1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月十一日(木曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
理事 坊 秀男君 理事 山本 勝市君
理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
理事 井上 良二君
宇都宮徳馬君 大平 正芳君
苫米地英俊君 福田 赳夫君
藤枝 泉介君 堀川 恭平君
池田 清志君 福田 繁芳君
小川 豊明君 加藤 清二君
春日 一幸君 平岡忠次郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
大蔵事務官
(主税局税関部
長) 北島 武雄君
委員外の出席者
議 員 齋藤 憲三君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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三月十日
入場税の国税移管反対に関する請願(成田知巳
君外七名紹介)(第三一八九号)
同(只野直三郎君紹介)(第三一九〇号)
社会教育関係団体の主催事業に対する免税措置
に関する請願(三浦寅之助君外二名紹介)(第
三一九二号)
引揚者の送金小切手支払促進に関する請願(本
多市郎君紹介)(第三一九四号)
揮発油税軽減に関する請願外三件(白浜仁吉君
紹介)(第三二一七号)
同(佐藤洋之助君紹介)(第三二五八号)
同(田口長治郎君紹介)(第三二五九号)
同(石田博英君紹介)(第三三一二号)
保全経済会出資者救済に関する請願(田子一民
君紹介)(第三二一八号)
織物消費税の復活反対に関する請願(伊瀬幸太
郎君紹介)(第三二一九号)
同外四件(鳩山一郎君紹介)(第三二六〇号)
同(中川俊思君紹介)(第三三一四号)
同外一件(大石ヨシエ君紹介)(第三三一五
号)
果汁及び果汁飲料に対する物品税免除に関する
請願(田中幾三郎君紹介)(第三二二〇号)
公認会計士法の一部改正に関する請願(平岡忠
次郎君紹介)(第三三一一号)
揮発油税等軽減に関する請願(大石ヨシエ君紹
介)(第三三一三号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
揮発油税の軽減に関する陳情書
(第一六〇五号)
弓道用具の物品税免除に関する陳情書
(第一六〇六
号)
大衆保護のため保全経済会の立法化に関する陳
情書(第一
六〇七号)
北見市に国民金融公庫支所設置に関する陳情書
(第一六〇八
号)
入場税の国税移管反対に関する陳情書
(第一六八一号)
同
(第一六八二
号)
同(第一六八三号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会に関する件
連合審査会開会申入れに関する件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一七号)
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
八号)
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一九号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二〇号)
骨牌税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第二二号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提内第
二九号)
入場税法案(内閣提出第三〇号)
しやし繊維品の課税に関する法律案(内閣提出
第三九号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第五三号)
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六一号)
関税法案(内閣提出第六五号)(予)
国税徴収法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六七号)
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/0
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001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
まず連合審査会開会の件についてお諮りいたします。当委員会で審査中の入場税法案につきまして、地方行政委員会から連合審査会を開くことを求めて参りましたが、一地方行政委員会で審査中の入場譲与税法案につきましても、当委員会より連合審査会を開くことを求めることといたしまして、両法案についての連合審査会を来る十三日土曜日に開くことといたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/1
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002・千葉三郎
○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/2
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003・千葉三郎
○千葉委員長 次に、本日の日程にあります所得税法の一部を改正する法律案外十五税制改正法律案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/3
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004・春日一幸
○春日委員 まず最初に今回の租税特別措置法についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、この措置法によりまして、個人の長期の定期預金、その他配当、所得に対する税率の軽減、こういうものを初めといたしまして、金持ち階級並びに大企業援護というような特別の優遇措置がそれぞれ行われておると思うのでありまするが、まず最初にお伺いしたいことは、この今回の改正案を通じて軽減される額の総額、これをそれぞれの改正項目に従つてひとつお述べいただきたい。それから増徴される面は、この交際費の関係であろうと思うのですが、これのほかにまだあるならば、それも明らかにお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/4
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005・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 まず最初に長期の定期性預金の特例関係でございますが、これによる減収は一億と見込んでおります。それから配当所得の税率の引下げ関係ですが、これは多少複雑な関係になりますが、源泉課税の方の率が引下りますと、申告所得税の方へ参りまして、こちらの方でもつて税金がふえて参ります。それから同時に法人に対する分は、これもやはり法人税の方で差引く税金が減りますから、法人税の方の関係もふえて参ります。従いまして理論的に申しますと、この配当所得の税率を引下げただけでは、すぐに減収は出て参らないわけでございます。税金が減るか、あるいは取過ぎになりますと、これは還付しておりますから、返す分が減るというような関係で、税金としましては、平年度的には増減収がないのですが、ただ各項目におきましては、それぞれ減る分とふえる分がございますし、また初年度におきましては、年度のずれの関係がございまして、ある程度の減収が立つ、それだけを一応前提的に申し上げておきまして、一応源泉の方で配当所得の税率引下げによつて減になる分が約四十億、それから申告所得税の方へ参りまして増になる分が約八億、それから配当所得の源泉課税の引下げのはね返りとしまして、法人税の方で増になる分が十二億、こういう数字になります。
それから証券信託の税率引下げの関係でございますが、これも先日申し上げましたように、あとで清算いたしますから、長い目で見ますと増減収はございませんが、従来初めの方にたくさんとつていた、それがあとの方でたくさんとるようにといいますか、あとの方にならすことになりますので、これも初年度としましては一応五億一千八百万円、約五億の減収になります。
それから法人税の関係で申しますと、価格変動準備金の改正でございますが、これは物価が上つて参りますときにこの制度がものを言うわけでございまして、物価が横ばいの時代におきましては、現行制度とかわりはないのですが、やはりある程度の減収を見込むべきだろうと思いまして、一応七億の減収を見込んでおります。それから増資の配当の損金算入、これは二十二億、それから交際費の増を十五億、それから輸出所得の特別控除制度の改正による減を二億、それから鉱山関係の特別償却の関係のマイナスを二億、特別措置法の関係におきましては、以上の増減収を見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/5
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006・春日一幸
○春日委員 この機会に鉱山の新規鉱床を買つた場合に、その購入資金の半額を損失に認める、こういうことがあると思うのでありますが、これをひとつ詳細に具体的に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/6
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007・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 鉱山におきましては、現在の鉱業権の評価が比較的低くなつておりますので、これを通常に償却するだけでは、なかなか新規の鉱床を得るのに償却資金で資金を得ることができないというような事情から、何かこの機会に、アメリカあるいはフランスでやつておりますような減耗控除の制度を設けるようにという話が、通産省から相当強い要求として出て参りました。減耗控除の制度と申しますのは、簡単に申しますと、アメリカの制度で申しますれば、その鉱山から出た鉱石によつて製錬されました金属の売上げ価格の、たとえば一割とか一割五分とか、そういつたものを一応別途積立てにいたしまして、そうして将来の開発の場合に使おう、従つて将来の開鉱費などに使う場合におきましては、その分から出して行こう、こういう制度でございますが、探鉱奨励の意味からいいますと、一つの意義は確かにあるのでございますが、まあただ積み立てて行くといつたような制度がはたして妥当なりやいなや、非常に疑問があるわけでございまして、アメリカにおきましても相当議論があるところのように聞いております。そこでどうも減耗控除の制度というのは、われわれとしては賛成できない。しかし現在の鉱業の関係からいいまして、鉱業権というものが漸次値段が上つて行くといいますか、あるいは条件の悪い鉱床を漸次掘つて行かなければならぬ、探して行なければならぬ、こういう事情のありますことは、これは考えられるわけでございますので、そこでやはりその資金を何か考えて行く必要があろう。そこで合理化機械の輸入といつたような例と歩調を合せまして、新規鉱床の分につきまして、五割だけの特別償却を認める制度を開いておけば、鉱山が割合に景気がいいときには、その分で資金を償却の形でもつて蓄積し、将来の探鉱に備えることができるのではないだろうか、こういうような考え方からいたしまして、一応この制度を提案したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/7
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008・春日一幸
○春日委員 そういたしますと、これをさらに具体的に申しますならば、景気の悪いとき、損のあるときはその程度のことでいいでありましようが、うんともうかつたとき、そのときにはまあ一億なら一億の鉱床を買う。そうした場合、五千万円まではその年の損金に繰入れる、見ることができる、こういうことでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/8
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009・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 その期におきまして一億の鉱床を買えば、その期におきまして半額だけは償却できる、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/9
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010・春日一幸
