1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月一日(木曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 小島 徹三君
理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君
理事 松永 佛骨君 理事 長谷川 保君
越智 茂君 助川 良平君
高橋 等君 安井 大吉君
山口六郎次君 亘 四郎君
山下 春江君 滝井 義高君
萩元たけ子君 福田 昌子君
杉山元治郎君 山口シヅエ君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
出席政府委員
厚生事務官
(薬務局長) 高田 正己君
厚生事務官
(保険局長) 久下 勝次君
厚 生 技 官
(医務局長) 曽田 長宗君
委員外の出席者
厚生事務官
(大臣官房総務
課長) 小山進次郎君
厚生事務官
(医務局次長) 高田 浩運君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
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四月一日
委員降旗徳弥君及び柳田秀一君辞任につき、そ
の補欠とし三浦寅之助君及び福田昌子君が議長
の指名で委員に選任された。
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三月三十一日
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
公聴会開会に関する件
医薬関係審議会設置法案(内閣提出第八二号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/0
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001・小島徹三
○小島委員長 これより会議を開きます。
まず小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。人口問題に関する小委員でありました滝井義高君が去る三月三十日に委員を辞任されましたので、同小委員が一名欠員となつておりますが、この補欠選任に関しましては、委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/1
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002・小島徹三
○小島委員長 御異議なしと認め、再び委員に選任された滝井義高君を同小委員に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/2
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003・小島徹三
○小島委員長 次に昨日議長に提出しました厚生年金保険法案の公聴会開会承認要求に関しましては、昨日すでに承認されましたので、次いで公聴会開会の決定をいたさねばなりませんが、来る四月九日午前十時より公聴会を開くこととし、議長に対する報告、その他の手続に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/3
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004・小島徹三
○小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/4
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005・小島徹三
○小島委員長 次に船員保険法の一部を改正する法律案と議題とし、審議に入ります。まず草葉厚生大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。草葉厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/5
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006・草葉隆圓
○草葉国務大臣 ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。
船員保険法は、昭和十四年四月に制定されまして以来今日まで、船員労働者の生活の安定と福祉の向上をはかりますための唯一の、総合的な社会保険制度として、実施運営されて来たところでありますが、此の間社会情勢、経済情勢の変動に即応するため、二十数次にわたる改正がなされたのであります。特に終戦後の困難な社会的経済的情勢の変化に対処いたしますため、種々の措置が講ぜられたのでありますが、これらの措置のうちには、臨時的応急的なものとして将来経済の安定した際に再検討すべきものとされ、そのまま今日に及んでいる点が多く存するのであります。
わが国の国民経済もようやく安定して参りました今日におきまして保険給付の内容を改善、合理化いたしますとともに、保険財政の基礎を将来の見通しのもとに確立いたしまして、できるだけ船員保険制度の内容の充実と合理化をはかることが必要であると考える次第であります。かような意味におきまして、今回船員保険法の一部を改正しようとするものであります。以下改正の主要点につきまして御説明申し上げます。
第一に、標準報酬につきましては、他の社会保険との調整をはかり、現行の二十一等級を改めまして十九等級にいたしますとともに、標準報酬の計算の基礎となる報酬月額の算定方法を合理化しようとするものであります。
第二に、従来船舶内にある期間には支給されていなかつた療養の給付を、一定の場合には支給することとしたのであります。
第三に、分娩に関する保険給付としまして、新たに分娩費、出産手当金及び育児手当金を創設いたしまして、船員労働者の福祉の増進を期したいと考えております。
第四に、失業保険部門につきましては、失業保険法に準じまして制度の合理化をはかろうとするものであります。
第五に、老齢年金につきましてな、現行の二万四千円の頭打ちをはずしますとともに、その額は厚生年金保険法の改正と歩調を合せまして定額に報酬比例額を加えたものとし、さらに被保険者によつて扶養されていた者に加給金を支給し、生活の実態に沿い得るものといたしたのであります。
第六に、職務外の事由により支給する障害年金及び障害手当金並びに寡婦年金、鰥夫年金及び遺児年金の額の計算の基礎となる標準報酬月額につきまして、現行の最終標準報酬月額をとることを改めまして、平均標準報酬月額によることとしたのであります。
第七に、脱退手当金の制度を合理化いたしました。
第八に、従来支給いたしておりました、年金のうち、低額なものは、一定額まで引き上げるよう、特別の措置を講ずることが必要と考えるのであります。
第九に、船舶所有者及び被保険者の負担を勘案しつつ、財政の均衡を将来にわたつて保ち得るようにするために、保険料率を調整するとともに少くとも五年ごとに再計算することにいたしましたが、その結果保険料率は当分の間失業保険の適用を受ける者については千分の百六十一に、失業保険の適用を受けない者については千分の百四十五にいたしたい所存であります。
以上、この法律案を提案いたします理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/6
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007・小島徹三
○小島委員長 次にただいまの説明に補足して保険局長より細部にわたる説明を聴取したいと思います。久下船員保険局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/7
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008・久下勝次
○久下政府委員 大臣から申し上げました提案の理由を敷衍いたしまして御説明を申し上げたいと思います。まず内容に入りまする前に今回の改正をいたしました経過、趣旨等につきまして若干申し上げさしていただきたいと存じます。
船員保険法の改正はただいま提案理由で申し上げました通り、その本質的な今回の改正のおもな点は厚生年金保険法の改正に関連をいたしまして、船員保険の中のいわゆる長期保険の面につきまして改正をしようとするものでございます。この点につきましては、厚生年金保険の場合に申し上げましたと同様に、終戦後のインフレに対応する措置がとられたままになつておりますので、そういう意味合いにおきまして、厚生年金と同様に改正の必要を認めておるものでございます。政府といたしましては、当初厚生年金保険法と完全に内容的にも一体となるような改正を企図いたしたのでございます。年金の額にいたしましても、あるいはその他の取扱い上の問題にいたしましても、同様の調子で改正をするように考えたのでございますが、御案内のように、船員保険法は昭和二十七年の春四月以来標準報酬の最高額が三万六千円に引上げられております関係が最も主要な原因となりまして、年金に関する給付額が厚生年金保険に比較いたしまして、非常に額が高いものが支給される建前になつておつたのでございます。そこですでに御提案申し上げておりますような厚生年金保険法と調子を合わせますると、障害年金あるいは遺児年金、寡婦年金、鰥夫年金、こういうものにつきましては、はなはだしいレベル・ダウンを来す結果になるのでございます。そのために厚生年金保険法と調子を合わせますような改正案を社会保険審議会に諮問をいたしましたところ、ただいま申し上げましたレベル・ダウンの防止ということが主たる理由になりまして、政府の原案はそのまま承認を得られなかつた次第であります。この辺の細部の点につきましては、お手元に差上げました船員保険法の一部を改正する法律案の参考資料という中に答申の内容を詳しく載せてございますので、後刻こらんを願いたいと思うのでございます。
細部の点は別といたしまして、主要な点はただいま申し上げたようなレベル・ダウン防止というような点から厚生年金保険の改正とは、内容におきまして非常に調子のかわつたものになつてしまつたわけでございます。この点は社会保障制度審議会に諮問をいたしました際にも、船員労働の特殊性と現行の船員保険の実情というものから、やはりその特殊性は考えなければなるまいというような答申になつておる次第でございます。さような関係上、当初社会保険審議会に諮問をいたしました政府の原案は、大幅に修正をすることを適当と考えまして、ただいま国会に提案をいたしましたような内容、すなわち船員保険法の一部改正というような形で御審議をいただくような結果になりましたわけでございます。そこで個々の内容について御説明を申し上げるのでございますが、お手元に差上げてございます参考資料の最初に、船員保険法の一部を改正する法律案要綱が書いてございます。これに基きまして簡単な御説明を申し上げて参りたいと思います。
