1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十九日(月曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 佐伯 宗義君
理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君
理事 栗田 英男君 理事 阿部 五郎君
理事 加藤常太郎君
秋山 利恭君 迫水 久常君
西村 久之君 園田 直君
飛鳥田一雄君 石村 英雄君
小林 進君 中村 時雄君
山本 勝市君
出席政府委員
経済審議政務次
官 深水 六郎君
総理府事務官
(経済審議庁次
長) 平井富三郎君
総理府事務官
(経済審議庁審
議官) 今井田研二郎君
総理府事務官
(経済審議 岩武 照彦君
庁調整部長)
委員外の出席者
議 員 綱島 正興君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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六月二十六日
委員飛鳥田一雄君及び石村英雄君辞任につき、
その補欠として伊藤好道君及び和田博雄君が議
長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員伊藤好道君及び和田博雄君辞任につき、そ
の補欠として飛鳥田一雄君及び石村英雄君が議
長の指名で委員に選任された。
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六月二十六日
離島振興法案(綱島正興君外七十名提出、衆法
第一一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
離島振興法案(綱島正興君外七十一名提出、衆
法第一一号)
日本経済の基本的政策に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/0
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001・佐伯宗義
○佐伯委員長 これより会議を開きます。
まず、去る二十六日本委員会に付託せられました離島振興法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を求めます。綱島正興君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/1
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002・綱島正興
○綱島正興君 ただいま議題になりました、綱島正興外七十名の提案にかかる離島振興法案提案の理由を御説明申し上げます。
祖国日本は、敗戦によつて国土の四五%を失い、わずかに本州、四国、九州、北海道と、これらを含む二千三百有余の島々に限定せらるるに至つたのであります。この狭隘なる領域の上に、しかも八千有余万の厖大なる人口を擁して、わが国の政治的独立と経済的自立を達成するためには、貿易の振興をはかるとともに、国土の津々浦々に至るまで、あまねく開発の方途を講ずることが、最も必要であることは申すまでもありません。
日本の本土より隔絶した外海の離島は、幾多の海陸資源を蔵しながらも、自然的、社会的諸条件の制約によつて、いまなお未開発の部面が多く、しかも島民は文明の恩沢に浴することがはなはだ薄いのでありまして、その民度水準はきわめて低く、経済的にも想像以上のみじめな状態のまま取残されたところが多いのであります。
かかる離島の開発のための基礎条件をすみやかに整備し、産業振興の施策を強力に推進して離島の後進性を除去するとともに、島民生活の向上をはかり、国民経済、文化の発展に寄与せしむるために特別の措置を講ずることは、邦家の現状よりしてまさに喫緊の急務といわねばなりません。このような見地から、社会的、経済的の事情と、一面離島民の長い間の悲願にこたえて、離島振興法案を提出した次第であります。以下この法案の内容について御説明申し上げます。
第一に、本法案は前述のごとく、離島の後進性を除去するための基礎条件の改善並びに産業振興に関する対策を樹立し、これに基く事業を迅速かつ強力に実施することによつて、その経済力の培養、島民の生活の安定及び福祉の向上をはかり、あわせて国民経済の発展に寄与することを目的とするものであつて、内閣総理大臣が離島振興対策地域を指定し、関係都道府県知事は、その地域について振興計画を作成して内閣総理大臣に報告いたしますと、内閣総理大臣は、国土総合開発審議会の答申に基いて離島振興計画を決定し、閣議の決定を求めなければならないことになつております。
なお離島振興計画は、離島振興対策地域に国土総合開発法に基く総合開発計画がある場合には、これと調和したものでなければならぬようにいたしているのであります。振興計画の内容には、離島の海陸交通を確保するに必要な施設及び通信施設の整備、開発振興の促進に必要な漁港、林道、農地及び電力施設等の整備、風水害その他の災害を防除するために必要な国土保全施設の整備、住民の福祉向上のため必要な教育、厚生及び文化に関する諸施設の整備が含まれているのであります。
第二に、都道府県知事は、毎年離島振興計画実施のための事業計画を政府に提出し、その事業計画については、審議庁長官が各省間の必要な調整を行うことになつており、なお国は、その決定した離島振興計画の実施に必要な経費は、毎年国の財政の許す範囲で予算に計上しなければならないことになつております。
第三に、国が決定した離島振興計画を行う地方公共団体その他のものに対し、政令で補助金を交付し、必要な資金を融通、あつせん、その他必要と認める措置を講じなければならないように規定することとし、特に振興計画の事業に要する費用について国が負担しまたは補助する割合を、港湾法、漁港法、道路法について、従来の規定にかかわらずこれを高率にして、法案の別表にその率を明示いたしているのであります心
なお、この場合、普通平衡交付金を受けない地方公共団体については、本法案の別表で定める国庫の負担割合及び補助を減ずることができるようにいたしたのであります。なお法案の別表に掲げている費用以外の費用についても、国が負担しまたは補助する割合及び対象についても、政令で特例を設けて、離島の開発振興をはかることにいたしたのであります。
第四に、本法案によつて、国が離島に対して特別の措置を講ずると、約十箇年位でおおむねその目的を達することができるものとして、本法案は公布の日より昭和三十八年三月末限り、その効力を失うことといたしたのであります。
以上のような内容の法案を制定することによりまして、離島の振興と島民の生活の向上をはかり、祖国再建に寄与せしめたいと考えるのでありまして、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成をいただきますよう切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/2
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003・佐伯宗義
○佐伯委員長 以上で提出者よりの提案理由の説明は終りました。本案に対して何か御発言はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/3
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004・小林進
○小林(進)委員 それでは提案者に御質問いたしたいと思うのでありますが、この離島振興法案には、これ以外に何か政令というようなものを予定しておられるかどうかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/4
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005・綱島正興
○綱島正興君 法規を定めてみましても、実は離島というところは普通のところと違つて、調査もなかなか十分に行き届かないし、また特殊な事情等もございますので、特に第九条の四項に「政府は、別表に揚げる費用以外の費用についても、第二項の規定に準じ政令の定めるところにより、国が負担し又は補助する割合及び対象について特例を設けるものとする。」という案を定めておるのであります。この意味は、離島でございますと、たとえば農地改良にいたしましても、五十町歩というようなまとまつたところが得られなかつたり、もしくは災害の対象がただいまは十万円以上となつておるようでございますが、これらの対象等も離島の特殊事情から多少引下げねばならぬのじやなかろうかというようなことを予定いたしまして、特に政令に委託した条項を定めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/5
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006・小林進
○小林(進)委員 今の御説明で一応納得したのでありますが、ただこの法案を拝見いたしただけでは何が何やらさつぱりわからないのでありまして、やはり政令で相当補充しなければ法律にならないではないかというふうに感じましたので、お尋ねいたすのでありますが、まず第一に離島振興法案の離島とは一体何をさすものか、提案者の予定せられている離島の定義内容といつたものをお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/6
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007・綱島正興
○綱島正興君 実はこの離島振興法の起りました由来から大体お考えを賜わりますと、多少の概念ができると思うのでありますが、提案者においても厳格な意味において本土から何里離れたところ、何キロ離れたところを離島というかという定義は決定いたしがたいと考えております。従つて法案の第一条に規定いたしておりますように、「本土より隔絶せる離島の特殊事情よりくる」何々ときめてあり幸して、「隔絶せる」という字を使つておるのでございますが、これには社会的意味と地理的意味とあわせてお考えを願うことが妥当であろうかと考えるのでありまして、それらのことについては、本法でいう国土開発総合審議会の御意見や、あるいはその地域に属すると考えられるところの方々の御意見等によつて大体きまつて来るじやなかろうか、もとより本法で申しますものは大体俗にいう離れ島——本法をつくるに至りました事情から申し上げますると、新潟県の佐渡島、島根県の隠岐島、それから長崎県の対馬、壱岐、五島列島、鹿児島等の甑島、西南諸島、東京都の伊豆諸島、小笠原諸島等を予定いたしたのでありますが、その後だんだん審議いたしておるうちに、たとえば熊本県の天草島のごときは、いろいろな条件からこれを離島と見る方が妥当であろうというようないろいろな御意見がありましたり、山口県の見島は非常に隔絶しているのであつて、これを見落したのはよくないという御意見があつたり、いろいろいたしておりますので、これからの線もいずれは具体的に定まるときに定まると存じますが、今申し上げたようで、どれだけ離れておるところを離島というかという時間的もしくは距離的のきめ方はただいまのところではございませんので、まず社会的通念に従つて御決定を願いたい趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/7
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008・小林進
○小林(進)委員 私は距離をお尋ねしているのではないのでありまして、やはり離島として法律をつくつてやるからには、開発に値する離島でなければならないと思うのであります。それでそのためにはやはり一定の地域とか、容積とか、面積といつたものも私は問題になつて来ると思うのであります。離島というからには——瀬戸内海あたりにもたくさんの島々がございまするし、新潟県の例で佐渡島とおつしやいましたが、新潟県には佐渡島だけではありません。そのほかにも離島はまだたくさんあります。そういうときに、この法案に該当する離島を今おつしやいました説明程度にとどめるならば、ほかの島をもつてこの法律に規定する離島にあらず、この区分をどこでおつけになるか。この法律には何か総理大臣が離島振興対策地域を指定するというようなことになつておりますけれども、総理大臣も何か政令規則の根拠なしにやられたのでは、これは独裁的な措置になりまして危険きわまりないということになります。総理大臣が離島地域を指定するにいたしましても、そこに何かの根拠がなければならない。ここに配付になりました資料にも何か制限地でありますか、例示であるか知りませんが、離島は十一の島があげられておるようであります。提案者は、この十一だけを離島と称して、あとは一切この法案の離島というものに該当しないとみなしておられるようにも感知せられるのでありますけれども、その離島と離島にあらざる区別を私は承りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/8
