1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十五日(水曜日)
午後二時四分開会
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委員の異動
七月十日委員松浦清一君辞任につき、
その補欠として片岡文重君を議長にお
いて指名した。
七月十五日委員片岡文重君辞任につ
き、その補欠として松浦清一君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 森崎 隆君
理事
秋山俊一郎君
委員
森 八三一君
岡田 宗司君
松浦 清一君
菊田 七平君
政府委員
調達庁不動産部
長 山中 一朗君
農林政務次官 篠田 弘作君
水産庁次長 岡井 正男君
事務局側
常任委員会専門
員 岡 尊信君
常任委員会専
員 林 達磨君
法制局側
法 制 局 長 奧野 健一君
説明員
外務省国際協力
局第三課長 安川 壯君
水産庁漁政部漁
船保険課長 伊藤 茂君
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本日の会議に付した事件
○漁船損害補償法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○水産政策に関する調査の件
(内灘試射場に関する件)
○連合委員会開会の件
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001・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 只今から開会いたします。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案、これの提案理由の説明を政務次官からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/1
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002・篠田弘作
○政府委員(篠田弘作君) 只今議題となりました漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
現行の漁船損害補償法は、漁船の事故によつて生じた損害を補償して、その復旧を容易にし、漁業経営の安定に資することを目的としております。そして、二十トン未満の漁船に対しましては、一定の条件の下で、義務加入の制度が設けられておりまして、この義務加入の場合については、保険料の一部国庫が負担することとなつておりますため、従来極めて低調であつた。小型漁船の保険加入が、これによつて、次第に活溌になつて参りましたことは誠に喜ぶべき傾向であります。
併しながら、漁業経営の実情を見ますと、事故による損害の復旧を補償する普通損害保険制度だけでなく、更に一歩を進めて、損害保険と代船建造資金の積立とを兼ねた、いわゆる満期保険制度の実施が緊要と認められ、且つ、要望せられているのであります。よつて、政府におきましては、ここに満期保際の制度を新設することとし、これがため漁船損害補償法に所要の規定を加え、且つ、これと関連して現行の規定の一部を改めるため、本法律案を提案した次第であります。その内容といたしましては、第一に、漁船保険組合が、従来の普通損害保険事業及び特殊保険事業のほかに、新たに満期保険の事業を行うことがで、きるようにすると共に、政府が、これを再保険することとしたこと。第二に、満期保険の保険料は、満期支払のため積立金部分と、満期前の事故による損害填補のための損害保険料部分から成るものとし、右の積立金部分に該当する保険金額は全額政府で再保険し、損害保険料部分に該当する保険金額は、普通損害保険の例により九割を再保険することとしたこと。第三に、当分の間満期保険の加入を奨励するため、この保険の加入者が代船を建造する場合には、所要資金の利子の一部に相当する奨励金を交付することができることとしたことを主たる内容とし、この制度の運営に関する所要の規定を設けるほか、併せて、これと関連して、現行法の体裁を一部改めると共に必要と認められる一部条文の改正を行おうとしているのであります。
何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/2
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003・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 只今の篠山農林政務次官の提案理由の説明に引続きまして、当法案は予備審査でございますが、伊藤さんのほうから内容の説明を一つして頂きたいと思います。
それでは伊藤漁船保険課長の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/3
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004・伊藤茂
○説明員(伊藤茂君) 御説明いたします。満期保険制度の創設が第一の目的になつておりますですが、概略満期保険につきまして御説明申上げますと、満期保険は漁船の適期、適当な時期における更新及び事故による損害の復旧を容易にし、漁業経営の安定を図ることを目的といたしております。で、満期保険というのは保険の目的たる漁船につき保険期間が満了した場合、又は保険期間中の普通損害保険事故によつて損害が生じた場合に保険金額を支払う保険を称することにしております。
満期保険の事業は漁船損害補償法の漁船保険組合がこれを行います。それで保険の目的といたしましては、漁船の満期のときにおいて船齢に一定の制限を加えたい、木船では建造後十五年未満、鋼船では建造後満二十五年未満ということにいたしたい。それで満期保険に入ることは一応任意加入としております。保険料は積立保険料と損害保険料から成つておりまして、これを一本の満期保険料という名称でとるわけであります。その二つの要素に分れております。積立保険料の率は全国一律といたしまして、損害保険料の率は普通損害保険と同じ料率にしております。保険期間でありますが、満期保険の保険期間はおおむね三年から十年までの間といたしまして、この間に数種定める予定でございます。満期となつた際に、満期保険金額を支払うわけでありますが、満期前の事故によつて損害が生じたときは、普通保険と同じようにやはり分損救助費、全損いずれの事故に対しても保険金額の支払を行うのであります。満期保険は任意加入、先ほど申上げました通り任意加入でありますが、途中で解約等の申込みがありました際には、或いはほかの事由によりまして保険関係が消滅した場合には、保険料の一部の払戻をする。その保険料の一部と申しますのは、主として積立保険料に該当するものであります。それから満期保険におきましても、普通損害保険において保険料の一部を国庫が負担する場合がありますが、それと同じような場合に該当するものにつきましても、やはり満期保険においても国庫負担を行うのであります。只今のところ二十トン未満の漁船が義務加入によつて入つて参りましたときには、損害保険の自由保険料の百分の五十に該当する金額を国庫が負担いたします。
