1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十三日(木曜日)
午後二時十二分開議
出席委員
委員長 中村三之丞君
理事 中川 俊思君 理事 松岡 松平君
理事 大橋 武夫君 理事 山下 春江君
理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君
植村 武一君 臼井 莊一君
亀山 孝一君 小島 徹三君
床次 徳二君 山本 利壽君
横井 太郎君 越智 茂君
加藤鐐五郎君 中山 マサ君
野澤 清人君 八田 貞義君
岡本 隆一君 滝井 義高君
八木 一男君 受田 新吉君
山口シヅエ君 山下 榮二君
中原 健次君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
委員外の出席者
議 員 木崎 茂男君
議 員 永山 忠則君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
専 門 員 濱口金一郎君
専 門 員 山本 正世君
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六月二十三日
委員多賀谷真稔君及び中村英男君辞任につき、
その補欠として加藤清二君及び八木一男君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
理事吉川兼光君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
小委員及び小委員長の選任
連合審査会開会申入れに関する件
小委員及び小委員長の補欠選任
健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇二号)
健康保険法等の一部を改正する法律案(岡良一
君外十一名提出、衆法第五号)
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇四号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇五号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇三号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(八木一男君外十四名提出、衆法第一七号)
国民健康保険法の一部を改正する法
律案(山下春江君外五十四名提出、法第一五
号)
国民健康保険法の一部を改正する法律案(木崎
茂男君提出、衆法第一六号)
理容師美容師法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三二号)
歯科衛生士法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六八号)(予)
歯科技工法案(内閣提出第一三五号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/0
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001・中村三之丞
○中村委員長 これより会議を開きます。
まず理事の補欠選挙を行います。去る二十一日理事吉川兼光君が一たん委員を辞任せられたのに伴い理事に欠員を生じましたので、その補欠選挙を行いたいと存じますが、再び委員に選任されました吉川兼光君を理事に指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/1
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002・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/2
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003・中村三之丞
○中村委員長 次に、小委員及び小委員長の補欠選挙を行います。去る二十一日小島徹三君及び吉川兼光君が一たん委員を辞任せられたのに伴い特需関係労働対策小委員及び小委員長に欠員を生じましたので、その補欠選挙を行いたいと存じますが、これは委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/3
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004・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認めて、小委員には小島徹三君及び吉川兼光君を、小委員長には小島徹三君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/4
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005・中村三之丞
○中村委員長 次に、小委員会設置の件につきましてお諮り申し上げます。先ほどの理事会におきまして、財団法人の医療機関における経営状態を小委員会を設けて調査すべきであるとの結論を得ましたので、八名よりなる法人立療養所の経営状況調査に関する小委員会を設置するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/5
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006・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認めて、小委員会を設置するに決しました。
次に、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/6
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007・中村三之丞
○中村委員長 御異議なければ
亘 四郎君 横井 太郎君
八田 貞義君 中山 マサ君
岡本 隆一君 長谷川 保君
山口シヅエ君 堂森 芳夫君を小委員に、亘四郎君を小委員長に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/7
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008・中村三之丞
○中村委員長 次に、山下春江君外五十四名提出、国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題となし、審査に入ります。
まず提案者より趣旨の説明を聴取することといたします。永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/8
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009・永山忠則
○永山忠則君 提案者を代表いたしまして提案理由の御説明を申し上げます。
ただいま上程されました国民健康保険法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
社会保障制度確立の当面の最大の要点は、社会保障制度審議会の勧告にもあるごとく、国民健康保険制度を年次計画により強制的に設立し、全国市町村に国民健康保険を全面実施せしめ、健康保険の伸張整備と相待って、医療制度の合理化再編成をはかり、医療内容の向上と保険財政の確立を期することにあるのでありますが、現段階といたしましては、この方途に推進する前提として国民健康保険法第四十七条の改正を試みんとするものであります。
国民健康保険は、市町村の区域を単位とする医療社会保険でございまして、職域を単位とする健康保険と相並んで、医療社会保険制度の両輪をなしているものであることは御承知の通りでございますが、現在全国市町村の約六割を占める四千六百の市町村がこれを行なっており、その被保険者数は二千六百万人を越えている現状でございます。
しかしながら、本事業も、一時は全国の市町村のほとんど全部、約一万三百五十の市町村に普及いたしたにかかわらず、終戦後の社会的経済混乱のため、保険財政破綻を来たし事業を休廃止する保険者が続出いたし、約四千の市町村において行われるにすぎないというような、まさに制度崩壊の危機に直面したのでございます。
そのために昭和二十三年には、従来の組合により行う建前を改め、市町村公営を原則とすることとして制度の根本的改革をはかり、さらに昭和二十六年には保険税を創設して保険財政の確立をはかる方途を講ずる等の措置がなされたのでございますが、依然大部分の保険者におきましては、医療費の急激な増高等のため、事業を休廃止するもの跡を断たず、事業を存続するものにおいても、保険給付の内容々制限いたし、辛じて休廃止を免れているものが非常に多かったのでございます。
そのような国民健康保険の現状に対し、昭和二十八年度に至り、初めて療養給付費に対する二割の国庫補助が実現いたし、助成交付金として約四十億八千万円が交付され、昭和二十九年度におきましても同様二割の療養給付費補助として約四十七億二千万円が交付されまして、ようやく保険財政の破綻を回避することができ、逐次事業内容を改善向上する保険者も見受けられるようになるとともに、この補助金の実現により初めて事業を開始する保険者が増加しつつあるようになったことば、木事業の持つ社会的重要性にかんがみまことに喜ばしいことでございます。