第一に保険事故について改正を加えますのは、ここに書いてございますように、従来船員保険の場合には健康保険で行つております分娩の給付がございませんので、今回新たに分娩に関する給付を設けることにいたしました関係で保険事故を加えた次第でございます。
第二の標準報酬につきましては、現行の標準報酬二十一等級の区分を十九等級にわけるというだけで別段にかわつたことはございません。それから標準報酬の第二の点は、若干御説明を要するのでございますが、従来から実際の行政上の取扱いといたしましては、艦員の標準報酬の決定のために運用上特別な措置が講ぜられておつたのでございます。ここに書いてございますように、主としてこれは大型船舶でございますが、大型船舶の船員には、予備員と正規の船員というような区分がございまして、常に交代をして船に乗り組んだり、あるいはまたある期間は予備員になるというようなやり方をしておりました。船に乗り組みますると、ここに書いてございますように、固定給のほかに乗船手当、あるいは航路によりまして航路手当、積荷の種別によりまして、また特別な手当というように、船に乗りますことによりまして、特別な給与が行われるのでございます。これが下船をいたしますと予備員となつて、そうした特別な手当がなくなるということで、実際の標準報酬をきめて参ります上に、しよつちゆう変動を見なければならない。船の航路によつても給与が違つて来るというような結果になりますので、実際の取扱いといたしましては、予備員と乗船しております船員と一緒にいたしまして、大体各会社の年平均の給与をとり、それを各被保険者本人の標準報酬として、事務上の便宜をはかつておりました次第でございます。ただこれが明確な法律上の根拠を欠いておりましたので、今回新たにそういう方法ができるということを法律の中にうたつていただきたいというのでございます。
第三は被保険者の資格の取得及び喪失並びに標準報酬等の届出、記録等に関することでございますが、この点は厚生年金保険の場合に申し上げたと同様でありまして、第一の届出に関することは従来は省令で行つておりましたのを、当然これは法律事項であるというので取上げましたものでございます。第二は被保険者の資格の取得及び喪失につきまして、あるいは標準報酬につきまして、都道府県知事の確認または決定、改定というような行政上の処分を、明確に法律に規定をしておきました。これによつて被保険者はそれに不服のあります場合には、法律上所定の不服の申立て、審査の請求ができるというような根拠にいたしたいという考えでございます。第三は記録に関することでございますが、これも従来法律にも省令にも別段の規定が明確にありませんので、今回新たに厚生年金保険と同様に規定を設けたいという考えでございます。
第四は保険給付としてうたわれてございます。最初に書いてあります療養の給付では、従来五千トン以上の船には船舶法に基きまして、医師を乗船させなければならない規定がございました。その医師が船舶内で治療をいたしました場合には、従前は船主の負担ということで、保険の給付を行つておらなかつたわけであります。ところが大型船舶に乗り組んでおります人たちは、陸上にあつて一般の療養の給付を受ける機会がほとんどないという実情もございますので、今回新たに船舶内における治療も、一定の条件に該当します場合には、船員保険法の療養の給付として認めることにいたしたいという考えでございます。
二は、先ほど申し上げました分娩に関連いたしまして、分娩費、出産手当金及び育児手当金、これは健康保険法でやつておりますと同様のものを新たに取上げたいという考えでございます。
失業保険につきましては、ここに「制度の合理化を図ること」と書いてございますが、おもな点は失業保険に関しまする保険料率を、今回千分の二十から千分の十六に引下げたいという点でございます。その他の点は条文上の整理を若干いたしました程度にすぎません。
次の老齢年金でございますが、老齢年金につきましては、従来船員保険の場合は、平均標準報酬の月額の四箇月分を支給するというような建前でございましたが、その額が二万四千円を越えます場合には、二万四千円で頭打ちをするというような制度になつておつたのでございます。そこで今回の改正は、厚生年金保険の改正と、この点につきましては全然同様に定額一万八千円に報酬比例の額をつけ加えたものを給付するというような改正がおもな点でございます。なおその他の年齢等の引上げにつきましては、厚生年金保険の場合の坑内夫と同様な扱いをいたすのでありまして、従来五十歳で支給開始をしておりましたものを五十五歳に引上げる。しかもこれは二十年間の猶余期間に経過的に引上げて行くようにいたした点等、厚生年金で申し上げたのと同様でございます。この点は、いずれまた来週くらいには御提案を申し上げることになつております。厚生年金保険と船員保険のそれぞれの老齢年金につきましては、今申し上げましたような関係で、給付の内容が同一でございます。給付の条件もまた同様でございますので、その間の被保険期間を通算いたしまして、双方合せて年金給付の資格を取得いたしますと、最終の被保険者資格の喪失の保険において、たとえば船員保険で資格を喪失すれば船員保険の年金を支給し、また厚生年金保険の被保険者として資格を喪失いたしますれば、その最後の厚生年金保険で老齢年金を支給するというように、老齢年金につきましては双方の被保険期間を通算し、陸上、海上の労働の期間というものは、そういう意味におきましては一体になるような制度をいずれ御提案申し上げる準備をいたしておる次第でございますが、こういうふうに給付の内容が同一であることによりまして、それが可能になつて参るものと考えておる次第でございます。
次の障害年金及び障害手当金でございますが、これは先ほど申し上げましたように、厚生年金保険と同様の調子で参りたいと思つておりましたが、レベル・ダウンがはなはだしいという関係上、この改正はきわめて部分的なものにとどまつておりまして、標準報酬のとり方がここに第一に書いておりますように、「最終」とありますのを「平均」と改めた点等若干の修正があるにすぎないのでございます。
なお老齢年金の場合に申し落しましたが、各種年金を通じまして、扶養家族に対する加給年金は一率に現行月一人二百円を四百円に引上げるということがつけ加えられておることをこの機会に申し上げておきます。
次は寡婦年金及び遺族年金というのが書いてございます。厚生年金保険の場合には、これが統一されて遺族年金というふうになつておりますことは、この間も御説明申し上げた通りでございますが、船員保険の場合には、標準報酬額の最高額が引上げられております関係もあり、給付の実額に大きなレベル・ダウンを来します関係もございますので、現行通り当分存置をするというような建前になつておるのであります。ただ障害年金で申し上げましたように、最終標準報酬で計算をするというのを平均標準報酬で計算をするという改正、あるいは老齢年金に関連をいたしまして、現行の五十歳とありますのを五十五歳、五十五歳とありますのを六十歳に改めるというような点で、いろいろ部分的な改正が記載してあるわけでございます。
次に遺族年金につきましても、今申し上げましたと同様でございまして、特別につけ加えることはございません。大体現行の制度がそのまま残つて来る建前でございます。
それから脱退手当金につきましては、これも厚生年金保険で申し上げましたと同様に、ここには簡単に「合理化する」と書いてございまするが、インフレ対策として行つておりました給付額をこの機会に本来の制度の目的に沿うような額に改めるというふうにいたした点が改正の要点でございます。
次は第五の保険料でございますが、この保険料の考え方につきましても、厚生年金保険の改正と大体同様な考えでございます。現行の保険料率は、大体において当分の間そのまま存置して、五年ごとに将来引上げて行くような計画にいたしておる次第でございます。少し違いまする点は、失業保険の適用を受ける主として大型船の乗組員でありますが、千分の百六十一という数字になつております。これは現行の料率は千分の百六十でございます。千分の一だけいろいろな調整上引上げざるを得なくなつた次第でございます。失業保険の適用を受けない者につきましては、料率が千分の十六だけ少くなりまして、千分の百四十五ということになつておる次第であります。保険料の第二につきましては、五年ごとに計算をして漸次引上げて行くような計画でございます。今後料率はどういうふうにかわつて行くかというような点につきましても、資料として差上げてございますので、後ほどごらんをいただきたいと思います。
それから最後にその他としてございますが、これは主として従来の低い標準報酬をどういうふうに取扱うか、あるいはすでに支給しております低額の年金を引上げるというような措置をいたす関係の規定でございます。
はなはだ簡単でありますが、以上大筋の御説明だけいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/8
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009・小島徹三
○小島委員長 続いて本案の質疑に入るのでありますが、本案は昨夜付託になつたばかりでありますので、質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/9
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010・小島徹三
○小島委員長 次に医薬関係審議会設置法案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。滝井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/10
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011・滝井義高
