1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十三日(水曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 田中 角榮君
理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君
理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君
理事 前田 正男君 理事 中崎 敏君
阿左美廣治君 小笠 公韶君
菅野和太郎君 笹本 一雄君
椎名悦三郎君 野田 武夫君
森山 欽司君 加藤 精三君
鹿野 彦吉君 小平 久雄君
堀川 恭平君 南 好雄君
片島 港君 櫻井 奎夫君
田中 武夫君 田中 稔男君
帆足 計君 八木 昇君
伊藤卯四郎君 菊地養之輔君
佐々木良作君 田中 利勝君
松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(通商局次長) 大堀 弘君
通商産業事務官
(繊維局長) 永山 時雄君
中小企業庁長官 記内 角一君
委員外の出席者
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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七月十三日
委員加藤清二君、多賀谷真稔君及び松平忠久君
辞任につき、その補欠として田中稔男君、佐々
木更三君及び松本七郎君が議長の指名で委員に
選任された。
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本日の会議に付した案件
輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三一号)
繊維製品品質表示法案(内閣提出第一三七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/0
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001・田中角榮
○田中委員長 これより会議を開きます。
前会に引き続き繊維製品品質表示法案を議題となし質疑を続行いたします。質疑は通告順にこれを許します。中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/1
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002・中崎敏
○中崎委員 大分質疑も進められておるようでありますから、きわめて簡単に焦点を集めて質問をしてみたいと思うのでありますが、まず何と申しましても、これを実施するがために、必要な検査に関することは相当重要な問題であると考えておるのであります。現在輸出の場合においては検査が実施されておるようでありますが、それとても種類、範囲等のために検査機構が十分に整っているのかどうか。ことにこれが国内全般に関するところの問題を取り上げて検査するということになりますと、たといこれが任意的なものであるといたしましても、相当広範な範囲にわたってその検査の必要が起ってくるわけでございますが、これに対するところの手数料にいたしましても、十分に確保ができるものであるかどうか。またその機構等も民間の機関にゆだねられるというようなことが大部分と思うのでありますが、果してそうしたような機構にゆだねられて十分に目的が達し得られるかどうか。政府の側においてまず基本的な検査機構確立の上に立って必要な機構を整備されて、そうして場合によれば予算の措置なんかを新たにとられて、厳重なるところの監視といいますか、指導といいますか、それに必要なるところの措置を強力に構じられなければ目的は達せられないと考えておるのでありますが、この点について一体どういうふうに考えておられるかお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/2
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003・永山時雄
○永山政府委員 検査の関係についての御質問でございますが、御承知のように現在の制度の行き方は、さしずめは任意表示、任意検査ということで出発をいたしますので、従って直接直ちに国の検査機関にそれほどの負担はかかって来ないのでございますが、ただ一方におきましては、できるだけ民間におきまして任意検査を自発的に励行さして、この制度の目的を達したいというふうに考えておるのであります。従って民間の検査機構をできるだけ充実をする方向に行政指導をして参りたい、かように考えております。現在輸出品関係でも、全国で約四百六十個所ばかりございますし、国の検査機関でも三十三ヵ所ほどございまして、その他に民間の検査機構というものも有力な会社はそれぞれ持っております。それからまた組合その他の検査機構も、この表示制度の施行の機運が熟してくるに従いまして、漸次みずからの手で持とうという動きが高まって参っております。すでに現状におきましても、綿の関係は、内需の関係でも綿糸布約八割程度が自発的に検査を受けておるというような状況でございまして、多少毛織の関係やなんかはおくれておりますか、ただいま申し上げたような現在の機構、それから新しく出て参ります検査機構、そういうものの運用によってさしずめのところはやっていけるという大体の見通しを持っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/3
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004・中崎敏
○中崎委員 この法案の目的であるところは、品質を表示することにより、消費者に正しい判断を与えることによって消費者を保護しようという趣旨でありますが、一面におきまして、この検査に名をかりてこれが乱用されるということになれば、ゆゆしい問題であるというふうに考えておるのであります。一面においては詐欺的な行為であるという判断さえもされるおそれがあるというふうなことになるのでありまして、この検査の運用いかんによっては、政府の方で考えておったよりも相当逆の方向に行く。言いかえれば、検査がしてあるから大衆は安心して買う、買ってみたらその検査がいいかげんなもので、そうして実際は大衆を裏切ったというふうなことになると、きわめて悲しむべき結果になると思うのであります。そこで検査については万全を期していくべきものと思うのでありますが、これを単なる民間機構にまかすと、ことに国内で相当広範にわたってやるということになりますと、輸出に対するよりも趣きが違って、相当検査がずさんになり、検査に名をかりて逆に大衆を欺瞞するという結果になるので、この点をいかに防ぐところの用意があるのか、それを一つお聞きしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/4
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005・永山時雄
○永山政府委員 まことにごもっともなお話でございまして、検査というものが非常に放縦に流れますと、弊害が顕著に出て参りますので、この点はわれわれも十分注意をして参りたい、かように考えておりますが、現在におきましても、おおむね公共的な検査機構というものは社団法人、公益法人という形で行われておるのでございまして、従ってそれに対する監督というものもできております。業務の上の監督、あるいは検査の上の監督、そういうふうなものも不断に行っておりますが、なおこの法律が実施をされました場合に、特に強制検査がかりに発動されるというような場合には、この法文の中にもございますように、厳重な監督をそれぞれする。抜き取り検査その他によりまして、国の検査機関が民間の検査機関を監督をいたしまして、不都合なことがありますれば取り消し処分その他によって処置をするということもできるような制度に持って参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/5
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006・中崎敏
○中崎委員 検査が任意的のものであろうと、あるいは強制的なものであろうと、いずれにしても一応検査は合格だといってスタンプを押して、そうして一般大衆に流れるからには、何らそこに変りはないわけであります。大衆はそれを信用して、これならもう大丈夫だと安心して無条件で買っていくということになるのだから、従って政府の方としては、そのいずれを問わず、検査の場合においては今後十分の機能を発揮して、一面監督を強化し一面指導を適正化するということが必要だと思うのです。そこでまず政府のそうした態勢を今後整えるべき必要があると同時に、今の公益法人というのですか、検査協会かなんか検査機関があるようでありますが、そういうふうなものについても、さらに政府側において協力して、極力その内容の充実と検査の上の公正を期するような態勢をもって進まれる必要があると思うのでありますが、この点についての政府の側の腹がまえを一つ聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/6
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007・永山時雄
○永山政府委員 われわれもお説には全然同感でございまして、万全の努力を重ねていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/7
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008・中崎敏
○中崎委員 次に品質の内容に関する問題なんであります。たとえば落綿とか反毛とかいうのは、きのうも質問があったようでありますが、その純分から言えば、たとえば落綿の場合においては全部純綿であり、反毛の場合においても純毛であるはずなんでありますけれども、実際に使ってみると非常に弱い。これはほんとうに毛製品だと思って買ってきて、ちょっとはいたら半日もたたぬうちに破れていたという類のものが非常に多いのであります。そうしてみると、ただ単に毛のパーセンテージが多いから、あるいは綿のパーセンテージが多いからということで品質が決定づけられるものではない。そこでむしろ大衆に対する品質の確保といいますか、いいものであるということを正しく知らすために、単なる成分だけではなしに、たとえば強度、あるいは張力といいますか、そういう類のものが一つの要素となって、少くともこういうものはこういうふうな性質を持ったものでなくてはならぬというようなものが、あわせて規格の中に取り上げられないと意味をなさないと思うのでありますが、一体これを、どういうふうに考えておられるのか、聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/8
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009・永山時雄
○永山政府委員 お説まことにごもっともでございますが、表示の完璧を期して参りますためには、単に組成が毛だけでできているか、あるいは混紡物でできているか。あるいは今お話のように、毛の中でも丈夫な新毛でできているか、あるいは反毛でできているかというような区別、あるいはさらに進んでは染色がたとえば洗たくに耐え得るものか、あるいは日光に耐え得るものかというような問題だとか、あるいは防水だとか防縮だとか、いろいろな表示を要する問題が多いのでございますが、ただ一ぺんにそこまで達するということは現状においては困難でございますので、従ってまずさしずめの問題といたしましては、何といっても第一に関心を持ちますものは、毛製品の場合には、純毛であるか、あるいはスフが入っているか。綿製品については、純綿であるか、あるいは混紡物であるかという点でございますので、さしずめそれについて実行して参りまして、逐次ただいまのお話のような強度の問題、あるいは染色の問題その他の問題に及ぼして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/9
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010・中崎敏
○中崎委員 私はそういう中途半端な不徹底なことによって、かえって逆な効果を来たすおそれが多分にあると思う。言いかえれば功罪半ばするというふうにさえ考えられるのでありますが、これは一応試験的といいますか、過渡的にやって漸次最終の目的に持っていくように進んでいくという政府の考え方を一応認めておきたいと思います。この程度で私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/10
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011・田中角榮
○田中委員長 ちょっと速記を中止して。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/11
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012・田中角榮
○田中委員長 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/12
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013・田中角榮
○田中委員長 次に前会に引き続き輸出取引法の一部を改正する法律案を議題となし質疑を続行いたします。質疑は通告順によってこれを許します。帆足計君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/13
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014・帆足計
