1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月二十一日(土曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 高木 松吉君 理事 山口 好一君
理事 逢澤 寛君 理事 瀬戸山三男君
理事 西村 力弥君 理事 今村 等君
伊東 隆治君 高見 三郎君
中村 寅太君 廣瀬 正雄君
大島 秀一君 仲川房次郎君
二階堂 進君 有馬 輝武君
小松 幹君 三鍋 義三君
山田 長司君 中島 巖君
石野 久男君
出席国務大臣
建 設 大 臣 竹山祐太郎君
出席政府委員
建設政務次官 今井 耕君
建設事務官
(大臣官房長) 石破 二朗君
建設事務官
(計画局長) 渋江 操一君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
参議院議員 田中 一君
建設事務官
(住宅局住宅企
画課長) 南部 哲也君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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五月十七日
委員久野忠治君及び有馬輝武君辞任につき、そ
の補欠として仲川房次郎君及び淡谷悠藏君が議
長の指名で委員に選任された。
同月十九日
委員淡谷悠藏君秤任につき、その補欠として有
馬輝武君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員勝間田清一君辞任につき、その補欠として
西村力弥君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事西村力弥君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
同日
理事松尾トシ子君理事辞任につき、その補欠と
して今村等君が理事に当選した。
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五月十九日
道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出第五六号)
同月二十日
日本住宅公団法案(内閣提出第六三号)
治水対策確立に関する請願(池田清志君紹介)
(第七〇六号)
県道伊集院、鹿児島線中宮田通り踏切に人道こ
線橋架設の請願(二階堂進君外一名紹介)(第
七〇八号)
福島県地内国道四号線の改修工事促進に関する
請願(平田ヒデ君紹介)(第七〇九号)
国道十九号線改修工事促進に関する請願(纐纈
彌三君紹介)(第七四一号)
安芸市の都市計画促進に関する請願(宇田耕一
君紹介)(第七八一号)
府県道畑山安芸線の改修工事促進に関する請願
(宇田耕一君紹介)(第七八二号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十七日
車両制限令制定反対に関する陳情書
(第一三七号)
災害復旧事業費の国庫補助に関する陳情書
(第一六
五号)
高速度中央道路建設促進に関する陳情書
(第一八七号)
住宅建設促進に関する陳情書
(第一八八号)
和歌山県の災害復旧費増額に関する陳情書
(第二〇〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した案件
道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出第五六号)
日本住宅公団法案(内閣提出第六三号)
国設住宅法案(田中一君外一名提出、参法第五
号)(予)
日本分譲住宅公社法案(田中一君外一名提出、
参法第六号)(予)
日本分譲住宅公社法施行法案(田中一君外一名
提出、参法第七号)(予)
理事の互選
小委員の補欠選任
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に入ります前に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。すなわち西村力弥君が、去る十二日委員を辞任され、本日再び本委員となられました。
次に、本日理事松尾トシ子君より、理事を辞任いたしたいとの申し出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/1
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002・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めさよう決しました。
つきましては理事が二名欠員になっておりますので、これが補欠選任を行わねばなりません。この補欠選任につきましては、選挙の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/2
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003・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。それでは理事に
西村力弥君 今村等君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/3
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004・内海安吉
○内海委員長 次に、小委員の補欠選任についてお諮りいたします。すなわち、仲川房次郎君が四月二十七日に、荒舩清十郎君が去る九日に、有馬輝武君が去る十日に、大島秀一君及び西村力弥君が十二日に、それぞれ委員を辞任され、再び本委員となられたのでありますが、以上の諸君はそれぞれ小委員でありましたので、河川に関する小委員が二名、住宅に関する小委員が三名、道路に関する小委員が四名、請願審査小委員が二名欠員になっております。それでこれが補欠選任を行わねばなりませんが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/4
