1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十日(金曜日)
午後二時十八分開議
出席委員
委員長 成田 知巳君
理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君
理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君
理事 原 茂君 理事 松前 重義君
理事 中村 梅吉君
庄司 一郎君 齋藤 憲三君
廣瀬 正雄君 柴田 義男君
松井 政吉君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
郵政事務官
(大臣官房電気
通信監理官) 金光 昭君
郵 政 技 官
(大臣官房電気
通信監理官) 庄司 新治君
委員外の出席者
専 門 員 吉田 弘苗君
専 門 員 中村 寅市君
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七月九日
山田村内電話を吹田電話局に移管切替えの請願
(淺香忠雄君紹介)(第三二二二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
公衆電気通信法案(内閣提出第九一号)
有線電気通信法案(内閣提出第九二号)
有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(
内閣提出第九三号)
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001・成田知巳
○成田委員長 これより開会いたします。
公衆電気通信法案、有線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案を一括議題とし、質疑を続けます。質疑は通告順にこれを許します。松井政吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/1
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002・松井政吉
○松井(政)委員 きようは主として予算総則を中心としていろいろお伺いをいたしたいと思います。資料をいただいておりますから、これに基いて質問をいたしたいと思います。
まず最初に、予算総則の電信電話公社に関する章の第十八条でありますが、これは災害復旧に充てるものを規定したものだと考えますが、災害復旧に充てる場合、この額において考えた災害の範囲、たとえば今回のような九州地方あるいは西日本において起つたような災害の場合もこれを使うのであるか。これだけでできるのであるか。そういう事柄について、額をきめた考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/2
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003・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは年々予算を組みますときは、もちろん通常大体毎年出て来るであろうというようなことを頭に置いておるのであります。もちろん今度のような突発の非常に大きな災害のあつた場合のことは、考慮しておりないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/3
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004・松井政吉
○松井(政)委員 わかりました。そうすると大体ここに計上されたのは五億円でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/4
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005・塚田十一郎
○塚田国務大臣 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/5
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006・松井政吉
○松井(政)委員 この災害復旧の五億円というのは、平常と見た場合の年間災害に対する復旧費、こう解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/6
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007・塚田十一郎
○塚田国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/7
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008・松井政吉
○松井(政)委員 それならば今回のような突発的な西日本並びに九州において災害にあつた場合の対策、それに使おうとする額、並びにこの際ついでにお聞きをいたしておきたいのですが、西日本、九州の災害は、どれだけの災害復旧の費用が見積られる程度の被害であつたかという、その被害状況がおわかりでしたら、ちよつと報告を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/8
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009・塚田十一郎
○塚田国務大臣 ただいまごく概算で見積られておる被害の金額は、十五億から二十億という境、まだ正確な数字はわかつておりません。それに対しまして予算の中にあります予備費の十一億が、大体それに当面充てられる、こういうように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/9
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010・松井政吉
○松井(政)委員 そうすると、予備費の十一億円はどの規定で使うことができるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/10
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011・塚田十一郎
○塚田国務大臣 予備費をこういう目的のために置いてあるのだということは、公社法の規定に根拠があります。公社法の四十五条であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/11
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012・松井政吉
○松井(政)委員 そうすると今度十五億から二十億の大体災害を受けた。しかし予算における予備費は十一億円だ、足らないということになります。そういう場合の措置はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/12
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013・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは十五億から二十億といのは概算の数字なんでありまして、それを復旧するのに、それくらいの金額がいるという数字ではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/13
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014・松井政吉
○松井(政)委員 そうするとこういうように解釈してよろしゆうございましようか。今災害にあつた十五億なり二十億円程度の災害の復旧のために、二十八年度予算だけで復旧ができない場合は、二十九年度予算にもまたがつて復旧をしなければならない、そういう予算措置を講じる場合もある、こういうように解釈してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/14
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015・塚田十一郎
○塚田国務大臣 復旧のうち、二十九年度以降に持越してもさしつかえないものは、御指摘のような解釈になると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/15
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016・松井政吉
○松井(政)委員 そうするとここでちよつとお伺いいたしますが、平常の建設勘定にうたわれておる建設資金と、こういう特殊的な災害の場合にあつたものとの、今年度の予算で足らない場合に、二十九年度において行う、そういう場合は予算として扱う場合はどのような形になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/16
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017・塚田十一郎
○塚田国務大臣 予備費で足りませんければ、流用の可能の範囲では二十八年度予算から流用して行く場合もあります。それもできないで、さらに復旧を延ばせないということであれば、補正予算を組まなければならないと考えます。延ばせるということであれば二十九年度以降に延ばす、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/17
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018・松井政吉
○松井(政)委員 災害のところでは大体わかりました。
それから十九条、二十条の内容についてちよつとお伺いをいたします。十九条、二十条は主として役職員の給与と交際費を規定したものだと考えられますが、これは事務当局でけつこうでございますが、職員給与の中で役員と考えられるものの額、それから純然たる現場といいますか、それに携わつておる実在人員とそれから額、これがおわかりでしたらお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/18
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019・金光昭
○金光政府委員 ただいまの御質問にお答えすべきこまかな資料を、ただいま手元に持ち合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/19
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020・松井政吉
○松井(政)委員 それでははなはだ恐縮ですが、大体のことでよろしゆうございますから、簡単な資料を次回までにいただきたいと思います。これは私はあえてはつきり申し上げておきますが、その資料は質問の材料として使いたいのではなくて、公社の経営内容から来る費用の分布を見たいのでありますから、これはぜひ御提出を願いま
それから次に移りまして、お伺いを申し上げますが、その次の二十一条、これは御承知のようにいろいろ債券の問題、それからそれに対する公募の発行限度額、そういうものをすべて規定いたしておるのでありますが、私が最初この項目についてお伺いをいたしたいのは、二段の方にうたつてありますこの内容であります。「公募により発行する電信電話債券の発行価格差減額を補填するため必要がある場合においては、前項の制限を超えて電信電話債券を発行することができる。」こううたつてあります。これは大臣にお伺いいたしますが、こういう場合は一体どういう場合であるかということが一つ、こういう場合にこれをやるのだということがはつきりいたしておらなければ、この項目はないはずでありますから、それははつきりいたしておると思います。その場合に、今度は予算にうたつてあります債券の発行額並びに借入金の限度、そういうものとこの規定の金額の扱い方において、これを適用した場合の矛盾等が起きることが予想されます。その場合の処理をどのようにお考えになつておるか、これをひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/20
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021・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは御承知でもいらつしやいますように、たいてい割引発行というものをいたすのであります。たとえば百円のものを九十八円というように売りますと、その差額二円というものが1結局公募が七十五億といたしまして、七十五億の二%というものが現実の収入において減るわけであります。そこでこの七十五億の額に到達するまでのその差額を、さらにこの第二項でもつて起債をしてもよろしい、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/21
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022・松井政吉
○松井(政)委員 そういたしますと、私のお伺いしておる点は、大体本年度の電通公社予算というのは、五箇年計画に基いて、五箇年計画の第一年度の資金計画が織り込まれておるものである。その中に、予算総則にうたつておる七十五億というものは明瞭に、要するに五箇年計画の第一年度の二十八年度に出ておるわけです。にもかかわらず、二項を適用するような情勢が起つて来た場合とは、一体どのような情勢であるか。今度はそこで訂正をされた五箇年計画の第一年度、並びに予算案の中における資金計画との数字に食い違いが出て来る。その場合はどのように処理なさろうと考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/22
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023・塚田十一郎
