1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年五月二十八日(木曜日)
午前十時三十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 郡 祐一君
理事
加藤 武徳君
宮城タマヨ君
亀田 得治君
委員
青木 一男君
楠見 義男君
三橋八次郎君
赤松 常子君
棚橋 小虎君
一松 定吉君
木村篤太郎君
国務大臣
法 務 大 臣 犬養 健君
政府委員
法務省矯正局長 中尾 文策君
法務省保護局長 斎藤 三郎君
法務省入国管理
局長 鈴木 一君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 真道君
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本日の会議に付した事件
○調査承認要求の件
○議員派遣要求の件
○少年院法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○外国人登録法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/0
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001・郡祐一
○委員長(郡祐一君) これより委員会を開きます。
本日は先ず調査承認要求及び議員派遣に関する件についてお諮りいたします。先ほど委員長及び理事打合会におきまして協議いたしました結果、従来通り今期国会におきましても検察及び裁判の運営等に関する調査を行うことに決定いたしました。又六月初旬に本調査のため議員派遣を行うことをも併せて決定いたしました。つきましては委員長及び理事打合会の決定通り、検察及び裁判の運営等に関する調査を委員会において行うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/1
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002・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めます。
なお、本院規則第三十四条によりますと、調査を行うためには議長の承認を必要といたしますので、調査承認要求書を提出いたさなければならないのでありますが、この要求書の内容は、便宜委員長に御一任願うことといたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/2
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003・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めて、さよう取計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/3
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004・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 次に、議員派遣の件でございますが、只今御決定を願いました検察及び裁判の運営等に関する調査のため、来月初旬議員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/4
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005・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
なお、調査の細目、派遣地、派遣日数につきましては委員長及び理事打合会におきまして一応の計画をいたしておりますが、後刻事務当局より御説明申上げることといたして、派遣議員の人選と共に便宜委員長及び理事に御一任願うことといたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/5
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006・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/6
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007・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 次に、法律案の審査を行います。少年院法の一部を改正する法律案、外国人登録法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題に供します。両案はいずれも本付託でございます。先ず二案について政府の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/7
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008・犬養健
○国務大臣(犬養健君) 只今上程になりました少年院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
少年院法第二十一条の規定により、代用少年鑑別所、代用特別少年院等の経過措置は、本年三月三十一日までで廃止することとなつておりましたので、それに伴ない必要な立法上の措置をとりますため、少年法及び少年院法の一部改正法案を第十五回特別国会に提出いたしまして、御審議をお願いいたしたのでありますが、衆議院の解散によりそれが審議未了となりましたので、当時取りあえず、先の参議院の緊急集会において議決されました期限等の定めのある法律につき当該期限等を変更するための法律第一条第三号の規定により、この経過措置は、五月三十一日までの間とり得ることとされたのであります。併しながらこのたび、先に審議未了となりましたものと同じ内容の少年法及び少年院法の一部改正法案を提出いたしまするに当り、同法案の審議に要する期間を考えますときに、五月三十一日までにその施行を期待することができませんので、右の一部改正法律が成立し、その施行を見るに至りますまでの間、更に代用少年鑑別所、代用特別少年院等の措置をとり得るものといたさなければならないのであります。従いましてこれらの特例的措置が認められる期間を、差当たり二カ月間延長して七月三十一日までの間に改めることといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。
次に只今議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
