1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十三日(土曜日)
午前十一時十五分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君
理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君
理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君
理事 門司 亮君
加藤常太郎君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 高村 坂彦君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
長谷川四郎君 横井 太郎君
青木 正君 加藤 精三君
熊谷 憲一君 灘尾 弘吉君
山崎 巖君 井手 以誠君
川村 継義君 北山 愛郎君
小牧 次生君 杉山元治郎君
細田 綱吉君
出席国務大臣
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
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七月二十二日
委員吉田重延君、井手以誠君及び西村力弥君辞
任につき、その補欠として加藤精三君、楯兼次
郎君及び坂本泰良君が議長の指名で委員に選任
された。
同月二十三日
委員木崎茂男君、楯兼次郎君、伊瀬幸太郎君、
中井徳次郎君及び西村彰一君辞任につき、その
補欠として高村坂彦君、井手以誠君、杉山元治
郎君、細田綱吉君及び小牧次生君が議長の指名
で委員に選任された。
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七月二十二日
地方財政再建促進特別措置法案の一部修正に関
する請願(鈴木善幸君紹介)(第四三七三号)
地方自治法の一部改正反対に関する請願(鈴木
善幸君紹介)(第四三七四号)
同(川村善八郎君紹介)(第四三九〇号)
同外一件(山下春江君紹介)(第四三九一号)
同(菅太郎君紹介)(第四四四五号)
地方財政再建促進特別措置法制定反対に関する
請願(小松幹君紹介)(第四三八八号)
建築板金業に対する事業税の撤廃に関する請願
外十二件(正木清君紹介)(第四三八九号)
遊興飲食税の市税委譲等に関する請願(八田貞
義君紹介)(第四三九二号)
軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する
請願(山本猛夫君紹介)(第四三九三号)
工業用水道の起債を全額長期債化等に関する請
願(世耕弘一君紹介)(第四三九九号)
火災防止国民運動実施に関する請願(星島二郎
君外十九名紹介)(第四四四六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方財政再建促進特別措置法案(内閣提出(第
一一五号)
地方財政の整備に関する特別措置法案(加賀田
進君外十名提出、衆法第五八号)
地方財政法の一部を改正する法律案(加賀田進
君外十名提出、衆法第五五号)
地方税法改正に関する小委員長より報告聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
まず去る十九日付託せられました地方財政法の一部を改正する法律案及び去る二十日付託されました地方財政の整備に関する特別措置法案、この二案を一括議題として、提出者より順次提案理由の説明を聴取いたします。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/1
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002・北山愛郎
○北山委員 地方財政法の一部改正案の提案の理由、お手元に印刷が行っておると思いますが、これを朗読いたします。ただいま議題となりました加賀田進外十名提出、地方財政法一部改正案につき、その提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
本法案の第一の目的は、地方公共団体が国または他の地方公共団体に対し、法令に基かない負担金、寄付金等を支出することを制限し、国、府県、市町村相互の責任と負担の限界を明確にするとともに、地方財政赤字の原因を除去しようとするものであります。
元来、国、地方団体の行政事務とその財源の配分は、地方財政法、地方交付税法、その他の法令に規定されるところであるにもかかわらず、国、府県等においては、みずから負担すべきものを市町村に負担させる等、財政上の原則を乱るものが少くないのであります。自治庁の調査によれば、昭和二十八年度においてこの種の負担は、国及び国の機関に対するもの約三十八億円、国または県の関与する諸団体に関するもの百三十三億円、地方公共団体相互間のもの六十八億円に達しております。学校はもとより、自衛隊、警察、検察庁、裁判所、労働基準監督署等の経費まで地元地方団体に負担させることは、財政上の影響はもちろんこの種の権力的機関の業務の公正を保障するゆえんではないと思うのであります。従って、まず地方財政法第四条の三を改めて、強制徴収以外の割当徴収に適用を拡大し、新たに第四条の四を設けて、国に対する地方公共団体の寄付金は原則的に禁止することとしたのであります。
また都道府県と市町村の関係において、現行の地方財政法第二十七条の規定は、その内容が必ずしも明らかでなく、受益負担の名のもとに無制限に都道府県の経費を市町村にしわ寄せされるおそれがありますので、これを改めて、他の法令(例えば道路法)によって市町村に負担させることが明らかであるもの、及び自治庁長官の承認を得た場合のほかは、都道府県が法令によって当然みずからの負担すべきものを市町村に負担させてはならないことにいたしたのであります。
次にこの法案の第二の目的は、地方財政法第五条第一項第五号を改めて、地方債を起し得る場合の制限を若干緩和しようとするものであります。過般東京都の固定資産税の増税の事件に明らかにされたように、地方公共団体が課税標準の決定についても政府の示す基準によらなければならない結果として標準税率を固執するときは、著しく増税となるので、その税率を引き下げようとすれば、地方財政法第五条、第一条、第五号の規定によって起債の制限を受けることとなり、著しく地方団体の自主性を制限しているのでありますから、これを改めて、当該税率が標準税率を下回る場合でも、税収の見込みが昨年の収入を超過するものと認められるときは、地方債を起すことができるように制限を緩和しようとするものであります。
以上いずれも現行制度の欠陥を除去し、地方財政の合理化と健全化に必要適切な措置と考えますので、慎重かつすみやかに御審議御決定をいただきたいと存ずるものであります。
次に、ただいま提案されました地方財政の整備に関する特別措置法案につき、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
地方財政の窮乏は年々深刻となり、昭和二十八年度決算において赤字四百六十二億円、昭和二十九年度はさらに五百八十六億円に増大するものと推測されており、このままに放置するならば地方財政は破綻し、国の施策遂行と国民生活に重大な影響を及ぼす結果となることは明らかであります。
本年三月鳩山総理の提出した地方財政白書によれば、その責任は主として国にあり、従って地方財政再建に対しては国としても地方交付税率の引き上げ等適切な財源措置を行うとともに、赤字地方団体も長期計画を立て、合理的再建の方途を講ぜしめることが必要であります。それが本特別措置法案の提案理由であります。
次に本法案の内容について御説明申し上げます。
第一に、昭和二十九年度末の赤字団体は自主的にその議会の議決を経て財政整備計画を策定し、自治庁長官に提出する点については、政府提出の地方財政再建促進特別措置法案と大体同様でありますが、特に団体の自主性を重んじ長官の承認、あるいは変更を命ずる等の規定はいたさないことにしてあります。
第二に、財政整備計画は翌年から五年間に財政収支の均衡を回復することを目標とすることにいたしております。
第三に、財政整備の起債は政府資金三百五十億円、公募債五十億円計四百億円としておりますが、公募債は昭和三十年度以降すみやかに政府資金に切りかえることにしました。
第四に、国は財政整備債に対し年六分五厘の利子補給を行うことにし、政府資金による整備債は三年据え置き、自後十年間に元利償還することにしてあります。
第五に、財政整備団体に対する政府の干渉を排し、自治庁長官の監査及び必要な勧告、必要な報告の提出の義務だけを提出いたしました。
第六に、財政整備団体の議会及び行政委員会等の組織運営には特別の制限を加えないようにしました。
第七、国及び他の地方公共団体に対する法令に基かない寄付金、負担金等の制限については、別に地方財政法一部改正法案を提出し、これに譲ることにいたしたのであります。
以上内容の概要を御説明申し上げましたが、本案はあらゆる点から見て政府案と比較にならぬ優秀な案であり、本法案の措置によってのみ地方財政の合理的再建が期待されるものと信じておりますので、何とぞすみやかに御審議御決定をいただくよう希望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 これにて提案理由の説明は終りました。これに対する質疑はございませんか。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/3
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004・大矢省三
○大矢委員長 それでは次に政府提案にかかる地方財政再建促進特別措置法案及びただいま提案説明を聴取いたしました地方財政の整備に関する特別措置法案の両案を一括して議題とし、議事を進めることにいたします。
政府提案の地方財政再建促進特別措置法案及び本案に対する鈴木直人君外十八名提出の修正案については、前回の委員会において一応質疑は終了いたしておりまするが、若干質疑があるとのことでありますから、この際議員提出の法律案を含めて質疑を許します。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/4
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005・北山愛郎
○北山委員 今度は質問を申し上げます。この前修正案につきまして質疑をやっておりましたが、その残りが若干ございますから簡単にお伺いしたいのです。
