1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年三月十三日(金曜日)
議事日程 第三十九号
午後一時開議
第一 有線電気通信法案(内閣提出)
第二 公衆電気通信法案(内閣提出)
第三 有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(内閣提出)
第四 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出)
第五 輸出信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第七 鉱業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第八 国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第九 火薬類取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第十 航空機抵当法案(内閣提出)
第十一 日本航空株式会社法案(内閣提出)
第十二 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
●本日の会議に付した事件
議員請暇の件
海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案(本院提出、参議院回付)
漁港審議会委員任命につき同意の件
労働委員長田中伊三次君解任決議案(春日一幸君外六名提出)
日程第一 有線電気通信法案(内閣提出)
日程第二 公衆電気通信法案(内閣提出)
日程第三 有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(内閣提出)
日程第四 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出)
日程第五 輸出信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第六 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 鉱業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第八 国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第九 火薬類取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第十 航空機抵当法案(内閣提出)
日程第十一 日本航空株式会社法案(内閣提出)
日程第十二 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
公職選挙法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)消防施設強化促進法案(内閣提出)
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後二時四十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/0
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001・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/1
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002・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) お諮りいたします。議員柳田秀一君から、中国在留同胞引揚げ事務民間代表として中国に旅行のため、本日から三月二十六日まで十四日間請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/2
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003・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/3
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004・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 参議院から、本院提出、海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案が回付されております。二の際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/4
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005・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/5
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006・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/6
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007・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/7
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008・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) なお、お諮りいたします。内閣から、漁港審議会委員に鮫島茂君、和田鶴一君及び早稲田要衛君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/8
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009・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/9
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010・山崎岩男
○山崎岩男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、春日一幸君外六名提出、労働委員長田中伊三次君解任決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/10
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011・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/11
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012・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
〔春日一幸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/12
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013・春日一幸
○春日一幸君 私は、日本社会党両派を代表いたしまして、ここに国会法第三十条の二の規定に基き、労働委員長田中伊三次君をその委員長の職より解任せしむるの動議を提出いたします。(拍手)
まずその決議案を朗読いたします。
労働委員長田中伊三次君解任決議案
本院は、労働委員長田中伊三次君を解任する。
右決議する。
以降、その趣旨について弁明をいたします。労働委員長田中伊三次君は、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案の賛否討論における労働委員会の運営にあたり、本案の反対者がその反対討論を続行中にもかかわらず、突如提起されたる自由党の討論打切りの動議をあわせて採択し、さらにこのため委員会が驚愕して混乱に陥つている渦中において、本法案の賛否採決を強行いたされました。かくのごときは衆議院規則第五十条の規定に違反するものでありまして公正にして慎重を期すべき委員長たるの職責を欠くものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)これが本動議を提出するに至つた理由の骨子をなすものでありますが、さらに、各位の御判断をこうむる資料として、このいわゆるスト禁止法の表決が不当に強行されるに至つた三月十日前後における委員会の審議の状況について、その概要を申し述べることといたします。それは、言論の権威に絶望せしめ、国会の尊厳さに懐疑を抱かしめずにはおかないほどの驚くばかりの暴逆が行われたのであります。(拍手)しかも、この恐るべき暴逆が、電力、炭鉱労働者五十万の労働基本権の背骨を折らんとするスト禁止法の成否を決する賛否討論のさ中に強行されましたことは、その罪業をさらに重くするものであると思うのであります。
そもそも本院は、このスト禁止法を、本国会に提案されたる五大法案の一つとして特に重視し、国民もまた、本法案の審議の推移を、かたずをのんで擬視しておつたのであります。従いまして、労働委員会は、この国民の負託にこたえ、特に審議に慎重を期し、たとえば大阪、九州、東京の現場の意見を公聴するなど、かくして審議の資料はようやくにして収集されつつあつたのであります。しかしながら、このスト禁止法案は、研究と審議を深めれば深めるほど、その探求の深度に比例して疑義いよいよ続出し、かくして労働委員会の議事の進行は幾多の新しき疑点に向つて進展中であつたのであります。また一方、本スト禁止法に関し一半の関連責任を有する法務委員会におきましては、労働委員会の審議の経過を重視いたされまして、三月十日には、特にその理事会の議決によつて本法案を連合審査に移さんとし、その手続に着手されるに至つておつたのであります。
特にこの機会に申し落して相なりませんことは、昨年十一月、十二月のスト最中における政府の態度と、その後このスト禁止法を唐突に提案して来た政府の態度の豹変ぶりについて委員会の論難が集中したことについてであります。すなわち、昨年のスト最中、事態を憂慮した野党各派は、こもごも、屡次にわたつて、政府責任者に対し、争議の調停あつせんについて、諸外国の事例にならつて政府による早期解決のための誠意ある善処を要望したのでありましたが、当時における政府責任者の御答弁は、労働争議というものはすべからく労使双方の円満なる話合いによつて解決すべきものであるとして、争議の推移をいとも冷やかに傍観いたしましたのに、この政府は、その後一箇月も経ずしてその態度を転倒し、あの争議は国民の被害が甚大であり、さては公共の福祉の危機であるなどとわめき立てて、急遽このようなスト禁止法を上程したのでありまするが、この政府の豹変ぶりに対しても委員会の論難が集中いたしておつたのであります。
しこうして、国民は、かつて炭鉱国家管理、いわゆる炭管事件において、政党の不潔きわまる醜行を見せられのであるが、今次この立法にはそのような醜類が介在するようなことがありはしないかなどという質問もなお進展中であつたのであります。その他、このスト禁止法案に対する疑義、疑点は、その内容にわたつて、はてしなく進展中でありました。しかも、その疑義は、労働委員会における熱誠なる質疑応答にもかかわらず、いまだ何ら解明されるに至つていないのであります。
加えて三月十日の某大新聞の記事の中で、緒方副総理が、本法案が本国会に上程される至近期日である一月の下旬、築地の某料亭において炭鉱業者と饗宴をともにして何事かを協議されたということが報道されたのであります。委員会においては、この報道に驚いた委員たちは、特に緒方副総理の出席を求め、その真相について質問を発しましたところ、その宴会には、本スト禁止法の主管大臣である戸塚労相も御同席であつたことが明らかにされたのであります。従いまして、労働委員会におきましては、この饗宴は本スト禁止法と相当に関連するものがあるかもしれないと考えまして、よつてこのことに関する質問を進めて事態の真相を把握するか、そうでなければ、国民の疑惑とするところを解くためにさらに審議を重ねることが、委員長と委員との間に約束されておつたのであります。実に、三月十日における労働委員会の審議の状況は、以上のごときものであつたのであります。
しかるところ、かくのごとくにして、本スト禁止法に関する委員会の審議がようやく高潮に達し、委員会はいよいよ熱心なる質疑応答を進展せしめておりましたさ中において、このとき自由党から質問打切りの動議が提出せられ、委員長はこれを採択し、よつて委員会の審議は幾多の疑義を残したまま停止されるに至つたのであります。(拍手)この動議によつて打捨てられましたものは、ただに電力、炭鉱労働者五十万のスト権たるにとどまらず、それは実に、かの第二次世界大戦において日本の労働者が百七十万人の仲間のしかばねとすりかえに得た労働三法そのものであり、それは日本国憲法の本義につながるものでありまして、私どもはこれを特に重視しなければ相ならぬのであります。
かくて、労働委員会は、余儀なくして賛否の表決のための討論に入りました。衆議院規則第五十条は、委員会の表決は、討論が終局したる後、委員長が問題を宣告して採決を行うことを規定いたしておるのであります。しかるところ、田中委員長は、この規定を無視いたされたのであります。すなわち、本スト禁止法に対する賛成者の賛成討論が終り、順位を待つて最初の反対討論者がその討論を続行しておりました最中において田中委員長は、奇怪にも、突如提出された自由党の討論打切りの動議を採択いたされたのであります。しこうして、このとき反対討論が引続いて並行して行われておる同一の議場において、田中委員長は、同一の法案に対し別途に賛否の表決を強行し、次いで、反対討論者が討論を続行しておりますのに、その状態のまま散会を宣言し、委員会議場を退出いたされたのであります。この間議場が混乱に陥つたことは当然であります。
野党の各委員は、かかる委員会の運営は、国会法にも衆議院規則にも、かつは議会におけるいかなる慣例にも見当らないことでありますので、むしろぼう然といたしたのであります。この混乱と騒音の中で、委員長のこの措置を訂正せしめるため、本法案の反対者たちもほとんど議席より立ち上つておるそのときに、本案に賛成する者の起立が求められ、しこうして起立多数の宣告が行われたことは、本法案の重大性を恐れるお互いにとつて、さらにその驚愕を深めたことであつたのであります。なおまた、この紛議の過程において、反対討論者において続行せられていた発言に対しては、委員長より終始何らの指示もしくは制止が与えられなかつたことは、速記録も示すところでありまして、従つてこの討論者は、許された発言を続行しつつ、やがて田中委員長が自由党委員とともに議場から立ち去るに及んで、万やむを得ず討論を中途のまま停止したものであることを申し添えなければなりません。(拍手)
すなわち、田中委員長は、かくのごとくにして、スト禁止法の委員会議決にあたりまして、表決の要件である反対者が討論することの権利を蹂躪いたされました。かかる人物によつて委員会が運営されることは、実に戦慄すべきことでありまして、私どもは、かかる委員長の運営のもとにおいては、その職責の尊厳を尽すことは不可能であると思うのであります。
思いますのに、本国会は、当時において会期をなお二十日間残し、かつは他の重要法案が、他の委員会において、いずれもいまなお慎重審議されております状況の中において、脱兎のごとくにして労働委員会だけが議決に飛び込むの必要がどこにあるでありましよう。(拍手)現に、そのようにして無理やりに急がれた委員会の議決は、その後まる二日間にわたり、本会議にも付議されることなく、まつたく無為にして打置かれているのでありますが、かくのごとく田中委員長が本法案の議決を無理無性に急がれた意図は那辺にあるか、私どもはいよいよその了解に苦しまざるを得ないのであります。(拍手)冷静にしてかたよらず、常に公正を保つべき委員長の職責は、実にかくのごとくにして一方に偏し、一定の意図を貫いて壟断せられたのであります。
以上申し述べましたる理由により、労働委員長田中伊三次君は委員長としての職責を著しく欠いたものと考えますので、この際本院は同君の委員長の職を解任いたすべきであると考えるのであります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたしまして、私の趣旨弁明といたす次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/13
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014・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 討論の通告があります。順次これを許します。倉石忠雄君。
〔倉石忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/14
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015・倉石忠雄
○倉石忠雄君 私は、自由党を代表いたしましてただいまの御提案に反対の意見を表明せんとするものであります。(拍手)
およそ民主主義の社会においては、反対の立場にあるといえども少数者の御意見を尊重するのが建前であります。従つて、私ども自由党は、ただいま国会において多数を擁するといえども、常にその委員会の審議においては、きわめて民主的に、反対者の御意見を尊重いたしてやつて参つたのであります。(拍手)労働委員会におけるこのたびの争議規制案についての審議に際しては、衆議院の慣例では国会開会中委員の出張を原則として禁止いたしているにもかかわらず、きわめて重要なる法律案であるということから、特に地方へその委員を派遣することを承認いたしたり、あるいは院内における公聴会をしばしば催しまして、国民諸君多数の御意見を取入れることに努力いたしたことも御承知の通りであります。(拍手)
しかるに、ただいま御提案者の所属いたしておられる右派社会党の諸君は、諸君がその政治的背景としておられる健全なる労働組合の諸君が、昨年の冬行われましたる労働争議に対してとかく容共左派的な動きをしようとしているところの総評の指導階級の人々のおやりになる争議方法につきまして厳正なる批判を加えていることは御承知の通りであります。(拍手、発言する者あり)この穏健なる労働組合の諸君が、この健全なる労働組合の諸君かきわめて厳正なる批判をいたしておられるこのたびの法律案に対しまして、右派社会党のただいまの御提案者りごときは、討論に際しまして、その討論がいたずらに議事引延ばしを策したるということは、——憲法の前文を朗読したり、労働組合のパンフレットを朗読して、いつその結論が果つべしとも見えなかつたのであります。(拍手)労働委員会の田中君は、しばしばこの動議提出者に向つて注意をなしたにもかかわらず、その言を用いられることなくして、遂にいつ果つべしともわからないときに、田中委員長は、春日君に対して、ほんとうの討論をされたならばいかがでありますかという御忠告をいたしましたときに、さすがに春日君は、政治家としての良心をお持合せだと見えて、しばし発言を中止せられたのであります。この中止せられました間に、私は討論打切りの動議を提出いたしまして、衆議院規則の認めるところに従つて正々堂々たる採決を行つたことは、当時の委員諸君全部御了承の通りであります。(拍手)しかるに、皆さん、社会党の諸君は、遺憾ながら、傍聴者の方を向いて御演説をなさり、政治的立場をただいたずらによくせんがためにこの討論を引延ばした。この討論を引延ばすことによつて彼らの立場を擁護せんとする、まことに小手先の、わずかな、卑劣なる手段を講ぜられたにすぎないのであります。(拍手)
諸君、自由党の吉田総裁は、かつて、わが国の憲政を確立するために社会党の育成をしなければならないと言われたのでありますが、私もまつたく同感であります。(発言する者多し)われわれは、右派社会党の諸君のごとき、健全なる労働運動をなさる諸君のきわめて円満なる発展を希望いたすのでありますが、今日のこの重大なる注案の審議にあたつて、いたずらに議事の引延ばしに専念をして、そうしてこの重大なる法案の審議を妨害することによつて労働組合に対する彼らの立場をただつくろわんとするがごとき小手先の陋策を弄するような社会党の諸君は、吉田自由党総裁の希望せられるように発展する見込みはありません。(拍手、笑声)私は、社会党の諸君が、もうしばらく冷静に諸君の政治的立場に立ち返つて、もう少し健全な発展をとげられるように切望いたしつつ、ただ党利党略に専念して提出されましたるこの田中労働委員長の解任決議案に対しては断固反対の意思を表明するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/15
