1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月三十日(金曜日)
午前十時五十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
剱木 亨弘君
加賀山之雄君
荒木正三郎君
相馬 助治君
委員
雨森 常夫君
木村 守江君
田中 啓一君
高橋 衛君
中川 幸平君
横川 信夫君
杉山 昌作君
高橋 道男君
岡 三郎君
高田なほ子君
永井純一郎君
松原 一彦君
長谷部ひろ君
須藤 五郎君
野本 品吉君
国務大臣
文 部 大 臣 大達 茂雄君
国 務 大 臣 緒方 竹虎君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した事件
○義務教育諸学校における教育の政治
的中立の確保に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○教育公務員特例法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) では只今から文部委員会を開会いたします。
教育公務員特例法の一部を改正する法律案、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案について御審議を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/1
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002・相馬助治
○相馬助治君 私は議事進行の件に関連して、一二のことを委員長に申上げて御協力を得たいと思います。
先ず一昨夜の委員会においては、発言者であつた岡君炉反対し、並びに自由党の諸君からも反対の声があつたにかかわらず、私は時間的な関連から見て強引に散会の動議を出し、委員長の御明新によつて一昨日の夜の委員会が打切られた。かように存じております。そこでこの問題は岡君ほか相当未だ質疑が残つているというふうに考えておりますが、その前に先ず私は委員長に特段お願いしておきたいと思いますことは、先の話合いによりまして、この二つの法案が本会議に上程されました場合に、各党派より政府に向つて質疑が展開されました。私の記憶によりますれば、自由党の代表者以外のかたがたは、即ち緑風会、両派社会党、改進党、無所属クラブの諸君はいずれも内閣総理大臣を要求していたように記憶しております。併し当時内閣総理大臣は病中であられたために、この重大なる法案をこのまま放置することもできない。併し我々としてはどうしても内閣の責任者である吉田首相の見解を質したい。そこで議運においてはその間の事情を勘案して、いずれ文部委員会に内閣総理大臣の出席を煩わすごとにするから、今般はその要求は緒方副総理を以て代えて頂きたいという連絡を当時私は受けまして、止むなくこれに同調し、従つて議運の席上において、文部委員会が開かれた場合には吉田総理大臣が出席するという含みの下にあの質疑が展開されたと私どもは承知しております。従いまして、この委員会には内閣自身の御都合もあられると思いまするので、時間を私どもから正確に区切ることは不可能であらうと思いまするが、内閣総理大臣の出席を要求している信念にはいささかも変りはありませんので、この点については委員長において適当に一つ御処置を願いたいと、かように存じます。
第二点は、本院で只今の問題になつておりまするのは、いわゆる三派修正によるものであつて衆議院の回付案であります。これには政府自身の意図加える修正者の意図というものがありまするので、本委員会において修正者の御出席を煩わして、これらのかたがたの意思が奈辺にあるやをお尋ねしたいという意見が当時永井委員、高田委員等から出ていたと記憶いたします。従つてこれも必要ある場合には、そして又それらの委員の要求が変らない場合には煩わさなくちやならないとかように存じておるわけであります。で今緒方副総理がごこにお出かけ下さるように委員長において交渉中であると聞いておりまするが、これは是非お出かけを願いたい。でその場合においてよ例の参議院の警告案と関連して是非出て頂きたいと、当時私どもは主張いたしましたが、これは私自身の考えですが、先ほど座談の折にも中川委員からも申されていたようでありまするが、その点に関して私も現在心境が変つておるのであります。即ち警告案とこの二法案との関連について是非ここで質したいとするのは、議運における最終的な決定線というものがいまだ出ていなかつたし、議論が十分尽されていかかつたからなのであつて、そこで私どもはこの委員会において徹底的にこれはお尋ねしなくちやならないという建前を持つておりました。で私は当時文部大臣にこの点について尋ねてそれぞれ答弁を得たのでありまして、この関連においてのみ緒方さんに出て頂くというのではなくて、法案自身についても質問等があつて要求しているかたがたもあるのでありましよう。併しまあ警告案と連関して緒方さんの見解を承わりたいとする人もあるでありましよう。そこで委員長においては是非とも明快ならしめて欲しい点があるのであります。即ち私は委員長の議事運営に協力する意味であらかじめ申しておくのでありまするが、本日ここに緒方さんが出るというのは警告案に関連して、二法案の審議についての必要上政府の見解を尋ねたいとする四日ほど以前の我々の要求に基いて、その要求が今日まで生きているとなして委員長はここに出席を求めているのか、或いは吉田内閣総理大臣が何らかの御都合で出られないために副総理を以て当てるという意味合いで緒方さんをここに出そうとしておるのか、この点だけは明快にして頂きたい。これは副総理をこの政府委員の席に据えてから、今日はどういう資格で出て来たのであるかどうか。それから呼びに行つた委員長の意思と我々の意思とが食い違つてごたごたするということは、法案審議の時間を著るしく阻害するので、質問がうんと山ほどある我々としては甚だ迷或なのでありまして、この点だけを一つ委員長において明快に我々にきめておくほうが議事進行上よろしいのではないかというので、あえてこの点に触れておきたいと思います。従いまして、私が今長々としやべつたことは、二つの要求と一つの疑問とを持つておるということ。そうしてそれらの点についてそれぞれ明らかになつておることが本委員会を円滑に進める道であろうン思いますので、あえて議事進行上の率言として以上の見解を被露しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/2
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003・川村松助
○委員長(川村松助君) お答えいたします。緒方副総理の出席については、一つには総理大臣がどうしても出られない場合は緒方副総理でもよろしいという意見のかたもありましたので、これも含んでおります。同時に第二段の御要望になつた当委員会の委員のかたがたの御要求のこれも含んでおります。私の考えではそういう考えで緒方副総理の出席を待つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/3
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004・松原一彦
○松原一彦君 私は病気で長く休んでおつて勝手なことを申すようでありますが、この法案は政府でも非常に重大法案だと見ておいでになるようであります。私どもも日本の五十万の教育者を生かすか殺すかといつたような影響を持つ法案だと見ております。従つてごの法案の取扱いを私は必ずしも議事を引延ばしたり妨げたりしようとするような意思は少しもございませんが、よほど慎重に、ただ強引に数で押切つたというようなことでなくして参議院は教育を尊重するの余りに念には念を入れて最後の最高の線でこの法案をまとめげしたということが、はつきりせられるような態度をとつて頂きたいと思う、と申しますことは、衆議院で一応修正線が出ておりまするが、私の所属しておりまする改進党では更によりよき修正を加えて行つてよいという私は承認を得ております。衆議院が十七億も金を使つてあの厖大なる審議機関を持つておりますが、それでも足らないで更に十一億の金を使つて参議院のあるゆえんは、十二分に重大なる立法の審議に念を入れるためであると私は信じております。殊に教育法案のごときは、教官に関係する法案のごときは、この際において私は特別に御考慮を皆さまにもお願いを申上げたい。日本が今復興の途上にあつて、取急ぐものは何かというと、労使方面においては労使の休戦によるところの生産の増強である。経済方面においては全国民の協力によるところの年次計画による経済の復興である。同時に精神方面におきましては、全教育者が本当に心から日本の復興に対して協力する態度でなくてはならんと思う。この点につきまして私はとくと副総理とも御相談をして、野党の諸君にも考えて頂きたい。与党の諸君にも是非御考慮を願いたいものを持つている。ただお義理一遍の討論で、結論はわかつているけれども片付けるということであつてはならんと思うのです。どうしてもこれは日本の全教育者を心から祖国復興のために教育によるところの、第一義諦によつて働いてもらわなければ立つて行かないのであります。そういう大事なときに当つて、教育者の意気を沮喪せしめ、昔のような、政治には無関心で通すほうが利口だといつたような態度に立ち帰えらせることはどうしても避けなければならない。行き過ぎがあつてはならないが、行き足らないでもいけない。どこに我々は真の日本の教育道を発見するかということで、は親切に、これに審議の念を入れてそうしていい法案ができたと納得して頂くように私は受取つてもらわねばならんと思うのであります。そういう事でただ強引に押しまくつたというのでなしに、念を入れるために委員長は是非適切なるお取扱いを頂きたい。決して私は無理な引延しをしようなんていうことは毛頭もございませんから、私にもなお若干の質疑の時間を与えて欄くようにお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/4
