1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月六日(木曜日)
午後二時五十四分開会
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委員の異動
八月五日吉野信次君辞任につき、その
補欠として加藤武徳君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 村尾 重雄君
理事
宮田 重文君
千葉 信君
委員
加藤 武徳君
松岡 平市君
溝口 三郎君
岡 三郎君
紅露 みつ君
後藤 文夫君
委員外議員
水産委員長 森崎 隆君
衆議院議員
大平 正芳君
赤城 宗徳君
政府委員
大蔵省主計局給
与課長 岸本 晋君
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本日の会議に付した事件
○国家公務員等退職手当暫定措置法案
(衆議院提出)
○一般職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(衆議院提
出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/0
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001・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 只今より人事委員会を開会いたします。
本日の議題は、国家公務員等退職手当暫定措置法案並びに一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案であります。
先ず国家公務員等退職手当暫定措置法案を議題に供します。それでは発議者から提案理由の説明を求めます。大平正芳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/1
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002・大平正芳
○衆議院議員(大平正芳君) 只今議題となりました国家公務員等退職手当暫定措置法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律は、本年七月三十一日限りでその効力を失うこととなりますので、これを八月一日以降におきましてもその効力を持たせることとすると共に、退職手当の支給額、勤続期間の計算等につきましても所要の改正を行いますため、さきに政府より同法の一部を改正する法律案が提出いたされ、これに対しまして、衆議院大蔵委員会におきましては、政府原案に若干の修正を加え、全会一致をもつて可決いたしたのであります。即ち、修正の内容は、第一に、公社特に国鉄におきましては、三十年ないし三十五年程度の長期動続者が現に相当数在職いたしている実情にありますので、退職手当支給率の逓減は、勤続三十六年以上から始めることにいたし、第二に、国鉄等三公社にありましては、業務量の減少その他経営上止むを得ない事由による退職の場合にも、最高率の退職手当が支給されるようにいたし、第三に、国鉄等の職員のほか、一般公務員の場合にありましても、過去において満洲、支那等外地において同種事業等に勤務いたしたことがある者につきまして、過去の勤続期間の通算ができるようにいたし、第四に、もとの軍人軍属から引続いて復員局等に在職している公務員の退職手当計算につきまして、軍属のうち雇員、傭人、工員、事務官、理事官、判任文官につきましては、すでに軍属としての在職期間が通算されており、又今回軍人軍属の恩給も復活されることになりましたことに鑑みまして、その軍人軍属としての在職期間を通算することにいたしたのであります。
併しながら、この法律案は、不幸にして七月三十一日までに成立を見るに至りませんでしたので、遂に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律は、同日限り効力を失いました。従いまして、ここに新たに以上申し述べました修正案及び修正部分を除いた政府原案を一本に取りまとめまして、本法案を提出いたした次第であります。
何どぞ御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/2
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003・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 本案につきまして御質疑のあるかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/3
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004・千葉信
○千葉信君 簡単に一つだけ申上げてこの際お尋ねをしておきたいと思います。
それは、おつしやる通り、政府提案のものが廃案となつたために今度は議員提出法律案として提案されて参つたのでありますが、そこで提案者としての立場から、かなり立案についてはいろいろとお考えもあつたと思いまするが、その問題に関連して一つお尋ねしておきたいことは、第一条の二項に、この法律は、別に法律を以て恩給法の規定による恩給、国家公務員共済組合法の規定による退職給付、この法律の規定による退職手当及びこれらに準ずる退職給付を総合する新たな恒久的退職給与制度が制定実施されるわけです。この条件がやはり同様にあるわけでございまして、そこで問題になりますことは、この法律案の提案者として、問題になつている恒久的な退職給与制度をいつ頃実施されるという見通しを持つておられるのか。それから又、従つて制定実施等の見通し等について政府のほうと何らかの了解なり話合いを持たれたのか。この点だけをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/4
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005・大平正芳
○衆議院議員(大平正芳君) 千葉委員の御質問でございますが、実のところこの第一条の二項の問題につきましては、我々は深くこれを検討するいとまがなかつたことを遺憾といたしておりまするが、同時に又、政府のほうとこの問題について特に折衝を重ねたということも、衆議院大蔵委員会としては持つたことは今回はございません。従いまして私個人としての意見はございますけれども、大蔵委員全員の提案に相成つておりまするので、この際そういつた問題につきまして公の見解を申上げることができないことを非常に遺憾に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/5
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006・千葉信
○千葉信君 まあ御無理もないこととは思うのですが、併しながら、この法律が臨時立法であるということと、それから提案者としてはやはりこういう臨時立法を行う場合に、重大な根本の条件という、この把握がなければならないと考えますので、できればこの際この委員会が休憩に入ることになつておりますから、その間にでも、只今私が申上げたような政府の方針なり、或いは御連絡等があつて然るべきだと思うのですが、その点、御要望を申上げて、私は一応質問を打切りますから、御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/6
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007・大平正芳
○衆議院議員(大平正芳君) それではこの問題につきましては後刻成るべく早い機会に本委員会にお伝えすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/7
