1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月二十二日(土曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
植竹 春彦君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
石原幹市郎君
西郷吉之助君
白波瀬米吉君
井野 碩哉君
高瀬荘太郎君
岡田 宗司君
矢嶋 三義君
山下 義信君
八木 幸吉君
木村禧八郎君
三浦 義男君
国務大臣
国 務 大 臣 緒方 竹虎君
国 務 大 臣 木村篤太郎君
政府委員
法制局長官 佐藤 達夫君
法制局第一部長 高辻 正己君
保安政務次官 前田 正男君
保安庁次長 増原 恵吉君
保安庁人事局長 加藤 陽三君
保安庁経理局長 石原 周夫君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○防衛庁設置法案(内閣提出、衆議院
送付)
○自衛隊法案(内閣提出、衆議院送
付)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より委員会を開会いたします。
本日議題となりますのは、保安庁より提出されました国防会議の構成等に関する件の資料について説明を受け、質疑をして頂くことにいたします。それに先立つて昨日途中でお帰りになつたかたもありますので、一応昨日の委員会休憩後の経過及び本日この保安庁案を提出されますまでの経過について簡単に御報告を申上げておきますが、委員会の休憩後理事及び各派のかたにお集まりを願いまして、昨日の質疑を行なつた結果について御検討を願つたわけです。その際自由党を除く各派の代表のかたの多数の意見として、やはり国防会議に対するもう少し権威のあるものが出されないと防衛二法案に対する本格的な審議の日程を協議することが不可能である、従つて非公式ではあるが委員長より政府に対してその旨申入をして提出を要求するようにという御意向でありましたので、木村長官に対してその申入をいたしました。その結果今朝十時に提出をして説明をするという回答を受けましたので、昨日は休憩のまま委員会は散会をいたしました。そうして本日の説明を受けるということを確認をして打合会も散会した、こういう結果になつておりますので、そのいきさつを御報告申上げておきます。
それではお手元に配付されました資料について説明を受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/1
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002・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今お手元にお渡しいたしました国防会議の構成等に関して御説明申上げたいと存じます。
先ず構成は内閣総理大臣のほかに、副総理たる国務大臣、防衛庁長官、外務大臣、大蔵大臣、通商産業大臣、経済審議庁長官、これだけを以て構成することにしておるのであります。なお必要がある場合には随時関係大臣を出席させるものといたします。次は議長でありまするが、国防会議の議長は内閣総理大臣を以て充てることになるわけであります。次は関係者の出席であります。内閣総理大臣は必要があると認めたときには、統合幕僚会議の議長そのほかの関係者を会議に出席さして意見を述べさせることができることといたしたいと思います。
次は国防会議の庶務は防衛庁で処理いたすことといたしたいと思います。
大体国防会議の構成等に関して保安庁で考えておるのは右のような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/2
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003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 本日は委員長から副総理の出席を是非とも至急出席するよう要求して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/3
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004・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 で、後刻副総理に伺う前に先ずこの資料について木村長官に若干伺いたいと思います。
先般出されました未定稿と相違している点は、副総理たる国務大臣の加わつた点が構成のところで変つておりますが、先ずその点について御所見を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/5
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006・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 副総理は申すまでもなく総理に事故あるときにはこれに代つて万般の事務を処理するわけであります。終始総理と密接な関係があるのであります。殊にこの会議において総理が出られなかつたような場合、その他出席いたしましても議事の進行をときによつて進めることができないような場合もあり得ると考えます。従つて、そういう場合を勘案いたしまして副総理がこの会議の構成に加わることが妥当と考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に未定稿とこの保安庁案の相違を見ますと、統合幕僚会議の議長の出席について、このたびは「必要があるときは」と上についているようでございますが、未定稿の場合の統合幕僚会議の議長の出席に関する件とこのたびの表現とは相違するようでありますが、それは如何ように相違するのか。それから未定稿においては陸上、海上、及び航空の各幕僚長その他の関係者と、こうふうに現わされておりましたが、今度の表現はちよつと変つておるようでございますが、どういう内容的な相違があるのか。大略でいいですから先ず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/7
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008・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 統合幕僚会議の議長を構成メンバーにして終始その席に列席せしめて意見を述べるというよりは、むしろ必要があつた場合に時々出席して意見を述べさせることがむしろ妥当じやないかと考えております。なお「その他の関係者」のうちには無論各幕僚長も含めるわけであります。これらの人も必要があつた場合には出席さして意見を聞くことが妥当であろうと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 まあ字句的に形式的なことを承わつておるのですが、未定稿のところでは陸上、海上、航空の各幕僚長というものを活字にしてあつたのを、このたびの保安庁案ではその活字を落したのは何か意味があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/9
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010・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 別に意味があるわけではありません。前のでは統合幕僚会議の議長が終始この構成員として出席することになつておつたのであります。このたびはそういう幕僚会議のほうは随時必要のある場合に意見を述べさせることにいたしておるのでありますから、それと睨み合してその他の関係者というこのうちに包含させる意味を以て字句を改正したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ということは、この関係者の出席は、未定稿に比較すれば、保安庁案のほうは制服の出席をやや抑制したと、こういうふうな表現ととれるのでございますが、さようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/11
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012・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 抑制と考えることは私は妥当じやないと思います。統合幕僚会議の議長及びその他必要のある関係者を会議に出席さして意見を述べさせるということのほうが議事の運行その他において私は妥当であろうと、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/12
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013・山下義信
○山下義信君 議事の進行について一言発言をさして頂きたいのです。今保安庁の提出されました保安庁長官の御説明になりましたこの本日の資料ですね。これについて矢嶋委員から御質疑があるようでありますが、まだ御質疑が若干あるようでございます。それでその前に伺いたいと思いますので議事の進行について発言を求めた次第であります。
本日御提出になりましたこの保安庁案ですね。これは昨日のところは未定稿ということでお出しになりまして、而もそれについては十分責任を持ちかねるというような意味の結局御答弁。で、それでは困るということでありまして、今朝は相当権威ある資料として御提出下さるような順序になつて、委員長の御説明の通りここへこれをお出しになりましたのであります。従いまして、私はいろいろ御質疑が各委員から出される前に、この本日の御提出の資料は保安庁としては最終の案であるかどうか。保安庁内部においてまだ変更するか。保安庁案としては今日の段階としては最終の案であるかどうか。これをしもなお未定稿と言うかどうかということを第一点確めておきたい。
それから第二点は、我々が国防会議の内容がわからねば困るのだということで御無理を申上げたのでありまするら、本日の御提出の資料については政府としても相当責任を持つて頂けるかどうか、我々が審議の対象とするに足るだけの信頼を置いてよろしいかどうか、これが第二点。つまり結局は将来法律を御提出になるに当りまして、本日御提出のこの保安庁案なるものと非常な大差のない見通しの下に我々はこの資料を扱うていいかどうかということなんであります。せつかくお出しになりました資料もつまり法律案をなぜ出さないかということから来ておる。その将来別途出さるべき法律と大差のない資料でなければ、審議の対象にならないことは言うまでもないのであります。従いまして本日お出しになつたこの資料が政府が相当責任が持てる、将来法律案を出されるときにはこれと若干の字句は変るか知らんけれども、大綱においては変らん決意だということでありまするならば、私どもは相当信頼を置くにやぶさかでない、従つて内容について審議をすることも妥当であると思うのであります。従いまして私はこの際先ずこの資料について政府がどれだけの責任を持つて、我々が審議を進めて行くに足る資料として扱い得られるかどうかという点についての御所信を私は承わりたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/13
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014・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今お手元へ配付いたしましたこの案は保安庁としては最終の決定案であります。
第三の点につきましてはこれは只今御承知の通り三党間に折衝中であるようであります。その案に基き、又保安庁の案と互いに睨み合せて、最終的に決定されるものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/14
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015・山下義信
○山下義信君 私の後段の点につきましてはまだ御確答が得られないのでありますが、私は政党は政党だと思う、この際はつきりして頂きたい。三党折衝はもとより政治的にはその結論を待たなければならんけれども、現在の政府としてはこの保安庁案に責任を持つてもらわなければならん。今日お出しになつた資料に責任を持つてもらわなければならん。三党折衝の問題は政治問題でありますから別途でありますからこれを混同して頂いては困る。今日の場合におきましては保安庁案につきましては政府として責任を持つて頂けるかどうかという点。従いまして法律案をお出しになるときには政府としては本日のこの資料に基いて大体別途の法律を出したいという少くとも多大の希望はお持ちになるはずであります。それが止むを得ない政治上の理由で法律原案を提出せられるときに変更になりますることは、これは大所高所から見ての別途の政治問題である。その大きな政治問題がどう響くかということはこれは別問題である。今日審議を進めるに当つての我々に与える資料としては政府が責任を持つて、将来法律案を出すときには、この骨格によつて出す決心であるという程度の御決意がなくては私はならんと思う。昨日来の私どもの要求に対する木村長官の資料の提出についての御努力を私は多とするものであります。私は長官は幸いに議席を当院に持たれ我々と同僚である。而も御所属は中立である、私は敬意を表しておる。その長官が万難を排されて我々の要望に応えられ、本日の資料を出されたにつきまして私は多とするものであります。我々は徒らに反対党であるからこの問題を以て本案の審議について故障を言い立てておるのではないのであります。参議院の立場として衆議院がこの問題を疎漏に審議し来つたこの重大法案に対して、参議院の責任としてかくのごとき審議の慎重さを加えてこそ我々は本院の存在価値を認めるものであるという自負から御無理を申上げておる。幸い長官は参議院に議席を持たれ同僚として、而も中立性を持たれる保安庁長官たる立場において御努力下さつたことについては多とするのであります。従つて今日の資料につきましても、相当政府としては責任を負われるところの御決意、御誠意を私は附加をして頂きたい、かように存するのであります、重ねて御所信を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/15
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016・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 保安庁といたしましては最後的にこの案を決定したことは今申上げた通りであります。従いまして保安庁といたしましては、この案に基いて十分の処置をいたしたいとこういう決意を持つてやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/16
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017・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点については私も午後確認したいし、そのために副総理の出席を要求しておるのですから、委員長のほうで至急に副総理の出席を要求して下さい。その論を進める前に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/17
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018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 議事進行。今山下委員が言つた性格についてもつとはつきりして頂かなければならんのです、それが前提ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/18
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019・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それを今やりますから。伺いますが、木村長官はこれを昨日は未定稿、あなたの信念に基くものでもないと、あなた自身も検討中のものだと、こういうことでありましたが、昨日の理事会の決定において保安庁案として、保安庁の信念としてここに出されたわけでありますが、保安庁案というものを最終的に決定するのはどういう機関できまるのございますか。それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/19
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020・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 保安庁の幕僚が会議に列席してやるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは伺いますが、昨日から今朝までに保安庁の幕僚の会議が開かれましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/21
