1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月十七日(土曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 瀬戸山三男君 理事 細野三千雄君
逢澤 寛君 岡村利右衞門君
高木 松吉君 高田 弥市君
仲川房次郎君 堀川 恭平君
赤澤 正道君 五十嵐吉藏君
村瀬 宣親君 三鍋 義三君
安平 鹿一君 菊川 忠雄君
只野直三郎君
出席政府委員
建設政務次官 南 好雄君
建設事務官
(大臣官房長) 石破 二朗君
建設事務官
(計画局長) 渋江 操一君
委員外の出席者
建設事務官
(大臣官房建設
業課長) 宮内 潤一君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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四月十六日
湯田ダム建設に伴う犠牲者補償に関する請願(
鈴木善幸君紹介)(第四四一一号)
国道箱根一号線改修工事施行に関する請願(小
金義照君紹介)(第四四六八号)
河川法改正に関する請願(黒金泰美君紹介)(
第四四六九号)
最上川左岸堤防補強工事施行に関する請願(牧
野寛索君紹介)(第四四七〇号)
西村山郡下各河川の砂防工事施行に関する請願
(牧野寛索君紹介)(第四四七一号)
西村山郡下各河川及び道路の災害復旧工事費全
額国庫補助に関する請願(牧野寛索君紹介)(
第四四七二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会に関する件
土地区画整理法案(内閣提出第一二八号)
土地区画整理法施行法案(内閣提出第一二九
号)
公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出第一四二号)
建設機械抵当法案(内閣提出第一四六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより開会いたします。
土地区画整理法案及び土地区画整理法施行法案の両案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/1
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002・久野忠治
○久野委員長 両案につきまして、農林委員会より連合審査の申入れがありましたが、両法案につきまして農林委員会と連合審査を行うに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/2
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003・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお開会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/3
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004・久野忠治
○久野委員長 両案につきまして質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/4
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005・細野三千雄
○細野委員 私は、前会大体質疑を終つたのでありますが、なお保留しておきましたのは、借地人並びに借家人の立場から見まして、どうも不十分な点があるように思われるのですけれども、借地人並びに借家人は利害関係者ということで、発言の機会が与えられておるわけであります。これは利害関係人という漠然たる言葉になつておりますが、この定義と見るべきものは、第二十条の二項以下だと思うのであります。ここでは土地区画整理事業に関係のある土地もしくはその土地に定着する物件について権利を有する者というのでありますが、この「関係のある土地」というのは、一体どの程度の土地を言うのか。すなわち区画整理事業区域外の土地であつても、隣接しておれば区画整理事業が行われる場合にいろいろな利害関係があると思うのですが、関係のある土地というのは、どの程度の土地をさすのであるか、まず承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/5
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006・渋江操一
○渋江政府委員 土地区画整理事業に関係のある土地の範囲でございますが、必ずしも区画整理地区内に限定いたしておりません。事業地に隣接いたしておる土地ないしは土地の上にある物件について権制を有する者についても、ここにいう利害関係者として取扱うことは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/6
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007・細野三千雄
○細野委員 なお借地権者が、個人で施行する場合には一箇月以内という期限がありますが、組合で施行する場合あるいは行政庁が施行する場合には、そういう期限の制限がない。しかし二十五条の申告のない限りは組合員にもなれない、また委員の選挙権もないということになつておりますが、しからばこれは何どきでも、相当おそくなつてからでも申告すれば組合員になれるのかどうか。委員の選挙権も得られるのかどうか。こういう点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/7
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008・渋江操一
○渋江政府委員 二十五条の第二項の問題に関連いたしておると思いますが、区画整理組合で施行する場合を、一応例として考えてみました場合に、今お話がございました未登記の借地権者の取扱いでございますが、この点は、八十五条による申告のない者は、この申告の出ない限りにおいては借地権者としての取扱いは受けない。従つて、その限りにおいて組合員としての資格を与えられないということになるわけでございますが、ただいまお話がございましたように、しからば当初の申告がなかつたけれども、事後においてさらに申告する機会を与えられて申告する場合においては、その組合員としての資格は取得できるか、こういうお尋ねのようでございますが、さように私ども解釈をいたしております。この規定の運用としても、できると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/8
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009・村瀬宣親
○村瀬委員 この前に私は資料を要求して、きようここにいただきましたが、これによりますと二十八年度末現在の戦災復興事業の進捗状態は五大都市が六七%、一般の都市は八八%になつておるようでありまして、完結した都市は四十七都市にしかすぎない、こういうことであります。そこで第百二十一条との関係でございますが、特別都市計画法を廃止して、この土地区画整理法を実施する役になりますと、現に、戦災復興事業の残つております都市には、どのような影響があるのでありますか。全然影響はないのでありますか、あるいはただちに影響が生ずるのでありましようか。これは別途施行法の方におきまして五年間は云々という五年の期限もついていることになつております。でありますから、あの五年間云々というのとどういう関係になりますか。また百二十一条の裏づけとなる予算が、昭和二十九年度は幾らになつておるのでございますか。これらの点について伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/9
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010・渋江操一
○渋江政府委員 この戦災復興事業は、御承知であろうと思いますが、いわゆるこの土地区画整理事業の新しい法律の上では、行政庁施行の一つの体系として行われておるわけであります。すなわち施行者の範囲を規定してございます三条の規定からごらんになりまして、三条の第四項の規定の適用を受けて仕事が行われる性格のものでございます。従いまして、費用負担の関係につきましては百二十一条ではございませんで、この新法の関係におきましては三条四項、すなわち百十八条の第三項によつて国がその一部の費用を負担しなければならないという関係に相なつておるわけでございます。
