1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年六月二十四日(水曜日)
午後一時二十六分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
小林 政夫君
松永 義雄君
委員
青柳 秀夫君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
松岡 平市君
土田國太郎君
前田 久吉君
三木與吉郎君
成瀬 幡治君
野溝 勝君
森下 政一君
堀木 鎌三君
平林 太一君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省為替局長 東条 猛猪君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 泉 美之松君
大蔵省銀行局銀
行課長 大月 高君
—————————————
本日の会議に付した事件
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○富裕税法を廃止する法律案(内閣送
付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○相続税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○有価証券取引税法案(内閣送付)
○砂糖消費税法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
○登録税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○揮発油税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○国税徴収法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○納税貯蓄組合法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○国際復興開発銀行等からの外資の受
入に関する特別措置に関する法律案
(内閣送付)
○連合委員会開会の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/0
-
001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 只今丁より第六回の大蔵委員会を開会いたします。所得税法の一部を改正する法律案、富裕税法を廃止する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、有価証券取引税法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、登録税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、国税徴収法の一部を改正する法律案上納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案及び国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案、いずれも予備審査、以上十一案を一括議題として政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/1
-
002・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました税法関係十件の提案の理由を御説明申上げます。
第一が所得税法の一部を改正する法律案でございます。
政府は、昭和二十八年度において税制の一般的改正を予定し、すでに酒税の税率引下げ物品税の負担調整の措置を講じたのでありますが、その他のものについては、前国会へ提出した税制改正案を原則として踏襲する所存であります。即ち、目下暫定措置として実施している所得税の軽減措置を平常化するほか、更に所得税、法人税、相続税等につき一層負担の軽減合理化を図り、国民生活の安定、資本の蓄積に資するとともに課税の簡素化に努めることとしているのであり、差当りここに関係十法律案を提出した次第であります。
第一に、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を申上げます。
所得税におきましては、先ず、先に臨時特例法によつて実施いたしております控除及び税率の改正を平常化することといたしました。即ち、基礎控除額を五万円から六万円に、扶養控除額を最初の一人について二万円から三万五千円に、給与所得についての控除の限度額を三万円から四万五千円に、それぞれ引上げると共に、社会保険料を所得から控除するこことし、又税率については最低税率を二〇%から一五%に引き下げております。なお、今回富裕税を廃止することに伴い、新たに課税所得金額のうち、三百万円をこえる部分について六〇先、五百万円をこえる部分について六五%の税率を設けることといたしました。
次に、資本蓄積の促進に資するために、有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止し、又生命保険料の控除限度額を四千円から八千円に引上げることといたしております。
更に、医療費控除については、現在医療費が所得金額の一〇%を超える場合にその超える部分について十万円を限度として控除しているのでありますが、これを所得金額の五%を超える場合にその超える部分について十五万円を限度として控除することといたしております。又退職所得についての控除額も、十五万円から二十万円に引上げることとしております。
次に、青色申告者について認められている専従者控除の限度額を五万円から六万円に引上げると共に、専従者の範囲を十八歳以上の者から十五歳以上の者に拡張することといたしております。
更に、山林所得、不動産等の譲渡所得及び一時所得の負担の軽減と課税の簡素化を図ることとし、山林所得は十五万円を控除し、五分五葉の方式によつて他の所得と合算して課税し、又不動産等の譲渡所得及び一時所得は、その合計額から十五万円を控除した後の半額を他の所得と合算して課税することとしております。
これらの措置により、所得税の負担は相当軽減されるのでありまして、特に低額所得者につきましては、かなり顕著な軽減となるのであります。なお、この機会において課税の適正化を図るため、匿名組合契約等に基く利益の分配について源泉徴収を行うこととし、又企業組合その他これに準ずる法人に対する課税関係について所要の規定を設けることといたしております。
第二に、富裕税法を廃止する法律案について申上げます。
富裕税は、その実施の状況等に鑑み、負担の調整と税制の簡素化を図るため、昭和二十八年分から廃止することといたしております。
第三に、法人税法の一部を改正する法律案について申上げます。
法人税につきましては、資本蓄積の促進に資するため、企業合理化促進法及び租税特別措置法による特別償却の適用範囲の拡張及び価格変動準備金制度の改善、貸倒準備金の限度引上げ等の措置を講ずると共に、貿易の振興に資する等のため、輸出契約取消準備金制度の新設及び海外支店設置費の特別償却を認めることとしておりますが、これらの措置は近く提案を予定いたしております租税特別措置法の改正案又は関係命令の改正によつて実施することを考慮しております。而して法人税法の改正案におきましては、個人の有価証券に対する譲渡所得課税の廃止に伴い、法人の解散等の場合における剰余金に対する課税を、曽つて行なつていたように法人の清算所得課税によつて行うこととしております。更に、外国で生じた所得に法人税を課税する場合には、法人税額からその所得に課せられた外国の税額を控除することとして国際二重課税の防止を図るほか、課税の適正簡素化のため所要の改正を行うことといたしております。
第四に、相続税法の一部を改正する法律案について申上げます。現在相続税は、相続、遺贈又は贈与によつて取得した財産について、取得者の一生を通じて累積課税いたしているのでありますが、今回実行上の難点等を考慮してこれを相続税と贈与税とに分けて課税することとし、負担の一層の軽減、合理化と課税の簡素化を図ることとしたのであります。即ち、相続税は、相続及び包括遺贈によつて取得した財産についてその都度課税し、贈与税は、贈与及び特定遺贈によつて取得した財産について、一年間分を合算して課税することといたしております。
次に、基礎控除額は、相続税については従来の三十万円を五十万円に引上げ、贈与税については十万円を控除することとし、又死亡保険金及び退職金についての控除額は、それぞれ二十万円から三十万円に引上げております。
更に、税率につきましては、相続税にあつては、最高税率の七〇%は据置いておりますが、課税価格三千万円以下の税率をそれぞれ五%ずつ引下げると共に、階級区分に若干の調整を加えて負担の軽減を図ることとし、又贈与税にあつては、負担の権衡を考慮して、相続税の税率より若干高めとし、おおむね現行税率と同程度といたしております。
以上のほか、相続税の納付を容易にするため、延納の条件を緩和する等の措置を講じております。
