1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十日(金曜日)
午前十時四十四分開議
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議事日程 第十九号
昭和二十八年七月十日
午前十時開議
第一 国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第二 航空業務に関する日本国とオランダ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第三 航空業務に関する日本国とスウエーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第四 航空業務に関する日本国とノールウエーとの間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第五 航空業務に関する日本国とデンマークとの間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第六 航空業務に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第七 北海道防寒住宅建設等促進法案(衆議院提出)(委員長報告)
第八 産業労働者住宅資金融通法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第九 一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 昭和二十一年度における一般会計、帝国鉄道会計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一一 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一二 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一三 木船再保険法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/0
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001・河井彌八
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/1
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002・河井彌八
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約の批准について承認を求めるの件、
日程第二、航空業務に関する日本国とオランダ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、
日程第三、航空業務に関する日本国とスウエーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件、
日程第四、航空業務に関する日本国とノールウエーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、
日程第五、航空業務に関する日本国とデンマークとの間の協定の締結について承認を求めるの件、
日程第六、航空業務に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件、(いずれも衆議院送付)
以上六件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/2
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003・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/3
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004・佐藤尚武
○佐藤尚武君 只今議題となりました国際航空運送についてのある規定の統一に関する条約の批准について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
政府の説明によりますと、この条約は、国際航空運送のために使用する証券及び運送人の責任を統一的に規制することによつて、国際航空運送の円滑な発展を促進しようとするものでありまして、追加議定書と共に一九三三年に効力を発生いたしたものであります。我が国もこの条約に署名いたしましたが、当時の我が国における航空運送事業の実情に鑑みまして、批准は一応これを見合せていたのであります。然るに我が国は、平和条約署名の際の宣言において、平和条約の効力発生後一年以内にこの条約を批准する意思を明らかにいたしましたので、政府は、前国会にこの条約の批准について承認を求めましたところ、審議半ばにして衆議院は解散されたために、国会の承認を得ることができませんでした。従つて、政府は、本年三月二十四日付でこれを批准し、批准書寄託のために必要な手続をとつた上、国会に対しては事後に承認を求めることになつた次第でありまして戦後の我が国が、近く国際運送を開始しようとするときに当り、この条約に基く国際協力に参加することによつて、我が国航空運送の国際信用を高めると共に、我が国自身の利益をも増進したいというのが本件の趣旨であります。
条約は、前文、本文十一カ条、末文及び追加議定書から成つております。
内容について二、三御説明申上げますると、先ず運送証券とは、旅客切符、手荷物切符及び貨物の運送に際しての航空運送状の三種の証券のことを申します。又第二十条は、運送人の免責、責任免除でありますが、免責のための挙証責任について規定しております。更に第二十二条は、運送人の負う責任の金額的最高限を定めており、旅客一人に対しては十二万五千フラン、邦貨に換算して約三百六十五万円、託送手荷物及び貨物については一キログラム二百五十フラン、邦貨にして約七千三百円、旅客が保管する物品については、旅客一人について五千フラン、邦貨にして約十四万六千円を限度としております。
