1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月一日(水曜日)
午後二時二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
西川甚五郎君
小林 政夫君
菊川 孝夫君
森下 政一君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
山本 米治君
土田國太郎君
前田 久吉君
三木與吉郎君
野溝 勝君
堀木 鎌三君
平林 太一君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省主計局法
規課長 白石 正雄君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
中小企業庁振興
部長 石井由太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
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本日の会議に付した事件
○本委員会の運営に関する件
○相互銀行法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○信用保証協会法案(内閣送付)
○中小企業金融公庫法案に関する件
○信用金庫法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○国民金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○日本輸出入銀行法の一部を改正する
法律案(内閣送付)
○産業投資特別会計法案(内閣送付)
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001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) これより第十回の大蔵委員会を開会いたします。
一、相互銀行法の一部を改正する法律案(予備審査)二、信用保証協会法案(予備審査)右二案を一括議題として、政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/1
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002・平林太一
○平林太一君 委員長、ちよつと議事進行ですが、前回のこの委員会において懇談会の形式によりまして、私より政府に対する資料の要求をいたしたのでありまするが、本日改めて正式にこの点を要求いたし、早急にその資料の提出方を求めるものであります。それは日本輸出入銀行、それから第二は日本開発銀行、この両行がいわゆる財政投資融資資金の運営によりまして、それぞれこの貸付をいたしておるのでありますが、この貸付は申すまでもなく両行は他の銀行と異つて預金を大衆から吸収いたしておる銀行でありません。ことごとく国民の血税によつてこれが充当されて運営させられておる銀行であります。従いまして、その貸付先というものに対しましては極めて国民の面前に事理明白にこれが現われておるにあらざれば、むしろ違法であり、又法規無視の行為なりと申して差支えありません。然るに長きに亘りまするこの習慣惰性というものは、この点を単なる銀行当事者の都合によるということのみによりまして、そのことを改革することが今日までできないで参りました。併しこれは国会といたしまして、国民に対しまして容易ならざる怠慢であり疎漏であるということを免れ得ないのであります。でありますから殊にその総額につきましては、財政資金の投融資の総額は我が日本経済のその興廃存亡を賭しておると申しても差支えないものであります。でありますから、これが極めて公正に、極めて妥当にこれが消化されることによりまして、その目的趣旨を達成し、以て国民の福祉幸福の平等、均霊化を期するわけであります。血税によりますその使途に対しまする妥当な処置がここに成立つわけであります。でありまするから如何なる理由であるという過去のことはもはや責めません。今日におきまして即刻これは何らかのこれに対しまして理由を付して、これに対する言訳をいたすということはあり得ません。而も当日は、一昨日は懇談会ではありましたが、大蔵省の政務次官たる愛知揆一君が、何かこの問題に対しまして極めてこの点に言一たび及びますと、興奮したような態度を以ちまして、而して同君はこの委員会に列しておつて、あたかも政務次官の立場を没却しまして、あたかも委員であるかのごとくその職務を錯覚したのではないかというような言動を以ちまして、これに対しまして即答、回答を避けておるのであります。甚だ私は政府委員の分際として、国会に対する言動としては甚だその驕慢を深く戒飭せざるを得ません。併しこれを今後過ぎたることを追うものではありません。十分この点については考慮して、その反省を求めるものであります。政府委員といたしましては、国会の要請に対しましては、何らこれに対しまする自説を、殊に資料の提出に対しましては自説を云云すべき何らの権能を持つておりません。この際特に注意をいたしておく次第であります。
従いまして、この両行に対しまする今日までの貸付先に対しまする貸付額及び貸付先の当事者及び貸付期限及び貸付をいたした理由、こういうものを早急にお出し願いたい。特に開設以来と申上げることは避けるといたしましても、昭和二十七年におきまして、取あえず今日まで消化いたしました……昨年度は大体二十六、七億と私は承知いたしますが、これがどの程度に消化されておるか。消化されたものだけを直ちに早急に明記いたしまして、本委員会に提出をいたすことを求めて止みません。特に私といたしましては、委員の一人といたしましてこれを当然要請いたすものであります。
かようなことは何か複雑であるとよ何とかであるとかいうような理由を許しません。開発銀行は特にそのために、書類作成のために人を要するならば、それぞれ人をそれだけ増員をいたしても、それから所要経費が足りないのであれば適当なる処置を講じて、その費用が銀行の運営だけについて行かなければ、或いは大蔵省に打合せの上で所要経費を求めるならば、本院はこれを議決するにやぶさかでありません。でありますから、早急にこれに対しまして本委員会開会中、今月七月三十日までが会期になつておりますから、七月三十日までに、できるだけ可能な範囲におきまして早急にこれを提出することを要請いたすものであります。
但しこの問題に対しましては、私は一応委員長にも私の私見を申上げたいと思いまするが、委員長はこれに対しまして何か先日理事会を開いて、その結果何か相談をしてこれを決定するというようなお話でありましたが、私は委員長といたしましては、委員の一人が資料提出の要請をいたしたことに対しまして、委員長が何かそれを左右するとか、そうして理事会を開いてやるというようなこれは性質のものではないと思います。資料の提出に対しましては、若し委員に不服がありますれば、その委員の辞任も止むを得ない、併しながらかくのごとき問題に対しましては、決して私は全委員当然この強請に対しましては御同感の意を供せられることと思うように考えておる一人であります。でありますから、本日正式のこの委員会の冒頭におきまして、特にこれは重要なる問題でありますし、そしてこれに対しましては、特にこの資料提出前に大蔵大臣の出席を次回の委員会に私はこれを要求いたすものであります。委員長におきましてはこの処置をお取り下さるようここに要請をいたしておく次第であります。これは大蔵大臣に対しまして、特にその資料提出前におきまして、大蔵大臣に対しましては、私は又別の角度におきましてその所見を質したい、かように存じておるのでありますから、右提出に対しまする私の要求をここに申上げまして、議事進行上これは最も重大な問題として申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/2
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003・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 昨日、本委員会の懇談会におきまして、只今平林委員の要求せられた資料の取扱い方について御相談いたしました。而して理事会でよく打合せる、その席には平林委員にも出て頂いて十分御相談の上政府に要求しよう、こういうことになつておりましたが、たまたま昨日は理事も全員揃いませんでしたし、又平林委員も委員会の終りの頃には席にもおられません。そういうことで十分打合せができませんでした。明日、大蔵委員会の開会前に理事の打合せをいたしまして、本件の扱い方を十分御協議いたしたいと思いますからさよう御承知おきを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/3
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004・平林太一
○平林太一君 了承いたしました。只今のお話の通り極めて緊急を要する問題でありますから、明日にその措置をお取り運び下さらんことを重ねて要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/4
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005・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今の資料の問題につきましては、理事会からのお話はまだございませんが、我々としては昨日懇談会の席上でも申上げました通り、何か平林委員のお話を聞いておりますと、誤解がおありのようでございますが、私どもとしては、できるだけのものを提出するということ以外に全く何も言つておるわけではないのでありまして、只今の理事会からの御要請をまだ受けておりませんけれども、昨日から早速用意をいたしておりますから、その用意をいたしておりまするものが、果して理事会の御要請と合うかどうかはわかりませんけれども、本年の三月末現在で大口のものの貸出の残高に対しまして用意をいたしまして、只今印刷をいたしております。あと一時間もしますれば、それが整いますから早速御配付を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/5
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006・平林太一
○平林太一君 只今大蔵政務次官の愛知君から、昨日の懇談会とは相当に緩和せられました御意見を承わりまして、誠に同感の意を表するものであります。その提出の態度に対しまして私はこれを了承するのであります。只今同君は大口のものだけというお話でありましたが、その大口という、すでに数刻後に見られるそうでありますが、大口とは数字的に如何ようなるものを示されておりますか、一応その点を参考のため伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/6
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007・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 取りあえず印刷の都合もございましたので、五千万円以上を調製いたしました。あとできるに従つて理事会の御要求に応じて準備をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/7
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008・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 今政務次官からのお話にありました資料の配付を受けて、それを見た上でなおそれで御満足にならなければ、明日の理事会で相談して更に要求すると、こういうことにいたしたいと思いますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/8
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009・平林太一
○平林太一君 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/9
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010・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) さように取計らいます。
それでは提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/10
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011・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました相互銀行法の一部を改正する法律案ほか一件につきましてその提案の理由を御説明いたします。
最近中小金融の円滑化は、とみにその重要性を加えつつあり、政府においてもこのために各般の施策を講じているのでありますが、この種金融を担当している相互銀行の任務は、ますます重きを加えているのであります。御承知の通り相互銀行は、一昨年六月相互銀行法の制定により金融機関としての基礎を確立して以来鋭意その使命の達成に努力しているのでありまして、本年四月末現在においては、掛金及び預金の合計額は二千三百七十八億円、給付及び貸出の合計額は二千二百十億円に達するという目ざましい活動をしているのであります。このような中小金融部門における相互銀行の役割の重要性とその業績の進展とに鑑み、その行う金融を一層円滑にし、取引者の利便を図るため、相互銀行法の一部を改正して、相互銀行が新たに内国為替取引の業務を営むことができるようにすることといたしました。但し、個々の相互銀行がこの業務を営もうとする場合におきましては、大蔵大臣の認可を受けなければならないこととし、当該相互銀行の業務等を総合勘案して慎重に個別的に認否を決定することとしているのであります。
以上が本法律案の提案の趣旨及びその概略でございます。
第二に、信用保証協会法案でありますが、これは前国会に提出後衆議院の解散により不成立となつたものでありますが、次にその提案の理由を説明いたします。
最近中小金融の円滑化は、とみにその重要性を加えつつあり、政府においてもそのために各般の施策を講じてきているのでありますが、中小企業者等は、その信用力の不十分であることが一般の金融機関から資金の融通を受け難い主な原因となつていることに鑑み、その信用力を補強することが中小金融対策としては極めて有効な手段であると考えられますので、この見地から政府においては、つとに信用保証協会の設立を認めるとともに、中小企業信用保険制度を設けているのであります。
この信用保証協会は、現在各都道府県にその出資又は寄附を中心として民法による公益法人として設立されており、その数は五十一に上つており、中小企業者等が金融機関から資金を借り入れる場合にその債務を保証する業務を行つているのでありますが、これに関する法制化が行われていないためにその基礎が不安定であり保証業務の円滑化を欠く憾みがなしとしない現状であります。よつてこの際信用保証協会法を制定し、これが法制化により基礎の強化を図り、その業務の一層の発展を図ることとしたのであります。以下、この法律案の主要な点について説明いたしますと、
第一に、信用保証協会は、本法による法人とし、民法の規定による財団法人に準ずるものといたしております。
第二に、協会は、中小企業者等が金融機関から資金の融通を受けること等により金融機関に対して負担する債務の保証を行うことを主たる業務といたしております。
第三に、協会に対しては、民法の公益法人と大体同様な税法上の優遇措置も講ずることといたしております。
第四に、民法法人たる現在の協会は、法施行後三年間に本法による協会に転換することができます。
第五に、本法における主務大臣は大蔵大臣及び通商産業大臣とし、主務大臣は、設立認可その他所要の監督を行うほか、その権限の一部を地方公共団体の長に委任することができることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由並びにその概要であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
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012・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に只今通商産業委員会に付託されておりますが、本委員会の審議事項と密接な関係のあります中小企業金融公庫法案につきまして政府より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/12