○塚田国務大臣 御指摘になつておる点は、結局七十五億以上債券が出た場合に、それに対する金利負担、そういうものの措置をしておるかどうかということをお尋ねになつておると思うのでありますが、結局予算の上には七十五億の資金を外部から公募の形で仰ぐ、こういうことになつておるわけであります。ところがその七十五億の資金を外部から仰ぐ場合に、金融市場の状況などで、どうせ百円が百円で売れないものでありますから、割引発行をする。そうするとその差額というものを、どこかからさらに公募で追加をすることができるようにしておきませんければ、この七十五億というものが確保できない。ですから、その差額を第二項によつてさらに追加発行しまして、初めて予算の上に書かれておる七十五億の外部資金が出て来る、こういうように御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/23
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024・松井政吉
○松井(政)委員 その場合はわかりましたが、その逆の場合があるかないか、もう全然逆の場合はない、従つてそのための措置だけでよろしい、こうお考えであるのかどうか、これをひとつはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/24
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025・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは金融界の常識として、そういう逆の場合は考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/25
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026・松井政吉
○松井(政)委員 そうすると、その上に一時借入金の最高限度をきめております。この一時借入金というのは、本年度の予算の中においてどういう形のものであるか、それをひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/26
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027・塚田十一郎
○塚田国務大臣 公社の事業を運営して参ります場合に、収入と支出が時期的にずれて行くことがあり得るわけであります。物を買いますとか、給料を払いますとか、その時期に必要な資金が公社の収入としてない場合に、運転資金として借り入れる額の最高をうたつてあるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/27
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028・松井政吉
○松井(政)委員 わかりました。そういう場合のあり得ることは当然でありますから、それをうたつてあることはわかりますが、その場合の借入先、これはどこでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/28
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029・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは国庫余裕金と預金部資金を借りるという……。公社法の六十五条にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/29
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030・松井政吉
○松井(政)委員 公社法六十五条の規定に基いて、預金部資金を一時借入れすることが可能でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/30
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031・塚田十一郎
○塚田国務大臣 間違いました。これは日本銀行からでも市中銀行からでも、どちらからでも借り入れてよろしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/31
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032・松井政吉
○松井(政)委員 それならはつきりわかります。
それから次にお伺いいたしたいのは第二十二条であります。この二十二条には「日本電信電話公社において、事業量の増加により、その収入がこの予算において予定した金額に比し増加するときは、郵政大臣の承認を経て、その増加する収入金額の一部を、事業のため直接必要とする経費の支出に充てることができる。」こうありますが、その場合の具体的なものはどういうものなんでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/32
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033・塚田十一郎
○塚田国務大臣 具体的なものとおつしやるのは、たとえばどういう費用なら直接必要とする経費として出せるか、こういうお尋ねでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/33
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034・松井政吉
○松井(政)委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/34
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035・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これはたとえば資材を買います費用でありますとか、要するに収入増加を起すのに直接原因を与えるもの、こういうように御了解願えばいいじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/35
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036・松井政吉
○松井(政)委員 そうするとこれはたとえばでありますから、資材だけに限つたことはないと思いますが、直接必要とするものは何でもよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/36
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037・金光昭
○金光政府委員 ただいまの御質問にかわつてお答え申し上げます。直接必要とする経費と申しますのは、人件費につきましては、事業量が増加いたしますと、それに伴いまして、たとえば超過勤務を必要とする、あるいは宿直や日直を必要とするようなことが起り得るわけでございまして、それらの超過勤務手当あるいは宿日直手当を出す、あるいは物件費につきましては、臨時に非常に事業量が増加する場合に人を雇う。そのために賃金を支給するとか、あるいは事業量が増加いたしますと、それに伴いまして式紙類やあるいは庁中備品というようなものも必要である。そういつたような庁費的なものがこの直接必要とする経費というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/37
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038・松井政吉
○松井(政)委員 それで明らかになりました。
それでは次の項でありますが、公社において「公募以外の方法により発行する電信電話債券の収入が、別冊甲号収入支出予算において予定した金額に比し増加したときは、郵政大臣の承認を経て、これに相当する金額を電気通信施設の建設改良費の支出に充てることができる。」こういうことになつておるのです。そうすると、これはどういう場合に起き得る現象であるか。それからそういう状態が起きた場合に「これに相当する金額を電気通信施設の建設改良費の支出に充てる」、これは建設改良費でありますから、予算上の建設勘定に抵触して参ります。その場合の扱いをどのようにお考えになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/38
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039・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは御承知のように、建設の財源に充てますのに加入者の負担になる、加入者に持つてもらう公債があるわけであります。それが一応予定としましては、御承知のように予算に四十八億と二十八年度はなつておるのであります。二十一条には八十五億という数字でそれが載つておりますが、この四十八億と八十五億との間の三十七億というものがゆとりとしてこの予算の上に出ておるので、それを使つてもよいというのがこの二十二条の今の二項の規定になる、こういうふうになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/39
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040・松井政吉
○松井(政)委員 それを使う場合には、ここに例記してある以外の資金の方には使えない、建設改良費以外には使えない、こういう解釈でよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/40
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041・塚田十一郎
○塚田国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/41
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042・松井政吉
○松井(政)委員 次の二十三条でありますが、ここでは少し詳しく御説明を願いたいのであります。二十三条は御承知のように公社法七十二条の規定を中心として、もろもろの給与関係を全部うたつておるものであります。その総額が約三百二十五億二千万円、こういう数字が出ております。そういたしますと、この総額は現在の計算であるのかどうかということを最初にお伺いいたします。現在という私の意味は、今出されておる予算を編成した当時の金額であるかどうか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/42
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043・塚田十一郎
○塚田国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/43
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044・松井政吉
○松井(政)委員 それならば、予算編成当初の考え方にも及んで参りますが、これが予算編成当時に出しておる額だといたしますれば、ベース・アツプその他の手当等の必然状態が起つた場合は、どのようにお考えになつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/44
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045・塚田十一郎
○塚田国務大臣 その場合には当然給与準則がかわつて参るわけでございますから、この額が変更して参らなければならぬ、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/45
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046・松井政吉
○松井(政)委員 その場合は給与準則が変更いたしますから、この予算総則の数字もかわつて来る、こう解釈してよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/46
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047・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これはかわらざるを得ないと御解釈願つていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/47
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048・松井政吉
○松井(政)委員 次に三百三十五億の予算総則にうたわれおるもろもろの手当の内容について聞きたいと思うのでありますが、資料がございますならば御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/48
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049・塚田十一郎
○塚田国務大臣 予算書の百三十六ページに明細を書いておりますから、ごらん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/49
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050・金光昭
○金光政府委員 私から給与総額の各区別につきましての金額を読み上げて御説明申し上げます。各勘定別の区別は一応省略いたしまして合計だけ申し上げたいと思います。
役職員給が二百六億一千七百六十二万五千円、扶養手当が十三億一千三百二十八万円、勤務地手当が三十二億八千五百一万五千円、超過勤務手当が三十九億七千四百十八万円、宿日直手当が一億一千百九十八万九千円、特殊勤務手当が五億六千百五十八万一千円、寒冷地手当が二億六千四百四十八万四千円、石炭手当が一億三千百七十七万五千円、期末手当が二十一億六百六十一万八千円、奨励手当が十億五千三百三十八万三千円、小計三百三十四億一千九百九十三万円、休職者給与がほかに一億七十九万四千円、先ほどの小計と合計いたしまして三百三十五億二千七十二万四千円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/50
