1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十七日(水曜日)
午後二時二十九分開議
出席委員
農林委員会
委員長 坂田 英一君
理事 野原 正勝君 理事 平川 篤雄君
理事 井上 良二君 理事 足鹿 覺君
青木 正君 秋山 利恭君
大島 秀一君 高見 三郎君
中馬 辰猪君 金子與重郎君
高倉 定助君 高瀬 傳君
川俣 清音君 中澤 茂一君
芳賀 貢君 中村 英男君
大蔵委員会
委員長 奧村又十郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君
理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君
理事 佐藤觀次郎君
上塚 司君 西村 茂生君
西村 直己君 三和 精一君
加藤 高藏君 笹山茂太郎君
中崎 敏君 吉田 正君
小川 豊明君 久保田鶴松君
坊 秀男君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
農林事務官
(農林経済局
長) 小倉 武一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(銀行局特殊金
融課長) 有吉 正君
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 林田悠紀夫君
農林中央金庫副
理事長 江沢 省三君
農林中央金庫理
事 更級 学君
農林委員会専門
員 難波 理平君
農林委員会専門
員 岩隈 博君
農林委員会専門
員 藤井 信君
大蔵委員会専門
員 椎木 文也君
大蔵委員会専門
員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
農林漁業金融公庫法案(野原正勝君外五十六名
提出、衆法第一一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/0
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001・坂田英一
○坂田委員長 これより農林委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。私が連合審査会の委員長の職務を行いますので御了承を願います。
それでは農林漁業金融公庫法案を議題といたし、審査を進めます。まず本案の趣旨について、提出者の説明を求めます。野原正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/1
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002・野原正勝
○野原委員 農林漁業金融公庫法案の提案理由を、すでに農林委員会で済ませておりますが、御参考までに申し上げます。
わが国経済の自主体制を確立するためには、食糧増産を目途とする農林漁業生産力の早急な拡大強化がその基盤をなすものであり、しかして農林漁業の生産力の拡大強化をはかるためには、これが基本的施設に対し、積極的に資金を導入することが刻下の急務であることは言をまたないところであります。
しかるにかかる資金は、農林漁業の特質にかんがみ長期かつ低利であることを要するため、一般金融機関の融通にまつことは困難であり、国家資金による政策的金融を行う必要があるのであります。かかる要請に応ずるため、昨年農林漁業資金融通特別会計が設置せられ、これによつて昭和二十六年度百二十億円の融資を行い、さらに本年度は二百億円の予算をもつて融資が行われつつあり、この制度が農林漁業の生産力を拡大強化する上に果しつつある役割はまことに大きいものでありますが、今後食糧増産計画の積極的な推進とともに、ますます増大せらるべきこの資金の適正かつ円滑な運用を将来わたつて期する上には、なお二、三の検討を要すべき点があるのであります。
すなわち、この特別会計において当初予想した資金量に比し、実際の資金量は国内食糧増産の緊急当面の要請にこたえ、はるかに上まわるに至つたため、現在の人員をもつてしてはこの業務の円滑な処理はとうてい困難であると考えられるのであります。また貸付決定の実質上の責任者ないしは事務に当るものが公務員であり、その地位を長期間固定することが実質上困難であるため、長期貸付の決定の責任の所在が不明確になるおそれがある点、また政府の直接貸付にかかる国の債権であるため、財政法の規定により債権の保全が形式的にはきわめて厳重な一方、実質的には金融業務に本来必要とされる機動的な処理を行い得ないため、かえつて管理回収業務の円滑な運用を期し得ない点等、単に特別会計の機構人員を増加したのみでは解決し得ない問題が多々存するのであります。
以上の諸点にかんがみまして、きわめて重要なこの農林漁業長期融資の取扱い機構としては、独立とともにますますその緊要性を加え、資金量も今後いよいよ増大せらるべきこの際において、新たにこの融資を目的とする恒久的な独自の政府機関として農林漁業金融公庫を設置し、もつて農林漁業長期資金の適正円滑な運用に遺憾なきを期せしめたいと考えるのであります。これが本法案を提案した理由であります。
次に、本法案の概略を御説明申し上げます。まず、農林漁業に対する長期低利資金の融通を目的として農林漁業金融公庫を設置し、これを法人とするのであります。これが資本は金額を政府出資とし、農林漁業資金融通特別会計から承継する資金をもつてこれに充てるのであります。
業務につきましては、従来の農林漁業資金融通法による融資対象のほかに、さらに災害復旧の場合に限り個人施設をも対象として貸付を行うものとし、貸付決定以外の実務につきましては、農林中央金庫その他の金融機関にこれを委託し得るものとしております。
貸付利率、償還期限及び据置期間の限度はおおむね現行通りと定め、その範囲内における貸付条件の細目等、業務の方法、事業計画等の主要事項については、主務大臣の認可を要するものとし、行政との密接な関連を保持せしめることといたしております。
役員については、総裁及び監事は政府任命とし、理事の任命についても主務大臣の認可を要するものとしております。
会計については、公庫の予算及び決算に関する法律の定むるところによるものとし、大体国の予算及び決算に準じた取扱いをするものとし、利益金を生じた場合は全額を国庫に納付するものといたしております。
なお公庫は政府から借入をし得るものとし、今後の政府の追加出資とともに貸付の財源とし得ることとし、さらに外貨資金の導入をはかり得る道をも設けている次第であります。
以上が法案の内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜りますよう御願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/2
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003・内藤友明
○内藤(友)委員 今御説明を聞いたのですけれども、おそらくこの法律は農林省でおつくりになつたのじやないかと思うのです。もし今の御説明で足らぬところがあれば、小倉局長からでも補足的に御説明を願いたいと思うのですが、委員長でしかるべくおとりはからいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/3
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004・坂田英一
○坂田委員長 内藤友明君のお申出もありますので、小倉農林経済局長からなおその方の詳細なる点の御説明を求めることにいたします。小倉農林経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/4
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005・小倉武一
○小倉政府委員 提案理由の補足的なことにつきまして概略御説明を申し上げます。
法案につきまして申し上げます。第一章の総則の中で、一番重大な点は資本金だろうと思いますが、御承知の通り初年度百五十億、本年百七十億合せまして三百二十億であります。そのうち一般会計、見返り資金からの繰入れ合せまして百五十億、それから見返り資金、資金運用部の借入れの方が百七十億、合せまして三百二十億になるわけであります。そのうち資本と申しますのは、繰入れに相当する百五十億ということになろうかと思います。なお今回の補正予算として御審議願つております中に、一般会計から五億の繰入れを計上しております。
それから次の第二章におきまして、役員の規定は、総裁と理事、監事ということになつておりまするが、職員は大体どの程度考えておるかと申しますと、公庫ができまして、実質上の業務と申しますか、貸付の決定以外の業務を従来通り他の金融機関に委託するということで行きますならば、職員の数は百名あまりということに相なろうと考えるのであります。
次に第三章の業務の範囲でございまするが、大体特別会計によりまする業務の範囲を踏襲しておるのであります。かわつている点を申し上げますと、第十八条の第八号といたしまして災害復旧に必要な資金を貸し付けることができるようにいたしておりまする点が現在の特別会計法とは違つている点であります。それから業務のやり方といたしましては、主務大臣の方で業務方法書の認可あるいは事業計画ないし資金計画の認可といつたようなことで、大綱的に監督、指導いたしまして、個々の具体的な貸付の決定につきましては、全面的に公庫がいたす、かように考えております。