委員会は、六月三十日、七月三日、同九日の三日間に亘りまして審議を行いましたが、さしたる問題もなく、質疑、討論を経て、採決を行いましたところ、本件は承認すべきものと全会一致を以て決定いたしました。
以上御報告申上げます。
次に、只今議題となりました航空業務に関する日本国とオランダ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件。航空業務に関する日本国とスウエーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件。航空業務に関する日本国とノールウエーとの間の協定の締結について承認を求めるの件。航空業務に関する日本国とデンマークとの間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件。以上五件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を一括して御報告申上げます。
政府の説明によりますると、現在オランダ王国及びノールウエーの両、国は、日本国との平和条約第十二条(b)の規定に基き、又スウェーデン、デンマーク及びタイの三カ国は、暫定的免許に基いて、いずれも我が国に航空企業の一方的乗入れを行なつて来たのでありまするが、我が国は、かねてこれら各国との間に航空業務に関する協定締結の希望を有しておりました際、あたかも先方よりの申出がありましたので、交渉が進められた結果、オランダ王国との間の協定は、本年二月十七日、へーグにおいて、スウエーデンとの間の協定は、同じく二月二十日、ストックホルムにおいて、ノールウエーとの間の協定は、同じく二月二十三日、オスローにおいて、デンマークとの間の協定は、同じく二月二十六日、コペンハーゲンにおいて、タイとの間の協定は、同じく大月十九日、パソコツクにおいて、それぞれ署名されたのであります。而してオランダ、スウェーデン、ノールウエー及びデンマークとの間の四協定は、去る第十五国会において承認を求められたのでありますが、衆議院の解散のために審議未了となつたのでありまして、スウエーデン、デンマーク及びタイの航空企業に対する暫定的免許期限も本年七月十四日には満了いたす事情もありますので、タイとの間の協定も併せ、これら五協定の締結につき、速かに国会の承認を得て協定を実施に移したいというのが本五件の趣旨であります。
これらの協定は、いずれも前文、本文十九ヵ条、末文、附表及び附属交換公文から成つており、先に本院で承認を与えました日米間及び日英間の両航空協定と同一の目的を有しておりまして、その内容も大差ありません。即ち、いずれも両締約国の領域間及びそれを超えてその民間航空業務の開設運営を目的とし、附表において、各締約国の航空企業が航空業務を運営する路線を定め、双方平等の立場で運営開始の手続と運営の条件を定めておるものであります。ただ日米及び日英間の協定との相違点といたしましては、スウエーデン、ノールウエー及びデンマークとの間の三協定には、特にスカンデイナヴイア航空企業組織、いわゆるSASに関する交換公文が附属している点、又、タイとの間の協定には、輸送力検討のための統計表の提供に関する規定を欠き、又第十九条として、この協定が戦前の日タイ間の協定に代るべき旨が規定されている点等であります。
委員会は、六月三十日、七月三日、七日及び九日の四日に亘つて慎重審議を重ねました。質疑応答の主なるものは次の通りであります。
即ち、中田委員より「これらの協定は、日米間及び日英間の協定をモデルとしている由であるが、これらの協定には、我が国にとつて不利な点が含まれていないか」との質疑に対しましては、「実力上の不利はあり得るであろうが、法律上は何らそのような懸念はなく、各協定とも第八条の規定によつて、両締約国の航空企業は公平且つ均等な機会の下に業務を開設し運営することができることになつている」旨の答弁がございました。
次に、航空協定を実施するに際して、我が国における飛行場の設備が問題となるわけでありますが、この点に関する佐多、高良両委員の質疑に対しましては、講和発効後日本に返還されて国際空港として使用されているのは、羽田飛行場のみであつて、その他の飛行場は、日米合同委員会の決定によつて米軍の継続使用が認められ、日本側は共同使用を行つていること、而して、協定の附表にある大阪、福岡の両飛行場は、他日、日本側の管理に移された後は、国際空港として使用することとなつていること、又、東京国際空港、即ち羽田飛行場についてば、日本側の管理の下に米軍との共同使用が行われ、ここ当分の間、航空交通管制等数種の運営及び維持の責任が米軍に委任されていること等が答弁により明らかとなりました。
次に沖縄に関する交換公文について、佐多委員よりの質疑に対しては、「沖繩においては現在米国が、行政、立法、司法の三権を行使しているので、我が国が沖繩との間に路線を開設するときは、米国の許可を要する」旨の答弁がありました。
又、梶原委員より、今後我が国が同様の航空協定を締結する相手国につき、又我が国の国際航空計画につき説明を求めましたところ、「協定締結の相手国としては、ビルマ、インド、パキスタン及び南米のブラジル、アルゼンチン、ペルーが考慮されており、又航空計画としては、十一月一日から「東京・ハワイ・サンフランシスコ間及び東京・沖縄間の二路線を予定し、更に東京・沖縄間を台北まで延ばし、別に東京・香港・バンコツク間の路線が予定されている」旨の答弁がございました。なお、外国航空企業に対して、旅客、貨物の運賃として我が国が支払う外貨の概算は、昭和二十七年一月より同十二月までの間に約二百二十六万ドルが支払われていることが明らかとなりました。その他詳細は速記録に譲りたいと存じます。