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051・松井政吉
○松井(政)委員 予算総則は給与準則によつてこの額をきめた、そういうことになつております。ところが予算の基礎となつた給与準則を実施するために必要を生じた場合においては、やはり予備費を大臣の許可を得て使用することができる、こうなつております。そこで一番先の災害の問題にもどりますが、年間における平常の災害が五億円ということを予算総則できめております。ところが西日本、九州のような突発的な災害のときには予備費を使う。予備費は十一億でありますが、九州、西日本等の災害は十五億から二十億と今大臣がお答えになつた。そうするとここにまた総則においては予備費をこの場合にも使つてよろしいということになりますね。そういう形になりますと、災害とこつちの方とに予備費を使う場合には足らない。災害の場合に、先ほど私が念を押したところ、二十八年度予算の予備費で足らなければ、二十九年度予算に編成して復興建設を急ぐ場合もある、あるいはそれで遂行する場合もあるという。それはその通りなんですが、予備費を使わなければならない状態が起つて、大臣の認可を得る場合の予備費というのは、二十九年度に繰越すことのできないものだと思います。しかし本年度そういう事態が起らぬとは限りません。仮定の議論でありますから、仮定だと言われればそれまででありますが、その場合本年度の十一億の予備費というものは一体災害に使うか、それともこの場合にも大臣は承認を与えるか。このことについてひとつ明瞭にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/51
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052・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この予備費を規定しております公社法の規定の趣旨、それからこの予算総則の二十三条のものの考え方から言いまして、私は予備費というものはやはり原則として災害やなんかに充てらるべき性質のものであると思います。しかし公社の予備費は国の予算の予備費と若干感じが違うのでありまして、そういう目的のために設けてあるものではあるが、ゆとりがあつた、そしてこちらにこういう必要が起きたという場合には、この面からも出し得るというように書いたものであつて、予備費をどちらに重点を置いて使うかということになると、これはやはり災害の復旧というものに重点を置いて使うという考え方で行かなければならぬのではないか、こういうように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/52
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053・松井政吉
○松井(政)委員 そういたしますると、もう一つそこにまた問題が出て参りました。この予算総則のその次の項には、前項の規定にかかわらず、大蔵大臣と協議して定めるところにより、郵政大臣の承認を経て、収入の増加をした場合、それは職員の能率向上のために給与的な形態に使つてよろしいということがあるのですが、これはどういう形で能率を上げた場合に起り得る現象であるか。それから給与総額を変更することができるということでありますが、給与総額を変更する状態というのはどのような場合でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/53
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054・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この一項の但書のところと二項との関係でありまするが、一項の但書の方はどこまでも普通の状態で言つておる。しかもこの三百三十五億の内容になりますものは、そこにも書いてありますように、役職員の給与、扶養手当その他幾つかの手当などがありますので、その中には必ずしもきちつと数字の出て来ないものがある。そういうものが、日常の業務の運行の上に、予算で考えていたよりもよけい出て足りなくなつた場合には、これで行け。しかしさらに二項に規定してあるような事情が生じたならば、その理由によつてまた給与総則を変更してその額まで出してもいい、こういうようにお考え願つたらいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/54
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055・松井政吉
○松井(政)委員 これは「職員の能率向上による企業経営の改善によつて収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減したときは」とあるのですが、そのような状態は現在の公社の実態から、大臣が見てどのような場合に起り得るか、こういうことを私は先に聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/55
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056・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは予算で組んであります収入よりも、よけいに収入が出て来れば、一応そういう認定がつくと思うのであります。また予算で組んである経費をそれだけかけずに上げるという結果が出て来れば、そういう認定ができるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/56
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057・松井政吉
○松井(政)委員 予算に組んである数字を上まわつた場合は、認定しなくても現実に現われる、今の公社の予算の中で、公社の諸君が必死に努力しても、この条項がりつぱに適用されるような状態はあり得るかどうか、あり得るとすればどのような状態であるか、これを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/57
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058・金光昭
○金光政府委員 大臣にかわりましてお答え申し上げます。二十三条第二項の、いわゆる能率向上による収入の増加でございますが、この予算に見積ります場合には、収入というものを一応なるべく確実な数字をもとにして組むわけでございます。しかしながらそれを組んだ後におきましても、職員の能率向上によらないで通数が増すというような、いわゆる自然増という分野も、やはりある程度考えざるを得ないわけであります。それと、職員が努力して収入がふえるといつた両方の面があるわけでございます。予算から一銭でも超過したもの全部が能率向上によるとだけは見得られない場合もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/58
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059・松井政吉
○松井(政)委員 それならば、それと臨時に支給することができる給与の限度額との関係は、一体どうなりますか。能率を上げた場合に支給するものは、この額にとらわれないでいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/59
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060・金光昭
○金光政府委員 ただいま松井委員のおつしやいました臨時給与は、おそらく二十四条に規定してあることをおつしやつたと思いますが、これは二十三条とは全然別のことでございまして、これは能率向上とかいうようなこととは、全然別の、要するに経済上の変動その他の事由に起因する場合のことを規定したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/60
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061・松井政吉
○松井(政)委員 そうすれば、経済上の変動によつて臨時に支給する額をきめたのが二十四条ですから、それ以上を二十三条の但書が越えてさしつかえない、これには全然関係ない、こういう解決をしてよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/61
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062・金光昭
○金光政府委員 二十四条と二十三条とは全然別のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/62
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063・松井政吉
○松井(政)委員 二十三条の但書は別のものだということが明瞭になりましたが、そこは二十三条で出せるものを二十四条でごまかされる危険性があるから、はつきりしておかなければならぬ。これは二十四条にこだわらずに、能率が上つた場合に出すということがわかつたのでありますが、それをよけい出すという場合に、なぜ郵政大臣が大蔵大臣に協議しなければならぬのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/63
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064・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは今の予算の立て方が、御承知のように公社職員、それから一般公務員のうちでも公企労法の適用を受けるもの、それからその他の公務員というように、一応給与のバランスというものは絶えずとつておるものでありますから、公社独自でおきめになつて、やはりそういう面において困ることができるかもしれないので、一応郵政大臣に相談してもらう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/64
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065・松井政吉
○松井(政)委員 これは愚問かもしれませんが、この場合の協議は、パーセントでいえば郵政大臣の方が八であつて、報告的な協議でございましようか、それとも各公社並びに公務員等のバランスの上からということで、この場合の協議は大蔵大臣が主となるのでございましようか、その点をはつきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/65
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066・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは規定をごらんくださればわかるように、予算自体が、公社の予算は郵政大臣が指導権を持つておつてしておるのでありますから、他の公社とここのところが非常に違うところと私は心得ております。郵政大臣の方が指導権を持つておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/66
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067・松井政吉
○松井(政)委員 そうでなければならないけれども、ややもすれば大蔵大臣になる危険性がある塚田さんだから、私は念を押しておきます。郵政大臣当時はそうでしようが、次の時代に大蔵大臣にでもなつて、これは大蔵大臣が主となつてやるのだと言われては困るから言つておくわけですが、その場合に協議をする必要がないと思います。その点は見解の相違です。これはなぜかというと、この規定は普通の経営状態によつて余つた金じやないのです。これはやはり職員の諸君が能率向上のために働いたり、経営責任者の方が経営上非常に節約をして生んだ場合の金ですから、その場合に大蔵大臣と協議しなければならぬということは一体どういうわけでしようか。ベースではないのですから……。要するにその一つの企業体の職員が必死に働いて能率を上げた場合、経営者の方が節約に努力して浮いた場合、その場合は全体の基本的ベースのバランスに関係のないものです。それをなぜ大蔵大臣と協議しなければならぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/67
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068・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は郵政大臣の場合には、所管は電通公社だけしか考えられないのでありまして、大蔵大臣に協議をいたします場合には、その他の公社、その他の同じようなこういう弾力条項を持つておるものとの振合いを見るという意味において、一応大蔵大臣の意見を聞いて見る必要があると考えるわけであります。しかし御指摘のようにこの余裕を生じたもの自体が、本人らの公社側の努力にあるのでありますから、事由のある場合には協議をしても、必ずこれは許可されるべき性質のものである、そういうように私は了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/68
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069・松井政吉
○松井(政)委員 これは公社側に聞くのが妥当かもしれませんが、公社側でなくてけつこうです。むしろ政府の方から聞きたいのでありますが、三百三十五億というものは予算料目の中においてきめられおるもろもろの科目の中に、人件費が含まれておる場所があるのです、そういう場合の人件費の額はこれには関係ないかどうか。たとえば建設勘定の中、あるいは営業費勘定の中、あるいは改良費全額として資産に計上される場合には、人件費はこれに集約されておるか、おらないかということをお聞きしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/69
