1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年三月十六日(火曜日)
午前十時三十一分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
松平 勇雄君
小松 正雄君
海野 三朗君
委員
石原幹市郎君
大谷 贇雄君
黒川 武雄君
小林 英三君
西川彌平治君
酒井 利雄君
高橋 衛君
岸 良一君
豊田 雅孝君
西田 隆男君
藤田 進君
三輪 貞治君
武藤 常介君
白川 一雄君
国務大臣
通商産業大臣 愛知 揆一君
政府委員
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省通商
局次長 松尾泰一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省通商
局輸出保険課長 山崎 隆造君
参考人
小西六写真工業
株式会社取締役
営業部長 堀 敬三君
片倉工業株式会
社取締役販売部
長 花岡 真澄君
東京芝浦電気株
式会社貿易部長 萩尾 直君
—————————————
本日の会議に付した事件
○本委員会の運営に関する件
○輸出保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/0
-
001・中川以良
○委員長(中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。
最初に御報告を申上げて皆様の御了解を得たいと存じまするが、先週委員長理事打合会をいたしまして、今週の審議の予定を次のように決定をいたしました。本日は午前中は輸出保険法の参考人の意見を聴取いたします。午後から同法案に対する質疑をいたしまして、討論採決まで持つて行くことにいたします。これは採決につきましては附帯決議を付けますることにいたしたいと存じます。それから十八日の木曜日午前十時に開きまして、電力料金と地方税の問題につきまして、地方自治庁並びに通産省側から意見を聴取いたします。それから同日の午後に商品取引所の見学をいたしたいと考えております。これは大体二時出発いたす予定でございますので、御希望のかたは後ほどお尋ねをいたしまするから、どうぞお申込を頂きます。それからこの十八日には電力料金の問題につきまして、実は東京都における通産省主催の公聴会が渋谷の公会堂で以て朝から終日催されることになつております。これも若しも御出席の御希望がございますならば、通産省のほうでお席を準備することになつておりますので、これも御希望がございましたらお申入を頂きます。それから十九日の金曜日午後一時に開きまして、ガス事業法案の今回の視察の報告を伺うことにいたしまして、それから同法案に対しまする質疑を行います。なお他の時間におきましては商品取引所法の質疑をいたしたいと存じます。十九日の金曜日にはそのほかに石油に関する二法案が提案されまするので、これの提案理由を聞くことに相成ることかと存じております。以上であります。
以上のようなことで御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/1
-
002・中川以良
○委員長(中川以良君) それではさように決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/2
-
003・中川以良
○委員長(中川以良君) 本日は只今申しました通りに、輸出保険法の一部を改正する法律案を審議いたしますに当りまして、輸出商品の製造業者の方から本法案についての御意見の聴取をいたしますることに相成つております。
参考人の方に一言御挨拶を申上げます。本日は御多用中のところを当委員会のために御出席を賜わりまして誠に有難うございました。厚く御礼申上げます。本法案は先般来当委員会で審議をいたしておるのでございますが、審議中に問題となりました点は、すでに皆様方へ専門員室から書面を以て申上げております通り、本法案の実施に当りまして正常なる輸出に悪影響を及ぼさないかどうかという点を私どもはいろいろ懸念をいたしておるのであります。これらの点につきましては前回に輸出業者のかたがたの意見を伺いましたところ、その御意見によりますと、大要は、輸出振興といたしては、より根本的な問題、例えば輸出の金融をつけるとか、或いは海外に支店の設置をいたすとか、いろいろな問題がありますが、委託販売輸出保険も振興策の一つとしては実施することが望ましいというようなことでありまして、私どもが憂慮をしておりますような悪影響を及ぼすというような事態は大体において起り得ないというような結論であつたのであります。併し輸出品の製造業者のかた、特に委託販売を行い、或いはこれから行わんとされまするかたがたにはどんな影響があるか、又どういう御意見をお持ちであるかという点を本日の委員会において承わりたくわざわざお出ましを願つた次第であります。そこで御一人約十五分乃至二十分宛で御意見の御開陳を賜わりたいと思います。勿論本法案は輸出振興を狙うものでございますから、この問題について特に伺うのでございますが、このほかに必要なる振興策等につきまして、いろいろなこれに関連した意見がございますならば、何なりとも一つお申入を頂きたいと存ずる次第であります。
それでは最初に小西六写真工業株式会社の堀取締役営業部長にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/3
-
004・堀敬三
○参考人(堀敬三君) 私堀でございます。写真の関係につきまして一言御説明を申上げます。写真と申しましても、大体ここでお取上げになるのは写真機械の関係だろうと思いますので、写真機械のほうのお話を申上げます。
大体皆様御承知のように、我が国の写真機械工業は急速に戦後発達した産業でございまして、戦後昭和二十四年あたりから日本国産カメラの特にレンズが優秀であるというようなことを、海外で認識され出しまして、従つてその以前は本当の輸出というものは微々たるものであつたのでございます。その後次第に輸出量が殖えて来ました。それにはアメリカ軍の内地におけるPXでの販売、そういうようなものでかなり宣伝をされまして、こちらで写真機械を買つてアメリカに帰つて非常によいものだというふうな宣伝がかなりきいたというような状態もございまして、年々輸出額が殖えておるのであります。併し何分にも産業の基盤が非常に浅い。それで出発が、いわば戦後初めて出発したと言つてもいいような状態でございますので、輸出額の伸び方は非常に急速に伸びておりますけれども、総額としてはまだ微々たるものでございます。試みに昨年と一昨年の生産量並びに輸出量を比較して見ますと、昭和二十七年度の生産量が年額約四十二万個、金額にして四十六億、それが昭和二十八年の生産額は七十三億四千七百万円でございます。個数が六十三万個でございます。それに対しまして輸出額は昭和二十七年が約十九億円ございます。二十八年が約二十億円、そういうような数字になつております。これをその前年二十六年に比較いたしますと、二十七年は生産量において約倍増をいたしております。それから二十四年に比較いたしますと、二十八年は約三倍になつております。そういうように非常に生産量も殖え、それで輸出額においても殖えておりますが、残念ながら二十七年から二十八年における増加率が極めて少いということは、結局ドイツのカメラの進出がこのところで急速に多くなつたという点で尽きておるだろうと思います。と申しますのは、ドイツのカメラは言うまでもなく、これは戦前から全世界市場を圧倒していたわけでございまして、まあ言葉は悪いかも知れませんが、戦後ドイツがカメラ工業の基礎をはつきりさせて再出発をした、その基礎をはつきりさせるのにかなりな時間を要した、その空白に日本のカメラが出たというような実情があるのじやないかと考えます。で、ドイツのカメラの基礎ができていよいよ輸出を始めたということになりますと、その伸び方は非常に大きな進歩を示しておりまして、特に日本のカメラを今のうちに潰さなければ昔の、戦前のドイツのカメラの占めていた市場を荒されるというような考えで輸出を始めたとしかとれないような行き方をやつておるようでございます。そのために二十七年度に比べますと、二十八年度の国産カメラの輸出が比較的振わないということは説明できるのじやないかと思つております。特に最近ドイツ製のカメラは、これはコストの引下げがかなり進んでおりまして、アメリカ市場を初めとしましてその他の各地の市場におきましても有名なカメラは続々値下げをやつておる。特にコンタツクスでありますとか、ライカでありますとか、或いはローライ・コード、ローライ型のレフレツクスのカメラというようなものにつきまして、この一年間に二割、或いはそれ以上の値下げをやつておるような次第でございます。それに対しまして、国産のカメラも生産量が殖えるに従いましてコストは成るほど軽減されておりますが、ドイツのカメラが下げて行く割合に比較しましてその下り方は少い。で、大体の見当でございますけれども、ドイツ製のカメラと同じような性能、同じような機構のカメラを国産と比較いたしますと、国産のカメラのほうが約一割乃至一割五分ぐらいコスト高になつておるような感じがいたしておるのでございます。
従いましてこのドイツのカメラのそういうような激しい攻勢に対しまして、今後日本のカメラの市場を拡張して行くということには、よほどあらゆる面での生産のための合理化は勿論でありますが、その他の輸出振興策というようなこともいろいろ考えなければいけない差迫つた問題じやないかと思うのです。その際に今ここで議題になつておりますような委託販売の輸出品の保険制度というようなことを実施されるということは、我々写真機を扱つております製造会社といたしましては大いに歓迎すべきことじやないかというように考えます。と申しますのは、先ほど申上げましたようにドイツのカメラがコストが比較的低いという点で、価格の競争ではかなりな無理をしなければいけない。それを取引の面で幾らかでもカバーするためには、委託販売というようなことも当然一つの方法であろうと思います。実は昨年カメラを中心といたしました光学機械の合理化審議会を通産省のほうでおやり頂きまして、その際の研究問題の一つとしても、この輸出振興策の一つとして委託販売の件を取上げたようなこともありまして、業界全体から申しましてもこの制度は歓迎されておるというように考えます。で、そういうような事情でございますから、この制度ができたために販路が相当伸びるということは期待されるわけでございまして、それを利用してどれだけ伸びるかというような数字的な説明は困難でございますけれども、かなりな伸びが見れるのじやないかというように考えております。特にカメラの場合はこれから伸びて行く仕事であると考えますので、新らしい市場を開拓する上に特に必要であろうというように考えております。
更にこの委託販売というような方法を用いるために投売りを助長するのではないかというような意見もおありのように伺いますが、これは実は輸出カメラにつきまして輸出品取締規則の第七条によります強制検査の方法を只今準備しておりまして、検査協会を作りまして、その検査をしなければ輸出できないというような方向に持つて行きたいと考えております。従いまして粗悪品が、従来はままそういうものもあつたようでございますけれども、粗悪品がそのまま外に出るというようなことはその点で検査を厳重にすることによつて防げると考えておりまして、特にそのために投売りを助長するというようなことまでは至らないのじやないかというように考えております。
更に従来のカメラの取引につきまして委託販売なら買おうというような市場もかなりあるようであります。特に北欧方面からの注文につきましてはそういうような要求が、各会社に問合せますとそういう北欧方面で特に多いというような話を聞いております。
それから更に正常の取引に阻害を与えるというような点につきましてでございますが、実は現在まで一番輸出の数量の出ておりますのは最高級のカメラが多いのでございます。最高級のカメラは、これは需要者の数から言いましても比較的少いほうに当然なるわけでございまして、今後日本のカメラが本当に外国に進出するためには最高級のカメラばかりでなく、それ以下のいわゆる中級のカメラがもつと出なければいけない、この中級のカメラを出すためにはやはり委託販売のような助長策が当然必要になつて来るわけでございまして、特に高級カメラの場合は取扱商社も特に強力な外国商社が取扱つたり、或いは製造会社自身がアメリカの場合に自分のブランチを作つて直接販売をするというような強い商売もできますけれども、中級カメラについてはそういうような強力な販売策を自分で講ずる力のない場合がかなり多いように考えられますので、その場合も特にその方法が、この制度が必要になつて来るのじやないかというふうに考えます。
それから更にまあこの制度で一番私ども気になりますのは、予定のときに売れないでそれを現地ででも処分しなければいけなくなるのじやないかというような場合のことでございまするが、その点につきましては通産大臣の特認で以てそれが許可をされるというようなことになるようでございますけれども、その際には我々のほうの業者といたしましては光学関係の機械メーカーのアソシエイシヨンを作つておりまして、そういうふうなところへ諮問でも頂くというようなことを、できれば考えて頂ければその弊害は最小のところにとどめることができるのじやないかというように考えます。
大体以上の通りでございますが、質問でもございましたらお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/4
-
005・中川以良
○委員長(中川以良君) 有難うございました。一応皆さんの御公述を願つてからあとからお尋ねをいたすことにいたしまして、次は片倉工業株式会社の花岡取締役販売部長からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/5
-
006・花岡真澄
○参考人(花岡真澄君) 花岡でございます。私どもの会社は生糸と絹織物を作つて、それを輸出する仕事をやつている会社でございますが、それを主たる仕事にしてやつておりまする会社でございまするが、御承知の通り、生糸と絹織物というものは価格が非常に高いものでございまして、従つてこれを出すことによつて外貨獲得ができる商品としては、恐らく日本の輸出品の随一であろうと思います。輸出の金額におきましては、他の繊維が相当の額に上つておりまするが、それらの繊維は原料を輸入し或いはそれを加工するところの薬品は輸入するというような面で、ネツトの外貨手取というのは、生糸に比べますれば恐らくそこに相当の違いができているのじやないかと思います。然るに生糸或いは絹織物の輸出というような面につきまして、遺憾ながらまだ日本の施策、政府のいろいろの施策が足らない面が多々あると私は感じているのでございます。その際にかような委託販売の制度を制定頂きまして、生糸並びに絹織物の新市場を開拓し、或いは従来の市場におきまして新らしい販路を開くというような途を開かして頂くということは、非常にこれは我々の仕事にとつてプラスになる有難い施策だと考えております。ただこの運用の方法によりまして、いろいろ御質問のありましたような点で問題は多少あるかも知れませんが、併しながらそういうような多少の問題は、やつて見ていけないことは次々と改正して行けばいいことでございまするし、この大体の法文並びに速記録などの御質疑の問題を読んで見ましたが、委託で出したものが売れない場合は日本へ持つて帰つて処分するというような点が出ておりまするが、一旦出したものを運賃をかけ、いろいろのそこに無駄の費用を使つて日本へ持ち帰つて、これを悪用して、そうして金を儲けようというような考えの行き方は、これは非常にやりにくいことでもあり、又そういうようなことは恐らくそうたんとないのじやないかと思います。又万一そういうような悪質の行為をするものがありました場合には、これをいろいろの角度から摘発することもできますし、又通産当局におきましてこれを厳重にチエツクすることによりまして、そういうような弊害は防げるのじやないかと感ずる次第でございます。又只今お話がありましたように、この委託保険を運用するにつきまして、通産大臣がいろいろの御決定をなす場合に、それぞれそれの属しているところの団体、例えば生糸で申しますれば生糸の輸出組合というようなところへいろいろの参考の事柄をお聞き下されば、そういう機関におきまして適当にチエツクすることによりまして、そういうような一部の業者の不正を十分にチエツクすることができると思いますので、これを更に実行して欠点がありますれば直し、やつて行くということにおいて有効にこれを運営して行くという方向へ持つて行つて頂くことを切に希望する次第でございます。
