1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十六日(火曜日)
午後一時四十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小泉 秀吉君
理事
岡田 信次君
高田 寛君
小酒井義男君
委員
入交 太藏君
植竹 春彦君
仁田 竹一君
一松 政二君
小野 哲君
高木 正夫君
内村 清次君
中村 正雄君
前之園喜一郎君
鈴木 清一君
政府委員
運輸省鉄道監督
局 植田 純一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
説明員
日本国有鉄道総
裁 長崎惣之助君
日本国有鉄道経
理局長 高井 軍一君
日本国有鉄道営
業局長 津田 弘孝君
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本日の会議に付した事件
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○公共企業体等労働関係法第十六條第
二項の規定に基き、国会の議決を求
めるの件(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/0
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001・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) それではこれから運輸委員会を開会いたします。昨日に引続きまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、公共企業体等労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を一括して議題といたします。すぐ総裁が来ることになつておりますが、ほかのかたはお見えになつております。追つて大臣も来ることになつております。
一応御質疑のおありのかたは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/1
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002・中村正雄
○中村正雄君 大臣がお見えになつてから質問いたしたい点もありますが、それまでに政府委員のほうで御答弁できまする点についてのみ御質問したいと思います。第一は、この前の委員会におきまして、大蔵当局に資料の要求をいたしておつたわけでありますが、本日大蔵関係の人は旦えておりませんし、又資料の提出も願つておらないわけですが、一応まあ同じ政府部内でありますので、国鉄の予算につきまして、この前質問しました点を運輸省側のほうから御答弁願いたい。それはこの前の委員会で質問しましたように、現化専売と国鉄と電電公社、三つの公共企業体に対しまするそれぞれ補正予算案が提案されておるわけでありますが、その予算のうち給与に関するものだけを拾い上げてみまして、私は国有鉄道側に対して非常に不合理だという点をこの前指摘したわけなんですが、繰返して申上げますると、十一月以降の給与の総額というものは、専売が二十二億になつており、国有鉄道が二百九十五億、電電公社が六十四億既定予算があるわけでありますが、このたびの補正によつて追加されておりますものが専売は十億、既定予算に対しまする四五%の増になつております。国鉄は百七億の増加、既定予算に対しまして三六%の増、電電公社は三十二億、既定予算に対しまして五〇%の増、この増加率を見ますると、国鉄が一番低くて三六%、電電公社が五〇%の増になつておる。而も先般大蔵省の説明によりますると、給与の基準というものは一応国鉄側が一番率では高いような御説明があつたにもかかわりませず、増加されております予算面から見れば、非常にその点が不合理になつておる。国有鉄道の賃金の増加率が三六%で、なぜ電電公社の増加率が五〇%とこう開きがあるか。これに対して国有鉄道としてどういうふうにお考えになつておるか。国鉄並びに運輸省側から各公共企業体の給与に対しまする予算の比較の面からの御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/2
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003・植田純一
○政府委員(植田純一君) 実は国鉄と専売公社或いは電電公社との数字的な比較につきまして資料を持合わしておらないのでございまするが、現在の給与ベースにおきまして、専売公社におきましては一万四百円、かように承知いたしております。又、電電公社におきましては現在の給与一万五百円、かように承知いたしておる次第でございます。この点におきまして、国鉄の給与ペースと現在におきまして或る程度下廻つておると、かような観点から或いは増加額におきまして或る程度の比率の差が出たんじやないかと、まあかように存じて想像いたしておるわけでございまするが、なお、御指摘の点につきましては、更に資料によりまして明確なことにつきまして御説明さして頂きたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/3
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004・中村正雄
○中村正雄君 私のお尋ねいたしておりますのは、勿論現在の国鉄、専売、電電との給与の基準賃金は違つておるのは承知いたしておりますし、それがまあどの程度上るかという額につきましても、政府原案については大体了承いたしております。ただ上ろ金額の総額でなくて、この前大蔵省当局の御説明によりますると、電電公社並びに専売公社に対しまする基準賃金というものは、現行ペースの約二〇%の増で予算を組んでおると、こういう説明があつたわけであります。従つてほかのものが平等であれば、既定予算に対しまして大体二〇%内外の給与総額の増になるはずであります。又国鉄の場合は現在一万一千円弱のものが一万三千四百円になるわけでありますから、一二〇%以上の基準賃金の増になります。従つて基準賃金というものの上る率は、電電よりも専売よりも国鉄のほうがパーセンテージは多くなつておる。従つてこの基準賃金に比例いたしまして附属給その他が上るといたしまするならば、上る率がどの程度上るかは金額によつて変りまするけれども、上ります率は電電よりも専売よりも国鉄のほうが率が多いという、大蔵省自体の予算基準から考えれば結論が出るわけなんです。ところが現実に出ておりまする総額を計算しますると、今言つたように国鉄が既定予算に対しまして三六%の増で一番少い。電電、専売は五〇%、四五%という増加になつておる。これは基準賃金において大蔵省当局は電電、専売は二〇%の増であると言つておりますが、それ以外の附属給与におきまして恐らく大幅な増額を見込んでおるのじやないか。そうすれば国鉄自体においてもそれと同じような給与予算の大幅な増額をしなければ、大蔵省の言つておる予算の基準と結果が合つておらない。大蔵省自体から正確な資料をもらわないと断定はできませんが、少くとも国鉄において、運輸省におきまして自分とこの管轄の予算だけを取ることに汲々として、ほかの電電公社や専売公社がいろいろな面におきまして、基準賃金においてはそう取らないけれども、ほかの面において給与総額の枠を非常に拡げておるということになれば、私は運輸省なり国鉄自体の責任者において余りにも無能ではないか、こういう考えを持たざるを得ない。従つて私の申上げる数字が合つておるか違つておるかは御検討願つて結構ですが、少くとも四、五日前の委員会で私は質問をして、大蔵省当局の資料を要求をしておつたわけでありますので、大蔵当局からこれに対しまする資料を提出するまでに、若し国鉄において、運輸省において私の質問の趣旨を考えて、これは国鉄は不合理だとお考えになれば、これから資料を検討するというような怠慢じやなくして、そのときに国鉄なり運輸省自体から直ちに検討して、大蔵省にはつきりした試案を出して、私はこの委員会で御報告なり御答弁を願うのが至当じやないか。今の質問に対する答弁は、一応資料を検討しますと言つて、余りにも自分の企業体の予算について、従事員の給与について余りにも無関心過ぎると私は思うのですが、これに対して運輸当局並びに国鉄当局の首脳部はどういうふうにお考えになつておるか、御答弁願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/4
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005・植田純一
○政府委員(植田純一君) 甚だ申訳ない次第でございまするが、その点の御指摘につきまして早速検討さして頂きたいと思います。私案はその間出席いたしておりませんでした事情もございまして、責任者といたしまして甚だ申訳ないと思つております。早速その点を検討したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/5
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006・中村正雄
○中村正雄君 国鉄はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/6
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007・高井軍一
○説明員(高井軍一君) 先般御指摘のありました率でありますが、これにつきまして早速、質問はお話のように大蔵省のほうの点であつたのでありますが、私どもといたしましても、この数字を検討いたしたいという点に考えておつたのでありますが、いろいろな手違いで現在その数字まで的確にこういう数字であるということにつきまして、よそとの比較においてお答えすることができないのを残念に思います。ただ私どもの推察によりますと、そこの超過勤務の、勤務手当の関係、特に私どものほうは輸送増というものを見ております。そちらとの関係がどういう工合になつておるか。又特別手当関係におきましても、よそと率が違うのでありまして、そういうような関係からそこの差が出ておるのじやないかというように考えるのでありますが、これが具体的によそとの比較においてどれだけの数字がどうなつておるということまで検討いたしておりませんのを遺憾に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/7
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008・中村正雄
○中村正雄君 検討のないのについて幾ら議論しても如何かと思いますので、一応次回の委員会までに国鉄の増加と、他の公共企業体の増加と、これだけなぜ開けるかという点につきましての事情を、十分御検討の上御答弁願いたいと思う。同時に一応私の考えております点は、今言いましたような、私の申上げた数字が、計算の仕方が間違つておれば幸いでありますけれども、大体再三再四検討しましたので、予算に載つております面では、あながち間違いはないということも申添えまして次回までに御検討願いたいと思います。
次に運輸大臣まだ見えておりませんので、運輸省の関係者と国鉄の総裁に私一点根本の問題についてお尋ねしたいわけですが、それは仲裁委員会の裁定に関する問題であります。仲裁委員会の裁定がどうあるべきかという理論的な問題につきましては、もう重々やつておりますので、議論を省略いたしますが、ただ一応この点についてはどうかということだけお聞きしたいわけでありますが、今政府の考えておりまする仲裁委員会制度のあり方、国鉄当局の考えておりまする仲裁委員会のあり方なり、或いは公労法の解釈によりますると、公共企業体におきまする賃金争議というものは、一応当事者間の団体交渉でやる。併し団体交渉でやるといたしましても、当局側には予算の枠というものがありますから、枠を越えての団体交渉の妥結はあり得ない。枠を越えての賃金争議の解決は団体交渉ではできない、こういうようになつております。従つて次は調停委員会に行く。調停委員会の調停は拘束力がありませんから、今までの例を見ましても、最後は仲裁委員会に行く。そうして仲裁委員会の裁定が出ますけれども、この裁定は賃金争議に関しまする限りにおきましては、必ず現在の予算では履行することのできない裁定が出ることは、従来三回の例に徹しても明らかであり、実際上考えましてもいつの場合でも予算上不可能な裁定が出るということは当然予想されます。その場合におきまして、最後は国会に政府は出して来る。そうして国会において承認願うならばそれによつて予算措置を講ずる。国会が不承認という場合はその裁定の効力は消滅すると、こういう解釈をおとりになつて、このたびの裁定も国会に提案になつておるわけでありますが、こういたしますると、公共企業体に関しまする賃金争議というものは、第一審が調停委員会であり、第二審が仲裁委員会であり、第三審が国会になつて来る。従つて公労法をこしらえましたときの精神というものは、一応公共企業体の賃金争議は仲裁委員会でピリオドを打つ。ただ政府なり国会はこれに関係する限度において関与するということで、最終の決定は仲裁委員会という第三審的な機関によつて解決をつけるというためにできたものでありまするが、実際の取扱を見ますると、国会が最高の機関になつておる。一審が調停委員会、二審が仲裁委員会、三審が国会となつておる。仲裁の裁定自体の諾否の決定権は国会が握つておる、こういうふうな結果になつておるわけでありますが、こうなりますると、公労法という法律をこしらえた精神に私は反した結果になつておると思う。これにつきまして、国鉄の総裁はどういうふうにお考えになつておるか。運輸省としてはこういうあり方が正しい賃金争議解決の方法であるとお考えになつておるかどうか。この点につきましてのお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/8
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009・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 只今のお話、実際上はお話の通りじやないかと私考えます。併し立法当時の置き方、考え方というものについては、私当時御承知の通りの境遇にありましたからよくわかりません。わかりませんが、事実は今中村委員がおつしやつた通りになつておるのじやないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/9