現行の外国人登録法の第十四条によりますと、外国人が登録証明書の交付、引替交付若しくは再交付を申請するとき、又は有効期間が満了した証明書の切替を申請するときは、それぞれ必要書類に指紋を押捺しなければならない旨規定されております。この規定の目的は、要するに外国人の日本における適法な居住を証する唯一且つ最も基本的な文書である登録証明書が、従来しばしば偽造、変造される事例が発生いたしましたので、これを防止するための効果的な方法として指紋押捺制度を設けることを意図しているものであります。
併しながら登録の申請に当りまして一般外国人に強制的に指紋を押捺させるということは、わが国の制度としても初めての試みであるため相当の準備を要し、かたがた一般外国人に対してもその制度の趣旨を周知徹底させる必要がありましたので、外国人登録法の附則において、これに関する規定の施行につき一年という猶予期間が置かれた次第であります。ところがその後この指紋押捺制度に関する一部外国人の誤解は未だ払拭されておらない折柄、その施行を強行いたしますときは、最近その好転が期待される日韓両国の関係に無用な支障を与え、両国の友好的交渉の障害をなす虞れもあろうかと存ぜられます。
かような情勢から判断いたしまして、第十五国会に外国人登録法第十四条の規定を施行する猶予期間を更に一年延期する内容の改正案を提案いたしたのでありますが、たまたま右改正案が審議中、衆議院が解散されたため、取りあえず参議院の緊急集会において昭和二十八年三月二十六日法律第二十四号「期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律」を以て右期間を六月一日まで延期したのであります。
この猶予期間を今回改めて当初の通り外国人登録法施行の日から二年間とするためこの法律案を提案いたしました次第であります。何とぞ慎重御審議のほどを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/8
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009・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) 只今大臣から概略御説明申上げましたが、この少年院法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして補足的に御説明申上げます。
これは先にここで御審議を願つておりました少年法及び少年院法の改正法律案のことに関連いたしておりますが、御審議中に解散になりましたので、取りあえず三月三十一日まで続いておりました暫定措置を二カ月間延ばして頂いたわけでございますが、このことのよく御理解をお願いいたしまするためには、それでは新らしい制度はどういうことをやろうとしておるのか、この暫定措置のあとにはどういう措置が来ようとしておるのかということを申上げておく必要があろうと存じます。
この三月三十一日で満期となりまして制度の切替をしなければならない問題は三つございます。一つは、医療少年院のことでございまして、医療少年院は、本来は男と女とは別の独立した少年院に入れなければならないという規定になつておりますが、併しそれがいろいろな都合によりまして、取りあえずのところはその通りにしなくてもいい。三月三十一日までは、今年の三月の終りまでは暫定的に必ずしも別にしなくてもいいという措置になつておつたのでありますが、これを切り替えなければなりません。それにつきまして、私たちのこれまでの経験によりますというと、必ずしも理想を追いまして、男と女とを完全に分離して別々の少年院に入れるといいますことは、この医療少年院というものの数の少い関係上非常に無理ができるのでありまして、例えば或る医療少年院を結核専門の少年院にいたしまして、そこに優秀な技官を集めるとか、或いは優秀な看護婦、或いは職員を集める、或いはいい設備をするというようなことをいたしまするというと女に一カ所、男に一カ所と別々に作らなければなりません。或いは又精神病者を収容いたしますというようなときになりますと又同様な問題が起るというようなことでありまして、これは両方の分割を完全にいたしますならば設備とか、職員を両方に使うことのほうがずつと経済的に、能率的にできますので、この点を法律を改正いたしまして、今後は男と女とは一緒、条件を附しますが、必ずしも少年院を別にしなくてもいいということにしたいと思つておりますが、併しその措置がこの五月三十一日で今一緒におつてもいいというのが切れるわけでございまして、そういうことになりますと、大急ぎで男と女とはどつか別々にしなければならんというようなことになりますので、その新らしい方法までの間の切替に非常に困難を生ずることになるわけであります。
次は特別少年院の問題でありますが、この特別少年院というものは、これは予算を昨年度頂きまして、そうして現在作つておりますが、工事の関係上前年度の予算ではございましたが、その完成が今年の夏頃まで延びることになつておりまして、そのために特別少年院に入れなければならない特別少年を全部収容することができませんので、はみ出しました分だけを各地の少年刑務所の一部に入れる暫定的措置をとつておりますが、これが今年の三月で終りになるところでございましたが、緊急集会で二ヶ月延ばして頂きまして、五月三十一日までは少年刑務所の一部にその特別少年を入れておいてもいいということになつておりますが、若しこのあともう一回延ばして頂くということができないということになりますと、これは特別少年院がもう少し完成のために時間を要しますので非常に困つたことができるわけでございます。その一例を申上げてみますというと、盛岡でございますが、盛岡に特別少年院を作ることにいたしまして目下建築中で、多分これはもう七月頃にはできることになつておりますが、ところがこれが延ばすことができないということになりますというと、盛岡の少年刑務所に入れておりますところの数十名の特別少年を、あそこに入れておくことができませんので、五月三十一日の夜の十二時にならないうちにどこかほかのところへもつて行かなければならないということになりますが、いろいろ関係がございまして、どこへ入れるということになりますと、恐らくはこの神奈川県の久里浜あたりまでもつて来て一時そこへ入れておかなければならんということになりますが、そういうことにいたしまして、そうして又盛岡の特別少年院が完成いたしますと、そこまで返して行くというような非常に無駄なことをしなければならんということになるわけでございまして、こういうことがございますので、特別少年院を完成いたしますまでには、従来やつておりました少年刑務所に一時置いておくという措置をもうあと二カ月延ばすようにいたしたいと思うわけでございます。
