1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月九日(火曜日)
午前十時五十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 前田 穰君
理事
入交 太藏君
井村 徳二君
委員
植竹 春彦君
一松 政二君
加賀山之雄君
森田 義衞君
天田 勝正君
村尾 重雄君
国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
政府委員
運輸政務次官 西村 英一君
運輸省鉄道監督
局長 植田 純一君
運輸省自動車局
長 中村 豊君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
説明員
日本国有鉄道総
裁 長崎惣之助君
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本日の会議に付した事件
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○運輸一般事情に関する調査の件
(運輸行政に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/0
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001・前田穰
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。
先ず国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題に供します。
政府より提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/1
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002・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 只今から国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
日本国有鉄道は、先の仲裁裁定に基く従事員の給与ベース改訂による経費増、輸送量増加に伴う経費増及び減価償却費等の増額を図りたいこと等の必要から旅客運賃等を約一五%値上げして欲しいとの運賃改訂の申請をして来たのでございます。併し運輸省といたしましては、現在の経済情勢を勘案いたしまして、国民生活に及ぼす影響を最小限度にとどめたい意向からいたしまして、三等旅客運賃、料金は据置くこととし、一、二等旅客運賃、料金についてのみ現在含まれている通行税額を外枠にする程度の値上げはやむを得ないものと考えまして、運輸審議会に諮問しましたところ、運輸審議会におきましては、聴聞会を開催し、慎重審議の結果、この程度の改訂を行うことはやむを得ない旨の答申があつたのであります。これは別途御審議をお願いします昭和二十九年度の国有鉄道予算案に見合うものでありますので、政府におきまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を本国会に提出した次第でございます。
今回の運賃改訂のうち主なる点を申上げますと、一、二等普通旅客運賃は、現在通行税額を含めて三等普通旅客運賃のそれぞれ四倍、二倍となつておりますが、これを通行税額を含まない倍率といたしまして、これに通行税額を加算することにしますので、実質的には約二〇%の値上げとなります。
又、一等の航路普通旅客運賃(青森、函館間航路のみでございます。)及び一、二等急行料金は通行税額を含めた運賃、料金として決定されておりますが、これをそれぞれ通行税額を含まない運賃、料金に改訂いたします結果、これらに通行税額が加算されることになりますので、約二〇%の値上げとなるものでございます。
次に、一、二等寝台料金及び特別二等車料金につきましても同様の値上げとなりますが、二等普通定期旅客運賃につきましては、現在の運賃が、三等普通定期旅客運賃に比し、相当割高の運賃になつておりますので、今回は通行税額を含めて、現在の二等定期旅客運賃に対し、おおむね五%程度の値上げにとどめたのであります。
以上、今回の一、二等旅客運賃、料金の改訂について申上げましたが、今日国民各位に幾分でも負担の増加を願うことは誠に心苦しいところでありますが、国鉄財政上収支の均衡を図るための必要やむを得ない措置であることを御了承願いたいと存ずるのでございます。
最後に、本法案実施は四月一日を予定しておりますので、重要案件の御審議に極めて御多忙のことと存じますが、何とぞ慎重御審議の上、予定期日に実施できまするよう御承認賜わりたくお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/2
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003・前田穰
○委員長(前田穰君) 本法案に対する質疑は、例によりましてこれを次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/3
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004・前田穰
○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/4
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005・前田穰
○委員長(前田穰君) 次に、運輸行政に関する件を議題といたします。
前回に引続き運輸大臣に御質問のある方は順次御発言を願いたいと思います。先がつかえておりますので、成るべく運輸大臣にだけ一つ御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/5
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006・植竹春彦
○植竹春彦君 本日は民間自動車業並びに地方鉄道業についての租税公課に対して質問いたしたいと思いますが、そのうち、その租税公課の総括的の質問の意味におきまして、一点だけ大臣に質問をいたしまして、爾余は事務当局から御答弁を願いたいと思います。
大臣に御質問申上げる要点は、今日では民間の自動車業と国鉄の自動車業とがとかく競争状態にありまするので、又路線におきましても、競争路線のある所もありまするし、いろいろな荷物の運搬から申しましても、そういつたような状態にありますので、ここに民間業者に対する租税公課と、それから国鉄に対する租税公課とを同列にして同じような取扱にしてやつて行くべきような状態であるかと考えますが、これに対する大臣の御所見を承わりたいと思います。
第二に、同様に地方鉄道に対しましても、これにかかつている租税公課はやはり国鉄においてもこれをかけて、国鉄が今日公共企業体であるその公共性は十分に考えなくてはいけないが、地方鉄道でもやはり公共性の強い事業であるという点を考えまして、これ又地方鉄道が保護されていると同じ程度の保護が国鉄に対しても行われ、又国鉄に対する課税は民間の地方鉄道に対する課税と同じような標準でやつてもよいといつたような部分が多分にあると思われますので、それに対しまする大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/6