第五に、有価証券取引税法案について申上げます。
政府は、今回有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止することとしているのでありますが、有価証券の取引を行う者の担税力等に顧み、この機会において有価証券取引税を創設し、有価証券の譲渡があつた場合に、軽度の税率により課税することとしている次第であります。
有価証券取引税は、公社債券、株券、出資証券、証券投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券等の有価証券の譲渡があつた場合に、その譲渡価額を課税標準とし、その譲渡者を納税義務者として課税することとしているのでありますが、短期国債及び国民貯蓄債券等の譲渡につきましては、その性質に顧みて課税しないこととしているのであります。更に、公社債券等の譲渡につきましては、その取引の現状等を考慮して、今後一年間は課税しないこととしているのであります。
次に税率は、有価証券の取引を阻害しないこと等を考慮して、公社債券及び貸付信託の受益証券については万分の七、株券、出資証券及び証券投資信託の受益証券については万分の十五とし、又有価証券の譲渡者が証券業者である場合には、その譲渡が頻繁に行われる点等を考慮して右の税率をそれぞれ万分の三及び万分の六としているのであります。なお、証券投資信託の信託財産に属する株券の譲渡については、証券投資信託の育成の見地から、今後二ケ年間を限つて、万分の六に軽減することといたしております。
次に納税につきましては、極力その簡素化に努め、証券業者が取扱う場合における税額は、証券業者が毎月分をとりまとめて納付するものとし、その他の場合における税額は、譲渡の際有価証券取引書に印紙を貼付して納付することとしているのであります。
第六に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申上げます。
砂糖消費税につきましては、他の消費税との負担の権衡等を考慮して、分蜜白糖等につき税率を二割程度引上げると共に、含蜜糖について、その種別に応じて負担の調整を図る等、所要の改正を行うこととしているのであります。
第七に、登録税法の一部を改正する法律案について申上げます。
登録税につきましては、登記所等において登録税の納付に使用された印紙が偽造等不正のものであることを発見したときは、これを税務署に通報させ、これに基いて国税徴収法の規定により登録税を追徴することができることとする等の改正を行うこととしておるのであります。
第八に、揮発油税法の一部を改正する法律案について申上げます。揮発油税につきましては、酒税及び物品税等の場合と同様に、滞納税額に対して日歩四銭の利子税を徴収する等、規定の整備を図ることとしたのであります。
第九に、国税徴収法の一部を改正する法律案について申上げます。
本改正案におきましては、過誤納金の還付を促進するため、税務署所在地内の納税者に対しても、最寄の郵便局において還付を行うことができることとし、なお、延滞加算税額の計算の簡素化を図る等のため、所要の改正を行うこととしているのであります。
第十に、納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案について申上げます。
現行制度におきましては、納税貯蓄組合の預金を納税以外の目的のために引出した場合には、その部分の利子について所得税を課税することとしているのでありますが、今回この場合においても、一定の利附期間内に引出された金額の合計額が五万円以下であるときには、その利子に対しては課税しないことに改め、納税貯蓄組合制度の普及に資することとしているのであります。
以上十法律案の大要を申上げた次第でありますが、昭和二十八年度の租税及び印紙収入の総額は七千百六十億九千七百万円でありまして、今回の税制改正による減収額は、酒税及び物品税の改正分を含め総額千二十三億六千七百万円であります。このうち所得税の減収額は、特別減税国債の購入による減収額十五億円を含め総額九百二十四億円余、富裕税の減収額は十九億円弱、法人税の減収額は、特別減税国債の購入による減収額二十九億円余を含め百十億円余、相続税の減収額は十一億円弱となつております。なお、有価証券取引税の収入額は約十三億円であります。
何とぞ御審議の上速かに賛成せられるよう切望する次第であります。
これに引続きまして只今議題となりました国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案の提案の理由を御説明いたします。
外資の導入によりわが国の経済基盤の強化拡実を図ることは、政府のかれがね強調して参つたところでありまして、特に国際復興開発銀行からの外資の受入について鋭意努力を重ねて参つたのでありますが、電力設備合理化のための資金の借入について近く実現を期待し得るに至りました。この法律案は、国際復興開発銀行等からの外資の受入を促進するため、関係諸法律の特例規定を設けようとするものであります。
その内容を簡単に申し述べますと、先ず第一に、国際復興開発銀行又は外国政府金融機関から外資を受入れようとする場合には、その外資の特質に鑑み、当該貸付を受けようとする者が主務大臣の認可を受けたときは、その認可をもつて外資に関する法律の規定による認可を受けたものとみなして、国際復興開発銀行等に対する元利金等の支払の場合における外貨送金を保証するものとしたことであります。
第二に、日本開発銀行又は日本輸出入銀行が国際復興開発銀行等からの資金の借入契約に基き外貨で支払わなければならない債務について、予算の定めるところにより、政府が保証契約をすることができることといたしました。
第三に、日本開発銀行又は日本輸出入銀行が国際復興開発銀行等からの外貨資金の借入契約に基き債券を引渡す必要がある場合、その借入金額を限り債券を発行することができることといたしました。
以上がこの法律案の要点であります。
何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/2
-
003・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) この際連合委員会に関してお諮りいたします。
去る二十二日道路整備費の財源等に関する臨時措置法案が建設委員会に附託されましたが、本案は本委員会の審議事項と密接な関係のある議案でありますので、この際建設委員会に対し連合委員会の開会を申出ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/3
-
004・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。
なお、連合委員会の日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/4
-
005・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) それでは速記を始めて。
次に、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案について内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/5
-
006・大月高
○説明員(大月高君) 只今政務次官から提案理由の御説明がございましたが、最近、世界銀行からの火力発電設備等に関する外資を借受けるという交渉が次第に進捗いたしましていよいよ具体化する段階になつたわけであります。それにつきまして、現在ございます外資に関する法律或いは現在の日本開発銀行法だけでは賄いきれない部面がございますので、この外資の受入れに関しまして特別の措置を講ずるというのがこの法律の趣旨でございます。
要点は三点ございまして、一つは第一条の関係でございます。外貨送金の保証の手続につきまして、世界銀行が、本来の建前からすれば外貨送金の保証を受ける申請をし、その手続をする必要があるわけでありますが、その特別措置によりまして、借手である開発銀行において手続をする、こういうことを認めようとする規定であります。
第二点は、現在の日本開発銀行法、或いは日本輸出入銀行法におきましては、その借入れにつきまして、政府保証を付けるという規定がないわけでございますが、今回の交渉の過程におきまして、政府保証を必要とする事態になりましたので、これを加えようとするわけであります。
第三点は、世界銀行から開発銀行が金を借ります場合に、現在の世界銀行の貸付規定によりますれば、大部分の場合に債券の引渡しを要求される例が多いわけであります。その事態に備えまして、第三条を置きまして、この特殊な場合におきまして、開発銀行、輸出入銀行が債券を発行し得るということにいたしたわけであります。
以上の三点に関連いたしまして、開発銀行或いは輸出入銀行におきまして、為替の売買或いはコルレス契約の締結、その他外国為替銀行としての行為をなす必要がございますので、附則においてその点を規定いたしたわけであります。
