1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十七日(金曜日)
午後二時三分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 内海 安吉君 理事 瀬戸山三男君
理事 田中 角榮君 理事 中島 茂喜君
理事 山下 榮二君
逢澤 寛君 高田 弥市君
堀川 恭平君 松崎 朝治君
山田 彌一君 赤澤 正道君
志村 茂治君 三鍋 義三君
山田 長司君 中井徳次郎君
細野三千雄君 高木 松吉君
出席政府委員
建設政務次官 南 好雄君
建設事務官
(大臣官房長) 石破 二朗君
委員外の出席者
建設事務官
(大臣官房建設
業課長) 宮内 潤一君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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七月十六日
産業労働者住宅資金融通法制定に関する請願(
井堀繁雄君紹介)(第四二六二号)
北上川下流しゆんせつ工事施行の請願(内海安
吉君紹介)(第四二六三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
建設業法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を継続いたします。高田弥市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/1
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002・高田弥市
○高田委員 昨日、田中委員、逢澤委員より、落札価格最低制限について、いろいろ質問があつたのでありますが、私も現在の業界の実体にかんがみまして、この点に関して若干御質問いたしたいと存じます。現在建設工事の発注量に比べて業者が多過ぎるため、採算を度外視して入札するものが多く、必然的に工事が粗悪化して、公共の利益に反する結果を招来しております。しかもこの粗悪工事たるや、そのほとんど大部分がそのまま——ことさらやり直しを受けるなどということは、きわめて例外に属しており、まことに憂うべきことであると申さねばなりません。ここに落札価格に最低線を引けという議論が出てくるわけであります。現在は大体五、六割のきわめて低率の線で落札する例が多いようであります。この一つの原因として、次のことが考えられます。すなわち大規模な工事で、数年にわたつて継続して行うものの第一期工事の入札についてであります。つまり、第一期工事さえ落札してしまえば、第二期、第三期と、あとはほとんど随意契約となり、二期以後は、満額あるいはそれ以上の額で契約できるのでありますから、最初の第一期工事が採算がとれなくとも、結局において、採算がとれるという結果になるものが多いのであります。従つて、ダンピングしてまで工事をとろうとはしない一般の健全な業者にとつては、最低入札制度は、生活を脅かすものと相なつておるようであります。特に今年度は四、五、六、七月と暫定予算であります関係上、公共事業は今年度予定工事の一部分しか発注できない状況にあります。従つて、先ほど申しました大工事の例と同様、あとは随契で何とかして最初の第一期工事をとろうとして、ほとんどが五、六割の線で落札しております。五、六割といいますと、大体資材を買うだけであります。その結果、労働者に対しては、労働基準法違反になるような労働を強制するような例もあるようであります。必然的に工事も粗悪化し、寒心にたえないものがあります。このような事態は、永久に続くものとは考えませんが、人口過剰のわが国において、そう簡単になくなるものとは考えられません。従いまして、私は葉札価格の最低線を引くように法律改正をすることは、目下のところ絶対に必要であると考えるのであります。最低線を引くことは、発注者となれ合いの業者が有利であるとかいろいろ心配されておりますが、それは最低線をきめる方法を研究するとか、監督を厳重にするとか、いかにして公正に運用するかは、研究すればできることでありまして、このことを心配して法律改正を渋つておるとすれば、それは本末転倒といわねばなりません。要は、いかにすれば公共事業が計画通りに的確に施行されるかが問題だと思うのであります。
以上簡単に私の意見を述べたのでありますが、当局の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/2
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003・南好雄
○南政府委員 お答え申し上げます。現在の公共事業の実情から御判断くださいまして、ただいま高田さんから率直な御意見を承りまして、いろいろの点において私といたしましても同感の点があるのでざいます。この業法の改正の際におきましても、昨日戸塚大臣が答弁されましたように、私たちといたしましても、このフロア・リミットをきめることは、何と申しますか、この業法に魂を入れることになるような気もいたしまして、こういう点につきましても、事務当局としていろいろ研究させておるのであります。しかしながら、きのうも大臣から答弁いたしましたように、実際問題といたしまして、どの程度がほんとうのフロア・リミツトであるかという点につきまして、大臣も私も、率直に申しましてしろうとでございますので、ほんとうに確信がつかないのであります。