1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月二十五日(火曜日)
午前十一時三十二分開会
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委員の異動
本日委員山下義信君辞任につき、その
補欠として戸叶武君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
植竹 春彦君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
石原幹市郎君
西郷吉之助君
白波瀬米吉君
井野 碩哉君
岡田 宗司君
矢嶋 三義君
戸叶 武君
八木 幸吉君
木村禧八郎君
三浦 義男君
国務大臣
外 務 大 臣 岡崎 勝男君
国 務 大 臣 木村篤太郎君
政府委員
法制局長官 佐藤 達夫君
法制局次長 林 修三君
法制局第一部長 高辻 正己君
保安政務次官 前田 正男君
保安庁次長 増原 恵吉君
保安庁人事局長 加藤 陽三君
保安庁経理局長 石原 周夫君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○防衛庁設置法案(内閣提出、衆議院
送付)
○自衛隊法案(内閣提出、衆議院送
付)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より委員会を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/1
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002・岡田宗司
○岡田宗司君 議事進行について。私は防衛庁並びに自衛隊法案の審議について外務大臣、大蔵大臣並びに通産大臣の出席を要求しておいたのですが、今朝はまだお見えになりませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/2
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003・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 要求中でありますので、早速連絡をとらせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/3
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004・岡田宗司
○岡田宗司君 若しお見えになりましたならば、私はなお質問の持ち時間が残つておりますので、それらの方々に対する質問を続けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/4
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005・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に、増原保安庁次長より発言を求めておられますので、これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/5
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006・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 昨日当内閣委員長より、午後一時開会予定の委員会を午後二時に開会するようになつたから、長官のほうに伝えてもらいたいという申出を受けまして、これを私の手落ちで伝えませなんだことは誠に手落ちで申訳がございませんので、謹んで陳謝をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/6
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007・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは防衛庁設置法案並びに自衛隊法案の二法案につき、一般質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/7
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008・八木幸吉
○八木幸吉君 私は木村長官に伺いたいと思います。その第一点は、防衛二法案を提案しなければならなくなつた根本の理由という点について伺いたいのでありますが、と申しますのは、憲法を制定いたしました当時におきましては、憲法の前文におきまして「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、」こう謳いまして、日本としてはもう戦争は御免だという気持を出しますと同時に、それなら日本の一体安全はどうするかという点については、更に憲法の前文におきまして、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」、こう御承知の通りありまして、つまり我が国の安全は諸国民の公正と信義に信頼する、こういう建前であつたのでありますけれども、その後不幸にして、諸国民の公正と信義に信頼しただけでは到底我が国の安全を保持することができない、こういう世界のきびしい現実の前に、つまり外国の侵略ということが予想されるに至つたから、この防衛二法案を提案しなければならんの止むを得ざるに至つた、こう考えまするときに、我が国の安全を保持するその前提が憲法制定当時と今とでは変つたのだ、かように私は考えるものでありますが、それに対して長官はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/8
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009・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) お説の通りであります。この防衛庁設置法並びに自衛隊法を制定いたしますることは、要するに、今申述べられましたように、憲法制定当時の世界情勢が非常に変つて来ました。憲法制定当時におきましては、今お話のように他国の公正と信義に一応信頼できる状態であつたのであります。その見通しの下にやつたのであります。現在においてはさように参つておりません。御承知の通り、日米安全条約においても無責任な侵略主義を建前としておる国があるからということを言つておるのであります。従いまして、我が国といたしましては、不当な外部からの武力攻撃に対して、我が国を守るだけの処置をして行かなければならん、そう考えておる次第であります。従いまして、この法案が成立いたしまして、自衛隊が創設されたとしても、決して我々は戦争をするためではないと思います。逆に戦争を防止するためにやる、こういう考えで我々はおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/9
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010・八木幸吉
○八木幸吉君 防衛二法案の制定が、我が国を戦禍からこれを救うというところに根本の理念があるということは私もよく了解し、且つ同感をするところでありますが、今回の防衛二法案の審議の過程におきまして、我が国が独立したから自分の国を自分が守るのは当然であると、こういうふうなことをよく言われるのでありますが、然らばこの自分の国を自分の手で守るのは当然であるという考え方は、憲法前文を制定した当時には一体そういうことを考えなかつたのか、一体前文にああいうことを書いたのは、占領治下で押付けられたという、敗戦の結果、我が国が自分の国を自分で守るという気迫さえなくなつて、止むを得ず他国の公正と信義に信頼をせざるを得ない実情であつたから、こういう意味であろうか、或いはそうでなくて、ただもう日本は絶対無防備で、世界から戦争というものをなくするのだ、こういう高い理念でこれを言つたのか、或いは両方が重なつてああいう前文になつたのか、あの前文制定当時の御解釈はどういうふうにお考えになるか、承わつてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/10
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011・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 制定当時におきましては、もとより今申述べられましたように、全世界が平和に行くように、我が国も率先して平和世界を作ることに先がけようじやないか。従いまして、他国の公正と信義に信頼して、とにかく戦争の惨禍から防止して行こうじやないかという大きな理念から来ておるものと私は考えております。併し御承知の通り、日本の憲法はそういう大きな理念からできておるのであると思いまするが、それだと言つて日本は自衛力までも放棄した意味では決してない。独立国である以上はこの自衛権を有するのは当然であります。ただただ戦争をしない、戦争を放棄しようということだけであつて、日本の防衛権までも日本の憲法が放棄したものでないと、私はこう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/11
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012・八木幸吉
○八木幸吉君 この前総理がここにおいでになりまして、私どもが総括質問を申上げましたときに同じような意味のことを伺つたのでありますが、そのときに法制局長官の御答弁、実はよく聞こえなかつた点もあるのですが、憲法制定当時といえども、決して無防備を予想したのではないというふうな御答弁があつたかのように記憶いたすのですが、そういう御答弁でありましたとするならば、その意味は一体どういう意味であるか。これは法制局長官からもう一遍補足的に御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/12
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013・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) あの際に私が申しましたのは、無防備とは申したつもりではございませんので、こういう趣旨でございます。即ち、自衛権は今の憲法において否定しておりません。且つ当時の政府の答弁において、この憲法は無抵抗主義ではございませんということをお答えしております。という趣旨のことを申上げたつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/13
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014・八木幸吉
○八木幸吉君 もう一点法制局長官にお伺いしますが、この憲法は無抵抗主義ではないのだという意味の具体的の説明をもう一言お附加えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/14
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015・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今申しましたように、自衛権は否定しておらないわけでございますからして、他の不正な侵害を受けた場合にこれを排除するだけの措置というものは一応許されておる。ただその場合に用いられる手段というものが、戦力はいけない。それから交戦権は行使しない、この制約がございますからして、その制約の範囲内におけるこの排除行為と申しますか、侵略の排除行為というものは可能である、こういうことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/15
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016・八木幸吉
○八木幸吉君 今の法制局長官のお言葉は、つまり総理が第六国会、第七国会等で御答弁になりました武力によらざる自衛権の行使、外交その他の手段、こういうことを意味するわけでありますか。もう少しその範囲を拡大して警察力でやるのだ。或いはもつと範囲を拡大して今の自衛隊のようなものでやるのだということを当時予想していたという意味でありますか、如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/16
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017・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 憲法制定当時におきましては、申すまでもなくその当時の雰囲気から申しまして、そこまで突つ込んだことは一般には考えられておらなかつたと、私は率直に認めます。ただこの憲法の形の説明として、先ほど来申述べましたようなことが当時すでに行われておる。繰返しますと、自衛権というものは決して否定されておらない。それから、この戦力或いは交戦権はない、この前提の下において……。併しこれは無抵抗主義ではない。この自衛権があるということと、この憲法は無抵抗主義ではございません。この二つだけははつきり当時申しておりますから、その根本の下に立つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/17
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018・八木幸吉
○八木幸吉君 次は長官にお伺いいたしたいと思います。この前の総理への総括質問のときに、私はこの防衛二法案と憲法との関係についてお尋ねを申上げたのでありますが、憲法の字句の解釈が中心になつておりましたがために、主として法制局長官の政府の解釈を当時承わるような結果になつたのであります。併し長官は申すまでもなく法律家であらせられますので、質問が多少二重になるかのごとき感もございますけれども、法律家としての長官自身のお口から直接私の伺うことを一つ御答弁頂けたら非常に幸いと思います。そこで第一に伺いたいのは、軍隊ということであります。この軍隊の定義につきましては、長官は衆議院等で、又本委員会でもさようだと存じますが、近代戦を遂行するところの有効的確な総合的実力というふうな御定義があつたようです。併しその定義をお下しになる前に、いろいろこの定義についてはまだ一定したものがないようだというふうなことを御説明になりましたが、今でも今仰せられたような定義が一番正しいと、こういうふうにお考えになつておりますか、如何でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/18
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019・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私はこう申上げたのであります。自衛隊は軍隊であるかどうかという御質問でありますが、そこで軍隊とは何ぞやという一定の確立した定義というものはない。そこで外部からの侵略に対して対処し得るような実力部隊を軍隊と称するのであれば、これはまさに自衛隊は軍隊と称してよろしかろう、一向差支えない、こういう意味で申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/19
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020・八木幸吉
○八木幸吉君 軍隊の定義がまだ一定しておらんというふうなお話でありますけれども、ジユネーヴにおける国際連盟の軍縮会議のときに、すでにこの問題が相当専門家の間において議論されて、結局するところが、外敵の侵入に備えた武装した力というふうな概念に大体まとまつたかのように私聞いたことがありますが、あの当時にさような定義らしきものがきまつたかどうか、法制局長官に伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/20
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021・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これは当時の関係者からよく聞くことでございまするが、今お話のように、どういうふうな定義をきめようかということで各国の連中が智恵を絞つて、結局正確な定義というものはできなかつたということが有名な話と私は聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/21
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022・八木幸吉
○八木幸吉君 次に戦力のことを伺いたいのですが、私は憲法第九条第二項の「陸海空軍その他の戦力」という、この軍隊と戦力の関係は、軍隊というものは戦力の中核をなすものである。戦力の中心である。併し軍隊ほどはつきりした戦力ではないものであつても、なお戦力と認めるものは国が保持してはいけないという意味であると、つまり戦力のほうが軍隊よりも概念としては広いのだ、こういうふうに私は解釈をいたしているのでありますが、長官が衆議院等でお答えになりましたところを速記録で拝見いたしますと、例えば自衛隊は間違いもなく外敵に対応するものであるから、これは軍隊ということなら軍隊と言つてもよろしい。併し憲法上のいわゆる戦力ではないのだから、戦力と軍隊とを混同して考えないようにしてもらいたい。こういうふうな御答弁があつたわけであります。それを解剖いたしますと、軍隊というものは戦力の要素になり得る場合もあるけれども、観念としては別なんだと、丁度私の考えておることと関係が逆になつておるわけなんですが、その戦力と軍隊との関係をもう一回一つここで伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/22
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023・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は軍隊と戦力とは別個の観念であろうと考えております。軍隊は即戦力ではなかろうと、こう思います。戦力を構成する一分子たることは、これは間違いはありません。観念上は私は個別のものかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/23
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024・八木幸吉
○八木幸吉君 前に伺つた解釈と同じことを今も伺つたわけですが、そこでもう一つ進んで伺いたいのですけれども、では、その戦力の一体判場定標準は何でおきめになるかということを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/24
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025・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 戦力の基準というものは、はつきりは私はこれは申上げることは不可能と思います。その戦力に至るか至らないかということはそのときどきによつてこれは解釈すべきものであろう。いわゆるその時代並びに環境、それによつて定めるべきものであつて、外国においてどうの、又日本においてどうの、これは別個の観念であつて、日本の憲法で定められたのは日本を基準にし、日本の現在おかれた立場及び環境等を基準にして定めるべきものであろう、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/25
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026・八木幸吉
○八木幸吉君 我が国の憲法の中に規定されておる戦力なり、或いはその他の戦力、その解釈を一体どうするかということにつきましては、憲法制定当時の議会においても、御承知の通りかなりまあ論議があつたわけであります。まあ金森国務相その他のかたの御答弁を伺いましても、結局警察力と然らざるものとに分けて考えるより仕方がない。警察力であるか、戦場力であるかということは、仮に中心点であれば極めてはつきりするけれども、端のほうになると相錯綜して、果してこれが警察力であるか、果してこれが戦力であるか判定には非常に困難を来たす場合があるというふうなまあ御答弁がありまして、その御答弁が警察予備隊が戦力なりや否やという点にいろいろ応用されて、先ず議論が進められたわけでありますけれども、現在では国内の治安を維持するための警察力たる警察予備隊等とは違いまして、外敵に対応するための国内の武力団体である自衛隊になりました場合におきましては、その目的論からこれを差別を付けるという必要はなくなりましたので、戦力の判定基準は、一にかかつてその客観的内容によるという段階に現在は達したと私は考えるわけであります。そこで規模の大小はございますけれども、今回の自衛隊等は、軍艦も持ち、飛行機も持ち、戦車も持ち、バズーカ砲も持つといつたようないわゆる武力的な装備を整えて、而も総合的の組織編成を持つ部隊である、こう考えてみましたときに、社会通念から申しまして、どうもこれは軍隊であり、戦力であるというふうに私は考えるわけでありますが、戦力と警察力との差異をどこで一つおきめになるかという点について長官のお話を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/26
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027・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 申すまでもなく、警察力というのは内地の治安確保を目的としたものであります。そこでこれは戦力とは別個のこれも観念であります。申すまでもなく、この警察力の目的を以てしても大きな戦力に至れるようなものであれば、これは憲法違反だろうと考えております。と申すのは、警察の目的を以てしてもさような大きな戦力を持つに至れば非常に危険がある。要は外国に対して不当な侵略行為をすることがあつてはならんという建前から、憲法は戦力を禁止しておるものと考えております。お話の通り、この戦力というものは目的を以て解決すべきものでなく、客観的内容でこれを判定すべきものであろうと私は考えております。その点については八木委員と全く同感であるのであります。従いまして、自衛隊は勿論内地の治安確保を一部任務といたしておるのでありますが、一面において、不当な外部侵略に対処することを以てその任務といたしておるのであります。その目的は単純な警察ではないのであります。併しその客観的内容はまだ戦力に至つていないと、こう我々は判断しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/27
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028・八木幸吉
○八木幸吉君 長官の衆議院における御答弁には、近代戦遂行の能力を持つ実力部隊、それを裏面的に解釈すれば、外国に脅威を与えるような部隊、そうなればこれは戦力だというような御答弁があつたわけでありますが、日本の今の自衛隊が近代戦遂行の総合的の実力部隊であるかどうかということになれば、これは私もそういう実力は持つておらん、それは極く非常に大きな力と解釈すれば、世界各国でアメリカとソ連以外にはさような総合的な実力を、持つた部隊はないと長官も仰せられておりますように、例えば広島に落ちた原子爆弾を一個日本が持つておつたところが、それを運ぶ軍艦なり、それを警備する飛行機なりが必要なんだから、原子爆弾があるだけでは総合的の力とは言えないというふうなことをおつしやいました。その意味合から申しますと、只今申しましたように、米ソ或いはイギリスを加えての三カ国ぐらいが世界で戦力を持つた国だ、こう言えるわけでありますが、今の裏面解釈の外に脅威を与えるという意味から申しましたならば、日本の自衛部隊といえども、近くの弱い国に対しては或る意味では脅威を与える場合があるのではないか、そうなればやはり長官のいわゆる戦力になるのじやないか。こう私は考えるわけでありますが、如何でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/28
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029・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 外国に対して脅威を与えるような大きな実力と、こう申したのでありまして、たまたま極めて弱小国に対して日本の持つておる今の編成装備、実力部隊が脅威を与えるかどうかということは、これは疑問であります。併し一面から考えて見まするに、今の自衛隊程度におきましては、これは日本の陸上部隊を運ぶだけのいわゆる資格というものはないわけであります。御承知の通り、日本は海に囲まれておるのであります。外国へ出兵するというようなことになりますると、相当厖大な準備を要する。さような手当は只今の自衛隊においては何もないわけであります。この意味から申しましても、真実に外国に対して脅威を与えるというような大きな実力は持つていない、こう我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/29
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030・八木幸吉
○八木幸吉君 次は交戦権の問題についてお伺いいたしますが、この前の総理に対する総括質問をいたしましたときには、法制局長官は、政府の憲法に書いてある交戦権という意味は国際法上の交戦権を意味するのだ、こういうお答えでございましたが、交戦権を殺傷破壊その他の実力行為たる戦争行為を適法になし得る例外的の国家の権能だ、こういうふうに解釈しておる学者もあるわけでありますが、若しこの学者の場合が正しいといたしますると、交戦権を行使すれば戦闘行為さえも不可能になる、こういう結果になるわけでありまして、従いまして、この説をとれば憲法九条第二項を、後段の交戦権の行使は、全然戦闘行為は不可能である、こういう結論になるわけでありますが、この見解に対してはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/30