なおこの丁度いい機会に私どもの生糸、絹織物の面から輸出振興のいろいろの措置について愚言を述べさせて頂ければ有難いと思いますが、先ず当面の問題でありまする生糸と砂糖のリンク制の問題でございますが、これが世間では意外に波紋を呼びまして、あたかもこれは不必要な、悪いことをやつたというような印象を世間に与えておるようなふうも感じまするし、又新聞その他にもいろいろの意味が載つておりまするが、私どもの業者といたしますればこの生糸のリンク制というのは今年のような年にはもう非常な適当な、まあ是非やつて頂かなければならない措置であると思うわけでございます。これによつて生糸の輸出が殖えたということは御承知の通り僅か十日ばかりの間に数千俵売れたということでもわかるわけでございます。ところが不幸にして海外の二、三の生糸を多少高いところで買つた、その手持もそう大きな数量ではないと思うのですが、そういうようなデイーラー筋からけしからん、日本の政府のやることは何をやつておるのかわからんというような非常にきつい不満の電信やいろいろの抗議が参つた、それに対して政府当局は恐らくその商売の実態を御存じないと私たちが判断しておりまするが、そういうようなことが来た。そうすると海外全体がこれに対して非常に反感を持つておるというふうに簡単に考えられたのではないかというふうに思います。その結果としてリンク制というものが一時停止された。それで再開の条件としては輸出税にも等しいような一万円というような非常な苛酷な調整金を出すというようなことをして、その海外の僅か数名と思いますが、そう大きな数でないと思います。少数なそういうような高いものを持つておる業者の損をさせないようなことにするために輸出は減つてもとにかくフロア・プライスは守らなければならん、そこで五ドル十二セントのフロア・プライスを守るために一万円の輸出税、輸出税とは言いませんが調整金をかけて、この輸出を増進しなければならない際に税金に等しいもの、そういう苛酷なものをかけてまでもその海外の少数の業者の損をカバーしてやるために日本の政府が動いたというようなことになりまして、私ども業者としては甚だ不満に思つておるわけでございます。私どもへ参りました情報によりますると、アメリカの実需筋の機屋さん方面では今回の措置によつて生糸が非常に高かつたのがとにかく向うで使いやすい値段、つまり五ドル以下の値段のところへ市価が下つて来た、それでこれなら生糸を使つても織物にして売れるという線になつて来て非常に喜んでおります。私どもへ来た通信はことごとくそういうような実需方面からは非常に歓迎しておるという通信が参つておるわけですが、それに対して今のデイーラー、一部の方面のそういうようなことのためにそういう非常に好ましい現象が起りつつある場合にこれを停止し、更に一万円の高い調整金をかけてまでも不可能な値段でこれを輸出をする。これは非常に私どもには理解できない政策だと思います。今朝も、初めて三月十五日からニユーヨークの生糸取引所が再開されましてその生糸の市価がどうかと思つて非常に注目しておりましたところが、今日再開されたナシヨナルの取引所の先物の相場は四ドル七十九セントというような値段を示しております。これはもう、それがアメリカのいろいろの経済情勢、又生糸は日本だけではありません。支那もイタリーも朝鮮も作つておりまして、そういうような各国の糸が参つております。それでアメリカではいろいろの他の生糸の相場等を参酌いたしまして、日本の生糸の相場を立てる目安といたしましては、やはりそういうようなところが、大抵が買えて使える相場ということでこれが八月から先の新糸の相場ですが、そういうふうに示されておる。ところが今の日本のフロア・プライスというものは五ドル十二セントということで非常に不合理が起つておるということで、私どもとしては一日も速かにさような不合理な今の最低価格というものはとつて頂いて、そうしてリンク制はリンク制でそのままおいて頂いて、この製糸業者或いは蚕糸業者の非常に多大な莫大な出血を何とかしてカバーして頂かなければ我々の産業は参つてしまうというような状態に迫つておるわけでございまして、そういうふうな点につきまして何とぞこの機会におきましても、特に御考慮を切にお願いしたいと思う次第でございます。
なお御承知の通り昨年以来支那の糸が朝鮮の動乱が終りまして以来、ヨーロツパヘは非常に大量に流れております。ソ連の圏内を通じまして支那の糸が大量に行つております。ヨーロツパの恐らく生糸の需要が半分が支那の糸でカバーされておる状態になりつつあるのであります。
それから又アメリカにおきましては朝鮮の糸が、まあこれは糸を朝鮮では輸出すれば何を輸入してもいいというような非常な恩恵を与えておりますので、朝鮮の糸のアメリカにおける需要は殖える一方だ。又朝鮮におきましては生糸を、蚕糸業をやれば儲かるだろうというようなことで非常な勢いで起つておる。
それから又イタリーの糸は又強力な政府のいろいろの援助政策によつて、やはり安く売られている。
日本の糸が今年の一、二年の高値は、ニユーヨーク市場の高値は五ドル八十セントまであつた。然るに支那やイタリー糸、朝鮮の糸は四ドル五セント見当で売られておる。こういう現象をどう見るか。それで日本が独占商品であるような感じを持つていたら大間違いだ。そういう点でどうも意外に認識が薄いのではないかと思う次第でございます。
今昨年の生糸の生産額は二十四万俵でございますが、二十四万俵のうち海外に輸出された糸は僅かに六万俵、それまでの年でも二十七万俵の生産をして僅かに七万俵、二十万俵は国内で使つているというようなことで、非常に内地に売つたほうが割がいいから内地に売るというようなことになつておるわけですが、これを又裏を返せば輸出すれば不利だ。輸出振興の何らの措置をやつてくれないためにそういうような状態になつているというふうに私どもは感ずるわけでございます。それで今回のこのリンク制などもこれを実施することによりまして九千俵、僅か十日ばかりの間に九千俵でございます。何か原料でも輸入して売るならば別ですけれども、何もかも国内でできる、この生糸のような貴重品を何も国内で着ないでも、木綿を着ておつても間に合うのです。それをできるだけ海外に出すように、出しいいようなそういう状態へいろいろ施策を盛つて頂いたとしたら、恐らく生糸の輸出は今の四ドル五十セントぐらいになつて恐らく十五万俵という線はすぐ達成できると思うのです。それを割つて、今度は四ドル五十セント以下ということになつたら二十万俵というような線も考えられる。それで外貨獲得の一億ドルというようなものが容易にできるのを、そういうような線について、いやダンピングだ、何もそういう海外が安い値段でやつておつて競争も大してないのに、そうして出せば喜ばれるこの商品をいろいろのそういうような海外の誤つた情報によつて、我々から考えますると輸出をとめてるような措置を現在のところはやつている、甚だ残念に思います。そうしてそのためには今度は横浜の相場が輸出が出ないものだから暴落する、暴落すると製糸家が一俵二十八万円というようなコストの生糸が今二十四万円かそこらでなければ売れないというような、非常な、製糸家を殺すような行き方になつておるということは、非常に我々遺憾に思いまして、概して非常に輸出の大宗であるにもかかわらず、輸出産業の大部分、特に製糸業などが非常にそういうような状態で血みどろになつて、血を流しているという状態を一つ何とぞ御賢察下さいまして、この委託販売の制度は誠に結構でございますが、そのほか今のようないろいろの問題につきまして何とか業者も生きて行けるし、多少の利潤もあるし、そうして輸出もますます振興するというようなことで、これは出れば出るだけ多々益々弁ずでございまして、日本にありつたけの生糸を全部海外に出してそうして外貨を稼ぐというような線で国の政策を持つて行つて頂くことを切にお願いする次第でございまして、丁度いい機会を与えて頂きましたもので、平素感じておりますることを述べさして頂いて有難うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/6
-
007・中川以良
○委員長(中川以良君) 有難うございました。それでは最後に東京芝浦電気の萩尾貿易部長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/7
-
008・萩尾直
○参考人(萩尾直君) 萩尾でございます。私どもといたしましては今回御立案になつております委託販売輸出保険制度に非常に賛成をいたすものであります。結論を先に申上げて恐縮でございますが、私どものほうで作つております製品は御案内のように大きなものになりますと十万キロの発電機から小さなものはランプ一個に至りますまでで、いろいろなあらゆる電機品を作つておるわけでございます。ところが我が国の電気機械産業についてはもうすでに御案内のこととは存じますけれども、輸出に関しましては非常な特殊な事情にあるものなんであります。と申しますのは、東芝もそうでございますが、例えば三菱電機さんにいたしましても、富士電機さんにいたしましても、この電機の技術というものは残念ながら従来欧米のほうが先進いたしておりまして、常に世界の水準に達するためには海外から技術の援助を仰がざるを得なかつたのであります。現在でも戦後のブランクを埋めますためにそういう必要があるのでありますが、戦前からそういう状況でありました。そんな関係で外国の有力会社と技術提携等いたしますというと、販売につきまして戦前は大体のところ販売圏というもの、販売地域といいますものもきめられてしまうのであります。即ち東芝で申しますならば内地は勿論いいのでありますし、いわゆる外地と称しましたところ、それから北支等の特殊地域とかいうところに輸出を自由に許してくれたのでございますが、フイリピンから東南ア方面、南米方面には輸出は許されなかつたのであります。ところが戦争中、殊に戦争後アメリカ等におきましても独占禁止法或いは国際カルテルの禁止が非常にやかましく叫ばれるようになりまして、御案内の通り大きな向うの会社でそういう国際的にカルテルを作るようなことは憲法違反であるということで訴えられたりしているようなところもあるのでありますが、そういう関係から現存におきましては、大体の海外のそういう会社と契約いたしましても、酷い販売地域の制限を受けるということがなくなつたのであります。即ち逆に言いますならば、私どもの作りましたものは世界のどこに売りましても大体差支えないのが通例でないかと思います。そのようでありますので、戦後輸出の必要が叫ばれ、勿論それに努力しているのでありますが、輸出をしようと思いましても実は輸出については無経験と言つて過言でないのであります。そこでいろいろと案を立てまして輸出を戦後初めてやり始めて見たが、あらゆるところでぶつかつてしまうのであります。と申しますのは、先ず第一に海外で、日本で立派な電気機械ができるなんということを知つている人は先ずないのであります。特殊な人は別でありますが、一般の人にはそういうものはございません。そこで文書等、即ち広告であるとか、或いはカタログを送りますとか、いうようなことで宣伝をいたすのでありますが、如何せん現物を見たことがないのでありますからして、何かやつているらしいがどんなものかわからないし、又欧米のものが安く買えるからそれのほうが安心だというのが普通の心理でありまして、なかなかとつついてくれません。そこで何が一番必要であるかと申しますと現物を送ることなんであります。ところが売れるか売れないかわからないものを外国商社が金を出して買つて行つて、みずからの危険においてこれを売つてやろうという親切な人はまあ少いと言つてよろしいと思います。そこで私どもができるだけ会社の経理の許します限り見本品を送つているのでありますが、従来は五百ドルまでしか許されない。委託販売につきましても制度はありますけれどもなかなか手続が面倒である、又且つ委託販売にはいろいろな危険が伴うものでありますが、それの損失を填補してもらうような保護政策がないというようなことで、見本を送ることすらなかなか困難であります。ところが今回委託販売輸出保険制度をお設け下さるということでありますので、双手を挙げて賛成をするわけなんであります。特に我が国の最も、これは電気機械のみならずほかの商品についても同様かと存じますが、重要な市場であります東南ア方面でありますとか或いは中南米乃至は中近東方面の国々はいずれも外貨の不足に悩んでいるといつてもよろしいと思います。一部の石油の権益かなんかで大いに外貨をただで稼いでおられるところもありますけれども、金のない商人がたくさんいるのであります。併し非常に欲しがつていることは事業なんでありまして、そういうところから、今申上げましたあらゆる地域から委託販売の申出は非常に多いのであります。尤も東芝の製品といたしましては、発電機でありますとか、或いは変電所の設備でありますとか、乃至は電気機関車でありますとかというようないわゆる重電機と申しますか、或いはプラント物と由しますか、そういうものにつきまして委託販売ということはあり得ないのでありますが、例えば扇風機でありますとか、ランプでありますとか、或いけ螢光燈でありますとか、照明器具、配線器具、ラジオ、家庭電気器具で申しますならば洗濯機でありますとか、トースター、アイロンといつたようなものであります。そういうものは、これは皆様が日本内地でお買いになるときでも、電機店においでになりまして手にとつて御覧になつて初めて、どれを買おうかということをおきめになるのであります。併しそれらのものもいろいろ多数並べておきませんというと、五百ドルぐらいの見本輸出でやつておりますれば数個しか送れないわけであります。物によつては一個しか送れない。それでは駄目なんでありまして、やはり豊富に商品を陳列いたしまして、そうして初めは多少の危険がありましても、或いは不利な状況でありましても、とにかく日本の商品の認識を新たにしてもらつて、そうして成るほどこれはいいわいというので買つて頂く途を講ずるのが、一番よろしいかと思うのであります。今回の法律案は大変に私たちには都合のいいことだと思つております。なおこのことは御案内のかたが案外に少いのじやないかと存じますけれども、我が国の電気はどういうわけでこういうふうになりましたか存じませんが、御家庭に行つております電気は電圧が百ボルトでありまして、周波数は関東地方が五十サイクル、関西地方が六十サイクル、御案内の通りでありますが、こういう国は世界中探しても、まあよほど探さないとないのであります。大抵のところが二百二十、三十というのが家庭に行つている電気でありまして、サイクルのほうは五十、六十というのがございますけれども……そこで今扇風機にいたしましても、或いは洗濯機にいたしましても、これは外国に送りますときには、そういうような電圧のものを送らなければならない、つまり輸出向のものを特別に作るのであります。外観は全然同じでありますけれども、電気的な性能が違うのであります。これを委託販売にいたします場合に、若しこれが売れないというときには、これを持つて帰らなければならんのでありますけれども、持つて帰つても売れないのであります。でありますからどうしても外地でこれを、不利な条件でも或いは処分しなければならんときもあるかも知れません。併しそういう損失を業者が到底背負い得るものではないのでありますし、若しその損失を背負うような価格をほかの商品にかけますならば、ただでさえ高い我が国の電機品が、到底競争値段を出すことができないわけでありますから、こういう損失をこの保険法によつて補填して頂きますならば、我々は安心してこういう商品をどんどん委託販売に付することができると思います。
