1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年二月二日(火曜日)
午前十時二十六分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事 松平 勇雄君
加藤 正人君
藤田 進君
小松 正雄君
委員
石原幹市郎君
小林 英三君
西川彌平治君
岸 良一君
豊田 雅孝君
西田 隆男君
海野 三朗君
三輪 貞治君
武藤 常介君
国務大臣
通商産業大臣 愛知 揆一君
政府委員
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業大臣官
房会計課長 福井 政男君
通商産業省通商
局次長 松尾泰一郎君
通商産業省企業
局長 記内 角一君
通商産業省重工
業局長 徳永 久次君
通商産業省軽工
業局長 中村辰五郎君
通商産業省繊維
局長 吉岡千代三君
通商産業省鉱山
局長 川上 為治君
通商産業省石炭
局長 佐久 洋君
通商産業省公益
事業局長 中島 征帆君
中小企業庁長官 岡田 秀男君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
—————————————
本日の会議に付した事件
○本委員会の運営に関する件
○通商及び産業一般に関する調査の件
(通商産業政策の基本方針に関する
件)
(昭和二十九年度通商産業省関係予
算に関する件)
○ガス事業法案(内閣送付)
○特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改
正する法律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/0
-
001・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
開会に当りまして去る二十七日に委員長理事の打合会をいたしまして、そこで取りきめました事項につきまして一応御報告を申上げます。
これからの委員会の開会の予定日でございまするが、これは一応原則といたしまして火曜日の午前、木曜日の午前、金曜日の午後、こういうことに取りきめをいたしました。大体午前は十時半を原則として、午後は一時ということにいたしております。
それから当面の議題につきましては、法案については前国会より継続審査中の硫安関係の法案のほかに今国会におきまして十二、三件提案をする予定になつております。これは衆議院における審議状況と睨み合せまして審議を進めることにいたします。差当つて急を要する調査案件につきまして審議を進めて参りまして、本日並びに木曜日の午前におきましては通商産業対策の基本方針、それから二十九年度の通商産業関係の予算、それから昭和二十九年度の財政投資計画等につきまして審議をいたしたいと存じます。金曜日の午後には電力料金の問題を取上げて政府側から説明を一応聴取することにいたします。こういうふうに理事会で打合せをしたのでありますが、その後におきまして只今中小企業関係の資金面の問題が非常に緊迫をいたしておりまして、殊に政府の指定預金の引揚、廃止というような問題が起つておりますので、中小企業金融に及ぼしまするところの影響の非常に大きなものがあると存じますので、この問題を特に追加いたしまして、木曜日の午後取上げることにいたしたいと存じます。それにつきましては一応商工中金、国民金融公庫、中小企業金融公庫等の責任者を呼びまして資金繰りについて説明を求めたいと存じますが、これに対しまして御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/1
-
002・豊田雅孝
○豊田雅孝君 今の筋の点につきましては全く賛成なんでありますが、中小金融関係について関係者を呼出しの際、相互銀行或いは信用金庫、こういう方面の代表者のお話もお聞きとり願つたほうがよいだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/2
-
003・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは木曜日の午後その案件を追加いたしますことに御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/3
-
004・中川以良
○委員長(中川以良君) それではさように決定をいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/4
-
005・中川以良
○委員長(中川以良君) それではこれより本日の議題に入ります。
先ず愛知通産大臣より通商産業対策の基本方針について御所信を承わりたいと存じます。なおその際におきまして大臣の施策の大綱が昭和二十九年度の通商産業省関係の予算並びに昭和二十九年度の財政投資計画の中に如何ように織込まれておりますかというような点を一つ御説明をお願いいたしたいと存じます。なおその後におきまして政府の各担当官より詳細なる説明を聴取いたしたいと存じます。それでは愛知通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/5
-
006・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 最近における我が国の経済の動向というようなものにつきましては、その概略を本会議でも、経済審議庁長官として申上げてあるわけでございまするが、一口に申しますると、昭和二十八年の我が国の経済の動向というものは、最近も大体の指標その他が取りまとめができたのでありまするが、要するに生産の増加も、消費水準の向上にいたしましても、前年の二十七年からは一廻り拡大されておるということが一応はつきり指摘されるわけでございます。併し同時にその半面におきましても、物価はおおむね横這い乃至強含みの推移を辿つておりまして、国際経済の基本的な動向が、どちらかと言えば物価も引下げになつておりまする状況から比べますると、これと相反するような傾向が顕著に現われておることが特徴として指摘される点でございます。こういつたような関係から、国際収支の面におきまして、誠に遺憾なことでありまするが、輸出が伸び悩みまして、輸入の増大によりまして、その収支のバランスが悪化いたしまして、支払超過となつておる次第でございます。これを数字で申上げますると、昭和二十八年度の国際収支の見通しといたしましては、輸出が十二億二千万ドル、駐留軍関係の収入が八億一千万ドル、その他貿易外収入を含めまして、受取の合計は二十五億五千万ドルとなります。これに対しまして、支払は、輸入が二十一億七千万ドル、貿易外支払を含めまして、支払合計が二十七億四千万ドル程度と大体推測されるのでありまして、その結果支払超過額は、一億九千万ドル或いはそれ以上になるかと想像されるのでございます。で八億ドルに達する特需収入にかかわらず、かくのごとく大幅の逆調に転じましたので、これは経済自立とは逆行する方向に向いつあるかのような感じを与えますことは、甚だ遺憾だと考えるのであります。
他方国際経済の主導力でございまする米国経済の景気は、すでに頭打の傾向にございまして、これを今後契機として、各国の輸出競争は一段と激化するものと予想され、従来国際収支の均衡に大きく貢献いたしておりました特需収入も、朝鮮休戦及び米国の新政策によりまして漸次減少するかと思われるのであります。我が国当面の目標でありまする国際収支の均衡、経済自立の達成の途は、かくのごとき情勢の下においてはなかなか楽観を許さないものがあろうかと思われるのであります。これは生産と消費のアンバランスに基く有効需要が過大になつたものによるものと思われるのでありまして、政府としてはここに決意を新たにいたしまして、財政の緊縮と金融の引締を図りまして、以て単にインフレ的な傾向を阻止するだけではなくて、進んで国内の物価水準を引下げる方向におきまして経済の安定をもたらすことを根本方針とし、当面あらゆる施策を輸出第一主義に集中することといたしておるのでありまして、通産省といたしましては輸出の振興のために、次に述べますような施策を一段と強力に推進する方針でございます。
輸出の振興につきましては、その一つは、輸出を従来阻害しておりましたような外的な要因を打破いたしたいということを根本に考えておるわけでございます。いわば経済外交の推進という言葉で表現されるかと思うのであります。各国との通商航海条約の早期締結、賠償問題の円満な解決及びガツトヘの正式加入を促進すると共に、通商協定の拡大及びその有効な活用に特段の努力を払い、なかんずく日英会談において努力いたしましたごとく、他の各国に対しましても、その輸入制限の緩和につきましては特に強力な要請を行う所存でございます。
日英支払協定は、御承知のごとく昨年十二月末を以て失効することとなつておりましたので、英国側と交渉いたしまするために、政府は十一月下旬から代表団をロンドンに派遣いたしまして、鋭意貿易の拡大均衡を図る方針を以て折衝中でございましたが、このほど漸く交渉がまとまりまして、支払協定に若干の修正を施しまして、本年末まで延長いたしまするほか、貿易計画についても、昨年の輸出実績一億二千二百万ポンドに比較いたしまして、輸出を約六割強増加するものとし、受取及び支払それぞれ約二億九百五十万ポンドの規模において話合いがまとまつたような次第でございます。特にこの際注目すべきことは、英本国及びその植民地における従来の輸入制限措置を大幅に緩和せしめることにつきまして、先方の確約を得たことでございます。なお自治領につきましては、今回の貿易計画のラインに沿いまして、今後自治領諸国と個別的に話合うことといたしたのでございます。これらによりまして、昨年における輸出伸び悩みの主要原因でありましたポンド圏貿易の拡大が図れることと期待いたしておる次第でございます。
このイギリスのほかに、目下アルゼンチン、ブラジル、トルコ等と貿易協定の改訂乃至締結について話合いを進めておるのでございます。
その二は、海外市場の開拓と経済協力の推進でございます。
明年度におきましては、国庫補助金を大幅に増額し、既設の貿易斡旋所の機能の活用と、新設増設を図りまして、又軍機械類技術相談室、海外市場調査機能を整備拡充し、又海外見本市への参加、旅商団の派遣、海外広報宣伝活動の強化等の措置を進めたいと考えております。これがために、これらの施策に対しまする補助金額も、二十八年度の一億八千五百万円余に対しまして、明年度予算案は一般的な節減方針にもかかわらず、三億二千三百万円余と、七割強を増額いたした次第でございます。
次に、東南アジア等との経済協力を促進いたしまするために、プラント輸出における長期延払等の優遇措置、重機械類技術相談室の整備、技術協力団体に対する補助等を更に推進すると共に、輸出入銀行の機能を積極的に活用いたしまして、最近好況にありまするプラント輸出の促進に一層の拍車をかけ、併せて現地の資源開発のための技術援助、事業提携を積極化する方針でございます。
その三は、国際競争力の培養強化でございます。差当り国産の困難な近代化用機械及び良質低廉な原材料の輸入確保を図りますると共に、リンク貿易、委託加工貿易を適宜に推進し、又貿易商社、為替銀行等の貿易担当者を強化する方途を講ずる必要があると考えているのでございます。なお我が国商品の割高事情に鑑みまして、財政金融面より、一般的に物価水準の低下を企図いたしておりますることは、すでに御説明申上げた通りでございます。
