1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十五日(土曜日)
議事日程 第二十七号
午後一時開議
第一 農業災害補償法の一部を改正する法律案両院協議会成案
第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 富裕税法を廃止する法律案(内閣提出)
第五 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案(内閣提出)
第六 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出)
第七 日本専売公社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第八 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第九 証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第十 農業機械化促進法案(平野三郎君外十六名提出)
第十一 有畜農家創設特別措置法案(内閣提出)
第十二 久大島周辺における漁業についての漁業法の特例に関する法律案(内閣提出)
第十三 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第十四 港湾整備促進法案(内閣提出)
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●本日の会議に付した事件
日程第一 農業災害補償法の一部を改正する法律案両院協議会成案
日程第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 富裕税法を廃止する法律案(内閣提出)
日程第五 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案(内閣提出)
日程第六 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 日本専売公社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第八 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第九 証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第十 農業機械化促進法案(平野三郎君外十六名提出)
日程第十一 有畜農家創設特別措置法案(内閣提出)
日程第十二 久大島周辺における漁業についての漁業法の特例に関する法律案(内閣提出)
日程第十三 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第十四 港湾整備促進法案(内閣提出)
社会福祉事業振興会法案(青柳一郎君外二十四名提出)
災害救助法の一部を改正する法律案(青柳一郎君外二十二名提出)
午後二時十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/0
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001・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/1
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002・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第一、農業災害補償法の一部を改正する法律案両院協議会成案を議題といたします。両院協議会協議委員議長の報告を求めます。坪川信三君。
〔坪川信三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/2
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003・坪川信三
○坪川信三君 ただいま議題と相なりました農業災害補償法の一部を改正する法律案両院協議会成案について、協議会における経過及び結果につきまして御報告申し上げます。
本院協議委員の互選によりまして、議長には不肖私、副議長には吉川久衛君が当選いたしました。なお、参議院の協議委員議長には片柳眞吉君、副議長には宮本邦彦君が当選されました。本案はへ御承知の通り、去る七月二十一日、本院において参議院の回付案に不同意の結果、両院協議会の開会を求めたものであります。
協議会は、まず七月二十三日会議を開き、衆議院の金子與重郎君及び参議院の宮本邦彦君よりそれぞれ衆議院及び参議院の議決の趣旨の説明を聞き、さらに、衆議院の足鹿覺君及び川俣清音君及び参議院の河野謙三君よりそれぞれ補足説明を聞きました後、協議に入りました。両院議決の相違するおもなる点は、農業共済団体の役員に対する監督規定に関する点でありますが、この点につきましては、衆議院側といたしましては、監督規定を置くこと自体には必ずしも反対ではなく、ただ、現在根本的に再検討を加えつつある農業共済制度の結論を待つて総合的に規定すべしとの意味から、この規定を削除いたしたのであります。参議院側といたしましても、農業共済制度の根本的検討につきましては、衆議院側の意見にまつたく同感ということでありまして、ただ、農業共済制度に関する結論を得るまでの期間このままで放置することは、現に共済団体の役員について問題が起つている際いかがかと思われるし、また国庫負担金を取扱う団体について適正な監督の方法が欠如していることは、法の体裁の点からも認めがたいとの意見でありました、いずれにせよ、衆参両院の農業災害補償制度の抜本的改正に対する観念において全面的に意見が一致しておりますので、種々協議の結果、次の通りの申合せを行い、各院に報告することとし、全会一致をもつて参議院議決の通りとする成案を得た次第であります。
申合せを朗読いたします。
申合せ
農業災害補償法は実施以来五カ年を経過したが、その制度の根本的欠陥と運営も又宜しきを得ず、農民の要望に応え難音実情に鑑み、両院協議会は左記により、農業災害補償制度の行詰りに対し、抜本的検討をなすことを申合せる。
記
一、農業災害補償制度に就ては、その抜本的改正の必要であることを確認する。
二、政府は、昭和二十九年度産水稲を目途として制度の根本的改正を行い、農業災害補償に対し完全なる施策を講ずること。
三、衆参両院は、農業災害補償制度の完ぺきを期するため、閉会中も尚その調査を継続し検討すること。
なお、この申合せに対しましては、保利農林大臣より、政府としても、根本的な検討の必要を認め、両院における検討の結果等をも勘案して、できるだけ昭和二十九年度予算より実現を期し得るよう努力をする旨の発言がありました。
以上をもちまして御報告どいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/3
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004・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本成案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/4
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005・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立総員。よつて本成案は全会一致可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/5
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006・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐伯宗義君。
〔佐伯宗義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/6
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007・佐伯宗義
○佐伯宗義君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
御承知のごとく、昭和二十二年七月施行されました独占禁止法は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な競争方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、公正かつ自由な競争を促し、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするものであり、わが国の経済民主化憲法とまで称せられた重要な法律であります。従つて、たといこれが占領中に施行された法律ではありましても、わが国民経済が国内的にもまた国際的にも健全な発展を達成するためには、ますくその機能を発揮すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移にかんがみて、独立後の自主経済確立のために、わが国経済の特質と実態に即応して、本法に適当な調整を加える必要が生ずるに至つたのでありますが、それだけに、この改正は最も重要視すべきものであることは申すまでもありません。
本法案の改正の項目は多岐にわたつておりますが、その重要なものは、特定の場合、すなわち不況に対処するため必要がある場合及び合理化の遂行上特に必要がある場合における事業の共同行為を一定の条件のもとに認容したこと、株式の保有、役員の兼任等の制限を緩和したこと、不公正競争方法に関する現行法の規定を整備したこと、不当廉売、おとり販買等の不当な競争を防止するための再販売価格維持契約を認めたこと、事業者団体法を廃止して必要な事項を独占禁法中に収めたこと等であります。
本法案については、七月三日提案理由の説明を聴取し、引続き同四日より十六日まで及び二十四日に質疑を行い、同九日には経済安定、農林及び通商産業委員会の連合審査会を開き、同十日には公聴会を開き、また委員会の質疑中にも各方面より参考人を招致し、慎重にかつ熱心に審議を重ねました。
この審議中最も問題となりましたのは、禁止規定の削除、不公正な取引方法、再販売価格維持契約、不況に対処するための共同行為及び企業合理化のための共同行為の各規定であり、特にいわゆる不況カルテル及び合理化石ルチルの認容に関する規定でありました。以上の諸点は、経済民主化のための委員会制度の存立上からも重大な問題でありますので、本委員会におきましては、特に審議の慎重を期し、当該委員と政府との間にあらゆる角度から熱心な質疑応答を重ねましたが、結局、審議の中心問題は、次の三点に集約せられたのであります。
第一は、カルデルの認容に関する公正取引委員会の認定と主務大臣と認可との二本建の問題であります。すなわち、カルテル認容が通商産業行政から判定すべきであるという見地をとれば、主務大臣に認可権を与えることは一応適当とも考えられるが、それにもかかわらず、特に本改正案が公正取引委員会の認定を要件としているのは、つまり独占禁止法が私的独占の禁止を建前とするからであり、従つて、法体系の上かち見ても、まだ法運用の上から見ても、むしろカルテルの認可権を公正取引委員会に与えて一本として、主務大臣とは協議すべきものとするのが至当ではないかということであります。第二は、カルテルの認容の問題であります。共同行為が生産数量、販売数量、設備の制限等いわゆる操短の段階を越えて、一挙に対価の決定にかかる共同行為を認容することは、価格カルテルを無制限に認容することとなり、これでは戦前の財閥の復元あるいは大企業の独占を実現せしめるおそれがあるのであります。このことは、本改正案の提案理由において、国民経済の民主的で健全な発達を促進するため、私企業による市場独占のもたらす諸弊害を除去し、公正かつ自由な競争を促進しようとする独占禁止法の根本精神をあくまで尊重すべきであると政府が言いながら、かえつて独占禁止法の根本精神に背反するものと言わざるを得ないのであります。従つて、かかる価格カルテルまでも認容することは、独占禁止法を骨抜きにして、その存在を無意義とするものではないかというのであります。第三は、再販売価格維持契約につき特定の団体を適用除外とすることは、本契約を認容する趣旨に矛盾するものであり、妥当ではないのではないかというのであります。
以上の三点につき、第一の、公正取引委員会に認可権を与えて一本とすることについては、各党ともに意見の一致を見たのでありますが、第二の価格カルテルの認容については、自由党ががんとして原案支持を譲らず、また第三の再販売価格維持契約の適用除外は、現行法においても認容されているのであるから、これはそのままでも当分さしつかえないのではないかということになりました結果、七月二十四日に、本法案に対して、栗田委員外十七名より、お手元に配付いたしましたような修正案の共同提案がありました。修正案については栗田委員よわ提案の趣旨の説明がありましたが、その要旨は、不況カルテル及び合理化カルテルの認容につき、公正取引委員会の認定を得て、主務大臣がこれを認可するという原案の規定を改めて、主務大臣と協議の上で公正取引委員会の認可のみにて足るものとし、これに伴う条項の整理をしたことであります。
