1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月二十三日(火曜日)
午前十一時二十二分開議
出席委員
委員長 大西 禎夫君
理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君
理事 福田 一君 理事 山手 滿男君
理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君
小川 平二君 小金 義照君
始関 伊平君 田中 龍夫君
土倉 宗明君 馬場 元治君
村上 勇君 笹本 一雄君
長谷川四郎君 柳原 三郎君
加藤 清二君 齋木 重一君
帆足 計君 伊藤卯四郎君
中崎 敏君
出席国務大臣
通商産業大臣 愛知 揆一君
出席政府委員
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(通商局次長) 松尾泰一郎君
中小企業庁長官 岡田 秀男君
委員外の出席者
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 石井由太郎君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
三月二十日
委員齋木重一君辞任につき、その補欠として武
藤運十郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
委員武藤運十郎君及び川上貫一君辞任につき、
その補欠として齋木重一君及び岡田春夫君が議
長の指名で委員に選任された。
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三月二十日
銅山川発電ダム建設による鉱業権侵害補償に関
する請願(鈴木仙八君紹介)(第三六九二号)
電力料金値上げ反対に関する請願(松井政吉君
紹介)(第三七四二号)
同(大矢省三君紹介)(第三七六五号)
原皮のスイッチ外貨資金割当対象変更に関する
請願(天野公義君紹介)(第三七四三号)
横浜繊維製品検査所川俣支所を本所に昇格等の
請願(助川良平君紹介)(第三七六四号)
同月二十二日
韓国産のり輸入のための外貨資金割当に関する
請願(福井勇君紹介)(第三八〇一号)
電力料金値上げ反対に関する請願(只野直三郎
君紹介)(第三八〇二号)
同(只野直三郎君紹介)(第三八三二号)
電気事業法案の一部修正に関する請願(只野直
三郎君紹介)(第三八〇三号)
一般電気供給事業者の兼業投資に関する請願外
一件(荒舩清十郎君紹介)(第三八〇四号)
かんがい排水用電力料金値上げ反対に関する請
願(小枝一雄君紹介)(第三八三一号)
電源開発工事予定計画促進に関する請願(山崎
岩男君紹介)(第三八五六号)
電源開発関係資金増額等に関する請願(川崎岩
男君紹介)(第三八五七号)
電力料金改訂に関する請願(山崎岩男君紹介)
(第三八五八号)
行政協定に基く駐留軍人軍属並びに外交官の使
用に供する自動車の輸入外貨資金貸与に関する
請願(西尾末廣君紹介)(第三八九六号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十九日
中小企業に対する金融等に関する陳情書
(第二一〇七号)
同
(第二一〇八号)
電気料金値上げ反対に関する陳情書
(第二一〇九号)
同
(第二一一〇号)
同(第二一一号)
同(第二一一二
号)
ガス事業法改正に関する陳情書
(第二一一三号)
イラン石油の輸入に関する陳情書
(第二
一一四号)
大阪工業技術試験所四国出張所の地方移管反対
の陳情書(第二一
一六号)
同(第二一一七
号)
同月二十二日
電気料金値上げ反対に関する陳情書
(第二一七〇号)
イラン石油の輸入に関する陳情書
(第二一七一
号)
同外四件
(第二一七二号)
同
(第二一七三号)
同外一件
(第二一七四号)
同
(第二一七五号)
同外三件
(第二一七六号)
同
(第二一七七号)
同
(第二一七八号)
同
(第二一七九号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三八号)
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五七号)(参議院送付)
国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時
措置に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第六四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/0
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001・大西禎夫
○大西委員長 これより会議を開きます。
まず小委員会の参考人の件についてお諮りいたします。明日午後開会の中小企業に関する小委員会において、銀行協会連合会交換部長佐藤良輔君を参考人として意見を聴取いたしたいとの小委員長の申出がありまするので、これを許可するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/1
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002・大西禎夫
○大西委員長 それではさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/2
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003・大西禎夫
○大西委員長 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する御質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/3
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004・大西禎夫
○大西委員長 それでは本案に対する質疑は終了いたしました。