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022・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 開いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その機関を確かに通つて出て来たものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/23
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024・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 伺いますが、これは昨日も議論になつたのでございますが、この親の法案である二法案が保守三派の協定に基いて出るときからのいきさつから私新聞或いは人から承知するところによりますと、未定稿を参議院に提出したことについて改進党から木村長官に対してその撤回方を要求されたということを承知しておるのでありますが、そういうことがありましたかありませんでしたか。
〔委員長退席、理事長竹下豐次君着席]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/25
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026・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私に対して直接ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/26
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027・矢嶋三義
○矢嶋三義君 まだありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/27
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028・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 今の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは改進党から政府に対してそういう申入があつたということを私は承つているのでございますが、その点如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/29
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030・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私はまだ聞き及んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/30
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031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 保安庁案というものの性質をちよつと伺いたいのです。それは保安庁としては自衛隊ができた場合にこういう国防会議を構成することが専門的に言つて一番防衛上よろしいのだと、そういう意味ですね。保安庁の最終案ということはこの三を作つた場合、保安庁としてはこういう構成で行くことが一番防衛上正しいのである、こういう構成以外では防衛はうまく行かないと、そういう意味での保安庁の専門的立場における最終案、こういう意味でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/31
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032・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これが最も妥当なりと考えてした案であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/32
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033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、今私が申上げたこと、やはり妥当という中にはそういうことが含まれているわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/33
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034・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) あなたの仰せになることは問題といたしまして、我々が考えておる最も妥当なるものと思料しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/34
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035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その妥当ということがもつと正確に、具体的にはこういう構成以外では防衛を任務とする保安庁の立場としてはこういう国防会議の構成以外ではそれが妥当でなくなると、こういう立場にあることを意味するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/35
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036・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) さようではありません。いろいろの案がありましよう。いろいろの案がありまするが、保安庁といたしましてはこれが最も適切なる案と、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは保安庁長官がここで承知していないとあらば私教えますが、改進党のほうからは正式に政府与党に対して遺憾の意を表明され、その撤回方を要求されているわけです。その理由は、保守三派折衝当時の申合せと違うという点にあるわけでありますが、それではあなたのほうでは保安庁としてはこれがベストのものであると、こういうふうに信じて決定されたと、而も今後これが閣議決定になるように努力するという意味のことを発言されているわけでありますが、これを信念としてこの要綱で押切つて、そして法律として成文化し後日国会に出すと、こういうお考の下に少くとも保安庁長官においてはこれを本委員会に出された、こういうように了承してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/37
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038・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 保安庁長官としてはこの案が妥当、であると考えてきめたわけであります。従いまして将来においてこの案が我々といたしましては法律として成立を期待するわけでありまするが、これは保安庁長官だけでは行くものでないということは御承知の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ではこの保安庁案なるものを提出するに当つて他の閣僚或いは与党の然るべき人と打合して出されたのですか。それとも保安庁長官の責任で保安庁案を他とは一切交渉を持たずに出されたものでありますか。その点伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/39
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040・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 保安庁で作つた案であります。与党とは関係ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/40
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041・山下義信
○山下義信君 今矢嶋君の質問されました点について私も伺いたいと思つておりました。これは保安庁の案がきまりますればいずれ閣議に御相談になると思いますが、どう閣議がお扱いになるかは別といたしまして、閣議に御相談に相成る御予定でございましようか、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/41
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042・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 無論これは御承知の通り今三党折衝中であります。それらの案と睨合せて閣議でこの案を十分検討されることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/42
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043・山下義信
○山下義信君 法制局長官はこの保安庁案の大体の骨組について何らか御相談にあずかられましたか、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/43
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044・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これは主として法律問題ではございませんので深く御相談を受けたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/44
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045・八木幸吉
○八木幸吉君 国防会議の構成等を伺うということは防衛二法案を審議する上において必要である、こういう当委員会の御見解によつて昨日未定稿ではあるが保安庁から国防会議の構成に関する件と題して資料をお出上になつたことに対してはこれを多とするものであります。同時に未定稿では審議の過程において参考にならん、こういう当委員会の御見解によりまして更に保安庁内部の意見をおまとめ頂いて本日ここに保安庁の最終決定案が出されたことにつきましても、私は木村長官の御努力に対して多とするものであります。併しながら当委員会といたしましては、この保安庁案に対して政府全体としてどれだけこれに対して、責任を持つか、又三党折衝等のこともありますから、この保安庁案が将来変更される虞れがあるといつたことにつきまして、政府当局としての見解をこの際伺うということがこれの審議に入る一番の前提ではないか。かように私は考えますので、至急に委員長のお取計らいによつて総理大臣の代理としての副総理の御出席を求めて本案に対する政府の見解をこの機会に伺いたい。かように存じまして、そのようなお取計らいを至急に取るように委員長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/45
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046・竹下豐次
○理事(竹下豐次君) お答えいたします。今小酒井委員長が八木委員の御希望を満たすために副総理に面会に行つておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/46
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047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は資料がまだどうも不十分であると思う。ただこれは国防会議の構成だけについて資料をお出しになつておるのですけれども、国防会議の設置についてこれが法律案として出すときは法律の目的というものが書かれなければならないですね。会議の目的というものがはつきりしておらない。法律案を出す場合はその目的、構成というものが出ておらなければならない。すでに政令に譲るという点については、政令の大体の構想は資料として出て来ておるが、政令よりもつと大切な法律案についてその構想を出す場合にはただ構成だけでなく、その目的についてもやはりはつきり資料を出して頂きたいと思う。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/47
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048・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 目的につきましては防衛庁設置法案の第四十二条に明白に規定してあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/48
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049・木村禧八郎
○木村禧八郎君 四十二条に国防会議の目的がはつきり出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/49
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050・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 国防の基本方針、防衛計画の大綱、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱・防衛出動の可否、その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項、これらについて審議する機関であることは明瞭であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/50
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051・木村禧八郎
○木村禧八郎君 審議する機関であつても、その機関は何を目的として審議するか、これは一番重要じやないですか。国防会議については例えば政治が軍事を抑制するのが目的なのか又総理大臣の権限が余り強過ぎるからそれに対してのこれを調整するということが目的なのか、そういうようなことが国防会議としては一番重要な点じやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/51
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052・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今のと関連でありますが、事務局等についても如何ようにするのか、そういう点についても何もないわけですね。
それからその他の人を出席させる云々となつておりますが、それらを如何ようにして出席させるのか。これは外国の例を見てもそう勝手にこういう会議には出席させていないようなんです。本当にこれは構成の一部を大ざつぱに書いただけであつて、これでは極めて不十分だと思います。木村委員の質問と併せて御答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/52
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053・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 目的的は今申上げました通り、防衛庁設置法案四十二条に明らかであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/53
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054・木村禧八郎
○木村禧八郎君 目的じやない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/54
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055・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 目的です。これを審議するのだからこれが目的であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/55
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056・八木幸吉