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031・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 前にお答えいたしました経過から私から申上げさして頂きます。今お述べになりましたように、交戦権そのものというものは、これは交戦者としての権利、而して最も典型的なものとしては敵性船舶の拿捕であるとか、或いは占領地の行政権であるとかいうことが憲法制定当時から答弁に出ておるわけでございますが今お言葉に出ましたような平時において普通、通常許されないような外敵行為というようなものが、交戦権を与えられることによつてこれが合法として認められるという考え方は私どもも必ずしも排撃いたしておりません。と申しますのは、この自衛権というものと交戦権というものと、常にこう両方並べて考えなければいけない。自衛権というものは、これは申すまでもなく国の基本的生存維持の権利でございますからして、これは当然のものとして認められておるわけであります。即ち急迫不正の侵害に対してそれを排除するに必要止むを得ない限度の実力行使は、自衛権として当然許されるということでこれはいいと思うのです。ところが交戦権を更に持つということになりますと、卑近な例えでございますけれども、敵が攻めて来た場合、ずつと敵を追い詰めて行つて、そうして将来の禍根を断つために、もう本国までも全部やつけてしまうというようなことが卑近な例として考えられますれば、交戦権があればそれは許されるであろう、併しないからそれは許されない。即ち自衛権の限度内でしかいわゆる外敵行動というものはできない、そういうような結論になるように思つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/31
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032・八木幸吉
○八木幸吉君 国際法上の交戦権を認められなくて、而も自衛隊が戦闘行為をやりました場合には、敵から日本の自衛隊を見れば、暴動と同じ、暴民と同じ取扱いを受けるわけでありますが、それでもいたし方ない、こういう解釈でありますか、法制局長官如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/32
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033・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) それは御尤もなお尋ねだと思いますが、この国際法の関係におきましては、いわゆる不正規軍その他までも実は国際法の対象として一人前の扱いをしておるわけでございますから、そういう点からも御安心願えると思うのでありますが、更に附加えて申しますならば、この交戦権がないということは、いわゆる日本の国内法であるところのこの憲法による一種の自粛的な行為であるわけでありますからして、国際法の外の目から見れば、ただその自粛して活動しておるという、まあ幼稚な言い廻しでございますが、形になるだけであつて、国際法上の根本においては立派に一人前の扱いをしてくれる。これは先ほど申上げたように、不正規軍すら一人前の扱い方をするわけでありますから、それと同様である、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/33
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034・八木幸吉
○八木幸吉君 今の法制局長官の御見解でありましたならば、交戦権はこれを認めないということを憲法に何がために規定したと、こう解釈されるわけですか、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/34
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035・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これは木村委員からの御質問も曾つてございましたので、やはり憲法九条の第一項においては自衛戦争すらも禁止されておらないという形でありますけれども、この第二項において戦力という物的手段を禁止し、且つ交戦権という法的手段を禁止することによつて過去のまあ過ちを繰返さないようにというような狙いから、第二項ができておるというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/35
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036・八木幸吉
○八木幸吉君 政府の解釈する憲法第九条、後段の交戦権は国際法上において認められる交戦権であると、而も日本は交戦権を認めないと憲法で規定しても、対外的にはやはり国際法上の待遇は受けると、こういうことになればここに交戦権を認めないという規定を設けたのは無意味であつた、やはり交戦権という規定を設けたその意味は、国家としての戦う力を認めない、こういう広い解釈をするほうが妥当ではないかと思うのですが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/36
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037・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) これはこの憲法の帝国議会における御審議の際から御趣旨の問題は御質疑等もあつたと記憶いたしておるわけでありますが、私ども政府側としては、当時から今の第二項を一つは戦力という物的の手段をその面から制約し、第二に今度は法律的の手段として交戦権という形でこれを制約したという趣旨でずつとお答えしておるのであります。この文章の解釈から申しましても、この戦争をする権利というふうに大きく交戦権を読むということは、立法の形からも説明が不自然になりはしないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/37
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038・八木幸吉
○八木幸吉君 次に、防衛二法案の内容について私はお伺いをしたいと思うのでありますが、お伺いをする点をはつきりしますために、自衛隊は軍隊なりと、こういう建前で私は質問をいたしたい。と申しますのは、憲法との関係で非常に遠慮してこの法案ができているかのごとき感を呈するところがままあるわけであります。併し法案自体の実態を究明いたしまする場合におきましては、やはりその真の狙いはどこにあるかという点を触れて話をしませんと、歯に衣を着せてものを申すようなことになりますから、その言葉自体は問題でありましようけれども、自衛隊は軍隊なりと、こういう先ず気持で御質問を申上げたいと思います。それで第一に伺いたいのは、自衛隊法の第七十六条の防衛出動の問題について伺うのでありますが、この七十六条の第一項の但書に「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」、こういう規定があるわけでありますが、この緊急の必要がある場合に国会の承認を得ないで出動するというのは、国会の閉会中だけでありますか、或いは開会中といえども、緊急止むを得ざる場合には出動命令を内閣総理大臣が発することができると、こういう意味でありますか、どちらの意味でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/38
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039・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) これは理論上は開会中におきましても、緊急の必要がある場合には国会の承認を得ないで出動を命ずることができるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/39
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040・八木幸吉
○八木幸吉君 そこで私は今度は防衛庁法の第四十二条、国防会議のことについて伺うわけでありますが、国防会議がなぜ必要であるか、先ずその点から長官にこれは伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/40
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041・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 国防会議の目的とするところは、御承知の通り四十二条に明記してあるのであります。いわゆる「国防の基本方針、防衛計画の大綱、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否、その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、これらの事項について総理大臣を補佐して行く、これが建前になつておるのであります。申すまでもなく、一国の国防の基本方策というものは、これは大所高所から万般の事象を十分に検討して立つべきものであります。又防衛計画の大綱といたしましても、日本の置かれたる立場から出発して、すべて現在の自衛隊の編成、装備その他を基本にして、大きな観点から計画を立てて行かなければならない。又出動の可否についても、これは国家の重大問題であります。これもこの会議にかくべき事項として、総理大臣を補佐して行く、要は日本の国防のあり方その他重要な事項について、総理大臣を補佐さして行くことが適当なりと考えて、国防会議の設置を考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/41
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042・八木幸吉
○八木幸吉君 国防会議が国防の大綱について内閣総理大臣の補佐のために設けたという設置の趣旨は、今の御説明でよくわかつたわけでありますが、この防衛法案には、その設置された国防会議の構成を如何ようにするかということは、御承知の通り法案にはありませんので、別の法律でこれを定めることになつておる。そこで政府の腹案はどうであるかということにつきまして、先日保安庁案なるものが当委員会に出されまして、緒方副総理が御臨席になつて、これは政府としてもその案に全幅の信頼を置いているのだ、先ず政府の最善なんだと思つておる、こういうお言葉があつたわけでありますが、その保安庁案の内容を拝見いたしますと、構成員はこれに関係の最も深い閣僚でできておる。そこで私の伺いたいのは、総理の補佐機関として最も重要な職務を持つておるところの国防会議の構成員が、単に閣僚だけでできておるということは、閣僚懇談会のただこれは一つの変形ではないか。国防閣僚懇談会と名を付けても、実質的にはいささかも変らんものである、こう考えるのでありまして、その点につきましては、すでにこの前の委員会におきましても、議題に上つたわけでありますが、ただ閣僚懇談会であれば不定期であるとか、事務局がないとかいつたような、ただ末梢的なことだけで、他は違わんといたしますならば、折角国家の重大事をきめるところの国防会議の設置が必要である、こう政府がお考えになりましたならば、この構成員というものは、その設置の必要にふさわしいものを充てなければならん、かように私は考えるわけでありまして、殊にその意味から申しますると、今の閣僚懇談会的なものでは、殆んど無意味に近いものだ、かように考えるのでありますが、長官は如何お考えになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/42
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043・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 国防会議の構成メンバーは、保安庁案にお示しした通りであります。これは決して閣懇僚談会式のものでないということを御了承願いたい。これは常設機関でありまして、常に直接の関係ある閣僚が、その庁において研究した結果をもたらして、そうして総合的にこれらの事項について十分検討して、国家の防衛に関する基本方策を立てて行こうという意味から、こういうメンバーにしたのであります。而して閣僚の一部を以て構成したということは、結局においては内閣の責任制を明らかにすることが必要である、閣僚以外の者をこの構成メンバーに加えることは、内閣の責任制からとつてみて私は疑問があるのであります。時の政府が責任を持つてこれらの事務を処理することが穏当であろう、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/43
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044・八木幸吉
○八木幸吉君 閣僚懇談会は常設の機関ではない、国防会議は常設の機関である、形式的には誠に長官の仰せられることは御尤もだと思います。併し組織を運用するのは、申すまでもなく人でありますので、国防会議のメンバーを閣僚だけに限られるという御趣旨は、只今の内閣の責任制から、そういう建前をとつておる、この御見解もよく私はわかるわけでありますけれども、国防会議が防衛出動の諮問に応ずる、殊に先ほど御当局から御答弁のありました通りに、たとえ国会が開会中であつても、総理が決心をすれば国会を開かずして戦争をやることができる、戦端を開くことができる、こういう非常に重大な責任を、権力を、総理が持つておられます場合において、この総理の強い権力を如何にして国民がチエックするかという点が、国防会議の最も重要なこれは点ではないかと私は考えるわけであります。成るほど平素の国防の基本方針なり、或いは防衛計画の大綱であるとか、この計画と産業との調整問題であるとか、かような問題は、これは仮に国防会議がなくても、閣議それ自身でも十分検討のできる問題でありまして、一番のポイントは防衛出動の可否という点でなければならんと思うのであります。法律の文面から申しましたならば、若しも国会がその防衛出動に承認を与えない場合には直ちにその出動を撤収すると、こういうことが書いてありますけれども、実態的にこれを申しますと、戦争をおつぱじめた、戦端を開いた、それをただ国会が承認しないからといつて、直ちに兵を収めるということは実際の上では非常に困難でありまして、戦端を開くということは、申すまでもなく国家の運命を賭した重大な問題でありますから、念には念を入れてこれはやらなければならん、単に政府が行政の最高責任を持つておるから、政府の責任においてこれをやるというようなものであつてはならないのでありまして、私は日本が戦争を不幸にして始める以上は、挙国一致の態勢で、すべての国民がこの戦争を納得の行く戦争だということで始めなければ、到底これは勝利の目的を達することはできない、こういう意味合から申しまして、国防会議の構成というものは極めて重要なものだ、こう私は思うわけであります。そこでこの国防会議の構成を民間人とか何とかいつたような、そういう狭い意味ではなくして、国会に代るべき挙国一致体制にその構成をする。こういう意味で私は例えば、政府のほうでは総理、副総理、防衛庁長官、外務大臣、大蔵大臣、この五名、それから民間人におきましては、先ず国民代表と言えば何と申しましても国会が一番大きな機関でありますが、国会を代表する者として参衆両院議員、それから更にこれに曾つて我が国の総理の前歴を有した人を入れまして、そうしてこういつたような人で国防会議を形成いたしまするならば、挙国一致の実を挙げ得るのではないか。ここに私が総理大臣の前歴のある人をこの国防会議の中に入れよと申しまする理由は、在野の最も有力な政治家を一、二人加えるという意味でありまして、端的に例をとつて申しまするならば、今曾つての内閣総理大臣の経歴を有する人は芦田、片山の両氏でありますが、若しも私の今申上げましたような構成でこの国防会議ができましたならば、その国防会議において片山君さえもその戦争に賛成である、こういう結論になれば恐らく国民全体がこの戦争はやらざるを得ないものだ、こう私は考えると思うのであります。そこで私の申上げたいのは、民間では一定の学識経験を持つたかたを民間人の代表として入れるという説もあるようでありますけれども、これは私はその入れる方法は誰かが任命する、若しくは国会で同意を与えるというような形になりましようけれども、それよりも一定の資格によつて国民から選ばれた人を資格に随伴して自動的に国防会議の構成員となるといつたほうが遥かに妥当であると思うのであります。そういたしましたならば、この国防会議は挙国一致的の体制を整えますから、平素の国防の基本方針とか、防衛計画の大綱とか、或いは産業との関連性を議しますのは、これは内閣総理大臣の諮問機関としての立場でいいわけでありますが、緊急を要し、国会を開く暇のないときに緊急防衛出動をするときだけは、この国防会議の同意を得なければ内閣総理大臣はその命令を発することができない、こういうふうにしては如何かと思うのでありますが、これに対する御意見を伺つて見たいと思います。これは政府としてではなしに、端的に、立場にとらわれずに御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/44
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045・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 有力な御議論として承わります。そこで申上げますのは、この防衛出動をする場合を十分お考えを願いたいと思います。これは宣戦布告ではないのであります。突如として外部から不当の攻挙を受けた場合どう処置すべきか、この問題なのであります。例えば加藤局長から申上げたこの緊急止むを得ざる場合、国会開会中でも場合によつてはそういうことはあり得るのだと申しましたが、この緊急止むを得ないというのは、もう国会を開く暇のない、突如としてやつて来た、手の打ちようがこれよりほかないのだ、国会を開いて承認を求めておれば手遅れになる、そういう真に止むを得ない場合にこれはなすべき措置であります。それでもその後において事後の承認を国会に求める、而も建前といたしましては、どこまでも国会の承認ということを原則としておるのであります。この七十六条に規定しておりますのは、何も宣戦の布告というようなことは毛頭考えていないのであります。先刻来申上げましたように、外国の不当な武力攻撃、これをどうやつて防いで行こうかということにあるのであります。これらの場合について見ても、決して我が国が事を好んでやるわけではない。真に止むを得ない場合、これに限定されておるのでありますから、私は防衛出動の可否もこれは原案でよかろうかと、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/45
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046・八木幸吉
○八木幸吉君 戦前におきましても、戦端を開く場合にはやはり御前会議とか、いろいろな機関の議を経て決定されたわけでありますが、現に国会が厳として存在しておる。而も国会の開会中である、さようなときでも、時と場合によつては国会の承認を経ずして、ただ総理大臣の専断で以て出動をなし得る、戦争もなし得る、戦争を始め得るというような法律を我々は作るということは、これは非常にやはり危険をその内部に包蔵しておる。併し国会を開いてそれを審議するということはやはり多少の時を要するから、せめて国会に代るべき最高の権威を持つた少数の国防会議を以て、これの同意を得てやるだけの余裕はあるのじやないか。又その必要が国家の重大事であるからして、当然それだけの手続は踏むべきものではないか、こういう意味で私は申上げたわけでありますが、これ以上は議論になりますから私は申上げませんが、ただ長官におかれましては、十分一つその点を御検討願いたいということを申上げます。それからやはり国防会議に関連いたしまして、事務局の問題でおりますが、保安庁試案によりますと、事務局を防衛庁内に置く、こういうことになつておりますが、国防会議はより高い見地において国家の重大事を決する、こういう建前になつておるわけでありますから、やはりこれは内閣に置かれたほうがよいのではないか、かように私は思いますが、その点は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/46
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047・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この原案は事務局ではないのであります。これを御了承願いたい。庶務のほうでやる。事務局ということになりますると、その事務局に相当な人員を抱えて、ふだんからこの事項について検討するような者を抱え込まなければならない。その事務局設置の必要はないと我々は考えております。庶務のところでやらせるわけであるということでありまして、併しこれは防衛庁に置くことを考えておるのでありまするが、今お説の内閣総理府にこれを設置するということも、有力な私は御議論であろうと拝承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/47
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048・八木幸吉
○八木幸吉君 今の長官の御説明を伺いますと、防衛庁内の或る事務官と申しますか、或るスタッフが原案を作つて、そうして国防会議にこれをかけるというような先ず御構想のように承わつたのでありますが、最初の国防会議の設置の理由は、国防の大方針について内閣総理大臣を補助する、こういう非常に大きな構想を持つた会議であるにもかかわらず、事務局さえも置く気持はないということになりますと、この国防会議を置くということが、政府の最初からの信念によつてこれが法案の中に盛られたのか、或いは三党折衝その他の政治的の折衝の結果、止むを得ずこれはお義理に出されたかの感じを受けるのでありますが、国防会議が必要であるということをお考えになれば、そこに独自な見解に立つて事務局を持つ、そうして平素からその独自な立場に立つて国防の基本方針なり、防衛計画の大綱を立てる、軍事専門家の立場でやるのではないということくらいは、当然あつて私は然るべきものだと思うのでありますが、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/48
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049・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この国防会議において議すべき問題ば先ほど申上げた通りです。これは各省に亘つておるのであります。各省で十分その道の専門家が検討して参ります。その検討したものによつて、これらの主管大臣が集まつていろいろと協議をして、そこに結論を一つ出すわけでありますから、事は各省の内部においての研究事項が主になるのであります。それを総合判断して各大臣がきめるべきものであります。時々寄つてそれらの問題を議して、その間に十分な結論が出得るものと私は考えております。何もここに大きな事務局を設置して、別にそれらのものに研究をさせるという必要はないのじやなかろうか。そうありますると、却つて紛淆を生ずるのじやないか。各省で研究したものを持寄つて、そうしてそこに総合的な判断をさせるほうがよいので、別に事務局を持つて、事務局で改めてほかの観点からこれを研究させるというふうになると、却つて紛淆を生ずる虞れがあるのじやないか、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/49
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050・八木幸吉
○八木幸吉君 各省で持寄つた資料を大所高所から国策的に或いは国防的にこれを判断する。そのお説は御尤もだと思いますが、御尤もであればあるほど、それが軍事の専門家ばかりがたむろしておる防衛庁の中にその庶務をとらせるよりも、内閣という総合的の或いは統轄的の使命を持つておる内閣、公平無私であり、且つより高いところにある内閣に事務局を置いてこそ、今、長官の仰せられる目的を達するのではないか。そのほうが遥かに合理的でもあり、且つ便利ではないか。最初からの立案をすべてその事務局でやるのではなくて、各省から出た資料に基いて、これをよく咀属して総合判断をするために事務局を内閣に置くのが妥当ではないか、かように考えるのでありますが、重ねて伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/50
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051・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 総合判断をするのは結局は総理大臣でありますが、事実上は各関係構成メンバーが寄つてそこで判断してきめるのであります。それの事務の処理は、一つの防衛庁なら防衛庁にこの庶務を任せるということであれば私は差支えないと考えております。併しこの庶務をどこでやらせるかということについては、今、八木委員から仰せになりました内閣総理府にやらせるということは穏当である、これも有力な御議論としてまさに拝承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/51
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052・八木幸吉
○八木幸吉君 一言附加えておきますが、総合判断を先ず国防会議において、その資料によつて国防会議の結論を出す。その結論に従つて、諮問委員会の立場から更に内閣総理大臣がその裁決をする、こういう組織になつておるわけでありますから、その国防会議の議題の元になる案は、やはり総合判断的の内閣における事務局が担当するのが妥当である、かように考えますが、これ以上は議論に亘りますから、一言私の所見を附加えておきまして、次の問題に移ります。この国防会議に関することは別の法律でこれを定める、こういうことが防衛庁設置法の第四十三条に規定されてあるのでありますが、防衛庁設置法の第一条の、「(この法律の目的)」というところには、「国防会議の設置について定めることを目的とする。」、第一条の後段でありますが、国防会議の設置自体が防衛庁設置法の目的になつておりながら、而もこの国防会議の議題だけをここにきめて、その構成を他の法律に譲つたということは、これは防衛庁設置法を提案するまでに、これに関する政府の内部の議がまとまつていなかつたといつたような経過的な理由はあるにいたしましても、法本来の構成から申すれば妥当ではない、かように考えますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/52