○春日委員 大体同僚井上委員、平岡委員等によつて、この租税特別措置法に対する渡邊局長の基本的な一つの御説明は、ほぼ了承し得たかと思うわけでございます。そこで私はお伺いいたしたいことは、昨日の井上委員の質問に対しまして、すなわち個人の長期定期預金であるとか、あるいは配当所得に対する税率の軽減、こういうことはいたずらに金持ち階級に対する特別の優遇措置ではないか、あまりに勤労階級あるいは貧困階級に対する所得に対しては片手落ちではないかという質問に対しまして、あなたは、これは中産階級に対するやはり一つの保護政策であるというように言つておられました。今回の税制を通じていろいろ考えられることは、たとえばガソリン税に対する増徴もあり、あるいは砂糖消費税に対する増徴もあり、繊維課税のごときについては、これはもう問題がすでになくなつてしまつているのでございますが、いずれにしても、生活必需品に対してすらとにかく大きな増税が行われようとしているのであります。このことはすなわち地方行財政の中においていろいろ苦心の在するところというぐあいに昨日述べられておりましたが、しかし私この機会に強調したいことは、まず政治には、緩急前後の順位というものが私はあろうと思う。わが党といえども、もとより中産階級はやはり国を構成する一つの支柱として、これを保護するということ必ずしも否定するものでないわけでありますけれども、しかしそういう人々に対してあまねく救済を行う前に、まず勤労大衆の問題があろうし、さらに貧困階級に対する税法上のいろいろな措置をおろそかにするということは、これは前後をやはりとり間違えたものではないかと思われるわけであります。今回のこの措置によつて減税される総額は、大体において六十五、六億であろうと思います。六十億を越えるようなこういう税金の操作をもつて施策を考えるといたしまするならば、まだあなたとしては、おやりにならなければならない幾多の問題があるのではないか。たとえば勤労階級に対する寒冷地手当の問題、あるいは酷寒地に勤務しているところの低額所得者の炭代の軽減の問題等もありましようし、さらにはまた昨年末わが党から提案をいたしまして、これ自由党の反対にあつて阻止されましたが、たとえば年末期末賞与に対する税の軽減措置の問題もあろうと思います。私はこういうような生活実費、これは寒冷地手当も、寒いからオーバーの一枚でも、あるいは暖炉を備えなければならない。こういう避けることのできないところの生活費、こういうようなものに対する減免措置も十分お考えになつていいのではないかと思うし、わけてまた北海道なんかに勤めているところの低額所得者が、これまた炭がなければ凍え死んでしまうのみならず、実際の勤務ができないので、ときには現物の給与を受ける諸君もあるが、現物給与でなく、金で受取る諸君には税金がかけられている。これなんかもひとつ特別な措置を講じて減免してもらいたいという要望は、これはしばしばすでにあなたの手元に陳情されていると思う。こういうような人々に対するところの施策はかたくなに耳をふさいで、あなたはこれを聞こうとはしない。それで一方長期定期預金だとか、あるいは配当所得、投資信託、こういうような人々に対してはうんとひとつ優遇措置を講じてその便宜をはかろうとされているが、これはあまりに片手落ちではないかと私は思う。これに対してあなたの御見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/10
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011・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 昨日一応長期定期預金等につきましてのフェーヴァがどの階層に行くのだろうとおつしやいましたので、それは中産階級の層に大体行くのじやないだろうかと申し上げましたが、それは、中産階級の層について特にそういうフェーヴァを与えるということを目的としてこういう案を考えたと申しますよりも、むしろ現在の日本経済のあり方からしまして、長期的な定期預金といいますか、長期性の預金はどうしてもやはり資本蓄積の面から必要である、従つてそれは対してある程度のフェーヴァを与えましても、やはりそれをとる必要があるのじやないか、こういう観点で実はとつた施策でございまして、中産階級にフェーヴァを与えるがゆえに中産階級にこういう措置をとつたというつもりではないということをまず申し上げておきたいと思います。
それで全体としまして、税を考えて行く上においてどういうふうに全体の考え方を持つて行くべきかということにつきましては、特にわれわれ主税当局の者といたしましては、やはり公平の原則というものをどこまでも大きな原則に持つて行くべきである。同時にその場合において考えるべきことは、やはり担税力の大きい人と小さい人というものを考えて行くべきであり、従つて今赤目委員がおつしやいましたように、低額所得者についての負担はできるだけ軽減するということが、公平の原則にやはりマッチすべきものである、かように考えておりまして、従いまして、今度いろいろ御批判は受けておりますが、片方で間接税、それもできるだけ奢侈消費的なものを中心とした間接税の増徴新設によりまして税源を上げ、同時にそれによつて基礎控除を上げ、扶養控除を上げるという措置を考えているわけでございまして、これによつて受ける負担の軽減というものは、低額所得者に一番大きく響くわけでございまして、その点につきましては、たとえばそれによる減税額というものだけをちよつととつてみましても、基礎控除の引上げによつて百六十億、それから扶養控除の引上げで約九十億、こういつたような大きな額がそこに計上されているということで、一応われわれがそういう意図のもとにやつていることは御了承願えるのじやないかと思いますが、ただ現在におきましては、片方で日本経済を何とかして再建して行かなくちやならぬ。そのためには政府としていろいろな施策を講じなければならぬ。その場合におきまして、もちろん国民の協力にまたなければならぬわけですが、政府の方として何か施策を講じようとしますれば、政府が行い得ることは補助金を出すか、あるいはある特殊なものについて税を軽減するか、あるいは金融の道をつけるか、この三つしかないわけでございまして、その場合にもちろん他の二つの手段もいろいろ考えられておりますが、同時にそれとあわせながら、一つの手段として税の軽減についてある特殊なものについては考えて行くべきである、こういう矛うに考えることも許され得ることじやないだろうか。ただ全体といたしまして、負担の公平というものをあまりくずすような姿にものを持つて行くということは、私どもとしては好ましくないものである。それは税というものの観念を全体的にくずす問題になるから、それは考えるべきじやない。ただしかしそれをくつがえさない限度におきまして、やはり経済施策のためにある程度の減税措置を考えるということは、許され得ることじやないか、それが特別措置法に盛られている幾つかの施策として現われて来ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/11
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012・春日一幸
○春日委員 物事にはいろいろ考え方がある、従つてそこが議論の存するところであろうと思うのでありますが、あなたは今経済再建のために金融上、いろいろな措置も必要であろうということで、長期定期並びに投資信託に対する優遇措置を講じたといつておられるわけであります。しかしながら、独立の完成のためにはまず経済の自立、それから相言葉として国民生活の安定ということがいわれている。しかし私は国民生活を安定せしめるということになれば、国民の多数を占める勤労大衆への施策というところへまず思いがいたされてしかるべきであろうと思うのであります。そこで私が問題としておるのは、現在低額所得着たちの生活が一体どどの程度のものであるかということに対するあなたの認識であります。これは現在人事院の勧告等に徴しても明確であります通り、これは生活実費をまかなうためというのでいろいろ勧告されております。その勧告された通り政府によつてなかなか実施されてはいなので、従つてその低額所得者の生活というものは、なおかつ生活費を十分弁じ得ないような状況にあろうと思われる。さればこそそれらの階級から、寒冷地手当とか、あるいはせめて炭代とか、あるいは年末における賞与だとか、こういうようなものは明らかに生活給なのであります。従つてこれに課税されるということは耐えがたきところだから、これに対して減免の措置を講じてくれとしばしばあなたのところへ陳情が行われておるのみならず、本委員会においても、これが議案として提起されたことは一再ではない。だがこういう問題を、あなたは今回のこの法律改正案に際してひとつも取上げない、そうしてここに六十億になんなんとするところの減免措置に出でんとしておられるのであるが、その考え方について、私はそれがあなたの本心であるか、それが正しい考えであると大確信を持つてここに提案されておるのかどうか、むだなことであるが、もう一ぺんお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/12
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013・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 私は現在の情勢におきましては、ここに御提案申し上げておる案が一番正しい、いい案であるというふうに思つております。それを多少敷衍的に御説明申し上げますと、先ほども申しますように、一応われわれの方としましては、片方で奢侈消費的なものに対する税率を引上げても、とにかくこの際として基礎控除を上げる、扶養控除を上げることによりまして、低額所得者の負担の軽減をはかりたい、これは金額的にごらんになつてもおわかりだと思いますが、先ほども申しましたように、それによる減収の額が一番大きくなつているわけでございます。そこで今幾つかの事例をおあげになりましたが、その一つは年末賞与に対して減税したらどうか、課税をやめたらどうか、これは、結局それだけについてみますれば、年末賞与を多くもらうか少くもらうか、いろいろな問題が出て来るので、結局考え方によつては、過般御提案になりましたように、たとえば賞与の中で二万円を課税外に置くとか何とかいう案になると思いますが、これは迫つて参りますと、結局基礎控除を上げるということと実は同じ意味になるわけでございまして、税収に及ぼす影響から申しまして、結局それだけの大きな減収を原因するわけでございまして、従いまして財政的に見まして、はたしてそれが許されるか許されないかということを考えてみないと、賞与なら賞与の中で何万円一応課税の外へ置くと、ちよつと形はかわりますが、結局は一年を通じてその分だけは控除が与えるということになるわけでございまして、これはやはり基礎控除という姿でまともにその問題を取上げて行くべきであるというので、われわれの方としては、その角度においてこの問題に取組みまして、一応非常に御不満かと思いますが、六万円を七万円に上げたという姿をとつたわけでございます。
それからもう一つ、寒冷地手当の問題についていろいろ御議論がございましたが、これは一つのお考えと思いますが、勤労者だけの問題ではなく、やはり一般的な問題で、他の事業所得者でありましても、ほかの所得者についても全部同じような問題を考えなければならぬ問題だ思います。寒冷地手当という、手当という名前だけでもつて問題を扱うべきじやない、そうしますと出て参ります問題は、その寒冷地の人だけについて特別な控除の額をふやすべきかどうかという問題になつて来ると思う。そうしますと、片方で勤労者だけについてみましても、いわゆる勤務地手当の制度が、都会地につきましてはたしてそれでいいだろうか、こういうバランス問題がずつと出て参りますものですから、従つてこの問題はなかなかそう簡単に片づけられない問題でございます。われわれとしましては、そういうやれ寒冷地手当でどうする、勤務地手当でどうする、あるいはそれにバランスをとりながら、また事業所得者にはどうする、農業所得者にはどうするということは、これはなかなかむづかしい問題でございまして、そういうふうにこまかく考えるよりも、むしろ大きく扶養控除、基礎控除を上げるという方向で解決さるべき問題じやないか、こういうふうに考えまして、結局扶養控除、基礎控除というところに重点を置いたわけでございます。社会党が始終御主張になつております五人家族で二万円という線にはちよつと行きかねましたが、今度の案によりますれば、平年度であれば二十一万八千円という線になるわけでございまして、この機会に二十四万円まで行きかねたことは遺憾でございますが、しかし考えようによりましては、今度は一兆円予算というので、片方で物価が下つて行こうという方向に全体の施策が進んでいるわけでございます。物価が上つて参りますれば、いくら給与がふえましても、あるいは課税最低限が与えましても、これはノミナルなものになつてしまつて意味がない、従つて片方の一兆円予算も考えて参りますれば、二十二万八千円という数字は、決して御満足の行く数字とは思いませんが、まず一つの考え方じやないだろうか、かような意味におきまして私は今度の案を、現在の段階においてはこれが最善の案だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/13
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014・春日一幸
