てるのですか、そういう事態には新規の分が当然滞納になつて来る。その場合どういう順位でそれを処理されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/97
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098・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 大体現在の滞納整理のやり方といたしましては、御承知のような執行猶予とか徴収猶予の制度ができております。従いまして、全体としまして古い滞納の分につきましては、こういう徴収猶予、執行猶予の制度に乗せましてそうして順次滞納を解消してもらうようにする。同時に新しい滞納はこれをしないように、こういうのが大体全体の指導方針でございます。従いまして資金ができますれば、まず第一に考えられるのは、新しい滞納を発生させないようにするということで、同時にさらに古い滞納は執行猶予とか徴収猶予の線に乗せまして順次これをなくしてもらうように、こういうのが現在とられておる一般の指導方針でございますから、大体その方針に乗せて行けばそう無理な事態は起きない、かように考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/98
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099・宮幡靖
○宮幡委員 その点は完全に了承いたしました。そこで少し面がかわつて参りますが、配付を受けました租税及び印紙収入予算の説明、この総説の中の一の(a)について一、二点伺いたいと思います。その(a)のところの下の方に、「配当所得その他の源泉課税所得も今後若干増加するものとして計算した。」と書いてありますが、「今後若干増加する」という要素は、これはいくら読んでみても私は自分の心に当てはまるように出て来ないのであります。これはもし言葉で言つて悪ければ、資料でもつて御説明願つてもけつこうでありますが、この若干でも増加する要素があるということを知りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/99
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100・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 御承知のように源泉所得税の中には給与所得に対するものと、そのほか預金利子所得、それから配当所得、退職所得、それから外交員報酬、原稿料報酬、こういつたようなものに対する課税と源泉課税と二つありまして今御指摘になりました分については、たとえば配当の分でありますとか、利子の分でありますとか、こういうものは別途あるいは詳しく説明してもよろしゆうございますが、若干増加する要素がそこにあるのじやないか、そう大きな金額は見積つておりませんが、これらも若干増加する。それを一番最初のページは総説なものですから、こくあらましを書いたもので、その点につきましては数字は七ページの方に内訳がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/100
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101・宮幡靖
○宮幡委員 七ページの基礎がわからないのでございます。これは私だけわかれば、ほかの方はそう思つていないのでしようから、それだけあとで、ひとつ示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/101
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102・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 かしこまりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/102
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103・宮幡靖
○宮幡委員 本日は私の質問はこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/103
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104・加藤高藏
○加藤(高)委員 過日の主税局長の私に対する御答弁のうちに、本年度の全酒類の課税見込み石数は七百万石である。これは前年度に比して百五十万石の増であるという話がありましたが、同じく川野委員への御答弁のうちに、前年度の密造酒の推定石数は百五十万石であると思うということで、ほぼ本年度の増石分と密造酒の推定される石数が同じでありますが、本年度の全酒類が完全に消化されましたときには、密造酒というものはほぼ根絶されるものであるかどうか。どういうふうにお考えになるかちよつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/104
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105・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 密造酒の量がどれくらいあるかということにつきましては、われわれもいろいろな推計をしておりますが、ほんとうに自信のある数字というものは実はなかなか得にくいわけでありまして大体この間百五十万石見当ではないだろうかということを申し上げたわけでございます。今度の予算の数字に載せてございますのは五十六万石程度が正規の酒に振り向けられる。かように一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/105