次に満期保険の加入奨励金でございますが、これは満期保険の加入者でありまして、その加入者が次の代船を建造する場合に、建造資金の融資を受けたとき、その融資額を対象といたしまして、一定条件の下に国庫は当分の間利子の一部を奨励金として交付する、そういう奨励措置を講じてあります。再保険の関係につきましては、政府は満期保険の積立保険にかかる部分、生ほどの積立保険料に全額再保ということにいたしまして、保険料は全部組合にとどめておきませんで政府が収納いたします。満期になつたときの支払いはやはり全額国庫が責任を持つことにしております。その他の損害保険に該当する部分につきましては、只今の普通保険と同じように保険金額の百分の九十を再保険することにしております。
以上が大体法律に盛込まれております満期保険の骨子でございます。その他関連いたします条文の整理といたしましては、今までの普通保険と特殊保険と二種類の内容が、満期保険が入つて参りましたために、法律の体裁が、順序が多少入替つておりますが、主な点は先ず漁船保険を普通保険と特殊保険に二大別いたしまして、普通保険のうちに普通損害保険と満期保険と二つに小分けしたわけでございます。ですから特別会計の勘定は普通保険勘定と特殊保険勘定、そのほか別の法律でやつております乗組員の給与保険勘定というのが一つございますが、この三つの勘定で普通損害保険と満期保険とはお互いに融通できる形態をとるはずであります。
それからその次は満期保険に関係がございません条項でありますが、実は今までの義務加入の規定におきまして、協同組合の中の指定漁船と申しますが、一トン以上二十トン未満の漁船の所有者が三分の二以上金船加入の決議をした場合には、その協同組合の地域は義務加入地域或いは指定地域ということになりまして、国庫が保険料の一部を負担する地域になるわけでありますが、その決議がどこまで有効であるかということについて明確なきめがなかつたわけであります。今度法律にはその決議は取消す手続をしない限りは永久に続くものであるという解釈をとりまして、その代りに半面に、その決議を消滅するための手続をきめております。
次にもう一つ、今までの法律のちよつと欠けておりました点は、指定地区内に、先ほどの協同組合の地区でございますが、ここに一トン以上二十トン未満のいわゆる指定漁船の所有者が三人以上ある場合には、その三人が代表者となりまして義務加入の手続をするわけでありますけれども、それがない場合があるのであります。無動力船とか、或いは一トン未満の動力船とかばかりでありまして、義務加入の資格者が三人未満である場合があります。その場合の処置が今まで付いておらなかつたわけでありますが、今度はそういうような地域におきましても、小型船が三分の二以上保険に入つた場合は、国庫は義務加入の例によつて義務保険料のやはり二分の一を負担する、こういう規定を設けたのであります。
以上が大体今回の法律の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/4
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005・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 以上で今日の議題になつております漁船損害補償法の一部を改正する法律案の提案理由の説明及びその内容の説明が一応終つたのでありますが、あと質疑を続けますに先立ちまして、前回からそのままになつております内灘の試射場に関する問をできまするならば今日質疑があればして頂きまして、一応この問題を終えたいと思います。それでは何か御質疑ございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/5
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006・岡田宗司
○岡田宗司君 山中部長にお伺いしますが、過日の参考人を呼びましたときの話によりましても、政府のほうから、あそこの漁業協同組合へ出した漁業権制限の通知書を見ますと、一月一日から四月三十日までということで、その通知書に対して各漁業協同組合から承諾書が出ている。そして合意の上でとにかく使用が開始されておつたのですね。今度は何ら手続きをとつておらんというのがこの間の御返答だつたのですが、その後何かそういう問題について手続きをとつておられるかどうかということについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/6
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007・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) お答えいたします。調達庁といたしましては、この間の岡田委員からの御質問に対しまして、私のほうといたしましては、六月十五日ですか、十五日の継続使用に対して別に具体的な現在のところ手続きはとつておらないと、こういうふうに御説明申上げたのでございますが、更にそれから後にどういう手続きをとつたかというお話でございますが、我々の補償関係の業務につきましては、局のほうで順次必要な書類その他の整備のための調査はいたしておりますが、直接先方のどなたとも特に会つて、我々のほうとして具体的に話合つていることは現在のところはない状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/7
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008・岡田宗司
○岡田宗司君 閣議で六月十五日から使用するということは決定したことなんでありますが、その決定に基いて、どういう方法で向うに通達をし、その閣議の決定というものが実際行政上効力を発生して、それが実施されるまでには、どういう手続きが必要なのか、そこらのところを一つ明らかにして頂きたい。どうもこれはあなたではちよつと無理だと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/8
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009・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) お答えいたします。大体御承知のことと思うのでありまするが、普通我々が施設区域提供に関しましては、御承知のように日米合同委員会というのがありまして、そこで向うから要求が出ると、そこでいろいろな条件を分科委員会なり、何かで御検討になりまして、その結論を外務省のほうで、閣議にとつて、閣議で決定されたものが、この点具体的には外務省のかたからお聞き願いたいと思うのですが、更にそれが日米合同委員会の正式の協議になつて、調印が取交わされるように聞いております。そうなりましたときに、私らのほうに、その中間過程におきまして、我々のほうにも施設区域に関する調達庁所管の事項について合同委員会から施設のいろいろな予備調査の調書の要求がありますが、その調書を出す作業はあります。それから後は只今申しましたような工合の系統で行きます。閣議で決定になりましたときに、我々のほうが初めて具体的には使用する普通の民有地或いは国有地その他のものにつきましても、国有地は国有財産でやつておりますが、それにつきまして、それぞれ所有者なり或いは各公共団体の意見を聞いて、それに基いてできるだけ自由契約によつて契約を結んで行く、万止むを得ないときには特別措置法によるところの使用又は収用をやる。そうしまして、それが大体片付きまして、施設提供の米軍のほうに財産受渡書というものを出します。これは局で出しますが、これを出して初めて米軍のほうに施設提供が終つた、こういうことになるわけであります。内灘の例につきましては、現在我々のほうで具体的に措置をとらなかつたというのは、現在のところは、私の聞いている範囲では、陸上におきまして国有地だけを使う、それから海のほうは、この前の操業制限の法律がそのまま告示になつておつたということで、現在特にそれに対して措置をとる必要は具体的にはないというような関係で使つている状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/9