○春日委員 きようは私の順番でありますから、ひとつゆつくりいろいろとお伺いをして、問題の疑義のあるところを明確に解明されなければならぬと思うのであります。そこでただいまあなたは寒冷地手当や炭代等に対して減税措置を講ずることは、同じ立場にあるところの勤労者、低額所得者に対して負担の均衡を失するという心配があるのではないか、そういうようなことを言つておられる。そうして勤労者全体の均衡を保つためには、そういう特殊なものに対して減税措置を構ずべきでない、こういうようなことを述べておられる。勤労者に対してはそのプリンシプルで臨まれるのだが、なれば、他の事業者に対してはどういうぐあいにあなたは措置をしておられるかというと、たとえば吉田首相の女婿に当るところの麻生何がし、こういうような人たちが関係しておるところの炭鉱事業については、これは鉱床を買つても、その金額の半額をその年の損失の中に認めてやるという、他の産業と均衡を失するところの特別措置が構ぜられておる。さらに輸出については、普通は三%であるが、プラントの輸出についてはこれを五%まで見て、そうしてその五%の控除限度額をさらに高めようなどと、これまた他の輸出産業に均衡を失したところの措置が現実に講ぜられておる、大企業だとか、あるいは特別の事業体に対しては関連産業の均衡ということはあまり意に解しない措置を現実に行つておいて、勤労者階級に対しては、厳密にその均衡のみのことを答弁しておられるが、これははなはだしく首尾一貫しないところの理論ではないかと思うわけです。私の申し上げることは、なるほど勤務地手当ですが、これなんかも、生活に対する調整措置なのだから、当然減免されてしかるべきだと思う。しかしそこへ行くまでには前後の順位があるのであります、従つて現物支給をやつておるところには税金はかからないが、炭代を金でもらつておるところには税金がかかつておる。この矛盾だけは何とか税法で調整してもらいたいということ、この寒冷地に勤務する諸君の要望にこたえることさえできないということは、私どもにとつてはうなづけない。しかも、今回一兆円の範囲内において行財政を切り詰めて行かなければならぬと言つておられますが、しかしこの特別措置法によつて減らさんとしておる金額は、実に六十億を越えんとしておる。これだけの金を動員してあなたがこれらの要望にこたえようとするならば、たとえばこの四十三億の投資信託に対する、出資者諸君に対するものをあとにしておいて、そうして勤労大衆に対する要望にこたえる等のことがあつても、私はそんなに非難は起き得るものではないと思う。そこでこの機会に私が申し述べたいのは、私も大蔵委員を四期やつて参りまして、あなたの人柄も恰幅もわかつて来た。あなたの著書も私は多少は読んだのでありますが、少くとも当代における税制学者としてはファースト・クラスの人ではないか。しかしあなたの学問の知識、それからあなたの徴税行政の経験、その学問とか、経験とかいうものの権威は公正にあると思う。ところがあなたの公正さというものは、吉田内閣に奉仕することによつて悪光りをしている。あなたは当然措置をせなければならない人々に対しては、現実には何もやつていない。特別措置法の中において、低額所得者に対する何らかの優遇措置が講ぜられておるか。あなたは基礎控除や扶養控除を引上げたと言つておるけれども、しかしその引上げる基準になつたところの税制調査会の答申案というものは、あなたのやつたようななまつちよろいものではない。生活費には課税すべきではないというこの一つの大方針にのつとつて、八万円までは、四万五千円までは、さらに勤労控除、基礎控除は七万五千円までは課税すべきでない、このことを明確に税制調査会の権威をもつて答申しておる。ところがあなたはその措置を中途半端のことでごまかしておいて、これで勤労大衆の要望にこたえたなどというような、こういう詭弁は許されない。(「自由党がやらしておるのだ」と呼ぶ者あり)自由党がやらしておるというお話もあるので、この機会に関連してお尋ねをします。政策論議を行うならば、あなたを相手にわれわれが論議をやつてもおよそ意味がない。それはこの税法すべてのものが、すべて自由党の政調会を通して、あるいはまた党議によつて決定されたもので、その大網に従つてあなたがただ人夫のように法文化したということであるならば、こういうような問題についてあなたと論議をしても意味をなさんところである。当然大臣なり、政務次官を相手にわれわれは論議しなければならないと思う。そういう考え方の上に立つて、私はあなたを税法学者、徴税行政の公正なる経験を持つ権威者として尋ねておる。そこであなたにお尋ねしたいのは、寒冷地手当、それからこの寒、冷地に勤務する者に与える炭代、これの減税措置をするならば、一体どの程度の金額を必要とするか、そうして今回特にそれをしなかつた理由は一体何であるか。このことをあなたから率直に、学者的良心に訴えて御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/14
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015・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 先ほども申しましたように、現在の租税政策の行き方というか、確かにそこに二つの考え方が二元的にあると思つております。一つの考え方は、税本来の考え方であります。できるだけ負担の公平をはかつて行く、公平に税を負担していただく、こういう考え方は、税である限りにおいては、やはり当然のことでもございますし、またどこまでもこれが基礎的に動いて行かなければならぬ問題だと思つております。同時にいろいろな経済政策的な要請に基づきまして、そこに政府として幾つかの施策を行わなければならぬ、その場合におきまして、先ほどもちよつと申しましたが、政府の方として何ほどかなし得るとすれば、結局補助金を出すか、税金を軽減するか、あるいは金融の道をつけるか、この三つの施策が具体的にはある、同時にその三つしかないわけでございまして、従つてその一つの施策としまして、税をある経済政策的な目的のために軽減する、こういうことはあり得ることでございます。同時にそれが片方の負担の公平の上から見れば、少し筋がぶつかつて来るのじやないか、これは私は出て来る問題だと思います。現実の政治というか、税法はやはりその両者の調整の上に立ちなからなさるべきものではないか。われわれ行政的な事務官が政治のお話をするのは少し僣越かもしれませんが、私はそういうものじやないかと思つております。従いまして、租税措置法に盛られておる幾つかの施策は、どちらかといえば、税の負担公平という観点からでなくて、むしろ経済政策的な観点からぜひとも必要であり、こうすることが国民経済全体のためになるのだというふうな観点に基いてなされておるものが大部分でございまして、従つてその意味からいたしますと負担の公平には反するのじやないか、こういう御批判が出ても、その御批判だけからすれば、当然だと思います。しかし経済政策の上から見て、こういう措置があつていいじやないか、こういう考え方があることは、私は許され得るのじやないか、こういうふうに思つております。
その次に、寒冷地手当の問題についていろいろ御議論がございましたが、われわれとしては、先ほど申し上げたことを繰返すことになつて恐縮ですが、寒冷地手当の問題は、結局それだけの問題で済まない、やはり全般的な問題として、一つは寒冷地における勤労者と勤労者以外の方との負担の公平を考えるべきではないか、さらに今度は同じ勤労者においても、寒冷地におる人と、寒冷地以外におる人との負担の公平を考えるべきである。これは、どちらといえば負担の公平から議論を進めて行くべきじやないか、こういうふうにして参りますと、いろいろこまかい問題があり、われわれは検討はしておりますが、どちらかといえば、そういうふうに一々具体的な事例について、寒冷地手当についてどれだけの控除をするとか、あるいは勤務地手当についてどういうふうに見て行くとかいう考え方よりも、むしろ大きく基礎控除、扶養控除というところで割切る方が目的は達しますし、同時にそれが税制の簡明を期し得るゆえんじやないだろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/15
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016・春日一幸
○春日委員 今税制は負担の権衡とか、担税力云々とかいうような問題ばかりではなくて、やはり経済政策の上からいろいろと割出されて来るのだ、こういう御答弁がありましたが、そのことは、結局自由党の政策が金持ち並びに大企業に偏重して、それさえうまく行けば勤労者の生活などはどうでもいいということで、こういうことはもうすでに自由党の基本政策として明確なところである。従つてこの問題についてあなたと論議しようとは思わないし、またあなたにはその資格がない。大臣でも政務次官でもないから資格はない。私があなたに尋ねておることは、税法学者並びにあなたの経験から割出されておる公正な見方というものは、なるほど今ここで六十億という減税がそういう階層を対象としてされてはおるが、しかし同時に、あるいはまたそれよりも先に国民生活の安定、低額所得者の生活の安定ということについて、税法を通じてやはりその施策を行うべきではないかとわれわれは思うが、あなたはこれに対して、自由党に奉仕する主税局長としてではなく、いろいろの答申等から考えてみて、われわれの主張を一体あなたはどう思うか、それをもつと端的に、ひとつ学者としての良心の上から御答弁願いたい、こういうことなんであります。政策的なことなどは離れて、ひとつ参考意見としてお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/16
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017・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 いろいろお話がございましたが、われわれといたしましても、国民生活の安定がやはり非常に大事なものである、同時に、ある意味において一番基本的なものであるということについては、同じように考えております。同時に、国民生活の安定を得るためには、やはり国民経済自身が相当大きく発展して行くことがまた一つの大事な問題である。国民生活の安定があつて初めて国民経済も発展しますが、国民経済の発展があつて初めて国民生活も安定する、こういう関係のものじやないかというふうに考えております。従いまして、これもたびたび申し上げたことをただ繰返すことになつて非常に恐縮でございますが、われわれとしましては、国民生活の安定という面からいたしまして、いろいろな御批判を受けながらもなおかつ奢侈品を中心とした間接税を増徴することによりまして、大体低額所得者には、砂糖のように多少問題のあるものもございますが、これはまた別な御説明を申し上げ得ると思いますが、主として高額所得者を中心とした間接税を引上げることによりまして、基礎控除、扶養控除を上げて行くということで、低額所得者に対する負担を軽くすることによりまして国民生活の安定に資する、これをやはり考えて行くべきであると思い、全体の額からいいましても、それに重点を置いておるわけであります。同時に、国民生活の安定が得られるためには、やはり国民経済が順調なる発展をして行かなければならぬ。そのために政府は必要な幾つかの施策をとり、その一つとして租税の軽減という手が使われていることも許さるべきではないか。その二つの兼ね合いにおきまして、税負担の公平ということをあまり無視しない範囲において、同時に経済政策との調合も考えるというところに現実の税制ができて行くべきじやないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/17
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018・春日一幸
○春日委員 その話を何回しても――悲しいことには、あなたは自由党の色めがねで色盲になつてしまつておられる。せつかくのわれわれの正論が、あなたの良識に何らの反響を与えないということはまことに悲しいことであります。
そこで問題を進めて参りまするが、プラント輸出の問題についてお伺いをいたしたい。ただいまあなたの説明によると、プラント輸出によつて減税される推算額は大体一億か一億と言われた。いずれにしてもそういう軽微なもののように見込まれておるが、われわれが調査した範囲では、断じてそのような少額のものではないように考えられる。このプラント輸出による減税は一億ですか、二億ですか。そんな少額なものですか、この点あらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/18
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019・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 先ほど申し上げました数字は二億でございます。このプラント輸出の関係は、正直に申しますと、もつとこれが大きく減税できる程度に輸出ができるとよいわけなんですけれども、現状におきましてはそれほど進んでおりませんし、同時に、これは新しく三を五にしたということにおける減収でございまして、従来の三という数字についての分は、前から当初予算において見ておりますので、従つて今度の改正による影響ではないということを御了承願いたいと思います。――申し上げたことが多少違つておりますので、訂正さしていただきます。二億というのは、輸出諸国全体の関係においていくつかの措置を講じております。その一つは、プラント輸出の関係、一つは、現在は諸国における控除額のチェックがございますが、あのチェックの関係を今度少しかえよう。主としては輸出商社に関係があるのでありますが、現在輸出商社の関係におきましては、一つはキャンセル準備金がございます。一つは輸出諸国の免税の件に関係がございます。現在の制度では、キャンセル準備金で積み立てた分を引いた残りの額の五割を免税の片方のものさしにしていたのですが、こういう制度をずつと続けて参りますと、キャンセル準備金を積み立てるということが事実上あまりできないといいますか、やれないことになつておりますので、今度この二つをわけてしまおうという考え方で、これによる商社の保護のための減税額が約一億、今の関係が約一億三千万、プラント輸出だけからいいますと、七千万円程度の減収と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/19