なお、委員会の審議の経過中に痛感されましたことは、現行の独占禁止法は、法体系の王からも、法運用の上からも、わが国経済の民主化の上からも、また独占禁止法に関する世界趨勢の上からも、きわめて不備なものであり、その目的に矛盾撞着して適合しな事い点が多ルあるのであつて、これは、その一部の改正や修正によつては、もはや救いがたいものとなつていることであります。よつて、これは、すみやかに広く有識者を網羅した審議会でも設置いたしまして、よく検討を尽し、抜本的な新しい理想的独占禁止法を制定することが望ましいと存ずる次第であります。
右審議の詳細は委員会の速記録に譲ることにいたします。
かくて七月二十四日、右の修正案並びに修正案を除きたる本法案を一括して討論に入りましだが、自由党を代表して小笠委員は、自立経済達成のために必要であるとして賛成せられ、事日本社会党を代表して飛鳥田委員は、独占禁止法の緩和は逆行であるとして反対せられ、改進党を代表して栗田委員は、価格カルテルの禁止と再販売価格維持契約の適用除外規定の削除とができなかつたことは遺憾であるが賛成すると述べられ、日本社会党を代表して小林委員は、社会主義による計画経済の立場から反対せられ、自由党を代表して山本委員は、この独占禁止法の緩和がすつきりしない点があるけれども賛成すると述べられました。
次いで、右の修正案並びに修正案を除きたる原案についてそれぞれ採決を行いましたところ、いずれも多数をもつて可決いたしました。
右御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/7
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008・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これより討論に入ります。飛鳥田一雄君。
〔飛鳥田一雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/8
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009・飛鳥田一雄
○飛鳥田一雄君 私は、ただいま議題になつております、いわゆる独占禁止法の改正案及びその修正案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意を表明するものであります一(拍手)
申し上げるまでもなく、日本経済における自由なる競争を推進せんといたしました独禁法の今までの態度に対しまして、本改正法案は、一に、株式の保有と役員の兼任を認めることによりまして企業のトラスト化を認め、二に、一定の制限のもとに、不況カルテル、合理化カルテル、さらにまた独禁法の骨抜きたる価格カルテルを容認し、三に、商標品または出版物の再販売価格維持契約ないしは協定を許容することによつて日本経済を反動の方向に逆転せしめようとするものにほかならないのであります。
戦後の日本経済は、国民の血税による復金の融資と、大衆の生活を犠牲にしたインフレ政策によつて、ごく少数の資本家の利益を擁護し、不均衡な発展を遂げて参つたのであります。さらにまた、朝鮮事変の勃発、桑港における平和、安保両条約並びに行政協定は、日本経済を米国の支配にゆだね、またそれを著しく軍事経済化し、朝鮮戦争における米国の兵器廠と化せしめてしまつたのであります。吉田反動政府は、自由経済の名のもとに、国民経済の均衡的発展に対しては何ら顧慮することなく、みずから米国政府の政策に屈従し、日本の経済的立地上緊密不可分の関係にありますところの中国の原料市場から、みずからを遮断してしまいました。その結果、日本の物価は国際物価に対し独歩高を示し、輸出市場においてまつたく孤立化してしまつたわけでありまして、これこそ日本経済の発展過程における吉田内閣の許すべからざる政治的責任であります。(拍手)かくて、日本経済が今朝鮮休戦によつて大動揺を拓来いたしつつある事ことは、その当然の帰結であります。
かかる情勢の中において、今や財閥は、最大限の利潤を確保するため、トラスト化やカルテル化を急ぎつつあるのであります。その一例をあげてみますれば、住友金属は、兵器メーカーである小松製作所を自己の傘下に収め、迫撃砲メーカー大阪機工の株式の大半を保有し、これに重役を送つておるのであります。また、飛行機生産の花形であつた旧中島飛行機の第二会社富山精密工業の株式八割を保有し、冨士工業には住友銀行の幹部が派遣されているというのが現実であります。また、三菱財閥について見ますならば、旧三菱重工の復活は目前に迫つております。御承知のように、三菱造船はかつて軍艦をつくり、新三菱重工は航空機生産で有名でありました。三菱日本重工の東京機器、川崎機械製作所では、すでに米軍の戦車、軍車両の製造修理に当つておるのであります。横浜造船でも戦車製造を開始しようとしております。そし、てこの傘下の下請業者が、さらに、重工による株式保有、重役派遣、原材料や金融支配を通じて再編成されつつあります。以上述べましたように、財閥を中心とする軍事産業の再編成、企業集中の促進強行は急速に行われ、これが政府の再軍備五箇年計画の経済的裏づけをなしているということは明白でございます。(拍手)
このような一連の傾向を促進するために独禁法を緩和することが、日本経済の平和的発展を阻害するものでないと、だれが言えるのでありましようか。なかんずく、それは岡野経審長官の言われますところの平和な自立経済計画とまつたく背馳するものであります。すなわち、一部独占資本家によつて、日本経済を従属化し、私物化し、軍事経済化するものであつて、全日本の国民的立場において、今やこの改正案に反対をせざるを得ないゆえんであるのであります。(拍手)
第二の私たちの反対いたします点といたしましては、本改正案がたとい条件付にいたしましてもカルテルを認めることは、実質的に独禁法の廃止でありまして、その結果、競争を制限し、価格をつり上げ、一部独占資本の利益のために国民生活を窮乏に陥れる社会悪が正た堂たと行われるようになることは当然であります。今、公取の資料によつて現在の状況を見てみましても、カルテル及びその類似行為が綿紡等十種の産業分野で行われており、また経審の経済白書によつて兇ましても、事カルテル的行為が存律していることを公然、と認めているのであります。しかも、これらの行為に対して、政府は今まで何ら見るべき取締りの措置をしておらないというの事が現状であります。
政府は、改正案においても、独禁法の精神は十分に尊重されていると申しております。現行法においてすら、右に述べましたように、任意カルテルが放任せられておるだけでなく、さらに進んで、大企業の要請さえあれば、たとえば、原綿割当方式による綿紡の強制カルテルをさえあえて辞さないというのが現在の態度であります。このような態度によつて行われようとするところのこの改正案が、いかに欺満州に満ち満ちたものであるかは、今や申し上げるまでもなく明白であると存じます。かつての綿紡操短について、公取委員長は、当時は操短を認めるべき条件になかつた、このようにさえ委員会において証言せられておるのであります。ところが、独占資本の出先機関であるところの通産官僚は強引に勧告を実施したのでありまして、それは不当な行政権の干渉ですらあります。このような形で、改正案は、経済民主化の原則を蹂躙するというだけではなしに、大資本家の横暴を許し、あまつさえ、それを積極的に援助いたすものですらあるのであります。また同時に、大資本と結託した通産官僚の産業支配に対して道を開くものがこの独占禁止法の改正案であると言わざるを得ないのであります。このような観点よりいたしまして、われわれは本形成案に対し絶対に賛意を表すことのできないものを発見いたすのであります。
さらに進んで、カルテル、トラスト及びこれに類する共同行為がどのようなものであるかを考えて参りまするに、常にそれは労働者、農民、一般消費者、中小企業の一方的犠牲において行われるものであることを考えざるを得ないのであります。たとえば、事昨年三月行われた綿紡の四割操短は、三万六千名以上の男女労働者の首切りをもたらし、会社に残つた労働者一人当りの持錘数はふやされ、監督は強化されたのであります。会社側の発表する統計によつても、一人一時間当り綿糸生産口回は、操短開始前の五・九三ポンドから十二月には七・四六ポンドにふえております。さらに、五三年に入つて総計一万名以上の人員整理がこの企業において行われんとしております。石炭業界でも同様なことが言えるのであります。かくて、カルテル結成が労働者にマイナスをもたらすことは明白であります。
ところが、単に労働者にしわ寄せが行くだけではなしに、そのしわ寄せば続いて中小企業にまで及んで参ることは明白であります。すなわち、綿紡の例をとつても、糸価は織物価格を上まわり、工賃さえ出ない糸高製品安が通常の状態となつたため、一九五二年中の繊維業者の倒産は二百十八件、負債総額は九十七億一千六百万円といわれ、そのほとんどが中小業者であります。また、鉄鋼三社は、くず鉄購入の建値を、暗黙のうちに、ほぼ一線のトン当り一万千円にそろえ、本法の通過を契機に、さらに一万二千円程度にまで引下げようとしております。このため、くず鉄集荷業者が経営難に陥つて参ることは必至であります。線材、薄板メーカーは、鉄鋼三社から販売価格と原材料の購入ルートを指定され、これまた工賃も出ないありさまであります。
右のように、各種中小メーカー、問屋、小売業者は、大企業のように金融機関から滞貨融資を受けることができないので、大企業のカルテルの結果、赤字経営、倒産の危機に追い詰められております。かくて、中小企業のために中小企業安定法というものができておりますが、これも協同組合法も、何の価値もない一片の空文に化してしまいつつあるのであります。
また、私たちは、自分の身のまわりを見まわしますことによつて、農家必需品の肥料においても、過燐酸石灰業界の操短、硫安における安定帯価格の設定による価格のつり上げ等によりまして、農民諸君がいかに困窮を続けているかを知つているのであります。この結果、農家経済は、本年に入つて以来毎月赤字の累積となつているのであります。国民大衆に与えつつある打撃の一端は、現行法においてすら以上のようなありさまであつて、もし独禁法が大幅に緩和されたあかつきには、その与える影響ははかり知れないものがあることは、その実施の結果を見るまでもなく明らかなことであります。これによつて私たちが見ましても本改正案に対しては絶対反対せざるを得ないのであります。
第四点といたしまして、カルテルと輸出との関係であります。現在、日本は、貿易がまつたく不振の状況にあり、わずかに再軍備の起動力たる特需によつて国際収支をまかなつている悲しむべき状態でありますが、その原因は国際物価に比べて国内物価がきわめて高いことであります。カルテルを許します結果は、商品を国民に高い価格で売りつけ、国外には出血価格でダンピングする結果になることは明らかでありまして、敗戦によってもろもろの資源や市場を失つた日本が、ダンピングをたてとする貿易を推進することは、東南アジア市場よりまつたく孤立する結果になるであらうことは明白でありましよう。現在においても、日本の輸出に対して、各国は警戒の目をもつて見ております。吉田政府が最も信頼をかち得ている米国からすらも日本商品に対する反対の声が上つており、米国の木ネジ産業及び光学産業の代表は、日本の競争からの保護を政府に要請している次第であります。その他、しばしば、ミシン、まぐろ、時計、絹スカーフ等の関税引土げが問題になり、日本国民を一喜一憂させているのは御存じの通りであります。独禁法緩和の結果は、わが国の貿易立国の国是とまつたく矛盾する結果を招来いたすことは歴然たるものでありまして、この点より見まするも改正案に反対をせざるを得ないのであります。
さらに第五点といたしまして、私たちが百尺竿頭一歩を譲つてみましても、この改正法案は資本主義的経済政策のわく内においてすら種々の矛盾を包含しているのであります。すなわち、カルテルやトラストは、企業家をして真の合理化の努力を喪失せしめるものであります。朝鮮ブームによつて大企業は大もうけをしたことは事実でありまして、この企業収益によつて、まじめな合理化をすることをせずして、社用族、公用族を簇生させ、高級の外国自動車を氾濫せしめ、キャバレー、料理屋などの消費面にのみ投資いたしまして、日本始まつて以来の消費景気をつくり出したのであります。ところが、今になつて、少しもうけ方が少くなつたといつて、すぐにカルテルやトラストを認めて、大資本を擁護し、国民に対しては賃上げを自粛しろということであつては、国民は承知するはずがないのは当然であります。(拍手)たとえば、現在操短中の十大紡の利益を見ましても、二十五年から二十七年の利益総額は九百七億にすら上つております。かくのごとき利益を保有しつつ、なおかつ消費者、労働者を痛めつけるところのカルテル化を強要する必要が一体どこにあるか、はなはだ疑いなきを得ないのであります。