そこで事務局のほうからお与え下さいましたお求めになる意見について、要約して申上げたいと存じます。
第一番目が、委託販売輸出保険制度を新たに実施することにより、委託販売が、どの程度伸びるものか、又これにより販路拡張が可能となるか。という御質問でございますが、これに対しましては海外の顧客と申しますか、商社は、委託販売制度による買付けが他の条件よりも、先ほどから申上げますように、いろいろ便利なところがあります。即ち自分の金をとにかく使わないでコミツシヨン稼ぎだけで行くのでありますからして、そういうことで委託販売制度が有利でありますし、又こちらから輸出いたしますものといたしましても、この保険制度によりまして損失補償を受けられることになりますから、新市場を開拓する、まあ電気で言いますならば世界中が新市場と申してよろしいのでありますが、そういう新市場を開拓したり、或いは商品の販売の拡張のためには大いに委託販売制度を活用することになると存じまするので、販売は相当伸びるものと、まあ数量的には申上げられませんけれども、大いに期待するわけであります。又今日戦前のように、或いは三井物産でありますとか、三井商事でありますとか、大倉商事とかいう大商社の支店がございますと、これは本店のほうから支店のほうに商品を移して頂いて、向うのほうで商品を持つておるということができましたけれども、現在はまだそれが望めない状況でございますので、今直ちに我が国の商社の支店又は代理店が各地に設けられてない今のような状況におきましては、なお更この委託販売制度があることによつて販路が拡張できると信じます。
二番目の御質問の委託販売に対して大体無差別に本保険を付してよいかどうか。市場の性格、商品の特長等に従つて或る程度まで限定する必要はないか、ということでありますが、私どもは市場の性格とか商品の特長等にかかわらず本保険制度を無差別に適用さるべきものであると存じます。但し先ほどもどなたかから御意見がございましたが、実施後工合が悪いという場合は、この法律案にもございまするが、通産大臣の権限によつて、或いは地域、或いは商品に対してこの保険法の適用を保留するようなことをお考え願えればいいのでありまして、少しばかりの心配があるからといつてこの法律が万が一成立しないというようなことでは大変困ると思います。又現在の状況から見まして或る地域と申しますか、に委託販売をしていいかどうかというようなことはなかなかわからない。又或る商品を委託販売に付してよいかどうかということも、結果を見なければこれは予測できないことであります。例えば先方の市場の取引上の倫理観念が我々の倫理観念と違つておつたり、或いは経済機構と申しますか、そういうものが不備である等のために委託代金の回収が不能であるというような場合が起りますならば、その地域と申しますか、或いはその商社と申しますか、或いは或る一定の商品について限定を与えて頂ければいいので、全般的に初めからどれとどれとはいけないとか、いいとかいうようなことを申されては困ると思います。
三番目の御質問の、本制度を実施することにより投売りを助長するようなことはないか。本制度のために旧来の得意先に損害を与え、延いては当方の正常輸出を主とする輸出業者に脅威を与えることにならないか、ということでありまするが、この投売りを助長するかどうかは運用が悪ければそんなことも起り得るかとも考えます。併しながらこの法律案によりますというと、あらかじめ保険に付しますときたは販売価格の届出をいたしましたりすることになつておりますし、且つ又補填されます額は損害の八〇%である。而もその損害算出の基準の規定されていることでありますから、これによつて非常にうまいことができるというような制度ではないように思います。
又、且つ現地での残品の処分は通産大臣の許可を要するということになつておりまするから、先ほど二人の参考人からお申述べになりました通り、これが単に役所の認定だけで許可するとかしないとかいうことでなくて、輸出業者の組合であります私どもの属しております日本機械輸出組合でありますとか、或いは又更に信用保険のほうでは輸出信用保険審議会というのがあるのでありますからして、その辺に必要な諮問を発し下さつて、それの意見を重んじて頂くならば、お互い同士投売りによつて国際的に迷惑をかけたり、或いは国内の同業他社に迷惑をかけたりすることは最小限度にとどめられるのじやないかと思います。
それからその次の正常輸出を主とする輸出業者に脅威を与えるかどうか、これはもう与えないと私は考えるのであります。先ほどから申上げますように、御注文生産品と申しますか、大きなもの、発電機でございますとか或いは変電所でございますとか、電車とか、そういう御注文生産品には委託販売はないわけでありますから、自然大量仕込み生産品と申しますか、そういうものについてのみこれが起り得るのでありますけれども、この法律ができたことによつて今まで正常輸出、どちらが正常か私にはよくわからないのでありますけれども、正常輸出をしておられたかたでも、委託販売のほうが工合がいいとお考えになれば、そちらに移行なさることは自由なんでありまして、何ら差支えないのではないかと思います。委託販売が正常でないとお考えになるところがおかしいと思うのでありまして、委託販売も正常な輸出であると考えて頂きたいと思うのであります。
それから四番目に第十条の四にある通産大臣の承認は例外を規定したものというが、どんなときに与えられるのが至当であるか、これに或る程度の限定が必要とならないか、こういうのでありますが、これはちよつと私御質問の要旨が十分よく呑み込めないので、或いはとんちんかんなお答えになるかと存じますが、通産大臣の承認を経ますことは、先ほど申上げましたように、外国に対して不当な投売りだという印象を与えるようなことをしたり、或いは同業の者が後の輸出に差支えるような投売りをされるというようなときには困るから、どこかでこれをチエツクして頂きたいので、考えれば通産大臣しかないと思うのでありますが、その場合に先ほどから少しくどくなりましたけれども申上げますように、輸出組合でありますとか、或いはこの信用保険審議会でありますとかいうところに御諮問下さいますならば、業界の事情にもよく通じていることでありますからして、そういうことも防げると思いますが、ただ一つ希望いたしたいことは、こういうような場合に通産大臣の承認を一々するということはこれはなかなか面倒なんであります。そこで何か或る一定のものについては初めからそういう何と申しますか、あらかじめ承認を得ておく。つまり初めに保険を付しますときから承認を得ておくというようなこともお願いできないか。例えば残品を内地に持つて帰ることが著しく不利なようなもの、例えば私よくわかりませんが、向うに委託販売を頼んだが売れなかつたので持つて帰るが、その間に腐敗してしまう、悪くなつてしまうといつたようなもの、或いは持つて帰るのに非常な運賃がかかつて、商品から比べたら運賃のほうが高くなるというようなものは、これはそのたびごとに承認を得て、この頃は大分役所も早くなりましたけれども、二週間なり一月なり待たされておるのでは困りますからして、そういう僅かのものについてはあらかじめ承認を与えておくといつたような便法は講じて頂きたいものだと思つております。又現地で処分をすることが他の業者又は今後の取引に悪影響を与えないということが明らかな場合には、これも又あらかじめ承認をして頂いたならばどうかと思うのであります。なおその他本法律案についての意見というのもございますが、中には外国商社で不誠実なものもおるわけなんです。委託販売を頼んで物は売つたけれども、回収代金を着服しちやつたというようなものがあるかも知れません。これはまあ昔から日本にもあります制度の中に、酒屋、米屋で金を借倒して、あちらこちら転々として歩くというような者は酒屋、米屋の同業者でブラツク・リストに載せるということがあるわけであります。こういう悪徳業者と申しますか、好ましからざる外国業者は是非一つその事例を国内においても公表するというのは少しどうかと思いますが、どこかに行けばわかるというふうにしておいて頂いて、それにもう一遍ほかの商社が引つかかるというようなことのないように、大体こういう悪徳業者というのは口はうまいし、条件はなかなか初めはいいのですからして、引つかかりやすいのでありますから、私どもはそういう委託販売ではございませんけれども経験いたしておることがございます。そういうときに、何だそういうことを知つていればあんなところと取引しなかつたのにと思うのでありますが、そういうことを知るすべがありません。幸いにして今度はこれを届出ておくことになつているし、あとの始末まで通産大臣の承認を要するということになつておりますからして、そういうことがよくわかるかもわかりませんから、いわゆる外国のそういう悪徳業者のブラツク・リストを通産省あたりで持つて頂いて、我々の便宜を図つて頂くと大変有難いと思います。
それからこの法律上の保護を悪用するという人があるかも知れんなということも伺つたのでありますが、例えば擬装輸出と申しますか、まあ早い話が罐詰を送るのに石の入つた罐詰を送るというようなことをやつて半数をそうした。そうすると石ですから若干金がかかつたかも知らんが、向うで売れなかつたというのであとの残りの半分の商品を安く売つてしまう。併しその半分の商品の代価は勿論もらつてしまう。で、損失は石の罐詰で実は損失をしておるのですから、その額をこの保険によつてもらう、八〇%ですか……そういうことも考えればできると思います。二年ぐらい前にもビルマに若干そういうことと似たことがあつて議会でも問題になつたと思いますが、亜鉛鉄板を送りますのに材木をたくさん挾んで行つたというのがあります。それでそういうことによつて恩典を運用するようなことがありましたならば、これは何か他の法律によるかどうか私よくわかりませんけれども、罰則を設けられてはどうかと思う。例えばそういう不都合なことがあつた場合には、この保険の恩恵に浴することを一定期間とめるというようなこともあつて然るべきじやないかと思うのであります。
それからこれは、政府委員のかたがおいでになりましたならば、ちよつと伺いたいと思つたのでありますが、外地で処分の場合、初めに届出ました外地以外で処分した場合でもこの恩典が浴されるかどうか。念のため伺いたいと思うのであります。即ちパキスタンで売れなかつたからインドに持つて行つてこれを処分した、我が国にも持ち帰らないで……、そういう場合にやつぱり損失が生ずるわけでありますが、その場合にもあらかじめ届けてある地域外の外地でこれを処分した場合も適用はできるのかどうか。できそうに解釈したいのでありますけれども、伺つて見たいと存じます。その他輸出振興の一般的な希望も多々あるのでございますけれども、大分おしやべりが過ぎましたからこの辺で私の意見の開陳は終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/8
-
009・中川以良
○委員長(中川以良君) 有難うございました。それでは皆さんに御質疑をお願いいたしまするが、先に、只今政府側に対してのお尋ねがございましたので、一応輸出保険課長が見えておりますので、輸出保険課長から、今のお尋ねに対するお答えを頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/9
-
010・山崎隆造
○説明員(山崎隆造君) それでは簡単にお答えいたします。私どももさように考えております。現地処分と申しますのは、例えばアメリカあたりに出しまして売れないと、そして南米へ持つて行けば売れるということがあれば、申請を出して頂けば承認いたすというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/10
-
011・萩尾直
○参考人(萩尾直君) 有難うございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/11
-
012・海野三朗
○海野三朗君 萩尾さんに伺いますが、無差別にこの保険を付してもいいとおつしやいますけれども、例えば或る品物、何でもよろしいのです、そういうのを例にとりますれば…たばこにいたしますか、日本からたばこを——ピースが一つ、四十円ですけれども、そうすると、同じピースでも三十八円で売り出すというようなことになれば、その三十八円で先ず契約されたといたしますね。たばこはいけないけれどもほかの品物で……、そうして向うの現地に着いて見たときに、品物を開けて見りや三十八円にしちやこれは余りに内容がひど過ぎる。そこでつまり向うで引取らんというような場合に、これは今度は二割なら二割原価を引くから引取つてくれ、そうすると向うでは二割引くなら間に合うから二割引いて引取ろう。こういうことになりますと、四十円で売れて行つておつた、輸出しておつたピースというものの、日本品としての正価が下ることになるのですね。そういう場合は、商取引の場合においてたくさん起り得るので、そういたしますと、つまり投売りですね、少し手を省いて、そうして成るべく安い物、安い物というようになつて行きましたならば、日本の、つまり輸出貿易の日本品の正価というものが地に落ちるようなことがありわしないか。そういう点について私懸念を持つているのでありますが、如何ようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/12
-
013・萩尾直
○参考人(萩尾直君) 適当にお答えができるかどうかわかりませんが、そういうのは輸出検査の法規がございまして、そういう危険があるものは、輸出検査の法規……先ほどの強制検査の七条を適用になつております。そしてお取締りになればできるのじやないかと思う。なるが故にそういう弊害もあるかも知れんから、この保険法はやつちや危険だという議論にはならないのじやないかと私は考えます。ですからほかにちやんと立派な法律があることでありますし、若し法律がなければそういう御懸念のあることをお防ぎになる法律をお作りになればよろしい。併しながらそういう法律ができないか、或いはそれの適用が十分でないから本保険法はうつかり実施できないということは少し消極に過ぎるのじやないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/13
