1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十五日(水曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 千葉三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君
理事 坊 秀男君 理事 内藤 友明君
理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君
理事 島村 一郎君
有田 二郎君 宇都宮徳馬君
大上 司君 大平 正芳君
黒金 泰美君 藤枝 泉介君
宮原幸三郎君 三和 精一君
福田 繁芳君 本名 武君
木原津與志君 久保田鶴松君
春日 一幸君 平岡忠次郎君
山村新治郎君 福田 赳夫君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(主計局次長) 正示啓次郎君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
大蔵事務官
(主税局長) 渡辺喜久造君
大蔵事務官
(主税局税関部
長) 北島 武雄君
大蔵事務官
(管財局長) 阪田 泰二君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
人事院給与局次
長 慶徳 庄意君
大蔵事務官
(主計官) 末広 義一君
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(管財局閉鎖機
関課長) 岩動 道行君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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七月十五日
委員三和精一君辞任につき、その補欠として坪
川信三君が議長の指名で委員に選任された。
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七月十四日
揮発油税軽減に関する請願外一件(石橋湛山君
紹介)(第三六二七号)
同(小山倉之助君紹介)(第三六二八号)
石油関税の減免措置延期に関する請願外一件(
石橋湛山君紹介)(第三六二九号)
果実エッセンスに対する物品税撤廃の請願(島
村一郎君紹介)(第三六三〇号)
転換造船所の昭和二十八年度国有財産使用料に
関する請願(大石ヨシエ君紹介)(第三六三一
号)
昭和二十八年度国有財産貸付料に関する請願(
大石ヨシエ君紹介)(第三六三二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
公認会計士法の一部を改正する法律案(苫米地
英俊君外二十四名提出、衆法第二九号)
旧令による共済組合等からの年金受給者のため
の特別措置法及び国家公務員共済組合法の一部
を改正する法律案(内閣提出第一五五号)
昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じ
た国家公務員共済組合法等の規定による年金の
特別措置に関する法律案(内閣提出第一五六
号)
昭和二十七年度における給与の改訂に伴う国家
公務員共済組合法等の規定による年金の額の改
訂に関する法律案(内閣提出第一五七号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約
第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産
の管理に関する法律の一部を改正する法律案(
岡良一君外二十六名提出、衆法第二〇号)
塩業組合法案(内閣提出第一二号)
信用金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三号)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八三号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八四号)
閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
第九四号)
鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証
に関する法律案(内閣提出第九五号)
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇三号)
産業投資特別会計法案(内閣提出第一一三号)
厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一一五号)
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一一七号)
相互銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二四号)
信用保証協会法案(内閣提出第一二五号)
日本専売公社法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一五九号)
積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫
に因る農業所得に対する所得税の臨時特例に関
する法律案(竹谷源太郎君外二十四名提出、衆
法第二一号)
有価証券取引税法案(内閣提出第二七号)
納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三一号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三二号)
富裕税法を廃止する法律案(内閣提出第三三
号)
登録税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三五号)
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三六号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六二号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六三号)
相続税法の一部を改正する1法律案(内閣提出
第六四号)
国税徴収法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六六号)
特別減税国債法案(内閣提出第九八号)
資産再評価法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一〇号)
関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第一一六号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四三号)
通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五二号)
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第一五八号)
国有財産法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第四五号)(予)
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四九号)(予)
証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七八号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/0
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001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に掲げました公認会計士法の一部を改正する法律案外三十六法案を一括議題として質疑を続行いたします。
なお本日政府委員としては、主計局次長、主計局給与課長、主税局長、主税局税関部長、銀行局長、並びに説明員といたしましては、主税局の税制課長、主計局の主計官の諸君が出席しております。
質疑は通告順によつてこれを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/1
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002・内藤友明
○内藤委員 ちよつと、資料要求なんですが、前会に銀行局長は、相互銀行のあの問題について、標準をこの委員会に示すということを御発言になつたのでありますが、それをお示しいただきますと、審議を進めて参るのに非常に都合がいいわけであります。先ほども理事会を開きまして、それをお聞きして、この問題を早く処理しようじやないかということになつておりますので、ぜひ一両日中にその標準をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/2
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003・有田二郎
○有田(二)委員 関連して。相互銀行の問題は、懇談会のようなものを開いて、銀行局長の方針なり、いろいろお聞きして、われわれの方針もきめることが一番妥当じやないかと思う。委員長においてしかるべくおとりはからいを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/3
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004・千葉三郎
○千葉委員長 承知いたしました。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/4
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005・井上良二
○井上委員 共済組合法に関連してちよつと質問したいのですが、今回の改正で、共済組合員の範囲が明確にされ、従来臨時職員でも、二箇月以上勤務した者は組合員となつたものを、臨時職員は一切組合員になれないというふうになつておりますが、これは共済組合の組合員の負担が非常に重くなるから、臨時的な者は加入させない、こういう考え方から出ておりますか。どういうことでこの臨時的な者が加入されておつたのを除外することにいたしましたか、これをまず明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/5
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006・正示啓次郎
○正示政府委員 お答えを申し上げます。共済組合の組合員の範囲につきましては、従来と実質的な取扱いを異にするわけではないのであります。法文上明確を欠いておつたので、これを明確にいたすということが今回の改正の趣旨であります。ただいま井上先生の御指摘のように、負担が重くなるからというふうな趣旨ではないのでございます。従来実際扱つておりましたものを法文上明確に規定した、こういうふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/6
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007・井上良二
○井上委員 そうしますと、具体的に、たとえば政府の方の予算書を見ましても、臨時的な職員というものは非常に多い。それは実際は、臨時的職員ということになつておりますけれども、これが非常に長くいて、更新されて使われておる事実がたくさんあります。そういう点から、これらの人が共済組合の組合員となるということは、当然この組合の性質から考えられなければならぬ点でありますが、これらの人々については、別に加入する権利を奪つていないということがはつきり言明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/7
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008・正示啓次郎
○正示政府委員 お答え申し上げます。いわゆる常勤労務者とわれわれは言つておるのでありますが、これは、大体実質的には、定員によりまして採用いたしております職員とかわらないようなものでありまして、こういう方は、すべて加入の権利を認めておるわけであります。ただ純粋の賃金で支弁しております方々につきましては、従来も加入を認めておりませんし、今後も加入を認めておらぬのであります。その点につきましては、いわゆる常勤労務者、すなわち定員による国の職員と実質的にかわらないような者につきましては、平等に加入権を認めておる、かように御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/8
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009・井上良二
○井上委員 現在共済組合の掛金は千分の三十五、六から四十までに達せんとしておるが、共済組合の掛金というものの妥当な率は、一体政府はどのくらいと考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/9
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010・正示啓次郎
○正示政府委員 この問題は、結局各共済組合、すなわち経営主体の中におきまする組合の経理状況、あるいは負担力というふうなものにかかつて来るわけでございますが、大体現在千分の三十六から四十五、六というところでございますが、これを著しく上まわるような場合には、やはり組合として経営は健全でない、かような判断をいたしておるわけでございます。大体三十六から四十五、六というところが、現実における組合の経理としては妥当なところでないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/10
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011・井上良二
○井上委員 共済制度が拡充するに従いまして、共済金の給付金の総額が増大するということは、これは当然でございまして、そのためにこの掛金が高くなる。しかし一定の限度を越えたときは、制度そのものに対する組合員の不満が非常に高くなつて、かえつて制度の目的を達し得ないことになるのでありまして、われわれは単に一年や二年で赤字が出たからというので、この制度を云々するものではございませんが、この制度を真に共済の目的を達し得る制度として確立するためには、やはり共済掛金の率が妥当な率であるかどうか、また共済の給付の内容というものが一体適正であるかどうかというものと比例的に考えて見まして、現在共済組合が行つております、たとえば傷病に対する給付、あるいはまたその他厚生的ないろいろの施設というものがあろうと思いますが、現在までの共済制度を運用するについての赤字はどういうことになつているか。赤字は出ていないのですか、出ておりますか。それとも今私が指摘をいたしましたように、臨時的な職員をこの共済制度に包括するということになりますと、組合としては相当大きな負担になつて行く。そういうことから、将来この制度の給付活動を活発にやればやるほど赤字は出るという見通しが立ちはしないか。その場合に、現在の掛金率で維持できるかということになりますと、できないということになつて、赤字が出て来やせぬか。その赤字が出た場合に、政府は具体的にどういう用意をしておるか。これに対して、政府は国庫負担なりをするだけの用意を持つておるかどうかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/11
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012・正示啓次郎
○正示政府委員 共済組合制度が、社会保障制度の一環としてきわめて重要な役割を果しておりますことは、ただいま井上先生の御指摘の通りでございます。この組合の活動が傷病に対する給付、あるいは組合員の保健、厚生施設等の拡充に伴いまして、一方におきましては給付費、施設費の増加が見られ、これに対して組合員なり、あるいは事業主の負担というものによつてこの支出を償い得ない、すなわち赤字という現象が起つて参る傾向があることは事実でございます。現に政府におきましては、昭和二十四年度までに各省関係の共済組合で赤字の生じましたものにつきましては、まずそれぞれの組合におきまして、自主的な再建計画を立てるということを建前といたしまして、そういう計画を立てましたものにつきましては、政府としても一定限度の補助をいたしました。しかるにその後二十四年度まで。分を、これは二十五年度の予算においていたしたのでありますが、幸いにして相当数は、この措置によりまして、いわゆる赤字の状態を脱却いたしまして、再建の実をあげたのであります。なお若干の組合につきましては、その後におきましても赤字を継続いたしておるような次第であります。この原因を研究いたしてみますると、やはりいろいろございまするが、今先生もおつしやられましたような、一般的に給付が充実して行くとか、あるいは施設が整備されて行くとかいうふうな面もございます。これは非常にけつこうなことでありますが、しかし中には多少乱に流れておる、すなわち濫診濫給、あるいは施設その他の経費に濫費が行われているというような点もあろうかと思うのでありまして、これらにつきましては、私どもの方におきまして厳重に監査をいたしておるのであります。また中には、組合員の年齢構成、それから給与、従いまして給与の額等が比較的低く、一方においては、そういう年齢層に多い結核その他の比較的金のかかる疾病が多いというふうな関係から、組合の経理が困難になるというふうな面もあるのであります。こういうものにつきましては、政府もその特殊性を認めまして、ある程度療養施設等について補助、あるいはこれが便宜をはかるというふうなことも必要かと思つておるのであります。そういうふうにいたしまして、一方では支出の濫に流れておりますものは引締め、特殊事情に基くものにつきましては、これに対して適切なる援助を行うというふうな措置を講じましかしで、それぞれ組合の自主的な再建計画を出させまして、あるものは臨時に料率を引上げる、組合の負担の歩合を引上げるというふうな措置も講ずることにいたしました。
なお政府においては、本年度予算に特に臨時に補助金を出して、その再建を援助する、こういう措置を講ずることにいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/12
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013・井上良二
○井上委員 具体的に伺いますが、そうすると、この増加する費用を国庫で負担する、その負担して行こうとする金額は一体どのくらいを見込んでおりますか。また地方公務員、公社の組合について、国庫から按分して負担をするということになつておるのでありますが、その按分はどういう按分になりますか。それからその場合、つまり国家公務員の場合と地方公務員、公社の組合について国庫から負担をいたします分とを合計して、国庫負担はどのくらいを見込んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/13
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014・正示啓次郎
○正示政府委員 まず国の共済組合について申し上げますが、二十八年度の予算におきまして、共済組合のいわゆる赤字補填のために予算を計上いたしました組合の数は、国の組合におきまして五つであります。この五つの組合に対しまして総額二億三千九百万円、約二億四千万円の補助金を計上いたしておる、この組合におきましては——これは各組合によつて多少事情を異にいたすのでありますが、私どもの手近な大蔵省の組合を例にとつて申し上げますと、これは従来千分の三十八という料率で参つておつたのでありますが、これを臨時に千分の四十二に引上げることにいたした。これで組合の負担も、また事業主、すなわち国の負担も臨時にふえるわけでありますが、そういたしまして、今回計上いたしました給付費に対する補助金をもらいますれば、大体今後一年くらいの間に赤字を解消して、その後は漸次料率も引下げ得るという計画で、ただいま整備をいたしておるのであります。国の負担との割合というお話でございましたが、御承知のように組合員と事業主は、料率において半々に負担いたし、そのほかにただいま申し上げたような臨時の赤字補填を国がいたす、かように御了解を願いたいのであります。この赤字補填額が臨時のものでございますので、割合から申しましてどうなるかという計算は、ただちに算術的に出すのが適当かどうか疑問でありますが、場合によりましたら、これを本年度の補填額と料率と比べまして歩合を出して、後刻申し上げてもよろしいと思うのであります。一応私どもの考えは、たとえば大蔵省について申しますと、千分の三十八を千分の四引上げて四十二にいたす、その四十二を国と組合が半々に持ちまして、そのほかに赤字の臨時補填をいたす、こういうような考え方で予算を組んでおる次第であります。
それから地方の関係でございますが、地方の関係は、御承知のように教員の分については、今回半額の給与についての負担がございますが、その他一般については、地方共済組合については千分の三十二以下の料率でやつておりまして、現在のところは赤字が出ていない、こういうふうに御了解を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/14
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015・井上良二
○井上委員 この法案と一緒に出しております国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、この法案に多少関連しますが、この退職手当の一部改正の法案では、休職、停職の期間は、退職手当の計算上二分の一しか計上しない、こういうことになつておる。この休職、停職の内容は病症による場合の問題がございます。一日もすみやかに全快させるという共済制度の立場から考えました場合、共済制度の施設というものが完備をいたしておりますならば、この休職の場合、停職の場合の期間もまた縮めることができ得る。だから、現在の共済制度によるそういう療養、または厚生の施設があれでいいと政府は見ておりますか、それともまだあれでは足らぬと考えておりますか、特に結核に対する療養、休養等の施設についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/15
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016・正示啓次郎
○正示政府委員 お答え申し上げます。御承知のように公務員、国家公務員でも地方公務員でも同じでありますが、公務員に対していろいろと福利厚生施設が従来なされておつた。そのやり方は、たとえば現業と非現業との間に従来多少区別も設けておつたと思うのであります。これは古い官吏の思想というふうなものとも多少関連があつたと思うのでありますが、今日におきましては、私どもはやはり共済制度、あるいはその他の福利施設というものは、できる限りそういう従来の考えにとらわれずに、新しい事態に即応して、適正にこれを改善して行くべきである、こういう考えを持つておるのであります。ただいまもお話のように、療養施設等が整備されますれば、それだけ共済の給付も減つて参るということは、御指摘の通りでございまして、現に共済施設の整備しておるところと、しからざるところにおきましては、共済組合の給付費に相当の懸隔を生じておるのであります。そういうことが、先ほど申し上げたような組合の赤字の原因をもなしておるということは、ある程度認めざるを得ないと思うのであります。そういう見地から、将来におきましては、できる限り療養その他の施設を整備いたしまして、早期に治療して治癒する疾病につきましては、早期治療を確保する。また結核等の比較的長期療養を必要とするものにつきましては、やはり療養施設を整備することによつて、できるだけ完全にこれを治癒せしめるという措置が、ぜひとも必要かと思つておるのであります。
