1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十一月二日(月曜日)
午前十一時三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
上原 正吉君
竹下 豐次君
委員
井上 知治君
白波瀬米吉君
成瀬 幡治君
松本治一郎君
天田 勝正君
松原 一彦君
野本 品吉君
政府委員
建設政務次官 南 好雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
説明員
行政管理庁監察
部長 山中 徳二君
行政管理庁監察
参事官 柳下 昌男君
行政管理庁監察
参事官 山口 酉君
建設省大臣官房
文書課長 水野 岑君
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本日の会議に付した事件
○行政機構の整備等に関する調査の件
(行政監察の実情に関する件)
○建設省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/0
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。
行政機構の整備等に関する調査を議題といたします。行政管理庁山中監察部長より説明を受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/1
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002・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 先般の国会で行政監察に関します庁法の改正を御承認頂きましたわけでございますが、庁法改正後におきましては私ども監察部内の職員は一段と勇気と責任とを感じまして、早速設置法改正の趣旨に副います監察実施の要領について部内に徹底いたしますと同時に、本委員会等におきまして御注意乃至御鞭撻を受けました事項の線に副いますよう折角一層の勉強と努力を続けておるつもりでございます。本日私どもの仕事の概要について御説明を申上げる機会を与えられまして、誠に有難く存じておるのでございますが、私どもの監察部が現在までに実施いたしております項目はかなり多いのでございますが、本日その一々につきまして御披露申上げますのも却つて如何かということでございますので、本日はそのうち私どものは目下重点的な監察項目として実施の途上でございます、従いまして監察に関する最終的な或いはとりまとめておりますような所見というものがまだ出ていないのでございますけれども、監察の重点として実施いたしております関係でありますので、それを御披露申上げたほうが適当と考えまして、西日本の災害状況に対して監察を実施いたしております。それから国鉄の業務の一部、主として財産管理の面に対して実施しております問題とを御披露申上げたいと思うのでありますが、この二つの監察項目につきましては、私どもが重点として実施いたしておりますばかりでございませんで、申し落しましたのでございますが、先般の国会におきまして本委員会からもこの二つの問題については監察の題目として取上げたら如何であろうかという御慫慂も受けました事項でございますので、かたがたこの項目について御報告申上げたいと思いますが、その両項目に入ります前に、只今までに実施いたしました項目の極くあらつぽい項目を申上げまするというと、一つの仲間といたしましては、農林省、建設省関係の災害復旧事業、及び両省のそれぞれの改良補助事業、或いは地盤変動対策事業というような一連の公共事業関係の項目を監察いたしております。次に六三制文教施設の整備状況、結核予防行政、開拓事業、病害虫防除行政、林道施設、国有林払下、科学技術研究補助、建設及び農業の機械運営の、機械をどういうふうに運営しておるかという機械運営の状況、海上保安庁その他各庁の調達業務等補助行政、その他国費の多額に使用しております行政について実施いたしております。
又次のグループといたしましては失業対策行政、通運行政、郵便物運送業務、遺家族援護行政、アルコール専売事業、輸出振興、外貨制度というように多岐に亙つておりますが、行政運営の適正化を図るという点に重点を置いて取り上げておる項目でございます。
それからその次といたしましては、電々公社の電話施設建設工事及び今回の国鉄に関する調査というように、公共企業体の調査を取り上げております。なお次の監察に備え、又行政機構の整備の問題等の調査資料を集めます意味合いにおきまして、国の出先機関の行政の運営状況、定員外常勤職員の状況、港湾行政というように、行政運営の実態を把握するという面につきましても業務を進めておるのでございます。
このような項目はいろいろ中には、非常に大がかりに実施いたしておりますのと、テスト調査式に実施いたしておりますものとをとりまぜて申上げたのでございますが、現在まで約四十九項目を実施いたしておるのでございますが、重点といたしましては、現在の行政運営の実情に鑑みまして、国費の効率的使用と、国損の防止という点に重点を置いて監察をいたしておりますし、先ほど申上げましたように、現在実施いたしておりますものといたしましては、国鉄並びに西日本の災害に対する監察に重点を置いているのでございます。
なお庁法改正を機会といたしまして私どもの行政部内の監察実施に対しまして、関係の各行政機関の協力は一段と積極的になりましたことを、非常に仕事の運営上都合よく感じているのでございます。勧告いたしました事項に対しましては、各省庁よりそれぞれ文書を以て回答を得ている次第でございます。なお私どもといたしましては、文書による回答だけでは最終的に勧告乃至監察のすべての成果が上つたということの結論を出すのは如何かと存じておりますので、これら既往におきまして実施いたしました監察につきましても、地方局その他を使いましてその通り改められているかどうかというような点につきまして、時々調査をいたしておりますようなふうにいたしております。なお地方局その他は私どもの監察の活動の機能といたしまして、前回も御説明申上げました地方局が取扱つております現地の行政運営の実情に関する報告、便宜的に情報活動と呼んでおりますが、これは毎月三百数十件に上つておりまして、これらの事項中不当な事案と認めました事項につきましては、関係各省に連絡をいたしまして、その都度是正さす、或いは注意を喚起するということにいたしておりますし、又類型的な事案の非常にに多いのもにつきましては、次回の監察項目といたしまして取上げるというふうにいたしているのでございます。
ごくあらましの概況は以上の通りでございますが、それでは早速その重点の一つであります災害監察に関する御報告をさせて頂きたいと思います。主任の柳下参事官より詳細に御報告を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/2
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003・柳下昌男
○説明員(柳下昌男君) 災害復旧事業の監察の御報告を申上げます。
災害復旧事業につきましては、過年度災害につきましては各地方監察局を使いまして、土木災の監察をいたしております。特に当年災につきましては主として西日本及び和歌山災害につきましてこれは土木、農林、文教施設、これらの災害復旧事業の監察を実施いたしているものであります。これらの監察は第三四半期から実施いたしましたので、その結果につきましてはまだ御報告を申上げる段階に至つておらないのでございます。併しながらこの当年災の監察につきましては監察の準備段階といたしまして、監察の方法及び監察項目の焦点を明らかにする意味におきまして、準備監察を福岡、熊本、佐賀、大分の九州の四県で九月末に実施いたしましたので、その概況を御報告を申上げたいと存じます。
先ず当年災につきましては、災害査定の状況について見たのでございますが、これは建設省農林省、両省は非常なる、異常な災害に対して迅速、適正な査定を実施するために、査定官を総動員して非常に努力しているということが十分窺えるのでございます。この四県につきまして各省の査定状況につきましてやや詳細に御報告を申上げます。
先ず建設省が主でございます土木関係でございますが、これは一県に対して二班乃至四班、十一日乃至二十五日という日を要して査定をしておりますが、この査定に当つて現地を見る査定と、机上でする査定がございます。従来机上査定が相当の率を占めていて、それがいろいろ不正確な査定の原因をなしたように思いますが、今回その率をとつて見ますると、机上査定が個所数にしまして一九%、金額にいたしまして七%ほどの机上査定がありました。これは従来に比べて非常に率が減つたように思います。そしてその査定の結果、どの程度各申請に対して査定されたかと申しますと、個所数にいたしまして九一%、金額にいたして七六%の査定をいたしております。比較的この査定が現地においてされました一つの原因は、従来は査定を短時日に全部いたしたのでございますが、今回は特に建設省は緊急事業のみをとらえまして、この四県につきましては約半数の査定をいたしておりまして、二つに分けて査定したということが比較的現地査定が殖えた原因だと思います。併しながら非常な件数の災害でございますので、一人の査定官が一日に平均いたしますと三十六件程度の査定をいたしておりまして、金額にいたしますと約六千万円ほどの査定をいたすのでございます。ここに相当な無理があるように思います。
それから農業関係でございますが、これが大分様子が変りまして、これは全部の査定を短時日の間にいたしております。そのため九州以外の地区からも検査官を動員いたしまして、一県六乃至九班を編成いたしておりますが、件数の多いことと、期間が短かつたために机上査定が非常に殖えておりまして、個所数で申しますと八三%が机上査定、金額にいたしますと四三%が机上査定になつております。そうしてその査定した結果、申請に対して査定の割合が、農地については個所数で約九〇%、農業施設については九一%、金額で申しますと六四%を査定いたしておる状況でございます。
林野庁の関係につきましては、これは机上査定がずつと殖えまして、むしろ机上査定を建前にして、十分検討しなければならんものだけを現地査定をしておるという結果から、まだこれは済んでいない部分がございますが恐らく八〇%乃至九〇%程度は机上査定になるものと思います。
文教施設につきましては、これも非常に査定が遅れておりまして、殊に今年度この災害の立法化がされたという関係で、十分その態勢が整つていないために、監察いたした当時におきましては、やはり机上査定が八〇乃至九〇%くらいの程度と思われるのでございます。こういうふうな状況でございますので、やはり監察した結果にはいろいろ不備な点が出ているように思います。
この四県につきましては、災害個所数はこれはまだ未査定の分がありましてはつきりわかりませんが、県の調査によりますと三万から四万をちよつと或いは越すかも知れないという程度でございまして、金額から申しますと四百七十五億という程度になつております。このうちこれは極く抽出検査をしたのでございますが、二百八十四個所の災害個所を監察いたしましたその結果を御報告申上げたいと思うのでございます。
この二百八十四個所の中でいろいろの問題が起きておりますが、なお検討を要しなければならんと思うものを全体に申しますと百二十七個所、四五%出て来ておりまして、その内訳を申上げますと、先ず事業費を減額しなければならんと、思われるもの、これが一番問題のものでございまして、それが六十六個所、二三%出て来ております。金額にいたしまして一億七千六百万円になります。中には増額を要するものもございますが、これは僅か四個所でございます。そのほか五十七個所、丁度二〇%に当りますが、これは更に検討調整をしなければならんというような種類のものでございます。
その内容は、初めに申しましたのは明かに減額すべきものでございますが、今申しますのは減額が或いは可能ではなかろうかというものでございます。それから実施設計がこれでは修正しなければならんと思われるもの、なお法規上は一応認められるのではありますが、他事業との関係で検討を要すべきではなかろうかと思うもの等でございます。一番問題になります六十六個所の減額を要するものがどんな工合になつているのかということを申上げますと、やはりこういう個所は現地査定をしたものと、机上査定をしたものとを比べてみますと非常に机上査定の部分に多く発見されております。その率を申上げますと、現地査定をしたものは二百十三件見て三十九件、こういうものが出ておりまして一八%でございますが、机上査定をしたものは三十七件見まして十四件、三八%発見されておりまして、この机上査定分につきましては特に再検討の必要があるのじやなかろうかということを痛感いたしました。更にこれらの原因がそれではどこにあるかということを概略申上げますと、一番多いものはやはり計画が過大に設計されているもの、これが六十六件のうち四十件出ております。次に多いのは重複査定でございまして、これは省が違つていたり何かしたような関係で、相互の事業が連絡不十分というようなことから起きる重複査定が十件ございます。それからやはり普通言われる便乗、これが九件出ておりまして、そのほか単価歩どまりが不当であつたもの、或いは他の事業の関係から不適当なもの、災害復旧事業としては採択しがたいもの、こういうものが二件或いは一件出ておる次第でございまして、これらの事例につきましては、又時間がありましたらば後刻御説明申上げたいと思いますが、こういうような傾向がつかめましたので、目下この傾向を十分地方の監察局に指示いたしまして、できるだけ広範囲に監察を今目下実施している途中にあるわけでございます。これはいわゆる災害査定の減額できる点につきましての御説明を申上げたのでございますが、その他いろいろの問題がありまして、その点を若干申上げたいと思います。
その第一は、各省庁間に相当相互調整をしなければならんじやないかというものが随分多く現われておりまして、これらのうち特に多いもの或いは顕著なものを二、三拾つて御説明申しますと、その中で多いのはやはり重複申請という問題が多いのでございまして、具体的に申しますと、河川を横断している橋梁だとか或いは農業用水の井堰というようなものの袖、護岸というようなものと河川の護岸、その重複面、これが随分重複査定されているものの多い例でございます。又今回の災害につきましては排土作業が相当ございますが、この排土作業のうち農地復旧の排土とそれから河川の堤防の築堤の用土がこれが両方の事業に一つのものが査定されておる。いわゆる結果的には重複するというようなことの、連絡が十分とれていないものが相当見られるのであります。なおこれは特に学校の排土につきましては、これは文部省と建設省に、これは法規の遅れた関係もございますが、両省に申請されているので、これは今後調整しなければならないものでございます。又農林省と建設省の工事につきましては、土取場、土捨場が別々に考えられる関係から、同一個所を計画しておりまして、作業が不可能な面が出ておりますし、又建設省の河川関係で流路変更をして様子が変る、大分河状が変るわけでございますが、農地災をそれに無関係で採択しているというようなものがございます。
なお個々の問題ではございますが、門司市につきましては林務の、或いは御承知の通りうしろの山の崩壊が非常な災害の百原因をなしておりますが、この復旧に当りまして河川の砂防と農林の林務作業と、この間に一方林務につきましては四億五千万円ほどの計画をいたし、河川については六億程度の計画もございますが、その境界にやや重複したところもあり、今後調整をしなければならない問題だと思います。又門司につきましてこれは今度の災害のために建築制限地ができまして大分移転をしなければならない関係から、農地の一部を土地区画整理予定地にしているのでございますが、その個所に約九カ所農地災害が採択されている。こういうふうに、各省によほど調整を要する問題が多々あると思います。