-
014・海野三朗
○海野三朗君 私はこの法案に対しては非常に結構なことであると考えておる一人でありますが、ただこれが行われたる際にそこに生じて来る弊害、これを懸念するのでありますが、で、只今お伺いしましたのは、いわゆる日本の輸出品の成果を落すようなことがないか、つまり値引きしてなお且つ儲かることを考えるのです、やはり商人というものは……。で、そういう点について何か防止法というようなものが何かありますかどうか、輸出課長に一つお伺いしたいのです、当局のほうに……。
ちよつと、もう一遍申上げますが、つまり安い品物、粗製で安い品物を出すわけです。そうすると、それは値引きをしても損は行かないし、又買うほうでは値引きするなら、まあとにかく使われんことはないわいというようなものがたくさんあるわけです。そうしますと、折角日本品としての成果を得ておるやつが地に落ちてしまう、だんだん……、低下して行くというか……。で、そういうことが生じて来る虞れは多分にあるのでありまして、そういう点については政府当局ではどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。つまり手を省いて、ですから品物は安いわけですよ、で、値さえ引くならば、その安いほうの品物で結構間に合うというものがたくさんあるわけですね。そういう場合を考えますと、それに対してはどういうような、何かそれを抑えるといいますか、いい方法があるのでありましようか、そういう点、ちよつとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/14
-
015・山崎隆造
○説明員(山崎隆造君) 或いは適当な御答弁になるかどうかわかりませんが、そういう場合におきましては、本法案に関しまして申上げますと、実はこの保険法がございませんでも委託販売で、若しそういうやり方で、いわゆる先ず高い値をつけて徐々に値を下げて、市況を見て行つて売つて行くというやり方が、日本の貿易取引に対する外国の信用を害するのではないかということでございますが、これは本保険法がございませんでも、現在委託販売制度でも若干その懸念はございますが、これはやはりやるほうのかたでも貿易業者といたしましても非常な現在の状況から見まして品物を出します以上LC取引以外では金融的な面、その他の面で非常に圧迫がありますので、出したら必ず売りたい、成るべく早く売りたいという気持が非常に強いわけでございまして、それをしのいでやるということは現状では我々考えられませんので、これをむしろ適正値段を出すという方策は別に考えておりません。又それによつて高く売れますれば、又そのままで我々結構だと思つておりますので、特にそういう水増し値段で売ります場合、これに対して制限するということは現在考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/15
-
016・海野三朗
○海野三朗君 絹糸の場合にいたしましても、見たところ殆んど同じである。ところが実際において手が大分省かれておる。省かれておるから従つて値段が安く出してある。そうするというと、日本から来る品物はこういうような手を省いておるのだという評判になるわけですね、但し値が安いから……。ところが商人のほうではそれを盛んに、とにかく儲かりさえすればいいのですからやりますよ。そういう際に政府のほうとしてはそれに対してどういうふうな態度でいらつしやるのか、ただ漠然と品物が売れて行けばいいのだというふうにお考えになつておるのか、そういうものに対しての何と申しましようか、用意、つまりあり方、そういうものがあるかどうか、それをちよつとお伺いしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/16
-
017・山崎隆造
○説明員(山崎隆造君) 只今のお話はむしろ品質の、つまり製造の手を抜きまして、繊維でございますと糸の数を若干減らすとか、殆んど外見はわからん場合じやないかと思うのでございますが、これにつきましては、まあ輸出検査の強制検査という範囲を漸次拡げたい、こう考えております。先ほどちよつとお話がありましたので、私も昨年末までビルマに駐在しておりましたが、亜鉛引鉄板の話も非常に身にしみて感じたわけでございます。事実その弊害、日本商品について非常に多く海外では、むしろ全般的な強制検査ということを海外から要望されておりますが、国内の実際的な設備その地の関係から現在ではそこまで参りませんが、是非外見上なかなかわからんし、又品質的にしつかりしたものを出したいというものにつきましては漸次強制検査という面に進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/17
-
018・海野三朗
○海野三朗君 その検査につきましては、やはり着々その準備を進めておられるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/18
-
019・山崎隆造
○説明員(山崎隆造君) まあ設備、それから陣容等の点におきまして、必ずしも一斉に行うわけに参りませんが、業界等の要望もあり、又資材、設備、又人等も完備しております面におきましては漸次やつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/19
-
020・海野三朗
○海野三朗君 もう一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/20
-
021・中川以良
○委員長(中川以良君) 海野君に申上げますが、午後から政府側に対する質疑をいたしますので、本日はできますならば参考人のかたがたに対して午前中は質疑をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/21
-
022・海野三朗
○海野三朗君 そうですが、それでは私はこれでよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/22
-
023・大谷贇雄
○大谷贇雄君 先ほどカメラのお話がございましたが、ドイツの製品が日本へ大変入つて来たと、ドイツでは年産どれくらいできるかということと、それからそれが輸出はどれくらいか、それから日本へはどれくらい入つて来ているか、そういうことを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/23
-
024・堀敬三
○参考人(堀敬三君) ちよつとその数字をはつきり持つておりませんが、生産額につきますと、ドイツの連邦統計局の調査による資料でございますが、昭和二十七年度年間の生産個数でございますね、個数が二百五十六万個という数字が出ております。それに対しまして日本の生産個数でございますが、これは通産省の調査統計部機械統計による数字でございます。これが四十万二千個と出ております。それから二十八年度の年間、これはドイツの場合は、十一月と十二月が推定になつておりますが、二百四十万個、日本の場合が六十九万七千個という数字が出ております。併しこれは私ども、光学精機工業界という光学関係のメーカーの集まりを持つておるのでございますが、それで実際に各製造会社に聞いて集めた数字とは多少違うようでございますが、大体こういうような生産額になつております。
で、ドイツの場合、このうちどれだけ輸出されておるか、この数字は実は持つておりませんけれども、日本の場合は先ほど申しましたように、アメリカ軍のPX向の販売その他を加えますと、大体約半分が輸出に向つているというように考えるのでございます。勿論このほかにカメラの本体でなく、交換用のレンズなんかが入つておりますから、輸出統計の金額はこれよりは殖えるのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/24
-
025・大谷贇雄
○大谷贇雄君 ドイツ製品は日本へはどのくらい輸出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/25
-
026・堀敬三
○参考人(堀敬三君) 本当に輸入として入つている個数はそう多くはないように考えておりますが、これもアメリカ軍のPXで、内地のPXで売られる数量はかなり大きいように聞いております。昨年の上半期は内地のPXでは日本のカメラを物品税の関係がございまして、買つてくれなかつた。その間は全部ドイツのものを買つていたというような事情がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/26
-
027・大谷贇雄
○大谷贇雄君 それからそのドイツのカメラと日本のカメラとの品質の問題、それから価格、それからドイツのが非常に押して来たというお話ですが、そういう点で競争がどんどんできるかどうか。こういう点は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/27
-
028・堀敬三
○参考人(堀敬三君) これは我々としても非常に大きく考えておる問題でございまして、毎年アメリカのシカゴで写真機械の、何といいますか、コンヴエンシヨンといいますか、そういうようなものをやつておるのであります。昨年それに出席した業者の話を聞きますと、ドイツから出た代表の演説が如何にも日本のカメラを目標にしたような演説ばかりだつたというようなことがあります。それから更に日本光学で作られておりますニツコール・レンズの、非常に明るいもの、F一・九のレンズ、そういうようなものが、これはイミテーシヨンなんだとか、そういうような非難をしておるというようなことから考えても、とにかく日本の光学工業の芽を今のうちに摘んでおかなければ困るのではないかというような考え方で来ておるとしか思われないような政策をとつておる筋もあります。従いまして我々としましても生産方式の合理化その他企業内部でできるあらゆるコスト引下げの方途は考えなければいけませんが、それにいたしましても、最近世界各国市場でのドイツカメラの値下げの状態を見ますと、それについて行くだけコストを下げるのにはよほど大きな努力が必要じやないか。特に生産量の比較から申しましても、カメラのような工業につきましては恐らく量産をするということがコスト引下げの大きな要素だろうと思います。そのためにも販路を拡張することとコストを下げることとは同じ方向に向つて進む傾向になるだろうと思います。販路が拡がれば拡がるだけ生産個数も殖える。従つてコストも下がるというような関係にあると思いますので、その点我々としても今後一番大きな問題として考えているわけでございます。で、大体先ほど申しましたように一割五分程度の差はあるのではないかというように考えております、値段の点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/28
-
029・大谷贇雄
○大谷贇雄君 もう一点だけ。それでドイツでもこういう委託販売制度のようなことをしておるかどうかお調べになつておいでになりますか。それから又そのほか政府がいろいろ、それほどドイツが日本を目の敵にしておるということであれば、政府はそのほかにも助成の方法なんかされておるのかというようなことをお調べでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/29
-
030・堀敬三
○参考人(堀敬三君) はつきりした資料がないものでございまして、向うに行つた人の調査を聞いている程度でございますけれども、二、三の会社では明らかに委託式の販売をやつているようでございます、アメリカに対しまして。カール・ツアイスの場合は向うに自分の店を持つておつてやつておると思います。ホクトレンデルという会社がありますが、これなどは委託式のやり方をやつておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/30
-
031・三輪貞治
○三輪貞治君 さつきPXあたりで、物品税のために日本のものを買わないで、ドイツのものを或る時期買つたという話がありましたが、外国でたまたまやつているように、外国人に対してはエクスポート・プライスで売るというようなことは今やられてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/31
-
032・堀敬三
○参考人(堀敬三君) これは特殊の認可を受けた店はそういうような物品税を免除した価格で販売をされることが許可されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/32
-
033・三輪貞治
○三輪貞治君 それは一般については、認可を受けなければその取扱はできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/33
-
034・堀敬三
○参考人(堀敬三君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/34
-
035・三輪貞治
○三輪貞治君 それからイギリス等でカメラの外国品の輸入を禁止しておるように承知しているのですが、だから例えばドイツのカメラだつたら中古でなければ店に並んでない。日本も一向遜色がないわけですから、実際に使うには……、そういうことは必要でないかと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/35
-
036・堀敬三
○参考人(堀敬三君) カメラ自体を輸入禁止しているというところは特にないようでございます。為替の制限のために一番きつい制限をしておるというところはかなり多いのでございます。私ども承知しております範囲では、カメラ自体の輸入を禁止しておりますのは台湾がそうでございます。ほかはただ為替の制限を特にカメラに強く置くというような行き方じやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/36
-
037・萩尾直
