1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月二十六日(金曜日)
午後二時二十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
小林 政夫君
委員
青柳 秀夫君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
土田國太郎君
成瀬 幡治君
野溝 勝君
松永 義雄君
平林 太一君
政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵省主税局長 渡辺喜久造君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
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本日の会議に付した事件
○しやし繊維品の課税に関する法律案
(内閣送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○揮発油税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○食糧管理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○連合委員会開会の件
○公聴会開会に関する件
○入場税法案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/0
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001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) これより第十回の大蔵委員会を開会いたします。
しやし繊維品の課税に関する法律案、(予備審査)
租税特別措置法の一部を改正する法律案、(予備審査)
揮発油税法の一部を改正する法律案、(予備審査)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、(予備審査)
以上四案について提案の理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/1
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002・植木庚子郎
○政府委員(植木庚子郎君) 只今議題になりましたしやし繊維品の課税に関する法律案について、提案の理由を説明いたします。
政府は先に租税負担の調整及び資本蓄積の促進を図るため、所得税、法人税等の間接税について、その軽減合理化を図ることとし、これに伴い間接税については或る程度の増徴を行い、合せてしやし的消費の抑制を図ることとしているのであります。併し、現行の間接税の増徴だけではその増収額におのずから限界がありますし、又最近におきまする繊維品の消費状況、更には現在消費税を課せられる物品の範囲も相当広汎に亘つている点等に顧りみ、これらの消費税の課税物品との負担の権衡を図る等のため、繊維品のうちしやし的と認められるものに対して新たに繊維品消費税を課することとし、ここにしやし繊維品の課税に関する法律案を提出した次第であります。
以下この法律案について、その大要を申上げます。
第一に、繊維消費税の課税の範囲につきましては、大衆の負担となることを避け、しやし品課税といたしますために、販売価格又は保税地域からの引取価格が一定金額を超る高価な繊維品のみをしやし繊維品として課税の対象とすることとし、着尺地等の小巾織物及び帯地については一反又は一本につき七千五百円、洋服地等の広巾織物については一ヤードにつき四千五百円、メリヤス製品その他の編物及び肩掛類については一枚につき四千円、毛布については一枚につき八千円の免税点を設けることとしているのであります。この案によりますと、例えば、着尺地等は小売価格でおおむね一万円程度、洋服は仕立上りでおおむね二万六千円程度までのものは、いずれも課税されないことになる見込であり、又、小巾織物、広巾織物のそれぞれの生産高のうち、繊維品消費税を課せられるものの割合は、数量で七%程度に過ぎないものと推定され、従つて本税が大衆負担となる虞れはないものと考えているのであります。
第二に、繊維品消費税の納税義務者につきましては、一面、消費税の負担の適正を図るためには成るべく消費に近い段階で課税することを適当とする要請があると同時に、他面、納税義務者の数を成るべく少くして徴税上の手数を省く必要もあり、これらを慎重に考慮いたしまして、本税は、織物等の販売業者で小売業者以外のものが、小売業者、洋服等の縫製業者又は消費者に課税繊維品を販売した場合に、その販売価格に応じて納めなければならないこととしているのであります。なお、保税地域から引き取るものにつきましては、原則として、その引取者を納税義務者としてしるのであります。
第三に、繊維品消費税の税率は、先に申し述べました免税点その他負担の程度等を考慮いたしまして、百分の十五としているのであります。
第四に、繊維品消費税の納期につきましては、最近における取引の実情に顧み、原則として、販売の月の翌々月末日としているのでありますが、担保を提供した場合におきましては、更に一月以内の徴収猶予を認めることとし、その担保の種類等につきましても、できるだけ実情に即した便宜な取扱をすることといたしまして、徴税に無理を生じないように配慮しているのであります。
以上のほか、申告及び記帳の義務等について所要の規定を設けることとしているのでありますが、申告及び記帳につきましては、納税義務者の手数を少くいたしますために、課税される繊維品に関する事項に限定するとともに、商法の規定に基くいわゆる商業帳簿に所要の記帳がなされているときは、改めて本税法に規定する記帳を要しないことといたします等できるだけ簡素な取扱をいたすこととしているのであります。
以上この法律案につきまして提案の理由を申上げたのでありますが、繊維品消費税の税収は、昭和二十九年度におきまして八十五億円を予定しているのであります。なお、繊維品消費税は、その創設の趣旨等に顧みまして、その実施期間を昭和三十一年三月三十一日までとしているのであります。
次に租税特別措置法の一部を改正する法律案及び揮発油税法の一部を改正する法律案について、提案の理由を説明いたします。
政府は、昭和二十九年度予算に関連して税制の改正を行うこととし、すでに所得税法の一部を改正する法律案等を提出して御審議を願つているのでありますが、更に今次の税制改正の一環をなすものとして、ここに租税特別措置法の一部を改正する法律案及び揮発油税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
以下この二法律案について、その大要を申上げます。
第一に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申上げます。
先ず資本蓄積の促進に資するため、個人が昭和三十一年三月末日までになした預入期間一年以上の定期預金その他の長期性預貯金等について受ける利子所得については、他の所得と分離して、五%の税率で所得税を課することとし、又今後一年間のうちに支払を受ける配当所得については、その源泉徴収税率を現行の二〇%から一五%に引き下げることとするほか、右の期間内になされる証券投資信託の期中分配金については、現在その全額を配当所得としているのを、その分配実績等に鑑みて、負担の適正を図るため、分配金額の三分の一相当額を譲渡所得から成るものとして所得税を課税しないこととすると共に、分配金額に対する源泉徴収税率を一〇%とすることとしております。
次に、価格変動準備金について、これを積み立て得る余地を多くして価格変動に対処することができるようにするため、後入先出法等の場合を除き、帳簿価額と時価又は帳簿価額のいずれか低い金額の九〇%相当額との差額に相当する金額を積み立てることができることとしております。
次に法人の過少資本の是正等に資するため、製造業、鉱業、建設業、運輸及び通信業、卸売業等、一定種類の事業を営む法人が、本年二月一日から三年間のうちに増資を行なつた場合には、資産再評価及び減価償却を一定度程以上行なつており、且つ、配当率が二割以下であることを条件として、増資後二年間においてその増資額に対してなされる配当金額については、有償増資の場合においては、年一〇%相当額、再評価積立金の資本組入れによる増資の場合においては、同族会社以外の法人に限り、年五%相当額を限度として、法人税を免除することとしております。
次に、法人の交際費等の濫費の抑制に資することとするため、資本金五百万円以上の法人が今後三年内の各事業年度において支出した交際費等の額が、基準年度の交際費等の額の七割相当額又は当該事業年度の取引金額に一定割合を乗じて計算した金額のいずれか多い金額を超えるときは、その超える金額の二分の一を損金に算入しないこととしております。
次に、プラント輸出の促進及び輸出商社の強化に資するため、輸出所得の特別控除制度について、プラント輸出の場合の控除率を現行の三%から五%に引き上げることとすると共に、輸出商社の輸出所得に対する控除限度額を引き上げるための措置を講ずることとしております。
次に鉱山業の特殊性に顧み、新鉱床の探鉱及び取得を容易ならしめるため、新鉱床の探鉱用の機械設備の取得価額及び探鉱費並びに新鉱床の買収費については、これらの費用を支出した年度において、当該金額の二分の一相当額を必要な経費又は損金に算入することを認めることとしております。
以上のほか、農地等が農地法の規定により買収された場合について、土地収用法による収用の場合と同様な所得税の軽減措置を講ずることとし、又農林漁業組合に対する現行の特別免税措置について、本措置の趣旨を明らかにするための改正を加える等、所要の改正を行うこととしているのであります。
第二に、揮発油税法の一部を改正する法律案について申上げます。
揮発油税につきましては、最近における乗用自動車の増加等に伴う揮発油の消費の状況及びその税負担の程度等を考慮し、その税率を一キロリツトルにつき現行一万一千円から一万三千円に引き上げることとしているのであります。
最後に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
現在、食糧管理特別会計において食糧の買入代金等の財源に充てるため、食糧証券の発行限度額及び借入金等をすることができる限度額は、通じて最高二千四百億円となつておりますが、昭和二十八年産米の生産者価格の引上げが行われましたほか、昭和二十九年度におきましては米穀の買入数量の増加が見込まれますので、この会計の運営を円滑にするため、その限度額を二百億円引き上げ、二千六百億円としようとするものであります。
次に今国会におきまして、別途御審議を願つております農産物検査法の一部を改正する法律案により、従来収入印紙をもつて納付させていた農産物の検査手数料を農産物検査印紙をもつて納付させることとしようとするのに伴い、食糧管理特別会計法の歳入歳出等の規定につきまして所要の改正を加えようとするものであります。
以上がこの法律案の提案の理由であります。
なにとぞ、御審議の上、速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/2
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003・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) この際お諮りいたします。本日、地方行政委員会より、入場税法案について連合委員会を開かれたいとの申入れがございました。右申入れを承認し、入場税法案審査のため地方行政委員会と連合委員会を開くことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/3
