1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月六日(土曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 大西 禎夫君
理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君
理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君
理事 加藤 鐐造君 小川 平二君
田中 龍夫君 馬場 元治君
笹本 一雄君 柳原 三郎君
帆足 計君 中崎 敏君
川上 貫一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 中島 征帆君
委員外の出席者
通商産業事務官
(公益事業局ガ
ス課長) 吉田 剛君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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三月五日
電力料金値上げ反対に関する請願(増田甲子七
君紹介)(策三〇三九号)
田瀬ダム建設に伴う漁業権補償に関する請願(
鈴木善幸君紹介)(第三一一一号)
アルミ産業振興対策確立に関する請願(山口丈
太郎君紹介)(第三一一三号)
火薬類販売営業者の定員制復活に関する請願(
生田宏一君紹介)(第三一七一号)
の審査を本委員会に付託された。
同月三日
産業工芸試験所九州出張所存続に関する陳情書
(第一三五〇号)
同外一件
(第一三五一号)
中小企業対策の確立に関する陳情書
(第一四三四号)
電気料金値上げ反対に関する陳情書
(第一四三五号)
四国地方の電源開発等に関する陳情書
(第一四三六号)
水火力調整金制度の撤廃及び電力料金の一本化
に関する陳情書
(第一四三七号)
石炭鉱業対策に関する陳情書
(第一四三八号)
石油資源総合開発五箇年計画に関する陳情書
(第一四三九号)
同(第一四四〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
ガス事業法案(内閣提出第一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/0
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001・大西禎夫
○大西委員長 これより会議を開きます。
まず小委員会の参考人の件についてお諮りいたします。来る九日総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会において、日本鉱業協会会長佐藤久喜君、同専務理事山田守十郎君及び同調査部長田村茂利君をそれぞれ参考人とし、また来る十一日に木材利用に関する小委員会において、森林資源総合対策協議会常務理事田中申一君を参考人とし、意見を聴取いたしたいとの各小委員長よりの申出がありますので、これを許可するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/1
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002・大西禎夫
○大西委員長 それではそのように決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/2
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003・大西禎夫
○大西委員長 次にガス事業法案を議題こいたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/3
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004・永井勝次郎
○永井委員 お尋ねをいたします。第二条でガス事業を定義しているわけでありますが、ガスに関する定義か不十分ではないか。ことに天然ガス等に対しても、この場合条文において定義が必要である。ガス事業だけを定義して、ガス事業の基礎になるガスについて何ら定義かないということは不十分ではないかと思うのでありますが、この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/4
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005・中島征帆
○中島政府委員 お示しの通りに、この法案におきましてはガスの定義をいたしておりません。本来ならばそこから定義をいたすのが筋だと思いますが、ガスの定義ははなはだむずかしくて、法律的に書くことが非常にややこしくなるような関係もありまして、この法案では定義をいたしておりませんが、実際上の解釈といたしましては、導管をもつて燃料に供せられるガスというものを、本事業法にいうガスというふうにわれわれは考えております。従いまして、工業用原料に使われます、ガス等はこのガス事業の対象にはなりませんし、またボンベ等に詰めて運ばれます燃料用ガスもこのガス事業法案の対象にならない。結局この第二条の「一般の需用に応じ導管により供給される、ガス」、この裏からの解釈からいたしまして、ただいまのような考え方になるわけでありますが、要するにこの中でうたわれておりませんことは、燃料用ガスだけを問題にしておるの、だというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/5
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006・永井勝次郎
○永井委員 導管によつて送る関係においても、燃料だけではなしに、化学原料としてのものもあるわけでありますが、一つの導管の中から送るものの中に、化学原料になるもの、燃料原料になるもの、こういう区分があると思うのでありますが、学問上むずかしいといつても現実にあるものを文章で表現できないということはないわけであります。こういうガス事業というものだけを定義して、むずかしいからといつて、ガスを定義しないということは、これはおかしいじやないかと思います。ここでは導管によるということだけで、化学原料というものと、燃料ガスというものとの一区分が不十分である。この点はどういうことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/6
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007・中島征帆
○中島政府委員 お話の通りでございまして、実は燃料用に使われますガスと申しましても、たとえば石炭ガスあるいは特に天然ガス等は当然燃料には使えるわけであります。その場合に、かりに一つのガス会社がありまして、そのガス会社から導管をもつて供給を受けて、これを燃料に使うか、あるいは原料として使うかということは、これは自由でありまして、需用家か適当に自分かつてに使えるわけであります。しかしここでねらつておりますことは、一般に電気と同じようにガスが公共の必要な物資である、公共性が非常に強いということでもつて、このガスの供給事業というものを抑えようというのがこのガス事業法の趣旨でございまして、従つてその意味におきましては、ガスを燃料用に使うということが最も重な要件であります。もしも単にあるガスの製造業者がありまして、その製品でありますガスがもつぱら、原料用に使われるという場合でありましたならば、これは特定の用途であり、しかもその需用者あるいは使用場所というものは特定の工場等でございますので、一般の公共という意味におきましては、それほど重要性が少い。従つてこのような公共事業的な法律をもつて律するということの必要性もなくなるわけであります。要するに一般公共の燃料に使われる、そういう性質の事業であるということがガス事業法をもつて律しなければならぬゆえんでありますので、そういう意味におきまして、同じガスでありましても、これが燃料に使われるということと、それからそれが一般供給という意味におきまして、導管によつて供給される、そういう面をとらえまして、ガス事業の対象とした、従つて同じガスでありましても、たまたまその事業から供給を受けて、別途の原料用に供せられましても、工場に行くまでの道程において、一般供給の形を通つて参りますから、そこまではガス事業者としての責任を持たなければなりませんけれども、もしも製造場から直接に原料用に使用される工場に送られます場合におきましては、その面だけにおきてましては、ガス事業法の本来の対象にならない。こういうふうな関係になりますので、その点をガスの定義というところではつきりさせますことは非常に複雑になりますような関係から二条のような裏からそれが出るようにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/7
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008・永井勝次郎
○永井委員 ガスのような近代化学工手に対しで、第二条の規定はあまりに原始的であり、素朴であり、しかもガスの関係はカロリーと圧力だけではかるというような非常な原始的な方法よりないということは不十分である、これはこれとしまして、第二条の第二項の「ガスの供給のために施設するガス発生設備、」とこうあるのですが、このガスの発生設備は、天然ガスのような場合、どこで発生設備を区分するか、これを明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/8
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009・中島征帆
○中島政府委員 一応は天然ガスの場合におきましては、天然ガスの採掘装置から入るわけであります。但しこの法律の適用につきましては、政令あるいは省令でその点を明確にすべきであつたと思いますが、天然ガスの採掘に関しては、現在鉱業法あるいは鉱山保安法の規定によつていろいろな規制が行われておりますので、その面におきまして、ガス事業法と重複しないように、その点は明確にするつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/9
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010・永井勝次郎
○永井委員 今の答弁では不十分でありますが、「「ガス工作物」とは、ガスの供給のために施設するガス発生装置」とこうあるわけですが、これは政令ではどういうふうに規定しようとするか、政令できめるというだけではわかりませんが、政令ではその区分をどこでどういうふうにつけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/10
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011・中島征帆