一番こみ入つておりますのは、代用鑑別所の問題でございますが、鑑別所というのは本所が全国に四十九カ所、大体各府県に一カ所ございますが、観護措置をいたします少年を鑑別所に入れます場合に、その本所所在地の裁判所でございますと別に問題はありません。併し裁判所の支部が最近少年事件を取扱つておりますので、必ずしも少年鑑別所の本所のあるところだけでその観護措置が行われるというわけではございませんので、支部所在地で観護措置が行われるということになりますと、一々それを本所まで連れて行くということが非常に厄介になるわけでありまして、そういうことのないように一時その最寄りの土地にございますところの拘置支所に入れることができるようにいたしまして、それを代用鑑別所として従来使つて来ているわけでございます。ところがそういうような大人の犯罪者を入れておきますところの拘置所の中にこういう保護処分の対象になるような少年を入れておくということは決していい方法ではございませんので、何かそれに代る措置を講じなければならないということで、これが暫定措置を延長して頂きますまでに法務省といたしましていろいろ案を練つたのでございますが、いろいろ予算の制約なんかもございまして、最後に私たちが今考えております方法というものは三つございます。第一は、やはりそういう観護措置を講じなければならない少年の数がたくさんおりますところの裁判所支部所在地にはやはり鑑別所の支所を作るということが第一でございます。大体その代用鑑別所に指定しておりますところの拘置支所の数ということはちよつと正確には記憶しておりませんが、百八十か百九十あつたかと存じますが、その全部について鑑別所の支所を作るということは勿論不経済な話でございまして到底できることではありませんので、まあ相当の人数のものが継続して代用鑑別所に入つているというような土地につきまして支所を作ろうということにいたしまして、これは十七カ所二十七年度から要求いたしております。二十七年度では一ヵ所も予算は認められませんでしたが、二十八年度になりまして今年だけでやつと二カ所認められております。勿論これは二カ所で十分なことはございませんので、更にこの要求を年々続けて参りまして、だんだんと必要なところには支所を作るつもりでおりますが、現在のところではその二カ所ということになつております。その支所に収容できないところはそれではどういうことになるかということになりますが、その場合には仕方がないというので、本所に連れて行くより方法がないのでございますが、その本所に連れて行きますのには人手が必要になりますし、なお又その旅費なんかも必要になります。これは予算的措置が必要でございますが、予算要求をいたしましてこの点は或る程度大蔵省から認められまして本年度の予算案として計上されているわけでございます。そういうようにいたしましてもなお且つ賄い切れない場合がございまして、例えば非常に遠隔の場所であつて、そこですぐ観護措置をやりたいけれども交通機関の関係なんかで今日は汽車がない、バスがないというようなこと、或いは大急ぎで親を呼んで或いは保護者を呼びましてそうして個々の最小限度の調査をしておきたいというようなときに急場の間に合わない場合がございますので、そういう場合には止むを得ない一時の措置といたしまして拘置所に一定の時間を限りまして、これは非常に短い期間でございますが入れる。そういう便法も考えまして、但しこの場合は代用の少年鑑別所としてではなく、拘置所の中に入れるというような措置を考えているわけでございます。そういうようなことを今度の暫定措置の期限が切れました後にとるつもりでおりますが、最後のこの代用少年鑑別所の場合にも五月三十一日で現在やつておりますところの暫定措置が期限が切れるのでございますが、そういうことになりますと非常に混乱を生じまして、まだ予算はございませんので予算的な措置もできておりませんし、ここにもつて来て急に代用鑑別所として使えないというようなことになりますというと、これは非常な混乱が起りまして、大部分の者を出してしまわなければならん。或いは予算等も、人員、職員もないにもかかわらず本所まで連れて行かなければならないというようなことになりますので、本年度は混乱が生ずるわけでございまして、次の新らしい法律が施行できるようになりますまで、現在の暫定措置をもう一回延ばすことを御考慮をお願いしたい。こういうわけなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/9
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010・鈴木一
○政府委員(鈴木一君) 外国人登録法の一部を改正する法律案につきまして、先ほどの提案理由の説明に附加えまして少しく御説明を申上げたいと存じます。
外国人登録法は占領治下におきましては外国人登録令というのがあつたのでございますが、平和条約発効と同時に外国人登録法という法律を出しまして、外国人に対しまして身分関係、住居関係というものを明確にいたしまして、外国人の公正な取扱いを期するという趣旨の下に立法がいたされているのでございます。丁度日本人に対して申しますれば居住登録、住民登録、或いは戸籍というような関係になりますので、この外国人登録ということは外国人にとりまして大事なものでございますが、現在におきましては各市町村の窓口におきまして外国人が登録をいたすことになつております。登録をいたしますれば、各人にこういう外国人登録証明書というものを渡しまして、これに写真も貼つてございますし、これを持つておればその人が間違いなく日本に十分な保護をしてもらえるというようなことになる証明書でございますが、以前外国人登録令でも占領治下時代におきます法令におきましては、こういう登録証明書でなしにこういう簡単な登録証明書を与えておつたのでございます。この当時におきましては非常に偽造、変造がございまして、すぐ改竄をして何枚でも一人で以て登録証明書を持つている。そうして米の配給なりなんなりもらうということもございます。又密入国をして来た者にそれを売渡すというようなこともございまして、非常に困つたのでございますが、そこでこの偽造変造を防止するという意味で指紋をこれにつけまして、指紋制度を採用してこの偽造変造を防ごうということで、新らしい外国人登録法におきましては指紋制度を採用することにいたしたのでございます。
併しながら、これはアメリカにおきましては指紋の制度が一般の慣習という程度に普及いたしておりますが、東洋諸国におきましては、日本におきましてもまだ一般には普及されておらない。特に犯罪人という人たちには指紋ということをいたしております関係で、指紋をいたしますと、どうも犯罪人扱いにされるのだという観念がまだございます。特に外国人の対象としてこの登録をいたしますのは、六十万外国人の登録がございますが、そのうちの九割に当ります朝鮮の人たちには特に指紋ということにつきまして異常な神経を持つておるのでございます。お手許に配付いたしてございますこの登録の統計がございますが、これは二月末の統計でございますが、この最後のページの、一番最後に統計がございまして、六十万四十五人というのがこの登録をいたしました外国人の総数でございますが、この一ページの最後の欄に朝鮮、韓国という二つの欄がございまして、これを合せますと丁度五十四万になるわけでございます。丁度六十万の九割が朝鮮の人たちになつておるわけでございますが、御承知のようにこういう人たちに指紋制度を納得させた上で実施をいたしたいということで、この法律を作りました当時におきましては十分余裕を持つて実施したいという意味で一年間猶予期間が与えられておつたのでございます。この一年内に指紋を実施するということになつておつたのでございます。ところが昨年の五月のメーデー以後の状況を見ますと、なかなか治安関係におきまして問題が起きておつたのでございます。