以上のような施策を背景といたしまして、昭和二十九年度の輸出入額を推算いたしますると、ここにお手許に差上げてあると思いまするが、ドル地域、ポンド地域、オープン・アカウント地域に分けてありまして、輸出は、ドル地域に対して四億四千五百万ドル、ポンド地域に対して五億一千五百万ドル、オープン・アカウント地域に対して四億一千五百万ドル、合計いたしまして、十三億七千五百万ドル。輸入は、ドル地域の輸入が十億九千万ドル、ポンド地域の輸入が五億一千八百万ドル、オープン・アカウント地域から五億三千二百万ドル、合計いたしまして輸入の総計が二十一億四千万ドルとなりまして、これに貿易外収支を加減いたしますと、受取の合計が二十四億七千五百万ドルで、支払の合計が二十五億六千五百万ドル、差引九千万ドルの支払超過となるのでございます。このポンド地域、オープン・アカウント地域等に対しまする輸出、輸入の推計につきましては、なお更に研究を続けておりまするので、或る程度或いは数字等につきまして補正をする必要があろうかとも考えておりますことを御了承願います。で、御承知のように前年度、即ち二十八年度におきましては凶作によりまして食糧の緊急輸入をいたしております。その緊急輸入の関係が二十九年度にも数千万ドルが繰越されておりまする関係上、この差引九千万ドルの赤字と言いまするのは、この二十九年度、特にその後半期等におきましては収支がとんとんになるというふうな推定を下しておるわけでございます。併しながらもとよりこれだけの予定を達成いたしまするためには、我々としてもなみなみならぬ決意を以て輸出の振興と外貨の節約のためあらゆる努力を傾注しなければならんと存ずる次第でありまして、この点については特に国民各位の御協力を願わなければならんと考えるわけでございます。大体以上が輸出の振興等に関する主として国際収支改善に関する方策でございます。
次に、中小企業対策について簡単に申上げたいと思います。昭和二十九年度の予算及び財政投資計画の示す我が国の経済の前途と、この間における経済の正常化の過程においては、各企業も相当の苦難を覚悟しなければならぬことと思われるのであります。殊に経済変動に対して抵抗力の弱い中小企業におきましては、その程度が強いと予想されるのでありまして、これに対しましては万全の措置を考慮しなければならぬと考える次第でございます。先ず経営面については特に診断制度の浸透に努めて、各人に自己の企業内容についての十分の自省を促し、経営の強化を指導すると共に、協同組合組織の普及整備を図り、又金融対策としても単に苦境の救済にとどまることなく、自主的に最善を尽してなお力の及ばないような企業に対しまして、その向上発展のため真に必要と認められる資金は、これを円滑に供給するというような積極的意義を持たせたいと考える次第でございまして、中小企業金融公庫の運用資金額もこれに備え六十億円程度を増額いたしまして百七十億円とする予定で国民金融公庫の運用と相待ち遺憾なきを期したいと存ずる次第でございます。又中小企業特に小規模の企業に対する金融上、信用力の不足がしばしば痛感されますので、新たに信用補完の制度充実を図りますため、近く中小企業信用保険法の改正を提案するつもりでございまして、いわゆる小口信用保険といつたようなものを創設いたしたいと考えておる次第でございます。更に個々の企業の力の及ばないところを団結の力によつて補うことも必要と考えまするので、このためには共同施設等につきましても近代化による効果の発揚というような目標を以て進ませたいと念願し、特に予算を前年度より一億円余増額いたしまして、総計三億円といたした次第でございます。
なお今回の税制改正を機会に個人企業及び中小法人に対しまして若干の税制の調整を行うべく検討中でございまして、例えば地方税等につきましても若干の考慮が払い得るのではなかろうかと考えておる次第でございます。
次に合理化の対策でございますが、このような考え方は、単に中小企業に対してのみではなく、いわゆる基礎産業、重要産業にももとより一層強く要請されるところであろうかと考えておるわけでございまして、先ず自主的な努力により企業内容を健全にし、資本の蓄積を図り、施設を近代化してコストを引下げることに渾身の力を傾けて頂きたいと希望するわけでございます。このためには政府におきましても資産再評価、内部留保の充実に関し、税制、金融等の制度面において極力それを支持し促進する方策を講ずる所存でございまして、それぞれ所要の法律改正を本国会に提案することにいたしておる次第でございます。率直に申上げますならば、ここ数年の産業経済界には、いささか自立の気魄に欠けたと思われる節がないでもないかと見受けられるのでありまして、国全体の財政経済政策が、目先の繁栄よりも先ず、基礎の安定と物価水準引下げの方向へと切替えられる転換期に当りましては、官民を問わず総力をこの一点に集中することが、是非とも必要ではなかろうかと考えるのでございます。従いまして例えばいわゆる不況カルテルのごとく価格維持を目標とするような動きには最も慎重を期する半面、コスト引下げのために必要とあれば、いわゆる合理化カルテルの類はむしろ助長すべきであろうと考えるのであります。又生産コスト引下げを主目標といたしまする施設近代化のための財政投資にいたしましても、明年度の開発銀行の運用資金は六百五十億円、即ち本年度に比して二百億円以上の減額となる見込でありますので、輸出産業、基礎産業等の少数の重要産業部門に対し、必要不可欠と認めるものに限定して、最も効果的に投入する方針であります。現在電力、石炭、鉄鋼、合成繊維等我が国の重要産業の近代化計画は進捗の途上にありまするので、緊縮予算の実施に伴う物価水準の下降、需要の減退等を見越し、すでに各業界においても既定計画を再検討し、重点化する機運もありまするので、上記各産業に対しましては電力事業に三百五十億円、二十八年度は四百億円でございまして、海運事業を除くその他の産業に百十五億円、二十八年度は二百四十億円でございました。これを割当てることとなる見込でございまして、緊急を要する石炭、機械、肥料等の近代化計画も相当織込んで、極力投資効果を早く発現させるように努力したい考えでございまして、目下業種ごとに具体的検討を進めている次第でございます。又電源開発会社に対する政府出資金も前年度より六十億円を増し、二百六十億としたのでありますが、実行上は一層工費の切詰め、着工順位の工夫等の手段によりまして、当初計画に近い発電量の確保に努めたいと考えておるのでございます。電源開発事業は昭和三十二年度までの開発目標五百十万キロワツトに対しまして、今日までに着工いたしましたものは、二十七年度よりの継続工事三百五十二万キロワツト、二十八年度の新規工事九十二万キロワツト、合計四百四十五万キロワツトに及び、計画全体の八七%を占めております。現在までのところ、殆んど大部分の工事は順調に進捗いたしているのでございます。国際収支の均衡を確保するためには、以上のように外貨受取の増加に努めまする半面、工業技術の振興、国内自給度の向上、資源の開発その他根本的に外貨支払を節減する方策を引続き強力に実施をしなければならぬと考えます。
次は技術振興でございます。工業技術の振興に関しましては、試験研究の一層の推進普及が必要であり、通商産業省としては、管下冬試験研究所の機能を活用して、鋭意その水準向上に努力しておるのでありますが、民間企業に対しては、研究費に対する税法上の優遇措置を講じておりまするほか、来年度においても予算総額の縮減にもかかわらず、今年度と同額の六億円の試験研究補助金を交付いたしまして、優秀な試験研究及び発明の普及を図る予定でございます。又戦時戦後の空白期間における技術の国際的後進性を急速に回復いたしまするため、必要と認める外国技術の導入、合理化に必要な機械設備の輸入は、優先的にこれを考慮するつもりでございますが、他面我が国の機械工業の設備更新を根強く実施いたしますためには、単なる輸入依存にとどまらず、優秀な国産機械を増産させ、使用者の信頼度を向上させる必要があり、重要機械の国産化補助金を本年度同様一億円計上いたしまするほか、金融上の優遇その他の具体的措置を考究いたしておる次第でございます。
次に、国内における自給度の向上によりまして、外貨の支払を節減する上から燃料資源対策について特に一言いたしたいと存じます。石油資源の開発につきましては、従来から法規を以て資源の保護を図ると共に、その試掘に対しましては補助金を交付して奨励に努めて参つたのでありますが、最近特にその輸入量が厖大に上りまして、将来更にその需要増加を見込まれ、且つ国内の試掘技術も世界水準を抜く域に達しておりますので、この際国産原油の飛躍的増産を企図し、五年後年産百万キロリツトルの採油を目標とする計画を策定いたした次第でございます。これがため、初年度たる二十九年度には、試掘補助金を前年度の約四倍一億三千万円に増額いたしまして、企業の探鉱活動を助成することによつて国内油田の発見、開発を促進することとしたものであります。
石炭についてはすでに竪坑の開鑿により、昭和三十二年末までに平均三割前後の価格引下げを図る目標を立てまして、その促進に努めて参つたのでありますが、その後の経済事情の変動、重油消費の増加等のため、炭種によりましては現在においてすでに一カ年前に比し一割以上の下落を示しておるものもあるのであります。この傾向は一面におきまして企業の合理化意欲を強めることともなりますが、他面経理の安定を害し、既定計画の遂行を困難にする虞れもありまするので、坑道掘進費の損金算入等資本蓄積促進のための税制の改善等による効果をも考慮に入れまして、必要最小限度の財政資金を優先的に確保して、飽くまで炭価の値下げ方針を堅持して参りたいと思うのであります。石炭、石油等の全般に寄る総合的燃料対策につきましては、差当り石油の輸入外貨を節減いたしまするために、関係企業の協力を求めて、新規需要に対する重油転換を抑制しつ、緊要用途に対しましてはその入手を確保する方法を講じまして、以て石油消費の合理化を図ると共に、石炭需要の安定に努めたい考えでございます
以上通産省の施策につきましてその大綱を御説明申上げたのでございまするが、何分私自身も就任早々のことでありまして、極めて検討の不十分の点も多かろうと思われますので、各委員の御鞭撻と御援助とをひとえにお願い申上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/6
-
007・中川以良
○委員長(中川以良君) お諮りいたしまするが、通産大臣は本日衆議院の予算委員会がございまするにかかわらず、特に当委員会のために繰合して出席してもらつておりますので、只今衆議院からやかましく言つて来ておりますので、本日は一応御退席を願いまして、明後日、これも予算委員会がございましようが、一つ委員会を少し早く開いてもよろしうございますから大臣にお繰合せ願いまして、本委員会の質疑においで願いたいと思います。
それではさように取計らいましてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/7
-
008・中川以良
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
それでは引続き通商産業省の二十九年度の予算関係につきまして説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/8
-
009・古池信三
○政府委員(古池信三君) 昭和二十九年度の通商産業省の予算に関しまして御説明を申上げる次第でございますが、私から概略を申上げまして、詳細につきましては官房長、或いは会計課長のほうから申上げることにいたしたいと存じます。
御承知のように私のほうの事業に関しまする予算といたしましては、大体これを数項目に分けて要求をいたしておるのであります。第一は貿易振興の対策でございます。これにつきましては最初に要求をいたしました数字が十一億二百万円ばかりでございました。これが最終的に決定を見ましたのが三億二千九百万円余りになつております。第二は資源対策について申上げます。これはきまりましたのは二億四千五百万円でございます。要求は相当多く要求したのでありますが、それは申上げるのを省きます。
第三に技術振興対策といたしまして七億三千五百万円。第四に中小企業振興対策といたしまして三億七千二百万円。その他省内の人件費、事務費等四十九億九千九百万円。合計が六十六億八千三百万円になつておりまして、昨年二十八年度に比べますると、二十八年度が五十八億一千八百万円になつておりまするので、その間若干増加を見ておる、こういう数字になつております。尤もその中には人件費、事務費等の増加もございまするので、政策に関する経費としての増はそれほど多くはないのであります。約四億程度になつております。この辺の事情は、最初には相当な計画を以ちまして大蔵省に対して要求をいたしたのでありまするけれども、御承知のように二十九年度の緊縮予算のために、我々の希望した要求は相当に減らされたことは誠に遺憾に存じまするけれども、全体の国策として又止むを得ない点もある、その辺の関係は何とぞ御了承願いたいと思います。
各費目の内容につきましての説明は官房長から説明することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/9