引続いて討論を省略して採決いたします。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に御賛成の諸君は御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/4
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005・大西禎夫
○大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/5
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006・大西禎夫
○大西委員長 次に輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/6
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007・大西禎夫
○大西委員長 それでは本案に対する質疑は終了いたしました。
引続いて討論を省略して採決いたします。輸出保険法の一部を改正する法律案に御賛成の諸君は御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/7
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008・大西禎夫
○大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際お諮りいたしまするが、以上両案に対する委員会報告書作成の件につきましては、先例により委員長 に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/8
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009・大西禎夫
○大西委員長 それではさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/9
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010・大西禎夫
○大西委員長 次に国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/10
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011・中崎敏
○中崎委員 本法案の名前は国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案ですが、私の考え方といたしましては、国際的供給不足物質はもちろんでありまするが、国内的にも供給の不足する物資、ことに輸入に関連いたしまして外国から輸入して来なければならぬ物資、言いかえれば国内的には非常に少い、あるいは全然ない、こういうふうな国内的に不足しておる物資であつて、しかもこれは国民生活に重大な関係のある物資については、この法律の範疇に納めるか、あるいはこれに類するような他の法律をもつてこうした規制等をやる必要があるというふうに考えてあるのでありまするが、この点についての通産大臣の御意見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/11
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012・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまの御指摘の問題は、この法律の第二条第一項第三号に関連する問題と思うのでございます。「国内において供給が特に不足する物資であつて、その需給の調整を行わないときは、国民経済の正常な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害するおそがあるもの」ということに相なつておりますので、たとえば具体的に申しますると、石油等の場合につきましては、場合によりましてこの規定を援用いたしまして国内上、しかるべき措置を講ずるということは考え得るものであるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/12
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013・中崎敏
○中崎委員 ただいま大臣の指摘になりました、たとえば石油のごときものをお話でしたが、さらに砂糖あるいはバター、ことにこれは食生活の改善等にからんで国民生活に関係が深い。しかもバターは非常に必需品であるだけに、また量が少いということによつて一方的に値段がつり上げられるということになると、きわめて不安定な食生活ということになると思いますが、少くともこうした物資については、やはり一応規制の対象になり得るものではないかというふうに考えるのであります。この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/13
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014・愛知揆一
○愛知国務大臣 これは実を申しますると、その辺になつて参りますと法律の解釈上の問題として多少微妙な点があろうかと思うのでございまして、率直に申しますと、石油ならばこの規定に私は該当するということで説明がつくと思うのでありますが、バター等ということになりますと、多少研究の余地があろうかと思われますが、私は絶対にこれは援用できないとも言えないと思うのでありますけれども、それらの場合につきましては、その適用が可能であるかどうかということについて、はなお検討を要する点が多少あるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/14
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015・中崎敏