○八木幸吉君 副総理の御出席になる前にその時間を利用いたしまして内容について伺いたいと思ます。三の「統合幕僚会議議長その他の関係者を」云々とこう書いてございますが、その他の関係者というのは政府部内のかただけを意味するものでありますか、或いは民間の人もこれに出席させるという意味を包含いたしておるものでありますか。その点の含みをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/56
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057・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは民間人をも含んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/57
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058・矢嶋三義
○矢嶋三義君 議事進行について。私はさつき質問を始めたのですが、私は未定稿案と保安庁案の相違点だけ一応承わつて、そうして保安庁案の性格を一応確かめて、そののちに態度をきめたいと思つて始めたわけです。それで大体未定稿案と保安庁案の相違の点を一応字句上承わつたのです。ただ残つておるのは会議の、一方は事務となつており、一方は庶務となつておりますが、それはどういう相違があるのか、それを聞けば一応字句上の相違点は確かめ得たと思うのです。それと先ほどの質問で、保安庁案の持つ権威というものについてはその性格もわかつたわけですから、私はそれだけを承わつたらあとは当初から要望されておりますように、副総理が来られるまで質問はいたしませんので、私としては先ず字句上の庶務と事務の活字が変つた理由だけ説明して頂いて、そうして私の質問は副総理が来るまで暫らく中止いたします。それだけお答えして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/58
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059・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 庶務も事務も別に根本的には変りはありません。ただ庶務のほうは少し範囲が広いのじやないかと考えております。根本的には差異はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/59
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060・木村禧八郎
○木村禧八郎君 法制局長官に伺いたいのですが、この国防会議については別途法律案を作るのでしようが、法律案を作るときには目的、任務というものが出て来るのですが、さつき保安庁長官が言われたのは任務ですね、「はからなければならない」そういうことは仕事ですよ、目的というのは、何のために国防会議を設置するかということが目的でしよう、その点について伺いたい。
〔理事竹下豐次君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/60
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061・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 目的は先ほど保安庁長官も触れられましたが、本法の四十二条に国防に関する重要事項を審議する機関としてという趣旨も出出ておりますし、かたがた各号の列挙もございますからして、これで一応法律の形としては尽きておるので、この別の法案のほうに更に繰返す法律上の必要はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/61
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062・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さつき言われた四十二条の二項ですが、これは任務じやないですか、仕事の内容じやないですか。それで経過も御承知のように、国防会議については何のために国防会議を設置するかということはこれではわからないわけですよ。これは公聴会でも問題になつたのです。専門家の間で何のために国防会議を設けるかということはこれではわからないのですよ。これでわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/62
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063・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 私は法律の形の面から法律的にお答えいたしておるのでありまして、これで十分だと考えております。他は提案理由の説明にも表われて来るし、或いは法律が出たのちに又解説として出て来る。これが普通の法律について見られるところであります。法律そのものの形はこれで十分ではあるまいかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/63
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064・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/64
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065・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。暫時休憩いたします。
午前十一時十七分休憩
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午後零時二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/65
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066・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より委員会を再開いたします。
この際私より緒方国務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、本日当委員会は保安庁長官より国防会議に関する保安庁の確定案を提出されたのでありますか、この案に対して政府としてはどのようにお考えになつておるのか、政府を代表して緒方国務大臣より確たる御所見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/66
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067・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 政府といたしましてはこの保安庁の確定案を政府の公式の案としますにつきましては、政治的な関係で三党折衝というものと閣議の必要があるのでありまするが、この保安庁案を私、見ましたところ国防会議の考え方としてはこれで結構である。従いまして三党折衝を通しましてこの実現に全幅の努力を払いましてこれを政府公式の案にしたい所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/67
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068・矢嶋三義
○矢嶋三義君 副総理に伺いますが、副総理は政府を代表して只今ここに出されておる保安庁案は最上のものであり、これ々閣議決定とする見通しである、こういう意味のことを発言されておりますが、そう了承してよろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/68
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069・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今申上げましたように閣議決定前に三党折衝を必要といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/69
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070・矢嶋三義
○矢嶋三義君 では只今のあなたの発言はこれを信用してこれを前提に我々に二法案を審議してもらいたいという意味において発言されておりますが、三党折衝の経過から言つてこの保安庁案でなくて、この前に出された未定稿案について改進党から政府与党に対して不満の意を表明し、その撤回かたを要求されたと聞いておるのでありますが、それは如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/70
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071・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その間の経過につきましては詳細には聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/71
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072・山下義信
○山下義信君 只今政府を代表されて副総理から保安庁案に対する所信の御説明を承わりまして、大変何と申しますか重要な御答弁を頂いたのであります。卒直に申上げまして大変うまい御答弁をなされたのでありますが、私は副総理を御信頼申上げたいと思う。政府はこの保安庁案の実現に努力する、この案で結構だと考えているという正式の御発表があつたわけです。なお念のために伺いますが、その政府のお考えの通りに結論をお出し下さることは、本参議院におきまして防衛二法案の審議中にできるだけ結論を出して頂けましようかどうでしようか、そのお見通しを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/72
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073・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その点は三党折衝がありまするので今確約申上げることはできませんけれども、できるだけ成案を急ぐように努力をして行く考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/73
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074・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この法律案が提案されてすでに数カ月経過しておるのでありますが、未だに政府として責任あるところの要綱すら出ないということについては政府の責任きわめて重大だと思うのでありますが、我々三法案を審議するに当つて非常に支障を来します。必ず近日中に少くとも政府の責任あるところの要綱を出して頂きたい。それから本法律案を討論採決する段階までに法律案として国会に出して頂きたいことを強く私は要望いたしますが、さようにこちらは期待してよろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/74
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075・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 従来三党折衝の経過を今まで振返つて考えまするとかなり時間を要したのでありまするが、只今矢嶋委員のお述べになりましたことは誠に御尤もなことでありまするので、政府といたしましてはできるだけの努力をいたして御期待に副いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/75
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076・八木幸吉
○八木幸吉君 副総理に申上げたいのですが、この防衛二法案の一体根本的の目的は何だ、こういえばこれは外敵の侵入防ぐ、若しくは防ぐ体制を持つておつて我が国を戦争の惨禍から防止したい、これがこの二法案の根本的の目的ではないかと私は思うのですが、そこでさて内部に入りまして部隊の編成や或いはその運営は最も能率的でなければならん。戦争になればその行動は果敢であり且つ非常に明確な行動の方式をとらねばならんということはこれは勿論でありますが、一番大きなポイントは何かといえば、戦争をするかしないか、防衛出動をするかしないか、これが問題の根本でありまして、仮に国会の開会中であつても緊急の場合には総理大臣が防衛出動を命ずる、然る後に国会の事後承認を求める。国会の開会中でもさようでございますから、いわんや閉会中におきましては先ず総理大臣が出動命令を発して、然る後に国会の事後承認を求める。こういうことになつておりまして、規定それ自身としてはそこに何らの無理がないわけでありますけれども、一旦戦端を開きましたらたとえそれが国会の意思に反してもほこを収めるということはなかなか事実問題として私はむずかしい、そう考えてみまするときに、どうしてもこれは防衛出動をするかしないか、戦争を始めるか始めないかという最初の点が最も重要な我が国家の運命を決する重大問題でありますから、ここに提案されておるような閣僚懇談会の変形のような国防会議の構成で防衛出動の諮問に応ずるというような簡単なものでなしに、国家の運命を決するかぎを握るのが国防会議でありますから、その意味でもつと重要な構成、非常な国会にも代るべき重き任務を持つという重要な構成という意味合を持つて、至急にこの国防会議の構成メンバーなり運営方法をお考え下さつて、そうしてこれを一日も早く国会に御提出を下さることがこの両法案の審議の上に緊急欠くべからざるものであると私は思うのです。でありますからその戦争の出発点を持つという意味をこの国防会議が持つているという点をお考え下さつて、成案をお作り下さらんことをお願いするのですが、この点に対する副総理の御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/76
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077・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今お述べになりましたように、この防衛出動という国として重大なことをきめるにつきましては十分に見通しというものをはつきりするということが大切でありまするが、同時に国といたしましては責任の所在をはつきりしておく必要がありますので、政府といたしましては今お示し申しておるような防衛庁の確定案、これが最善のものと信じて防衛庁できめた次第であります。政府自体の考えは先ほど申上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/77
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078・山下義信
○山下義信君 八木委員の質問に関連して私は確かめておきたい。八木委員はこれは率直に申上げてこれは改進党の御主張をお述べになつたと思う。国防会議を非常に重大な最高位の議決機関とまでお考えの要望があつた、そこにいわゆる軍事専門家を入れて、そして今申したような防衛出動の可否までもそこで決するような重要機関としたいということは改進党の御主張であることは当然である。併し私たちは政治優先という立場からあくまで文民優越主義をとらなければならないし、又一面においては毅然として内閣責任制というものを確立しなければ民主主義政治に私は重大なる影響があると考える。この政治優先という立場、内閣責任制という立場を保持することについては、これは現政府は、緒方副総理は衆議院の本会議において国の運命を賭してでも守るのだということを国防会議に関連する諸質問を通じてお答えになつておるのであります。私どもはこの国防会議の性格は内閣以上の権威のあるような、内閣に代るごときそういう権威のあるもので、而も無責任になつて国会に対して何ら責任を持たないと言つたような性格のものではなくして、あくまでもこれは総理大臣の補佐機関である、一つのブレーンであるという立場を私は基本的に持つものであると考える。而も昨日来木村保安庁長官の御答弁はそういう性格のものである、そうありたいということをはつきり申されたのであります。この際政府の基本的態度を一つ承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/78
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079・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今山下委員のお述べになりました通り政府は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/79