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005・相馬助治
○相馬助治君 私の質問に対して川村委員長からお答えあつたことの趣旨は、緒方副総理のここに出るのは、緒方副総理に質問があるとする議員の要求と、委員長に話しているのです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/5
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006・川村松助
○委員長(川村松助君) わかつています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/6
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007・相馬助治
○相馬助治君 それから吉田首相の出席を願いたいとする議員の要求との両者を満すものであるという見解でその出席を求めていると、かような返事と承わりました。委員長としちや多分そういうふうにお考えであろうと私も思つております。又議員の中にはそれでよろしいんだとこういうふうに考えているかたもあると思います。ところがその考え方は非常に、円満に行つた場合には非常にそれでよしろいのでありますが、これが委員長もちよつと触れられたように、吉田内閣総理大臣がどうしても出られないときには副総理でも止むを得ないからという委員と、それからいや何でもかんでも吉田さんに出て来いという委員と、こう今のところあるわけです。そこで問題はどうしても出て来られないという理由がですね、大方の諸君によつて納得されるならばそれでいいと思うのです。一人、二人の者が何でもかんでも出て来いと言つて見たところでこれはどうにもならんことは前例で明らかなんです。併しその辺の事情が委員長が呑み込んでいるようには、さつぱりこの割切つてこちら側では考えていないということを私は心配しているわけなのであります。即ち私自身の見解から言えば、吉田内閣総理大臣の出席は私は飽くまで煩わします。併し、飽くまでと申して見ても、何びとも納得するような事情、即ち病気、そうしてその病気であることが外に現われた形の上ではつきりしているというような場合にはです、私はそれでも出て来いというような無茶は申す気持はありません。併し明らかに出れば出られるのだという状態で、併し面倒だから緒方副総理で代えて置くのだというように私は判断される限りにおいては、私は飽くまでも吉田内閣総理大臣の出席を要求する。少くともこの一般質疑の時間中に要求しなければならない、こういうことなのでありまして、この辺は一つ委員長においても、先ほど松原委員の申されたことも含みとして慎重にごの両法案を取扱う意味合いからこれらの点について善処を願いたいし、又この委員諸君の了解をもあなたは受けられて、ここまで参つたほどに円滑に行くような動きを是非されることがよろしいとかように思うので、私は委員長の議事進行に協力する意味で以上のことをあえて申上げておきたい、かような所存で申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/7
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008・川村松助
○委員長(川村松助君) 緒方国務大臣が見えましたから、御質疑があるかたは御発言願います。岡君がさつきから求めておられましたから、岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/8
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009・岡三郎
○岡三郎君 私は本当は吉田総理に要求していたわけです。併し緒方副総理がおいでになつたので、関連した事項についで一、二を聞いて、他のかたの御発言もあるようですから、そういうふうにしたいと思います。
第一は、この今回の検察庁の逮捕請求に伴う犬養前法務大直のとつた措置によつて、一応佐藤自由党幹事長の逮捕が延期されておるわけですが、その間において緒方副総鯉は新聞紙上並びに本参議院の議運においても、重要法案の審議終了までは撤回しないというふうに仰せられておるわけです。それでその重要法案をつぶさに検討して見るというと、先に通過したMSA協定、防衛二法案、警察法、又本委員会で現在審議中の教育二法案、こういうふうに一応新言せられておるわけです。この重要法案がなぜ重要法案なのか、更に政府みずから提案している法案は数限りなくあると思うわけです。いずれもこれを重要と考えられて衆参両院に審議を煩わされておると思うのですが、この特定の法案を限定して重要と言い切られたその所存、わけ、これを一つお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/9
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010・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) どういうものを重要と見るかどうかということは、これはいろいろ見方があろうと考えます。只今御質疑になりました法案を政府が特に重要法案と認めるのは、これは勿論政府の主観がありまするが、政府としては今日の国内情勢から見まして、又防衛庁法が、これをMSAと関連して国際的な必要から特に重要と考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/10
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011・岡三郎
○岡三郎君 この教育法案自体を重要中の特に重要法案に入れられたわけは、そのほか地方税なり、或いはその他いろいろの類似の重要法案があると思うのですが、この教育法案に関して重要であると言われたところの趣旨は如何なるものでありまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/11
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012・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) この教育関係の二法案につきましては、所管の文部大臣から十分に御説明があつておると考えまするが、これを要しまするに、教育の政治的中立性、これを確立いたしたい。こういう趣旨から考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/12
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013・岡三郎
○岡三郎君 非常に通り一遍のお答えなんですが、この二法案に対しての提案趣旨はそれぞれ述べられて来たわけですが、大達文部大臣は、このほか、給食法なり、或いは特殊教育の奨励なり、各種の法案を文部委員会に提出している。まあそういうふうな法案も同様だというふうに言つておられるわけですが、この文相の答弁はさておいてですね、政府が特に防衛二法案なり、警察法改正法案なり、或いはMSA協定等々と並列してこの法案を重要視しているというところに、私は問題の焦点があるのではないかと推察するわけです。それはかかつて昨年の池田・ロバートソン会談の問題と、並びに今後予定されている吉田首相の渡米との関連もあるのではないかとまあ考えるわけですが、昨年の池田・ロバートソン会談において、「日本政府は教育および広報によつて日本に愛国心と自衛のための自発的精神が成長するような空気を助長することに第一の責任をもつものである」という、これを議定までしているわけです。そうするというと、現在の吉田内閣はですね、事、教育に関してこれらの取極、まあこの間においては新木前駐米大使の失言とか、或いは発表してならない問題等が絡んで、その責任の所在を大分追及された要素をこれは含んでいる会談の発表文ですが、この池田・ロバートソン会談におけるこれらの取極という問題と、本法案とが関係があると私は推定しているわけですが、その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/13
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014・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 池田・ロバートソン会談というものは、これは形式的に申しますれば、私的会談であつて、私も実はその内容を今日となつては十分承知しておりませんが、今日提出しております教育に関する二法案、これと直接の関係は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/14
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015・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつと待つて下さい。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/15
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016・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/16
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017・岡三郎