○中島政府委員 天然ガスの場合におきましては、天然ガスの採掘場からガス事業者が直接買いまして、それでこれをすぐに一般供給するという場合にしおきましては、ガス事業者が受ける場所、これはガスの発生する井戸から一般の導管につながる部分があると思いますが、その部分以後をガス事業法の対象とする。それから天然ガスの採掘場から、一般ガス事業者でなくて面接に特定の工場に送る場合、これはいわゆる特定供給になりますが、特定供給としてこのガス事業法の対象となるわけであります。その場合におきましては、特定供給の工場のメーターのある受入れ口までを鉱山保安の方で規制しまして、工場が受入れであとの方をガス事業の保安の対象としてある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/11
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012・永井勝次郎
○永井委員 次に第二十五条「ガス事業者以外の者」とこうありまして、その末尾の方に「あらかじめ、供給の相手方及び料金その他の供給条件を通商産業大臣に届け出なければならない。」この「あらかじめ」という点についてお尋ねしたいのでありますが、これはあらかじめ届け出ればそれでよいのか、そうしてあらかじめ届け出てだめだというような場合には、これはどうなるのか、この点を伺いたいと思います。
〔委員長退席、山手委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/12
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013・中島征帆
○中島政府委員 これは結論におきましては、あらかじめ届け出をすればそれでよいのであります。届け出をしていけない場合ということは、これは一般にはないわけでありますが、要するにここにあります、ように、ガス事業者以外の者で、ガスを供給する者でない場合はいけないので、裏から申しますと、要するにその者がガス事業者である場合ということになります。つまり第二十五条でねらつておりますことは、こういうふうな特定供給は別に原則的に縛る必要はございませんけれども、これを放任しておきますと、ある一つの工場に供給いたしておりましたものが、次ぎ次ぎとその隣接の他の工場にさらに広くその供給を広げまして、その範囲かだんだん広がりますと、一般供給と差異がないということになるおそれがあるわけでありますから、そういう場合には一般のガス事業者として、このガス事業法の本来の規則を受ける必要がありますが、その区分を明確ならしめるために、またそういうふうに不必要に限度を越えないようにするために届出をとるわけでありまして、もし届出がだんだん重くなつた結果、ガス事業者とほとんど違いがないというふうな段階になりましたならば、あなたの方はもうすでにガス事業者の認可申請をする段階であるというふうなことを言いまして、いわゆる特定事業者としての性格を失わしめる、これが第三十五条のねらいでございます。それ以外につきましては特にあらかじめ届け出させるという特別の必要は今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/13
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014・永井勝次郎
○永井委員 ここであらかじめ届けさして、これが一定の限界に達しているか、あるいは一定の限界に達していないかということの結論を下す判断は一体どういう尺度でやるのか、ここには明確にされておりませんし、また一つの企業に対してそのときどきの役人の一方的というか、主観的な判断だけでこれが左右されるということはよろしくないと思いますが、そういう基準は一体どこに規定しておりますか、またどういう諸条件でやつておるのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/14
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015・中島征帆
○中島政府委員 これは法律上は現われておりませんけれども、趣旨はただいま申し上げたような趣旨であります、従つてガス事業者以外のものがガスを供給することが、いわゆる一般供給的な性格を持たないということが必要であります。そこでそういうものでないことの条件はどういうものであるかということから逆に押えますと、たとえばそのガスを生産します側と、それを使用します相手方との間に何らか資本的その他技術的な特殊な関係が、ある場合、あるいはある工場の構内からガスが出ておるが、そのガスをその工場の原料あるいは燃料として使いたいけれども、その天然ガスに対する鉱業権は別の方にある、従つてやむを得ず採掘は他にまかすけれども、出て来たものは自分の工場で全部使うのだというような場合、そういつた特殊な関係がある場合は、いわゆる第二十五条の時定供給をするような性質のものであろう、従つて一般供給にするのはむしろ適当でないのじやないかというふうなことを考えておるわけでありまして、そういう場合には大体二十五条の対象といたしまして、一般ガス事業としての規制は全然いたさないようにする。二十五条の対象になるようなものは、今申しましたようなガスの生産者とそれを使うものとの間に何らか特別な関係少がある場合というのが普通であろう、従つて何も特別な関係がなくて、もしほかにも申込者があれば、自分の方としてはほかの工場に対しても供給してもよろしいというふうなガスの生産者の態度であれば、これは一般供給者に類似いたしますので、その点は注意を要するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/15
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016・永井勝次郎
○永井委員 答弁が非常にあいまいで、われわれは理解しがたいのですが、たとえば新潟ガスのような場合、その天然ガスの生産者とこれを受けて一般に配給するものと同じ地域にあります。
〔山手委員長代理退席、小平委員長代理着席〕
同区域内にあつてそして特定供給というような関係の限界というものは、これははつきりしにくい点が非常にあるわけであります。区域が別ならば問題はありませんが、同じ地域内でしかも特定供給というような場合、これに対する明確な基準がない。どこ正でが特定供給の限界で、どこまでが特定供給の限界でないというようなことが不明確だ、こういうような場合には、やがてその同じ地域内で競合して来る面がある。そういう面に対して、はつきりした限界を示さないでおいて、ただあらかじめこうだというだけの法規定で、一体事がスムーズに運ぶのかどうか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/16
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017・中島征帆
○中島政府委員 もしただいまのお話のように、たとえば新潟のように天然ガスがたくさん出る場所におきまして、すでに一つのガス事業者があり、別に天然ガスを採掘する業者が出て来て、その採掘したガスを特定の需用家に供給するというふうなことがかなり手広く行われておる、こういう事態かありますときには、そこではむしろ、後者の天然ガス採掘業者も、すでにガス事業者の形態になつていると言わざるを得ないと思います。たまたま今日までの法規ではその点をはつきりいたしておりませんために、そういうふうな事態になつておりまして、今の段階におきましては、そういうものをガス事業者としてダブつて認めるか、あるいは現在の法律上では、同じ地域同じガス事業は認められませんので、この場合におきましては、むしろ出て来るガスを一応形式的に既存のガス事業者に売り渡しまして、いわゆる卸売りの形式にもどるか、どちらかでなければならぬということになるわけでありますが、こういう点は、新しい法律におきましては、二つのガス事業者が並存することができるのであります。いずれにいたしましても、そういうような事態が出て来たということは、現在までの法制上今の二十五条のような規定がなくて、ずるずると同じガス事業者地域内で特定供給の方が広がつたためにそういうふうなことになつておるのでありまして、この二十五条がありますと、そこまで行くおそれがある場合にに、今日のような事態になります前に、別にガス事業の認可を申請させるか、あるいはそこで特定供給というものをとどめて、あとは卸売にするか、そういうふうな形態をとらせる指導をすることができるわけであります。そういうことか二十五条のねらいになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/17
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018・永井勝次郎
○永井委員 そういう問題を規制して行こうというのが第二十五条の考え方だとすれば、あらかじめ届けなければならぬ、届けつぱなしでいいという、こういう条文の表面上の趣旨から言うならば、お前のところはこれはいけない、お前のところはこれはいい、こういうように承認するとか、しないとか、これはしてはいけないとか、そういう強制規定というものはここには何もないじやありませんか。局長の言つたような考えが、一体この条文のういう条項によつてそういう規制をして行くことかできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/18
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019・中島征帆
○中島政府委員 二十五条はそういつたようことを直接抑えるというようなことには全然なつておりません。結局二十五条でねらつておることは、事能の実際をつかもうという趣旨にすぎないのでありまして、結局二十五条で届出をとつておりますと、それがどういう性質のものであるかということがあらかじめはつきりする。そこまでが二十五条のねらいであります。それで、かりにこれが特定供給の範囲を逸脱しておる場合には、本来の第三条にもどりまして「ガス事業を営もうとする者」になるのであるから、従つて通産大臣の許可を受けさせる。従つてもしその場合において、特定供給の事業がガス事業を営む意思はないのだ、ただ隣近所でほしいというから、あげるのだということにとどまるならばそれ以上広がればガス事業になるのであるから、もしガス事業の許可を受けたくなければ、あとはガス事業者を通じてお売りなさい、そういうように法の運用として忠告ができるわけです。それを聞かない場合には、第三条の許可なくして、ガス事業を営んだという違反として処罰されますが、そうでなくて、別にガス事業を営みたくないから、それではひつ込めましようということであれは、それで済むわけでありまして、二十五条の中には強制規定というものは必要としないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/19