-
010・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) それでは只今政務次官から御説明いたしましたところを敷衍いたしまして各項目について御説明いたしたいと思います。
第一の貿易振興対策でございますが、これはいろいろな費目を一括しておるわけでございまして、その中身としまして最初にあります国際見本市参加補助金、これは海外の各地で行われます見本市に日本が参加いたしますにつきましてその経費を補助するものでございます。本年度はサンパウロにあります四百年記念の見本市に参加いたしますほか、数カ所、たしか五、六カ所と思いますけれども、これに参加いたす考えでありまして、その経費の一部を補助することになつております。その次の海外市場調査会補助金、これは例のジエトロと申す団体でありまして、これは御承知のように海外のいろいろな情報を集めてこれを国内の業者、商社等に配付いたします。又国内のいろいろな情報を海外に紹介いたす機関でありまして、イギリスのジエトロの真似をした機関であります。これに対しまして大体本年度同様三千万円の補助金を交付することになつております。それから三番目の海外貿易斡旋所補助金でありますが、これは海外、特にドル地域に対しまして日本商品の積極的な紹介を図ります目的を持つて本年度ニユーヨークにこの斡旋所を開きます。明年度は更にカイロ或いはサンフランシスコの二カ所にこの斡旋所を増設したいと思つておりますので、その経費の補助金であります。それから重機械技術相談室補助金と申しますと、これは本年度ジヤカルタほか五カ所、計六カ所東南アジアを中心に機械類の、これ又商品の紹介或いは設計、相談等の便宜を図るための経費であります。これに対しまして明年度は個所を増設するということよりも内容の充実にとどめたいという考えで、その経費の補助を予定しております。
それからその次の五番目は、これは従来ありますようないろいろな我が国の商品なり、或いはいろいろな輸出企業の実情を宣伝する経費、例えばカタログを書いて送るとか、いろいろな仕事をやつております。その経費の補助であります。それから六番目の東南アジア技術協力団体の補助金であります。これは現在東南アジアに対しましていろいろな技術者その他を送り出しておりますが、その人の留守宅或いは帰つてからの援護、それからもう一つは東南アジアからいろいろな技術者或いは労働者等が来ておりますので、それを受入れるいろいろな工場、事業場に対しますいろいろな面倒を見るというふうな、送り出し、受入れ、両方の関係の具体的な援護施設をやつております。その団体に対する補助金であります。それから七番目のは、これは今年四月大阪におきまして国際見本市を開催いたしますが、その補助金であります。これは本年同様の経費でございます。それから八番目の国際商事仲裁協会の補助金、これは例の国際商事調停の関係の協会に対しまして行う補助金であります。合計いたしましてこの貿易振興の関係は本年度一億九千万円に対しまして明年度は三億二千九百万円約七割程度の経費の増額を認められたわけでありまして、これによりまして何とか積極的に海外に我が商品の成果を宣伝し、併せていろいろなその背後にある問題の解決に資したいと思つております。
それから資源対策としましては、最初にありますのが金の問題でございまして、これは御案内のように現在金は産金量の三分の一程度を国で買上げまして、三分の二を自由販売いたしておりますが、この戦前戦時中を通じましていろいろその金鉱業の苦難もありますので、その経営を助成いたしまして、産金の維持増加せしめるということのための、探鉱のための補助金でございます。それから新鉱床の探鉱補助金、これはいろいろな重要鉱物にかかる鉱山の新鉱床の探鉱の補助金、これはずつと続いて来ている金であります。それから石油の試掘等補助金、これは先ほど大臣から申しましたように、昨年来この石油の油脈或いは埋蔵地区等におきましてどういうふうにこれを開発したらいいか、或いは調査したらいいかということにつきまして、民間の権威者を集めた審議会を持ちましていろいろ検討したわけでございますが、その結果この我が国の油層はその調査方法、試掘の方法よろしきを得れば相当将来見込があり、よつてまあ政府において積極的且つ計画的にこの石油の試掘を助成して産油量の増加を図つたほうがいい、こういう答申がございまして、それに基きまして石油の試掘五カ年計画というものを作りまして、でき得れば五カ年後に百万キロリツトル程度の産油量を得るように計画的に試掘探査をして参りたいというような結論に達しました。初年度の経費としまして僅かでございますが、一億三千万円程度計上して試掘、地質調査、二次採取等の事業に対して補助いたして参りたいということでございます。以上僅かではございますが、大体資源開発関係の経費も約昨年に比べまして六、七割の増加を見ております。このほかに資源関係は若干この開発銀行等の財政投資に待つ面もあるかと存じております。
それから技術振興対策費でございますが、これは概して申しますと、本年度の七億三十三百万円程度の経費が明年度も一応計上されておりまして、内容におきましてもこの工業化試験補助金、或いは鉱工業研究補助金等大体内容並びに金額も同様でございます。それから三番目の工作機械等試作補助金でございますが、これは本年度工作機械を中心に試作に対しまして補助を認めて参つたのでございますが、それを明年度は少し範囲も拡げまして、工作機械以外の重要な機械に対しましてもこれを国産化できるように補助して参りたいという考えでございます。これは生産者のみならず利用者のほうにも補助金を交付する途を開きたいと考えております。
それから四番目、五番目、六番目はこれは物価庁の関係の補助金、貸付金等でございますが、この金額並びに内容におきましては大体本年度のと同様でございますので、詳細な説明は省略いたします。
それから中小企業振興対策でございますが、これはこの明年度一兆予算のしわが相当寄る個所かと考えられますので、特にいろいろな経費の増額を行うように努力して参つたのでございますが、遺憾ながら結果的におきましてはその表に現われておりまするように二億三千百万円のものが三億七千二百万円、まあ四割、五割程度の増かと思いますが、なおこのほかに中小企業金融公庫などの貸付金の増額等も一部ありまするので、まあ不満足ながらこの辺を足掛りに中小企業の対策を進めて参りたいと考えます。最初にありまするのが例の協同組合の共同施設等補助金でございます。本年度一億八千万、これを明年度は三億にいたします。内容におきましても、共同施設の補助のほかに設備更新、組合員の行う設備更新に対しましてもこの経費の一部を補助して参りたいと、こういうふうに考えております。それから二番目の中小企業の振興指導費の補助金でございますが、これは本年度行なつておりまするように、都道府県の事務費の補助でございます。次はちよつと一部落ちておりますが、大体昨年程度の経費、水害の復旧資金の利子補給でございまするが、これは昨年の水害に対しまして金融機関から行なつた融資の利子補給。大体以上が主な費目でございますが、合計といたしましては本年度の五十八億一千八百万円が約一割五分の増加を見まして六十六億八千三百万円、八億円程度の増加になつております。この中におきまして、実は人件費のベース・アツプ等の関係上約三億七千万円程度殖えておりますので、残余が事業費関係の増加というふうに大体御了承願いたいと考えております。
なお以上一般会計でございますが、特別会計におきましては特に目新らしい事項もございませんが、一、二新らしい事項といたしましては、例の輸出保険の関係でございますが、このほうに一部新種保険を設けたい。つまり委託販売につきましてこの損失を補償する制度を設けたいということで、その契約限度の引上げを認められております。これは追つて法案の形でいろいろ御審議をお願いしたいと思つております。もう一つは、中小企業の信用保険のほうの特別会計でございますが、このほうにおきまして、先ほど愛知大臣からちよつと申しましたが、小口の融資保険を設けたいと思います。一口五万円以下の融資に対する保険でございます。これにつきましても追つて法案の形でいろいろ御審議をお願いすることになるかと思います。
なお通産省に関係ありまする特別会計で、例の援助物資の特別会計並びに緊要物資の特別会計、この二つは一応業務並びに残務の整理を見ましたので、明年度から廃止したいというふうに考えております。
それから次にお手許にお配りしておりまする財政投融資計画でございまするが、これにつきまして簡単に御説明いたしたいと思います。通産省に関係の深い財政投資の政府機関といたしましては、開発銀行、輸出入銀行、電源開発会社、それから国民金融公庫、中小企業金融公庫の五つでございます。
最初の日本開発銀行につきましては、本年度は政府資金の運用部繰入れ並びに産業投資特別会計を合せまして三百五十億、このほかに開発銀行自体の回収金並びに利殖金等が約三百億を超えますので、大体融資の金額といたしましては六百五十億に相成ります。本年度はこの表にありまするように、政府の財政資金六百億のほかに、回収金、利殖金と合せまして二百六十億、合計八百六十億でありましたので、融資の総体におきましては開発銀行は明年は二百十億の減少を見ることに相成ります。そこでこの産業別の投資の計画でございますが、目下細かい点は検討中でございまするが、大体のところといたしまして内定いたしておりまするのは、このうちで電力会社に対しまして三百五十億、それから海運につきまして百八十五億、これは運輸省の関係でございます。それから石炭、鉄鋼、自家発、合成繊維、それから機械、硫安、この六業種に対しまして九十五億と一応考えております。これは我々としましてはこのうち特に石炭に対しましてでき得れば三十億以上の投資を行いまして竪坑の開鑿、或いは新坑の開発といつた積極的炭価引下げの方面に重点を置きたいと考えておるわけでございます。なおこの九十五億といたしましてはなかなかこの業種に十分に廻りかねるかと存じますが、できるだけ効率的に資金の用途、それから時期等を厳重に審査しまして最も効果が挙るようにいたしたいと考えております。この辺が昨年に比べまして相当金額が減少して参りますので、ものによりましては若干民間融資のほうにしわが寄るものもあるかと考えております。それからその他の産業或いは予備といつたものに二十億程度と考えております。
それから輸出入銀行でございますが、これは明年度も一応繰入れは行わない予定になつておりますが、これは別途予算の御説明の際に、或いは御了承かと思いまするが、回収金、利殖金、或いは前年度からの繰越金等で明年度大略二百億を超える金額が一応融資のフアンドとして考えられますので、一応はこの金額で仕事をやり得るかと存じておりまして、御案内のように昨年の末以来プラントの輸出が相当増加して参りまして、明年度におきましては、或いは輸出契約のベースで一億ドルを超えるのではないかというふうに見られておりますので、そのうちからこの輸出入銀行の融資の対象になりまするもの、或いはその融資の比率等を考えまして、若しこの二百億程度のもので足りないということになりますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/10
-
011・海野三朗
○海野三朗君 今の御説明では輸出入銀行のところにはゼロ、ゼロ、ゼロとなつておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/11
-
012・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) この予算の面に現われませんが、この銀行自体の資金としまして回収金、利殖金或いは前年度からの繰越金等がございまするので、それが二百億程度と一応予定されますので、それでこの銀行の融資の資金として参りたい、こういうふうに申上げた次第であります。
それから電源開発会社でございますが、これは本年度は二百億の財政からの資金が参ります。明年度はこれを増加いたしまして二百六十億と一応予定いたしております。このほかに若干の本年度からの繰越もあるかとも存じまするが、この電源開発会社は丁度明年あたりが、仕事の事業量が殖えて参る時期に相成りますので、この金では或る程度工事点を集約いたしまして、最も資金を効果的に使うような方法を講じてできるだけ既定の計画を遅らせないようにして参りたいと考えております。