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070・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これはこの三百三十五億という数字が費目別には役職員給与、手当と同時に、各勘定別には損益勘定、建設勘定、貯蔵品割掛勘定、工作勘定というようにあるものを全部集計したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/70
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071・松井政吉
○松井(政)委員 あらためてお伺いしますが、それは全部集計したものであつて、これがもろもろの勘定から持つて来た全額と、こういうことでよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/71
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072・塚田十一郎
○塚田国務大臣 さようでございまして、これ以外には給与として出せるものはない、こういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/72
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073・松井政吉
○松井(政)委員 一番最後にもう一項聞く点がありますが、ここで総体的にお伺いします。この政府関係予算を規定した予算総則の中で、日本専売公社、国有鉄道、電信電話公社と内容が違つておる重要点はどこでございましよう。もつと具体的に申し上げますれば、日本国有鉄道の場合は、日鉄法第何条によつて云々という総則ができなければならないはずであります。電電公社は公社法第何条の規定によつてということで、もろもろの総則がうたわれるわけであります。そうすれば本来の法律の内容が違つておりますから、予算総則は当然違つて参りますが、日鉄や専売公社と比較して、重要な相違点は主としてどこでございましようか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/73
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074・金光昭
○金光政府委員 この点は、全部詳しく目を通したわけでないので、多少の見落しがあると存じますが、たとえば日本国有鉄道をとりますと、これは運輸大臣が一応監督をしておるわけでございますが、予算につきましては、現在の国鉄法では大蔵大臣が調整権を持つているわけでございます。それらの点にからみまして、たとえば国鉄で申しますと、事業量の増高に伴いましにて、収入金額の一部を事業のために直接必要とする経費に支出するといつた場合につきましては、電電公社の場合は郵政大臣だけの認可で済むわけでございますが、国鉄の場合には大蔵大臣と協議する。それから貯蔵品の保有高の限度につきましても、限度額をきめておりますが、この限度を越える場合等につきましては、やはり国鉄の場合には運輸大臣が大蔵大臣と協議して承認するといつたように、個々の場合につきまして、運輸大臣が自分限りで、これをなし得ない。すべてこういうものにつきましては大蔵大臣と協議するといつた面で、大蔵大臣が予算の調整権を持つていることとあわせまして、大蔵大臣の権限というものが、予算総則の中においても強化されている点が違うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/74
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075・松井政吉
○松井(政)委員 そういう考え方からしても、先ほどの大蔵大臣と協議するというのは、どだいけしからぬということになります。それほどのものの考え方で予算総則がつくられているとすれば、国鉄や専売公社と違つて、幅のある、公社としてはやりいいような——この予算総則の中にそういう条項もあることをわれわれは否定しませんが、これはかなり制限をつけた総則になつているわけでございます。そうすれば、私は商売人でないからわかりませんけれども、最後の二十六条にきめた貯蔵品の限度額等が明確に制限された数字となつておる。これは直接やつている公社当局に聞かなければはつきりわかりませんけれども、少くとも五箇年計画において当初四百六十一億円の金を使つて建設をやろうとする場合に、貯蔵品の限度額等を越えてはならないという制限を受け、さらにそれ以外の制限を受けて、営業執行の場合に支障がないものであるかどうか。私は商売人でないからよくわかりませんが、こういうものはいらないのじやないですか。監督権が郵政大臣にございますから、特別にこういう規定でこまかに、建設中の資産が何ぼ、完成された建設の資産が何ぼ、さらにはそれに必要なる貯蔵品並びにもろもろの物というようなものを、すべて監督で見るわけですから、特に予算総則で規定する必要がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/75
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076・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これはもちろん個々には見ておるのでありますけれども、しかしなかなか目も届き切れませんし、大体の最高限というものは、やはりそれを越えないという意味において、もう一つ総括的な監督をしておくことが非常に必要だというように考えるわけであります。もちろん事業会社でありますから、これがあまりきゆうくつであつて、事業の運営に非常にさしさわりがあるというようなことがあつてはいけませんから、この額を決定いたしますときは、多少のゆとりを見ておかなければならないと思うのでありますが、あまりこれを野放図にいたしまして、たくさんのものを買い上げる、ことに物価の変動でもはげしいときには、先行き上るというような見通しをしてたくさんのものを買つた場合に、逆に下つたというようなことになつて、公社の経営を危殆に陥れるようなことがあつてはならないという考え方からであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/76
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077・松井政吉
○松井(政)委員 考え方はわかります。私も同じ考えでありますが、特に規定する必要があるかどうかということを聞いたのであります。考え方は当然そうなければ公社はやつて行けませんから、考え方はよろしゆうございますが、私はこういう規定はいらないのではないかと思う。しかし監督権は郵政大臣に全部あるのですから、監督権がある立場において、さらにこの条項が必要だということはいらないのではないか、こう言うのであります。それは当然大臣のおつしやる通りに、すべて経済上の考え方をしなければいけない、それはわれわれの願うところでありますから、その通り公社当局はやつていただきたいのだけれども、この条項は予算総則の中できめるということはいらないのではないか。これは私の意見でありますから答弁はいりません。
それから予算総則と予算に関連をしてでありますが、これは同僚委員がおそらくお伺いしておるのじやないかと思いますけれども、一応お伺い申し上げます。公社当局には別の機会に質問することにしまして、主として大臣にお伺いします。
本年度の予算の中で、前年度と比べて、非常に目についてふえておるものは、歳出の面で減価償却と利子及び債券の取扱に関する費用が非常にパーセンテージがふえておる。そういうところが極端にふえたために、予算全体の編成の上から歳出が増すわけですね。そこで五箇年計画の建設勘定四百六十一億円、これはそのまま踏襲しようといたしますから、そこへもつて来て、かてて加えて預金部資金等政府からの貸出しは、本年度は一銭もやらない、こうきめつけたために、そういうもののしわ寄せが電話料金の値上げとなつて来ておる。こういう結果になつておるように思われるのです。収入増のところにおきましても、料金値上げの収入は目に立つて額が多くなつておる。従つてこの減価償却が昨年より極端にふえた原因、利子及び債券の取扱費がべらぼうにふえた原因、それから今度は利子、債券の取扱いのところで、ふえた内容とその利子を支払うべき相手方、これの大要をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/77
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078・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは減価償却が非常にふえたから、借金をよけいしなければならなくなつた、減価償却が非常にふえたにかかわらず、預金部資金からの借入れがなくなつたから、料金の値上げをしなければならなくなつたというように、御理解くだすつておるならば、それはそういう関係ではないのでありまして、要するに収入の中から外部へ出てしまいますものを全部引いた残りを、ほんとうの純益という形でもつて繰入れるか、減価償却という形で社内保留にいたしまして繰入れるか、とにかくそういう関係になつております。従つて減価償却がふえたということ自体は、それだからして料金を上げなければならなくなつたということではないのでありまして、減価償却がふえましたのは、今までも大体公社の経理の状態が、あれだけの大きな設備を持つて使つておりながら、一般企業として考えるならば非常に償却が少な過ぎる。従つてずつとあの状態で行きますならば、あの設備が完全に使えなくなつたときには、新しい修復、補給というものが全然できない形になつてしまう。それで公社になつたという形を十分に頭に置きながら、少くともあれだけの設備を普通の企業として考えるならば、どれくらいの減価償却を考えておかなければならないかというような考え方から、この数字をはじき出したわけであります。従つてこのふえたという数字は、減価償却という形で収入を公社内部に留保しておきまして、そうしてそれを建設資金に繰入れる。それからその残余の部分は、事業からの繰入れという形で建設資金に繰入れる、こういうことに御了解願いたい。それから利子が非常にふえましたのは、ことしからあの計画で公募があり、それから加入者から債券を持つてもらいますものがあり、とにかく加入者から持つてもらいます債券と公募とを含めまして約百三十億くらいの外部負債がふえますから、それに対して当然金利を見なければならない、こういう関係になつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/78
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079・松井政吉
○松井(政)委員 減価償却は数字としていじつただけではないでしよう。大臣は今そういうように内外には関係ないとおつしやるのですが、ほんとうに関係ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/79
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080・塚田十一郎
○塚田国務大臣 どういうお尋ねなのでありますか、全然今申し上げた考え方に間違いはないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/80
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081・松井政吉
○松井(政)委員 要するに従来減価償却費が早くいえば足らなかつた。国有国営のときには、ろくに減価償却をやらなかつたが、今度は公社になつたら必要な減価償却をやるのだ、そのための支出額がふえたのだ、こういうわけですね。そうすれば、今度は収入面において、たとえば資産額が減るか、いずれかの形が出て来なければならぬ。そうでしよう。たとえば償却がふえただけ減るわけでしよう。いわゆる負債、資産の勘定で行けばそういう形になるでしよう。それは損益勘定の分では直接値上げの関係にはならない。しかし全体の公社の経理を行う場合には、要するに極端な減価償却をするために、減価償却の数字をはじき出すためには、どこかにその部分が突き当つて来る。それは経営上の支障はないと御答弁されるけれども、それは経営上支障を来すことになるわけです。償却額がふえれば、償却額がふえただけ、たとえば、建物の額なら建物の額が減つて来るわけです。そうじやないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/81
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082・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは公社という法人格になつておりますために、純然たる民間のような損益の計算をいたしておらぬのであります。純然たる民間のような損益の計算をいたしておりますと、損益計算書と貸借対照表との関係で減価償却がふえる。それでもなおかつ若干の利益が上るという形になれば、それを目安に置いて料金値上げというものが当然出て来なければならぬ。そういうように考えて参りますれば、影響は出て来る。しかし公社の場合それをいたしておりませんので、むしろそれより四百六十一億という五箇年計画の第一年度のあの資金を、どこから確保するかということを考えて、料金の値上げによつてカバーする分と、外部負債によつて入れる分とで、その料金値上げによつてカバーする分を、一部分は減価償却の名目で入れ、一部分は利益の繰入れという形で入れる、こういう関係になるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/82
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083・松井政吉