○中崎委員 砂糖については、これは相当大きな輿論の問題となつておるのでありますが、これについてはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/15
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016・愛知揆一
○愛知国務大臣 実はこの法律の解釈の問題といたしましては、私はこれは適用の範囲内であるということにも解し得ると思うのでありますけれども、もし砂糖等につきまして、たとえば相当徹底した消費規正というところまで及ぶとか、あるいは輸入を管理するとかいうことになりますれば、これは法律論としては別個の法制等によりました方がより穏当ではなかろうか、現在私はさように考えておりますが、これはちようど石油とバターなどの中間くらいに解釈できるものではないかと思いますから、絶対にこの法律を適用することは無理だとは言い切れないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/16
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017・中崎敏
○中崎委員 外貨の問題はわれわれはきわめて重大な関心を持つておるのでありまして、過般来輸出入貿易に関連をいたしまして、外貨に関するその後においての政府の決定された方針等についてこの際説明を求め、そうしてこの法案と関連いたしまして、その輸出入計画に基いてこの法案をいかに審議するかということの関連性を持たして行きたいと思うのでありますから、そういう意味においてひとつ御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/17
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018・愛知揆一
○愛知国務大臣 輸入外貨の割当の問題につきましては、前回も申し上げましたように、ただいま鋭意その案を練つておりまして、この月末までには、全部についての成案を得るつもりにいたしております。まだ実は政府部内におきましても、その後外貨審議会等を開くに至つておりませんので、できれば明日ぐらいにいま一度中間的に資料を持ち寄りまして、部内の話合いを固めて参りたいと考えておるわけでございます。この前もそれらの点について若干申し上げたと思いますが、大体のところ、従来使つておりました確認ベースといいますか、そういう言葉で申しますならば、二十一億三千五百万ドル見当で輸入外貨の割当計画をつくりたいというふうに、一応通産省としては考えております。大体その規模で政府部内の話合いもまとまるものと考えております。その内訳等でございますが、大体この前申し上げました五つか六つの基本的の考え方をこれについて引用して参ります場合に、問題にならないもの、たとえば不要不急のものを落すというようなことについては、別段大した問題はないと思います。しかし緊要物資あるいは原材料等につきましての考え方としては、二十七年度の輸入の実績を下まわることはない、むしろ二十七年度の実績はかなり上まわる、しかし二十八年の十月から十二月程度の輸入量から見ますれば、かなり減るものがあるわけでございますが、この程度のものでありますならば、非常に徹底した統制措置等をとらないでも行けるのではなかろうかと一応考えております。しかし問題は非常に重要でありますので、大事をとつてあらゆる場合を想定いたしまして——先ほどもちよつと申し上げましたが、石油等につきましても、いろいろの状態を想定した考え方を整理いたしまして、閣僚審議会あるいは閣議等におきましても、十分議論をいたしまして、一つの方向を用意しておきたいと考えております。今ただちに消費規正まで入るつもりはございませんけれども、予想し得る、あるいは予測し得るような事態に備えて、誤りなきを期して行くような態勢をとつて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/18
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019・中崎敏
○中崎委員 先般通産省から、公式か非公式か知りませんが、発表されたと予想されるようなものの中には、石油、重油もありますが、あるいは砂糖、羊毛というような重要物資についての輸入計画が、数量的に発表されておつたようであります。これらの点について、二十七年度よりも大体において下まわらないというのでありますが、石油などの場合においては、二十七年度よりも下まわらないといつても、相当に量がふえているのではないかと思うのであります。これらの点について、大体の数字がわかつておれば、通産委員会を通じて明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/19
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020・愛知揆一
○愛知国務大臣 実は新聞にいろいろの記事が出ておりますが、これは十分御了承も願えるかと思いますけれども、各原局等にいろいろの作業を命じておりますが、それをやつております過程におきまして、なかなか専門的な予備知識を持つておられる新聞界の方が多いために、いろいろ想像したり、あるいは推測したりいたしまして、非常にもつともらしいような数字が出ておるのであります。しかし先ほども申し上げましたように、私自身としてもこれならばよかろうという案まではまだ行つておりません。いわんや他省との関係において、まだ十分きめる段階まで行つておりませんので、具体的なものを申し上げるだけの数字がまだないのでありまして、その点は御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/20
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021・中崎敏
