1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年三月二日(月曜日)
午後二時十一分開会
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内閣委員
委員長 竹下 豐次君
理事 上原 正吉君
理事 横尾 龍君
理事 松原 一彦君
大野木秀次郎君
栗栖 赳夫君
工藤 鐵男君
中川 幸平君
河井 彌八君
佐藤 尚武君
村上 義一君
成瀬 幡治君
吉田 法晴君
上條 愛一君
村尾 重雄君
法務委員
委員長 中山 福藏君
理事 長谷山行毅君
理事 伊藤 修君
理事 鬼丸 義齊君
小野 義夫君
加藤 武徳君
加納 金助君
郡 祐一君
鈴木 安孝君
岡部 常君
宮城タマヨ君
金子 洋文君
齋 武雄君
羽仁 五郎君
須藤 五郎君
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出席者は左の通り。
内閣委員
委員長 竹下 豐次君
理事
上原 正吉君
松原 一彦君
委員
大野木秀次郎君
中川 幸平君
河井 彌八君
村上 義一君
上條 愛一君
法務委員
理事
長谷山行毅君
伊藤 修君
鬼丸 義齊君
委員
小野 義夫君
加藤 武徳君
郡 祐一君
岡部 常君
須藤 五郎君
政府委員
内閣官房副長官 江口見登留君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房審議室長事
務代理) 久田 富治君
検 事
(法務省矯正局
長事務代理) 高橋 孝君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 眞道君
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本日の会議に付した事件
○青少年問題協議会設置法案(内閣送
付)
○法務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
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〔竹下豐次君委員席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/0
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001・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 内閣法務連合委員会を開会いたします。
本日の議題は青少年問題協議会設置法案と、法務省設置法の一部を改正する法律案でありますが、右両案とも内閣委員会に付託されてありますので、甚だ僭越でありますが、私が例によつて委員長の席を汚すことをお許し願いたいと思います。
先ず青少年問題協議会設置法案を議題に供します。政府の本案の提案理由の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/1
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002・江口見登留
○政府委員(江口見登留君) 只今議題となりました青少年問題協議会設置法案につきまして、その提案の理由並びに内容の概略を御説明申上げます。
現在の中央及び地方青少年問題協議会は、御承知のように第五回国会における衆議院の「青少年犯罪防止に関する決議」及び参議院の「青少年の不良化防止に関する決議」に即応し、青少年問題に関する総合的施策を樹立し、その適正な実施を図るための機関として、設けられたものでありまして、中央青少年問題協議会は、総理府設置法に基き、総理府の附属機関として設置されており、地方青少年問題協議会は、中央に準じ、全都道府県及び多数の市町村が、自主的に設置したものであります。
この中央及び地方青少年問題協議会は、関係諸機関との緊密な連携の下に、毎年春秋二回に行う青少年保護育成運動を中心として、青少年問題に関し各種の対策を推進して参つた次第であります。併しながら、青少年問題の複雑性、困難性に鑑み、その施策の一層の効果を上げるためには、総合連絡、機関としての青少年問題協議会の強化が痛感されるに至つた次第であります。特に、地方青少年問題協議会に関しましては、その法制化並びに国からの財政援助方について全国的に強い要望があり、一方昭和二十七年七月の衆議院行政監察特別委員会の報告のうちにも協議会の強化を要望せられておりますのに鑑がみまして、政府といたしましては、この際地方協議会に対して、明確な法的根拠を与えようとするものであります。
次に、本法律案の内容を簡単に御説明申上げます。第一に、青少年の指導、育成、保護及び矯正に関する総合的施策の樹立及びその施策の適正な実施に関し、関係行政機関相互の連絡調整を図るため、国に、総理府の附属機関として中央青少年問題協議会を置くこととし、都道府県及び市町村にその附属機関として、それぞれ都道府県青少年問題協議会及び市町村青少年問題協議会を置くことができることにいたしました。
次に、青少年問題が国政及び地方行政の基本的な問題の一つである点に鑑み、中央協議会の委員には国会議員を、地方協議会の委員には地方公共団体の議会の議員の参加を願うことにいたしました。
最後に、この重要な青少年の問題を扱う地方協議会のよりよき運営を期待し取りあえず都道府県協議会の運営に要する経費の一部を国において補助することができることといたした次第であります。
なお、本法律の施行は本年四月一日といたしております。
以上が本法律案提案の理由並びに内容の概略であります。何とぞ、速かに、御審議の上御賛成下さるようお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/2