○松井(政)委員 どれを減価償却の名目で一応入れようとおつしやるのですか、もう一ぺんお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/83
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084・塚田十一郎
○塚田国務大臣 それはむしろ、料金値上げは減価償却をするから、あれだけ料金値上げが必要になつたのではなくて、結局四百六十一億という金額を第一年度とした五箇年計画の二千七百七十二億という建設計画というものを、どうしても成就しなければならない。それでその資金を内部でまかなうか、外部でまかなうかでしよう。内部と外部と両方の資金でまかなうということを考えて、内部資金、外部資金のバランスをつけた。それで外部資金はあの公募と加入者に債券を持つてもらうものと、この約百三十億の金で、内部資金でまかなうのは、収入が八百億の中から、現実に給料その他で払う以外のものは、どちらにしても公社の場合には、公社の中に残る金であります。その残る金を、償却しなければ全部を剰余金という概念で建設費に繰入れる、そうでなくて全部一まとめにして、剰余金という形で繰入れずに、ほんとうはこれは償却すべきものであるから、そこでその全部のうちの一部分を償却に充てるという考え方で概念をしまして、同じようにやはり繰入れている、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/84
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085・松井政吉
○松井(政)委員 そうすれば、その剰余金として残ると——残つたためしはないが、減価償却しなければ剰余金として残しておいて、それを建設勘定に持つて行く、あなたの経理の考え方はそうじやございませんでしよう。そうなりますか。たとえば今大臣の答弁は、減価償却の額を減らせば、決算の結果剰余金としてそれが残るというのです。剰余額として残して、その剰余額は建設勘定に持つて来ると答弁されておるが、そういう形になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/85
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086・塚田十一郎
○塚田国務大臣 それはまさにその通りなんです。今度の二十八年度の予算のきめ方はその通りです。ですからどちらにしましても、収入から支出を引きました残りを建設勘定に繰入れるのですが、それを剰余金という形で全部一本で繰入れてしまうか、二本にして繰入れるか、そこで減価償却が今まで十分できていないので、この収入から総体の支出を抜いた、これだけは減価償却に当るべき金である、そういう意味において公社内部に留保されてある、それを建設に向けるという考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/86
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087・松井政吉
○松井(政)委員 そうすれば、本年度減価償却額がふえた部分、こう解釈していいのですか。減価償却の名目で償却しておいて、新たな建設、改良なり建設資金に予算面では入れておる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/87
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088・塚田十一郎
○塚田国務大臣 もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/88
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089・松井政吉
○松井(政)委員 あなたの言い分は、これはどちらでもいいのだが、経理上の問題だから、やはりここは審議をする場所ですからお伺いするのですが、私個人としてはどちらでもいいけれども、私が、減価償却額を極端にふやした、それから借入金の返済、利子等の科目がべらぼうに支出がふえている、そういうことは今年の高い電話値上げに影響して来はせぬか、こう言つたところが、あなたのおつしやるのはそれは値上げには影響せぬ。それで減価償却額がふえたのは、値上の関係ではない。それで減価償却額が極端にふえたのは、当然償却すべきものを今までやらなかつたからふえたのだ。もし償却額をふやさなければ、それは剰余金として残るのだ、結局剰余金として残つたものは、その場合には建設勘定へ行くのだ、こうおつしやるのですから、今度それをわれわれの考えでは、その考え方から行けば、減価償却としてふやした額は、逆に減価償却として支出面でふえておつて、今度収入面には建設勘定へ入つているんですか、こう聞いたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/89
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090・塚田十一郎
○塚田国務大臣 それは入つておるのであります。こういうぐあいに御説明申し上げたら、おわかり願えるかと思うのでありますが、普通の経理の場合ならば、減価償却を積み立てますと、それに見合うものは、やはりほんとうに経理を厳格にやりますならば、当該資産の勘定がそれだけ減りまして、それだけ収入の中から現金なり、預金なりでもつて残つて行く、こういう形になる。そういたしますと、その償却いたしました設備が結局零になりましたときに、その積み上げた金でもつて買いかえて新しくして行く。ですから厳格に言いますならば、この償却のために控除いたしておりますものを、新しい設備に使う概念とは直接つながらないのでございます。しかしそれを積み上げておく必要は毛頭ないのであるからして、その金をそういう形で今の拡充資金に使つていいじやないか、こういう考え方でおるのですから、これはもうどこまでも減価償却をしませんければ、剰余金で必ず建設勘定へ入つて行く、こういう関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/90
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091・松井政吉
○松井(政)委員 そうすれば、これは建設勘定へ入つて来る場合、やはり建設五箇年計画の間に四百六十一億円入つて来る、こういうことでございましよう。そうすれば、この建設勘定の四百六十一億のうちでお伺いしますが、減価償却で浮いた金というものは、新しい建設に使うべき性質のものであるのか、それともやはり建設改良費に使うべきものであるのか、そういう区別なく使つてよろしいか、この概念をお伺いしておきたい。しかもこの四百六十一億の中に、減価償却のふえた分が来ているとすれば、その四百六十一億の数字の上では、四百六十一億は今度は六十億になつた場合に、減価償却の額をふやせば建設勘定の額は満たされるということになるから、そういうことは健全であるか、不健全であるか、こういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/91
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092・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これはそういうように減価償却の額がふえるという場合には、収入がふえなければ減価償却の額はふえる元が得られないわけでありますから、それはそれによつて決して不健全な状態というものは出て来ない。もちろん減価償却は、今ある資産に対してあるパーセントかけて金額を出しておりまするからして、その金を何に使うのが一番正しいのかということであれば、それは現在の施設の改良——もちろん通常の維持費は減価償却などしませんで、その年の経費に落ちて行つてしまいますから、何ですが、そうでなければ結局積み上げて行つて、今ある施設がだめになつたときに、それを買いかえるというときに使うべき金なんでありますが、しかしそうして残しておく必要はないからして、新しい改良、拡充——主として拡充でありますが、むしろそれに使うというように流用しておるという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/92
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093・松井政吉
○松井(政)委員 建設勘定の中には、やはり電話の普及、サービスを徹底するための新しい建設と、それから改良の意味を持つた建設と、区わけすることができるのじやないですか。その場合に私がくどく聞くのは、今度の値上げの対象となつているのは、大臣は広い意味の解釈から、値上げとなつたものは四百六十一億の建設資金を獲得するためである、こう言われるのですね。それであることは間違いないと思うのです。間違いないと思うが、一面には建設勘定で使われる値上げの分は、加入者に負担させた分は、これは新しい建設に使うものではない新しい建設をやる場合には、別途の方法における建設資金を獲得すべきであつて、加入者に負担させたもの等は、改良設備に使うべきだという議論があるわけなんです。そうなつて参りますと、値上げをした分も改良設備に使う。減価償却をした分も古いものの償却をしたのであるから、その古いものの補給を改良設備のために使う。こういう解釈ならば、四百六十一億の建設勘定の内訳というものが区分けがつかないし、ただ四百六十一億を獲得するための操作としか考えられないことになつて、不健全性が出て来るわけです。だから値上げの分だつてそう明瞭に新しい建設だ、あるいは設備改良だと区別できるものであるかどうか、あるいは減価償却の分もそれだけ明瞭に区別されるものであるかどうか、実際の運用の問題としては非常にむずかしい問題だと思いますけれども、りくつの筋道はそいうところに立てないと、四百六十一億のうち、値上分の建設費が幾らであつて、それから外部から獲得する資金が幾らであつて、減価償却から来るはね返りが幾らであつて、それをまとめて四百六十一億だという説明の場合には、主として新しい建設にどの資金を使うかということが新しい問題になります。これはりくつとしては区別できますが、実際問題としては疑問だと思います。従つてそういう意味から行くならば、加入者に負担さすべきであるとか、そういう意味の値上げならば、加入者に負担さすべきでないという議論のわかれ目がそこに出て来るわけであります。だからそういう意味で聞いているのですが、そのために値上げの関係と、建設資金と減価償却との関連性があるかないかということを一番最初に聞いたのは、その意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/93
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094・塚田十一郎
○塚田国務大臣 だんだんお尋ねになつている焦点が、私にもわかつて参りました。そういう意味でもしお尋ねがあるならば、御承知のように四百六十一億は新しい整備拡充に使うとともに、現在のものの改良にも使うわけでありますから、それに充てられる意味で値上げをしたものの中にも、両方の要素が含まれると御了解を願いたい。つまり今度の値上げについては、将来の整備拡充をしませぬでも、今のような非常に少い減価償却では、結局資本の食いつぶしにおいてバランスがとれているという意味で、新しい整備拡充を考えませんでも当然不健全性があるわけでありますから、それを直す意味において、若干値上げがいるわけであります。その上にさらに今度の値上げにおきましては、将来の整備拡充のために必要な資金というものが考えられる。そうしてその必要な資金がなぜ現在の加入者に、加入料金の値上げという形で負担されなければならないかというと、それは整備拡充がそのまま現在の加入者にも利益をもたらすから、そういう意味においてその部分も負担していただいたらいい。そこでそういう意味において、値上げされたものを一々区別しておく必要がないし、また仕事も一々区別できるわけのものでもないから、整備拡充、改良の全般の計画にどんどん注ぎ込んで使う、こういう考え方をいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/94
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095・松井政吉
○松井(政)委員 そこで問題は建設五箇年計画に基いて新しく電話のふえる場所、早く言えば設備が新しくふえ、そうしてこれから必要とするものにサービスを提供するものと、それから電話はあるけれども、設備が古くなつたために聞えないで困る。これはやはり設備の改良ですね。そこで現在の電話を持つている加入者に負担をさせるその負担額というもの、値上げというものは、現在電話を使つているために便利を受けるその改良設備に使うならば、値上げは承服できる。これはやはり感情上の問題が出て来るわけですね。ところが現在電話加入者にべらぼうな負担をさせて、そうしてこれから電話を引いて、電話を利用することがこれからできる者の利益のためにやるということは、早く言えば不当の値上げじやないかというりくつはそこから出て来るわけです。それだから要するに建設勘定の中において、減価償却費としてはね返つて来る建設費の使い道と、値上げをされる分の使い道との理論上の、りくつ上の区別がないと、値上げを納得させる理論的な根拠というものは出て来ない、こういうことを考えるから、そのために値上げでもつて持つて来るというものは、あくまでもやはり設備の改良に使うのだというりくつが必要じやないか、こういうことなんですがね。そうじやなくて、新しい建設に使うのだということならば、現在電話を持つておる者のみの負担によつて、新しい建設費を持つて来るということは不当になつて来る。建設資金はよそから持つて来て建設せい、建設した後に対する減価償却に対する負担、そういうものの負担は加入者がやるべきだというりくつは出て来ますが……。そういうことにはなりませんか。そういうことならば今度の値上げというのは、一体どこに使うための値上げであるかということが、堂々めぐりだけれども、また理論となつて来る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/95
