1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月十日(水曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 大西 禎夫君
理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君
理事 中村 幸八君 理事 福田 一君
理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君
理事 加藤 鐐造君
小川 平二君 始関 伊平君
田中 龍夫君 土倉 宗明君
笹本 一雄君 長谷川四郎君
柳原 三郎君 齋木 重一君
帆足 計君 伊藤卯四郎君
中崎 敏君 川上 貫一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 中島 征帆君
委員外の出席者
通商産業事務官
(公益事業局ガ
ス課長) 吉田 剛君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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三月六日
商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七七号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
同日
大阪工業技術試験所四国出張所の地方移管反対
の陳情書外一件
(第一四
九八号)
石炭鉱業対策に関する陳情書外一件
(第一五六七
号)
石油輸入対策に関する陳情書
(第一五六八号)
イラン石油の輸入に関する陳情書
(第一五六九号)
同
(第一五七〇号)
同
(第一五七一号)
同
(第一五七二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七七号)(予)
ガス事業法案(内閣提出第一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/0
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001・大西禎夫
○大西委員長 これより会議を開きます。
まず去る六日本委員会に予備付託されました商品取引所法の一部を改正する法律案について、その提案理由の説明を求めます。古池政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/1
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002・古池信三
○古池政府委員 ただいま議題となりました商品、取引所法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申し上げます。
現行商品取引所法、昭和二十五年法律第二百三十九号が施行されましてから約三年を経過いたし、その間に設立されました商品取引所も二十を数えるに至つたのでありますが、商品取引所の公共的機能と性格とにかんがみ、かつまた現行法施行後の経験にも徴し、商品取引所の設立を許可制にするとともに、その運営の合理化をはかるため、現行制度に適正な改善を加える必要を痛感するに至つたのであります。本改正法律案は、右の趣旨から、それぞれ必要な事項の改正について立法化するために提出したものであります。
その内容について御説明いたしますと、第一は、商品取引所の設立を許可制に改めたことであります。現行法は、自由設立を建前として登録制をとつているのでありますが、商品取引所の公共的機能と性格とにかんがみ、投機市場化するおそれがあつたり、その他健全な発達を期待できないような取引所の設立を抑制できるような体制をとることが必要と考えられるからであります。
第二は、定款の変更及び業務規程のうち重要事項の変更については、主務大臣の認可を要することとしたことであります。現行法では、これらの変更は単なる届出で足りることになつておりますが、このような体制は、公共な相場の形成、過当投機の防止または委託者の保護に遺憾ないようにする見地からは、不十分かつ不適当と考えられますので、この点を改善しようとするものであります。
第三は、商品取引所の運営の合理化をはかるために必要な制度の改善を行うことといたしたことでありまして、そのおもな点を申し上げますと、一、会員信認金、仲買保証金及び売買証拠金に充用することができる有価証券の範囲を拡張したこと、二、議決権及び役員の選挙権については、定款の定めるところにより、書面または代理人による行使を認めることとしたこと、三、取引所は、売買取引の公正を確保し、または委託者を保護するため特に必要があるときは、二以上の商品市場において、または他の取引所において売買取引する会員または商品仲買人の純資産額の最低額を定款で定めるところにより加重することができるものとしたこと、四、持分を承継して会員となつた相続人または受遺者は、被承継人の未決済の売買取引にかかる権利義務を承継するものとするとともに、脱退した商品仲買人でも脱退前にした委託にかかる未決済の売買取引の決済を結了できるようにしたこと、五、会員の脱退の予告の最低期間については、現行法では六十日となつているのを三十日に短縮したことなどであります。
以上三点のほか、本法律案におきましては、今次改正を機会に、他の法律との均衡を考慮し、罰金及び過料の額を引き上げるとともに、その他所要の条文整備を行うことにいたした次第であります。本改正法律案の内容はおおむね以上の通りであります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/2
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003・大西禎夫
○大西委員長 次に小委員会の参考人の件についてお諮りいたします。
本日午後一時より開会の中小企業に関する小委員会に、参考人として全日本中小工業協議会中央常任委員太田義雄君より意見を聴取いたしたいとの小委員長よりの申出がありますので、これを許可するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/3
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004・大西禎夫
○大西委員長 それではそのように決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/4
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005・大西禎夫
○大西委員長 次にガス事業法案を議題といたします。質疑を継続いたします。伊藤卯四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/5
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006・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 先般来同僚各位からそれぞれこの問題について質問されているのでありますが、私も最も具体的な事例について、それぞれ質問をしようと思うのであります。
まず最初にお尋ねしたいのは、公益事業としてのガス事業のあり方の点についてであります。ガスは御承知のように経済的に非常に割安な点並びに都会生活に最も適合した点、これらが都会人の家庭生活燃料として最適なものであることは申すまでもありません。また国家的に見ても、森林資源の濫伐などを防ぐ点からも、石炭を科学的に消費する熱経済の総合燃料の国策上から見ても、今後の都市にはますます発展普及せられなければならないということも公益事業として当然なことであります。その企業規模は大小さまざまでありましで、その差はきわめてひどいのであります。大きいのは資本金が四十数億円という大会社があるかと思えば、一方にはわずか三十万か五十万のものもあるのでありまして、大体五つの大会社を除けば資本金はいずれも一億円以下のものが六十余の小企業として多数存在しておるのであります。公益事業としてかくのごとく小規模の経済基礎の薄弱なものとして、一体その使命を達し得るのかどうか、公共福祉の使命を達しておるのかどうか、こういう点をひとつ具体的にそれぞれ説明願いたい。さらに今後かかる小規模のものを統合して経済的に基礎を強固にするとともに、技術を向上さすことが公益福祉増進をするためにぜひ必要と思うが、今後政府は、これら弱小企業を漸次統合する方針があるかどうか、それともこのまま自由放任しておくつもりであるかどうか、そのような形で公益事業としての使命を十分達し得るとお考えになつておるかどうか、ガス事業には最も経済的な規模単位というものがあるのかどうかという二とを疑わざるを得ない点がありますが、こういう点についてもひとつ御説明願いたい。また私企業としてガス事業を起す場合に、需用家軒数というものの最低限度をどの程度にするという一応のそういう計画の上に立つてやらされておるのかどうか、こういう点も具体的に明らかにしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/6
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007・中島征帆