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009・綱島正興
○綱島正興君 もちろんただいまおつしやる例示してありまするものは例示にすぎないのでありまして、これ以外のものは全然離島にあらずという特殊な制限的考えが提案者においてはあるわけではございません。ただ先ほどから申し上げますように、国土総合開発の線とにらみ合せて、そうしてどこまでも経済的、社会的に決定していただく線と考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/9
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010・小林進
○小林(進)委員 そういたしますと、社会的、経済的なという抽象的な一つの判断で総理大臣が離島と離島にあらざるものとを区別されるというふうに解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/10
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011・綱島正興
○綱島正興君 総理大臣が決定いたしますには、この法案には国土審議会の意見に基いて決定いたすことになつておりまして、独断的にきめることはできないようになつておるのでございますから、どうぞ御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/11
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012・小林進
○小林(進)委員 この点もどうも私は納得ができませんので留保しておきたいと思います。
次にいま一問お伺いしておきたいと思うのは、この離島には未開発の部面が多く、しかも島民は文明の恩沢に浴することがはなはだ薄い。しかもその民度水準はきわめて低く、経済的にも想像以上のみじめな状態のままに放置せられているというような御説明があつたのでありますが、おそらく例示的にいたしましても、今列挙せられた十一の島の中に、どこかこういう民度の低い、経済的に非常に損失を受けている島があるのだろうと思います。私も今提案者がおつしやるように、それほど十一の島々を全部まわつて見たわけではないのであります。ただ遊覧客あるいは観光客として二、三の島を見た程度でありますから、実際民度が低くないと断定するほどの資料もないのでありますけれども、今この中に列挙されておる島々の表面だけを見ただけの私のささやかな考えでは、それほど民度や教育や文化が低いと思われるような島はどうも寡聞にして知らない。ここに園田さんもおられますが、園田さんは天草の出身であります。私は天草という土地は踏んだことはありませんが、地図で見ますと、私どもの住んでいる新潟や山形県の本土よりはむしろ非常に交通面も文化でも発達しておるかのごとく私どもには予測できるのであります。あるいは失礼な言い分になるかもしれませんが、そういうことからこの島の文化や教育やあるいは経済がこれほど劣つているのだという具体的な例証がございましたらひとつお示しを願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/12
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013・綱島正興
○綱島正興君 離島振興法参考資料、離島現況調というものをお手元に差上げてございますが、大体これをごらんくださいますと、港湾の整備関係、道路の関係、人口関係、みな大体差上げておるわけでございますが、実際を申し上げますと、ただいま私が存じております五島でありますとか、壱岐でございますとか、対島とかいうようなところは非常な漁獲高を持つておる。ほとんど想像もされぬような漁獲高を持つておる。それならそれに妥当するほどの電気設備でございますとか、港湾設備というものがあるかといえば、決してそれほどないのであります。非常に取残されております。ここらはどちらかというと漁獲高も非常に多い。物産の多い地域でなおかつそうであります。それから佐渡島なんかは、昔から草木もなびく島というのでございますけれども、だんだん調査して要すと、それもなかなかそうはなつておらない。ただお断りをいたしておきますが、佐渡の人口のところに増率が百十五倍となつておるのは一五%の間違いのようでありますので訂正をいたしておきますけれども、人口もあまりふえない。出産率は非常にあつても人口はどこの島でもほとんどふえない。それらの事情等からお考えくださいましても、離島というものがどれだけひどいかということは御想像がつくと思われるのであります。特にこの例示的に厳格に規定してございます道路とか港湾の設備について本法の規定がなぜ必要であるかということがやはりさようなものを物語るわけでありますが、どうしても本土の方が港湾ができてしまつて離島の方はどうしても港湾ができない。それはなぜであるかと申し上げますと、御承知の通り、ただいままで公共企業は地方負担が非常に多いからでございます。港湾のごときは非常にたくさんな地方負担をいたします。ところがその地方負担を負担上かねる。府県と町村で負担をする分が負担しかねる。結局そういう事情から見ても、これは改修しなければならぬと思えるものでも改修ができないというような事情がございますので、特に道路港湾等について特別な御配慮を願わなければ、並とまで行かなくても並に近い生活が困難であると考えるからであります。特に一言申し上げておきますが、さようなわけで離島においては資源の開発が非常に遅れている。御承知の通りもはや植民地が世界中から撤廃されたという事情から、飢餓輸出のようなことは限度まで来たということが世界的に強くなつて来ている。そうして国内資源の開発ということが非常に重要な問題になつて来た。これは日本ばかりではなく世界的な考え方としてかわつて来たようでありますので、そういう点からも、ただいま離島振興法案をここに通していただくことは、世界の趨勢にも日本の実情にも応ずるわけだと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/13
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014・小林進
○小林(進)委員 この法案は各党共同提案でありますので、決して反対のための反対を申し上げておるのではない、賛成せんがために、さらに賛成の確信を深めんがために質問をしておるのだということをあらかじめ御了承願いたいと思います。ただいまおつしやいましたように、国内資源の開発ということには私どもも全面的に賛成でありまして、これはあとから資源庁の方に向つて御質問しなければならぬ重大問題でありますが、この資源開発について、離島が特に有利な資源を持つていながらも、まだ開発せられないというような具体的なものがあるのか。本土内においても未開発の資源というものは多分にあるのでありますから、本土内にないようなすぐれた資源が離島にあるというならば、私どもの確信を深める意味において、お聞かせを願いたい。
それから道路港湾の問題でございます。特に島々の道路と港湾の修築、改良が遅れておるということは、十分想像がつくのでありますが、しかしこの道路や港湾については本土においても、実に人さえも通れないような国道がたくさんあるのであります。それは提案者も御承知だと思う。港湾においてもしかりでありまして、裏日本海あたりの港湾は、港それ自身が全部放置せられ破壊せられておるような港がたくさんある。そういうことを考慮いたします場合に、やはり島だけが特に道路が放任せられ、港が特に本土から放任せられておるというふうな、特別の例証がありましたならば、ひとつ資源と同様にお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/14
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015・綱島正興
○綱島正興君 これは道路の延長を表に出しておるところで大体御了承を願いたいと思つて、資料を差上げておるのでありますが、大体において、島において道路が幾らかいいというのは、特殊な佐渡とか、壱岐島が割合によいようでありますが、ほとんどすべての島は御承知の通りに大体山が高いのであります。隣り村でも舟で行き来するというようなところが多いのであります。大体島で道路があるのが特殊な事情ではないか。これが本格的な事情ではなかろうかと思うのです。今の現状では、島で道路がよいというのが、どつちかというと特殊なことで、全般的に島では道路らしい道路はない。今申し上げた佐渡とか、壱岐とかいう島が多少よいだけで、そのほかにはほとんど道路らしいものはない。実はこの法案を立案いたしますときに、電気導入について特殊の法律補助を得たいと、非常に努力いたしました。というのは離島は多く漁港の基地になる事情がありまして、そのことはやがてわが国の食糧事情に非常に足しになりますが、電気がございませんと、製氷ができませんために、漁港基地に困難でございます。非常に努力いたしたのでありますが、不幸にして今の国家財政の事情から、特殊な法律で補助を与えるなどという点についても躊躇しなければならぬような事情があるそうで、島の事情からでなく、むしろ国家財政の事情から遠慮したようなわけで、まだこの法案に盛られていない当然やりたいことがたくさんあるのでございます。道路等は今お尋ねの特殊なものを言えとおつしやるけれども、これは道路が悪いのが全般で、港湾も御承知の通り、いいのがあるというのが、むしろ特殊事情だとおぼしめしを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/15
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016・小笠公韶
○小笠委員 簡単に一言伺いたいのですが、本法案を通覧いたしまして、中心点は第八条並びに第九条にあると考えます。第八条において、「国の財政の許す範囲内においてこれを予算に計上しなければならない。」第九条において補助金あるいは融資あつせんの規定があるのであります。非常にけつこうでありますが、これらに対する裏づけの状態はどうなつておるか。提案者において政府側とすでにお話合いができておるのかどうか、特にまた政府側において、この第八条及び第九条についての考え方はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/16
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017・綱島正興
○綱島正興君 実は委員会で申し上げるのは少しはばかりがあるかもしれませんが、提案者は自由党でございますので、自由党の政調会にかけ、大蔵当局、農林、建設、運輸等の各当局に来てもらいまして、それらの意見も総合いたしまして、結局こういう案が前国会でできたのでありますが、今回は特に各行政官庁の参加は見られなかつたのでありますが、政調会において十分審議をせられ、了承を得て本案を提出するに至つたのでありまして、見通しといたしましては財政的に保障され得るという見通しで提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/17
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018・小笠公韶
○小笠委員 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。私は希望であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/18
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019・中村時雄
○中村(時)委員 この問題の中でさつきから聞いておりましたが、まだ内容、範囲、離島の定義というものがはつきりしないのです。たとえば瀬戸内海などにもたくさんあるわけでありますが、おそらく提案者としては、瀬戸内海ということを省いていらつしやるかどうかお尋ねいたしたい、あるいは挿入ができ得るかどうかということを具体的に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/19
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020・綱島正興