ちょうどあの時間切れのときに第二十三条の見出し及び同条中の修正、その中に「地方財政又は地方行政に係る制度の改正等により、地方財政の基礎が確立した年度以降の年度で政令で定める年度以降においては、」これは起債制限のことだと思いますが、もしもここに規定されておるような地方財政の基礎が確立したというような条件のもとには、もはや起債の制限等の必要も起らないし、特にそういうことを規定する必要もないのじゃないか、かように存ずるわけであります。従いまして一体地方財政及び地方行政の制度改正というものが、果してあり得るかどうかということが一番の問題ではなかろうかと思うわけであります。従いまして、提案者におきましては近い将来におきまして地方行財政の改正が起るということを前提にしていらっしゃるようでありますが、これらの点の見通しといいますか、あるいは政府等との了解とか、そういう点についての見通し、お考えを一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/5
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006・鈴木直人
○鈴木(直)委員 原案を修正案のように修正いたしましたのは、地方債の一部でありますが、地方財政法の五条の第一項但書に各号が列記されてありますが、その中の三項目につきましては、主として財源補てんのような性質を持っておるようなものでございますので、地方債を許可しないという原則から見ると、この程度のものは許可しないことができるというふうに規定してもよろしいのではないかという見解から、この三項目につきましては許可しないことができるというふうにいたした次第であります。そうしてその条件といたしましては、現在のような、明らかに地方財政計画が不完全であって、赤字が出ることが予想されるような地方財政計画のもとにおいて、地方団体が赤字を出したような場合に、その起債を許可しないという原案は不当なものであると考えまして、これを全部削除するのがほんとうではないか、また意味をなさないのではないかという御意見がありまして、そのような御意見につきましても、私たちは十分検討をいたした次第でありますが、ただここに規定をいたしておくということは、この規定によって全国の地方公共団体が赤字を出さないような考え方を幾らかでも起すならば、この規定を入れる意義があるという考え方が一つ、もう一つは、その前提とするところの地方財政計画が確立したときからそれでも赤字を出すような場合においては、三項目についての起債は許可しないことができるということになるのでありますから、その地方財政の基礎が確立したと認められるという段階に努力するために、国会におきましても、あるいは政府におきましても、あるいは地方団体におけるところの徴税の成績等におきましても、あるいは行政機構の改革等におきましても、お互いに努力するためにはこのような規定を法文として作っておいた方が、やはり目標としてはっきりするのではないかというような考え方からこの規定を入れた次第なのであります。しからば地方財政及び地方行政の改善によって、地方財政の基礎が確立できるような措置について、近く政府においてもあるいは提案者の側においても計画があるかというようなお話でございましたが、この地方財政の基礎が確立するということはどの点で確立したかという判断が非常に困難な問題でありまして、この文字をそのままに受け取るならば、きわめて厳格なものとなるのでありますが、客観的に見まして地方財政の基礎が確立したと思われるような措置をわれわれにおきましても講じたいという考え方をもって、その一部の実行をいたしたいと実は考えておるものであります。与党におきしましてもそういうふうなことを了承いたしておるのでありますが、政府におきましてもこの改正案については了承をいたしておるのでございます。しかしながらしからばいかなる具体的なものが進められておるかという点につきましては、この法案につきましては明らかにされておらない次第でございます。またそれが実現をしない暁において明らかな規定をもってこれを明示するということは考えものだと思いましてこの程度の抽象的な条文をもって規定をいたしたというのが立案者の考えであり計画であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/6
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007・北山愛郎
○北山委員 この修正案の各部分につきましてはこの前御説明ありましたいろいろな修正点あるいは修正の基礎となった考え方、これについてはわれわれも非常に賛成し得る点が多いのでございます。ただしかしかりにこの修正点が通りまして原案が修正されて国会を通過したと仮定した場合に、私どもが一番心配をいたしますのは、この委員会でも再々指摘せられたように、この再建促進法では、規定の上で、いかに改善を見ましても、その裏づけとなる財源的な措置においては非常に不足であるという点はおそらく提案者も認めるであろうと思います。すなわち赤字五百八十六億に対して二百億の手当しかないということが一つ、もう一つは今年度の地方財政の実際の需要額と政府の地方財政計画との間に五百億ないし六百億の食い違いがある。この二つの点が是正を見ない以上は、この法案が通りましてもその効果が危ぶまれるあるいは逆にこの法案の持っておる地方団体に対する拘束等が残酷にその影響を及ぼすのではないか、こういう点が一番心配される点であります。従いましてかりにもしもこの法案に対する修正案の提案者におきまして、この法案と同時に地方交付税率の引き上げを大幅に行うというような措置をあわせ提案されるならば私どもとしても大いに賛成したかもしれないのであります。ところが遺憾ながらその措置がとられていないのであります。われわれ社会党はこの点につきまして重大な関心を持ち、地方交付税率を二七%に引き上げ、三百億の財源措置をするという法案を別に出しておるのでございますが、提案者の側におきましてはこのような措置が必要であるとは考えないかどうか、また必要であるとするならば、われわれの提案しておる地方交付税法の一部改正による地方交付税の増額という点に賛成せられる用意があるかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/7
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008・鈴木直人
○鈴木(直)委員 社会党から提案されました修正案につきましては、敬意を表しておる次第であります。ことに先ほどの提案理由の御説明にありました通り非常にりっぱな理想的な修正案でございます。ただ実は私少しおそく参りまして、はっきりした御説明は聞けなかったのでありますが、財政投融資におきまして政府資金三百五十億、公募債五十億合計四百億を引き充てるというような案でございますが、われわれといたしましてはすでに三十年度の予算に賛成いたして成立いたしておる段階でございます。私たちが賛成をいたしました予算の中におきましては、資金運用部資金計画が組まれておりまして、その中には、地方債として六百六十二億でしたかが計上されまして、それを認めておる段階でございます。従いまして社会党の案の三百五十億の政府資金をこの際組みかえをするということは実際上できかねることに相なっておるわけであります。この点につきましては、実は社会党の提案者にお伺いしたいと思っておったのでありまするが、先般の社会党の組みかえ案の中にただいま提案されてあるような預金部資金運用資金の二百五十億をこの方面に使うというような内容が含まれておったかどうかという点について、実はお伺いしたいと考えておったところでありますが、先般組みかえ案を提出されたのでありますから、その内容に、おそらく本日御謹明になりましたこの再建債に対する政府資金の三百五十億が組みかえ案の中に裏づけとして入っておることであろうと考えておるのでありますが、そういうことであれば別でありますけれども、提案者といたしましては六百六十二億というこの国会におけるところの決議をいたしておる状態からしまして、技術的にもこのような政府案を認めるということをせざるを得ないということになるわけであります。しからばこの政府案にして初めて六百億に近いところの赤字のたな上げができるかという点につきましては、提案者の一人である私も本会議において当初政府に質問し、またこの委員会においても質問をいたしたのでありましたが、政府の説明といたしましては、二十八年度の四百六十三億を基礎としてきめたところの二百億である、二十九年度については目下調査中である、この結論が出たならば、それに対するいわゆる補充的な考え方をいたしたいということを政府当局として言明をいたしておる次第であります、従いまして提案者といたしましては、まだ始まらない再建計画の実行でありますから、この国会中にこの法案を修正によって通しまして、そうして政府をして実行に着手せしめまして、その過程においてそのような段階ができたならば、政府の言明を監視して、次の通常国会も十二月にあることでありますし、あるいはその前に臨時国会等があったような場合においては、特にそのころはもう二十九年度の赤字もわかる段階でありますから、私たちは政府の言明を監視し、そうしてその言明通りに実行をするという考え方のもとに、政府原案を承認しておる次第であります。ことにこのうちの八十億程度のものは、二十七年度前における国の直轄事業に対する地方の負担金が含まれておるのであって、この負担金は、分割払いというような方法をとって処理するという言明でありましたが、ただ行政措置によって政府にこの分割払いをまかせるということは、政府の言明にもかかわらず不安でございましたので、この修正案の中において修正をいたしまして、これは交付公債をもって切りかえるというようなことにいたしまして、この二百億にプラス八十億の二百八十億は少くとも本法案によって解決をし、それ以外のものは実行の過程において必要な場合には必要な措置をするという政府の言明を信頼しつつ監視を続けたいという考え方から原案を承認いたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/8
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009・北山愛郎