それからまた健康診断の施設等にいたしましても、従来はとかくこれが不備でございまして、疾病の発見が遅れたために、結局給付費に多額の金を注ぎ込まなければならぬということにもなつておつたかと思うのでありますが、今日におきましては、大体各職場におきまして、定期健康診断というようなことを励行することによつて、そういう弊をも相当程度に防止できておるかと思つております。一般的に申しまして、そういうふうにいろいろの施設を整備することによつて、組合員の福利を増進すると同時に、共済組合等の負担の軽減にも資する、これは基本的な考え方であります。この考え方につきましては、どうも国なり地方公共団体がそういうことをやることはいかがかというふうな考え方も一方にあるのであります。今日、民間の企業等におきましても、相当程度にこれが進んでおります。また国なり地方の職員も、やはりそういう点におきまして、できる限り事業主においてそれ相当の施設をすることが適当であり、たとえば結核等につきましては、いわゆる結核二十万ベツトということが国の計画として唱道されておるのであります。そういう二十万床を必要とする場合に、国が公務員のためにある程度施設をするということは、すなわちこれは一般民間の療養者のためのベツトに対する負担をそれだけ軽減する意味もあるわけでありまして、その意味からも、全体としてやはりこれはいい施設ではないかというふうにも考える次第であります。もとより、これは国家財政も相当の負担でございまするから、なかなか一朝一夕には参らぬと存じますが、大体の考えといたしましては、今後ともそういう方針のもとに、いろいろの施設を整備いたしまして、職員の福利増進と共済給付、その他の負担の軽減、また一般の国民大衆への負担の軽減という方面に持つて参りたいというのが、私どもの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/16
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017・井上良二
○井上委員 共済組合の療養給付のうちで、一番大きな負担は結核に対する療養給付であります。従つて結核に対する療養給付というものを、何とか別個のわくでこれを考えることができぬか。そうしますと、共済組合の負担というものは非常に軽くなるという一つの見通しが立ちます。そして、結核に関係のない他の厚生施設が、もつと逆に推進され得ることになります。だから結核に対する療養給付の問題を別個に——あなたが今おつしやつたような、何か結核対策の一環として、国が責任を持つて療養に当るというように、共済組合の療養給付の中から別わくに持つて行くような考え方がないものかということを、一応御検討願いたい。
ついでにこれに関係をしておりますから、退職手当の改正法律案に関連をして伺うのでありますが、この改正法案によつて、今申しました結核等によつて休職する者は、除算をされますか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/17
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018・正示啓次郎
○正示政府委員 結核に対する給付については、別途に、共済組合の給付の別わくとして、国が別の機構で考えるべきではないかという御意見かと拝承いたします。これは御承知のように、結核予防法による対策が現在いろいろ行われておる関係もありまして、結核対策の全般の立て方の問題でございます。これは別に研究をいたしたいと考えますが、むしろ、厚生省あたりで相当考究すべき問題ではないかと思います。
それから退職手当の点に関してお尋ねでございますが、これは、療養のために長期欠勤をいたしまして休職を命ぜられました期間は、二分の一として計算することになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/18
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019・井上良二
○井上委員 そうなると、公傷病による休職の場合も二分の一となつてしまうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/19
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020・正示啓次郎
○正示政府委員 休職の期間を二分の一にするという取扱いは、これは退職手当だけではなく、恩給法にもあります。同じような取扱いでございます。ただ退職手当におきましては、実際に勤続した者に対する報償であるという性格が強いものでございますから、そうした休職の期間全部を見るのはいかがかということで、半分除算しておるわけでございます。そこで御承知のように、休職の期間中には、最近では使用者負担で給与その他を出しております。そうした面も考え合せますと、二分の一という恩給法の取扱いが、大体退職手当の場合にあてはまるのではないかということで、この取扱いをいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/20
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021・井上良二
○井上委員 これは働く者の身になつて御検討願わなければなりませんが、一体公傷病を受けた原因は、本人がかつてに受けたんですか、そんなことはない。だから、ここは実際の現実、事実というものを見きわめられて——やはり病気をして休職になつたというのは、いよいよ困つたときに、休職するんです。だから、その者にとつてはたいへん大きな犠牲です。その犠牲になつた者が、正当な評価がされぬということになつたんじや、言うて行く先がありません。そこはあなた方の方で、けがはかつてにするんじや、病気はかつてになるんじや、だからそんなものは見るわけに行かぬというのなら別じやけれども、現実に仕事の都合に応じて、非常な危険な仕事をしている人もあり、疾病率の非常に高い仕事につかなければならぬ人があるわけでありますから、その結果長い療養の後に休職を命ぜられて、それが一向算定に計算されないとなつたら、実際かわいそうです。この場合は、特に除算するということでなしに、計算をしてやるようにしてやるべきである。たとえば恩給でも退職でもそうじやないか。戦争前の軍人、軍属、しようのない者までみな恩給の場合は加算をしている。退職手当も加算しておるじやないか。そういうえらい都合のいいやつはそうしておいて、ほんとうに助けてやらなければならないものには血も涙もない。そういう考え方はどうも感心しません。これはひとつ考え直してもらわなければなりません。
その次に、国鉄、専売その他の公労法の適用を受ける現業職員は、前には非常に公傷の事実が多いということから、またその作業の危険率や労働量等を考慮しまして、国家公務員と別の退職手当制度を採用しておつたのであります。それが今度は、一般公務員と同様の規定によつて支給されることになつておる。このように、一般公務員並にこれを規定し支給するということは、現実のこれら公共企業体の作業の上から考慮いたしまして、非常に穏当を欠くのです。この際これを除外する意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/21
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022・正示啓次郎
○正示政府委員 まず先にお尋ねの休職期間中を二分の一に計算する問題でございますが、これは、井上先生から公務による、あるいは結核に伴つて休職になる者に対して非常に御同情のあるお話がございました。私どももそういう趣旨を相当程度に考えているわけであります。一応考え方を率直に申し上げますと、公務なり、あるいは結核で休職を命ぜられたような場合に、その休職期間中の給与ということが一番切実な問題だと思うのであります。これは従来、御承知のように休職になりますと全然支給しない、あるいは減らすというような措置がとられておつた。これは非常に酷じやないかというふうな考え方から、今回は、休職中の給与はこれを支給するということをまずもつていたしたのであります。これは、従来の措置に対して相当の改善かと思つております。これによつてまず切実な要求を満たす、それからその次に、しからば休職期間を退職金の上においてどういうふうに計算するかという問題でありますが、これは恩給法にすでに先例もございますので、一応恩給法等に合せて計算をいたす、こういうやり方をやつた。もし休職中の給与も出す、それから期間もさらにフルに計算するということでございますと、恩給等にも必然的に影響がございますので、その点はまずもつて切実な問題から処理する、こういう考え方をとつておりますので、この点をまず御了承をいただきたいと思うのであります。
それから鉄道その他の公共企業体等の職員について、退職金の規定を一本にすることは不適当ではないかというお話でございますが、この点については、議論があろうかと思います。今までの行き方は、各企業体それぞれの特殊事情応じて、ばらばらにやつておるというふうな傾向もあつたかと思うのでありますが、これは御承知のように公共企業体等労働関係法の中にも、これらの企業体の給与等については、国家公務員の給与を大切な基準にして、しかも各企業体の勤務状況とか、年齢構成、性別構成等によつて定める、これは国会で御明定になつておるわけであります。私どもも、どこかに統一点を見出して、しかる上に特殊性を出して行くというのが基本の考え方ではないかと思うのであります。すでに恩給法、あるいは共済組合法は、ただいま御指摘のようなものについては、適用になつておるわけであります。そういう点から申しまして、退職金等につきましても、一応同じような規定を置くということの方が、むしろ適正妥当なる解決を得るのではないか、こういう考え方をもつて法案を出しております。この点については、議論はいくらもあるものと思うのでありますが、一応私どもとしては、そういう立場のもとに法案を出しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/22
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023・井上良二
○井上委員 一応他の恩給その他の法律にならつて、退職手当法も原則的に法文化して、制度を確立して置く方がよい、こういう思いやりのある御意見のようでございますが、一応法律となると、法律があらゆるものに優先いたします。従つて、法律によつて事態は解決されて行くわけであります。そこで、公共企業体等の関係の労働法規におきまして、労働条件その他解雇、退職等の手当は、この法律をもとに団体交渉を行い、そこで一つの解決を得たものが実施されるということに一応建前はなつております。これは御存じでしよう。その精神から、去る三月十日公共企業体等仲裁委員会において、法律をもつて国鉄職員等の退職金を律することは公労法の趣旨に沿わないという点を指摘いたしまして、仲裁委員会において一定の退職手当についての裁定を下す、この裁定に対して、国鉄当局もこれを認め、国鉄労組との間に退職手当に関する協約が結ばれております。この協約を政府は一体どう考えるか、この裁定を尊重する御意思があるかないか、この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/23
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024・正示啓次郎
○正示政府委員 大分問題が専門的になりまして、これは井上先生得意の分野でございますから、国鉄の政府委員を呼んで来た方がよいと思いますが、一応私しろうとでありますけれども、知つておる限りを申し上げます。三月十日の仲裁裁定は、私どもの存じております限り、まだ実施されませんで、団体交渉の過程にあると了解いたしておる、これが第一点。それから、なるほど裁定には現行法律の失効する昭和二十八年度以降の退職金については、団体交渉により労働協約を締結すべしというふうになつておりますことは、井上先生御指摘の通りでございますが、実は今回国会に出した退職手当法改正法律案は、現在のこの法律を失効させるという建前ではございませんで、この改正によつて、依然退職手当法は効力を存置する、こういう考え方をとつておるわけであります。すなわち、仲裁裁定にあつては、法律の失効する昭和二十八年度以降ということになつておりますが、法律を失効させずに、国会において退職法を改正したる上存置していただく、こういうことで政府は提案をしております関係上、従来と同じようにやつて行きたい、こういう考え方でございます。この点は多少法律論になろうかと思うのであります。私どもとしては、仲裁裁定は現在の法律の失効する昭和二十八年度から効力を生ずるとなつておるのでありますが、法律を失効させずに継続して行きたい、継続する上においてかような改正をして行きたい、こういう建前のもとに法律を出しておる次第でありますから、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/24
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025・井上良二
○井上委員 私どもの考え方から行きますと、同じ公務員でありましても、従事する職種によつて一定しておりません。ある者は非常に危険率の高いものに従事しており、また各公務員の平均勤続年数も、それぞれ各職種によつて異なつております。そういうものを、一定の法律によつて律するというところに無理があるのじやないか、こういう考え方です。だから机の上で事務をとつておるというものと違います。たとえば同じ公務員でございましても、林野庁所管の現場の公務員は、非常に事実上違う。そういうようなわけで、おのおの非常に違つたものを一つの法律で律するということに非常に無理がある。そういうところから、特別に公企業体の法律が独立してできておるのじやないかと私は思うのです。そうじやなかつたら、国家公務員法でいいのであつて、何ゆえに公企労法をつくつたか、私は別個の考え方を持つてやらなければ、ほんとうに現実に沿うりつぱないい退職手当法というものは制度化されぬじやないか、これはひとつ、給与局としても慎重に御検討願わなければならぬ問題であろうと思います。われわれはそういう点について、あなた方の一層の御検討をお願いをするより、きようのところはやむを得ないと思います。
それからいま一つあなたに、これは大臣でありませんから、あなたにそういうことを聞いてもまた上手に逃げられるのではないかと思いますけれども、最近人事院で、退職手当に関する恒久的制度についての案を検討しておることを御存じでありますか。この人事院の勧告がもし政府に勧告されました場合は、政府はこれをすなおに受け入れるつもりでありますか。それはあなたが専門家ですから、専門家の立場から、事務的にひとつ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/25
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026・正示啓次郎
○正示政府委員 まず前段に仰せになりました、各公共企業体の特殊性、ことに公共企業体等労働関係法の適用を受ける者と、一般公務員との違いを頭に入れてやるべきであるというお説は、私どももごもつともであると思います。その点は実は決してネグレクトしておるというわけではないのでありまして、この点は、こういうふうに実は考えております。公共企業体等労働関係法の適用を受ける企業体の職員につきましては、現実の給与、すなわちこれは退職前の、いわゆる現役の間の給与でございますが、そういうものにつきましては、ただいま井上先生のおつしやられたような特殊事情は十分反映されまして、御承知のように調停とか仲裁とかいう経過を経まして、最終的には国会において決定を見ておるのです。そういうふうに決定されました特殊事情を織り込んだ給与を基礎にして、この退職金の法律というものを算定いたすのでございますから、現役中の給与による特殊扱いというものは、おのずから退職金にも反映して来るもの、こういうふうお考えをわれわれはとつておるのであります。それをさらに退職金のところで特殊に扱うということになりますと、一つの大きな問題が出て来やしないかというふうな点を私どもは考えまして、現実の給与のところの特殊扱いという線で一応切りまして、それを基礎にして退職金を算定する、こういうふうな考え方を一応とつておるわけであります。この点は見解の相違ということで、おしかりを受けるかもしれませんが、一応そういうところに置いておることを御了承願いたいと思います。
それからその次に人事院が——ただいま人事院もお見えになりましたが、現在恩給制度その他につきまして、いろいろ熱心に御検討中であります。慶徳次長が見えましたので、詳しく知つておられるのでありますが、これはどこまでも国家公務員法によりまして勧告をされることになるのでありますから、この勧告につきましては、常に政府としては十分これを尊重いたしまして、考えて行くつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/26
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027・井上良二
○井上委員 最後に人事院に伺いますが、人事院では、聞くところによりますと、国家公務員の退職年金制度を起案し、勧告を行う予定であるというが、この勧告がいまだ実施されないのはどういうわけか。人事院の勧告案は、今日まで数次にわたつて変更改訂されて来ているというが、これはまだその成案が完全に固まつていないのか。この退職年金制度は、社会保障制度確立の見地から、この制度の確立が非常にやかましく要望されておりますので、われわれはすみやかなる勧告の実施を待望しておるのでありますが、どういうわけでかくのごとくひまがいつておるか、勧告のできない理由を明らかにしていただきたいのであります。それと同時に、この案がもし非公式に資料として提出されますならば、提出を願いたいと思いますが、提出できるかどうか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/27
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028・慶徳庄意
○慶徳説明員 御質問がございましたように、国家公務員法におきましては、その第百七条及び百八条におきまして、新しい公務員制度にふさわしいところの新しい恩給制度を策定する、同時にそれにつきましては、すみやかにこれの調査研究をいたしまして、国会及び内閣にその成果のほどを提出しなければならないという条項になつておりまして、これがまた人事院に義務づけられておる条項でもございます。従いまして人事院といたしましては、鋭意調査研究を続けて参つたのでありますが、御承知の通り、何分にも年金制度というものは非常にむずかしい問題でございますし、わが国における年金制度としましても、相当古い沿革を持つておりますので、経過措置その他におきまして、十分な検討を必要とするような内容を持つております。従いまして、目下検討中でございますが、近く成案を得る見込みに相なつております。でき得ればこの国会中に、先ほど申し上げた条章に従いまして、国会及び内閣に勧告いたしたいという考えのもとに、せつかく準備検討中でございます。従いまして、後段に仰せられました資料提出の問題でございますが、目下検討中の段階でございますので、ややしばらくお待ち願えますれば幸いに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/28
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029・井上良二
○井上委員 あなたは、一番大事なところは、でき得れば今国会にというが、でき得ないということになると、これはえらいことになるが、どうです。もうあと二週間そこそこしかないのですが、この国会に出せますか。それをはつきりひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/29
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030・慶徳庄意
○慶徳説明員 まことに残念でありますが、私は人事院の組織官ではございませんので、事務総局の一次長でございます。従いまして、ここではつきり申し上げることは非常に困難でありますが、本日午後人事院会議をいたしまして、それらの点についてはつきりした決定をつくる計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/30
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031・大平正芳
○大平委員 関連して……。今井上委員が御質問いたしました年金額改訂の三法案に関連して伺いますが、この改訂に要する費用の負担、これは国が現実に負担する。ところが地方共済組合の場合には、地方公共団体、専売、国鉄、電信電話公社等の場合においては、その公社と国とが負担するという建前になつておりますが、これに関連してでございますが、一体地方公共団体というものは、短期給付と長期給付に対してどれだけの負担をしておりますか。
それから専売公社とか、国有鉄道とか、電信電話公社とかいうものは雇用主でございますから、これが全部負担するのが建前のような感じもしますが、国がなおこれを分担するという建前になつておりますが、厚生年金との関係でこういうことが許されることかどうか。そういう点について参考にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/31
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032・岸本晋
○岸本政府委員 これは当該団体が負担するというような規定になつておるのでございますけれども、国家公務員、特に非現業でありますと、一般会計負担でございまして、各現業、それから公社、これはそれぞれの公社ないし特別会計で負担するわけであります。ここに特に国庫とありますのは、地方のうちの義務教育職員に対して二分の一を国が負担しておりますので、その関係で国庫という言葉が入つております。地方の分とか、公社の分の増加の費用に対して、国が肩を持つという建前になつておりません。それぞれの事業主が負担するということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/32
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033・大平正芳
○大平委員 地方公共団体はどれだけ負担しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/33
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034・岸本晋
○岸本政府委員 具体的なことはちよつとわかりませんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/34
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035・大平正芳
○大平委員 地方公共団体は、地方共済組合の給付について一体負担しているか、負担していないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/35
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036・正示啓次郎
○正示政府委員 地方団体は負担しておるのでありますが、平衡交付金のいわゆる基準財政需要として、現在国がそれに対して負担をいたしておることは御承知の通りであります。そこで地方団体の負担がどれくらいになるかということは、今ちよつと資料がございませんので、追つて調べました上で、資料として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/36
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037・大平正芳
○大平委員 国庫というのは、結局平衡交付金を通じて国家が負担するという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/37
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038・正示啓次郎
○正示政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/38
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039・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 正示次長にお尋ねいたします。国家公務員法の中の退職手当の問題でありますが、先ほど井上委員から御質問がありましたが、国鉄、専売電信電話公社などは、御承知のように国家公務員から離れて公共企業体に入つておりまして、その退職手当に関しましては、公務員とは違つた立場から、たとえば電話の交換手とか、国鉄の職員とか、その仕事が種々雑多でありますので、できる限りその企業体に沿うような退職手当をやる方が非常に便利ではないかと思うのです。御承知のように、それかといつて企業体には原則的に不文律のようなものがありまして、特別によけいもらえるということがなく、大体基準は公務員にならつております。しかし、事業のいろいろ複雑な事情があるから、できる限り団体交渉にまかした方が妥当じやないかというような意見も持つておるわけです。そういう点について、国家の予算に関係がないのだから、そういう希望に沿うようにやる御意思があるかどうか。この点についてひとつお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/39
