1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年二月二十六日(木曜日)
午後一時二十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
菊川 孝夫君
委員
黒田 英雄君
西川甚五郎君
小林 政夫君
小宮山常吉君
杉山 昌作君
野溝 勝君
松永 義雄君
堀木 鎌三君
国務大臣
大 蔵 大 臣 向井 忠晴君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
大蔵省主税局税
制第二課長 鹽崎 潤君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
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本日の会議に付した事件
○酒税法案(内閣提出、衆議院送付)
○酒税の保全及び酒類業組合等に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) これより第二十四回大蔵委員会を開会いたします。
酒税法案並びに酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案、右二案を一括して議題とし、前回に引続き質疑をいたします。
〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/1
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002・中川以良
○委員長(中川以良君) どうぞ御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/2
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003・松永義雄
○松永義雄君 同じような質問を繰返すことになるかも知れないのですが、今度酒の増石をするために酒米の二十万石が農林省のほうから大蔵省のほうへ譲るということになつたのであります。ところが御承知の通りに農林大臣自慢の米麦五カ年計画が破られた。昭和三十二年において五百五十万石の純増を予定して、そうして外貨を節約し、その補給金を減らすというので考えられたことが破れた。そうして現在約十カ年計画にもなるであろうかとも思われるような計画を今立てられているようであります。そこで大蔵大臣にお尋ねいたしたいことは、この日本の産業構造というものは先ず以て食糧の増産を図らなければならない、その次には電源開発或いは船、動力資源を開発しなければならん、それが日本の進むべき道であるということが、この間来られた世界銀行の人もそういうことを言つて、恐らくこれは誰も考える常識の結論ではないかと思うのであります。かねがね大蔵大臣は新聞を拝見しますというと、今日のまだ日本の財政経済では耐乏の気持を持つて行かなければならない、私の読み違いかも知れませんが、そういつたようなことを言われて、或る点において私としても了解し得るところがあるのであります。然るに昨年は豊作だから少々米は廻してもいいのだといつたような口吻を農林省側から聞くということも非常に遺憾な次第ですが、僅か三十万石といえども増産計画が破れた今日、こうした矛盾した予算というか、予算計画を立てられるということは非常に矛盾していると考えるのですが、そのほかいろいろ長たらしいことを説明するまでもないと思うのでありますが、一体大蔵大臣の考え方は、日本の経済を今どういうふうに持つて行こうというのか、たまたま酒の二十万石に関連して私として腑に落ちないことがあるのであります。この点についてお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/3
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004・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 日本は現在の状態におきましては、うかうかと楽にして行くということはいけないという考えを私は深く持つておる次第であります。それで、従つて食糧というようなものは是非外国から買わずに、日本で作らなければならん。その食物の増産に要る金も農林省の要求する、或いはその道の人が考えて適当と思う金高だけの予算が組めませんでしたのは残念に存じておる次第であります。これは今後ともできるだけ食糧増産というほうに使つて行かなければならんと存じます。御質問の御趣意は、それにもかかわらず酒などに米を使うのはどういうわけかというのだと存じます。それは酒というものが必ずしも贅沢なものでもなく、労働者階級では、一つの骨折のあとの疲労を休めるというような意味もありますし、それで只今の程度の米は農林省からもらつて酒にして欲しいという考えを持つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/4
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005・松永義雄
○松永義雄君 そういう話を聞くと少し妙になるのですが、労働者に飲んでもらう酒を考えなければならんという話なんですが、然らば一級酒とか二級酒なんというものはそう考えなくてもいいではないかという逆の結論が出て来ると思うのであります。一体酒税を見ると、増石、酒の量を殖やしても税率が下りますから、税金が下りますから、二十七年度に比較して一十八年度の予算はたしか一億円ぐらいしか余計税金が入らないように承知しておるのです。一体下々のためにやるというならば、上のことはそう考えることはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/5
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006・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 下の者の下級の酒のほうの量を殖やしておつて、上級のほうの酒はそれほど殖やしてない。そういう計算にして、殊に減税後下のほうの酒ほど余計にして行くように取扱つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/6
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007・小林政夫
○小林政夫君 事務当局並びに政務次官にはお尋ねしたのですが、酒の製造並びに販売免許の制度について、一応製造免許ということは今の情勢上止むを得ないにしても、販売免許については大臣としてはどういうふうな見解をされておるか。戦前においてはなかつたわけです。而も大臣はまあ自由党員ではありませんが、自由党内閣においては相当自由経済をモットーとしている。どういう考えで、この販売免許をいつまで続けるつもりであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/7
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008・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 酒の税率の高い間は、当分の間はこの制度は止められないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/8
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009・小林政夫
○小林政夫君 それでこの法案で見ますと、免許をやるのは税務署長ということになつております。ところが実際の運営は現在においては国税局長において、最近国税局長で免許事務を定めておるというようなことで、実際の運営は税務署長ではできない。政務次官も昨日答弁がありまして、当分の間こういうような、実際法案は税務署長になつておるけれども、その監督は上級者である国税局長、或いは国税庁長官において判定するということなんですが、併し需給調整ということが最も問題であつて、需給調整上許可できないというようなこともあり得るわけでありまして又免許するかしないかという判定の有力な根拠としては、そういう酒の需給調整上睨み合せながら考慮におかなければ、許可するか許可すべからざるかということはできない。そうするとその全国的な需給調整ということを考えなければならんのです、製造のほうは石数において考えておるからいいのでありますが、併し販売については、少くとも卸等については何も特定の地域に販売権を限られていないわけでありますから、全国至る所、どこへ行つたつてかまわないということになるわけであります。そういうことがいやしくも免許制度をおく限りにおいては、税務署長の権限においてはできにくいことがらだと思うにもかかわらず、法案においては税務署長が認可をするということであつても、実際において実情とも違うし、又そういう統制経済的な建前から言つて、全国的な需給を睨み合すという建前から言つて、一地方の税務署長でこういうことが専断で認可できることじやないと思いますが、その点についてはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/9
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010・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) お説一応御尤でありますが、現場の実情が一番数量の決定などには大切と存じますので、税務署長が一番現場の実情はよくわかつておるという点で、その判断を重んじるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/10
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011・小林政夫
○小林政夫君 その税務署長……現場の勿論具体的な業者というものについては税務署長が一番よく知つているでしようが、併しそれは内申をさせればわかることでありますが、決定権というものは、この法文の見方で言えば絶対に税務署長限りでやれる建前になつておりますが、実際はやれないということであればむしろやらせないで、又やれないということであるならば、上級長官の責任を明らかにして、そうして国税庁長官がこれを許可するというこういう建前で、その内面的に当該税務署長の意見を重んずるという、具体的な選択については重んずるということでいいと思いますが、これは法文的にはあべこべな見方じやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/11
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012・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今小林委員のおつしやいましたように、国税庁長官なり国税局長が免許をすることにしまして、税務署長の意見を聞くというやり方も一つのやり方だと思つております。併し我々は立案しておりますときは、酒税法としましては、やはり相当この法律の成立とか、そういうものは別としまして、長い姿において今後やはりこれが使われて行く条文じやないかと思う。今度改正しようとしている現行法は昭和十五年の税制改正のときにできまして、そのときに従来の幾つか分れておりました酒関係の税法を統一しましたのが現在の酒税でございまして、それから考えてみましても、もう十何年経つておるわけでございまして、その間いろいろな経済の動きにつれまして、免許の中心を税務署長に譲りまして、殆んど主税局、当時の主税局でございますね、今の国税庁が干渉しなかつた、或いは国税局もそれほど干渉しなかつた時期もございます。それから或る程度の基準をきめまして、税務署にその範囲で以てなら自由に免許してよろしい、異例なものがあれば一応内申しろといつたような時期もございましたし、最近におきましては、小売につきましては税務署長限り、卸しにつきましては、国税局長限り、時勢の変化に伴いましてその間の実情が大分変つて参りますが、とにかくやはり税務署長というものが一応いずれの時期におきましても相当大きな発言といいますか、意見を述べるということにおきましては終始一貫しているわけでございます。従いましてその間におきまして、やはり改正法におきましても、現行法と同じように税務署長に免許の権限を与える。ただそのときどきの時勢に応じまして、必要によつて国税局或いは国税庁、これはまあ製造とかいろいろな問題になりますと、国税庁が或る程度の監督権による免許の場合における指示、制限ということはあり得るというふうに思つておりますが、やはり法律として制定しますときにおいては、税務署長が免許をするという建前をとるのが一番いいのじやないか、かように思いまして原案を作成したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/12
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013・小林政夫
○小林政夫君 私は今は逆な聞き方をしているわけであつて、実際は少くとも税務署長でやらしてもらいたい、行政簡素化の意味においても……、併しそういうふうに徹底的な免許制度をとるという意味においては、これはやはり物の統制と同じで、万般がんじがらめにやつて行かないとやれないように、結局一番国全体を見、それを握らなければ徹底した行政ができないというようなことになるので、そこですでに酒類業組合等を相当法制化し強化して、需給の調整等についても自主的に、又大蔵当局の指導によつてできるという別途の措置も今併せて付託されている酒税の保全関係の法律によつて確保されるということがあるので、行政簡素化の折から勿論酒税を確保するという面も併せ考えて、少し大臣においても十分御検討願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/13
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014・野溝勝
○野溝勝君 大臣急がれているようでございますから、一、二点簡単に御質問をしてお答えを願いたいと思います。