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053・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この法案第一条において「国防会議の設置について定めることを目的とする。」とある。従いまして、四十二条において設置するということを規定いたしまして、その設置についての構成、審議すべき内容等を規定いたしてあるのであります。その構成の内容等につきましては、八木委員も御承知の通り、これは三党折衝が行われておつた過程においてできて、その案というものはまだきまつておりません。そこで止むを得ず、その構成、内容については法律で定めるということにしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/53
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054・八木幸吉
○八木幸吉君 若し別の法律でなしに、この防衛庁設置法の中に国防会議の構成等を入れるとしまするならば、第四十三条を削つて第四十二条の三項以下に構成員、議長、構成員外の出席者、事務局等に関する重要事項を規定いたしまして、更に私が只今申上げました意見を、仮に政府が御同意であつたとしまするならば、自衛隊法第七十六条一項但書に、現在では、「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」という但書もあるのです。特に緊急の必要がある場合、国会の承認を得る暇がなかつたときは、国防会議の同意を得て出動を命ずることができる、こう修正をすれば、別の法律案を出さなくてもその目的は達すると、かように考えまするので、私の意見としてただこれをお耳に入れておきます。
次にお伺いをいたしたいのは、この国防会議の議題の「国防の基本方針」、こういうことが書いてございますが、この基本方針とは一体具体的に申しましてどういうことを意味するのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/54
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055・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 「国防の基本方針」と申しますと、表現といたしましては非常に広いような表現になつておりますけれども、考えられますることは、日米相互安全保障条約のようなことを今結んでおりますけれども、そういうような問題も一つこの中では取上げられ得る範囲に属するものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/55
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056・八木幸吉
○八木幸吉君 ほかにどういうことがあるでしよう……。それでは私のほうから伺いますが、日米共同作戦をやる場合の指揮権の問題なんかはこれに含みますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/56
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057・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この指揮権の問題は、これは私は保安庁長官が責任を以てやるべきものと解しております。国防の基本方針は、いわゆる日本の国防がどうあるべきか、世界情勢その他を勘案して、どこに重点を置いて国防方針をきめて行くかという大きな観点から事を処理して行こうと思うのであります。勿論この防衛計画の大綱と密接な連絡はあると思います。日本が自由国家群の一員としてアメリカと手をとつて行くべきか、或いは又将来何かのことで大きな共同的の防衛が議題になるような場合がないとも限りません。そういうときには日本がどういう措置をとつて行くかということについては、大きな観点から日本の国防方針をここできめて行くべものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/57
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058・八木幸吉
○八木幸吉君 例えばどこまでもアメリカと手をとつて日本の安全を保持するか、或いは第三勢力的な立場に立つかというようなことも、この基本方針として議題になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/58
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059・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 無論なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/59
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060・八木幸吉
○八木幸吉君 或いは少しく具体的になると思いますが、又好まんことでありますけれども、例えばウラジオストツクに非常に飛行機が集結した、日本を襲う公算が極めて大である、これを先制攻撃すべきであるか、或いは向うから来るのを待つかというようなことも、この「国防の基本方針」の中に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/60
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061・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 先制攻撃ということはちよつと我々は考えていないのでありまするが、そういう純軍事的のことは、これは防衛庁長官が責任を持つてやるべきことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/61
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062・八木幸吉
○八木幸吉君 「国防の基本方針」の中に、国防会議の議題の中には入りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/62
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063・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は「国防の基本方針」というものは、そういうものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/63
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064・八木幸吉
○八木幸吉君 次に防衛計画の具体的なことを項目的に伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/64
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065・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 国防会議で扱われますことが予見せられておりまする防衛計画と申しまするのは、この第一号で「国防の基本方針」が審議せられるわけでありますから、その基本方針に基きまして、どいうふうな防衛組織を持ち、これがこの整備計画を持つべきかとういうふうな防衛計画の大綱でありますとか、或いは基本的な戦略的な事項というふうなものが議題に入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/65
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066・八木幸吉
○八木幸吉君 次に私は三軍方式について伺いたいのでありますが、陸海軍の軋轢が国はすでに苦い経験をなめたところでありまして、今回の防衛法案につきましても、統合幕僚会議の設置とか、或いは大学その他附属機関の統合等、相当御当局においても苦心をせられたところは察するのでありますけれども、更に一歩進めまして、長官の下に三軍を統率する最高司令官を置くことに対する見解、それから陸海空の区別を撤廃する階級の設定、それから補給施設、衛生施設等を一本化するといつたようなことについてお考えになつたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/66
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067・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 我々も従来の陸海の対立について非常に頭を悩ました、今度創設さるべき自衛隊にあつては、さようなことがあつては相成らん、これはその方針の下に統合幕僚会議というものを設けて、終始いわゆる三幕僚長を呼びまして、そうしてそこで日本の具体的の戦略的或いは作戦方策を互いに協議して摩擦のないようにやらせたい、こう考えておるのであります。この幕僚会議に基いてきまつた事柄は、即ちすべて長官の下に提出されまして、長官がそれをよろしいとすれば、それの方針に基いて各幕僚長を通じて各部隊に流して行こう、こういう考えの下に統合幕僚会議というものを設けたのであります。そうして三軍の指揮ということは誰にすべきかということはまだ考えておりません。それは具体的にそのとき、そのときによつてこれはきめるべき問題であるのでありまして、只今あらかじめ何人を以て三軍を指揮させるのかということについては構想を持つておりません。これは各幕僚長が寄り合うて、結局その人選なんかというものは長官の下においてきめられるべきものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/67
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068・八木幸吉
○八木幸吉君 あと一点伺いまして、爾余の質問は次の機会に譲りたいと思いますが、それは自衛隊は我が国土防衛のために挺身をするのであります。従いまして、その根底になるものは、どうしてもこれは精神的の大きな支柱がなければならん。私は公のために犠牲になると、こういうことが先ずその魂となるわけでありますが、魂の入つた自衛隊とするにつきましては、木村長官は相当な決心とお考えがおありになると思います。それをこの機会にお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/68
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069・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 御尤もであります。私はどうしても自衛隊員に対して精神的支柱を与えなければいかんと思つております。そこで先ず形式的ではありますが、その自衛隊員の心掛けの基礎になり得るものをこの法案に織込んでおります。それは五十二条をお読み下されば……私が一応参考のために申述べます。「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。」、これは極めて形式的でありますが、大体の向う方針はここに織込んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/69
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070・八木幸吉
○八木幸吉君 この法案の中にも今お示しの通り、五十二条には服務の本旨と題して精神的な面が現われておりますけれども、長官はときどき訓辞等もなさるようにも承わつております。又あらゆる機会にそのことに対しては常に隊員を鼓舞し、且つ訓練するようにお勧めになつておると思いますが、私はもう少し詳しい隊員の服務の精神的支柱になるような書いたものをやはりお廻しになる必要がある。そこで私はこの五十二条の意味をもつと敷衍した、長官の信念を当委員会に資料として書いたものを一遍お出し願いたい、かようにお願いをいたしておきます。これで私の残余の質問は次の機会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/70
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071・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは暫時休憩をいたします。
午後零時四十九分休憩
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午後二時四十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/71
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072・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を再開いたします。
午前に引続いて防衛庁設置法案及び自衛隊法案の二法案につき一般質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/72
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073・岡田宗司
○岡田宗司君 岡崎外務大臣の御出席がありましたので、外務大臣並びに保安庁長官に若干の質問を行います。
昨日、木村保安庁長官に自衛隊の増強に伴つて駐留軍の撤退があると思うが、今度の自衛隊の増強について駐留軍の撤退を、それに見合う駐留軍の撤退の交渉を開始するか、こういう御質問をした。それを早急に開始するかどうかという御質問をいたしましたところ、木村保安庁長官は、自衛隊の増強に伴つてそれに見合う駐留軍の撤退を速かに交渉するつもりである。こういうことをお答えになつておるのであります。で、この点につきまして外務大臣にお伺いしたいのでありますが、すでに日米安全保障条約を締結する際に、又今度のMSAの援助を受けて相互防衛援助協定を締結せられる際にこのことは問題になつたと思うのです。それで前々から外務大臣は、アメリカは日本に駐留することを希望してないんだ。従つて日本が自衛隊を増強して行けばまあ漸次減らして行く、行きたいと思つておると、こういうふうに言われております。で、この点は今度の自衛隊の増強計画と関係して、何といいますか、アメリカ側がどういうふうな意向を持つておるか、又第二には、今度の自衛隊の増強と関連して日本側から具体的にアメリカ駐留軍のいわゆる漸次撤退の具体的な交渉というようなことに入るおつもりかどうか。そうすればそれはまあいつ頃からそれを開始せられるか、そういう点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/73
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074・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 米国側の意向は前々から申上げている通り、今おつしやつた通りに、成るべく早く撤退したいということでございますが、今度自衛隊増強計画に伴つてMSAの交渉を開始するに当りまして、特にこの協定の調印に当つて、御承知のようにアリソン米国大使が、これが米軍撤退に一歩を進めるせのであるという表現を用いてこれを大いに歓迎しております。でアメリカ側の意向は従来と変りがないということになろうかと思います。然らばいつ具体的な交渉を始めるか、これは勿論自衛隊側の増強計画と申しましても、ただ人を殖やすだけでも相成りますまい。訓練も必要でありましようし、諸般の準備も必要でありましようが、そういう準備が大体いつ頃どういう形で整うかという見通しがつきましたならば交渉を始めたい、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/74
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075・岡田宗司
○岡田宗司君 では木村保安庁長官にお伺いいたします。今の岡崎外務大臣の御答弁ですというと、まあ人を殖やしただけではまだその時期ではない。併し訓練によつて相当まあ強化されたというめどが付いたときにそれを始めるんだ。こういうことでありますが、人を殖やすのは本年度の末までに二万殖やされて参りますが、それの訓練等によりまして、まあ保安隊が十三万ほぼ使えるという段階はいつ頃になるか。それと関連して保安庁長官はいつ頃からこの撤退の交渉をせられるか。これは訓練との関連でありますが、その訓練の計画によつて一応の強化のめどを……、その交渉の開始せられる時期等はどの辺におかれるというふうにお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/75
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076・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この点については、今ここにはつきり申上げることはできませんが、我々の今考えておるところでは来年の今頃じやないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/76
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077・岡田宗司
○岡田宗司君 そういたしますと、まあ十三万の自衛隊が大体訓練をせられて、そしてそれがまあいわばものの役に立つようになるのが来年の今頃、従つて撤退の交渉も今頃から開始せられるべきだ、こういうふうに考えてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/77
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078・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 申すまでもなく募集してこれに応じ、入隊した者が相当の訓練を要するのであります。この訓練をするのにもいろいろ部隊によつてその性質は異にしております。一概に申すことはできませんが、今私が申述べたように大体においてまあ来年の今頃であればよかろうかとまあめどを付けておるのであります。従いましてその時期に来ればアメリカのほうに見合うだけの自衛隊というものはできるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/78
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079・岡田宗司
○岡田宗司君 本年は二万の地上部隊の増強計画ですが、まあ来年も同じ程度の増強計画があるように聞いています。そういたしますと大体まあ来年度から始めて漸次増強しただけまあ撤退を要求して行こう、こういうことになつて行くと思うのですが、そうすれば現在アメリカ軍が日本に地上部隊がどれくらい駐屯しておるか私ども承知しておりませんけれども、一体どの程度の増強によつて先ず地上部隊が撤退することになるのか、全体として撤退することになるのか、その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/79
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080・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 前々申上げました通り、三十年度には地上部隊をできるならば二万を増員したいと考えておりまするが、これも希望に過ぎないのでありまして、来年度の財政計画その他を勘案して、果してこれだけのことができるかどうか、只今のところでは見通しは付いておりません。これは率直に申上げます、従いまして来年度果して実数どれだけ増加し得るかということで申上げることはできかねるのであります。こういう点から勘案して、アメリカの駐留軍の引揚げという問題も今からお答えすることは私はできんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/80
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081・岡田宗司
○岡田宗司君 そういたしますと本年の増加分と見合うものだけを来年先ず撤退する。つまり全体の撤退計画の一部としてでなく、先ずその細切れ的に撤退の交渉を始める、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/81
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082・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これはその日本の全般的に亘る防衛計画にも関係があることでございまして、情勢の変化、その他に従つてアメリカ側のほうでどれだけ引揚げるかということについては、私は今直ちにここで御回答は申上げることはできんと思います。併し申すまでもなく、我々の希望といたしましては一日も早くアメリカの駐留軍、地上部隊だけでも引揚げてもらいたい、又アメリカもそういう気持であろうと思います。その点については十分我々も将来考えて参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/82
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083・岡田宗司
○岡田宗司君 次に外務大臣にお伺いしますが、今日本には米軍のほかにまあ国連軍として実はイギリス軍が駐屯しておる。それで朝鮮の休戦も、休戦からすでに一年を経ておる。そしてイギリス軍が日本に駐屯するということは、日本との間に何ら協定も何も結ばれておらんわけです。それでこの国連軍というものが朝鮮休戦後一年もたつてなお占領中と同じように、やや規模は小さくなつたけれども、日本国内におるということは、我々にとりまして非常にけしからんことなんですが、この国連軍の撤退ということについて外相は何らか交渉をせられておるか。それから又国連軍は如何なる時期に撤退することになるか、そういう点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/83
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084・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍が日本に駐屯といいますか、駐留する何らの根拠がないと言われましたが、これはもうたびたび申すように吉田・アチソン交換公文で日本における駐留を認めております。平和条約と同時に、この交換公文は条約の一種であるとして、国会に提出してその承認を求めております。これが条約上国連軍の国内に駐留し得る権利を認めたものです。
それから国連軍の撤退につきましては、これは国連軍協定で規定しておりまして、朝鮮から国連軍が撤退することになつてから九十日以内に日本から撤退するということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/84
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085・岡田宗司
○岡田宗司君 国連軍の撤退が、朝鮮から国連軍が撤退してから九十日、こういうことになつて参りますと、現在の状況からいつて、事実上まあ戦争は停止されておる。勿論国連軍という名前でアメリカ軍はおる。けれどもイギリス軍はまあ漸次引揚げておるようでありますが、日本におる国連軍としてのイギリス軍は、単にどうも朝鮮の軍隊が一時日本に来て、まあそこで以て休むとか或いは本国へ帰つたり来たりする、そのためにあそこを使うとかということじやないらしい。例えば呉で以て香港だのほうそれから持つて来た軍艦の修理をやつたり、兵器の修理をやつたり、いろいろしておるようであります。つまり朝鮮の戦闘関係から来るそういうような必要以外のことまであそこでやつておるようになつておるようですが、そういう点について私は他の国連軍、つまりイギリス以外の他の国の軍隊が事実上日本に長逗留したり、或いは日本にいわゆるベースを持つて行動しておらんのですが、イギリス軍についてはそういうことが事実上占領時代から引続いて認められる、そういうことになつておりますが、これはどうも我々としては、少くとも朝鮮の休戦がああいう事態になつて一年以上もたつておるのですから、強力に一つイギリス軍があそこから立ち去るように交渉すべきだと思うのですが、これはただあの交換公文や或いはその後の協定で駐屯を認めておるからというのでそのまま、自動的に朝鮮から国連軍が引揚げて九十日たつていなくなる、そういうふうに自動的に国連軍が引揚げるのをお待ちになつているのか。それとも交渉によつてこういうふうな事態が変つて来たから、早く引揚げることを交渉されるのか、その点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/85
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086・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍との協定は最近に締結したものであつて、これは朝鮮休戦等も織込んでおるのであります。その協定は極く最近に参議院の審議を経て承認されております。従つてこの協定の中に、朝鮮から撤退することになつて以来九十日以内に日本から撤退する、これが極く最近にこの協定を参議院でも審議されて承認されておるのですからして、これと違うことを今すぐにやるというのは私はどうかと思つております。もとより必要がなくなれば、国連軍は皆自分で経費を負担して来ておるのですから、長く滞在していたいと思うわににないと思いますが、朝鮮の問題もまだ片付くやら片付かないやら実に甚だはつきりしない状況でありますから、今暫らく事態の推移を見守るべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/86
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087・岡田宗司
○岡田宗司君 次にお伺いしますが、最近ウィルソン国防長官、ヴアンフリート大将がこちらにやつて来て、これはインドシナにおける戦争の経緯等の結果こちらへ来られたと思うのですが、政府のほうでもお会いになつておるようでありますが、この二人が特にこちらに来られたということは、SEATOの問題或いは太平洋防衛同盟の問題、そういう問題と関係があり、同時に日本がそれに参加することを慫慂しに来た。或いは又日本の意向を打診に来たのではないかということが想像されるのですが、この二名が来られましたことは、このSEATO、若しくは太平洋防衛同盟と関係があるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/87