たまたまこの新らしい登録法によりまして十月の二十八日に一斉にこの新らしい登録証明書を交付し、一斉切替を行なつたわけでございますが、事務的に考えますと、指紋制度を採用するならばこれを渡すときが一番よろしいのでございますが、そのときにおきまして若上指紋制度をこの登録切替と同時に実施いたしまする場合には、予測すべからざる混乱が起きるのではないかという状況に立至つておつたのでございます。先ほど申上げましたように各登録は市町村の窓口でいたしますので、全国の市町村の係官は非常な困難を嘗めておつたわけでございますが、いろいろな難癖をつけましてこの登録を拒否したいという運動が起つておつたのであります。特に指紋を併せてとるということになりますれば、本来のこの登録自体もできないのではないかということが懸念いたされまして、当時八月でございましたか、知事会議もございまして、知事会議の総意ということで当時の法務総裁であられます木村大臣に宛てましても、指紋制度は一つ知事の意見として時期を待つて欲しいというような申出もあつたのであります。そこで政府といたしましてもこの指紋をいつやるかということにつきましては慎重に考慮したいということで、とにかく十月二十八日までにはやらないということできまつたのでありますが、その後におきまして依然として状況は変つておらないのでございます。そこでこの前の国会におきまして更に一年間猶予をして頂きたい、その間に慎重に指紋の実施の時期を考慮したいということで提案をいたしておつたのでありますが、衆議院の解散によりましてその法案は不成立に終つたわけでございます。そこで緊急集会におきまして、緊急集会の性質から一応六月一日まで延期をするという案を前回に提案をいたしまして、昨日衆議院で御承認を得ましてその法律は追認を受けたわけであります。
それで更に一年間当初の通り指紋制度を慎重に実施いたすために猶予をお願いしたいということでございますが、特に本年におきましては正月早々李承晩大統領が日本に来訪せられまして、日韓会談が一時停頓しておりましたが再開せられ、現在両政府の代表が会談を開始して、数回会談をいたしているまつ最中でございます。こういう時期におきましてまだ指紋というものにつきまして十分な認識を持つておりません人たちに、この六月一日から指紋をやるのだということになりますれば、無用な混乱を起させるということが予想せられまして、ひいては折角日韓会談を円満にやろうということに何らかの障害になるのではあるまいかというようなことが懸念いたされますので、特に一年間更に猶予をお認め願いまして、指紋を実施いたします場合には十分納得をさせました上で、啓蒙宣伝をいたしました上で十分な用意を以て指紋制度を実施いたしたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/10
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011・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 先ず少年院法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。御質疑のおありのかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/11
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012・一松定吉
○一松定吉君 大したことはないのですが、ただ少し私どうかと思うのですが、この少年院法のこれを七月三十一日までに延期するということは、いずれこれはこの議会が七月三十一日までの間にはこの改正案を出して、その改正案が通過して、その通過した改正案によつて運用するというお考えだと思うのですが、これはこんなぎりぎりにしないでも、もう一カ月ぐらい先にしてやつたほうが確実だと思うのですが、これを二カ月というふうに限定して、若し七月三十一日までにこの法案がいろいろな事情で通過しないということになると、又こういう法律案を出さなくちやならんということになるのですが、なぜこういうようにぎりぎりにしてあるのですか。二カ月ということに限定しなくても、三カ月なら三カ月というふうに余裕を置いたほうがいいと思うのですが、それはどういうお考えですか、それを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/12
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013・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) これは恐らく政府提出の法律は全部こういうふうになつているのじやないかと思いますが、丁度会期が七月一ぱいで終りますのに、新らしい法律を審議して頂く場合に、その審議の期間というものを二カ月を超えて先のほうまで予想するということは、これは我々としてはとるべき措置じやないというふうなところから二カ月ということにいたしているように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/13
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014・一松定吉
○一松定吉君 私の言うのは、法案を審議するのが七月三十一日まで会期があるのだからその間云々ということでなくて、それまでに審議して、施行期間を三カ月にしておけば、七月三十一日にこの国会が済んで法案が通過して、いろいろな準備等によつて一カ月先に延ばすということになると、施行するにしても余裕綽々でよくはないかというのでこれを仮に七月三十一日とここできめて、七月三十一日までにこの改正案が通過しなかつたとかいうような、又特別の事情で何かそこに、そのままお流れになるというようなことがあつたときに困りはせんかというので、私の言うのは余裕を置いて、二カ月というのを三カ月或いは四カ月ということにしておいたほうがよかないか。それを二カ月に限定するということはここにいろいろな将来異常の起つた場合に又あと一カ月延ばすというようなことが起りやしないか、こういう意味でお尋ねするのです。ただ法の運用の上に、こういうふうに極限するよりも、余裕をおいてやつたほうがよくはないのですか、こういうことをお尋ねするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/14
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015・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) 御意見誠に御尤もでございまして、私たちもできればそういうふうに便利なほうがいいということは一応考えたのでございますが、やはり政府側といたしましては、国会の会期は七月一ぱいということを考慮に入れまして、一般法律と同じように調子を合せまして二カ月というところで切つたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/15