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007・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 国鉄は御承知のような国家経営の時分からのずつとしきたりと、その特別な立場を尊重されまして、課税は大分されずにおるわけでございますが、今度から固定資産税の一部がかけられるものも生じて来たというようなわけ合いでございます。すべて交通機関を見渡しますと、特に国鉄と並ぶべき地方の軌道等につきまして、又同じようなルートを走つております自動車等の関係を見ますると、まだまだ地方交通の発達のためにもつと租税負担を少くし、そうして交通状況をよくするということにしなければならんものはいろいろあるのでございますが、何か税の問題が起るときは必ずその問題についていろいろ話もし、そのほかの場合でもできるだけ公共性ある交通機関という意味において、民間のものも税を少くするようにいろいろ話をいたしておるわけでございますが、まだ思うようにそこまで至らないのが現状でございまして、今後とも、交通機関というものはなかなか無理になつておる経営状態の所も相当あるのでございます。そのために、今度は地方鉄道の援助というようなものも一部予算に初めて現われて来るようなことになつたのでございますが、交通機関の健全なる発達のために、租税をできるだけ軽減してもらい、そうして地方の交通もだんだんといい状態になるようにということが私どもの願つておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/7
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008・植竹春彦
○植竹春彦君 只今の大臣の御所見によりますれば、要するに地方鉄道の租税公課に対する軽減という点に御留意をせられておるように承わりましたが、逆に地方鉄道と国鉄とを同列に考えると、両方とも公共的な事業という意味で同列に考えている意味におきまして、その間の差異を少くするために、又その合理性からいつても、国鉄のほうに租税を課して行くといつたようなお考えはおありになりますかどうか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/8
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009・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 私は国鉄が御承知のように今世界で、先進国に比べて一番安い運賃であるという事実、それから又国内的に見まして独立採算制をとらしてはおりまするが、実際影響するところが非常に大きいものでありまするから、先ほど提案しました運賃改正法にも申上げましたように、経済界、それから我々の生活そのものに及ぼす影響等を考えてなかなか上げることが困難でございます。そういたしますると、できるだけ税の負担を少くして、そうして運賃値上げに持つて行かないほうが、日本の今の実情には副つておるのではないかというふうに思うのでございます。税金を国鉄のほうにいろいろな面でかけて参りますると、どうしてもそれは中にいろいろ合理化の方法を講ずるということも当然でございまするが、それだけでは賄いきれないような状態になるのではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/9
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010・植竹春彦
○植竹春彦君 国鉄の成績の上らざる点、賄いきれざる点は、運賃の安いという点、公共性に鑑みての運賃の安いという点を只今承わりましたけれども、それはむしろ公共性から考えて運賃が安いというならば、例えば定期乗車券のごとき、社会政策的な面から非常に安い、公共性に鑑みて安いというのならば、むしろそれは一般会計から繰入れて、国鉄のその営業成績の悪い部分の負担をカバーして行くべきで、そうして一方それに対しまして、税金のごときはやはり地方鉄道と同じような取り方をすべきものじやないか、かように考えますが、それに対する大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/10
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011・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) そういう御意見も運賃問題のときにときどき承わるのでございます。一つの見方だと思います。そういうふうな観点からいたしますると、国鉄そのものが経営をして行きますのに非常に困る問題が、税金問題だけでなくいろいろなものがあるのでございます。例えば新線が建設される問題が、この間からもちよくちよく話が出ますが、新線の建設が今予定されております三十線ができ上つたと仮にいたします。それまで政府の金をずつと借りてこの仕事をやつて行つたといたしますと、これができ上りますと、それだけで約五十億の利子を払わなければならない。そういうものが払い得るような収益が一方に上り得るかというと、これはどんないい仕事でも、仕事が運行するようになつて数年間というものは、なかなか行かないものでありますが、この国鉄の場合なんかを考えますと、日本の国民経済全体としては非常によくなるが、鉄道そのものの今の運賃と建設費との比例を考えましても、なかなかそろばんが合うようなときは来ないではないかという心配があるのでございますから、これについても、根本的に国家が利子補給をすべしとか、或いは出資すべしとかいう議論がいつも出るのでございまして、残念ながらそれはまだ実施されるようになつていないのでございまして、今おつしやるような問題も考えられる問題でありますが、国の予算の中に組み得ない実情でありまするが、これは私は国鉄のあり方そのものの根本までもやはりこの際少し考えてみなければいかんじやないかということを考えておるわけでございます。それで先頃できました臨時公共企業体経営合理化審議会が近く発足することになりましたので、これで私は国鉄はどうあるべきか。仮に今のままのような行き方がいいならば、そのほうのいい点がたくさんあるならば、それに伴いましての困る問題、今の定期のお話等もありましたが、そのほか新線に対する利子補給の問題とか、そんな根本問題も併せて考究して参りたい、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/11
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012・天田勝正
○天田勝正君 私は、委員長にお聞きするのですが、大臣の都合もありましようから、他の人に質問する場合のことも考えて、どういう方々が今日おいでになつておられるか発表して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/12