ところが、反面、この療養給付費補助金は、交付するといなとは国の任意であるとともに、その補助率も、従来予算上の措置として実現されているにすぎないものであるため、財政事情によりあるいは補助率の引き下げ等のはなされ得ることはもちろん、場合によっては全額削減されることすらあり得るわけでございまして、このことが全国保険者及び事業開始を志す市町村に対して、きわめて大きな不安動揺を与えていることは疑いのないところでございます。
そのことは、国民健康保険の事務の執行に要する費用、保健婦を設置するに要する費用につきましても、それぞれの全額及び三分の一の額を補助することになっておるにかかわらず、同様の事情にあるわけでございます。
以上のような事情を考えますとき、そもそも国民健康保険は、市町村の責任にのみこれをゆだねるべきものではなく、国、都道府県及び市町村がともどもに責任をにない合うことにより、その伸展を期すべき性格の事業なることを思えば、これらの国庫補助金は、当然国が市町村に対する責務として支出すべき性格のものなることは申すに及ばず、かつまた補助率も法律上既定されておるべきものでございまして、そのような建前を早急に実現することが、名実ともに福祉国家たるべき喫緊の前提なることを確信いたすものでございます。
次に、この法律案の内容について概略を申し上げますならば、保険者に対する国庫補助金のうち、療養の給付、保健婦並びに事務の執行に要するそれぞれの費用に対して交付する補助金につきましては、国の義務的支出といたし、療養給付費に対する補助については、毎年総額の二割を下らざるを得ないことといたしておりますし、保健婦に要する費用及び事務の執行に要する費用に対する国庫補助金の各保険者に対する補助率は、それぞれ三分の一及び全額である旨を法律に明文化することといたし、交付要件及び具体的な交付方法につきましては政令にゆだねることといたしております。
以上のほか、国庫は政令の定めるところにより、予算の範囲内におきまして補助金交付し、または貸付金を貸し付けることができるものといたしているのでありますが、さらに現行法におきまして、都道府県及び市町村は国民健康保険に要する費用について補助金を交付することができることとなっておりますのを、貸付金の貸与をも行うことができるものといたしております。
この法律案を提出する理由並びにその内容の概略は以上の通りでございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/9
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010・中村三之丞
○中村委員長 以上で説明は終りました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/10
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011・中村三之丞
○中村委員長 次に、木崎茂男君提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし審査に入ります。
まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。木崎茂男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/11
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012・木崎茂男
○木崎茂男君 ただいま上程せられました国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容につきまして、ごく簡単に御説明を申し上げたいと存じます。
国民健康保険制度は、将来わが国の社会保障制度の根幹ともなるべききわめて重要な医療社会保険制度であることは申し上げるまでもないのであります。従いまして、この事業の性格上、元来市町村の責任のみにゆだねるべきものではなくて、国、都道府県及び市町村がともどもに責任をにない合うことにより、その伸展を期すべき性格のものであると考えるのでありますが、現行法におきましては、本事業の実施の主体と責任とが、あくまで市町村であることに明定せられておりまして、国は国庫より、命令の定めるところによりまして、予算の範囲内において補助金を交付して、この事業の助長、育成をはかることに相なっておるのでございます。この国庫補助金も昭和二十八年度を契機といたしまして、今日まで療養給付費及び療養費に対する二割程度、事務の執行に要する費用の全額、保健婦の設置に要する費用の三分の一程度を交付せられておるのでございまして、全国の保険者の保険財政は非常な窮境にございますけれども、この補助金によりまして、破綻を回避しつつ、逐次事業内容の向上に努めるとともに、未開始の市町村も数多く開始の準備態勢をとって参っておる実情でございます。
しかしながら、これらの国庫補助金は、その性格上どこまでも予算上の措置といたしまして実現を見ておるのでございますから、きわめて不安定な事情に置かされておるのでございまして、このことが今日全国保険者及びこれから開始しようとする市町村にとりまして、窮屈な今日の保険財政及び市町村財政の上から、まことに不安動揺を与えておるのが偽わらざる事実でございます。
従いまして、国民健康保険制度の現段階におきましては、保険者に対する国庫補助金に関する事項を明確にすることによりまして、一面この事業に対する国の責任を明瞭にいたしますと同時に、他面、保険者の事業内容の安定強化をはかりまして、真に制度の確立を期することがきわめて肝要であると考察いたしまして、本案を提出いたした次第でございます。
その内容につきましては、療養給付費及び療養費につきましては、当該年度の費用総額に対しまして、その二割を下らざる国庫補助を国の義務支出として明足し、保健婦設置及び事務の執行に要する費用に対しましては、それぞれ三分の一及び全額、これまた国の義務的支出といたしたのであります。
以上のほか、国庫は政令の定めるところによりまして、予算の範囲内において補助金を交付し、または貸付金を貸し付けることができるものといたしますとともに、現行法におきましても、都道府県及び市町村が国民健康保険事業に要する費用について補助金を交付することができることになっておるのでございますが、貸付金の貸し付けをもできることといたしたのであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由と内容の概略でございますが、何とぞ慎重御審議をいただきまして、御可決を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/12
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013・中村三之丞
○中村委員長 以上で説明は終りました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/13
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014・中村三之丞
○中村委員長 次に八木一男君外十四名提出、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
まず提案者より趣旨の説明の説明を聴取することといたします。八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/14
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015・八木一男
○八木一男君 ただいま御提出申し上げました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容を説明させていただきたいと存じます。
日雇労働者健保険法案は、御承知の通り昭和二十八年に可決になりまして、二十九年三月十五日から施行になった法律でございまして、非常に経済的に乏しい状態でございます日雇労働者の人々に、健康保険の恩恵を均霑せしめたものでございまして、この意味におきまして非常によい法律でございます。
しかしながら、この二十八年に通りました法律は、その法律を審議する前に社会保障制度審議会におきまして答申がございましたごとく、その給付内容が非常に貧弱でござまして、健康保険の内容と比べますと天地雲泥の相違でございまして、ほんとうに乏しい人のために国庫負担を増大してその給付内容を高めなければならないような状態のものであったわけでございます。その後、その状態のために改正がございまして、療養給付の期間を三カ月から六カ月に延長し、また実質上一割の保険給付に対する国庫負担の実現を見たわけでございますが、現在の状態においてもなお非常に不十分な状態にあるわけでございます。
それで、本年政府から私どもの提出いたしました法律と同案の法律を提出いたされまして、その給付内容を幾分改善しようという内容の法律を御提案になったわけでございますが、この法律につきましても、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会におきまして、一歩前進であることは認めるけれども、内容はその理想とするところにはるかに遠いということが言われているわけでございます。その状態にかんがみまして、私ども社会党両派におきましては、日雇労働者健康保険法のほんとうに目的とするところにかんがみまして、内容のはるかに豊かな同案を本日提出させていただいたわけでございます。