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008・千葉信
○千葉信君 先ほどの委員長理事打合会で一応御相談申上げましたように、修正案の問題もあるようでございまするから、この際休憩に入らんことの動議を提出いたします。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/8
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009・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) それでは千葉委員の意見通り暫時休憩いたします。
午後三時二分休憩
午後八時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/9
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010・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。本案につきまして御質疑のあるかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/10
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011・千葉信
○千葉信君 先ほど質問申上げて答弁を得られなかつた退職手当の臨時措置法について提案者の御出席がまだないようでございますが、いつ頃一体御出席せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/11
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012・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) お答えいたします。提案者は今まで御出席あつたのですが、少し席を外しましたので、現在連絡中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/12
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013・千葉信
○千葉信君 それではお見えになるまで給与法の一部改正について提案者に対して御質問申上げます。本法律案の提案理由、或いは提出された資料の御説明等は、私ども一応承わりました。ただ中でも提案理由の説明なるものが、衆議院に提出されました提案理由の説明書と、本院に提出されました提案理由の説明書が喰い違つておる点があると思います。それから又、提出されました資料等につきましては、私の質問に対して提案者は提出した資料については全面的な責任は持つことができないという御答弁でございましたし、又更に重ねて溝口委員からも、提出された資料の数字の喰い違い等について、かなり手きびしく追及されたようでございますが、これらの点についてはいずれもまだその後解明されておりませんけれども、併し何と言いましても、もう会期は今日明日という恰好で、与党の方々は随分審議を焦つておられる傾向もありますので、できるだけ与党の要望に応えるという意味で、この際、能率的な審議をするというために、ここで一つ提案理由の説明の喰い違いや、資料の不備な点等について、更に重ねて論議をするよりも、議事進行上の理念から、いきなり逐条に入つて一応御説明をこの際承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/13
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014・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 只今お尋ねの点も一応お答えしておきたいと思います。
提案理由につきましては、初め衆議院に提案理由を御説明申上げたのでありますが、委員会の経過等に鑑みまして、もう少し詳しく申上げたほうがよろしいだろう、こう考えまして、喰い違いはないはずでありますが、詳しくなつた、あとのほうが詳しくなつた、こういうことでございます。
それから提出理由について千葉さんからお尋ねがありまして、私のほうで出したものにおいて、千葉さんのほうでより正確なものが出されるということでありますならば統計上のことでございますので、私どもそれを承認するに吝かでない、全面的に私のほうで出した資料が確実だとは言いかねる、こういうことを申上げておつたわけであります。
それから溝口さんのほうからの御質問もありまして、丁度予算編成後の数字と、あとから文部省その他からとり寄せた数字の点につきまして喰い違いがありました、この点、これは数字はあとのほうが正しいのでございます。初めに予算をとるときの数字と少し喰い違いがありましたのは遺憾であります。
なお実情といいまするというと、どの辺から申しましたらよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/14
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015・千葉信
○千葉信君 最初から最後まで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/15
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016・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 第一は第六条第二項第二号中に、大学等教育職員級別俸給表と、高等学校等教育職員級別俸給表、中学校、小学校等教育職員級別俸給表、この三つを一般俸給表から分離して特別俸給表としてそれぞれ該当をなにした、こういうことであります。
次は、そのそれぞれの級別俸給表の適用について、その大綱を法律の中に入れたほうがはつきりしてよろしいというようなことで、この六が入つたのであります。
その次に別表第六といたしまして特別俸給表をイ、ロ、ハと分けまして、その内容につきましては、過般来御質問に答え、或いは私のほうから御説明いたしたので、略させて頂きたいと思います。
それから附則でありますが、1は施行期日を規定いたしまして、2は切替えに当りまして、この俸給表と、改正前の法の適用による切替につきまして規定いたしたのでありまして、「改正前の法の適用により切替日の前日においてその者が受けていた俸給月額附則別表の新俸給月額欄の額の直近上位の額とする。」こういう規定であります。これは一つの昇給というようなことになつておりますけれども、切替時におきましては、給与法の昇給とは別に、こういうことが他にも例が前にありまして、そういうことから、切替として結果において昇給があり得る、又そういうふうに取扱いたいというようなことで規定したのであります。
第三は、これは前の特別俸給表に切替える際にもこういう規定がありまして、それを踏襲いたしておるわけであります。
第四もそうであります。
第五でありますが、これはよく衆議院の委員会でも問題となりまして、地方公務員の場合にどうなるかというようなことでありましたが、地方公務員におきましては、私から申すまでもなく教育公務員特例法によりまして、国家公務員の例に準ずる、こういうことになつておりますので、その点、齟齬するところがないと思いますが、そういうことの規定であります。
附則別表は改正案の給と改正前の給とを対照いたした切替表であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/16
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017・千葉信