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088・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 少くとも日本に関する限りは、よその国については私ども情報を今持つておりませんからはつきりしませんが、日本に関する限りは、この御両人ともそういうようなSEATOというような種類の話は一言も口にしたことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/88
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089・岡田宗司
○岡田宗司君 今度のアメリカのほうの意向として、太平洋における防衛同盟計画というものが何らかの形で進むであろうということは、今のインドシナの形勢等から見て、又ジュネーブ会議の成行きから見て予想されるところでありますが、そうなつて参りますというと、日米安全保障条約を持つておるとは言え、日本としてこの問題の圏外にあるわけに行かん。これはもう必然的にアメリカも働きかけて来るだろうと思うのですが、若しそういうような場合になつて参りますと、今日の自衛隊を海外派遣しないというような問題は、そのままで済む問題ではなくなると思うのです。昨日木村保安庁長官にお尋ねいたしましたら、そういうような場合には、例えば日本が大所高所から見て、そういうものに加わらなければならんという場合には憲法の改正或いは自衛隊法の改正をやらなければならん、こういうことを言われたのです。この見通しですね、例えば太平洋防衛同盟或いはSEATOとかいうものに対してアメリカが日本側に働きかけて来る見通しがあるか。或いは又日本側としてはこれに参加するつもりであるか、又吉田首相が向うに行かれるのは、こういうような問題についての協議であるか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/89
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090・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは実はよく言われておりますが、さて具体的にそれじやどういう内容を持つた安全保障機構なんだということになりますと、誰も答えられない、具体的な内容が出ておらないのであります。従つて我々としては、これに対して実ははつきりした意向を表示する材料がないのです。一般的にいいますと、国連機構の下における、つまり国連憲章の下における地域的安全保障体制というものは原則的には結構なものであります。従つて日本としても、これはそういうものができれば歓迎すべきものだと思いますが、併しそれは原則論であつて、実際できたものがどういう形のものかによつて又これは違つて参りましよう。それから又仮に結構なものであると、こうしても、日本の憲法の規定その他からこれに参加できない場合が当然予想されるのです。つまり兵力提供等の義務を伴うものであつたならば、これは参加できない。併しその場合でも、参加はしないが、結構なものであればモーラル・サポートを受けるというようなことはやる場合があるかも知れません。勿論具体的な内容をはつきりしてもらわないと議論はできない。抽象論になつてしまうわけであります。
それから見通しということになりますと、少くとも日本として兵力提供の義務のあるような機構に参加を求められることはないであろうというのが私の見通しであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/90
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091・岡田宗司
○岡田宗司君 こういうような太平洋防衛のための地域的集団安全保障の問題は、今度吉田首相が向うへ行かれる場合に当然問題になると思うが、その点はどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/91
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092・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは恐らくアメリカ側でも具体的にはまだはつきりしたものはないのじやないかと思いますが、これはあるかも知れません、聞いておりませんから。併し我々の知る範囲では、こういうことが総理外遊のときの話題になろうとは考えられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/92
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093・岡田宗司
○岡田宗司君 次に軍事顧問団の問題についてお伺いしたい。MSAの援助協定によりまして、向うからカントリー・チームが入つて参りまして、外交官の地位が与えられるようであります。これは漸減されるようになつて行くと思うのでありますが、この顧問団の任務というものは、これはアメリカのMSA法に規定されておる。そしてあれから見ますというと、顧問団というものは相当広汎に活動をする任務を持つておるようでありますが、日本側は今度の協定を結び、又それが自衛隊に配置されます場合に、大体どの程度の活動といいますか、任務を許すことになつておるのか。そしてこれはアメリカとの協定、あの協定を見ましても、具体的にその顧問団の仕事等については出ておりませんけれども、これは具体的にどういう仕事をするということの話合いが付いているのか、その点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/93
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094・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは協定にも、第七条で、非常に具体的といえるかどうかわかりませんが、顧問団の仕事としては、「この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。」、こうなつておりまして、アメリカの法律もさることながら、これは日本との間には、協定が日本との間の関係を規律するものであります。これが顧問団の日本における職務ということになります。この範囲内において保安庁が顧問団と連絡して便宜も供与すれば、又これに相談もするということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/94
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095・岡田宗司
○岡田宗司君 そういたしますとこれだけでは非常に抽象的でわからないのですが、例えば日本の自衛隊等の増強をアメリカの援助と睨み合わせて、向う側の判断で面白くない、満足の状態でない、こういうときにはこれは配属されておる顧問団が直接に自衛隊に対して監督をするとか、或いはこうこうせえとかということを言つて来るものであるかどうか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/95
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096・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 顧問団はそのような権限も持たなければ、そのようなことをする意向はないはずであります。これらは政府と政府との間の話合いの題目にはなるかも知れませんが、顧問団としてはさようなことはいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/96
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097・岡田宗司
○岡田宗司君 顧問団は警察予備隊ができるときからずつと入つておりまして、そして保安隊になり、更に今日自衛隊になる場合にも事実上そのままとどまつて行くことになる。そうすると警察予備隊ができますときには顧問団は非常に大きな働きをしたといいますか、とにかく警察予備隊を育て上げていろいろな仕事やつたわけであります。保安隊の場合にも相当仕事をしていたように思う。それで又今次の場合におきましてもヒギンズが相当、例えばただ武器の管理とかいうだけでなく、発言権を持つておるように思うししますが、今後顧問団が各部隊に配属されて、事実上各部隊といいますか、連隊なり師団なり或いは軍なりというようなところに配属されて、それらに対して間接的な指導をするといいますか、そういうようなことをするのではないか、こういうふうに私どもには思われるのですが、その点についてはそういう任務はないのか、或いはそういうところまでやるのか、その点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/97
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098・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 現在のところでもアメリカのほうの軍事顧問団が軍隊の教育或いは指揮をするとかいうことについては絶対に関与しておりません。今やこのMSA協定に基いて置かれる軍事顧問団は、いわゆるアメリカから供与を受けるいろいろの武器等についての操作等については一応の指示は受けるでありましよう。又部隊にそれが配属されておるかどうかというような進捗状況については顧問団はいろいろ関与するでありましようが、今申上げた通り部隊そのものについて何ら干渉をするようなことは絶対にありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/98
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099・岡田宗司
○岡田宗司君 今度の顧問団は六百五十名、これが年度内に三百名になると、これはこの頂いた資料を見ますというと、なお中央だけでなく、部隊、学校等に配属されておる。それで特に学校に配属されるものは、その教育の面について指示を与えるとか或いは干渉するとか、或いは監視をするとかいうことになる。それから又事実武器の操作とかそういうことだけでなく、部隊に配属されたものもそういうようなことをするのじやないか。例えば昨年行われた富士の裾野の演習のごときも向うのほうからの示唆に基くものではないか。又向うが来て相当世話をやいていたことを私は見ておるのですが、そういうような点について今後も続けられるのじやないか、どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/99
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100・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 顧問団はそういうようなことは関与いたしません。富士の演習につきましても、その計画、指導等については顧問団は関与しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/100
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101・岡田宗司
○岡田宗司君 今後顧問団は各部隊、学校から引揚げて、中央だけにするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/101
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102・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 大体その方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/102
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103・岡田宗司
○岡田宗司君 中央だけの顧問団は保安庁、今度防衛庁ですが、防衛庁の中にやはり事務所を持つて、そこに厳として坐つておるのですか、それとも大使館に事務所を持つて、そこに坐つて、必要なときに行動をするというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/103
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104・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは保安庁内に事務所を持つということはあり得ません。それは便宜一室を与えるようなこともありましようが、さような事務所というような程度のものは置くことはなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/104
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105・岡田宗司
○岡田宗司君 事務所というのじやないのですが、配属されれば、当然そこへ来て毎日事務をおとりになると思うのですが、保安庁で事務をとることになるのですか、防衛庁の中で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/105
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106・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 主たる事務はこれは大使館でやるのでありましようが、御承知の通り保安庁へ参りますれば、保安庁として一室を与えて、そこで事務をとるということはあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/106
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107・岡田宗司
○岡田宗司君 この顧問団の日本のつまり自衛隊の内部における地位、これはまあ向うの階級によつても違いましようが、どういう待遇をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/107
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108・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今のところ日本側において待遇ということは私はまだ考えておりません。どうなりますか考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/108
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109・岡田宗司
○岡田宗司君 これは外務大臣にお伺いしたいのですが、外交官の待遇をすることになつて、それぞれの階級によつて違つておりますが、三階級に分けております。これが防衛庁、それから自衛隊に配属された場合に、それぞれ隊内における待遇という問題も生じて参ると思いますが、その点については交渉はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/109
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110・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 今までのところは日本国として顧問団にどういう待遇を与えるか、これはおつしやる通り外交官、或いはそれの以下の三階級に分けての待遇を与える、これは話がきまつております。今度保安隊なり自衛隊においてどういう待遇を受けるかというのは、これは実際の問題であつて、権利義務の問題ではないのであります。権利義務の問題はこの協定できまつておるわけです。あとは保安庁長官の適当と考えられる待遇を与えられれば、又これは先方に礼儀に失しない程度のものは必要でありましようが、適当と考えられる待遇を与えられれば実際問題は解決する。これは協定上の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/110
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111・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると保安長官にお伺いしますが、実際上の問題として、今までの保安隊或いは警察予備隊にありました時代のような待遇をそのまま引続き与えるのか、ここで切換えて何らか別な待遇をするのか、その点はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/111
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112・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 今のところはまだ確定しておりませんが、改めて待遇を従来と異にするということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/112
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113・岡田宗司
○岡田宗司君 次に行政協定二十四条の問題についてお伺いします。行政協定二十四条についてはいろいろと論議されたことですから、前のほうの部分についてはお伺いいたしませんが、「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」、まあ自衛隊ができて、今日本の防衛については自衛隊だけではやつて行けないのだ、それでアメリカの駐留軍とどうしても共同行動が必要であるということになつておりますというと、常に連絡もとり、或いは又いろいろな事態に処しての協議ということも常々行わなければならんわけであります。そういたしますとこの共同措置をとるときに、安全保障条約第一条の目的を遂行するために協議しなければならん、この協議はどういう機関で行われるかということがやはり問題になるだろうと思います。これは今後アメリカ軍との共同行動のために何らか特別の連絡機関というか、協議機関というものを設けるおつもりかどうか、又この協議というのはどこで行われるか。例えばアメリカの極東軍司令官と日本の防衛庁長官との間に行われるものか。或いは極東軍司令官の下の幕僚長と言いますか、そういうものと日本の何ですか、幕僚会議議長との間に行われるものであるか、そういうような点が、今後やはり問題になるだろうと思うのです。お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/113
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114・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは双方から然るべき適当者を出して時々協議いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/114
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115・岡田宗司
○岡田宗司君 双方から然るべきというのはどういうところのことを意味するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/115
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116・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 相当の階級のあるものを予想しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/116
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117・岡田宗司
○岡田宗司君 この行政協定二十四条は、相当重大な問題だと思うのです。これは場合によりましては自衛隊の出動の問題と関連して来るので、これは単に技術的な問題だけじやない。日本にとりましては重大な問題も含んであるわけなんです。これは防衛庁長官がみずから当るのかどうかということを私はもう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/117
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118・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 無論防衛庁長官がみずから当る場合もあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/118
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119・岡田宗司
○岡田宗司君 この問題について外務大臣にお伺いしたいのですが、行政協定ができるときに、この「協議しなければならない。」ということについて、機関の問題或いはその連絡者というか或いは協議すべき人々について何らかの話合いがあつたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/119
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120・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これにつきましてはいろいろ議論がありまして、それでこれは個々の場合、それはいろいろな場合がありましようが、要するに原則としては両国政府を代表する者の間で協議をする。つまり普通の予想では、その政府を誰が代表するかということは認めれば誰でもできるということにはなりましようけれども、併しこの場合の考え方はそうでなくて、自然に誰が見ても代表と思われる人が協議する。例えば日本の駐米大使がアメリカの政府と交渉する、或いはアメリカの大使が日本の政府と交渉する、そういうような正式な高いところの協議を予想しておりまして、ただ実際の具体的問題になると、それはそれだけでは足りますまいから、専門家が入るということにもなりましようし、又その一部については保安庁と直極米軍司令官と話合いをすることもありましようけれども、この行政協定の二十四条に規定しておりますものは、原則としてはそういう種類の、最も高いところの両国政府間の協議、こういうことを予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/120
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121・岡田宗司
○岡田宗司君 そうするとこの日米行政協定はアメリカ軍の日本における駐屯のいろいろな条件を規定することになつておるのだが、この二十四条の場合は、単に軍だけでなくて、そういう重大な日本の軍隊の出動等も含む問題ですから、これはいわゆる外交交渉が第一の問題だ。そしてこれは日本側から言えば外務大臣、それからアメリカ側から言えば大使というものが交渉するのが第一の問題だ、こういうふうに解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/121
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122・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 原則としてはその通りでありまして、むしろこれは軍隊の地位に関する協定の中では消極的部分で、原則としては軍自体がそこへすぐ入つて来ないのだぞというむしろ趣旨の協定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/122
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123・岡田宗司
○岡田宗司君 そういたしますと、今保安庁長官の言われたところと大分違うのですが、これは外務大臣の言われたほうがこの協定の趣旨に副うもの、つまり保安庁長官が極東軍司令官なり何なりと直接交渉するものでない。先ず外務大臣とアメリカ大使等との交渉があつて後専門家として両者が協議をするのだというふうに解してよろしうございますか。これは保安庁長官にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/123
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124・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) まさにその通りでございます。私が先ほど申上げたのは保安庁自体としての扱い方を申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/124
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125・岡田宗司
○岡田宗司君 私は外務大臣に対する質問はこの辺で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/125
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126・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは三分ほど休憩します。
午後三時三十二分休憩
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午後三時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/126
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127・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは休憩前に引続き開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/127