第一条について御説明申上げますと、ここにございます外国政府機関と申しますのは、「外国政府が半額以上出資して設立した金融機関であつて政令で定めるものをいう」というように一応ございます。この具体的な対象は、目下のところ、国際復興開発銀行だけでございまして、どういう外国政府機関が出て来るかということは判然といたしませんので、その事態が起きました場合に政令で定めたい、ただ少くとも政府金融機関という特色を発揮いたしますために、少くとも外国政府が半額以上出資しておるという条件をつけたい趣旨であります。こういう外国の政府金融機関から貸付を受けます場合に、現在の外資法によりますと、お手許に配付してございますが、外資に関する法律の第十三条によりますれば、外国の投資家は貸付債権であつて、その果実又は元本の回収金を外国へ向けた支払により受領しようとするものを取得しようとするときは、当該取得について主務大臣の認可を受けなければならないのでありまして、貸手が認可を受ける、こういうことになつております。併し世界銀行等につきましてその手続をするということを省略いたしまして、逆に借手において手続をする、こういうようにいたしたいわけであります。第二項はその場合に借手が申請いたしましても、貸手が申請いたしましたと全く同様の手続によつて外資法を適用するということが書いてあるわけであります。
第二条は、開発銀行又は日本輸出入銀行の外貨債務の保証の点でありますが、現在法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律によりまして、政府は債務の保証を、法人に対しまして債務の保証をすることは禁じられております。この規定によりましてその制限を外しますと共に、開発銀行又は日本輸出入銀行が世界銀行等から外貨債務を借りるにつきまして、予算の定めるところによつて保証契約をすることはできるということにいたしたわけであります。で、この条文と並行いたしまして現在提出になつております予算総則におきまして、開発銀行及び電源開発促進法又は国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律に基いて電源開発株式会社又は日本開発銀行が二十八年度以降、五カ年度以内において借入れる外貨の債務につきまして支払の保証契約をすることのできる限度が元本について五百八十八億、利子、手数料等の債務について四百八十八億、これを借入契約締結の日における基準外国為替相場で換算した金額に相当する合衆国ドルの金額とするというようになつておりまして、予算案としての裏付をいたしておるわけであります。七月暫定予算におきましても、その一部の火力発電設備の分につきまして、総則六条において金額が規定してあるわけであります。
それから第三条の点は日本開発銀行又は日本輸出入銀行の債券の発行の規定でありまして、この両銀行が世界銀行等から外貨資金を借入れる場合におきまして、先方の要求に基いて債券を引渡す必要がございますときには、借入金額を限つて債券を発行することができる。ここで政令で定めますことは、今後の交渉によりまして、先方の要求により、今後の交渉によつて定まります条項、例えば償還期限であるとか、或いは利率であるとか、或いは記名式であるとか無記名式であるとか、又債券の条件を規定いたしたいわけであります。
それから第三条の二項は、世界銀行はその資金繰りの関係から、開発銀行等の発行いたしました債券を市場に売出しまして資金を調達することがあるわけであります。その場合にこの開発銀行等の発行いたしました債券を譲り受けた外国投資家につきまして、本来なれば一々日本政府に申請をいたしまして、外貨の送金の補償を受ける必要があるわけでありますが、すでに世界銀行等について外しました以上は、同じく譲り受けた第三者につきましても大蔵大臣の指定を受けて当然保証を受けたものとする、こういうようにいたしたいわけであります。
附則の点は、先ほど申上げましたううに、こういう業務を開発銀行においてやるにつきまして、為替銀行としての性格を附与する必要がございますので改正をいたそうとするものであります。簡単でございますが御説明を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/6
-
007・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/7
-
008・小林政夫
○小林政夫君 第三条関係で、債券を発行するという必要がある場合となつておりますが、これは予測されるの片世界銀行だけだという説明でしたが、その交渉、最近の電力債の交渉の過程において、何か債券を発行してほしいという向うからの要望があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/8
-
009・大月高
○説明員(大月高君) 現在までに世界銀行から諸外国に貸した例の中で、債券の引渡しを要求されておるのが大部分であります。世界銀行の貸付規定によりますと、債券の引渡しを要求し得る、原則として要求する、こういうことになつておりまして、今後の交渉におきましてはどうなるかわかりませんけれども、少くとも可能性はあるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/9
-
010・小林政夫
○小林政夫君 その債券は第二項の書き方から見ると、向うが一本であつて、こちらの受けるほうが一本であれば、借用証書でもよさそうだが、普通の祉債券と同じように不特定多数のものに逐次分割できるような債券ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/10
-
011・大月高
○説明員(大月高君) 多分最初の段階におきましては、一般の借入証書ということになると思いますが、世界銀行の金繰り或いはこの開発銀行に対する債券が市場に出して捌けるという見通しがつきました場合に、改めてこの債券の発行を要求される。そこで初めて細分された債券が出る、こういうことになろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/11
-
012・小林政夫
○小林政夫君 これは直接この法案とはまあ法律的には関係ないのですが、併しこの法律を制定する必要のある事実を知る意味において開発銀行当局、特に理事の中山素平氏の出席を求めて、その交渉過程を聴取したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/12
-
013・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) そのように取計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/13
-
014・野溝勝
○野溝勝君 二、三点御質問いたしたいと存じます。
一体この開発銀行なり日本輸出入銀行というのは、今までどういうことをやつているか、よくその内容を私どもは知悉しておらないのですが、ただ先般開発銀行の経営者を本委員会に招致した際に、そのアウトラインだけは聞きました。併しその間、開発銀行の営業範囲と言いましようか、営業状態を聞いたのでございますが、どうも特定の会社、特定の事業団体にのみ資金の融資をしているわけであつてその特定の会社の事業に対する資金の融資の場合、その償還状態が明確にされておらないという各方面からの疑問もあり、その際その事情を聴取しましたところが、未決の分が多分にあるわけで、それが徹底的にまだ本委員会に報告されておりません。特に今度開発銀行なり輸出入銀行が政府保証をどの程度やるか知りませんが、この法案を見るというと、受入れ態勢といたしましては政府保証しなければならんということになつておるようでございます。してみると今までの経緯内容というものを本委員会に明らかにして、その貸借対照表ではありませんが、その事情分析をいたさなければ本法案の審議をするのに大きなこれは障害となると思いますから、あなたからどうか一つ、開発並びに輸出入銀行に対して今日までの貸借並びに経緯等について資料をお示し願いたいということを一つこの際にはつきり申上げておきます。委員長その点を一つお取計らい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/14
-
015・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/15
-
016・野溝勝
○野溝勝君 次に事務的なことでございますが、お伺いしておきたいのは、この保証の範囲でございますが、細かいことは政令できめるということになつておるのでございますが、大体事務当局で今その政府保証の範囲の限界というものをどういうふうにお考えになつていますか、その点お示し願いたいと思います。構想の一端でよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/16
-
017・大月高