第四章に参りまして、会計につきましては、先ほど提案の理由にありましたように、一般の財政法、会計法といつたようなものでなくて、公庫に関します予算、決算の法律がございますので、それを適用するということにいたしております。
次の監督の点については、特別御説明を要しないかと思いますが、補則のところで公庫が承継するものにつきまして書いてございます。一つは開発銀行、一つは農林中金というのがありまして、三十二条のところに開発銀行、三十三条のところに農林中金ということになつております。開発銀行から承継いたしまする分は、さらにこまかく申しますと、三つにわかれておりまして、開発銀行が見返り資金特別会計から承継したもの、復金から承継したもの、開発銀行が新しく農林漁業者に貸し付けたもの、この三つにわかれるのであります。
なお最後に附則に参りまして、設立のことが書いてございますが、設立につきましては、主務大臣が設立委員を任命して設立の行為をするということになつております。人数は書いてございませんが、これは若干人ということで、さほど多くは必要じやないのじやないか、かように考えております。
なお、あとの方の規定は、所得税、法人税、地方税等に関しまする免税の規定が主たる規定であります。
なお、別表にいたしまして、最後のところに利子の点が書いてございまするが、利率の点、償還期限の点、すえ置き期間の点は、現在の特別会計法をそのまま踏襲いたしております。ただ書き方につきまして、たとえば利率につきましては、現在の法制では最高と最低が示されておるのでありますが、この法案では最高だけを示しておるのが、形が違つておるのであります。
以上をもつてごく概略でございまするが、終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/5
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006・坂田英一
○坂田委員長 これより質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。
なお御参考のため申し上げますが、農林省から小倉農林経済局長、林田金融課長、大蔵省から河野銀行局長、有吉特殊金融課長、農林中金から江沢副理事長、更級理事の出席があります。内藤友明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/6
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007・内藤友明
○内藤(友)委員 きよう初めてお聞きいたしましたので、もう少し勉強してからお尋ねしたいと思いますが、さしあたり今お聞かせいただきました点につきまして、二、三小倉局長にお尋ねをいたしたいと思います。この法律は議員提出にはなつておりますけれども、おそらくこれは小倉局長のお手元で御作成になつたものではないかと拝察いたしておるのであります。そこで農林省のおつくりになつた皆さんにお尋ねしたい。
その一つは、ただいま提出者の野原さんからも提案理由の御説明があつた通り、農林漁業資金というものは、何と申しましても長期かつ低利ということがその根本原則であります。これをはずれましたら、農林漁業資金の意味がなくなる。そこでその長期、低利というものさしにかなうかかなわないかということが、一番私どもの審議の対象になろうと思うのであります。もしこの法律が長期、低利というものさしに合わなくなりましても、それでもこの法律に御賛成なさるのかどうか、反対なさるのかどうか、農林省の態度をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/7
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008・小倉武一
○小倉政府委員 この法案につきましては、御推察とは違いまして、もちろんわれわれ作成上事務的にはお手伝いをいたしましたけれども、作成自体は議員の方でなさつたのであります。
それから次の長期、低利ということをねらうのだから、そういう趣旨に合わなければどうかという御質問でございますが、私どもの趣旨としては、この法案に書いてございますように、さような資金の供給を目途としてこの法案が立案されたものと信じますし、またさようでありたいと考えております。もつともこの点につきましては、公庫の組織法というよりも資金源いかんにかかると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/8
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009・内藤友明
○内藤(友)委員 そこで少し掘り下げてお尋ねしたいと思います。これは議員の皆さんがおつくりになつたかもしれませんけれども、そのおつくりになつた原案は、おそらくあなたの方でおつくりになつたと思う。しかしそうおつしやらなければならないだろう。そこで現在は、とにかくこの特別会計の事務は、農林省と大蔵省と両方でやつておられますが、人件費だろうが用紙代だろうが何だろうが、すべて国費でこれを負担しておりますから、もしこの公庫ができましたならば、そういう事務費は一般の予算からこの公庫にお流しになさるのか、それをひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/9
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010・小倉武一
○小倉政府委員 公庫の事務費でありますが、これは公庫が独立採算制と申しますか、利子の収益をもつて所要の借入金の利払いをし、なお所要の人件費その他の費用をまかなうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/10
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011・内藤友明
○内藤(友)委員 わかりました。
そこで今日まで特別会計で出しました金は三百二十億であります。その三百二十億の内容を見ますと、一般会計から八十億出ており、見返り資金から百二十億出ております。残りの百二十億が資金運用部の金であります。こういうような今までの三百二十億の内容を見ますと、利子のただのものが八十億、残りの二百四十億は相当利子を払わなければならぬものだということになる。こういうふうな今までの資金繰りで、はたしてこれからのこの公庫の運営ができるかどうか。ことにこの公庫運営については、今経済局長は、百人という職員の構成であるというお話でありましたけれども、これはだんだんと日がたつと、おそらくその百人が二百人になり三百人になつて、相当大きなものになるだろうと思うのであります。ことに総裁という名刺をこしらえますと、たくさんの部下をこしらえないと名刺の威厳がないということになると思います。そうなるとどういうことになるかということを考えますと、われわれの考えております長期、低利という定義がどこかに行つてしまうのではないかといういう気がしてならぬのであります。そこでこれからのこの公庫ができ後における資金源は、全部ただの利息である一般財政の方からお出しになるのかどうか、どういう御方針であるのか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/11
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012・小倉武一
○小倉政府委員 ただいまのところ昨年度と本年度合わせまして三百三十億でございまして、そのうち利子を払うものと払わないものというふうに区別しますと、利子をはらわなくてよろしいものが百五十億、払わなければならないものが百七十億、かようになつております。特別会計のときに考えたわれわれの大体の考え方は、ほぼ半々ということで、現在特別会計法できまつておりまして、それに基いてやつておる各種の事業における利子の収入によつてまかなつて行けはしないか、かように考えております。従いまして半々と申しますと、現状において多少借りるものが多くなつて、特別会計としても少し締まらなければならぬのでありますが、大局から申しまして、大体半々ということならば、長期低利という御要望にも沿い、また特別会計ないし公庫といたしまして、ほぼ収支がとれて行くと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/12
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013・内藤友明
○内藤(友)委員 これはその場になつて見なければわからぬのでありますけれども、どうもそうならないのではないかと思います。そこで私小倉さんにお尋ねしたいのは、なぜ農林漁業資金としての今までの特権をお捨てなるのか。と申しますのは、現在この特別会計の仕事をやつておるのは国費でやつております。なるほどあなたのところの特別融資課、それから河野さんのところの特殊金融課は人手が足らぬのでお困りかもしれませんけれども、これはふやしたらよいじやないですか、だれもふやすなと言つてない。どんどんおふやしになつたらよろしい。あるいは提案の理由の中にも、実質上の責任者ないしは事務に当るものが公務員であり、その地位を長期間固定することが実質上困難であるため、ということを書いてありますけれども、困難であるならば困難でないようにもできる、どうにでもできる。また、財政法の規定によつて債権の保全が形式的にききわめて厳重だ、と書いてありますが、財政法を改めればよいのです。これだけは財政法を改正してよいぐあいにやればいい。だから私は、こういう総裁とか理事だとか監事だとか、自動車に乗りまして歩く人権をまた新しくこしらえないでも、現在やつておるものを支障のないようにいろいろ改めて行けば、国費でまかなつておるのでありますから、農林漁業資金の低利ということがちやんと保証づけられるのではないかと思うのでありますが、局長は今まで一生懸命になつて確保されたその既特権を、どうしてみずから御放棄なさるのか、そのお心持を率直にお伺いしたいと思うのであります。まさか局長は農民の敵じやないと思うのでありまして、農民の味方だと思うのでありますが、味方である局長がみずから今まで持つておつた既特権を御放棄なさるのか。財政法が都合悪ければ財政法を改めたらよい、職員が足らぬのなら職員をふやしたらよい、だれもふやすなとは言わぬのです。またその地位を長期間固定することに困るならば、困らないように幾らでも直せると思うのでありますが、直居の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/13