前の池田大臣は、源氏鶏太の小説じやありませんが、三等大臣でございまして、あなたは経済人で非常に苦労されておりますから、私の見方は一等大臣と見受けます。そこで昨日来政務次官の愛知さん、塩崎課長のいるところで、私現在の酒の小売業者のかたがたが非常に困つている、まあ大体、全体生活が楽じやないのでございますが、特に私この事実を件数的にも長野県としても調査してあります。その事実を私申上げまして、昨日当局の反省を促がした質問をしたのでございますが、明確な回答がありまして、その点は非常に安心いたしました。併し監督に当られる大臣が来た席で更に私は確認を得ておきたいと思うのでありますが、あなたも御承知のごとく大体デパートあたりの最後的マージンは三割五分から四割、昨日の新聞にも出ております。そこでこれは全部じやないかも知れません。併しそれはあることは間違いありません。そこで大体今の経済情勢からみますると、まあ小売業者といたしましては、相当マージンがないことには生活がやつて行けないから、これはまあ私どもよくわかります。併し酒屋に至りましては、向井さんも多分御承知だと思うのですが、七分か八分ですな。そこで若しそれに意見がありますれば、更に私は掘り下げて御質問をいたしますから、併し昨日の答弁は、それに対して或いは私そこら辺、一分ぐらい間違つておるかも知れません。併し大体それが一分間違つて九分にしても、今日の社会通念から見て、私どもそんな最低のマージンはないと思います。併しそれで、じやマージンを多くする、そうすれば消費者に転嫁されますということをよく言う人があるのですが、それは勿論反対です。反対ですが、この中小商人の諸君が私は生活のやつて行けないようなマージンの扱い方というものは、これは検討を要すると思うのです。そこで特にこの市街地のような販売数量の比較的多い所はまだしも、販売数量の少い地域における業界というものは目も当てられない姿でございます。特に私は、よく大臣こういう文案をなかなか条文の中にとり入れたと感心しております。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案の二十九頁でございますが、第四十二条第五ですが、「組合員の製造又は販売する酒類の需給が均衡を失したことに因り、酒類の価格がその酒税額及び原価に照らして低下し、又は酒類の代金が回収が遅れる等組合員の酒類製造業又は酒類販売業」私はこの酒類販売業のほうにウエイトを置くのですが、「酒類販売業の経営が不健全となつたため、」要するに代金の回収が遅れて、そうしてその経営が困難になつた、こういうことを大臣はお認めになつておると思います。「酒税の納付が困難となり、又は困難となる虞があると認められる場合において、左に云々」と、よく私は事情を大臣は知つておられると思いまして、かような点から見ても、この際小売業者が九分や九分以内におけるところのマージンで田舎の業者がやつて行けるはずはないと思います。特に、それではお前変つちまえと言えば池田君になつてしまう。業界の二人や三人倒れてもかまわない……、あれの形式から言えばそうであるが、併し一等大臣である向井さんは、ここになかなかよく書いてありますから、私はよく下々と言いますか、大衆の生活の困憊しておることがよくわかつておられると思います。私はそういう意味でそれが消費者に転嫁されることは悪いが、若しこういうお認めになつておるような小売業者、販売業者が苦しくなつて来れば、背に腹は代えらせませんから、結局酒を飲むのか、水を飲むのか、税金を飲むのかわからなくなつてしまう。却つてこうなつて来ると、私はそれがために消費者に迷惑をかけるということに帰納的にもなるのであります。でありますから、昨日かようなことで私縷々質問と意見を加えまして申上げましたけれども、政務次官である愛知さん、塩崎さんは、御尤もでございます。全く他のマージンよりは低い点はまあ承認いたします。筋書はそうです。でありますから、近い機会に御期待に副うように必ずいたします。こういう裏付をしたのでありますが、大臣はこの点に関しまして、昨日の愛知政務次官の言明に対して、私の只今の質問に対して必ず履行する。この一言を言つて下されば質問を打ち切ろうと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/14
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015・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 私は一等大臣でもございませんが、併し今のお話の点はよく了解いたしました。その方向に向つて必ず善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/15
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016・野溝勝
○野溝勝君 いや有難うございました。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/16
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017・菊川孝夫
○菊川孝夫君 大蔵大臣に今後の酒造の対策について全般的な面からお伺いしたいと思つておるのですが、と申しますのは、今年は先ず酒税を減税する、一面において増石をやつてそしてその現金の減るのを補つて行こう。将来減税する場合には酒をどんどんこしらえて行くというような政策をおとりになるつもりであるかどうか。というのは食糧関係にすぐ響いて来るが、ビルマからああいう毒の入つた米を持つて来て、これを食糧に供しておきながら、一面において日本でできる一番いいとつときの米を酒に潰して行く、こういうやり方は食糧政策から考えまして非常に問題があると思うのでありますが、だからと言つて酒が全然ないということは決して我々は好むものではございませんが、その意味におきまして、今後酒の製造というものはどの程度で一つ考えておるかという点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/17
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018・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) これは大変むずかしい問題で、どの程度に置くというふうなことをはつきり申上げかねるのでございます。併し酒というものは、仮に今のように経済の制度が今の制度で動かないとしましたならば、無下に数量を殖やすべきものではないと思いますし、又減らして行く必要もない、大体今くらいのところで今後も行くことがいいのじやないかと思います。それから税を減らしても酒の数量を殖やせば収入が動かないとか、或いは収入を殖やして行こうというふうな、酒を税金の材料に使おうということは私は考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/18
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019・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ところが最近の大蔵省のやり方を考えて見ますと、例えばたばこにいたしましても、パチンコ屋あたりに盛んにたばこをどんどん流して、たばこを先ず売つてたばこを吸わしておる。たばこなんか殆んど税金を吸つておるようなものでありますし、酒も二級酒で大体半分だけは税金を飲んでおるようなものと思うのですが、そこで税収さえあれば或る程度は増石をしてでも税収を殖やす、こういう考え方を持つておるものか、それとも成るべくならばこれは最小限度に抑えておいて酒の増石は最小限度に抑えておいて、これは食糧のほうに廻わす、こういう方針をとつて行くつもりか、どちらか、こういう点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/19
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020・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 酒よりは食糧のほうが大事だろうと存じておりますので、酒を殖やして行こうという考えは持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/20
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021・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、自由経済主義である大蔵大臣は、この酒の製造並びに販売につきましては、未だに統制のにおいが非常に強いことは事実であります。勿論これは酒税の保全との関連もあると思いまするけれども、非常に酒に対してはいろいろと大蔵省の、或いは政府の統制というものがまだまだ抜け切つておらんと思うのでありますが、これと自由経済主義とまあちよつと両立しないように思うのでありますが、将来は成るべく統制をどんどん、統制と言つては語弊があると思いますが、名前を調整と使われておりますけれども、これをどんどん外して行つて自主的にやらして行くという方法を考えておるか、それともこの程度の調整は将来相当長く続けて行くつもりであるか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/21
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022・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 何分税金が高いために放りつぱなしにするということはできませんので、この程度の調整というものは暫く止むを得ないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/22
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023・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にその組合について最後にお伺いしたいと思うのでありますが、この組合はどちらかと申しますると、政府の監督の極めて強い、曾つてのまあ公団であるとか、或いは統制会というようなにおいが非常に強いように私は思うのでありますが、従つてややもしまするとこの組合を利用しまして、官僚がこの組合を利用する危険が多いと思うのでありますが、将来この組合を利用する危険が極めて多いということを考えますときに、大蔵大臣はこの組合に対して飽くまでも自主性を持たしてやつて行くつもりであるか。或る程度はこれを調整の御用機関に使おうという意図で出しておるのかどうか、この点をはつきり伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/23
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024・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 官僚の肚の中は私にはわからないわけですが、併しそういう考えでやつているものと私は考えません。十分組合のほうの自主性を引出して、そうして只今の法律に出ております組合の機能を全うしたいとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/24
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025・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今度この技術の進歩と申しますか、酒造技術がだんだん向上するに従いましてどうしても大企業化する。酒も昔の通りの造酒屋ではだんだんと太刀打ちはできなくなつて来ると思うのでありますが、そうすると大企業と小さい本当の田舎の造酒屋との間に非常に競争がむずかしくなつて来るだろうと思うのでありますが、その調整を成るべく大きくしてやつて行こうとするつもりであるか、それとも小さい昔ながらの酒屋をそのまま育成して行く、温存して行く、これは技術でも非常に違うと思うのです。大企業の場合と小企業の場合は、何でも同じですけれども酒などはその違いは少いかと思いますけれども、それでも小さいのはだんだんやられてしまうというふうになると思うのでありますが、その点につきまして、広告するにいたしましても、或いは百貨店その他の販売網にいたしましても、どうしても大企業には押されてしまうということは考えなければならんと思うのでありますが、将来大きなのをたくさんこしらえて、それで以てまあ極端に申しますと、やはり宝酒造であるとか、ああいうような大きな宝焼酎あたりには押されてしまつて、小さい焼酎ではとても太刀打ちできん、こういうふうになつて来ると思うのでありますが、田舎の小さい酒屋あたりは将来そういう段階に必ず来ると思うのでありますが、これを保護育成して温存して行く、こういう方針をとられるのか、やはり大きいのをどんどんこしらえたら能率も挙がるし、経済的にいい、こういう方針をとるのか、この点についてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/25
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026・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) これは政府として、このどちらを推すと、温存主義か、小さいものの温存をしますか、或いは大きいものを奨励して大きくして行くか、こういうふうなどちらにも向う考えは持つておらないのですが、酒は私はよくわかりませんが、それぞれ酒造の人により或いは方法によつて特質を持つておるものだろうと思うのでございますが、そうしますと、その持ち味というものが生きて参つて、相当の期間、この規模は小さくてもそれが温存されて行くということになるんじやないかと考えております。大きなものを助長して、小さいものを潰して大きいものが伸びて行くほうに向かわせたいとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/26
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027・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういう意味じやなしに、自然のままに放つておけば、放任しておけば、あなたの先ほど言われましたように成るべく干渉しない、保護政策、そういうものをとらないということになりますと、どうしても大きなのは広告費もたくさん使える、それから瓶にいたしましても大量注文できる、小さいものはそうできませんから、単価はどうしても高くつくというので、競争において小さいのはだんだんと押されて来るということは一番考えなければならんと思うのでありますが、従つてその小さい業者に対しましては或る程度保護政策もやられなければならん、こういうふうに私は考えるのでありますが、この点はどうお考えですか。あなたは自然の波に任せておく、そうすればつぶれても仕方ないというふうなお考えのようでございますが、この点を、酒税の保全、酒類業組合法と非常に関係があると思いますのでお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/27
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028・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) 一応御尤でございますが、焼酎と酒は飲んで見ましても性質の違うものだろうと思うのであります。酒のほうにおいては焼酎のときほどに著しく大量生産の面で押して行ける、こういうものではないと思うのです。保護政策をとつて行かなければ小さいものが生存して行けないということもないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/28
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029・小林政夫
