1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月二十四日(水曜日)
午前十時三十七分開議
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議事日程 第十五号
昭和二十七年十二月二十四日
午前十時開議
第一 農林漁業金融公庫法案(衆議院提出)(委員長報告)
第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第三 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 日本専売公社法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第五 日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 中小漁業融資保証保険特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第九 電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一一 国有林野所在町村の交付金増額に関する請願(委員長報告)
第一二 と場復元畜産振興法制定に関する請願(委員長報告)
第二二 林業技術普及員増員等に関する請願(委員長報告)
第一四 農林水産業施設災害復旧事業の国庫補助対象わく引下げ等に関する請願(委員長報告)
第一五 新潟県新川右岸地区用排水改良事業促進に関する請願(委員長報告)
第一六 白葉枯病予防薬購入費助成等に関する請願(委員長報告)
第一七 入院患者用配給米増配に関する請願(委員長報告)
第一八 国有林野の増加払下げ促進に関する請願(委員長報告)
第一九 農林漁業組合再建整備に関する請願(委員長報告)
第二〇 積雪寒冷単作地帯農業振興事業に関する請願(委員長報告)
第二一 自作農創設維持資金融通制度確立に関する請願(委員長報告)
第二二 国有牧野の利用権設定に関する請願(委員長報告)
第二三 民有林造林事業費国庫補助に関する請願(委員長報告)
第二四 国有林野整備臨時措置法改正に関する請願(委員長報告)
第二五 北海道、東北両地方の急傾斜耕地等に関する請願(委員長報告)
第二六 災害復旧耕地事業の早期完成に関する請願(委員長報告)
第二七 土地改良事業促進に関する請願(委員長報告)
第二八 めい虫防除費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)
第二九 砂糖行政改正に関する請願(委員長報告)
第三〇 菓子用砂糖の随意契約による売却制度廃止の請願(委員長報告)
第三一 農業共済保険金支払促進に関する請願(委員長報告)
第三二 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に伴う国庫補助増額等の請願(委員長報告)
第三三 農業災害復旧費国庫補助等に関する請願(委員長報告)
第三四 植林事業補助金増額に関する請願(委員長報告)
第三五 米価決定に関する請願(委員長報告)
第三六 農林土木事業等の地元負担金免除に関する請願(委員長報告)
第三七 国有林地内に林道開さくの請願(委員長報告)
第三八 国有林野解放促進等に関する請願(委員長報告)
第三九 蚕業技術員の身分安定に関する請願(二十七件)(委員長報告)
第四〇 新潟県下の海岸砂地造林施設等拡充に関する請願(委員長報告)
第四一 林業関係予算増額に関する請願(委員長報告)
第四二 東北、北海道両地方の土地改良事業促進に関する請願(委員長報告)
第四三 民有林道事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)
第四四 静岡県大井川流域干拓工事施行に関する請願(委員長報告)
第四五 栃木県那須野ヶ原農業水利改良事業施行に関する請願(委員長報告)
第四六 早場米供出実務職員の超過勤務手当に関する請願(委員長報告)
第四七 蚕糸業振興に関する請願(委員長報告)
第四八 愛媛県の早場米奨励金等に関する請願(委員長報告)
第四九 福岡県芦屋飛行場防風林伐採に伴う農作物被害補償の請願(委員長報告)
第五〇 広島県佐伯郡の治山事業費予算増額に関する請願(委員長報告)
第五一 結核患者用配給米確保に関する請願(委員長報告)
第五二 都道府県農業試験場整備拡充に関する請願(委員長報告)
第五三 農業機械化普及促進に関する請願(委員長報告)
第五四 鳥取県山上村林道開設に関する請願(委員長報告)
第五五 民有林道予算増額に関する請願(委員長報告)
第五六 自作農創設維持資金の拡充等に関する請願(委員長報告)
第五七 大分県の治山、造林両事業予算増額に関する請願(委員長報告)
第五八 由良漁港修築工事施行に関する請願(委員長報告)
第五九 千葉県九十九里浜射撃演習に関する請願(委員長報告)
第六〇 常呂漁港修築工事促進に関する請願(委員長報告)
第六一 東京湾投びよう禁止区域設定に伴う補償の請願(委員長報告)
第六二 東経百三十度以西海区における小型機船底びき網漁業操業区域調整案撤回に関する請願(委員長報告)
第六三 三陸沿岸災害復旧事業費国庫補助等に関する請願(委員長報告)
第六四 縛網減船整理に伴う補償の請願(委員長報告)
第六五 芦辺漁港の第四種漁港指定に関する請願(委員長報告)
第六六 長崎県小値賀漁港修築工事施行に関する請願(委員長報告)
第六七 漁業資金融資機関設置に関する請願(委員長報告)
第六八 勝本港の水産施設に関する請願(委員長報告)
第六九 長崎県勝本浦の沖合漁業確保に関する請願(委員長報告)
第七〇 製氷工場建設資金融資に関する請願(委員長報告)
第七一 三陸津浪による漁業被害補償の請願(委員長報告)
第七二 三陸津浪による被害漁業の漁業権免許料免除の請願(委員長報告)
第七三 山口県の漁港整備拡充に関する請願(委員長報告)
第七四 第三種漁港修築工事の国営等に関する請願(委員長報告)
第七五 下関漁港修築工事の国営等に関する請願(委員長報告)
第七六 東京湾投びよう禁止区域設定に伴う補償等の請願(委員長報告)
第七七 漁港修築工事促進等に関する請願(委員長報告)
第七八 山口県見島漁港整備に関する請願(委員長報告)
第七九 済洲島海域の漁業に関する請願(委員長報告)
第八〇 岩手県根白漁港修築工事施行に関する請願(委員長報告)
第八一 八丈島八重根漁港築設促進に関する請願(委員長報告)
第八二 水産施設に対する津波災害復旧費助成等の請願(委員長報告)
第八三 漁場の演習場指定反対等に関する請願(委員長報告)
第八四 高知県久礼漁港船だまり改修工事施行に関する請願(委員長報告)
第八五 長崎県山崎港の第一種漁港指定に関する請願(委員長報告)
第八六 北海道木直漁港修築工事施行に関する請願(委員長報告)
第八七 北海道砂原漁港修築工事促進に関する請願(委員長報告)
第八八 三陸津波の漁業等被害対策に関する請願(委員長報告)
第八九 米軍徳山貯油所沿岸海面立入禁止に伴う漁業損害補償の請願(委員長報告)
第九〇 岩国市姫子島駐留軍演習場の漁業禁止全廃等に関する請願(委員長報告)
第九一 長崎県鯛の浦湾の第四種漁港指定に関する請願(委員長報告)
第九二 宮城県の主要漁港修築費全額国庫負担に関する請願(委員長報告)
第九三 宮城県の漁港修築費予算増額に関する請願(委員長報告)
第九四 北海道厚内漁港修築促進に関する請願(委員長報告)
第九五 以東底引漁区拡張反対に関する請願(委員長報告)
第九六 済州島海域の漁業に関する請願(委員長報告)
第九七 漁船損害補償法に関する請願(三件)(委員長報告)
第九八 漁業災害保険補償制度確立に関する請願(委員長報告)
第九九 公共事業令失効に対する特別措置に関する請願(委員長報告)
第一〇〇 大分市に九州東回り無装荷ケーブル布設等の請願(委員長報告)
第一〇一 東京都砧に電話自動局設置促進の請願(委員長報告)
第一〇二 東京都府中町の市外電話回線増設等に関する請願(委員長報告)
第一〇三 神奈川県秦野町電報電話局庁舎建築促進に関する請願(委員長報告)
第一〇四 神奈川県茅ヶ崎電報電話局庁舎新築に関する請願(委員長報告)
第一〇五 電話の整備拡充に関する請願(委員長報告)
第一〇六 東京都豊島区電話局の整備拡充資金に関する請願(委員長報告)
第一〇七 群馬県沼田電報電話局庁舎新築等に関する請願(委員長報告)
第一〇八 林業技術普及員増員等に関する陳情(三件)(委員長報告)
第一〇九 岡山県い草種苗場および製品試験所の国営移管に関する陳情(委員長報告)
第一一〇 国有林払下げに関する陳情(委員長報告)
第一一一 日本茶業復興振展に関する陳情(委員長報告)
第一一二 日本酪農講習所の国営移管等に関する陳情(委員長報告)
第一一三 造林補助費増額等に関する陳情(委員長報告)
第一一四 食糧自給促進法制定促進に関する陳情(委員長報告)
第一一五 森林組合に対する国庫助成の陳情(委員長報告)
第一一六 木炭公営検査の強化に関する陳情(委員長報告)
第一一七 農林漁業資金融通法の業務調査費に関する陳情(委員長報告)
第一一八 米価改訂に関する陳情(委員長報告)
第一一九 農協青年組織の育成強化等に関する陳情(委員長報告)
第十二〇 森林組合技術員設置費助成に関する陳情(委員長報告)
第一二一 森林組合技術員設置費助成等に関する陳情(二件)(委員長報告)
第一二二 食糧自給促進法制定に関する陳情(委員長報告)
第一二三 森林組合技術員設置費全額国庫負担等に関する陳情(委員長報告)
第一二四 結核患者用配給米確保に関する陳情(委員長報告)
第一二五 農林漁業組合再建整備に関する陳情(委員長報告)
第一二六 農業災害補償制度の強化拡充に関する陳情(委員長報告)
第一二七 農業共済組合連合会事務費国庫補助増額に関する陳情(委員長報告)
第一二八 農業共済掛金率引下げ等に関する陳情(委員長報告)
第一二九 本年度産米の消費者価格すえ置に関する陳情(委員長報告)
第一三〇 林業関係予算増額に関する陳情(委員長報告)
第一三一 急傾斜地帯農業振興に関する陳情(委員長報告)
第一三二 漁業者保護のため試砲場設置反対に関する陳情(委員長報告)
第一三三 北洋公海さけます漁業用ラミー流網加工資金融資等に関する陳情(委員長報告)
第一三四 東京湾南部海域投びよう禁止区域設定に伴う補償の陳情(委員長報告)
第一三五 海区漁業調整委員会経費増額に関する陳情(委員長報告)
第一三六 漁業免許料、許可料滅免に関する陳情(委員長報告)
第一三七 漁業免許料、許可料徴収延期に関する陳情(委員長報告)
第一三八 東海海域における警備監視船増強の陳情(委員長報告)
第一三九 小呂島漁港の第四種指定に関する陳情(委員長報告)
第一四〇 クラーク・ラインにおける漁船操業制限の陳情(委員長報告)
第一四一 朝鮮水域における漁業保護対策の陳情(委員長報告)
第一四二 カムチヤツカ地震による漁業災害復旧助成の陳情(委員長報告)
第一四三 北海道鴛泊港修築工事施行に関する陳情(委員長報告)
第一四四 北海道太泊漁港補修工事等施行に関する陳情(委員長報告)
第一四五 山口県の漁港整備促進に関する陳情(委員長報告)
第一四六 漁港修築費予算増額に関する陳情(七件)(委員長報告)
第一四七 神奈川県漁港修築費予算増額に関する陳情(委員長報告)
第一四八 兵庫県釜口村に漁港築造の陳情(委員長報告)
第一四九 千葉県の漁港修築費予算増額に関する陳情(委員長報告)
第一五〇 兵庫県沼島漁港修築工事施行に関する陳情(委員長報告)
第一五一 漁船損害補償法に関する陳情(二件)(委員長報告)
第一五二 金鉱山助成策確立に関する陳情(委員長報告)
第一五三 国有鉄道の運転用炭確保に関する陳情(委員長報告)
第一五四 北海道歯舞局の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一五五 北海道上砂川町の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一五六 北海道神居村の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一五七 北海道夕張市の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一五八 北海道浦幌村の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一五九 北海道下同時の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一六〇 電気通信施設の整備拡充促進に関する陳情(委員長報告)
第一六一 群馬県館林電報電話局庁舎新築等に関する陳情(委員長報告)
第一六二 栃木県足利局の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一六三 茨城県磯原町の電話設備整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一六四 栃木県の電気通信施設整備拡充に関する陳情(委員長報告)
第一六五 埼玉県所沢電報電話局庁舎新築等に関する陳情(委員長報告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/1
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
この際お諮りいたします。西園寺公一君から海外旅行のため会期中請暇の申出がございました。これを許可することに御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/3
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、農林漁業金融公庫法案(衆議院提出)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。農林委員長山崎恒君。
〔山崎恒君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/4
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005・山崎恒
○山崎恒君 只今議題となりました衆議院議員野原正勝君外五十六名の提出にかかる農林漁業金融公庫法案の農林委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
農林漁業資金を確保するため、昨年農林漁業資金融通特別会計が設置されたのでありまするが、今後、食糧増産計画の積極的推進と共にますます増大せらるべき資金の適正且つ円滑な運用を期するためには、特別会計の運営に携わる現在の人員を以てしては、この業務の円滑な処理は困難であると考えられ、又貸付決定の実質上の責任者乃至事務に当る者が公務員であつて、その地位を長期間固定することが困難であるため、長期貸付決定の責任の所在が不明確になる虞れがあり、又政府の直接貸付にかかる国の債権であるため、財政法の規定により、債権の保全が形式的には極めて厳重ではあるが、他方、現実的には、本来金融業務に必要とされている機動的な処理を行うことができないため、却つて管理回収業務の円滑な運用を期し得ない等、たとえ特別会計の機構人員を増加しても解決できない幾多の問題があるので、農林漁業長期融資の取扱機構として、従来の特別会計に代つて、恒久的な独自の政府機関である農林漁業金融公庫を設置して、農林漁業長期資金の適正且つ円滑な運用に遺憾なきを期したいとの趣旨によつて、本法律案が提出されたものであります。
その内容の概要を申上げますると、公庫は法人として、これが資本は全額政府出資とし、農林漁業資金融通特別会計から承継する資金を以てこれに充て、業務は従来農林漁業資金融通法による融資対象のほかに、災害復帰の場合に限り、個人施設をも貸付の対象とし、貸付決定以外の実務については農林中央金庫その他の金融機関に委託できることとなし、貸付利率、償還期限及び据置期間の限度を法定し、その範囲内において事業計画及び資金計画を作成して、主務大臣の認可を受けることとなし、役員は、総裁一人、理事四人以内及び監事二人以内を置くこととなし、総裁及び監事は政府がこれを任命し、理事は主務大臣の認可を受けて総裁が任命することとなつており、これらの任期はすべて四カ年となつております。会計は公庫の予算及び決算に関する法律の定めるところに従い、利益金を生じた場合は全額を国庫に納付することとし、公庫の貸付の財源として政府から借入をなし、又外貨資金の導入を図る途が設けてあります。なお主務大臣は農林大臣及び大蔵大臣と定められております。
かかる原案に対して、衆議院において、主務大臣の指定する災害復旧に必要な資金の償還期限が五年とありましたのを十五年に修正して、当院に送付せられたのであります。
なお衆議院農林委員会において、次のような附帯決議が行われましたことを申し添えておきます。即ち、
政府は、本法施行に際し、次の措置を講ずべきものと認める。
一、事業内容の健全な信用農業協同組合連合会については、これを農林漁業金融公庫の受託金融機関となり得るよう、農林漁業金融公庫法第十九条及び農業協同組合法第十条第六項の規定に従い、必要な措置を講ずること。
二、第三条第二項の従たる事務所は当分の間設置せざること。
委員会におきましては、特に大蔵委員会から小林政夫委員の委員外発言もあり、提案者及び政府当局との間に、現行特別会計から今回の公庫に移行せしめんとする理由及び経緯、並びにこの点に関連して本法律案を政府提案としなかつた理由、本法案の目的と貸付対象との関連性、利率決定の基準及びその適否、自作農維持資金及び畜産導入資金の取扱、共同利用資金の貸付先、国の行う金融の性格及びその対策並びに政府における公庫の指導監督の方針、資金コスト及びこれが対策、資金需給の現況及び今後の見通し並びに増資対策、資金貸付の手続、従たる事務所設置の当否、公庫の業務及びその運用方法、業務委託機関及び委託機関の債務保証に関する方針、政府の公庫に対する貸付金の取扱の当否、衆議院農林委員会の附帯決議に対する政府の見解及び取扱方針、外貨資金の運用方法、本公庫成立後における農林中央金庫に対する政府の指導監督及び育成方針等、各般の事項について総括的又逐条的に慎重な審議が行われたのでありまして、これが詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。
かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、楠見委員から、議員立法なるの故を以て政府はその責任を軽んずることなく、自己提出のものと同様、資金の確保に必要な予算的裏打ちと共に、法の運用に熱意と誠意とを以て当り、いやしくも遺憾なからしめ、又衆議院農林委員会の附帯決議の第一については、系統金融機関に混乱を生ずることのないよう万全の考慮を払い、且つ事務の簡素化を図り、融資の迅速適正を期することを特に強く希望して賛成がありました。
続いて採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/5
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006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/6
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007・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/7
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008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案、(衆議院提出)
日程第三、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/8
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009・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長小泉秀吉君。
〔小泉秀吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/9
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010・小泉秀吉
○小泉秀吉君 只今議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
この法律案の要旨は、休職に関する日本国有鉄道法第三十条中、休職者に対する給与の支給を、この法律で定めるところによらず、当事者の協定にる給与準則に定めるところによらしめようとするものであります。これは現業に従事する国鉄職員の作業の性質に基き、その休職者にとつて必要な措置であるとなすものであります。委員会におきましては、休職者の実態につきまして前之園委員よりこまごまの質疑が重ねられましたほか、格別質疑はなく、討論に入りましたところ、討論省略の動議があり、これが成立いたしまして、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申上げます。(拍手)
更に、只今議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず本法律案の要旨を申上げます。国鉄の昭和二十七年度当初予算の損益勘定は収支共二千九十九億円余であります。その予算編成の基礎でありました物価の動向は、一般的には横這い状態を示しておりますが、物件費の大宗であります石炭費及び電力料が値上りを示しましたほか、仲裁裁定に基く従事員の給与改善の必要、現在緊急に市替を必要とする施設、車両の復元等を考え、健全なる運営を維持するために、国鉄は当初三割の値上げを強く要事しましたが、現在の経済状態から見まして、旅客、貨物おのおの一割程度の増収が得られるように改正せんとするものであります。
その主なる改正点について申上げますと、第一は、旅客運賃並びに料金を総体としておおむね一割程度引上げたこと、第二は、普通定期券を設けると共に、所要の改正を行なつたこと、第三は、航路普通旅客運賃の改訂を行うと共に、船室の特別設備に対する料金の設定について規定を設けたこと、第四は、貨物運賃をおおむね一割程度引上げたことと、従来十一等級であつた貨物等級を運賃負担力及び運送原価並びに公共性に応じ、十二等級とし、更に公共性に基く調整措置として、一般社会生活上、日常不可欠の消費物資等について特別等級、三等級を設ける等、制度の全般に亘り改正を行なつたことであります。
委員会におきましては、連日委員会を開き、政府並びに国鉄当局と質疑を重ね、慎重に審議を行いました。
次に委員会における質疑の主なるものを申上げます。先ず「国鉄は収支の不均衡の一部を運賃値上げで填補しようとしているが、経費の節約や経営の合理化等について十分手を尽した上での措置であるか」ということであります。更に「経費で負担する償却の限度を再検討すること、又資産の価値を増す改良は、損益勘定負担にすることとせず、殊に戦災による復元のごときは国庫負担によらしめ、国鉄財政の健全化を図るべきである」との質疑がなされました。要するに、赤字補填に対して直ちに運賃値上げを策するとしても、それにはおのずから限度があり、一方、経費増は今後も予想される要素を含むので、速かにその経理の基本方針を確立する必要があるというのであります。これらの点につきまして、運輸大臣、国鉄総裁より、「今回の値上げは十分経理上の措置を講じた上の手段であり、国鉄の経理面よりすれば、今回三割程度の値上げを必要としたのであつたが、国民生活に及ぼす影響等から一割程度の値上げにとどめた」とのことでありました。又「償却や補修について経費の負担とすることは、会計の原則に従うは当然であり、又その財政健全化については、国鉄の近代化による増収、その他具体的計画について善処している」旨の答弁がありました。
更に進んで、「国鉄はその経理自体を賄うことを得ない政策運賃で独立採算を強いられている現状では、国鉄の財政補強策について、必ずしも運賃収入のみに依存せず、政府の交付金とか、利子の補給とか、国鉄の財政補強策を講ずべきである」との質問に対し、運輸大臣は、「独立採算制を原則とするが、不可能のものについては徐々に何分の措置を研究してみたい」とのことでありました。
次は、国鉄のサービスの向上についてでありますが、「今回の運賃値上げでは、僅かに損失の填補をなすにとどまり、サービスの向上に期待し得ないものがある」との質疑に対しまして、国鉄総裁は、「木造車両の鋼製化、列車キロの増設等、各種のサービスの改善に対しては、今後とも怠らず善処して行く」旨の答弁がありました。
次は、運賃値上げ率についてでありますが、旅客貨物とも一割以上に及ぶものがありますことを指摘し、且つ貨物等級の改正を運賃値上げと同時に施行することによつて生ずる現行運賃との開きと、これに伴う物価への影響等につき、各委員より鋭く質疑が行われました。この点につきまして政府及び国鉄当局よりの答弁は、「現実の運賃が一割以上の値上げになるものもあるが、一方において現行運賃制度にない各種の運賃軽減措置をしており、総体において現行収入の一割増を目標として運賃構成を企図した」とのことでありました。又貨物等級につきましては、「不減収、不増収の方針の下に現等級の合理化を図つたのである」とのことでありましたが、それにより過渡期に急激な変化を生ずるものに対しては、適当なる調整をなす旨の意図を明かにされました。又貨物等級の変更については、「最も国民生活に関係の深い品目に対しては、三割以上にも及ぶ値上げになつているのに、いわゆる嗜好品、贅沢品については却つて値下げになつている。物価を基準とした機械的分類から見れば合理的であるかも知れないが、産業、経済、又国民生活に不可欠の物資については予想以上の値上げを行いながら、一方嗜好品、贅沢品のごときものに対して却つて値下げになつている今回の等級改正には、如何にしても納得できないので、国鉄の運賃収入にこだわらず引下ぐべきではないか」との意見がありました。
その他、国鉄将来の運営方針や国鉄運賃の改訂に伴う国営自動車の運賃の改訂、私鉄運賃の改訂等について質疑が行われたのでありますが、委細は委員会速記録について御覧願うことにいたします。
なお、委員会の審議の過程におきまして、農林委員長及び水産委員長より、それぞれ貨物運賃並びに等級改正につきまして特段の考慮方につきまして申入れがあり、運輸委員会におきましても十分その意見を尊重して審議しましたことを申添えておきます。
以上を以て質疑を終り、続いて討論に入りましたところ、岡田委員、前之園委員、高田委員より、それぞれ賛成の旨、意見の開陳がありましたが、更に岡田委員よりは、国鉄経営の健全化、等級の合理化について要望するところがあり、前之園委員よりも、国鉄は更に積極的な高度の経営により増収を図るべく、運賃値上げのごとき安易な方法によることを戒められ、且つサービスの向上を要望されました。又高田委員よりも同様サービスの向上を説かれましたが、特に今回の等級改正に当り、生活必需品に対する値上げ承の大なる点に鑑み、次のような附帯決議案を提案されました。
附帯決議
今回の運賃改正と同時に実施される貨物等級表の改正に際しては、右記の点につき日本国有鉄道において善処することを要望する。
記
一、生活必需品の運賃値上りが賃率の約一割引上げを含めて二割程度以上となるものは約二割程度に止めること。
二、贅沢品、嗜好品と目せられるものにして、賃率の引上げをなしても、なお運賃値下りとなるものついては、現行運賃を限度として適当に調整すること。
なお、右の生活必需品として、木炭、薪、加工炭、大豆、生甘藷、生馬鈴薯、生大根、生野菜、たくあん、野菜塩漬、こんぶ、砂糖、酢、味噌、麺類を例示されました。
次いで中村委員、小酒井委員、深川委員より、いずれも反対の旨、意見の開陳がありましたが、中村委員の論旨の要点は、「国鉄がその経費を賄い得ない政策運賃で独立採算を強要されている事実より、現行運賃制度を再検討し、先ずその財政方針を明らかにすべきであり、かかる姑息的な運賃値上げはなすべきでない」という趣旨の意見でありました。又小酒井委員、深川委員の論旨は、それぞれ国民生活全般に影響を及ぼすがごとき運賃改訂に反対の意見を開陳せられたのでありますが、小酒井委員よりは、「国鉄の現在の経費において賄えないものについては、政府の責任において負担すべきである」旨の意見が申し添えられましたが、以上の質疑討論はその要旨に過ぎませんから、詳細は委員会の速記録によつて御覧願いたいと存じます。
これを以て討論を終りまして、本法律案の採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。続いて附帯決議案について採決いたしましたところ、これ又多数を以て可決すべきものと決定いたしました。なお、運輸大臣並びに国鉄総裁より、本委員会の決議は尊重いたす旨の発言がありました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/10
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011・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小酒井義男君。
〔小酒井義男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/11
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012・小酒井義男
○小酒井義男君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今上程せられております国有鉄道運賃法の一部改正に対して反対をいたします。以下反対の理由を申述べます。
国有鉄道の運賃改正が国民経済に与える点は至大であります。従つて運賃改正をなす場合に、国としては法律を以て国鉄運賃法というのを制定をしておることは皆さんも御承知の通りであります。国鉄運賃法の第一条においては、国鉄運賃をきめる場合には、この法律によらなければならないときめておりまして、その中に四つの原則を定めております。第一は公正妥当なものであること、第二は原価を償うべきものであること、第三は産業の発展に資するものであること、第四は賃金及び物価の安定に寄与することと定めております。国がこうした法律を以て運賃の問題を制約しておりますのは、この影響が大きいということと同時に、ただ原価を償うことや公正妥当であるということのみを以て運賃をきめてはいけない、やはり産業の発達や賃金や物価の問題をも併せ考えて運賃問題はきめなければならないという建前をとつて、こうした法律を作つておると我々は信ずるのであります。そういう法律を作つておる以上は、この原則に背反する、ごとき改正を必要とする場合には、国が責任を以てそれに対するところの措置を講ずる義務を私は負つておるものという解釈をいたします。こういう解釈の上に立つて考えますときに、今回の運賃法が決して我が国の産業の発達に資することにはならないと私は信じますし、特に賃金、物価の安定に資する何ものもないということを申上げることができると思います。こういう観点に立ちましたならば、やはり運賃値上によらざる方法を以て国道の経理をこれを直して行くというところの政府の施策がこの際必要になつて来ると思うのでありますが、それをなさずして、直接間接の国民の負担であるところの運賃値上を以てこの安易なる打開の途を講じようとする方針に対して、我々は反対をするわけであります。
国鉄の経理の内容等においては、公聽会或いは国鉄仲裁委員会裁定案等にも示されておりますように、戦災によるところの荒廃、或いは戦後の著しい車両や設備の改善が行われておるのが、これが国鉄の一般経営費の中からも予算を割いて行われておるという無理が行われておる。そのために、国鉄の職員の給与ベースが圧迫され、或いは直接国民の負担になつて来るという形にされておるのでありまするが、我々は、やはり国の施策として施設が改善され向上されて行くような場合は、これは別途の方法によつて賄つて行くべきであつて、運賃負担に頼つてこれをするというような方法をとるべきではないと考えております。更に国鉄の現在の経営の内容、これ以上収入の途を図る余地はないか、支出の節減を図る余地はないかというようなことが、今一歩真剣に検討される必要があろうと私どもは考えます。こうした経理の内容におけるところの節減、収入の余地が全然ないという止むを得ない場合にのみ、初めて国民が納得をして、運賃の値上というものにも反対をしないということになると思うのでありますが、その余地が全然ないということには私はなつておらんという見解を持つております。先ず国鉄企業の経営内部におけるところの努力を先にして、その後にこうした問題は国民の理解と納得の上に行わるべきであるというのが私の反対をする一つの理由であります。
又今回も……いつの場合でもそうでありますが、運賃値上というようなことが行われる場合に行われる公聽会なども、これは値上の率が決定をした後に形式的に行われておる。こういう手続では私はいけない。もう少し国民大衆の世論を事前に聞いて、その世論の上に立つて初めて運賃をどうするかということが論議されるべきであつて、今のような申訳的なやり方において運賃の改正をするというような形式的なやり方について、私どもは反対をするわけであります。併し本改正は、委員会において一部の委員のかたの決議が出されたことによつて、生活必需物資を最高二割にとどめるということのできたのは、政府原案に比べて格段の進歩ではあると思いますが、併しながら二割を生活必需物資にかけられるということが及ぼすところの国民経済に与える影響というものは、私どもは見逃がすことができないと思うのであります。国民経済の実情、特に勤労者の生活水準がどの辺に残されておるかということは、皆さんも御承知のように、日本の現状におけるところの勤労階級の生活水準はまだ戦前の七五%前後のところに足踏みをしております。申訳的な減税をやつてみても、運賃の値上りがあり、又これの撥ね返るところの物価値上りがあつたり、家賃の値上りがある、或いは消費者米価の改訂が行われる、そういうようなものが次々と出されて来ると、国民生活の回復ということは、いつの場合にも棒引をせられて行くというような形になつて、いつまでたつても日本の勤労階級の生活の同上を期待することができないと信じます。都市においては御承知のように巨大なビルディングが次々と建てられておるのに、勤労者の住宅はまだ非常に困難な状態に残されておるというような、吉田内閣によつてなされておりますところのこの勤労大衆の犠牲によつて資本を蓄積するという行き方と同じく、この国鉄運賃の場合も、利用者と国鉄職員の諸君の生活の犠牲によつて国鉄の施設が次々と改善をせられて行くという形をとつている。私はこの一つの問題を取上げても、自由党吉田内閣の政策の一環としてこうした方途が選ばれておるということを指摘しなければならないと信ずるのであります。(拍手)国民経済の回復をしない前に、我が国の産業がまだ平常な状態に立ち上らない前に、次々と運賃等の国民負担によつて問題の解決をして行くというのでなしに、国民生活が戦前に回復し、或いは日本の経済が一定の安定度を保つような時期が来た場合に、改めて負担の限度を考えて運賃は考えるべきであり、現状においては政府の責任においで国民負担を排除するところの措置を講ずべきであるというのが我々社会党の方針であるわけであります。
以上の方針に立ちまして、我々は今回行われようとするところの運賃値上に反対する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/12
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013・佐藤尚武
○議員(佐藤尚武君) 中村正雄君。
〔中村正雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/13
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014・中村正雄
○中村正雄君 私は只今議題になつております国有鉄道運賃法の一部改正法律案に対しまして、日本社会党第二控室を代表いたしまして反対いたします。
私の反対の第一の理由は、独立採算制を強要されておりまする国有鉄道の財政方針が樹立されずして、経費が不足した場合は直ちに安易な運賃値上の方向に求めておるという基本理念に対してでございます。御承知のように、現在の国有鉄道の運賃が戦時中低位に押えられておりましたものを基準として、国鉄の運賃は一般の物価に影響するという建前から、今までの運賃値上におきましても非常に低位に押え付けられております。一般の物価が三百数十倍になつ工おりますにもかかわりませず、国鉄の運賃は、戦前に比べまして百倍を僅かに上廻る程度であります。併しながら、こういう赤字運賃の下におきまして、国有鉄道に独立採算制を強要いたしておりますが、国鉄の財政の内部を仔細に検討いたしますならば、国鉄の経理の内容を検討いたしますならば、必ずしも運賃収入によつて賄わなくてもよい費目までも運賃収入によつて賄われております。ごこに国有鉄道の財政上の欠陥があるわけでございます。本年度の財政状態を見ましても、戦争によりまする被害の復旧復興に対しまする経費まで運賃収入によつて賄われております。又定期旅客運賃一つを取上げて参りましても、これは外国に例を見ないような非常な格安の運賃になつておりますが、これは社会政策的な見地から低位に置かれておるものでありまして、こういうものによつて生じまする赤字というものは、経費の不足というものは、国有鉄道自体が負担すべきものではなくして、一般会計によつて負担すべきものであると言わなければならないわけであります。こういう点を検討いたしますならば、現在の国有鉄道の経費の不足というものは間違つた独立採算制の方向にあると言わなければならないわけでございます。従つて、このたびの運賃改正の提案理由とされておりまする国鉄従事員の給与値上に伴いまする経費の不足に資するために運賃値上をすると政府は説明いたしておりますが、現在の国有鉄道の財政を今申上げました点だけから考えてみましても、何も運賃値上によらなくても、当然政府が負担すべきものまでも国鉄の運賃収入によつて賄われておりまするこの国鉄の財政を検討いたしまするならば、十分賄えるだけの財源はあるわけであります。このように間違つた独立採算制を強要しておいて、経費が不足すれば直ちに運賃値上に途を求めるという根本的な態度が我々は反対であります
第二の反対の理由は、先ほどもちよつと申上げましたように、このたびの従業員の賃金の値上に対しまして、年間二百億に近い大体の経費が不足する。現在の国鉄の運輸収入は年間二千億に近いものを持つておりますので、大体これの一割が不足する。そこで運賃を一割値上げすれば大体これが賄えるというのがこのたびの一割の運賃値上の根本理由になつております。従事員の賃金値上というものを国鉄の財政を検討せずして一般利用者に転嫁せんとするごのたびの値上の理由が反対の第二の理由であるわけであります。
第三の理由は、小酒井議員もちよつと申述べられておりますが、鉄道運賃法におきまして、国有鉄道の運賃を決定いたしまする要素として、第一条に規定されてありますが、そのうちの第三項に、産業の発達に資するということを一つの要素として運賃法は規定いたしております。このたびの運賃の一割値上が果して運賃法に言いまするこの基礎理念に合致いたしておりますでございましようか。一割の値上ということが産業の発達に資する理由をどこにも見出すことはできない。殊に政府が今回やろうとする、国鉄が今回やろうと考えておる貨物運賃の値上に関しましては、賃率は一割値上でありますけれども、同時に貨物等級表の改正を考えまして、その国鉄の考えておりまする貨物等級表の改正の内容を見て参りますると、皆さん方もすでに御承知と思いますが、米麦を初めといたしまする国民生活に重大な影響のありまする生活必需物資というものは、表向き賃率は一割の値上でありますけれども、等級表の改正によつて、二割、三割と大幅に値上になる状態になつております。反対に、奢侈品であるとか嗜好品であるとかいう、酒、煙草の類にいたしましては、現在の運賃よりも等級表の改正によつて更に値下になるという、一応世の中が納得できないような等級表の改正を同時にやつているわけであります。勿論この貨物の等級は、昭和五年に一度改正されまして、それ以来そのまま据置かれているわけでありますけれども、この経済の変遷に伴つて当然貨物等級の改正はやる必要があるわけでありますが、生活必需品が大幅に値上りになり、奢侈品、高級品が現行よりも下るというような貨物等級表の改正を国民が望んでいるものとは考えられないわけであります。勿論この貨物等級表の改正につきまして国鉄事務当局の並々ならぬ苦心は我々も感謝の意を表するわけでありますが、出ました結果がこのようなものでありますならば、運賃法に規定いたしております第三項の産業の発達に資する点がどこにあるかと我々は疑わざるを得ないわけであります。なお又この国鉄の運賃の改正によつて当然私鉄の運賃の改正も予想され、又貨物運賃の値上によりまして小運送料金その他の改正も恐らくは想像できる状態にあるわけであります。こういたしますならば、国鉄の一割乃至二割の値上がすべてあらゆるものに波紋を描きまして、勤労大衆の生活に非常に影響があるということは、十分考えなければならないわけであります。
私は最後に、政府並びに国有鉄道の経営者の諸君たちに対しまして、一日も早く国鉄の独立採算制を堅持するための財政基礎を確立するために、予算制度、経営者の財政上の権限等に関しまして、日本国有鉄道を再検討すると同時に、現在の運賃制度も本当に独立採算制を堅持するに足るだけの運賃の是正ということについて、今後十分なる留意と検討を願いたいということを申上げまして、私の反対討論を終りたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/14
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015・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 鈴木清一君。
〔鈴木清一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/15
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016・鈴木清一
○鈴木清一君 私は労働者農民党を代表いたしまして、運賃値上法案に対しまして反対の討論を申述べるものであります。
過日の裁定に関しまする国鉄労働組合の闘争中におきまして、遵法闘争をしたために正常な運行が乱れ、そのために列車を削減しなければならないというようなことを当局は盛んに発表いたしまして、国民の一般の非難もそこに集中されたことは御記憶のことと思うのでありますが、遵法闘争なるものがどのような闘争であるかということは、申上げるまでもなく、労働者が与えられた権利の上に立脚されて作られました労働基準法に始まり、内部的には整備法があり、いろいろもろもろの従事員の職務に対する規制法律が内部的にあるのでありますが、ただそれを守つただけであります。それにもかかわらず運行が乱れたとするなれば、常日頃、正常なる、正確なる運転を経営しておりますところの国鉄のあり方というものは、従事員に対しまして、法律を守らないで、労働者の基本権を侵害して、そうして常日頃の業務を強要しておる。いわゆるオーバー労働を常日頃さしておるから、そのことが正確なる運転を保ち得ておるのだというごとに、裏に返して言わざるを得ないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)明らかにそうしたことを常日頃している結果が、遵法闘争をしたがために列車運行が乱れたということを、当局みずからが発表しているわけであります。然るに、その闘争の原因は、運賃値上に対しまして、過去におきまして組合員が一般大衆からいろいろ避難されまする点に対しましての反対理由も含みまして、一般大衆の生活に非常な脅威を与える点を反対の理由として、勿論運賃値上げ要求の反対理由の一つにもなつておつたわけであります。又基本は勿論裁定の完全実施であつたのであります。その正当なるその要求の一部を実施しようとする当局が、これに対しまして、その代り財源といたしまして、直ちに運賃値上を国会に要請して来たわけでありまするが、今までたびたび運賃値上を国会に提出するときの理由といたしまして、必ず従事員の給与改善に資するためということを毎回理由の第一としておるのであります。私が先に申しましたように、この当然なる賃金の要求は、常日頃いつもオーバー労働をさせられて、これは堪えて働いており、それによつて正確なる運行を保つておる従事員の生活苦から発せられる正当なる要求でありまする限りにおいては、少くとも当局がいつも賃金値上げの一部財源のために賃上げをするという、この責任の転嫁を国民大衆に求めるという点については、先ず運賃値上に対します反対の大きな理由としなければならないと思うのであります。