○岡三郎君 全然関連がないというふうに言われるし、まあ昨年の池田・ロバートソン会談は私的会談であるというふうな一応の通り一遍の御返啓では満足できないのですが、併しこれ以上、そう言い切られる限りには追及しても無駄だと思いますので、それならばですよ、この教育法案というものが強く日本の教育界に影響を与え、而もその法案自体の内容というものが憲法に抵触する問題も相当あるし、或いは日本の教育界自体に不安動揺を与えるものであるというふうにも言われておるわけです。これに対していろいろと提案趣旨が説明されておるわけですが、現在の吉田内閣が指揮権を発動して、そしてこの日本の教育界に重要なる影響を与える法案をどうしても通さなければならないというわけ、私はこれがわからないと思うわけです。あえてそのような無理をして、そうしてごの教育法案を通す。まだ国会の審議期間があるし、現在の政府自体としても会期を延長してまでも、他の重要法案と関連してこれを通そうというふうな意図が私はわからないわけです。でこの提案の趣旨については、教員組合の行過ぎについてこれを是正するのだ、日本の全国に偏向教育が行われているきらいがあるからこれを是正するのだ、こういうふうに言われておりまするが、基本的に汚職頻発の現在の吉田内閣が、事重要だということで問題を取上げて、汚職を伏せてこの法案を通そうとする意図自体が私はわからないのであります。アメリカの要請、或いは日本の再軍備の問題と連関し、そういうふうに重要な問題であるならば、これは何はさておいても吉田内閣がこの関門を通し、そうして池田・ロバートソン会談の結論として、吉田首相が渡米するまでにこれらの用意をし、担保を持つて、そして渡米しなければ、今後のMSAに伴うところの経済援助等も望み薄である。そういう日米間におけるところの大問題を今後審議するという関連上においてこの問題を早急に取扱うというふうな関連から私はこの法案自体が重要法案であるというふうに認識して参つておるのでありまするが、そうでないと言われるならば、検察指揮権を発動してこの法案を通さなければならない私はわけがわからないと思うわけです。常時日本に現在偏向教育が行われているとは私は思わない。仮すに日時を以てすれば事、教育の問題は十分目的が……、政府に偏向教育を取締る意図があるとしても、私はその趣旨が達せられると思うわけなんです。そういうふうに考えまするが、緒方副総理は、この法案を急速に通過させなければならないわけをもう二極おつしやつて頂きたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/17
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018・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは教育法案を別に指揮権発動の問題とお結びつけ下さらんでも、この教育法案はすでに質疑も殆んど終了間近になつておるように私は承知いたしておりますが、それとお結びつけ下さらんでも、御審議を願つて結構なんで、政府が何故にごの法案を特に重要と考えておるかということにつきましては、これは見方あろうかと考えますが、先ほども申上げましたように、教育の政治的中立性がやや危い状況に置かれておるという所管大臣の認識から、是非ともこの法案を成るべく早く今日としては今国会において通したい、これが政府全体としての希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/18
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019・永井純一郎
○永井純一郎君 ちよつと関連して……。私も総理大臣の要求を前からお願いしておつたのですが、おいでがなかなか願えないので、副総理がおいでになりましたから簡明に関連質問で、すから、お伺いをしておきたいと思う点をこれから申述べたいと思います。
私が先ず一番わからないのは、この参議院の院議は、指揮権を発動したことをやめて、そうして許諾の請求を国会のほうに出したらどうかということを決定しているわけなんです。ところが政府は、本会議でも諸方さんがお答えになつたように、重要法案を通したいから、まあこういうことを何回となく述べられたわけなんです。そこで重要法案の中に、文部大臣は、教育二法案が入つているかどうか、私は知らないと言われて、併し常識的には入つているように思う、まあこういう答弁です。御存じないとまあ言われる。そこで副総理にお尋ねをしなければしようがないわけですが、この教育二法案と逮捕許諾の請求を国会に持つて来るということ、政府が押えないで国会に持つて来るということとがどういう一体関係であるのか、それがどうしてもわからないわけです。具体的にこう考えてみると……。そこのところを率直に一つこれはどういう関係がおるのか、答弁して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/19
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020・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それはどれが重要法案かということを議運において質問されましたから、それでこれこれの法案は重要だと思うということを言いましたけれども、今永井さんのお述べになつた気持はよくわかりますが、直接その重要法案と指揮権の発動とか、逮捕を延期することが面接結ばつておるということでなくて、そういう法案を、政府が重要と信じでおる法案をこの国会において何とか通過成立させたい、そのためには今の政府を支持しておりまする政党が、政党の体制が懐われる、その事態をこの法案の通過する間、必ずしも今の私が指摘しました重要法案だけでなくてもいいんですが、この国会の審議ができるようにその間延期をしたい、場合によつては、この国会の会期まで、この重要法案のために延びるならば、会期の終りまで行くことがあるかも知れませんが、いずれにしましても、政府が重要と信ずる法案をかけておるその審議状態が政党の幹事長が逮捕されることによつて覆えされる、そういうことのないように、併しながら、その捜査の内容には決して立入らない。ただ、これは現行犯ではないし。証拠湮滅の虞れもない、又逃走の虞れもないから、その間延してもらうということで、それが特に何故に教育と関係があるかと言われるから妙な考えが出るかも知れませんが、政府の重要と信じたる法案、信じておる法案、その審議を遂げたい、こういうことなんです。その重要法案というのは一体なんだと言われたから、議運でこれこれこう考えておる、そういうことを言うたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/20
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021・永井純一郎
○永井純一郎君 そうすると、大分わかつて来たような気がするのですが、もう少しはつきりさせておきたいと思いますが、佐藤幹事長が逮捕をされるというと、今のお答では、今の政党の体制が壊れる危険がある、こういう意味のことをおつしやられたと思うのですが、そうするとあれですか、与党の幹事長のいよいよ逮捕許諾の請求国会に出て来るということになると、それをやはり拒否するわけにはいかん、そうして正式に逮捕されて行くと、政府は責任をとつて政党の体制が懐われるというような言葉で言われましたが、やはり責任をそのときとるのだ、とらざるを得ないのだ、その前に併しながら重要法案は政府としては必要だと思うから先に通しておきたい、率直に申上げるとこういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/21
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022・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 政党の、政府党の幹事長が逮捕されたから政府が責任をとる、とらん、こういうことの法理的な因果関係は出て来ないかも知れませんが、政党内閣としては一つの致命傷だと思います。或いは今仰せられたような結論になるかも知れません。そういうことになる前に今の重要法案、これはできるものなら通したい。これは仮にその逮捕を延期いたしましても、国会の審議如何によつて通るか通らんかわかりませんけれども、政府としてはこの法案を重要と信じておるだけに、できるだけの努力を傾けてみたい、そういうふうに考えるのでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/22
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023・永井純一郎
○永井純一郎君 大分非常に正直にお答えを願つて、大体わかつて参つたと思うのであります。それだけの覚悟を持つて、佐藤幹事長の逮捕について覚悟をお持ちになつておるのならば、これは私はむしろ院議を尊重されるならば、それだけの覚悟を持たなければならない状態に政府与党があるならば、こういう重要法案を、もはや院議が、参議院におきましては、少くとも参議院に関する限りは、いやああいう院議が決定いたしましたから、この政府が提案しておる重要法案に対して説明をして通過させる、説明をして通過させようという責任ある立場にもはやないということを院議は言つておるごとに私はなると思うのですね。併し院議を尊重すると言われておりまするが、尊重すれば、今私が申上げるように、重要法案を通すこと自体にもはや責任の立場にないのだということに私は逆になると思うのですけれども、それでもとにかく重要法案は政府としては通しておきたい。そうしてそのあとで佐藤幹事長の逮捕が具体化した場合には、道義的な、政治的な責任をとるつもりでおるのだ、こういうふうに大体了承すればよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/23