○小林政夫君 今の販売免許ですが、大臣によく知つておいて頂きたいのですが、こういう免許制度をとつておるために相当権利が発生いたしまして、営業権というようなものも相当評価されるというようなこともあり、なかなかこの免許を得ることについては相当みんな運動もするわけです。それで大臣の部下の職員についても余り芳しくない風評の立つこともある。それで免許の基準を昨日もいろいろ事務当局にお尋ねしたのですけれども、なかなか公表をしたがらない点もあり、それはしよつちゆう時々変るというようなことでありますが、そこでまあ我々も一応手続の実際経験があるんですが、実は一カ月前には相当ルーズに許可をしておつたのですけれども、一カ月ほど前から締めることになりましたというようなことで許可されない。どうも大蔵省事務当局の恣意的と言つてはおかしいですけれども、大蔵当局の専断によつていろいろ変つて来るということは、そこにどうも我々としては割切れない問題が残る。で今度のこの酒類審議会の諮問事項として、この酒税の保全法の八十五条によると、いろいろ需給調整についての大蔵大臣が命令をするときには、酒類審議会に諮問をすることによつて、そこで今の免許は製造免許についても、販売免許にしても、相当需給調整に関係があるわけです。法文には勿論明らかになつておりませんから、恐らくこのまま置くならばそういう免許の基準等を設定する場合においても、従来通り大蔵省内部限りにおいてやられることだろうと思うのですが、少くとも全体の需給と睨み合せて或る程度の製造石数を殖やすのだとか、製造メーカーを殖やす、販売、卸売についてはこうだ、それから又どういう資格のものをどういう基準で殖やすのだという免許基準を設定するとき、又変更するとき、これは少くとも酒類審議会へ諮問をしてその議を経て、又一般にも或る程度公表してやられるようにするのが至当ではないかと思うのですが、大臣如何お考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/29
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030・向井忠晴
○国務大臣(向井忠晴君) その点は十分検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/30
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031・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。(「進行」と呼ぶ者あり)
大蔵大臣は衆議院の予算分科会に出席を求められておりますので、大蔵大臣への御質問はこれで打切つてよろしうございましようか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/31
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032・中川以良
○委員長(中川以良君) それではどうぞ大臣お帰りになつて結構です。それでは渡邊主税局長に対する御質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/32
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033・菊川孝夫
○菊川孝夫君 組合法について若干お伺いしたいと思います。先ず第一条の「酒類の適切な需給調整」とありますが、この適切な需給調整というのはややもいたしますと、これはどうも酒屋さんと税務当局との関係からいたしまして、業者本位の需給調整に陥る虞れはないか、と申しますのは、利用者本位よりも業者本位の需給調整、即ち値の安い酒が飲めそうになつて来るとすぐ組合に統制をさしてとめさせてしまう。そうしてちよつと値段が上つて来たといいますと、引張りだこと申しますか、プレミアムがつくといつたような、闇が利くということになつて来ると又出させる、こういう虞れがこれは多いと思うのでありますが、この適切な需給調整というのはどの線をお考えになつておられるか、この点をあらかじめ構想をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/33
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034・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 適切な需給調整というのは言葉の上だけでございますので、なかなかどの線が具体的な線かという点が非常に具体的には問題があろうと思つております。やはり酒も一つの商品でございますから、その間の需給関係によつて相当に値上り値下りがあるということは当然のことだと思つております。ただ何分先ほど来お話しておりましたように、酒の価格の中に占める税金の割合が非常に大きいということがやはりこれは見逃し得ないことだと思つておりますので、従いまして、若し酒の税金をまあいわば滞納でできるだけ政府のほうへ損を持つて行くというつもりで若し肚をきめた人があるとすれば、かなり大きな値幅の値下げも実はできるわけでございますし、一月くらい丁度納期までの期間をそれで以て売捌くとすれば、税金としましても相当大きく溜つてしまうわけでございまして、その辺に税務当局として相当大きな関心を持たなければならん。何千万といつた程度の溜り方は実は非常に簡単なことでありますので、そこに実は我々の心配もあるわけでございます。我々といたしましては、酒屋本位の政策をとつて行くというつもりは毛頭ございません。従いまして具体的にこれがこの法案を基礎にしまして、事柄として現われて参りますのは、結局例えば製造の規制の問題、或いは価格の規制の問題というところになつて来るわけでございますので、その場合におきまして大蔵大臣の認可としましては、その規制なら規制の決議が消費者に不当に不利益を与えるものであつてはならないということがまあ認可の一応の要件になつておりますが、同時に又大蔵省だけで判断するとしますと、今そういうことになりはしないかと御心配になつておりますまあメーカー中心の、或いは酒屋さん中心の規制になりはせんか。それで今度の法律は何と申しましても独禁法の特別法という観念がありまして従いまして消費者のいわば利益代表と見られるのが公正取引委員会だというふうに考えていいのじやないかと思います。でまあ大蔵省のほうの考え方はともすれば酒の税が中心、或いはそれを重んずる意味において業者の人について相当手厚いような方向に曲り勝ちになりはせんかと、これが今の御心配ではないかと思いますが、公正取引委員会は恐らく私は消費者の利益を中心とした物の判断をして頂けるのじやないか。従いまして大蔵大臣といたしましては、認可をいたします場合においては公正取引委員会に協議しまして同意を得なければならん、こういうことが一応はつきり法文の上で以て規制してございますので、従いまして、大蔵省のほうで考えております税金を中心にした物の考え方、公正取引委員会のほうで恐らく考えるであろうと思います消費者の利益を中心とした考え方とが、そこにおいておのずから一つの調整を得られるのじやないだろうか。従いまして、まあ税金を中心にともすれば大事を取りたがる。そのために消費者の利益を阻害されるということは、公正取引委員会の同意を得るという要件の故に恐らくはそれほど御心配になるような事態は生れないで済むんじやないだろうか、かように考えまして、法制の上におきまして、或る意味においてチエツク・アンド・バランスをそこに求めるようにしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/34
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035・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると次の後段になりまして第一条の「必要な措置を講ずることができるようにし」、こうあるわけでありますが、この必要な措置を政府が講ずる場合に、この組合法によりますと、自由加入になつておりますね。加入は自由になつているのだが、加入しない、或いは脱退した者は統制に服することは要らんということになりますると、将来脱退者、加入しないというようなやつは免許取消しというので威嚇して、威嚇と言つちや言葉は過ぎるかと思いますが、税務署の圧力で皆これに入れさしてしまう。そういう行き方をおとりになるつもりであるかどうかということについて私は非常に危惧があるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/35
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036・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今お話になつたような意味のことをやるつもりは毛頭ございません。従いまして、それじやそういう言わばアウト・サイダーに対する処置はどう考えているかということにつきましては、元々統制自身につきましても、我々といたしましてはそう簡単に統制を認めることを考えておりません、やはりどうしても必要がなければならんという事態が出たとき初めて統制の認可をするつもりでおります。同時にその場合におきましては、やはりアウト・サイダーに対しましてもその統制に従うべき旨を大蔵大臣が命令できる、こういうような措置を一応この法律の中に規定が出ておりますので、従いまして免許取消しとか何とかいつたようなことで無理に組合に入れということを威嚇するとか何とかいうようなことは毛頭考えてもおりませんし、いたしません。でもアウト・サイダーに対して統制がどうしても必要だというふうに我々が考え、同時に先ほど言いましたように、公正取引委員会の同意を得まして、それを認可した場合におきましては、その同じ統制にアウト・サイダーと雖も服さなければならない。こういうような命令をすることが大蔵大臣の権限として、法案が通れば頂けますから、それによつて仕事を処理して行く、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/36
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037・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、第三条の「組織することができる」というのは全くのこれは自由意思を尊重すると、こういう意味に解していいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/37
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038・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 全くの自由意思を尊重するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/38
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039・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、第三条のほうは全くの自由意思であつて、何ら干渉がましいことは税務当局としてはする意思はないと了解いたします。
次に第十二条の任意脱退の条項でありますが、これに予告期間を定め、それから事業年度の終りに脱退することができると、こういうふうにしてあるのだが、任意脱退というこの字句そのものは自分の思うときに脱退できることになつておると思うのでありますが、これは脱退の自由を拘束するということになると思うのでありますが、この点についてはどういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/39
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040・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 先ほど全くの自由と申しましたが、我々といたしましては、やはり組合ができるほうがいいのじやないかというふうに思つておりますので、その点の意見を業者のかたに申上げるということは、これはあり得ると思つていますが、要するに業者のかたに折角こういう良法ができたのだから、この組合を作つたらどうかといつた意味のことは、これは私のほうとしては、この組合法が成立すれば、法律の宣伝と同じような意味におきまして、これは私はやるつもりでおりますし、やつていいと思つております。併しそれ以上に無理な干渉は毛頭するつもりはないという点を多少……若し将来誤解を生ずるといけませんから、一言お断りさして頂きます。
それからもう一つ脱退の自由の問題でございますが、おのずからやはり脱退の場合におきまして債権債務関係とかというふうな問題が残りますものでございますから、やはり一定の予告期間を置きますとか、時期について一定の制限を置く。中小企業等協同組合などにおきましてもやはりこういうふうな事例をとつておりますので、この組合におきましてもやはり同じように一応の何と言いますか、そうした制約は、あつていいのじやないだろうかというように考えて、この法案をそうした意味におきまして立案したわけでございまして、これ自体がやはり一応の制限でございますが、加入の自由、脱退の自由を阻止するほど大きな制限だと、それと矛盾するほどの制限だとは我々としては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/40
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041・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に第十三条の二項のこの除名の条項でございますが、そのうち第一号の場合は非常に将来、非常にと言つては何ですが、将来問題をかもすことになると思うのでございますが、弁明の機会が与えられるのみで、あと提訴、例えば中央会、或いは連合会等へ提訴の機会を或る程度余裕を残しておかぬと、すぐ役員連中がこれは統制違反だということでかなり業者間で、どちらかというと頑固な業者あたりを除名処分にしてしまつて、これには税務署もどうもそつぽを向く……、非常に風当りが強いというふうに、政治的に利用される危険があるのじやないか。従いまして、たとえ除名をされましても、将来これは中央会、連合会等に提訴をして、そこで止むを得んという判定が下るまでは除名の決定はすぐ取上げない。こういうふうなやつぱり余裕を持たしておく必要があるのじやないか。こういうふうに考えるのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/41