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080・八木幸吉
○八木幸吉君 今山下委員から私の発言の国防会議の中に軍事専門家を入れる気持であろうといつたような御発言がありましたので、その点についての私の意見を申述べて誤解を解くことにいたしたいと思います。
私は私の試案によれば、国防会議の構成メンバーというものは関係各閣僚、両院議長、内閣総理大臣の前歴を有する者、こういつたような資格の条件がはつきりきまつたものであつて、単に学識経験のある者といつたような抽象的の表現で政府によつて人を左右することができるというようなものであつてはならん。なぜさような構成メンバーで国防会議を作るのがいいかといえば、只今山下委員もお述べになりましたが、政治が軍事に優先する、内閣総理大臣が非常に間違つた独断専行をやることを防ぐ、我が国の全知全能を集めて国家の重大事を決する。こういう意味で国防会議の構成員というものは極めて経験の広い且つ視野の広い人を以て構成する。そうして総理大臣の最高指揮監督権を濫用せんようにこれをチエツクする。こういう意味での私は構想を申上げて政府の所信を伺つたわけでありまして、多少今山下議員の御発言は私の考えておることと違うように思いますので、それを明らかにするために申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この保安庁案の性格について私はまだ副総理に伺いたいと思うのです。それは先ほど木村長官の答弁によりますと、関係者の出席の項で民間人が入る含みもあるのだ、こういうような答弁をされておるのでありますが、問題は他の委員からも出ておりますように、民間人を入れるのか入れないのか。苦し民間人を入れる場合にそれには旧軍人を含むのか含まないのか、或いは事務局というものを持つのか持たないのか、持つとするならばその構成はどうするのか、それは要綱の中にもありますが、防衛庁の中におくのか総理府におくのか。そういう点が確定しなければ我々は審議するに当つて要綱としての価値はないのであります。そこでその点について副総理は現在どういうふうにお考えになつておるのか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/81
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082・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) いわゆる民間人は私から申すまでもなく構成員にはなつておりません。ただ保安庁長官からお答えいたしましたのは必要の場合に、総理大臣が必要と感じた場合に意見を徴する意味で民間人を呼ぶこともあり得るという意味のことをお答えいたしたのだろうと考えます。その考え方につきましては政府としても異存ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで私伺いたいのは、ではこれを政府は最良の案であるという信念の下に保守三派折衝をやる、そうしてこれが保守三派としてまとまるという通しを持つておるから、これを前提に二法案を審議してほしい、こういう立場で副総理はおいでになつていらつしやいますんでしようか、どうですか。その点たしかめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/83
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084・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは巷間伝えられておるところによりますと、この要綱については改進党と政府与党とは相当対立しておるというような説もあるのでありますが、政府としては信念を持つてこの案で押切つて行くと、こういう決意を持つておられると、私はこういうふうに今の答弁をとつたわけですが、さよう了承してよろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/85
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086・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 私先ほど来政府が公式な案として取上げるまでには、三派の折衝を要すると申しましたことは、これは申すまでもなく政府だけで決定ができない。俗に言いますれば相手方のあることでありまするので、それを押切つて行く決意があるかどうかということを言われてもお答えいたしかねるのでありますけれども、政府としてはこの案を最善の案と信じておりますだけに、三派に対してできるだけの全幅の努力を払いましてこの案を成立させたいという希望を持つております。併し押切つて行くということは現在のところお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二、三点お伺いさせて頂きます。結局私が問題にしているのは、一番問題点は、軍に政治を支配させてはならない、そういう事態が起つてはならないという立場から、問題が大きいので我々この問題を追及しておるわけでありますが、副総理がお出でになりましたので、一、二お伺いしますが、副総理は、防衛庁長官に旧軍人がなれるものと考えておられますか、それともなれないものとお考えになつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/87
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088・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 防衛庁長官は、今の政府の案では国務大臣が兼ねることになつておりまして、国務大臣には軍人はしない、したくないというつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点私どうしても明確にして頂かないと、この国防会議に対する論が進められないので承わつておくのでありますが、木村長官もあなたと同じような見解を述べるし、それから法制局長官は、軍国主義に徹した人でなければ、必ずしも国務大臣になれないことはないと、こういう意味の発言をされているわけですが、私根拠を持つて伺いますが、保安庁法の十六条に、「長官、次長、官房長、局長及び課長は、三等保安士以上の保安官又は三等警備士以上の警備官の経歴のない者のうちから任用するものとする。」とこういう制限があつたのがこのたびは撤廃されたわけですね。この保安庁法を審議したときにはこれと併立的に旧軍人はなれないというのがあつたはずですね。ところがその旧軍人はなれないというのを落してこういうことになつたわけですね。従つて、そのいきさつからいつて私は旧軍人が課長、局長、官房長、次長、こういうところになつていいようになつているのじやないかと、こういうように私は考えるのでありますが、その点一つお答え願いたいと思います。それを文民優先との関連で伺いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/89
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090・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 仰せのように、最初の何といいますか試案には、課長、局長等に旧正規軍人、それと保安官、警備官という者の中からは任用しないというふうなのがありましたが、途中で変更しまして現在の法律のようになつているわけであります。従いまして、現在の保安庁法によりますれば、いわゆる旧正規軍人が課長、局長等になることは、法律上差支えございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで緒方副総理の本会議にも答弁され、本日も答弁されておる文民優先は危いのです。現在保安庁長官が答弁される通りになつておるのを更に今度制服制限を撤廃いたしました。そうしてこの国防会議案を見ますと確定案ではないけれども、その他の関係者を出席させそとなつておりますが、この出席者は未定稿のときもそうでありましたが、殆んど制服関係だけですね。幕僚長、統合幕僚会議の議長、これに対して制服を禁じた部局の官房長、五局長、こういうかたが出席すれば釣合がとれますが、案では国防会議には外務大臣、大蔵大臣、通商産業大臣、経済審議庁長官、こういうかたがたは別として他は全部旧軍人又は制服、こういうかたが出席して発言されることになつておるわけです。従つてこれで果して軍事の政治支配という心配が起らないかどうかという点について私は相当問題があると思う。ましてやこの国防会議に、まだ決定してないそうですが、八木委員の申されたような文民、民間人或いは官界人が入るということについては、これは私は多く申上げませんが、一部に伝えられるような民間人として旧軍人の若干が入るということになると相当私は問題があるのじやないか、こう考えるのでありますが、御見解を承わつておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/91
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092・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは私が答えることが適当であろうと思いますから申上げます。国防会議の構成員は、副総理たる国務大臣、防衛庁長官、外務大臣、大蔵大臣、通商産業大臣、経済審議庁長官、これだけであります。従つて今お説のような制服を着た者は構成員ではありません。ただ関係者の出席のときに内閣総理大臣が必要と認めたときにはそれは制服の者も列席させることができるわけです。而してここに必要があるときは統合幕僚会議議長その他の関係者と申しますると、その他の関係者の中には御承知の通り構成員てありまする大臣のもとに幕僚を勤めておりまする各省次官その他をしてこの会議に意見を述べさせることがあるものと我々は了承しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 木村長官がそう言われるなら私は重ねて伺いますが、あなたの試案として出された第三項に「陸上、海上及び航空の各幕僚長その他の関係者」とこう書いてありますが、あなたがその内局を尊重する考えがあるならなぜそこに並べて参事官云々というような言葉を入れられないのですか。それを入れられてないところにこの国防会議というものが文を抑えてその構成の主要なものが制服で占められる、こういう危険がある。あなたの考え方にそういう根底があるところに危険性がある。こういうふうに私は指摘しておる。当然ここに陸上、海上、航空各幕僚長とあれば、それと対等の関係にあるところの官房長だとか五局、いわゆる八人の参事官というものを列記されなければならんと思うのですが、それは対等に考えられておられるかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/93
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094・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 関係者の出席という項目を御覧下されば極めて明瞭であります。「内閣総理大臣は、必要があるときは統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができるものとすること。」このその他のものの中には今あなたの仰せのような官房長は勿論のこと、我々のほうの省におきまする次長その他必要な参事官は意見を述べさせることができることを了承されてよかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/94
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095・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで私は副総理がおいでになる前にあなたに伺つたのでありますが、昨日の未定稿とこの保安庁案と比べると、米英式のように軍人の出席を幾らかセーヴした、それにブレーキをかけたというような感じがこの活字からとれましたので、あなたにそうですかということを尋ねたところがそういうような答弁はなかつたわけです。少くともここに出された案から言えばその傾向は強いと思うのです。
もう一点伺いますが、昨日の山下委員の質問のときには、国防会議に出されるところの議案等の作業、提出はどこでするのかという質問に対して、防衛庁のほうで世話をするだろうとこういう答弁でありましたが、私はこの国防会議ができた場合の事務局というものは極めて重大だと思うのです。予算書を見ると、統合幕僚会議については事務局があり予算があるわけです。ところが国防会議については私の予算書を見たところではこの予算というものは出ておりません。従つて事務局はどのようになるのか。私は予算書とこの要綱ではわからないのでありますが、この案を作る場合に具体的に言つて例えば専門員というようなものがあつて、そして制服関係の人も入る、又大蔵とか或いは通産とか、そういう方面に識見豊かなかたも入つて、そういう専門員みたいな人が事務局を構成して、そうして一つの案を作つて審議の対象とすると、こういう形になれば私はよろしいと思うのでありますが、この案で考えますと、結局陸上、海上、航空、それぞれの幕僚長と幕僚会議の議長、こういうかたがたが話合つたものが案として出て来る可能性が強い。これにブレーキをかけるところの官房五局の力というものは弱い。その上官房五局に或る程度の発言権を与えても制服の就任制限を撤廃していますので、非常に日本の国政全般からの調整というものがうまく行かなくなる。そこに軍人優先、政治支配という形態が出て来る虞れが多分にあると私はこう考えるのですが、その点如何になつておりますか、事務局の構成等に関連して伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/95
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096・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 御承知のように事務局等のことがきまりませんので、法律はお手元に差出したようなことに相成つておるわけであります。従いまして予算にもこの関係の経費は費目としては上つておりません。併し一応予想されまするところではそう多額な経費が要るようなことでもありませんので、これは適当に現在の経費のうちでそれぞれの経費のうちから賄うということも可能であるというふうに考えておるわけであります。事務をとる所というものは、何と言いまするか、まだ法律がきまつておらんのでありますけれども、一応の見通しとして大きい事務局を設け、そこでいわゆる議案を作るということは大体において予想されておりませんで、会議にかかりますような重要事項、国防の基本方針なり、防衛計画の大綱なり、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱というふうなものは、構成メンバーであります各省大臣或いは国防大臣のそれぞれ関係をするところであり、その他にも関係があるところであります。これはやはり素案を作る場合にもそうした関係の各省が集まりまして素案を作るということになると一応想定をされます。もとより防衛庁の者も参画をするということになると思いますが、防衛庁だけでやるという建前のものではない。これが国防会議の構成員としても重要な他の各省域或いは国務大臣が入つておるゆえんでございまして、特に保安庁或いは防衛庁における制服である各幕僚長等のみがこの議案を作るというふうな趣旨は毛頭ございません。そして制服の幕僚長等が作りますものは、やはり防衛の計画、専門的なと言いまするか、技術的なと言いまするか、そういうふうな計画をこれは統合幕僚会議においても作る、各陸上、海上、航空の幕僚長がそれぞれのスタッフを使いまして作るわけであります。そういうものがやはり国防会議においても一つの題材としては審議をされるということはあるのでありますけれども、国防会議の取上げます国防の基本方針、防衛計画の大綱、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱というふうなものは、国家の基本に関しまする重要問題であります。そうしたいわゆる制服の幕寮長がそうしたものについての議案を皆作るというふうな建前のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/96