そこで、もう一つのお尋ねは、しからば、この新法施行からいかなる切りかえ方になるかというお尋ねでございましたが、これは施行法の規定の御説明を申し上げた際にも申したと思いますが、行政庁施行の場合におきましては、新法施行の日から即日新法に切りかわるということを規定いたしておるわけでございます。五年間の存続を認める整理事業は、組合ないし公共団体施行の場合に限定いたしまして、五年間の存続を許しておりますが、行政庁施行におきましては、即日新法施行と同時に切りかえるという規定をいたしておるわけでございます。
そこで予算との関係でございますが、百十条において、新しく費用負担につきましては、国がその一部を負担するということになつておるわけでございまして、私どもの考えといたしましては、現在予算の上に編成せられております二分の一の補助、これはこの百十八条に基く国の負担としまして切りかえることにいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/10
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011・村瀬宣親
○村瀬委員 第百十八条の三項につきましては「政令で定めるところにより、その土地区画整理事業に要する費用の一部を負担する。」とあるのでありまして、これについては、前会瀬戸山委員からいろいろ質問のあつたところであります。そこで、どういう政令でお定めになるのでありますか、この内容を伺つておかないことには、うつかりこの法律は通せないと思うのであります。前例もあることでありますし、二分の一の補助と、はつきり書いてあつても、それを実施していないということで、大分この前瀬戸山委員から追究のあつた点とも関係があるのでありまして、この政令はどういう政令でお定めになるのでありますか。文句などはどうでもいいのでありますけれども、二分の一が四分の一になつたりすれば大ごとになるのでありまして、どういう政令の率をお考えになつておるか、またその予算額は一体幾になつておるのでありますか、これに充当される二十九年度の予算の金額をお示しを願いたい。それから百二十一条に一その費用の二分の一以内一とあるのでありますが、この方の予算額は幾らになつておりますか、はつきりした数字をお示し願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/11
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012・渋江操一
○渋江政府委員 百十八条の第三項の政令の定め方でございますが、この関係につきましは、前回の委員会におきまして、瀬戸山委員の御質問に対する当局側の答弁といたしまして、その点を申し上げたわけでございます。すなわち政令はいかなる定め方をするか、これは明確に政令として二分の一という規定をいたしますということで申し上げたわけでございます。これは大蔵省とその点につきましても、ある程度話合いをつけております。従来の都市計画法の施行令の規定に基きまして、いろいろ瀬戸山委員か御質疑のございました経緯、それに対する政府側の措置の不十分な点、これにつきましては、前回の委員会で、私より十分御説明を申し上げまして、御了解を得たつもりでございますので、御了承をいただきたい、かように存じております。
それから本年度の予算面における百十八条の負担の額、それから百二十一条の補助の額につきましては、予算の内容を御説明申し上げることになるわけでありますが、現在資料を持つておりませんので、計数的には申し上げられませんけれども、行政庁施行という関係において現在予算面に現われておりますのは、戦災復興事業、それから港湾地帯整備事業、長崎、広島の特別都市の復興事業、大体それがこの行政庁施行の区画整理事業に相当するものでありまして、百二十一条関係の補助関係に相当いたしますのは、いわゆる団体施行の場合でございまして、これに要しております費用は、御承知の火災復興に要する事業費が大体なるわけであります。現在鳥取市の火災処理を含めた区画整理事業に対しまして、国が補助予算をつけております。あの費目が百二十一条に該当いたす区域でございます。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/12
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013・村瀬宣親
○村瀬委員 政令で二分の一に定めるということを言明なさつたのでありますが、しからば、何でこの法文の中に二分の一とお書きにならななかつたのでありますか。政令で定めるということにしておけば、二分の一以上の三分の二も出るかもしれないということで政令に譲るというのならば、それも多少意味があるかもわかりませんが、政令で定めるとしても、必ずしも多くの補助金が得られないというのでありますならば、われわれは法律をつくる場合に、大臣や行政庁に権限をまかすこと、はなはだ不安であります。従前においても、ちやんと二分の一補助の規定を書いておつてさえ、大蔵省はいろいろ言つてそれを出しておらないような事実もあるのでありますから、私たちは立法府として、ちやんと自分の権限で二分の一ならば二分の一ときめておきたい。それを特に政令に譲つたのは、どういうわけでありますか。あなた方の方でかつてに裁量をしようという、われわれの権限をあなた方の方へとつておこういうという意思から出たのであるかどうか。これは当然私はその二分の一というものをはつきり法文に明記して置く必要があると思うのでありまするが、何ゆえに政令にことさらに譲つたのであるか、理由を承りたいのてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/13
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014・渋江操一
○渋江政府委員 この政令に譲りました理由は、端的に申し上げますと、ただいま御質問がございましたような意図が特別に政府にあつて考えたわけではございません。ここに政令の内容として考えておりますことを端的に申し上げますと、一つには、この補助率の問題でございます。それからもう一つは、百十九条に受益者負担金の規定がございます。この内容の詳しい基準につきましては、政令で定めなければならない建前になつております。この受益者負担金は、土地区画整理事業の費用のうち、受益者負担をとる場合は、これは事業費のうちからその部分だけは差引きまして補助対象としての、国の負担金の対象といたしましての土地区画整理事業費といたしましては、この受益者負担の部分を控除いたしまして、これに対する二分の一という算定方式をとる、かようにいたしたわけであります。さような関係からいたしまして、この受益者負担との関係とあわせて規定をいたしたい、かような考え方ございます。受益者負担の方式につきましては、法律で書きますにつきましては、非常に煩にわたります関係もございますので、それらの関係も含めまして「政令の定めるところにより」というふうに、政令に譲ることにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/14
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015・村瀬宣親
○村瀬委員 何かあるのだろうと思つて聞いてみますると、やはり何かあつたわけであります。つまり受益者負担金を出せば、補助金をよけい出さないという御方針のようであります。そたは私は困るのでありまして、受益者負担金を出すようなところへは、なおさら補助は当然出してやつてよいと思うのであります。受益者負担金だけを差引いて、残りの分に二分の一を出してやろう、こういうのでありまするならば、それでは受益者負担金などだれも出さない。こういうことになるのでありまして、受益者負担金は受益者負担金、補助は補助、これでお運びになるのが私は至当だと思うのでありますが、受益者負担金を際いた分に二分の一の補助をする、受益者負担金のないところへはたくさん補助をしてやる、受益者負担金を出すところへはわずかしか補助をしないという結果になるのは、どういう根拠から出て参りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/15
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016・渋江操一
○渋江政府委員 取益者負担の方法につきましては、これは一応宅地の場合でございましたならば、宅地の値上りの限度において、もちろん受益者負担をとれる建前にいたしたい、かように考えておりますが、さような考え方をとつた場合に、かりに区画整理事業費の六割が受益者負担でまかない得たと仮定いたしました場合におきましては、国の負担の場合において五割の補助という問題は出て来ない、こういうような例も考えられるわけです。そういう受益者負担と補助とのかみ合せ、これはどうしても私は政令の内容として規定いたさなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/16
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017・村瀬宣親