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042・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 連合会と中央会とまあ下部の組合とが必ずしも監督機関、被監督機関というふうな関係にあるものだとは我々解しておりません。従いまして確かに除名の問題につきましては、相当いろいろな事態がリードされるものがあると思いますが、我々のほうといたしましては、連合会、中央会に提訴するというようなことは、ちよつと監督、被監督の関係もございませんので、適当でないのじやないか。従いまして除名の場合等につきましては、よほど組合の中におきまして慎重なる判断をした上でそれがなされるべきではないか。従いましてそこにございますように、除名の場合におきましては組合員に対して通知し、且つ総会において弁明の機会を与えるということを必要なる事項にしておりますし、又除名の決議につきましては、総組合員数の三分の二の決議が必要である、そういうふうなことをしまして、まあどうも提訴とか何とか言つて、ちよつと提訴する相手方を見出すのもいきさか無理なような感じもいたしますので、組合の自主に任せはしますが、組合の自主的な措置におきまして、できるだけ慎重なる措置の後に、これが若しなさなければならない場合にはなすと、かようなふうに配慮をして法案を作つたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/42
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043・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その配慮はよくわかりますが、何らかほかの機関に提訴しまして、これを認定する、公正なものは認定するというようなことがない限りは、その地区の組合におきましては利害が相一致する場合も勿論ありますが、商売敵ですね、みんな……。これは宣伝その他販売戦になつて来ますと、これはどちらかというと商売敵でございますので、人に憎まれておりますれば、あれ、やつちまえというような危険が将来あるのじやないかと私は考えます。これは労働組合の除名とはちよつと趣を異にします。商売敵……商売敵という表現は極端かも知れませんが、大体そういうふうに解釈して差支えないと思います。そうしますと、そういう危険も、役員連中が、将来実権を握つた役員とその役員の改選問題等でついこういう団体が揉める場合が多いと思います。それらについての指示とかいうようなものも、まさか一々そういうことについても税務署や税務当局が指示するようになつたらこれは行き過ぎじやないかと思います。それで提訴の機関というのも必要じやないかと私は考えますが、この点御検討願いたい。将来問題が起らなければいいじやないかと言いましても、こういう法律なんかというものは起らなければいいと言つて放つておけないので、相当考えて置く必要があるのじやないか。業者の組合におきましてはよくあるのですから……。できたばかりはいいが、一、二年たてばややもするとそういう危険があると思うので、今の御答弁では不満足でありますけれども、一応まあ了承しておきます。
次に第十四条でもう二、三点お伺いしておきますが、第十四条で酒造組合にありましては三分の二の数が揃い、而も移出の二分の一ということを条件にいたしております。そうしますと、その地区内に例えば相当大きな酒屋さんと小さいのとある場合を仮定しますと、それが二分の一以上握つている業者が一人だけおれは入らんと言つた場合に、数は三分の一揃いましても、石数は揃わん、これがために組合ができん。これは余りこういうことは意地の悪い考え方とおつしやるかも知れないけれども、ややもすればそういうことがある。商売敵というところから大きいのと小さいのと連合してややもすれば対立することになると思う。そうしますと、二分の一を持つている業者が一人頑張つているために組合ができん。そのときは税務署の御意向でやるということになれば別でありますが、最初お尋ねしましたら、飽くまでも自主的なものだということになりますと、そこはちよつと調整がむずかしい問題になると思うのですが、そこになぜ二分の一という石数をお入れになつたのか、その理由をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/43
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044・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今お尋ねになりましたような事態が生じて参りますのは、大きな業者と小さなメーカーとが対立しているわけですね。その場合におきましは実は強いて組合を作らせますと、却つて小さなメーカーの三分の一だけではいろいろな問題において紛争の種が出て来るということも実は逆に考えられるわけなんでございます。それで確かに酒類の全体ではございませんが、一部の酒類におきましては、大きなメーカーと小さなメーカーとの間に恐らく相当の……現状と言いますか、そのままで放つておきますと、まあいささか対立的な空気が出やせんかと憂慮されている面がないのじやないのですが、その場合におきまして、一応そういうような事態をむしろ憂慮いたしまして、やはり小さなメーカーの人はとにかく三分の二以上なきやならんということにおいて一応小さなメーカーの人の要請を満たし、同時に二分の一以上の石数がなきやならんということによつて大きなメーカーの人の要請を満たそうといつたようなところに、お互いがまあその二つの要件が兼ね備わりませんと、組合ができないわけでございますから、むしろそうした大きなメーカーと小さなメーカーとがお互いに相手の立場を理解し合うことによりまして、相互に互譲、譲り合うことによりまして、組合の設立ができて行くという事態を我々のほうとしては希望しているわけでございまして、この二分の一というふうな意味の制限もございませんと、まあ小さなメーカーだけが組合を作る、大きなメーカーは常にアウト・サイダーである、こういつたような事態が逆にできるわけでありまして、むしろ業者が、大きなメーカーがひとりで二分の一を作つているからといつて、三分の二以上の人が集まりませんと、組合はできませんわけでございますので、両方の要件が兼備わることによつてできる、一種のチェック・アンド・バランスの法則をとるほうが、むしろ組合としてはお互に譲り合つてうまく行くのじやないだろうか、実はかように考えておりまして、販売のほうにおきましては、そう大きな、小さなと言いましても、販売では石数までも入れる事態もございませんし、それほど憂慮されるような事態を我々のほうとしては頭に思い当りませんので、これはとにかくやりたい。併し酒造のほうにおきましては、多少そういう懸念のある事態がないわけでもないものでございますから、むしろ大きなメーカーは大きなメーカーだけでも駄目だ、小さなメーカーは小さなメーカーだけでも駄目だということで、チエツク・アンド・バランスの法則でやつたほうがむしろうまく行くのじやないだろうかと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/44
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045・菊川孝夫
○菊川孝夫君 はい、わりました。次に第十六条の規定でございますが、これについては組合員の権利及び義務に関する規定を明示する必要がないかどうか、定款にこういうものを書けという場合にですね。というのは役員の選挙権であるとか、それから総会を開催することを要求する権利というようなものは、これはこの定款に示すということを言うておかんと、将来この組合が理事だけで以て統制をきめてしまう。統制といいますか、自主統制ですね、その統制方法をきめてしまつても小さいメーカー等においては非常に困る。それに服従するような、そんな統制をやつて行つたのじや困るというので、理事になるのは大抵大きな有力者がなつちまつて、その小さいところはどうもそんな統制をきめてもらつたのでは困るというので、総会を開会しまして、これに対して異議を申立てることができるというような、三分の一の要求があつた場合には臨時総会を開かなければならん、こういうことをきめておく必要もあるのじやないか。これは組合費の納入だとか、服従の義務ということは定款にはやはり規定する何は必要だと思うのですが、ところがそういうのを法律にきめようということで法律には言うておるのですが、余り大体何でもきめていいということは危険だと思うわけです。条文にはきめなければならんと書いてあると思うのですが、組合を作るということはやはり自主性のある統制ということが大事だと思う。私は労働組合らしいことを申しますが、そんな極端なことは、業者は恐らく一杯飲んだら解決するだろうと思いますが、併しこういうものでも存在できたあとで長くたちますと、先ほど申しましたお互いに商売敵である以上は、反目するであろうことは、酒屋さんにはないでしようと思いますけれども、出て来るであろうと思います。その点一つ定款にもきめておくというふうにしておく必要があるのではなかろうかと思いますが、この点をどう考えておるか。それからもう一つは年次総会に関する規定、或いは会議成立の規定、会議がどういうふうにして成立するかというようなことは、やはりこの定款にきめておかなければ、これは重要な関係があると思う。それは成立の規定がないと、三分の二だけでは困る。こういうふうに思うのですが、この点について将来あなたのほうで認可をされる場合に、そういうことを心配して、成るべく組合員を保護するようにするのだとおつしやれば、別でありますが、この点一つお伺いしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/45
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046・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) お答え申上げます。今御指摘になつた中の重要な問題としましては、実は定款でなくて、法律自身に相当規定してあるつもりでございます。例えば総会の招集の問題でございますが、二十三頁三十四条を御覧願いますと、総組合員の五分の一以上の者が集まりますと、例えば総会の招集ができるとか、といつたようなことも規定してございますし、又商法の規定がかなり大きく準用してございますので、この点いろいろな事態についての制限はでき得るのじやないか、従いまして、ここに書きました定款の必要記載事項としましては、大体他の法令に従いまして、法律のほうでその物ずばりとして規定しておりますことは、これはむしろ避けまして、それ以外の必要なことを定款記載事項としてここに規定しておる次第でございます。まあお話の中で特に重要だと思われる事項は、どちらかといえば法律自体の上に規定しておくというふうに我々は考えまして、従いまして定款は一応必要記載事項としてこの程度でいいだろう、こういうふうに考えまして立案しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/46
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047・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、法律でそういうものをきめるということは、やはり定款できめさせるのが本当に自主的に任せるということになる。法律で規制するよりもやはり定款できめておくというのが本当の行き方じやないか。私は先ほど御説明の点も読んでみて知つておるのですが、実はこれはあとで論議しようと思つておつたのですが、今御答弁がありましたから、ついでに申上げますが、これは定款に規定しておくのが本当の正しい行き方ではないかと思うが、この点についてもう一ぺんお答え願いたいことと、もう一つ第二十八条の、酒類業組合の理事に対し、債権者はいつでも定款その他の書類の閲覧、謄写を要求する権利を認めた理由、これは大体どこでもこういう組合に対しましては、債権者は閲覧や謄写を理事に対して要求することができる、組合の債権者であるということだけでそんなことができることになるのですか、これが一つ。これはどういう関係から引つ張られたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/47
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048・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今のまあ少数組合員の保護という問題は、定款にきめておくのも一つの方法でございますが、もともとまあ定款の議決というのは三分の二以上の多数決という関係になつておりますから、やはり少数組合員の保護というのはむしろ法律のほうに規定しておいたほうがいいんじやないか。定款で以て任せると、少数組合員の権利というものがそれほど厚く保護され得るかどうかという点が疑問であろうというので、他の法令の例にも従いまして、実は法律にきめた次第であることを御了承願いたいと思つております。
それから今の二十八条の問題でございますが、これは商法に大体これと同じような規定がございますので、商法の何条か今ちよつと調べてみないとわかりませんが、商法に大体同じようなことがございますので、結局定款、総会の議事録、それから組合員名簿といつたような程度のものでございますが、この程度のものは債権者が閲覧を求めることができるということは、組合のほうとしましても強いて支障のない問題だと、かように考えまして、商法の規定を一応ここへ或る程度まあ必要なる書直しをやりまして入れておいた。かような次第でございます。ちよつと……只今商法と申しましたが、訂正させて頂きます。これは協同組合法にこういう規定がございます。今商法のこういう規定がございますと申上げましたが、それは誤りでございます。協同組合法にこういう規定がある、従いましてそれをこの法律に合うように適当に字句の多少の修正を加えましてかようにいたしたのであります。そのように答弁を修正させて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/48
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049・小林政夫
○小林政夫君 簡単なことから順次にお尋ねいたします。
酒税法案のほうで三十六条ですがね、この国税徴収法第四条ノ一を準用しているのですが、その中で四号に該当する場合を除いておる。これは破産の宣告を受けたるときと、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/49
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050・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) この三十六条の規定は、ここにも書いてございまするように、担保として差押える、いわば保全的な意味だと申しております。従いまして破産の宣告を受けますと、破産法のほうのいろいろな措置に移つてしまいますから、従いまして担保として一応差押えるという措置はもう必要がないと言いますか、むしろ効果がないという意味におきまして、破産の場合におきましては、破産法の本則によつてやつて行つたらという意味におきまして、一応この分を除いておくということであります。なお現行法によりましても、かような措置になつているということを申添えさせて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/50
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051・小林政夫
○小林政夫君 それから三十二条の八号、これは政令案に出ていないのですけれども、担保物件の「政令で定めるもの」とありますが、何か予定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/51