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013・前田穰
○委員長(前田穰君) 本日の出席者は、運輸大臣のほか中村自動車局長、植田鉄道監督局長、それから山内民営鉄道部長、それから国有鉄道から総裁、それから石井経理局長、藤井技師長、それだけであります。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/13
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014・前田穰
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/14
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015・天田勝正
○天田勝正君 二、三大臣に質問申上げたいと思います。成るべく簡潔に、他の分は他の御出席の政府委員の人にお答え願うことにいたしまして、私は細かいことを申上げるようですが、先般来両院の決算委員会算で問題になつておりました構内営業の問題ですが、言葉で言えば、構内営業と極めて簡単でありますが、これには非常に大きな問題が含まれておるのであつて、世上に伝えられまする国鉄会館の問題は、これは一つには国鉄が中心となつてああした会館を建て、それが名店街とかいいまして、これらのいわば大きなもの同士の一つの争いとも見得るのでありますが、これに反しまして秋葉原会館等の例を見ますると、これは逆に極く零細な企業者を集めて、それらに出資させて、実際には普通の商習慣では到底堪えられない過酷な契約などを結びまして、そこで僅かな善意に基く過失であつても、これを取上げていわば追い出す、こういうようなことで、結局はそれら極く小企業のものの資金によつて成り立つた秋葉原デパートのごときものが大企業に皆吸収されて行く、こういう一つの形が現われておるのでありまして、従つて従来の単なる駅の待合室に簡単に店を出しておつた、弘済会等がやつておりますが、そういうものとは非常に違つた、大きく中小企業者を収奪することによつて大企業が発展して行くという形とも見受けられますので、私は先般来、これは両院においても問題になつておりましたことでありますから、後ほど国鉄当局にもお伺いしたいとは思いますけれども、監督官庁としての運輸大臣は、これらの処置に如何なるお考えを以て対処されて参られたか、その点一つ御所見を承わつておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/15
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016・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 構内の営業の問題は、国鉄のほうで旅客の利便関係を第一に考え、それから余剰の空間をどう利用すべきかというような問題とも併せてきめられておるのでございますが、今お話の、或る所は非常に借りている者が有利で、或る所は非常に窮屈な目に会つておるというお話でございますが、細かい問題は私存じてませんが、先頃から、今お話のように、昨年中にいろいろ構内の営業問題につきましても、衆参両院のいろいろな方々の御注意がありまして、例えば土地をそうやつて貸す場合には、地代の評価委員をこしらえるとか、いわゆる民間と一緒にやりまする停車場については、これをどういうふうにして、どういうところに許すかというような問題等を研究する委員会もこしらえておるようなわけでございまして、今までよりも更に公平な立場で、そうしてそこいらを利用される方々にも非常に都合のいいように運ばれるような方策を皆で講ずるように、国鉄当局には私ども要求いたしておるわけでございますが、細かい問題につきましては、鉄道関係から申上げさせることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/16
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017・天田勝正
○天田勝正君 次は、観光の問題につきましては、過日大臣も申されましたし、それから国鉄総裁も次官もそれぞれその説明の中で申されておりますから、私はかなりこれを強く施策しようという意図がある、かように考えておるわけでありますが、観光事業は、世界のいろいろな文献を見ましても、実際には単なる景色を見るということでなくして、その土地の人情、風俗というものが相当旅行者の胸を打つ、こういうものがあつて初めて成功していると私は思つておるのでございます。ところが日本の観光地の現状というものは、行つて見れば二度と行きたくないというような状態が多く見受けられる。これらに対して大臣もそう見ておられると思いますけれども、一体運輸関係の国鉄総裁なり、大臣なり次官なりという最高幹部が口を揃えて観光に、その説明の中で言及されるには、抜本的な何か日本の観光事業が一大飛躍するというような構想を以て言われておつたと思うのですが、実際にいろいろな予算面なんか見ても、別段のことはどうもなさそうに思いますけれども、これらについてどういう方法によつてやられようとしておられるのか承わつておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/17
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018・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 観光事業を盛んにすべしということは、私かねてからの持論でございますが、これには私の主として申すのは、海外からの観光客を日本に引付ける、そうして一方国際親善を図ると同時に外貨の獲得を期するというのが筋でございますが、今お話のように、実際予算面に現われている観光事業にこれだけ力を入れているのだというものが、特に今度組みまして今御審議を願うはずになつております予算にもなかなか出てないのでございます。却つて少くなつておる、政府の観光事業に対する補助なんが少くなつておるわけでございます。これを私どもは、今戦争前は、国鉄が鉄道省といつた時分の関係は、世界の主な所にそこの出張所があり、そこに観光の問題を併せていろいろやつてもらいましたが、戦争後の状態は、御承知のように漸く一昨年にニユーヨークに交通公社が出張所を出し、観光の仕事を取扱い、本年はサンフランシスコに漸く一カ所できたと、来年はホノルルであるとか、或いは南米のどこかの地点にだけでも開きたいと思いまして予算を要求いたしたけれども、新規需要は罷りならんというようなことでこれが駄目になりました。できるだけ交通公社の金の余裕をそのほうに振向けてもらうというようなことに話をいたしまして、ニユーヨークとサンフランシスコだけを維持して行くということになつたわけでございます。現在行われておる予算では、八月以降の分だけが計上されておるわけでございますが、来年は平年度になりますので、相当金額を増さなくてはならんのに減つておるわけでありますので、このようなやりくりに相当心を配らなければならん状態でございます。