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020・永井勝次郎
○永井委員 届けつばなしでいいのだということであつて、そうしてこれはこういうふうに勧告はするのだ、しかし勧告する基準はどこにも示してない、こういうことで、ただ役人の主観的判断でものをするというようなことはよろしくないと思いますが、これはいずれあとでお伺いすることにいたします。
それからさきにもどりまして、第二十三条、特定供給の規定でありますが、これでは他の縄張りに供給する場合、それからだれの縄張りでもない区域への供給の場合というように、特定供給の場合でもいろいろあると思うのでありますが、そういうことに対する条文規定は明確でない、不十分ではないか、こう思うのですか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/20
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021・中島征帆
○中島政府委員 二十三条では、要するにガス業者が自分の供給地域以外に供給しようとする場合ということだけを押えておりまして、従つて自分の供給地域外がだれの供給区域でもないという場合と、それから別の隣のガス業者であるという二つの場合があると思います。この二つの場合はいずれも第二十三条の対象になるわけでありまして、特に隣接のガス業来者の施設が非常に小さくて、そこの中に新しく非常に大きな工場等の需用家ができた場合には、隣のガス業者から供給するのが容易である場合には、他の地域でありましても特定供給を認めることは必ずしも不可能でないと思います。それからそうでなくて全然だれの供給地域でもないブランクのところに一つだけ新しい需用家ができた、そこまでガス業者の供給地域を広げることは少し大げさであるけれども、その需用者だけに供給することは必ずしもむずかしくない、こういう場合には区域外の特定供給として認められることがあるわけであります。しかしそういうことをしたために本来の自分の供給区域内におけるガスの供給に対しまして支障が起る場合には、これは地域内の需用者に対して迷惑をかけるわけでありますから、そういう点を、十分考慮して許可、不許可を適当に決定するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/21
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022・永井勝次郎
○永井委員 次に第十七条のガス料金の制度についてお尋ねいたしたいと思います。第十七条の料金は、原価主義を原則としている認可制である、こう了解するのでありますが、この二項の一の「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」こうあるのですが、何が能率的な経営であり、何が適正な原価であり、何が適正な利潤であるか、これを明確に示していただきたいと思います。
〔小平委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/22
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023・中島征帆
○中島政府委員 これは具体的に現在ある社のガス料金の基礎となつております原価の査定、あるいは計算方式を出しまして申し上げた方が的確であると思いますが、ただいまその例はございませんけれども、ここで規定いたしております能率的な経営、適正な、原価というのは、一応法文上は抽象的な言い方をしております。能率的な経営というのは、実際の原価はかなり高くなつておるが、しかし事業者の努力が不足のために、あるいは非常にルーズな経営をしているためによけいな出費をしている、そのために原価が高くなつたということをそのまま認めるわけには行かない。従つてその規模の同じような事業者がほんとうに十分な努力を、もつて、しかも的確に事業を遂行した場合には、この程度の原価で済むであろう、こういうことをねらうべきであるということを言つておるわけでありまして、それを能率的な経営のもとにおける適正な原価という言葉で表わしておるわけであります。これは一つ一つの原価につきまして、いわゆる原価査定をやりました場合に具体的に出て来るわけでありまして、ここでそれ以上はちよつと申し上げにくいと思います。それから適正た利潤というのは、これはガス業についていわゆる利潤率というものを全般の金利の情勢あるいは一般産業の配当率等から出すわけでありますが、具体的に言いますと、現在のガス料金の基礎は配当一割五分という計算で出されておるわけであります。今日の情勢のもとに一割五分が適当であるかどうかということは、現実に考慮の余地があろうと思います。従つてかりに最近におきましてガス料金の原価を査定しなければならないような時期が起きるような場合には、この利潤率あるいは配当率というものはそのときの情勢において考えるべきでありもして、現在においてはこれは一割でいいか、一割五分で適当であるか、あるいは一割二分がいいのかということは、そのときの諸般の情勢を考えまして決定すべきものだと思います。現実には今日のガス料金の基礎には一割五分の配当率が含まれておるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/23
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024・永井勝次郎
○永井委員 何が適正な原価であり、何が適正な利潤であるかということは、企業自体の中の問題もありましようが、やはりこれは他産業とのいろいろな客観的な規格の問題も当然考えなければならぬ。経済一般にわたる経済行為のいろいろな内容の問題をこういう抽象的な言葉で表現して、そうしてこれを的確に運営して行くということになればこれは、重大な問題である。私企業の形態において、この経営が能率的に経営されておるか、適正な原価であるか、適正な利潤で、あるかということは、経営の実態を的確につかんだ上でなければ判断できない。そういうことのできない条件の中において、法文にだけ能率的な経営だ、適正な原価だ、適正な利潤だといつても、一体何を基準にしてそういうことが言えるのか。そこで伺つておきたいのですが、能率的な経営とする客観的な一つの尺度を示してもらいたい。それから適正な原価ということについては、帳簿上の価格に対する減価償却を考えておるのか、あるいは再建設費に対する減価償却というようなことを考えておるのか。さらに適正利潤ということになると、単に一割配当だからいい、二割配当だからいけないということでなしに、企業自体の性質によつても適性かどうかどうかという利潤が出て来ると思うのでありますが、そういう点についてはずいぶん問題があると思いますので、私はあとでまたいろいろ具体的に話合いをしたいと思いますが、まず能率的な経営というのは具体的に何を尺度とするのか、適正な原価というのはどういうのか、具体的に示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/24
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025・中島征帆
○中島政府委員 能率的な経営であるかどうかということを、認定しますには、結局同種同業の他の経営と比べまして、これがはたして非能率的であるかどうかという点を、まず考えるわけで、ありますが、さらに他産業あるいは、一般の産業に比べてその経営の内容がはたして能率的であるかどうかということも一つの基準になるわけであります。ガス業は御承知の通り、単にガスを製造して販売するということ以外に、当然ガスの製造に伴います副産物の販売ということがありまして、従つて本来のガスの製造販売以外に、そういつたことにつきましてもやはり適正な、あるいは能率的な経営が行われなければ、ガスの供給についてもできるだけ低廉な価格をもつて供給できないということになりますので、副業あるいは兼業を含めまして、すべてのガス業の内容が最も能率的に行われておるかどうかということを、他のいろいろな産業等の経営に照して考えるわけであります。その内容につきましては、たとえばガス事業で使用いたします諸般の材料あるいは労賃といつたようなものも、当然に一般の産業が入手しております価格あるいは支払つております賃金ベース等とも考えあわせまして、そういう点で合理的であり適正であるかどうかということを判断するわけであります。それから適正原価の内容あるいは適正な基準の具体的な問題につきましては、今日配付いたしておりまするガス料金原価の算定についてという算式がございますが、これによりまして、ある程度の具体的な内容がわかり得ると思いますので、この表につきましては説明員の方から説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/25
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026・永井勝次郎
○永井委員 それはあとでまた伺います。抽象的な一つの原価計算方式というものがありまして、その数字が実態をほんとうに把握してそこから出て来た数字かどうかということが問題なので、数字だけならば、算術計算の計算が間違つていなければ数字が合つて行くわけです。ただその数字が現場におろして、企業の内容に入つて、これが実態であるかどうかということが問題なわけですが、少くも個々の料金の問題について、能率的な経営のもとにおける適正な原価、適正な基準である、こういうふうにこれがうたつてある以上は、経営の実態を把握しなければ具体的な問題は出て来ないと思う。ところが私企業の経営に放置しておいて、そうしてたとえば労働者がどうだ、労働賃金がどうだ、原料がどうだ、こういう一つの原価計算の素材だけを羅列して、これが適正な経営かどうかそういう能率的な継承になつているかどうかというようなことは導き出されて来ないので、やはり経営の内容に入つて実態を把握しなければそれらの一連の問題は出て来ない、こう思うのでありますが、一体現在の行政機構のもとに、現在の私企業の実態に対して、はたして企業の実態をほんとうに把握して、そこから具体的な問題をわれわれに、国民にかわる監督官庁としての政府が、これが適正な料金であるといつて、責任を持つて料金算定が可能であるかどうか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/26
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027・中島征帆