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128・井野碩哉
○井野碩哉君 この二法案につきまして一番根本的に問題になりますのはやはり憲法との関係でありまするが、この論議はまあ衆議院以来しばしば繰返されておりますが、併し国民は、保安庁長官の御説明で、自衛隊というものがやはり軍隊と言つてもいいんだという御私見を述べておられるようであるので、そこにやはり非常な疑いを持つて来るのであります。私見で軍隊と言つてもよろしいと、こうおつしやつた。その御趣旨をもう一度はつきり御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/128
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129・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 重ねて申上げます。私の申し上げたのはこうなんであります。要するにこの軍隊とは何ぞや、軍隊の定義がきまつていないのです。これは先ほども法制局長官らが申上げましたように……。従いまして、外部からの侵入して来る部隊とこれを防禦するに当る実力部隊をこれを軍隊と普通称するのならば、まさしく自衛隊は軍隊であると言つてよろしい、こう申したのであります。軍隊の解釈如何の問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/129
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130・井野碩哉
○井野碩哉君 軍隊という定義が憲法その他の法律でどこにもないというお話でありましたが、私は憲法九条の二項を読みますと「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、」と、こうあるのですね。文理解釈から行きまして、陸海空軍という軍という観念は即戦力あるもの、こう文理解釈せざるを得ないと思うのですが、法制局長官如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/130
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131・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 御尤もな御疑問だとは思いますけれども、私どもの考えておりますこの陸海空軍その他の戦力という言葉につきましては、憲法第九条の趣旨から申しまして、殊にこの第二項で言つておるところは、戦力と申します一定の恐しい力というものを憲法は恐れておる。従つてその力そのものが或いはどういう目的の、例えば内乱を防ぐためのものである、或いは外敵を防ぐためのものであるというようなこの目的、任務というようなものにかかわらずに、力そのものを恐れていると、こういうふうに読みませんと、目的、任務のあるものはいつでもはげ落ちるということでありますからして徹底しないのじやないかということが根本の考え方であります。そう考えましてこの陸海空軍その他の戦力という言葉を読みますというと、要するに陸海空軍、即ち戦争目的と申しますか、外敵と戦う任務を持つておるそういう陸海空軍たる戦力、それからそういう任務を持つておらなくてもおよそ戦力はいけない、こういうふうに読まなければ筋が通らない、こういうふうに考えておるわけであります。普通に……普通にと申しますか、一部に言われておる陸海空軍であればもういけないんだ、それからその他の戦力もいけないんだというふうに分けて考える考え方もございますようですけれども、仮にさような立場をとりますというと、およう軍事目的というものを持つておればどんな小さなものでもいけないと先ず読まなければいけないことになるわけであります。そこでその立場に立つてその他の戦力というものをどう考えておられるかと申しますと、そういう立場の人々は、いつでも陸海空軍に変り得るようなものをその他の戦力と考えているのだと、こうおつしやる。これはもう無理はないと思います。そういうふうになりますと、どんな小さな部隊でも外敵と戦う任務を持つておるというものはいけないということを考え、ついてはそれにいつでも変り得るというものはいけないということになりますと、その他の戦力の規模も非常に小さいものもあり得るということになつて参ります。およそ実力というものは、内乱のため或いは治安維持のためと申しましても、その本質の戦闘力というものは、これは外敵にも向けられるし内乱のほうにも向けられる、そういう本質のものであろうと考えますからして、今の論のように考えて行きますというと、陸海空軍というものはどんなに小さくてもいけない又それにいつでも変り得るものはいけないということになつて、その他の戦力というものは小さなものまでも禁止されていると考えざるを得ないということになつて来る。そうなつて来ますと、それは結局戦闘力でありますから、内乱のため或いは普通の治安維持のためというものもここで禁止されておるということになつて、陸海空軍のほうは小さくてもいけないのだけれども、その他の戦力というものは大きくてもいいのだというふうな論理も成り立たないと思いますので、どうも徹底しないのじやないかと思います。従つて先ほど申し上げましたように、陸海空軍たる戦力はいけない、その他の戦力もいけない、すべてこの戦力という力の規模ということで客観的に抑えておる。そういうふうに読まなければいけないものと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/131
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132・井野碩哉
○井野碩哉君 その戦力が非常に小さいものが起つて来ては困る、こういうことは私もよくわかるんです。従つてこの戦力は長官の言われるように近代戦に即応する装備を持つておるものでなければいかんということはわかるんですが、従つて陸海空軍というものもそういうものでなければいかん、こう解釈して行かなきやならんと思うのであります。文理解釈から行きまして、その他の戦力という場合には必ずその上に書いたものは戦力の中に入るのはこれは誰が解釈してもそうなんですね。
地方に私ども帰りまして、一体政府は憲法違反をしないと言つておつても、この規定を読めば、どうしても陸海空軍であれば戦力を持つものである。従つてそれはもう軍隊と言わざるを得ない、こういうわけですね。ですからこれを軍隊と言わないで飽くまでも自衛隊である。戦力は持つていないんだ。こう御説明になればはつきりするんですが、そこを軍隊と言つてもよろしいんだ、こうおつしやるものですから、地方の人は非常に憲法にやはり違反しているんじやないかという気持を持ちます。
この間の公聴会でも薬剤師の女の方が、日本の政府として遵法精神を持たなければ、政府自身の信任に関するんじやないか、どうしても憲法違反の行動を政府がとつていられる以上違憲であると言われるゆえんのものです。やはり軍隊とは言えないのだ、軍と書いてある以上は軍の隊なんですから、軍隊なんですから、何と言つても、ですから軍隊と言わないんだと長官がはつきりおつしやらないと、これは非常に国民に惑いを生ずると思うのでありますが、ですから私見でも軍隊とおつしやらん、こう是非言つて頂きたいのですが、その点は如何でしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/132
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133・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) それだから自衛隊という名前を使つておるのであります。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/133
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134・井野碩哉
○井野碩哉君 併しその自衛隊という名前はそうですが、軍隊と言つてもよろしんだ、つまり外敵が侵入して来た場合に防ぐものを軍隊と言うなら軍隊と言つてもよろしいんだとおつしやると、国民はそうはいろいろな細かいことはわかりませんから、自衛隊は軍隊と言つてもいいんだ、そうすると軍隊じやないか、軍隊だ軍隊だということになると、今度は地方の教師なんかが、あれは軍隊だ、こう生徒に教えるのですから、そうすると又一面において憲法違反の問題をおかしながら政府は自衛隊を持つのか、こういう疑いが生じて来るんですね。それで政治というものは国民に信がなければできないんですから、国民は、政府は遵法精神に違反しておるような政府だという、信を失わせてはいけない。要するにその鳥を鷺と言いくるめるということはありますが、烏が鷺に似たからといつてそれを鷺と言つていいと言えば、これはちよつと国民も惑つて来ると思うのです。ですから烏は飽くまで烏である。鷺は飽くまでも鷺である。こういう立場で行かないと、形が以ておるから烏を鷺と言つてもよろしい、こういうことでは惑つて参りますから、そこは長官としてもこれから先、今まではどうおつしやつてもいいが、これから先軍隊と言つてはいかん、こうおつしやらんと、どうしても法律解釈上、憲法の解釈上、陸海空軍その他の戦力という以上は、戦力の中にどうしても軍という観念が入らざるを得ないように、私どもこれは法律を多年扱つておりまして、法制局長官もそうでございましようが、こういう問題については法律を書く上において、その他の戦力といえば戦力の中に陸海空軍が入つてなければ、その他の戦力という言葉は使えないのですから、その点についてはつきりして頂きたいと思うのですが、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/134
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135・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) そこで私が前々から申上げておるのでありまして、我々考えておる軍隊というのは、交戦権を持つもの、これを普通軍隊と我々は考えておるのであります。ところが憲法第九条第二項においては、いわゆる交戦国としての持つべき権利は与えられていないものですから、それだから純粋の意味における軍隊とは言い得ないだろう、こう申しておるのであります。但しこれを普通人が外部からのいわゆる外国に当るべきものを軍隊というのであればそれでよかろうじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/135
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136・井野碩哉
○井野碩哉君 そこがいけない。よかろうとこうおつしやると、国民が非常に惑つて来るのです。飽くまで保安隊のときに長官がとつておられた態度で、あれは軍隊じやないのだ、こうおつしやらんと、どうも国民がそこに非常に惑いを生じますから、その点は一つお考えおきを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/136
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137・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 畏りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/137
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138・井野碩哉
○井野碩哉君 今ここで別にそれをお取消しを願いたいとか何とかという意味じやない、その点は十分に一つお考えを願いたい。
それから第二点でありますが、この防衛行動を開始しますときには、国防会議にお諮りになるのでありますが、これを終止されますときにこれは国防会議にはお諮りにならないのですか、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/138
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139・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 今の建前ではそこまで考えておりません。出動の可否は国防会議においてきめます。併し御承知の通り第五号ですか、その他必要なる事項ということがありますから、実質上においては無論この国防会議にかかることと考えております。なお申すまでもなく防衛出動をするときには国会の承認を得ることを原則といたしております。すべて国会本位で事をきめて行くということの建前をとつております。無論この軍隊を引揚げる、いわゆるそういう行動をやめるときにおいても政治的には国会に私はかけるものと考えております。すべてこの国会が中心になつてことを議することを建前とすると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/139
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140・井野碩哉
○井野碩哉君 この行動を開始しますときと同じような重要性を私は終止のときに持つのじやないか、大東亜戦争が終止しましたときには非常な議論がありまして、結局議会の了解をも得、而も陛下の御決断によつて終止したのでありますが、一旦起しました行動をやめるということは、これは従来の軍人、今度の自衛隊員と申しますか、隊員の士気からいつてみても非常にむずかしい問題がそこに起つて来ると思います。これは国策上極めて重大なる問題であつて、その他重要なる事項と言つてその中に含めていい問題かどうか、むしろ項を起して開始の可否と同じように終止ということも置かなければならん程度のものだと思うのであります。
そこでそれを終止しますときに、この防衛法案では国会の承認はそれは別に必要条件になつておりませんが、私は開始のときと同じようにやはり国会の承認が必要条件だと思うのですが、その点は如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/140
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141・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 誠に私は適切な御意見と思つております。それで国防会議の審議事項についても、その点について十分考慮いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/141
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142・井野碩哉
○井野碩哉君 国会の承認を得ますことは法制上ここから先のことですから、今別に修正するという意味じやございませんが、先に至つてそういう問題をやはりこの条文の中にお入れになるということの御考慮はございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/142
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143・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 今差当りどうすべきかということは私申上げることはできませんが、非常に有力な御議論として私は承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/143
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144・井野碩哉
○井野碩哉君 次にお伺いしたいことは、長期防衛計画なんでございますが、国防会議にお諮りになりまする防衛計画、これは一年々々の防衛計画でありますか、或いは長期の防衛計画でありますか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/144
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145・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私はこう考えておるのです。無論長期の防衛計画も立てなくちやならんと思つております。併しその長期の防衛計画を立てるについては、これは非常に困難のあることは御承知の通りであります。国際情勢の変化その他兵器の進歩、財政状態、いろいろな点から見て、なかなかこの確定した長期の防衛計画は立て得るものじやないと私は考えておるのであります。そこでこの防衛国防会議においてもそれは一応の長期の防衛計画というのは立てるべきであろうと思いまするが、実際上の問題としては、時時この国際情勢その他を勘案をして立てるべきであつて、これは固定的のものでは私はないと考えております。いろいろ立てた上において変更をされることが当然であろうと思う。それで国防会議は私は必要であろうと考えております。一遍長期計画を立ててそれを固定的に考えて行くというようなあり方では私はないと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/145
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146・井野碩哉
○井野碩哉君 私もその一旦立てた計画を変えちやいかんということを申上げるのではなくて、国防会議に付議する防衛計画というものは、一年々々のものであつては意味をなさんと思うのでありますが、長期のものをお諮りになる御意思があるかどうかということを伺つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/146
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147・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) もとよりそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/147
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148・井野碩哉
○井野碩哉君 そうしますとまあ国防会議の法律案は出てませんが、国防会議ができましたら早速それをおかけになる御準備はできておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/148
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149・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) まだ準備という程度には行きませんが、そのことについてはまあ十分に検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/149
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150・井野碩哉
○井野碩哉君 その長官のお考えになつておられる国防計画というものは、衆議院のまあ委員会の御答弁を見ても、三年がいいか五年がいいか、七年がいいか、大体五年がいいというお考えを持つておられるようでありますが、今でも五年計画をお立てになろうとお考えになつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/150
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151・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 先ず私の構想では三年か五年か、これについては非常に私は論点があろうと考えております。殊に私はこの兵器の革命と申したら語弊がありますが、電波兵器なんかについては相当我々はこれを考えなければならんと考えております。而も電波兵器は長足の進歩をなすのじやないか、そういたしますと、いわゆる部隊の編成、装備ということも相当変つて来るというきらいがあると考えております。それらの点を勘案して、これは三年の計画を立てるか五年の計画を立てるかということに問題があるのであります。併し常識といたしましては五年計画ぐらいが適当じやないか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/151
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152・井野碩哉
○井野碩哉君 この国防会議の付議事項の中で、三号に「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」とございますが、五年の国防計画をお立てになるというときに産業方面から見ますと短い計画では産業人としては非常に困ると思うのです。自分の政府がこういつた兵器を作りたいというのでいろいろの設備をして、すぐそれが変つてしまうというようなことでありましては非常に困ると思うのであります。でありますから計画はやはり相当の長い計画でないと産業界に及ぼす影響が非常に大きいと思うのであります。従つて私はまあ三年というような計画では、民間の事業としては成立たない問題じやないか。どうしても五年以上の計画が必要であると思うのでありますが、その点についてのお考えは如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/152
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153・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 今申上げました通りに常識としては五年であります。我々としては五年が先ず至当なところではないかと、こう考えて研究しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/153
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154・井野碩哉
○井野碩哉君 その次にお伺いしたいことは、動員計画なんでありますが、曾つての軍事関係におきましては、動員計画というものを立てております。これは国防計画とは違うものだと私は思うのであります。国防計画はどのくらいの装備の兵力を持たなければならんか、それが又産業にどういう関係があるというような、いわゆる根本的な国防の計画であつて、動員はその都度の軍隊の編成なりその他の行動を規定するものだと思うのでありますが、動員計画というものはお立てになるつもりでありますか、如何がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/154
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155・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 実はこの動員計画のことについては我々も考えなければならんと考えております。併し現段階においては実はまだそこまで行つてしないのであります。国防の基本方針をここに掲げて、今おつしやいまするように各方面、或いは輸送或いは通信、その他万々の点を考慮して、一朝有事の際にどうあるべきかということについての方針を決定いたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/155
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156・井野碩哉
○井野碩哉君 動員計画をお立てになります場合には国防会議に附議なさいますか、如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/156
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157・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) もとよりこれをその他重要な事項ということでありますから、附議されることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/157
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158・井野碩哉
○井野碩哉君 動員計画の基本計画は防衛庁のどこでお立てになりますか、いわゆる内局でお立てになりますか、或いは監部のほうでお立てになりますか、如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/158
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159・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは御承知の通り内局において今度はいわゆる参事官の制度をとつているのであります。これは直属の補佐機関であります。その他幕僚監都は全部長官の指揮下でありますが、そういう計画を立てるときにおいてはいわゆる制服の幕僚監部も参加させる、或いは内局の者も参加させる、そうして計画を立てて行きたいと、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/159
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160・井野碩哉
○井野碩哉君 この法律を見ますると、長官の幕僚に参事官と幕僚長があるわけでございますが、この権限が非常にこうはつきりしていない点がある。これは衆議院でもいろいろ御議論があつたようでありますが、法律上片方は「基本的方針の策定について長官を補佐する」と書いてございますし、一方は何にも書いてないのですが、幕僚長のほうは細かい規定事項、何といいますか、命令事項は書いてありますが、根本の観念が書いてないので、片方参事官のほうは根本観念が書いてあつて、而も局長には局長のおのおのの権限がずつと書いてあるのでありますが、幕寮長のほうにはそれが書いてないのでありますが、この両方の区分、権限の区分というものは、長官はどういうふうにはつきり認識になつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/160
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161・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 幕僚監部のほうはそれぞれ直接部隊に関係がある、部隊に関する限りにおいてすべてそこで計画を立てるべきものだと考えております。内局のほうにおいては、無論部隊についての点も考慮に入れますが、それよりもつと幅を広く各方面から検討して、そこで案を立てる、こういう構想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/161