○説明員(大月高君) 第二条におきまして、予算の定めるところにより保証契約をすることができると書いてあります。この今のお尋ねは、その予算に盛られておる内容かと存じますが、先ほど御説明申上げましたように、只今提出中の本予算におきまして予算総則九条におきましては、こういう関係の保証につきまして電源開発促進法に基く電源開発会社と、この法律に基きまして日本開発銀行が外資の借入れをやるにつきまして、政府が保証契約をする金額につきましては、元本五百八十八億、利子及び手数料の債務については四百八十八億、こういうふうになつております。この計算の基礎は二十五年賦で借りる、こういうことでありまして、差当り年五分という計算になつております。二十五年で年五分の計算になつております。今後の条件につきましては今後の交渉に待つわけでありますが、予算的にはその範囲内で現在の為替換算率を適用した米ドルの範囲内、こういうことになつております。七月の暫定予算におきましては、現在交渉の案件になつておりますのは、その中の火力発電設備の分だけでございますので、それを金額的に申しますと、元本が百四十八億、利子及び手数料の債務につきましては百十一億、こういうことになつております。計算の基準は同じく二十五年で五分でございますが、七月の暫定予算案に載つておるわけでございます。これをドルで換算いたしますと、元本について四千百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/17
-
018・小林政夫
○小林政夫君 この前当委員会において開発銀行に対して外資の外国銀行からの借入れについては政府保証をするというような改正をしたのですが、そのことは一応不問に付するとして、この法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の適用を排除する、これは大月君に聞くのは或いは適当でなくて、主計局の法規課長から説明願うのが適当かも知れませんが、この適用排除の規定がどうもまちまちだと思う。この開銀関係に対して果して適用を排除する必要があるかどうかということも、この前いろいろこの委員会でも審議をし、結局要るだろうという結論になつたのですが、この国民金融公庫法の第二十二条には、国民金融公庫に対しての貸付金については「利息を免除し、又は通常の条件上り公庫に有利な条件を附することができる。」こう第二十二条の二の第三項にある。然るにこれは今の政府の財政援助の制限に関する法律適用は排除しておらない。これは公庫は全額政府出資だということであれば、開発銀行も政府全額出資である。それと同様なことが農林漁業金融公庫にもある、国民金融公庫にも同じような規定がある。その際にも私は農林委員会との連合委員会の席上で、今の政府の財政援助の制限に関する法律適用の排除を廃すべきじやないか、こういうことを一応言つたが、国民金融公庫にもこういうことがあるから一応前例によつてやる、こういうことであつた。こういうことについてははつきりしてもらいたい。今の開発銀行は金額出資、国民金融公庫も全額出資であれば趣旨は同じである。特定の法人に対して政府は特別の援助はしない、こういう趣旨から行くとやはり排除しなければならんということになると思うが、その見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/18
-
019・大月高
○説明員(大月高君) この条文の書き方は電源開発促進法の例にならつたわけでございまして、同じ条件の下に今般の火力発電設備につきましては直接電源開発会社の必要な分につきましては電源開発会社に受入れる。一般の民間の電力会社の借入れるものにつきましては開発銀行を通じて出す。こういう二本建に今考えられております。それで電源開発促進法の規定と歩調を合せまして、この第二条を規定しております。この財政援助の制限に関する法律を排除する必要があるかどうかの問題でございますが、そういう意味におきまして或いは前例的には二つの種類になつておるかと存じますが、時間的な経過もありましてどちらかにならう、こういう必要がございましたので、開発促進法の建前に剛つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/19
-
020・小林政夫
○小林政夫君 それはこの前、開発銀行に対して政府のこの法律案を排除すする必要があるということを私が主催した時に問題になつたことであつて、電源開発会社は今のところは政府出資だけであるけれども、民間出資を受入れる余地が残つておる、半官半民である、だから向うには無条件でこの法律を排除する必要がある。開発銀行に排除する必要があるかないかということについては相当疑問だということで、当時の佐藤法規課長を呼んで聞いて、佐藤君も必要だという見解を述べられてこういう排除という規定は恐らくこの見解によつてこれは出ておると思う。それならば国民金融公庫も或いは農林漁業金融公庫と多少事柄は違うけれどもこの特殊な法人に対して特別な有利な財政援助をするということについては一律に排除しなければならない、こう思うのです。これは大月君ではちよつとなんですから、法規課長と主計局長を呼んで明らかにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/20
-
021・木内四郎
○木内四郎君 誤解があるといけませんから念のために伺つておきたい。さつき大月説明員から五百八十八億、四百八十八億の計算が二十五年で年五分ということを基礎にして計算してあるというお話だつたのですが、これは単に計算の基礎だけの問題で、実際の交渉の結果、成立したものは二十五年でなくても、或いは利子が五分より高いものであつても、この予算の範囲ならばいいという趣旨ではないかと思うのです。その辺をはつきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/21
-
022・大月高
○説明員(大月高君) その点は只今お尋ねの通りでありまして一応の計算の基礎は二十五年と五分ということになつております。具体的の交渉は今下準備は進んでおりまするが、具体的の結論は出ておりませんので、この範囲ならば結構だ。こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/22
-
023・小林政夫
○小林政夫君 次回に、今の政府の財政援助の問題について、主計局長と法規課長を一緒に出席を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/23
-
024・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) そう取計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/24
-
025・松永義雄
○松永義雄君 ちよつと伺いますが、国際開発銀行の最近の性格というものについて何かありましたら簡単でいいのですから一つ…、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/25
-
026・東条猛猪
○政府委員(東条猛猪君) 松永委員の、最近の性格というお尋ねでございますが、むしろ最近の実際の業績とか、或いはそういうような計数的な御趣旨でありましようか、或いはもう少し、資本金がどのくらいで、どういう業務をしておるかという一般的なものかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/26
-
027・松永義雄
○松永義雄君 最近の国際開発銀行が、曽つては西欧というか、そういつた方面の復興を主としておつたのが、マーシヤル・プランによつて爾後国際開発銀行の融資の目的方針が変つた、更に国際開発銀行の融資の対象の中に戦略物資開発というものがまじえられていて、最初の国際開発銀行の平和的且つ戦災の復興ということの趣旨であつたのが、最近になつて、戦略物資の開発にまで融資が行なわれたという傾向が実際であり、そうなつておる、その点について一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/27
-
028・東条猛猪
○政府委員(東条猛猪君) 私から申上げるまでもございませんで、国際復興開発銀行は、多数の国が出資をいたしました国際的な性格を持つておる開発銀行でございまして、米国政府が単独で出資をいたしまして、従いましてこの銀行の貸付方針なり運営方針が、専ら米国政府の考え方、意向によりまして非常に大きな影響を受けるという種類の開発銀行ではないというのが、この国際復興開発銀行の性格であると心得ております。それで具体的に、それでは国際復興開発銀行の実際の融資の状況が、果して右申上げました性格関係を反映しておるかという点でございますが、私ども国際復興開発銀行の最近までの貸付の状況を通覧して見ますと、今松永委員がお話になりましたような意味の貸付方針の変更があつたというふうには見受けられませんで、むしろ当初の目的通り何と申しますか、産業開発が遅れておりまするところの地域の産業開発のために、復興開発のために資金の実際の貸付が行われておる、かように実際の計数面からも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/28
-
029・松永義雄