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096・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は私は松井委員と最初から少し感じが違うのでありまして、私は現在のものの改良に使われる部分だけが、現在の人たちが利益を受けるとは考えておらぬのでありまして、新しい人が新しく加入して来る、従つて加入者の数がふえる。また新しい線ができる、自分の電話が早く開通する、申し込んだのが向うへ通ずるというようになる。ですからこれからするプラス設備も、そのまま現在の加入者の利益にもなる。もちろん将来加入する人たちの利益にもなる。そういう面があるからして、電話事業の場合には、将来の拡充の費用の一部分も、現在の加入者に料金値上げの形で御負担願う理由があるのじやないか。ただ残念ながら、御指摘のように、四百六十一億の使い道も、新しい設備にどれだけ、今までの改良にどれだけというように、はつきりした概念構成をしておりません。われわれは数字の分類をしておりませんし、またこの値上げの料率のうちの何パーセントがその当然のものであり、その以外は新しい設備拡充のものであるというように、数字をはつきり出しておりませんし、またそのようには数字はおそらく出にくいと思うのでありますが、しかし考え方としてはそういう考え方で、整備の拡充にも現在の加入者に御負担を願うと、こういう考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/96
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097・松井政吉
○松井(政)委員 それは考え方が違うとおつしやられればやむを得ない。私はやはりその新しく拡張する拡張資金等は、現在の加入者に負担をさした料金等によつて行うべきものではない。拡張資金は他の方法によつて求めて来て、それによつて拡張して国民にサービスを与えた場合、たとえば新しく拡張したものの耐用年数幾らという経理上の計算の上に基いて、耐用年数、償却何ぼという正確なものが出て来れば、それをはじいて、何年間電話を使用していただけば、そこの拡張は何年間の耐用年数のときにはりつぱに改良建設ができるという、健全的な考え方の資金面というものが私は必要だ。従つて当面電話を持つているが、どうも聞えない、あるいは設備が老朽しておるという場合に必要なる改良設備は、現在の加入者にその資金を求めることはあながち不当とは考えない。新しく設備するための設備資金等を、現在加入している者に負担をさせるというものの考え方は、減価償却にも関係をして参りまするが、それは不健全だ、こう私は考えて、質問しておるのですから、その考えが違うといえばそれはそれまでです。それまでだけれども、私の考え方はそういう考え方でなければいかぬ。新しく拡張する部分については資金をもつて拡張して、その上に立つていわゆる料金を払う。払つてもらつた料金の中には、耐用年数に応じた厳格なる減価償却が行われて、その年数たつたときには、加入者が使つて便利を得ながら、払つた金額の中の減価償却というものは完成されておる。りつぱに健全財政のうちに保守改良はやつて行ける。従つて現在の加入者に値上げをしてもらう分は、現在の加入しておる電話設備の老朽あるいは悪いところの改良設備に充てるのだ、こういうりくつでなければ当を得ない値上げだ、私はこういう考え方で聞いておる。こういう考え方ですから、その考へ方が違うということになれば、経理上の根本的な考え方が違うのですから、どうにもしかたがありませんけれども、値上げ等を行う場合は、少くともそういう理論上の根拠が必要だと、私はこう思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/97
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098・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは公社のこの事業を完全な民間の事業として考え、従つてその背後に株主というものがあり、株主はいつかわるかもしれぬから、そのときどきに正確な原価計算をと、出て来た利益というものを配当でもらうという考え方からすれば、それは松井委員の御指摘になつた通りであります。私の考え方も同じであります。ただ私は、これは公社のやつております国家的な事業であり、そうして現在の日本の電話の状態というものは、とてもこのままでほつておけない。しかもこの整備拡充は、この四年や五年ではできるものではない。相当長期間に、また相当うんとやらなければならない。そういうように考えますときに、新しい整備拡充をするのだからといつて、それを全部外部資金でまかなつた場合に、公社というものの今後の経理状況というものがどうなるかということを考え、そういうようないろいろな要素を考えて行きますと、将来施設がうんとふえて、そのときになつて利子負担もうんとふえる、また減価償却もふえる、そのときになつて計算をした金額でもつて、かりに値上率を算出するということになると、それはそのときこそ、今度のこの二割五分や三割というような値上げではおつつかないで、一躍うんと値上げをしないといけない、そういうような考え方を頭に置きまして、御指摘のような考え方をとらずに、今度のような考え方をとつた、こういうように御了解願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/98
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099・松井政吉
○松井(政)委員 これは考え方が違うのですからやむを得ません。これはやむを得ませんが、もう一つ聞きます。借入金の返還の主たるものはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/99
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100・塚田十一郎
○塚田国務大臣 ことしの予算には、まだ返還する借入金はないはずになつております。利子負担だけはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/100
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101・松井政吉
○松井(政)委員 ございませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/101
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102・塚田十一郎
○塚田国務大臣 全然ないと申し上げましたのは間違つておりました。三千四百万円ばかりございましたので、これは政府委員から御説明申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/102
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103・庄司新治
○庄司政府委員 予算書の百二十二ページに、借入金の償還という項目で、政府に二千九百七十五万六千円とそれから電話設備負担金の還付金として五百万円、合計今話された三千四百何がしの金が出ることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/103
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104・松井政吉
○松井(政)委員 その先……。どこへ償還するか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/104
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105・庄司新治
○庄司政府委員 借入金の償還は、政府に返す、一般会計に返すものであります。それから電話設備負担金還付金は加入者に返すものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/105
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106・松井政吉
○松井(政)委員 利子負担は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/106
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107・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは公社が現在すでに六百五十億程度の負債を持つております。それの利子負担と、それから今年新しく借り入れます分の利子負担を合せてでありますから、当然その借入れた先へ……。なおどこから今の六百五十億程度の借入金を借りておるか、政府委員から御説明申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/107
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108・金光昭
○金光政府委員 借入金の大半は政府からでございまして、民間からのものは、本年の一月一日から実施いたしました電信電話債券の二十億と、それから本年度の公募債券あるいは加入者の債券、そういうものの利子が入つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/108
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109・松井政吉
○松井(政)委員 政府からの借入れの内容と性質について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/109
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110・金光昭
○金光政府委員 公社が持つておりますそういう借金につきましては、電信電話公社法の施行法の第八条で、公社法の施行の際に、現に電気通信事業特別会計が負担しておつた公債及び借入金は、そのときにおいて一般会計に帰属する。公社は、その公社法の施行のときにおきまして、前項に規定しました公債及び借入金の金額に相当する額の債務を政府に対して負う。これによつて負いました債務につきましては、公社は政府に対してその債務を表示する証書を交付する。これは現にすでに大蔵省の方に証書を交付しております。これによりまして、公社が政府に対して負う債務の償還期限、利率及び利子支払いの期日は政府が定めるということで、政府に対して従来公債及び借入金という形で負つておりましたところの債務をこの際整理いたしまして、政府に対しての債務ということに整理したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/110
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111・松井政吉
○松井(政)委員 政府の今のお答えはよくわかりますが、政府から借り入れておるもの、たとえば国有国営の場合から公社に引継がれるときに、必然的に法律によつて政府からの借入れとなつたものがあるわけですね。そのとき発生した借入金だけであるのか、それとも政府からそれ以外の借入金があるのか。その借入金の中には、国有国営の場合でも特別会計でありましたから、当時は預金部資金より出したものもあつたでしよう。そういう内容を聞きたいというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/111
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112・金光昭
○金光政府委員 ただいま御説明いたしましたように、公社になりました際に、従来の国債及び借入金を全部一本にいたしまして、六百二十八億というふうに整理したわけであります。その前においてどういう区別で国債なりあるいは借入金があつたかということは、資料をここに持ち合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/112
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113・松井政吉
○松井(政)委員 そうすると、たとえば前の国有国営のときには、預金部資金から百三十五億なら百三十五億を借り入れておつた。今度公社になる場合には、それ以外のものでやはり政府からの借入れとなつたものがあるのかどうか、やはり同一種類のものであつたかどうか、それをお向いしておるのです。全部一本になつたという意味は、何もかも一本になつた、だから預金部資金等のものじやなくて、たとえば建物とかそういうものもあつたのかないのか、純然たる金額による借入金だけの一本になつておるのか、これを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/113
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114・金光昭
○金光政府委員 それはただいまお尋ねのように、これによつて整理された借入金というものは、国営時代の公債なりあるいは預金部資金からの借入れといつたものばかりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/114
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115・松井政吉
○松井(政)委員 もう松前委員に譲りますが、その公債と預金部資金の当時における区別がわかりましたらちよつとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/115
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116・金光昭
○金光政府委員 本日は手元に資料を持ち合せておりませんので、次の機会においてお知らせ申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/116
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117・松井政吉