○綱島正興君 実は提案者の方ではまだ国土総合開発の知識を十分持ちませんだめに、いろいろ意見が出るに従つていろいろ考慮しなければならぬことが出て参りますが、ちようど国道において一級国道、二級国道があるがごとくに離島においても一級離島、二級離島のようなもので、まず一級離島から片づけて、第二次にそれが終るころにはまた別の及ばぬところにかかるということになつていいのではなかろうかというような予定をいたして、大体瀬戸内海は今のところすぐこれには入りにくいのではないか。但し瀬戸内海においても特殊の事情があつて、資源はこうあるが交通はこういうわけでできない、こういうようなところがありましたら国土総合開発の分科会にもなりましようか、この離島振興の線をお取扱いになる委員会で御決定が願えるのではなかろうかと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/20
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021・中村時雄
○中村(時)委員 総体的な面から見ますと、ほとんど港湾、道路ということが中心になつているようであります。そうなると開発というよりも民生の安定という方向の方が強く出ているようであります。そういたしますと少くともそれに準ずる方法、たとえば第一、第二という限定をつけられるならばそれに対する第一離島はどういうものをいうのであるか、第二離島はどういうものをいうのであるか。少くとも道路においてはそれがはつきりしているのですが、そういう一つの線がどういうところにあるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/21
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022・綱島正興
○綱島正興君 それは実は私が例示的にただお話をしただけで、この法案の上に第一級の離島、第二級の離島というものを例示しようということには法案はなつておりませんので、そういう推移になるのではなかろうかという想像を申し上げたにすぎないのであります。いずれ総合国土開発の見地から、国土開発をして参りますのと、離島開発振興の方から離島開発をして参りますのがちようど出会いまして大体さようなことが成果を得ることに相なるかと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/22
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023・中村時雄
○中村(時)委員 そうなりますと、おそらく提案者のお考えの中にはどれとどれを含んで、どれをどういうふうにするという骨子があると思います。そのようなお考えであれば、おそらく各党の提案になつておりますけれども、そういう感覚に基いて考えた場合に、その地域性によつて云々しているような地域があるのですが、その点はどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/23
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024・綱島正興
○綱島正興君 立案の経過から申し上げまして、大体多少の予定は想像されるのでございますけれども、結局法案がきまりますれば、一に審議会の決定にまつわけでありますので、そこまで提案者の意思が事を左右するところまでは及ばぬと想像いたします。提案者から申しますれば、大体第一条にあります通り、それこそ社会的通念で考えた、隔絶したる離島、こういう意味で御決定を願いたい。特に離島なるがゆえにという箇条を持つておる線で、ひとつ開発の線をきめていただきたいという考えをもつて提案いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/24
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025・中村時雄
○中村(時)委員 最後に一言。それでは今申されましたことを総合しまして、たとえばここに提案されておるような条件に当てはまる場合においては、瀬戸内海の離島においてもその中に総合ができ得るということが言えるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/25
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026・綱島正興
○綱島正興君 特殊な事情のものはさようなことも想像され得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/26
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027・中村時雄
○中村(時)委員 特殊な事情ではなくして、これに当てはまる条件を有するということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/27
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028・綱島正興
○綱島正興君 ただいまの特殊な事情というのは、特殊な島であるという事情を申し上げたので、本法に当てはまるという事柄でございます。それをさしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/28
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029・阿部五郎
○阿部委員 一点だけ提案者にお伺いいたしますが、主として公共施設を政府の補助をもつて振興しようという立法の趣旨のようでございますが、この公共施設というものは、一旦できたならばそれで振興が終れりというものではなくして、これが維持には相当の経費を要するものでありますが、離島というのは、その都道府県全体の費用をもつてその公共施設の維持をなし得るという事情には、今の制度の上においては多くなつておらないように思われるのであります。その場合に、せつかく公共施設が国家の補助のもとにできましたといたしましても、これが維持のためには、その離島の住民が相当重い負担を負わなければならぬということになるのではないか、従つて、これができたがために、かえつてその離島の住民の民生安定、向上というものが逆に阻害される危険があるのではないかということを憂えるのでありますが、提案者におかれては、これらの点についていかなる御配慮をなさつておられるものであるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/29
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030・綱島正興
○綱島正興君 この開発計画ができますと、総理大臣は地域を指定いたします。その地域指定に基いて各府県知事が開発計画を立てて総理大臣に答申をいたすのでありますから、各都道府県知事が答申をいたします際に、都道府県知事はその地方の代表者としてそれらのことを考慮いたし、そしてこれが維持をなすことを考慮いたして、もちろん具体的にはいたすことに相なりましようし、なおかつ本法の目的といたしますところは、かような資源開発をいたしたりすることによつて、その地域の経済的殷盛を高めることにいたすのでありますから、遅れておる地域の経済的事情が高まつて参ますので、私はその御懸念については、そう大したことはなかろうじやないかと予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/30
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031・阿部五郎
○阿部委員 一応ごもつともに承りましたけれども、実際の問題として、たとえば道路にいたしましても、離島の場合にはそのうちの大きなものは別といたしましても、たとえば県道というものの維持の費用にいたしましても、その市町村において負担しなければならない部分が多いのでありましようし、漁港その他港湾にいたしましても、その維持並びに補修、ことに一たび災害をこうむつた場合においては、普通の国庫その他の負担をもつてしてはなかなかこれが復旧は困難であるというような場合が生ずるのではないかと思うのでありますが、その点いかがお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/31
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032・綱島正興
○綱島正興君 実は災害復旧等についても特殊な規定を設けたいと思つて、非常に提案者は努力をいたしましたけれども、そこまでは事務当局との間に了解が成り立たないので、最初の原案には考えておつたのでありますが、ひとまずこういうことでがまんするよりはかなかつたのでありますが、行く行くはそういう点も御考慮を願えるように相なりますれば、提案者は非常に満足する次第でございますが、お説の通り、港湾の管理、道路の管理等に相当の費用を食いますが、改修等については特別の補助率を規定いたしておりますが、管理及び災害についての規定がございません。ただ九条の四項で、政令で別段の定めをすることができるという規定をいたしておるにすぎないのでありまして、この点は、提案者においても多少の懸念がないことはないのでありまして、これは九条の四項で、その点も多少考慮して規定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/32
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033・山本勝市
○山本(勝)委員 これは各党の方々がみな入つて提案されておるのでありますが、おそらく離島の方々が熱心にそれを要求されることはわかります。また離島を選挙区に持つておられる議員の方々が熱心になるのも当然だと思いますが、しかしだんだん質問を聞いておりまして疑問が深くなつて来るのであります。何しろできればけつこうなことでありますから、おそらくどの党の方でも、離島を選挙区に持つておられない議員の方でも、どうかよろしくと言われれば、これは特別に反対する理由もないものですから、それはけつこうですということでまとまりはつくものだと思つておりますが、しかし先ほど来の委員の方々の質問を承つておりますと、私もいろいろ疑問を生ずる。第一、国土総合開発法に基いて審議会が審議をして開発して行くというのではどうしても足りないんだ、特別にこういう立法をして、二本建で行かなければいけないんだという特別な理由が了解できない。この点、あの総合開発法ではいけないんだという特別の理由をひとつ示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/33
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034・綱島正興
○綱島正興君 ただいままでの国土総合開発法の規定するところもその通りでありましようが、実はあれは資源の開発を基礎といたしておりますために、実際上は、導入する投資と、それから上つて来る利益が一番主眼になるようでありますが、これはそのほかに社会的事情を含んでおります。ただこれだけ払えばこれだけ上つて来るという考え方だけからでは、離島の開発は将来やはり取残される。そこでこの方は、国土開発の上と、社会福祉の上と二つを考えておりますので、その点ひとつ御了承を賜わりたいのであります。もしもだまつて国土総合開発の線だけでほつておけば、従来の通りにやられて、ほかのものがみな済んでから今度は離島ということで最後になりましようけれども、今日の日本といたしては、そういう社会上の通念も、ただいまの実際の社会上の正義に合わないと思うことが一つ。それから実際はそういうことが強過ぎるために、たまたま得らるべき資源の開発も実は遅れておる。そのことは今後も拍車をかけて、むしろ幅が広くなつて行くように相なるであろうと予想されるので、こういうものを特に提出しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/34
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035・山本勝市