○北山委員 昨日も申し上げましたが、自由党の修正案の中に、国の直轄工事に対する地元負担金の未納分を交付公債にする、この案が加えられましたことは、社会党としても欣快に思うのであります。特に社会党としては、同趣旨の法案を国会に提案しておる立場から行きまして、本来ならばわが党の案が可決せられることが望ましいのでございます。しかしながら同じ内容のものが自由党によって採用されたということにつきましては、われわれも敬意を表したいと思います。これは率直に申し上げておりますが、ただいろいろの修正案についてもう少し何とかならなかったかという気持もいたします。そのおもなる点は、この委員会でいろいろ論議されましたものの中に、今度の再建促進に使う政府資金でありますが、その政府資金は百十億、その百十億の配分は、赤字再建債としては五十億、六十億は退職手当分として、いわゆる首切り用として六十億であります。従ってそのような政府資金の配分引き当てから考えるならば、どうもこの再建案というものは、過去に累積をした赤字をたな上げするということが目的であるよりも、むしろ今後において地方団体の首切りを奨励する案であるかのごとき印象を受けるのであります。従いまして提案者においては、この五十億と六十億の政府資金の比率配分については何の考慮もされなかったのであるか。また今後において何か考慮する御用意があるかどうか。この委員会でも政府当局との間にいろいろ質疑があったのでありますが、この点について特にお伺いをしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/9
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010・鈴木直人
○鈴木(直)委員 五十億は再建債の切りかえにこれを用い、他の二十億は一般的な地方財政計画に基いて退職する方々に退職手当として支給する場合に、その地方団体に金が不足している場合には起債を求めることができるという規定のもとに起債を実際に実行するという計画になっており、他の三十億は、この再建整備法の規定によって、再建整備団体として指定された団体が退職手当を必要とするような場合にこれを使うである、こういりような計画の説明を政府から聞いておったのであります。しかしながらこの法律の規定から見ますと、そのような計画が説明として加えられているのであって、法律の規定の中には明らかにされておらない次第であります。従ってこの法文から見ますと、退職手当につきましては、地方財政法の第五条によっては地方起債をすることができない、そういうような現在の地方財政法五条の規定に、退職手当にも地方債を発行することができるという例外的な規定をこの法律によって満たしたものであると解釈をいたしておる次第であります。そうして退職手当の引き当てとして起債を許されたものについては三カ年間においてこれを償還する、また起債償還のためにやる分については七年でしたかに償還するということが区別されておるのでありまして、金額につきましては、この法文には明らかにされておらないのであります。ただ政府の説明の中にそういう計画であるということを聞いたにすぎないのでございまして、これを実施いたした場合において、その修正案を提出した私たちとしましては、計画はその通りでありましても、退職手当の方面にそれほど必要でなかったという場合においては、地方財政再建計画に基いて五十億以上かかったという場合においては、それとにらみ合せて、その方面にも融通することができるものである。法律はそれを押えているのではないという解釈をいたしておるのでありまして、百十億の地方起債を実際の場合においてどのようにやるかという点につきましては、私どもといたしましては、実は法案の体裁上といたしましては関係をいたさないという考え方でございます。従いましてこの法律によって退職手当に起債を起すことができるという、そういう法律だけによって首切りが強化される結果を来たすというようには、実は考えていないのでありす。もちろん今までは退職手当の引き当てとして地方起債を起すことができなかったのに対して、初めて退職手当に地方起債を許すことができるような規定になったのだから、そういうことによって首切りが強化されるのであろうと考える人もあるでありましようが、これは人の受ける感じでありまして、私といたしましては、そのために首切りを強化する法案であるとは考えませんし、またそういうことを期待をいたしておらないのでございます。財政再建計画におきましては、最も妥当な——ことに首切りというものはきわめて重要も問題でありまするから、この法律ができたために首切りをするのだという考え方を地方団体に起してもらいたくないということを私は希望をいたしておることを、この際表明いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/10
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011・北山愛郎
○北山委員 この点につきましては、実は政府からも自治庁長官からいろいろお考えを承わったので、これ以上くどくは申し上げませんけれども、やはりこれが改まらない。法律はともかくといたしましても、政府が政府資金の配分を五十億、六十億というような配分にしておることはやはり適切でない、かように考えますが、この前長官の言明もございました。必要によっては大蔵当局とも交渉してやりたい。それから大蔵省の方でも、自治庁長官の方からそういう御要請であれば、退職手当債を再建債の方に回すことを考えてもよろしいというような言明がありましたから、それを信用いたしまして今後の長官の御努力を要請いたしておきます。
なお後日のためにもう一点だけ政府にお伺いをします。この再建促進法によって再建団体になった団体が、その再建途上において、もしいやになって、再建団体でなくなろう、かごの鳥からのがれよう、そうして自前になろうとするような場合、これを適用した際にどういう制裁が起るか。財政部長から、それは再建債の繰り上げ償還が行われるのだ、こういうお話であったわけであります。けれどもこういうことが当然起るということは、私法律を調べてみましたが、法律の中にはない。これはおそらく一般の地方債、個個の地方債によって金を貸す場合の契約の内容にあるのだと思うのであります。従ってこれは政府の運用にまかされておると考えます。従ってそういう場合に、この再建団体が今度は一本立ちになって自分の力で歩きたいと思ったときに、それはけしからぬ、なんでもかんでもとじ込めておかなければならぬ、もしも一本立ちになりたければ借金を全部返せといいうように冷酷に扱われる方針であるか。あるいはやはり事情によっては、その団体の気持をくんで、その際においても借金は全部一ぺんに返せというような冷酷な扱いをしない御方針であるか。一つ自治庁長官のお考えを承わっておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/11
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012・川島正次郎
○川島国務大臣 再建団体が自力で再建するようなことになることは、私ども喜ばしい状態だと考えておるのでありますが、その際に一ぺん許した再建債をどう処置するかということにつきましては、そのときのいろいろ事情にもよるのでありまして、今的確にお答えはできませんが、根本の考え方といたしましては、再建団体が一日も早く健全な財政運営の姿になることを希望しておるのでありまするから、その線に沿って処置すべきものだ、こう考えて、そういうふうにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/12
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013・後藤博
○後藤政府委員 簡単に補足いたします。私が先日申し上げました通り、これは契約の条件にどの起債でも繰り上げ償還という問題は入っているのであります。しかしその場合にいろいろな事情がございますから、特殊な場合につきましては、その際にその団体の特殊事情等も考えまして、いろいろ考慮したらいいのじゃないか。原則としてはやはり繰り上げ償還ということにしておいて、そうしてその繰り上げ償還をする場合にいろいろなケースがあると私は考えておりますので、そのときの問題にいたしたらどうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/13
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014・鈴木直人
○鈴木(直)委員 実は先ほど私の答弁のうちに間違いがありましたので、訂正をいたしておきます。それは先般成立いたしました予算の中に、資金運用部資金運用計画として地方債が六百六十二億計上されているというふうに申したと思いますが、それは四百六十六億の間違いでありましたから、訂正いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/14
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015・加賀田進
○加賀田委員 ちょっとこの際最後に質問いたしておきたいと思います。修正案によりまするとこの三条の二項といたしまして、新しい項を設けまして、委員並びに委員会の管理する機関の意見を聞いて、この際計画を立てなければならないということになっております。従って先般来意見というものに対していろいろ論議がありましたけれども、赤字団体の長が各委員会並びに委員の意見を聞いて財政再建を促進いたします場合、意見を取り入れるか、取り入れないかは各赤字団体の長の自由になると思うのでありますが、なおこの計画を立てた後において、第八条に基いて各委員会の委員と長とが協議するということになっております。従って計画を立てる前に意見を聞くという程度にとどめて、計画が決定されまして、これを実行する場合になりましてから委員会等との協議ということになりますと、実際は一つのワクをはめられた後において協議することになって、各委員会の意見が十分達成できないという憂いがあると思います。そこで私たちとしてはやはりこういう委員会の意見をいれる場合には、作成前においても意見を聞くという程度にとどめず、協議をすべきが妥当ではなかったかと思うのです。こういう点について修正提案者として御論議はなかったか、あるいはどういう見解を持っているかということについて御質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/15
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016・鈴木直人