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020・春日一幸
○春日委員 私は、このプラント輸出という問題については疑義を持つております。輸出を振興せしめるにはならない。将来の日本は、やはり繊維輸出がだんだん下火になつて来るので、これにかわるものとしてやはり重工業的な工作機械とか、さらに進んで化学工業とか、そういうようなコースをたどることはあらかじめ考えられておるだろうが、このプラント輸出というものは、政府は輸出入銀行等の特別融資措置等を講じてさまざま援助を行つておるけれども、これはさらに二重、三重の施策を加えねばならないほど、事ほどさように代表的な産業であるかどうか、疑義をさしはさまざるを得ない。たとえばプラント輸出をすればその商品がその地でできてしまう。従つてその部品はあと買つてくれるかもしれないが、その商品を今後日本から買つてくれない。結局現地で生産されてしまうから、その製品の輸出がそれだけ減殺される。これは一利一害がある。しかし当面日本が売らなければ外国から買うので、それに対してやはり国際的な立場においてそれぞれ援護措置を講ずることも一つの考え方であろうけれども、しかしこれだけがりつぱな施策だとは考えられない。今回プラント輸出だけを三%から五%にふやすことによつて、いろいろな効果があるように期待されております。なるほど重要な産業は国の施策を通じて援護しなければならないから、重要なものに対して税制によつてそれぞれ優遇措置を講ずるのはよいが、こんなプラントだけが二重、三重の優遇を受けるほど重要だとは考えられない。まず汽車を走らせる機関士、これがもつと重要だろうと思う。だからこういうような人々に対する減免措置も――プラント輸出と同じような考え方で行けば勤労所得税なんか、その同一業種間の均衡を失してもいいという考え方で――ここにプラント輸出に対する二重、三重の施策を講じておられるならば、同一勤労階級、低額所得者間における均衡を失してもさしつかえないのではないか。そんなように考えて行けば、あれもこれも、これもあれもというふうに、プラント輸出の特別措置と同時に、あるいは先行して特別措置を講じなければならぬものがたくさんある。従つて私は、プラント輸出に対しては業者からものすごい陳情があつたということを看破せざるを得ない。ここに資料によつていろいろ示されておりますが、日本輸出入銀行の大口貸出し先一覧表というものがある。すなわちそれは、日立造船とか、三菱造船とか、東造船とか、あるいは石川島重工業とか、日立製作所とか、新三菱重工業とか、こういうふうにずつと読み上げて行けば、先般の造船疑獄によつていろいろ政府と国会を毒したところの元凶たちが多いのであるが、私には、こういうような諸君たちがおそらくは政府並びに自由党に暗躍をして、こういうような施策をせしめたのではないかと思われる節がある。そこであなたは、ただいまわずか七千何百万円の減税にしかならないと言つておられるが、二十七年度におけるプラント輸出の総金額はたしか二百何ぼであつたか、二十八年度においては二百五十五億というような金額になると思う。二百五十何億の二%ということならば、これは明らかに五億円である。五億円というものだけがその減税として認められてしかるべきである。それをあなたは、ここに七千五百万円と敵意に過小の数字でもつて問題を小さいところに置いておられるのは、悪質な数字の提出方だといわなければならない。現在この輸出銀行を通じて融資される金額というものは、年間を通じて、協調融資を通じて大した金額になつておると思うが、このプラント輸出については、五年、十年という超長期の金を貸し与える。輸出をした場合においては、その五分というものを損金に繰入れてもいいことになつているが、これはたいへんな施策だと思う。かりに十億円の船を輸出すれば、五千万円まではその年の損失に繰入れてもいいということになつておる。しかもその対象は、三菱とか、石川島とか、日立とかいうような何十億という大会社ではないか。こういうような大会社に対して二重、三重、四重のそのような優遇措置を講じて、片方では、また話は元へもどるが、炭代や寒冷地手当について全然何もしない。これも初耳であるならともかく、三回も四回も国会で論議されておつてひとつもその問題が解決されないということは、これはあまりに不公正ではないか。あなたは先ほども業者間の負担の権衡とか、同一業種間における権衡、公正とか言つておられるけれども、このプラント輸出については、あまりにもあなた方の施策が片寄り過ぎると私は思わざるを得ない。これについて、あなたは一体どういう経緯でこういうプラント輸出の軽減措置が講ぜられたか、さらに税制調査会はこれについていかなる答申を行つておるか。これをひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/20
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021・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 税制調査会は、ちようど今度政府が提案したと同じような考え方の答申をしております。プラント輸出については三を五にせよ。それから商社に対する限度については、これを引上げるように考えろ。それからその次の問題といたしまして、プラント輸出について優遇が過ぎるのじやないかという御意見でございますが、私もこういう優遇もなしに日本の重工業が、プラントといいますか、あるいは機械をけつこう輸出できるような力があれば非常に幸いだと実は思うのでありますが、遺憾ながら現状におきましては、なかなかそれだけの力を持ち得ないというのが実情のようでございます。こういう機械を輸出しないで、むしろでき上つた製品を輸出した方が、あるいはいいのかもしれませんが、しかしそういいましても、主として東南アジア地区とか、あの辺では、これは春日委員もおつしやいましたように、日本から輸入しなければ、よその国からそういう機械を輸入して、どんどん開発をやつているのでありまして、やはり日本としましては、この重工業方面の輸出というものにどうしても力を注がなければならぬ。しかも日本の重工業のそうした実力からいいますと、どうもそれだけの力を十分持ち得ないというところに――それは確かに二軍、三重のことになりますが、これだけのことをやりましても、それじや見通しはどうかといいますと、なかなかそう簡単に楽観は許せないというのが実情じやないかと思つております。
それから私の方で申しました数字がいかにも過小にものを見ているじやないかという言うなお話がございましたが、決してわれわれの方は、数字を故意に過小に見ているつもりはございません。大体三百二十四億程度のものが輸出されると考えまして、同時に、このうち青色申告の法人が全部が全部でもありますまいと思いますので、その九割を見込む、同町に片方の所得の方で一応の制限がございますから、二%上りましても、その二%がそのまま全部フェーヴァとして享受さるのじやないという点も考えまして、税額でもつて平年度では約一億二千万円減収になる。しかし昨日もちよつと議論が出ましたが、初年度におきましては、その全部が減になるわけではございませんので、初年度として七千万円の減になる。先ほど七千万円と申しましたのは、これも多少説明が足りなかつたかもしれませんが、二十九年度における減収としてわれわれが見込んでおるものが七千万円である、平年度としては一億二千万円を見込んでおる、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/21
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022・春日一幸
○春日委員 プラント輸出は、輸出入銀行並びに輸出入銀行の資金等の協調融資によつて超長期の融資が受けられることになつており、しかも今回輸出入銀行法の改正で、六分五厘の利子が四分何がしかに大幅に引下げをされよようとしているわけであります。そこでプラント輸出に対しては、その商売が非常に困難であるということで、多少ハンディをつけることは必要であろうけれども、ただ問題は、われわれが国会において税法を取扱つて行くときに、同一業種間の権衡をできるだけはかつて行くということはゆるがせにできない鉄則でなければならないと思う。それだのに、プラント輸出については、他の施策を通じて、すなわち金融政策を通じてずいぶん援護が行われているのに、同じ外貨獲得の同一使命を持ち、さらに困難性もやはり同じような立場にあると思われる一般輸出は百分の三、プラント輸出だけが百分の五、しかもそのプラントに携わつているものはすべてが大企業であるという点において、やはり世人に疑問を抱かせるものではないかと思う。プラント輸出は、ここに書いてあるように、一口の商売が三億とか五億とか、五千万円とかいうような大きな商売である、特に法律では一千万円以上と規定しているのであるが、いずれにしても、こういう大企業体だけについて特別の優遇措置を講ずるということは、これは負担の権衡の原則に反すると思うが、これに対して一ぺん植木さん答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/22
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023・植木庚子郎
○植木政府委員 先刻来渡邊政府委員からお答え申し上げていることと同じような趣旨になるかもしれませんが、プラント輸出の問題につきましては、日本の輸出振興、外貨獲得のために、さしあたつてどうしても特殊な施策が必要である。しかもプラント輸出になりますと、今のお話のように、確かに大企業の方面にそうした業者が多いわけであります。しかしプラント輸出等の問題につきましては、どうしても大企業で、相当の力のあるものでなければ、海外へ輸出の道を開いて、しかもそれが将来その部分品その他について引続きやつて行けない、だからそうした大きな企業でやる方が便利であるというようなことになるかと思うのであります。プラント輸出は、単に当該輸出そのものについて日本の輸出に寄与するのみならず、これが将来にわたつて、その部分品の問題でありますとか、修理の問題であるとか、あるいは当該機械の使用方法について日本の技術を海外へ進出させるとか、いろいろな面で国家的に非常に大切な、またぜひともこれを培養して行きたい業態であると考えるのであります。そういう意味から、やはりできる限りの優遇の措置を講じたい、こういうふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/23
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024・春日一幸
○春日委員 何べん言つても大企業を培養し、金持ち階級を弁護する。そのことにあまりにも御執着になつておるので、どうも質問と答弁とが食い違つて来ることはやむを得ないと思いますが、ではもう一つ進んでお伺いをします。
鉱床新規購入は二分の一を当年度の損失に認めるということについてでありますが、そうすると、平年度において商売が不況で欠損のときは、それで税金を納めなくてもいい。ところが景気がよくなつてことしはうんともうかつた。この法律ができた後における鉱山経営者の考え方を想像するわけでありまするが、たとえば景気がうんとよくなつてことしはもうかつた。こういうような年は、とにかくもうかつただけの倍額を新規鉱床を購入すれば、結局税金を納めなくてもいい。そうすると、これは日本の徴税制度に対する炭鉱業者のクーデターではないか。すなわち税金を納めなくても炭鉱業者が将来長くやつて行けるという結果を招来するおそれが多分にあると思う。たとえば、何でもいいからことしこれを三億なら三億買う。そうすると、一億五千万円は当年度の損失として認められてしまうので、その年はもう税金を納めなくてもいい。こういうようなまことに不誠実な経営の形になる憂いが多分にあると思うが、これに対する制限規定が何かあるのか。買う場合においては、何らか特別の条件の上に立つて購入資格が生じて来るのか。買いたいと思うときにかつてに買えば、かかつた金額の半額はその年の損失に認められるのか。
〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕
そうすれば、少くとも将来鉱山業者は、納めようと納めまいとそのときどきの思いつきでどうでも自己操作ができるように思われるが、これは一体どういうことになつておるのか、その見通しについての見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/24