○村瀬委員 そういうことになりますと、受益者負担金を出す都市は、結局ばかを見るというような誤解を与えるのでありまして、受益者負担金を出さないで補助を多くもらつた方がよいという結果を招くわけであります。つまり、そういう方法で進めますと、結果において受益者負担金を出せば補助金は減るのであるから、受益者負担金はなるべくとらないで、区画整理あるいは戦災復興事業をやろうということを導く結果にもなるのであります。従来とても、これで昭和二十年度は十分の九でありましたが、昭和二十四年度から二分の一の補助をなさつておりますが、このときには受益者負担金との関係はどういうふうになつておりましたか、昭和二十四年度からすでにその御方針であつたのか、この法律を実施するとなると、そういうことになるのであるか、その間の関係からまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/17
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018・渋江操一
○渋江政府委員 戦災復興事業につきましては、これは現在受益者負担はとつておりません。従つて、この法律の旅行後といえども、戦災復興事業に伴う区画整理事業に関する限り、受益者負担は、とることはおそらくできないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/18
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019・村瀬宣親
○村瀬委員 ちよつと御答弁がこんがらがるのでありますが、私は最初百二十一条についてお尋ねしたところが、戦災復興事業は百二十一条ではない、百十八条の三項だということである。そこで私は百十八条の三項の政令をお尋ねした。ところが、この政令は受益者負担との関係があるから二分の一と法文に書かなかつたという御答弁である。そこで、さらに私が質問をいたしますと、いや、これは戦災復興事業には受益者負担は全然考えていないのだと、こういうことである。堂々めぐりをして、それでは結局二分の一というものをちやんと明記されてもよいわけであります。戦災復興事業には百十八条の三項を適用なさるのならば、三項に関する限り受益者負担は出て来ないわけでありますが、それはどういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/19
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020・渋江操一
○渋江政府委員 私の答弁が十分でありませんでしたから、もう一度申し上げますが、戦災復興事業は、行政庁施行の一つの場合であります。戦災復興事業に関する限りにおいて受益者負担はとらない。従つて二分の一という政令の規定も、御質問のありましたように、法律の上で明らかにするといたしましても、政令に譲るにいたしましても、その点についてかわりはない。むしろ受益者負担との関係は無関係という点から申しますれば、その通りであります。ただ、この法律の対象といたしております百十八条の三項は、戦災復興事業による行政庁施行だけを考えておるわけではありません。今後におきます行政庁施行の場合も、これに対するやはり国の負担というものもあわせて規定をいたさなければならぬと思います。そういつたような点から考えまして、私が先ほど言つたように、受益者負担の関係についての規定は、やはり国の負担の率を考える際に、あわせて規定をしなければならない、こういう点を申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/20
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021・村瀬宣親
○村瀬委員 御説明でやや明らかになりました。なお念を押しておきますが、本法案が実施になりましても、戦災都市の復興事業については、補助率その他何らの影響はないという御答弁であつたことを私は了承をいたしておきます。そうして、ここで特に二分の一とすべきものを政令に譲つたのは、戦災復興事業以外で、今後行政庁において区画整理をやる場合が生じたときには、二分の一と単純にきめないで、受益者負担を加味するのだという御答弁であつたことも了承いたしました。それならばそういうことをここに書くことはやすいのでありますから、私ははつきりそういうことを書いておくのが至当ではないかと思いますが、これはまた後刻われわれの方で考えることにいたします。
それから、その次には、やはり百二十一条の二分の一以内という問題につきまして、これも瀬戸山委員その他から同じような議論があつた点でありますが、最後に私は締めくくりをいたしておきたいと思うのであります。これは南政務次官もお話になりました通り、アメリカが占領政治をしくにあたりまして、法律を明記する場合には、以内というような不見識な条文はつくるべきでないというので、はつきり三分の一とか三分の一と明記した法律になつておつたのであります。ところがいよいよ今年初めて一兆円予算に関連をいたしました補助金等の特例に関する法律案におきまして、二分の一以内というのが各所に出て来た。あるいは三分の一以内というように「以内」という文字が出て来た。これはこの特別委員会で非常に議論しました結果、一年限りまたは二年限りの時限法にしてしまつたわけであります。従つて、これは一つの期限を切つた法律でありますから、永久法ではない。ところが、これは時限法ではなく永久の法案であります。これにまた「二分の一以内」というような、立法府としてはきわめて不見識な言葉を使うことは、これはあなたが初めて先例を開かれて、せつかくはつきりとした——占領軍の方針には行き過ぎが多々あつたのでありますが、たつた一つよいところと言えば、立法府がちやんと見識を持つて、何も行政府の駆使に甘んずることのない法律にしてしまつておつたのでありますが、それをまた昔のあの時代の不明確な言葉をことさらにここに持つて参りまして、その費用の二分の一以内と、「以内」という文字を使つたことは、私は法案自体の権威を傷つけるものであると思うのでありまして、これは当然「二分の一」と、はつきり明記すべきであると思うのでありますが、以内とされた理由は、一体どこにあつたのか、もう一度念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/21
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022・渋江操一
○渋江政府委員 非常におしかりを受けたわけでありますが、百二十一条の「費用の二分の一以内」という立法例は、この法律が最初ではございません。道路法の五十六条をまずごらん願います。これにおきましては、補助につきまして、国の負担と補助というものとを書きわけて立法いたしております。負担につきましては、四分の三あるいは三分の一、こういうふうに明確な一つの基準を置いております。補助につきましては、この政令で定めるところによりという条件はございますけれども、ただいま申し上げました道路法の五十六条の場合におきましても、二分の一以内あるいは三分の一以内というような立法形式をとつております。これにおきましても、やはり費用の負担は国の負担と補助と書きわけておるわけでありまして、百二十一条は、さような意味におきましては、これは国の補助金の一つの率の取扱いをきめております。これにつきましては、二分の一以内という立法例は他にもある、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
それからもう一つ申し上げたいと思いますことは、この補助金方式を明らかに法文化したという点につきましては、御承知のように従来の戦災復興事業その他における一つの補助の根拠は、これは予算補助によつておりまして、法律で必ずしも率は明確になつておりません。そういう点を、今回は区画整理事業の立案と同時に、これを法律に明定したいというふうな考えからいたしまして、この費用の補助方式を——もちろん補助金として交付することができるという一つの裁量の余地はございますけれども、法律の上に明記することにいたしましたので、その点を御参考に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/22
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023・村瀬宣親