○帆足委員 第一点にお尋ねいたしますことは、現在輸出入組合法によって貿易の統制が行われておるのでありますが、たとえば貿易管理法、為替管理に関する法律、それから各種の行政措置、それから専売法等による指定商の指定、それから各種のチェック、プライス、フロアプライスなどの指定が行われておりますが、それはどういう法律に基いてそういうことが行われておるかということを、ごく簡単でけっこうですから、要点だけを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/14
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015・岩武照彦
○岩武政府委員 詳しくは通商局の担当者が参ってから御返事いたしまするが、お尋ねの点に対しましては、その旨を特に規定した条項はないようでございます。行政上の運用の問題として取り扱っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/15
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016・帆足計
○帆足委員 たとえば今度大豆の取扱い商社を、過去の実績あるものに限るというような意味で商社を指定いたしましたが、これは一体どういう法律に基くものですか。それに賛成とか不賛成とかいうわけじゃないのです。まずその事実を知りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/16
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017・岩武照彦
○岩武政府委員 大豆の件は、あるいは大豆特有の問題があったかもしれませんが、一般的に言いまして、商品を相当扱いまするには、それに関する過去の経験とか知識とかが必要であります。またそうでありませんと、国内に入りましてから、いろいろなトラブルも起りまするし、できるだけ事を円滑に運ぶ意味において、過去においてそういうふうな知識経験等があったものを選ぶというのが、一般的に考えておる筋でございます。決してすべての場合に実績のないものは認めないというようなことは考えておるわけではございません。ただ御指摘の中国の大豆の問題については、いろいろ数多い商社にオファーが来たというような関係もありまして、そういうことでは、結局事が円滑に運ぶゆえんでないと考えられますので、実績あるものというふうに限定したというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/17
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018・帆足計
○帆足委員 私は、たとえば輸入、特に輸入におきましては、実績のある、そして経験の習熟した業者の方が、原料を適時に安く買い付ける仕事をするということは、一面能率上非常に必要なことだと思います。貿易業におけるいけゆる中小企業の擁護ということと、国民経済における中小企業の擁護ということは、多少問題が違いまして、中小企業の擁護、また国民経済の擁護、消費者の擁護ということは、国民経済を総合的に見て、輸入の場合の先決要件は、よい原料を安く、適時に、そしてできれば輸出の拡大と結びつけて輸入する。それは国民経済に非常に有利であり、広範なこれを使用する消費者、中小企業層に有利である。これがほんとうの意味の中小企業擁護策であって、個々の貿易商の中小企業問題は、この点については重要な問題ではあるが、第二次的問題外、あると思います。しかしそれかといって、大商社が大きな力を持って輸出に努力し、輸入に努力するということは、一面非常に必要なことでありますけれども、不当に中小企業の意見を徴せず、中小企業の行うべき職分があるのに、それを無視して事がなされるというようなことは、よくないことであると思います。そういう商社を指定するというようなことは、商行為に対する重大なる制約であるわけです。こういう商社の基本的な人権に関するような問題が、一定の審議機関にかけられ、これに対して意見を申しまたはあとで抗議を申し込む十分な機会もなく、単なる行政措置によってやられるということは——私はそれは必要なことだと思うのです。しかしそれが単なる官庁の考えだけでやられるということは、これは法制上どこか間違っている点があるのじゃないか、あるいは法律上の基礎なく、十分に民主化されたる手続なしに、行政措置として政府がこれをおやりになるということは少し間違ったことではあるまいかと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/18
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019・岩武照彦
○岩武政府委員 そういうふうに輸入の面につきまして実績を持っている人に限定することがすべての場合に不適当かどうかということは、これはわれわれももう少し検討を要すると思います。過去におきましてもそういうふうな経験のない人が扱いました場合もいろいろございますが、われわれとしましては、できるだけ内外両方面のトラブルを避けますために、この際過去の実績ということを考えたわけでございます。ただ特定の場合におきましてもう少し考え方の余地はないかというお話は、これはいろいろな問題があるだろうと思います。今の中国の大豆の場合は、私詳しい事情を存じませんので、後刻担当者が参りますが、その場合におきましてそういうふうに実績ある者に限定したことが不適当かどうか、まだもう少し検討を要するだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/19
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020・帆足計
○帆足委員 私は実績のない非常に多くの商社にアット・ランダムにやらせることは国民経済上から見て非能率なところがあることは同感なんです。しかし適当の商社に制限するのには民主的手続を経、それを決定する権能が政府に法律によって与えられていなくてはならぬ。そういう法律上の根拠なしに行政措置によって官庁がなさるということは不当なことではあるまいか、従って今官庁として必要に迫られて輸入品を統一的に安く適時に買いたいとおっしゃるならば、こういう輸入をする場合にはこういう基準で輸入商を指定することができる、その指定に当ってはこういう機関に意見を聞くこともできる、それに不服のある者はこういう機関を経て抗弁することもできるということになっていなければ、人民の権利というものは私は寸毫といえども譲るべきでないと思うのです。同時に責任はまた完全に果さなければならぬ。それが官庁の手かげんでどうにでもなるというのではまことに不都合であって、ある天気晴朗の日に官庁がこれは指定商にしようと思えば、急にそうなる。私は大豆の問題は、確かに商社の数がありまに多過ぎるということは国民経済的に見て不経済だと思います。それならばもう一ヵ月前に、使節団の来まする前にこのことを発表して、そういう態勢を整えますべきだ。しかるにそういうことがないから、百近くの商社は自分で商売をしたいと思って、莫大な交際費を使い、電報料を使ってやってきて、その話の途中でその話がうまくいかなくてグローバルに切りかえになったから、そのとたんにごく少数の指定商が選ばれたということは、やむを得ない事情があることは知っておりますけれども、民主政治の運用上重大な欠陥がある。すなわち権能が本質的に政府に与えられておらず、そういう法律や手続法が何ら国会において承認されないのに、行政措置でこのくらいのことはやれるという観念が、人民の権利を軽視してきた従来の官僚主義の現われだ。かりに私が官吏であったら、そんなそらおそろしいことはやれないと思う。よいことであるけれども、独断的にはやれない。従ってまず国会で審議して、十分な民主的な手続のもとに法律を出してもらいたい。その法律に従って官吏は事を行うというのがほんとうでないでしょうか。石橋さんのような自由主義者がこういうことを放置しておられるということはふしぎだと思いますが、どのようにお考えでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/20
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021・石橋湛山
○石橋国務大臣 お尋ねの御趣意はごもっともですが、現在の貿易の状況が非常に困ったありさまであるものですから、いろいろのトラブルが起きる。しかし今通産省で指定しようときめておりますのも、必ずしも独断的にきめておるのではなくて、当業者のいろいろな団体その他とずいぶん話し合いをしまして、できるだけみんなの納得の上に最後の決定をするという方法をとっております。そのために非常に事務が渋滞して、ものによっては輸入を早くすべきものが輸入ができないというものも御承知のようにほかにもあるのです。非常に困っておりますが、とにかく役所だけで勝手にやるということは決して今までもしておりません。今度の大豆の問題なども、いろいろ研究をいたしまして、一応ああいうふうにするのが適当ではないかということでやったわけでありますが、なお漏れました人たちに対してはどうするかということを検討はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/21
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022・帆足計
○帆足委員 大臣のお立場からすれば、そういうふうに多少役所を弁護してお答えにならねばならぬこともやむを得ないかと存じますけれども、私が申し上げたいのは、関係団体の貿易会とかその他に御相談なすったところで、その顔役の常連というものはきまっておるのであって、人民の不平はいろいろなところから出るのでありますから、こういう問題のためには貿易の、たとえば輸入を円滑にし、原料を適時に安く買いますためには指定商という制度を置くこともできるし、基準に対して政府が何らかの指示を与えることもできるというような法制と民主的手続がまずなければ、自分の権利に目ざめた国民であるならばこんなことは承知しないと思うのです。役所のやることならまあ仕方がない、泣く子と地頭にはかなわぬという醇風美俗がありますから、こういうことが平然と行われておるのであって、私は今度の大豆の問題をことごとく間違っておるとは思いません。必要な点が多々あったことも十分了察しております。しかしたといよいことであっても、法律に従わずに独善的にしてもらいたくないのです。たといよいとわれわれが思うことでも、それだけではだめであって、その手続と法的根拠が民主的にできていなければ、そのときはよいことをしたからいいけれども、次に悪いことをしたときにそれでは困るわけです。たとい間違ったことであっても、それが民主的手続において行れわたことならば、われわれは了とする。何となれば、間違ったことは次に改め得る道筋がそこにあるからです。こういう論理は、通産大臣はむしろ私どもに共鳴して下さると私は思います。従いましてここに私は重大なる欠陥があると思います。
第二に、割当基準の問題なども、私は今度は非常に不当であるとは思いません。しかしこの基準の問題などでも、ただ役所がきめるとか商社に相談してきめるというようなことは、まあ大堀さんのような人がおればいろいろな方の意見を聞いておやりになるからそれでいいでしょう、しかしもっと悪いのが来た場合にこれを処置する方法がない、従って私はよいことでも正当な手続をしてやっていただいたことでなければありがたくないと思いますので、こういう欠陥は一体どういうふうにお直しになるか、今度輸出入取引法の改正によって、ある程度までこれが直るようなふうに変りますことはよいことであると思います。一部の業者がこういう問題を憲法違反などと申しておりましたが、まあ事が起ればすぐ憲法違反と言うのも言い過ぎかもしれませんけれども、しかし法令上の基礎なくして行政措置として、民主革命後の日本においてこれは官庁の権限に属することだと独断的にこういうことが次次に行われるということは、私は寒心にたえないと思いますが、この根本の理念に対して大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/22
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023・石橋湛山
○石橋国務大臣 法律的根拠がないということは確かに一つの欠陥でありますが、さりとて今やっているようなことを法律に規定をして、その法律に基いて役所のやることは独断的のことをやるという結果になっても困ると思います。そこで全部こういう欠点を取り除くということができるかどうか、これは問題がありましょうが、とにかく今度の輸出入取引法の一部改正によりまして、それぞれ輸出入組合とかあるいは輸出組合とか輸入組合とかいうものができますれば、今お話の欠点は大部分取り除くことができるだろう、そういうふうな意味においてこの輸出入取引法の一部改正をぜひ至急に実施をしてほしい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/23
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024・帆足計
○帆足委員 私はただいままでいわゆる行政措置でやってきたという問題がその他にも多々あるとるならば、これは検討していただきたいと思います。と申しますのは、言葉で言えば簡単に行政措置ですけれども、その中には商社の自主権を阻害する重大なる問題が多々あるわけです。そういう問題に対して国民が不感症であるということはまことに憂慮すべきことであると思います。自分の正当な権利はいかなることがあっても一歩も譲らぬ。そのかわり自分の責任は完全に果す、こういう精神がみなぎらなければ——そういう教育のもとに立ってこそ、初めて合理的な資本主義としての役割も演じ得るでしょうし、またその土壌から受けた教養を身につけて、さらに社会主義を考える、明るい社会主義になるのではないかと思います。こういう問題に対して、やはり大臣のお立場に立てば、多少でも弁護なさらねばならぬということになるでしょうが、私はその点非常に遺憾だと思っております。