すでに両議員から財政的な問題はいろいろと申されましたので、私は特殊な一つの反対の理由として申上げたいのは、御承知のように国有鉄道が最近駐留軍との価格協定を総裁の名において結んでおります。今回の委員会においてこの点を追及いたしましたところ、政府の言わるるのは、国有鉄道において駐留軍と結んだ価格協定は、国有鉄道が資材購入の折にいわゆる業者と結ぶところの私契約と何ら変りのない性質のものであるということを言うておるのであります。営業法或いは日鉄法から行きまして、特定対人契約ということは、国内立法においても鉄道法におきましても、明らかにこれは重大な違反であります。それにもかかわらず、殊更にこれを行政協定七条に求むるを避けまして、おのずから求めておるにもかかわらず、これをあえて避けして、国内立法によるところの国鉄独特の私契約であると、そうした言葉と使いまして、特定な契約を結んでおるのであります。ただ私は、この契約なるものが運賃法にどうして関連があるかと申上げたいのは、先ほどからも申しまするように、運賃値上は鉄道財政収支の均衡を保つための運賃値上であるということを言うておるけれども、今まで運賃値上を要求しておりましたときに、来ました場合に、日本で一番最大の消費事業でありまするところの国鉄が、購入物資についてその予算を明らかにしたことはございません。今回にいたしましても、御承知のように千八百億に亘りまするところの購入資金というものは財源の中に含まれておりまするけれども、この点を一度も明らかに国民に示したことがない。ただ表面上これだけ要るからということだけしか出しておらないのでありますけれども、実際は、大消費事業である限りにおいては、石炭の問題、鉄鋼の問題等につきましても或る程度明らかにして、そうして一般市価に与えるところの影響等も考慮に加えますならば、国鉄等におきましては、これは、はつきり明細にしなければならないのにかかわらず、この点は明細にされておらない。それと同様に、これに関連いたしましての今回の価格協定も、少くとも運賃を国会に審議を要求しなければならない現在の国鉄の目鉄法である限りにおいては、財政法三条にも認めておられる限りにおいては、価格の協定等につきましては、運賃価格の協定等につきましては、これは立法府にその処置を求めなければならないはずであります。それだけに、又内容をよく分析いたしますると、確かに鉄道経営の中に相当な、財源等につきましては重要な地位を占めるものでありまするので、ただこれを駐留軍に対するというような態度から、闇から闇に葬るがごとき処置をとつて、総裁が私契約を結んだということ等についても、たまたま要求すればこそ発言があるというような状態で、何らこの点を国会に報告してないというがごときは、むしろ行政協定によりまして、通信電気料金の価格協定については、御承知のように特例法を設けて国会で立法しておりまするので、こうした点も考慮いたしまするときに、この特段な駐留軍との価格協定等につきましても明らかにさせなければならないと思うのであります。この内容を明らかにいたしたり、又いろいろ物資購入等を、もそつと明らかに示し、而もこれを明らかに合理的に、合理化いたしたなれば、一割運賃の値上等は、あえてこの今日において要求しなくても済むと思うのであります。そういう点の意味におきまして、労農党といたしましては、今後若しこのような問題を出して来るときにおいては、いわゆるそうした隠れたものを明らかに国民の前に示して、国民の負担に対しまする非難に対しましてはつきり説明が付かない限りは、国民は運賃値上げに対してはどこまでも反対を唱えるであろうということを附言いたしまして、労農党は反対の理由とするわけであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/16
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017・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
〔岩間正男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/17
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018・岩間正男
○岩間正男君 私は日本共産党を代表しまして、只今議題になつておりますところのこの法案に反対するものであります。
政府、国鉄当局は、このたびの運賃引上げの理由としまして、国鉄職員のペース・アップ、荒廃施設の復興等のために、国鉄収支の均衡を図るためだと称しておるのであります。併し第一に、先ずペース・アップは裁定をも完全に実行していない実情であります。現在国鉄職員の悲惨な状態は、例えば上池上の独身寮で月千五百円の寮費が納め切れずに滞納者が続出しているような一つの事例を見ても明らかであります。これらの独身者は全く人間の食えないような食事を賄われ、結婚適齢期が来ても結婚などは到底望み薄になつているのであります。まるでこの世の地獄である。こんな例がたくさん国鉄にはあるのであります。今回の裁定にも充たない僅かの賃上げは、この悲惨な状況を改善することは到底思いも寄らないのであります。この低賃金と労働強化が国鉄を人的に荒廃させている何よりの原因であります。而も裁定実施が国鉄経理に決定的な意義を持つものでないことは、政府みずから、営業費中の人件費が昭和十一年に比して三三六倍であるのに、物件費は倍以上の六八一倍にもなつていることを認めていることによつても明らかであります。国鉄は荒廃していると言つていますが、その半面におきましては、天皇や皇太子や国鉄総裁の豪華な専用車が再現され、新造され、空気調和装置の付いた快適な米軍専用車や、すばらしい一、二等車が立派に整備され、一方では戦前以上にすばらしく復興していることも知られている事実であります。又動乱最中も現在も、朝鮮に人殺しに出かける兵隊や爆弾の輸送が何の滞りもなく行われ、アメリカの侵略戦争を助けている事実も知られているのであります。つまり国民大衆と無関係の面では、荒廃どころか驚くほどの復興振りであります。この復興は何によつてもたらされたかと言いますと、言うまでもなく国鉄労働者諸君のものすごい労働強化によつてもたらされているのであります。業務上の死傷病者数は戦前の三倍にも達しているというこの事実によつても、このことは明らかに証明されるのであります。確かに国鉄は政府当局の言うように荒廃している。而も全く植民地型、売国型といつた型で荒廃しているのであります。この荒廃はなぜ改善されないか。一言で言うならば、国鉄が国民大衆のために必要な施設の補修をサボつているからであります。あの日暮里駅の惨事を思い起すがいいのであります。そうして金がなくてできないから運賃を上げるのだということを運賃値上のたびに臆面もなく言つています。併し金がないというのは真赤な嘘であります。現に山手線は五割も儲かつている。損をしているのは米軍輸送関係だけであります。国鉄当局は敗戦以来、米軍の言うままに、軍関係の施設や車両の強化には湯水のように金を注ぎ込んで来たのであります。米軍基地への輸送ルートを重点的に、操車場の補強やレールの取換を行い、又二十六年度には激増する軍輸送のために貨車の新造が優先的に行われているのであります。二十六年度の国鉄営業収支のうち、工事関係経費は三百八十七億であるのに対しまして車両新造関係経費は一千六百九十八億円を占めているという事実が雄弁にこれを物語つているのであります。このように、国民のための輸送には縁もゆかりもない米帝国主義者のための軍事輸送の強行によつて、国鉄の荒廃は植民地的売国型にますます激しくなつておるのであります。
然るに、国鉄当局は運賃が安過ぎると言つておるが、全くこれはあべこべであります。普通旅客一人一キロ当り九十二銭五厘に対し輸送原価は七十五銭三厘、定期旅客は原価一人一キロ十八銭に対し二十七銭で、明らかに黒字であります。而もこのような黒字を出しておるところの運営状態をなぜ一体運賃値上によつて賄わなければならないかと言いますと、これは先ほども述べましたように、米軍の輸送が厖大なものになつておる、この損失補填のために国民大衆の運賃値上によつて賄つておるというのが現状であります。現在米軍の輸送状況を見ますというと、貨物の場合でありますけれども、これほ昭和二十六年つまり講和発効前に結ぼれましたところのこの形によりまして、現在も米軍の貨物関係は三等三級よりも更に一一%も格安な運賃でこれが輸送されております。而も先ず米軍の命令があれば何よりも先に優先的にこれを運ばなければならない。従つてこの影響を受けまして日本の民間の貨物輸送というものはどんどん遅れてしまう、滞貨が激増する、物が腐る、こういうような非常に不都合な状態になつています。民需に影響するところが非常に大きいのであります。又この貨車の使用状況でありますが、これも物を日本の貨物のように積み重ねることはできない、これを一列に並べるというようなことになりますというと、日本の貨物輸送に比べまして全く貨車量が数倍も要るという形になつているのであります。こういうような重大な負担をさせまして日本の民需に対して大きな影響を与えておりながら、彼らの出しておる賃金というものは御承知のように最も安い、これは三級よりも一一%も安いというような形でやられているのでありますから、この損失は厖大なものになつています。この額は大体年間七十億であると言われているのであります。このような損失補填が全部我々のふところから出されているところに、今度の国鉄運賃値上の一つの大きな原因があることは、絶対に見逃すことのできない状態であります。このようにしまして赤字で輸送しているのは、独占資本のための貨物輸送と米軍輸送だけが厖大な赤字となつて我々に負担させている現状であります。このような資本家や米軍のための犠牲的な赤字輸送をやめ、独占資本からのべらぼうな価格による資材の買付等を節約すれば、旅客運賃等を上げなくても国鉄労働者の賃上げ裁定の完全実施等は問題なく可能なはずであります。
以上によつて明らかなように、今度の運賃値上の本当の狙いは、国鉄労働者の賃金を上げるためでも、国民生活のための輸送施設を改善するためでよないのであります。これは全く戦争準備の軍事輸送網の拡張計画のためのよのであるということを断ぜざるを得ないのであります。労働者の賃上げと施設復興を口実にして、国鉄職員と一般国民の間の離間を図り、又僅かの賃上げは、職階制を強化するごとによつて労働者内部の相互間の争いに転化させ、労働強化と低賃金の下に軍国主義の復活を図り、弾丸道路の建設と呼応して、基地から基地へ、軍需工場から軍需工場へ鉄道を張りめぐらそうとしているのであります。このための資金を国民のふところから取上げようというのがこの法案の目的であります。
我々は、このようにして、国民大衆の負担で米占領軍と独占資本家のための物資を優先的に而も安く輸送するための運賃引上げには断固反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/18
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019・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより両案の採決をいたします。
先ず日本国有鉄道法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/19
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020・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/20
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021・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/21
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022・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/22
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023・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第四、日本専売公社法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
日程第五、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律案、
日程第六、中小漁業融資保証保険特別会計法案、
日程第七、造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案、
日程第八、租税特別措置法の一部を改する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/23
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024・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長中川以良君。
〔中川以良君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/24
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025・中川以良
○中川以良君 只今議題となりました日本専売公社法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。
本案は、公共企業体及び政府の現業の職員等に対する給与の取扱の実情に鑑みまして日本専売公社職員の休職者に対する給与について、現行規定を改正し、今回現職者と同じく給与準則の定めるところによらしめようとするもので、この改正により、結核性疾患等療養生活に苦吟している休職者に対しましても年末手当等を支給し得ることといたそうとするものであります。本案の審議の詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律案について申上げます。
本案は、政府が昭和二十五年三月三十日に日本国有鉄道に対して貸付けた三十億五千二百三十六万三千円の貸付金の償還期限について、当初昭和二十八年三月一日と定められていたのでありまするが、日本国有鉄道の財政状況に鑑みまして回収の見込が立たないこととなりましたので、その償還期限を更に三カ年延期して、昭和三十一年三月一日に改めようとするものであります。本案の審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、中小漁業融資保証保険特別会計法案につきまして申上げます。
御承知のことく、今国会におきまして、先般中小漁業融資保証法案が可決をせられたのでありますが、本案は、同法が施行されることになりまする場合に、同法にかかる保険経理の状況を明確にいたしますために、一般会計と区分をして新たに中小漁業融資保証保険特別会計を設けようといたすものであります。
その内容の概略を申上げますと、この特別会計は、一般会計からの繰入今に相当する金額を以てその基金とし、保険料、政府が保険金の支払により漁業信用基金協会に代位した求償権に基く回収金、一般会計からの繰入金及び附属雑収入等を以て歳入とし、保除金、委託業務の手数料、過誤納の保険料の返還金、事務取扱費等を以て歳出とすることといたし、そのほか予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等について、特別会計に必要な事項を規定いたそうとするものであります。
本案の審議の詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論に入り、小林委員より、中小漁業融資保証保険制度の運用の充実するに従い幅のある運用を図られたいこと、及び昭和二十八年度予算には最低九億円の基金を確保するよう努力せられたい等の希望を付して賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定をいたしました次第であります。
次に、造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案について申上げます。
本案は、第十三国会において公共企業体等労働関係法が改正をされ、国の経営する造幣、印刷その他の企業についても、政令の定める日の翌日以降同法が適用されることとなるのでありますが、その結果、これらの企業に従事する一般職の職員については、国家公務員法の大部分の規定、一般職の職員の給与に関する法律の規定等の適用が排除されることとなり、給与支給に関する法律の規定を欠くことになりまするので、これらの職員に対する給与の支給について、造幣局特別会計法、印刷局特別会計法、国有林野事業特別会計法、アルコール専売事業特別会計法及び郵政事業特別会計法の一部を改正して、所要の規定を整備しようとするものであります。即ち、これらの特別会計を管理する各省大臣又はその委任を受けた特定の機関が、当該企業に従事する職員に対し給与を支給するために給与準則を定めることとし、この場合においては、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の給与、民間事業の従事員の給与、その他の事情を考慮すると共に、特に行政出関職員定員法に定められる常動の職員の給与準則については、予算で定められる給与の総額を超えないように定めなければならないこととしようとするものであります。
委員会における審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入り、堀木委員より「造幣局特別会計法等に本案の規定が挿入された根本理由は、給与総額を予算総則で定めることにある。それによつて国営企業及びその職員の給与についての団体交渉能力をなくすることになる」との反対意見が述べられ、菊川委員より、「本案は国営企業及びその職員の給与についての団体交渉権を予算総則で縛るものであるが、経済事情の変動その他予測できない事態に応ずるため必要があつて、国会の議決を経た金額の範囲内で、臨時に給与を支給する場合の途を開くことは、公労法の精神及び国営企業等の円滑な運営を図る目的にも合致する所以である。政府は休会明け国会において、関係法律を検討の上、改正する用意があるという了解の下に賛成する」旨の意見が述べられ、次いで松永委員よりも同様趣旨の賛成意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に租税特別措置法の一部を改正する法律案について申上げます。
本案の改正点について申上げますと、第一点は、日本経済の健全な発展に資する特定の外国技術の使用料で、昭和二十七年十二月三十一日までに締結された契約に基くものにつきましては、日本と当該技術を提供している国との間に二重課税防止のための条約の効力が生ずることとなる日から六カ月を経過する日まで、所得税の源泉徴収を延期しようとするものであります。第二点は、外債処理協定等によりまして近く支払を開始することになる外貨債の利子については、外貨債処理の円滑を期する等の見地より、日本と当該外貨債の利子の支払地国との間に租税の二重課税防止のため。条約の効力が生ずることとなる日から六カ月を経過する日まで、所得税の課税を行わないこととしようとするものであります。第三点は、金融機関が他の金融機関から受ける合同運用信託の利益につきましては、その性質に鑑みまして所得税を免除しようとするものであります。
なお本案は衆議院において修正議決せられたものでありまして、その要旨を申上げますと、特定の外国技術の使用料に関しては、現在契約を交渉中で、本年末までに妥結できないものについても、本法の適用を図るため、契約期日を三カ月延期する等の修正を行なおうとするものであります。
本案審議におきましては、熱心なる質疑応答が交わされたのでありまするが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終結し、討論、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。
以上御報告を申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/25
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026・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより五案の採決をいたします。
先ず日本専売公社法の一部を改正する法律案、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔須藤五郎君議長、別に採決するんじやないんですか、今ちよつと聞き漏らしたんですが」と述ぶ〕
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/26
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027・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/27
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028・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に中小漁業融資保証保険特別会計法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/28
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029・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/29
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030・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/30
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031・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/31
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032・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第九、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長結城安次君。
〔結城安次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/32
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033・結城安次
○結城安次君 只今議題となりました電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案の通産委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
先ず本法律案の提案になりました経過について御説明いたします。元来、電気事業及びガス事業は、我が国経済上重要な地位を占め、且つ国民生活に欠くべからざる要素となつておりますることから、すでに戦前から、電気事業法、ガス事業法等によりまして、又最近におきましては、ポツダム宣言の受諾に伴い発言する命令に関する件に基きまして、公共事業令及び電気事業再編成令の制定により、電気及びガスの供給度の向上と電気事業及びガス事業の運営の調整を中心として、電気及びガス使用者の利益を確保し、且つそれらの供給事業の健全な発達を図つて来た次第でございます。併しながら今年四月二十八日講和条約が発効いたしまして、いわゆるポツ勅は新憲法下においては存続することができなくなりました。そのため第十三国会におきまして同令の廃止の措置がとられましたことは御承知の通りと存じます。但しこの命令に基いて発せられました諸命令については、これを直ちに廃止するときは、却つて社会秩序を乱し、国政の混乱を招く虞れがありまするため、廃止法律の施行の日から百八十日間、即ち昭和二十七年十月二十四日までは法律として有効とされ、これが存続を必要とするときは、別に法律による措置を講ずることとなつたのであります。この趣旨に従い、政府は、電気及びガスが産業及び民生に与える影響の重大性に鑑みまして、取りあえず公益事業令及び電気事業再編成令につき、この二政令を法律として存続させることとし、第十三回国会において、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に閲する件に基く公益事業委員会関係諸命令の措置に関する法律案を提出したわけであります。併しながら第十三回国会においては同法案は成立を見ず、衆議院において継続審議にされ、第十四回国会に持越されましたが、衆議院の解散により廃案となり、ここに公共事業令及び電気事業再編成令は昭和二十七年十月二十四日を以て失効し、電気及びガスに関する法的根拠が消滅するに至つた次第でありますが、政府は、行政指導と国民一般の協力により秩序はおおむね維持されて参つた次第でありますが、法の空白期間の長期化に伴い、不測の混乱、無用の摩擦の発生を防止するため、恒久立法措置がたされるまでの暫定措置として、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案が提出された次第であります。
次に本法律案の内容につきまして簡単に申上げますると、本法律案は、本則一カ条、附則九項より成つておりまして、本則におきましては、電気及バガスに関しては、取りあえず失効前の旧公共事業会の全部及び電気事業再編成令の必要部分の内容と同一の法規制を行う旨を明らかにしたものでございます。附則におきましては、旧公共事業会に基いて許可認可等の処分を受けたものにつきましては、この法律に基いて許可認可を受けたものとみなす等、この法律の施行に伴う必要な経過規定を置いたほかに、今後の恒久立法たる新電気事業法・新ガス事業法の制定を慎重にするため、通商産業省に電気及びガヌ関係法令改正審議会を設置することになつております。
次に質疑応答の内容について申上げまするが、その詳細は速記録に譲り、特に主要な点のみを申上げます。「新らしい電気及びガス事業法の制定の時期如何」との質問に対しましては、「審議会は本法施行後速かに発足し、遅くも来年十月までには答申を得て、通常国会に法案として提出いたしたい」旨の答弁がありました。次いで、「審議会に求める新事業法の概要に関して政府諮問の範囲はどうか」との質問に対しては、「現在政府の考えておりますることは、電気事業再々編成とか電気設備等の復元については諮問する考えはないが、供給地域の独占、料金の地域差、施設の共用等については十分の検討を求めたい、但し前者について審議会からの意見があれば、政府としてはその意を尊重する考えである」旨の答弁がありました。
かくて討論に入りましたところ、社会党第四控室を代表いたしまして栗山委員より、「電力及びガスに関する基本法のない今日、このまま放置できない情勢にあるから、賛成はいたしますが、新らしい事業法は別である。質疑を通じて指摘した事項を考慮して、新事業法の作成に当つては万全を尽し、慎重に当ることを要望して賛成する」旨の発言がありました。次いで松本委員より自由党を代表し、竹中委員より民主クラブを代表し、それぞれ賛成の発言がありました。島委員からは社会党第二控室を代表して「今回の電産争議に鑑み、新法の作成に当つてはその公益性を強めるよう要望されて賛成する」旨の発言がありました。
かくて討論を終り、採決に入りまし先ところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/33
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034・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/34
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035・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/35
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036・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第十、電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員長溝淵春次君。
〔溝淵春次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/36
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037・溝淵春次
○溝淵春次君 只今議題となりました電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案について、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
本案は、電話設備の拡張を図るために、従来認められている設備負担金のほかに、臨時的措置として、利用者負担の方法による債券の特殊引受の途を開くために、所要の法的措置を講じようとするものでありまして、その内容は、電話加入申込者に対しましては、電話局の級別に従つて六万円以内において、又戦災電話の復旧工事を完了したときは、その加入者に対して、電話局の級別に従つて四万円以内において、政令で定める額の債券を引受けさせようとするものであります。なお公益上必要がある場合、その他郵政大臣が定める特別の事由がある場合には、債券の引受を免除することができることとしてあります。以上が本案の提案理由の内容であります。
電気通信委員会におきましては本案につきまして慎重審議をいたしましたのでありますが、今その大要を申上げますと、先ずかかる措置を必要とするに至つた理由、電話の級別によつて定められる社債の額、今後における電話の拡充計画及び右に要する資金調達の方法等について、熱心且つ詳細なる質疑がありましたが、審査の中心と、りました点は、「本案が実施されれば、電話は金持か都会地でなければ引けないことになり、電話の公共性、公益性を害することになるのではないか」という点でありますが、これに対して政府より、「電話拡充に要する資金は資金運用部資金から借入を期待したが、運用部資金の蓄積が思うように伸びなかつたので貸出の余裕がなく、止むを得ず昭和三十一年三月三十一日までの臨時的措置としてこの方法をとつたものであること、又社債の金額は電話局の加入者数によつて差等を付けて六万円から一万円までとし、加入者八百名未満の局では社債の引受をさせないようにして、地方の電話普及を妨げないように配慮をしている」との答弁がありました。なお詳細は速記録にて御承知を願いたいと存じます。
昨十二月二十三日質疑を終え、討論に入りましたるところ、自由党を代表して鈴木委員より、「電話の拡充資金は政府の財政資金よリ融通を受くべきもので、利用者に多額の負担をさせることは電話の公益性を害する虞れがある。実施に当つてはこの点について十分の配慮を望む」との意見を付し、又緑風会の新谷委員及び尾崎委員より、「この措置ば、電話の国民大衆普及化を害する虞れがあるから、これを永続させることのないようにすべきである」との意見を、又民主クラブの稻垣委員より、「電話加入者の負担がたびたび変つて、加入者の間に不公平の起ることは面白くない。政府は電話料金、公社の資本構成、機構等についての再検討を加えて、本事業の根本的方針を確立する必要がある」との意見を付して、いずれも賛成の意を表せられたのであります。
討論を終え、採決に入り、ましたところ、全会一致を以て本案は原案通り可決すべきものと議決いたした次第でございまする
なお、本案の審査に当つて表明されました各委員の御意見を委員会の意見として表明し、これを強く政府の施策に反映させる必要があるとの緑風会の新谷委員の発議によりまして、全会一致を以て次の附帯決議をいたしました。
附帯決議
本法案は、電話事業の建設資金調達のため加入者に対し一時に高額の負担を課さんとするものであつて、差当り暫定的措置としては止むを得ずとするも、電話の国民大衆への普及を阻碍する結果となることは明らかである。
よつて、本委員会は、政府が速かに左記事項を実行されることを強く要望する。
記
一、日本電信電話公社設立の趣旨に鑑み、建設資金として投入する国家財政資金を大幅に増額すること。
二、同公社の公募債券の発行額を増額すること。
三、適切なる料金制度を確立すると共に、要すれば同公社の資本構成に民間資本の参加を求むるの要否につき再検討すること。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/37
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038・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/38
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039・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/39
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040・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十一より第五十七までの請願及び日程第百八より第百三十一までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/40
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041・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長山崎恒君。
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〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
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〔山崎恒君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/41
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042・山崎恒
○山崎恒君 今日までに農林委員会に付託されました請願七十六件、陳情三十三件につきまして、このほど審査を遂げましたので、その経過及び結果の大要を報告いたします。
右の請願及び陳情の趣旨は甚だ多様でありますが、これを大別いたしますと、農業団体再編成、農業協同組合再建整備等、農業団体に関するもの五件、農業災害補償制度に関するもの四件、積雪寒冷単作地帯及び急傾斜地帯等、特殊立法地帯振興に関するもの三件、農林漁業資金に関するもの一件、土地改良、干拓、海岸保全、災害復旧等、農地の保全改良及び拡張等に関するもの十三件、自作農維持資金に関するもの二件、駐留軍による被害の補償に関するもの一件、農作物病害虫対策に関するもの二件、特産穀物取引所、中央卸売市場等に関するもの四件、農業機械化促進及び都道府県農業試験場整備拡充等、農業改良に関するもの二件、蚕業技術員身分安定等、蚕糸業振興に関するもの二十八件、草地農業振興及び屠場復元等、畜産振興に関するもの四件、食糧増産、米穀の供出、配給及び価格、並びに砂糖及び澱粉行政の合理化等、食糧政策に関するもの十二件、造林、林道、治山、林業、技術普及制度、木炭検査制度、森林組合、国有林野整備その他林業の振興に関するもの二十八件であります。
委員会におきましては、これらの諸件につきまして、政府当局の意見をも徴し、慎重審議を遂げ、農業団体再編成、海岸保全、飼料需給調整等の諸件につきましては結論を留保し、又災害復旧事業の補助率及び穀物取引所に関するもの等、すでに問題の処理を終つたものはこれを除いて、只今議題になりました請願七十三件、陳情二十七件は、いずれも農林業の振興、農林生産の増強及び農家経済の安定のため重要な問題と考え、全会一致を以つて、議院の会議に付し、採択の上、内閣に送付し、政府を促して速かにこれが実現を期すべきものと決定いたした次第であります。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/42
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043・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もかければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/43
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044・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/44
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045・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第百より第百十までの請願及び日程第百五十四より第百六十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/45
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046・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員長溝淵春次君。
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〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
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〔溝淵春次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/46
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047・溝淵春次
○溝淵春次君 只今議題となりました請願及び陳情について、電気通信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
大分市に九州東回り無装荷ケーブル布設等の請願外七件、及び北海道歯舞局の電気通信施設整備拡充に関する陳構外十一件、委員会は以上の請願及び陳情につきまして慎重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認めて、うれを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/47
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048・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もたければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/48
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049・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/49
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050・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して日程第九十九の請願及び日程第百五十二、第百五十三の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/50
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051・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長結城安次君。
〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
〔結城安次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/51
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052・結城安次
○結城安次君 只今議題となりました請願一件及び陳情二件について通商産業委員会における審議の結果を御報告申上げます。
陳情第二百七十四号は、経済情勢の推移から金鉱山は休廃鉱の止むなき事態に立ち至つているので、その窮状打開のため、金買上価格の引上げ又はこれに代るべき強力なる助成策を講ぜられたいとの趣旨であります。陳情第三百号は、最近の産業別貯炭状況を見ると凹凸が多く、比較的緊急でない産業が相当の貯炭を擁している実情にありますから、窮迫しておる国有鉄道運転用としてこれら産業の貯炭を臨時融通する方法をとられると共に、国有鉄道が緊急必要な運転用炭を確保し得るため、国有鉄道べの重点的配炭、国鉄用炭の優先輸送等、非常措置を講ぜられたいとの趣旨であります。通商産業委員会におきましては、以上の陳情二件について慎重審議の結果、それぞれの願意をおおむね妥当と認め、これらを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付を要すべきものと決定いたした次第であります。
次に請願第二百七十三号は、電気事業及び電気施設に関する新たな法案が審議制定せられる由であるが、差当り事業運営に支障がないようにするため、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律の早急実施が望ましく、なお、その間、法規の空白期に生ずる種々の障害に対しては最も適切な臨時措置について格別の配慮を講ぜられたいとの要望であります。本件についても慎重審議の結果、これ又請願の趣旨をおおむね妥当と認め、採択して、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付を要せざるものと決定いたした次第であります。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/52
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053・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、日程第九十九の請願のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/53
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054・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第九十九の請願のほかは内閣に送付することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/54
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055・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第五十八より第九十八までの請願及び日程第百三十二より第百五十一までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/55
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056・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長秋山俊一郎君。
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〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
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〔秋山俊一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/56
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057・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 只今議題となりました請願四十三件、陳情二十七件に関しまして、水産委員会における審議の経過並びにその結果を御報告いたします。
請願第四十三号、第百七十九号、第四百二十八号、第四百二十九号、第四百三十一号、第五百三十五号、第五百三十六号、第五百三十七号、第五百四十号、第六百十九号、第六百六十六号、第七百号、第八百二十五号、第八百二十上八号、第八百三十九号、第八百九十一号、第千号、第千百三十二号、第千百三十三号、第千二百六号、陳情第百六号、第二百十四号、第二百十五号、第二百三十九号、第二百六十三号、第二百七十五号、第二百八十四号、第二百九十一号、第二百九十二号、第二百九十九号、第三百五号、第三百六号、第三百七号、第三百十七号、第三百二十二号の各件は、いずれも漁港修築に関する請願及び陳情であります。
請願第百七十三号、第百八十三号、第五百三十九号、第八百二十四号、第九百五十四号、第九百五十五号、陳情第十三号、第五十六号は、米軍駐留に伴う演習及び投錨禁止区域等による漁業制限に関する請願陳情であります。
請願第四百六十二号、第四百六十三号、第七百三十五号、第八百九十三号、陳情第二百十号は、カムチャッカ地震による三陸津浪に伴う漁業被害救済に関する請願及び陳情であります。
請願第四百三十号、第四百三十三号、陳情第十四号は、製氷工場建設資金及び漁業資金融資に関する請願であります。
請願第六百二十号、第千二百九十号は済州島海域の漁業に関する請願、請願第二百四十号は東経百三十度以西海区における小型機船底曳網漁業操業区域調整案撤回に関する請願、請願第三百六十六号は三陸沿岸災壷復旧事業国庫補助等に関する請願、請願第三百六十八号は縛網減船整理に伴う補償の請願、請願第四百三十二号は長崎県勝本浦の沖合漁業確保に関する請願、請願第千二百八十九号は以東底曳漁区拡張反対に関する請願、陳情第七十二号は海区漁業調整委員会経費増額に関する請願、陳情第百号は東海海域における警備監視船増強の陳情、陳情第百七十九号、第百八十号は、朝鮮防衛水域における漁業に関する陳情、陳情第七十三号、第七十四号は、漁業免許料、許可料の減免或いは徴収延期等に関する陳情でありまして、以上六十四件の請願及び陳情は、いずれも願意妥当としてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