かくして質疑を終了し、討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て、右の五件はいずれも承認すべきものと決定いたした次第でございます。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/4
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005・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより六件の採決をいたします。六件全部を問題に供します。委員長報告の通り六件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/5
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006・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて六件は全会一致を以て承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/6
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007・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第七、北海道防寒住宅建設等促進法案、(衆議院提出)
日程第八、産業労働者住宅資金融届法案、(内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/7
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008・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長石川清一君。
〔石川清一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/8
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009・石川清一
○石川清一君 只今議題となりました産業労働者住宅資金融通法案につきまして、建設委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず本法律案の提案の理由及び要旨について申上げます。御承知のごとく、我が国現在の住宅難は極めて深刻でありまして、これが解決は焦眉の問題となつているのであります。特に、経済再建の原動力となつている勤労者におきましては、その住宅不足数は百十九万戸と推計され、国民一般の不足率より遥かに高い率を示し、これらの人々の生活安定は勿論、勤労能率に対しましても、重大な影響を与えている現状から、これが対策を強く要望されている次第であります。本法案は、従来から実施しております公営住宅及び住宅金融公庫融資住宅の施策から、更に一歩を踏み出したものでありまして、その主要な点を申上げますと、第一は、官公営を除く生産、販売、運送その他の事業を営む常時五人以上の従業員を使用する事業者が、その使用する労働者に対して住宅を建設しようとする場合、及び会社その他の法人が、これらの事業者に代つて労働者のために住宅を建設しようとする場合、その建設に必要な資金の全額を調達することが困難であるものに対して、国は、住宅金融公庫を通じて長期低利資金を融通することにいたしております。第二は、貸付の条件でありますが、貸付金の限度は、耐火構造及び簡易耐火構造については標準建設費の六割、木造については五割五分、利率についてはいずれも年六分五厘、償還期間については、耐火構造三十五年、簡易耐火構造二十五年、木造十八年以内とし、住宅の床面積等については住宅金融公庫法を準用いたしております。第三は、貸付を受けるものの選定は住宅金融公庫が行うこととし、この場合は、その事業者を管轄する都道府県労働基準局の意見を参酌することにいたしております。本法案は、六月二十三日に本委員会に予備付託になり、七月四日本付託され、慎重に審議して参つたのであります。
次に、質疑の主なる点について申上げます。第一に、貸付が大規模経営の事業者にのみ流れ、住宅を最も必要とする中小企業関係に行き渡らないという懸念はないか、貸付に当つて具体的にどのような条件を必要とするかという点でありますが、これについては「大資本ばかりを対象とするものではなく、住宅の建設を必要とし、且つその資金が十分でないものに対しては、平等に取扱う。又貸付を受ける資格、条件等については、公庫の業務方法書の中に、十分立法の趣旨を汲んで規定する考えである」との答弁がありました。第二に、この法律の適用が、極めて広範囲なあらゆる事業体の労働者の住宅に亘つており、選定の最も肝腎な点が運営に任せられているのであるから、これを規正する意味から、建設省設置法にある住宅対策審議会に直結する考えはないかという点でありますが、これについては、「住宅対策審議会委員に、新たに五名以上の労働者側代表を補充し、このための特別部会を設けて万全を期したい」との答弁がありました。このほか地方公共団体の援助の範囲、土地の取得に対する措置、耐火構造と木造との建設比率等に関して、慎重な質疑が行われたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知を願います。
かくて質疑を打切り、討論を省略して、採決に入りましたところ、全会一致、衆議院修正原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に、北海道防寒住宅建設等促進法案について御報告申上げます。
本法案の提出の理由は、北海道における寒冷の甚だしい自然条件にあつて、従来の粗末な木造住宅は、一冬の採暖燃料が石炭でミトン以上、薪の場合は住宅一戸分に相当する木材を要する状況であり、従つて火災が多く、凍上積雪のために耐用年数が内地に比較して著しく低い実情であります。一方、これを改善するために不燃防寒構造とするためには、比較的低廉なブロツク造資材を造るに恵まれておりますので、木造と大差のない価格で、防寒簡易耐火構造住宅を建設することができ、燃料費の節約等を考えれば却つて経済的であると言われております。本案は、防寒住宅の建設、防寒改修によつて、北海道の気象に適した居住条件を改善し、以て北海道の開発に寄与すると共に、火災その他の災害の防止及び木材の消費節約に資するというにあります。