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003・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは御質問の前に資料につきましての御説明を一応お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/3
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004・久田富治
○政府委員(久田富治君) お手許に配付してございますこの印刷物の資料を御覧頂きまして読んで頂ければ結構でございますが、お忙しい関係上簡単に順序を追いまして御説明申上げます。
最初資料の一でございますが、これは本法案の要綱を四項にまとめて書いてございます。あとはそれにつきまして細目が綴つてございます。要綱について申上げます。一は設置でございます。設置で問題になります点は、現在は総理府設置法の中に中央青少年問題協議会の設置がございますのを単独法といたしまして、青少年問題協議会設置法として詳しく法そのものの中に機構、所掌事項まで謳つたのでございます。それから地方青少年問題協議会につきましては、現在では任意設置乃至は地方の條例に基きまして設置されておりますのを、今回の設置法案によりましては法の中に任意設置を謳つたのでございます。
この点が新らしく設置されました法案の特徴でございます。第二、所掌事項でございますが、この所掌事項につきましては実体的には現行法と変りはございません。第三、組織につきましては、地方協議会の委員に一つきましては、現行法に新たに国会議員を中央につきまして加えており、地方につきましては地方公共団体の議会の議員を新たに加えております。その点が新らしく法として変つた点でございます。第四、国からの財政的援助、これは現行法では法的な基礎は何もございません。そして事実問題といたしまして、国から補助費その他一切援助いたしておりませんが、今回この法の中に経費の一部を補助することができると法の中に顔を出しまして、事実問題といたしましては、年額一千万円、一県当り四十三万円見当の補助費が出して頂けるように予算の裏付けができております。以上がこの設置法案の要綱でございます。
あと第二は、中央青少年問題協議会設立経過及び設立後の活動状況でございまして、これは只今提案理由で申上げました通り、一番の親元は昭和二十四年の衆議院及び参議院の決議を頂きまして、それに基いて或いは閣議決定、こういうものを作つて頂きまして、現在活動いたしておるものでございます。第二項は発足以来の活動状況を昭和二十四年から逐年に亘りまして掲上いたしております。
それから四、五枚ございまして、その次、資料の第三でございますが、これは衆議院における青少年犯罪防止に関する決議、昭和二十四年四月十日。これを掲上いたしております。これで要点は、青少年の育成教化その他につきまして適切なる機関を設置しろという決議と、それからその次に、三に、右に伴う実効的予算措置を講ずることと。こういうように二つの点がございますが、適切な機関につきましては、現在では中央につきまして法的な基礎がございますだけで、地方につきましては法的な基礎は大体においてなし、條例に基いております県が二、三あるだけでございます。それから予算的措置を講ずることというように衆議院では決議いたされております、今回二十八年度、初めて予算的措置を講ぜられるような恰好になつたのでございます。参議院も大体そういう趣旨でございます。
それから資料の第五、中央青少年問題協議会令、これでございますが、これは現行法で中央青少年問題協議会が総理府設置法に基いておりますが、細目に至りましては全部この政令に譲られております。そして今回はこの政令を格上いたしまして、この設置法そのものの中に頭を出そう、そういうことでございます。地方につきましても、任意設置を頭に出そうということでございます。
その次、二枚めくつて頂きまして、設置法案の資料第六でございます。これは現在の協議会の委員と専門委員、幹事の名前、これを書いてございますが、大体委員といたしましては、関係の行政官庁、それから民間といたしましては財団法人更新会常任理事佐藤利三郎さん、中央児童福祉審議会委員長中川さん、大東学園園長守屋さん、それから財団法人ボーイスカウト日本連盟総長三島さん、その次に元中央厚生保護委員会委員長原さん、こういうふうに委員に現在なつて頂いておりますが、今回提出いたしました法案では、これに国会議員、衆議院及び参議院それぞれ委員になつて頂こうという法の趣旨でございます。
それからその次は、昭和二十七年度における青少年問題ブロック別協議会実施概況でございまして、資料の七でございますが、これは現在東北、北海道、九州、近畿、中部、このように五つの地方ブロックに分けまして、それぞれ関係の行政機関、民間の委員、こういうかたにお集まり願いまして議題をあらかじめ提出されまして、その議題について関係箇所が討議されまして、そうして中央に要望する事項は要望する、地方限りの横の連絡で解決することは解決する、そういうふうに年一回やつておるのでございますが、その二十七年の実施状況が書いてございます。要望事項といたしまして、ずつと四、五枚書いてございますが、御覧頂きますれば、非常に青少年問題の取上げておる問題が関係行政機関が非常に多岐に亘つておりまして、到底一つの行政機関では、単独の行政機関では解決できない。そうして又民間も協力して頂かなければいけないし、或いは中央も地方も一体となつて解決して行かなければならない、こういうように問題が多岐に亘つておることが御覧頂けると思います。