それから第二にお尋ねしたいのは、輸出入調整法を適用する適用先ですが、一つはインドネシア等の貿易協定のある国に適用する。もう一つは中国のように協定はないけれどもバーターをやっておる国に適用すると言いますが、私は今日の段階において現在輸出入調整法を適用する必要がどこにあるであろうか。むしろ輸出についての取引法改正案を適用する点はあります。輸入について取引法改正案を適用する点もあって、その点は非常に有効な点があると思います。しかし輸出入調整組合を法的機関として民間に設立する必要は、現在のところは少くともバトル法解除まではまだ仕事はありませんし、むしろ自主統制にまかしておいた方がよいではないかつそしてその自主統制の機関の中における部会が輸出についての取引法を適用し、輸入についての取引法の必要な部分を適用する。この方が官僚統制ではなくていいのではないかと私は思いますが、この点は一つ政府当局にも考えていただきたいですし、また実情を与党の皆さんにも説明して、もう一度検討してもらいたいと思いますが、いかなる理由で今日中国に対して輸出入調整組合を作ることを急ぐ必要があるか。輸出を統制し、輸入に対して適切なる統制指導を与えるということは必要です。それは取引法の改正のこの件の中でやれると私は思う。しかし輸入組合を中国に向って今作る必要は一体どういう点にあるのか、きわめて技術的、実際的に一つ例をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/24
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025・大堀弘
○大堀政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、中国との貿易につきましては、御承知のように現在は特別のバー夕ー方式でやっておるわけでございますが、今後どういう方向に参りますにいたしましても、先方が進出口公司一社の独占になっておりまして、日本側といたしましても、現在のココムの制限下においてもやはり輸入するものはしますが、輸出も相当にこの可能な範囲でやっていかなければならぬ。その場合に現在はむしろバーター取引になっておりますから、輸出と輸入の話し合いが並行して行われなければならない。特に現在の状態で個々の商社でやりますと、輸出には必ずしも適格ではないが、輸入には非常に適格であるという商社はあります。逆の場合もあるわけでございますが、これがやはり輸出入組合において一本になって、輸出は輸出の専門家がやる、輸入は輸入の専門家がやる。しかし先方との話し合いはやはり組合で一本にして先方と交渉するというのが最も日本側に問題を有利に解決できる道ではないか。もう一点の民間の団体という話もございますが、その点につきましては、現在の状況につきましては中日貿易会という団体があります。国際貿易会という団体もございます。それぞれ業界の利害その他によりまして必ずしも一本には動けない場合がある。国家の全国地域を一本とした団体においてまとまって参りますれば、その点が協調を得て、より適切な取引ができるんじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/25
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026・帆足計
○帆足委員 大堀次長は非常に有能な方ですけれども、遺憾ながら中国貿易のことについては私の方が少し多く知っているかもしれぬと思うのです。と申しますのは、ただいまの協会と組合の問題でも、協会はこれは南洋協会みたいなものなんです。これはクラブです。最初からその目的でできたものであって、組合とは何も関係がないのです。南洋協会とか、それから中南米協会のようなものです。協会は同業組合としてインドネシア輸出組合、昔ありましたようなアルゼンチン輸出組合というように、特定地域を目的とした、はっきりした同業組合なんです。従ってこの両者のうちに合同とか調整とかということはあまりあり得ないと私は思います。問題は現在中日貿易会というものがあって、おそらく輸出順位からいって第一番目から第五十番目くらいのものはほとんど入っておると思います。アウトサイダーというものはほとんどないと思いますが、ある程度自主統制をしております。もちろん改善すべき点も多々ありますけれども、急いで法的な輸出入調整組合を作る必要は必ずしもないのではないか。相手は一本でないかと言われます。実際相手は一本に近い形態でしょう。それに対しましては輸出入取引法において輸出統制または輸入統制を適用すればできるのでございまして、全体の調整はむしろ政府が為替管理の面でやっておりますし、それから個々の調整は商品別に輸出または輸入グループというのがありまして、たとえば塩の商社ならば塩の商社グループ、その中には専門の商社と総合商社がありますが、塩を八十万トン入れますならば、その見返りの硫安と過燐酸石灰、人絹糸、化学薬品とを何カ月以内に出そう、そしてそれは一つどういうふうに計画的に出そうかということは、塩の商社十社なら十社の中で大体やれるのでございます。現在はまだバトル法のままですから品目は限られております。従いまして総合的な輸出入調整組合を作りまして、理事会という中央の抽象的な機構ができましても、その理事はすべての商品にわたって目を届かして、これを統一的に運営することは不可能でありますし、その必要もないのでございます。むしろその統一的な仕事は為替管理を引き受けておる通産省行政当局の方で指示すれば事足りるという段階であって、塩八十万トン入れます場合に、そのかわりに過燐酸石灰を出そう、ペニシリンを出そう。過燐酸石灰は三菱商事が得意ですけれども、ペニシリンの方は伊藤忠にやってもらおうというときには伊藤忠に頼むということで、輪番管理でやり得るわけでありますから、抽象的に考えますと、何かいかにも必要なようでありますけれども、現在の段階では輸出グループと輸入プループで事足りて、団体としての自主統制をやっておりますし、せっかく北京の窓口とも円滑にいっておりますから、しばらくはこの態勢でいいのではないかしらという気がいたします。そして北京の一本に対しては輸出入取引法の改正案の、今の統制法規を各商品別部会に、輸出入の商品別グループに適用すれば十分でありまして、全体を一本とした理事会などというものは一般的な輿論の結果とか、業界の陳情には役に立ちますけれども、現在の中日貿易の段階で理事会が総合的に指揮する仕事もありませんし、そういう能力もない。実際的に考えて今それを急ぐ必要はないのではあるまいか、従いまして輸出統制、輸入統制の強化は必要でありますけれども、中国に関する限りは輸出入調整組合の設立を急ぐべき根拠は何一つないのではないかと思います。大堀さんのさっきの御説明には、一般論では賛成でありますけれども、具体論になると、現在のところは輸出または輸入の統制強化ということでよいのではないか。従って中国に適用するという条項は少くとも為替の総合決済がきまり、バトル法が全面的に解除されて後、実情に即して考究すればよいのではないかと思います。また一つの輸出入組合を作りますには時期というものが必要ですし、またそれに従事するスタッフの養成とか、いろいろな問題もありましょうと思いますので、現在の段階で事を急ぐ必要はない。中国にはまだ通商協定もできておりませんし、諸般のこともできておらないような事情を考えましても、しばらく業界の自治統制にまかすことの方が、この過渡期には適切ではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/26
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027・大堀弘
○大堀政府委員 これは輸出入組合を組織することができるという組織法でございまして、もちろん法律ができましても、個々に結成いたします場合は、それぞれ話し合いによりまして業界がまとまって参りませんと組合にはならぬわけでございますから、私どもの立場かも申しますと、先ほど申しましたように、中共の場合、インドネシアの場合、その他近東、中南米等にも将来は考えられるかと思うのであります。当面は二ヵ所につきまして必要があるのじゃないか、かように考えまして、それができ得る態勢を法律によって作るわけでございます。中共につきましても、私どもはやはり輸出入組合によって運営していく方がより適切ではないか、かように考えておりますが、また業界のいろいろのお考えもあみかと思いますので、これはまた法律施行後に実行の問題として具体的に御相談いただくことになる、かように考えておるわけであります。なお輸出輸入の問題につきましては、輸出入組合の中で——輸出入組合は輸出入の調整をやるわけでございまして、たとえば逆トーマス残の振替をやるということも組合の中で可能なわけでございましてその方が円滑にいくのではないか、個個の業種につきましては、たとえば米とか塩しかそれぞれの部会が結成されると思いますが、部会の中の業者協定によりまして必要な事項は協定して運用できるのではないか、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/27
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028・帆足計
○帆足委員 私が申し上げたのは、民間で自主統制ででき得る段階、また場合によってはできるだけ自主統制の方がよくても、少くとも法律の助けを借りることは少い方がいい。私はむしろ通産大臣の立場からお役所に対して質問しているので、石橋さんと私とは同じ立場に立って、石橋さんの青いにくいところを私がかわって言っているような気がするのです。そういう法的な規制は必要じゃない。無理にそれを作りますと、外から圧力が加わることになって自然発生的な成長を妨げることになることを私は心配するわけです。中国に対する業者の団体というものは長い間の経験を持っております。それからわれわれに言えぬ苦労がありまして、思想から言えば大体自由党または民主党の中のラジカルな人たち、すなわち昔の自由通商協会に従事しておられた方々、村田さんとか石橋さんとかそういうような行き方、万国自由通商というような行き方で手紙も書き交渉もしなければならぬというような特殊の持ち味もあるわけです。従ってそういうような組合が下から経験と歴史によって盛り上ってきて作られることが必要であって、非常に頑迷な人とかまたは台湾貿易の専門家とかいうタイプのものの見方では、中国の問題は広げていけない。従って中国向けの方の隘路を打開するには、適材適所でそういう方面の感覚と論理を持っているような人がおのずから結集して事をやる。そういうようなことで国際協会などができましたことも一つの役割を果しておると思います。従って今日の段階では、今大堀さんの言われたようなことは輸出輸入の取引法規でやれるわけですから、まだ調整法は必要であるまい。しかしかりに調整組合を作りますときに、従来の業者団体の長い間の経験と実績と信用というものを御活用になるかどうか、またはそれを作るのには長い間の経験を持つ業者が主体になって作るべきであって、それに対して官庁または貿易界等が、しかも従来関係がなくて知識もなかった筋がこれを別個の線で固めるようなお考えがあるかどうか。それとも従来の長い経験を活用して、その経験を十分摂取しておやりになるような指導をなさるお考えか、その辺のところも伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/28
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029・石橋湛山
○石橋国務大臣 この法律ができましたからといって、必要のない輸出入組合を無理に作らせようとは思っておりません。むろん民間業者その他の今まで経験のある人たちの活動に法的根拠を与えるだけという趣意でありますから、必要のないものを無理に急いで作ろうとは考えておらないのであります。それから今までの業者その他の経験を十分生かした組合を作ってほしいということもわれわれの考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/29
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030・帆足計
○帆足委員 私が自治統制を非常に重要視いたしておると申しますのは、自主統制でありますと、何ら権力の介在がありませんで、おのずからそこに業界のバランスが反映されるわけです。また組合の指導理念と申しますか方向につきましても、たとえば中国問題の打開のために、民主党、自由党、社会党、共産党まで加わりました議員連盟などがありますが、そこにおのずから挙国一致の超党派的な均衡点ができておるわけです。調整組合ができました場合に、中国と交渉します均衡点もおのずからそういうような合理的な超党派的な国民的な均衡点、社会党の諸君も大体これならよかろう、保守党の諸君も大体これは国益になるというような均衡点を探し求めて、二つの世界の調整をはからねばならぬ、こういうむずかしい課題があるわけです。そのために心配をしてこういうことを申しておるわけでございます。
そこで第二にお尋ねいたしますが、この法案についての世間の批判が二つあります。一つは、統制の強化ですから官僚統制になりはしないか、官僚独善になりはしないか、これは相当の大商社の諸君からも始終言われることです。官庁の方としては誠意を尽しておやりになっておりましても、第三者から見ますならば、やはり独善的であるということが統制の弊害の最たるものですから、自由主義者たる石橋通産大臣のもとでは、官僚諸君はよくその点を考えていただかねばならぬと思います。従いまして、私はこれをチェックしますために輸出輸入の団体ができたということは、官庁が独善的に事をやることを阻止して、自主統制を一応尊重してその尊重の建前の上に必要な場合に政府は承認の取り消しとか、アウトサイダー命令とかを出すという順序になっておりますから、その点は十分にお考えになったことと思いますけれども、組合ができて一番心配するのは何かと業界に聞きますと、異口同音に官僚統制の弊害ということを言われるわけです。従いまして組合を経由して書類を出しますような場合に、私は多数意見とともに少数意見もつけて出すという慣例を一つ聞かれたらどうかと思いますが、そういう趣旨に対して通産大臣は御賛成であるかどうか、また極力民間の自主統制を尊重するという運営の仕方に対して御賛成であるかどうかということを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/30