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040・正示啓次郎
○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問の御趣旨は、先ほど井上委員の申された点とある程度同じ点もあると思いますが、御趣旨としては、そういう御議論もごもつともな点もあるかと思うのであります。しかしやはり先ほど申し上げましたように、いろいろ給与の体系というものは複雑でありまして、しかもこれは相当恒久的な制度として考えなければならないかと思うのであります。そういう場合に、それぞれの現業、あるいは公共企業体の勤務の特殊性ということは、十分に考慮しなければならぬことは当然でありますが、さりとてこれを一定のはつきりしたベースといいますか、基本的な建前というものを持たずにやつたのでは、また相互のバランス、あるいは恒久的な一貫性というものを欠いて来るおそれがある。この点は非常にむずかしい点でございまして、ある程度兼ね合いの問題かと思うのでありますが、私どもは、現職の給与に対しては、今申した特殊性を十分に反映させるということを一応の建前にいたしまして、その反映された現職給与を基礎にする退職金については、国家公務員と同じベースで従来も一応考えて行つたのでありますから、その建前をくずさずに参りまして、しかも現職給与における較差というものは当然反映されて来るのでありますから、一応そういう程度においていわば秩序を保つて行くべきじやないか、こういうふうな考え方でございます。この点は、いくら御議論申し上げても、あるいは見解の相違ということになろうかと思いますが、現在の段階におきましては、大体そういうような方針をとつて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/40
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041・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先日岸本課長にもいろいろお話を聞きましたのですが、われわれの希望としては、これはわずかの考え方の違いでありまして、別段それは団体交渉によりましても、法外なものをとるわけではありません。それからそうかといつて幾らということをきめましても、企業体は現実に独立の経済でありますから、これが減つた場合にはどうするとかいうようないろいろなむずかしい問題が出て参りますので、たとえば国鉄の総裁がそういうことに賛成するとか、あるいは専売の総裁がそう言うということになれば、そういうことも認めてやつてよいというくらいの気持があるかどうか。正示さんは有能な人でありますけれども、今主計局の次長でありますから、自分の権限で行くということはできませんでしようが、少くともそういうような気持があるかどうか、その点をひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/41
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042・正示啓次郎
○正示政府委員 仰せの通り、私は主計局の次長でございまして、今日のところは、私ども慎重に審議をいたしまして、先ほど申し上げたような方針で進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/42
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043・千葉三郎
○千葉委員長 共済組合に関する御質疑はございませんか。——ないようでありますから、次に春日君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/43
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044・春日一幸
○春日委員 議案の審議が遅れておるから、早く審議をしてくれと言つて促進しておりながら、審議の過程において行方をくらますということは、まことにけしからぬ。ひとつ委員長から厳重政府委員を戒告しておいていただきたい。
そこで信用保証協会法につきましてお伺いいたしますが、まず私どもの態度は、現在中小企業金融に大きく貢献しております信用保証協会は、何らかの立法措置によつてそのバツク・ボーンをささえてやらなければならないということが、わが党のかねて提唱するところであります。従つてこれから質問いたしますことは、建設的な、協力的な立場において御質問申し上げておるのでありますから、そういう意味において御答弁もお願いしたいと思うのであります。
第六条の設立に対する制限でありますが、ここには漠然と規定してありまして、これでは許可、認可の基準が明確でないと思うのであります。たとえば地方行政区域という項目が、たしかこれは地方行政区域に属するものということで、保証を受ける者の資格のところであとで出て参りますが、この第六条では地方行政区域を基準として許可、認可をするということが、明確を欠くわけであります。たとえば一府県において一つとするか、あるいは三つ、四つでもさしつかえないものかどうか。あるいは地方自治団体の中においても大体の制限がなければ、当然競合することによつて健全な発達ができないと思いますし、なお資金を出資するにいたしましても、営利事業でない限りにおいては、結局地方自治団体がその主力とならなければならないわけでありますが、それらの点において、設立の制限の中にある程度その規定がなければ、この法律を適用して行く上においても支障を来すと思うのであります。これらの諸点について、どういうような方向をとられるものであるか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/44
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045・河野通一
○河野(通)政府委員 お尋ねの点は、非常に重要な点だと私考えます。この法案を起草いたします過程におきまして、この問題は実は非常に論議されたのであります。御指摘のように、ある府県におきましては、あるいは市でつくつておるものと、あるいは県でつくつておるものとがあるといつた場合に、これらをやはり一つのものにまとめた方がよいではないかという意見も実は出たわけであります。また二つも三つもある方が、むしろ個々の事情に応じて適当ではないかという意見も出ておりました。これらの点につきまして、いろいろ検討いたしたのでありますが、私どもといたしましては、やはりこれらの問題については、現在まで実際問題としてできて参つている信用保証協会の仕組みそのものは、やはりその地方の経済の実情がそういうことを要請してだんだんできて来ていると思うのであります。それをできるだけ原則として認めて行くということが、やはり適当ではないか。従つて私どもといたしましては、府県なら府県には一つという原則を立てることも、その地方地方の実情によつて適しない。しかし、さればといつて三つも四つも幾らでもできるということにすることも、地方の事情から見て適当でない場合もある。これは各府県によつて事情が非常に違うのでありまして——あまり具体的に申し上げるのも何かと思いますが、ある府県におきましては、市でやつておりますものと府県でやつておりますものとの間にやはりいろいろ分野も違う、従つてこれらは並立してあつた方がいいという実情がやはりあるのであります。そういつた点を考えまして、ここではそうむずかしく——府県では必ず一つしかつくつてはいけない、あるいは府県の区域を一円とするものに限るとか、そういうようなことを、この際としてむずかしい制約をつけることは適当でない、ただ各地の経済事情に応じて、必要に応じてこれをつくつて行く。しかしさればといつて、やはり信用保証業務をやるのでありますから、それらの基礎が非常に弱いということでもいけませんので、これらにつきましては、具体的に認可をいたします場合には、十分精査をして、その信用の基礎が充実しているかどうかということは、十分に見て参らなければならぬと思いますが、そういうような制限規定を設けるつもりはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/45
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046・春日一幸
○春日委員 やはりこういうような問題は、明確にいたしますために、立法の上においても、その基準は必要にして十分な限度に、明確に現わしておかなければならぬと思うのであります。これは今申しました通り、営利事業ではないのだから、結局だれかが営利を目的としない出資を行わなければならぬのであります。そうすれば、おのずから地方団体か国か、だれかが出資をしなければならぬわけであります。そうした場合において、たとえば県なり市なりが、その同一行政区の中において二つの団体に出資するということはできません。またそういうことがあるということは、かえつて信用保証協会の健全な将来の発展を阻害する大きな禍根にもなると思うのであります。せり合うことによつて、たとえば保証条件をルーズにして行くことも想定されるのであります。従いまして、府県においては一つ、それからただいま御指摘のように、県として両方やつている場合があるのできめがたいということでありましたが、そういう場合においては、人口五十万以上とか、あるいは七十万以上とか、百万以上とか、地方地方における大体の経済力、そういうものを基準とするとか、資金需要とか、府県によつてはその地方ではまかなえない特殊の性格を持つものについては、その地方における市等の保証協会がさらにその足らざるところを補つて行くという補足的な意味において、市のそういう保証協会の設立を認めることができる、こういうようにして参りますれば、この法律が適用された場合において、地方自治団体がその明確な規定に従つてその設立を進めて行くことが私はできると思うのであります。この第六条はこの点が明確でありませんので、二つも三つもできるのかもしれないと思つて、いろいろと研究をしてみたり、陳情してみたり、そういうようなむだな競合を巻き起す心配があろうと思いますので、私は、この許可、認可の基準については、この条文の中に明確にうたつて行くことが至当であろうと思うのであります。この点についてどうお考えになつておりますか、重ねて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/46
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047・河野通一
○河野(通)政府委員 お話の点は、ごもつともな点が多々あると思うのでありますが、私は先ほど来申し上げておりますように、原則といたしましては、府県を一円とするものが一つというのが原則であろうと思います。これは先ほど申し上げましたような事情で、そう考えております。しかし個々の事情によつて、やはり県が持ち、他方市が出資をしてそういう保証協会をつくるというのが、実情に即しておるという例が確かにあるわけであります。現在府県と市、そういうところでやつているものが五つ、六つあるかと思いますが、それはいろいろ調べてみますと、それぞれ特殊の事情があつてできておるのであります。従つて私どもは、そういうものはやめろと言う必要はない。府県の信用保証協会に統合すべしと言う必要はない。従つて、それは認めて行きたいと思います。しかし原則は、私どもはあくまで府県を一円とするものが原則になるべきだ、特殊の事情の場合にだけ、そういう市のものを認めて行くという考え方につきましては、今春日さんから御指摘の通りに私どもは考えております。しからばただそういう人口数だけで、人口二十万以上、あるいは五十万以上というようなことで、それ以上の人口のある市については信用保証協会が単独でできるといつたような規定をつくるということが、はたして実情に合うか合わないか、この点は、やはりそれらの地方の実情をよく見ないと、必ずしも言えないのじやないか。そういう形式的な人口で線を引くということは、少くとも法律に書くにしてはあまり形式に行き過ぎやしないか、堕しやしないかというふうに私どもは考えております。しかし原則は、あくまで先ほど申しましたような考え方で、基金等につきましても、無制限にあるわけではありませんから、これをできるだけ統合して、効率的に使つて行くという考え方に立つことが適当であり、そういう場合には府県を単位とする、府県を中心とした信用保証協会というものが原則になるべきだという考え方につきましては、今春日さんがおつしやつた通りに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/47
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048・春日一幸
○春日委員 この点は信用保証協会法に基いて、この保証協会が、将来多くできて行く過程において、相当大きなプラスとマイナスの面との、こういうような措置によつて分岐点ができて参るのではないかと考えるのであります。たとえば、府県で一つのものができたならば、その中へ包含されておる関係市町村も、そういう財政的余力があるならば、さらにまたそういう必要があるならば、その保証協会へしかるべく出捐をして、その保証協会の基礎を固めて、その地方におけるそういう保証業務にも事欠くことのないように、やはり一つのところへ勢力を集中して行くということが、一番信用度を高めて行く姿であろうと思うのであります。その地方にそういう必要があるならば、そういう県の保証協会の支所を設けて、さらにその支所の保証能力を拡充することのために、その地方の自治団体がその県の保証協会の中の出資の額を大きくして行く、こういうようなことで一応の推定額というものは立つて行き、その地方の必要とするところの融資の保証の裏づけは私はできると思うのであります。なお、現在なるほど東京においても、あるいは大阪、名古屋、長崎、兵庫等においても、市立のそういう保証協会のあることはよくわかるのでありますが、そういうものは、独立をして——地方自治体の経済力も、またその地方における資金の需要も、自治団体においてそういう独立の機関を必要とするからできており、しかもそのつくられたものが健全に発達をいたしております。そういうものは、やはりおのずから一つの範疇があるのでありまして、その範疇を立法化して行くということは、そんなに困難ではないと思います。私はやはりこれができたのだから、あちらこちらから小さな保証協会ができて来る、そして地方ではその保証協会の仕事を自分の仕事にしようと思つて、あちらこちらからどんどん申請をして来ることによつて、その地方における保証協会の信用度を落して来るような、信用を傷つけるような結果になることを非常におそれます。五万、十万の都市で、私どもは商業都市だからこういうものが必要だと言つて、その市の乏しい金か出捐せしめて、そうして数名の者が発起人となつてそういう業務を行う。ところが人事費がなかなか出て来ない。いつかそういうものはこわれてしまう。すると、信用保証協会ができたけれども、信用保証協会というものはやがてこわれてしまうというようなことで、県がつくつた信用保証協会そのものに対する対世間的な信用度を阻害することを非常に憂えるのでございますから、この点はなおしばらく御検討を願いたいと思うのであります。
それからこの第二項の中に、「政令で定める金額」というのがあります。第六条の三に「資産の総額が政令で定める金額以下であるとき。」は許さないわけでありますが、この政令たるや、東京の場合と、たとえば山口県の場合とではこれは大きく開くでありましよう。従いまして、この政令の制定はどういうふうに規定されようとお考えになつておるのか、大体の御構想を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/48
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049・河野通一
○河野(通)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほどの市等に設立いたします問題でありますが、一々ごもつともだと思います。私どもも、原則は、先ほど申し上げましたように、府県に一つという考え方でございます。市につくります場合は、現在あるもの以外には大体認めない、こういう方針で行きたいと考えております。
それから第二点のお尋ねでありますが、これは、現在のところでは、大体一千万以上ということにいたすつもりであります。但し今お話もございましたように、大きな都とか府県と、地方の割合経済力の弱い、規模の小さい県等におきましては、その基金の最低限度をかえた方がいいじやないかという意見も実はあるようであります。この点は今研究中でありますが、ただいまのところでは、一律に一千万円以上ということでやつて行くつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/49
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050・春日一幸
○春日委員 一千万円以上という政令のわくは、この設立許可認可の基準と相関連して、重要であろうと私は思うのであります。一千万円程度ならば、五万、十万の小さな自治団体でも出資ができる。だから、最初の出資額はなるべく小さく見ようというお考えで、こういう金額が考えられたのではないかと私は思うのでありますが、少くともこの信用保証協会の手にかかるところの金融、これは単独では銀行は貸してくれない。だからこの信用保証協会がその保証人になる。御本人が返さないなら、代払いをするから貸してくれということです。従つて信用保証協会にかかる人々は信用度が非常に少い。すなわち危険率が非常に多いわけであります。大体貸倒れのパーセンテージがあなたの方の統計でどうなつておるか知りませんが、かりに普通の危険率が二%とすると、この信用保証協会の危険率は、それに数倍するとして、あるいは一〇%ということも考えなければならぬでありましようが、そうであつたといたしました場合に、一千万円を基金とする保証能力というものは、非常に小さなものであります。たとえば五千万か七千万のものでも、二、三百万の融資が十人か二十人行われたならば、あとこの保証協会というものは活動することができなくなつてしまう。二、三十件のものを対象にして保証協会をつくつたところで、その地方の金融機関の緩和のためになるほどの貢献をするものではございません。現在地方自治団体が出資をしておりますところの金額、これは大きい県では五億、七億、普通のところでも一億くらいの出資はしておるだろうと思うのであります。このことは、地方自治団体の財政余裕があつてもなくても、中小企業対策として相当の金をこちらの方面へまわさせることのために、この法律は私は非常に役立つと思うのであります。従いまして、政令で定めるところの大体その資金の基準というものを最初低いところに置いておくということは、設立は容易であるが、しかしその機能は非常に弱体である、そういうことに相なりましよう。従つて私は、これを必ずしも現在大府県がやつているような、何億というものを基準にせよとは言いませんけれども、しかしその保証協会ができたならば、少くとも多数のものに対して、相当の保証能力が発揮できるような実力を持つた形においてこれが認可される必要があろうと思います。ただこの問題は、府県自治団体、あるいは地方自治団体、こういうものを対象とすべきであるという私の主張と、あなたの、地方の実情によつては、ときに十万、五万、あるいは二十万というような小さな地方自治団体に対しても、その申請に対して認むべきであるというような考え方とによつて、私はこの第二項第三号の政令できめるところの額というものが、ここで上り下りをすると思いますので、幸いに政令はこの法案ができた後において定められるものでありましようから、この一千万円の、あなたの方の予定されている金額については、私は厳に再検討をお願いしたいと思うのであります。
それはまたいずれ後日意見を伺うことといたしまして、その次に第二十条の一項の三についてであります。これは保証協会が又貸しの保証をする場合の規定でありますが、中小企業金融公庫、それから日本開発銀行、それから国民金融公庫、この三つのものがここに規定してあります。ところがこれには輸出入銀行が入つておりませんし、商工中金や農林中金は、一般金融機関ということに相なるのでありますか。そうだとすれば、それでよろしいわけでありますが、商工中金や農林中金から借りる場合における保証もできるように、さらにまた輸出入銀行等も、今度は直接貸しができることになつたと思います。こういうような場合においても、私は今度の法律によりまして——昨日わが日本社会党は、完全野党の立場でこれは反対いたしましたけれども、与党の横暴で押し切られました。そうして結局輸出入銀行の窓口を直接大衆に開いて参つた形によりまして、これは当然第三号の中に輸出入銀行も代理貸しの対象として加えられるべきだと考えるのでありますが、これについて御意見をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/50
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051・河野通一
○河野(通)政府委員 ここにあげておりますのは、政府機関を大体考えております。輸出入銀行につきましては、後ほどお答え申し上げますが、これらの機関の業務を代理、あるいは委託を受け市中の金融機関が貸出しをいた旧しました場合に、いろいろなやり方があるわけでありますが、その場合に、一部はその代理金融機関が、責任を負う。その責任を負う分について、代償の対象にしようというわけであります。これは開発銀行につきましては、御案内のように、中小企業金融公庫ができた後において引継がるべき中小企業の融資でありますので、この金融について、委託をしてやつて参りたい、かように考えておるのであります。農林中金及び商工中金につきましては、これは純然たる民間の金融機関であり、しかもこういつたふうな市中の一般の金融機関がこれを代理して行くというような制度は、そう頻繁に行われておらないという実情もございますので、これはとりあえず除外しております。
最後に輸出入銀行でありますが、これは今度改正法案が通過いたしますと、その業務の範囲も相当拡大されるのでありますが、御案内のように、輸出入銀行の取扱いますものは、何といいましても、やはりプラントを中心とし、またそれに関連いたしまする非常に長い海外投資の金融、あるいは前払いを要するような非常に長い輸入金融といつたようなものを取扱います。従いまして、その金額も相当大きな金額に上つておる。もちろん小さいものを排除するということは考えておりませんが、そういつた場合におきましては、この信用保証協会の制度を活用いたすということは、必ずしも必要は起つて参らぬと思いますけれども、直接貸しをいたします場合に、輸出入銀行が、他に担保がないという場合におきましては、当然これは何も排除いたしておるわけではございませんので、中小信用保証協会制度を利用することもできるかと思います。実際問題といたしましては、輸出入銀行の業務の実態からいいまして、そういう必要性は起らないと私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/51
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052・春日一幸
○春日委員 そういう場合は、実際上あるかないかわかりませんけれども、今度の法律の改正によりますと、プラント以外の一般輸出全部、これを適用の対象といたしております。金額については、別に一定額の基準というものもないのでありまして、輸出入銀行は当然中小企業の対象とすべき問題であります。従つて、中小企業者が国の財政資金によるものに対してそれを活用しようと思えば、輸出入銀行に対して、こういうことをやるのだから金を貸してくれという申出が、当然できる権利があるわけです。そうした場合において、やはり信用保証協会の保証によつて、その信用度を裏づけするという場合があり得る。だから開発銀行の場合とこれは同様であります。従つてこれも当然入れて、そうして輸出入銀行に対してやはり中小企業への窓を機会均等に開くということは、当然のことであります。そういうことが実際にあるかないかということは、今後国会の意思によつて、輸出入銀行というものをそういう方面へも窓口を開いて行くべきである。こういう形においては、こういうような機会にもこれを残すことなく、やはり救つて行かなければならぬ、私はそういう主張を持つておりますので、さらにこの点は御検討を願いたいと思うのであります。
それからもう一つ伺いますが、二十条の中小企業者の定義でありますが、そこの中のサービス業というのでありますが、ここに病院、医院というものが入つておりませんが、これは対象にならないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/52
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053・河野通一