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010・植田純一
○政府委員(植田純一君) 只今御指摘の三十五條、十六條の関係でございまするが、確かに立法上いろいろと議論がございますことと存じますし、又立法当時の本当の精神は、或いはどうであつたかという点につきましても、詳しく承知いたしませんが、現在の法規解釈といたしましては、只今もお話ございました通り、予算上、資金上可能な部分につきましては、国会が峯審と申しまするか、或いは自主的国会が裁定の拘束を持つような決定すると申しまするか、御指摘の通りの解釈をとつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/10
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011・中村正雄
○中村正雄君 現在の姿は私たちの見ておるものも、政府なり国鉄の御覧になつておるものも同じ姿だろうと思つて、又それに対する同感の御答弁があつたわけでありまするが、そういたしますると、公共企業体労働関係という法律自体、仲裁委員会という制度自体が単に公共企業体内部におきまする賃金事議については、無駄な経費と、無駄な時間と、無駄な手続を規定するだけであつて、何ら益するところがない。それよりも公共企業労働関係法ができまする以前の姿、言い換えれば公共企業体の労働組合と直接、公務員と同じように、政府との交渉によつて賃金問題を解決するこいうのが、一番直接的な争議解決の方法であり、最も簡単な方法ではないか。結論におきましては、それと同じなような最後の段階に追込んで来るために、公労法という法律がありますために、廻りくどい手続と時間を費しているだけであつて、従つて最初の公労法制定の精神につきましてはいろいろ考え方もありましようが、少くとも私たちがこの国会におきまして公労法をごしらえましたときの精神と、現隻の姿は相当変つておる。こういう現実の姿になるのであれば、何も私は公労法をこしらえる必要がなかつたと思います。そういたしますると、現段階が公労法をこしらえろ必要がない。もう端的に労働組合と瀞府との直接交渉、全労法制定以前の弊でやつても何ら変りがない。そのほうが時間が少くて済むし、又仲裁制度その他の国の経費を食います委員会を評ける存在価値がなくなつておる。言い換えれば、このたびの三回目の仲裁委員会の裁定をめぐりまする政府の方針によつて、はつきりと公労法自体が存在価値がないということは、もう一つの既成事実ができた、こういうふうに考えざるを得ない。従つてこの制度に対しまして、国鉄当局として、政府として再検討しなければいけないというお考えをお持ちになつておるかどうか。この姿のままでよろしいという太うにお考えになつておるかどうか。この基本理念につきましての御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/11
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012・植田純一
○政府委員(植田純一君) 只今の仲裁委員会に対する基本的な面につきましてのお尋ねでございまするが、本来の仲裁裁定に対しましても、政府といたしましては極力この裁定を尊重いたしまして、措置いたしました次第でございます。毎々御説明申上げておりますように、実施時期の点におきまして十分裁定通り実施できない事情にありますことは甚だ遺憾でございまするが、併しながら、この仲裁委員会の裁定、そういうものにつきましては十分尊重して参るつもりでおりますし、今後よそういう気持におきましては変りはたいわけでございます。又給与の改訂につきましてのお話もございましたが、全面的でなくても、必ずしも全部が全部不可能なものと断定することも如何かと考えられるのでありまして、この三十五條と十六條との関係におきまして、この仲裁裁定が全然無意義であるというような断定はできないのじやないかと、かように考えております。従いましてこの仲裁委員会の制度、そういうものにつきましてのいわゆる無意義であるか、或いは又必要でないのではないかという御意見につきましては、必ずしも直ちに賛同いたしかねておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/12
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013・中村正雄
○中村正雄君 私はそういう形式論をお聞きしておるわけじやないので、結局政府が裁定をどう考えようかということは、これは国会に持つて来ますまでの経緯にあるわけでありまして、最終審を国会に置いておるという点につきましては、これは実質的には政府は国会の多数党で構成しているわけでありますから、政府の意思によつて裁定が自由になるという案質的な結果にはなると思います。併し私たちの見る目によると、ただ政府においては仲裁委員会制度は確かに私は有利であると思います。それは仲裁委員会に行くまでに、恐らく組合の要求は裁定に出ますよりは大きな要求を掲げておるわけであります。出ます要求は今までこれは過去三回の例でありますが、組合の要求よりも下廻る線に仲裁裁定が出ておりますし、恐らく今後も実際そういう線になることは、労働争議の常識から考えて想定できます。従つて政府は組合と直接ぶつ突かるよりは、仲裁委員会という中間機関を入れることによつて、組合の要求よりも下つた線が一つの対象になつて来るということで政府には有利であるかわかりません。反対に組合の側から考えれば、仲裁委員会制度があるために、而も仲裁委員会の裁定については必ず服従する、而も実施しなければいけないという慣例が確立されておりますれば別でありますけれども、この仲裁委員会の裁定は、形式上は国会が最終審になつておるけれども、実質上は国会の多数派で構成されておりまする政府の意思によつてきまるということになりますというと、お互いに要求が割引された仲裁委員会の裁定、それが基準になつてもう一つ切下げられるということであつて、仲裁委員会がなくとも政府と直接交渉できるのであれば、初めの要求賃金自体が争議の対象となつて、団体交渉で政府と交渉できることになつて、政府から考えれば仲裁委員会制度は一つの安全地帯となつて、緩衝地帯となつて有利であるかわかりませんけれども、現在の段階におきましては、現在の実施状態におきましては、組合にとつて仲裁委員会制度は無用の長物よりも、有害の制度であるという私は結論になると思います。従つてこういうあり方が私は公共企業体労働関係法をごしらえました精神とはどうしても考えられない。従つて運輸省としては、一概にこれを検討するというふうには考えられないと、こういうふうにお考えになつておりますが、政府だけの立場でなくして、公共企業体におきまする賃金争議というものを解決する上におきまして、仲裁委員会制度があるためにどういう利益があるかという、一つ利益があるとすれば、その点を政府から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/13
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014・植田純一
○政府委員(植田純一君) 勿論国鉄職員の給与という問題につきましては、政府といたしましても十分関心を持たなければならん。又現に持つている問題でございまするが、この場合の給与のきめ方におきまして、勿論政府独自のいろいろの考え、或いは又国鉄当局の考え方、或いは又組合の考え方、いろいろの点を政府といたしましては十分斟酌し、その他のいろいろの他の同種の従業員の給与、そういうような点を十分考えましてきめなければならん。又そういうふうに考えておるわけでございまするが、その場合に、いわゆる労使双方の話合いのきまらん場合に如何にすべきかということは、これはむずかしい問題でなかろうかと考えるのであります。そういう場合にいろいろと調停委員会、或いは又仲裁委員会という制度によりまして、いわゆる双方の事情のよくわかつた人、或いは又第三者的な立場にあられるかたがたで以て組織しておりますところのそういう委員会におきまするところの決定というものは、法規的におきまして調停委員会、或いは仲裁委員会、若干は違うといたしましても、政府といたしましてはその決定というものにつきましては、政府の態度をきめます場合におきまして十分な参考となり、又参考にしなければならん点だと思つております。そういうことによりまして国鉄職員の給与というもの、につきましても、より正常、より妥当な結果を来たすものであると、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/14
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015・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ちよつと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/15
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016・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/16
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017・中村正雄
○中村正雄君 今大体政府の御意見を聞いたわけですけれども、監督局長はちよつと答弁無理だろうと思います。従つて今度大臣がおいでになつたら、そういう現在の法規の制約を離れて、大臣自体が今後国鉄公共企業体の労働問題をどう処理することが一番妥当かという点についての御答弁を願いたいと思うわけなんですが、その前にこれはまあお互い運輸委員会としても、国鉄公共企業体のあり方については真剣に考え、やはり妥当な線を出さなくちやいかんという考えから御質問するわけでありますので、今まで私が政府委員に質問し、政府委員から答弁があつたわけでありますが、国鉄総裁として今の仲裁委員会のあり方、灸共企業体労働関係法のあり方につきまして、どういうふうなお考えがあるか、率直に僕はお話を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/17
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018・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) これは先ほども申上げましたが、立法当時の事情、或いはそういうことに関するどういうふうな経緯でできたものであるか、これはいずれ労働運動でありましても、或いはそれに関する立法でありましても、歴史的ないろいろな事実があつてできましたものと私は思います。そういう意味合いにおいて私が申上げることは、まだ私の研究が足らんと思うのでありまして、と申しますことは、当時特殊な境遇にありましたから、そういうことについての研究ができなかつた事情がございます。その点は御了承を願いたいと思います。併し現在又現われて来ましたものを見ますと、私は率直にお話を申上げると、やはりああいうものを作つた以上は、仲裁裁定の線を全面的に履行するということがいいのじやないかと思います。併し、と申しまして、中村委員のおつしやるように、あれが全面的に行われないから、無用の長物であるという結論まで行くことは、これは私としてもう少し慎重に考えなくちやお答えができないと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/18
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019・中村正雄
○中村正雄君 今総裁としての具体的に御答弁できない点もあるかと思いますが、この問題は運輸大臣がおいでになつたときに改めて質問するといたしまして、運賃法と公共企業体労働関係法の十六條の裁定の問題、二つに関連する問題にして、特に財政面について、国鉄の総裁並びに経理局長にお聞きするわけなんですが、第一の問題といたしましては、本年度の運賃改正に伴いまする増収として四十余億円の予算の収入を見ております、これはま土貨物二月、旅客一月十五日ですか、それを基礎にして作つたものと思いますが、一応運賃法の具体的な問題等まだ出されておりませんので、はつきり弘かりませんが、一般の社会の印象と」うものは、国有鉄道法としては、遺言を一割上げるということを一応社会は印象として受取つております。ところが実際新聞紙上その他或いは国鉄並びに政府から提案、提出されております資料によりますと、運輸収入全体におきましては一割程度の増収かもわからないが、一つ一つの運賃を区切つて肝上げて参りますと、一割以上の値上げになります運賃がたくさんあるわけたんです。これに対しましては、運輸省として、国鉄として対輿論的にどういうふうな御説明をなさるか。一応理論としては通乙かも知れませんが、輿論の受けておりまする印象は運賃の一割値上げとこうなつておるが、貨物運賃を例にとつても、定期、旅客を例にとつても一割以上値上げになつておる。これに対しましてどういうふうなお考えを持つておやりになりましたか、基本理念について御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/19