請願第八十一号、第百四十一号、第五百三十八号、陳情第五十七号、第百七号は、漁船損害補償法改正に関する請願、請願第四百六十一号は漁業災害保険補償制度確立に関する請願であります。右六件はいずれも語意妥当としてこれを採択し、議院の会議に付すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/57
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058・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、日程第九十七、第九十八の請願及び日程第百五十一の陳情のほかは、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/58
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059・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第九十七、第九十八の請願及び日程第百五十一の陳情のほかは、内閣に送付することに決しました。
議事の都合によりこれにて暫時休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
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午後二時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/59
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060・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。農山漁村電気導入促進法案可決報告書保安庁法の一部を改正する法律案可決報告書日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件議決報告書検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書国際連合の決議に基く民生事業のための必要な物品の無償譲渡に関する法律案可決報告書公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)議決報告書本日運輸委員から左の少数意見報告書を提出した。公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)に対する少数意見報告書(中村正雄君提出)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/60
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061・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、農山漁村電気導入促進法案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/61
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062・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長山崎値君。
〔山崎恒君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/62
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063・山崎恒
○山崎恒君 只今議題となりました農山漁村電気導入促進法案につきまして、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
本法律案は、未だに電灯さえなく、文化の恩恵を受けることのできない農山漁家が全国に二十万戸を超える状況であり、更に生産に必要な動力機械を使うたとのできない農山漁村も多数存在して、貧しい暗い生活を余儀なくされている現状に鑑み、ここに光を与えんとする希望を以て電力の供給を欠き又不十分な農山漁村に電気を導入してこれら農山漁村における農林漁業の生産力の増大と農山漁家の生活文化の向上を図る目的を以て提出せられたものであります。
その内容の主な点を申上げますると、第一は、都道府県知事をして無電気或いは電気不足農山漁村を現地調査し、これらの地域における農林漁業団体の申請により、電気を導入する方法並びに導入する施設の建設及び利用計画を内容とする電気導入計画を農林大臣に提出せしめ、農林大臣はこれらの計画に基いて、通商産業大臣と協議の上、全国的農山漁村電気導入計画を作成して、計画的能率的に電気の導入を促進せんとするものであります。第二は、電気導入事業を実施しようとする農林漁業団体が、小水力電気発電所又は送電配電施設を建設、復旧又は取得する場合に必要な資金を、政府において貸付けることとなさんとするものであり、第三は、開拓地において開拓農業協同組合のような団体が発電施設及び送電配電施設等を設ける場合に、国から補助金を交付することをなさんとするものであり、第四は、電気施設の建設に関し、又建設した施設の維持管理又は利用に関して農林大臣が政令の定めるところによつて必要な指導を行うこととなさんとするものであり、第五は、農林漁業団体が発電施設又は送配電施設を建設する場合、その施設の利用上、電気の供給又は発生する電気の託送若しくは売買について既設の電気事業者に協議を求めることができることとなし、而して協議が調わない場合は、農林大臣の認定を受けた上、通商産業大臣に裁定を求めることができることとなさんとするものであります。第六は、土地改良事業のダム及び水路を活用して、農業水利との調整を図りながら、同時に水力発電の事業も考慮して工事を施行し、水力資源の総合的な開発を期待せんとするものであります。
委員会におきましては、提案者及び政府当局との間に諸般の事項に亘つて質疑を交わし、慎重審議が遂げられたのでありまして、その詳細な会議録によつて御了承を願いたいと思います。次いで討論に入りましたところ、岡村及び石原委員からそれぞれ希望を付して賛成があり、続いて採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/63
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064・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/64
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065・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/65
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066・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品の無償譲渡に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/66
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067・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長中川以良君。
〔中川以良君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/67
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068・中川以良
○中川以良君 只今議題となりました国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品の無償譲渡に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。
本案は、政府が国際連合の人道的事業に協力するため、国際連合の決議に基く公的機関が国際連合の決議に基いて実施する民生事業のため必要な物品を当該機関に無償で譲渡することができるようにしようとするものであります。今回無償で譲渡しようとするものは、朝鮮における難民救済事業、東南アジアにおける児童福祉事業及び防疫事業等の民生事業に使用される医薬品、医療器具、綿布、下着等の物品が予定せられておるのでありまして、昭和二十七年度一般会計補正予算に五千四百万円の金額が計上せられておるのであります。
委員会における審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定をいたした次第であります。
以上御報告を申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/68
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069・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/69
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070・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/70
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071・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/71
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072・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認ります。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長岡部常君。
〔岡部常君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/72
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073・岡部常
○岡部常君 只今上程の裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
御承知のことく、政府は、一般の国家公務員の給与につきましてそのベース・アツプをするために、今国会にその趣旨の法律案を提出いたしました。裁判官の報酬及び検察官の俸給等は、従来それぞれ一般の国家公務員とは別個の法律によりまして定めておりますので、一般公務員並みにベース・アップすることにつきましても、これらの法律を改正しなければならないわけであります。従つて政府はこの両法案を提出いたした次第であります。
両法案の内容は、裁判官の報酬及び検察官の俸給をそれぞれ対応する一般の国家公務員の給与と同様の比率によつて増額しようとするものでありましてその増額も一般公務員と同様、本年十一月一日から行うことになつております。
委員会におきましては慎重に審議いたし、両法案につき一括採決いたしましたところ、両法案とも全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。
右御報告をいたします。(拍手)、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/73
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074・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/74
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075・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/75
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076・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、保安庁法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/76
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077・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長竹下豐次君。
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〔竹下豐次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/77
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078・竹下豐次
○竹下豐次君 只今議題となりました保安庁法の一部を改正する法律案の内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
この法律案は、衆議院議員栗山長次郎君外十一名の発議にかかるものでありまして、発議者がこの法律案を提出する理由として説明しておる点は次の通りであります。過般衆議院外務委員会における日本国とアメリカ合衆国との船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件の審議の過程において、現行保安庁法においては、その第八十七条により、船舶安全法の規定を警備隊の使用する船舶及びこれに乗組んで、船舶職員の業務に従事する職員について、又同法第八十九条により、電波法の一部を警備隊の使用する移動無線局について、それぞれ適用しないこととしておるのであるが、これらの適用除外の規定と、海上における人命の安全に関する国際条約及び国際電気通信条約の履行との関係について、活發な議論行われたのである。政府の説明によれば、「現行の保安庁法においてこれら、適用除外の規定を設けた趣旨は、警隊所属船舶は国家機関に所属し、特別の公共の任務を遂行する船舶であるから、一般法たる船舶安全法及び電波法等をそのまま適用することは不適当であり、人命の安全その他必要な事項については行政的措置によつて所期の目的を達し得る。殊に人命安全条約においては、軍艦以外の船舶には原則としてこの条約を十分且つ完全に実施すべきであり、これがため船舶安全法もできておるのであるが、警備隊所属船舶に船舶安全法を適用しないのは、軍艦として適用除外をするという趣旨ではなく、必要な事項は、命令、規則、訓令等により遵守せしめ、条約遵守上遺憾なきを期しておる。又電波法関係についても国際電気通信条約及び同附属無線通信規則があつて、これらの条約、規則は、警備隊の電気通信業務についても遵守すべきものであるが、これがためには必ずしも電波法をそのまま適用する必要はないので、警備隊の使用する移動無線局の特殊性に鑑みて、一部の規定を適用しないことにしておるが、これも行政的措置により必要な事項を遵守せしめておる」との翻旨の説明であつた。然るに過般の船舶貸借協定の承認の審議の経過から見て、この際、警備隊の使用する船舶等についてこれらの趣旨を明確にすることが適当であると考えらるるに至つたので、ここに保安庁法の関係規定を改正し、明文を以てこの趣旨を明らかにすることといたしまして、この法律案を提出するに至つた次第であるということでありました。
内閣委員会におきましては、予備審査と併せて委員会を三回開きまして、本法律案を慎重に審議いたしたのでありますが、その質疑応答によつて明らかになつた諸点を御報告いたします。
その第一点は、このたび我が国がアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定によつて貸付を受ける船舶の今後の運営についての点であります。政府の説明によれば、我が国においては実質上も形式上もこれらの船艇を軍艦としての取扱をいたす考えは毫末もない。併し我が国が独立した以上、不当な他国の侵略に当るべきことは勿論であるが、現時の情勢は、かくの、ごとき事態を何ら予想すべき段階には入つていない。又仮に不当に他国より侵略をこうむることがあつたとしても、只今問題となりておるがごとき船艇を以てこれに当ることの不可能なることは言うを待たない。併しながら今後九千海里に亘る我が沿岸の警戒防備に当るがため、取りあえず今回貸付を受けんとする巡視用フリゲート十八隻と大型上陸援護用舟艇五十隻、計六十八隻の船艇を以てこれに充てんとする意向であるとのことであります。
その第二点は、右に述べました六十八隻の船艇の借入に伴う予算及び定員の点であります。本年度予算においては巡視用フリゲート十隻、大型上陸援護用舟艇五十隻分を計上し、その分の定員も保安庁の定員のうちにすでに繰入れてありまして、残りの巡視用フリゲート八隻分についての予算及び定員は昭和二十八年度の問題であるので、一月下旬再開以後の国会において審議せられる問題であるとのことであり、保安庁事務当局と大蔵省事務当局との間においては、この点についての了解が成立しておるとのことであります。
本法律案についての質疑終了後、本日の委員会におきまして討論の段階に入りましたところ、中川委員より、本法案は、船舶法、電波法等と保安庁法との関係を明らかにするがためのもので適切な改正と認めるが故に本案に賛成の旨、上條委員より、政府がアメリカ合衆国より借受けんとする船舶は疑いもなく軍艦であつて、又その艦内の訓練も武装訓練である。本案は、借入の船舶は軍艦にあらず、飽くまでも普通船舶として取扱わんとする故、政略的意図に出たものであるが故に反対である旨、河井委員より、本案は我が国が加盟しておる条約上の義務を果すがために法文を整備せるものであるから賛成であるが、ただ岡田政務次官の説明によれば、本案は政府が議員発議の形にて発議を依頼したかのごとき感あるは遺憾である旨述べられ、成瀬委員より、本案は我が国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定を正当化するがために発議せられた、ごとき感がある。保安庁法に対する従来の立場から本案には反対する旨、最後に松原委員より、改進党は、我が国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定を承認することに決定したので、従つてその前提である本案は承認すべきものと考えるが故に本案に賛成するが、ただこの船舶借入についての従来の経過においてあいまいの点のあつたことを遺憾とする旨、それぞれ意見が述べられたのであります。かくのごとき審議の経過を辿りました後、本法律案の採決に入りましたところ、多数を以てこれを可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/78
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079・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/79
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080・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/80
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081・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/81
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082・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長徳川頼貞君。
〔徳川頼貞君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/82
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083・徳川頼貞
○徳川頼貞君 只今議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めろの件につき、委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
第一に、この種船舶を借入れるまでの経緯は、政府の説明によりますと次の通りであります。政府は昭和二十七年四月、日本国の沿岸警備に充てるために米国船舶の貸与方を米国政府に要請し、船舶数は最少限度として十隻のパトロール・フリゲート及び五十隻の上陸支援艇を希望したのであります。この要請に基いて、米国側では、必要な国内措置として、合衆国議会が大統領に、十八隻を超えないパトロール・フリゲート及び五十隻を超えない上陸支援艇の貸与を行う権限を与え、又大統領は、当該船舶の貸与に関する協定を日本政府との間に締結しなければならない旨を規定する法律を可決し、大統領は昭和二十七年七月八日これを承認したのであります。この結果として両国間に交渉が進められ、昭知二十七年十一月十二日、東京でこの協定が外務大臣と米国大使との間で署名されたのであります。
協定は、前文、本文八カ条、末文及び二つの附属書からなつておりますが、主要なる点を挙げますると、第一は、我が国に引渡される米国船舶は十八隻を超えないパトロール・フリゲート及び五十隻を超えない上陸支援艇でありまして、貸与期間は当初五カ年、日本政府の要請ある場合は更に五年間の追加期間があること。第二は、期間満了の際は、引渡したときと実質的に同一の状態で返還しなければならないこと。第三は、貸借の有効期間中に生じた船舶の滅失及び全損の場合は日本側が補償すること等が骨子であります。
御承知のように、これらの船舶は米国においては海軍に属するものでありましたため、この借入は再軍備とか憲法違反とかに関連して議論が行われている関係もあり、委員会は慎重に検討を加えたのであります。このため十二月六日には、フリゲート及び上陸支援艇の実態を把握するために、委員各位においては横須賀に出張され、委員会の審議上参考となるところが多かつたのであります。
委員会は、十二月四日、二十二日、二十三日及び二十四日の四回に亘り、外務大臣、保安庁長官の出席を求めて審議を行いました。質疑の主なるものの要点を申上げますと、その一は、「保安庁警備隊の基本的性格及び任務は何か」との質問に対しまして、「警備隊の性格は陸上における保安隊と警察との関係のごときもので、海上保安庁の足らざる仕事を補うものである。例えば集団的密輸入、海賊行為の取締、漁船の保護等が目的である」との答弁であり、又「この種船舶は明らかに攻撃的性能を具備しているが、かかる武装船を持つことは相手国を刺激するし、漁船保護等の際、他国との衝突を惹起する虞れがある。政府が一方的解釈でこれら船舶を軍備ではないと断定しながら再軍備に前進しつつあるのではないか。米国としては安全保障条約に基くいわゆる自衛力の漸増を期待しての貸与ではないか」等の質問に対しては、「漁船の保護、等に当つては国際紛争は避けるように努める。警備船の使用目的は、保安庁法に定める通り飽くまで沿岸警備であつて、米国の意図如何にかかわらず、この船舶は戦力ではない。性能から見ても到底戦力とはならない」との答弁でありました。又「戦力だとか再軍備だとか誤解が起るのは、海上警備の基本方針が明確でないためである。であるから、これらの船舶は間接侵略に対して使用するのである趣意を明らかにすべきである」との質問に対しまして、政府は同意の意を表明したのであります。更に「安保条約とこの協定との関係如何」との質問に対しては、「米国は安保条約によつで日本周辺に駐留する任務を負うが、一方、日本も自国の沿岸を自力で警備するのは当然であるから、日米の防衛任務が一部重複しているとは言い得る。若し日本の警備力が完全で心あるならば、米国は条約に基く任務のド一部が省けることになる」との答弁でありました。又「警備船の航行範囲はどうか。漁船の保護のためにいわゆる李承晩ライン内にも入り得るか。国連軍の設定した防衛水域には立入りできるか」との質問に対しましては、「李承晩ラインなるものは日本としては法律的にも実際的に率認めていない。ただ実際上の取扱としては、無用の紛争は避くべきであるから、関係方面と協議して善処する。防衛水域への日本漁船の立入り問題は、政府も重視して交渉を続けておるが、先方としては、この水城決定は一時的であること、関係国の産業の妨げにならぬよう努力する意向である」との答弁があつたのであります。次に、「協定文の書き方から見ると、協定成立の効果として今後は大型軍艦の、ごときものも借り得ると解釈されるがどうか」との質問があり、これに対しては、「フリゲート十八隻、上陸支援艇五十隻以上は借りないし、先方も貸さない。更に借りるときは新たに協定する必要がある」との答弁でありました。その他、衆議院で論議された保安庁法中の船舶安全法等除外と条約との関係、保安庁予算の使用状況、この協定に関する米国議会の審議状況を以上げた質問等がありましたが、詳細は速記録について御承知願いたいと存します。質疑は二十三日を以て終局し、本二丁四日討論に入りましたところ、岡田要員は社会党第四控室を代表して、本件船舶は明らかに軍艦であり、憲法違反であるごと、沿岸警備のためなら既成の海上保安庁船舶の強化拡充を以て足りるはずである。かかる船舶の借入ほ米国の戦略的意図の下に海軍の再建を図るものであるとの理由を挙げ反対、伊達委員は緑風会を代表し、手薄な我が国の沿岸警備の現状に鑑み、この船舶の借入は妥当である。但しその運用については再軍備等の誤解を与えぬよ、注意を必要とするとの意見を付して賛成、須藤委員は共産党代表として、これら船舶は軍艦であるから憲法違反こなるとの理由を以て反対されました、團委員は自由党を代表し、従来貧弱小備であつた我が国沿岸警備力が増強される妥当な処置であること、米国海軍に属する船舶でも使用目的さえ確立すれば再軍備等の誤解も消える。ただ使用目的に適合した改装ができれば更にいいとの意見を述べられて賛成されまして。最後に曾祢委員は社会党第二控室を代表して政府は一方的に戦力でないと判断して事実上は再軍備を行いつりあるごとき疑惑を与えておる。警備隊の性格もその意味で不明確であること、又本件協定は安保条約に基く米国と日本との共同作業の一部を日本に肩替りしたものではないかという疑惑を持つこと、要するに政府はごの種問題について扱い方に明確を欠くとして反対の意見を表明せられたのであります。
かくして討論を終り、採決を行いましたところ、多数を以て本件は承認を与えるべきものと決定いたしました次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/83
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084・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本件に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。岡田宗司君。
〔岡田宗司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/84
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085・岡田宗司
○岡田宗司君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求める件について反対するものであります。
政府は、昭和二十七年四月二十四日に、外務大臣吉田茂氏より連合国最高司令官リッジウエー大将宛の書簡を以ちまして、アメリカ政府に対して最少限十隻のフリゲート艦、五十隻の上陸用支援艇を日本国政府に貸与することを要請したのであります。アメリカ合衆国は、この要請に応じて日本に対して、フリゲート艦十八隻、上陸用支援艇五十隻を日本に貸与することに決し、日本国政府に対して或る種海軍パトロール艦艇を貸す権限を与える法律案を合衆国議会に提出し、七月八日、これが議会を通過しますと、これに基いて、十一月十二日、東京におきましてこの協定が成立することになつたのであります。政府はこれによつて我が国の沿岸警備に寄与するところが大きいと言つておるのでありますが、この艦艇の貸借は決してそんな単純な性質のものではないのであります。実際にはこれが我が国の再軍備計画の一部をなすものであります。アメリカは日米安全保障条約の前文において、日本政府が自衛のために漸増的に責任を負うことを期待するという形で、日本政府に再軍備をすることを約束さしておるのであります。この期待に応えまして、日本政府は警察予備隊を増強いたしまして保安隊にし、かくていわゆる自衛力の強化を図り、以て事実上の再軍備に進んでおるのでありますが、密輸入或いは密輸出、それから密入出国の取締、漁船の保護等、普通の沿岸警備の任務を持つ海上保安庁を強化するのではなくして、これと別に海上警備隊を設けて、これを保安庁の下に置さましたのも、陸上兵力たる保安隊に対しまして、海上兵力即ち海軍を組織しようという計画の具体化の一歩と見られるのであります。而してアメリカがかかる艦艇を日本に貸与いたしましたのは全くそのためでありまして、この日本の新海軍の訓練のためにほかならないのであります。たとえ政府が如何にそうではないと強弁に努めましても、アメリカはかかる目的でやつておりますことは、アメリカ議会におけるこの艦艇貸与法案審議の際に、国防次官補チャールズ・クーリッジ氏より下院議長ナム・レイバーン氏に宛てました書簡において明らかであります。即ち、この提案は一九五二年度における国防省の立法計画の一部をなすものであると言い、又この法律の目的は、日本国を援助して、可能な限り速かにその保安諸兵力即ちセキュリティ・フオーセスを発足させつつ、それによつてアメリカ合衆国と日本との間の安全保障条約に基いてとられるアメリカの作戦上の必要を軽減することは、合衆国の利益であると考えると言つておるのであります。我々は自衛力の漸増とい15名の下に吉田内閣によつて進められておる再軍備に反対しております。それは、たとえ、政府が何と申しましても、憲法第九条に違反する行為であるばかりでなく、今行われておる軍備は、結局アメリカの対ソ戦略から割出された世界軍備計画に基くものでありまして、アメリカの戦略目的に沿つて動員されるものにほかならないのであります。かかる傭兵的再軍備計画の一部として行われるこの艦艇貸与に対しましては、我々は断固反対せざるを得ないのであります。政府は、フリゲート艦、上陸用支援艇は、アメリカでは軍艦であるが、日本に引渡されると、そのときから軍艦ではなく、沿岸警備用の船舶になるのであると強弁しております。併し我々が視察したところによりますれば、これらの軍艦の武装は少しも取外されておりません。そのままの軍艦の姿であり、その性能もアメリカの使つておりましたときのままであります。これは明らかに戦力を構成する要素をなすものであります。そして、たとえ保安庁法を改正してみましても、その本質は毫も変るものではありません。これを軍艦ではない、ただの船舶であると言うことは、誠に国民を愚弄するものと言わなければならんのであります。アメリカではこれらの艦艇のことをネーヴアル・ヴエツセルスという言葉で現わしております。協定の中におきまして、例えば、日本に貸与しておるが、その所有権がアメリカにあることを明らかにしております。即ち日本ではこれを軍艦ではなく船舶であるといたしましても、アメリカは軍艦としてこれの所有権を保有しておるのでありまして、決して軍艦即ち戦力であるという性質を失つてはおらないのであります。かかるものを日本が持つことは明らかに憲法第九条の違反と言わなければなりません。かような理由によりまして我が党は本協定の承認に対しまして反対するものであります。
以上を以ちまして私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/85
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086・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 曾祢釜君。
〔曾祢釜君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/86
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087・曾禰益
○曾祢益君 私は只今議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件に対しまして、日本社会党第二控室を代表して反対を表明するものであります。
本協定に対する我が党の態度は、政府の自衛力漸増方策に対する我が党の態度と切離すことはできないのであります。政府は先に保安庁法を提案し、その中で海上警備隊を創設することを決定いたしました。そのとき我々は、海上警備隊が沿岸警察の性格を離れた軍事力的な性格を持つことが明らかであるが故に、憲法に違反するものとして反対したことは、当時の記録に明らかでありす。このたびの議案の説明に当りまして、政府は沿岸警備の必要を力説しておられます。我々も、もとより、日本の長い沿岸線を保護する警察力の拡充には、あながち反対するものではございませんが、政府の考えるところの沿岸警備なるものは、通常の海難救助、人及び貨物の密輸出入、海賊の取締、或いは漁船の保護等の観念では到底律し得られないところの、海上からする大規模の擾乱、武装侵入等を含めておるものでありまして、むしろそれらに備えるために通常の海上保安庁の機構とは別の自衛力を設けることにふることは、外務委員会における審議の経過に照らしまして明らかであります。すでに武装に対して武装給を以てする以上、特に陸上とは異なつた海上のことでもありまするので、国際紛争の覚悟なくしては対抗できないのであります。かかる任務に当る海上警備隊は、相手方が正式の軍隊或いは軍艦でなくとも、直接侵略を含めた対外安心保持の兵力で、ございまして、これを宙法の禁ずるところの戦力の一部ですしないといつたような議論は、何人を1納得せしめ得ないところと信じます。どの程度の武力ならば戦力となるかということを政府が一方的に判断いたしまして、勝手に随時に定めるということでは、国民が知らない間に逐次再軍備がなし崩し的に実行されるというのにほかならないのであります。
次に、政府は戦力に至らない武力百これを保持しても差支えないという立場をとりながら、この海上警備隊に使用する船舶は、それは武装船であると称し、行動し、その武装を取除かないでおいて、而もこれは軍艦ではないという苦しい弁解を試みております。これは実に政府の所信に何ら確信と一貫性が全くないことを示すにほかなりません。実際問題として見ますれば、本件協定によつて貸与される船はアメリカの軍艦であつて、而もその性能から見て、もとより近代戦の主力艦ではないことは明らかでありますが、パトロール・フリゲートのほうは商船護送に適しているものであり、又上陸支援艇は上陸作戦等の場合に近距離から火力の支援をするに適している、かような性能を持つておることは、アメリカの議会の議事録に照らして疑う余地のないところであります。それならば政府の企図する沿岸警備よりも一層攻撃的な性格の武装船であるわけでありまして、現に保安庁長官も、この武装船の必ずしも沿岸警備の目的に適していたいことを述べておられます。私はこの武装船を軍艦でないと強弁する政府の態度に強く反対すると共に、このアメリカ軍艦の貸借をめぐつての真実の経緯について、この際、政府が国民に付して明白に告げる義務があると指摘するものであります。
即ち、アメリカの意図は、この船舶の貸与によつて、日本が日米安保条約の前文に言うところの自衛の責任を漸増的に負担することを期待し、この貸与がその方向に向けられるのによい刺激だということであることは、前述のアメリカの議事録の中に明白に示されておると共に、日米安保条約及び行政協定に基いてアメリカが日本及び周辺において担当いたしまする安全保障の一部があるところのコースタルパトロールを、日本側をして肩替りさせるつもりであるということも同様に明らかにされておりまして、これは岡田君が指摘された通りでありまして、してみれば、如何に政府が、この船舶貸借協定が日本の独自の沿岸警備に資するためであつてアメリカ海軍と任務分担ではないと主張しても、この問題の国際的な背景を否定し去ることは不可能と信ずるのであります。のみならずアメリカとしては、吉田政府のような戦力と自衛力との観念的な区分を認めておりませんから、従いまして、政府に対して、逐次、武器貸与等によつて再軍備をさせようと考えるといたしましても、何ら不思議ではなく、又これを受ける政府も、又その融通無碍なる戦力の解釈からしまして、この次には巡洋艦、次には護送航空母艦といつたように、いわゆる再軍備にあらざる自衛力と言いつつ、この自衛力を強化する方向に進む可能性の多いことは、何人も危惧に堪えないところであります。
次に本協定の成立と国会に上程するに至つた経緯が甚だ不明朗であつたことを指摘しなければなりません。政府の当初の腹づもりでは、この軍艦の借受けも、陸上保安隊の武器の場合と同様に、言わば暗から暗へ、私的契約の形でやろうとしたことは、蔽い得ないところでありましよう。これ即ち、すでに冒頭に指摘しましたごとく、政府が戦力問題についての一貫せる確信の欠如に起因することは言うまでもありません。と同時に、最終的には成るほど正式協定を締結し、国会の承認を求めて来たからいいではないかと言いますが、これは憲法から見て、或いは技術上からして、国会の承認を求めないわけに行かなくなつたからの措置であつて、何ら国会を尊重し国民の意向を反映して事を決しようとする民主主義の信念に発足したわけではないのを、私は甚だ遺憾に存じます。殊に四月二十四日附のリッジウェイ大将宛吉田外務大臣の書簡の存在を、その後暫らくにして外務大臣に就任された岡崎外務大臣が当時御承知ない。七月頃になりましてアメリカの国会においてこの法案の審議があつた際においてもなお御承知なかつたというようなことは、私は誠にあり得べからざることだと信じます。
政府は更に、本協定が衆議院予算委員会等においていろいろ紛糾いたしまするや、当初は保安庁法が船舶安全法、船舶職員法、電波法等の適用を本件船舶について除外いたしておりましても、決して軍艦だから除外したわけでもなく、又海上人命安全に関する国際条約や国際電気通信条約に反するものではない、それは法律の改正を要しない。こういうふうに主張しておられながら、改進党の諸君の追及が鋭くなるや、掌を返すようにいたしまして、保安庁法を改正するのに賛成だというような態度に変つたことも、まさしく政府の自信のないその都度的な態度として、これ又我々の首肯しがたいところであります。
以上の諸般の理由に基きまして、我々日本社会党第二控室は本議案に対しまして明確なる反対の意思を表明すると共に、本院におかれまして、何とぞ十分の御審議の結果、本案を否決されんことを切にお願いいたしまして、私の討論を終りたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/87
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088・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 堀眞琴君。
〔堀眞琴君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/88
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089・堀眞琴
○堀眞琴君 私は労農党を代表いたしまして、只今議題となつておりまするところの日米船舶貸借協定に関し承認を求める件に対しまして我々は反対を表明するものであります。
この協定の基となつておりまするところの保安庁法並びにその更に基定、或いはその基になつておりまするところの日米安全保障条約等につきましては、我々は終始反対の意思を表明して参つたのであります。なぜならば、それらの法律乃至は条約は日本に対して再軍備を強要するものであり、明らかに平和国家として日本が出発すべきことを内外に声明した憲法の第十条に違反する。こういう趣旨に基いておつたのでありまするが、この協定が、それらの我々の反対を押切りましてここに船舶貸借協定という形で以で出て参りましたことにつきまして、我々としても更に我々の反対の意思を強くせざるを得ないのであります。保安庁設置法がこの国会において上程されましたときに私どもはそれを衝きました。特にその中に設けられました警備隊は保安庁の一部隊であり、陸上の保安隊と並んで、海軍力として、いわゆる自衛力の漸増の線に沿うて軍隊化せられつりあるものであるということを指摘したのでありまするが、この協定がいよいよ出て参るに至りまして、私どものその反対が全く妥当であつたことを今更思わざるを得ないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この協定によりまするというと、日本はアメリカから十八隻のフリゲート艦、上陸支援艇五十隻を借りることになつております。協定の付属書のAにはただ僅かに七隻のフリゲート艦が記載されておるだけでありまするが、恐らく将来十八隻を借りるということになるでありましよう。更に前文によりますというと、単にフリゲート艦十八隻を借りるというだけでなく、「将来船舶所有者と船舶借受者との合意によりこの協定に添付される表に掲げる船舶を、それぞれ、貸し、及び借りることに同意する。」ということが規定されておるのでありまして、恐らくは、この将来云々という言葉によりまして、単にフリゲート艦十八隻ばかりではなく、巡洋艦或いは戦艦、航空母艦というようなものも、恐らくは日本国政府としてはアメリカよ力貸与を受けるというような底意を、そこに包蔵しておるものであると申しても差支えないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つてこの協定は、前文において、すでに、日本の海軍力をアメリカの軍艦を貸与することによつて漸次構成して行こうという意図を持つものであるということを、私どもは指摘しなければならんのであります。而もこの協定を見まするというと、この協定は貸借協定であり、その貸借に関する条件としては、僅かに期間の設定と並びにそれを保管並びに返還する際におけるところの若干の条件を含んでおるだけでありまして、その他には何らの条件をも含んでおらんのであります。曾つて第二次大戦当時、アメリカではイギリスに例の五十隻の駆逐艦その他を貸与したことがありまするが、あの例についての場合と、今度の日本のこの船舶協定の規定によるところの日本の借受と比較してみまするというと、そごに私どもは格段の相違を認めざるを得ないのであります。我々としては、このような貸借協定によつて、結局事実上は、日本はアメリカの極東防衛の一環をアメリカに代つて日本が肩替りするという結果になるということを、我々は指摘せざるを得ないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)従つてこの協定が示すところの目的は、結局において日本がアメリカの極東防衛の一環として立ち上るという、言い換えるならば、日本がアメリカに代つてアメリカの極東防衛のために奉仕するのだ、こういうことにならざるを得ないと思うのであります。更に又そのフリゲート艦でありまするが、これが戦力であり、軍艦であることにつきましては、すでに岡田君或いは曾祢君等の反対討論の中に詳しく述べられてありまするから、私はそれを繰返すことをいたしませんが、ともかく戦力であるということについては間違いないのであります。それが何と呼ばれようとも軍艦であることには間違いないとするならば、憲法違反であるということは当然だと申さなければなりません。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)恐らく政府の側におきましては、これらの借受けたところの船舶は警備隊の任務遂行のためのものであると、このように説明されておることと思うのでありまするが、併し警備隊の任務遂行のための船舶としては、フリゲート艦に施されたような武装なり、或いはフリゲート艦そのもののような構造を持つところの艦艇が、果してその任務遂行のために必要とされるかどうか、その必要の限度以上を超えているのではないかということすら考えられざるを得ないのであります。その意味におきまして我々は、このフリゲート艦そのものは戦力であり、憲法違反であるばかりではなく、警備隊の任務遂行の限度を超えたものと申さなければならぬと思うのであります。
更に又この協定によりまして、日本は、再軍備を通じ日本そのものがアメリカに奉仕するという形を、更に一層強化せざるを得ないということを私どもは最後に指摘いたしまして、我々の反対の趣旨といたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/89
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090・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 須藤五郎君。
〔須藤五郎君登里、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/90
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091・須藤五郎
○須藤五郎君 アメリカ合衆国から十八隻を超えないパトロール・フリゲート及び五十隻を超えない上陸支援艇を借受けるという本協定に対しまして、日本共産党は絶対に反対であり、承認を与えることができません。以下若干我が党の見解を明らかにしたいと思います。