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005・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。それでは
河川に関する小委員に
大島秀一君 仲川房次郎君
住宅に関する小委員に
荒舩清十郎君 仲川房次郎君 西村力弥君
道路に関する小委員に
大島秀一君 仲川房次郎君 有馬輝武君 西村力弥君
請願に関する小委員に
荒舩清十郎君 有馬輝武君
以上の通りそれぞれ指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/5
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006・内海安吉
○内海委員長 道路整備費の財源算に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び日本住宅公団法案の両案を一括して議題に供します。まず政府より提案理由の説明を聴取いたします。竹山建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/6
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007・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 ただいま議題に供されました道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。
申し上げるまでもなく、道路整備費の財源等に関する臨時措置法は、議員各位の非常な御熱意によりまして、第十六国会において成立いたしたのでありまして、昭和二十九年度以降五カ年間は、揮発油税収入額相当額を道路整備五カ年計画に基く道路整備費の財源に充当することとした法律であります。
政府も、道路整備の緊要性にかんがみ、この法律の趣旨を十分尊重いたしまして、運営して参る所存であります。
しかしながらこの法律におきましては、毎年度予算に計上されます道路整備費と揮発油税収入決算額との調整が規定されておりませんため、これをこのまま放置しておきますと、揮発油税収入額をすべて道路整備費に充当するという立法趣旨が十分にその目的を達し得ないうらみがあり、また直轄事業の地方負担金の財源措置が現実の事情に即していない点があると思われますので、新たにこれらの措置について規定することといたしまして、この改正法律案を提案いたした次第であります。
以下この改正法律案の具体的内容を簡単に御説明申し上げます。
第一は、道路整備費の財源として充てなければならない毎年度の額は、その年度の揮発油税収入予算額のほかに、前々年度の道路整備費の決算額が揮発油税収入決算額に不足しております場合には、その不足額を加えたものとしたことであります。現在の規定によりますと、毎年度の道路整備費の財源は、その年度の揮発油税収入額に相当する額を充てることになっておりますが、税収入額の実績は、その決算が確定しないと判明しませんので、道路整備費を予算に計上します際には、税収入見込み額、すなわち税収入予算額を基準とするほかはないのであります。しかしながら、税収入予算額とその決算額との間には、当然ある程度の開きがあると考えられますので、税収入予算額を基準として計上された道路整備費の決算額が税収入決算額に不足する場合は、その不足額を決算額の確定する年度の翌年度において道路整備費に加算して計上することといたしたのであります。
第二は、国が直轄で道路事業を行います場合は、三十年度以降の事業につきましては、その直轄事業費の全額につきまして揮発油税収入額を財源として措置することができるようにしたことであります。直轄事業は、北海道関係を除き、その豊川は国と地方公共団体が負担するのでありますが、予算には、事業費全額を計上いたしまして事業を執行し、地方負担金は、地方公共団体が事業を執行する年度内に国庫に納付する建前になっているのであります。従いまして、予算に計上されます直轄事業費のうち、国の負担金に相当する額は、揮発油税収入額を財源とし、地方負担金に相当する額は、その年度内に全額納付されることを前提として、その額すなわち揮発油税収入額以外の収入額を財源とすることが適当であると考えられてきたのであります。しかしながら、地方負担金は、その事業執行の年度内に納付されることは期待できない実情にあるのでありまして、ことに、この法律制定後に制定をみました地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律によりまして、地方負担金が地方債証券で納められました場合は、実際には地方負担金は、十三カ年以内に均等償還の方法によりまして国庫に納付されるのでありますから、地方財政の現状から見まして、直轄事業費につきましては、一応その全額に対して、揮発油税収入額を充てることにいたしたのであります。もちろん地方負担金は、国が一時立てかえた形のものでありますから、揮発油税収入額をこれに充てますのも、あくまでも一応の措置でありまして、地方負担金が国庫に納付されました場合は、その額は、道路整備費の財源として措置することにいたしたのであります。
以上この法律案の提案理由並びにその内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されますようお願いする次第であります。
なお、引き続いてただいま議題となりました日本住宅公団法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
政府は、昭和三十年度において四十二万戸の住宅建設を目途としておることは御承知の通りでありますが、これが実現をはかるため、政府の重点的施策といたしまして、公的資金による住宅建設の拡充、民間自力建設の促進及び宅地対策の推進をはかる所存であります。
ところで、現在行われております公的資金による住宅建設の中心をなすものは、公営住宅及び公庫住宅の両者でありますが、地方行政区域を単位とする現行の公営住宅方式及び公庫住宅による住宅供給方式のみでは、東京を初めとする大都市地域における住宅供給の拡充をはかるために不充分であり、従って地方行政区域にとらわれず、広域圏にわたる新たな住宅供給方式を考える必要が認められるのであります。