○河野(通)政府委員 医院等は、その他の事業の中に入るように私どもは解釈をいたしております。従つて結論といたしましては、医業といたしましては入ります。
それから先ほどのお話でありますが、ちよつと輸出入銀行につきまして私説明が少し足りませんでしたから、補足いたして御説明申し上げます。この二十条の第三号に開発銀行ということを念書いたしておりますのは、開発銀行の受託者になつて市中の金融機関が融資をいたします場合に、市中の金融機関がある程度責任を持つ。その責任部分について信用保証協会が保証をしよう、こういうわけであります。輸出入銀行は、先ほど申し上げましたように、実際の例は私はないと思いますけれども、第一号によつて、中小企業者等が銀行その他の金融機関から資金の貸付を受ける場合、そういつた場合におきまして、その金融機関に対して負担をいたしまする債務の保証と——もちろんその金融機関の中には日本輸出入銀行も入ります。これは先ほど申し上げた通りであります。従いまして、開発銀行の場合のように、そういう代理貸付、いわゆる広義の代理貸付をやつておりませんから、その三号に当るような場合はない。これは一号のような場合に——私は実際は例はないと思うのでありますが、そういう例があれば、この一号で輸出入銀行が金を貸す場合において、この信用保証協会の対象になり得るということは、はつきり書いてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/53
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054・春日一幸
○春日委員 実際にはあるまいということ自体が、私はこれはいかぬと思います。これは別で、中小企業者というものが、輸出入銀行の金が借りられないはずはないんだ。協調融資はできるんだし、直接融資もできるんだ。だからこれは何億という人でなければ金は貸さぬということはどこにも書いてない。それだのに、こういうことは実際あり得ないと銀行局長が一方的に言われることは、法律そのものを法律で規定した通りに適用しないというあなたの片寄つた見解であつて、これは何らの権威を有しない見解であります。従つて、これを法律通り処理をして行こうということであるならば、なるほど第一項の中にでもそういうような場合もないわけでないんだし、当然国民は今後そういう権利を要求して、輸出入銀行の金を借りて行くことができるのでありますから、当然そういう改正を行われる必要があろうかと思います。これはもう一ぺん御再考願うといたしまして、それから保証を行う場合、これを定款の中に、いろいろあなたの方で基準が考えられると思うのでありますが、これは担保物件をとられるつもりであるかどうか。この問題は相当デリケートであろうと思います。ということは、すなわち五十万とか百万とか、あるいは三百万とかいうような大きな金額については、地方公共団体が出資する限りにおきましては、地方住民の税金であります。従つて、この債権確保の道は、相当完全にこれが措置が講じられなければならぬと思うのでありますが、そうかといつて、五万とか十万とか、あるいは二十万とかいうような零細金融を受けようとする諸君、こういうような諸君について、それに対する担保物件を持たないもののために生れたこの法律が、担保がないために保証ができないということでは、これまた画龍点睛を欠いておる。こういうようなわけで、一方においては現地住民に対して責任を持ち、労働者に対して責任を負つて行く、それから零細金融に対する金融梗塞を打開して行くという機能を果す、この二つのギヤツプをいかに調整して行く考えであるか。定款の中にどういうような基準をつくつて行く考えであるか。ちよつとお漏らしを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/54
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055・河野通一
○河野(通)政府委員 信用保証協会が保証いたします場合に、その保証について担保をとるかどうかの問題であります。お話のように、信用保証協会も、結局府県の住民の租税が中心になつてできておるものでありますから、これの運営をできるだけ堅実にして行く必要性が一つある。またそれをあまりきゆうくつにいたしますと、せつかくのいい制度が動かないという点がある。結局これは運用の問題だと思います。従いまして、現在のところでは、今定款と言われましたが、おそらく業務報告書のことじやないかと思います。こういう業務報告書の場合には、どういうようなときに担保をとるということを、特に書く必要はないと私は考えております。それを書く場合において、債権の確保のために十分なる、最善の努力ができるようにして行けばいいのであり、理事者なり運営者の良識にまつて適当な措置がとられることを期待いたしておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/55
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056・春日一幸
○春日委員 今の問題でありますが、そういう定款の事業計画書の中に、必ず担保をとらなければならないとかなんとかいう規定がないように私は希望するのでありまして、当然それは保証協会の自主的運営にまつということで、そういう零細業者が金を借りたいんだが、担保物件がない。そういうものが金を借りる場合に保証協会にすがれる、こういう体制をあくまで確立願いたいということを強く主張するものであります。
それから次でありますが、これは通産大臣と大蔵大臣の共管になつております。従いまして、この法律に規定してあるところの申請の他いろいろな報告書類、一切の交渉、そういうものは、両省に対してこれを行うものであるかどうか、この点を一つ。これはたいへんなことだと思うから、どちらか一つにしておくことはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/56
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057・河野通一
○河野(通)政府委員 監督は今お話のように通産大臣、大蔵大臣の共管ということになつております。しかし実際問題といたしましては、信用保証協会の監督につきましては、事実上大部分のものを府県知事に委任いたしたいと考えております。従つて設立をするとか、そういう存立の基礎に関係するもの、あるいは検査といつたような基礎的な問題については、大蔵大臣なり通産大臣が十分に検討をし、その認否を決定いたさなければならぬと思いますが、日常の業務についての監督は、原則として府県知事に委任いたす、こういうことにいたしたいと考えております。共管によつて生ずる非常な手数、あるいは経費といつたようなことの軽減をできるだけはかつて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/57
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058・春日一幸
○春日委員 そうすると、主務大臣はその権限の一部を知事に委任することができるという規定がありますが、これを今の信用協同組合のような場合のごとく、その全部の権限を地方公共団体の長、県知事に委譲できるというように明らかになすつた方が、実際に即した形になるのではないかと思うのであります。信用協同組合の場合は、府県知事が大臣の委任を受けて、許可認可もできるようになつておると私は思うのでありますが、あたかもこれと同じような方法をとられることはできないのであるかどうか、この点をお伺いしたい。
それからもう一つ伺つておきたいのは、金利であります。手数料、保証料でありますが、これもやはりある程度法律で基準をつくらなければならぬと思います。これがあまりに高いものであつては、目的に沿わないことになりますし、低いものであつても、やはり問題を起して参るでありましよう。従つて保証協会の保証手数料の基準は、どの程度に考えられておるか、これをひとつお伺いしたい。
それからもう一つ、これに対して、ここに書いてありませんけれども、連合会の規定があつて、こういう同一業務を行つているものの全国的な関連という立場において、そういう機関が必要であろうと思いますが、これはどういうふうにお考えになつておるか、その点について御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/58
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059・河野通一
○河野(通)政府委員 第一点の主務大臣といいますか、監督官庁を全部府県にまかしたらどうかという御意見でございます。これは、御案内のように信用組合としては、そうなつておりますが、現在のところでは、全国的に見て、これらを設立することがいいか悪いかといつたような問題につきましては、やはり全国的な立場から大蔵大臣が見て行く必要があるのじやないか、かように考えておりまして、必要の最小限度にとどめるのでありますけれども、第一次的には、監督の主務大臣は、大蔵大臣及び通産大臣ということにいたしたいと考えております。
それから第二点の保証料でありますが、これは現在、御案内と思いますが、大体年三分ということになつておるわけであります。年三分でありますから、保証期間によつて日歩は相当違つて参りますが、その場合におきまして、三分が高いということは、十分に言われる点であろうと思います。従来から私どもも、できるだけ低くいたしたいと考えておつたのでありますが、現在までの実績を見ますと、どうもまだ危険率という点から見まして、保証料としては三分程度は少くともとらなければいけないのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。しかしこれらの基礎が強固になり、信用保証の制度が円滑に堅実に運営されることによつて、できるだけ保証料を下げるように努力をいたさなければならぬと考えております。
それから第三番の連合会の問題でありますが、今春日先生の言われておる連合会というものの構想につきまして、どういうお考えでお話が出ておるのか、私どもよく伺わないと何ともお答えできないのでありますが、かりにもし一つの再保険、再保証のような仕組みをここで考えようということであるならば、現在のところでは、これは御承知のように信用保証協会が保証いたしましたものの六〇%までは、中小信用保険制度に再保険——保険でありますけれども、事実上は再保証をするという形になつております。これによつて、大体これらの再保証の制度はできておるというふうに私どもは考えております。ただその六〇%というのが、あまりに低きに過ぎるじやないかというような議論は、確かにあると思いますが、現状の五〇%を、現在御提案申し上げておりますあの法律の改正によりまして、六〇%まで上げて行くという措置をとつて行くことによつて、一応再保証の制度ができるのじやないか。そういたしますと、あと保証業務自体のための連合体でなくして、いろいろ情報を持ち寄り、運営について御相談になるというような機関でありますならば、これは保証機関としてではなく、一つの連絡機関といつたようなものでありますので、この法律に基かないでも、事実上いろいろな形でできて行くのではないか。それらの問題については、特に積極的に保証業務をやらない限りにおきましては、法律に書く必要はないのじやないかというような考え方に立つております。少し余談でありますが、この問題につきましては、例の中小企業信用保険制度ができますときに、そういう制度をつくらないで、この信用保証協会の再保証を確立することによつて問題を解決しようという案が、数年前にあつたのであります。それが信用保証制度というものができましたので、これによつて信用保証協会の再保証ということをこれに果させることにいたしたのであります。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/59
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060・春日一幸
○春日委員 それは、私はまた別の角度から考えるべきじやないかと思うのであります。たとえば山口県というような貧困県であるといたしますと、そういうところは三千万円か四千万円しか出資し得ないでありましよう。ところが現実に東京、大阪、名古屋というようなところは、五億、七億というような出資をしておる。従つてそういうようなものが、お互いに法律に基いて連合会、中央会ができるとすれば、その中央会が、そういう貧困県、さらに弱小資本の保証協会にも連帯責任を持つて行くというような形になると、このことは、やはり東京、大阪のようなところは、貧困地方の保証に対しても、その余裕力をもつて貢献できる。こういう効果が上つて来るであろうと思うのであります。このことは、この信用保険というものの機関とは全然別個の形において、資本金の少い、しかもそれを大きくすることのできないような貧困県の信用度を高めて行く点において、寄与するところがあろうと思います。従つてこういうような観点から、中央会をつくつて、将来全国的なその裏づけの一つの機能を果して行くような機関をつくつて行くことは、私は当然考えられていい問題じやないかと思うのであります。この点もひとつ御再考を願つておくわけであります。
それからこの資金源について、先般私は一萬田日銀総裁とも意見を交換したのでありますが、銀行は現在貸倒れの心配のないものばかりに貸しておる。ことに担保をとつて、最悪の場合における債権保全の措置を講ぜられておるのであります。現実に資金源がないということで、保証協会がそういうものを保証した分に対して、なかなか貸出しをいたしておりません。そこで私は河野さんにお伺いしたいことは、こういう保証協会が保証した融資に充てることのための国家財政の地方銀行への預託、こういうことを、やはりこの立法を契機としてお考えになることが至当であろうと考えます。さらにまたこの考え方を一歩進めまして、この保証協会に当然地方公共団体が出捐するという想定の上に立つのでありますが、この想定は、さらにそういうような機関に対して、地方公共団体が一億円出したならば、国はそれに対して三分の一とか、五分の一とかの比率で出捐をあわせ行つて行く、こういうことも、この立法の精神、このマシナリーの果す使命、そういうものから考えて、私は当然考えられていいことだろうと思うのであります。これに対する御所見はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/60
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061・河野通一
○河野(通)政府委員 第一の点でありますが、信用保証協会の保証をしたものに対する金融の資金源を充実するために、政府は余裕金を預託したらどうかというお話であります。余裕金の預託につきましては、たびたび当委員会でも御説明申し上げております通り、現在のところでは、国庫の収支の余裕を見て、短期に実は金融機関に預けております。しかもその用途は、できるだけ中小企業の金融の円滑化に資するようにということでやらしておるわけであります。従いまして、それらの中の大部分と申しますか、相当部分は、やはり信用保証協会の保証によつて裏づけされておる貸出しが多くを占めておる。それらを含めて、私どもは特に信用保証協会の保証のあるものに限つてわくをつくつて、政府の預託をいたしますよりは、中小企業金融一般について政府の預託をする方がいいのではないか。その場合に金融機関は、信用保証協会の保証があつたものをおそらく優先して扱うのじやないかと思います。そういう意味におきましては、そういうひもをつけてやつて行くよりは、中小企業金融一般の円滑化ということでやつて行つて、そのあとは、金融機関と信用保証協会の間でうまく連絡をつけて行くことによつて、問題を解決して行く方がいいのじやないかと思いますが、なお御意見の点は十分検討いたします。
それから第二点は、府県が信用保証協会に出損すると同じような意味で、国が財政からこれらの基金として出損したらどうかという御意見であります。これは非常に強い御希望が各方面から出ておることは、私はよく承知いたしております。現在の考え方からいたしますと、財政上の問題もございますし、これは非常に口実というようなことにおとり願つても困るのでありますが、政府といたしましては、この信用保証協会の制度をできるだけ円滑に動かして行く。それがための資金源はできるだけバツク・アツプして行くという建前から、中小企業信用保険法によつて、この信用保証協会の保証したものを再保証するという仕組みをとつておる。これによつて、政府は間接ではありますが、これらの信用保証協会の制度に対して、相当資金的なバツクをいたしておる。信用をこれによつて裏づけておる。保証能力を相当拡充いたしておることになつておると私どもは考えておるのであります。それが十分であるかどうかはいろいろ御意見があると思いますが、そういつた観点もございますので、現在のところ、直接に信用保証協会に対して国が出損するということは、考えていない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/61
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062・春日一幸
○春日委員 信用保険はたしか一般は八〇%であつて、この信用保証協会に対しては六〇%、こういうふうに承知いたしておりますが、その通りでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/62
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063・河野通一
○河野(通)政府委員 今提案されております法律案が通りますれば、そういうことになります。現行法では、個々の金融機関は七十五、信用保証協会は五十であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/63
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064・春日一幸
○春日委員 個々の金融機関が八十であつたならば、保証協会の再保証は百でなければならぬと私は考えるのであります。それはなぜかというならば、この信用保証協会は営利を目的としておるものではない。これはあくまでも国策として、中小企業金融梗塞打開のためにこういう保証協会の制度があるのでありますから、従つて、私はこの機会に申し上げたいことは、信用保証協会の再保証、危険の国庫負担、こういうものは、一〇〇%でなければならぬと私は思うのであります。この理論は後日にまわすといたしまして、問題は、この六〇%で今御指摘のような使命を果し得るのかどうか。ここに大きな疑問があるのであります。すなわち六〇%の保証では、金融機関がなおそこに四〇%の損失を覚悟してかからなければならぬ。こういう立場において、やはりその貸出しを躊躇せしめる大きな障害の一つとなつておる。こういうふうに私は指摘できると思うのであります。そういう意味におきまして、せつかくこの信用保証協会は、全然営利を目的としない、しかも地方公共団体がその乏しきを割いてこういう財源措置を行つておるのだから、国がこれに対して協力態勢をとつて行くことは当然のことである。たとえば昨日通りました法律案の中でも、プラント輸出、あるいは海外投資、こういうものは、それは内容のヴオリユームは違つて参るでありましようが、しかし二十八年度一箇年をもつて二百四十億円という巨大な出資を行おうとしておる。従つてこの中小企業にも、やろうという気さえあれば、それに対する財源措置として、国家財政九千何百億の中から適当な捻出ができないことはないと思います。従つてこの六〇%を一〇〇%にするか、あるいはさらに未咀嚼な議論があつて、そういうことができないとするならば、国の出捐を行うかYあるいはまた他の方法によつて財源措置を講じて行くか、三つのうち一つが達成されることによつて、この立法の意義というものがここに完璧になると私は思うのであります。この三つのうちの一つも行わないで、ただここに漫然とこういう条文を書いただけでは、そういうような実際に行われていることをただ条文化したということだけで、格別の意義も、また効果も添えるものではございません。せつかくこういう法律を必要とするならば、やはりこの立法を契機として、それだけ中小企業者の金融に対して現実的に、実質的にそういう寄与のできるようなものをやはりそこへ加えていただかなければ、意義が非常に少いと私は思うのであります。
この問題については、後刻もう少し懇談をしたいと思うのでありますが、時間がたいへん迫つておりますので、一応私はここで質問を終りますが、ただいま申し上げましたところの数点については、これはきわめて、建設的な意見であり、しかもあなたの立法の趣旨に対して協力的な意見を私は申し述べておると思うのであります。どうか、これはわれわれの考え方とあなたの考え方とは見解の相違だということでなくして、私は、信用保証協会のことについては、おそらく日本一のエキスパートであろうと思うのでありますから、どうかひとつこの私の意見をもう少し取入れて、さらにもう少しお考えになる必要があろうと思いまするし、しかも私の意見たるや、私の個人的着想ではなくして、全国のこの機関が別途あなたのところへ要請しておる意見でもあろうと思うのであります。そういう意味で、ひとつ再検討願いまして、この法律案が最終的に通過するまでに、なおその足らざるところが補われるような措置を講じていただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/64
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065・千葉三郎
○千葉委員長 午後二時まで休憩いたします。
午後零時四十三分休憩
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午後二時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/65
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066・千葉三郎
○千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。午前中と同様、本日の日程に掲げた公認会計士法の一部を改正する法律案外三十六法案を一括議題として質疑を続行いたします。宮原幸三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/66
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067・宮原幸三郎
○宮原委員 私は内閣提出第一五五号ないし第一五七号に関連しまして、大蔵省主計局にお尋ねをいたしたいと思います。
この旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、この法律案によりまして、旧陸軍共済組合等の受給の不均衡と申しますか、それが是正せられて行く。この旧令共済組合のごとき母体を喪失しております組合員にとつては、この法案によつて待望の整備ができた事情のあることをよく了承いたしておりますし、これは当然の御措置であると思います。なおこの母体を失つた旧令による共済組合、これについては、各種の整備すべき事項が数々あると思うのであります。母体を失つているために、その改正が政府においてお取上げがなかなか——他の面で終戦前から引続き活動いたしております組合の場合と違いまして、その改正に対する旧組合員の強い要望事項が多々あるのであります。なお等閑に付されたと言うのはいささか語弊があるかもしれませんが、この改善事項は、おそらく私がここで説明を申し上げないでも、政府御当局には御了解が行つていると思いますが、将来旧令による共済組合等についての旧組合員の要望に対し、政府はいかなる事項にわたつて調査ができているか、将来の改正について、ただいま立案のお考えがあるかどうか、御当局としてのある程度の資料によつて具体的にお考えのあるところを一応伺つて、それによつて一言追加して質問を継続したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/67
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068・岸本晋
○岸本政府委員 ただいま宮原先生の、旧令共済組合関係で年金で拾い上げる以外に、いろいろな問題があるという仰せでございますが、私ども具体的な問題として、今特に取上げている事項がございませんので、具体的にどういうことか御指摘いただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/68
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069・宮原幸三郎
○宮原委員 そういうふうだからまことに困るのです。