○山本(勝)委員 それはよくわかるのですが、そうとすると、国土総合開発審議会の意見を聞いてということではどうもうまく行かないのじやないか、国土総合開発審議会としては、それに対する犠牲と、それから生れて来る経済的効果といつたようなものを考えて、もつぱらその見地から開発するということで、そこの住民の生活安定とか一種の社会保障とかあるいは救済とかいつたような意味のことはおそらくその職分ではなかろうと思う。だからやはり重点が国土の未開発の資源を開発するというところになくて、その方はつけたりで、むしろそこの住民が非常に生活上立ち遅れておる、これを引上げようというところに重点があるのならば、内閣総理大臣がきめる場合の諮問機関というか、意見を聞くのにも別のものを持たないと決定しないのじやないかということが一つ、それからもう一つ、申し上げるまでもなしに、国力には限界があるのであります。ことに日本の今日の国力というか、経済力というものは、昔と違つて非常に弱い、この国力の中でこれをさいて、どれくらいの額を予想しているか知りませんが、離島の生活向上というために、今日の日本の国力の中で、そこへ資源を投じて、さらに何倍かの資源が生れて来るという見地じやなく、ただ一種の救済というような意味で、あるいは生活を向上させる、立ち遅れておるものを向上させるというような意味で、どれだけの国力をさくことができるかというところに、私は非常に疑問がある。結局先ほどほかの委員からも申しましたけれども、本土内におきましても、山の奥に参りますと、都会地よりもはるかに民度は立ち遅れておる、生活も不便であるけれども、それはそのままやむを得ないとしておる。だからそういう山の奥に行きますと、人間はふえましても、みな都会の方に流れて行くので、やはりその地方全体としては人口はふえません。これは離島と同じような事情になつておる。ですから一体どれくらい今後離島の振興のために財政的な支出を要望されておるのかということで、こういうものをつくつた方がいいかということを決しなければならぬのじやないか。一つはつまり金額の問題と、それからつけたりではありますけれども、それによつてどれくらいの国力が増すかということ、そこへ投じた以上のものが増して来るというのか、それほどは行かないけれども、救済の意味で出さなければならないというのか、まず今後年々どれくらいの、あるいは十年間にどれくらいの費用を予定しておられるか、これを伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/35
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036・綱島正興
○綱島正興君 これは予算として特に請求するというような明らかな意思を表したのではありませんが、大体政調会で調整をいたしますときに、今まで離島に出しておるのを除いてではありません。今まで出しておるものの上に大体年々五億円、十年間五十億の投資をしてもらえば、それ以上の経済価値が生れて来るということを大体の了解事項として大蔵当局にも説明をいたした事情でございまして、依然としてさような考えを持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/36
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037・山本勝市
○山本(勝)委員 大体その五億円というのは、多い方がいいけれども、しかしあまり少くてもかつこうがとれないから、まあ五億というふうにきめられたか、あるいは大体こことこことこことで道路あるいは港湾の施設を予想して五億円ずつ十年間で完成する、こういうように計算されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/37
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038・綱島正興
○綱島正興君 ただいままで離島に施設いたしておりますのが大体その三分の一ばかりあるようです。それにそれを加えれば、急速に開発するということができはせぬか、こういう見込みで大体そういう予定をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/38
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039・中村時雄
○中村(時)委員 そういたしますと、以前は離島のこの問題の法案はなかつたわけですから、総合開発とかいろいろな面からこれが組み合わされて行つて、今までの経費が出ておつた。しからば、その状態に基いてこの五億というものが出て来たのじやないかと思うわけです。そういたしますと、かりにこの条件に当てはまる他の離島があつたと仮定しても、それはその中に入るという条件が非常に困難になつて来はしないか。そういたしますと、これは特定の一つの問題として取上げられるようなかつこうに見受けられるのですが、その点は誤解であるのか、あるいはそういう方針で進まれて行こうとされておるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/39
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040・綱島正興
○綱島正興君 それは大体予定したる離島についておよそそのくらいのもので行きはせぬかという目安の交渉であつたのであります。もちろん先ほどからのお話のように、離島の範囲が拡大して参り、わきの方が出て来れば、勢い予算もふえるということに相なりましようし、それらのことは国土総合開発とにらみ合せて審議会で御決定を願うよりほかない筋合に相なつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/40
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041・山本勝市
○山本(勝)委員 私はこういう理由があつたら聞かしてもらいたい。離島の人間が国家に対して特別に貢献しておるのだ、それにもかかわらず見捨てられておつて、そのために生活が低くて困つておるのだ、こういう理由があれば、これは非常に強い理由になると思う。とにかく離島に年に五億なら五億、五十億を出すということは、結局離島以外の人の負担になるということは明瞭であります。別にどこから出て来るわけでもない。離島以外の人の負担を五十億多くして、それを離島の方へまわそうというのですから、もしこれまで離島が非常な犠牲を払つておる、それが適当に返つて来ていない、むしろ離島の方から離島でないところへどんどんつぎ込んで、収支のバランスで払つて、犠牲の方が大きいのだ、それを公平にしろ、こういう主張ならば非常に強い。しかしそうではなくて、ただお前らの方で負担を五十億よけい出して、おれの方へ持つて来て、おれの方の生活も上げろというだけだと、今中村さんからも申されました通り、その中に指定されなかつた村々がどこもここも必ず要求して来るおそれもあり、さらに内地の僻陬の地方がまた同じ理由でどんどん要求して来るということは、私は火を見るよりも明らかだと思う。これまで離島の人が離島以外の人よりも特別なる犠牲を払つておる、そういうものがあるのでしようか。それにもかかわらず国家の費用の配分が離島に対して少かつた、こういう点があつたら承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/41
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042・綱島正興
○綱島正興君 実はただいま資料を持つておりませんが、たしか沖繩開発ということを昔内務省でやつたことがあるわけです。あのときの資料があつたように覚えておりますが、そのときは沖繩からとつて来るものより、こちらから出すものの方がずつと少い。そのとき離島についてそのほかを調べられたようですが、いずれも本土からとつて来る方が、離島から持つて行くものよりずつと少くて、離島が非常な犠牲を払つておるという事実が現われて、それで開発法というものができたように記憶しております。この事実はおそらく今調べてみても間違いないと思います。そればかりでなく、資本主義の弱点として、中心部にすべて吸収せられるということは——但し、それなら山間僻地もそうじやないかという御議論は別でございます。離島がそういう地域であることについては、山本さんは学者ですから、特にその方はよく御存じだと思います。これは間違いない事実のようでございまして、ただここに数字を明示することができないのを遺憾とするのでありますが、調べてみればこれは間違いのない数字が出て来ると思います。また日本の役所でも一ぺんその数字が出て、たしか沖繩開発であつたと思いますが、やつたことがあると覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/42
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043・中村時雄
○中村(時)委員 この問題は提案者からお聞きすればするほどいろいろな疑点がわいて来るわけでありますが、不意に、出されたばかりでありまして、この法案の解釈、内容あるいは定義、そういうものに関しましてまだいろいろ研究の余地があり、大きな問題になつて来ると思いますので、この問題についてしばらく日にちを与えていただきたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/43
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044・佐伯宗義
○佐伯委員長 中村さんのおつしやつたことはわかりました。いずれ後ほどお打合せいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/44
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045・佐伯宗義
○佐伯委員長 次に日本経済の基本的政策に関する件について調査を進めます。
質疑は通告の順に従つてこれを許します。なお経済審議庁長官は病気のため出席が不可能との連絡がありましたので、政府委員に対する質疑をお願いいたしとうございます。石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/45
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046・石村英雄
○石村委員 ただ数字的な点をお伺いしたいと思うのですが、朝鮮戦争の特需が二十七年度にどのくらいあつたか。そして、早晩休戦ができると思いますが、その結果特需に与える影響はどうであるか、また特需の推移、見通しはどのようになつておるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/46
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047・平井富三郎
○平井政府委員 いわゆるドルの臨時収入といたしまして、二十七年度の総額は約八億ドルでございます。内訳を申し上げますと、そのうちいわゆる狭義で特需と称されますものが、物資関係の調達、サービスその他で三億五千八百万ドル、その他が労賃あるいは駐留軍の個人消費に属するものでございます。普通一般にいわゆる特需と申されますのは三億五千八百万ドルであります。この特需の内容を見ますと、もちろんこれは朝鮮戦争の現地で直接消費されるものも若干あるわけでありますが、いわゆる兵器類の合計といたしましてはそのうちの約三千五百万ドル程度でございます。従つて二十八年度のドルの臨時収入といたしましては、朝鮮休戦が確定して後の見通しとして、一応総額で七億ドルと見ておるわけであります。そのうちいわゆる特需と称されますものが約三億ドル程度と見ておるわけであります。これは直接戦闘用に消費されるものは、数字から見ましても若干減少いたしますものと考えられますが、あるいは復興特需なりその他の面から、二十八年度においては総額において約一億ドル程度の減少をする、こういう見通しで考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/47
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048・石村英雄
○石村委員 数日前の新聞に、朝鮮戦争三周年にあたつての資料が出ておりましたが、あれは経済審議庁から出た資料でございましようか。もしそうであるならばわれわれもいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/48
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049・平井富三郎
○平井政府委員 三年間の物資、サービスの累計が出ておりましたが、経済審議庁から出したものであります。これは表にして差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/49
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050・佐伯宗義