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004・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。なお右の連合委員会の日時等については委員長に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/4
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005・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に公聴会に関してお諮りいたします。只今本委員会に付託されております所得税法の一部を改正する法律案、
法人税法の一部を改正する法律案、
租税特別措置法の一部を改正する法律案、
相続税法の一部を改正する法律案、
酒税法の一部を改正する法律案、
砂糖消費税法の一部を改正する法律案、
物品税法の一部を改正する法律案、
揮発油税法の一部を改正する法律案、
入場税法案及びしやし繊維品の課税に関する法律案は、国会法第五十一条の重要なる歳入法案と認め、公聴会を開きたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/5
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006・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。つきましては公聴会の日時は大体三月十一日とし、公述人の数、選定方法等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/6
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007・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。なお公聴会の開会につきましては、本院規則第六十二条により、議長に対し公聴会開会承認要求書を提出しなければならないことになつております。本件につきましてもその手続等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/7
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008・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/8
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009・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に入場税法案を議題といたしまして、その内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/9
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010・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 入場税法案の提案理由につきましてはすでに御説明いたしてございますが、各条につきまして簡単にその補足的な御説明を申上げたいと思います。入場税は、御承知のように現在地方税として課税されております。これを国税に移しますに当りましては、おおむね現在地方税において徴収しております税額を国税においても徴収するということを目途にいたしまして、同時に現在の地方における執行の状況等も考えまして、できるだけ国税とする機会におきましてこれを適正に持つて行くということを考慮しまして、全体の構成をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/10
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011・小林政夫
○小林政夫君 従来の地方税法による入場税と違つている点、それを特に強調して説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/11
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012・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 余り細かいところはちよつと記憶がありませんから大きなところだけ申上げます。
先ず第一条でありますが、第一条は課税範囲をきめております。現在の入場税法では、御承知だと思いますが、第一種、第二種、第三種と三つに分けておりまして、第一種に掲げてございますものは、ここに掲げてあります第一種一、二、三、大体これが当つております。それから第二種に掲げてございますものは、これも大体これが現在の地方税法で掲げておるものでございます。その他これに類するものといつたようなものがございますが、実際問題としまして、余りそれが大してどういうものかそれほどのものはございませんので、もうそういうものはこの際としては取入れないということで、一応この第二種は現在の地方税法の姿をそのまま持つて来ております。このほかに第三種というのがございます。これはいわば設備利用というようなものでございまして、主なものはまあゴルフ場、舞踏場というようなものは入つておりますが、更に貸船、釣船、釣堀、マージヤン場、撞球場、それからパチンコ、まあこういつたような種類のものが入つております。そこで今回の国税として徴収する機会におきまして、いろいろ検討してみたのでございますが、どうも第三種の種類に属しますものは、国税として徴収するのはちよつと適当でないのじやないだろうか、こういう配慮に基きまして、この分は国税として徴収する中には取入れてございません。考え方としては、その中で課税すべきものはこれは地方の法定外特別税として課税して頂く、こういうことにして頂いたらいいのじやないか、こういう気持がございまして、ここには入つておりません。
それから第二条で一応幾つか定義を入れてございますが、これは大体あとの分を書いて行く上におきまして、催物或いは主催者、入場料金、こういつたような幾つかの定義をはつきりさしておいたほうがいいのじやないかという観点で書いてございますが、ここで今問題になりますのは、といいますか、問題がありますのは、三項の入場料金の定義でございますが、これは入場税相当額を差引いたものを以て一応全体の入場料金として考えて行く、こういう考え方で、できております。ここに法律にいう入場料は入場税抜きのもので、そこで税率などを計算する場合におきましては、入場税抜きのものを以て一応入場料金として税額の計算をして行く。現在の考え方もこの通りでございます。ただ冒頭に申上げておいたほうがよかつたかと思いますが、現在の入場税の建前は、いわば直接消費税の形をとつておりまして、徴収義務者が興行者或いは経営者になつておりますが、納税義務者は、観覧者といいますか、入場者が納税義務者になつております。併しそのようにいわば直接消費税にはなつておりますが、例えば税の犯則のあつた場合などにおきましては、丁度国税における間接国税と同じように、国税犯則者処分法がそのまま適用されるようになつておりまして、直接税であつて、昔の名前で言えば間接国税犯則者処分法、今は国税犯則者処分法になつておりますが、それが適用されることになつておる。いろいろ検討してみたのでございますが、まあ地方税でございますから、割合にそういう姿が自由にとられることも考えられまするが、国税に持つて来る機会におきましては、直接税にしておいて国税犯則者処分法を適用するのは如何かと思いますのと、同時にやはり国税犯則者処分法の適用が必要な場合もある。この二つの観点から、今回の場合におきましては、これを簡単な間接税にした。この点が一点大きく違つておるということを申上げておきたいと思います。
第三条に納税義務者を書きました。今申上げましたよう事情ありますので、現在の地方税におきましては、納税者は入場する人が納税者になつておりまして、ここにあります経営者、主催者は徴収義務者になつております。併し、今度は納税義務者を経営者又は主催者にする。曾つて国税で入場税を徴収しておりました当時は、今度提案申上げましたと同じ姿になつております。地方税に移りましたときに変りましたが、ただ正直に申しますと、正直といいますか、簡単に申しますと、国税犯則者処分法がやはり適用されておりますので、実質的には余り違わないような姿になつているのじやないかというふうに思つております。
それから第四条に、課税標準と税率が書いてございますが、「入場料金を課税標準とする。」この場合の入場料金と申しますのは、入場税相当額を差引いたものであるということは第二条第三項で申上げた通りでございます。現在の地方税の場合におきましては、一つの特徴としては、免税点というものがございません。どんな少額な入場料金につきましても課税するということになつておりますが、今度はこれを、免税点を一応作る。それはちよつとあとになりますが、第五条の一項にあります二十円以下、裸で二十円以下の場合におきましては課税しない。現行法はこれがないのであります。それから地方税の場合におきましては、税率は料金の如何にかかわらず全部五割になつております。今度はそれを少し検討しました結果、四条の一号一項にございまするように料率の額によりまして入場料金の百分の二十から百分の五十、一種の場所におきましてはそういう等差的な、差別的な税率を作ろう。それから第二種の場所は、現行税率は二十でございます。これを今度十に引下げよう。それから第二項でございますが、これは純音楽、純オペラ、純舞踊、いろいろむずかしい、ちよつと判定しにくいような字句が使つてありまして、ちよつと奇異に感ぜられるかも知れませんが、これは実は現在の地方税法にこのままの言葉が入つているわけであります。これは伺いますと、国会のほうで修正された場合におきまして、この字句を使われたようでありまして、まあ純音楽といいまするのは、これは結局ジヤズの音楽のようなものはこれは入らない、まあいわばクラシツクといいますか、そういうものだけをここで取上げようという意味で純音楽、それから純オペラにしましても、これはいわゆる何といいますか軽喜劇的なところに入つて来るようなオペラといつたものじやなくて、クラシツクなオペラといいますか、或いは最近もうちよつと広い意味でオペラがあるかも知れませんが、そういつた意味のもの、こういうものについて百分の二十、現在はこれは百分の二十の税率一本でございます。そういつた意味でこういう特別な税率ができておるのでございますが、これは原則としては、国で徴収する場合においてもそれをそのまま踏襲しよう。この定義はいろいろ我々も考えてみたのでございますが、なかなかむずかしゆうございますので、現在の地方税法にこの言葉がそのまま使われてございますし、同時に自治庁から幾つかの細かい通達が出ておりまして、行政慣行的に、或る程度一つの姿が出来上つておりまするので、この機会に強いてこの字句を直すというのも、ちよつと我々検討してみたのですが、うまい考え方もございませんので、一応そのままの言葉を踏襲させて頂くことにいたしました。この二項の分は、今申しましたように現行の税率は百分の二十でございますが、検討しました結果、我々のほうの案といたしましては、その特殊性は勿論考える必要があり、まあこれはいいだろうが、七百円を越える場合、この場合の税率だけは少し高くしていいのじやないか。これは職業野球とか、或いは相撲とか、そういつたようなものも全部入つておる解釈になつております。
それから第五条は、免税点の規定でございますが、一項は、先ほど申しましたように、二十円以下であるときには入場税を課税しない。現行法におきましてはこの規定は全然ございません。どういうものが入るか。例えばニユース映画などは、税込みで三十円ぐらいでやつておりますが、あれは五割の税率、従いまして、若しあれを税を裸にしますとこういうものが入つて来るということになるわけだと思います。それから2の関係でございますが、これは文部当局からもいろいろ要請がございまして、主としては児童劇団のようなものがこれに入るようですが、こういう場合におきましては入場税を課税しないようにしたらどうかというお話がございまして、現行法にはございませんが、これも考えてよかろうというので入れた規定でございます。