○中島政府委員 ガス事業の形態が、大都市と地方によつて規模が非常に違つておることは御指摘の通りでございまして、現在においては、従来許可されたガス事業者の中では、需用家の戸数も非常に少くて、経営が必ずしも安定していないというようなところもございます。今後の方針といたしましては、大体千五百戸ないし二千戸が最低限の需用家戸数であつて、それ以下ならば大体ガス事業としては、成り立たないというような見解をわれわれは持つております従つてそれを基準として、それ以上の需用家を獲得できそうもない地区におきましては、許可は抑える、現在はこういう方針で臨んでおります。それで今ありますそういつた地方の小さな会社が義務を果しておるかどうかという点につきましては、現在許可されております会社がガス事業の法律に基きます本来の義務を完全に果すように、当局といたしましても監督をいたしております。また事業者としてもそのように活動しておるわけでありますが、なかなか大都市と違いまして、地方ではガスに対する需用が必ずしもそれほど多くない。ことに地方におきましては、ガス以外の本質燃料等の獲得が容易であることから、必ずしもガスになじまないというふうな関係もございまして、ガス事業を起こしましても、相当密集した戸数があつても、その全部がガスを引くというところまでには参つておらないのであります。従つて地方においても大都市と同様にその普及を考えるということは、ちよつと困難でもございますので、従つてこれはやはりその実情に応じた形で自然に発達して行くということに考えざるを得ないのであります。ただこういうふうに規模が小さくて資本力も小さいというふうな会社がありますことは、そのサービスの面から申しましても、あるいは料金の点から申しましても、大会社に比べると、決して有利でないということは事実でございまして、できればこれをできるだけ大きな形にするということが望ましいわけでございます。しかしガスにつきましては、御承知のように電気と違いまして、すべての家がガスを引くというような性質のものではありませんし、また電気のごとく送電線等によつて全国に連繋しておるというふうな事業でもございませんので、それぞれの都市あるいは町が連絡なしに独立してガスの事業を形成しておるというような実情である。従つてこれを一つの大きな企業に統合するということが、すなわちその事業を大資本の力でもつて大きく改善して行くことができるというふうには考えられません。ではその点はどういういうふうにしたらいいかということにつきましては、われわれも研究いたしておりますが、まだ結論を得ておりません。従つてガス事業につきましては、現在すぐに小規模な地方ガスをある程度の規模に統合して参るということについて、積極的にそういう方策を進めるというふうには、現在までのところまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/7
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008・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうも説明を伺つておると、自信がなくて法案を出しておられる、ように思います地方においてよ、自然発達のままに放任しておる。またその結論というものも、十分確信を持つておらぬということになると、私どもはこの法案を審議するにあたつて非常に疑問を持たざるを得ません。少なくとも政府がしかも公益事業について法案を出される場合において、過去においてこのような弊害等があつた、公益事業に沿つておらぬ、そこでこれらの遺憾の点にかんが見て、今後はかくして公衆奉仕をさすために、万全を期するために法案を出したのだということでなければ、われわれはこの法案を信頼して審議することはできない。私はその点をはなはだ遺憾に思うのでありますが、論議の点はあとですることにして質問を進めて行きます。
次に企業形態についてでありますが、現在のガス卒業は私企業の会社経営あるいは組合——組合というのは御承知のように奈良県の丹波市町に上水道ガス生活協同組合というのがありますが、この企業形態別の優劣の差というか、そういう点は多分おわかりになつておると思う。それでこれを比較したものをひとつお示しを願いたい。今後の都市のガス事業形態として、いずれの形態を理想的なものと考えておられるか。これは長い経験上、また行政監督をして来ておられる関係上、国家としては当然かくあるべきだというものがあろうと思うから、それらの点をお示しを願いたい。
なお丹波市町の組合は、もし組合員のみに供給するものとすれば、一般の供給とは認めがたい。従つて、ガス事業とは、一般の需用に応じ、導管によりガスを供給するものとなつておるから、これを特定の供給と思うか、どうかこれらの点についてどのような解釈を持つておられるか。今後ガス事業のごとき公益事業は、公営か国営形態か、もしくはその中間的なものなら強度の国家管理の形態とすべきであると思う。そうでなければ、われわれは公共事業としての目的を完全に達し得たいと思うが、この法案を出されるにあたつて、そういう点等をどのようにお考えになつておられるかを明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/8
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009・中島征帆
○中島政府委員 ガス事業の形態に現在組合経営もございますし、私企業の会社経営等、いろいろな形態がございますが、従来の成績から申しまして、組合の形による経営というものはあまり成績がよくないようであります。ガス事業は、今日までの実績から申しますと、会社経営のものがほかに比べると概して成績が上つておるということになつておるわけでありまして、理想として、どういうふうな形がいいかということは別問題でございますが、今日までの実績はそういうふうな形であります。それから組合経営というものは、組合員になつた場合にガスの供給を受けられるということでありまして、組合員以外に対してガスを供給することになりますと、組合の経営を逸脱することにもなります、また組合の本旨にも沿いませんので、そういう場合におきましては、組合員外に供給する場合には、その者が組合員になつた際に供給を受ける、こういうふうな形をとつておるわけであります。従つてその場合には、いわゆる特定供給という考え方ではなくで、大体供給を受けたい者が組合員になるということで、一応実質的には組合は開放されておる。従つてだれでも供給を受けたい者は、組合員になるという形を通して供給を受けられるという形になつておりますので、従つて特定供給でなくてやはり一般経営である。従つて一般のガス事業者と何ら異なるところはないというふうに考えまして、普通のガス事業者としての法律の適用を受けておるわけであります、それから将来どういうふうな形態であるべきかという問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、先ほど申しましたような、今日までの実績等に徴しました場合に、やはりガス事業の実態を考えまして、電気と違います点を考慮いたしますと、相当大きなところまでまとまつて統一的に経営するというふうな必要性がそれほど大きくない。従つてかりにたとえば電力等につきまして国営というものが問題になつた場合におきましても、ガスについてはその度合いがそれよりまた少し下になるというふうに考えざるを得ない。言いかえますならば、東京、大阪のごとき大都市におきましては、ガスにかわるべき可燃料の獲得が非常に困難である。従つてガスの家庭における重要性というものは非常に大きくなりますけれども、これがだんだんいなかに行くに従いまして可燃料というものは増加いたしまして、必ずしもガスが有利でないという点が出て来ます。それが現実にガスの需用家の普及率がそれほど大きくないという形で現われて来ます。そういう関係がございますので、全体的にガス事業一般としてこれを強力に国家で管理する、あるいは一層公益的な色彩を強く打出した規制をするというふうなことは必ずしも適当ではないのではないか、こういうように考えております。従いまして現在出しております法律では、一応全般的なガスの事業に対します規制は、大体電気と相似通つておりますけれども、特に地方の小ガス事業者に対しては、こまかい手続あるいは命令事項等につきましては、政令あるいは省令によつてこれを免除するというふうなことも考えておりまして必要な程度の規制をはかる。大都市のガス事業につきましては、相当な監督もいたしますけれども、地方につきましてはそういうふうな、いわゆる自由企業的な色彩が次第に強くなりまして、そこまであまり立入つたことはしない方がいいのではないかというのが現在出しております法律の建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/9
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010・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 今答弁を伺つておると、どうもガスを公益事業として営んで行くについて自信を持つておられないように私は思うのです。中央であろうと地方であろうと、ガスが大衆の家庭生活での切実なる事業であることは言うまでもないはずです。そういう点からこれが公益事業と称されておる。公益事業であるなら、その生活へ奉仕さすことを明らかにすることが、公益事業の使命を全うすることであると思うのである。どうもそういう点に対して自信を持つておられないようであるが、はなはだその点は私ども遺憾に考えておる。