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010・岡田宗司
○岡田宗司君 そうしますと閣議で決定する、そうして閣議で決定をして、そのことを告示で出せばそれで足りるということですか。今のお話しですと、そう聞えるが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/10
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011・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) 告示で出せば足りるというのじなくて……、これは漁業制限の場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/11
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012・岡田宗司
○岡田宗司君 具体的の例を申上げているのは、ここでは先ほど漁業権制限の問題ですね。あれは名古屋の調達局から漁業協同組合長に対してはつきりとした公式の文書を以て、一月一日から四月三十日まで漁業権を制限するということをはつきり言つているわけなんです。その基は何かというと、結局閣議の決定だろうと思うのですが、それで恐らく告示も出たろう。その告示は一定の日が、例えば四月三十日までというふうに限つていないのだそうだが、そうだとすると、ここにおかしなことが起るのですね。告示は日を限つておらん。そうしてちやんと手続のほうは日を限つている。そうしてその日を限つているほうがもう事実は消滅している。その告示は生きているのか知ら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/12
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013・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) お答えいたします。告示は私の解釈では生きていると考えております。ただ承諾書をとつた、これはどういう根拠でとつたかという御質疑の起るのは御尤もと思いますが、我々は従来そういう例で進んでおつたのであります。ただ果してこれが法定要件であるかどうかということになりますと、特にそれが必要なものであると、こういうようには解釈できないのでありますが、ただ我々としては、成るべく権利者その他のかたとも十分話合つて、その上で承諾書をとつた上は行政措置としては万々間違いはなかろうというような意味で、事実行為としてとつておつたように承わつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/13
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014・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、告示の効力ということが問題になつて来るんですな。これはどうも法制局長か誰か呼んで頂かんと告示の効力なるもかがわからない。その告示自体も一つ示して頂きたいと思います。先ず告示の効力というものを明らかにすること、それから告示の内容を示して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/14
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015・森崎隆
○委員長(森崎隆君) ちよつと速記を止めて下さい。
午後二時三十二分速記中止
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午後二時五十分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/15
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016・森崎隆
○委員長(森崎隆君) それでは速記を始めて下さい。告示の問題につきましては、法制局長が今見えますから、それまでの問、外務省の国際協力局の安川第三課長が見えられましたから、そのほうについて御質問があればして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/16
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017・岡田宗司
○岡田宗司君 それじやお伺いしますが、内灘の射撃場について六月十五日から使用を始めた、事実国有地については、もう使用しておるのだけれども、あそこにある民有地については、現在のところではこれを使用しておらない。使用するについては、やはりそれぞれの手続が必要であろうと思いますが、その使用する手続をとる前に、あそこをどういうふうにしようと考えておられるのか。現在日米合同委員会なり、或いは外務省のほうでどういうふうに考えておるのか、その点をお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/17
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018・安川壯
○説明員(安川壯君) お答えいたします〇六月十五日に一応使用を再開いたしましたところの事情は、民有地のほうは現地の利害関係者と話合が付かなかつたのでありますが、他方米軍のほうは、試射そのものの、当時の六月十五日使用開始のときの米軍の要求は、一応当時の、権現の森と申しますか、民有地は除外しても、当座の試射には支障を来たさないということであつたので、国有地、法律的な手続を必要としない国有地のみを取りあえず使用することにしまして、民有地は一応除外したわけであります。併しこれはいつからということは、まだ米軍側の意向もはつきりしておりませんので、申上げかねるのでありますけれども、遅かれ早かれ、試射の射程が延びますと、勢い現在の民有地をも接収する必要が起ることは、時期はまだ予測できませんが、その必要が起るということは事実であります。それで現在の政府、外務省当局といたしましては、この民有地の使用の必要が起つた際にどうするか。その場合に、飽くまでも、現在の利害関係者との契約ができない場合に、然らば法律に基く強制接収をするかどうかという問題につきましては、現在のところ何ら方針はきまつておりません。強制接収をするということも、外務省として腹はきまつておりません。又しないともきまつておりません。きまつておらないということだけ私から申上げたいと思います。ただ我々としましては、まだ現地の利害関係者が我々の要求に従つて、話合で解決できるという望みは未だ捨てていないのでありまして、現在のところ現地の利害関係者と直接の話合はしておりませんけれども、そういう方針の下で、現在のところは現地の県知事、それから村長を通じて何とか納得の上でそれらの措置ができるようにという話合を内々進めておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/18