それからずつと行きまして資料の八でございますが、これが青少年問題研究設置に関する決議及び要望事項、これが地方からの要望で上つて来ておりますが、今回いろいろ予算の事務的折衝の過程におきまして、毎年繰返すのでございますけれども、残念なことに青少年問題研究所の設置につきましては、予算的な措置も講じて頂くこともできず、従いまして今回の法には頭を出しておらんのでございます。
それからその次は資料の九、これが先ほどの地方のブロック別協議会における中央に対する要望事項、これが掲げてございます。その次もずつと同じでございます。
その次に資料の十といたしまして、これは昭和二十七年の十一月に全国知事会議におきまして、内閣官房長官宛に地方の青少年問題協議会を強化してくれという要望がございましたので、その要望書全文を掲げたものでございます。要点は真中のところにございまして、地方青少年問題協議会は地方におきましては単なる申合せ協議機関である。従いまして、その運動の実施及び下部機構の指導育成等相当な経費を要するにもかかわらず、現在国庫負担は零で、逼迫せる地方財政において負担しておる現況だから、これを何とかしてもらいたい、そういうことと、それからもう一つ法的な基礎付けが欲しい、そういうことを謳つたものでございます。大体今回の法案の提出の要旨といたしましては、全国知事会議の要望の趣旨に副つておりまして、毎年繰返してこういうことが言われておるのを、やつと二十八年度で実施の段階に至つたわけでございます。
それから十一は、これは極く参考までに、今までこの協議会で取上げて頂きました女子及び青少年の人身売買という問題がございますが、この問題に関連いたしまして、衆議院の行政監察特別委員会において結論をお出し頂いたものでございます。この中で行政監察特別委員会におかれましては、その資料の二貫目に八としてございますが、青少年問題協議会を充実し、特に地方協議会については中心機関を明確にし、且つ予算の措置及び経費の負担につき判然たらしむること。こういうふうにやつておるのでございます。同じようなことをその次に掲げてあります。
それから最後に長い紙がございますが、これが資料の十二でございまして、青少年に関係のございます現在の行政機関、司法機関、或いはそういうものの下部施設というものを一応一覧表にしたものでございます。一番最初が法務省関係でございまして、法務省では中央におきましては、矯正局、保護局、人権擁護局、最高検察庁とございますが、それが都道府県の段階に行きますと、少年刑務所、少年院、少年鑑別所、保護観察所、地方法務局、地方検察庁というふうな恰好になつております。これが法務省関係だけでございますが、それが次の段階になりますと、文部省で、中央に大学学術局、初等中等教育局、社会教育局とございまして、それが地方の段階に参りまして各種の学校関係というのがございます。それから厚生省関係は、中央に中央児童福祉審議会、これは審議会でございますが、それから児童局、社会局、公衆衛生局とございまして、その下に都道府県の児童福祉審議会、それから民生関係の部局、それから児童相談所、母子寮、保育所、そういうようにここに書かれております。それから教護院関係の施設、教護院、福祉事務所、そういうのがございます。
それから労働省関係では婦人少年局、労働基準局、職業安定局、その下に都道府県婦人少年室、こういうものがございます。警察関係、これはおわかりの通りであります。それから農林省関係、最高裁判所関係といたしましては、家庭裁判所で少年問題を扱つております。
こういうように中央も複雑でございますが、地方におきましても、やはり都道府県の段階をとりましても、およそ十五、六或いはそれ以上の末端第一線の機関がございまして、この間の連絡機関として今のところ何もございませんので、法的に基礎のあるものを持ちまして業務の運営を円滑にして行こうというのが今回の法案提出の趣旨でございます。
簡単でございますが、これを以て終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/4
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005・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 只今の御説明でこの法案の内容について大体の見当がついたようでございますが、なお各條につきまして何か説明を加えておかれる必要がある部面がありましたら、この際お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/5
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006・久田富治
○政府委員(久田富治君) 簡単におわかりやすくする意味におきまして、この設置法の條文そのものにつきまして現行法と特に変つた点、これを申上げます。
法の立て方といたしましては、現在は総理府設置法に青少年問題協議会を置くということになりまして、所掌事項を簡単に謳つただけでございます。先ほども申上げました通り、現行法はそうなつており、政令に大部分譲られておりますものを、新たに今回の設置法におきましては、政令を法律に格上げしたというような恰好になつておます。これは法の体裁の問題であります。
設置法につきましては第一條にございます、第一條の第二項、これが新たに加わつておるのであります。「都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)町村に、附属機関として、それぞれ都道府県青少年問題協議会及び市町村青少年問題協議会(特別区にあつては、特別区青少年問題協議会。以下同じ。)を置くことができる。」、こういうようになつております。くどいようですが、現行法では任意に大体において設置されておりますが、知事会議の要望その他によりまして、法律に頭を出してくれということでございましたので、今回こういうように提案したわけでございます。