○滝井委員 昨日主として医療に対する国民の経済的負担力というものを一応お聞きいたしましたところ、大体国民所得の三%前後、こういうことでございました。それからさらにその三%に該当するであろうと推定せられる千五百億円というものの内容についてお聞きいたしたのでございます。その結果大体において、五万の民間の医師は、大体年間において医療費として入つて来るものが七百五十億前後である。従つてこれを一箇月に引直してみると十一万ないし十二万円が医師に入つて来る収入となる。そうしますとその経費に当るものが六〇%ないし六五%、それから実収入となるものが三五%ないし四〇%、従つて実収入は四ないし五万円である、こういうところまで御答弁をいただいておつたわけでございます。そこでお尋ねするのですが、この臨時診療報酬調査会の答申によるところの専門技術者としての生活を十分考慮をした実収入というものが四万ないし五万円である、こういう認定に厚生当局は立つのかどうか、この点をひとつ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/11
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012・曽田長宗
○曽田政府委員 医師のしかるべき報酬がいかようにあるべきかということにつきましては、この数字とは一応無関係でございます。今申し上げましたのは、現状を推しはかれば大体このくらいの状況になつておるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/12
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013・滝井義高
○滝井委員 現状が四ないし五万円だ、こういうことですが、しからば専門技術者としての生活を十分考慮した実収入というものは、厚生当局はどの程度のものを頭に画いておられるか。それをひとつ発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/13
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014・曽田長宗
○曽田政府委員 その点についてはまだ省内としては結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/14
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015・滝井義高
○滝井委員 先般あなたの岡君に対する答弁で、大体臨時医療保険審議会においてはすでにメモ程度の資料は出たということでございましたが、そのメモ程度の資料の基礎に立つたものでけつこうだと思いますが、これは今後審議して行く上にぜひ必要でございますので、腰だめ的な数字でけつこうですから御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/15
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016・曽田長宗
○曽田政府委員 当時のことを私直接関与しておりませんのでよく覚えておりませんが、さような数字は前にも出しておらぬという話なのであります。私さように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/16
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017・滝井義高
○滝井委員 臨時医療保険審議会で大体結論が出ておる、すでに小委員長がメモ的な資料は出しておるという御答弁がこの前あつたのです。従つてそのメモ程度のものでけつこうと思うのですが、それもその大よそのところ、四万ないし五万というのは現実のものだ、従つてそれは必ずしも専門技術者としての生活を十分考慮したものと言えるかどうかということはなお議論があると思いますから、従つて小委員会の結論を腰だめ的な数字でけつこうですからここで言つてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/17
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018・曽田長宗
○曽田政府委員 今申しましたように、いかような数字を申し上げておつたか私存じませんし、また今総務課長に聞いてみたのですが、当時の記録等にそれは出ていなかつたと言つております。なおつけ加えて申し上げますが、これは二十四年かと思うのでありますが、私当時統計調査部長でありましたが、その当時の調査としましては、医師の診療所の収入が大体二万六、七千円程度という数字が出ておつたのではないか。これは今申し上げましたように、あるべき姿というのではなしに、その当時の状況としてさような資料は提出したかと覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/18
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019・滝井義高
○滝井委員 どうも専門技術者としての生活を十分にやる報酬をどの程度にしていいかということが全然目鼻がつかぬようでありますが、しからば少し私の方から質問します。先般社会保険における稼働点数は大体四千九百点ということを医務局長さん言われましたが、これは一応現在やつておる社会保険の全国の平均的な稼働点数が四千九百点とこう理解してさしつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/19
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020・曽田長宗
○曽田政府委員 今保険局関係の方が見えておりませんので、御質問に対してはお答え申し上げるわけに行かないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/20
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021・滝井義高
○滝井委員 この前その答弁はあなたからではなかつたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/21
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022・曽田長宗
○曽田政府委員 私ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/22
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023・小島徹三
○小島委員長 保険局長は参議院へ行つているそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/23
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024・滝井義高
○滝井委員 そこから議論が始まるのですが、もしそれならほかの人に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/24
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025・福田昌子
○福田(昌)委員 保険局長にお尋ねしたいと思つたのですが、局長がお見えになりますまで、ちよつとお尋ねさしていただきたいと思います。医務局長におかれましては、現在の社会保険の上から結果いたします開業医の実収というものが、医者の能力の点から勘案いたしました場合、妥当でないというようにうかがいとれる御返事でございましたが、まさに妥当でないとお考えでございましようかどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/25
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026・曽田長宗
○曽田政府委員 少し問題の混同があるのではないかと思うのでありますが、私は社会保険の診療のことについては何事もまだ申し上げておりませんので——昨日ちよつと触れましたけれども、今お話がございましたのは、要するに社会保険だけではなしに、いわゆる自由診療も含めての診療所の医師の収入がどのくらいと考えられるかということですが、実は今それをいろいろと計算してみておるのでございますが、一つの計算方法としてはかような計算が出て来るということを申し上げました。結局現状としてはこれくらいだということを申し上げた。それでそれが医務局長は適当な収入だと思うかどうかということを一言われましたので、これは現状を申し上げたので、適当なものかどうかということは別にまた考えさしていただかなければならず、また何と思うかということは、私個人としては意見もあるかもしれませんが、まだ十分に省内でもおはかりをしておりませんので、また十分権威ある人の検討も得ておりませんので、今までのような御説明、御答弁を申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/26
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027・福田昌子
○福田(昌)委員 そういう御答弁でしたから、それを離れて、厚生省の医務局長として御都合が悪ければ個人でもけつこうですが、あなた自身においてはこれを適当とお考えになるかどうか、医務局長の御答弁であつたらなおけつこうですが、これを適当であるとお考えになるかどうか、その一言だけを承りたいと思つて御質問申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/27
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028・曽田長宗
○曽田政府委員 今申し上げましたように、純個人的な意見ということでございますれば、申し上げる必要もないかとも思うのでありますけれども、しいてとおつしやるならば、私も医者の片割れでございますので、それはもう少し収入をよけいにしていただきたい。純個人的な意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/28
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029・福田昌子