○中崎委員 輸入金融に関する問題でありますが、先般輸入に関する担保率の引上げ並びに期間短縮ということが発表されておつたと思うのでありますがこれは一応予定の方針に基く施策であるとも考えられるのであります。これによつて国内の産業、経済に及ぼす影響は実に甚大なものがありまして、最近において、これらの影響を非常に受けて、行き詰まつた業者が、あちこちに相当見受けられるばかりでなく、今後においてもこの影響は実に甚大なものがあると考えております。
そこでこれについての政府の考え方をお聞きしたいのであります。その中で必需物資としてどうしても輸入をしなければならぬものに対して、担保率を引上げるとか、あるいはユーザンスの期間をごく短く、一箇月以上短縮するということになると、ものによつては外国からの品物が国内に着かぬうちにすでに先払いしなければならぬようなものもたくさんある。現在も非常な金融難に困つておるのに、これ以上そういう無理な、苛酷な条件が来ると、勢い力の弱い業者はばたばたやられてしまつて、あとはほんとうに余力のある者のみがひとり繁栄する結果にもなると思う。言いかえれば不要不急のものであつて、しかも今までの大体の許可の範囲内においてこれを引取るというならまだしもでありますが、重要な物資であつて金融が無理やりに引締められる、言いかえれば予定外にそういうことになるのでありますが、そういうことによつて受ける影響を、必需物資に限つて何らか緩和する方向に行くような努力をするお考えがあるか。これらをひとつ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/21
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022・愛知揆一
○愛知国務大臣 まことにごもつともな仰せでございます。先般の輸入金融の引締めについては、ものによりましては、特に中小企業の方に非常に圧迫になるものもございました。それから特に必需物資で、どつちみちどうしても入れなければならないものについてまで輸入金融を引締めてきゆうくつにすることはおかしいじやないかということは、私どもも実は知つておるのであります。ただ私どもの考え方を率直に申し上げますと、とにかく輸入金融の引締め、さらには根本的な金融引締めというものは、ひとつ筋を通して参りたい。しかしながら、初めから予想されること、あるいは途中から不測の事態が起りかけるということもありましようが、こういうものについては特段の措置を考えなければならぬというふうにして、ケース・バイ・ケース——ケース・バイ・ケースというのは必ずしも一つ一つの案件という意味ではございませんで、こういう種類のものについては拾い上げて、救済措置というと語弊がございましようが、一般の引締めのわくからはずすということが、どうしても必要であると私は考えております。従いまして、たとえば閣僚審議等においても、特に通産省の立場においては、それらの点について具体案を提示して、日銀その他に対しても私どもの考え方を十分申入れ、その具体的な遂行についてさらに協議を進めることになつておるのであります。考え方として、引締めるときに、しかしこれは別だということが初めから出ることは、かえつていかがかと思いますが、御意見の点は十分体して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/22
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023・中崎敏
○中崎委員 この点について、実は先般通商局次長に、現実にほんとうに必需物資で困つている、将来これではこの物資の割当をもらつてもとても輸入できない、こういう業者が現実にあるのをわれわれ見ているのですが、これに対して何らか考慮の余地がないかと言つたら、それはどうにもならないと言つてつつぱねてしまうというような態度で、私不愉快に思つたのですけれども、もう少しこういう面については、真剣にお互い同士が困つている中小企業者などのために、大きな役割を果すんだという情熱がなくちやならぬと思う。私は非常に不愉快に思つたのでありますが、大臣からこういう態度については十分に戒飭して、もう少し公僕としての使命をはつきりするように注意しておいていただきたい。
それから今のお話でありますが、こうした異常な金融引締めをされるのでありますから、今言われたケース・バイ・ケースということはあとで考えられるわけですが、こういうことは予測できるわけなんです。何もかも一律に締めちやつたら、たとえば向うから品物を発送しても、一箇月では完全に引取ることもできない。税関にでも二月も三月も滞つているような場合があるのです。そういう場合にはどうにも品物が手に入らぬ。これが今不急不要というなら少々税関にとどまつていてもしようがないけれども、ほんとうに急を要する物資であるならば、国内の経済に及ぼす影響も相当大きいものがありますから、事前に、たとえば重点的にどういう物資についてはどういう扱いをするという、実情に即した考慮が当然払われて、しかる後にこうした制度が実施されるべきものだと考えていますが、おそまきながらでも——通産大臣は金融通でもあるんだから、大いに大蔵大臣あたりを鞭撻督励して、日銀にも厳重に話合いをされて、この点について政府の方針と威令が十分に行われるような方向へ進んでもらいたいと考えているのであります。
それから次に映画に関する問題であります。これはしばしば話すのですが、私非常に遺憾に思うのは、ほとんど大部分外国系の事業会社が輸入の実際をやつている。ところが国内においては何ら配給の径路も何も持つていない。これが莫大な蓄積円を持つて国内において、どんどんかせいでいる。こういう配給の機構も何もないようなものが占領中の惰性によつて依然として実績主義でやつておられることは、日本の経済の上に悲しむべき事態であると考えるのであります。そこでこの際強力な方針を立てられ、いたずらに外国資本あるいは何ら国内においても手足のないような業者に、一本輸入すれば千五百万円も三千万円ももうかる特権をいつまでも温存すべきものでないというふうに考えるのであります。そこで占領政策の惰性ををこの際映画の面においても大いに払拭されて、最も合理的妥当なる、しかも日本の経済に役立つような方向に映画の問題を考えていただくことを特に要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/23