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014・小倉武一
○小倉政府委員 特別会計でやつておりますから、長期低利ということにつきまして、特別の特権を持つておると言うことでは必ずしもないと思います。その点は公庫にいたしましても、特に利率を上げなければならぬとか、償還期限を短縮しなければならぬという差異は出て来ないと思います。なぜ公庫にしなければならぬかということになりますと、非常にむずかしい議論もあろうかと思いますが、何しろ金融業務でございますから、役所が直接やることよりも、特別の機関で独立してやつたほうがよろしいということが、やはり根本でありまして、それによつて従来の考え方が、特に貸付を受ける側から見て、不利になるといつたようなことがあつてはならないし、またないように運用して行きたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/14
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015・内藤友明
○内藤(友)委員 特権という言葉は悪いかもしれませんが、既成事実を一つの権利みたいに考えておられるからそういう言葉を使つたのであります。とにかく現在あなたの方の特別融資課の皆様方はお忙しくて、私ども時折はお部屋に伺うのでありますが、お気の毒千万だと思つております。だからと言つてこういう自動車を乗りまして歩くような総裁を置いておく公庫なんというものは、一足飛びにつくる必要がないと思います。だから農林漁業者から申しますれば、政府がいろいろな事務費やまかない費を出してくれるというように持つていくことが、農林漁業者に対する一番忠実な考え方じやないかと思うのでありますが、どうもその点が私にはわからないのであります。従つて私は野原さんがお述べになつた理由というものは、その根底が薄弱だと思います。だからこういうふうなことを野原さんが申されましたならば、それはだめです、人をふやします、また責任の問題もちやんと整えます、財政法も改めて支障なくやりますということを、局長はなぜ野原さんにおつしやらなかつたのかと私は思うのでありますが、私の考えが間違つてあるかどうか、もう一ぺんお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/15
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016・小倉武一
○小倉政府委員 特別会計でもちろんいろいろ仕事をやるわけでありますから、人件費、事務費等も必要でありますが、それは一般会計から繰入れる、一般会計で負担するということはでなくて、やはり特別会計の収入でもつてまかなつて行くということになつておりますので、その点は公庫になりましても実は変わりないと思います。もちろん御指摘の通り、特別会計で少い人員でやつておりますので、いろいろ御迷惑をおかけしており、また役所の仕事でありますので、他省との関係もございますし、そういう折衝の仕事もありまして、多少複雑になつておるのでありますが、公庫になりますればその点は相当簡素化されはしないか、そういうことは十分に期待できるのであります。従いましてそういう点から申しましても、役所の中の一部局で小さくやつておるということよりも、公庫としてこの仕事をさらに能率的に迅速に取運ぶことができるようになる方が望ましいのではないか、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/16
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017・内藤友明
○内藤(友)委員 実は私こういうことを申し上げたのは、これからお尋ねすることに関係するので申し上げたのでありますが、これは少し行き過ぎた考えかも存じませんが、これからのこの公庫に流す資金なるものは、資金運用部資金その他の資金源で充てる、こういうことになるのだから、農林省はこういう特殊機関をこしらえてやつていくという下心があるのではないかと私は想像するのであります。と申しますのは、今日まで三百二十億のうち八十億が一般会計から出ておるのであります。これは無利息のものでありますが、これは政府でやればよいと思います。もちろんこれは政府の税金でとつた金でありますから、政府の職員がやるべきだ。ところがこの考え方を捨てて、政府と別個の責任者にやらせるということは、もうこれからはただの利息の金は流さないぞというような下心があるのじやないかというように考えられるのでありますが、それは一体これらからどうなるのでございますか。ことにこれからの日本の財政というものをながめてみますと、今度国民金融公庫に一般会計から三十億を流すようですが、あるいは今後いろいろな公庫に幾ら流す、その他に幾ら流すというようなことをだんだん少くして行く傾向になるのじやないかと思います。その準備のためにこういう特殊機関をおつくりになるのじやないかというように私には思われるのでありますが、その点政府はどういう御方針でおられるのでありますか。それは政府で財政支出もするのだということをもしおつしやるならば、この法律の中のどこかに、半分の資金源は一般財政から出すぞ、残りは他の資金源でやるぞ、こういうようなことを規定でもしてあるならば安心もできますけれども、このぼうつとしたような法律では安心ができないのですが、そういうことについての政府の御方針をはつきりとお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/17
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018・小倉武一
○小倉政府委員 資金源につきまして、公庫ができますれば、従来の一般会計からの繰入れは減少いたしまして、借入金に仰がなければならぬという心配はないかという御指摘でございますが、これはもちろん公庫をつくりまして、これから主として借入金をもつて資金源にするというような積極的な意図はないことは申すまでもないと思います。私どもの方針といたしましては、今後とも大体借入れと繰入れとは半々ぐらいにやつて行きたい、その点につきましてはかわりはないのでありす。ただそのときのいろいろ財政上の都合もございまして、必ずしも半々ということに今までなつておりませんけれども、今後ともそういう方針でやつて行きたいということは、公庫ができました後にでもかわらないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/18
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019・内藤友明
○内藤(友)委員 実は私どもは国民金融公庫の実情を見ておるのであります。国民金融公庫は、大体一般財政からの資金と借入金の半々でやつておりますが、そこで最終利率は一割二分である。それで公庫の総裁のお話を聞きますと、事務費が足らぬので非常に困つておる。もちろんあそこは各府県に支所もありまして、相当事務費もかさんでおるようでありますけれども、ことにこの法律には「従たる事務所を置くことができる。」ということまで規定してあるのでありますから、総裁という名刺を刷りますと、至るところに支所をこしらえて、ずつと大名行列をしたい気持になることはわかりきつておる。そうなりますと、別表に最高利率をきめてありますけれども、はたしてこの通り行くかといいますと、私はなかなか行かぬのではないかと思う。だからもしそういうことになりますと、あれはいつでありましたか、昭和二十三年でありますか、農林漁業復興資金というものを復興金融公庫から、非常な努力をして四十億とり出しましたあの努力が、今日のこういうようなことになつて来ておるのですが、むざむざそれがまた元に返りまして、農山漁村のためにならないような金融になつてしまうのではないかという心配が多分に私は持てるのであります。でありますから、私は公庫をおつくりなさることにつきまして非常に農林省が乗気になつて、ひそかに野原さんのところにこういう草案があるという点を持ち出された。その心事が理解ができないのです。率直に申しますと、これは農林漁業金融の破壊者である。もう五年ほど先をごらんなさい、必ず私の今申しましたことが当ると思う。もし何ならば法律をもつて支所を置かない、それから総裁は自動車を乗りまわすことはできないということをぴしやつとお書きなさい。それから費用でも、全体の幾らを費用にするかということが書いてあれば安心できますけれども、そうでない限りは、現在の国民金融公庫の実情から見ましても、最終利率は一割二分である。そんな高い金を農村に流しましたら農村はたいへんなことになると思うのでありますが、そういう意味におきまして私はこれはとんでもない法律が出て来たと思う。