○福田(昌)委員 自由診療と社会保険診療を一緒にして平均して大体四万から五万という御答弁でございましたが、現実の問題から見ました場合、医者の研究におきましても、新しい医学の追究におきましても非常に不足いたしております経済的な面が、ただいまの社会保険診療の面からは補えないのでありますが、そういう点なども、医務局長としては、現在の医療診療というものはどうも不合理だという点をお考えになつたことがあるかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/29
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030・曽田長宗
○曽田政府委員 これは個人的な意見でございますか、正式な意見でございますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/30
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031・福田昌子
○福田(昌)委員 もちろん厚生委員会で正式に質問を申し上げておるのですから、正式な医務局長としての御答弁をお願いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/31
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032・曽田長宗
○曽田政府委員 医務局長としてはまだ御答弁申すだけの結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/32
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033・福田昌子
○福田(昌)委員 この医薬分業の問題にからみまして出て参りました審議会設置の問題は、医務局長において最も原則的な、そうして最も簡単なこういうことに対する御研究、はつきりした御意思がない限りにおいては、検討できない問題だと思うのです。こういうわかり切つた簡単な問題さえまだ御検討がないということは、私といたしましては何としても了承できない点でございます。従いまして医務局長としては、現行の制度が非常にけつこうこの上ないとお考えになつておられるか、そうじやないとお考えかという、ごく簡単なことをお尋ねしておるのですから、お答え願えると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/33
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034・曽田長宗
○曽田政府委員 現状のままでいいかという御質問でございましたならば、必ずしもいいとは私考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/34
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035・福田昌子
○福田(昌)委員 必ずしもいいとお考えでなければ、どういうふうに改良して行つたらいい、どういうふうにあるべきだとお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/35
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036・曽田長宗
○曽田政府委員 その点につきましても、医務局個人としてはいろいろな意見もございますが、ただいままだ正式に御答弁いたす域にまで達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/36
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037・福田昌子
○福田(昌)委員 私、曽田局長は、これはおせじを言うわけでもありませんが、頭脳きわめて明晰な方でおありになるということで尊敬いたしております。わずかこのぐらいな問題がまだおわかりにならない医務局長とは考えられないのであります。しかも医務局長になられましてわずか何箇月というような立場でもおありにならないのでありまして、長い間にわたつて医務行政を御担当になつておられて、その点においては日本の最高の地位にあられる医務局長が、わずかこのくらいなことに今はつきりした見解を持つておられないということは、何としても私どもの納得できない点でございます。従いまして、もし医務局長がほんとうにまだ研究中で、この問題が妥当であるかないかということの見当さえつかないということであれば、これはもう医務局長にこれから大いに勉強してもらわなければならぬと思いますし、もしそれがその場しのぎの御答弁というのであれば、日本の医務行政をまことに軽視しておると見なければならぬと思います。聡明な医務局長におかれてはもう少しまじめな御答弁を聞かせていただけると思いますから重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/37
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038・曽田長宗
○曽田政府委員 私もこの問題は非常に重大な問題だと考えておりまして、いろいろな資料を、今日までにあります資料はもちろんのこと、また新しい未整理の資料というようなものも至急にとりまとめて検討いたしたいと考えておるのであります。再々申し上げますように、その作業は続行中でございまして、ただいまの医師の大体の平均収入というものといたしましても、多少条件をつけて申し上げておるのでありまして、この数字をさらに私どもがただいま作業いたしております材料に基いて検討するということになりますれば、幾分相違も出て来るものと思うのであります。今度はその内容につきましてもさらにいろいろ検討の上でなければ十分なことを申し上げかねるのでありまして、私も今まで決して怠慢でなしに相当一生懸命勉強して来ておると思うのでありますが、何としましてもそこまでまだ到達し得ないのでありまして、おしかりを受けましたが、今後ますます勉励すると申し上げるよりほかはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/38
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039・福田昌子
○福田(昌)委員 非常にいろいろと各方面にわたつて御研究いただいておるという御答弁でございましたから、今後も非常に御研究いただきたいと思うのですが、研究ばかりしていただいておつても、私どもにとりましてははなはだ困ることでございますので、医務局長という責任あるお立場にある局長としては、いつくらいまでにこの結論をお出しになるか、あす、あさつて、近いうちにお出しになるのか、いつまで研究なさるか、この点承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/39
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040・曽田長宗
○曽田政府委員 これは人間のことでありますから、いつ完成できるということを申し上げるわけにも行きませんが、私としましては、いろいろ手伝いをしてくれております者と一緒に一生懸命やりまして、できるだけ早く結論を出したい。一応の結論が私どもとして出ますれば、省内においていろいろな方面からの検討もこれにつけ加えまして、その上で皆様にお知らせするということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/40
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041・福田昌子
○福田(昌)委員 いつごろというはつきりした日限のお明示がない限りにおきましては、せつかくの医務局長の御答弁でございますが、私どもはそのままうのみに承知するわけに参らないのであります。ことに医療関係の適正診療の懸案というものは、医務局長が局長になられる前から耳にたこができるくらいにこの厚生委員会におきましてもいろいろな角度から検討され、直接担当でなかつた、医務局長におなりにならなかつた前からも伺つておられるところだろうと思うのです。医務局長になられてからすでに久しい期間がたつておるのでありますから、十分御研究になつておられると私ども考えるわけです。従いましてその御研究の成果、そしてまた今日の医療体系というものはどうあるべきだということを医務局長においてすでに御研究済みのことだと思うのであります。その現段階における資料、そしてまたこれが今日においては妥当と考えるという資料がおありになると思うのですが、医務局長という地位にあられる方が適正な医療費というものに対するお考えがないとは受取れないのでありまして、そういう今日においてまとまつた資料だけでも早急に一両日のうちに出していただきたいと思います。その点お約束願えるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/41
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042・曽田長宗
○曽田政府委員 この点は先ほどから滝井委員からも強く迫られておる点でございます。今申し上げましたことを繰返すようでございますが、私どもとしてはつきりとした数字、ことに新しい資料についての結果というものは残念ながらまだお目にかけるわけには行かないのでありまして、ただ古い前にありました結果というようなものから、その後の一般の社会的な、経済的な動きというようなものからおおよそ大ざつぱに見当をつければ、かような結果になりますということは申し上げますと言つて口頭でお話申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/42
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043・福田昌子
○福田(昌)委員 今日審議会の問題が提案されておりますが、その審議会設置というものは、御承知のように医薬分業という制度を実施する上において必要だということで生れて参つたわけであります。医薬分業法案そのものは、御承知のように昭和二十六年に生れた法案であります。その後実施に至るまで政府当局は新医療体系なるものを十分作成して、そうして日本の医療体系はかくあるべしという線をはつきり決定するんだということをお約束になつておるのであります。爾来すでに三、四年経過いたしました今日、今なおまだ御研究中であるという政府に対しましては、私ども医薬分業に対しまする政府の一貫した見解というものを疑わざるを得ないのでありまして、なおかつ政府は医薬分業をいかような形において考えておられるか、日本の医療体系をどういうふうに考えておられるか、その根本政策に対しても疑いを持たざるを得ないと思うのです。従つて私ども今日非常な疑念を持つております。従つていろいろな点から伺つてみたいと思うのですが、医療体系という点の一部といたしまして、今日の医療機関を医務局長としてはどういうふうに持つて行つたら最も適当であるか、私的医療機関と公的医療機関の配分をどのようにして行けばいいかという点からまず伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/43