それからなお、これは各省の問題ではございませんが、災害復旧事業とそれから改良改修の事業とがこれが重なり合つて十分調整をしなければならない点が各所に出ているのでございましてその一つといたしましては、災害復旧は御承知の通り原形復旧を原則といたしておりますが、それが改良事業に関連している場合には、合併施行をせられるのが普通なんでございますが、成る場合は、いわゆる災害復旧の超過工事としてこれが災害復旧で行われるという場合もあるわけで、その限界が非常にはつきりしていない点がありまして、具体的に申しますと、或る堤防が、一キロほど堤防でございますが、二個所ほど決壊しておりまして、これを全面的に復旧する、堤防を復旧するわけでございます。ところがそれは一応別に河川改修計画がございまして、その堤防は将来引堤をしてうしろへ下げる堤防なのでございます。恐らくこの事業は、災害復旧で金額をきめましたら将来改修事業と合併施行になるというものだろうと思います。こういう場合には、恐らく決壊個所だけの応急復旧だけをして、とにかく改修までを持ちこたえるというふうにすべきではないかと考えられるのでございます。殊によく出て来る問題は、橋梁の幅員を災害の際に拡げる場合でございまして、これは道路の幅員よりも橋梁のほうが原形が狭つた。ところがこれが流された場合に、この際道路の幅員まで幅を拡げてしまう。これが改良と災害復旧との合併施行ということでやられる場合もございますれば、いわゆる原形復旧が不適当であるという見地から、災害復旧で超過工事として全部やられる、こういう場合がございまして、ここらの点に十分考えなければならない点があると考えます。又今度の災害では相当基本的な用水或いは井堰が破壊されておりまして、それに関連して実施しております土地改良事業がございますが、こういうものは別々な事業のために、依然として続行されているわけでございますが、この際一時土地改良事業を中止して、むしろこういうものは災害復旧に重点を置くべきじやないか、これが両方併行的に行われても、事は余り面白くないと、こういうふうに考えます。
それから非常に困る問題は、いろいろこの公共事業の工事中に起きる災害でございまして、この中でも特に繰り上げて工事をしているものが災害にあつても、現在の災害査定の状況を見ますると、一応竣工している部分につきましては、災害を認めておるような状況がございますが、こういう場合は、どれだけ出来高があつたのか又その竣工という意味が非常に不明確でございまして、そこらについて一つ明確に基準を示さなければならないのではないかということを痛感いたしました。これが災害と他事業との間の調整を要する問題だと考えておるわけであります。
その他更に基本的な問題になるかとも思いますが、いろいろ改善を要する問題があるようでございます。その一つは現在災害査定をいたしますときに、材料とか或いは労働力の一種の単価、歩がかりというものを一応各県できめておりますが、これらが事業によりまして非常に労力費等の単価と違いまして、或る事業につきましては非常に無理なものもあるようでございますが、そのために、土工等の運搬距離というものは、それを調整する意味で、実際よりも非常に違つた過大なものが組まれておるものが各地に見受けられるのでありまして、これらにつきましては、むしろやり方についてよほど改めなければならんものだろうと思います。
先ほども申しましたが、今回の災害で排土事業というものが非常に大きく浮び上つておりますが、これはほかの事業と違いまして、もうすでに熊本市のごときは三分の二ほど済んでおります。而もその事業は非常に緊急に或いは請負、或いは直営或いは町内受持ちというようないろいろな方法でやられておりますので、この際よほど監督を厳粛にして、中間検査等を各省でやつて頂く必要があるだろうと思います。又初めの査定と比べますと、若干事業量が少いようでございますが、併しあとからまだ出て来るものもありますので、こういうものにつきましてはいわゆる打切り時期というものをきめないと、なかなか片が付かないのではなかろうかというような点に問題があるようでございます。
殊にこの災害の監察でいろいろの問題が多く出ますのは、町村営の小事業に最も多いのでございまして、これは殆んど若干は改良が加味されておるように思われます。例えば空石績のものは練石積にし、練石積のものはコンクリートにする。又簡易構造のものは永久構造にする。これは確かに原形復旧は広い意味で見れば不適当であるということも考えられますが、いわゆる原形復旧を原則としておる以上は、こういうものについてどうすべきかということをよほど締めてかかる必要があるのではなかろうかということを痛感いたします。又非常に数の多い事業でございますので、こういうものの監督態勢を厳にして、事業が終つてからよりも、事前に起らないようにする態勢ということを考えなければならないと思います。
それから今回の災害は非常に河川関係で根本的な改修を要するものがあるようでございますが、農地災は復旧を急ぎます関係から、相当どんどん実施されるだろうと思いますが、これらの総合的な調整をよほどしないと、無駄な工事が実施されるのではなかろうかと思います。なお見ました個所から通感されることは、これは別に災害の今度の場合には原因とは考えませんが、維持管理の不良というような個所がやはり決壊だとか破堤というような部分に露呈しておりまして、多いのはやはり堤防ですでに事前に漏水しておつた、或いは溜池で余水吐きがもう非常に小さくて無理なもの、或いは溜池の堤防が漏水していたものというようなものの維持面が非常に弱い、そういう所から破堤が起きているというものが相当見られます。それからすでに御承知のように夜明ダムの問題とか、或いは鉱害のために堤防が落ちていろいろ施設を弱化しているところに災害が起きて来たというようなものもいわゆる管理面にいろいろやはり問題が出ているようでございまして、維持管理の強化ということにつきましては、特段の施策が要るんじやなかろうかというふうに痛感いたします。こういうようないわゆる施策に関する問題につきましては十分関係各省と今後検討いたしまして改善措置を図つて行こうと考えております。
これは以上当年災につきましての準備監察でございますので、災害の復旧の事業一般といたしましては、このほかにまだ工事施工中のいろいろの問題がございますし、又特にほかの公共事業の監察から類推いたしまして余りに数の多い事業につきましての指導監督の弱さ、或いは又現地の自己負担の軽減によつて起きて来るいろいろの問題、こういうものも今後の地方の監察からは出て来るものと思いますが、今の段階ではまだそれを御報告するに至つておらない次第でございます。概略以上御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/3
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004・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今までの災害関係の行政監察の説明について何かお尋ねになる点がありましたら、ここで一つ御質問をお受けしたらどうかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/4
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005・竹下豐次
○竹下豐次君 机上査定と実地査定ですね、これは当局のほうでは何か標準をきめて御査定になつておるのでしようか。大体その都度急ぐとか急がないとか、そういうふうなことでまちまちになつているのですか、仕事の種類にでもよつて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/5
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006・柳下昌男
○説明員(柳下昌男君) 別にきめはないようでございます。但し建設省は今回は特に大臣が全部現地査定をしなければいかんというようなあれがございまして、非常に現地査定が殖えたようであります。ほかは従来と余り変らん程度の現地査定の率だろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/6
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007・竹下豐次
○竹下豐次君 工事の大きいものは実地調査するけれども、小さいものはもう机上でやるとか、そんな傾向もないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/7
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008・柳下昌男
○説明員(柳下昌男君) それは農林の場合は、何か二百万円以上はできるだけ見るというような比較的重要な金額の大きな工事を見ます。従いまして率から申しますと、金額としては相当の率を個所数よりは見ているという結果になつております。ちよつと御報告申上げておきます。これは農業関係の例でございますが、先ほど個所数で八三%は机上だと申上げましたが、金額で申しますと机上査定は四三%ということになりまして、従つて小さいものが大変残されておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/8
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009・竹下豐次
○竹下豐次君 今度は九州のほうのお調べはついたと思うのでありますが、小さく地方別に見てどの地方はよく行つておるけれどもどの地方はうまく行つていないとか、そういうふうな傾向はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/9
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010・柳下昌男
○説明員(柳下昌男君) まだこれは十分分析がしておりませんのではつきりここで申上げることはできませんが、やはり県々で若干やり方が違いまして、例えば先ほど申上げた農業関係のいわゆる井堰だとか何とかの関係した築堤とそれから河川の築堤とか重複査定をしておるものが多いと申上げましたが、併し福岡県は事前に県内でそういう調整の基準を作りましたので、非常にそういうものがかからんでよろしいのでありますが、ほかの県はしなかつたから非常にまずい。そういうふうに県々で大分違いがございます。それからこれは四県まとめていろいろ査定率を申上げましたが、これは各県別に非常に申請が過大で査定で削減された率が多いという所がございますし、比較的そうでない所もございまして、今そこまでの資料を持ち合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/10
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011・野本品吉
○野本品吉君 この前の国会で行政監察がやりいいように、それからその機能を強化するということでこの委員会でいろいろ法案の修正をやつたわけでございますが、その結果今度のいろいろな監察においてどういう御感想をお持ちですか。何かありましたらこの際伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/11
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012・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 関係機関との協力状況に関する点が先般の庁法の改正の際に特にいろいろ当院で御意見が出まして又強化さして頂いたところでございますが、従来からも関係機関の非常に非協力であつたという事実は私どものほうのまあその突つ込み方というものとこれは関連するものだと思いますが、さして、まあ全然なかつたわけではございませんで、どうも非常に消極的だという点は、今回庁法改正になりまして監察が強化されるということになりました結果といたしまして、従来よりも非常に私どもに対します協力が積極的になりまして、一体監察というものはどういう狙いでどういうことまで行くんだというようなことをまあ従来は一々説明をしまして或る程度まで納得をしてからかかつて行くということが多かつたのでございますが、ああいう改正の経過がいろいろ関係者にはつきりいたしましたために、監察機構というものがどういう目的のためにやつておられるのか、これに対する国会、延いては国会を通じての輿論の期待というものがどうかということが関係機関に了解されたものと解釈しておるのでありますが、そういう面でその後におきまして私どもの監察に対しまして資料の提供その他で非常にやりにくかつた、やりにくくて困るというような連絡が殆んどございませんので、これは非常に抽象的な言い方でございますが、先般の改正の結果各方面の行政監察に対する認識が高まつたし、又協力態勢が一段と上つたことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/12
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013・野本品吉
○野本品吉君 そうしますと、只今のように行政監察に関する認識が高まつた、従つて監察業務を進めて行く上において従来よりもやりよくなつたということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/13
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014・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 国鉄の調査なども併せてやつておりますのですが、これなども非常に協力的に今実施されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/14
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015・野本品吉
○野本品吉君 この前の改正に対して反撥、却つて逆につまらんことをきめてというようなことで反撥というようなことけはお感じになりませんでしたか、どこかに…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/15
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016・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 別にそういう面のあれはございません。ただこれはこの前のときからもあるのでございますが、監察乃至監査というような機関が多いので、強くやつてもらうことは結構だけれども、可にそういう類似の性質のものについては、もう少しまだ国の機構その他の問題として考えるべき必要があるのではなかろうかと、こういうような意見と申しますかをちらほら、まあ直接ではございませんけれども、ちらほら聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/16
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017・松原一彦
○松原一彦君 今度の災害復旧に関するいわゆる救農国会というものの重点が災害復旧費の査定、政府の予算が一千八百億円と一応決定し、それが更に二千五百六十五億と縮約せられておる。その縮約せられた理由を聞いてみるというと、文部省などの学校関係のものは初め八十億であつたのが四十億となつておる。半分に減つておる。五億、十億の予算の増減に対して国会は血眼になつておりますけれども、事実はこの査定というものの上に非常に大きな私は穴がありはせんかと思うのです。昨年来の地方の災害復旧に関する国庫補助の実績を会計検査院の側から見た結果については我々たびたびこの席で報告を開いて、行政監察局の方々もすでにとつくに御承知のことと思いますが、あれによるというと、平均して全国で六割の不正が発見せられております。近く私どもが目にします新聞の中にも、会計検査院の検査はびしびし進んで、中には補助費の返還を求められておるものも相当数出ておるように思う。会計検査院の側からはああいうふうな検査をしておられる。併し私どもは行政面から行政監察がそういうことのない積極的な素地を作つて行かれれば、ああいう醜態が暴露しないで済みはしないか。若し行政監察のほうで大きな事前に協力的な監察をせられてああいう欠陥のないようにすべての行政面の動きをリードして頂くことができるならば私は非常に大きな功績じやないかと思うのですが、この点について、まだ監察局実施以来の年数は浅いけれども、昨今の情勢に徴して部長はどういうふうな御所見をお持ちでしようか。これを続けて行けば我々が今心配しておる弊害の一部が大きく除かれ得るでしようか。その見通しの大きな面から一つお聞きしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/17