○村瀬委員 この問題は、非常に官僚といいますか、行政庁の基本的な観念に触れるものでありまして、今までは予算に譲つておつたというような御答弁もありましたけれども、そういうところに、汚職とは申さないにしても、いわゆる陳情政治の余地を残したのでありまして、何もかも官僚に地方の自治体その他が頭を下げてお百度を踏んで補助金をもらい、事業をやつてもらわねばならないという日本の悪い習慣は、実はこういうところから生じておるのであります。それをちやんと法律で明記して、立法府が責任をもつて二分の一ならば二分の一はやるのだ、陳情などの余地はないのだ、三分の二なら三分の二と、はつきりすべきだと思います。これはすでに進駐軍か来てから法文の書き方もかわつたという例もあるのでありまして、今道路法の五十六条に云々という御答弁もありましたが、そうすると、結局建設省関係で何分の一以内とすることは、建設省関係が先鞭をつけるようになるのであります。こういう点は、昔はそうであつたのであります。昔は、何もかも何分の一以内で役人がみなきめることになつておつた。立法府の権限は役人が大方持つておるという形になつておつたのであります。それでは立法府の権限がないというので、「以内」というのを全部削つてしまつて、何分の一と法律は明記したのであります。ところが、いよいよ、日本が独立して、今度また「以内」という文字を使い出すということは——ただ二分の一以内ならば、五割以下でありますから、一割でもよければ五分でもよいわけで、これを法律が明記するわけでありますから、はなはだ見識のない立法態度ということになるのでありまして、二分の一以内とか以下ということは、立法府みずからが自分の権威を失墜する立法態度であると考えるわけでありまして、はなはだこの点は不満に思うのであります。なおこの法案の審議にあたつては、修正その他の余地が残されておるわけでありますが、それに至る道程として、立案者の意見を十分聞いておきたいと思いますので、重ねてこの点に対する経過をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/23
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024・渋江操一
○渋江政府委員 政府部内の打合せといたしましては、従来の立法例等も参酌しながら、一応立案をいたしたつもりでございます。お説のように、補助金の基準を、できるだけ裁量の余地のない、形において明確化することにつきましては、お話の点は十分私どももわかるわけでございますが、道路法の関係もございますし、それからなお土地改良法と土地区画整理事業法とは、やや対象は違いますけれども、似た法律関係もございまして、土地改良法の関係も参酌いたし、そういう諸法令との関係において二分の一以内と、「以内」の字句を規定いたすことも、今までの占領後に立法さたれ法令の上においても現われていないわけではないという点等も考えまして、さような規定を置いたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/24
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025・細野三千雄
○細野委員 さつきの土地区画整理審議会の委員のリコール制度ですが、これまた五十八条の第十項に「委員の改選の請求及び第八項の規定による投票に関し必要な事項は、政令で定める。」——これはどういうことを考えておるのですか。多分投票の有効無効、あるいは投票の管理とかいう、投票に関する手続等が考えられるのですが、大体どのような御構想であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/25
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026・渋江操一
○渋江政府委員 五十八条の第十項にございます政令で定める事項でございますが、リコールの手続の主要な条件につきましては、第七項に、所有権者、借地権者の三分の一の連署並びに改選を請求いたすべき理由を都道府県知事及び市町村長に提出するという点について規定をいたしておりますが、その他の改選の請求に関する諸手続の細目の点につきましては、政令で定めたい、かように考えております。それから請求受理の結果といたしまして、その投票の方法につきましても、手続規定は政令で定めたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/26
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027・細野三千雄
○細野委員 リコール旧制度は、非常にけつこうですが、従来のリコール制度の実際を見ますと、町村長のリコールや県会議員のリコールでも、非常に時間がかかる。すなわち投票について、一々その投票が有効か無効かという訴訟をしたり何かすると、二年やそこらはすぐたつてしまう。せつかくこういういい制度ができたのでありますから、こういう点で村側や都道府県知事に訴願し、さらに建設大臣に訴願し、さらに行政訴訟などをやつておりますと、相当の時間がかかると思うのであります。そういう点でもつとリコールの目的を達し得るように簡素な手続をお考え願いたい、こういう希望を申し上げまして、私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/27
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028・久野忠治
○久野委員長 両案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/28
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029・久野忠治
○久野委員長 次に公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案及び建設機械抵当法案の両案を一括して議題とし、これより質疑に入ります。
質疑の申入れがあります。よつてこれを許します。高田弥市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/29
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030・高田弥市
○高田委員 公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案について二、三の点を質問いたします。
第一に、今日において保証事業会社の運営状態から、あるいは建設業そのものの要求から、法律の改正を要する点はこれだけであるかどうか。もし検討中のものがあれば、その内容をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/30
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031・南好雄
○南政府委員 お答え申し上げます。公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案についての御質疑で、今改正案の御審議をお願いしておる以外にまだあるか、こういう御質問でございます。公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案そのものには、現在のところ改正を考慮しておるというようなことはないのでございますが、皆さんも御承知のように、建設業の最近の現況をながめますと、場合によつては、いわゆる請負工事の価額、ロア・リミツトについての制限も考えなければならぬ、こういうお話が前々委員会にも議論になつておりますし、前国会においても、当委員会において問題になつておりますことは御承知の通りであります。建設業のほんとうの健全な発達のためには、場合によつてはそういうことも必要でなかろうか、こういうふうに考えておりますので、そうなつて参りますと建設業法の一部改正になつて参ります。それに関連いたしまして、もしそういうことになれば、公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部もまた改正の要が出て来るという程度で、現在におきましては、まだそこまですぐにやるような段階には至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/31
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032・高田弥市
○高田委員 次に、建設業者が建設機械を購入する際に、債務保証を保証事業会社が行うということは、まことにけつこうでありますが、この債務保証契約の土台となるべき金融保証約款の骨組みと申しますか、建設省令で定めるとしてありますが、その大体の構想について承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/32
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033・宮内潤一