○千葉信君 御質問申上げる質問のやり方は、やはりかなり複雑なものを持つておる法律案でございますので、逐条審議と総括審議と併行して進めたいと思いますが、特に問題となりますことは、現行の給与法の中で、はつきりと、現行給与法を急いで改訂しなければならないという条件があることは、提案者も恐らく御存じだと思います。これは申上げるまでもなく、各俸給表に付いている附則の別表の備考でございます。この備考につきましては、政府といえども第十五国会等において政府当局が、現行の給与法の中で行われたこの修正の御意思を尊重して、速かに改訂をするための作業をし研究中である、こういう御答弁がございました。つまり政府といえども当然これは尊重しなければならない国会の決定でございます。恐らく提案者もこの点については御異議はなかろうと思います。そこで、提案者がその表面に現われた備考の内容については、恐らく文字通りお受取りになつておると思います。併し私ども実に重要な内容を持つているこの修正がなおざりにされて、そうして今回の法律案の御提案になつたわけでございまして、この意味からすれば、かなり提案者は、この修正案の具体的な内容、そうして又こういう修正の行われた理由について十分に御認識できないのではないか。そうでなくてはこういう重大な問題を等閑に附して御提案になられるはずがない。以上のような考えから、私は提案者がこの修正のよつて来たる原因や俸給表自体の欠陥等について十分御認識かどうかを疑わざるを得ない。そこで私は、第十五国会で行われましたこの修正の内容について認識されておられる提案者のお話を、この際、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/17
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018・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 各俸給表にすべて暫定的なものだと、こういうふうに規定されておりますが、これは人事院の勧告によつて政府が法律として提出した、参議院におきましていろいろ論議がありまし七、合理的に改訂さるべきものであるけれども暫定的なものとして認める、こういうようなことで参議院の修正が行われたというように承知いたしております。私どもといたしましても、俸給というものは、その時代といいますか、時の動きによりまして相当変らざるを得ないもので、これはもう恒久的なもの、こういうふうには見られないのじやないか、こういうふうに考えて、或いは又職階法によつて給与準則を速やかに出さなくちやならんということも年来の要望であり、又人事院としても研究を続けて来ている、こういうことでありますので、そういう結果、いずれこの級号に分つているところの俸給表というものは改訂される時期が来るのではないか、改訂されるべきものではないか。殊に教育職員につきましては、何級で局長だとか、何級で課長だとか、こういうような格付が非常に困難でありますので、これは当然こういう改正でなく改められるべきものだ。こういうふうに考えているわけでございます。千葉さんから暫定的なものであるというようなこの備考に書いてあるその理由はどういうことだ、こういうお尋ねがありましたが、私の知つている程度におきまして、参議院のほうで書き加えられて、それがずつと各俸給表にかかつている、こういうふうに承知しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/18
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019・千葉信
○千葉信君 只今の御答弁は私のお尋ねしていることに殆んど肝心かなめの点についてはなんらお答えになつておらないで、単に概念的な、形式的な、抽象的な御答弁だけにすぎないのでございまして、私が一番心配しますのは、一体、現行俸給表の中に盛られている国会の決定、衆参両院における議決の内容等、而もそれが御承知のように国家公務法員によりましても、現行給与法によりましても、それから又職階制に関する法律におきましても、各条文をつぶさに点検いたしますと、根本的な考え方として、公務員に対する根本基準の決定については、特に給与等の問題の公平な取扱というやり方については、実に重要な問題であるという考え方の上に立つて、あくまで精密な科学的な調査研究の上に立つて給与に関する法案を人事院がきめる、これが人事院の権限であり義務であるという考えの上に立つて立法されております。これは私が申上げるまでもなく、若しも何らの深い研究も造詣もなしに、この問題を一方的な立場や或いは政治的な立場等に立つて扱つたりすることになると、大変なことになる。而もその大変なことは国家の行政に至大な影響を与える。行政能率、庶務能率に甚大な影響を及ぼす。そういう意味から、あくまでも公平を期し、而も精密を期するために、給与決定等については、他の根本的な基準の決定等に対しても同様に、実に用心深く立法されているのが国家公務員法並びに現行給与法並びに職階制に関する法律でございます。この点についてはこれは提案者も恐らくよく御了解だろうと思う。そういう意味から言いますと、給与法の中に盛られている国会の決定した意思、而もその意思の内容が指摘するところの問題は何かということについて、十分なる把握がなければ、勿論これはいじることができない。いじるべきではない。これは今申上げた三つのこの法律の建前からいいましても明らかなことだと思うのです。そういう意味からいいますと、私は只今私の質問に対してお答えになられた点については実に不満に堪えないと思うのです。私のお尋ねしておる備考の「本表は、暫定的のものであつて、なるべく速やかに合理的改訂を加えるものとする。」この点についての最も大事な点についてはお答えになられないで、ほんの形式的な御答弁だけに終始されておりますが、これは少くとも私ども従来この問題を取扱つて参りました者の立場からいえば、絶対なおざりにできない問題なんです。而もそれは給与法にはつきりと書かれているという点からいいましても、等閑に附すべき問題ではないと思う。そこで私はこの際提案者に申上げたいことは、人事院のほうから給与改訂の勧告が昨年八月一日行われました。ところが、その人事院のほうから勧告されました給与改訂は、財政上の理由その他の原因によつて政府によつて甚だしく歪められて国会に提案されました。ところがその政府の提案されました給与法の内容は財政上の理由に基いて一律にこれを減額するというやりかたを行わないで、単に独身者の標準生計費に対してだけ深甚なる考慮を加えて、これが政治的な考慮だつたかどうかは知りませんけれども、とにかく独身者の標準生計費に対してだけは考慮を加えて、そうして独身者でない諸君の標準生計費に対しては何らの考慮を加えておらない。つまり現在の公務員諸君の構成の状態、公務員等の実際の、実態の調査によつて判明しておりまする公務員の平均家族の構成数、それから各級各号における公務員の平均級別号俸、それの調査が全部でき上つておりますが、そういう方面の実態調査によるところの公務員の家族数若しくは級別号別のその資格に対して、実は政府の提案された給与法は全部標準生計費を割つている。例えば二人家族のこれは二十五才の二十一号俸、級別五級で七号、この場合の勧告案は八千六百円です。標準生計費は八千五百九十円です。それが政府案では八千円で、五百九十円足りない。それから三人家族の三十才二十八号俸、六級七号の職員は、勧告案で一万九百五十円、標準生計費は一万一千四百六十五円、それが政府案では、一万四百五十円しか計上しておらない。四人家族の三十三才の三十一号俸、七級四号の職員に対しては、人事院の勧告は一万二千七百円である。標準生計費は一万二千九百円かかるのに、政府案は一万一千八百五十円しか計上しておらない。更に五人家族の三十七才三十三号俸、八級の一号に対しては、勧告案は一万四千円、標準生計費は一万三千七百九十五円、これに対して政府案は一万三千百円、而もこの標準生計費たるや、米の値上り、運賃の上昇、ガス料金、その他の価格の改訂という問題は全然考慮されずに、これだけの標準生計費を割つた給与だつた。こういう政府案に対しては、たとえ財政上の理由が仮にあるにしても、標準生計費さえも保証しない給与は許さるべきではない。そういう立場から、これが原因となつて、この給与法の俸給表に対する備考となつて修正されたわけでございます。こういう事実に対して提案者は十分調べる責任があつたと思うし、調べれば調べるほど、今度のこの給与法の改正法案を提案する以前に、議員としての給与法の改正という問題を取上げる場合には、この問題が優先しなければならなかつたはずなんです。一体、提案者のほうでは、今度の提案に当つて可なりたくさんの提案者が名を連ねておられますが、こういう重要な、而も緊急を要する問題について考慮されて、話合いをされて、そしてその話合いの上に立つて結論を出されたのかどうか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/19