法案の要旨は、その一は、防寒住宅の建設若しくは防寒改修又はこれらに関する試験研究、その普及事業に対する国の助成に関するものであり、その二は、北海道に対する住宅金融公庫の融資は、防寒住宅であり、且つ簡易耐火構造若しくは耐火構造のものに限ると共に、償還期間は、簡易耐火構造を三十年以内に延長しておるということであり、その三は、今回新たに設けられた産業労働者住宅資金融通についても同様の措置を講じておるのであります。
委員会は、本案については、提案者建設省当局との間に慎重なる審議をいたしたのでありますが、詳細は会議録によつて御承知を願います。
質疑の主なるものとしては、一、北海道の寒冷な自然的条件と一部東北地方におけるものとの比較、二、本案の対象を北海道に限らず、自然的条件、建設資材入手について同じような地方にも及ぼすことの当否、三、住宅金融公庫の融資を特に防寒住宅に限る理由四、国、地方公共団体が建設する住宅は防寒住宅とするよう努めねばならぬと規定するにとどまる理由等でありました。これらの諸点につきまして、提案者及び建設省当局からは、「本案は必ずしも北海道に限定する趣旨でなく、北海道総合開発に関する特別法の下でこれが実現を図る一環の施策であること、北海道は防寒建築資材の取得がたやすく、従つて木造住宅を融資対象から除く受入態勢が十分にある」との答弁と共に、木造と簡易耐火構造との建築費、公庫融資額及び月償還額、これに燃料費の節約を加えるときは、防寒住宅が却つて経済的であることを数字的に説明がありました。又、国、地方公共団体が建設する住宅を防寒住宅に限ると規定しない理由は、「住民投票を必要とする法制上の理由にほかならぬ」との答弁がありました。更に、以上の諸点のうちでも、自然的条件を同じくする内地の一部地域に対して、本法案のような防寒住宅の融資については、公庫法の改正等により実現を図るべきこと、又、北海道において国の建設する住宅は、公庫融資住宅を防寒構造に限る以上、当然防寒住宅とすべきであると、小笠原委員から特に提案者及び建設省当局の意見が質され、それぞれその実現に努力する旨の答弁がありました。最後に田中委員から、「本案のような特定の地域を対象とする立法は研究の余地あり、一般的立法によつて実現を図るべきである。又、他の地域を対象として本案のような提案をする際には、必ず一般法とすべきである」との発言があり、これに対して、「特別立法は好ましからず、本案は北海道の総合開発に資せんとするものであるが、北海道に対しては、河川、道路等についても従来から特段の助成が行われておることに鑑み、提案されたものであること、又財政が許せば、立法若しくは行政措置によつて一般的な形で実現を図ることに努力する」旨の応答がありました。
かくて質疑を終り、討論に入り、次いで採決の結果、全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/9
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010・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/10
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011・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可一決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/11
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012・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第九、一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案、
日程第十、昭和二十一年度における一般会計、帝国鉄道会計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案、
日程第十一、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案、
日程第十二、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/12
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013・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。
〔大矢半次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/13
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014・大矢半次郎
○大矢半次郎君 只今議題となりました四つの法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案について申上げます。御承知のごとく、緊要物資輸入基金特別会計は、一般会計から繰入れました二十五億円の緊要物資輸入基金を以て、国際的取きめによつて我が国に割当てられた稀少物資の取得及び売払を行なつて参つたのでありますが、本案は、その最近の運用の実情に鑑みまして、昭和二十八年度において一般会計の歳出の財源に充てるために、この基金から十五億円を限り一般会計に繰入れることとすると共に、将来情勢の変化によつて政府輸入を必要とする事態が増大し、基金の現金に不足を来たした場合には、この会計の負担において、一時借入金をなし又は融通証券を発行することによりて補足することができる制度を設けようとするものであります。なお、この一時借入金及び融通証券の限度額は、予算を以て国会の議決を要することとし、その償還期限を一年以内とすると共に、起債及び償還事務は大蔵大臣が行うこととしようとするものであります。