○宮内説明員 建設省令の内容と申しますと、こういう法令集をお配りしてありますが、その中の十二条をごらん願います。これは前払金の保証契約款の規定でありますが、その二項において「保証約款においては、左に掲げる事項を定めなければならない。」とあつて、保証料の料率及び支払いに関する事項、保証金の額の決定及び支払いに関する事項、同じく保証基金の金額及びその払いもどしに関する事項それから契約の解約に関する事項、その他建設省令で定める事項、こういうようになつております。それでこの「建設省令で定める事項」というのにつきましては、昭和二十七年七月三十日の建設省令第二十三号にございますが、これの第四条でさらに補足的なこまかい規定が六つ規定してあります。読み上げますと「一 保証金支払の免責事由に関する事項」「二 請負契約を変更する場合における措置に関する事項」「三 保証契約者及び被保証者の通知義務に関する事項」「四 保証金支払に関する紛争の調停人に関する事項」「五 保証事業会社が保証金を支払つた場合における代位に関する事項」「六 保証契約に関する訴訟の裁判管轄に関する事項」こういうふうになつておりまして、大体こういうことを規定する予定でございますが、そのほかにもう一つだけ、ときによれば担保に関する規定、というのは、相当長期の資金を導入するものでありますから、担保に関する規定がいるかもしれないと思つております。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/33
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034・高田弥市
○高田委員 第三点は本法案と関連して提案になつております建設機械抵当法案について、若干伺います。
本法案は、建設機械の動産の価値を増進し、建設工事の機械化の促進をはかるため、建設機械の抵当制度を確立せんとするものであり、さらにこれに加うるに前払い法の改正案により、金融機関からの長期融資をより確実にするために、建設機械購入のための長期借入金に対する債務保証を保証事業会社が行い得るようにせんとするもので、趣旨ははなはだけつこうなものでありますが、ただ問題になりますのは、ここでいう建設機械とは何かということであります。これにつきましては、第二条にその定義があり、その機械の範囲は政令で定めることになつておりますが、しかし先般御説明になりましたのは、おおむねブルトーザー程度以上のものに限定したいというのであります。御承知のごとく、ブルトーザーは一軍最低四百万円以上であるのであります。といたしますと、これは非常に重大な問題であります。と申しますのは、これ以上の機械を使用する者は、主として大業者のみであります。従いまして、大業者を対象とする建設機械の抵当制度を考え、購入の際の債務保証をするという法律案であるという解釈せざるを得ないのであります。私の言いたいことは、建設機械の範囲をさらに拡大して、ミキサーとかパワーとかウインチとか、そういつたものまで含め、中小業者の長期資金の確保に寄与せしむべきではなかろうかという点であります。本法案実施の経験を重ねる従つて、だんだんその範囲を拡大するという慎重論はけつこうでありますが、よいことと思うならば、なるべく早い機会に拡大していただきたいと思うのであります。本法案が、大業者偏重にならぬよう希望するものでありますが、当局の御意見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/34
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035・南好雄
○南政府委員 高田さんの御質問は、この建設機械抵当法案の抵当物件の範囲が狭過ぎるのではないか、こういう御質問から、第二の御質問は、あまり狭くすると、大きな業者の保護になつて中小業者の保護にならぬ、従つてやすきにつくと申しましようか、もつと広げて、中小の建設業者の方にも利用し得ようにしたらどうかという御質問だと拝承したのであります。ごもつともな御意見であり、第二条の逐条説明の際官房長からもこの点は実は御説明申し上げたのでありますが、これは非常にむずかしい問題であります。これは初めての試みであり、いわば動産に対して抵当権を認める、抵当権の内容がはつきりしておると金融的の措置も完全に行く、従つて金も借りやすくなる、こういうねらいを持つておるのでありまして、抵当権が不明確であり、従つて自分の債権が十分に担保されないということになつて参りますと、せつかくつくつた抵当法が骨抜きになつてしまう。現下の建設業者の金融の状況から勘案して——建設業の機械化は、ぜひやらなければならぬけれども、今日においては工事価額の一割以上も機械を入れても、なお今日の建設業の現状からいたしますならば、莫大な金がいる運転資金を圧迫して非常に困つておる。それを解消するためにこういう法律を考えたが、その法律のほんとうの眼目である抵当権があいまいであつて、実際金を貸す人に不安を与えしめるようなことがあつては、これはいわば仏つくつて魂入れずということになるので、この機械抵当法といたしましては、御指摘の通り、当初においては少しきゆうくつになるかもしれません。政令においてはブルトーザー程度、お言葉の通り四百万円ぐらいのものを目的として参りますれば、多少私自身におきましてもきゆうくつ過ぎるのではないかとさえ考えるのでありますが、しかし法律をほんとうに生かすためには、どうしても最初はこの法律によつて保護される。いわゆる債務がしつかり保護されるという見地で法の運用をして行かなければならぬ。従つて、この建設機械の範囲は、一々むずかしい法律の改正というようなことでなくて、法の施行の状況を勘案いたしまして政令で広げて行く、こういう考え方をとつたのであります。御指摘の通り、当初におきましては、現在持つておるものに対する資金の融通ということになつて参りますれば、場合によりまして、大企業がいち早く均霑するということにもなると思います。これとうらはらになつております公共工事の前払いの保証法の一部改正によりまして、今後機械を買うべき金融の支払い保証を保証会社がやつて行くということになりますれば、御指摘の通りあながち大企業ばかりがこの法律に均霑するという結論にはなりかねるのではないか。今後建設業は、大中小にかかわらず、なるべく機械化をして、工事の請負価額も低め、しかも工程を促進して行くという立場から見ますれば、できるだけこれは機械化しなければならぬ。その機械化に必要な金を、これから買うという場合においても、保証会社が支払い保証をして行くということになつて参りますれば、高田さんのお言葉のように、この法律が全部大きな業者ばかりの保護になるというふうには、私たちは考えておらぬのであります。第二条のこの政令で範囲を拡大するとともに、漸次中小の方へますます厚くなつて行くと思います。またそういうふうに法を運用しなければならない、こういうふうに私たちは考えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/35
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036・逢澤寛
○逢澤委員 私、先ほどちよつと席をはずしておりましたが、高田委員の方から、二条の建設機械の抵当の範囲があまりに狭きに失する、従つて大業者に対する偏重になつて、中小業者をむしろ圧迫する、こういうような質問のように拝したのでありますが、これに対する南政務次官のお答えは、漸次これを拡大すると言つておる、そうして中小業者にも他の方法によつてこれを救済する道があるというふうにお話になつたのであります。私もわが国の建設界の現状と機械化に対するこの問題に対しては、こうしなければならぬということは根本から大賛成です。ところが、今高田委員のお話のように、偏重するということに対しても、また深い関心を持たなければいかぬ。御承知のように、工事の請負は競争入札によつてやつておる。従つて、ある階級が繁栄すれば、その他の階級を圧迫するということは、これは当局もお考えになつていると思うが、この点についてお考えになつたことがあるかないか、まずお尋ねしておきます。要するに、私はこの法律自体は、非常にいいことだと思う。そして国家の非常に大きな利益になるということは承知しておる。承知しておるが、そうすると、大業者が機械化によりまして進展して行くと、この恩典にあずからざる他の多くの業者が、事業の施行のいろいろの段階において損失をするということこ対する考慮を払われて法律ができたか、これをまずお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/36
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037・南好雄
○南政府委員 お答え申し上げます。逢澤さんの御質問は、非常にむずかしい問題でございますが、ある工事を競争入札によつてある業者が引受けた。競争入札に加わつて落札した連中はそれで仕事ができたが、だめになつた連中は、仕事ができなくなつて、非常に損失を受けたかどうか。これは前々の委員会においても、工事の見積りその他いろいろやる費用がかかるから、そういう費用に対する保証がないのだからという話も拝承したのでありますが、そこまではちよつと現段階においては、一つの工事がだれかに落札して、落札を得られなかつた他の業者は……(逢澤委員「違う違う」と呼ぶ)絶対損はせぬということはないと私は思います。そこでその落ちた連中をどうするかという問題は、これはなかなかむずかしい問題だと思います。御質問の趣旨が、今違うというようなお話がございましたので、もし違うとするならば、工事によつて種類がいろいろわかれておる。何と申しますか、指名入札の種類がわかれておるので、ちよつと御質問の趣旨がよく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/37
