1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十九日(金曜日)
午後二時四十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 秋山俊一郎君
理事
木下 辰雄君
千田 正君
委員
玉柳 實君
松浦 清一君
政府委員
大蔵省銀行局長 河野 通一君
事務局側
常任委員会専門
員 岡 尊信君
常任委員会専門
員 林 達磨君
説明員
水産庁漁政部協
同組合課長 濱田 正君
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本日の会議に付した事件
○中小漁業融資保証法案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 只今から委員会を開会いたします。
前回から審議中の中小漁業融資保証法案について質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/1
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002・木下辰雄
○木下辰雄君 前回の委員会において大体わかりましたが、もう二、三点お聞きしたいと思います。それは第七十条の第三、これは「前項の一定の率は、地方公共団体が会員となつている協会であつて政令で定めるものについては、百分の七十とし、その他の協会については、百分の五十とする。」とこうあります。第四には「第一項の保険関係が成立する保証をした金額の総額は、各協会を通ずるその合計額が、会計年度ごとに国会の議決を経た金額をこえない範囲内でなければならない。こういうことはどうしてわかりますか。かかる工合に範囲内であるということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/2
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003・濱田正
○説明員(濱田正君) 只今の御質問は七十条の四項の問題ですが、これは七十条の一項との関連になつて来ると思いますが、毎会計年度の半期ごとに政府が各協会と契約をするわけであります。そこでこの契約の総額ですが、どのくらい政府が契約できるかというその総額は、あらかじめ国会で議決を経た金額である。この金額を割当てるといいますか、各協会に割当てをして、その金額で個別的には契約する、こういうことであります。で二十七年度の補正につきましては、五十億の枠と、こういうことになつております。五十億の算出の基礎は只今申しましたように基金の量掛ける五倍、イコール五十ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/3
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004・木下辰雄
○木下辰雄君 それではあらかじめ各協会に対して割当てるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/4
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005・濱田正
○説明員(濱田正君) 運用としては、各協会の運用がどうなるかという協会の話を聞くと同時に、こちらの総額というものがありますから、それを勘案して結局割当てるというような、事務の上からはそういうことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/5
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006・木下辰雄
○木下辰雄君 それから基金の運用が大体一カ年に二回転となつておりますが、これは二回転の自信があるのかどうか、一応承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/6
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007・濱田正
○説明員(濱田正君) これは自信があるかと言われれば確信はありません。この数字を出すについて従来の中小漁業金融についてどういうふうに回転しておつたかということを統計をとつてみますと、二、三回転になつておるというのが実際であります。それから割出して考えてみたので、これは各基金ごとにどういうふうに廻るかは、全国的に見ればこのくらいで行くのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/7
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008・玉柳實
○玉柳實君 先に水産庁にちよつとお伺いしますが、この基金の出資総額は全国で約二十億ということでございましたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/8
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009・濱田正
○説明員(濱田正君) 県から言つて来ておる数字は実は証券で二十三億というふうに来ておるのです。ところがそういうふうにうまく行くかどうか。これがずつと末端まで滲透して出す人がどう考えるかという点もありまして、県から言つて来ておるのをそのまま鵜呑みにするのは少し危険じやないかというふうに考えまして、堅いところを踏む必要があるというので、県の出資も合せて二十億は下ることはあるまいという、まあ最低限のようなつもりで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/9
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010・玉柳實
○玉柳實君 そうしますと、保証総額は出発当初四倍、その後五、六倍ということでございますから、まあ約百億というようなことになりますね。その場合に仮に、百億といたしますと、そのうち運転資金にどの程度、又設備資金にどの程度を予定せられるか。大体の見当というものを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/10
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011・濱田正
○説明員(濱田正君) 大体運転資金としましては七割、七十億、それから設備資金としては三割、三十億、こういうことを考えております。なぜそういう七対三というふうに考えたかと言いますと、府県の需要量をとつて見ますと、相当設備資金に対する需要量が多いのですが、併しながら初めから設備資金を賄うほうへ持つて行けば運転資金に対する圧力が非常にかかると、設備資金は、これは回転が三年なり四年なりかかりますから、その分は、保証した分は丁度保証能力から除かれるということになりますからして、大体推算、中小漁業に対する従来の金融機関の設備資金、運転資金の貸出残を見てますと、まあ三割から四割、三対七、四対六ぐらいのところになつておりますから、先ず出発はその辺から押えて行つたらいいのじやないだろうかという統計的のあれから三対七で押えた、こういうことです。併し設備資金二十億といいましてもこれは、回転が遅いものですから、毎年三十億という形でなくして、やはり新旧貸出年度の残高が三十億になるのであつて、新規貸出と古い前からの残つたのを合せて三十億になる。こういうことになるので、うまく平均的に割賦返済をされるということを前提にすれば、まあ約その半分十五億ぐらいが新規貸出、十五億ぐらいは前からのがずつとそのまま残つておる。こういう形になるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/11