委員会の審議における質疑の主なるものを申上げますと、小林委員より、「本案によると、一時借入金をし又は融通証券を発行できることとなつているが、一時借入金と融通証券とを殊更に列記している理由如何」との質疑がありましたが、これに対しては、「特別会計の例文的規定を踏襲したのであつて、主として借入金によることとなると考える」との答弁があつたのであります。これについて小林委員より、「この融通証券のような必要性の乏しいものは、たとえ例文的なものであるとしても、今後検討の上、取止められたい」との要望が述べられたのであります。その他詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。次に、昭和二十一年度における一般会計、帝国鉄道会計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。政府は、昭和二十一年度において終戦処理費の財源に充てるため及びその他の経費支弁のために、昭和二十一年法律第五十五号及び昭和二十二年法律第十号に基いて、一般会計、旧帝国鉄道会計及び旧通信事業特別会計に借入金をしたのでありますが、その借入金の現在高は、一般会計において百五十一億七千八十六万円、郵政事業特別会計において五億六千三百七十四万円となつております。而してその償還期限は、昭和二十五年法律第六号によつて昭和二十七年度末まで延期されていたのでありますが、昭和二十八年法律第二十四号によつて、その償還期限を昭和二十八年六月一日まで延期し、更に、今国会において、先般成立いたしました昭和二十八年法律第三十九号によつて昭和二十八年八月一日まで延期されているものであります。本案は、国家財政の現状等に鑑みまして、この償還期限を更に昭和三十一年度末まで延期することとし、この間において必要がありますときは、借入金の全部又は一部を公債に借換えることができることとし、その利率、償還期限等は大蔵省令で定めることとしようとするものであります。
委員会の審議における主なる質疑を申上げますれば、借入金の償還計画についての質疑に対して、「一般会計が終戦処理費の財源として借入れた百億円は、連合国軍の宿舎等の建設に充てられたのであるが、当初は宿舎等が不要となつた場合に処分して償還する予定であつたが、現在のところでは公債に借り換える等の措置によつて逐次償還を図る考えである。旧帝国鉄道会計が借入れた四十二億四百六十万円は、昭和二十四年に日本国有鉄道が設立ざれた際、一般会計に承継され、日本国有鉄道は同額の債務を政府に対して負つていることとなつているが、旧帝国鉄道会計から承継した公債借入金等が一千四十六億円あり、且つ日本国有鉄道設立後の資金運用部からの借入金四百六十億円がある等の現状からして、将来、運賃構成等を検討し、償還できるようにしたい。なお、旧通信事業特別会計の借入金十五億三千万円のうち、郵政事業特別会計の承継した五億六千三百七十四万円の償還は、終戦処理費の償還と同様な方法を考えているが、一般会計が承継し、現在日本電信電話公社の政府に対する債務となつている九億六千六百二十六万円については、同公社から償還がなければ償還できないこととなる」との答弁がありました。なお詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について申上げます。
現行の造幣局特別会計法によりますと、造幣局特別会計に補助貨幣回収準備資金を置き、政府が補助貨幣を発行した場合は、その回収準備に充てるため、発行価額に相当する金額をこの回収準備資金に編入することとし、又、固定資産の拡張及び改良に必要な金額及び補助貨幣の製造に必要な経費につきましては、一般会計から繰入金をすることとなつているのであります。本案は、補助貨幣回収準備資金の状況及び一般会計の財源の必要に鑑みまして、昭和二十八年度からこれらの一般会計からの繰入金を取止め、回収準備資金から賄うこととし、一般会計へ納付することとなつております毎会計年度の決算上の利益金等を回収準備資金に編入又は繰入れることとする等の改正をしようとするものでありまして、なお、これに伴い規定の整備を図ろうとするものであります。
委員会における審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案について申上げます。
本案は、国債の元金償還については、これまで国債整理基金特別会計法等の規定により、前年度初めの国債総額の万分の百十六の三分の一を、一般会計又は特別会計から国債整理基金特別会計に繰入れるほか、財政法第六条の規定によりまして、歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一以上を繰入れることとなつておつたのでありますが、昭和二十八年度におきましては、一般会計からの繰入れは財政法の規定による繰入れのみにとどめることといたそうとするのであります。又、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が旧特別会計当時負担していた公債及び借入金は、公社発足の際、一般会計の負担に帰属し、公社は同額の債務を政府に対し負担することになつたのでありますが、公社がその債務の元金及び利子を政府に支払う場合においては、これを国債整理基金特別会計に直接納付することといたそうとするのであります。
本案審議の詳細は速記録によつて御承知願います。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/14
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015・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/15