その現行法並びに政府提出の同案並びに本案につきまして給付の内容を御説明をさせていただきたいと存じまして、先ほど配付をしていただきました対照表をどうかごらんいただきまして、それによって説明させていただきたいと存ずるものでございます。
この印刷物にございます通り、この三案の違いは十二項目ございます。まず第一に違いますのは、現行法におきましては、療養の給付並びに家族療養費の支給期間が六カ月でございまのを、政府案は一カ年にこれを延長しようという案でございます。本案はこれを二カ年に延長する案でございまして、その内容において非常に違うのでございます。
第二の歯科補綴現行法では、歯科の治療はできても補綴はできないことになっておりますが、政府案においては今後の改正案でこれをできるようにいたそうとし、本案も同様でございます。
第三から第六までの、すなわち埋葬料、家族埋葬料、分べん費、配偶者、配偶者分べん費、この四項目は、現行法においては支給がないのでございますが、政府案におきましては、おのおの四千円、三千円、二千円、千円の支給をしようとするのでございます。本案も、それと同様でございまして、これは御承知の通り保険給付中の現金給付のうちで、一時的に支出する部分でございます。
ところが、御承知の通り第七から第十までにございます出産手当金、保育手当金、配偶者保育手当金並びに傷病手当金は、何回も支給するものでございまして、非常に膨大な資金を要するものでございます。現行法には、もちろんこの支給がないのでございますが、政府提出の同案におきましても、この四点について何ら支給しようという内容を持っておらないわけでございます。本案におきましては、出産手当金において産前産後の八十四日分、一級の保険料を納めます者については百四十円、二級の保険料を納めます者については九十円の毎日の支給をしようとするものでございます。保育手当金、配偶者保育手当金は一カ月二百円を六カ月間支給しようとするものでございまして、傷病手当金は、本案におきまして一級百四十円、二級九十円を三十日分支給しようという内容でございます。この点が政府提出案並びに現行法と本案との遠いの大きな点でございます。
御承知の通り、この被保険者になる日雇い労働者の人々は日給取りでございますので、一回病気で休みますと、直ちに収入が全然なくなるわけでございます。一般の健康保険におきますと、病気になりまして健康保険の給付を受けましても、それに対する月給がなくなることが少いのでございますので、このような傷病手当金がないことによる非常な苦痛というものは比較的少いのでございますが、日雇い労働者の場合には、実に致命的なことございまして、この傷病手当金がないために、保険給付を受ける権利がありながらもそれを受けないで、からだに無理をして仕事に出なければならないという窮状にあるわけでございます。その意味におきまして、傷病手当金を支給するということは、日雇い労働者健康保険法をほんとうに実際に役に立つものにするかどうかの境目であろうかとわれわれは考えておるわけでございます。
次に第十一項目の受給要件でございますが、現行法並びに政府案によりますと、二カ月に二十八日の保険料を納入いたした場合に、保険の給付を受けられることになっておるわけでございます。御承知の通り、これの厚生省で調べました統計によりますと、この要件によりますと、保険料を納めて、保険事故が起った人、すなわち保険でいろいろ見てもらったり、給付を受けたい人の中で、八六・六%しか保険給付が受けられない現状にあるわけでございます。とりもなおさず、裏を返しますと、二カ月に二十八日の要件を満たさないで、二十五日分、二十六日分、二十七日分を納めながら、乏しい中から保険料を納めながら、病気になったときには見てもらえないというような非常に不都合なことが起っているわけでございます。このようなことを改めるために二つの要件を定めまして、そのいずれか一方の要件に該当いたしました場合に保険給付を受けられることにいたしますのが、最も妥当であろうかと考えているわけでございます。特に長い期間保険料を納めております非常に善意の者は逆選択のおそれがないので、普通の要件よりもこの要件を下げて適用を許すことが妥当であろうかと考えるわけでございます。その意味におきまして、本案におきましては二カ月に二十八日並びに六カ月に六十日のこの二つの要件のいずれか一方を滅たすことによりまして、保険給付を受けられるというふうに改正をいたしたのでございます。
なお、これにつきましては、現在日雇労働者健康保険法を実際に実施しましたときにおきまして、併発をいたしましたときに、たとえば大腸カタルによって病気になって保険給付を受ける、それで休んで保険料を納入できない場合に、たとえば七十日目に中耳炎を起しましたときには、保険料の納付がないために、この中耳炎については保険給付が受けられないので、生活保護法の医療扶助の申請を行わなければならないというような非常に不都合なことが起っているわけでございますが、これは六カ月のこの要件を設けることによりまして、そのような併発の場合の不都合はなくなるものと私どもは信じているわけでございます。
なお、十二の適用範囲の拡大の例でございますが、現行法におきましては、安定所に働いている自由労働者の諸君、あるいはまた土建労働者の相当部分が、この日雇労働者健康保険法の適用を受けているのでございまして、土建労働者の一部分、また山稼ぎの人々あるいはつき添婦、そういう人々は、同じような条件でありながら、さらに保険を必要とするような条件にありながらこの保険の適用が受けられないのでございます。御承知の通り、その理由は、常雇い五人以上の事業所に雇われている日雇い労働者でなければ保険の適用が受けられないという条項があるためでございまして、この問題を根本的に改革することにつきましては、保険の体系上あらためて考慮することを必要とすると存じますけれども、この問題につき、特にその問題を解決するために、認可による被保険者に関する特例を設けまして、労働組合を結成して、その労働組合が保険料の約入その他の事務取扱いをいたすようにいたしまして、そのものに対して厚生大臣の認可があった場合にこの保険の適用を受けるということにいたしますれば、逆選択のおそれなしに保険の必要を感じている人々にこの保険の恩恵を広めることができると考えておるものでございます。
第十三に、国庫負担でございますが、このように内容をよくいたします関係上、国庫負担率を相当増大いたしませんことには、会計が合わないわけでございます。現在この対象になります人々の収入状態から考えまして、保険料の値上げは非常に困難であります現状からかんがみますときに、国庫負担を五割に増大いたしまして、この保険をよくすることが妥当であろうかと考えるわけでございます。国庫負担の五割につきましては、他の保険とのつり合い上、非常に多過ぎるというような御印象もあるかと考えるわけでございますが、この保険の被保険者に当る人は、この保険の内容がよくならない場合、また適用を受けない場合には、生活保護の医療扶助によって、病気のときにはその申請をする人が大部分でございますので、その場合全額公的負担になりますことを考えましたならば、五割の国庫負担もあながち行き過ぎではなくて、非常に妥当であろうかと考えるものでございます。
その他の改正点につきましては政府案の改正案と同じでございまして、手続上の問題でございます。ただ被扶養者の範囲を三親等の肉親を入れました点が実質上の改正でございまして、あとは手続上の問題で政府案と全く同じでございます。
以上、内容を申し上げたわけでございますが、これを実施するために、年間十八億の国庫負担の金額が要るわけでございまして、本年度におきましては四分の三年に当りますので十三億五千万円の国庫支出を必要とするものでございます。
以上で、このような内容の大半の説明を終ったわけでございますが、委員各位には、この日雇労働者健康保険法の創設に当り、また今回の改正案に対しまして、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会が、その内容の保険給付を、健康保険の内容の程度まで至急に高める必要がある、また用件を緩和して、保険料を納めながら保険給付を受けられないような条件をなくす必要がある、そしてまた適用を受ける人をふやすために、適用の範囲を拡大する必要がある、また国庫負担を明らかに多額のものを明記する必要があるという答申をいたしております点をお考えのうちに入れていただきまして、本案に対しまして慎重御審議をいただきまして、すみやかに御可決下さいますことをお願いする私第でございます。
以上で説明を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/15
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016・中村三之丞
○中村委員長 以上で説明を終りました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/16
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017・中村三之丞
○中村委員長 次に理容師美容師法の一部を改正する法律案、歯科衛生士法の一部を改正する法律案及び歯科技工法案、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。
まず川崎厚生大臣より趣旨の説明を聴取いたします。
川崎厚生大臣発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/17
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018・川崎秀二