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024・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 院議が指揮権は不当である、過ちを改めろと御決定になつたことは、それは法案をもう審議しないという意味とは私はとらないのでございます。それは、ただこの指揮権の発動措置をとつたことを不当であるということであります。政府としましては、そんならその指揮権の発動を院議に従つて撤回できるか、これは政府としてはできません。そこで、それから上のことは政府が総括的に、政治的に責任を問われるということになると思うのです。これは参議院の立場としてそういう何が私は可能でない。これは国会でも衆議院がその権能を持つておるので、その衆議院の権能の発動によつて政府がどう措置をするかということですが、今の御決議になつた院議に対しましては、これは指揮権の発動についての直接の御批判であつて、これは院議をきめた以上は、この法案の審議はしないのだということに結びつくことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/24
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025・相馬助治
○相馬助治君 関連して一言だけお尋ねしたいと思うのですが、緒方副総理は本会議の質問に答えて、会期延長の意思はない、第一にこういうことを言つておられます。それから院議は十分尊重して参りたい、かようにも申しております。そこで具体的にお尋ねしておきたいことは、重要法案と申しましてもいろいろあつて、大体のことは副総理が参議院の議運で申されたようでありますが、私どもは重要法案云々は国会がその意思を決定するものであるとして、根本的に政府と見解を異にしておりますが、今百歩譲つて、政府の見解を一応現実の事案として認めるとした場合においても、MSA協定であるとか、或いは機密漏洩に関する法律というような対外的に問題があり、対外的にどうしても日本の利益という点を考えて、政党政派を超越しても作り上げなくちやならないとお考えになるものについて通すために検察庁法第十四条というようなああいう無理なことをやつた、こういう見方も一つあると思うのです。そこで問題は、会期を延長しないということになると、警察法や防衛二法案や、機密漏洩に関する法律案というのは大体通らなくなつて来ておると思うのです、衆議院の事情からみると。そこで一番焦点に立つのがこの教育二法案です。このことは何ですか。現在の段階においては教育二法案が本院において議了すれば、大体政府が目途とした重要法案は最小限通つたものと考えるのですか。それとも会期延長の意思がないといつたほうが間違いで、最近は会期延長やむを得ないと、かように考えておるのですか。この点を承わつておきたいのです。というのは、会期の最終まで佐藤幹事長の逮捕許諾を与えないという場合もあるし、或いは重要法案が通つた形においては、会期末に至らない前にもあの十四条の適用を取下げるというような意思もあるような今御返事だつたので、現在の政府の最終的な意思は奈辺にあるのか、即ち会期を延長しても、それぞれ参議院の議運で言つた重要法案を全部通してしまいたい、そうしてその間は佐藤幹事長の逮捕をどうしても許さないという態度を堅持して行きたいとしておるのか。それともMSA協定が通つてしまい、教育二法案を議了することになるならば、大体それで以て会期延長もせずに、現実的には佐藤幹事長の逮捕もその段階で許していいというような見通しに立つのか。その辺のことを一つ明らかにして欲しいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/25
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026・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 議案の審議状況、その見通しにもよりますけれども、教育二法案以外の先ほど私が申上げましたような諸案、これも政府としては重要で、是非この国会において通過成立させたいという考えでおりまするので、若しこれが会期延長によつて審議が遂げられるという見通しがつきますれば、その時に会期の延長を考えなければならんと思つております。先般私が本議場で申しましたのは、あの時は会期延長を考えていないということを申上げたのでございますけれども、これはもう少し審議の模様を見た上で政府としては会期延長を考えなければならん事態になりつつあるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/26
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027・松原一彦
○松原一彦君 緒方副総理に伺いますが、私ども法律を作る時には、その法律が必ず行われることを期待して作らなければならんという責任を持つと思います。物を始めるのはやすいけれどもが、これを守つて行くのはなかなかむずかしいので、特に参議院は立法のために念を入れる機関と心得てやつて参つておるのでありますが、この法律の政府の意図せられるところを文部大臣からたびたびお聞きしまして、極めて単純なもののようではありますものの、運営その他によつて及ぼす影響が非常に大きい。事教育そのものに関係するのでありますので、実は念を入れて見ておるのでありますが、それを先般のような指揮権等の非常の措置を講ぜられてまでお急ぎになる理由を実は私は発見しないのであります。こういう法案はよほど念を入れて、特に対象であるところの教育関係者並びに父兄等の納得を得た後に仕上げるものでなくてはならんと思いますが、どうしてそんなにお急ぎになるのであろうかと私は判断に苦しむのです。と申すのは、詳しいことは申上げませんけれども、先般来、このお急ぎになる理由を実例から承わつたのでありますけれどもが、その実例はどうも当つていないのであります。又私が資料要求をいたしましたが、最近においで教育者の偏向、政党に偏つた教育を行うという事実、それに対するところの処罰、これは行政罰としてできるのでありますが、その全国的実例が上昇線を辿つておつてどうにもやりきれないから、止むを得ずこの法律を出して抑えるというような事実があるかどうかを資料を求めましたがありません。資料はないのみならず、むしろそれは逆の線を辿つておるように私には見られるのであります。なぜこれを爛頭焦眉の急というほどに非常手段までをも用いて強引に通そうとおやりになるのか、その理由を承わりたい。
なお、もう一つはですね、私ども決して邪魔をしようというのじやない。日本の復興を教育に求めようとしておる。であればこそ念を入れておるのでありますが、そのためならば私はMSAの協定に伴う立法とかいう意味じやない、真に日本の復興のためによい教育者を得ようという御意思であるならば、これは継続審議等の方法によつて延ばされていいものではないかと思う。どうしても強引に通そうというところの私は政府のお考えがわからない。政府の求められるのはわかるのです。求められるものと逆効果を生じはしないかをひたすらに虞れる。かような意味におきまして、どうしても会期を延長してまでもごの法案を通さなければならないという理由、それからもつと慎重に審議をして、次の国会を待つという余裕のない理由を承わりたい。邪魔をしようという意思は毛頭ありません。そういう意味におきまして副総理から、なお紬かなことはまあ文部大臣に伺いますが、復興期における日本の教育者を殺すか生かすかの一つの境になつておるのであります。もう少し考えさして頂けないかどうか、これはまあ別に政府から命令を受けてやるわけじやありませんけれども、私どもは御懇談を申上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/27
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028・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたしますが、政府としましても教育の二法案に限らず、如何なる法案につきましても政府が強引に是非ともこれを審議を遂げて賛成してもらいたいということは、これはできもせんことでありますし、反すべきことでもありませんし、現にそういう強引というようなことは考えておりません。私はこの委員会に初めて出席いたしたのでありまするが、十分にこの質疑等において委曲を尽されておると承知いたしておるのでありまして、決して国会に向つて政府が一方的に強力というようなことは考えていないのであります。今の指揮権の問題でありまするが、これは教育法案だけではないので、政府としては先ほど来から重要法案と申しておりまするもの、これは政府の主観かも知れませんが、政府の信念としまして是非とも早く通過成立させたいという考えがありまするし、その中には例えばMSAの協定と関連いたしまして、それが成立たなければMSAの協定の効力にも影響を及ぼし、例えば防衛庁法案の防衛力の数字等も含まれておりまするので、これは片一方の国際協定が通つておりまする以上、是非とも通過させなければなりませんけれども、させたいと思いまするが、併しその他の重要法案につきましても、この教育法案については所管大臣から御説明がなされていると思いまするが、これは政府の信念としては是非通したい、かように考えておるのでありまして、それから先どう御審議下さるかということは、これは国会の御判断、御意思であつて、会期延長ということもありまするけれども、無限に会期を延長して今お話になつた強引というようなことは、これはもうできるものじやないので、その点はどこまでも国会の独立した御判断に待つつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/28
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029・松原一彦