それから国民金融公庫でございまするが、これは財政からの金は大体今年度同様九十億でございます。このほかに回収金、利殖金等が二百三十億程度期待されておりまするので、融資のベースといたしましては三百二十億程度が一応できる予定でございます。勿論この国民金融公庫の中には生業資金或いは恩給担保の貸付等中小企業以外の個人の生活資金といつたものもございまするが、相当部分は中小企業、なかんずく零細企業のほうに廻るようでございますので、これも中小企業公庫と相待ちまして中小企業金融の重要な一翼を担うことに相成るかと存じております。
それから最後に中小企業金融公庫でございまするが、これはこの表の中にございまするように、一応一般会計並びに資金運用部会計からの投融資は百三十億、このほかに回収金等が六十億で、合計百九十億になりまするが、そのうちから開発銀行に返済すべきものが約二十億程度ございますので、差引きまして百七十億程度のものが一応今年の融資の本に相成るかと存じております。これもまあ月平均しまして大体十四億程度の融資になりまするので、何とかこの辺でこの金融公庫の仕事を続けて参りたいと考えております。
大体以上が通産省関係の明年度予算の大要でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/12
-
013・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは質疑に入りまする前に、只今提案されておりまするガス事業法案並びに特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/13
-
014・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今議題となりましたガス事業法案につきまして御説明申上げます。
政府は、昨年十二月制定を見ました「電気及びガスに関する臨時措置に関する法律」が暫定法であり、同法に代る電気及びガスに関する恒久法を早急に制定する要がありますので通商産業省に設置いたしました「電気及びガス関係法令改正審議会」を中心としてこの一年間鋭意検討を進めて参つたのでありますが、漸くガスに関しまして成案を得るに至りましたので、ここにガス事業法案として本国会に提出し、その御審議を仰がんとするものであります。
従来ガスにつきましては、その事業の遂行が国民生活上特に都市を中心といたしまして重要な地位を占め、民生の安定に対する影響が大きく、且つ、ガスの性質上その製造及び供給の取扱如何によつては相当の危険を伴います関係から、すでに大正十四年瓦斯事業法が制定され、ガス事業運営についての規制、ガスの保安に関する監督等が行われて参つたのでありますが、昭和二十五年公共事業令の制定に伴いまして、ガス事業の公益事業たる性格に鑑み、電気事業と併せてその事業運営の規制を行うこととされ、ガスの保安に関する部分は、旧瓦斯事業法の規定によることとなつた次第であります。その後昭和二十七年十月二十五日以降公共事業令が失効する事態が生じ、政府は、急遽「電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案」を策案し、幸い第十五国会における御審議の結果、同法の可決を頂き同年十二月二十七日から公共事業令の内容をそのままに引継ぎまして今日に及んだことは、すでに御承知の通りであります。
併しながら、電気事業とガス事業とを併せて規制いたしておりました公共事業令の三年に亙る運用を顧みますならば、ガス事業の態様は、電気事業のそれとは異る点が多々ありまして、両事業を同一の法規により規律することは、実情に副い得ない場合が多く、加えて公共事業令に基く許認可手続と旧瓦斯事業法に基く許認可手続とが重複する場合もあるような現状でありますので、電気及びガスに関する恒久法をそれぞれ別個のものとし、ガス事業の運営の調整と保安の監督とを有機的に一体化し、ガスの実態に即した立法を行うことが適当と存じ、先に申述べました審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、ガス事業法案を取りまとめた次第であります。
法案の内容につきましては、御審議の途上、逐一詳細に亙り申述べる所存でありますが、以下簡単にその概要を申上げますと、この法律は、第一章から第四章までにおきましてガス事業の運営に関する規制を、第五章におきましてガスの製造及び供給についての保安に関する監督を、第六章におきましてガス事業者の土地立入の特権その他この法律の補完規定を定めております。
第一章におきましては、この法律の目的とガス事業の定義を定めておりますが、ガス事業の範囲を一般供給事業者に限るものといたしました。これは現在のガス事業の実態から旧瓦斯事業法と同一の定義とすることが妥当でありますので、いわゆる卸供給事業者をガス事業の範囲から除いたわけであります。第二章は、事業の創設から廃止に至るいわばガス事業の一生につきまして所要の規制を加えたものでありまして、公共事業令の内容と大きく異る点は、事業許可の基準を詳細に規定いたしましたこと、及び事業開始義務に併せてガス事業の開始の確実性を保つため、ガスの供給施設の設置義務を課したことのほか、ガスの使用者の利益を図るため、ガス事業者の休眠区域についてこれを放任することを防止する措置を規定したことであります。第三章は、ガスの供給の態様に関する規定でありまして、ガス供給業務のサービス向上に資するため数量及び圧力の測定義務をガス事業者に課すると共にガス事業者に課すると丘にガス事業者にガスを卸供給する者に対してもガス料金の適正化を図るため、その卸供給料金等について認可制を設け、更に従来制度的に明確性を欠いたガス事業者の特定供給につきましても所要の規制を加えることといたしております。第四章の会計につきましては、ガス事業の経営の健全化を図ることと、同時に企業の自主性を尊重し、ガス事業会計処理の根幹たる会計整理の基準と減価償却の命令のほか、公共事業令で規定しております諸手続を廃止することといたしました。次に第五章の保安でありますが、従来個別に行われましたガス工作物に関する工事許可及び使用開始許可制度を新たに包括的な工事規程認可制度に置換えると共に設備の維持義務をガス工作物の設置者に課したほか、有害成分の測定制度を設定し、ガス主任技術者制度の整備と相待つて、保安監督の充実を期しておる次第であります。第七章の雑則におきましては、ガス事業者の土地立入、植物の伐採等に関し公益事業たる見地から若干の特権を認めるほか、ガス主任技術者国家試験手数料の法定化、公聴会、聴聞事項の整備等につき規定し、併せてガスの使用者の利益を保護するため、通商産業大臣に対する苦情申立制度を明定いたしております。最後に附則でありますが、これには、この法律の施行に伴う経過的措置関係法令の改正等について、所要の定めを置いたものであります。
以上甚だ簡単でありましたが、この法案の構成につきまして御説明申上げた次第であります。政府といたしましては、この法案がガス事業の実態に即して最も適切と信じて御審議を願うことといたしたのでありますが、この法案が幸いにも可決せられ制定の運びとなりました暁には、同法の実施を厳正適切にし、ガスの使用者の利益を擁護し、併せてガス事業の健全な発達に一意努力する所存でありますので、何とぞこの意を諒とせられ、慎重に御審議の上速かに御可決あらんことを切に希望して止まないものであります。
次に特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申上げます。
特別鉱害復旧臨時措置法は、太平洋戦争中の強行出炭による特別鉱害を急速且つ計画的に復旧することによつて、民生の安定、国土の有効利用を図り、併せて石炭鉱業の健全な発達を期せんとするものでありまして、昭和二十五年五月法律施行以来着々とその成果を挙げて来たものであります。
ここに提案いたしました改正案は特別鉱害にかかる鉱業権者の特別会計への納付金を五割増額すると共に、法律の有効期間を二年延長せんとするものでありまして、主として法律施行後の物価の上昇と、現地における工事能力の制約との二つの理由に基くものであります。
何とぞ速かに御審議の上御賛同賜わらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/14
-
015・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/15
-
016・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
それではこれより質疑を行います。先ほど御説明のございました通産省関係の予算並びに財政投資等に関する御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/16
-
017・豊田雅孝
○豊田雅孝君 ちよつと数字的なことを伺つておきたいのでありますが、中小企業金融公庫の資金計画、これは予算説明書によりますと、財政投融資が百三十億、自己資金等六十億、合計百九十億というふうになつておるのでありますが、先ほど大臣の説明によりますと、六十億円程度を増額し、百七十億円となつていると言われましたが、これはどういう関係なんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/17
-
018・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 御説明申上げます。来年度の予算の関係から申しますと、一般会計からの出資が二十五億、資金運用部からの借入れが百五億、合計百三十億、これが新らしく公庫へ国の関係として出て来る金の量であります。それに対しまして回収金を大体六十億と見積りまするので百九十億に相成るわけでございます。ところが二十八年度におきまして日本開発銀行に対して公庫が約二十億の債務を持つているわけであります。これは二十八年の三月三十一日を以ちまして開発銀行は自分の手によりますところの中小企業への貸出を打切りまして、四月以降の貸出の分につきましては公庫成立の暁においてこの債権を買取るという約束で日本開発銀行が毎月五億程度の貸出を継続して参つた、これが九月までに若干の金額になつておりますのと、水害等の関係で日本開発銀行に頼みまして西九州或いは紀南その他の方面に災害資金の貸出をいたしましたものがあるのであります。これを合計いたしまして大体三十八億ということに相成るのでございますが、この債権を公庫が引継ぎまして金を払うときに丁度公庫の資金繰りがかなり苦しかつたものでございますので、先ず半額を支払いまして、半額は別途大蔵大臣の指定するときに日本開発銀行へ金を払うというやり方をとりまして、実質的に十九億円というものを来年度に送りまして、それだけ本年度の公庫の資金量を殖やす措置をとつたのであります。従つてこの十九億、ざつと二十億というものを百九十億の中から開発銀行へ返さねばならぬ、従つて来年度の中小企業金融公庫の運用資金総量は百七十億ということに相成るわけでございます。
それから二十八年度の中小企業金融公庫の資金の関係は出資と借入とを含めまして百五十億でございまするが、そのうちから商工中金に貸出しましたものが、貸出した債権の振替関係のものが二十億でございますので百三十億でございます。
それから回収金が大体九億乃至十億、大体大ざつぱに言いまして十億見当でございますので百四十億の資金量でございまするが、そのうちから先ほど申上げましたように日本開発銀行へ約二十億債権を買う関係で払いましたので、残りが百二十億でございます。お手許に差上げました資料に百十億となつておりますのは百二十億の誤りでございますので、御訂正を願いますれば幸いでございます。従いまして百二十億と百七十億との差額五十億が資金運用量といたしまして二十八年度より二十九年度が殖えると先ほど大臣が朗読いたしましたのは、百二十億と百七十億との差額五十億程度が殖えるというふうに大臣から御説明があつたと思うのでございます。その大臣の説明いたしました書類の中には百十億ということで六十億の差額とありますが、これは百二十億、差額五十億というふうに御訂正願つたら仕合せでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/18
-
019・豊田雅孝