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031・石橋湛山
○石橋国務大臣 むろん原則として民間の自主統制で全部ができればいいのです。それにある程度の法的根拠をこれに与える、先ほど御質問がありましたように、今は貿易が非常な変調でありますから、従ってややもすれば官僚統制とか官僚の干渉とかいわれるような非難を起しがちのことに陥る危険があるのであります。そこでかような輸出入組合等を作りまして、できるだけ役人が直接干渉しなくても組合自身の自主統制によって事が運ぶようにいたしたいというのがこの法律の趣旨でありますから、私どもはお話のような懸念はない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/31
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032・帆足計
○帆足委員 この法案について一番心配されていることの第二は中小企業の利益の問題です。役所が統制令を発動し、または業界できめますときに、先般も大臣もお聞きになったと思いますが、中堅の相当大きな貿易商の方が、理事会はとかくボス政治になる、総会は異議なしで、発言する人が少い、こういうことになりがちであるから、中堅の業者及び小業者の妥当な意見は十分にくみ込むようにしてもらいたいということがあり、これに対しては与党の方からは、それはもっともな話だという当然の御発言もありました。従いまして組合にしましても、政府といたしましても、統制に関する事項を決定します場合には、十分に中小業者の意見を徴する、そしてまたその利害をも勘案考慮するということを実行してもらいたいと思います。これは非常に重要なことですが、やはりわれわれにしてもそうですか、とかく自分が大きいものの立場に立ちますると、小さいものの声は無視しがちになる。一体日本という国は少数意見を尊重しない国です。少数意見の中にこそ珠玉のごときものがあるわけです。私は常に多数意見から学ぶと同時に、少数意見から学ぶということが必要だと思いますが、今後の組合法の運用にとってこれは一番重要なことだと思うのです。これに対して大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/32
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033・石橋湛山
○石橋国務大臣 申すまでもなく、少数意見を大いに尊重するというのはこれは民主主義のルールでありますから、従って組合の運営において組合員自身がだれもそういう考えを持たなければなりませんが、その組合員としての小の人たちも、むろん建設的でなければいけませんけれども、意見は十分に述べて、そして運営をする、お互いにそういう心がけをもってやることが一番大切だと思います。政府としては持にこれに対してそういう干渉をすることはできないと思いますが、しかしわれわれとしてはむろんそういう考え方で、できるだけの援助はしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/33
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034・帆足計
○帆足委員 私がただいま申し上げましたような諸項はきわめて常識的な問題について申し上げたのですが、幸いにして政府委員並びに大臣はその趣旨においては同感の意を表せられたわけでございます。従いまして申し上げたことを修正案または附帯決議にいたしまして提出いたしましても、その措辞がまことに妥当であり、良識に富むものであったならば、与党各位の御賛成を得られるだろうと、まことに明るい気持がいたす次等でございます。
最後にお尋ねいたしますが、たとえば自転車工業のように大体において中小の多い工業、そういうようなものにおきましては、取引法と中小企業安定法、この二つの関係は大体どのように交錯するものでしょうか。その点を大堀さんからお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/34
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035・大堀弘
○大堀政府委員 輸出入取引法の建前は、輸出の統制のために必要であれば生産業者もあるいは販売業者も国内で協定ができる、こういう建前になっておりまして、その場合は中小の人も大メーカーも一緒にこの原則によってやれることになっております。現在はたとえば、ミシンの例のような場合に、現行法では国内の協定ができないことになっておりますので、安定法の規定によりまして、中小のメーカーだけが集まって、あれによって協定をいたしまして、自主的統制をやっている、こういう形になっております。従いまして法的には中小企業につきましては重複事項といいますか、いずれもいけるという形になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/35
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036・帆足計
○帆足委員 その場合、ミシンならミシンを例に引きますと、ミシンの何百人以下の中小企業安定法の適用を受けた輸出ミシン業の協定と、今度はミシン工業組合全体の、大メーカーがおりました場合の協定は、二つが一応別個の線として進むわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/36
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037・大堀弘
○大堀政府委員 本法案によります場合は、大メーカーも中小メーカーも、全体が一つに集まって協定をすることもできます。あるいは中小メーカーだけが特殊な立場において安定法によって結集している。その人たちと大メーカーとが、そこでこの方法によって協定するということもできるわけであります。それはたとえば自転車の場合に、中小の自転車業者だけが安定法に加わってまとまっている。こういう場合に、大メーカーとその安定法の組合のメーカーとが、本法によりましてさらに輸出向けの協定をするということもできるわけであります。いずれの方法によることもできる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/37
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038・帆足計
○帆足委員 それでは最後に、われわれは国民経済の発展繁栄ということは、諸君とともに最も望むことですけれども、その発展繁栄が大資本、大財閥の独占また横暴に陥ることを非常に警戒し、これを排撃するものでございます。貿易におきまして大きな商社が、また大きな力をもって海外との競争に打ち勝たねばならぬという一面があることは認めますけれども、だからといって昔のように財閥商社独裁になりまして、中堅また中小の貿易業者また輸出工業がそのために非常な資本の圧力、力の圧力のもとに坤吟するというようなことは、われわれは容認することはできないのです。従いまして中小企業の利益を十分に確保しながら、また働く者の生活を確保しながら国力の繁栄を期待するわけですが、そういうような点から、ただいま輸出入取引法につきましての四、五の点を指摘いたしまして、これについて若干の修正案を準備したいと思っておりますので、与党の皆さんにも、これは虚心坦懐に御相談してお教えを受けたいと思っております。与えられました時間も参りましたので、一応きょうの質問はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/38
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039・田中角榮
○田中委員長 片島港君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/39
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040・片島港
○片島委員 非常にしろうとくさい質問かもしれませんが、この中で私どもの方で問題になっております点を一、二お尋ねしたいと思います。問題は第五条でございますが、第五条の特定地域に対する輸出入の問題についてお尋ねしたい。御承知の通り中共との貿易は、甲類物資については人為的に制限を受けているわけであります。乙類、丙類の物資につきましてはバーター制によってすでに輸出入の均衡がとられている、甲類について人為的に輸出が押えられている、こういうような場合におきまして、輸出入の均衡をとるために特別の条項をこの法律によって設けなければならぬという理由はどこにあるのでありますか、第一にこれをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/40
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041・大堀弘
○大堀政府委員 輸出入組合の結成の条件の中に入っております輸出入の均衡ということでございますが、これにつきましては、インドネシアあるいは中共のような場合につきまして、国と国との全体の貿易をある程度均衡させなければならない。ほうっておきますればかりにインドネシアの例を申しましても、輸出は出ますが輸入はとまってしまう。中共貿易の場合におきましても、やはり現在はバーター方式によりまして均衡を保っておるわけでありますが、これをやはり総合的に調整して、できるだけ拡大均衡の方向に持っていくという必要があるわけでございます。そういう意味において均衡の必要がある場合にやる、こういう意味で必ずしも一対一できちきちに均衡しなければならぬという意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/41
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042・片島港
○片島委員 その点は、私は、拡大均衡でなくて、むしろ縮小均衡になるのではないかという感じがするのであります。と申しますのは、輸出の方が人為的に押えられておる、そういう場合には、むしろ輸入の方が多くなってくるのではないか。輸出でも輸入でも、少しずつでもふやしていってそれに追いつく、シーソー・ゲームのように伸びていけば拡大均衡ということもあるのでありますが、均衡をとろうと思えば、人為的に押えられている方にこの均衡をとられるために、いつでも消極的に下へ下へと均衡をとられるような結果になるのではないか。多少は間違っていても、輸入が少しでも拡大していけば、それだけ輸出を今度は拡大していくように政府としても努力していくようになるのであって、わざわざ制限されておる輸出の方に、下の方に均衡をとるような結果になってくれば、拡大均衡ではなくて、縮小均衡になってくるきらいがあるのではないか、この点が非常に心配であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/42
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043・大堀弘
○大堀政府委員 本法のこの規定の趣旨は、均衡ということは、先ほど申しましたように、必ずしも厳格な意味での一対一の均衡ということではございませんで、バランスをとっていかなければならぬという意味であります。従って私どもは、運用としてはもちろん拡大均衡にいくように考えて均衡をとる必要があるというふうに考えております。拡大均衡に持っていくという考えではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/43
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044・片島港
○片島委員 そうしますと、別にこの法律が、この二十三条の第一項がなくても現在でもそういうふうにやっておられるわけでありますか。特にこの法律を設けましたのは、やはり輸出と輸入との均衡をとってこうということか特にねらいとしておられるように感ぜられるのでありますが、もしそれを今でもそうやっておるし、この法律を作ってでもそういう拡大均衡に持っていこういうふうに考えておるのだというならば、特別にこんな特定地域、いわゆる中共向けの問題についてこのような条文を置かれなくても差しつかえないのではないか。今でもそうやっておる、今後もそうやろうとしておる、しかし輸出と輸入については均衡をとるというような事柄をわざわざここに文字として現わすというのは、どういうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/44
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045・大堀弘
○大堀政府委員 現在は輸出入組合という規定がないわけでございます。この規定は、新しく輸出入組合が結成できるという法律にいたしたわけであります。輸出入組合を結成する場合の条件といたしまして、その国との貿易バランスということについてバランスをとっていかなければならぬという場合に、この輸出入組合が結成できる。もちろんこれは業者の自主的統制でございまして、業界としては貿易を拡大していくということが本来の利益でもあり、ねらいであるわけであります。従いまして、この規定自身は、法文といたしましては若干誤解を生ずるような感じはありますけれども、この均衡という意味は、縮小してバランスを一対一に合せるためにあくまで押えていくのだという考えでは決してございませんので、要するに、その国との間の貿易について輸出と輸入とをバランスをとりながら拡大していかなければならぬというのです。これはインドネシアの場合も同様でございます。ほうっておけば縮小してしまいますから、むしろ輸出入を調整しまして、輸出と輸入の利益の調整によってこれが拡大できるわけであります。中共の場合も、バーター方式によりましても、現在のトーマス残を特定の人に譲与できるというようなことを考えて操作することによりまして、さらに輸出がやりやすくなってくる、こういうことができるわけであります。そういう意味におきまして、決して縮小という意味ではないというふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/45