また、一方、宅地対策について見ますと、現在住宅建設が当面する最大の隘路の一は、宅地取得難で、これが有効な対策を請じない限り、今後の住宅建設は行き詰まらざるを得ない実情にあります。従って、宅地対策の一として、大都市地域において大規模に健全な新市街地を造成することが必要であり、このためには、都市周辺の適地について、衛星都市的配慮のもとに土地区画整理自業を施行することもできるような機関の設立が必要であります。
さらにまた、今後勤労者住宅建設の拡充をはかるためには、国及び地方の財政の現状から考えて、住宅建設資金の相当部分を民間資金の導入に仰ぐ必要があります。これらの住宅の建設に充てる民間資金を円滑に導入するための機関の設立が必要であります。
この法案は、以上のごとき観点に基きまして、現下における住宅の不足をすみやかに解消するため、住宅不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために不燃性の集団住宅及び宅地を供給し、あるいは必要に応じ土地区画整理事業を施行する機関として、日本住宅公団を設立しようとするものであります。
以上が本法案を提案いたしました理由でありますが、次にその概略を簡単に御説明申し上げます。
まず第一に、日本住宅公団は、法人といたしまして、その資本金は政府及び地方公共団体からの出資金の合計額とし、政府は一般会計からは公団設立の際六十億円を出資することになっております。また出資に当っては、土地、建物等をもって現物出資することもできるようにいたしております。
第二に、公団の管理機構といたしまして、管理委員会を設置することといたしました。管理委員会は、任期二年の委員五人及び公団の総裁をもって組織するもので、予算、事業計画、資金計画、決算等の重要事項についての議決機関となるものであります。
第三に、公団の役員として総裁、副総裁、理事及び監事を置くこととし、その任期はおのおの四年といたしております。
第四に、公団の行う業務でありますが、日本住宅公団設立の目的に従いまして、住宅及び施設の建設、賃貸その他の管理及び譲渡、宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡、土地区画整理事業の施行等を行わしめることといたしております。
第五に、土地区画整理事業についてでありますが、土地区画整理事業を施行すべきことが都市計画として決定された区域内の土地について、建設大臣が公団の行う住宅の建設または宅地の造成とあわせてこれと関連する新たな市街地を造成するための土地区画整理事業を施行する必要があると認めるときは、土地区画整理法の特例として、公団が当該土地区画整理専業を施行することができることといたしました。
第六に、公団の財務及び会計でありますが、公団の予算、資金計画、事業計画、財務諸表、悟入金金等については、建設大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしておりますが、これは公団の業務の公益性によるほか、その資本金が政府及び地方公共団体からの出資のみに限られているという理由に基くのであります。
第七に、公団は、建設大臣の監督に服するのでありまして、建設大臣は、公団に対して、監督上必要な命令をなし、また報告を徴し、附属職員をして立ち入り検査をさせることができることにいたしました。また公団の経営一般の監督に当らせるため、特に日本住宅公団監理官の制度を設けることといたしました。
最後に、公団の設立に関する事務は、附則によりまして、建設大臣が設立委員を任命してこれを処理させることにいたしておりますが、公団の業務をなるべくすみやかに開始する必要がありますので、必要な準備を急速に行いたいと考えております。
なお、この法案に基き、昭和三十年度におきましては、公団をして住宅二万戸の建設、約百万坪の宅地造成を行わしめ、これに要する事業費として百六十六億円を予定いたしております。
以上本法案提案の理由及びその要旨を述べましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/7
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008・内海安吉
○内海委員長 次に法案に対する逐条説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/8
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009・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 お手元に道路整備費の財源等に関する臨時措置法(新旧対称)というガリ版がお配りしてございますが、これによりまして御説明申し上げます。
第一条、第二条には、改正される点はございません。
第三条「政府は、昭和二十九年度」傍線がありまして右側に「「以降五箇年間」は、「毎年度」」とありますが、これを改正いたしまして「政府は、昭和二十九年度は、揮発油税法」と、こう改正することにいたしております。
新たに二項をつけ加えます。その二項を朗読いたします。
2 政府は、昭和三十年度以降四箇年間は、毎年度次の各号に掲げる額の合算額に相当する金額を、道路整備五箇年計画の実施に要する道路法及び道路の修繕に関する法律に基く国の負担金(国が直轄で行う事業については、当核事業に要する費用)又は補助金(以下「道路整備費」という。)の財源に充てなければならない。
一 当該年度の揮発油税法による揮発油税(以下「揮発油税」という。)の収入額の予算額
二イ 昭和三十一年度においては、昭和二十九年度に係る道路整備五箇年計画の実施に要する道路法及び道路の修繕に関する法律に基く国の負担金又は補助金の歳出決算額(支出済歳出額から前年度繰越額を控除し、翌年度繰越額を加算した額をいう・以下同じ。)が同年度の揮発油税の収入額の決算額の三分の二に不足するときは、当該不足額
ロ 昭和三十二年度においては、昭和三十年度の道路整備費の歳出決算額が同年度の揮発油税の収入額の決算額に不足するときは、当該不足額
ハ 昭和三十三年度においては、昭和三十一年度の道路整備費の歳出決算額(同年度の道路整備費の予算額にイに規定する不足額に相当する額が含まれている場合においては、当該額に相当する額を控除した額)が同年度の揮発油税の収入額の決算額に不足するときは、当該不足額