○豊田雅孝君 一応今のお話でわかりましたが、併し少くとも中小企業金融公庫に対する資金は二百億をこの際要求しなければいかんというふうに我々も考えておつたのでございますが、それが減つて更に又開発銀行に返さねばならぬと、せめて返す分くらいは延期してもらうということはこの際もう当然の措置であると思いますが、いずれこの問題はあとじつくりとやりますけれども、差当りどうしてその延期くらいはしてもらえなかつたのか、そこをちよつと伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/19
-
020・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) これは先ほど一般的な通産省関係の予算説明のときにも申上げたと思うのでありまするが、日本開発銀行に対する政府側の出資乃至貸出というものが前年度と比べまして非常に減つておるのであります。日本開発銀行としてもなかなか融資のやりくりに苦まれるような状態のように見受けておるのであります。と同時に困つたときに助けてもろうたやつを又小便をするというのは、いろいろと今後の交際もあることでございまして、やはり一応約束いたしましたものは払う、そして我々のほうとしては、与えられた金を極力効率的に運用して、この中小企業の資金のお世話をするというふうにやつて行きませんと、どうもあんまり不信用のそしりを招いても如何かと存じておりますので、一応払うものは払おうという気がまえにいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/20
-
021・豊田雅孝
○豊田雅孝君 二十億ぐらいなら資金運用部資金のほうからでもちよいと何とかしてもらえばいいでしようから……、今中小企業対策を折角この際やろうと言つておるのに、そう一十億返す返さんで細かく行くということは、えらい長官は気が弱いですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/21
-
022・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 気が弱いと申しまするか、要するに非常に困りましたときに助けて頂いたものですから、そこは紳士的にやりたいと、こう考えておるわけであります。そのほかに本来の形として大蔵省方面へ正式な形でもつと殖やしてもらうようにかなり努力もいたしたのでございますけれども、最後の瞬間までやりまして、二十億を殖やしてもろうたというのが現実でございまして、遺憾ながらこの程度で辛抱せざるを得なかつたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/22
-
023・小林英三
○小林英三君 二十九年度一般会計予算要求概要というのがございますが、今の説明によりますというと、二十九年度要求という欄がありますね。この額は全部通産省から大蔵省に要求したものでしようか。或いは決定額でしようか。要求したものとなれば決定願はこれと違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/23
-
024・古池信三
○政府委員(古池信三君) これは最初に要求しました額ではないのでありまして、その後折衝の結果ここに落ちつきまして正式に国会に対して予算として要求するという数字がこれでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/24
-
025・小林英三
○小林英三君 それから財政投融資の計画、先ほど官房長が説明されました開発銀行の三百五十億、それからそれに関連した内容をもう一遍説明して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/25
-
026・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 先ほど御説明いたしましたように、財政から開発銀行に入つております金は三百五十億円予定しております。このほかに開発銀行の自己資金といたしまして、回収金或いは運用利殖金等が丁度三百億ございます。合計六百五十億が明年度の融資の原資になるわけでございます。その六百五十億の資金を以ちましてこれをどういうふうに貸付けて参るかというふうなことにつきましては、先ほど申上げましたように一応の目安としましては、電力会社、つまり九つの電力会社の設備資金としまして一応三百五十億程度、海運に百八十五億程度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/26
-
027・小林英三
○小林英三君 どこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/27
-
028・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 海運業です。つまり造船資金だと存じております。運輸省で例の計画造船をやつている分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/28
-
029・小林英三
○小林英三君 海運に幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/29
-
030・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 百八十五億と予定しております。
それから石炭、鉄鋼、自家発電、合成繊維、機械、硫安、この六業種に対しまして一応九十五億、それから残余の業種並びに予備としまして二十億、こういうふうに一応いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/30
-
031・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつと申上げますが、只今の内訳は昭和二十九年度予算の説明書の中にございますので、どうぞ御参考に御覧を頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/31
-
032・小林英三
○小林英三君 それから今豊田委員から御質問されました、中小企業公庫合計百三十億、回収金が六十億で、それから二十億円返して百七十億ということはわかりましたが、このプリントにあります百三十億円をむしろ百二十億円にして頂いたほうがよいという今の長官のお話がありましたが、これは一般会計と資金運用部とどういう違いがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/32
-
033・豊田雅孝
○豊田雅孝君 百十億を百二十億と申上げましたのは、大臣が御説明申上げました説明の演説の文章がございます。その表ではないのでございまして、その文章のうち中小企業対策というところに百十億と、百七十億で六十億殖えたと書いておるのでございます。それを百二十億と、百七十億の差額五十億というふうに御訂正を願いたいと、こう申したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/33
-
034・小林英三
○小林英三君 そうしますと只今委員長の財政投融資の表にあります……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/34
-
035・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 表ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/35
-
036・小林英三
○小林英三君 財政投融資の表にあります一般会計が二十五億、資金運用部から百五億、これで正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/36
-
037・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) それが正しいのです。合計百三十億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/37
-
038・海野三朗
○海野三朗君 昭和二十九年度一般会計予算要求概要の表についてお伺いいたしますが、ここで資源対策のところで石油試掘等補助金、ここで一億三千万円やつておりまするが、これで百万キロリツトルですか、その石油が大体これくらいの予算であればできるというお考えでありますかどうか。若しできるというお見通しであればどこをどういうふうに掘ればいいかというその御計画があられますか。その辺をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/38
-
039・川上為治
○政府委員(川上為治君) 百万キロリツターの計画は五カ年計画でありまして、五カ年後におきまして百万キロリツターを出したいという計画で、私ども最初の計画としましては初年度大体十億程度助成金を出したら、年々大体それと同じくらいの程度のものを出しまして、五カ年後におきましては百万キロリツター出したいという計画であつたのですが、いろんな予算の関係から来年度におきましては一応一億三千万円程度ということになつたわけでありまして、この最初の五カ年計画を遂行するためには来年度或いは再来年度におきまして最初我々が考えておりました計画の助成金よりも更に多くの助成金を出さなければ五カ年計画は最初の計画通り遂行することはなかなか困難ではないかと思うのでありますけれども、まあ何とか初年度におきましてはこの程度出しましても、将来更に来年再来年におきまして増額しまして所期の計画を何とかして果して参りたいというようなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/39
-
040・海野三朗
○海野三朗君 この石油試掘については緊縮予算、金を減らせば……、金を減らして効果を挙げるなんということを考えたつてやつぱりかけるだけの金をかけなければ石油というものは出て来ない。至つて正直なものだと私は考える。で、一億三千万円と言えばその何分の一、約七分の一しか効果が挙らないということになるのでありますが、こんなことでは石油を今国内では非常に要求しておる、で外国から石油を買わせないようにして外貨を減らさないようにしようという考えであつて、そしてこのこれつぱかしの一億三千万円のお金では、これはとてもできないと思うのでありますが、その点に対しては御当局如何なる御決心をお持ちになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/40
-
041・川上為治
○政府委員(川上為治君) おつしやる通り石油の需給関係、外貨の事情等からいたしまして、どうしても国産の原油を相当程度出さなければなりませんということにつきましては、全く同感でございますが、本年度におきましては緊縮予算の関係から、どうしてもこの一億三千万円程度しかつけられなかつたのでありますけれども、先ほど申上げましたように来年、再来年におきまして、是非とも増額いたしまして、そして所期の五カ年計画、これを何とかして遂行するように私どもとしましては持つて行きたいというふうに、そういう決心であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/41
-
042・海野三朗
○海野三朗君 五年後の生産が百万キロリツトルというような計画でありますが、この石油を使うということは、今毎日々々の問題でありまして、こういうふうなせつぱ詰つた現状にあるのにもかかわらず、まあ四倍のお金を出したと言つて、大きなことをさつき大臣も言つておるようでありますが、こんなことでは私は、歌に唱つておつたのでは石油は出て来ない。大自然というものは正直なものであつて、やはり金をかけなければ出て来ないのだ。ここに私は今の政府が唱つておるところのものは歌であるというふうに僕は思うのでありますが、とにかくもう一度何とか工夫をして、ほかからこの予算の増額をせんとする御決心があられるのかどうか、どうしても一兆億円の範囲内でやれないというお考えであるならば、石油の輸入ということもやはり考えなければならないのではないか。金がないからして輸入できない、成るべく輸入させないで、国内で間に合せようというお考えはいいのであるけれども、現実に即したやり方じやないと私は考えるのでありますが、この点については政府御当局、政務次官の御所見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/42