第二條、これは所掌事項でございますが、これは現行法と何ら変つておりません、実体的に変つた点はございません。それからこの審議会の性格といたしましても、内閣総理大臣に対し意見を述べることができるということになつておりまして、性格も変りございません。
それから第三條「中央協議会は、委員二十五人以内で組織する。」と書いてございますが、この中で先ほども申上げました通り、第二項の第一号「衆議院議員のうちから衆議院が指名する者三人」、それから第二号「参議院議員のうちから参議院が指名する者二人」、この点が現行法に新らしく附加わつておるものでございます。それからずつとあとは殆んど例文のようなものでございます。
それから第六條に、地方協議会のことがございますが、これも大体中央協議会に右へ習えをしてやるということでございます。
それから第七條の第三項が、やはり中央と同じく地方公共団体の議会の議員、これを含めておりまして、委員の幅を民間は勿論、行政機関、更に立法機関のかたがたまで入つて頂きまして、総合的に仕事を進めて行こう、そういう趣旨でございます。
それから第八條、「(相互の協力)」とございますが、これは「中央協議会及び地方協議会は、第二條第一項に規定する事項に関し、相互に緊密な連絡をとらなければならない。」ということになつておりますのは、これは当然のことのようでございますが、これにつきましては、中央協議会が地方協議会に指示をするとか、或いは監督をするとかいうような上下の関係は何らないのだということを誰つておるものでございます。従いまして中央で一つにコントロールして青少年問題を何かの手段にしようということは全然ないので、現在通り、中央は中央としてそれにふさわしい問題、地方は地方としてそれに相応する問題をやつて行こう、お互いに関係の地方、中央において緊密な連絡をする、それだけのことで、何ら監督関係はないということを言つておるだけのことでございます。
経費につきましては、これはやはり地方の要望に従いまして、「経費の一部を補助することとができる。」というようになつておりまして、現在ではこれを二千万円予算を頂くように手続きが進んでおります。一県当り大体四十三万円くらいで、これの配分方法では現在関係各省庁と連絡中でございますが、大体児童の数とか、学校の数とか、或いはその他いろいろな要素を入れまして配分案参を現在作つておるものでございます。あとはそれに必要な所定の改廃を極く手続的に害いたものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/6
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007・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/7
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008・伊藤修
○伊藤修君 今の御説明を伺つておりますと、地方にこれに関する條例が出ておるというお話ですが、それはたくさん出ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/8
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009・久田富治
○政府委員(久田富治君) 地方の條例につきましては、現在三県でございましてあとは全部まあいわば法的には申合せの協議機関のような恰好になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/9
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010・伊藤修
○伊藤修君 そういたしますと、地方の三県の條例とこの本法との関係は、別に附則で経過規定が処理されていないようですが、その点はどういうようにお考えになつておりますか。いわゆる本法の施行によつて條例が消滅するのかどうか、この点は賄つておらんのですが、どういう見解をとつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/10
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011・江口見登留
○政府委員(江口見登留君) 地方で任意的にこの協議会を設置しまする場合に、只今の御説明にありましたように、全く任意の申合せ的にそういう協議会を設けた所と、その公共団体の條例によりましてその協議会を設けた所とございます。これは條例で設けましたことにいたしましたところで、その地方団体のいわゆる法規でございますから、国の法規とは直接上下の関係或いは改廃の問題が起らないわけでございます。我々こういう法律を制定するに当りましても、地方で條例があれば、それをどういうふうにこれに合せて改廃しろとかいうような権限はないものと考えておりまするので、これもやはりこの法律に合せてその條例なりを作り変えて頂ければ、これに越したことはないと思いまするが、直接この法律の附則で地方公共団体の法規を改廃するということは不可能ではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/11
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012・伊藤修