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025・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 現在鉱山の方で当面しております一つの支障は、現在の鉱業権が相当古い時期のもので、同時にその金額が、相当償却されておるせいもありましようが、再評価いたしましてもあまり大きな額にならぬ。過去に獲得したものをどんどん掘つて参ります。普通ならば償却で行くわけですが、その既存の価格で割合に低いものでございますし、再評価しても、鉱業権だけについて特別な倍数もございませんし、結局考え方によりましては、現材あるものをどんどん掘つて行く、それによつて利益は一応上る、それだけでは、掘り尽してしまえばもうそれでおしまいになつてしまうのでありまして、鉱山が将来ずつと経営を続けて行くということについては、非常にむづかしい問題がそこに出て来るわけでございます。従いまして鉱山としても、経営を続けて行くことをやはり考えなければならぬ。それは鉱山だけのためではなくて、日本の国民経済の上から見ましても、やはりそういう姿が必要である。ここでもつて、新しい鉱床の問題が今ちよつと出ましたが、経営されている既存の鉱床を買いましても、これはこの中に入つておりません。新規に開発される鉱床を買いまして、そしてそれが経営に使われるという場合においてのみ二分の一の特別償却を認める。いろいろ通産省の意見などを聞いてみますと、その限りにおきましては、石炭の関係におきましては、該当する事例は少いように見ております。しかし問題はメタル・マイニング、金属鉱山の問題でございまして、金属鉱山におきましては、やはりどちらかといえば、新規鉱床というものがどうしても必要であり、そのために相当の探鉱も必要である。石炭の方は、大体賦存関係がわかつておるものでございますから、新しい鉱床という問題にはならぬようでございまして、どちらかといえば、これは新規鉱床の関係で、メタル・マイニングがこれによつて相当の利便を得るのではないか。それで、今最後にお話のございました。よそから買つてその二分の一を償却すれば、幾らでも経費の調節ができるじやないかという御疑念につきましては、新規の鉱床に限る。従いまして、新しい鉱床を買うということについては、おのずから買う方にも売る方にも限度がございますので、今御心配になるような意味の、利益の調節のためにかつてにどうこうするというようなことは、そうないのじやないか、まあ御心配のほどのことはないのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/25
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026・春日一幸
○春日委員 問題が関連を持つて参りますので、これは特に植木政務次官にこの機会に申し述べたいのでありますが、この鉱山業者たちが、通産省、ことに鉱山局あたりと深いつながりを持つてさまざまな陳情を政府に行つておることは、天下周知のことなのであります。たとえば金が自由に移された。産金法か金特別措置の何か法律の改正が行われたのを契機として、今日本における金の相場は、国際価格に比較してはなはだしく高いものになつて来ておる。従つてこれがまた金を使つて輸出を行つておる陶磁器業者などに非常に大きな負担になつて来ておる。金は、一グラムの国際価格が、たしか四百五円か何かだと思つておりますが、これが五百三十円、五百八十円というような高い価格になつて来ておる。従つて金を使つてこれを輸出するところの業態にも、これが大きな重圧となつて来ております。今度の税法を通じて、こういう鉱山業者たちが政府に対していろいろな悪運動を働いて来ておる。しかもその結果が、租税特別措置法の中に一角を現わして来ております。これは税制調査会においても、こういうような特別措置のことについては、私は何ら答申してないと思う。ただ私が申し上げたいことは、今回のこの税制措置を通じて強く印象を受けることは、これはプラント輸出にしてもしかり、さらにまたこの鉱山業者にいたしましてもしかり、あるいは証券投資信託の人々に対してもしかり、長期定期預金の人々に対してもしかり、すべて金持の方と大企業の運営の便宜のためにのみこの特別措置が講じられておる。そうして国民生活の安定、またその安定のために欠くべからざるところの低額所得者に対する減免措置というものは、一つもここに講じられてはいないということである。これはあまりに片手落ちであり、権衡を失する不公正なことだと私は思う。いずれこれらの問題に対しましては、さらに引続いて細部にわたつて論議を行うことにいたしますが、大分私の時間も過ぎましたので、あとの質問を留保して、この程度で私の質問を終ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/26
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027・淺香忠雄
○淺香委員長代理 大平正芳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/27
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028・大平正芳
○大平委員 関税の問題を二、三お尋ねいたします。一つはわが国がガットに仮加入したということでありますが、仮加入というのは正式な加入とどういうように違うのですか。それから仮加入いたしまして、わが国は一体どういう利益を享受しておるのか。第三点は、仮加入した関係で、今度の関税法や関税定率法の改正にどういうような影響を受けておるのか。条文的にいつて、これに関連してどういうところが改訂になつておるのか。まずこの点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/28
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029・北島武雄
○北島政府委員 ガットの加入は、わが国の多年の要望でございましたが、昨年の秋仮加入という形でもつて一応一段落ついたわけでございます。まず第一点の御質問で、仮加入と本加入とはどういうふうに違うかということでございますが、従来ガットに正式に加入いたします場合には、関税交渉会議が開かれまして、そとで調整されて相互に関税交渉を結んで、その結果によつて、三分の二の多数決によつて正式のメンバーとなるのが今までの例であります。ところが御承知のように、アメリカの国内事情からいたしまして――これは互恵通商協定法という関税交渉に関する大統領の権限等を規定した法律でありますが、その延長問題にからみまして、昨年さしあたり一年間は、アメリカとしては関税交渉をしないということでありました。そういうことで、正式に関税交渉を開いて、そうして新しく加入したいと思う国が集まつて、既存の締約国との間に関税交渉を行うという今までの正式加入の方式は、実はとり得なかつたのであります。一方また日本のガット加入に対する熱望は、各国がつとに認識しているところでありまして、その間何とか調整しなければならぬというので発案されたのが仮加入というかつこうであります。仮加入は、文字通り仮加入ということでありますので、正式の加入では実はないのであります。現在締約国が三十四箇国ありますが、日本は正式の会員ではありませんので、三十四箇国外のアソシエート・メンバーということになります。それで今正式の会員ではございませんので、効果といたしましては、たとえばガットの規約の改正とか、あるいは新規に他の国の加入を認めるというような、ガットの基本権に関するようなものについては、投票権が実はないということになつております。ただその他のことにつきましては、日本も会議に参加し、そうして意見を述べ発案するということができるようになつておりまして、大体におきまして、ガットの固有権に関する投票権を除いては、他の会員と同等な扱いということにつております。
第二の点といたしまして、ガットの仮加入によつてどんな御利益があるかという点であります。申すまでもなく、日本がガットに今まで入りたいという希望を多年抱いておりましたその一つの大きな理由は、もちろんガットに入ることによりまして、ガットの規約によりますところの、即時かつ無条件の最恵国待遇を既存の締約国から受けることになる。もしガットに正式に加入ということになりますれば、従来日本に最恵国待遇を与えておらなかつた各国から、一挙に日本がそれによる最恵国待遇を受けるわけであります。ところが今度の仮加入の場合におきましては、実は方式を二つにわけておりまして、ガットの総会の決議といたしましては、まず日本をガットの会議に参加させて意見などを述べさせるという決定の方と、それから日本と締約国との間におけるところの通商関係を、ガットの規則によつて規制するという宣言と、二つの部分にわけたのであります。第一の方の、日本をガットの会議に参加させるという方の決定につきましては、二十七箇国の賛成投票がありまして、それによりまして一応日本の仮加入が実現したわけであります。あとの方の、日本との間の通商関係をガット規則によつて規制するという宣言の方につきましては、それを欲する国だけがその宣言に署名し、あるいはその宣言を許諾するというかつこうになつて、実質上の効果といたしましては、第二の宣言の法に何箇国がそれに署名し、あるいは宣言を受諾してくれるかという問題、これについては現在までに二十三箇国が日本に対してガット規則によつて通商関係を規制することを承諾しております。そこでこれらの現実に二十三箇国の中で新しく日本に最恵国待遇を与える国からは、即時に日本は、これらの国が従来ガットにおいて譲許いたしましたいわゆるガット税率の適用を受けるということになります。そとで現実の問題といたしましても、これらの国に対しましては、日本の商品が即時かつ無条件に最恵国待遇を受けて、日本の輸出品がそれらの国から低いガット税率の適用を受けるという点に実益がある。大きく考えますと、そういう実益の問題のほかに、日本が今まで平和条約によつて国際社会に復帰はしたけれども、通商貿易の関係においてはほとんどオミットされていたのが、このガットの仮加入によりまして、日本としての主張を堂堂と今後吐けるようになつて、これは本加入へのハーフ・ステップを築き上げたという点に大きな意味があると思います。
それから第三の御質問、今度のガットの仮加入と今度の関税定率法の改正はどうなつているかという問題でありますが、実はわが国の関税定率法につきましては、昭和二十六年に別表輸入税表を全面的に改正したのであります。その際にその税率といたしましては、将来のガットの加入を予想いたしまして、比較的低い適正な、そのままでガットにも加入できるというようなつもりで、適正な税率をもつてやつておりましたので、税率につきましては、ただいま何ら指措置することはないわけであります。なお関税定率法のあるいは相殺関税の規定とか、その他の規定につきましては、ガットの規定に準じまして多少直しております。
それからガットの仮加入によりまして、日本としては来年の六月までの間、日本の関税定率法の別表に掲げております輸入税表の中の約九二・五%の品目について、すえ置きの約束をいたしております。すえ置きの約束をいたしております品目につきましては、来年の六月まではそれを引上げることはできないことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/29
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030・大平正芳
○大平委員 それからついでに二、三伺つておきたいと思いますが、互恵通商法ですか、アメリカがまぐろとか、あるいは陶磁器だとか、ああいつたものの関税率が上るのじやないかというようなことで、去年の夏でしたか、日本の朝野は非常に心配しておつたのですが、その後アメリカの関税率の引上げ運動というのは一体どういうようになつておるのでしようか。関税委員会だとかなんとか委員会がありまして、大統領が拒否したというようなことを聞いておりますが、一体今の段階ではどうなつておるか、今後どのように推移して行く見込みなのか、政府の考えはどうかという点が第一点。
それからこれは全然別なことですけれども、税関行政の面で私どもが非常に遺憾に思つておりますのは、植物検査、動物検査の防疫の検査です。ああいつたものと本来の輸出入事務とがうまくマッチしていません。たとえば輸入穀物が上る輸入港に、ちようど防疫機関がなかつたり、植物検査官がいなかつたりするために、その船がずつとそういう役所のあるところへ回航するとかいうようなことによつて、私はおそらく政府の食糧管理特別会計なんかは何千万も、おそらく億以上の金が運賃の形でむだに使われているのじやないか。従つて一人、二人の税関吏をふやすことによつてそういつた不経済が解消されるとすれば、こういうことは積極的にどんどんやつていいのではないかというような感じがするのですが、そういう点について関税当局はどう考えておるのか、この二点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/30
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031・北島武雄