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038・逢澤寛
○逢澤委員 私の質問がちよつとわかりにくかつたかと思いますが、私は個個の問題を申し上げておるのじやありません。国全体として、ある一定の大きな機械だけに担保を設定するということになると、そうすると、大きい機械は中小業者ではこれを獲得することができない。そこで大業者だけがこれの権利を得ることになる。そうすると、大業者は国家の恩恵に浴するが、中小業者はその恩恵に浴することができぬというのが、高田委員の質問の要旨なんです。そこで、中小業者に対してはへんぱな措置になつて来る。そこで大業者は幸福になるけれども、中小業者はこれらによつてますます大きな圧迫を受けるということになる。個々の問題ではない、国全体の問題です。それに対してお考えになつたことがあるかないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/38
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039・南好雄
○南政府委員 お答え申し上げます。私はその点を先ほど高田さんの御質問の際に御返事申し上げたのであります。建設機械抵当法案は、現在持つている機械について抵当権を設定してやる。それから公共工事の前払金保証事業法の一部改正は、これから買う機械についての金融に対する保証会社の保証——ですから御指摘のように大きな機械は大業者しか持つておらぬ。だから抵当法が大きな機械に制限すると、そういう機械を使わぬ中小業者にはこの法律の恩典がないじやないか、こういう御質問だろうと私は拝承したのであります。それはまさしくその通りでありますが、第二条にありますように、これは動産を一種の物権化して抵当権を設定して行くのでありますから、抵当権の目的物が可動性という点から考えて参りますと、抵当権設定の際においては、よほど考えて行かなければならない。小さなものにまでこれをいきなり広げまして、そうして抵当権は設定した、いよいよ抵当権をほんとうに実行して、債務の弁済を得ようといたしますと、どこへ行つたかわからぬというようなことになつて、この法律は大して価値がない、貸した金がとれぬじやないかというようなことになりますと、せつかくつくつた法律が、大して業者の恩恵にならないということになつては困るから、最初はブルトーザー程度のものにいたしますが、各業者がなれて、いわゆるこの法律によつて自分の債務を弁済されることが確実だという見通しが、金を貸す人にも見当がつき得るようになつて、漸次この政令の範囲を広げて行きたい、そういうような考え方が、あまりに慎重過ぎるという御非難だろうと思いますが、何を申しましてもこれは初めてのことでありまして、この法律によつて、建設業の金融梗塞を少しでもやわらげたい、こういうふうに考えておりますがゆえに、この法律が、いきなり法律の効力まで疑われるようになつてはどうかという立法者の配慮から、政令においてはブルトーザー程度というふうにお答え申し上げたのであります。今後研究によりまして、ブルトーザー以下のものでも、このわれわれの心配いたしておりますような、いわゆる債務の弁済に事欠かないという見通しが十分つきますれば、ブルトーザーよりもつと低い建設機械についても、政令の中へ入れて行つてもさしつかえない。要は、そういうように慎重な態度をとつたのは、せつかくつくつたけれども、実際債務の弁済が受けられぬようになつては困るという点を配慮しての結果であるということを申し上げているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/39
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040・逢澤寛
○逢澤委員 ただいまの答弁は、この法律自体としては正当だと思います。立法した以上は、その法律が有効に使われる措置をとられることは当然だと思います。しかし私が申し上げるのは、ある一つの法律をつくつたために、一部の階級だけに便益を与えて、そうして他の多くの者が犠牲になることは国家のためにならぬ。その一部の階級のためにはなるけれども、国家全体の建設業の発展にはならぬということになる。この法律ができたために他の多くの——おそらく高田委員のお考えはそれなんです。他の多くの、おそらく日本の九八%か九九%までの者は犠牲になり、そうして一%の者のみの利益になるのだ、こういうことになる。それはあなたが、しからば日本で今ブルトーザーを持つている者が何人あるかということを考えたらすぐわかる。私はこの法律自体が悪いと言うのではない。これによつて機械化されて能率が増進し、価格を低廉にして、そうして国益に資するのだから、しばしば申し上げるように、この法律の趣旨はいいのだけれども、この法律ができるために、九九%までの者の犠牲、損失によつてこの法律が有効化するということはどうかということを申し上げているのであります。従つて、こういうような法律をつくるなら、他の中小業者にも、金融措置とかなんとか、適切な国家の措置によつて、こういうような者にも手が伸ばされるという措置も対策も考える必要があるのじやないかということをお尋ねしているのです。そこで、この法律は決して悪いとは言わぬ。この法律はいいけれども、この法律をつくると同時に、こういうようなものでは、日本の九九%の者は一つも恩恵に浴さぬのだ、一部の者だけだ。だから九九%の人の発展に寄与するような立法化をも考える必要があるのではないか。また考えてもらわなければいかぬのじやないか、こういうことをお尋ね申し上げるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/40
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041・石破二朗
○石破政府委員 お尋ねの御趣旨、まことにごもつともでございますが、逢澤委員の考え方とわれわれと、若干かわつた見方も成り立つかと思うわけであります。御承知の通り建設業法、前払金の保証に関する法律、さらに今度の改正案と、大体思想は一貫しておるものでありまして、必ずしも御指摘のように大業者を保護する結果になるものとは考えておらないのであります。前払金の保証に関する法律にいたしましても、どちらかといえば、中小企業者の方の保護になつておると私は考えております。現に法律施行直後におきましては、大事業者はそういう保証に入らなくても、金を前払いで借りなくてもできるというようなことが、一部にはあつたような状況でもあります。さらに電源開発会社——これは前払い保証の法律を使えることにはなつておるのでありますが、現に利用いたしておりません。その理由は、直接法律に縛られる関係もありますけれども、自分の方は大会社を相手にしておるのであるから、こういう保証に入らなくてもいいのだ、一割、二割程度の前渡しはできるのだというようなことにもなつております。前払い保証に関する法律は、さように考えております。さらに今度の法案につきましても、大体同じことが言えるのでありまして、大業者はこういう抵当権を設定して、さらに保証会社に保証料まで払つて金を借りなくつても、自己の信用で借りるという道も比較的多いわけであります。どちらかというと、中小業者の方が現実にこういう制度を必要とする状況じやなかろうかと思います。また、先日私の御説明が足りなかつたかと思いますが、でルドーザーという例が悪かつたかもしれませんけれども、まだそこまで考えているわけではございませんで、政令をつくるまでに、よく実情を調査いたしまして、法律制定の趣旨に沿うようにやつて行きたいと思います。ただ、政務次官から先ほど申し上げました通り動産抵当制度でございますが、この制度そのものが疑われてしまつて、銀行も信用してくれないということでは、どうにもなりませんので、その辺の配慮はいたしたいと思います。
なお、御参考までに申し上げておきたいと思いますが、こういう制度ができますと、機械メーカーの方では、非常に安心して月賦販売というようなことをやるようになりはしないかとも思いますし、中小業者の方についても、相当利用の向きがあるのではなかろうかと思います。
なお、これら関連の法律のほかといたしましては、御承知の通り中小企業金融公庫からの融資につきましても、制度は開かれておるわけでありまして、われわれとしては、そうい方面の資金の貸出しについても、さらに努力しなければならぬと思います。なお、かりにこういう制度ができて、御心配の通り大業者だけが非常な恩典に浴する——そうは思いませんけれども、万一そういう事態が起るならば、業者の指名のやり方とか、業者の選定の基準とか、いわゆる合理化対策によつて、一応の基準をつくつて今やつておるわけでありますが、さらにそういうことの検討とか、そういうような方法を講じて、弊害のないようにして行かなければならぬと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/41