○佐伯委員長 小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/50
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051・小林進
○小林(進)委員 今日は大臣に基本方針に関する質疑をいたしたいと思つたのでありますが、大臣がお見えになりませんので、大臣に対する質問の資料を整える意味において若干疑問とするところをお伺いしたい。
第一には、国民の消費水準が戦前の九七%に達しておるというお話でございますが、この計算は一体どんなぐあいにして出るのか、ひとつ事務当局から詳細な内訳を承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/51
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052・岩武照彦
○岩武政府委員 生活水準の計算の仕方は、この前も御説明したと思つておりますが、審議庁でやつております方法は、家計費の支出金額を戦前と戦後の調査を比較して、都市と農村ごとにわけてやつております。具体的に言うと、たとえば昭和九年ないし十一年に都市の一世帯においては一箇月大体九十五円程度の支出があるのでありますが、二十八年後におきましては約二万二千八百円程度でございます。ところが物価の方はその間に平均二百八十倍に上つておりますので、その関係を調整いたしますと、都市においては二十八年度は八五%余になります。農村におきましても同じような計算の仕方をいたしまして、これは戦前に比べまして一二三%程度になつております。この都市と農村の消費水準の比率を総合いたしまして、ちようど一〇〇%強になるわけであります。
なお補足いたしますが、これは金額面からの支出でございますので、内容の物的の裏づけその他につきましていろいろ検討を進めております。これはとても全部の物資に関しましてそういうふうなこまかいデータはとれませんが、一応おもな衣食住について見ますと、食の方においては、これはそう正確なデータではございませんが、戦前の国民一人当りが消費いたしましたカロリー等と比べまして、昨年あたり二、三パーセント程度の差異しかない程度まで回復しております。また衣料の方は、統制撤廃後は政府において十分な資料が得られませんが、一応国内に出まわりました数量等を比較して参りますと、これもポンド数におきまして戦前を若干上まわつておるというふうな量になります。但し食糧においては、米の方は戦前ほどに回復しませんで、むしろ麦の方の消費がふえて参つて、一カロリーとして合計すれば大体戦前に近づいておるということであります。また衣の方におきましても、綿の量はまだ戦前を下まわつておりますが、化繊あるいは毛といつた製品の出まわりがふえておりまして、総量におきましては大体戦前を上まわつておるような状況であります。ただ住の方は、これは御承知のように都市においてはまだ住宅難がございますので、的確なデータは得られませんが、戦前の一人当りの畳数の比率から見ますと、まだ一割程度下まわつておるように見られるわけであります。その他のたとえば医療施設であるとか教育施設であるとか、あるいは交通機関の利用度等を見ますと、この方はむしろ戦前を越えておるように考えられます。大観いたしまして、先ほど申し上げましたような家計費の支出の面から見た消費の水準と、他のいろいろな物資並びにサービス類の提供といつた面からふえて参りましたレベルとをつき合せまして、そう大きな開きはないかと存じます。一応二十七年度におきましては九七程度まで回復して参つておりますので、本年度はそれが戦前の水準程度に相なるだろう、こういうふうに申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/52
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053・小林進
○小林(進)委員 大分詳しい御説明を承りましたが、願わくは今の御説明をひとつ資料にして御配付願えれば幸いと存じます。その点をひとつお願いしておきたいと思いますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/53
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054・岩武照彦
○岩武政府委員 できる限り資料にしてお配りいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/54
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055・小林進
○小林(進)委員 審議庁長官の経済演説でありますが、これはいろいろの基礎的な条件の上にこの演説をやられたと私は思うのであります。その中でも日本にとつて重要な、経済政策の基本をなす問題は人口問題であります。それから再軍備の問題や貿易構想もありましようし、その他賠償の問題だとかいろいろの問題を全部一応分析し、解剖せられた上でこの演説がなされなければならなかつたと私は思つておるのでありますが、一体終戦後のわが国の人口の増加の実績と将来の予想を、どんな数字で持つておられるかひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/55
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056・岩武照彦
○岩武政府委員 人口の増加でございますが、数字で申し上げますと、昭和五年の十月一日現在の国勢調査で六千三百六十四万、これが十年後の昭和十五年におきましては、同じ十月一日現在でございますが七千二百三十二万でございます。この十年間に約九百万、年間平均九十万程度ふえております。それがこのあと終戦後まで国勢調査を欠如しまして、終戦後占領軍の指導のもとに二十二、二十三、二十四と臨時的な国勢調査をやりました。これはいろいろ問題もあるので飛ばしまして、ちようど十年後の二十五年の国勢調査におきましては、八千三百二十万でございまして、千百万の増加でございます。この間にはいわゆる自然的増加のほかに社会的増加ともいうべき引揚げその他の社会関係の変動に基きます増加も相当ございます。その後の人口は、これは厚生省でやつております人口動態統計の動きをも勘案したのでありますが、二十六年は八千四百六十方、二十七年は八千五百八十万でありまして、本年は一応の推計としましては八千六百九十万、昨年に比べて百十万の増加と相なるかと思います。この人口増加の趨勢は、今後幼児の死亡率の減少でありますとか、あるいは老齢人口の増加というようないろいろな傾向ともにらみ合せまして、これは専門の方の人口問題研究所で調べたのでありますが、大体三十二年ごろにおきましては九千百三十六万程度に相なろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/56
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057・小林進
○小林(進)委員 いろいろ資料だけについて伺つたのでありますが、その間に思いつきましたから申し上げておきますが、この前大臣の演説で、経済審議庁の官僚は非常に優秀だというふうにおつしやつたのであります。私は大臣に、どういうふうに優秀なのか、具体的にひとつお聞きしなくてはならないと思つておりますけれども、私の考えといたしましては、審議庁の官僚とおつしやいましたが、お役人の皆様方自身が、失礼な言い方なのでございますけれども、みずから優秀だというふうに考えているのでは非常に困るという意見があるのでございます。大体国家権力を背景に、そしてあの青いいすにふんぞりかえつて、月給をもらつて、その権力を利用してあらゆる資料、データを手元にとれるのであります。それでは優秀になるのがあたりまえでありまして、ならなくてはおかしいのであります。ほんとうに優秀不優秀というのは、権力から離れて個人対個人の場合に、人格、手腕、力量を区別して、それで優秀なのが優秀と申し上げられるのでありまして、どうも何か審議庁の方々がそのポストにすわつて、あらゆる権力を行使して資料や調書がとれることを称して大臣が優秀な官僚だというふうに賞揚されたのじやないか、私はこう考えておるのでありまして、もし皆さん方が私の質問に対してぺらぺらと答弁できることをもつてわれ優秀なりというお考えを持つたとしたらそれは間違いでございます。そういうお考えのないようにひとつ御忠告を申し上げておきたいと思います。知らないのがあたりまえなんです。
それで私は、自分で知らないから率直に何やかやとお伺いするのでありますが、これから日本の経済の再建のもとにおいて、いろいろ今年度あたりから賠償問題が軌道に乗つて来ると思うのであります。何か今一年半、二年ばかり前には、相当フィリピンやら、インドネシアやら、あるいはヴエトナムやら仏印やらの国々から相当量の賠償の要求があつたと思うのですが、もしおわかりになつていたら当時つきつけられた賠償の数字をひとつお聞かせ願いたい。
それから四、五日前の新聞でありますが、これも外務省の中にいろいろヴエトナムなんかに対する船の引揚げだけに関する中間の賠償交渉も何かまとまりかけているような話もありましたし、インドネシアとの賠償交渉も今進んでいる、フイリピンは御承知のように戦犯を釈放して、かわりに賠償要求はこつちの言う通りにしろというふうな条件がついておるようでありますが、そういう内容について何かひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/57
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058・平井富三郎
○平井政府委員 ただいまの賠償の問題につきましては、これはただいま外交交渉の初めの段階にあるわけであります。具体的にフィリピンあるいはインドネシアあるいはヴエトナム等との交渉の経過については外務省から直接詳しくお聞き取りになつていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/58
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059・小林進
○小林(進)委員 当面の担当者は外務省でございまするから、外務省から聞くのが普通でございましようが、しかし日本の経済をこれから再建して行く上においては、この賠償問題は重大なる比率をもつて現われて来ると思うのでありまして、賠償に対する見通しやら、その心構えがなくては私は革新的な経済問題を討議することなんかできないと思うのであります。それならば一体経済審議庁長官の演説をされるその根底に、経済問題とは切つても切れないこの賠償の比重といいますか、比率を大体どれくらいに勘案されているのか、それをひとつ承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/59
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060・平井富三郎
○平井政府委員 完全なる経済計画を設定いたします場合には、賠償あるいはその他のいろいろな財政負担の関係を一応きめましてつくるのが基本的な態度でありますが、現在のところ賠償の問題一つをとらえましても、これをどの程度に出すべきかというような点につきまして、抽象的に、日本の生産経済を維持するに必要な限度において支払う、あるいはまた平和条約におきまして賠償の支払いの方向等についても根本原則があるわけでありますので、それらの点について外務省におきまして初めの段階におきまする交渉を行つておる程度であります。従いまして日本として支払い得る賠償の総額はこの程度だというまだ断定をし得る段階に相なつておりませんので、長官の経済演説におきましては、賠償その他の財政負担も相当増加するのだ、そういうものは加重されて来るということを念頭におきまして各種の計画を練りつつある次第でございまして、過般長官が演説されました内容といたしましては、この日本の現在の経済が特需八億ドルというもので国際収支のつじつまが合い、必要な輸入をまかなつておる状態でございまするので、これから正常貿易なりあるいは国内資源の開発によつて正常な国際収支の安定ということをはかるには、いかなる方針によつて行くべきかという点を中心にいたして述べた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/60
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061・小林進
○小林(進)委員 私は次長の御説明を通じて、経済審議庁は今日の段階までには賠償問題は何も御研究にもなつていないというふうに了解いたしましてこの点は打切りたいと思うのであります。