初めに、この協定ができるに至つた経過を見ますると、昨年末から吉田首相とリッジウエイ大将との間でこの話合いが進められ、本年四月、首相がアメリカ政府に軍艦貸与を要請した書簡に基き、アメリカ政府は直ちに法律を議会に出し、本年七月八日に大統領の署名を得ているのであります。かくして調印の運びとなつたのでありますが、政府はこれを農初単なる日米間の契約にして事を運ぼうとしましたが、ここには軍艦を借受けることに対する日本国民の正しい批判を極度に恐怖し、蔭で事を運ぼうとした意図のあつたことは明らかであります。併し修理等の予算措置が将来必要となることが明らかであるために、結局国会の承認を受ける方針をとるに至つたのであります。即ちこの経過を見るだけでも、まともに飲み下せる品物ではない本質を暴露しているのであります。如何に政府が、この軍艦を借りるのは沿岸警備であるとか国民の生命財産の保護のためであるとか尤もらしいことを言いましても、アメリカ下院軍事委員会における聴聞会の議事録を一読すればすぐ化けの皮が剥げてしまうのであります。海軍作戦部長室のエンライト大佐の言を引用すれば「日本は平和条約によつて承認された固有の自衛権を或る程度まで行使し得るようになる。」と言つており、又、大佐は日米安全保障条約に言及し、「日本をして自衛の責任を受諾せしむる好刺激となる。」とも言つているのであります。これらは明らかに再軍備の一環であることを証明しているのであります。政府が飽くまで軍艦でないと言うことは、カービン銃、大砲、戦車で武装された保安隊を軍隊でないと言い張るのと同様であります。吉田自由党政府は平和憲法をつぎつぎに公然と踏みにじつておりますが、憲法改正に対する日本国民の激しい反対に会つた政府は、来たるべき日まで軍隊と呼ばない軍隊を強化し、看板を換えれば翌日は軍隊になつているという、国民を欺くやり方で押し通そうと企らんでいるのであります。今回の政府の言う船舶貸借協定は日本海軍の復活のための一計画にほかならないのであります。私は或る雑誌に載つた記事を引用したいと思います。これは当らずといえども遠からず、本協定の性格をよく示しているのであります。この雑誌は前置として「軍艦マーチが又聞え始めて来た。メロディがいいからだと言つている間に、気が付いてみたら軍楽隊ができていたということにもなりかねないこの頃である。」と書いておりますが、日本国民すべての不安をよく現わしていると思います。又続けて次のように書いております。「今年の五月十九日の午後のことであつた。目黒の第二復員局の寮に人目を避けて人口の卑しくない老人たちが三々五々相会した。この人々を見かけたとしても、何か隠居さんの碁会ぐらいのところ、気にもとめなかつたかも知れないが、よく気を付けて見ると、この老人たちは陽」焼け、きかぬ気の面持である点から見ると、どうやら軍人らしい。いや、どうやらどころではない。元海軍大将ばかりだつたのである。会が始まると、主宰者役の元海軍少将山本軍務局長が海上警備隊の設立事情の報告を行なつた。次に野村吉三郎と山梨勝之進の挨拶があり、今度は又山本少将が、今度海上警備隊総監に新任された山崎小五郎氏を紹介した。そうして最後に最長老の元大将百武三郎が立ち上り、関係者は誠に御苦労だつたと老眼に涙をたたえて結んだそうである。」と書いております。
右は雑誌記事でありますが、保安隊の武装及び訓練の強化、大将から二等兵までの差を付けた軍人恩給復活を計画しておるのを見ますれば、考えられることであります。
日本の自衛の名の下に進められている日本再軍備は明らかにアメリカの下請けをする傭兵を急ぎ作ることであります。モルガン財閥等の最も忠実な代表であり、且つ新大統領になつたアイゼンハワーは何と言つているか。彼は選華中「アメリカ人を使うな、アジア人同士を戦わせよ」と絶叫して歩いております。その他アメリカの有力者のごの種の見解は無数に挙げることができるのであります。だからこそ、日本に軍艦を貸与する法律を審議した七月三日のアメリカ上院でハント氏が「これらの船は現代においては実質的に「坐つたあひる」と言つて差支えなく、保存に適当でないので老朽化しつつある」と説明したように、廃品同様のぼろ軍艦であるとはいえ、以前から横須賀に繋船されているフリゲート船十隻は三百五十万ドル、アメリカに繋船中の大型上陸支援艇には目下千五百万ドルをかけてアメリカが修理中であるという。これを円に換算すると六十六億円の巨額であります。更に七月十七日の米下院軍事委員会聽聞会の議事録を読むと、吉田書簡による要請は十隻であるのに、なぜアメリカの貸与法の原案は十八隻なのかと、各議員によつて質問され、十隻に減らす修正案が出され、修正案は否決に終つております。このように親切であることは、岡崎外務大臣や木村保安庁長官の言によれば、アメリカの厚意でありますが、この厚意は日本国民を自分の侵略目的に使用する魂胆から来ているのであります。私は外務委員会において、保安隊の使用しているカービン銃、ロツケト砲、大砲等は条約の形にされていないが、どんな状態にあるのか、アメリカから借りているのか、買つたのか、それとも盗んだのかと質問いたしましたところ、(笑声)政府の代弁者佐藤法制局長官は、「貸借契約もしていないし買つてもいない。最も適切なたとえで言えば、「たこ」の糸の根元はあちらが握つており、糸の先のほうを日本が触らしてもらつているという関係です」と答えているのでありますが、これこそ、日本が植民地であること、日本の軍隊とはアメリカの指図のままに動く傭い兵であることを示しておるのであります。糸の先に触つていると言うが、実は日本は「たこ」の糸に結び付けられ、アメリカのたこ揚げの弄びものになつているのである。これこそ植民地的紐付き軍隊と言わなければならないのであります。保安隊にアメリカの軍事顧問が現在六百名もいるが、これもアメリカの厚意で無料サービスをしている。これもアメリカの厚意だそうであります。我々は日本の再軍備に対して積極的に示すアメリカの惜しみのない厚意の本質を見抜かなければなりません。これこそ全く惜しみなく日本を植民地化するところの厚意であるからであります。日本の陸軍は、アイゼンハワーの念願にかなうように、最も犠牲の多い最前線用歩兵部隊の役割を果すべく訓練これております。海軍も又多大の犠牲をこうむる上陸援護、哨戒、そして掃海に動員されるでありましよう。
日本共産党はこのぼろ軍艦貸借協定に絶対に反対すると同時に、次のような政策を即時実行することを要求するものであります。
一、朝鮮からの外国軍隊の即時撤退、朝鮮問題の平和的解決
一、中ソヘの渡航の自由、中目貿易の無制限拡大、漁業問題の平和的手段による解決と武装出漁の禁止「日本近海の海上演習場、防潜網等の撤去
一、中ソを含む全面講和の締結、五大国平和協定の締結
この方向による解決だけが日本の平和的発展の道であり、政府のとつている道は国民と国土を廃墟と死に導く道であります。我が党の主張する方向に一歩でも進むことは、大砲を積んだ軍艦が海上をうろつく何らの必要もない完全な保障を与えるものであります。
日本共産党は、日本を故意の紛争と侵略の道に押し進めるための本協定の承認を、平和と独立のために拒絶するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/91
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092・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/92
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093・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/93
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094・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/94
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095・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長小泉秀吉君。
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〔小泉秀吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/95
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096・小泉秀吉
○小泉秀吉君 只今議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず本件が国会に提出に至りましたまでの経過を簡単に申上げます。本年二月十九日に国鉄労組が昭和二十七年度賃金改訂及び増額を国鉄に要求1し、両当事者において団体交渉が重ねられたのでありまするが、三月十三日に至りまして、国鉄当局がこれを拒否するに至りましたので、所定の手続を経て、八月十三日に仲裁裁定第八号と一して公共企業体等労働関係法による裁定が行われることになつたのであります。この裁定は、経過、主文並びに詳細な理由から成つておるのでありまするが、その主文の内容を要約いたしますると、第一に、昭和二十七年八月以降の国鉄一般職員の基本給を平均一万三千四百円とすることと一第二は、特殊勤務手当、年末手当等の諸手当については、理由に示す趣旨に従い当事者間の団体交渉によるべきことをきめられた点であります。
委員会におきましては、本件が十月二十四日予備付託になりましてから、殆んど連日委員会を開き、又労働委員会と連合委員会をも開き、慎重に審議を重ねたのであります。
次に委員会における主なる質疑について申上げますと、先ず今回政府が国会に提出して議決を求めている裁定につきまして一委員より、「政府は、裁定第一項の基本給についてのみ議決を求めているのか。全部について議決を求めているのか。又第二項以下を含む全部について国会の議決を求めているとすれば、第二項以下については如何なる国会の議決を期待するか」と政府の意見を質しましたところ、運輸大臣より、「裁定全部について国会の意思を求めている」との答弁で、ございました。更に裁定に対する政府の所信を質しましたところ、運輸大臣より、「公共企業体等労働関係法の精神に基き裁定はこれを尊重する」旨の答弁がありました。次に「裁定が国会に提出になつたのは補正予算を組む前であつたが、すでに政府は補正予算を組み、国鉄の給与についても補正を行なつて提出した以上は、裁定に対する政府の意思ははつきりしていると思うので、その点を明らかにして欲しい」という質問に対しまして、運輸大臣より、「基本給はこれを認める。併しその実施期は国家財政の見地から十一月とした。これは、公務員との比較からも検討を加え、なお、その他の給与については団体交渉によることとしているので、予算の範囲内において当事者間の自由な団体交渉により妥結することを強く希望する」との答弁でございました。次に、「政府は自由な団体交渉によることを希望していると言うが、補正予算による給与総額の増加額は百六億円余であるので、その金額に拘束されるのではないか」という質問に対して運輸大臣より、「この目標の範囲内で団体交渉されることを希望はするが、自由な団体交渉を拘束するものではない」との答弁がありました。最後に、裁定に関連する政府の支払能力について各委員と政府との間に検討が加えられましたが、そのうち主な点を申しますと、国鉄が戦災復旧等不可抗力による復元の費用を経営費を以て賄うことの適否について政府の所見を質しましたところ、独立採算の下における企業体としては一応止むを得まいが、将来大いに研究してみたいとのことでありました。なお本件については法律の解釈並びに政府の提案についても相当疑義がありましたので、それらについて質疑が重ねられましたが、詳細は委員会速記録を御覧願います。
かくて質疑を打切り、討論に入りましたところ、岡田委員より、只今議題になつている公共企業体等労働関係法第十大条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につき、衆議院通りの議決案、即ち「本件は、公共企業体等仲裁委員会裁定中第一項は、昭和二十七年十一月以降実施するものとして、これを承認する。」といたしたい旨述べられ、更に次の附帯決議案を提出されたのであります。
附帯決議案
一、公共企業体等労働関係法の精神に鑑み、政府は将来における裁定の取扱についてはこれを完全に実施する方針を以て各般の措置を講ずべきである。二、裁定につき国会の承認を求むる場合は、予算上又は資金上不可能なる部分に限定すべきである。中村委員よりは、岡田委員の提案による議決案及び附帯決議案に反対の旨意見の開陳があり、次の議決案及び附帯事項を提出され、その説明がなされました。中村委員の議決案は、
公共企業体等仲裁委員会裁定(昭和二十七年八月十三日仲裁裁定第八号)は、これを承認する。
附帯事項
一、裁定事項
第二項及第三項については、団体交渉の結果、予算上不足する場合は、政府は直ちに予算の再補正を行うこと。
二、裁定第四項については、一・二カ月を基準として予算措置を講ずること。前之園委員よりは、岡田委員提案の附帯決議案付きの議決案に賛成の意見が述べられました。更に内村委員よりは、岡田委員案に反対をし、当委員会の従来二回の裁定に対する取扱方より見て中村委員案に賛成する旨の意見の開陳がありました。次いで高田委員より、中村委員案に反対、岡田委員案に賛成する旨の意見を述べられ、深川委員及び鈴木委員より、それぞれ岡田委員案に反対、中村委員案に賛成する旨の意見の開陳がありました。
これにて討論を終り、採決に入り、先ず中村委員提案の議決案及び附帯事項につき採否を諮りましたところ、少数にて否決され、続いて岡田委員提案の議決案及び附帯決議案につき採否を諮りましたところ、多数を以て岡田委員提案の議決案及び附帯決議案を可決すべきものと決定がなされました。
以上御報告申上げます。なお詳細は委員会速記録によつて御了承を願います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/96
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097・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本件に対し、少数意見者から報告することを求められております。発言を許します。中村正雄君。
〔中村正雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/97
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098・中村正雄
○中村正雄君 私は只今委員長の報告のありました委員会の決定に反対いたしまして、少数意見を開陳いたします。
一応議題となつておりまする公共企業体等労働関係法第十六条第二項の胡定に基き、国会の議決を求めるの件に関しまして議決内容を左の通り提案いたします。
公共企業体等仲裁委員会の裁定
(昭和二十七年八月十三日仲裁裁定第八号)はこれを承認する。
附帯事項といたしまして、
一、裁定第二項及び第三項については、団体交渉の結果、予算上不足する場合は、政府は直ちに予算の再補正を行うこと。、
二、裁定第四項については、一・二カ月を基準として予算措置を講ずること。
以上が私の意見でございます。
もともと公共企業体等労働関係法という法律を制定せられ、その中に仲裁委員会制度が設けられましたゆえんのものは、国有鉄道を政府直轄の官庁から独立をさせまして公共企業体とし、国鉄の従事員を公務員の枠から外しまして、公共企業体の従事員という特殊な身分を設定いたしまして、これら従事員を以て結成いたしまする労働組合に対しましては、団体交渉権を与えまして、労使間の争議の紛争を解決する。それが公労法制定の趣旨でなければならないわけでございます。従つて国鉄当局と従事員の間におきまする賃金その他の紛争に関しましては、一応団体交渉によつて解決するのを本義といたしておりまするが、団体交渉によつて解決できない場合、調停機構によつて解決できない場合は、最後は仲裁委員会という制度によつて、仲裁委員会の裁定が両当事者を最終的に拘束するものといたしまして、この機構によつて争議を平和のうちに解決する。これが公労法立法の精神でなければなりません。ただ国鉄の従事員に対しまする賃金は予算に組まれております関係上、出されておりまする裁定が既定予算によつて賄うことのできない場合は、政府はこの裁定を実現するために、新たな予算を組んで、予算は国会の権限でありますから、国会の承認を求めなければならないというのが、三十五条の但書の規定であり、第十六条第二項の規定であるということは、制定本来の精神から見ても疑う余地はないのであります。従つてこのたびの裁定第八号につきましても、これは現在の予算におきましては履行不可能な裁定でありますが、この裁定につきましては、如何なる困難があろうとも、政府はこれを実現するための予算措置を講ずるということが公労法の規定の精神であり、労使の紛争を平和のうちに解決いたしまするただ一つの途でなければなりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)従つて我々は、この裁定に対しましては、国会はこれを承認するということが最も正いしあり方と考えて意見を提案いたしているわけであります。若し政府の考えているように、衆議院の送付案のように、出されました裁定が、財政上の理由によりまして一部実施するという、こういう慣例が樹立されますならば、仲裁委員会制度というものは、これは国鉄の従事員と国鉄当局の間におきまする争議の紛争を解決いたしまする機構でなくいたしまして、従事員側の要求というものを合理的な裁定という名の下に削減いたしまして、政府に対しまする労働攻勢を防ぐ一つの城壁の使命を負う機構に終つてしまうわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)従つて我々は、如何なる困難がありましようとも、仲裁委員会の裁定はこれを実施するという慣例を作りますことそれ自体が、労使間の紛争を平和のうちに解決するものであり、どんな困難があろうとも、この裁定は完全に実施するという国会の議決を求めなければならないと考えております。従つて私たちは、今まで参議院におきまする当該委員会である運輸委員会においては、過去二回出されました裁定につきましても、政府は如何なる困難があろうとも、これは完全に実現すべきであるという態度を持して参りましたにもかかわりませず、このたびの裁定に関してのみ、衆議院の送付案に対しまして、賛成する委員のあるということは、不可解に堪えない次第であるわけであります。
一応我々の意見を申述べまして、皆様方の再度の御検討をお願いいたしたいと考えます。以上で提案理由の説明を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/98
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099・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本件に関し討論の通告がございます。発言を許します。小酒井義男君。
〔小酒井義男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/99
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100・小酒井義男
○小酒井義男君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、只今の委員長の報告に対して反対の意見を申述べたいと思います。
改めて申上げるまでもなく、国有鉄道等の公共の福祉に関係の深い事業が労使の紛争によつて争議行為を起すことを避けるという意味において、公共企業体等労働関係法は制定をせられておるはずであります。ところが、今まで仲裁委員会が行なつた裁定を、一回も政府はこれを完全に実施したことがない。労働組合は、いつの場合でも、その裁定の受諾の態度を明らかにしているにもかかわらず、これを実施しないというのは、いつの場合でも政府のとる方針であつたわけであります。我々はこういう方針の下に労使関係が運営せられるということは、日本の産業の建設の上においても、労働者の生活を維持する上においても、これは好ましくないことであると考えまして、委員会においては全会一致を以て、政府に対して、裁定は完全に実施すべきであるという意思表示をしておるのであります。然るにかかわらず、我々委員会の意思というものを何ら尊重もしない。又国鉄の従業員諸君が唯一の残されたところのレジスタンスであるところの争議権を失つて、その上で裁定の実施をのみ唯一の頼りとしているところの、この立場というものも全然無視せられ、そうして今回のような議決を我々に求めて来るということは、極めて一方的な措置であると言わなければならないと思うのであります。我々は、こうした関係でこの度重なるところの裁定の承認議決を求めて来るという政府の態度が、これが是正をされない限りにおいては、完全なるところの平和的な労働慣行というものの実現を図ることは不可能であろうと考えております。又若し国鉄の裁定なるものが一般民間産業の賃金と比べて高いものであれば、これも又いろいろ議論の余地もあると思いますが、御承知のように国鉄の職場においては、終戦直後と現在においては約三分の一の職員が節減をせられておる。ひと頃の三分の二に近いところの職員を以て、この激増しておるところの旅客貨物の輸送をし、戦災によつて荒廃し或いは老朽しておるところのあらゆる施設の改善をするために営々として努力をしておる。この建設の担い手であるところの従業員の生活というものが何ら保障されることなく、尊重されることなく、こうした裁定を政府が一方的に押付けて来る。国鉄の経営内部におけるところの独立採算制の建前、これをも政府は一般公務員の給与ベース等とからみ合せて、そうしてそれを実行させないようなことをやつておる現状において、我々は上程されておるごとき承認を与えることはできませんし、飽くまでも国鉄の裁定というものは、これは公正なる第三者である仲裁委員会の裁定を呑むということにならなければならないということを考えております。
以上の点から、私は只今委員長によつて報告されたところの本案件に対して、社会党を代表して反対の意見を申述べた次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/100
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101・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 鈴木清一君。
〔鈴木清一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/101
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102・鈴木清一
○鈴木清一君 私は労農党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして、委員長報告に対しまして反対し、中村議員提出にかかわる少数意見に対しまして賛意を表するものであります。
理由といたしましては、先ず第一に挙げたいのけ、現在国鉄の労働慣行について誠に権威のない、法的にも又むしろ人為的な処置について、先ず不満を申述べたいと思う。例えば四十四万人以上を持ちまするところの日本最大の企業におきまして、その従事員の労働価値の裏付けに対する、これを主宰しておりまするところの主権者である総裁に、何らその権利を与えてないような法的な不備、又このような欠陥の中で、勤労意欲の高揚のみを従事員に強いておるところの現在の幹部のむしろ人為的な処置に対しまして、反省を求めなければならないと思うのであります。例えば、先ほど申上げましたように、遵法闘争をしたために運行が乱れたというほどに、正常運転のために働く者は、少くともそれほど常日頃オーバー労働をしているということであらねばならんと思うのであります。そのところから起きました生活費要求闘争、いわゆる裁定完全実施要求に対しまして、当局はむしろ国会或いは政府に責任をかぶせまして、あまつさえ、この闘争中におきまして首脳部に対しましては行政的措置云々さえ言つておるようでありまするけれども、完全なる法の要求を、裁定の完全実施を要求し、而もそれを尊重しておるという当局自身が、むしろ組合と一緒になつて、現在の法の不備欠陥に対しまする、いわゆる一体となつて政府に反省を求めなければならないにもかかわらず、むしろこれに原因して遵法闘争を起し、そのために正常の運行にいささかの支障の生じたが故を以て、組合首脳部に対しましては行政措置云々さえ口にするというがごときは、私は当局の首脳部が余りにもやすき椅子に頼り過ぎているのではなかろうか。もそつと気概ある処置を政府に、むしろみずから組合と一緒に望むべきであると思うのであります。それにもかかわらず、むしろ権利のみを主張いたしまして、おのれのやすき椅子にばかりべんべんとしようとする便乗主義的な考え方に対しましては、真向から反対しなければならんと思うのであります。
只今議題となつておりまする裁定につきまして、国会に提出されました三回に亘るこの裁定に国会で取扱いました処置、十六条二項に承認を求める場合、不可能なる資金を予算として編成し、その可否を求むべきのに、編成権なき立法府に予算の有無を論議させる程度の措置しか考えられない現在の政府の裁定に関しまする態度というものに対しては、全く不満を感ぜざるを得ないのであります。たまたまこの問題が毎回国会に提出されるたびに、残念ではありまするが、いささか政争の中に巻き込まれ、真剣にこれを論議したことがありません。本当に真剣に法の権威を論議する国会であるとするならば、少くとも罷業権のない、罷業権の代りに権威ある機関として与えた仲裁裁定の権威を、もそつと立法府の国会議員みずからが真剣に考えて、権威づけるための処置を政府に反省を求めるべきでありまするのに、いつも政争のいささか具に供される形においてのみ裁定が審議される点については、我々は納得できないのであります。
従つて私は委員長報告になりました件につきましては、案に対しまして反対すると共に、若し真剣にお考えになられるなら、今までに二回に亘つていつも裁定に対しまして、将来は完全に実施するというような決議は、院議を以てたびたび参議院におきましては意思表示をされておるのであります。そのようなことを又繰返しての附帯条項に対しましては反対をいたします。従つて少数意見として出されました、修正意見として出された中村君の案に賛成いたしまして、委員長報告には反対の態度を表明するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/102
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103・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本件の採決をいたします。委員長の報告は、公共企業体等仲裁委員会裁定中第一項は昭和二十七年十一月以降実施するものとしてこれを承認すべきものと議決したとの報告でございます。委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/103
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104・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は委員長報告の通り議決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/104
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105・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
国立国会図書館の経過に関する審査報告書
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/105
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106・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、図書館運営委員長報告を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/106
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107・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。図書館運営委員長宮城タマヨ君。
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〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
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〔宮城タマヨ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/107
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108・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 只今上程になりました国立国会図書館法第十一条の規定によりましての図書館運営委員会の審査の結果を御報告申上げます。
本委員会は、去る七月三十日以後は数回に亘つて委員会を開会いたしまして、国立国会図書館職員苦情処理規程案、昭和二十七年年度国立国会図書館補正予算予定経費要求書、国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程及び規程案、国立国会図書館の経過に関する報告等を審査いたして参りました。なお昭和二十八年度の予算の構想及び国立国会図書館の建設計画につきまして懇談を行なつたのでございます。
審査いたしましたそれぞれの案件につきましては、その都度、議長に御報告いたしてありますので、只今は省略することにいたしますが、この際、特に御報告申上げたいことは、国立国会図書館の建設計画についてでございます。本件につきましては、当委員会におきましては勿論のこと、衆議院との合同打合会におきましても終始熱心に審議されまして、その促進方を強力に推進するという申合せをされたのでございます。
即ちその経過概要を申上げますと、本年度の図書館の予算におきまして、初めで国会図書館庁舎敷地買収費が二千万円計上され、本館の建築に向つてその第一歩を踏み出したのでございます。更に来年度予算におきましては建築費が計上されなければならないのでございます。申すまでもなく、国会図書館は、図書及びその他の資料を収集いたルまして国会議員の皆様の職務の遂行に資すると共に、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、法の規定するところに従つて図書館奉仕をいたすことを目的としております。この目的を完全に遂行し、図書館の使命を達成するためには、更に多くの図書館資料を収集して職員を増加し、完璧を期する必要がございます。然るに現在の庁舎でございます旧赤坂離宮は、このためには余り能率的でない建物でございますと同時に、現在の場所が国会議事堂に遠いことは救うことのできない欠点となつております。なお三宅坂にあります分室のような建造物を、毎年三百坪は建てなければならない現状でございますが、このことは、本建築をなしくずしに、而も無計画にやつて行くのと同じ結果になりまして、誠に遺憾に存ずる次第でございます。以上のような現状に鑑みまして、衆議院との合同打合会を二回に亘り開会いたしました結果、最終案といたしましては、四万五千坪の庁舎を旧ドイツ大使館跡に建設することとし、取りあえず明年度から第一次計画として一万五千坪の庁舎の建設を具体化するよう申合せを行なつたのでございます。これに要しまする予算は、最終案である四万五千坪では約百十億円を要しまするが、右の第一次計画案では約三十九億円を要することになつております。なお本件に関しまして、国立国会図書館建築委員会からも、昨二十三日、両議院の議長を経由して国会に対して勧告をされました。
本委員会におきましては、これに関して次のような決議をいたしまして、議長に要望することとした次第でございます。ちよつとお読みいたします。
国立国会図書館本建築に関する要望
今般国立国会図書館建築委員会委員長より両議院の議長を経由して国会に勧告せられた国立国会図書館の本建築に関する計画は、国会図書館本来の使命とその現状に鑑み適切妥当なるものと認められる。よつて本委員会は、議長におかれても、本建築計画の実現方について格段の御配慮をいたされんことを切に要望する。
昭和二十七年十二月二十四日
図書館運営委員長 宮城タマヨ
参議院議長佐藤尚武殿このような要望書を提出いたしましたのでございますが、議員の皆様におかれましても、これが実現方について、どうぞ強力なる御支援を賜わりま下るよう特にお願い申上げまして、本報告を終ることにいたしたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/108
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109・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて暫時休憩いたします。
午後四時十八分休憩
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午後六時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/109
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110・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日両院協議会参議院両院協議委員議長から左の報告書を提出した。
町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案両院協議会成案成立報告書
本日衆議院から左の両院協議会成案を受領した。
町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案両院協議会成案
参議院議決案中「十月三十一日」を「十二月二十日」に、「十二月二十五日」を「十二月二十七日」に改める。
本日委員長から左の報告書を提出した。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案修正議決報告書
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書
保安庁職員給与法の一部を改正する法律案可決報告書
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111・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案両院協議会成案(衆議院送付)を議題にすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/111
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112・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず両院協議会協議委員議長の報告を求めます。協議委員議長草葉隆圓君。
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〔草葉隆圓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/112
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113・草葉隆圓
○草葉隆圓君 只今議題となりました町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案についての両院協議会の審議の経過及び結果を御報告申上げます。
両院協議会における本院側の議長には私が、副議長には館哲二君が互選せられ、衆議院側の議長は福永健司君、副議長は石坂繁君に決定されました。協議会は本二十四日開かれまして、先ず衆議院側から、本院の修正案に対して不同意の議決をなしました趣旨及び両院協議会を求むるに至つた理由につきまして述べられたのであります。即ち十一月一日以後町村の警察廃止を決定した町村は翌々年の四月一日から警察責任の転移が行われることになり、その間すでに警察責任の転移の意思が決定されたにもかかわらず責任の転移が行われないことは実情に即せず、且つ財政的な理由もありまして、(「我々きめたことじやないか」と呼ぶ者あり)転移を早めに行うことは関係町村の切なる要望であること、自治体警察を廃止しようとしている町村も今回の措置によりまして大体終了すること、更に重要な点としては、治安上考慮すべき事情があり、これらを考慮してこのたびの措置を講じたのであるという説明があつたのであります。
本院側からは、法の建前からいつて十月三十一日までとすべきであり、又十一月以降自治体警察廃止の決定をいたしました町村については、その現況をつぶさに調査しなければその賛否をきめかねるとの反対意見が相当強く出ており、而も時期的な点から速かにこの法案の成立を必要とするような事情等から修正を行なつたのであるとの説明があつたのであります。(「馬鹿馬鹿しいぞ」と呼ぶ者あり)
次いで二、三質疑応答を経まして、懇談に入り、隔意なき意見の交換を行なつた後に、再び会議を開きまして、衆議院側かち成案の提案がなされたのでありまするが、これに対しまして次のような意見が交換されました後に成案を得たのであります。即ち衆議院側の一委員から、この法案は原則に対する例外措置を講じたものであつて、必ずしも十分とは言えないけれども、現在の町村の実情からいつて又止むを得ないものである。又関係町村は、この問題に対する警察法の趣旨を十分了解していないような節もあるが、今後この点は十分注意されんことを希望する旨の発言もあり、参議院側の一委員からは、今後といえども自治体警察廃止に伴うてしばしば同様な問題が起り得ると思うから、抜本的に法律の改正を考慮すべきであるとの趣旨が述べられました後に、次のごとき成案を得た次第であります。
町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案両院協議会成案
参議院議決案中「十月三十一日」を「十二月二十日」に、「十二月二十五日」を「十二月二十七日」に改める。
以上御報告を申上げます。(拍手、「自由党が発議して自由党が修正するとは何だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/113
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114・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより成案の採決をいたします。両院協議会成案全部を問題に供します。成案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/114
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115・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて成案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/115
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116・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、
保安庁職員給与法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/116
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117・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。委員長の報告は修正議決報告でございます。修正案の印刷配付が間に合いませんので、朗読を以て代えることに御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/117
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118・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。参事に修正案を朗読させます。
〔参事朗読〕
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する委員会修正
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
別表第一から別表第六までの改正規定中別表第一から別表第五までの各表の末尾にそれぞれ次の備考を加える。
備考 本表は、暫定的のものであつて、なるべく速やかに合理的改訂を加えるものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/118
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119・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 先ず委員長の報告を求めます。人事委員長門田定藏君。
〔門田定藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/119
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120・門田定藏
○門田定藏君 只今議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について人事委員会における審議の経過を御報告申上げます。
本法律案は十二月三日内閣より提出せられ、去る十二月二十二日に至り、衆議院より、政府原案に対して、別表第六、即ち「勤務地手当支給地域区分表」について更に六百数十カ所の市町村を新たに追加し、或いは級地を昇格せしめる趣旨の修正を加えて送付されて参つたのであります。
〔議長退席、副議長着席〕
本委員会においては、内閣より提出せられて直ちに予備審査に入り、数回に亘つて委員会を開会し、質疑を行なつて参りましたが、詳細は会議録に譲り、その大要について申上げたいと思います。
審議において特に問題となりました点は、衆議院の予算委員会における附帯決議に関して、公務員の給与改善に関して如何なる具体的な方法をとるかについての問題、政府案の俸給額が、先に提出された人事院勧告さえ容れられていない低いものであるが、これは果して財政上止むを得ない措置であつたのかどうかについての問題、本年八月の人事院勧告の俸給額が果して現在の公務員の生計の実態に即応したものであるかについての詳細なる検討、新らしく設けられる俸給の特別調整額について、果してこれが十分な根拠に基いて決定されるものかどうか、下級職員の給与についてはなお考慮を加える余地はなかつたのか等の問題でありました。
かくして本日に至り、委員会において質疑を打切り、討論に入りましたところ、千葉委員より、俸給額においては本年八月の人事院勧告を尊重してこれを八月より実施し、そのほかの勤勉手当をなくして、期末手当を年間一・五月分とし、又法文の上に、僻地手当、研修手当の制度を確立し、休職者等に対する期末手当の適用を拡大することとし、非常勤職員のうち、委員、参与、顧問等の手当日額については人事院勧告の通りとする等の趣旨に基く修正案が提出せられ、カニエ委員、紅露委員より本修正案に賛成の討論がありました。次に三浦委員より、本改正法案の別表第一から別表第五までの俸給表にそれぞれ備考を設けて、本表は暫定的のものであつて成るべく速かに合理的改訂を加えるものとする旨の修正案が提出せられ、北村委員より本修正案に賛成の討論があり、討論を終了、採決に入りましたところ、千葉委員提出の修正案は否決となり、三浦委員提出の修正案は多数を以て可決され、修正部分を除く原案については多数を以て可決すべきものと決定いたしました。
なお本法律案の決定に当つて、希望意見として、「公務員の勤務地手当の支給地域区分は今回の衆参両院による修正議決により相当の改善を見ることとなるが、なお各地域間の均衡上検討の余地なしとしない。よつて人事院は至急調査の上必要な措置をとること。」以上のごとき意見が附せられたことを併せて御報告申上げます。
次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審査の経過を御報告申上げます。
本法律案は内閣の提出によるものであり、その提案の理由は、特別職の職員の給与は従来一般職の職員の給与との均衡を考慮して定められていたのでありますが、今回一般職の職員の給与の改訂等がなされることになりましたので、特別職の職員につきましても一般職の職員と同様にその給与を改訂すると共に、期末手当及び勤勉手当の制度を設けることとし、特別職の職員の給与に関する法律に所要の改正を加えようとするものであります。その内容といたしましては、第一に、内閣総理大臣等の給与につきましては、俸給月額を現行の二割五分乃至三割七分程度増額をされております。次に、日本学術会議会員等の給与は、一般職の非常勤職員である委員、顧問、参与等と同様、現行法では日額二千二百円の範囲内とあるのを日額三千円に改めることにいたしております。第三に、従来単独法によつて定められていた年末手当及び臨時手当を、一般職の職員の給与に関する法律と同様この法律に取入れ、内閣総理大臣等には期末手当を、秘書官、侍従等には期末手当及び勤勉手当を支給するごとにいたしております。