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052・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 現在研究しておりますのは、株式で取引市場に上場されているものを入れたほうがいいだろうか、悪いだろうかという点、実はまだ最後の肚をきめませんが、検討しております。まあ市場性から言えば入れてもいいわけなんですが、値上り値下りが相当最近のように激しい場合におきますと、絶えず増担保とか減担保とかいろいろな問題が出て来ますので、その点をどういうふうに考えたものだろうということで、まだ最後の結論を出しておりませんが、現在検討の対象にしておりますものは、市場に上場されている株式というものを取り得る場合は取つたらどうだろうかということも検討しておりますので、この八号を実は入れて頂きたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/52
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053・小林政夫
○小林政夫君 今度は保全法のほうですが、四十四条ですね、従業員に知らさなければならない、大体狙つておられるところはわかるような気もするのですが、第五十条とも睨み合せて見て一応立法の趣旨を話して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/53
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054・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) これはまあ中小企業安定法でございますが、あの協同組合に関する調整組合におきまして同じような事態が生じましたときに、これと同じような規定があるわけでございまして、やはり従業員に対しまして、まあ或る程度のできれば予告ということをすることがいいのじやないだろうか、尤もこの規定は罰則などもない、いわば訓示的な規定になつておるわけでございますが、まあ向うのほうにも入れておりますので、やはり入れておいたほうがいいのじやないかというようなつもりでこの四十四条の規定を入れておいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/54
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055・小林政夫
○小林政夫君 五十条を見ると、そういうことで首切られた者は成るべく優先的に採用せよ、こういうことがあるのですね。そうすると当然首を切るかも知れんぞという予告にもなつて来るのです。今のような話を聞きますと、中小企業安定法をまねたので、大蔵当局としては、従業員だから業務運営をするのに今日こういう情勢にあるということを知らせておくという程度の意味ですか。予告を十五日前にするということは……。これは大分御丁寧にやるわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/55
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056・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) まあ十五日前、但し緊急止むを得ない場合はまあ遅れても止むを得ない。従業員に対してもやはり或る程度の配慮は必要じやないであろうかという意味におきまして挿入した規定でございまして、まあそれ以上の意味もないのでその程度の意味であるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/56
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057・小林政夫
○小林政夫君 その次は四十七条ですが、簡単な規定で、公告の方法を大蔵省令で定めるというのはどういうふうにやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/57
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058・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 公告としましては、やはり協定の問題は広く少くとも関係のかたがた、更に消費者にも周知させる必要があろう、従いまして大蔵省令としましては、例えばその地で発行される日刊新聞によれとか、何かそういつたような事柄についての多少のまあ定めをする必要があるのじやないであろうかと、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/58
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059・小林政夫
○小林政夫君 それと関連して、先ほど大臣に免許のことを伺つたわけですが、大臣は余り事情を知らんようで、だから或る程度にしておいたのですが、一体局長としては酒類審議会に免許基準を諮問する、こういう方法によつて公告する意思があるかないか。それがはつきりあると言われれば次の質問をしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/59
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060・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 私も、実は大臣が御答弁なさつたと同じような意味におきまして、もう少し研究してみたいというふうに考えております。今ここで以てはつきりそういう意見があるというふうに明言する気持はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/60
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061・小林政夫
○小林政夫君 いや、やはり機会均等でね。実際情報に早く通じた者は相当のまあ営業権としても強化され、許可を得られるし、そうでない者は同じ条件を備えておつても時期を失するということもあるので、これはもう必ず公表すべきだと思う。いつ幾日どういう基準で製造業については免許をするとか、或いは販売、卸小売についてはこうするのだということで、若しやらないのなら当分どんな理由があつても免許しない。それでその場合には誰が頼んで行つてもどういう請求を受けても動かないということで、はつきりこれは公明にやらないと、どうも甚だ不明朗なものを感じざるを得ないということになる。その点は後にしましよう。もう少し細かい免許のことについては……。
それから七十九条の組合の区域でありますが、これは都道府県を以て原則とし、大蔵大臣の特に認可を受ければ別の区域にすることができる。この酒に関しては別に都道府県行政等とそう直接密接の関係はない。むしろ局あたりが適当かも知れないのですが、地方区域ですね。特に都道府県で連合会があるというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/61
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062・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 製造業者の例をとつて見ましても、酒の種類によりまして実は非常なまあ違いがあるわけでございまして、現在清酒の業者のかたは酒造協会というものを作つておられますが、大体税務署単位で組合を作られまして、そして都道府県単位で連合会を作りまして、そしてそれが中央会にまあ結成して行く。こういう事例になつております。それから小売の販売業者がやはり同じような姿になつております。でまあ卸しのかた、或いは同じメーカーのかたでも焼酎とかこういうふうな業者のかたが非常にまあ税務署単位だけ考えますと、一つの税務署の管内にまあ一人とか或いは場合によつては卸しなど一県でまあ一つ、県で一人とか二人とか、こういう事例も実はあるわけでございまして、その場合におきましてはむしろ自分のほうの組合、自身が或いは県単位なり、或いは国税局単位なり、こういつたような事例も出て来るのじやないかと思つておりますが、一番業者の数の多い清酒の業者、製造の業者、それから小売の業者というかたがたの現在やつております組合の構成ですね、税務署単位を中心としまして先ず組合ができまして、そして都道府県単位でそれが連合会を作つておる。こういうことになつておりますが、その組織に長年慣れておられますから、これを無理に変つた制度に作り直す必要もなかろうというので、一応まあ業者の数の一番多いそうしたものを頭に置きまして、原則を定めまして、そして業者の数の少い、同時に違つた事情にあるものにつきましては、特例が作られる、こういうようなふうに法文を書いておくのがまあ適用する場合におきましても、一番よかろうというので立案されておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 九十四条ですがね、公正取引委員会との関係、第一項は「同意を得なければならない。」というので、次の第二項でですね、「協議しなければならない。」とありますね。その協議が整わなかつた場合はどうされますか。それから第三項のこの公正取引委員会が請求をした場合、大蔵大臣は必ずその請求通りやるのかどうか。先ほどの菊川君の第一問と関連するわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/63
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064・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 私のほうでは、この法文をこういうふうに解釈しております。第一項の「同意を得なければならない。」この場合におきましては、同意が得られなければ結局認可はできないということに考えております。それから第二項によりまして、勧告し、命令をしようとするときに協議をしなければならない。この場合におきまして、協議が成立しなければ勧告命令はできない。一項と同じように同意がなければできない。そうすると、書き方を同じにしたらいいじやないかという御意見もあろうと思いますが、それは別としまして、この趣旨としましては、協議が整わなければできない、ただ協議して向うが反対……併し一遍協議したら大蔵大臣として命令する、勧告するということは考えておりません。それから第三項でございますが、この場合におきまして、結局大蔵大臣に対して処分の請求をする、これもやはり大蔵大臣が公正取引委員会の請求を是なりとし、いわばこれも両者の間に同意があるという場合におきまして、必要なる措置ができる。従つて一方的にただ請求があつたという場合におきまして、大蔵大臣が請求があつた故にそのまま措置をするということは考えておりません。この場合におきましても、やはり公正取引委員会と大蔵大臣との間に同意が要件となる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/64
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065・小林政夫
○小林政夫君 第一項、第二項のほうはそれで了承しましたが、第三項の請求があつた場合に、大蔵大臣が納得しなければ処分しない、こういうことになるとですね、いわゆる消費者保護という点から行くと、まあ公正取引委員会は協定内容が四十三条第二項に該当するものであるという判定をされて、これがまあ大蔵大臣のほうにずつと持つておれば、主に判定の問題なんですが、一応実施しておるから非常に強いわけですね。一項二項の場合はやろうとするわけだが、この三項のほうは実施しておるものを変えられるのだ、そうすると、どうしても恐らく私の見通しでは、大蔵大臣のほうが業者保護という観念が強くなるだろうと思う。そこでなかなか処分ということが、時期的にくつきり見解が一致することがむずかしいのじやないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/65
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066・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) まあ大臣といたしましても、消費者の利益を無視した判断を下すつもりは毛頭ございませんが、一応形の上だけから言いまして、片方は酒税の保全ということが頭に置く中心になる、片方は消費者の利益を中心にするという形式の問題だろうと思う。当事者によりこれが違うと思いますが、それはあり得ると思います。従いまして、認可をする或いは命令するという場合におきましては、取消す場合と丁度逆な事例で、まあ向うのほうが、公正取引委員会のほうが、なかなか消費者保護という点をまあ重点にとつて、そう簡単に同意しないかも知れない、その代り一回認可がありましたら、或いはもうすでに認可があつたんだからというので、大蔵大臣のほうが酒税保全を中心にしてなかなかその修正に応じないかも知れない、御心配は御尤もだと思いますが、結局まあ両方の当事者の意見の一致によりまして、それが行われておるわけでありまして、この規定の運用につきましては、大蔵大臣といたしましてもやはり公正取引委員会の立場を了解し、公正取引委員会としても大蔵大臣の立場を了解して頂く、従いまして両者が片寄つた意見のまあ代表者といつたような姿になりまして、常にその間に意見の食い違いができるといつたようなことのないように、十分留意して運用して行くということにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/66
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067・小林政夫
○小林政夫君 一応御答弁としてはそうなるでしようが、併しこれはですね、最近、明日にでも提案を予定されておる独禁法の改正と全く符節を合わしておる。独禁法の中においても今度問題になつて遂に閣議決定まで持込んで、通産側と公取側の意見が合わず、全くこれと同じ書き方であると了承しておる。けれども実際に独禁法の実施のときに問題になると思いますが、こういうふうに主管省と公取のほうと意見が合わなかつたときに、実際発動するにも発動せられない、こういうときは時機が問題ですからね、非常にチャンス、時が重大なんで、そういうときにスムーズなスピーデイな処置ができるということが、そういう場合にやはり意見が合わなかつたときに、どこかで裁定するという線がないと動きにくいのじやないかと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/67