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013・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 中小企業の安定と振興を図りますためには、先ず中小企業者自身の奮起と努力を求めなければならん問題でありますが、そのためには中小企業者の持つておりまする経営上の諸欠陥を調査いたしまして、これを是正し、その補うべきところを示す必要がございます。企業合理化促進法はこの点につきまして企業診断制度を設けまして、中小企業庁の規格によつて、府県庁を実施機関といたしまして診断を実施いたしております。主として経営の内部に存在いたしまする欠陥の除去を主といたしたものでありますが、同時に中小企業者にそのところを得せしめますためには、政府の施策といたしましても、その活動が確保し得る条件を造出してやる必要があるのでありまして、或いは協同組合の結成による組織化、或いは協同組合への助成、このような単独では行い得ない事業を共同の仕事として取扱うことによつて強化して参る方策がその一つでございます。又現在当面しておりまする中小企業の苦難の多くが、過当な競争或いは原料高の製品安の経済現象、このような事実にありまするに鑑みまして、中小企業につきましては、独占禁止法の規定に拘わりませず一定の範囲におきまして生産の調節でございますとか、或いは出荷の制限等を行いまするようなことを認めてやる必要もあるわけでございまして、中小企業安定法の制定はこのような趣旨から行われ、現に七十有余の調整組合の設立を見ておるような実情でございます。併しながら中小企業者の活動を一番助けまするためには、その不足しておりまする資本を補充してやりまして、資本力の補充によつて活動を活溌ならしめ、或いは安定せしめる必要があるわけでございます。ここに中小企業の金融を疏通し円滑ならしめる必要が起つて参るわけでありまするが、中小企業信用保険制度乃至は只今御提案のございました中小企業に対しまする信用保証協会の制度、このようなものはいずれも中小企業の金融の円滑化と疏通とを目的としたものでございます。ただ経済界が余りにも不況になりまして、従来のような非常に高利潤による活溌な商売がだんだん困難になつて参りますると、どうしても中小企業者といたしましては、地道な合理化を図つて参らねばならんことに相成るわけでございまして、比較的長期の計画のもとに、その資金を整うべく経営内容の改善をいたさねばならんのでございますが、このような見地から、過去におきましては、或いは復興金融金庫による中小企業向けの融資乃至は見返資金特別会計からの日本銀行を扱い店といたします中小企業向けの融資等が行われて参り、又昨年秋以来は日本開発銀行が中小企業のために見返資金の貸付を受けまして、貸付業務を行なつて参つたのでございます。即ち、これらの融資は通常の商業銀行に期待することのできないような金融、即ち或いは借入期間の点において、或いは事業の内容におきまして通常の金融機関のベースに乗り難い金融部面をとり上げまして、政府関係機関が財政資金を投入して、企業の維持育成を図るという方途が設けられて参つたのでございまするが、たまたま昨年暮に衆参両院におきまして、中小企業に財政資金を投入するための特別の機構を整備するようにとの御決議がございましたので、これらの御趣旨に副うて中小企業金融公庫を設け、相当量まとまりました資金を中小企業の安定と振興のために投入せんとするのが、この中小企業金融公庫設置の経緯でございます。
内容につきましては、御配付申上げました中小企業金融公庫設置要綱につきまして御説明申上げるのが便宜かと考えます。
先ず第一は目的でございますが、中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であつて、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的といたします。長期資金と申しまする意義は、後の業務方法のところでも明らかになりまする通り、おおむね一年以上の貸付期間に亘るものという意義でございます。一般の金融機関が融通することを困難といたしまする事情はいろいろの点にあるか思うのでございます。或いは期間が非常に長いというような見地から、或いは当該企業が若干の将来の経済界の変動に対する対応性に欠けるとかいつたような意味もあるかと思うのでございまするが、いずれにいたしましても一般金融機関の行いまする業務と重複しない補充的金融機関であるという意義においてこれを明らかにしようとするものでございます。
第二に、中小企業者の範囲でございまするが、中小企業者の範囲は従来各種の法律によりましていろいろな取扱いが行われ、又金融上の扱いにおきましても、その軌を一にいたしておらなかつたのでございます。即ち協同組合法によりますれば、従業員の数三百人までの商工業者が中小企業者の概念に該当し、又中小企業信用保険法によりますれば、常時使用する従業員の数が二百人以下資本金五百万円以下というような制限があつたのでございまするが、これらを整理いたしまして、今回は第一に資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社又は個人でありまして、政令で定める業種に属する事業を行う者、但し商業又はサービス業を主たる事業とするものにつきましては、三十人までの使用人を雇用するもの、石炭その他鉱業を主たる事業とする事業者につきましては千人の従業員を擁するものといたしたのでございます。ここに「特定事業」と申しておりまするのは、現在中小企業信用保険法等におきましても定められておりまする製造業或いは鉱業、或いは運送業といつたような、いわゆる通常商売と称せられる事業を指すのでございまして、同じ中小企業者の事業でございましても、商売という色彩の稀薄なものを主たる事業とするという消極的な意味において、これを政令で定めることといたしましたわけでございます。第三は、中小企業者の作つておりまする各種の組合員を対象といたそうとするものでございます。即ち中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、森林組合及び森林組合連合会であつて、只今申上げましたような事業的色彩の濃厚なものを行うもの、又はその構成員の三分の二以上が、いわゆる商売といわれる事業を行つているものというのが第二の範疇でございます。第三は医業を主たる事業とする法人であつて、常時使用する従業員の数が三百人以下のものとございます。お医者さんの事業が、果していわゆる通常の意味における中小企業に属するや否やは種々論議のあるものと存ずるのでありまするが、従前中小企業信用保険法におきましても、医業はいわゆる中小企業融資の対象という意味で取扱つて参つておつた等の事情もございます。更にはやや大きな従業員三百人以下くらい程度の病院その他に対しましての融資がなかなか困難であるという事情もございまするので、これらを取上げまして同公庫の融資対象にいたそうとするものでございます。第四は、中小企業者の組織いたしまする、中小企業安定法によつて組織いたしました調整組合及び調整組合連合会でございます。調整組合及び調整組合連合会は、いずれも組合員たる中小企業者の生産の制限でございますとか、出荷の制限といつたような、いわば統制的な仕事を行うのが主目的でございまして、経済的な事業は行なつておらないのでございまするが、ただ資金の借入、融通だけはその事業として限られているのでございます。即ち、調整組合が調整活動に入りましたような場合におきまして、調整組合の組合員に対して組合が融資をいたすということが法律上行い得るように相成つておりまする関係もございまするので、これを中小企業金融公庫の融資対象として選ぼうという考え方でございます。
第三に、中小企業金融公庫は、法人といたしての取扱いといたす点でございます。
次に、公庫の資本金でございまするが、公庫の資本金は一般会計からの出資金百円と相成つておりまする点を百億円と御訂正願いたいと存じます。百億円と第十の規定により産業投資特別会計から法定出資とされまする金額の合計額といたします。一般会計からの出資百億円と申しまする中には、のちに申上げまする商工組合中央金庫に対しまして、昨年暮に一般会計から貸付けました二十億円を含んでいるわけでございまして、現実に本会計年度の一般会計からの出資は八十億円ということに相成つております。第十の規定による云々の点につきましては後刻その項におきまして御説明申上げます。
次は公庫の役職員でございますが、役員といたしましては総裁一名、理事四名以内、監事二名以内、役員の任命及び任期は一般公庫の例によりまして総裁及び監事は内閣の承認を得まして主務大臣が任命する。理事は主務大臣の認可を受けまして総裁が任命するという取扱いといたす考えでございます。公庫の職員は、一応五十名といたしまして、簡素な機構でスタートいたしたいと考えておりまするが、役員及び職員につきまして定法その他罰則の適用の場合、これを公務員並みの取扱いといたすということは他の諸公庫と同じ考え方に立つているわけでございます。
公庫の業務は中小企業者に対する貸付だけでございます。保証でございまするとか、手形の割引でございますとかいつたような業務は、公庫の業務から除外されております。貸付の業務の内容につきましては、主務大臣の認可を受けまして公庫自身が定むることに相成つているのでございまするけれども、おおむね次のごとく考えているのでございます。
第一は、貸付の条件でございまするが、一といたしましては、設備資金並びに長期の運転資金、設備資金がおおむね長期資金でありまする点から特に長期ということを謳つてございませんが、とにかくそういう考え方に立つております。貸付の金額は一企業者当り累計一千万円までを一応の目途といたしております。但し中小企業協同組合でございまするとか、調整組合その他組合につきましては三千万円までといたす考えでございます。利率は年一割を基準と考えている次第でございます。償還期限は一年以上五年以内を目途といたしまするが、特に必要な場合につきましては五年以上の償還期限を認めることもあり得るように扱う考えでございます。設備資金等も入つておりまする関係上、一定期間の据置を認めることも必要だと考えまして、一年以内の据置期間を承認する考えでございます。貸付に当りましては勿論適当な担保を徴するのを原則といたします。特に長期資金でございますのでその必要があるわけでございまするが、ただ担保を提供することがどうしても容易にできないような場合であり、なお且つ貸付をいたさなければならんような場合には保証人を以て担保に代え得る扱いとする考えでございます。
次に公庫の業務は公庫みずから行いまするに加えまして、大部分の業務を原則としまして金融機関に対して委託して行わせる考えでございます。只今申上げますように、当初の公庫の機構といたしましては、役員七名、職員五十名程度の極めて簡素な機構でございまするので、これは公庫といたしまして必要なことの一つで、それから公庫が新たに業務を開始いたしまして、或いは店舗を設け、或いは人員を整備するといつたために時間を要することを防ぎ得ることがもう一つ必要と、更には現に中小企業者に対する金融機構はやや多岐に亘つております。各種の金融機関がそれぞれの角度、それぞれの性格に応じた金融を行なつておりますので、これらの既存金融機関の機能をでき得る限り公庫の金融業務に活用して参つて簡素な機構で行届いた貸付が行い得るようにというような見地からいたしまして、金融機関に業務を委託する考え方、即ち委託の形態としましては貸付に関する業務を全部委託する方法、即ち借入れ申込の受付から審査、担保の徴求、貸付、これ又金融機関に一任いたします扱い方と、借入れの申込並びに審査をいたしまする一応の不審査に留めまして、最終決定は公庫みずから行う方式と、二様の方式を考えまして、それぞれの便宜に従つて金融機関に選択せしめようと考えているのでございます。なお、一の場合につきましては、中小企業者の信用力その他選択につきましては、全く金融機関の専決に委せるわけでございますので、貸付元利金の一割程度まで当該金融機関に支払いの責任を持つて頂く。それから一部だけ金融機関が貸付の業務を受託いたしまして、最終決定は公庫によつて行なわれます場合につきましては、その貸付の元利金の三割程度を当該取扱い金融機関に責任を以て頂くような扱いとする考えでございまして、勿論これらの金融機関に対しましては、扱いのための受託について手数料を支払いまして、その業務を委託することになるわけでございます。
公庫の会計は、公庫の予算及び決算に関する法律の定めるところによつて取り行われることでございますが、その大要並びに国会の議決を要しまする点につきましては他の公庫と国の一般の会計と略々同様でございます。
次に、公庫は主務大臣の認可を受けまして政府から借入金をすることができるということといたしまして、資金運用部の資金その他国庫の資金、勿論予算総則の定める範囲内に限るわけではございますけれども、借入れができることとしたのでございます。なお、これらの借入に対しましては、利息を減免いたしますとか、或いは通常の条件よりは公庫に有利な条件を付しても差支えないという取扱いの権限を法律によつて御承認願うことをいたしたものでございます。
なお、公庫は政府機関たる性格に鑑みまして、銀行その他一般からは借入れをしてはならないという制限を受けることと相成るわけでございます。
次は開発銀行よりの債権の承継でございます。先ほど資本の額を申上げました時に、産業投資特別会計から出資があつたものとされる金額云々という点に触れましてございますが、公庫は、日本開発銀行から次の債権を承継いたすことと相成ります。第一に開発銀行が見返資金特別会計から承継いたしました中小企業者に対する貸付に係わる債権、第二が開発銀行が復興金融金庫から承け継ぎました中小企業者向けの貸付、最後の第三が、開発銀行が中小企業者に対して行なつた貸付に係る債権、なお、第一に書きました見返資金特別会計から承継しました中小企業者向け貸付債権は、産業投資特別会計から公庫に出資されたこととして取扱います。なお、開発銀行が復金の債権を承継しておりまする分並びに開銀自身の資金を中小企業者に貸しました分は、それぞれ開発銀行から公庫は借りたものとしてこれを取扱うということにいたす考えでございます。但し、その点につきましてはお手許に一枚紙の資料を配付いたしましたから、これによつて御覧願えればやや明瞭かと存ずるのでございますが、従来中小企業向けに行われました政府関係機関の貸付が三通りあるわけであります。一は、見返資金特別会計、日銀扱いとしてございますが、これら中小企業者に貸付けられたもの、それから復興金融金庫から中小企業者に貸付けられたもの、第三が中小企業向け見返資金、開銀自身から貸付けられたものと三通りあるわけでございます。これらの債権は現在開発銀行にそれぞれ引継がれることと相成つておりますが、それを更に中小企業金融公庫に再引継ぎをするというのがこの条文の内容であるのであります。ただ見返資金特別会計から中小企業者に貸付けました額は、見返資金のいろいろな関係が産業投資特別会計に引継がれまする関係上、産業投資特別会計を通じて中小企業金融公庫へこれは出資になるという関係と相成つておるわけでございます。なお、開発銀行が中小企業者に貸付けました債権は引継ぐというのが原則でございますが、本年の四月一日以降行いましたものは、これは融資を引継ぐのでございまして、公庫の資本から引継ぎに応じまして、現金を支払う、即ち買取るという扱いといたす考えでございます。
次は、商工中金に対します一般会計からの貸付けの扱いでございまするが、公庫の出資に振替える、昨年……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/13
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014・小林政夫
○小林政夫君 最後の二十億の政府買取りの分ですね、これをもう一度……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/14