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016・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 森山欽司君。
〔森山欽司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/16
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017・森山欽司
○森山欽司君 私は、改進党を代表して、田中労働委員長の解任決議案に賛成の意見を述べるものであります。(拍手)
本国会の五大重要法案の一つと言われる、いわゆるスト規制法の審議が、かかる委員長解任要求という事態を惹起したことは、まことに遺憾にたえない次第であります。委員会の審議に先だち、審議期間につき各党と協議の結果、自由党は三月六日まで、両社会党は三月十五日まで、わが党は三月十二日までということであつたのでありますが、両社会党とわが党が譲歩いたしまして、三月十日に審議を済ませるということに決定したのであります。他方、問題の重要性と、両社会党の強い要望によりまして異例の公聴会が大阪及び福岡で行われたことは御承知の通りであります。その間、委員会の審議はほとんど連日行われたのでありますが、途中、公聴会や本会議等のため、いま少し審議の時間が必要であつたかとも感じられたのであります。しかし、当初の申合せを尊重し、三月十日夜半までには予定通り審議終了のため努力いたしたのであります。
問題の三月十日は、午前中の委員会に引続きまして、午後は本会議のため夕刻から再開されたのであります。委員会は採決だというので、平素は党内紛争で忙しいのでありましようか、出席蓼々たる与党席も、およそ七割方のエキストラをかき集めまして全員出席の形をとつたのであります。(拍手、「エキストラとは何だ」と呼び、その他発言するものあり)そのころまでの審議の空気は、何ら険悪なものはなかつたのでありますが、ちようど食事どきでありましたため、社会党の前田委員から、暫時食事のために休憩を求めたのであります。しかるに、自由党は、エキストラの諸君としては、一刻も早く終らしたいし、食事のため一時休憩すると再び集まらないであろうという危惧のもとに、休憩の動議をがえんぜず、かかる問題を起立採決に問い、十一対十一、委員長の決により委員会を続行したのであります。
およそ腹が減つては人心が悪化するのがあたりまえでありまして、しかも、このような問題を、可否同数、委員長の決するところによるというがごときは、まつたく児戯に類するものと言わなければなりません。(拍手)委員長もさすがに反省したか、その後三十分ほど食事のために休憩を宣せざるを得なかつたのであります。
食事の後、残存の質疑を各自二十分ずつときめ、審議を続行したのでありますが、その間、労働大臣の生理的都合によつて審議が停滞などして、左派社会党の質疑が終りますと、委員長は、かねてよりの質疑時間の申合せを固守いたしましてかねてから質疑を希望しておりました労働党委員の希望を無視して、質疑打切りの動議を出したのであります。この結果、特に両社会党の諸君を刺激いたしたのでありましよう。改進党の芦君の修正案の説明、自由党の持永君の賛成討論、改進党の私の修正案の立場からの賛成討論に次ぐ右派社会党の春日君の討論は、見方によれば若干引延ばしぎみな傾向があつたかもしれませんが、その討論中、突如として自由党倉石君から討論打切りの動議が出され、まつたく混乱裡に採決が強行せられたのであります。そのため、左派社会党及び労農党は討論の機会を逸したのであります。(拍手)もし当夜あくまでも委員会審議を終了する必要があつたとするならば、本会議の審議が十三日の今日まで延びるということはなかつたわけであります。
率直に申しまして当夜の審議の経過中においても、野党各派はまつたく申合せの精神を逸脱するがごとき傾向はなく、むしろ問題の性質上、両社会党諸君の態度には敬意を表しておつたくらいであります。(拍手)ただ、ごくつまらないことでありますが、食事時間の問題や、あるいは労農党の質疑のためのわずかばかりの時間を、異常な性急さをもつてさらに多数におごつてこれを拒否した結果、両社会党の諸君を刺激された点はあつたかとも思われますが、これも事の起りは与党側の態度にあつたのであつて、当初の申合せの十日夜までに上げるという基本方針は依然としてかわつておらなかつたのであります。午後十一時、なお翌日までに一時間を残す時期において、しかも審議の円滑さをはかるための理事会の開催を怠り、また野党各派の了承を得ず、自由党の一方的議事強行の中軸をなした田中伊三次委員長が、民主国会の労働常任委員長としてふさわしからざることは当然であります。(拍手)
わが国の国会は、多数決による民主政治を基本原理といたしている以上、それの裏づけをなす少数意見の尊重ということを決して忘れてはならないのでありますが、倉石君の言うような意味でなく、真に少数意見を尊重するというならば、委員長が多数による横暴を強行したことは、このスト規制法に関する賛成、反対いかんにかかわらず、民主国会の一員としてまことに残念に思う次第であります。(拍手)とともに、今後の参議院における審議遅延に、自由党がかつこうの口実を与えたことは、まことに遺憾しごくであります。(拍手)
右の理由により、私は、改進党を代表して、田中委員長の解任決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/17
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018・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 山花秀雄君。
〔山花秀雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/18
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019・山花秀雄
○山花秀雄君 ただいま日本社会党両派を代表して春日一幸君より提出されました田中労働委員長解任決議案に対し、私は社会党を代表して賛意を表するものであります。以下その理由を明らかにして諸君の御賛同を願うものでございます。
ただいま、この決議案に反対の討論に立たれました自由党の倉石君は、われわれは多数党である、少数党の意見を尊重し、民主主義の原則を尊重する、こういうふうな御討論をなすつたのでございます。そういうように自由党の諸君が少数意見を尊重されておりましたならば、この決議案は出なかつたのであります。(拍手)世の中に厚顔無恥という言葉がございますが、厚顔無恥という言葉は、——が背負つてその辺を歩かれたら、一番ふさわしいのではなかろうかと私は考えておるのでございます。(拍手)
田中労働委員長は、本特別国会開催直前に、一たび議院運営委員会の委員長に擬せられたことがございましたが、彼の所属する自由党所属議員の猛烈な反対にあい、遂にその実現を見ず、労働委員会の委員長に就任いたしましたいきさつは、諸君の十分御存じの通りでございます。(拍手)私は、この問題に関する限り、自由党諸君の先見の明にいささか敬意を表したいと思うのであります。(拍手)しかしながら、議院運営委員会において——を食つた彼が、払下げのような形において労働委員会委員長に就任されましたことは、われわれ労働委員会委員ははなはだ迷惑千万に考えておるのでございます。(拍手)と同時に、このことは、自由党の労働行政に対する無知を端的に表明しておるものであろうと考えておるのでございます。(拍手)案にたがわず、労働委員会の審議ぶりは、歴代労働委員長中まれに見る無能ぶりを発揮いたしました。(拍手)議事審議の公平を欠き、委員長としての職責を満足に果し得ず、このまま看過しておれば、労働委員会のかなえの軽重を問われることが必至であり、個人田中伊三次君にはまことに気の毒千万なれども、労働委員会今後の円満なる運営の確立と、その権威保持のために、泣いて馬を切る態度をここに明らかにしておきたいと思うのであります。(拍手)
年末年始の休会がしばらく続き、一月三十日、本会議を開くに至りましたが、その後、昨年より懸案になつております労働金庫法案、国鉄職員の解雇問題、駐留軍関係労働者の切りかえ時における退職金の現金化の問題等々、その他一般労働行政について審議されるべき案件が山積しておるのにもかからず、たびたびの委員会開催の案を無視してこれを開こうとせず、二月二十七日、初めて今次政府より提案されました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案の審議にかかつたのであります。この法律案は、今次国会の重要法案として、本会議で提案説明に対する質疑を行つたほど重要視されている法案でございますが、約一箇月間も労働委員会の開催をサボり、一たび当該法律案が委員会に回付されますや、十分なる審議の余地を与えようともせず、もつぱら政府や与党の自由党に迎合し、この重要法律案をわずかの日時をもつて議了せんと狂奔したのでございます。
今国会の会期は、諸君も御承知のごとく、三月三十一日まで決定されておるのでございます。参議院におきましても事前審議が行われておるのでございますゆえ、われわれは三月十五日ごろまで審議の期間を求めたのでござごます。ところが、彼は、十分なる審議よりも、ひたすら政府の意をくむに汲汲たるありさまにして、議員として、委員長としての毅然たる態度の一片すら見出すことができず、はた目にもまつたく気の毒なくらいロボット的役割に終始していたのであります。(拍手)まことにあわれな存在と化していたのでございます。特に、去る十日夜の労働委員会の審議の過程における委員長の独善ぶりは、筆紙に尽しがたき醜態に近い態度で議事運営を行い、とにかく同日中に議了せんとするわれわれの協力も蹂躪し、労農党の質疑の通告を押え、これを許さず、最後に各派代表の討論中、日本社会党右派春日委員の討論発言中にもかかわらず、突如自由党委員より提議されたる討論打切りの動議を、討論者の発言を中止せしめることもなく、これを一方的に強引に可決し、案件そのものの採決は、野党各派が関知せざるうちに、可決したと称して一方的に宣言し、逃げ去るごとき態度でうせ去つたのでございます。(拍手)
その場の労働委員会は、あまりの暴挙に、改進、社会党両派、労農党、すなわち野党各派の共同声明を発して、田中労働委員長の議事運営に対する無能ぶりと、まつたく政府や与党自由党の意のままに議事さばきを行う、——特に討論中の発言を軽視して、討論を打切り、採決に入るがごときは——民主政治の本質から、かかる非民主的態度をとる委員長に対し、その責任追究の主張を明らかにしたのでございます。会期も、衆議院での審議の日時は余すところ若干残され、かりに当日これを議了せんといたしましても、あと二人の討論通告者の発言の機会を与える余地は十分存しているにもかかわらず、何がゆえにかかる専断的横暴の限りを彼が行つたのでございましようか。われらの常識では、とうてい判断できないところであります。
思うに、昨今の自由党は、複雑怪奇な党内事情が存し、普通人の良識をもつてしては、ただただ驚き入つた政党と評価するより以外にないのでございます。(拍手)このような政党の党内事情より判断すれば、かかる非常識きわまる、無能にして無策な委員長の選任されることは、またやむを得ないものと了承するより手はないと考えておるのであります。しかしながら、わが労働委員会は、政府の出先機関でもなければ、一党一派に存在するものでも、ございません。ことに、その委員長は、何党に所属しておられようが、委員長に就任された瞬間より、超党派的立場からその委員会の公平なる議事運営に専心すべきであります。
われわれは、去る十日夜の議事運営の非民主的行為のみで彼の解任を要求しておるのではございません。今特別国会において、議院運営委員長に就任し得ず、横すべりのような形で労働委員長に就任して以来、彼の業績を通じて数々の無能なる委員会運営の実績に徴して、またこのような委員長のもとにおいては言論の自由確保も期待できず、われらは、労働委員会の権威の保持のために春日一幸君より解任要求決議案が提案されたことは当然であると考え、われわれ日本社会党は、これに全面的に賛成するものでございます。(拍手)諸君の御賛同を重ねて望み、以上私の討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/19
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020・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) ただいまの山花君の発言中に不穏当の言辞があるとの申出がありましたが、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
これにて討論は終局いたしました。本決議案の採決は記名投票をもつて行います。春日一幸君外六名提出、労働委員長田中伊三次君解任決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/20
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021・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
投票を計算いたさせます。
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/21
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022・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
〔事務総長朗読〕
投票総数 三百九十七
可とする者(白票) 百八十一
〔拍手〕
否とする者(青票) 二百十六
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/22
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023・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 右の結果、春日一幸君外六名提出、労働委員長田中伊二次君解任決議案は否決されました。拍手)
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〔参照〕
春日一幸君外六名提出労働委員長田中伊三次君解任決議案を可とする議員の氏名
秋田 大助君 芦田 均君
荒木萬壽夫君 有田 喜一君
安東 義良君 伊東 岩男君
井出一太郎君 石田 一松君
五十嵐吉藏君 生悦佳貞太郎君
宇田 耕一君 臼井 莊一君
小川 半次君 大麻 唯男君
大川 光三君 大森 玉木君
岡田 勢一君 金子與重郎君
川崎 秀二君 菅 太郎君
菅野和太郎君 北村徳太郎君
清瀬 一郎君 楠山義太郎君
栗田 英男君 小泉 純也君
小島 徹三君 小畑虎之助君
河本 敏夫君 河野 金昇君
後藤 義隆君 佐藤 芳男君
櫻内 義雄君 笹山茂太郎君
志賀健次郎君 椎熊 三郎君
白浜 仁吉君 鈴木 正吾君
園田 直君 田中 久雄君
高岡 大輔君 高倉 定助君
高瀬 傳君 高橋 長治君
高橋 禎一君 武部 英治君
竹山祐太郎君 舘林三喜男君
千葉 三郎君 床次 徳二君
内藤 友明君 中島 茂喜君
中曽根康弘君 中野 四郎君
中村 寅太君 中村庸一郎君
長井 源君 楢橋 渡君
長谷川四郎君 早川 崇君
平川 篤雄君 廣瀬 正雄君
古井 喜實君 町村 金五君
松浦周太郎君 松村 譲三君
三浦 一雄君 三木 武夫君
宮澤 胤勇君 粟山 博君
森田重次郎君 森山 欽司君
柳原 三郎君 山下 春江君
山手 滿男君 山本 粂吉君
吉川 大介君 淺沼稻次郎君
井伊 誠一君 井上 良二君
伊藤卯四郎君 池田 禎治君
今澄 勇君 受田 新吉君
大石ヨシエ君 大矢 省三君
岡部 周治君 甲斐 政治君
加藤 勘十君 春日 一幸君
片山 哲君 川島 金次君
川俣 清音君 河上丈太郎君
菊川 忠雄君 菊地養之輔君
熊本 虎三君 河野 密君
杉山元治郎君 鈴木 義男君
田原 春次君 田万 廣文君
辻 文雄君 堤 ツルヨ君
中崎 敏君 中澤 茂一君
中村 高一君 西尾 末廣君
西村 榮一君 日野 吉夫君
平岡忠次郎君 平野 力三君
細野三千雄君 前田榮之助君
前田 種男君 松井 政吉君
松尾トシ子君 松岡 駒吉君
松前 重義君 松本 七郎君
三宅 正一君 三軸 壽壮君
矢尾喜三郎君 山口シヅエ君
山下 榮二君 吉川 兼光君
吉田 賢一君 吉田 正君
足鹿 覺君 阿部 五郎君
青野 武一君 赤路 友藏君
赤松 勇君 伊藤 好道君
井手 以誠君 稻村 順三君
小川 豊明君 加賀田 進君
勝間田清一君 上林與市郎君
木原津與志君 久保田鶴松君
小松 幹君 佐々木更三君
佐藤觀次郎君 坂本 泰良君
志村 茂治君 島上善五郎君
鈴木茂三郎君 多賀谷真稔君
田中織之進君 辻原 弘市君
永井勝次郎君 成田 知巳君
西村、カ弥君 芳賀 貢君
長谷川 保君 原 茂君
原 彪君 福田 昌子君
古屋 貞雄君 帆足 計君
正木 清君 武藤運十郎君
森 三樹二君 八百板 正君
八木 一男君 安平 鹿一君
山口丈太郎君 山崎 始男君
山田 長司君 山中日露史君
山花 秀雄君 山本 幸一君
横路 節雄君 和田 博雄君
渡辺 惣蔵君 石野 久男君
館 俊三君 川村 繊義君
中村 英男君
否とする議員の氏名
阿左美廣治君 阿部 千一君
相川 勝六君 逢澤 寛君
青木 正君 青柳 一郎君
赤城 宗徳君 秋山 利恭君
淺香 忠雄君 淺利 三朗君
麻生太賀吉君 新井 堯爾君
荒舩清十郎君 有田 二郎君
安藤 正純君 伊藤 郷一君
伊能繁次郎君 飯塚 定輔君
生田 和平君 池田 清君
池田正之輔君 石井光次郎君
石田 陣英君 石橋 湛山君
犬養 健君 今松 治郎君
今村 忠助君 岩川 與助君
岩本 信行君 宇田 恒君
宇都宮徳匡君 上塚 司君
植木庚子郎君 植原悦二郎君
内田 常雄君 内田 信也君
内海 安吉君 江崎 真澄君
遠藤 三郎君 小笠原三九郎君
小川 平二君 小澤佐重喜君
緒方 竹虎君 尾崎 末吉君
越智 茂君 大石 武一君
大泉 寛三君 大上 司君
大久保留次郎君 大島 秀一君
太田 正孝君 大西 禎夫君
大野 市郎君 大平 正芳君
大村 清一君 岡崎 勝男君
岡田 五郎君 岡田 忠彦君
岡野 清豪君 岡本 茂君
奧村又十郎君 押谷 富三君
加藤 精三君 加藤 宗平君
加藤常太郎君 加藤鐐五郎君
甲斐中文治郎君 河合 良成君
河原田稼吉君 勝俣 稔君
川島正次郎君 川村善八郎君
川野 芳滿君 菅家 喜六君
木村 武雄君 木村 文男君
北 れい吉君 倉石 忠雄君
栗山長次郎君 熊谷 憲一君
黒金 泰美君 小金 義照君
小坂善太郎君 小平 久雄君
小林 絹治君 小山 長規君
木暮武太夫君 河野 一郎君
近藤 鶴代君 佐々木秀世君
佐治 誠吉君 佐藤 榮作君
佐藤善一郎君 佐藤虎次郎君
佐藤洋之助君 坂田 英一君
坂田 道太君 迫水 久常君
重政 誠之君 篠田 弘作君
首藤 新八君 周東 英雄君
薄田 美朝君 鈴木 善幸君
鈴木 直人君 砂田 重政君
砂原 格君 關谷 勝利君
田口長治郎君 田子 一民君
田嶋 好文君 田中伊三次君
田中 角榮君 田中 彰治君
高木吉之助君 高木 松吉君
高橋 英吉君 高見 三郎君
竹尾 弌君 谷川 昇君
玉置 信一君 中馬 辰猪君
塚原 俊郎君 辻 寛一君
綱島 正興君 坪川 信三君
寺島隆太郎君 戸塚九一郎君
徳安 實藏君 富田 健治君
内藤 隆君 中 助松君
中井 一夫君 中田 政美君
中峠 國夫君 中野 武雄君
中村 梅吉君 中村 幸八君
中山 マサ君 仲川房次郎君
永田 良吉君 永山 忠則君
長野 長廣君 灘尾 弘吉君
南條 徳男君 丹羽喬四郎君
西川 貞一君 西村 英一君
西村 茂生君 西村 直己君
貫井 清憲君 根本龍太郎君
野澤 清人君 野原 正勝君
羽田武嗣郎君 橋本登美三郎君
橋本 龍伍君 濱田 幸雄君
濱地 文平君 林 讓治君
原 健三郎君 馬場 元治君
平澤 長吉君 平塚常次郎君
平野 三郎君 廣川 弘禪君
福井 順一君 福井 盛太君
福田 一君 福永 健司君
船田 中君 保利 茂君
星島 二郎君 本多 市郎君
本間 俊一君 前尾繁三郎君
