1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十五日(水曜日)
午前十一時十五分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 池田 清志君 理事 古井 喜實君
理事 鈴木 直人君 理事 前尾繁三郎君
理事 加賀田 進君
亀山 孝一君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
青木 正君 熊谷 憲一君
灘尾 弘吉君 山崎 巖君
吉田 重延君 川村 継義君
北山 愛郎君 五島 虎雄君
坂本 泰良君 中井徳次郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
参 考 人
(地方財政審議
会会長) 松隈 秀雄君
専 門 員 有松 昇君
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六月十五日
委員安藤覺君辞任につき、その補欠として纐纈
彌三君が議長の指名で委員に選任された。
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六月十四日
地方財政再建促進特別措置法案(内閣提出第一
一号)
同 日
クリーニング業に対する事業税軽減に関する請
願(松本俊一君紹介)(第二一六一号)
同外一件(赤松勇君紹介)(第二二二〇号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二二二一号)
同(島村一郎君紹介)(第二二二二号)
地方自治法の一部改正反対に関する請願(中馬
辰猪君紹介)(第二一六二号)
同(原捨思君紹介)(第二一六三号)
同(下平正一君紹介)(第二二一九号)
軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する
請願(小坂善太郎君紹介)(第二一六四号)
同外一件(植木庚子郎君紹介)(第二一六五
号)
同(奧村又十郎君紹介)(第二一六六号)
同(加藤精三君紹介)(第二一六七号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第二一六八号)
同(長谷川四郎君紹介)(第二一六九号)
同外一件(宮澤胤勇君紹介)(第二二二四号)
同(原健三郎君紹介)(第二二二五号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第二二二六号)
同(小笠原三九郎君紹介)(第二二二七号)
同外一件(吉川久衛君紹介)(第二二二八号)
地方交付税のわく増額に関する請願(下平正一
君紹介)(第二二一七号)
地方財政再建促進特別措置法案の一部修正に関
する請願(下平正一君紹介)(第二二一八号)
クリーニング業に対する事業税軽減等に関する
請願(小坂善太郎君紹介)(第二二二三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方財政再建促進特別措置法案(内閣提出第一
一五号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八四号)
昭和三十年度地方財政計画に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
まず昨十四日本委員会に付託せられました地方財政再建促進特別措置法案を議題として政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。川島国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/1
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002・川島正次郎
○川島国務大臣 ただいま議題になりました地方財政再建促進特別措置法案につきましては、昨日本会議におきまして概略御説明申し上げたのでございますが、ここに提案の理由及び内容につきまして重ねて御説明申し上げます。
地方財政は漸次窮状を加え、昭和二十八年度決算におきましては、道府県の約八割、市の約七割、町村の約二割に達する千七百二十四団体が実質上の赤字決算を行なっている状況であり、昭和二十九年度におきましても、なお、実質赤字額は増加せざるを得ない状況であります。これらの累増した赤字は地方団体の財政を圧迫し、ますます地方財政の苦境を招くようになるのでありまして、政府は、この事態を打開するため、とりあえずすでに生じた赤字の解消整理に重点を置くこととし、地方制度調査会の答申及び前年国会において継続審議になりました地方財政再建整備法案の構想にのっとり、赤字の整理を行うことといたしたのであります。これが本法案を提案する理由であります。
次に本法案の内容につきまして、御説明申し上げます。赤字地方団体の赤字の整理は、昭和二十九年度において赤字を生じた地方団体が、その議会の議決に基き、財政再建計画を定め、自治庁長官の承認を得た場合において、財政再建計画の誠実な実行を条件として、特に歳入欠陥補てん債の発行を認めるという方法に上り行うことといたしましたが、このような方式による財政の再建を行うといなとは、赤字地方団体が自主的に決定することといたしております。
まず財政再建計画でありますが、財政再建計画は、歳入欠陥補てん債の発行により過去に生じた赤字を一応たな上げし、自後における財政の計画的運営によってその元利金を償還し、おおむね七年度以内に収支のバランスを回復することを目的として作成することといたしたのでありますが、その樹立に当っては、既定経費の節減、既存収入の確保に重点を置き、これによってもなお、財政再建計画が立たないときは、現行制度のワク内において租税の増収をはかることといたしました。
この場合歳入欠陥補てん債は、財政再建を行う団体すなわち財政再建団体の実質赤字のうち、必要額について認めるものとし、別に財政再建計画に基いて支払う退職金の支出に充てるため、地方債の発行を許すこととするとともに、これらの地方債所謂財政再建債のうち公募分については年六分五厘をこえ、年八分五厘に達するまでの部分について国が利子補給を行うこととするほか、財政再建債消化促進審議会を設け、公募分の消化について遺憾なきを期するとともに、右による公募債はなるべくすみやかに政府資金に借替えることといたしました。
次に、財政再建計画の円滑な実施を担保する等の見地から、財政再建団体における長と各種行政委員会、長と議会との関係等につきまして、若干の特例措置を設けることといたしました。すなわち、財政再建団体においては、他の法令の規定にかかわらず、部局等の数を減じ、あるいは、長の部局の職員と委員会等の職員とを兼ねさせて、行政の簡素化をはかることができるものとし、また府県教育委員会と管下市町村教育委員会との間の調整措置を講じ、長は、予算の調整については財政再建計画に従わなければならないものとするとともに、財政再建計画の策定及び実施に関して長の提案が根本的に議会の同意を得られない場合に、両者の間の意見の調整をはかるために必要な規定を設けることといたしたのであります。さらに、財政再建団体中財政の再建に長期を要する団体等については、その住民福祉の確保を考慮し、このような団体の行う国庫補助負担事業のうち一定のものについては、地方負担軽減の道を開き、所要事業の施行に遺憾のないよう措置することといたしております。
第四に、財政再建団体については、その財政再建に関し、特に政府が赤字債の引き受け、利子補給等各種の便宜を供与していることにかんがみ、財政再建団体が財政再建計画に反する財政運営を行なった場合に限り、これを是正するために、政府において、必要な措置をとることができるものといたしました。
なお、赤字地方団体の中でも、その赤字額の小額のもの等におきましては、この意思により、自由的に財政再建の措置をとる団体もあるのでありますが、これらの団体につきましても、せっかくの財政再建計画の達成を可能ならしめるよう各種の面において配慮する必要がありますので、昭和二十九年度において赤字を生じた団体をも含め赤字地方団体が自主的に財政の再建を行う場合においては、歳入欠陥補てん債の発行、監督及び国庫補助負担事業についての特例規定を除き、財政再建団体に関する諸規定を準用することといたしました。
以上のほか特に最近の地方財政衷情にかんがみ、その窮状の打開に資するため、一般に地方団体は、当分の間、地方債をもって退職金の支払い財源に充てることができるものとするとともに、地方団体が国またはその機関に対する寄付金等を支出することは、特殊の場合を除き、当分の間禁止することとする等の特例措置を講ずることといたしたのであります。
以上が本法案の内容の概略であります。
何とぞ慎重御審議の上、本法案制定の趣旨に賛同せられ、すみやかに可決せられんことを希望いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 これをもって説明を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/3
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004・大矢省三
○大矢委員長 次に、昭和三十年度地方財政計画に関する件について調査を進めます。
本日は、さきの委員会において決定いたしました通り、地方財政審議会会長の松隈秀雄君の出席をお願いいたしておりますので、その参考意見を聴取することといたします。松隈参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/4
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005・松隈秀雄
○松隈参考人 私は地方財政審議会の会長の松隈であります。
今日この委員会にお呼び出しになったということは、地方財政審議会が昭和三十年度の地方財政につきまして、去る四月十三日に意見書を発表いたしましたので、その経緯について説明せよということであろうと察しまして、その間の事情を一応説明申し上げたいと思うのであります。
地方財政審議会といたしましては、地方団体の赤字につきましては、かねてより非常に憂慮いたしておるのでありまして、先ほどお話のありました通り、昭和二十八年度の決算におきましても約四百六十億円の赤字を生じておるというような状態でありますので、地方財政の窮乏打開のためには、かねてからいろいろ苦心いたしまして研究している次第でございます。たまたま本年度の予算案決定の途中におきまして、昭和三十年度の国庫予算案及び昭和三十年度の地方財政計画に基きまして、地方財政審議会が従来の地方財政計画策定の要領によりまして、明年度の地方財政計画の規模を推計いたしましたところ、当時の状況におきましては、歳出が概算して九千七百五十五億円、これに対して歳入の概算が九千六百九十七億円となりまして、地方交付税の交付団体におきまして百五十三億円の財源不足を生ずるというような一応の計算が出たのでございます。この計算は、従来指摘されております給与費とか恩給費とか、あるいは国庫補助単価の不適正に基きますところの不足額、いわゆる適正規模の是正を行わない、こういう建前のもとに計算をいたしまして、なおかつ交付団体におきまして百五十三億円の財源不足を見るというような一応の見通しになったのであります。その当時におきまして、もし二十八年の決算を分析して、それに基く財政規模の改訂を行うといたしますと、地方交付税の交付団体の赤字は百五十三億円ではなくて、四百五十七億円に達するのではないか、かような見通しになりましたので、事態容易ならざるものと考えまして、ぜひ国と地方とを通じて健全財政を確保するという意味におきまして、さしあたり少くとも第一案に示してあるところの財源不足の百五十三億円につきましては、この際所要の財源措置を講じてほしいものである、なお第二案において考えましたような四百五十七億円の財源不足を埋めるということは、国家財政の現況にかんがみてこれは容易でないというふうに考えたのでありますが、たまたま政府におきましても、今秋の給与調査の結果を待って、その点に関する是正を考慮するという御趣旨がうかがわれましたので、この点はできるだけすみやかに、給与調査の結果等と相まって所要の措置を講ずることを希望する、こういうことに地方財政審議会の意見がまとまりましたので、四月十三日に意見書といたしまして発表いたした次第でございます。
その結果、自治庁長官も非常に御尽力になりまして、当時予算折衝の中途でありましたので、公債といたしまして六十億円の増加計上を見ることになり、さらに入場譲与税におきまして、前年は九割でありましたのを、本年は十割に変えるということに上りまして、約十三億円ほどの財源が補てんされる、こういう結果になったわけであります。これは手前みそのようでありますけれども、地方財政審議会が赤字財源の補てんについて意見を発表した点もあずかって力があるかと思うのであります。百五十三億円の財源の不足を起こさしたのに対しまして公債で六十億円、入場譲与税で十三億円ほど増されたのでありますが、なお検討いたしまして、当時の計画におきましては単独事業の節約というのを一応計画の中に入れてございましたが、単独事業の節約ということは不確定要素もあるし、また一般公共事業の節約とも関連があるので、これを一応ワク外に出すというようなことで計算をし直してみますると、昭和三十年度の地方財政計画におきまする地方交付税の交付団体の財源不足分は一応百四十一億円ほどになる、こういう計算が出たのでございます。これに対しましては世間で議論がありまして、地方財政計画が当初から赤字のまま発表されるということは、世間に与える影響が非常に大きい、こういう議論も出ました。さらに地方財政計画が再検討されまして、一ぺんワク外に出しました単独事業の節約あるいは公共事業の重点的施行によります施行の抑制等をおもなる変更要素といたしましてそのほかに寄付金の抑制によりまする寄付金の減少を見込んだり、あるいは歳入の面で不交付団体から交付団体に地方債を十億移すというような計画がえをいたしまして、現在出ておりまする地方財政計画におきましては不交付団体も赤字が出ない。歳入歳出の総計は九千七百六十一億四千六百万円ということになっております。その後予算の国会修正に基く変更で、ただいま申し上げました歳入歳出九千七百六十一億四千六百万円というものは、九千八百二十九億一千九百万円に変更になっておることは御承知の通りであります。
以上のようなことが、大体予算の審議過程において地方財政審議会が昭和三十年度地方財政計画について意見書を発表いたしましたこと、及びその後予算の経過に従って地方財政の財源についてある程度の補てんが行われましたこと、それからこれを基礎といたしまして地方財政計画がその後組みかえをされたということの実情でございます。
なお地方財政審議会といたしまして心配いたしておりますることは、このでき上りました地方財政計画によって、万一にも実施不可能な経費の節約を地方団体に押しつけるというようなことになるのではないかということ、あるいはまた地方団体が非常に単独事業の抑制、それから公共事業の抑制というようなことの結果、地方団体の機能を非常に低下せしめるおそれはないか、かようなことについて心配をいたしておる次第でありまするが、一方地方団体と国家財政とを通じて、この際財政規模の圧縮、経費の重点的施行、こういう面も考えなければならないわけでありますので、この際地方団体がやはり自己の行い得る範囲内において極力行政機構、行政事務の簡素合理化をはかりまして、赤字の出現することを食いとめるようにという希望も強く持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/5