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106・加藤高藏
○加藤(高)委員 密造酒はまだまだあるというお見込みであるか、それをちよつとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/106
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107・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 五十六万石程度が一応正規の酒にかわつただけで、それで密造が全部なくなるというふうには考えておりませんが、ただ密造が漸次なくなるにつきましても、いろいろ段階を経なければなりませんので、本年度の歳入になる分としましては一応五十六万石。ただこの仕事は、特に農村密造の問題などを考えますと、相当長期間にわたる努力が必要ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/107
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108・加藤高藏
○加藤(高)委員 密造酒は、私どもの考えるところによりましても、相当また本年度もあるのではないかということが予想されるのであります。大蔵省におかれましては、この密造をする原因というものが那辺にあるとお考えになるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/108
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109・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 端的にいえば、やはり酒に税金がかかりますから、一応正規の酒だと高い。従つて手近に、農村のような場合ですと米もあり、税金も払わなくても済むといつたようなところからの密造の問題と、それからもう一つは、第三国人がよく中心でやつておりました、また現在でもやつておると思いますが、いわゆる販売のための密造。これも結局税が高いがゆえに、税金を払わないで済めばそこで安く売れる。こういうふうに、わければ二つの種類のものがあるわけでございます。結局まあ税金という問題と結びついての密造という問題が考えられるかと思つております。従いましてこれを漸次なくして行くためには一面におきましては税金が安くなる、そうすれば、たとえば販売密造であれば、それによつて得る利益が減りますから、従つて販売密造そのものはもう正規の酒屋さんよりはずつと条件が悪いわけでありますから、そこに販売によつて得る利益が漸次少くなつて来る。従つて販売密造があまり商売にならなくなつて来るだろうと思います。もう一つの問題としてはやはり取締りの強化だと思つております。取締りの強化によりましてたとえば没収される、あるいはその他いろいろ障害を受ければ、現在あまり税率が高いと、結局これが一種の保険料くらいのつもりで済んでしまいます。それだけコストが——あの人たちはコストと考えているものと思いますが、それが上るわけですから、密造をやつても順次商売にならなくなつて来る、こういうような線に追い込むことによりまして密造をなくするということが考えられるのじやないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/109
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110・加藤高藏
○加藤(高)委員 過日の川野委員の質問と重複してはなはだ恐縮いたしますが、密造対策の根本策をもう一ぺんお伺いしたいと思います。それと同時に、ただいま主税局長のお話にありましたが、税金が高いから密造酒があるのじやないかという点でありますが、将来この酒税に対して減税する意思があるかどうか。密造の対策並びに減税についてのお考えを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/110
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111・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 今度の全体の考え方といたしまして基本的にはやはり全体の酒の税率を下げるということによりまして酒全体の値段を安くする、これが片方にある。同時に片方で相当の密造取締費をいただいておりますから、これを有効に使いましてそうして片方で並行的に厳重な取締りをやらせる。これが何と申しましても密造取締りの手段、重点的な線ではないかと思つております。なおその他多少芸は細かくなるかもしれませんが、二十度焼ちゆうといつたようなものを一応つくりまして特に密造対策上必要と思われる地域には、二十度焼ちゆうを売ることを考えてみたらどうか。この分につきましては、税率も普通二十五度のものを二十五分の二十にしたよりもやや引下げて薄いけれども安いしようちゆうというものを一応出してみる。効果についてはいろいろ議論があると思いますが、この分もやつてみたらどうであろうか。なお農村等に対する配給酒の問題も考えておりまして、これらもやはり密造対策にある程度の効果を持たせるようにやつて行きたい。ただ全体の太い線といたしましては、酒の値段を税率引下げによりまして下げる、全体として安くすることと、それから片方で取締りを強化して行く。この二つの方策を車の二つの輪のようなぐあいに動かして行くことによつて、密造対策を講じて行くべきではないかと考えております。なお酒税の将来の見通しという問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして正直なところは私にもまだちよつと見当がつきかねます。もう少し将来の国の財政の状況なり、税金をどう持つて行くかという状況なりを勘案した上で、さらに考えて行くべき問題だと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/111