さらに私がお尋ねしようと思うのは、供給義務についてでありますが、本法案では供給区域は許可制になつておる結果、第十六条供給義務の規定において、「ガス事業者は、正当な事由がなければ、何人に対しても、その供給区域におけるガスの供給を拒んではならない。」ことになつております。区域内の需用家に対しては差別なく公平に供給しなければならない旨が規定されておる。しかし実際のガス申込みの場合にあたつては、たとえば東京都の場合、ガスの申込み要求はほとんど拒否されておると言つても過言ではありません。たまたま受付けられる場合も、ガス・ストーブ、ガスぶろを買えとか、ガスこんろと抱合せの申込者が優先的に供給を受けるとか、単にガスこんろ申込者はあとまわしになつて容易に供給されないということを、おそらくあなた方も耳にしておられるだろうと思うのであります。これはわれわれが至るところで困つておる人の切実な訴えをしばしば聞くのである。かかる不公平な選択供給は本法案の十六条の正当な事由なくしてということと相反する。正当な事由というのは具体的にどういうことなのか。正当でない状態が非常に大きくちまたに起つておるのであるが、正当な事由というのはどういうことを言われるのであるか。現実の状態等に照らしてわれわれはこれを知ることができないのであるが、この点ひとつ明らかにしていただきたい。
また戦時中の昭和十六、十七年に比べて、全国需用家件数は約八割程度にすぎないが、総使用量では三割も増加しておる実情であるので、一件当りの使用量は戦時中の五割以上であります。これを換言すれば、ガス事業者が小需用家の多数に分散供給するよりも、多量使用の少数需用家に集中供給する方が経済的にはるかに利益であるために、かかる営利的な営業方針を実行しておることを如実に示すものであることは御承知の通りであります。この実情を見て、私企業としてあまりに営利的といわざるを得ないのであるが、さきに私が述べたように、うわさばかりではなくて、真実であるということをわれわれはここでも知ることができるのである。多数の零細需用家は割安のガス供給の恩恵に浴することができない。少数の金持ち階級だけがこれを受けることになつておる。公益事業のあり方としてかかる営利的方針を今後も業者に持続させる方針であるかどうか、それとも今後は奢侈的な少数のガス・ストーブ、ガスぶろなどを抑制して、これらを多数のガスこんろ需用家に送り、従来の方針を一擲して一需用家当りの使用量を増加し、普及向上さすという点に重点を置くべきであるか。これが公益ガス事業の根本的使命でなければならぬと思うが、これらについてどのようにお考えになるか、これらのガス事業に対して今後どういう監督、指導をして行かれるつもりであるか。これはやはり具体的な点でございますから、ひとつ具体的に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/10
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011・中島征帆
○中島政府委員 ただいまの問題は非常に重要な問題でございまして、われわれもかねてからこの点につきましては注意を払つておるところでございます。需用の申込みに対しまして、ガス会社の工事能力、あるいは毎月実際にガスをとりつけます件数というものが非常に少い、その結果、申込みをいたしましても、なかなかガスがつけられないというのが、一般の非難の的になつておりますが、この点はガス会社といたしましては、十六条にあります通りに、公正な見地から何らそこに差別なく、順次とりつけをすべきであるということは当然でございます。ただその過程におきまして、たとえば御指摘のようにストーブあるいはガスぶろとの抱合せをやつた場合に、そのものが早くガスのとりつけがなされるというふうな事例もかつてあつたようでございますが、そういう点につきましては、当局といたしましてもかなり厳重に警告をいたしております。また会社といたしましても、これは会社の根本的な方針でなくて、末端におきます若干の行き違い、あるいは行き過ぎ等の関係からそういうふうな事例も出たということで、最近では完全にその点はないように改めております。むろん将来におきましては、そういうふうなことはやるべきでもありませんし、また他面から考えまして、現在ガスの需用が非常に旺盛でありまして、供給能力からいたしましても、まず炊事用のガスを普及するということが第一義であるにもかかわらず、ストーブあるいはふろといつたような需用を喚起するということは実際にも合いませんので、そういうことは当分やるべきでないと考えております。
それから将来の方針といたしまして、そういうふうな奢侈的需用を押えて、一般の普及をはかるべきであるということは、考え方としてはけつこうでございますけれども、ただ現在ガスの申込みが、たとえば東京の例で言いますと、毎月一万件近くございまして、実際にとりつけますのは五、六千件にすぎない、その間申込みの取消しもございまするが、実際には毎月千件くらいのものが残るということになつておるのでございます。そういう状況にございまするけれども、しかしガスの需用というものは、むろん炊事用の需用というものが第一義的なものでございますが、暖房にいたしましても、あるいはふろにいたしましても、やはり燃料経済という点から考えますと、先般の資源調査会の答申にもありますように、都市の燃料といたしましては、いわゆる本質燃料をできるだけ節約して、石炭、ガス系統に移るべきであるというふうな見解をとつておりますが、その趣旨から言いましても、同じ燃料として、ふろ用でありましようとも、あるいは暖房用でありましようとも、できるだけガスの方へ移つて行くということは、全体の燃料経済から言うと望ましいことであります。従つてそういう見地から、たとえばストーブあるいはふろといつたようなものも必ずしも奢侈的用途じやないというふうに考えますので、それを押えるということは適切ではないんじやないかというふうに考えます。また実際のガスの需給状況から言いまして、現在工事が非常に遅れておりますのは、いわゆる工事能力あるいは工事費の支弁という資金関係からいたしまして、能力がそこまで行かないということはございますが、それとうらはらになつておりますガスの供給力から言いますと、大体現在のところは、一般の需用に対しまして心配ない程度に設備を持つておりますし、また将来の拡充計画もあるわけであります。従つてそういうものを抑制しなければならぬというほどの必要は、今供給上の関係からいつてもなかろう。従つてその両面からいたしまして、ただいまのところ、ガスの需用を炊事に限るということをやる必要はないのではないか。将来たとえば、かつての戦時中におけるがごとく、石炭が非常に不足するというような関係で供給力が落ちました場合には、そういうことを考える必要もあるかと思いますけれども、現在の段階ではそこまで至つておりません。従つて一応ガスの供給に対しましては、ただいまのところ何らの抑制をしないで、このままでいいのではないか、こういうふうにわれわれは考えております。
それから事業会社が特に需用量の多い需用家に対しましてできるだけ優先的に供給して、いわゆる需用の集中化をはかろうとしているのではないかというお尋ねでございますが、この点は意識的にそういうことをしているというふうには私どもは考えておりません。実際上におきまして、一戸当りのガスの使用量というものを数年前と比べますと、昭和二十五年で月当り平均が円二・三立方メーターであつたものが、二十八年におきましては四九・六、約五十立方くらいに上つております。従つて二割近くここ二、四年の間に使用量がふえているという結果になつておりますが、これはやはり一般のガスに対する需用が全般的にそれだけふえているということでございまして、つまり従来木炭あるいはまきというもので、やつておりましたもの、あるいは特に数年前までは電熱器の利用が非常に盛んでございましたが、そういうものがだんだんガスに置きかわつているというようなことがここで言われると思いますが、特にその二割の増加分がいわゆる奢侈的な需用に使われているというふうには考えておりません。またこの程度の消費によつて、いわゆるガスの供給を集中化してそこで経費の節減をはかろうというふうな意図がガス事業にあるというふうには考えられないのであります。現在のところそういうふうなことを考えましても、たとえば工場等におきましては別でございますけれども、家庭等で先ほどの例にございましたストーブあるいはふろを使うものだけを新しい需用家として供給に応じるということであれば、そういうことになりますけれども、そういうことが一般に行われないということになりますと、各家庭でガスをよけい使いそうなものを選択して、そこへ供給するというようなことも、実際問題としてできませんので、従つてかりにそういう意図がありましても、なかなかそういうふうには参らない。また現実においても、そういう理由のために全体の使用量が増加しているということにはなつていないのじやないか、こういうふうにわれわれは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/11
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012・柳原三郎
○柳原委員 関連して、ごく簡単に質問いたします。今ガス工事と抱合せの質問を伊藤さんがされたのでありますが、ガス供給事業者が供給事業以外のガスこんろとかガス・ストーブ、ガス冷蔵器等に出資しておるかどうか。出資しておつたら、それらの会社の名称、資本構成の資料を出していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/12
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013・中島征帆
○中島政府委員 ガス会社の関係会社あるいは投資会社等は、今日資料でお配りしてございますが、大体これは副産関係の会社がおもでございます。ただいま御指摘のようなガス器具の製造あるいは販売会社に対しまして何らかの関係を持つておるという事例は、私ども現在まだ全然承知いたしておりません。ガス会社自体がガス器具の保安の関係から会社だけで検定をいたしたりしておりまして、検定したものをガス会社が推薦する、あるいはガス会社が需用者に販売しておるというような事例はございますけれども、特にそのメーカーあるいは販売業者と何らかの関係を持つておるという例はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/13