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068・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 独禁法の法案をまだ見ておりませんものですから、これはそのまま符節を合わしたような条文になつているかどうか、実は私存じませんが、ただこれだけは申上げられると思います。この酒税の保全のほうの法案におきましては、その目的が相当限定されておりますし、対象も限定されているということの故だと思いますが、公正取引委員会との話合いにおきましては、両者は至極意見の一致が割合簡単に見られまして、そうしてお互いが独禁法の場合におけるように閣議で議論し合い、そこで採決を行うというふうな事態にもならないで、極めて事務当局のほうで簡単に話がまとまつたというような事態でございまして、従いまして私といたしましては、独禁法の場合とこの場合とは字句におきましてどうこうということは別といたしまして、大分対象も違いますし、目的も非常に限定されておりますから、従いましてそう御心配願わなければならん事態は発生しないように努力して参りたいし、又できるのじやないだろうか、かように実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/68
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069・小林政夫
○小林政夫君 この酒については、今の免許制度があつて相当いわゆる完全な独占事業的な運営をやつておるので、むしろこれは公取から言えば、ここへ入つて来たのは前進ですからね。一般の通産省所管或いは農林省所管の各製造業等については公取としては後退なんです。そこで問題が起つたわけです。だからこのほうはむしろ大蔵省側が一歩後退したと言つてもいいくらいなもので、その後退、前進の結果は違いますが、併し現われる形においてはこういうことになつた。これはもうあとは議論になりますから言いませんが、相当将来運営面においては問題が起るだろう。次の機会においては何かこれを考えておかなければならんのじやないかと思うのです。いずれ独禁法等の審議の際にそういうことは問題になると思いますが、問題は残るだろうということを指摘いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/69
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070・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 御心配は或る意味においては御尤もと思いますが、我々のほうといたしましては、十分公正取引委員会と意見の疏通を図りまして、御心配になるような事態の発生しないように努力して参るつもりであることを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/70
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071・小林政夫
○小林政夫君 それから前に戻りますが、酒税証紙は施行令を見ると、この際輸入雑酒について実施をすることとしておりますが、一体だんだんその範囲は拡充して行くつもりであるか、この酒類業組合の事業の第一には酒税証紙の徹底ということが書いてある。そうすると非常にその酒税証紙ということにウエイトを置いて考えておられるということになるが、ただ当面は輸入雑酒だけだが、将来は全酒類に及ぼすというつもりであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/71
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072・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) その場合におきましても、全酒類に及ぼす必要があるかどうかという点については相当検討を要するものと思つております。私自身現在是非やる必要があり、やつたらいいじやないかと思つておるのは、施行令案要綱で出しました輸入雑酒でございます。これは御承知のように相当進駐軍から流れて来るといつたようなこともあるのじやないかと思います。正規の税金を納めていないものもございますから、輸入業者の利益のためからいたしましても、やはり証紙制度を実施する必要があるのじやないかとこういうふうに考えております。一部議論といたしましては、とかくびん詰の酒につきまして中間の流通過程におきまして水を入れる、いたずらする。従つて証紙制度を実行するのが消費者のためではないかというふうな意見が実はございますが、併しまあ一部そういうことのいたずらが考えられんでもありませんが、併しそのために全部のびん詰に証紙を貼つて頂くということは、これは業者のかたに非常に大きな負担になるわけでございますので、現在といたしましては、私はそれだけの大きな負担を業者のかたにお願いしなければならんというほどには実は思つておりません。ただ事態の推移が或いはそういうことになるかも知れませんが、私はそういうことにならんことを実は希望しております。従いまして、そういう事態の生まれた場合におきまして、こういうことが、もう少しひどくなるということも全然ないとは言えない。我々といたしましては、差当つて是非必要だと思いますのは、輸入雑酒でございますが、その他の酒類につきましてはできるだけそういうような業者のかたに特別負担をかけないで、なお且つ正しい流通が行われるという事態に全体を持つて行くということに努力をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/72
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073・小林政夫
○小林政夫君 昨日のお話では、製造免許の場合に、税務署長がやられるという方法ですが、これは割当をして、大体どのくらいの石数までは許してもいいという一応の案を立てて、その基準に基いてやればやれる、できるというようなお話があつた。これは考えてみると、そういうことをやろうとすれば全国各税務署別に許可可能石数というものを酒類別に出して、その枠内で誰を許可するかということをやることになるので、それはとてもできる話ではない、行政的に。……やれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/73
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074・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 昨日お答え申上げましたのは、酒類需給調整の際の製造免許の統制方式で、私が申上げましたのは、国税局ごとに割当ててその範囲内でやるという意味ではございませんので、むしろそういう必要が起つたらそういうことをやつたらどうかというようなお話に承わつたのですが、私といたしましては、むしろそういうことは困難であろう、酒税保全というのは、酒税保全のための免許につきましては、酒類の製造数量が毎年変る、従いまして二十七年度は五百二十万石、三十八年度は六百七十九万石になるので、そこで或る程度免許関係も、特に販売業者でございますが、緩めてもよいような事態があり得るのではないか、こういうようにお答え申上げたつもりで、五百二十万石から六百七十九万石に殖えました部分を各国税局に割当てて、その範囲内で免許を緩めると、こういうつもりではございません。殖えた部分につきましては、或る程度地域的に販売業者の数の少い所、或いは販売業者をもう少し殖やしたら酒の消化も容易になる所は免許する必要があるのではないかと、こういうように申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/74
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075・小林政夫
○小林政夫君 それでは改めて聞きますが、私の昨日質問した趣旨は、法文は税務署長と書いてあるけれども、実際にはできんじやないかと言つたのに対し、愛知さんは、今の変態的な情勢では例えば引揚者がいる、復元者がいるという状況下において止むを得ず国税局長或いは国税庁のほうにおいて審査しているけれども、その変態が解消すれば法文通り実行できる、原則は税務署長でやる、こういうことであつたが、併し需給調整ということを考えれば、先ほども大蔵大臣に御質問のときに言つたように、税務主張では実際にはやれんじやないか、そのときにあなたは、こういう方法でやればやれるではないかというお話であつたが、実際の要領を僕は聞いたわけです。実際には税務署長限りで製造免許を確信を持つてやらせ得る行政方法がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/75
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076・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 結局免許の場合におきましては、製造の場合、販売の場合、或る程度ニュアンスはございますが、大体二つの要件が必要だと思つております。一つは、先ず以つてその製造上或いは販売上の具体的な、例えば製造場であれば、その製造場が果して酒の製造場として然るべき設備をちやんと備えているだろうかどうだろうかといつたような、非常に具体的な事態のやはり問題があると思つております。それから販売であれば、やはりいろいろ地域によつても事態が違いますから、新らしく新開地などで以て住宅が殖えて来た、需要者が殖えて来たと、そこに酒の販売、小売を許すような場合と、もうすでに人口は余り殖える余地がないような所で、小売業者の数としてもむしろ相当多いと、まあこういつたような事態、そうしたいわゆる現地的な事態、これがやはり免許をするかしないかの判断の一つの有力なる材料じやないか。すると、もう一つの問題は、御指摘になつております、全国的に見て、これはまあ特に製造なんかの問題だと思つておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/76
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077・小林政夫
○小林政夫君 製造と卸しですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/77
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078・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 製造、卸し、併し卸しにしましても、やはりこれも例えば東京なら東京の地帯における場合と、それから田舎の府県における場合と相当事態が違うように思つております。或る県では甲の卸しの協同組合のほかには乙の卸しの免許を持つている人は一人しかないといつたような事態が現にあるのでございますから、従いまして、中央で考えている頭と、やはり現地で考える頭とが両方必要なわけでございまして、我々のほうの考え方としましては、むしろ現地の考え方を中心にしまして、そうして必要な或る分については中央で以て統制して行こう、何と申しましても第一線の意見が一番有力なものと考えるべきではなかろうか、かような考え方におきまして、同時に中央における統制或いは国税局における統制というようなものは、先ほど来申上げましたように、相当事態の推移によりましていろいろ変る場合も考えられます。併し現地の実情というのが必要なことは、これはもう恐らくこの免許制度のある限りにおきましては変らない。従いましてやはり免許の責任者は税務署長で、必要に応じまして国税庁なり或いは国税局が監督的な立場において或る程度の指示を与える、こういうような物の考え方が一番適当ではないか、かように考えている次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/78
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079・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/79
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080・野溝勝
○野溝勝君 採決前に当つて……質疑を打切るという御意見があるのだが、その前に私が政府に要求しておいた資料が渡つて来ないのだが、資料の来るまでは私は採決に入ることは反対です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/80
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081・鹽崎潤
○政府委員(鹽崎潤君) 昨日御要求になりました雑酒に米を使う場合の効能書につきましては、現在作成しまして早速お届けいたしたいと思つております。現在作成中でございます。その雑酒の養命酒は長野県にございまして、私ども一応の効能書は知つておりますが、念を押しましてその効能書を現在確め中でございます。もう暫くお待ちを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/81
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082・野溝勝
○野溝勝君 その点、暫くという点が、採決に入つてから暫くかわからん。若し政府が採決を急ぐなら、議員の要求した資料に対してすぐ答えなければならん。こんなことは当然わかり切つたことだ、怠慢だよ、雑酒の問題だけだよ、それじや困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/82
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083・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 非常に遅れて恐縮でございますが、今資料として提出いたしますにつきましては、万一間違つてはいかんということで確かめておりますので、本日の夕方までには提出できると思いますので、今暫時御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/83
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084・中川以良
○委員長(中川以良君) 野溝委員にお尋ねいたしますが、その資料が来るまでは採決を待とうという御意見でいらつしやいますか。……主税局長にお尋ねいたしますが……速記をとどめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/84
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085・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記始め。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/85
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086・鹽崎潤