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006・大矢省三
○大矢委員長 北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/6
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007・北山愛郎
○北山委員 きょうはわざわざ審議会の会長さんのおいでを願いまして、いろいろ御意見をお伺いすることはまことに御苦労様でございます。
ただいまお話しの通り私どもが地方財政審議会の方からお伺いしたいのは、主としてことしの地方財政計画が実態と非常にかけ離れておる。そこでこのままでいくならば、地方財政というものは、本年度だけを考えましても非常に困るのではないか、こういうような趣旨から一つ四月十三日に意見書を出された審議会の御意見をこの際いろいろお伺いしたい、かように考えておるわけであります。従っていろいろお伺いしたい点もたくさんありますが、ただいまことしの四月に出されました意見書を中心として、大体のところはお話しをいただいたわけであります。そこでまず第一にお伺いをしたいのは、この意見書が出されましたが、しかしどうも自治庁として、政府の方ではこの意見書をちっとも採用しておらないのではないか、こういうふうに思われます。ただいまお話しの通り従来の地方財政計画の作り方によってやったとしても百五十三億の赤字が出る。しかも従来の昭和二十八年度の決算等を基礎として作った場合には四百五十七億円という違いが出てくるのだ。であるからしてこのままでいくならば、地方財政は非常に窮迫をし、無理な節約をしいて、その機能というものが停滞してしまう。だからこれは適当でない。こういう診断を下しておるわけでありますが、この意見善を出されたのに対して、政府の方としては少しもこの意見書を採択しておらないのではないか、こういうふうに思うのですが、その点について会長さん、並びに自治庁長官の方から御意見を承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/7
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008・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいまのお尋ねでありますが、先ほど御説明中にも申し上げましたように、意見書を出したが少しもその意見が採用されなかったのではないかというお尋ねは、少し当っていないかと思うのであります。意見書は予算案の最終決定の前に出されたのでありまするが、予算案として閣議決定を見るに至りました際におきましては、先ほども申し上げましたように、地方債といたしまして、公募公債ではありますが三十億円と、それから赤字団体以外の地方団体が人員整理をする等のため必要と認められる退職金に充てまする財源として三十億円、合計地方債を六十億のワクを設けてもらいました。それから入場譲与税におきまして十三、四億円の増収ということになりましたので、その部分は確かに自治庁長官の御努力もあり、地方財政審議会の意見が一部容れられた、こう申し上げて差しつかえないと思うのであります。ただ後の部分の既定財政規模を是正するということは、これは相当財源を要することでありますし、この既定財政規模を是正いたします中心になりますものは、先ほども申し上げましたように給与費、恩給費の予算単価の食い違いということでございます。これはもうすでにお聞きになったと思うのでありますが、昭和二十六年に地方団体の具体的な実施計画を考慮しないで、予算上の給与費の単価を切り下げたというところに、実行して参ります財政運営と地方財政計画との食い違いが生じておるのであります。そこに確かに根本の原因があるのでありますが、そのほかに、それに便乗してといっては言い過ぎかもしれませんけれども、そう認められるような地方団体における給与の引き上げ等もございました。ここで予算単価を全面的に是正するということになりますと、予算単価の不適正なものを合理化すると同時に、便乗して給与を引き上げたというようなものにまで財政措置をする、こういうことになるので、その点は国家財政と関連いたしまするが、また行き過ぎであるということも考えられまするが、そういう点は給与調査を行なっておりますので、その調査の結果が明らかになれば、実態が明らかになるだろう。その実態を明らかにしたところによって、ただいま申し上げたような真に国の財政措置が悪い部分、それから地方団体の財政運営のまずかったというような部面等もはっきりいたしますので、その方がよかろう、かようにも考えましたので、地方財政審議会といたしましては、その点の問題、つまり既定財政規模の計画ですか、その大部分は今申し上げた給与費を中心とする規模の是正でありますので、それはむしろ報告にも書きました通り、今秋の給与調査の結果を待って、なるべくすみやかに所要の措置を講じてほしい、こう申し上げたのであります。その点の意見は自治庁長官も大いに尊重して下さる、かように存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/8
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009・川島正次郎
○川島国務大臣 三十年度の予算の編成に当りましては、地方財政審議会の答申を十分尊重いたしまして、政府としましては地方財政計画の策定をいたしたのでございます。二十九年度に比較して三十年度におきましては、これは既定の事実では法律に規定されておるんですが、交付税におきまして百三十億、たばこ益金からして交付税特別会計へ三十億、入場譲与税におきまして、従来国が取っております十分の一に当る十二、三億、さらに三月分はこれを翌年度に繰り越すことになっておりますが、これを繰り上げて特に三十年度は国から地方に回してもらうことにしまして、これが十億円以上あります。これらの措置を取りあえずしたわけでありますが、何といたしましても地方財政の赤字は、長年にわたる蓄積の結果でありまして、きわめて深刻なものがあり、三十年度限りではとうてい解消ができないのであります。先般来たびたび申し上げておるのでありますが、ただいま会長からもお話がありましたように、近く決定が出ます国家公務員、地方公務員通じての、公務員全体の給与実態の調査の結果を見ること、もう一つはただいま御審議を願う地方財政再建促進特別措置法によりまして、地方が再建計画をはっきり立てますると、地方財政の実体がここに明白になるのでありまして、この方面も参考としまして、果して地方財政の今後のあり方はどうあるべきか、これに対して国家はどういう措置をすべきかということを慎重に勘案をいたしまして、三十一年度におきまして根本的な地方財政の合理化、健全化をはかろう、こういう方針でありまして、私どもといたしましては、もちろん地方財政審議会の答申というものは十分尊重いたしまして、三十年度予算にも臨みましたし、今後の地方財政の運営に当りましても審議会の御意見は尊重してやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/9
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010・北山愛郎
○北山委員 ただいまのお答えでございますが、三十年度においては入場譲与税や起債の面においては政府の方でも意見書の趣旨を尊重した、こういうようなお話ですが、しかしこれは当然二十九年度に比べてまた新しく財政需要がふえて参る、たとえば公債費元利償還が百十八億、あるいは警察費の平年度の需要増というようなふうに当然にふえて参るものがあるわけです。それに対してすら今長官並びに会長がお話しになったような財源措置を講じた、その分は三十年度でふえる分にも足らないじゃないかと考えるんです。従って過去の赤字あるいは四百何十億というような食い違いを埋めるということにはもちろん役に立たない。わずかばかりの努力でしかない、かように考えるのであります。しかも起債を六十億ふやしたといいますけれども、これは起債総額から見れば、やはり昨年度と比べて今年の地方債というものは決してふえてはおらない。ふえておらないばかりでなく、公募債のワクの方がふえてきて、消化の困難な公募債がふえておるというわけで、地方債が昨年度に比べて今お話しになったように、そのワクがふえておるならまだ措置をしたということが言えるかもしれませんが、昨年に比べてすら総体としては地方債としてのワクが少くなっているんじゃないか、少くともふえておらない。しかも公募債がふえておるというようなことを考えますというと、根本的な地方財政計画と地方財政の需要の間の食い違いというものに対しては何らの足しになっておらないじゃないか。ただ昨年と今年との食い違いだけですらも間に合わないというふうに私どもは考えるのでございまして、ただいまの御意見は、多少ふやしたという努力は認めますけれども、この根本的な地方財政の非常な窮乏に対する対策としては、まるで二階から目薬程度のものにすぎないのだ、かように考えるのでございしますが、この点についての御意見を伺いたいのであります。
次に、会長さんは先ほど、当初政府の方で作った財政計画というものは、百四十億の赤字が出た。これを世間に出すのは、世間に対する影響も大きいから、考え直して、これをまた修正をして出し直した、こう言われるのですが、自治庁長官はその通りにお認めになるか、赤字のままで出しては世間で批判されて困る、体裁が悪いから、この百四十億を帳消しにして出した。いわゆる一夜にしてこれを消して出したのだ、こういうふうなことをお認めになるかどうか、これをお伺いしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/10
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011・川島正次郎
○川島国務大臣 三十年度の財政計画は、二十九年度の財政計画を基礎にいたしまして、三十年度において当然なすべき仕事と、また当然減少すべき経費と差引しまして歳出の方を計算し、また歳入の方もいろいろ勘案しまして、その結果約百四十億程度の赤字が出るのであります。しかし地方の現況を見ますると、むろん黒字財政の公共団体もありますし、赤字財政と申しましても、きわめて少額の赤字のところもあれば、赤字に苦しんでほとんど地方財政が破局に近いようなところもあるのでありまして、こういう深刻な赤字に悩んでおるところは、二十九年度通りの考え方では、とうていいけないのでありまして、いわば非常事態でありまするから、全く自粛をしてもらいまして、単独事業その他においてもできるだけ節減をしてもらう、その他経費においても一切冗費を省いて大縮減をしてもらいまして、財政の建て直しをしてもらわなければならぬのでありまして、今までのような考え方なら、なるほど百四十億前後の赤字は出ますけれども、三十年度においては、少くともそうした赤字に悩む府県というものは、全く従来とは違った構想のもとに財政運営をしてもらうことが必要であります。私は先般の知事会議に臨みまして今みたいなお話を申し上げて、このままいけば百四十億前後の赤字が計算されるのだけれども、これは赤字財政に悩んでおる公共団体の自粛によって解消してもらいたいのだということを、強く要求しておるのでございます。従いまして私でもは知事会議に説明した百四十億がそのまま赤字だとは考えておらないのであります。そこで地方財政計画を策定するときに、百四十億をワクの外に置いて、単独事業あるいは補助事業の重点的施策、その他事務費の節約等によってこれを消すか、あるいは各項目の中に盛り込んで合理化して、地方にこの赤字を消す基準を与えるかということについては、いろいろ考えたのでありますが、やはり相当これを合理化して、地方に向って基準を示した方が適当だろうという考えのもとに、先般お配りした地方財政計画を作ったのでありまして、一晩のうちに百四十億の赤字を消したという考えに立っておるのではないのでありまして、これはあの地方財政計画を作って皆さんにお配りする前に、知事会議でこの点は私はっきり申し上げておりまして、地方の自粛を要望しておるのであります。この点はさように御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/11
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012・北山愛郎
○北山委員 長官から同じようなことを何べんも聞くのでありますが、それではお伺いしますが、ただいま会長の方から御説明があった四月十三日に出された意見書、この第一案及び第二案に示された数字については、自治庁としてはこれをお認めになるかどうか。意見は別であります。ただこの第二案及び第二案の数字、それは多少は違うかもしれませんが、しかし大体においてこの数字というものをお認めになるかどうか。これは間違いだといわれるのかどうか。節約をこうしろというのは別です。とにかく冷静にやってこの審議会としてはそういう数字を出した。その数字についてはお認めになるかどうか、これをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/12
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013・川島正次郎
○川島国務大臣 権威ある方々が集まった地方財政審議会でありまして、審議会の作った案は、これは全く根拠のあることでありますから、私ども否定はしないのでありますが、しかし従来のような考え方でもって地方財政を運営すればこうなるでありましょうけれども、しかし政治的に考慮して、現在のような赤字に悩んでいる地方財政を、二十八年度、二十九年度のままの考え方でやるといかぬのでありまして、そういう観点から私は先ほど来説明を申し上げているわけでありまして、地方財政審議会の案を認めないというんじゃありませんけれども、それは従来通りの考え方であれば、ああなるということであります。また第二案は給与を含んでいるのでありまして、給与につきましては、これは先ほど会長から御説明申し上げた通りでありまして、この点につきましては実態調査ができたならば検討しよう、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/13
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014・北山愛郎
○北山委員 どうも川島長官は余分のことをおっしゃるのですが、今後どうするとかこうするとかいうよりも、要するに審議会が御調査になって出した数字なんです。この原因がどこにあるか、今後どうしなければならぬかということは別問題なんです。この数字はお認めになるといわれるのでございますが、そうしますと、いわゆる実態に近いものとして出されました第二案によりますと、昭和三十年度の財政需要額は一兆四百三億、こういうことになっております。このこともお認めになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/14
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015・川島正次郎