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018・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 先般の国会の際にもいろいろ現在の行政の使い方についての根本的な欠陥がどこにあるかという点でお尋ねもあり、又御指摘も受けたのでございまして、私見でございますが、なかなかこの問題に対する何と申しますか、原因のひそんでおります点は深く又いろいろな方面に及んでおりますので、監察機能だけでこれを解決するという問題もこれは極めて困難なことであろうと思うのでありますが、行政監察の与えられております任務の重点がここに一つかかつておりますことは、私ども十分銘記いたしておるところでございます。今般当院の内閣委員会からの御慫慂もありましたのではございますが、私どもといたしましてもその行政費の乱れております一つの最も代表的な災害関係の復旧費などにつきましても、従来のように工事の済んだ決算段階で見るのでは、みすみす不当な金をあとから返還を求めるというようなこと以外には余り矯正の途がないということで、今回特に私どもが査定に立ち会うとか、或いは、査定の前から乗り出すということは監察の機能としてこれは慎しまなきやならんことでございますので、先般の夏の国会のあれもございましたから、ともかく査定の済むまで私どもは出られませんわけでございますから、査定が済みますとすぐに一応準備段階としての監察に乗り出しましたのでありまして、勿論こういう只今説明申上げましたことは一応準備段階の監察でございます。これにつきましてはなおとつくりと各省の説明なり意見も開かなければならんと思いますが、大体只今みたいな傾向のありますことだけは認められると思いますので、こういうような事項につきましては、早速各省の担当官と連絡をとつておるわけでございます。又私どものほうの地方局を使いまして、これからこの十二月までに本格的に監察をやるわけでございますが、こういう傾向を本として監察の結果をとりまとめるようにということを指示いたしておりますわけでありますが、予算のいよいよ枠がきまりまして、実行という段階に今度は実施契約というものが出て来ることになろうかと思いますが、私どものほうのこういう傾向の指摘なり或いは注意なりによりますれば、或る程度実施に当りまして従前よりは契約、殊に机上監察等のために事実に相違するような点、或いは不当と思われるようなことについての是正措置が実際事実問題として是正される点も相当あろうかと思うのでありますが、やはりまあそういうことで私ども監察の畑のものといたしましてはそういう与えられました施策の面で一つ一つほぐして行くというようなことをいたして行かなければならんと思うのでありますが、やはり他にこういう行政費の使い方の適当でないというような面につきましては、制度上の、或いは地方財政の貧困というような問題でありますとか、或いは地方を通じて補助したほうがいいのであろうかどうか、或いはもつと重点的にいろいろ補助事業を取上ぐべきじやなかろうかとか、或いは私どもの勧告にいたしましても、すぐにこれを予算その他の裏付で以て是正して行くというような点などにも欠陥があろうかと思いますので、こういう点なりそれから同時に私ども第三者的な監察の目からものを見て行くということで是正をして行くことも当然でございますけれども、現在いろいろこういう面に欠陥なり何なりがあります。これはかなり各方面から指摘されておりますことでございますので、やはりそれぞれの担当主管省におきましても事態の何と申しますか、事務の処理、業務の取捌きにおきましてもそういう欠陥のないように事態監察と申しますか、部内の実施においても十分あらためて、そうして私どもの第三者的な監察の結果も尊重し、取入れて、汲んでやるというようなことを併せて持つて行きませんければ、なかなか問題の根がかなり深いし、そういうことでずつと参つておりますので、急に改めることはむずかしいかと思いますが、私ども今回進行途上と申しますか、早期の監査に着手いたしましたことは、従来のような、従来やりました結果を批判するというよりも、進行途上で直して行くということが、その点だけでも一歩是正をさせる点では今度の災害監察の面などは効果があるのじやなかろうかと、こういうふうに思つておりますが、なおお尋ねのような大きな意味の行政費の節減なり、国費の効率的使用という面におきましても、監察機能以外のいろいろな面について反省を要する点があるのじやなかろうか、これは私見も入るわけでありますが、申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/18
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019・松原一彦
○松原一彦君 会計検査が事後にこれを精査して、爬羅剔抉して補助金の返還を求めたところでいたし方ない、無駄になつてしまうのであります。そういう因を作らないように、大切な税金をできるだけ有効に使用せなければならん現在でありますから、行政監察局等のお働きによつて、我々が憂えておる事実を未然に紡いで頂くことができれば、今日のこの弊を救う上において非常に大きな効果があるだろうと思う。それにはいろいろな観点があると思います。一つこういう声がありますが、これは如何でありましようか。あなたの御意見を求めるのでありますが、例えば災害復旧の工事で、小さい町村等が仮に百万円の工事をするというときに、国の補助は六十五万円、地元負担が三十五万円と、こうなる。ところが地元は県費の負担の分があるにしても本当は貧弱で持てない。持てない地元に持てと言う。その結果六十五万円ではできないから、正しい査定をして、補助申請をしたのでは工事が行われないので、万止むを得ず水増しの査定をして、それを申立てて三十五万円の地元負担は免れるということが今日一般の状態のようになつておると聞いておるのです。そもそもその地元負担のできないものに無理に負担しろというところから、こういうような無理な闇行為が行われるというような点を御発見になつたかどうか。若しそういうことが発見せられたとしたならば、そもそも立法の根本に立上つてこれは考えなくちやならん問題だろうと思うのです。そういうことに対して大きな見識から一つ忌憚なく意見をお立てになつて頂けるかどうか。
それから第二は、今回の災害のごときは人体にたとえれば怪我をしたようなもので、急いで外科的手術を行なつて回復を図らないというと明日からの労働ができないようなものであります。九州方面の災害地は急いで手当をしてもらわなければ、机上の計画だけで年度割を先に延ばされたのでは、来年四月からの根付けができない。作付けのできないような復旧ではどうにもならないのですからして、冷害のように今年はやられたが、来年の四月からは根付けは何にも差支えないのだというのとは違うのだ。にもかかわらず、災害復旧のために金を出すというとインフレを招来するといつたようなことで政府は非常にこれを抑さえておる傾向がある。怪我をして外科的手術をせなければならないのに、その手術をするというと健康を害するといつたようなことでは私は腑に落ちないと思うのです。そんなことをここで申してもしようがないけれども、これら大事な手術をしなければならない復旧工事に対する国の支出がややもすれば妨げられておるのは、その査定の杜撰なところから来ておる。水増しがあるところから来ておる。信用がなりがたい、契約をすれば半額にも下るという事実が幾多発見せらるるところから、こういうような不信が発生しておると思うのです。それで行政監察局が今必死になつてそういうことにももう携つておいでになることは私も認めますけれどもが、陣容は足らず場面は広し、相当困難してはおいでになるでありましようが、昨今のこの予算を審議しておる実情に照して見ても、皆さんがたは現地を視察せられて、地方からの申出それを受入れて各省の態度、又砂防のことをさつき例に引かれましたが、河川砂防と林野の砂防との間に管理が違つておる結果うまく行かないということがもう輿論になつておる。従つて砂防行政を一貫せにやならんといつたような大きい問題にも逢着するのでありまして、今柳下氏からの御報告もその点に触れておつたように思うのであります。そういうことを忌憚なく一つ政府に申告し、又我々のほうにも申さるる自信がおありになるかどうか。今行政機構の整理をやろうとしているときであります。小さい問題に拘泥して大きな結果を逸してはならん。この際における行政監察局の実績とそれからその所信とは将来大きな問題だと思うんですが、局長の御意見をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/19
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020・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 只今いろいろ御質疑のありました根本的な、而も大きな問題につきましていろいろ御意見なり御所見をお洩らして頂いたわけでございまして、私どもの監察をいたします狙いといたしましては勿論個々のケースを是正して行くということが究極の目的でございませんので、こういう事態を引き起しました制度なりやり方についての正すべき点を正すというふうなことにいたさねばならんかと思うのでございますので、只今御披露申上げましたような点につきましては更に的確にその事実を知ることに努めなければなりませんと同時に、いろいろ災害復旧に対する従来の基準のきめ方に実は無理があるのではないかというような点も、先ほどもちよつと御報告のうちに申上げたんですが、そういう基準を直さないで、何といいますか、水増しがあるとか、結果が不適当だというようなことだけを申しますと、結局工事ができないというような結論になるわけでございまして、私どもの狙いと申しますのは、やはり国費の効率的な使用で、適正又は応急な工事ができることを妨げてはなりませんし、促進すべき立場にあるわけでございますので、基準なり制度の無理な点についてはどう改めるべきかという点について、いろいろ帳票を元にいたしまして、なお私どもだけでなく、私ども必要に応じましては行政審議会の委員に重要な問題については意見を聞く、監察について意見を聞くことができるというようなことになつておりますので、重要な制度上の問題等については、専門のかたの意見なども十分伺つてみたいと思うのでございますが、狙いといたしましてはやはりそういう面で基準なり、制度或いは事柄によりましては機構問題等についても直すべき点は直すという所論を出してみたいという努力を続けておるのでありまして、それが一点でございます。殊に先ほど又、災害の応急工事が遅れているというような点につきましては、災害の復旧が原形復旧にどの程度改良を加えるかというような点も一つの議論の分れるところでありまして、この際ともかく応急に復旧をするということを急ぐことも、やり方の一つの方法ではなかろうかと思うのでありますが、これらの点につきましては私どもまだ現地の監察を滑り出したところでございますので、今日ここに結論を出すのは尚早かと思いますし、又部内その他の識者等にも御意見を伺いたいと思います。微力ではございまするが、できるだけいろいろ帳票も集めますし、検討も尽し、又各省等とも意見を戦かわせまして、制度、やり方に対する所見で具体的に成果の上るように持つて行くということに努力いたしたいと思いますので、御鞭撻を頂きたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/20
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021・天田勝正
○天田勝正君 私は過ぐる国会には病気のために欠席しておりましたから最近の事情は詳らかにいたしませんが、多分二十六年度の会計検査院の検査の実績がたしか新聞に出たときだと思いますが、それによりますると不正予算の使用が四十二億円あります。この検査の基準は、全部を検査するわけにはいかないために、大体国費の一割を抽出検査したのである、当時そういう新聞が出たことを記憶いたしております。この会計検査院の発表を事実としまするというと、一割検査で四十二億円でありますから、全部では四百二十億の不正使用が行われている、こういうようなことになる。こうした事実が一方あつて、又これに対する監査の機構というものは、今言つた会計検査院もあるし、部長のおられるところの行政管理庁もあるし、又各省の総務局あたりには大抵、名称はいずれでありましても、とにかく監督する機関がある。こういうふうに幾つも幾つも監査する機関があるにもかかわらず、なお且つかような不正が次々と起つて来る。これを如何ように監督しましても、今度はこの調子では監督機関に対して又監督の機関が必要になつて来るということで、これはもうますます煩雑になる一方ではないか。そこで私は考えるには、やはり自粛にも限度があつて、そこでやはりこれは望ましいことではありませんけれども、若干そうした不正を行なつた官吏に対するところの懲戒の途が、相当強くやらなければならんのじやないか。私は今松原委員が、予算が足らないために止むを得ずしてこの不正が行われる、こういうことも確かに私はあろうと思います。併し全くそういうことのない例もある。例えば私どもが第一期国会から七回まで三年間のうち一番大きいと思つたのは、当時も新聞を賑わしました空気木炭事件でありますけれども、あの五十四億七千万円という金がどこへ行つたかさつぱりわからない。さつぱりわからんのみならず、その責任者がどこにもいない。ここが空気木炭事件の空気なるところなんでありますけれども、一体早船事件などとかいろいろ起りましたけれども、とにかくそれには責任者がいる。大抵の場合責任者がいるのに、この木炭事件の場合だけはどこにも責任者がおらないで、国費が五十四億七千万円という穴があいてしまつた。こういうことをやらしておつたんでは、到底如何に御監察になりましても、これは粛正を私はできない、こう思うのです。そこで行政管理庁といたしましては、今非常にやつておられるということを、非常に骨を折つてやつておられるということを聞いて、私ども喜んでいるのでありますが、こうした面に対する一体処理をどうなされるつもりなのか、これを先ずお伺いしたい。
次はやはり何と申しまするか、道義の高揚ということになるでありましようけれども、これをしつかり持ちませんと、やはり蟻の一穴で、それからだんだん巾が拡がつて来る。これは極く最近私が経験したのでありますが、ここにもおられる上原委員の極く近くで、他府県にまたがるところの総合開発の問題で会合があつた。これはまあ正午ちよつと過ぎに終えたのでありますけれども、この席には東京並びに埼玉の各議員もおられ、或いは両県の議会並びに官僚の人もたくさんおられ、建設省も出ておられる。こういう席で僅か一時間かそこらの会合ののちには、昼日中から結局酒食の供応である。私どもは馬鹿々々しくてそれには参出席いたしませんでしたけれども、こういうことが平気で行われておる。そういうのに、まあ地方の役所がいかんというばかりでなしに、やはり現在国会が米食は一切やらない。米の飯は食わん、こういうことを始めたと同様に、中央の官庁がそういう席には出ない、こういうふうにもう申合せて、これを励行する。これに違反したものは、もはやそれは何と弁解しようと、それは弁解に過ぎないということで、やはり相当の懲戒を加える、こういうくらいにきつくやらなければ人数を如何に余計殖やして一心不乱に皆さんが監察しようとも、これだけ多くの工事量でもあり、仕事の量でもあり、人員の量でもある場合に、それが監察がし切れるなどということはとてもできんと私は思う。こういうことで、そうした第一の点と、次には第二の道義心の高揚といいますか、その面に対するどうした御処置をとられるお考えであるかを伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/21