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020・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 只今中村委員からの御指摘の点につきましてお答え申上げます。今回政府におきましては、国有鉄道の運賃収入につきまして、おおむね一割の増収を上げるという方針を決定されたのであります。従いまして、一割の増収を実額において上げますための個々の賃率なり或いは制度なりをどうするかということにつきましては、我々としていろいろと苦心をいたしました次第でございます。で、例えば一例を旅客運賃にとりましてみましても、今回の三等の旅客運賃の値上げの最初の地帯と一キロから十キロに及びます地帯におきましては、現在の一円八十五銭を二円十銭にいたしております。これは率から申しますと一割三分五厘値上げということに相成つております。これは一割値上げという際に三分五厘余計に値上げするというのは、不都合じやないかというような御議論もあるかと思うのであります。旅客につきましては非常に細かい計算、距離別の人キロをずつと積み重ねまして、実際の運賃増収額を計算いたしております。それから又旅客につきましては、運賃の改正をいたしますると、必ず暫らくの間は利用減と申しますか、交通量が前年度に比べて落ちるというのがまあ従来の例でございます。今回におきましてもそういつたような利用減という点を見込みまして、総体といたしまして旅客総額の一割の値上げというようなことを計画いたしておる次第でございます。又貨物につきましては、貨物の賃率自体は大体おおむね地帯別に一割の値上げをいたしておるのでございます。案は今回の貨物の運賃値上げに伴いまして、かねて懸案であり、又国会方面からも或いは各産業からも従来非常に御要望のございました等級改正の仕事に着手いたしたのでございます。従来の等級を根本的に再編成をいたして、新らしい等級表を作成いたしたのでありますけれども、その等級の作成方につきましては、いずれ御説明をする機会もあるかと思いますが、国鉄総裁の諮問機関として等級審議会を設けまして、数カ月に亘りまして慎重に研究をいたしまして、その等級審議会の答申によりまして新らしい等級を作るに当りましては、貨物の負担力に先ず第一の重点をおく、次には輸送のコスト、原価と申しますか、これを第二の重点のおきどころとする、第三番目には公共的な考慮、公共性に基くところの特別の措置というものを第三の要素といたしまして、物資の取扱官庁でございます通産省或いは農林省関係とも十分に打合せをいたしつつ作業を積み重ねて参つたのでございます。こういつた等級審議会の答申に基きまする新らしい要素の決定、或いは新らしい物差に照しまして個々の物資の新らしい等級への当てはめをやつて参りますと、従来の等級に比べまして、物によりましては二割、三割、最もひどいものにつきましては四割も従来よりは値上りをするというものがございますが、一面におきましては又非常に値下りをするものもあるというような次第でありまして、総体といたしましては貨物におきましても旅客におけると同様に総体の収入は現在の貨物運賃の総額に対しまして一割ということに相成つておるような次第でございます。ただ貨物関係につきましては、従来に比しまして著しく値上りになるものにつきまして、殊にそれが生活必需物資である場合、或いは特定産業の原材料というようなものにつきましては、従来と余り格段の値上りをするというものにつきましては調整を加える必要があるであろうというようなことで目下その作業を主務省とやつておるような次第でございます。一割と言いながら、個々の具体的な場合には一割を越えろ場合があるというような問題は、恐らくそういつたような点を御指摘になつているのだろうと思います。総体の額といたしましては、飽くまで政府で考えておりまする一割の増収という次第であるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/20
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021・中村正雄
○中村正雄君 一応今の御説明によりますと、全体の収入において一割の増収ということを目途に運賃改正をやつたということは、一応我々としては十分わかるわけです。ただ輿論の受けております印象は、運賃の一割値上げということが非常に知られておりますので、物によつては二割も三割も、四割も上る、そうなると国有鉄道は一割値上げということを表向きに出しておいて、実際上は四割も五割も運賃を上げるという、一つの素朴なる社会感情と言いますか、そういうものは、余りにもいんちきだというふうに聞えて参つておるわけです。併し、これは理論的には十分わかるのですが、而もその中で貨物運賃等については、同時に等級改正をやる、それについてはまだ作業中だということで決定的にはなつておらないと思いますが、一つその点についてお伺いしたい点は、等級改正によつて一割の値上げというものが、一割以内にとどまるものもあるというお話だし、又四割以上にもなるものもあるというお話でありますが、一応生活必需物資と言いますか、大体重要な物資のうちで一割以下の値上げになるものと、一割以上の値上げになるものとで大体どういうものがあるか、今大体国鉄でお考えになつております作業の現段階において、二、三例示を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/21
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022・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) さつきの中村委員のお話の点でございますが、今回の貨物等級の改正に当りましては、等級審議会を設置いたしました点は先ほど申上げた通りでございますが、その際に根本的な一つの方針或いは枠といたしまして、現在の運賃総額に対しまして不増収、不減収、全体の額は不増収、不減収、なかんずく不減収という建前で参りたいということを特に総裁から発言いたしまして、その点につきましては等級審議会の各委員の御了承を得たような次第でございます。従いまして、総体の額につきまして、この等級改正によりまして増収も又減収もない、とんとんであるという方針は貫いたような次第でございます。それかり、さつきのお話の中にありました、大体一割値上げと言いながら一割以上云々ということにつきましては、これ任すべての現在の等級表に掲げてありまする物資につきましては、ただフラツトに一割の値上げをするということじありまするならば、これは等級改正の必要は全然なかつたわけでありまして、私どもといたしましては、それくらいやすい簡単な作業はなかつたのでございます。この等級を改正せよ、新らしい経済情勢に即応いたしまして、合理的な又均衡のとれた等級表を作成せよということは、もう朝野の非常な御要望でありまして、殊に昨年の十一月に鉄道の運賃の値上げをいたしました際に、国会におきましても殆んど條件のようになされたというような次第もございまして、今回は是非ともこの御要望に副うような等級の改正をしなければならないという段階に到達いたしておつたような次第でございます。従いまして、その結果が個々の物資につきましては、一割以上になるもの、又若干以下になるものもあるのでございます。その具体的なものにつきましては、只今お手許に差上げました資料の中で、終りから五枚目に、主な貨物の新旧等級比較というのがございます。これを御覧頂きますると、若干専門的になつて恐縮でございますが、ここに指数という欄がございます。等級は現在の貨物等級で石炭は六級である、それから改正の等級で七級であるということにいたしたのであります。細かい説明は省きますが、貨物の等級につきましては、従来は十一の等級がございました。それから今度は普通等級といたしましては十二の等級に当てはめたのでございます。その十二の等級がどうなつておるかと申しますると、初めから二枚目をおあけ頂きますると、一番右のところに一級から十二級までの等級と、それからそれの指数が出ておるのであります。この一級から十二級までの貨物をどういうような分類によつて区分をいたしましたかという点につきましては、右の表にありまするように、トン当りの価格が二百円までのものが十二級、四百円までのものが十一級、八百円までのものが十級、以下だんだんに或る一つの倍率を以て上つて参りまして、一級の貨物は百三十四万四千円これはトン当りの価格でございますが、百三十四万四千円以上のものが一級の貨物になる、こういうような等級にいたしたのであります。それ以外に公共的な措置、公共性に基くところの特別の措置といたしまして、特別の割引等級を二十一、二十二、二十三、これは番号におとらわれになる必要はないのでございますが、部内の整理上こういつたような特別の符号、番号を打つたのでございます。そういつたような特別等級、公共性に基くところの特別の措置を講じました物資をこの二十一、二十二、二十三の三つの等級の中に当てはめておるのであります。ここで指数と申しまするのは、各等級の間におけるところの何と申しまするか、階段、グレードを現わしたものでございまして、最下位の十二級は指数が七五である。それから一級が二〇〇である。その中におけるところの幅がここにあるような数字の段階を以て上下しておるというようなことでございます。二十一、二十二、二十三につきましても同様でございます。ちなみに現在の等級改正に相当するのが今御説明した点でありまするが、さつき十一級と申しましたが、この一級が二五〇でございます。それから十一級が五三というような指数になつておるのでございます。なおこれも等級をどういうふうに設営したかという点は、細かい問題になりますので、又別の機会に申上げたいと思いますが、そこで先ほど御指摘になりました主な物資につきまして、上つたもの、下つたものがどうなつているかという点につきまして、さつき申上げました表を見て頂きますと、先ず第一の石炭は、現在の等級が六級で指数が九五であつた。今度は改正が七級で指数といたしましては九五、これにつきましては変りがございません。その次の砂利、これは非常に値段の安い典型的な物資でございますが、現在が七級の指数が八五、今度は改正が十一級で指数が七九ということになります。これはパーセンテージにいたしまして七%の値下りをしておる、こういつたようなふうにずつと見て頂きますると、この値上率、値下率という所で御覧頂きますると、御覧になりまするような率で、各物資によりまして違いはございまするが、或るものは値上りをしておる、又或るものは値下りをしておるということが一目瞭然というわけでございます。ここで御覧になりまするように、例えば薪が現在に対しまして三九%の値上りをしておる。それから例えば生甘藷、生馬鈴薯が二五%の値上りをしておるというようなことで、今申上げましたような例によりましても、おわかりになるかと思うのでありますが、大衆の生活必需物資が先ほど申上げましたように、一定の物差によつて当てはめをいたしますると、このように値上り率が多くなるものがあるのでありまするので、これらの物資につきましては、更に調整の措置を講ずる要があるのであろうと思いまして、目下農林、通産両省と折衝を続けておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/22
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023・中村正雄
○中村正雄君 ちよつとあの主な貨物の新旧等級の比較の表でお尋ねしたいのです炉、仮に石炭を見ますと、現行九五で、改正九五になつておりますね。値上げ、値下げなしになつておりますが、これはいわゆる値上げ、値下げなしというのは、現行と同じ運賃という意味ですか。それとも値上げ、値下げなしのものは一割上りの運賃という意味なんですか、どちらなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/23
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024・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 只今お話のございました後段の場合でございまして、値上げ、値下りなしというのは、一割丁度の値上りになるということでございます。従いまして、薪のごときがこの例によりますると、三九%の値上りになる。更に一〇%の一般的な値上りがございますから、四九%、五割の値上げになる。これは余りにひどいではないかというようなことでありますので、そごに若干の調整を公共性に鑑みましてする。それは或いはこれ又専門になりまするが、減トンというような方法によりまして、貨車に載せる場合に、それぞれの貨車の表記トン数から、一定の改訂方式によりまして減トンをするというような方法もございます。或いは又遠距離の貨物に対しまして割引をする、当分の間続けるというような方法等によりまして、これを調整して参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/24
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025・中村正雄
○中村正雄君 減トン、その他の扱いは別ですが、当分の間割引をするという調整方法なんですが、これはどこに根拠をおいておるわなけんですか。言い換えれば薪にしましても、当分の間一割七分ということを一応割引しようごいうのが今の国鉄の考え方として、原案として出されておるわけなんですか、これはそのうちの大体薪の価格というものに対しまして、運賃が一応吸収されて安定されたときは、一割七分こいう割引は取消す、そういう価格が安定するまでの、言い換えれば価格の中に運賃が吸収されてしまうまでの間の割引というお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/25
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026・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 只今の点でございますが、こういうふうにずつと作業を個々の物資についていたして参りますると、現在に対しまして、二割、二割、四割というような物によりまして値上りの率が多いものがございますので、そこで農林省或いは通産省と打合せをいたしまして、現在に対しまして二〇%以上の、二割以上の値上りになるもの、それから又一般的に一割の値上げをそれに加味いたしますと、まあ三割以上の値上げになるものにつきましては三割になる程度まで割引等の方法によつて調整をする必要があろのではないかというようなことが今我々が考えておりまする一つの目安になつておるわけでございます。今の薪について見ますると、三割九分の値上りに標準的にはなつておりまするが、これから一割七分程度の遠距離割引をして、そういたしますと二割の値上げということになるわけでございます。二割程度、まあ、その程度で我慢をして頂く。その割引を続けろ時期、期間に関しましては、これ又すべての現在の経済取引というものが現在の運賃ベースの上に、現在の運賃なり制度なり、現在の秩序の上に組立てられておりますもので、余り急激な変化をいたさせるのもどうかというような点もございます。その点が考慮の重点でありまするので、価格の中に占める運賃の割合、或いは経済取引に対して今回の運賃値上げ、等級表の改正が余り大きな影響を持たないようになる時期というようなときまで考えたらばどうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/26