そこで私は局長にお尋ねしたいのは、あなた方の方にもいろいろの御不満な点があろうと思いますが、私どもこれはせつかく出たのだから、何とかひとついいものにしたいと思うのであります。そういうことをこれから野原さんの方とお打合せしますが、もしそうなつて来たら御賛成なさるかどうか、それをひとつお尋ね申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/19
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020・小倉武一
○小倉政府委員 もちろん本件につきましては、本件に限らず法律でございますので、議会の方で適宜御修正になることは当然私どもも予想しなければならないことでありますし、またそれが同時に私どものよりよき行政の資になりますればけつこうなことでございますので、その点は具体的な問題につきまして提案者の方と御相談していただければはなはだけつこうだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/20
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021・内藤友明
○内藤(友)委員 委員長にひとつお願い申し上げたいのであります。実はこの法案は昨日配付になりまして、昨夜から一生懸命勉強して来て、まだよくわからぬのでありますが、この連合審査会は即急におやめなさらずに、ひとつゆつくりとやつていただきたいと思います。実はもう少し私ども勉強したいと思いますから、その点委員長はよくおとりはからい願いたい。今日は思いつきだけ質問いたしましたが、もう少し法案の内容につきまして、いろいろと農林当局にお尋ねしたいと思いますから、委員長においてしかるべくおとりはからいのほどを御希望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/21
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022・坂田英一
○坂田委員長 私から申し上げますが、本案は即急に皆さんの御審議を願いたいと思つておるのでありますけれども、質疑等については十分ひとつお話合いを願つて、これを参考にして農林委員会にかけて決定して参りたい、こういうふうに考えておりますので、ひとつ十分御質疑を願いたいと思います。吉田正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/22
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023・吉田正
○吉田(正)委員 小倉さんにお尋ねしたいのですが、やはり私の心配しますのは経費の問題であります。経費がかさむために金利が高くなるということははつきりしていることだと思うのです。それで、小倉さんの考えておられる百名でもつてどういうようにやつて行かれるか、貸付の技術上の問題をどういうふうにやつて行かれるか、これを御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/23
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024・小倉武一
○小倉政府委員 百名余りと申し上げましたのは、大体現在農林中央金庫の本所でやつております仕事の内容を見てみますと、直接にはほぼ四十人余りの人がやつておる、なおそれに伴いまして間接の人員がそれの約倍かかつておるだろうということであります。それから農林省の方におきましては、特別会計で二十四人くらいの定員がありますが、合せまして、現在中央におきまして必要としている人員は従つて百人余りということになろうかと思いますので、公庫にいたしましてもほぼその程度の人員がありますれば、貸付の点につきましても中央機関として十分でなかろうかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/24
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025・吉田正
○吉田(正)委員 そうしますと百名の上に総裁ができ上る、えらい総裁を気にしておるわけですが、中央の非常に大きなものは百名といたしまして、各府県とか町村関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/25
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026・小倉武一
○小倉政府委員 これはこの法案には現われてない点でありますが、公庫ができました上でどういうように業務のやり方をして行くかということにかかわるのでありまして、今われわれが考えております点は、従来のように貸付の申請を受けたり、それを審査したり、あるいは貸付金の回収をしたりというような業務は、中金その他地方銀行に委託してやつて参る、従いまして公庫におきましては、貸付の決定あるいは特別に重要な案件について若干の審査をするということに限られると思うのでありまして、府県なり町村に全国的に支店、出張所を設けるという考え方はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/26
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027・吉田正
○吉田(正)委員 法案を通過させるときには非常に縮小した形においていつでもいろんな機関ができるのですけれども、実際それができ上つてしまいますと、その中に入つている人が、強力な組織にしたいという意識から、だんだんこれが大きくなるのです。従つてそういう問題につきましては、中央はあくまでもそういう形であつて、地方はこうするという、今あなたの御答弁なさつたようなことを法文上書くことはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/27
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028・小倉武一
○小倉政府委員 法文に現われておりまするのは、ただいまの特別会計とほぼ同じように、業務の一部分を農林中金その他の金融機関に委託することができるということであります。ただそれをもう少し積極的に、御説のように規定ができないかということでありまするが、法律に規定して規定できないことはもちろんないと思いまするが、金融業務につきましては、やはりある程度弾力的な仕事の運営を考えておくのがよろしいではないかということで、現在考えておりまするような行政方針に沿つた制限的な規定を設けるところまでは考えておりません。しかしながら、法案の通過あるいはその直後についてはどうか知らないが、そのあと全国的に支店網をつくるといつたようなことが必然的に起りはしないかという御心配でありまするが、この点は、もしそういうことを考えるとしますれば、何しろ農山漁村の団体ないし個人に全国的に貸す仕事でございまするので、たいへんな量になるのでございまして、系統金融機関の既存の組織制度と無関係に考えるわけには参りませんので、公庫が発足したからといつて、公庫独自でもつてそういう組織網を拡充することは、実際問題として不可能に近いことではないかと思つております。万が一そういうことが、この資金の性質から見てよろしい、あるいは農業金融全体から見てよろしいといつたような場合には、中金、信連との関係も考慮して、特別の措置を講じた上でいたさるべきでありまして、公庫の運用といつたようなことでそういうことをいたすべきではないというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/28
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029・吉田正
○吉田(正)委員 小倉さんの趣旨はよくわかるのですが、そうしますと第十九条の「農林中央金庫その他の金融機関に対し、その業務の一部を委託することができる。」この「一部を委託することができる。」というのは、この公庫ができ上りますと、結局場合によつては一貫した一つの貸付機関として地方までやるという含みがあつてつくつたようにも考えられる。そういう誤解を解くためには、「委託する」ということにきめたらどうか。と申しますのは、こういう公庫ができますと、内藤君が今言つたように、金利が非常に高くなる。これはきまつているのです。そして現在国民金融公庫の実情を見ましても、非常に金利が高くて、しかも職員が、月給が安くて困るから上げてもらいたいというようなことを言つて来ている。そういう現状から考えてみまして、やはりこれは最末端府県その他というものが、農林中央金庫その他の機関に対して一切業務を委託するということにしまして、そしてあくまでも低金利でもつてやつて行くように守るべきではないかと思うのです。これは商工金融と違つて、小倉さんが一番御存じのことなんですが、農村に対する金融というものは、金利が高かつたら問題にならないことは御承知の通りなんです。しかも食糧増産を敢行しようということでこの法律をつくられるのですから、そういう観点からいいますと、事務の簡素化ということは非常に大きな問題になるのです。それを、一ぺんこれを通してしまいまして、そしてこれが厖大な組織になつたらたいへんなことだと思うのです。その点につきまして、業務の一部を委託することができるというのは、公庫の総裁なら総裁になつた立場からいいますと、これはひとつ大いにやろうじやないか、ひとつ公庫の拡大強化のためにやろうじやないかということがまた出て来ると思うのです。そういうことになるとたいへんで、やはり一番心配しますのは、資金が低利でないと農村が復興しないことはあたりまえですから、あくまでも事務の簡素化ということからお考え願つたらどうか。そういう意味で十九条を「委託する」というふうにかえられないか、あなたの御趣旨に合うようにかえたらどうかと思うのです。