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162・井野碩哉
○井野碩哉君 その権限がはつきりしないのでありますけれども、抽象的に見ればそうでありますが、具体的にこういうことは参事官にやらせるのだ、こういうことは幕僚長にやらせるのだというはつきりした限界はないのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/162
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163・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 内局の参事官でやるのは、大きな観点から、日本の財政計画或いは現在における経済事情その他の点から、大局的に見て、これの判断、幕僚監部のほうではいわゆる実施部隊に関する限りにおいて部隊の計画はどうあるべきか、実際面から計画を立てて、それが互いに総合されて長官の実施上の補佐をするわけになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/163
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164・井野碩哉
○井野碩哉君 参事官が二人がそれをおやりになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/164
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165・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 参事官は御承知の通り定員が一名であります。併しそのうちにおきましてどの方面においてこれを担当するか、どの方面のものはどの参事官が担当するか、おのおのこれはきまるわけであります。そうしてこれがお互いに自分の考え方を長官に申告して、まあ申告と言えば語弊がありますが、よく協議をして、いろいろの観点から判断いたすと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/165
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166・井野碩哉
○井野碩哉君 六人の参事官は局長を兼ねるようになつておりますが、これははつきりわかるのでありますが、二人の参事官の権限というものは別段権限はないの、でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/166
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167・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この参事官は、六人はこれは所掌は、担任はあるのでありますが、それを一つ超越して、機動的に長官を補佐させようという建前をとつております。それであとの二人については所掌事務というものを持つておりません。これは機動的に長官を補佐させる。併し今考えているのは、我々は技術方面の点について十分参事官を活用いたしたいとこう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/167
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168・井野碩哉
○井野碩哉君 統合幕僚会議を開催します際に、これは開催権はどこにございますか。つまり統合幕僚会議を開けということは長官からの御命令はできるものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/168
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169・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 無論長官ができるのであります。併し実際的においては幕僚会議の議長が終始これは自分の判断に基いてその会議を開くことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/169
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170・井野碩哉
○井野碩哉君 統合幕僚会議というものは三幕僚がいろいろの権限の上で総合的な話合が必要だという場合に招集をしてもらつて開く、ですから幕僚長のほうから請求をして議長がこれを開くというのが建前であつて、長官から開けという命令はここでは法文の上でははつきりしていないのですが、勿論私は必要だと思うのです。長官からも統合幕僚会議を開けということは必要だと思いますが、法文の上からは開き得る権限が明らかでないのですが、それはどこかの条文にございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/170
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171・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は広く長官が指揮監督の権限を有しておるのでありまするから、その面から見ても会議の開催を指示すべき権能を持つておる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/171
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172・井野碩哉
○井野碩哉君 次にお伺いしたいのは、軍事同盟というものが仮にこれから起つて来ると思います。それに加入するという政府が決意をしますのは、憲法を改正しなければ加入できませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/172
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173・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) もとより軍事同盟の内容如何によりまするが、いわゆる軍事同盟といえば攻守同盟を指すのであります。そういう場合においては同盟国が他の国の防衛にも当る場合が出て参ります。そうすると派兵という問題も出て参ります。従つてさような場合においては今の日本の憲法の建前からしてできないことは当然であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/173
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174・井野碩哉
○井野碩哉君 軍事同盟という以上は必ず攻防守衛を前提とすると思うのですが、従つて軍事同盟に加入するということになれば当然私は憲法を改正しなければならんと、こう思うのであります。それと事態は違いますが、国連に加入する場合もMSAの協定から見ましてやはり集団保障のために日本としては一種の義務を負うことになるのでありますから、やはり国連に加入する際も憲法を改正しなければならんように思うのでありますが、そこは如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/174
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175・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は国連参加の場合に条件如何によると思います。日本か加入すそ場合においていわゆる出兵というようなことが条件になれば憲法を改正することはもとより必要であろうと考えております。そういうことがなくして、或る種の条件を付けての加入もでき得るのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/175
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176・井野碩哉
○井野碩哉君 政府が今国連加入を要望しておられると思うのでありますが、その要望に対して国連のほうでそういつた集団保障の除外例にして加入を認めるお見通しがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/176
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177・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私はまだ国連加入のことについて何ら聞き及んでおりませんが、これはあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/177
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178・井野碩哉
○井野碩哉君 これはお見込でありますからこれ以上申上げても何だと思うのでありますが、次に自衛官というものが大臣は文民だとおつしやつておられるようであります。そこで憲法に言う文民というのは……、一体今文民でないのは誰なんでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/178
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179・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この憲法の文民ということについては非常に私は疑問を持つております。御承知の通りこの憲法を制定する場合においても衆議院では文民という文字を使わなかつたのであります。貴族院において文民という文字を初めて使われたようなわけであります。この憲法を作る際において一体何を文民と称するかということについていろいろ議論があつたのでありますが、これは私の記憶によりまするとつまりアメリカのシビリアンという言葉を日本の文民に翻訳したのじやないかと考えております。シビリアンとは何ぞやということであります。これはいわゆる軍人にあらざる者ということになります。そうすると日本でほその当時軍人という者はもうないのだということになりますると、日本国民は全部文民じやないかということの結論がそこに生じて来たわけであります。そこで今憲法に使れておる文民という者は何を指すかということについては極めて不明確であつて、文民にあらざる者は何を指すかということになると、一部にはいわゆる旧来の職業軍人たりし者を言つていいのじやないかというようなことを言う人があるのでありますが、これも定説ではないのであります。率直に言つて私もわからんのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/179
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180・八木幸吉
○八木幸吉君 関連して。この間文民の解釈のときに法制局長官は、軍国主義の色彩の濃厚な者とでも言うべきでしようかといつた極めてあいまいな御返事をなすつたわけです。それで私は憲法制定の当時の金森国務相の答弁をちよつと調べて見たのですが、そのときの文民の解釈は成るだけ思想の穏健な人という意味なんだ、それでもそれを英語で言えばシビリアンだから文民とでも訳そうかというような答弁があつたわけであります。併し憲法上の言葉でありますから沿革を聞くのでなしに、現在の政府としての確定した解釈を資料として提出してもらいたいということを総理の総括質問のときでしたか、私お願いしておいたのでありますが、一つ至急に御勉強になつてお出しを願いたいということを重ねてお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/180
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181・井野碩哉
○井野碩哉君 今八木委員の言われるように、やはりはつきりしておつたほうがいいと思うのであります。私はたびたび御議論があるにかかわらずこの問題を出したのは、さつきの軍隊と関連しておるのです。軍隊といつてよろしいと言えば今の自衛隊員も軍人と言つてよろしいと言わざるを得ないのです。そうすると軍人は文民ではないということに誰もそう思うと思うのであります。そこで私は当初申上げたように軍隊とおつしやるとこれも軍人になつてしまう。そうすると文民でなくて、自衛隊員は大臣にもなれない、こういうことに憲法上なつて参りますから、その点はやはり明らかに軍という観念をしておいて頂いたほうがいいと思いますので、シビリアンの問題を出したわけでありますから、その点は八木委員の言われるようにはつきり一つ政府としてもこの解釈はおきめ願つておいたほうが国民戸惑わさなくて済むのじやないかと思いますから、その点お願い申上げます。
それから次に艦隊を海外に派兵することはないと思いますが、艦隊が海外に行かれる場合もあると思うのであります。これは答礼のために行くとか或いは見学のために行くとか、いろいろ海外の港に入られる場合があると思いますが、日本の港を離れて海外に行くときは従来軍艦は関税がかからなかつたのであります。ところが今度関税法の中に軍艦という言葉がありませんし、フリゲートという言葉もありませんから関税を取られるようになると思うのであります。これは恐らく保安庁の御趣旨に反すると思うのでありますが、その点は如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/181
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182・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) これはすでに御質問があつたと思うのでありますが、軍艦ということの定義につきましては大体において商船を軍艦に改造する場合の条約等におきまして、軍の規律の下に服しており、海軍の将校が指揮しておるものだというふうになつておるわけでございます。今回の海上自衛隊等の性格は先般来御説明しておる通りでありますが、ただこれがその軍艦かどうかということにつきまして、これも軍の防衛に当るところの任務を持つておる艦船を軍艦というのだということになれば、これはやはり軍艦だというようなことになるかと思うのであります。これを軍艦として扱うかどうかということは、これは国際的な問題でございまして、現在警備隊のフリゲート等につきましても、アメリカのほうの船は礼式その他におきまして、軍艦に準じたような扱いをしてくれておるわけであります。関税等の問題につきましてもいわゆる軍艦の特権として認められておるのでございますが、これは我が国が主張するしないということは別といたしましても、そういうふうな任務を持つておるものでございますので、外国におきましては今申上げたような関税の特権でありますとか治外法権とか庇護権とか、不可侵権とか、いろいろありますが、そういうふうなものは認めてくれるであろうというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/182
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183・井野碩哉
○井野碩哉君 外国における取扱いじやなしに、日本自体の取扱いは、その船が外国から品物を持つて来たという場合に、日本の港に入るときにやはり税金を取られるようになるのですか、なつても差支えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/183
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184・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) その点はちよつと御延期願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/184
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185・井野碩哉
○井野碩哉君 それでよろしうございます。御延期願つておきます。
この前予算委員会で長官に志願制度の限度をお伺いしたのでありますが、今日の募集状態から見て長官は二十三万人くらいは志願制度で行けるであろうというお見込でありましたが、今の募集状態から見て優秀な隊員を揃えるということは二十三万人は無理だということが保安隊の中でもいろいろ聞かされるのでありますが、その点はお見込如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/185
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186・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは募集に応ずる者の素質如何にかかることでありますが、今お説のように、応募者か多ければ多いほど、そのうちから優秀な者を選択できるのですから、いい隊員ができるわけであります。併し募集に応ずる者は少いからというて全部これは悪いということは私は言えなかろうと思つております。それはやはりそのときの事情如何によりまして、少くともいい素質の者が出てくればいい隊員ができる。併し我々といたしましては応募者の多いことを希望するのが当然であろうと思います。二十二、三万でありますると、大体において私は志願制度をやつて行けるのじやないかと今でも思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/186
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187・井野碩哉
○井野碩哉君 抽象論としましては今仰せの通りなんでありますけれども、現実に募集をしてみまして、現在の素質からいつてみて、これ以上あと数万を殖やすということは非常に困難だという専門家が見通しを持つておるのでありまして、でありますからその点は私は非常にまあ心配しておるのでありまして、なぜこういうことを伺うかと申しますと、長期国防計画をお立てになるときに、五カ年計画をお立てになつて漸増を図つて行くということになろうと思いますが、その限度において直ちに憲法改正にぶつかつて来るのであります。志願制度であれば憲法改正をしなくても済みます。徴兵制度になればどうしたつて憲法を改正しなければならんのですから、そこで長期国防計画をお立てになるときに或いは何万人ぐらいの増員だということで計画をお立てになればいいのですが、アメリカが要求しておるように自分の軍隊を日本から撤退するためにそれに代る軍隊を日本に置くのだという観念から見ますと、相当やはり多数の人員を増強して行かなければならんと思うのであります。そこでどうしても今の募集状態から見て又その素質から見て、もう十七、八万人を越えれば徴兵制度で行かなければならんのじやないかと思うのでありますので、私ども国民に徴兵制度は飽くまでも布かないのだ、日本はそこまで無理しても自衛隊というものを持つて行かない、政府の方針もあるし、又我々も国民のためにそうしなければならんのであるということを言つておるわけであります。併しどうしても国民のほうでは徴兵制度に持つて行かれるように心配しておるのです。そこで長官がやはりこういう席上で、長期国防計画を立てても徴兵制度には持つて行かない限度で立てるのだということを明瞭にしておいて頂きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/187
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188・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたしまするが、そこが一番大きな問題であろうと思います。殊に日本の将来の防衛計画を立てて行く上において必ずしもいわゆる陸上部隊の増加ばかりを図つて行つちやいかん。日本の防衛の重点をどこに置くべきか。これはよほどその考え方によつて変つて来るのであります。いわんや日本のような周囲海に囲まれておる国においての防衛態勢を整えるには大陸とはよほど趣を異にしておる。そこで海空ということを考えざるを得ないのであります。長期の防衛計画を立てるにつきましてもそれらの点を十分勘案しなければならんと考えております。殊に先ほど申上げましたように兵器の進歩がある。いわゆるガイデット・ウエポンが、これが本当に日本で実用化できるようになれば相当防衛態勢の計画も変つて来るのじやないか。兵力、いわゆる兵数において大なる影響が加わつて来るものと考えております。そこで我々といたしましては、いわゆる志願制度をどこまでも維持して防衛態勢を整えて行きたい、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/188
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189・井野碩哉
○井野碩哉君 次にお伺いしたいのは、防衛出動の際に、議会が解散になつておりますれば、参議院の緊急集会の承認でいいという規定がありますが、治安出動の場合の承認については次の国会において承認を求めるということになつておりますが、この場合になぜやはり参議院の緊急集会をお認めにならなかつたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/189
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190・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この治安出動の場合においての規定は、これは現在の保安庁法の規定そのままを引用しておるのであります。それで防衛出動の場合と治安出動の場合とはその対象を異にしておるのでありまして、申すまでもなく、防衛出動の場合には外敵の侵入でありまして、これは事によつては国力を全部挙げて防衛しなくつちやならん。私はそれは当然考えられます。併し治安出動の場合においては、普通国内の治安は警察力で以て処置すべきであります。間接侵略の場合においてももとよりそうであります。国内の治安であります。そこで警察力を以てすることのできないような場合における、大反乱とか擾乱とかいう場合について対処することができることは、やはり国内の治安にとどまつて、防衛出動のごとき大きな範囲のものでありませんから、現在の保安庁法のそのままの規定を以て処置して行くことが妥当と考えて、そのままの規定を設けたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/190
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191・井野碩哉
○井野碩哉君 保安庁法の規定ではそうなつておると私も承知しておるのでありまするが、今度七十六条というものが新たに設けられたわけで、防衛出動に対しての取扱いを、解散のときには、「緊急集会による参議院の承認」ということにされたのでありますから、この際やはり七十八条のほうもなぜそれと歩調をお合わせにならなかつたかということをお伺いしておるわけであります。同じ趣旨のものでありますから……それは程度は違います、程度は違いますが参議院の「緊急集会による参議院の承認」で足りるのでありますから、その次の国会まで待たなくてもそういう方法が憲法で認められておるのでありますから、同じようにされたほうがよかつたと思うのでありますが、この点は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/191
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192・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 今長官からお答えがございましたが、私どもの考え方といたしましては、命令による治安出動は現在の保安庁法の六十一条に規定してございます命令出動と同じような状態の場合を予想しておつたわけであります。従いまして現在の六十一条が出動を命じだ場合にはその命じた日から二十日以内に国会に付議して承認を求めなければならないことになつております。それはその通りにはいたしましたのでございますけれども、防衛出動の場合を考えて参りますと、その場合に比べまして事柄が非常に重大でありますので、この命令出動の取扱いを防衛出動に律することは適当ではあるまい。もつとこれは国会の審議を重視しなければならんということで、七十六条におきましては事前に国会の御承認を得ることを建前とし、且つ衆議院が解散せられておる場合には緊急集会による参議院の御承認を得るということにしたのでありまして、今ありますものを前提として考えたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/192
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193・井野碩哉
○井野碩哉君 最後にお伺いしたいのは、大東亜戦争のときに起りましたように外国から来る経済封鎖、これに対してこの自衛隊というものの出動はあり得ないと思うのですが、そういう場合に保安庁長官としてはどういう処置をおとりになるのですか。つまり大東亜戦争は侵略戦争だと言われておりますが、決して侵略戦争ではなくて、アメリカがとつた経済封鎖というものが日本の経済を破壊すると、国民はあれでは生きて行けないというところから止むを得ず起した戦争だと思つておるのであります。今後もいろいろの場合に経済封鎖という問題が起つて参りまして、日本が防衛上何らかの処置をとらなければならんことが起つて来ると思うのでありますが、その場合にこの法案では十分のことはできないと思いますが、長官としてはどういう措置をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/193
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194・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この経済封鎖も形如何によるであろうと思うのであります。つまり端的に申しますと、外国が艦船を以て日本の周辺を取り巻いて、そうして船の出入を妨害する。日本には食糧が入つて来ない、そういうような場合においては私は緊急これは止むを得ざる状態でありまするから、敵の艦船の日本に対する輸入を禁止する手段に対して防衛手段として防衛出動があり得ると、私はそういう場合にはあり得ると考えております。併し大きな意味における経済封鎖ということについてはこれは防衛出動なんということはあり得ざることなんであります。その場合については国連に提訴するとか、いろんな外交交渉によるほかに途はないかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/194