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112・加藤高藏
○加藤(高)委員 ただいま主税局長から御答弁をいただきまして、私非常に安心した一点があるのでありますが、私が今まで申し上げた点は、配給酒の問題について局長から御意見を承りたいと思つて御質問申し上げたのでありますが、ただいま局長の御答弁によりますると、二十度しようちゆう、あるいは取締りの強化、それと相まつて農村方面に対して配給酒を出して、もつて密造の対策に資するという言葉をいただいたので、私非常に安心したのであります。しかしながら先ほど御提出になりました法案のうちには、配給酒は本年一年存置する。ことし一年だけで停止するように書いてあるのであります。かかる法律を改正いたされましては、ただいまお話のような密造対策についての根本的な施策があまりないのではないかというふうに考えておりますが、この配給酒の問題について、これを当分持続する、少くとも業界が安定し、また密造酒がなくなるという見通しのつく時期まで存置することが絶対的に必要であるというふうに私は考えておるものであります。業界の一番不明朗な点は、この密造酒にあるのであります。この実際的に推定される二百万石あるいは三百万石という密造酒がなくなりましたあかつきには、おそらく現在の業界は、非常に明朗になると私は考えておる次第であります。それに対しましては、ただ単に取締り、あるいは二十度しようちゆうというものだけでは、密造酒の根絶はできないと思うのであります。それには農村の真に希望するところの安い清酒を、時に応じ機に臨んで、各種の名目で配給してやる。そうして自発的にみずから密造をしなくてもいい酒が飲めるという観念を植えつけることによつて、密造酒の根絶に資することが最も肝要であるというように考えますが、この配給酒を一年だけ存置するという点につきまして、いかようなお考えのもとにこれを立案せられたか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/112
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113・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 密造対策も全体的な大きな道としましては先ほど申した通りであります。配給酒の制度をどういうふうにうまく使つて行けるかということについては、実は過去においていろいろやつたことはありますが、新しい事態ができましてから、それに応じた場合において、どういうふうな配給酒の制度をとつて行くべきかということについては、実はほんとうの自信を持つておりません。従いましてすぐにこれを廃止することはおもしろくないと思つておりますが、とにかく一年やつてみまして、その全体の成行きを見まして、しいて配給酒のような制度を使う必要がなければ——これはまた配給酒には別の意味もありますが、他の意味においても必要がない。同時にこうした意味でも必要がないということになりますればやめたらいいし、あるいは逆にやはりこういう制度が将来続けて存置さるべきものだということがはつきりしますれば存置するような措置を講じたい。その意味におきまして、様子を見るために一年の限度は置いておりますが、状況によりまして、次の機会にこれを延ばすことも考えていいのじやないか。ただ現在といたしましては、とにかく少し様子を見る意味におきまして、まあ一年限りということに提案してある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/113
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114・加藤高藏
○加藤(高)委員 ただいまの主税局長の御答弁に対して私は異なる考えを持つものであります。私としましては、先ほども申し上げました通り、どうしても密造を根本的になくする。当面この高額の税金を課せられておる酒に対しましては、根本的の策といたしまして、どうしてもこの配給酒の制度の活用が最も必要であるということを強く主張するものであります。
なお先ほどいただきました資料に基きましてもう一点お尋ねいたしたいと思います。改正税法によりまして、基本税、加算税を一本にするに伴いまして、おのずから指定販売業者の制度は廃止されることになるのでありますが、この資料によりますと、いわゆる甲機関、指定阪蕨業者の販売場数と申しますか、これは二千六百十五場なのであります。これに反しましていわゆる乙、非指定の卸売業者の場数は六百三十九場であります。せんだつて国税庁長官の御答弁によりますると、今後指定制度がなくなつても、何らかの形でこれを生かすことを考えて、もつて業界の混乱を避けたいというふうなお話がございましたが、現実の面におきまして二千六百十五場に及びますところの指定販売業者の出張所、あるいは荷さばき所のすべてが全部性格をかえる、あるいは廃業しなければならないというような立場に追い込まれるのでありますが、これによつて生じますところの業界の混乱というものに対して、御当局はどういうふうにお考えになつておりますか、御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/114
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115・平田敬一郎