○北島政府委員 まずアメリカにおける関税引上げ運動はどうなつているかという御質問でございますが、米国の関税引上げ運動は、昨年の半ばごろまで、互恵通商協定法の延長の問題をめぐりまして特にはげしく行われたのであります。対米輸出に従来相当依存しておつたわが国を初め、各国もまゆをひそめておつたのでありますが、その当時アメリカの朝野におきまして関税引上げの問題になつておりました品目は、たとえば冷凍及び生のまぐろ、これは特に日本に関係が深いのでありますが、それを初めといたしまして、塩水づけのまぐろカン詰、それから陶磁器、ミシン、捺染絹スカーフ、時計用の金属製の腕輪、それからロザリオ、これはキリスト教の儀式に用いるじゆずであります。それから木ネジ等がこの関税引上げ運動の対象になつたのであります。ところが当時におきまして、これらの関税引上げ運動のほとんどすべては、アメリカの関税委員会または大統領の拒否によりまして、あるいはまた業者が自発的にその運動を中止いたしましたので、結局関税引上げの実現を見ないで終つたのであります。ただ一つ乾燥いちじくだけが引上げられたのでありますが、これは日本には関係ないことであります。現在アメリカで関税委員会に係属いたしておりますものは、織機、はさみ、毛織物、陶磁器、これは再申請のものであります。それから時計のムーブメント及びその部分品、針などがかかつております。このように米国内の関税引上げ運動は、現在一時下火になつたような感じがいたしますが、それはちようど昨年六月、大統領が捺染絹スカーフの関税引上げに関する関税委員会の勧告を却下いたしましたために、少くとも対外経済政策委員会――ランドール委員会と称するものでありますが、このランドール委員会の検討が終るまでは、他の場合にも同様の措置をとるかもしれないと政府が発言いたしましたことが大きく影響しておつたのであります。昨年の下半期はおきましては、米国産業の保護のために関税引上げを求める声は、もつぱらランドール委員会に対して注がれておつたようなわけであります。しかしこの関税引上げ運動はアメリカで決して消滅したわけではなく、今回のランドール委員会の勧告を政府がどの程度盛り込んで互恵通商協定法の延長案を出すかどうかによつても大分影響いたすのでありますが、目下のところ民間としては、大統領が今後どういう措置に出るだろうという点に注目して待つているというような状況だと思います。御存じのようにランドール委員会の構想そのものは、原則として自由貿易の方向に行つておるのでありまして、この勧告がそのまま互恵通商協定法に盛られて来れば、これは日本に対しても相当いい影響があると思われるのであります。ただこのランドール委員会の勧告を、はたしてそのまま大統領が受入れて互恵通商協定に盛るかどうかという点については、おそらくそのままでは盛らないであろうということが、今見通しとしていわれております。われわれも、ランドール委員会の報告を大統領がいかにこなして国会に提案するかという点については、非常に注目いたしておるわけであります。
それから第二に動植物の検査につきまして、税関官吏がいないために、わぎわざ船をまわさなければねらぬ不便があるじやないか、こういうお話でありますが、実は関税法によりますれば、他の法律の規定によりまして許可、承認、あるいは検査を受けなければならぬというような場合には、その方の許可、承認、あるいは検査を受けていないと税関は通過できないことになるのであります。ところで植物につきましては、農林省関係の法律があります。それから動物につきましても農林省関係の法律がありまして、従来これらの法律の施行につきましては、昭和十六、七年ごろまでは、税関におきまして税関官吏が農林大臣の監督のもとにいたしておつたのでありますが、戦時中税関が海運局に合併されまして、終戦後わかれました際におきましても、税関にその権限が与えられずに今日に至つておりますので、御指摘のような不便があるわけであります。私どもといたしましては、民間の団体の非常な御要望もありますので、できれば昔のように、税関におきましてそういう動植物の検査も同時にあわせ行えますならば、非常に民間の方々にもお役に立つのではないかと思いますが、これは行政機構の問題でまだ解決されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/31
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032・淺香忠雄
○淺香委員長代理 井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/32
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033・井上良二
○井上委員 簡単に揮発油税のことについて二、三伺いたいのですが、政府は、重油、軽油等の関税を二十九年三月末まで免税をするということにいたしておりますのは、どういう理由によるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/33
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034・北島武雄
○北島政府委員 現在の原油、重油、軽油、その他炭化水素油の関税の減免につきましては、昭和二十六年の別表輸入税表改正の際に実は暫定的に減免になつて、その後毎年延長されて来たわけであります。わが国の原油の需給状況を申し上げますと、昭和二十八年度における国産原油の採取見込量は三十四万キロリットルでありまして、これに対して外国産原油の輸入量の見込みが六百万キロリットルであります。大体国内産で約五%程度しかまかなえないのであります。このように国内産の原油の産出量は僅少でありますが、国内において原油を採取するということは非常に重要なことでありますので、海外から安い原油が輸入されまして、国内の採油がはなはだしく圧迫を受けるというような場合には、関税によつて保護育成する必要があるわけでありまして、こういう場合を想定いたしまして、別表の輸入税表によつても三割、二割、一割くらいというような税率を盛つておるわけであります。原油につきましては海上運賃が相当コストの基礎をなすものですが、最近海上運賃がだんだん下つて参りまして、このために国内で原油を採取する事業が、海上運賃の低下という面から相当圧迫されておるということがいわれるのでありまして、この点からすれば、原油に対してある程度の保護関税を設定しておる輸入税表を昔通りに実行していいじやないかということも、見方としては言えるのでありますが、何分にも原油から出ますところの各種鉱油製品は、わが国工業の基礎資材でありまして、原油に関税を賦課いたしますと、その影響も相当あるのではなかろうかということが考えられますので、この際といたしましては、しばらく推移を見守るという意味におきまして、一年間暫定的に延長するという案を提案いたしましたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/34
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035・井上良二
○井上委員 この重油、軽油等の外国油料の輸入について関税を免除する理由が、国内の石油産業を振興さすという産業政策の立場、それから、これが工業その他の基礎的資材であるという関係からこの関税を免除する、こういう説明のように承りました。そういうことが政府の関税政策として一貫してとられておりますか。これは政務事官に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/35
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036・植木庚子郎
○植木政府委員 関税政策としましては、政府の考えておりますところは、わが国の産業保護というようなことももちろん主たる題目にして考えておるのでありますが、しかしこれについては、それぞれそのときの当該業種の実情に応じまして、臨時的に関税を免除するとか軽減するというようなことも、やはりやむを得ない措置であると考えて、それぞれの場合に適切に処置しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/36
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037・井上良二
○井上委員 国内産業を保護し、工業基礎的な資材をできるだけ安く調達すると面から関税を免除するという考え方は、一応妥当な政策としてわれわれも了承する点があるのでありますが、それならば、どういうわけで揮発油税を大幅に引上げる必要があるのです。関税を免除するだけの重大な資材に対して、どういうわけで大幅に揮発油税を値上げをしなければならぬのです。それから、もしそういう国内産業を振興させ、またわが国産業の基礎原料たるものに対してはできるだけこれを安く供給するという政策的な意味が含まれておりますならば、これとほとんど同じ砂糖には関税をとつておるのはどういうわけです。どういうわけで砂糖には関税をとり、重油、軽油には関税をはずしておるのです。砂糖は国民生活に必要のないものでありますか、そしてこれは他の産業にも関係のないものですか、砂糖も国内ではわずか五%ぐらいしかできません。しかもこれにはいろいろな保護政策がとられております。しかるに、砂糖には関税をかけるというのはどういう意味です。政務次官に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/37
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038・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 政務次官からはあとで補足していただくことにしまして、一応申し上げたいと思いますが、重油に対して関税をとつている場合と揮発油税の関係は、これの負担関係でどの程度違うかといいますと、一番大きく違いますのは、最終消費におきまして、重油の姿でそのまま使われるものが一応関税の免除も受け、同時に揮発油税も課税されない。揮発油となつて使用されるものにつきましては、関税で負担するか、あるいは揮発油税の形で負担するか、これは負担の程度は問題ではありますが、形としてどちらをとるかというのは、現在の課税の方法などから考えましても、そう大きな違いはないのじやないかと考えております。そこでその重油に対する関係でございますが、重油に対する関係で、現在重油だけで使われておりますのを大きくわけてみますと、やはり漁船用の重油というのが非常に大きなウエートを占めております。それから農業用にやはり脱穀とか、その他の関係で相当大きく重油が使われております。それから最近新しく出て参りましたものとしましては、動力機関で、石炭をたくかわりに重油をたいている、こういうもの、それからもう一つ、片方に大きくヴォリュームを占めておりますのが、揮発油にしまして、主として交通機関に使われている。その中で、重油の形で一部重油ディーゼルという姿のものがあることは御承知の通りであります。そこで、揮発油で課税され重油で課税されませんと、揮発油の形で使つておるところには負担が行つて重油の形で使つておる場合においては負担が行かない、こういうことになるわけであります。そこで、考え方としましては、揮発油税をそんなに増徴しないで、むしろ重油関税をとつたらいいのじやないか、こういう考え方の筋としては一応出て参りますが、そういうことになりますと、現在重油の姿のままで使つている漁船の関係、あるいは農業の関係、そういうようなものにまで相当の負担が行くわけでございまして、そういう姿であるよりも、やはり揮発油については揮発油税の形で、揮発油を使つている姿のものを考えて行くべきじやないかと思います。それでは何で今度揮発油税を増徴したかという御質問がございましたが、揮発油の関係につきましては、御承知のように片方で、道路財源の問題、現在相当大きく道路がこわれておりまして、どうしてもこれを相当大規模に補信しなければならぬという問題があるわけでごごいまして、その点を考えて参りますと、道路を一番こわすものは何であろうかというと、やはり自動車関係が一番大きいのじやないだろうか、そこで、受益者負担的な考え方が多少その裏にあるわけですが、やはり道路財源は揮発油税の形で徴収するのがいいのじやないか、そこで今度道路費をふやすということで、道路費というものがいろいろ議論になつた機会におきまして、やはりある程度これも増徴する必要があろうというわけですが、さらに問題となりますのは、それでは同じ道路費をふやすにつきましても、重油を使つての交通機関があるが、これをどう考えるかということです。その分の重油だけを課税するという問題も一応検してみたのでございますが、その分についての重油だけについて内国税をとることは技術的になかなかむずかしい点がございます。たとえば会社が買つた重油を燃料機関に使うか、あるいはディーゼルに使うか、なかなかむずかしい面がある。そこで第二次的な案としまして、今度これは地方税法の方で御審議を願つておりますが、自動車税の負担におきまして、揮発油を使つておるものは揮発油を片方で負担していることを考え、同時に、ディーゼルを使つておるものにつきましては、揮発油税は負担していないというようなことを頭に置きまして、自動車税をその間に調節するということで、道路の補修財源をそこに求める、こういう調整をとつて行つたらいいじやないか、こういう考え方で出ましたのが、現在考えられておりますところの、重油については関税の免税は依然続ける、揮発油税は引上げるという考え方なのでございます。
それから、砂糖については関税をとつているが、ほかのものについては――揮発油についてはとつていないのはどういうわけかという御質問ですが、これはいろいろ考え方があろうと思いますが、砂糖につきましては、国内産の砂糖は北海道の砂糖と九州方面の砂糖がおもなものでございまするが、九州方面のあの黒糖につきましては、現在いろいろ外国の黒糖との競争関係もございまして非常に苦しい面がございます。従いまして現在は関税はとつておりますが、なかなか関税程度の差では業者はやりにくい。そこで砂糖消費税におきましてもいろいろ検討してみまして、大体九州方面のそうした黒い砂糖は、たるで出て来るのが普通でありますので、たる入れ黒糖、たる入れ白下糖につきましては、内国消費税について特別な考慮を払つて行く、こういうような面もあわせて考えておるわけでありまして、ちよつとの間、重油の関係とは性格が違うのじやないか、さように考えまして、砂糖の方については関税もとり、同時に砂糖消費税の場合におきましても、たる入れ黒糖、たる入れ白下糖といつたような特殊なカテゴリーをそこに考えまして、内国消費税においても、ある程度の品物によつての差別ではございますが、配慮をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/38