その次の問題で、これは事務的な問題でありますが、何か経済審議庁でおつくりになりました防衛六箇年計画でありますか軍備六箇年計画でありまするか、ロンドン・タイムスかロンドン・エコノミストか何かに発表になつた審議庁の試案なるものがあるそうでありますが、これをひとつちようだいできるかどうかお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/61
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062・平井富三郎
○平井政府委員 あれはロンドン・エコノミストが非常な誤報をいたしておりますので、非常に私ども迷惑に考えておる次第でございますが、ロンドン・エコノミストに審議庁案として出ております数字は、国民経済研究協会の案が誤つて審議庁案というふうに報道されておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/62
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063・小林進
○小林(進)委員 それは今朝の新聞でございますかきのうでございますか、朝日新聞でございますが、それにも載つておりました。国民経済研究協会案なるものが審議庁の御命令か御指示か、ひもつきでつくつたものであるというふうにも報ぜられておるのでございます。ひとつ国民経済研究協会案でもよろしゆうございますが、あなたの方で入手を容易にできるものでありましたら、ひとつごひろう願いたいものでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/63
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064・平井富三郎
○平井政府委員 国民経済研究協会の軍備案と審議庁とは事務的にも何も全然関係がございませんので、その点をひとつ御了承願いたいと思います。それから国民経済研究協会の案はパンフレツトになつて市販されておりますので、もし御必要とあらば私どもの方から差上げてもよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/64
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065・小林進
○小林(進)委員 できましたらそのパンフレットも配付の御便宜をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/65
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066・平井富三郎
○平井政府委員 パンフレットといいますか、どういう程度の軍備案を考えておるかという内容を御連絡申し上げるという程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/66
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067・小林進
○小林(進)委員 それでは次にお伺いいたしたいのは、これは大臣にもお伺いいたしたいと思つていた問題でございますけれども、日本の経済の再建、これは貿易第一主義といいますか、施政方針演説も含めて、長官の演説も貿易という点に非常に重点を置いておられまするが、この貿易も従来通りの市場開拓という意味で輸出の点のみに重点を置いて行きますと、今硫安の問題で、農民を泣かせたり、国民を泣かせて、国民の生活水準まで低めて行つて、それを市場へ持つて行く。ところが東南アジアやそのほかの方面において米国や英国や、ほかの商品とぶつかつて行く。また昔のようなマーケット開拓のために帝国主義戦争を引起すことになる。そういう戦争の段階に行きませんでも、市場獲得戦争が同じアジアにおいて行われるという形が出て来る。この意味から私は貿易中心主義ということも考えようによつては非常に危険があると思つております。そのためにはまた企業の整備、企業の合理化というようなことに行くのであります。これは自由党や資本主義政党の企業の合理化といえば、まず首切りを第一に始めるのであります。そういうような、従来と同じような貿易のコースを考えられているのかどうか。何か新味があるならば、それをお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/67
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068・平井富三郎
○平井政府委員 貿易の問題につきましては、これは一つの国際競争でございますので、各市場におきまする各国との競争というものは避け得ないと思います。ただその競争は、いわゆる公正な競争を行つて行くという方針を堅持いたして参りたいと思います。非常なダンピングをやるとか、非常に不正な方法で輸出をふやして行くというような不公正なことでなく、やはり公正な競争方法というものを基本の態度として参りたい、かように考えておる次第であります。従つて貿易を伸張いたしますには、相手国側が希望する品物、希望する値段、希望する質というものを充足して行くということが根本の問題であろうかと思います。その他日本の貿易につきましては、御承知のように、終戦直後日本の置かれました地位から、当然各国との通商交通の基本になる通商航海条約その他のいわゆる経済外交の面で大いに促進して参ることが必要であろう、かように考えております。従つて国内におきまする物価水準というものから見て、輸出競争に耐え得るように、特に物価高を招来しておりまする石炭であるとか、鉄鋼であるとか、重化学工業品に対しましては、設備の合理化によりましてコストを引下げて参りたい。こういうような考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/68
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069・小林進
○小林(進)委員 この貿易の問題はいろいろお伺いしたい問題がたくさんあるのでありまして、とうていきよう一日で足りないのでありまするけれども、中でも重点的にお伺いしたい一、二を申し上げますると、今までもおつしやる通り企業の整備の問題で、機械化、合理化、高能率というようなことを言われるのでありますが、おそらく企業の今日のコスト高を来している根本の理由は、資本家をして言わしむれば高賃金、低能率ということをもつてしたいのでありましようけれども、客観的にながめた場合に、わが日本の製品のコスト高の根本の理由は、私は素材にあるのではないかと思うのであります。この点いかがでございましよう、コスト高の分析をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/69
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070・平井富三郎
○平井政府委員 コスト高の分析をいたしますと、いろいろな問題に関連して参るわけでありますが、第一にあげられますのは、たとえば日本の基礎的な原料が高いということであります。従つて鉄鋼等にしますれば、たとえば銑鉄のコストの六割近くを占めまする石炭とか鉄鉱石その他のコストが高いという点が一番大きな原因であろうかと思います。従つて長官の演説にございました点は、石炭のコストを引下げるために縦坑開発その他による設備の合理化という点に主力を注いで参りたい、鉄鋼につきましても、製銑部門、製鋼部門、圧延部門につきましてやはり合理化計画を進めて参りたい、その他の重要な重化学工業あるいは繊維工業につきましても、設備の合理化による基本的なコストの引下げということを第一の問題として考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/70
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071・小林進
○小林(進)委員 実は私が質問したのはコストの問題ではありませんので、現在銑鉄、石炭等が高いということは同感でございます。綿でも羊毛でも鉄もそうでありますが、その問題も含めて、結局高いものを外国から押しつけられる、原料が重いから日本から輸出する製品が高くなつて、国際競争に敗北して行くのではないかという素朴な考え方を私どもは持つのでありまして、言いかえればわれわれはアメリカその他資本主義の原料を輸出する国々から、まず原料の点において搾取せられておる。そのために低賃金で働きながらもやはり高い製品ができ上つて、国際貿易市場で負けてしまうのであつて、勝つためには労働者、農民、中小企業者が犠牲を背負わされるという結果が現われて来る。その場合に、いわばコスト下げのためにもう少し国際的に打つ手がないのかどうか、こういうことをお伺いいたしたいということが一点であります。
それから、同じ貿易で品物を出す場合に、関税の障壁というものが出て来るのでありまして、MSAの援助に関連して、アメリカの軍事援助もありがたいけれども、それよりはアメリカの港をフランクに開放してくれて、日本の雑貨や自転車や絹製品に対して、三割のものを新しく六割にするというような高率の税金をふつかけるようなことをしてくれない方が、むしろ日本にとつては特定のひもつきの軍事援助よりは日本経済再建のためにありがたいのではないかというふうに感ぜられるのでありますけれども、こうした関税の障壁ということが将来の貿易の前途に考えられないかどうか、これが第二の点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/71
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072・平井富三郎
○平井政府委員 ただいま、繊維原料にいたしましてもその他の原料にいたしましても、特に日本が高く買わされておるということはございません。日本といたしましては、買い得る地域からできるだけ安く買いとる努力をいたしておる次第であります。たとえば綿花について考えますれば、これは戦前から米綿が輸入の主力をなしておつたわけであります。食糧につきましても、小麦協定その他を締結いたしまして、安い小麦を買いとつて来るという努力をいたしておる次第であります。なお東南アジア等の経済提携を通じまして、できるだけこれらの地域からも輸入をふやし、同時にまた、その見返りに日本からの輸出をふやして参りたい、いわゆる相互の貿易量の増大をはかつて参りたいというふうに考えております。
関税につきましては、援助より貿易をという声が世界的にもあるわけでありまして、各国とも貿易の自由化と申しますか、そういう点につきまして非常な強い要求があることは御承知の通りであります。特に占領後立ち上りました日本といたしましては、この関税障壁の打開につきましては特段の努力をすべきであると考えている次第であります。ただいまガットの加入その他の問題もこういう観点から努力をいたしつつある現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/72
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073・小林進
○小林(進)委員 特別高いものを買つていることはないとおつしやるが、なるほど今の自由市場においては特別高いものはお買いになつていないかもしれませんけれども、最近の開らん炭のように、中共貿易が開かれてもつと安い石炭が入つて来れば私はさらに日本の貿易も安いものが入つて来るし、木材なんかもすぐ隣りの樺太あたりから持つて来てくれればもつと安いものが入つて来ると思う。特に最近におけるイランの石油なんか、ああいうことを考えると、やはりアメリカなりイギリスなりの資本主義国が薄い石油なんかべらぼうにもうけて日本をいい未開発市場にして高いものを売りつけているというような感じを私どもは持つのであります。そういう意味から、もつと国の基本方針を根本的にかえて立向つて行つたら、安い品物をもつと私どもは買えるのじやないかと考えるのであります。
それから次に、さつき今後五年間に約一兆円に達する食糧増産、電源開発、外航船舶増強のための施設に要する金が必要だというようなことが論ぜられたのでありますが、その内訳をひとつ知つておられる範囲にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/73
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074・平井富三郎