○鈴木(直)委員 ごもっともな御質問であると思います。この点についていろいろ研究いたしたのであります。政府の説明によれば、地方財政計画は大ざっぱなものであるということでございましたし、また何条の何項でありましたか、実際に再建整備団体の長が再建整備計画と予算を組む場合には調整をしなければならないということになっておるわけであります。従いまして、予算を組む場合には再建団体の長は調整しなければならないということになっておりますで、委員会は調整しなければならないという規定にはなっておらないのであります。従いまして教育委員会法によるところの教育委員会の予算提出権というものは確保されておるわけでございます。再建計画は大ざっぱなものでありますが、実際に予算を組む場合においては、現在の教育委員会法によって、教育委員会が予算を送付する権限、権能は依然として持っておるのでありまして、それによって予算を一応提出して、現在の自治法の規定によって予算はきめられるのでありますから、この際に具体的な予算を組む場合には、教育委員会の考え方が反映するものだと考えた次第であります。そうして、その決定いたしました予算を執行する場合においては、原案によりますと、計画を実行していく場合に必要な予算の執行については、協議をするというのであるのでありまして、必要なということは非常にあいまいであるということから、それを計画の達成に著しく障害を及ぼすというようなもののみに、協議を限定いたした次第であります。財政計画を、長が立てる場合に、あらかじめ協議するということになりますれば、もちろんそれが強化されるのでありますけれども、この修正案は、お互い十八名の共同提案でもございますし、結局意見を聞くということでも、現実においては、運用上において、地方自治体の内部において、協議をする程度まで打ち合せることが行われることを期待して、意見ということにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/16
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017・加賀田進
○加賀田委員 もちろん運用において期待をされることはけっことでありますが、今の御答弁の中で、十八名の共同提案であってということもあったので、やはりそういう十八名の中では、協議をするという字句に変えるべきであるという意見もあったと私は推察をいたすわけでありますけれども、先ほど申し上げた通り、意見を聞くだけであって、決定されたワクの中で協議されるということになりますと、やはり協議の整わないような場合がここに起るという懸念が強いわけです。従ってもしこれを作成される前に、協議をしてそれが決定されるということになれば、これはほとんどその協議の過程において作成された再建計画というものは、委員会の意見というものが相当深く入っているという理解を私は持っているわけなんです。そういう意味では、どうしても再建を実行する場合の協議が規定されているとするならば、この作成するまでの計画に対しましても、やはり協議すべきが妥当ではなかったかと非常に遺憾に存じているわけであります。なおそういう十八名の意見の山での調整の過程を通じて、こういう意見ということで決定されたように、私実は理解をいたします。
さらに、退職金の問題で北山委員から質問がございましたが、六十億というのは退職金のみに充当するという場合ではなくして、その事情に応じては、再建債の方に回してもいいという御意見がありましたが、この規定では、退職金は大体三年間で償還することになっておりますし、再建債は七年間に償還をすることが規定してありますけれども、もし六十億の退職金が一般の再建債の方に認められるとするならば、この三年間を七年間として変更するのかどうかということも、一応明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/17
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018・川島正次郎
○川島国務大臣 六十億予定しております退職金を、振りかえまして再建債にした場合は、ほかの再建債と同様に取扱います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/18
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019・井手以誠
○井手委員 簡単に質問方々お願いをいたしたいと思います。まず提案者にお伺いいたしますが、あなた方の作成された修正案に対して、地方公共団体の方も大体賛意を表しているようでありますし、敬意も表しているようでありますが、どうしても第二条の第三項にある増税の関係、それは赤字の責任がすべて地方団体にしわ寄せされて、増税によって解決されようとすることは、どうしてものみがたい、これが第一点です。次に第十条の第二項にあります兼職の件、これは若干修正はされておりますけれども、兼職そのものがどうしてものみがたいこと、この二点に要約して、何とか御考慮が願えないかという要望がきわめて強いのであります。一たび出された修正案でございますので、いろいろ困難だとは存じておりますけれども、そこまで要約された地方の要望、世論というようなものに対して、提案者でもう一度御考慮なさる余地はないものかどうか、この点を提案者にお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/19
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020・鈴木直人
○鈴木(直)委員 これも確かにごもっともな要望であると思います。法文をよく見ますと、この法律は増税をしいるものではないのでございます。しかも私たちの修正によって、自治庁長官はこの財政計画に変更を加えることができないということにいたし、またその財政計画は、当該自治体の長と議会、委員会等との共同で、県民の意思を考えつつ作成せられる自発的な、自主的な財政計画になるように修正をいたした次第であります。そして、もし議会側が再議に付された案について否決した場合においても、これを不信任案とみなすことができないというようにいたしたのでありますから、府県民なり市町村民を代表する議会側に対して、長が強制的にその案をしいるという点も除いたような次第でございます。そういうような考え方から、どこまでも自主的に良識に従った考え方によって、地方団体が作成せられるということが一つ。
もう一つは、政府原案を修正いたしまして、利子補給を強化いたした次第であります。すなわち政府の案に対しまして、五分までは利子補給をするというような案に切りかえまして、政府においても、相当痛い思いをさせるような修正案にいたしたのでございます。また第二条の第三項には、特にただし書きがございまして、特別の場合に限定されて第二号が適用されるということであり、政府の見解も、その増税計画の適用は、きわめて限局された場合に適用するものである、こういうことにもなっておりますので、いろいろ原案をいたしまして、原案をそのままにいたした次第であります。従って修正案の提案者といたしましては、第二号は実施してもらいたくないということを期待しつつ、政府原案をそのままに置いた次第でございます。
それから議会と委員の兼務の問題でございますが、あの法文の解釈は、実に解釈がしにくいのでございます。すなわち再建団体の長がということがありまして、委員会なり議会の意思にもかかわらず、長が一方的にこれを押しつけることができるようにも解釈されるのであります。政府側はそういうものではないのだ、またお互いに話し合ってするように読めるのだということでありましたけれども、これでは十分でないと考えまして、長を抜きまして地方公共団体ということにいたした次第でありまして、地方公共団体においてはこういうことが可能である、法律で押えないのだ、法律上やろうと思えばやれるのだという意味に実は修正をいたした次第でございます。しかも地方自治法百八十条の三の規定にかかわらずこれは委員会のみに適用される条文で、委員会側から申し出があった場合には兼務ができるという規定でございますが、このそれにかかわらずということは、それを否定するものであるという考え方から、その規定も抜いたような次第でありまして、あの法文の解釈は自治体内において委員会側におきましても、議会側におきましても、長側におきましても対等な地位に立ってお互いが協議の上に兼務をしたり従事したりするというような場合においては法律上はやれるのである、違法ではないのである、こういうような意味において修正いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/20
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021・井手以誠
○井手委員 提案者の御意思はわかりました。そこで自治庁長官にお伺いいたします。長官はこの修正案に対しては賛意を表するとおっしゃいましたが、提案者がただいま申されたように、実際は適用してもらいたくない、あくまでも委員会と地方公共団体の長は対等である、運用については当局に期待している、こういった多くの運用についての重要な発言がございましたが、おそらくただいま申された提案者の趣旨についても賛意を表されるであろうと存じますが、いかがでございましょうか、念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/21
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022・川島正次郎
○川島国務大臣 私は議会の御意見を尊重いたしまして、本案が成立いたしました暁にはこれによって運営いたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/22
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023・井手以誠
○井手委員 もう一点念を押しておきたいことは、赤字債の二百億が二十八年度末の決算によるものであることは、自治庁から言明されたところであります。先刻提案者の言明によりますと、三十九年末における決算についてその始末をどうするかという点でございます。提案者は来たるべき通常国会、いなその以前に臨時国会が開かれるならば、おそらく必要な措置を講ぜられるであろうと期待している、かように申されたのであります。これも同様賛意を表されている長官としては、大体予想されている臨時国会、あるいはなければ通常国会には、修正案に賛意を表されている建前からいたしましても、またこの再建法案が二十九年度末を起点として立案されております立場からも、二十九年度末の決算に対する措置、すなわち補正予算を当然提出せられるであろうと私は信じておりますが、その点の所見をこの際言明いただきたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/23
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024・川島正次郎