併し昨年から本年にかけまして観光客も殖え、外貨の収入も増しておりまするし、来年度になりますると、今までの申込んで来ておりまする様子を見ましても、来年は更に多くなるのじやないか。本年は何やかやいたしまして、日本の金で百億円ぐらいな外人の落す金が、来年は百二、三十億円は少くも収入がありそうだという予想が立てられておる状態でございます。これをもつともつとよくするためにはどうしたらいいかと言えば、宣伝も勿論大事でありまするが、国内の受入れの態勢を整えることでございますが、それには第一の問題は道路、それから観光地におけるホテルその他の設備でございます。道路は乏しい中からもできるだけ観光地に向いましての道路も整備する。若し今のままで行くと、若しというよりは、今のままで参りますると、なかなか道路の設備もできにくいのでございますが、これは丁度御承知のように伊豆半島におきましてあちらこちらに有料道路でやらしておりますが、こういうふうなこと等も奨励し、地方の県庁であるとか、その地方の団体、それからその地方に関係ありまする観光その他に関係ある人たち、又そのほかのこういう仕事に興味を持つている人たちが集まつて会社を組織してでもいろんな設備を進めて行こうというて、伊豆半島なんかは幾つかの構想を持つて計画が進められておるというような状態でございます。ホテルがどうもアメリカに接収されて、大分部屋数が少くなつておりますので、これを回復することが一つの問題でありますが、これはなかなか、少しずつは返してもらつておりますが、思うようにまだ返つておりません。地方におきまして、是非この機会にホテルを建てたいというような、私どもも考え、又地方的にもいろいろその話があつて、現に二、三のお話も、箱根、伊東、伊豆半島において聞くのでございますが、まだこれらは具体化しておりませんが、こういうものに私どもはできるだけ金融の途その他についての援助をいたしまして、少しずつでも進んで行くようにしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/18
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019・天田勝正
○天田勝正君 只今の観光の問題は、むしろ私は予算以前の心構え、親切というものの指導に当る、本当はそういう答えを頂きたかつたのでありますが、これは細かいことでありますから一応この程度にいたしまして次は、運賃値上げに関する問題ですが、これは委員長がさつき申されましたように、次の機会に譲るということでありますが、基本的な内容の考え方を伺つておきたいのは、これは仰せの通り一、二等に関することでありますから、大した影響は金銭的にはないように私ども考えますけれども、こうしたことは心理的に与える影響というものが非常に多いのでありまして、戦後数年の間、御承知でもありましようが、平価切下げの噂が飛びまして、これは実際には平価切下げでなくて貨幣呼称の切下げということでありましようが、とにかくそうした新円と引換えるというような噂が飛びまして、その噂が出るたびごとに物の買占めが始まる、こういう工合に非常にインフレの一つの動因というものが、実に心理に発する、こういうことを我々は大きく考えなければならないのではないか、こういうふうに考えるのであります。現内閣は、予算委員会等におきましても、本会議等におきましても五%乃至一〇%の物価の引下げを行う、そのめどはこの秋頃までにはそれを実現したい、こういうふうに経審長官等も語つておりますけれども、その後の新聞等を見ますると、個個の問題を取上げて来るというと、これがなかなか困難だというようなことを語つたと伝えられている。これは新聞の誤伝かも知れませんが、とにかく経審長官もそうして悩んでおられる。その個々の問題を捉えればなかなか困難だという一つの例が、この国鉄の運賃値上げということにも現われたのでなりましようけれども、こうした個々の問題をあれも上げ、これも上げ、殊に官業、或いはそれに準ずる業種の値上げということは、やはり国民に与える影響というものは非常に甚大であります。そこで私はできるならば、先に植竹委員も申されましたけれども、一般会計から繰入れるという、これは税金に転嫁されるから結果において同じごとく見えますけれども、まだそれでも世間に与える心理的な影響は少い、こういうことも考えられるわけであります。そこでお聞きいたしたいのは、こうして政府としてその声明されておるところといわば逆行といつてもいい、かような処置も出て参るわけでありまして、これらについて絶対にそうした影響はないと仰せられるのか。或いはどの程度で、少くとも運輸省関係においてはこれだけ以上には……、絶対食いとめる、ほかの値上り等は招来しない、他は抑えて行くんだという御決意を以てなされているのか、その基本的な問題だけ伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/19
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020・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 一体運賃を値上げすればどういうふうに国民生活に影響するだろうか、経済に影響するだろうかという問題で、この運賃値上げ問題を取上げたときに経審長官、前の岡野君のときでございましたが、話合つたことがございますが、今までのずつと運賃値上げのときの経過等を数字的に示されましたところによりますると、各等一割くらいならば、値上げの場合においては、これは物価には殆んど影響がないと言うていいくらいだということを聞きました。併し仰せのように心理的の影響というものは、これは決して皆無と私は言えないと思います。全体ならばなお更のことでありますが、一、二等だけでも、やはり運賃値上げだ値上げだということは言われますのであります。相当こういう問題も考えなくちやならないのでございますが、まあ僅かな金ではないか、全体を上げても一、二等運賃、寝台その他のまあ通行税を外枠にいたしましても、約二十億ぐらいの収入だ、このくらいなら大きなふところからなら何とかなるのじやないかということも、一応言えるわけでございますが、これはぎりぎり詰めたところがここにしわ寄せられたと申しますか、こうなりまして、全体として国鉄といたしますと、もつと金を頂いて、金を何とかして融通でもいたしてもらつて、そうして車両、鉄道等の保全のほかに、少しずつでも車両の増加、改善を図りたいということが願いでございましたが、それもなかなか困難な状態になりまして、一般会計からのどうしても借入金も非常に少くなつた状態でございますので、止むを得ず一、二等の値上げだけせざるを得んという、そうしてその影響は只今申しましたように、心理的に多少の影響があることは私も否定はできませんが、我々の実際の経済生活にこのために物価騰貴の状況を来たすようなことはないだろうと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/20
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021・前田穰
○委員長(前田穰君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/21
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022・前田穰