○平井政府委員 重要産業の長期資金の要望額と申しますか、現在各方面で要望されている額は一兆円というふうに経済演説で説明してございますが、その内訳を申し上げますと、今後二十八年から三十二年度までの累計でございますが、石炭につきまして約四百二十七億円、鉄鋼につきまして百七十億、肥料、これは硫安でございますが約七十五億、機械につきましては百億、合成繊維につきまして二百十億、海運につきましては千三百七十三億、電力について四千百八十億、食糧増産が四千三百七十三億、合せまして一兆九百億、この額はいわゆる要望されている額でございまして、所期の目的を達するのにこれだけの財政資金がいるかどうか、あるいけ民間資金にさらにまわし得るか、それらの点につきまして現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/74
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075・小林進
○小林(進)委員 私はさつき貿易問題でそれ道をしてしまつたのでありますが、貿易問題で一実は番お聞きしたいのは、先ほどの綱島さんの説明にも関連して来るのでありますけれども、これからのわが日本は、どうも貿易なんかであつちこちぶつかつて、しかもこれは相手がある商売ですからそう計画通り進むものではないので、最後に行けばやはり出血貿易なんかで何ぼやつたところで、ほんとうに経済再建の終局の目的である国民生活の安定とか向上、つまり国民個々に幸福を与え、勤労者に幸いすることはなかなか貿易第一主義では望み得ないというふうに私自身は考えているのでありまして、これからはどうしてもいま一歩国内の総合開発という点に政治の重点を持つて行かなければならないのじやないかと考えるわけでありますが、しかしそれだけでありまして私は何ももつと深い確信があるわけじやないので、その確信を深める意味において私はお尋ねしたいのでありますけれども、英国の労働党なんかが政治にタッチしたときには、食糧輸入の困難やらいろいろの困難がありましたろうけれども、やはり総合開発というものを計画して、特に国内の食糧問題なんかに重点を置いて国土総合開発をやつたということを聞いているのでありますが、そういうことに対して的確な資料その他があつたらぜひお聞かせ願いたい。
それから最近の中共でありますが、私どもは中共の政治機構、政治形態というものには真向から反対でありますけれども、やつていることでいいことはやはりまねしなければならぬと思う。これはあらゆる自由諸国から貿易なんかは禁ぜられているのでありますから、好むと好まざるにかかわらず、われわれ日本のように貿易中心主義というものを掲げて中共が再建できないことは明らかである。しかるに何か毛沢東がああいう中で五千年来だれもできなかつた灌漑、洪水排水というようなこともこれを防止して、大きな国土の総合開発をやつて、特に耕地の整理やら排水事業を完成して、その民族産業というか食糧増産の点に画期的な政治を行つて、農民の生活水準なんか倍ぐらいに上つたというようなことも、これはあちらさんの宣伝かもしれませんが、そういうことも聞いているのでありまして、もし的確な資料がありましたらそういうことも承りたいと思います。なお古いことを言えば、やはりソビエト・ロシヤにおいて、レーニン、スターリンが革命をやつた直後には世界の各国から全部すかんを食つたのでありますから、これも貿易なんかというものは考え得られなかつたのでありますが、その考え得なかつたあのロシヤが国土内部の総合開発とか民族産業の総合開発をやつて、相当の実績を上げているのでありますが、そういうようなあまり貿易ではなしに国土の総合開発で非常に効果を上げて行つた国々の前例なんかを、知る範囲において私はお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/75
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076・平井富三郎
○平井政府委員 英国におきましても一年ばかり前からいわゆる貿易第一主義ということだけではイギリスの問題は解決しないのじやないかという意見が相当強くなつて来ているわけであります。従来のイギリスの政策は、日本の政策以上に貿易中心主義でありまして、日本の現在までいろいろ考えてやつておりますことは、イギリスよりはるかに国内の資源の開発という点につきまして力を入れて参つているのじやないかというふうに考えております。なお長官の演説でお聞き取り願いましたように、今後の日本の経済自立という点から、貿易だけですべてを解決したいというふうには考えておりません。今申し上げましたような各種の資源の開発なり、日本産業の合理化なりに相当な資金をまわすべきである、かように考えておる次第でございます。しかし基本的に日本で自給できない、どうしても外国に依存しなければならないものが、金額的にも相当あるわけであります。これらのものは、どうしても輸出貿易を振興して、多量の輸入を行うということ以外にないわけであります。日本で合理的に自給できますものについては、できるだけ国内資源の開発を行つて参りたい、かように考えておりまして、食糧増産にいたしましても、あるいは合成繊維にいたしましても、やはり食糧の輸入を減少し、繊維原料の輸入を減少するための措置でございます。
それから各国におきます調査は、若干集まつておりますが、本日は材料を持つておりませんので、また次の機会に譲らせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/76
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077・小林進
○小林(進)委員 その若干の資料の中から、頭のいい選択の巧みなところで、必要な部分だけでもお示し願えばかえつて幸いだと思いますので、できればちようだいさしてもらいたいと思います。
最後にひとつお尋ねしたいのでありますが、民族産業、国内産業の助長といえば、何といつても電源の開発と食糧増産だと私は思うのであります。今問題になつております只見川の開発でありまするが、この只見川電源開発に対する経済審議庁としての御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/77
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078・平井富三郎
○平井政府委員 電源開発につきましては、従来本流案あるいは分流案、それに最近電源開発会社といたしまして一つの案を提示いたしておるわけであります。現在審議会におきまして、これらの案の基礎的な考え方、あるいは具体的な経済効果の判定の仕方について、具体的に調査検討を進めておる段階でございますので、これらの検討を経ました上におきまして、審議庁の考え方をきめたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/78
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079・小林進
○小林(進)委員 いわゆる審議庁——そのために私は今お伺いしたのであります。貿易第一主義じやなく、国内の民族産業の助長に大いに主力を置くということを言明せられ、もつぱら計画立案せられる計画庁でありながら、その民族産業の発展、助長の中心をなす電力の開発と食糧増産問題、その電力問題の国内における最高の宝庫であります只見川の電源開発、それに対して今日に至るまでなお意見というものがなくて、開発会社とか、あるいは一電気会社の持ち出す結論をまつてから審議庁の腹をきめたいということについて、私は非常に物足りない感じを抱くものであります。むしろそういうことに対する具体的な計画をおつくりになるのが審議庁の本来の任務でありますから、五年前、六年前に私はそういう案を持つていなければならないと思う。その点どうか明確にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/79
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080・平井富三郎
○平井政府委員 電源開発計画につきましては、安定本部時代、電源開発五箇年計画というものを設定いたしまして、それに必要な資金といたしまして、昭和二十五年が七、八百億、二十七年が千二百億、二十八年度は千五百億というふうに、その資金額を拡大いたしまするとともに、今後大体年間百万キロワット程度の電力の開発を行つて行くベースに現在乗つておるわけであります。百万キロワットと申しますのは、戦前朝鮮なり満州なり内地全部ひつくるめました最高の年においても百万キロには達しなかつたと思いますが、その程度の開発規模で進んでおります。今お述べになりましたように、只見川の問題は貴重な電源として、おそらく日本で最大の電源地帯だろうかと思います。従いましてこれが開発につきましての決心というものはかわりませんけれども、いかなる方法をもつてやることが、日本の今後五十年、百年先のことを考えて適当かという点につきましては、慎重に検討した上で審議庁の意見を決定すべきじやないか。そのためには本流案、分流案あるいは開発会社案といろいろ出ておりますが、それを比較検討して、その優劣を決定する具体的な数字的根拠その他も、各立案者の立場によつて違つている点もあるわけであります。それらを個々に詳細に検討した上におきまして、それらの経済効果をはつきりいたしまして、その上で態度を決定すべきじやないか。中途半端な、あるいは調査未了の基礎データに基いて意見を早急に決定するということは、かえつて問題を複雑化するおそれもございますので、審議庁といたしましては、現在審議会における検討の結果をまちまして、最後の意見を決定いたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/80
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081・小林進
○小林(進)委員 私はどうもこの問題は、次長巧みに逃げていられるように思うのであります。いやしくも、国家、わが民族が持つ最大唯一の財産を処分するときに、ほんとうにそれを担当すべき企画庁がそういうような御説明でやられるというのは、非常に物足りないのであります。本来只見川の電源開発の問題は、水利を担当する建設省は建設省の立場から、あるいは電力を担当する通産省は通産省の立場から、あるいは灌漑、排水あるいは食糧に関係する農林省は農林省の、立場から、またそれを総合して国土の総合開発を担当する企画庁では総合企画の立場から、それぞれの原案というものをつくり上げて、それを俎上に乗せて、一番いいものを最後に決定するのが、行政官庁としての一番いいあり方じやないかと思うのであります。その意味において、たしか私は、建設省にも通産省にもあるいは農林省にも、それぞれ只見川の電源開発に対する意見があると承つている。またあつてしかるべきであり、それは行政庁として正しいと思う。ところが同じ立場におる経済審議庁のみこの只見川開発に対する具体的な意見がないということは、むしろほかの官庁に比して非常に怠惰であるとわれわれをして思わしめるのでありまして、これに対する次長の御説明をいま一ぺんお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/81
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082・平井富三郎
○平井政府委員 私どもは決して怠惰であるわけではございませんで、建設省あるいは通産省といえども、おそらく最後の結論的にこの方がいいのだという意見は、各省それぞれの立場においてもいまだ表明する段階に立ち至つていないと考えておる次第でありますが、その問題はさておきまして、審議庁は各省なりあるいは各界の意見を総合調整いたしまして、最終の案をつくるのが審議庁の任務でございます。従いまして只見川のような大きな電源開発地帯につきましては、できるだけ慎重な検討を行つて参りたい。こういうのが私どもの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/82
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083・小林進
○小林(進)委員 この只見川開発の問題は、私は大きく言えば国家危急存亡に関する重大問題ではないかと思うのであります。私は実はきようは大臣がお見えになりましたら大いにやるつもりだつたのでございまするけれども、次長でありますから、そうした私の討論はやめたいと思うのであります。
今度は質問の立場をかえてお尋ねいたします。きようは第二回目の調整審議会が開かれております。今まで次長のお話は全然審議庁としては御意見がないような御答弁でございましたが、われわれの聞くところによりますと、従来行われた東電、東北、開発会社三社の会談、原案作成の席上にもしばしば審議庁の意見と通産省の意見というものが入つておつて、三社は四者ないしは五者会談であるというふうなことを確かなる方面より伺つておるのでありますが、これに対して次長はいかにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/83