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097・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今の答弁ですね。このどの諮問委員会にしても事務局というものが構成されております。そしてその際に非常に大きな役割を演ずるのは、やはりまあいわば専門員ですね、どういう専門員で構成するかというところに非常に私はポイントがあると思うのでありますが、今の答弁では、事務局の構成については具体的なお考えを持つていらつしやらないように答弁がとれましたが、重ねてその点だけ一つ御答弁願いたいと思います。先ほど私が申上げたような専門員制度のようなものを布く考えはないのかどうか、それがないと私は実際の国防会会議の運営というものはうまくいかないと非常に心配される面があると考えるのですが、重ねてそれだけ伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/97
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098・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 只今申上げたところに尽きておるかと思うのでありますが、この国防会議にかかりまする重要案件というものは、国防の基本方針というふうなものになりますると、もとより防衛庁もこれに関係をいたしまするが、各省としましてもそれぞれの所管の範囲においてこういう問題には必ず触れて参ります。防衛計画の大綱、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱にいたしましてもそうでございまして、これは各省においてそれぞれ各省の立場はありましても、こうしたものについているく大小計画を持たなければならんのでありまして、そういうものが集まりまして素案というふうなものを作るという形になるべきものであろう。この事務局というようなところにそうしたいわゆる専門員を置いて、それのみによつて素案、議案を作るという場合には、この国防会議というふうな基本的な、そして各省のそれぞれの本来扱うべき重要事項に関連をするものについては、やはり各省が集つて素案を作るというふうなことになるべきものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/98
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099・山下義信
○山下義信君 私は国防会議に関する内容については、これは本審議に入りまして伺いたいと思う。本日は政府の提出される資料についてそれをそのまま受取るかどうかということを私は確めたい。その趣旨で一、二関連して質問申上げたのでありますが、私の質問の番が参りましたから二つほど大局的に副総理もお出ましですから伺いたいと思う。それでお出し下さつた保安庁案の今回変つた点は、副総理がレギュラー・メンバーになると、こういうことになつたのです。それでこれは重要閣僚であるという意味もありましようけれども、これは総理大臣の代行をする副総理という立場でお入りになつたのであろうかどうであろうかということですね。従いまして国防会議の議長事故あるときはこの会議員である中で、副総理が議長の代行をなさるであろうかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/99
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100・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これは只今お言葉にございましたように両方の意味で入つております。従いまして議長たる総理大臣がちよつと中座をなさるとかいろいろな事故の場合には又この副総理である国務大臣が議長の職務を代行されるという場面も出て来ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/100
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101・山下義信
○山下義信君 それで私が関連して伺いたいと思いますことは、内閣総理大臣が防衛関係の自衛隊の最高指揮官であり、防衛庁の最高指揮監督者でありという立場、その立場を副総理は代行される場合があり得るかどうかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/101
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102・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これは会議の議長という面とは別の、むしろ根本の総理大臣の地位の問題になりますからして、これは内閣法の第九条の関係で出て来るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/102
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103・山下義信
○山下義信君 私は内閣法の第九条から単に副総理が自衛隊の最高指揮官とは私はなれんと思う。内閣総理大臣という行政部の最高の立場の総理大臣の職務の代行はできるが、この防衛二法案で与えた内閣総理大臣の最高指揮官という立場は、内閣総理大臣そのものに与えた立場であつて、内閣の首班者そのものに当然附随する私は権限ではないかと思う。従つて内閣の首班者を当然代行する副総理が直ちに自衛隊の最高指揮官を私は代つて取り得るんだとは解釈できないと思うのでありますが、この点は政府の御見解はどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/103
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104・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これはお言葉でありますけれども、今の最高の指揮者としての総理大臣、これもやはり内閣の長たる総理大臣には違いございませんので、その関係では万一の事故があつた場合ということを想定いたしますと、やはり内閣法の第九条が働いて来るように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/104
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105・山下義信
○山下義信君 そうすると政府の見解では総理大臣の事故あるときには当然副総理が自衛隊最高指揮官に自動的になり得るものと解釈してよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/105
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106・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/106
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107・山下義信
○山下義信君 いま一つは、政治的な問題で私副総理に伺いたいのでありますが、私は政治が軍事に優先するという立場——、民主政治の基本的な態度としてこれはもう当然のことでありますが、政治の優先ということと政党の優先ということとは違うと思いますが、如何でございましようか。それは政党政治の建前でありますから、その面におきましては不可分と言いますか同一と言い得られましようけれども、政治が優先ということと政党の優先ということとは違うと思う。私は三派が折衝されましてできるだけよい案をお作りになるということの御努力には敬意を表します、反対党でありましても。併しこの三派の折衝、妥協が主になつて基本的な国策の防衛の組織その他の綱領が歪曲せられて、御都合主義によつて妥協によつて首尾一貫せざるようなもののができ上るということは、これは政治の優先の問題よりもむしろこの重要問題に政党の立場を先に見るようなことになりまして、私は甚だ憂慮に堪えんと存じまするが、その辺に対しての政府の御配慮は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/107
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108・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 大体お述べの通りでありまするが、三党折衝の仮に妥結案が出たといたしまして、責任者でありまする政府がそれを取上げるのには限界があると考えます。でありまするが、この政治の運行を円満にする意味において且つ又この問題の初めから三党折衝によつて成案を得る努力が払われて参りましたので、三党折衝に先ず成果を待つという態度をとつておるのでありますけれども、どこまでも責任は政府にあるのでありまするから、やはり行政上の責任は政府が持つておるのでありまするから、政府独自の見識によつてこの三党成案を尊重してどうとるかということは政府がみずから責任を持つてきめることであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/108
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109・山下義信
○山下義信君 いま一つ私が政府に伺いたいことは、伺いたいというよりはむしろ私は副総理にお願いをしたいと思う。私は事の真相は存じません、併しながら巷間伝うるところによりますると、今回の制服の制限を撤廃いたしたこと、この制服の制限の問題と旧軍人の問題とは別個のものであると私は理解いたしておりまするが、今その制服の制限を撤廃いたしましたことにつきましても、或いは又別に、旧軍人と言いますか軍事能力家を重用せよというような主張の問題等からいたしまして、或いは防衛庁内にも今日の保安庁内にも或いはこれらの国防会議の設置の主張の裏にも、いわゆる旧軍人グループと言いますかそういうような一部の勢力者の強い動きがありまして、或いは保安庁内が二派に別れ、或いはそういう人たちの強い要望が或る種の政党を動かし、或いは政治優越を主張する文民、文官優越主義を堅持しようとする、何と申しますか巷間では文官派と言つておりまするが、そういつた人たちの主張が渦を巻き、それを又或る種の政党が支持し、次第に我が国の国防組織の中に政党色なり或いは旧軍人グループの動きが渦を巻くというような状態が、ここに国防会議の要綱の決定に当りましてもあるのではないか。政治的に議論するのは私はよろしいと思う。併しながらこの自衛隊組織の中に、防衛庁組織の中に渦が巻くということに至りましては、私は非常に将来のために憂慮に堪えない。そういう弊害は早く若芽の間につみ取つてしまわなければならんということを私は考えるのであります。意見を多く述べません。我々が今回防衛二法案の審議に当りまして、この国防会議に関する政府の定見と申しますかこの資料を要求いたしましたゆえんのものは、法律案審議に必要な当然の要求であることは勿論でありまするが、私はこの国防会議の問題の背後に旧軍人グループの暗躍かあることを承知いたしてお、するために、私は国会が健全なる存在の立場におきましてできるだけ未然に防止したいというのが私どの心中に持つておりまする考えであると思います。でありまするから、私はこれらの諸問題につきまして、政党と申しまするか或いは旧軍人のグループと言いますか、そういう一つの渦が防衛庁内或いは自衛隊内に漸次波紋が波及しないようにいたさなければならんということを考えておるものでございまするが、この際私は政府の所信と申しますか副総理の御信念をここではつきりと承わつておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/109
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110・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 旧軍人の知識には今なお尊重に値するものがあるかも知れんと思つておりまするが、それが一つのグループになつて広い意味における政治的動きをする、それが今日の保安庁、将来の防衛庁内におきましても派閥の形になつて現われるというようなことは、政府といたしましては徹底的に排除するつもりでおります。これが日本の旧軍の使命を誤まらしめた大きな原因がそこにあると考えておりまするだけに、非常な警戒を以て見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/110
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111・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/111
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112・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/112
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113・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私一点だけ副総理にお伺いいたしたいのです。それは今度新らしく出されました保安庁の最後案としての国防会議の構成の中に副総理が加えられたわけであります。先ほど副総理の御意見を伺いましと、この保安庁最後案を政府の案とし、勿論三派折衝を経て閣議決定を経、そうしてまあ成るべく今度の国会に間に合うように法律案化すると、そういうお話であつたのでありますが、この防衛二法案及びごの国防会議について、副総理が憲法との関係をどう考えられておるか。これは憲法九条が自衛実力を持つていいと認めて、或いは自衛実力の行動を是認していると、そういうお立場に立つてこの二法案及び国防会議、こういうものを政府が提案されるには、これは憲法が許しておるとお考えになつて副総理はこういうものを提案されておるのでありますか。この点一点だけ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/113
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114・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それは国の自衛権の発展といたしましてこういう自衛力に関する制度を設けるということは憲法に少しも違反していない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/114
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115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それならば伺いますが、副総理が昭和二十七年一月一日、これは朝日新聞であります。「新生日本の政治を語る」という座談会におきまして、副総理ははつきりとこう述べておられるのですね。「いまの憲法は明らかに自衛力を否定しているんだ。第九条の第二項で陸海空軍その他の戦力はこれを保持せず、国の交戦権はこれを認めず」とある。つまりこれは兵力および潜在兵力持つてはいかんということになつているのだと思う。」はつきりと副総理はこの座談会において今の憲法は明らかに自衛力を否定していると、こういうふうに述べておられるのです。更にですよ、更に進んで、この憲法に「あいまいな問題であるとすればそれをはつきりし、もし憲法違反の何か疑いがあれば当然憲法を改正すべき問題だと思う。憲法改正には非常な困難が伴うであろうということは予想されるが、それがために憲法をごまかしてはいかん。」ということをはつきりと述べておられるのです。そうしますと、このときの座談会におきましてははつきりと自衛力を憲法は否定しているのだと、こういうふうにお述べになつており、只今のお話を伺いますと、今度は副総理はこの国防会議のメンバーになるのでありますからこの副総理のお考えというものは非常に重要だと思います。前においては自衛力を否定する、憲法は否定しているのだとはつきりお述べになつて、今度は認めているのだ、そういう今のお御答弁であります。この点については非常に私は矛盾があると思うのです。只今はどういう御心境なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/115
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116・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 昭和二十一年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/116
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117・木村禧八郎
○木村禧八郎君 七年発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/117