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027・中村正雄
○中村正雄君 一応こういう等級表につきましては、それぞれの理論的な根拠でおやりになつたと思うわけなんですが、この調整を一時的な割引であるとかいう方面でするということは、一応暫定的な措置としては考えられますけれども、これがとられる場合、やはりこれだけの値上りになるし、又これをとる時期がないとなれば、暫定措置が永久措置になるのであれば、やはり等級として別に考えるべきではないかという考え方を持ちまするし、ただ政治的にこれを見ますると、一応奇異の感じを受けますのは、理論的にはこの等級改正については相当な根拠があると思いますけれども、いわゆる値上率という欄を旦でみますと、生活に非常に必要なもののみが非常に大幅に上つておる。薪にいたしましても、木炭にいたしましても、甘藷、馬鈴薯にいたしましても、或いはふすまにいたしましても、鮮魚にいたしましても、食塩にいたしましても、或いは織物で行けば綿織物等が非常に上つておる。反対に現在の運賃よりも下つたものを見ますと、贅沢品が殆んど下つておる。二枚目を見ますと生糸が二八%下つておる。これは三八%下るごとに全体なるのですね。一〇%上げたわけですから。又絹織物二八、お酒三二、ビール二四というふうに、生活必需物資が殆んど二〇%以上上つておつて、贅沢品と称せられるものが二〇%以上皆下つておる。勿論理論的な根拠はあると思いますけれども、これを審議します我我として、政治的に見ますると、今度の等級改正というものが輿論的に与えます影響が相当問題になるという点を一応除けておきまして、具体的につきましての等級に関しまする質問は後日に譲りたいと思います。総裁に最後にお尋ねしたいわけですが、今度の運賃改正につきましては、只今御説明のありましたように、大体全体の収入の一割増収ということを目途に運賃改正をやつておるというわけでありますが、この一割増収によりまして、平年度におきまする国鉄の経営、独立採算制という意味におきまする国鉄の経営に自信が持てるかどうかという点につきまして、総裁にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/27
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028・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) この点につきましてはいろいろのお考えがあるのであります。で、私もいろいろ考えを持つておりますが、私どもは国鉄を国民のものとして信託経営いたしますに当りましては、できるだけ安い運賃で、できるだけいいサービスを提供したい。そして安全、迅速、正確な運営をやるということが第一番に大事なことであるのであります。従いまして運賃の値上げというようなことはできるだけ避けなければならんということはこれは申すまでもないのでございますが、併し又一面において経営経費ででありまする修繕費でありますとか、或いは動力費でありますとか、或いは給与でありますとかいうようなものは、これは成るべく収入で賄うというふうにするのがいいのじやないかと思います。そこで最小限度我々としましては三割の値上げをいたしまして、そして立派な鉄道に、一日も早くその荒廃した状況を直して行きたいと考えるのでございますけれども、政府一般の経済政策、或いは財政の政策、或いは社会的な民生政策と申しますか、そういうふうな観点からそういう大幅な値上げは今回は見合わして、一割の引上げで以てやつて行ごうじやないかということに相成つたのであります。これを平年に直しますと約二百億程度になりますが、経営経費の賄いは大体それで、若干不足になるかも知れませんが、節約その他の方法で以てやりますれば、経営経費は或る程度賄えるかも知れないと思つております。ただいつでも申上げますように、現在の施設の減価償却という面において不足をいたすのでございます。これは約私のほうの概算では二百億程度の不足を来たすのでありますが、これは私は政府からの借入なり、或いは民間からの借入なり、いろいろな方法で来年度においては是非一つ完全な償却に振り替ができますような方向に持つて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/28
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029・中村正雄
○中村正雄君 従事員の基準賃金一万四千三百円は、平年度において現在のべースよりもどのくらいの給与の増額になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/29
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030・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 約百七十億の増加になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/30
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031・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、ベースを上げるために平年度百七十億というものが一応増加になる。運賃収入は大体年間二百億、一割値上げによつて増収になるとしますと、今度の運賃値上げは、従事員の賃金値上げによつて不足する経費を補うためだというふうに政府は説明いたしておりますが、収支の面におきましても大体そういうことになると思うのですが、そういたしますと今まで過去三回、四回運賃値上げをやつておりますが、必ず現在までの経過からみまして一年に一回はベース改訂が行われております。ベース改訂ごとに運賃値上げをやつておる。従つて今一割の運賃値上げで平年度の経営の自信があるかないかということをお伺いしたわけですが、それに対しまするはつきりした答弁はなかつたように思いますが、若し来年度におきまして、今の一万三千四百円というベースが来年度において妥当なベースとは恐らく考えられない。又来年におきましても何らかの形においてベース改訂のやはり問題は起きて来る、そのときに又同じように運賃改正が今と同じように繰返される、こういうことを一応の常識として想定されるわけなんです。従つてこれは国有鉄道総裁が政府に要請しました三割の運賃値上げということが、一応今後の国鉄の経営について或る程度の見通しを付ける妥当な運賃であるというふうに要求されたものが、諸般の情勢により一割に抑えられたということになりますと、今後国鉄の経営についての、財政面について政府は一体根本的にどう考えておるかということをお聞きしなければならんのですが、これは一応大臣がお見えになつてからお聞きすることにいたしまして、時間も相当とりましたので、大臣が見えるまで私の質問は一応打切つて、ほかの委員の質問に廻して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/31
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032・小酒井義男
○小酒井義男君 総裁に一、二の点でお尋ねしたいのですが、運賃値上げがやはり今中村委員が言われたようにベース・アップと同じ時期でやられるということが一つの問題だと思うのです。今度の裁定を輿施する場合に、それはいろいろな点から検討されたと思うのですが、私は国鉄という国民生活に非常に関係の深い事業ですから、これは国が政策的に行なつて行くべき責任があると思うのです。他産業、一般の民間産業においても公共性の強いものに対しては相当いろいろな助成策を講じておるのですが、それでそうした方法で運賃の値上げによらざるところの国鉄の運営ということが、ほかに方法が考えることができないのかどうか、そういう点について総裁、どうお考になつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/32
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033・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 小酒井委員の折角の御質問でございますが、私は政府ではございませんので、政府側の答弁はちよつとできませんので、ただ私個人として申上げますと、いろいろの方法が考えられると思います。これは公共企業体の総裁としての考えでありまして、政府がどういうことをするか、政府に要請することについてはこれは借入金でやる方法もあります。助成の方法もありましようし、補給金の方法も、利息の補給とかいろいろの方法があると私は思います。それを政府がどういうふうにおやりになるかの答弁は私はちよつとできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/33
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034・小酒井義男
○小酒井義男君 私も別に政府に聞いておるのでなく、国鉄の運営をされる責任者としてどういうお考えを持つていらつしやるかということを実はお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/34
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035・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) これはもう先ほど中村委員にも申上げました通り、私どもとしましては、できるだけ安い運賃でいいサービスで安全、正確な、迅速な輸送ということがこれがもうモットーでありまして、このように努めなければならんということは無論のことでございますが、さりながら、と言つて非常に運賃がほかの物価その他の関係から考えまして高いという場合でありますれば格別でございますが、仲裁裁定の理由書にもありますように、私は仲裁裁定の理由書も見方は或る部面においては非常に正しい見方をしておると思うのでありますが、何だか運賃の面にしわ寄せをされておる。そしてそれがやがて延いては従業員諸君の給与の面に又しわ寄せしておるというふうな形じやないかと思うのです。でありますから、多少我慢のできる程度のものでありましたらやはりこれは経営経費でありますから収入によつて賄う、借金によつてやるべきでないと、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/35
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036・小酒井義男
○小酒井義男君 それから次に、前回の委員会等においても国鉄のサービスの問題について車両面などでは非常に改善をされておると、例えば木造車と鋼鉄車との車両の比率などというものも、戦前と戦後では逆の形になつて改造されて来ておるという説明があつたのです炉、そうした改良に要する経費というものは如何なる費目で支出をされておるかという点なんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/36
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037・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 木造車を鋼鉄車に改良したということは、結局現在あるものを取替えたということ、置替えたということ、これは減価償却のような形でありますから、一部には減価償却、取替の経費、これは収入で挙げましたものを工事の費用のほうに廻しまして、そして実行いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/37
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038・小酒井義男
○小酒井義男君 そういうことになると、国の財産というものの価値が相当変動して来る、資産としての内容がよくなつて来るわけですね。そういうことが一般の経費から支払われることが、やはり国鉄の従業員諸君の生活條件を犠牲にするというようなことも考えられるのじやないかと思います。そういう費目で支出することが正上いかどうかということに対しては、私はいろいろ問題があると思いますが、総裁はこの点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/38
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039・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) その理論的な問題になりますと、いろいろ問題があると思います。例えば電化というものは、これは主として借金でやつておることになつておりますが、一旦資金として入つた以上、それが借金の部類であるか或いは減価償却の部類であるかというような、金には区別がなくなつてしまう。併しそれを整理する場合におきましては、増加した分についてはこれは資産が増加する、増加しない部分についてはこれは費用として落してしまうということでありまして、これがどの部分か、例えば電化でありましてもやはり同じことが起るわけであります。むしろ財産の価格が減る場合に起つて来るそれを借金でやつておる場合もある。それでありますから、必ずしも私はどれがどうというわけには行きませんけれども、殊に減価償却の問題の理論的な問題になりますと、その点についてもいろいろ御議論があると思います。思いますが、併し減価償却ということは、これは程度の問題だと思いますが、もとのままのものを造るということが先ず一つの原則でありましようが、と同時にこれが陳腐化して時代のあれに間に合わないということも考えて減価償却というものはなされておると思いますから、これは程度の差で、成るほどそれは木造の小さな小屋を建て替えて大きなビルディングにするというような場合は、私は極端だと思いますが、そういうものでない限りは、木造が駄目で、例えば法規上その他その時代のあれから見て、そういうものを造ることではなくて、むしろブロック建築にするとか何とかいう場合には、或る程度の私は近代化ということと共に、減価償却、或いは取替というものを見込んであるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/39