それじや一、二のことを申し上げておきたいと思います。旧組合員で、受給年限の二十年に達せざる組合員が、しかもその満限に近い旧組合員が多数いる、その組合員が、その後他の共済組合に加入しております場合、旧組合員からその年限の通算を要望せられておる。それから終戦前に、爆撃のために多数の組合員が旧海軍工廠内において不幸な目にあつた。それが証拠資料がないために放任せられている。それで御承知のように、非現業共済組合連合会に対して、旧組合員からこの問題について山のごとく要望書が出ておるが、この問題の資料がないというので等閑に付せられている。われわれは、旧令共済組合員が多数私どもの選挙区におります関係で、もうほとんどこの問題で責められておる状態です。なお進んでは、これはやや問題が多少行き過ぎる点もあるかもしれませんが、遺族年金の受給者が婚姻によりその年金の停止を受けるというような問題は、これは軍人遺家族年金の問題などで、遺族会等でしきりに要望しているところと共通なことがありまして、これは将来の問題であるかもしれません。かくのごとき問題が絶えずここに要請が繰返されておるような状況であります、これについて御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/69
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070・岸本晋
○岸本政府委員 ただいま御指摘になりました点は、確かにそういういろいろな問題があるだろうと思いますが、すべての問題をこれをそのまま取上げるということは、若干疑問があろうかと思います。
最後の御指摘になりました点などは、やはり恩給法との取扱いの関連もございますので、二十年未満のものにつきましては、なおその実情をよく調べてみませんと、はたして不当に打切られていなかつたかどうかということを具体的に考え直さなければならない問題でございます。終戦前に爆死した人の取扱いでありますが、これは資料のある限りは、できるだけ傷害年金の受給対象とするというように扱つているはずでございます。いろいろ御指摘の点がございますが、できる範囲内で研究をいたして行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/70
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071・宮原幸三郎
○宮原委員 これらの問題について、至急に積極的に調査御研究の上、来るべき最近の機会に御意見を重ねて伺いたいと思います。
それから昭和二十七年度における給与の改訂に伴う国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案について、この別表の仮定俸給の対照が出ておりますが、旧仮定俸給、新仮定俸給との比率です。これは昨年引上げになつた国家公務員の一般給与引上率に即応したその比率で引上げが行われているものと解釈しておりますが、その通りになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/71
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072・岸本晋
○岸本政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/72
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073・宮原幸三郎
○宮原委員 私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/73
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074・黒金泰美
○黒金委員 今回の税制の改正につきまして、いろいろ厖大な法律案が出ておりますが、これについて三、四の点について質問いたしたいと思います。
今回の税制改正は、御承知の通り、これはすでに立案されましたものの平年化と合理化が大部分であります。それ自体につきましては、あまり大きな問題がないと思いますが、ただ一番の根本におきまして、現在の中央と地方を通じた税制自体について、政府御当局がどういう見解を持つていらつしやるか、これをまず承つておきたいと思います。少し申し上げてみたいと思いますが、第一に昭和二十五年に始まりましたシヤウプ税制、なかなかりつぱな税の制度であり、非常によい点もあると思うのでありますが、その税の制度というものが非常に難解であり、また日本の経済なり、あるいは社会なり、あるいは非常に遺憾なことでありますが日本の現在の道義の水準に対しまして、必ずしもぴつたりしたところばかりではない。また地方の実情に徴しましても、風俗、習慣、なかなかこれの適合しない点が多い。こういうようないろいろの点におきまして、わが国の国情と一致しない点がある。従いまして、このように何千万かの納税者を対象にいたします税の制度といたしましては、なかなか納得もできませんし、またこの行政に携わつております役人の方におきましても、十分に納得させにくい、こういうような点に根本的な欠陥があるのではないか、私どもはかように考えておる次第であります。ことに現在の実情を見ますれば、たとえば税源の関係におきましても、給与所得、農業所得、工業所得、あるいはまた商工業、商工業の中におきましても、あるいは酒、タバコのような統制品、その他の商品というように非常に把握率が違ういろいろな業態があり、また企業の形態におきましても、法人、組合、個人というようにいろいろな相違がある。このようないろいろの相違をもとにいたしまして税の制度か違つておる。税の制度が違います以上は、ここに義金の負担にいろいろな相違が出て来ておる。このことは当然であると思うのであります。税務の執行におきまして、この間にでき得る限り差がつかないようにといいましようか、むしろ制度の上から当然不均衡であつてしかるべきものを、ともすれば逆に権衡をとられるような傾きもある。手少なな点もあり、いろいろな点もありまして、非常に無理がかかつているのではないか、ことに私どもが指摘いたしたいと思います点は、税の執行というものが非常に厳粛でなければいけない、まさにその通りでありますけれども、ともいたしますれば、——たとえば青色申告の実施において見られますように、新しい制度を行いました際には、いろいろと助長をするという息があつてしかるべきだと思うのでありますけれども、ともすれば、この助長の面において欠けるうらみがあり、庇いまして、めんどうなこういう新しい制度というものは、なかなかに実行されにくい。一年やつてみましても、こんなにうるさいものならばやめてしまおうじやないかというような空気も非常に多く起つて来ておる。しかも税金が安ければいいのでありますけれども、非常に高い。またこの国税のいろいろな不均衡というものは、地方の税金をあわせて考えました場合に、特にはげしいものになつて来ておる。地方税について申し上げますならば、非常に税源が偏在しておる。かりに私どもの郷里山形県を例にとつてみますれば、歳出予算の八%しか県税の収入がない。あとは起債と国からの交付金にまつておる。かりにその県内で徴収されます国税を全部委譲いたしましても、歳出の三割にしか満たない。このような税制というものがはたして適当なものであろかどうかという点に非常に疑惑を持つような次第であります。
ここ二、三年の間税金が相当軽減になりまして、非常に喜ばしいことに思つておりますけれども、一方におきましては、税務行政の合理化といいますか、技術が非常に向上したと申しますか、いわゆる把握率が非常に高くなりました結果、税制の改正によつて軽減されるべき場合におきましても、昨年に比べて大した低下を結論的に見られない。従いまして政府当局は、また与党方面においては、減税をしたしたと言いながら、一向に減税になつていないで、逆に高くなつているのじやないか。こういう把握率の向上ということは、一面におきましては非常にけつこうなことではありますけれども、なかなかそういうような一般的な空気に反撃をもたらしておる。かようないろいろな点につきまして、私ども考えて見まするに、どうもシャウプ税制というものは、日本の現在の実情から見て必ずしもりつぱでよいものではない、このように思うのであります。いなかの方におきましては、過去の附加価値税の方がかえつてさつぱりしてよろしいというような空気すら、むしろ強まつて来たような気持さえいたすのでございます。こういう点につきまして、政府御当局が、現在中央・地方を通じて行われておりますいわゆるシヤウプ税制をどういう目でごらんになつておるか、非常にりつぱなものであつて、改正の必要がないとお考えになるのか、あるいはまた、根本的にはよいものであるけれども、個々の点で手直しをする必要があるとお考えになるのか、それともまた、根本的に中央地方を通じてこの税制をもう一回再検討して、もつと実情に合うものに建直したらいいとお考えになるか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/74
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075・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 私からお答えいたします。われわれは、シヤウプの勧告案に基く税制につきましては、一応租税理論的な面から見ますと、相当筋の通つている考え方であり、敬意を表すべきものを多分に持つているものであると思つています。ただしかし、それを現実の日本の現在における経済の実態、あるいは納税者の実態というものにぶつけてみましたときに、シヤウプの考えていましたような税制が、そのまま実行に移されれば問題がなかつたものが、現実の事実の前にいろいろ障害にぶつかる。従いまして、施行の面におきまして、いろいろな面に幾つかの妥協をせざるを得ないような姿になつて来ざるを得ない。しかも、それが現在の納税者、あるいは経済の情勢から見ればやむを得ざるものであるというように見える幾つかの点が出て参る。従いまして、その意味において、従来の国会において、あるいは今後の国会において御審議願つている法案におきましても、シヤウプ税制の道筋から離れたような手を打たざるを得ないということを感じているわけでございます。今度の国会に御提案申し上げております改正案の中にも、御承知のように、有価証券の譲渡所得に対する所得税の課税を廃止するというようなもの、あるいは富裕税の廃止の案というようなもの、これはシヤウプ税制の上から見ますと、相当大きな支柱をなしているものと思います。しかし現実に施行してみました結果としまして、有価証券の譲渡所得を正確に把握しようとしますれば、有価証券業者とか、そういうところから相当資料もとらなければならぬ、あるいはもつとつ込んだ調査もしなければならぬ。ところが、納税者の方からそうしたものについて率直な申告が出て来るということも、現在の税負担の重い時期におきましてはなかなかむずかしいことでもございますし、さらに、それについて施行をやかましくやりますということは、また有価証券の民主化とか、いろいろな面で支障が出て来る。そこに幾つかの妥協的な実施以外はできないとすれば、むしろやめてしまう方がいいじやないか、こういうような考え方が出て参りまして、そうして今回の法案になつた次第でございまして、シヤウプの税制そのものとしましては、理論的には一応の筋が通つておりますが、現実の日本の実態というものにぶつけてみますと、なかなか施行の面から見まして、結局看板倒れになつているということに陥らざるを得ない。そういう点におきましては、非常に遺憾でありますが、この際一応現実の事態まで下つて、もう一ぺん出直すくらいの気持でもつて税制を見直して行く必要があるんじやないか、そういうような考え方から今回の改正案を提案したわけであります。ただ将来の問題といたしましては、やはりまだ、現在現実にぶつかりまして非常に目についた点が、幾つかそういうふうな点で現われているだけでして、シヤウプ税制をそのまま全部ひつくり返すというほどには強く考えておりませんが、しかしシヤウプ税制のいいところはとりながら、同時に現在の日本の実態に沿うようなものの考え方は、できるだけして行くべきじやないか、たとえば御承知の変動所得の問題なんかにしましても、りくつから言いますと、非常に精微にできております。合理的だと思いますが、これを実行に移してみますと、なかなかこれも複雑でもつて、納税者の方もようそれについて行きませんし、税務署の方もなかなかついて行けない。従いまして、その一番顕著な例であります山林所得の問題などにつきましても、シヤウプ税制の変動所得の考えが、一番それ自体としては理論的には筋が通つておりますが、具体的にはどうもついて行き切れないというところで、今度、これもいろいろな点はありますが、思い切つて五分五乗制度にした方がいいのじやないかというのも、これの一つだと思つております。国税については、そういうような考え方が一応あるわけでございますが、同時に、御承知のように地方税につきましては、現在の税制、これは大体シヤウプ税制の上に乗つかり、ただ附加価値税が事業税で残つている。この附加価値税が実施されて初めて実は地方税の面はシヤウプ体系が完成するのですが、附加価値税がいろいろな面から批判があり、実行に移せないというので、現在の地方税の体系というものは、どつちかといえば、シヤウプ税制そのものでありませんで、しかも中途半端な姿になつている。これも一つの考え直さねばならぬ点だと思つておりますが、さらにシヤウプ税制の地方税、国税を通じての一つのねらいとしては、これこれの税は国税とする、これについては府県税とする、これこれについては市町村税とすると、それぞれの税に一つの独立性を与えまして、同時にそれぞれの団体責任をもつて課税して行く。従つてある税について不満があれば、それは府県なら府県、市町村なら市町村へ一応批判が行けばいいのだ。私これを縦割りと呼んでおりますが、縦割り式に税金をわけて行く。昔の税金の考え方は、日本におきましては、横割りと私は見ておりますが、所得税があり、それに対して府県税で附加税をとり、市町村税で附加税をとる。あるいは固定資産税の前身でありました地租家屋税にしましても、府県で地租家屋税をとり、市町村で附加税をとる。こういうような考え方をしておりました。縦割りの制度には一応の理由はありますが、しかし日本の実態というもの、今御指摘のように、地方財源のあり方というものを見てみますと、昔の横割りの方があるいは実態に合うのではないか、こういう考え方もあるわけであります。さらに具体的な事例といたしましては、国で一ぺん調べたものを府県も調べに来る、また市町村も調べに来る、納税者としてもたまらぬ、こういうことになるわけでありまして、このような点につきましては、やはりもう一ぺんこの何年かのシヤウプ税制による経験というものを反省してみまして、一応考え直してみる必要があるのではないか。その意味におきまして、地方税関係におきましては、御承知の地方制度調査会で、これは税ばかりでございませんが、地方制度の面からの税の検討をしていただいております。また大蔵大臣も申し上げましたが、近く内閣に税制調査会をつくりまして、中央・地方を通じての面から国税地方税に対する検討をしてみたい、こういうように実は考えております。シワヤプ税制が相当理論的には通つておりましても、幾つかの点で、日本の実態から見まして、あまり浮いてしまつた姿になるのも、これはおかしいわけであります。といつて、あまり現実にくつつくのもいかがかと思いますが、その実態に合うような税制にする、こういうように考えております。
それから青色申告のような、ああいう制度はできるだけ助長して行く必要があることにつきましては、われわれも同感でありまして、そのために幾つかの制度はつくつてございますが、まだこれでは不十分だという声もあります。最近国税庁といたしましても、青色申告についての記帳の簡易化等をはかりまして、できるだけこれを実際にやりやすいようにするということを考えております。ただ、青色申告になりさえすれば税金は安くなるんだという考えで青色申告をやつて行くというのも、これまた妙なことでございまして、青色申告の持つ意味、記帳することが、結局は企業としても自分のふところがほんとうにわかるゆえんですし、それに企業としての採算は、将来どういうふうに考えて行つたらいいか、現在幾つかのそうした公開経理というような段階もございまして、そういうところの面にまともな姿が出ておるのでありまして、こういうようなものにつきまして、それを正しい意味の青色申告をする、その姿を何とか成長さして行く、それには私はやはり時間をかけなければならぬと思つております。ただ青色申告の人を、何人になつたといつて、数だけ考えてみましても、実際は白色の人とちつとも違わぬような青色の人であつては、何にもなりません。そういうわけでございまして、相当時間はかかりますが、その辺からほんとうの正しい税務行政のあり方というものをつちかつて行くべきじやないか、こういうふうに考えております。
なおお説のように、いわば把握が強化されて行つたために、政府の方で減税したと言いながら、実際は負担がちつとも減つてないじやないか。私はそういう声のあるのもごもつともだと思いますが、しかし、結局従来まじめに税金を納めているといいますが、一番顕著な例は勤労所得のようなものですが、こういう方においては、てきめんに負担は減つて行くわけですけれども、従来所得の何掛ぐらいしか把握されなかつたという方は、片方でもつて六掛のものが七掛になり八掛になる、従つて一応基礎控除がふえ、扶養控除がふえても、実際の負担はかわらぬ。これはまことにやむを得ないところでありますが、むしろそういうことによりまして、執行が適正になることによつて、そこにおのずから財源も出ますから、全体の執行は的確になされる。そうして、同時に税法の上から見まして負担が軽くなるということによつて、初めて公正な税負担もできますし、同時にそこに低減も出て来るのではないか、その過渡的な姿におきましては、今仰せになりましたようなことがありますが、しかし、それは順次直されて行くことによつて、負担の公平もおのずから出て来るゆえんじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/75
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076・黒金泰美
○黒金委員 ただいまお話のありましたように、政府の側におかれても、現在の中央地方を通じた税制について、必ずしも適当なものではない。従つて今度調査会その他を開いて、改正意見をまとめて行きたい、こういうお話でございました。またその際におきましては、必ずしも現在のシヤウプ税制にのつとるものではないというように伺つておる次第でありますが、これは大体来年度と申しますか、来年の四月を目途に改正なさる、さように了承してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/76
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077・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 一言でお答えすれば、さようでございます。われわれの方といたしましては、大体次の国会に間に合うように答申案をお出し願いまして、それによつての改正案を次国会に提案したい、こういう希望を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/77
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078・黒金泰美
○黒金委員 ただいまの点でわかりましたが、そういうような税制の根本的な改正にあたりまして、実は私は先ほどちよつと触れましたが、現在の税制というものは非常に画一的である、地方的な実情その他をあまり考慮しなさ過ぎているために、納得の行きにくい点が非常に多い。一例をあげれば、これは私どもが東北地方におりますために、特に気になります一点をあげて申し上げてみたいと思います。積雪寒冷地帯におきましては、何と申しましても、生活費、生計費が増高しておる。雪のために住居がこわれますので、雪囲いをつくらなければならない。その資材や人夫賃がいります。また年数回にわたつて雪落しの人夫を必要とする。また破損や損傷も非常に多い。それから雪囲いをしますために、うちの中が非常に暗いから、光熱費、暖をとるための燃料はもちろんいります。また着物も厚着をしなければならない。カロリーの大きなものをとらなければいけない。さらに野菜類というものは、冬の間手当ができないものですから、十月、十一月に全部一括貯蔵する。その減耗も相当多い。このようなことから見まして、相当の額というものが、冬季積雪寒冷のために、生計費の増高を来しておる。もとよりいろいろな統計の数字を見ますれば、そういうようないなかの地方の生計費というものは、比較的安く出ておる。しかしながら、これは実際におきましては、同一の生活内容を行つていないためである。かりに同じ生活内容を行つておるといたしますならば一現在においては、主食の生計費の中で占めておりますパーセンテージが比較的低くなつておりまするし、日用雑貨については、当然に地方の方が、運賃がかさむだけでも高い。こういうような事実から見まして、やはりこういう積雪寒冷地におきましては、もし同一の生活内容を行いますならば、生計費がかさんで行くであろう。私どもなかなか十分な統計をとることはできませんけれども、われわれ自身でとつてみても、一世帯五人として見まして、温暖な地方と比へて、非常に多くの数字が出て参ります。一冬で三万円程度の増高を来しておる。いかに少く見積つてみても、一万円以上の増高を来しておる。かりに昨年の国民平均所得を見積りましても、五人家族と見て、一世帯平均三十万であつたといたしましても、一割近くというものが、ここでもつて生計費の増高を来しておる。こういうものにつきましては、所得税について、いわば積雪寒冷地控除とでもいうようなものを考えて行くべきではないか。また一面から申しますならば、固定資産税の中の家屋の問題でありますが、冬の雪のために、表で作業ができない。従つて家屋の構えが大きくなる。また雪の重さに耐えますために、柱も非常に太い。このようなことからいたしまして、いろいろな統計をとつてみますと、建築費というものは、温暖な地方より五%ないし二〇%増高しておる。それから雪のために、修理費が非常にかさんでおる。これはやはり乏しい資料から推定いたしますれば、五割以上の増高を来しておるという数字が出て来ておる。それにもかかわらず、耐用年数は六割程度しかない。こういうようなものの固定資産税につきましても、同じような制度で律して行くというところに、非常に不合理があるのではないか。こういうような点は、実際に雪国で税の仕事をやつております際に、納税者側からの納税協力意欲というものを非常に減退させておる、こういう点が見受けられるのであります。しかし、今たまたまあげましたものは、ただ雪の地方の一つの例であります。日本の国は狭いのでありますけれども、南北に非常に長く広がつておりますために、気候的にもいろいろ違いがある。そういういろいろな地方的な実情というものも加味されて、お考えになるような御意図があるかどうか。そういうような点までお考えになつて、今度の改正をなさろうという御意図があるかどうか。実情に即するという意味から申しますれば、そういう点までお考えになりませんと、何千万という人間を対象にしております納税というものが、必ずしも円滑に行かないのではないか、かように懸念されますので、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/78
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079・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 今黒金委員の御指摘になりましたいろいろな点につきましては、それ自体については、私はそれぞれ理由があると思つております。しかし同時に、他の地方においては、また別の意味において、その地方の特色のある経費がいるわけであります。たとえばわれわれ公務員の給与などを見ましても、東京においては、生活費が高くかかるだろうというようなことで、勤務地手当を多くいただいておるようなわけでありまして、北の方に行けば石炭手当があるとか、いろいろあるわけでございます。そうしたそれぞれの地方の特殊事情が、税制の上にどう加味できるか。これは私は加味できるものもあろうと思いますし、また加味できないものもあろうと思つております。たとえば所得税のような例を引いてみまして、これにそれぞれの地方的な特色を加味しよう、これも一つの考え方とは思いますが、それぞれ自分のところにはこういう問題があるというふうに、いろいろ入つて参りましたときに、はたしてどう収拾ができるかどうか。私たちは、少くとも現在の段階においては、これを何とか収拾できるという見通しは持つておりません。もちろん十分検討すべき問題とは思いまするが、所得税のような問題でもつて、そういうものがうまくこなし得るかということについては、自信がありません。ただ固定資産税のような問題になりますと、現在は御承知のように、固定資産の価格をもつてやつておる。昔は賃貸価格の制度でやつておりました。賃貸価格の場合におきましては、家が積雪寒冷地帯のような場所であるがゆえに、必ずしも家賃が高いという結論も出ませんものですから、今のような要請が、賃貸価格の場合には、あるいはこなし得るという問題もありますが、固定資産税になりますと、それがこなし得ない。財産価格でやるのがいいか、賃貸価格でやるのがいいか、こういうような問題は、おのずから検討の対象になつて来るものの一つとして、考えていい問題ではないか。修理費の問題になりますと、これは一応経費に算入できますので、修理費の多い地方の場合におきましては、住宅の場合にはそうも行きませんが、それが営業の家屋であり、貸家である場合には、割合にうまくこなし得ます。しかしそうでない場合には、こなし得ない場合もありまして、そういうような地方的な問題をどこまで税制の上で考慮して行くべきか。考慮したくてもできない問題もあり、技術的に不可能な問題もあります。何とかこなし得る問題もあります。同時に、それぞれの地方的特色から見まして、片方にはこういうプラスがあるが、片方にはそれがないかわりに、別なプラスがあるという面もありますので、これは十分検討すべき問題とは思つておりますが、今後の問題として、考えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/79