本法律案は去る十二月六日内閣より提出され、二十二日衆議院より送付せられて参つたものであります。本法律案については、本日質疑討論打切の動議が提出され、これを打切り、採決の結果、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。
次に、保安庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず提案理由として政府の説明するところによりますると、政府は先般一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、保安庁職員は特別職で、その給与は保安庁職員給与法に定められておりますので、今回一般職の職員の給与改訂の趣旨に準じて保安庁職員の給与を改訂することとし、本法律案を提出したとのことであります。
本案は去る十二月十三日提出せられ、予備審査のため人事委員会に付託となり、審議に入り、本日質疑並びに討論を打切り、採決に入りましたところ、本案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/120
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121・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。カニエ邦彦君。
〔カニエ邦彦君登壇、舶手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/121
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122・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今上程になりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対意見を述べるものであります。
御承知のように、現在の公務員に対しましては、憲法の第二十八条に定められました勤労者の団結権等の基本権に対しましても重大な制約を受けておるのでございます。これが勤労者にとつては如何に重大なる拘束であり、やがてはその生存権をさえ脅かそうとするものであるかは、従来のごの吉田反動内閣の下における公務員の生活の実態が何よりも率直に物語つておると思うのであります。我々は今ここに二、三の例を挙げまして実態を追及しようと思つておるのでありますが、現在国家公務員に支給されておるいわゆる一万六十二円ベースなるものは、政府提出法律案として昨年の十月以来実施されて現在に至つておるものであります。その根拠となつておるものは、同じく昨年の八月人事院より勧告いたされました一万一千二百六十三円ペースに基くものといたされておるのであります。この勧告は昨年五月の調査によつてこうあるべしというところで作成されたものでありまして、当然これは五月より実施さるべきものと考えられるのでございます。従いまして、現行の給与は人事院の勧告と比べますと実施の時期においてすでに五カ月のズレがございます。その金額においても平均一カ月当り千二百円ほどの赤字となつておるのでございます。施行の時からいたしましても、すでに十二カ月、その金額も積り積りまして一万四千四百円ほどの赤字となつて従つて人事院ができましてから今日までの勧告、そうして政府が実施いたして来ましたところのその差額は、実に六万四百円となるのであります。このような赤字に喘ぎまして、公務員の家計を苦境に陥れておる実情も、これは皆さん御承知の通りであろうと思います。
更に又、現行給与の内容について検討を加えますれば、独身成年男子の標準生計費が衣食住一切の費用を含めまして僅か四千円で足りるという計算に立つており、その当時人事院の勧告した四千二百円という標準生計費から更に二百円を削減するという、実に血も涙もない操作を加えられて、そうして政府提出法案の名の下に国会にこれが出されて参つたのであります。而もこれを以て勧告を尊重したということでありますが、無理が通りますと道理が引込む御時勢とはいえ、およそ我々としては納得のできかねる話でございます。若しもこのような状態が続けられるものならば、かかる低賃金を押付けられて、而も昨年の五月から一年間に五%前後の物価の騰貴の見られておるときに、一年以上もそのままに据え置かれまして、そうして何ら顧られず、而もこれに対しては合法的に何らの団体交渉の余地もないという現在の公務員に対する拘束に関しましては、我々といたしましては、再考慮を要するものではなかろうかと思います。このようなみじめな低賃金に喘ぎながら、ただ一縷の望み、光明として公務員の頼るところの人事院の勧告は、このような実情を知つてか知らずか、昨年の十二月以来二百二十日余に及んだ長期国会にも、これは噂ばかりで少しも改善の姿を見せず、何と延長に延長を重ねた国会が漸く終りましたその翌日に政府並びに国会に対して提出されて参つたのであります。これが今問題にな。ておりますいわゆる勧告そのものでありまして、公務員の福祉を守るところの人事院の措置としては頗る判断に私ども苦しむものであり、人事院の権威のためにも甚だ遺憾に堪えないと思うのでございます。
私たちといたしましては、このいわゆる一万三千五百十五円ペースの人事院勧告が果して待望久しき公務員の最低生活を保障するに足るものかどうか、深い関心を払わざるを得ないのであります。今回の勧告は本年の五月の調査に基くものでありまして、従つて勧告にも給与改訂を五月に遡つて行うべきものである旨を明示いたしておるのでございます。これは従来の赤字の積り積つた公務員の生計から考えますれば、なお不足の感もありますが、話の一応筋道といたしまして、一応肯けるものでありますが、この点、政府としても、如何なる最低の場合でも食えないようなこの人事院の勧告くらいはこれは完全に実施されるのが、これが当然でなければならないと思うのであります。
次にその内容についてであります。私どもが先ず注意せざるを得ないのは、独身成年男子の標準生計費四千七百円という極めて低い金額であります。更にこれを分析して検討を加えますると、この東京での食費が一日八十六円四十三銭四厘、一カ月にして二千六百三十円という、これがこの食い盛りの成年男子、十八歳の男子の職員の一カ月のいわゆる食料費の金額でございます。これは人事院の作つたマーケツト・バスケツト方式によるものであり、これを査詳細に検討いたしますると、このマーケット・バスケツトでは、一日に米が幾ら、魚が幾ら、調味料がどれだけと、細かにきめられておるのでありますが、それらの中の二、三の事例を挙げてみましても、牛乳は十日間に一合、卵は三日間に一つ、豆腐は十日間に一丁、「ちくわ」は二十日間に一本、油揚げは六日間に一枚、お米は一日に二合、その他いろいろとこれはありますが、大体こんな程度の、極めて食えないような、つつましやかな食生活を前提としてでき上つておるのでございます。更にこれを衣料費について見まするなれば、一カ月で六百三十円、光熱費では、ガス代の値上、電気代の冬季料金等の高騰にもかかわらず、前回の勧告より二十円程度安く済むごとになつておるのでございます。一カ月三百三十円、下宿代等の住居費が四百八十円、その他通勤交通費、娯楽費、衛生費、通信費等の一切を含めて千三百円、これ又食生活に負けず劣らず非常に低いものでございます。これをまとめまして、一カ月五千三百七十円となつておるのであります。而もこの人事院の計算では、これは東京都のまん中でこれで食えるということになつておるのであります。従つてかような、私が今申しましたような、こういうもので人事院勧告がなされておる。そうしてこの人事院勧告がそのまま実施されずに、いわゆる政府がこのたび又これを刻みまして、下廻りまして、そうして現行の法律案を出しておるのであります。私は、果してこのような一体人事院の勧告ですらも食えないのに、政府の今出されておりますところのこういつたいわゆるぺースで、果して国の行政が完全に行えるかどうかということ、昔の公務員は、少くとも二十年、三十年、可もなく不可もなく勤めますれば、子供の四人くらいありましても、これは上の子供はやはり大学にも出し、そうして女中の一人くらいは置けたと思つておるのであります。併しながら今の公務員は子供の教育すらも受けられないのがその実態であろうかと思います。かような一体状態に置いておきまして、私は昨日も申しましたように、片一方では一年間八百何十億という厖大な国費の濫費をいたしておりましてです、そうしてこの人事院勧告をこのまま実施するといたしましても僅か年間百六十億。この国費の濫費から見ますれば、本当に一部分でございます。こういつた僅かな財源がないと言つて、政府はかような食えない、現行法律を押付けようとしておるのであります。私はかようないわゆる公務員の状態から考えまして、このような一体低賃金に抑え付けて、そうして公務員をまじめに働かそうと考えておるところの政府の意図を疑わざるを得ないのであります。
時間もないようでありますから、最後に、私はかようなこの法律案がです、今むちやくちやな、いわゆる多数でこれが押切られて、そうして我々が出しましたところの、この最低の望みであるところの野党三派の修正案すらも否決されたのでございます。どうか諸君におかれては、こういつたような公務員の実情を一日も早く救つてです、そうして公務員に食える賃金を与えなければならないということを深くお考え願いたい。私はかような、いわゆるこの食えないような賃金を強行しようというこの反動的な吉田内閣の政策に対しましては、断固反対をせざるを得ないのであります。
又最後に、只今一緒に上程されておりますところの、この特別職の給与にいたしましても、又保安庁職員の給与にいたしましても、これに対していろいろ意見を述べたいのでありますが、併し遺憾ながらこれは只今まで委員会におきまして質疑も一回もせず、討論もせず、何もせずにここへ多数の暴力によつて運ばれて参つたのであります。従つて私は、これに対して詳細なるところの反対意見を述べるようなものも何ら持つておりません。併しながらいずれにしても、かかる一体国会ができて初めてですよ、かようないわゆる暴挙によつて推し進められるところのこの二つの法律案に対しましても、ともに断固として反対するものであります。
以上反対の理由を述べまして、私のなにとして終りたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/122
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123・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 千葉信君。
〔千葉信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/123
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124・千葉信
○千葉信君 私は日本社会党第四控室を代表して、只今上程されておりまする三法案並びに修正案に反対し、特に一般職の職員の給与の法案に対しましては、八月一日、人事院より勧告されましたる勧告案の実施を強く主張するものであります。
反対いたしまする理由の第一は、基本的権利を主張することの限界に制限を加え、同時にその代償としてその保護機関、利益を擁護する機構の設置によつてその償いとする考え方に立つたものが人事院の勧告であり、勧告自体は、仲裁裁定等よりもその権威と比重において、より以上に使用者を拘束するものでなければなりません。そうでない場合は、この立法自体は、非民主的な立法に堕するほかはないということになるのであります。この観点からすれば、口に人事院勧告を尊重したと強弁しながら、事実は、その実質的な内容である給与水準の抹殺をあえてしながら、而もなお尊重したと言い切る政府の態度は、誠に非民主的と言わなければなりません。
反対する第二の理由は、今問題となりました超過勤務手当の支給につき、この法律案では各省庁の管理職に対して、その支給を取上げて、これに代つて特別調整額を支給することにしたその方針の不可解なことであります。元来、超過勤務手当は、給与法第十六条において、正規の勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた職員の勤務に対して支給する給与であります。管理職にある者が、例えば各省庁の長、局長、部長、謀長が、命令によつて超過勤務をしたということはあり得ないし、又あるはずもありません。事実も又その通りであります。然るに本法案によりますれば、これら管理職にある者に対して、下級職員に対する給与率一三%程度をそのままに特別調整領として、局長、部長、課長等に毎月支給せんとする方針は、我々の到底納得し得ざるところであります。(拍手)而もその方針たるや、何らの補足的な財源措置も講ずることなく行われようとしているのでありまするから、たださえ原資の不足を理由に、絶えず不利益に扱われた下級職員に対して、より以上不利益、不公平な状態になることは火を見るより明らかであります。
第三の反対理由は、政府は、人事院勧告と政府案の較差に対して、減税措置による手取金額を理由として、減額措置を正当付けようとしております。併し減税の恩恵が、常に公務員だけに対するものではないという事実、人事院の勧告が民間給与へのさや寄せを一つの目標としている事実からすれば、減税措置を理由として公務員給与の減額を行うということは、減税そのものの趣旨にも反するのみではなく、ひとり公務員に対して片手落なる不利益を押付ける措置であつて、単なる言い逃れに過ぎないことは論を待ちません。
言い逃れと言えば、次の事柄もこれに反対する第四の理由でありますが、政府は今回も又人事院の勧告する最高最低の倍率をごまかすために、一号俸から八号俸まで百円くらいの増額を行なつております。その結果として上下の倍率だけは成るほど人事院案よりも下廻る結果になつております。併し実際は、政府のこの措置によつて有利になる公務員は全体の約六十分の一、一万四千八十人だけでありまして、その他の公務員はことごとく、人事院の勧告よりは不利益になつております。而も政府はこの一号俸から八号俸までの公務員諸君の標準生計費は、このやり方で確保できたと言うけれども、政府は標準生計費なるものが単に独身者だけと心得ておるらしいのであります。事実は、標準生計費なるものは独身者あり、二人世帯あり、三人世帯あり、一人世帯の生計費は、成るほど、米、ガス、運賃の値上りを計算しても、四千七百九十円である。併し二人世帯は八千七百六十二円、これに対して、政府案は八千円だけしか支給しないというのであります。五人家族ではもつとひどくなります。標準生計費は一万四千七十一円、これに対する政府案は、たつた一万三千百円であります。標準生計費を確保したとごまかしても、それは独身者だけでありまして、家族を有する公務員の標準生計費を認めない政府のやり方は、模範的雇傭者としてとるべき態度であるか否かは、政府自身反省の余地があるはずであります。(拍手)
これを要するに、今次給与の改訂は、在来の政府の方針通り、むしろますます反動的性格を露骨にし、而もこの措置は夥しい財源を翌年度に繰越して、防衛分担金、軍備拡充費に充当せざるを得ない自由党内閣の本来の売国的政策の現われであり、(拍手)民間を含む給与の釘付けを強行し、従つて又国民生活の水準引上を拒否し、あらゆる民需を抑えて、回復せる総合生産力を挙げて軍需と重工業生産に切り換え、鉄砲を造り、飛行機を作り、弾薬を作り又自立経済達成を呼号して、低賃金による輸出ダンピングをあえてせんとし、再び国際的憎まれつ子に転落することを意としない反動国家への過程の一つとして、ここにこの公務員に対する給与のあくどい政府原案となつて現われたことを指摘し、我々は断乎として、飽くまでもこれに反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/124
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125・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 紅露みつ君。
〔紅露みつ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/125
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126・紅露みつ
○紅露みつ君 私は改進党を代表いたしまして、只今上程されております三法案について反対をいたしますが、そのうち一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、簡単にその理由を申述べたいと存じます。
御承知のように国家公務員の給与ペースにつきましては、昨年十一月末日に人事院勧告より相当下廻る改訂が行われましたまますでに一年以上を経過いたしております。その間、生計費の値上り、電気、ガス等、その他の物価の値上り、又民間賃金の上昇にもかかわらず、公務員の給与は釘付けにせられたまま、今日に至つておるのであります。憲法で保障されました団体交渉の権利さえ制限せられた公務員は、本年八月に行われました人事院の勧告を唯一の頼みとして、その実現を一日千秋の思いで待つておるのでありまするが、政府は今回も又この人事院の勧告を相当不廻る本案を提出されたのであります。我が党の考え方といたしましては、公務員に相当の給与を支給しまして、国家のために公正な行政を行わせようという建前から、公式な機関である人事院の勧告を尊重して参つたのであります。然るに本改正案は、以上のことく支給の額におきましても、支給の期日におきましても、人事院の勧告は尊重せられておりません。
私どもは、委員会におきまして、修正案を提出いたしたのでありまするが、遺憾ながら敗れましたので、原案に反対せざるを得ない次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/126
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127・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 須藤五郎君。
〔須藤五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/127
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128・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、只今提案された一般職の職員の給与に関する法律の一部改正案並びに他の二案に対し、日本共産党を代表して反対するものであります。
その理由は第一に、この改正案は、吉田自由党政府がアメリカ帝国主義者の日本再軍備の要請に応えた低賃金政策であるからであります。官公庁の労働者は、生きるための最低賃金として十八歳、九千九百七十円の要求を出しております。下級職員の生活は、極度に窮迫を告げ健康すら破壊されておる。多くの官庁では、胸部疾患の患者が一割を超え、この参議院の職員でさえも、百数十名の患者があるのであります。東京大学の職員の中には、僅か二千円の借金のため自殺をした者すらあります。官庁に働く青年は、結婚期を過ぎても住む部屋もなく結婚できない状態であります。人事院勧告の成年男子の基準給は二級三号であるが、これが東京では五千八百七十五円になります。その内容は、一日の食費として八十七円が計上せられておりますが、これで果して食べて行かれるかどうか。住居は僅かに月四百八十円に過ぎません。政府の改正案もほぼ同様の金額であります。官公庁の労働者は、未使用の再軍備費、即ち安全保障費、防衛分担金、保安隊費、その他合せて五千億に上る再軍備費から賃上げの財源を廻せ、平和と独立と生活とを破壊する再軍備はするなとの要求を出しております。これこそが正当な要求であります。然るに政府は、これら再軍備予算は全く残しておいて、今度の改正案の財源は税金の自然増収の中から、僅かに百二十八億の補正しかしていないのであります。地方公務員を含めても二百五十億を超えない。而も所得税の改正期日を来年の一月以降にずらしたため、十一月、十二月の二カ月で百億の所得税を余分に捲き上げ、実質的な賃上費として出されておるのは、たかだか百五十億に過ぎないのであります。その上主食、運賃、ガス、水道等の値上を行ない物価を吊り上げておる。これはまさしく労働者の要求に押された政府のごまかし賃上であり、下級職員にとつては、実質賃金の引下であります。かくのごとき官公庁の労働者の低賃金政策は単なる官公庁労働者の軍需労働への徴用化のみではなく、民間産業の賃金を縛り、失業者の増大と相待つて、日本の軍事化及び日本国民をアメリカの侵略政策のための肉弾とするのが真の狙いであります。
第二に、この改正案は上厚下薄の職階制賃金をますます強化し、官庁の支配体制を軍隊化しつつあります。値上率は公務員の数の最も多い五級職では一五・四%、金額にして一千円足らずであるのに、最高の次官は三八%、一万九千円も値上をしておる。更に特別職の最高は三万円も殖やしておる。このため上下の賃金の格差は現行給与の十三倍から十六倍に開き、特別職の最高との格差は二十五倍にもなつております。これを職階制の本家のアメリカにおける公務員の上下格差六・四倍と対比すれば、日本の職階制が如何に植民地的な苛酷なものであるかを示しております。而もこの大臣、次官、高級官僚は、このようなお手盛り増額をやりながら、下級労働者の賃上や、職場の民主化闘争を抑えており、そればかりか、官公庁労働者の賃上闘争を孤立化させるために、税で苦しんでいる農民や中小企業者に、諸君の苦しいのは公務員が賃上をするからだと、陰に陽に扇動する張本人であります。実に汚ないではありませんか。
第三に、この改正案は職制に弾圧奨励費を与え、労働者の賃金は能率給化し、官庁の支配機構をますますフアッシヨ化しておるのであります。即ち人事院の勧告案による職制の賃金値上額の高過ぎることが、労働者階級の大きな非難を受けるや、政府及び高級官僚は、勧告案よりも基本給の値上率を引下げましたが、管理職、監督職という、職制には従来なかつた特別調整額を基本給の二五%以内で支給する二とにし、勧告案を上廻る上下の格差を付けたのであります。すでに各官庁の課長以上には一二%の特別手当を出すことが計画されております。彼らの特別手当支給理由として、超勤手当に代るものだと言つておりますが、実際に超勤をするのは、職制でなく下級職員であります。然るに下級職員は超勤予算で縛られ、実働時間の三割くらいしか支給されていない。某官庁では、超勤予算は一カ月一人十七時間乃至十八時間しか組まれていない。而もこの職場では、実際一カ月七十時間の超勤をやつておるのであります。これら下級職は只働きさせ、職制には特別手当を出すことこそ、日本官庁のフアッシヨ的な真の姿であります。又政府は、官庁労働者の年末手当要求をごまかすために、年末に〇・五カ月の勤勉手当を出すごとにした。これは最低生活も維持できない労働者に対し、職制の判断による勤務成績に応じて支給することによつて、職制の権力をますます強化し、労働組合の運動を弾圧し、労働者同志を分裂させて支配するフアッシヨ体制をますく強化しようとしているのであります。
以上述べたところにより明らかなごとく、この改正案の示す賃金政策は、吉田政府が、アメリカ帝国主議者の侵略政策に協力して日本の軍国主義を復活し、官庁機構をフアツシヨ化し、臣茂の指導の下、官僚機構を挙げて国民支配の道具に供せんとするものであります。併し日本の官庁労働者は、現在最低賃金九千九百七十円の要求で闘つており、更に日本の労働者階級は、平和と独立と生活安定とのために、炭労、電産を中心として歴史的な大闘争を闘いました。この闘いは、アメリカ帝国主義者と吉田内閣に深刻な動揺を与え、又全労働者階級に勝利の確信をもたらし、労働者がみずからを解放するため、働らく農民、一般市民と堅く手を握り合い、その革命的闘争力をますます発展させて行く方向を示しました。(「嘘を言え」と呼ぶ者あり)
今や最低賃金八千円と職階制打倒の闘いは、全日本の労働者の要求になつている。この労働者の要求は、両条約と行政協定を全国民の反対を無視して押し進め日本の再軍備を図つているところの吉田内閣の下では到底実現することはできない。この労働者の要請に応え得るのは、まさしく民族解放民主政権のみであります。
我が党はかかる見地に立つて、この一般職の職員の給与に関する法律の一部改正案に断固反対し、この労働者階級の要求実現のため吉田内閣打倒を目指し闘いを進めるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/128
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129・三木治朗
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
先ず一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/129
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130・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は、委員会修正通り議決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/130
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131・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、保安庁職員給与法の一部を改正する法律案、風上両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/131
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132・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/132
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133・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書
昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)可決報告書
昭和二十七年度特別会計予算補正(特第一号)可決報告書
昭和二十七年度政府関係機関予算補正(機第一号)可決報告書(三木治朗君)
この際日程に追加して国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/133
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134・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事加藤武徳君。
〔加藤武徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/134
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135・加藤武徳
○加藤武徳君 只今議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
本法律案は、一般職及び特別職の職員の給与の改訂に伴い、国会議員及びその秘書に支給する歳費及び給料を改訂すると共に、期末手当及び勤勉手当の制度を設けるため、衆議院から提出されたものであります。本案の主な内容を申上げますると、国会議員の歳費については、議長は現行月額八万円を十一万円に、副議長は同じく六万四千円を八万八千円に、議員は同じく五万七千円を七万八千円に、又これらの秘書の給料については現行月額一万五千円を一万九千二百円に、それぞれ本年十一月一日に遡つて増額すると共に、国会議員及びその秘書に対しては一定の期間につき、その在職期間に応じて期末手当を支給することとし、又秘書に対しては別に一定の期間につき、その在職期間に応じて勤勉手当を支給しようとするものであります。
本委員会といたしましては、先に本院関係の予算補正の要求に当り、右の内容について検討いたし、一応これを承認したのでありますが、今回法律案として提出されるに及び改めて審査いたしました結果、多数を以て原案通り可決すべきものと議決いたしました。
簡単でありますが、以上をもちまして御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/135
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136・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/136
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137・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/137
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138・三木治朗
○副議長(三木治朗君) この際日程に追加して、昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)、
昭和二十七年度特別会計予算補正(特第一号)、
昭和二十七年度政府関係機関予算補正(機第一号)、
以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/138
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139・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長岩沢忠恭君。
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〔岩沢忠恭君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/139
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140・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 只今議題となりました昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)、同特別会計予算補正(特第一号)及び同政府関係機関予算補正(機第一号)につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
先ず順序といたしまして右予算補正の内容を簡単に申上げます。昭和二十七年度一般会計予算は、今回の補正によりまして、当初予算に対し歳入歳出とも約七百九十八億円を増額いたしまして、その総額は約九千三百二十五億円となります。而して補正する主なる内容は大体次の通りであります。
先ず歳出におきましては、第一に公務員給与改善費でありますが、これは先般の人事院の勧告の趣旨を尊重しつつ、一方財源の関係等をも考慮の上、本年十一月から二割程度を引上げ、又今回更に勤勉手当として〇・五カ月分を追加計上することとし、これらの給与改訂のための経費として約百二十八億円、第二は、地方財政平衡交付金の増額でありますが、今回の国家公務員の給与改善と関連して地方公務員の給与についても改訂を行う必要があること等を考慮して、この際地方財政平衡交付金を二百億円増額すると共に、地方起債の限度につきましても、地方財政の現状に鑑み百二十億円の増額を予定しております。なお入場税等の地方税の減税は、明年二月から実施する予定になつております。第三は、米価の引上げに伴う措置のためのものでありますが、米の生産者価格は先般、石当り七千五百円に決定を見、一方消費者価格につきましては、内地米現行十キロ当り六百二十円を六百八十円に引上げ、これを明年一月より実施する関係から、米の生産者価格と消費者価格引上の時期が異なること等による食糧管理特別会計の赤字を補填するため百十五億円を一般会計から同特別会計に繰入れること。又輸入食糧につきましては、輸入価格の値上り等のため、輸入食糧補給金を百十億円増額することになつております。第四は、経済力の充実と国民生活の向上を図るための財政投資でありまして、中小企業、農林漁業及び住宅等に対する資金の供給を増加するための投資九十億円、他面資金運用部資金の活用により産業資金の確保を図つたのであります。第五は、公共事業費の増額に伴うものでありまして、災害対策費として三十五億円、一般公共事業費として十六億円、合計五十一億円の追加計上となつております。右のほか水防対策費、農業保険費、失業保険費、老齢旧軍人等特別給与費及び雑件としてそれぞれ追加計上すると共に、他方既定経費の節約等により三十五億余万円を差引きまして、一般会計の追加額は約七百九十八億円となつております。
以上は、一般会計予算補正中歳出に関する内容の概略でありますが、歳入につきましてその大体を申し上げます。
歳入の主なるものは、租税の自然増収でありまして、当初予算におきましては、租税収入を六千三百八十一億円と見込んでおりましたるところ、主として源泉徴収所得税及び消費税の増収により、申告所得税の自然減収二百三十三億円あるにもかかわらず、当初の見積りに比し総額七百一億円に達する増加が見込まれ、このほか専売益金その他の増収を加えますと、歳入は千二十八億円の増加となるのであります。ごれにより先に述べましだ歳出の増加に充てると共に、租税負担の軽減を実施するごとになつたのであります。即ち税制の一般的改正は昭和二十八年度において実施することとし、差当り所得税について、本年一月以降の所得について新たに社会保険料の控除を認めると共に、明年一月からの給与所得及び退職所得に対する源泉徴収について基礎控除額、扶養控除額等の引上げ、低額所得に対する税率の引下げ等の改正を行い、その負担の軽減を図るため、本年度における減税額は約二百三十億円となります。一般会計予算補正の歳入、歳出は大体以上のことくでありますが、次に特別会計の分について申上げます。
今回の補正は、職員給与改訂費、旅費、物件費の節約等を含む関係で、三十四の特別会計のうち二十八について行われたのでありますが、各特別会計補正の合計は、歳入において三百十三億円、歳出において三百十八億円をそれぞれ増加いたしますため、二十七年度予算総額は歳入一兆三千百二億円、歳出一兆二千五百五十四億円となります。而して右補正のうち特に重要なものを申上げますれば、例えば食糧管理特別会計でありますが、先に一般会計予算補正の項において申上げましたように、この会計の収支の不足を補填するため百十四億六千万円を一般会計から繰入れ、輸入食糧価格調整補給金を百十億円増額したほか、食糧証券の年度末発行高を従来に比し二百三十億円増額して千四百七十億円としております。又今回新設を見ました中小漁業融資保証保険特別会計においては、中小漁業者のために操業資金の金融の円滑を図るため、漁業者並びに各都道府県の出資によつて、各都道府県ごとに中小漁業信用基金を設立し、債務保証の業務を行うこととし、国はこの基金の活動を促進するために保証債務につき七〇%を限度として再保険せんとするものでありまして、これに要する五億円を一般会計から出資するこことしておるのであります。なお、外国為替資金特別会計におきましては、外国為替資金の資金不足を補うため、借入金又は融通証券の限度を当初の千億円から二千億円に拡張いたしております。
右は特別会計予算補正の大要でありますが、次に政府関係機関について申上げます。
今回の補正は、日本専売公社、日本国有鉄道、国民金融公庫、住宅金融公庫、日本開発銀行及び日本電信電話公社に関するもので、そのうち日本電信電話公社は二十七年八月電気通信事業特別会計の事業を引継いで新たに設立されたものであります。而してこれら政府関係機関予算補正の合計は、収入四百六十三億円、支出三百六十五億円で、これを当初予算に加えた総額は収入五千六百八十一億円、支出四千三百六十一億円となります。右のうち専売公社においては、たばこの売行増加に伴う収益増によつて納付金百億円が計上され、日本国有鉄道においては十一月より給与改訂実施、石炭電力値上及び輸送量増加等のため百四十三億円の支出増加が見込まれるに反し、収入においては、七十一億円の増加が見込まれるに過ぎないため、本年度において収支均衡を図ることを目標として、旅客及び貨物の運賃をそれぞれ平均一〇%の引上を、旅客運賃は明年一月一日、貨物運賃は同二月一日から実施することになつております。又国民金融公庫及び住宅金融公庫においては、中小企業金融資金財源補充のため及び住宅建設資金融資のため、それぞれ一般会計からの出資額及び資金運用部からの借入金を増加し、最後に開発銀行は、見返資金特別会計からの私企業に対する貸付にかかる債権中、電力事業、海運業及び中小企業に対する債権の承継に伴う措置を根幹として、原資及び運用の部において改訂が行われ、それぞれ三百十一億円の増加となつております。
以上が、昭和二十七年度一般会計、同特別会計及び同政府関係機関予算補正に関する案の内容の大要であります。
さてこれら各案の審議に当りましては、十一月二十四日、予備審査に付せられまして以来、最初に予算補正に計上せられました重要事項につき、各省関係政府委員より説明を聴取の上、これに対する質疑を行い、又十二月八日には公聴会を開会して民間各界の代表より意見を聴いて参考に資し、更に十二月九日より十二日までの四日間に亘つて、各省別小委員会を設置して、つぶさに検討を加え、一段と審議を深め、次いで十二月十六日、衆議院より送付せられて以降の本審査におきましては、総理大臣以下関係各大臣に対し、主として政策上の観点より、重要事項各般に亘つて政府の所信を質し、以て審議の万全を期したのであります。以下、本委員会において取上げられました主要問題のうち、特にその要点を申上げれば、次の通りであります。
先ず質疑に入るに先立ち、衆議院より送付された原案に附帯決議が添付せられておることに関し、その内容、措置要領等につき質したるところ、政府側より、「本件はでき得る限り決議の趣旨を尊重する意図を以て目下検討中であるが、二十日までにはそれを具体的に説明し得る」との言明を得、これより日本経済の現状の認識、貿易、外資導入、中小企業対策、地方財政、文教政策、治安、外交及び二十八年度予算の構想等、政府の施政方針として今期国会において内外に宣明せられました基本施策の各般につき、吉田内閣総理大臣を中心に総括的に、各委員より熱心に且つ活発な質疑が行われました。これら各項について政府側の答弁により明らかにせられましたものを若干述べますれば、先ず日本経済の現状は、一般に停滞傾向であつてこの傾向は、今後もなお持続すべく、その主要原因は貿易の不振である。特需の減少傾向は、本年度には回復の見込なかるべく、又投資活動は造船及び電源開発部門を除けばおおむれ低調であろう。
〔副議長退席、議長着席〕
又物価の動向も、大体現在の水準を以て推移するものと認められるとの二とであります。
次に貿易について、その不振は世界共通の現象であつて、これが打開には相当の困難が予想されるところであるが、政府は、世界各国と協調して貿易の拡大を図ると共に、特に東南アジア諸国との経済提携の積極的推進、中共貿易に対するバトル法の限度までの範囲拡張の交渉等によつて、これが打開に懸命の努力を傾けている。又外資導については、政治借款でなく米国の民間資本の積極的投資を期待すること。中小企業対策としては、単に金融面や租税の面のみでなく、中小企業自体の存立条件を吟味し、その改善を図るため、九千の工場、三万の商店を診断し、その結果を待つて対策を練つておるとのことであります。又地方財政に関しては、平衡交付金につき毎年問題を起すのであるが、これは地方財政制度の不備に起因するものと認め、地方制度調査会を設けてこれが改善策を検討中であること。又文教政策については、老朽校舎の改善のため明年度においてできるだけ改築を促進整理する意向であり、義務教育費の全額国庫負担は理想ではあるが、一挙にでなく、明年度に半額を負担するというふうに、漸次理想に近づけて行きたい、又道義の高揚については、青少年の教養指導に関し積極的施策をとるとのことであります。次に治安関係につきましては、政府としては、再軍備は従来の方針通りこれをなさず、現行の保安庁機構を以て治安の任を果したい。而して又隊員の員数は、只今のところ増加する意向を持たず、むしろ量よりも質の向上を期待している。又外交上の問題中、太平洋防衛同盟加入等の件につきましては、軍備を条件とするごとき場合には参加しない。又アイゼンハワー米国次期政権と関連し、我が国が朝鮮に出兵せしめらるるやの議論が世上一部にありますが、我が政府としては、かかる要請に接してもいず、仮に要請せもれても、保安隊を朝鮮に出すようなことは絶対にないとの言明がなされました。
最後に、二十七年度予算補正に関連し、二十八年度予算構想の大要について言えば、軍人恩給、賠償、食糧増産計画に伴う経費等新規の費目も予想せられ、その予算規模一兆近くにならんとする状況に鑑み、財政事情と睨み合せ、できるだけ圧縮に努めるつもりである。さればと言つて徒らに消極的に走る意味でなく、重要産業を中心とする生産増強を第一とし、公共事業、治山治水にも、財政の許す限り考慮を払う意図を以て、目下計数上に検討を加えている。その生産増強に際しては、生産公債又は貯蓄公債発行のごとき方法によらず、これが財源として蓄積された財政資金の取り崩し等を考慮の上、基幹産業たる電源開発、造船、石炭、鉄鋼等の部門て対する財政投資と並んで、新らしい技術の導入、租税措置等を講じ、而も当面の経済不況をも勘案して、有効需要の減退を来たさぬよう十分配慮して行きたい。かかる方針の下に編成完了の上、明年一月中には国会に提出し得る運びとなろうとの言明がありました。以上のほか、米価、食糧増産対策、李承晩ライン、防衛水域、炭労、電産の二大スト、公務員給与改訂、国民生活水準の引上等、各般に亘つて総糖的質疑応答が交わされたのであります。
次いで各省大臣に対し、それぞれ専門的な角度から重要諸問題に関する熱心な討議がなされたのでありますが、なかんずく資本蓄積の方法、貿易不振対策及び商社救済の問題、国民健康保険の強化育成、消費者米価引上に基く困窮者の生活保護費単価引上予算措置等については、政府より次のように明らかにせられました。
即ち民間資本蓄積の方法としては、法人税の引下等の要望もあるが、これけ歳入減の影響もあるので、明年度はこれを取上げない。むしろ第三次固定資産再評価の実施、特別償却の拡大等の措置によるを適当と考えている。なお、貿易振興については、先にも触れたところであるが、政府は近く通産省内に貿易審議会のごとき強力な政策促進機関を設けること。金利及び外国為替手数料の大幅引下に努力すること。独禁法の改正については具体的に準備を進めていることが明らかにされました。更に貿易商社苦況の問題については、商社独自の投機的思惑によるもの、或いは政府の示唆に基く見越輸入によるもの等、その事情内容を異にしているので、一概に救済の手を差し伸べることは適当でない。又、造船用及びプラント用鋼材に補給金を出してはとの意向もあるが、政府としては、これについて慎重に研突している。国民健康保険の強化育成については、受診率は次第に向上しているが、料金の収納率が悪い。併し国民医療はこれを軽視することができないので、二十八年度の予算には、一歩を進め医療給付費の一部国庫負担につき善処したい。次に消費者米価の引上に伴う生活保護費増額問題については、当初予算成立後の事情は予定の支出を要せざりしため、本年度においては既定予算を以て十分支弁し得るにより、増加補正措置を行わないとのことでありました。
なおこの際、本委員会において審議いたしました諸事項のうち、特に御報告申上げたいことは、先ほどもちよつと触れておきましたように、衆議院における附帯決議の内容及びその措置に関するものであります。本件は本月二十日、大蔵大臣より説明がありましたが、それを中心に、委員会は一段と活況を呈し、審議が深くなされましたが、その結果、附帯決議のうち最も重要視せられました公務員給与の改善につきましては、公共企業体職員の年末手当を〇・二五カ月分を増加し、一般公務員との実質的均衡を図るのに必要な措置がなされた以外、一般公務員については、第四四半期に残されている超過勤務手当を年末に繰上支給するというにとどまり、年末手当の金額としては提出予算額以上増加されないことが判明し、又地方財政の健全化につきましては、個々の地方団体の事情によつては、資金運用部資金の短期融資額を八十億円くらいにすること。なお情勢の推移とも睨み合せ、要すれば地方債公募額の枠を百億円まで認める考えであること等がはつきりいたしたのであります。
さて本委員会といたしましては、衆議院附帯決議に関する政府の措置要領の処理について、小委員会を設置して討議検討をなしたのでありますが、右小委員会で決定せられました決議案は次の通りであります。
公務員等の給与改善に関する決議案
今回の補正予算に見る公務員等の給与の改善について、政府の方針は不十分不明確であるから左の事項を誠意を以て実行すべきである。
記
(一)般公務員(教職員を含む)については、本年末においておおむね月給与の〇・二五分を目途として、実質上の増額支給をなすよう措置すると共に今後一層公務員の給与改善につき人事院勧告の趣旨を尊重し、これが実現を図るよう措置すること。
(二)公共企業体職員給与に関しては、公労法に基く仲裁又は調停の趣旨を尊重し、その特性に応じて適切な給与をなし得るよう措置すること。
(三)地方公務員(教職員を含む)本年末給与については、一般公務員に準ずる措置を講ずること。
(四)前項に関連し予算措置を伴う短期融資の途を講ずること。
右決議する。
右小委員長の報告による決議案につき、採決の結果、多数を以て採択すべきものと決定いたしました。
右に対し大蔵大臣より発言を求められ、次のような言明がありました。「政府といたしましては、只今の決議の御趣旨もあり、この年末に際し公務員の給与の改善につきましては、現行の法令及び予算の許す範囲において措置をいたす所存であります。」
以上は本委員会における補正予算各案に関する審議の大要でありますが、その詳細につきましてはこれを速記録に譲りたいと存じます。