○政府委員(鹽崎潤君) 昨日野溝委員の御質問になりました米を雑酒に配給いたしているが、この貴重な米を雑酒に配給するならばそれ相当の理由があるであろうと、その配給いたしておりますのは、私がお答え申し上げましたのは、大体古くからやつておりますところの薬味酒と言つておりますが、養命酒について配給いたしているわけであります。昨日早速調べまして、その石数は大体五百石程度配給いたしておりますが、この製造方法は大体味醂と同様な製造方法でございまして、これに薬品を入れまして養命酒として出すわけでございます。有名な天竜館の養命酒というのもこれの代表的なものでございますが、その効能書は、米を使うことによりまして、米のエキス分が相当酒の中に溶け込みまして薬品的な効能を発揮する、こういうふうに私ども聞いております。まむしを入れる所もありますし、その他の草根本皮と申しますか、こういうような薬を入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/86
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087・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/87
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088・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
それでは別に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/88
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089・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。討論は通告者がございますので、通告順に発言を許します。伊藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/89
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090・伊藤保平
○伊藤保平君 これは両案とも一括ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/90
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091・中川以良
○委員長(中川以良君) 両案一括して議題に供します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/91
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092・伊藤保平
○伊藤保平君 両案に賛成いたします。但し酒税法案につきましては、殊に税率につきましては、今減税をして酒価を引下げることは一般の世論であります。又消費者の期待にも副うものでありまするから賛成をいたしまするが、この実施面について二、三の意見を申述べておきたいと存じます。
第一点は、今回の減税は多く作らせてこれだけのものを引下げるというやり方でありまするが、各酒類ごとに増産高が果して消費面の欲求しておる点、即ち需要とマッチしておるかどうか、又その減税の率が権衡を得ているや否やの点については多少疑問があるのであります。一昨年行われました酒の世論調査によりますると、清酒二級を好む者が圧倒的に多かつたのに、今度の改正案の引下率は清酒二級では二割二分四厘、而もその当時それよりも一般の要求の少かつた合成酒のほうが三割六分一厘という減率歩合になつておりまして、どうも釣合いがとれておらんように思うのであります。又今回の引下げの狙いの一つでありまする密造駆逐という点から考えて見ましても、焼酎の三割以上の引下げは当を得た措置と認められますが、密造に関係のないビールが清酒二級と同じ二割三分四厘の引下げは当を得ておらんと思うのであります。密造の点からも又消費の面からも、清酒二級に重きを置くべきであつたと思うのであります。
第二点は、今回の改正は増産によつて密造酒を駆逐してこれを正規のルートに乗せて需要をそれだけ多くして、そうしてそれだけの減税引下げの分は販売量の増加で補い得るから、酒税の収入はおおむね現行税率による場合と同額程度を確保ができると説明されておるのでありまするが、これは俗に言う薄利多売の方針で消費者には非常に結構なことでありまするが、前年から比べまして百十万石以上、率にいたしますと三割という大きな増産であるのと、而も税のほうの引下率が酒類全体を平均してみまして二割三分くらいかと思いまするが、それとの釣合がどうもとれておらんので、従いまして供給過剰をどうも起すのじやないかと思うのであります。従いまして、買人気の減退となる虞れがあると思うのであります。当局では酒の価格の値下げで需要が喚起されるから十分消化、消費されるという見通しのようであると思いまするが、私はそうは楽観できないと思うのであります。昨年よりは百五十万石以上、率にいたしまして三割三分増しておる。これを一昨年と更に比較いたしますると、六割近い大きな増加であります。どうもその一昨年がその前の年と比べまして丁度今回とほぼ同じくらいの百五十万石程度の増加であつたと思うのでありまするが、而もその当時は酒の種類全体の絶対量が本年の見込高よりも三百四、五十万石も少い、二百三十万石くらいのときであつたと思うのであります。そのときですら消化不良で焼酎などは異常出荷というような事態を起しまして酒税の滞納や脱法を余儀なくされて、遂には出荷規制にまで追込まれたのであります。而もその当時余り量が多くなかつた清酒、合成酒までがこれに引ずられまして、値引販売が起つた生々しい実例があるのであります。今回の酒の値段の引下げを伴うておる増量であるとは申しながら、本年の見込みは当時よりも更に急激な増加でありまして、戦前、戦時中を通じましての最高の、たしか十三年度の六百七、八十万石よりも多い石数に相成つております。これは消費の実際面とどうしても需給の面で食い違いができる慮れが多分にあると思われるのであります。完全に密造酒が撲滅されない限りは、これは何としても供給過剰の数字であると思われる節があるのであります。もつと減税してもつと安くしなければ、市場異変を起すにきまつておるようにも思われるのであります。これは見解の相違だと言われればそれまでのことですが、いずれもこの夏から秋にかけて販売面で反響が現われて来ると思いまするから、今は警告にとどめて暫らくお預けにいたしておきます。
なお第三点は、このマージン引下げから来る影響如何の問題でありまするが、今回の改正要綱によりますと、減税額のほかに清酒二級では一升について十五円、ビールで約十三円ぐらいになるかと思いまするが、合成酒、焼酎では十八円方、生産者、卸、小売を通じての総額でありまするが、この三層を通じたマージンを統制価格の上では引下げられまして、そうして最終価格を酒税の引下げ以上に安くするということが狙いであります。これは増石高や販売高が多くなりますので、業者の総額の利益は同じくらいになる勘定だと言うのでありましようが、又消費者にとつてはいわゆる薄利多売で安く飲めますから、至極結構なことでありまするが、これも各酒平均いたしまして十六円五十銭くらいのマージン減少となると思うのでありまして、本年の販売見込みを六百八十万石と見ますると、実に百十二億二千万円という厖大な額になります。これが三層の利潤の減の推定総額になるわけでございます。これを酒税に比べますと実に酒税総収入千四百二十三億といたしまして、その八%に当つておるのであります。今回の減税平均が二二%といたしますると、丁度その三分の一強が業者の負担によつて行うこととなるという見方もできるわけであります。果してこの額が売上増加でカバーできるかどうか、これは少し厳し過ぎるかのように思われてならんのであります。急激に前年よりも百四十万石も多く売つて、そうしてそれからまあ税を完全に上げて行こうということは、前年度と同じ条件で取引が行われるということを前提といたしますならばよろしいのでありますが、併し前述いたしましたように、供給過剰の見通しから酒の市場は今日すでに弱気を示しておるのであります。若しこれが実際化いたしますると、値が崩れ、販売費がかさみ、代金の回収が自然に遅れて来る、延いては一昨年の焼酎のように、酒税保全の上にまでひびが入る虞れが多分にあると思うのであります。殊に小売マージンにつきましては、私も過日質問いたしましたし、又野溝委員からも昨日も本日も申されました通り、一般物価のマージン並みに相当考慮される要があると思うのであります。どんな商品にいたしましても、急激に多勢を売ろうといたしますれば、宣伝、公告などの経費が予想以上に多く余計にかかるのが常でありまして、そうしなければ多量を捌くことができないのであります。生販当業者もマージンを下げて今回の値下げに協力するということは当然なことでありますが、余りに多くを強いることとなりますと、そのはね返りが自然酒税保全という看板に疵が付くことにならんとも限らんのであります、ということを私は深く懸念いたしております。特に最近最終価格を決定になりますに当りましては、更に緩和的且つ税源涵養的な御考慮を煩わしたいと思うのであります。
要するに、今回の予算を見ましても、酒税にしわ寄せをされたようでもあるのでありまするし、又酒税の中では業者のマージンに相当しわ寄せされた感があるのであります。而もそのしわが大衆向きな清酒二級に更に強い感じがいたしまして、他の酒類との甲乙軽重などにも問題が残されておるようにも思われます。この点の検討と、販売側や消費面が完全にこの急激な増産を受入れるかどうかの考慮などにつきましても、又密造駆逐の役割からどの酒に重点を今後置くかというような点につきましても、多少の矛盾と盲点があるように思われてならないのであります。どうか政府は今後の需給の推移と市場の実態に即応されまして、異変が若しあるというような場合には、適時に適正な修正をされまして、以て公正な酒税収入を確保されることを強く希望いたしまして、条件付きで本案に賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/92
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093・堀木鎌三
○堀木鎌三君 私は本案に賛成いたします。
理由は税額の引下げによつて価格の軽減を来すし、各酒類に応じましての税額の引下げも、従来から見ますると遥かに社会政策的であり、妥当であるという点についてでもあります。細かいことを申しますればいろいろあると思いますが、以上の見地に立ちまして賛成をいたします。
ただここで特に希望を大蔵省に対して申上げておきたいと思いますことは、やはり食糧需給の現状から考えまして、今伊藤委員から言われましたように、すでに百万石近い米を潰して、そうして需給関係から見ましても相当考慮しなければならないというような状態になつて参りましたときに、とかくこの税収入の問題が財政の切り盛りと引つかけて一つの交渉の場になるというようなことは私は如何かと思うのであります。むしろやはり日本の全体の食糧事情及び外国酒の輸入その他経済の実際の需給面という面から見まして、どの程度が現在としては妥当かという点についての何と言いますか、確たる方針などもない。で大蔵省と農林省の間においてもこの問題について何と申しますか、一つの確たる方針がどうも質疑の間に現れましたところをみるとないと思われます。そういう点につきまして、ただ税収を確保するという見地に少しとらわれ過ぎている、そうしてそのために便宜に扱い過ぎているという点がありますので、もうすでに増石量が二十八年度予想されるがごとき増石量になりましたときは、大蔵省としても特にその点についての御考慮があつて然るべきだ、こう考えるのであります。
私が申上げました原案に賛成するという意味は、酒税法案とそうして酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案、両案を一括して申上げたのでありますから、念のためにこの点を申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/93
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094・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私も社会党の第四控室を代表いたしまして、両案に賛成をいたします。
その第一の理由は、何と申しましても減税によつて物価を引下げるということは、国民生活、なかんづく勤労階級の生活をそれだけ豊かにすることでありますから、この点について原則的に賛成でございます。併し将来考えなければならん問題は、酒造政策全般について私は大いにあると思うのでありますが、大体酒税の国家の収入全般に占める割合を見ましても、相当の割合になつているわけでありまして、半面におきまして酒のいい点も、好影響を及ぼす点もございますが、併し半面非常に悪い影響を及ぼす点も、昔からいわゆる酒によつていろいろな悪い影響を家庭生活に及ぼしております。特に今の選挙権は婦人層に半分以上選挙権があるわけでありますが、酒の弊害を最も感じているのはやはり婦人層じやなかろうかと考えるのでありますが、この中から将来禁酒運動というようなものもやはり起きて来ることも考慮しなければならんと思うのであります。アメリカがあのような禁酒国になつたのも、やはり私は婦人の中から一番先に起きたのじやないかと考える。そういう点から考えまして、日本でもその点が十分考えられると思うのでありますが、特に日本のように乏しい食糧の中から、ビルマから輸入した米の中には人体に危険を及ぼすような米を配給しておきながら、内地でできるいい米を酒の製造のために廻して、それによつて税金を取るということは、人間の弱点につけ込んで税金を取るという政策でありまして、これは余り好ましい政策では私はないと思うのであります。たばこにいたしましても同様なことが言える。阿片政策とやや相通ずるものが原則的にあるということだけはこれは否定できないと思うのでありますが、そういう点から考えまして、将来この両法案に盛られました精神は、その点を国民生活に悪い影響を与えないように、更には一面において税金を当面確保したいという趣旨から出ておるとは思いますが、併しこの運用を一歩誤まりますると、酒をたくさんこしらえて、売らして、それで以て税収を上げようということになりますると、反対運動も熾烈なものが起つて来ることを覚悟しなければならん。そうすると国家財政にも当面大きな影響を及ぼして来ると思いますので、これが調整に当りまして大蔵当局といたしましては、政府全般の問題として、重大な、常に警戒を怠らずに調整を願わなければならん問題だと思いますので、この点を特に申上げておきたいと思うわけであります。
次にこれは業者はすべて免許制度になつておりまするために、免許問題をめぐりまして、官庁とそれから免許を得んとする業者との間にややともいたしますると、とかくの忌わしい事態が起りやすい危険があると思うのでありますが、この点につきましては、酒税局長のほうにおきまして特に御警戒、監視を怠らずに、そういう事件の起らないように御注意を願いたいと思います。更にもう一つ御勘考願いたいのは、肉体労働者にとつては一日の疲労を癒やすために一夕の酒というものは非常にこれは衛生上から見ましても、又翌る日の労働力を養う上から言いましても、非常に意味があると思いますので、これらに対しまして安い、いい酒を安易に供給するという施設も今後考えなければならんと思うのでありますが、労働者のたくさんおる町には特別の或る程度減税を更に特別減税を、特配酒というものを場所を定めて、手軽に飲酒できるような設備も考慮願いたいと思うわけでありまして、これは戦争中或いは戦後暫くの間ありましたけれども、もうこの頃では殆んどなくなつてしまいまして、一般の小売業者或いはおでん屋といつた所がその今役割を果しておりますが、それではやはり経費がかさみますので、酒類を活して使おうという意味から言つても、そういう点も御考慮願わなければならんと思うのであります。