前田 正男君 牧野 良三君
益谷 秀次君 増田甲子七君
松浦 東介君 松岡 俊三君
松岡 松平君 松田竹千代君
松田 鐵藏君 松永 東君
松野 頼三君 松本 一郎君
松山 義雄君 松村 光三君
三池 信君 三木 武吉君
三和 精一君 水田三喜男君
水谷 昇君 南 好雄君
宮幡 靖君 明禮輝三郎君
村上 勇君 村松 久義君
持永 義夫君 森 幸太郎君
森 清君 森下 國雄君
山崎 岩男君 山崎 嚴君
雪澤千代治君 横川 重次君
吉江 勝保君 吉武 惠市君
亘 四郎君 荻野 豊平君
木下 重範君 只野直三郎君
武知 勇記君 坊 秀男君
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第一 有線電気通信法案(内閣提出)
第二 公衆電気通信法案(内閣提出)
第三 有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/23
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024・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 日程第一、有線電気通信法案、日程第二、公衆電気通信法案、日程第三、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員長橋本登美三郎君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔橋本登美三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/24
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025・橋本登美三郎
○橋本登美三郎君 ただいま一括議題となりました有線電気通信法案、公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に関し、電気通信委員会における審議の経過と結果との概要を御報告告申し上げます。
これら三法案は内閣提出にかかるものでありますが、その提案理由とするところは、有線電気通信に関する現行法律たる電信法及び電信線電話線建設条例はいずれも明治中期の制定に属し、新憲法下、今日の情勢に適合しない点が多々ありますので、政府におきましては、今回両法並びに電信電話料金法を廃止し、あらためて有線電気通信監督行政の法規として有線電気通信法を、公衆電信電話事業運営の基礎法規として公衆電気通信法を制定する意図のもとに、両法の施行法とあわせて、これら三法案を提出するに至つたものであります。
次に、法案の内容につき現行法と比較して顕著な改正点をあげれば、有線電気通信法案におきましては、有線電気通信設備の設置及び使用を、公衆電信電話事業の独占を侵さない範囲内において自由にしたこと、有線設備の設置使用に関する規律の保持についても、でき得る限り設置者の自律にまつ建前をとつたこと、他の右線通信設備に妨害を与えたり、人体、物件に損傷を及ぼしたりすることのないようにするため、必要最小限度の技術基準を定め、これが遵守の義務を規定したことの三点をあげることができます。
次に、公衆電気通信法案の主要点としては、第一は、公衆電気通信業務の一定の者に対する委託関係並びに国際電気通信業務に関する日本電信電話公社と国際電信電話株式会社との間の業務範囲につき規定を設けたことであります。
第二は、加入電話の種類に、現在の単独電話、共同電話のほかに、構内交換電話、いわゆるPBXを加え、加入電話の利用が私法上の契約関係であることを明らかにし、かつ電話加入権を譲渡した者に対しては、同一加入区域内においては、一年間加入を制限する旨を規定したことであります。
第三は、電信電話の料金は、現在はすべて法律をもつて定められているのでありますが、これを改め、主要な料金は法律で定め、その他の料金は公社または会社が郵政大臣の認可を受けて定めることとして、公社及び会社の企業性を発揮できるようにし、また滞納料金に対しては延滞金を課し、一般の民事上の手続によつて取立てることとしております。
第四は、従来とかく問題となつていた点でありますが、構内交換電話設備の設置保存は、現在原則として公社の独占となつているのを改めて、加入者が自由に建設保存を行い得ることといたしましたこと、及び電信電話サービスを提供しなかつたため利用者に損害を与えた場合、現在は賠償責任がないことになつているが、これを改めて料金の五倍に相当する額までの限定賠償とするこことしたことであります。
第五は、別表として、現行の電信電話料金法の別表を整理したものを表示してありますが、料金額につきまして一部改訂を加え、昭和二十八年度より電信電話料金収入の約十パーセントの増収をはかつておるのであります。料金改訂の概要を申し上げますれば、市外電報料について、基本料十字までの現行五十円を六十円とし、電話使用料について度数制局の基本料を平均三五%引上げ、均一制局の定額料金を平均六%引上げ、市外通話料について待時区間の最低料金現行の七円を十円とし、八百三十キロまでの各区間の料金をそれぞれ五円ずつ引上げ、即時、準即時区間の割増し率を現行の三ないし六割から主ないし八割に引上げ、また電信専用料及び市内専用電話料についておのおの五〇%を引上げることといたしておるのであります。
次に、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案は、前に申し上げました両法及びこの法律の施行期日を本年四月一日とするほか、これら法律を施行するため必要な経過措置及び関係法律の改廃について規定しております。
以上をもちまして三法案の内容の概略に関する御説明を終つたのでありまするが、申すまでもなく、これら三法案は、わが国の有線電気通信行政及び公衆電気通信業務に関し、明治以降の伝統に画期的の革新をもたらす重要案件であります。
電気通信委員会といたしましては、二月十二日、三法案の付託を受けまして以来、十二回にわたる会議を開き、法案に対し検討を加えましたほか、二月十九日には七名の参考人を招き、名案についてその意見を聴取する等、慎重審議を進めたのであります。従つて、委員会における政府及び日本電信電話公社当局との間の質疑応答もきわめて詳細かつ多岐にわたつておりまして、一々御紹介申し上げることは、とうてい時間の許すところではございませんので、これらに関しましてはすべて会議録によつて御承知願うことといたし、ここでは特に委員会における論議の焦点となつたものの一つに、前申し述べましたPBX、すなわち構内交換設備の利用者自営を認めることの可否をめぐる問題のあつたことを申し添えるにとどめたいと存じます。
かくして、委員会は、三月九日、ようやく三法案に対する質疑を終了いたしたのでありますが、この一箇月にわたる審議の結果、公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案について、政府原案に若干の修正を加える必要があるとの見地において、同日委員会の席上、公衆電気通信法案については、改進党及び日本社会党両派よりそれぞれ修正案が提出され、また有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案については、日本社会党両派より修正案が提出されまして、改進党の有田喜一君及び日本社会党の原茂君がそれぞれの趣旨の説明に当られたのであります。
以下、右の修正案の内容に関し、主として立法技術上の理由によるものを除き、その要点を申し上げたいと存じます。
公衆電気通信法案に対する改進党の修正案は三点でありましてその第一点は、新聞電報及び新聞無線電報に関する規定につきまして、原案によれば、これは一定の新聞社及び通信社の機関相互間のニュース電報に限られているのでありますが、放送事業の発達に伴う電報和用の必要性に照し、修正案におきましては、これに放送事業者の機関相互間のニュース電報を加えることとし、その名称をそれぞれ報道電報及び報道無線電報としたのであります。第二点は、加入電話設備の障害または減失の場合における修理、復旧の義務につきまして原案によれば「公社の予算の範囲内において」という条件がつけられておりますが、公社の使命にかんがみ、これは穏当でないと見られますので、修正案におきましては、この条件を削ることといたしたのであります。第三点は、軽微な料金の変更につきまして原案によれば、公社または会社に限り、その総収入に著しい影響を及ぼさない範囲内においてこれを行い得ることとなつておりますが、たとい軽微であつても、増額を含めた料金変更権を与えることは不当と認められますので、修正案におきましては、これを臨時かつ減免の場合に限定することといたしたのであります。
次に、公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信施行法案に対する日本社会党の修正案は、構内交換設備等の利用者自営の規定を中心とするものでありまして原案によれば、加入者等の自営を無条件に認めておるのでありますが、構内交換設備等が加入電話の延長であることにかんがみ、この自営によつて公衆電気通信業務を阻害し、サービスの低下を来すおそれなからしむるため、修正案におきましては、これを公社による設置が困難である等、例外的の場合に限り認めることとし、関係条項に添削を加えたのであります。
以上、両法案に対する修正案の説明を終つたのでありますが、委員会は同じく九日討論を行い、まず自由党を代表して羽田武嗣郎君、次いで改進党を代表して有田喜一君は、いずれも有線電気通信法原案、公衆電気通信法案に対する改進党修正案、同じく修正部分を除く原案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法原案に対し賛成の意見を、公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する日本社会党修正案に対し反対の意見を述べられ、抗いて日本社会党両派を代表して松井政吉君は、公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する日本社会党修正案、同じく修正部分を除く両法原案に対し賛成の意見を、有線電気通信法案に対する改進党修正案に対し反対の意見を述べられたのであります。
委員会は、引続き採決に入り、順次可否を諮りましたところ、有線電信通信法案は多数をもつてこれを可決し、公衆電気通信法案については、日本社会党修正案はこれを否決し、改進党修正案及び修正部分を除く原案は多数をもつてこれを可決し、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案については、日本社会党修正案はこれを否決し、原案は多数をもつてこれを可決いたした次第であります。
これをもつて御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/25
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026・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。松井政吉君。
〔松井政吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/26
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027・松井政吉
○松井政吉君 私は、日本社会党を代表いたしましてただいま議題となりました公衆電気通信法案外二法案に対しまして反対の理由を述べようといたすものであります。
御承知のように、電気通信事業は、国内、国際ともに国民全体の神経であり、国家の心臓部であります。従いまして、国民全体を利用の対象とする企業でありまするから、公共性を保持しなければならないことは当然であり、さらに従来の官僚経営から、企業性を持たせるために、前国会において企業体制度に改めたのであります。今回の公衆電気通信法案外二法案の内容は、ややもすれば、従来公社組織にした理由と原因と、さらにその業務運営について、これを抹殺するがごとき内容が含まれているから反対をいたすのであります。
第一番の反対の理由といたしまして、公衆電気通信法案の構成と扱い方からその理由を申し述べたいと思います。御承知のように、公衆電気通信法案の構成は、電電公社が業務を運用する場合に必要な規制をする条項と、さらに所有権と保存権とを混合するがごとき、従来公社一本で行つて参りましたPBXの設備、設置、保守等の問題が含まれており、さらに料金の値上げがこの法律の内容をなしているのであります。従いましてわれわれは、電電公社の業務運用を規制するために公衆電気通信法が必要であることは認めるのであります。しかしながら、少くとも国の財産並びに公社の保存権に属するPBXが民間に開放される結果、所有権、保存権の混合を初め、幾多矛盾を来すがごとき内容が含まれており、しかも電話料金を初め、加入者が負担をすべき特別地域あるいは普通地域の加入者負担の問題が幾多含まれておりまして、法体系から申すならば、料金と加入者全体の負担に属する部分は別の単行法によつてきめることが、将来経済上の変動が起きて料金をかえる場合、あるいは加入者の負担を変更する場合に都合がよいのでありまするが、本法律案は全部一緒くたになつておりますから、将来電電公社は業務運営につきまして非常な支障を来すおそれがあると考えるからであります。(拍手)
また、本法律案のかんじんなところに参りますると、郵政大臣認可と政令事項が多いために、必ずや公社運営にこれまた支障を来すことは明らかであります。
さらに、われわれが反対理由として第三に申し上げなければならないのは、先ほども触れましたけれども、PBXの問題であります。本法律案の内容によりますれば、従来公社が一本で設備、設置、保守等を行つて来ましたPBXが、加入者においてもやれる、民間においてもやれる、公社でもやれるというぐあいに改まりましたために、大きな混合を免れない結果を生み出すのであります。設備の設置、保守、修繕、規格基準の認定、技術者の認定、所有権と保存権の混合、従業員の配置転換等、将来かかるPBXの問題は、法律の改正を要求しなければならない幾多の業務上の支障が起る危険性があるので反対をいたすのであります。(拍手)
第四点は、電話料金の値上げについてであります。本法律案によりまするならば、料金を値上げをいたしまして加入者より八十億円の増収をはかろうというのであります。本年度の予算によりまするならば、昨年度政府が電電公社企業に投資をいたしましたのは百三十五億であります。本年度の予算には、これが四十億に削減をされております。さらにまた、年間純利益二十億といわれる国際電気通信株式会社をつくつて、国際通信を民間に切り離したために、利益二十億円が本年度から減ることに相なつております。政府が昨年百三十五億投資したものを四十億に減らし、さらに利益の一番ある部分を民間に払い下げた結果、そのはね返りが電話に加入いたしておりまする加入者の負担となつて、八十億の値上げとなつて現われたのであります。さらに、その八十億の中から二十億円を建設勘定にまわすという予算が組み立てられております。われわれは、純利益二十億円の国際会社の業務を公社が行い、さらにまた政府が四十億に削減したものを、かりに六十億円出したといたしましても、料金の値上げは八十億円が四十億円にとまりまして、電話を利用する人々の負担が軽減されるのでありますが、この考え方にあらざる方向がとられているので反対をいたしたいのであります。(拍手)
さらに、その結果、値上げの内容について申し上げまするならば、今回の値上げは度数料の値上げをいたしておりません。基本料金のみの値上げを行つている結果、電話を持つてさえおれば大きく値上げの負担をしなければならないことになり、電話をよけい使つている者がきわめて負担が軽いという料金の値上げであります。われわれは、電話のごときものは、よけい利用する者がよけい料金を払うという建前が、企業性から見ても、あるいは料金決定の基準から見ても妥当だと思いますので、この考え方の値上げには反対をいたしたいのであります。(拍手)
さらに有線電気通信法について申し上げまするならば、われわれは、国際電電会社を廃止するの法律案を提案をいたして、ただいま委員会においては審議中でありまするが、その建前から考えまして、有線電気通信法の第八条第九条は、国際通信に関係のあるものが多く載せられておりまして国際電電会社をつくつて国際通信を民間に移すことに反対である立場から、関連事項として有線電気通信法に反対をいたします。
さらに、両法案の施行法については、関連事項でありまするから反対をいたします。このような内容について反対の立場から、せめてPBXくらいは修正をいたしたいというので、左右社会党両派修正案を提出をいたしたのでありまするが、委員会においては否決をいたされたのであります。
最後に、私は法案審議の内容について一言申し上げておきます。御承知のように、十回にわたる委員会が開かれたのでありまするが、国会法に基く委員会が構成をされたのは、採決の日ただ一日であります。御承知のように、熱心に審議をしようと思う野党の諸君と委員長の出席のみにおいて審議が行われてしまつたと申しても過言でない審議の状況であつたのであります。国民全体に負担をかける料金の値上げが盛られておるがごとき重要法律案が常任委員会にかけられておる場合、少くとも十数名の常任委員が出席しなければならない自由党の諸君が、党内事情によつて出席できなかつた事情については同情に値するのでありまするが、いやしくも国民の代表として国会に参画をした者が、国民の利害のための法案審議にサボタージュをしたり、欠席したりしたことについては、国民に対する責任を果したとは言えないのであります。(拍手)こういう状態において審議をされて、採決のときだけ、おのおの委員をすりかえて出席をしまして、多数で成立したという形は、今後絶対に審議の過程としてとるべきでないということを強く主張しながら、本法律案に反対をいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/27
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028・岩本信行
○議長(岩本信行君) 山田長司君。
〔山田長司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/28
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029・山田長司
○山田長司君 日本社会党を代表いたしまして、有線電気通信法案、公衆電気通信法案、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の三法案に対し、政府提出の原案に反対の意思を申し述べんとするものであります。(拍手)
そもそも公衆電気通信事業は、国家社会の神経機能とも称すべきものでありまして公共の福祉増進を究極の目的とする、きわめて高度の公益性を有する事業である一面、本来刀的経営を必要条件とする、いわゆる自然的独占事業であることは、すでに皆様の御承知の通りであります。わが国では、七十年もの長きにわたつて国営を続け、先般の機構改革に際しても、なお国家の厳重なる監督下にある公共企業体経営の方式をとり、かつ構内交換機、内線電話機及び専用設備の電話機等の設備の一部を民営にまかしたことはあつても、事業の一元的運用の原則を終始一貫堅持して来たのは、電気通信事業の本質上、むしろ当然のことと言うべきであります。(拍手)
しかるに、本国会において提出された公衆電気通信法第百五条の規定は、この事業本来の性質と目的とを無視し、構内交換機、内線電話機及び専用設備の電話機等の設備の設置、これらを民間の業者による民営として事業を分断するのみならず、一部資本家、企業家の営利の道具に使われようとするのであつて、ひとり公社法第一条に基く事業の合理的、能率的なる発展並びに設備の整備及び拡充の促進を阻害するばかりでなく、ひいては国家の将来に大きな禍根を残すおそれがある条項であると言わざるを得ないのであります。(拍手)なるほど、百五条の第一項前段の規定は、設備の設置の面において公社の直営を原則的に認めておる、ごとく解釈されるが、同条二項の規定は、設置された設備の保存のみをして公社の直営を認めてもよいという消極的直営を規定しておるのみで、同条第一項第一号、第二号、第三号の設備の自営、すなわち民営を認める結果になるのであります。従いまして、設備の設置に対して、自営の範囲を現在行われつつあみ程度にする制限的規定を設けて、公社による直営の原則を明確にせねばならぬと存ずる次第であります。(拍手)