現に、この事実を裏書するものとして、日銀総裁は、紡績業者にまだまだ値下りにも耐えられるし、値をつり上げるような操短はやめるべきだと語つておられまするし、川北興銀頭取もまた、独禁法改正によるカルテル化は困つたものだ、不況カルテルによつて現状を、ごまかそうとする傾向は日本経済の危機を真に打開する道ではない、このように述べておられるのであります。金融界の大元締である両氏でさえ、かかる見解をもつて反対しておられるにもかかわらず、独禁法改正は、かかる合理化へのまじめな努力を放棄せんとしているのでありまして、それは、資本主義的経済政策のわく内においてすら矛盾撞着をきわめていると言わざるを得ないのであります。
最後に、再販売価格維持の契約まは協定でありますが、これは表面上あたかもメーカーや小売商を擁護するように見えておりますが、その実体は、大資本の販売業者のためにメーカーや小売商、一般消費者が犠牲となることは明白なものでありまして、このような意味からも、私たちは賛成することができないものなのであります。
以上のように、独禁法の改正案は、日本経済の危機を救うものでなくして、大企業の利潤減少を暴力的な方法によつて補い、独占利潤の確保を合法化せしめる経済反動化の改悪案であると言わざるを得ないのであります。(拍手)かかる観点に立ちまして、日本社会党は、この改正法案に対して断固たる反撃の意図を有するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/9
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010・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 小笠公韶君。
〔小笠公韶君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/10
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011・小笠公韶
○小笠公韶君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員長の報告に賛成の意を表せんとするものであります。(拍手)
終戦以来、わが国経済は海外よりの援助、特需等にささえられて次第に回復して参つたことは、いまさら言うまでもないところでありまするが、朝鮮休戦も今やならんとし、わが国経済の特需経済よりの脱却、自立経済の推進が強く要請せられていることは、すでに指摘されている通りであります。しかして、この際、冷静に日本経済の実情を顧みまするとき、遺憾ながら、なお国の経済力はきわめて弱い、経済の底が浅いことを痛感せざるを得ないのであります。個々の企業もまた、国際的視野において見ますとき、弱小なのであります。従つて、世界の景気の波は、敏感に日本の経済の上に反映し、予想以上の景気の高下を呼び起しがちであゑとは、すでに説くの体験しているところであります。あたかも、たらいに張つた水のごとく、わずかの風にも波立ちがちであるのであります。
国の経済力が弱く、景気の変動のはげしいことからいたしまして、企業相互間においても、不必要にはげしい競争をもあえてするの傾向があるのであります。すなわち、不況に際して、公正なる競争の限界を越え、経営の自己崩壊をもあえて辞さない場合なしとしないことは、まことに遺憾にたえないところであります。かくては、乏しき資源と、とうとき労力とを浪費することになるのみならず、これが影響はただちに関連事業及び一般国民にも及ぶのでありまして、国の経済を危機に瀕せしむるのおそれなしとしないのであります。経済の安定こそ、国民として最も望むところなのであります。
さらに、わが国経済の欠陥は、経営及び技術の面において、米英等に比し相当遅れていることでありまして、企業の合理化、能率の向上が強く要請されていることは申すまでもないところであります。しかのみならず、内外市場の狭隘なることは、わが国経済の発展にとり大いなる障害であり、企業相互間の競争を激化せしめているゆえんでもあることは、つけ加えるまでもありません。われわれは、この事実に立脚して、国の経済力の増強、自立経済の達成のためのあらゆる施策に努力を傾けなければならないのであります。しかして、これが努力に際しては、公正自由なる競争を基盤とする経済秩序のもとに推進することが最も効果的であり、かつまた多くの国民の納得すると事ころであると確信するものであります。この公正自由なる経済秩序は、もとより一部巨大資本の独占利潤を認むるものでないことは、いまさら言うまでもないのであります。
終戦後の混乱より立ち直りかけた今日、そして特需経済より脱却すべき今日、われわれは、これまでの肇隻省し、新たなる事態に即応した経済政策を検討し、もつて国の経済力の増強、国民生活の基盤の強化に邁進するの要を痛感するのであります。いわゆる独占禁止法の改正の要はまさにここに存するのでありまして今回の改正法案の内容は、おおむね時代の要請にこたえるものであります。(拍手)すなわち、事不況に対処するため、必要がある場合におきまして、事業者の共同行為、すなわちカルテルを相当きびしい条件のもとに認容したこと、株式の保有、役員の兼任等の制限を緩和したこと、不当廉売、おとり販売等の不当なる競争を防止するため再販売価格維持契約を認めたこと、及び事業者団体法を廃止して必事要なる事項を独占禁止法中に収めたこと、これであります。
翻つて見まするに、独占禁止法の今回の改正に対して各種の反対意見が開陳されているのであります。まず、本改正案は、反独占政策の後退であるがゆえに反対であるとの論があるのでありまするが、これは、日本経済の実態と、今日の国民的要請を知らざるの書生論にすぎないのであります。反対論のうち、特に強調されるものは、中小企業者、一般消費者等に対して独占利潤を押しつけ、その利益を害するとの論であります。もとより、中小企業の維持育成、国民生活の向上は、一瞬たりともゆるがせにすることのできない問題であり、これがために一切の努力を傾けなければならないところであります。しかしながら、刻下の日本経済の課題は、すでに申し述べまし事た通り、すみやかに経済力の増強をはかり、政治の独立の裏づけとしての経済の自立を期することでありまして、このことは何人も否定し得ないところであります。
しかして、一国の経済の発展は、局部的あるいは階級的にこれを把握し、単にその立場においての施策のみによつては絶対に期待し得べくもないことは申し上ぐるまでもないところで、国民経済という広き視野において把握すべきであります。カルテルは、もちろん長所を有し短所を持つことは言をまたないところでありますが、今日の事態こそ、その短所をためつつ長所を活用するのときと思うのであります。大企業は、大企業のみによつて立つものではありません。中小商工業者、また中小商工業者のみによつて立つものでありません。相互に得意関係、扶助関係に立つており、これによつて初めて経済の循環が円滑に行われて事いるのであります。この事実を故意に無視して、不況切抜け策としての大企業の事共同行為をあえて否認せんとするのは、他の主義に立つためにするのか、あるいは中小商工業者あるいは消費者等に対する正しき熱情に欠くるがゆえであると申さねばなりません。片寄れる愛は、その者のためにはなりません。最近、若干の大企業だおける不渡り手形の濫発がいかに多くの中小商工業者を苦しめているかは、またこの間の消息を伝えて余りあるのであります。
また、カルテルは本質的に消費者及び労働者の利益を害するがゆえに反対であるとの論でありまするが、もとより、手放しのカルテルにこの性格のあることを認めるにやぶさかではありません。問題は、本改正案に盛られたるがごとく、不況時において、企業の破滅的なる競争によつて企業経営の基盤をも破らんとする場合にも、これを認めることが不当であるかいなかというところにあると思うのであります。もしも、かかる事態においても、無謀なる競争事のまま放任し、優勝劣敗にまかさんか、企業の倒産、従業者の失業は言うべくもありません。しかして手放しの自由競争は、優秀なる企業、国の必要とする企業の存立を保障するものではないのであります。企業の維事事持は、働く者の職場の前提であるのであります。もとより、消費者にとつては、買う品物が安ければ安いだけよいというのは当然でありますが、これは経済の健全なる発展によつてもたらされたときのことでありまして、企業が自己の手足を切つて投売りするがごとき場合は、経済の循環を不円滑にし、不景気をさらに招来するものであつて、大局的に見て、消費者にとつて利益であるとは、にわかに断定しがたいのであります。物価の安定こそ、消費生活設計にとり最も必要なのであります。
さらに、声ルチルは不況の克服策でないとの意見があるのでありますが、カルテルが市場安定の効果を持つことは、すでに歴史の証明するところであります。しかして、この事実を認めつつも、それは終局において企業の創意努力を減退せしめ、経済の停滞ともなり、発展を阻害するがゆえに反対せんとするのは、今回容認せんとするカルテルの趣旨を故意に歪曲するものであります。
また、カルテルの容認は、国内価格のつり上げを来し、輸出に際しては出血輸出となり、国際的には日本商品のダンピングの疑惑を招き、刻下最大のわが国の要請たる輸出振興と相反するとの説でありまするが、輸出振興において最も大なる要件は価格の安定であります。安ければ安いほど売れるものではありません。安ければ安いほど売事れるのではなく、価格の不安定な、る一軸静巴、一ときは、特にだんだんと下つて行くときは、取引注文は杜絶するのであります。輸出は伸びないのであります。われわれは、ミシンに、あるいは模造真珠に、その苦難をなめて参つておるのであります。
それを要するに、反対論の多くは、カルテルの予想される弊害面のみを強調重視して、その長所に対しては、あえて耳をおおうとする感を禁じ得ないのであります。私は、まずわれわれの置かれている脚下を見よと叫びたいのであります。
最後に、本法の運用に関連して一言希望を申し述べたい。それは経済は常に動く生きものたるをもつて、これに対する措置は、経済の実情に即応して、機敏かつ適正に行わるべきであるとのことであります。時を忘れたる措置は、本改正の本旨を没却するものであります。
以上の理由により、私は、占領政策の行き過ぎを是正し、日本経場済再建への一大礎石たる本改正法案に、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/11
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012・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 中村時雄君。
〔中村時雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/12
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013・中村時雄
○中村時雄君 ただいま上程されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、私は日本社会党を代表して反対の意思を表明せんとするものであります。(拍手)
明治、大正、昭和の全般を通じて日本経済に見られた特質は、常に時の政治権力と結びついた少数資本家が特権的に利潤の追求にしのぎを削つて来た歴史であります。従つて、日本資本主義発展の背後には、国内においては少数の特権政治の搾取と圧迫の中に勤労大衆を置き、外に対しては帝国主義的侵略の野望となつて現われ、遂に日本をあの無謀なる戦争にかり立て、悲惨な敗戦に導いた事実を、われわれは断じて忘れてはいないのであります。(拍手)独占禁止法は、これら戦争遂行の元凶たる財閥の解体を行い、企業集中の排除によつて少数資本の独占的な支配を防ぐために、法律的制裁を今までは加えて来ておつたものでございます。しかるに、政府は、独禁法と集中排除法の趣旨を国民に徹底せず、反対に、日本の独立を好機として、再びその復活を認め、彼らと結託してその利潤の獲得に協力するため、合法的に法的基礎を与えんとして、ここに改正案を提案したものでございます。(拍手)ゆえに、今回の改正案は、表面的には独禁法の禁止条項の緩和をうたつておりますが、その本質は、現行独禁法の精神、目的に相反する完全なる骨抜き法案であつて、われらの断じて賛成できないところでございます。(拍手)
私は、以下反対の理由を、まず改正案の内容より具体的に明らかにして行きたいと思つております。