○松永義雄君 少し私と意見が違うのですが、国際開発銀行に対する米国の影響は殆んどない、こういうお話ですが、若しそういう考えで以て国際開発銀行と融資の交渉をされて行つたら、それは大変な間違いであると、こう考えなければならんと思います。米国は御承知の通り国際開発銀行の大株主である、大株主であるので、事実上経済上米国乃至米国政府の影響するところは非常に強いというのが現在世界的に考えられているところの結論である。で、最近米国の融資というものはミユーチユアル・セキユリテイ・アクト、相互安全保障法の前にできた法律以来、米国の考え方というものは国際開発銀行の融資の場合にも大きな影響力がある。御承知の通り、ユーゴを援けた融資は、戦略物資の開発を目的とした融資であるということは、国内においてあらゆるその方面の研究者の一致した結論になつておる。そういう事実は御承知ないわけはないのです、この雑誌にも書いてある。もう一遍確めておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/29
-
030・東条猛猪
○政府委員(東条猛猪君) 先ほどお答え申上げました通り、この米国政府のその時その時の方針によつて非常に大きな影響を国際復興開発銀行の融資の方針に織込まれまして、そうして最近で申上げますれば戦略物資の開発に重点がおかれるというような傾向は私たちといたしましては関知できない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/30
-
031・松永義雄
○松永義雄君 戦略物資の開発ということについて、そういうことに重点をおいておる、こう私はそこまで言うておるのではなくて、そういう方面に進みつつあるということを私は申上げるのであつてその一つとしてユーゴに対する貸付並びに国際開発銀行が、性格が変つて後進国開発に向つておるということは、これはあなただつてお認めになると思うのですが、その後進国開発に対する融資というものの内容というものは、戦略物資開発に向つて進む傾向になつておるのではないか、だから将来気をつけなさいということを言うておるのであります。
更に続いてお尋ねしたいのですが、火力発電設備のために国際開発銀行から金を借りて来る。それ自体は平和的目的であるということには否定はできないと思います。ただ方面を変えまして、日本でも三電機会社といつて、三菱電機、日立、東芝というような電機会社があるのですから、そういうものがあるにもかかわらず、どういうわけで火力発電設備のために外資を導入しなければならないか、あなたは技術屋じやないのですが、知れる限りについて……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/31
-
032・東条猛猪
○政府委員(東条猛猪君) 火力発電の機械の代金を国際開発銀行から借りるに当りまして今松永委員からお尋ねになりました日本の国産でも間に合うじやないかという議論も、一部の議論といたしまして民間にもございまするし、従いまして政府といたしましても、その点につきましては相当研究をいたした点であります。成るほど理論的と申しますか、設計その他におきましては、日本の現在の火力発電機械のメーカーの技術を以ていたしましては、絶対に今回の外資導入の話合の対象になつております機械を作ることができないということでは必ずしもありませんでしたが、今回のような大きなキヤパシテイーの火力発電機械は、これはメーカーとして作る場合に、一つ外国の、アメリカのこの種の機械を入れるということが、何と申しますか、一つのサンプルとして非常に参考にたる。その意味におきまして今回の火力発電機械は、技術或いは設計とかいうものの手本という意味において、サンプル的に輸入をしてもらう。又してもらうことについては異論がないというのは最終的な段階の、火力発電機械のメーカーの意見でもあつたというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/32
-
033・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) お諮りいたします。次の機会に開発銀行の役員、先ほどお話のありました主計局長、或いは主計局法規課長、銀行局長に出て頂いて、十分に審議することにいたしまして本日はこの程度でとどめておきたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/33
-
034・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/34
-
035・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に各税法案につきましてその内容の説明を聴取いたします。泉税制第一課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/35
-
036・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 先ほど政務次官から提案理由を御説明いたしました各税法案につきまして、内容の御説明を申上げたいと思います。
その前にあらかじめ今回の税制改正の全般のことにつきまして一言申上げておきたいと思います。
お手許に資料といたしまして二十八年度税制改正の要綱と、それから前回提案した不成立予算の場合におきまする税制改正案と、今回の税制改正案との主な相違点という資料を差上げておりますので、それを御参考に申上げたいと存じます。
昭和二十八年度におきまする税制改正につきましては、御承知の通り昨年末の国会におきまして、昭和三十八年度におきまして所得税を初め各税に亙り相当根本的な改正を行うことを予定いたしまして、差当り所得税だけにつきまして、そのうち給与所得及び退職所得に対しまする源泉徴収税額の軽減措置をとることをきめて頂いて、それが本年一—三月間に支給される給与所得と、退職所得に適用されることになつておつたのでありますが、その後御承知のような事情で国会が解散されまして、酒税と酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律のこの二つだけは国会の議決を経て三月一日から施行いたされたのでありますが、その他の各税法案につきましては不成立に終りまして、その後参議院の緊急集会及び総選挙後開かれました今特別国会におきまして給与所得及び退職所得につきましての源泉徴収税額の軽減措置は、更に本年七月末日まで、同時に航空機用の揮発油税についての免税期間も本年七月三十一日まで延長して頂くと共に、今回の改正の一環をなしておりまする物品税につきまして負担の調整措置を六月一日から実施することになつたのでございます。
その後一般的な改正につきましていろいろ検討を加えました結果、今回差当り税制改正関係の法律案十件を提出いたしました。更に引続きまして租税特別措置法、資産再評価法の一部を改正する法律案、特別減税国債法案などを提案する予定であるのでございます。
今回の税制改正の全体は、先ほども提案理由にございましたように、大体前回提案いたしました税制改正の案を基礎にいたしまして若干の修正を施したのでございます。前回から引続き委員となつておられますかたのために、御参考までにその前回の提案と今回の提案との主な相違点だけと申上げます。
先ず第一は、法人税につきまして交際費、機密費、接待費等につきましての損金算入の制度規定を設けることを前回提案いたしておつたのでございますが、それにつきましてはなお一律に制限規定を設けるべきかどうか、交際費、接待費の範囲等につきまして相当検討を加える余地がありまするので、今回は提案を見合せることにいたしたのでございます。
第二点は、有価証券取引税の税率につきまして、前回は一般の場合におきましては万分の二十、有価証券業者が売渡人であります場合におきましては万分の八という税率で提案いたしておつたのでございますが、最近におきまする株式市況の状況等に鑑みまして、有価証券の取引を阻害しないということを考慮いたしまして、一般の場合は万分の十五、有価証券業者が売渡人であります場合には万分の六というふうに引下げることにいたしたのでございます。
第三点は、再評価に関するものでございます。第三次再評価に関しまする修正点は三点ございます。第一点は、再評価の限度額につきまして土地価格指数を用いまして、再評価いたします部分につきまして、前回提案いたしましたのは、土地価格指数が昨年三月の実績しかわかつておりませんでしたから、その指数を基礎といたしまして想定されるところから昭和二十五年の一月一日の基準日に比べまして、その後の騰貴率を十三割八分というふうにして提案いたしておつたのでございますが、昨年七月の指数が判明いたしますと、十六割七分というふうになつておりますので、その新らしい指数を基礎にして十六割七分に引上げることにいたしておるのでございます。その次は、前回提案いたしました際は第一次及び第二次の再評価の際は当時の耐用年数によつて取得価格に物価騰貴率を乗じたところから、その当時の耐用年数によつて計算した減価償却額を控除して再評価の限度額をきめることにいたしておつたのでございますが、その後昭和二十六年に耐用年数の短縮をいたしておつたので、前回提案の際はその短縮された耐用年数によつて減価償却額を差引くということにいたしておつたのでございますが、そういたしますと再評価限度額がかなり低目になるのでございます。そこで耐用年数を短縮しました後の期間が非常に僅かでありまして、その期間においては余り減価償却を行われておりません事情を考慮いたしまして、今回は耐用年数を短縮されました資産についての第三次の再評価の再評価限度額の計算を若干引上げることにいたしましたりつまり昭和二十五年の時の再評価の限度額を一・五倍したところから、その後のその時々の耐用年数によつて計算した減価償却の限度額を差引いて計算するということに修正いたしておるのでございます。