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019・岡田宗司
○岡田宗司君 今のお話ですと、まだアメリカ軍のほうからは、正式にこの民有地をもう一遍使わしてくれろという話はないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/19
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020・安川壯
○説明員(安川壯君) 米軍からの当初の要求というものにつきましては、民有地を含めまして全部を使用したいという要求で、その要求そのものは現在のところ変つていないのでありますが、但し実際の試射について、あの民有地、もつと詳しく申上げますと、現在も御承知かと思いますが、射程があすこまで延びないということで、こちらとしましては、米軍から、その米軍の了解を得てあの地域を除外したのではなくて、米軍の実際の射撃の、現在の射撃の状況から判断して、あすこは必要ないということを判断して除外しておるということで、従つて米軍の要求そのものはちつとも当初と変つていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/20
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021・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、政府としては、米軍の当初の要求に基いて、いつでもあの民有地を接収しなければならない状態にあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/21
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022・安川壯
○説明員(安川壯君) 米軍から要求があれば、その通りであります。要求と申しますか、実際試射を開始する必要が起れば、そうなるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/22
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023・岡田宗司
○岡田宗司君 これは新たに、そうすれば日米合同委員会に諮つて手続をするということでなくて、試射の射程を延ばす、だからあそこについて何とかしてくれということを、非公式でも何でも申込みがあれば、政府はそれに基いて直ちに手続をとる、こういうことなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/23
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024・安川壯
○説明員(安川壯君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/24
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025・岡田宗司
○岡田宗司君 そこで問題になるのは、あの土地の接収ですが、これはもう行政協定第三条に基く土地等の使用に関する特別措置法ですね、これによつてやらなければならんということになるのですが、その前に話合が付けば別ですが、今のところちよつと付きそうにないということになると、それを適用するということになるのですが、それの適用は相当な日数と手続がかかるのですが、その点についてどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/25
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026・安川壯
○説明員(安川壯君) 最初に申上げました通り、外務省としましては、今はただ現地と話合を付けるという望みは捨ててはいないのでありまして、今後も情勢に応じまして、現地との納得に到達するように最善の努力をするということでありまして、最悪の場合、最悪と申しますか、どうしても納得が行かん場合、この法律に基いてやるという具体的な腹もきまつてないわけであります。現在のところも飽くまで納得に基いてこれは使用するという方針の下に進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/26
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027・岡田宗司
○岡田宗司君 ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/27
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028・森崎隆
○委員長(森崎隆君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/28
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029・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。
奥野法制局長が参られておりますから告示の問題について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/29
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030・岡田宗司
○岡田宗司君 これは一つ法制局長にお伺いしたいのですが、実はこういう問題なんですが、内灘の試射場に関してでありますが、あれは閣議で以て二十八年の一月一日から四月三十日まで使用する、こう決定した、そこで内灘のつまり漁業の操業ですか、漁業権ですか、名古屋の調達局から漁業協同組合に対して、漁業権の制限の通知書というものが来たのです。それが一月一日から四月三十日まで、こういうことになつておる。ところが内灘の使用の問題について、そういうふうに閣議では一月一日から四月三十日までと決定した、そうしてそのことは林屋国務大臣が何遍も閣議が四カ月だからということは現地でも言うし、議会でもはつきり言つておるのです。ところが告示はどうなつておるかというと、内灘演習場は合衆国軍隊の演習が行われる期間中、演習期間中、こういうことになつておるのです。そこで先ほどからの話を聞いておると、告示は無期限みたいなことにつておるのです。閣議では、四カ月ときまつておる、告示は無期限、事実四カ月経つて一遍やめたのだけれども、又新らしく政府がアメリカの要請に基いて、六月十五日から試射場として使う、そこの漁業権も同じように制限される、僕らは閣議ではこういうふうに、アメリカの軍隊の演習が行われる期間中と書いてあるけれども、閣議で四カ月というふうになつておれば四カ月というのが生きて、ここにあとやはり、ちやんとそれだけの新らしい告示か何か出して手続をとらなければ、その告示は生きないように思うのです。実際に生きないように思うだけれども、そういう場合にも告示というものは生きて、且つ何も新らしく手続をしないで、そのまま政府のほうでは、前に告示は出してあるのだからというので使えるかどうかということなんです。この告示の先ず効力ですね、そういう場合の効力。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/30