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042・逢澤寛
○逢澤委員 今官房長のお話で、大体了承したのであります。南政務次官は、こういうことはよく御承知だと思うけれども、かりにブルドーザーを標準にとれば、おそらく県に一人ぐらいしか対象者はいない。五百人も六百人もおる業者の中で、一人ぐらいしか対象者がない。そうなると、一人の人の幸福のために、多くの者が犠牲になるということになる、こういうことも考えていただきたい。繰返して言うようだが、せつかくりつぱな法律ができたけれども、競争して行く立場の者に、一方に大きな利益を与えて行くと、その人だけは伸びるけれども、他の人は犠牲になることになる。これが一つの営業会社でありますれば別だけれども、いやしくも国家がやるような場合には、これは公平にやらなければいかぬ。決してこの法律が悪いのではない、この法律のようなものを他にもつくつて、できれば、あまねく均霑するような措置を講じなければならぬと思う。そこまで行かなければ、これに対する措置として、何かもう少し方法を考えておいていただきたいということを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/42
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043・久野忠治
○久野委員長 村瀬宣親君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/43
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044・村瀬宣親
○村瀬委員 時間がおそくなりましたので、簡単に、まず政務次官にお伺いいたします。きよう御答弁ができればしていただきますが、あとでもけつこうであります。建設業保証株式会社というものは、必ず厖大な利益をあげる会社になるであろうということを、私はこの法案ができるときに、実に大分論議をしたわけであります。しかしこの思いつきは非常によいのでありまして、これが日本の建設業の合理化進展に寄与する功績がきわめて顕著であるということは、私も一昨年から主張しておつたのであります。しかし場合によつては満鉄みたいな会社になりわせぬか、選挙資金の一回ぐらいはこの会社から出るようになりはせぬか、実はこういうことを申しておつたのであります。まだそこまでには至つていないようでありますけれども、一億円の払込みの資本金であります東日本建設業保証株式会社が、今年の三月三十一日、現在のバランス・シートを見ますと、責任準備金が五千六百五十万円ほどあります。保証基金が一億一千七百九十七万円余り、さらに当期純益金五千六百五十七万円余り、これを合計いたしますと、二億三千百六万円になります。一億円の株式で一年余りしかやつていないのに二億三千百六万円というものが出たということば、私の想像しておつた通りで、こうなることは、私は一昨年の会議録でちやんと言つておつたのであります。こうなつてけつこうであります。しかし、今逢澤さんや高田さんから、いろいろ中小建設業にも何か均霑の道はないかという議論が出ておつたようでありますが、この会社に対する監督、運営というようなものは、南政務次官のところではどの程度になさつておりますか。また一億円の資本金で、一年で二億三千百六万円もできるのでありますから、これが十年もたてば、私が予言したような、満鉄に似たよなものになるかもしれない。これはもともと政府資金を当てにして、自分の金でなく、千六百億ものものを、二百何十億も前払いして、先に保証料を出すだけで政府の予算だけで立つている会社でありまして、まつたく自分のものではない、人のものでこういうことをやつておる。しかし考えはよいことである、みなが喜ぶことである。だれも損する人はない。だから、こういう際に大いに発展してよいが、問題は、ただいたずらに利益ばかり大きくして能事終れりとすべきものではないと思うのであります。ことにこのバランス・シートを見ますと、現金が九百九十万円もある。銀行預金の方も一億七千万円もあるのでありますが、現金を毎日九百九十万円もこういう会社が持つておらなければならないかどうかという点も、何か理由を聞けばあるでありましようが、それでこういう会社に対し、建設省はどの程度の監査、監督というか、運営についての注意をなさつておるか、これをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/44
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045・南好雄
○南政府委員 村瀬委員の御質問にお答え申し上げます。御承知の通り、問題は、うんともうかるというのは、結局保証料が高過ぎるという議論になつて行くのではないかと考えております。しかし、保証料につきましては、建設大臣の認可になつておりまして、保証料決定については、仕事の見通し等いろいろ勘案いたしまして、どつちかと申しますならば、御指摘のように手がたくやつております関係から、会社ができて一年ばかりのものが、その時からすぐに赤字になつてもどうかという配慮からせられたと思うのですが、もし御指摘の通りもうかり過ぎるという事実がございますならば、保証料が少し高過ぎたのじやないかという気もするのであります。しかし会社につきましては、毎年詳細な資料をとつて、会社の業務運営についても、法律の規定に従つて十分監督しております。要は当初の保証料が安全性を見越したために、いささか場合によつては——これはもう一、二年やつてみないとわからぬと思いますけれども、御指摘の通りでございますならば、多少大事をとり過ぎて高過ぎたのじやないかという議論になつて来るのではないかと思います。なお詳細については、官房長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/45
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046・石破二朗
○石破政府委員 ただいま政務次官からお答えいたしました通りの事情、配慮から、実はこういうことになつておるわけでございますが、何分にも法律制定のときには、一応の計算はいたしておつたのでありますけれども、やつてみますと、資料にもございます通り、初年度には創立費その他で赤字を出しましたが、第二年度であります二十八年度には、相当の利益金を上げて来ております。この金は御指摘の通り、みな政府の方から出た金でありまして、こういうことがいつまでも続くということでは、もう少し考えなければいかぬと思います。去年は実は設立当初で、保証料率も日歩一銭、それから基金の積立てのためのも同じく一銭を当初はとつておつたのでありますが、すでに去年の六月一日から、この基金の積立てのための料率だけは従来の一銭を五厘に引下げております。それでこの保証料率の問題は今後さらに検討しなければならぬわけでありますが、大体の私どもの考えといたしましては、会社の経費は当然できるだけ切り詰めさす、その上で、いわゆる純粋の利益金で、株主に配当になるべき金というものは、いくら多くても一割以内ぐらいに押えるべきものではなかろうか。そういうことからはじいて信証料率というものを出して行かなければならぬのじやないだろうか、かように考えております。なお二十八年度の営業成績が上りましたのは、実は当初の予想では年間の保証総額を三社合せまして二百五十億見当と考えておつたのが三百数十億にも上つて——ほとんど年度の終り、ころになつてから急に上つて来ましてそういう関係で利益が上つたという状況であります。この利益金の処分につきましても、十分国民の納得の行く処置をやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/46
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047・村瀬宣親