○松井(政)委員 それは資料でなくてもよろしいので、次の機会にお答え願えればけつこうです。私は今日はこれで質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/117
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118・成田知巳
○成田委員長 松前重義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/118
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119・松前重義
○松前委員 大臣にお伺いしたいのですが、国際電信電話株式会社の事業内容について御報告を受けましたが、大体年度末に至るまで六億八千万円程度の利益が上るということでありました。しかもその内容を拝見しますと、昨年度に比べて著しく収入は増大しつつある。電信においても電話においても、特に電話において非常な増収になる傾向になつておる、おそらく来年度におきましてはより以上の増収が期待される、こういうことを考えてみますときに、この会社の利益金の処分については、郵政大臣の認可を得なければならないことになつております。このようなほとんど特権として与えられた独占企業の利益を、郵政大臣の認可によつてその使途を明らかにするということは当然でありまするが、郵政大臣はこれらの利益金の処分に対して、どのような抱負をお持ちでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/119
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120・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは、利益金というものは、御承知のように役員賞与、それから配当一そういうようにおのずから使途が限られております。この場合に、こういう特殊な事業会社でございますからして、郵政大臣がこれを認可いたします場合に、最も留意しなければならないのは、社外に流れ出る利益の部分と、社内に留保される利益の部分の比率であると考えます。社外に出ますのは、役員賞与と配当金が普通のおもなものでありますが、そういうものは事業の性質上、なるべく最小限に切り詰めて、社内に留保させて、それをますます会社の施設の改良、拡充、発展に使わせて行く、こういうようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/120
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121・松前重義
○松前委員 現在の設備内容を見てみますると、戦争前における電信のチヤンネル数は四十でありましたが、現在は三十二であります。その他写真電信は一回線だけふえておる。電話は相当にふえております。現在の方が多い。けれども総計においては、五十八に対して五十七、このように設備は国際電信電話株式会社に移行されたといえども、新しい増設を必要としないくらいゆたかな施設を持つておる会社であるといわなければならない。今後におけるこの設備の改良その他から見ましても、さほどの大きな資金を必要とするというようなものはないのであります。今日まですでに大本その基礎的な要素は、満足されておるように考えられるのであります。このような場合におきまして、来年度以降において相当の増収を見込まれ得るもの、こういう独占事業に対して、今のような一般論はもちろんでありまするが、社内に還元すべきところの部分を多くするというような概念的な問題ではなくて、むしろこれをどのように国際電気通信事業の将来のために、いわゆる研究のためにお使いになるのか、あるいはその他のいろいろな国家的な目標のためにお使いになるつもりであるか、そういう点を具体的に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/121
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122・塚田十一郎
○塚田国務大臣 御承知のように民間会社でありますからして、ここに収支差額として出ましたものが、かりに社外に給与、それから配当として流れ出るものを除きましても、全部が社内に残るのではないので、御承知のように、損益計算をいたしましたいわゆる利益というものから、民間会社でありますから、大体六割程度はいろいろな税で国が徴収するというわけであります。その残り、従つて十億ありましても、四億円という勘定になりますから、その程度のものはやはり今後いろいろな設備、サービスの悪い面を改良いたしましたり、それから戦前開設されていたもので、まだ開設に至つていないものが若干あるようであります。そういうものを逐次開設の段取りをいたしましたり、それからまた仰せのように、研究などの費用にも大いに使つて参つたらいい、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/122
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123・松前重義
○松前委員 今のような御説明は、どうも非常に抽象的でありまして、具体的に何か御抱負をお持ちであるべきであろうと思うのです。こういう独占企業のもうかる仕事を民間に払い下げてやらして、非常な利益が上るならば、何かそこに目的がなければ、そういう会社をつくる必要はないのでありまして、何のためにつくつたかわからぬということになつたのでは、政府としての全然無方針を暴露することになる。何かもう少し具体的な、政府として認可される条件その他について伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/123
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124・塚田十一郎
○塚田国務大臣 ただいまのところ、そういうような具体的なものは何もないのでありますが、いよいよ利益が出まして、それをどういうぐあいに処分をするかということの認可をいたしますときに、よく検討いたして、誤らないようにいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/124
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125・松前重義
○松前委員 何も御用意はないようでありますが、こういう事業に対しては、少くともある程度の目標を持ち、抱負と経綸と使命を与えて出発せしめるのが、独占事業の一番重要な行政の方式であると思う。その点に対してはまことに遺憾に思う次第であります。
次に公衆電気通信法案の内容についてお伺いいたします。公衆電気通信法案の中に盛られておる一番重要な要素としては、前の国会から問題になつております私設交換設備を民営にするという問題であります。せんだつて参考人の陳述もあつたそうでありますが、私は不幸にしておりませんでしたが、その私設電話の民間移譲の問題についてであります。電電公社が発足いたしまして、まだ一年もたつておりません。電電公社にやらせれば、民間の需要あるいはまたその要望を満たすことができないから、これを民営に移して、民間の利便に供するのだという御説明が、この前の国会においてありました。まだ一年にもたたないうちに、ここにPBXを民間に移される理由は、一体どういうところにあるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/125
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126・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は公社の発足いたします当時から、こういうようにいたしたいと考えておつたのでありまして、そのように考えましたのは、その方がむしろいろいろな意味においていいのではないか、たとえば民間に現実にそうした仕事をなし得る能力がある者がたくさんおられますし、必ずしもそれを公社が全部やらなくてもいい。公社もやり、民間もやるというように、お互いに競争し合つてやる方がいいのではないか。ことに非常に大がかりな設備の増設、拡充計画をいたしますので、全部公社がいたしますことにいたしますれば、それだけ公社の人員の増加その他の手配もしなければなりません。同じことをするのに、民間にすでに人があるのに、公社がそういうことをしてむだをするということも、国全体の立場からはないのじやないか。
それからさきに、そのできたものを、その所有権をどうするかというような問題でも、公社にいたしますといろいろめんどうが起きますので、そういう意味におきまして加入者に自由にやらせて、所有権の関係などもすつきりさせおくというような、いろいろな利便もあり、かたがたこの考え方の方がいいのじやないか、こういうように考えて出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/126
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127・松前重義
○松前委員 公社に移行するときにすでに、PBXを民間に移す準備があつたというお話であります。電通省がサービスが悪かつたから、PBXを民間に移されるのであるか、あるいはその他の政治的な理由によつたのであるか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/127
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128・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは公社がサービスが悪いとは思いませんけれども、加入者の立場から、公社もできる、また民間の会社もできるというようにしておく方が、経済的なものの考え方としていいからというような考え方でいたしたのでありまして、別に政治的な考慮があつていたした、こういうようには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/128
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129・松前重義
○松前委員 大体昔はPBXは民間においてやつておる部門が多かつたのです。それがこのように責任ある会社として統合され、その建設と保守の責任を明らかにいたしまして、いわゆる日本全体を一元化した会社としてかつて発足をしたのであります。なぜそういうことを当時の逓信省時代にやつたかといえば、このPBXの業者が加入者から不当な利益を得る傾向を生み出し、そのための不平不満が非常に著しくなつて参つた次第でありまして、ちよつとした故障を直しても非常に多額の料金を請求するとか、あるいはまた故障の直し方がぞんざいであつて、通話の支障を来し、せつかく当時の逓信省の回線が健全であつても、その一部のふまじめな保守のために全体がだめになる、このようなことを見ましたがゆえに、これを責任ある一つの会社として統合し、従来の私設電話の業者を一丸とした責任ある体制に持つて来たのが、かつての姿であつたのであります。これは決して軍国主義でもなければ何でもない。とにかく責任ある姿において建設、保守をやらしめる。小さな業者で非常に人格的なりつばな経営をする人は別でありますが、それらの専門家でない加入者から適当にだまして料金をたくさんにとる、こういうような現象を防ぎ、責任ある建設、保守をなさしめんとしたのが、当時の姿であつたのであります。この間参考人の陳述によれば、私の逓信院総裁をしておる時分に、何だか無理やりにこれを統合したというような話があつたそうでありますが、これらの目的は、決して非民主的な行き方をしたという意味ではありませんで、責任ある建設、保守をやる体制を整えることによつて、国民の幸福をはかろうとする目的であつたのであります。これらの目標に対しまして、今回のPBXの民間に移譲されるこのやり方は、また元に還元して、再び通信網の建設、保守に対する混乱を招くおそれがあります。この点に対して大臣はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/129
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130・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは松前委員が統合なされた時分には、どういうぐあいにこの民間業者の状態がなつておつたか、私も詳しく承知いたさないのでありますが、おそらく松前委員の御指摘になつたように、ほつておいていけないという考え方で御統合になつたものだと思い、またそれがおそらく加入者の利便に合致し、今日のこの電信電話の発達を来した原因になつて来たと私も思うのでありますが、しかしまた現在の状態をいろいろ検討いたしてみますと、必ずしも公社だけがいたさないでも、民間にも相当信用のある業者が多数にできておりますから、そういうものもできる道を開いて、そうして加入者がだれにお願いをするか、依頼をするかということは、加入者が自由に選択できるというようにしておく方が、今日の状態にかない、またわれわれのものの考え方にも合致するので、この方がいいじやないか、こういうように考えておるわけであります。ただこの不良工事が出て、非常に混乱を起すようなことになつてはいけないということは、まさに御指摘の通りでありますので、その面はでき上つた工事の十分な検査をするということにいたしておりますし、また不当料金をとつて加入者に御迷惑をかけるという面におきましては、公社が大体標準料金を公示しておきまして、その料金によつて民間業者がおのずから行う、また依頼者もその料金を頭に置きながら、民間業者に仕事を依頼する、こういうようにしてこれは押えて行くわけであります。そういうように弊害の起る危険性のある面はこれを是正しながら、この制度の長所を利用し、活用して行きたいというのが、私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/130
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131・松前重義