○松原一彦君 勿論その通りであつて、別に我々が政府から命令を受けて強引に押切られる理由はありませんけれども、今政府も又国民も最も熱心にこの教育上の要求をしておるものとするならば、よい先生を得たいということであろうと思うのです。今ここに請願も参つておりまするが、この人は身も心も傾けて、私の所にはたびたび来ておるものでありますが、これは国民の祝日として先生の日というものを制定いたしたいという請願です。人間を作ることが国を造ることであり、平和を作ることであり、やがて世界連邦への道を開くことであり、人間を作るという教育こそ一切に先立つものであるという非常な熱意から、このかたはもう産を傾けて、どうかよい先生を持ちたい、尊い先生を持ちたい、権威のある先生を持ちたい、そこで先生の日というものを制定し、その日にはその地域における先生方をねぎらい、それから老師をいたわり、先生を祀る日を設けたい、これが日本の復興におけるところの第一義諦であるということをば熱心に唱えまして、今私の所に数回も参つておられますが、政府は必ずこれには御同意なさるであろうと思う。信頼すべきよい先生を持ちたい、そうして命を賭けてこの新らしい歴史を作る新日本の教育に当つてもらいたいということは、私は文部大臣も副総理もお考えだろうと思う。ところが今回のような法案が果してよい先生を作る方向に向いておるか。これは一つの威嚇立法でありますが、威嚇立法なるものが及ぼす影響は実に大きいのであります。私自由党内閣に伺いますが、今日までよい先生を作る方向に向つて一体如何なる御努力をなさつていらつしやいますか。共産党が一つの嫌われる目標となつておる。公安委員会から頻りに教員組合に働きかける共産党の事例等を挙げておる。これは政党である以上は働きかけるのは当然であります。どのようにも働きかけてよろしい。一体自由党は何を以て教員組合、教育界にお働きかけになつたか。一昨年秋のあの強引な、予算もないのに無理にやつた地方教育委員会の制度、昨年の三本建のあの無理さ、あれは教員組合中の高教組の要求を自由党が容れられてやられたのでありますが、あれは明らかに逆効果だと思う。現にこの三月では教員の任命の上に非常に困つておる。私はしみじみと現内閣が教育者を保護し、教育のためによい立法をし、あの得体の知れない教員組合をもつと正しい立法の上に安定せしめてそうして正しい途へ導くような積極的方法をおとりになつたことを聞かないのであります。そうしてかような威嚇立法によつて、まあこれは私はそう感じますし、世間でもそう見ておるし、結果はそうなる虞れがある。それによつて折角ひたむきに平和なる文化国家を民主的に作ろうとする方角への熱意を阻止する結果を生むことをば私は惧れるのであります。共産党以上の働きかけをばなぜおやりにならないのか。数においては微々たる共産党です。参議院でも衆議でもただ一人しかない。須藤君が幾ら気張つたところで一人しかない。それに負けておるなんという手はないんです。私はこういうような立法によつて受ける結果を惧れる。これが果して信頼すべきいい先生を国民が持ち得るごとかどうかは、私は幾らでも論証してこれを否定する理由を持つておる。でありますからして、これをお急ぎになつてはならんと私は思う。御援助申上げますが、一つ継続審議にでも持つて行くか何とかして、もつと身を入れて頂くところの御同意を得られないか、与党のかたにもお願いしたい。副総理、あなたに私は衷情を申上げる。私は教育者なんです。一生教育をして参つた者でありますが、このうちのようなことをおやりになると学校の教員は教師として苦しみ抜くんです。子供に説明のしようがない。そして無理な自衛軍のごときは、もうどうにも説明のしようがないんです。一方には憲法の精神をずつと説いて来ておる、そうしてそれに逆行するごとき現実の行政を見ておるというと、教育者は困らざるを得ない、苦しみ抜くんです。それをいい加減にごまかすような教育者を持つことは国の不幸であります。私は保守党の場末におる者であります。それでもいい教育者を持ちたい、いい教育者によつていい日本を作りたいという熱意に燃えておる。かような強引に見える手段によつてこの法案を片付けようとせられることには私は心からなる憤りを感じます。さような意味におきまして、副総理にも、与点のかたがたにも、文部大臣にも御再考を煩わしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/29
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030・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 只今の、国の将来のために次の世代の教育、それに対して非常な関心を寄せられて、いい教員を持ちたいということは私どもとしましても全然同感であります。この法案についてもいろいろ御批判があろうと思いますが、先ほど来由しまするように、十分に御審議をお願いいたしたい。それは政府の主観だと言われるかも知れませんが、政府としては一つの信念を持つて提出いたしておるのでありまするが、それについて御審議は徹底的にお願いいたしたいと考えておりますると同時に、ただ私先ほど申しましたように、ほかの委員会以上にこの委員会においては熱心に御討議があつて締ると聞いておりましただけに、今松原さんのお述べになりましたことも相当程度達せられつつあると、かように考えておるのであります。なお、この上とも十分に御審議をお願いすべきことは、これは申すまでもないことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/30
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031・高田なほ子
○高田なほ子君 政府は今度重要法案を審議するために指揮権を発動され、参議院の院議は、正しからざる理由を以て、決議を以て上げたわけであります。緒方さんはこれに対しまして、今後の戒めとするという言葉を以て院議に報いられたと思うのであります。私は政治は常に道義の上に立たなければならない。このことは何びとも私は否むことはできない、私はこれは原則だと思う。特に私が緒方副総理に強く御質問申上げたいことは、教育二法案も又この重要法案の中に人づておるわけでありますが、教育の真髄とするところは、いずれが正しいか、いずれが正しくないか、即ち、真理の追求それ自体が教育の目標でございます。従いまして、たとえ政府が重要法案と仰せられましようとも、教育のこの真理を追求するというこうしたほうの教育の精神に我々が思案である場合には、政府は当然今日院議によつて追及されておるところの正しからざる手段方法というものを改めて、然る後に教育法案というものを審議することが、私は政治家としての常道だと考えるわけであります。他の法案とは全く性格が違う。日本の青少年に及ぼすところまさに重大であるこの法案は政府がみずからの襟を正して、正しき立場に立つその上に立つて私は進められるのが常道ではないかと思うのであります。これに対しまする緒方副総理の御尾形をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/31
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032・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今回の措置が、指揮権発動の措置が正しいか正しくないかということに対して、参議院で御批判をお持ち下さることは勿論自由であります。政府は正しいか正しくないかということは、これは法律に違反しているか違反していないかということを基準にするよりしようがないのでありまして、それ以上の政治的の批判もこれも勿論あると思います。この政治的の批判に対しましては、政府はどこまでもその批判を避けようといたしません。又そのよつて生ずる責任は政府で全面的に受けて行くつもりでございますから、ただ政府の念願としまする重要法案を通過せしめるために、政府としては捜査の内容にはたびたび繰返して申しておりまするように決して干渉もいたさなければ圧迫もいたしませんが、ただ重要法案を通過させるために逮捕を延期する、こういう意味でこれは指揮権の発動を行なつたのでありまして、政府としては無論政治的な考えに基いたのではありまするけれども、正しくないことをしているのだとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/32
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033・高田なほ子
○高田なほ子君 それは勿論法の前に立たなければその正、不正ということはわからないかも知れません。けれども国民の目はこれが全く正しいという考え方をもつておらないと思う。そのことは、緒方副総理も御承知になつて今後の戒めとするという御答弁をなすつたと思うのです。これをここで私は論議するという考え方は持つておらないわけでございますから、ただ事を急ぐのあまりに正しさを求めるところの教育二法案が政治的な情勢によつて殆んど重大な質疑も交されずに、これを先きを急ぐというようなことであつてはならない。十二分に飽くまでも正しい方向に持つて行くために政府は又協力しなければならない。これは当然だと思う。政治的な情勢や政権の危機のために頬かむりして済ますなどということは全く天人共に許さないことである。この法案がそのことによつて通つたということになれば、共に私は日本の歴史を汚すものであると思う。緒方副総理は日本の歴史を汚すというようなことをなさらないだろうということを私は信じたいのでございますが、これに対する御答弁を頂きたいことが一つ。
それからもう一つ、ついででございますが、実はかねがね私どもは吉田総理に対しまして、非常な重要な法案でありまするが故に是非一度は本委員会に御出席を煩わして頂きたい、一日千秋の思いで実は待ち焦れたわけでございます。併し御病状ままならずという理由を以て本日なお御出席頂くことができません。承わるところによると、昨日天皇誕生の日に当つて宮中にお出ましがあつたように聞いております。天皇の誕生を祝されることはこれは結構でございましようが、事日本の青少年の将来に及ぼす重要な教育法案の審議に当つて一回もお顔をお見せにならないということは、これは怠慢の誇りを免れ得ないのではないか、今日午後からでも遅くはないから何とか緒方副総理の御努力を以てして我々のこの希望をお伝え頂き、この委員会に御出席して頂くことができないものかどうか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/33