反対理由の第一は、第四条の価格協定、生産制限協定等の共同行為の禁止に関する規定を削除するとともに、他方、第二十四条の不況カルテル、合理化カルテルを認め、さらには輸出取引法の改正によるメーカーの輸出カルテルを、本法の適用除外として大幅に容認せんとしておることであります。す事なわち、この改正案は、生産、販売数量並びに設備の制限を認めるのみならず、価格協定の容認を含む全面的カルテルの容認でございます。しかるに、この半面、カルテル悪の取締りは、第四条のカルテル禁止規定の削除により、わずかに不公正な取引方法あるいは不当な取引制限の定義規定によるのみであつて、きわめてあいまいな、不明確な状態に置かれておるのであります。この結果、改正後の取締りは非常に困難となり、法案は有名無実となつてしまうのであります。、(拍手)しかも、政府は、カルテルの容認によつて、日本経済の不況が立ち直り、あるいは不況が解消するかのごとき安易な考え方をいたしておりますが、私は、カルテルによつて不況や景気変動が是正克服されるものではないと思うのであります。今日の不況や景気変動の禍根こそは、資本主義経済機構そのものの中に深く内在しておるものであり、しかもこの禍根を除くことなしに、カルテル政策によつて一時的に糊塗でるきかのごとき政府の安易な甘い考え方そのものこそ、現在の経済的不安定と混乱に陥れてIいる最大の原因であると確信するもの事でございます。(拍手)言葉をかえて言うならば、自由党は、みずからの経済政策の貧困さを、みずからが暴露しておると言つて過言ではないと思うのであります。(拍手)経済に計画性を要望するわが党としては、かかる基本的見解に立つて、独禁法を骨抜きにせんとするこの改正案に対して反対をいたすものであります。(拍手)
反対の第二点としては、カルテル化のねらう効果についてであります。カルテルは、自由な競争を制限して、市場価格をかえることを前提としている点であります。このことは、言いかえれば、カルテルが市場支配の経済力を持ち、独占形態をつくり上げる点であります。、生産数量の制限や価格維持の事名目に隠れて市場を支配し、独占価格を消費者に押しつけ、合理化の美名に事隠れて労働者、中小企業者を圧迫し、独占利潤を獲得せんとする本質が、この中から出て来るのであります。たとえば、綿紡操短に例をとつてみますと、明らかに実証できるのであります。
先ごろの原綿割当を裏づけとした通産省の操短勧告は、中小企業の怨嗟の声となつて現われ、また公取委員会においても、この勧告撤回の申入れをしていたのにかかわりませず、通産省当局は、一部財界人との懇談の結果、独禁法のみならず、違憲問題を起すことさえ想像でき得る行為をあえて犯しておつたのであります。(拍手)この結果、十大紡等の大紡績業者の収益に役立つたことは確かでありますが、反面、事労働者側は二万人以上の犠牲者を出し、中小企業、特に織布専業者は加工賃の切下げを受け、また自家製機織業者等は、原料高の製品安どなつて休業倒産が続出したことは、皆さん御承知の通りであります。しかるに、不況だといわれていたこの問、大企業はどんどん増錘を続けていたことは、いかなることでありましようか。この事実こそは、自一由党という時の政治権力と官僚の一部が巧みに手を握り、財閥擁護に成功した一環を示すものであると私は確信するものであります。(拍手)このような実例は、砂糖、化学繊維、硫安、肥、料、飼料等においても、見受けられるところであります。
しかるに、改正案は、このようなカルテルが持つている恐るべき経済力を濫用しないという確証をどこにも与えていないだけではなく、労働者、中小企業者、一般消費者が自己を防衛するための何らかの方法もないのであります。かくのごとく資本家擁護のためのカルテルを結び、その結果、勤労者に対しては、池田式の切捨てごめんの経済政策をとることが自由党の本質であると私は信ずるのであります。(拍手)このような、官僚となれ合いを招きやすい、また資本家擁護のみを中心とする中央集権的改正法案に対して、強く反対するものでございます。
反対の第三点としては、一部生産部門のカルテルの結成は、関連部門のカルテルの結成をもたらすことであります。カルテルは、基礎原料部門に成立しやすく、しかも強力なものとしてでき上るのであります。この反面、完成部門においては、成立しても弱体な場合が多いという特徴を持つておるものであります。このことは、大企業の支配する産業部門では強力なカルテルが結成されますが、中小企業部門では脆弱なものしかできないことを物語るものであります。その結果は、大企業部門のカルテルが、その市場を支配し、独占価格を強要し、従属を強制するものであります。このように、カルテル結成の結果は、結局中小企業の全面的犠牲において大資本が利潤を収奪し、農民は農産物価格と工業製品価格のシエアの拡大に悩み、一般消費者大衆は、合理化の名目により、価格安定の形で高物価を押しつけられ、生活内容をますます貧困化して行くものであります。この反面、カルテル結成に上り利益を得る者はだれでありましようか。それは、この不況の圧力を関連産業に転嫁しますく厖大化して行くところの少数資本家と、この影響下にある自由党政府を中心とする賛成者であ事ります。(拍手)このような一部の人たちの利益よりも、より多くの勤労者の犠牲を考えるとき、かかる社会的不安を大きく与える改正案に対し、わが党は絶対に反対をするものであります。
次に、カルテルの認可権の問題であります。改進党が、許可、認定に関し公取委員会一本に修正したことは、これによつて、本法の運用が官僚独善に陥ることを防止する上において幾分の効果あることは認めますが、価格カルテルを認めないという修正案を引込めて自由党と妥協したその結果は、これもまた同じような骨抜きになつてしまつたことは、まことに遺憾なところであります。(拍手)われわれは、公取委員会に民主的な労働組合、農民、中小企業団体の代表者を認められない今日、この修正案に対しても反対せざるを得ないのであります。
次に、カルテルと関連して、第五点として、トラストについて反対の意思を述べたいと思います。すなわち、持株の制限緩和及び役員の兼任緩和が企業集中と産業支配を促進せしめるもの、として反対するのであります。現行法においては、役員の兼任には三つの制限が付されております。しかるに、改正案においては、一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合と、不公正な取引方法による場合以外は、自由に株式の保有も役員の兼任も可能となつているのであります。しかも、この条文の限界はことに不明確であります。従つて、会社を一つ二つと統合して行き、競争制限の認められているところまで統合が許されるので、独占的に支配し得るまでは、大手を振つて会社の乗つ取りができるのであります。このことは、企業集中の公認にひとしいもので、ここに自由党の常套手段たる詭弁政策が明確に現われて来るのであります。(拍手)このような企業集中を目的とする改正案に対し、われわれは断固反対するものでございます。
第六点として、再販売価格維持契約の締結についてであります。これは、独禁法にとつては異質のものであり、一種の公定価格制の容認強制を意味するものであります。しかも、縦のいわゆる垂直契約は、先ごろの新聞販売事件によつて裁判所より認められているのであり、あらためて独禁法に挿入した理由を解するに私は苦しむのであります。しかし、改正案においては、日常使用され、自由な競争が行われている商品である限り、公取委員会が指定を事拒む理由がないゆえ、制定の意図と異なる適用も予想されるのであります。また、おとり販売について先ほど仰せられておりますが、おとり販売を戒めることは必要でありますが、その取扱い件数はわずかであり、それは現事行法においても、おのずから方法があります。本項の該当事項こそ、現れたものをただす態度で、十分にその効果をあげ得るものであります。さらに、この影響は実施のその日から直接消費者全体に及び、究極においては、小売業者がマージンの圧縮を要望されざるを得ない事態や、契約履行に困難を伴うことがどしどし現われる場合等が想像できるのであつて、簡単に本規定を挿入した理由が、私には不明なのであります。私の考えでは、これはおそらく一部の業者の要望に動かされたものであろうと想像ができるのであります。このことは、たとえば戦場において、鉄条網破壊の肉弾戦を行い、これを破壊すればタンクが現われてその効力を発揮するように、一部中小企業者の頭をなでておいて恩を売り、その背後には、トラスト、カルテルまかり通るということではないでしようか。(拍手)われわれは、このような詭弁的常套手段をとつて行わんとするこの改正案に反対するとともに、この問題は別に考慮すべきことであろうと思うものであります。
最後に指摘しなければならないことは、本改正案の作成それ自体が、不当な圧力と干渉のもとに行われたということの事実であります。すなわち、講和条約の発効に伴つて、政府が、先ほども自由党を代表いたされましておつしやられましたように、占領法令の行き過ぎ是正に名をかりて、民主主義的な諸制度を次々と改悪し、戦前の惠制的、非民主的社会に逆もどりせんとする姿であります。(拍手)労働法改悪しかり、スト規制法またしかり、警察法改悪等方、これらはすべて一連の関連を持つているものであります。吉田総理は、旧財閥の大番頭を政府の最高経済顧問とし、これら財界の復興を策謀する少数側近財界人の進言に動かされ、昨年来よりこの独禁法の全廃を企図したのでありますが、対外関係を恐れ、擬装的に独禁法を存続せしめつつ、その全面的な骨抜きを企図しているとしか考えられないのであります。なぜならば、委員会においても、この改正案の法文にも内容にもいろいろと疑義を持ち、また大半の委員は、今回の改正案はあらゆる点から見てきわめて不備な点が多いので、次期国会までに根本的な再改正を行うために審議会を設け、この法案はもう一度作成し直すべきであるという考え方でおつたのでございます。しかるに、この一週間くらい以前より、突如鉄鋼、石炭、経団連等が中心となり、自由党、改進党幹部に働きかけ、各委員の考えを無視し、党の立場においてという名目のもとに、急遽上程されたものであります。
一体、これら鉄鋼、経団連の動きが、何ゆえにこのように峻烈をきわめたのでありましようか。これこそ一岡崎発言にあるごとく、再軍備への一連の道として、MSAの軍需援助の見通しがつき、一挙にトラスト、カルテル、コンツエルンとしての旧日本の独占資本の現われの一環であると信ぜざるを得ないのであります。(拍手)また反面、先日の三派共同修正による予算案に対し協定を行いつつとつた改進党の議場での非紳士的な態度に対しても協力せねばならないという自由党の姿には同情に値するものがあるとはいえ、いつまでも政権にのみ便たと未練事を持ち、再び改進党と同調せざるを得なかつたという事実こそは、本法案成立の背後に財閥の暗躍のあつたことを立証するものでなくて何でありましようか。(拍手)
以上をもちまして反対討論を終る次第であります。 (拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/13
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014・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 栗田英男君。
〔栗田英男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/14
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015・栗田英男
○栗田英男君 私は、改進党を代表いたしまして、独禁法に対する三派共同修正案並びに修正案を除く政府原案に対し賛成の意を表するものであります。
わが国財界の一部において、独禁法は過去の占領政策の遺物であり、従つて日本経済再建のため有害無益なりとし、これを大幅に緩和するか、しからずんば全廃すべしという論は、しばしば耳にするのであります。しかしながら、独占資本の弊害が消費者大衆の生活を脅かし、かつまた中小企業に致命的脅威を与えて来たことは、綿紡績の共同繰短等、私どもの記憶に新たなことであります。独禁法が占領政策の遺物であるという幼稚な気分的反発を抜きにし、また単に日本経済の底が浅いなどという抽象的言葉に幻惑されず、独禁法の運用こそ、日本経済の動向を左右する重大なる経済政策として、より真剣な、より活発な研究が望まれるのであります。従つて、日本経済民主化の基本法たる独禁法の改正を一たび誤るときは、国民大衆の不当なる犠牲において大企業のみを擁護する結、果となり、これが改正はきわめて慎重かつ賢明なる研究を要することは論をまたないのであります。
しかるに、今回提案された改正案は、その内容はきわめてあいまいであり、しかも、改正の意図するところは、一部財界の鼻息をうかがい、わが国経済の健全なる発展を阻害する幾多の要素を包蔵しているのであります。わが党は、この点を深く憂え、さきに修正案三点を立案いたしたのであります。