○中島政府委員 お話の通りにいくら査定あるいは計算の基準かはつきりあるいはりつぱにできておりましても、実際に出て来ます数字の信憑性を十分に判断できない場合には、正確な査定はできないわけであります。ガスあるいは電気等の公益事業に対しましては、今日までその点につきましては相当詳細な審査をいたすような制度ができておりまして、ガスにつききましても、ガス事業の会計規則というものを省令できめまして、いろいろな会計諸表のつくり方、帳簿の整理の方法等につきまして、あるいに届出の形式等につきましてもこまかい規制をいたしております。これによつて所要の数字をとりまして、実際にそれがその通りであるかどうかということにつきましては、適時監査をいたして、詳細にその内容を検討しておるわけであります。他の産業に比べまして、公益事業としてのガスあるいは電気につきましては、そういう監査手続を十分いたすことによつて、われわれといたしましては相当正確にその実態をつかんでおるというふうに考えております。ただ電気とガスと違いますのは、電気につきましては、現在におきましてはいわゆる、電気事業者は九社であり、その他のものを入れましても十数社を出ないというような状況であります。ところがガスは各地方に大小八十前後ございまして、それのおのおのの会社につきまして、常に最も正確にこちらが実態を把握しておるかということにつきましては、必ずしも電気と同様ということは言えませんけれども、しかし要点につきましては、ただいまのような仕組みにおきまして、出されて来ます数字が正確であるかどうかということについての判断は十分つきます。またそういうふうな仕掛けになつて、おりますので、出て来ます数字にごまかしがあるというようなことは、現在まで非常に少いというふうに考えてたるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/27
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028・永井勝次郎
○永井委員 その問題はまたあとでさらに掘り下げることにいたしまして、次には、現行の従量制の最低料金と従量料金とは、総原価をいかように区別して算定されるか、それから重量料金は逓減方式を採用しておるようでありますが、大口と小口料金は個別原価的に正当であるかどうか、それから個別原価算出の方法、この三点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/28
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029・中島征帆
○中島政府委員 ただいまの点は説明員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/29
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030・吉田剛
○吉田説明員 原価の料金決定の場合でございますが、まず第一に総括原価をはじきましまして平均原価をとる、それから後平均原価を、どういうふうにその使用量によつて区分するかということの御質問だと思いますが、これにつきましては、一番基礎になりますのは、大口のまとまりました場合には、当然一般管理費あるいはそれに対します固定費等の割合が一立米当り減少いたしますので、まずその減少率を大体中心にいたしまして区分いたしております。ただそれだけでは行きませんのは、実は各ガス会社の状況によりまして大体需用の想定がございます。その想定の場合に各ガス企業におきまして、そのある企業においてに非常に小口の需用者が多く、大口需用者が少いというような場合もございますし、大口需用者の中におきましても非常に特定な、大きな、たとえば月に何万立米というような管一本で使うというというような、経費のはなはだ少いものもございまして、その構成は各社におきまして非常に相違がございます。従いましてどういう割合でその配分をするかという御質問になりますと、実は一社々々についてはつきり御説明いたさなければならないような状態でございますし、さらにまた基準料金といたしましては、われわれの考え方といたしましては、その地区の付近におきますガス事業におきましては、大体基準料金をそう大きな差をつけないと、いうことは、別の方針を持つております。従いまして今申し上げましたような区分のいたし方をいたしましても基準料金がかりに近接の工場におきましてガス会社によつて非常に差異があるというような場合にはこれを是正いたしまして、あまり大きな差異がつかないような方針をとるようにいたしております。従いまして一応計算の過程におきましては、各需用を見込みまして、大口に対します経費減というものを織込んで、そのパーセンテージでやつておるわけでありますが、実際の決定にあたりましては、その付近のガス会社の状況というような問題も比較してやつておりますので、一概に何パーセントどういうふうにわけておるかという御質問になりますと、ちよつと御説明しにくいのでございます。これは各社ごとにどういう事情できまつたかということを申し上げなければならぬじやないか、こういうふうに思うのであります。基本といたしましてはそういう考え方で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/30
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031・永井勝次郎
○永井委員 同一社内では、地域が多少違いましても同一料金のものが多いのでありますが、東京であるとか大阪、東邦あるいは東部、秋田、茨城、福島といつたような、こういう支社がだけは異種料金を採用しておることは御承知の通りであります。料金算定基準の第九条では、「異る料金を定めることができる。」わけでありまして、その中に「著しく異る」ということがうたつてあるのですが、この「著しく異る」ということは一体具体的には、どういうことか、これは、その何パーセントの違いがどうだというような数字的な説明ができるであろうと思いますが、それをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/31
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032・吉田剛
○吉田説明員 著しく異なるという場合でございますが、たとえば同じ東京瓦斯をとりましても、京浜地区におきましては御承知のようにコツパース式の骸炭を使つて行つておりますが、地方に参りますと、ガスの生産方式が全然違つて参りまして、レトルト式の方式になつてしおります。そうしますと、レトルトにつきましては、コツパースのような副産物は実はございません。従つて生産方式の相違から相当大きな原価の相違が現われて参ります。著しく違う場合には、私どもの方といたしましては、清算の原価を比較いたしまして、一〇%以上違う場合を考えておりまして、一〇%以下の場合には、著しく迷う場合には、該当しないというふうに見ております。従いまして最低一〇%以上の原価の相違があつた場合には、一応別立ての原価を算定しまして、別立ての供給料金をきめることができるという方針にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/32
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033・永井勝次郎
○永井委員 東京、大阪、東邦は、大都市と地方との二本建になつておるのですが、その最低料金あるいは従量料金が、東京、大阪の最低料金については、地方の方が安くなつておる。ところが東邦の場合は、最低料金については地方の方が高くなつている。こういうふうに大都市と地方との料金差の比率等もそれぞれ非常に違うようでありますが、こういうような料金は、どうしてこういうふうになるのか、あるいは政策的なのか、原価計算的なものなのか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/33
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034・吉田剛
○吉田説明員 こういう相違ができましたのは、先ほど御説明いたしましたように、原価的計算だけでは決定、いたしておらないのであります。原価計算では平均原価を出しておりますが、その配分におきましては、必ずしも数字的なものでは行つていないということでございます。特に先ほど申し上げましたように、東京は地方の方が低いと申しますのは、普通の形で参りますと、東京の地方の最低料金はむしろもう少し高く決定すべきであつたのでございますが、これを逆に申し上げますと、先ほどちよつと触れましたように、その付近の同じような形態のガス事業と比較いたしまして、それ相当の最低料金をとつたということを、いたすことも考えておるという点が、こういうふうな形で現われたのでございます。従いましてその原価計算の場合におきまして、最低料金というもののその付近におきますものとの比較、あるいは今例にあがりました三社の各社の地方分との絶対的な価格というものと比較いたしまして、できるだけ一応それに近いものにしたいという考え方が、ここに織り込んであるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/34
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035・永井勝次郎
○永井委員 ガス料金の原価は、総括原価から副産物を控除したものとなつておる。その副産物はどうかというと、総収入の約四割を占めるコークスその他である。そうすると、企業全体の経営の内容から言いますと、ガス料金と控除されておる四割というものが、やはり経営上に大きな影響を持つておる。そういうものが現在は自由料金に放任されておる状況である。従つてこの、原価から控除されておる四割を占めるコークスの上下というものが会社に非常に影響するのに、六割のガスの料金だけで原価計算をやつておるというのはおかしいではないか。そうしてもしほんとうにガス事業そのものの企業の健全性、公共性というものをほんとうに考えて行くならば、四割を占むるコークスというようなものに対して、何らかの措置を講ずることが必要であり、ないしはかりにこれをわく外にはずすといたしましても、電気におけるところの積立金のように、コークスの変動の多い相場に対する調整積立金というような制度を、設けるなり何なりして、ガス事業全体の一つの安定性確立の方途を考えて行く必要があるのではないかと考えるのでありますが、この点についてはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/35
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036・中島征帆