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022・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 昨今の行政費の使い方等につきましていろいろ不正な事件がございました原因といたしましては、いろいろ先ほど申上げました制度の問題、財政の問題、いろいろの問題があるのでございますが、所詮やはりこれを運用いたしますものは人でありますので、この人のと申しますか、これに関与するものの心がまえというものが、いろいろこういう事態の大きなやはり要因の一つでありますことは、まさに御指摘の通りと存ずるのでございまして、綱紀の問題と申しますか、官僚の気風を刷新するというような問題につきましては、これはひとり内閣全体の問題でございまして、監察だけの畑の問題ではございませんけれども、私どものほうといたしましても、過般の庁法の改正の際に、特に監察を実施いたしました際に、綱紀上如何かと思われる事態については、任命権者に対しましてこちらが意見を申述べることができるようなふうに規定することをお認め願いましたのは、私どもの畑からやや人事のほうの問題に関与することになるわけでございますけれども、御指摘のように、やはりこの問題に対して触れるときには申出なければいかんというふうにいろいろ過去の短い経験でございますけれども、そういうふうに感じましたものでございますので、そういうふうな意味の規定を新たに改正することをお認め頂きましたわけでございます。従いましてそういう問題につきまして、私どもといたしましては同じ官界のことではございますけれども、そういう事態になりました以上は、私どもの本来の職責に十分忠実に尽して行きたい、かように考えておる次第であります。
なお、いろいろ責任の関係等が明確でないというようなことも、従来の行政機構なり何なりがやや複雑でありまして、私どもがいろいろ監察をいたします際にも、どうも誰が責任者であるかというような点、或いはいろいろな者が関係しておる。もう少し行政機構の運営を簡素化すると申しますか、責任関係を明確にする必要があるのじやなかろうかというふうに考えております。で、これらの点につきましては、私どもの行政管理庁の他の部局であります管理部を中心に行政運営の改善をどうすべきかというようなことで、運営法案というようなものを中心にいろいろ考えておるのでございますが、こういうような点も一つのあれになるのじやなかろうか、なお大変これは私ども口はばつたいことで如何かと思うのでございますが、私どもの役所が監察をやる役所でございまして、監察をやる役所を又監察しなければならんことになるのじやなかろうかというような話もございましたのでございますが、私どもの役所が先ずこういう点で、従来監察なり検査をやる立場の者が、いろいろその職務の関係上陥りやすい弊害なしとしないのでございます。先ず部内において、そういう点に新らしい清廉な、又一つの確固とした庁風を作れということをしきりに強調しているつもりでございます。私ども先ずいろいろそういう面につきましては、人の仕事を正す立場にある部内の刷新というような点について格段の注意を払うつもりでございます。なお説明が何か前後してお聞き取りにくいかと思いますけれども、いろいろな遺憾な事件が起りますのは、地方にいろいろ問題が多いわけでございますが、これが直接補助になつております関係で、県の監督等が不十分と申しますか、監督の立場がやや薄いということが制度上の一つの欠陥じやなかろうかと思いますので、補助その他の問題につきましては、制度の問題としては間接補助ということで県を通しまして県もその立場で責任を持つて見て行く。やはり中央からなり、遠いところからの目では届かんところがありますわけであります。一番近いところでやはり目を届かせるというようなことも必要じやないか、そういうような面につきましては、制度上の改善もいたして行かなければならんかと思つております。
御指摘の綱紀の問題というのはなかなか大問題でございまして、私ども勿論目を追うて、この立場からこういうふうに直して行けるということを申上げるのも口はばつたいのでございますが、私どもの与えられました分野におきましては、只今申上げましたような点で工夫もし、努力もいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/22
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023・天田勝正
○天田勝正君 ちよつと私今速記がとられておりますから、そこで若しそれが感じ方によつては別な意味にとられるという意味があつたものですから、そこをちよつと訂正しておきたいと思うのですが、それは上原委員の地元でということで、私どもが出席しなかつたけれども、こういう言葉を私が使つておつて、そうすると取りようによつては、上原委員等が出られたというふうにもとれると思いまして、それはそうでなくて私ども出なかつたが、上原委員もたまたま出られなかつたので、私は楽な気持で実はそれを引例したわけなんで、これははつきり、私事に亙るようだが、速記がとられているから、訂正しておきます。
それからもう一つだけ……。私がこまかいことをよつて言うわけじやありませんが、恐らく管理庁でも御存じだと思いますけれども、まあここだつてそうですが、各役所共に、例えば自動車の問題についてだつても、これはもう警視庁の各係を招ぶのが慣例になつておるのです。恐らく御承知だと思う。実にこういう馬鹿々々しいところからものが紊れて来るということを私は指摘したい。なぜにそれぞれの役所が持つておる車のために警視庁を招ばなければならないか。来もすれば、又招ぶことが当然で、そうでないと何か次に敵討をされるというようなことを平気で言つておるのだね、こういうことではもう……。これは役所間それぞれその責任、権力を持つておる部局部局によつて、じや今度他の役所を呼ぶ、こういうことになつてしまつて際限がない。あなたの管理庁で監督されるようなことをやつておるということを申上げておるのじやなくて、そういう実例を私は知つておるがゆえに指摘して、こういうところから防がなければなかなかこれは容易ならざる問題になつて来る。だから推定しても何百億という不正が行われるようなことができて来る。これらの、今言つたのは不正にも何もなつておりません。併しそういう接待費などというものは予算のどこにも計上してないことはどなたも承知しておられる。それがあえて行われておる。こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/23
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024・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 午後引続いて説明を受けることにいたしますので、これから休憩に入りたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/24
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025・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは午後は一時三十分から再開いたします。
午後零時三十一分休憩
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午後二時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/25
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026・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは内閣委員会を再開いたします。
建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず提案の理由及び法案の内容について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/26
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027・南好雄
○政府委員(南好雄君) 建設省設置法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を御説明申上げます。
去る九月下旬の台風十三号により東海地区の海岸がこうむりました被害は激甚を極め、その復旧及びこれと関連する改良工事の施行には約二百億円を要する見込であります。
併しこの工事は愛知、三重及び静岡の三県にまたがる極めて大規模なものであり、且つ、短期間にこれを完了する必要がふりますが、関係地方公共団体の力を以てのみでは工事の施行に万全を期し得ない状況でありますので、これらの地方公共団体からの工事の委託を受け国において工事を施行し、その万全を期したいと思うのであります。この委託工事も相当な工事量となりますので、臨時に中部地方建設局に海岸堤防建設部を設置し、工事の企画及び設計並びに工事の指導、監督に当らしめる必要があり建設省設置法の一部を改正しようとするものであります。
以上、建設省設置法の一部を改正する法律案について説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/27
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028・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 続いて水野文書課長から法案の内容についての説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/28
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029・水野岑
○説明員(水野岑君) 台風十三号によりまして、この地帯には非常な激甚な被害をこうむりましたことは、只今提案理由で述べられました通りでございまするが、ちようどこの十三号がこの地方を通過しましたときに、満潮時といつたために予想外の被害を生じたのでございます。三重県におきましては、伊勢湾に面する桑名市から宇治山田市に至る間は殆んど全線に亙り被害を受けたのでございます。又熊野灘方面の海岸も甚大なる被害を受けたのでございます。愛知県におきましては、渥美湾、知多半島、伊勢湾に面する海岸は甚大な被害を受け、特に吉田町、一色町の惨状は甚しいものがあつたのでございます。静岡県におきましては浜名湖の出口附近の砂丘が今回の台風により飛ばされまして、そのために幅口が広くなり、波浪が内部に浸水し、そのため湖岸一帯は甚大なる被害を受けた次第であります。この海岸堤防につきまして災害復旧をいたしますと共に、或る程度の改良工事を迅速にいたしませんというと、再度災害をこうむる虞れが多分に存するわけでございます。
そこで建設省といたしましては、この災害復旧並びに改良工事を種々調査、計画いたしておりまするが、只今までの推定によりますと、この総事業費といたしまして約二百億円を要するのではないかというように考えております。そのうち約百億円は災害復旧の工事費でございまして、残りの百億円が改良工事の費用というふうに推定をいたしております。そこでそういうふうに厖大な事業量でございまするので、地元の愛知県、三重県等におきましては、県のみでこれを遂行するということは到底できがたい関係にございますので、その重要な個所、只今のところその事業量の約六割程度、即ち百三十億円程度と我々考えておりますが、この程度の事業を建設省で委託を受けまして、できるだけ短期間にこれを完成して行きたいというふうに考えております。只今のところ、建設省といたしましては三カ年を目途にいたしましてできるだけ速かにこの工事を完成して行きたいというふうに考えているのでございます。そういたしますと、建設省で委託を受ける工事量も相当な量となるのでございまして、現在名古屋に中部地方建設局という出先機関がございますが、この出先機関におきましてこの工事を責任を持つて遂行する関係上、或る程度機構を整備いたしたい。そこで海岸堤防建設部という部を臨時に作りたいという考えでございます。建設省設置法の第十四条におきまして地方建設局の部が法律に規定されてございます。即ち庶務部、企画部、工務部、営繕部、この四部が置かれることになつております。この四部のほかに新たに臨時に海岸堤防建設部を設けたいというのがこの改正案の内容でございます。
そこでこの海岸堤防建設部を設置いたしまして、この工事の完成に要する所要人員が約二百名ばかりと考えておりますが、この二百名につきましては定員の増加を一切いたしませんで、本省、他の地方建設局から融通をし、或いは地元の三重県、愛知県等から応援して頂く、こういうことによりましてこの所要人員は充足して行きたい。従いまして定員の増も、この部新設のために所要経費の増というようなこともいたさないというふうに考えておる次第でございます。
甚だ簡単でございますが、以上で私の説明を終ります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/29
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030・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは本法律案についての御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/30
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031・松本治一郎
○松本治一郎君 お尋ねしたいのは、これは海岸堤防建設部が直轄にやるんですか。それとも特定の組に命じて仕事をさせるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/31
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032・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。これは御承知の通り三重県それから愛知県が補助を受けてやる事業のうち、その工事の非常にむずかしい部分にだけ建設省が責任を持つてやろう、こういうのでございます。従つて委託を受けてやるのでありまして、直轄という言葉は或いは当らんかとも存じますが、建設省が責任を持つてこの厖大な事業量のうち約六割につきまして建設省がやる。で御承知の通り直轄という言葉から参りますると、今までの中にもありましたように地方建設局がみずから仕事をやつておる例もございます。又請負に出してその請負人を監督しておるのもございます。併し三カ年の間に約二百億円になんなんとする大工事のうちの約六割のものをやつて参りましようといたしますならば、恐らく今まで一部やつておりましたように建設省みずからが職員を入れて直営工事のようにしてやる量は殆んどむずかしかろう。従つて現在の建設業者の中から本工事を施行するに適当と思われるしつかりとした人たちによく事業上の連絡をとりまして、そうして請負に出してこれを監督して責任を持つて行きたい、こういうふうに私たち今のところは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/32
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033・松本治一郎
○松本治一郎君 そういうやり方は往往いろいろ問題が起りやすいのです、私の過去の体験から考えますと……。今までのやり方でやらしてそうして監督するということができないという建前から、そういうものを今度作られようとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/33