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046・田中角榮
○田中委員長 田中稔男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/46
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047・田中稔男
○田中(稔)委員 簡単でありますが、伺います。
政府のこの改正法律案の提案理由説明によりますと、中国が政治的理由により貿易の独占態勢をとっているということでありますが、今日中国との自由な貿易が行われないというのは、単に相手国が貿易の独占態勢をとっているということだけでなく、そのほかにいろいろな事由があると思うのです。そういう事由について政府はどういうふうにお考えになっているか、大臣にお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/47
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048・石橋湛山
○石橋国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がはっきりしませんでしたので、もう一ぺんお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/48
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049・田中稔男
○田中(稔)委員 日本と中国との貿易が自由に行われない事情については、中国側が貿易について独占態勢をとっているということのほかにもいろいろ事情があると思うのですが、それについて一つお考えをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/49
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050・石橋湛山
○石橋国務大臣 これはもう御承知の通り、例の金融の関係がありまして、これが中国貿易に対しては一番の障害をなしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/50
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051・田中稔男
○田中(稔)委員 そのほかにまだあるのじゃないですか。それだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/51
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052・石橋湛山
○石橋国務大臣 並べればまだたくさんあるかもしれませんが、国交が回復していない、従って、正式な通商条約も、あるいは相互の交通も困難であるというようなことが一番障害をなしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/52
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053・田中稔男
○田中(稔)委員 まだ決済問題もあるじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/53
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054・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは国交回復問題に結びつくことと思いますが、これはなかなかむずかしい問題です。向う側の要求は、日本が乗り出してやらないとどうしても中国側では承知をしないというようなふうもありましたので、特にその点がこの間の交渉の際には故障をなしたように思います。もう少し民間の、政府に直接関係のない方法でやってもらえたら、あるいはもう少し考えようがあるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/54
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055・田中稔男
○田中(稔)委員 今のお答えでけっこうだと思いますが、この間、七月二日ですかの朝日新聞によりますと、ココムの禁輸品緩和、中国貿易をソ連並みに解除するという話を通産大臣が記者会見でなさったようですが、これは非常にけっこうだと思います。ところがその後数日しまして、外務省の谷顧問は、ココムに対して禁止解除を申請していないというようなことをやはり新聞記者にお話があったようでありますが、その間の事情でございますね。谷顧問の記者に対する談話について御感想を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/55
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056・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は谷君の談話は見ませんでしたが、どういう意味ですか。これは日本としては絶えずやっているのです。ですから、決してやっていないということはありませんし、特に全般的の解除ということのみでなく、そのときどきの特認を受けるということについては非常に強力に常にやっておりますから、谷君の話がどういう意味でありますか知りませんが、今お話しのようであれば、何か記事が間違っているか、あるいは話し違いであるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/56
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057・田中稔男
○田中(稔)委員 そこで通産大臣としましては、こういう非常に力強い御言明に基いて、何か具体的にアメリカに対して、あるいはパリのココムに対して、交渉といいますか折衝をなさったでありましょうか、その辺のことを一つ具体的にお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/57
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058・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいまのところでは、そういう交渉はどうしても外務省を通じてやることになっておりますので、外務大臣には絶えずその督促をしておるようなわけであります。ただし現在はココムが休みのようでありますから、今は交渉は行われておりませんが、これはもう少し、実は私もそれこそ国会でも済みまして時間ができましたら、その点を一つ強力に推進していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/58
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059・田中稔男
○田中(稔)委員 そうすると通産大臣の記者団に対するお話しは主観的な希望を表明されただけなのでございますか、何か行動の裏づけがあるのでございますか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/59
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060・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは現在のところでは主観的と言われれば主観的であります。ただ希望を述べたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/60
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061・田中稔男
○田中(稔)委員 この第三次の貿易協定には、近い将来支払い協定を締結するということになっておりますが、これにつてもたびたび各種の委員会でお聞きしておりますが、政府としては何ら積極的な御意向がないようであります。鳩山首相は日中貿易については積極的に努力するということをたびたび言明されております。これは内閣の責任でありますが、現在のところ支払い協定締結につきまして通産大臣の御所見はどうでしょうか。現在の御心境を一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/61
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062・石橋湛山
○石橋国務大臣 これはこの間向うから使節団が参りました節も、使節団の人にも非公式に会いましたときに申したのでありますが、この支払いの問題は、何とか今よりはもう少しいい方法をとらないと、お互いに不利益だから、一つ努力してやろう、かように考えておりますが、ただ日本銀行が乗り出せ、政府がこれを保証しろということになりますと、現状においては残念ながら日本政府としてはそこまで乗り込めないというような点があるので、様子を見ておるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/62
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063・田中稔男
○田中(稔)委員 日本国際貿易促進協会から代表者が約五十名ばかり、近く中国を訪問するという計画がありまして、村田会長から中国側に連絡しましたところが、それはおいでいただくのはけっこうだが、それについては国際貿易促進協会、日中議員連盟、それから中日貿易会、こういう団体の代表者を含めた広範な代表団の来訪を希望する、こういうような返電が参りましたことはもう御承知のとおりだと思いますが、その場合に、中国に参ります代表団は、第三次貿易協定の中に、たとえば支払い協定の問題あるいはまた通商代表の問題、その他いろいろな問題があります、そういうことについて歩進んだ具体的な交渉をしたい、一つそういう交渉を使命として来てもらいたい、こういうふうな内容であったと思いますが、政府はこういうふうな中国側の意向に対しまして、どういうふうにお考えになりますか、お聞きしたいと思います。ただ政府として何ら関知しない、それは国際貿易促進協会なり議員連盟のやったことで、そういうことについて中国側との話し合いがどうなろうと全然関知しないというような態度をおとりになるのか、それともそういう中国側の意向に対しては何かこたえるところがなければならない、政府としても一つそれではこれから乗り出してみたい、こういうふうにお考えになるのか。その辺のところをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/63
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064・石橋湛山
○石橋国務大臣 最近そういう交渉が彼我の間にあったということは、実は私は非公式に聞いておりますが、まだ相談を受けておりません。あるいは外務省の方へは何か御相談もすでにあるのかもしれませんが、それは向うから言えば、今度来てもらうのなら少しは具体的な問題が解決できるようにして来てくれというのは当然の話だろうと思うのでありますが、こちらから行くという申し出をした場合に、どういう成算があって村田君の国際貿易の方でそういう申し出をされたのか、実は私聞いておらないのであります。伺いまして、これは日本としても、だれがやったにしても、できるだけのことはやらなくちゃいけないと思いますから、誠意をもって解決に助力はしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/64
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065・田中稔男
○田中(稔)委員 そこに三団体の代表を含めたそういう中国訪問団が出かけるとしました場合、旅券の問題が起ると思いますが、政府としましては、そういう場合には旅券はもちろん交付されると思いますが、一応大臣の御意向を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/65
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066・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは外務大臣の権限ですから、私が交付するとかしないとか言えませんが、先例もあることでありますから、しかるべく取り扱われるものだとは私は想像いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/66
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067・田中稔男
○田中(稔)委員 これは話が少し別でありますが、現在日本と中国の貿易はバーター方式というものを原則としていますが、他の諸国、特に西欧諸国と中国との貿易の方式はバーター方式をとっておりますかどうですか、この点を一つ大堀さんに伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/67
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068・大堀弘