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015・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) それはこの一枚紙のほうに、中小企業向見返資金、これは「向」が抜けておりますが、この貸付は昨年九月十六日以降、開発銀行が見返資金特別会計から相当量の資金を借入れまして、中小企業者に貸付けておつたわけでございます。この貸付けた債権は開発銀行はのけまして、中小企業金融公庫から中小企業者に対する債権にかわる、そのかわつた後におきまして、金融公庫は開発銀行から同額を借りたこととして整理するというのが一般原則でございます。但し、今年四月一日以降、即ち本会計年度に入りましてから開銀が貸しております分は、これは即金で買取るわけでございます。そういう趣旨にいたす、言い換えますれば四月から七月までは開発銀行が暫定的に公庫の代理業務を行なつておつたのでありますが、従つてその資金源は国庫から即金で、現金でもらうのだという扱いといたす考えでございます。昨年十二月に行いました商工中金に対しまする貸付金の二十億円は公庫の出資に振り替えるのでございまするが、出資に振り替えました後、なお相当期間、即ち二年程度の期間は商工中金の資金繰り等の関係もございますので、これを公庫から中金に対する貸付金として取扱うということにいたしたい考えでございます。即ち公庫は一般には中小企業者自身に貨付をいたすのでございますから、この関係だけでは中金に対する貸付金を持つていることとなるわけでございます。最後に、公庫に対しまする監督は、主務大臣といたしましての通産大臣及び大蔵大臣がいたすことと相成るわけでございます。以上公庫の設置の要点につきまして御説明申上げたのでございまするが、公庫の会計につきましては、政府関係機関予算によりまして、その予算総則で二十億円の借入れが認められております。従つて公庫の運用資金は、一般会計からの八十億円のほかに借入金二十億円を加えまして、中金への貸付を除きましても一応百億円ということに相成るわけでございます。公庫の収支は政府関係機関予算の百七十五頁以下でございますが、収入見込五億九千四百万円、支出見込三億六千一百万円でございまして、差引二億三千余億円が一般会計の剰余として残るということでございます。なお、公庫への一般会計からの出資は一般会計予算、大蔵省管財局の分、三百五十頁でございますが八十億円を予定してございます。
なお参考資料といたしまして、従来各種の金融機関が設備資金等を中小企業者にどのくらい出しているか、或いは開発銀行、復興金融金庫、見返資金等から中小企業者にどの程度流れて行つているか等の資料を御審議の御参考のために配付してございますので、御参考になさつて頂きたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/15
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016・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に信用金庫法の一部を改正する法律案、二、相互銀行法の一部を改正する法律案、三、信用保証協会法案、四、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、五、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、六、産業投資特別会計法案、いずれも予備審査、右六案一括議題として、順次内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/16
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017・河野通一
○政府委員(河野通一君) ちよつと速記をとめて頂いて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/17
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018・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/18
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019・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/19
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020・河野通一
○政府委員(河野通一君) 只今議題となつておりまする法案につきまして逐次御説明申上げます。
第一は、相互銀行法の一部改正法案でありますが、これは条文といたしましては至極簡単な条文でありまして、先ほど提案理由の説明がありましたところで尽きておるのであります。相互銀行の業務の運営をできるだけ円滑にいたして参りますために、相互銀行に従来認められておらなかつた内国為替の取引の業務を認めて参りたい、こういう趣旨であります。それがために所要の条文の改正をいたしたいということでありまして、極く条文自体としては簡単でございますので、特に御説明を加える必要はないかと思いますので省略さして頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
次に、信用保証協会法案でございますが、この法案も先ほど提案理由の説明がありました中で大体の仕組は申上げておるのでありますが、概要を御説明申上げます。
第一に、この信用保証協会法案の目的でありますが、金融機関の中小企業者等に対する貸付等について、その債務を保証する信用保証協会の制度を確立し、以て中小企業者等に対する金融の円滑を図ることを目的といたしておる次第であります。現在御案内のように、全国に信用保証協会の制度が約五十余りあるわけでございますが、これは民法の公益法人の規定に基いてできておりますものでありまして、一部は社団法人、大部分は財団法人の規定に従つてできておるのであります。然るに信用保証協会の仕事の性質から申しまして、一般の公益法人を対象といたしておりまする民法の規定だけにこれを委ねることは適当でないというふうに考えられますので、この際今申上げましたような目的を以てこの信用保証協会の制度を特別法を以て制度化いたしたい、こういうことであります、それによりまして信用保証協会の基礎を強固にし、併せて適切なる監督指導も行い、その本来の業務でありますところの中小企業者に対する信用保証の制度を円滑に且つ簡便に行いうるようにいたしたい、こういうのがこの法律の目的であります。
第二に、名称及び組織でありますが、名称は信用保証協会という名称を使うことにいたしております。又この組織はこの法律に基く特別の法人ということでありますが、内容は民法第三十四条に規定いたしておりまする財団法人の仕組に準ずることにいたしております。条文は非常に長い条文になつておりまするが、組織法、つまり今申上げました財団法人に準ずるような組織規定が非常に多いわけでありまして、定款の作成でありまするとか、業務方法書でありますとか、或いは設立に当つての登記とか、そういつたふうの規定が非常に多いために条文が長くなつておりまするが、今までいろいろありまするそういつた種類の財団法人的なものに準ずる取扱いになつておりまするので、一々これについて御説明申上げることを省略いたしたいと思います。
第三に業務でありますが、業務の範囲は大体現在信用保証協会が行つておりますところに従うつもりであります。即ち中小企業者等が金融機関から資金の貸付、手形の割引又は給付を受けること等による、この給付というのは相互掛金契約等、つまり昔で申しております無尽契約等に基きます給付を受ける場合であります。給付を受けることにより金融機関に対して負担する債務、この債務を保証することがこの信用保証協会の業務の内容であります。なお、これに伴いまして中小企業者等の債務を金融機関等が保証いたします場合、この場合は例えば中小企業金融公庫、これらの公庫の代理貸付を金融機関が行ないました場合に、中小企業者等の当該借入れによつて生じまする債務を保証いたす場合が起つて参ります。これは先ほど他の政府委員から中小企業金融公庫について御説明申上げたところにあつたわけでございますが、そういつた場合にその保証につきまして更に信用保証協会が保証をいたす、こういうふうなことをできるようにいたして参りたいと存じます。
第四に、役員でありますが、役員は理事及び監事という名称のものを置き、その選任方法は定款にこれを定める。定款において如何ようにも定められると思いますが、現在までの大体の慣例を見ますると、府県知事が任命をいたす、選任をするという制度が一番多いようであります。恐らくこれらの今までの先例が踏襲される場合が相当多くはないかというふうに想像いたしております。
第五に監督でありますが、主務大臣は大蔵大臣及び通商産業大臣といたします。設立は主務大臣の認可を受けることが必要であります。この場合におきましては資産の総額の最低限度を政令で定めることにいたしております。資産の総額と申しますると具体的に申上げますれば、その資産を構成する資金でありますから、結局出資の総額、出資及び出資以外の形で資産を構成するものがありますればそれも入りますが、大体において出資がこの資産を構成するものの主要分であることを御承知置き願いたいと思います。それからその他監督に関する規定を整理いたしておりまするが、この監督規定は普通の金融機関におきまするような監督の規定に準じておりますけれども、この信用保証協会という制度の性質から見まして、預金を受入れたりいたしておりまする金融機関に対する預金者保護の観点からする監督のような厳重な規定は必要ないということで、その特色に従つたような監督規定を設けております。それから主務大臣の監督に関する権限の一部を地方公共団体の長に委任いたすことができるものといたしております。実際問題といたしましては設立でありますとか、そういつた基本的な事項以外のものにつきましては、日常の業務に関する監督はできるだけ地方公共団体の長に委任をするというような形で実際の運営を円滑にいたして参りたい、かように考えているのであります。その次に税法上の取扱いでありますが、これは民法の公益法人等と大体同じような免税等の措置を講じてございます。それから経過的な規定といたしまして、現在ありまする信用保証協会がこの新らしい法律に基く信用保証協会に転換いたしまする場合における簡易なる転換規定を経過的に設けてあるわけであります。以上が信用保証協会法案の概要であります。
次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案であります。これも条文としてはいろいろ複雑でありますが事柄はそういう複雑な問題は実はないのであります。第一は国民金融公庫の事務所、具体的には支所でありますが、支所の設置につきましては現在非常に厳重な制限規定が付いているわけであります。特別の府県を除きますと大体各府県に一カ所という制約が付いているわけであります。この現行法に基きまする支所の設置は大体完了いたしました。然るに国民金融公庫の活動がだんだん拡充されるに応じまして、各方面から更に支所の設置を進めてもらいたいという要望が非常に強く出て参つております。従いまして今後の経済状況等を見まして、必要なところには今制限されておるような規定を削除いたしまして、支所を更に設置することができるようにいたしたい、こういうことで、その制限規定を削除いたしたのであります。
第二は、公庫の業務の一部を代理する金融機関の役職員の責任を明らかにいたしますために、刑法その他の罰則の適用については公務に従事する職員とみなすことにいたしたのであります。これは実は同種の公庫、例えば農林漁業金融公庫、又政府関係金融機関でありまする開発銀行、輸出入銀行等にも同様の規定があるわけであります。なお先ほど御説明申上げました中小企業金融公庫法案においても、そういつた同種の規定を入れておるのでありますが、国民金融公庫につきましては、この規定が実は入つておらなかつたわけであります。当初は割合代理業務というものをそう多く拡大して参るつもりも実はなかつたのではないかと考えられるのでありますが、その後代理業務を逐次拡充いたして参りましたのに応じまして、今申上げました類似の政府金融機関と同じような取扱いをいたすことが必要であるということから、こういう規定を入れることにいたしたのであります。
次は、公庫の資本金でありますが、現在百三十億円となつておりますものを、目下御審議頂いておりまする二十八年度予算に計上いたしてありますように四十五億円の出資を増額いたしまして、資本金を百七十五億円といたすために条文の改正をいたしたいと存ずるのであります。
それから、次は公庫の役職員の退職手当についての規定でありますが、現在は公庫の役職員の退職手当は国家公務員に対する退職手当の法律をそのまま適用されておるわけであります。然るに公庫の役職員が先般の法律の改正によりまして、国家公務員からの適用を除外することに相成りましたのに応じまして、その退職手当につきましても国家公務員に対する退職手当は別個の取扱いをいたして来た。そのためにこの国家公務員に対する退職手当の法律を適用しないことにいたしたいと存ずるのであります。併しながらこの公庫が純然たる政府の金融機関であるという観点から、その退職手当に関する基準等につきまして、全く自由にいたすことも如何かと考えられまするので、退職手当の支給の基準につきましても大蔵大臣の承認を要することといたしたのであります。
次は、今申上げました問題に関連いたしまして、公庫に適用されておりました国家公務員共済組合法の適用、即ち現在公庫につきましては、国家公務員共済組合法の適用を受けておるわけでありますが、先ほど来申上げましたように、公庫の役職員が公務員でなくなり、退職手当に関する取扱いが国家公務員と違つた取扱いを受けるというようなことに伴いまして、これらの福祉施設であるところの国家公務員共済組合法の適用を除外いたしまして、一般の共済厚生施設にこれを乗り替えて行くことにいたしたいと考えております。以上の改正に伴いまして、公庫に設けられております共済組合の解散及びその清算並びに残余財産の処理等につきまして、所要の経過規定を設けた次第であります。
以上が国民金融公庫法の一部を改正する法律案の内容の説明であります。
それから次は日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の内需の説明を申し上げます。
輸出入銀行法につきましては、設立以来数次に亘りましてその業務の改善を図りますために、法律の改正をして頂いて参つたのでありますが、最近における我が国の輸出貿易の実情、特にプラント輸出に関する促進を図つて参りますことが、極めて重要なる課題となつて参りましたのに鑑みまして、輸出入銀行法を改正して、その使命の達成に更に十分なる活動ができるように法律を改正いたしたいと存ずるのであります。改正の主なる点は次に申上げるようなところであります。
第一は、海外投資に関する金融であります。即ち次に掲げますような場合におきましては、日本輸出入銀行が投資に必要な資金の供給を行うことができるようにいたしたい。次に述べる場合と申しますのは、第一は当該事業への投資が、我が国の輸出の振興のために必要である場合、第三の場合は、当該事業への投資が、我が国の輸入市場の国際収支上より有利な輸入先への転換のために必要である場合、この場合におきましては海外投資のために必要な資金の供給を輸出入銀行に行わしたいと思うのであります。具体的な例を申上げますと、今の第一の場合、つまり輸出振興のために必要である場合と申しますのは、例えば紡織機などを、日本側の投資によつて或いは現物投資になりますか、現金投資となりますか、とにかく投資によつて向うへ紡織工場を作る、そういたしました場合に、その紡織工場ができることによつて、日本からその紡織機その他の輸出が伸びるといつたような場合おにきましては、その紡織工場に対する投資をいたしますための資金の融通を輸出入銀行に認めて参りたいというのが、第一の場合であります。それから第二の場合は東南アジアなら東南アジアの或る地域に鉱山の開発の工場を設立する、工場と申しますか施設を設立する、それに対して現物投資をいたす、それによつて、その鉱山から、日本が必要といたします有利な鉄鉱石なり石炭なりが入つて来るといつたような場合におきましては、その当該鉱山に対する投資のための資金の供給を行なつて参りたい。こういうことであります。
投資の主体は、今申上げましたような投資に対する金融をいたします場合のその投資の主体は、本邦の輸出入業者、本邦の製造業者その他の本邦法人又は本邦人とする。こういうことにいたして参るわけであります。
融資の期限は原則といたしまして十年、後に申上げますように、一般のプラント輸出等の場合における融資の期限は、今度この法案によつてお許しを願うことにいたしたいと思うのでありますが、一般の場合におきましては五年以内ということにいたしておりますが、投資という性質から言いまして、どうしても資金の返還の期限というものは長くなるのであります。これを一般の原則を更に延長いたしまして原則は十年以内、特別の事情がある場合においては十五年まで延長できるようにいたしたいと思うのであります。
それから第二に改正の大きな点は、海外における生産事業資金に対する金融であります。これは先ほど海外投資に対する金融のときに申上げましたようないろいろな条件を満すような場合におきまして、本邦の製造業者その他の本邦法人等が、みずから海外において生産事業を行い、そのために施設を先方に作る、例えば日本の生産業者が製鉄の工場を先方に造る、そういつた場合におきまするその設備の新設拡充等のために必要な資金が要ります場合には、海外投資の場合に準じてその施設等をいたすために必要なる資金の供給を、この銀行に行わせて参りたいと考えるのであります。これらの場合における融資の期限その他につきましては、海外投資について申上げたことと大体同じような取扱いをいたして参りたいと考えております。