○平田政府委員 甲卸機関が酒の税を扱いますことを一年限りでやめるということになつておるわけでございますが、これは前会も申し上げましたように、現在もやはりとにかく免許業者として免許しておりますので、原則といたしましては卸業者として残るのが当然の筋道だと思います。ただ、今御指摘の通り、販売場が相当たくさんありますが、それをそのままの形で独立の卸売業者として免許するかどうかということになりますれば、これは前会も申し上げましたように、なおいろいろ検討すべき点があろうかと思います。しかしそういう場合におきましても、とにかく現状はそのようにして行われておりますので、著しく変な場合以外は、大体原則としまして認めて行くということにすべきものではないかと思つておりますが、その辺の非常に細目な点につきましては、御趣旨をよく体しまして、一年間の期間にやることでございますけれども、なるべく混乱を少くしまして、適正な目的を達成できるように努めたいと思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/115
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116・加藤高藏
○加藤(高)委員 この表でもわかりますように、指定卸業者、いわゆる甲機関というものの大部分は、地方にありますところの協同組合を主体とする甲機関であります。そしていずれも大メーカーに比しまして、資力の乏しい弱小業者の共同組織によつて立つております卸機関が大部分でございます。そして現在地方におきますところの小メーカーは、このいわゆるみずから組織するところの甲機関の犠牲によつてようやくその販売を維持しておる蔵も多分にあるのであります。御当局といたしましては、弱小企業を助成するとが現段階におきましては私は絶対に必要であると思うのであります。何も今ここに一年を限つてこの制度を廃止して、弱小業者にむちうつがごとき処置はまつたくどうかと思われますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/116
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117・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 指定販売業者の制度がいろいろな意味においても役に立つておることはあろうと思いますが、現在甲機関として指定を受けて頼ります協同組合が相当の配給所を持つておるわけですが、その協同組合が協同組合のままである限りにおきましては、指定業者の指定がなくなつても、もちろん卸売の免許はそのまま受けておるのですから、その姿はかわりがないと思つております。私が先日申しあげましたり、あるいは平田局長が申し上げましたりしましたのは、結局協同組合が分解して、独立した免許を持つという事態が起ることがあろうと思いますが、こういう場合におきまして、もちろん組合との間でもつて円満な話合いがあることが前提になりますが、はたして全部が全部許すかどうかについては、場所によつては例外的なものも考えられはせぬか、現在の配給所について、私はたとえばある県などにおいて、ほとんど動いていない配給所も見ておりますし、むしろ二つぐらいが一緒になつた方がいいのではないかと思う程度しか仕事をしていない配給所もございますから、それがそのまま独立した乙種機関になつた場合に、はたしてどう持ち切れるかという問題もありますので、むしろこの方が例外でありましようが、全部が全部独立した卸売にすることはどうかという考え方になつておるわけであります。なお指定販売業者が、主として金融の関係だと思いますが、いろいろ利益を受けているということは、私はないとは言い切れないと思いますが、もともとの起りが自由販売酒、それから配給酒という制度から起きて来たわけでございますし、また何と申しましても税率が相当下つて参つておりますから、むしろ反射的利益であるという意味におきまして、片方の大筋から行つてなくしたものであれば、その反射的利益が失われることくらいはがまんしていただきたい。それを急速にやればもちろん混乱が起きますので、一年間のゆとり期間があれば、何とかそれがうまくできて行くのじやないかということで、一年限りで指定業者の配給制度は廃止する、こういう考え方によつたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/117
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118・加藤高藏
○加藤(高)委員 私は種々の点を総合いたしまして、基本税と加算税を一本にし、指定卸売業者並びに配給所の制度を一年限りで廃止するということは非常な冒険であり、いましばらくは現行の通りに、基本税と加算税の二本建で行きまして、配給酒の制度を存続させる。そのことがもつてまた農村、工場地帯の密造対策にも資するし、また業界の安定をはかるということが最大の急務であるというふうに考えておる次第であります。一応私の意見を述べまして、本日の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/118
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119・淺香忠雄
○淺香委員長代理 川野芳滿君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/119
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120・川野芳滿
○川野委員 時間も迫つて参つておりますので、二、三点おもなる点について御質問を申し上げてみたいと思います。
酒類の製造免許の件でございますが、この免許の許可権が所轄税務署長に移つたというふうに法文はなつておるようでございますが、所轄税務署長が独断で免許を与えてよろしいことになるのでありますか、その点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/120