-
043・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今の海野委員の御説は誠に御尤もでありまして、至極我々も御同感いたすのであります。従つて通産省の立場から申せば、もう少しこの予算を奮発して、そして早く所要の石油を国内から産出するように努力をしたいという気持は持つておるのでありまするけれども、御承知のように今回の予算においてはできる限り緊縮をしようというので、各方面において相当緊縮を強化して、というような実情であります。従いまして政府の一員といたしましては、誠に不十分ながら、不満足ながらこれだけを要求いたしておるという次第であります。従つて只今も鉱山局長からも申上げましたが、次の年度においては是非ともこれを大規模に増額をして頂きまして、速かに国産の石油を出したいというふうに考えております。只今海野委員のお話は誠に我々も御同感に考えておるような次第であります。どうかその辺の我々の決意のあるところも御了承を願いまして、今回はこれによつて五カ年計画の緒についた、途を開くものであるという意味合いから、どうか御賛成を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/43
-
044・海野三朗
○海野三朗君 只今古池政務次官からのお話を承わりましたが、今現在東北におきましては天然ガスが噴出しておるのであります。山形県の安楽城村におきましては天然ガスを採掘、……石油を採掘せんとして掘つたのでありますが、三百五十メーター掘つたところが一時間に約四千五百立方メーターのガスが噴出しておる。そういうような状況に対しましては、政府のほうではそれに対してどういうふうの御所見を持つておられるのでありますか。これをやはり工業化するには相当の資金が要るのでありますが、この点については鉱山局長さんは如何ようにお考えになつておられるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/44
-
045・川上為治
○政府委員(川上為治君) 石油の開発に対しましての助成だけではありませんで、この天然ガスの開発につきましても私どものほうとしましては、積極的に援助をいたしたいと考えております。従来におきましても石油だけではなくて、このガス関係につきましても或る程度の助成金を出しておるわけなんですが、来年度におきましても、やはりガス方面につきましても相当の助成金をこの中から出して行きたいというふうに考えております。仰せの山形県の問題につきましても我々としましては、十分調査の上でこれが緊急に出すべきものであるというふうに考えますれば、ここに対しましても或る程度助成金を出してその開発を促進することになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/45
-
046・西田隆男
○西田隆男君 今の石油の助成金の問題ですか、川上さんは五カ年計画というふうに御説明がありましたが、それはこの委員会に資料として出して頂けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/46
-
047・川上為治
○政府委員(川上為治君) 資料をお出ししたいと思いますが、この前のたしか委員会でお配りしたのじやないかと思いますが、私記憶違いでありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/47
-
048・西田隆男
○西田隆男君 なぜ私がそう申すかと言いますとね、石油は日本では帝国石油一社の独占事業、而も帝石は年二割の配当をやつておる、そうすれば去年三千五百万円であつたものを今年度一億三千万円に助成金を殖やすというだけでは意味をなさない。これは海野君の言う通りと思う。併し将来五カ年計画があつて、年に五十億の資金を出さなければ油田の開発が不可能だという見地に立つての初年度の助成金であれば、これは又別に考える方法があると思うのですが、併しそれにしてもただ一社の独占企業である石油の開発の助成金を税金のうちから殖やして行くということであればね、これは政府は四百六十万株持つておるはずですが、帝石の経営の内容に対して、今政府はどういうふうな態度をとつておるか、四百六十万株と言えば大株主です。大株主の意見を帝石の経営の実態に影響を与えておるかどうかという問題も、当然委員会で審議しなくちやならんと私は思う。一度出しておられるか知りませんが、再度そういう意味において検討しやすいように、五カ年計画の案が若し通産省にあるならば、もう一回この委員会に出して、これは委員長に頼みたいのですが、布石の問題を議題として、正式に当委員会で検討するという方法をとつてもらいたいということを希望として申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/48
-
049・中川以良
○委員長(中川以良君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/49
-
050・西川彌平治
○西川彌平治君 貿易振興対策が最も本日重要な問題であるという点からいたしまして、二十八年度の予算よりも二十九年度が一億四千万円ほど増額をされましたことにつきましては、非常に私は喜んでおるものでございますが、ただ私はここでこの予算を見まして、日本市の補助であるとか、市場の調査費であるというような八項目に亙るすべてのものが、非常にやり方によつては効果の度合が非常に違うと思うのであります。昨年といいますか、本年度と申しますか、二十八年度におきまするこの予算の使い方がどういうふうに使つているか。又二十九年度は更にこういうふうに、というようなはつきりとした一つの詳しいものをお聞きしたい。と同時にその二十八年度の効果がどの程度に挙つているかということも併せて一つ次の機会でよろしうございますが、詳しく伺いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/50
-
051・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 簡単に申上げますならば、この貿易の振興対策、ここに掲げられている八項目につきましては具体的に何千万円の金を使つたからこの程度の取引はできたのかという、この具体的の数字につきましては非常に算出がむずかしいのでございまするが、今お尋ねありましたこの具体的にどういう内容の事柄をやつたかという点につきましては、資料を整えまして詳細に御説明を申上げたいと思います。併しながら今申上げまするようにこの貿易振興というものがこの一つの有効なきめ手というものは実はないのでございます。従いましていろいろ有効な手を併せてやらなければいけないということと、それからその施策と、結果といいますか、効果というものが的確に数字の上で表現できません点だけは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/51
-
052・西川彌平治
○西川彌平治君 今のその御説明のあつたような、全く的確につかめないというような点につきましてはなお更私は強くこのことを申上げたいのであります。是非一つ二十八年度にやりましたこと、それから二十九年にやろうとして考えていることを一つ十分に我々も今後は真剣に考えて見たいと思いますのでお願いする次第であります。どうぞよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/52
-
053・豊田雅孝
○豊田雅孝君 今の問題に関連しまして輸出振興のこの際重要なことは何人ももう問題のないところなんでありますが、この問題については改めてやるといたしまして、海外市場調査会と、ジエトロの過去一年間における業績というのはどういうものが顕著なものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/53
-
054・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この点もいずれ具体的に資料をお配りいたしまして御説明を申上げますが、簡単に申上げますると、この二十八年度におきまして二千八百万円程度、まあ約三千万円でございますが、この費用は大部分はジエトロが海外に駐在をさせまする職員の給与でございます。それも専門の職員は比較的金の関係上、専門の職員は余り置けませんので、現地におけるまあ有力者に委託をして調査をせしめているのでありまして、どういう仕事を何件程度、そういう調査をせしめたのか、或いは取引の斡旋をせしめたのかという具体的の数字につきましては後刻計数で以て御報告を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/54
-
055・豊田雅孝
○豊田雅孝君 海外貿易斡旋所はジエトロとはどういう関係になつているか。それから更に海外広報宣伝費、これの使用についてはジエトロとどういう関係になるのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/55
-
056・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この海外貿易斡旋所は本年度から初めてニユーヨークに一個所開設いたしたのであります。目下所長以下が行きまして、開設の準備をいたしているわけであります。もうすでに展示する商品も送つているのでありまするが、一つ開所に当りましてははなばなしくやろうということで、いろいろ館内の飾り付け等に若干時間がかかつておりまして、多分来月早々くらいにこの斡旋所開きをするということになろうかと思うのであります。この貿易斡旋所と、それから今お尋ねのありましたこの海外市場調査会との関係でございますが、一応現在の建前といたしましては貿易斡旋所協議会という独立の民間機関を設置しまして、そこに補助金を交付して、この斡旋所を開設せしめているということになつております。実態は新らしく職員を持つということはかなり費用もかかりまするので、海外市場調査会に委託してやつている。法律的な建前から言いますと貿易斡旋所協議会という独立のものが経営しておる。こういう恰好になつておりますが、今後はこれらのものはできるだけ統合をいたすという方向で目下研究をいたしております。
それから次にこの海外広報宣伝費でありますが、これは民間団体に対しまする補助金ではございませんで、いわゆる庁費に相成つておるわけでございます。これは役所が直接に海外に対しまして図書、日本商品を紹介宣伝するための書籍類を買上げまして在外公館或いは現地の商工会議所等に配付をしておるわけであります。いわば役所の直轄事業になつておるわけであります。勿論この貿易斡旋所におきましても或る程度の現地におきまする広報宣伝はいたしておりますが、その費用は斡旋所の費用の中で見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/56
-
057・豊田雅孝
○豊田雅孝君 総額にしても三億二千九百万円ぐらいなものでありまして、輸出振興、輸出振興と言いながらも非常にその経費が少いのですが、これをばらばらに使うということでは殆んど焼石に水で問題にならんと思うのです。今のお話で海外市場調査会と貿易斡旋所が統合して今後やろうというお話ですからまあそれはいいのですが、海外広報宣伝などもこれはまあ役所で直接やる、役所がやるのならば全部又役所がやつたらいいのだし、民間団体にやらせるのならば又これを統合して強力にやるということでなければ今も言うようにもう経費自体が僅かなものなのですから殆んどその効果を挙げ得ないのじやないかと思うのですが、折角の経費が役に立たんというようなことになると思うのでありまして、この点今後特に統合して、強力にやる、もとより経費ももつととるという方向で力強く行つてもらわんことには輸出振興は口ばかりで口頭禅に終る傾向があると思うのです。そういう点特に御注意をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/57