○参考人(萩尾直君) 只今堀先生からお話がありましたが、電機品の、殊に委託販売の対象になるようなものは、我々からまだ後進国と言うのは少し恐縮ですけれども、東南アジア方面でも殆んど禁止品と言つてよろしいのです。それでここに非常な我々の悩みがあるのですが、それを逃げるために私どもは部品で輸出いたしまして、向うで技術指導をいたしまして、そうして組立調整をやらせる。売上げからロイヤリテイーをもらうというような、いわゆる企業の輸出と申しますか、こういうことに私どもは移行しつつあるのであります。現にインドのマイソール州バンガローワという所があります。そこにレムコという会社が、インドの半官半民でありますが、あります。これを技術指導いたしまして、積算電力計の部品を作り、向うで組立てる、大変に成功いたしまして、もつと商品の数を殖やして欲しいというので、今折衝中であります。又インドのやはりカルカツタでございますが、ここでランプをやりたい。これは皆輸入禁止品です。そういうのはやはり技術指導いたしまして、こつちから原料を送り、技術を提供してロイヤリテイーをもらう。いつまでも欧米にならつておるばかりでは能がありませんから、我々も又先生になり得るときもある。私どものほうは、輸入禁止品のほうはそういうことで対抗いたしております。なお先ほど大谷先生でしたか、からドイツのことでありますが、電機品につきましては明らかに何か政府が保護を与えておるとしか考えられない事実が一、二あります。例えば昨年秋見積りいたしました、パキスタンのライヤプールというところに発電所がございますが、そのときに私どもの出しました値段、日本を百といたしまするというと、西ドイツは六十五という値段になる。これは我々のところの殆んど原料費くらいなものである。どんなに考えてもそういう値段が出つこないのであります。然らばどういう一体保護を受けているのだろうかということで随分いろいろ突つこんで探つて見ましたけれども非常に固いのです。あれは国家的に昔からそういうところです。大使館、公使館、領事館というものは商売人の寄合であつていわゆる外交ではないのです。商売人の寄合といつてもよろしいと思う。ですからその秘密というのか、やり方について探ることは事実上非常にむずかしいのでございます。一説には日本の砂糖のリンク制みたいなもので、或る商品では利益を得ているものを、他の業種でこれを組合同士の話合いでやつておつて、政府はそれは知らん顔をしているといつたような、或いは隠忍自重しているのかも知れません。そういうことがあるのだろうと思います。又昨年やはり秋でございましたが、チリーで発電機のやはりこの展覧をいたしました。これも西ドイツが私どもの百に対して七十五といつたようなこれはまあ絶対に考えられません。日本の鉄だとか、銅だとかいうものがべらぼうに高いものですから、それを国際値段に引下げて考えましても、どうしてもそういう値段が出ませんから、何かあるのだろうということはわかりますが、どういうことをやつているかということは私どもでわかつておりません。西ドイツは非常に何と申しますか、最近は又イタリーが非常にそういうことをやつて参りました。それから去年の朝鮮の休戦が成立ちましてから各国の輸出に対する態度はがらりと変つておりますので、私どもは機械のほうは特に著しいのではないかと思いますが、スイツツルなども又この頃私どもびつくりするような値段を、これは嘘じやないかというふうなことをいつているのですが、半値のものがある。そういう状況でございますので、多少の弊害はあつてもいろいろな輸出の御政策をして頂かんというと到底できないし、やがては為替レートの問題にまで来るのじやないかと思いますが、まあ併し私どもはこういう保護政策をして頂きたいということを前提にしているのじやないので、そんなことで一時を糊塗したところで、日本の産業が長年の間に立上るという態勢には逆行するものであるのですから、逆にこういう保護政策をおとり下さると共に、私ども自身も反省もいたしますし、又御批判を受けて原価を切下げる措置等については積極的にやりたい。併し如何せん今のところ非常に価格の点ではむずかしいと思います。アメリカのデイブライトという会社と契約をいたしまして、例の螢光燈の器具をやつております。これのごときは材料費を向うの値段に直し、そうして加工費を比べて見ますと加工費はアメリカの能率よりもよろしいのです。で会社経営、このなんといいますか、一般管理費と申しますか、そういうものもアメリカの会社のは大体わかつておりますものですから、それをかけて見ましてもこれはとても競争できないのです。それはもう明らかに材料高でありまして、銅と鉄の材料高、そこでまあ他の方面からお願いしております保税銅の使用を電気機械業者には是非一つお許し願いたいものだと思つております。ついでながら一つお願いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/37
-
038・中川以良
○委員長(中川以良君) 今のに関連して私からちよつと堀さんにお伺いしたいのでありますが、ドイツの写真機の問題ですが、これは昨年でしたか、一昨年でございましたか、大蔵委員会でも問題になつたのですが、先ほどお話の物品税が高いので、物品税がかかるので、日本の写真機はいわゆる駐留軍には売れない。そこでその間隙に乗じて、ドイツから安い写真機が飛行機で以て直接日本に輸入されている。而もこれは駐留軍は、例の行政協定によつて無税でこれを入れている。併しこれを検討すれば、アメリカから入れるならば無税でありまするが、ドイツから入れるものを無税ということは不当であるということで我々もそれを主張して、これは当然課税すべき問題だ、それで日本の生産業者を圧迫してはいかんということを申入れて、そういうことをすることに大体なつたと思うのでありまするが、それはどうでしようか、今どうなつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/38
-
039・堀敬三
○参考人(堀敬三君) それは駐留軍のPXで売る品物については物品税は課税しない、免除するということにはなつていたのでございます。なつていたのでございますが、その手続が非常に煩雑なんです……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/39
-
040・中川以良
○委員長(中川以良君) それは煩雑なんです。それを簡素化したのですが、一般のドイツの機械を無税で入れることがおかしいということが当初疑問であつたのです。アメリカの問題はわかるのです、アメリカの軍隊が使う……。それをドイツから無税で入れておるのはおかしいじやないかということ、大分写真の業者のかたも不審を感じておられるのですが、今もそういうものは入つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/40
-
041・堀敬三
○参考人(堀敬三君) やはり入つております。入つておりますが、最近はその免税の手続を簡素化して頂きまして、PXでも比較的手数のかからない方法にして了解を得まして、そのために昨年の十月から又国産のカメラの買入を始めております。ドイツのカメラはやはり入つております。同じようにこれも物品税がかからないで入つておるわけでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/41
-
042・三輪貞治
○三輪貞治君 電気機械とか、カメラなんというものは毎日々々買つて消耗するわけでないので、かなり店にさらしている期間が長いと思うのです、委託販売の場合には……。販売期間というのは大体どれくらいなんですか、委託販売される場合には……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/42
-
043・堀敬三
○参考人(堀敬三君) まあ我々カメラのほうで考えますと、やはりそう長いことも問題だと思いますので、大体六カ月くらいならいいんじやないかというように考えますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/43
-
044・萩尾直
○参考人(萩尾直君) 電気のほうではいわゆる季節物、扇風機のごときもの、それから生き物というのがあります、それは乾電池であります。これは放つて置いたらなくなつてしまう。まあこういろいろ違いますですけれども、乾電池なんかでございますと、大体三カ月くらいで決済してもらうことにしております。季節物はその季節限りということにしております。これは六カ月くらいでございましよう。その他置いておいてもそうカートンやなんかは色あせますけれども、内容が変らんというものは別にカートンを取替えたり何かしまして、半年ごとの決済で更新して行くというような考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/44
-
045・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか……。
それでは午前中はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/45
-
046・中川以良
○委員長(中川以良君) 参考人の方に一言御挨拶申上げます。本日は極めて御多忙の中を、長時間に亘りまして当委員会のために極めて尊き御意見を御開陳賜わりまして誠に有難うございました。私ども法案審議の上に非常にいい参考となりました。今後この法律案が只今仰せのごとく、本当に日本の輸出の振興に役立つようなことになるということを私ども念頭に置きまして、公正なる審議をいたしたいと存じます。なお今後とも御意見がございましたらどうぞお申出を頂きます。誠に有難うございました。
それでは一時半まで休憩をいたします。
午後零時十一分休憩
—————————————
午後二時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/46
-
047・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは休憩前に引続きこれより委員会を再開いたします。
輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、政府側に対する御質疑をお願いいたします。……では先に先般申入れておりました輸出保険法第十条の四第二項の規定により通商産業大臣が承認をする場合の基準の案が只今お手許に配付されたように、出て参りました。この資料につきまして、松尾通商局次長より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/47
-
048・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 第十条の四の第二項の通商産業大臣の承認というのが、今度の委託販売輸出保険の、何といいますか、一番運用上重要な点でもありますし、又これの運用によりましていろいろ弊害の起きる心配もある点なのでございますが、お手許にお配りをいたしておりまする承認の基準につきしましてれ御説明申上げます。
ちよつと朗読をいたしながら説明をさして頂きます。
「輸出保険法第十条の四第三項の規定により輸出者が販売期間内に販売されなかつた貨物を本邦外で処分することを通商産業大臣が承認をする場合は、左に掲げる要件がそなわつているときとする。」
次にこの三つの要件を掲げておりますが、この三つの要件が三つとも揃つた場合に承認をする、こういう考え方でございます。なお申し遅れましたが、この基準は約款に挿入をする予定になつております。
その要件の先ず第一は、「当該貨物が販売されていないこと及び委託販売輸出契約の相手方の管理下にあることが証明されること」この点につきましては前回の御質疑のときに御説明申上げましたが、要するに現地の相手方が実際は処分をしておりながら、販売をされなかつたという偽わつた中出等があることのないように、その研究に売れ残つたものが、相手方の管理下にはつきりとあることが証明せられることが先ず第一の要件でございます。
それから第二は、「本邦外における当該貨物の処分見込価格が本邦における処分見込価格に当該貨物を本邦に積戻すために必要な費用を加えた額を超えること」即ち言い換えて見ますると、現地で処分をしたほうが有利である場合ということになるわけであります。国が保険金を支払います以上は、できるだけこの損害を少くする意味合いからも、現地で処分したほうが有利であるということが第二の要件になつております。
それから第三が、「本邦外における当該貨物の処分見込価格が当該地域への正常の輸出を阻害しないと認められる価格であること。」これも別段御説明を申上げる点もないのでありまして、ここに書いておる通りでありますが、要するにこの委託販売保険に付保された貨物が現地で処分をされる場合にその処分の価格の如何によりましては当該地域への正常輸出を阻害するということも一応心配として考えられるのであります。従いましてそういう正常輸出を阻害しないと認定される価格でなければならない、こういうことでありまして、実際の運用に当りまして二と三との競合する場合と申しますか、相矛盾する場合が実際問題として運用上むずかしい点に相成るのではないかと思うのでありますが、第二の点から判断すれば、即ち現地で処分をいたすほうが積戻して処分をするよりも有利に処出をできる、が併しそれをやることが正常輸出を阻害をする心配のある場合にどうするかということが現実に当つて一番運用上むずかしい点かと思うのでありますが、先ほども申しておりますように、この三つの条件が揃つた場合に現地処分が認められるわけでありまするので、たとい若干は現地で処分をする場合が有利でありましてもそのことによつて正常輸出が阻害をされるという心配がある場合には、やはり原則に立返りまして内地に積戻しをして内地で処分をさせるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/48
-
049・中川以良
○委員長(中川以良君) 御質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/49
-
050・小林英三
○小林英三君 この今プリントを頂戴して御説明があつたことですがね。これは一体通産大臣が認定するのですが、どうして認定しますか、実際問題として。どういうふうにしてこれを認定しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/50
-
051・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ず第一の点は、これは客観的な具体的な事案でございまするので、在外公館なり、或いは在外公館がいないような地域におきましては現地にもいわゆる国際的な信用のあるコントローラーもおることでありますので、そういう人たちの証明書をとるということもできましようし、又現地の商工会議所等の機関も利用できるのではないかというふうに考えております。
それから第二のほうは、これは計算上大体出て来るわけであります。大体一個六ドル程度ならば売れるが、仮に今運賃をかけて持つて帰つて来て処分をした場合にはその六ドルで現地で売つた場合よりもなお損が多くなるだろうという点も判断はできるかと思うのであります。
〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
第三の点が正常輸出を阻害するかしないかという点でありますが、大体輸出組合なり或いは同業者の取引価格というものも大体我々のほうでわかりまするので、それらの価格と比較をいたしまして委託販売によらずして出ている価格と比較をして判断し得るというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/51
-
052・小林英三
○小林英三君 この法律が施行されてから一番問題になるのはこの点だろうと思うのですが、今の御説明の程度で実際問題として例えば通産局でおやりになつてこういう問題に直面したときに今のお話のようにできますか、実際問題として。