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040・小酒井義男
○小酒井義男君 これは少し意見に亘るかも知れませんけれども、私は例えば今問題になつている国鉄裁定というような問題を完全に実施して、而もなおその上でこうした費目を支払い得る余地があるならば、それもやはり妥当だと思います。一方では裁定の実施ができないという場合において、そうした費用が一般の収入から支払われているということは、私は少し間違いではないかというふうに考えております。そこで大体どのくらいそうした費用が年間支出されておるかということは、ここではおわかりにならないと思いますが、一つ数字として次の機会にでもお出し願いたいと思います。わかりましたら一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/40
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041・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 減価償却と取替、保守と両方合せて三百億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/41
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042・小酒井義男
○小酒井義男君 それでは関連して少し質問が飛躍をしますけれども、私たちはこういう考えを持つているのですが、国鉄は非常に荒廃しておるといつて以前にも写真帳をお出しになつておられる、相当の巨額の予算がなければ国鉄の復旧はできないというふうに私ども前大臣からも説明を受けたことがあるのであります。一方でこういう状態に置かれておる。そうして例えば新線建設などが審議会で取上げられて来て、そうしてそれでやはり幾つもの路線が決定して行く。独立採算の建前で行く場合には暫らくの間は赤字を続けなければならんという、そういう路線が多いと思います。こういうものが一方ではきめられて来て、それを背負わされる。そうして予算的には非常に強い拘束を受けておる、こういう形で国鉄が運営されて行くと、結局この危険の状態にあるというものの保守がやはり将来に持越されて、そうしてその安全性確保の問題について重大な影響を及ぼす、又従業員諸君の生活の改善の問題等もそこにしわ寄せをせられて行くという場合に、あらゆる面から国鉄の経営ということは困難になつて行くのじやないかと思います。こういうことについて総裁はどういう見解で将来のこうしたいろいろな問題を処理して、そうして労働問題等の紛争を避けて行くという方針を持つておられるかどうか、この点について総裁の意見をお聞きして置きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/42
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043・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 非常に御尤もな御質問でございます。私といたしましては、先ほど中村委員にもお答えした通り、本年度若しくは来年度において、この裁定の問題が起りましたかつ本年でありますが、三割程度の運賃の引上げをやりまして、それによつて得る収入で従事員諸君の給与の改善、同時に国鉄の安全正確を期することはもとより、更に進んでは鉄道の近代化とでも申しますか、そういうようなことをやりまして、例えば電化或いはデイーゼル機関車、或いはデイーゼル自動車の運行でありますとかいうふうなこと、更に進んでは通勤輸送の改善、現在の日本は南のほうからの資源確保は北方に変りましたので、東北本線或いはその他非常に輸送力が弱い、それの改善というようなことをいろいろと出てまして、私は鉄道の近代化をやりよすれば、相当な増収が見込まれるんじやないか。金さえここでかけて行けば、そうして現在のローカル線に一日に五回や六回やつているところを、少くとも倍或いは三倍というふうにして、列車の頻度を増せば必ず増収になるんじやないかということも考えております。更に進んでは貨物の集中、高速度の輸送というようなことによつて、民間一般の自動車と協力しまして貨物輸送をしますれば、その面においても私は相当の増収が期待できるのじやないかというふうに考えておりますので、是非そういう資金を今度は運賃によつては得られませんでしたが、借入れその他いろいろの方法によつて確保しまして、そういう方向で国鉄の経営というものをやつて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/43
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044・小酒井義男
○小酒井義男君 最後に、総裁の立場としてこれは御答弁願います。政府の施策はいろいろあると思いますが、国鉄の当面しておる問題として予算に制約を受けた場合に、新線建設に重点を置くべきであるか、それとも現在の施設の増強に重点を置くべきであるかという点について、総裁はどうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/44
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045・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 私は現在国鉄をお預りしておる関係上、先ず現在ある設備というものを完全に成るべくして行きたい。併しながらそれだけでいいかということになりますと、公共性或いは公共の福祉の増進というような目的を以て日本国有鉄道は作られてあるのでありますからして、国民の要望も非常に大きい。又現在の日本の発展上、産業の開発上必要なりと思われる路線につきましては建設にも従事しなくちやならない。ただその際私は強く主張しておることは、そういう路線につきましては少くとも当分の間収益が挙る見込がなかなかつかない。それを国策上必要なりとしてやるのでありますから、そういう面で何かの方法で利子の不足の補給なり、或いは経費の補給なとというものが望ましいということは運輸当局に向つて私は強く主張いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/45
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046・小野哲
○小野哲君 今の小酒井さんの御質問に関連してちよつと伺つておきたいのですが、これは予算小委員会で建設省の御意見なり、或いは運輸当局の事務的な御見解は伺つたのですが、運輸大臣に伺つたほうがいい点であろうかと思いますが、今長崎総裁から大体所見を同じうするような御答弁がありましたので、これに関連して伺いたいのは、北海道の開発鉄道の問題でありまして、北海道の総合開発につきましては、御承知のよのに先般北海道開発法を制定しまして、その予算として計上することになつております。併しこれを実際に実施する場合におきましては、それぞれ移し替えの方法によつて当該機関が執行の責めに任ずると、こういうことになつておるわけでありますが、国有鉄道の新線建設の予算を見ますというと、すべて同じような立場において予算に計上されておる。併しその資金の調達方法としては総裁も御指摘になりましたように資金運用部の借入というふうなことも考えられておりますが、少くとも北海道に関する限り、又総合開発計画を国として実施するという場合におきましては、北海道の鉄道新線の建設は総合開発費によつて政府の責任と負担においてやるべきではないか、かように私は常日頃考えておるわけであります。従つて総裁といたしましてむしろ御要望されるお立場ではないかと思いますが、どういうふうな御所見を持つておられますか。これはいずれ運輸当局なり大蔵当局にも聞きたい問題でありますけれども、一応御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/46
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047・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 只今の小野委員の御所見誠に私同感でございます。今年の正月私北海道へ参りました当時、実はそのとき北海道の総合開発というものを全然別個の役所でやつておるということは知らなかつたものですから、北海道の長官に、あなたがたは鉄道を敷け敷けと言うけれども、これは北海道も内地も同じ、内地と申しますか、本州のほうも同じ考えでやつたのじやなかなかできない思う。昔北海道拓殖費というものがあつた当時、北海道拓殖のための鉄道の建設費の利息をたしか十年だつたか二十年だつたか忘れたけれども、補給しておつたものだ、だから少くともそういう何かの方法を講じなくちや駄目じやありませんかという意見を申上げたくらいでありまして、私はできるならば総合開発というようなものは、道路なり鉄道なりなしにできるはずはないのでありますから、これはやはりいわゆる総合的にあらゆる面の経費を一括して計上し、仕事を我々のところにやれというならこれはちつとも厭わないのでありますからいたしますが、でき得るならば私はそういうふうにして金を使うべきではないかと思います。電源開発法についても私は同様じやないかと考えておりますが、どうもとかく電源開発というとダムを作ること、或いは機械を据付けることだけになつちやつて、セメントを運んだり機械を運んだりする足のほうは全然ほかの人の負担でやるのだ、総合開発についても同様のことが言えると思いますが、これはどうも私は国費を使うというのは、少し生意気なことを言うようで甚だ失礼でありますけれども、十分お考えになることが必要ではないかと思います。私何も自分のところで云々ということだけではなしに、全然私はそういう意味において小野委員の御所見と同じような考え方を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/47
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048・小野哲
○小野哲君 先ほど来鉄道財政の問題について中村委員、小酒井委員からも御質問があつて御答弁があつたわけでありますが、私は実は北海道のことを取上げましたのは、国有鉄道の財政負担ということと、それから総裁が御答弁になりましたように、やはり国有鉄道の健全財政というものは収支の均衡を維持して行くというところにキイ・ポイントがあるのではないか、而もこの収入は運賃の収入によつてカバーして行くということが最も妥当な方法ではないかと私はかように思つておるわけであります。従つて例えば公共の福祉を増進する、新線の建設等はその最もいい例ではないかと思うのでありまして、さようなものについてはやはり国として一般会計その他適当な負担においてこれを施実する。この工事の執行は国有鉄道がその技術力を使つて当るということはこれは適当かと思うのでありますが、財政の負担の点から考えて何もかも国有鉄道が独算制があるから国有鉄道お前やれということは、少し国有鉄道の運営というものに対して理解が薄いような私は気を持つわけであります。そういう意味からせめて北海道の問題につきましては特別な、いわゆる総合開発費というものが国の予算の上に国費として計上されておるし、又これを総合的に担当しておる政府機関もあり、現地においてもその出先もあるような仕組になつておりますので、この点については十分検討を要する点ではないかと思うのであります。特に運賃の原価と申しますか、運賃を構成しておる要素として考えて見ますというと、やはり減価償却、荒廃施設の取替費用も含めました意味での減価償却というものがやはり運賃の構成要素になつておるのじやないか。単に給与ペースの問題であるとか、或いは電力の購入費であるとか、石炭の購入費、こういうふうな直接的な経営費も勿論ありますけれども、併し国有鉄道自体の存立のために最も基礎的な條件であるべき施設の整備改善というものもやはり運賃の構成要素として考えられなければならんということになりますと、どうも運賃というものが、特に運賃の改正の狙いというものが納得行きがたいような点が私はあると思うのであります。
そこで伺いたいことは、現在旅客と貨物に分けまして、貨物が千億近い収入が見込摩れておる、或いは旅客が八百億程度の収入が見込まれておる。その場合に現実に旅客運賃と貨物運賃と、その賃率から申しまして旅客と貨物と比較していずれがぺイされておるか、言い換えれば今回の運賃の引上では一律に一割増収に見合つた貨物旅客を通じた運賃の一割値上ということになつておりますが、もつと内容的に掘下げて見ますというと、鉄道のいろいろな経費の支弁に対して旅客収入か貨物収入かいずれかによつてカバーされておる場合があるのではないか、そうすると旅客運賃と貨物運賃とを一律に同じ程度の率で以て引上げて行くということに、又運賃の問題を取扱つて行くのに検討すべき余地があるのではないかというふうな気がするのですが、果して貨物運賃と旅客運賃とが賃率の上において、又採算上ペイされるようなものであるかどうか、又旅客収入によつて貨物収入がカバーされておるのじやないか、貨物賃そのものが採算的に見るとなお何と申しますか、その賃率については改訂を要する余地があるのではなかろうか、こういうふうな点につきまして総裁或いは担当の局長からでも御答弁を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/48