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031・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 閣議決定はやはり閣議の対内的效力で、外部に対する効力としては、官報によつて告示されたのが外部の関係における期間ということに、やはりなるのじやないでしようかと思いますが、閣議は閣内の決定で、外部との関係においては、官報において告示されたものが外部的效力を持つ、こう感じますけれども………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/31
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032・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、おかしいのですよ。あそこに民有地があるのですね。それで民有地は現在使つておらん。そうすると、これに基いてこの効力が、この告示が効力があるということになると、民有地についても何も手続をしないでそのまま使えるということになりそうなものだけれども、それを使つていないで、ちやんとやはりどうも新たに法律に基いて手続をしなけれ使ぱえない。その点はどうですか。若しあなたの言う意味でこの告示が外部に対してそれだけの効力を持つているならば、民有地だつて同じようにやはり使つていいわけじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/32
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033・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) これはやはり水面を提供するのだというので、水面に関する関係のものでなかろうかと思います。第一条によりまして……。この法律二百四十三号の関係においては水面だけの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/33
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034・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、その水面の問題でいうと、それじや調達局から一月一日から四カ月間だということを通知して承諾書をとる必要はなかつたということになるわけですね。告示さえ出ればそんなものは要らないとということですな。そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/34
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035・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 通知は法律的に申しますと、必要ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/35
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036・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、閣議で四カ月と決定して納得させた。そうしておいて調達庁からの通知も明らかに四ケ月になつておつた。ところがこの一片の告示で実はそんな通知は何も必要なかつたのだ、こういうことになると、閣議で四カ月と決定したのも、それからその四カ月という通知を出したことも皆ペテンにかけたということになるのですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/36
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037・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 法律的に申しますと、対外的効力はこの告示、官報等による告示によつて効力を生ずるので、あとは政治的ないろいろな問題になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/37
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038・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、もう告示なんていうのは、一方的なもので、こうなつて来ると……。閣議決定は対外的な効力だということになつて、そうして例えばどんな約束をしても、告示のほうは、こういうものを出しておけばあとは政府はいいかげんに使えるの泥、こういうことになるわけですね。閣議の決定をそのまま告示しないで、そうしてこういう問題になつて、そのまま告示しなかつたことのほうが生きて来ているので、閣議決定の内容のほうがむしろこの場合には引つ込んでしまつているということになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/38
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039・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) ですから、そうしますと、通知とかいうのと違つた告示を出したことになつて、政治的には問題があろうかと思いますけれども、法律的には告示によつて効力は外部的に生ずるものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/39
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040・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、はつきり申上げれば、この告示は内容的には閣議の決定に基かざる告示、こう解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/40
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041・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 実は閣議がどういうふうなものであつたか、私承知しておりませんけれども、外部に現われた法律的な効力ある告示としては、こういうふうなことになつているが、閣議なり、それから告示までの間にどういうふうな経過を辿つたかはちよつと存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/41
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042・岡田宗司
○岡田宗司君 それはあなたは御存じあらんのだが、併し結局閣議の決定なり内容なりをそのまま伝えさる告示も、その告示としての効力はある、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/42