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080・黒金泰美
○黒金委員 今の積雪寒冷地の問題は、具体的な一例にすぎませんけれども、たとえば補助金、平衡交付金、こういう歳出の面におきましては、そういう地方的な配慮が相当に行われておる。ただ歳入の面におきましては、そういう配慮がなされていない。一方歳出面においては、配慮がなされておりますだけに、いろいろとこういう問題が現実にぶつかつて来るのであります。こういう点もお考えになりまして、今度の改正に際して、十分に御考慮願いたいと思います。
さて次に、中小企業の課税の問題について伺いたいと思います。現在の中小企業につきましては、金融と税が基本的な問題であると思います。金融につきましては、今度金融公庫法ができまして、よほど緩和される。しかし税の方面につきましては、なかなかその負担が容易でありませんために、法人になる者が相当多い。あるいは法人まで行かれない零細なる企業においては、いわゆる企業組合をつくつて、何とか税の負担を軽くして行きたい。このようないろいろな方法が講ぜられておると思うのであります。こういう問題につきまして、税金の上から申しまして、いろいろ制度が違いがある。法人になれば、比較的税の負担が安くなる。あるいはまた企業組合になりますならば、税の負担が安くなる。特に税金を安くするためにしておるかどうかは、御本人の意思によるのでありますが、そういういろいろな制度があつて、これを活用しておる。こういうように考えますが、まず第一に、会社になつておるというような法人について、伺つてみたいと思います。現在あらゆる法人につきまして、資本の蓄積と企業の合理化、こういうことによりまして、日本の経済の安定をはかつて行くことの必要なことは申し上げるまでもありませんけれども、この中でも、特に中小企業の問題につきましては、重要な問題があるのではないか。大きな事業について考えますれば、これは自然に放つておきましても、自分たちで相当に考えていろいろな方法を講じて行かれる。しかしながら中小の企業になりますと、政府の方におきましても、相当にあたたかい気持で見て参りませんことには、自分たちだけでは、なかなかその目的を達し得ないという場合が多いと思うのでございます。ことに中央でお考えになつておりますいわゆる中小企業というものは、地方に参りますれば、むしろ大企業に近いものが多いのであります。そのまた下に非常に多くの零細企業がある。そのものが国民大衆のほとんどすべてを占めているのである。こういう点に思いをいたしまして、むしろ零細の企業について、ある程度の考えをして行かなければならぬ、このように考えておる次第であります。現在私どもが地方に参つて聞いております場合に、会社になつておりますものは、現在の法律から申しますと、ほとんど同族会社になる、あるいはまたこれに近いものが多い。見ず知らずの者が株式に公募いたしまして会社をつくるというようなことは、ほとんど行われませんで、一族あるいは知合いの者が集まつて会社にしておる、こういうものが非常に多いのであります。従つておそらく、私は統計を持つて来ておりませんけれども、同族会社と認められますものの比率が、地方では非常に多いのではないかと思います。この場合におきまして私どもとして考えますれば、このように非常に数多い同族会社について、あまりに同族会社に対する規定の範囲が広過ぎるのではないか。もう少し限定いたしまして、同族会社のわくからはずして行くことが、中小企業に対する一つの振興策になるのではないか。この点は、もう一つ積立金の課税に関連するわけでありますが、今回の積立金の課税の改正規定におきましては、一方において百万円という限度、一方においては資本金の四分の一という両方の限度で押えておる。このことは、今までの改正前の規定と比べますれば、確かに改善されたものであるということは言われましようけれども、実際問題として、非常に大きな同族会社もありますけれども、いなかの方で同族会社と見られているものの資本金は、決して何千万円というようなものではない。そういたしますれば、資本金の四分の一というものはおそらく百万円に満たないものが相当に多い。従つて今回の改正によつて限度が開かれましても、ようやく百万円の積立てしか認められない。資本蓄積の上から申しますなれば、かようにいたしまして、蓄積されている分については、少くともここしばらくの間はこれに助長奨励の方法で向つてもよろしいのではないか、私どもはかように考えるのであります。
そこでまず第一に、この同族会社の幅が狭過ぎると申しますか、制限がきついのではないか、同時にこのような小さい同族会社につきましては、あるいは資本金で限界を限つてもよろしいのでありますが、中小企業の本来の意味から申して、積立金課税の限度を撤廃してもいいのではないか。こういう点について第二に伺いたいのです。
第二の点といたしましては、こういう会社についての株式の評価の問題であります。上場株についての評価は、上場価格によつて大体評価されているのであります。ところが非上場株についての評価は、いろいろと技術的にむずかしい点はありましようけれども、資産の内容を洗つて評価する、かような関係から申しまして、五十円の株が二千五百円にも評価されるような場合が間々見受けられる。ここのところに非常な不合理があるのではないか。これに対してどういう改善方法があるかという点を、第二に承つてみたいと思います。
同時に第三の点といたしましては、私どもは中小企業の助長策といたしましては、ここしばらくは何とか資本の蓄積を助長して、堅実なものにしていただきたい、かような考え方からいたしまして、現在の法人税の税率四割二分というものは——これはかつては一回三割五分に低下されまして、それが当時の朝鮮動乱後のブームに際し、また個人との権衡問題、こういうことからいたしまして、四割二分に再び引上げになつたように記憶いたしておりますが、少くとも中小企業につきまして、また中小企業の中で社内に留保される分については、三割五分に訂正することがかえつて適正ではないか。かようにして社内留保を多くし、蓄積を多くいたしまして、中小企業の基礎を固めて行くことを何とか見て行くべき筋合いではないか。この点を第三に承つておきたいと思います。
第四番目には、市町村民税との関係であります。現在市町村民税は、所得の計算において損金計算に入れておらないのでありますが、これが相当の負担になつているようであります。少くとも市町村民税の中の所得割については、損金計算に入れてしかるべきではないか。どうしても損金計算に認めることができないというりくつはないのではないか、かように考えられるのでありますが、政府御当局のこれに対する御見解、あるいはまた改正なさる御意思があるかないかという点について承つておきたい、
最後にこの中小企業の法人について、承りたいと思うのであります。現在の資産再評価の方式、あるいは今回御提案になつております中におきましては、株式会社以外の法人については、再評価益を資本に組み入れることを認めておられないように記憶しております。これはいかなる理由に基くものでありましようか。いろいろと有限会社なり合資、合名会社においても、資本に組み入れてほしいという要望がありますが、大したさしつかえがないならば、これはお認めになつたらどうかと思うのですが、この点についての御見解を承りたい。一応これで質問を区切つて、また次に進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/80
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081・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 先ほどの話にちよつと附加して、私の気持を申し上げておきたいのですが、積雪寒冷地帯について、歳出については十分考えているのですが、歳入の面でその特段の考慮ができてないのではないか、これは、私はやはり技術的な一つの理由が多分にあるのじやないかと思います。先ほどもちよつと申しましたが、所得税等につきまして、積雪寒冷地とかいうものについて特別な考慮をすることが非常に困難であります。歳出の面ですと、そうした面におきまして別途それぞれ手が打てるわけであります。結局歳入の面、歳出の面というのは、私はこれはうらはらに考えるべきものではないかと思つております。従つて、どうしてもある考慮をしなければならぬという場合におきまして、歳入の面ではできない、そのかわり歳出の面でやるとか、歳出の面ではできないけれども、そのかわり歳入の面でやるとか、これは両者並行して考えらるべきもので、従つてその事態に応じまして、技術的に歳入の面でやれない場合には歳出の面でやる、こういうふうな並行して行くことがむしろいいことであつて、歳出の面でやれたから、むしろ歳入の面でやつたらどうかという点、こういうように言うのはちよつと間違いかとも思います。その辺はよくおわかりのことでございまして、われわれといたしましては、できるだけそうした実態に沿いたいと思いますが、同時におのずから技術的な限度がございますので、その辺のところは、できなければ歳出の面で考慮するということに行かざるを得ないのではないかというふうに思つております。
なおただいま御質問になりました幾つかの点を、簡単に御答弁申し上げたいと思います。同族会社の範囲の問題、これは主として資本の持分の限度の問題で、現在のものは、たとえば一人であつたら百分の三十以上の株式を有していると、その会社を同族会社としているのでありますが、この辺は実情に合してみますと、確かに少し低過ぎはせぬかという感じもないではございませんし、一応検討すべき問題の一つとして取上げていい問題だと私は思つております。
それから同族会社の積立金に対する課税の問題でございますが、これは今も御指摘がございましたが、同族会社というものの負担と、それから会社にもなり得ないいわゆる個人企業の負担と別にあるわけでございます。従つて、いわゆる会社形態をとりますと負担が軽くなるというので、御承知のように盛んに法人になりつつある。ところがそれすらできないで個人で行く方もあるわけでありまして、その辺の負担を考えますと、まだ同族会社になつておる方の負担の方が安い、こういう面もあるわけであります。従いまして、そうした意味からしまして、積立金課税の規定もあるわけでございますけれども、今度の改正案におきましては、従来の積立金課税の五十万円を、一方では百万円に上げますとともに、四分の一ということを入れたわけでありまして、この前の国会に一応百万円が出ておりますので、今度は四分の一だけが目につきますが、現行法に比べますと、一面においては五十万円が百万円に上つているということもあるわけでありまして、一応こうしたものの考え方は許されると思いますが、それがどの程度の限度以上を見るかということが問題であるわけでありまして、今度の案は、私としましては、相当実情をよく考えて御提案申し上げておるつもりでございます。
株式の評価の問題については、これは確かはなかなかむずかしい問題であります。税の施行におきましても常に議論になる問題でございますが……。(「渡辺先生もうわかつておる。」と呼び、その他笑声、発言する者あり)簡単にやりますから……。できるだけ実態に即したような株式の評価をして行くべきではないかという点につきましては、今後さらに十分検討して行きたいと思つております。
それから中小法人の法人税につきまして、税率を下げたらどうか。この点については、前会においても御質疑もあり、一応私の意見を吐露しておいたのですが、御承知のように現在法人税というものは、いわばシヤウプの勧告によりまして、イギリスの方の税制をとつております。従いまして、法人に課税しましても、結局は個人に課税するという建前になつております。こういうことが理論の上から出て来るのではないだろうかと考えております。これも大陸的な、あるいはアメリカの考え方ですと、法人税は法人税、所得税は所得税、こういうように法人自体に独立した担税能力を認めるという考え方ですと、また別の観点が出て来ます。
〔私語する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/81
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082・千葉三郎
○千葉委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/82
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083・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 こうした問題もさらに検討さるべき問題だと思つております。次の市町村民税……。(「社内留保」と呼ぶ者あり)社内留保につきましても、私としましては、今と同じ考えのもとにおきまして、特にどうこうということは理論的に出て来ないのじやないかと考えております。
それからその次の問題としまして、市町村民税を損金に認めるか。これは、私は税制のつくり方の問題だと思つております。しかし現在まで御承知のように、法人税を損金に見たこともありませんから、市町村民税につきましても考えられたと思いますが、結局これを損金に認めるということは、また税率を上げるということになりますし、一定の税収を確保しようとすれば、結局われわれとしましては、所得税と同じ性格のものでないだろうか、市町村民税は所得税と同じ性格のもとにおいて、これは損金外に置くべきではないか。同じ税収を上げようとすれば、課税標準が小さくなりますから、従つて税率でかげんしなければならぬ問題になつて来る。現在としましては、今の建前がそう筋が違つておるというふうには思つておりません。ただ全体といたしまして、私どもとしましては、できれば、経済がだんだん伸びて行く、国民所得がふえて行くという事態におきまして、そのまま財政の規模がふくらまないで、多少ともそこにゆとりができますれば、現在の税金をもつともつと下げて行くことができるのじやないものだろうか、私それだけを現在考えております。
さらに再評価の問題とからみ合いまして、株式会社だけ資本組入れができる、ほかは資本組入れができないのはおかしいじやないか、これは確かに一応の御議論だと思います。ただ現在の建前でもつてそうなつておりますのは、結局株式会社には資本組入れの——これは商法の方の規定が大きく働いておるようであります。株式会社には資本組入れを認めるような制度があるそうですが、合資会社、合名会社にはその制度がないということで、現在こういうようになつておるようでありまして、商法の改正といいますか、その特例を認めることがいいか悪いか、そうでもしなければ、現行の商法のままではできない、法律的にやれば、その特例が認められることと思いますが、この問題は、今後の問題として研究させていただきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/83
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084・淺香忠雄
○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつております三十七法律案中、公認会計士法の一部を改正する法律案、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の特別措置に関する法律案及び昭和二十七年度における給与の改訂に伴う国家公務員共済組合等の規定による年金の額の改定に関する法律案の四案につきましては、質疑も大体尽されたと思われますので、この際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/84
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085・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの浅香君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/85
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086・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないものと認めまして、公認会計士法の一部を改正する法律案、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の特別措置に関する法律案、昭和二十七年度における給与の改訂に伴う国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案の四案については、以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。
右四案を、いずれも原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/86
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087・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて右四案はいずれも原案の通り可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/87
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088・千葉三郎
○千葉委員長 大蔵大臣に対する質疑を許します。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/88
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089・井上良二
○井上委員 大蔵大臣に伺いたいのは、本年度の税収の見込み額が七千百六十億を予定しており、この七千百六十億円を予定いたします基本となる国民所得を五兆八千二百億と推定しております。この五兆八千二百億というのは、昨年度予算の編成当時五兆三千六百八十億から増すこと四千五百二十億となつておりますが、政府は、大蔵大臣、また経済審議庁長官ともに本国会における本予算の説明の劈頭において、わが国の財政経済事情の前途は容易ならぬという演説を行われ、特に貿易の現状から、この際政府としても国民としても、今後のわが国の財政経済の運営には、非常な努力を必要とすることを強調されております。そういう一つの前提に立つて、国民所得が五千億近くふえるという根拠は、一体具体的にどういうものをさしているか。そこで、たとえば税収のいろいろな点を検討いたした説明を見ますると、具体的には、たとえば給与所得の場合においては、民間産業の雇用量が増大する、また賃金水準は上昇する、こういうことを言うております。このことは大臣が本会議で、わが国の財政経済の予算に基く前途というものを説明したのと、非常に食い違つておりはせぬか。雇用量が増大をし、賃金水準が上昇し得るという産業形態は、一体具体的にいつて何をさしているか。私ども、労働局が持つております労働者の就職状況、解雇状況等の資料を調べてみましても、雇用量が昨年から本年に入つて急激に非常な増大を示しているという資料は出ておりません。そうしますと、具体的にこれは一体何をさしているか。これがこの税制を検討する上において非常に重大な土台になりますから、この点に対して特に大臣としての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/89
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090・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ただいまの国民所得五兆八千数百億は、経済審議庁で各種の資料に基いて集計したその結果であります。私どもは、その経済審議庁の調査に従つて、これを出しているのでありますが、主として私どもが見ているのは、たとえば鉱工業生産指数が上昇していること、また価格によつて下つているものはありますが、農作物を初めとして、その他価格の相当上つているものがあること、さらに一般に賃金が増加いたしていることは、一年間の各種の計数から見てよく御了承のことと思うのでありまして、増加している。但し雇用量については、私どもも今増加いたしているとは思いません。思いませんが、賃金水準等が上つていること等で、これらの計数は正しきものなりと、こういうふうに見て、これを租税の基本対象とした次第であります。従いまして、このこまかい計数の内容については、経済審議庁の方の政府委員より答弁することが一番明瞭であろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/90
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091・井上良二
○井上委員 そうすると、大蔵大臣の本会議におけるあの見通しはどういうことになりますか。あの見通しの上に立つて予算が組まれているのと違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/91
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092・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 御承知のように、今世界の経済につきましても、大体横ばいまたは下向き横ばいの傾向にあるように考えます。また日本におきましても、大体そういう傾向にあるのでありまして、従つて前途について楽観することはできない。いわんや朝鮮事変後、いろいろな方面にこれらの響等が参つておりまするので、それらの影響は増しておりますが、私が予算の編成の最初に申した通り、さしあたり急激な変化はないということを言つておるのでありまして、二十八年度について見ますると、今の経済審議庁が計算をいたしました国民所得は、その程度あるものと、かように信じておるのでございまして、私が将来に対して言つている事柄と何ら矛盾するものでない。私は日本の経済の将来については、これはさだめし井上さんも同感だろうと思うが、この間悲観するとか楽観するとか、いろいろやりとりがありましたが、私どもは決して楽観しておりません。楽観しておりませんから、ひとつ非常な覚悟をしていただきたいという心持を強くわれわれ述べておつたのでありますが、そのかわり予算の方で申したのは、急激な変化がないから、大体二十八年度予算が組まれたときの心持で、あとは情勢の推移だけを織り込んだ、こういう点を申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/92
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093・井上良二
○井上委員 経済審議庁の資料がこういう国民所得の推定を出しておる。ところが、昨日ですか、経済白書なるものが経済審議庁から発表されております。この経済審議庁の経済白書の結論は、決して楽観をしておりません。容易ならぬ状態にあることを警告しております。また鉱工業生産において、非常に生産力が増大をしておるということは、一応の説明はされておりますけれども、さらにその内容を具体的に調べてみると、たとえば昭和二十五年から六年への一年間の鉱工業生産の生産指数というものと、二十七年の鉱工業生産指数は、非常に違うのではないか、どんどん下つて来ておるのではないか。そういう事実から考え、また大臣の指摘されておるように、国際収支の現状はなかなか容易ならぬ状態でありまして、これがまた国内にはね返つて来て、いろいろな悪影響をもたらすことをわれわれは覚悟しなければなりません。そういう実情から、はたして五千億も多くの国民所得を盛り込むことは妥当な見方かどうか、これは税収入に影響して来ることでありますので、われわれはここに明確な検討を要すると考えておるのであります。従つて、あなた方の方で予算委員会及び本委員に資料として出されております今年の税制の改正に伴う雇用量の増大、賃金水準の上昇という意味は、一体どの産業をさしておるかということが具体的に示されなければならない。それが明らかになりませんと、具体的に課税対象の所得人員を把握することができませんから、その点を明確にされなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/93