それから六条に税額算定の特例が作つてございますが、これは問題はこういうところに出て来るのですが、入場料金が四十円以下の場合におきましては、四条で申しましたように百分の二十でございまして、税率百分の二十でございます。税を込めますと、四十八円という料金になります。四十円を越えますと、まあ四十円一銭という言葉も変でございますが、百分の三十になりまして、五十二円になるわけでございます。四十八円から五十二円の間の料率はないわけでございますが、若したまたま五十円という料率で入場さしていたら一体税金はどうなるか、そこに議論が出て来るわけでして、法律のままの解釈ですと、これは税込みで五十円だということになれば、百分の二十を適用していると四十円越えているわけでございます。三十を適用すると四十円から下つてしまうわけです。ちよつと始末にいかん問題がそこに解釈だけは出て来るのじやないか。通常の場合におきましてはよく事がわかつていらつしやればそういう料率は出ないわけでございますが、併したまたまあつたらどうなるかという問題があるわけでございます。従いまして、今申しましたような場合に五十円という料率がたまたま出て来たらどうするか。これはその場合は十円が税金だ、こういうふうに考えて行くべきではないか。同じようなことが七十円、百五十円、七百円といつた各段階に一つずつ出て来るわけでございまして、同じような考え方をこの際すべきではないかというのがこの第一項の規定でございます。
それから第二項は、今のような料率の段階の境目の問題でなくて、二十円以下でございますと入場税は免税になる、それで二十円を超えますと二割の税金がかかる、従いまして二十円の料率、料金が、税込みの場合でございますが、二十円の料金か、その次は二十円一銭となれば二十四円という料金か、この中間がないわけです。ところがたまたまそこに二十円、二十二円、二十三円という料金があつたらどうするか、こういう問題が出て来るわけでございまして、これも通常の場合には考えられないのでございますが、或いは例外的に犯則の場合その他において出て参りますので、そのときの措置はやはり法律の規定においてしておくべきではないだろうか。従いましてここに書いてございますのは、そういう場合におきまして、例えば二十三円なら二十三円という料率があつたら、それは三円が税金だ、二十一円なら二十一円という料率があつたら一円が税金だ、こういうふうに考えて行くべきじやないか。経営者とすれば、恐らく普通の考え方ですれば、そのために二十一円とか二十三円とかの料金は作らないで、恐らく二十円という料金を作るということが考えられますが、たまたまあつた場合には行政上のむずかしい問題になつて参りますので、やはり法律で以つて一応特例を考えておくべきじやないかというのが第六条の規定でございます。
それから第七条でございますが、これは、全体の考え方といたしましては、現在地方税法で考えているのと大体同じでございますが、多少我々のほうといたしましては、現在の無理をなくすという意味において、幾つかの手直しをしてございます。考え方としましては、入場税は料金を払わないで、いわゆる招待券とか、そういうもので無料入場した場合におきましても、その入場が公務又は業務による場合を除きましては、これは税金は課税するのだ。公務又は業務による場合を除いて課税する。この除く場合、課税する場合、これは大体現在の地方税法の考え方と同じでございます。そういう建前になつておりまして、従いまして招待券等によつて入る場合におきましても、入つた都度一応その通常の料金に対する分の入場税はこれは納めて頂く。そこで一項の一号はその趣旨でございますが、二号のほうには、これはまあこういう場合を考えられるのですが、例えば歌舞伎座なら歌舞伎座を借切りまして、そして現在普通の興行をやつている場合に、或る会社が借切つて、お客さん、自分のお得意先をよぶ、これはまあ貸切りとも思いますが、そこへまあ適当な歌手とか或いはいろいろな人を呼んで来て興行をする、見せ物をする、こういう場合に料金はとらないで一応見せる。まあ実際問題としては自分が経営者的に興行をして、同時に宣伝のためにそういうことをしたという場合と同じようになるわけでございますが、この場合におきましては、いわゆる経費課税という名前で現在呼んでおりますが、実際にかかつた費用を入場料金とみなしまして税金をとる。これは現在地方税でやつております。現在の地方税は非常にむしろこの規定よりも相当広うございまして、例えばそこに、二号にございます「当該催物と同じ種類の催物に参加することを業とする者が主として参加するものに限る。」いわゆる玄人の人が主として参加するものだけを今度は取上げてございますが、現在はこの括弧の中のような制限もございません。又、入場料金を領収して催物を行う、「通常、入場料金を領収して催物を行う第一種の場所」という制限も現在はございませんが、そうなりますと非常に範囲が広くなつてしまいまして、工場の講堂などで云々といつた問題にまで法文をまともに解釈して参りますと行きそうでございますので、その辺を幾つか搾りまして、大体この程度で考えて行くのがいいのじやないかというので、多少現行法の適用の広過ぎますのを狭めて一応書いてみたわけでございます。料金を定めないで、且つ料金を領収しないで入場させる場合、又はその定めた料金の額が非常に低い場合、本当にノミナルしかとつていない場合、こういう場合におきましては、実際かかつた経費を入場料金とみて税金を課税して行こう。現在やつております経費課税の考え方を一応そのまま踏襲した。ただ現行の法文ですと、そのままですと相当広くなりますので、これをやはりここら辺が適当であろうというところへ狭めたという違いがございます。
それから二項でございますが、これは大体現行法と同じ考え方でございまして、回数券、定期券によつて入場させましたときは、入場の際に入場料金を領収して入れたものとみなす、従いまして定期券を出しておりましても、出していたというだけでは入場税には関係ございません。現実にその定期券を使いまして、一回なり二回なり三回なり入つたとき入場税を納めて頂く、こういうふうな考え方で法文を起草してございます。
それから第八条は免税興行でございますが、これは現行法にもこれと同じような規定がございます。慈善興行とか、そういうような名前で呼ばれておりますものにおきましては入場税を免除する。現行法にありますものを多少整理しましてそこに別表を作りまして、こういう場合、こういう場合と、一応列挙してございますが、これの内容は現行法と同じでございます。それから三項におきまして税務署長への承認手続が書いてあります。四項におきまして承認しない場合も書いてございます。これも現在と同じでございます。「入場税の保全上不適当であると認められる」といつたような、あいまいな、ちよつと解釈がどうかといつたような、問題のような字句もございますが、これは現在も字句は違いますがこれと同じような考え方をしておるわけですから、慈善興行ということによつて、或る興行が常に長期間長くやられる、継続されるということになると、それは少し目的の範囲を逸脱するでしようし、入場税のほうから行きましても財源がそこに失われるということを考慮しなければならない。現在でも一年に何回とか一応の制限をしておりますので、それと同じような考え方をこの際とるべきだということで、大体地方税の場合と同じような考え方を踏襲しております。それから五項、六項、七項、八項、大体御覧願いますとおわかりになることと思つております。手続規定が主であります。
それから九条は、文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所への入場、これは現行法におきましても、やはりこういう扱いになつております。
それから十条は課税標準額の申告、これは間接税の建前をとりまして申告をして頂く、それからその申告によりまして税務署のほうから告知書を出しまして納めて頂く。
十一条で、提出があつた場合におきましての課税標準額が税務署長において調査したときと異なるとき、或いは提出のない場合における税額通知とか、これは現行法におきましては、多少先ほど言いました直接消費税、間接税の違いはありますが、これと同じような考え方が出ております。
それから納期は、これも現在と同じでございますが、翌月の末日を納期限とする。二項のほうは、これは十条一項但書、臨時興行の場合でございますが、主としては臨時興行の場合がこれに入ります。その場合には申告書を五日以内に提出することになつておりますが、その後にすぐ納めて頂く。なお興行を廃止したとき、営業を廃止したとき、これがやはりこれに入つて参ります。主としては臨時興行の場合にこの規定が通常適用されるものと思つております。
それから十三条でありますが、これは現実に経営を廃止するとか中止する、その他の理由によりまして、一遍切符を売つたけれども、現実に入場する事実が起り得なかつたといつたような場合におきましては、これは税金を返して行こう。この場合におきまして徴収さるべきものがあればこれを控除しまして、なお控除すべき不足があるときはその後に徴収されるものから順次控除して行く、控除するものがなければ返して行く、こういつたような考え方であります。
それから十四条に保全担保の規定がございますが、現行法におきましては、入場料金を予納させるという制度が地方税法で、できております。これはその必要は主として臨時興行の場合に多いようでございますが、予納させておくといつたような制度をとつておきませんと、どうも臨時に興行して入場税を納めないですぐ次の場所に移つて行つてしまうというような、非常に徴収に困難をしている部面もあるようでございます。止むを得ざる処置としましてこの予納をさせるという、こういつたような制度があるのですが、どうも税の予納という制度は、法律論的にどうも如何であろうかというふうに考えられますので、むしろ同じような目的の下に保全担保の規定を置いたほうがいいのじやないかというのがこの第十四条の規定でございます。従いまして、臨時興行の場合でありますとか、或いは多少範囲が広くなりまして、資力が非常に少いといつたような場合におきましては、保全担保の提供を求めることができる。担保の種類としましては、大むね間接税の担保と同じような規定になつておりますが、保証人の制度まで一応認めております。それが十五条であります。十六条は、担保の変換をすることができる。十七条の規定でございますが、これは一項は或る意味においては新しい形の規定でございますが、金銭を担保にした場合におきまして、担保だけにしておきますと、今度は納期が来まして一応片方で金を納めてもらつて初めて解除ができる、いわば見せ金的な姿にはなりますが、現金が重複しているということもございますので、提供してある金銭をそのまま納付に充てることができるという規定を一応入れております。それから二項、三項以下の担保の処分関係につきましては、従来の間接税の例をそのまま一応踏襲しております。それから利子税の規定は、これも他の間接税の例をそのまま踏襲してございます。それから十九条に入場券の交付及び切取の義務という規定がございます。これは現在地方税でそのままやつていることでございますが、一応現在の地方税におきましても地方の税務事務所の発行しました用紙を使わせる、使用してもらうということによりまして税の逋脱を防止する制度を作つております。そこで今回におきましても、まあいろいろな角度から見ましてそういう必要はないじやないかと思う場合、例えば一号にありますすべて一人一回二十円以下で免税点ばかりだ、免税点以下の人たちばかりだ、こういうような場合に強いて使う必要はあるまい。そういふうな幾つかの事例を除く場合におきまして、大体、政府発行のこの用紙を使つて頂こうという規定を作つております。ただ現在におきましてはこれが又非常に窮屈になされておりまして、いろいろ臨時の音楽会等におきましては、かなり体裁のいい入場券を発行している。ところが現在の地方税法の例でございますと、その場合におきましても政府発行のものをどうしても使わなければならんというので、これは或いは委員のかたもお目にとまつているかも知れませんが、音楽会の入場券の裏のほうに東京都なら東京都の発行したものが糊付けで貼つてある場合がございます。これはどうも主催者のほうとしましては非常に体裁が悪いものですから、是非やめさしてもらいたい、ああいう場合におきましては、主催者の発行した入場券に税務署のほうの検印を捺すということで目的を達し得るのじやないか、強いて用紙をやはり使わなきやいかんということの故に裏のほうへ糊ずけするというような、ああいう不細工なことは何とかやめたい、やめてほしい、こういうような要請もございますので、原則としては、今言いましたように用紙を使いますが、二十条の一項にありますが、特別入場券という名前でこれには呼んでございますが、今申したような場合におきましては、検印を受けるということで、用紙を使わなくてもいい特殊な場合をやはり認める。これは現在の地方税法と多少違つているところでございます。それで、この用紙は税務署長から経営者に交付しまして、そうして経営者のほうではこれによつて、これを入場者には売つて、入るときにこれを切りとつて行く、こういうことによりまして妙な脱税的な行為のないようにと、これは現行の地方税法で行なつているところをそのまま一応踏襲してございます。二十条は、今申しましたように、特別に経営者のほうでもつて、政府の発行するものではまあ体裁も悪いし、前売券などが主ですが、もつと体裁のいいものを作りたいといつたような場合におきまして、検印によつてこれに代え得るといつたような意味の考え方をここへ入れているわけでありまして、手続等におきましては政府発行の場合と同じような手続になるわけでございます。