○村瀬委員 保証料を下げて利益の出方を調節するという考えも、普通考えられることでありますが、考はこの法律のできまするときの審議状態から考えまして、保証料は高くないと思うのであります。当時建設業に対して、金融機関といたしましては、内容が一番わかりにくい業種であるというので、日歩四銭でも五銭でも、なかなか貸してくれなかつたような状態であつたのであります。それで保証料が一銭というのでありますならば——四銭、五銭を出すような相当よい建設業者といえども、なかなか銀行は相手にしてくれなかつた状態から考えますならば、一銭の保証料で前払いが何千万もできるということになれば、これは業者としては非常な仕合せでありまして、この一銭の保証料がそう高いとは考えておりません。基金の方については、これはあとで払いもどすのだとか、いろいろ何があるようでありますが、なかなか払いもどすということは困難だと思うのでありまして、これは結局会社の何らかの運用にまかすべきものだと思うのであります。私は保証料を下げるのも、もしあまりに高きに失する場合にはけつこうでありますけれども、別に苦痛なくして、こういうよい方法ができて、利用者が多いというのであるならば、何もこれ以上に保証料を下げないで、むしろこの一年に無理なくしてたまつた五千六百万円でありますか、これを一割の配当をいたしましても千万円あれば配当ができて、あと四千六百万円残るのでありますから、そういう楽な方法でたまつた金を、会社の独占にしないで、適当な方法で——先ほどから御議論のありまする中小建設業者に機械を買わすとか、あるいはこの保証会社が機械をこの利益金で別に買つて、そうしてそれを中小業者に貸し付けるとか、この建設業自体の業種を拡張して、ほんとうに日本の建設業の能率化と素質のよいもののできるような方向に持つて行くべきだと考えておるのであります。今日建設業者は、概して金融業者からはあまりよい得意とは思われておらない。内容がいつどうなるかわからないからというので、あまり相手にせられない傾向があるときでありますから、この日歩一銭の保証料によつて借りられるということは、これはむしろ便利しごくな道でありまして、これを五厘にし、三厘にせねばならない理由というものはないと思うのでございます。保証基金の方は別途考えてよいのでありますが、そういう方向に今後——せつかく法律の保護によつてできた会社であり、保護によつてこれだけの利益があるのでありまして、こういう法律がなければ、こんな会社というものはできるわけのものではない。国の予算で去年三百億円ほど前払いの対象になつたそうでありますが、その三百億円は国の予算であります。国の予算でもつてこれだけの金もうけができるのでありますから、それは無理の行かない方法で利益は十分上げておいてもらつて、その利益で適当な建設業の機械化、その他に向つて進むように、間口を拡張する方向に向つて行くべきだと思うのでありますが、そういう点について、どのようなお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/47
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048・南好雄
○南政府委員 お答え申し上げます。村瀬委員のお考えごもつともな点があります。しかし、この保証料と申しますのは、例にとりまして、はたして適当かどうか存じませんけれども、どつちかと申しますと、いわゆる相互保険的なものでないかと思つております。その相互保険的なもののいわゆる保険料でありますから、当初はこの制度が一体行き渡るかどうかというような見通しから、保証金額を二百五十億見当にしたものが三百数十億になつた。それで東日本会社が五千何百万円かの利益を上げたということでありますが、私は、いましばらく、これは一つの大きな問題でありますから、もう一、二年くらいを見てみまして、そういう方面に建設業の育成ということについては別個に考えるべきものであつて、むしろこの考え方としては、やはり保証料の方を下げて、そしてだれにでも有効に前払金の保証が運用される、しかもそれによつて建設業者の負担が少しでも減るというふうに行くべきものでないか。十分研究した上の答えではないのでありますが、受けた感じから率直に申し上げますならば、私はむしろこういうものはなるべく保証料を安くして、そして大中小にかかわらず、この法律の利益を均霑できるような考え方、なおかつこれが相当もうかるということになつて参りますれば、それはまた別途に考えなければならぬ。会社の利益金の処分につきましても、建設大臣の認可を得るのでありますから、これは十分に研究の上にいかようともできるのでありますけれども、どうもそういうように感ずるのであります。金融機関が建設業の実体の把握に困難で、金利が高いというのも、一つは、今までの建設業のあり方が、近代的でなかつたという点にも、基因しておるのであります。しかしこういう種類の法律によつて、だんだん実体がつかめて参りますならば、それがひいては事業遂行の上における堅実な行き方にもなつて参りまして、非常に彼我うまく行く結果にもなり得ると考えますので、さしあたりは五千万円、一億万円で今の建設業の中小企業に有効的確な方法と申しますものは、なかなか私は考えられないということも考えて参りますと、建設機械を買つてこれを有償で貸し与えるというのも一つの考え方だと思いますが、いずれにいたしましても、御承知の通り十数億建設機械を購入しておりましても、なかなか機械化と申しますものは、口に言うほどうまく行かぬのであります。ですから、よほど相当の金を用意しなければ、なかなか今村瀬さん御指摘のような、中小企業にぴたつと合うような保護育成の策にはならぬ。そう考えて参りますれば、むしろこれはできるだけ保証料を切り下げて、商売として公益事業的なものでございますから、一割ないし一割五分くらいの配当のもとにおいて十分にやつて行ける見通しがついたらば、保証料の方を下げるような行き方をして行かなければならぬのじやないかというふうに、私は今考えておるのであります。しかし、いずれにいたしましても、御質問の趣旨よく拝承いたしましたから、十分研究いたしまして、あやまちのないように有効に利益金を処分することができますように研究してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/48
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049・村瀬宣親
○村瀬委員 これは需要と供給によつてきまる問題で、もし保証料の一銭が高いので非常に業者が困るというのならば、利用しなくなると思います。利用しなくなるという場合は、それは保証料を下げて、利用してもらわなければならぬのでありますが、利用するということは、銀行へ行くよりも、業者も非常にそれで助かつておるわけでありますから、私はこの保証料の一銭というものは大して無理ではない、かように考えておるのであります。ただ問題は、保証基金の方は、なるほどあるいは減免をしてもけつこうと思うのであります。今のお話を伺いましても、政務次官の話を伺いましても、相互保険的なものであるから、収支償えば一銭を五厘にし、三厘にしてもよいとお考えでありますけれども、それは結局有利なところへ一層有利にしてやるという結果に終ると思うのであります。保証をしてもらえないところは、日歩五銭、六銭で借りて工事をやつておるのであります。保証してもらえる階級の建設業者は、一銭であつたものが五厘になり、三厘になる、こういうのであれば、この対象となるかなり有力な建設業のみが均霑をするのであつて、しかも相手は何によるかというと、国家予算が対象なんであつて、国の予算を対象にしてそういう安い前払金を使える階級と使えない階級とに非常に段がついて参る、落差がついて参るわけであります。そういうことも考えますならば、私はそうむやみに保証料を下げるという必要はないのであつて、これはむしろこういう方法で純益ができて来るならば、その純益を適当に建設大臣が勘案をされて、有利なあるいは能率のよい研究所をつくるなり、あるいは機械の模型をつくるなり、その他中小の建設業の合理化と能率の上るような道を講ずる方が、事態に適したやり方ではないかと考えておるのでありまして、御答弁はいりませんが、私は一応この前払金保証事業法の一部改正の基本となる東日本建設業保証株式会社の内容について、きようは一つの問題を提供したにとどめておきまして、この法律の改正案につきましては、また後日質問を続行いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/49
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050・石破二朗
○石破政府委員 先ほど私が御答弁に立ちました際に、申し落したことでありまして、皆さんによく御了解いただきたいと思います点は、先ほど村瀬委員の御質問にありました、現金を九百九十万円余持つておるのは適当でないではないかというお話でありますが、なるほどごもつともであります。平常時でありますと、こういう金は持つておるわけはございません。たまたまこの調査の日が三月三十一日でありまして、銀行に預け入れる関係と、各事業官庁が金を前渡した、保証料を納めたというような関係の時間的の食い違いで、保証料は会社に納まつたが、それを銀行に持つて行かない、行く時間がなかつたというような関係で、何か特別にこの日にあつたのだそうでございまして、この点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/50
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051・久野忠治
○久野委員長 両案に関する質疑は次会に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X02219540417/51
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