すなわち、その第一点は、改正案においては、トラスト禁止規定と相並んで独禁法のかなめであるカルテル禁止規定の適用除外についての認可権を、同法の運用機関たる公正取引委員会に与えないで、産業の主管大臣という立場から、通産大臣に与えることになつていることは、独禁法の趣旨とまつたく相反するばかりでなく、汚職の総本山といわれる通産省にかかる刃物を持たせることは危険きわまりないと言わざるを得ないからであります。(拍手)改正案は、カルテルの認可権を主務大臣に置く理由として、産業の主務大臣たる立場を主張し、輸出取引法や中小企業安定法などの特別法の前例を主張しているが、独占禁止政策は、一元的、総合的に運営さるべきであり、その責任主体は当然に独禁法の目的達成のために設置された公正取引委員会が持つべきであり、全局的立場から認否に最終決定を与えることが理の当然であります。政府案のごとく、公正取引委員会が設定を行い、主務大臣が認可を行うことになれば、実質的に、終局的判定着たるべき公正取引委員会が認定した後においては、主務大臣がみずから機能すべき余地はまつたくなく、まだ認定を得ない主務大臣の認可は無効であることは、一点疑念の余地はないのであります。ここに至つてまで何ゆえに主務大臣が認可権を主張するか、その心理は、とうてい局外者たる私には理解することはできないのであります。かくのごときは、独禁法の運営につい、ていたずらに疑念を抱かせ、準司法的手続を廃して行政処分によることとなり、ひいては訴訟手締に混乱を生じ、独禁法運用上の独自の体系を破壊する結果を拓くに至るのであります。さらに主務大臣を認可機関とするときは、統制経済誘致の危険濃く、かつ大企業の傀儡となつて、一般消費者の利益を確保する独禁法の根本目的を阻害し、しかも認定、認可両対等機関を存置するがごときは、かえつて事の迅速処理をいたずらに妨げるにすぎないのであつて、認可機関は、あくまで独禁法の趣旨を尊重し、公正取引委員会一本を強力に主張したのであります。
第二点は、価格協定を認めることは、不況克服のために真剣な努力を怠り、安易な価格維持政策に走り、従つて需給均衡のため必要な操業短縮を避け、国内価格は価格協定によリ不当につり上げ、これによつて得た独占利潤をもつて過剰商品を国外にダンピングする危険性がきわめて大であり、カルテルを一切認めていない現独禁法のもとにおいてすら、かくのごとき事態はすでに生じているのであります。特に基礎原料の価格協定は、国際水準に比して常に割高に悩むわが国産業にもたらす悪影響はなはだ大事なるにかんがみ、本項の全面的削除を主張いたしたのであります。
第三点は、改正案には、中小商工業者の育成強化と零細小売商の生活安定のため、新たに再販売価格維持契約を加えておりますが、本条において十一団体の適用除外を認めたことは、本契約の効果を著しくそこねることであり、今日小売商が最も被害を受けつつある点は、これらの十一団体が部外者に対し積極的に値引き販売をすることであり、ために、課税の重圧と不当な廉売によつて小売商の倒産続出し、今や各地において重大なる社会問題が頻発しているのであります。従つて、本改正案事の実効を上げ、中小商業者を救済するためには、当然これらの団体を除外すべきでないと主張いたしたのであります。
以上三点の修正案は、実に進歩的国民政党であるわが改進党の良心であつて、この正義の主張の前には、自由党は粛然としてこうべをたれ、両派社会党の諸君といえども拍手を惜しまざることを、私は信じて疑わないのであります。(拍手、笑声)しかしながら、三派交渉の過程において、第一点の主張は貫徹し得たのでありますが、第二、第三点の主張を貫き得なかつたことは、まことに遺憾であると言わざるを得ないのであります。
この際通産大臣に申し上げたいことは、本修正によつて主務大臣の認可権は削除されるのであります。だからといつて、報復的に、今日までしばしば行われたことく、操短の勧告、外貨の割当等において実質的カルテルが行われたとするならば、本法はまつたく蹂躙されるのであつて、今後かかる処置は絶対に行わないと委員会で答弁はあつたのでありますが、重ねてこれが厳守を要求する次第であります。
かくのごとく、わが党の強き主張たる、公正取引委員会が認可権を専管することにより、第二点の生産制限を故意に回避し、あるいは情実等によリ不当に認可し、安易に価格協定につく不安はまつたく解消されたのであります。第三点の再販売価格維持契約適用、除外の団体が部外者にこれを販売するときは、公正取引委員会より反省をうながすことによつて、わが党の主張はおおむね達し得たのであります。
最後に、本法の改正により、公正取引委員会の職責はけだし重大であり、国民大衆の同委員会に対する期待はきわめて大なるものがあります。これによつて、公正取引委員会がカルテルの認可を与えることはきわめて容易であります。しかしながら、公正取引委員会は独禁法の擁護者であります。いたずらにこれを許すことは、日本経済にとつて、また大企業にとつても決して幸いするものではありません。不況に対処して、業者の真剣なる努力こそ自立への道が開かれるのであります。従つて、これが認可にあたつては、わが国の資本主義経済機構において、自由競争の果すべき限界を常に長期的視野のもとに見きわめ、高き見地に立つて、これが認可を与えられんことを強く望むのであります。また本案通過のあかつきには、修正案提出者の一人として、公正取引委員会の使命の重大なるにかんがみ、予算の増額その他独立官庁としての実力を養い、真にその機能を発揮せしめて、国民の期待にこたえなければならない責任を痛感するものであります。
何とぞ、公正取引委員会は、独禁法本来の使命である一般消費者の利益を身をもつて守り、いかなる迫害にも屈せず、いかなる誘惑にも陥ることなく、毅然としてその職責を遂行せられんことを深く希望いたしまして、私の賛成討論を終ります。、(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/15
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016・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 先ほどの中村時雄君の発言中、不穏当の言辞があれば、速記録を取調ぺの上、適当の処置をとることといたします。
山本勝市君。
〔山本勝市君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/16
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017・山本勝市
○山本勝市君 自由党を代表して、上程せられました独占禁止法の一部改正法案について、委員長報告通り賛成し、その賛成の理由を簡単に説明いたします。
御承知の一ごとく、独占禁止法そのものは、農地調整法や労働関係調整法と同様に、占領直後、米国の初期の対日政策の一環として与えられた法律であります。米国の初期の対日政策の性格であるところの日本民主化の理想と、幾分懲罰の意味を含めた日本弱体化の目的とは、この独占禁止法の内容の中にも盛られまして、公正かつ自由な競争の経済秩序を維持するという堂々たる立法の理由にもかかわらず、経済上一切の集団的共同行為の自由を禁止するというごとき、世界に類例なきほどに、きゆうくつな、不自由な法律となつた次第であります。最初の独禁法をごらんになればわかる通り、それは独占を禁止するというよりも、すべての競争制限行為を禁ずるものであつて、米国の反トラスト法とは比較にならぬほどに不自由なものであつたのであります。ただ、かかる独禁法が、制定後しばらくの間、さまできゆうくつな、じやまものと感ぜられなかつた理由は、当時、インフレーシヨンの高進のために、何でもつくりさえすれば売れるという状態と、インフレーシヨン時代の特色であるところの固定資産の償却を無視するという特殊な経済事情に、よつたものと私は考えるのであります。
昭和二十三年の春以来、米国の対日政策の転換を政治的背景とし、ドツジ政策の実施に伴つた経済沈滞の予想を経済的背景として、二十四年五月には、五十箇条にわたる大幅の改正が行われました。この二十四年の大幅改正の結果として、ある程度まで米国の反トラスト法と接近するに至つたのでありますが、なお、カルテル行為に対する全面禁止の原則には何らの変更も許されず、朝鮮ブームの一時的好況が終りまして、財界が再び沈滞に入りまするや、独占禁止法の一層の改正が熾烈な要求とならざるを得なかつたのであります。あたかも講和独立という政治的変化もありまして、ここに日本人自身の手による改正が企てられたのが今回の改正であると考えます。
今回の改正案は、一定の条件のもとに共同行為を認めようとするもので、ある意味においては、確かに画期的な改正と言えないではありませんが、競争制限と独占とを混同しておるところのカルテル行為を例外的にのみ認めるにとどまるという点においてなお不十分なものであり、そこに幾多の好ましからぬ問題が発生する余地が残されております。今次の修正案は、三派の妥協の上に成立したものであります。もしわれわれ三十五名の意のままに修正が許されるものであるならば、カルテル共同行為はこれをまつたく自由とし、その濫用のみを取締るところの英国式の独占禁止法に改めるでありましよう。カルテルそれ自身は善でもなければ悪でもない。悪いのはその濫用であると信ずるからであります。われわれの見解によりますれば、自由経済における任意カルテルというものは、競争の一つの形態であつて、独占ではありません。固定資産の割合が非常に大きいところの近代産業におきましては、破滅的競争を防ぐがためには必然に価格カルテルを要求するのであります。それは、一たび投ぜられたところの厖大なる固定設備というものは、いかに生産を制限してみましても、極端には、仕事をやめてみましても、これを減少することが技術的に不可能だからであります。かかる技術的要求に基くカルテルまでも禁止することは、まさに破滅を要求するにひとしい。任意カルテルによる破滅的競争の制限は、競争の制限には違いありませんけれども、競争そのものの否定でもなく、従つて、断じて独占ではない。破滅的競争を制限してこそ、生産費を中心とした正常なる競争が確保されるのである。従つて、破滅的競争を防ぐがためのカルテル行為を認めるということは、競争の経済秩序を確保することを任務とするところの独占禁止法の精神に照して当然のことであつて、退却でもなければ、逆行でもなく、骨抜きでも断じてありません。ただ、自由競争の経済秩序そのものの破滅を希望する方々にとつては、破滅が幾分でも防がれるという意味で逆行と映ずるのかもしれませんけれども、それはやむを得ないことと考えます。
最後に、われわれは、本法の運用上注意すべき重要な二、三の事実を指摘いたしたいと考えます。
第一は、強制カルテル化の危険に関してであります。今回の改正法におきまして認められましたカルテルは、申すまでもなく、任意カルテルであつて、強制カルテルではありません。強制カルテルはまさに一つの独占形態であつてわれわれはこれを容認することはできません。しかしながら、今日、のごとく、完全なる自由経済ではなくして、資金の面において政府が統制をしておる、原料の面で政府が統制をしておるというふうな場合におきましては、ややもすれば、その資金の統制権を握り、原料の割当権を握つておるところの官僚が、任意カルテルに介入をいたしまして、そのカルテルを実行しなければ原料をやらぬ、資金をやらぬというようなことで、任意カルテルを強制カルテルに転化せしめるところの危険性は多分にあるという事ことを認めざるを得ません。(拍手)われわれは、重ねて申しますが、任意カルテルは一つの競争形態であつて、独占ではないが、強制カルテルはりつぱな独占形態である。従つて、われわれの知らぬ間に、統制ずきの官僚によつて、任意カルテルが事実上強制カルテル化されることのないように、十分な警戒を必要とすると考えるのであります。(拍手)
第二は、価格協定の認可に関してでありますが、先ほど委員長の御報告の中にもありましたように、価格カルテルを認めるか認めないかということは、委員会における重大な論議の的になりました。私どもは、自由党の諸君とともに、この価格カルテルを認むべしという側に立つたのではありまするけれども、しかしながら、この価格カルテルを認めるなという改進党の諸君の意見、ことに佐伯委員長の意見は、私は傾聽すべきものがあると考えたのであります。それは、自由な経済、カルテル行為が自由に認められておるときにおける価格カルテルと、原則として価格カルテル行為が認められないで禁止されておつて、そのときに認可によつて価格カルテルが認められた場合との間には、同じ価格カルテルであつても重大な相違を生ずるというのが、佐伯委員長の強い主張でありました。この点こそ私は傾聽するので、佐伯委員長の考えでは、原則としてカルテルを認めないで、例外的に政府が価格カルテルを認めると、その価格はもはや自由な価格ではなくて、政府の半ば公認した公定価格のようなものになる、ふろ銭のごときものになる、認可によつて認められたふろ銭のようなものになるという危険を感じておられるのであります。ところが、そうかといつて、価格カルテルを認めないということになりますと、先ほど申しましたように、技術的に生産制限の不可能な、生産制限をいたしましても生産費の切下げができないような業事において、破滅的競争を避けんがために絶対必要な価格カルテルも結ぶことができなくなる。このような次第で、われわれは価格カルテルを認むべしという側に立ちましたが、結局、この問題の根本的解決は、なるべく早くこの価格カルテルの行為を原則的に自由にするか、それまでの間は、公正取引委員会ないし主務大臣において運用の面に十分なる注意を払つて、ある価格カルテルが破滅的競争を避けんがために必要があつてやつている価格カルテルか、それとも独占利潤を得るための価格カルテルであるかということを十分に識別して、慎重にこれを認可し、または不認可にすることが必要だと考えるのであります。(拍手)