○委員長(前田穰君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/22
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023・一松政二
○一松政二君 今、関連質問をちよつとしたいと思つておつたのですよ。植竹さんのまあ話のうち、しよつちゆう国鉄が、運賃が非常に割安で、それでそのほかの物価に比例して非常にアブノーマル、そういう傾向を私も確かに認めますが、私はこの国鉄の裁定その他で労働の生産性とか、或いはいろいろ人トンキロで旅客運賃が幾らになつた、ここにいろいろの各国との比較も頂いて、私ちよつとあら筋を見たのですが、この中で、私はもう各国の事情を実はつまびらかにしないのです。私ももう四半世紀前に廻つて来ました。あのアメリカにいたような状態、ヨーロツパも一応は廻つて来たのですが、この各国の国鉄との比較がございますから、これにもう一つ私はこの旅客輸送の混み方ですね、日本のように、定期旅客にしても、朝晩のラツシユ・アワー、或いは地方の鉄道にしても、まあ人間と荷物と比べて、場合によつたら荷物よりもつと悪い、人間は幾らでも積込めば積めるが、荷物は積まれません。だから荷物よりも人間のほうがまだ粗略に扱われる。ですから、或る意味の表現から言えば、そういうような状態を各国と比較してどういうふうにお考えになつているか。これは大きな私は問題だと思う。旅客を輸送して、それからそのキロ数に応じて運賃の収入は、これだけの旅客を輸送をしたから非常に生産性が上つたという一つの見方をするけれども、まるで呼吸のならんほど人間を押込んで、別段それによつて特に私は従業員が、それは改札、入口と出口と、それから人間の出入りをする問題はあるかも知れませんが、それは別段私は人をうんと輸送したから能率を上げたと誇るに足りないと思う。こういう状態が、どこかこれに類似している国が、今この中で例を挙げている所でありましようか。それが今の運賃、而も日本の鉄道収入は、旅客によつて営業の利益が幾らか見られるが、どうも貨物のほうは常にとんとんだというような御説のようであります。その旅客が最も運賃収入の根源であるとすれば、なお更、私はその営業成績が、一方においてあの輸送状態で、無理な輸送をしてそうして収入を上げているのだから、この旅客の側から言わせれば、安いかも知らんけれども、安いより以上に非常なみじめな輸送をしておるわけなんで、果してそれが物価の倍数に比例してそうそれを割切れるかどうかということは、昔と同じような混み方である程度ならば非常に運賃が安いということが言えるけれども、尻押しのようにして朝晩学生が乗つておる。それから又地方へ行くと、私の郷里の日豊線の小倉に近い小倉から柳ケ浦あたりまでの、殺人的だとよく言われておりますが、それによつて収入を上げているわけです。だからそこのところが賃率が非常に安いということと、そういう輸送状況をやつておるということと、必ずしも私は安いということだけを強調されることに多少の異議があるのです。各国と比較して、私はただ端的に伺つておきたいのは、この人間の取扱い方が日本ほどこんなに混んでいる国がどこかほかにありますかどうか。それを私は運輸大臣に聞いておいて、そうしてこの資料を頂きたいのです。この中にいろいろありますが、私はそれが見当らない。客車の数と貨車の数ですか、その混み方を、何らかの標準を設けて混み方の比較をして頂きたい。私ども昔アメリカにおつたときには混んでいれば乗せなかつた。もう乗れないからというので、立たせては乗せないことを私どもは経験しておりますが、今ではそういうことはありますまいが、まあ地下鉄などかなり混んでおりますが、日本ほどひどい所はないだろうと思う。そういう問題について、これが運賃値上げとかいろいろなことに関連するのですが、その点を一つ、運賃が安いということだけを言われて、その分は余り強調されないから、私は承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/23
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024・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 誠に御尤もな御質問であります。余談になりますが、昨年の暮に地方を旅行いたしておりまして、丁度ベース・アツプの問題がやかましい頃でありましたが、あちらこちらに貼紙がしてございました。その中に三等運賃値上げ反対と書いてありましたが、その横に四等運賃を設けろと書いてあるのがありました。これが一般の人の声じやないか、というのは、丁度今おつしやつたように、殺人的な状態に乗せておいて、三等運賃どころかもう一つ混むときには四等運賃にして値下げすべきじやないかという声だと思いまして、いろいろ書いてあるが、これが一番ピンと来て、帰つて国鉄総裁なんかにも話したことがございますが、如何にも運賃が世界的に割安だというのは、キロ当りの一人の計算でございまして、今の混み方、特にラツシユ・アワーなどの都会地を中心にいたします各地においての殺人的な状態というものは、これが国鉄としての輸送関係においての一番大きな悩みだと思つております。これにはもう汽車を持つて来ても、列車を持つて来ても入り切れないように混んでおる所もあると聞きましたが、そうでなく、まだ汽車さえあればその間に割込める所がたくさんあるはずだと思います。ただこれに対する何と申しますか、汽車の回復が数字的に見ましても、統計で見ましても、戦争前と同じか、或いはそこまで至つていないか、それに人口はもうこんなにたくさん増しておる。非常に通勤範囲も広くなつておるというようなこと等を考えますると、そこにどうしても車両を増すということが、そこにいろいろなスピード・アツプと申しますか、そういうことができるということが一番大事なことだと私どもも思うのでございます。それでただ運賃の一人当りの問題を以ては全部を言い切れぬのでありますが、国家から、或いはその他から金を借りることができますか、そうでなかつたならば、自己資本が殖えるような意味において、償却費を増してだんだん殖やして行くというような意味で運賃の値上げをするかというような問題等、どれかによつて今のお話のような人の輸送の緩和をしなければ、これはどうしても鉄道としての使命は十分尽せないということも同じように思うのでございます。まあこの問題につきまして、鉄道当局においても一番この問題で苦労しておるわけでございますが、細かいことは鉄道当局から御説明申上げます。
又、お指図の表のごときものも、何か自分のほうの運賃値上げに都合のいい表ばかり出しているように見えておかしく思いますが、そういうところまではまだ考えが至つていなかつたものでありますから、今のようなお話の統計表もすぐにも出させまして、御参考に供したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/24
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025・一松政二
○一松政二君 私は他の問題は次に譲りまして、運輸大臣は今日はこれ限りにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/25