それから次に大きな改正点の第三点は、輸出金融業務の範囲を拡大いたしたいという点であります。現在は御承知のように現行法におきましてはプラント、いわゆるプラント輸出と申しておりますが、設備輸出のための金融ということが輸出入銀行の業務になつておるわけであります。最近の状況を見ますると、必ずしも設備に限りませんでも、相当長い期間の、長期の支払い条件を付けたような設備以外の輸出というものが起つて参ります。特にプラントに附随するような原材料、そういつたようなものが非常に長い支払い条件が付けられておるものかあるのであります。我が国の輸出を伸ばすという点から、而もそれらの長期の金融ということになりますと、なかなか市中の一般の金融ではこれは賄い切れんということが往々にして事例が起つて参つておりますので、設備以外の商品でありましても、その輸出が我が国の輸出市場の開拓若しくはその輸入市場の転換に特に必要だと認められます場合におきましては、これを日本輸出入銀行の融資対象として行くことにしたいと考えるのであります。例を申上げますと、アルゼンチンで現在引合が進んでおるのでありますが、送油管、油を送りますパイプの原材料としての鉄の取を向うへ出すという問題が今あります。この鉄の板が果して設備であるかどうか、これは向うへ持つて行つてそれをパイプにいたすわけでありますが、これが設備であるかどうか、実は非常に疑問があります。私どもはこれらのものは仮に設備でないといたしましても、輸出入銀行としてこれを取扱わせることが必要であろうと考えますので、これを輸出入銀行の融資の対象に入れたい、こういうのであります。同じような例はパキスタンとの関係におきまして、農機具等について同じような問題があります。必ずしも設備と言えるかどうか、疑問な点がありますが、支払条件が相当長く、而も日本の輸出振興には非常に役立つといつたようなものがあります。なお、問題といたしましては、例えば今同じパキスタンの関係でこちらから肥料を出す、而もその肥料の代金を米によつて五年なら五年という期間の米の輸入によつてこれを決済するという通商上の話合が実は今進んでおるのでありますが、そういつた場合における肥料までも輸出入銀行が取扱うことがいいか悪いかという問題につきましては、まだ結論は出ておりませんが、支払条件が長くなることは事実でありますし、それらの場合におきましても極く特殊の場合におきましてはやはり認めて行くような方向に考えて参らなければならんのじやないかというようなことも考えております。まだこの点は実は結論は出しておりませんが、そういつたことがどうしても輸出入銀行でなければ金融が付かないという場合におきましては、これらの問題も取扱えるようにして参りたいというふうに考えております。
日本輸出入銀行が新たに設備等の輸出に関する入札保証金の融資をも行うようにいたしたいというのが、この輸出金融業務の範囲の拡張、第二の点であります。これは現行法におきますと、契約の締結が極めて確実な場合に限つて輸出入銀行は融資ができることになつておるのでありますが、最近のように非常に多額の金額に上るような引合については、入札保証金も相当な金額に実は上るのであります。そういつた場合に契約成立の確実性はまだないのでありますけれども、入札に加入いたしますための保証金につきましても、相当多額の金を必要といたします場合には、これを輸出入銀行において融資の対象として取上げることを認めて参りたい、これが輸出金融業務の範囲の拡張の第二の点であります。
それから第三の点は、設備等の輸出に対する融資は、その輸出契約の締結前でありましても、売捌きの見込みが確実である場合、その場合におきましては、これも日本輸出入銀行の融資の対象とすることができるようにいたしたい。これは具体的に申上げますと、例えば委託販売のような場合であります。委託販売でありますると、これはそれが売れるということははつきりまだきまつていない。併しその商品を向うへ持つて行つて大体において売れるであろうというような見通しがつきましたものにつきましては、日本輸出入銀行が、契約が確実に締結されていない場合におきましてもこれを融資をす言ことができるようにいたしたいと考えておるのであります。
改正点の第四の点は、輸入金融業務の拡張であります。現行法におきますと、輸出入銀行の輸入金融業務は二つの条件が付いております。一つは輸入の前払金の支払が必要であります場合において、その輸入の前払金をするということが一つと、それからその前払金の使途が現地における事業の拡充に充てられる場合に限つておるのでありますが、この現地における事業の拡充にその資金が充てられるという制限を付けることは、最近の状況から見ますると必ずしも必要でないように考えられます。むしろ無用の制約になつておるのでありますので、前払金をしなければ輸入が著しく困難となる場合におきましては、その資金が現地の事業の拡充に充てられようと、どういうふうの資金に充てられようと、輸出入銀行としては輸入金融業務の対象として取上げることができるようにいたしたい、これが第四点であります。
そのほか若干細かい点で改正がありますが、その第一点は、一般の輸出入金融の場合におきまする輸出入銀行の融資の期限を延長いたしたいということであります。現行法は、先ほどもちよつと申上げましたように、原則三年以内、特別の場合においては五年まで拡張することができるようになつておりますが、それを一般の場合におきましては五年まで、特別の場合におきましては十年までこれを延長し得るようにいたしたいと思うのであります。御案内のように最近輸出競争が非常に激しくなつて参つております。欧米各国がこの場合に非常に有利な条件を提供いたしまして、従いましてその支払条件等はだんだん長くなつて来るような事態でありまして、現在まで私どもの承知いたしておりますところでも七年ぐらいの支払期限というようなものの引合が相当あるようであります。従いまして現在の最長五年という制約は、輸出入銀行の業務の円滑な運営上非常に支障がありますので、これを今申上げましたように延長いたしたいというのであります。
それから次に輸出入銀行は、現行法によりますと、市中銀行との協調融資ということが条件になつておるのでありますが、特別の場合におきましては、市中銀行との協調融資でない単独の融資もできるような途を開きたいというのがその次の点であります。
それから更に、日本輸出入銀行法では、設立後五年を経過したのちにおきましては、新たな貸付はできないという制限があるのでありますが、この点につきましても、そういう制限をこの際置いておく必要はございませんので、これを除ききたい、かように考えておる次第であります。
それから次は、輸出入銀行が本来の業務を行なつて参りますために必要な範囲においては、外国為替銀行としての業務を行い得るようにいたして参りたい。これはこの外国為替業務を行い得るようにいたしますことによつて、市中の外国為替銀行と同じように相当広い外因為替業務を行うことを考えておるのじやないのでありまして、輸出入銀行が本来の業務を行なつて参りますために必要の場合において、そういつた外国為替業務を行えることが必要であるからであります。たとえて申上げますと、輸出入銀行は保証ができるようになつておりますが、いろいろな輸出入関係の融資に伴いまする保証をする。殊にこれは大体外貨で保証する場合が多いのでありますが、そういつた保証状を発行する、一種の広い保証信用状でありますが、保証信用状を交付することを認めて参る。そういつた輸出入銀行が本来の業務をやつて参りますために支障のない範囲で外国為替業務を行い得るようにいたしたいと思います。
以上いろいろな広汎なる事項に亘つての改正法案でありますが、先般解散前の国会に御提案申上げました輸出入銀行法の改正法案と骨子は大体同じでありますが、それと違つた点だけを繰返して申上げますと、第一は、設備以外の長期の輸出金融についてもこれを認めて参りたいということにいたしたい。これが前国会に提案いたしましたのに附加えております第一の点であります。
それから第二の点は、一般の融資期限を、前国会に提案申上げましたときは原則五年、特別の場合七年ということにいたしたのでありますが、その後の事情を見ますると、やはり七年というのは少し窮屈に過ぎるのでありますので、これを十年に改めた次第であります。以上の二点のほかは前国会に御提案申上げましたところと同様な趣意によつてできている次第でございます。
以上で御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/20
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021・白石正雄
○政府委員(白石正雄君) 産業投資特別会計法案につきまして、内容の御説明を申上げます。
本会計の設置の趣旨その他につきましては、すでに提案理由におきまして申述べました通りでありまして、ここにおきましては本法案の各条につきまして、簡単に本会計の構造の内容を申上げたいと思います。
先ず第一条でありまするが、ここにおきましては、本会計設置の目的を規定しておるわけであります。経済の再建、産業の開発及び貿易の振興等、国の財政資金を以て投資することを適当とするもののために、特に国の資金を投資する目的で産業投資特別会計を設置するということにしておるわけでありまして、第二項におきまして、本会計の資金の源泉となるものは、別途提出をしておりまするところの特別減税国債の発行による収入金と、従事米国対日援助見返資金特別会計において運用して参りましたところの資産を承継いたしまして、この二つの源泉から生じまする資金を基本といたしまして、本会計の運用に充てるということを規定しておるわけであります。
次に第三条におきまして、本会計におきましては、資本の観念を設けておるわけであります。それは従来米国対日援助見返資金特別会計におきましては、対日援助物資等の売上代金がその見返資金に繰入れられまして、そうしてその繰入れられました額をそのまま支出といたしまして、特別な投資を行なつていたわけでございますが、ここに産業投資特別会計を設けるに当りましては、やはり資本という観念を設けまして、この会計の運用を適切にやるということが必要であると考えられまして、第三条に資本の観念を設けたわけであります。資本といたしましては、米国対日援助見返資金特別会計の廃止の際における同会計の資産の額から負債の額を控除した額を先ず資本に考えることにいたしておるわけであります。それは只今配付いたしました資料のほうに掲げておるわけでございますが、その第二表を見て頂きますと、対日援助に見合う繰入額といたしましては、三千六十五億円程度に達しておるわけであります。そのうち支出せられましたうち「使用」として見返資金の資産から控除せられましたものが千四十九億円ほどに達しておりまして、その内訳といたしましては、その表の下欄に掲げてありますように、公企業、債務償還、その他に使用せられたわけでありますが、それを控除いたしますと、差引資金といたしましては二千十五億七千二百万円と、かように相成つておるわけでございます。これがその後の運用によりまして、運用利益が二百六十五億円ほど、これは七月の末の見込でありますが、生ずることになりますので、投資特別会計設置の際に見返資金特別会計から引継ぐことになりますところの資産は二千二百八十一億円ということに相成る見込であります。更に財政投資といたしましては、一般会計から日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対して御承知のように出資をいたしておりますので、その出資金も本会計に投資することが適当であろうと考えられますから、これも資本に投入するというように考えておるわけであります。この金は日本開発銀行に対しまして千五十二億二千万円、日本輸出入銀行に対しまして百三十五億円、合計千百八十七億二千万円と相成つております。従いまして、産業投資特別会計が設置せられますときの資本金は三千四百六十八億七千八百万円ということに相成る予定であります。
次に第四条でありますが、第四条におきましては、この会計において取扱います歳入歳出を規定しておるわけでありまして、歳入の主たるものは特別減税国債の発行による収入金でありまして、そのほか出資に対する配当金とか、回収金とか、或いは貸付金の償還金とか利子、それから日本輸出入銀行及び日本開発銀行の利益金が国庫に納付せられますが、この国庫納付金も本会計の収入に取るというふうに予定しておるわけでありまして、更に歳出といたしましては、出資の払込金、貸付金、その他の諸費を以て歳出とするというように予定しておるわけであります。
第五条以下におきましては、特別会計に伴う例文的な規定を設けたわけでありまして、歳入歳出予定計算書の作製とか、歳入歳出予算の科目の区分とか、予算の作成及び提出の処理というようなものを規定しておるわけであります。
第八条におきまして、損益の処理について規定をいたしておりまするが、本会計を設けまして財政投資を統一するというような見地から考えまする場合におきましては、その利益は本会計に積立てまして、次の投資の財源に充てるということが最も適当であろうかと考えられますので、積立金として整理をするという規定を設けておるわけであります。
更に十条以降におきましては、やはり手続的な規定を設けておりまして、第十二条におきましては、余裕金の預託は、これは資金運用部に限る旨を既定しておるわけでありまするが、これは従来特別会計におきましては、余裕金の運用はすべて盗日金運用部の預託いうことに限られておりまするので、その例に倣つたわけであります。
なおそのほかの規定も大体特別会計の例文的な規定でありまして、特に網説明することはなかろうかと存じます。
なお附則は相当長い条文に相成つておるわけでありまするが、これは先ず第一に産業投資特別会計が設置せられまする際におきましては、米国対日援助見返資金特別会計の資産の引受けということを予定しておりますから、同時に米国対日援助見返資金特別会計を廃止するということを予定しておりまして、そうしてその廃止に関しまするところの経過的な規定を設けておるわけでございます。で廃止の際におきまする米国対日援助見返資金特別会計におきまする資産及び負債は産業投資特別会計におきまして引継ぐと同時に、従来対日援助見返資金特別会計の支出予算に予定せられておりましたもので、廃止の際までに支出未済であつたもの、これは産業投資特別会計におきまして繰越しして使用することができるというような規定を設けておるわけであります。なお余裕金の運用その他につきまして、一時的に短期証券に運用することができるというような、やはり経過的な規定を設けております。その他につきましては、大蔵省設置法の改正、並びに対日援助見返資金特別会計が産業投資特別会計に替わることに関しまして、関連法規の整理を行なつておるわけでありまして、特別に御説明することはなかろうかと存じます。
以上簡単でございまするが、一応内容の御説明を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/21
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022・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 以上六案及びその前に説明をいたしました中小企業金融公庫法案、この七案につきまして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/22
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023・土田國太郎
○土田國太郎君 相互銀行についてお伺いいたしまするが、今相互銀行の数も大分多いようでございますが、幾つぐらいありまするか。大体経営状態は円満に経営ができておるものが多いかどうかということと、日銀との取引をいたしておりまする相互銀行はどのくらいありまするか、それをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/23
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024・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今相互銀行の数は七十ございます。近く一行免許をいたすつもりでありますから、それができますると七十一になります。相互銀行の業務は相互銀行法ができまして、従来の無尽会社から相互銀行に変りましたので、業務の内容も逐次整備して参つております。併し何分にもまだいろいろな関係で業務の内容の他につきまして改善を要する点は多々あると思います。これらにつきましては検査を励行いたしまして、逐次改めるべきところは改めるようにいたして参つておりますので、だんだん充実した内容のものになつて行くと思います。
なお又、現在日本銀行と取引をいたしておりますものは三行でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/24
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025・土田國太郎