○大堀政府委員 実は具体的に明瞭な調べはございませんけれども、日本側がバーター方式をとっておりますのは、こちらのものをできるだけ買わせるという意味におきましてバーター方式をとっているわけでございます。国によっては、東欧諸国でバーター方式をとっているところも相当ありますが、そういうところはそういう方式をとっていると思います。あるいは英、独等はすでに直接の取引をやっているかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/68
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069・田中稔男
○田中(稔)委員 私の仄聞するところによりますと、イギリスとか西独は、中国貿易においてはバーター式はとっていないということでありますが、二の際日本もバーター方式でなく、自由な貿易の方式をとるというお考えはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/69
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070・大堀弘
○大堀政府委員 私どもといたしましては現在できるだけ貿易正常化の見地からバーター方式というものは縮小して参っておりますけれども、ソビエトでありますとか中共でありますとか、現在はっきりした国交関係もございませんし、通商関係も正式な関係になっておりませんので、こういう国に対しては、やはりやむを御ない方法といたしまして今日までバーター方式によりまして、少くともある時期には輸出と輸入とが決済されていくという形の方式を採用しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/70
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071・田中稔男
○田中(稔)委員 輸出入組合を作って中国貿易の輸出入の調整をやる、こういうお考えでありますが、先ほど帆足委員からも御質問がありましたように、私も現在の段階ではその必要はないのじゃないかと思います。それで現在日本に中国貿易促進のための民間団体がいろいろあると思いますが、その民間団体の名称とか現在の活動状況、そういうものをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/71
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072・大堀弘
○大堀政府委員 現在中共との貿易につきましては、中日貿易会という団体が一つございまして、この団体には相当多くの取引をやっております有力な商社相当多数がこれに参加しておりまして、これがかなり実体的な運営をやっておると考えられます。それ以外にはただいまお話のありました国際貿易促進協会という団体がございますが、現在のところこの二つの団体だけと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/72
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073・田中稔男
○田中(稔)委員 今の中日貿易会でありますが、それは日本の貿易業者を一体どの程度網羅したものであり、そしてその団体の業務はどういう種類があり、そしてまたその団体が扱っておりますその団体の対中国貿易における比重でございますね。どのくらいの貿易量を扱っているか、一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/73
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074・大堀弘
○大堀政府委員 この団体は非公式の団体でございまして、私どもも監督権が特にないわけでございますが、内容について詳細な調査はいたしておりませんが、大勢におきましては中日貿易をやっております相当大手筋その他中堅の、小さい商社もありますが、相当大多数が入っておりますから、その取扱い量が全体の量から言いますと相当大きな量になるんじゃないか、ちょっと今データーを持ち合しておりませんが、相当大きな部分を占める、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/74
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075・田中稔男
○田中(稔)委員 私の聞くところによると、この団体が扱っているのが中国貿易の貿易量の九五%に達しておると聞いておる。しかもこれは中国進出口公司と緊密な連絡もあるし、できましてから数ヵ年の歴史もあります。非常にこれは網羅的な団体で、こういう団体がありますので政府の御提案の中国に関する輸出入組合の任務の相当の部分はこれでやられると思うのでありますが、政府の御感想はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/75
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076・大堀弘
○大堀政府委員 実情は先ほど申し上げました通り、またお話のありました九五%はいかがと思いますけれども、輸入については少くとも相当な部分をやっておると思います。輸出につきましてはかなり業態の幅が広いものでございますから、おそらく業者の数も相当多いわけでございまして、輸出入につきましてはかなり入っていない人もあるんじゃないか。この団体だけでよろしいんじゃないかというお話でありますが、やはりこれは正式の法的根拠を持たない団体でございますので、業界といたしましてはこれに加入をしないという人も相当出てくる場合も考えられますし、やはり法的根拠を持ち、またその中で協定いたす場合にはこれは独禁法の規定にも触れないというはっきりした態勢を作った団体を結成して、それは全業界が入って運営する方がより適切ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/76
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077・田中稔男
○田中(稔)委員 この中日貿易会は、長い間中国貿易のために先鞭をつけて、そして今日の実績を持っており、今は自主統制の主体になっております。ところが最近中国貿易がいよいよ拡大しそうな見通しが、国際的にも国内的にもあるわけです。そして政府がこういう輸出入組合なんというものを別に作ろうということでありますが、私どもはどうもこういう政府の考えは、結局一種の官僚的な考えじゃないか。私どもは自然にでき上ったものを育てていくという、こういう情勢が必要なんであって、長い間いろいろ苦労してこれだけの実績を持ったそういう団体をつぶして、そうして中日貿易を官僚統制のもとに置こうというのは、私は非常によくないと思うのです。この際ちょっとお聞きしますが、この間中国から貿易代表団が参りました際一に、政府は日本貿易会を通じて国際貿易促進協会に対し、関係費用その他に充てるために、若干の補助金を支出されたように聞いておりますが、その補助金を支出する、交付する場合の条件として、輸出入組合を作る、その場合に、その促進協会が政府に協力するということを条件にされたということを聞いておりますが、そういう事実があるかどうか。それからまた一体どのくらいの金額の補助金を出されたか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/77
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078・石橋湛山
○石橋国務大臣 政府からさような金を交付したということもございませんし、従ってその点に何かの条件をつけたということもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/78
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079・田中稔男
○田中(稔)委員 政府から金は全然出ていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/79
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080・石橋湛山
○石橋国務大臣 出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/80
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081・田中稔男
○田中(稔)委員 大臣が出ていないと言えば、それを信用しておきます。その次に中日貿易会というのがあって、総合的な自主統制をやっておるわけでありますが、今度は各商品別に、やはり個別的な自主統制の団体が自然にできておる。これは帆足君もさっき述べられた通りであります。私はそれを具体的に少し聞きたいと思います。現在の自主的にできておる商品別のいろいろな統制団体の動きをわれわれずっと見ますと、何もあわてて輸出入組合を作る必要がないことがはっきりするわけでありますから、それを一つお聞きしたいと思います。
まず米であります。米の輸入につきましては、日本側の関係商社はどういうものであって、どういうふうな形でこの輸入を行われておるか、なるべく詳細にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/81
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082・大堀弘
○大堀政府委員 中共の米につきましては、農林省の食管特別会計が買付するわけでございますので、これは食管の規定によりまして米の指定商社が扱っておるわけであります。現在商社の名前は記憶いたしませんが、十数社あったと思います。これらの業者は、大体におきまして協調いたしまして先方の進出口公司と適正な値段で買付するように取引をいたしておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/82
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083・田中稔男
○田中(稔)委員 中国米を輸入することについては、当初食糧庁では消極的であったそうでありますが、これはわれわれ国会の有志あるいは業界の非常に強い要望でこれが輸入されまして、天津の近くの小姑米あるいは上海近くの常熟米、こういうものが入り、しかもこれが日本人の嗜好に適するような、しかも非常に価格が低廉であって、非常に評判がよかったことは御承知の通りでありますが、こういうものが入りましたために、米の世界的な相場が下落して日本が非常に有利な立場に立ったというような事情もあったということであります。そうしてこれについては、今名前はおあげにならなかったのですが、私どもの聞いておるところによりますと、第一通商とか伊藤忠とか口綿とか日商とか、十幾つの商社が中国米輸入懇話会をちゃんと組織して自主的な統制をやっておる。こういうふうなことを今後ずっとやっていきますと、米の輸入について何も日本として不利なところはない。高い米を買わされるというんじゃなく、むしろ非常に安い、いい米を買ったということで、過去の実績は、米の輸入について何も特別に今輸出入組合なんか作って、法的な規制をする必要はないということは明らかだと思いますが、大堀次長どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/83
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084・大堀弘
○大堀政府委員 現在の制度によりますと、米を買います場合に逆トーマス方式ハーターでやっておりますので、米の取扱い商社が輸出を取り扱うということになっておるわけであります。その場合に、輸出品におのずからいろいろバラエティがあるわけであります。その場合に必ずしも米の商社が扱うことが適当でない、たとえばほかのストレプトマイシンとか、化学薬品とかいったものになりますと、それぞれ専門の商社がおるわけであります。その場合にはその人にまかした方が有利である、適当な売買ができるという場合もあるわけであります。今のままでいきますと、米は米の業界で集まりまして、輸出の場合をあわせ考えた場合に、必ずしも適当なる取引ができないということになりまして、輸出入組合におきましてこれらを総合しまして、輸出は輸出で適当な人にやってもらう、輸入は輸入で適格な人にやってもらう、そこの調整を全体としてやっていくということの方がよりよい取引ができるのじゃないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/84
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085・田中稔男
○田中(稔)委員 塩につきましては年間六十万トンの仮契約ができておるようでありますが、この塩も非常に安いいい塩が入るというので、日本の化学工業で非常に助かるのです。これは一体現在輸入はどういうふうな形でどういう商社がやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/85
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086・大堀弘
○大堀政府委員 塩につきましては現在専売公社が一手に扱っておりますので、専売公社がやはり指定商社を定めまして、現在指定商社は米の場合と同様に、ほぼ業界の集まりがございまして、そこで協調いたしまして先方との取引をするというのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/86
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087・田中稔男
○田中(稔)委員 その中国の塩の値段は非常に安いように聞いておりますが、国際価格と比べてどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/87