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026・植竹春彦
○植竹春彦君 租税の質問の前に、国鉄総裁がお見えになりまするので、一言簡単な質問をいたします。それは前委員会におきましても、総裁から御説明があつたわけですが、電化の問題であります。この電化について、東海道線や山手の貨物その他極く特殊の部分的な区間につきましては、予算に現われているようでありますけれども、東北線や常磐線等の電化について、これはできるだけ速やかに電化しなければならんという御決意を承わりまして、その点非常に安心いたしておるのでありますが、これがただ予算上に現われておりませんので、その点はどういうふうになつておりますか。且つ又、衆議院の運輸委員会におきましては、この東北線等の、或いは羽越線等の電化につきましては、いま少しく具体的な御説明もあつたかのように仄聞もいたしておりまするので、なお当委員会におきましても、成るべく具体的の一つ御説明を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/26
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027・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 東北、常磐線は勿論のこと、その他各方面におきまして、電化の御要望が非常に熾烈であるということは、私どももよく存じ上げております。又一方、国鉄の運営の面からいたしましても、或いは国家的見地からいたしましても、石炭の不経済な使い方ということは避けなければならんし、同時に又国鉄の運営合理化、或いは近代化という面からいたしまして、電化は相当収益を上げることができる、国鉄の財政改善の上にも寄与ができる、こういうふうな一石三鳥とでも申しますか、どの面から見ましても、電化は私はやつて参りたいと考えております。ただ遺憾ながらやはり一定の資金の枠内、或いは借入金の枠とうものに制約せられまして、思うように進まないのであります。只今御指摘の東北本線並びに常磐線におきましては、又先にも申上げたかと存じますが、日本の国鉄が、とかく南方依存の従来の経済であつたために、南方方面に向つては相当に強化されておりますが、終戦後は南方依存の日本経済が一転いたしまして、とかく北方のほうにいろいろな資材を求めなければならんというふうなことになりました結果、従来閑却され勝ちなところの北方幹線、言い換えますれば、東北本線或いは常磐線乃至は羽越線、北陸線というふうな方面と北海道との連絡、そういうことが重要なポイントになつたのであります。従いまして国鉄といたしましては、そういう北方の線の強化ということをこの際全力を挙げて遂行して行かなければならんというふうな立場に置かれてあると私は考えております。従いまして東北本線、常磐線の電化もその強化の一環といたしまして、私は早急な時期に是非これが実現を見るようにして行きたいと考えております。お説の通り、二十九年度の予算では明確に東北本線の電化或いは常磐線の電化という項目は出てもおりませんが、併し私は予算の編成の経過、或いは予算の今後の変化、こういう情勢に応じましては、でき得るならば私は二十九年度の末項からでも何らかの形でこれらの両線の両方になりますか、いずれか一方になりますか、これは又研究を要する点があると思いますが、いずれにしても手を着けていきたいものだと考えております。なお従来の電化はとかく区間的に区分されておりましたが、私は今度の東海道線にいたしましても、又将来やります東北本線或いは常磐線その他の線にいたしましても、全線を睨みましてこれが計画的にあらゆる面で、ただ電化という点だけでなしに、設備その他の面で完全な準備をし計画を立てまして、着手した以上はできるだけ早い時期にこれを完成するという方向に持つて参りたいと思つておりますから、そういう意味合いにおきましても、東北本線或いは常磐線というものの調査研究乃至は着手ということは、私はできるだけ早くやりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/27
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028・天田勝正
○天田勝正君 私も只今植竹委員のお説と同じような質問ですが、私はこれは長崎総裁のみならず、歴代の国鉄の方たちは、そのサービスという問題は、我々が考えているのとまるで逆立ちして考えておられるのじやないか、こういうふうに実は考えておるのです。それというのは、さつきも一松委員からも申されましたけれども、大よそ幹線といつても東海道線のようなところは別として、他はだんだんローカルになればなるに従つてサービスは悪い、乗せる時間だけは長い、こういうわけで、実は汽車に乗せる時間が長いから、それで大してサービスをしなくても同じ運賃を取つてもいい、こういうふうなどうも基本的な考えがあるのではないかとさえ私は思わざるを得ない。更に地方幹線からローカル線に入りますと、ますますひどくなります。こういうことは具体的に申上げたほうがいいと思いますが、私は高崎線の沿線におりますけれども、朝晩二本ずつの快速列車というのが出て大変便利はしておりますけれども、あれに仮に私どもが乗つても熊谷からだと二等で殆んど掛けられたためしはない。高崎からの人だつたら掛けられる、こういう有様です。ところが湘南若しくは横須賀線だつたらどんな所からでも掛けられない所はない。逆に我々は三等のほうへ乗つても掛けられるから、それへ乗つて来るという始末でありますけれども、とにかくこういう工合でこれは一つの例で、更に九州とか或いは中国のローカル線などに至つては、殆んど荷物扱いか何かわからないような取扱をされて、駅ではたくさん待たされる、その駅で待たされる分も駅の舎屋に入れておくからサービスだ、こういうような皮肉にすらどうも考えざるを得ない状況になつている。ところが過日の説明でも、大臣も総裁も又次官もともどもに、この浜松、姫路間を電化してサービスを大いに上げる、こういう説明なんです。それはそれとして非常に結構でありますけれども、これでは幾ら何でも余りに差があり過ぎると、これはその線におる人でも私は公平に見てそう考えられるだろうと思うのです。でありますから、これは今年度末には予算に上つておらないけれども、考えるということでなくて、この基本的な考え方というものを一体何と考えておられるか、私はそこから聞いて行かなければならないと実は思つておるわけでありまして、そこでこれらの点につきまして、総裁としては抜本的に今までの考え方はやめて、むしろ次の汽車が来るまで長く待たなければならない所は中を改善するとか何かせなければバランスがとれないと思いますけれども、それらの点について、どうお考えなつておられるか、承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/28