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014・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 実際供給問題として非常に具体的な実情をあげてお尋ねしたのだがどうもなかなか要領を得ません。公益企業だからもう少し監督上についてぴりつとして取締つて行つてもらいたい。もし現状のままのようなことで放任するとせば、せつかくのこの法案の十六条は、法文はたいへんりつぱだけれども、行政指導監督上そのよろしきを得ないならば、これはまつたく何らの権威がなくなります。この点を私は強く警告を与えておきます。
さらにお尋ねしたいのは、先日同僚の始関委員の質問に対して、公益事業局長の答弁は、ガス料金の決定当時より現在の炭価はトン当り約千二百円下落をしているため、ガス会社の経理状況は一般にはなはだしく余裕を含んでおる。今ただちにガス料金値下げの意向はないが、今後長期にわたり炭価が下落持続せば、引下げは当然考慮さるべきである。また東京ガスの場合、需用申込みに対して現在未整理の需用家件数は約六万件ある。しかも月々二千件程度増加の傾向にある云々とあつたが、この経理状況の良好と未整理需用家数の激増は、炭価下落のほか有利多量使用の少数需用家にだけ選択供給することが重大な原因と思う。かかる選択供給は、十六条の精神に根本的に違反すると思うが、政府側はこの点をどのようにお考えになつておるか。今後ガス会社の監督方針はただちにガス料金を値下げするか、または零細需用家に優先供給してこの申込み未済の需用家にどのようにこれを扱い、与えようとされるのであるかどうか、この点を具体的に今後実施をする上に重大な関係があるから、ひとつ具体的にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/14
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015・中島征帆
○中島政府委員 先ほど第十六条の正当な事由というものは具体的にどういうことかというお尋ねがありまして、答弁を漏らしておりますので、その点をあわせてお答えいたします。
正当な事由というのは、持にガス事業者が供給をしたくてもあるいは工事をしたくても何らかの事由でもつて工事ができないという事由でありまして、たとえば経理的にあるいは採算上からいつて不利なものを除くということは正当な事由と認められない。具体的に申しますと、たとえば料金を納めないものに対して供給をする、あるいは供給規程違反の条件で供給を受けたいというものに対しまして供給するというようなことはできません。そういうようなものに対して供給を拒否することは正当な事由になります。たとえば工事にいたしましても、導管を布設する工事は非常に普通以上に困難な場合、特別な工事を要する場合、こういうものはやはり正当な事由に入ります。また実際に供給をいたしておりましても、たとえばガスの製造設備その他に何らかの故障が起り、天災あるいはその他の関係で故障が起きた場合で事実上供給ができないという場合に供給しないのは、これは正当な事由である、こういうふうに考えております。それから経営的には、先ほど申し上げましたように、実際に正常な企業努力をいたしておりましても、資金の関係あるいは実際の工事能力という関係で工事ができないというような場合におきましては、これは正当な事由として供給ができない、あるいは工事ができないものということに認められております。
そこで現在申込みに対しまして未整理の案件が非常に残つておりますことは、御指摘の通りでありまして、われわれは何とかして早く解消したい。先般本省で立てましたガス事業の拡充五箇年計画というものは、大体この未整理の件数をできるだけ解消するという意図のもとにできておりますが、これは数万件もたまりますと、毎月の申込み件数がなければ別でございますけれども、現在毎月一万件からあるという実情からいたしますと、早急に解消することは非常に困難でございます。しかし会社といたしましてはできるだけこの手持ちのものを少くするために、現在では月五、六千程度の工事をいたしておりますけれども、これを一万件ぐらいまでふやしたいという意図をもつて非常な努力をいたしております。ことに資金関係からいたしますと、現在の金融では、大体月五千件ぐらいの工事ができるくらいの程度の金融を受けておりますが、それも社内でやりくりをして、六千件ぐらいまでに努力して伸ばしているという実情でございまして、会社といたしましては、これに対しましては一応相当な努力をしているというふうに認めていいのではないか。その間におきしまして、一時部分的に当初御指摘になりましたような不公正な、あるいは不公平な工事の状況というものもありましたが、現在におきましては、そういうことはないように厳重に会社の首脳部の方からも注意をいたしておりまして、この十六条の趣旨に基いてきわめて公正に、申込みの順序によりましてガスの供給を行つておる。こういう方向に進んでおりまして、むろんその間におきまして、需用者の選択というようなことをしないで、いかに零細な需用者の方でありましても、普通の順序によりまして受付ける。だだ単純に申込みの順序で取付けられるということは必ずしもないかと存じます。実際に導管がその近所まで来ている。従つて大きな工事をしなくても取付けられるものにつきましては、他のものに比べて割合に早くガスがつけられるということはございまして、そういうふうな順序の変動はございますけれども、全般的に見まして、工事の状況その他を考えまして、できるだけ公平な見地から需用者の質というものを考えないで、取付けをするという方針にはかわりないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/15
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016・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 この法案は事業者保護法案ではないかという疑いを私は実は持つておるのであります。この法案は卸や特定供給業者には新規に規制を加えて厳格となつておるが、ガス事業者には、その自主性を尊重し保護育成に努めるとともに、監督条項におきましても、旧公共事業令よりかなり減少して自由企業的な色彩が濃くなつております。たとえば、許認可手続、会計聴聞等の諸規定が簡素化された等であります。すなわちガス事業者保護法案の色彩が濃厚ではないか。なおガス事業者の社外投資、利益金の処分等の会計規則の規制の必要が法令改正審議会の答申書には見かけられるのにもかかわらず、本法案には削除されております。一体これはどういうわけでそういう扱いをされるのであるか、この点も法案審議の上に非常に重大な関係がありますから、それらのいきさつについて具体的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/16
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017・中島征帆
○中島政府委員 このガス事業法は前の公共事業令、あるいはその以前のガス事業法に比べまして比較的規定が簡素化されているということは御指摘の通りであります。ただねらいは、あくまでもやはり公益事業といたしまして必要な規制はするということにはかわりがないわけであります。ただ従来の経験に徴しまして、不必要に会社の経営に干渉するということは避けた方がよくはないかというのが、今度の法案のかわつたおもな理由でございます。しかし一般の消費者保護のための必要な規定はすべて盛り込まれておりまして、特に消費者保護の規定といたしましては、従来ありました法的独占め規定をやめますとか、あるいは使用設備を必ずつくらなければならぬ、こういう設備の設置義務を置いたというのは従来の規定になかつたわけであります。それから特に同じガス事業の区域でありましても、一部につきまして供給しておらないという場合には、これをいわゆる休眠区域といたしまして、その区域を減少しまして、他のガス事業に開放するというようなこと、こういう点はガス使用者の保護の見地から、ガス事業者に対しまして従来なかつた規制を加えておるわけでありますその他熱量、圧力の測定義務の規定でありますとか、事業の区域外の供給を禁止すりということは、すべて新らしいガス事業者の義務でありまして、これは使用者保護の規定であります。一般的に申しまして、特に経理の関係その他規定が簡素化されておりますが、これは必要最小限度のことをやつて行けばよろしい。たとえば従来はガスの設備をつくりますときに許可を受けるのは当然でございますが、設備が完成して使用を開始するときに、またもう一ぺん許可を受けるといような規定もありましたが、そういうようなむだなことはやめております。結局設備の許可というようなことは、大体において保安の見地から取締ればよろしいということで、まず設計等につきましてあらかじめ許可の際十分審査をいたしまして、それからあとの工事につきましてはあらかじめガス事業者に保安基準というものをつくらせまして、それにのつとつて工事をさせるというふうなことにいたしまして、十分保安上の心配がないということにしております。