三 昭和三十三年度においては、道路法第五十三条第一項又は道路の修繕に関する法律の施行に関する政令(昭和二十四年政令第六十一号)第十一条第二項の規定により昭和三十一年度末までに納付された地方公共団体の負担金で昭和三十年度以降の事業に係るものの額(当該負担金が地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律(昭和二十八年法律第百十一号)第一項の規定により地方債の証券をもつて納付された場合においては、昭和三十一年度末までに支払われた当該地方債に係る償還金(利子に相当する部分を除く。)の額)
第四条におきましては、最後から三行目に「道路の修繕に関する法律の施行に関する政令(昭和二十四年政令第六十一号)」とありますが、これを削ります。
それから附則の最後に「この法律は、公布の日から施行する。」これが改正される点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/9
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010・石破二朗
○石破政府委員 日本住宅公団法案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。
まず第一章でありますが、この第一章の総則の部におきましては、この法律の目的を第一条に、第二条に法人格、第三条に事務所、第四条に資本金、それから第五条に公団の定款、第六条に登記に関する手続、第七条に解散に関する手続、第八条に名称使用の制限、それから第九条に所要の民法の条文の準用、これだけのことを第一章の総則として規定いたしております。
第一条は法律の目的でありまして、住宅公団は、住宅の不足の著しい地域におきまして、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行いますとともに、健全な新市街地を造成するための土地区画整理事業を施行することによりまして、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする、こういうふうにこの法案の目的を規定いたしております。
第二条の法人格でありますが、これはいわば公法上の法人、かように考えております。
第三条に参りまして、事務所は、主たる事務所を東京、それから、その他必要に応じまして従たる事務所を置くことができることにいたしております。
第四条の資本金でありますが、公団の資本金は、昭和三十年度予算案に計上いたしております六十億円と、公団の設立に際しまして、地方公共団体が出資する額の合計額といたしております。それから、政府は公団の設立に際しまして、この六十億円を出資するということにいたしております。なお、公団は、必要があるときは、建設大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。それから、政府及び地方公共団体は、前項の規定により公団がその資本金を増加するときには、公団に出資することができる。それから第五項では、出資の目的といたしまして、政府及び地方公共団体が公団に出資するときには、土地または建物その他の土地の定着物、これは以下土地等と申しておりますが、これを出資の目的とすることができる。それから、いわゆる現物出資いたしました土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。この評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める予定にいたしております。
第五条の定款につきましては、これは特に御説明申し上げることはありませんが、この法案の中に書いてあることも一部うたうことになりますけれども、その他のこういう類似の法人の例と同様でありますので、説明を省略させていただきます。
第六条の登記の手続につきましても、大体同様でありますので省略させていただきます。
第七条の解散の規定でございますが、特に第二項で、公団が解散した場合におきまして残余財産がありましたときには、これを公団に出資した者に対し、出資の額に応じて分配することといたしておるのでございます。
名称使用の制限、民法の準用、これらにつきましては、ここでは説明を省略させていただきます。
第二章に参りまして、管理委員会の規定を置いております。第十条から第十九条まで規定いたしております。管理委員会の議決事項といたしまして、第十一条に、定款の変更、予算、事業計画及び資金計画、決算、これだけを算理委員会の議決事項といたしております。
第十二条に参りまして、委員の数を規定いたしておりますが、管理委員会は委員五人及び公団の総裁をもって組織する。
それから第十三条に参りまして委員の任命を書いております。委員はすべて建設大臣が任命いたすことにしております。なお、委員のうち二人は、公団に出資した地方公共団体の長が共同で推薦した者のうちから任命しなければならない、かようにいたしております。
委員の任期は二年といたしております。
次に第十五条に委員の欠格条項を規定いたしておりますが、これらにつきましては、その他これに類似の団体と大体同様でありますので、説明を省略させていただきます。
第十六条は委員の解任でありまして、これは第一項によりまして欠格条項に該当するに至った場合には、これを解任しなければならない。それから第二項で、心身の故障のため職務の執行にたえないときでありますとか、職務上の義務違反があったときには、建設大臣がこれを解任することができる、こういうことにいたしております。
第十七条は委員の報酬でありますが、実費弁償以外のいわゆる報酬は受けない、こういうことにいたしております。
第十八条は議決の方法でありますが、説明を省略させていただきます。
第十九条、この委員は、刑法その他の罰則の適用につきましては、法令により公務に従事する職員とみなしております。
第三章は役員及び職員の規定でございまして、第二十条から三十条まで役員及び職員に関することを規定いたしております。
役員の第二十条でありますが、総裁一人、副総裁一人、理事五人以上及び監事三人以上ということにいたしております。理事及び監事につきまして、最高をここで規定いたしておりません理由は、今後出資者、業務の今後の状況に応じて実情に合うようにいたしたい、かように考えたからであります。