○川島国務大臣 大体この法案を作りますときには二十八年度の決算の赤字四百六十二億を目標にして作ったのでありますが、その後二十九年度も百二十億近くの赤字が出るという推定になりました。従いましてこの法案が考えているだけの金額では不足を起す場合もあり得るのであります。そういう場合には適当に財源的措置をするということは私からも申し上げてよろしいし、大蔵大臣もそういうことを申し上げております。適当に措置いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/24
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025・井手以誠
○井手委員 その適当に措置するということは、本年度中に補正予算の措置を講ずるという意思でございますか、もう少しはっきりお願いいたしたいのであります。私の方でもある程度言外の含みは了解し得る用意を持っておりますので、いま少しはっきりした御答弁が願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/25
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026・川島正次郎
○川島国務大臣 再建債二百億の起債を許可することになっておりますが、その起債が不足の場合には追加して起債を許すことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/26
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027・北山愛郎
○北山委員 最後に一点長官にお伺いしておきたいのです。私この法案の審議でいろいろな点についてお伺いしたのですが、まだ心残りな点がたくさんございます。ただ先ほど修正案の提案者の方から修正案第二十三条の点につきまして、地方財政及び地方行政制度の改正ということを前提としたようなお話があったわけであります。長官もこの委員会で再々地方行財政制度の大改正を行いたい、こういうような御意思をしばしば表現しておられる。そこでお伺いするのですが、こういうような事態からいたしまして、政府としては地方財政の制度の改革に取りかかるまず第一の着手というのは、地方制度調査会の運用だろうと思うのです。地方制度調査会は御承知のように七月十六日に一応前の委員が具体的な結論を見ないままに終ってしまったので、新しい地方制度調査会に対して、政府はこれを運用して適当な意見の答申を求める、こういう段取りになると思うのですが、これをさっそくにおやりになる考えであるか、また同時に、おやりになるとすれば、地方制度調査会に対してどういうテーマを中心として答申案を求めるのであるか。この前は府県制度を中心としているわけです。ですからまた引き続いて府県制度あるいは町村合併、そういうふうなテーマがあろうかと存じますが、長官の腹案としては地方制度調査会をいつごろから利用されるか、またその際にどのようなテーマでもってこの調査会に答申を求められるか、このお考えを聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/27
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028・川島正次郎
○川島国務大臣 地方制度調査会委員の方々の任期はすでに来ているのでありますが、緑風会の御推薦がおくれたので、今もって発令いたしておりません。これも御推薦がありましたから両三日じゅうに発令いたしまして、なるべく早い機会に第一回の総会を開きたい、かように考えております。従来諮問しております府県制度に対する問題以外に新たに諮問案を出すのかというお尋ねに対しましては、新しくそれと並行しまして別の項目も御審議願いたいと考えておりますが、政府部門の意見がまだ一致しないところがありますので、いつどういう問題を出すかということはここでお答えするような段階にはなっておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/28
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029・北山愛郎
○北山委員 政府部内の意見がきまってから表明されるということでありますが、大臣としてはどのような問題をどうしても取り上げなければならぬ、これを一つ地方制度調査会に答申を求めなければならぬと考えているか、大臣としての考えを一つこの際伺っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/29
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030・川島正次郎
○川島国務大臣 当地地方行財政に関する問題は、地方制度調査会にお諮りして、その答申を骨子として成案を作るのでありますから、政府の意見が固まりますれば、地方制度調査会に諮問をいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/30
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031・門司亮
○門司委員 今の北山君の質問に関連して聞いておきたいと思いますことは、地方制度調査会の問題をいろいろな場合に取り上げられておりますが、政府はその地方制度調査会の答申を忠実に実行されるほんとうの御意思がございますか、この点念を押しておきたいのだが、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/31
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032・川島正次郎
○川島国務大臣 従来の国務大臣はどうか知りませんが、私はこれを尊重しまして、取り上げたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/32
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033・門司亮
○門司委員 これは行政、財政とも両方と解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/33
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034・川島正次郎
○川島国務大臣 地方制度調査会の規則では両方を御審議願うようになっておりますから、むろん両方に関係いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/34
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035・門司亮
○門司委員 それでやや安心いたしたのでありますが、私の観測では、従来地方制度調査会の答申に対して、政府は自分に都合のいいようなところだけは取り上げて、財政は絶対に取り上げておらない。地方財政について、地方制度調査会は、行政の事務配分を行うと同時に地方財政の健全化をどうしてもはからなければならないということで、たとえば交付税にしても百分の三十に引き上げろということを言っておる。たばこ消費税についても同じことです。そういうことを少しも取り上げようとしない。一向お留守にしておいて、そうして政府の都合のいいところだけを取っていくという悪い癖がある。従って、今の大臣の御答弁がそのまま受け取れるようなら、私は非常に幸いだと思っておりますが、ほかの内閣はどうか知らぬが、自分の内閣はというような逃げ口上のようにも私にはとれるので、そこで政府の方針として少くとも、地方制度調査会の答申の中で、政府に都合のいいところだけではなく、一つ財政の面についても十分に考えていただきたい。今度の改正案にいたしましても、もし政府が地方制度調査会の答申をそのまま受け入れておったならば、こういう再建整備をしなければならぬような団体はできなかったろうと私は思う。またそういう必要もなかったろうと思う。だから、この機会にあらためてこういう問題が出たので、今の大臣の答弁に対して、行財政とも忠実にこれを実行ができるようにすることを、はっきりもう一度確約しておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/35
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036・川島正次郎
○川島国務大臣 財政の面におきましては、国家全体の財政とにらみ合わす仕事でありまして、従いまして、従来地方制度調査会から御答申になっている通りにいかなかったという点もあるのではないか、こう考えるのでありますが、もともと地方行財政を健全化しまして、地方住民の福祉を増進することが趣意でありますので、なるべく国の財政と府県の財政との調和をはかりまして、根本の趣旨を失わないようにいたしたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/36
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037・大矢省三
○大矢委員長 それでは政府原案及びこれに対する鈴木直人君外十八名提出の修正案及び加賀田進君外十名提出の法律案に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
これより両法案及び鈴木直人君外十八名提出の修正案等を一括して討論を行います。討論の通告がありますので、順次これを許します。古井喜實君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/37
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038・古井喜實
○古井委員 ただいま議題になっております両法案並びに政府原案に対する修正案について民主党を代表して討論をいたしたいと思います。
まず第一に、社会党両派提出にかかる地方財政の整備に関する特別措置法案についてでありますが、本案に対しては遺憾ながら賛意を表しかねます。
理由の第一は、この案におきましては監督規定は撤廃してあるのであります。それから議会並びに委員会の関係に対しては、この再建に協力するための拘束は全廃してあるのであります。この趣旨は、地方自治体の自主性を尊重して、みずからの努力によって再建させようということでありますから、この趣旨には大いに傾聴いたすのでありますけれども、かようにいたしまして果して赤字を抱えた団体の再建ができるかどうかに多大の疑問を持つのであります。ただ赤字をたな上げするだけではなく、これを解消しなければならぬのでありまして、これは容易ならぬ苦痛でもあるし、なまやさしいことではないのであります。しかもこの目的を達成しようというならば、達成し得るだけの措置を考えませんければ、この目的が達成できないという心配を持つのであります。この意味において社会党の案に対しては、まず第一にわれわれはこれによって目的が達成せられるかに疑問を持つのであります。