○中島政府委員 その点ははなはなはだごもつともでありまして、ガスの場合におきましては、副産物のコークスの販売価格と、さらに基本的には、主要、原料であります石炭の価格というものに非常に左右されるわけであります。従つてある現実をとらえままして、その際の石炭ないしはコークスの市価というものを、基礎にして、原価計算をいたしまして、料金を定めるといことをしましても、その後におきまして石炭あるいはコークスの価格が非常に大きく変動しますと、当然にガスの原価に大きく響くわけであります。従つてもしそういうふうな変動がきわめて不規則に、かなり大幅にあるということで、あれば、何かその調整措置を制度上考えるということが必要でございますが、大体のところ傾向的に申しますと、石炭の価格と副産物の一番大きな部分を占めておりますコークスの価格というものは、大体並行して上下するのが通常でございます。従つてかりに石炭費でもつて相当な節約をすることかできたという場合におきましては、その反面におきましては、副産物の販売の面で、コークスの値下がりにしよる損失を受けて、その両者が大体において相殺するというのが普通の姿であります。しかしむろん実際にはそれが逆に行く場合もございまして、石炭は下つてもコークスは下らぬ、あるいはコークスだけ下つて石炭はむしろ上るというような逆のケースも起り得るわけでありまして、そういう点をそれぞれ調整することが必要であるかどうかということは一つの問題でありまり。ただ現在のところ、傾向的に今のような大体並行した関係があるということと、それからそういうふうな副産物あるいは兼業を持つということがガス事業の一つの性格であるとすれば、ガス事業の経営自体にそういう面からし手ある程度の弾力性が性格上持たされてある。従つてかりに一面におきまして、コークスの値下がりあるいは石炭費の値上りによつて、相当な損失あるいは経営上の不況を招いたということがあり、また他の面、逆な関係によつて、相当利益を上げ得たということがありましても、市況の変動によりまして、いつかはこれはカバーできるのだ、こういうふうな見通しをつけます場合には、ガス事業自体がそういうような弾力性を持つことによりまして、ある程度そういうふうな変動も認容し得るという観念を持ち得るわけであります。従つて一時的にかりに損失をこうむりましても、また近い将来においては、石炭の値下がり、あるいはコークスの値上りによつて、それをカバーすることができるというきたいのもとに、こういう副業を持つておる産業としては、必ずしもそれだけでただちにそういつたようなことを、いわゆる渇水準備金に調整する必要は、今のところないのではないかというように私ども考えております。しかし電気に渇水準備金の制度があり、あるには電気の石炭につきましてはいわゆる石炭調整という制度がありまして、炭価の上下によりまして、大口料金につきましては料金そのものも調整いたしております。そういう制度をガスについても置くということは不可能ではございませんが、石炭の面とコークスの面と両方をどういうふうな計算をするかという点につきまして、相当複雑なことになりますし、かたがたガス事業をそういうふうな弾力性あるものというふうに観念いたしますならば、多少の原料あるいは副産物の価格の変動は長い目でもつて吸収してしまうということで、一々それにとらわれないで成行きを見る。その結果かりにたとえば石炭の値段というものが長くあるレベルの次のレベルに変動してしまうということが見きわめられるような事態に至りましたら、その際それを基礎として料金を改訂するというふうな方法でいいんじやないか、今のところはそういうふうに考えておりますが、おつしやつたことは一つの研究問題としては今後もやはり考えなければならぬと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/36
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037・永井勝次郎
○永井委員 これは政務次官から御答弁をいただくべき政策的な問題だろうと思いますからお尋ねいたしたいと思います。ガス事業と一口に言いましても、企業の実態から言えばピンからキリまである。一億以上の会社と一億以下のものが六十幾つ、しかもその中には、東京瓦斯は四十二億、大阪瓦斯は二十億、そうかと思うと三十万か五十万の資本金の会社がある。こういつたふうにピンからキリまである。こういう企業の実態に対して、ガス事業法一本の取締りでいいのかどうか。これはガス事業法一本の適用によつて企業としては相当無理がかかるのではないか、こう思うのでありますが、この事業法一本で支障がないとお答えになられるのかどうか、この点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/37
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038・古池信三
○古池政府委員 公益事業といたしまして、ガス事業と電気事業とはよく比較されるのであります。かつて、電気事業表におきましても、一方において非常に大きな規模の事業があるかと思えば、一方においてはきわめて小規模な事業があつたのでありまして、すでに十数年前に相当これを統合して現在の九電力会社という事業形態になつて来たことは御承知の通りでございます。ところがガス事業におきましては、たとえば磁気のごとく長距離にこれを送るということも非常に困難でありまするし、また水力電源のごとく遠方に発生設備を設けねばならぬというような必要もございませんので、現在のごとく大きな事業もあり、また一方小さい事業もその土地々々の事情に応じて存在する意義があるわけでございます。そこでそのように規模の違つた企業を同一のガス事業法によつて規律することがはたして妥当なりやいなやというお尋ねと存じまするが、先ほど来御質問がございましたように、いろいろこの法律によつて規定しておりまするけれども、大体ガス事業の本質的な問題は、規模の大小にかかわらず存在するのでありまして、その公益性については何ら差はないと考えるのであります。ただ規模の大きいような事業につきましては、その内容の実態を把握するという面が困難ではないかという心配はあるいは出て来るのではないかと思いまするけれども、しかしまた大きい事業であれば、それについての科学的経営管理の方法も進んでおると考えられまするので、政府が監督する場合口におきましても、その点は監督しやすい、状況にある。さような意味合いから、小さい事業に対してこの法律で規律する場合におきましても、大事業に対してこの法律を適用する場合におきましても、さほど困ることはあるまいと存じております。従つて大小によつて法律を別にするということは、現在のところ考えておりません。しかし将来一本の法律によつて規制するということは非常な不都合を生ずる、とうていそれでは監督の目的を達し得ないというような実態が起りますならば、その際においてあらためて考慮したらいいだろう、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/38
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039・永井勝次郎
○永井委員 これに対する局長の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/39
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040・中島征帆
○中島政府委員 ただいま政務次官の申された通りでありまして、ただこの法律の運用につきましては、非常に大きなところと小さなところとは、会計の処理等につきましても同一にすることは若干無理な点もございますので、そういうものにつきましては、規則をつくります場合にある程度の簡素化等を小さな業者について考えるということは研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/40
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041・永井勝次郎
○永井委員 この事業法では事業の休止廃止は一許可制になつておる。しかし休止廃止を許可制にいたしましても、休止廃止の経済的な発生の事実というものは阻止できないんじやないか。これに対して、企業の健全性というか、そういうものに対する一つの裏づけとしてのものはほとんどない。ただ事業の休止廃止は許可制という一本で律しておるのですが、こういう組立ての上に立つて、企業の公共性というか、国民生活に非常に重大な影響のあるこれらのものが、企業自体の都合一本でやめたりあるいは始めたりかつてなことをしてよろしいのかどうか。こういう休業廃止の発生して来る事実に対してどういうふうに対処する考えか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/41
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042・中島征帆
○中島政府委員 ガス事業者が公益事業を営んで、おりまして、それが事故の考え方でもつて随時事業をやめたりあるいは完全に廃止するというようなことを起します場合には、これは非常に公益上不適当でありますから、そういうものを一応認可するというのがこの体廃止の規定でございます。しかしただいまお話の通りに、そのガス事業がきわめて適正経営が行われておりましても、いろいろな関係からいたしまして結局採算がとれずやめなきやならぬと、いうふうな事態が起るわけであります。そういう場合においては、いかにこういう保護規定がございましても、それをあくまで阻止して事業を継続させることは経済的に不可能でございます。しかし大体こういうふうな事態が起ります場合には、晋通はガス事業者そのものの従来の経営が適当でなかつたということに起因する場合か非常に多いのであります。そういうことがないように常に会計等を整理させまして、十分監査その他によつてその内容の改善をはからしめるというのがこの事業法の一つのねらいでもございますが、会計規定にもございます通りに、たとえばその会社の会計の整理の方法が不適当であつて減価償却も十分していないというような場合には、減価償却の方法等について政府から改称命令も出せるという規定もあるわけであります。そういうことによつてあらかじめ不振のガス事業者が事業を休廃止するような事態が起らないように防止することは当然監督上いたさなければならないわけでありますが、かりにそういたしてありましても、たまたまその事業の内容か非常に悪化いたしまして休廃止をするというふうな事態が起ることもあります。現実にそういうふうな例も一、二すでにございますが、そういう場合におきましては、単に現在の状況がきわめて会計上悪い、従つてこれ以上継続できないという事情は一応ありましても、さらにこれにある程度の改善措置を加えることによつての会社かさらに立ち直るということは可能でありまして、そういう場合におきましては、一許可を申請して来たときに十分今度ではつきりしなかつたことも突きとめまして、それに対して対策がある場合には、政府の方でも種種これにあつせんその他の努力もいたしまして持ち直させるということも可能でありまして、現実にそういうように行つた例もあるのであります。許可を受けさせるということは、いきなり経理内容の不良を理由といたしまして会社を閉鎖させるということではなくて、その前に一たん何らかの措置ができるような段階を聞くようなこともこの法のねらいでございまして、それをいたしましてもどうにもならぬ場合には、やむを得ず会社を閉鎖いたし、また廃止しなければなりませんけれども、廃止するまでに一般の需用家、つまり公共の利益を考えて、最善の努力をしてみるということがこの届出制度によつて可能になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/42