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012・玉柳實
○玉柳實君 そういたしますと、運転資金のほうは手持資金で貸出をするということが可能でありましようが、長期資金になりますと、一般市中銀行又信用漁連等におきましても貸出財源というものが殆んどないということになりますので、この長期資金につきましては農林中金等で特別に財源の措置を講ずる必要がありはしないかと考えるのでありますが、その点は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/12
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013・濱田正
○説明員(濱田正君) その点は現在まあ能力としては農中農林債券の発行限度がまだ大分残つておるので行けるわけですが、現在のあれの発行の条件で市中半分消化、資金運用部資金半分消化、消化の条件は同じ、こういうふうな問題になつております。実際問題としては能力としては残つておるが、そこまで現実に押して行けるかどうかということにこれからの問題がかかつて来るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/13
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014・木下辰雄
○木下辰雄君 もう一点、第二十四条の役員ですが、これは定款の定めるところにより、選挙をした役員と、総会の議決によつて委嘱した役員と二つあるようであります。もとより理事になつた以上は権能に変りはないと思いますが、総会の議決によつて委嘱する学識経験者はその県内にいなくてもいいのですかどうですか。別に住所に対する制限はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/14
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015・濱田正
○説明員(濱田正君) 住所に対する制限はありません。ありませんが、実際問題として運用でその県にある農中なり或いは市中銀行なんかの人との、その県にある銀行、一農中との連絡を密にするという意味からして、長崎県において北海道のものを頼んだところで、その県の銀行とは余り密にならんことになりますから、恐らくそういうものは選挙になるまいと、かように考えておりまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/15
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016・木下辰雄
○木下辰雄君 別に制限はないのですね、例えば兵庫県の理事を大阪府の中金の人がやつても構わんわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/16
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017・濱田正
○説明員(濱田正君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/17
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018・千田正
○千田正君 この附則のほうに、「この法律は、公布の日から施行する。」ということになつていますが、国会を通過したらこれは直ちに公布されると見られますが、直ちに実行できるような手はずになつておるのでありますか、準備は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/18
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019・濱田正
○説明員(濱田正君) これは特別会計と裏と表になつておるのでありますので、特別会計の上り工合と考えてやりたいと思いますということと、それから次の問題は、一応これは更に政令に定める事項があります。これはできるだけ早く大蔵省と話をつけてきめるということ、それから定款例、サンプル、それから業務方法書例というもの、それから、政府と基金との約款、そういうものをこしらえ上げてできるだけ早くやりたいと、年が明ければそういうものを持つているいろいろ地方とブロック会議をやつて。活発に進めたい。年度中にはそういういろいろの諸般の準備を完了したいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/19
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020・千田正
○千田正君 そうすると、大体来年の四月頃から始めるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/20
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021・濱田正
○説明員(濱田正君) これは全面的に一齊にはできませんが、できるだけ早く、北海道とか数県に亘つては新年度になる前にできるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/21
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022・玉柳實
○玉柳實君 金利の点は先ほど懇談中に詳細に伺つたのでありますが、それによりますと、短期運転資金の場合一割一分五厘、長期設備資金の場合は大体一割二分七、八厘ということになつておるようでありまするが、現在市中銀行の貸出は大体一割一分前後でないかと承知いたしておるのでありますが、そういたしますと、まあ保証料を含んでおることではありまするけれども、まあ保証の恩典を受けますのは、償還成績の悪いものであつて、まじめな償還のできる人は却つて一般の市中銀行よりも高い利子を払わなければならんことになり、これがまあ折角いい制度ができても漁業者が金利の高い点で躊躇をするという場合も考えられるのでありますが、将来この金利をいま少し引下げるような方向に向つて御努力を願いたいと思いまするが、それらの点につきまして何かお考えにはなつていないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/22
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023・濱田正