○伊藤修君 これは法律が施行されますれば、同一内容を持つところの條例がたまたまある場合においては、その法律の持つところの効果としてその條例の効力を制約するのじやないでしようか。その点を附則において賄わんでいいのですか、それは法制局の御見解をお聞きになつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/12
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013・久田富治
○政府委員(久田富治君) その点につきましては、この法案につきましては、第六條以下の問題じやないかと思うのですが、私どものほうで現在條例を実施いたしております岡山県以下二県の、合計三県の條例を取寄せまして、十分検討いたしまして、そしてそれとぶつからん範囲のことをこの法案の第六條に謳つてあります。と申しますのは、それは第六條の第一項で、所掌事項についてはぶつかつておりません。それから地方協議会、これについて地方協議会は意見を述べることができるということでございます。これもぶつかつておりません。
それから第七條はそれの構成だけでございます。ただ條例の中に出ておりませんところの「地方公共団体の議会の議員」、これがございますので、これは條例において措置して頂くように考えておるのでございます。こういう点については、内閣の法制局のほうと十分打合済みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/13
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014・伊藤修
○伊藤修君 私の心配するところは、ただ條例と法律とが抵触する場合において今の御見解のように抵触した部分について両方が相並列するものだという御見解に対しては、ちよつと納得が行きがたい。恐らく法制局のお考えはそういう御目解はおとりにならんと思います。今御説明のように、抵触する部分がないというならば、お調べ済みであるならば、これは問題はありません。ただ私は拝見しませんけれども、地方條例によつて本法と同一事項を内容とするたまたま規定があつた場合において、それが両立するものだという法制的な見解はちよつと納得できないのであります。若しあるとするならば、それは整理するならば本法で整理しておかなくちやならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/14
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015・江口見登留
○政府委員(江口見登留君) 只今説明がありました第七條の三項につきましては、恐らく條例にもこういう規定はないのではないかと思いますが、その際これに併せて地方の協議会ができるということになりますれば、その地方公共団体におきまして、その條例を改正して、こういう議員を入れるということを明定するか、或いは今のところぶつかつておる点はないのでありまするから、條例はそのままにしておいて、その地方公共団体自身の事実上の措置で県会議員さんなりを加えるというようなことをやれるのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/15
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016・伊藤修
○伊藤修君 御説明のように、抵触する部分がないという立場において本法が制定されるならば、それは異議はないと思います。若し抵触する部分があるけれども、法律が優先するのだから、法律と平等の立場であるから、両方とも両立するというお考え方ではちよつと法的措置としてはまずいと思います。御注意申上げておきます。
それからいま一点お伺いしたいのは費用の点ですね、今お聞きしております二千万円をどういうふうに配分するか存じませんが、少くとも各県では四十三万円くらいとお聞きするのですが、四十三万円で一体賄えるのですか。往々にしてこの種の機関が非常に立派なものができ上るのですが、どんなに立派なものができても費用が伴わないと運営されない、又実行が伴わないのです。これはもう幾多の事項についてその例は見るのです。例えば地方の民生委員であるとか、人権擁護委員であるとか、いろいろな立派なものがたくさんできるけれども、実際においては、それらに携わる者の犠牲においてこれをなさしむるというのですが、そういうような国家的実行機関を作る場合においては、これに十分なる予算を伴わしめるというあり方が望ましいと思う。本法の制定に当りましても、予算をたまたまここで出して頂いておることは結構ですが、これで足りるのかどうか、およそ私の推察するところでは、この四十三万というのは殆んど会議の費用にも当らないと思うのですが、恐らくこの事務を担当する人の人件費程度ではないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/16
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017・江口見登留