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043・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 法律的にはそうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/43
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044・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、今度もう一つお聞きしたいのは、この告示が三月十四日に出ております。ところが遡つて適用するということが行われているんですがね。例えばですね、第三号の三の内灘演習場にかかわる部分は昭和二十八年一月一日からそれぞれ適用するとこう書いてあります。これは殆んど個人の権利の制限を内容とするものなんですがね。これを過去に遡つて適用するということはどうもおかしいと思うのです。告示で個人の権利と制限を過去に遡つて適用するということは違法でないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/44
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045・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) それは非常にむずかしい問題と思いますが、この日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律の第一条及び二条の関係におきましては、恐らくこの遡及せしめた趣旨は、今まで法律に基かない、法律の根拠なくして事実上漁船の操業を制限禁止しておつたのを、遡つてこの法律による制限禁止とみなして損失の補償を与えてやろうという、利益をもたらす上のものではないか。その範囲においては或いはそういつたような解釈も、利益を与える面においてはできるではないかと思いますが、ただ例えばこの禁止区域、この一定の区域をきめられますと、それは行政協定の区域ということになりまして、そのうちにおいては刑事特別法等の適用で処罰を受けるようなことがあり得ることになろうかと思うのでありますが、そういつたような処罰といつたような不利益を課するところまで遡及して、あとで区域に指定された区域で、前に或る違反行為があつた場合に、遡つて刑事特別法を適用するというほどの効力を持たすことは、これは違法だと思います。これは処罰の不遡及の原則から言つても憲法違反でありますから、そういうことにはならない。又その他の或る一定の権利を遡つて剥奪するといつたような遡及適用ということについては、よほど問題で、むしろこれは損失補償を、これによつて今までの事実上の制限を、この法律による制限とみなして損失を遡つて補償してやろうという、そういう範囲においてはそういう解釈も成り立ち得るのではないか、不利益の点についてはいろいろむずかしい、殊に刑法なんかの処罰の点については遡及できないのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/45
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046・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすれば、何ですか。告示を遡つて適用するということは、その内容的の問題であつて、その若し内容的に今言つたように補償等でそういう利益を得られるならば違憲でない。それから不利益を与えるものならそれは違憲になる。こういうことになると、その告示自体が効力を発生するのは内容によつてきめられるので、ちやんと告示を出すということの形式できめられる問題じやないということですか、どうなんですか。内容できめるというのはおかしいと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/46
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047・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) すべての関係において適法な、操業の制限、禁止として、それは適法性をこれによつて遡及的に持たし得るということは言えないと思います。そういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/47
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048・岡田宗司
○岡田宗司君 どうも私どもよくわからないのだけれども、とにかく成るほど一部にはこれは利益を与えると思うのです。併しながら逆に一部にはその漁業権を制限するということによりまして不利益も与えておるわけです。そうするとどういうことになるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/48
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049・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) とにかくそれまで事実上やつたことは、法律上の根拠なくして事実上の制限禁止をやつたもので、それによつて或る損害賠償債権というようなものが出ておれば、それをあとから遡つて適法化し、或いは損害賠償債権をなくしてしまう、或いはその他のもうすでに生じた損害賠償請求権を消滅せしめてしまうというふうに、告示の遡及だけで以てそこまでの適法性を全部の関係において持たし得るかということになると、これは非常に疑問があろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/49
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050・岡田宗司
○岡田宗司君 本来ならば、告示は、一月一日から使用するということになるならば、これは一月一日以前に出すべきものなんですね。それが本来の姿なんですね。これはどつちかというと例外的なんでしような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/50
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051・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) それは非常に例外的だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/51
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052・岡田宗司