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043・永井勝次郎
○永井委員 どうもさきほど来ずつと聞いていると、局長は少し自意識過剰だ。行政措置なり監督行政でこのガス事業全体をどうにでもできるのだというような思い上がりがあるようです。行政は行政の範囲であつて、経済行為を左右するような能力はもちろんないのでありまして、私が先ほど来言つたように、そこには一つのシステムとして、そういう可能な条件をつくり上げで行かなければならぬ。局長や当局の主観的な判断や行政措置だけで、こういう経済行為がどうにでもなるような、そういう自意識過剰は捨てて謙虚になつて、そうしてシステムとして考えて行くという態度がなければいけないと思うのです。これは企業の休業、廃止についてだだ許可するというだけであつて、そこには何らの前提条件というものを考えていない。私はやはり上は四十何億の大会社から、下は三十万、五十万の零細な企業までこれを一緒にして、健全に発達させようとしてもこれはいかぬと思う。やはりガス事業にはガス事業の適性規模というものがあるだろうと思う。従つてこれをやつて行くためには、企業の一つの適性規模というものかあつて、その適性規模以下のものについては統合させるとか何かして、休業、廃止に至らない一つの最低の条件というものを吟味して出発する必要がある。そういうことなしに、ただ休業、廃止の届出をして来たら許可する、しないというだけの権限で、企業をどうでも左右できるような、そういう自意識過剰は取除かなければいけないと思うのでありますが、現在の企業に対して、適正規模の標準を置くことを考えているかどうか、あるいは零細なものについては統合させるとか、あるいはそういう不健全な適正規模以下のものについては、今後認めないというような方針を考えているかどうか、その点についてひとつ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/43
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044・中島征帆
○中島政府委員 ガス事業の規模につきましては、最近におきまして許可いたしますときの標準は、大体需用家が千五百ないし二千一以上なければそのガス事業が企業として立ち行かない、こういうふうに考えまして、千戸足らずの需用家しか獲得できそうもないものに対しましては、許可を押えております。従つて今後できて来ますガス事業者は、千五百ないし二千以上の需用家を獲得することができる見通しがはつきりしているものだけについて許可する方針でございます。過去におきましては、必ずしもそれほど大きな需用家を持つておらない事業者もございす。従つてそういうものを将来統合するかどうかということは、一つの問題でございますが、現在そういうふうな小会社が非常に経営の困難を来しておつて、このままではとうてい存続し得ないというような事態が起きました場合には、やはり企業形態といたしまして、統合なりあるいは買収なりということも考えるべきであろうかと思いますけれども、全般的の方針として、現実に千戸以下の需用戸数であるからというだけの事由だけで、今すぐ統合措置をするということは、まだ早いのではないかと考えるわけであります。
それから御注意のありました点でございますが、決してわれわれは、いわゆる行政措置でもつて積極的に指導しようというふうな意識はないのでございますが、ただ休廃止ということ、あるいはこういつたような事態が起きますときには、やはりガス事業自体が何らかの欠陥があつてこういうことが出て来るわけであります。その欠陥は人的な事由によることもありますし、また人と人との関係によつて、いろいろな感情のもつれ等によつて、そういうふうな結果になることもありますが、そういう場合におきましては、いわゆる第三者としての官庁がそこにあるということが、解決の糸口を見出すことにもなりますので、そういう場合に時機を失しないということのためには、やはり第十三条も役立つのじやないか、こういう趣旨で申し上げたことをお断りしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/44
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045・永井勝次郎
○永井委員 私はまだ大分お尋ねしたいことがあるのですか、きようはまだ柳原君が質問があるというので、最後に一点だけお尋ねしておきます。ガス事業は性格は公益事業であるということは、異論のないところであります。しかもそれは生活必需物資としての燃料問題であり、また国策としての燃料対策の問題でもありまして、これは公共事業としての性格を一層強めて行かなければならないし、そして目的は公共の福祉の増進である。それならば、この企業の公益性の性格と国民生活の福祉の増進というような目的、これらを結びつけた一つのシステムをほんとうに考えて行くということが出発点にならなければならぬ。先ほど来申しました通りに、この企業の実態というか、原価計算からいうと、六割がガスで四割は副産物であるが、副産物は原価計算その他から除外されている。監督の外である。こういうような企業の監督の中で、先ほど来いろいろ述べているように、私は利潤の上に立つ私企業の形態に放任しておいたのでは、これらの企業の性格及び企業の目的というものが、国民経済の立場とマツチしないと考える。つ従て従来こういつた公共事業というものは、そういう公共事業という名によつて金融のわくを優先的に受け、金利を安くしてもらい、税金を負けてもらうというような、あらゆる国家的な恩恵だけを受けている。そうしてもうけは自分の方でとる。これが公共事業の実態であり、そういう形態を支持してきているのが保守党のやり方で、ありますが、私は国民経済というような立場にこの問題をおろして、この公企業的な性格を正しく伸張させ、国民生活の福祉を増進するという目的を百パーセントに達成できるシステムとして考えますならば、これはどうしてもその段階として、管理の方法は国営的な方向でなければならない、こう考えるのでありますが、これに対して政務次官はどのように考えられているか。単に自由放任の、従来やつて来たやり方が行き詰まつてしまつて、現在では為替レートなんか改訂されなければいかぬともいわれ、日本経済を土台からゆさぶるような困難な条件に今ぶち当つていると考えますし、造船問題にいたしましても何にいたしましても、公共事業というような名においていろいろな汚職問題を起し、不正が行われている。たとえば石油の問題にいたしましても、石炭の問題にいたしましても、あるいは鉄の問題にいたしましても、兵器産業の問題にいたしましても、これらの今国会に持ち込まれているすべての問題は何かというと、これは公共的な事業である、国家的な事業である、従つて税の減免をしてくれ、金利の補給をしてくれと、こういうような企業自体の中における精進、くふうというようなものはそつちのけにして、まずそろばんの合うために国家財政に依存しよう、こういう形が出て来ている。国内においてはそろばんに合うかもしれないけれども、国際市場の場面にこれを持ち出すと、てんで競争力がなくて、国際経済から浮き上つてしまつておる、こういう事態が惹起されておるのでありますが、われわれはこのガス事業の問題についても今言つたような立場において、これは公営的な性格をより強化して行く方向にこの問題を持つて行くべきじやないか、こう考えるのでありますが、これに対してどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/45
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046・古池信三
○古池政府委員 ただいまガス事業の公益性につきまして御高説を承りましたが、まつたく私もその点は御同感でありまして、ガス事業に申すまでもなく公益事業としては最も代表的なものの一つであるということを考えております。従つてあくまでも国民生活、公共の利益福祉の増進に役立たせるものでなければならない、これは御指摘の通りでありますが、また一面におきましてはやはりこれも一個の事業でありますから、事業として健全かつ最も能率的に発進して行くということが望ましいのであります。それがすなわち反面からいえば、サービスもよくなり、また料金の値下げというようなことも考えられるということになれば、結局終局的には公共の利益に合致する、かように考えるのでありまして、その意味においてはできる限り事業経営上の自主的な活動、適正なる能率の増進ということを期待したいと思うのであります。従つてガス事業につきましてわれわれはただ単に自由放任というような政策はもちろんとらないのでありまして、国家が相当の保護を与えると同時に、また相当強い監督もいたしておるような次第であります。
副産物のお話がございましたが、これはガス事業に当然付帯しておる副産物であります。これ自体をとつて考えますと一般のガス供給とに別のようでありますけれども、しかし経理の面からいえば非常に重大なる関連を持つておるという点も御指摘の通りでございます。しかしただちにこれらの価格その他について国家的な強い統制を加えるということが是か非かということは、相当に私は問題があろうと思うのであります。しかしあくまでも政府としてあるいは行政官庁として公共事業を監督して行きます場合には、法律その他のわく内におきまして、ただいまお言葉のありましたような主観的な、あるいは思いつきのようなことはやるべきではないということは私も確かにさように考えております。でき得る限り客観的な標準を設け、また将来事をいよいよ科学的に運用して行かなければならぬということは御同様に考えております。ただ今ただちにこれを国営にするとかあるいは国家管理的な事業にするということは現在考えてはおりません。先ほど申しましたように、一面においては事業者の自主的な活動、適正なる活動ということを十分に期待し、これによつて日本のガス事業の能率を高めて行くと同時に、これによつてまた公共の福祉に合うように監督して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/46
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047・大西禎夫
○大西委員長 柳原三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/47
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048・柳原三郎
○柳原委員 私はガス事業法案とガス事業五箇年計画に関連しつつ、質問をいたしたいと思います。