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044・曽田長宗
○曽田政府委員 初めに二十六年から今日までの間何をしておつたかというおしかりでございますが、その間に私どもとしてはいろいろな資料をとりまとめておりまして、それもただ何もおもしろ半分にやつたわけではございません。それからまたその結果は決して隠しておるのではないのでありましてその後いろいろな施設の調査あるいはその施設における従業員と申しますか、職員の数とか、あるいはそのやつております医療の内容、患者の数とか、あるいは、これはなかなか全体的にはむずかしいことでありますが、サンプル調査によりまして経営状態の調査というようなたぐいのものを調査をし、しかも御承知のように最近はいろいろと社会的な情勢がかわつておりますし、経済的にもかわつておりますし、またいろいろ社会保険の制度というようなものでもかわつておりますし、こういうようなことでただ一回の調査だけではなかなか将来の方針が立たぬのでありまして、ある程度その経過を見る、その動きを見るというような必要もございまして、同じような調査を、しかも時期をおいて数回繰返すというような必要もございますので、ここにもふろしきの中に持つて来ておりますのでお目にかけてもいいのでありますが、みな公表したものでございます。決してその間何もしないでおつたのではございませんので、あとでごらん願いたいと思いますが、その点は私どもの勉強の足らぬということは十分に反省をし、今後さらに勉励いたしたいと考えております。
次に日本の医療体系をどういうふうに考えるかということにつきましては、やはり医療制度というものも固定したものではないというふうに私は考えておるのでありまして、いろいろ時代の動きとともにかわつて参るというふうに思うのでありますが、今日におきましては従来からの自由開業医制度というものが根幹になつておるのでありまして、自由開業医制度をできるだけすくすくと発達と申しますか、発展させるというふうに従来からの方針はなつておると思うのでありますが、ただ単に自由開業の制度だけでは、今日の国民医療を担当するという意味におきまして決して十分には行きかねる面がございます。医療機関の公布の問題というような点におきまして、あるいは国民の医療費負担が必ずしも十分にはできない、医療費を負担し切れない社会の階層があるというようなところから、現在の自由開業医制度にある程度の計画制を持たせなければならぬということになつて参る。またただ単にその経営の責任を個人の医師に負わせるだけでは医療施設が十分整備もできず、また十分な機能も発揮し得ないというようなところから、いわゆる公的医療機関というものが生れ出ておると思うのであります。もちろんその萌芽はずいぶん前から出ておるわけでありまして、特に東北地方等の農村県において県設病院というようなものはずいぶん前からございます。また特別な伝染病院とかあるいは精神病者の収容所、あるいは特別な救護病院というようなものはかなり前からございますが、だんだんにさようなものに対する必要性と申しますか、これが高まつて参りまして、一つの時代的な経過といたしまして、この公的医療機関というものが逐次増大しておるということが一つの動きとしては見られるのであります。もちろんこれは私あまりこまかいことを申し上げるわけに行かず、また御意見の相違もあるかと思いますけれども、私はこれはもちろん国なり県なりの一つの施策といたしまして公的な医療機関というものが非常に迅速に拡大し、あるいはその発達が幾分阻害される、遅滞せしめられるということはありましようけれども、これは一つの社会的な必要に応じて長い目で見ますれば、逐次増大して参つておるというふうに考えるのであります。さような意味におきまして私は公的医療機関の発達ということは、ただ単に人為的な施策のいかんということだけではなしに、どうしても一つの社会的な必然としてかような傾向をとつておるものというふうに考えるのであります。その際にもちろん公的医療機関が必要でありながらこれが整備されていない、遅れているというような事態もありましようし、あるいはあるときにはこれが行き過ぎまして自由開業医の生活を圧迫するというような事態も起るかと思うのであります。その行き過ぎあるいは出遅れというようなものを適当に調節して参るということが、私は結局私どものとるべき態度じやないかというふうに考えておるのであります。でありますから今日におきましても、自由開業医制度が日本においても根幹となつております。そして公的な医療機関というものはそれを補うというような意味、あるいは今日までの自由開業医制度でもつて十分に取上げ得なかつた新しい国民医療の分野を公的医療機関が担当して行くということになるのではないか。
なおこの際つけ加えて申し上げさしていただきますならば、私は公的医療機関というものといわゆる公的医療というものとは別個のものであると考えておるのであります。たとえば社会保険による診療というものは一つの組織された医療であり、公的性格を持つものと思うのであります。たとえば診療報酬というようなものも、自由ではなしに、ある程度の制約を受けておると申しますか、一応の契約できめられるわけでありますけれども、個々の患者と医師との間の話合ひではなしに、一つの組織としてきめられたものとなるのであります。そういうような意味におきまして、いわゆる自由契約による診療ではないというふうに考えられるのであります。しかしながらかような言葉が悪いかもしれませんけれども、いわゆる公的な医療というものは、必ずしも公的な医療機関に担当されなければならぬというものでもないと思うのであります。もちろん公的な医療が行われますと、その運営のためには、公的医療機関を持つて、そこで担当することの方が事務的には便利だというような面も出て来るかもしれませんけれども、これは必ずしも必然的な結びつきを示すものではないというふうに考えるのであります。いわゆる社会保険の発達というものが進みましても、それに応じて必ずしも公的医療機関を増設しなければならぬというものではないと私は考えておるわけであります。だんだんと国民生活が困窮化して参りますれば、いわゆる公的医療というものはどうしてもふえて参る。また数回の調査によりましても、この自費負担と、社会保険でありましても、掛金は自分がかけてはおるのでありますけれども、いわゆる一つの組織された公的性格を持つた医療、その割合は、だんだんいわゆる公的医療の増加となつて現われておるのであります。しかしそれを担当するものとして必ずしも私的な医療機関をしりぞけるものではない。私的医療機関で新しい内容の診療、国民医療というものを十分に担当できるなら、できるだけ今までの制度を利用して参るのでありますが、しかしこれではなかなか十分にその機能と責任を果し得ないという面がだんだん現われて参りますので、その面にこそ公的医療機関が設けらるべきものであるというふうに思つておるのであります。私的医療機関と公的医療機関とは、ただ単に公の経費によつて経営されるか、あるいは私的の経費によつて経営されるかということだけではなしに、そこには病院あるいは医療機関としての機能の上にも相当な差異がなければならぬのではないか。いわゆる私的医療機関で十分果し得ない面、採算的には立ちにくい医療、あるいはいろいろな多額の設備費あるいは機械の整備費を要する、かような医療を担当するものとして、普通の開業医の人たちと患者の奪い合いをするというようなことのないものでなければならぬというふうに考えておるのであります。大体今日においては結論として申しますれば、なお依然として自由開業医制が根幹となつておるのでありますが、その欠陥を補うというような意味において公的医療機関の正しい発達、そして私的医療機関と公的医療機関との診療機関としての機能の差異というものをはつきりいたしまして、また協調すべき点は両者の間でよく連絡をして、国民の医療にあたるということが正しい筋であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/44
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045・福田昌子
○福田(昌)委員 そこで重ねてお伺いしたいのでございますが、私的医療機関がやはり現行においても医療機関の根幹をなすものだというお考えでございましたが、私どもとしてもそのお考えを疑うわけではありませんが、いつまでもそうであるとお考えであるかどうか、当然そのようなお考えだと推察されるのですが、その点まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/45
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046・曽田長宗
○曽田政府委員 私正確に覚えておりませんが、今日におきましてもほとんど七〇%以上は公的性格を持つた病床になつておる。少し言葉が悪うございましたが、たとえば病床というものを考えますれば七〇%以上にも及んでおる。でありますから、医療と申しましても、医療のどういう面を取上げて見るかということが問題でございまして、今度外来診療というものをとつてみるならば、これはおそらく逆に七割から七割五分くらいまでが、むしろ民間の特に診療所で診療を担当しておるということになつておるのではないかと考えるのであります。私が今まで御説明申し上げましたところで、いわゆる自由開業医制が根幹だ根幹だということを申しました。ともすすると根幹だということに語弊があつたかもしれませんが、この公的医療機関と自由開業医制による私的医療機関というようなものが両者供存しておるのでありまして、ただその間のウエートがだんだんにかわりつつあるということであります。特にそのうち入院治療のようなものは、公的医療機関の担当しておる部面が非常に重くなつております。それに対して外来診療というものは、私的医療機関の担当しておる部面が多い。