それからもう一つは、先ほど参考人のお話の中にあつたように、例えば東芝の営業部長がおつしやつていたように、電気器具に関する問題は日本は百ボルトだがその他の国は百十五ボルトとか、百二十ボルトとか、ボルトが違う、そういうふうに外国のボルトに合せて設計をして出しているんだ、こういう問題もありますがれ。そのときに内地に持つて来たらばこれを日本のボルトに設計変更して組立て直して売るということになるわけですが、そういうふうな問題に関連してどうですか、御意見は、そういう問題があつたときに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/52
-
053・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今の電気器具類につきましては御指摘のように内地で処分する場合には勿論ボルテージを変えたまでのところ、これまではまあ必要な費用ということになろうかと思いますが、だからそういう費用を加えていずれが処分価格として有利かということを判断するわけでございますが、先ほども申しましたように輸出組合等からもこの保険の必要性は十分認めておるわけでありますが、他方これの運用によつて他の業者への影響も心配されるのでありまして、従いまして輸出組合からもこれの処分をされる場合の承認に当つては十分この組合の意見なんかも聞いてくれというふうな要望もございまして、我々としてもこの辺の運用に当りましてはそういう関係の機関の意見を十分に聞きまして誤りなきを期したいと思つております。何分初めてのこういう制度でありますので、実際に当りましては運用上いろいろ困難な問題も発生するとは思いますが、輸出組合等の御協力を得まして運用に遺憾なきを期したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/53
-
054・小林英三
○小林英三君 実際問題としてこれが例えば二、三の問題、一の問題はそこの商工会議所だとか、或いは在外公館等において証明されるということですが、二、三の問題等において実際問題として当事者に当る方がみんな輸出組合等の御意見を聞いてそれについておやりになるというお話でありますが、やはり通産局あたりでそういう専門家に十分調査さすのですか。こういう問題が起つたときに、例えば通産大臣に対して売れないものがあつたときたこれを申請をして現地で売らしてもらいたい、或いはその土地でなければほかの国へ持つて行つて売らしてもらいたいというときに、これに即応してすぐこういう問題が解決することができるのですか、実際問題として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/54
-
055・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほども申しましたように、私たちはやれると考えておるわけであります。結局この中で一番の問題点は、三のその現地での処分見込価格が正常輸出を阻害するかせんか、五ドルでいいのか、六ドルでいいのか、七ドルでいいのかということに結局なるのではないかと思うのでありますが、現在のところ、例えばチエツク・プライス制をとつておるような商品もありますし、或いはそういう輸出承認を得ないような輸出物資につきましても爾後の輸出の審査等をいたしておるわけであります。常時大体どの程度の価格で取引がされておるかということは、通商局のこの保険を担当いたします輸出保険課だけでなしに、原局の輸出課なり、或いは通商局の輸出課なり、或いは地方の通産局の輸出事務を担当しておるところで大体の見当はついておるわけであります。従いまして、大体のこの価格ならば平常輸出は阻害をしないであろうということの判断はつくのでありますが、相場というものも若干の変動もございますし、従いまして現実に本当に即した判断ということになると、やはり常時この貿易を担当しておりまする輸出組合の意見を聞いてなお誤りなきを期したいと、こう申上げておるのであり出して、役所だけでも大体の見当はつく自信を持つておるわけであります。なおこの二の点はどつちかと申しますと、比較的計算が簡単であるわけでありまして、この現地での処分見込価格にもよりますが、運賃等をかなり必要とする商品につきましては、大体若干安くても現地で処分したほうが有利であるということは言えるかと思うのであります。結局この三の認定、現実の価格をどの辺で処分をするのか、この正常貿易の阻害になるかならんかという点が一番重要な点ではなかろうかと思うのであります。その点につきましては、今の現在の輸出手続下におきまして、大体役所でも把握できますが、なお関係の輸出組合の意見を聞きまして、誤りなきを期したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/55
-
056・小林英三
○小林英三君 もう一つ……それからこの業者がこれは残品ができたからして現地で処分したいというので通産大臣に申請をして認可を得るわけでしようが、その認可を得るに至るまでの間においてこれは売れなかつたということを輸出業者が認知する、それはどういうふうにしてわかりますか。例えば六カ月間なら六カ月たつたものをまだ売れていないと、これは通産大臣の認可を得て現地処分しなくちやならんというふうに決意する、これはどういうふうにしていたしますか。それからもう一つは、そういう認可を通産大臣に申請した場合において、通産大臣としてはいろいろな手続を踏まれたり、輸出組合に聞かれたりしてそれを認可するわけでしようが、そのひまがよほどかかる、期間がかかつて、こう業者が徒らに現地に放任しておかなければならないということになるのですが、その認可申請に対して認可をする期間というものは極めて迅速にできるものでしようか、それを一つお伺いしたい。
〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/56
-
057・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) お尋ねの先ず第一点は、先ずこの保険を政府が付けます場合に、大体この商品ならば販売期間は何カ月にするのが適当かということできめるわけでありまして、要するに保険契約のときにきめるわけであります。従いまして、その保険契約内に処分できなかつたというものについて、業者からの申出があり、それからその売れ残つたものが現実にあるかないかということの確認に移るわけです。それからいざこの承認の段階になりますと、先ず輸出業者のほうから最初の意見として大体この辺で処分をしたいと、持つて帰つて処分をするとこの程度のものは現地で処分したほうが有利であるというふうな意見具申が出て来るだろうと思うのであります。その場合に大体先ほども申しまするように、役所で一応判断をし、輸出組合の意見を聞いてやるわけでありますが、まだこの何週間、或いは何日くらいのうちにやれるかということは、ちよつと自信がないのでありますが、一月もあれば十分そういう審査はつくのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/57
-
058・三輪貞治
○三輪貞治君 この通産大臣が承認をされる場合の要件の二ですね。これは今松尾次長のお話を聞いておるところとこの文章の書き方と逆じやないかと思う。というのは持つて帰つて売るよりも、若干安くても運賃のことを考えるならば、そこで売つて引合うかどうかという値段が出るので、こういう条項を加えられたということでありますが、そうなると、これは「処分見込価格に当該貨物を本邦に積戻すために必要な費用を加えた」となつておりますが、これは減じた額とならなければならん。と申しますのは、百円のものをば一体持つて帰つて売つたがいいか、向うで売つたがいいかというのは、持つて帰れば百円になる。併しそれを持つて、帰るためには十円の費用がかかる。九十円で現地で売つた場合と、こつちで百円で買つた場合にとんとんだ。だからどつちで売つたがいいかということは、向うが九十円より少し上になるかどうかということをきめられるわけです。ですからそういう考えで行けばこれは「必要なる費用を引いた額を超える」ということになるのじやありませんか。加えたら当然売れますよ。百円のものが持つて来ないでも、そこで運賃の額よりも上に売れるわけですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/58
-
059・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 私が説明を申上げたほうがいいと思いますが、どうも私が説明を申上げましたのと、この書きぶりとが少し合つていないように考えます。甚だ申訳ありません。「本邦外における当該貨物の処分見込価格が本邦における処分見込価格から」この「に」は「から」であります。「当該貨物を本邦に積戻すために必要な費用を控除した」「を加えた」を「を控除した額」というふうに、先ほど説明申上げておつた通りであります。ちよつと表現が逆な形をして申訳ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/59
-
060・高橋衛
○高橋衛君 この一、二の要件につきましては、先ほど小林委員の質問に対しまして、大体一カ月ぐらいの間に処理ができるだろうという御答弁でありますが、そうするためには、契約をした者が一の証明、又は二の事項についての調査事項等を添附して承認の申請をするということが必要になるのじやないかと思う。そうしなければ事務が迅速に運ばないのではないかと思いますが、そういうことについては処理規程か何かで以てそういうことを義務付けなさる予定でありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/60
-
061・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 御指摘の通りに、現実に貨物が存在しておると、現地において処分したほうがよいか、国内に持つて帰つて処分したほうがよいかというようなことにつきましては、先ず契約者の必要な書類を添えて承認の申請をいたさせるつもりでありまして、それらの手続につきましては約款で詳細を規定するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/61
-
062・中川以良
○委員長(中川以良君) 大臣が出席されましたから、御質問のかたはどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/62
-
063・豊田雅孝
○豊田雅孝君 この委託販売に関する輸出保険制度は非常に結構だと思うのでありまするけれども、それだけに、非常に結構だと思われるだけに、この運用を誤まると非常な弊害が出て来るのではないかという感がするのでありまして、その一つの根本問題は、日本から出て行く輸出品が良品であつた場合には、この委託販売の輸出保険制度というものは非常に善用せられ、その効果を健全に発揮し得ると思うのでありますけれども、不良品が輸出をせられるということになると、あとにおいて大臣の承認制度というようなものの運用によつてその弥縫策を講じなければならんというようなことが相当出て来るために、その運用よろしきを得なかつた場合には、投売り等が始まつて、非常に一般の正常輸出に大きな悪影響を与えやしないかという懸念を持つのであります。従つて、本制度を実施する前提条件といたしましては、我が国の輸出品に対する検査制度の徹底励行、それから運用よろしきを得るということが必要だと思うのでありますが、現在どういう輸出品について検査制度が行われておるのか、なお輸出検査合格品のみが輸出せられておるかどうか。税関において、曾つては開函検査による、要するに輸出品の包装を開けて取締をしておつたのでありまするが、そういう税関の取締制度というものが今日励行せられておるのかどうか。若しこれが励行されておらんと、輸出検査が不十分だということにつきましては、只今申しまするように、非常な不安を私ども持つわけでありまして、どうしてもこの際戦前行われておつたような、或いはそれ以上の輸出の検査制度の確立実施ということが必要だと思うのでありますが、これにつきまして大臣の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/63
-
064・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 只今の御意見は誠に御尤もでございます。不良品の輸出の問題については、これをよほど厳重にやりませんと、弥縫策として却つて面白からざる結果を招来するということは、御指摘の通りだと考えるのでありまして、それらの点については、御承知のように、輸出取締法の関係、輸出検査については最近強制検査、これを非常に幅を広くして、現在でも任意検査の制度がまだ残つておる品目もございますが、できるだけ強制検査ということを法に基いて行いまして、これと税関の仕事との間の関連をよくとることにするというというようなことにいたしまして、さような欠陥が生じないように、この上とも十全な措置を図りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/64
-
065・豊田雅孝
○豊田雅孝君 現在輸出品のどの程度の範囲に輸出検査が履行せられておるのでございましようか。これは次長からで結構ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/65
-
066・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) ちよつと今日表を持つて参りませんでしたので、甚だ申訳ございませんが、あとでお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/66
-
067・豊田雅孝
○豊田雅孝君 重要輸出品全般について輸出検査を確立実施するということが、私はこれに伴つて非常に必要であると思うのであります。それと同時に、先ほど申しますように、税関の取締官が戦前におきましては昔の商工省の輸出品監督官補に兼任をいたしまして、そうして、輸出検査の取締ということは本来当時の商工省の所管に属するが故に、税関においてやつてもらうということはできないのでございますが、輸出品監督官補を兼ねるという形で、税関で輸出品包装を少くとも抜取で甲板或いは桟橋で検査をしたのであります。それによつて優良なる輸出品の輸出を確保する行き方をしたのでありますが、現在の通産省にはその制度がないのだろうと思うのでありまするけれども、その点について、これも次長で結構ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/67
-
068・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、従前、戦争前の状態においては、只今御指摘の通りのやり方をやつております。その後税関制度が復活いたしまして、税関に関する諸法制が整備されましたときに、他の……、他のと申しますか、法令に基いてやりまする検査については、排他的に税関官吏だけで検査をするというような制度になりましたために、税関の官吏が同時に兼職をして通産省の立場においても検査ができるというような制度には現在なつておらないわけでございまして、この点は確かに一つの問題だと思うのでありますが、全般的に、現在の御承知のような行政機構の面におきましては、兼任制度というのもなかなかこれを許さない建前になつておりますが、なおその点はとくと研究いたすことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/68