かくて質疑を終局し、討論に入るに当りまして、左、右社会党及び改進党の三派による一般会計予算補正修正案が提出せられました。その内容は、第一に、給与について人事院勧告ベースを八月に遡つて実施すること。次に米の買上価格の引上並びに二重価格制を実施すること。地方公務員の給与を改善し、地方財政の窮乏を救うため、地方財政平衡交付金及び起債枠を増額すること並びに中小企業に対する融資を増額すること等を中心として、総額において政府案より三百四十四億円の支出を増加しようとするものでありまして、その財源といたしましては、前年度剰余金の受入れ、給与改善による租税の自然増収、安全保障諸費、外国為替資金補足額の削減等をこれに充当するほか、なお且つ政府案に比べて三十六億円多額に減税を行おうとするものであります。次いで特別会計予算補正及び政府関係機関予算補正につきまして、これを撤回して、速かに組替えをなし、再提出すべきことの動議が同じく改進党並びに左、右社会党から提出せられました。右修正案並びに撤回の動議は、討論の後、採決の結果、いずれも否決せられました。
それから政府案に対する討論が行われたのでありますが、先ず山下委員から、日本社会党第二控室を代表して反対、左藤委員から、自由党を代表して賛成、岡田委員から、日本社会党第四控室を代表して反対、森委員から、緑風会を代表して賛成、堀木委員から、改進党を代表して反対、駒井委員から民主クラブを代表して賛成、千田委員から、第一クラブを代表して反対、木村委員から、労働者農民党を代表して反対、岩間委員から、日本共産党を代表して反対の旨を述べられました。
よつて討論を終局し、採決の結果、本委員会に付託せられました昭和二十七年度予算補正三案は、多数を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。
以上御報告を申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/140
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141・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)に対し、永井純一郎君外七十四名から修正案が提出されております。
この際、修正案の趣旨説明を求めます。永井純一郎君。
〔永井純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/141
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142・永井純一郎
○永井純一郎君 私は、只今議題となりました改進党並びに日本社会党両派の共同提案になりますところの、昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)に対する修正案の趣旨を弁明いたします。
修正案の骨子の数字は、歳入におきまして一千六百三十二億五千余万円、歳出におきましては一千六百三十四億二千余万円をそれぞれ追加計上いたしますと共に、歳入の面において四百五十五億円、歳出の面におきまして四百五十六億六千余万円を新たに削減いたすものであります。で、私どもがこの修正をなすに当りましては、これが補正予算でありまするため、これを組替えて私どもの意を十分に尽すというわけには勿論参らないのでありまするが、ここに一応私どもがこの修正をなさんとする理由の主なるものを挙げて申上げますと、一つには、目下喫緊の要務であると私どもが考えまするところの、農民と勤労者と中小企業者の生活、経済の安定に資することを目途といたすものでありまするし、二つには、超黒字の国家財政と火の車の赤字でありまするところの地方財政との極端な不均衡を是正するという点が二つであります。その第三点には、極端に政府によつて圧縮され、無視されておりまするところの社会保障に関する経費を充実いたしまして、差迫つた生活困窮者や、現在危機に瀕しておる国民医療施設の救済等に資せんとするものであります。このような観点から、本修正案を提出いたした次第でございますが、以下、なお修正の要点を簡単に説明を申上げます。
その第一に、国家並びに地方公務員の給与改善に要する費用の増額であります。政府原案によりますというと、給与の改訂につきましては一律に二割を引上げることといたしましたが、私どもは今日の物価水準、殊に生計費の現状に鑑みまして、人事院勧告を完全に実施することが必要であると認め、これを予算に計上いたすことといたしたのであります。併し実施の時期に関しましては、公務員諸君から五月より実施してもらいたいとの御熱心なる要望がありましたが、かれこれ勘案し、財源の点とも睨み合せまして、可能な限り遡及することといたしまして、八月より実施することといたしました。なお勤勉手当は、期末手当とすることに改め一カ月分を支給することにいたしたのであります。これに要する経費は三百五十五億円でありまして、政府原案に比べまして約百二十億円余の純増となると考えます。第二に修正をいたしましたのは、米価に関する措置であります。米の買上価格を、石当り八千五百円に引上げ、消費者価格は据置こうとするものであります。このために食糧管理費を三百八十五億円に増額するものでありまして、このために政府原案に比べまして約二百七十億円余の純増となると考えます。今日、農村の現状が極めて困難なる立場におかれ、而も一方我が国の自立経済を達成する上に食糧増産が現下の誠に喫緊なる要務といたされまするときにおきまして、農家における米の生産費を償うに足る米価をきめることは最も肝要なことであると考えるのでございまするが、補正予算でありまする関係上から、これらの点が根本的に十分に尽せない点を遺憾といたしまするが、一応この程度の措置をここでいたしたのであります。
次に、地方財政平衡交付金並びに地方起債額の増額であります。今日地方財政の窮乏はその極に達していることは、諸君の御承知の通りでございます。これが緩和を図ることは、一日もゆるがせにすることのできない要点であると考えます。而も今回の給与改善に要する費用によつて、地方財政の負担は一層多くなりまして、我々といたしましては新たに地方公務員の給与を引上げ、不当なる給与の切下げの復活、僻地手当、改訂地域給分を含む公務員の給与に対する地方平衡交付金増額を図りますと共に、窮乏せる地方の財政を救済しなければならないという意味において、五百五十億円余を新たに平衡交付金といたしまして交付することといたしたのであります。従つて、政府原案に対しましては三百五十一億円ぐらいの増加と相成るのでございます。なお地方起債の総額は二百四十億円といたすことにいたしました。
次は中小企業対策についてであります。中小企業の重要性につきましては今更申上げる必要もないと考えまするとともに、先般特に本院におきましても、自由党の与党を含めまして、その対策につき特に決議がなされたことは、諸君の御承知のところでありまするが、この歳末を控えまして金融難にあえぎ、租税の重圧に苦んでおる中小企業に対して具体的な対策を講ずることは、最も必要なことであろうと考えます。然るに政府のこの点に対する施策は、常に御承知のことく消極的であり、冷淡であつたのでありまして、我々といたしましては、中小企業救済のために国民金融公庫の出資金を八十億円に増額いたし、別に農林漁業金融資金、中小企業金融資金、中小漁業金融資金、住宅金融公庫出資等のものは、一般会計よりこれを資金運用部に移しまして、資金運用部より百十億円の融資をしようと改めたのであります。
第五番目に、公共事業費の増額十七億五千万円を計上いたしておりまするが、これは御承知のことく地方における差迫つた問題として、児童の生命にも関係しようとしておりまするところの老朽校舎の復旧費に充てようとするものであります。社会保障費といたしましては、戦争遺家族援護費の十億円、国民健康保険医療費補助額十九億五千万円の計上いたしました。いずれもこれらは今日の国民生活の実情に応じまして必要なる措置を最小限度に計上いたしておるのであります。私どもはもとよりこれを以て満足いだすものではありませんが、補正予算の性質上、この措置にとどめざるを得なかつた点を申上げたいのであります。
次に、歳入の面におきましては、現下の国民経済の現状に鑑み、財政規模の急激なる増大を抑制する建前に立脚いたしまして、不要なる既定経費は極力節約するの措置をとつたのであります。即ち当初予算において外国為替特別会計に繰入れました三百五十億円中、二百五十億円余を一般会計に戻入れすることといたし、更に本委員会を通じ、その他の場合を通じまして、未だ使用するに至つておらず、且つ今後も使用する要なしと認められまする平和回復善後処理費から四十億円、安全保障諸費から百三十五億円をそれぞれ節約するごとといたし、なお旅費、物件費等につきましても、私どもは当初七十一億円ばかりの節約を見込んだのでありまするが、この予算の適用が一月から三月に該当するという関係上、ここで更に七十一億円の節約をすることは、非常に困難を伴うであろうという説がありましたので、二の点を容れまして、政府原案通り三十五億五千万円にとどめたのであります。予算の執行に当りましては、政府当局においては我々の考えておりまする当初の節約額に副うよう、極力節約を実施することを強くここに要望いたしておきたい次第であります。
なお、前年度の剰余金の半額繰入れ、給与改善並びに米価引上に伴う政府資金の撒布による自然増収、専売納付金を二十一億円引上げる等の見込を以ちまして、右支出を賄うことといたしたのであります。
以上が私どもの三派共同修正案の骨子でありまするが、更にここ一点申添えたいと存じますのは、世上往々にいたしまして、この三派共同の修正案に対し、インフレを促進するものなりとの論議があることであります。インフレの防止につきましては、我々はひとしく痛感いたしておるところでございます。私どもは、この予算においてインフレを促進するなどということは毛頭考えておらないのであります。のみならず私どもは、極力インフレを回避せんとの措置をとつておるのであります。この予算を実行いたしましたとしても、断じてインフレになるものではないという確信を強く抱いておることを申上げたいのであります。即ちインフレは撒布されたる資金が不生産的に使用される場合か、或いは放漫に使用される場合等に起るのでありまして、農村の生産費を補償するに足る米価をきめることによつて、食糧の再生産と増産を促し、勤労者の勤労意欲を刺激して、生産と能率の向上を図ろうという措置をとることによつて、断じてインフレの懸念はなきものなりと信ずるのであります。私どもは、インフレを懸念いたしまするが故に、これを本当に心配いたしまするがためにこそ、私どもは不生産的な巨額の既定経費の大幅なる削減をあえていたしたのでありまして、かくのごとく不要不急なるものに対しては大銭を振うことが、インフレ防止のために取るべき態度であると信ずるのであるます。私は若し政府が本当に将来のインフレを防止せんとする熱意を持つならば、政府が当初予算に組んで、今日なお未使用のままで温存されておりまするところの平和回復善後処理費の二百億、保安庁関係の五百億余、安全保障費の五百十五億、防衛費の二百億等、これらの主だつたものを拾つて見ましても、総計一千数百億円に上るのでありまするから、低物価、低賃金に苦しむ農民と労働者、金融難と倒産の一歩手前に困窮する中小企業者や、赤字に悩む地方財政というが、ごとき実態をよそにいたしまして、この遊休しておる資金を一体何に使わんとするのであるか、国民は疑惑の目を以て見ざるを得ないのでありまして、いずれにしましても、これこそ不生産的な、全くインフレの要因を成すものであつて、政府みずからがこそ、この事について善処すべきものであることを指摘せざるを得ないのであります。ここにおきまして、私どもは私どもの案によつてインフレを起すという、かくのごとき世評は、全く当らざるものであり、インフレの危険性は、むしろ政府の原案にこそ内蔵されておることを申上げたいのであります。
以上、私は重要なる諸点について御説明を申上げたのでありまするが、速かに本修正案の通過を見ますよう、諸君の御協力をお願いするものであります。
なお最後に申添えたいのは、本修正案が通過いたしました場合におきましては、新たに加えらるべき項の順位等につきましては委員長に……(「誰か教えてやれよ」と呼ぶ者あり)ここは、只今のところは取消して述べないことといたします。(笑声)なお、特別会計及び政府関係機関の予算に対しましても、一般会計の予算と不可分の関係にありまするので、当然その修正を要するものであることを申添えておきたいのでございます。
以上をもつて私どもの三派修正の案の趣旨の弁明といたす次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/142
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143・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。松永義雄君。…松永義雄君登壇を願います。
〔松永義雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/143
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144・松永義雄
○松永義雄君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、永非純一郎君提案の修正案に賛成し、昭和二十七年度予算補正三案の政府原案に対し反対の意思を表明するものであります。
その理由の第一は、独立後の新らしい財政の方向は、ドツジ・ラインの修正でなければならないのでありまして、このために我々は超均衡財政を均衡財政に置き替え、占領下において歪められた財政の正常化、健全化を目指して予算編成を行わなければならないと思います。今回の補正予算は、第四次吉田内閣の最初の仕事であると同時に、占領の枠が外されました独立後最初の予算編成として国民ひとしく注目しつつあり、物価下落、雇用指数の減退、失業の増大という、このデフレ的国民経済の現状において、国民挙つてその転換を願い、国民生活の安定を期待したのでありますが、然るに二こに見る政府予算には、全くその新らしさはなく、政府の方針と確信は見られないのみならず、前内閣以来の方式を繰返して、国民経済を占領下の歪められた状態そのままに故郷した予算編成を以て行なつているということは、国民に対して危惧の念を与え、不安を増大させるという点にあるのであります。
その反対の第二の理由は、その補正予算編成の基本が、主として勤労所得税等の自然増収七百億円及び専売益金の増等、合計千二十八億円の増収によつている点であります。昭和二十六年度予算においては法人税の自然増収によつて賄つたと申し、このたびの補正予算では主として勤労所得税の自然増収によつて賄うというのであります。併しそのことは時期的に勤労階級の所得増加が、法人その他の高級所得階級の所得増加に一年も遅れて現われ、景気の上昇に伴う所得の増加は、先ず以て資本家側によつて優先獲得せられたことを意味しております。従つて勤労者の所得は、争議権の行使等によつて苦難のうちに僅かながらも物価の値上りに追随し、資本家側に遅れて購買力を漸くにして取得したという点を銘記しなければならないのであります。ところが、このたび所得税法の改正によりまして、勤労所得税の控除額引上その他控除の引上によつて、少額所得階級の減税をするというのでありますが、自然増収の生ずる勤労者の所得がこのように増加しておるのに、これを減税しなければならないということは、今までの勤労者に対する税金が、その所得の割に如何に重過ぎたかということを物語る証左であるのであります。それは従来吉田内閣の一貫した資本家擁護の資本蓄積の方針の結果でありまして、税の上からは大幅の減価償却及び貸倒れ準備金制度等を認めて、法人の減税を図り、法人税を裏から差引き減免する等をあえてして、殊に大法人の資本蓄積を促進したからであります。そのために勤労階級は、その給与において物価の騰貴に対し甚だしく低位に置かれ、生計の困難にかかわらず過大な税金を賦課されたのでありまして、勤労階級の低賃金と、これに対する重課税によつて資本蓄積が行われて来たことを特筆しなければなりません。
第三の反対の理由は、公務員に対する給与の改善が、勤労者の生計の実情から余りに少額であるという点であります。今度の給与改善は、本年十一月から現在一万四百円を平均二割程度の引上げを行うというのであります。併しながら公務員の現在の実質賃金は、戦前一カ月五十二円の給与と見まして、僅かその六割四分に過ぎない貧弱な金額であります。鉱工業生産が戦前の一三〇%余となつたと豪語されても、国民の生活向上には殆んど影響はありません。人事院が生活を護るために絶体に必要な額として八月分から給与一万三千五百円余を勧告したということも当然でありますが、これすらも政府によつて残酷にも取上げられなかつたのであります。公務員は過労のために病に倒れ、或いは転職する者頻頻として生ずるというのも、決して誇張の言辞ではないのであります。これに対して政府は、超過勤務手当すら未払いのままにして置いて、悟然として恥じず、国会の激しい給与引上けの要求に対して、僅かに当然支払わなければならない超勤手当の始末をすると言つて、その場を糊塗しておるというようなことは、誠に言語道断の限りであります。(「元気を出して頑張りなさい」「もつとしつかり」と呼ぶ者あり)又専売公社の場合についても、公共企業体仲裁委員会の裁定による僅か二億六千万円の給与差額すら出し惜しみしておるというのは、明らかに自由主義を強調する吉田政府が、労働者に対してだけは、勤労に対する十分の報酬を認めないという偏頗な自由主義であるということをみずから暴露しているのであります。
その理由の第四は、米の生産者価格、石当り七千五百円という額は、米の再生産に必要な額になつておらない点であります。政府は外国から高い米を買つておりながら、七百円という安い硫安肥料を外国に輸出しておる。これに反して内地米は、非常に安い価格で買上げておきながら、九百円余という高い肥料を売り付けて、政府は肥料大メーカーに対しては手厚い保護を与えて置きながら、農民に対しては甚だしく冷淡な態度をとつているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)第五の理由といたしまして、中小企業に対する保護の熱意が甚だ薄い点であります。政府は物価の下落によりまして、大メーカーに損失を生ずるような虞れがあると、直ちに操短を勧告して、その滞貨に莫大な融資を行うにやぶさかではないにもかかわらず、中小企業、殊に小企業に対しては、倒産するのを眼の前に見ながら、平然として助け手を伸ばさないのであります。中小企業に対する金融の途は殆んど塞がれ、たまたま融通を受けることがあつても、殆んど市中銀行が、歩積み又は両建というようなものを強要して、暴利をむさぼつているのでありますが、その勝手気ままな営業に対しては、何ら取締りの手が下されておらない。又中川小企業は、止むを得ず信用金庫又は国民金融公庫に走り込みましても、その要求の五分の一も満されないというような現状であります。(「迫力が足らんぞ」と呼ぶ者あり)更に思い余つて闇金融に赴けば、債鬼の餌食になつておるような悲惨な状況で、全く無視するに忍びないものがあるのであります。これに反して大企業に対しては、政府蓄積資金の中から、資金運用部を通じて三百六十億円の金融債の引受によつて、大銀行を通じ融資の途が開かれておる。政府は中小企業救済を叫んでおりますけれども、そうした中小企業に極めて手薄い金融をしておるということは、誠に政府のその口の手前、片腹痛い次第でございます。統制が外されて、当然に中小企業の数が増大すべきであるにもかかわらず、紡績界におきましては、新紡であるとか新々紡というようなメーカーが没落して、金融界が、その合併に融資して没落に拍車をかけて、その他四大製粉会社対中小製粉会社の関係等、中小企業の倒産するものは、枚挙にいとまがないのであります。
第六の理由といたしまして、地方財政の窮乏を挙げなければなりませんが、最近大都市偏重の傾向が漸次露骨となつて、大都市への人口の集中、富の集中は極めて顕著なものがあります。国税及び地方税を通じて、地域的に極めて不均衡になつて、都市対農村の対立は、漸次激化せんとして、都道府県の或るものは非常に裕福な財政を持ち、或るものは非常に窮乏しておるといつたような、ますます不平等の渕を深くしつつあるのであります。かくのごとくして終戦後、荒廃したる日本の建直しのために、国民はインフレと窮乏の中に操まれながら、残忍なほどの弱肉強食の競争にさらされて、勤労階級の犠牲と屍の上に、日本の復興が図られて来たのでありますが、今や又吉田内閣は、保安隊及び日米船舶貸借協定による海上警備隊等、明らかに再軍備に踏み込んで国民生活に負担の重課を加えんといたしているのであります。
我々はこのような政府提出の二十七年度予算補正三案に対しては、断固として反対いたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/144
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145・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 郡祐一君。
〔郡祐一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/145
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146・郡祐一
○郡祐一君 私は自由党を代表いたしまして、只今上程されました昭和二十七年度一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の補正案に賛成をいたし、両派社会党並びに改進党三派共同提出の修正案に絶対に反対するものであまりす。
本補正予算案が、国際経済に伍して、実質上にも何ら遜色のない独立国でありたい。又あらしめようとする国民の希望と努力とに応えまするために、極めて慎重な配慮と周到な用意とによつて編成されていることを私は深く多とするものであります。(拍手)今後我が国の経済がいよいよ伸長発展し、国民の所得を充実し、その生活を安定いたさせますためにば、決して外部の偶発的な事態に期待してはなりません。朝鮮事変勃発後の暫らくの期間の我が国経済界の推移を考えてみても明らかなところであります。今日我が国の経済が、すでに相当の回復と安定とを示しましたとは言え、今後における経済界及び国民生活の見通し、租税等の収入の見込については、かなりに厳しくこれを検討して参らなければなりません。政府はこの点特に留意して本補正予算案においては、財政規模を能う限り圧縮し、一般会計予算総額を九千三百二十五億円といたし、国民所得五兆三千二百六十億円に対比いたしまして一七・五%にとどめておるのであります。財政規模が国民所得に対しまして三〇%にも上つた昭和二十一年度は例外といたしましても、昭和二十四年度においてもなお二四・二%であつたのであります。その後大体政府の努力によりまして、一七%の線を維持しておる事実は、何人といえども、政府が如何に熱心に健全財政の方針を堅持しておるかということを高く評価せざるを得ないと信ずるのであります。(拍手)
又国民負担について見ましても、補正予算による減税後は、国税、地方税を通じて一兆一千九十二億円となり、国民所得に対比いたしまして二〇・八%でありまして、昭和二十四年度において二七%の負担をしておりましたものも、順次緩和して参ることができたのであります。而してこの健全財政の線を堅持しつつ国内産業の充実を期し、財政投資等により弾力を加えた経済政策を行おうとする政府の所信が、本国会において明らかにされたのでありまするが、この方針が強力に推進せられんことを切望してやまないのであります。今秋行われました衆議院議員総選挙において自由党をして絶対多数を獲得せしめ、共産党を全滅せしめた国民の総意に対し、政府はその施策において堂々と所信を断行して国民の期待に応えるべきであります。(拍手)本補正予算案は以上のごとき基本的な考え方に基いて真に緊急止むを得ざる経費を計上いたしたものであり、昭和二十八年度予算においては、予期される需要の激増に対処し、新らしい構想を以て処理さるべきことを思い合せ、又国民負担を能う限り軽減することが極めて必要な今日の国情から考えまして政府の態度は極めて適切なものと信ずるのであります。国民、殊に公務員諸君が本補正予算案の一日も速かに成立することを切に期待いたしております現在において、本補正予算案の急速な成立と円滑な実施とを期待することは、若し国民の代表者でありまするならば、野党の諸君といえども、定めし感を同じうせられるところと信ずるの募ります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)然るに三派提出の共同修正案なるものは、歳出の増加を希望するの余り、ただに昭和二十七年度における財政の規模を著しく拡大いたしますのみならず、後年度の財政計画に極めて重大な圧迫を加え、国庫収支の均衡すら破壊せんとするものであります。防衛力について全く反対の立場に立つ社会党と改進党とが、如何に苦しまぎれだとは申せ、かくのごとき修正案を共同して提出いたしましたことは、正気の沙汰とも考えられないのであります。(「自由党が常識をはずれているんだ」と呼ぶ者あり)非武装中立論者たる左派社会党と自衛中立論者ともいうべき改進党とが提携いたしますることは、ただソ連を喜ばせるに過ぎないでありましよう。
修正案は、歳出において給与改善費及び地方財政平衡交付金の増額、米の二重価格制度等、本年度において増額となりまするのみならず、明年度以降において極めて多額の財政負担の増加となるべきものを計上いたしておるのであります。然るに、この歳出に対し、歳入におきましては、一時的な歳入によりまして糊塗しようとするものでありまして、誠に無謀極まるものであります。即ち一つの補正財源として挙げております外国為替特別会計に対する繰入金の戻入れを計画いたしておりますが、これはすでに使用済みのものでありまして、問題にならないのであります。強いて行うといたしますならば、同会計といたしましては、その保有する外貨を日銀に売却する等の方途をとらなければならないのであります。このような場合に、財政資金の撒布超過に著しく拍車をかけることは極めて明瞭であります。又修正案は資金運用部に多くの財政投資を期待しておりますが、資金運用部の本年度の余裕金は二百四十八億円であり、而もそのうち百五十億円は運用部の操作上必要な資金であります。従つて修正案のごとき多額の放出は明年度の計画的遂行を不可能にしてしまうものであります。又財源の一つとして平和回復善後処理費及び安全保障諸費を挙げておりますが、これは政府が繰返し、年度内における使用又は後年度への繰越使用が確定しておると説明しておるものであります。これを財源とする真意の奈辺にあるやを解するに苦しむものであります。(「再軍備反対なんだ」と呼ぶ者あり)
次に、他の財源といたしまして、前年度剰余金の受入を考えております。成るほど二十六年度の剰余金は四百五十五億円ありまするけれども、二十七年度においては二十五年度剰余金のうち二分の一を国債償還に当て、二分の一を一般財源として計上いたしておるのであります。若し二十六年度の剰余金の二分の一を二十七年度の一般財源に当てるといたしまするならば、二十八年度の予算財源としての剰余金はこれを見込み得ないことになるのであります。たとへ財政法上禁止されてはおりませんにしろ、二十五年度分と二十六年度分と二カ年度分の剰余金を二十七年度一年度の財源に充当して使つてしまいますというようなことは、誠に責任を知らざる者の態度だと申さなければなりません。(拍手)三派修正案によりますれば、二十八年度予算は明らかに一兆一千億円を超す厖大なものになつてしまうのであります。個々の歳出につきまして修正案を検討するまでもなく、確たる財政上の裏付なしに、ただ大衆の歓心を買わんとする修正案は、(拍手)国家国民のために葬り去るべきであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)財源には無頓着で歳出を考えることは、誠にたやすいことであります。併しその容易なことを軽卒に行います結果は、明年度予算の編成すら困難にいたし、国庫収支の均衡を全く破壊する結果となるのであります。当面、若干不十分と思われるところがありましても、更に広く考えなければならないことは、あとに尾を曳くような負担を残さないことであります。国民の肩に重荷をかけないことであります。広く民衆の福祉を防衛するために、文明国は皆権威ある上院を設ける。これはうムゼイ・ムーアの言葉でありまするが、参議院の名誉と権威のために、野党諸君の反省を切に求め、且つ修正案に強く反対するものであります。(拍手)
本補正予算の内容のうち、注目すべきものについて一、二所見を申述べ、賛成の意を表するものでありまするが、第一は、公務員給与の改善であります。現行給与体系の決定後の経済事情を見まするに、CPIに率いては殆んど横這いであり、CPSにおいてやや上昇しておる状況から見まして、給与ぺースの二割程度の引上は妥当であり、又年末に、合計して一カ月分の手当の支給をいたし、超過勤務手当の繰上支給を年内に可及的にいたします等は、年末の措置としては適切なものであります。併しながら公務員の生活の実態を見ますると、我々は政府において公務員の給与の改善につき、更に必要な措置を講ずることがより適切な方途だと信ずるのであります。予算案審議中における国会の要皇については、政府は十分これを尊重、努力されたいのであります。思うに、公務員が主権者たる国民への奉仕者であり、而もこのことは他国の立法例にもその類を見ないことでありまするが、国民主権主義を公務員制度において我が憲法は具体的に明言いたしております。然らば公務員について、真に我が国の実情に適しました適切な規範が定められますると共に、公務員の給与についても、今後その能率と成績との向上を期するに足る体系の確立されることを期待するものであります。
次に本補正予算案においては、地方財政の運用を支障なからしめまする見地から、地方財政平衡交付金の増額と地方債の増加をいたし、且つ政府は、自治体の実情に即した資金運用部資金の短期融通等を考慮し、特に地方債の公募額を百億円まで増額することを言明いたしておるのでありまして、今日の国家財政から考えまして、差当つてはごの程度を以て限界といたすのかも知れませんが、併しながら予算審議中において、地方財政の実情は、更に最低限の充実を必要といたしまする一致した要望に対しては、切に政府の善処を望むものであります。今日一万余に及びまする地方自治体について、その実情に応じた財政措置を講じますること、殊に現行の地方制度におきまするように、大きい府県と小さい市町村とを全く同一性格の自治体として存置いたしまするときは、すべてを満足するに足る財源の分配は極めて容易ならぬことであります。併しながら、地方自治体が民主政治実施の基盤であることを考え、地方行財政について、速かに具体的な再編成の方途を講ぜられることを期待するものであります。
歳入におきましては、本年度二百三十億円の減税を行い、平年度においては減税額八百億円に及び、而もこれが主として低額所得者について行われますることは、我が党が公約いたしますることは着々と実施いたす証拠でありまして、(拍手)喜びに堪えないところであります。吉田内閣は第二次組閣以来、今日までに数次の減税を断行し、その累計実に二千七百億円に達しているのでありますが、更に明年度において税制の一般的改正も行われ、国税、地方税を通じて根本的に改正されますることは、真に国民諸君の期待に副うゆえんであります。
今次の補正予算審議の時期におきまして、国民全般をして深く憂えしめましたものは、炭労及び電産の争議であります。今日漸くその終熄の徴を見まして国民はやや愁眉を開いた状態でありまするけれども、炭鉱についてその保安要員を撤収するという最悪の事態に突入し、政府が万止むを得ずして緊急調整発動の態度を明らかにするに至つて初めて解決されたのであります。国内のあらゆる産業が現実に脅やかされ、国民の生活は一時終戦直後の状態の再現さえ案ぜられ、争議中の労働者は日々の食物にも窮したのであります。かかる大規模な争議が、政治的意図を抱く一部の争議指導者によつて、最後まで執拗頑強に重要産業を破壊に瀕せしめてまで継続されようといたしました、このたびのような事態に対しましては、将来断固これを防遇いたしますることこそ、真に産業経済を安固にいたしますると共に、勤労者の立場を擁護する方途であることを、痛感いたすものであります。(拍手)
私は、政府が、今次補正予算案並びに今後の財政方針において、健全財政の立場を堅持し、とかく膨張せんとする財政需要について深甚なる注意を払い、以て国庫収支の均衡を維持しようとする努力に対し、万幅の支持を明らかにするものであります。国庫収支の均衡が破れまするときに、最も強い打撃を受けまするのは、勤労者であり、農民であり、(拍手)中小企業者であります。況んや八千万国民が何かとして四つの島で生活をいたし、みずからは遺憾ながら現在世界の貧乏国でありまするけれども、アジアの他の諸国は、国民所得から見ましても、すべて貧乏国よりもつと下の極貧国であります。このような現状から考えまして、而もかくのごとき状況が最も共産勢力の乗じやすい、又彼らの極めて喜びとするところであることを思いまして、国内の産業の配置を適正にいたし、国民がその生業に安定し、進んでアジアの民主主義諸国民の福祉に貢献する素地を築きますために、先ず以て国家経済の健全性の維持培養に全力を注がなければならないのであります。
私は、過去数年間に亘り、国家国民のために着々その実績を挙げて参りました現政府が、いよいよ所信に邁進し、経済の総合的見通しの必ずしも楽観を許さざる今日、よく国家の将来を洞察して、如何なる事態にも敢然対処される勇猛心に徹せられることを確信いたしまして、原案賛成の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/146
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147・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岡田宗司君。
〔岡田宗司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/147
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148・岡田宗司
○岡田宗司君 私は、日本社会党第四控室を代表いたしまして、政府提出の昭和二十七年度一般会計予算補正等三案に対して反対し、両社会党並びに改進党より提出されました修正案並びに撤回組替の動議に対し賛成するものであります。
本補正予算案は、本年四月二十八日講和条約の効力発生後、初めて組まれた予算案でありまして、従来の予算案のごとく、総司令部の勧告、指示、承認に基いて組まれたものではないのであります。併しそうだからと言つて本補正予算案がドツジ・池田方式から全く離れた別の方針によつて組まれたものであるかというと、決してそうではないのであります。超均衡予算の超を取るとか、財政に弾力性を持たせるとかいうことで、若干ドツジ・池田方式から離れようとする跡も見えておるのでありますが、もともと二十七年度の予算の補正予算に過ぎない。そうして大体はドツジ氏の監督の下に、池田前大蔵大臣によつて作られた二十七年度本予算の方針を踏襲しておるものであるのであります。即ちその方針は、勤労者、農民、中小企業者の生活水準を低く抑えておきまして、これによつて銀行及び大資本によるところの資本の蓄積を促進しようとするところを狙つたものであり、又アメリカの戦略上の必要から割り分された日本の再軍備、これは自衛力の漸増という名の下に政府によつて行われておりますが、これを促進しようとするものであります。補正予算の内容を仔細に検討しますと、二十七年度の予算方針がそのまま至るところに露呈されておるのであります。大蔵大臣は、その財政演説におきまして、補正予算案の主たる内容について次のことく説明しておるのであります。第一は公務員の給与の改善、第二は地方財政平衡交付金の増額、第三は米価の引上に伴う措置、第四は経済力の充実と国民生活の向上を図るための措置としての財政資金による投融資、第五は公共事業費の増額というのであります。
先ず第一に、公務員の給与改善の点についてでありますが、御承知のことく日本の労働者サラリーマン等、いわゆる勤労者の賃金所得は極めて低いのであります。官公吏の給与に至りましては、民間の給与の平均よりも更に低いところにとどめられておるのであります、生計費が漸騰しております関係上、昨年の十月に定められました現行給与が引上げられなければならないのは当然でありまして、官公労組におきましては、つとに一万六千八百円べースを要求しております。それが実現のために猛烈な運動を展開しておつたのであります。又人事院におきましても、国家公務員の給与ベースを一万三千五百十五円に引上げ、これを五月に遡つて支給することを政府に勧告したのでありますが、政府はこれを無視いたしまして、本年十一月から約二割の引上げを実施することにして、これを本補正予算に織り込んでおるに過ぎないのであります。年末手当の〇・五カ月、勤勉手当の〇・五カ月を加えましても、なお非常に低く、このために官公労の諸君の猛烈な給与改善のための運動が展開され、政府は、この運動と野党側の攻勢によりまして、更に〇・二五カ月を追加支給することにしたのでありますけれども、勿論これでも、どうやら我慢ができるという状態にはなおほど遠いのであります。又政府は国鉄、専売或いは電々公社等の裁定につきましても、完全に実施をしないのであります。これらは明らかに政府が、低賃金政策を堅持いたしまして、官公労働者の給与をもこの水準に縛りつけておこうとするものにほかならないのであります。
第二は、米価についての措置でありますが、政府ば、本補正予算を組むに当りまして、本年度産米の政府買上価格を七千五百円に定めておるのであります。政府は賃金を低く抑えておくために、米価を低く抑えておこうという政策をとつておるのでありますが、七千五百円では、農家の米の生産費を償うものではないのであります。又これは国際価格よりも遥かに低い価格なのであります。これでは農家の経済状態は、改善されるどころかだんだんに悪くなつて行くばかりであります。これは、ほかに所得源泉の少い米の単作地帯の農家にとりましては、特に影響するところが甚大なのであります。他方、政府は米の消費者価格を改訂いたしまして、内地米十キロ当り六百二十円を六百八十円に引上げようとしておりますが、これは直ちに消費者の生計費に響くのであります。我々は政府が英断を下しますならば、二重価格制を実施いたしまして、そうして消費者価格を現行のままに据置き、生産者価格をももつと引上げることができ、それによりまして、それでは政府の支出する金額はどうかというならば、その財源というものはちやんと私は、政府が肚さえきめれば出せると思うのであります。要するに、ここにも資本の蓄積のために、勤労者に対しましては低賃金を押しつけ、又農村に対しましては低米価を押しつけておこうという、政府の根本方針が現われているように私どもには見えるのであります。
第三に、政府は地方財政平衡交付金の増額を語つておるのでありますが、これは国家公務員の給与べース引上に準ずる地方公務員の給与改訂を行うのにも十分であるとは言えないのであります。今や地方財政は、特別な財源のある市町村を除きましては決してよくばない。地方財政における赤字は、実に千二百億にも達しておるのでありまして、今回の補正予算では、この赤字の解消のための措置とは言いがたいものがあるのであります。
第四に、中小企業等に対する応急の措置として、国民金融公庫に対して三十億円の一般会計よりの追加出資と、二十億円の融資、商工組合中央金庫への二十億円の貸付等を行うことにしておりますが、これは中小企業の現状、特に年末におけるその窮状を救うためのものとしては、誠に焼石に水の感があるのであります。又農林漁業資金融通特別会計に対する出資の五億円増加、それから中小漁業融資保証保険特別会計への五億円の出資にいたしましても、農漁村の現下の窮状に比べますれば、全くお話にならないくらいの額であります。而もこれらの支出増を賄う財源は、所得税の源泉徴収の分、それから消費税、それから専売益金等を見込んでおるのであります。本年景気が停頓しておるにもかかわりませず、源泉徴収の所得税は非常に厖大な額に上つておりまして、当初における見込違いでありまして、そうして非常な取過ぎになつておるのであります。他方、申告所得税は減収ということになり、又法人税の収入額は据置くというふうに、今度の財源を組んでおるのでありますが、これらは明らかに今度の補正予算の性格を物語つておるものと言わなければならんのであります。而も一方におきまして、本年度の予算中のいわゆる軍事費、即ち防衛支出金であるとか、安全保障諸費であるとか、或いは保安庁の費用等につきまして、現在非常に多額の未使用額があるのであります。先ず防衛支出金は、当初の予算六百五十億円中、十一月末で二百二十一億円の未使用額があり、安全保障諸費は、当初予算五百六十億円中、使用されたものが僅か四十五億円で、未使用額が実に五百十五億円、保安庁予算は、本年度五百七十七億円に対しまして、昨年よりの繰越百五十一億円を加、えまして七百二十九億円、そのうち、十一月三十日までに使つたのが二百八十億円であり、未使用額は四百四十九億円、又平和回復処理費につきましては、前年度よりの繰越を合せまして二百十億円中、使用されたものが僅かに十一億円で約二百億円も残つておるのであります。これらの未使用の分を合計しただけでも、実に総計は千三百八十四億円という巨額に達するのであります。政府は今後の使用見込につきまして、いろいろと強弁してお裏芸、とにかく再軍備のために最初から予算を過大に組んでいたことは疑いない事実であります。この使い切れない額を補正予算の財源に充てることは、当然のことであると我々は考えておるのでありますが、政府はこれには全然手を着けなかつたのであります。これはなぜであるか。恐らく政府はその大部分を来年度に繰越しまして、来年度において自衛力の漸増ではなくて急増、即ち厖大な再軍備を要求された場合におきまして、これに応じ得る財源として取つておこうということにしたのではないかと思われるのであります。国民、特に勤労者に対して重い税金を課と、而も財源がないから、社会保障制度がなかなかできないと言いながら、こんなにも莫大な額が、再軍備のためにちやんと取つておいてあるのは、(「ばかなことを言うな」と呼ぶ者あり)勤労大衆無視も甚だしいと言わなければなりません。以上のような諸点に鑑みまして、私は政府提出にかかわる昭和二十七年度補正予算等に反対するものであります。
最近の我が国の経済状態は、世界における景気の下降に伴い輸出が減少いたしまして、又国内における多くの産業は不振を極め、農村の経済も沈滞状態にありまして、全体として沈滞の状況にある。而も来年度の世界経済並びに国内経済の見通しも決してよくはない。下降線を迫るようになつておるのであります。政府は当然、かかる現状並びに将来の見通しに立ちまして、これに対する財政経済政策を打出さなければならなかつたのでありますが、補正予算は、全くそういう方針に基くものではなかつたのであります。本予算案の審議の過程におきましても、政府の新らしい構想は何も聞かれなかつたことは、甚だ遺憾でありますが、少くともアメリカ経済並びに特需べの依存、再軍備、兵器生産の促進という線は、政府の不変の方針のように思われるのであります。
我々は中共貿易をも含むアジア貿易の促進、東南アジア開発への協力を積極的に促進いたしますと共に、内におきましては、いわゆる軍事費等を圧縮いたしまして、そのための資金を電源開発その他の公共事業に廻し、農村の振興等に使い、国内における失業者、半失業者の吸収、生活水準の引上による購買力の増加等に使用しなければならないと考えるのであります。我が党が改進党、右派社会党と共に提案いたしました修正案は、もとより大規模なものではなくて、政府原案を上廻ること、僅かに三百四十余億円に過ぎないのでありますが、その方針は、政府の提出いたしましたところのものと対比してみますときに、かなりの違いが見受けられるのであります。即ち財源におきましては、それに充当するために安全保障諸費の使用残、イソヅエントリー・ファイナンスをいたしましたものをこれを便す。又前年度の剰余金等の使用等によりまして、いわゆる軍事費の縮減に手を若け、又ドツジ方式に対しまして、重大な修正を加えておるのであります。他面給与水準の引上げ、二軍米価の設定によりまして、米の生産者である農民に対しまして、幾分でもその所得の増加を図りまして、農家経済の維持と食糧増産べの刺激たらしめ、他方、消費者米価を据置にいたしまして、勤労者の家計の増加を抑えようとするのであります。又中小企業、農漁業べの金融の拡大、遺家族等の援護にも一層の力をいたしまして、更に地方財政の窮迫に対しましても、差当り先に修正案の説明に申上げましたように、政府案と異なりまして、心からこの地方財政の窮乏を救うための途を開こうとしておるのであります。これは決して郡君の言うようにできない相談ではないのであります。来年度に繰越されまするところの巨額の未使用額に比べますれば、これらの財源というものは、極めて僅少であります。政府が良識と決意さへあれば、直ちに実行し得るものなんであります。
私は参議院が我々の修正案に賛成いたしまして、これが通過を図られることを期待いたしまして、私の政府案に対する反対並びに修正案に対する賛成の討論を終了いたしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/148
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149・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 森八三一君。
〔森八三一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/149
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150・森八三一
○森八三一君 私は、只今議題に相成つておりまする昭和二十七年度一般会計予算補正外二件につきまして、以下申上げる要望を附しまして、政府の原案に賛成の意を表明するものであります。
従来も、予算の議決や法律の議決に当りまして、いろいろの決議や要望が附せられて参つたのでありまするが、ややともいたしますると、この種の附帯決議とか要望が、単なるその場限りのものとなつて、何ら顧みられておりませんような事態がしばしばあつたように思われまするのでありまして、私はかような事態に対しまして、非常に残念に存じ遺憾に思つておりまするのであります。この議場を通じまして表明されまするこれらの意見は、いずれも大なり小なり、とにかく国民の意思を伝えておるものでありまして、十分に尊重されなければならんと存ずるのであります。この意味におきまして、私は以下申上げまする事項は、誠意を以て、速かにそれぞれ実現の途をとられますることを前以て特に申上げておきたいと存じます。