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016・一松定吉
○一松定吉君 そうすると七月三十一日が会期の終りだからその間にこれを審議して、施行して、実施も七月三十一日からしなければならんということじやなくて、会期はそうであり、政府のほうで七月三十一日までにすべての政府の提出した法案を通過せしめて、施行は八月三十一日からでいいじやないか、こういうふうにお尋ねするのだが、こういうふうに極限すると、いろいろな障害のために法案の審議が遅れるというようなことがあつて又都合が悪いというようなときに、こんな七月三十一日と極限しなくても三カ月の、例えば八月三十一日というようなことにしてもいいのじやないか。それを特に本会期が七月三十一日で済むんだから、その翌日から施行するということに極限するのは余りに窮屈ではありませんか。これは政府のためを思つて言うのですよ。併しあなたのほうでこれでいいのなら反対でもなんでもないが、併し法の運用について窮屈なことを除外するためにそういうふうに余裕を置いたほうがよくはないかということを申上げるだけで、これ以上質問することはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/16
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017・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それに私も連関して質問いたしたいのでございますが、この少年院法の第二十一条の規定は、先ほど政府委員からも説明ございましたように、もう何年間か、その間に何回か特例的な措置がされておりますのでございますが、それでこの二カ月間延長いたしまして、実際にそれだけの措置がとれるかどうかということは私も非常に心配しているのでございます。若し又延ばさなければならないというような問題が起るようでございましたら、ここを何とか二カ月を延長しても差支えないのじやないかというように考えておりますので、重ねて質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/17
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018・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) その点でございますが、ただ問題は代用鑑別所だけでございまして、あとは建物ができればもうそれでいいわけでございますから、その代用鑑別所のことにつきましてはもう私たちのほうもすつかりそういうつもりになつておりまして、もう何遍も会同いたしまして、関係者の間の打合せはできておりまして、もう切替になればそのときから、多少初めのうちは職員が不慣れだつたりなんかして多少困ると思いますが、これはいつでも切替えるときは仕方のないことで、十分できるつもりでございますから、どうぞ御安心願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/18
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019・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この代用鑑別所が、それではその期限が参りましたときには、確かに子供が移されますような御自信がございますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/19
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020・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) そういうつもりでありますが、ただ最初の間は家庭裁判所にもよく打合せいたしまして、できるだけ向うから、裁判所のほうからも本省のほうに来てもらいますとか、或いは在宅を多くしてもらいますとか、過渡期には多少そういうところで手加減をしなければならんと思いますが、併しいずれにいたしましてもやらなければなりませんし、私のほうではできるという自信を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/20
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021・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 建物や設備はそれで私も安心いたしますが、職員の組織はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/21
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022・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) これは大蔵省との了解がございまして、私どものほうで今度は看守の数を減らしまして、そのほうを鑑別所のほうに廻すことになつております、その数を……。それで今回の法律が通りまして二カ月延ばせるという見込みがつきましたら、すぐ今ございます欠員の範囲内において、この鑑別所のほうには多分予算が通過するだろうと思いますから、それで予算をもらつております定員の範囲内の職員を採用いたしまして、今から鑑別所につきまして、そのほうの手当をすることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/22
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023・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 その職員でございますが刑務所のほうの職員、看守をそちらのほうの職員に流用なさるというようなことがあるのでございますか。その点が特に聞きたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/23
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024・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) これは人物本位になりますが、原則といたしましては看守をそのまま廻すことは成るべく避けたいと思います。これは鑑別所は少年を扱いますので、多少手加減も違つて参りますし、なお最近ずつとその看守のほうの減員を見込みまして、新らしい職員の採用をストップしておりますから、相当欠員ができておりますので、その欠員をそのまま新らしい職員を採用するほうに振り向けることはできると思います。併し看守だつたから鑑別所に採用しないというような方針は特に表には出しませんが、若し本当に適当な職員があれば勿論これは看守からでも採用する。併し原則は今申上げたようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/24