それから二十一条が開廃業の申告、これはまあ通常の例でございまして、現在の地方税法の場合におきましても同じような規定があり、又記帳義務におきましても同じような例になつております。
それから申告義務の承継、これも特に申上げることはないと思います。
それから職員の権限でございますが、「納税義務者又は納税義務があると認められる者に質問し、又はその業務に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。」それから「経営者等の組織する団体がある場合におきましてこれに諮問することができる。」なお、あとのほうに関係しますが、この二項につきましては別に罰則のような問題はございません。一項については通常の例によつております。
三項はこれはもう当然の話でありまして、証票を持つてやらなければならん。
四項は、これは従来からの一種の例文になつておりますが、犯罪捜査のためのものではない。
二十五条罰則でございますが、大体従来の間接税の例をそのままとりまして、まあ通常間接税と同じような程度の罰則をそこに盛つております。
二十六条、二十七条、二十八条、二十九条、特に申上げることはございませんが、大体脱税犯その他につきまして従来の例によりまして一応の罰金科料等の制裁の規定を置いてございます。
それから附則でございますが、附則について簡単に御説明いたしますと、一項、二項については特に申上げることはございませんが、三項ですが、これは二十一条の一項のほうに、経営、主催するという人は税務署長に申告しなきやならんということがございますので、この規定との裏腹になつております。
それから四項でございますが、丁度法律の切替えのときになつておりますので、地方税法のほうの規定で免税興行としての一応の承認を得た者が、たまたま四月一日、四月二日といつたような時期に免税興行をやる場合に一体どうなるか。もうこれは法案が通過しますと、国税としての入場税法の免税興行でなければならなくなりますから、そういう短期間の間に承認の手続がむずかしいのじやないか。現在東京都などで実行しておるところを見ますと、大体興行の前から五日くらいのときにこの承認を求めることになつておりますので、この五日というものを一応標準にしまして、四月の一日から五日見当までに行われるものにつきましては地方税関係における承認を受けておけばもうそれでいい、その後における分はこれはこの法律による承認を受けて頂くという意味の経過規定を設けました。
それから五項でございますが、政府の発行用紙によりまして一応入場券を出さなければならんということになつておるわけですが、都道府県が作成して交付した用紙、これもまあ一応用紙作成の都合もございますので、これはまあ法律じやなくても他の規定でもできるのかも知れませんが、一応、国がこのままこれを使つて行くということを許して頂きたいという意味の規定でございます。
それから六項、七項、八項、九項、十項、これはいずれもそれぞれの法律における入場税が新らしく新設されることに伴います条文整理というふうに御了承願いたいと思います。多少説明が不十分であつたかも知れませんが、その点は又あとで補足させて頂くことにしたいと思います。
以上を以て一応の入場税の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/12
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013・小林政夫
○小林政夫君 先ほど説明があつたのですが、ちよつと聞き洩らしたり、理解できなかつたりしたものですから……。今度国税に代つて、国税徴収法の適用を受ける。そうすると、今までの地方税であつた場合における徴収法関係の相違というものは具体的にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/13
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014・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 先ほど私が申上げましたのは犯則者処分法……、反則者処分法を向うへ準備しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/14
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015・小林政夫
○小林政夫君 ああそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/15
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016・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 直接消費税の姿で現在国税のほうでございますのは、通行税などがその一つでございますが、こちらのほうでは、ああいうものには、通行税の性格にもよりますが、国税犯則者処分法の間接税としての犯則処分をやる必要はない。これはこの税を見て行きますと、これは、やはりちよつと間接国税犯則処分のような扱いをせざるを得ない部分が出て来るのじやないか。まあそういうことにいたしますと、これは考え方にもよりますが、こちらとしては過去の事例からも考えまして、まあ間接税にしたらいいじやないか。扱いとしましてはやはり同じような結果に陥ることになるのじやないかと思いますが、そのほうが法体系として、はつきりするのじやないか。そういう意味におきまして納税義務者を経営者、興行者とするほうが適当じやないか。こういうふうな考え方をしております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/16
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017・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましての内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/17
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018・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして内容の御説明を申上げます。
法案の先ず第一ページでございますが、ここに『第二条の二第一項中「所得税法第一条第一項に規定する者」の下に』云々と書いておりまして、所得税法との所要の規定の調整を図つておるわけでございますが、これは別途提出しておりまする所得税法の一部を改正する法律案につきまして、所得税法の第一条第二項関係の改正を行なつておりまするので、その関係の調整をしておるわけでございます。それから後段のほうの括弧書の「以下新措置法施行の日の前日を同年八月六日に改め」と、これは租税特別措置法の昨年におきます改正のときに、施行のときがあらかじめ予定することができないわけでございましたので、「施行の日」というように書いておつたわけでございますが、これが8月6日に施行になりましたので、その期日を入れまして所要の調整を図つたわけでございます。
次に第二条の三でございますが、これからが実体的な改正を行つておりますいわゆる利子所得に対しますところの五%の分離源泉課税の問題であります。御承知のように、只今利子所得につきましては一割の分離源泉課税を行なつておるわけでありますが、今回そのうちの特殊のものにつきまして五%に税率を引下げるという措置をとろうとしておるわけでございます。その対象となりまするものといたしましては、そこに二ページのところに一号から四号まで掲げておるようなものでございます。
先ず第一号でございますが、これは「昭和三十一年三月三十一日までに発行された公債又は社債で、国債に関する法律、又は社債等登録法により、引続きその者の登録している期間が一年以上であるもの」と、かように規定しております。趣旨といたしましては向う二カ年間、三十一年三月三十一日までに発行されたもの、前のほうの制限がございませんので、過去において発行されたものも一応入ることに相成ります。そういたしまして、登録に限つておるわけでございまして、社債又は公債で、登録されておりまして、その登録の期間が一年以上たつているものと、こういうことに規定しておるわけであります。なお括弧書で昭和三十年一月三十一日までに償還期限の到来する公債及び社債を除いているわけでございますが、これは只今から考えましても、昭和三十年の一月三十一日は一年を経過しない期日になりますので、大体長期預貯金というものを一年以上ということで考えまして、これを減税をするということを趣旨といたしておりまする関連上、ここにおきましても三十年一月三十一日までに償還期限の到来するものにつきましては除外規定を設けているわけであります。
次に第二号でございまするが、同じような趣旨によりまして、定期預貯金で預入期間が一年以上であるもの、而も三十一年の三月三十一日までに締結されたものであつて且つ「(昭和三十年一月三十一日までに払戻の期日の到来するものを除く。)」というふうにしておるわけであります。なお「命令で定めるもの」と書いておりまするのは、定期預金の中には据置預金というふうなものもございまして、これは一定の期間の間に逐次預入いたしまして、その間に一定の金額に達しますと、それから一定の据置期間がありまして、そうして払戻をするというような契約のものがあるわけでございます。こういつたものにつきましてその預入期間をどのように計算をするのか、一体据置期間だけで一年というように限るのか、或いは当初の預入を始めたときから一年を計算するか、こういうふうな問題があるわけでございまして、これは一応その詳細につきましては命令に譲るという意味で「命令で定めるもの」と書いておるわけでございます。
それから第三号でございまするが、これは合同運用信託につきまして、やはり同じような趣旨で、信託期間が一年以上であり、且つ昭和三十一年の三月三十一日までに締結されたものであり、昭和三十年の一月三十一日までに信託契約期間が終了するものを除く、それ以外のものであるということに規定しておるわけでございます。