○川島国務大臣 審議会の第二案によりますと四百億以上の赤字になるのですが、この関係は、二十九年度の財政計画についても審議会としては同じような考えじゃなかったかと思うのですが、事実二十九年度の決算を見れば、おそらく百億少し上回る程度の赤字で済んでいるんじゃないかと思うのです。これは各公共団体がいずれも自粛しまして節約した結果、そういう数字が出るのでありまして、二十九年度の財政計画を作るときに審議会がどういう答申をしたか私は存じませんが、おそらく審議会の考えと二十九年度の決算とは違った数字が出てくるんじゃないかと思うのでありまして、これは地方の全く自粛に待って今後財政運営をしてもらうというのでありますから、審議会の通りの決算が三十年度においても出るとは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/15
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016・北山愛郎
○北山委員 今後努力をして出す、出さないは別として、とにかく従来の実態を基礎にすると一兆四百三億、しかも私の聞いているところでは、自治庁自体も、当初立てたものは一兆四百八十何億と聞いております。従ってこれくらいが大体従来の規模——これでも私は小さいと思うのですが、四月の一日に自治庁が作ったといわれるものは一兆八百億でありますから、非常に切り詰めた数字だと思うのですが、いい悪いは別として、実態というものを基礎にすれば一兆四百億以上に上るということは、長官もお認めになるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/16
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017・川島正次郎
○川島国務大臣 最後案を作る場合の過程にいろいろな案が出ることは当然でありますが、現在の赤字に悩んでいる地方の現況を見た場合におきましては、私どもは今日作ったあの財政計画程度が一番適当だ、こう考えて作りまして提案したわけでありまして、一兆四百億の財政計画のごときは、ますます地方の財政を混乱せしむるものであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/17
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018・北山愛郎
○北山委員 自治庁がどんな財政計画が適当であるかということは別に考えていただきたい。私はそんなことを聞いているのではないのです。要するに政府としてはどの財政計画がいいか悪いかということは別として、とにかくここに地方財政審議会が従来の財政規模、歳出規模というものを基礎にして作った、割合に小さ目な一兆四百三億という数字が出ているのですが、これは間違いだというのですか。これは計画じゃなく第二案としての計数なんです。この計数がうそだというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/18
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019・川島正次郎
○川島国務大臣 公共事業なり補助事業、単独事業などの見方によって違うのでありまして、それは理想的に考えれば地方財政審議会の作った通りでありましょう。しかし今日の赤字財政はそれを許さぬのでありますから、公共事業、単独事業その他というものを圧縮してやることが必要なんであります。その点は私どもと地方財政審議会とは意見が違うことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/19
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020・北山愛郎
○北山委員 私は地方財政審議会としての第二案というのは、今なお自治庁長官は今まで通りの頭でおるようでありますが、そういう頭で財政計画としてお出しになったものじゃないと思うのです。ただ実態に忠実にしてやっていけば、これだけのものを使っているということなんです。二十九年度あるいは二十八年度の実態を基礎にしてやればこういう数字が出るのだ、使い過ぎかどうかは別として使っているのだ、こういうことだと思うのですが、会長さんはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/20
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021・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいまの点はお尋ねの通り二十八年度の決算を基礎といたしまして、給与費、恩給費、それから国庫補助単価の不適当と思われますものの規模の是正を行うと、一応御指摘のような数字の第二案ができるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/21
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022・北山愛郎
○北山委員 こういう案によってやれというのではなくて、二十八年度の決算という従来の実態を基礎にして、しかも二十九年度はそれよりも実態が小さくなるわけがない、ふえておると自治庁も言っておられるのです。だから歳出規模の実態は二十八年度の決算の、この委員会で言われた一兆二百億を上回っておる。そういうものを基礎にしていくと一兆四百億になるのだ、そうするというのではない、なるのだ、こういう地方財政審議会の回答が第二案の趣旨だと思うのです。これだけはお認めになってさしつかえないと思うのですが、長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/22
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023・川島正次郎
○川島国務大臣 二十八年度、二十九年度の実態を基礎にすればそうなることだと私は考えますけれども、それでは地方財政は運営できないから、財政計画を違った観点から策定したのだということを繰り返し申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/23
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024・北山愛郎
○北山委員 それはこれから聞くことなんですが、そうすると、とにかく実態として地方財政の規模は、そのよしあしは別として、今までのやり方でいけば一兆四百億以上になる。それを三十年度の政府の財政計画は、今度八十億ばかり修正されて九千八百億ですか、そうしますと、その食い違いだけが圧縮されなければいけないということになるわけです。長官が先ほど来非常体制でもってやれやれと言うのは、要するに一兆四百億以上の地方財政の実態を九千八百億に詰めろ、こういうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/24
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025・川島正次郎
○川島国務大臣 二十八年度なり、二十九年度と同じやり方ということにすればそうなんでありましょうけれども、それでは地方財政はもたないのでありますから、今回策定した地方財政計画のような運営をしてもらいたいという基準を示しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/25
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026・北山愛郎
○北山委員 簡単に言えば、私の言った通り政府の出されました九千八百億の財政規模に従来の実態を基礎にした一兆四百億というものを詰めろ、歳出を約六百億詰めろ、こういうことだと考えるのですが、その精神は今長官の号令をかけた政府の気持だと思うのです。これを数字的にいえば六百億詰めろ、それでなければ地方財政は健全にならない、そういう内容だと思うのですが、それはお認めになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/26
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027・川島正次郎
○川島国務大臣 私は地方財政審議会の答申は尊重いたしますが、先ほどもお話した通り二十九年度の決算を見た場合に、果して四百億くらいの赤字が出るかというとそうは出ないと思うのです。やはり地方でも倹約するものは倹約して赤字を少くした決算が出ると思うのでありまして、四百億の赤字が出るとは考えていない。二十九年度の決算はそうだと考えます。ですからこれがただちに四百億が赤字だとは考えられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/27
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028・北山愛郎
○北山委員 私ほそんなことを聞いておるのじゃない。要するに実態の規模が大きいのだ。その大きいままでいけば従来の地方財政は赤字を繰り返すのであるから、これを九千八百億くらいに政府の示した標準のところに切り下げろと長官は号令をなさっておるのであると私は解釈をするのですが、それでいいかどうか。それをお答えになればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/28
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029・川島正次郎
○川島国務大臣 私は今度発表しました地方財政計画を基準にして、各地方公共団体が運営してもらうことを期待しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/29
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030・北山愛郎
○北山委員 それを期待するということは、すなわち先ほどお認めになった地方財政の財政需要額の規模である一兆四百億を九千八百億に詰めろということなんです。そう言わざるを得ない。そこでそんな六百億も詰めろということは、どういう方法でやれと号令なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/30
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031・川島正次郎
○川島国務大臣 私は六百億という数字を考えていないのです。いない現実の事実としては、二十九年度の財政計画においてもすでに赤字の要素を含んでおる。それは給与において含んでおるわけです。それが四百億だと北山さんはおっしゃいますけれども、私ほそういうふうな大きな金額でないと考えておるのです。従って六百億を自粛しなければ今回作りました地方財政計画通りの運営ができないのだというふうには考えていない。現実と机上の数字とは違うのだと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/31
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032・北山愛郎
○北山委員 そうしますと、先ほどお認めになった一兆四百億という地方財政審議会の意見書の数字はうそだ、こういう長官のお言葉になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/32
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033・川島正次郎
○川島国務大臣 地方財政審議会は現実の事実を見ますけれども、私どもは政治的に考えまして、そういう数字は出ないのだと思います。地方財政審議会は審議会としての見方がありまして、こういう数字を出したことも事実でありましょうけれども、私といたしましては六百億の差があるとは決して考えていない、そのよい証拠には二十九年度の決算を見ればわかるのでありまして、決して二十九年度の決算において四百億の赤字は出ておりません。おらぬからそれだけ地方においては給与費その他において自粛しておるのだ、こういうふうに考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/33
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034・北山愛郎
○北山委員 二十九年度の決算ではそんな赤字が出ていないというのですが、決算がおわかりになっておるなら、ここでお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/34
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035・川島正次郎
○川島国務大臣 決算の最後的の集計はできておりませんけれども、大体百億から百五十億だろうという推定は、各種の情報によって推定をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/35
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036・北山愛郎
○北山委員 そうすると、昭和二十八年度末の決算において四百六十二億という赤字は、昭和二十九年度末の決算においては百億くらいに減ってしまった、そういうふうなことに聞えるのですが、それでいいのですか。昭和二十九年度において地方財政は三百億以上も赤字を減らしたのだ、こういうふうなお話ですが、それでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/36
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037・川島正次郎
○川島国務大臣 私の申し上げるのは、昭和二十八年度の決算においては、四百六十二億は別の計算です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/37
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038・北山愛郎
○北山委員 そうすると、四百六十二億プラス百ないし二百億、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/38
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039・川島正次郎
○川島国務大臣 その通りであります。それでこそ四百六十二億を棚上げして、長期低利に借りかえようという今度の法案を出しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/39
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040・北山愛郎
○北山委員 それは別にまたお伺いします。
これは会長さんにお伺いしますが、一兆四百三億という数字の中には、過去の繰り越しの赤字というものは、財政需要額として含んでおりますか。そういうものは含まれてない。いわゆる既定財政規模の中には、前年度の繰り上げ充用に持っていかれたというようなものを、財政需要額に認めておらないのじゃないかと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/40