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034・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。そういうわけではないのでありまして、御承知の通り直轄工事でありますると、国の予算の中に計上せられて地方建設局がみずから事業をやつて参るのでございます。この工事は御承知の通り一部はいたしますが、大部分は愛知県と三重県に補助を出して、そうして愛知、三重の両県でやつて行く、こういう形の事業でございます。併しながら非常に工事の中にむずかしいものがございまして、愛知県なり三重県なりの現在持つております土木部の技術ではやりがたいものがあるそうでございます。そういうものについては内務省以来古い伝統を持つております建設省の河川局或いは地方建設局の技術を動員することによつて本事業の、本当の意味を達成することができるから、形は少しおかしいけれども、工事を委託して建設省でやつてくれんかという公共団体のいわゆる依頼がございましてそういう形で工事をこれからやつて行こう。併しそういたしましても、建設省全体がこれに責任を持つてやつて行けばいいのでございますが、出先のことでもあり、直接本省からいろいろのことをやることは非常に困難でございますので、たまたまありしまする中部地方建設局に一つの責任部を設けまして、その部が中心になつて動いて参る。勿論これだけでは十分に行きませんので、技術を挙げて我々は応援するのでございますが、責任の所在を明らかにするために、中部地方建設局に一つの部を設置いたしたい、こういうのがこの法律を提案いたしました目的なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/34
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035・松本治一郎
○松本治一君 今の御説明では、内務省の土木部にあつた技術者がそこに行くというように御説明になりましたが、そうすると、丁度鉄道にある問題と一つも変わらないような感じがするのです。鉄道関係の工事は皆鉄道に以前おつた技術者が名義だけ出して、そしてだるま口銭で懐をぬくめて粗末な工事をさしておるのが今日の状況です。それで今度そういうものを設けるということは、その鉄道の二の舞を踏んで、内務省におつた古い技術者が金儲けの舞台を作らしてもおらうというような感じを私は受けるわけですが、そういう嫌いはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/35
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036・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。私が申上げた言葉を松本委員は何か間違つて御解釈になつておるようでございますが、私申上げましたのは、昔からおつた古い人たちの名前を出しておる者に委託をさせるということを申上げておるのではないのです。従来先ほど申しましたように、現在三重や愛知におりまする土木部の技術では、やりにくいようなむずかしいところが今度の海岸堤防にはございます。そういうものについては、従来から古い伝統を持つてこういうことに当つておつた建設省のほうが、しつかりとした工事をやつてくれる見通しがあるから、そこで愛知なり、三重が工事を委託するということになつたので、こういう一部改正の法律をお願い申上げるのだ。実際は今まで道路や或いは河川改修をやりましたように、地方建設局みずからが工事に当るというようなことをやつて参りましたが、こういつた大きな厖大なあれでございますので、建設業界におきまする一流のこういつた方面に十分に経験を持つた、しつかりとした業者に委託請負をさせまして、この請負工事を監督することによつて、二つの県、或いは三つの県の委託をさせられた本来の趣旨に間違わんような、しつかりとした工事をやつて行きたい。こう申上げたので、決して古い技術者が顔を出しているようなところに請負をさせたということを申上げたのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/36
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037・松本治一郎
○松本治一郎君 今の説明でわかりましたが、ところがそういう難工事に経験のある組に命じて、仕事をさせるというような説明でしたが、それはそれでいいんです。ところがその経験のある組の下には、今現在各県の工事を請負つておる人たちがたくさんあります。実際の仕事はほかの人がやります。その組がやるのではないのですがね。そういう点をよくお考えになつてもらいたい。実際の仕事は経験のないと見られておる人たちがやるのです。ただ看板だけは政治につながつた大きい組が出すか知らないが、実際の工事に携わるものは経験のないと解せられておる小さい組がやるのです。こういうことはおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/37
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038・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。よく組の請負などにつきましては、いわゆる名のある組がこれを受けまして、そのままこれを下に下請させる。いわゆるピンはねだけをやつておるというような実例も伺います。併し先般建設業法の一部を改正いたしまして、一括下請というものを禁止いたしました。実際問題として、どれを大きな組といたしましても、すべてを自分の手でやるということはなかなか困難でございます。従つて一部を下請に出すということは、私はこれは止むを得ないことであり、又そうすることによつて、工事の促進も図り得るものと考えますので、御趣旨のように、実際の工事をやつているのを監督いたしまして参りますれば、下請にも出ておるかも存じませんけれども、本当はやはり相当のしつかりとした建設業者が自己の責任において部分的に下請を出すようなことは、これは言うまでもない。又そういうことがありましても、今申しましたようにこういうことは我々過去におきましていろいろこういう工事につきましての経験もございますし、又技術の自信もございますので、私はそういう点を十分に意識して監督して参りますならば差支ないもの、こういうふうに考えておるのでございます。事実これだけの工事を三カ年間に建設省でみずから下まで全部やつて参りますことは、実際問題としてなかなか私はできかねると思います。要は短期間にしつかりとした工事をやらすためには、従来からいろいろ申されておりますような弊害を極力この際は除去するように工事の監督もいたさなければなりませんが、そういう趣旨において工事をやつて参りますならば、松本先生あたりの御注意に背かないようにしつかりとした工事ができるものだ。これは御承知の通り本当は相当人員も増して行つてやつて参りたかつたのでございますけれども、御承知の通り行政整理も政府におきまして一生懸命やつております関係もございまして、建設省の責任において今持つておる人間を極力採用いたしまして、そうして建設業界に対してもこの工事の持つておりまする意義を十分理解して頂いて、世の中の指弾を受けないような立派な工事を官民一体となつてやりたいものだ。そういう趣旨におきましてもう二、三回一流の業界のかたがたにも集つて頂きまして、建設省が悲壮な決心をしておりまする理由をよく理解して頂いて、着々と実際問題としては段取りをつけておるようなわけなんでございます。併し何と申しましてもこれほど大きな工事でございますので、十分に只今の御趣旨は本工事を監督する上におきましても、私たちも十分に組入れまして万遺漏のないように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/38
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039・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/39
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040・竹下豐次
○竹下豐次君 この所要人員は二百名ですね。定員の増加は行わない、本省各地方建設局等から融通すると共に地元県庁からの応援によるものとする、これは地元県庁からの応援を含めて二百名なんですか。国家公務員だけが二百名という意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/40
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041・南好雄
○政府委員(南好雄君) この二百名は本工事の施行監督についての総人員の意味でございます。従つて三重、静岡、愛知の三県庁から実際に応援して下さる人も含んでの数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/41
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042・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると、地元県庁からの応援が二百名のうちでどのくらいになりますか。結局逆にお尋ねしてもいいのですが、国家公務員は二百名のうち何人おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/42
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043・南好雄
○政府委員(南好雄君) だんだんやつて参りますと、多少その間のことは変つて参りましようと思いますが、今のところでは建設省及び地方建設局から出まする人間は約五十名、それから三県から出る人間は百五十名という大体見当を付けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/43
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044・竹下豐次
○竹下豐次君 その五十人のうちの大部分は中部地方建設局内部の人が仕事をされるのじやないかと思いますが、よその建設局なり本省から持つて行かれる人はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/44
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045・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。御承知のように建設省の仕事につきましては、従来からも災害の査定とか監督とか申しますことにつきましては、各地方建設局から人間を集めまして、そうして北九州の今度の災害あたりにも日本中の地方建設局の人間が行つているような実情でございます。今御質問ございましたように五十名のものはむしろ他の局からの応援しますものが大部分でございまして、中部の人たちはむしろ少かろうと思います。中部建設局のほうは相当たくさんの仕事を持つておりますので、その間における人員の融通は私は却つて他の局のほうがいいのじやないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/45
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046・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると、現在ある四つの部門のうちからさかれるというような余裕はないからよそから持つて来る、そういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/46
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047・南好雄
○政府委員(南好雄君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/47
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048・竹下豐次
○竹下豐次君 それは兼務の形になつて行くわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/48
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049・水野岑
○説明員(水野岑君) 他の地方建設局なり本省から、この建設局に参りますものは定員を移して参りたいと思います。三カ年続きますので工事の定員を、一応他の地方建設局の定員は、これは建設省の省令できめることになつておりますから、省令を改正いたしましてこれを移して行くことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/49
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050・竹下豐次
○竹下豐次君 省令によつてですね、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/50
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051・上原正吉
○上原正吉君 この海岸堤防の必要な工事は地盤の沈下によるものだということを最初伺つたのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/51
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052・南好雄
○政府委員(南好雄君) 全部が全部そうとは考えておりませんが、地盤沈下によつて多少低くなつておる所へ、先ほど文書課長が申しましたように、台風が上つた時には丁度満潮時だというので、相当大きな被害が起きたのでございます。で一遍あつたことでございますから、又あるものと考えますので、相当程度、単に一般の原状回復のような災害復旧だけでは困るというので、この際は海岸堤防を相当程度嵩上げをしなければならんというのが、改良工事が百億にも達する原因になつておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/52
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053・上原正吉
○上原正吉君 私はたまたまあの飛行機の上から現状を見ているのですが、相当に深く海水が浸入しているのですね。二階までつかつておる農家が上からたくさん見えます。そうすると地盤が沈下してあんなに堤防が切れているのですから、海の水と耕地の洪水とは水位がちやんと平らになつてしまつているのです。それで殆んど二階の下の庇が半分しか水の上に出ていないというような所がたくさん見えたのですから、あんなに低い所が、あれは沈下してああなつたのだとすれば、まだまだ沈下して行くのじやないかと思うのでして、そうだとすると、これはちつとやそつとの嵩上げじや又近い将来にそういう災害が発生することになるとこう思うのですが、念のために伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/53
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054・南好雄
○政府委員(南好雄君) どのほうのを御覧下さつたのか私存じませんのですが、あの中には干拓でやつておるのもございます。従つて干拓というのは堤防をこしらえて潮水を汲出したものでございますから、その堤防が切れますと、もともと低い、水が溜つておつた所でございますから、水が入つて来るというような実例もあるのでございます。地盤沈下をいたしましても、何十年間に何尺という程度でございまして、この際三メートル五〇くらいのものを五メートル五〇くらいまで持つて参りますれば、ここ当分は単なる地盤沈下だけではそんなにあのような被害をしばしば繰返して行くようなことは私たちは考えておらん次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/54