○政府委員(江口見登留君) この青少年問題の地方における活動も年々とその活動の範囲を拡めて参つておりまするので、地方のこれに関する予算も漸次増加して参つておるように承知いたしております。二十五年度くらいの各都道府県の予算しか、まだ完全に刷り上つたものがないのであります。二十六年度、二十七年度の分につきまして、今全国に照会して、このためにどれだけの費用が使われておるかを調査いたしたいと、かように考えております。勿論問題が重要でありまするだけに、その範囲も拡げて多々ますます弁ずるといいますか、予算は幾らでもこのために要ると思います。我々も地方に対する補助費が二千万円では勿論十分とは申せません。国家財政の都合上、更に数千万円の補助ができまするならば、これに越したことはないと思つておりますが、地方に対する補助の制度が漸く二十八年度から発足いたすのでございますから、当初の年度は一応この程度で辛抱してもらうより方法がないと考えております。殊に市町村に対しましては、大体全国で六割ぐらいの市町村がこの青少年問題協議会のようなものを持つております。これに対します補助金は二十八年度には計上されていないのであります。従いまして国家財政が許しますれば、年を逐いまして、この補助金も増額してもらいたいものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/17
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018・伊藤修
○伊藤修君 この種の問題は将来の日本を作り上げるところの大切な問題であるのですから、従つてこうした事項に関して惜しみなく予算を組み入れるということは、これは他のあらゆる問題よりは技術的に考えるべきだと思います。だから当局におかせられましても、少くとも将来においてはこれが実効的に、効果のあらしむるような最大の費用をこれに投入するというお考えで邁進して頂きたいと思います。
それからもう一点だけ伺つておきたいのですが、只今参考資料の表で拝見いたしましてもわかりますごとく、この重大な事項に関与されるところの国家機関というものが非常に複雑多岐なんですね、一体これで以て日本の青少年に対するところの基本的対策が遂行できるかどうか、こう危ぶまれるのです。衆議院及び参議院において、これらに対するところの総合的な一つの国家機関を設くべしというのは、これに対して国家の基本的な考え方というものを、あまねくこうした複雑多岐に分れるところの各機関をして実行に移さしめるということにしなければならん。この原案を拝見いたしますと、勿論上意を下達するという形、監督、指揮、命令というようなあり方ではなくして、単に基本的な意見を総理大臣に述べるということにとどまつている。いわば総理大臣の諮問機関というようなふうにも考えられるのですが、この程度で果してよいのかどうか。政府としては基本的にこうした内閣に中央的な総合的な機関を設置して、ここで打出された意見というものが、各末端のこうした複雑多岐な各機関に示達されて、それが実行に移されるというような、もう少し強力的なものをお作りになるお考えはなかつたのですか、どうですか。又必要ないとおつしやるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/18
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019・江口見登留
○政府委員(江口見登留君) 第五回の衆参両院の決議に基きまして、政府において責任を以て適当な機関を設置し、予算を計上して重大な問題を取扱いたいという決議に基きまして、先ほど御説明申上げました総理府設置法の一部を改正して中央に協議会を設けたのでございます。この協議会の活動の仕方でございますが、先ほど設置以来の年中行事と申しまするか、年々新らしい仕事も加えて頂いておりまするが、非常にたくさん項目を実施して参つております。もとよりもつと大きな、又全国的な非常に多くの人々から関心を持つて頂けるような行事がやれれば、それに越したことはございませんが、事柄の性質が非常に地味な仕事でございまして、この協議会などに関係しておりまする人たちは非常に地味ではありまするが、全くの縁の下の力持というようなつもりで懸命にこの仕事に携わつて頂いておるのであります。たくさん協議会、審議会等もございますが、私ども内閣に関係しておりまするこの種の委員会におきましても、この青少年問題協議会は極めて頻繁に会合を開いております。月一、二回は必ず開いておりますし、その委員会のときに各省関係の幹事会というものがございすして、やはり専門家が集まつて、この問題は青少年にどういうふうに関係があつて、どういうふうに処置すべきかということを審議し、更に春秋二回の保護育成運動のときには、各省の協力を得てその趣旨に副つた運動を展開しておるのでございます。もとよりもつと強力にこの仕事が活動し始められることを我々としても希望いたすのでございまするが、二十八年度からは、只今申しますように、地方に対します補助金も計上されまするし、更にこの協議会の委員に衆参両院から五名のかたに新たに加わつて頂きまして、もつと大所高所から、大きな政治的見地からこの重大問題を処理して頂くようにお願いいたしたいと思いまして、こういう法律をお願いしておるわけでございますので、今後今までよりも増して一層の活動ができるようになるのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/19
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020・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ほかに御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/20
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021・中川幸平
○中川幸平君 次に進んで又一緒にやつてもらつたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/21