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049・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 先日お配りいたしました鉄道運賃改訂資料という冊子がございまするが、それの二十七頁を御覧頂きたいと思います。二十七頁を御覧頂きますると、鉄道の単位当りの原価と収入が載つております。旅客は一人一キロ当り、貨物は一トン一キロ当りという原単位を使つておるのでございます。で、昭和二十六年度におきましては、旅客は一人キロ当りの原価が九十銭七厘でございます。これに対しまして収入は九十七銭四厘ということで原価を賄つて収入が上つております。営業係数で申上げますると九三ということでございます。勿論この中で定期旅客運賃のごときは非常に原価を切つておりまして、原価が、収入に対しまして原価は二倍半もかかつているというようなことに相成つておるのであります。旅客定期、定期外を込みましては、旅客では二十六年度においてはペイをしていたという数字でございます。
次に二十六年度の貨物について申上げますと、貨物は一トンキロ当りの原価が二円二十銭一厘でございます。これに対するところの収入が二円二銭三厘で、この貨物の場合は原価を切つております。営業係数に対しまして一〇九ということでございます。ところでそれが二十七年度におきましてどうなるかということでございますが、二十七年度は平年度換算にいたしておるのであります。二十七年度の収入は運賃改訂前のものを示すというふうに註にございますが、旅客について申上げますると、原価が一円十七銭四厘、それから収入が一人キロ当り一円十五銭一厘、この場合は平年度計算で二%原価のほうが、原価を切つているという勘定になります。それから貨物につきましては一トンキロ当りの原価が二円八十八銭二厘ということでございます。収入は一トンキロ当り二円四十一銭六厘ということでございまして、この場合は原価を切つておる割合が一九%ということに相成るわけでございます。そこでこのような原価割れに対しまして原価を償いまするために、運賃の値上をするために旅客、貨物共にその原価割れの程度に応じて運賃の値上をするというような方法も考究されたのでございまするが、従来とも国鉄といたしましては貨物の赤字を旅客でカバーしておるというような、沿革的に申しましてもそのような方法をとつて参りましたし、又今回貨物につきましては特に低物価政策に協力する、即応するというような関係からいたしましても今回御審議願つておりまする運賃法の改正に伴う値上に当りましては、旅客、貨物共にそれぞれ一割の値上を考慮したというようなふうに相成つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/49
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050・小野哲
○小野哲君 大体説明を伺つて了承はするのでありますが、先ほど中村委員からも御質問があつたように、今回の運賃改正、特に貨物運賃の改正に伴いまして、その貨物等級の是正が行われると、その結果生活必需品及びこれに類するものについては割高になつて行くという結果が出て来たわけなんです。そういたしますると、私の心配するのは、これは中村委員と同様なんでありますが、鉄道の運賃の妥当性というものが実際原価計算をいたしましたその基礎に基いて考えられるのではなくして、むしろ非常に政策的に取扱われる場合が非常に多いということになりまするというと、どうも鉄道財政の健全性と申しますか、そういう点から言つて、いつまでたつてもどうも解決がつかない状態に置かれるのではないかということを懸念するわけなんです。従つて私のまあこれは私見でありますが、むしろ堂々と国鉄財政の運営なり、そういう点から考えまして、少くとも企業的な経営をやつている企業体である限りは運賃につきましても原価計算に基きましたものに応じた妥当な運賃を設定して行くという方向に進んで行くべきではないか。それによつて極めて必要な限度において政策を加味するということも必要ではありましようけれども、そういうふうな点につきまして、若しこれをよく周知徹底させるらなば、国民としても自分たちの鉄道であるわけでありますから納得が行くのではないか。同時にもう一つは鉄道運賃の設定につきましては、やはり権威ある機関を設けて、それによつて国民が十分に信頼をして、鉄道の企業経営に合うような運賃につきましては理解と協力を求めるというふうな制度上のやはり改正と申しますか、工夫考慮して行く必要があるのではなかろうか、こういうふうな気持がするわけであります。従つて画一的に旅客で以て貨物を従来カバーしておるから、やはりこれを踏襲して行くのだという建前じやなしに、貨物運賃と旅客運賃とはそれぞれの原価計算に基いた科学的な基礎に基いてそれぞれに応じた運賃を設定して行くという建前をとるべきじやないかと思うのですが、これについての御所見を伺いたいことと、それから先ほどちよつと触れました今回の等級表の改正によりまして、薪とか木炭等が相当大幅な値上りになる。で、等級表は昭和五年でありましたか、大幅な改正をして以来、戦時中でありましたか極めて簡素化したということになつておりますが、昭和五年当時等級表を大幅に改正されましたときの基礎となつたお考え方と、それから今日の改正をされようとする等級表についてのお考え方と、それについて基本的な原則なり、考え方が違つて来たから必需品につきまして大幅な値上りになつて来たと、こういうふうに解してよいか、考え方は同じなんだが、技術的の操作の結果こういうふうになつたと解釈してよいか。と申しますのは、現行の薪、木炭は大体この指数で見ますというと、適正なところに落ちついておる。ところが今度は相当大幅な値上りになるということになりますと、どうも利用者側では納得が行かないのじやないか。こう思うので、それらの点についての御所見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/50
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051・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/51
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052・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/52
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053・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 運賃の問題につきましての御質問でございましたが、運賃のきめ方、決定の仕方、それらについてはいろいろ戦後の状況に応じまして変つた点があるのじやないかと思われます。これは御承知のように、欧洲の鉄道等におきましても、大分民有のものが国有になつた。イギリスも国有である。フランスも国有である。イタリーも国有であるというふうに、大分国有鉄道がほうぼうにできたので、そういう国有鉄道の運賃等をどういう手続できめておるかということを今後十分に研究いたしまして、日本国有鉄道の運賃のきめ方等にもそれらを参照して、よりよき方向に持つて行きたい、かように考えております。それから原価の問題でございますが、これは成るほど、運賃法にも原価を割つてはならんということがございまから、原価主義によるべきことは無論でありますが、併し、これ又やはり各国の事情、いろいろな時の事情等によつて、私は政策的な、或いは産業政策的な、民生政策的な運賃というものがあり得るし、又なければならんものじやないかと思います。でありますから、一概に貨物は貨物の運賃原価で行き、旅客は旅客の原価で行つたらいいじやないかということでなしに、若しも貨物のほうにそれだけの運賃の負担力がなくて、それから産業の政策上或いは民生の政策上、貨物運賃に多くをかけるよりは旅客運賃のほうでカバ治したほうがいいのだという見解が出ますれば、やはりそういう方向でもいいのじやないかと私は考えます。ただこれも程度の問題でありますが、これはまあ私見を述べますと、産業政策或いは民生政策に基きまして、そして運賃の割引等を行います際においては、それを補償するような少くとも規定だけでもいいからあつたらどんなものであろうかと考えます。これは運賃法の改正の際に十分お考えを願つて然るべきごとじやないかと思います。寅際に補償をするかしないかは別でありますが、少くともそういう御精神だけは私出して頂けたらどんなものか、かように考えております。それから等級の問題につきましては、営業局長から御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/53
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054・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) その等級の間に入りまする前に、只今小野委員から旅客、貨物別に原価を償うようなふうに考慮をしたらどうかというようなお話、非常に私賛成なんでありますが、実は日本の国有鉄道は御承知のように、いろいろな国の政策、産業策なり社会政策なりのしわ寄せと言つては語弊がございまするが、そういつた方面を担当させられておる向きが従来も余りに多過ぎたのでございます。例えば原価を割つており還する旅客輸送、或いは貨物輸送の例を申上げますると、旅客関係におきましては、学生に対するところの割引、或いは被救護者に対するところの割引、身体障害者に対する割引、或いは最も多いのは、定期旅客に対する割引等でありまして、これらも原価を償う程度に運賃を増額することができれば、これに越したことはないのであります。それは非常にむずかしいではないかと考えます。又小荷物の関係におきましては、新聞紙の輸送、或いは雑誌の輸送につきましては、これも原価に対しまして、六割、八割程度の原価を割つた輸送をしておるのでございます。これもこれらの新聞雑誌の持つ公共性の面から、従来とも続けて参つております。又貨物につきましては、大体六級以下の貨物は全部原価を切つておるということが概して言えると思うのでありますが、これらの大級以下の貨物は、それが生活必需物資でございましたり、或いは特定産業の原材料というとような関係から申しまして、やはりこの等級を高いところに位置付けるということも非常にむずかしいというような関係から申しまして、個々の物資、或いは個々の旅客につきましては、原価をいろいろな政策的な意味から切つておるものもありありまするが、全体といたしまして、国鉄の原価と収入を比べて、これがとんとんに参る、そこで独採制を貫いて行くというような方向に参つておるのであります。併しながらできるだけ今後は原価主義を加味して行きたいというような観点からいたしまして、例えば今回の貨物制度の改正に当りましては、例えば普通の輸送よりも手数のかかるところの輸送、例えば冷蔵車によるところの輸送、或いは通風車によるところの輸送、これらは貨車を作りまする製作費も、普通の貨車よりもかかりまするし、又回転率も悪いというような関係から申しまして、原価が高くつきますので、こういつたものにつきましては、若干原価主義をここに入れて参りたいというようなことを考えておるのでございます。
それから本論に入りまして等級表の問題でございますが、これは昭和五年に大改正をいたしまして以来の二十年ぶりの根本的な再編成でございます炉、根本的な趣旨といたしましては、昭和五年当時と大した変りがないのでございます。昭和五年当時もやはり物資の負担力に応じまして等級の格付けをして行く、又そこに公共的な考慮も払うというような点に関しましては、今回の改正に当りまして、等級審議会から答申された答申の骨格もそういう点にあるのでございまして、根本的な精神、根本的な方策につきましては変つた点はないのでございます。今回の改正に当りましては、戦後いろいろと物の価格の変動もございましたし、或いは戦前はなかつたような新らしい種類の貨物等も鉄道輸送に現われて参つて来ておるというような関係からいたしまして、昭和五年当時と精神なり方針においては変りはないのでございまするが、まあそういつたような新らしい経済椿事、産業情勢に即応するような改正をいたしたという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/54
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055・高木正夫
○高木正夫君 本日は裁定問題並びに運賃の値上の問題につきまして、それに関連をして国鉄の経営の根本に触れたお話が大分ありましたので、私もちよつと御質問したいと思います。先はど運賃の問題が小野君から出ましたが、これは尤もな議論だと思うのであります。併しまあこれは当分、ちよつとなかなかむずかしい問題であろうと思うのです。尤も国鉄総裁の言われたように三割増しておけばよかつたのですが、それができなければ……。というてなかなかすぐには行かん問題だと思います。そうすると結局政府の予算酌、又質金的のあれに待つ、こういうことになつておるのですが、これも来年度の予算で我々が期待するようにとれるかどうかもこれはむずかしい。そう考えますと、結局この国鉄の運営そのものについて考えて行かなければならん、合理化という点を相当重点を置いて考えて行かなければならん。これは先ほど総裁から非常に力強いお話がありました。私も極めて同感な点が多いのであります。例えばジーゼル・カーをたくさんフレケンシーを増してサービスする、これによつて利益の増進を図り、或いは貨物の急送を増進する。そういう問題、その他電源と申しますか、電気の利用によるコストを下げるとか、そういう根本的な大きな問題が、私はたくさんあるだろうと思うのであります。それをまあ十分に御研究を頂いておると思うのですが、この際にもう又来年のペース・アップというようなこともありまするし、もうちつと力強い総合的な一つ御研究というか、調査研究すると言いまか、そういうようなお考えがあるのか。私どもとしては若しまだそこまで行つていないということであれば、速急にそういう一つの研究機関を部内でも結構であろうと思うのでありますが、真剣に一つ起ち上つてやつて頂きたい。ごう考えるのですが、先ず第一問として今どういうようなその点状態であるかということをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/55