〔坂田委員長退席、奥村大蔵委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/29
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030・小倉武一
○小倉政府委員 この十九条の規定は、経過を申しますと、現在の資金融通法そのままを踏襲しておるのでありまして、一部と書いてございますのは、貸付の決定は公庫がやる。決定まで委託するということはなかなかむずかしい問題がありますので、貸付は除くという趣旨のものであろうと思うのであります。従いましてこの規定は、貸付を除いた業務の委託ができるという能力を公庫に与えておる。本来ならばみずからやるべきなんでありますけれども、委託ができるということでもつてそういうことの趣旨を鮮明にしておるだけでございます。この規定を利用いたしまして、一部だから、しかもできるということであるから、大部分は公庫みずからやつてよろしいのだということにもちろんなりますけれども、そういう方針で公庫が業務を運営するということは、実は考えておらないのでありまして、その点は公庫がもちろん関係の金融機関との協調をはからなければならぬ点でありますし、また役所といたしましても、業務方法書の認可といつたようなことを通じて、公庫が独自でもつて、みずから営むべき業務をいたずらに拡大することがないように措置ができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/30
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031・吉田正
○吉田(正)委員 私大分これを苦にしているのですが、法律にそういう意味のことがはつきり出ておりませんと、結局無意味になつてしまう。その場で御説明になつたことは、小倉さんは法律をつくつたときはそういう趣旨だつたというだけの話であつて、法律には何もない。附帯決議をつけても、これまた問題にならない。金融機関がむやみに——たとえば農林中央金庫にはその系統機関がある。しかもここにまた新しい公庫ができ上る。これがまた窓口を広げて行くということになりまして、そのために金融が混乱する。そういうような点から考えまして、この十九条の問題は重大な問題だと考えております。だからおつしやる趣旨がはつきりするように法文で考えられたらどうかという希望を私は申し上げるのです。これは希望でなしに要求するわけです。これについてはあとでまたお願いするわけですが、もう一つは金融の基本的な問題につきまして、農林中央金庫の金融の系統との混乱が起きはしないかということを心配しておるのですが、それについての御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/31
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032・小倉武一
○小倉政府委員 公庫が担当すべき金融部面と農林中金等が担当すべき金融部面とに混乱が生じはしないかという御心配でございますが、この点につきましては、ごもつともの御心配と思いますが、私どもはかように考えております。御承知の通りこの公庫の前身であります現在の特別会計によりまして融通をいたしております資金の性質は、長期低利ということになつておりますが、実質的に申しますれば、非常に指導的な意味が強い、あるいは政策的な意味が若干加味されておる資金でございます。中金がたとい長中期の資金といたしましても、政策的金融ということだけであつてはならないので、本来の金融業務ないしは指導的な金融業務ということに限らるべき性質のものであろう、かように思つております。従いまして全面的に政府資金に依存し、また政策的な意味合いの強い長期低利の資金はこの公庫のルートを通じてまかない、その他の組合金融、あるいは中金として独自の担当すべき分野は従来通り中金がやつて行く、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/32
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033・吉田正
○吉田(正)委員 つまり政策的な長期の低利資金を目的としてこれをやる、こういうような意味なんですけれども、借りる方の立場になりますと、これが政策的であるかどうかということはわかりません。しかも一番問題になつておりますのは、この長期低利の資金を貸しつぱなしでなしに回収しなければならない。回収するということになつて参りますと、たとえば米の販売代金だとか、また木材の収入とか、そういうものによつてやる。つまり短期の資金もこれを回収して初めて完全な回収ができると思います。従つて末端の組織はあくまでも別にせずに一緒にできるのじやないか。つまり窓口を一緒にしてやつて行くという原則を確立すべきじやないかと考えるわけであります。そうでなく、二本建でやつて行きますと、結局貸しつばなしのものが非常に多く出て、回収に非常に困難な面が出て来る。従つてあくまでも農業経営の一環としてこれを考えて行く。そうして長期の低利資金に対してこれをだんだんと回収して行きます面においては、売上げ代金その他とからみ合わしてやつて行くという関係から、やはり農村金融というものは、末端はあくまでも一本で行くべきであるというように考えるわけでありますが、それに対するお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/33
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034・小倉武一
○小倉政府委員 御趣旨のように、末端はできるだけ一本がよろしいと私どもも存じております。従いまして公庫ができましても、その業務、特に末端業務につきましては、従来通りのやり方で金融機関に委託して参りたい、かように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/34
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035・吉田正
○吉田(正)委員 そうしますと、やはり事務所の問題なんですが、事務所もやはり各地に置くことができると書いてあるのですが、そういうものを削つたらどうかと思います。もしこの法案を通すということになれば、やはり今申し上げたような諸点を具体的に法案の中に織り込むことが必要であると私は考えるのであります。
もう一つの問題は、根本的に言いますと、やはりごやつかいでも政府の方でぜひ人をふやしてやつていただいて、あくまでも低金利を守つて行くことが一番大事な点だと思いますが、これは法案を出さずに、またこういうことによらないで、従来の通りに欠陥を補いながらやつて行くようにお考えを願つたらどうかということを希望いたしまして、質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/35
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036・奧村又十郎
○奧村大蔵委員長 中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/36
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037・中崎敏
○中崎委員 まず金融機関の前提としての問題についてお尋ねしたいのであります。不動産に対する長期金融機関はまだ十分に存在していないのでありますが、一体民間の金融機関等を含めた不動産の長期金融機関に対しては、どういうふうな考え方を持つておられるか、一応河野銀行局長に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/37