○説明員(濱田正君) その点につきましては、まあ設備資金につきましては、大蔵省の主計局のほうへ利子補給を二十八年度の予算として要求しております。これはまあ二十八年度予算の折衝にかかつているわけで、何とも今のところどういう結論が出るか申上げかねるわけであります。運転資金につきましては、これはこれ以上は無理な点ではないだろうか、かように考えております。ただ全体として特別会計に対する保険料が保証料の七割七分を占めております。それが大きな要素を占めておりますので、特別会計に対する保険料をどの程度まで切下げ得られるような運用になるかということは将来の問題になりますので、極力努力したいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/23
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024・玉柳實
○玉柳實君 今のお話で、設備資金に対しましては将来利子補給を考える、現に二十八年度当初予算に要求したそうでありますが、是非これを実現して頂きたいと思います。大体どの程度の利子補給を要求しておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/24
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025・濱田正
○説明員(濱田正君) 四分の利子補給を要求しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/25
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026・玉柳實
○玉柳實君 これは省議は通過しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/26
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027・濱田正
○説明員(濱田正君) 省議は通過しております。二十八年度予算ですでにもう大蔵省に出しておりますから、全部通過しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/27
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028・玉柳實
○玉柳實君 それから、政府出資は現、在補正予算で五億予定しておりましたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/28
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029・濱田正
○説明員(濱田正君) その通りです。五億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/29
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030・玉柳實
○玉柳實君 二十八年度当初予算には要求せられないというような話を聞いたんですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/30
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031・濱田正
○説明員(濱田正君) それはまあ大蔵省の主計局と農林省の話でありますが、これが平年度まあ通常年度は二十億ということで考えて行きますと、十四、五億の金が特別会計に対して要るわけであります。で、これをどういうふうに年度別に割つて入れるかということでありまして、二十七年度の補正としては、まあ二十七年度中に保険金を払うということはありませんが、とにかく五億入れると、あとは二十八、二十九年度でどういうふうにするかということについては、大蔵省に対して我々は二十八年度予算で九億の要求はしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/31
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032・玉柳實
○玉柳實君 それはわかりました。
それから、現在御承知のように、各府県ともにこの漁業証券の交付を契機といだしまして、信用漁連の拡充強化を図るということに努力をしておるわけでありますが、今後この保証融資を農林中金を通じ、或いは信用漁連、一般銀行等を通じて漁業者に貸出する場合に当りまして、この信用漁連を拡大強化して行くということに、そういう態勢を崩さないように、特に農林中金等はこの信用漁連を育成強化するというような方向で協力をして頂かなければならんと思いますが、さような見地からいたしまして、私としては原則として農林中金から融資する場合は、県の信用漁連を中心として貸すことを原則として行きたいと、県信用漁連で融資の困難なる場合は例外的に直接農林中金か駒貸すというような方向に御指導を願いたいと考えておりまするが、この点は水産庁としてはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/32
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033・濱田正
○説明員(濱田正君) この点につきましては、なかなかむずかしい問題でありまして、運動の問題と、それから現実のその信漁連の能力の問題と、二つがからまつて来ておるのでありますが、運動の問題につきましては、いわゆる系統金融ということでありますから、その線を強化しながら図つて行きたいということには変りないのです。
ただ現実の問題として、全面的に転貸なら転貸という手を打てるかどうか、信連も所によりましては、僅かに貯金が十万円しかない、職員は」人か二人しかいないという所へ転貸という手を打つて行くということは、何と言いますか、能力以上だという問題がありますので、運動の方針としてはそういう形は確立して行くが、信連々々によりまして転貸ということで行ける所はそれで行くし、そうでない所は何と言いますか、調査或いは回収の委託と、こういうふうな形で信連を活用して行きたいという二つの方式、二つというのは変でありますが、現実の問題としては、転貸はせんが、回収とか、調査を依頼する、こういうふうな形で活用して行くという考を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/33
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034・玉柳實
○玉柳實君 その点につきまして農林中金と懇談されたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/34
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035・濱田正
○説明員(濱田正君) 懇談はしておりますが、結論には達しておりません。ただ結論が出ておるというのは信連を活用するという結論が出ておるだけで、それを如何ような方式で活用するかというのはまだ意見は一致しておりません。原則だけきまつて、方式はまだ意見が一致しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/35
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036・玉柳實