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084・平井富三郎
○平井政府委員 三社会談と申しますものは、電源開発株式会社が只見の開発につきまする調査を従来から担当いたしておりますので、その調査に基きます計画を三社において審議をいたす、只見川の開発を行います場合に、三社が共同して開発に当る、それぞれの分野において協力をして行く、またその計画につきましてもいわゆる三社の間において技術的な検討というものを技術的な見地から純粋にやつてみて、一番いい案を生み出すということを目途に三社会談が行われたのでありまして、審議庁といたしまして三社会談に何ら容喙する意思もございませんければ、そういう事実もございません。そのことははつきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/84
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085・小林進
○小林(進)委員 その三社会談の中に、同時か同時でないか知りませんが、三社会談と並行して技術者会談が行われた——場所は東京会館でありますか、そこへ通産省、審議庁のお役人の担当者がお入りになつて、三社の技術陣と一緒になつて、しばしば会合して、三社会談の結論を出すように督促をされているということを伺つておるのであります。
それから、それとこれとはまた別でありますが、今の三社会談に対して、電源開発はひとまず今月中に決定しなければならないのであるから、早く結論を出せと、一日に二回も三回も審議庁、通産省から三社会談に対する督促が行われているということが第二番。
それから第三番目は、でき上つた新聞発表の三社会談の結論というものは、そのまま審議庁、通産省の旧来の原案そのものが三社会談の名前になつて出て来たのにすぎない、こういうことが言われておるのでありますが、これに対していかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/85
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086・平井富三郎
○平井政府委員 先日もそういうお話を別の機会において伺いましたので、私どもとしてただちにその事実を調査いたしたのでありますが、そういう事実はございません。三社会談は三社会談としての責任と創意において会談を行つているのでありますから、審議庁なり通産省がこれを督促し、あるいはその会談の内容に立ち至つて内面的指導をする、あるいは要求をする、そういうような事実はないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/86
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087・山本勝市
○山本(勝)委員 議事進行に関する動議を提出いたします。小林委員の非常に熱心な、かつおそらく同委員としては最も重大と考えられる御質問の最中に、議事進行に関する動議を出すことはまことに同委員に対して申訳ございませんけれども、私はこの安定委員会というものはまことに低調なのには驚いている。もうすでに国会が開かれましてからでも、また開会式から後でもずいぶん時間がたつておりますけれども、しかしほかの委員会に比べて会議の数も少い。しかもその少い会議に大臣が出て来ない、また委員の諸君も今日ごらんの通りの状況で、傍聴者の方がはるかに多いというような状況であります。私は予算委員会にばかり出ておりまして今回初めて出て参りましたところこのような低調な委員会であろうとは実は予期しなかつた。それで私は委員長からもう少し低調でないように、審議庁長官の本会議において行つた日本経済の、産業経済政策に関する基本方針についての質疑が行われるのに、こういう三人、四人の委員で行うなどということは、これはまことに委員会自身の恥辱でもあり、また経済審議庁というものがあつてもなくてもいいというふうに思われているのではないかというふうにすら考えるのであります。今日はもう時間も一時十分前になりましたが、私は今の小林委員のような御質問は、今後活発に行われることを期待するのでありますが、まず会議の日程に上つております日本経済の基本的政策に関する、すなわち本会議において行われた審議庁長官の産業経済政策の基本的な問題についてまず一応質問をするように運んでいただきたい。しかもこれには審議庁長官はもちろんのことでありますが、必要とあらば他の大臣でもここへ引出して来るというような意気込みでこの委員会を進行してもらいたいと思う。もちろんほかの委員会において発言中こちらへ来いというわけには行きません。しかしたとい委員会が開かれておりましても、この経済審議庁長官に対する質問が事実上行われていないときであれば、こちらへ来てもらつて、そこで自分の主管であるここにおつてもらつて、向うに質問が出たということになれば、もう二分か三分で行けるのですからこちらにおつて向うへ答弁に行つてもらうように、向うの委員会に連絡しておいて、この次に質問が出るという五分か三分前に向うへ行くようにひとつ申入れをしてもらいたいと思う。中村さんも非常に重大な質問があるようでありますし、私もこの基本方針について質問があるのですが、私は今日はこの程度にとめて、むしろ明日大臣にも出てもらう、こういうことで継続されることを提案いたしたいのであります。もちろんあの演説の原稿は長官が書かれたのでなしに、事務当局で書かれたに相違ありません、だから答弁としては事務当局が答弁される方が適当である場合が多いのだと思います。しかし質問者の立場としては、事務当局に聞いてもらうつもりで話すのじやなくて、大臣にしつかりと頭に入れておいてもらいたい、こういうことでありますから、さようとりはからつていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/87
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088・小林進
○小林(進)委員 議事進行に関連いたしまして……。今言われた山木さんの御意見にまつたく賛成でございます。今私が御質問したのもこれは大臣に対する質問のウオーミング・アップでございまして、質問の材料を得るために今お伺いしただけの話でございます。それでありまするから、実は委員長とされましては、少くとも長官の御都合がございましようが、長官の経済演説に対する基本的な質問を各党一時間、計五時間ぐらい都合をつけて出席するようにしてもらいたい。それは委員長において適正に按分していただいて、最低五時間ぐらい質問を許されるように御交渉を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/88
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089・中村時雄
○中村(時)委員 今の問題ですけれども、たとえば先ほど山本さんのおつしやつたように、もう少し計画的に物事をやつていただきたい。たとえばきようは少くとも総体質問の状態になつているわけです。総体的な質問のけじめを一応つけないと困る。ほかの委員会では総体質問を終りかけている。こういう状態はここだけなんです。だから、その点は十分計画的にやつていただかないと、いつまでたつてもずるずるすべつて行つて、かんじんのまとめができなくなるんじやないかというおそれを抱くわけです。どうかその点、今後注意をしてやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/89
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090・佐伯宗義
○佐伯委員長 ただいまの山本さんの御発言きわめて適正な要望でありまして、経済安定委員といたしましては、御趣旨のほどは各自考えておると思うのであります。実は先般の理事会におきまして審議庁長官に対する質問を五時間くらいやらねばなるまいということの申合せをいたしまして、実は本日と明日は、審議庁長官が本席へ出て参るという約束をしてあつたのであります。ところが本朝に至つて長官が急に病気になつたということで、欠席いたしたような次第であります。従つて山本さんの御要望もありますので、明日からは特に出て来てもらいまして、皆様の御要求のように、当委員会の最も大切な経済基本政策の根本をつくどいうことはぜひやりたいと思つておるのであります。かような次第で、山本さんの動議はそのまま受入れることにいたしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/90
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091・石村英雄
○石村委員 さつきの財政投資の関係で一兆九百億円、これは各方面の要望だとありますが、長官の経済演説の中に、こういうようにしたら五箇年間でこうなる、それについては一兆億円必要だということがあるのでありますから、各方面の要望でなしに、審議庁としてこの一兆億円程度の政府資金の投資計画というものが年次的にあるはずだと思いますから、その御提出を願いたいということと、それから重要消費に対する国内物価と輸出物価、そうしてこれと日本の競争相手の各国の物価の表、それから貿易商社の強化ということもありますが、現在の日本における外商の勢力というものをお知らせ願いたい。それから外資がどういうように現在入つておるかということ、及び今後審議庁として五箇年間にどういう外資をどの程度考えておいでになるかということ、それから最近における金利の動き、そうして今後の五箇年間の金利の動きをどのように考えておいでになるか、それだけを資料として御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/91
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092・平井富三郎
○平井政府委員 ただいまの一兆億円のことについてでございますが、各界から、たとえば、農業増産に四千三百億と申しましたのは、一応農林省の五箇年増産計画千七百万石の数字をとつているわけでございます。これらにつきまして、これをどの程度予算に繰込む必要が出るかということにつきましては、やはり若干の時日がいるのではないかと思います。一応各界において要望されておりますものを取りまとめてみますと一兆一千億円、大体それに近い数字がいるのではないかという趣旨で、大まかにいたしまして、一兆億円という数字を長官演説の中に盛り込んだわけであります。従つてこれが具体的には一兆九百億円になるかあるいは九千億になるか、九千五百億になるか、あるいはそのままの数字で行くかということにつきましては、なお若干の時日がいるのではないか、かように考えておりますので、そういう趣旨もひとつ御了承願いたいと思います。それから国際物価と国内物価との比較につきましては、できるだけの資料を作成してお届けしたいと思います。それから金利の問題につきまましては、五箇年間に、いつどれだけの金利を下げて行くかという計画的なといいますか、経済的の事項も、これは一般の金利の情勢なりあるいは金融情勢の動き、その他に関連して参りますので、長官が出席されましたときに金利に対する考え方をお聞き取り願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/92
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093・石村英雄
○石村委員 もちろん金利などというものは、五箇年間先がどうなるというようなことははつきり言われるものではないと思うのですが、審議庁長官は九箇年先にはこうなるというように品おつしやつておられますから、金利の趨勢は大体こうなるくらいのお考えはあると思いますから、それをお聞かせ願いたい。それから投資計画の問題も、やはりその意味でお聞かせ願いたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/93
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094・佐伯宗義
○佐伯委員長 本日はこれにて散会いたします。
なお次会は明日午後一時よりと予定いたしております。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604073X00519530629/94
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