-
069・豊田雅孝
○豊田雅孝君 政府全体としても輸出振興第一主義を掲げられておりますし、又愛知通産大臣もそれに向つて邁進せられつつありまするので、この際かような委託販売の輸出保険制度まで実施いたしまして、要するに無理な輸出でも極力やろうという、ここに行き方が現われておるのでありますが、それに伴つて只今の輸出検査制度及び税関取締制度、これの確立を是非至急におやりを願いたいと思うのであります。
次に、先ほど次長から説明をせられておりましたので、大体大臣の承認制度の運用のアウト・ラインが前よりもはつきりして来たのでありますが、併しかような行き方によつて通産大臣が一々承認をするという場合におきまして、若しも内外の関係業者が腹を合せて馴れ合いでやろうという場合において、どういう取締方法があるのか。或いは罰則の必要もあるのではないかという声が業界の人たち自身の間からも出ておるわけなのでありますが、これについては如何に考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/69
-
070・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 御尤もな御心配でございますが、今の場合、私が考えますのに、内外両方に亘つて通謀するということは或いはあり得るかと思いますけれども、国内の輸出業者相互において通謀するということは、これはあり得ないのではなかろうかと思いますが、その点私はそう考えますのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/70
-
071・豊田雅孝
○豊田雅孝君 私の質問したのも、内外相呼応して馴れ合いでやるという場合の問題でありまして、罰則はこれは海外には及びませんけれども、その当事者になつた国内業者に対してどういう罰則で臨んで行くのか。それから又保険金の返還、これらについてどういう制度を考えておられるか、そういう質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/71
-
072・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今の御指摘の点は誠に御尤もでございましてこの約款で免責条項を設けまして、それらのような故意にやつたとか、或いは通謀してやつたというような場合におきましては、保険金を支払わないというふうな免責条項を設けることにいたしております。まあその点で防げるのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/72
-
073・豊田雅孝
○豊田雅孝君 保険金を支払つて後にそれが発覚した場合においての措置はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/73
-
074・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) その点は他の輸出保険にも規定がございまして返還をせしめるという条項ができておるそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/74
-
075・豊田雅孝
○豊田雅孝君 それをはつきり一つ示してもらいたいのですが、それと同時に、そういう返還だけでは只今申すような事件の誘発を阻止することは必ずしも困難じやないかと思うのでありまして、さような内外の業者が通謀してやつたような場合については、やはり刑罰が必要なんじやないかという感じがするのでありますが、この点について御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/75
-
076・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 輸出保険法の第一条の五に、「政府は、輸出保険の保険契約の保険契約者、被保険者又は保険金を受け取るべき者がこの法律の規定又は輸出保険の保険契約の条項に違反したときは、当該保険契約に基く保険金の全部若しくは一部を支払わず、若しくは保険金の全部若しくは一部を返還させ、又は将来にわたつて当該保険契約を解除することができる。」という規定があるわけでございます。この第一条の五に基きまして、約款でそれぞれ細かい規約を作るわけでございます。他の保険についてはもう現に作つておるわけでございます。従いまして、今御指摘の点は免責条項なりその他の一旦支払つた保険金を返還させるというふうな規定によつて処置できるのではないかと思うのであります。ただその刑事事件まではこの保険法では及んでいないわけであります。まあ詐欺等の問題が起りますれば刑法その他では行くのではないかと思いますが、この保険法では一応この第一条の五にこれに基く規定によりまして大体処置できるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/76
-
077・豊田雅孝
○豊田雅孝君 この第一条の五は、「法律の規定又は輸出保険の保険契約の条項に違反したとき」と、「違反したとき」になつておるわけでありますが、違反はしないで、今次長が言われたように、悪意を以て詐欺的に内外の業者が呼応してやつたという場合にはこれではいけなくて、そうすると一般刑法等によつてやつて行くだけだということでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/77
-
078・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 現在の約款によりますと故意、過失という表現で免責条項を規定しておるわけであります。従いまして故意、過失以上に出た場合はこの法律では処置できないということになりまして、あとの通謀の問題になるのではないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/78
-
079・三輪貞治
○三輪貞治君 本法律案の審議に当りまして最も我々が懸念いたしましたのは、この制度によつてダンピングが行われ、正常貿易を阻害するようなことはないかということであつたのです。勿論この法律案によりますると本保険の受理は販売価格の届出が前提条件になつておりまするから、その場合に厳重な審査で以て御許可になればそういう我々の懸念は危惧に終るわけであります。併しながら問題は現地で損失販売をされる場合の点にかかつておるのでありまして、その場合に通産大臣がさつき頂いたような要件について審査をされて御承認をされるわけでありまするが、我々が今日機械のかたがたに来て頂きまして御意見を伺つた中で、この問題に関して特に各業種別に作られておる輸出組合或いは協会等の意見を聞かれることが望ましいという御意見の発表があつております。これはまさしくそうであろうと思います。この地域においてこの品目はこれ以上割つて売られるならばこれはもうダンピングになり、正常貿易を阻害するという線がおのおのの業種別によつてあろうかと思います。そういうことはこの法律にある輸出審議会等ではまだ不十分な点もあると思いまするので、そういう要望に応えて通産大臣は、生糸なら生糸、電気機械なら電気機械、その他の品目別に作られておる輸出組合、協会等の御意見をお聞きになる御意思がありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/79
-
080・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その点は私どもといたしましては十分各業界の意見を聞きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/80
-
081・小松正雄
○小松正雄君 関連して……、そうなりますと、私のこれは考えでありますが、品目をどの国はどういう品物が必要であるというようなことを出先機関等に問合せられて、そうして委託販売をなさるということになれば、今私どもが懸念しておるダンピング等の問題も起らんでいいのじやないか、例えば電気器具を発達したアメリカに持つて行つたつて駄目でありますし、そういう器具を必要とするところの国に持つて行つて委託販売をするとか、こういつたような一応売捌方法をお考えになつて許可されるというようなことに相成ることが一番正しいのじやないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/81
-
082・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その点は誠に御尤もでございまして、ひとりこの点にかかわることはないのでありますが、在外公館その他商社等との間の情報の交換、或いは市場の調査というようなことは全体としての輸出貿易の振興のための基礎であると思いまするので、そういう点も十分に配慮いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/82
-
083・白川一雄
○白川一雄君 この法案を最初拝見いたしましたときに直感したことは執行がなかなか困難なものではないか、その困難に比べては外貨獲得の目指すところは余りに小さいのじやないかという感じがしましたのと、外貨、外貨という声で日本の金を無駄にする面が一方にあるという事柄が非常に心配になつたので、又この輸出委託されるものが恐らく銘柄の通つた商品よりも銘柄の通らない商品が多くなるだろうと思います。そうしますと貿易商の過ちということのしわ寄せが必ずメーカーに来るものと考えるのであります。普通従来委託販売がありました実情を辿つて見ましても、商社が委託販売するときにはメーカーからもやはり委託の恰好で荷物を引取るということが行われておつたのから見まして、しわ寄せがメーカーに来るのじやないか、而も銘柄が通つてないとすれば中小企業のほうに多く響いて来ないかという必配がありましたので、ところが法案が出る前に我々相談にあずかるときがありますれば十分話もできたのでございますが、法案が出てしまいますと、まあ運用をうまくやつて頂きたいために先般からいろいろ御質問申上げております。私どもの非常に案じますことは、日本の金というのを余り安く見過ぎるという点がありやしないか、例えばMSAの問題にいたしましても、五千万ドルと申しましても百八十億円なんでございまして、日本の国が無駄な建築をやめたり享楽機関を廃止したりすれば百八十億くらいの金は自己の金で電源開発でも何でもできて、そこへMSAでも来ればプラス・アルフアーになつて民間産業も潤うし、経済も非常に潤うと思うのでございますが、それまでは無駄使いさしておいて急に日銀じや金を締めるというような行き方で、中小企業は勿論、大企業の産業の伸展を期するということができないのは、果して日本の経済再建の方法であるかというように考えますと、この輸出法案も二百万ドルほどの外貨を獲得するんだという一方には保険で日本の金を出すというような穴を作つておきますと、これは或る期間たちますれば、得た外貨の潤いよりも出した金の財政に響くほうが災難だというような面が出て来やせんかということを考えますと、この法案は必ずしも、現実の問題としてなかなか実行困難なことばかり集めた法案になつております。現にこの第二の問題にしましても、処分見込価格と申しますけれども、売ることもできない、引取ることもできんとなつた場合、商品をどうするかというような問題も現に残ると思うのでございますが、いずれにしましてもこの運用を的確にやつて頂かねばなりませんのと、通産大臣としましては、我々国民は苦しいのはどんなにでも辛抱する気持を持つておるので、国家百年の基本的貿易対策というものを立てて、その中を小口にこなして行くというのでなければ、基本線が余りはつきりしないで小口でばかりこういうふうにいじつておるのではなかなか百年河清を待つごときことになりやしないかというような懸念から、先般から担当のかたに御質問申上げておつたようなわけであります。私はこれが杞憂に終つて外貨獲得の資になれば結構だと、こう思います。これはこの法案を出しつ放しでなくして、将来これの再検討を常に繰返して頂かんと、思わぬ失敗を招くことがあるのではないかと、こういうように考えますので、一言希望を申上げて大臣の御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/83
-
084・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 一々御尤もでございます。私どもといたしましては基本的な考え方というものを一応考えまして、そうしてそれを輸出振興ということに全部の努力を、どんなことでもこれは益があろうと思うことについては、たとい細かいことであつてもやつて行きたいというのが私どもの気持でございまして、この法案につきましては、確かに御指摘のように僅か二百万ドルくらいの国際収支の改善ということを一応狙つて、それについて国家の財政負担というものを考えるのでは、果して釣合いがとれたやり方と言えるかどうかというような御懸念、御心配は私も御尤もと思いますが、ともかくざつくばらんに申しますと、現在の状況においては輸出振興と言つても、一つこれだけをやれば万全の効果が挙がるというようなものも実は私はないようにも思いますので、基本的な財政経済政策を打出して参りまするためには、多少でも効果のあることをやらせて頂きたいということから、前々から研究しておりましたこの法案というものを御審議を願つたような関係でございます。従いまして累次いろいろの御注意や御意見がございました点は、この法案の運用に当りまして、幸いに成立いたしましたならば、運用に当りましては十二分に一つ配慮いたすということは勿論でありまするし、又どうも工合が悪いと思われるような点がございましたならば、いつでもこれを修正し、或いはやめるということについてやぶさかでない、こういう気持でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/84
-
085・高橋衛
○高橋衛君 この法律につきましての問題は専ら運用にあるという点は、先ほど来各委員の御意見の通りであると存じます。先ほど豊田委員からの御質問に対しまして、各省の官吏が兼務するという建前はとらないという御答弁でありましたが、その点は現在の国家公務員法の建前がその通りになつておるということは御答弁の通りと思います。併しながら例外の例はございますので、一つの例を申上げますると、密造の取締のために国税庁の相当大量の官吏を通商産業省の官吏に兼務をいたしまして、その形において密造取締の衝に当つておるということを人事院にも認めてもらつて実行しておる例もございます。従つて勿論税関におけるところの官吏の事務分量の問題もあると思いますから、その辺の検討は別途必要であると思いまするけれども、若しもそういうことが非常に役に立つということであれば、そういう例もあるということを御承知願つて御検討になつて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/85