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020・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 千葉さんからおつしやられました通り重要な問題でございますので、提案者同志におきまして話合いをし、殊に党が違う間におきましてはいろいろ研究を重ねました。そういう関係で提案も遅れてしまつたというような事情もあるのであります。私どもといたしましても良心的に研究をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/20
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021・千葉信
○千葉信君 そういう重要な問題が或る程度只今の御答弁のごとく把握されていたと仮定して、私はこの際はその点については確認できませんから、仮定ということになると思うのですが、ところが今度の改正法案の提案に際して、この法律案を拝見いたしますと、教職員に対する各俸給表に対しても同様に、この俸給表は暫定的なものであるから、成るべく速かに合理的な改訂を加えるものとする、こうなつております。而もこの法律案の施行期日は附則の一で昭和二十九年の一月一日から施行するということに相成つております。かなり先の問題でございます。先ほど岡委員から開会前に鬼の笑う法律案だと言われましたが、全くその通りだと思います。そういうこれから先五カ月も六カ月近くも余裕のある状態で提出される法律、而もその間には、この間の私の質問に対する提案者の御答弁では、政府のほうから提出されて可決成立しました二十八年度一般会計予算の中に盛られておる教職員の待遇改善のための予算として、千八百万円計上されている。ところが実際には五千八百七十三万四千円、これなら一体、成立した一般会計の予算はでたらめじやないか。あの提出した予算案に基いて大体この給与法は提案されている。一般会計の給与改善費だけでも実際上四千万円も足りないじやないか、こういう指摘に対して、提案者は、それは多分補正予算で補正されるでございましようという答弁だつた。そういう意味から言いますと、少くとも補正予算を審議する臨時国会というものが考慮されると思うのです。これはあとから私は大蔵大臣の御出席を願つて、果して大蔵大臣が補正予算を約束することができるかどうかということについて確めなければならんと思うのです。併しそういう事実からしても、提案者自身、もうすでに補正予算を審議する……まあその補正予算の内容がどういうものになるか、災害対策費を計上するのか、公務員の給与改訂を行う予算を計上するのか、その他どういうものを計上するのかわからないけれども、少くともこの給与法の改正に伴つては、四千万円の補正が行われなければならないことは、はつきりしております。これは大蔵大臣がどう答弁されるかわかりません。わかりませんけれども、事実はそういう恰好で否応なしにそういう方向へこの法律が持つて行つておるということは言えると思うのです。まあ臨時国会が、そういう恰好であなた方の手によつて事実上開かれなければならない条件の方向へ進んでおるわけでございます。ましてや臨時国会を仮に終つたとしても、その次には通常国会が十二月の上旬には召集されなければならない。そうしますと、少くともこの法律を御提案になられて、七月二十一日に御提案になられて、その後一旬を余すのみという恰好の状態の中で提案されたこの法律にです、臨時国会があり、通常国会が今年中に少くとも二十数日というものは予想されているのにも拘らず、なぜ一体国会に対してこれは暫定的なものだ、臨時のものだ、不合理極まるものだという条件をつけて、あなたはどういうふうにお考えになつておられるか知れませんけれども、合理的改訂を加えるというこの趣旨は、この俸給表は不合理だという反対の表現です。その不合理なものをなぜそんなに急いで不合理なものだが審議してくれといつて、国会を愚弄するがごとき方法で提案をされなければならなかつたか。どこに一体そういうふうにこの問題だけを特に捉えて急がなければならない理由があつたか。その点について、できるだけむし返して御質問申上げなくてもいいように、わかるように御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/21
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022・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) これが暫定的のもので、成るべく速かに合理的改訂を加えるものだ、こういうことを書いてある以上、これは不合理じやないか、こういうことが前提のようでございますが、千葉さんも御承知の通り給与法の俸給表は、一般俸給表、それから税務職員の特別俸給表、或いは警察職員の特別俸給表、或いは船員紋別俸給表、それから又企業官庁の職員の特別俸給表、こういう特別俸給表にも一般俸給表にも、全部、本法は暫定的なもので速かに成るべく合理的な改訂を加える、こういうふうに書いてあるのは御承知の通りであります。この教育職員の特別俸給表に、暫定的なもので速かに合理的改訂を加えるというふうに付け加えましたのも、決してこれが不合理だからお粗末なままで御審議を願う。こういうような意味では毛頭ないのであります。給与準則というような形で改訂されなければならない時期も切迫しておる。こういうふうにも考えまするし、先ほど申上げましたように、標準生計費というようなものも年毎に変つて来るのでありますので、これを恒久的なものとして俸給表を取扱うというようなことは建前としてちよつとできかねる。御審議の上におきまして或いは人事院のいろいろ統計資料等によりまして、より合理的に改訂されるというようなことば予期するのでありますが、併しこれが不合理だ、お粗末なままで御審議を願う、こういうような意思は毛頭ないのでありますので、その点は御了承願いたいと思います。然らば、とにかくそれはいずれといたしましても、臨時国会とか或いは通常国会、こういうものが予定されておるじやないか、来年の施行期日で鬼が笑うような法律を今出す必要もないじやないか、こういうようなことでありましたが、私ども再々申上げておりました通り、教職員の特別俸給表を設定するというようなことは、もう千葉さんも十二分に御承知の通り給与法においても、もう三、四年来そういうことを人事院に義務ずけられておると言いますか、責任とされているような次第でありましたので、私どもといたしましても、本国会が開会されると同時に法案の提出を急いでおつたのでありますが、事、給与に関することでありますので、そう簡単に軽卒に提案をするというようなことも事実問題としてでき得ませんで、五月の二十一日に提案というように遅れた次第であります。で、水害のこともあるし、給与べースアツプのこともあるし、或いはこの事自体におきましても、国立学校につきましては四千万円の相違もあるじやないか。これは臨時国会というものがあるならば臨時国会に出しても間に合うのではないか、或いは通常国会でも間に合うのではないかということを仰せられましたが、教職員の俸給表につきましては、非常に従来からも、速かにこれが特別俸給表を作るというような事情もありまするし、或いは又臨時国会ということも、これはあり得るとは思いまするが、必ずしもあるとは断言できるというわけに行きませんし、又通常国会ということになりますれば、暮に開会いたしまして春になる場合もあります。法律でありますので、我々が簡単には勿論考えておりませんが、そう速かに議決になるというようなことも、先のことで予想もできませんので、今までのいきさつから、特別俸給表を教育職員に当てはめるということは急がれておつた事情もありますので、本国会において御審議を願うことならば、時期として来年の一月一日から施行するのに丁度適当である、こういうふうに考えたものですから御審議願う、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/22