そこでいろいろ事務当局同士の話合いによりまして、お互いに納得ができたならば、早い機会において改正に着手いたしたいという気持で、絶えず連絡をしておるのでありますが、まことに申訳ないのでありますけれども、現在のところでは、まだそこまで事務当局の連絡がついておりません。従いまして、今度の改正にはフロア・リミツトの規定は入つておりませんが、将来におきましては、御趣旨の通り、やはりどこかでカバーをしなければ業者がつぶれてしまうのでありまして、いずれ必ずどこかに出て参るのでありますから、ほんとうに公正な競争をさせるという意味から見て、裏を返しますと、不正競争を防止するという見地におきましても、ある程度の最低価格をきめてあげた方が、公共事業の施工のために最もいい方法になるのではないか。この点につきましては、私も強い確信を持つております。こういう面につきましての案ができて参りましたならば、私も乗り出しまして、事務当局の案も指導いたしまして、近い機会におきまして御要望に沿うような改正をいたしたい。今日のところにおきましては、きのう主管大臣からるる説明がありましたように、まだその時期にはなつておりませんが、鋭意今研究中であるということで、しばらくの間ごしんぼうをお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/3
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004・久野忠治
○久野委員長 これにて本案に関します質疑は終了いたしました。ただいまより本案を討論に付します。田中角榮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/4
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005・田中角榮
○田中(角)委員 ただいま議題になつております建設業法の一部を改正する法律案につきまして、各党を代表し、賛成の意見を述べるものであります。
昨日の委員会におきましても、建設大臣に種々な問題についてただしたのでありますが、本法制定の当初より、本委員会において研究して参りました通り、現行法における登録制は、当然許可制にしなければならないという問題、次には、不正工事の防止等を目的とする落札価格の最低額をきめる、いわゆるフロア・リミツトの問題、第三には、入札資格の制限及び業者の格付の問題、第四としましては、公共事業の直営施工の規制及び無登録業者すなわち村請負等についての幾多の問題、第五といたしましては、公共事業施工者に対する法律上の責任と、各省別個に行つておりますところの契約に対する根本基準の決定並びに紛争解決に対する具体的処置等を当然規定しなければならない段階に至つておることと考えるわけであります。
この法律は、ただ単に業者のみを規制する法律ではなく、九州災害のような非常に大きな災害で莫大なる国損を来しておる現在において、公共企業全般に対する一つの根本的な根拠法にならなければならない法律でありますが、いろいろな事情で、これら根本的な問題が解決しないで、まつたく事務的な改正案として提案されておるわけであります。われわれは、でき得るならばこれらの問題を全部解決する修正案を提出いたしたいのでありますが、会期も切迫しておる現在、参議院の審議期間も考慮しなければならない状態でありますので、見ようによつては、竜骨なき船舶をつくるがごとき法律の感もないではないのでありますが、及ぼすところはなはだ甚大でありますので、現段階におきましては、やむを得ずこの程度の改正をもつて賛成をしなければならないのではないかと考えるわけであります。でありますから、この法律の主管者である建設大臣も、各部門を督励せられて、これが焦眉の急である重大問題の解決は、荏苒日を空しくすることなく、できるだけすみやかに解決をし、再び改正案を提案せられることを強く要望して、賛成の意見とする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/5
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006・久野忠治
○久野委員長 これにて討論は終局いたしました。
ただいまより本案を採決に付します。本案を原案の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/6
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007・久野忠治
○久野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際お諮りいたします。本案に関しまする委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/7
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008・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認めて、さようとりはからいます。
次会は公報をもつてお知らせすることといたし、本日はこの程度にて散会いたします。
午後二時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604149X01319530717/8
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