わが国の燃料資源の有効利用と木炭資源確保の観点から、燃料政策について長期の対策を立てようとする政府の態度には賛成でございますが、それについて、いろいろの疑問があるがゆえにあえて質問をする次第でありますが、現在石炭ガス、天然ガスの供給事業を行うところの株式会社で、ありますがその数は六十七社となつております。その資本金はあなたの方の資料によりますと、全部で八十八億である。そのうちで東京ガス、大阪ガス、東邦ガスが八五%の資本を占めておる。それからまたこの三大会社によつて全国のガスの供給料の八二%を占めておる、こういう数字が載つております。残りの供給量の一八%を残余の六十幾つの会社で供給を行つておる、こういう現状でございますが、この三大会社は、三大会社以外の今言いました六十幾つの会社と資本的に結びついておると思います。一つの例を上げますと、東邦ガスは岐阜ガス株式会社の資本の半分以上も持つておる。これは一例でありますが、この三大会社と残余の株式会社、石炭ガスの株式会社について、資本についての結びつきのぐあいについて御説明が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/48
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049・中島征帆
○中島政府委員 具体的に持株の状況を調査したものがただいま手元にございませんので、後ほど調査いたしますが、今の三大ガス会社形態というものは、戦争中のいわゆる統合の方針によりまして、近傍あるいは資本的につながりのあつたものを一全部吸収合併したような形が現在の姿でございます。従つて今日残つておりますいわゆる傍系あるいは資本的な関係のある会社ももちろん絶無ではございませんけれども、その数あるいは範囲はそれほど大きくはないんじやないかというふうに考えておりますが、具体的なものは後ほど調査いたしましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/49
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050・柳原三郎
○柳原委員 それは資料として後ほど提出していただけばけつこうでありますが、資本の占める率に八五%であり、供給料は八二%であるという資料になつておりますが、実際において三大会社は資本においても、供給力においても、その質の点においては、九〇%を上まわつておるんではなかろうかと思うのであります。要するに今永井さんもやや触れられ出したが、非常に独占企業的な形態を持つておるのが今のガス会社の実情であります。それについであなたの方から提出せられました資料によつて研究いたしてみますと、昭和二十七年の末で、この三大会社の資本金は大体三十八億円となつております。それからこの三大会社で、社債を四十六億持つてたります。それから銀行借入れを九十六億持つております。要するに自己資本と社債、銀行借入れ、いわゆる負債との比率を検討いたしますと、自己資本が二十一の割合において、借入金の率は七十九、二十一対七十九の比率を示しております。その銀行借入れを、さらに追究して参りますと、開発銀行から九億五千万円借りておる。それから興銀から八億四千万円借りおる。勧銀からは、六億借りておるということになつております。そこでいよいよガスは五箇年計画が始まて参るのでありますが、あなたの方の資料によりますと、これからガスが大体戦前の程度まで普及するには、五百四億の設備資金等か必要であるといつておられます。そうするとこの五百四億が、どのような形でこの会社に流し込まれて行きますか、今言いました二十一対七十九の比率は、ぐんぐんと開いて来ると思うのであります。要するに自己資本、たとえて言うならば、一〇の制令に対して借入金が、特に開銀などからは九〇——一〇対九〇の比率になるかもわからない、しかしこれはわからないが、いずれにしても一二対七九の比率がだんだん開いて行く。こういうふうに考えられて来るのでありますが、五百四億にこれらの会社にどのような構想をもつて流し、流したときにこれらの自己資本はどのくらい払い込ませるのか。そういう見通しについて、五箇年間の見通しというものが何年に幾らするということはできないでありましようけれども、開発銀行はこれくらい、資本金ではこれくらい、社債ではこれくらい、こういう構想があると思いますから、それを御説明が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/50
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051・中島征帆
○中島政府委員 五箇年計画の所要資金五百四億の調達の方法は、これは今後の問題でございますが、希望といたしましてはできるだけ開銀資金の比率をふやしたい、こういう希望はございます。しかしその実現性その他から考えまして、現在で大体の内訳をこういうふうに考えております。減価償却あるいは積立金というような内部留保から百五十億程度、それから増資を百十億程度、合せて二百六十億くらいを自己調達いたしまして、残りが借入れになるわけでありますが、借り入れる内容といたしましては社債を約百四十億、それから長期信用銀行等から約百億、市中から残りの百二、三十億を調達したい。そういたしますと残り百六十億ばかりになりますが、これは政府の財政投融資、つまり開銀に期待したい、こういうのが一応の何でございます。電気の場合には、大体所要資金の三分の一程度を現在のところでは開銀に依存しておりますが、この場合にも大体率から申しますと総額においては二割くらいの程度でございます。五百億に対しましては約三分の一でございますが、実際の自己調達資金に全部で、先般申し上げましたように返済金等も入れますと八百億になります。それと比べますとやはり二割くらいのものを開銀に期待したい、こういうような計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/51
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052・柳原三郎
○柳原委員 昭和二十七年の末ではこの三大会社の資本金は三十八億でありましたが、現在は資本が増加されまして、昭和二十八年六月末では五十五億となつております。その間に十八億ほど資本がふえておりますが、その期間中に銀行借入れはあつたかなかつたかを御説明が願いたい。これは資料がないわけです、資本増加の資料はありますが、銀行借入れのその間の移動が知りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/52
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053・吉田剛
○吉田説明員 二十八年度におきます資本金の増加その他につきまして御説明いたしますと、二十八年末におきましての資本金総額は八十九億になつております。いわゆる二十七年末から二十八年末までに、この間株式で増加いたしました額は二十七億七千五百万円でございます。それから二十八年度中に社債で発行いたしました額は十四億六十万円でございます。開銀から借入れいたしました二十八年度中の借入金は、八億三千五百万円でございます。興銀から借り入れましたものが八億四千七百万円、長期銀行から借り入れましたものが六億九千万円、その他の金融機関開から借りましたものが二十二億一千三百万円、ちよつとはしたがございますが、そういうことになつております。それから貸付信託から借り入れましたものが四億でございます。合計外部資金調達は、これは株式も一応外部のものといたしますと九十二億二千八百万円でございまして、そのほか内部資金といたしまして社内留保あるいは減価償却から引当てましたものが三十七億六千五百万円程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/53
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054・柳原三郎
○柳原委員 その数字を寄せると、計算はあとにいたしまして、要するに相当額の銀行借入れと、いうものを持つておることは事実であります。そうすると、この三大会社は銀行に対して担保設定はどういう程度にやつておるか、御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/54
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055・吉田剛
○吉田説明員 現在のところは、ガス会社は工場財団をこしらえまして、その工場財団ごとに各銀行に担保設定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/55
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056・柳原三郎
○柳原委員 これは、担保は全部入つておるというふうに解釈していいのですか。結局一つクツシヨンがあるけれども、全部工場は担保に入つておるというふうに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/56
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057・吉田剛
○吉田説明員 これは工場によつて非常に違いますが、担保権を設定しないで借り入れておるものも一部分ございますが、大部分は一応担保権は設定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/57
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058・柳原三郎
○柳原委員 そこら辺ちよつとわかりにくいのですが、そうするときようの原価計算の資料によると、市中銀行の金利の平均は一割というふうにそろばんを入れておる、こういうふうな構想に立つておられるのですが、それを担保に入れれば、この原価計算の一割という考え方には相当ずれがあるんじやないか。担保を入れずにおくから金利が高いものを借りておるのじやないか。そこらへんについてお考えを聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/58
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059・吉田剛