今回の補正予算をつまびらかに検討いたしまするのに、政府の累次に亘る説明にもかかわらず、国民生活、地方財政の不安定な現況に鑑みまして、必ずしも十分とは申しかねる遺憾の点少しといたしません。経済生活の安定は、八千五百万国民がひとしく政治に期待し、非常な望みをかけておる最大の要請であります。我々も従来から、常に政府に向つて強く要望して参つたところでありまするが、今回の補正予算におきまして、まさにこの国民の悲願とも申すべきこれらの問題が解決されまする方向にありまするかどうか、甚だ疑問に存じまする次第であります。併しながら国家財政の極めて不安定な現況と、貿易の世界的不況に基きまする我が国経済界の最近におきまする実情からいたしまして、国民の負担に求める国費の調達、即ち税の増加は絶対に避くべきところであり、更に積極的に減税を断行して、国民の負担の軽減を講ずべき段階であることは申すまでも、ございません。更に又悪性のインフレーションは絶対に回避すべきであると存じます。こうした観点からいたしまして、この際均衡のとれました、いわゆる健全財政の線をとることも、又止むを得ない当然のところでありまするが、と言つて相当多額の余裕金を持ちながら、明二十八年度の財政計画なり、予算編成の見通しと申しまするか、その構想をも明らかにせず、何らこれを示さずに、これらを翌年度に持越し、当面する緊急の問題に手が差し伸べられておりませんことは甚だ残念であり、この点は何と申しましても遺憾の次第であります。
更にこの際申上げたいと思いまするのは、先ず第一に公務員等の給与の問題であります。本日も予算委員会におきまして決議が行われましたことは、諸君もすでに御承知であり、政府も御存じのことであると思います。本日の予算委員会におきまして、この年末に際しまして非常に難儀な状態にありまする中央、地方の公務員諸君に対しまして、少くともこの際実質上の増額支給、月給与〇・二五分をこの際給与すべしという一点に対しましては、一応政府から答えを出されておるのでございますが、予算委員会における決議は、当面の年末の問題に併せまして、罷業権を失わされておりまするこれらの一般公務員諸君、或いは公共企業体の関係職員諸君に対しまして、唯一の望みは人事院の勧告であり、或いは調停裁定の線であろうと思います。従来ややともいたしますると、こういうような裁定や勧告が、十分な理由なしに等閑に付せられておつたような節があるやにも思われますのでありまして、今後ごれらの点について、十分それらの決定を尊重して対処されることを要望しておりますると同時に、特に公共企業体等につきましては、その特性に応じて適切な給与がなされることを要望いたしておるのであります。今後政府におきましては、この決議の趣旨に鑑みまして、特に公務員、公共企業体関係職員の給与につきましては、濃善の方途をとられんことを希望申上げたいと存ずる次第であります。
次に申述べたいことは、政府は、今回も同様の趣旨を述べられておりまするし、去る国会におきましても同様の表明をされておつたのでありまするが、或いは米価の変更であるとか、鉄道運賃、郵便料金等の値上に際しまして、これらによつて生ずる国民の経済的の負担を税の軽減によつて吸収すると申すのであります。そのことの根本的な考え方についてはいろいろ議論もありまするが、そういつた問題はさておきまして、とにかくそういうような説明がなされておりまするが、今日八千五百万国民と申しますうち、源泉課税の納税人員は、私の調査によりますれば、八百六十三万三千人であり、申告納税者の人員は、三百十七万人であります。これを政府の示しておりまするそれぞれの扶養家族の数を当てはめまして計算をいたしますると、一応納税に関係のある全扶養家族を含めた人口は、三千九百五十四万八千という数字に相成るかと思います。八千五百万全人口からこれを控除いたしますると、驚くなかれ四千五百四十五万一千人というものは、納税に関係を持たない階級になつているのであります。これらの人々は、税に直接関係のない階級でありまするので、申上げますような米価の値上り、運賃の値上り等を税の軽減によつて吸収すると申しましても、その吸収の恩典には与い得ざる階級に相成つているこれらの人々を救済することが、まさに政治の狙いでなければならんと私は考えるであります。このことについて、この補正予算が何らの解決も与えておらんということは、非常に残念に思いまするが、更にそれらの階級の人々の中で、最も下のクラスに属すると申しますか、いわゆる要生活保護者でありますこの人々は、これらの値上りによつて、いろいろの困難を味わうでありましよう。これに対しましても、この補正予算を通じて何らの支給増が考慮されていないように見受けられるのであります。かくのごときは、非常に遺憾の極みであると存ずるのでありまして、こういうようなクラスの人々に対して、今後温き手が差伸べられまするがごとき諸施策が進められるべきであると考えるので、この点に、政府の最善の努力を要請いたすものであります。
更に地方の財政の問題でありまするが、政府は地方の平衡交付金の計算に当りましては、基本財政需要額なり或いはその収入額なりを一方的に見積つて、これを押付けているというようなきらいがあるように思うのであります。それが及んで地方公共団体の財政をして、極めて不健実な状況に突き落しているという結果を生んでいると思うのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)現に今国会においても、地方公務員の給与は、中央公務員の給与に比べて月額三百何がし高くなつておる、これは当然差引計算をするということが申されておるのでありますが、政府の説明によりますれば、一定の物さしをはめて、その物さしで地方公務員を計算すると、そういう結果になるとおつしやいますので、一応その限りにおいては十分理解できまするが、然らば中央の公務員は、同じ物さしで計算をしてどうなつているかという調査がありまするかと言いますと、その点はまだなされておらない。向うのほうは物さしをはめたが、ごつちのほうは物さしを当てがつておらないところに問題が私はあるのではないか。こう思うのであります。こういうような点については、今後よく実態に当てはめて無理のないような計算がなされなければならないと思うのであります。特に本日の予算委員会において可決されました当面の年末に対処する問題等につきましても、少くとも、この際五十億円程度の短期融資がなされなければならず、その短期融資は、他日に予算的な裏付が約束されるものでなければならんと思うのであります。私は二の際、将来に予算的な措置を伴う短期融資五十億円を速かに実施されるべきことを要請いたすものであります。更に又公募公債につきましても、百億円程度と政府は言明されておる。この百億円程度の公募公債も、速かにその実を収めるように進められますことを強く要請をいたすのであります。
第五に申述べたいことは、政府はいわゆる民主的な政治を行うために、いろいろな問題につきまして審議会とか委員会等を設けまして、民間の意見をつぶさに聴取するの手段をとられておるのであります。一応その手段につきましては、私ども十分の理解を持つのでありますが、と言つて、その審議会が与えました結論が殆んど何らの役をなしておらんという事実にしばしば接するのでありまして、これでは折角の民主的なルールによつて進めようとする審議会が冒涜をせられるという結果が生れ、遺憾至極に思うのであります。その最近における最も大きな事例は、米価審議会の問題であると思います。まさに一月一日から消費者米価は改訂をされる予算が提示されておる。その消費米価の決定は、米価審議会によつてこれを諮るという建前になつておる。その米価審議会はまだ開かれておらん。その開かれておらんときに、すでに米価は予算面に現われて来ておるというがごときは、米価審議会に対する冒涜のようにも思われるのでありまして、恰好だけをつけておるのでは、審議会は何の用もなしません。今後これらの審議会等につきましては、十分その意のあるところを汲み取られまして、政治の上にこれを具現するようにお願いをいたしたいと思いまするのであります。
更に中小企業の金融問題につきましては、衆議院の予算委員会における附帯決議に関連いたしまして、政府は去る二十日、本院の予算委員会におきまして、それぞれ所信を表明されました。表明されました所信の結果は当然のことでありまするが、私はこの際、更に国民金融公庫なり或いは商工中央金庫なり中小企業者を対象とする金融機関に対しまして、更に積極的な国家財政を投入いたしまして、これらの非常に困難な状況にあえいでおる人々の金融打開のために、更に百尺竿頭一歩を進めて、勇敢に金融措置を講じて頂きたいことを要請いたすのであります。
更に教育問題につきましても、今日老朽校舎が四十八万坪に達しておる、その約三分の一、十六万坪は、使用禁止を命ぜられておるというように聞くのでありまするが、これらの使用禁止というような状態が、今日なおざりにされておるということは、義務教育の観点から申しましても、甚だ由々しき問題であろうと思いまするのでありまして、これらの老朽校舎の復旧につきましては、少くとも、その対案を立てらるべきであると確信をし、要求をいたすのであります。更に私学におきまして、全生徒数の三分の二を収容しておる、これらの私学の振興の問題、産業科学に関する技術上の教育の振興の問題等も、併せてその施策を進めて頂きたい。
更に申述べたいことは、我が国の経済自立を進めて参りまするために、国際収支の均衡を得なければならんことは申すまでもございません。このため今日多額の国幣を費し、多額の外貨を以てあがつておりまする食糧の問題は、一日もゆるがせにできません点でありまして、政府もしばしば言明をされ、総理も来るたび来るたびの施政方針演説におきまして、食糧自給度の向上については、万難を排してその施策を推進する約束をされておるのであります。その言明に基きまして、逐次食糧増産五カ年計画が樹立をせられ、畜産振興計画が樹立をせられますることは誠に喜ぶべき状況でありまして、私どもは、この計画の樹立に賛意を表するのであります。ただ単に計画が樹立されたということだけでは相成らんのでありましていわゆる画に描いた餅では何にもならんというわけでありますので、速かにこれらの計画が、具体的に実効を収めて行くように、その予算的な裏付を持ちつつ推進されますることをお願いいたしますと同時に、こういうような増産が進んで参りますると、今後の国際経済状況に鑑みますれば、いわゆる豊年飢饉のような、増産をして却つてばかを見るというような事態が捲き起らんとも考えられませんように存ぜられますので、この際、主要農林生産物につきましては、絶対にその生産者に対して、経済的な不利を与えしめない、いわゆる価格の支持制度のごときを、速かに法制化すべきことを私は確信をし、強く政府にその対処を要請いたしたいと存じまするのであります。
更に交通網の整備につきましても、これらは一日の遷延を許しません重大な要諦であろうと存じます。即ち国有鉄道の施設の改善、新造船資金の拡充、航空事業に対する国家の助成等、挙げて参りますれば、交通網整備拡充につきましてなすべき幾多の問題が残つておると思いますので、これらの問題につきましても、強く予算を持ちつつ取り進めを頂きたいと思います。特に差迫つた問題としてこの際申述べたいことは、近く政府は貨物等級の改正をされんとするやに承わるのでありますが、その構想の大要が、すでに定まつたと聞きます。米麦、肥料、石炭等の基礎資材につきまして、最低運賃を適用されますることは当然でありまするが、都市大衆の消費いたしまする蔬菜、大衆魚類が、今度の等級改正によつて相当大幅な値上を受けるやに聞くのでありまするが、かくのごときは、最初に申上げましたような、税の軽減によつて救われざる階級が更に困難をするという事態を捲き起す一助にもなりまするわけでありまするので、これらの庶民大衆に関係のある物資に対する等級の改正につきましては、少くとも現状を維持する程度にとどめなければならんと存じまするのでありまして、これらの点につきまして、特に御考慮願うと同時に、最後に、国民健康保険の医療給付金の一部国庫負担のごときは、これも議論の余地なく、一日も早くその実施をなすべきであることを思いまして、ここに強く要請をいたしまする次第であります。以上申上げました事項は、最初にも申上げました通り、私どもが単にここでお座なりに申上げておるのではございません。国会は明年三月三十一日まで開会をされていることでもありまするし、近く政府も二十八年度予算を国会に御提示になることと存じまするが、そういうような機会を通じまして、これらの問題が、一々具体的に解決されますることを強く要望をいたしたいと思うのでありまして、若しこれらの問題が、理由なくして不問にに付せられるというようことがありといたしますれば、その結果は重大な問題が捲き起るということを考えて頂かなければならぬと思います。私はさような不幸な結果が参りませんことを強く期待いたしまするのであります。
以上をもちまして、私はこの補正予算に対して十分納得することはできませんが、政府の近い機会において誠意のある回答の得られますることを期待しつつ賛意を表する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/150
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151・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岩木哲夫君。
〔岩木哲夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/151
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152・岩木哲夫
○岩木哲夫君 私は改進党を代表いたしまして、昭和二十七年度政府提出予算案に対する修正案、及び予算委員会に動議提出いたしました特別会計予算補正及び政府関係機関の予算補正に対する撤回組替の要求をするものでございまして、この二つに対しまする賛成の意を表し、政府提出の昭和二十七年度補正予算に対する反対の意を表するのであります。(拍手)
私は、大体この予算というものは、政府が自分のところの党内の人事の駈引きに使うて漸く通つた補正予算であります。又党内のいろいろのそういう事情のために、この補正予算は野党三派の修正案が可決されることが、今申上げまする通り党内の人事のからくりにおいて通つたのでありまして、本当にこれは正しい予算とは、通過予算とは言いがたい。これらの人事の駈引きに使うて、ゆがめられて出たのでありまして、人事問題にからむ通過予算でありまして、而も再軍備、建設公債インフレを説く石橋、河野の入党予算でありまして、(拍手)断じて自由党本来の予算ではありません。
大体今回の予算は、依然として占領政策の踏襲予算でありまして、(「その通りだよ」と呼ぶ者あり)アメリカの指導待ちの無定見予算であります。(拍手)外資が導入されないと、どうも工合が悪い。併しいろいろ行政協定その他の条約を結んで、日本が将来自立の場合に困難であろうということを予想したことから、外資の導入を図り、中共貿易が十分できないことに代り、東南アジアの開発を目論んだのでありましたが、事ここに至つては、全く失敗に終つて、結局及新らしい大統領の就任を機会に、アジア政策、対日政策がどうあるだろうか。首を伸ばして待つ。外資導入がどうあるであろうかと言つて秘かに白洲特派大使をアメリカに特派して、この土産話を首を伸ばして待たなければ、二十八年度予算の骨格がきめられないという、この哀れな予算態度に対しまして、我々は実に国民と共に遺憾極りなき意を表するのであります。
そこでこの予算は、大体日本の今後進むべき産業規模、その構造はどうあるべきかということが五里霧中でわからない。日本の防衛生産機構というものは、実際組立てたらいいのかどうか、どんな武器がどんな内容で、どの程度来るかということは闇探り手探りであつて、どういうことが起るかわからんから、いろいろの財政余裕資金を蓄え、二十七年度予算の剰余金をそのまま使い残して、じつてアメリカの対日政策待ちの姿であるということでは、日本の産業は断じて復興されません。(「その通り」と呼ぶ者あり)而も日本の貿易産業、平和産業のありかたというものは、この犠牲において全く停頓し、衰退の一遂にあることは、すでに御承知の通りでありまして、今日外貨保有は順次減つて行くということは明らかな状態であります。仮に日本の防衛生産規模がどうあろうとも、結局これはアメリカの下請工場の姿に過ぎないのであつて、日本独立の前途が、ただアメリカ特需の依存において生き延びようという、こういう姿に依然として日本の独立政策なるものがゆがめられて、くつつけられて行くということの、こうした政策を取つて行くということは、誠に国民と共に遺憾であります。これは積弊の自由党の政策が今日の窮乏を来したから、止むを得ず或いは特需防衛生産規模にでも、国民が現在の活路を見出さなくてはならないかもわからないが、そんなことで日本の独立生産構造というものは、断じて基礎はできない、発展は維持できないと我々は思うのであります。ここにおいて或いはドツジ構想を変更せざるを得ないとか、或いは超均衡予算を均衡予算に変えなくてはならんということで、漸く大蔵大臣をかえて、こういう方向を示さなくてはならんような羽目に陥つたことは、これ積年の吉田内閣の、いわゆる外交経済政策の破綻を露呈するものであります。(「君らのほうはどうなんだ」と呼ぶ者あり)
そこで私は、今後この政府の、誠に一方的なる財政投資の現在の財政政策、財政投資中心の日本産業構造というものに対しては、向井財政において幾分は是正されると思われまするが、(「そうだ」と呼ぶ者あり)一方はただ、例えば公約で貯蓄公債を約束し、鳩山派は、今度入党を見た石橋湛山氏は建設公債インフレを唱えて、とにかく一つの公債政策の一端を出して、国民の窮乏せる経済界の前途の深い思いに、少しの活路を見出したと思つたものが、又これはやらないと言う。併し余儀なくドツジ財政は修正せねばならないが、この板ばさみに会うて、今後我が国の産業構造というものがどうあるべきか、どう進むべきかということを、独立後の第一次総選挙においてでき上つた内閣で、国民にごの行手を明らかに示し得ないということは、甚だ我々も期待外れであるし、誠に国民といたしましても遺憾極りないことであります。とにかく政府は、成り行き的物価政策、無定見な物価政策、これという物価政策の標準というものがないのです。而も賃金政策ということも、従つて何ら目標を立て得ない。物価と賃金の悪循環、悪循環の追い廻し経済を繰返して、その波間々々のつくろいの補正予算に過ぎないのでありまして、国民生活は誠に下降悪化の一途のほかはないのであります。殊に労働政策におきましても、例えば先般の炭労或いは電産の争議に対しましても、殆んどこれという見るべき対策の手を打つことができず、徒らに、とどのつまりが両方の奔命に疲れたところに漸く緊急調整ということを出したに過ぎないのであつて、一体今日、この日本の当面せる困難な諸問題に対するこれらしい定見、計画的な政策が一つも現われておらない。かようなことで、独立日本のいわゆる政治経済を遂行し得るかどうか。失業者は激増一方、就職率はだんだん減少一方、こうした状態にあつて、国内のすべては駐留軍或いは国連軍の優先政策をとつて、国民を常に犠牲と下敷に追い込むという姿のままでは、真にこれで日本の愛国心を繋ごうとし、国民の勤勉精神を培養しようといたしましても、こうした政策では、誠に日本の独立の姿はどこを向いても発見することができないということになるのであります。こうして国と地方と国民とのすべてをばらばらに切断したような占領政策そのままを踏襲しておるのが、現在の吉田内閣の施政でありまして、このようなことでは、私は日本の復興の前速は危ぶまれると思うのであります。
それから第二には、今回のこの補正予算は依然としてごまかし予算であるということを指摘したい。頬被りの再軍備を強化いたして……、我々は自衛軍を作るならば堂々と作らなくてはいけない。国民に、これは軍艦ではないと言つて船を借入れ、武器は持たないと言つて重砲や戦車や高射砲をどんどん私契約で借入れるというような、こういういつたような国民を依然としてごまかした政策を遂行しようということは、我々反対であります。(「もう少し政治家になれ」、「どんな政治家なのか」と呼ぶ者あり)殊に財政の困難と申しておりながら、莫大な財政余裕金を持つておる。私は防衛分担金の余裕は特に指摘はいたしませんが、安全保障費にいたしましても、保安庁費にいたしましても、平和回復処理費にいたしましても、一千億以上のものが使わずにそのまま残つておる。それらの使途を明らかにせずに、そうしていろいろの政策を棚上げして行わない。こういうことでは国民は納得しない。これは要らなければ要らないで、どう処置する。これは来年度にどういう工合に、いわゆる社会保障にいたしましても、賃金の問題にいたしましても、その他の問題におきましても、この余裕金の使い方を明らかにしない。依然として頬被りしてごまかして行こうというような今回の補正予算のこの姿というものは、私は独立第一歩の予算編成に当つて、吉田内閣のために極めて遺憾とするところであります。減税々々と言うが、国民から余分に吸い上げたものを、六百七十億も直接の源泉徴収から吸い上げたものを、二百三十億戻すことを以て減税を唱えるがごときは、甚だどうも羊頭狗肉の政策であつて、こうしたごまかしを依然として国民に言うようなことでは、いわゆる愛情の生活、得心の政治は短きない。又今回の衆議院におきまする附帯決議におきましても、いわゆる先ほど私が申上げましたように、人事問題にからんで、せめてこうした附帯決議でもしようと言つてお座なりにやつたが、さて、これが参議院で、これの具体策を問い質しますと、全く支離滅裂で、その真意はどこにあるかわからない。ただ一月に支給する超過手当を十二月に繰上げるというだけであつて、法令と予算の範囲内においての繰上支給の程度に過ぎないので、真にこれが増給という意図を含んだ附帯決議の趣旨を活かさないで、ただその場凌ぎの、その傷つくろいに附帯決議をしたということは、政治上の駈引きに使おうということは、我々が最も遺憾とするところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
第三は、私は今回の補正予算は、軟弱外交の尻拭い予算である。(拍手)軟弱外交であるがために、今日誠に遺憾千万な行政協定がそのまま存続されて、そうして農地は莫大に接収される、漁業地区も演習地区として接収される、六百十何カ所のものが、アメリカ軍の、或いは駐留軍の基地として強制接収をされて、これらに代る補償というものは、誠に雀の涙のようなことで、未だに全くこれが支給されないという残酷なやり方をやつておる。こうして軟弱外交の尻拭いは、国民の悲痛なる叫びと又我々の税金において賄つて行かなくてはならない。或いは今日この李承晩ラインと称しますようなことを、依然として事実上認めねばならないというような軟弱外交をやつて、日本の漁業地域は縮小されて、非常な漁業家の犠牲、日本の食糧問題の不安を醸成いたしておる。国防線の不安を醸成いたしておるというような事態を、又国民が尻拭いをせなければならん。或いは今日駐留軍が非常に各所に駐留されることによつて、風紀は頽廃し、日本の純潔は汚されて、誠にみだらな浮薄な社会を現出しておる。これがために幾多、直接間接の思想上、社会上、経済上の犠牲は、測り知ることができない。或いはいわゆる国鉄の輸送の契約の部面におき」ましても、非常な損害を我が国民、我が国は負うておる。その他国連軍との契約におきましても……、国連軍の協定が未だに発表されませんが、国の財産が非常な犠牲に供せられ、裁判管轄権の問題はもとよりでありますけれども、こうした軟弱外交の結果、誠に非常な国民は負担を激増して、精神的な非常な痛苦を味わつている。経済面におきましては、貿易政策は、船舶或いは運賃すべての制限その他いろいろの外国の通商上の会議に対しまする非常な拘束を受けた立場を甘んじて受けている。そうして買うものは高い、売るものは安いというようなひきさき貿易政策をとられておる。これがために日本の貿易は、さなきだに困難な上に、更に中共貿易のいわゆる戦略物資以外のものにまで制約を受けておることに甘んじて、これを打開しようという努力が足りない。こうした軟弱外交の結果は、誠に積り積つて日本の前途に重大なる暗影を投じて来つつあることを私は指摘せざるを得ないのであります。
第四は、弱肉強食の予算である。今日財政保有資金は相当あります。又見返資金は大企業に、例えば最近見返資金が大きな企業家に貸されて、残つておる未払いは千三百六十億にもなつておるのでありまして、農漁民、中小企業には、僅かに四十億か四十二億にしか過ぎないという工合に、大企業中心のいわゆる財政投資というものは、依然として続行されておるのであります。中小企業には誠に目薬りのような救済資金でありますが、ちよつと油断をすれば、貿易商社には、僅か十二、三の僅かな貿易商社のこれらの見込違いの仕入れによつて損したところの赤字を、財政資金で棚上融資をしようというような計画をしたり、炭鉱はべらぼうな配当をして儲けておるのに、これらに住宅資金として貸付けた金利を五分五厘に下げて又二十数億の戻りをするかと思えば、中小企業には高い利子でなくては貸さない。国民金融金庫におきましても、高い利子でなければ貸さないが、儲けておる大企業には、低利を以て貸すというような、こういうことをやる。そうして日本の農民から再生産経済も維持されないような、一石七千五百円で米は買うが、外国の土人には一万三千円もの米代を払うている。あの悪い外米を一万三千円も四千円も出して買うて、内地米を、内地の農家には七千五百円より買わないというような(「麦を食え」と呼ぶ者あり)こういつたようなことをやつて、そうして消費者には更に一層の価格を押付けるというような、こういう政策をやるということは、全く弱肉強食の姿だと言わなくてはなりません。(拍手)その他物価、料金の引上に対しまして、社会保障費も十分に行わない。或いは戦争犠牲者にも、生活困窮者にも、誠に冷淡な政策をとつて、大企業、大資本家の生産増強の名に隠れて擁護政策をとる。こういうようなことは、誠に我々といたしましても遺憾の極みであります。地方財政におきましても、国は五千億に近い余裕金を持つておりながら、地方財政は一千億の赤字である。やつて行けないというのに対して、不自然な、不条理な平衡交付金の測定基準を盛り立てて、中央は富み、地方は赤字で国民は更に非常に困窮の状態に追込んで、(「総理大臣連れて来い」と呼ぶ者あり)国が、地方と国民とのすべての組織をばらばらにしようという、こういう一貫的な政策、いわゆる国警には、警官一人当り二十九万円もの国庫の補助が、自治警察に対しては二十万円がらみしかやらないというようなことで、自然に自治警察が財政で参つて行くようにして、全部警察は国警に吸収して、いわゆる中央集権的な警察国家を建設しようという意図などを(「いいぞ」と呼ぶ者あり)地方行政面に現わして行わんとするがごときは、(拍手)地方自治日本の、独立日本の逆コースと言わなくてはならん。要するにいずれにおきましても、まあ学校の老朽校舎の復興にいたしましても、その他数え切れないほどのものがありますが、こうして今回の補正予算をめぐつて、独立日本の第一歩に編成さるべき自由の予算がこういう姿では、私は国民と共に泣かざるを得ない。今、先ほど自由党の郡君は、いろいろ外国為替が、或いは使込みであるとか、財政余裕金は二百四十億しかないとか、百五十億は操作用に要るとか、安全保障費とか、いろいろあることないこと言いましたが、これはそんなようなことで、国民は納得できません。(「もう少し勉強して来い」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)断じてかようなことはありません。国民はこれがために瞞されては私はならんと思うのであります。(「国民を瞞すのは君たちだ」と呼ぶ者あり)かような工合でアメリカ向きの一将の功は成つても、国民の万骨は枯れます。ここに私は当予算に対する反対点の基本精神があるのでございます。(拍手)
以上をもつて反対の理由といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/152
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153・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 木村禧八郎君。
〔木村禧八郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/153
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154・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、昭和二十七年度補正、政府提出の三案に反対いたします。又野党三派の修正案にも遺憾ながら反対いたします。
政府が、今度国会に提出いたしました二十七年度予算補正案の特徴は、向井大蔵大臣が財政演説で明らかに述べております通り、二つの点にあると思います。その第一は、補正予算編成の前提の条件でございまするが、向井大蔵大臣は、我が国の経済はすでに相当の回復と安定を見ておる。こういうことを前提といたしまして、この補正予算を編成しておるのであります。その第二の特徴は、この補正予算の内容でございますが、その内容といたしまして、我が国の経済は、すでに相当の安定を見ておるということを前提といたしまして、今や国際経済に伍して名実共に独立国家たるにふさわしい発展を遂げ得るよう、一段と経済の基礎を拡充強化すべき時期に当面しておる。そうしてその経済の基礎の拡充強化方策といたしまして、補正予算の中に大体二つの政策を盛り込んでおるのであります。第一の政策は、いわゆる基幹産業の育成政策でありまして、この基幹産業の育成政策に対しましては、いわゆる健全財政の線を維持しつつ弾力性を与えまして、二十七年度予算編成の当初におきましては、政府対民間出資はゼロでありましたのを、今度の補正予算において、過去に旧見返資金特別会計及び資金運用部特別会計に蓄積いたしました資金を、これを動員利用いたしまして、八百八十億円の撒布超過にしておるのであります。これが補正予算の一つの特徴でありましていわゆる弾力性を持たせるという点でございます。第二の補正予算に盛られている内容は、いわゆる給与ペースの引上、裁定の実施或いは減税等を中心とする、いわゆる民生対策であります。以上述べましたことが今度の補正予算の特徴でございます。私はこの補正予算の二つの特徴、即ち補正予算を編成いたしました前提条件、日本の経済は相当の回復と安定を見ているというその前提条件と、それからこの補正予算に盛り込まれた内容、即ち基幹産業の育成、財政に弾力性を持たせまして、そうして基幹産業を育成するというこの政策といわゆる民生安定対策、この二つを内容とするこの補正予算に対して、私は前提、内容、共に全く政府と立場を異にいたしまして、反対せざるを得ないのであります。
先ず最初に、その前提条件であるところの日本の経済の認識に対するこの見解であります。認識に対する見方でありますが、政府は相当の回復と安定を示しておると言つておりますけれども、果してそうでありましようか。今度の講和を締結する場合、政府は講和後の自立計画というものを一応作りまして、そうしてアメリカの外資導入、アメリカ援助というものを前提にしまして、講和後においては、ばら色の復興の夢が訪れるがごとくに国民に宣伝して参りました。従つて講和後の日本の経済の心配はない。だから、こういう講和条約を結んでも心配はないのだということを宣伝して参りました。併しながらその後の現実はどうでございましようか。外資は入りましたでしようか。外資は未だに入らない。聞くところによりますと、今度吉田首相は、施政方針演説中にやはり外資導入という文字を入れましたが、池田前通産大臣ば、外資はなかなか入らんのだから、そういう文字は入れないほうがいいとか言われたと聞いております。併しながら総理は、施政方針演説中に入れてしまいましたから、外資が入るがごとく国民に宣伝しておる。そうして日本の経済は、これから苦難の経済であるにかかわらず、あたかもばら色の復興の夢が訪れるがごとく、国民に実際の実情を伝えないで、空しき期待を繋がしておるような実情と思うのであります。大蔵大臣は、今度の補正予算は、当初予算編成後の諸般の事情の変化に即応するため補正予算を編成した。こう言われております。当初予算編成後において起つた変化の中で一番大きいものは、言うまでもなく、非常に皮肉なことには講和後において日本の景気が中だるみから不景気の段階に入つた。そうして又或いはこれは、これから恐慌の段階に入るかも知れません。最近では三月危機ということが言われております。ばら色の復興どころか、皮肉にも講和後において、日本の経済は非常な不景気になつて来ておる。不況の段階に入つて来て、更にこの不景気は恐慌の方向に進もうとしておる。これはもう否定できない。政府の機関である経済審議庁で発行しております経済月報を御覧になりましても、この十一月号にははつきりと、日本の経済は二十七年度下期に入つて非常な不況の段階に入つて来ておる。こういうことをはつきり書いておる。この不景気の原因はどこにあるか。この一番大きい原因は言うまでもなく貿易の激減、輸出入共に、当初予算で予想したよりも非常に激減しておる。当初予算編成の当時には、この八千五百二十七億の予算を編成するときに、輸出が十一億」千百万ドル、輸入は約二十一億ドルあるとして、その基礎の下に国民所得が五兆三百四十億ある。そこで税金は六千三百億取れるのだ。これに専売益金を入れて八千五百二十七億くらいの予算が実行できると。こういうふうに政府は当初考えた。ところがこの二十七年度当初予算の一番重要な前提条件になつておる貿易規模はどうでございますか。輸出は大体十一億ドル、輸入が大体十八億ドル、これで日本の経済が縮小の方向に向わないと誰が言えましようか。期待した特需は殖えないのです。約三億ドルの程度に低迷している。これが日本経済の最近の不況の一番大きな原因なんであります。併しこの不況は、世界的影響を受けています。世界的な不況はどこから来たかと言えば、言うまでもなく朝鮮動乱を契機として第三次戦争が始まるという前提で、アメリカその他が非常な大きな軍備拡張に乗り出したところが、現実に戦争危機は遠のいて来ている。(「総理はどうした」と呼ぶ者あり)そのために経済的矛盾が激化しまして、景気対策としてやつたところの軍備拡張が、逆に不景気の原因になつて来ているのであります。それが日本に影響しまして、貿易の激減になつて、而もこの貿易の見通しは暗い。来年度は十億八百万ドル。十億に減ろうとしているのです。政府で今回作りました五カ年後の経済の見通し作業、昭和三十二年を目標にする見通し作業によりましても、昭和三十二年になつても、貿易の輸出は大体十四億くらい、そうすれば大体昨年度の貿易規模であります。三十二年になつても、日本の経済はそれより拡大しないのは情ない話でありますが、この貿易について、殆んど政府は、貿易の激減について対策らしい対策も示しておりません。
それから第二の不景気の原因は、このように貿易が激減して滞貨が非常に多くなつている。ところがそれを国内で買うところの国内購買力が非常な減少をしている。国内購買力の減少はこの二十七年度予算の矛盾がそこに現われて来た結果でありまして、御承知のように二十七年度予算に千八百二十億、予算の二一%にも達する不生産的な厖大な予算を組みまして、而もその予算は、先ほど社会党の岡田君も指摘しました通り、殆んどまだ使われておらない。約千三百億円も未使用のまま繰越されている。こんな不経済なことはございません。余裕金といたしまして国民から税金をそんなに吸い上げて、政府は使わないで、そのお金を……(「使うことに反対したじやないか」と呼ぶ者あり)そのお金を中小業者が困るというので銀行に貸付けて、指定預金として政府は貸付けている。金利を取つて貸付けている。こんなばかな話がありますか。(「泥棒に近いのだ」と呼ぶ者あり)そんな年度内に使わない金を、どうしてこんなにたくさん、一千億円以上も政府が手許に持つて、そうして金融に困つたと言つて、政府が金利を取つて指定預金として金融緩和として貸付けている。そんなに使わないものなら、なぜ、税金として取らないで最初から金融を枯渇しない政策をとらないのだ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういうばかなことをしているのであります。更に又財政の蓄積資金としては約五千八百億円、六千億円近いものを蓄積しております。更に又非常な過剰恐怖に陥りまして、日本のいわゆる間接侵略なるものに非常な過剰恐怖に陥りまして、木村保安庁長官は非常に広大な演習場を保安隊のためにこれから接収しようとして、六万八千町歩に上るところの大演習場、中演習場、小演習場を設置しようとしている。そこで実際、現実に日本では考えられないような規模の大暴動を予想して、非常に高度の武器を持つて、そうして保安隊に演習をさせようとしている。そのために農産物は減収になるわけです。こういう過剰恐怖のために必要でないところの、現実に必要でないところの農地を接収している。又現実に使わないところの、年度内に使えない金をたくさん蓄積している。そうして税金として取つて、国民が金融に困るからと言つて、金利を取つて国民に貸している。こういうことが不景気の大きな原因になつておる国内的要因であります。国際的には貿易の、輸出貿易の激減から滞貨が溜つて、各種産業は操業短縮を軒並みにしなければならない状態になつて、いわゆる総体的過剰生産、その過剰生産物を国内で売れないように政府はしているのは、この二十七年度予算の矛盾がここに現われたのです。従つて本来ならばこの補正にいて、この当初予算編成後に現われたこういう事情を調整するような補正措置をとるのが、向井大蔵大臣の言われるところの二十七年度予算編成後において諸情勢に対応する予算と言われるゆえんなんです。そういうことをしないで、この補正をされるのですから、まるで言われることとなすことと逆なのであります。而も日本の経済は、アメリカの特需に依存しておる。アメリカの特需がアメリカの都合によつて、これが殖えたり減つたりする。これに依存しておる日本の経済は、実に不安定極まるものです。その根抵は不安定。底が浅いとも言われますが、こんな不安定の経済はない。而もアメリカの駐留軍の国内消費、いわゆる日本の婦人の貞操切符を販売して、(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)そうして国際収支を合せるような、こんな不健全な、こんな不安定な経済内容になつていて、どうして日本の経済は相当に復興し安定したと言えるでありましようか。更に最近は不景気になつて、不渡手形が増大し、失業者は殖え、中小企業は倒産し、農村の過剰人口、そうして人身売買、二男三男の問題、或いは労働組合のストライギの問題、こういうような事件が続々と起つていて、どうして日本の経済は安定しておると言えるでありましようか。こういう意味で、全くこの講和後の日本の経済の実態が、特に二十七年度当初予算編成後に現れたところの日本経済の諸変化、こういうものに対する認識が、全く政府には私は欠けている。或いは甘い。正しく認識していないと思う。而も今後はどうですか。来年度予想されるところは、これから賠償が出て来る。外債の支払が出て来る。対日援助も支払わなきやならんと言われています。大変な問題です。ばら色の復興どころじやございません。これからの日本の経済は苦難の経済です。然るに国民に、安易に如何にも経済が安定したことく言うのは、再軍備をする場合に、日本の経済が安定したと言わなければ再軍備しにくいから、実情と違つて故意に日本の経済が安定しているがごとく私は、こういうその見方をしているのではないかと思うのであります。(「おめでたい話だな」と呼ぶ者あり)これは全く私は無責任、実情の認識に欠けておると思う。この補正予算の一番重要な、その前提となるところの経済実態の認識について、我々と全く反対なんです。この意味で、この補正予算に私は賛成できない。
それから第二の反対理由は、二の補正の内容として盛つたところの基幹産業の育成策と、それからいわゆる民主安定策、民生策。この二つについて私は賛成できないのです。第一の基幹産業の育成策というのは、これは今度いわゆるワールド・バンクに提出いたしましたWB作業というのがあります。昭和三十二を年目標とした、いわゆる経済拡充計画と通産大臣は呼んでおられますが、その内容を見ますれば、成るほど基幹産業の育成の方策はそこに盛られております。日本の生産を戦前の一七〇指数にまで昭和三十二年に持つて行く。昭和二十七年度よりも、二五%生産を引上げる。併しながらその内容を見ますると、兵器産業、或いは兵器産業の基礎になるところの基幹産業の拡充策に重点が置かれているのです。はつきりとその産業に示されております。吉田内閣の政策がはつきりしないと言いますけれども、実ははつきりしているのです。(「そうだ、その通り」と呼ぶ者あり)兵器産業の生産を中心として再軍備の方向への政策ははつきりと明示されております。この五カ年拡充計画案の内容を政府は明確に発表されれば、今後日本経済の進むべき道はどういう方向に行くかということは、はつきりわかるのです。平和産業に対する財政投資は抑えられて、そうして重工業、或いは兵器生産の基礎になるところの基幹産業に対する財政投資は、これから非常に殖えて行く。いわゆる弾力性を持たして、これから財政投資に重点を置くと向井大蔵大臣が言われるのは、やはりこの再軍備を目標とするところのその基盤になる兵器生産、その基礎となる基幹産業の育成にあることは、もう明白でございます。時間がありませんが、私は時間があれば、詳しくその資料に基いて説明いたしたいのですが、これは私は省略いたします。
第二の補正予算の内容といたしまして民生安定、その方法として給与ペースの引上げ、裁定の実施、減税ということをやつておりますが、これは一応まあ表面的には何か民生安定らしく見えるのですが、この財源措置を見れば、明らかにこれは、ごまかしです。例えば、減税について見ますと、勤労所得税六百六十億の自然増収を図りながら、二百三十億しか減税をしておりません。ところが他方、米価引上によりまして国民に三百三十億の負担の増加を強いております。運賃の値上によります三百億のうち、百五十億が国民負担分になる。そうすれば四百八十億というものは国民の負担の増加であります。更に又大きな企業につきましては、退職給与引当金の損金算入による減税、或いは、貸倒れ準備金の損金算入の引上による減収見込、(「時間だ時間だ」と呼ぶ者あり)或いは租税特別措置法による法定償却の五割増し償却によるところの減収見込、或いは企業合理化法による減税、価格変動準備金による減税、合せて二百十八億も大法人には減税いたしました。この前法人税を四二%に引上げましたが、実際は三七%に過ぎないのでありまして、小さい企業の法人は四二%の税金をかけられている。こんな不公平な税制になつているのであります。従いまして民生安定と言つても、名前は安定でも実際はそうでなく、給与ペース引上げ、裁定の実施につきましても、大蔵大臣は、本年度は多少予算はあるかも知れませんが、来年度は予算がないからできないと申しましたが、来年度の予算については何ら我々に示しておらない。(「来年いなくなるか」と呼ぶ者あり)
以上、私は政府のこの補正予算の前提条件及び内容について反対理由を述べましたが、それではどうしたらいいか。三派の修正案がよろしいかどうか。私は三派の修正案につきましては、その支出面においては大体同感でありますが、その財源措置につきましては、遺憾ながら私は異なつた見解を持つております。特に今の日本経済の現段階で、財政規模を拡大するような修正はなすべきじやないと思います。私、は財政規模を拡大しないで、三派修正のような歳出をやるためには、不生産的な防衛支出はこれを削減しなければなりません。(「そこだ」と呼ぶ者あり)それも千五百億くらいは未使用になつておるのですから、これに手を触れないで、その上に、財政支出を積上げるというような形で財政規模を拡大することは、インフレになるか、或いは税金が殖えるかになる。もう現在でさえ地方財政を含めたところの国家財政は、国民所得に対して二八%にもなつているのであります。敗戦後の日本の現状として、まだ生活水準は戦前にまで回復していない、大体勤労者は七〇%。こんな現状で千八百二十億というものを、こんな不生産的な支出をする余裕はないのです。(「議長、時間時間」と呼ぶ者あり)このような多くの財政支出を吉田内閣が一応これを認めた恰好になつたのは、この裏付としてアメリカからたくさんの外資導入があると思つてやつた。ところがないのです。従つて実際問題としては、日本の現実はこんなたくさんの不生産的な支出をする状態ではございません。これを徹底的に削減して民生費に充てるべきだ。そうして中央地方の財政と通じて、財政規模をもつと削減するということが、私は差当りこの補正予算に対する根本の対策であると思うのであります。
時間がございませんので以上の理由によりまして、政府原案に反対、又非常に遺憾でございますが、三派の修正案にも反対の討論をここで終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/154
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155・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
〔岩間正男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/155
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156・岩間正男
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、補正予算三案並びに野党三派提出の修正案に反対するものであります。
先ず第一に私の指摘したいことは、今次補正予算提出の最も大きな理由は、かねての公約であるところの公務員の給与改善にあると政府は言つているのであります。然るに本案を見ますと、ペース改訂分として組まれたものは、僅か百二十八億に過ぎず、これに地方公務員その他の分とおぼしきものを加えましても、二百五十億程度であります。これは今次補正歳出総額七百九十八億の三〇%程度に過ぎないのであります。こうして官公労が要求した一万六千八百円、官労が要求した十八歳九千九百七十円の最低賃金ばおろか、人事院勧告案をさえ遙かに下廻つておるのであります。政府がこのような欺備的方法を用いて、公務員の給与改訂を表看板として調つているについては、大きなたくらみが隠されているのであります。そのたくらみとは一体何か。少くとも次の三点を私は挙げることができるのであります、その第一は、ペース・アップを増税の財源に利用していることであります。その第二は、ペース・アップを口実にして、米価、国鉄運賃、電気ガス等の独占物価を吊り上げ、大衆収奪をいやが上にも強化しようとしていることであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)第三には、職階制賃金の開きを一層拡大して、職場の戦時体制をますます促進することであります。