それから経済的な関係でいろいろな手続を簡素化しておりますけれども、経理上の監督をするということは、結局においてガスの使用者に対しまして不当に高い料金がかけられないようにということが目的でありますので、最終的にはその面でもつて十分規制すればよろしいという観点から、経理的な関係におきましてもあまり不必要な干渉は企業の自主性を重んずる趣旨から今度は除いておるわけであります。特に利益処分につきましては、この利益処分案が適当でない場合には、それの修正を勧告するようにというふう審議会の答申もありましたけれども、結局勧告というようなことが法律的にあまり例がないということと、また実際面におきましては、かりに不当な処分をいたしましても、料金の原価を算定いたします場合には、そういう実際の処分と関係なしに、公正な見地から当然しかるべき利益処分だけを計算に入れて、料金を決定するということによつて調整できるという考えをもちまして、そういう点は除いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/17
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018・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 公益事業であるなら大衆への奉仕ということを根本に置かなければならぬ。従つて経営者に対して独占専業的にこれを保護するということであつてはならぬ。その経営経理を厳に監査するということが、最も公益事業に対する行政監督官庁の使命を達成しておることになります。そして公共福祉のために奉仕をさすということが、公益事業の根本的な性格でなければならぬ。そういう点を何で一体だんだん緩和し、ガス現業会社に気がねしなければならぬか、私にはどうもその点がわからぬ。それらは大いに議論しなければなりませんけれども、それはいずれこの法案の最終的な段階でひとつ根本的に論議しましよう。
さらに本法案のガスの定義です。ガスとは一般に気体のことを言つているのでありますが、本法案第二条の定義の条文には、ガスの定義が明文化されていないのであります。法案のガスは燃料用ガスに限定されているのか、それとも天然ガスのごとく化学原料用ガスにまで本法案が適用されているのか、ガスの質の測定は第二十一条で熱量と圧力だけに限られるところを見ると、本法案のガスとしての価値は燃料としてのガスに限定されるようにも見受けられるが、本法案はあらゆるガス、たとえば燃えない窒素ガス、アンモニア・ガス等にも適用されるのか、また本法案のガス使用の用途についてどのようにお考えになるか、これを伺いたい。またガス工作物の定義にはガスの発生設備が当然含まれているが、天然ガスの場合は採取設備の全部が含まれて法案の適用を受くるのか、石油及び可燃性天然ガス、資源開発法に本法案が抵触することはないのかどうか、この辺の法律的な解釈について明らかにしてもらつておかなければなりません、この点をひとつ具体的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/18
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019・中島征帆
○中島政府委員 最初に御注意のありまして点は、法律上いろいろな会計監督の規定は割合に少くなつておりますけれども、実際問題といたしましては、逐次報告も受けますし、また監査もいたしまして、その際役所といたし、ましては会計基準といいますか、あるいは監査規定といいますか、そういうような一定の基準をつくりまして、それによつて常時監督を行うということはいたすつもりでございます。従つて法律上の明文はなくても、実際の行政指導でもつてある程度の監督はできるつもりであります。
それからただいまの点でございますが、ガスの定義が第二条に出ていないという点は一応問題でございます。ただこれに書きませんでしたおもな理由は、これはわれわれの考えておりますのはむろん燃料用ガスだけでありまして、それ以外のものをガス事業の対象上するというふうには考えておりませんが、ただ同じ石炭ガスでありましても、ことに天然ガス等におきましては、燃料以外にも使われることもあるわけであります。そういう場合におきまして、かりにそれが同じガス事業者から供給されている場合に、たまたまそれが需用家の都合で燃料以外あるいは原料用に使われるということがありましても、その場合にはガス事業のその部分についてだけ対象から省くということは実際問題としてできませんので、一応導管をもつて一般に供給されるもの、それが熱量と圧力を持つものについては、このガス事業法の対象とするというふうな、少し間接的な表現をしているのであります。つまり第二条のガス事業の定義と、その他ただいま御指摘のような二十一条等からいたしまして、結局燃料用ガスを主体としているという解釈が出て来る。それを表面に出しておりません理由は、主としてそういう点でございます。従つて天然ガスがガス事業法の対象になるのは当然で、それが道管をもつて一般の需用に応じて供給される形態を持つ場合には、天然ガスでもガス専業であると考えるのでございます。その際にどこからガス事業の設備となり、またどこからガス事業法の対象になるかという点でございますが、これは鉱業法、鉱山保安法、石油及び可燃性天然ガス資源開発法等の法令の関係がございます。その点は一応こちらでも考慮しておりますが、ガス専業といたしましてこのまま放置いたしますと、当然天然ガスの場合には採掘設備からガス事業の製造設備になるわけでございます。しかし実際の取扱いにつきましては、法令、省令でこの点を明らかにするつもりでございますが、鉱山あるいは鉱山保安の当局と協議をいたしまして、大体その区分を次のように考えております。天然ガスの場合におきましては、天然ガスを自分自身が一般に供給する場合は、天然ガス採掘業者自体が、ガス業者になりますので、みずからガス事業者としての手続をとらなければなりません。それから天然ガスを掘りまして、それを他のガス事業来者に売る場合においては、このガス事業者の設備となります。ガバナーと申しますか、ガスのホルダーまで送つて、ガス・タンクを経て一般に供給を行う。このタンクまでのものは、天然ガス採掘業者として鉱業法あるいは鉱山保安法の分野で監督をやる。それ以外のものにつきましては、ガス事業法を適用する。こう考えております。それからもし天然ガス採掘業者が自分で掘りましたものをある特定の工場に直接供給する場合におきましては、その工場の入口と申しますか、工場の受入口までのところか鉱山保安法の適用範囲内になりまして、あとは工場自体の問題である。従つてその場合におきましては、ガス事業法の対象になるものは出て来ないと一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/19
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020・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 政府側では自分の方が追い詰められて行くと行政処置云々ということをすぐ言いますが、行政処置というものは役所がかつてにする特権じやありません。ちやんと法律に規定してあれば、その範囲内でできるだけ——そういう役所がかつてな解釈をして、国民に迷惑をかけたり、またえこひいきをしてはならぬのであります。あくまで法の解釈を明確にしておいて、それを忠実に執行するのが役所の行政処置であります。この点は答弁を聞いておつて非常に遺憾の点がありましたから、私はその点を明確にここで言つておきます。
さらにお尋ねしたいのは、天然ガスのガス事業者、たとえば大多喜天然瓦斯あるいは蒲原天然、諏訪天然等がガス工作物として採取井戸等を含むことは適当でなく、採取坑の井戸は鉱業法、石油及び可燃性天然ガス資源開発法、鉱山保安法の規制適用の範囲として採取井戸の出口のガス導管からガス工作物として本法案の適用を受けることにする法が妥当のようにわれわれは解釈をしている。従つて本法案第二条の定義が天然ガス、石油ガスも含みます場合は、若干修正を要するということも考えられる。こういう点についての解釈上の問題についてどのようにお考えになつているか、一つ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/20
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021・中島征帆
○中島政府委員 大多喜の天然ガスの場合には、天然ガスの採掘をするものがみずから一般供給をいたしております。従つて、採掘業者そのものがガス事業者としての法の適用を受けております。従つて採掘設備からすべて一般供給の木端の設備までが、ガス事業法の対象、公共事業令の対象となつております。またまた度の法律案の成立のあかつきにおきましては、新しいガス事業法の対象になることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/21
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022・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 さらにお尋ねしますが、ガス原料炭の輸入防止が非常に問題になつていることは御承知の通りですが、重油の問題等についてガス原料炭として二十七年には五十八万トン、これは三一%になつております。二十八年度八十三万トン、これは数字で見ますと二七%になつているようであります。外国炭と重油、オイル・ガスもそうですが、それぞれ一万二千五百キロリツトル、五万三千七百キロリツトルが輸入されている。国際収支の悪化防止のためにも、国内炭使用に努力を傾注すべきではないかということは、論議の余地はありません。炭質上から見ても、国内炭を適当とすることは論ずるまでもありません。問題はただ炭価でございます。これらの炭価の問題も、すでに政府が御承知のように、輸入炭は輸入関税を一銭もとつておらぬ。そうして安くして、外国の油、外国の炭鉱会社が日本の石炭を圧迫していることは御承知の通り。何のためにこういう外国物を保護せねばならぬか、どうしてこの国際収支の悪化を防ごうとしないのか、こういう点は国の非常に重大な問題である、これはむしろ私が言うより、与党の自由党の諸君が言われなければならぬことです。私が代弁をしていることになるような気がしますが、おそらく政府の方から私の質問にはまつたく双手をあげて賛成でございますと答弁されるだろう、これはどう対処しようとしておられるか国策的見地から非常に重大な問題であるから、政務次官から御答弁願います。