第三点でありますが、栗田君も申されましたけれども、再販売価格の維持契約に対する例外、除外団体を認めたという点に対して、われわれは反対であります。反対の理由は、栗田君の反対理由と私の反対理由とは少しく違うのです。私の考えでは、同じマーケツトにおいて二つの価格を維持することはできない、御承知の通り、一物一価の法則ないし無差別の法則という法則がありますが、近所で安く売られたら、絶対に価格は維持できない。いかに部外の者に売つてはならないと言いましても、隣で十銭でも二十銭でも安く売つておれば、何らかの方法で必ず下げなければ売れないから下げて行く。そういう意味合いにおきまして、私は、この再版売価格の維持契約を認める以上は、一般の消費組合ないし協同組合の方々も、買う値段は一般市民と同様の価格で買い取つて、現われた利益を分配するなり、あるいは厚生施設に使うなりする方が妥当だと考えましたけれども、不幸にしてわれわれの考えは他の党の方々の同調を得ることはできませんでした。ただ、私は申しますが、この法を施行して除外団体を認めておく限り、おそらく近き将来においてその欠陥が必ず現われて来るということを予言いたします。
これをもつて委員長の報告に対する私の賛成の演説といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/17
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018・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/18
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019・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/19
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020・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第三、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、日程第四、富裕税法を廃止する法律案、日程第五、国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案、日程第六、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、日程第七、日本専売公社法の一部を改正する法律案、日程第八、証券取引法の一部を改正する法律案、日程第九、証券投資信託法の一部を改正する法律案、右七案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事苫米地英俊君。
〔苫米地英俊君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/20
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021・苫米地英俊
○苫米地英俊君 ただいま議題となりました砂糖消費税の一部を改正する法律案外六法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申し上げます。
まず第一に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申し上げます。砂糖消費税につきましては、他の、消費税との負担の権衡等を考慮して、分蜜白糖等につき税率を二割程度引上げるとともに、含蜜糖について、その種別に応じて負担の調整をはかる等の所要の改正を行うというのであります。
次に、富裕税法を廃止する法律案について申し上げます。富裕税は、その施行の状況等にかんがみまして、負担の調整と税制の簡素化をはかるため、昭和二十八年分から廃止するというのでありますが、これに伴いましで、ただいま審議中の所得税法の一部を改正する法律案の中に、新たに課税所得金額のうち三百万円を越える部分について六〇%、五百万円を越える部分について六五%の税率を設けることといたしております。
この両法案につきましては、審議の結果、二十三日質疑を打切り、ただちに一括討論に入りましたところ、自由党を代表して黒金委員は賛成の意を述べられ、社会党を代表して佐藤委員、及び社会党を代表して井上委員は、それぞれ反対の旨討論せられました。次いで採決をいたしましたところ、いずれも起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
次に、国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税事の免除に関する法律案について申し上げます。国際復興開発銀行からの外貨資金の借入れについて日本開発銀行または日本輸出入銀行が発行する債券の利子で、日本に住所等を有しない個人または外国法人が受けるものについては、所得税を免除しようというのであります。
この法案につきましては、昨二十四日質疑を打切り、討論を省略してただちに採決いたしましたところ、本案は起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
次に、閉鎖機関令の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、閉鎖機関の整理の一層の促進をはかるとともに、その最終的な処理体制を整えるため、在外活動閉鎖機関につきまして従来禁止されておりました社債の弁済及び残余財産の分配を認めるほか、閉鎖機関の指定を解除し、また株式会社である閉鎖機関について、指定解除後に株主総会の決議により会社を継続し得ること事とし、さらに、その国内資産をもつて新会社を設立し得る道を開くとともに、所要の規定の整備をはかることといたしております。
本案に関しましては、各派共同の修正案が提出いたされました。修正の第一点は、閉鎖機関の清算の結了を一層促進いたしますため、特定の場合には、閉鎖機関の持つている金融機関の調整勘定受益権の譲渡を認めるとともに、右の調整勘定受益権のほか、閉鎖機関の持つている交易営団、横浜正金銀行等に対する債権及び残余財産分配請求権等につきましても、特定の場合に限り、これらの財産権のすべてを信託することによりまして、閉鎖機関はその債務及び残余財産を分配すべき義務を免れるものといたしたのであります。修正の第二点は、閉鎖機関が新会社を設立する場合における株主総会の議決の要件といたしましては、政府原案におきましては、発行済株式の総数の過半数の賛成を必要としているのでありますが、引揚げ等の事情によりまして、このような要件を満たすことは著しく困難であると認められますので、これを、出席株主の議決権の三分の二以上で、かつ発行済株式の総数の十分の一以上の賛成をもつて足りることといたしたのであります。
本案につきましては、審議の結果、去る二十四日質疑を打切り、修正案及び修正部分を除く原案を一括して討論に入りましたところ、自由党を代表して苫米地委員は賛成の旨を討論せられました。次いで採決いたしましたとこ事ろ、修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも起立総員をもつて可決され、よつて本案は修正議決すべきものと決した次第でございます。なお本案に関しましては、事さらに附帯決議案が提出され、これについて採決いたしましたところ、起立総員をもつて附帯決議を付することに決しましたが、その案文についてはこれを省略させていただきます。
次に、日本専売公社法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、専売事業の企業的な運営をはかるために、日本専売公社の行う業務内容に投資を加え、同公社の予算に弾力性を与えて、予算の流用、繰越し、その他制度を改正いたし、また専売納付金の計算にあたり、たなおろし資産の増加額を控除しないこととし、さらに、同公社の業務にかかる現金の取扱いに関する規定の整備をはかろうとするのであります。
次に、証券取引法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案咲最近における証券市場の実情にかんがみまして、有価証券の募集または売出しに関する届出制度を簡素化するとともに、証券業者に対する監督規定を整備いたし、あわせて証券取引所の機能の公共性に顧みまして、その設立に免許を要することとするものであります。
最後に、証券投資信託法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、最近における証券投資信事託の実情にかんがみまして、委託会社についての登録制度を廃止して免許制度を採用するとともに、その監督に関する規定を整備いたし、委託会社の取締役が他の会社の常務に従事しまたは事業を営もうとするときは、大蔵大臣の承認を受けなければならないものといたそうとするものであります。
右三法案につきましては、昨二十四日質疑を打切り、一括して討論を省略し採決いたしましたところ、いずれも起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/21
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022・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
〔甲岡忠次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/22
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023・平岡忠次郎
○平岡忠次郎君 私は、日本社会党両派を代表いたしまして、ただいま上程の税制改革案の一環をなす砂糖消費税法の一部を改正する法律案並びに富裕税を廃止する法律案に対し反対の意見を表明せんとするものであります。(拍手)
敗戦により、その直後、日本経済の実勢は麻痺状態となりまして、遂に悪性インフレヘと移行したのであります。この間、復興に名をかり、持てる者はインフレの波に乗りますます栄え、持たざる国民大衆はいよいよ貧窮の度を加えたのであります。このインフレ時代も、昭和二十五年をもつてひとまず終息を告げ、また同年にはシヤウプ勧告による税制の大改革が行われたのであります。二十六年以降は、潜在的には不況弱体の経済実勢でありながら、朝鮮特需によりまして、辛くもわが国経済は平穏をつなぎ得たのであります。今朝鮮に平和立ち帰らんとし、わが国経済の前途は平和不況を憂慮される内外情勢のもとにあります。二十五、六年にかけて潜在した不況経済の実勢が、朝鮮の平和回復とともに表面に露呈して来るであろうと予見せられるのであります。この歴史的段階に対処して、政府はいかなる方策を租税制度において貫かんとするのであるか。シヤウプ税制の原則か、旧税制の復古か、はたまた、シヤウプ税制のデフレ的原則はこれを保持しつつも、怨嗟久しき大衆課税についてはこれを緩和し、勤労者、農民、中小企業者を重税の桎梏から解放せんとするのか、私は、これらの設問に対して、政府の税制改革案を貫く精神が、第一にきわめてあいまいであることを指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
しかも、税制改革各案の行間にひそむ魔術を解き、目を紙背に徹するならば、大衆収奪政策の転換をよそおいつつも、その内実において収奪政策をいよいよ露骨化し、その反面、金持資本家階級に対しては最大限に課税緩和の意図を持つものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、政府は、今回の税制改革を通じて、税負担の軽減と負担の均衡をはかつたと言つておるが、税制改正の全般を通じて見て、決してそうはとれないのであります。わが国の租税が大衆重課となつていることは、今や何人といえども否定し得ざるところであり、われわれは、必ずしも税額の高いことをのみ指摘し、これに非難を加えんとするものではないが、現行税制が負担の公平を欠いており、あらゆる税目において現政府の大衆収奪政策が露骨に具体化されていることに根本的な問題のあることを追究せんとするものであります。(拍手)
私は、結論的に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案も、富裕税を廃止する法律案も、この好個の事例なりと断ずるものであります。
まず、私は、砂糖消費税につきまして、今回の改正案に反対する理由を申し述べます。