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121・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 権限としては税務署長に与えてございますが、最近の酒類の需給関係から考えまして、税務署長の独断でもつてかつてに免許するということは、おもしろくないと思つております。現在におきましても、税法の上からいいますと、税務署長になつておりますが、国税庁あるいは国税局で相当な統制をしておるわであります。この点につきましては、税法が新しくなりましても、同じようなやり方でもつて考えて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/121
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122・川野芳滿
○川野委員 そういたしますと、ただいま仰せのことは法文のどの箇条に該当するのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/122
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123・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 法文の上には別に出ておりませんが、しかし一応大蔵省の内部監督の関係は、国税庁の組織法によるというような関係で、税務署長は国税庁長官の指揮監督を仰ぐことになつておりますから、その指揮監督の面におきまして、一応税務署長のそうした許可の権限などについて一つの統制を行う、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/123
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124・川野芳滿
○川野委員 そういたしますと、製造許可権は税務署長にあるというふうに法文の表面ではうたわれておりますが、実際問題といたしましては、国税局並びに国税庁のお許しのもとに許可をするということになりますると、実際問題としては国税庁が許可権を握つておると解釈してけつこうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/124
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125・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 税務署長が許可権は握つているわけでございますが、その許可権の施行につきましては、国税庁長官の指揮監督を仰ぐ、こういうふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/125
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126・川野芳滿
○川野委員 いや、私がこういう問題をお尋ねするゆえんのものは、責任という問題から実は伺つておるわけであります。えてして、従来もでございますが、税務署に参りますると、実際問題としてかりに許可権が税務署長にあつたといたしましても、ただいま仰せのような内意を伺うということになりますると、責任を国税局あるいは国税庁にゆだねる、こういうようなことが多々ございますので、ただいま仰せのように、国税局並びに国税庁の内意を伺つて初めて許可するということになりますると、いつそのこと許可権を国税庁が持つ、こういうことに法文の上においてもした方が適当じやなかろうかとも考えますが、この点についてひとつ伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/126
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127・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 一応立案の過程におきましては、いろいろ議論してみたのでございますが、どうも国税庁長官が許可権を持つという姿にいたしましても、いろいろな面におきまして不自由な点があると思つております。一々国税庁の方へ書類を出し、国税庁からまた税務署へ出して、それから送つてやる、そういうような面もございますので、やはり現行と同じように、税務署長に許可権を持たせる。同時に許可権の問題にしましても、現在の情勢でありますれば、国税庁が相当やかましい統制監督をしなければならぬ。この情勢がはたしてどういうふうになつて行くかという問題もございます。従いまして、やはり一応原則としては税務署長に免許の権限を持たせまして、必要に応じまして国税庁長官あるいは国税局長がこれを指揮監督する。こういう姿に現在なつておりますが、その現行のやり方を当分踏襲して行きたい、かように考えて立案したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/127
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128・川野芳滿