それからオイル・ガス供給が近年急激に増大しているが、その利用価値、経済的な利点、今後増大の見込みはどうか、及び輸入重油等の国内との関係をどのようにお考えになつているか。なお石炭ガス、天然ガス、オイル・ガスの三者の現在の供給割合と、各新規設備の場合、料金の比較等は概略どういうような計算になつて現われて来るか、これらをひとつ具体的にお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/22
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023・古池信三
○古池政府委員 お答え申し上げます。最初に外国炭を輸入するというようなことは、現在の外貨事情等から見てもとるべき策ではないということのお話でございますが、その点は原則としてまつたく御指摘の通りだと存じます。ただ従来輸入をいたしましたのは、あるいは原料炭としての品質の関係でありますとか、あるいはまたバーター貿易の関係等によつて若干輸入をいたしたのでありますけれども、今後はもちろんお話のごとく、国産の炭で間に合う限りにおいては、できるだけ輸入は抑制して参りたいと考えております。
また油の問題でありますが、これも近年産業界におきまして、相当重油転換が行われて来たことはお話の通りでございます。これにつきましても今後さらにその輸入を増加して行くというようなつもりはございません。ただ現在、重油を専用するような設備にとりかえておる向きが相当ございます。これをまたさらに改造するということは非常なむだになりますので、重油専用の設備は従来通り使用を認めるということはやむを得ない措置と考えます。
最後のガスのお話につきましては公益事業局長の方から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/23
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024・中島征帆
○中島政府委員 石炭ガスと天然ガスの割合は、これはむろん大部分が石炭ガスでございまして、天然ガスの量は全体の二%にすぎません。それから石油ガスは、最近東京、大阪等の大ガス今会社で、いわゆるピーク調整のためにつくつておりまして、従つてその量も一時的なものでございますが、これをさらにふやすほどの必要はないと思います。それで将来の見通しといたしましては、ただいま政務次官も申されましたように、石油ガスを大いに伸ばすということは全然考えておりません。ただ。ピークの調整のために特に石炭ガスで設備をするとすれば、非常に大きな余剰の設備がいりますが、それを石油でやります場合には、比較的簡単にできるという点からいたしましてこのる程度のものは保有さしておくということが必要ではないかという程度の考えを持つておるにすぎません。
それからコストは、天然ガスは、非常に豊富に出ます場合には、一番安いわけであります。しかしこれは生産量に非常に消長がございますので、噴出量が減つた場合にはコストが非常に高くなるということがありますが、大体において天然ガスを一般のガスに供給しておるような事例を見ますと、比較的安いということは言えます。それからオイル・ガスの方は、ただいまのような使い方をいたすわけでございますが、実際のコストははつきりわかりませんけれども、大体現在の重油の値段で行きますならば、若干石炭ガスよりも安いのではないか。しかしこれは安いからやるということでなくて、輸入炭も重油も、いずれも品質の関係あるいはピーク調整の関係ということからいたしておるようなわけでありますので、値段に無関係にある程度の技術上の必要から最小限度のものは輸入せざるを得ない、こういうことになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/24
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025・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 ただいま政務次官から御答弁がありましたが、私は政務次官に一言御注意を申し上げておきたい。それはガス用に使う石炭は日本の石炭で十分だということでございます。これは私の方が専門家だから、詳しいのでありますが、ただ炭価の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、重油も外国炭も、独立国家になつた現在も依然として無税で入つております。占領時代ならしかたがないかもしれません。しかし現在は独立国家になつておる。それにもかかわらず、日本からアメリカその他に輸出するのにべらぼうな輸入関税をとられて、向うから入つて来るものだけを無税で日本が入れなければならぬということは、独立国家の権威から私は許されぬと思う。またそれが補助燃料の時代ならしかたがありません。しかし日本産業を圧迫するというのに、なおかつこれを無税で入れて、日本産業をどんどん圧迫してつぶして来るというやり方で、どうして日本の産業経済の自立、独立の基盤ができるか。この点は重大な問題であるから、ひとつよろしくお考えを願つておきたい。
さらにお尋ねいたしますが、炭価変動に対するガス料金の変更について、現行電気料金制度には燃料費の調整制度が採用されておる。炭価の上下によつて大口料金は自動的に変更されることになつておる。しかるにガス料金にはこの制度がないのはどういうわけか。これを採用することは当然だと思うが、どうして採用されないのか。これをどのようにお考えになつておるか伺います。ガスの総合原価中、石炭費は大体五七%、コークスが三三%となつておるようでありますが、現在のごとく炭価が——現行ガス料金を決定した昭和二十七年の十一月ごろと現在を比べますと、炭価は二割から三割、中小炭鉱の分は半分くらいに下つております。こんなに炭価が下落しておる状況であるので、ガス会社は利益があり過ぎておることはあなた方御承知でしよう。どんなに独占的に今もうけておるかということは論ずるまでもありません。この前ガス料金の値上げのときに、私はガス会社の関係者から直接聞いたのであるが、うちは値上げしなくてもいいのだが、上げられるように認められて来たから上げざるを得ませんということであつた。これは経営状態から、労使の関係から見ましても、ガス会社がいかに公益事業に名をかりて暴利をむさぼつておるか、そうして温室の中で恵まれた経営をしておるか、これは実に公益上許されぬ処置である。現行料金が不当に高いということは論ずるまでもないのだが、これを政府はどのように考えておられるか、この際燃料費調整制度を採用して、本法案の十八条の供給規程の変更命令によつて料金を低下さすことを命令することができることになつてはおるが、炭価がどの程度まで下つたらこれを値下げさせようとされるのか。先ほどお話するように、大手筋でも二割から三割、中小炭鉱では半分になつておる。ここまで原料の、石炭代が値下げになつておるのに、何で下げられないのか。従来でさえももうかつてしようがないのに、なおそういうふうに原料代が下つてもうかつておる。これでもなおかつ下げられぬとすれば、石炭が三分の二くらいにならなければ値下げできぬというお考えであるか、どうか、私はどうも納得ができぬから、ひとつこの際明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/25
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026・古池信三
○古池政府委員 ただいま伊藤さんから御注意がありました点は十分に承りまして、今後われわれの参考にいたしたいと考えます。それから料金問題につきましてるるお話がございましたが、大体電気とかガスというようなきわめて広汎にわたつて国民多数が利用しておりまする公益事業の料金といたしましては、できるだけ安定性を持たせることが一面においては必要じやないかと思うのであります。これをあまり再々にわたつて改訂をするということは、原則としては好ましくないだろうと思うのであります。しかしただいまも御指摘がありましたように、その料金のコストの中で重要なる部分を占める値下りがあつたというような場合には、これまた考慮をするのが当然のことであります。従いましてその値下りが、相当長期にわたつて永久性があるかどうかというような問題も考えねばならぬのでありまして、かりに一時的な値下りであるとか値上りであるとかをただちに料金に反映することは、原則としてはおもしろくないのではないかというように考えます。ただいまの石炭の価格の問題は、伊藤さんは御専門であらせられますから十分に傾聴いたしまするが、何としましても一般普通炭と違いましてガスの原料炭は、原料炭としての特異性もあることだと存じます。それらの点を十分に勘案いたしまして、今後の料金問題に対処して参りたいと存じます。なお局長の方から補足して御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/26
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027・中島征帆