政府は、砂糖消費税率を約二割程度引上げ、三十二億円の増収をもくろんでおります。われわれは、この改正は、増徴の僅少なるにもかかわらず、現在においても、また将来を見通しても、大きな影響があると考えます。すなわち、粉食が現実の国民の食生活においてすでに大きなパーセンテージを占めておることと、さらに、将来に向つて、この傾向は強化されなければならないという意味においてであります。すでに、今日、日本国民の主要食糧は、米麦の不足から粉食を余儀なくされているが、砂糖は不可欠なその添加物として、事米麦と同様の価値を持つところの生活必需品であるのであります。従いまして、砂糖の値上げは、消費者米価の引上げにも匹敵する重大問題と言わなければならないのであります。(拍手)この値上げは、まさに政党の認識の欠除と言うよりほかございません。今日、国民にとつて、主食のウエートを持つ砂糖である以上、二割値上げするということは、ただちに家計に重大なる影響があるからであります。一方において給与ベースはすえ置いて、逆に電信電話料金を引上げたり、国民生活に直接関係のある大衆の要望を無視し続けて来た政府が、税負担の軽減を表看板にしながら、間接税の魔術のもとに、こつそりとここに砂糖消費税を引上げて大衆の家計を脅かすというがごときことには、断じて反対せざるを得ないのであります。(拍手)
さらに、目を少しく将来に転ずるならば、わが国の国際収支は先行き輸出不振が予想されるだけに、輸入節減問題は二、三年の後に深刻な様相を帯びて来ると信ぜられ、それだけにまた、この問題に別の観点から関心が払われなければならないのであります。やがて国際収支の観点より着目さるべき事柄の一つは、輸入総額二十億ドルのうち四億三千万ドルにも上るところの米麦の輸入についての再検討でありましよう。すなわち、輸入米麦三百万トンについて、米の輸入を麦にかえると、それだけで一億ドルの節減ができるのであります。輸入項目の切りかえだけでこれが可能であります。このことを困難ならしめているのは米に対する嗜好上の執着であると説明されて来たのでありまするが、むしろ家計上の負担問題に原因があるのであります。すなわち、米食で一千カロリーのコストは五十六円であるのに、バター、砂糖等を併用しなければならないパン食においては、同じ一千カロリーをとるのに七十二円を要するのでありまして、ここに砂糖、バター等の価格の引下げが家計上から強く要望されるのであります。かかる点からしても、外貨一億ドルを年間に節減するための食生活改善を推し進めて行くためには、今回の砂糖消費税の増徴などは逆コースでございまして、むしろこれは、減税して粉食の家計負担を軽減する方途を開くべきでありまして、国際収支にかかわる国の食糧政策の上からも、大乗的な考慮が払われなければならないものであると信じます。政府が、戦前の税率に比較したり、あるいは酒税率と比較したりしまして、これが引上げの妥当性を理由づけるがごときは、食生活の歴史的推移に対して故意に目をおおうにあらずんば無知の証拠でございます。
以上述べました通り、切実なる大衆の生活擁護の現実的観点と、はたまた将来につながる国際収支の問題から、私は、この砂糖消費税の一部を改正する法律案に対して断固反対し、各位の御同調を煩わしたいのであります。(拍手)
次に、私は富裕税に言及せんとするものであります。
政府は、富裕税が捕捉すること困難であるという理由、また所得税のうち高額所得者に対する最高税率を現行の五五%から六五%に引上げたという理由で、年間二十七億円に上つているこの富裕税を廃止しようというのでありますが、富裕税は、もともと所得税とは補完関係にありまして、所得税の累、進をもつてして置きかえ得ぬ性格のものであります。しかも、今回富裕税の廃止に見合うところの所得税累進率の引上げは、いまだ富裕税のなかつた当時の旧所得税法の最高率八五%を回復せず、それがため、わずかに七億円足らずがこの引上げから吸い上げ得られるにすぎませず、差引二十億円が金持のために減額されるのでありますから、われわれにとつて、この措置は何としても納得することができないのであります。
そもそもこの富裕税なるものは、昭和二十五年、当時の吉田内閣が、税制の一大改革を実施するに際し、シヤウプの勧告に基いて新設したものであつてて同法案の提案にあたつて、当時の池田大蔵大臣は、今回の税制改革は恒久的かつ安定した税制の確立を目ざした事ものであり、一旦改正された税制は今後相当な期間持続せしめる前提のもとに立案した、かように説明しているが、以来わずか三箇年を経ずして、部分的な税率の改訂等であるならばいざ知らず、一つの税目を抹殺してしまうような改正の行われることは、どう考えても理解のできないところでございます。(拍手)政府当局の言う恒久的税制なるものが、かくも短時日の経過の後に変更を加えられるものであるとするならば、われわれは、あらゆる政府の施策について不信を抱かざるを得ないのであります。ここにおきまして、われわれは、政府のいう税目の整理などという富裕税廃止の理由はまつたくうそであつて、捕捉の困難ということなどは単なる言い訳にすぎず、本質的には、初めから政府には富裕税を完全に徴収する意思がなかつたものだと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
われわれは、本案の審議過程において、すでに現政府の租税政策が常に高額所得者擁護の見地に立つてとられていることを追究したのでありますが、実質的には年間二十七億円に上る税負担を、さなきだに重税にあえぐところの勤労大衆の上に転嫁する結果を招来すべきこの富裕税廃止案に賛成するわけには参りません。(拍手)現在国民大衆が所得税を初め各税の重課に坤吟している現状におきまして、富裕税を廃止して金持だけの税金を減らさんとするがごときへんぱな税制措置は、社会人心に及ぼす影響まことに大なるものがありまして、むしろ租税負担の公平化の上からも、富裕税徴税を強化して、国民全般の税負担軽減に資すべきことを強く要求するものであります。
以上をもちまして、私の二法律案に対する反対討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/23
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024・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
まず日程第三、第四、第五の三案を一括して採決いたします。(定足数が足りないぞしと呼び、その他発言する者多し)三案の委員長の報告はいずれも可決であります。(発言する者多し)三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/24
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025・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて一二案とも委員長報告の通り可決いたしました。
次に、日程第六ないし第九の四案を一括して採決いたします。日程第六の委員長の報告は修正でありまして、日程第七ないし第九の委員長の報告は可決であります。四葉は委員長報告の通り決するに後異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/25
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026・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認あます。よつて四案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/26
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027・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第十、農業機械化促進法案、日程第十一、有畜農家創設特別事措置法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井出一太郎君。
〔井出一太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/27
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028・井出一太郎
○井出一太郎君 ただいま議題となりました、平野三郎君外十六名提出、農業機械化促進法案、並びに有畜農家創設特別措置法案について、きわめて簡単に御報告いたします。
まず、農業機械化促進法案について申し上げます。法案の主要なる内容といたしましては、農業機械化を促進するための有効なる措置をとるべき国または都道府県の義務、農協等が共同利用に供する農機具の導入資金を国が確保する義務、科学的試験研究機関を積極的に助長する義務等、二、三の規定を掲げておりまする等が、おもなるものでございます。本案は、七月一日農林委員会に付託され、七月十七日より審議に入つたのでありますが、七月二十三日、右派社会党川俣清音君より、各派を代表して共同修正案が提出いたされました。その修正案の内容は三点ありまして、第一点は、本法の対象となる農機具中に、有害動植物の防除及び家畜家禽の飼養管理の用に供する機械器具をも加えることといたした点であります。第二点は、融資の相手方が単に農協等の団体に限られておりましたものを、農業を営む個人にもこれを拡張したことであります。第三点は、国が補助する事業の種類に、新たに農機具の修理施設の設置運営を加えたことであります。よつて、委員会といたしましては、右の修正案並びに原案を議題として採決に付しましたところ、いずれも全員の賛同を得まして、両案ともこれを可決することと決した次第であります。
次に、有畜農家創設特別措置法案について申し上げます。
昨昭和二十七年度から、政府が有畜農家創設要綱を設定いたし、有畜農家の創設を推進して参りましたことは、各位の御承知の通りであります。しかしながら、かかる重要な畜産行政を単なる行政措置にゆだねておきますことは適当でないと考えられますので、安定した恒久的対策として、ここに本法案の提出と相なつたのであります。
次に、本法案の内容につきまして主要な点を申し上げますと、一、国が有畜農家創設事業に必要な資金の融通あつせんに努めること、二、国が家畜導入資金について利子補給を助成すること、三、国が家畜導入資金についても損失補償を助成するごと、四、都道府県がみずから家畜を購入して貸付を行うよう奨励すること、五、国有家畜の貸付の道を開くこと等でございます。
本法案は、七月三日本農林委員会事付託と相なり、七月八日保利農林大臣から提案理由の説明があり、次いで二十三、二十四の両日にわたり質疑を行いましたが、本法案はわが国畜産行政上画期的な意義を有するものでありますので、各委員から活発な御発言がございましたが、その詳細は速記録についてこらんを願いたいと思います。同日、質疑を終了、討論を省略、採決を行いましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。次い事で、社会党芳賀委員から附帯決議を付したいとの動議が提出されましたが、その詳細は速記録に譲ります。この附帯決議について採決の結果、これもまた全会一致をもつて可決いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/28
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029・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。日程第十の委員長の報告は修正でありまして、日程第十一の委員長の報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議、ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/29
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030・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/30
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031・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第十二、久大島周辺における漁業についての漁業法の特例に関する法律条を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長田口長治郎君。
〔田口長治郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/31
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032・田口長治郎