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023・千葉信
○千葉信君 私はこの問題に関して、提案者に、臨時国会をいつ開くのだ、一体臨時国会で補正予算をどうするのだというようなこと、これは私は全然そんなことを尋ねてもいないし、一体それをあなたのほうでは法律案の御提案の場合に、一応の考慮をされたであろうが、その点についてはどういう見通しかということも合せてお尋ねはしているのですが、併しこれは何といつても補正予算等の問題については大蔵大臣に御答弁を願わなければならん。それから又果してこの法律一によつてはつきりと赤字が出ることになつた予算の辻褄が、もうすでに成立と同時に辻褄が合わなくなつていることに対して、どう補正し、どの国会でやるかということの質問等については、これは総理大臣や副総理のほうにも関係があるので、この点はそつちのほうで明らかにしてもらわなければならないと思いますが、まあ併し、今、私が直接お尋ね申上げました、国会に対して、この法律は、俸給表は不合理なものだといつて、初めから不合理極まる法律案を提案されておきながら、まあ提案者の御答弁では、今の給与法等の中にも、教育職員の給与等についてはこれは十分に研究し、そうして速やかに何らかの措置がとられなければならん、これは相当前からの懸案なんであります。この点はおつしやる通りでございます。これは恐らく提案者の場合には、給与法の第十条の第三項を指しておられると思います。「人事院は、教育職員及びその他特別の勤務に従事する職員に対するこの法律の俸給表の適用について研究し、教育職員及びその他特別の勤務に従事する職員の俸給表その他これに関する事項につき必要を認める勧告を国会及び内閣に同時にしなければならない。」恐らく今提案者が指摘された今の給与法にもこういうことは書いてあるじやないか。従つて教育職員等に対しては、この法律を提案するような措置を講ずる必要があつたんじやないか、あつたと考える、こういう御答弁でございます。ひとしく第十条の第三項におきましても、おつしやるように、成るほど教育職員に対する給与については研究し、そして合理的な改訂を加えなければならないということになつております。併し同時に「その他」という条項を我々は忘れてはならないと思うのです。例えば「その他」というものの具体的な対象としては、例えば技能職でございます。例えば研究職、医療職などというものもあります。そのほかにもあります。併し大体においてそういう職種に対して、この十条三項はこれを指していると言つても過言ではないと思います。ところがあなた方は、同じ十条の三項のうちでも、特に教育職員だけの場合を坂上げて書いてある文句しか考えない。明確に指してある文句しかあなた方の目に入らない。これは実に遺憾千万だと思うのです。併し遺憾千万だと言つたところで、あなたに食い付いてみても始まらないことで、まあ一応あなたの言われるように、今の給与法のうちでも、当然第十条の三項から言うと、こういう措置はとられなければならない、あなたはそう答弁されておる。そして又同時に、提案理由の説明におきましても、衆議院に出した提案理由の説明、それから、それと違つた参議院に出された提案理由の説明の中にも、あなた方はこういうことを言つておられる。「すでに同法第十条第三項において、人事院は教育職員については、」教育職員についてはと言つても、これは私は、この第十条の第三項の条文の「その他」を見逃して教育職員だけをあなた方は考えられた証拠は、この言葉の中にはつきりある。そして「人事院は、教育職員については、俸給表の適用について研究し、俸給表その他これに関する事項について必要と認める勧告を国会及び内閣になすべきことを責任とされているのであります。かかる実情に鑑み本改正案を提出いたした次第でありまして、」あなたは明らかに第十条第三項を、あなたとは申しません、提案者全体でございます。提案者全体は、少くとも第十条の第三項を勘違いされて提案されていることは、この提案の理由によつても明らかでございます。併しまあ私はそんなことを責めません。そんなことは責めないけれども、併しあなた方は特に第十条の第三項についての教育職員に対して慎重に研究し、合理的且つ公正妥当なる、而も労働の対価等、或いは生活の状態等に適応した俸給表を決定しなければならないという法律の条文を捉えて、そういう措置を講ずるんだと言つて出された俸給表の中に、あなた方はこれを不合理な俸給表だと自分で言つておられるんです。支離滅裂じやありませんか。どうしてあなた方はそういう支離滅裂な、これは私が申上げるまでもなく、大体あなたも支離滅裂だということはおわかりになると思います。そんな支離滅裂なことを敢えてしてまで、而も予算と食い違う法律案を提出し、不合理だが審議してくれと言つて、あなた方は速やかに御賛成あらんことをお願い申上げます、などと言う。国会を愚弄している。どうしてあなた方は、少くともはつきりと提案理由の中で書かれてあるように、給与法の第十条三項が主張しているようなものをやらなかつたか。自分ではその条項に基いてやつたのだと言つておきながら、やつていない。これは一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/23
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024・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 不合理で支離滅裂のままに出したと、こうおつしやられても、これは不合理だということで出しておるのじやないということは、先ほど申上げている通りです。本案の特別俸給表におきましても、これは、いつでも暫定的なもので、より以上のものに合理的に改正される、こういうことになつておりますので、この表ばかりでなく、ほかの表も、これはより以上に合理的になるべきものだ。まあそういうことを言つては失礼かも知れませんが、神様でないので、より合理的なものはどんどんどんどんあとから出て来ると思います。そういうことでありますので、より合理的ということで、これほ不合理で、支離滅裂だと、こういうことではないのでありますから、御了承願いたいと思います。
それから第十条の第三項の「教育職員及びその他の「その他」を忘れておるじやないか。これは千葉さん御承知の通り、この給与法が改正される前には、税務職員、教務職員その他と、こういうことなんです。税務職員はそのうち特別俸給表に変つている。そこで教務職員が残つているから、教務職員その他と、その他だけをまあやればよろしいかも知れませんが、とにかく教育職員の俸給表を我々提案しておりますから、教育職員についてのみこの条文のところを引用したのでありますから、この点も御了承願いたいと思います。
それから予算が違つている。これは予算を要求し、三派で協定する際におきまして、実は高等学校ばかりを、まあ三派の代表者の考えておつた大学のほうが、これはやめるというようなことの打合せがなくて、あとのほうで大学のほうが引つかかるというようなことも我々のほうで指摘しましたのですが、そのときには予算の協定が終つたあとであります。そういう行き違いは確かにあるわけであります。決して千葉さんお叱りのように、不合理な支離滅裂で、無責任に国会を侮辱して出すという趣旨では毛頭ありませんで、むしろ我々も国会議員の一人であります。我々が侮辱されては困るのであります。慎重にやつておりますから、御了承願います。