第四号でございますが、これは貸付信託につきましてはいわゆる受益証券が発行せられておりまして、これには記名式のものと無記名式のものがあるわけでございます。これは一年以上資金を固定しておるようなものを優遇するという趣旨からいたしまして、記名式に限ることが適当であるという意味で、記名式のものとして、記名されている期間が一年以上のものであるというように規定しておるわけでございます。以上のようなものを対象といたしまして源泉五%の分離課税にするということに考えております。なおこれは個人の資金の吸収を図るという趣旨に出ておるわけでございまするので、法人の所有しておるものにつきましてはこれを除外いたしまして、個人のものに限るという趣旨で、「所得税法第一条第一項に規定する者又は同条第二項に規定する者で同法の施行地に事業を有するもの」というように規定いたしまして、個人に限つておるわけでございます。
それから次の項でありますが、これは只今所得税法の十七条におきましては源泉の分離課税が規定せられておりまするので、そのほうにおきましても同じ条件に該当する預貯金等につきましては、百分の五の税率に引下げるということを規定しておるわけであります。
それから次の項でありますが、これは源泉課税の規定でありまして、所得税法の三十七条及び四十一条という規定は源泉課税の規定でございまするので、その源泉課税の規定につきましても百分の五に下げるという規定を設けておるわけでございます。なお四十一条の下に括弧書きで(同法第一条第二項第二号又は第三号に規定する利子又は利益に係るものに限る。)と、こう規定しておりますのは、これも個人に限るという趣旨であります。
以上がいわゆる利子所得に対しまする五%の税率引下げに伴う条文の内容でございます。
次は第二条の四でありますが、これは配当所得につきまして源泉課税の二割を一割五分に下げるという趣旨の改正でございます。配当所得につきましては現在総合課税の建前になつておりまするので、源泉税率の引下げはいわば手続的な税率の引下げに過ぎないわけでありまして、総合の段階におきましては何ら変らないわけでございまするので、その意味におきましてはこの措置は必ずしも減税ということにはならないかと思うわけでございますが、他面におきまして利子と配当というものはとかく類似のものとして比較される傾向もございますので、一方におきまして利子所得の今回のような五%の引下げというような問題も起つて参りますと、とかく源泉税率の面におきましてその権衡というようなことも、論ぜられる問題もございますので、この際一五%程度に引下げることが適当であろうかということで処置をとつたわけであります。なお税務の実情におきましては、いわゆる低額所得者につきましては、必ずしも総合を受けていわゆる二割五分の配当控除を受けるという手続きを取らないかたもありますので、そういうかたにつきましては今回の一割五分への引下げというものは実質的な減税に相成るかと考えるわけであります。
それから次は第二条の五でありますが、これは証券投資信託のいわゆる中間の収益分配の分につきまして特別の軽減措置をとろうとしておるわけでございます。御承知のように元本の追加信託をなし得る証券投資信託につきましては、期中分配の分につきましても、譲渡益から分配せられたものにつきましては、これを非課税の措置をとつておるわけでございまするが、それ以外のもの、いわゆるクローズドの証券投資信託につきましては、中間の分配収益につきましてはすべて配当所得と考えまして、現在まで二割の源泉課税を行なつておるわけであります。ところが証券投資信託の実情を考えてみますと、この中間の配当の分は必ずしも配当所得のみから分配されておるとは限らないわけであります。譲渡益から成る部分が相当その分配の中に入り込んでおるわけでありまして、過去の実績等を検討いたしてみますと、その率が、大体期中分配益の中で三分の一程度は譲渡益から成る部分が入ることが一応見通されますので、そういつた意味におきまして、この際その分を非課税の扱いをすることが適当であろうかと考えまして、中間の収益分配の分につきましては、その収入金額の三分の二に相当する金額を所得税法の配当所得の収入金額と考えて課税をするという取扱いをしようとしておるわけであります。従いまして配当所得に対しまするいわゆる配当控除二割五分は、この三分の二の部分についてのみ行われることに相成るわけでございます。なお第二項におきまして、そういう場合において源泉徴収税率をどうするかという問題でありますが、三分の一の分が非課税扱いをするわけでございまするので、配当所得に対しまする一五%の税率は、全体につきまして一割の税率に相成るわけでございまするので、源泉徴収税率を百分の十に相当する金額とするというように改正しようとしておるわけであります。なおこれに関しまして、いわゆる法人の受けますところの配当につきましては、配当益金不算入の規定があるわけでございまするが、この分につきましても、その益金に算入する金額は、三分の一だけを除外することが筋と相成りまするので、三分の二に相当する金額に限り当該所得の計算上益金に算入しないというようにいたしまして、所要の調整を図つておるわけであります。
それから次の六頁に移りまして第五条の四を削除しておるわけでございますが、第五条の四は、御承知のように非円通貨所得と申しておりまするが、いわゆる「所得税法の施行地において本邦通貨以外の通貨をもつて合法的に得た」通貨を取得したものと、こういうようなものにつきましても二十五年及び二十六年におきまして特殊の軽減措置をとつておるわけでありますが、もうすでに時期的にこの本条の適用はその必要がないかと考えまして、今回これを削除することにしようとしておるわけであります。
その次の六頁の後段のほうのところは、これは所得税法の改正に伴いまして所要の調整を加えておるわけでございまして、実質的なものではございません。
それから次は価格変動準備金の制度の改正に関しまする条文でございまして、価格変動準備金につきましては、現在五条の九及び五条の十で、法人及び個人につきまして、それぞれ所要の規定を設けておるわけでございますが、これは御承知のように帳簿価額と時価とを比較いたしまして、原則として時価の九〇%以上に帳簿価額がなつておるという場合にその時価の九〇%と帳簿価額との差額に相当する分を価格変動準備金として積立てるというように相成つておるわけでございますが、これは価格が上昇いたしまするときにおきましては、実質的に積立てることができないような結果に相成るわけでございます。つまり帳簿価額が安くて時価が五割も騰貴しておると、こういうときにおきましては、時価の九割というものが、帳簿価額の上になりますので、こういつたときには積立てることができない、こういうことに相成るわけでございます。そこで実際問題といたしまして価格変動準備金といたしましては、価格の低落に備えるために、価格の上昇したようなときに積立てておいて、そうして価格が低落したときにその損を埋めるというのが、準備金制度としての一つの目的であろうかとも考えられまするが、この目的が事実上達成せられないと、こういう問題がございまするので、この際このような実際的な問題を解決するために所要の改正を加えようとしておるわけであります。その場合におきまして後入先出法の方法によつて棚卸資産の評価をしておりまするような場合は、後入先出法は御承知のように帳簿価格が以前の古い価格で残るわけでございまするので、これは時価が非常に騰貴しておるというようなときにおきましては、時価と帳簿価額とが相当離れることになりまするので、この後入先出法をとつておるものにつきましても、今回改正しようとしておりまするような方法をとる場合におきましては、その趣旨から見て少し行き過ぎではないかという点が考えられまするので、後入先出法だけはこれを除外いたしまして、これは現行法通りの価格変動準備金制度でやつて頂くというように考えておるわけであります。そこで、その内容でございまするが、先ず個人のところから申上げますと、七頁の最後のところの一号でございまするが、これは「後入先出法による原価法又は後入先出法により算出した取得価額を基礎とする低価法により評価されるたな卸資産」については大体現行法通りにやつて行くという趣旨で規定しておるわけであります。それから二号のほうで、「前号に規定する方法以外の」、後入先出法以外の「方法により評価されるたな卸資産」につきましては、その年十二月三十一日におきまするたな卸資産の帳簿価額の合計額から、その合計額か又は同日におけるたな卸資産の価額の合計額、これはつまり時価でございますか、即ち帳簿価額か又は時価かどちらかの少いほうの金額の九割、即ち帳簿価額の九割か又は時価の九割かどちらか低い価格と帳簿価額との差額だけは積立て得ると、こういうことであります。従いまして、簡単に申上げますれば帳簿価額の一割を埋めると、こういうことに相成るわけでございます。
それから次の項には、この帳簿価額と時価とを比較するという場合におきまして、一応合計額で比較するわけでございまするが、これはその企業の持つておりまするあらゆるたな卸資産を全部合計をいたしまして、そうして時価と帳簿価額を比較するというのが一応の原則かと考えるわけでございますが、かようにいたしますと、実際問題といたしまして非常に計算が困難になるという点も考えられまするので、すでに現行法におきましては、施行規則におきまして、このような計算はたな却資産を命令で定める事業の種類ごとに計算してもよろしい。又更に商品、製品、半製品、仕掛品その他のたな卸資産に区分してそれぞれ比較して計算をしてもよろしいと、こういうようにしておりまするので、この点を法律におきまして書きまして、はつきりいたした次第であります。
以上が個人でございまするが、法人におきましても大体同じような規定を設けておるわけでございます。ただこの際お断わりしなければなりませんのは、個人におきましては有価証券の問題を除外しておるわけでございますが、これは有価証券におきましては、証券取引法におきまして、有価証券の売買を業とすることは、現在、法人に限られておるわけでございますので、従いまして、その面から申しますれば、たな卸資産を法規上持つておるといいますものは、法人に一応限られると考えられるわけでございますので、そういう意味におきまして価格変動準備金というような制度は、一種の優遇制度でございますので、そういう意味から、個人のほうにおきましてはこれを削除いたしまして、法人のみにつきまして有価証券につきましても認めるという制度をとつたわけでございます。
それから法人のところにつきまして一言申上げておかなければなりませんのは、この有価証券についてでございまするが、価格変動準備金を認めまする有価証券は、たな卸資産たる有価証券に限つておるわけであります。従いまして、たな卸資産でない有価証券につきましては、この制度の適用が認められないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/18
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019・小林政夫
○小林政夫君 ということはどういうことかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/19
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020・白石正雄
○説明員(白石正雄君) といいますことは、これは銀行とか生命保険会社等が持つておりまするところの有価証券は、これはたな卸資産として持つておる有価証券じやなくして、投資の目的で持つておる有価証券であると、かように考えられまするので、このようなものにつきまして適用がない。証券業者が持つておりますところの有価証券のみが売買の目的で持つておるたな卸資産たる有価証券と考えられまするので、そういう意味におきましてこれのみに適用があると、かように考えるわけであります。
それから次は五条の十一でございまするが、これが企業の資本構成の是正その他資本蓄積の促進という趣旨から今回改正をしようとしておりまする問題であります。