○川崎国務大臣 理容師美容師法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
申し上げるまでもなく、理容、美容業は、国民の日常生活にきわめて密接した公衆衛生上重要な業務でありますが、近時理容所、美容所の増加並びにこれらの施設における従業者の漸増に伴い、施設に対する衛生措置の確保並びに開設者の従業者に対する業務管理が必要とせられるにいたりましたので、現行法を整備して理容、美容業の適正な運営を期するため本法案を提案いたした次第でありまして、改正のおもな点は次の通りであります。
第一点は、理容所、美容所の開設者がその施設を使用するに際しては、事前に都道府県知事の検査を受けその確認を得なければならないこととしたことであります。従来、理容所、美容所を開設してこれを使用しようとする者は、単に都道府県知事に届け出るだけで行なってきたのでありますが、このような届出のみによってはこれらの施設について十分な衛生措置を確保することが困難でありますので、使用前に検査を行い、もって施設における衛生措置の強化を期そうとするものであります。
第二点は、理容所、美容所の開設者に対し、当該施設内で行う理容、美容の業務につきまして適正な管理を行わせるようにするとともに、その責めを明らかにするようにいたしたことであります。現行法は、個々の業務を行う理容師、美容師に対してのみ衛生上の規制を行い、施設の開設者に対しては何ら業務に関する措置を考慮していないのでありますが、これらの従業者に対する適正な業務管理を開設者に行わせることが特に必要となって参ったのであります。よって、開設者が当該施設内で無免許もしくは業務停止を受けている者に業務を行わせた場合、または当該施設内で業務を行う者が法定の措置を講じなかった場合に、その施設の閉鎖を命ずることができるようにいたしまして、公衆衛生上の措置の確保をはかることといたした次第であります。
第三点は、都道府県知事が免許取消し、業務停止または閉鎖命令の行政処分をするに当りましては、その処分を受ける者に弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えることとしたことであります。
以上がこの法律案の提案理由及び概要でありますが、何とぞ慎重御査議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
次に歯科衛生士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
改正のおもな点は、歯科衛生士が、歯科診療の補助に関する業務を行うことができることにいたした点であります。
従来、歯科診療の補助に関する業務は、保健婦助産婦看護婦法によりまして、看護婦または准看護婦でなければ、業としてはならないことになっており、歯科衛生士は、歯科医師の直接指導のもとに予防のために歯石の除去あるいは薬物の塗布等の業務を行い、歯科医師の診療の補助の業務はできないことになっておりまして、現実に非常な不便がありましたばかりでなく、教育内容から見ましても、歯科衛生士は、歯科診療の補助に関しましては、十分その能力を有するものと考えられますので、今回これを改正いたしたのであります。
なお、これに伴って看護婦または准看護婦の場合と同様に、主治の歯科医師の指示があった場合のほか、診療機械を使用し、または医薬品を授与する等、歯科医師か行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないことといたしたのであります。
以上の改正に伴い、歯科衛生士の免許は女子に与えるのを建前とし、これに伴って名称を歯科衛生婦に改めることにいたしたのであります。これは現在でも、歯科衛生士は、その業務の性質上、女子のみしかいないのでありますが、今回の改正により、従来看護婦または准看護婦のみに許された業務でありました歯科診療の補助という業務も行うことができることといたしましたので、ますますその業務を行う者を女子とすることが適当となったからであります。
なお、この点につきましては、保健婦助産婦看護婦法の例に準じ、附則において、男子たる歯科衛生手についての準用規定を設けまして、例外的に男子でも歯科衛生婦と同様の業務を行うことができる道を開いておきましたのであります。
以上が、この法律案を提案するおもな理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
最後に、同じく議題となっております歯科技工法案につきまして、提案の理由と、その要旨を御説明申し上げます。
わが国の歯科医療の現況を見ますと、国民の大多数が歯科疾患に冒されているといっても過言ではない状態でありまして、そのうち、義歯、充填、矯正に属する治療技術を必要とする患者はおびただしい数に上っているのであります。
わが国の診療に従事している歯科医師の数は、入口約三千百名に一人の割合でありまして、この程度では国民の歯科医療の需要を満たすに不十分であり、また今後の歯科医師の需給の見通しも、将来の人口増加を考慮する場合、必ずしも十分でないのであります。しかるに近年歯科医療に対する国民の需要がますます高まって来つつあります関係上、歯科医療中の歯科技工につき、歯科医師のほか、いわゆる歯科技工士に委託する場合が次第に多くなり、これら歯科技工士と称する人々の役割が漸次高まって参りまするとともにその数が相当多きに上って参ったのであります。しかるに、これ等歯科技工士につきましては、現在何ら法的規制が加えられておらず、またこれらの者の中で、正規の職業教育を経た者は、きわめて少数で、大部分は、徒弟見習いとして習熟した者であります。従って、その技術内容も千差万別であり、国民の歯科医療を確保する上に、はなはだ欠ける点が多かったのであります。
このような状態にかんがみ、歯科技工士の資格を定めて、その資質の向上をはかるとともに、歯科技工の業務が適正に運用されるように規律し、歯科医師の業務を適正に補足させることによりまして、歯科医療の普及と向上に寄与しようとするのが、この法案を提案いたしました理由であります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、歯科技工士の免許は、都道府県知事の行う試験に合格した者に対して、都道府県知事が与えることといたしております。
第二に、歯科医師または歯科技工士でなければ、業として歯科技工を行なってはならないことといたしたのであります。
第三に、歯科医師の指示書によらなければ、業として歯科技工を行なってはならないことといたしました。
第四に、歯科技工を行う場所である歯科技工所につきまして、開設の届け出義務、管理者の設置義務等必要な規制をするとともに、これに対して行政庁の一定の監督権を定めております。
以上が、この法案を提案しました理由及びそのおもな要旨でありますが、これまた慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/18
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019・中村三之丞
○中村委員長 以上で説明は終りました。
なおこの三法案についての質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/19
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020・中村三之丞
○中村委員長 この際お諮りいたします。現在商工委員会において審査いたしております石炭鉱業合理化臨時措置法案につきまして、当委員会といたしまして、連合審査会を開き、その審査に加わることにいたしたいと存じますが、商工委員会に対し連合審査会開会の申し入れをいたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/20
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021・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/21
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022・中村三之丞
○中村委員長 次に、内閣提出の健康保険法の一部を改正する法律案、岡良一君外十一名提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、内閣提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、八木一男君外十四名提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、山下春江君外五十四名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案及び木崎茂男君提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案、以上八法案を一括して審査を進めます。発言の通告がございますので、順次これを許可いたします。山下春江君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/22
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023・川崎秀二
○川崎国務大臣 その前に特に発言を求めまして御許可を得たいと思うのであります。