第二十一条でありますが、これは役員の職務及び権限を覆いております。これは別段御説明申し上げることもございませんので、省略させていただきます。
第二十二条に参りまして役員の任命でありますが、総裁及び監事は、建設大臣が任命することにいたしております。副総裁及び理事は、総裁が建設大臣の認可を受けて任命することにいたしております。
第二十三条は役員の任期でありまして、四年といたしております。
第二十四条役員の欠格条項は、管理委員の欠格条項と同様にいたしております。
第二十五条の役員の解任でありますが、これにつきましても、大体管理委員の解任のときと同様でありますが、ただ解任権者が、理事につきまして総裁になっておるという点が違うだけであります。
第二十六条は役員の兼職禁止でありまして、役員は、営利を目的とする団体の役員となり、またはみずから営利事業に従事してはならない、こういうふうに規定いたしております。
第二十七条代表権の制限、第二十八条代理人の選任、第二十九条職員の任命につきましては、説明を省略させていただきます。
第三十条の規定は、十九条で御説明申し上げました通り、管理委員につきましては刑法その他の罰則の適用について、法令により公務に従事する職員とみなしたのでありますが、この役職員につきましても、同様の規定をいたした次第であります。
第四章に業務のことを書いてありますが、第三十一条から第三十四条までであります。
第三十一条におきましては、第一条に設立の目的が書いてあるわけでありますが、この目的を達成するために、住宅の建設、賃貸、その他の管理及び譲渡を行うこと、それから宅地の造成、賃貸、その他の管理及び譲渡を行うこと、それから公団が賃貸し、または譲渡する住宅及び公団が賃貸し、または譲渡する宅地に建設される住宅の居住者の利便に供する施設の建設、賃貸、その他の管理及び譲渡を行うこと、それからこれらに対するいわゆる付帯業務を行うこと、それからさらに土地区画整理事業を施行すること、それから先ほど申し上げました業務の遂行に支障のない範囲内で、委託により住宅の建設及び賃貸、その他の管理、宅地の造成及び賃貸、その他の管理並びに施設の建設及び賃貸その他の管理を行うこと——さしあたって考えておるものはございませんが、業務に支障のない限りは、この目的に反しないように、こういう業務につきましては委託を受けることができる規定を置いております。
第三十二条に住宅の建設等の基準を著いております。公団は住宅の建設、賃貸その他の管理及び譲渡、宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡並びに施設の建設、賃貸その他の管理及び譲渡を行うときは、建設省令で定める基準に従って行わなければならないというふうに、住宅の建設、管理、賃貸等の基準を建設省令で定めるということを規定いたしておるわけであります。
第三十三条は業務方法書の規定でありまして、公団は業務方法得をまず定めまして、建設大臣の認可を受けなければならない、また変更するときも勝手に変更することはできないということを規定し、この業務方法書に書きます内容につきましては、建設省令で定めるということを規定いたしております。
第三十四条には、公団がいろいろ事業をやります際に、地方公共団体の長の意見を聞かなければならないという規定を置いております。かくいたしまして、公団の事業の執行が、地方公共団体と密接に参りますように考えた次第であります。公団は、住宅の建設または宅地の造成をしようとするときは、当該住宅の建設計画または宅地の造成計画について、あらかじめ、当該住宅の建設または宅地の造成をしようとする地域をその区域に含む地方公共団体の長の意見を聞かなければならない、かように規定いたしておる次第であります。
第五章に参りまして、第三十五条から第四十三条までの間に、土地区画整理事業に関する規定を置いております。
そこで三十五条からそこを御説明する前に、附則の第十二条——四十三ページになりますが、そこをちょっとおあけ願います。
この考え方は、土地区画整理法の一部を改正いたしまして、日本住宅公団が特別の場合には土地区画整理事業をやれるというふうに、土地区画整理法の第三条のところを変えまして、その規定を受けまして公団が実施いたします土地区画整理事業のやり方につきまして、第五章の規定を設けておるわけでありますが、四十三ページの終りをごらん願いますと「日本住宅公団の施行する土地区画整理事業」ということを書きまして、第三条の二といたしまして、日本住宅公団は、建設大臣が日本住宅公団の行う住宅の建設または宅地の造成とあわせてこれと関連する新たな市街地を造成するための土地区画整理事業を施行する必要があると認める場合においては、計画決定区域の土地について、当該土地区画整理事業を施行することができる。第二項、前項の規定に上る土地区画整理事業については、この法律及び日本住宅公団法の定めるところによる、こういうふうにいたしております。この法律と申しますのは、土地区画整理法の意味でありますが、土地区画整理法と住宅公団法の定めるところによる、こういたしておるわけであります。
そこで十七ページの第五章に入っていただきまして、第三十五条でありますが、公団の行います土地区画整理事業は、第五章に規定いたしますもののほか、土地区画整理法の定めるところにより行われる旨を規定いたしたものであります。
第三十六条は、公団は土地区画整理事業を施行しようとしますときに、土地区画整理法に規定する施行規定及び事業計画を定めまして、建設大臣の認可を受けなければならない旨を定めますとともに、公団が事業計画を定めようとする場合には、当該都道府県知事及び市町村長の意見を聞かなければならない。しかも認可申請書には、これらの意見を記載した書面を添付して出せ、こういうふうにいたしております。こういたしまして、地元の公共団体と公団との連絡を緊密にしよう、かように考えたわけであります。なお公団から施行規程及び事業計画の決定、または変更についての認可の申請がありますと、建設大臣は第四項以下の規定により、施行規程及び事業計画を二週間公衆の縦覧に供す、当該土地区画整理に関係のもる土地もしくはその土地に定着する物件またはその区画整理事業に関係のある水面について権利を有する利害関係者の意見を求める。都市計画審議会の意見を求めて採択すべきであると認めるときは、当該及び事業計画に必要な修正を加えることを命ずる。そうして再び意見書の提出がなくなるまでその手続を繰り返すことにいたしまして、地元の利害関係者との権利関係の調整に十分な配慮を払う措置を講じた次第であります。