公衆電気通信法第百五条実施による全面的の自営、すなわち民間業者によつて生ずべき弊害は多々ありますが、その顕著なものの二、三をあげてみますならば、第一に営利的なサービス本位となり、業者は次々と濫立し、営利業者の手先となる結果、加入者、専用者の費用負担が増大するおそれがあることであります。すなわち、電話利用者の電気通信に関する知識の乏しいのを利用いたしまして設備の悪い機械をとりつけたり、故障もないのに修理をして不当の修理代を要求するとか、または、わざと故障を生ずるようにしておくとか、修理をぞんざいにして、こわれやすくしておくとか、過去の民営時代の弊害が再び来るおそれが多分にあり、一般利用者より非難のそしりを受くることが当然起ることと存じます。
第二点として申し上げますことは、工事方法や機械の不統一から、無責任の結果、保守、すなわち手入れをして保存することが完全に行われず、弊害が非常に多くなることが想像されるのであります。たとえば、関東管内において百回線当りの障害率は、自営、すなわち民営でやりました場合は三十四・四回、公社直営におきましては十二回でありまして、約三倍の故障率を示しております。なおさらに、命令系統に何らの考慮も払われないため、保存に対する責任の所在が不明確であり、修理の点も不完全ならざるを得ないのでありまして、通話の円滑を期するという面からしても、大きな災いを残すことになるのであります。
第三点として申し上げたいことは、現状の設備は大部分老朽しており、この急速かつ完全整備は、公共的立場から統一された企画、資材、資金によらなければならないのでありまして、公社の経営ならば十分にできるのであります。そもそもわが国のごとき資源の乏しい国においては、特に有機的、経済的なる手段によつて施設の一元化をはかり、最高度の能率を発揮して改善しなければなりません。
第四点として申し上げますことは、かりに民営にして構内交換機を設備しても、電話は電燈線と異なり、簡単に引込線を引いて話ができるものではなく、基本設備の電話局の機械と線路がなければつながらないのでありますから、公社が一元的に設備をしなければならぬのであります。これを要するに、御承知のごとく、電話事業は電話局がもとであります。これに対して本法案は、局は公社のみであり、局からほかの電話機に至るまでの事業は、公社と民間とのどちらでも自由に設備ができるようにするというのであります。従つて、原案の、ごとく、公社でも民営でも設備できるようなやり方では、かえつて国民が迷惑することになるのであります。神経系統の電話全体を混乱に陥れるだけであるといわなければなりません。
第五点として申し上げますことは、さきに廃案を提出しました国際電信電話株式会社と同様に、現在の公社経営の有力なる黒字収入の一つであり、昨年度におきましては約七億円の黒字収入があつたといわれておりますが、独立採算制堅持の面からも当然公社直営とすべきであります。
最後に、米国及び英国を初め、その他の国においても、電気通信事業は一元性によつて直営を原則としているのにかんがみても、ひとりわが国においてのみ自営、すなわち民間業者に行わしめ、昔の民営時代に復せしめるということは逆コースであり、明らかに退歩であるといわなければなりません。(拍手)
これを要するに、構内交換台、内線電話機及び専用設備の端末電話機等の設備の設置保存は現行通り、特別のもの以外は公社の直営によつてなすことに何らの支障を生じないものでありまして、しいて自営を認めるべき積極的理由を発見することができないのであります。そればかりでなく、これによつて予測されますところの弊害は、ただいま申し述べたことく明白でございます。これらの大いなる矛盾や、過去の貴重な経験を無視しまして、あえてこの構内電話交換設備を民間業者の自営にゆだねんとせる本意は、まさに資本家擁護の保守政党たる本質を暴露している自由党並びにその政府が、かつての旧官僚や、昔の自営によつて、わが国の電信電話設備の非能率、頽廃を来らせながら莫大な利益をむさぼつた味を忘れない大資本家の、夢よもう一度の要求と手を握つて、大衆の公器たる電話事業の技術水準低下その他による国民大衆の犠牲の上に利益の追求を援助するものであり、まさに自由党政府の資本家の手先である本性を遺憾なく暴露しているものといわざるを得ないのであります。よつて両社会党はあげて原案に反対するものであり、す。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/29
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030・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
三案を一括して採決いたします。日程第二の委員長報告は修正でありまして、日程第一及び第三の委員長報告は可決であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/30
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031・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り決しさした。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/31
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032・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第四、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を議題とたします。委員長の報告を求めます。労働委員長田中伊三次君。
〔田中伊三次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/32
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033・田中伊三次
○田中伊三次君 御報告申し上げます。
本案につきましては、先月の二十七日に初めての委員会を開会いたしまして、政府より提案理由の説明を聴取いたしました。爾来六回にわたりまして慎重審議を期したのでございますが、その間、今月の五日に、大阪と福岡において、院外公聴会とも称すべき催しを持ちまして、労使双方の人々及び第三者の立場にある中立的な各界代表の人々を招きまして御意見を聴取いたしました。のみならず、七日には本院におきまして正規の公聴会を開きまして、同様貴重なる意見の聴取をいたしまして、慎重審議を期しました結果、十日に至りまして質疑の終了を見たのでございます。その際、改進党の千葉三郎君外五名の諸君より、この法律案は一応向う三箇年間の期限を付そうではないかという修正の動議が提出せられまして、この動議の趣旨説明には菅太郎君がお当りになつたわけでございます。
そこで、政府原案及びこの修正案を一括して討論に付することになりました。まず持永君が自由党を代表し、森山君が改進党を代表いたしまして、両案に対して賛成の討論をせられました。続いで社会党右の春日一幸君がお立ちになりまして、両案に対して反対の討論をいたされたのでありますが、その討論の最中に、本日起りましたような事情によりまして討論打切りの動議が成立した次第でございます。
なお、森山君は、討論の最中に、当事者の一方からの申請のある場合においても仲裁ができるようにしてはどうかとの三項目にわたる附帯決議案を提出いたしまして、その趣旨の弁明に努められたのであります。
ここにおいて採決に入りました結果、まず修正案について採決をいたしましたところ、多数をもつて可決をするに至つたのであります。なお修正部分を……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/33
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034・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/34
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035・田中伊三次
○田中伊三次君(純) 修正部分を除く政府原案について採決をいたしましたところ、これまた多数をもつて可決をするに至りました。最後に、森山君の提出にかかる附帯決議について採決をいたしましたところ、これは多数をもつて否決することになりました。
以上がその概要であります。
本委員会の質疑応答につきましては、相当見るべきものがございます。また修正案の全文は、私はここで朗読をいたしません。附帯決議の全文についても朗読を省略いたしますが、これらの事項につきましては、速記録によつて万事御承知おきをいただきたいと存じます。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/35
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036・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 質疑の通告があります。これを許します。山口丈太郎君。
〔山口丈太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/36
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037・山口丈太郎
○山口丈太郎君 私は、日本社会党を代表し、田中労働常任委員長に対し、去る三月十日の電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案審議に関しとられた処置並びに翌三月十一日われわれが要求いたしました労働委員会の開催に関しての委員長の態度について質問せんとするものであります。(拍手)
今回政府の提出いたしました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案は、政府の言うごとく、単なる方法の規制にとどまるものではなく、これら産業に従事いたしまする多くの労働者がその基本権を奪われるという、きわめて重要な法案でありまして、このことは、学者、有識者はもちろんのこと、冷静に判断される多くの人々が一致して、基本権の問題に触れるものであるということを証言いたしておるので、ございまして、このことは、単に野党的な立場に立ちまする私どものみの主張でないことを証明いたしておるのでございます。かようなものでございまするから、われわれは、この基本権を剥奪される労働者の将来に対して、あるいは政府の申します公共の福祉を保護するという建前に立ちまする労使間の調和について、その前途を深く憂慮いたしますだめに、慎重審議を要求いたしておつたのであります。
本法案はストライキの方法の規制というが、わずか三箇条の単独法をもつて多くの労働者の基本権を制約するということは今申し述べた通りでございます。一方、経営者におきましては、利潤追求に対する何らの制約を加えていないのでありまして、こういつた点から考えますと、明らかにこれは憲法に保障しておりまする基本権に対する制約に触れることにも相なるのでありまして私どもは、かような法律は断じて反対でございますけれども、しかしながら、これを審議するにあたりましては、その両々相まつた権利の調和について余すところなく審議を尽さなければ、われわれとしてはこの法案に対しまする公正なる政治的態度を維持することができないというのが、私どもの主張であつたのであります。(拍手)
しかるに、田中委員長は、このことをよく承知しておられたのでありますが、しかしながら、承知しておられたにもかかわらず、われわれはこの審議にあたりまして、いろいろとまだ質問をいたしたい点もございまして、質問者も残つておる、労農党の石野久男君の質問も残つているにもかかわらず、一方的に強引にまず質問を打切られたのであります。田中委員長は、これをもつて、ただいま申されましたように、審議はし尽されたと申しておられますけれども、質問も許さないでおいてはたして、この法案に対する審議が十分に尽されているとお考えになつておるかどうか。この点がまず第一の質問であります。(拍手)
次には、この法案を審議するにあたつても、すべて委員長としての職責は、単なる所属政党にのみ偏向するような態度は許されないものと思うのであります。しかるに、一方においてはまつたく与党に対する一方的な運営をなし、さらに委員長みずからこの審議過程においてとられた態度は、ただいたずらに感情に走り、冷静を失い、昨年来の春日一幸君の質問に対しても、大いなる激高をもつてこれに報いられたのであります。かかる態度は、私は委員長として深く反省されなければならぬと思うのでありますが、委員長は、委員長みずからその委員会の秩序を保持すべき責任者でありながら、かかることをして法案の審議が十分に行えたとお考えになるかどうか。
また、あの採決にあたりましても、なお春日一幸君は発言中でありまして、春日一幸君が、うしろからの発言によつて、自分の発言を少しの間中絶をいたしました。その瞬間をとらまえて倉石忠雄君が発言をいたしましたのを採択いたしました。委員長は、これは春日一幸君があるいは発言を中止したものとの言論をもつてこれを紛飾されるかもわかりませんけれども、そういうようなことは、まつたく委員長の紛飾言でありましてこういうものをもつて、はたして十分に討論がし尽されておると言えるかどうか。
私は討論の通告をいたしております。石野君も同じく討論の通告をいたしておるのであります。この討論の通告者を、自由党の諸君は、数を頼んで、完全に封殺し去つたのであります。私は、議会における自由なる発言とは、その発言者みずからが責任を持と存じます。しかるに、自由党の多数のために、私が委員会において発言を封殺されるに至りましては、はたして議会においての自由なる十分なる討議がなされておると言えるかどうかを疑うものでございます。(拍手)委員長の所見を承りたいと存じます。
三月十日の夜十一時五分、あのような事態の中で、この法案は採決されたのでありますが、委員長あるいはその他自由党の諸君は、あの状態の中で、完全に委員長の趣旨が各委員に徹底して正常な状態において採決されたと思われるかどうか。私は、かような事態において、かかる無謀な採決を行うことは無効であろうと存じます。これがもし是認されますならば、それはまつたく自由もなく、多数による横暴といわなければならぬと思うのでございます。委員長は、いかにして委員長が採決しようとなさる意思を徹底されたか。私は、いまだ委員長が採決されるの意思の徹底を承つておりません。どういう御見解をお持ちになつて、かかる態度をとられたか。
第六は、この法案が三月十日採決されることをあらかじめ理事会におきまして約束されていたというのでございますが、約束は約束でございますけれども、しかし、あの当夜におきましては、本日ここに上程されておりますように、翌日の本会議がないにもかかわらず、あの採決を急いで、今申しますような、各委員の言論を無理に封殺して採決をする、それほどの必要はなかつたと思うのでございます。しかるに、かようなことをやつてまでわれわれ野党の言論を封殺するに至りましては、私は、委員会においては委員長が申されるような十分な審議は行い得ないと考えるのであります。この点に対して、委員長は、それでは具体的にどのような審議を行つて、あなたが十分であるとお考えになるのか、この点も明確にしていただきたいと存じます。(拍手)
さらにもう一点、これは委員長にとくと質問をして、委員長のお考えを明らかにしてもらいたいと思います点は、委員長は法律の専門家と聞くのであります。私も、人格、識見ともに備わる、りつぱな方と思うのでございます。しかしながら、ただ一点欠けているのは、常に、今申しましたように、委員会の秩序は委員長みずからが保持しなければならないにもかかわらず、往々にして、委員の言論や、あるいはまた周囲の零囲気にとらわれて、自分自身で激昂して、みずから会議の秩序をたびたび乱しておられるやに見受けるのであります。委員長は、今後この労働委員会の運営にあたつて、あくまでも周囲の雰囲気によつて自分の人格を喪失するような、かような行動は、私は慎んでいただきたいと思うが、委員長は、委員会運営の将来にあたつて、自分を反省して、これらの点を直して行こうという考えがあるかどうか、はつきりとお伺いしたいと存じます。(拍手)質問を終ります。
〔田中伊三次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/37
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038・田中伊三次
○田中伊三次君 一体、あすという日があるにかかわらず、なぜ十日に急いで採決をしたかという第一のお尋ねでございます。それは、最初に会議を開くに先だちまして私が先ほどお話をいたしましたように、理事会を開いて、十日に上げるということをきめた。この理事会の決定というものは、法律や規則以上に守られるということでなければ、議院の民主的運営はやれない。(拍手)私は、理事会の申合せを厳格に守る意味において、十日には上げなければならぬと考えて、適当な機会に上げたのであります。
それから第二のお尋ねは、委員長の委員会の運営は与党的であつて、自由党ばかりに肩を持つて運営をしたと言われるが、私はお答えを申し上げますが、重要法案はでき得る限り短かい期間において審議いたしたい志を持ちましたので、一切の質問はあげて野党にゆだねることにいたしまして、委員会の半数を持つております自由党十二名の各委員の意向は、協議の結果、倉石忠雄君ただ一人に発言を集約いたしまして、倉石君の発言のみを許しまして倉石君以外には、与党は一人も発言を許しておりません。(拍手)この事実をもつてしても、与党的に運営をしたという諸君のお考えは誤りでありますから、御訂正を願いたいと存じます。
それから第三の質問でありますが、なぜ質疑を打切つたかということでございますが、十日に打切る約束で、十日に動議が出て、採決の結果、動議成立、打切りとなつたので、私の責任ではございません。
それから、何ゆえに、春日一幸君が発言中に、発言を停止せずして討論の終局をしたかという、重大な御発言でございます。この点は、ありのままに申し上げますが、そのとき春日一幸君はだんだんと討論に入つたのでありますが、時がたつにつれて憲法の前文を朗読し始めたり、労働組合のパンフレットを頭から読み始めたのでありまして、だれが考えましても脱線は明白でありました。そこで、私は大きな声を出しまして、春日君の脱線を戒め、春日君に対しまして、正道に立ち返つて発言せられんことを求めたのであります。春日君は、そのときに、私の忠告をいれて発言を一旦停止せられ、━━━━━━━━━━驚いて部屋の中をあちらこちらながめております。そのときに、間髪を入れずして、倉石君から動議の提出がありました。動議を許しました。動議の内容は、討論の打切りでありました。この動議の成立によつて、討論は終局を見たのであります。時は夜の十一時を過ぎておつたということを御承知おき願いたいのであります。(拍手)何ら国会法及び衆議院規則の上において、運用上手落ちとするところはございません。
その他、ただいまの質疑の中には、いろいろ私に対する御忠告がございましたが、これはつつしんで反省の資料といたしたいと存じます。無能の委員長で、まことに相済まぬことでありますが、さつそく委員会を開き、仲よく運営をして参りたいと考えます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/38
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039・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 山口丈太郎君より再質問の申出がありますが、すでに申合せの時間も経過しておりますので、きわめて簡単に願います。
〔山口丈太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/39
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040・山口丈太郎
○山口丈太郎君 再度質問をいたしたいと存じます。