-
058・三輪貞治
○三輪貞治君 今のに関連して、豊田委員の質問に関連してですが、海外市場調査会その他で行なつておられる調査の結果を月報とかいろんな形で出されておると思うのです。私は必要によつてたびたびもらつた経験がありますが、少くとも通産委員会の委員には毎月そういう月報が出ておればそれをお渡し願うとか、或いは又海外市場調査会から単行本なんかも出ておるようですが、「世界貿易の現況と将来」ですか、そういうものとか、或いは「マシネリー・ジヤパン」とか、それをお配りにならないので一体何をしているのだろう、去年も実際に予算を通過させ、我々がそれを承認しておいて、その仕事の内容がわからない、こういうことでありますから、出されておるそういつたような刊行物は是非一つできるだけお配りを願う、こういうふうにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/58
-
059・中川以良
○委員長(中川以良君) よろしうございますね。それじや一つこれから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/59
-
060・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 実はできるだけさように努めさしたいと思いますが、何分この役所から出しております補助金の額と言いますのは今いろいろ御指摘のありますように非常に少いのでありまして、これ以外にも地方庁、それから民間から寄附を集めまして、この海外市場調査会を例にとつて申しまするならば毎年の支出が一億円ぐらいな事業を実はやつておるわけでございます。それでまあこの予算に余裕がありますれば、そういう刊行物等も比較的広く配れるのでありますが、その辺の関係はどうなりますか、私ちよつとはつきりわかりませんので、都合がつくようでございますれば、できるだけ委員会にも配りますように努力をさしたいと思いますが、種々様々な速報なり、月報なりを出していることは事実でございます。
それからちよつと先ほども申上げた点で、この貿易振興対策の中の、(1)、(2)、(3)、国際見本市、それから海外市場調査会の関係、海外貿易斡旋所の関係、これは別の団体に実はなつたわけでございますが、予算でも一括して掲げられておるようでございますので、団体のほうも先ほども御指摘がありましたように、できるだけ一本にして強力に使う意味から団体のほうの統合を私は目下考えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/60
-
061・海野三朗
○海野三朗君 貿易斡旋所補助金とここにありますが、昨今では民間の、つまり国民的な現われとしまして、よく展示会というようなものが行われます。昨年の九月、上野の松坂屋でインド展をやりました。ああいうときには、今度例えばインドに行つて日本展をやろうというような民間の熱心なる動きがある際には、やはりそれに対して援助をする、補助しようという御用意があるのかないのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/61
-
062・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今の御尋ねの点でございますが、実はこれまでもこの各地方庁なり或いは個々の団体で以て海外でそういう企てをするということがあつたわけでありますが、役所といたしまして見ました場合に、やはり全国的に統一したやり方をいたすほうが貿易の性質から見まして望ましいのではないかということで、従つて一団体或いは一地方庁の企てにつきましてはそれぞれがいわばざつくばらんに申上げますならば、自前でおやりになる分については勿論いけないということも言えないのでございますが、少くとも通産省から補助金を出してやる場合はできるだけ計画的に、又全国的にやりたいということで以ちまして、今申上げますようにこの国際見本市協議会というものを中心として地方庁或いは関係団体の協力を得て実はやつておるわけでございます。この予算に掲げられておりますところは、僅かの金額でありまして、実際は関係の団体或いは地方庁がこれに協力をしてやつて頂く金というものは実は倍も三倍もになつておるのであります。いわば通産省が何といいますか、基本になるような資金だけを出しておるような恰好になると思います。そういうことでありまして、個々の団体がこういうことをやりたいからこの金を少し分けてくれんかということになりましても、ちよつと調査する余裕もございませんし、ここに掲げられている金額の大体の所定の計画がありまして、その計画に基いてこういう金額を算出しておりますので、この金額の範囲内では今のこの個々の要求につきましては、ちよつと応じにくいのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/62
-
063・海野三朗
○海野三朗君 今局長のお話では全国的にと言われた。全国的にやるならば何も政府なんぞ要らない、通産省なんぞ要らないのです。民間の団体であるから、地方の一部分になるんじやありませんか、国全体でやるならば何も政府も通産省も要らないのです。これが地方の人たちが、或いは宗教団体であろうが、何の団体であろうが、とにかくそういう全国で各種の業に携つている人が皆一致しておるというわけじやありません。つまりその方面に熱意を持つている人たちの集まりでありますから、それがやろうというときには、やはり政府としましてもこれに誠意を示すべきものではないか。私はそういうふうに考えるのでありますが、局長の御所見を私は承わりたい。私は全国的に皆一致して行渡つたものをやりたい。そういうものの場合をお取上げになつておるようでありますけれども、民間の盛上る力というものが全国的に皆行渡つてしまつたならば政府も要らない、通産省も要らない。ここに民間人の心のこの熱意の高まりというものを醸成して行くというお考えがなければならないのじやないか。つまり民意の向上、そうして熱意、それをやはり通産当局が考えて幾分なりこれを奨励してやつて、いわゆる国民的な向上ということに意を注がれなければならないのではないかと私は考えるのでありますが、局長のお考えをもう一度お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/63
-
064・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) お説御尤もの点もあるのでございますが、先ほど申しましたように、ここに掲げられておりますこの予算につきましては、一応予定の計画がありまして組んでおるわけでございます。従つてこの中からそういう新らしい民間の団体の計画がありましても少し支出がむずかしいということを申上げたのであります。勿論民間団体の非常に熱意のある点は我々も諒とするわけでありますが、何分貿易と申しますのは国全体として考えなければいかんのでありまして、例えば兵庫県とか大阪府というような所だけが実はこれまでもやつた例もあるのでありますが、いずれも海外で非常に評判が悪いのでございます。例えば船に見本を積んで行つてアフリカとか或いは南米に行つた例もありますが、いずれも一地方の紹介にとどまるという場合におきましては非常に日本というものを誤解せしめて、こんな商品しか日本にはないのかというようなことで却つて弊害になつたような点もありますので、我々通産省がスポンサーになつてやります場合には、できるだけ全国的な規模におきまして恥かしくない見本市なり、展示会をやりたいということで、どちらかと申しますと個々の地方の団体なり、個々の団体の企てについては我々熱意におきましては多といたしておりますが、やるときは一緒に協力してやつて頂く、独立では余りやつて頂かないほうが却つてよくはないかというようなことで現在まで来ておるわけでありまして、貿易の性質から申しまして、或いは兵庫県から見ると非常に立派なものでありましても、日本全体から見るとつまらない物が展示されるというようなことが往々にしてあるようであります。そういうようなことのないためには、やはりどうしても計画は全国的な計価を以てやらなければならんということを今申上げておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/64
-
065・中川以良
○委員長(中川以良君) 私からちよつとお伺いしたいのでありますが、海野先生、時間がありませんので、重要な質問だけさせて頂きまして、次回にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/65
-
066・海野三朗
○海野三朗君 今のお話はよくわかりました。県というようなちつぽけなものでは困ることは今のお話でも承わりましたが、例えば去年の九月にインド展を上野の松坂屋でやつたというようなこと、又日印友の会、民間の幾つもの会、幾つもの団体が寄つて全国的に今度は日本展をやろうというような催しに対しては今お話よりも少しずれておるのではないか。そういうときにはやはり幾らでも御便宜を図られるのが当然ではないかと私は考えるのでありますが、兵庫県とか何とか、それは余りに小さいものであるけれども、私のお伺いせんとするのはインド展を日本でやつて、今度は今年乃至来年はインドで日本展をやろうという全国的な動きがあるのでありますが、それらに対しては如何ようにお考えになつているか。もう一言お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/66
-
067・三輪貞治
○三輪貞治君 これに関連して私もちよつと言つておきたいのですがね。これは金額が限定されていますからなかなかいろいろなことで実際に計画に基いた計算でありますから、そう突飛なことは支出できないということは確かにこれはわかります。併しそういう民間の熱意に対して水をぶつかけられるような断言をされることは私はよくないと思うのです。だからそういうことも助成するようなことを一つ検討して頂くような余地を残してもらわないと、いや、それはもう計画に基いて組んだのですから全然出せないと、こう言われたんでは……というのは実は私は見本市等も大切ですが、国民の中に貿易が一番大切たという熱意を盛上げることが今一番大切なときだと思うのです。日本人は日本の運命が貿易にかかつていることを実際に一人々々が知つていないのです。私は昨年ヨーロツパを廻つたときに一英国人から、マンチエスターの一市民から、曽つて日本がイギリスの繊維生産の非常な敵であつたことについて、現在そういう状態がないのにかかわらず非常に攻撃をされました、或る婦人から……。その旦那さんがとりなし顔で、気の毒がつていろいろ言つておりましたが、これくらい一人々々まで自分の国の相手国がどこであるかということ、この国の問題が何であるかということが浸透しているということは私は非常によいことだと強く感じたのです。或いはドイツでも、ドイツの復興が今何によつてなされなければならんかということを国民の一人々々が知つているのです。ですからホテルで五分間便所に出て行つても火の消えるのはドイツ人の部屋だということを言つておる。これくらい一人々々が国の重大な問題について認識しているのです。これが日本人に足りないのです。これは関係しておられる人は皆御承知なんですけれども、国民一人々々が生活の耐乏の上でもこれが出て来なければこれは口頭禅に終るのです。だから政府でそういうことをおやりになることは結構なんだが、そういうことは得てして形式に終つてしまう。これは本当に今海野さんの言われるような民間にそういうことがだんだん起つて来ることのほうが大切だと思う。現在の予算では成るほどできないことはわかりますが、将来において一つ検討して頂く、こういうような御意思を表明されないと、いや、それは趣旨は誠に諒とするけれども、遺憾ながら……と言われたんでは私は今の日本の現況というものと少し背反しているのじやないか、こういうふうに考えますので、海野さんに対する御答弁があるわけですけれども、私もそれに対して一言附加えて、是非そういつたような政府の熱意を披瀝してこれに副うように一つ御検討願いたい、こういうふうにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/67