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094・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 こまかいことは経済審議庁の方で御答弁すると思いますが、多分井上さんのお手元にも、主要経済指標速報というのが行つておるのではないかと思います。それをごらんくださればわかりますように、たとえば産業活動指数というところをごらん願いますと、現在が一番多い数字を現わしております。一九五三年四月まで出ておりますが、たとえば五二年に比べますを、非常にふえていることを物語つております。数字で申しますと、産業活動総合は、一九五一年はわずかに一三七・二、一九五二年は一四六・六であつたのが、一九五三年三月には一六〇・八、四月には一五九・一に達しております。これはさらに公益事業、鉱工業等にわけでございますが、このいずれの数字も増加いたしております。しかしこの数字のよりどころがどうか、こういうことになりますと、これは経済審議庁にお尋ねくださらぬと、井上さんだから正直に申し上げておくが、私にはわかりかねますが、私どもの受取つているその表に基きますれば、そうなつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/94
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095・井上良二
○井上委員 これは一つの推定でございますから、あなたの御所見とわれわれの見通しというものが結果的にどうなるかということについては、これはやはりこの予算が終るのを待つてみなければほんとうのことは明確にならぬと思います。ただここで、私がそういう一つの経済状況のもとにおいて今度の改正案を見ますと、できるだけこの少額給与所得者には、減税の措置を、いろいろな控除を講じておるように見せておりますけれども、原則的には、これは大臣、ひとつ非常に真剣にお考えを願わなければなりませんが、原則的には、年収六万円以上の者には税がかかるということであります。六万円というのは月五千円であります。月五千円の収入のある者には税がかかるという一つの母体ができ上つているということであります。こういう基礎控除を六万円までで、それ以上はなかなかむずかしい。私どもから考えますと、立場々々によつていろいろ議論はありましよう。御承知の通り、給与所得というのは生活の元をなしているのでありまして、現実に今日の物価その他の実情から、生活をいたしますのに妥当な国民生活、政府が憲法で保障しておるといわれております最低生活を保障する限度というものを、一体政府は何とお考えになつておるか。このことを、一ぺん私は大蔵大臣から直接聞きたい。憲法で最低限度の生活を保障するに足る給与というものは、一体どのくらいが妥当と大蔵大臣は見ておるか。これは税制その他の上に非常に重大でありますから、一応大蔵大臣から、今日最低限度の生活をするのにはどのくらいの所得があつたら行けるか、これをまず明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/95
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096・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ちよつと今井上さんの話のうちに、月五千円まではみんな税がかかると言われましたが、御承知のように、給与者は税がまだ控除されておりますので、単身所得者でも、今までですと、五万八千八百二十四円までは税がかからなかつた。今度の改正案だと、七万三千四百四十円までは税がかからないのでありますから、この点は、どうか五千円とおつしやらないでいただきたいと思います。なおまたいろいろ控除されるものがありまして、家族その他がありますと相当控除されます。たとえば奥さんがあり、子供が二人ある者だと、給与所得が十八万円の人は、大体税がかかりません。従いまして、憲法論まで持ち出されるとまことに困るが、私はこの程度で忍んでいただくべきであろう、かように考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/96
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097・井上良二
○井上委員 これは、別にやりとりするほどむずかしい議論をやつておるわけではありませんので、われわれが国民からいろいろな不在を聞きます場合に、一対国会は、われわれが一箇月生活するのには何ぼあつたらいいと考えておりますか、こういうわずかな収入の者にこういう税を源泉徴収でとるのは、一体どういうわけですかと言われて、聞かれたときに、われわれとしては答弁ができない。その事実から、あなたの方がこの予算を組み、税をとろうという場合に、一体最低限度の憲法で保障している生活をするのには、あの公務員の給与ベースを妥当とするのか。その他に、何か最低限度の生活をするのには、これだけの経費は夫婦なら夫婦、一人なら一人かかるという何がなければ、これはとられる者はえらい迷惑になる。それをあなたの方にひとつ伺いたい。この際これは大臣から聞かなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/97
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098・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 どうも数でどうこうと言われても、ちよつとこれは実は答弁に困りますが、公務員の給与は、最低生活という点から割出されていないことは、これも御承知の通りであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/98
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099・井上良二
○井上委員 一国の大蔵大臣が、少くとも財政経済政策を立てる場合、国民生活の最低限度に対する生活費の割出しが正確に答弁できぬということで、どうして予算が組めますか。一体だれのために予算を組んでおるのです、あなたは。そんなむちやくちやな法案を出された日には、たまつたものではありません。だから最低限度の生活をするのには、どれくらいの経費を必要とするかということを、大蔵省では持つておらなければいかぬ。大臣は、そのくらいのことは知つておらぬと、一切がだめになつて来るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/99
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100・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私は七万三千四百四十円以上の場合であれば若干の担税力はあると、こう見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/100
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101・井上良二
○井上委員 そうすると伺いますが、えらいこまかいことまでお知りでございますが、そうなりますと、今一体東京の単身者の下宿代、どのくらいで一箇月やつておると思います。一体それで担税能力があると断定できますか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/101
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102・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 それはいろいろな場合がありましよう。自分の家におつて、いわゆる居候しておる者もありましようし、各種の者があるので、一々大蔵大臣は下宿料まで知らなければ、税の方は盛れぬというのも、これは少し苛酷な質問じやないでしようかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/102
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103・井上良二
○井上委員 今一箇月六千円くらいの収入のある者が担税能力があると言われた。これが大蔵大臣のむすこさんみたいな家に生れたんなら、これは担税能力があるかもしれません。ところが現実に自分の腕一本、裸一つで働かなければ生活ができ得ないという勤労者にとりましては、そのもうけたもので生活しておるのでありまして、現実に東京で下宿をいたしましても、月五千円、六千円という下宿代は最低であります。食べるだけにそれだけの経費がかけられておるのであります。そういたしますと、食べる余裕さえ満足にない者に税金をかけるというのは、一体妥当な税のかけ方かどうか。現実にあなたの方で提案をして来ておりますこの所得税の累進課税を見ましても、たとえば、これは人数はわずかでありましようが、年収百万円、二百万円、三百万円という者に対する課税は、最高限を五五%くらいで打切つておるでしよう。今度は六五%になりましたか。そうなりますと、あとは三五%、百万円もうける者は三十五万円が自分の所得として残る、一方は月六千国か六千五百円もうけて税がかかる。年収わずか七万もうけたということで税がかかる。こういうべらぼうな、不合理な話が一体ありますか。しかも現実にあなた方が出しておるこの資料を見ても、源泉徴収のほとんど八割五分までは、二万円以下の小額所得者が大部分ではありませんか。小額所得者からほとんど血の出るような税を取立てて、一方酒やタバコ、物品税、そういう間接税で大衆から集めた金が、どういう面に一体多く使われておると思うのですか。そういう点をわれわれが考えたときに——それは所得かあつて、課税対象として余裕のある人には、一定の平和国家を維持し、社会秩序を維持する上から、当然課税をしなければなりません。またそれは社会を構成しておる一員としての義務であります。ところが課税対象としての余力のない者に対して、過重な税をかけて、それでかけられるからよいというような考え方を持たれたのでは、たまつたものではない。この点、あなたはもつと真剣に、まじめに考えてもらわないといけない。何か事務当局からつくつて来たから、これは問題なく大蔵大臣は通さなければならぬ、そういう考え方でなく——現実にかけられぬ人がぎようさんあるじやないか。これをもし申告所得にし、納税を自由にしてごらんなさい。今の町民税と一緒ですよ。大半は滞納になつてしまいますよ。源泉徴収の人は、税を払うも払わぬも言わさぬ。もう初めから税金天引だから、払うも払わぬもあらへんがな。無茶やな。相手の納得も何もない。こういう苛斂誅求的な税をかけておることに対して、何とか税制をかえるということを少し考慮してもらわなければ、この問題は解決できません。あなたも大多数の人を代表して議員に出ておる以上は、あなたに投票した低額所得者もたくさんあるだろうと思う。もし大蔵大臣がそういうわけのわからぬ答弁をするということを、私が行つて話をしてごらんなさい。えらいことになつてしまう。だから、これらの零細にしてほんとうに生活に困難な人たちの免税を、大蔵大臣は考えてやるという親心がぜひ必要であるということを、特に申し上げておきたいと思います。あなたの御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/103
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104・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 御意見の点はよく承つておきます。但し申し上げておきますが、今まで税法を改めなければ、五万八千円の人にかかつておるのを、七万三千円まで今度はとらないことにしたのが、これでは不都合じやないかということは、どうも私ども理解しかねます。こういうふうにして、だんだんと課税の対象を少くしておるのに、こういう少くする仕方はけしからぬじやないかというお話は、これはちよつと井上さんのお言葉とも受取りかねるのであります。さらにまた、高額所得者はどうかと言われましたが、高額所得者は、今度改めるものは六五%になつております。地方税のこれに対する一八%までかけますと、七六・七%に達するのでありまして、どうも、今おつしやつたことと実際の数字とは違うということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/104
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105・井上良二
○井上委員 私は、特に税金が国民の生活の上に非常に大きな圧迫を加えておるという大衆の立場から考えますと、今お話のように、この改正案が出たから、この改正案を出すことがけしからぬと言うておるのではありません。この改正案をさらにもう少し改正をしていただいて、小額所得者の免税点を引上げることを、政府としては一層検討してもらわなければならぬという立場であります。同時にまた、今大蔵大臣が、いろいろ高額所得者の点について御意見がございましたけれども、かりに六五%に地方税を加えましても、まだ百万円もうける人は二十万円という手取りがあります。一方は改正案によつてさえ、年間七万五千円もうければ税がかかるのです。ここに大きな矛盾があるのであります。だからそういうりくつはお互いりくつであつて、立場上なかなかそう簡単に納得はできかねるところもあろうと思います。ただ私どもから言わせますと、それはお前たちの立場からそう言わすのだといえば別でありますが、たとえば政府において、今度富裕税の廃止を考えておる。その廃止の理由たるや、どうも捕捉しがたいということを言われておる。あるいは他の所得その他の税金との間における競合があるとかいうことで、せつかくできた富裕税というものが、その十分な使命を果していない。あるいは資産再評価の問題にしても、あるいは株式の売買所得にしても、ほとんど不労所得的な重大な点はみんなのがれてしまつて、一番とりやすい、一番文句を言わないところの勤労者と農民と中小企業に、税金の対象が向けられておるという点が、われわれとしてははなはだこの税制に対して満足できないのであります。この点については、大臣も十分真剣に検討をいたしていただきたいということを私は要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/105
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106・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 お話の点は真剣に検討いたしますが、御参考に申し上げておきたいと思います。昭和二十四年には、一体こういう源泉所得の納税者か全体で幾らあつたかというと、一千九百十一万九千人あつた。現行税法のもとでは幾らあるかというと、一千三百一十二万三千人あります。それを今度改めることによつて、こういう小額所得者の負担が少くなりまして、一千五十九万一千人となります。昭和二十四年と今度の二十八年の改正と比べますと、約九百万人という人が減るわけでありますから、この点はそこらで御了承願うことがよかろうと私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/106
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107・千葉三郎
○千葉委員長 福田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/107
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108・福田赳夫
○福田(赳)委員 大蔵大臣にお伺いいたします。ただいま井上委員から苛斂誅求というか、税の問題について御質問がありました。私は、税はその内容において非常に重いというほか、手続が非常に煩雑である、この点が重要な問題であると思う。今対外貿易なんかの観点から、コストの引下げということが大きな問題になつております。これは各官庁の行政自体が非常に民間のコストに災いしておる。その第一に位するものは税であると思う。非常に税の手続が煩雑である。細かいことは大臣には申し上げませんが、たとえば昨日でありましたか、私のところへ予定申告の紙が届いて来た。私はそれを見たが、一々規定に従つてやるというふうにはなかなか行かぬようなこまかいものである。こんなことでは、私は全日本の産業能率を麻痺さしてしまうと思う。これは大蔵当局にまかしておきますれば、それは精細に検討して専門家がやる、また非常に精細に考える習性を持つおりまするから、だんだんこまかくなつてしまう。これは産業人でもあられる蔵相でありますから、次の国会には、また税法の改正案を出されるという計画もあるようでありますから、中央、地方を通じて抜本的な大簡素化、これを出してくださる御意図はあるかどうか、これをひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/108
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109・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 福田さんの言われたことは、実は私もしごく痛感いたしておるところであります。私など大蔵省の飯を食つたこともある人間だが、あれをやるときには二日間くらいかかる。それは福田さんも相当長く大蔵省におられて、自分たちも困るというようなそういうものは、普通の人はできつこない。これはぜひとも簡素化する必要があると思います。理論はとにかく、実際上において簡素化しなければならぬ。特に私は、簡素化について考えますことは、税務署のほかに、府県は府県でまた税の窓口を持つておる、市町村はまた市町村で税の窓口を持つておる。同じ所得その他に対して三ところくらい調べに来る。ああいうとこりは、昔の附加税式に考えれば一箇所で済んでしまう。そういうこと等がありますから、ぜひとも税制というものは、公平ということも必要でありますけれども、同時に簡素化ということが一番必要じやないかということを痛感いたしておりますので、今度の税制改正調査会には、その点をもつと強く要望いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。またこれは、ぜひ実行いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/109
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110・福田赳夫
○福田(赳)委員 今大臣の力強いお言葉がありましたので、安心いたしたのでありますが、これは大簡素化をやつてもらいたい、これを要望いたします。同時にほかの行政部面でも、何とか簡素化をしなければならぬ問題がたくさんあると思います。産業コストにのしかかつて来る問題というものは、各省にいくらでもある。これは予算を統裁せられる大蔵大臣が少し意を用いますれば、いくらでもできる。また大蔵省部内でも、そういう問題がいくらでもあるのじやないかと思います。たとえば増資をしようと思う、そうしますと、最近は何かこんな厚いものをつくらして、それを印刷をして、そうして認可を受けなければ、それができない、そんなばかな話はない。貧乏会社が苦心さんたんしてあんなことをしなければならぬというああいう制度は、これは非常に産業のコストに影響する問題じやないか、ぜひひとつ早くやめてもらいたいと思う。
それからもう一つは、今回改進党、自由党の合作によりまして、経費の節約をされる、これは非常にけつこうだと思う。しかしこれは、官庁側といたしましては、まず清水の舞台から飛びおりるというような大規模の節約だと私は思う。これはどうしても私はしなくちやいかぬと思う。これは政府機関全体、また地方公共団体、または個人すべてにわたつて、大規模の経費の節約、節減、これをやれば、これは非常に国の産業コストの切下げにもなるというふうに私は思うのです。あの一片の協定、政治的妥協ということでなくて、ひとつこれに息を吹き込んでもらいたい。これはぜひお願いしたい。たとえばあなたの監督下にある金融機関、これはたくさんあります。これらにも少し経費を節約するという号令をかけてもらいますれば、これは非常に金利等にも影響いたしますし、偉大なる効果を発揮する効力があると私は思うのであります。ただ単に、官庁が経費を少し節約する、そうしてこれをまた補正予算でとりもどすのだというようなことでは、これはまつたく政治上のさる芝居に終つてしまう。これを生かす大勇猛心があるかどうか、ひとつ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/110
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111・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 今の最初にお話のありましたいわゆる増資などをする時分に、おそらく一冊五十円か百円もするようなものをつくり、しかも煩雑と手数を要する、ああいうものは、私は実際どうかと思うのでありますが、あれは証券取引法か何かの定めるところで、国会で御議決になつたものだから、ああいうようなことが行われておるのではないかと思いますが、あの時分は、ちよつと事情が違いますから、だんだん改めて行つてもいいのじやないか、かように考えておりますから、私どもの所管に関する分については、至急考えたいと存じております。
それから今お話になりました行政整理の問題でございます。これは私ども実はお話のごとくに、真剣にやりたいという考え方で、庁費、旅費等で、この前の二十八年度の不成立予算に比べれば、本予算ではこれは四十億減したことは御承知の通りであります。実はあれを減すんでも、私のところへは相当苦情の手紙が参つておるのでございまするけれども、しかしこれはやつたのでございまするが、今度の分が約百億、予算面で見ると百六十五億ぐらいになるのじやないかと思いますが、六十五億ほどがいわゆる予算外契約でございますから、実際の行政費その他は百億ぐらいじやないかと思います。これがどういうふうにやれますか、これは実情を見ぬといけません。やはり組織、制度を根本的にかえるということもどうしてもやつて行かぬというと、現在の制度のままでは相当きついんじやないか、きつくとも行えるものならぜひ行いたい、かような決意を持つております。私がいくら勇猛心を振つても——あとで補正するというような考え方は毛頭持つておりませんけれども、あの通り実行する点については、相当な困難を伴うのではないかと思つて、実は率直に福田君に申し上げれば、私どもも心配しておる一人であります。これはそういうふうなことがまとまりますれば、それこそ勇猛心をもつて実行に当ります。
それから金融機関に対する分でありますが、この点も、私もよく金融機関の方にもお話をし、この間全国銀行の集会の場合にも、私は実はそういう話を特にいたしたのであります。これは私の言をそのまま申し上げますれば、たとえば終戦後においては、銀行その他は、金以外に供給するものがなかつた。会社でありましたならば、物で供給したというような点があつて、そこでどうしても金をふやすということが金融業者の間に行われた。それで経費もだんだん膨張になつたと思われる。もちろん金融業者の間も、いろいろ合理化等が行われておるだろうと思うけれども、よそから見ると、いまだしと思われる点がたくさんある。たとえば銀座のまん中に店をつくつて、大きなネオン・サインをつける。それも隣近所の迷惑もかまわず、たとえば国電などから望むと、何とか銀行というような大きなネオン・サインが空に輝いておる。ああいう必要はどこにあるかということが理解しかねるぐらいに、私は金融業者の自粛を非常に望んでおるのであります。同時に、私は金融業者の方にも、これからはもう少し金融業自体の公共性に徹して、そういう点については経費の切詰め等をやり、それを金利引下げに持つて行つてもらいたいと考えております。なお私ども、直接大蔵省の管轄下にあるものにつきましては、これはぜひお話の趣旨を励行いたしたいと存じております。
地方団体についても、同様な趣旨でこれに臨みたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/111
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112・福田赳夫