それから今後の見通しはどうかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、これは公的医療機関の担当する部分がきわめて急速に最近は伸びておる。そしてその伸びておる傾向を私どもとしてはしいて今のところ押える必要はないのではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/46
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047・福田昌子
○福田(昌)委員 そういたしますと、公的医療機関というものは、現行においていささか数が不足しておる、かようにお考えになつておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/47
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048・曽田長宗
○曽田政府委員 私どもといたしましては、国民の医療を担当するためにはもちろん医師の適正な配置も必要なのでございますが、それと同時に医師が仕事をいたしますいろいろな物的な設備、病院、診療所の建物及びその中の設備が必要だと考えるのでありまして、そういうように見ますならば、医師が診療しておりますところはすべて診療所——少くとも診療所にはなつておるわけであります。しかし単なる診療所では十分に処置のできない、いわばより複雑なより処置の困難な患者というものがございます。そういうものに対してはもつと設備の整つた、また人員も十分に共同作業できますような組織になつて、そしてまたこの入院の設備もあるという施設が必要になつて来るのであります。こういうようなものをも私的な医療機関で十分にまかない切れておればよろしいのでありますが、必ずしもこれが十分には整つておらない。そういうような意味におきまして、医師はおりますけれども、あるいは小さな診療所はございますけれども、まとまつた病院、患者の収容できる医療機関の欠けておるところは日本中にまだ相当たくなんあるというふうに考えております。それを補うという意味においても、公的医療機関が一つ必要でございます。また私ども、病院というものにつきましては、ただ単に患者の診療というようなことだけでなしに、そのほかのいろいろな機能もあると思うのであります。看護婦なり、あるいは医師にいたしましても、一人前の独立した医師として仕事をするためには、今日においては大学を卒業しただけでは不十分なのであります。そういうような意味において、医療関係の職員の養成というようなことも小さな個々の診療所ではできないのでありまして、相当にまとまつた病院で行われなければならぬ。それでかような仕事はどちらかと申しますれば経営的にはプラスにはならぬのでありまして、マイナスになつて来る。こういう機能を私立の病院に負わせますことは無理なんでありまして、そういうふうな意味から行きましても、また公立病院の増設の必要ということは出て参る。公立病院の設置を必要とする場所はまだまだ相当に多いと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/48
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049・福田昌子
○福田(昌)委員 今後も公的医療機関をどんどんつくる必要があるという御答弁であります。そしてまた私的医療機関も今日の医療態勢としては相かわらず根幹をなすものであるという御答弁であります。そこで私的医療機関もどんどんでき、公的医療機関も今後どんどんつくらなければならぬということになると、一体日本の医院及び病院というようなこういつた医療機関はどこまでたくさんおつくりになる御意思であるか、私どもいささか疑問なきを得ないのであります。日本の現状を見ますと、諸外国に比べまして医院及び病院の数は決して少いとに言えません。人口の比率をとりますと、医者の数も病院の数も文明諸外国に比べてその最高を行つている日本でありますが、この上になお医療機関が不足だとおつしやる。その点私ども非常に疑問に感ずるのであります。町をお歩きになれば開業医の数も多く、医者の広告ばかりが氾濫しているほどたくさんあります。病院もまた公的医療機関もたくさんあるのであります。病院の中の設備が不十分だというならわかるのでありますが、この点医務局長として私ども少しお考え違いじやないかというような感じがするのであります。病院が不足じやないのであつて、設備が不足だというなら了解ができるのでありますが、そうじやないのですね。やはり機関が足りないというお考えなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/49
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050・曽田長宗
○曽田政府委員 病院の絶対数の問題につきましても、世界の一流国という御意見でございますが、少くとも第一位ではございませんし、私はまあ一流に入れて考えたいのでございますけれども、アメリカは言うに及ばず、イギリスとかスカンジナヴイア等を考えましても、人口当りのベツド数は日本において約半分でございます。日本は数としてもこれでもつて十分だと言い得るかどうかということは疑問だと私は考えておるわけであります。しかしながら数としましてはとにかく、いわゆる一流国という問題は別問題といたしましても、多くの世界の国々をながめてみますならば、日本も決してはずかしくない程度にベツドはできていようというふうに考えるのであります。これを無限にふやして行くというようなことは考えておりません、私どもも大体二、三十年後まで考えました長期計画としては——今日日本のベツドは総数で四十万ございますが、二、三十年後を考えた一つの目標としては、やはり八十万ぐらいを考えておいてよろしいのじやないか。その間に人口もある程度ふえますし、大体一つの目標として考えてよいものと思うのであります。今日非常な勢いで病床はふえております。一年に四、五万もふえております。この勢いは異常なものだと思うのでありまして、そう長く続くものではないと考え、その勢いをしいて押えようという考えはないのであります。しかしながらその病院の増設は、必ずしも計画的に行われていない。今も福田委員から御指摘がございましたように、都会地等においては非常に医療機関が密集しているのではないかというような御意見に対しましては、その点が問題なのでありまして、日本全体として見ればまだまだ増設の余地があると思うのであります。ただ所によりましては、それが一所にあまりにも密集して来ている。これをある程度調整して行かなければならぬと考えるのでございます。しかしながら今申し上げましたように、自由開業医制を一面においてとつておりますので、医師が新たに開業をする、あるいは私立の病院や診療所を設けるという限りにおいては、これを統制するよいうようなことは不可能なのでありまして、これは結局当事者が十分にお考えになつて、仕事を始めるということでなければならぬと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/50
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051・福田昌子
○福田(昌)委員 ベツトが足りないという点は、私も同感であります。ベツドの足りないものをふやす方法として、新しい医療機関をつくることをお考えになつておられるように聞えますが、それよりも現在ある診療所なり、あるいはまた病院の増床計画という方向に向けた方が得じやないかという意味でお尋ねしたのです。そういう意味での御答弁がなかつたわけですが、そのベツドの増床計画ということは、医療機関の内容の整備という一部になりましよう。それを新しい医療機関をどんどんつくつて補充なさろうとするのか、現存する医療機関のベツドの増床という形において行つて行くか。どちらを主になさるかという点をお尋ねしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/51
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052・曽田長宗
○曽田政府委員 結局今のような具体的な問題として言われます場合には、どちらというわけには参りません。増設を必要とする地域もございますし、既存の病院の増築をいたしまして、収容力をふやすということもございます。たとえば国立病院とか、療養所等でございますならば、新たにつくるということではなしに、増床するということで行つているような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/52
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053・福田昌子
○福田(昌)委員 両方でお行きになる。新しい機関もつくるし、現存の機関のベツドも増床する。それはいいでしよう。
次に重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、公的医療機関で行うというお考えをとりますと、現在公的医療機関はまことに濫立いたしております。東京都のような、公的医療機関はすでに十分であろうかと想像されるようなところに新しい社会保険病院が建つたり、その他の公的医療機関がどんどん建つ。しかしながら一方今日町村合併が盛んに叫ばれておりますが、それにもかかわらず現在では千数百箇町村になお無医村というものが残されております。そういう無医村の解消に対しては一向役に立たない。こういう公的医療機関の配置の状況は、私ども国民の一員として見た場合、政府はどのように考えておられるかいささか疑問を持たざるを得ない。政府におかれては公的医療機関の配置を今後どのように考えておられるのか。私どもなおかつ非常に意外に思いますのは、医務局長は今日日本の医療機関の全般にわたつての監督行政的な首脳部であると考えているのでありますが、医務局長の御存じない、医務局長の御相談にあずからない社会保険病院というものがどんどん建つているというやに聞くのでありますが、この点その真偽をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/53
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054・曽田長宗