○土田國太郎君 名前は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/25
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026・河野通一
○政府委員(河野通一君) 名前は日本相互銀行、西日本相互銀行、北洋相互銀行でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/26
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027・土田國太郎
○土田國太郎君 そして為替を相互銀行が今度実施しようというのでありまするが、これは一般銀行とこの為替の取引を円滑にやるのか、相互銀行同士だけでやられるのか、考えになつておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/27
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028・河野通一
○政府委員(河野通一君) 一般銀行との間の取引もできるならばやつて差支えないと思います。又相互銀行同士の為替取引もどちらも私は差支えないと思います。ただ問題は為替業務を許します場合の条件と申しますか、そういうものによつておのずから制限されると思いますが、普通銀行を取引対象といたします場合も、他の相互銀行を取引の対象とする場合も別に制限を設ける必要はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/28
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029・土田國太郎
○土田國太郎君 為替取引をやるという銀行は相当の信用がなければ他の銀行もこれに応じないことは勿論でありますが、この相互銀行がそれだけの必要が実際にあるかどうか、どうも我々はまあ一つの無尽会社のように見ておりますのですが、事実上それは一、二の日銀との取引をしておるようなものは別でありますが、大体において余り必要ないのじやないかと思います。実際は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/29
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030・河野通一
○政府委員(河野通一君) 相互銀行もだんだん業務が整備して参りまして、預金取引も活廃にやつております。それからそのうちにも相当当座取引も盛んに行われておりまするし、手形割引等も相当全般的に行なつております。そういつた関係から顧客との間に為替業務を行いますことによつて便宜が相当増すというふうに考えております。ただ問題は相互銀行というものの地域性から見まして、普通銀行と違いまして、そう全国的な広い取引ということはないのでありまするから、大部分の相互銀行は恐らく店内と申しまするか、自己の本支店との間の為替取引を行えばそれで必要の大部分は私は充たすかと思います。従つて他行との取引は全般的にやる必要はないし、又これを認めるということになりますと、為替というものは御承知のように非常に高度の信用と高度の技術を要するものでありますから、おのずからそれについては相当な制約を加えて行かなければならん、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/30
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031・小林政夫
○小林政夫君 一般の質問に入ります。昨日輸出入銀行法について例の政府借入について、何か私がちよつといなかつたのだけれども、予算総則で借入限度をきめなければならんということを前にあなたが発言なさつて、それは間違でしたと、入れなくてもよろしいことだというような答弁があつたそうですが、もう一度はつきりしたことを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/31
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032・河野通一
○政府委員(河野通一君) 丁度あなたが御不在のところで御答弁申上げまして、甚だ申訳なかつたのですが、政府機関の中には、借入金をいたしまして、予算総則に書くものと書かないものとあるわけでございます。国民金融公庫でありますとか、或いはすべての公庫は予算決算に関する法律に基きまして、予算総則に借入金の限度をちやんと書くのであります。ところが開発銀行及び輸出入銀行につきましては、その借入金の限度が実は法律的にきまつておるわけでございます。つまり自己資本より超えてはいかんということに相成つておるわけでございますから、その範囲しか借入ができないということになつておる関係もありますので、その借入について一々予算総則に書く必要はないということで実は書いておらないのでございます。私はちよつと国民金融公庫などとごつちやにいたしまして答弁を誤つておりましたので、訂正をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/32
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033・岡崎真一
○岡崎真一君 輸出入銀行のことについてちよつと伺いたいのですが、いま一部改正の御説明を承わりましたのですが、当然輸出入銀行が設立せられたときに、いまのような改正は設立そのものの趣旨から言うと、そこまでお考えになられなければならなかつたと思います。これができましてから僅かの期間しか経たないのに、こういうような改正があるということについて、その銀行を作られたときの設立見通しというものについて甚だ不審に思う。なぜ当初に改正をあえてしなければならないことまで、当然業務を拡張すべき銀行の法案についてしておらなかつたかということについて、当時の事情をお差支えない範囲で承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/33
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034・河野通一
○政府委員(河野通一君) お尋ねの点でありますが、これは二つ実は理由と申しますか、事情があると思います。一つは、やはりこういう輸出入銀行という政府の新らしい政府金融機関の業務の内容は、やはり客観情勢と申しますか、貿易の、特にプラント等の輸出の市況の状態、或いは相手方の経済状況、そういつたふうな問題に非常に左右されることが多い。従いまして、設立の当初におきましては、例えば海外投資金融を行うということは実は予想していなかつたものと思う。その後の状況を見ますと、やはり東南アジアに対する開発に協力をいたして参りますといつたようなことから、やはりどうしても投資という形で向うに長い資金を持つて行くということが必要になつて参るという事情が実は起つて参る。これはその当時から見通しが付かないのはおかしいという御議論になると思いますが、その当時は実はそこまで業務を拡張する必要はなかつたのじやないかというようなことではなかつたかと思います。
それからもう一つは、プラント以外の、プラントに準ずるような製品の輸出金融等につきましても、その当時におきましては、そういつたものにつきましては、一般の市中の貿易金融で行けるであろう、そんな支払条件が長くなるであろうということは実は考えていなかつた。ところがその後国際情勢がだんだん変つ参りまして、競争が非常に激しくなり、そうしてそういうプラントでないものまでも支払条件が長い期間だんだん競争して付いて来るということになる。そうしますと、一般の金融機関はなかなかむずかしいということで、これらのものについてまで拡張しなければならんということになつて参りまして、当時私どもが設立に当つて考えておりましたところと相当変つて参つたということが一点であると思います。
それから第二点は、これは理屈でも何でもないので、その当時の事情でありますが、これは御承知のようにドツジ氏が日本に参られまして、何回目かに参つた時に実はこれは誕生を見た占領中の所産であります。その当時はドツジ氏はそう強く輸出入銀行というものに賛成はしてなかつたのであります。併し日本が輸出をどうしても興さなければならん、それにはどうしても政府金融機関が要るということで漸く作り上げられたのであります。その場合にも非常に強い制約を条件に付けられたのであります。従つて当時といたしましては、限られた業務の範囲内において、而もこの法律の条文を御覧になりましても非常に複雑な紬かい規定が入つておるわけでございます。そういうような規定が入りました理由は、理屈でなしに、実際問題としてドツジ氏の示唆に基いてそうなつたのでありますが、この二つの理由から来ておると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/34
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035・岡崎真一
○岡崎真一君 先ほどの御説明の中に、パキスタンヘの肥料の問題、或いはアルゼンチンヘの薄板の輸出というような問題について、輸出入銀行で貸出しをするということについてまで拡張し得るという、一つの例としてお話があつたのですが、これは性格から行くと少し問題があると思いますが、今の際においては止むを得ないかも知れませんが、こういうものに貸出しをするということについて、銀行自体の考えに基くものか、勿論これは主務省たる通産省なり大蔵省と相談の上ではあろうと思いますが、併し、これの決定、貸出しをするというように至つた主原因が最初どこにあつたかということを実は伺いたい。というのは、実は輸出入銀行の監督官庁が大蔵省であるというところから、この貸出しその他について始終連絡があるとは考えまするけれども、その監督の一つの片鱗として、こういう問題についてどういうような考え方をいつもお持ちになるかという意味でお尋ね申上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/35
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036・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今のお話の点の、業務の範囲の拡大につきましては、貿易業界、メーカー、通産省は勿論、大蔵省、輸出入銀行、皆強い要望もあり、又そうしなければならんという必要性を皆が感じておるわけであります。誰が言い出したという問題は、これはいろいろ御承知かと思いますが、輸出入銀行の中に輸出入金融懇談会というのが月一回開かれておりますが、これは私も出ますし、通産省の関係のかたも、外務省の関係のかたも出られる。それに市中銀行、日本銀行、メーカー及び貿易業者、これらの各界の代表的なかたがたが集まられて月に一回会合いたしております。これらの会合を通じて、これらのかたが誰が言い出したということでなしに、すべての人々が必要性を認め、且つ強く要望されておる。こういう次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/36
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037・岡崎真一
○岡崎真一君 それでは各界が要望しておられるから、監督官庁の大蔵省としても、それは輸出入銀行に貸出しをすることがいいだろうというようなサゼツシヨンが実はあつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/37
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038・河野通一
○政府委員(河野通一君) サゼツシヨンといいますか、この法律を改正いたしまして、そういう業務が行われるというようにいたしたい。そのための改正を今お願いいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/38
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039・岡崎真一
○岡崎真一君 それから、そのことはそれで打切りまして、その次に国際入札のことについて証拠金の貸出、これは日本の貿易の実際の場合を見ますると、相当日本人同士の競争というような問題があつて、そのためにお互いがつまらん損をする。例えば今回の特需関係で不渡りをたくさん出したというのもそういつた現われだと思うのです。こういう性格は日本人の商売として相当あると思うのです。そこでこういつたような問題について競争入札をするおのおのの人に輸出入銀行が証拠金を貸出すとかいうような際に、むしろこういうものを今度逆に貸出をするせんということによつて引締めて行くということも考えられると思うのですが、そういうことについては大蔵省としては輸出入銀行がそういう働きかけをするというようなことについて種々連絡をなすつておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/39
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040・河野通一
○政府委員(河野通一君) この金融を余りルーズと申しますか、安易にやつて参りますと、今お話のように共食い的な弊害が起つて来る虞れもあることは、御指摘の通りだと思います。これは一にやはり輸出入銀行の金融をいたします場合の心組みと申しますか、そういう指導的な考え方にかかつておるのであります。私どもが個々の融資について一々指図をいたしますということは、そういうことをするならば実は経営者なども要らないわけでありまして、やはり総裁以下練達な方々の責任において運営してもらいたい。これは私どもは全体を監督いたしておるわけでありまして、個々の問題については、私どもが指図をいたしますよりも、そういつた練達な責任を持つてやつておられる経営者のかたがたが十分にそのことの弊害の起らないように配慮してもらうことが先ず第一に必要であろうと考えます。今後ともそういつた面の弊害が逆に起つて来るようなことのないように私どもも注意いたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/40
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041・小林政夫
○小林政夫君 今の岡崎委員の質問に関連するのですが、一体この業務範囲の拡張ということは、いま銀行局長が述べたような理由もさることながら、大体先だつて以来私が問題にしておるように、店は開いたけれども一向に金の使い途がないということから、だんだんもつと貸付範囲を拡げて金を使うようにしよう、こういうような狙いが相当多くあると思うのです。これはあなたはそうは言わんだろうけれども、二百十億の金を持つて五月末貸付残は五十二億六千万円というようなことで、百五十七億近いものが眠つておるというようなことは実に勿体ないことで、これをできるだけ範囲を拡げることによつてうんとその金が使えるようにというような意味が相当あろうと思うのですが、ここまで拡げて来ると、一般の市中銀行との区別が甚だつきにくいものとなつて来るのじやないか。でそういう観点から具体的にお尋ねしますと、先ずプラントに付随する原材料という例で、設備以外の製品であつてもその金をつける、こういうことは、今のあなたの例示として言われたようなことであれば先ず先ず許容できると思うのですが、これが今のように金が相当余つておるということであると、やはり業務担当者としてはできるだけ業務範囲を拡張するといつて、体裁の悪い金を遊ばしておくというようなことはやりたくないという気持から、だんだん非常にルーズになつて行くくのじやないか。そうすると、一般市中銀行がやれる金融までつけて行くということになる虞れが多分にあると思う。その点はどういうふうにやつてあなたのほうは線を引くつもりであるのか。必ずプラント輸出に伴つてそれの附属品か、或いは原材料か、判定がしにくい。必ずそのプラント輸出に伴う抱合せというか、一緒の製品というふうに解しておられるのか、製品は製品として切離しても融資ができるというふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/41