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088・大堀弘
○大堀政府委員 FOB段で比較いたしまして、大体国際価格の一番安い線にあると思います。従いましてフレートが安いだけ現状におきましては幾らか安くなる。最近は東南アジア方面の諸国も相当値段を下げて参っておりますので、たとえばタイで最近買い付けておりますようなものは中共塩と大して差のない、低い値段に下げております。しかし全体といたしましては安い部類に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/88
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089・田中稔男
○田中(稔)委員 次は大豆でありますが、これは最近非常に問題になったものでありまして、しかも中国から買う五万トンの大豆の価格は国際価格に比べて相当割高であるというような意見もあったのでございます。しかしメリット加算などをいたしますと、必ずしもそう高いものでもない、さらにまた最近値引きをしてくれるというような様子も見えますので、決してこれはそう高くないと思います。さらにまた中国大豆の輸入というのがほんとうに自由に行われるならば、これは私は値段はもっと下がるだろうと思いますが、中国大豆の輸入について現在どういうふうな状況になっておりますか、一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/89
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090・大堀弘
○大堀政府委員 前会のときに大体申し上げたのでございますが、当初は一般の逆トーマス方式によりまして、大豆五万トンを中共から入れるという発表をいたしたのでありますが、先方は逆トーマス方式に応じない、ストレートの決済でやるというふうに参っておりますので、私どもといたしましては、輸入公表の条件に合致いたしませんので、これは現在まで受け付けておらないわけであります。玄関でお断わりしておるわけであります。しかしながらその後私どもも検討をいたしまして、これは甲類品目であり、見返り物資がおおむね禁輸品目ばかりでありますので、見返り輸出が当面見込みがないということで、先方がこの問題についてどうしても固執するならば、これは一つこの際大豆についてだけはストレートの決済を認めよう。しかしながら値段がFOB四十三ポンドということもございまして、これは私どもは非常に高い値段であるというふうに考えております。現に中共が各国へ売っております値段は、シフで三十八ポンドで売っている例もございますし、さらに三十四ポンド、三十六ポンドという値段もちょいちょい出ておるのであります。従いましてフレートを考えた場合には相当安くてしかるべきであるという判断を私どもといたしましてはいたしておりますので、ストレーではあるが、値段を相当思い切って下げてもらいたい。値段を下げてもらえるならばストレートで考慮しようという考えに立ちまして、今回輸入公表を訂正いたしまして、一般のドル大豆との競争の関係におきましてこれが相当安ければ中共大豆を買いますが、中共大豆は値段が下らなければほかの大豆が入っても差しつかえないという、いわゆるグローバル方式と申しますか、そういった方式で輸入公表を訂正して発表いたしたのであります。現在はそういう段階になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/90
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091・田中稔男
○田中(稔)委員 この大豆、ことに中国大豆の値段の問題は、これはいろいろな特殊な諸条件のもとにおいて輸入されるのでありますから、これについては、これが高いとか安いとかいうことは、一がいにやはり論断できないと思いますが、今の点について私の方には異論がありますけれども、ここでは議論はやめます。
そこで次は製鉄原料の関係であります。鉄鉱石、粘結炭あるいはマグネシア・クリンカー、こういうようなものに対する輸入の状況、それから中国産の製鉄原料の価格は国際的にどうであるか、そういうことについて一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/91
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092・大堀弘
○大堀政府委員 現在までのところ鉄鉱石も粘結炭も入っておらぬわけでありますが、最近先方からぼつぼつオファーもあるようでありますので、内容につきましては値段、品質その他の点を調査いたしております。従来よりは、数年前に比べまして品質もかなりよくなってきております。値段もだんだん乗れるようになっておるようであります。検討の価値ありと考えております。現在のところ、なお研究いたしまして、検討の上で結論を出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/92
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093・田中稔男
○田中(稔)委員 この粘結炭なんかにつきましては、もちろんメリットの問題もありますが、今フレートが非常に高くなっておりますから、中共からの開らん炭でも入れるということは、非常に日本の製鉄業にとって有利であるということは、これは明らかであると思います。ことにマグネシア・クリンカーというようなもの、昨年一年間に輸入したマグネシア・クリンカーについていいますと、日本はほかの産地から買うよりも大体一億円ぐらいは日本に有利になったというようなうわさも聞いておりますが、そういう点についてはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/93
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094・大堀弘
○大堀政府委員 マグネシア・クリンカーを輸入しております。それで私も値段の点でどのくらい差があるか、ちょっとデータを持ち合せておりませんから詳細に存じませんが、品質、値段も合理的なものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/94
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095・田中稔男
○田中(稔)委員 次に、今度は輸出の方でありますが、硫安の輸出は中国として幾らでも買いたいということでありますが、ただ日本の方であまり出せないというわけです。その輸出の値段なんかも決して安いものじゃない。むしろ相当いい値段で出ておると思います。その点について次長の御所見を聞きたいし、どういう商社でどういう、ふうな形でこれを輸出しておるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/95
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096・大堀弘
○大堀政府委員 硫安につきましては、昨年度は大体尿素系肥料を含めて九万トン近く出ておると思いますが、値段も一般の輸出価格六十二、三ドルで、必ずしも悪い条件ではございませんが、一般の輸出に比してほぼ妥当な値段で輸出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/96
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097・田中稔男
○田中(稔)委員 そのほか各種の化学製品が出ておるようでありますが、そういうふうなものもやたらに不当な競争をして、そうして安くたたき買われているというようなことは私はないと思いますが、一般的に化学薬品全体について私のそういう所見は正しいかどうか、一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/97
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098・大堀弘
○大堀政府委員 その他の化学薬品等につきましては、比較的先方の要望の多いものにつきましては、いい条件で買っておるわけでございます。現在先方は雑貨等の要らないものは買わない。薬にしましても、ストレプトマイシンとかペニシリン、あるいは化学薬品にしましても、工業原料になります緊要な品物は相当買っておるわけであります。これらの品物はかなり適正な値段で買うわけでありますが、先方があまり希望しないものということになってくると、自然値段はたたかれる。人絹その他になりますと、相当値段は悪くなってくる、こういうのが全体の傾向かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/98
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099・田中稔男
○田中(稔)委員 最後に一つ、人絹糸は相当たくさん出たわけでありますが、これは日本の方で火曜会というような団体を作って、そうしてむしろ値段をつり上げた、そのために日本は輸出の機会を失ったということも聞いております。むしろ幾らかつり上げてそういうことになったわけで、妥当な国際価格で売っておれば日本の品物はもちろん大量に出た、こう考えられるのでありますが、そういうふうな私の聞きましたところについて一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/99
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100・大堀弘
○大堀政府委員 人絹糸につきましては、これはイタリアその他競争国がございまして、必ずしも日本から昨年まで買っておらなかったのでありますが、私どもは逆トーマス式の残を相当強硬にがんばってもらいまして、人絹糸が昨年ようやくできたわけであります。最近も若干あるようでありますが、値段の点はこちらがつり上げたといいますよりも、かなりたたかれているというふうに見るのが妥当じゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/100
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101・田中稔男
○田中(稔)委員 いろいろまだこまかく聞きたいと思いますが、全体を通じまして日本が中国に物を売る、あるいは中国から物を買う場合に、安く売って高く買っておるというような事実は私はないと思います。今次長の御答弁の中には、必ずしもそうでもないというようなお話もありましたけれども、私がいろいろ聞いたり調べたりしたところによりますと、そういう事実はないと思うのです。そうしてそれぞれ商品別に業界の自主的な統制ができておりまして、特に輸出入組合を作って統制をしなければならぬという事情はない、こういうふうに思うのでございます。それで結論としましては、私どもは輸出入組合を今日の段階において作ることは反対でありますが、私の質問は一応これで終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/101
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102・田中角榮
○田中委員長 帆足君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/102
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103・帆足計
○帆足委員 時間もありませんので、ごく簡単に緊急のことをお伺いしたいと思います。それは一昨日来新聞に出ておりますように、今全面的に中国との貿易が決済のために途絶しておる状況であります。特にことしの塩六十万トンの輸入は、今夏場の出盛り期で急いで輸入いたさねばなりません。これも途絶いたしております。これにつきましてやっと事態の真相がわかったのでありますが、日本側からも、先般の交渉のときに、LCに見返り物資の約束を書きますことは、手続が煩瑣でめんどうくさいからやめようということが、多少不用意にも発言されました。中国側から参りました電報も、中国銀行がLCにそれを書くことは重複して手続上めんどうだからといって拒絶する。そこで個別商社に対する塩をこれだけ日本が輸入すれば、見返りのものは六ヵ月以内に必ず中国側は買いますという証書を入れるから、それをもってバーターの条件にしてもらいたいという電報が重ねて参っております。甲類物資の大豆につきましてはいろいろ困難な事情がありますが、乙類、丙類物資については見返りの品物が丙類ですから、大体円滑に近い状況になっております。従いまして乙類、丙類物資については、私は現在の取引方法で為替管理上当局が非常に御迷惑をこうむるということはなかろうと存じますので、こういうことにしたらいかがかと思います。今全面的に貿易がストップして、商社は非常な苦労をしておる。それから塩のような季節的な商品をそういう小さなことのために買い先を切りかえるということも好ましくないことであります。いわんやバーターでかわりの輸出が可能なわけでありますから、私は解決案としてはこうすることが妥当ではないかと思います。第一には、これは相互の話し合いが不十分のために起った事件であって、別にイデオロギーの問題でもない。それで向うとしては商社あてに別々のものを六ヵ月以内に買うという証書に判を押して送ってくる、こういうわけですが、その上にもう一つ、多少第三者の保証にもなるような、銀行のLCにそのことを書き込む、それは煩瑣だからかんべんしてくれ、こういうわけですから、こちらの方でもいろいろのことを相談したいが、それまでの間LCに書くことは従来通りにしてくれないかということを重ねて申してやってもけっこうでありますが、それがさらに困難であれば、個別商社に対して約束いたしましたことは、相互に誠意を持って実行しますということを国際貿易協会なり議員連盟なりに、総合的に向うからも一つ電報なり書簡なりを届けてもらう、そしてさらに公けにこれを確認する。そういうことによって見返りのものは必ず買うという商社への一札をさらに総合的に確認するという方法を協会または議員連盟でもって側面からあっせんして、政府当局の責任が遂行されるようにするということで、この問題を解決していただきたいと思います。この御提案だけでは大臣は御納得できないかもしれませんが、これは新聞にも大きく出ております問題で、今全部の商品が一ヵ月ストップしていう。これは小さな技術的問題ですけれども、大へんな問題です。だからこれは大堀さんの立場から、現在まだ大豆を中心にした逆トーマス方式が全面的に実行されておりませんので、慎重な態度をとられることはわれわれも了承いたしますけれども、こういう技術的問題でこの問題をただ放置さして貿易の支障になっておりますことは望ましくありませんから、一つ第二、第三の代案を出して、大臣が納得される条件でこれをしていただかなければならぬと思います。多少政治的な問題もありますから、一つ通産大臣の方で良識ある解決促進方の御協力、御指導をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/103