○中島政府委員 ガスの料金問題につきましては、ただいま政務次官のお話の通りであります。われわれの気持としましても、現在ガス事業者が全般において非常に成績が良好であるということは否定できません。もしもこういう状況がさらに一年も続くということであれば、当然に料金の引下げということも考えるべきだと思います。ただ、ただいまもお話のありましたように、ほんの一時的に上下する現象だけをつかまえまして、ただちに料金に反映させるということは適当ではないという考え方を持つております。それから電気には、お話のように一部の大口需用家に対しましては石炭費の及ぼす料金の割引あるいは割増しの規定がございます。しかしガスにつきましては、ただいまそういう制度をとつておりませんし、また将来におきましてもそういうことは考えておりません。その理由は、電気と違いましてガスの場合には、石炭の値下りということでは、そのまま直接にガス事業の収入の増加ということにならない。と申しますのは、電気の場合には発電所に直接影響いたしまするけれども、ガスの場合には、ガス全体の製造費は石炭費の値下りによつて下りますが、反面におきまして副産物のコークスも大体石炭が値下りするときには下るというのが常道でありまして、コークスの値段がどういうふうになるかということをあわせて考えて行きませんと、石炭費の上下だけでガス料金を考えるわけにはいかぬ、こういう事情があります。その点が一番大きな理由であります。ガスにおきましては常にその問題が起きます関係で、電気と同様な燃料費調整は困難であると思います。
いま一つの理由は、電気においても、燃料費調整というのは大口需用だけであります。本来からいえば、家庭で使う電燈につきましても、石炭費の値下りのあつた場合には値下げするし、上つた場合には上げるのがりくつではございますが、実際そこまで行つておりません。これは大体四半期ごとに調整いたすことになつております。四半期について炭価を調べて、それを全体にかけてどの程度になるかという計算をするのと、それからさらにそれによつて各需用家別料金をかえることは非常な手間がかかります。従つてそういう見地から、大体大口だけにとどめて、一般家庭用につきましては、石炭費の上下によつて料金を動かさない方針をとつておる。もしその通りにやればできないことはありませんが、その結果かえつて経費がかさみまして、割引かなければならぬものがかえつて上るという結果になりますから、そこまではいたしておりませんが、それと同じような理由で、ガスの場合においても、家庭用のものと工場用のものとは違つておる。かりに工場の大口だけをやることになると、きわめて少部分だけがそういうような恩恵を受けることになりまして、他の大部分の需用家はそういうものに無関係になる。従つて程度の相違はありますけれども、結論として、燃料費調整はガス事業にとつては適当ではないこういう意味から今後についても考えていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/27
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028・首藤新八
○首藤委員 関連して。今の同僚伊藤君の御質問の料金問題についてちようどよいときですから関連質問いたします。
現在の公益事業体で、ガス会社ほどサービスの悪いしかも独占事業は、ほかに比類がないということにわれわれ大きな不満を持つております。ガスのコストはほとんど石炭代で左右されることは議論の余地はないわけであります。石炭は二割ないし三割、中小炭鉱は五割になつておる。それにもかかわらずひとりガス料金だけは依然として上つておる。そうして今のガス会社の暴利は、だれが見ても暴利に間違いないと断定してよいと思う。そうしてサービスは一向改善せられていない。特に電気の方は、厖大な開発計画を各社とも進められており、物価の異常に上つた現在そういう方面に多額の経費を要するのは常識上判断できますが、ガスの設備はきわめて小規模である。ただ家庭まで延長するだけで、一つの家の中に入れば、消費者が全部負担して設備をやることになつておる。そこで監督官庁は、当然この点には細心の注意を払つて、いやしくも不当の利益を与えないように監視の手をゆるめてはいかぬと思う。いわんや政府は低物価政策をとつており、あらゆる面で低物価政策の目的を達成するような方向に持つて行かなければならぬとき、ガスもまたそういう面においては大きな要素になつております。この際、ぜひともガス料金には根本的改革を加えて、急速にこれをやつていただかなければならぬと思います。ただ局長は、将来この炭価の見通しはどうかという心配をされておりますが、今日重油に転換して、これが物価の引下げ等に相当大きな好影響を与えておる。外貨の関係から、重油の輸入を今後ふやすことは困難でありますが、少くとも現在までの輸入量だけは確保しなければならぬ。各工場ではなるべく重油に転換したいという意向を持つておる。一方におい最近われわれの知らぬ間に家庭に石油こんろが相当たくさん普及しておるが、こういう面はできるだけ、やめてもらいたいという希望を持つておる。そうしてそれを工業用の方にまわしたい。結局家庭で石油こんろを使つておるということも、経済的に安いからということでありますが、もしガスの料金を今の石炭代を基礎として計算していただければ、この石油コンロをやめてガスの方に転換して行くだろう、そして消費者は何ら圧迫を受けないということにもなつて来ると思いますから、少くとも政府としてはこういう方向に行くことを私は一応考慮してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/28
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029・古池信三
○古池政府委員 ただいまガス料金につきましてお話がございましたが、ガス事業はなるほど電気事業に比べますと規模も小さく、特に電気事業におきまして最近非常な勢いをもつて電源開発に邁進しておるのに比べれば、けたは違いますけれども、やはりガスとしても年々歳々需用が非常な増加を来しておるのに対応して、ガスの生産設備の増強であるとかあるいは引込み導管の増設というようなことに少からぬ資金も必要であるわけであります。お話のように今後長期にわたつて、石炭が下るということになれば、むろんガス料金の値下げという問題は考慮されなければなりませんけれども、一面、非常に多数の需用の申込みがありながら、これが十分に消化しきれない。これには資金その他のいろいろな障害があるわけでありますが、こういう障害を克服して、新規の需用者にもできる限り満足を与え、また料金もできる限り安くして公益事業の本質に沿うようにして行かなければならぬという御趣旨は、十分私も了解いたしております。総合的な見地に立ちまして遺漏のないように考えて参りたいと存じます。なおガス今会社が一般のサービスにおいて必ずしもよくないというお話につきましては、今後政府の監督を一層厳重にいたしまして、国民の皆さんに御満足の行くように指導をいたして参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/29
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030・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 大分時間がたつて参りましたから、きようのところはあと二点にしておきます。先ほど同僚首藤委員から、自由党の立場から私と同じ御意見を主張されまして、政府も非常にお考えにならなければならぬであろうということは言うまでもございません。どうもさつきから答弁をだんだん伺つておりますと、私が需用者を代表して質問し、政府側がガス会社を代表して答弁しておられるような気がしてなりません。これははなはだどうも遺憾とするところでありますが、そういうように私の耳に響いて参ります。公益事業は国家から特別の保護を受けて、いわば温室の中でやつているのでありますから、これらについてはやはり政府は厳重な監督指導をして、公益事業の線を脱しないようにさすということは、行政府の使命でございまして、私は強くその点をこの際要求しておきます。そこでお伺いしたいのは供給規程についてです。本法案第十七条供給規程の法律的な効力いかんであります。また供給規程のごとき会社の一方的な強制契約すなわち不法契約については、認可にあたり弱い一般需用者を保護する立場に立つて、供給者側のみの都合のよいような権利を主張する、いわば羊頭を掲げて狗肉を売るようなことがないように、十分これは再検討を要望しておきたい。たとえば家庭のお勝手の修理上、ガス工作物の移転を要求する場合、東京瓦斯の場合などを見ますと、要求してから十五日ぐらいは来てくれないというようなごうごうたる非難があります。やむを得ず工事でもしようものならガス供給を停止されてしまうという状況であることも、これはお調べになればすぐわかる。かかることも、要求があつたら必ず一日もしくは二日で来るということを供給規程に明記すべきであると私は思う。これが先ほど首藤委員からも言われておりました、公益事業としてサービスがなつておらぬ、利益だけはむちやくちやに取るが、公益事業として一番身にしみておかなければならぬサービスがなつておらぬわけで、こういうことははなはだ遺憾である。この点はひとつ、繰返して言いますと、供給規程の事に明文化しておくべきであり、また需用者から新規申込みをしたときにはその工事をただちにやる、また正当の理由によつて拒否するときは、理由を付して文書で返事をするというように、供給規程を明文化しておく。これはサービスを十分に行わしめる意味において非常に大事な点です。この点を明らかにして実施さすならば、私はガスを使つておる各家庭がやれやれと安心した気持になるだろうと思う。そういう点をどのようにお考えになつておるか。私の言うように明文化される意思があるのか、どうかという点を、大事な点だから伺いたい。