それから再評価に関しまする修正点の第三点は、再評価税につきましては、これを免除すべしというような要望が強いのでありますが、従来の第一次及び第二次再評価と異なる点もありませんし、又理論的に免除すべき理由もありませんので、今回は再評価税の税率は従来通り百分の六といたしたのでございますが、その納付方法二つきまして、できるだけ容易にすることによつて再評価が行われることを促進するという意味合からいたしまして、従前でありますと再評価税は最初の年に半分の三%、それから二年目、三年目に四分の一ずつ、つまり一・五%ずつ納付するということになつておりましたのを、法人につきましても個人と同様に五年間に一・二%ずつ納付することができるということにいたしておるのでございます。それからもう一つ町評価税の納付を容易にするために、いずれ租税特別措置法で提案する予定でございますが、法人の有しておりまする固定資産の中に、耐用年数の長いものが半分以上占めておるという場合におきましては、今回は五分の一ずつ五年間に納付するわけでありますが、すでに行いました第一次及び第二次の荷評価につきまして、現在まだ収益が十らないために滞納になつておる部分及び今後分割納付すべき分が相当ありますので、これらにつきましても、今後五年間に分割納付すればいいというふうにして、納付を容易にするということを図ることにいたしております。それから修正の第四点といたしましては、特別減税国債の購入によつて減税を受ける限度でございますが、これにつきましては御承知のように、前回提案いたしました際は法人、個人ともその税額の二割を限度として、個人につきましては購入額の二五%、法人につきましては同じく購入額の二一%を軽減するということにいたしておつたのでございますが、前回不成立に終りまして、特別減税国債の発行がどんなに早くなりましても、今回国会を通過したあと八月一日以降というふうに考えられまするので、そういたしますと、来年の三月三十一日までの間に法人の事業年度が終了して、申告する機会が一回しか来ない法人が相当出て来るのであります。そこで、そういう法人につきましては、その法人税の二割を限度とするということいたしますと、二回事業年度が来る法人と、或いは二十八年分の所得税金額について二割の減税を受けることができる個人との権衡からいたしまして、一回しか来ない法人には酷になりますので、それをその直前の事業年度の法人税を加えて一年間分相当額の税額にして、その二割までは軽減を受けることができるということに改めておるのでございます。そのほか細かい字句の修正等が相当ございますが、これらにつきましてはいずれ資料を以ちまして、詳細に参考資料としてお配りすることといたしましてこれから各税法につきまして、その内容を御説明申上げたいと存じます。
先ず所得税法の一部を改正する法律案でございますが、これにつきましては先ほど提案理由にもございましたように、控除及び税率の軽減措置を現在特例法でやつておりますのを、平常化するということが改正の中心になつております。そのほかに若干控除の引上げ或いは課税方式の改正等を行なつております。お手許に新旧対照表を御配付申上げておると思いますが、これについて第一条の第二項第三号の改正点は、前のほうの営業所(事業所を含む)といたしましたのは、これは規定の整備でございまして今後各条文に出て来る場合に、営業所という場合には事業所を含むということの趣旨を明らかにしたわけでございます。
それから、その次に匿名組合契約及びこれに準ずる契約で、命令で定めるものに基く利益の分配について課税規定を設けておりますが、これは最近匿名組合契約、或いはこれに類似する契約に基きまして利益の分配をしておるものがかなり出て参りまして、その課税がなかなか相手方がわからないというようなことから適格を欠くことになりますので、あとに四十一条に出て参るのでありますが、今回新しくそういつた収益の分配につきましては源泉徴収を行うことにしたのでございますが、それに対応いたしまして、制限納税義務者についての課税の規定を設けたわけでございます。それから三項の規定は条文の整理でございまして、実質的な意味がございません。四項の点も先ほど申上げた点の条文の整理でございます。それから五項の二号に新らしく鉱業法による租鉱権の設定による所得を、法人の課税所得に加えておりますが、これは今回日米通商航海条約が調印されまして、あれが批准されますと、外国人が鉱業権を取得することになるのであります。そういたしますと、その外国人がその鉱業権に基きまして租鉱権を設定しておる場合に、その租鉱権の設定による所得に対して課税をする必要が生じて参りますので、そういつた場合にも課税所得にするという趣旨の規定を入れておるのであります。
第三条は、非課税法人について、法令による公団、商船管理委員会、北海道土功組合、耕地整理組合、牧野組合などがそれぞれなくなりまして、非課税法人として規定しておく必要がなくなりましたので、その規定の整備をいたしておるのでございます。三条の二項に新らしく設けましたのは、こういつた三条の一項に規定されておりまする非課税法人と類似したような外国の法人がありました場合におきまして、日本のここに掲げてありますような法人に対してその法人が外国で生じた所得に対してその外国で課税を受けない場合におきましては、同様の外国から来ておる法人について大蔵大臣が指定をいたしまして所得税を課税しないということを規定いたしておるのであります。相互主義によつて課税をしない、外国の法人でありましても一項に規定するような、法人に類似するようなものにつきましては、相互主義によつて課税をしないという趣旨でございます。
三条の二は、今回四十六条の三及び六十七条の第三項の改正規定と並びまして従来所得税は名義の如何を問わず、実質その所得を得ておる者に対して課税をするという主義をとつて参つておつたのでありますが、明文の規定がありませんでしたために、いろいろ争いの種になるという点がありましたので、今回規定を設けましてその趣旨を闡明したものでございます。
第五条は、みなす配当についての規定でございますが、これは今回、従来法人の解散合併の場合におきましては、法人の段階で課税せずに個人の段階で課税しておつたのでありますが、有価証券の譲渡所得課税を廃止することに伴いまして、みなす譲渡としての課税ができなくなつて参ります。そこでみなす配当として課税することも一案であるのでございますが、実際の課税上いろいろ困難な点もありますので、今回の改正におきましては、法人の段階でシヤウプ勧告の元に戻りまして、法人の段階で清算所得に課税する、従つて解散合併の場合には個人にはみなす配当として課税しないということにすると同時に、株式の消却若しくは資本の減少によつて株主が取得する場合の金銭などにつきましては、従来は額面価格ベースでみなす配当を計算しておつたのでありますが、今後これを取得価格ベースで計算するということにいたしておるのであります。
それから第六条の非課税規定のうち、先ず第五号の先ほど申上げましたように有価証券の譲渡による所得を非課税所得として挙げております。従いまして有価証券の譲渡につきましては従来譲渡所得として課税しておつた部分につきましては、この非課税規定に当つてこの譲渡所得から外れるのでありますが、その譲渡を営業としておりまして、事業所得として課税されておりましたものにつきましては、今後共事業所得として残るということになるのでございます。それから六号から十号まで新らしく非課税規定が入りましたのは、先ほど申上げましたように、有価証券の譲渡所得を非課税にする、それと解散合併の場合におきまして清算所得に対しては個人の段階には課税しないことにするということ、それから証券投資信託の収益の分配につきましても同様な趣旨で改正をすることからこれだけの規定を追加することにいたしておるのでございます。
それから七条の二項の規定は貸付信託についての定義を入れただけでありまして、新らしく貸付信託法ができまして、貸付信託につきまして無記名の受益証券を発行いたしますので、それを取入れたわけでございます。