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056・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 言葉はどうでもいいのですけれども、先ほど申上げましたように、どうしても、国鉄だけではございませんでしようが、近来欧洲の鉄道などを見ましても、鉄道のモダニゼーシヨンと言いますか、近代化と言いますか、そういうことを頻りにやつております。御承知のようにフランスの国有鉄道などでもパリー、リオン間の電化を完成いたして、恐らく近くマルセーユまで全部電化するのではないかと思います。これによつて相当の経費のセーブをしたようであります。或いはジーゼル自動車というようなものも盛んに使つておるようであります。そういうような鉄道の近代化という面の根本的な計画はまだまだ手を加えなくちやならんと思いますが、併しながらでき上つております、国鉄においては……。更には輸送力の増強、国力の発展に伴う輸送力の増強という面では、先ほど申上げましたように、例をとつて申上げますと、東北本線であるとか、縦貫線、或いは北海道の港頭がら石炭鉱業の山元までの増強であるか、或いは大都市附近ではビルデイングの増加に伴いましてそのためにいろいろな材料をやらなければならんというようなこと、たくさんございますが、それらのものは……、実はこの電化、そういうような問題についての計画はでき上つております。スケッチでありますが、でき上つております。およそどのくらいの金が要るかということもわかつておりますから、これは場合によりますれば、御参考までに差上げても結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/56
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057・高木正夫
○高木正夫君 総裁の御言葉によると、それには金が要る、こういう御言葉であると思うのです。御尤もと思いますが、例えばジーゼル車を動かす、そうすればどれだけの利益が挙るか。この間パンフレットを見ましても、あれは非常によくわかる、三割か四割、このくらいの利益が挙る。そうすると、広範囲にやつた場合に、どれだけの利益が挙るから、どれだけの金が欲しいのだ、こういうようなことを我々は十分に教えて頂きまして、そこで政府の予算とか、そういうものを獲得する材料にもしたらいいのじやないか。つまり生きた金を使うということに重点を置かれてやつて頂くのが、私はいいのじやないかと思うのです。これはジーゼル・カーだけじやなく電源の問題にしても、電源を国有鉄道でみずからやられるのがいいのか。最近ほうぼうで電源がずんずんと開発されて行く、それを買つてやる手もあるのじやないか、そこらの形がどういうことになるのか。そういうような積極的に国有鉄道の経営の合理化になる材料を我我委員にお示しを願いたいと思います。今のは希望ということになりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/57
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058・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) ちよつと今の御質問にお答えします。これは大ざつばなものでありますから、或いは多少の変更があるかも存じませんけれども、今ございます東海道、浜松から姫路間、その他七百五十キロほどの電化計画を持つております。それに要する費用は三百六十億、これによつての利益はおおむね一五%ということに計算上出ております。それからジーゼル電気機関車をごしらえたい、これに百二十億、これは五%、ジーゼル自動車、これが約百三十億、これは約一二%の利益が挙る勘定になります。以上の電化とジーゼル自動車というものの使用によりまして昭和三十二年度頃の推定によおと、約石炭の節約が百三十万トン、その当時に使用するであろうと思われる石炭の量の約二〇%節約ということになつております。そういう次第でありまして、これは是非私はやりたい。今申上げました金の総額は七百六十二億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/58
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059・高木正夫
○高木正夫君 今のはガソリン・カー。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/59
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060・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) ジーゼル自動車です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/60
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061・高木正夫
○高木正夫君 その一例でありますが、私の先ほどから申上げたいと思いますのは、この際に積極、消極の国鉄の経営の合理化をやつて頂く御意思があるか。この間も高架下の問題とか、広告料の値上の問題も出ておりましたが、いろいろに消極、積極に研究すれば、多大の材料が出て来るのじやないか、これをこの際真剣に来年のベース・アップに備えて今から急速に御研究頂くのが結構じやないか。これは希望に過ぎないのでありますが……。
それからもう一つ、少しとつぴなような意見になるかも知れませんが、建設線、これには国からも相当金が出てやつているわけです。希望線がだんだん殖えましてあれだけの数、これを皆予算を僅かずつ分けて三年でも四年でもやつて行く、これも止むを得ないことだと思うのですが、なおそれ以上にだんだんこれから殖えて来るのじやないか、これも果してこのまま地方の希望に応じてやつて行くのがいいのかどうか、国有鉄道としていいのかどうか、又国家としてもいいのかどうかというところに、私は非常に疑問があると思うのです。これからは道路が非常に発達をして参る、そうするとバスやトラックを動かして間に合うところが十分あるのではなかろうか、建設線がどの程度まで……。これはまあ総裁にお聞きするのがどうかと思うのですが、或る程度のところで打切るか何かする必要があるのではないかというふうに私は考えるのです。これは私のこの説には大分反対論者もあるかも知れませんが、私自身は飽くまでもそういうふうに考えるのです。如何に公共性といえども、こういうような国有鉄道の独算制の性格から考えて、これはまあ官有ということになつてしまえば又別ですが、今のような状態でどこまでも建設線を増して収支の償わん経営をやつて行くということが、いいのか悪いのかという問題があると思うのですが、それに対して若し御私見でもあれば参考に承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/61
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062・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 私は公共の福祉を増進するために新線を建設する、或いは産業の開発というような意味で新らしい線路を建設するということは、やはりこれは一つの仕事としてやらなければならんことだと思いますが、併しそれにもおのずから限度があるのではないか。毎年々々やるべき仕事、それに投資する金額というものにも、おのずから日本の国力、或いは日本の財政力というようなものから見まして、そう無制限にやられるものでもなし、又資材の面、あらゆる面で私は限度があるのじやないかと思います。それがどこにあるのか、どの辺かということになりますれば、これはまあ財政上の専門家、或いは財政を担当しておる責任者がそれを見ておると思います。又最終的にどこまで続いて行くのだということにつきましても、私はおのずから限度があるのではないかと思います。現に私どもの承知しておりまする限りにおきましては、フランスの国有鉄道は営業キロが四万キロでございます。そのうち約一万数千キロというものは旅客の輸送をやめたそうであります。これを全部自動車、バスに委譲してしまつたというような世界的傾向にもありますから、そういうような観点、いろいろな事情がわかつて参りますと、おのずからやはりそごに限度というものが自然に出て来るのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/62
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063・高木正夫
○高木正夫君 私はこの道路の問題が最近非常に急速度で改善されると思うのです。そうすると現在の国有鉄道の経営も相相当考えなければならん問題が出て来るのじやないか。例えば一日で往復できる所はトラックでどんどん行つてしまう、ここからここまで一遍に行つて来るということになると貨物なんかはそのほうに重点的に取られて行くのではないか、そういうことになると、大量で長距離の荷物だけしか鉄道が動かすことができないということが、ここ五年乃至十年の間には出て来る。これは国有鉄道としては非常に大きな脅威でなかろうか、又そうすることが或いは国民経済から言うといいのじやないかというようにも考えられます。それの見通しをつけて今から何かお考え願つておるかどうかということを一応お聞きするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/63
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064・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 道路運送と鉄道との関係、これもやはり私はアメリカのことは余りよくわかりませんが、ヨーロッパ等においては非常に大きな問題として取上げられておるようであります。殊にヨーロツパは御承知のように国と国とが日本のように海に隔てられるわけでないので、くつついておりますからいろいろな面でたくさんの問題を起しておるようであります。御説のようなトラックとの協調と言いますか、そういうような面で協同、協力或いは調整ということを強く取上げて各国の鉄道の経営者の間に、又道路運送経営者の間にお互いに研究されておりますが、まだうまい方策がなかなか見付からないようであります。又高木委員御承知のコンテイナーの利用とか、いろいろな面でたくさんの研究があるようでありまして、これらについての研究を参照して、早い時期に日本として考えをまとめなければならんと思います。ただ私は一つこういう考え方は間違つておるのかも知れませんが、成るほど道路というものの改善はしなくちやならんのですが、日本のような国力の弱いところ、金のないところで鉄道という折角の道路があるのでありますから、それをできるだけ使つて、そうしてその足りないところをいわゆる新らしい道路の建設なり、或いは道路の改善なりによつてやつて行くのが本当ではないだろうか。大道路を東海道線に並行して作るということが果していいのか悪いのか、これはもう少しとつくり御研究になつて然るべき問題じやないか、かように考えます。併しトラックと鉄道というものについての私の考え方は、根本的にお互いに競争などをすべきものではなくて、どうかして協力協調して、そうして立派な輸送をやろ、そういう意味合いにおきましては先ほどもちよつと触れましたが、鉄道の貨物というものは集中的に、そうして高速度の輸送に適する。今までのような貨物列車というものは遅いものだというような観念を抜きまして、もつと早い急行列車というものを動かして迅速な輸送をやる、その先端は今度はトラックまで持つて行くというのでなければならん。そういう意味合いになりますと、これはいろいろな事情もあり、反対もあると思いますけれども、小さな駅などはすつ飛ばしてしまつて、そうして大きな駅に集中して貨物を持つて行くということなども考えていい問題じやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/64
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065・高木正夫
○高木正夫君 今のは総裁にお尋ねするのはどうかと思う問題であつたわけですが、むしろ運輸省側の御意見を伺いたいと思つたのでありますが、まあこの問題は今日はこの程度でとどめておきたいと思います。
ただ最後にお願いを申上げておきたいと思いますのは、先ほど申上げた通り運賃の値上もなかなか容易ではないし、それから政府の予算的資金的な係はこれ又容易じやない。恐らく来もそういうことが言えると思います。甚だごう言つては失礼になるかも知ませんが、もつと具体的に重点的に営の合理化の上に立つて引続き御研究を願いたい。と申しますのは、私は金の要らない国有鉄道として、私設道なんかに比べて収益率が劣つておじやないかというような感がしますので、そこでもう少し何かあるのじやないか。来年もベース・アップの問題が出るのでありましよう。恐らく物価が上りますからベースも上つて来るでしようが、そうして又来年の年末にこういうことを繰返すということにならんように今から十分の準備を整えて頂くことが必要じやないか。これは最後に希望を申上げまして私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/65
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066・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ほかに御質問ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/66
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067・岡田信次
○岡田信次君 先ほど高木委員からもお話があつたのですが、自動車の関係ですが、今回の運賃改訂に際してトラツクなり、バスなり、その他自動車の影響と申しますか、先ほど総裁の言われた協調、それらの関係も御考慮になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/67