委員長は、あの打切りに対しては、ただいま正当であるということを言明されました。しからば——私ども野党四派は、三月十一日に、衆議院規則第六十七条によつて、合法的に労働委員会の開催を請求いたしたのであります。ところが、今日に至りますも、労働委員会は開かれておりません。このことは、言いかえれば、いわゆる委員長みずからが、あのときの状態において採決したことの不合理性をお考えになつているのではないか、あるいはそれを攻撃されることを恐れたのではないか。私は、労働委員会を開くことを、規則によつて正式に文書によつて通告しておいたのであります。しかるに、今日まで開かれない理由は何であるか、私は明らかにしていただきたいと思うのであります。これは、いわゆる正当なる委員の言論を封じる策とは考えませんけれども、しかしながら、今日このように問題が紛糾するのでございまするから、従つてそれをあらかじめ察してのイヤ封策に出られているのではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。委員長は、みずからその点に対して明らかにしていただきたい。これが第一点であります。
それからいま一つは、春日委員に対しての脱線ぶりということを仰せになりました。しかし、この脱線ぶりとは一体何をさして言われるのか、私は、さらに委員長に、具体的にその事例をあげて御説明をいただきたいと存じます。
〔田中伊三次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/40
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041・田中伊三次
○田中伊三次君 お答えを申し上げます。
一体、書類によつて要求をしたのにかかわらず、委員会をなぜ開かなかつたかというお尋ねでございますが、実は御承知のごとく、規則によりますと、書類によつて委員会を開くことの要求がございますと、適当なる時期に、なるべくすみやかにこれを開くことになつておりますので、私は開こうと思つて衆議院の事務局で調査いたしましたところが、お開きになることはいいが、あなたの不信任案が出ておりますよ、ということでありました。間もなく開かれる本会議場において、私を信任せず、解任の決議案を提出しようという案が進んでおりますときに、私が委員会をあらためて開いて委員長の席に着くことは、まことに恐縮の至りであると思つたのであります。(笑声、拍手)
一体委員長は反省をしておるかということでございますが、私がとりました措置につきましては、国会法及び衆議院規則の上から何ら手落ちはないと考えるのでありますが、いやしくも、かつて前例のない委員長に対する解任決議案がここに提出をせられ、堂々めぐりを行つて、各党の皆さんに御迷惑をかけたという事柄につきましては、野党の諸君は、院外における幾多の御事情というものがあるから、おやりなつたことであろうけれども、とにもかくにも、この事態を引起すに至りましたのは、私の不徳のいたすところであつて、深く反省をいたしております。無能な委員長ではありますが、なるべくすみやかに、この解決を見ました以上は、委員会を開きまして、円満に委員会の運営に努力をいたしたい所存でございます。(拍手)
〔「脱線だぞ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/41
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042・岩本信行
○副議長(岩本信行君) お静かに願います。
春日一幸君から一身上の弁明をいたしたいとの申出があります。簡単にこれを許します。
〔春日一幸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/42
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043・春日一幸
○春日一幸君 ただいま、田中委員長の答弁の中に、不肖春日一幸が、最も尊厳を維持すべきあの委員会において脱線をしたという御報告があつたのでございまするが、私は、かくのごとき当らざるの批評は、黙視することは断じて相ならぬのであります。ただいま、この委員長の解任要求決議案の趣旨弁明の中に、明確にその経過とてんまつを御報告申し上げております通り、あれが私の脱線であつたでありましようか。私どもは、もしそれ田中君の指摘されるが、ごとくに、理事会の決議に沿わないものであつたといたしましても、理事会の決議は、その日の十二時までに上げることが決定されておつたのでございます。しこうして、私の反対討論は、なお十一時五分に至つたばかりであるのでございます。
私が憲法の冒頭宣言を特に指摘いたしましたことは、自由党の諸君が憲法の各条章に定められておるところの国民の基本的人権、労働者に与えられておるところの労働基本権の何たるかをわきまえていない。従いまして、私はこの冒頭宣言を読むことによつて自由党の諸君の反省を求めて来たのだ。(拍手)これは討論の過程における必要欠くべからざるの論証であつたのであります。
さらにまた、私が労働組合のパンフレットを読んだと言うが、これもまた当らざる批評もはなはだしい。私がそこで朗読いたしました文書は何であつたか。それは、昨年の十二月十三日労働省労政局資料として、プリントして配付されたものを朗読しておつた。その中に示されておるものは何であつたか。それは、当時行われておつた電産争議が、日本の経済と国民生活にどのような影響を与えたかという、その影響資料であつたのでございます。その中に示されておりまするものは、おおむね鉄、石炭、造船、化学、あらゆる大企業に対しては、この電産争議はさして重大なる被害を与えてはいない、そのことが明確に示されておつたのであります。その文書は、私どもがこの議案を賛否の表決に付する前に、重大なる資料として、この真相を見きわめる必要があつたのである。すなわち、当時私ども野党各派は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/43
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044・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 春日君に申し上げます。討論にわたらぬように、一身上の弁明だけに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/44
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045・春日一幸
○春日一幸君(続) かくのごとくにいたしまして憲法冒頭宣言の論述といい、あるいはその討論に必要欠くべからざる、昨年末における電産争議に対する政府の見解といい、これは表決に先だつて欠くべからざる資料である。これを私が読むことが何の脱線であるか。
さらにまた、田中伊三次君でありますが、私に制止を与えたと言つておるが、貴殿は、さぎをからすと言いくるめるものであります。私に対して、一品でも貴殿は制止をしたことがあるか。それは速記録を見てもはつきりしておる通り、私の反対論を進行しているうちに、貴殿は私を制止したことも、注意したことも一度もない。やりもしないことをやつたと言つて、虚構の言を弄する。さすがに、貴殿のごときは、昨年議院運営委員会の委員長に推されておつたのであるけれども、党内、党外から拒否される人物だけあつて、ありもしないことをありと言い、白いものを黒いと言う。これでは、このような解任決議案が上程されたことは当然のことであります。
貴殿は、わずか二十三票の差によつて否決されたことを得々として言つておりますが、さらにまた、先ほどの委員長報告といい、あるいは山口君に対する答弁といい、ふざけ切つたものである。実に国会四百六十何名中、その半数によつて解任の意思表示をされたということは、天下に恥を知るべきである。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/45
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046・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 申し上げます。先刻田中委員長の発言中に不穏当の言辞ありとの申出がありますが、速記録を取調べの上、適当な措置を講ずることにいたします。
これにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入ります。菊川忠雄君。
〔菊川忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/46
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047・菊川忠雄
○菊川忠雄君 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案について、ただいま労働委員長の報告がありましたが、私は日本社会党を代表してこれに反対するものであります。
およそ日本のみならず、世界の炭鉱労働運動の歴史を見るに、労働組合が争議行為として炭鉱の保安放棄を実際に行つたような事例はほとんど見当りません。このような行為は、労働者がみずからの手で大きな不幸を招くばかりでなく、さらに輿論の支持を失う結果となるので、このことはあまりに明瞭であるからであります。このゆえに、かかる行為は、法律で禁止しているといなとにかかわらず、労働組合員の大衆的な同調を受けるわけには参らないのであります。
本法案は、炭鉱について言えば、昨年冬のストライキの際、その最後の段階において、炭労幹部が保安要員の就業を拒否するための準備指令を出したことに端を発し、これをもつて政府の提案理由の根拠としておるのであります。しかし、準備指令が出たのでありまして現実には、この場合においても、保安要員の引揚げは争議行為として行われていないのであります。従つて、二の準備指令は、せいぜい争議交滞促進のための戦術的な意義にとどまつているのであります。そして、むしろこれを契機に、政府は労調法の緊急調整条項を発動し、中央労働委員会の活動と相まつて、ようやくのことに争議を解決に導いたものであります。国民と、わが国会は、この事実を冷静に直視しなければなりません。これは、過般の炭鉱争議においては、たとい保安要員の引揚げというふうな最悪の事態に立ち至りましても、なおかつ労働法規並びに鉱山保安法規などの現行関係法規をもつて十分に対処できることを実証したものにほかならないのであります。(拍手)しかるに、本法案のごときは、この事実を無視しておるのでありまして、まさしく天の落ちることをおそれる杞憂の愚かさにもひとしきところの法案といわなければならないのであります。(拍手)
さらに炭坑においては、鉱山保安法の定めるところにより、労働者も資本家をともに保安の義務を負つております。従つて労働協約の中には、争議の場合の保安要員については労働組合もまた責任を負うべきことを厳重にとりきめて参つております。現場の具体的な事項については、労使双方の協議にゆだねて参つておるのであります。従つて、炭鉱労働争議においては、団体交渉がたといストライキに移つた後におきましても、保安問題については、この協議は平和的に続けられるところに炭鉱争議の大きな特徴があるということを知らなければならないのであります。(拍手)これは、およそ労働問題のいろはを知るほどの人々であれば当然知つていなければならないところの常識に属する事柄であるのであります。(拍手)従つて、昨冬、炭労中闘が、保安要員就業拒否の準備指令なるものを、突如として一方的に出したものではありません。事ここに至るまでには、相当の期間にわたり労使間で数次の協議折衝が重ねられ、最後に石炭連盟が炭労側からの現地調査員派遣の申入れを拒否したことによつて、この問題の交渉が決裂のやむなきに立ち至つたのであります。これは、本国会に、労働省労政局が議員各位の手元に「炭労争議経過」なる報告書を提出いたしておりまするが、この資料を一瞥して明瞭であるのであります。しかるに、政府は、無能のゆえにか、あるいは故意にか、保安問題の交渉決裂の状態に適切なる対処をなすことなく、遂に炭労をあの事態に追い込んでおるのであります。このことは、労働委員会における政府委員の答弁によつても明瞭になつておるのであります。従つて、春秋の筆法をもつていたしますならば、本法案の提出の根拠をなすものは、炭労にあらずして実に政府の無為、無策、無能そのものといわなければなりません。(拍手)
同様のことは、電気産業の場合においても言えるのであります。昨年秋、電産労働組合が十数次にわたる停電ストを行つたことは、まことに遺憾とするものでございますが、これを批判する場合、電産労組が従来労調法の精神を守り、隠忍自重、長期にわたり平和的交渉を続けて来たにもかかわらず、資本家側の頑迷なる態度と、政府の無為無策のために、かえつて隠忍自重を奇貨として争議は長期化し、そうしてあの事態に立ち至つた事実を無視するわけには参りません。このために、労働組合側は、労働者の犠牲のみいたずらに大きくして争議を長期化するがごときところの事務系統のストライキから、資本家に直接の打撃をより多く与え、かつ輿論に訴えるために、現場系統のストライキヘと戦術の重点を転換せざるを得なかつたのでありましてこの事情については、その間電産労組の幹部の中に多少の行き過ぎの点があつたにいたしましても、十分なる理解と同情をもつて批判すべき事柄であるのであります。(拍手)従つて、もし争議が早期に解決しておりまするならば、国民の一般的な損害を大きくすることなく、今日かかる問題は起らなかつたのでります。われわれは、かように見て参りまするならば、昨年の電産、炭労の両争議において国民生活と国民経済に甚大な脅威と損害を与えた責任は、まさに早期解決に失敗した政府にあると断定せざるを得ないのであります。(拍手)本法案は、政府のこの重大なる責任を回避し、さらにこれを労働組合の多少の行き過ぎに転嫁することによつて国民を欺瞞せんとする謀略でありましてこれが私が本法案に反対せざるを得ないところの第一の理由であるのであります。(拍手)
第二の理由は、本法案が日本の民主化に逆行し、おそるべき反動的な立法であるからであります。政府は、本法案の提出理由として公共の福祉と労使対等の原則を持ち出して参つております。しからば、吉田内閣の言う公共の福祉とはいかなる実体でありましようか。私は、さきに国会において国家公務員法が反動立法であるという非難とそしりを浴びながらも、公共の福祉の名のもとに制定されたことを知つております。しかしながら、この法律は、制定後五年、その実績に徴してみる場合に、国家公務員の労働基本権に大きなる制限を加え、政治的活動の自由を奪い去り、その反面において公務員の福利の増進は無視され、人事院は今日飾り物同様にたな上げされて、法律の実体は公務員の取締りと断圧の法規と成り下つておることを見なければならないのであります。でありますから、電気産業、炭鉱産業において、労働者から公共の福祉の名のもとに、その争議行為のバツク・ボーンともいうべき部分を奪い去るということは、かつての国家公務員法制定以上に、憲法の精神を蹂躪し、さらに奴隷制度の内 容を持つ弾圧法規を出現するものであるということをおそれるものであります。(拍手)
炭坑の保安要員の引揚げや、電気事業の停電ストなどの争議行為は、あらためて言うまでもなく、きわめて重大なる性質を持つ行為であります。いわば両刃の剣にも比すべきものでございますから、相手を切る以上にみずからを切るおそれがございます。けれども、これらの争議行為は、労働組合においてはみだりに用うべきところの権利ではございませんが、かといつて、この争議行為を規制し、争議権を骨抜きにすることでございましたならば、団体交渉において労働者側を初めから不利な立場に押し込み、争議の長期化と非合法化に導く危険が出て参るのであります。かくては、吉田内閣の言う公共の福祉、労使対等の原則は、労働組合運動を御用化するか、あるいは非合法化することとなり、健全なる労働組合運動の発展の道をとざすことは火を見るより明らかでございます。
本来、民主主義の立場における公共の福祉とは、国民の自由と権利が十分に尊重され、それぞれの立場において国民の権利が伸張し、その総合と調整の上に初めて認められるものでなければなりません。民主国家における公共の福祉と国民の基本的人権との関係は、緒方官房長官あるいは吉田内閣のもとにおける労働関係の官僚諸君が労働委員会において述べているがごとき、全体と部分の関係というがごときものでは断じてないのであります。全体のために部分の犠牲を正当化するものは、全体主覇国家の権力者の思想であります。(拍手)本法案においても、吉田内閣の公共の福祉が、今や国民の公共の福祉でなく、一部の少数資本家階級の福祉の別名にすぎないことを暴露して参つているのであります。(拍手)これは、自由と平和とは反対に、恐るべき反動と戦争への道を開くものであります。第二次世界大戦後、あの大きな犠牲の中から立ち上り、日本の自由と平和の民主のゆるぎなき基礎を打立てんとするわれら国民は、この動向に重大なる関心を払い、本法案の上に漂う妖雲の一掃を期さなければならないと考えるのであります。(拍手)
第三の反対の理由、それは、政府の労働対策、特に産業平和のための施策の貧困な点であります。さらに、政府が日本の労働組合と労働者階級に対してあたたかい理解を持たず、はなはだしく非協力的な態度があるのであります。産業平和が労使関係の正常にして健全な姿であり、争議は一時的な病気の状態であることは言うまでもありません。産業平和には、労働組合の健全化と相まつて、企業の健全化が必要なる要件であります。健全なる労働組合は健全なる経営の中に宿るものであると信ずるのであります。
しかるに、吉田内閣は、これにふさわしい施策につきましては、一つでも実施いたしているでありましようか。
日本の労働組合運動は、終戦直後の一時的な混乱状態から脱却して、今日急速に民主的な労働組合の正しいあり方に徹して参つておりますことは、国民ひとしく認めるところであると信ずるのであります。しかるに、企業経営の側にあつては、最近ますます利潤の追求に走り、自由放任に走り、本国会における独占禁止法改正の問題などにも見られるごとく、産業の民主化と公益の精神に逆行しつつあるのであります。炭鉱と電気の両産業のごときも、資本蓄積に急なるあまりに、労働者には低賃金と労働強化が強行され、労働災害と職場の事故は激増を示し、また国民経済と国民生活に及ぼす迷惑のごときは一顧だにされてないところの傾向が顕著であります。しかも、政府は、これに対して、公共の福祉は忘れたかのごとく野放しの状態であることも言うまでもありません。
私は、西ドイツが、敗戦後、今日生産力の非常な向上を示し、労使間の産業平和が確立している事実を注目しなければならないと考えます。これは、産業民主化の徹底により、生産協議会の制度が確立し、そこに労使、国民、第三者の代表を加えて運営されいるからでありまして、これはとつてもつて他山の石とすべきであります。しかるに、本国会におけるこの問題についての審議途中においての政府関係閣僚の答弁は、これに対して何らの関心も示していないのは、まことに遺憾と申さなければならないのであります。(拍手)
また政府は、炭労、電産の両争議の現状は、その後の組合の傾向から見まして、再び昨年冬のごとき事態を繰返すという心配のもとに本法案を提出をしているがごときでございますが、そうしてまた、それがゆえに本法案に対しましては三年間に限るところの有効期限を付し、臨時措置の立法であるという修正をいたして参つているのでございますけれども、われわれは、このような認識こそは、日本の労働組合運動と労働階級の動向に対するところのはなはだしい認識不足を暴露するものであると申し上げなければならないのであります。(拍手)
炭労、電産の両組合の幹部は、争議後における自己批判を行つておりますけれども、この内容について不徹底な点があることは、私もこれを認めて遺憾といたすものであります。しかしながら、両組合ともに、その内部の職場大衆は深刻な自己批判を行つて参つております。そうして、今日大きく転換をいたして参つていることは、御承知の通りであります。民主的労働組合は、大衆の批判と成長によつて正しく成育し、発展をいたすのであります。この成長の道をとざしてはならないのであります。従つて幹部に多少行き過ぎがあつたことを理由とし、これを鬼の首をとつたかのごとく取扱つて、健全なる労働組合運動の発展を将来にわたつて阻止することは、角をためて牛を殺すのたぐいであるのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/47
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048・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 菊川君に申し上げますが、申合せの時間が過ぎましたから簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/48
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049・菊川忠雄