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042・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御指摘のように、この規定を拡げましたことによつてこれが非常にルーズに濫用されるということになりますと、今お話のように一般の市中銀行の貿易金融と申しますか、その分野との間の競合ということが起つて参るのであります。従いまして私どもはこれを厳格に運用いたして参りたい。その場合には、私が先ほど申上げた一例はそのプラントにくつついて行くもの等を大体考えて申上げたのですが、これはまあ一例であります。そのほか、プラントに必ずしもくつついて行かなくても、あとからそれを追つかけて行くものもあるかと思います。例えば、ちよつとその国は忘れましたが、ベアリングの工場をここに作る、そのベアリングの材料をこつちから出して行くといつたようなもの、これはその部分品じやないのでありまして、原材料みたいなものをこちらから出すといつたようなものもありますし、必ずしも設備の部品といつたような考え方をとるわけには参らんと思います。併しさればと言つて一般の繊維製品でも雑貨でもなんでも、支払期限が長ければすべて市中銀行でつかないから、ここまで輸出入銀行が業務を拡げるといつたようなことは、これは厳に戒めて参りたい。法律を書きます場合に、何かうまい制限したような書き方がないかと思つていろいろ考えて見たのであります。併しなかなかこれも書き方としてはむずかしいのでありまして、私どもといたしましては、これを業務方法書においてはつきり規定して行く、そうしてそれによつて輸出入銀行みずからその業務の範囲については必要の最小限度のものをやつて行くというふうにして参りたい、かように考えております。具体的に申上げますと、差当りのところでは、例えば第一は先ほど申上げました鉄鋼、非鉄金属等の中間製品であつて、そのままの形状では現行法上プラントと言えないといつたようなものがあるわけでありまして、こういつたものをまず第一に考える。その次には現行法の輸出入銀行の対象でありまするプラントに随伴して輸出するもの、独立には行かないのだが随伴して輸出されるような原材料、先ほど申上げましたベアリングの場合等。第三には国民経済の発展に必要不可欠な重要物資の輸入に関連して起つて参りまする輸出物資、これは例を申上げますると、長期の輸入契約に基いて米を輸入する、そういつた場合におきまして肥料を輸出するといつたような場合、先ほどちよつと例をパキスタンの場合に申上げたのであります。これらを考えたらどうだろうかと考えておるわけであります。ただこの第三の問題は、先ほども申上げましたようにそこまで拡げることがいいか悪いか、これは各委員の御意見を十分承わつて、それが適当でないという御意見でございますれば、私どもは又考えなきやならんと思います。まだ今のところはその程度に限れば私はそう弊害はないのじやないかと考えておりますけれども、御意見をお聞かせ願つた上で善処をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/42
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043・小林政夫
○小林政夫君 最後の米の輸入の見辺りとして肥料を輸出するなんということをやつたら、これはもう枠を外したと同じことですよ。何でも理屈はあるのだから。国民生活に不可欠なものでなければ貴重な外貨を使つて輸入するようなことを考えるはずはない。むしろ贅沢品の輸入が街に汎濫しておることがアブノーマルの状態なんで、大いにさういうことは我々としては取締つてもらいたい。外貨の割当などせずにおいてもらいたい。だから、いやしくも輸入するというならば、国民生活の必需品であつてほしい。こういう観点から行けば、国民経済の発展に役立つ輸出ならこの銀行が資金をつけるということなら、何だつてやれる。これはもう区別はつかない。併し長期だということだけが他の銀行とは違うのだ、こういう理窟があるかも知れませんが、併しよほどこれは問題で、その具体的な事例、契約内容を見なければわからんけれども、相当業務の範囲が拡充されて、殆んど他の市中銀行と選ぶところがないこれはくずれる因であると考えます。
それと、それからもう一つの事例としては、大体今まで我々輸出入銀行の貸出途、貸付方法等については、開銀とは違つて問題にしておらなかつた。だから先ほど来季林委員から開銀の融資先云々という話があつたけれども、この委員会においても、開銀の融資先は、相当区別的な融資先を出すということは、私自身も言つたことがあるし、そういうことになつておりますが、輸出入銀行については未だ曽つてそんなことを言つたことはない。そういうことは必ず一般市中銀行と協調融資であるということから、我々は先ず先ず安心しておつた。ところが今度は例外として、特別の事由がある場合には例外を認め、単独融資をすることができる。こういうことになると相当考えを要する。特別の事由とは一体どういうことなのか、協調融資が建前であるならば、今のようなプラント輸出に伴う附属品だとかいうようなものは、これは全体のプラント輸出から考えれ
金額は僅かなものだと思う。僅かであるべきだな。附属部分だとか附属に伴う原材料だとかいうことであれば、全然向うに持つて行つて組立てるということなら別だけれども、そういうことは本来の建前から言えば、主たるプラント輸出だけをこの輸出入銀行が気をつけて、そういうものに対しては市中銀行が協調融資の建前で賄つてもいいはずだ。ところが具体的の契約をよく知らんから資金量がどうなつてるかわかりませんけれども、原則的にはそうあるべきだと思います。そこまで範囲を拡張して行くことは、市中銀行の協調融資という枠を、特別の事由云々ということでなしに、むしろ特別の事由の例外が主となつて単独融資が行くときには、どんどん殖えて行くのじやないかということが考えられる。今そう言えばあなたはそうじやないと言うかも知らんが将来の運営によつてはだんだんそういうことになつて行く可能性があると思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/43
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044・河野通一
○政府委員(河野通一君) 第一点の御質問でありますが、これは今小林さんが御自身で言われたように、肥料でも何でも輸出と結び付ければいいというのじやないので、長期の支払条件、特に通商協定その他で具体的に五年なら五年の分割支払といつたようなもので行われる輸出であります。そういう場合におきましては、なかなかこれは実際問題として市中の金融に乗りにくい。これは間違いなく乗りにくいのであります。現に私どもはこの問題について、肥料の輸出の金融の問題がいろいろ起つておりますけれども、市中銀行では五ケ年という期限ではなかなかむずかしいというふうな状態になつている現状であります。そういつた場合においては、それじやそういう原材料、商品については輸出入銀行は介入すべきでないということにいたしますと、市中でうまく付くか付かないかという問題が非常に私は疑問だと思います。折角通商協定でそういうものができ、必要なものを輸入し、又拡張輸出ができるというならば、私はそのための金融的裏付何らかの形で付けてやるのが当然だ。而も市中で付けてやることが困難ならば、政府機関たる輸出入銀行が当然やつて然るべきじやないかと考えております。事柄を私は容易に表言するつもりはありませんが、そういう途は拡げて行く。而もそれが濫用されないようにできるだけ注意をして行く。これは私どもも十分にその点は監督はいたして参りますし、国会におかれましても十分なる御監視を加えれば結構だと私は思います。
それから第二の点は協調融資の問題でありますが、これは御意見は誠に御尤もだと思います。これも濫用いたしますと、お話のように市中でやれるものを補完的義務を果すべき政府機関がやるという結果になります。併し現実には非常に支払条件が競争が激烈になりますと、だんだん延びて参ります。現に今御審議頂いております輸出入銀行法の改正案におきましても、相当融資の期限を延長したいということに考えているわけであります。仮に十年といつたような長い支払条件の輸出入金融につきまして、果して市中銀行がそれに乗つて来るであろうかどうか。私どもがここで考えています例外というのは、支払条件が非常に長期であつて、且つ市中金融ではなかな乗つて来ないというようなものに限つて単独融資を認めたい。飽くまで協調融資を原則的にして行くことは、間違いなくやつて行くつもりでおります。ただ協調融資の場合でも、最終の支払期間が長くても、それが、年賦で返済されてくるといつたような場合には、市中のパーテイシペートいたしました分について優先的に払う優先返済の途を開くならば、これは必ずしもできないことはないと思うのです。ところが年賦で払うというのが、一般の条件では必ずしもできないわけであります。とにかく十年間という、言葉は悪いのですが、例えば十年間その金が寝てしまうような場合があるわけです。支払条件によつては。そういつた場合におきましては、やはり市中銀行としては資金の性質からいつて十年も寝かせて置くことは困難で、而も金額が嵩めば嵩むほど困難であるという問題が起つて来ます。そういつた場合に処しまして、融資の期間を延長いたしましたものと裏腹になつた考え方から、そういう特に長い金融であつて而も分割返済でないような場合におきましては単独融資の途を開いてやることがどうしても必要であろう。併しこの点は先ほども申上げましたように、御指摘の通り濫用になつてはいかんということで、できるだけ原則は、飽くまでパーテイシペーシヨンでやつて行くという原則は厳守をいたしたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/44
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045・小林政夫
○小林政夫君 長期信用銀行というのは何のために作つたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/45
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046・河野通一
○政府委員(河野通一君) 長期信用銀行は債券を発行して長期の国内金融をやるために作りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/46
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047・小林政夫
○小林政夫君 国内金融であるけれども、今のような程度のことなら、長期信用銀行は何も設備資金に限らなければならないわけじやないので、長期の金融であるならば、そういうことが或る程度長期信用銀行との協調融資というようなことでカバーできると思います。今銀行局長が言つたように、どうしても十年ということがむずかしいということになれば、年限を半々にして、前の五年を市中銀行で付けて、あとは輸出入銀行で付けるという協調融資でやれると思う。それが十年も分割払じやないのだという契約があるかどうか。そういうことも或いは考えられるかも知らんけれども、実際の契約として十年間大体金が全部寝てしまうということは、具体的契約の事例としては起り得ないと思います。で、今のような濫用を防止する、監督をする、こういうことだけれども、一番手つ取り早い監督の方法は、意見を申述べますと、要するに資金量を少くしておけばいい、出そうにも出せない、濫用して使おうにも金は拡がらないという、こういうことにしておきさえすれば濫用はない。だから今のように必要資金量の三倍の金をダブつかせておくから問題になつて来るので、これをうんと締めて必要最小限度、濫用しようにもしようのない資金量にしてむしろ必要につれて資金量を殖やして行く、あとから資金が追つかけて行くという形になつている、実際必要もないのに金を日本銀行に預け、或いは食糧証券を買つて持つているという状態ではこれは濫用になる虞れがある。如何にあなたが監督するといつても、ついつい金は広く流れて行くことになる。その点は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/47
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048・河野通一
○政府委員(河野通一君) 折角のお話でありますが、その点につきましては、私は小林さんと全く見解を異にします。(笑声)資金がダブついているかどうか。現状はダブついておりますが、私はこういう法律の改正をして頂く、これは法律を改正するのは、先ほど小林さんが言われたような意味で法律を改正するものじやなくして、つまり金がダブついてるから、その金の使い途を拡げるためにやるのでなくして、日本の長期の輸出を振興し、又長期の輸入を進めるために国の経済として必要なことをやつて行くために拡張いたすのでありまして、余つている力を使わせるためにやらせることではない。そういう必要のために法律を改正願つて業務をできるだけ円滑に行わせ、而も国際情勢等からみますと、いろいろな点から、これは詳細に申上げる必要がありましたら申上げたいと思いますが、私は今年は相当の条件が、いろいろな形で輸出入銀行の業務の拡大が期待されるようなことがいろいろな点でできて行く。これは具体的に若し必要があれば申上げますが、そういつた観点から、今予算上考えられておりますような輸出入銀行の融資、つまり本年度に二百十億というものは相当大きな公算を以てそれが実現できるというふうに私は考えております。尤もこれはいつも申上げますように相手のあることでございますから、私が一人ここで張切つても、なかなかそうは簡単行かんかも知れません。私は従来よりも今度は相当国際条件及びいろいろな条件がプラント輸出等について輸出入銀行の業務が相当伸びる条件がだんだん整つて参る、かように考えておるのであります。余つている金を減せば濫用にならないだろうというお考えには、私は今申上げましたような理由によつて見解を全く異にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/48
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049・小林政夫
○小林政夫君 まあえてしてあなたがたの立場としては、一旦出した法案についてはどこまでも固執するということが習性だから、これ以上議論したつてしようがないがもう毎年この輸出入銀行の法案を審査するときに、或いは予算委において、或いは大蔵委員会において審査するごとに、絶対に金が要らないなんていう説明をされたことはない。必ず今年はこれこれこれこれによつてこれだけの資金は使いますというような説明です。何回か我々もこの説明を了承して今日まで来たが、どうも今回は……成るほど具体的にあとから話を承わつても結構ですが、そうした今の国際情勢からいつて、我々の承知する範囲においては、特段にこの銀行の仕事が殖える殖えれば非常に結構、殖えることを望んでおるけれども、非常にむずかしいのじやないか、だから、それならばむしろ資金を遊ばすよりは、一応最小限度に切りつめておいて、そうして万一我々の望むように銀行資金繰りが忙しくなつた場合には随時借入金、或いは臨時の措置によつて資金需要を補い得るという態勢にしておいたほうが実情に副うのじやないか、国の財政を合理的に使うゆえんだと思う。その点については全く見解が異るということじやないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/49
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050・河野通一
○政府委員(河野通一君) 私は金が余つておると思わないから、申上げておるので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/50
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051・小林政夫
○小林政夫君 余つておるじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/51
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052・河野通一
○政府委員(河野通一君) これは御承知のように予算は二十八年度一ぱいの予算でありますから、現在は余ることになるわけであります。私は二十八年一ぱいにおきましては、いろいろな関係から相当伸びると思いますが、ただお示しのように仮に……仮にです。仮に資金が差向き余つておるといたしまして、それではそれを他へ廻すということにいたしまた場合に、さて又輸出入銀行としても金が要るといつた場合に、どういう措置をするか、これはこの前の委員会でも申上げましたように、結局輸出入銀行の融資というものが非常に長期なものである限りにおいては、短期で繋いでおいても結局は何らかの形で安定した長川資金を付放からこれに投入することが必要になる。そういたしますと、これを一方で輸出入銀行から或る程度削つた資金を地のほうの用途に使つてしまつて、さて要るときにそれをどうするかという問題になりますれば、新しい財政支出がどうしても必要になります。そうしますと、その場合にそれを今からその新しい財政支出を私どもが予定して措置をするということはこれはできないと思います。そういつた場合に備える方法としては、今一時は遊ぶ金があると思いますけれども、今年度中には相当それが使われて行くことが期待さわるならば、私はやはり輸出入銀行に残しておくべきではないか、かように考えるわけであります。ただその使途が短期的であつて、而もそれがただオン・デイマンドで輸出入銀行に還つて来るうまい手があればそれは、話は別でありますが、そういうことではその輸出入銀行の資金を削つたものを使う途から言えば、それでは目的が達しないのじやないか、どういうことを小林委員は御想像になつておるか知れませんが目的は達しないのじやないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/52