今日は早朝より参議院予算委員会がありまして、閣僚の一部欠席がありましたため、やや政治的問題となり、その出席方を督励をされておりまして、ただいまも当委員会に参りますことについて、参議院予算委員会において御了解を求ゆて参りました。しかして参議院と衆議院の各種委員会に、本日は出なければなりません。参議院におきましては、午前中私も出席をいたしまして、つき添い制度廃止の関係の諸問題につきまして、約二時間半にわたりまして質疑応答をいたしましたが、ただいま参議院におきまして何か決議案をいたすから、従って出席をしろという要求がございました。これは午前中に、そういうようなときと衆議院の午後の委員会において審議中であったときとの関係をどうするかということを、私の方から発言を求めまして御了解を得たところ、そのときのみに出席をせよということであります。ただいまその御決議があるそうでありますから、恐縮でありますが、約十分間ぐらいで済むものと思いますので、それだけの御猶予をいただき、再び当委員会に戻って参りたいと思います。政府委員によらず、特に私から発言を求めまして御猶予を願いたいと思いますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/23
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024・中村三之丞
○中村委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/24
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025・中村三之丞
○中村委員長 速記を始めて下さい。
山下春江君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/25
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026・山下春江
○山下(春)委員 ただいま国民健康保険法の一部改正法律案が提案されておりますが、この法律の改正によりまして、国が二割義務支出をするということに対して、大臣のお考え方を伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/26
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027・川崎秀二
○川崎国務大臣 自由党の御提案も、また民主党の提案も、国民健康保険法の医療給付の二割を国庫負担するということが建前になっておるように拝聞をいたし、またそういう説明を伺ったのであります。これはかねて来、社会保障制度審議会から勧告をせられました線もありまするし、また私ども在野時代の主張でもありまするし、財政が許すならば、いつでも実施をいたしたいと考えておりますから、従って、この原則には反対をいたすべき筋合いは一つもございませんし、むしろ積極的にこれを推進いたしたいと考え、かつ明年度の予算におきましては——本年も二割給付を目標にはいたしておりまするが、精密に検討いたしました際に、果してそうなっておるかということについては、いろいろな御議論もありますので、従って、明年度からこれを法律的、義務的に実施をするということについては、原則として賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/27
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028・山下春江
○山下(春)委員 本会議の時間等もありますので、もう一点だけ簡単に大臣にお尋ねをいたしておきたいと思いますが、国庫が二割義務支出をしてこの国民健康保険の推進を促すということ、及び社会保障制度の基本的な問題についての大臣のお考えはわかりました。まことに大臣がその意気込みでやっていただくことに対して、私どもも敬意を表するのでありますが、これが今全国的に行われているわけではございませんで、まだ今でも二千八百万ぐらいは、この現在行われている国民健康保険の中から漏れている国民がございます。従いまして、これは何と申しましても、国が義務支出をいたしますからには、義務設置をいたして、全国漏れなくこの国民健康保険被保険者たらしめることが当然だと考えるのでありますが、その点に関する大臣のお考え、御信念を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/28
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029・川崎秀二
○川崎国務大臣 国民健康保険の重要なる点は、ただいま山下委員から御指摘になった通りでありまして、また将来、できれば全国民を対象にするものにまで発展をさせたい。もとより国民健康保険法自身が、健康保険の適用を受けざるすべての階層に対してこれを実施いたしたいというのが、元来立法の趣旨でございます。ただ、これが地方の財政等の事情によりまして実施をされない市町村等がありますのを、非常に遺憾に感じておりましたので、でき得れば、これらが全部の市町村に漏れなく実施をされることを望んでおるわけでありますが、これを今日直ちに義務設置にいたしますことにつきましては、現に社会保障制度審議会におきましても、相当な御議論があった点でありまして、もしそういう方向にいくということになりますれば、私は決してけっこうでないとは申しませんけれども、なお検討を要すると思います。しかし、それにかわるべき措置といたしましては、従来これに加入をしておらない市町村、ことに大都市が財政上の都合から参加をしておらないのは、はなはだ残念であります。もし東京都だけでも参加をしていただいておりますれば、もっとこの保険問題に対する国民の関心というものは高まっている。地方の市町村を中心にし、零細な町村にのみ行われているということが欠陥でありまして、その意味では、私は東京都などは区議会でも部分的に取り上げてもらいたいということを、個人的には申しているような次第でありまして、名古屋では、最近あるいは実施の状態に立ち至るかもしれませんが、今日は、まず勧奨して実施をさせたいという気持でおりますので、なお義務設置の問題につきましては、いろいろ御議論はございましょうが、検討の段階であることを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/29
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030・山下春江
○山下(春)委員 私、言葉が足りませんでした。直ちに義務設置をする意思があるかというのではなく、そういう問題に対して、私どもも今回修正案に、直ちに義務設置をするということを明記しなかったゆえんも、今大臣の御答弁のような点を勘案しているのであります。ただいまの大臣の、将来そういうことに進みたいという御決心だけでけっこうでございます。
大臣も時間がございましょうし、本会議の時間もありましょう、ほかの質問者もありますので、残余は大臣でなくて、提案者及び事務当局、政府委員に対する質問を留保いたしまして私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/30
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031・中村三之丞
○中村委員長 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/31
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032・滝井義高
○滝井委員 大臣にお尋ねしますが、今回この法律によって赤字を解消しようとする部分は、これは法律が通らなければできないことですが、政府自身措置でできる、千分の六十を六十五に引き上げる保険料率の引き上げ、これは政府は、いつから実施される御所存でございますか。七月一日からでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/32
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033・川崎秀二
○川崎国務大臣 保険料の値上げは、二十一日にすでに公布をいたしまして、六月から取ることにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/33
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034・滝井義高
○滝井委員 大臣は、社会党が料率の引き上げを削除する法案を提出しておることを御存じになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/34
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035・川崎秀二
○川崎国務大臣 承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/35
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036・滝井義高