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041・松隈秀雄
○松隈参考人 繰り上げ充用額のようなものは含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/41
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042・北山愛郎
○北山委員 そうすると、一兆四百三億というのは、かりに昭和三十年なら三十年度の需要額なのであって、もしも前年度の赤字を消すために繰り上げ充用をするというような場合には、それにプラス繰り上げ充用の赤字分の財政需要がその年に起るのだ、こういうふうに考えていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/42
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043・松隈秀雄
○松隈参考人 昭和三十年度の財政運営をして行く結果、歳出に対して歳入が不足するので、次年度の歳入を繰り上げ充用するということになれば、その分は赤字増大の原因、こういうふうに見ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/43
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044・北山愛郎
○北山委員 私のお聞きしたのは、簡単にいえば、ことしの一兆四百三億には、昭和二十九年度の赤字充当分、こういうものは含んでない。当然これは今までの地方財政計画をお作りになる建前というか、やり方からして、そういうふうに考えるのですが、そのように考えてくるならば、過去の赤字が、ただいま長官がおっしゃったように、四百六十二億、もちろんこの中には繰り上げ充用以外のものを含んでおります。けれども、とにかく四百六十二億、これに昭和二十九年度の分が百億ないし二百億プラスをされて、約六百億の赤字は、これは昭和三十年度の一兆四百三億円の中には含んでおらない。従って、昭和三十年度の地方の歳出全体からこの年度内に赤字全部を解消してしまうという考え方をするならば、一兆四百三億プラス昭和二十九年度決算における赤字というものが、本年度の財政需要額、こういうことになると思うのですが、会長さんと長官のお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/44
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045・松隈秀雄
○松隈参考人 昭和二十八年度の赤字の四百六十二億、それから昭和二十九年度の決算見込みにおいては百億程度の赤字が出るということは、昭和三十年度の地方財政計画とは別の問題でございます。それから先ほど来、昭和三十年度の地方財政計画の第二案の数字については、地方財政審議会が、必ずこの通りの計画を自治庁長官がのみ込んで、そういう案にしてほしいという意見を申し述べたのではないのでありまして、それは国家財政の現状、それから地方団体においても国家財政と歩調を合せて、財政規模の圧縮、地方行財政の合理化という線に沿わなければならないということは承知しておりますので、この点を、この際提出されます昭和三十年度の地方財政において、直ちにこの通り埋めてほしいということは申し上げてないのでありまして、給与調査の実態がわかった後においては、所要の財源措置を講じてほしい。そうでないと、せっかくここで地方財政再建促進特別措置法を出して古い赤字を整理されるとしても、地方財政計画の上において給与単価が切り下げられてあっても、なかなか地方団体がそれに応ずる具体的措置をとりにくい部面もある。それは長官のおっしゃるように、地方団体も極力人員の整理、人員の合理的配置その他によって給与費の削減を試みるでしょうけれども、万一給与単価の是正不足から、また新しい赤字ができるということになりますと、この救済整理をやる意味が大いに減殺される、こういう点を心配いたしまして、これは将来の問題としてできるだけの財源措置を希望するということで、第二案として、それの措置はこの際でなくて、今後の研究の結果に待って善処方をお願いした、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/45
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046・北山愛郎
○北山委員 この意見書に従って政府なり国会がどういう措置をとるかということは、もちろん別の問題だと思いますが、少くともこの数字に対しては、十分な確信をお持ちであろうと思うのです。そうでなければ、こういう意見書は出されません。そこでただいままでお伺いしたところでは、これを集約いたしますと、結局本年度末における赤字をなしにするというためには、この地方財政審議会の第二案に書かれている昭和三十年度の一兆四百億プラス過去の赤字の六百億——これは五百億になるかもしれませんが、約六百億なら六百億というものが加わってくる。これが自然のままでいけば、そこに生じてくる本年度の財政需要である。ところが政府のこれに対する措置は、九千八百億の財政計画プラス今度の財政再建促進法案による二百億の再建整備債ということになると、その食い違いは相当莫大なものになると思うのです。これは一千億くらいになるんじゃないか。これが今日地方財政が破局に瀕している根本の原因ではないかと思うのですが、私のこういう見方は間違いでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/46
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047・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいまのお説は、一つの見方であるかもしれませんが、それは地方団体において財政規模を圧縮するとか、あるいは経費を節約するとかいうことを前提としないで、従来通りそのまま押し進んでいくということになれば、あるいは数字的に寄せればそういうことになるかもしれませんけれども、地方財政審議会としても、地方団体が節約すべき点は節約する。それから財政全体の合理化、節約というようなことば強く希望しているのでありまして、一応赤字になるということを憂慮して意見書を出しましたが、その後自治庁長官が地方財政計画を作られて、結局単独事業を節約する、あるいは公共事業のようなものも重点的に施行する。それから場合によっては国庫補助を伴う事業なんかも財政計画とにらみ合して一部は遠慮する、こういうようなことによりまして既定規模の是正を除く以外の部分は大体において吸収されるのではないか、こういうことに見て、自治庁長官の国会に提出になりました最後の地方財政計画には同意を申し上げているわけであります。ただそれがその通り行くということになりまするのには、経費の節減といってもずいぶん経費節減にも努力をしてきており、一部は非常に困難、場合によっては不可能のような経費節減がしいられやしないかという心配をいたしております。
それからまた公共事業を重点的に施行するとか、あるいは公共事業を辞退するとかいうようなことも、時によりますると、これはたくさんの地方団体のありますることでありますから一般的には言えませんけれども、地方団体において、たとえば道路がこわれてもほうっておく、こういうようなことになれば地方団体の機能を著しく低下させる、こういう心配は出てきますけれども、心がまえと申しますか、財政運営よろしきを得れば、第一案にある赤字は吸収消化されるのではなかろうか、こういうふうに考えて同意をしておるわけであります。第二案にありまする赤字の問題は、先ほど来からたびたび申し上げておりまするように、給与関係の調整を中心といたしまする赤字でありまするので、これはにわかに吸収できるとは考えておりません。従ってこの部分は今秋の給与調査の結果を待って、やはりある程度の財源措置をしていかなければならぬ、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/47
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048・北山愛郎
○北山委員 私の考えが間違っているか間違っていないかをお聞きしたがったのですが、一案であるというだけであって、大ざっぱなお話でありますが、結局地方財政審議会のお出しになった数字を基礎として私は申し上げるんです。あなたのお使いになった数字を基礎として申し上げると、もしも三十年度のおしまいに赤字をなしにしようというならば、一千億くらいの節約をしなければいけないということになるんです。それは今度の促進整備債というものを入れましても九千八百億にプラス二百億だから一兆にしかならない。ところが今の赤字と、それから今年度の一兆四百億の財政需要とをプラスすれば一兆一千億になるんですから、そうすると約一千億の開きが出てくる。その一千億というものを一体何でもって節約するか。ただぽんと地方団体に自粛を要求して、そうして事業をやめろとか、首を切れとか、そういうようなことをばく然と言うて、この一千億の節約が一体できるものですか。もしもさせようというならばどれで幾らどれで幾らというふうに、節約の方途なり何なりを示さなければならぬ。ただ戦時体制で節約を要求するというだけで、一千億を節約しようというのは非常に無理なことじゃないか。先ほど来補助金のこともお話しがありましたが、補助金の整理すらも政府はできないじゃないか。この補助金の整理ということはすでに大蔵大臣が施政演説の中でもはっきり言っておるんです。補助金を整理合理化して、そうしてその結果地方負担を減らすんだ、こういうことを施政演説でも言っておるんです。ところがことしの予算の結果を見ると逆にふえている。補助金がふえ、補助金の結果地方負担がふえているんです。政府が大きな方針として、公約としてはっきりと国会、天下に言明をした施策ですらも自分でできないくせに、地方団体に対しては一千億の節約をどうして要求することができるか、長官から一つはっきりとその点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/48
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049・川島正次郎
○川島国務大臣 私は先ほどから申し上げた通り一千億なんということは考えていないのですが、ただ三十年度の財政計画通りに赤字が出ないかというと、私はそうも考えていない、それは二十六年において財政計画を作るときに、公務員の給与を国家公務員並みに引き直したときにおいて、すでに給与の赤字の原因がそこにあるのでありまして、そのまま今日まで財政計画が持ち越されておるのでありますから、給与の面において赤字が出ることは想定し得るのでありますが、それは給与の実態調査をしなければ、果して幾らかということはわからぬということを申し上げておるわけであります。いよいよ給与の実態調査ができますれば、ほんとうに給与の面においてどれだけ赤字が出るか、それを一体どういう方法で消すのか、国の責任においてどれだけ消す、また地方においてどういうような方法によってそれを消すかということをよく考えなければならぬのであります。ですから二十九年度の財政計画のままに三十年度の決算において赤字が一銭も出ないということは私は考えておりません。これは前段に申し上げておるすでに二十八年度、二十九年度の財政計画においても、赤字の素因が含まれておるのでありますから、一千億というような大きな赤字が出るとは一向考えておらぬのでありまして、先ほど申し上げました通り従来の赤字の四百六十二億はこれはたな上げして、あとは二十九年度通りにやれば百四十億程度の赤字が出るかもしれぬから、これは地方の自粛によって消してもらいたいということを、私は希望しておると申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/49
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050・北山愛郎
○北山委員 同じことを繰り返しておるようですが、私は先ほど来非常に大ざっぱな数字かもしれませんが、とにかく地方財政審議会なりあるいは自治庁が従来出したような、あるいは委員会で言明したような数字を基礎にして、一つの推計数字を申し上げておる、それが誤りであるのか。ただ私ほそうは思っていない、思っていないというだけでは、まことに非科学的な長官のお話だと思う。少くとも私は数字を基礎にして申し上げておる、その数字を基礎にした私の話が間違っておるかどうか、私ほそう考えないというだけでは子供の話です。少くとも地方行財政を担当する大臣としては、私はそういうふうなばく然としたお考えでは困ると思う。とにかく一千億というのは今申し上げました数字を積み上げていくとそういうことになると思うのですが、どうでしょう間違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/50
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051・川島正次郎
○川島国務大臣 私は地方財政審議会の数字が間違っているとは申し上げませんが、これは計算の仕方でありまして、公共事業、単独事業、その他いろいろ計算をする基礎の考え方の相違がそうなるのでありまして、決して一千億円の赤字が出るとは考えていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/51
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052・北山愛郎
○北山委員 地方財政審議会も一千億の赤字が出るとは言っていない、そんな余分なことは言っていない、ただ今の実態に即していけば一兆四百億の財政需要が出てくるんだとこう言っておる。それは赤字の点については先ほど来昭和二十八年度の赤字を基礎にして二十九年度末の赤字を大体推計して見れば五百五十億か六百億でありましょう。これは需要額の中に入っていないからこれをプラスしなければならぬ。これは全部今までのやり方でそのまま本年度のしまいで払うと仮定すれば、一兆一千億要るのです。ところが政府の財政計画では九千八百億であり、それに対してまた赤字対策として二百億の起債を認めるのであるから一兆円でしょう、そうするとその違いが一千億出てくる、だから長官が先ほど来再々おっしゃっておるように、自粛を要求して赤字を出させない、こうするためには一千億の圧縮をした、これはよいか悪いかは別として、しなければならぬということを認めなければならぬと思うのですがどうですか。私はそのことをお伺いしているんです。事実と今後どうやらせようということと一緒にしている。一体私の言うことは間違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/52
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053・川島正次郎
○川島国務大臣 私が先ほど来申し上げた通り、これは数字の計算の仕方でありまして、一千億の赤字が出るとは私は絶対に考えておらぬのです。ただ二十八年度の決算じりの四百六十二億と、それに工十九年度の赤字が幾らありますか、百億少し上回っておるでしょう。それを計算したものを除きますと、やはり今回提案しておるような九千八百億円くらいな財政規模でもってやっていけるんだ、こう考えておるのでありまして、一千億円の赤字が出るとは決して考えていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/53