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053・小林政夫
○小林政夫君 まあ財政資金の使い方について銀行局長と議論をやつても仕方がないので、場合によつては主計局長の出席を求めてやりますがあなたのほうも今余つておるか余つておらないかということでないので、今余つておることは明らかです。百五十七億五千万円か、とにかく今余つておる、五月末現在では……。でそれはなんぼあなたが余つていないと言つても数字が示しておる。その点について普通の予算のやり方から行けば、実際必要なものでも七割、八割というふうに減額して出しておる、実際に今入用でないものをプールして……。今あなたの言われるような理由も幾分かあるけれども、ちやんと温めておくというようなことは、この財政の窮乏の折から効率的使用じやないと思う。それは智慧を出してうまく弾力的な運用ができるような方法を考えなければならん。私も目下研究中ですがいずれ案ができたら皆様に相談しようと思つておりますが、この輸出入銀行の業務が繁忙になり、どんどんプラント輸出ができるということは、私どもは日本の国として望ましいことなんだから、これに対して入用な資金を付けて行くということは当然なことであつて、予算を縛る云々という問題じやない。例えば外国為替資金特別会計ですね、外為に対して常に一般会計から今までは、インベントリー・フアイナンスで繰入れておるということだつて、場合によつては入れてもよいし、入れなくてもよいということでやつておつた。そのあとから次年度においてその点を調整するということは何も必ずやらなければならんということはない。どうしても一般会計の財政資金の都合がつかなければ、又臨時一年間の短期資金で繋いでもよい。二十九年度でできなければ三十年度で埋めるという方法もあるだろう。併し必ず予算を拘束するということにはならないのでそこはおのずから方法があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/53
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054・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 今小林委員と銀行局長の質疑応答の件は日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の審議上非常に重大な事項と思いますからして、次回までに相当具体的に今後の運営に関する資料も用意いたして、十分御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/54
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055・平林太一
○平林太一君 私は只今審議されております中小企業金融公庫法案等七条を一括いたしました案件に対しましては、それぞれ審議をいたしたいと思いますが、この際これらの改正を要しなければならない、又只今説明を聴取いたしましても、その然るべきことを承知いたすのでありますが、それにつけても銀行局長といたしましても、これよりも遙かに我が国の金融行政の上におきまして重大な事柄を、現に何らかの改正、何らかの処置をしなければ容易ならない事態を惹起するであろう、こういうことを考えるのでありまして、この際関連して銀行局長の意見を質したいのでありますが、それは現在市中銀行と称せられておるものと、いわゆる国民金融公庫との関係の根本をなしておりまする、又その全体をなしておると言つても支障のない市中銀行の運営の中に、この際非常な深刻な決意を以てこれに対する改正をいたすべき諸点を考えなければいかないことと思つております現に只今これは全部でありますが、この七案等の事態を見ましても、市中銀行におきましてこの健全なる運営が運ばれておりますれば、例えば中小企業金融公庫のごとき僅かに百億くらいの金を出して、それが中小企業者の今日の困窮いたしておる事態に現実にその効を奏するかということは常識上判断ができるのであります。僅か百億、全国中小企業に対して僅か百億ということでありますから……。これらのものは私から言いますれば、少くも一千億というような相当な数字を出すにあらざれば誠実なる中小企業金融とは言えない。併しそれでも百億でもいたさないよりましでありますから、これに対しては政府の処置を我々了といたすのでありますが、そういう事態を思うにつけても、市中銀行というものが今日如何にも旧態依然として、殊に今日におきましては、市中銀行の経営、運営、又市中銀行の生態、最高人事の様相というものを見て参りまするというと、この重大な国民金融を責務として、そうして国家のいわゆるこの保証裏書によつてこれを運営しておるところのこの銀行が、如何にも利潤追求という以外に何にも考えていない、驚くべきことです。その事態は最近殊に顕著になつて参り、まさに腐敗堕落の極と申して差支えないと思う。私は市中銀行におけるいわゆる最高経営人事にたずさわる人の非常な反省を求めなければならないと思います。私はそれらのことを申しますれば、銀行局長よくこれは御了承されると思います。だからそのほうからこの改正法律案というものは先ず出さるべきであります。おいおい申上げますが、これに対しまして銀行局長は全体的に見まして、市中銀行の今やつておりますところのその実態というものをよくおわかりでありますから、どういうふうにお考えになりますか。概念的のお話で結構であります。一々例を挙げろと言われればこちらも申上げますが、併し銀行局長はその職務上見識は極めて高邁なはずでありますから、その点一つ承わつておます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/55
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056・河野通一
○政府委員(河野通一君) 銀行の経営が金融機関というものの公共的使命に徹して、その公共性を十分に貫徹するために運営をする、又発展もして行かなければならんということはお説の通りであります。私どももそういう観点に立つて、従来からできるだけの努力はいたして参つたつもりであります。現在問題になつておりまする一番大きな点は、やはり金融機関、特に銀行におきましてその経営をできるだけ合理化する、そうしてコストをできるだけ下げ、一方において預金者の保護に欠けるところがないだけの十分なる基礎を築き上げると共に、国民経済殊に産業界に対する融資と申しますか、できるだけこのサービスを向上して行くということのために努力をいたさなければならん、こういう観点から私どもかねがね具体的な問題についていろいろと金融界に対しても強い強力な指導もいたして参つたつもりでおります。問題は個々の場合におきまして、遺憾ながら例えば金融の第一線に当つておりまする職員の中に不祥事件を起すとか、或いはそれらがその業務上の地位を利用して、或いは供応を受けるとか、そういつたようなことが現在までに至りましてもなおあとを断たないような事態になつておりますことは、私ども甚だ遺憾に存じております。こういうことは一日も早く根絶をするように常時私どもも注意はいたしておりますし、又経営者にも常々そういつた点についての一層の関心を深めるように指導もいたして参つておるつもりであります。併しながら何分にも多数の従業員もおります。これらの人々が一人一人その金融というものの公共性に目覚めて、それにふさわしい行動をとり、経営をやつて行くということが望ましいことは勿論申すまでもないことでありますけれども、間々そういつた点について十分なる認識を持たない行為がある点につきましては、誠に重ねて申訳ないことと考えております。金融の問題につきまして、殊に今お話の出ました国民金融公庫とか中小企業金融公庫の業務との関連について市中銀行の問題が出たのでありますが、中小金融について市中銀行がこれに非常に冷淡であり、力を入れないという事態があつてはならないということで、私どもできるだけ大銀行といえども中小金融に力を注ぐように従来から強く要望いたして参つております。銀行におきましても、これらの問題を、どうしたらそういう問題がうまく行くかということについていろいろ研究をいたして参つており、そういうほうに努力は進めて参つておるのでありますが、何分にも資金が十分でない、而もそれに対する資金の需要は非常に旺盛であるというような観点から、要望される資金が、要望される金融がそのまま百パーセントいたすことができないような事態にありますことは残念でありますけれども、今後とも中小金融等に対する普通銀行の、活動を更に促進するように、一層努力を傾けたいと思つております。なおこういつた観点から銀行法を先ず取上げてこれらの改正をいたすべきではないかという御意見であります。実は私どもも金融制度全体、而もその根幹をなす銀行法の改正につきましては、かねがね検討を続けて参りました。過去のことを申上げますならば、一昨年の暮から去年の春にかけて、金融制度懇談会というものを設けまして、各界の代表的なかたがたのお集まりを頂きまして、いわゆる金融三法と申して、その中には銀行法は勿論入つておりますが、この法案についての御意見を伺つたのであります。その後更に再検討を要する点も出て参りましたので、目下これらの点について検討を進めておる段階であります。ただ私どもといたしましては、金融機関自体の運営を大きな立場からこれを公共、的な使命に適するように、ふさわしいように運営させるように導いて行くということにいたさなければならんのでありますけれども、個々の問題につきまして、私どもがかれこれ言うことは、これは少くとも銀行というものが独立の人格を持つて営まれており、国営をされておるわけでもないのでありますから、おのおのの経営者なり、或いは銀行の職員なりのおのおのの人がそういう使命に徹して運営に当つてもらうということを期待するよりほか仕方がない。そういう方向で今後とも私どもは進んで参りたいと思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/56
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057・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 平林委員の発言は金融全般に関する大きな問題ですが、いずれ金融全般のことにつきましては、そのうちに大蔵大臣に出席して頂いて十分聞きたいと思つておりますから、その際に譲りたいと思いまするが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/57
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058・平林太一
○平林太一君 一点だけお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/58
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059・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/59
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060・平林太一
○平林太一君 只今銀行局長より極めて誠実なる御答弁を伺いまして、私は深くこれを了承いたすのでありますが、只今お話の銀行法に対する根本的な改正に対して、実際面に当られることにおいては大臣よりも遥かにその責任の地位におられるのでありますから、この点よくお考え頂きたいのであります。そこで今お話しを伺つたのでありますが、何か銀行の末端部におきまして、いろいろな事柄があるというようなことでありまするが、これは私のほうからさような細かいことをお尋ねしておるわけではありませんで、いわゆる銀行経営の主流をなす金融資本家、これに対する一つ観点というものを深い見識をお持ちになつて頂きたい。今日東京におきます中央銀行の中心人事というものを見ましても、どうも大蔵省のほうがややもすれば押されておるような感が深い。彼らはそういうことを承知の上で、銀行頭取であるとかというようなものにそういう人事を殊更に入れて、国家の銀行行政というものに対決しておるという感が非常に深い。併しこういうものに対しましては、峻厳なる態度を以て銀行局長、大蔵銀行関係当局というものは対しなければ容易ならん事態に陥つてしまう。そのときに取返しのつかんことになつてしまうということを申すのでありまして、又今日国におきましても、今日も御説明になりましたが、中小金融のこれは総裁だとか副総裁だとか、日本開発銀行の総裁だとか副総裁だとか、実に封建専制時代の殻を脱しない、実に国民を愚弄した態度である。これは国家の資金を以てその仕事をさせるいわゆる一つの事務役職員である。いわゆるそこの事務長であるとか或いはそこの頭でいいので、総裁であるとか副総裁であるとかいう人を威嚇するような、自然にそれだから、民主主義というものに対して未だ大蔵省そのものがそうであるから、市中銀行に対して何もできない。非常に全体の問題としてそういうことを考えざるを得ない。市中銀行の今日の利潤というものはどうであるか。これは資料として市中銀行の利潤の総額というものを二十七年度について出してもらいたい。但しその利潤については隠れた利潤があるということを深く感ずるのでありまして、それをも加算せられたい。それでありますから、今日中小企業その他におきましても、銀行があれほど利潤を生むものならば、貸付金利というものはもつと引下げて然るべきである。それでなければ、いわゆる預金の金利を引上ぐべきである。併し、預金金利を引上げるということは、大衆的な、社会的な見地に立つて種々考慮されるのでありますから、現在のままでもよろしいのでありますが、いわゆる貸付金利というものは大巾に引下ぐべきである。そうすれば、如何にこの国民金融というものが健全な発達をして行くか、消化されて行くか、こういうことでありますが、これも申上げますれば枚挙にいとまがないのです。併し、只今委員長からもいずれこの問題は大蔵大臣が参つてからという御注意もありましたが、まあ一応銀行局長も単に委員会というようなことでこだわらずに、一つ大蔵委員会の御意見を拝聴したいというような機会はしばしば非公式にでもお持ちになられて、そうしておやりになるということを一つお考えになつたらどうかと思います。やはりそういうことは、何か今まで国会と大蔵省との関係が如何にも立法と行政との対立したようなことに考えておられる。事金融のことに対しては、そういう形式のことは今日言つておられないと思います。委員長が催してあれするということでもよろしいのでありますが、大変角が立つようでありますから、むしろ大蔵省自体がいわゆる大蔵委員会というものをしばしば何されて、まあ何何委員会というものを盛んによそに作つておる。銀行内部において銀行運営の委員会というものを作る、そうしてそのメンバーというものは皆ボスである、或いはその銀行を取巻くような、ややもすれば銀行が大衆から集めた預金というものを利して、そうして一つの利権グループを作つておる。私は日銀の運営委員会とか、相当ああいうものがありますが、何らああいうものはいわゆる金融の一大根本的な大施策というものに対しては害あつて益にならないと、断定せざるを得ない。人事の面におきましては、そういう点を一つの銀行局長は非常な高い見識をお持ちになつて、日本国家のいやしくも大蔵省の銀行局長である、全日本の銀行は、日銀以下あらゆる市中の銀行は束になつて来いというような広大な一つ見識を持つて、そうして市中銀行に対するいわゆる銀行法の一大改正というものをしなければならん。このまま行きますれば、私は予言いたすのでありますが、必ず容易ならん取返しのつかないことになる。如何に今日社会的な不均衡、そういうような国民生活の不均衡、産業の不均衡において、市中編行の金融資本というものが如何にも別な、まるで天と地のような行き方をしておる。それで毫も反省していない。こういうことは言えばわかります。それは三寸の胸を彼らは突かれた思いがいたすと思います。これは小笠原君にもよく注意いたしておきましたが、あの堂々たる建物が次から次に建てておる。あのふざけた態度をしておる。娼婦に等しい態度である。昔で言えば遊廓に等しい態度である。彼らはこういうことの反省をしない。利潤のためには、自己が預金を預かるというためには何らの反省もしない。それが今日の市中銀行の頭取の生態である。これは銀行局長は常識的に……、我々は国民の一員といたしまして、いわゆる大衆というものを常に念頭に置いて申上げるわけでありますから、そういう覚悟を持つてこの銀行法の一大改正というものをお考えになることを要望いたしておきます。別に答弁は要しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/60