○岡田宗司君 尤もしよつ中こういうことをやられちや困るけれども、まあその点はそれでいいと思うのですが、そこでもう一つ問題になるのは、ちよつとお伺いしますが、さつき言つたように、内閣では四カ月という期限を附しておつたのです。事実上その期限があるということは議会の答弁にも現われておるし、向う側と林屋国務大臣との約束にも現われておるし、それからここにある調達庁の通達書でも四カ月ということを言つておるのですね。そうすると、ここに合衆国軍隊の演習が行われる期間中と書いてある、これはいわば無期限なんですね。こういうことは無期限、これが期限だと言えば期限かも知れんが、一体期限というものははつきりいつからいつまでということを示すものじやないのですか。告示というのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/52
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053・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 期限は勿論始期と終期がなければならないものでありまして、無期限ということはあり得ないのですが、必ずしも何月何日から何月何日までという確定的な期限でなくても不確定な期限ということは法律上あるので、それでも期限とは言い得ると思うのです。民法上でも不確定期限というのがあります。併し政治的にははつきりできれば一番そうすべきだと思いますけれども、不確定期限は期限ではないということはちよつと言いかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/53
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054・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、合衆国軍隊の演習が行われる期間中というのは不確定的期限と解釈すべきですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/54
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055・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) そうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/55
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056・岡田宗司
○岡田宗司君 どうもこの告示は閣議の決定と内容が非常に違うので、そうしてこれが生きるということになると、政府は四カ月と限つておつたが、この告示に基いて何らの新らしい手続を必要とせずして六月十五日からどんどん使用するということになりますと、どうも政府は内灘の村民をペテンにかけたという結果になるとしか考えられないのですがね。まあそれはあなたに聞いてもしようがないから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/56
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057・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 法制局長に対する御質疑はこれでよろしうございますか……。それでは有難うございました。
ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/57
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058・岡田宗司
○岡田宗司君 それつどうも内灘の問題について今までずつと聞いておりますと、最初からいろいろな食違いがある、手続が非常に欠けておる点が多い。そうして終いには閣議決定と違つた告示を出して、そうしてその告示が今度暴威を揮つているというようなことで全くでたらめだと思うのですよ。まあ今までのいろいろな演習場その他については占領中から引続きのものでありまして、実際日本の法律に基いてやつたのではなくて、占領軍の実力によつて接収をして実力で使つておつたということから、法律上の手続きを殆んど無視して或いは蹂躪してやつておつた面が非常に多いと思う。ところが独立後において内灘のごときは新らしくアメリカ軍から求められた演習場なんです。従いまして今度はたとえ日米合同委員会で決定し、更に閣議で決定してこれをやるにしても、もつとちやんとした手続をきちんとしてやつてくれなければ困る。又そういうような手続きを経ないために紛争も起つて来るし、それから又こういうようなことでどんどん政府がやるということは、結局国民の権利を侵害する、不法に侵害する、そうして憲法違反もやつているのじやないかということになる、この点について私は外務省なり或いは調達庁に、今後一体これをどう処置するのかということをお伺いしたい。先ず外務省のほうに、今までこういう問題について法律に基いてきちんとやるということが必要であるかどうかということをお考えになつておつたかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/58
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059・安川壯
○説明員(安川壯君) お答え申上げます。従来のやり方を申しますと、合同委員会を通じまし填新規の要求が出されましたときには、先ず第一段階といたしまして、その要求の内容を日本側でよく検討しまして、要求の目的、それからその条件等を十分に突詰めた上で、合同委員会の事務局を担当しておりまする外務省から、関係の各省初め調達庁その他大蔵省、農林省、場合によつては港湾関係なら運輸省、それぞれの担当官庁と協議するわけであります。そうしてその際にそれぞれの接収を予定されます土地の利害関係者とも一度の話合をするわけであります。併しその場合に実際に接収してどれだけの補償金を払うかというようなことは具体的に決定するわけに行きませんで、大体こういう条件で接収することに異議はないかということは、一応閣議決定の前にそれぞれの利害関係者とも一応の話合をしまして、大体細かい条件は別としまして、この条件ならばこういう条件で提供すること自体に異議がないという話が大体においてかたまりましたところで、閣議決定へ持つて行つてきめるわけであります。併し実際問題としまして、閣議で提供するということに決定し、更に合同委員会を通じて米軍側に提供するという返事をしましたあとでも、実際に米軍に引渡すまでにはまだ手続が要るのでありまして、その点は閣議で決定したから直ちに米軍に土地を提供するということにはならないのであります。閣議決定を終つたのちに、今度は具体的に提供についての土地なら土地の買収その他について、それぞれ担当の主務官庁とそれぞれの利害関係者が話合をしまして、そうしてそこで両者の合意に基いて、土地の提供の価格なり、その他が最終的にきまつて初めて米軍側に土地が引渡されるわけであります。行政協定ができまして以後、大部分の新規の提供は全部この手続でやつておるのでありまして、又少くとも従来までは、それによつておおむね円満に話合が付いておつたわけであります。その点について従来決して政府のやりましたことが非民主的であるとか、或いは不当な措置をとつたとは考えておりません。従つてこの間におきまして、これは直接調達庁の所管だと思いますが、話合が付かずに、いわゆる強制収容の手続を用いて接収したという事例は極めて稀だというふうに了解しております従つて従来はそのように飽くまでも両者の話合で提供しておつたわけでありまして、又将来におきましても、決してこの方針を変えて、初めから強制収容で行くというようなことは毛頭考えておらないわけであります。ただ客覧的な情勢は内灘その他で従来のような話合で円満に行かないという事実は私どもとしても否定できないのであります。我々の方針としましては、内灘の先ほどの民有地の問題についても申上げました通り、飽くまで、できるだけ強制収容という手続は避けて、話合で解決して行きたいというのが従来とも、又将来とも変らない方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/59