○川野委員 昨年酒類の出荷統制をいたしましたことは御承知の通りでございます。この理由につきましては、許可権の濫発とは申しませんが、相当の許可を与えられる、こういう点も私は原因があるのじやなかろうかと考えますと、許可という問題については慎重にやらなければならないと存じます。私は一昨日小売免許の点で、許可の問題について少しく論議いたしたのでございます。あれは距離さえあれば許可する、こういうふうに発言されましたので、従つてその発言の線に沿うて家屋を移転して免許申請をした、ところがまたぞろこれに難くせをつけられた。こういうことで私が問題にしたのでございますが、少くとも酒造権の免許の問題については、相当慎重に許可をさるべきが適当である。こういうふうに考えますると、実際問題として署長が上司の内意を伺つて許可するということになつておるならば、もう一歩進んで、許可権を国税庁においてお取上げになつた方が適当ではなかろうか。こういうふうにも私は考える次第であります。なお先般樺太で醸造に従事されておりました方々に対しまして、一千石の醸造の免許を与えられた模様であります。こうなりますと、満州あるいは朝鮮、台湾等におきましてかつて醸造に従事いたしておりました者等がさらに免許の申請をいたした場合にはどうお取扱いになりますか。この点を伺つてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/128
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129・平田敬一郎
○平田政府委員 小売業の免許につきまして、必ずしも好ましくないようた話をしながらうまく処置しないとういようなお話でございまして、この点は事実をよく調べまして、その問題につきまして適切な措置をとりますと同時に、将来におきまして、そのようなことのないようによく注意いたしたいと思います。
それから免許の権限でございますが、これはやはり私も多年やつておりまするが、何と申しましても、免許していいかどうか、事実を調べて一番基礎的な材料を提供するのは税務署でございます。現場のほんとうのいいところは実際は税務署長が一番よく知つている。従いまして大蔵省におきましては、多年やはり現場権限を集中するということでございまして、課税につきましても、その他すべてにつきまして現場の署長に権限を持たしております。ただ、ときによりまして、最近のように需給の関係からしまして新規免許は原則として与えない、非常に特例の場合にのみ場合によつて与える。こういうときになりますと、税務署長に法律上処置する権限を与えることはうまく行きませんので、そういう際におきましては、税務署長から稟伺させるというか、事前に免許に対しまして監督官庁の承認を得させる、そういう方向で現実に処理しておることは御承知の通りでございます。
それから製造業につきましては、今の状態から考えますと、大体そういう方向をたどるのがいいのではないか、しかしこれも将来需給状態の緩和次第では、一定の方針を流しまして、その方針に該当する場合は署長にまかしてやるという場合も、さつき主税局長が話しましたように出て来るかと思います。従いまして建前としましては、やはり今度の法制のようなのが多年やつておりましたようにいいのじやないかと思います。それから小売、卸になりますと事情が少し違つて参ります。小売の新規免許につきましては一定の方針を指示いたしまして、その方針に合致する限りにおきまして、署長限りで、あらかじめ伺いを立てないでやつて行くように現在もいたしておりますが、なお若干例外的なこともやつておりまするので、よく検討いたしまして、なるべく税務署長限りでできるようにいたしたいと思います。
卸につきましては、署長限りでは今の段階ではちよつとまだむずかしい事情があるようでございますから、でき得る限り国税局長に権限を持たせて、国税局長限りの内申にいたしまして、署長が免許するということにしたらどうであろうか、このように考えておるのでございまして、この点は今後のいろいろな事情もよく考えまして、しかるべく適切なる効果を生むようにいたしたいと考えておる次第でございます。
それからなお今御指摘の外地の関係でございます。今問題になつておりますのは、樺太の関係と関東州の関係百この二つございます。これは業者の方々が一緒になりまして、とにかく向うから引揚げまして業を失つておる、何とか酒をつくりたい、こういうわけでございますが、最近までは清酒は御承知の通り原料が少くて、不足しておりましたので、大蔵省としましては、そういうものは認めない方がいいだろうということで参つて来たのであります。ただ最近は原料が大分増加いたしましたし、それからアルコール添加の方法等も加えまして、酒の製造石数もすでに相当のところまで参りました。もちろんまだ企業整備後の基本石数には達しませんが、ほとんどすれすれのところまで実は清酒の製造がバツクして参りました。そういうときまで来ますれば、やはり今いつたような問題の解決の一つの時期ではあるまいか。しからばといいまして、内地の業者と同じような条件、同じような方法で許可を与えるというのはやはり適当でない。従つて行政その他につきましては、相当な縮減されたところである程度内地でつくるというような道を開いたらどうかということで、目下審査中でございます。最初はすぐにでもできるから免許を与えてくれという要望があつたのでございますが、よく調べてみますと、まだ準備が十分できていない状況でございます。われわれとしましては、単に権利石数を与えるとか、また委託製造を認めるとか、そういうことは厳にやるべきではない。現実にその人たちが自分たちでつくる、しかも一緒になつてつくる、ばらばらに来てどれもこれもというようなことがないような方法で行くことが確実になりますれば、今申しましたように若干程度は認めるのが今の状態から妥当ではないか、こういうことで進んでおる次第でございますので、現在のところはまだはつきりした製造場その他の事業計画が出そろつておりませんので、まだ免許を与えておりません。その点がそろいますれば、今千石程度留保しておりますので、その中から適当な数字を割当てまして許可したらどうかと思つております。はたして今の間に合いますかどうですか、まだ今日のところはつき申し上げかねるような事情でございます。そういうふうな点につきまして、われわれとしましては十分に慎重に考えて善処いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/129