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039・井上良二
○井上委員 これは政務次官に聞くのですが、私昨日も申し上げたのですが、政府の今度の大きな政策は、国内の物価を引下げて、国際競争力を培養して、国際的な収支のアンバランスをなくするということが今度の財政経済の方針です。その場合に政府の今やつておりますのは、何と申しますか、資金上金融を引締める、それから財政投資をできるだけ引締めて行くという財政の整理と、それから資金、投資の面における削減をはかつて行く、それによつて一方金融を圧迫して中小企業に圧力を加えて、持つておるものを安くたたき売らせる、そうして全体において物価を下げて行く。別な言葉でひつくり返して言うと、少数の巨大資本の経済支配力を強めて行くということが一方において起つて来るような物価引下げの政策がとられておつて、かんじんの物価引下げに一番大切である商品コストの引下げというものについては、ほとんど手が打たれていない。商品コストの引下げをやります場合、その商品の価値を形成いたします労賃、あるいは原料費、あるいは動力、燃料または運賃、公課、金利、こういうものに対する積極的な手が何ら打たれていない、これをやらなければほんとうにものは下りません。かんじんの商品価値を形成しておるこれらの諸要素を引下げる積極的な対策を立てずに、弱い若いじめ的な金融引締めによつて市場が行き詰まり、商品の投げ売りをして、そうして全体の購買力を低下させる、こういう行き方をあなた方はとろうとする。そういうことは非常な誤りであつて、本質的には商品コストを下げる、商品価値を形成している諸要素を検討して必要な引下げの対策を考えなければならぬ。特にこの揮発油税を問題にするゆえんもそこにあるのだ。御存じの通り今日商品の上において動力費それから燃料費、運賃というものがいかに大きな要素を持つておるか、そういう点を考えたときに、これらの直接動力源たる税金を上げるとすれば、当然それは運賃の値上げにはね返つて来ます。運賃の値上げが当然全体のコスト高と、国民の負担をそれだけ大きくして行くということになつて行くのでありませんか。政府はそういうことをお考えになりませんか。物価引下げと反対のやり方をとつておるではありませんか、かんじんの物価自体を引下げる本質的なところにメスを入れず、逆に物価をつり上げる政策をここでとつているのではありませんか、そうお思いになりませんか。植木政務次官、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/39
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040・植木庚子郎
○植木政府委員 政府といたしましては、税制改正につきましては、租税の負担力その他の調整の問題、この大切な問題についてでき得る限り実情に即した改正をしたい、こういう趣旨のもとに、なるほど仰せの通り必ずしも十分ではないかもしれませんが、いわゆる低額の所得者層に対しての減税その他を行いまして、他面国家の財政事情全般の実情にかんがみて、間接税方面において奢侈的なもの、あるいは高級品的なもの、こうしたものの方面で、選択消費等もできる余地のあるところでなるべくこれの補いをつけて行くという大体の基本的な立場をとつておるのであります。また一方財政全体につきまして非常な緊縮政策をとり、同時に金融についてもでき得る限り引締めの方針をとつて、そうしてこれによつて全般的に物価の引下げが生れて来るようにして行きたい。しかしながら単なる財政政策と金融政策だけでもつて物価の引下げがすべてできるとは考えておりません。もちろん諸般のその他の施策におきましても、でき得る限り一日も早く適切な対策を当該各省所管ごとに立てまして、そうしてその実行に入りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/40
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041・井上良二
○井上委員 ただいま政務次官の答弁を聞いておりますと、低額所得者の減税をやらなければならぬから、できるだけ奢侈的消費に対して間接的な増徴をはかつて行きたい、それと歩み合つたごとく揮発油税の増徴をお考えのようですが、揮発油税がこれだけ上りますならば、今局長からも御説明のありました自動車税の引上げと相関連しまして、当然運賃が上つて来ます。運賃が上りました場合は、一体だれがその運賃を払うのです。たとえば通勤しておりますところの勤労者にこれがただちにかかつて来ますよ。また一般物価を気にしておりますところの勤労者の生活にただちに物価値上げとなつてはね返つて来ますよ。低額所得者の減税をやつてこれを上げたら何にもならないじやないか。あなたの言うことは頭隠してしり隠さずだ、何してるのや、一体。(笑声)いいかげんなこと言つて人をごまかしたらあきまへんぜ。実際あんた現実に伺いますが、二十八年度の重油関係及びガソリンをつくります揮発油関係の輸入はどうなつております。そして二十九年の見通しはどうなつております。それを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/41
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042・北島武雄
○北島政府委員 昭和八二十年度におきまする石油類の輸入状況について申し上げます。原油におきまして五百九十四万七千キロリツター、それから揮発油におきまして三十四万九千キロツリター、重油におきまして二百八十一万七千キロリツター、その他軽油、燈油が若干ございますので、輸入合計といたしまして九百二十万九千キロリツターの見込みでございます。昭和二十九年度におきまする見込みは、まだ確定したものはないようでございます。私の手元にございませんので、ちよつと御説明いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/42
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043・井上良二
○井上委員 この揮発油の増税は、二十八年度の実績に基いて二十九年度にとろうというやつでしよう。そうしたら、二十九年度にどのくら輸入されるかわからぬでおつて税金だけとろうなんてふといやつだ。それだから、二十八年度はこれだけ入つたが本年度はこれだけ入る。だからこういうことになるということに言うてもらわなければ、死んだ子の年を数えてもしかたがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/43
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044・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 今北島税関部長の申し上げましたのは、まだ的確な数字がきまつておりませんので、その意味においての計画が出ていないから、ちよつと御答弁いたしかねると申し上げた次第でございますが、われわれの方で税収の基礎にしておりますのは、現在の見通しといたしまして、大体二十八年度と同じ程度の輸入があるんではないだろうか――今政府の内部の話がそういう方向に進んでおりますので、一応それを基礎にして税収も見積つておりますし、全体の計画も立てているわけでございますが、二十九年度の輸入計画がどんなものかという点につきましては、まだはつきりきまつたものがない。ただ一応の見通しとしましては、大体二十八年度と同じ程度のものが考えられる。そこで一応の税収を見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/44
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045・井上良二
○井上委員 二十八年度の輸入実績によつて大体三十一億ほど増収になるという見当のようでございますけれども、われわれが通産省関係、あるいは地方自治庁関係、その他関係方面の意見を聞いておると、二十九年度は輸入が相当増加する、大体こういう話であります。そういう関係からしますと、現実によけい輸入されますならば、そんなに上げなくても大体確保できるという数字も出て参りますから、いま少し政府の方では、通産省なり、あるいはまた大蔵省の為替関係なりで、いわゆる外貨予算についての結論を明らかに出した上で、正確な輸入見込みというものを示した上でこの法案は審議する必要がありますから、私はこの法案に対してまだ数点質問が残つておりますが、一応政府の方で二十九年度の輸入の外貨予算が明らかにされますまで、しばらくこの法案は審議を延期しておきたい。私の質問も延期しておきたい。その数字が明らかにならぬことには、これはえらいことになつて来ますから、直接大衆の負担になり、物価引上げの大きな要素になつて参るものを、軽率にあなたの言う通り行きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/45
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046・小川豊明
○小川(豊)委員 今の井上委員の質問に関連して……。砂糖消費税あるいは揮発油税の二十九年度における現行法による収入見込額と増税の見込み、こういうものが出ておりますが、二百三十七億幾ら、こういうふうに揮油税はなつておる。それから砂糖も三十八億、こう見て行くと、もうすでに二十八年の十一月にこのあなたの予定しておる増徴額分までもとられてしまつているのではないかと私は想像しておるのです。そこで井上さんのただいま要求されたものに対して、私は逆に、二十八年の十一月まであなたの方でどれだけ収入が出ているかということを、砂糖と揮発油で出してもらいたい、これが一点。
それから、これは政務次官にお尋ねします。私はこの前も砂糖の問題でお聞きしたのですが、いつも申し上げる通り、砂糖の輸入会社が十八社か十九社あつて、これがドルの割当を受けると、一万トン当りで二億七千万、今日ではすでに三億三千万の利益がある。従つて二十万トンの割当を受けると厖大な利益が精糖会社に出て行くにかかわらず、砂糖消費税をこういうふうに上げて行くということは、どうも私納得できない。この点をお尋ねしたところが、これに対する回答がまだなかつたわけですけれども、一体どうして十八か十九の精糖会社にこういう厖大なドルの割当をして利益を与えつつ、そうして砂糖消費税を上げて、国民大衆の生活を圧迫するような手をとるのか。この点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/46
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047・植木庚子郎
○植木政府委員 砂糖の会社が今日外貨割当により非常な利益を得ておるではないかという問題につきましては、確かにその面があると思います。しかしながら、政府としてこの砂糖の輸入についての外貨割当を、従来通りの方法で行つてよいか、あるいは今後当該会社等の収益状況その他にも考えまして、新しく何かかわつた方法をとつた方がよいかというような問題につきましては、先般当該所管の政府委員からも申し上げましたように、政府は今鋭意研究中なのであります。砂糖消費税の引上げの問題につきましては、今回の税制改正にあたりまして、こうした輸入に大部分を仰がなければならない品物については、でき得る限りひとつ消費の節約をやつてほしいというような建前もございまして、今回税率引上げを試みておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/47
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048・小川豊明
○小川(豊)委員 今次官から、消費の節約をやつてほしい、こういう希望だという答弁がございましたが、日本の砂糖の有効需要は八十万トンあれば足りるのです。ところが今まで政府の方では、百十万トンくらいずつ入れておる。そうして精糖会社の精糖能力はここ二、三年の間に厖大な発展を遂げておる。こういうふうに、一面において消費をかり立てるようなことをやりつつ、そうして消費を節約してくれといつたつて、それはできるはずはないじやないか。ことに私がこの問題についてどうもふに落ちないのは、さつき局長の方からも説明があつたが、粗糖と精白糖の関税が違つておる。もう一つは、従来粗糖も相当入つておつたのを、今日では全部精白でなければ使つていけないということにしておる。そうして一方においては、精白能力のあるところでなければ外貨の割当はせない。こういうことをやつておるのは、まるで精糖会社に対して外貨の割当をするためにこういうものをつくつておる、こういうようにしか考えざるを得ない。これはひがみかもしれぬが、この点は私どうしても納得できない一点なのであります。それから今の外貨の割当について、いろいろ研究しておられるということですから、従つて私どももこの問題は、外貨の割当のきまるまで質問等を留保しておきたいと思います。