先ず第一の問題についてでありますが、このようなごまかしのペース・アップの財源は、一切大衆課税で賄われておるのであります。即ち歳入一千二十八億のうち、約三分の二を占める六百六十億円を勤労者からの源泉所得税に委ね、これに砂糖消費税、ガソリン税、物品税等の百六十四億、専売益金百億などを加えれば、総額まさに九百二十四億に及んでいるのであります。この中から来年一月からの減税分二百二十億を差引いても、残額七百億は大衆課税で賄われているのであります。このように全く申訳のベース・アップを餌にして、政府は大増税を断行しているのであります。えびでたいを釣るのが、いつもながらの政府のやり方であります。第二の物価値上については、先ず米価があります。政府は農民から買上げる価格は、石当り七千三十円から七千五百円へと僅か四百七十円程度引上けるに対しまして、消費者価格は従来の九千二百円から一万二百円へと九百円も引上げているのであります。このようにして生産者価格と消費者価格との差額は、従来の石当り二千二百七十円から二千七百円に増加しているのであります。いま、年間の産米供出量を二千五百万石とすれば、この分の総額は実に六百七十五億円となるのであります。中間経費を差引いた残りを、政府は一体何に使つているのか。台湾などの高いくず米を買わされて、その穴埋に百十億円の輸入食糧補給金を新たに計上しているところからも、その正体がほぼ推察される。最近は食管会計から二十数億円を出して、大洋漁業、日本水産などの鯨油の滞貨を買上げて、独占資本を救済しているのであります。更に澱粉、甜菜糖、飼料などの買上をすべて食管会計に突つ込み、一方では数百万石の米麦を備蓄用にため込んでおるのであります。このように米の消費者価格値上でかき集められた金は、国民の目から隠されまして、農林省の伏魔殿といわれておる食管会計の中で、各種の市場操作に使われているのであります。食管会計は、これまで一度も棚卸しされていないと言われているのであります。どうして棚卸しをやらないのか、曾つての薪炭特別会計のように、あけて見ればどんな化物が出るかわかつたものではないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)食管会計の全貌を国民の前に政府は明らかにすべきであります。(「農林大臣どうした」と呼ぶ者あり)而も農民からの供出価格は、生産費を遥かに割つた引合わないものであります。これは農民と都市の消費者を対立させようとする故意の分裂政策の現われであります。このようにしまして低賃金、低米価政策は、内外独占資本の老獪にして狡猾な搾取政策であります。更に国鉄運賃と独占物価の引上げ並びにこれに伴う一般物価のはね返りを考えれば、実に厖大な大衆収奪であると言わなければならないのであります。
第三に、今度のペース・アップは、上に厚く下に薄い職階賃金をますます拡大しているのであります。即ち上下の差は、従来の十三倍から十七倍に拡大し、これによつてますます職場の支配を強化して行く。これはまさに戦時体制の準備と言わなければならない。このようにして青少年、婦人、下級公務員のベース・アップは平均五、六百円程度である。これを数字的に見ても、号俸十一級の課長級以上の人員は、これまで全体の四%で、その給与総額は一一・四%を占めていたのが、今度のベース・アツプでは一二・六%とはね上つているのであります。反対に人員の九六%という絶対多数を占めるところの十一級以下の下級公務員の給与総額は、従来の八八・六%から八七・四%に低下しているのであります。これでは下級公務員が、ペース・アップごとに生活が苦しくなると訴えているのも、全く無理のない話であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)このような収奪政策によつて、労働者のみならず全国民大衆の生活は、目下極度に破壊されております。一千万と言われる失業者、半失業者は、減税には何ら関係もなく、物価はうなぎ上りに上り、それで雀の涙ほどの日当が殖えても、生活はますます苦しくなるばかりであります。農民に関しては、政府は農林漁業資金融通特別会計、農業保険費など約二十億を組んでいるのでありますが、これくらいのはした金では現在の農村の窮乏に対しては、誠にこれは焼石に水である。そればかりではない。敗戦以来苦心して開拓した農地を米駐留軍に取上げられ、その移転費として僅か一千八百万円しか見込まれていないのである。一戸当りこれは九万円の割当になるが、このようなはした金で追払われようとしておるのが、今の開拓農民の姿である。これは農地取上げのほんの一部分でありまして、こうして農業は破壊され、食糧はますます外国に依存せざるを得ないのであります。漁民の場合もこれに劣らずひどくなつている。千葉県九十九里浜、静岡県の伊東、石川県の内灘等、多くの米軍演習場のための漁場の取上げ、東京湾、大村湾等の防潜網による漁業破壊だけを見ても、このことは明らかであります。
次に中小企業の金融について見れば、十一月末までの東京手形交換所における不渡手形の数は、一月平均八百枚に達し、昨年同月の実に三倍に当つているのであります。而もこのうちの大部分が、繊維、機械、化学などの中小企業であります。九月から最近までに東京、大阪、名古屋において中小の繊維商社が約七十社も倒産し、本年中には昨年の二倍の二百社が倒産しようと見られているのであります。この一例を見ましても、中小企業の窮状が如何にひどいものであるかということが窺われるのであります。中小企業者の五人や十人は死んでも仕方がないと放言して不信任をくらつた池田君がやめても、吉田内閣の中小企業対策は少しも変つていないのがその実情であります。向井蔵相、小笠原通産相はその答弁の中で、平和産業に重点をおきますと、白をきつていますが、これを裏付ける施策は何もなされていないではないか。
次に青少年に対しましては六・三制校舎〇・七坪不足分十六万坪、老朽校舎二百二十万坪、雨天体操場の建築費など、問題はまさに山積みしているのであります。その極く一部分を文部省は今次補正で要求したが、その殆んど全部は削除されているのである。又起債の枠も、何ら拡大されてはいない。こうして地方財政を圧迫し続けている校舎建築問題は未解決にさらされている半面において、政府は保安隊を入れるために大学などの教育施設から学生を追出そうとたくらんでいるのであります。これに対して現在新潟新発田の反対闘争は、目下激烈に闘われておるのであります。これは教育と文化を熱愛し、平和と独立のために立上つた民族的な闘いである。更に又政府は十三万に及ぶ今年度の大学卒業生に対しましては、未だに何らの就職の途を講じていない。こういう実情であります。
地方財政に対してはどういうことが起つておるか。平衡交付金は全国知事会議の要求六百億に対しまして僅かにその三分の一の二百億を支出しておるに過ぎないのであります。地方起債も又全く同じである。政府は地方財政を破滅に追込んで、弱体な市町村の合併、自治警の国警編入を促進し、更に知事の任命制、地方議会の定員縮小など、漸次地方自治体の範囲を狭め、軍国主義復活のため道州制を制定し、中央集権化をたくらんでおるのであります。このように国民の生活を全き窮乏と破壊にさらしながら、政府は一方で厖大な財政余裕金を貯め込んで再軍備に当てようとしているのであります。財政余裕金につきましては、大蔵当局もインベントリー・フアイナンスの関係二千三百五十億円、資金運用部資金七百三十三億円、見返金三百億円、食管会計四百七十七億円、二十六年度国庫余裕金四百五十六億円、合計四千三百十六億円を隠匿しておるのであります。これらのものは、政府といえども認めないわけにはいかない数字である。この上になお本年度予算の中から、安全保障諸費五百二十五億、講和回復善後処理費二百十億、保安隊費の未使用分など、合計約千五百億円が手を触れずに明年度に残されようとしておるのであります。これで本年度末の財政余裕金は、実に六千八百億の巨額に達することになるのでありますが、そのほかに政府手持外貨十一億ドルのうち五億ドル相当額を計算すれば、まさにこれは一千八百億円ほどが残されているのであります。このように労働者の賃金値上の要求、減税の要求、生産者米価の引上げ要求、中小企業家の融資の要求をことごとく抑えつけ、却つて大衆課税で補正予算を賄つて巨額の金を隠匿せねばならん理由は一体何であろうか。それは言うまでもなく、国連協定の名によつて目下進められつつある日本の軍事体制の確立、殊にも御主人アメリカの要請する再軍備と、これに伴う兵器生産態勢の確立であります。言うまでもなく、みずからの経済矛盾の解決を求めて、朝鮮に戦火を放つたアメリカの戦争政策は、これに抗して戦う北鮮軍並びに中国人民義勇軍の前に、今や重大な敗北を余儀なくされております。この敗北にもかかわらず、あくなき戦争利潤を求めてやまぬアメリカは、更に大規模な冒険戦争をたくらみ、他国の国民と国土を挙げてその目的に供しようとしております。アイゼンハワーの朝鮮訪問の真の目的はここにあつたのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)すでにアメリカ大使マーフイー、米極東軍ヒツキー参謀長、アリソン国務次官補などから、数次に亘つて日本の再軍備を要求されている。これら一連のアメリカ側の矢つぎ早の要求に対して、吉田内閣は如何なる態度をとつているのであろうか。これを本院における吉田総理の答弁についてみましても、再軍備をしないというのは私の信念であると、大見栄を切つたすぐ後から、国民の世論が盛り上れば、再軍備をするにやぶさかでないと、平気で述べておるのであります。これらの矛盾した態度でも明らかなように、吉田政府は、国民の澎湃たる再軍備反対世論に推され、私生児的な保安隊を鎧の袖の下にひたかくしに隠しながら、六十八隻の艦艇をアメリカから借受け、陸上保安隊には重砲、戦車をさえ使つて、着々とその拡大強化に努めている。更に政府はA級戦犯の釈放に努力し、旧軍人の恩給復活に大童になつておるのであります。このように吉田内閣は、明らかに再軍備、軍国主義の復活に努めている。一方行政協定によつて接収された施設、区域は六百十三に及び、その後数次に亘つて軍事基地、陸上、海上の演習場を増加している。これらはすべて日米合同委員会の決定によるものであるが、その運用は全く日本の立場を無視して一方的に推し進められているのであります。一方軍需生産に関する計画も、目下アメリカの大使館に所属する開発調達部と日本独占資本の代表機関である経団連との間に、いわゆる防衛生産日米合同会議が持たれ、目下強力にこれが推し進められておるのであります。このための産業の再編成、軍需資材、動力、金融の優先的集中割当等は、今次予算の大きな背景をなしておることは争われない事実であります。小笠原通産大臣は、日本で生産された兵器の九九形までが外国向けのものであると言つておるが、これら旧軍施設の利用復活等を通じて、すでに重戦車、大砲はおろか航空機生産がたくららまれ、日本新国軍の建設に備えて、兵器生産が計画されていることは明らかな事実であります。言うまでもなく本年上期における貿易の不振は甚だしく、その原因は東南アジア市場における英米の対立、西独の進出等に根ざしておる。併しその根本には、世界単一市場の崩壊による資本主義国間の相互矛盾の解決のはけ品を、軍需生産に求めざるを得ないことも又明らかな事実であります。
こうした世界的恐慌のさ中にあつてアメリカの一方的な支配と従属を強いられておる日本の資本家は、国内の産業構造をアメリカの下請工業的性格にますます深く再編しておるのであります。これに対して国内独占資本が新国軍の建設を目指して、自主的な軍需生産を確立しようと動きつつある、その動きも又見逃すことができないのであります。木村保安庁長官は本院の予算審議において、外国の兵器を借りているのでは魂が入らない。日本の保安隊は日本の武器で訓練したいと発言したことは、これらの消息をよく物語つているのであります。ここに日本再軍備に対する日米間の矛盾対立が存在し、これが又吉田政権を土台からゆさぶり、保守新党の動きとなつて、ようやく活発化しようとしている事実は、国民がひとしく注目すべき現象であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)とにかく以上述べたように、日本再軍備、軍国主義の復活をめぐつて、政局は常に大きくゆれ、騒動を続けている。而して今次補正予算、二十八年度本予算の前奏曲として、初めから多くの波乱に直面したのであります。これこそは吉田内閣の政策に対する全国民の反撃の現われであります。我々ば全国民と共にかかる亡国予算に対し反対するものであります。
次に野党三派の修正案でありますが、これが衆議院に出され、その審議をめぐつて自由党民同派の策動が大きく露呈したが、結局は民同派の寝返りによつて修正案は阻止されたのであります。仮に併し修正案が通つたとしても、公務員の給与改訂は根本的には何ら改善されるものではないのであります。厖大な再軍備費の隠匿に向つて闘い、再軍備の息の根をとめない限り、たとえ労働者の給与は年末をめぐつて一時増加されたとしても、一月からの物価値上げによつて帳消になることは今までの例でも明らかであります。野党三派の修正案は何らこれらの問題に触れることのない枠内操作である。我々はこれに対して反対せざるを得ないのであります。我々は総評傘下の労働者や炭労の諸君が最低生活保障のための賃金を要求して闘かつておることを知つています。これは全く再軍備の息の根をとめることなしには労働者の基本的要求は何ら確立されないことを自覚した結果でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)又曾つてないほど大きな規模と期間を通じて闘われた炭労、電産のストが、このような民族の独立と平和を求めて闘われたものであることは余りにも明らかであります。然るに吉田総理は、ストは贅沢だと言い、向井大蔵大臣は、炭鉱労働者の生活状態について何ら知らない事実を告白したのでありますが、これこそは、吉田内閣の性格をますます現わしておるのであります。四人家族で八千五百円でどうして食えるか。食えない賃金で我慢に我慢を重ねてこれまで耐えて来たのが炭鉱労働者の状態であつたが、今やこれ以上の我慢がなりかねて、ストを以て立上つた。ストは贅沢だと言うが、世の中に誰が一人でも、ストを好んで一体やる者がありましようか。(「そうだぞ」と呼ぶ者あり)全く止むに止まれない生活防衛のための闘いであります。従つて一度ストライキを敢行するや、草の根をかじつても闘い続けたのであります。然るに頑迷固陣な資本家は、厖大な超過利潤と炭住融資……二十三億のあの融資による特典によつても見るように、資本家は、政府のこのような支持を頼りとしまして、冷然とこれを無視し続けたのであります。遂に緊急調整を一方的に押付け、労働者を弾圧して、そのスト権を奪つたのである。而も問題にならない中労委の調停案を、未だに資本家は拒否し続けているのであります。それにもかかわらず政府は何らこれに手を打つていない。この労働者の人権を無視し、飽くまで資本擁護の労働政策こそは、吉田内閣の再軍備と戦争復活態勢をよく物語つているのであります。(拍手)従つて今や全日本の労働階級は、この基本的な売国政策を打ち破ることなしには、みずからの生活を護れないのみか、民族の独立も平和もあり得ないことを身を以てますます体得したのであります。
こうして理不尽な弾圧によつて、一時的中止を余儀なくされた炭労、電産のストも、必ずや自然発火のように再び立上らざるを得ないでありましよう。先にも述べたように、最近の世界経済の不況は、私は世界単一市場の崩壊による資本主義国家間の相互矛盾とその対立に深く根ざしているのであります。こうした矛盾を解決し、民生の安定と世界平和を確立する途は、平和産業の無制限拡大と平等互恵の貿易を確立して、東西貿易の途を切り拓く以外にないことは、今や余りにも明らかであります。イデオロギーを離れ、日中、日ソ貿易の拡大を図るより以外に、日本民族の生きる途はないのであります。向井大蔵大臣は、日中貿易は国家の立場からむずかしいと答弁しておりますが、国の立場とは、労働者、農民、中小企業、民族産業家等が民族的な苦悶を嘗めているものを、どう切り拓くかというその政策にかかつておるのであります。如何に日中貿易に対する最近大きな輿論が捲き起されているかということは、現に日中貿易促進議員連盟が、両院にあつて三百名もの多くの議員の名を連ね、その中には、自由党の(「時間々々」と呼ぶ者あり)多くの諸君も参加している事実によつても明らかであります。
我々は日本の平和を護り、民族の独立を真に確立するために、このような売国的な予算案に絶対反対し、飽くまでも闘うものであることを誓いまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/156
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157・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終結したものと認めます。
これより採決をいたします。先ず永井純一郎君外七十四名提出の昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)に対する修正案全部を問題に供します。この表決は記名投票を以て行います。永井純一郎君外七十四名提出の修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/157
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158・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/158
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159・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数百九十票、
白色票五十八票、
青色票百三十二票、
よつて、永井純一郎君外七十四名提出の昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)に対する修正案は否決せられました。
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 五十八名
堂森 芳夫君 小泉 秀吉君
カ一三邦彦君 東 隆君
中村 正雄君 赤松 常子君
松浦 清一君 山田 節男君
河崎 ナツ君 成瀬 幡治君
重盛 壽治君 江田 三郎君
齋 武雄君 小酒井義男君
田中 一君 下條 恭兵君
高田なほ子君 三輪 貞治君
小林 亦治君 松永 義雄君
加藤シヅエ君 岡田 宗司君
椿 繁夫君 荒木正三郎君
原 虎一君 村尾 重雄君
矢嶋 三義君 羽生 三七君
中田 吉雄君 三橋八次郎君
相馬 助治君 永井純一郎君
伊藤 修君 曾祢 釜君
菊川 孝夫君 千葉 信君
藤原 道子君 上條 愛一君
山下 義信君 棚橋 小虎君
三木 治朗君 小笠原二三男君
栗山 良夫君 内村 清次君
木下 源吾君 千田 正君
堀木 鎌三君 岡村文四郎君
紅露 みつ君 吉田 法晴君
松浦 定義君 山崎 個君
野溝 勝君 岩木 哲夫君
岩男 仁藏君 松原 一彦君
深川榮左エ門君 深川タマヱ君
反対者(青色票)氏名 百三十二名
伊達源一郎君 館 哲二君
竹下 豐次君 高橋 道男君
高田 寛君 高木 正夫君
新谷寅三郎君 島村 軍次君
西郷吉之助君 杉山 昌作君
木下 辰雄君 河井 彌八君
片柳 眞吉君 柏木 庫治君
小野 哲君 岡本 愛祐君
岡部 常君 梅原 眞隆君
井上なつゑ君 伊藤 保平君
石黒 忠篤君 飯島連次郎君
赤木 正雄君 結城 安次君
山川 良一君 村上 義一君
森 八三一君 三浦 辰雄君
前田 穰君 堀越 儀郎君
藤森 眞治君 藤野 繁雄君
早川 愼一君 野田 俊作君
西田 天香君 中山 福藏君
徳川 宗敬君 常岡 一郎君
田村 文吉君 高瀬荘太郎君
小林 政夫君 小宮山常吉君
大矢半次郎君 郡 祐一君
廣瀬與兵衞君 岡崎 真一君
松平 勇雄君 岡田 信次君
加藤 武徳君 城 義臣君
植竹 春彦君 山本 米治君
古池 信三君 青山 正一君
石川 榮一君 木村 守江君
西山 龜七君 大谷 瑩潤君
一松 政二君 深水 六郎君
仁田 竹一君 草葉 隆圓君
徳川 頼貞君 左藤 義詮君
大島 定吉君 黒田 英雄君
小林 英三君 中川 以良君
川村 松助君 寺尾 豊君
山縣 勝見君 松野 鶴平君
中山 壽彦君 野田 卯一君
軍宗 雄三君 大野木秀次郎君
入交 太藏君 宮田 重文君
西川甚五郎君 宮本 邦彦君
杉原 荒太君 平井 太郎君
秋山俊一郎君 石村 幸作君
長谷山行毅君 高橋進太郎君
瀧井治三郎君 堀 末治君
安井 謙君 長島 銀藏君
平沼彌太郎君 小滝 彬君
上原 正吉君 楠瀬 常猪君
團 伊能君 池田宇右衞門君
愛知 揆一君 鈴木 恭一君
北村 一男君 小野 義夫君
白波瀬米吉君 岩沢 忠恭君
石原幹市郎君 島津 忠彦君
大屋 晋三君 泉山 三六君
黒川 武雄君 横尾 龍君
石坂 豊一君 中川 幸平君
九鬼紋十郎君 須藤 五郎君
岩間 正男君 水橋 藤作君
木村禧八郎君 堀 眞琴君
鈴木 清一君 池田七郎兵衞君
竹中 七郎君 大山 郁夫君
菊田 七平君 小川 久義君
前之園喜一郎君 駒井 藤平君
林屋亀次郎君 鈴木 強平君
油井賢太郎君 栗栖 赳夫君
稻垣平太郎君 木内キヤウ君
谷口弥三郎君 境野 清雄君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/159
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160・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に原案、即ち昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)全部を問題に供します。この表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/160
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161・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/161
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162・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数百九十票、
白色票百二十五票、
青色票六十五票。
よつて、昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)は可決せられました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十五名
伊達源一郎君 館 哲二君
竹下 豐次君 高橋 道男君
高田 寛君 高木 正夫君
新谷寅三郎君 島村 軍次君
西郷吉之助君 杉山亡昌作君
木下 辰雄君 河井 彌八君
片柳 眞吉君 柏木 庫治君
小野 哲君 岡本 愛祐君
岡部 常君 梅原 眞隆君
井上なつゑ君 伊藤 保平君
石黒 忠篤君 飯島連次郎君
赤木 正雄君 結城 安次君
山川 良一君 村上 義一君
森 八三一君 三浦 辰雄君
前田 穰君 堀越 儀郎君
藤森 眞治君 藤野 繁雄君
早川 愼一君 野田 俊作君
西田 天香君 中山 福藏君
徳川 宗敬君 常岡 一郎君
田村 文吉君 高瀬荘太郎君
小林 政夫君 小宮山常吉君
大矢半次郎君 郡 祐一君
廣瀬與兵衞君 岡崎 真一君
松平 勇雄君 岡田 信次君
加藤 武徳君 城 義臣君
植竹 春彦君 山本 米治君
古池 信三君 青山 正一君
石川 榮一君 木村 守江君
西山 龜七君 大谷 瑩潤君
一松 政二君 深水 六郎君
仁田 竹一君 草葉 隆圓君
徳川 頼貞君 左藤 義詮君
大島 定吉君 黒田 英雄君
小林 英三君 中川 以良君
川村 松助君 寺尾 豊君
山縣 勝見君 松野 鶴平君
中山 壽彦君 野田 卯一君
重宗 雄三君 大野木秀次郎君
入交 太藏君 宮田 重文君
西川甚五郎君 宮本 邦彦君
杉原 荒太君 平井 太郎君
秋山俊一郎君 石村 幸作君
長谷山行毅君 高橋進太郎君
瀧井治三郎君 堀 末治君
安井 謙君 長島 銀藏君
平沼彌太郎君 小滝 彬君
上原 正吉君 楠瀬 常猪君
團 伊能君 池田宇右衞門君
愛知 揆一君 鈴木 恭一君
北村 一男君 小野 義夫君
白波瀬米吉君 岩沢 忠恭君
石原幹市郎君 島津 忠彦君
大屋 晋三君 泉山 三六君
黒川 武雄君 横尾 龍君
石坂 豊一君 中川 幸平君
九鬼紋十郎君 池田七郎兵衞君
竹中 七郎君 菊田 七平君
小川 久義君 前之園喜一郎君
駒井 藤平君 林屋亀次郎君
鈴木 強平君 油井賢太郎君
栗栖 赳夫君 稻垣平太郎君
木内キヤウ君 谷口弥三郎君
滝野 清雄君
反対者(青色票)氏名 六十五名
堂森 芳夫君 小泉 秀吉君
カ二エ邦彦君 東 隆君
中村 正雄君 赤松 常子君
松浦 清一君 山田 節男君
河崎 ナツ君 成瀬 幡治君
重盛 壽治君 江田 三郎君
齋 武雄君 小酒井義男君
田中 一君 下條 恭兵君
高田なほ子君 三輪 貞治君
小林 亦治君 松永 義雄君
加藤シヅエ君 岡田 宗司君
椿 繁夫君 荒木正三郎君
原 虎一君 村尾 重雄君
矢嶋 三義君 励生 三七君
中田 吉雄君 三橋八次郎君
相馬 助治君 永井純一郎君
伊藤 修君 曾禰 益君
菊川 孝夫君 千葉 信君
藤原 道子君 上條 愛一君
山下 義信君 棚橋 小虎君
三木 治朗君 小笠原三二男君
栗山 良夫君 内村 清美君
木下 源吾君 須藤 五郎君
岩間 正男君 永橋 藤作君
木村禧八郎君 堀 眞琴君
鈴木 清一君 千田 正君
大山 郁夫君 堀木 鎌三君
岡村文四郎君 紅露 みつ君
吉田 法晴君 松浦 定義君
山崎 恒君 野溝 勝君
岩木 哲夫君 岩男 仁藏君
松原 一彦君 深川榮左エ門君
深川タマヱ君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/162
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163・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に、昭和二十七年度特別会計予算補正(特第一号)及び昭和二十七年度政府関係機関予算補正(機第一号)全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/163
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164・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/164
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165・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日衆議院から、左の本院提出案が回付された。
簡易生命保険及び郵便年金の積立金
の運用に関する法律の一部を改正す
る法律案本日衆議院から左の議案を提出した。よつて議長は即日これを法務委員会に付託した。
平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案本日衆議院から左の議案を提出した。よつて議長は即日これを農林委員会に付託した。
農業改良助長法の一部を改正する法律案、本日委員長から左の報告書を提出した。
昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律案可決報告書平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法建業可決報告書
農業改良助長法の一部を改正する法律案可決報告書
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/165
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166・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/166
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167・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長中川以良君。
〔中川以良君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/167
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168・中川以良
○中川以良君 只今議題となりました昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
本案は、昭和二十七年産米につきまして、その超過供出奨励金に対する所得税を前年同様免除するほか、本年度新たに設けられました特別集荷制度にかかる超過供出奨励金該当加算額についても免税措置を講じようとするものであります。
なお本案は、衆議院において修正議決されており、その要旨は、昭和二十七年産米について、免税措置の範囲を拡張し、早期供出奨励金及び供出完遂奨励金についても同様に取扱おうとするものであります。本案審議の詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。
かくて質疑を終局し、討論、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定をいたした次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/168
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169・佐藤尚武
○議員(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/169
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170・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/170
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171・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に、この際、日程に追加して平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/171
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172・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
只今の衆議院提出案は、印刷配付が間に合いませんので、朗読を以て代えることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/172
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173・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。参事に朗読させます。
〔参事朗読〕
平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案
平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律(昭和二十七年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
第十六条に次の一項を加える。
3 第一項の期間は、政令の定めるところにより、これを短縮することができる。
第二十四条第一項但書を削り、同項に次の一号を加える。
四その他特別な事情があるとき。
第二十四条第二項中「五日」を「十五日」に改め、同条に次の二項を加える。
3 前項の期間は、その満了に際し、法務省令の定めるところにより、これを延長することができる。
4 前項の規定により延長する期間は、十五日をこえてはならない。第二十五条第二項に次の一号を加える。
三 同項第四号の事由に基く願出については、子の特別な事情を証する書類
附 則
この法律は、公布の日から施行する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/173
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174・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 先ず委員長の報告を求めます。法務委員長岡部常君。
〔岡部常君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/174
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175・岡部常
○岡部常君 只今上程されました平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案について委員会における審査の経過とその結果について御報告いたします。
本法案は、衆議院議員より本日提案され、本日、委員会に付託されたものでありまして、その趣旨は、仮出所の要件を緩和すること、一時出所を許す場合を拡張すると共に、その期間を伸長する等のもので、総じて巣鴨プリズソ在所者に利益を与えるものであります。ただここに考慮を要することは、比島及び濠州に拘禁されておる人々に及ぼす影響であります。御承知のことく現在マヌス島に百九十九人、モンテンル・ハに百九人が拘禁されていまして、その助命、帰還は非常に重要なことであり、而も焦眉の急に迫つている問題であります。委員会におきましては、主としてこの在外被拘禁者の助命、帰還及び本法案のこれに及ぼす影響及び本法案の成立により具体的な利益が期待できるや否やの点等が問題となりまして、伊藤、鬼丸、中山の各委員より熱心な質疑が提起されました。
かくて質疑を打切り、討論に入り、中山委員より賛成討論がありまして、採決の結果、全会一致にて可決すべきものと決定いたしたのであります。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/175
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176・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/176
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177・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/177
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178・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、農業改良助長法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/178
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179・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長山崎恒君。
〔山崎恒君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/179
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180・山崎恒
○山崎恒君 只今議題になりました農業改良助長法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
本法律案は、食糧増産の要請が極めて緊急を要する現下の情勢に鑑み、都道府県農業試験場の態勢を急速に整備確立することが極めて必要であるとして提案せられたものでありまして、その主な内容は、協同農業普及事業に必要な試験研究を推進するために、都道府県農業試験場に所定の資格を有する農業改良研究員を設置し、又都道府県農業試験場の研究能率を向上するため、主要な研究施設を拡充し、而してこれらを実施するため必要な経費の一部を国庫から補助せんとするものでありまして、委員会におきましては、慎重審査の結果、全会一致を以て、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/180
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181・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/181
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182・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
都合により、暫時休憩いたします。
午後十一時二十八分休憩
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午後十一時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/182
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183・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案(本院提出、衆議院回付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/183
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184・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/184
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185・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本案の採決をいたします。本案の衆議院修正に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/185
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186・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て衆議院の修正に同意することに決しました。
暫らくそのままでお待ちを願います。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/186
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187・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日、内閣委員長から調達庁、保安庁、管区監察局等の機構に関する実地調査のため長崎県及び福岡県に、竹下豐次君、原松一彦君を明年一月十二日より同月二十日迄の九日間。大蔵委員長から金融、租税行政等に関する実地調査のため福島県、宮城県及び山形県に、大矢半次郎君、大野幸一君を、愛知県、三重県及び奈良県に菊川孝夫君、伊藤保平君を、京都府、大阪府及び兵庫県に中川以良君、小宮山常吉君、堀木鎌三君を明年一月中八日間、福岡県、熊本県及び鹿児島県に木村禧八郎君、菊田七平君、平沼彌太郎君を明年一月中十日間。
厚生委員長から母子福祉貸付金、同和事業等に対する地方の実情等を調査するため京都府、奈良県及び和歌山県に藤森眞治君、堂森芳夫君、常岡一郎君を、兵庫県、岡山県及び広島県に草葉隆圓君、河崎ナツ君を、岡山県及び広島県に井上なつゑ君を明年一月十日より同月末日までのうち六日間、栃木県、群馬県及び長野県に中山壽彦君、山下義信君を明年一月十日より同月末日までのうち五日間。
水産委員長から漁村金融状況及び漁港整備状況等に関する実地調査のため宮城県及び福島県に松浦清一君、千田正君を、三重県及び愛知県に片柳眞吉君、木下源吾君を本月二十五日よリ明年一月二十日までのうち四日間、和歌山県及び兵庫県に秋山俊一郎君、木下辰雄君を本月二十五日より明年一月二十日までのうち五日間。郵政委員長から郵政事業の運営状況に関する実地調査のため、大阪府及び京都府に大島定吉君、駒井藤平君を、大分県及び佐賀県に柏木庫治君、城義臣君を、愛知県及び石川県に野田俊作君、三木治朗君を明年一月五日より同月二十日までのうち七日間。
電気通信委員長から電気通信事業の国営より公社へ移管後における運行状況等に関する実地調査のため、愛知県、大阪府、兵庫県及び京都府に楠獺常猪君、新谷寅三郎君を、茨城県、宮城県、福島県及び栃木県に水橋藤作君、池田七郎兵衞君を、愛媛県及び広島県に溝淵春次君、尾崎行輝君を会期中六日間。
労働委員長から鉱山労働者を中心とするけい肺病患者の実情を調査するため栃木県に安井謙君、村尾軍雄君、片岡文重君、重盛壽治君、堀眞琴君を本月二十五日から明年一月二十日までのうち二日間。経済安定委員長から国土総合開発に関する実地調査のため福岡県、熊本県及び長崎県に境野清雄君、佐々木良作君、須藤五郎君を明年一月中八日間。
決算委員長から昭和二十五年度決算会計検査院検査報告批難事項等に関する実地調査のため、徳島県、香川県及び高知県に松平勇雄君、カニエ邦彦君、飯島連次郎君を、……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/187
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188・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 時間が十二時になりましたので、散会いたします。
午後十二時散会
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○本日の会議に付した事件
一、議員の諸職
一、日程第一 農林漁業金融公庫法案
一、日程第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案
一、日程第三 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案
一、日程第四 日本専売公社法の一部を改正する法律案
一、日程第五 日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律案
一、日程第六 中小漁業融資保証保険特別会計法案
一、日程第七 造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案
一、日程第八 租税特別措置法の一部を改正する法律案
一、日程第九 電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案
一、日程第十 電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案
一、日程第十一乃至第五十七の請願
一、日程第百八乃至第百三十一の陳情
一、日程第百乃至第百七の請願
一、日程百五十四乃至第百六十五の陳情
一、日程第九十九の請願
一、日程第百五十二及び第百五十三の陳情
一、日程第五十八乃至第九十八の請願
一、日程第百三十二乃至第百五十一の陳情
一、農山漁村電気導入促進法案
一、国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品の無償譲渡に関する法律案
一、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
一、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
一、保安庁法の一部を改正する法律案
一、日本国とソメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関するの件)
一、図書館運営委員長報告
一、町村の警察維持に関する責任転「移の時期の特例に関する法律案両院協議会成案
一、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
一、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
一、保安庁職員給与法の一部を改正する法律案
一、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案
一、昭和二十七年度一般会計予算補正(第一号)
一、昭和二十七年度特別会計予算補正(特第一号)
一、昭和二十七年度政府関係機関予算補正(機第一号)
一、昭和二十七年彦米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律案
一、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案
一、農業改良助長法の一部を改正する法律案
一、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X01619521224/188
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