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130・川野芳滿
○川野委員 現在の実情を見ますと、小売免許の許可権は、ただいま税務署長にあるとおつしやつておりましたが、実際は税務署限りで許可される実例はなかろうと思います。全部国税局に書類をまわし、そうして国税局の許可を得て初めて免許権を与えるという実情であります。
さらに卸等に至りましても、ほとんど国税庁に行つて、国税庁の承認を得て初めて許可されておるという実情であります。私はそれはけつことであると存じます。従つて法文の上にも、実際面の許可権は国税局あるいは国税庁とされた方が適当でなかろうか、こういうような意味合いで質問をしたのでございますが、後日これはまたさらに研究課題にされまして、実際問題に適当するような法文に書き改めていただきたいと考える次第であります。
次に審査用酒の免許問題でございます。審査は、御承知のように特級酒として税金をとるか、一級酒として税金をとるか、すなわち課税上の問題から審査をせられますことは、私が申し上げるまでもないことでございます。そこで本来から申しますと、この審査用酒というものは、政府がお買上げになつて審査をされるのが適当であるかと考えるのでございますが、実際問題としては、審査用酒を政府がお買上げになるということはなかなか不可能であろうと存じますので、従つて審査用酒に限つては免税規定をお設けになつたらどうか、こういうふうに考えますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/130
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131・平田敬一郎
○平田政府委員 さつきの問題にちよつと補足して申し上げますが、実は卸は原則として局限り、小売は税務署限りということにいたしましたのは昨年の暮れでございまして、従いまして、今川野さんがお話になりましたケースの際には、そういうことはなかつたと思います。今後はそのようにいたしたいと思います。なおその点、命令が徹底していない場合におきましては、なお徹底するようにいたしまして、そのようにいたしたいと考えておる次第でございます。これはいかなる場合といえども全部というわけに行きません。非常に異例に属します場合におきましては、これはそれぞれ稟議をさせる必要があろうと思います。原則はそのようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/131
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132・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 審査用酒につきまして、これを免税したらいいじやないかという御議論は、一応わからぬでもないのでありますが、現在考えておりますところでは、審査につきましては、必ずしも政府の強制といつたような意味のものも含まれておりませんし、まあ量的に見ましても、それほど大きなものでないというので、特別にそういう措置を講ずるほどのこともあるまいというくらいの考え方があるのじやないかというふうに思つております。ただ審査の酒のとり方などにつきまして見ておりますと、どうも少し量が多過ぎるようなきらいがありはせぬかと思つております。従つてそのあとの酒をどうするといつたような問題もいろいろあるように思います。そんなような関係もございますので、むしろこれは必要最小限度にとどめるべきものではないか、そういうようなことで、実行上酒屋さんの方へあまり大きな負担にならぬようにということでこの問題を解決して行つたらどうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/132
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133・川野芳滿
○川野委員 今まで酒税の延滞に対しましては利息をおとりにならなかつた。しかし今回利息をおとりになるということになつた。すなわち半面においては、延滞等に対してはぴしぴしとるものはとつても行く、こういうつらい政策の面を推し進めてやられるならば、半面政府が買い上げて審査すべき酒類に対しましては当然免税をするのが適当でなかろうか、こういうふうに私は考えますが、その点についてはぜひ強い研究を要望しておきます。
さらに酒税減税時におけるもどし入れ税の措置の問題でございます。昨年値下げの場合には、現物を製造あるいは卸のところまで実は運びまして措置をやりましたことは御承知の通りであります。かくいたしますことはいたずらに費用がかさむばかりでございますので、ひとつ今回は現物を動かさずしてそういう措置をしていただきたいという要望が強いのでございますが、これに対するお考えを承つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/133
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134・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 減税をいたします場合のもどし入れの問題でございますが、実はこういうような場合にどう措置するかということについては、いろいろな問題があると思います。酒の税金は何といいましても大きいものですから、われわれは特別に考えておりますが、物品税の問題にしましても、たとえば織物消費税の問題にしましてもいろいろ連関があるわけでございます。従いましてやはりある程度もどし入れとかなんとかいつたような措置によりまして、ほかの税の対象とは違つた措置がとられるのだ、従つてその意味において、酒についてはもどし入れの制度によつて減税する、こういつたようなことに考えておるわけでございます。従いまして現物を動かさないままで確認できるといつたような問題になりますと、これは他の税の関連から見ましてやはりかなり困難な問題が起きよう——前回やりましたときの措置はいささかきゆうくつに過ぎたといいますか、結局条文の適用の関係で相当無理な、きゆうくつなことをやらざるを得なかつたのですが、今回の場合におきましては、もう少しそれが簡にできるような措置は講じてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/134