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038・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。今お尋ねの点は、単に農林金融だけでなくて、都市における不動産金融も含めてのお話だと思いますが、御承知のように、農林金融を除きました都市における不動産金融という意味は、いろいろな意味に使われております。普通言われております厳密な意味での不動産金融というのは、不動産自体の収益でもつて返して行く金融でございます。しかし厳密な意味でなく、普通に言われておりますのは、不動産担保金融、特に中小金融等におきまして不動産しか担保がない、これを担保にして金融をつけるという意味において、いわゆる不動産金融と言われていると思うのであります。これらにつきましては、中小金融の一環として、不動産担保金融というものが、あるいは国民金融公庫においても、商工中金においても、一つの大きな分野を占めて現在行われているわけであります。そのほか狭義の不動産金融につきましては、現在のところでは、たとえば住宅金融公庫といつたような、産業資金ではないが、不動産自体を担保にして行く金融機関があるかわけであります。そのほか十二月から新しく発足いたしました長期信用銀行におきましても、産業資金でなく、いわゆる不動産金融につきましてもこれをとり行つて行くような道を開いておるわけであります。今後はこれらの機関が——もちろん資金量等の点にもよりましようけれども、資金に余裕のあります限りは、これらの金融についてもできるだけめんどうを見て行くというふうな指導方針でやつておるわけであります。農林金融部面における不動産金融につきましては、土地とか山林とかいうものが農林産業における一番大きな財産でありますので、農林漁業金融の主たる部面は、やはり不動産を担保とする金融になつて行くと思います。だた御指摘の点もございましたが、農地等につきましては現在担保の金融としてやや欠けるところがあるために、これらの農地を担保にする金融というものは、いろいろな関係でまだ十分には行われておりませんが、これは農業、農地政策自体の基本的な考え方の問題にもかかつて来るのでありまして、そういつた意味で戦争前に勧業銀行がいたしておつたような農地を担保にするいわゆる事業資金の供給ということは、従来ほどはできないのではないか、それがために今御審議を願つておりますような、この農地担保にかわる一つの政府資金としての特別会計をつくり、今後またこれを公庫の金融に切りかえて行きたいというふうな体制になつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/38
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039・中崎敏
○中崎委員 次に、今回のこの公庫ができますと、三百二十億円の金を運用するという方向に行つておるようであります。これは資金の面等における、特別会計から公庫へのただ単なる切りかえにすぎないというふうに考えられるのであります。さらに今後これが相当大幅に増額され、適正に運用されることによつて、初めてその目的は十分に達せられると思うのであります。そうした今後の資金計画等について一応の見通しをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/39
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040・小倉武一
○小倉政府委員 公庫ができますといなとにかかわらず、現在の特別会計におきましても、御質問のような資金計画があるべきはずのものでありますが、私どもの考えといたしましては、この資金の最も大きな使途が土地改良その他の食糧増産の面にあるのでありまして、この食糧増産の面につきましては、初めは経済自立三箇年計画の一環でありましたが、最近は食糧増産五箇年計画によりまして、補助事業あるいは融資の事業、あるいは地元負担といつたようなことがおのずから加算して参る部分が相当ございますので、この増産計画にマッチできるような資金計画をつくつて行きたい、根本の建前はさようにいたしております。二十八年度につきましては、今申しましたように、やはり計画に基礎を置きまして、本年度の倍に当る資金が必要ではないかというような方針で実は大蔵省の方には予算の要求をいたしております。その後の点につきましても、ほぼ同じような考え方をもちまして資金の計画がなさるべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/40
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041・中崎敏
○中崎委員 これはきわめて重要な問題でありまして、国の資金の需要度というものは非常に大きな範囲にわたり、広汎なものだと思うのであります。その各方面においてきわめて要望される資金の需要の中から、この面にも相当さいて行かなければならぬという実情にあるのであります。今度は銀行局長の方から、こうした金庫がかりにできた場合においては、どういう範囲においてこの方面に新しく資金の提供をされる用意があるが、また見通しを持つておられるかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/41
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042・河野通一
○河野(通)政府委員 農林公庫ができましたあかつきにおきまして、現在まで特別会計その他に出ております資金だけで、今後の農林公庫の運用をやつて行くというようなことは考えておりません。今小倉君からの話もありましたように、財政の許します限りこれらの資金を十分につけて行くことは、今後とも努力をいたしたいと考えます。ただ、現在来年度予算案の編成の過程にありますが、財政全体の中で産業投資にどの程度の資金をさくか、その産業投資の中で農林漁業関係にどの程度の資金をさらに充てるかということにつきましては、現在いろいろ検討を加えておる最中でございまして、具体的に見通しを申し上げる段階にまだ至つておりません。私どもといたしましては、できるだけ多額のものをこれらの方面に投資できるように、財政の切り盛りがされることを希望いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/42
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043・中崎敏
○中崎委員 すでに特別会計において三百二十億円のわくの範囲内で出すべきものは出してあるし、今後まだそのうちにおいて余地のあるものは出されるものと思うのでありますが、それが今の政府委員の方からの説明によりますと、次のこれ以上の融資といいますか、資金の調達の方途についてはまだはつきりした見通しがないというのであります。そういう段階のときにおいて、言いかえれば、今後における十分な資金調達の見通しが十分に立たないときに、ただ金庫だけを分離して、それほど急いでまでやらなければならぬ根拠が薄弱だというふうに考えておるのでありますが、これについての御説明をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/43
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044・小倉武一
○小倉政府委員 その点につきましては、先ほど提案理由のところで御説明があつたのでありまして、私から特別につけ加えることはいかがかと存じまするが、せつかくの御質問でありますから、繰込すことになるかもしれませんがちよつと申し上げます。当初予定しておりました二十六年度に発足した特別会計の資金量は、現在三百二十億というふうになつておりますような厖大なものを、必ずしも予定をしてなかつたのではないかと思います。のみならずそのときにも、特別会計がなくて公庫として発足したいというのが実は農林省の希望でもありましたので、資金量も多くなるし、また食糧の増産ということで今後もなお相当量の資金が必要であるということでありますれば、最初のころに考えたような公庫ということで、この際さらに拡大強化をはかることが適切ではないか。かような趣旨をもちまして提案されたものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/44
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045・中崎敏
○中崎委員 これは公庫になつてもならなくても、こうした農林行政推進の一環として、また国全体から見た産業経済、国民生活の問題等を総合的に見た上から、必要であるものは公庫でたくても出さなければならぬ、また出せる範囲では出すのだ、こういうことになるのでありまして、特に公庫ができるから余分に国からの資金が供給されるということになるならば、これは特に公庫を置くという理由もあるのでありますが、どうも私の見た目では、公庫ができたからできぬからといつても、国において出し得る範囲、また出す範囲は何らかわりがないというふうに考えるのであります。この点について、銀行局長の御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/45
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046・河野通一
○河野(通)政府委員 公庫ができますると、あるいは特別会計の方まで行きますると、その点につきましては農林水産の生産力をふやして行くための重要性という点から、財政資金はできるだけその方にまわすということに相なると思います。ただ公庫という形を整えますると、これは資金の重要性が制度としてはつきりして来るということもあるかと思いますが、公庫ができなければ財政資金はそれに対して十分出ないのだというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/46
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047・中崎敏
○中崎委員 これ以上あまり掘り下げることはやめます。