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025・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 人物本位で、人物がよければ勿論看守の経歴のございますことも或る点では役に立つと思いますが、実際鑑別所を廻つて歩いて見まして、どうしても看守の人たちでやつておりますところは非常に私空気が悪いと思つております。子供たちに気の毒なように考えまして、却つて悪影響もあるのではないかと思うようなことさえもございますので、これはもう何とか特別にお考えを願いまして、看守はできるだけお採り下さいませんようなことを本体にして頂きたいとお願い申上げます。
それから引続きまして、今のことに連関しておりますけれども、家庭裁判所から送られますときに、家庭裁判所では、今度保護してやるよ、ここに来たら大丈夫だよというような意味で判事が鑑別所に送られるのでございましようが、そのときに非常に子供たちから申しますというと見当違いのような感じを受けるらしいのでございます。ということは、鑑別所が勿論必要な子供もございます。ああいう鍵をかけましたちよつと刑務所に似たような取扱いをしなければならない子供があることは私もよく存じておりますが、又中にはそれが非常なる逆効果を来しまして、子供たちが保護された過程を振返つて見まして、一番反感を持つておりますのはこの鑑別所の処置だということをよく申しております。でございますから止むを得ん者と或いは区別するようなことも、若しできますならそうして頂きたいと思いますけれども、旧少年院法時代の仮処分といつたような、仮委託といつたような、つまり子供の性格に応じまして家庭に返すこともよろしうございましようけれども、又いわゆる保護団体式なものを持ちまして、それぞれの子供の性格或いは職業に合いましたようなものに仮委託をするというようなことはどうかと思つておりますが、政府のお考えを聞かして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/25
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026・中尾文策
○政府委員(中尾文策君) 只今のお話の前半の職員の問題でございますが、これは私も同感でございまして、できるだけそういう御趣旨に従つて善処したいと思つております。
それから今の鑑別所に入りましてからのいろんな処遇の問題でございますが、何しろこれはまだいろいろ私たちのほうに、今頃になつてまだ過渡期なんと申しますというと非常に怠慢のようでございますが、まあ一遍にいろんな問題が出て参りましたので、最終的に鑑別所でどういうふうな処遇をやつたらいいかというまだはつきりしたレールに乗せるといつたようなところまで行つておりませんので、いろいろな点で悩みがございますが、併し何しろ少年のことでございますので、その扱いについては十分考慮しなければならんということは勿論考えております。ただ年令を引上げたりなんかいたしまして、相当凶暴な者が入つて参りますので、狭い設備の鑑別所の中でそういう者との間を区別しなければなりませんし、まあ大分そういう点でまだ理想に遠いものがございます。併し少年の処遇ということの特殊性を考えまして、勿論全部の場合に必要でないということは明らかでございますけれども、十分この点は検討して行くつもりでおります。現に毎年やつております鑑別所長の会同なんかでも始終問題が出ておりまして、私どものほうでもいろんな方法を研究しておるわけでございます。
それから仮処分という問題でございますが、これは裁判所側におきましても、最後の保護処分をする前に一時事前に委託なんかをしておるようなことは、これは相当最近広く活用しておるようでございます。これはアメリカなんかでは相当活溌にやつておりまして、少年院に入れる前に殆んど少年院まがいのようなことを政府が盛んにやつておりますが、これはやはり十分考慮してよい問題ではないかと思います。鑑別所に入れる前、或いは鑑別所に入りましてからでも、最終的に我々の機関でありますところの少年院に入れないで、まだ例のプロテクシヨンの時代にほかの機関に入れてよく指導するというような処置は、これは私必要なことだと思います。これはもつと活溌に将来拡げて行つていいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/26
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027・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この鑑別所の問題でございますからちよつと申上げてみたいのでございますが、全国的に私も大抵伺つておりますのでございますが、まあ二週間なり三週間なりあそこに入れておきまして、いわゆる鑑別の機関であるべきでありますが、どこに参りましても、鑑別の職員といい、機械といい、まだまだ十分整つておりませんで、甚だ悪い言葉を使えば、看板に偽りありといつたような感じで、大体調べてみますと、鑑別されます延時間は大抵四時間から五時間くらいで済むというような話でございますが、そういたしますと、全くあれは拘置監に入れられておりますような様子でございますので、非常に私も苦慮いたしております。そういう点も一つ、勿論予算措置が必要でございますので、お考え願うわけでございます。
それから今日は法務大臣もおいででございますから、一つお願いしておきたいと思いますが、それは矯正保護のほうの達人でいらつしやる中尾局長も今丁度お揃いのように思つておりますので、私はいつも憂えておりますことは、国会が始まつて以来まだ少年法、少年院法の一部改正その他が議案されない国会は恐らくございません。いつでもこの少年法が出て参ります。これは一体どういうことだろうかと考えますというと、これはそうちよこちよこつと手当をしなければならないという非常に物足らない事情にあるからではないので、そのことはつまり少年法、少年院法に対しますここに根本問題が残つておるからではないかというように私は結論付けるのであります。そこで根本問題といたしましては、制度の問題もございましようし、又この少年の手当というようなことにつきましての考え方の問題もありましようし、勿論予算措置もございますと思つておるのでございますが、これは一つ法務省、或いは検察庁、或いは家庭裁判所等の人たちと本当に畑を一緒にいたしまして、区別しないで、どうすれば一番少年法、少年院法について少しでも完全に近くなるかというようなことを目的にいたしました何かの措置を講じて頂きたいというようなことを近頃非常に考えますようなわけでございます。一つ法務大臣も保護の方面では特にお心を用いて頂いておりますし、専門の立場からなんとかこれは手を打つて頂きたいと思つております。これは私のお願いでございますが、又それにつきまして何らかのお答えが頂きますことがございましたら拝聽いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/27