○曽田政府委員 今の問題につきましては、しばしば御質問やあるいは御叱正をいただいているのであります。私どもとしましては、日本全国の医療機関の整備というものの全体計画は、私どものところで十分に立てて、できるだけの努力を払い、その適正な配置、あるいはその内容の向上をはかつて行かなければならぬのでございますが、今日におきましては、とうていその力がすみずみまで及ぶというようなぐあいには参りません。また政府のいろいろな機構といたしましても、十分連絡の行きかねる点はあるのであります。それにつきましては、私どもも厚生省内だけではなしに、他の省にも呼びかけまして、最近はいろいろ集まりをいたしてその調整をいかにするかというようなことをお話合いをしているような状況でございます。この点については、さらに私どもも今後努力して参らねばならぬというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/54
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055・福田昌子
○福田(昌)委員 連絡の行きかねるという点につきまして、具体的に御説明が願いたいのであります。医務局長に御相談なく建てられる病院の種類にどういうものがあるかということも、重ねてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/55
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056・曽田長宗
○曽田政府委員 政府で建てております病院は、厚生省以外にも、たとえば労働省の労災病院ですとか、鉄道、あるいは郵政関係、あるいは専売局、こういう事業官庁等で経営しているものもあります。それからそのほかにはいろいろ共済組合というようなものが設立した——これは政府直接ではございませんが、いろいろな施設があります。また厚生省の中といたしましては、これも国でいたしておりますといえば、社会保険関係の施設があげられると思います。そのほかに厚生省でその病院の設立にある程度責任を持つていると申しますれば、公衆衛生局関係の結核あるいは精神病院、あるいはその病床というもの、あるいは伝染病院というようなたぐいのもの、かようなものがあるわけであります。しかしながらその計画につきましては、省外のものはほとんど私どもに事前に御相談はないのでありまして、ただ病院ができるときに、病院として医療法の基準に合つているかいなかという意味においては、全部私どもの方にまわつて来ているのであります。しかしその設立の際に計画書を私どもに見せられるというようなことはないのであります。省内におきましてはこれはときによりけりで、こちらに連絡のあるときもございますが、必ずしも十分に行かない点がある、さような点は今後緊密な連絡をとるようにということで、省内でも申合せをしておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/56
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057・福田昌子
○福田(昌)委員 私どもまことに驚いた答弁をいただいたわけであります。医務局長でありながら、局長の知らないような公的医療機関が至るところに建てられつつある。たとえば運輸省関係の病院、あるいはまた共済組合関係の病院というようなものは、局長はその設立の当初においてほとんど御相談にあずからないというまことに驚いたお話でございます。同じ省内においても、たとえば保険局が建てるような社会保険病院というようなものでも、あまり御相談にあずからぬということでありますが、こういうことで日本の公的医療機関、私的医療機関をあずかる医務局の業務というものが果されるかどうか、私どもは非常に疑問に思うのでございます。こういうことこそ一番先にやるべきではないか。三年も四年もかかつて、なおかつ聡明な医務局長がおわかりにならないようなむずかしい医療体系に取組む前に、こういうごくわかり切つた簡単なことをなぜ整備なさらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/57
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058・曽田長宗
○曽田政府委員 いろいろ努力はいたしておるのでありますが、結局身の不敏のいたすところと思いますので、今後も一段と努力をいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/58
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059・福田昌子
○福田(昌)委員 私どもは決して曽田医務局長が至らざるがゆえにできないとは考えておりません。聡明な局長といえども、一人でできることでもありませんし、今日の社会情勢、ことに行政機関のセクシヨナリズムというものが大いに災いしておるということもあつて、そういうことが非常ながんになつておることは当然でありますが、しかしそういう社会機構の医療機関に対する一つの問題を取上げても、それほどまちまちでかつてなことをやつておる。従つてこういう機関の整備、その所管の統一こそ先であると思うのでありますが、これを抜きにして、むずかしい、三年も五年も——それどころかこれは何十年間とそれぞれの人たちが研究しておる問題だと思いますが、その何十年かかつて研究してもむずかしいこの医薬分業に関する法案を、今日まだあまり研究ができていないままに出して来られようとする医務局長のお考えというものは、私どものはなはだ解せないところでございます。しかしいろいろ御研究中ということでありますから、早急に研究を完成していただきたいと思います。
まだたくさん質問があるのですが、際限がありませんから、ちよつと一足飛びになりますが、その中で特に要求しておきたいのは、新医療体系をいつお出しになるか、この点はぜひ御明答いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/59
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060・曽田長宗
○曽田政府委員 少くとも医薬分業に関する昭和二十六年の法律を施行いたしますに必要な程度のものは大体八月ごろまでにまとめ上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/60
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061・福田昌子
○福田(昌)委員 私ども厚生省からしよつちうだまされておるものでありますから、八月というようなことは、現実を握つてみなければこれをうのみにするわけにはいかないのであります。従いまして私どもといたしましては、八月にその書類を見せていただきました上でこの委員会で審議をして行きたいと思います。そこでまずその書類を出していただくこと。その上で医薬分業について最もつつ込んだ検討をする。医薬関係審議会設置法案というものも当然その上で審議しなければならない問題だと思います。厚生委員長もこの法案の重大性にかんがみまして、そのように御採択いただきたいと思います。その点について厚生委員長の御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/61
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062・小島徹三
○小島委員長 福田君にお答えいたします。医薬関係審議会設置法につきましては、先般の理事会において、三日の日に質疑を終了して五日に採決することにきまつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/62
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063・福田昌子
○福田(昌)委員 それは私また理事会にぜひお諮りいただきましてお考え直しを願いたいと思います。これは非常に重大な問題でありまして、その重大な問題をうやむやな、基礎的な資料もないうちに強行突破なさるということは、委員長におかれてももう少しお考え直しいただきたいと思う点でございます。この点を重ねて要望いたします。
次に医務局長に重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、医務局長はなぜこの法案をお出しになるのか。もちろん医務局長一人のお考えでないことはわかりますが、この審議会設置の法案を、厚生省の一員として責任をもつてお出しになつたということは、現行の医薬分業という問題をとらえてみた場合、現行の医療制度において医薬分業をどうしてもしなければならないという、どういう事態があるのか、その事態を一々あげて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/63
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064・曽田長宗
○曽田政府委員 私自身この法律がどうして出ておるのか、今日としては存じないのでありますが、しかしすでに国会において昭和二十六年に御決定になつたものでありまして、これを実施するためにこの審議会を設けねばならぬということが定めてございますので、これを案にまとめて御審議にかけた次第だと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/64
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065・福田昌子
○福田(昌)委員 どういうわけでこの法案が出たかもわからない、しかし審議をしなければならぬというお話でございます。しかもこの法案の審議に必要な資料も出ていないのに審議をするというのですから、何を審議をするのか私ども見当がつかない。なぜこの法案が出たかわからない。しかし審議をしなければならない。審議の材料になるものは何も出ていない。これで審議をするということは、幼稚園の問答みたいなもので、さつぱりわけがわからないのであります。こういう形で出して来て、委員長はこれを強行突破なさるということは、私どもはどう考えてもお考え直しを願いたいと思いますので、その点を重ねてお願いしておきます。
いろいろお尋ねしたいのですが、本日は医務局長の職責の範囲内でお伺いしておきたいと思います。先ほどのベツドの足りない点であります。これから四十万床のものを八十万床にしたいということでございますが、これはけつこうでありまして、私的医療機関におけるベツドの増床を公的医療機関のベツドの増床とあわせて、同じ方法で考えて行くというお考えであるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/65