次にお尋ねしたいのでありますが、この金庫が発足して、しかも金融をする目的を達成するためには、長期低利だということが絶対無上の要件だと思うのであります。そこで今度公庫になると、先ほどから話がありますように、相当それがために、今まで政府で負担しておつたものを直接公庫自身の計算において負担しなければならぬことになつて、勢いここに低金利という問題が阻害せられる要素が多くできて来るのでありますが、これに対しては先ほど小倉政府委員の方から、政府の出資と借入れによる金との割合を大よそ半額程度に——今までもそうであつたし、今後もそういうふうにしたいというふうな希望的な意見もあつたのでありますが、この点に対しまして、河野銀行局長はこれと同じような考えを持つておられるかどうか。そうした将来のことまで見通しをして、そして責任を持つてそういうことが言明できるかどうかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/47
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048・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。私といたしましては、経済局長から御説明がありました通り、そういつたことでできるだけ、少くとも半額程度は出資の形で資金を投入することによりまして、金利全体を低くして行くことが望ましいというふうに考えております。しかしこの点をはつきりここにそういうことでお約束することはなかなか困難だと思いますが、その二分の一は必ず政府の出資でなければならぬということにあまり固執いたしますと、全体の資金量がかえつて減るということにもなるおそれがあります。政府の会計からの出資としてはもうこれ以上出せないという場合に、借入れの形でありますれば、たとえば資金運用部資金におきましてはある程度出せるけれども、資金が限られたためにそれと同額しか借入れができないということになりますと、かえつて資金量自体を縛ることに相なります。できるだけそういうことにならないように私は希望いたしますけれども、この際、はつきり二分の一だけは必ず出資で補うということもお約束することはできないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/48
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049・中崎敏
○中崎委員 農林関係と大蔵関係との間に、金利を低い状態に置いて運用するということについて完全な意見の一致がないように思うのであります。この問題はわれわれがこの法案を審議する上においてきわめて重要な問題と思うのでありますが、もし今銀行局長の言われるように、約半々の割合において運用ができぬというふうなことに至つた場合には、金利を上げるのかあるいはそのほかの方法によつて金利を上げないような措置を講ぜられる見通しを持つておられるのか、それを小倉政府委員にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/49
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050・小倉武一
○小倉政府委員 資金源といたしまして、借入れと繰入れを大体半々にやつて行きたいという点につきましては、私どもも方針としてさようでありたいと望んでおるものでありますが、現実の問題としては、ただいま銀行局長の述べましたように、必ずしもいつの時期をとりましても、半分というわけには参りません。現在においても三百二十億のうち百五十億と百七十億というふうに、少し借入れの方が多いのであります。そういう状態はときによりまして、先ほどお話のありましたように、財政の事情によりまして、あるいは金融の状態によりまして相当あり得ると思つております。大体の資金のコスト、それから委託の手数料、事務費、そういつたものをあわせ考え、他方利子の収入ということを考えますると、ほぼ現在の実績等を考えまして、平均六分以下に持つて行きたいと思うのでありますが、利子の収入から見ますと、現在の実績のところは六分を多少欠けるかもしれませんが、ほぼ利子の収入は平均六分になるわけであります。そうして他方借入れの利子あるいは手数料といつたようなものがその程度でほぼまかなわれるのではないか。その限度は今後とも守つて行きたいと思いますが、そうするためには半々ということが考えられるのでありまして、半々ということを申し上げたわけであります。方針といたしまして半々にしたいということは、さような点から出て参つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/50
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051・中崎敏
○中崎委員 その金利の問題に関連して銀行局長にお尋ねいたしたいのであります。今開発銀行の金利は、およそ幾らが標準であるかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/51
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052・河野通一
○河野(通)政府委員 原則は一割であります。ただ外航船関係及び電源開発関係の資金は、その特殊性にかんがみまして、七分五厘ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/52
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053・中崎敏
○中崎委員 ただいま銀行局長からのお話もあつたのでありますが、開発銀行が厖大な金を運営して、しかも基幹産業を中心とする大口貸付が多いので、ほとんどあの窓口でもつて最終的にやつて来たと思うのであります。ただ中小金融には多少の例外があるようでありますが、大体において面接窓口において大口取引をしておるのにもかかわらず、一割の金利をもつて運営しておる。ところがこの公庫の場合においては、原則として当分の間農林中金を通していわゆる代行せしめるような形になると思うのでありますが、まずこれについて一体幾らの手数料をお出しになる予定であるのか。また手数料がごくわずかであるとしても、七分から八分程度のもので、しかもそう大きな金を運用しないのになかなかこれは困難だ、こういうふうに考えておるので、結局こうした公庫を設けたとしても、公庫の赤字というものが、やがて政府の一般の財政負担になるのではないかという懸念を持つておるのであります。その点について小倉政府委員の方から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/53
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054・小倉武一
○小倉政府委員 ただいまの特別会計から金融機関に委託しまする場合の手数料は、初年度と次年度以降、それから金額によつて若干違つております。たとえて申しますれば、一千万円未満の貸付の金額につきまして、初年度の平均は年三分であります。一億円以上になりますと、初年度は三厘七毛五糸ということになつておりまして、こういうふうに貸付の金額は初年度と次年度とでかわつて参りますので、実績を見てどの程度になるかということを判断する以外にないのでありますが、実績によりますと、ほぼ二分五厘程度ではないか、あるいはもう少し下るかもしれませんが、現在のところ手数料は二分五厘ぐらいと考えていいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/54
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055・中崎敏
○中崎委員 二分五厘が高いか安いかは別問題といたしまして、いずれにしても二分五厘程度の平均の手数料を払いまして、しかも七分程度の低金利をもつて長期貸付をするということは、実際においてなかなか容易でないことを私は見ているのでありますが、これなら必ずや金利を引上げるかあるいはまたどこかに無理なしわ寄せが来るということを見通すものであります。ことに農林中金に代行せしむる場合においては、その回収の際の危険をどうするかということも問題でありますが、これは一応農林中金が二分五厘の手数料の範囲において持つものといたしましても、七分で貸すということになれば、四分五厘しか入つて来ない。しかも能率的な半官庁的な運営においても経費の節減は容易でないと思うのであります。四分五厘程度の手取りの金利では必ず無理が来ると私は思つているのでありますが、この点について納得の行けるような御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/55
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056・小倉武一
○小倉政府委員 この公庫と特別会計とはその点においては同じだと思います。現在の特別会計で申し上げますと、委託機関は貸付金の二割の補償の責任を持つているのであります。従いまして先ほどの手数料と申しますのは、受託機関の事務費ないし人件費、それから二割の限度における危険負担といつたものに相当しております。それ以外はいわゆる政府の責任になるわけでありまして、その手数料と利子との差も特別会計ないし公庫の収入になるということになつているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/56
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057・中崎敏