逐次初めから申上げて参りますと、先ずこの措置の適用になりまするものは、二十九年度の四月一日において現に存する法人に限つておるわけであります。従いまして四月一日以降におきまして設立せられましたような法人につきましては適用がないわけであります。これは法人の資本構成の是正を図ろうという趣旨でございまするので、いわば既存の法人につきまして適用をしようとしておるわけでございまして、新らしく設立せられるような法人につきましてはその適用を排除しておるわけであります。但し合併法人というようなものにつきましては、すでに四月一日において存する法人を合併したようなものにつきましてはこれは除外する理由がないわけでございますので、括弧書きにおきましてそういつたものを含む趣旨を明らかにしておるわけであります。
次に、本措置は二十九年の二月一日から昭和三十二年の一月三十一日までの増資に限つておるわけであります。大体三カ年間の間の臨時措置と考えておるわけでありまして、この間の増産を奨励しようという趣旨に出ておるわけであります。二十九年の二月一日という規定を設けました趣旨は、本来から申しますれば、この法律が施行になりますと予想せられます四月一日以降の増資に限ることが事の趣旨ではなかろうかと考えるわけでございますが、すでに本措置が二月の一日頃には外部にも知れ亘つておりますので、その頃すでに増資を予定しておりますような法人につきましては、本措置の適用を受けるために増資の期日を遅らせるというようなことも予想せられますので、そのようなことに相成りましては増資の促進策が逆に遅延策にも相成るかと考えられまするので、一応本措置が政府において決定いたしました頃の二月一日という以降の増資に適用をしようということを考えておるわけであります。この期日につきましてはいろいろの議論がありまして、二月一日に限るということは、その前後におきまして企業間に非常に不公平があるのではないかというような議論を承わつておるわけでございまするが、過去に遡るということは、増資を奨励しようという趣旨からいたしますればその必要がないわけでございまして、過去に遡ることはこの趣旨からみて適当ではなかろうというように考えておるわけであります。なおその期日に前後するところの不公平という問題でございますが、これは公平論という立場から申しますれば確かに不公平に相成るかと思うわけでございますが、こういつた増資の奨励策をとるという政策を打ち出すにつきましては、その間に介在するところの不公平は踏み切らざるを得ない問題ではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、過去にこの期日を遡らせましても、やはりその時期に前後するところの不公平は消すことができないわけでございますので、そういう趣旨から考えますれば二月一日ということが適当な措置ではなかろうかというように考えておるわけであります。
それから本措置が行われましたところの増資に関連いたします配当につきまして、その一定限度について法人税を免除しようというものでございまするので、その期間が問題になるわけでございます。これは「増資の行われた日の属する事業年度から同日以後二年を経過した日の前日の属する事業年度までの各事業年度において配当せられたもの」と、かように考えておるわけでありまして、簡単に申しますれば、増資の行われた日から以後二年間というふうに大体考えておるわけでございます。
それから免除いたしますところの額でございますが、これは増資せられましたその金額の一割と五分という二つを考えておるわけでありまして、新規払込資本の増加によりまするところのいわゆる有償増資の分につきましては一割、それから再評価積立金の資本組入により増加いたしました資本又は出資、いわゆる無償増資の分につきましては五分というように考えているわけであります。資本構成の是正と申しますることは、やはり自己資本の充実によるところの借資本の返済ということが本来の資本構成の是正であると考えられますので、先ず有償増資を優遇するわけでございますが、同時に再評価積立金の資本組入によりますところの名目的な資本金の増加というものも、最近におきますところの名目的な高率配当というようなものを実質的な配当率に適応せしめまして、そうして企業経営の実態を明らかならしめますと共に、それに応じて賃金問題等の適切なる解決に資するということが、企業経営を健全化ならしめるところのゆえんであるということに考えられますので、無償増資の分につきましても五%だけの優遇措置を取ろうと考えているわけでございます。そういう意味におきまして、又額面株式を発行いたしておりまするような会社におきましては、再評価積立金を資本に組入れました場合におきまして、株を発行しない会社があるわけでございますが、このような会社は実質的には配当率が増資によつて減らないということに相成りますので、このようなものにつきましては本法の意図している目的が達成できないという意味におきまして、株を発行した場合のみに限つているわけでございます。
次に本措置を適用せられまする特殊の条件といたしまして一号から四号まで規定しておりますので、これにつきまして逐次御説明申上げます。
先ず第一は本措置の適用になりまする法人の業種の区分でございますが、これは「製造業、鉱業、建設業、運輸業及び通信業その他命令で定める事業」、かように規定しておりまして、広く一般的に本措置を適用するということを考えていないわけでございます。これは特に事業の増資を奨励するための優遇措置でありますので、全部の業種に亘つて本措置を適用することはやや行き過ぎではないかということが考えられますので、一般的に資本充実が必要と考えられるような事業に限定をいたしたい、かように考えているわけであります。併しながらこの趣旨は特殊のものだけに限定するという趣旨ではないわけでありまして、むしろ逆に特殊の業種だけは除外するという趣旨から、かような規定を設けているわけでありまして、一般的な業種については政令におきまして大部分のものを拾い上げるというふうに考えているわけでございます。
次は第二号でございますが、これは別途提出を予定しておりまする企業の資本の充実に関する特殊の措置とも相関連する問題でございまするが、資産再評価を促進したいという趣旨から、本措置の適用につきまして資産再評価の促進になるような条件にかからしめているという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/20
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021・小林政夫
○小林政夫君 別途予定しているというのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/21
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022・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 再評価の強制というようなことに関連いたしまして、再評価税の減免というようなことを考えておるわけでありまして、これは別途、単に税のみの問題でなくして、一般的に企業資本を充実するための特殊の措置といたしまして単独法を提出することを目下検討しておりまするので、その面で再評価の促進を図るということを考えておるわけでございまするが、それとも相関連いたしまして、再評価を促進するという趣旨から、減価償却資産につきまして再評価を行うという、再評価を行うべき減価償却資産を持つておりまするような法人につきましては、その減価償却資産の再評価限度額の八割以上を再評価しておるというような場合においてのみ本措置の適用をするというように考えておるわけであります。
次に、再評価と申しますることは、結局、償却を多からしめまして、企業の実質的な充実を図ろうという趣旨に出ておるわけでございまするので、第三号におきましてその一定限度の償却を条件として規定しておるわけでございまして、法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該事業年度の減価償却資産の償却範囲額の九割以上を償却した場合においてのみ適用をするというように考えておるわけであります。但しこの減価償却の範囲額と申しまするのは、過去におきまする償却の不足額とか、或いは割増償却というような問題、こういつた特殊の問題は全部除外いたしまして、そうした不足額を加算したり或いは割増償却の分を含めたりというようなことをいたしませずに、純粋な法人税法に基く命令の規定によつて計算されるところの当該事業年度の法定償却額だけを償却範囲額と考えておるわけであります。
それから第四号でございまするが、これは配当につきまして二割という一応の制限的な規定を設けまして、本措置の適用を考えておるわけであります。これは増資の奨励をしておるわけでございまするので、増資後の配当というものを一応考えて見ますと、現在平均配当率は上場会社につきましては二割を幾分下廻つておるかと考えるわけでございますが、増資が、今後倍額増資或いは倍以上の増資というものが行われました暁におきましては、この配当率は更に低下するということが考えられるわけであります。従いましてそのような暁におきましてもなお二割を超えるような配当ができるような会社につきましては、このような減税措置を行うところの必要はなかろうかとも考えられまするので、そういう趣旨で二割に相当する金額以下の場合におきましてのみ本措置の適用をするというように考えておるわけであります。一応私どもが調査したところによりまして、上場会社の五百三十九会社につきまして現在の配当率の状況を検討して見ますと、六割の会社が一つ、それから五割の会社が三つ、四割五分の会社が二、それから四割の会社が十、三割五分の会社が二十五、この程度でありまして、三割を超える法人数は大体四十社程度かと考えられるわけであります。倍額増資が行われました暁におきましては、三割程度の配当は恐らく二割程度に下がるということは常識的に考えられるわけてありまして、従いましてこの二割という制限は、今申しました四十法人程度のものについてなかなか苛酷な制限になるのではないかということが一応考えられるわけでございますが、これは五百三十九の工場会社の中で一割にも満たない会社でありまするし、且つその一々の会社につきまして検討して見ますれば、それは資本構成が非常に悪いというような特殊の条件にある会社かとも考えられまするので、そういつた意味におきましてもこの二割という制限は適当なものであろうかと考えておるわけであります。
次に、先ほど第三号のところで法定償却範囲額ということを申上げましたが、この場合に、償却は、現在、定率法、定額法というような方法があるわけでございますが、これはそれぞれの法人が法人税法上の償却の方法として政府に届けておりますところのそれぞれの償却方法によるというように考えておるわけであります。従いまして、定率法で償却しておりますものは定率法の償却、定額法によつて償却しておるものは定額法の償却、その範囲額と、かように考えておるわけであります。ところが電力事業のようなものにつきましては、現在、定率法で法人税法上は償却をしておるわけでございますが、料金は御承知のように政府の認可にかかつておるわけでございまして、而も料金の認可は現在定額法の償却の基礎の上に行われておるという状況であります。従いましてこのような法人につきましては、その定率を強制するということは苛酷になると考えられますので、そういう意味で「電気供給業その他命令で定める公益事業で、料金につきまして政府の認可を要し、且つ、その料金算定の基礎が定額法で計算されておるもの」、かようなものにつきましては定額償却でよろしいということに規定をしておるわけであります。
それから次の順は、これは合併というような問題につきまして特別のことを設けておるわけであります。なお本措置は法人税の特殊の免税措置でございまするので、法人の申請を必要とする意味で必要な手続き規定を設けておるわけであります。