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066・曽田長宗
○曽田政府委員 先ほど申し上げましたように、今日においてもベツドの大多数は公的性格を持つた施設に設けられたものでございます。今後設けられるベツドも、一般ベツドの増床も必要でございますが、主として結核とか精神病とか、こういうようなものを対象としたものであろうと考えられます。さように考えますと、私的経営というようなことにはいろいろな困難がございまして、やはり公的な施設の中に設けられるべきものではないかというふうに考えております。おそらく公的医療機関の方が今後の増床には重き比重を持つものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/66
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067・福田昌子
○福田(昌)委員 その四十万床のベツドの増床問題は、主として公的医療機関において増床するお考えであることはよくわかりました。今私的医療機関のベツドの増床はいろいろ困難があるというお話がございましたが、困難があるということはどういう困難であるか、具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/67
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068・曽田長宗
○曽田政府委員 今の結核とか精神病とか、こういうたぐいのものをとつて見事と、ことにこれからだんだんと患者の処置等についても、御承知のように新しい治療方法、診断方法等が出て参りまして、そのためには相当な設備も整え、また専門の職員も整えて参らなければならぬというようなことで、従来からきめられておりますような、あるいは平均的と申しますか、従来の診療費というようなものについては、幾分この処置が困難だというようなぐあいに、その経費でまかない得られます限りの最上限と申しますか、あるいはときにはそれをオーバーしたような治療や処置を加えて行かなければならぬとい、ふうに考えられます。かような機能をその病院に負わすというようなことは、私的医療機関に対しては無理なことではないかというような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/68
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069・福田昌子
○福田(昌)委員 ただいまの御答弁によりますと、私的医療機関のベツトの増床に対する困難性の一つの理由としては、社会保険診療の面また収入の面というような面から勘案して、経済的に非常に無理な点があるから、ベツトの増床計画というものはなし得ないという結論になると思うのであります。このことは結局今日の社会医療なるものが適正でない、私的医療機関のベツトの増床どころか、内容を整備する、その点においても欠けるところがある結果を来しておるということの証明になりますが、さように了解してよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/69
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070・曽田長宗
○曽田政府委員 私は公的医療機関が必ずしも赤字を出しているというふうにばかり考えるのではございません。ことに単に診療の部門、あるいはもつと言いかえますならば、いわゆる経営費というようなものにおきましては、公的医療機関においても大体収支相償うものと考えておるのであります。民間病院として経営いたします場合には、ただ単に収支償うというようなことだけでは困るのではないか、あるいは今日公的医療機関で仕事をしております医師なら医師の俸給というようなものでは、一般の私的医療機関の経営者としてはどうしても満足できない程度のものではないか、ただ単にそれだけの意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/70
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071・福田昌子
○福田(昌)委員 公的医療機関におきましても、私的医療機関におきましても、今日では医務局長も御承知のように、社会保険診療が大部分を占めるような情勢になりつつあります。こういう社会保険診療の拡大によりまして、医療機関の計画的な内容というものはどうしても制約されて参るわけでありますが、同じ収入の制度でありながら、公的医療機関は、課税の点におきましても、また建物その他の設備の補充の点においても、ある程度公的な経費の面をもつて補われておるのでありますが、私的医療機関は公的医療機関とは違いまして、課税の点においても何らのお見のがしがない。また医療機関の整備補充におきましても、全部私費をもつてしなければならぬ。それが今日の社会保険の診療報酬からいたしましては、すべてできがたい状態にあるのであります。この点は医務局長もお認めになつておられると思うのでありますが、経済的な面において社会保険が無理だという現状を認めておられるかどうか、その点をイエスかノーかだけ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/71
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072・曽田長宗
○曽田政府委員 社会保険の診療報酬で病院の経営が十分に行くかどうかということにつきましては、私どもも、だんだん経営が困難になりつつあるのではないかと考えておるのであります。しかしこの公立病院においての経営それ自身と民間の私的医療機関の経営を比べれば、一方において課税の対象になつておらないというようなところでは、そこに非常に差異が出て来るのではないかというようなことでありますが、公的医療機関に対しては個々の例外のようなものはありますけれども、私どもとしては、ただ単に診療に当るというようなことではなしに、それ以外のいろいろな公的な任務と申しますか、今の医療関係者の教育でありますとか、国あるいは地方公共団体というようなもののいたします予防衛生行政というようなものに対する協力とか、いろいろな事情によりまして、あるいは緊急な事態によつて、この医療費を十分にまかないきれない人の救急措置をするとか、災害の場合とか、こういうときの活動を要請されておる。また御承知のように、公的医療機関のあるものにおきましては、たとえば結核患者あるいは国保の患者というようなものに対しても、一般の民間の医師に対してよりは、さらに一割なり二割なり減額しておるような状況もありますので、この公立病院が税がないというだけで、それだけ黒字が出ておらなければならぬというようなことにはならぬと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/72
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073・福田昌子
○福田(昌)委員 税金もないし、医療機関の整備を自費でする必要もない公的医療機関においても、今日の社会保険の診療報酬の収入からすれば黒字にならないという御答弁でありました。いろいろ詳しい御説明をいただきましたが、社会保険の現在の診療報酬なるものが適当であるかどうかということに対してイエスかノーかだけで御返答願いたいということをお願いしたのでありまして、それだけのことを御答弁いただけばよいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/73
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074・曽田長宗
○曽田政府委員 これは保険局長の所管でございますから、保険局の方から御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/74
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075・福田昌子
○福田(昌)委員 所管の違うことは知つておりますが、医務局長としてのお考えを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/75
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076・曽田長宗
○曽田政府委員 医務局長として申し上げるわけには行きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/76
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077・福田昌子
○福田(昌)委員 もう少し虚心坦懐に御答弁をいただきたい。日本の医療体系が間違つておる、こういう不満の点も多々あることは推察にかたくないのでありますが、こういう点に対してのらりくらりの御答弁をしておることは、いささか不満なきを得ないのであります。もう少し虚心坦懐にこの次にはお願いすることにして、きようはこれで終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/77
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078・小島徹三
○小島委員長 残余の質疑は次会に続行することにいたしまして、この際厚生年金保険法案の公聴会に出席願う公述人選定の件についてお諮りいたします。
同公聴会の公述人の選定に関しましては、来る五日に公述人申出の締切りをいたしまして、六日に正式に決定したいと存じますが、当委員会として出席を希望する方々として、昨日の理事会で協議いたしました、共済組合連合会理事長の今井一夫君、社会保険診療報酬基金理事長の清水玄君、富士紡績労働部長の波多野則三郎君、全日本造船労組中央執行委員の小西昌二君、大阪商大教授の近藤文二君、以上五君に公述人として出席することの可否について連絡いたしたいと存じますから御了承願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X02719540401/78
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