〔委員外議員森崎隆君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/24
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025・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 先ほどから水産委員長の森崎君から文書を以て発言を求められております。只今又直接発言を求められましたが許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/25
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026・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) では発言いたします。(「議事進行」「ちよつと待つてもらいたいな」「発言中」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/26
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027・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 委員長は発言を許可します(「発言に対する議事進行です」「発言中じやないか、やり給え」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/27
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028・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) 私は……(「発言自体に対する議事進行です」「森崎君、君は発言中じやないか、やり給え」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/28
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029・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) ちよつと待つて下さい。ちよつと待つて下さいと言うのだ。(「発言自体に対する議事進行だ」「委員長許したじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/29
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030・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) 私はこの際……「発言自体に対する議事進行だ」と呼ぶ者ありと人といたしまして、発言の許可を得ましたが……。
〔発言する者多く、聴取し難し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/30
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031・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 森崎君。……ちよつと静かにし給え。暫時休憩いたします。
午後九時三十四分休憩
午後九時四十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/31
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032・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 休憩前に引続き開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/32
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033・加藤武徳
○加藤武徳君 当委員会におきまする発言は我々委員に限られるというのが勿論大原則です。併しながら国会法たり或いは議事規則は委員外の発言をも認めておるのでありまするが、委員外の発言をお許しになる場合には勿論委員会に諮らなければならない。併しながら委員長の場合には、そのような強い制限ではなく、若干余裕を持つて仕組まれておるように私は解釈いたしております。併しながら、その場合にも、委員長が常任委員長として発言されまする場合は、御自分の所管事項に限られるというのが国会法を貫いておる考え方でありまするが、委員長は先ほど水産委員長の森崎君に発言をお許しになつたようでありまするが、森崎君の所管しておりまする水産に関しまする事項に限られるおつもりで御発言をお許しになつたかどうか、これが一つ。いま一つは、御承知の通り会期はもうすでに今日明日の二日でございます。そこへお互いがこのような二つの重要な法案を未だ審議しておる最中でございまするが、委員外の発言を許しますることは我々の委員会の審議に若干支障があるということも考えられるのでありまするが、発言を許しまする時間等に関しまして委員長はお考えを持つておられるかどうか。その二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/33
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034・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 私は委員長として、発言を求められる以上は大体議運においての委員長発言の範囲内を十分御了承のことだと思つて許可したのであります。只今加藤君の御意見を大体この通り了承してもらつて発言を続けてもらいたい、こう思います。なお、時間の点も十分に了承してもらつて続けてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/34
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035・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) それでは発言をお許し頂きまして、私、常任委員長として発言をさして頂きます。
なお、最初に遺憾の意を表します。私も加藤君と同様三年前に当選して参つたのでございます。議事規則その他の申合せが如何なるものかを十分承知いたしております。にもかかわりませず、この私の発言が許可されましたにもかかわりませず水産委員会と何ら関係がないという独断的な判断を以て私の発言を封ずるごとき態度に出られたことは、同僚議員といたしまして誠に遺憾に存じます。
私は実は水産委員会の常任委員長でございまするが、まあ以前に人事に関係をしておりましたということは、これは別個の問題でございまするが、常常給与には重大な関心を持つております。又一般的に申しまするならば、どの委員会におきましても給与問題に関係のない委員会はないと言つてもいいくらいでございます。併しそういう一般論は別にいたしまして、現在私が水産委員会といたしまして特に熱心に取扱つておる一つの事項といたしまして、水産大学の問題があるわけでございます。この水産大学の問題は、一つは現在保安庁その他駐留軍に占拠されておりまするそういうような校舎、校地の問題が今ありまして、文部委員会とこれ又お互いに密接な関連を持つて現在やつております。これをしも水産委員会と文部とは全然関係がない、教育とは関係がないと言えば、私は何をか言わんやてあります。ましてや、この大学に勤務しておりますところの教職員その他の方々の給与につきましても重大な関心を持つております。併しそれは、私は個人的な立場じやなくて、利己主義的な立場じやなくて、水産委員会の立場として、水産大学を通じて、大学に勤務しておる教職員の給与全体につきましては、やはり重大な関心を持つており、そういう点につきましても、人事委員会に今度のこの法案が出ました関係上は、この法案の内容を検討いたしまして、私は特に私の立場において発議者代表のかたに御質問をしなければならない、そういうような自分としての責務を感じており、そういう観点から次の質問をお許し願いたいと思います。