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055・松原一彦
○松原一彦君 このような取扱の先例がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/55
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056・南好雄
○政府委員(南好雄君) 兵庫県の六甲の災害の際に県の工事を建設省で委託をやりました実例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/56
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057・竹下豐次
○竹下豐次君 この臨時の部ができないとすれば、現在の機構ではどの部の仕事になるわけですか。営繕部か、工務部か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/57
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058・南好雄
○政府委員(南好雄君) 地方建設局の部を御覧下さいますればわかりますが、設計は企画部へ参りましたり、工事の現場監督は工務部へ参りましたり、そういうふうにこの海岸堤防一括いたしまして責任はないのでございまして、それぞれ仕事に従つて各部が監督するということになつて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/58
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059・野本品吉
○野本品吉君 そういう仕事をするということになりますと、庁舎その他の所要設備と申しますか、そういうものはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/59
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060・南好雄
○政府委員(南好雄君) 中部建設局におきましては、恐らく中央の企画業務だけでございますから、別に庁舎が新たに要るというようなことはありますまいと思います。ただここに御承知のように三重県に一カ所、愛知県に一カ所地方事務所を置きます。その事務所が中心になつて現場をやつて参りますから、その程度におきましては二カ所の庁舎は新たに設置しなければならん、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/60
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061・野本品吉
○野本品吉君 この事業区域、所要経費というところに、海岸の延長だけはわかつておるのですが、海岸延長何キロとか何メートルとかいうのは、恐らく堤防の長さでございましようね、それでこの堤防の復旧改良によつていろいろ受益地帯の面積と申しますか、そういうようなものはおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/61
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062・南好雄
○政府委員(南好雄君) ちよつと手許に持つておらんのでございますが、大体の見当はつけて調べたものがございます。後ほど資料にして差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/62
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063・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ほかに御質問ないようでしたら、次回の際に改めて質疑を続行することにいたしまして、本日はこの程度で打切りたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/63
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064・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に、午前に引続きまして行政機構整備等に関する調査を議題といたします。
行政管理庁の最近行われました行政監察の実情について引続いて説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/64
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065・山中徳二
○説明員(山中徳二君) それでは国鉄関係の報告を担当の山口さんから申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/65
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066・山口酉
○説明員(山口酉君) この前の国会中に本委員会の席上御発言がございまして、丁度当時日本国有鉄道の財産管理上の問題が表面化しておりましたので、その点について調査をするようにというお話がございましたので、私どものほうで計画を立てまして、主として財産管理運用の面を一応取上げて調査いたすことにいたしたのであります。
国鉄の監察につきましては、問題といたさなければならない項目は相当多岐に亙つておると思いますが、最初の調査といしましては、本委員会の御発言の趣旨に副いまして、先ず財産管理の状況を取上げてみたのであります。この財産管理は国有鉄道が持つております土地、建物等が全国に非常に数多くあるわけであります。これの管理機構機構といたしましては二十七の監理局と、八つの工事事務所がございまして、そこが第一線として主として管理をいたしております。私どものほうの機構といたしましても全国監察局がございますので、これは全国的な規模で調査したほうがよろしいという観点から、全国の地方の監察機関を動員いたしましてその実態を調べたのでございます。午前中は監察部長からお話がございましたように、目下調査を継続いたしております。丁度始めましたのは九月の初めからやるということにいたしておりましたが、実際上準備その他の関係で九月中頃から手が着きましたので、目下まだ最終的な取まとめができる段階ではございません。ただ併し或る程度の見通しがつく程度までの調査ができておりますので、その概況を申上げたいと存じます。
この前の本委員会の御発言によりますと、当時問題になつておりました鉄道会館の問題、それから日本交通公社の問題を特に御指摘になつておりますので、これも合せて概要を申上げることにいたします。調査いたしました全体から見ますと、鉄道会館の問題は一つの例でございまして、全国的に調べますとやや類似の状況が各所にあるわけでございます。それで特にまあ非常にクローズ・アツプされました問題としての鉄道会館の問題も、適切な善後処置を講ずる必要があると思いますが、それよりも全般的に通ずる問題としまして、現在の日本国有鉄道の取扱いしておりますやり方が全国的に行われております状況から見まして、相当改善の必要があるというようなことを感ずるわけであります。それで全国的に調べてございますので、非常に問題のございます場所等も多いのでありますが、まだ途中でありまして集計しておりませんけれども、数百カ所に亙る問題が取上げなければならないかと思つております。で、これも一応調査いたしましたものにつきましてだけでございまして、全体では土地物件、土地家屋の貸付件数は非常に厖大、恐らく万を以て数える件数がございますので、全体では調査いたしませんものが相当大部分になつておるわけでありまして、制度的に相当運用を改善いたしますれば、まあ全体的に今回の調査が国有鉄道の運用上かなり益するところがあるのではないかという見通しを持つております。土地にいたしましても、約千二百四十三万平米ぐらいのものがございますし、相当な分量になつております。で、そのほかに建物、施設それから構内営業等がございますので、なかなか或る程度結論を出すまでの調査をするにはもう暫らくかかるのではないかと思います。で、最終的な結論を本日申上げられませんことを一応御了承頂きたいと思いますが、大体の見通しにつきまして、状況に応じまして分けてお話を申上げたいと思います。主として地方監察機関が調査いたしましたものでございますが、一つの項目と申しますか、一つの傾向といたしましては非常に国鉄の用地が無料又は無断で民間に使用されておるものがあることでございます。一々全部を申上げることは到底できませんけれども、二、三の例を申上げますと、岐阜の工事事務所の管内で一部鉄道の予定線になつておりますところの用地が九万五千平米ほどが二十五年の六月以降無料で使用されておる例がございます。それから北海道の釧路でありますが、ここにも約一万二千平米のうち一部は無料……道路等に使つておるところもございますが、七千平米ぐらいは、これは管理放漫のために二十六年以来台帳に記載が洩れておりまして、従つて未承認の形で使用されておるものがございます。
それから弾丸列車というのが計画されたのでありますが、その用地のうちで、これはまあ全部の用地を調べておりませんが、私どものほうで調べましたものの九十三万平米ほどが、これは現在は徴収いたしておりますが、中途において、二十六年六月から今年の六月まで二年間は非常に低率の使用料を取つておりましたところと、それから全然徴収しないところとがございます。このほか現在の状況で私どもが調べましただけで約三十万平米ほどは無料又は無断使用の事例がございますが、場所にいたしましても相当たくさんございまして、まあ数十カ所ございますが、これは一応場所は省略させて頂きます。
それから次の項目といたしましては、国鉄の用地が、何と申しますか、外郭的団体と申しますか、関係の非常に濃い団体に不当に貸付られておると思われるものがございます。そのうちその使用者がこれを他に転貸ししておる、又貸しをしておる、その関係上巨額の中間の利得というものがある、それから又不当に国鉄用地が民間の営利事業に利用されているもの、そういうふうな観点から見られますものがございまして、例えば潤生会というのがございますが、これは本来は石炭殻、塵芥等の処理、それから軌道建築工事というものをやることになつておりますが、これが国鉄から駅構内その他高架下等を約千三百平米ばかり借受けまして、その極く一少部分を事務室その他に使つておりますが、他はこれを店舗に改装して転貸しをいたしておる。そのために二百五十四万円ぐらいの利益を、中間利益と申しますかを得ておりますが、別に保証金を約六百万円近く徴収いたしております。それから日本運輸倉庫というものがございますが、これは国鉄及び日通の退職者で作りましたものでございますが。国鉄の倉庫を借りまして、これを比較的安く借りてそして東京都に転貸しをいたしております関係上、年間この関係で七百九十万円ぐらいの差益、それから名古屋の笹島駅のところにやはり国鉄倉庫がございまして、これを借りて又転貸しをしておりますが、それで現在まで七百二十万円くらいの利益を得ております。そのほか大阪あたりにも高架下の転貸しを受けて、そうしてそれを食堂街にしまして、そうして国鉄のほうには比較的安い料金を払つて多額の保証金を取つたり、又転貸差益を取つたりしておる事例がございます。かなり数がたくさんございます。それからもう一つは、国鉄の用地が貸付の目的に違反して民間に使用されておるというものがかなりございます。従業員の宿泊所を作るという名目で借りました土地を、実際は第三者がそこで旅館を建設しておるというようなこと、そういうふうな事例がございます。それから外郭的団体につきまして非常にまあ何と申しますか、特権的な用地の優先的貸付をやつておるというものがございます。そのほか構内営業料金の算定の基礎となります業者の売上高報告が正確でなく、従つて非常に構内営業の料金の徴収が十分に行われていないというものがございます。これも実は構内営業を一番たくさんやつておる団体としましては弘済会があるのでございますが、これにつきましては全国的規模でありますから、別に調査をいたしておりますが、それを除きまして今まで調査いたしました十九ほどの事例がございますが、その調べましたものだけで十二億六千万円ばかりの過小報告、これが全部減収になるわけではありませんで、これを基準にして営業料金を算定するわけでございます。その基礎になる数字でございますが、そういうふうなものが比較的管理面が十分に行き届いておりませんために現われて来ております。これは調べましたものだけでございますので、まだかような事例はかなりあると思いますが、岡山、鳥取、山口、群馬、函館、福島というようなところでこのような事例が報告されております。
それから鉄道弘済会、これは先ほど申上げましたように、まだ取まとめをする段階ではございませんが、今までに出ておりますもので弘済会が経営委託を更に第三者にいたしまして、そうして中間的な利得をしておるというものが相当にたくさんございまして、札幌、高知、長崎、名古屋、千葉、広島、山口というような各地で報告されております。これはまだ目下報告が集り切つておりませんので、そのほかのところからもあるのではないかと予想されております。で結局総額がどのくらいになるかということにつきましては、まだ申上げる程度の整理をいたしておりません。
財産運営の状況につきましては大体かような点が相当問題であると思います。全般的に現在まで見て参りましたところで欠陥と思われますことは、附帯事業と申しますか、かような鉄道の収入の方面で行きますと雑収入ということにいたしておりますが、雑収入部面についての注意が非常に薄いように考えられます。で二十七年度の実績に上つて見ますと、雑収入は全体で約二十億足らずです。雑収入決算としまして二十四億九千六百万円目下計上されておりますが、このうちには約五億五百万円ばかりの恩給納付金がございますので、これはすぐに国庫のほうへ納めなければならない金でございます。これを除きますとちよつと二十億に足らないわけでございます。で比較的軽視をされておるわけでありますが、併し大体国鉄の運輸収入はまあ二千億もございますので、その対比から見ますと非常に少いようでございますが、これは実は経費をあまり伴なわない収入でありますので、日本国有鉄道としましては相当重点を置いていいのではないかと考えられるわけであります。この面に対する配慮がまあ比較的薄いと申されますのは、人員の配置などを見ましても全体で土地建物の関係が本庁で三名、地方で二百五十六名合計で二百五十九名、それから構内営業の関係が本庁に三名それから地方に五十名で五十三名というような配置になつております。現在これらの人たちが担当しております仕事の内容は非常に事務量が厖大でありますので、この程度の人員であれば、まあ先ほど私が御報告申上げましたような事柄が或る程度現われてもまあ止むを得ない事情もあるのではないかと思われるほどでありまして、もう少し中央におきましてこういう方面に重点を向けられるように将来改憲の必要があるのではないかということを今の段階で感じております。
で、財産管理運営に対する事務が全般的に極めて適正でないのでありますが、実は財産運営につきましての管理の規定が本当に整備されておりません。国有財産の管理規定が一時過渡的に適用されておりましたが、それがたしか二十六年の十月であつたと思いますが、適用除外になりましてから、それに代るべき制度が不備な点がございまして、この点についてもう少し再検討して国有鉄道の所有にかかる財産といたしましても、これはまあ原資的には国の財産で、便宜的に法人格を別にして付与しているというようなものでございますのでまあ会社の資産とは大分違う。本来は国に所属すべき性質のものを、便宜的な方法で公共企業体という特別の法人を作つてそれに帰属させるということに過ぎないのでありますから、やはり国有財産並みの財産保全に関する十分な注意を払つた規則が必要ではないかということを感じられるわけであります。