○福田(赳)委員 ただいま本委員会に相互銀行法の一部改正案が出て、相互銀行に為替業務を許すことになつておりますが、この問題は、先般詳しく銀行局長からは伺つたのですが、基本的な考えを大臣に伺つてみたいと思います。何となれば、それは中小企業金融体系の根本に触れる問題である。終戦後金融機構というものは大分変革されまして、そうして特に相互銀行、もとは無尽会社といつておりましたものが、銀行という名前になつた結果、相互銀行というものは商業金融をやる普通銀行のような気構えにだんだんなつて来た。この状況からいたしますると、いわゆる零細金融をやる金融機関が非常に少くなつて来た。何とかして零細金融の銀行をつくらなければならぬという問題と、それから、今そういうふうに態様がかわりつつある相互銀行を、昔の零細金融の機構として扱うか、あるいは商業金融を扱う普通銀行式に扱うかという考え方の問題で、この法案に対する考え方も根本的にわかれて来る問題じやないかというふうに考えております。ただいまの状況で言いますと、昔は地方銀行というものまでが零細金融をやつておつた。これが戦時中からやられた一県一行主義で、地方の中央銀行みたいな気持でいばつておつて、とても零細金融なんか相手にしない。相互銀行が今申し上げたようなことで、信用組合というものが信用金庫になつて、本国会にも他のものは金庫という名称を使うことを排除するということが出て来ておりますが、さようなふうに大分格上げになつて来た。私は、この相互銀行というものが、そういうように気構えがかわつて来た今日においてはしようがない。先般銀行局長が当委員会において答弁したところを総合しますと、七、八十ある相互銀行のうち、政府の認可によつて、三つ、四つくらいは為替業務をやることを許そうかという。為替業務をやる制度は認めるけれども、実行上非常に制限して行こうという考えのようでありまするが、これはその考え方いかんによつて、非常に動いて来ると思うのであります。大蔵大臣として、中小企業金融系列の中に、あくまでこの相互銀行を置く考えであるか。置くならば、私は為替業務をやらせる必要はないと思う。また商業銀行として扱われんとする気持でありますれば、よろしくほとんど全部を、特殊な例外のものを除いて、為替業務をやらすべきものである。そうして育成すべきものであるというように考えるのでありますが、これに対するお考えはどうであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/112
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113・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私としては、この相互銀行の為替業務につきましては、これは非常に全国的な分もありまして、ほんの二、三行くらいの程度じやないか。それで許可方式をとつて行くことは、この法案で御承知の通りだと思います。許可制度にしておりますから、実情に沿うものだけを許可しよう。あとはそういう必要はなかろうと思つております。なお名前がかわつて、相互銀行という名前になつたり、何々金庫となつて格上げになつたら、庶民金融を離れるじやないかというお話がありましたが、そういう名前がかわつたから急に偉くなつたのじやないということは、今後指導したいと思うのでありますが、もともと相互銀行は、いわゆる無尽の発達したもので、ほんとうの相互的なものでございますから、やはりこの精神に徹せしめて行くことが必要であり、また金庫とかわりましても、もともとこれは組合金融から出ておるものでありますから、この点についても、十分その心構えを、そういうふうに持つてもらわなければならぬと思います。そうしまして、国民金融公庫とか、政府がやつておる中小企業金融公庫とか、あるいは今度の農林漁業金融公庫というようなものと相まちまして、十分庶民金融機関としての役割を果してもらわなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。
なお金庫という名前を使つてはいかぬということに今度いたしましたのは、名前を使つて、いわゆる金庫まがいのものが一般の人を誤るおそれもありますので、そういうあやまちをさせぬように、世間を誤らせないようにという心持でやつておるのであります。名前がよくなつたら、どうも急に格上げになつたという心持で庶民金融をなおざりにすることは、一種の自殺論法になつて来ますから、その点についても当業者を指導したいと考えます。なお今後とも、御趣意の点はよく徹底するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/113
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114・福田赳夫
○福田(赳)委員 今この法案の実行上、為替を相互銀行については二つ、三つくらいしか許さないという大臣のお考えのようであり、その前提といたしましては、相互銀行というものは昔の無尽会社であるというお考えのようでありますが、これは非常に根本的な考えが違われるのじやないかと私は思います。これは、ぜひひとつもう少し御検討願つて、そうして、どうあるべきかという問題について、根本的な断を下されるよう切望いたします。私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/114
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115・坊秀男
○坊委員 関連して……。ただいま大蔵大臣の福田委員の質問に対するお答えによりますれば、今度相互銀行法を改めて、相互銀行に対して為替業務を取扱わすという法律をきめるが、法律はきめても、その実施にあたりましては、わずかに二つか三つの相互銀行に為替業務を許すという結果になるようなお話でございます。六十も七十もある相互銀行の中で、二つか三つの相互銀行が為替を扱うというために法律をきめるということは、これは私は非常におかしいと思う。少くとも法律をきめる以上は、六十なり七十なりの相互銀行の中で、例外のものはこれは為替は扱えない、しかし原則としては、相互銀行は為替を扱えるというような趣旨でなければ、本法律をきめるということは非常におかしいと思うのです。もしも相互銀行の中で、恵まれた特定の二、三の相互銀行だけが為替を扱えるというようなことになるならば、この相互銀行は、普通銀行にならすという方向に持つて行つた方が妥当じやないか、かように考えるのですが、大臣の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/115
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116・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ちよつと私の言葉が足りなかつたのですが、それは現在のままでの状況だと、二、三行くらいじやないかというのであります。しかし実情に即して、これを許さなければならぬ分も相当出て来ると思います。またやはり法律をつくるときには、今こうだからといつても、やはり先のことも多少見なければいけませんから、それで私どもそう考えておるのでありまして、二、三行ということは、銀行局長も言つた通り、今はこう言つたけれども、将来を見通すということになりますと、言葉として申せば、実情に即して許可をする方針である、こういうふうにおとりを願うのが一番よかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/116
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117・坊秀男
○坊委員 ただいまのお言葉によりますれば、現在は二つか三つかもしれない、将来になると、これがあるいは五つになるか、十になるか、二十になるというようなお話でございますが、そういうことなら、今二つや三つの銀行のために法律をきめずに、将来機運が熟して、十なり十五なり、あるいは二十なりというものが認められるということになるまで法律を——私は与党でございますけれども、そういう筋の通らない法律ならば、私は延ばしたらどうか、かように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/117
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118・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 よくわかりますが、私の申しておる意味は、実情に即してやつて行こうというのでありまして、将来というと、何か先の長い話のようにおとりになりますが、これはそうじやない、今というのは、この法律案をつくつたときにはそういうふうに考えられておつたけれども、これから先、これを適用して行く上においては実情に即してやつて行く、こういう考え方でありまして、言葉が適切を欠くかもしれませんが、厳格に数行と限るわけではございません。実情に即して緩和して行くという考え方をしておるのであります。またこれを適用して行くという考え方をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/118
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119・木原津與志
○木原委員 富裕税法の廃止法律案について、二、三お尋ねいたします。これを廃止するということの趣旨の中に、なかなか税金をとることに追われて、把握しにくいからということが廃止の理由の一つになつておりますが、一体昨年度の富裕税の徴収はどれくらいになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/119
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120・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 数字のことでございますので、私から便宜お答えさしていただきます。二十七年度の富裕税の決算見込みは、二十二億三千四百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/120
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121・木原津與志
○木原委員 そうすると、富裕税法を廃止しないで、本年度徴収するということになれば、その金額は大体どれくらいになると予定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/121
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122・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 富裕税を廃止しないで、現行法によりまして実行した場合の本年度の収入見込みは、二十七億五千百万円を見込んでおります。なお廃止いたしました後におきまして、前年のものが多少入つて参りますので、本年度は廃止後におきましても八億五千百万円、従いまして本年度だけをとつてみますと、この廃止による減収は十八億九千九百万円、こういう数字になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/122
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123・木原津與志
○木原委員 そこで大蔵大臣に一点お尋ねいたしますが、政府は本年度において一千億の減税をやるということを言つておられる。その一千億の減税というのは、政府の答弁するところによれば、税法上の減税であつて、実質的な減税ではない。われわれの見るところによれば、少くとも今年度の税の徴収は七千百億を越えておると思う。昨年度よりも大体二百億以上の増税ということになつておる。なかんずく本年度における税徴収の予定から見ますと、昨年度よりも勤労所得、すなわち個人所得、その他物品税のごとき税等、いわゆる大衆課税において昨年度よりも増税になつておる。この大衆課税というのがどれほどつらいものであるか、辛いものであるかということは、先ほど井上さんからも詳細に峻烈な質問がございましたから、それを繰返しませんが、こういうように減税だといいながら、昨年よりもなお実質的に二百億以上の増税をし、その増税が、なかんずく勤労所得及び物品税というような個人所得の面において増税というようなことになつておる。一方において、こういつた大衆課税において増税をしながら、富裕税において昨年度二十二億、本年度においては二十八億からの税がとれるという見込みであるにかかわらず、この富裕税を廃止するということは、どうしてもわれわれとしては納得が行かない。政府は財源がない、財源がないということをいつも言つておられるが、こういうような富裕税を廃止しないで、とれる税金をとつてなお財源がないというのだつたら、われわれも納得するけれども、とつてもさしつかえない税金をこういつた方面からとらないで、しかも大衆課税の形においてとるといつたようなことは、少くとも徴税において公平な措置でないと考えるのであるが、その点について、大蔵大臣はどういうようなお考えを持つておられるか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/123
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124・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 今税制上の減税といわれましたが、所得が一方でふえて参りますから、現在の税法をそのままやつておれば当然払うべきものを、改正することによつて払わなくなるのでありますから、現在の税法のままで行くのに比べて、一千二十三億というものが減税になることは、よくおわかりだと思います。現在の税法を続けておれば払わなければならぬ。それを払わぬでいいのでありますから、前年度の税収と比べてということではございませんので、現在の税法をそのまま続けて行くとすれば、それは今のように所得の増加等がありまするから、そういうふうになつて参ります。それからさらに実際問題として考えれば、物価は横ばい、または下向きの傾向にありますので、私どもは納税者のその点に対する負担は減つておると見ます。一方で千二十三億ですか、減税をいたすのでありますから、これはやはり減税といつて何もさしつかえない、こう思うのであります。前年度よりの減税という意味じやありません。現行税法のままでいえば、そういうふうになるということは、これはどなたがお考えになつてもおわかりだと思います。
次に、今の富裕税についてのお話でございますが、この富裕税は、御承知のごとく所得と何も関係なきものであります。従いまして、所得のないものでも税金を払わなければならぬ、そこに非常な不合理があるのであります。そこで今度は、富裕税を廃止するかわりに、六十五というところまで税率を高める。六十五でありますと、さつき申した通り、地方税を合せて約七十七というところまで税金を払わなければなりません。そういう措置がとつてあるので、いわゆる富裕者に対する課税措置は十分に講ぜられておるのであります。この二つの点から、手数のかかるもので、しかも把握に困難なものである、しかも収入を伴わないものであるという富裕税のごときものは、廃止するのがしかるべし、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/124
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125・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣に質問しますが、今度九州の災害が非常に激甚であつたことは、御承知の通りであります。それから凍霜害のために、地方も相当困つておりまして、免税措置をしなければならぬところがたくさんあります。そこで、実際は今度被害を受けた九州その他の方面におきまして、相当収入が減つておるということは事実でございます。ところが、もし政府が自然増収を見込んでいなければ、今年度におきましては、当然税の収入が予定より減るはずでございます。そういう点についての見通しをどんなふうに持つておられるかということと、もう一つは、もし予定通り税収入がなかつた場合には、どういう措置をとられるのであるかということについて、大蔵大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/125
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126・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 これは大体数字の見込みにわたることですから、主税局長から答弁する方が実際的であろうと思いますから、主税局長をして答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/126
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127・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 九州の災害によりまして、相当の大きな被害があるわけでございますが、これがどの程度税収に響くかということにつきましては、今計数をまとめておりまして、まだはつきりした数字を実は申し上げかねることを遺憾といたします。毎年ある程度ずつ災害があるわけでありまして、現在私の方で見込んでおります数字は、前年の災害があればあつたその姿の実績をもとにしまして、そうしてその後の計数を立てておるわけであります。ただ今度の九州の水害だけを考えますと、そうした例年普通に考えられます災害よりも、それによる減は多いかと思いますが、しかし計数がまだはつきりいたしませんので、ちよつと何とも申し上げかねると思います。なお現在としまして御提案申し上げてあります歳入見積りが、自然増収を当然含んでおる姿のものだというふうにはわれわれ思つておりません。従いまして、それだけ災害があれば、この収入より全体として減るであろうかどうかという問題がすぐ出るだろうと思いますが、数十億ぐらいの問題であればそう赤字にならないで済むかもしれぬと思つております。なお歳入が予定通りできないということになれば、これは私どもの方の領分ではありませんが、歳出の方で節減を立てるとか何とかするか、あるいは別途財源を調達するかによつて予算のつじつまを合すべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/127
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128・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣にもう一つ質問するのですが、予算の編成上、大蔵大臣が責任ある予算をつくられたわけでありますが、これはいろいろ政治的な含みがございまして、今度は改進党さんと一緒に、御承知のように予算を組まれたわけです。確固不動な予算であれば、いくらよその政党が文句を言つて参りましても、それを踏襲するのが当然であります。大蔵大臣は非常に有能だといわれておりますが、まるきりそういうことにはつんぼさじきにされまして、ほとんど池田政務調査会長がやつておられるということでございますが、そういう点についてのお考え、あるいは政調会の線についてどういうようにお考えになるのか、これはぜひ大蔵大臣から確固たるお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/128
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129・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私としては、現在政府が出しておる予算が最善のものなりと信じでおります。しかしながら、国会においての修正の権能に対してかれこれくちばしを入れるべきではございませんので、国会の御修正には従おうと思つております。また国会についての修正案を政調会長、両方のいわゆる三役同士が話をすることは、これはまた私は何ら妨ぐべきものではない、かように考えておりますので、これはいろいろな批評もありましよう、しかし、今日私は区々たる批評は何とも考えておりません。今日の日本八千五百々の国民は、予算の一日も早く通過しで施行されることを希望しておるのでありますから、私は一日も早くこの予算の通過するようということだけを熱望しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/129
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130・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そうすると、池田さんが大蔵大臣をやつておられたときは、政府の通りに大蔵省の原案をやられました。ところが池田さんが政務調査会長になると、政務調査会長の方が大蔵大臣より強いというような結果になつて来るのでありますが、どうもわれわれは、今の大蔵大臣は有能だけれども気が弱いのではないか、これはむろん前の予算の関係もございますが、そういう点について、非常に不審に思つておる点がたくさんありますので、そういう点についての御見解をもう一回承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/130
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131・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 佐藤さんは同県人だから、ひとつ大いに大蔵大臣の気を強くしてやろうというので、御激励いただいたことと存じますが、私は自分の所信に向つて進んでおるのでありまして、何ら他の拘束を受けるわけではございません。この点ははつきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/131
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132・千葉三郎
○千葉委員長 苫米地君、大蔵大臣は他の委員会からたびたび催促を受けておりますので、お含みの上で御質問を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/132
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133・苫米地英俊
○苫米地委員 今委員長の御注意もありますし、また委員会の散会したあとの仕事も控えておりますので、一点だけお伺いして済ましたいと思います。ただこの際に申し上げたいのは、私の取上げている問題は閉鎖機関令の一部を改正する法律案であります。これは過去の国会において、長時間を費して質疑応答がかわされたのでありますけれども、何らの解決を得ないばかりでなく、ある意味からいうと、この法案が強化されているとも考える点があるのであります。本法案の提案理由に、最終的な処理体制を整えるのだとはつきり述べてあるのであります。従いまして、この国会においてこれをはつきり解決してしまわなければ、今後改善の余地がなくなりはしないかというおそれも感ぜられるのであります。そこで私は、後日に禍根を残さないために、徹底的にこの法案を検討し、今議会中に結論に達するようにいたしたいと思います。従つて、これは事務当局とお話合いをしただけでは解決しにくいと信ずる筋がありますので、御多忙でまことに無理なことであるかもしれませんが、必要に応じて大臣の御出席を願いたい。また時々刻々に展開して来るこの問題については、事務当局から常に情報をおとりいただきたいということを、大臣にお願いするのであります。同時に委員長に対しても、この問題は遷延を許さないのでありますから、多少の時間を要しても、ぜひこの問題を解決するようにおとりはからいをお願い申し上げます。私のきよう申し上げることはそれだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/133
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134・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 苫米地さんの閉鎖機関に対する御意見、まことにごもつともであります。私どもも戦犯が釈放され、いろいろしておるときに、ひとり閉鎖機関のみが残つておるということに対しては、たいへん遺憾の点を持つております。従いまして、この現状に即して国会の方で御修正になるならば、私はその御修正の内容いかんによつては、これに応ずる用意を持つておるということを、ここで申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X02219530715/134
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135・千葉三郎
○千葉委員長 次会は明十六日午前十時から開会することにいたします。
本日はこの程度で散会いたします。
午後四時三十八分散会
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