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028・犬養健
○国務大臣(犬養健君) 只今のお話誠に御尤もでございまして、就任以来この少年に関するわが国の扱い方は、理念としては私が就任前に予期したよりも相当程度進んでおると思います。少年を扱うという理念については、素人の私はむしろ感服したくらいなのであります。理念が高いだけに、率直に申上げまして、これを扱う人間の気持がまだそこまでなじんでいないという欠陥があると思います。只今のいろいろの鑑別所のお話などもその一例だと思います。もう一つは、敗戦国で金がありませんので、その理念に副うだけの施設ができていないということ、この二つが現実の問題として認めなければならんと思います。そこで苦しい中に経費の上でいろいろやりくりをして、小しずつ小さい普請をたびたびやつておるという気味がございます。もう一つは、だんだん年月が経つにつれまして、これに従事する人がその理念になじんで来ますと同時に、それだけ一歩改革が進み得るということで、これも小さい普請がたびたび行われております。手前味噌を申すようで恐縮でありますが、中尾君のように献身的にそのことをやつてくれておる局長なんかを持つておることを私は仕合せに思つております。率直に欠陥を申上げますとその二つのことがあると思います。十分今後気を付けたいと思つておりますし、各方面の事実実際このことに身を捧げていらつしやるかたの御意見もできるだけ聞く機会を進んで作つておりますから、今後もいろいろの御注意等を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/28
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029・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 他に御質疑ございませんか。他に御質疑がない模様でありまするから質疑は終局したものと認めて直ちに討論採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/29
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030・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/30
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031・一松定吉
○一松定吉君 少年院法だけだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/31
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032・郡祐一
○委員長(郡祐一君) そうでございます。別に御発言もない模様でありまするから、討論は終局したものと認めて直ちに採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/32
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033・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 全員一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/33
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034・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 次に外国人登録法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。御質疑のおありのかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/34
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035・一松定吉
○一松定吉君 私はこの法律の趣旨について反対でも何でもないのでありますが、どうもこの改正の文句のところちつとわからないのですが、「外国人登録法の一部を改正する法律外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)の一部を次のように改正する。」その次の文句です。附則第一項但書中「昭和二十八年六月一日までの間」を「二年以内」に改める。これはどういうようになるのですか。この附則の第一項を見るとですね、一番の元は、「この法律施行の日から一年以内において政令で定める日から施行する。」それをこの間の緊急集会で「昭和二十八年六月一日までの間」にと、こういうふうに改まりましたね。その「二十八年六月一日までの間」と改まつたのを又これを今度「二年以内」と改めるというんでしよう。それならば「附則第一項但書中この法律施行の日から昭和二十八年六月一日までの間において政令で定める日から施行する。」とあるのを、今度「二年以内」と改めるならば、「二年以内」の下に「の間」がなければ意味をなさないように思うのです。だからして「この法律施行の日から二年以内の間において」というように「の間」がやはりこの「二年以内」の下に要るのではないのですか。それをとつておるけれども、それではこの意味がわからないようになるのだが、それはどうなるのですか。「二年以内」の下に「の間」が付かんと意味をなさないように思うのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/35
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036・鈴木一
○政府委員(鈴木一君) これは附則が改正されたものとして附則を読んでみますと、外国人登録法の附則の第一項はこういうふうになるのでございます。「この法律は、日本国との平和条約の最初の効力発生の日から施行する。但し、第十四条及び第十八条第一項第八号の規定は、この法律施行の日から二年以内において政令で定める日から施行する。」こういうことになるのでございまして、お尋ねの点は、この「六月一日までの間」という字がございますが、丁度これに当るのはこの「二年以内」の「内」というところに含まれるのではないかというふうに解釈いたされますので、これで差支えはないのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/36
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037・一松定吉