第二番目は、再建債を社会発案においては四百億というふうに規定をされ、そのうち三百九十億は政府資金をもって充てるということであり、なお残りの五十億も三十年度以降すみやかに政府資金に切りかえるということでありますが、かかる案は今日の実情においては実行不可能であります。そしてその実行不可能な案にわれわれは賛成することはできないのであります。
以上の理由によって遺憾ながら社会党案には賛意を表しかねます。
次に自由党、民主党共同提案にかかる修正案でございますが、これはすでにわれわれが修正に参加しておる点においてもこれに異存がないことは申すまでもございません。この案におきまして政府の利子補給が原案よりもさらに引き上げられた。多くなったという点は、原案に比して改善であると思っております。若干監督規定等が緩和されましたけれども、この程度の緩和はさしつかえがないものであるとわれわれは考えております。
残りました政府の原案につきましては、現在の段階においては実行可能な案としては、まずこの辺が最上であると私は確信いたしますので、この修正案並びに修正部分を除いた政府原案に対しては賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/38
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039・大矢省三
○大矢委員長 次に鈴木直人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/39
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040・鈴木直人
○鈴木(直)委員 私は自由党を代表いたしまして社会党提出の法案に反対をいたし、自由党、民主党共同提案の修正を含めて政府原案に賛成するものであります。もちろんいろいろ不満の点もありますけれども、次に述べるような希望条件を付しまして、修正案を含む政府原案に賛成をいたします。
本法案の実施については十分なる資金と、将来地方財政に赤字を発生せしめないよう、地方財源の充実をはかることが必要であると考えるが、政府が今回準備しているこれらの措置は、必ずしも十分でなく、本法案の円滑なる実施に不安なきを得ないのであります。よって政府は本法案の実施に当っては、財政再建債の所要資金の確保をはかるかたわら、公募分については明年度必す政府資金に肩がわりする措置を講ずるとともに、地方財政計画の適正化、地方行財政制度の改正により、地方財政の充実について、根本的施策を樹立し、すみやかに関係法律案を提出せられることを希望条件といたしまして、賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/40
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041・大矢省三
○大矢委員長 北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/41
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042・北山愛郎
○北山委員 私は日本社会党を代表しまして、加賀田進君外十名提出の地方財政の整備に関する特別措置法案に対し賛成をし、政府提出の地方財政再建促進特別措置法案並びに鈴木直人君提出の修正案、これに対して反対をいたすものでございます。
反対の理由を項目ごとに以下申し上げますが、第一にこの政府提案の再建促進法案は、地方財政の赤字に対する国の責任を果しておらないという点でございます。御承知のようにすでに本年の三月、鳩山内閣は地方財政、白書を国会に提出しておりましたが、その中で書いてあります地方財政赤字の原因、これはまず第一に給与費につきまして地方の実態に対し、地方財政計画上の単価が低いということであります。これがどちらが高いか、どちらが安いかということは、今後の給与実態調査によってこれは定まるものでありまして、みだりにただ地方が給与費が高いということは言えない。これは本委員会でも明らかにされておる点であります。従って鳩山内閣の地方財政白書の中にも、その第一項としてこれが原因としてあげられておるわけであります。その次には国庫補助事業並びに国庫補助職員に対するところの財源措置が不十分である。そしてその結果地方団体は継ぎ足しとしなければならないというような結果、赤字が出ておる。これが第三であります。第一には災害の復旧等のために地方団体の負担が多くなって、これが赤字の原因をなしておる。次には地方債が膨大になって、その元利償還の負担のために赤字か出ておる。その次には法令に基かない国や他の地方団体に対する寄付、負担金等が非常に多過ぎる。以下こまかいいろいろな原因があげてあるわけでありますが、それらの鳩山内閣自身が認めておる地方財政の赤字の原因からいたしましても、どこに一体この責任があるかということが明確になると私は思うのであります。もちろん地方団体の行財政運営にも責任があることは明らかでありますけれども、しかし大半の責任は国にあるということは、これをもってして、鳩山内閣自身が認めておるところであります。ところがこの法案によって地方財政赤字対策として、鳩山内閣が提案しておりますものは、その報告書とは全く矛盾をいたしておるのであります。政府が措置するものはわずかに政府資金として五十億しか赤字資金としては出しておりません。百五十億は一般の地方銀行等の公募債を充てておるわけであります。しかも予算上の措置としてはわずかに七千五百万円の利子補給でございます。そしてそれ以外の何百億、あるいは一千億に及ぶと思われるような財源不足に対しては何らの措置もいたしておりません。そしてこの促進法がもしも通りますときには、各地方団体は再建計画を立てる、立てる際はその何百億かの赤字分というものを節約、増税、首切り、この三つの方法によって、八年間この多額の財源不足を、自分の団体の責任において解決をしなければならない義務を生ずるわけであります。ここに私はこの法案は明らかに鳩山内閣自体が認めておる赤字の責任というものを、国の負担によって解決をすることなくして、地方団体にこれを押しつけておる、こういう悪法であるということが反対の第一の理由であります。
それから第二は、この法案は憲法違反の疑いがあるということであります。この委員会でも明らかにされましたが、法制局のこの点についての答弁はまことにあいまいであります。たとえばこの法案によって多少の特典を地方の赤字団体に与えておるのであるから、当然拘束を与えてもよろしい、あるいは再建団体は自発的な意思によってその再建団体になるのであるからして、これは差しつかえないのだ、こういうような理論でございます。ところがもしもそういう理論が正しいとするならば、自分の意思であるならば、いかなる拘束——個人についても基本的人権の制約を自己の自由意思ならば受けてもよろしいということを是認する思想でございます。これがすなわち現在売春を認めようとする思想と軌を一にしていると私どもは考えるのであります。これはすなわち地方団体の身売りを奨励する法案であると極言をしても差しつかえないと思うのであります。すなわち二、三日前に国会におきましては売春禁止法が否決されましたが、決してこれは偶然ではないと思うのでございます。この思想がすなわち地方団体身売り奨励法案に相通ずるものである。かような点からいたしまして、地方団体の自主性というものを保障しております憲法第九十二条、この地方自治の本旨を尊重しないこの法案に対して、われわれは断じて賛成することができません。
次にこの法案は地方財政の赤字をたな上げする、こういうことを表看板として、実際は首切りを奨励しよう、こういうことをねらった法案であります。先ほどの質疑にもありましたように、今回のこの法案に対する財源的裏づけというものは、政府資金としては五十億、別に退職手当分として六十億でありますからして、この資金のウェートは、政府の立場から見れば退職手当の方に置かれておる。しかもその退職手当を認めるのは、赤字団体のみならず、黒字の団体であろうとも、職員の首を切るという場合には金を貸してやろうというのであります。従ってこの点から考えてみましても、この法案は過去の地方財政の赤字の救済、たな上げということよりも、むしろ今後における地方団体のいわゆる職員の首切り奨励法案であるといわなければなりません。この点からわれわれは賛成することができないのであります。
次にこの法案は地方財政の現在の窮境を救うのだ、こういうことをいっておりますが、この法案全体として果してその実効、その目的を達成することができるかという問題であります。すなわち現在の地方財政はすでに昭和二十九年度のおしまいで五百八十六億円の赤字を背負っておる。ところが問題はそれだけではなくて、昭和三十年度の財源不足は六百億に達しておるのであります。これは委員会の質疑によって自治庁がみずからこれを認めておるのであります。この六百億に対して、何らの財源措置をしない、そうしてこの法案だけを通過せしめるとするならば、この六百億分は地方団体の責任でこれを圧縮をしなければならぬ、節約をしなければならぬ、職員の首切りをしなければならぬ、事業をやめねばならぬのであります。従ってこれは地方行政の機能を停止、麻痺せしむるところの危険性を持ったものでありまして、その点から私どもはこの法案の実効性というものを疑わざるを得ないのであります。もしもこれを強行いたしましたならば、地方団体の行政の機能というものは非常な低下を示しまして、その窓口を通じて行われる鳩山内閣の重要政策、社会保障の拡充であるとか、あるいは住宅の政策であるとか、あるいは農林漁業の振興であるとかそういうような政府の公約した政策というものは、この面から完全に実現不可能という結果に相なるでありましょう。従いましてこの法案だけをもってしましては、しかもこれを裏づける乏しい財源をもっていたしましては、この法案のねらっておりますところの再建促進ということは断じてできないというのが、われわれのこの案に対する反対の大きな理由であります。