○松前委員 必ずしも小さな業者が不当な料金をとつたり、あるいはまた無責任な工事をやつたりするとは限りません。けれども常識的に考えて、通信全体の円滑な疏通に対して最も重大な影響を及ぼしまするこのPBXの建設、保守に対しては、どうしても責任ある人に建設、保守をやらせなければならない。責任ある体制をここに整備しなければならない。その辺の電気屋さんにもりつぱな人もおられますが、しかしそういうところに無秩序にやらせるということは、もしもその人に多少の技術やその他があつたと仮定いたしましても、経済上の問題、あるいは人格上の問題、いろいろ条件があるのでありますから、そのような無秩序な体制においてこれをやらせるということは、非常に将来に災いを残すことは、過去の例から見て明らかであります。この辺に対して、もしもこれが民間に移されたときに考えておられる腹案の中に、何か責任ある体制、それは単に技術上の問題ばかりでなく、経済上の、あるいはまたその他の社会的条件、あるいはそれらの会社の体制、地域的に一元化されたものであるか、あるいは東京には無数のものを許されるのか、あるいは少数の二、三の責任あるものを置いて、そのうちの選択を許されるのか、この辺に対して政府の心構えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/131
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132・塚田十一郎
○塚田国務大臣 ただいまわれわれが考えておりますのでは、特に少数のものに許可を与えてこれをさせるというような考え方は持つておりません。しかし大体今国内でそういう仕事に従事しておりますものは、現在公社でやつております場合には、公社の下請の形でやつておる会社がございますので、おのずから数は制限されて行き、そういうものに加入者の依頼が集まるであろう、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/132
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133・松前重義
○松前委員 それらに対する工事担任者の資格の認定やら技術基準などは、ここに資料を頂戴してありまするが、これに対して御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/133
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134・庄司新治
○庄司政府委員 お答え申し上げます。まず技術基準の方から申し上げたいと思います。技術基準の大体の方針といたしましては、これはもう法律に一応うたつておりますが、PBXの接続を電電公社の線に行つた場合、もしPBXの技術的な標準が電電公社の技術的な標準よりも低い場合、これを一つの回線として考えた場合には、いかにほかの回線がよくても、ある一部分に弱点があれば一回線全体としてはその一番弱い性能となつて運用されるわけでありますから、どうしてもPBXの技術基準は、公社の現在行つているものと同程度ぐらいのものを要求する必要があるのであります。そういう方針のもとに技術基準を設定しております。それから技術基準の内容の大要を申し上げますと、お配りしてあります資料の中にも書いてございますが、自営設備の電気的規格、それから交換方式選定の基準、こういうふうな大きな項目の中に説明されるわけであります。それをさらに説明申し上げますと、自営設備の電気的規格としては、絶縁抵抗は大体手動交換機にあつては一メグオーム以上、自動交換機にあつては二メグオーム以上、それから耐圧といたしましては、直流電圧で五百ボルトを少くとも一秒間以上、それからPBXの内部におけるロスといたしましては、千サイクルで四デシベル以内、これは少し大きいようでありますが、一応最高として四デシベルで押えたわけであります。それから構内交換機の漏話減衰量、これは千サイクルで七十デシベル以下にならないこと、ノイズは一・五ミリボルト以下であること、それから最後にポイントといたしまして、そういうような電気的な総合的な制限がございますが、各部品ごとの制限はどうかと申しますと、通話回路、接続回路等を構成している主要機器は、電電公社における規格と同等以上のものであるということを特に規定してございます。交換方式は、もちろん公社の交換方式に全然合わないものであつてはならないのでありまして、公社の交換方式に合うもの、特にそのつなぎ目には手動台を設けることにしてございます。ここでいろいろな交換をやるわけでございます。ただ構内電話設備が自動式であるときには、必ずしも手動台を経由しなくて、内線から局線へつなぐ場合には、直接ダイヤル方式をとつてもさしつかえないというような技術基準をきめております。
それからPBXの工事担任者の試験でございますが、大体そういう技術基準に適合するような保守工事、建設工事を行うような人たちは、その人そのものがある程度電気的な技術を備えておらなければならないという建前の上に、試験を行うことにしてありまして、これは大体筆記試験、実地試験または口頭試問を行うことにしてございます。試験は毎年一回、初めの二年間は少くとも二回以上やるような方法で考えてございます。試験科目などについては、一応PBXの工事を担当するに必要な知識を得るという目的で、構内交換電話理論、構内交換電話技術基準、トラフイツク理論、交換局の設備概要、電話関係法規概要というふうなねらいで、試験をすることにしております。ただ「理論」とこう書いてありますので、非常にむづかしい、高邁な理論を試験されるのではないかというようにお考えになるといけないのでありまして、これは「理論」とは書いてありますが、そう大学で教えるような高邁な理論を試験する意味ではないのでございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/134
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135・松前重義
○松前委員 その技術基準は書いてありますが、設備について、工事ができたときに具体的にこれの技術基準にマッチするかどうかをお調べになるような、そのような一つの監督の仕事を担当する機構なり何なり、お考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/135
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136・庄司新治
○庄司政府委員 技術基準に適合するかどうかをいつ調べるかということでございますが、まず調べる時期といたしましては、加入者がPBXを設備しまして1自分がやらなくても要するに設備しまして、これを公社の線に接続しようとするときには、接続する前に検査を受けなければできないということにしてございます。それでは検査はだれがやるかということでございますが、これは先ほども申しましたように、公社の回線につないで公社の回線の設計の技術レベルを下げないように、同程度のものであるということを検査する建前でございまして、こういう意味合いから申しましても、その検査は公社が行うということにしてございます。公社は現場にそれぞれPBX関係の担任者を現在でも配置しておりますから、その人たちが検査を行うということにしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/136
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137・松前重義
○松前委員 公社がPBXの設備の検査やあるいは試験等に当るというお話でありますが、もしもPBXを公社が全部やるという形をとる場合においては、そのような要員はいらないことになる。すなわち公社はいらない人間をわざわざPBXを民営に移したがゆえに、置いておかなくちやいかぬことに相なるのであります。すなわち業者が施設したPBXの設備費と、公社がやりました設備費と同じ値段であつたと仮定するならば、公社はそれだけの負担をよけいにしなければならぬというようなことに相なるのであります。これに対してどのような見解をお持ちでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/137
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138・庄司新治
○庄司政府委員 公社が設備いたします場合には、公社がまず品物を購入するということを行うわけであります。ところが品物を購入する場合に、会社の製品検査だけで公社が検査しておらぬかと申しますと、やはり品物の検査を公社の手でやつておるわけでございます。PBXを業者がやつた場合には、製品検査をやらないけれども、でき上つたPBXそのものを検査するという意味で、公社が直営でやる場合でも、あるいは民間でPBXの工事をして接続する場合でも、やはり同じ検査が必要なわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/138
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139・松前重義
○松前委員 私の聞いておるのは、少し今のお答えとは違う。というのは、PBXを民間にやらせるために、わざわざ検査要員を公社が置いておかなくちやならない、月給をやつて……。それだけ不経済じやありませんか。むしろ自分でおやりになつたらどうですか。早い話がそうなんです。そんな二重の手間をして、わざわざ自分でやれる仕事を人にやらしておる。しかも回線の責任というものは、ある私設電話の回線は民間が責任を負い、ある私設電話の回線は公社が負う、そうしてそういうこんがらかつた形において、保守の一元性を期さなければならない。世界中どこにもこのようなPBXを民間にやらせるというようなところはない。そのような逆行を一世界の文明に逆行するような行き方をなさると同時に、もう一つはいらない人間をわざわざ公社が養つておかなくちやならぬ。いらないというわけじやないが、とにかくPBXを民間に移したために、必要なる検査要員を置かなくちやならぬ。このようなことは、まことに不経済きわまる行き方であると私どもは思う。これに対して大臣はどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/139
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140・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは世界に例がないというお話でありますが、私が聞きましたところでは、ほかにもそういう国があるということでありますし、それはむだがあるということであれば、そういう意味においては、なるほど若干むだがあるかもしれませんが、しかし現在民間にたくさんの人がおるのに、公社がやるということで、また公社にその施設の人間を新しく置くということになると、一層私はむだがある、こういうふうに考えますので、まあその辺は経営全体間の状態、公社の状態、そういうものを総合判断をして、やはりこういう形の方がいいのじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/140
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141・松前重義
○松前委員 見解はまつたく違うのでありまして、そもそも保守の一貫性を期さなければならない筋合いのものに対して、この分断的な、しかもある部分は公社がやる、ある部分は民間がやる、保守するというような、いわゆる保守の責任の分断をやるようなやり方は、電気通信網を保守するという常識とは、まつたくはずれたやり方であると言わなくちやならない。この意味において、こんなやり方をしているところは世界中どこにもありません。またこういうことを絶対やる大きじやありません。これがいくら将来に災いを残すかということは、これは公社自体が非常に困られることであろうと私は思う。いずれにいたしましても今の問題は、大臣の御見解はよく承つてはおきますけれども、とにかくそれは電気通信網の本質を理解されない言葉であるといわざるを得ない。こういう意味で、これは見解の相違であり、またいろいろ牽強附会の御説明のように私には聞えるのでこれ以上これをつつきはいたしません。
次にこの試験制度やその他いろいろ、ここに担任者の資格認定というようなデータを頂戴しましたが、これはいつごろから始められるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/141
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142・庄司新治
○庄司政府委員 これは公衆電気通信法の中にきめてあることでございますので、公衆電気通信法が通らなければできないわけでございまして、今公衆電気通信法は一応八月一日実施というつもりでございます。ただそれでは八月一日午前零時に試験するかという問題がございますが、これは多少余裕を置いて考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/142
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143・松前重義
○松前委員 検査その他に対する機構は、具体的にお考えになつておられると思うのですが、何か資料をいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/143
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144・庄司新治
○庄司政府委員 機構については、あとから公社でおつくりになつているものを差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/144
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145・成田知巳
○成田委員長 本日はこの程度にして、次会は公報をもつてお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01319530710/145
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