○滝井委員 しからば、今回その法案の改正を提出しておるときに、何も一カ月を争ってそんなに六月からやる必要はなかった。これは当然国会の意思を尊重するならば、待つべきだと私は思う。それを、社会保険審議会、社会保障制度審議会が反対をし、世論も反対をし、国会の意思もまだきまっていないものを、たとい行政措置でできるといっても、これをやることは、私は非常に不穏当だと思うのです。しかも健康保険というものが、今国会における重大な問題として、しかも民主党内閣においても一番大事な公約の一つとして掲げられておるにおいておや、当然六月一日から引き上げをやることを待つべきだと私は思うのです。もし、あなたの方でどうしてもやられるというならば、われわれはこの委員会に諮って、これを議決してでも阻止しなければならぬことだと思います。もう一回大臣の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/36
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037・川崎秀二
○川崎国務大臣 この健康保険法の改正を提案いたしましたのは五月の末日でございまして、それ以来相当の日数がたち、本日当委員会において本格的な御審議を開始していただくことに相なったわけでありますが、すでにして、委員会付託になりましてから相当に期間も経ておりまするし、また本会議におきましても質疑応答を済ませ、この健康保険の赤字の問題については、政府としても重大な問題でありまするから、なるべく早期に片ずけたいという考え方をもちまして、国会に臨んでおることは御了承のことと思うのであります。もし七月、八月ということになって参りますと、その間におきまして、保険の料率引き上げを予定いたしましたことに非常な欠陥を生じます。一カ月におきまして三億以上の欠陥を生じますので、本年の健康保険の収支の財政を考えますときには、これはそう長く待つわけには参らないのであります。従って厚生大臣の権限といたしまして、国会内外の情勢を考え、健康保険の料率はとりあえず御了解をいだだける会派も相当にあるように考えまして、また内面的にもいろいろ御意見を徴しまして、このような決定をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/37
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038・滝井義高
○滝井委員 とにかく国会に法案がかかっておるわけです。その法案の審議も、また今からやろうとして、ようやく全般的な提案理由の説明を聞いて、健康保険に関する限り、国会の意見というものも今日初めてわれわれは聞くという情勢なんです。それを行政措置でできるという大臣の方の一方的な権限で、国民に重大な影響を与えるその料率の引き上げを、世論の反対を無視してやられるというならば、私はそれは勝手にやったらいいと思う。しかしそのかわり、われわれはあくまでもこの委員会で断固として反対をして参りたい所存ですが、大臣はあくまでもこれを撤回されず、強行されるおつもりであるか、もう一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/38
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039・川崎秀二
○川崎国務大臣 滝井委員のお話の筋は、私も十分に了解できるところでございますけれども、今日の健康保険が当面しておる赤字の問題について、じんぜん日を過ごすわけには参らぬと責任者としては考えをいたしておるのであります。従いまして、この料率の引き上げにつきましては、国会でも本会議だけの審議でありまして、本格的な審議はまだ本日から開始をされたことであり、委員会に付託されただけのことではありまするけれども、一方自由党との間には、御承知のごとき予算修正を伴う際におきまして、種々御懇談申し上げた筋もございます。しかして、国会内外の情勢、ことに社会保障制度審議会におきまして料率の引き上げということに反対をせられました向きの中にも、標準報酬の問題にからんで反対をせられておった向きもありまして、従ってそれらの情勢を勘案いたしますと、料率の引き上げは、とりあえずこれを断行することにそう御反対はないものというふうにも察せられますし、反対をされた経済界等の方面におきましても、そういう御意思を承わっておりますので、私としては料率の引き上げを撤回いたすという気持は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/39
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040・山花秀雄
○山花委員 ちょっと関連質問で、ただいまの問題に関連いたしまして大臣に一言お聞きしたいと思います。健康保険が赤字でどうにも仕方がないので、国会の論議の最終結論を待つまでただいまの措置をとった、こういうお話でございましたが、これに関連いたしまして、例のわが国における唯一の組合である駐留軍関係の組合が、これは大臣は十分御承知だと思いますが、千分の五十程度ではとうていやっていけないというので、両社で千分の五十八の料率値上げをやっておりまして、この問題について、当該組合からも大臣の方へたびたび折衝しておると思うのでありますが、これがどうなったか。自分の方は赤字で困るからぴしゃっとやってしまう、他人の方はこれはどうでもいいというように聞えるのですけれども、一応どうなったか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/40
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041・川崎秀二
○川崎国務大臣 駐留軍の健康保険組合の実情は、ただいま山花委員から御指摘のありました通り、今日まで料率を千分の五十として実施をいたしてきたのであります。これはわが国におきまして、健康保険組合の中では、おそらく最低の料率ではなかろうかと感じまするし、今日この料率でまかなっていけるわけはないのであります。従って、従来からも料率の引き上げその他福利施設の改善に関連いたしまして、駐留軍の健保の組合の中におきましては、非常に強い要求が、雇い主側であるところの駐留軍に対して、しばしば発せられておったのであります。しかるに、経過を申しますと長くなりますから、端折って申し上げますけれども、駐留軍におきましては、今までの駐留軍の健康保険組合の会計のやり方について、非常に合点のいかないところがあるということを申しまして、種々の要素をあげて、料率の引き上げはもちろんのこと、問題をもとへ戻して、すなわち駐留軍健保の財政というものは、今後料率を引き上げてもまかない切れるものではないのではないかというような、その赤字の原因について、まあアメリカ人の持つ機械的な合理主義と申しますか、そういう面からのみ問題を判断いたしまして、むしろ駐留軍健保に対し、相当鋭角的な行動に出てこられたようであります。こういう問題を伏在したまま交渉をいたしておるものでありますから、なかなか交渉のらちがあかなかったのであります。駐留軍健保の両二、三年前の実情は、アメリカ軍から指摘をされるような部分も若干認めなければならぬ点もあったのではないかと思いますが、現在理事長が交代いたしまして以来、会計措置等も非常に改善されたようでありまして、今日では、アメリカ軍が千分の五十の料率に満足をせしめておることばアメリカのためにもならぬということを、労働大臣を通じて強硬に意見を申し述べております。従って、労働大臣のもとにありまする福島調達庁長官は、何としても千分の五十八に引き上げるということについて、駐留軍当局が反省をすべきであるということを強力に申して、今日までジョイント・コミッテイ等で相当な論戦をいたしました結果、去る十六日の会議では、やや千分の五十を引き上げるということについて、一時納得をしたかのごとき情報もあったのであります。しかし、その後またまた他の問題なども持ち出されてきまして、必ずしも前途楽観を許さぬ状態に立ち至っておるのでありまして、私はこれを座視するわけには参らず、労働大臣に申し出まして、君の権限の中で交渉をしておるのだけれども、雇い主側たるアメリカ軍と、それから労働組合の立場を擁護すべき労働省側の上に立って、なおわれわれとしては健康保険の日本の実情からして、かような低率な保険料率を取っておって、状態の非常に態い健康保険組合を存続せしめておくわけにはいかないから、従って千分の五十八に引き上げることに納得をしなければ、政府側としてこれを認可する用意がある。もしこれが認可をすれば、当然千分の五十八を来月から要求されることになるが、それでもよいかということ々通告いたしまして、最後的な回答を待っておるわけであります。昨二十二日ジョイント・コミッティがあったそうでありますが、その結果はまだ承知をいたしておりませんけれども、その結果いかんにかかわらず、来たる月曜日の午前中に、私は福島調達庁長官と同道いたしまして、駐留軍参謀長を訪う予定になっておりまして、従来の経緯につきましては、多少駐留軍側に理屈もありますけれども、今日の段階といたしましては、当方の要求が合理的かつ最も正しいと信じておりますので、この旨をもって最後の折衝に当りたいというふうに考えておる次第であります。はなはだ詳細にわたりましたが、従来の経緯を申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/41
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042・山花秀雄