それから国有鉄道関係の人たちに対する、まあ俗な言葉で言えば特権的な取扱いと申しますか、非常に有利な取扱をしておるという部面が一般にも相当指摘されておるところでございますが、今回の調査でもやはりそういうふうな結果になつて参りました。これらにつきましても将来公正と申しますか、公平な取扱いをするようにする必要があるのではないか。それから業務が実は国有鉄道のように厖大になつて参りますと、なかなか中央では相当注意をいたしておりましても、末端まで徹底しにくい事情があるのでありまして、どうも物の貸付けとか管理運営の面になりますと、現場の人たちに相当な実権が知らず知らずの間に渡つてしまうというのがまあ実情であろうかと思われます。こういう面につきましてやはり相当な管理監督の方法を講ずる必要があるのではないか、こういうことを感じておるのであります。と申しますのは、これはこの前運輸省の通運行政の監察をいたしたことがございますが、その際に通運業者の中でまあ一番大きいのは日通でありますが、日通とその他の小さな通運業者との間に、かなり国鉄の取扱いについて差別的なものがあるという点を指摘いたしまして、こういう点について公平な取扱いをするようにという勧告を運輸省に対して、その当時はまだ私どものほうは設置法の改正の前でありまして、国鉄側についての調査はいたしておりませんでしたが、運輸省に対して申上げまして運輸省から国鉄のほうに注意をして頂いたのですが、実は国鉄の本庁におきましてもこの必要を感じて指令を出されたのですけれども、今回調べて見ますと、まだ先ほど申上げましたような点についていろいろの問題が残つておりますので、やはりこういう厖大な組織になりますと、相当末端の状況をよく握るような方法を考える必要があるのではないかということを感じておる次第であります。で、これらの点につきまして、いろいろ管理運用の面の改善の方策を立てまして、運輸省、国鉄などに勧告をして将来の運用の適切を期して行きたいと思つております。
大体の状況はさようでありますが、特にこの前御発言がございました鉄道会館とそれから交通公社の問題につきまして概要を申上げます。これは先ほど申上げましたように一般的状況の一つの例でありまして、特に、まあ東京の玄関口であつたり、金額も比較的大きかつたりしました関係で、この問題だけがひどく取上げられておるような恰好でございますが、私どものほうで調査いたしました全般的な観点から見ますと、これはまあ一事例に過ぎないというふうに感じております。時間も過ぎますので極く概略を申上げますと、鉄道会館の問題といいますのは、丁度昨年が国有鉄道の八十周年記念でございましたので、これを機会に東京駅の八重洲口が数年前に焼けたりしまして、跡が非常に見苦しくなつておる。この際記念事業としてあそこを少し立派にしたいというのが事の起りのようでございますが、総工費約三十億円くらいであそこに十二階建の駅本屋を建てる。併し駅といたしましてはそんなには、十二階も要らないのでありまして、一階だけあればいいのでありますが、土地の効用と申しますか、非常に経済的価値もある場所でありますから、駅だけで一階だけの建物ではもつたいないというようなことで、十二階を建てるような計画に進んだようでございます。それにつきまして実は国有鉄道といたしましては建設改良事業がございますし、保線なども十分にできないという経費の状況でありますので、駅舎などにそう多額の金額を費やすことは適当でないというので、まあ比較的金額が少い約二億三千万円程度を国鉄といたしましては予定をいたしたのであります。三十億もかかるのに二億三千万円ですが、あとは民間の資本を導入しようということで、鉄道会館というものを作つたわけであります。これにはまあ幹部といたしましてもと鉄道関係の幹部の方々が主体になつて作られたものでございますが、これと共同して駅本屋の建築をするというようなことで進んで参つたのであります。
これの経緯を少しく申上げますと、二十七年の五月二十三日に日本国有鉄道の部内に東京駅八重洲口駅本屋建設委員会というものを作りました。これは部内の職員だけで構成されました委員会でございます。この委員会で案を練りまして、翌月の六月三十日に大体の成案を得たわけです。それと同時にその日に、六月三十日に国鉄の総裁から現在の鉄道会館の社長になつておられます加賀山さん宛にこの事業に関する協力の依頼をされたわけであります。これに対しまして加賀山さんのほうから承諾がございまして、それから具体的に折衝をして参つたのでありますが、七月三日に国鉄に監理委員会というものがございます。これは現在は経営委員会になつておりますが、まだ昨年は監理委員会、今年の七月までは監理委員会であつたわけですが、監理委員会に諮りまして決議をしております。加賀山さんのほうから御同等のありましたのは七月三十日で丁度一カ月経過しております。どういう方針でこの鉄道会館の仕事をやるかという詳細な点についての指示を要請をして参りました。それに対して九月二十五日に国鉄総裁から加賀山氏宛に基本契約というものを呈示いたしました。契約の基本条件を呈示いたしました。九月二十六日にまあ請書と申しますか、加賀山さんのほうからの請書が出ておるわけであります。そういうことで二十六日の請書によつて基本契約が成立したという見方になつておるのでありまして、実はこの契約は非常にいわゆる基本契約といわれておるものでございまして、未確定の部分がかなりたくさんございます。その後いろいろ協議の結果だんだん細かい点がきまつて来ておるのでありますが、工事の点につきすしても、工事費の分担などにしましても、実はその後二回に亙つて修正をいたしておりまして、本年の七月十四日にその次の修正を一遍いたしております。それから更に八月八日にもう一度修正をいたしております。現在は本年八月八日に修正いたしましたものが基礎になつております。これは工事費の分担の仕方でございます。詳細は省略いたしますが、だんだんと国鉄のほうの分担を少くして行つたわけでございます。現在でき上りました協定によりますと、駅本屋の工事につきましては、一階だけを国鉄が使う、他は大体において鉄道会館が使うことになりますので、分担を容積比率にいたしたのであります。そういうことで分担を分けまして、最初はそうでなしに、利用する面積、共用部分については折半とする、そういうふうなことでありましたから、国鉄の負担金額が非常に多かつたのでありますが、今年の八月八日になりましての協定では、大幅に国鉄側の負担が減額されて参つております。
これが大体の経緯でございますが、ちよつと順序が悪かつたのでありますが、最初にもう一つ申上げておきたかつたことは、駅本屋のことを只今申上げましたが、実はあそこの鉄道会館の問題といたしましては、ちよつと地図を持つて参りませんでしたが、東京駅の線路が通つております、今十五番線までございますが、あそこの下のほうをいわゆる高架下と言つております。高架下を相当手入れをいたしまして、すでに御承知かと思いますが、あそこに土産物とか、いろいろ店屋が出ておりますが、まあ名店街という言葉を新聞などでも使つておりますが、名店街というものができております。あそこの名店街のできておりまする所は、やはり鉄道会館が使つておるわけであります。そして鉄道会館からあそこに店を出しておりまする人たちに貸しておるわけであります。それから今度、今工事のほうから言いますと、丁度根掘りをやつております工事場が駅前にございますが、あそこに十二階建、現在のところは十二階の許可はございませんで、八階までの許可でございますが、八階建の建物の建築をやりつつあるわけであります。その建物を先ほど私が申上げました駅本屋と言つておるのでありますが、この駅本屋と、今の名店街のあります高架下との間が少し空いておるのであります。その空いておる部分には将来二線くらい鉄道を入れる予定線になつておるのですが、それまでの間空けておきますと、通るにしましても傘をささなければならん、雨が降れば傘をささなければならんというような関係もありますし、あそこを上屋で繋いでしまうということにいたしまして、実はあそこに鉄骨を建てましてそうして鉄骨の土屋を作ることにいたした。それが現在一期工事で半分ほどできかかつております。そういうことで、高架下と連絡上屋と駅本屋と三つがあるわけであります。高架下のほうも、連絡上屋のほうも、それから駅本屋のほうも、それぞれ相当鉄道会館が使うわけでございます。
私どもがずつと調べて参りまして、細かい問題はいろいろとございますが、将来どういうふうな管理運営面を改善すればよろしいかというような観点から見まして、ちよつとおかしく思いますることは、使用料の算定の基礎になりまする地代などが比較的近隣の地代などを調べました関係では低いということ、それから高架下につきましでは、実は数字的にちよつと申上げますと、高架下と、それから連絡上屋の総工費、現在までやりました総工費が五億五千四百万円で、そのうち国鉄が負担いたしましたものが二億五千二百万円、それから鉄道会館の負担いたしましたのは三億一千万円、ちよつとラウンド・ナンバーで申上げましたから数字が合わない点があるかも知れません。大体そういうふうな見当でございます。それで三億一千万円出しておるわけでございますが、そのうちの三億四百万円というのはすでに前家賃で鉄道会館が徴収してしまつておるわけでございます。従つて、鉄道会館といたしましては、殆んど資金が要らずに又貸しをしますから、そこの人たちから前家賃として三年分を徴収いたしまして三年分が三億四百万円でございまして、大体足りておるということになるわけでございます。年間あそこでどのくらいのものが上るかと申しますと、高架下のほうで六千二百七十万円、連絡上屋のほうで六千四十万円というようなわけで、合計一億二千三百万円ほどが入つて来るわけでございますが、このうち国鉄に納めなければなりません土地建物使用料、構内営業料というものを積算いたしてみますると、現在の規定で行きますと、二千九十万円ばかりでございまして、鉄道会館といたしましては、差引一億二百万円ぐらいの利益が年々上るという計算になつて参ります。さような状況になつて参りますのは、これは国鉄の構内営業の規則などが非常に不備でございまして、それも一律に売上高の千分の十というようなものを作つておりますので、非常に金額の上る、収益のたくさんあるところではもう少し高率にするとか何とかという配慮が今のところございません。むしろよその所では、国鉄が相当直営といいますか、こういう中間の機関を設けずに一般にはやつておるわけでございまするが、やればやれないこともありません。これらの点が将来研究すべき問題であろうかと思つております。
それから次に交通公社の問題でございますが、この前お話がございました交通公社につきましては、切符の代売というのがございます。国有鉄道の切符を売つてやる、交通公社で……。それに対して手数料を払つておるわけですが、この代売金を国鉄のほうに納むべきものが相当滞つておるということが決算委員会あたりで、ちよつと決算委員会でありましたか、運輸委員会でありましたかはつきりいたしておりませんが、国会のほうで取上げられておりました。そういうことでその問題を同時に調べてみたらどうかという御意見がございましたので調査いたしたのでございます。これは交通公社の代売金につきましては、いろいろ契約常の制度が変つておりましてなかなか面倒なのでありますが、最近でもずつと変えつあります。大体従来は売上げ月の翌月の四日までに切符代は納めるというのが建前であつたわけであります。で二十四年の五月分まではそれでやつて参つたのですが、二十四年の六月分からちよつとその点があいまいになりまして、これは二十四年の六月と申しますと、丁度公社発足、日本国有鉄道が切替つた時期でございます。そのときに国鉄の指定する納期日ということになつたのであります。定日でなしにと申しますのは、ほかにも理由があるのでありまして、このときに司令部から、当時のアメリカ軍のほうから要求がありまして、代売をさせるのはよろしいが手数料を払つてはいけないという話があつたのです。で実は交通公社の代売事業というのは、かなり一般の人たちも便利を受けておるわけであります。で国鉄としては代売を続行させたい、併し手数料はやらないというのでは甚だ困るというので、その際に便法としてやつたように思われるのでありますが、納期を多少緩やかにする趣旨だと思いますけれども、国鉄の指定納期にするということにしておつたわけであります。でその状況で二十五年の五月分までは各鉄道局長が区々にきめておつたので、これはまちまちでございます。余り区々ではいけないというので、二十五年の六月分以降指定をいたしまして、これは本庁のほうから通牒を出しまして、東京鉄道監理局管内は売上月の翌々月の末、その他は売上月の翌月の末というふうに規定をいたしたのであります。その後二十六年の一月に東京鉄道局管内だけ更に一カ月を延ばしております。それから本年の二月になりまして又少し戻つて参りまして、東京鉄道局管内は翌々月の末というのを修正しまして、翌々月の十五日というふうに十五日短縮いたして参りました。それから本年の五月分以降はそのもうあと十五日短縮いたしまして、翌々月の……、先ほど申上げましたのはちよつと間違いまして、翌々々月の十五日を翌々月の末ということに二十八年の五月分から又十五日短縮いたしました。それから更に七月分からは翌々月の二十日と、十日短縮しました。それから八月分からは翌々月の十日というふうに短縮して、だんだんと常態に引直そうという努力のあとは見られるのであります。でこういう状況でございますが、まだ相当の未納額があるわけでございます。で先ほど申上げました手数料の廃止というのは、これは全部廃止をいたしましたのは、三カ月ほどで、その後逐次回復して来ておりますので、無論現在ではもう元通りになつておるわけでございますが、この間に普通の従来の手数料をやれば、どの程度やるべきであつたろうかという金額を概算いたしますと、三億八千万円くらい近くなるようでございます。で、そういうようなことでまあ大分国鉄側としましても、交通公社にかなりの無理をかけておるというので、多少この期日を緩やかにして参つて来ておるのでありますが、まだなかなか清算はしきれないようでございます。併し私どもが見ましたところで、これは可能性はあるというふうに今のところでは考えております
それでこの問題につきましての私どものほうの将来の改善措置でございますが、これは国鉄の業務の一部を委託するわけでございますから、成る程度こういう場合には政府側の監督を相当厳重にしたほうがよろしい。それから現在の取扱いの仕方ではどうも満足行きませんので、御承知のように交通公社といいますのは公益法人でありまするが、いろいろの仕事をやつております。そこで基本金なども非常に零細なものでございます。こういうところに大きな金額を扱わせる仕事を委託する場合には、相当注意を払わなければならない。それで会計という事務の経理は、ほかのいろいろな交通公社の中の業務と分離いたしまして明確にできるようにしておく必要があると思うのであります。現在指定預金特別口座の制度がございまして、この代売金につきましては預金の口座を特別にいたしまして、そこへ入れておくというようなことにいたしておりますが、併しこの運用は必ずしも厳格ではございませんで、多少出入りがございます関係上、やはり国鉄の代売金がこれで安心というわけには行かないわけであります。そういう観点から、もう少し強くはつきり経理を分離いたしまして、そして間違いないようにしたほうがよろしい。それから特に今回のような問題が起つて参ります。原因といたしましては、何と申しますかやはり外郭的団体でありますので非常に信用した処置がとられておるわけです。現在でも非常に信用をしてやつておるということでありますが、信用することは結構でありますけれども、併し扱われるものは大切な国鉄の金でありますので、やはり相当な注意が必要であります。そこでともかく今後は相当はつきりさせまして代売金はどんどん国鉄のほうに収約するようにしてそうしますと多少、多少ではございませんが、実は現在のところですぐ納めると言いましても完全に完済は或いはできないかも知れませんということでございますが、その金額につきましても明瞭にいたしまして、そして将来これを確実な再建計画を立ててまあ年賦なり何なり、現在納められない金額につきましては、厳重な再建計画を作つてそうしてやつて行くというような措置が必要であろうかと思います。これらの点につきましては関係の運輸省などともよく協議いたしましてそして実行に移したいと思います。まあ現在の段階で多少整理に手間はとれましても最終的に非常に穴をあけて国鉄に迷惑をかけるというようなことにはならずに済むのではないかという見通しを持つて、今のところもう少し数字を明確にするための作業をいたしておる次第であります。