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029・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 日本国有鉄道のサービスが非常に低下しておる、戦前に比べて非常に低下しておるという事実は、その通りでございます。御指摘のようにローカル線等に参りますと随分、もう少し勉強してもいいのじやないか、少し列車回数を殖やすとか、或いは快的な列車を動かすとかいうことをしてもいいのじやないかというお説は誠に御尤もでございます。私は是非ローカル線の改善を今後やりたいと思つておりまして、昨年度、或いは今年来いろいろ努力をいたして来ております。それは御承知のように、ローカル線にヂーゼル動車を動かすということでございます。このヂーゼル動車によつてローカル線のサービスの向上ということをいたして参りたい。ただ遺憾ながら、これ又金がないないというのは泣き事であつて、それを工夫するのが云々と言われるのでございますが、やはりこれも程度の問題でございまして、幾ら工夫々々と申しましても、資金というものがなければ十分な、而もそれが時間的に早く行くということは困難なのであります。昨年においてローカル線のヂーゼル化ということを考えました際には、全国においておよそ一千両のヂーゼル動車がございますと大体行き渡るという計算でございます。二十八年度末にはそれが約半分完成いたす予定でございます。今後二、三年の間にあとの五百両というものを是非作つて、そうしてローカル線のサービス改善を、画期的と申すことができるかどうかはわかりませんが、今よりはよほどよくして行きたい。又それについては、更に線路の線区の状況等に応じましてそのヂーゼル動車も千篇一律のものでなくてもいいのじやないか、と申しますのは、今日できておるヂーゼル動車は一両千五百万円いたすのであります。これを三両編成で運転いたしますと五千万円の金が要るということでございまして、その単価をできるだけ下げて簡易なヂーゼル動車と申しますか、軌道自動車とでも申しますか、そういうようなものを工夫して、そうしてできるだけ早い時期に、少い資金で以てローカル線のサービスの改善を図りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/29
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030・天田勝正
○天田勝正君 これは私の質問を多少取違えて親切なお答えでありましたけれども、別な面でお答えになつたと思うのです。私の言うのは、予算の関係等十分わかります。それから戦前との比較を今私はしておるのではなくて、特に東海、山陽等だけにどうも主力を注がれているようであつて、他の幹線並びにローカル線は非常にそれと比較すると余りに差があり過ぎる。多少の差はこれは止むを得ないけれども、非常に差があり過ぎる。それで私は例を挙げたわけですが、仮に鎌倉あたりと高崎線の熊谷あたりと比較すれば、鎌倉あたりのほうが遠いはずですけれども、そうするとすべて運賃は同じキロで幾らという掛け方をやつており、大体値段も幾らも違わない。こういう場合に片方は二十分乃至朝晩ならば十分か十五分待てば次が来る。片方は一つに乗り遅れれば一時間はかかつてしまう。こういうようなことで、その間はまあ舎屋に入つて待つているということになるのですけれども、旅客のほうからいたしますと、こういうこと自体がもう非常に差がある。国鉄のほうでは乗せておく時間、キロだけを考えられる。ところがこつちは待つ時間というのが余りに差があるということを、一つどうしても旅客としては考えざるを得ぬのだし、それならば内部がよろしいかと言えば、内部は又お話にならんほど違う。二等と三等ほどに違うというのは総裁も御存じだと思う。こういう工合であらゆる面で差があるのみならず、到着する時間に至つては、これ又比較にならんと、こういうことであるから、私は皮肉のようですけれども、サービスという我々の考え方と国鉄当局が考えておられるのとは逆ではないかというふうに今指摘しておるのであつて、これを何とかもう少し平らにできんものか、こういう質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/30
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031・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) これは万遍なく平らに全部平等にせよというお話でもなさそうですが、できるだけいいサービスに変えて行きますれば近寄つて参るわけであります。ただ併しながら、我々お叱りを受けるかも知れませんが、今日の計算によりますと、国有鉄道は大体二万キロの営業キロを持つております。儲かつておる営業系数が一〇〇以下であるというのは二三%しかございません。あとの七七%は全部赤字線であります。そういうようなことは、併しながら一方から申しますと、御指摘のようなサービスをしておるからそういうことにもなるのでありまして、このサービスを改善して参りますれば、私は収入もこれは上つて行く。例えば頻繁にヂーゼル車を動かす、或いは汽車を動かすということをいたしますれば、やはり乗車の人員は殖えて行くんじやないかということも言われるのでございまして、これは両様相待つて、ただ損をして赤字であるから改善しなくてもいいというふうなことは絶体に考えておりません。何とかしてその赤字を克服するためにもサービスを改善しなければならんというふうに考えておりまして、でき得る限りローカル線並びに御指摘のような線におきましては、平等な方向に持つて行きたいということは、念願いたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/31
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032・天田勝正
○天田勝正君 総裁も忙がしそうですから質問を省略して参りますが、このことはもつと例を挙げて事務当局によく申上げておきたいと思います。併し何としても差があり過ぎるのですから、これはよく心にとめておいて頂きたいということだけ希望しておきます。
そこで次は、これはやはり同じくサービスに関することでありますけれども、国鉄自体がやつておられるサービスと、それからそれに附属するところのサービスと、私はこうある思うのですが、まあ構内において旅客に物を売るというのはその附属のほうでありますけれども、私は全国の駅売りをやつて旅客の便を図る、これはあつて然るべきですけれども、すべてこれは独占の事業で、そこではこの人間しかおれないという一つの専売とでも申しますか、そういう権利を取得しておる以上は、これは必ず他の一般商店よりもいわば安く売れる、これがもう原則でなければならん。ところが弘済会ですか、弘済会で殆んどあれをやつておると思いますけれども、その権利を握りながら、一般商店より高くはあれ決して安くない。これは私は問題だと思う。これは大きく言えば監督官庁である運輸省の問題でもありますけれども、直接にはまあ国鉄総裁の監督下にあるのですから、これらはやろうとすれば簡単にできるサービスではないかと、こう思います。この点が一つ。