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022・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは青少年問題協議会設置法案につきましての御質問は一応これで打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/22
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023・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 次の議題に移ります。大臣、政務次官がどうしても外せませんので、若しよかつたら説明申上げるというわけで、法務省の矯正局長事務代理の高橋孝さんがおいでになつておりますが、この際御説明を願いましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/23
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024・伊藤修
○伊藤修君 結構ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/24
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025・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それじやそういうことにいたします。
法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府当局の提案理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/25
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026・高橋孝
○政府委員(高橋孝君) 只今委員長からお話がありましたように、大臣、政務次官が止むを得ない事情で当委員会に出席できないそうでございますから、甚だ僭越でございますが、私から提案理由の御説明をいたします。
只今上程になりました法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
この法律案の趣旨は、少年院法第二十一条第二項の規定による経過措置として、従来少年刑務所の一部を特に区別して特別少年院に充てておりましたが、本年四月一日以降この措置を継続することができませんので、かねてその対策につき準備を進めて参りましたが、四月一日を以て、新たに少年院を設置し、少年刑務所等を少年院に転用し、及び分院を本院に昇格させることといたしまして、少年院の増設を行おうとするものであります。これを個々の施設について申上げますると、奈良少年院、大分少年院、盛岡少年院、千歳少年院及び松山少年院は、いずれも新たに施設を設けて設置いたすものであります。又現在その一部を特別少年院に充てております久里浜刑務所、石切刑務支所、愛知少年刑務所及び新光学院は少年の矯正教育に適当な施設でありますので、これらを少年院に転用して、それぞれ久里浜少年院、河内少年院、愛知少年院及び新光学院を設置するものであります。神奈川少年院は、先に工事未了のため一応分院として設置いたしたものでありますが、その完成も近くなりましたので、これを本院とすることとし、又和泉少年院は、現在の浪速少年院の分院共善学寮を拡充してこれを本院に昇格させますと共に、この際その名称を改めたいと存ずるのであります。
その他、少年院の位置について、行政区画名の変更による所要の改正をいたしております。
以上が、提案の理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/26
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027・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) なお続いて本法律案の内容について御説明願うようなことがあつたらお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/27
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028・高橋孝
○政府委員(高橋孝君) 特に御説明するところもないと考えますが、参考資料としてお手許に配付いたしました資料により、その内容を簡単に御説明いたしますと、先ず今度の法務省設置法の一部改正の趣旨が、只今御説明いたしましたように、主として従来刑務所の一部を特に区別して特別少年院に充てておりましたので、その措置が本年四月一日からとれなくなりました関係上、少年院を新設するということでございますから、大体現在の少年院の収容状況、これが参考資料にあります通りに、二十七年度におきましては、収容定員は八千二百九十六名のところに、年末在院者数は一万四百九十八となつております。従いまして今回の法律改正によりまして少年開を新設するわけでございますが、新設によりますと、大体約三千名内外の収容定員を増加する見込になつておりますので、大体代用特別少年院の措置がとれなくなつてもこれで十分賄つて行けるものと考えております。その他参考資料に挙げましたことは、代用特別少年院に収容せられておる者の状況がどういうふうになつておるか、又新設の少年院については、その規模、その収容予定数、職員数、そういうものがどういうふうに予定されておるか、そういうことを主として挙げております。なお少年刑務所施設を少年院に転用いたしますので、併せて少年刑務所における収容状況がどうなつておるか、又転用の際の措置をどういうふうにするかというような点について、参考資料として記載してある次第でございます。