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118・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 昭和二十一年頃私は新しい憲法の問題については議会の速記録等を見て了承しておつたに過ぎないのでありますが、そのときの議会の論議の中に自衛力を否定するということはたびたび言われておつたのであります。それをそのまま取上げて論議をしておつたのでありますが、私は今お読上げになつたのは、実際の問題として自衛力をそう解するのはそれは間違つていると思います。そのときの考えでは間違つておつたと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/118
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119・木村禧八郎
○木村禧八郎君 前にこの座談会でお述べになつたときに、副総理がお考えになつた自衛力というのは、自衛力は憲法が否定している。こういう考えは間違つておつたと、現在では自衛実力を憲法は認めているのだというふうにお考えがお変りになつたのだとそういうふうに了承していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/119
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120・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 当時のはそれは国会の速記録をそのまま私は述べていると思います。従つてそこに申しました言葉は今から考えまして間違つていると思います。私は国の憲法にはその国の自衛権を否定するような憲法はあり得ないと思います。自衛権は当然の固有の権利としてありまするし、従つて自衛力は国が持つのが当然であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/120
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121・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは只今の御答弁ではつきりはいたしましたが、併し朝日新聞はこれは緒方副総理も御関係になつておつたのでありますから十分御承知だと思いますが、非常に権威もありお言葉として掲げられている言葉は、それは国民に非常に大きなやはり私は影響を及ぼしていると思います。従つてこれは重要なことだと思います。前のお言葉をお取消しになつたような只今の御答弁ですが、私はこういう点は非常に問題だと思うのです。併しこれは今はつきりお取消しになつたような言葉ですからこれ以上私は追及いたしませんが、この影響は相当私は大きいと思うのです。他日これは又改めて問題といたしますが、ただ副総理が今度の国防会議のメンバーに当然おなりになるので、その重要なるメンバーになる副総理がこの非常に重要なる再軍備と憲法の関係についてそういう軽々な御判断を下したということについては非常に遺憾でありましたが、私はこれで私の質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/121
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122・岡田宗司
○岡田宗司君 私は副総理にお伺いしたいのですが、第四十二条には「内閣に、国防会議を置く。」こう書いてある。そうしてその構成を見ますと、保安庁案によれば副総理、防衛庁長官、外務大臣、大蔵大臣、通商産業大臣、経済審議庁長官となつており、全部閣僚で充てられている。そうして「関係者の出席」ということがございますが、これは先ほどからの御答弁によりますと、構成員ではなく内閣総理大臣が必要に応じてこれを喚ぶということになつている。従いましてこれは明らかに内閣の内部の機関、そうしてここで以て諮られました案というものはここで以て決定されてそのまま生きるのじやない。これはやはり閣議の決定を経なければならんかと思う。そういたしますと、この国防会議というものは明らかに内閣の内部のものだ。経済閣僚懇談会とその性質においては変らない。そういたしますと、こういうものは内閣の内部規程か何かで済む問題じやないかと思う。その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/122
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123・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 閣僚懇談会そのままとも思いませんが、これはどこまでも内閣に附属した審議機関で、やはりこの防衛力の出動というような重大な問題にはフォーカスを狭めて十分な検討をする必要がありまするので、こういう機関が必要である、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/123
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124・岡田宗司
○岡田宗司君 只今のお話ですと、やはり内閣の内部であるから経済閣僚懇談会とやや違うと言うけれども私はどうも同じように思う。例えば日本に大きな経済恐慌が起る、そうしてその処置をするのが緊急であり、而も非常に重大な方法をとらなければならん、そういう場合にやはりそれは経済関係の閣僚が集りまして、そうして重大な方針をきめてそれから閣議にかける、そうなつて来ればこれは国防会議と性質は同じじやないですか、どこに違う点があるか、それをはつきりして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/124
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125・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは、経済閣僚懇談会というものは、何か問題がありました場合に、経済関係の閣僚が文字通りの懇談をして問題処理の方法をきめるのでありますが、この国防会議のほうは常設の機関で、国防に関する問題を常に取上げてここで審議をいたす機関であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/125
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126・岡田宗司
○岡田宗司君 国防会議或いは又アメリカあたりの国家安全保障会議というようなものは、これは非常に重大な国防の問題、或いは戦争の問題を決定するところになると思うのであります。そうしてこういうようなものは、内閣の閣僚以外の者を含めてあるからこそ又別に設けられる意義がある。恐らく他の国においてこういうものが設けられるのは閣僚以外の者を含めるからであります。閣僚として内閣に列席のできない者を含めて、そうしてこれを置くからこそ意義がある、私はそう考えておるのでありますが、若しこの国防会議が非常に重大なものでありますならば、そうして単なる諮問機関でなくて而も重大なことを決定する機関であるといたしますならば、そういうようなものであるはずなんです。それを単に内閣に置くと、そうしてここに関係者の出席を求めるという程度では、これは内閣の閣内に置くもので重大な機関とは思えないのですが、これは重大な機関であるのかどうか、先ずそこからお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/126
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127・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 大体先ほどお答えしたことを繰返すようなことになりますが、ただ今構成員について閣僚以外の者がなければこういう特別の機関を設ける意味がないじやないかというお話でありましたが、私も世界中の例を知つているわけではありませんが、ここにアメリカの例は、構成員としてはやはり閣僚だけになつております。イギリスもそのようであります。これはやはり責任上閣僚がなるのが私は当然だと、政府はそういう考え方をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/127
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128・岡田宗司
○岡田宗司君 そこでお伺いいたしますが、これは内閣の内部に置かれる、そうして防衛出動の可否等も決定するわけでありますが、御承知のように今の日本の憲法の下においては戦争を放棄しておる、従つて宣戦布告等ということがあり得ないことになつておるわけでありますが、これは又従つて国会に承認を求めるということもないわけであります。そこで防衛出動の可否を決定するということは、これは非常に重大な問題になつて来るわけでありますが、この国防会議はそれを決定することになつて私は非常に重大なものであると思うのですが、この重大な国防会議を今度設置される、その設置されるのが今言われたように閣僚だけでやつて行くという考え方、而もその閣僚がことごとく憲法の規定に従いましていわゆる文民である、こういうことになつて参りますと、これは軍事に対する政治の優先ということだと思うのでありますが、この国防会議は構成メンバーの点から見て、そういうふうに軍事に対する政治の優先ということを規定した性格を持つものである、こう解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/128
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129・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) この国防会議でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/129
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130・岡田宗司
○岡田宗司君 この国防会議。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/130
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131・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは国防会議は内閣の下にありまする審議機関でありまして、最終の責任は内閣が持つております。而もその内閣は今日の民主主義の上に規定せられた内閣でありまして、政治が軍事に優位することは申すまでもなく、又運営につきましてもそういう信念を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/131
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132・岡田宗司
○岡田宗司君 私先ほど防衛出動の可否の問題についてそこから議論を進めて来たわけであります。これは非常に重大な問題だと思うのです。ここでこの問題が事実上決定されることになる、而もそのメンバーというのは全部これは憲法の規定によつて文民たる大臣であります。そしてこれが決定すると事実上の宣戦布告にもなるわけでありましようし、それから又事実上ここで軍事行動が命ぜられることになるわけであります。このことから見て、これは文民になつておる、つまり政治が軍事に優先しておることを物語つておる性格のものであると、こう解釈してもいいかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/132
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133・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/133
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134・岡田宗司
○岡田宗司君 そういたしますと、例えば次にお伺いしたいのは、改進党のほうからは国防会議というものを更に広げろと、そして単に内閣の閣僚だけでなくて、民間人、これには旧軍人も含むと思いますが、それを入れろという意見だつたと思う。それで若し今後折衝によりまして、その点で内閣の見解と異なつて或いはそういうようなことになつて、国防会議というものが単に内閣の閣僚だけで構成されるものではなくて、そういう人々も含むということになると、国防会議の性質も変つて来るし、又文民として規定されておる大臣以外の者で、旧軍人というような者が入つて来るということになると、これは又軍人が再び国防会議等において大きな発言権を持つことになるだろうという虞れがあると思うのですが、その点は若しそういうような国防会議ということになれば、軍人の発言権が増大して、軍人が国防を左右するというような道が開けるようになると思うのが、そういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/134
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135・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今日のように兵器の進歩が飛躍的な場合に、いわゆる旧軍人というものの知識経験がいつまで役に立つかどうかということもこれは一つの問題であろうと思いますが、その旧軍人である民間人、これを国防会議に入れるかどうか、入れろという議論が改進党方面にあるというお話であります。私も正確には知りませんが、そういうこともうわさとしては聞いております。でありますが、政府の信念としまして国防会議はやはり今保安庁案として御覧に入れておるこの案が最善のものと考えておりますだけに、三党折衝におきましても力を尽してこの案に妥結するように折衝いたしたい。十分に意見を尽さなければなりませんけれども、政府としてはこういう方向に是非妥協をお願いしたいと、そういう考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/135
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136・岡田宗司
○岡田宗司君 そういたしますと、政府のこの案ですね、まだ閣議で決定されておりませんが、少くとも保安庁案として決定され、そして副総理の支持をしておられますこの保安庁案なるものと、改進党の主張しております国防会議の構成メンバーを閣僚以外にも拡張するという案とは、国防会議の性質が根本的に違うと、こういうふうに私は考えるのですが、そういうふうに考えてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/136
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137・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 根本的に違うということは少し言い過ぎじやないかと思います。又同時に改進党の意見というものも正確に知つておりませんから、その点については批判を避けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/137
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138・岡田宗司
○岡田宗司君 これは内閣に置くとして構成は全部閣僚です。ところが改進党案なるものは、閣僚以外の者も構成メンバーにしておるのです。そうすると内閣の内部の機関ではなくなるのです。これは内閣と外にまたがる別個の機関になる、これは非常に性格上の違いが出て来るのですが、その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/138
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139・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 閣僚以外の者を入れても内閣に設置すれば内閣の機関であるということは言い得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/139
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140・岡田宗司
○岡田宗司君 次に関係者の問題ですが、この関係者の出席というのは、これは国防会議の参考人という意味でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/140
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141・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 参考人と申しまするか、それぞれ知識としては相当重要な知識を持つておる人たちになると思いますが、そういう意見を開陳させて国防会議の議案たるものの審議の参考資料等にすると、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/141