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024・帆足計
○帆足委員 関連して。ただいま映画輸入の問題が出ましたが、これは文教の方と連関のあることで、通産委員会で映画のことを詳しく申し上げるのもいかがかと思いますが、一応重要な問題として通産大臣のお耳に入れておきたい。最近日本映画の輸出ということもだんだん問題になつて参りましたので、この点について格段の御努力を願いたい。
それからもう一つは、映画倫理的な観点から、たとえば「原爆の子」などは新日本憲法に照して第一位を獲得すべきヒユーマニズムの映画だと思います。「ひろしま」の方は多少はげし過ぎる、きびし過ぎるという点もありますが、それにしろこれも優秀な映画である。「原爆の子」などに至つては、はげしいどころか、あれほど甘い清らかな映画はまれであろうと思う。しかも瀬戸内海の風景などの写し方の美しさなどは、推奨すべき映画である。しかるにこういうことに対して大臣諸公がほとんど映画をごらんになつていないか、また文化的教養において多少欠けるところがあるのか、(笑声)映画はまげ物か銭形平次くらいにお考えになつておられるんじやないかと推察される節があるくらいです。私は先日アメリカ映画の蝋人形という立体映画を見たのですが、かくのごとく愚劣にして残虐してこれは人殺しを白昼公然と大宣伝しているような映画であります。こういう頽廃と虚無、絶望と人殺しの映画が白昼公然と観衆の興味をそそつているということは驚くべきことである。一体映画倫理などをごく少数の人がきめることがいいかどうか、多少問題がありますが、私は文化に対して一種の良識ある審査委員会のようなものがあつて、多少の方向を示すことは必ずしも悪いことでないと思います。しかし最近のアメリカ映画にも優秀なものはたくさんあります。驚くほどりつぱな映画もありますけれども、半数以上は映画倫理に落第であります。白昼強盗、強姦、ギヤング、殺人も奨励し、宣伝しているような映画があまりに多く入り過ぎていると私は思う。これに比べますと、チエツコスロヴアキアにしましても、フランスの映画にしましても、その他の国々の映画でも、非常に優秀なものがある。それから最近中国から来た「葡萄の実の熟するころ」という映画は、ほとんどイデオロギーもわずかで、非常にいい映画です。ソ連の映画の中にも、イデオロギーが入つていなくて優秀な映画があるのであります。従いまして通産省としましても、文化のことなどわれわれは関係がないなどとお考えにならずに、産業こそは文化と結び、科学技術と結んでほんとうに健全になるわけでありますから、もう少しこの問題について真剣な御関心のほどをこの際注意を促したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/24
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025・愛知揆一
○愛知国務大臣 先ほど中崎委員からもお話があり、またただいま映画の問題について帆足さんのお話がございましたが、これは先般も御答弁申し上げましたように、従来は御承知のように大蔵省でやつておりまして、通産省としてはこれに対する構えが実はあまりなかつたことは事実であると思いますが、先般来何とかして、これは外貨の節約という面からの経済的な問題としても大問題でございますから、通産省の発言権をひとつ大きくして、ただいま御注意のありましたような線に持つて行きたいと思つております。いましばらく御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/25
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026・永井勝次郎
○永井委員 関連して。(「簡単にやつてくれ」と呼ぶ者あり)簡単にやれという同僚の声でありますから、民主的に輿論を尊重して簡単に大臣にお尋ねしたいのでありますが、今通産省では輸入外貨の問題、貿易全般にわたるいろいろな構想、国内産業の安定というようなことについて、構想をめぐらされているということであります。その上における根本的な問題について一、二伺いたいのであります。今まで政府のとつて来た政策はインフレをあおつて、そのインフレの間に独占資本の利益を守つて行くという政策がとられて来たと思うのであります。たとえば昭和二十六年の日本の国内物価がぐつと上つた。しかし国際物価はそのころから漸次下向きに向つい来た。こういう情勢が出て来たときに、政府では為替管理を強化して、国内の経済を国際経済から遮断して、これをぐつと上つた高い価格で維持するという政策をとつて来た。さらに二十六年になりますと、糸へんの恐慌が出て来た。そうするとこれに対して日銀がてこ入れをして融資をして、これの価格が下ることを押えた。二十七年になると、糸へんの操業短縮をして価格の維持をはかつて来た。あるいは二十八年になりますと独禁法を緩和したり、あるいは国の財政投資を強化して独占産業関係の値下りを押える政策をとつて来た。それが今度は急に値下げをするという政策をとつて、デフレ政策に切りかえて来た。これはたいへんけつこうだと思うのですが、現在政府のとつているデフレ政策というのは、財政インフレを押えて行くのだ、金融インフレを押えて行くのだ、こういうことで金融と財政の面からの緊縮をはかつていることはわかるのでありますが、しかし今までやつて来たインフレの四つの柱である為替インフレ、あるいは独占禁止法緩和による独禁のインフレ、こういうものには少しも手をつけようとしない。しかも現在においては、先日来ずつとお話申し上げておるように、為替レートは三百六十円だが、実勢レートはとんでもない価格になつて来た。でありますから外貨を獲得すればそれだけで一ドルについて二百円前後の利益というものがぽんともうかつてしまう。それから独禁法の緩和によつて、銑鉄にしても、綿糸にしても、あるいは毛糸にしても、こういうような少数の独占産業関係の価格の値下りというものが、不況カルテルによつて高い価格で維持されておるのをそのままにしておいて、加工の面だけで値下げをやろうとする。