次は五条の十二でありますが、これは交際費につきまして特殊の制限規定を設けようとしておるわけであります。趣旨といたしましては、交際費につきましては大体昭和二十八年度中の事業年度で支出いたしましたところの交際費を基準といたしまして、その額の七割、又は収入金額につきまして一定の率を定めまして、その率によつて算定せられた金額、そのいずれか多いほうの金額を超えます場合におきましては、その超える額の二分の一を損金としては認めない、こういうことに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/22
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023・小林政夫
○小林政夫君 率はきまつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/23
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024・白石正雄
○説明員(白石正雄君) この率は目下検討中でございまするが、すでに前回におきましてこれと同じような趣旨の法案を提出した経緯もございまするので、そのときに検討いたしましたような率を大体基礎といたしまして政令を定めたいというように目下検討しておる次第であります。
それから交際費につきまして、会社の濫費を抑制するというようなことは、これは非同族会社たるいわゆる大法人につきまして特別にこのような措置が必要であると考えられるわけでございまして同族会社、中小法人というようなものにつきましてまでこのような措置を及ぼすことは必ずしも適当ではない。税務行政を徒らに複雑ならしめて、所期の目的が必ずしも挙げられないというような点も考えられますので、従いまして資本金の五百万円というところに一応の線を引きまして、五百万円に満たないような法人につきましては本措置は適用しないというように考えておるわけであります。なお「命令で定める資本又は出資のない法人」と書いておりますのは、これは公益法人であるとか、そのような特殊の法人を考えておるわけでありまして、なお出資のない法人、例えば生命保険会社というようなものにつきましては、別個の検討をするという意味におきまして規定をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/24
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025・土田國太郎
○土田國太郎君 五百万円以上の同族会社はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/25
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026・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 資本金をこれは五百万円ということに切つておりますので、同族会社とか非同族会社ということの規定は設けていないわけでありまして、五百万円以上ならば適用に相成るわけであります。
それから先ほど申しましたように大体二十八年度の事業年度というものを交際費の基準額に考えようとしておるわけでありますが、その基準年度の交際費額がどのようなものであるかということにつきましては、次の項にその規定を設けておるわけであります。
それから「交際費等」と申上げております内容でございまするが、これは交際費、接待費その他いろいろの名目で支出せられておると考えられるわけでありますが、法人が、得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、饗応、それからこれらに類する行為のために支出するもの、というように考えておるわけでありまして、もつぱら従業員の慰安のために支出するような特殊の経費につきましては、これは交際費とは考えないというように考えておるわけであります。
その次に、「第七条の三第一項及び第七条の四第一項中「二十トン」を「百トン」に改める。」こういう改正を行おうとしておるわけでありますが、これは満期保険に付しました漁船につきまして、その保険料につきまして特殊の措置を現存とつておるわけでありまして、これが従来その総トン数二十トン未満の漁船について適用になつておつたわけであります。これが今回百トンにまでこれを引上げようというわけでございまして、これは漁船に関しまする満期保険に関する規定のほうでそのように引上げが行われまするので、それに対応いたしまして、こちらのほうも所要の改正をしようとしておるわけであります。
次は第七条の六第一項でございまするが、これは輸出所得の特別免税規定でございます。ここでいろいろ細かい規定を置いておりまするが、最も大きな主要な改正点は二つございまして、第一はプラント輸出につきまして特別の改正を行なつたということ。第二は、輸出損失準備金制度、輸出所得の特別免税措置との関連におきまして、特殊の改正を行なつたということが最も大きな問題であります。そこで先ずプラント輸出の点から申上げますと、法の二十二ページでございますか、法文といたしましては、プラント輸出を二号又は三号の「設備等」と、「設備等」という言葉で一応現わしておりまして、「設備等」というものはどういうものであるかということを、法律の二十二ページの第一号、第二号、第三号というところに規定しておるわけであります。先ず第一号でございますが、これは生産設備というものを一応プラントと考えておるわけでありまして、鉱工業生産設備、発電及び変電設備、ガス貯蔵及び供給設備、石油の貯蔵設備、建設用機械設備、農業用機械設備、蒸気発生設備、通信用機械設備、そういつたものを構成するところの機械又は装置。それから第二号といたしまして鉄骨を考えておるわけでありますが、これは建物用、橋りよう用又は鉄塔用の鉄骨及び発電用の水圧鉄管。それで第三号で船舶、航空機、鉄道用、軌道用若しくは産業用の車両又は自動車。但し二輪車とか三輪車というような小さなものは除く。大体こういつたものを考えておりまして、ただ金額が余りにも小さなものにつきましてはプラント輸出というようなことが適当ではないと考えられますので、一千万円という金額で線を引きまして、一件の契約金額が一千万円を超える場合におきまして「設備等」という範囲に入るというように規定しようとしているわけであります。こういつたプラント類の輸出につきましては、すでに御承知のように、輸出入銀行におきまして特殊の金融措置を講じておるわけでありますが、これについて税法上におきましても、現存一般的に収入金額の三%を限度として免税措置を行なつておりますのを五%まで引上げまして、このような種類の輸出の奨励をしようというように考えておるわけであります。
その次の問題は、輸出損失準備金制度との関係でありますが、これは法律案の十九頁の終りのところでございますが、括弧書きで「(その年において第八条第一項の規定により必要な経費に算入した金額があるときは、その金額を当該取引に係る当該年分の事業所得の金額から控除した金額)」、これは現行法にこういう規定があるわけでございまして、つまり輸出損失準備金といたしまして積立てることが現在許されておるわけでありますが、この積立てました場合におきましては、その積立てた金額は輸出所得の免税措置のほうの所得の金額から控除することに相成つておるわけでございまして、その控除せられた残りの金額の五〇%を限度といたしまして、輸出所得の免税措置が行われておるわけであります。従いましてこの輸出損失準備金制度の適用を受けるためにこの準備金を積立てますと、その額だけは輸出所得の免税措置のほうが受けられなくなる、かような結果に相成りますので、今回これを別建といたしまして、輸出損失準備金は積立てただけは一応それだけは落せる、同時に輸出所得の免税措置のほうは、その引かない前の準備金として、積立てる額を引かない前の所得の五〇%を限度として積み得る、かように規定を改正しようとしているわけであります。損失準備金のほうは、貿易から生ずる所得の三五%でありますので、輸出所得のみの三五%ではございませんけれども、一応輸出所得の三五%と考えて見ますと、こういう改正によりまして、実質的には今までの輸出免税が五〇%でありましたものが、それに三五%加わりまして、いわば八五%まで伸びた。なお考えようによりましては、それ以上に輸出全体の控除額が伸びたということも考えられるわけでありまして、いわば輸出所得の控除の限度額を引上げた結果と相成つておるわけであります。なお輸出所得の場合におきまする各号に列記してありました条項でございますが、これが現行法におきましては、例えば「輸出業者のなす輸出」というように、業者によつて、業者を基準として規定をしているわけでございますが、これは実際の場合におきまして、いろいろの不公平も生じて来る問題もございまするので、今回これを業者によつて区別することを原則としてやめまして、「他から購入した物品の輸出」というように規定を改正しようとしているわけであります。これは実質的に、輸出業者でないものが輸出をしたというような場合におきまして、自分が製造したものを輸出すれば、これは三%の免税を受けるわけでございますが、他から購入したものを、輸出業者でないものが他から購入したものを輸出した、こういう場合におきましては、そのメーカーとの関係におきまして現在の「輸出業者のなす輸出」というような規定におきましては不公平を生ずる問題もございますので、個々の事例におきまして不公平が生じないように、「他から購入した物品の輸出」というような改正をしようとしているわけであります。
それから実質的な規定といたしまして挿入いたしましたのは八号でございますが、「外国航路において行う輸出貨物の運送」、これは只今までは外国航路において行いますところの輸出貨物の運送は、対外支払手段を対価として行われます場合におきましては、現行法の五号におきまして「対外支払手段を対価として行う運送、修理又は加工」ということで、外貨を手取りとして行いますれば免税措置が行われるわけでありますが、円貨を対価として行われますれば免税措置を受けられないわけであります。併しこれは或る意味におきまして不適当ではなかろうかというように考えられまするので、輸出貨物を運送したというような場合におきましては、これは現在メーカーが製造いたしまして、それを貿易業者の手を通じて輸出した場合において三%の免税措置が行われると同様に、やはり運送をいたしまして円貨を受けたという場合におきましても、メーカーと同じような立場にあるものと考えられまするので、この分にまで及ぼすという意味におきまして、外国航路において行う輸出貨物の運送につきましては、今回これを本条の適用を受けるように改正しようとしておるわけであります。
なお現行法の「対外支払手段を対価として行う運送、修理加工」という号につきまして、これを更に「建設請負又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの若しくは著作権の譲渡若しくは提供」というように、一応予想せられまする範囲に拡げまして、同じような趣旨のものにつきましてはその奨励を図るというように改正しようとしておるわけであります。なおその他所要の調整的な規定を設けまして、以上のような改正に伴いますところの調整を図ろうとしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/26
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027・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。
午後四時二十五分休憩
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午後四時三十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/27
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028・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 休憩前に引続いて会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/28