○山花委員 ただいま厚生大臣は、もしきまらなかったならば、来月からでもこれを許可するというような気慨をもって交渉に当る、こういうお答えでございましたが、万一きまらなかった場合には、これを許可するという固い決意をこの委員会で表明されるまでお考になっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/42
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043・川崎秀二
○川崎国務大臣 もとよりそういう方針に相なるとは存じますが、今日の段階といたしましては、駐留軍に対し反省を促し、当方の合理的な主張を納得をせしめることが、今日の最もいい表現方法であろうと思いますので、この点はそういう気持で折衝をするということに御了解を願いたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/43
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044・山花秀雄
○山花委員 外交折衝で、いろいろむずかしい点があるだろうとは思いますが、こちら側の考え方を正しく履行する、こういう見地に立ってやっていただきたいと思うのであります。ただいま政府管掌の保険料の料率は、どうにも仕方がないから、国会論議の終結を待たずしてやる、こういうように言われて、駐留軍の健康保険組合の関係に関しましては、千分の五十という、どこから見てもやっていけないような実情を万々御承知の上で、なおこれに許可を与えない厚生当局の態度は、私ははなはだけしからぬというふうに考えておるのであります。そういう含みをもって今日の場合はやるより以外にない、こう言われましたが、そういう含みも、うまく通ればそれに越したことはございませんけれども、万一通らなかった場合の大臣の決意を、もう一度お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/44
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045・川崎秀二
○川崎国務大臣 きわめて近い将来のことでありますが、最後になお折衝の余裕も残っております。きわめて近い将来に、いずれかの断を下さなければなりませんが、もし拒否をされるというような事態になれば、当然の帰結は、先ほど申し上げた方針を具体化するということに相なりましょうが、最後の折衝の期間が残っておりますので、これらについては、今日政府当局におまかせを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/45
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046・山花秀雄
○山花委員 合同委員会は、月に二回しかないと私は記憶しておるのでありますが、月曜日に福島長官と一緒に訪問されて話し合いをされる、こう厚生大臣は言われておるのでございますから、私はかたくそれを信用いたします。そして話がつかなければ、ただいま私に説明したように、厚生省としては断の一字でいくというかたい決意をも表明されておりますし、私は関連質問で滝井委員の質問のときにあまり長いこと質問しておりますとかえって妨害になりますので、この問題に関しては私は質問を終えたいと思います。なお後日、しさいに質問をいたすことにいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/46
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047・滝井義高
○滝井委員 今の大臣の保険料率の引き上げに対する説明では、納得がいきません。いずれ、これはあとで問題にして参りたいと思います。今も山花委員から御指摘があった通り駐留軍関係は、早くから労使双方が引き上げを要請しておるにもかかわらず、日本に主権がある国家の、しかも主管の大臣が、いたずらに日本の組合の健康保険の許可さえも与えることができないという情ない事態である。しかも、弱い政府管掌の健康保険に関して、国会において労働者の党である社会党が修正案を出しておるにもかかわらず、それを無視してやるという大臣の態度については、私たちは非常に不満でございます。いずれこの結末は、われわれは党で十分相談をしてつけていきたいと思います。
次にお尋ねいたしますが、民主党内閣は、少くとも減税、住宅建設、社会保障制度を三大公約として、われわれに約束をしてきました。ところが、今回自民の予算修正によりましていわゆる減税六十七億を打ち出したのでございます。その六十七億の減税を打ち出した中において、租税特別措置法の一部を改正いたしまして、いわゆる選択による概算所得控除というものを設けたのでございます。概算所得控除というのは、所得金額の五%、限度は一万五千円でございます。これを所得金額から控除しようという、こういうものを新設しまして、いま一つは、今まで所得金額から控除せられておりました社会保険料の控除、医療費の控除あるいは雑損控除というものがありましたが、今度のこの租税特別措置法の改正によって五%の概算所得控除と、今申し上げましたような社会保険の保険料の控除と、どちらでもいいから有利な方を選択することになったのでございます。そうしますと、今まで社会保険の保険料をかけておった人は、恩典がないのと同じ形になった。社会保険をかけていなくても、所得金額の中から、少くとも五%だけは控除されることになった。少くとも社会保障制度を推進して、社会保険を日本の全国民に適用していこうというので、国民健康保険のようなものは、それぞれの地区でせっかく苦労して作っておる。今まで所得税の中から保険料を一万五千円を限度として払っただけ引いてくれておった。ところが今度は、あってもなくても同じ形にしてしまった。こういうことでは、今全国に普及しようとしておる国民保険や、あるいは現実に赤字に直面しておる健康保険の、内閣がたった一つのスローガンとして掲げたその価値は、もはやがた落ちで、こういうところから私はくずれてくると思う。これは厚生大臣知らぬはずはないと思いますが、自民の予算修正で、ちゃんと今度の租税特別措置法の改正でなっているわけです。この点、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/47
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048・川崎秀二
○川崎国務大臣 はなはだ不敏でありますけれども、所得税法の改正の細部にわたりましては、私は承知をいたしておりません。従って、ただいま御質問になりましたことについては、十分調査をしてお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/48
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049・滝井義高
○滝井委員 自民の間の予算修正の六十七億というものは、修正の中で一番大事なところです。しかもその社会保険の保険料が、今まで税の対象になっておった。それが選択控除に落されて行ったという、こういう大事な点を厚生大臣が知らなかったということは、私は責任重大だと思う。これは許されぬと思う。今私が申し上げるのは、そういうことも関連しているのですよ。税率というものは、あなたの方は、勝手にぽっと法律で上げるのだ、しかも税金の上の恩典には浴されぬようになる。私は、この前この委員会でそれを指摘しましたが、一万五千円以下の人は減税の恩典には浴さない。減税の恩典に浴さない人に対して、あなた方は勝手に保険料率を引き上げていく、標準報酬も引き上げていく。恩典に浴さない人に対して、また税金の面で、ますます恩典に浴さない形に追い込むような矛盾した政策をとっている。これでは、あなたの方の内閣が、少くとも社会保障制度は、住宅、減税とともに三大スローガンであるといっているが、私はそれは取り消してもらいたいと思う。局長もそれは知られませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/49
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050・川崎秀二
○川崎国務大臣 これは自由党と民主党の修正案でありますから、もとよりそれに伴いまして起った措置については、事務当局も知らなければならぬのでありますが、責任は私にあるのであります。申し上げますけれども、私は不敏にしてさようなことを承知いたさなかったのであります。従って、自由党、民主党が案を修正されるときに、今回は社会保障制度に関しましては、国民保険直営診療所にいたしましても、あるいは助成金につきましても、自由党の非常な御協力と御推進によりまして、案が修正をされて、相当社会保障制度の費用の増加にはなったことは承知をし、また陰におりましては、予算修正の途上におきましては、私も修正の成立に対しては、厚生省案に関する限りは御協力を申し上げたわけでありますが、ただいま御指摘のような、非常なマイナスの措置が自由党、民主党の案によって起ったということは、私は承知をいたしておりません。その結果起るといたしますれば、これはもとより私の責任であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/50
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051・滝井義高