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142・岡田宗司
○岡田宗司君 ここでは統合幕僚会議議長だけははつきり書いてあるのですが、その他の関係者となつております。で、先ほど木村保安庁長官の説明ですと、民間人をも含める含みを持つておると、こういうことになつておりますが、この関係者なるものはふだんちやんと指名してそういう資格を与えて置くものか、或いは全く随時必要に応じて総理大臣が指名して、そしてこれに出席させるものか、その点はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/142
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143・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 我々の考えでは初めから関係者を特定しないつもりであります。随時総理大臣が然るべき者を呼んで意見を聞くわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/143
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144・岡田宗司
○岡田宗司君 そうするとこれはもう全くメンバーというものは閣僚だけに限る。そうしてこの関係者なるものはこれは全く随時呼ぶわけで不特定のものである。こういうふうにいたしますと、これは大分改進党の考えておりますところとは、殊に改進党の考えておる国防会議に民間人も列せしめるということと非常な食い違いになるのですが、この点について緒方副総理は改進党との間の話合を早急にまとめ得るという自信をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/144
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145・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 是非まとめるべく努力を尽したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/145
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146・岡田宗司
○岡田宗司君 まとめるというのは先ほど主張されておるように構成メンバーは閣僚だけにして、そして民間人の出席は不特定にしておいて、随時そういう線でまとめる。こういうふうに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/146
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147・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/147
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148・岡田宗司
○岡田宗司君 次に会議の事務局の点でございますが、これは内閣の内部に置かれる。そして先ほどからこれは外務のことも、財政のことも、経済のこともある。従つてそれぞれの関係大臣の下の事務当局がこれに参画する、こういうことになつております。そうするとこの国防会議の事務局の機構なるものはかなり広範な関係者を持つことになる。而もこれは防衛庁のほうから出る人も他の省から出る人も同一の立場でなければならん。そうすると、この国防会議の事務局の機構なるものは内閣、即ち総理府に置かるべきものである。こういうふうに考えられるのですが、前の案によりますと事務局はこれは防衛庁でやるとなつておる。今度は庶務は防衛庁でやる、こういうふうになつておりますが、この点は副総理はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/148
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149・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 先ほども御説明いたしましたが、この事務局というのは、事務局と言つてもいろいろ考え方はありましようが、普通事務局として考えられるような組織、機構は大体は想定しておりません。事務をやる、いわゆる庶務をやるということは防衛庁であることが適当であるというのでありまして、案を作るというふうないわゆる事務局、普通事務局でやると考えられるものは事柄の性質上関係各省の然るべき者が集つて会議、協議の形で作られなければできないような種類のものである。防衛庁もそうしたものの一員に加わつて、そうしてその仕事は庶務的なものとして防衛庁でこれを司るという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/149
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150・井野碩哉
○井野碩哉君 私は二つの問題について伺いたいと思いましたが、いま一つは岡田委員の御質問で大体の御意見はわかりましたので省略いたしまして、第二の問題は、構成の面で通商産業大臣が入つておりますが、なぜ農林大臣をお入れにならないかという問題であります。これは太平洋戦争が始まりました時、最高戦争指導会議というものがありまして、その時に最高戦争指導会議のメンバ治は文官大臣としては外務大臣、大蔵大臣、それから企画院総裁三人であつた。通産大臣は無論入つていなかつたのであります。今度はそういつた軍事優先の立場でなしに、文民優先の政治優先の立場からこの構成を考えるということで私も結構と思いますが、食糧問題がこういう戦争にありましては非常に重大で、戦争という言葉が当るかどうかはわかりませんが、戦争が始まると外米が入つて来ないということは直ちに起つて来ます。これは食糧に責任を持つ大臣が一番戦争の決定する上においても大事な問題だと思うのであります。関係大臣が出席できるということは書いてありますから、それなら通産大臣も同じであつて外務、大蔵これはどうしても必要だと思いますけれども、若しも農林大臣がこれに加わらないという意味においてならば通商産業大臣もその必要はないじやないか、通商産業大臣をお入れになるなら農林大臣もお入れになつたら如何ですか。今度これは副総理が閣議で決定をされます際に十分に御考慮を願いたいと思いまして、その御意向を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/150
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151・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 保安庁のほうから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/151
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152・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今の御意見御尤もだと思います。我々も十分その点について考慮いたしたのであります。然らば運輸大臣も必要じやないかという議論になるのでありますが、どこにウエイトをおくかということが非常に問題であります。併し私は今の農林大臣のウェイトが非常に重いと言つておりますが、然らばここにおいて入れなかつたのはどうかという御質問でありまするが、これは通産大臣は御承知の通りいわゆるごの武器の製造に直接の関係があるわけであります。そのほうは先ず兵器生産その他についてふだんから計画を立てる上において必要じやないかと考えておる次第であります。そこで勿論農林大臣は重要なポストであるということは承知しておるわけでありまするが、その場合には第二項の必要ありと認めますときにおいて出席してもらう、これのほうで一つ運用のよろしきを得たい、こう考えて案を作つたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/152
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153・井野碩哉
○井野碩哉君 この趣旨は私もその通りだと思うのでありますが、お気持はわかるのですが実際上の食糧政策の上から見て戦争、戦いを始める場合において食糧事情がどうかということは非常に問題なんです。これが構成メンバーになつておらないと実際の戦争を決定するに際して非常に支障を来たすということは太平洋戦争の場合におきましても十分我々も経験があるのですから、そういう点について十分御考慮を願つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/153
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154・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) よくわかりました。了承しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/154
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155・矢嶋三義
○矢嶋三義君 簡単にさつきの木村委員の発言に関連して私は緒方副総理に伺います。或る時代にこれこれは憲法違反であるという見解を表明し、国民をそれで指導して参つて、或る時間を経過したのちにその見解は間違いであつたと今度は国民を指導し、その立場において政治の責任の局にあるということはこれは何ら副総理としては責任をお感じになりませんかどうか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/155
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156・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 新聞社の座談会に出て、当時の議会における憲法に関する論議を紹介して述べたと、それが今日私の考えと違つておるということは、私は今の考えに基いて防衛庁法の問題を考究するということは一向差支えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/156
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157・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは副総理ともあるかたの言明としてはもう私は許すべからざることだと思うのですが、ということは(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)何がないんですか。(笑声)いやしくも何でしよう、新聞社で座談会をやるということは、その座談会に参加する人はその人の一つの見解として、信念として吐露されるわけでしよう。ましてやその記事は木村委員が指摘したように昭和二十七年ですよ、昭和二十七年と言えばあなたはカム・バツクして当選して政治家として国会に帰つて来たときですよ、いわばあなたの選挙公約みたいなものですよ、二年前の話ですよ。それが今その考え方が間違つてあつたと、而もその憲法違反と考えるこの国防会議の構成メンバーとして、事ある場合には総理の代理として、最高責任者としてそれに参加するということについて国民に対して政治家として何ら責任を感じないというに至つては、私は驚き入つた言葉だと思う、この参議院で本会議や或いは委員会で吉田内閣が当初からとられて来た言明が次々に変つて来ているという、これについては各委員から追及されたわけですが、その都度何とかかんとか言つてごまかして答弁して参つたわけですが、副総理はさすが人柄からいつて木村委員に率直に考えが変つて来たということを表明された点は副総理の人柄として、私は人柄には私は敬服いたします。併しながら、そのことと政治家としての責任というものとは又別問題だと思う。かくのごとき食い違がうというものは五カ年間に亘る吉田内閣の自衛力の増強に一貫した一つの傾向であります。従つて私は内閣としては当然ここで責任をとるべきであり、この防衛二法案をあくまでもやりたいというのであればここで国民の総意に問うべきであり、それが本当の主権在民の民主主義下の政治だとこういうふうに私は確信するのですが、副総理は吉田内閣の副総理の立場におられるわけですが、何ら責任をお感じなりませんか、如何ともお感じになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/157
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158・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 私が何年か前に今の(「一年前」と呼ぶ者あり)今の、それも何年かのうちです、(笑声)今のことと違つたことを申しておりましても、それが今の吉田内閣がこの際責任をとらなければならんという結論にはならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/158
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159・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それはつけたりであつて私は政治家緒方さんの個人として、国民に対して政山家として、民主政治家として何ら責任を感じないかということを伺つているのです。そういうことでいいんでしようかね、今日ですね、これは憲法違反だ、こういうような解釈を表明されて、それで新聞社に出たものはそれは間違つておつたと取消しも何も要求しないで、みずから認めて、それを天下に公表されて、二年のちの明後年ですね、これは。あのときはああ言つたが、あれは憲法違反じやないのだ、国家の基本の憲法違反じやないのだと言つて何ら責任はないんでしようか、政治家というものはそれでよろしいんでございましようか。私は政治家緒方さん個人の所見を承わつておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/159
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160・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 過ちを改めるに憚ることなかれ(笑声)で少しも差支えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/160
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161・矢嶋三義
○矢嶋三義君 驚き入つた次第です。これはもう相手にならない。これが吉田内閣の性格だよ。(「進行々々」と呼ぶ者あり)あきれたものだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/161
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162・竹下豐次
○竹下豐次君 もう五分たつたら一時半になりますから、相当の時間がたちましたし、そうして緒方副総理に対する質問はもう大体済み、政府の態度も国防会議の問題につきましては大体はつきりしたように思いますので、これで暫らく休憩されまして、それから午後又会議を続行されて、保安庁長官に対する一般質問に入るということにお取計らいを願いたいと私は思います。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/162
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163・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今日は土曜ですが、竹下委員の発言御尤もだと思うのです。それで今後の審議日程をともかく考えねばならんでしようから、ともかく昼食時間を一時間なら一時間置いて理事会を開いてそれを協議して、それからやりましよう、行き当りばつたりここでやつておつても……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/163
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164・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/164
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165・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて。
それでは本日保安庁より提出されました資料に関係する御質問はこれを以て終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/165