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104・石橋湛山
○石橋国務大臣 技術的にはなかなかめんどうな問題で、今まで例があるようでありますから、なおよく研究しなければ、今の御提案に全面的にイエスとかノーとか申し上げられませんが、しかしできるだけ御趣旨に沿うような方向にいくように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/104
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105・帆足計
○帆足委員 私どもの方も与党の皆さんと相談して、イデオロギーの問題でありませんから、超党派的に直ちに代案を審議して提出いたしますから、一つ大臣の念頭にとめおいていただきたい。少くとも今週中に解決するようにお取り計らい願います。この炎天で塩が非常に機熟しておりまして、雨が降ったら塩が解けますから、よろしく願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/105
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106・田中角榮
○田中委員長 この際お諮りいたします。繊維製品品質表示法案及び輸出入取引法の一部を改正する法律案につきましては、各党申し合せの質問時間も終了し、おおむね質疑も尽したようでありますので、この際両法案に対する質疑を打ち切りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/106
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107・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/107
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108・田中角榮
○田中委員長 次に、先般電源開発、特に西吉野の発電問題について、佐々木委員から大臣に対し質疑がなされたのでありますが、答弁が保留されております。この際これに対する大臣の答弁を伺うことにいたします。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/108
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109・石橋湛山
○石橋国務大臣 この前ここに出席しましたときに御答弁しようと思ったのですが、ちょうど佐々木委員が見えなかったので、そのままにしておきました。お尋ねのあの問題の事情はよくわかりました。そこであれは佐々木君御承知のことと思いますが、和歌山県の方で一つの条件をつけて、それがすぐにのめない関係からごたごたしておるのでありますが、しかしこの間のお話の三千万キロ程度の発電をする水を、現在あの西吉野の第二発電所ですか、あそこへ流すことは、これは必ずしも和歌山県の了解を求めずともできることであります。しかしあそこの全体の電源開発の関係上、和歌山県と無益の摩擦を起すことも好ましくありませんから、ただいま建設省にも話しまして、その調整をはかっております。私は大体今月一ばいくらいその調整をはかって、それでもどうしてもうまくいかなければ、もう奈良県だけの関係によって、和歌山県との交渉のいかんにかかわらず、とにかく第二発電所には水が入るようにいたしたい、かように考えて今建設省とも申し合せておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/109
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110・前田正男
○前田(正)委員 ちょっと関連して。これは私の選挙区ですから質問したいと思いますが、今の御答弁のようでありますけれども、これで一つ問題があるわけです。それは奈良県から和歌山県に話をいたしまして、なるべく和歌山県の方で話をまとめてもらいたいと思っておりますけれども、しかしそれはただまとめるといってもまとまらない。実際あの問題は何かというと、熊野川の開発問題があると思います。だから私は骨折って熊野川開発問題をこの際電源開発審議会の審議に入れて、準備地点になっておりますのを着工地点にしたらどうか、着工地点になれば、この電源開発からそれに対しまして熊野川の水利権の申請をする、そうすると三県はそれに対して条件をつける、その条件に補償の同時解決とか道路の問題とか、四つくらいの問題をあわせて解決することにして、この分水の問題は熊野川の方の開発の問題の補償の方に持っていくように、一つそういうふうに奈良県を指導し、それから和歌山県にも了解してもらって、熊野川のときにその話し合いをつけるようにしたらどうかという話を進めておったんです。ところがこの間から聞いておりますと、十二日に審議会を開いたそうですが、それには話がつかないから着工地点にはしない、こういうことで政府はやめたらしいのですが、われわれは非常に残念に思っております。話がつかないということじゃなしに、準備地点を着工地点にするということは、ことしは調査費も出ておるし、すでに補償の話も出ておりますから、この着工地点にすることは別に話がつかなくてもいいのではないか、着工地点にされて、そして電源開発の方が申請をして、熊野川の電源開発の方が権利を三県に申請をして、これに対する三県の話し合いとして、奈良県が中へ入って、和歌山県としてはこの分水の条件を熊野川の条件に譲っていったらどうか、こういうふうに話し合いを持っていこうとしておるのですが、着工地点にしなければ、分水の条件を熊野川の開発の条件にするのだと和歌山県は言うけれども、政府がそういう着工を認めないものを、そういうたよりないものに譲るわけにはいかないという話になっております。現在の西吉野の発電の条件を準備地点の方へ肩がわりしろといっても、その準備地点の方ははっきりしないのじゃないか、こういうことになりますから、これはやはり着工地点にして、そうしてその着工地点の条件ということにすれば、私はその話合いがつくのではないかと思う。ところがまたその着工地点も三ヵ所ありまして、道路に関係した方と、関係のない地帯と両方ある。どっちの方からかかるかということ、どの地帯から始めるかという問題についても、また問題がありますから、県としては、三ヵ所のうちどこから始めるかということは政府にまかすけれども、補償は同時に解決する、道路の問題も一あわせて解決するという話にしたらどうか、電源開発の幹部の方は補償を同時に解決するということについては大体賛成しているように思います。思いますから、ぜひこの際この問題については一つ着工地点にして、和歌山県が不安を持たないようにして、奈良県が中にあっせんに入って、話し合いがつくようにしていただいたらどうかと思っておるのですが、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/110
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111・石橋湛山
○石橋国務大臣 この着工地点の問題は、資金の関係があってちょっと今むずかしいのです。そこでひっかかっておるのは道路のようでありますが、道路の問題は和歌山県の方と今十分話し合い、建設省も間に入りまして、建設省と電源開発会社等と話し合いをして今調整をいたしておりますから、何とか話し合いがつくのじゃないかと思いますが、なおこの上とも御尽力を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/111
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112・前田正男
○前田(正)委員 道路の問題は簡単に話がつかないのです。それは今申しました補償の問題ですから、これは熊野川の補償の方にしなければ、西吉野の発電では、その道路費を電源開発が負担するという予算の出しどころがないから、通産省では反対しております。そこでやはり熊野川の方の発電ならばこれからやるわけです。しかもことしは調査費その他の金を組んでおるわけですから、来年度から着工地点については着工するから来年から工事の促進に努力するわけで、しかもこの道路は毎年公共事業費でもって道路局で進めておるわけです。それを促進するように来年から熊野川の方をやろうということにしない限りは、幾ら大臣にお骨折りを願っても、西吉野の発電所の開発の費用でもって出すということはむずかしいと思います。やはりこれは熊野川の問題になると思います。この熊野川の方が資金の関係で着工地点にできないというお話でありますが、そんなことはありません。今までの例を見ても、そういう資金がつかなくとも着工地点になったのがほとんどです。工事費がついてから着工地点になったというのは今までないことですから、一つ大臣政治力を発揮されて、こういうことで問題になってくると困るから、しかもことしは調査費もついて、その調査費の一部は、この間の十二日の話を聞きますと、補償の費用として払ってもよい、いわゆる工事費の一部に該当してもよいというくらいの話し合いを審議会でされておるそうでありますから、そこまでついておるものを着工地点にするということは、今までの例からいって一つもむずかしくない。大蔵省が何と言ってもむずかしくないのですから、大臣は政治力を発揮されて、この着工地点に関しては和歌山県の安心がいくように、この補償の問題が解決できるように御尽力願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/112
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113・石橋湛山
○石橋国務大臣 これは経審も関係しておりますので、そういう前田君の言われるような処置がとれるかとれないかわかりませんが、なお一つ研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/113
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114・佐々木良作
○佐々木(良)委員 この問題は、総合開発計画を立案する機関はあるけれども、実際に施行する機関がない、それが非常にまずくいっておる例で、従ってまずくいっておるこの例の始末をどうするかということで御質問したわけであります。牛後に総合開発に関する小委員会があるそうでありますから、質問はその方に移していただいた方がよいと思います。時間もこういう状態であるので、ここでは省略いたしたいと思います。
ただ大臣の御答弁によりますと、八月一ぱいまで調整に時をかけてみて、できなければ云々というお話がありましたけれども、この発電所が六月中旬にでき上ることは三年前からわかっておった話で、そうしてでき上ってから水がたれ流しになっておることもわかっておるので、その話が出てから二ヵ月もたってもほっておくということは、これは国家の経済上これ以上の不経済なことはないと存じます。この二ヵ月間ほっておけば、これは今水がかれておりましょうが、少くとも毎日四、五万キロワット・アワー分ずつちゃんと水が流れておるのですから、二、三百万キロワット・アワーというものがほんとうに水のまま流れてしまう。金にして七、八百万円が流れてしまうと思います。従ってこの問題は、そうゆうちょうなことを言わずに早急に御処置のほどをお願いいたします。なお、この問題と密接不可分の関係にあります本論は、今前田さんからお話しがありましたが、前田さんの着工地点の前に今度は猿谷のダムの完成期をめぐって、第一発電所と第二発電所と二つ合わせて能力を発揮するかしないかという問題、それから今度は下流の農林省の開田計画は、すでに九千町歩のうち一千町歩の開田の仕事を済ませて、水の来るのだけを待っておる。発電所ができ上って、水が通らないために、非常に不経済な状態にあるのと同じように、下流の開田計画は水路を作って待っておるのにかかわらず水がこないという状態になっておりますので、一つ慎重に考慮の上早急に御措置をお願いしたいと思います。この問題については午後高碕経審長官もおいでになるそうでありますから、立ち会いで一つお話しを進めてもらいたいと思います。午後の小委員会に移したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/114
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115・田中角榮
○田中委員長 本日の会議はこの程度にとどめます。次会は明十四日午前十時より開会いたすこととなし、本日はこれをもって散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X04119550713/115
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