従つて、そこで吸収できる値下げというものはありませんから、輸入の面においては、独占産業は暴利をむさぼつておる。さてこれを製品にして海外に売ろうという反面においては、これは国際経済の中でたたかれて、二重価格で貧乏な日本が外国の産業、経済を助けるような出血輸出をしているというばかげたことを繰返しているのですが、こういう一つの基本的なところに焦点を合せた経済政策をやらないで、ただ輸入外貨のわくをきめて、ケース・バイ・ケースでこうするのだというような、そんな現象的な面では問題解決ができないのではないかと思う。為替インフレのこの現実に、どういうふうに根本的なメスを入れるか、それから独禁法に対して、どういう徹底した施策をやるかという、財政と金融と結びつけたこの二つの問題が並行しなければ、問題解決にはならないと思うのでありますが、大臣はこれに対して、どういう御所見を持ち、現実をどういうふうに認識され、これに対する施策として現在すでに示している政策の中で、どういうふうにお考えになつておられるか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/26
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027・愛知揆一
○愛知国務大臣 まことにごもつともなお尋ねだと思います。私は金融財政だけがデフレ政策で先走りをするというだけで、あとは野放しにするというやり方は絶対にいかぬと思うのでありまして、ただいまおあげになりましたような幾つかの面において総合された対策が打たれなければならない、こういうふうに考えます。従つて外貨予算の編成についても、これはただ単に削減すればいいのだという考え方ではなくて、削減するにしても、その程度、方法を考えなければならず、またその結果予見されるであろう国内上のいろいろの問題に対して、十分検討をしておいて、随時適切な手を打ち得るような態勢をつくつておくことが、必要である、こういうふうに考えております。申すまでもございませんが、ただいまの三百六十円という為替相場が外国における札のやみ相場においても、四百四、五十円というようなやみが出ておる、あるいは物価の比較におきましても、実勢がこれに伴つていないことは事実でございますが、さりとてこの為替相場の問題に今手をつけることは、かえつて日本の経済を混乱に導くことになることは申すまでもございませんから、そこでこれを維持しながら、しかも輸出の振興等についてただいま御指摘がありましたが、輸入だけをしていて非常に利益が襲断されるような場合においては、ある意味のこれを統制する措置も必要でございましようが、同時に輸出につきましても、輸出努力に対してはある程度臨時暫定的には報いることもして行かなければならない、そういうようなことで、ある程度日本経済の基盤が国際的に上昇するまでの過渡的な過程におきましては、国際的に許され得る程度において、たとえばリンク制度の問題その他も取上げて行かなければならないと思うのでありまして、こういう点については、私は公式的に割切れた行き方だけはとれないと思うのでございますが、いろいろと説明のつく限りにおきまして、考え得るあらゆる手を総合的にない合せてこのむずかしいときを切り抜けて行きたい、大体基本的にはさような気持でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/27
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028・永井勝次郎
○永井委員 もう一点だけ。少くとも為替関係から算出される重要産業の価格維持に対して、為替レートのアンバランスによる利益が少くも数千億は計算されるのではないか。綿花の輸入価格と国内における綿糸の相場の関係、羊毛と毛糸の関係、あるいは石炭においても、銑鉄においても、鋼においても、これらの価格と国際価格の値幅を算出して行きますならば、為替関係から来るこれらの大企業の利益というものは三千億を突破するであろうと計算されるのでありますが、そういう利益はそのままにしておいて、輸出の関係はとにかくとして、輸入の関係においては、これらの高く上つた価格をそのままに維持させる政策をして、そしてその中の第二次、第三次の加工の面においてこれをその企業の中で吸収させようというような政策を政府はとつておるようにわれわれは考えるのであります。御承知のようにわれわれは為替レート三百六十円を堅持しなければならぬ、堅持するためには、これに即した実勢レートが四百五、六十円にも下つておるのでありますから、これを三百六十円の実際の価格に歩み寄らせるような諸政策が集中されて初めてこれが維持されるのであつて、日本だけが国際経済から遊離し遮断されておる鎖国経済の中で、独占資本がその利益を擁護しようといつたつて、これは時間的な問題であつて、究極的には守ることはできないとわれわれは考えるのであります。従つて今われわれが努力しなければならないことは、こうした為替レートの関係あるいは財政インフレ、金融インフレ、こういつたいろいろな独占的関係に守られて、温室の中にあぐらをかいておる独占企業に対して一大メスを入れて、これを国際経済の中にぶち込んで、国際経済の中で闘つて行ける態勢を確立して行くという方向をとらない限り、日本の根本的な経済の確立ということはないとわれわれは考えます。この点についてどういうふうにお考えになるか、これらの日本の独占企業、政権と結びついたこれらの資本家がその上にあぐらをかいて安穏な桃源の夢をむさぼつておる、これらに対してこれを国際経済中にぶち込んできびしい国際競争の中できたえ上げて、そしてそこから再出発させるというようなお考えがないかどうか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/28