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195・井野碩哉
○井野碩哉君 経済圧迫に対して、手段が外国の攻撃的もものであれば自衛隊を出動さしてもいいというお考えでございますが、例えば李承晩ラインにおきましても、外国が日本の漁船に攻撃を加えて来たというような場合にはこれはもう出動して差支えないとお考えておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/195
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196・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この場合はいわゆる自衛隊法第八十二条の海上における警備行動をとり得る、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/196
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197・井野碩哉
○井野碩哉君 出動してもいいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/197
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198・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) そうであります。「長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」、その情勢如何によつては出動を命ずることができる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/198
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199・井野碩哉
○井野碩哉君 そうするとこれは都道府県知事が要請しなければできないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/199
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200・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) これは必ずしもそうではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/200
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201・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは次は三浦委員から御質疑願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/201
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202・三浦義男
○三浦義男君 私は自衛隊が国民全体にかわいがられる、愛されるものなければならないと思うのでありますが、よく自衛隊に対する批判の声を聞くのであります。そこでこの五十二条には自衛隊の服務の本旨ということが長く書いてございますが、これは全く立派な文字を並べてありまして誠に結構なものだと思いますが、精神家であられる、又武道家であられる長官が一体どういうような隊員の指導方針でいられますか、その点ついてお聞きしたしと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/202
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203・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 隊員の指導方針につきましては私は先ず第一に責任の自覚だと考えております。自分に与えられた責任というものが何であるかということを徹底させなければいかんと思つております。要するに自衛隊の使命に徹することが大切であろうと考えます。これなくしては私は立派な使命を果すことはできないと思います。
次に考えられることは、十分に使命に徹した上において訓練をする。訓練の強化を考えなければならん。次には私は規律の厳正であります。次には隊員相互間の友愛の精神を私は目指しておるのであります。次には一個の社会人としての教養を十分身に付けると、大体そういう考え方で以て隊員に接するとき、私は長官としていろいろ話をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/203
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204・三浦義男
○三浦義男君 只今の御方針誠に結構たと思うのでありますが、このほかに何か精神を訓練する意味におきまして、例えば禅をやるとかというようなそういうような、これはまあ科外ではございましようが、そういうようなお考えはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/204
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205・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) ちよつと甚だ失礼ですが、もう一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/205
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206・三浦義男
○三浦義男君 例えば禅のようなもの、禅を組むというような、そういうようないわゆる精神訓練でございますね、そういうのは何か隊員に対しておやりになつておるようなことがございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/206
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207・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は隊員が自発的に自分の修養をすることを実は念願しておるのであります。上から何をやれかにをやれということを指示したくない、こう考えております。そこで今仰せの禅の修養、これは私は人間修行についての大きな一つの方法であろうと考えます。こういう禅に徹するというようなことに興味を持つている隊員については進んでそういうことをやらせるという考えは持つておりまするが、それを強いてやれというようなことは指示はいたさないつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/207
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208・三浦義男
○三浦義男君 私も実は長官がこういうものをやれというような趣意で申上げておるのではございませんで、そういうような空気を是非盛り上げて頂きたいということなんでございます。又もう一つ伺いたいのでありますが、何が情操教育でございますね。こういうものについてのお考えは如何でございますいましようか。これも上から強いるというようなことについては無理がございましようが、こういう同好の士が集りまして、そういうような教育をやつてほしいというような意向がございましたならばそれをおやりになるというお気持はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/208
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209・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) もとより私はやらせたいと考えております。同好の士が集つてそうして情操教育、音楽でもよろしいし或いは美術を愛玩するのもよろしいし、草枕を植えて楽しむのもよろしいし、そういう点においてやるという点については私は双手を挙げて賛成するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/209
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210・三浦義男
○三浦義男君 私はそういうような面で以て人間そのものを作つて行くいでなければ、昔のような本当にかちかちの、今は兵隊ではございませんでしようが、兵隊ができ上つてしまうようなことは、国民の指弾をかう。参議院の公聴会のときにも或る女性は、別の意味かも知れませんけれども、保安隊の嫁にならないというようなことを言つたのであります。そういう意味から言いまして、私は人間が本当にできた、本当にできるということはなかなかむずかしい話でありますが、いわゆるシビリアン、本当の兵隊じやなくてシビリアンとしての相当の人間ができるというのじやなければ困りますから、どうぞそういう点において御留意を願いたいと思います。
次にお伺いしたいのは、長官は盛んにシビリアン・コントロールということを申されております。この点につきましてだんだん考えて行きますと、将来のことはいざ知らず、現在の保安庁のシビリアンを見ますというと、大体各省からの寄り集りの方が多いのであります。これは日が浅いからそういうような恰好をとつておるのだと思いますが、一方今度は制服の人はこれは訓練を受け、又学校を出、そうして長くそこに落ち付いておるというような恰好をとつておるのでありまして、これが今採用の制度が撤廃されまして、課長にも局長にも自衛官がなつて行けると、こういうことになりますというと、実際問題として現在のようなシビリアンが、いわゆる各省と交流をやつておるという御趣意ならば、文民優位という言葉が私は破れて来るのじやないかというような気持がいたしますが、これについてはやはり現在のようにシビリアンは各省との交流でやるのだ、自分のところで育てて行くのじやないという御方針ですか。それとも自分のほうで育てて、本当のいわゆる防衛庁気質というような、これも固まつてはいけませんが、そういうようなシビリアンをお作りになるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/210
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211・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) お説の通り警察予備隊創設早々の際でありまして、各省からいろいろの人が保安庁に入りまして現在やつております。その後におきまして、各省から見ました最高のスタッフは、私は実に立派な人たちであるということを確信しております。この人たちが腰を落ち付けて、そうして本当の保安庁の伝統を作り上げる、この熱意を以て終始やられることを私は希望しておるのであります。最高スタッフがこの気持でやつて頂いておることは私は喜びに堪えないのであります。今後も私は全くこのシビリアン・コントロールをやる上において、防衛庁自体において立派な人物を育てて行くという方針の下に終始やつて行きたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/211
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212・三浦義男
○三浦義男君 長官のおつもりは確かにさようであると思います。ところが実際の状態は優秀な人であるだけに自分のお里に帰りたい、又お里も帰つてほしいという状態なんですね。そこで私はどうもこの制服が局長にもなり課長にもなるという制度が、もう少しこのシビリアンが落ち付くというような状態になつてからお始めになつたほうかよかつたのじやないか、少し早過ぎはしないかという気持がいたすのでありますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/212
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213・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 御承知の通りシビリアン・コントロールと申しますと、政治が軍事に優先するということを建前としておるのでありまして、何も平服が制服に優先するというわけではないのであります。これは私は非常にここに含みを持つておるのでありまして、制服を着ておる者に対して平服を着ておる者が優位になるということならば摩擦を生じて、将来に禍根を残すことになるのじやないか。互いに虚心坦懐に誰が優位であるというような考えを放擲して、日本の防衛の全きを期すためにお互いに手を繋いで行くということにしたいと考えておりますが、ただ平服を着ておる者が各省から来ておつて落ち付かない、制服のほうは下のほうからずつと落ち付いて行くから実際において平服のほうが制服に押される心配があるのじやないかということは一応御尤もな問題と思います。我々は将来防衛庁自体において優秀な人材を作つて行こうということについて十分努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/213
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214・三浦義男
○三浦義男君 又一方考えますと、自衛官が局長にも課長にもなり、又世の中がシビリアン・コントロールだということを言つておりますと、自衛官そのものに多少なりとも嫌気がさして来て、いわゆる統帥というほうに能力が欠けて行くのじやないかというような心配もされるのでありますが、余りに文民優位とかシビリアン・コントロールというようなことを強く言われることは、私は両面から考えましてどうも思わしくない結果が出て来るのじやないかと思いますが、その点については如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/214
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215・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) お説御尤もであります。文官優位なんという言葉は余り私は使いたくないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/215
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216・三浦義男
○三浦義男君 先ほど井野委員からのお話で、技術官も参事官になれる、こういうようなお話がありましたが、私は非常に結構なことだと思います。又この局の中にも技術官が相当参事官としての腕を振うべき者もあると思います。それと兼ねてお聞きしたいのであますが、これは昨日でありましたか、竹下委員から衛生関係のお話がございました。この軍の衛生と申しますのは、私が申上げるまでもなく軍医学と申しまして、一種特色のある医学が現在まで発達して参つております。私はどうもそういうような伝統を持つている医学を育てるため、或いは今後発展させて行くためにやつぱり医務局というようなものが必要じやないか。而も保健衛生は人事局でやり、薬品その他は装備局でやるというような建前をとつているのでありますが、これはやつぱりどうも医務局というようなものを作りまして、そうして一つにまとめたら、いわゆる先ほどから申されております軍医学というものの伝統、これを育成して行くということが、竹下さんと同様に私は必要だと考えられますが、これは近き将来においてこういうようなものを、衛生局のようなものをお作りになるというお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/216
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217・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) その衛生についての必要なることは極めて同感であります。この点につきまして我々は最大の注意を払いまして、近き将来において私はこういうことを実現したいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/217
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218・三浦義男
○三浦義男君 又盛んに三軍均衡方式というものが言われておりますが、これは全委員から殆んど御質問があつたと思うのでありますが、この三軍均衡方式をとつておられると言われながら、この自衛官の配分を見てみますというと、陸が十三万人、海が一万五千八百人、空が六千二百八十人というような非常な段階を付けておられるようであります。又装備においても私はその通りだと思うのでありますが、日本のこの地理的に置かれてあります条件から見ますというと、どうもやはり海と空が主じやないか。これも長官が認められておるようであります。従いましてこのアメリカに行くという留学生の計画を見ましても、陸が断然多い。又そういうようなことから申しますというと、どうも陸が主であつて、そして海と空が或る程度まあ袖にされておるというような気持がいたすのでありますが、私は海と空の人間の養成というものは非常なやはり長年月をかけなければ立派なものにならないと思います。これは衆議院の公聴会に、元野村大将も、一人前の海の人になるには十年かかるのだというようなことも言われておるようでありますが、私はそういう意味から申しまして、海のことでとつております一万五千八百人、或いは空が六千二百八十人だというようなことを、もつと殖やされて、尤も殖やすということになりますというと、陸を殖やさなければなりませんが、そして現在の設備で、現在の飛行機で、現在の艦艇で大いに練習を積まれることが当を得たものではないかと思うのでありますが、そういうことをやられるためには、海の施設も、又空の設備も足りないというようなことで、こういう策はとれないのでございましようか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/218
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219・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は御尤もな御意見だと思います。もとより日本は、先刻来しばしば申上げました通り、周囲海に包まれておるのであります。殊に海岸線が九千マイルになんなんとしております。これを警備するということについては相当の私は船或いは航空機が必要になつて来るじやないかと思います。これらを養成するについては、野村元大将も申されたように、長日月がかかるのであります。今からその準備はいたしておかなければならんことは当然であります。これを養成するにつきましては、ただ募集して普通の訓練をさせることでは足りないので、船に乗せ或いは飛行機に乗せなければなりませんので、それが必要になつて来る。而も非常に燃料が多く必要になるということで、財政上その他勘案いたしまして、なかなか容易でないということを御了承願いたいと考えます。併し我々といたしましては、現在訓練いたしておる者は、将来これが幹部になり、新らしく入つた者の指導官たらしめることに私は重点を置いてやつておるのであります。そういたしますると、日本の財政力が将来船をもう少したくさん作る、航空機が持てるということになりますると、相当な役割をして、兵員の増加もできるのであります。こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/219
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220・三浦義男
○三浦義男君 そういたしますとまあこの海の人間、空の人間、これがまあ現在の船、現在の飛行機では先ず練習するに最大限度であるという、こういうことになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/220
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221・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/221
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222・三浦義男
○三浦義男君 次にお伺い申上げたいのは、法案を見てみますと、幕僚長が「長官を補佐する」補佐官である、こう言つておられますが、そしてこの幕僚長が長官の意を受けて指揮に当るというようなふうにとれるのでありますが、まあこれも衆議院の質疑にもあつたようでありますが、指揮官であると補佐官である人が一緒ではどうもまずいのではないかというような私は速記録を見たのであります。どうも私はこの点についてはしつくりしないことがございますので、その辺のお考えを一つ聞かして頂きたいと思うのでありますが、そして今申上げておることは、昔の軍の組織とはどうも違つておるように思うのでありますが、これは長官、どういうようなことで補任官である人が長官の命を受けて下僚、下の者を指揮するというようなことがとられたのでありますか、どうでありますか、聞かして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/222
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223・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は今のあり方がむしろ適切でないかと考えております。幕僚長か長官の補佐役たることはこれは当然のことであります。幕僚長は終始長官の現在のあり方、或いは訓練をどうすべきであるか、又自分の意見を述べます。私は常時聞いております。端的に申しますと、災害派遣の場合でもすぐ行つてみずから進んで長官に指揮を仰ぐのであります。その場合に長官に対して種々いろいろな進言をいたします。これは一つの補佐であります。そしてその進言に基いて長官は又他の幕僚長ともよく協議して一定の案を立てる。それを幕僚長を通じて、たしか陸でありますれば第一管区、或いは第二管区、その総監に命令を伝達いたします。海上でありますれば、これはたしか司令、これに命令を進達するというようなやり方をやつておるのでありまして、その間誠に私は円滑にできておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/223
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224・三浦義男
○三浦義男君 まあこれは私は往年の軍の組織とは違うと思うのでありますが、これは新らしい方式として試みられて現在までに至つておるわけでありますね、その結果はよろしいとお感じになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/224
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225・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今のところではよろしいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/225
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226・三浦義男
○三浦義男君 そうすると将来はもつと軍が大きなものになりまして、そしてなりましたときはどうかわからないが、とにかく現在のところではよろしいというようなことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/226
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227・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) まさにその通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/227
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228・三浦義男
○三浦義男君 次にお伺いしたいのは、この幕僚長というようなものがございまして、武に関することについては立派な補佐官があり、文につきましては参事官がありまして、これも立派な補佐官がある、長官まではかくのごとくして文武の、と申しましたらいけませんかも知れませんが、文武の立派な補佐官がある。ところが総指揮官であるところの総理に参りますというと、いわゆる一本に線が通つておりましただけで、ほかに補佐をする者もなければ、又助言をする者もないというようなことになつております。これが国防会議にもそういうような、私は、仕事と申しますか、権能がないように思うのでありますが、何か私は、いわゆる最高指揮官に対しても助言をしたり或いは又お目付役になるというような組織が必要であると思うのであります。まあ昔の統帥の長であられたところの陛下には枢密顧問官があり、軍事参議官かあつたというように、文武の補佐或いは助言を申上げる方があつたのでありますが、それが全然ないということは、私はどうも偏つてしまうような気持がするのでありますが、長官どうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/228
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229・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 私はこの防衛庁長官と総理とが直結いたしておるのでありまするから、この間に他の者が介在するということはむしろよろしくないのじやないか、総理と防衛庁長官とは直結いたしまして、総理は直接に防衛庁長官に指示をして、その指示に基いていろいろな計画を立て、又実際において運営して行くということが私はむしろいいのじやないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/229