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016・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて四案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/16
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017・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第十二、木船再保険法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長前田穰君。
〔前田穰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/17
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018・前田穰
○前田穰君 只今議題になりました木船再保険法案の運輸委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
この法律案の要旨は、木船相互保険組合法によつて同組合が組合員に対して負う保険責任を国が再保険し、以て組合の健全な経営を確保し、延いて木船運送の健全化を図ろうとするものであります。木船運送は我が国の国内輸送上重要な地位を占めるものでありますが、概して弱小企業でありまして、いわゆる一杯船主が多いのであります。而も木船は鋼船に比較いたしまして危険率が高く、従つて保険料も高いので、普通常利保険の対象としては不適当なのでありまするが、昭和二十五年以来、船主相互保険組合の形態で保険が行われて参りましたので、これに対しまする再保険の機関がないため、その基礎が弱く、木船の船主経済の安定を図るのに不十分であつたのであります。そこで、政府で今年八月一日よりこれを再保険し、組合の健全な経営を確保しようとするものであります。
この概要は、組合と組合員との間に保険関係が成立しましたときは、政府と組合との再保険関係も自動的に成立するものといたしまして、再保険金額は保険金額の百分の七十といたしております。又、再保険料率は、組合の保険料率に一定の割合を乗じたるものとしておるのでありまするが、その割合は、純保険料が総体の保険料中に占める割合が基準となつておるのであります。なお、この政府の再保険事業の事務費は一般会計が負担することにいたしております。
質疑に入りましたところ、一委員から、木船保険につき国が再保険を行うことにより、木船は抵当物件としての価値を持つに至るのであるが、一歩進めて金融の途を開く方法について質疑を行いましたところ、政府委員より、木船金融促進について種々答弁がありました。なお、本法案に関連いたしまして、木船相互保険組合への加入資格、同組合の行う保険の目的等につきましても熱心なる質疑が行われたのでありますが、詳細は速記録に譲りたいと存じます。
討論の後、採決に入りましたところ、本法案は原案通り決定すべものと全会一致を以て決定いたしました。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/18
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019・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/19
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020・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十一分散会
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○本日の会議に付した事件
一、日程第一 国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約の批准について承認を求めるの件
一、日程第二 航空業務に関する日本国とオランダ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第三 航空業務に関する日本国とスウエーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第四 航空業務に関する日本国とノルウエーとの間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第五 航空業務に関する日本国とデンマークとの間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第六 航空業務に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第七 北海道防寒住宅建設等促進法案
一、日程第八 産業労働者住宅資金融通法案
一、日程第九 一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案
一、日程第十 昭和二十一年度における一般会計、帝国鉄道会計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第十一 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案
一、日程第十二 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案
一、日程第十三 木船再保険法案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615254X02019530710/20
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