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166・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは暫時休憩いたします。
午後一時三十五分休憩
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午後四時三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/166
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167・竹下豐次
○理事(竹下豐次君) 休憩前に引続きまして委員会を開会いたします。庁設置法案とそれから自衛隊法案、両案につきまして木村長官に対しまする一般質疑を開始いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/167
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168・植竹春彦
○植竹春彦君 先日総理に対する一般質問の際に本日の私の質問点の概略をあらかじめ提出いたしておきましたので、そのとき申上げました順序通り質問を進めることにいたします。
第一に国際法的見地及び防衛組織に関する各国間の比較法的立場から質問をいたします。そこで先日質問いたしましたように、スイスとか大韓民国とかインドとかパキスタン等にあるあの防衛力は軍であるとお認めになるのであるかどうか。それらの国の防衛力は軍であるとお考えになるような場合には、それは戦力なき軍隊であるか、或いは戦力ある軍隊であるかどうかということを第一にお尋ねいたします。この私の質問はこれも先日も申上げました通りに、国民の持つております疑問をこの際政府の側におかれまして十分国民が納得するように解明して頂くのを目的として質問いたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/168
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169・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この憲法第九条第二項における戦力の解釈についてでありまするが、これは御承知の通り未だ一定の定説はないのであります。而うして外国の軍隊が戦力に該当するや否やということは、これはその外国自体がきめることであります。日本の憲法自体は日本がこれを判断すべきものであると私は考えております。スイスその他の国の今現有しておる兵力が戦力であるかどうか、それはそのスイスその他の国の与えられたる状況、その近隣の国々その他と比較して考えることだろうと私は考えております。ただ日本の憲法自体においていわゆるきめられておる戦力は、これまでしばしば申上げておる通り客観的にこれを見るべきであつて、我々といたしましてはその範囲において兵力を持とうと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/169
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170・植竹春彦
○植竹春彦君 国際法は国家間のこの諸取極めを規定いたします法律であるために、その国家の有しまする個人或いは団体、例えば軍隊とか、防衛力とか又船舶とかいうようなものが国際紛議を生じ、例えば船が拿捕された或いは自然人が捕まつたというような場合に、その個人が一国の軍隊に属するか或いは又軍以外の防衛団体に属するか、又その船舶が軍艦であるかないか、つまり軍に属するかどうか。又捕まえたほうがそれが外国の軍によつて捕まつたか、或いは又戦力なき軍隊によつて捕まつたか、警察力によつて拿捕されたか、或いは海賊行為であるかどうかといつたような解釈が当然必要となつて参りますので、この戦力の決定に当りましては一つの国家が持つております防衛力が戦力であるかどうか。即ち正規の軍隊かどうか。戦力ある軍隊であるかど場りかということを同じ基盤に立つてこれを考えて行く。その同じ基盤に立つてその概念を決定して行くことが妥当であると思われるし、又その国際法上の問題が生じたときには当然そういつたような概念の下に事を処理して行かなければならないと考えますので、再びその疑念を質問いたすわけであります。即ち質問の要点はそれらの各国の防衛力が戦力、近代戦にふさわしい装備、近代戦にふさわしい力を有するか否かということは、これはその国内法で以て規定するばかりではなく、外国からながめてもやはりその国の持つている防衛力をそれは戦力ある防衛力であるか、戦力なき防衛力であるかということを見きわめて認識しておくことが当然必要な事態が生じて来ると思うのであります。その意味においてスイス、大韓民国、インド等の例を挙げまして、私はその戦力ある軍隊であるかないかという概念を日本側からながめてやはり法理論上もきめておかなければならない、かように考えるのであります。その意味でいま一応政府の御見解を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/170
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171・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 前回同じようなお尋ねがありましたが、時間の都合もございまして十分なお答えができなかつたのは甚だ遺憾に存じます。只今の重ねてのお尋ねでございますが、私が取違えておつたら御了承願いますが、一つの面からの問題かあるように思います。一つの面は、この間実はお答えしたように、又今木村大臣から申しましたように、憲法九条に言う戦力との関係において、比較的の立場において外国の軍隊なり、戦闘力というものをどう見るかという問題があります。それからまあ仮定の問題でございますけれども、仮定の問題として、現実的の武力の衝突、或いはよそからの侵入というものが我が国にあつた場合に、その相手方の戦闘力というものがその際にどういう影響力を持つか、恐らく二つの要点を含んでのお尋ねであつたかと思うのであります。それで、その全体につきましては木村大臣も答えました通り、これは憲法九条というものは我が国の保持する戦力を禁止しているのでございますからして、我が国の事情、条件というものに応じて判定せらるべきであるというふうに考えるわけであります。それから第二の問題、私がほしいままに仮定いたしましたけれども、外から或る種の武力が入つて来るという場合に、これを防ぐ立場から見ての問題ということになつて参りますと、それがいわゆる急迫不正の侵害であります限りにおいては、それが如何なる形の或いは形式のものでありましても、我が国としては国の生存を守るためにこれは防がなきやならん。いわゆる自衛行動をやらなきやならん。この点においては、相手のもの如何にかかわらないことでありまして、それに応じて適切な手段をとるということに尽きると思います。ただ問題は、その場合に外国の正規軍が堂々と押寄せて来た、それを迎え討つという場合には、いわゆる直接侵略の典型的な場合になるであろう。或いは然らずして、いわゆる集団の暴徒と申しますか、外国の政府なり主権維持との関連のないものが押寄せて来る場合もある。それを直接侵略と見るか、間接侵略と見るかというような形に応じてこちらが出動いたします場合に、手続等の違いがあるかと存じますが、それに尽きることであつて、要は急迫不正の侵害である限りにおいてはこの自衛隊の出動の客体になり得る、こういうことに尽きるのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/171
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172・植竹春彦
○植竹春彦君 私の質問いたします要点は、例えば大韓民国の防衛力が正規軍である。即ち戦力のある正規軍であるというふうに大韓民国自体の国内法においても認められ、又国際法的にも正規軍、戦力ある正規軍として取扱われておるような場合に、若し日本の今回の保安隊なり自衛隊なりがそれと努らざる装備と実力とを有するような場合には、そこに日本国民としては、やはり日本の土地の広さ、又防衛線の広狭大小から考えて、日本の自衛隊を戦力ある防衛力というふうにみなすことが極めて、常識的であるというふうに、国民の中にはそういうふうに観察する者もあることは事実でありますので、その問題に対するいま一応の御解明を質問いたしまして御答弁を得まして、それから次の問題に移りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/172
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173・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今のお尋ねは、結局又この第九条で持つことを禁ぜられておりますところの戦力の判断として、仮りに大韓民国というようなものと正当に戦いを交えて何と申しますか、それを遂行し得ると申しますか、そういうようなことになれば、戦力になるのではないかというような御疑念ではないかと思いますけれども、これは結局戦力の判定について具体的に仮想の国を予定いたしまして、どこが攻めて来れば必ず勝つ、どこが攻めて来れば負けるというようなことで行きますと、事柄のこれは性質上当然のことと思いますけれども、めどがつき得ないことになるわけです。国によつては非常に乏しい実力を持つてなお軍隊と称しておる国もあるわけでありますからして、そういうものと戦つた場合に勝つということであれば、それがもう戦力だからだめであるということになりましても基準がつきかねますので、そういうことでなしに、やはり抽象的というお叱りはありましようけれども、日本の置かれた立場における近代戦遂行能力というような形で憲法は日本の立場において最も恐ろしい段階の実力のものを禁止しておる、こう申上げざるを得ない、こういう結論でおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/173
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174・植竹春彦
○植竹春彦君 私の質問の要点はそこにあるのではありませんで、私の質問する要点は、大韓民国というのは一例を挙げたに過ぎませんので、例えばインドにいたしましても、あのインドの正規軍、あの程度の装備を有するものがこの戦力ある軍隊とお認めになるかどうかという質問なのであります。ま一応法制局長官から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/174
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175・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) こういうことでございましようか。仮にあの程度の軍隊を日本が持つておつたとすれば、それは憲法に触れるだろうかどうか、ということであるかとも思うのでありますが、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/175
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176・植竹春彦
○植竹春彦君 そうではない。違憲であるかないかということを御質問しておるのではありませんので、インドのあの装備、あの防衛力、あのインドの軍隊を戦力ある軍隊とお考えになるか、戦力のない軍隊とお考えになるか、こういう単純な質問なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/176
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177・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) それは前回お答えしたのでございますけれども、仮りにインドの憲法に戦力の規定があるというような場合について、素朴な考え方でございますけれども、インドの人がどう考えるか、又インドの国情から見てそれがどうであろうかということにつきると思うわけでございまして、極めて卑近なことを申上げて恐縮でございますけれども、例えば普通教育だとか、或いは健康で文化的な最低生活というような言葉が日本の憲法にございますけれども、インドで教えおるところの教育というものは普通教育かどうかというようなことと似たようなことでありまして、おのおのその国の事情もありますことでございますから、一律にこれはお答えのしにくい問題じやないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/177
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178・植竹春彦
○植竹春彦君 次の問題に移りまして、そうすると今の長官のお答えは、例えばここに扇子がある。そうすると世間一般ではこれは扇子だということになるのじやないか。そうすると、私たちはこれを扇子だというけれども、若し憲法を改正して、これをうちわだという、扇子じやない、うちわだというふうに、自今扇子の定義を変えてうちわだと言えというふうになりますと、その憲法改正した瞬間から、扇子と言うのはいけないでうちわになる、こういうふうな意味でありますか。つまり言い換えますれば、日本の現有しております保安隊、更に今回できます自衛隊というものが、憲法が改正されまして、若し戦力ある軍隊を置けるというふうに憲法が改正されますれば、只今の自衛隊の装備そのままですぐそれは憲法改正の瞬間から戦力ある軍隊ということができる、かような意味でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/178
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179・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつとお尋ねの趣旨がよくのみ込めませんけれども、憲法を、例えば今のままで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/179
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180・植竹春彦
○植竹春彦君 もう一遍申上げます。つまり只今の自衛隊が、若し憲法を改正して、日本に戦力ある軍隊を置くことができると憲法が改正せられましたならば、現在の保安隊でも、まして漸増されました自衛隊においては、その自衛隊の実体を変更せずして、憲法改正のその瞬間から戦力ある軍隊と認め得るようになりますかどうですかという質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/180
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181・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもはこの戦力というものを、客観的のその力、いわゆる総合された力ということで申上げておるわけでありますが、それで判断しておりますからして、憲法が仮に戦力についての第二項の規定が変つて外されて、憲法が変つたと申しましても、これはそれだけのことであつて、その実体の力が変らない限りにおいてはその本質は変らない。仮に、この戦力の限界すれすれのところまでもうすでに自衛隊の力が行つておつて、そうしてもつとこれを増強したい、併しもう憲法の戦力の段階の一歩手前であるから、それを増強すればもう憲法違反になるという場合に、今度憲法が改正されて第二項がなくなれば、これはもつと上廻つた力を持ち得るわけでありますが、そうでなしに、今の力をそのまま持ち続けておる場合において、憲法第九条第二項が変つたと申しましても、戦力そのものの関係では少しも変つて来ないのであつて、ただ問題は、今お触れにはなりませんでしたけれども、交戦権がないという規定が自然なくなりましようから交戦権が出て来るということは別の問題としてありましようけれども、それ以外のことについては変りはないということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/181
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182・植竹春彦
○植竹春彦君 まだ質問したい点もありますが、これは他日、各会派においての質問の御予定もあることでありますから、そのあとの自余の時間で、時間が余りました際に質問を留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/182
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183・竹下豐次
○理事(竹下豐次君) 本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04119540522/183
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