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034・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 最初の十分の質疑をさせずにこの法案を通過させるのはこれは甚だよくないという御意味ととりましたが、それは勿論でありまして、私この委員会の審議に始終出席しておりませんでしたが、今日までほかの委員会と比べて相当よく議事が進行せられまして、従つて質疑も十二分に行われておると、かように解釈いたしておつたのであります。その点につきまして政府が重要法案の成立を急ぐがためにどうということは、無理をしようというようなことは考えておりません。
それから総理大臣の出席のことでありまするが、昨日天皇誕生日に総理が視察に出たことは事実でありますが、昨今の気候が不順でありまするために、ときどき痛み出したり何かしているようであります。ただ、今高田さんのお言葉もありましたから、その旨は伝えます。伝えますが、ここで私はお約束はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/34
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035・須藤五郎
○須藤五郎君 私は総理に対する質問を持つていますので、この総括質問中に総理が出席されるものと理解して総理に対する質問はいたしませんが、本日副総理は幹事長が逮捕されることは政府の致命傷になるということを発言しておられる。ところが私はちよつと理解の行かん点がありますが、逮捕の対象になつたということがすでに私は政府の致命傷であるべきだと思うのです。ところが逮捕の対象になつたということは一向政府の致命傷というふうに考えないで、単に逮捕されると致命傷になるというような物の考え方がどうも私たち文部委員会の委員としては受取れないのですが、それに対する副総理の考え方を私は伺いたいということが一点。
それから伝え聞きますと、逮捕を遅らすために会期の相当長期の、大幅の延長を政府は考えているということを私は聞くわけです。その点に関して副総理のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/35
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036・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 逮捕の対象になつているということも、これは勿論政党内閣の下において面白くないことであります。でありますが、逮捕を延期するために、なお国会の運営に当り得るせめてその事態を確保しておきたい、重要法案の審議のめどのつくまで確保しておきたいというのが諸般の措置をとつた動機の一つであります。従つて逮捕ができない、出典上逮捕ができないように会期は大幅に延長するというそういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/36
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037・須藤五郎
○須藤五郎君 政府は最初この汚職の問題が起つたときに、或る段階に来たら政府は責任をとるということをはつきり言明している、本会議で……。その或る段階というのは幹事長に累が及んだときとか、いわゆる大物に累が及んだときには政府として責任をとるというふうに我々は解釈しておつた。ところがたまたま幹事長にその累が及んで来た。これだけで政府は責任をとるのが当然ではないでしようか。ところが逮捕されると致命傷になるから逮捕だけは拒否した、こういう物の考え方は私は政府の道義心、政治的責任観念というものに大きな疑いを持つのです。全然これでは責任観念はゼロだと言われても仕方ないのではないか。こういう国民感情に納得の行かない行動を政府がとつておつて、一方で重要法案だ重要法案だと言いながら教育に大きな影響を及ぼすこの法案をこんな状態の下で審議を進めて通すということは、私は大きな不当なことではないか思うのです。そこで私は逮捕をされなければ責任を感じないのか、致命傷にならないのか、逮捕の対象となつたことはもうすでに政府の致命傷であつて、すべてが本会議において言明したことく責任をとる段階ではないかということを私は質問しているのです。もう一遍お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/37
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038・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 総理大臣からも私からも国会におきましては、この汚職問題の全貌が明らかになつたときに善処をするということを申して参つておりまして、幹事長が逮捕の対象になつたときに責任をとるというようなことを言うたことはございません。勿論先ほど申しましたように逮捕の対象になつておるということは好ましいことではありませんけれども、政府が今まで言うておつたことと違うじやないか、すでにそれが政府が投出す段階に来ておるじやないか(「その通りです」と呼ぶ者あり)というふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/38
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039・須藤五郎
○須藤五郎君 もう一遍重ねて伺いたいが、逮捕されると致命傷になるのが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/39
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040・川村松助
○委員長(川村松助君) 永井君発言して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/40
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041・永井純一郎
○永井純一郎君 副総理に是非もう一点だけお伺いをしておきたいと思います。
それは先ほど岡さんからもちよつと質問がありまして、どうもやはりはつきりしないのですが、それはやはりこの池田・ロバートソン会談の内容についてでありますが、これは実は文部大臣が「私はそういうことを知らない」というお答えがあるのです。それから又「それと関係は二法案はないと思う」、いろいろ何回もお尋ねしても大体そういう答弁しか文部大臣はしておられないのでございます。それで今副総理はやはりこの池田・ロバートソン会談とこの二法案は直接には関係がないというようにお答えになつたわけでございますが、これは新木前駐米大使がこれを発表したことによつて大変叱られて結局やめられたようですが、これはまあ新聞に出てしまつて国民はよくごの内容を知つているわけなんです。発表された議事録の中にありますように、やはり一番中心は今後協定になつたMSA、日本の防衛と米国の援助の問題、これが中心になつてそれから東南アジア貿易と賠償の問題などもやはりあの中に入つております。今度日比の賠償等が具体的に進みつつあるようですが、そのはか国内政策に入つてインフレの問題と同時にこの教育の問題が非常に問題になつて、あの議事録の中にはつきり書いてあります。そうしてこれらの、特に私どもはそれを再軍備の努力をされると、こう言いますが、百歩譲つて言葉を自衛力を漸増して行く、或いは防衛努力を完全に実現して行くというような政府の表現の言葉でも結構ですが、その防衛努力を実現して行く上で四つの非常に大きな制約があるということを、私的会談とこう言われまするが、いずれにしましてもその会談で認めておるわけでございますね。それは憲法上の制約が第九条、これが一つであり、次に政治的、社会的制約として占領後八年に亘つて日本の、特に青少年が武器をとらないという教育を受けたことが非常に痛いということははつきり言つているわけなんです。それから経済的制約としてやはり再軍備をして行く上には国民所得の問題、或いは特に私どもが何回も緒方さんにお願いをいたしました災害復旧の問題、こういつたものが非常に大きな制約になるということも日米両方で認めておる。それからもう一つは実際的な制約として速急に今の青少年を短期間に軍事目的のために募集することは、共産主義の浸透等の問題があつて却つて非常に危険だというようなことを認めておるようでございます。併しながらそういう四つの制約があるにもかかわらず、日米両国は防衛力を作るために今後数ケ年に亘つて軍事援助を受けながら協力してやつて行きたいということと同時に、教育と広報によつて日本の愛国心と自衛のための自発的精神を青少年に植え付けるようにして行きたいというごの二つを非常に重要なる、如何なる制約があつてもこれをやつて行くのだということを、まあ私的会談ではあるかも知れませんが申合わせたわけですね。そこで私は、国民が皆これをもう知つておるわけなんですから、そこで文部大臣が御答弁になりません、知らないとおつしやるから、そこを副総理、総理大臣に確かめたいとこう思つておつたのですが、少くともこれを尊重してやはりこの線に沿つて政府は今後の政策を、正式の決定ではないかも知れませんが、この線に沿うて、又この私的会談を尊重して行ごうというお考えには私は違いないと思うのですが、その点をその程度でよろしゆうございますが、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/41
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042・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 私は私的会談であるだけにそれは拘束されることはないと思います。それは恐らく池田・ロバートソンの間にそういう話が出た。それを項目的に並べてコミュニケとしてまとめたものだろうと考えるのであります。今の教育上愛国心を酒養したいというようなことは、そういうコミユニケと離れても私どもの、頭にありますが、今度のこの教育二法案が何らかそれに基いてそういうコミュニケが出たからこれをやろう、こういう法案を作ろう、作成しようということは因果的に実際問題として全然なかつたのが事案であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/42