○田口長治郎君 ただいま議題となりました久大島周辺における漁業についての漁業法の特例に関する法律案について、水産委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。本案は、昭和二十六年漁業法改正による久六島周辺の漁場に新たに共同漁業権が設定されるにあたりまして、漁場の利用関係と、これに関連して、古くから不明確であつた同島の地籍の所属につき、青森、事秋田両県に紛争が生じたのであります。爾来、同局の利用関係の調整のため、漁業法の特例を設けた後に同島の地籍を決定する方針のもとに、両県関係者とたびたび協議を重ねて参りましたところ、芸る七月十八日、両県沿岸漁民の漁業の操業に不安を与えないことを旨とし、両県とも漁業上の問題にづいて完全に意見の参一致を見たのであります。本案は、前述の一ごとき経緯にかんがみまして漁業法の特例を設けようとするものであります。すなわち、その趣旨とするところは、漁業法によれば、漁場を管轄する都道府県知事が漁業の免許、許可を行うことになつているのでありますが、久六島周辺の漁場に関し、将来万一紛争が起り、その調整のため必要がある場合には、農林大臣がみずから向島周辺の漁場を管轄する県知事の漁業法に基く権限を行うことができるようにいたしたのであります。以上が本案の提出理由とその内容であります。
本案は、七月二十三日水産委員会に付託となり、二十四日の水産委員会において政府より提案理由の説明を聞き、質疑及び討論を省略の上採決いたしましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/32
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033・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/33
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034・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 事御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/34
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035・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第十三、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案、日程第十四、港湾整備促進法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長關内正一君。
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〔關内正一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/35
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036・關内正一
○關内正一君 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案及び港湾整備促進法案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。事
まず、日本国有鉄道の一部を改正す事る法律案について申し上げます。
本法案は、日本国有鉄道の事業の能率的な運営をはかり、もつて公共の福祉を増進するために、管理制度と会計及び財務に関する条項に所要の改正をしようとするものであります。
さて、本法案は、七月一日本委員会に付託され、六日政府より提案理由の説明を聽取し、二十一日より質疑に入り、慎重に審査いたしたのでありますが、その詳細について、は会議録に譲ります。かくて、二十四日質疑を終了いたしましたところ、自由党、改進党、日本社会党両派、自由党、小会派クラブを代表し、改進党原彪君より、関連事業に対する投資に関する条項を削ること、日本国有鉄道の予算の調整は運輸大臣が行うこととし、大蔵大臣とは協議するにとどめ、これに伴い決算、予備費の使用、予算の繰越し等の諸規定につき大蔵大臣の権限を削除すること、並びに経営委員会の委員の任命に関する経過措置に関し、修正動議が提出されました。次いで、討論を省略し、修正案について採決の結果、起立総員をもつて可決、次いで修正部分を除く原案について採決の結果、これまた起立総員をもつて可決、よつて本法案は修正可決すべきものと議決いたした次第でございます。
次に、港湾整備促進法案について申し上げます。
現在、上屋、荷役機械、引船及び臨、海工業地帯等の整備に対しては、国庫の補助がまつたぐないために、これが整備は著しく立ち遅れている現状であります。よつて、整備計画に基いて港湾管理者がこれらの施設等を整備する場合には、政府は国庫積立金からこれに要する資金を融通するように努め、港湾の整備を促進しようとするのであります。
本法案は、七月二十日本委員会に付託され、翌二十一日政府より提案理由の説明を聽取いたしましたが、趣旨並びに内容はきわめて明瞭かつ妥当のものと認め、二十四日、質疑討論を省略し、ただちに採決の結果、本法案は起立総員をもつて政府原案通り可決すべIきものと議決した次第であります。、
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/36
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037・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 両案を一括して、採決いたします。日程第十三の委員長の報告は修正でありまして、日程第十四の委員長の報告は可決であります。両案は委員長報告の適リ決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/37
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038・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/38
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039・今村忠助
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、青柳一郎君外二十四名提出、社会福祉事業振興会法案、青柳一郎君外二十二名提出、災害救助法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みますで発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/39
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040・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/40
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041・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
社会福祉事業振興会法案、災害救助法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事青柳一郎君。
〔青柳一郎君登壇]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/41
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042・青柳一郎
○青柳一郎君 ただいま議題となりました二法案の審査の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。
まず、社会福祉事業振興会法案について申し上げます。終戦後、民間社会福祉事業はますますその重要性を加えて参りましたが、補助金の制限、物価の高騰等により、施設の修理、改造等には著しい困難を来し、昭和二十二年以降は共同募金運動の展開を見ておりますものの、累年配分対象の増加により実質的な配分額は減少する一方でありまして、社会福祉事業の振興のために長期低利の資金融通をはかる必要性が強く要望せられて参つたのであります。今回うこの要望に沿い、新たに社会福祉事業振興会を設立せんとするのが、本法案提出の理由であります。
次に、本法案の内容のおもなる点を申し上げますれば、第一に、振興会は、社会福祉法人その他社会福祉を目的とする施設を経営するものに対し、その経営上必要な資金を融通し、その他必要な助成を行い、もつて社会福祉事業の振興をはかることを目的といたしております。第二に、振興会は特殊法人とし、その役員は、会長及び監事は厚生大臣の任命、理事は厚生大臣の承認を受けて会長がこれを任命し、資本金はその全額を政府が予算の定めるところにより出資するものといたしております。第三に、振興会の業務は、社会福祉施設の修理、改造、拡張、整備、災害復旧に要する資金、または経営に必要なその他の資金等を貸付または助成を行うことであります。第四に、振興会の業務方法書には、資金の貸付限度、利率、期限、元利金回収の事項、担保等の事項及び助成の限度、目的等を記載して、厚生大臣の認可を受けしめ、その事業計画、予算は厚生大臣の認可、決算はその承認を受けしめることとし、また剰余金の処分、余裕金の運営等についても制限を加えているのであります。第五に、振興会の監督は厚生大臣の権限とし、監督上必要な命令を発し、報告を徴し、立入り検査をなすことを得、また役職員に対しては、一定の事由があるときはこれが解任をなし得ることといたしております。第六に、振興会は昭和二十九年四月から発足することのできるよう、厚生大臣が設立委員を任命し設立の事務を処理させることとし、事また免税の特典等を規定いたしておるのであります。
本委員会は、民間社会福祉事業の振、興に関しては、事前国会以来特に研究を重ねて参つたのでありますが、今国会に入り、特に社会福祉事業金融対策に関する小委員会を設置し、きわめて熱一心なる検討審議を行つた結果、この社、会福祉事業振興会法の成案を得たのであります。
本案は、七月二十四日、各派共同提案をもつて本委員会に付託せられ、本二十五日、小委員長青柳より小委員会の結果報告並びに提案理由の説明を聽取した後審査に入り、討論を省略して採決に入りましたところ、本案は全会一致原案通り可決すべきものと議決いたしました。
事次に、災害救助法の一部を改正する法律案について申し上げます。
現行法は昭和二十二年に施行されて今日に至つたものでありますが、その後、本法運用の実情は必ずしも十分な使命を果しておるとは言い得ない部面があるのであります。ことに、今次西日本並びに近畿地方の豪雨による水害の罹災者に対する応急救助の経験にかんがみ、救助の種類を増加拡充して、その救助内容の適正化を期するとともに、各種の救助機関に電気通信設備の使用を認め、かつ国庫負担の規定を改正して地方財政負担の軽減をはかり、あわせて災害救助基金を充実せしめ、もつて非常災害時の応急措置に遺憾なきを期そうとするのが、本案提出の理由であります。
本案のおもなる内容を申し上げますれば、第一に、収容施設の中に応急仮設住宅を加えるとともに、救助の種類中に飲料水の供給、災害にかかつた者の救出及び住宅の応急修理を明記したことであります。第二に、厚生大臣、都道府県知事等に、事現に非常災害が発生し応急的な救助を行う必要がある場合、有線電気通信設備または無線設備を使用し得る規定を設けたことであります。第三に、救助に要する事務費を国庫負担の対象に改めたことであります。第四に、この法律の国庫負担の基礎額と国庫負担の割合とを改めたことであります。第五に、災害救助基金を充実し、都道府県の応急救助活動を円滑ならしめんとすることであります。事第六に、この法律は公布の日から施行することとし、費用の支弁区分及び国庫負担に関する第三十三条及び第三十六条の夫定は本年四月一日から施行することといたしております。
本委員会は、災害救助法の改正についても従来より検討を加えて参りましたが、事今回その成案を得て、本二十五日、各派共同提案として本案が付託せられ、青柳より提案理由の説明を聽取した後審査に入り、討論を省略して採決に入りましたところ、本案は全会一致原案通り可決すべきものと議決いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/42
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043・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/43
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044・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
この際暫時休憩いたします。
午後四時四十分休憩
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〔休憩の後は会議を開くに至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605254X02819530725/44
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