-
086・海野三朗
○海野三朗君 このたびの本法案は誠に結構なことであると思いますが、この輸出を振興する上におきまして、この科学技術の振興という立場から政府はどれくらいの研究費を見込んでおられるのでありましようか。昨年度に比べてどれくらいでありましようかということが一つ、それから輸出検査ということについてはどれくらいお金を使つておられますのでありますか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/86
-
087・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 輸出の、特に輸出だけを取上げて研究費というようなものは今度の予算にも出ておりませんが、例えば各試験所とか、或いは工業技術院の調査研究費といつたようなものは、一つは輸出振興に役立つような、特に工業化できるようなものと、それから国内資源の開発ということはこれは直接輸出と関係ございませんが、そういう点について予算を作つておるのでございまして、大体そういつたような関係の試験研究費というようなものは工業技術院の直接の関係だけでもたしか六億円くらいが計上されてあると記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/87
-
088・海野三朗
○海野三朗君 それからこの輸出につきましての検査費、つまりその検査費にはどれほどお使いになつていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/88
-
089・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 検査費というよりは検査所の費用でございます。通産省関係といたしましては繊維製品検査所、それから工業品検査所、二つこの輸出品の検査機関がございます。でその他農林省には食品の検査所、それから厚生省には医薬品の検査所がありますが、それぞれの検査所の経費につきましてちよつと資料を持つて来ておりませんのでありますが、相当の、多数の人間を擁しまして、そこで検査をいたしているわけでございます。で、その他の民間の検査機関につきましては、戦前におきましては、経費の一部は国家補助というようなことがあつたのでありますが、現在のところは、民間の検査機関に対しましては、政府のほうから補助金を出しておりません。それぞれの業界で以て費用を捻出して、財団法人なり、或いは株式会社組織で相当数の検査機関ができているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/89
-
090・海野三朗
○海野三朗君 今通産大臣からお伺いいたしましたのでは、約六億とおつしやるのでありますが、ドイツあたりに比べまして、日本のは遥かに少いので、その辺に対しましては、経費についてもどういうお考えを持つていらつしやいますか。このままでよろしいとお考えになつているか。又もつともつとこれの予算を殖やして、この輸出商品の、つまり輸出商品と申しましても、根本は科学技術でありますから、その方面に対する通産大臣の御所見をもう一度お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/90
-
091・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その根本の科学技術の振興ということが、これが直接間接に輸出の振興なり、国内資源の開発に非常に効果のあることはもう明らかなことでございますので、財政全体の事情の許す限り、その方面につきましてはできるだけの財政的な支出を考えて行かなければならんと思つております。
それから輸出それ自体については、科学技術というよりも、海外市場の開拓なり、或いは日本でできました商品の海外に対する宣伝でありまするとか、市場の調査といつたようなことが直接速効があると考えますから、いわゆる通商振興対策費というような恰好で、大体この予算には三億二千三百万円、金額は非常に少いようでございますが、昨年に比べれば約三倍近くは増領しておると、こういうような恰好になつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/91
-
092・海野三朗
○海野三朗君 私は今古い例を挙げるようでありますが、この仁科博士の研究しておりました原子の研究でありますが、これがあの当時には……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/92
-
093・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつと海野先生御発言中ですが、本日はこの法案は一応討論採決まで行くことになつておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/93
-
094・海野三朗
○海野三朗君 もうじき済みます。そのときに、日本ではこの経費に三十万円を出しておつた。ところがアメリカでは三十億ドル出して使つておつたのです。それでここに原子の研究も格段の差が出て来たのであつて、要するに、つまり研究費のほうにもつと力を入れなければ、輸出振興というものは幾ら太鼓を叩いて見たところで、結局品物が悪ければ負けるということに私はなると存ずるのであります。その点から考えましてどうしてもこの研究費というものにうんと通産省が力を入れて、余分にこの研究費に力を入れて、予算をとつて、そうしてこの品物をよくして行くということでなければ、私はならないのだという点を考えますと、日本の只今のお話の費用は実に少いと思うのですが、今後やはりでき得るだけこれは増額して行つて頂かなければ、輸出振興の根本が成立たないのではないかというふうに私は考えておるのであります。でこの点について、通産大臣としての御決意をもう一度伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/94
-
095・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 誠に御尤もでございまして、例えば最近非常に問題になつておりまする原子炉の問題にいたしましても、米国で試算いたしました書類で見ますると、極めて小型のものでございましても、原子炉一基作るのに、建設費は日本の金にいたしまして、二十億円程度を必要とするというような状態でありますことは、我々としましても非常に羨ましく考えているわけでありまして、全くお説の通りでございまして、早く根本的な科学技術の研究に対しましても、もつと多くの支出ができますように努めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/95
-
096・海野三朗
○海野三朗君 有難うございました。もう私は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/96
-
097・中川以良
○委員長(中川以良君) 他に御発言もないようでありますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/97
-
098・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めまして、質疑はこれを以て終了いたしました。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べ頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/98
-
099・豊田雅孝
○豊田雅孝君 本案に賛成いたします。ただ審議の過程に見られましたように、運用につきましては十分に注意する必要があると思われるのであります。具体的に申しますると、第一に悪意の業者に利用される危険がないとは言えない。第二に第十条の四の大臣の承認制度につきましては、これが運用を誤まると、投売りになつて、他の一般輸出に悪影響を与える虞れがあることであります。従つて本制度が不当な取引等を誘発して、他の一般輸出に悪影響を及ぼさないように、万全の措置を政府が講ぜられたいということを、私は希望条件といたしまして、これを附しまして、賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/99
-
100・小松正雄
○小松正雄君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、本法案に賛成するものであります。一言大臣にお願いしておきたいということは、この法案が通りまして、この法案を以て実施せられるということになりますと、生産者においてこの法案に頼るということになつて、国内製品が低下するようなことに相成らないようにして頂きたい。それは常に生産者に対して、当局よりそういつたことを知らしてもらうと共に、又輸出品に対しましては、検査を厳重に、十分注意されて、国内製品を向上をさせるようにいたして頂きたいということを希望申上げまして、本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/100
-
101・三輪貞治
○三輪貞治君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、この法案に賛成をいたします。国際収支のバランスをとるということが、日本の現在の経済情勢から非常に必要であることは、今国会当初に各大臣の施政方針演説でも述べられたところでありまして、この法律案が若干でも輸出の伸長に役立つということであれば、我々はこれをば非常に歓迎をいたすものであります。併しながら今までの質疑の過程で示されましたように、又先ほどからいろいろと御討論でお述べになりましたように、我々もこの法律案が悪用をされて、或いはダンピングを助長し、或いは正常貿易を阻害するということのなきことをば念願といたしておりますので、是非一つ運用の面において、特に通産大臣の損失販売の認可の過程において、適正なる御判断の下に御決定をして頂きたいと存じます。特にこの第一条の四にもありまするように、この保険料率の問題でありまするが、これは勿論政府の保険事業の収入が支出を償うようにという原則で行われているのでありまするけれども、この特別会計を見ますると、今日においては若干の黒字の経営になつているようにも思います。政府の行うかような保険は黒字であるということだけが実は自慢にならないのであつて、その本質といたしまする貿易の伸長ということが目的でございまするので、将来において、この改正によつて更に保険の料率も高くなるでありましようし、特別会計の面においても若干の黒字が増加する、こういう過程におきましては、参考人の御意見にもありました保険料率の改訂等を行われまして、法律案が所期の目的を達成するように運用して頂きますることを希望申上げまして、賛成の意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/101
-
102・高橋衛
○高橋衛君 私は本法案に対しまして、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。今日我が国の当面する事態は、すべての施策に優先して、国際収支の改善を図るというところにあるのでございまして、僅かに年間二百万ドル程度の期待が持たれる程度の改正ではございまするが、併しながら何とかしてこういうふうな方法も講じて、少しでも国際収支の改善に寄与をするということは極めて適切な措置であると考えますので、本法案に賛成するのであります。ただ問題は、これが運用にあるのでございまして、その点については、先ほど来各委員から詳細な説明がございましたから、省略いたしまするが、要するに寛厳よろしきを得て頂きたいという希望を申述べまして、賛成の意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/102
-
103・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御意見ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/103
-
104・武藤常介
○武藤常介君 改進党を代表いたしまして、本案に賛成いたします。簡単に理由を申述べます。本案は、提出の御説明の通り、貿易の振興を目指しての案でありまして、その間只今各党が、本案を実施するに当りまして十分注意しなければならんことに対しまして、或いは質疑において、或いは只今の討論において述べられましたが、私も全くその点が心配でありますので、どうぞ十分なる注意を以て本目的に十分成果を挙げられるようにお願いをいたしまして、本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/104
-
105・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御意見ございませんか。……御意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/105
-
106・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決をいたします。
輸出保険法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/106
-
107・中川以良
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて輸出保険法の一部を改正する法律案は、原案通り可決することに決定いたしました。
それから本会議における委員長の口頭報告、事後の手続等につきましては、前例によつて委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/107
-
108・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
なお報告書には、多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とされたかたの順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
松平 勇雄 藤田 進
小松 正雄 石原幹市郎
大谷 贇雄 小林 英三
西川彌平治 酒井 利雄
高橋 衛 岸 良一
豊田 雅孝 海野 三朗
三輪 貞治 武藤 常介
白川 一雄 西田 隆男発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/108
-
109・中川以良
○委員長(中川以良君) 本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02019540316/109
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。