○中崎委員 先ほどの説明によりますと、農林中金の金はいわばコンマーシヤル・ベースの上に運営されるのが建前で、政策的な面と指導的性格を持つものだというお説があつたのでありまして、一応これは納得行くのでありますが、はたしてそうであるならば、当然焦げつきというような回収不能なものが相当できて来る可能性はあると思うのであります。これに対して、農林中金を通してやつたものは二割程度は危険を負担さすにしても、残りの八割程度のものは、直接融資をされたようなものは百パーセントの危険率を持つものでありますが、これらの回収不能の危険負担についてはどういう見込みを持つておりますか。同時にこの公庫収支の上にやがては影響のあるものだと思うのであります。これをどういうふうに見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/57
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058・小倉武一
○小倉政府委員 ただいまのところ特別会計が発足いたしましてさほど年数がたつておりませんので、貸付の回収が非常に困難であるかないし不能であるといつたような案件は見当らないと思つております。もちろん将来そういうものが金融機関として、特別会計であつても、公庫として発足いたしました場合にも当然考えなくちやならないところでありまするので、そういう事態に備えまして準備金とか積立金といつた制度で対処して行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/58
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059・中崎敏
○中崎委員 今言われましたように、低金利で運営しなければならないような関係上、そうした準備金、積立金さえもでき得ないような状態になるのではないかということを私は心配して申し上げるのであります。低金利で、しかもコストの高い運営においてなお積立金ができるというだけの余地があるならばいいのでありますけれども、そこにわれわれは大きな疑問を持つておるのであります。
それに関連してお尋ねするのでありますが、この法案の十八条の八号によると、新しく個人への貸付の道が開かれておるのであります。これは場合によつては新しい考え方として一つの進歩的なものであるとも考えるのでありますが、一面これが指導的政策的に運営されるというこの公庫の精神からいいましても、今後の運営によつては政治的な幾多のスキヤンダルというような問題も起り得るし、いわば政治的に悪用される弊害が多分にあるということを、私どもは過去の経験から考えるのであります。それに対しまして、こうした場合における運用上、いかにしてその弊害の面を除去するかということについて用意を持つておられるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/59
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060・小倉武一
○小倉政府委員 十八条の八号でございますが、これは御指摘のように従来なかつた項目でございまして、新しく対個人の金融の道を開いたものでありまするが、これはここにも書いてありますように、災害復旧といつたような事態のために特別に必要な資金であります。従つてほかの事業と違いまして、災害が起りました都度主務大臣が特に必要であるということを認定し、指定したものに限つてやつて行きたい。災害復旧という名によつてこれが濫用されることのないようにいたしておるのでありまして、またさように運用いたしたいと考えております。災害が起りましたときに特別な安い長期の資金が需要されるのでありますが、起つてから対策を立てるというのではなかなか対策も立ちにくいので、あらかじめこういう規定を置きまして、将来の不測の災害に対する資金の需要に充てたい、こういう趣旨でできているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/60
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061・中崎敏
○中崎委員 次にちよつと元に返りましてこの公庫の機構の問題でありますが、窓口は大体公庫の本社によつてやられるということになると思うのであります。しかし将来の含みとしては、さらに各都道府県にまで持つて行かれるような含みがあるのかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/61
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062・小倉武一
○小倉政府委員 事務所につきましては、法律の規定としては「必要な地に従たる事務所を置くことができる。」とありまして、各府県に置くようなふうに見えまするけれども、さようなことを考えておるのではございませんで、一方において公庫の事務を非常に敏速にやれという御要望がございます。そうなりますと東京だけの事務所で一体いいかどうか、大阪あたりにも一箇所ぐらいに従たる事務所を置いた方が便利ではないかという趣旨で現在までこういう規定があるわけでありまして、全国的に各府県に事務所を置く、あるいはブロツクブロツクに事務所を置くというようなことはこの規定は予想しておりませんので、その点はさように御了解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/62
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063・中崎敏
○中崎委員 借入れ申込みの受付は、たとえば中金を通してやられるというような場合には、中金の主たる事務所に申込みしたらいいのか、あるいは直接東京の本社、あるいは将来できるであろうごく少数の支社といつたようなところに申込みをすればいいのか、そこのところはどういうふうに運用されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/63
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064・小倉武一
○小倉政府委員 公庫ができたあかつきにおきましても、借入れの申込みは中金の支所、出張所あるいは信用組合の連合会ということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/64
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065・中崎敏
○中崎委員 最後にもう一つお聞きしたいのですが、法案の二十四条に外資を使うという規定があるのでありますが、それはどういう形で外資が入つて来ることを予想しておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/65
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066・小倉武一
○小倉政府委員 この点は少し先走り過ぎているかもしれませんが、将来外資がこの公庫を通じて農業の開発上に使われることもあり得ると考えまして、そういう道を開いて置くということでありまして、さしあたりどういうルートでもつて、どういうものが入つて来るという予定があるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/66
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067・中崎敏
○中崎委員 われわれは外資については非常に敏感であり、歓迎する一面警戒もしている面もあるのですが、政府機関たるこの公庫に外資が直接入るという形はちよつと考えられないのであります。この点銀行局長はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/67
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068・河野通一
○河野(通)政府委員 お話の通り、ただいますぐ公庫に対して外資が入つて来ることは、早急には期待できないと思います。しかし御承知のように、日本開発銀行、日本輸出入銀行につきましても外資の受入れの制度はできているのであります。なおこの農林公庫につきまして外資が入ることを予定されておりますのは、おそらく国際復興開発銀行といつたような特殊の金融機関であつて、普通の商業金融機関からではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/68
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069・中崎敏
○中崎委員 きようはまだ法案の説明をしてもらつただけで、ほんの思いつきだけの質問をしてみたのでありますが、これは各条についてももう少し研究してみて、質問すべきところは質問し、検討すべきところは検討しなければならぬと思いますので、これできようは一応打切りますが、さらに質問することを留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/69
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070・奧村又十郎
○奧村大蔵委員長 本日はこれをもつて散会をいたします。次回は公報をもつてお知らせいたします。
午後四時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504997X00119521217/70
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