それから昨年来非常に問題になつておりました鉄道会館等の問題でありますが、これは先ほど大臣にも私は申上げた通り、鉄道会館については、これは或る意味では大きな企業者が権利金を出してあの中へ入つて、それらの人の集団と国鉄当局との要するに利益の配分の高い争いとも、実際少しひねくつて考えれば、言えるのです。ところがその他の秋葉原の問題のごときは、さつき私が言つたのをお聞きになつておられると思いますが、中小業者からみんな株を募つて、それで実際は自分はどう経理をうまくやつておるかわからんけれども、いや、これらの人から集まつた金によつてああいうものを整備して、実際にはそれらの人に国鉄から権利を取得した場所を渡す、店を出させる、こういう手順を踏んでおる。ところがその店を経営するに当つては、普通の商習慣から見れば、到底過酷でやり切れないような契約を結んで、これは契約だから双方理解の上で契約したと言えばそれまでですけれども、これは強者と弱者の常でありまして、そういう契約に署名捺印しなければ許してくれないから、どうも止むを得ず初めは判こを押す、こういうことになるとそれが一つの証拠になつてしまつて、結局どんな誠意に基いたつてついそれに違背するようなことがどうしてもできるようなものを最初から作つておる。そうするとそれによつて今度はなんくせをつけて裁判か何かで追出す、こういうことで、私はあの例なんかは完全に大企業による中小企業の収奪、こういうふうに見ておるわけでありますけれども、そういう事態があるにもかかわらず、国鉄当局ではまあどういう繋がりの人が許可をもらつたか知りませんけれども、とにかく見逃しておる。これらについては、国鉄がそうした中小企業を助けるというならば、中小企業者にじかに貸すとか、そういうことによつて社会不安の除去という一面を一つ担当して然るべきだと私は思う。そこに公共企業体の大きな使命があろうと思うのですが、それらの点について、総裁はどう考えられておりますか。又どう処置されようと思つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/32
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033・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 土地、物件、建物等の使用について、非常に研究が足りない点があるということは、私は率直にこれを認めます。何しろ戦争中、戦後を通じまして、運輸のほうの輸送力の増強それ自体が間に合わない。先ほど来御指摘にありましたように、ローカル線等の整備については、今日でもまだできていないというような状況でございましたので、御指摘のような従来の構内営業乃至は建物の使用というものとは大分趣きを異にしたものについての研究はなお更足りないということは仰せの通りだと思います。これにつきましては、従いまして今日民衆駅等運営委員会というものを設けまして、民間の権威のある方々の御意見も聞き、方策を立てようと考えております。又貸付料等につきましては、特に問題になる大阪と東京の局の管理下に、土地建物等の貸付評価委員会を作りまして、これ又民間の方々、或いは専門の方々の御意見も聞いておるような始末であります。甚だ遺憾でございますが、私ども鉄道屋ではありますが、なかなかそういう面での経験と知識というものには乏しいと思います。従いましてやはりどうしてもそういう専門のお智恵を拝借せずに今日の新らしい方法、新らしい建物の貸付方というようなことを処理して行くということはむずかしいと思います。又直営でやつたらどうかという話でありますが、こういうような状態でございましたから、今日貸しておるものを扱うことにも手を焼いておる始末でありまして、これ又専門的の知識がなければならないと考えております。これも民衆駅等運営委員会の御意向等を承わりまして、十分それを参酌して今後整備して行きたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/33
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034・天田勝正
○天田勝正君 第一の私の質問にお答えがなかつたと思うのですが、駅売り等のいわゆる専売とでもいつてよろしい、こうしたものは弘済会でやつておられるようですが、こういうものは私はすべて市価よりもむしろ安くできるはずだと思う。これは大きな役所で皆購買組合などを作つておりますと、全部安くできるのです。建物や場所を貸すのにそう大きな権利金は取つていないだろうと思います。そういう点から一般の店でやるより経費も少いで済むのですから、当然安くできるはずです。たばこは別ですが、その他のものは必ず安くできなければなりません。これは商業の常識です。それが決してそうでなくむしろ一般より高い。これは別の団体で経営しておるからといつて、国鉄当局が黙つてそれを見ておるという手はなかろう、そういうことを指摘申上げておるのです。
それから第二の点は、私は必ずしも直営と申上げたのではなくて、貸す場合に、国鉄当局から中小企業者にお前にはこれだけ貸すという式に直接やれば、昨年あたりから問題になつておるようなことはなくて済む。それをやはり今のような状態でやつておると、結局その尻はどうしても国鉄当局に来るのです。それの結末をつけてやらないということになりますれば、これは大企業に皆行つてしまう、こういう結果になるので、弱い者いじめということになりますから、そこのところを何とか考うべきじやないか、そういうことで質問しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/34
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035・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 第一点は、非常に重要な点でございますのにお答えを間違えまして大変失礼いたしました。仰せの通り大きな経営、又いろいろな何と申しますか、保護と申しますか、そういうもののあります場合において、十分に勉強ができるはずだということは仰せの通りでございます。弘済会の売ります物等については、ふだんから相当に注意を払つておりますが、御指摘のような点がございますれば、これを改善するようにして行きたいと思つております。
更に直営の問題でありますが、直営と申しましたのは、つまり店を貸すことそれ自体について、現在は御承知のように構内などは直接契約をしてやつております。併し転貸しということはできないことになつておることになつておるのですが、然るにそれが転貸しされたり、不法占拠されたりしまして手を焼いておる現状でありまして、これをどういうふうに我々が直接扱つて行くかという点にも大きな問題がございますので、目下研究中であるということを申上げたわけでございます。店それ自体は直営じやございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/35
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036・前田穰
○委員長(前田穰君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/36
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037・前田穰
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X00619540209/37
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