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029・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいま仰せになりましたことはその基本的な気持は私はまつたく同感なのであります。たとえばほかの例で申しますと、企業の内容というものをすつきりした形にさせて、前途においては非常にむずかしいけれども、国際経済の中にぶち込んで、そうして企業家にもあるいは従業員にも一大努力をしてもらはなければならない。それから一方において、政府はたとえば輸入の外貨の割当をもらつたがために、それのみによつて巨大な利益を博するというようなものは押えて行かなければならない、そういう方策を講じなければならないということを考えておるのであります。そういう点から申しまして、ただいま御指摘になりましたようなその気持は私も全然同感なんであります。これも話は飛びますが、たとえば独占禁止法の問題にいたしましても、実は独禁法なんかやめてしまえという声が一部にあることも御承知と思いますけれども、むしろこの前々の機会に独禁法は相当緩和されておる。それ以上にはやめたり緩和する必要はないのであつて、むしろ先ほどもお話がございましたが、安易な不況カルテルなんということが認められるようであつてはいかぬのであつて、やはりこれは独禁法の運用よろしきを得なければならないのである、こういうふうに考えております。将来の問題として企業があまり弱ければ国際的な競争力もございませんから、たとえば輸出入の商社でありますとか、あるいはその他の産業等におきましても、場合によつてこれが集中して合同すれば合理化がされるという面については、これは考えて行かなければならぬと考えます。しかし独占企業があぐらをかいて云々というようなことについては、私どももまつたく同様な気持を持つておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/29
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030・大西禎夫
○大西委員長 それでは本案に対する質疑は終了いたしました。
引続いて討論を省略して採決いたします。国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に御賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/30
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031・大西禎夫
○大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際本案に対する委員会報告書の件につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/31
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032・大西禎夫
○大西委員長 それではさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/32
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033・大西禎夫
○大西委員長 この際山手委員より発見の通告がありますのでこれを許します。山手君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/33
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034・山手滿男
○山手委員 私は時間もありませんので大臣に簡単にお尋ねをいたしておきたいと思います。それは例の四日市の海軍燃料廠のその後の処置、いろいろ御配慮いただいておるようでございまして私は誠意ある大臣の御処置に信頼をいたして、あまりしちよつちゆうぎやあぎやあ言うことは避けて参つておつたのでありますが、相当日数もたつておることでありますし、その後の経過なり、どういうふうに進んでおるか、この際御答弁を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/34
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035・愛知揆一
○愛知国務大臣 四日市の燃料廠の問題につきましては、前々から当委員会におきましてもいろいろ御心配いただいておりますので、ただいま御指摘の通り大分前になりますが、通産省としての立場をはつきりいたしまして、爾今その線に沿いまして事務的にもいろいろと準備を進めておるような次第であります。この前申し上げました通り、政府におきましても昨年の暮れに関係会社から申請書として出されております諸計画がございますが、これに対して現在の御承知のような開発銀行の資金計画とか、あるいはその他一般の財政金融政策の変更とか、あるいは防衛生産の計画でありますとか、いろいろの新しい消極、積極両面の事態が出て参つておりますので、それらのことも参考として取入れて、従来出ております諸計画を基礎にいたして、その具体的な実現の方途につきまてし、申請者とそれから通産省におきましては担当の部局との間に数回会合を持ち、またさらにおのおの知恵をしぼつてとかこの線で実現できるようにいたしたいということで、ずつと検討を続けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/35
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036・山手滿男