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060・岡田宗司
○岡田宗司君 今のお話を聞いておると、もうちやんと立派に手続をして、もうちつとも間違いない方針でやつておられるようですけれども、実際こういう問題が起つて来ているのでどうもあなたの言うことはそのまま受取れないのですがね。とにかく今までの外務省なり、或いは調達庁のやり方に非常に欠点が多いということは、これは認めて頂かなければならない。欠点がなければ、こんないろいろな問題が起つて来るはずがない。それらはもつと慎重にやつてもらわなければならん。尤も僕は、それよりも接収そのものが問題だと思うのです。その点はここで議論することは別として、そういうような方針を持つて頂かなければならないと思います。それから調達庁のほうも、やはりどうも大分今まで聞いておりますというと、いろいろな点で手抜かりがあつたようにも思うのですけれども、まあ手抜かりがあつたということをお認めになるわけには行かんのでしよう。認めると大変なことになるのだから、どうも認めるわけに行かんのだろうが、併し今後も一つ何らかの方式を考えて頂かないと、こういうようなことで年中食違いが起つて来ると困ると思うのです。そうして無益な紛争、それから又このために大きな政治問題になるきつかけも作るということになる、そういう点について不動産部長として今後どういういうふうな措置をとるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/60
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061・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) お答えいたします。只今駐留軍に提供する施設に対する調達庁の手続に相当手抜かりがあるのじやないか。この手抜かりをなくするために、どういうふうに処置する所存であるか、こういう御質問でございまするが、私といたしましては、現在まで確かに損失補償の時期、金額その他についていろいろ異論はあつたのでありまするが、内灘一件についていろいろ当時事情を認めたとか、その他のことについて異議もございましようが、従来の法的手続について過ちがあつたとは私は認めていないのであります。只今もお話の出ましたように、多少時期或いは又補償金額が正当であつたか、時期を失しておつたじやないか、或いは金額が少な過ぎるじやないかというようなことについて、これは甲論乙駁あると思うのでありまするが、少くとも御承知のように非常に困難な、個々のケースについてそれぞれ見方が違うものをどういうふうに客観的に妥当的な要素をつかんでこれを決定するかということが相当な日にちを要するわけなんでありまして、これらについて我々も日夜その方面に努力はいたしておりまするが、現在までのところ遺憾な点があつたことは認めますが、これからもそういう点につきまして、できるだけ被害者のかたの御迷惑を排除したいと考えて、我々職員も努力していると、こういうふうに考えております。この問題につきましても、又皆様のほうにおいていろいろと、こういう関係はこうしたらいいじやないかという御意見があれば、我々は謙虚な気持でその御指示なり批判を受けるつもりでおります。ただ施設提供が、先ほども外務省からもお話のありましたように、調達庁所管で全部やつているようなまま誤解を受けるのでありまするが、我々だけ別に弁明して他を傷つけるという気持は毛頭ないのでありますが、ここらのところの主体性がどうなつておるかというところから、いろいろと問題も又起るのじやないかというような気がいたします。従いまして、それらの点につきましても、行政官庁の相互の連絡を十分して、かかる非難をできるだけ成るべく速かに排除して行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/61
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062・岡田宗司
○岡田宗司君 とにかくアメリカ軍が占領が解除された後もどんどん新らしく演習地なり飛行場なり、そのほかを要求して来る。そのために日本国民が非常な迷惑をこうむるのです。そのことを念頭に入れてやつてもらわなければ困るのです。ただ向うの要求があつて、合同委員会でそれがきまつた、だからそれに基いて早く何でも取上げればいいのだというようなことで以てやられたのじや、これはもう問題にならん。そういうことは十分に気を付けてもらいたい。又恐らくこういう問題について今後私は紛争が必ず起つて来る、これは紛争が起るのは私仕方がない。日本の国民が自分の土地を取上げられたり、生活が奪われたり、或いは又風紀の問題等も起るのですから、紛争の起るのは当然だと思う。その紛争が起る場合におきましても、この紛争の解決等については、やはり十分に日本の国民の味方になる気持で一つ今後やつてもらいたいと思います。
これ以上内灘の問題については、まあ質疑はやめましよう、これで終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/62
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063・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 内灘試射場の件は一応これで質疑を終ります。今日までの質疑の内容等につきまして、是非外務省、調達庁その他におかれましては、主務大臣、主務長官等に十分一つこの経過、内容を御報告されまして、善処されますことを特に熱望いたしまして、この件はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/63
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064・森崎隆
○委員長(森崎隆君) それから委員各位にちよつと申上げたいと思いまするが、第一の予備審査の法案、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案、この法律案につきまして農林委員会から合同審査の申入がありまして、いずれまあ連合委員会を開くことになると思いますが、日取等につきましては委員長にお任せを頂きたい。それから先だつて文部委員会との連合委員会のあの問題の回答を文部省から得なければならないのでございますが、これも二、三日中に文部委員長と打合せをいたしまして、極く最近に連合委員会を開きまして、はつきりした責任のある答弁を聞くことができるようになつておりますので、これも日取等につきましては、お任せを頂くことにいたします。
今日は委員会はこれを以て散会いたします。
午後三時四十二分散会
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01219530715/64
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