○一松定吉君 こちらは緊急集会で、「二十八年六月一日までの間において政令で定める日から施行する。」こうなんでしよう。緊急集会できめた「二十八年六月一日までの間において」ということを、「二年以内」に改める。そうすると、「この法律施行の日から二年以内において」と、こう行くのですか。「二年以内において政令で定める日から施行する。」、「間」は要らんのですか、「二年以内の間において」……。前の「六月一日までの間」は「の間」があつて、今度はこれを「二年以内」に改めるときに、「の間」は要らない、「この法律施行の日から二年以内において政令で定める日から施行する。」こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/37
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038・鈴木一
○政府委員(鈴木一君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/38
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039・一松定吉
○一松定吉君 それでわかればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/39
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040・亀田得治
○亀田得治君 先ほどの提案理由の説明の中に「その後この指紋押捺制度に関する一部外国人の誤解」こういうことが書かれておるのです。この一部外国人というのは、これは表を見ると随分たくさんあるようですが、どういう外国人ですか。
それからもう一つお尋ねしたいのは、これはもう一年経つたら実行するつもりでかかつておられたのか。若し実行するつもりでかかつておるとすれば、先ほどの説明から言いましても、相当具体的な啓蒙活動がなされておらなければならない。このままでずつと行けば随分対象が多いし複雑なんですから、再び又無理が来る、そういうことになろうと思うのです。そういうことは若し何も予想されていてこういう引延ばしをされるということであれば、むしろこれは法律の条文を廃止するのが本当じやないかと思いますね。その辺の一つ考え方なり、実際のそういうやつておられる状況、こういう点を少しこの際お聞きしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/40
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041・犬養健
○国務大臣(犬養健君) お答えいたします。一部外国人の誤解と申しましたのは、勿論五十四万に上る朝鮮人、韓国の人たちが一番この問題で神経質になつておることは事実でありますが、全部の朝鮮、韓国の人がこの問題で騒いでおるわけではなく、中には穏やかな態度で見ているかたもあり、又その他の外国人のかたでも日本に来て指紋を取られるのは怪しからんと思う人もありましようし、かたがた多くの外国人と書くのも少し表現として角が立つように思いましたので、こういうような字句を使つたようなわけであります。
それから第二の亀田さんの御指摘の点は御尤もでありまして、今の治安状況から申しますとこれは指紋を取らしてもらうことが一番安全なのであります。併し極く率直に申上げますけれども、治安の面ばかり取上げて考えるほかに、やはり日本に来ている人の多くには貿易をする人もありますし、又日本というものとの真剣な友好関係を以て来ている人もありますので、そういう心持を酌んで別の角度からも実は研究をいたしております。又指紋の取り方にも犯罪者扱いをするように、率直に言えば十本全部を捺すやり方もありますし、俗に言う拇印を捺すようなやり方もあります。そのほか写真の撮り方もイギリスのやつておりますように正面から撮るのと、横顔を撮るのとで以て、指紋を取るとやや同じような効果を狙つておるようなやり方もあるのであります。勿論原則としては指紋が一番治安上万全を期し得るという意味で指紋を取るということをもともと通り主題といたしてはおりますが、一遍言つたことだからそのほかのいろいろな研究材料は見向きもしないという態度はとつておりません。従つて一年後或いは更に今度一年延ばして、御賛成を得れば延ばして頂くのでありますが、そのときに起る問題も実は予測して、成るべくこれは早く解決したほうがよいと思いまして慎重に研究をいたしているのであります。その研究の対象となるのは、一番大きい問題は治安でありまして、治安状況が今よりも更に悪化いたしますと、或いは少し貿易関係等で来ている人の感情を悪くしてもあえて指紋を取るという制度を採用しなければならない。従つて日本の国内の治安情勢、国際関係から来る治安情勢及び国際親善といういろいろな角度から今これを十分慎重に考えているのでございます。まあ大体こういうような状況にございますから、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/41
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042・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 他に御質問ございませんか。……御質問がないようでありまするから、質疑は終局したものと認めて、直ちに討論、採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/42
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043・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御異見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述ベを願います。
別に御発言もないようでありまするから、討論は終結したものと認めて採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/43
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044・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
なお両案に賛成の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
一松 定吉 宮城タマヨ
木村篤太郎 楠見 義男
赤松 常子 亀田 得治
三橋八次郎 青木 一男
加藤 武徳 棚橋 小虎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/44
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045・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 又委員長の本会議における口頭報告の内容その他は、便宜委員長に御一任をお願いいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X00219530528/45
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