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029・白石正雄
○説明員(白石正雄君) あと七条の八でございますが、これは鉱業につきまして特別の償却をしようとしておるわけであります。鉱業につきましては、新炭鉱の発見のために探鉱費を支出するわけでございますが、こういつたものにつきましては、償却につきましてやはり軽減措置をとることが適当であろうかと考えられまするので、設備機械等で新鉱坑の探鉱の用に供するために設備機械等を取得した場合につきましては二分の一の償却を初年度においてやれる、それから又、新鉱床の探鉱のために支出した場合におきまして、そのほかの一般の探鉱費につきましても、これも二分の一の償却をやれるというようにしようとするわけでございまして、個人につきましては、これは必要な経費として算入するし、法人につきましては償却費として落すことを認めるというような改正をしようとしておりますのが、七条の八と七条の九であります。これに関連いたしまして、御承知のように、探鉱につきましては減耗控除という特別の制度を設けてもらいたいという要望も一部にもるようでございますが、この減耗控除という制度は、これは税の従来の考え方からいたしますると、特別の減税措置に相成るわけでございまして、いわば輸出の免税措置というようなものと同じように、政策として、何らか、税の理論からでない、別個の産業政策上の見地からの減税措置を実施するという考え方からいたしまするならばいざ知らず、税法上の従来の考え方からいたしますれば、鉱業につきましてのみ減耗控除というような特別の措置をとることは適当でなかろうと考えておるわけであります。私どもの承知しておりますところによりますれば、減耗控除という制度は、その収入金額の一定額、これを損金に落すというような考え方でございまして、これはいわば理由なしに一定の免税をするというようなことと同じような考え方でございまするので、産業政策上の特別政策として落すというような問題ならば特別でございまするけれども、従来の税の考え方からいたしますれば適当ではなかろうと考えておるわけであります。併しながら探鉱費として支出をいたしましたような経費につきましては、やはり特別の、個人におきましては、必要経費として落すとか、或いは法人につきましては特別の償却を認めるということは、これは探鉱の費用としてそうした特別の措置を認めることは、これは企業の性質上適当であろうかと考えられますので、今回このような措置をとろうとしておるわけであります。
次は八条の五第二項の改正でございまするが、これは現在、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他につきまして特別の規定が置かれておるわけでございまするが、こういう規定が置かれました趣旨は、このような農業協同組合、森林組合、漁業協同組合及びそれらの連合会等は、現在農林漁業組合再建整備法とか、農林漁業組合連合会整備促進法というような特別の法律がありまして、その再建整備、或いは整備促進方を図つておりまするので、こういつた政策の一連といたしまして特殊の減税措置がとられておるものと考えられるわけでありまして、こういう意味におきまして、爾余の協同組合と別個に、租税特別措置法において特殊の軽減措置をとつておる理由が発見できると、かように考えるわけであります。従いましてこの趣旨を明かにすることがこの際必要であろうと考えるのでありまして、そういう意味におきまして、農林漁業組合再建整備法に基く再建整備又は農林漁業組合連合会整備促進法に基く整備を行なつている出資組合に限りまして、現在と同様
の軽減措置をする、こういうような改正をしようとしておるわけであります。併しながら現在これらの協同組合に対しまする軽減措置を、実質的に非常に狭くするというようなことは如何かと考えられまするので、このような整備促進或いは再建整備ということに直接間接の関連を持つておりまするものにつきましては、こういつた整備促進や再建整備の措置を全からしめるという意味におきまして、広く減税措置を及ぼすことが適当であろうと考えられまするので、そういう意味におきまして、第二項におきまして、直接又は間接の構成員たる出資組合である農林漁業組合につきましては、現存の減税措置を広く適用するという趣旨の規定を設けておるわけであります。
これらの規定は相当複雑になつておりまして、なかなかわかりにくいかと思うのでございまするが、規定の趣旨は、そのような意味におきまして再建整備或いは整備促進の全体が終わるときまでこの軽減措置を適用するという意味で、そういつたものに関連しておる限りにおきましては、そういつた措置の最終的な期日まではこの軽減措置を適用するというように書いておりまするので、いずれか「遅い日」というような文句が入つておりまするのは、直接間接こういつたものに関連しておる場合におきましては、そういつた措置の終つたときまで全部軽減措置を適用するという趣旨でございます。
それからあとは他の税法との関連におきまして所要の調整規定を設けておるわけでございます。ただ改正法の三十二頁あたりでございますが、そこに「農地法の規定に基き」云々というような条項が三十二頁の終りから二行日あたりにあるかと思いますが、この点につきまして御説明申上げます。現在土地収用法等に基きまして収用せられました場合におきましては、譲渡所得税との関連におきまして減免措置を設けておるわけでございまして、そのような場合におきましては、再評価税だけを取りまして譲渡所得税は取らないようになる規定が設けられておるわけでございます。従いまして買収という場合におきましては、収用と違いまして、このような軽減措置が受けられないという結果に相成つておるわけでございます。ところが農地法の規定に基きまする買収につきましては、これは買収という言葉では現わされておりまするけれども、農地法の規定を検討してみますと、土地収用法等によりまして収用せられるのと同じように、殆んど強制的にこれは買収せられる結果と相成るわけでございまして、単なる私的契約の買収ということと別個に相成つておりまするので、これは収用と同じように、再評価税だけを課税いたしまして、譲渡所得税は課税にならないように取扱うことが適当であろうと考えられまするので、そういう趣旨の改正をこの際やろうとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/29
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030・土田國太郎
○土田國太郎君 宅地や何か適用しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/30
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031・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 農地法の規定に基いて買収した……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/31
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032・土田國太郎
○土田國太郎君 地方公共団体が道路か何か造るでしよう。宅地なら宅地にかかりますね。強制収用が命ぜられる場合には、やはり再評価税だけで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/32
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033・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 土地収用法とか、そういつた法律の規定に基きまして宅地等が収用せられる、こういう場合におきましては、現在の規定に基きまして減免措置が講ぜられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/33
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034・土田國太郎
○土田國太郎君 収用法によらないで、県なら県が売つてくれと言われるでしよう、止むを得ず売るでしよう、その場合はどうなんですか。頑張れば収用法に引つかかるんだからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/34
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035・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 土地収用法等の規定に基いて行われる場合におきましては適用があるように相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/35
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036・土田國太郎
○土田國太郎君 それは収用を行わないで頑ばれば収用法にひつかかるんだろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/36
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037・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 収用を行わない場合におきましては、土地収用法等の規定に基いて譲渡が行われるという場合におきましては適用になるというふうに相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/37
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038・土田國太郎
○土田國太郎君 それは再評価税だけで済むのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/38
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039・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 再評価税だけで譲渡所得税はかからないというふうに相成つております。
以上極めて粗雑でございましたが、概略の御説明を終つたわけでありまして、なお附則におきましては、これは経過的に必要な規定だけを設けておるに過ぎませんので、特別に御説明することもなかろうかと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/39
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040・小林政夫
○小林政夫君 今の説明で、十二条の第二項の但し書と書いてありますね。本文で言うと三十二頁の初め、新旧対照表で行くと三十三頁……、次回でもいいですよ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/40
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041・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
午後四時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01019540226/41
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