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054・大矢省三
○大矢委員長 委員の方々に申します。が、きょうは松隈参考人を優先的にお願いします。もちろん関連しておりますけれども、大臣にはいつでも聞かれますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/54
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055・北山愛郎
○北山委員 長官はどうもおわかりにならぬようですが、あるいはわかっておられるのかもしれませんが、お聞きの人は大体わかっておると思うのです。その点はそのくらいにいたしまして、それでは会長さんにお伺いをいたします。地方財政審議会というのは、政府が提出する地方財政状況報告というものを、事前に御審査になると思うのです。そして意見を自治庁長官に言うはずです。そうすると、ことしの三月の二十五日に鳩山総理大臣の名前で国会に提出をしたあの地方財政の状況報告というものは、もちろん御承知になって承認をしておられると思うのですが、その中には数々の赤字原因が書いてあるのです。一々申し上げませんが、そのあげてある中には地方の団体が仕事をやり過ぎた、そういうようなことは書いてありません。ところが昨日の本会議における川島長官の言明によると、地方が仕事をやり過ぎたのだ、こんなことを言われておるのです。政府が地方財政の赤字原因として国会に出したところの正式の報告書の中に列記してあるものが、これがすなわち赤字原因であると私はやはり考えなければならぬと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/55
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056・松隈秀雄
○松隈参考人 いわゆる地方財政白書と申しますか、地方財政の現況を国会に提出することになっておりまして、その原案作成に当りまして、審議会がそれに参与したことはおっしゃる通りであります。今はっきりその地方財政赤字原因の列挙をしてある条項を覚えておりませんが、その列挙は、おもなる事項を抽象的に書いていったのだと思うので、数ある多くの地方団体の赤字状況を分析すれば、見方によって地方財政の運営がまずかった、仕事のやり過ぎであったというような面が赤字の原因になっていないとは断言できない点があるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/56
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057・北山愛郎
○北山委員 仕事のやり過ぎというものは、それは部分的にはあるでしょう。しかし、少くとも政府が責任ある答弁というか、言明をする限りは、政府の出した財政白書に矛盾したようなことはやはりおっしゃらない方がいいと思うのです。この中には先ほど来お話があったような給与単価と実態が違うということが第一、それから国庫補助の単価が低い、あるいは国庫補助職員に対する財源措置が十分でないために地方負担が多いということも書いてある。それから災害の負担が大きいということも書いてあります。その他国の施設に対する地方の寄付金なども一つの原因として書いてあるのです。ところがその中に書いてある、国庫補助事業に対する、あるいは国庫補助職員に対する財源措置が不足して、そのために地方負担が多いということは、これは地方財政法第十八条の違反ではないか、こう思うのです。それから国の施設に対して、寄付金をもらって検察庁を作ったり警察署を作ったりあるいは法務局を作ったりすること、そういうことも地方財政法第十二条の違反ではないかと思うのですが、地方財政審議会はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/57
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058・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいまの点、御意見ではありまするが、地方財政審議会としてはさように考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/58
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059・北山愛郎
○北山委員 なぜそのように考えないのです。はっきりと政府の財政報告の中に、財源措置が十分でないということが書いてある。ところが地方財政法の第十八条には、必要にして十分なる金額を基礎にして算定をしてやれ、とこう書いてある。地方財政法の第二条にもそういう趣旨のことがあるはずです。だからやはり、これは法律論をやるわけではございませんが、少くともこの中に書いてある赤字原因は政府が認めている赤字原因であって、地方団体の仕事のやり過ぎとかそういうこと——それは少しはあるでありましょう。しかし主たる原因でないということは、これは認めざるを得ないと思うのです。少くとも政府の報告書にはそう書いてない。だからその点についての川島長官の言い方は——そういうことがないとは申し上げません。また地方団体における行政の運営、財政の運営にまずい点のあるということももちろん私ども認めるけれども、やはり赤字の原因というものは、政府の出したものを基準にして考えているのです。またその通りだと考えます。そこで、先ほど来人件費、給与費が商いという話ですが、しかしまた一方、今年の赤字が高いか安いかということは調査の結果わかると言っている。そうすれば、今まで給与費なり人件費が高いということは、これは独断じゃないかと思うのです。高いか安いかということは、これから調査するのである。だから矛盾したことを先入観でもって、給与が高いということをもうすっかり頭の中に置いて話しておられるのですが、それならば何も調査する必要はないじゃないかと思うのです。高いか安いかわからないから実態を調査するのです。だからその点についても、厳密な意味では長官のお言葉を訂正してもらわなければならぬと思うのです。その点について会長並びに長官から答弁をいただきまして、私はほかにたくさんございますが、一応これで終っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/59
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060・松隈秀雄
○松隈参考人 給与の単価の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、二十六年の予算審議に当りまして給与単価を切り下げました。ところが地方自治体において、それに相応する具体的措置の決定と相伴っておりませんからして、そこに食い違いがある。従って、決算において実際の財政運営と地方財政計画との食い違いが明らかに赤字になって出てきております。なお地方団体の実態調査を府県なり市なりについてやっておりますが、それによっても明らかに出ておるのであります。この事実は否定できない。この給与調査と申しますのは実態調査でありますけれども、あるべき給与の姿はどうあるべきであるかという点を調査するために、国の公務員と地方の公務員とにわたって調査をしておるのでありまして、その出た結果によりまして給与の合理化が考えられる、かようなわけでありまして、決算的な現実の事実と、地方公務員は国家公務員に対してどういう姿にあるべきであるかというその調査をやっておるということとはそこに相違がある、こういうことだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/60
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061・大矢省三
○大矢委員長 鈴木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/61
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062・鈴木直人
○鈴木(直)委員 この前二十九年度の赤字について至急調査をしていただくようにお願いして、ここに六月中五日現在として概算ということで出ておりますが、二十八年度四百六十二億にプラス実質赤字において百二十三億ふえて、合計五百八十六億というのは大体間違いない数字と考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/62
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063・後藤博
○後藤政府委員 一部市町村分につきましては推定を加えておりますので、多少数字が変っておるかと思います。しかし私どもの方の最近の調べでは、この程度の赤字が二十九年度に出る、こういうふうに考えていいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/63
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064・鈴木直人
○鈴木(直)委員 大臣にお伺いしますが、大臣はきのうもそういう答弁でしたし、先ほどもそういう答弁でしたが、今度の再建整備法によって、二十八年度の四百六十二億の赤字をたな上げするのであるということを盛んに言うておられるのですが、法律によれば、二十九年度の赤字をたな上げするようになっているのであるから、結局四百六十二億をたな上げするのではなくして、五百八十六億のたな上げだと思うのです。それでこれを二百億でもってたな上げをするのであるが、きのうの答弁なんかによりますと、四百六十二億である。これをたな上げするのだというようなこと、先ほどもそういうふうなお話でありましたが、五百八十六億のたな上げをするのが今度の再建整備法の目的であるということが正しいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/64
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065・川島正次郎
○川島国務大臣 そこの点は鈴木さんのおっしゃる通りでありますが、一応二百億だけを再建整備債として計算をいたして御審議を願うことにしました。四百六十二億のうち、百億近くのものは国の直轄事業に対する府県の分担金であります。これは交付公債になっておりまして、この点は大蔵省と先般来折衝をいたしておりまして、大体これは長期に切りかえることになっておるのでありまするからして、この百億は別計算としておいていいと思います。そうすると、残るところは三百六十二億でありまして、そのうちの二百億だけを長期に切りかえます。あとの百六十二億というものは、各市町村に分布されておる零細な赤字の集計でありまして、これはすぐに再建促進措置法を用いるような事態ではないのでありまして、これだけは各公共団体で適当に処置して解消してもらいたいと考えておるのでありますが、なお今後ここに出ておる百二十三億をどうするか、こういうことにつきましては、二百億で地方の希望に足りない場合には、別の処置をしなければならぬ。これは初めからそういう予想をいたしております。とりあえず二百億でもってスタートをいたしまして、なお足りない場合には、適当の時期に相当の処置をする必要が起るであろう、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/65
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066・鈴木直人
○鈴木(直)委員 そうしますと、こういうふうに了解していいですね。再建整備法を作るときには、法律の中には二十九年度の赤字を解消するということになっているのであるが、実際にあの法律を作るときには、二十八年度の四百六十二億を対象として解消するというような考え方で出発したのだ。しかし法律を作るときには二十八年度というつもりで計画したのだが、後になってこれじゃいかぬというので、二十九年度というふうにきまったので、その二十九年度の百二十三億については別途にまた何か考えるのだ。いわゆる今度の再建整備法の二戸億という再建債を作るときには、四百六十二億を対象として計画しているのだが、実は二十九年度でできた百二十三億についてはあのときの計画と違うのだから、今度は別途に考えていくのだ、こういうふうに、二百億をきめたときには考えていなかったのだから、今度は新しい事態なんだから別に考えるのだ、こういうふうに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/66
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067・川島正次郎
○川島国務大臣 その通りでありまして、これを起案した当時は、二十九年度の決算がわかりませんから、一応四百六十二億の赤字を対象にして考えたわけです。それに二百億程度が適当だろうということになったわけでありまして、百二十三億の赤字がかりに二十九年度に出るといたしましても、地方の公共団体でこの法律の適用を希望するところがあって、どうしても財政的な措置が必要ならあらためて考える、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/67
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068・鈴木直人
○鈴木(直)委員 あらためて考えるということは、さらにその程度のものが必要な場合には、政府資金において新しく計算して引き当てするという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/68
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069・川島正次郎
○川島国務大臣 政府資金といたしましては、とりあえず五十億を計算しておりまして、あとの百五十億は、今年度は一応公募債でありまして、これを明年度でもって政府資金に切りかえようという方針なのであります。新たに百二十三億に対する措置を政府資金でやるか、一応公募債の方式でやるかということはまだ考えておりませんが、何としてもこれは適当の処置をする必要があるということは考えております。なお政府資金でやるか、公募債でやるかについては残された問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/69
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070・鈴木直人
○鈴木(直)委員 長官の御説明は非常にはっきりしてよくわかりました。そこでこの法律の条文を見ますと、それは二十九年度の赤字を整理するということになってはっきりしておるのでありまして、ただいまの長官のはっきりした御答弁によりますと、どうしてもこの百二十三億の処理がきちっと説明がついてこうするのだということになってこないと、あの法律は通し得ないのだと考えますが、この法案の審議過程において、百二十三億に対するやり方、それを確信あってこうするのだ、前は四百六十二億で計算してあったが、今度は百二十三億は概算そうなっておるが、その場合に対してはこういうような措置をするのだということがないと、あの法律は裏づけのない法律になりますから、その点を十分処置していただくようにあらかじめ希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/70