それから第八条の点は、先ず第一は扶養親族の範囲を従来年の総所得二万円以下のものといたしておりましたのを三万五千円以下にするということと、それから今回扶養親族のうち最初の一人につきましてだけ三万五千円に控除額を引上げまして、あと二人旦二人目は従来通り二万円、それから四人以上は従来通り一人について一万五千円ということにいたしておるのでありますが、従来のままにしておきますると、二人以上の納税義務者がありまして、それに共通する扶養親族が二人以上ありますと、従来はその扶養親族を誰の所得者の扶養親族とするかは申告に委せておつたのでありますが、そうしますと、例えば妻と夫が所得者である。で、扶養親族が三人或いは四人おるという場合に、従来のように誰の所得者の扶養親族とすることも自由だということにいたしますと、同一世帯を営んでおるものの中で、三万五千円の控除を受ける者が二人出て来るということになるわけでございます。そういたしますと、今回一人に限つて引上げようとした趣旨からいたしまして外れることになりますので、そういつた場合におきましては、命令で定めるところによつて、誰か一人の納税義務者の扶養親族に限る。その命令というのは、大体所得者の選択によりまして誰か一人の扶養親族にするということにしておるのでございますが寸誰か一人の扶養親族に限る、併し誰か一人の扶養親族だけにすることによつてのみ扶養控除の控除を受け得られないとい一場合が生じますと、それは気の毒でりますから、その人につきましてはし他の所得者のほうから控除を認める、併しその場合におきましても前の所用者についての扶養控除の順序によつてだけ控除を認めるのでありまして、日の所得者の扶養親族になつたからと場つて三万五千円は認めない、つまり山につきまして第四番目の扶養親族でりましたものは一万五千円しか引かないということにするために、この後段の規定を入れておるのでございます。
それから八条の五項の規定は、勤労学生控除の適用を受ける勤労学生の範囲を拡張したのでありまして、所得金額が従来十万円でありましたのを十五万円に引上げる。それから自己の勤労によつて得た所得以外の所得金額が従来五万円でありましたのを六万円に引上げるということにいたしまして、控除を受けるものの範囲を拡張したのでございます。同条の六項は、社会保険料の控除を設けることにいたしておりますので、社会保険料の控除の定義を入れたわけでございます。
それから九条の改正規定は、各号以外のところは譲渡所得及び山林所得につきまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/36
-
037・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/37
-
038・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/38
-
039・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 九条のところは先ず第五号のところが、従来勤労控除といつておりました控除の限度額を、三万円になつておりましたのを四万五千円というふうに改める。それから従来勤労控除といつておりましたのを、給与所得控除というふうになおすことにいたしておりますが、これはあとの条文に出て参ります。九条には出て参りません。それから六号のところで、退職手当についての控除を十五万円から二十万円に引上げる。それから七号の山林の所得につきまして、従来でありますと山林、譲渡、一時の各所得を合せましてそれから十万円を引いた半額を、十万円を引いた後を他の所得と総合課税して、変動所得としての課税を行なつておつたわけでございますが、今回は山林所得から十五万円を引きまして、その残額につきまして五分五乗の方式によつて課税するということにいたしておるのでありますが、七号のところは、先ず十五万円を差引くということをきめておるのであります。それから譲渡及び一時所得につきましては、従来山林所得、譲渡所得、一時所得を通じまして十万円を引いておりましたのを、今度は譲渡所得のうち有価証券のほうがなくなりますと、あとは不動産の譲渡所得と、それから一時所得というふうなものになつて参りますので、山林所得よりも、より軽減する必要が認められますので、山林、譲渡所得と一時所得を通じまして十五万円を差引き、その半額を他の所得と総合して課税するということにいたしておるのでありまして、その点は九条の各号以外の、初めのところに「十五万円を控除した金額の十分の五に相当する金額」ということにいたして、その趣旨を表わしておるのでございます。それから一号、二号のところは有価証券、貸付信託の受益証券というものが入つて来ておりましたために規定の整備をしただけでございます。それから二項の改正は、これは先ほど申上げましたように、有価証券の譲渡による所得に対しては課税しないが、同時に有価証券の譲渡によつて損を生じても、それは損とみませんという規定の改正でございまして一般の有価証券についてと同様に、株式の消却、資本の減少、それから解散、合併、証券投資信託というふうなものにつきまして、それぞれ規定を設けておるのでございます。それから三項の改正は、やはり先ほど申上げました譲渡所得及び一時所得の課税方式の改正に伴う規定の改正でございます。
それから十条の三項は、「所得税」の下に「(外国の法令により課せられる所得税に相当する税を含む。)」で、これに損金に算入しない。その代りに新らしく外国税額の控除の制度を設けるということにいたしまして、その外国税額の控除の制度は、あとのほうで十五条の八の所へ設けてございます。それはあとで申上げます。
それから十一条の五は、社会保険料の控除をするという規定の趣旨で設けたのであります。それから十一条の六は生命保険料の控除につきまして四千円を八千円に改める。それから十一条の七は先ほど申上げましたように、扶養控除のやり方につきまして順位を設けます。最初の一人を三万五千円、二人目、三人目は二万円、四人目以上は
一人について一万五千円を控除する。その控除のやり方につきましては、先ほど申上げましたように、生計を丁」する者の間では一人に限つて三万五千円にするということにしております。
それから十三条は税率を改正いたしまして、従来八万円以下二〇%であつたのを二万円以下一五%、二万円から七万円まで二〇%、七万円を超える十二万円まで二五%というふうに低額所得者に対する税率を引下げる。それから富裕税の廃止に伴いまして三百万円を超える金額は百分の六十、五百万円を超える金額は百分の六十五というように税率を設けておるのでございます。十三条の二は先ほど申上げましたように、山林所得につきまして五分五乗の方式で課税する変動所得のうち、今まで山林所得の五十万円以下の者に採つて来ておりましたのと同じやり方を規定しておるのでございます。
それから十四条のほうは、譲渡所得と山林所得は変動所得から除きますけれども、漁獲から生ずる所得、原稿から生ずる所得、原稿若しくは作曲の報酬に因る所得又は著作権の使用料に因る所得につきましては、やはり従来通り変動所得といたしまして課税をするということから、この規定を整備しておるのでございます。ただ、十三条の二の場合に、山林所得が出て来、そして十四条の山林所得が出て参りますが、十三条二の場合のほうは、山林所得と他の変動所得のない場合の規定でありまして、十四条のほうは漁獲から生ずる所得と山林所得がある場合、著作権の使用料と山林所得がある場合、こういつた場合の規定になつております。普通の場合は、山林所得と配当所得或いは事業所得といつたような場合が多かろうと思いますので、その場合は十三条の二のほうに参るのであります。
それから十四条の二は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/39
-
040・小林政夫
○小林政夫君 十三条の二のほうは山林所得オンリーですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/40
-
041・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 山林所得と他の普通所得のある場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/41
-
042・小林政夫
○小林政夫君 十三条の二のほうがそうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/42
-
043・泉美之松
○説明員(泉美之松君) はあ、十四条のほうは山林所得と、それから他の変動所得と普通所得とある場合というふうになります。十四条の二のほうは前のほうへ持つて参りますので、規定の整備だけでございます。
それから十五条の八が先ほど申上げましたように、従来外国で課税されました所得税は損金と見ておつたわけでございますが、今回新らしく損金には見ないけれども、国際二重課税を防止するという意味合で、税額そのものを差引く、但し外国の税額が日本のその所得に対する税額より高い場合は、日本の税額を限度としてしか差引かない。又外国の税額が日本の税額より少いときには、その少い税額しか差引かないということにいたしておるのでございます。
それから第十七条十八条は、先ほど申上げました匿名組合契約、或いは無記名の貸付信託の受益証券などに対しまして源泉課税を行います関係で、源泉課税の規定を整備したのでございます。
それから二十一条の改正は、基礎控除が五万円から六万円に上りましたので、その規定の整備をいたしております。
なお、先ほど言い忘れましたが、十二条のところで基礎控除を六万円に改正する規定が改正されております。それに合せて二十一条を直しているわけであります。