大体簡単でございますが、以上の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/28
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029・岡部常
○岡部常君 参考に伺つておきたいのでありますが、随分たくさん少年院施設がありますので、全部私は視察しているわけでもありませんが、相当の数拝見しておりますが、非常に各施設ごとに程度が違うように思うのです。玉石混淆と言つてもいいようでありますが、これにつきましては将来どういうふうに持つて行かれるおつもりでありますか、御構想がありましたならば、この際承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/29
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030・高橋孝
○政府委員(高橋孝君) 只今岡部委員からお話がありました通りに、全く同感でございまして、その理由につきましては、少年院が少年法の改正によりまして国家の施設として昭和二十四年から相当多数の少年院が発足したのでありまして、その間まだ各所で十分な運営がなされておらないのは只今お話の通りであります。将来は少年院の職員につきましても、更に十分の研修を実施いたしまして、その運営の万全を期して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/30
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031・岡部常
○岡部常君 それにつきましては何か準則というようなものを設けて、標準をどこかへ立てておられるのでありますか、何かそういう大体の基準をお定めになる御意図がありますか、そういう御計画がありますか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/31
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032・高橋孝
○政府委員(高橋孝君) 少年院の処遇につきましては、一応少年院処遇規則がございまして、それによつて運営しておりますけれども、只今御指摘のように、まだ至らん点も多々あると考えますので、なお矯正局におきましても十分研究いたしまして、更に立派なものにして行こう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/32
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033・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ほかに御質問ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/33
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034・中川幸平
○中川幸平君 ここに少年院と少年学院とがあるが、これは何か区別があるのですか。施設の内容によつて名前が変つておるのですか、ちよつとその点をお伺いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/34
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035・高橋孝
○政府委員(高橋孝君) 現在のところでは、只今御指摘のように、同じ国立の少年院でありましても、その名称が甚だまちまちになつおります。ここに今度改正で出ております新光学院にしても、少年院ということになつておりませんが、これはこの少年収容団体が、保護団体が国立の少年院に転換しましたような際に、その少年保護団体の歴史的ないろいろな沿革もござましたし、すぐに少年院という名称一本に統一するというわけにも行きかねたような事情もございましたが、現在法務省としましても、余りに名称がばらばらであるというような向きもございまするので、将来はでき得る限りこの府県名で名称を現わし、なお少年院も国家の機関であることを明らかにする意味で、少年院というふうに名称の変更についても考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/35
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036・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それじや本日議題になりました両法案についての法務委員のかたがたの御質問を一応終えたのではないかと思いますが、内閣、法務連合委員会はこれで閉じることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/36
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037・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。
では本日は連合委員会はこれで散会いたします。
午後三時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514886X00119530302/37
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