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071・川島正次郎
○川島国務大臣 この法律が公布されまして、この法律によりまして再建整備をしようという団体が計画を立てるのには、二十九年度を基礎にして長期計画を立てるということをはっきり法律にうたってある。その意味でありまして、二十九年度を基礎にしてそういう意味を申し上げておるのであります。大体二百億でよかろうという考えでやったのでありますが、なお足りなければ特別の措置をする必要があるということは今申し上げた通りであります。しかしやってみませんと、地方の公共団体がどれだけこの法律の適用を希望するかということは計算がつかないのでありますから、一応二百億の範囲内でスタートといたしまして、どうしても仕方がなかった場合には、今後適当な処置をする必要があるということを申し上げておるのでありまして、この法案の審議をするとき、百二十三億も含めて今の二百億をもっと増額する必要があるかどうかという御質問でありますれば、一応これでスタートしても運営はできるのだというように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/71
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072・鈴木直人
○鈴木(直)委員 ただそれはやってみて足りない場合には措置すると言われますが、建前が四百六十二億を基礎として地方債を二百億にすることにしたのだというのでは、どうもあの法律と趣旨が違う。五百八十六億を基礎にして二百億をやってみようとしたのだ、しかしながらやってみてうまくいかなければそれはそのとき考えるというなら、まだわかります。二十九年度の赤字を解消するという法律が二十八年度の赤字を基礎にして組み立てたのだというのでは、ちょっとこの点について了承しかねる。二十九年度を基礎としてやったのだ。その当時は幾らになるかわからなかったのだが、結局五百八十六億程度になるので、これでスタートをしてみるのだが、この五百八十六億の解消がやってみてできなかった場合には、何か措置するのだというなら建前上わかるのですが、二十八年度の四百六十二億に二百億を引き当てとして計画を立てて、法律は二十九年度の赤字を解消するのだというのでは、どうもそこに納得しかねるところがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/72
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073・後藤博
○後藤政府委員 二十八年度つまり前年度での赤、字をとることにつきまして、前から問題があったのでございます。本年度で申しますと、二十八年度までの赤字を解消する計画を立てるか、それとも昨年のその年度も含んだ計画を立てるかというのが、再建整備関係の法律の一つの問題点であったと思います。前年度までぎりぎりのところまでとって、それを基礎にした赤字の解消計画を作るのが実費的である、こういう建前を私どもはずっととって参っております。従いまして、そういう建前で、この法案が成立しますのは三十年になりますので、前年の二十九年度の決算を中心にする、こういう考え方に立っておったわけであります。しかしわれわれは、この計画を立てましたときは、二十九年度は単年度として赤字は出してもらいたくない、赤字を出さないような計画を立てろ、こういう指導をいたしておりましたので、一応赤字がないものという考え方でもって、二十八年の決算を基礎にした数字を使ったわけであります。使いました上で、四百六十二億のうちで、先ほど長官が申されました直轄の分担金関係を除いたもので、県では大体三年以上の計画を要するもの、市町村では四年以上の計画のかかるもの、これは財政構造が違いますので変えておるわけでありますが、そういうものを合せますと大体二百億になる。その二百億を処置しよう、こういうので二百億という数字が出たのであります。今申しましたように、これはどの程度希望するかというのが問題でありましれ、今度の法律の中でも、二十九年度の決算はとるけれども、その中で金を借りる団体と借りない団体と二つあるわけであります。借りる団体の測定を、今申しました程度のものに私どもは考えるのであります。これが今の二十九年度の決算が出て参りまして、百二十三億がふえて参っております。それをまた今度は分析してみなければ、どの程度資金措置を要するかということがはっきりいたしません。これは県の分につきましてはある程度わかりますが、市町村のこまかいものにつきましては、はっきりいたしません。従って一応二百億で出発いたしまして、そして資金措置を要する再建計画のものにつきましては、やはり不足分について政府として考えていこう、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/73
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074・鈴木直人
○鈴木(直)委員 今後藤君の説明によりますと、四百六十二億、二十八年度の赤字を考えた。しかし二十九年度はわからなかった。ところが二十八年度決算の赤字を処理するというつもりでスタートしたのだが、だんだんこの法案がおそくなって、最後に決定する場合には、二十九年度の決算を基礎にするということに法案が変った。変ったが、そのときにしからば二十九年度に幾ら赤字が出るかという推定をしたが、ゼロというふうに考えた。従って、二十九年度にはゼロということを期待して、期待した通りに行くだろうというので、二十九年度も四百六十二億であろうということでこの二百億の引き当てをした、こういうような話です。ところが実際はその期待が裏切られて、百二十三億が三十年度に出てしまった。そこで、二十九年度末にも、四百六十二億だという考え方のもとに立てたのが間違いまして、結局百二十三億というものを処理しなければならぬという段階に到達はしておるが、まだその内容が全然わからない、こういう段階であるということに了解していいわけですね。要するに、百二十三億というものの引き当てはこの中には入っていないのだということでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/74
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075・後藤博
○後藤政府委員 おっしゃいます通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/75
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076・灘尾弘吉
○灘尾委員 ただいまのことに関連して、長官から一つお答えを願いたいのでありますが、今後藤財政部長からは、二十九年度分の赤字についての分は考えておらぬというような御答弁でありましたが、長官はさように考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/76
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077・川島正次郎
○川島国務大臣 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/77
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078・中井徳次郎
○中井委員 大分おそくなりましてはなはだ恐縮でございますが、私は、地方財政審議会の模様について二、三点松隈会長さんの御意見をお伺いいたしたいと思います。自治庁長官にはきょうはお尋ねはいたしませんが、できましたら一つ聞いておいていただきたいと思います。
松隈さんが地方財政審議会の会長になられましたのは、去年すでにおなりになっておったのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/78
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079・松隈秀雄
○松隈参考人 私が地方財政審議会委員に就任いたしましたのは、昭和二十七年の十二月だったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/79
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080・中井徳次郎
○中井委員 それでは審議の模様について一、二お尋ねをいたしたいのでございますが、審議をなさる資料、この材料につきましては、おもに自治庁の材料でもって御判断をなすっておるのではないか、それで討論をなさっておるのではないかと思いまするが、同時にまた、知事会だとか市長会だとか、各種の議会の事務局とか、そういうものの資料についても御調査になっておるだろうと思いまするが、その辺の取扱いはどういうふうになさっておられますでしょうか、お伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/80
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081・松隈秀雄
○松隈参考人 地方財政審議会といたしましては、自治庁内に事務所を持っておりまして、自治庁から資料をいただくことが一番便利でもありまするので、大半の資料は自治庁の資料によっておりますことは御指摘の通りであります。しかし、それだけを審議の材料にしておるのではございません。地方公共団体の長の会合、それからその議会の長の会合等には一々御案内を受けまして、できるだけ出席をいたしまして連絡をはかっております。そういう機会にそういう団体の資料もいただいており、また問題点について、陳情とか御意見のある点をよく伺うようにいたしております。さらに、そういう団体を経ないで、個々の地方団体が自治庁に陳情に来られる、あるいは大蔵省に予算に関連して出頭するというような機会におきまして、わざわざ地方財政審議会にお見えになりまして実情を訴え、書類、資料等をお出しになっておりますが、それらも拝見いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/81
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082・中井徳次郎
○中井委員 私は、この地方財政審議会における資料の取扱いにつきましては、非常に慎重にやっていただきたいと考えまするので申し上げるわけであります。理論的に言いまして、決算でありまするとこれは一本にならなければならぬのでありまするが、それでも、私どもが各方面からいただく資料を見ると、決算さえ、時によってはどうも数字がちぐはぐである。それから一番重点は、今内政の欠点といえば欠点、特徴といえば特徴ですが、この特徴は私どもは大いに生かさなければならないと思うのです。こうやって先ほどからも地方財政計画について、いろいろと御審議はありましたけれども、これは大臣が決定しても、できるものでも何でもない。意思決定は知事や市町村長にある。それを意思決定をする機関と遊離をして——遊離といっては語弊があるかもしれませんけれども、そういうものの資料で判断をなさってやれといったって、命令権は法律上は明確にないということである。そこで先ほどからも北山君との問答がありましたけれども、これは結局やれるかやれぬかということになる。やれるかやれぬかということになれば、最後の決定をする知事あるいは議会などというもの、この人たちの納得を十分得られない限りは、私は審議会がどんな決定をしても、たとえばあなたが節約をせいという答申をすれば、どこでどういうふうにせいということがわからなければ、なかなかそれは行われないように思うのです。そこでその方面のことについては、さらに突っ込んだ御調査を将来は一つ願えませんと、どうも問題が最後まで残っていくように思うのですが、ちょっとその点について会長さんの御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/82
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083・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいまの御意見まことに適切でございましてありがたく拝聴いたしまして、今後の運営に当りましては地方団体の長の会合あるいは議会議長の会合等と、なお一そう密接な連絡をとるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/83
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084・中井徳次郎
○中井委員 そういうものに関連はあるわけですが、先ほどのお返事では地方財政審議会の答申について政府も十分これを重要視をいたしておる。そのうち入場税も十三億あるいは起債なども六十億ふやしてもらったということもございましたが、しかしこれではもとより十分でない。審議会の答申とは数字の上ではすばらしくかけ離れているということになろうと私は思う。先ほどいろいろ問答がありましたが、そこで審議会は政府がそういう決定をいたしました直後に、さらにもう一回審議会を開いて、そして政府の決定案について意見を開陳するというような声明書を出す、そのような動きはこれまでなすったことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/84
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085・松隈秀雄
○松隈参考人 四月十三日に昭和三十年度地方財政計画についての意見書を出しまして、その後の経緯については冒頭申し上げた通りでありまして、地方財政審議会は自治庁長官の諮問機関でありまするので、諮問機関の立場において働いておりまするが、いよいよ昭和三十年度財政計画が確定的にできました際、もちろん時々会合を開いておりまするので、その内容を伺って検討いたしましたが、重ねて地方財政審議会として公けに意見を発表するまでには及ばない、こういう結論に達しましたので、その後の公表意見というものは出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/85
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086・中井徳次郎
○中井委員 私はやはりそういう点につきまして、地方財政審議会というものは一応諮問機関ではありまするが、その道の権威のお集まりでありまするし、御意見の発表があってしかるべきものではなかろうかと考えておりまするので、その点だけを将来に対して一つ申し上げてみたわけであります。
次に移ります。昨年の例でありまするが、入場税の問題について、地方財政審議会の結論といたしましては、あれは国税に移管をすべしというふうな御判断でありましたのでしょうか。ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/86