○菊川忠雄君(続) 私は、かような点からいたしまして今日、日本の労働組合運動は、労働階級の要求もまた常に国民大衆の要求と相合して、その理解と調和させて、社会正義に立脚して解決されなければならないということを、この争議を通じて、日本の労働階級は大きな教訓として学びとつたということを信ずるのであります。日本の国民と、わが国会は、この労働階級の上に信頼を持ち、これに協力することなくしては、真の産業平和を打立てることはできません。(拍手)
遺憾ながら、本法案は、労働者を不遇のやからと呼び、労働争議をぜいたく物と見、さらに資本家あるを知つて労働者あるを知らないところの吉田反動内閣の伝統的な労働者敵視の所産であると考えるのであります。われわれは、まことに恐るべき悪性であると信じます。しかしながら、悪法もまた法であります。悪法は生れる前にこれを葬ることは、わが国会と、その国会における良心と責任でなければならないと信ずるものであります。(拍手)私は、かような意味におきまして、自由と平和と民主主義の名のもとに、本法案に対しては絶対に反対を表明いたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/49
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050・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 倉石忠雄君。
〔倉石忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/50
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051・倉石忠雄
○倉石忠雄君 ただいま上程せられました本案につき、私は自由党を代表して賛成の意を表明せんとするものであります。
わが国が最近独立を回復いたしまして以来、社会の一部にとうとうとして行わるる風潮は、占領政策の行き過ぎを是正するという言論の流行であります。もちろん、わが国情に沿わざるものは是正する必要もありましよう。しかしながら、われわれが死守してなお譲ることのできないものは民主主義であり、民主憲法の精神であります。わが自由党内閣の労働政策もまたこの民主憲法の理念に立脚したものでなければならないのであります。(拍手)
私どもは、本案の審議にあたりまして、この見地に立つて検討を加えたのでありまするが、政府がこのたび本案を提出いたしましたその動機は、昨年行われました電気産業及び石炭鉱業の大規模なるストライキに刺激されたもりであります。
〔副議長退席、議長着席〕
国民大衆の生活に非常なる迷惑をかけたにもかかわらず経営者も組合もその解決に誠意を欠いたことは、国民代芸として、私どもはきおあて道幅に存じたところであります。政府がこの労働界の客観的情勢に思いをいたし、このたび本案を提出せられましたる理由を私どもは十分理解し得るのでありますけれども、政府がいたずらに功をあせり、きわめて無準備に本案を提出されましたことは、委員会における審議の過程において明らかにせられたところであります。
法理論的に見まするならば、電気産業や石炭鉱業の争議は、公共事業令及び電気ガス臨時措置法及び鉱山保安法の改正をなすべきであり、労働立法としてあくまでも筋を通さんとするならば、労働関係調整法の第五章を改正すべきであります。しかしながら、今日の労働組合の動きを静かに観察いたしまするときに、応急の単独立法を必要とし、すでに存在する法律において明らかに違法なりと認定せらるべき労働争議の方法に対する法の解釈につき、とかく誤解を生じやすいものがあり、これを明確にいたしたいという政府の意見もまたやむを得ざるものと私どもは理解いたすのであります。しかしながら、もしわが国の労働組合の諸君が、真にその本来の使命に自覚せられ、健全なる労働運動が行われるようになりましたならば、本案のごとき不徹底な法律はすみやかに廃止せられることを私どもは強く希望いたすのであります。この意味において私は三年間の期限を付し、臨時立法的性格を与えんとすることに賛意を表するものであります。
本法案審議の過程において、社会党の委員諸君は、本案は憲法第二十八条の労働基本権を侵害するものであると論ぜられたのでありまするけれども、私ども国民の持つ基本的人権は、憲法第十二条の公共の福祉を尊重することを条件として許さるべきものであることを忘れた御意見であります。国民大衆に絶大なる迷惑をかけ、わが国産業の基礎を危うくしてまでも労働基本権をのみ主張せんとするがごとき議論は、社会党のみに通用する独善論であります。(拍手)右派社会党の諸君が支持する総同盟や海員組合、全繊のごとき、きわめてまじめなる労働組合は、全国労働組合総評議会の指導者たちが、昨年の電気、石炭のストライキに際し、総資本に対決せよとか、再軍備計画を粉砕せよとか、あるいはまた自由党内閣を打倒すべしなどという政治ストライキ的性格を持たせることに絶対反対を表明せられたことは、諸君御承知の通りであります。このように健全なる労働組合が発達して行くことこそ、私どもの待望するところであります。
私は、本案に賛成を表明するとともに、政府はすみやかに、本案のごとき間に合せの立法をもつて満足することなく、自由党の労働政策の基本線に沿うところの一貫したる労働政策を宣明すべきであると希望いたすと同時に、事業経営者もまた、このたびのごとき政治の恩恵の上に安眠をむさぼつて、いやしくも放慢なる経営をなさざるよう、さらにまた労働組合員諸君は、わが国産美の復興に、はたまたわが国民主化に最も重大なる役割を有するところの諸君の責任を十分自覚され、健全なる組合の発達を遂げられるよう強く希望しながら、本案に賛成する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/51
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052・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 青野武一君。
〔青野武一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/52
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053・青野武一
○青野武一君 私は、ただいま議題となりました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案並びに改進党の三年期限付の修正案に対し、日本社会党を代表いたしまして、ここに絶対反対の意思を表明するものであります。(拍手)
私が反対をいたしまする理由は、大別して五点になります。第一に、立法の動機が不純であり、立法手続が非民主的である。第二に、本法は法理論的に見て明らかに違憲立法である。第三に、労使対等の原理を無視した、労働者に対する明らかなる断圧法である。第四に、公共の福祉に名をかる、資本家の財産擁護の立法である。第五に、本法は緊急調整制度とともに、争議解決の促進には絶対にならない。以上申し上げました五つの反対理由を申し上げてみたいと思います。
政府は、このスト制限法案の提案理由の説明の中で、昨年の電産、炭労両争議によつて公共の福祉が重大な損害をこうむり、かつまた重大な脅威を受けたから、電気事業と石炭鉱業の特殊性と重要性にかんがみて、この両事業における争議行為の方法について規制するのだと言つております。また石炭争議においては、保安要員の総引揚げがすでに準備され、指令されておつた。あるいは電気事業のストライキにおいては、最後の段階において給電指令所の職場放棄ということまで指令されておつた。こういう事態になる、公共の福祉というものは重大な現実の脅威にさらされたと考えざるを得ない、これは政府の言つておることであります。従つて、政府は、労使双方がほんとうに自覚し、健全な慣行を確立して行くということを期待したいのはやまやまであるが、公共の福祉を放置することはできない、さらにこうも言つております。石炭鉱業の保安の問題については、他の金属鉱山等と比較して非常に違つた点がある、たとえば排水の問題にしても、またはガスの発生、爆発の問題にしても、あるいは落盤の危険性についても、非常に他の鉱業と違つた特殊性を持つておる、こういう電気事業、石炭鉱業の特殊性と、国民経済、国民の日常生活に対する重要性、最も基本的なエネルギーとしての基幹産業であるという重要性にかんがみて、公共の福祉を擁護するために必要な規制措置をするのである、公共の福祉を擁護するために、と申すのは、労使関係の調整の問題について新しい立法を意図したということではなしに、この両事業における争議と公益の調和をはかる、それによつて公共の福祉を擁護する、このような目的で規定をいたしたということを、労働委員会において説明され、またわれわれの質問に対しての答弁でも次々に繰返されたのであります。また、従つて今回の立法は、労調法とか労働組合法、そういう法律には全然関係がなく、単独立法として規定したということも言つておるのであります。
なお、この法律は争議権を否定するものではないと、しきりに委員会では強調いたしましたけれども、電気事業の事業主または従事する者は、争議行為として電気の正常な供給を停止すること、その他電気の正常な供給に直接障害を与える行為をしてはならないということを、はつきり法文の中には規定されておるのでございます。これは、電気事業におきましても、電源スト、停電ストあるいは給電指令所におけるストライキのような行為は、これから先は一切してはならない、かような行為は争議行為として正当なものとは言いがたいと、はつきり言つておるのであります。このようなことでは、政府が口で全面的ストライキの禁止法ではありませんと申しましても、スト行為の方法の規制ではなく、全面的なストの禁止法であることは明瞭であります。(拍手)昨年の両争議に対する、明らかにこれは報復的懲罰法規であることに間違いはありません。
私は、ここに大別して、五点にわたり反対の理由を開陳せんとするものであります。
まず第一点は、先ほども申しました、立法の動機が非常に不純であり、立法の手続が非民主的であるということであります。電産の争議は八十日を越し、炭労争議は六十三日に及んだのでありますが、生活権防衛の闘争がこのように激烈に、しかも長期にわたつた理由とその原因を公正なる立場から深く掘り下げて、政府は検討、究明したことがあるか。政府は、この長い組合の争議中においては、無為無策に傍観的態度をとつて来たことは、言をまたないのであります。(拍手)しかも、その渦中において、新聞紙の報ずるところによれば、いつも失言問題を巻き起しております吉田総理が、貧乏な日本でストライキをやるのはぜいたくだと放言をした。新聞に書いておることが事実とすれば、実に驚くべき暴言と言わざるを得ないのであります。不逞のやからとか、臣茂、——なことを言うな、————、こういう言葉はみな一連の繋がりを持つものであり、首相の貴族的、封建的な思想の中から生れて来たのが、事実上このスト制限法であります。(拍手)
労働組合法で認められた争議行為というものは、自由党の諸君はどういうことを考えておるかしりませんが、業務の正常なる運営を阻害する行為をいうのでありまして、争議とは労使双方の力と力の対決であります。(拍手)相手方に致命的打撃を与えない限り、解決は至難であります。日本の争議の歴史を顧みて、その感が特に深い。また、昨年の電産、炭労の争議が長引いたのは、これは経営者側の無理解と、賃下げと労働条件の低下をもつて対決して来たのが、その最大の原因であります。電産の争議中、消費者が停電に苦しんだのは、これは電産労働組合諸君の責任ではありません。主として大口電力の需用会社に優先的に大量送電をしたためである。特に軍需産業への送電は、中小企業者の犠牲においてなされたのである。しかも、スイツチの操作は電源ストとは関係なく、会社側によつてなされたものと私どもは聞いておるのであります。争議行為の停電スト、電源ストを一方的に禁止せんとしながら、しかも現在電産のストは解決をしておりながら、依然として停電が継続されておる。電力会社は野放しでもうけさせ、消費者に迷惑のかけつぱなし、文字通り公共の福祉を阻害している。この独占事業たる電力会社に対して、政府は何らの処置をもとり得ないではないか。(拍手)いかなる理由で手も足も出ないのか。政府よ恥を知れと私どもは申し上げておく次第であります。(拍手)
第二点といたしまして、本法は法理論的に見て明らかに違憲立法である。賛成討論をせられた倉石氏の意見を聞いてみると、なるほど憲法の一部には濫用することを戒めておりますけれども、憲法第十八条には、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」、強制労働を強要せらるる必要は絶対にないのであります。憲法が自由権の問題として規定しておりますストライキということは、言いかえますと、業務を休むということである。すなわち労務に服さないということである。労務に服す服さないは、労働者の自由である。(拍手)第十八条は、明瞭にこれを規定しております。なおまた第二十八条には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定されております。物価が上つたために食われない、労働者が賃金を上げろ、資本家は言うことを聞かない争議になる解決するまで業務に服さない、労働者にいやでも働けと言つて押しつけて行くのがこの法律であります。
団体行動の中核をなすものは争議権であります。争議権のない団体交渉権が、いかにみじめで不合理であるかということは、公務員及び公労法の適用を受けておる国鉄労組、全専売労組、全電通労組に対する仲裁裁定あるいは調停等から見て明瞭であります。政府は仲裁裁定を一度でも完全に実行したことがありますか。(拍手)仲裁裁定を無視し、公労法を蹂躪したのは、政府と与党の自由党の諸君ではなかつたか。(拍手)労働争議は、食えなくなるから起るのである。社会が悪いから、そこから生ずる生存権的な抗議として起るのである。資本家はもうけなければならぬ、労働者は食わなければならぬ、この労使が争議を通じて相争ううちに、その中から生きた一つの秩序と結論を見出す、このあり方は、わが国の憲法がとつた政策である。何人といえども、憲法の条文を侵すことはできません。勤労者の団結権、団体交渉権、争議権、団体行動権を保障しているのは、日本の憲法だけではありません。世界の民主国家はこの線を採用しているし、日本の労組法はその精神の上に立法されたものであります。団結力をもつて資本家に対抗する労働者を一方的に抑圧し、事実上全面的にストを禁止せんとする暴挙は、憲法違反であり、世界労働法制の歴史に反するもりであると私は断ぜざるを得ません。(拍手)日本の労働組合運動がいまだ育成期にある現在、組合運動の保護政策を弾圧政策に逆転せしめることは、純然たる労働問題以外の軍事的な目的が介在していると判断せざるを得ないのであります。(拍手)
第三点として労使対等の原理を無視した労働者に対する弾圧法ということであります。政府は、電気事業においてどんなものが争議方法として残されているかと質問いたしますると、電産においては、集金スト、検針ストあるいは事務スト等があります、これがある間は、従つて労使間の均衡はそこなわれるとは考えないのであります、と答弁をしておる。鉄面皮もはなはだしい答弁と言わざるを得ません。第二条に抵触するような行為があれば、それは正当ならざる争議行為となりまして、不当労働行為などの労働法上の保護を受けられないようにし、なお、民事上の損害賠償の免責と、公共事業令の八十三条と八十五条に触れると刑事上の免責もあわせて受けられない、このように抑圧をしておきながら、労使間の均衡がそこなわれないと言うがごときは、無知でなければ狂人の言葉としか受取れないのでございます。(拍手)ストの制限を受けた労働者の救済措置を講じないことは不都合であり、使用者側に対して何らの制限をも加えてないことは言語道断であります。電気事業が特殊性を持つものであるならば、その経営に参加させることが当然であります。
炭労争議は、七百万トンの貯炭をたてに、標準作業量の引上げによる当時の賃金の事実上一割四分の賃下げをもつて鉱業連盟は頑強に炭労と対立をいたしました。大手筋、二十六年度下半期の決算によると、北海道炭鉱が半年の間に十五億円、三井が十億円、三菱が九億円、日本鉱業が八億円、宇部興産が八億円、古河が七億八千万円、明治と住友が四億円、これらの十三社の利益総領が、昨年の下半期六箇月で合計七十五億七千万円となつておる。これは各社の重役や連盟の幹部が掘つた石炭ではありません。これはみな炭山の労働者が地下数千尺の軍労働を通じてもうけさせてやつた金額であるのであります。(拍手)六十三日間の血の出るような長期のスト中、連盟側は、賃上げは絶対にやらないと、中労委の最後案の出るまで一歩も引かず、労働者の悲痛なる叫びに耳をかさず、冷酷無情な態度に対して、涙をのんで、やむを得ず炭労は、法的に四%の保安要員を争議中引続き自発的に一三%出しておつたが、生きんがためには、遂に万策尽きて総引揚げの準備指令を出した。
争議開始後五十数日の間、石炭鉱山株はじりじり事実上上つておりました。連盟は、争議に対してこの一つの実例によりましても脅威を感じておらなかつた。しかるに、保安要員総引揚げの指令が一たび全国に声明せられるや、石炭鉱山株は見るも気の毒なようにがたがた落ちて行つたではありませんか。これは、彼らがいくら強がりを装うても、大きな打撃と脅威を受けた証拠であり、最後は七%の実質賃金引上げで解決がついたのでありますが、この長期ストの責任は明らかに連盟側の負うべきものであると私は考えるのであります。(拍手)
第三条の、鉱山の重要なる施設の荒廃または鉱害と言つておりますが、鉱山の重要な施設は国のものであり、国の宝であり、公共のものだと言つておりますが、事実はまつたく個人所有であります。つまり、使用者の持つておる生産手段である。この生産手段を大事に保護するために、大衆の生活権、労働者の労働権に圧迫を加えて、日本の労働運動を三十年若に押しもどそうとして狂奔しておるのであります。(拍手)
憲法や労組法を刀にたとえまするならば、この憲法で保障せられておる団体行動権——労働組合法の刀を木剣にすりかえようとしておる彼ら資本家陣営は、破防法という戦車、緊急調整法という爆弾、今度のスト制限法の迫撃砲をもつて、戦列を強固に固めんとしておるのである。これこそ民主主義の逆行であり、中央集権主義、国家権力主義、旧内務官僚の失地回復の陰謀がひそんでおると申し上げても過言ではありません。(拍手)義務教育学校職員法案、警察法の改正案、所得税法の改悪、独禁法の緩和等が、吉田内閣と与党の反動性を遺憾なく暴露しておるのであります。ろうそくのまさに消えなんとして余命幾ばくもなき吉田内閣の打倒を通じて悪法案を粉砕して否決するために、あらゆる民主勢力を結集し、特に総評四百万の同志とともに目的貫徹のために私どもは闘い抜くことを、ここにこの壇上から宣言しておく次第であります。(拍手)
第四点として公共の福祉に名をかる、資本家の財産擁護の立法であるということであります。公共の福祉という解釈は、時の政府や、自由党等の、この立法府における多数者や、あるいは裁判所の諸君の権力的な考え方や解釈で統一されるべきものではありません。社会の常識と、正しい国民大衆の多数のみがこれを決定しなければならぬ。単独立法で憲法を侵し、かつ公共の福祉が基本的人権の上位にのし上つて、あぐらをかくがごときは、人力車がハイヤーの上にのつかつて走つているようなもので、(拍手)われわれの常識ではとうてい判断することはできません。公共の福祉のために断行した炭鉱国管の際、反対運動に熱中し、疑獄事件まで引起したのは、炭鉱業者の賭旧ではなかつたか。明らかに、彼らは、当時公共の福祉を阻害したものである。それらの諸君と吉田内閣の閣僚が、このスト制限法を出しておるところの今日において、吉田内閣の閣僚数名が料亭に会合し、莫大な遊興費を使つて問題を起したことは、不謹慎もはなはだしいと私は言わざるを得ないのであります。(拍手)大資本家を擁護するため、公共の福祉に無関係な全国中小炭鉱の争議に対しこの法律を適用することは無謀に近いものであります。そこで働く労働者は、箱根の山中で追いはぎに裸にされたようなもので、政府のやり方はまさに越権、無謀の極と断ぜざるを得ないのであります。
最後の第五点としての反対理由は、本法は、緊急調整制度とともに、争議解決の促進にならぬことであります。争議解決の道は、会社側、すなわち資本家の態度が改善されることが先決条件であります。今回のスト制限法が立法化されるならば、さらに争議を長期化させ、紛糾の種をつくることになり、変転する客観情勢の中で、政府は再軍備態勢を強化し、警察国家を確立する一連の目標のために、電産、炭労に限らず、私鉄、日通、鉄鋼、肥料その他の産業に対するスト権剥奪の前提として、さきの公務員と同様の立場に追い込み、労働組合の抑圧と御用化をねらう一方、吉田内閣や与党のドル箱たる大資本家の擁護政策であると断じ、全日本の労働者諸君とともに、基本的権利を守り抜くため、本法案並びに改進党の期限付修正案に対しまして絶対反対の意思を表明し、私の討論を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/53