最後に私は、このような法案が一体国民のうちのだれによって支持され、だれによって反対されておるかということを考えましたときに、この法案を支持しておりますのは、特に注目をしなければならぬのは財界であります。経済団体連合会、日本商工会議所あるいは経済同友会という連中が、この再建促進法の通過を強力に要望いたしておるのであります。彼ら財界は、地方財政を圧縮しようとしておるのであります。安上りの地方行政をやろうとしているというその魂胆は、国家資金あるいは国民の貯蓄、税金、そういうものをできるだけ地方行政の方には回されないで、地方団体には使わないで、これを大資本、大企業に取ってやる、こういうような根本のねらいがそこにあるとわれわれは推測せざるを得ないのであります。すでに資金運用部資金等の地方団体に対する地方起債に回る分というものが、この前門司委員からも指摘されましたような、年々減っておるのであります。一時は九十数%まであったものが、現在は四三%に下っている。すなわち国民の零細な郵便貯金ですらも、その大半というものは産業界に回り、大きな企業の設備資金投資に使われている。そして地方団体に対してはその配分が少くなりつつある。しかも大資本、大企業はそれでもなお足らなくて、さらに地方財政を圧縮し、これを安上りにして、そしてその資金の配分をさらに多くしようというところに魂胆があると思うのであります、しかも現在国家財政が著しい。先ほど来修正案の提案者の説明、あるいは討論等にも現われておりましたが、財政が許さない、こういうふうに言われますけれども、しかし今国家財政の中にたくさんのむだがある。地方財政にはむだがあるといわれますけれども、われわれは現在日本が、あのおもちゃのような自衛隊のために何十億もの金を使うというその理由がどうしても納得がいかない。あの自衛隊が実際においてどれだけの防衛の効果を示すかということは、だれもこれを証明するものはないのであります。そういうものには、国民のだれ一人として陳情運動も何もしないのに、年々二百億、三百億という予算が追加せられていく。ところがその犠牲になって地方財政が圧縮されていく。このように、この法案が出てきたゆえんのものは、一面においては国の再軍備政策の圧迫であり、一面においては大資本、大企業がその資金獲得のために地方行財政を安上りにしようというねらいがその奥に秘められておると考えるものであります。従ってわれわれはこれが日本の民族あるいは国民大衆の利益になるとは断じて思うことはできません。
以上われわれの反対する理由を簡潔に申し上げまして、この政府原案並びに修正案に反対をし、われわれの提案をいたしましたところの地方財政の整備に関する特別措置法案こそが、現在の地方村政を救い得る唯一の法案である、最も合理的な法案であるということを確信いたしまして、討論を終る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/42
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043・大矢省三
○大矢委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/43
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044・門司亮
○門司委員 私は社会党を代表しまして、今提案されております地方財政再建に関する特別措置法案、並びに自由党、民主党から提案されております修正案に対して反対の意見を表明し、さらに両派社会党から提出いたしております法案に対しまして賛成の意見を表明しようとするものでございます。
この法案を審議するに当りましてわれわれが最も注意をせなければならなかったのは、地方の自治体における今日の赤字の原因の究明であり、さらにこれに基くその原因と思われるものを除去するということがなぜ最初に考えられてこうした法案が国会に提案をされなかったかということを、私は今日非常に嘆くものでございます。地方財政の赤字は、今北山君から申し述べられましたように、いろいろな原因があるのであります。しかしその原因の中で、地方の自治体が当然自粛すべきものについては、地方自治体の自粛をすることをわれわれは要望し、かつこれを実行せしめることには決してやぶさかではない。しかし国みずからが省みて、地方財政の赤字の原因と思われます幾多のものについては率直にこれを反省して、やはり是正するということが、政府のとるべき最も望ましい態度であったと考えているのでございます。しかし今日提案されておりますものは、ただ赤字ができたから、この赤字を一応解消することのために処置をする、これだけの方針でありまして、この法案がたとい多数をもって国会を通過いたしましても、なお地方自治体の赤字を根底からなくするという方策には何ら役立たないものといわなければならないからでございます。もし政府が地方の自治体に対してほんとうに親切な態度があるならば、この法案を出す前に、先ほど申し上げました将来の赤字を防止するという抜本的の意見を示されることこそが、政府のとるべき態度であったと考えるからでございます。
なお案の内容につきましてはいろいろございますが、これらの内容は、先ほど私が申し上げましたように、一切の根底から赤字をなくそうという考え方の上に立ったものではございませんで、ごく簡単に申しますならば、ただ今日の赤字財政の金融をいかに緩和するかということが、この法案の趣旨になっている。従って政府の援助しようというものは、わずかに利子の補給をきわめて形式的、申しわけ的に行うだけであって、なお修正案はこれをやや緩和はいたしておりますが、これとても真にこの問題を解決するに至るものではございませんで、ただ資金の融通を、言いかえますならば資金繰りを多少円滑にしてやろうというだけであって、決して赤字の数字はこれによっては減らないということであります。私はこれらの点を考えて参りますと、この法案に直ちに賛成をするわけには参らぬのであります。
同時に、この法案が地方の自治体の行政にいかなる影響を持つであろうかということは、しばしば論議されておりますので、多くを申し上げる必要はないと思いますが、政府が考えております意図は、できるだけ地方財政を圧縮して、そうして地方の経費を軽くすることを目標とした案であることに間違いはございません。しかし今日の地方行政を、行政の姿の上からながめて参りますと、大体地方自治体が行なっております仕事の六〇%ないし七〇%というものは、国の法令に基く義務の仕事であるか、さもなくんばこれに関連を持った事業であって、単独に地方の自治体が行政上行い得る面というものは、わずかに三〇%くらいしかないはずである。従ってこうした法律をもって律して参りまするならば、国の法令に基く仕事だけはこれをやらないわけには参りますまい。もし政府の考えておりまする法令に基く義務的経費と義務的事業をすべての自治体が行なって参りませんならば、政府の施策は何一つ実行することが困難だと私は考える。従って地方の自治体は国の法律で命ずるもの、これに準ずるものはいやがおうでもやらなければならない義務を背負っておる。従ってこれを経費の面から詰めようとすれば、いやがおうでも単独事業と住民の要求する一部公共事業を圧縮する以外に方法はないのであります。こうなって参りまするならば、憲法が保障いたしておりまする自治の観念と、この住民参加を主眼としておりまする今日の自治行政というものが全く崩壊してくる。そしてかつての明治憲法のもとに行われたように、地方の自治体というものは、国の指揮監督を受けてその事務を処理するものを自治体というような団体自治の観念だけが残って参りまして、憲法に保障いたしておりまするいわゆる住民自治の精神というものが、事実上施行いたしまするすべての仕事の面において没却され、これがなくされるであろうし、このことから国民全体の自治観念と、さらに民主行政の上に非常に嘆かわしい事態が必ずくるであろうと思うのでございます。しかしこれも政府は、特別法である、しかも限られた団体であるから、そういう事態はくるにしてもこれは憲法違反にあらずという議論を立てておるのであります。しかしたとい行政のすべてが憲法違反でないと考えられる解釈が下されて参りましても、事態は憲法の趣旨に大きく影響するものであるということには間違いはないのであります。かつての法制局の答弁におきましても、この程度ならということで、絶対にこれが憲法に違反しないということは言い切れないのである。今日、日本の民主行政の中で最も重大であると考えられておりまするこの地方行政が、以上申し上げましたようなことでゆがめられ、そうして住民の自治意識が後退して参りまするならば、再び過去の日本に戻る危険性を持っておる。このことはこの法律案の内容にさらに隠された一つのものがあるのではないかということまでも憶測しなければならないのであります。もしこれをここで申し上げて参りまするならば、これはやがて政府が考えておりまする再軍備の充実をいたしますると同時に、少くとも地方の自治体の権限とそのまかない得まする事業量というものをできるだけ圧縮して、そうして先ほど申し上げましたように、政府の監督のもとに、政府の考えておる行政を地方に押しつけようと考えて参りまするならば、今日の地方の自治体がやはり準禁治産的の建前に置かれ、そうして国の施策だけが地方に十分浸透し得るというような帝国主義的のものの考え方の上に立った思想というものがこの中にないとは私には考えられない。これは私の揣摩憶測かもしれませんが、しかし過去の日本の行政と財政の面から見て参りまするならば、これが大きく動いておるということである。従って先ほど北山君から申し上げましたように、今日のこの法案を出さなければならない財政的な面にどこにあるかと言えば、第一申し上げなければならぬことは、公債政策を避け、健全政策をとってきた国家財政と、行政的に見ればどうしてもうらはらでなければならない地方財政に対しては、足らない分を年々五百億ないし一千億の間で——本年度は一千四百億になるでありましょうが、公債政策によってこれをまかなってきた。従ってその元利の償還は、御存じのように昭和三十年度において五百十億、年々百億ないし百二十億の公債費が地方においてはふえてきておる。このままの姿で、もしたといこういう地方財政再建促進法ができて参りましても、政府のとっております地方の自治団体に対する公債政策を改めない限りにおいては、昭和三十五年度に至りますならば、利子の償還額いわゆる元利償還額、地方の公債の額は約一千億に達するであろうということは数字が明らかに物語っておる。昭和四十年度になりますならば一千五百億になるでございましょう。未償却額は約一兆に達するでございましょう。地方の自治体が借金を約一兆背負って、毎年々々一千億以上の元利償還をしていかなければならないというような事態が出て参りますならば一体どうするのかということである。地方の税収入はわずかに三千五百億である。これにその他の収入を入れて参りましても四千五百億にすぎない。これに補助金の二千五百億ないし三千億を加えて参りましてもなお二千億以上というものは足りないのである。交付税を一千二、三百億と見て参りましても、どう考えて参りましても八百億ないし一千億内外というものが公債政策によらざるを得ないのである。この事態を解決しないで、そうして当面起っております赤字を解消いたされようといたしましても、私はこれを解消することは困難であると思う。従って私どもの反対いたしまする一つの大きな理由としては、以上申し上げましたように少くとも政府がこの法案を出すからには、将来赤字の出ないという明確なる財政措置を地方の公共団体に講じてやるという態度をとらなければならないということでございます。