第一点として、千葉委員から質疑されました点に関連しまして、私、特に発議者の赤城さんにお尋ねいたしたいと思いまするが、現在の給与が生活給をいれない非常に悪いものであるということはしばしば千葉委員申されまして、私も同感でございます。ですから、一号でも二号でも、如何なる機会にでもこれを少しでも上位に上げて待遇を改善するということには、私は心から同感でございます。一人でも多く、少しでもたくさん給与を改善することにおいては同感でございます。そういうような原則から言いましたならば、私はこの給与を改善して少しでもよくなるということには賛成をいたしたいと思いまするが、ただ私は、多数の教職員全体を考えましたときに、その中で一部の者のみがよくなつて他が現在のままとどまる、悪くはなりませんが、とどまつて、いわゆる犠牲になるといつたような、そういうような観点には絶対に立ち得るものではないという観点を持つております。ましてや大学に勤務する先生方、高等学校に勤務する先生方は、自分さえよくなればほかの先生方はどうでもいいというような利己主義的な立場に立つてでもこの法案を通したいというような意図を持つておるような人は、これは恐らく教育者の中には一人もないと私は考えております。大学の先生方もそういうような観点に当然立つべきであり、立つておるものであると、私は考えておりまするから、そういう点で申上げたいと思います。そういう点を申しますと、私は、やはり、さつき千葉委員からも申されましたように、折角人事院の勧告案が出ましたので、これを先に取扱つて慎重に審議をして、この要請に応えるような努力をするのが、先ず第一にとられるべき衆参両人事委員会、ついては国会の責務ではないか。なぜこういうことを今更申しますかと申しますると、過去私が携わつてから二回の人事院の勧告を、どれ一つ人事院の勧告素通り政府が提案したことは一度もないのであります。そういうような勧点に立ちましても、私は人事院の勧告案というものをもう少し丁重に取扱つて、大蔵大臣のように、聞きおく程度というような、ああいう馬鹿な考えは持たないで、もう少しあれを中心に考えて、その基礎の上に立つて、どうすればいいかという全般のスケールに立つて給与の改善に手をつけられるのが当然だと思います。一にもかかわりませず、今回の措置が、大学の四級から九級、高等学校の四級から九級、このいわゆる教職員全体の中の一部の人々に限つてこれだけの措置を緊急にとらなければいけなかつたその動機、その原、因並びにこれが今緊急に取扱う重要法案だ、今上げなきやならないと言いつつ、その実施は来年の一月一日となつておる、予算はすでに中に入つておる、この矛盾した二つの考えについて、どういうお考えで十数名の発議者はこの法案を発議したか。それを先ず第一点としてお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/35
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036・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 私どもといたしましても、人事院の勧告につきまして十分な研究をすることは、仰せの通り必要だと考えております。併しながら、私から御堪能なお尋ねに対しまして申上げるのもどうかと思いまするが、人事院の勧告は勧告でありまして、結局私どもが正式に審議するのは、これが法律案となりまして内閣から提出されてからでなければ実際の審議には入れない事情にありますことは申上げるまでもないと思います。勧告をそのままに勧告として研究するのは別といたしまして、これに結論を得るということは、内閣から法律案として提出されなければ結論を得られない、こういう事情にありまするので、私どもは、繰返し申上げておりまするように、教育職員の俸給につきましてはこれは特別俸給表を適用するのが至当だ、こういうようなことからこの法案を出した次第でございます。特に人事院から勧告があつて内閣から提出されてから、こういう時期的の問題もありますが、私どもといたしましては、やはり国会の権威といいますか、政府ふら出したことに対しましても修正もいたしておりまするし、こういう関係からありまして、もう懸案になつていることならば、速かに国会議員としても提案をして解決して行つたほうがよろしい、こういうことから提案をいたしたわけであります。
それからもう一つは、施行期日が来年の一月一日じやないか……、これは繰返して申上げておるのでありまするが、この法律ができましても、事、人事院の規則とか細則とかこういうことの改訂というものに或る程度の時期を必要とすることも私から申上げるまでもないと思います。法律ができたからすぐに規則や細則ができる、こういうわけには行かないのが今までの実情でありまするので、来年の一月までは時期があるようでありまするけれども、この法律が通つてからやはり人事院の規則や細則によつて細部に亘つて不均衡がないような方法をとる期間も必要だ、こういうことも考慮に入れたわけであります。それからもう一つは、予算の関係もありまして、予算の協定におきまして来年の一月から三カ月分の予算というものが修正計上されておりますので、その予算との睨み合せの上におきましても施行期日を二十九年の一月一日、こういうこにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/36
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037・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) 今の第一点の御答弁が非常に私は不満なんでございます。それは人事院の勧告案に対して政府がすぐにこれに基いた法律案を出さないから議員立法が出た……、勿論、議員立法をする場合にはそういう場合が多うございましようし、又それ以外の自然的な必要に迫られて発議をする場合もございましようが、それなれば、今の話では、政府が勧告案を検討してそれから割り出された政府独自の案を出すべきであつたけれども出さなかつた、そこでまあこういうような臨時の措置をした、その臨時の措置が問題だから私は質問しておるわけなんです。ところがその臨時の措置というものが、一般職その他全体の公務員に関係するそういう給与の改善の法律案をなぜ出さなかつたかということに問題がある。その中のほんの一部の者だけについてなぜ出す必要があつたか。ですから、私をして言わしめますれば、政府が出さなければ政府の尻を突ついたことがございましようか。勧告案が出たからこれを会期末までに何とか一つ予算を組んで出せということを、自由党のあなた方が政府に激励をしたことが何回ございましようか。それを先ずお聞きしたい。激励をして而も出さなかつたから、それじや、おれたちで出そうといつて議員立法をされることは一誠に結構です。そのときといえども、出すべきものはこれは全公務員について姿の異なつた、少くとも人事院の勧告案を検討してこれよりよくなるならこれも望ましいが、又これに等しい、そういつたようなものを当然出すべきであるにもかかわらず、その中の極く少数の人々だけについて、まるで何か兄貴だけに飴をねぶらすようなこういう法律案を出すというのは、私は腑に落ちない。ですからしあなた方は政府の提案がないから議員立法で出したということは、どうしてこういう小範囲にスケールを小さくしてやつたか。全体についてなぜやらなかつたか。それは予算ということをおつしやるでありましようが、予算ということでしたら、期日もあるのでございまするから、もつと十分に検討して、やはり大きな天下の公党でありまするならば、天下の公党を代表したあなた方でありまするならば、やはり出すべきものは出すような姿において、全国民が納得するような大きなスケールにおいて出すべきである、こういうように考えておりまするが、その点の御答弁を頂きたかつたのであります。重ねて御答弁頂きますれば幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/37