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230・三浦義男
○三浦義男君 この辺になりますと議論になりますからやめておきます。
次にお伺い申上げておきたいのは、予備自衛官の問題であります。これは先ほどもお話が出たのでありますが、この法案では一万五千というふうに書いてあります。自衛官の総数がたまたま十五万二千というような数字が出ておりますので、どうも大雑把に一〇%くらいのものをとつておいたらいいのじやないかというような感じでやられたのじやないかというような気持がいたすのでありますが、これは昨日のお話でもどうもはつきりはしてないのだというようなお話がありました。若しこれが三十年度になりまして十七万になつた、自衛官の全体の数が十七万になつたというと、これは一万七千の予備自衛官というような数字が出て来るのじやないかという気持がいたしますが、何か予備自衛官の数にははつきりした根拠があつて一万五千でいいとか、或いは一万七千でいいとかいうことになりませんと、如何にも一〇%というようなことでは納得ができないものがあると思うのでありますが、これはやはりまだはつきりしたような根拠がございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/230
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231・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) これは昨日増原次長から御説明ございましたけれども、全体として予備自衛官の数をどういうふうにしたらよいかということにつきましてはなお慎重に検討を要するものがあると思つておるのでございます。今回一万五千人といたしましたのは、本年度におきまして保安隊の隊員で任期の満了いたしますものが約四万人おるのでございます。先般の調査によりますると、このうちで農山林漁業者が約四割でございます。そこらを見まして、大体そういうふうな方々が予備自衛官としては一番とりやすいのではなかろうかというふうなことから考えまして一万五千人と本年度につきましてはぎめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/231
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232・三浦義男
○三浦義男君 そうしますと、今のお話だととにかく相当な程度の根拠がある、こういうわけでございますね。腰だめに一〇%をとつたのだというわけではない、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/232
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233・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) その一〇%がよいかどうかという点についてはなお慎重に研究の必要があると思いますけれども、実際上採用可能な人数というふうな面からの検討はしてあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/233
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234・三浦義男
○三浦義男君 たまたま一万五千が自衛官の総数の十五万の一〇%になつているから私はそういう疑問を起したのでありまして、今あなたのおつしやつたような、除隊する兵隊が四万人あつて、その四十%が大体自衛官としてとれる見込みなんだ、こういうお見込ならば私は納得するわけです。
次にお伺いいたしたいのは、予備の動員の計画でありますが、先ず差当り予備としては三年間の期限を付ける。又それはもう三年間延ばすことができるのだというふうに書いてありますが、そういうことについては何か後備というような、昔の後備兵役のようなものはお考えになつておらないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/234
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235・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) この予備自衛官の制度そのものを私どもは、退職いたしました当時における本人の技術と申しますか、技能というものを確保しておきたいというところに一つの狙いを付けて実は考えておるのでございまして、大体そういう面からいたしますれば三年くらいというものがよろしいのじやなかろうか、更にそれから先になりましてもう一つ別の後備に類するようなものを考えるというところまでは今のところ至つていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/235
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236・三浦義男
○三浦義男君 私は軍の機動力というものが非常に大切なものだと思うのであります。ここで自衛隊が十三万ということに今年度はなつております。これが機動力が非常に付いておりますれば二十万の兵隊にも相当し、又三十万の働きをすることができると思います。私は機動の、いわゆる装備につきましては或る程度米軍並みにも達しておるかも知れません。併し日本の交通の状態見ますというとなかなか米軍の装備のものをフルに活用していわゆる機動力を付けるということはなかなか非常にむずかしいことだと思うのであります。こういう点につきまして、道路はこうしてもらわなければならない、鉄道はかくあるべきだというような何か的確な御計画を持つておられますかどうですか、若し持つておられなければこれを早急にお立てになつて、当局とよく御相談なさるお気持があるかどうかをお伺いしておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/236
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237・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 誠に御説御尤もであります。部隊の機動力は一番重要な要素であります。これは又道路に直結するのであります。日本の道路をよくするということは防衛の面から見ても又産業開発の面から見ても非常に必要なことであろうと考えます。我々はこの両面から日本の道路網がどうあるべきかということについては相当研究を要する問題であろう。併しこれはやはり建設省にも重大なる関係があるものでございまして、我々のほうといたしましても、両省協議の上で将来の方針を立てたい、こう考えて保安庁においては保安庁自体で今研究しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/237
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238・三浦義男
○三浦義男君 これは一つ早急にお立てになりまして、とにかくそうたくさんの兵力は経済的には持てないのだ、こういうことになつておりますので、道路或いは鉄道なんというものを整備いたしますにはこれは又莫大な金がかかるとは申しながら、これはまあ半永久的に使えるものでありますので、この点は是非早く計画をお立てになつて、建設省なり運輸省と御相談なさるのが望ましいのであります。
次にお伺いいたしたいのは、今度の自衛隊は直接侵略と間接侵略に対するものであると言われておりますが、実際一番悪い場合を考えて見ますというと、直接の侵略と間接の侵略とが同時に来たときが一番こわいのだと思うのであります。こういうときに直接の侵略に対しましては自衛隊が当るのだ、然らば国内におきまする間接の侵略というものに対して、我が国の動力源であるとか或いは交通の要点であるとか、生産の中枢の点であるとかいうものをどういうふうにして防備されるかということについての、何かこういうものにつきましての防備計画がもう立てておられますかどうでありますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/238
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239・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) この点も誠に御尤も至極なことであります。我我はその点について終始考慮を払つております。計画は着々立てつつあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/239
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240・三浦義男
○三浦義男君 これは旧軍時代には相当進んだ計画を持ち、資料を持つておつたと私は思います。又私どももこういうことをやらせられておつたんでありますが、これはどうせもう自衛隊がほうそれに、要所々々に兵を持つておるのでありますから、速急に一つお立てになつておきませんと、折角立派な自衛隊を作られても無駄なことになるというようなことがなきにしもあらずでありますので、早急に御計画を立てて頂きたいと思います。
それから次にお伺いいたしたいのは、自衛隊法の第百条に「土木工事等の受託」と書いてございます。これは「長官は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、」云々と書いてありまして、「その他政令で定めるものの土木工事、通信工事」というふうに書いてありますが、その他政令で定める土木工事、通信工事というのは全体何を、どういうものを言つておられるのでありますか、お聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/240
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241・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) この百条に相当いたします規定は現在保安庁法の第八十一条にあるのでございますが、保安庁法の八十一条におきましては「保安隊の訓練の目的に適合する場合には、国又は地方公共団体の土木工事を引き受け、及びこれを実施すること」とあります。今回はこの範囲を拡大いたしまして、先ず第一点として「国、地方公共団体その他政令で定めるもの」の工事の引受をいたしますものの範囲を一つ拡げました。政令ではどういうものをきめるかと申しますと、お手許に御配付いたしました政令案の要綱のところにございますように、土地改良区のようなものはそれに入れたい、かように思つておるのでございます。
それから第二点として、範囲を拡張いたしましたのは委託を受ける事業の範囲でございます。現在の保安庁法におきましては土木工事だけに限つておるのでございます。御承知の通り保安隊の中には通信部隊もありますので、通信工事も加えたい、それからその他政令で定める事業として考えておりまするのは、衛生部隊もありまするので防疫のようなこと、伝染病の予防の防疫という消毒作業のようなことは本来の訓練でもいたしておりますので、先般の九州の水害のような場合にはそういうような作業も手伝いをすることも適当であろうと思いまして、そのように考えて規定いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/241
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242・三浦義男
○三浦義男君 次にお伺いいたしたいのは技術研究所のことでございます。只今研究の主要なものは全体何でございましようか、これはMSAによつて生じて来ますところの秘密保護法にも触れないと思いますので、一つ主要なものをどういうものをやつておられますか、又それがどの程度までの成果を挙げておられますか、差支えない程度に一つ教えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/242
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243・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 現在までやつておりまする技術研究所の仕事といたしましては、まだ建物の建築をいたしておりますので、暫定的に川崎のほうに工場の一部を借りております関係上、研究所自身といたしましては非常に進んだ段階に至つておりません。現在やつておりまする主たる仕事は、部隊で使いまする装備品、これは食糧から被服、備品というようなものに至りますものから、車両、そういうものに至りまする一切の装備品に対しましての規格を今きめておるわけであります。非常に細かくきめる必要がございますので、これは部隊或いは第一幕僚監部、第二幕僚監部の学校などと協議をしながら、規格をきめておりまする仕事が主たる仕事であります。なお調査の委託をいたしまして、この規格、或いは若干それより進んだ段階のものにつきましては国立の研究機関、学校というようなものに対しまする委託をいたします。二十九年度以降におきましては大体本年度中にでき上るのでありますから、これを若干進めまして、電波関係の研究でありますとか、或いは航空機の部分的な問題の研究とか、そういうようなところから逐次やつて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/243
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244・三浦義男
○三浦義男君 そうしますと現在までのところでは装備品のスタンダデイゼーシヨンが主なのでありまして、それから今後電子工学に関する研究を始められたい。電子工学の研究なんかで申しますと、これから設備をされたり或いは研究をされるということはなかなか日にちがかかつて大変なことだと思うのでありますが、私はこの今後の自衛隊の力を付けますという面から行きますというと、まあ余り金のかからない、大変な仕事ではありますが、電子工学のようないわゆる電子兵器のようなものの研究が一番先に取上げられなければならないものだと思うのでありますが、まあ将来、今お聞きするところによると電子工学関係の兵器の研究をなさるというのでありますので、私はその点は非常に結構だと思います。
それからもう一つお伺いしたいのは、何か航空についての御研究を今なさつつておると言つておられますが、これはまだ緒に付いておらないのでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/244
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245・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 先ほど申上げましたように、現在のところでは施設も人間も不十分でございまするので、併しいろいろ実益が出て参りまするのは、災害などの場合に食糧投下のごとき、こういう場合にどういうような工合の付け方がよろしいかというような具体的な問題が生じておりますのと、それから若干現在のところで使つております飛行機につきましてもいろいろな問題がございますので、そういうような比較的まだ若い段階といいますか。そういうようなところの仕事を現在いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/245
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246・三浦義男
○三浦義男君 その航空の研究につきましては実際非常な広範囲なものが生れて来ると思うのであります。ボデイにいたしましてもエンジンにいたしましても、又使用のマテリアルにしましても、油にしましても非常に大袈裟な総合的な研究がなければならんと思うのであります。そこで私は前々から国立の航空研究所を是非作つてもらいたいということを予算委員会でも再三述べてあつたのでありますが、御趣意は御尤もなんだがなかなかというようなことでできない。その裏にはどうも各省間の或る程度の繩張り争いがあつてできないというようなことも予算委員会の節にちよつと通産大臣が漏らされたことを記憶しておるのであります。御承知のように航空につきましては基礎研究は文部省でやる。生産の立場からは通産省がやる。又保安の立場からは運輸省が担当し、使用者側として防衛庁であるということで、四つの省庁がからみ合つてどうもすくんでいてなかなか踏み切りがつかないというようなことを感ずるのでありますが、こういうふうにして非常に立ち遅れております航空関係、十何年に亘る長いブランクがあつたこの航空の研究がかくのごとくにして進まないでおりますというと、本当にもう飛行機に関しましてはアメリカの隷属、アメリカに従わなければ何もできないのだというような、そういう恰好に持込まれてしまうと思うのでありまして、一つ長官、この航空の研究につきましては思い切つて内閣に大きな国立の研究所を作つて頂きたい、作るべきであると思うのでありますが、長官のお考えは如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/246
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247・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 将来日本の国力の発展を期する上におきましても又国家防衛上におきましても、航空機の生産ということは重要な要素であろうと思います。それについて航空機に関する研究機関を設けるということは私も極めて適切な御意見であろうと考えております。今後そういう方面の行き方について我々は努力を惜しまないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/247
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248・三浦義男
○三浦義男君 現在航空技術審議会の法案が衆議院を通つて参りまして、当委員会にかかつておるわけでありますが、もうこれも会期中には是非私は通して頂きたいと、こう思つております。従いまして、これと表裏をなすところが只今まで申上げましたいわゆる国立の航空技術研究所であります。是非これは実現されるように長官に格段の御努力をお願い申上げたいのであります。
次にお伺いいたしたいのは、現在の保安庁で以て、先ほども経理局長からお話がありましたが、ほうぼうの官庁の研究所とか或いは大学の研究所に、或いは民間の研究所に委託研究をされておるということを聞きました。これは現在の保安庁の研究所がまだそう大袈裟なものでない限りにおいては止むを得ないと思うのでありますが、過日の新聞によりますというと、北海道大学の中谷博士が凍結の試験を米軍から頼まれて、そうして北海道大学に凍結に関する研究所があるのでありますが、そこで引受けてほしいというような手紙をよこした。ところが北海道大学ではこれは軍目的に使われるのであるからいやだ、又米軍から金が出るのだからこれは自分のほうでは研究するのはいやだというようなことでこれはお断りをしたというような話が出たのであります。これは真相はどうでありますか、とにかく新聞ではそう報じておる。若し現在の保安庁がこの委託研究をなさいますときにこういうような事例が起つて来るというと、実際いろいろな面において支障を来たして来ると思うのでありますが、そういうような事例は只今まではございませんでしたかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/248
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249・前田正男
○政府委員(前田正男君) 事例ごとにはつきりは存じておりませんけれども、研究につきましてはいろいろと保安庁の研究の依頼とか或いは又保安庁の研究所の嘱託になつてもらいたいとか、こういうことに対しまして多少研究者の中で遠慮をされたような気味のあつたことは聞いております。ですけれども併し現在仕事に支障するというような程度ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/249
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250・三浦義男
○三浦義男君 そうしますと、これは軍目的に使われるのだからいやだというような理由でありますか、又自分たちにはそういう能力がないというようなことでそういうことを言つているのでありますか、おわかりありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/250
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251・前田正男
○政府委員(前田正男君) そのことにつきましてはどうもやはり一般の研究をされておる方の中に軍事研究ということに関係するのがいやだというような気持を持つておられる方もあるのでありまして、そういうような観点から一、二そういう支障のあつたようなことを聞いておるのでありますけれども、併し国が仕事をして行きます上においては、実際問題としてはそういう事例もあつたというふうにちよつと聞いておりますけれども、差支えはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/251
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252・三浦義男
○三浦義男君 そうしますと、これは断つて来たような場合にそれじやどこでそれを研究しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/252
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253・前田正男
○政府委員(前田正男君) そういう方は別に日本では一人ではありませんものですから、又適当な技術者がおられますので、適当な学者がおられますので、御賛同願えるような方に研究の援助をして頂く、嘱託になつてもらう、こういうふうな方法で以て解決いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/253
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254・三浦義男
○三浦義男君 次にお伺い申上げたいのは、MSAの四協定で以て余剰農産物の購入から出て参ります一千万ドルの資金の点でありますが、この贈与された一千万ドルの使途につきまして、自衛隊の漸増方針に絡みまして、この使用方について長官はこういう方面に使つてもらいたいとか、或いは一つこういう方面に融資してもらいたいというようなお申出をなさつたようなことございませんか。又お申出をなさるお考えはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/254
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255・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今申出はしておりません。併し私といたしましては、さつき経理局長から申上げましたように電子工学、こういう方面について一つ金を出して研究を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/255
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256・三浦義男
○三浦義男君 三十六億の金というのは大体防衛産業に融資をするのだというふうなことを言つておる金でありますので、大いに私は長官としては発言権があると思うのでありますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/256
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257・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) まさにその通りであります。私も発言権はあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/257
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258・三浦義男
○三浦義男君 大いに発言権を利用して頂きたい。まだお伺いしたいこともございますが、この国防会議に関係するようなものがあるのでありまして、国防会議についてのお考えがまだまとまつておらないようでありますので、機会がありましたらそれを又お伺いいたすとして、今日私は質問はこれで終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/258
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259・八木幸吉
○八木幸吉君 資料の請求をいたします。将校以上の旧軍人の方、階級別の人数と然らざる者との一覧表を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/259
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260・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/260
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261・三浦義男
○三浦義男君 私は受託工事についての資料をお願いいたしていたのでありますが、まだ出て来ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/261
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262・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) もうすぐお届けいたします、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/262
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263・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午後五時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X04319540525/263
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