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054・大野伴睦
○議長(大野伴睦君) 森山欽司君。
〔森山欽司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/54
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055・森山欽司
○森山欽司君 私は、改進党を代表して、わが党修正案の見地から、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案に対して賛意を表し、討論を行うものであります。
昨年末行われた炭労及び電産の二大ストライキは、未曽有の長期にしてかつ大規模なものでありました。炭労ストの長期化による貯炭の減少は、年末輸送の逼迫するうちに、遂には列車の削減という事態を引起し、諸産業を初め消費者に対し、まさに重大な打撃を与えんとし、あまつさえ、争議の長期化は、保安要員の引揚げという非常手段をもあえてせんとする直前にまで立ち至つたのでありました。一方、電産のストライキについても、諸産業、特に中小企業に対して甚大な打撃を与え、停電ストは消費者から光明を奪い、その国民大衆に与えた困惑と衝撃ははかり知れず、労使双方のこうむつた被害が僅少であつたにかかわらず、社会一般に対する影響は実に深刻なものであつたことは、いまなおわれわれの記憶に新しいところであります。これらのストライキについては、経営者と労働者のそれぞれの立場において、賃金問題等につき、それぞれの言い分があつたには違いないといたしましても、その紛争の結果、争議に直接関係のない第三者たる消費者国民大衆に対して大きな被害を与えたことは、これを黙過することができないのであります。(拍手)なかんずく、炭労ストが列車削減という緊急事態まで引起しながら、保安要員の引揚げによつて、鉱山そのものを崩壊に瀕せしめるような破壊的手段まで指令するに至つたことは、国民大衆の立場から断じてこれを許すことができないのであります。(拍手)
特に、このストライキの背景をしさいに検討してみますと、組合自身の戦後派的安易さと、一般組合員の民主主義的経験の未熟さに乗じ、口には経済闘争と称しながら、その内容には、いわゆる再軍備反対等を目標とした政治闘争的傾向があつたことは、総評の運動方針より見て明らかであります。これは、総評の幹部諸君がいかに強弁し、いかに糊塗しようとも、現に総評内部において、民労連その他の組合主義者の手によつて、総評の政治闘争主義批判ののろしがあがつた事実をもつて見ても明白であります。しかも、このような内部批判に対し、総評幹部並びにこれと結ぶ主として左派社会党の諸君は、いささかも耳をかすことなく、依然として政治闘争激発主義の旗を振つておるのであります。(拍手)このような方式は、口に反共を唱え、共産党と一線を画すと称しても、共産主義者のいわゆる平和闘争主義に巧みに利用されつつあることは明らかであつて、(拍手)ここに、われわれは、総評並びにこれと表裏する一部左翼政治家諸君の指導する二大ストライキは、決して労使間の経済闘争のみではなく、彼ら特有の革命方式でもあると断言できるのであります。(拍手)
この二大ストライキに対して、これを非難して、あのように異常な国民大衆の感情が巻き起り、輿論による反発の気運が高まつたことは、国民大衆が直感的に、このストライキのうちに含まれる政治的意図を身をもつて感じたからであります。(拍手)従つて、われわれは、この二大ストライキに対して、経営者の立場を必ずしも是とするものではなく、むしろそのやり方に幾多の不満を持つものではありますが、そのストライキの内容が、単に労使間の自主的な話合いだけでは解決し得ない要素をも持つていたことだけは否定することができないのであります。
しからば、かかる労働情勢に立ち向う吉田自由党内閣の労働政策はいかがであるかといえば、経済的にはきわめて無計画な自由放任政策をとるのみであり、その結果、雇用関係において弱者の地位にある労働者の立場が苦境に追い込まれることは当然であるにかかわらず、労働者の経済的地位の向上及びその福祉の増進については、ほとんど顧みるところがないのであります。このような前世紀的な労働感覚は、問題の起るたびに、その都度これを弥縫するという、その都度政策となつて現われ、労使関係の根本的安定を招来せんとする計画的努力にまつたく欠けておるのであります。ここに、講和後のわが国の経済自立を考えたときに、現吉田内閣の不適格なるゆえすなわち不信任の理由の一端が存在するのであります。
次に、本法案の内容を見ますと、まず、これは昨年末現実に問題となつた電産、炭労の二大ストライキに対して、単独法をもつて規制する形をとつているのであります。しかるに、その後の両組合の内部事情を見ると、組合指導部が、かの大ストライキについて、いささかも反省する意思を持つていないことはまことに遺憾ではありますが、下部大衆の中には批判の声もかなり大きく成長しつつあり、しかも、組合自体もストの疲労よりいまだ脱し切らぬ状況下にあつて、実際に再びあのような大ストライキを繰返す蓋然性はほとんどないと言つてもよいのではないかと思われるのであります。政府が、従来の慣例を破つてかかる状況下に事前の審議会をもつて十分にこれを審議する努力をなさず、きわめて形式的な公聴会のみをもつてこれを強行したことは了解に苦しむものであります。もちろん、ストライキを禁止せよという国民の素朴な感情は了解できるとしても、政府が、かくもあわただしく、かかる立法方式によつたこと自体は、労働問題解決の政治的見地から考えるとき、いささか冷静を欠き、必要以上に感情過剰の感を深くするものであります。
さらに、この法案について何ゆえに公益事業あるいは基礎産業中、電気事業及び石炭鉱業のみを目的としたかという点を見ますと、制限を最小限ならしめるという趣旨のつもりでありましようが、それにしても、いわゆる公共の福祉の立場から見て、はなはだ断片的であり、割切れないものを感ずるのであります。事実、かかる形式の立法は、世界にほとんど類例を見ないものであると言つても過言ではないのであります。従つて、本法案について、かかる特別立法をまたずしても、既存の法律体系の中において、すなわち、あるいは判例の集積により、あるいは法文の解釈により、またあるいは法規の改正をもつて消化し得るという批判についても、私は十分な理由を認めるものであります。
次に、この法案は、両産業のストライキに対して直接の制限を加えております。政府の考えとしては、これを、従来から違法または不当なものであつたのを宣言または確認したものであると説明しているのであります。労働者の団体行動権が公共の福祉に反しない限度において認められるということは、すでに判例、学説上確立しているといたしましても、少くとも、具体的には電気事業については、政府の声明いかんにかかわらず、発電所等の職場旋棄が違法であり、あるいは不当であるというようなことは、学説、判例ともいまだ確立されていないのであります。従つて、政府の説明するごとく、単に宣言的、確認的なものにとどまらず、新たにそれらの職場の争議権そのものを否定しているという結果になつていることだけは明白なる事実であります。いわんや、これらの職場における小規模な職場放棄をも禁止することは、立法の趣旨たる公共の福祉の従来の解釈を拡張するものであります。その他電気事業、石炭産業について、ともに、本法案による争議行為規制の文言は拡張解釈の危険性があり、石炭業者及び電気事業者と世間周知の因縁関係にある吉田自由党内閣の性格上、特にこれを指摘せざるを得ないのであります。
そもそも本法案は、労働者の保護等の基本原理の上に立つている労働法体系の中にあるがごとくして、その実、労働法的原理に対する一切の考慮を払わず、特定の産業の労働者から、公共の福祉の名のもとに、むしろ治安法規の色彩をもつて一方的に争議権を制約するものであります。少くとも公益事業たる電気事業に対しては、労働関係安定のための何らの措置をも講ぜられておらず、きわめて片手落ちであることは、識者のひとしく指摘するところであります。また、国民世論の停電スト、電源ストに対する反感の本質は、争議行為というよりは、むしろ電気の正常な供給が確保されないという端的なる不安に由来することを思うとき、同様の結果をもたらす、いわゆる渇水停電が、単なる不可抗力とのみ言えない場合があるにもかかわらず、今日なお消費者たる国民大衆擁護の立場から、経営者に対する制約ないしは国家の電力政策に一歩の前進すら見られないことは、まことに遺憾であります。いわんや、吉田自由党内閣に、経営権の根本に触るるごとき経営協議会ないし利潤分配のごとき進歩的施策を期待することは、木によつて魚を求むるがごときたぐいであります。西ドイツの経済復興、なかんずく労使関係の安定は、経営協議会による共同決定法に基くことが大きいということを、ここにあらためて想起すべきであります。今や、われわれは、独立後の自立経済確立のために、かつてのイギリスのロノヤル・コミツテイの場合の、ごとく、真剣に、国民経済全体の中における労働運動、労使関係のあり方一般を、根本的かつ科学的に検討すべき時期であります。かかるときにおける吉田自由党内閣の労働政策が、国民大衆の素朴な願望をただ一片のストの禁止法の形をもつて提示したことは、まさに本末転倒と言わなければならないのであります。
以上のごとき観点から、われわれは本法案に対する幾多の欠陥を発見し、これを政府原案の形において承認することは、われわれのとうてい耐えられないところであります。しかしながら、両組合の政治的偏向と、両ストライキの国民大衆に与えた損害による輿論もまたわれわれは無視できないのであります。民主政治においては、民の声は神の声であります。よつて、われわれは、輿論の動向をひとまず尊重し、これを三年間の臨時立法として、その間に基本的労働政策を確立するとともに、労働組合の健全なる成長を期待するという趣旨に立つて、本法案を修正いたしたのであります。
同時にまた、われわれは、右の修正とともに、次に述べるごとき附帯事項を付するものであります。すなはち、第一に、電気事業に対しては、少くとも当事者一方の申請による仲裁制度のごときものを考慮し、さらに中労委の機能権限の強化をはかるべきである。第二に、電気事業については、消費者の立場を尊重し、さらに労使関係の安定を期するがごとき経営体制を整備せしむべきである。第三に、労働問題を根本的かつ科学的に検討し、労働政策を確立するために、労働関係審議会を設置すべきであるというのであります。
われわれは、本附帯事項を労働委員会において附帯決議として提案したのでありますが、与党自由党のいれるところとならず、多数をもつて葬り去られたのであります。この附帯決議案は、政府に対する要望事項でありました。しかし、与党自由党は、これを拒否し去つたのであります。それは与党自由党の労働感覚の欠如を如実に示すものであります。先ほど、倉石君は、自由党の労働政策云々と言われたが、私は寡聞にして自由党に労働政策があるということを知らないのであります。(拍手)もしあるとするならば、先に述べたがごとく、その都度政策でありましよう。かくのごとく無為無能にして、強権をもつてのみ労働問題に対処するというその見解の単純性は、目下問題となつている警察法の改正と軌を一にするものであります。
しかしながら、われわれは、命まさに明日に迫つた吉田自由党内閣にこれを求めるの愚かさをよく知るものであります。しかしがら、同時に、来るべきわが党内閣のプログラムの一端をここに提示することが、われわれの責務なることを確信して、ここに附帯事項を宣明し、修正案の立場より、現段階においてやむを得ざるものとして、本法案に賛意を表して、私の討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/55
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056・大野伴睦
○副議長(大野伴睦君) 木下重範君。
〔木下重範君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/56
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057・木下重範
○木下重範君 私は、ただいま議題となりました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案に対し、同友会を代表いたしまして、委員長報告の通り、これに賛意を表するものであります。
その理由の第一点は、本来、昨年起つた電産並びに炭労ストのごとき争議行為は、現行法でも禁止されておるものと考えているのでありますが、とかくこの解釈上疑義が起るので、本法案により、直截鮮明にして疑義を一掃し、この種の争議行為防止の処置をとられることは、まさに時宜に適した処置と言わなければなりません。(拍手)
およそ労働法関係の法規は、経営者と労務者、すなわち使用者と労働組合との関係を規制するものであつて、争議が両当事者以外の第三者の権利を侵害するような事態を惹起すれば、それ自体すでに争議行為といたしましては逸脱した違法行為となるのであります。
昨年の電産並びに炭労ストは、かつてない長期にわたる全国的な争議で、国民経済を脅かし、中小企業はもちろん、その他国民大衆に多大な損害を与えた優慮すべきストであつたことは、いまだに記憶の新たなところでありましよう。これは、事業の性質が公共的性格を有しており、国家基幹産業であり、公共の福祉を害することがはなはだしいからであるのであります。しかも、これらの争議によつて損害をこうむつた者は、その賠償も求め得られないという哀れな状態であつて、かくのごとき争議が許されないものであることは、一般社会通念からいたしましても、あまりにも明らかと言わなければなりません。(拍手)従つて、かような争議の禁止を望むのは、まさに国民の要請と言わなければならないと思うのであります。
労働組合においては、憲法第二十八条で、団結権、団体交渉権、争議権が保障されておるから、今回の法案のごときものは、不当に争議権を弾圧するもので、憲法違反であると言つておりますが、憲法第十二条、第十三条の規定でも明らかなように、その保障された行為も、横利の濫用となりあるいは公共の福祉に反する場合は制限されておるのであります。労働組合法第一条第二項においても、組合としての正当な行為のみが保護される旨の規定をあわせ考えるとき、昨年の電産、炭労ストのような争議は、逆に憲法違反の行為であり、労働法規にも反する違法争議と言わなければなりません。
これを法的に判断してみまするに、労働者のなし得る争議の限界は、労働組合が労務の提供を拒否することにより、使用者にいかに労働力が高価なものであるかを知らしめ、自己の主張を貫徹せんとするものであつて、労働力の拒否は、それ自体あくまでも消極的な不作為を本質とするものであります。
〔議長退席、副議長着席〕
しかるに、昨年の電源停電ストのごとく、水門やスイッチの開閉を行う等のごとき行為は、まさに作為に基く積極的行為でありまして、それは、いわゆる所有者の意思に反し、他人の設備を動かす生産管理行為であり、生産管理が違法行為であることは、現下のわが国においては、最高裁判所においても明らかに認めておるところであります。また、もし非組合員によつてなされる水門及びスイッチの開閉を威力をもつて妨害すれば、刑法第二百三十四条の、威力による業務妨害罪を構成するものであつて、違法行為であり、犯罪行為となるのみならず、一面、解雇の事由ともなるのであります。従つて、これらの行為がなされたならば、当不当の限界を越えた違法行為で、労働法規の保護を受け得ないものたることは論をまたないところであつて、これらの行為は、旧労調法第四十条の労働委員会の同意をまつまでもなく、ただちに解雇され得るのであります。このことは、労働法施行後の当初に起つた昭和二十三年十月二十一日の朝日新聞社の争議につき、昨年十月二十二日言い渡された最高裁判所の判例でも明らかであります。これらの法規と公共事業令第八十五条等の規定を考うるとき、昨年の両ストが違法争議であることは異論はありません。
しかるに、昨年のごとき重大争議が起れば、労働法規が特殊な性質を持つている関係上、とかく解釈に議論が起り、当不当、違法の限界につき、にわかに断定を下すことに躊躇させられるのであります。また、炭労ストについて考えますに、鉱山保安法第三条及び第五条の規定と保安要員引揚げについては、労調法第三十六条の規定の立法上の精神を正解すれば、当然違法争議と解釈されるのであります。政府も、この争議に対し、昨年十二月十五日の声明をもつて、国家の重要資源たる炭坑を防壊するがごとき行為は、労調法第三十六条をまつまでもなく、違法行為なることは明らかであると言つておりながら、断乎たる処置をとり得ず、遂に労調法に定むる緊急調整を発動せんとしたところを見れば、これが取締りをなすことは、依然法規の解釈につき、後日問題を残しはしないかというような杞憂もあつたからではないかと思うのであります。これらの点を考えるとき、この際、解釈論に疑義を残さず、またかくのごとき国民経済全般に影響を及ぼすような争議行為を当初より禁止するため、本法案を立案されることは、まことに時宜に適したものと言わなければなりません。(拍手)
しかるに、ある論者は、この立法は行き過ぎで、政府は緊急調整をもつてこれらの争議は食いとむべきだと主張しますが、緊急調整制度は、本来合法的ストが集約するとか激化するとかによつて、国民経済の運行の著しき阻害または国民の日常生活を危うくするおそれが現実に存するストについて発動されるものであつて、もともと違法なるストに適用されるべきものではないのであります、かりに、そうでないといたしましても、この命令に違反してストが強行された場合、二十万円以下の罰金にしか処せられないというありさまで、争議の中止に効果的でないのみならず、取締りに万全とは言い得ないのであります。
以上述べたあらゆる角度より検討を加えてみても、再びかくのごとき争議の起らないように、直截鮮明に法律をもつてこのことを明定することは、事情やむを得ざる処置と断じ、あえて本法案に賛意を表するものであります。(拍手)
理由の第二点、私は、昨年の両ストを考えるとき、日本は敗戦により極度に国力疲弊し、ようやく昨今生産復興の途上にある重大段階にあつて、あのような長期にわたる全国的ストにより、国内産業を麻痺させ、その発展を阻害し、国民経済を脅かすような争議は、断じて許されないものと痛感しておりますし、また労働組合も十分反省すべきだと思います。しかも、このストの性質が、生活水準向上のための賃上げ闘争すなわち経済取引のみなれば格別、その範囲を越えた政治ストの性格を帯びていたことは、まことに痛恨おくあたわざるところであり、これが国家再建の一大障害たることは論をまちません。(拍手)しかし、私は、健全なる労働組合育成のため、自己反省によつて再びかくのごとき違法争議が展開されるおそれがなければ、あえて今日ただちに本法案を立案決定しないでもよいのではないかと考えたのでありますが、昨年の両ストに対し、総評管下り全繊維等単位四組合が、今回の争議行為は行き過ぎ行為であると批判し、自己反省をなすべきたと主張したのに対し、総評では行き過ぎ行為でないとの見解をとつたことを、皆様何と思いますか。このことにより、私は再びかくのごとき争議を繰返される危険なしと言い得ないのであります。この見地より、政府のこのたびの立法処置はやむを得ないものと考えておるのであります。
以上二点をもちまして私は政府原案に対して賛成をするものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/57
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058・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/58
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059・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/59
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060・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第五、輸出信用保険法の一部を改正する法律案、日程第六、不正競争防止法の一部を改正する法律案、日程第七、鉱業法の一部を改正する法律案、日程第八、国際的供給不定物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、日程第九、火薬類取締法の一部を改正する法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事高木吉之助君。