第三十七条でありますが、これは土地区画整理法第七十条に相当する規定でございまして、区画整理事業が適正に行われることを確保するために、公団に土地区画整理法に規定する土地区画整理審議会を置く旨、及び審議会の組織権限等に関し、必要な事項について土地区画整理法の規定を準用するということを規定いたしたものであります。
第三十八条、評価員でありますが、土地区画整理法の第七十一条に相当する規定でございまして、土地区画整理事業の施行に必要な土地及び土地について存する権利の価格等の評価が適正に行われるために、公団の総裁は土地区画整理法に規定する評価負を選任しなければならないという規定にいたしたものであります。
第三十九条でございますが、土地区画整理法第七十五条に相当する規定でございまして、公団は建設大臣、都道府県知事及び市町村長に対してこの区画整理事業について専門的知識を有する職員の技術的の援助を求めることができるということを規定いたしたのであります。
第四十条、これは費用の負担の規定でございますが、これは土地区画整理事業に要する費用は土地区画整理法の施行者負担という原則があるのでございますが、この原則に従いまして、公団の負担といたしたのであります。なお土地区画整理法におきましては、建設大臣または都道府県知事の施行する土地区画空理事業により利益を受けます地方公共団体の事業費の分担に関する規定が設けられているのであります、が、この法律におきましても、公団は、公団が施行する土地区画整理事業の施行により利益を受ける地方公共団体と協議し事業費の一部をその地方公共団体に負担していただくことができるようにいたしますとともに、公共団体との協議が成立しないときには、この関係者の公団と地方公共団体との申請に基きまして、建設大臣が裁定することといたしたのであります。
第四十一条でありますが、これは訴願の規定であります。これは土地区画整理法の所二十七条に相当する規定であります。説明を省略させていただきます。
第四十二条に参りまして、これは土地区画整理法の適用につきまして、この法律にいろいろ書いてありますもののほか、土地区画整理法を直接適用するのだと条文をいろいろあげて規定いたしておる次第でございますが、この点につきましては、後ほど機会を得まして詳しく御説明申し上げたいと思います。
第四十三条でございますが、これは公団の行います住宅建設または土地の造成にあわせまして、新たな市街地を造成するために必要な土地区画整理事業を、土地区画整理法第三条第四項前段の規定によりまして都道府県知事または市町村長に施行させた場合におきまして、実質におきましては、その事業の効果は、以上述べましたところにより公団が施行した場合と同様になるのでありますが、公団と区画整理事業に要する費用の負担者であります都道府県または市町村とが協議して定めるところによりまして、その費用の全部または一部を公団が負担するという規定であります。これはちょっと下手な説明を申し上げましたが、公団がみずから区画整理をやらないで、いわゆる土地区画整理法による行政庁施行ということで、都道府県知事または市町村長に主として公団のために区画整理事業をやってもらいます際に、公団が自分がやるのと同程度まではその費用を負担する、市町村長なり都道府県知事が区画整理をやってくれましても、その費用は公団が全部または一部を負担するという規定を置いた次第であります。
第六章に参りまして、財務及び会計の規定を第四十四条から五十五条まで規定いたしております。四十四条には事業年度を書いております。四月一日から、二月三十一日まで。
それから四十五条は、予算等の認可に関する規定でありまして、これはいずれも建設大臣の認可を受けなければならぬという規定であります。
四十六条は、決算に関する規定であります。
四十七条は、財務諸表に関する規定であります。公団は毎事業年度、財産目録、貸借対照表、損益計算書を作成いたしまして、決算完結後二カ月以内に建設大臣に提出してその承認を受けなければならない、こういう規定であります。
二十八ページに参りまして、第四十八条に利益と損失の処理についての規定を置いてあります。公団は毎事業年度、経営上利益を生じましたときには、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残りがありますときは、その残余の額は積立金として整理しなければならない。それから公団は、毎事業年度、経常上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足が刈るときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない、かように規定いたしております。利益がありました際の配当等については、そういうことはやらないという趣旨であります。
第四十九条に、借入金と住宅債券のことを書いております。公団は長期・短期の借入金をし、または住宅債券を発行することができる、かようにいたしております。なお、ここの規定に直接関係はありませんが、昭和三十年度の予算案におきましては、その総則におきまして、昭和三十年度公団が民間から長期借入を予定しております金額につきまして政府が保証するということを、予算書の総則に規定いたしております。これはあとに出て参ります。
三十ページに参りまして、第五十条には「政府からの貸付等」と書いてありますが、政府は公団に対しまして、長期もしくは短期の金を貸し付けまたは住宅債券の引き受けをすることができる。
第五十一条に債務保証の規定をいたしておりますが、先ほど御説明いたしましたので、ここでは省略さしていただきます。
第五十二条に、償還計画のことを書いております。
第五十三条に、支払い余裕金の運用の方法を書いております。国債その他建設大臣の指定する有価証券、銀行への預託または郵便貯金、こういうことを書いて、この運用に誤まりのないようにいたしております。