○滝井委員 はっきり御責任を認められたようでございます。しからば、大臣はその詳細の内容は、まだ御存じないようでございますから、後刻調査をいたしまして、私の言うような状態で、社会保険の控除が選択の状態になっておるとするならば、選択の状態からおはずしになって、社会保険の控除は、別個に社会保険料を納めておる人たちについては控除していただけるような措置を責任を持ってやられるかどうか。これは社会保障制度の今後の普及徹底のためにやっているのですから、当然私は必要だと思うが、大臣は善処できるかどうか、ここで御言明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/51
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052・川崎秀二
○川崎国務大臣 これは調査した上でお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/52
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053・滝井義高
○滝井委員 しからば、ぜひ調査をした上で明白な御答弁をお願いいたしたいと思います。
次にお尋ねしますが、先般社会保障に関係するいろいろな長期計画、あるいは健康保険の財政の再建、あるいは当面するそれらに関係する重要な諸問題を企画推進するために、審議室というようなものを厚生省にお作りになるというような御言明を、新聞紙上でされたのを見たのでございますが、長期計画樹立のために、そういうことをやられるのかどうか、これを一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/53
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054・川崎秀二
○川崎国務大臣 社会保障の長期計画につきましては、しばしば本会議、予算委員会並びに当委員会等におきまして御質疑がありました際に、社会保障に対する長期のプログラムを立てなければならぬとということを私は答えております。しかして経済六カ年計画は、社会保障も重要な部門の一つではありますが、経済六カ年計画が、その重要な部門であります防衛について、部門別の六カ年計画を立てなければならぬということが内外に力説をせられ、また政府もこれを信じておりまして、近く防衛六カ年計画の具体的な作成ということになりますれば、これと最もコントラストの立場にあるものは、言うまでもなく社会保障であります。従って防衛六カ年計画、社会保障六カ年計画は並行して作成されなければならない関係上、経済企画庁においてこれを立案してくれということを先般来から申しているのであります。しかし、社会保障は特殊の実情もあり、厚生省において理想的な案をまず作り、しかる後に経済の諸情勢並びに諸動因を含めまして、総合調整をすることがよかろうということに相なりましたものでありますから、社会保障の中核行政をやっております厚生省といたしましては、当然これに対して厚生省自体が長期計画を持つ必要があると考えるに至ったのであります。しかして、私の考えといたしましては、本年の末に至りますれば、来年度予算と関連をいたしまして、御承知の社会保障企画庁もこの内閣の方針として発足いたす予定になっております。しかし、その社会保障企画庁の発足を待っているわけにもいきませんので、その前提として、社会保障に関する長期計画を定める厚生省自体の機関は、部内に社会保障審議室とも称すべきものを設けたらよかろうということでありまして、今日では名称を変更して社会保障企画室といたしたいと思っております。この社会保障企画室を厚生省組織令によって七月から設けたいという方針であります。ここにおいて、社会保障に関する諸統計、社会保障の白書というようなものを作成いたしまして、しかして後、社会保障六カ年計画を立案発表をいたす予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/54
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055・滝井義高
○滝井委員 どうも私わからぬことが多いのです。現在行政管理庁においても、社会保険の統合一元化の問題を取り扱っていることは、先般私が本会議で質問したときに、川島長官からそういう意向の表明がありました。政府としては、行政管理庁において社会保険の統合一元化の問題をやっている。しかし、近く窓口の一本化については、もうすでに研究を大体完了している、こういう御答弁があった。今また川崎厚生大臣は、企画室というようなものを厚生省独自でやりたい。経済審議庁においても、先般予算委員会の分会科においていろいろそういう問題を尋ねたが、人口問題との関連においてそういうことをやられている。それから先般あなたは、内閣に少くとも社会保障企画庁というものを作るんだと言われる。こう考えてみると、一つの内閣で、社会保険に関連する社会保障制度と申しますか、そういうものの総合的な研究をばらばらにやっておられるのです。こういうことでは、また出てきた結論がばらばらになる。こういう各官庁でやっておられるものを、少くとも厚生省がやられるならば、これを統合して強力な社会保障制度に対する一元的な機関を打ち出していくという形をとらなければならぬと思うのです。何か行政管理庁との間に——大臣の方で経済審議庁は立案してくれという御意思でございますが、行政管理庁の方との関係はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/55
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056・川崎秀二
○川崎国務大臣 広範にお答えをいたしたいと思います。これは社会保障企画庁ですべてを立案、計画をいたすことにいたしまして、他のものが、たとえば市町村との関係で行政管理庁も考えなければならぬ、地方自治庁も考えなければならぬというようなことが起ります際においては別でありますけれども、それは統合的に立案をいたしますものは、滝井委員の御質問はいろいろと多岐にわたりましたけれども、私は社会保障企画庁で一切のことを総合立案をいたす予定でプログラムを組んでおるのであります。ただ社会保障企画庁は、御承知の通り今年度の予算には現われておらぬのですから、それまでのつなぎはどうするか。つまり国会において将来の経済計画あるいは社会保障計画について御質疑があり、だれがこれにおいて責任を持つのかということでありますれば、今日のところ、厚生省が社会保障に関するところの長期計画等については責任を持たなければなりませんから、一応社会保障の企画庁ができるまでは、社会保障企画室を厚生省の部内に設けて、しかしてこれが立案に着手をいたしたいということを申し上げたのであります。しかして経済審議庁あるいは行政管理庁等でやっておりますことは、それぞれの関係においてやっておることであって、きわめて部分的なことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/56
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057・滝井義高
○滝井委員 前段の御説明は、大体わかりました。まず厚生省で企画室というもの作って、そうして今年は予算がないので、来年くらいになるとそれが次第に発展的に社会保障企画庁というものになっていくのだ、こういうことはよくわかったのですが、現在しからば、行政管理庁で近く窓口の一元化をやるのだということを本会議で御言明になった、これは前の塚田長官の時代から、窓口の一元化をやらなければならぬということを言っておりました。先般川崎厚生大臣と同席した本会議で、私の質問に対して、川島さんははっきり御答弁になった。そのことについて、厚生省の局長さんあたりが知らぬということになったら大へんなことですが、御存じないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/57
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058・川崎秀二
○川崎国務大臣 今の経済企画庁のお話と、私の考え方はすべて同一であります。行政管理庁の言われるのは、社会保険の窓口の統一ということであろうと思いますが、私もやはり同様な意見を持っております。しかし、どういうふうに言われたかは知りませんけれども、社会保険を統合強化する、ことに一元化ということについては、われわれも邁進するものでありますが、それには相当の前提も要り、手段も要ることでありますから、これをもって直ちに今統合強化をして窓口を一本にすることが本年度内にできるということは、なかなか困難だろうと思います。そのときの速記録を見てみないとわかりませんけれども、その趣旨においては同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/58
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059・滝井義高
○滝井委員 委員長、あとは次会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/59
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060・中村三之丞
○中村委員長 次会は明二十四日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X02719550623/60
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