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087・松隈秀雄
○松隈参考人 入場税国税移管の問題は、当時政府原案にありました。地方財政審議会といたしましては、その問題についてもちろん検討いたしたのでありまするが、この問題については特に地方財政審議会として独自の意見を立てて政府に進言するという必要までは認めなかった結果、それに関する地方財政審議会としての意見は決定しておりません。地方財政審議会は御承知の通り五人の委員の方がございまして、おのおのといたしましては入場税を国税に移管することの是非については、いろいろ御意見があったようであります。ただ地方財政審議会としてまとまった意見を作らなかったというだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/87
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088・中井徳次郎
○中井委員 たばこ消費税の問題につきましては、どうでございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/88
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089・松隈秀雄
○松隈参考人 たばこ消費税についても、委員各自といたしましては、いろいろ意見を持っておられたのでありまして、たばこ消費税の率の問題とかいうようなことについて、地方財政の窮乏打開のために、なるべく大きいことを希望いたしたというようなことは、各委員暗黙の了解と申しますか、そういうような気持を持っておったのでありますが、審議会として特に意見をまとめて長官まで申し上げるとか、あるいはそれを世間に公表するという態度はとりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/89
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090・中井徳次郎
○中井委員 ちょっと今の点は私ども昨年伺ったのと違うのであります。昨年度はたばこ消費税について、地方財政審議会が百分の二十と百分の十でしたか、そういうふうにしてとれという答申があったというふうに、私どもはこの地方行政委員会で確かに伺ったと思うのでありますが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/90
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091・松隈秀雄
○松隈参考人 毎年のことでありますけれども、地方財政の運営は困難をきわめておりますので、その自主的財源の充足ないしは政府の資金を増すというようなことについて、地方財政審議会も非常に苦慮はいたしておるのでありまして、そのためにいつも予算の編成、それから財政計画の策定というような際には問題を取り上げて、内部で審議をいたしております。その過程におきましてただいま申されたような意見も出たと思うのでありますが、地方財政審議会は御承知の通り合議制でありまして、地方財政審議会として意見の一致を見まして、特に審議会の意見としてきめましたことは発表する形式をとっておりますが、そういう形においては意思表示は出されなかったはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/91
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092・中井徳次郎
○中井委員 これは後藤君どうですか、確かに地方財政審議会の答申の中に、たばこ消費税は地方税として百分の二十、それから府県税として百分の十、合計百分の三十程度は回すべしというような答申があった。その答申をわれわれ聞いておる。実は今の川島さんは関係はありませんが、去年答弁があったように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/92
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093・後藤博
○後藤政府委員 お答えいたします。中井さんの御質問はおそらく地方制度調査会と地方財政審議会とを混同されての御議論ではないかと思います。おっしゃいますのは、地方制度調査会の答申がさようになっておるのでありまして、審議会では今おっしゃいましたように別段の御意見は述べられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/93
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094・中井徳次郎
○中井委員 その点はわかりましたが、そういたしますと、地方財政審議会というのは、そこまで具体的にはきめない団体なのでございますか、地方制度調査会は税制のそういうこまかいところまできめるが、地方財政審議会はそこまでやらない、こういうのですか、私はこういう問題は地方財政審議会で当然やるべきものであると、今まで判断をいたしておりましたが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/94
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095・松隈秀雄
○松隈参考人 地方制度調査会は御承知の通り地方制度の行政面と財政面について、根本的に検討をなさるのでありまして、その結果地方財源充足の必要上たばこ消費税の税率をおきめになったのでありますが、これはいろいろあるべき姿を考えての理想も織り込まれておるわけでありますので、そういうフリーな立場から根本的に物事を研究して、かくあるべしという御意見をお立てになるのは、これは委員会の本来の仕事だと思うのでありますが、地方財政審議会の方は、現実問題といたしまして、自治庁長官が外部に向って意思決定を発表なさる際に、必要に応じて意見を具申する、こういう建前になっております。そうするとこれは非常に現実の問題と接着しておるわけでありまして、希望としては多々ますます弁ずるというような希望を持ったといたしましても、自治庁長官の国務大臣としてのお立場もあるということを考えまして、直ちに地方財政審議会が希望する、その方がいいと思いましても、それを非公式な意味で懇談申し上げることはございますけれども、地方財政審議会の意見として発表するという段取りをとることがいいか悪いかということになりますと、そこにいろいろ事情もありまして、そういう処置はとらないで、内部的な話し合いと申しますか、相談に応ずると申しますか、そういうことで済ましておる場合も相当ございますので、その辺の事情を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/95
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096・中井徳次郎
○中井委員 それで地方財政審議会の性格は私よくわかりましたが、今委員さんは五名でございますが、どういう方ですか。参考までに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/96
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097・松隈秀雄
○松隈参考人 これは構成の建前といたしまして、五人の委員のうち三人の方は地方団体の推薦ということになっておりまして、知事、府県議会と申しますか、その方面から一人、それから市長、市議会の方面から一人、町村長、町村議会の方面から一人推薦を受け、それから学識経験者をもって二人を充てまして、その候補者につきまして国会の承認を得まして任命されておるという実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/97
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098・中井徳次郎
○中井委員 失礼ですが、具体的な人名を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/98
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099・松隈秀雄
○松隈参考人 不肖私学識経験者として出ておりまして、会長に互選されております。それから学識経験者といたしましては荻田保氏であります。それから先ほど申し上げました知事並びに府県議会の方の推薦といたしましては児玉政介氏であります。それから市長、市議会関係の推薦者といたしましては木村清司氏、それから町村長、町村議会関係の推薦者としては上原六郎氏であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/99
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100・中井徳次郎
○中井委員 そういたしますと、五名とも現実の知事とか市長というのではなくて、それらの団体の推薦した人、こういうわけですか。——わかりました。そういう構成でしたらよくわかります。そういう人たちでありますから、あまり大きな声明もお出しにならぬでしょう。政府も自分たちの意見を聞いてくれたというお話でありますが、予算は結局数字の問題だと私は思います。数字の問題でありますから、たとえば名前だけ聞いて、それは大へんだから、一つ何とかしよう、一万円足らない、それでは三千円は何とかしょうというふうなことでは、やはりまだ七千円残ってしまって来年もまた一万円足らぬ、それでは三千円出す。これが私は現在の地方財政の姿ではないかと思うのです。数字というものは客観的で、正直なものでございますから、そうやっていけば何とかそのうちにはうまいこと行くだろうというのが過去五、六年のことでございまして、今度また再建促進法案というものが出まして、これも川島長官の御意見並びに政府当局の説明を聞きますと、一応これまでの赤字を何とかしょうというのですが、問題は今後の赤字をなくさないと、私はここでたびたび私の持論で申し上げておるのですが、今の赤字を解消したところで何にもなりません。今全国の府県市町村の理事者、議会の首脳部なんかはもう神経衰弱になっておると思う。もうちょっとほっておきますと、やけになりまして、去年も私は大蔵大臣に、もうやけになっていますよと言いました。さらにほっておくと、私は気違いになりはせぬかと思う。こういう点で毎年々々表面をこうやくばりをしておくというようなことはどうかと思うのです。それで松隈さんは戦時中でありましたか、大蔵省に長くいらっしゃいまして、戦時中のことではありますが、あの当時大蔵次官をされたこともあると私は記憶をいたしておるのでありますが、その当時でもけっこうでありますが、戦前の国の財政の全般の姿、それから今の国の予算と地方予算の姿、こういうものをごらんになって、どこが非常に違っておる、これは何とかしなくちゃならぬというような点が、私は多々あろうかと思います。そういう点に対する、私見でけっこうでございますが、この際お聞かせを願いたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/100
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101・松隈秀雄
○松隈参考人 地方財政審議会は合議制でありますので、問題について地方財政審議会として申し上げるとなると、意見はとりまとめてございませんが、ただいまお話のように私個人の私見でよろしいから感想を述べろとおっしゃれば、私見ということを前提として御了承願いたいのでありますが、ただいまお述べになった点、まことに同感の点があるのでございまして、地方財政というものがこうやくばりであって、手当が微温的である。全然手当をしないわけじゃないけれども、手当が根本的な切開をしてないから、うみだけとるけれども、またあとへうみがたまるということはまことに遺憾であります。そういうことをできるだけなくしてもらいたい、こういうことは審議会の各委員が希望しております。先ほど来お話の通り審議会の各委員は、やはり地方団体の長なりあるいは議会なりの要望を知っておるからであります。今度の赤字再建促進法ができたこと、それから私どもが給与調査の結果、できれば給与の単価の不当切り下げを直してもらいたい、こういうようなことは、従来より見ればこうやくばりであるとおっしゃるかもしれぬけれども、さらに一歩を進めて地方財政の病根芟除に進んだものと思っております。何を申しても、国家財政との関連がありますので、地方財政だけを非常によくするということは、やはり望んでも実現できないというので、その点はやはり政治問題とするというと、ある程度でがまんするということにならざるを得ないのでありますが、少くとも地方財政の赤字問題が非常に世間の視聴を集めて、これを何とかこの際根本にわたって解決をしなければならぬという問題がクローズ・アップされて、従来より一そう進んだところの解決策に突入した、これだけの事実は認められるのでありまして、その点についてはやはり政府の努力というものを買わなければならないと思っておるのであります。戦前と戦後とを比べて地方財政の規模と国家財政の規模との比較でありますが、これは御承知の通り、地方財政の規模が国家財政を凌駕しておった時代もありますが、戦争中は国家財政の方がふくれて、地方財政の方の規模が縮小した、そのあとにおきましては漸次地方財政の規模が膨脹して参りまして、だんだんに国家財政の規模に近づきつつある、あるいは決算ではそれを越そうとしておるというようなところまで来ておることは御承知の通りであります。これは地方においてなすべき仕事が相当ありまして、これをどうしても切ることができない、こういう結果であると思うのであります。全体としまして、これはちょっと言いにくいことにもなりますけれども、国の財政と地方財政とのあり方につきましては、これは人によっていろいろ批評がありますが、両方を通じて健全財政であってほしい、国家財政の方は毎年歳計剰余を生じて、それを財源に減税ができるけれども、地方財政の方は毎年赤字であって、その赤字の処理に因っておる。これは場合によって補助金なり交付税なりを通じて、しりがつながっておるものとするならば、その間もう少し調節がはかれないものか、またはかるべきではないかというような意見は、当然起り得るのではないか。それから公債の姿にいたしましても、国家財政においては国債を出さずにやっていく、地方団体の方は地方債をもって財政をまかなっておる。公営企業の分は別といたしましても、一般会計の財源に公債財源を見込んでおる。これはやはり国家財政と地方財政と必ずしも調子が合っておらぬ、こういうような批評の余地はあると思います。ただこれを直ちに根本的な是正策と申しますか、解決策ができるかと申しますと、これは大きな内閣の政策でもあり、従いまして審議会の一委員が感想を持っても、直ちにその通りにはいかぬ。特に私見も交えて意見を述べろとおっしゃいましたから、そういう感じもしておるというだけを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/101
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102・中井徳次郎