第五十四条に、給与、退職手当の支給の基準を書いておりますが、これは、公団は役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めまして、建設大臣の承認を受けなければならない、かようにいたしております。
それから第七章に参りまして、監督の規定を輝いておりますが、建設大臣が監督することにいたしております。
第八章に参りまして、補則といたしまして建築基準法等の適用、それから恩給、三十六ページに参りまして大蔵大臣等との協議、こういうことを規定いたしております。詳しい御説明は別に機会を得て申し上げたいと思いますが、恩給についてだけちょっと御説明申し上げますと、現に公務員でございますと、十七年の期間が過ぎますと恩給を受領する権利が発生するわけでありますが、そういう状態にある役所に入りまして一年とか二年とかたっている人が、公団に参りまして、これが後日政府なり政府機関に帰ってきました際には、公団に在職した期間を政府機関に勤務したと同様に取り扱うというような趣旨の規定をいたしております。
これは機会を得まして詳しく御説明申し上げたいと思います。
それから三十七ページでございますが、第九章に罰則の規定を置いております。これを六十二条、六十三条、六十四条に書いております。
その次に、附則といたしまして、第一条から第十三条まで規定いたしておりますが、附則の第二条に、設立の手続を書いております。設立委員を命じまして、諸般の準備をさせ、これを建設大臣に報告いたしまして、設立の認可の申請をし、その他いろいろの規定を置いております。
そういたしまして、四十ページに参りまして、第二条の八項に公団は、前項の規定による設立の登記をすることによって成立する、こういうふうに書いております。
四十ページの第三条に業務の特例を書いております、公団は、第三十一条に規定する業務のほか、当分の間、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基き政府が接受することに同意したアメリカ合衆国政府の職員の居住の用に供する住宅の賃貸その他の管理を行うこと、こういう規定を当分の間の業務の特例といたしまして置いております。もちろん、これは現にあります建物の賃貸その他の管理を行うだけでありまして、新築につきましては、考えてはおりません。
なお第四条は三十年度の予算等に関する経過措置であります。
それから第五条、第六条、第七条、第八条、第九条は、いずれも税法上の特例を認めるために、所要の改正をいたしたものであります。
第十条は、土地収用法に所要の改正を加えただけであります。
第十一条は、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正しまして、住宅公団が発行する住宅債券を引き受けてもらいますとか、日本住宅公団に対する貸付を行なってもらいますために、この法律に所要の改正を加えたわけであります。
第十二条は、土地区画整理法の改正でありまして、先ほど御説明申し上げた通りであります。
四十四ページの第十三条に参りまして、日本住宅公団の経営一般の業務の監督に当る事務を建設省の所管とするということを一つ入れたわけであります。
それからさらに四十五ページの終りの方に、やはりこれは附則の第十三条のうちでございますが、建設省設置法の第五条の三といたしまして、住宅公団の経営一般の監督に関するものを行わせるため、建設省に日本住宅公団監理官二人を置く、という規定を置きました。これは職員を増員する趣旨ではもりません。
第二項に参りまして、公団の監理官は建設省の職員のうちから任命する、かようにいたしておる次第であります。
以上、はなはだ簡単でございますが、御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/10
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011・内海安吉
○内海委員長 以上の両案に対しまする質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/11
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012・内海安吉
○内海委員長 次に、参議院より提出されておりまして、予備審査のために本委員会に付託されておりまする国設住宅法案、日本分譲住宅公社法案及び日本分譲住宅公社法施行法案、以上三案を一括して議題といたします。提案者より提案理由の説明を聴取いたします。参議院議員田中一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/12
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013・田中一
○田中参議院議員 ただいま議題となりました国設住宅法案の提案理由を御説明申し上げます。
申すまでもなくわが国の住宅難は、きわめて深刻であり、戦後十年を経て、なお四百数十万戸の不足を来たしている現状でありますが、ことに都市において不足がはなはだしいことと、低額所得者が困窮していることが今日の特徴であります。
御承知のように、これまでわが国の低額所得者に対する住宅供給の方法としては、公営住宅法によりまして、国が建設費の二分の一ないし三分の二を補助して、地方公共団体の事業として行なって参ったのでありますが、戦後十年間におきます公営住宅の数は全住宅建設戸数のわずかに一割強にすぎない状態であります。しかるに住宅困窮者の約半数は、融資の方法や自力によってはとうてい建てられない低収入階層であります。従いまして、低家賃の住宅を多量に供給することが第一の要件であるわけでありますが、同時に住居の質が健康で文化的かつ耐久的なものであることが必要であります。
わが国の住宅は、九割九分までが木造建築で、年々の火災、風水害等によって国富の大きな消耗を招来しておりますことはもちろん、さらに木造のために、この狭い国土において土地の利用度がきわめて低くされておりますことば、国土利用上大きな損失といわなくてはなりません。