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061・小林政夫
○小林政夫君 中小企業金融公庫について前回の提案と異つた点だけちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/61
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062・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 前回とは資本金の点を除きまして相違はございません。第五条の公庫の資本金は政府の一般会計よりの出資金が百億円という、この条章でございます。それから第三十三条の第五号でございます。「公庫は、日本開発銀行が昭和二十八年四月一日以後に行つた中小企業者に対する貸付に係る債権及びこれに附随する権利義務を、第一項の視定により承継したときは、その承継した債権のその承継の日における帳簿価額の合計額に相当する金額を、政令で定めるところにより、日本開発銀行に支払わなければならない。それだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/62
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063・土田國太郎
○土田國太郎君 あなたにちよつとお伺いしますが、これは先ほど私聞き落したかも知れませんが、金融先の御説明がありましたね。金融先の取引先の御説明がありましたね。貸付先、その中に酒類業組合というのはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/63
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064・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 酒類業組合は、酒類業に関する組合の法律のほうでこれに追加されることに相成る予定で、法案が整備され準備されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/64
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065・土田國太郎
○土田國太郎君 それでできますれば勿論結構なんでありますが、あなたのほうは別にそれは附則か何かで御記入になるのでございますな。了承したのでございますかしら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/65
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066・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 事務的な連絡を……酒類の組合に関する法律で、公庫法の一部は附則のほうで直つておるというように了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/66
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067・土田國太郎
○土田國太郎君 それでこの手数料一割という御説明があつたのですが、それは銀行金利は一割です。だからその中に手数料が加わつて一割と解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/67
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068・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) その通りでございます。公庫は一割の金利を貸付先の中小企業者から徴収いたしますが、取扱代理機関に対しては、別に公庫から払う。つまり考えようによれば、一割の中に手数料がインクルードされているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/68
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069・土田國太郎
○土田國太郎君 もう一つ最後にお聞きしたいのですが、百億円のこの資金ですね。その中にその債権の引継ぎがあるわけですね、開発銀行から。そうしますると、正味の今度新らしく貸出すという資金は殆んど微々たるものになるのですが、これで経営ができるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/69
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070・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 百億というのは、資本金の百億のうち二十億というのは商工中金にすでに貸しております債権引継であります。従つて資本の中で運用に現実に廻るものが八十億、そのほかに資金運用部から二十億の金を予定しておりますから、現実に運転する金が百億と相成るわけでございます。開発銀行等から引継ぎました債権の大部分というものは、これは出資又は借入れとしてなつておるわけでございますから、四月一日以降、七月末まで、或いは八月公庫出発までの間に、開発銀行が貸しておりまする金額、それだけが運用から減る、このように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/70
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071・土田國太郎
○土田國太郎君 すると非常に少い金ですが、これが法律化しまして、営業開始になりますと、一割という中小企業にとりましては、これは実に安く感じる金利なんでありまして、申込がこれは殺到するのじやないかというような感じを持つておるのですが、それだけの金を貸出してしまえば、あとはお手上げになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/71
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072・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 百億という金額は先ほどのお話のように極めて微々たる額であるという見解も成り立つわけでございますけれども、併しながら今までこの種財政資金の中小企業に投入されました実績その他から比べますれば、やはり相当大きな金額でございまして、資金の使途といたしましては、現実に合理化、そのほかに役立つ資金、或いは経営の改善に役立つ資金という点に主眼を置いて運用するわけでございまして、需要の全部を賄うというわけではございませんわけでございますから、将来予算措置、その他によつて増額をいたし得る時期までは、これだけの資金を以てやらなければならんということに相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/72
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073・土田國太郎
○土田國太郎君 まあ、この本日のデーターを拝見いたしましても、ほかのほうには金融機関が何千億というものを貸しておりますがね。これは僅かに百億ですから、これはまあどうしようもない。今平林委員もおつしやつた通りでありますから、どうか将来この点を御考慮下さつて、増資なり、或いは債券が発行できますように、適当な方法で財源をつけて頂く。今小林委員もおつしやるように、一方には百何十億という金が遊んでおる。一方は血の涙で僅かの何十億という金につり下らなければならんという、この問題に対して、政府当局も一つお考え下さつて、一つ適当に御善処願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/73
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074・森下政一
○森下政一君 今の中小企業金融公庫ですがね。先ほどの説明を拝聴しておつて私の受けた感じでは、実質的な貸付の業務というようなことは、一般の金融機関に委託してしまう、公庫自体は別に何もやらん、こういうふうにとれるが、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/74
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075・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 公庫が行いまする仕事は全部商工中金、その他、金融機関に委託いたしまして、全部の業務を金融機関に行わせます場合と、或いは不審査と言いますか、相手の借入を希望して参りました中小企業者の信用状況の調査、或いはその業態が借すに適当であるかどうかというようなことについての調査等のみを委託いたしまして、公庫が最終的な決定をみずからやるという場合も予定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/75
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076・森下政一
○森下政一君 どつちかというと、そのほうが少いのでしような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/76
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077・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) これはこの二つのルートと申しますか、やり方のうちのどちらが現実に中小企業者の要望するところ並びに金融機関の扱いの便宜に適合しておるかということになるわけでございますが、従来これに似た制度といたしましては、開発銀行において中小企業者に見返資金を融通いたしておりました時分の扱いでございますが、この場合は甲乙丙三つの方法がございまして、甲の方法と申しますのは、金融機関が全部について責任を負う。従つて元利の支払成立について責任を負います関係上、開発銀行ではとやかく言わんという方式でございます。この方式によりましたものが七割程度でございまして、開発銀行自身が審査を任されたというものは残る三割程度ということに相成ることに承知しております。従いまして、一般的傾向としましては、金融機関はやはり専決代理と申しますが、その方式のほうを選びたがるのじやないかという感じはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/77
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078・森下政一
○森下政一君 今度の場合でも金融機関に業務を委託して元利に対して三割程度は責任を持つてもらいたいというような今お話があつたように思うが、こう解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/78
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079・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 八割の程度の責任を持つて頂きます場合と、三割程度の責任を持つて頂きます場合とに分けて作るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/79
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080・森下政一
○森下政一君 それはどういうふうにして分けるのですか。その八割と三割というのはどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/80
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081・石井由太郎
○政府委員(石井由太郎君) 金融機関の選択でございます。今或る貸付先から借入申込がございまして、それに対して当該金融機関で、今までの取引関係、或いは申込みの内容等を調査いたしまして、その金融機関として、元利の支払八割に対して責任を持つても大丈夫であるというようなケースでございますならば、それをお任せする。併しながら例えば大体大丈夫といたしましても、将来経済界の変動等に耐えるかどうかということについて疑念がふるというような場合には、書類を公庫に申達してもらいまして、借入を要望するが、元利の支払いのうち三割はその当該金融機関で責任を持ち得るという場合には、一部代理の方式で利用いたすわけであります。従いまして、どちらの方式をとりますかは、大体にねきましては、金融機関の選択に任すという考えでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/81
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082・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) ちよつとお諮りしますが、各法案に対する御質疑はまだたくさんおありのことと思いますが、これは後日に譲つて本日はこの程度で打切りたいと思いますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/82
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083・森下政一
○森下政一君 今一言だけです。さつきから百億が少な過ぎるという話が大分出ましたですがね、結局金融機関が三割乃至或いは八割責任を持たなければならん、それだからいよいよ石橋を叩いて間違いがないというところでなかつたら金融しないということになると思うんです。そこで政府はまあ私ども記憶に困難なくらいいろいろ中小企業金融対策というものをやつておられますがね、いろいろのことがあるけれども、どれもこれもがちよつとずつのつまり名目だけみたいなことをやつておるようなことになつておる。だから本当にこんなにたくさん中小企業に対していろいろ金融措置が講じられているではないかと言われるけれども、実際はその恩恵に浴するものというのは……実際業務の委託を受けてやる金融機関というものは貸倒れの場合には責任を持たなければならんというような仕組みになつているために、これはもう間違いがないというものにだけしか貸付が行われない。だから実際は中小企業というものには融資は受けたいと思つても、喉から手が出るほど融資を懇請している向きには実際は殆んど流れて行つていないのですね。政府の思いやりのある金というものはちつとも生きていないのだというふうに私には感じられるのですね。だからさつきの平林さんの話じやないけれども、思い切つた施策が必要なんじやないか、こんなことを幾ら繰返して、何ぼ数多くいろいろ並べておつても、実際の効果というものは極極一部分に偏在するという傾向があるのじやないかということを私は憂えるものですが、まあ併しそんなことにつきましては、この次の機会に一つ聞かしてもらうことにしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/83
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084・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) それでは本日は質疑はこの程度にいたしたいと思います。明日は午前は税法関係で前回の残りの分を御審議願いたいと思います。午後は道路整備費の財源等に関する臨時措置法案につきまして、建設委員会との連合審査の予定になつております。なお平林委員から御要求になつた資料を政府のほうから提出いたしますから、今お手許に御配付いたします。
本日はこれを以て散会いたします。
午後四時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01019530701/84
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