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043・永井純一郎
○永井純一郎君 おつしやるようにそれと直接関係を持たして教育二法案を提出されたものではないと、まあ仮に、仮にではない、副総理がそう言われるのだからそうだと思います。が併し、その結果から見て、この教育二法案は私がお伺いしたいことは、この教育二法案が通ることによつて、この結果から見てこの池田・ロバートソンの会談のこの共同コミュニケの発表された内容に沿う結果にはなる、沿つて行けるものだ、結果から見て、ということには私はこれはどうしてもなると思う。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/43
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044・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その池田・バートソンコミユニケと今度の法案との間には関係がないということは多分そうだろうというふうにお認め下さつたようでありますが、私は日本の教育法案に限りませんが、特に外国の、これもアメリカに限りませんが、外国の影響下にそれが制定されるということは、すでにそういうことはなかろうとお認め下さつた以上、実際にそれと結びつけて考えて頂かんことが将来日本の教育を確立して行きまする上に非常に私は重要ではないかと思うのであります。世界が一つになるということもよく言われますけれども、今の世界の現奥に面しては、やはり国民的な教養ということを考えて参らなければなりませんし、国の独立の裏付けとしてやはり教育の国としての独立ということも飽くまでこれは尊重しなければならんのでありまして、その点につきましては、そういうコミュニケが仮にありましようとも、それと結びつけて考えることは避けなければならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/44
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045・永井純一郎
○永井純一郎君 それで私が申上げたいことは、たとえごの池田・ロバートソン会談というようなことがなくても、私がお伺いしたいことは、今日本の独自の立場から考えて、日本の教育は防衛に対する責任感を青少年に持たして行くという方針をとることが日本の今の吉田内閣自体として必要である、こういうふうにお脅えになつているわけですね。そうしますと、今のお答えでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/45
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046・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それは独立の精神が涵養されれば自然に起つて来ることでありまして、今のいわゆる池田・ロバートソンコミュニケからその問題を引き起すという形はとつてもいませんし、又教育上とりたくないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/46
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047・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつとお諮りいたします。先ほど申上げましたように、緒方国務大臣には十二時までと約束してもらいまして、先を控えておるのでありますが、二十分間経過しまして、大臣からも只今婆望もありましたので、一応緒方国務大臣に対する質問は、今日のところではこの程度で打切りたいと思いますが、……(「私一つお伺いしたいことがあるのです、どうせそうでしようけれども「議事進行」と呼ぶ者あり)……ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/47
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048・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/48
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049・高田なほ子
○高田なほ子君 議事進行で発言を頂戴いたしました。川村委員長にちよつと私は苦言を申上げたいのでありますが、議事進行ということがあれば、議事進行をお取上げになるのが私は当り前だと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういうわけで私が十回も言わなければお取上げにならない。甚だ遺憾だと思う。婦人の発言が甚だ軽視せられるということはけしからん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/49
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050・川村松助
○委員長(川村松助君) あなたが発言を求められたときは速記をとめて、私が懇談会に入る段階に入つてからです。決して高田先生を軽くなんか見るということはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/50
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051・高田なほ子
○高田なほ子君 懇談でありましようとも、議事進行という声がかかれば、これはまあお取上げになるのが当り前です。一回も言わせずに恥をかかせるものじやないですよ。恥ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/51
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052・川村松助
○委員長(川村松助君) 恥をかかせたとは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/52
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053・高田なほ子
○高田なほ子君 本論に入ります。緒方副総理は先ほど私の質問に対して、吉田着相が是非出席して頂けるように、こう私は申上げましたところが、直ちにそういうことを伝えて協力をする旨の御発言がございました。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は緒方副総理の御返答を諒といたしますが、併しながらいつまでたつても又御返事がないということでは、ミイラ取りがミイラになるようなことではこれは困る。今日は是非本日中に御出席になれるかなれないかということを午後の間に御返答頂くと共に、若し御出席頂けないということでありますれば、私は日本の教育方針というものの岐路をこの法案の上に感じておる一人でございます。然るが故にどうしても吉田首相が御出席なれないという尋常の理窟が通りますならば、代りまして緒方副総理の出席を私は特にお願いをいたしますが、この点について委員長におかれましては適宜な措置をおとり頂きまするよう、緒方副総理におつしやつて頂きたいと思います。同時に緒方副総理からも御返事を賜りたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/53
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054・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 午後に御返事をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/54
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055・川村松助
○委員長(川村松助君) 午後に返事があるそうです。(「休憩」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/55
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056・高田なほ子
○高田なほ子君 若し吉田総理がお見えになれないということがわかれば、今度は緒方副総理が代つて出席頂きまするようお願いいたします。どうぞ委員長もお諮り願います。(「私も賛成」「休憩」「二時まで休憩だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/56
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057・川村松助
○委員長(川村松助君) お任せ願いまして、この上の折衝を尽くさせて頂きたいと思います。(「お願いいたします、どうぞよろしく」と呼ぶ者あり)
この程度で休憩いたしたいと思います……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/57
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058・川村松助
○委員長(川村松助君) 御異議がなければ、休憩いたします。
午後零時二十六分休憩