-
068・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今海野委員、三輪委員から非常に熱心なる御発言がございました。先ほど松尾次長からもこれは極めて率直に考えている通りをお答え申上げたのだと存じますが、只今の両委員の御意見も誠に私は御同感いたすのであります。ただ実際問題といたしまして、本年も相当多額を大蔵省に対して要求したのでありますが、諸般の情勢上かような緊縮したものに査定を受けたわけであります。そこでこの予算が国会の審議を経まして実行に移される場合におきましては、政府として裁量する上において許される限度においてはできる限り只今の御意見のようなふうに、是非民間の貿易振興に対する意欲をますます高めて行く、或いは一つのこれは国民的な運動の一部かも知れませんが、そういうような方面にも御趣旨に副うようにこの予算を使つて参りたい、かように考えます。勿論非常に額が小さいのでありますから、御期待に副い得るにはなかなか苦心を要する点があるだろうと思いますけれども、そういう精神を以て考えておることを申添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/68
-
069・海野三朗
○海野三朗君 私はもう一言伺いたいのです。先ほど松尾次長からのお話いろいろわかりましたが、一局部でやつた貿易がみそをつけておるということを楯にとつてそれをごまかそうとする私はお考えであると考える。そういうふうな不まじめな考えではいけない。民間の本当に盛上るところの力が、気持があればそれを幾分なりとも奨励してやるというお考えがなければならない。私は日本の官吏がそういうふうな頭だからいけないのだ。兵庫県のものがどういうふうな評判が悪かつた、そういう考えであるから私はいけないのであると思います。少しでも民間の盛上るところの力を増長してやろうという熱意がなければならないのだ。それこそ政府の役人ではないかと私は思う。私は、今ここに盛られたところの予算はきりきり参つておるからというお話、それであつても予算は一兆億に減じたのであるからして、ここに盛られた予算の中からでも幾分これを都合するように、民意の高揚を図るように誠意を示されるべきものではないか。その決心を私は伺つておるのであります。松尾君の御決心を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/69
-
070・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今お叱りを頂いたわけでありまして恐縮いたしますが、決して松尾次長はそういう民間の意欲高揚に対して不熱心なわけでもない、又これを抑えようというような意思で申上げたのでは決してないと私は確信いたします。政府といたしましては、ただ極めて乏しい予算でありますから、御期待に十分副い得るや否や甚だその点は心配をいたしますけれども、只今のようなお考えについては私も同感いたしておりますので、我々に許された枠内においてできるだけ御意思に副うように努力をいたしたいと考えますから、どうかその点は御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/70
-
071・中川以良
○委員長(中川以良君) それから私から御質問をいたします。只今政府における燃料政策というものがどうも一貫性を欠いておる。今日は時間がありませんから極めて簡単にお伺いしたいのでありますが、先般来石炭のあのスト以来石炭事情は非常な変化を来たしまして、その際に重油の奨励をした。ところが最近になりまして今度は貯炭がどんどん殖えて参つた。重油が今度は輸入が減つて参つたので、需要が増して参つてこれが非常に困つておる。一方石炭関係は重油を制限しろと言う、それから使用者側にして見ればこれは経済的な問題でありますので、先ず単価が値下りをしなければどうも石炭に転換ができないという向きもあると思います。これらの点が最近いろいろと論じられておるのでありますが、政府として如何なる今後の御方針をお立てになつておられるか、こういう点について一つ一応鉱山局長、石炭局長から、只今の現状について極めて簡単でよろしうございますから説明を頂きまして、なおこれに関する資料をお出し頂きまして、次回にその資料に基いていろいろ本委員会で質疑をいたしたいと思いますので、そういう意味合いにおいて、今日は時間もございませんから、成るべく簡単明瞭に一つ御説明を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/71
-
072・川上為治
○政府委員(川上為治君) この一年の間に石油の需要が非常に増大して参つております。特に重油につきましては昨年大体三百三十万キロリツター程度の需要でございましたが、最近におきましては年間五百万キロリツターを突破するというような状況になつております。
それから石油全体の外貨の使用状況を見ましても、本年度におきましては恐らくCIFに換算いたしまして、一億五、六千万ドル程度必要になるのじやないかというようなふうに考えられております。最近の外貨の事情から言いましても、こんなに石油の需要が急激に伸びますというと、外貨のほうから非常に問題がシリアスになるわけでございます。又重油の需要が非常に殖えたという点から言いますというと、石炭業者としまして非常に問題がそこに出て参るわけでありまして、私どものほうとしましては、何とかこの問題につきましてこの際調整措置を講ずる必要があるのじやないかというようなふうに考えているわけであります。そこでやはり統制というような問題につきましては、これは慎重に考えなければなりませんけれども、何とかして行政的な指導によりまして、不必要な方面が油をそんなに使わないようにいたしたいというような考えを持つているわけでありまして、これは農水産関係、こういうような方面につきましては、それはどうしても必要な方面でありますので、何とかして紐付きの配給をするなり、いろいろな方法を用いまして、これが確保を図りたいというようなふうに考えております。
それからそれ以外のものでありましても、例えば鉄鋼とか、その他輸出関係に非常な影響を持ちますようなものにつきましても何とかして特別な配給を行政指導によりましてやつて行きたい、そういうふうに考えております。それ以外の例えばホテルとか、或いはビルとか、そういうようなところで重油を最近におきましては使つておりますが、そういうものに対しましては成るべく石炭に代つてもらいたい、そうして重油を使わないでもらいたいというような気持を持つておりまして、そうした方面も何とかして行政指導によりまして、そつちのほうが石炭を使うようにさしたいという考えを持つているわけであります。併しながら石炭と重油の現在の状況におきましては何と申しましても重油のほうが使いやすい、或いはコストが非常に安くつくという、いろいろな面もありますので、この際石炭業界のほうにおきましても或る程度値段を下げて、そうして不必要な方面で重油をじやんじやん使つておりましたものが、石炭のほうに切替つて行くというような方向に是非とも持つて行きたいというふうに考えまして、現在いろいろ対策を相談しつつある次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/72
-
073・佐久洋
○政府委員(佐久洋君) 重油と石炭の調整の問題は非常にこれはむずかしい問題でありまして、通産省としてもまだ結論に到達はいたしておりません。石炭の側から重油の問題について御説明申上げますと、大体本年度の当初におきまして石炭の生産の規模と申しますか、能力としては、年間五千万トンくらいの石炭は十分に出し得る状態になつておつたのであります。ところが価格の問題と使用効率の上から、大分重油に対する転換の度が進みまして、石炭の需要が非常に減つたのであります。そこで五千万トンの能力を持つ炭鉱側が、需要に見合う生産に落さざるを得ない。というのは、御承知のように、石炭は非常に置場に窮する点と、貯炭に対する金融というものは、担保力がない関係で、非常にむずかしいのであります。
そこで本年度四千五百万トン弱の生産規模に落したわけであります。それが御承知の昨年夏あたりから起りました炭鉱の相当大規模な整理という現象になつて、かなり面倒な社会問題を起したのであります。ところがこの重油の消費状況は、現在のままに進めて参りますと、二十九年度におきましては更に生産規模を縮小せざるを得ないという状況に立至りますので、ここで又大きな社会問題を招くという懸念が多分に持たれるわけであります。この生産規模を縮小した場合に、どういう方法をとりますかと申しますと、幾つかの山を持つているものは、山元の生産コストの高いものを閉鎖して行くのでありまして、それから一つの炭鉱を持つているものにつきましては、坑口を閉鎖するとか、或る坑内の切羽を閉鎖するというような方法をとりまして、昨年あたりから炭鉱の若返り、炭価の引下げの政策として、竪坑政策をとつておりまして、竪坑というものは、原価が非常に高くなつた老朽した山を若返らせる技術的な方法でありまして、この生産規模を縮小するために、そういう生産費の高い山を閉鎖するということは、一面においては竪坑政策の推進を放棄するという結果になるわけであります。
なお又外貨面から考えまして、ここ一、二年のところは、現在のような重油の輸入は或いは可能であるかも知れませんが、いずれ早晩行詰る時期というものが考えられる、そのときに急に石炭を出せと言われましても、これには或る程度の時間と相当の金を要します。それは終戦直後のことをお考え願えれば、十分に御了解を得るのじやないかと思いますが、終戦の日までは年間にして五千四、五百万トンの石炭を出しておつたのであります。僅か半年くらいの休止のために、それを元に返すのに数百億の金がかかり、年限にしても三、四年かかつておるのであります。そういう状況で、ここに重油が非常に入りにくくなつたから石炭を出せと言われましても、終戦後のあの混乱を小規模にした程度のものは、必ず起つて来るということが懸念されるわけであります。又仮にそういう状況が来た場合に、果して金を貸してやるから石炭を出せと言つても、炭鉱業者がその通りになるかどうかという点についても、かなり疑問を持たれる。逆に生産規模をそう拡張しないで炭価を上げて来やせんかという心配が十分に持たれるのであります。そうしますると、再び又高炭価問題というのがそこに起きて来るというような、いろいろの点を考慮いたしまして、鉱工業における重油の使用というものは、ここで相当の抑制をし、逆に石炭に転換をしてもらつて、そうすれば石炭の生産量というものは増しますから、炭価の引下げも可能である。生産量を増さないで、石炭の価格を下げるということは、現在の状況においては恐らく不可能な状況じやないか、こういうふうに思われるわけであります。そういつたいろいろの状況と、重油の使用者の立場に立つて見た効率なり、価格なりという点の、調整をどうするかということについては、先ほど鉱山局長からもお話がありましたが、現在検討を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/73
-
074・中川以良
○委員長(中川以良君) 只今の問題に関する関連した資料を一つできるだけ早く御提出を願いたいと思います。この問題は極めて重要な問題でございまして、どうも燃料政策に対して、通産省の指導行政というものが朝令暮改になつては、これは由々しき問題でございますので、早く一つ一貫した公正なる燃料政策をお立てを頂きたいと思います。これらに対する政府側の御所信等につきましても、次回に一つ御説明を願いたいと思います。
お諮りいたしますが、本日はこの程度で終りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/74
-
075・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X00219540202/75
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。