飜って、現行の公営住宅法によります場合には、その供給方法が建設費の一部補助の形をとっておりますために、量の増大をはかろうとすれば、地方公共団体の財政負担が過重となり、質の向上をはかろうとすれば家賃が高くなって、低収入者の対象外になるという二つの矛盾した面を持っているのであります。これらの矛盾をなくし、堅牢で文化的な低家賃住宅を供給するために、建設費は全額国が負担し、不燃構造住宅を建設し、経営管理は地方公共団体が実施するとともに、家賃は生計費の五%に相当する額に定めて、国民生活の安定と向上をはかろうとするのが本法案提出の理由であります。
何とぞ右御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切望してやまない次
第であります。
次に、ただいま議題となりました日本分譲住宅公社法案の提案理由を御説明申し上げます。
現在わが国の住宅建設は、約半数近くが国の財政投融資による助成によっているのでありますが、その中心をなしておりますものは、御承知の通り公社住宅と住宅金融公庫の融資住宅とであります。
住宅金融公庫は昭和二十五年、住宅に対する長期低利資金を融資する金融機関として設立されたものでありますが、そのねらいとするところは、少額の頭金を有するいわば中産階級を対象に置いたものでありました。その貸付方針も個人に重点を置いておったことは当然でありますが、過去五年間の実績を顧みますとき、個人の建設力は、建築費の高騰に伴う自己負担金の増大と宅地収得の困難さとから、次第に立法当初の期待とは遠ざかりつつある感が強いのでもります。このことは、その後、事業会社が建設主体となる産業労働者住宅、あるいは地方公共団体、会社法人等の行う分譲住宅の供給が行われるようになり、その比重が逐年大きくなって参っておることによって裏づけされているのであります。
ここで、最も考えなければなりませんことは、市街地宅地を有効適切に利用するということ、すなわち日本の土地利用を将来にわたって考えます場合に、もはや各個人が自己の土地を大きく構えるという考え方を改めて、多層共同住宅に指向されていかなくてはならないということであります。言いかえますならば、国が財政投融資を行なって建てられる住宅は、木造をやめなければならないということであります。次に耐久的な耐火構造の住宅を頭金無しでしかも低廉な価格で割賦分譲するということであります。
以上の二つの基本的な立場から、現在の住宅金融公庫を根本的に改組し、新たに日本分譲住宅公社を設立し、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、住宅困窮者に適正な価格で長期割賦支払の方法で譲渡し、住宅難の解決と都市の不燃化をはからうとするのが本法案提出の理由であります。
法案の大要について申し上げますと、第一に、公社の性格は公法人とし、資本金は全額政府出資とし、住宅金融公庫の資本金を引き当てることといたしました。
第二に、公社に経営委員会を置き、公社の業務の運営に関する重要事項を決定する機関とし、委員は両議院の同意を得て内閣が任命することといたしました。
第三に、公社が建設する住宅は、原則として四階建以上の耐火構造共同住宅とし、譲渡する住宅には、間仕切り、建具等の造作を除いて分譲価格を廉価にし、それらの室内造作は譲り受け人がみずからの資力と趣向に応じて行うようにしたことであります。
第四に、譲渡価格の支払いは、十年以上三十五年以内、年利五分五厘の割賦支払いとしておりますが、譲渡契約の日から十年間は、一時支払いができないことにして、施設を不当に利用することを防ぐことにいたしております。
その他、公社の実施すべき分譲住宅の建設五カ年計画、公社の業務、財務及び会計並びに政府の監督等について、必要な規定を設けることといたしました。
以上が本法案の要旨でありますが、どうか慎重御審議の上すみやかに議決下さいますようお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました日本分譲住宅公社法施行法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
この法案は、まず日本分譲住宅公社法の施行に伴いまして、住宅金融公庫を日本分譲住宅公社に改組することとし、これに関し必要な手続を規定いたしております。次に公社が成立いたしますと、そのときに住宅金融公庫は、日本分譲住宅公社に吸収され、公庫の権利義務は公社が承継し、公庫の職員は、原則として公社が引き継ぐことといたしております。なお、公庫に対する政府の出資は、そのまま公社に対する政府の出資に引き当てることといたしております。
次に、公庫が公社の成立前に貸付契約を締結した者に対する貸付、資金の回収等の業務は、従前公庫が行なっておったのと同様の方法で公社が行うことといたしております。
次に、住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法を廃止することとし、これらの法律の廃止に伴う関係法律の整理及び日本分譲住宅公社について、国鉄、専売等の公社と同様の取扱いをするため、税法その他所要の関係法律の整理をもいたすこととしております。
以上がこの法律案の概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう希望する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/13
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014・内海安吉
○内海委員長 以上三案に対しまする質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/14
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015・内海安吉
○内海委員長 なお、前回の本委員会におきまして、委員諸君の申し合せにより、地方道路税法案大蔵、地方道路譲与税法案地方行政の両委員会に対し、連合審査を申し込んでおりましたところ、来たる二十四日、火曜日、午後一時より建設委員会と連合審査会を開く旨の回答がありました。何とぞ多数諸君の御出席を希望いたします。
次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01019550521/15
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