○玉柳實君 そういたしますと、希望を申述べておきますが、すでに相当農林中金との話合いによりまして、協力をするという原則的了解ができておるようでありますから、その方式として、先ほど申上げましたように、原則として信用漁連を通じて融資をするということにお願し、なお只今お話の、然らざる場合においても回収或いは調査の事務を委託し、従つて若干の委託料を農林中金から信用漁連に差上げることによつて信用漁連の強化育成に役立たじめるというようなことに更にお話合いを進めて頂ぎたい。かようにこの点御希望申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/36
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037・木下辰雄
○木下辰雄君 第十条の特定漁業というのはどういう漁業を指しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/37
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038・濱田正
○説明員(濱田正君) これは第五条の区域との関係のあるものです。基金協会の区域は都道府県の区域による。これは原則です。そうしてそれを跨る場合については主務大臣が指定する。これは跨がる区域について五条によつて規定しておるわけです。その区域内で今度は今の木下委員の御質問の十条の二項に入りまして、そこでやる漁業の種類については、地区を跨がるものを認め、且つ漁業の種類を特定漁業といろふうに命名したわけであります。でそれを政令でやることになりますが、今考えておりますのは以西底曳網漁業というものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/38
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039・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 河野銀行局長は予算委員会に出席の予定もあるようでありますが、局長に御質問のかたはお早く願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/39
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040・玉柳實
○玉柳實君 銀行局長にちよつとお伺いいたしますが、実は先日も水産庁長官にしつこくお尋ねをしたのでありまするが、問題はまあ一般の市中銀行がこの法律の趣旨、精神を十分に理解をして、積極的に協力して、中小漁業者に融資が願えるかどうか、又そうさすにはどういうふうな手段方、法を講ずればいいかというようなことについてでありますが、御承知の通り市中銀行は、漁業方面につきましてはなかなか門戸を閉しで融資をしない。先ほど局長の懇談時間中のお話によりましても、又漁業部面の金融については、普通一般の金融ベースに乗せ難いものが多いのでというような意味のお話がございましたが、まあさような関係もありま女ためか、特に銀行は中小企業面にもなかなか貸さないのでありますけれども、漁業者方面については殊更貸さない。そのためまあいろいろ保証制度、或いはルース台風のような損失補償制度といつたような特典のある融資につきましてもなかなか貸さない。尤も本制度は万一の場合におきましては完全の補償が得られるわけでありまするので、従場来の制度に比較いたしますれば数段進歩いたしておりまするので、従来に比較いたしますれば、或いは協力を得られるかと思うのでありまするけれども、なお従来の銀行家の態度からして、その点甚だ不安に思うのであります。御承知の通り市中銀行は個人の場合などは預金のないものに対しては金を貸さない。これがもう鉄則になつておるわけでありまするが、まあ漁業協同組合のごとき公法人に対しましては多少違うでありましようけれども、なお相当の不安があるわけであります。まあ漁業協同組合も基金に対する出資金を通じ、基金から各市中銀行にも預金するわけでありますから、従つて間接的には預金しておるわけでありまするけれども、直接的には預金もしておらんわけでありまするので、普通の市中銀行は従来のような普通の金融べースの頭で扱いますると、この出資金の五倍の限度まで融資するというようなことは殆んど思いもよらんというふうに考えられるのでありまするが、一般の銀行が本制度を十分に理解して強力して、積極的に漁業者の面に融資をするという方向に一つ銀行局としてもこの点御指導願つたらと考えておるわけであります。この点につきまして局長の御見解などを伺えたら幸いと思うのであ年ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/40
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041・河野通一
○政府委員(河野通君) お尋ねの点は誠に御尤もだと存じます。私どももかねがね中小漁業に対します一般の市中銀行の活動振りが必ずしも十分に積極的でなかつた点はこれを認めております。併しながらこれは全般的に申しますとそうでありますが、やはりそれが銀行としての授信業務、信を授けるほうの授信業務として適当である範囲におきましては、地域によりましては、地方銀行におきましても相当中小漁業に対して融資は行なつておるわけであります。中小企業全体、漁業も含めて中小企業全体につきましては、何と言いましても、これらの金融疏通を図る途は、これらの企業自体の信用力を強くして行くということが先ず何よりも大切である。中小商工業について信用保証制度ができておる、信用保険制度ができておりますが、これらの制度ができまして以来、中小企業に対する銀行の融資活動というものは非常に積極的に私は改善されて来ていると思うのであります。この考え方を中小漁業につきましての特殊性を加味しながらこの法案で実現されることは、これらの銀行が中小漁業に対する融資をいたして参りますための大きなつつかえ棒になつて来ると思うのであります。できるだけこの新らしい法案のバツクのもとに、地方銀行といたしましても、重要なる地方産業の一つである中小漁業に対する融資活動を更に積極化して行くことを今後といえども私どもは指導いたして参りたいと考えております。ただ先ほどちよつと申述べましたように、銀行といたしましては、飽くまでやつぱり多数の預金者の預金を安全に管理するということが第一の使命でもありますので、金融ベースということは言葉は非常に語弊もあるのでありますが、飽くまで銀行としてやり得る範囲の融資活動に限られなければならん。その範囲におきましては、この法律による信用力の補強とよく睨み合せまして、できるだけ積極的に中小の漁業に対する金融の疏通について努力をするようにして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/41
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042・玉柳實
○玉柳實君 只今のお話の中で、中小企業等に対しましては、保証制度或いは保険制度ができましてから、非常に飛躍的に増強されたというような意味のお話がございましたが、私の伺つたところでは、さような従来の制度ができましたにかかわりませず、中小企業面に対する融資は甚だ消極的であるというふうに伺つておりましたので、そういう点も参考といたしまして、より以上市中銀行から今見放されておりまする中小漁業者に対する融資について、本制度を以てしても、この市中銀行の銀行員の頭の、考え方というか、頭の切替等もお願いしなければ容易じやないのじやないかというふうに案ずるのでお尋ねしたわけでありますが、どうぞ今後あらゆる機会、又適当な方法によりまして、銀行がこの法律の趣旨に協力して積極的に中小漁葉者に融資できますようにこの上とも御配慮願つておきたいと思います。