○中井委員 今のあとの御意見は、私どもとしては全く同感なのでございます。お立場もありましょうから、そうはっきりとは言いにくいでございましょうが、私どもの方としましては、現在国家財政と地方財政との間ははなはだ不均衡である、しり抜け予算であるということを、やかましく言われておるのでありますが、対策としましていろいろありましょうけれども、今お話のありましたような公債の問題なども、戦争前には地方債はたしか三分七厘とか、高くてもせいぜい四分程度だったと考えます。今金利は高いですからやむを得ないのですが、六分五厘ということになって、ことしあたりも地方団体は七百億も赤字を出して起債もすでに四千億にも達しておる。これは私は見方を変えますと、国が地方に高利貸しをしているように思えてならない。来年あたりから利子が実に三百億というたいへんなことになりますが、こういう点について今の御意見のようなことを地方財政審議会あたりで、もっと深く掘り下げていただいて、大いに進言をしていただきたい。今の御意見は、私は今社会党の右派でありますが、そういう政党的な問題を離れてでも、これは当然取り上げるべきことであろうかと実は考えておるのであります。ぜひそういう点も強く主張していただきたいと思いますが、それにつきまして地方債などは、これまたきわめて正直に今日金利も元金の償還も全部やっておるわけです。そうしてそういうことはときどき滞る、あるいはひどいところになりますと利子も払わないというようなものにまで、財政投融資という形で流されているということが多いのでありますので、この際これを一、二年、一つ金利を払わぬでおいたらどうか。こんな現状であったら、私はおそらくこの一、二年の間に府県市町村の団体で、そういう罷業的な動きが必ず起ると思う。私ども社会党は今度そういう法案を出そうかと考えておりますが、そういうことをこの際思い切ってやるということは、一国の財政の体系からしてどんなものでありましょうか。これもあなたの私見でけっこうですが聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/102
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103・松隈秀雄
○松隈参考人 非常にむずかしい問題であります。前提として、地方債が累年激増していきまして、それがために地方団体の公債費の負担が増していく、これを何とか解決しなくちゃならぬということは全く同感でありまして、私としてもそういう方面についてできるだけの力を尽してみたいと考えております。
それから地方債の金利の引き下げでありますが、これはやはり一般金利との関連がございますので、地方債だけ独走するわけにいきませんけれども、やはり全体としては金利引き下げの方向にあらゆる努力を向けていくべきだと思っております。地方債償還の中には、当初の償還計画が事業の性質からいって必ずしも適当であるかどうかというものはあります。そういう短期間内に元利を償還するとしても、事業の性質からいって、それは一部分困難だというものもあるけれども、最初から非常に長い期間で金を借りると言ったら、貸してくれ手はないから、事業計画とマッチしないけれども、あとはあとのこととして借りておるような地方債については、元金の償還を一部繰り延べの交渉をするというようなことはあり得ることであり、場合によってはやむを得ないかと思うのであります。ただこの際一斉に元金を一年支払わないとか、あるいは利子を一年支払わないというようなことは、今度はまじめに事業計画をし、地方債を財源に充てて事業が地方団体の理事者によって着々効果を上げているものにも悪影響のあることでありますから、モラトリアム式のことについては、これは慎重に考えなければならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/103
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104・中井徳次郎
○中井委員 最後に一つだけ伺いますが、今日この赤字の原因は、何といっても中央政府が地方財政にはむだがあるといって、国家財政を第一義にして、国民経済に及ぼす影響なんというようなことはともかくとして、国家財政を第一義にして、黒字で健全だという宣伝をしていればいいというような、非常に党利党略的な空気もあろうかと思うのですが、本質的に私は、冒頭にお尋ねをいたしましたように、地方財政計画をお立てになっても、正式の意思を決定するのは県市町村でありますから、それがはっきりとこないという面から、逆に、にもかかわらず府県市町村が財源の面では法律で縛られており、もう収入はびちっといっておる。そして支出については、今度はまたほとんど法律でやれやれということなんです。まじめにやれば赤字である。そこで財源の規制方法を、税収入の面ですが、これをもう少しやわらかく、あるいはまた交付税にしましても今は二十二になっているが、三十と二十二の間とか、そういう幅を持たしたことを考えることもあるいは必要ではなかろうかと私どもは考えておるのです。しかし今のように非常に窮屈でありますと、ちょうど市町村民税でもその例があるのです。三つにわけておりましたところが、みんな一番重い方に行っちゃったということで非常に因るのですが、固定資産税その他につきましても多少幅を持たすような法制を考えてみたらどうか、こういうこともちょっと考えてみたりするのでありますが、そういうことを行いますことは現実にどうなりましょうか。ちょっと御意見を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/104
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105・松隈秀雄
○松隈参考人 地方税制に幅を持たすために一定の範囲率にするということは、一つの考え方でありますけれども、これは制度の根本の改正でありますので、にわかに是非は言うべきではない。むしろそういう問題こそ、先ほど名前が出ました地方制度調査会等において校本問題として研究して、意見がまとまったらその意見も伺って、それから地方財政審議会といたしましては、現実の政治、つまり予算なり地方財政計画なりについて意見を述べる際に、そういうオーソライズされた意見等も参照して意見を述べるようにした方が適当じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/105
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106・鈴木直人
○鈴木(直)委員 財政の権威者の松隈さんがおられますから、この機会に一言だけ個人としての見解をお聞きしておきたいと思うのです。どうも最近地方財政計画が、国からの手当がやり切れないという点からだと思いますが、消費的な経費に公債をもってまかなうということに追い込まれておるようです。今度はもう退職手当に公債を発行するというところまで行ってしまっておる。本年度は六十億それをやらなければならぬということになる。これは財政のやり方として非常に変態的なものであって、こうやるべきものではないと思っておるのです。これは国が当然やるべきものをやり得ないために、あるいは税制的な措置とか、そういうことができないために、やむを得ずこういうことに追い込まれておるのであって、これは財政の仕組みとしては、もうやってはいけないものにまで追い込まれておるのだというふうに考えるのです。もちろん水道とかいうふうなものにおいて、将来収入が出てくるものであればこれは当然であるけれども、将来それによって全然利子を生まないというようなものについては、また別途の方法でこれを埋め合せしなければならぬということになるのだから、こういう傾向は、地方財政審議会としてもそうであると思うけれども、財政の権威である松隈さん個人の見解として、こういうことに対する意見を一応お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/106
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107・松隈秀雄
○松隈参考人 公債財源をもって消費的な経費をまかなうことの御意見でありまするが、御意見ごもっともであります。ただそれがいけないことであるということをはっきり言いますと、政府のやっておることに支障がある。私としては好ましいことか、好ましくないことかといえば、好ましくない。しかし絶対それはいけないことだとまで言い切るのは、少し立場もありまして言いにくいというふうにお答えするほかはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/107
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108・大矢省三
○大矢委員長 この機会にごあいさつを申し上げます。参考人には長時間にわたって本委員会のために重要な供述をされ、審議の上に参考になったことと思います。この機会にお礼を申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/108
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109・大矢省三
○大矢委員長 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
します、昨日の本会議において、国会法第五十九条の規定により、本院の承諾を得た修正部分について、政府より説明を聴取することといたします。川島自治庁長官。
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地方税法の一部を改正する法律
案中修正
第二十五条第一号の改正規定の次に次の改正規定を加える。
第三十二条第二項中「百分の五」を「百分の六」に改める。
第五十一条第一項の改正規定中「百分の五・三」を「百分の五・四」に、「百分の六・三」を「百分の六・五」に修正する。
第七十四条の二の改正規定中「百分の六」を「百分の八」に修正する。
第三百十三条第五項の改正規定中「百分の七・九」を「百分の八・一」に、「百分の九・五」を「百分の九・七」に修正する。
第七百三十四条第三項の改正規定中「「百分の二十」又は「百分の二十三」」を「「百分の二十一」又は「百分の二十四」」に、「「百分の七・九」又は「百分の九・五」」を円百分の八・一」又は「百分の九・七」」に、「「百分の十三・二」」又は「百分の十五・八」」を「「百分の十三・五」又は「百分の十六・二」」に修正する。
附則第二項中「附則第十九項から第二十二項まで」を「附則第二十二項から第二十五項まで」に修正する。
附則第二十六項中「附則第十九項から第二十二項まで」を「附則第二十二項から第二十五項まで」に修正し、同項を附則第三十項とし、以下四項ずつ繰り下げる。
附則中第二十五項を第二十九項とし、第二十四項を第二十八項とし、第二十三項を第二十六項とし、同項の次に次の一項を加える。
(都民税に関する規定の適用)27 昭和三十一年度分の個人の都民
税に限り、新法第七百三十四条第
三項中「「百分の二十一」又は「百分の二十四」」とあるのは、「「百分の二十・五」又は「百分の二十三・五」」と読み替えるものとし、法人の昭和三十年七月一日から同年九月三十日までの間に終了する事業年度分の都民税及び当該期間内における解散又は合併による清算所得に対する法人税額に係る都民税に限り、新法第七百三十四条第三項中「「百分の十三・五」又は「百分の十六・二」」とあるのは、「「百分の十三・二」又は「百分の十五・八」」と読み替えるものとする。
附則中第十九項を第二十二項とし、以下第二十二項までを三項ずつ繰り下げ、第十八項を第二十項とし、同項の次に次の一項を加える。21 法人の昭和三十年七月一日から
同年九月三十日までの間に終了する事業年度分の市町村民税及び当該期間内における解散又は合併による清算所得に対する法人税額に係る市町村民税に限り、新法第三百十三条第五項中「百分の入・一」とあるのは「百分の七・九」と、「百分の九・七」とあるのは「百分の九・五」と読み替えるものとする。
附則中第七項を第九項とし、以下第十七項までを二項ずつ繰り下げ、第六項を第七項とし、同項の次に次の一項を加える。8 法人の昭和三十年七月一日から
同年九月三十日までの間に終了す
る事業年度分の道府県民税及び当
該期間内における解散又は合併による清算所得に対する法人税額に係る道府県民税に限り、新法第五十一条第一項中「百分の五・四」とあるのは「百分の五・三」と、「百分の六・五」とあるのは「百分の六・三」と読み替えるものとする。
附則中第五項の見出しを削り、同項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。(道府県民税に関する規定の適用)
5 昭和三十一年度分の個人の道府県民税に限り、新法第三十二条第二項中「百分の六」とあるのは、「百分の五・五」と読み替えるものとする。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/109
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110・川島正次郎
○川島国務大臣 ただいま議題になりました地方税法の一部を改正する法律案中修正につきまして、その理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
この修正事項は、今回の国会による国税の減税案に伴い、地方財政収入の減収を避けるため、所要の税率の調整を行おうとするものであります。
第一の修正点は、道府県民税及び市町村民税の税率の修正であります。ききに提案いたしました改正案におきましては、所得税及び法人税の減税により、それらを課税標準として課する道府県民税及び市町村民税の減収を避けるため、税率を調整したのでありますが、今回さらに所得税及び法人税が減税になりますので、その減税後の道府県民税及び市町村民税の額をおおむね従前程度まで維持できるようにするため、税率を修正する次第であります。
第二の修正点は、道府県たばこ消費税の税率を百分の八に修正することであります。今回の国会による所得税及び法人税の減税に伴い、地方交付税が減額ざれることとなり、昭和三十年度分の地方交付税の減額十四億七千四百万円につきましては、たばこ専売特別地方配付金を相当額増額することによって措置されるのでありますが、昭和三十一年度分以降につきましては、地方交付税の減額三十一億円分を補てんするため、たばこ消費税の税率を引き上げることとされたのであります。その場合道府県分のみについて引き上げを行いますのは、現下の地方財政の状況にかんがみ、財源の効率的な使用をはかろうとするものであります。
その他減税の施行時期、都等について必要な経過規定及び特例規定を整備したものであります。
この修正事項を含めまして、地方税法の一部を改正する法律案を慎重御審議の上、すみやかに成立を見ますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/110
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111・大矢省三
○大矢委員長 それでは本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02119550615/111
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