〔高木吉之助君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/60
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061・高木吉之助
○高木吉之助君 ただいま議題となりました輸出信用保険法の一部を改正する法律案外四法律案の、通商産業委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
最初にへ輸出信用保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、制定以後数次にわたり改正を行い、現在四種類の保険を包含する制度に発展しているのでありますが、最近の輸出取引の実情にかんがみ、なお制度上改善追加を加え、本制度の利用度を高め、普及をはかることにより、輸出振興に資せんとするのであります。
本改正案の要点は次のごとくであります。第一に、輸出手形保険制度の創設でありまして、これは最近貿易の正常化に伴い、信用状なしの輸出取引において、代金回収のため振り出された為替手形が不渡りとなつて銀行が損失をこうむる危険があるため、その損失をカバーするための制度であります。なお、手形の不渡りが輸出者の責めに帰さない場合は、銀行は政府から支院払いを受けた保険金の限度において振出人に遡求しないこととし、輸出者の保護を行うことといたしておるのであります。第二といたしましては、プラント輸出に適用されます乙種保険の適用範囲を拡大し、工業所有権などの技術的役務の提供について保険し得ることとしたのであります。第三に、丁種保険の適用地域をドル地域以外にも及ぼしたのであります。第四といたしましては、現行法の甲、乙、丙、丁の各種保険を普通輸出保険、輸出代金回収保険、輸出資金融通保険、海外広告保険に名称を改めたのであります。以上が本改正案の要点並びに要旨であります。
本改正案は、二月十八日当委員会に付託せられ、越えて二十日、政府委員より提案理由の説明を聴取したのであります。二月二十五日質疑に入り、三月五日、十二日の二日間にわたり、政府委員と当委員の間に、法案の内容及び関連事項にわたり詳細に熱心な質疑があり、十二日、私より本案に対し修正案を提出したのであります。その内容は会議録を御参照願います。
十二日質疑を終了し、討論を省略して採決に付しましたところ、全員一致をもちまして修正案並びに修正部分を除く原案を可決すべきものと議決した次第であります。
次に、不正競争防止法の一部を改正する法律案につき御説明申し上げます。
まず、本法律案の要点を申し上げますと、第一に、虚偽の原産地表示等を付する行為について、その範囲を拡張いたしたのであります。第二としまして、ぶどう生産物の原産地の地方的名称でありまして、普通名称となつておりますものに関する特例を設けたのであります。
本法律案は、二月十九日当委員会に付託せられましたので、二十三日政府より提案理由の説明を聴取いたしました。
次に、鉱業法の一部を改正する法律案につき御報告申し上げます。
まず、本法律案の要点を申し上げますと、第一には、鉱業と一般公益その他の地上の利益との関係につきまして、社会の実情により適応した調整規定を設けたことでありますが、具体的には、公益のためにする鉱業出願不許可の要件及び鉱業権の取消しの要件を従来より拡張したことであります。第二は、公益のためにする鉱業権の取消し処分により鉱業権者に損失を与えたときは、財産権としての鉱業権を保護するための損失の補償規定を設けたことであります。第三には、鉱物出願の処理を促進するための規定を設けたことであります。第四は、昨年四月平和条約により、在日朝鮮人等は日本国籍を喪失したわけでありますが、現行鉱業法には、国際条約に特別の定めのある場合を除き、鉱業権は日本国民または日本国法人に限つて享有できることになつておりますので、従来在日朝鮮人等が持つていた鉱業権は昨年四月より持てなくなつたのであります。しかしながら、さきの日韓会談の中にも、何らかの条項が加えられるものと期待していたいきさつ等より、この際特に、これら国籍喪失者の鉱業権を来年四月二十七日まで引続き保有させることとしたことであります。
本法律案は、二月十九日通商産業委員会に付託せられましたので、二月二十三日政府委員より提案理由の説明を聴取いたしました。
次に、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律条について御報告いたします。
本法律案の要点を申し上げますと、現行法の有効期間は本年三月末日までとなつておりますが、現下の国際需給情勢のもとにおきましては、依然としてニッケル、コバルト等国際的供給不足物資等の需給を調整することが必要と思われますので、有効期間をさらに一箇年間延長しようというのであります。
本法律案は、二月十九日通商産業委員会に付託されましたので、二月二十三日政府委員より提案理由を聴取いたしました。
次に、火薬類取締法の一部を改正する法律案につき御報告申し上げます。
本法律案の要点を申し上げますと、従来、煙火の消費につきましては、銃砲火薬類取締法により、また昭和二十一年ポツダム共同省令で、兵器、航空機等の生産制限に関する件が施行になりましてからは、この省令によりまして法的規制を加えておりましたが、昨年十月、この省令が失効いたしました結果、仕掛煙火、打揚煙火の消費につきましては、現在何らの法的規制がないのでありますが、災害防止の観点から、この際、一定数量以上の煙火の消費につきましては、所要の改正を加えているのであります。次に、煙火の消費に関する事項以外に、現在この法律の適用除外となつております玩具用煙火その他の火工品の範囲を法的に明確にするとともに、火薬庫の譲り受け等の許可制度を簡素化する等、所要の改正を加えているのであります。
本法律案は、三月二日通商産業委員会に付託されましたので、三月四日政府委員より提案理由の説明を聴取いたしました。
輸出信用保険法の一部を改正する法律案を除く四法律案の質疑は三月十二日行われましたが、その詳細は会議録を御参照願いたいと思います。
これら四法律案の採決は、三月十二日、質疑終了後、討論を省略して行いましたところ、各党とも異議なく、全会一致をもつて可決いたした次第であります。
以上御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/61
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062・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 五案を一括して採決いたします。日程第五の委員長報告は修正でありまして、日程第六ないし第九の委員長報告は可決であります。五案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/62
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063・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて五案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/63
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064・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第十、航空機抵当法案、日程第十一、日本航空株式会社法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長逢澤寛君。
〔逢澤寛君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/64
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065・逢澤寛
○逢澤寛君 ただいま議題となりました航空機抵当法案及び日本航空株式会社法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を報告申し上げます。
まず、航空機抵当法案について申し上げます。
現行の金融取引におきましては、航空機を担保に供するには譲渡担保の形式によるほかはないのでありますが、これは法律上不備であり、取引の安全を害するおそれが少くないのであります。よつて、この弊害を除去するため、航空機についても抵当制度を設けようとするのであります。
本法案は、三月十日本委員会に付託され、十二日政府より提案理由の説明を聴取いたしましたが、趣旨並びにその内容ともきわめて明瞭かつ妥当のため、質疑討論を省略し、ただちに採決の結果、起立総員をもつて政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。
次に、日本航空株式会社法案について申し上げます。
本法案は、わが国の航空事業の現状にかんがみまして、航空事業に対する積極的な助成策として、予算の範囲内におきまして政府が出資し、一方民間資本をも結集して強固な基礎を有する新たな日本航空株式会社を設立し、わが国独自の国際航空運送事業の発展をはかろうとするものであります。
本法案は、去る三月二日本委員会に付託され、翌三日政府より提案理由の説明を聴取し、五日、十一日熱心な質疑が行われましたが、内容は会議録に譲ることといたします。
次に、自由党關谷勝利君より、第十一条による認可条項を削除するよう修正動議が提出されました。十二日討論に入り、日本社会党右派田原春次君より、希望条件を付して賛成の意見が述べられたのであります。かくて、修正案について採決の結果、起立総員をもつてこれを可決し、引続き修正部分を除く原案について採決の結果、これまた起立総員をもつて可決し、本法案は修正議決すべきものと決した次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/65
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066・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。日程第十の委員長報告は可決でありまして日程第十一の委員長報告は修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/66
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067・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
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第十二 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/67
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068・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第十二、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。
〔淺香忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/68
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069・淺香忠雄
○淺香忠雄君 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は、日雇労働者の業務外の事由による疾病または負傷及びその被扶養者の疾病または負傷に対して、政府が保険給付を行うことによつて、その生活の安定に寄与することを目的といたし、かつ経理を明確にいたそうとするものであります。
この法案は、本委員会に付託せられて以来慎重審議の後、昨十二日討論を省略して採決いたしました結果、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/69
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070・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/70
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071・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
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公職選挙法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/71
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072・山崎岩男
○山崎岩男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出、公職選挙法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/72
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073・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/73
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074・岩本信行
○議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
公職選挙法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。公職選挙法改正に関する調査特別委員長大村清一君。
〔大村清一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/74
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075・大村清一
○大村清一君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の提案理由を、きわめて簡単に御説明いたします。
さきに本院を通過いたしました公職選挙法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、公職選挙法の規定を準用しておりまする漁業法及び農業委員会法の関係条文の事務的な整理を行う必要がありますので、特別委員会において本案を起草の上、ここに提出いたした次第であります。
何とぞ御賛成あらんことを希望する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/75
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076・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/76
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077・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
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消防施設強化促進法案(内閣提出)
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/77
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078・山崎岩男
○山崎岩男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、消防施設強化促進法案及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/78
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079・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/79
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080・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
消防施設強化促進法案、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長青柳一郎君。
〔青柳一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/80
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081・青柳一郎
○青柳一郎君 ただいま議題となりました消防施設強化促進法案に関し、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。
御承知の通り、年々増加する火災の損害に対し、市町村の消防施設はきわめて不完全なものでありますが、現下の窮乏せる地方駐政をもつてしては、とうてい思うような措置を講ずることができないのでありまして、ここに国庫助成の必要が生ずるのであります。しかるに、消防組織法第二十五条の規定によりますと、国庫補助金を出すには別に法律を制定しなければならぬことになつておるのであります。ところが、従来まだこの法律が制定せられておりませんので、今回本法案が提出せられたのであります。
本法案は、本文七条及び附則一項からなつておる、きわめて簡単なものでありまして、国庫補助に関する具体的事項を定めたものであります。
本法案は、二月十九日内閣より提出せられ、二月二十七日政府委員より提案理由の説明を聴取した後、三回にわたり委員と政府委員との間に質疑応答を交え、三月十三日質疑を打切り、同日討論採決の結果、全員一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
次に、ただいま議題となりました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
本改正案の提案の理由並びに改正の内容は、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律は、衆議院議員及び参議院議員の選挙、最高裁判所裁判官国民審査等につき、適正かつ円滑なる執行を確保するために、都道府県及び市区町村に交付する選挙執行経費の基準を定める目的をもつて、昭和二十五年五月に制定されたものでありますが、昨年十一月公務員の給与基準が改訂されましたために、このたび改正を必要とするに至つた次第であります。
その内容は、公務員の給与基準の引上げに伴い、選挙事務に携わる都道府県及び市区町村の吏員に支給される超過勤務手当額を改訂しようとするものであります。
本法案は、三月四日提出せられ、三月九日、本多国務大臣より提案理由の説明を聴取し、三月十三日質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/81
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082・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/82
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083・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
議事日程は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101505254X04019530313/83
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