なお、一つ伺いたいと思いまするのは、この制度によつて、基金が保証いたしますれば、万一の場合におきましても一〇〇%回収できるわけでありまするので、従つて市中銀行が貸出す場合におきましても、成るべく最低の金利で、而も成るべく全国一定の低い率でということを御指導願つて貸して頂くようにお願いしたいものだと思うのでありまするが、さようなお考えは持つておられませんかどうか、伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/42
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043・河野通一
○政府委員(河野通君) 中小漁業の資金につきまして、できるだけ安い金利で供給をするようにというお話でありますが、この点は原則的に私は至極同感に考えております。併しながらこの金利の問題は、中小漁業につきましても勿論必要でありますが、一般的な中小企業全般についてやはりできるだけ安い金利で融資ができるようにして行くことがやはり必要になつて参つておるのであります。私どもは金利全体をできる耀け恥下げて、企業の金利負担というものをできるだけ軽減して行くということのために、従来から一貫して努力をいたして参つておるのであります。何分にも日本の経済の本質的な、まあ何と申しますか、弱さということが結局資本の不足というところに現れて参つております。従つて資本の不足いたしておりますところには、どうしてもその資本を集めるための金利というものが資本の豊かなところに比べるとどうしても高くなつて来る、乞ういつた関係もございますので、なかなかアメリカとかイギリスのような安い金利で供給するということがどうしても困難な事情であります。併しこの点もお示しのようにできるだけ低くして行くように努力はいたして参りたいと思います。なお、先ほどもちよつとお話が出ておつたのでありますが、農林中金あたりの金融債を資金運用部で引受けます場合に、これらの条件をできるだけ低くするということの努力も、たびたび各方面から要請も受けておりますので、できるだけそういつた方向に研究はいたしてみたいと思いますが、現在はいたしてみたいと思いますが、現在の制度から言いますと、今にわかに市中において消化でき得る金融債の条件と、資金運用部自体が引受ます場合の条件とを区別することがなかなか困難であります。と申しますのは、資金運用部自体がやはり何と申しますか、独立採算と申しますか、自分の収支で採算をとつて参らなければならぬ関係上、郵便貯金において相当高い利子を払いながら、運営をいたして参らなければなりません点もありますので、今非常にこれらの金利を下げることが十分検討はいたしたいと思いますが、差当つてはできない次第であります。全般論といたしまして、できるだけ安い金利でこれらの中小漁業に対する金融ができますように今後とも努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/43
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044・玉柳實
○玉柳實君 只今のお話の中で金融債を引受けます際に、成るべく利子を安くしたいというお話大変結構だと思いますが、ちよつと伺いましたら、何か八分五厘のように聞きまして、これは少々高過ぎるような気がするのですが、もう少し安くできないものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/44
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045・河野通一
○政府委員(河野通一君) 金融債全体につきましては、更に利子も引下げる方向に現在は研究はさせております。併し興業銀行或いは今度の新らしい長期金融金庫にいたしましても、農林中央金庫の債券とやはり同条件で出しておりますし、市中においてこれを余りに低くいたしますと、市中において消化することが困難であります。やはり市中が引受け得る限度、主として御承知のようにこれらの金融債を引受けるのは金融機関が多いのであります。金融機関が引受け得るような条件でないと工合が悪い、そういつた関係で現在の金利の体系の中における金融債の現行の条件がいいか悪いかという問題は今いろいろ検討はいたしておりますが、にわかにこれを下げます場合においては、市中におけるこれらの消化が非常に困難を来たすという問題もあるのであります。これらの点を勘案いたしまして、できるだけ条件を改善して行くように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/45
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046・玉柳實
○玉柳實君 ちよつと少さいのですが、十一条、第七項に「協会の出資の総額は、政令で定める」、そうなつておりますが、大体どの程度をお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/46
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047・濱田正
○説明員(濱田正君) 一千万円と考えております。一千万円の理由は、余り少さくては信用力が乏しいということ一と、それからこの仕事をするについて最小限度一人の人間は養い得る、こういう計算をやつて、保証料、それから政府に払う保険料、そういうものを差引いて最小限度人件費が出る程度で一千万円くらいの計算が出ましたので、ここで押えました。こういうわけであります。大体、内水面の長野県程度というところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/47
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048・玉柳實
○玉柳實君 これはちよつと今見て気がついたので、甚だ小さい字句の問題なんですが、十七条の第一項第一号から四号まで、「保証していること。」或いは「求償権を有すること。」「こと」となつておりますが、あれは大体保証しているときとか、有するときとかいうのが普通の書き方と思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/48
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049・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 成るほど字句の点でこれを見ますと、少しそぐわんような感じがするのですが、私も実は気がついたのですが、今これを修正するということも大変だろうと思いますが、後日これを訂正することにしたらどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/49
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050・濱田正
○説明員(濱田正君) 私はどうも詳しくわかりませんが、法制局で審議したときに、これで通過したのですからいいのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/50