○山手委員 先般もすみやかに結論を出すからというお話でありましたし、今も検討を続けておるという程度のお話でありますが、どうもこういうふうなことで、今月さらに何の結論もなしに延びて行くというふうなことでは、われわれは絶対に承服することはできない。新聞紙上におきましても、某外国会社が某地において莫大な資金を持つて来て建設をするとか、いろいろな説が伝わつておる際、国家資産であるところのああいう大きな絶好の施設が、いわゆる外国資本の攻勢にあつて二重投資になるというふうなことで、ほつたらかしにされて使えなくされるというふうな態度については、私どもは断じて承服することができないのであります。と申しますのは、先般もこの委員会の地下資源の小委員会で、石油の外貨問題なんかについて業界人をほとんど網羅をして意見を聞いたりしておりますが、御承知のように、今日製品を輸入するかあるいは原油を輸入するかということについても、私どもはあまり知識はなかつたのでありますが、聞いてみるとゆゆしい問題があると思います。と申しますのは、戦前日本に入れられておつた油は、三割は原油で、大部分は製品で輸入されておつた。日本の民族資本による製油施設なんかはつくらせないという考え方で、日本に製品を持つて来てダンピングをやつて、日本でそういう製油施設ができることを極力押えるような態度に出ておつた。戦争に負けてから、日本の製油施設がほとんど外国資本によつてひもつきになつたそのあかつきには、今度は製品は輸入させない、原油を入れなければいかぬというような理論が打立てられて、戦前はそういう比例であつたにもかかわらず、今日では製品輸入はほとんど行われないで、原油輸入でほとんどまかなわれておる。ところが重油が非常に足りないものですから、重油なんかが製品としては少し入れられておりますが、その重油なんかは非常に安いものが非常に高く入れられておる。原油とほとんどかわらない値段で日本に入れられて、いわゆるカルテルの威力を遺憾なく発揮いたしておる。のみならずこういうふうに外貨が非常に日本に少いときに原油で入れるということになると、精製の課程においては、日本の自立経済の達成には必ずしも必要でないものがたくさんできて来る。たとえていえば燈油のようなものはほとんど石油コンロの原料になつて、日本の農山村にまでいろいろばらまかれておるのでありますが、そういうものがたくさんできて来る。つい一、二年前までは燈油のようなものは、電灯のない満州か中共に輸出がきけばいい、余つて困るといつておつたのですが、それがうまく宣伝をされて、今日これが足りない足りないといつている。私はこういう事態で、外貨が足りないなら、むしろ今の日本の精製施設はひあがらせたつて外貨を節約する意味から、外貨を効果的に使うように入れた方が、この際私は得策だと思う、日本の石油精製会社の雇用力というものはわずか数千人にしかすぎない。私はむしろそういう雇用力やいろいろな科学の振興のために、精製施設を日本でつくることがよろしかろうということで従来は賛成をして来たのでありますが、いたずらにカクテルが自分たちの恣意をたくましうするために、暴力的にこういう手を尽して来ておつて、四日市の旧海軍燃料廠なんかが、少しでも民族資本によつて打立てられようとしておることを、妨害をして行くという態度に出ておるとしか考えられないような節がたくさんあるのであつて、むしろ私はこういうふうな勢いで、この考え方で四日市の海軍燃料廠のようなものが見られておるのであるならば、製品輸入に切りかえるべし、私はこの間もそういう発言までいたしておいたのでありますが、日本の防衛生産そのほかのいろいろな観点からいたしましても、この際はむしろ日本では外国資本に押え切られてしまつておる事業は満腹であつて、防衛生産そのほかの観点からいたしましても、民族資本によるこういうものをある程度ここで育成をして、外国資本によつて押えられたものと大体バランスがとれるような産業構造にしてもらわなければいかぬ、こう考えておる。将来の日本のためにもそうあるべきだと思つておるのでありますが、政府は慎重に慎重にというふうなことで一向にはかどらさせない。そうして二重投資になるというふうなことで、外国資本は今日何十億というものを日本に持つて来て、どんどん大建設をやると言つておる。それの調整をどういうふうにやられるか。私は今日まだ新しい会社の社長がきまつたという話も聞きません。役員の決定も聞かない。まだプランを練り直しているとか、慎重に慎重にというふうなことでは私どもは了承することはできない。まだ今月も荏苒このままの状態でおいでになるのであつたならば、私どもも重大な決心をして、もう少し言うべきことは言うて、どんどん行かなければならぬということになつて来ると私は思う。しかしこれは私どもの本意ではないのであつて、大臣はやはりここで方針を天下に明示されておるのでありますから、その事態と調和しつつ大臣が恒久的に実行できる裁断をされんことを特に切望いたしておきたいと思います。私はいたずらに延ばされておるとは考えておりませんけれども、業界の実態は、われわれから見ると、自分たちの外資や何かと結びついた会社の人たちの利害によつて、まつたくゆがめられておるという事態でありまするから、政府の方で善処をしていただかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/36
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037・愛知揆一
○愛知国務大臣 まことにごもつともな御意見をるる承りまして、私といたしましてはまことに恐縮なんでありまして、確かにこの仕事につきましては相当遅れておるということは率直に認めると同時に、この点については遺憾に存ずる次第でありますが、ただいま最後に仰せになりましたように、方針は私どもも再確認いたしております。さらにその後それにのつとりましていろいろと相談も進めておるのでありますが、できるだけすみやかに御趣旨に沿うように、さらに一段と努力いたしたいと考えます。なおこれにつきまして従来の方針と違うようなことがただいまもちよつとお言葉の端にあつたかと思いますが、他の動き等があつて、それに動かされているということは絶対にございませんので、あわせてこの点も釈明いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/37
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038・大西禎夫
○大西委員長 この際午後二時まで休憩いたします。
午後零時十四分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X02419540323/38
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