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午後二時五十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/58
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059・川村松助
○委員長(川村松助君) 午前に引続き再開いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/59
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060・高橋衛
○高橋衛君 これにて一切の質疑を打切ることの動議を提出いたします。
〔田中啓一君「賛成します。」と述ぶ〕
〔そんなむちやなことをやるな」「余りにも非常識だ」「委員長に任せろ」「むちやじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/60
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061・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今高橋君から提出しております動議の教育二法案の審議につきましては、一切の審議を打切つて、質疑を終了したいという意味の動議が出ております。賛成者がありまして、動議は成立いたしました。
〔「していない「むちやなことをするな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/61
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062・相馬助治
○相馬助治君 議事進行。今の動議が出て、賛成者があつて、動議が成立しているという委員長のお言葉ですが、私は、これは今までの審議過程から考えてみて極めて遺憾なことだと思います。当委員会は、衆議院から法案が回付されてから、議事運営に関しては理事会が中心となつて今日まで運んで来ました。私どももできるだけこの法案の重要性に鑑みて、今日まで議事進行には微力ですが協力して参つたつもりです。そこで委員において明らかになつておりますことは、私どもが質疑に反対するとか賛成するのではなくて、この法案の重要性に鑑みて、内閣総理大臣の御出席を煩わして質疑をしたいという一点と、今問題になつておるのは衆議院回付、即ち三派協定案であるから、それの立案者である目自党乃至は改進党の意思をこの委員会においてお尋ねしなければならないということ、この二点は委員長において処置する旨が正式に宣言されていると思うのであります。然るにもかかわらず、この内閣総理大臣の出席の問題並びに衆議院における修正者の意図というものについて、それが開陳される機会が未だなく、而もその前後の報告がなされずして高橋委員から質疑打切りの動議が出ておりますが、高橋委員がさようなる意見を申すことは自由です。この動議に賛成することも御自由です。併し、委員長におかれては少くとも御努力なすつたと存じまするので、内閣総理大臣の本委員会における出席はどうなつておるか。又修正案について、この三派協定の線に従つて日本自由党乃至は改進党からの出席は如何になつておるか、これらのことが報告されて、その上において議事は進行するものと期待していたのであります。然るにもかかわらず、今の動議が成立し、この動議の可否がここで決定するということになりまするというと、折角重要法案をめぐつて今日まで進捗して参つたこの姿が崩れますので、私は飽くまでもです、日本の文教政策の一大転期をなすと言われるこの両法案のために、公正を以てなる川村委員長の善処をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/62
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063・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今の相馬君の御質問に対してお答えいたします。総理大臣は本日は外交関係の事情で、どうしても出席がなしがたい。又副総理は他の所用のために午後の出席は遺憾ながら応じかねる、こういう御答弁でありました。
なお念のために申上げますが、大達文部大臣も総理、副総理の出席のために奔走しまして、親しく先刻目黒の公邸に行きまして、事情をお話しましたが、どうしても事情が許さない、こういう状態になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/63
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064・相馬助治
○相馬助治君 連関してもう一点……。川村委員長の会の報告はわかりました。而も内閣総理大臣並びに副総理の出席に関して大達文部大臣まで努力されて、これが出席を慫慂したという事実も認めます。その誠意も認めます。併しながら、それは只今のこの段階では出られないということなのであつて今後のことをこれは含んでいないと思うのであります。従つてまだ会期中です。而も理事会の決定線その他を考えればここで唐突に高橋委員の動議が出るというようなことは、我々は予期しなかつたのでありまして、然らば吉田首相はいつここにおいでになるか。今日のうちにおいでになれるのか。なれないとしたならば、いつ頃おいでになるか、これらの点について当然お尋ねになつたと思いまするが、そのことをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/64
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065・川村松助
○委員長(川村松助君) 私は今日のことだけを確認して参りまして、今後のこと、つまり明日からのことまでは伺いません。
〔「動議は成立しない」と呼ぶ者あり〕
〔田中啓一君「動議はすでに出て成立しているのでありますから、速かに採決に入るようにお取計い願いたいと思います」と述ぶ〕
〔「むちやを言うな」「むちやだ、賛成、反対の段階に至らないじやないか」「打切るにしてももつと打切り方がある」「まじめにやろうじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/65
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066・荒木正三郎
○荒木正三郎君 我々がこの法案の審議に当りまして、吉田総理の出席を要請しておつたことは、これは今に始まつたことではございません。前にも申上げましたが、この法案が本会議に上程されました際に、我々といたしましては、吉田総理の出席を求めたのでございます。併しその際、吉田総理が所用のため出席できないということであつて、併しその際は、この法案が文部委員会において審議されているその途上において必ず出席するように努力するということは、与党の委員もひとしく述べられたところであつて、この点は文部委員会の理事会においても、前から川村委員長の善処を要望しておつたところであります。ところがこの最終段階に至りまして、大達文部大臣の御努力にもかかわらず、吉田総理の出席ができなかつたということは非常に遺憾であります。これは私はやむを得ないとしても、当然総理の代理として緒方総理は出席されなければならんと思う。(高田なほ子君「それは肯定されているのです。それを諮らなければならない」と述ぶ先ほど川村委員長は緒方副総理の出席できない理由は、他に所用があつてということだけでありまして、それだけではなかなか難しがたい点がございますが、で、是非やはりなお一層の御努力をお願つて、短時間で、も結構ですから、緒方副総理の出席を、要請して頂きたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
それから先ほど相馬委員からも述べられましたが、やはりこの法案は衆議院において若干の修正を見ております。その点についても簡単な質疑が必要であるということは、前々から話合いをしておつたところでありますので、やはり衆議院の修正者の出席を求めて若干の質疑をしたい、そういうふうに考えておりますので、今突然質疑の打切りの動議が出ましたが、これは今までの経緯から考えましてどうも納得しがたい点がありますので、この点は一つ文部委員長において善処をして頂きたい。(「その通り」と呼ぶ者あり)かように考えます。(「お願いいたします」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/66
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067・川村松助
○委員長(川村松助君) 委員長といたしましては、法規上動議が出まして成立いたしました段階では、一応これに対する賛否を諮らなければなりません。
つきましては、高橋君提案の動議に(「委員長、委員長」と呼ぶ者あり)御賛成のかたの御起立を願います。(「発言を要求していますよ」「それは駄目ですよ」と呼ぶ者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/67
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068・川村松助
○委員長(川村松助君) 多数でございます。(「今までの話が違う」と呼ぶ者あり)高橋君の動議は成立いたしました。(「話が違う」「それはむちやだ」「それじや何のために理事会をやつて来たんだ」「絶対承知できないよ」「理事会やつたじやないか」「打切り方が悪い」「むちやくちやだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)
暫時休憩いたします。
午後三時二分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03219540430/68
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