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051・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 別に御質疑はございませんか……ほかに御発言がないようでございますが、これで質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/51
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052・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議ないものと認めまして、質疑は終了したものと認めまするちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/52
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053・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 速記をつけて。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/53
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054・木下辰雄
○木下辰雄君 私はこの法案に対しては賛成でありますが、ただ先に玉柳議員からもいろいろ言つておられましたが、系統機関の秩序を破壊するような、即ち漁信連を無視するようなことのないように、十分漁信連を活かして使うということを是非やつて頂きたいということと、もう一つ地方銀行に枠がないということのないように、成るべく金融を円滑にするように特段の措置を講じてもらいたいということを私は希望条件として賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/54
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055・玉柳實
○玉柳實君 私はこの法案が従来漁業振興上の最も大きな癌となつておりました金融難を打開して、円滑なる金融を通じて以て漁業者、特に中小漁業者の振興を図ろうとしておるのでありまするので、誠に結構な法案と存じまして賛成の意を表するわけでありまするが、ただこの制度をして更に有効に運用できるようにいたしますために、次のような附帯決議を附しまして、本案に賛成をいたしたいと存じます。只今その決議案を朗読いたします。
政府は本法実施に当つては次の措置を講ずべきである。
一 地方公共団体が協会の会員として出資するに当つてはその資金に充当するための起債を認めること。
二 本法による融資に対しては政府はその利子補給の方途を講ずること。
以上の点につきましては、その意義明瞭でございまするので、説明を省略いたしまするが、以上のような決議を附することによりまして、本案に対しまして賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/55
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056・千田正
○千田正君 只今同僚玉柳委員から附帯決議の提案がありましたが、この提案を附帯としまして、この法案が一日も早く実施に移るように、而もややもすれば漁業金融というものは破行的な一番悲惨な立場にあるところの漁業金融の面において、この法案が通過したことによつて一応の突破口ができ、そうして漁業そのものが一歩前進できるという一つの希望と期待とを持つて、この案の即時実行をすることを望んで賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/56
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057・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) ほかに御発言もないようでございまするから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/57
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058・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議はないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。小漁業融資保証法案について採決をいたします。本法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/58
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059・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に玉柳委員が本案に対して附帯決議を提出されております、が、この附帯決議を附することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/59
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060・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よつて本案は附帯決議を附することに決定いたしました。
なお、本会議における委員間の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/60
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061・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議ないものと認めます。それから例の多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
玉柳 実 千田 正
木下 辰雄 松浦 清一
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/61
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062・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/62
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063・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 速記をつけて。
それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。
午後三時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514562X01219521219/63
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