余り数学的には細かく申上げられませんでしたが、一応この程度の御報告をいたしまして御質問に応じて申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/66
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067・松原一彦
○松原一彦君 先ず滞つておる交通公社の金は幾らですか、総額は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/67
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068・山口酉
○説明員(山口酉君) 八月末の資料を今持つておりますが、十一億七千九百万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/68
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069・松原一彦
○松原一彦君 それから手数料は何分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/69
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070・山口酉
○説明員(山口酉君) 手数料は五分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/70
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071・竹下豐次
○竹下豐次君 これは交通公社で切符を売つておるわけですが、そうせずに駅の支所みたいなものをこしらえて直営するということと比べてどういう利得があるのですか、交通公社で販売するということが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/71
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072・山口酉
○説明員(山口酉君) 実は交通公社が現在やつておりますところでは、ほかの仕事をやつておるわけでございます。案内事業、それから旅館の斡旋でありますとか、クーポンでありますとか、いろいろ交通公社の代売事業以外のものと併せて業務をやつておるものですから、比較的安くやれるということで、正確には計算はいたしておりませんがベースもちよつと国鉄よりも安くなつております。まあ国鉄がやるよりは安く行くんじやないかということは正確に計算しておりませんけれども言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/72
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073・竹下豐次
○竹下豐次君 それから大分多額の金を預けているわけですが、国家としては、何か交通公社からその担保でも入れさしているということはないですか。全く信用ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/73
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074・山口酉
○説明員(山口酉君) これはずつと古く非常に僅か入れたことがあるのでございますが、これは貨幣価値が変つておりまして問題になりません。基金としましては十三万円の基金でございます。初め代売事業を開始する頃には、代売事業をやるのにはかなりの保証金を積まなければならんという考え方がありまして、大正何年でございましたか、十二万円取つたことがあるのであります。今回は一遍にこういうふうに貨幣価値が暴落するというような状況が起つてしまつたものですから、そういうようなことをやる暇なしに、こういうところに追込んで来たのではないかと思います。現在は担保を入れる能力もございませんし、取る能力もございません。担保の方法といたしましては、先ほどちよつと申上げましたように特別預金制度でございます。売上げました金はその日のうちに銀行に入れて指定預金制度にいたしておるわけであります。これは証人がなければ下せないというような一応の形になつております。併しこの運用はそうばかり行きませんので、多少緩やかになつておる点もあるようでして完全には行つておりません。併し今までのところこの面で特に何か間違いを起したというようなことはないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/74
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075・竹下豐次
○竹下豐次君 鉄道会館はあれは株式会社ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/75
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076・山口酉
○説明員(山口酉君) 株式会社です。株式会社鉄道会館と言います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/76
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077・竹下豐次
○竹下豐次君 あの株主は大家族主義で、そのほうの人たちだけがなんだかその仲間に加わつておるというようなことがよく新聞で言われておりますが、そんな窮屈なものではないでしようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/77
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078・山口酉
○説明員(山口酉君) これが最初の出発の際には、資本金が一億一千万円でございます。この場合には国鉄の共済組合が率で申上げますと九〇・九%に相当するものを持つたわけであります。それから鉄道弘済会が一・六%、それから設立発起人が七・五%、こういう持株でございます。それからその後増資をいたしまして三億四千万円に現在なつております。授権資本が十三億六千万円、国鉄共済組合はその後殖えておりませんので、現在の比率で申しますと国鉄の共済組合が二九・四二%になつております。それからあと国鉄の関係者と申しますか、これが五二・八八%です。その内訳を申上げますと、国鉄の現職寿が三九・六七、それから国鉄の退職者が一〇・六四、国鉄の外郭団体が二・五七、そういうような比率になつておりまして、そのほかに一般が一七・七%あるわけですが、このうちには生命保険会社、証券会社その他が入つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/78
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079・竹下豐次
○竹下豐次君 私記憶が薄らいだのですか、数年前に公務員でやめた人はその役所に関係のある会社の重役等に何中年かの間なつてはいけないというような法律ができたことがありましたね。あれは今どういうことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/79
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080・山口酉
○説明員(山口酉君) 国家公務員法にはございます。この日本国有鉄道は国家公務員法の適用がございませんので、その制限がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/80
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081・竹下豐次
○竹下豐次君 そうするとあれは何年ですか、三年ですか四年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/81
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082・山口酉
○説明員(山口酉君) はつきり記憶いたしておりませんが、あれはたしか過去五カ年間に職務上関係いたしましたものにつきましては退職後二年間、下のほうはいいのですが役員としては就職できないということになつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/82
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083・竹下豐次
○竹下豐次君 もと運輸省の役人であつた人ももう時効になつたわけですね。わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/83
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084・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 ちよつとお尋ねいたしますが、この初めのほうの国鉄の用地を無断で使用しているというのが厖大な数字になつておりますが、これはなんですか、仮に以前に鉄道を敷設すべく計画されたものが、戦時中にレールを引上げたとか中止したとかいうものが荒れておつて、そこが無断で使われておるというようなものが大部分でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/84
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085・山口酉
○説明員(山口酉君) お説のようなものが面積としては一番多くなつておりますが、その他でも事務的ないろいろ疎漏などで落ちておりますものが鉄道敷地以外でも相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/85
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086・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 それ以外になんですか、まあ駅の近くの枢要な土地を、何というか、計画的と言つたら語弊があるかも知れませんが、利益を供与するような暗黙のうちに使用されているというようなものもあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/86
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087・山口酉
○説明員(山口酉君) 今まで私どもが調べましたのでは、特に初めから無料で貸付ける意図でやつたというのではなしに、大部分が手続の疎漏で、あととるべき手続が忘れられておつたとか、それから坪数の計算が間違つておつたとかというものが大部分でありまして、故意に初めから無料で貸すつもりでやつておつたというのは殆んどございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/87
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088・松本治一郎
○松本治一郎君 今の話と反対に、戦争中に軍の威力をかつてここに鉄道を敷くんだということで安く取つて、そしてそのうち鉄道を敷かないで暗々のうちに関係者と話合つて私有となつているものがありやしないか。そういうものに探り当てられたことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/88
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089・山口酉
○説明員(山口酉君) 私どもが今まで調査いたしまして地方から上つて来ておりますもののうちには、お話のようなものはまだ見当りませんけれども、私どもの調べましたのは全部でございませんので、或いはそういうことは全然ございませんと言うことは少し言い過ぎかも知れませんですが、只今のところはこういう案件がございますという程度のものは出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/89
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090・竹下豐次
○竹下豐次君 先ほど数字を挙げてそして鉄道の経理のルーズな点のお話がございましたが、あれは何かお手許に表でもできておりますなら、書き取ろうとしましたが、一々書き取ることもできませんでしたから、頂くことができたら非常に参考になるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/90
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091・山口酉
○説明員(山口酉君) 最初に申上げましたようにこれは中間でございまして、成る程度は数字を抑えておりますけれども、確定してからいずれその資料は差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/91
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092・竹下豐次
○竹下豐次君 なかなか確定といいましても、よほどまだ期間がありましようから、中間報告として書いたものですから、うかつなことも書けないと思いますので、その点をはつきり前文に謳つておきまするなら、どうせ速記に上つておることですから、同じことじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/92
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093・山中徳二
○説明員(山中徳二君) 相手方とだめを押しましていろいろ数字を固めおるということで、地方から入つて来た情報程度で、いわゆる中間報告ですから、併し余りそういう数字に触れないで御報告するのも如何かと思いまして地方から来たなまの数字を出しておるような恰好でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/93
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094・竹下豐次
○竹下豐次君 よくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/94
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095・山口酉
○説明員(山口酉君) できるだけ数字を明査いたしまして、成るべく早く御報告いたすことにしまして、事務局のほうに差上げるようにいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/95
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096・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ほかに御質問がございませんようでしたら、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714889X00219531102/96
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