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068・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 只今自動車の関係をどういうふうに考慮したかというお話でございますが、実は鉄道の主として貨物についてのお話だと思うのでありますが、貨物につきましては戦争中からとかく輸送量第一主義、先ず送れ送れ、先ず送ることが第一だというような輸送量第一主義の点と、更にもう一つは何と申しましても戦争中から戦後にかけましては国鉄の職員が業務に未熟な者が多かつたのでありまして、従いまして取扱の簡素化という方向にとかく制度が赴きがちであつたのでございますが、今日サービス第一主義ということが高揚され、又現実の事態といたしましても、国鉄自体がバス、トラック、或いは航空機というようなふうに、陸海空の対抗運輸機関の競争に鋭くさらされているという現実の事態がございますので、かたがた今回の運賃改正、或いは制度改正の面におきましては、自動車或いは飛行機とのバランス、或いはそれとの競争関係というようなものを相当考慮をいたしたつもりでございます。二、三の例を申上げまするならば、貨物について申上げますると、従来のこの運送運賃の賃率の地帯が比較的鉄道の場合は幅が広かつたのでございます。それを今度は幅が広いということが距離の関係で不公平を生ずることがありがちなのでございますので、その運賃の地帯の幅を狭め、従来の地帯の中に更にもう一つずつはめ込むというような方法も講じましたし、或いは重量の関係におきましても例えば小口貨物に例をとりますると、従来は三十キログラム、五十キロ、百、百五十というような大きな幅で重量の刻みがあつたのでございますが、これを今回は最低の三十キロはそのままにいたしましても、その上の刻みは百キロまでは十キログラムまでの刻みとする、百キロ以上は二十キログラムの刻みとするというような重さの面におきましても、重量の面におきましても、非常に刻みを細かくするというような例、それからトン扱いの制度を、戦前もあつたのでございますが、それを復活するとか、或いは最近小型の貨車が鉄道で非常に不足いたしておりまするのに反してまして、実際の取引が小さくなつて来ておるということで、小型の貨車の需要が非常に多い、そこで需給のバランスが破れて荷主に対して貨車の表記トン数一ぱい一ぱいの運賃を頂戴するのは非常にお気の毒な場合を生ずるということで重量減トン制度というようなことを設けたり等等、いろいろ自動車との対抗或いはサ—ビス等の競争というような面につきましては、相当考慮をいたしたつもりでございます。それから自動車と鉄道の貨物とがどういつたようなところで釣合うかというような、運賃の釣合があるかというような点につきましても十分考慮をいたしたのでありまして、大体距離にいたしまして、三十二キロくらいのところまでは自動車のほうが得だが、それから先は鉄道のほうが得だというような計算も出ておるのであります。貨物につきましてはそんなところでございますが、バスにつきましても、或いはトラック関係につきましては、海との運賃との比較、或いは更に旅客関係につきましては航空機との運賃上の調整というようなことに対抗運輸機関の存在というものは十分に考慮の中に入れまして、運賃なり或いは制度を立てたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/68
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069・岡田信次
○岡田信次君 そうすると、今度の運賃改訂に伴つて輸送量を想定する場合に、自動車のために割引率が少いという関係で或る程度減るということは見込んであるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/69
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070・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 今回の運賃の改訂、或いは等級の改正におきまして、全体の貨物収入を想定いたしまする場合に、具体的に申しますると、その基礎になりますトンキロの計算におきましては、現在の予算に組入れられております総体の輸送量、輸送トンキロと全然変えておりません。従いまして減収減収ということは見込んでおらないのでございます。私どもといたしましては、実は高級貨物につきましては、従来鉄道の運賃が少し高過ぎた、従つてとかく自動車に転移する傾向があつたのでございますが、今回は高級の貨物につきまして、若干その等級の指数を下げた、相当例えば一級について見ますると、二五〇のものを二〇〇まで下げたというような関係がございまして、高級貨物につきまして、従来自動車に奪われておりましたものが若干鉄道に戻つて来るのではないか。低級貨物につきましては、これは砂利とか石灰石とかそういつたものは自動車に積むにふさわしくない品物でございますので、自動車に移るということはないだろう。全体の数量といたしましては、減送減収がないという前提の上に立ちまして、全体の増収計算をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/70
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071・岡田信次
○岡田信次君 もう一つ私、運輸の当局に伺いたいのですが、国会にこの運賃法の改正を提起される前に公聴会を開きましたが、公聴会の公述人の意見をどの程度入れたのか、入れないのか、この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/71
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072・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 只今岡田委員からお話のございました公聴会についているくな意見があつたろうが、それをどんなふうに組込んだかという点につきまして、公聴会は十一月の二十七日、二十八日、二十九日と三日あつたのでございますが、その最終公述の際に私が申上げた点を拾いながら申上げますると、実は先ず第一に定期でございまするが、定期につきましては、最初国鉄の案は通勤定期につきましては、最低を百五十円、或いは通学の場合には、現在の通勤定期の最低が百五十円、それから通学の場合が百円ということになつておりまするので、これは余りに割安であるというようなことで国鉄といたしましては、これをそれぞれ二百五十円、百五十円、通勤定期は二百五十円に、通学定期は百五十円に引上方を考慮いたしたのでございます。でその計算の方法といたしましては、大体最低四キロ半、大体一里くらいの距離に相当する運賃は定期運賃としてもらいたいということを考えたのでございまするが、その最低の二百五十円、百五十円という国鉄の案に対しまして、公聴会の結果、運輸審議会が運輸省に答申せられた案は、通勤が二百三十円、通学が百四十円に若干定期の最低運賃の低下を命ぜられたのでございます。
それから今回新設をいたしました普通定期につきましては、これは通勤、通学以外のかたの利用に供するために、普通定期乗車券制度を作つたのでございまするが、その割引率につきまして、当初国鉄が考えておりました案があつたのでございますが、それ石は余りに割引率が少い、殊に遠距離について割引率が少いというような御意見がなかんずく行商人のほうからございました。それを運輸審議会としては取入れられたのでありましようか、今度の普通定期乗車券の賃率につきましては遠距離の部分、例えば五十キロを超えて百キロに至る間というような区間におきまして当初我々が考えておりました割引率よりも更に多くの割引をすることに相成りまして、改正の通勤に対しまして三割程度の差のところで一つの線を引きまして、これを普通定期乗車の運賃にすることになつたのでございますというのが第二の点でございます。
それからなお公聴会におきまして航空会社から今回の一等運賃の設定に当りまして航空機の運賃というものとの調整を考えたかというような御意見があつたのでございますが、それに対しましては勿論考えたことはございまするが、同時に従来鉄道の一等運賃或いは寝台料金というようなものがまあ相当高額でありましたもので、航空運賃は若干考慮いたしましたが、特にその航空会社の点を意識的に今回の一等運賃なり或いは料金を定めたものではないというような点を申上げたのでございます。
その他公聴会におきましてはいろいろと国鉄のサービスの改善、列車の増発等々の問題につきましていろいろと御意見がありましたが、これらにつきましては現在の実情或いは将来の方策につきましてそれぞれ御説明を申上げたのでございます。まあ大体そういうような点が主でございます。
なお公聴会の速記録がございますから、これは最近の機会にお届けしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/72
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073・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ほかに御質疑はありませんか。それでは私一つ営業局長にお伺いしたいのですけれども、先刻中村委員からのお話に関連しておると思うのですが、生活必需物資を特に特別な等級を作つて下げるということを計らいになつたということは非常に結構だと思うのですが、そのうちで米麦、野菜なんか二十三級ですか、それと殆んど同じような生活必需物資、特に中産以下の勤労階級ではいろいろな意味において野菜などよりも余計に使用度が強いという大衆鮮魚、それを二十一級というようなことになつておるのでございますけれども、先刻のお話だとこういう点はまだいろいろ検討する余地があるというようなお話もあるのですが、非常に多くの場面からこれは野菜、米麦と同じ等級にして欲しいし、又すべしという意見が相当強烈にあることを十分お気持の中に入れて御検討の時分にはお願いしたいと思います。そのことに対して御説明があれば承わりたいと思います。なければそういう強い要請があるということをお含みおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/73
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074・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 実はこの割引等級、特別等級を作りますると、その特別等級の中に物資が非常に多いのでございますが、毎毎申上げまするように、勿論国有鉄道でございまするから、公共性ということはこれは十分に重んじなければならない点でございまするが、その公共性のしわ寄せが、鉄道の運賃なり、或いは制度なりの面において余りにしわ寄せの程度が著し過ぎたという傾向がなきにしもあらずというようなことではないかと思つております。そこでこの割引等級の中に如何なる物資をはめ込むかということにつきましても、農林省、通産省と十分打合せをいたしまして、今おつしやいましたような生活必需の程度であるというような点をいろいろと慎重に考慮いたしました結果、現在の私どもの作業をいたしておりまする段階では米麦とか或いは野菜、生野菜は、これは最低の二十三級に入つております。今お示しになりました魚は二十一級というところに位付けられているのでございます。但しこの魚につきましても大衆の食膳に供せられるところの、我々下級鮮魚と言つています下級の鮮魚、これはもう鮮魚の中の大部分でございますが、そういつた下級鮮魚につきましては、現在の等級が七級、改正の等級が二十一級で先ほど申上げました指数的に申上げますると、現在も八五、今度の改正等級でも八五という点で、等級の上で、等級の変更による値上はないのでございます。冷凍魚、乾魚、塩魚等におきましてもやはり下級のものにつきましては、指数の八五というものは従前、又今後とも変りはないのでございます。なおスルメのごときに至りましては従来の一四五の指数が一一○に下るというような著しい値下りをいたしております。そこで今お話のございました生野菜が二十三級で魚が二十一級だという点が御疑問だと思うのでございますが、これはいろいろとまあ沿革もございまして、実は戦前におきましては今の指数的に申しますると魚はこれはもう上中下全部一緒になつておりまして、二〇という指数であつたのでございますが、それがだんだんと下つて参りまして先年の改正の際に九五となり、又八五となつて現在に至つておる。で、今後もその八五を下級鮮魚については続けて行ごうというつもりでございます。一方野菜のほうはその当時から鮮魚との間におきましては、若干の差異徑庭がございまして、併し野菜につきましては、まあ例を大根の例にとりましても、或いは菜つ葉類にとりましても、前には六〇であつたものが七〇に上つて来ておるというようなふうで、だんだん魚と野菜との間におけるところの等級上の差異、指数の上の差異は縮まつて来ておるのでございます。併しやはりこういつたことには若干沿革というようなものも考えなければならないと思いますので、私どもの現在の作業の道程におきましては、先ほどお示しのありましたような二十一級と二十三級とに分れております。こういう次第でございます。勿論今委員長がおつしやいましたような非常に強い御要望が、なかんずく水産業界からあるというような点につきましては、十分承知をいたしておりますし、善処して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/74
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075・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 今の下級鮮魚と言いますのは大衆的には蛋白源を国民の栄養の上からも余計推奨したりとらなければないというような現在の状況に鑑みまして、さような意味で再検討のときには十分御考慮願いたいと思います。私の質問はそれでおしまいです。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/75
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076・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて。
それでは本日はこれにで終了いたします。
午後四時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01319521216/76
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