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135・川野芳滿
○川野委員 物品税あるいは織物消費税と常に御比較になるようであります。酒税は御承知のように約八割が税金です。物品税は二割あるいは三割が税金です。こう考えますと酒税の対照物として物品税あるいは織物消費税をお考えになる必要はないのではなかろうか、こう私は考えます。しかし時間も遅いので、これ以上は本日は申しませんが、どうか現物を動かさないで払いもどし入れ措置をしていただくように切に希望を申し上げておきます。
最後に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案の十四条であります。この十四条には、人員三分の二以上、酒類の石数にして二分の一以上でなければ設立ができない、こういうふうにうたつておる。ところが先ほども同僚宮幡議員から御説明が、ございましたが、第三十八条の議決権には石数の制限がない、こういうことになりますと、酒類のある組合においては設立不可能であると思われる組合がございますが、この点について局長の意見を承つておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/135
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136・渡辺喜久造
○渡辺(喜)政府委員 一応の考え方といたしましては、やはり組合をつくる限りにおきましては、単に頭数だけでなしに、相当の製造石数の分が組合員の製造石数でなければならない、こういうような考え方で、一応組合の成立の要件には二分の一以上という要件を入れたわけなのですが、今度はいろいろな議事を行つて行く上におきましてそういう石数というものをあまり一度に反映させますということは、かえつて大きな製造業者が横暴だという意味の非難を起すもとにもなろうかと思いまして、そういう意味におきまして、いろいろな議決の場合におきましては、一応三分の二だけで切つたわけであります。この問題は正直に言いまして、組合がうまく成立ができるような組合におきましてはどちらにしても問題がありませんが、同時に多少憂慮される組合もございますが、そういう組合が、もしお互いに大きなメーカーと小さいメーカーというような対立がありますならば、私は規定がどういうようになつておりましようとも、結局うまく行くまいと思つております。三分の二のほかに二分の一が入りましても、お互いに対立的な気持を持つていれば、結局話はまとまらないだけだと思つております。従いましてわれわれの希望といたしましては、お互いに組合関係の対立はありましても、しかし小異を捨てて大同につくというような気持で、大きなメーカーの方は小さなメーカーの、小さなメーカーの方は大きなメーカーの立場をお互いに理解し合うごとによつて組合が伸びて行くということを実は期待しているわけであります。それで話が全然うまく行かないという場合におきましてなおかつ片方に、たとえば出荷統制とかいう必要がありますれば、これはやむを得ませんから大蔵大臣の命令にまたざるを得ない。あるいはそういう場合に無理押しに、ある特殊の人が、その人たちだけの利益のための統制の申合せをして来ましても、内容が差別的である、適当でないという意味で大蔵大臣としては認可しない。こういうふうな措置が一応残されておりますが、こういうような措置をあまり使うことは好ましくないわけでありまして、結局そういうような措置が残されていることをよくお話して、やはり業者の方が円満に集まつてお互いの利益のために協力していただく、こういうことをわれわれは期待しているわけでございます。確かにこの規定は、実は非常にむずかしい規定なのでありますが、現在のようにつくりました場合には、それなりに大きな業者にとつては心配がございます。あるいは設立の要件のようなぐあいにつくりますれば、今度は別の意味の弊害というか、心配がそこに出て来るわけでありまして、われわれといたしましてはずいぶん研究してみたのでありますが、設立の要件の中にはこれをつけて置こう、しかし集まつた上でのお話合いとしては、これはやはり一票々々でやつて行つていただきたい、こういうようなつもりで案をつくつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/136
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137・川野芳滿
○川野委員 ただいまの問題については、私非常に心配の件が一つあるわけであります。きようは時間も非常に遅くなりましたので、これで私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/137
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138・淺香忠雄
○淺香委員長代理 これにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
午後四時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X02719530217/138
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