それから第十七条の供給規程の二項の認可基準の第一号に、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」となつているが、適正な利潤とは、現在においては何パーセントぐらいの配当を妥当と考えておられるのか。二十七年上、下期のガス事業の配当率は二六%から七%になつております。さらにこれは今度ずつとふえて参ります。公益事業で政府の保護を百パーセント受けて、そうしてこういう配当をしておつて、サービスは悪い、炭価は下つておる。これらの点から、一体適正基準とはどの程度のことをお考えになつておるのか、この点を明らかにしていただきたい。また適正な原価とは、資産再評価済みの帳簿価格に対する減価償却費を見込むことか、再建設備に対する減価償却費を見込むことか、これらの点も明らかでありませんから、具体的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/30
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031・古池信三
○古池政府委員 政府の答弁はガス会社を擁護しておるように聞えるがどうかというお尋ねでございましたが、われわれは決してさようなことは考えておりません。もちろん公益事業といたしまして国民多数の消費者の利益を保護すること、特に都会地におきましてはガスはほとんど生活上の必需品と申してもよろしいかと考えられますので、その意味におきましても消費者の利益を保護するということが第一のわれわれの眼目でございます。またこれとともにガス事業も健全に適正に発展するように指導するということは、これは国家として当然なさなければならぬことだと考えます。ガス事業が健全に発達すれば、それがひいてはまた国民の利益になる、そういう方針をもつて臨んでおるわけであります。なおサービスの監督その他について不行届きの点がございますれば、これはお互い人間がやつておることでございますから、今後も十分注意をいたしまして、できるだけ行き届かせるようにして参りたいと存じます。なお供給規程その他具体的のことにつきましては局長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/31
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032・中島征帆
○中島政府委員 申込みをしましてから工事に着手するまでの日数あるいはただちにするというようなことは、供給規程に書くということは必要なのでございまして、そういうふうなことも考えたのでございますけれども、現実の状況といたしまして、先ほど申しましたように非常に申込みの件数が多くて、実際の工事能力からいつてそれに応じ切れないというような実情にある今日におきまして、翌日行つてただちにその申出に応ずるということは実際問題としてなかなか困難でありますので、ことにそういうことを供給規程に入れましても、実行上はなかなかむずかしいのじやないか、そういう感じからいたしまして、この法律案が通りますと、当然この新法律の施行に伴いましてガスの供給規程等も再検討いたすべきでありますが、その際にすぐにそういうことが考えられるかどうかという点は若干疑問がございます。しかし今お話のような点は、今後の供給規程の改正にあたりまして十分考慮いたしまして、サービスの点に遺憾のないように十分注意をいたしたいと思います。それから料金の計算に際して、利潤、配当率をどういうふうに考えるかというお話でございますが、これは前回の委員会でも私申し上げましたが、現在電気料金が問題になつておりますが、その際にいろいろ検討いたしておりますけれども、現在の国の実情のもとにおきましては、株式の配当率、特に公益事業の配当率というものは、大体一割二分が標準であるというふうに考えております。但し現在のガス料金を出しましたときの基礎は、当時の計算では一割五分をとつております。従つてその後会社の実際の経営上からいつて、それ以上に利益を得たものは一割五分以上、あるいは二割前後の、配当をしておるものも中にはございますが、大部分の会社は現在一割五分の配当を続けております。中にはむしろ一割以下あるいは無配当のところもございまして、料金の中に見込んでおります配当率と現実の配当率が違うということは当然でございます。将来かりに、最近の機会において料金を改正するという場合におきましては、今のところは一割二分くらいを見込むのが妥当じやないか。ある証券業界の人に言わせますと、もし将来設備の拡張というようなことで増資をしなければならぬときには一割二分では少し無理ではないか、むしろ一割五分くらいが必要ではないかという意見もございますが、現在かりにやるとすれば、大体一割二分程度見込むべきだと考えております。それから料金計算の償却費の基礎になります資産価格は、再評価法によりまして認められました資産価格を基準にいたしまして、それを定額法によつて償却する、こういう計算をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/32
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033・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 利益率及び配当率の教字については、私の方も具体的なことを相当調べてわかつております。公益事業として一割か一割二分かという点においての議論は残りますが、私どもと大いに意見が違う点であるが、しかし公益事業は、私が先ほど言つたように二十七年上期、下期の配当はどういうふうに行つておるか私はわかりませんが、二五——二六%になつておることは間違いありません。この議論はあとにいたします。
最後にいま一点お尋ねしておきたいのは、この法案を実施して行く、あるいは公益事業に対する需用家の気持を率直に反映させる意味においては、苦情申出の新しいつくり方、いわゆる新設について、本法案には新規に苦情の申出制度を第五十一条に法定しておるが、この運用方法いかんのことでございます。提出文書は大衆向きのものとして、むずかしいめんどうなものであつてはこれまた困る。従来からとかくこういう場合、役所から何する場合においては解釈上なかなか困るようなこと等が出されておることは申すまでもありません。また迅速な処理が必要だから、ガスのある都市には必ず受付口がなければならぬ。この効果を上げるためには、それらに対する予算及び人員、いわゆるそういうサービスの具体的な裏づけがたければ、これまた何も意味がない。ただ苦情申出口をつくつてやるというごまかし、逃げ口上にすぎない結果になつてしまいます。これがなければ本案のこの条文はまつたく空文化してしまうが、これらのいわゆる声なき声というか、需用家の切実な声を反映さす意味においでの最終的なそういう処理の扱い場所としてどのようにお考えになつておるか。この苦情申出新設についての具体的なお考えをひとつ明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/33
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034・中島征帆
○中島政府委員 現在の制度でも、いわゆる請願あるいは訴願等の手続が認められておりまして、国民はいずれも一般の行政措置に対しましてそういうふうな抗議をすることができることになつています。しかしこれはいろいろな手続の関係で非常にめんどうなこともありまして、そういうふうな手続をとる件数は多くないのでありますか、そういうことを考えまして特に簡易にそれぞれの需用家の苦情を聞こうというふうにいたしましたのがこの五十一条の規定でございます。従つてこれによりまして苦情を申し出られる場合には文書だけは提出してもらいますけれども、特にその様式等につきましては一定のものでたければいかぬというふうなことは全然考えておりません。要するに何を言おうとしておるか、だれがどの会社の関係のことを言つておるかということさえわかればそれでいいのであります。そういう程度の文書だけは出してもらう。それによつてすみやかに措置をしたいというのがこの趣旨であります。従つてこれはできるだけ申出がしやすいようにすべきでありまして、全般的な監督は通産省の本省でいたしますけれども、むろんこれは地方の通産局におきましても苦情の申出を受けまして、もし地方でできますことは地方で処理してしまう。あるいは本省の監督に属するような大きな問題である場合には通産本省に持つて参りますけれども、この場合にはできるだけ的確に、すみやかに措置するということを考えております。しかしかりにこの規定が非常に働きまして相当な件数が出ましても、それはそうむやみに多く出るとは考えられませんし、またかなり件数が伸びましても、現在ガス事業の監督上おります人員でさばき切れないほどには行かないんじやないか。これは特にそのために人員あるいは予算をふやすということはしなくても、現在の本省及び地方適応局の陣容でもつて、これに対しましては十分処理できる、こういうように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/34
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035・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 今日のところはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/35
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036・大西禎夫
○大西委員長 本日はこの程度にして散会いたします。
なお次会の予定は明後十二日午前十時といたしておきます。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02019540310/36
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