それからいま一点、これは委員長、資料を要求しておきます。これはこの問題とは関係ありませんが、今後も食管の問題を審議するに必要ですから、お願いしておきますが、この前の国会から私は黄変米の問題、砕米の問題を取上げてずいぶんここで議論をして、そうしてこの問題に対しては相当変更あるいは改善する、こういう回答があつたわけですけれども、まだなかなか改善されない。しかしこの問題は別として、今度トルコから外米を輸入しておる。そこでこの輸入したトルコの外米の中には、変質米も黄変米も出ておる。そこでこのトルコから輸入した外米の数量と価額と、それから変質米の数量、これをひとつお出し願いたい。
それから委員長にひとつお願いしておきますが、この次に食管会計を審議されるときに、保安庁の給与を担当しておられる方に出席していただくようおとりはからいをお願いして、これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/48
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049・淺香忠雄
○淺香委員長代理 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/49
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050・井上良二
○井上委員 ちよつと関連して一点。幸いに植木さんがおいでになつておりますから、一つ申し上げておきたいと思いますが、外貨割当の責任はあなたの方でございましよう。これはやはり通産省と会議でやりますのか、それとも最後の決定権は大蔵省にありますのか、それを一点伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/50
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051・植木庚子郎
○植木政府委員 外貨予算の編成等の問題は、通産省その他関係の各省と相談の上、大蔵省がりまとめ役をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/51
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052・井上良二
○井上委員 そこであなたに伺つて、調べておいてもらいたいのですが、御存じの通り、昨年の暮れに砂糖が非常に暴落をいたしましたために、予定入荷いたします砂糖約二十万トンを予定通り入荷さしておきますならば、今度の砂糖の暴騰を見ずに済んだ計画に大体なつておるのであります。ところが砂糖が暴落したということも理由でありますが、いま一つは、昨日も私はずつと農林委員会において、この砂糖価格引下げに関する委員会の経過を傍聴いたしておりましたが、それによりますと、砂糖の税金を値上げするということが一つの需要増及び買いだめをいたします大きな要素になつておると実はいわれておる。そういう政府の砂糖政策のよろしきを得ないために、当然予定通りどんどん買付輸入をいたしますならば、いわゆる思惑をある程度防止して、厖大な、不当な価格暴騰を来さずに済んでおつたのに、ぐずぐずしておつて、遂にこの二十万トンが予定通りなかなか入つて来ない。そこで政府は今度あわててインドネシアから三万トン、それから台湾から一万トンというものを新しく輸入しようとしておるそうでありますが、かくのごときことは一体どこの責任においてこういうことになつたのか。つまり予定通り、さきに申します通り一月から三月までの二十万トンを輸入いたしますならば、この外貨の貴重なときに、追加的に約四、五万トンの砂糖を非常に高い価格で輸入しなくてもよかつたのだ。それを輸入するという新しい手を今度は打とうといたしておりますが、そういうことになつたのは一体どこの責任か。それと、またそういうことが実際上行われるかどうかということについて一応当局と――何でしたらここへ東條為替局長に出てもらつて、あなたも一緒にひとつ御答弁を願いたいと思うが、その経過を一ぺんよく御検討願つた上で出席していただきたいということを、私はお願いしておきます。これに対する答弁はきようはよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/52
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053・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 小川委員からの御要求はわれわれの方で資料として提出いたします。ただちよつと申し上げておいた方がいいと思いますが、昨年税収が砂糖については割合に上つておりましたのは、――三の割当の分が非常にあとへずれて参りまして、その関係で実績的な輸入が割合に多かつたということが一つの原因であるとわれわれは思つております。
それから井上委員から、外貨予算がきまらなければ審議できないというお話でございましたが、実は外貨予算は御承知のように上期、下期とわけてございまして、その年間の予算がきまりますのは、下期まで固まりませんときまらぬわけで、大分先になりますので、それまで御審議願えないということになりますと、われわれ非常に困るのではないかと考えておりますので、その辺はひとつ御了承願いたいと思います。
それから通産省でいろいろ言つておる点は、かなり希望的な意見が入つておるようでございまして、われわれも通産省の話も聞かぬではございませんが、同時にわれわれの方の中でございますが、為替局などの考え方も聞きまして、現在の外貨事情から言いますと、大体昨年と同じ程度以上には無理ではないだろうか。昨日も新聞でちよつと見ますところでは、輸入全体としては、ある程度実は減らざるを得ない事情にありますから、原油とかそういうものについて特に輸入が与えるということも、ちよつと無理ではなかろうか。そこで大体前年度と同じ程度と考えるのが適当ではないか、かように考えておるわけであります。いろいろ御審議の御都合もあろうと思いますが、外貨予算がきまつてから先ということになりますと、われわれとして実は非常に困りますので、その辺はちよつと御了解を願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/53
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054・小川豊明
○小川(豊)委員 砂糖ばかりではありません。揮発油その他についてもお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/54
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055・淺香忠雄
○淺香委員長代理 ただいま議題となつております十六税制改正法案中、物品税法の一部を改正する法律案について、電気通信委員会の委員長代理として齋藤憲三君より意見を述べるために発言を求められておりますので、この際これを許します。齋藤憲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/55
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056・齋藤憲三
○齋藤憲三君 私は本委員会のお許しを得まして、物品税法の一部を改正する法律案修正に関する申入れを行いたいと思うのであります。
本委員会におかれまして目下御審議中の物品税法の一部を改正する法律案によれば、従来非課税品であつたテレビジヨン受像機及び同部分品に対し、新たに原則として物品価格の百分の三十の物品税を課し、ただブラウン管十四インチ以下の受像機及び同部品に限り一箇年間税率を物品価格の百分の十五とする経過措置がとられることになつておるのでありますが、この問題に関しまして電気通信委員会といたしましては、テレビ受像機全般にわたり、物品税は従来通り非課税とすることが理想であるが、財政上の必要によりやむを得ずこれは課税する場合にも、その税率はでき得る限り低率にすべきものと考える。なかんずくブラウン管十四インチ以下の受像機にあつては、国民大衆の需要に備えて、その価格を極力廉価ならしめる必要上、これに対する物品税は非課税ないしきわめて低率課税とし、かつこれを経過措置とすることなく、恒久的措置によることが適当であるとの見解をとつておるものであります。本日の会議の席上、上記の意見を貴委員会に申し入れて、法律案修正に関し適宜の処置をとられんことを要請するものであります。
御出席の委員もきわめて少数であるようでありますから、これに対して説明を長く申し上げることは御遠慮いたしますが、一言にして申し上げますると、この電子管応用工業というものは、御承知の通り通産省におきましても、新しい将来性のある工業として、二十六年、二十七年、二十八年の三箇年にわたつて、一億円の補助助成をやつて参つたのであります。ようやく昨年からこのテレビ放送というものが開始されまして、今ようやく芽が出始めたところであります。従つてこの受像機に対しまして、三割ないし一割五分という税金を課しますことは、今日ようやく進歩発達過程に到達しておりまするところのテレビジヨン工業というものに対して大きな打撃を与える。と申しますることは、従来ブラウン管一インチ三千円いたしておつたのであります。これを十円ないし千五百円引下げるということは、業界においては非常な苦心をしてやるのであります。ようやく千五百円くらい引下がつたところへ三割の課税をいたしまするというと、その苦心というものは何にもならなくなつてしまう。こういう点から考えますると、わずか五億の税収を得るためにテレビジヨンに課税するということは、いわゆる電子管応用工業というものに対して大きな打撃を与えるということになり、日本に新しく芽ばえんとするところの産業の芽をつむような悪税であると考えておるのであります。なおこの電子管工業というものが世界的にいかなる重要な工場にあるかということは、これは私から申し上げるまでもなく、アメリカにおいても第三番目に位するところの工業であります。従つてテレビジヨン工業というものは、この電子管工業の最も重要視すべき、この発達過程における最も近道を今歩いておるのであります。テレビジヨンは非常に高級品だとか、あるいはぜいたく品だと考えるのは、ある一つの過程における考え方であつて、これは新しい工業が進歩する上においては、どうしてもこのテレビジヨンというものを発達させなければ、いわゆるエレクトロニック工業というものは発達して行かないのであります。それですから日本においても、政府はこれを許すべきものであるとして、今テレビジヨンの放送を許可しているのであります。また一面テレビジヨンをやる方から考えまするというと、テレビジヨンの受像機というものは八十万台なければ、これはペイしないのであります。従つて今通産省では、一番大きなウエートをこのエレクトロニック・インダストリーにかけて、いかにして八十万台を早くつくつてこれを普及徹底せしめて、ここに放送事業の確立をはかるかということを今やつておるのであります。こういうものに向つて、普通の電気洗濯機のような考え方をもつて課税して行く。電気洗濯機というようなものは、これは百ワット以下ないしは三百五十ワット以上は無税であります。その中間だけ二〇%の課税をしておる。また無線機とか電話器は免税であります。それでありますから、私は電気通信委員会でもつて質問したのでありますけれども、大蔵当局はエレクトロニック・インダストリーというものの実質を解剖せずして、テレビジヨンが出て来ればこれに課税する、こういうような、産業の特異性に対して無定見な課税方針をやつている。かくのごときことは、ただ税金をとればいいという、悪口を申せば、これは高利貸し的な課税方針であつて、ぶつたくればよろしい、向うは倒れてもよいと、まことに国家のために寒心すべきところの課税方針だとわれわれは考えておるのであります。それでありますから、かくのごとき悪税、しかも日本に芽ばえんとするところの新しい工業に打撃を与えるがごときところの税金、しかもその税額はわずか五億円であります。この五億円をとる方法はほかに幾らもあります。それでありますから、どうかかような悪税はやめてもらいたい。しかしながら、全部やめてくれといつたら大蔵省の面子も立たないだろうから、なるべくひとつ低率でやつてもらいたい。できるならば一〇%以下ぐらいでこれを押えて、なるべくすみやかにこのエレクトロニック・インダストリーの新しい工業の助成をはかつてもらいたい。これが発達いたしますれば、勢い輸出にもきく、また教育、産業あるいは文化の面におきましても非常な貢献のあることは明らかであります。今通産当局の意見を聞きますと、いかにかして一台五万円以下の受像機をこしらえて、これを普及徹底せしめようと腐心いたしているその過程にあるのでありますから、どうかこの工業が確立されるまでは特段の御配慮を願つて、この税率の低下をおはかりくださるようにお願いいたしたいと存ずるのであります。
なおこの御審議の過程におきまして、電気通信委員の意向に対して、いろいろ参考意見として御聴取くだされれば非常にけつこうだと思うのであります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/56
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057・淺香忠雄
○淺香委員長代理 齋藤憲三君よりの申入れ事項につきましては、了承いたしました。
本月はこれにて散会いたします。
午後一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X02019540311/57
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