次に酒類業者の大多数は中小企業でございますので、その中小企業の保護育成という点についてもこれは考えなければならん、先ほどの質問の際にも御質問申上げましたところ、大蔵大臣は先ず成るべくこれは自然の状態に任しておくのだというような御答弁でございますが、だんだんと技術が進歩するに従いまして、大企業と中小企業とが同じような商売をやる場合には、どうしても大きなところに押されてしまい、従いまして中小企業は自然淘汰を受けるこれは宿命にあると思う。自然の状態に放置しておいたらそうなると思うのでありますが、この組合法を活用されまして、そうしてそういう大企業に中小企業が圧迫を受けて、そうしてだんだんと自然淘汰されることのないように、栄えるときには共に栄えるように、又悪い条件に見舞われたときには共に苦しむという方面に一つ調整を願わなければならんと思うのですが、我が党の野溝議員が質問の際にも申上げましたように、小売業者のマージンが非常に少い、これは伊藤さんも申されましたけれども、ほかの商売と比べましたならば、これはマージンが余りにも低過ぎる、そうしますと、これは政府の若干統制を加えておる品物は安いマージンでサービスをさせるという結果になつて、これも大量に扱える百貨店等においては痛手を蒙らないのでありますが、専業にいたします小売業者は痛切に感ずると思いますので、その点についても御考慮を願わなければならん。その点については政務次官も大臣も一つ御検討をするということをお約束されましたので、この場の法案を通すためのお約束ではなしに、来る次の国会におきましては実際にそれが実現できるように、只今から主税局におきましては御検討を願いたいと思うわけであります。
次に組合を飽くまでもこれは自主的なものとして成長させて行くようにするのだということは、大臣も主税局長も委員会において言明されましたけれども、従来から税務署と酒造業者或いは酒類販売業者との関係は余りに……明治以来の関係でありますが故に業者のほうも税務署には長いものには巻かれろという点もなきにしもあらずでありますが故に、この組合を作らせて、これを一つの大蔵省の御用機関にする、税務当局の御用機関にする、そうして僅かばかりの交付金を支給して、御用機関にするという危険がある。而もこれは政治的にさえ利用されるような虞れがなきにしもあらずだと思います。この点についてもここで言明されましたように、飽くまで自主的なものとして育成して行くという範囲を逸脱せんように一つ御注意を願いたいと思うのであります。
次に交付金の問題について最後に申上げたいと思うのでありますが、酒類組合に対しまして交付金を支給することは、これは大蔵省はややもすると自分の関係しておる組合であるからして、この交付金にはお手盛的なものを出しておるのではないかというようなことを、ほかの組合あたりからいろいろと非難を受けないように、真に酒税を保全する範囲に限定されまして、今年度は質問の際にお聞きした程度でございまして、大したことはないと思うのでありますけれども、これは政治的にこの組合を利用し、又組合のほうも大蔵省との関係からいたしまして運動して、そうしてこの予算を余り国民の知らんうちに殖やして行くということになりますと、よその組合のほうから、或いはよその団体からも非難を受けることのないように、これは将来の問題として御警戒を願わなければならんと思う。そうしないと政治的に利用されるようになつたりして、本来の組合が、折角法律をこしらえて組合を設立した目的を逸脱するということになると思いますので、この点も御警戒を願うことにお願いしまして、将来そういう危険があるとすれば、我々のほうでそういう危険を矯めるような改正案を我々のほうで出して、一つ政府の御反省を促すということを保留いたしまして、この法案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/94
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095・黒田英雄
○黒田英雄君 私はこの両案に賛成をするものであります。
先ず酒税法案について意見を申上げますが、消費者の経済状況、並びに密造酒を撲滅するために酒税を引下げなければならんということは、もう数年来本委員会において私は述べておるのであります。漸次これが引下げられて来て、今回又相当な引下げを行われるということは誠に結構なことと思うのであります。併しながら、今回の引下げだけではまだ私は十分ではないように思うのであります。三十八年度の造石高は当局における案では六千七百八十万石余になつておるのでありまして、これは戦時中から見ますというと、一番多くなつておるように思いまするが、国民の一人当りの消費高を申しますというと、これは以前の十二、三年頃よりは少くなつておりまするので、まだ国民の生活水準というものは戦前に復しておらないように聞いておるのであります。これではなかなか折角増石をして、そして税は下げても、その収入が同じように、若しくは増すようにという御体裁になつておりまするが、その目的を達するために十分にこれを販売し、消費者に消費をさせるということの目的を達することは相当な努力を要するものじやないかと思うのであります。このことについては先ほど伊藤委員から詳細にお述べになりましたから私は詳細に述べることは避けまするが、そういうふうに考えまするので、これから財政の許す範囲においては、酒税の引下げはこれで以つて今十分なりというお考えを持たないようにしてもらいたいことを希望するのであります。
それから次に、酒税の保全及び酒税業組合等に関する法律案について申上げまするが、これは戦前においてすでに各種の組合ができておつたのでありますけれども、それで大蔵省に非常に協力をし、そして需給調整を行なつておつたのでありますが、それが占領によつて閉鎖機関になり、併しながら閉鎖になりましたが、なお各種の酒類業においては任意組合を作つて来ておつたのであります。それでは今十分でないので、この種の法律のできることをみんな希望しておつたのであります。それに応じて当局においてこの法案を提出されましたことは誠に賛成をするところでありまするが、ただ今回衆議院において修正されました指定卸業者が一年の原案だつたのを二年間に修正されたのでありまして、昭和三十年の二月の末日まで延びるということになつたのでありまするが、この点は少し私どもは遺憾に思うのでありますが、それは昨日でありましたか、衆議院のほうから見えまして、修正した理由をお述べになりましたが、これは指定販売業者がいろいろな整理その他において一年では十分でないから二年に延し他という趣旨であつたのであります。私どもは一年で十分できるもののように思うのでありますが、これは二年に衆議院で議決になつておりまするから、あえてこの点については反対をいたしませんが、併しこの卸、販売業者がこの法律によつて組合を作る場合においては、指定卸機関も一般の卸機関も一緒になつて組合を作るということに相成るのでありまするから、いろいろな酒類の需給調整を円滑にいたしまする上においての規制について、協定をするような場合においてお互いの間は多少利害の違う点がありまするから、自然感情上いろいろな点において完全なる立派な協定をするのに困難を生ずるようなことがあつては誠に遺憾に思うのでありまして、これは勿論大蔵当局の認可を要するのであります。従いまして、そういうことはないと思いまするけれども、折角自由の販売業になりまする上において、かくのごとき区別があるということは面白くないと思いまするから、これは二年で以て十分に目的を達して、自然の卸業者の状態に帰るものということを確信いたしまして、本案に賛成をするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/95
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096・松永義雄
○松永義雄君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、遺憾ながら両法案について賛成の意を表するものであります。(笑声)
酒の税率を低くしたことはこれはいいのですけれども、只今もお話になつたように、これ以上もつと下げて頂かなければならんが、そういうことにはならぬと思うのであります。それは常々我々が申しておる二十八年度予算を見まして勤労者の税金が税収入のうちに約七、八割方占めている計算になつております。いろいろの関係から砂糖消費税も又税率が上ることになるようでありまするが、そのようにして、下々のために利益の法案だと先ほど大蔵大臣が申されたのでありまするけれども、併し税全体の収入からいつて勤労階級の負担は非常に重くなつているのであります。而して先ほどもお話のありましたように、一番出先の小売屋或いは中小の醸造家に悪い影響を及ぼす、まさにその通りであります。そのようにして全体を見ますと、我々勤労階級の利益を擁護するものにとりましては、なお非常に遺憾な点があるということを私は申上げなければならんのであります。その上に現在の置かれておる日本の姿としまして、如何なる経済政策をとつて行くべきかということにつきましては、勤労階級の側のみならず資本家側からも意見が出ておるのであります。武器製造の強化法案が出かかつているようであります。現在の日本のあり方は何としても米麦の増産を図らなければならない、電源開発、資源開発を図らなければならない、その産業構造の形については、殆んどまあ常識的な意見ができておると言つても過言ではないのであります。そこで農林省のほうでは、どうかして五カ年計画を通さなければならない、恐らくこれは良心的な考えから出て来ておるものと考えるのであります。然るに予算面を見ますと、最初農林省の考えた案と二十八年度予算を見ますと、新たに農地を作る、或いは改良をするといつた経費が、先ず五百八十二億が二百八十億に減るので、三百億がた削減されておるのであります。そうして昭和三十二年に至るとともかく五百五十万石が漸増になるべきはずが、それが予算の削減されたために、いもや或いは雑穀を食べて行かなければならんというような計数になるようであります。とかく今度の予算案につきましては、まあ何というか、あちこちから要求が出てまとまりのないものである、こういう批評が起きておるのでありますが、実際その通りでありまして、あつちも顔を立て、こつちも顔を立てることはあながち悪いことではないでありましようが、併し現在の日本としてはどういう基盤の上に立つて行かなければならないかということについては、殆んどすべての人が関心を持つているところであるのでありまして、僅か二十万石と言われますけれども、その考え方において杜撰なものがあるということを我々は指摘しなければならないのであります。先ほど大蔵大臣は増産をしなければならないと言つて、或いはお座なりの答弁であつたかも知れませんが、とにかくうかうかしてはおられない状態であるということは、大蔵大臣においても明らかに認めておるのであります。而もなお、現われて来ておるものはそうした考えと違つたものが出て来ておるということは、我々としては非常に遺憾な次第でございます。とにかく増産をしなければならんということは何にしてもこれは進めなければならんことであります。まあ税率が下つたというのでありますから、その点から、遺憾ではありますが、両法案に対して賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/96
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097・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御発言ございませんか……別に御発言もないようでございますので、討論は終局したものと認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/97
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098・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。先ず酒税法案を衆議院送付案通り可決すべきことに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/98
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099・中川以良
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/99
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100・中川以良
○委員長(中川以良君) 次に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/100
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101・中川以良
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することにし、あらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/101
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102・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
それから、本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出します報告書に附する多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
小宮山常吉 野溝 勝
西川甚五郎 大矢半次郎
杉山 昌作 菊川 孝夫
小林 政夫 伊藤 保平
松永 義雄 黒田 英雄
堀木 鎌三
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/102
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103・中川以良
○委員長(中川以良君) なお明日は午後一時から、新たにこのたび提出されました重要法案でありまする租税、関税等の関係六法案、並びに特別減税国債法案等につきまして、審議をいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/103
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104・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは明日は午後一時より委員会を開くことに決定をいたします。
本日はこれを以て散会いたします。
午後四時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02419530226/104
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