それからあとは申告に関する規定のところは条文の整理が主でございまして、特に申上げることはございません。
それから二十六条の確定申告の改正も、これも基礎控除が五万円から六万円になつたことと、それから申告書の提出期限を前回特例法で直して頂きましたように、二月十六日から三月十五日の間に提出すればいい、従来は二月一日から末日まででありましたが、そういうように直しているのでございます。それからあとへそれに応じまして申告の規定をずつと整備しております。
三十条の納付の規定につきましても、従来の二月一日から末日まで納付しておりましたのを、二月十六日から三月十五日までの間に納付するということにしております。
それから三十六条の三を新らたに設けまして、外国税額の控除の適用によつて還付を受けるものは還付の請求をすることができるということにいたしているのでございます。
それから三十七条の源泉徴収の規定につきましては、みなす配当につきましては源泉徴収の規定を適用しておりませんでしたが、今度その規定を削除いたしましてみなす配当として課税しない部分につきましては適用いたしませんが、課税する分につきましては源泉徴収を行うということにいたしているのであります。
それから別表は当然控除税率の改正に伴いまして別表が改まることになるのでありますが、新らしく賞与につきまして、前月分の給与を基礎にしてその賞与に対して徴収すべき税率を設けているのであります。と申しますのは従来でございますと、賞与につきましては前月分の給与を基礎にいたしましてその給与に対する税額と、それから賞与の六分の一或いは十二分の一を加えた額について、はじいて出て来た税額との差額を、更に六倍或いは十二倍することによつて賞与に対する源泉徴収税額を求めるということにしておつたのでありますが、そういたしますと源泉徴収義務者に非常に手数になりますので、一見して前月分の給与がいくらであればいくらの程度の税額を徴収するかということがはつきりわかるように簡易化したのであります。それが七号の改正でございます。
それから、四十条の年末調整の規定も従来一項だけで非常に読みにくい規定になつておりましたので、これを項を分けまして、年末調整の順序に応じましてはつきりさせる意味で規定を整備いたしております。
それから四十二条の三項に、先ほど申上げましたように匿名組合契約等に基く利益の分配についての源泉徴収は二〇%の税率で行うということを規定しております。
それから四十三条の三項の規定を新らしく入れておりますのは、源泉徴収を行いまして、その源泉徴収税額が多過ぎたという場合には、申告によつて還付することにいたしているのでありますが、従来の取扱いにおきましては、源泉徴収義務者がその徴収した税額を確実に納付したということを確認した上でないと還付いたさないということにしておつたのでありますが、そういたしますと源泉徴収を受けた所得者について苛酷になりまして、源泉徴収を受けた所得者は何ら源泉徴収義務者に要求する権利がありませんのに、それが納めないからと言つて返さないというのは酷でございますので、今回はそういつた場合におきましては、徴収して納付すべき日に納付があつたものとして還付を行う、そうして若し滞納になつておりますれば、それにつきましては別途滞納処分を執行して取るということに直しているのであります。
それから四十六条の三に新らしく規定を設けておりますが、これは前回提案いたしました際は六十七条の二という規定で設けておつたのでございますが、いわゆる企業組合或いはそれに類似する法人などで、五以上の営業所を法人が持つておりまして、その営業所の三分の二以上に当る営業所におきましてその営業所の所長、主任といつたような人が、その前は個人として事業を営んでおつた事実があり、同時に法人組織になつた後賞業所の所長、主任等としてその営業所の業務を主宰していたというような事実があります場合には、その営業所における資金の借入や預入、商品の仕入販売その他の取引のすべてをその法人の名によつて行なつているというような場合を除きまして、その他の場合におきましては、その営業所から生ずる収益を享受する者は、その営業所の所長等であるというふうに見て、更正決定をすることができると、うことにいたしているのであります。前回提案の政府提案のものに比べましては、一定の場合を除きということにいたしました点と、それから「更正又は決定」をすることができるという規定に改めた点とが違つているのでありまして、先ほど申上げました三条の二の規定と関連いたしまして、法人組織となつておつても事実上個人と同じような営業形態であり、個人と同じような営業をしていたという場合におきましては、法人の所得と見ないで個人の所得と見て課税をするということを現わしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/43
-
044・小林政夫
○小林政夫君 前回と違う点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/44
-
045・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 「認められる事実があるときは、」の下に「それらの営業所における資金の預入及び借入、商品の仕入及び販売その他の取引のすべてが当該法人の名においてなされている場合を除き、」という「除き」の言葉を入れたのであります。それからあとは条文の整理でございますが、第五十五条の七項に利子税額の計算の簡易化を図るために別表で簡易利子税額表というものを定めるということにいたしております。これは所得税、法人税、相続税など各税に共通しているわけでございますが、利子税を納める場合に日歩四銭という計算が非常に厄介でありますために、納税者も又税務署側も非常に困つておりますので、表を作りましてその表で簡単に計算できるようにしよう、その場合にこの前提案いたしましたときは、本税額が十万円以下で、且つその利子税の計算期間が百八十日未満である場合というふうにいたしておつたのでありますが、今回の提案におきましては本税額が十万円未満ということにいたしまして、百八十日未満というほうの期間の制限はとつてございます。
それから五十七条の二の一項、三項、四項五項という点に改正を加えておりますが、これは重加算税の計算をする場合におきまして、従来の規定でございますと無申告になつている場合、或いは過少申告になつている場合の税額の全体について重加算税を百分の五十で取るということにしておつたのでございますが、重加算税を取るという場合、一定の事実を隠ぺい仮装してそれに基いて所得の申告を偽つたという場合におきまして、百分の五十もの重加算税を取るのはやはり事実を隠ペい仮装したという事柄に基くその部分についてだけ取るのが妥当でありまして、その他の部分につきましては百分の五十というのを取るのは酷になるというふうに考えられますので、明らかに事実を隠ぺいし、又は仮装したことに基かない本税額がありましたならば、その部分につきましては過少申告或いは無申告の加算税は取りますけれども、重加算税のほうは取らないということの改正をいたしておるのでございます。この点は前回提案にございませんでしたので特に申上げておきます。
それから六十一条の二は株式の消却、資本の減少の場合の通知義務の規定でございます。六十一条の四も証券投資信託についての通知、資料提出の義務の規定でございます。
六十二条についても同様な整備をいたしております。
それから六十七条の第三項の規定でございます。これは先ほど申上げました三条の二と、それから四十六条の三という二つの規定と相並びまして、法人に三以上の営業所がある場合に、その営業所の半分以上に当たる営業所におきまして所長、主任或いはそれらの親族など特定の関係のある者が、前に個人として営業を営んでおつたり、同時にそれらの所長等の有する法人の株式又は出資の合計額が法人全体の出資或いは資本の金額の三分の二以上に当る場合におきましては、それらの所属等と法人との間の行為、計算につきまして、同族会社の行為、計算の否認の規定を準用して、行為、計算の否認ができるということの改正をいたしておるのでございます。前回提案と違つておりますのは、前回の提案におきましては、資本又は出資の金額が二分の一以上というふうにいたしておつたのでございますが、同族会社につきましては、御存じのように株主、出資者のうち、五人が百分の七十を越えて株式又は出資を持つておる場合に限つて同族会社になりますので、それらの点からいたしまして、三分の二以上の資本又は出資の金額を持つている場合に限ることにいたしておるのでございます。あとは別表を直し、それから附則を直したのであります。
法人その他は、この次にしますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/45
-
046・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
午後三時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00619530624/46
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。