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038・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 人事院の勧告があつて、政府に対してこれを法律案として出すべく窓癒したか、こういう第一点のお尋ねでありまするが、勿論、私どもといたしましても、人事委員会の委員でありまするので、勧告の出ました以上は速かに内閣として法律として提出すべきものである、こういうことで話合いをいたしました。併しながら今度の給与準則は、御承知の通り給与準則という、法律と共にベース・アップを伴つておりまするので、その二つを一つの勧告の中に組み入れてありますので、直ちに内閣として法律案として出すということは困難だ、こういうことに私どもは聞きましたのであります。
それから第二点、なぜ教育職員だけを取出して法律案として議員提出をしたか、こういう仰せでありましたが、これは前から御答弁申上げておりますように、実は給与準則ができる前からの問題でありまして、時期的に給与準則より遅れて提案がなりましたけれども、実はその前から考えておつたわけでございます。それで、こういうものを議員提出として出すのならば、一般の公務員の俸給についても十分研究して、全般的なものを議員提出でするならば議員提出としてやつたらばいいじやないか、こういうような趣きでありました。これは御承知の通り、給与に関する問題は慎重を期さなくてはなりませんし、相当科学的な問題でございます。私どもといたしましても全般に亘つてこの給与の改訂ということに手を着けますることは、これは非常に危険であるというか、均衡を破るようなことがありましては重大のことでありまするので、そこまでの一般の公務員の給与の改訂ということは私どもとしてはやるべきことじやない、こういうふうに考えて、ただ教育職員だけにつきましては、再々申上げておりまするように、これは数年来の懸案であります。殊にこの教員の特別俸給表を作るに当りましては、一給与準則はベース・アップを含まれておりまするし、或いは又級別の区別と違つた体系で出ておりまするが、私どもは現行法の下におきまして、この給与法の体系の中におきまして、極力不均衡を来たさないように、他の公務員との均衡を破るというようなことを差控えて、最少限度におきまして私どもが適当と結論を得たことに従いまして、この教育職員の特別俸給表を御提案申上げた事情にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/38
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039・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) ちよつと森崎君にお願いします。要求は四時間以内という時間でありますが、御承知のように非常に時間的に当委員会の審議が迫られておりますから、もう二、三回で一つ結論をつけてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/39
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040・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) まあ二、三回と言われたら困りますが、せいぜい時間をとらないように簡単にしたいと思います。
今の御答弁につきましても、私は、はつきり了解しがたいのでありまするが、私はやはり教職員の給与に一応スケールを限つて、その点に立つて御質問を申上げたいと思いまするが、私といたしましては、これはやはり同勤続、同学歴の者については、学校種別の如何を問わず当然同待遇をしなけりやならんという観点に立つものでございまするが、併しまあ発議者の方々のお考えはそれと反対の立場であろうと存じまするが、これまで人事委員会その他連合委員会等の質疑においてはいろいろお話があつたかも知れません。重なるようであつたならば失礼でございまするが、私お聞きしたいのでございまするが、今度この三つの表が出ております。
〔委員長退席、理事千葉信君委員長席に着く〕
そして附則とか出ております。まあ附則は一応別にいたしまして、三つの表を作りました作り方の基本的なお考えをちよつとお聞かせ願いたい。それに関連してちよつと質問を申上げたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/40
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041・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 同一学歴、同一勤務年数ということが原則であるということは、私どもも承知いたしておるのであります。そういう関係でありまするので、同じ学校を出ました初任給におきましては、これは区別をすべきものじやない。併し中小学校と高等学校と大学との間には、それぞれ学校の目的もあるし、厳格な強い職域の差ということではないにいたしましても、これを教えて行く上におきまする負担等につきまして或る程度の差がある。こういうことから考えますれば、初任給等におきましては、同一学歴、まあ暫らくの間、同一勤年としておつても、負担が重なるというような事情も考慮いたしまして、途中から或る程度俸給が違つて来る、こういうことにしたほうがよろしい。殊に最高号俸がそれぞれ違つておりますので、同一勤年で最高号俸に達する場合に、初任給というものを変えれば別でありまするけれども、変えないで、同じような現行法のような場合には、最高号俸に達する時期ということにそれぞれ相違を来たして、折角最高号俸を設けても最高号俸を受ける機会があり得ないというようなことがあり得るのじやないか。建前といたしましては、今の人事院の規則、細則等に大体準拠して、これに大変な改正を加えないというような建前の下にこの俸給表を作つた、こういうことが大体今まで申上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/41
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042・森崎隆
○委員外議員(森崎隆君) この点につきましていろいろな問題をまだ私は聞きたいのであります。例えば学校種別に差をつける。昇給の差もございましよう。初任給の差もございましよう。或いは又最高号俸に差をつけるという場合も、個々の号俸に又差をつける場合もごまましよう。いろいろな場合もございましよう。それについていろいろ又聞きたいと思いますが、一度にこう時間をたくさんとつてはならないようでございますので、一応私の質疑を留保したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/42
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043・千葉信
○理事(千葉信君) 本日はこれにて散会いたします。
午後十時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01919530806/43
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