○吉田説明員 担保につきましては、今御説明のように、長期担保を入れますと、市中金融につきましては御承知のように八分五厘ないし九分ぐらいでございます。原価計算においては一割を入れておりますが、実際上一割は最高金利として一応考えておるのでございまして、現実に原価計算をやります場合には、支払い金利を全部具体的に洗いまして、その他のものも入れております。従いまして、われわれといたしましてはそういうことはないと考えておりますけれども、中にいわゆる市中の金融機関といいますか、普通の銀行でないところから高利の金を借りましても、その金利につきましては一〇%以上は認めないという考え方なんであります。従いまして原価計算をやつております場合の金利のはじき出し方は、一〇%というのは決して一〇%をすべて入れておるというのじやございませんで、予定されておりますいろいろな資金借入れについて具体的な金利の支払い額というものから考えておるのでありまして、たとえば工場等の設備費等につきまして借りておりますものが、具体的に八分五厘の金利で借りておるとしても、それはそのように出して計算いたしでありますので、その点は狂いはない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/59
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060・柳原三郎
○柳原委員 五箇年計画に五百四億の金が必要である。この五箇年計画の五百四億については、先ほど積立てが幾ら、開銀での借金が幾ら、増資で幾ら、こういう御説明がありましたが、市中銀行からも百二十億ほど借りたい、こういうことを言つておられますが、金融市場における調達というものは、会社の収益率、極論を吐くならば配当率に大いに関係があると思います。そうするとあなたは五箇年計画のうちで、増資を百十億ほど期待されておるが、一五%の配当を、適正利潤と認めなければ百十億の増資が期待できない。また市中銀行からの借入れが百二十億できないんじやないか、そこら辺に配当と資金調達に微妙な関係があると思いますが、十五%という配当はこういうガス会社などというものは絶対に欠損はない会社であります。欠損すれば政府が何らか手を打つて参りますから、絶対欠損のあり得ないという会社に適正利潤として配当は一五%認めるということはおかしいと思う。この点永井さんからもちよつと触れられたようでありますが、一五%配当するということは、銀行からも金が借りいいように、それからまた増資も楽にできるような含みをもつて適正利潤として配当は一五%である、こういうふうに考えられたようにうかがえるのですが、その辺の微妙な関連について、ひとつ御説明が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/60
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061・中島征帆
○中島政府委員 ただいまの点は御指摘の通りであります。実はきのうも金融の方の専門の話を聞いたわけでありますが、その人の意見では、これは参議院の委員会のときの発言でございますけれども、大体電気、ガスといつたような公益事業がその株価を保つためには、現在のような金利の状況のもとにおいては配当は一割二分は必要である、それで一割二分の配当であれば株価は額面程度は保てる。しかしもし増資をしようということになると、一割二分ではこれはちよつと不足であつて、一割五分はほしいんだ、こういうふうな発言がありました。今までのわれわれの考え方も大体そういつた判断に基きまして、この原価を算定しておるわけでありますが、ガスにつきましては、必ずしも電気と同じような事情ではございません。しかもガスについてまた料金の原価算定というふうな問題が表面化いたしておりませんので、もしその時期になりました場合には、今と同じような論理で行けるかどうかということは、そのときの情勢によりますが、現在のような前提のもとにおいては、やはり最小限度の配当率が一割二分であります。また将来増資、借入れ等を円滑にやろうと思うならば、一割五分くらいまでは必要であろうというふうな判断がされるのじやないか、こう考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/61
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062・柳原三郎
○柳原委員 これを議論しておりますと長くなりますので簡単に私の意見だけを申し述べておきます。要するにガス事業五箇年計画というりつぱなものはできたけれども、このガス会社にうんと配当させてやれば資本も自己調達で安易にできるんじやないか、そういう構想のもとにこれができておるような気かしてしようがない、こういうように私は考えるわけなんであります。そこで高率配当一五%を適正利潤であるというような考え方が出て来ると思います。これはまた時間が三十分でありますので、先を急いでおりますから後日の質問に譲ることにいたしまして、その点はそれで打切ります。
それからこのガス事業法の第十二条であります。十二条にはガス事業者はガス事業以外の事業を営むことを禁止しておるのであります。但し、通産省の省令で定める事業についてはこの限りではない、通産省の省令において許すことのできる事業についての考え方があると思います。どういう事業なのか御説明が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/62
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063・中島征帆
○中島政府委員 これは現在でも省令で除いておりますが、当然にこのガスを生産するに伴いまする副産物でありますコークスあるいはタール製品については、これは許可を受けなくてもできるというふうに一般的に禁止を除外しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/63
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064・柳原三郎
○柳原委員 それに関連して来るのでありますが、このガス会社のいわゆる重役と申しますか、経営者あるいはまた株式会社そのものが出資をしたこれらに関連する産業の会社が現在あるかどうかということを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/64
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065・中島征帆
○中島政府委員 これはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/65
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066・柳原三郎
○柳原委員 それは数はどのくらいであつて、資本はどのくらいのものであるか、その資本構成についてひとつ資料を提出してもらいたいと思います。それから永井さんが触れられた点で重複するようでありますが、私たちはかつてあの戦争中に公定価格というものをつくるためにいろいろとその衝に当つた男でありますが、率直に申しまして、このガス料金をあなた方がいろいろ研究してきめられるが、業者たちの——今ガス会社がそうであるとは私は断定いたしませんけれども、あの過去の経験というものは非常にずさんといいますか、ごまかした計算のもとに公定価格を申請し、この許可が下りてやれうれしやと思いましても、次から次とインフレになつておりますので、ついやみの値段が起つて来た、あの公定価格というものは一度きまりまして物価が安定しておればあれでよかつたものを、物価統制令違反というものは物価が次から次に上つて来んだめに起つて来たのであります。現在のごとく物価が横ばいの状態のときに、このガス料金決定については非常なる注意を要することはもちろんでありますが、あなた方の資料というものは、あなた方か会社へ行つていろいろ帳面を見られることもあるでしよう。しかしそれはあなた方とガス会社の常に一方的な話合いのもとにきめて行かれる、他方はだれかというといわゆる消費者であります。消費者の声はガス料金値上げ反対、電気料金値上げ反対と言つておりますが、具体的な資料をもつて反対しているのではありません。そこでどうしても業者の圧力の方があなた方に強く響いて行く、そこにガス料金が実際と食い違つたものができてやしないか、そういうことを心配するのであります。永井さんも心配せられたのでありますが、この原価料金をきめるというときに、どれが適正であるか、いろいろ載つておりますが、ひとつ厳密にやつてもらいたい、きようもらつた「ガス料金原価の算定について」という資料について、一覧しただけで検討してありませんからわかりませんが、いろいろ要素別の説明というところがありますが、そのどこにも役員の報酬とかそういう問題には触れておられませんが、これは小さい問題だから触れられないかもわかりませんが、一体役員の報酬などについては、やはり今政務次官が言われた、一方においては私企業であるからという考え方のもとに、株主総会だけに一任されておりますか、あなたの方で一定の基準というものを持つておられるか、どういうものか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/66
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067・中島征帆
○中島政府委員 現在のところ役員の賞与金等については、政府の方で一定の基準をもつてそれを律するという考えは打つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/67
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068・柳原三郎
○柳原委員 賞与と言われましたけれども、私は報酬も賞与も株主総会に依存しておられる、こういうふうに解釈できるのでありますが、要するにどういう給料、報酬、賞与などをとつておられるか、そこまでわれわれは追究できないかもわかりませんが、いずれにしても、その役員報酬、賞与金などの資料もいただきたいと思います。と申しますのは、要するにガス料金のマル公というものをきめておいて、これが適正利潤だと言つておる一方においは、同じ資本、同じ経営者の資本で傍系会社というものをつくつておる。要するにトンネルのごとく誤解されることも多いのであります。ガス会社はこのくらいしかもうかつていないのだと言われましても、トンネルがつくつてあればだめであります。いろいろうわさを聞くのでありますが、そこら辺の役員の動き、傍系会社の資本構成、そういうものについて資料をいただきたいと思います。私は時間がありませんのでこの続きは後日の機会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/68
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069・大西禎夫
○大西委員長 それではこの際暫時休憩いたします。
午後零時三十分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01919540306/69
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