なお案の内容は、先ほどちょっと触れましたように地方の自治体のみずから持っております行政の権限を非常に抑圧することになっておりますので、地方の自治体が今日憲法で許されておりまする自治行政の範囲を大きく詰められて参りますことは、正しい意味の自治行政の発展にならないということであると考えるからでございます。さらにこれに対しまする民主党、自由党両派の提案は、この間をやややわらげて参りました。たとえば一部の行政執行を長官が停止することができるというようなことは、停止をすることを求めることができるということで、命令でなくして自主的にこれを停止せしめるというようなことに書きかえられておりますが、しかしそれを実行しなかった場合の罰則は依然としてここに残っております以上は、ただ命令であるか、あるいはこれを裏面だけは自主的であるが、しかし聞かなければやはり罰則をもつて臨むという、きわめて巧妙にこの字句の修正だけを行なったのか、実質的には何ら変っていないということを指摘せざるを得ないのであります。さらに勧告という文字を削るというようなこと、こういうふうに一部感情的に、あるいは字句的に過激であると思われるところだけは削除されておりますが、その一貫して流れる思想は全く政府の考え方と同じであるということ、従ってその現われはどこに出てきておるかということは、先ほど北山君も申し上げましたように、やはり首を切ることのためには依然としてこれが残されておる。私は今日、政府が地方の自治体の財政の赤字をいかにするかということについて、ややともすれば人件費がかかるとか、あるいは人が多いとか、人にすべてをしわ寄せしようということは、行政の実体とさらに行政のあり方についての認識がきわめて不足であるからだと考える。地方の自治体は権力官庁でもなければ企画官庁でもない。現実に現業庁として、サービス官庁としてあります限りにおいては、机の上で政府が勘定しておるような人員や、あるいは机の上で政府が考えておるような給与体系並びに給与費によってはその実行はきわめて困難であろうということは、実際に即しておるからであると私は思うのでございますが、ただ政府はこれらの点を忘れて、そうして給与費が高いから、あるいは人間が多過ぎるからということでこの首切りを強要しておるということ、しかもその考え方は一切これを起債に待つと言っておりますが、ここでもう一言だけ政府に強く申し上げておきたいと思いますことは、今日の赤字ができたということ、この起債政策の中で大きな誤まりがあったということである。従来起債というものは少くとも投資財源にこれを振り当てるべきであって、一般財源にはできるだけこれを振り当ててはならないということが、起債政策の最も重要な観点でなければならない。しかるに最近においては各公共団体から要請をいたして参りますその起債の額の認可の状況を見て参りますと、この四、五年、財政赤字を出して参りまして、昭和二十五年以降の政府の態度というものは、一般財源に関する地方公共団体からの要請に基きましては、大体毎年五六%から、少い年で五三%、これを許可している。しかし、起債によって当然まかなうべきであると考えられる投資財源に対しては、ただ公営企業に対しては政府はその申請額の二三%ないし二三%しか認可をしていないということは、数字が明らかに物語っておる。この政府のとって参りました公債政策の誤まり、いわゆる許可に対する誤まりが、今日の地方財政の赤字の原因になっていることは、政府みずからが認めざるを得ないでありましょう。しかるに、この法案はそれに拍車をかけて、首切り退職金を六十億も出してやるということになって参りますと、地方の自治体が苦しまぎれに、あるいはそれに飛びついてくるかもしれない。しかし、それはやがてみずからの首を締めるものである。自治庁はもし地方の公共団体に助言をし、これに勧告をし、ある程度のこれに監督権を持って、地方自治体を育てていこうとする親官庁であるとするならば、将来地方の自治体がみずから首を締めるというような一時を糊塗するがごとき政策は私はとるべきではないと考える。ことに地方自治体は、首を切ることのために六十億の金が出せるという見通しがついて参りますならば、その財政の再建のしわ寄せを、ことごとく労働者に持ってくるでありましょう。首切られた労働者といえども、そのまま食わずにいるわけには参りません。やはり何らかの形で地方財政に還元してしわ寄せされることは当然であります。私は、こういうおろかな対策をとることは当を得たものではないと考えておりますので、これに対して、私は強く反対の意思を表明いたしまして、両派社会党の提案にかかるこれらの問題を除いて、そして真に地方の公共団体の赤字を解消することのために、たとい起債政策をとって参るといたしましても、やはり全額これを政府資金においてまかなうという姿に戻していくことこそが望ましい形であると考えております。
以上申し上げましたように、政府原案並び自由党、民主党の提出しております修正案に反対し、両派提案の本案に賛成の意を表明するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/44
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045・大矢省三
○大矢委員長 これにて討論は終局をいたしました。
これより採決に移ります。まず念のために順序を申し上げます。最初に加賀田進君外十名提出の地方財政の整備に関する特別措置法案に対して採決をし、次に鈴木直人君外十八名提出の修正案について採決、最後に政府原案について採決をいたします。
それでは採決いたします。加賀田進君外十名提出の地方財政の整備に関する特別措置法案について採決をいたします。本案に対して賛成の諸君は起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/45
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046・大矢省三
○大矢委員長 起立少数、よって本案は否決されました。
次に鈴木直人君外十八名提出の修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/46
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047・大矢省三
○大矢委員長 起立多数。よって本修正案は可決されました。
次にただいま議決されました修正部分を除いての原案について、採決をいたします。これに賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/47
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048・大矢省三
○大矢委員長 起立多数。よって修正部分を除いての原案は可決されました。
これにて本案は修正議決でございます。
次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに対し御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/48
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049・大矢省三
○大矢委員長 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/49
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050・大矢省三
○大矢委員長 次に地方税法改正に関する小委員長より、審査の経過並びに結果について報告をいたしたいとの申し出がございます。これを許します。灘尾弘吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/50
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051・灘尾弘吉
○灘尾委員 地方税法の一部を改正する法律案に関する小委員会の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
小委員会は六月二十二日から七回にわたりましてこれを開催いたしまして、各小委員の方よりきわめて熱心なる御調査、御検討を願ったのであります。小委員会におきましては、政府の関係官の出席を求めて十分なる研究をいたしたつもりでありますが、その取り扱いました事項の範囲といたしましては、政府の原案についてはもとよりのことでありますが、各方面からいろいろ地方税に関する要望等もございますので、これらの問題となる事項につきましては、すべてこれを取り上げて検討いたしたような次第であります。
特に問題として熱心に論議をいただきました事項を一、二御紹介申し上げますれば、まず第一に遊興飲食税の問題であります。これをさらに合理化する必要があるのではないかというようなことで、きわめて御熱心な御研究が行われたのであります。さらにまた木材引取税の廃止に関する問題、あるいはスケート場に関する娯楽施設利用税の全面的廃止の問題、あるいは日本中央競馬会の出資にかかわる旧国営競馬場に対する固定資産税を所在地の市町村に徴収権を与えるかどうかというような問題であります。あるいは信用保証協会の建物、営業倉庫、これらに対する固定資産税の問題また信用金庫協同組織体に対する事業税の徴収に関する問題、あるいはまた大規模償却資産の固定資産税に関する問題こういうふうな問題が特に論議せられた事項でありますが、一々についての御報告は省略さしていただきます。
特に遊興飲食税につきましては、いまだかつてないほど小委員会におきましても、各委員の方々から御意見の御開陳があったのでありますが、その概要について申し上げますれば、現在御承知の通りに遊興飲食税というものがまことに不明朗な、不合理な税法として論議せられているのであります。これにつきましては、遊興を伴わない飲食、あるいはまたいわゆる大衆飲食等については、特別な考え方をする必要があるのではないか。また業者相互の間において、あるいは地域相互の間において、著しい課税上の不均衡があるんではないか。さらにまた営業の性質、地方の実情等からいたしまして、業者に課せられた特別徴収義務、これについても実際問題としてすこぶる業者を苦しめているような実情があるんではないか。この際遊興飲食税については、根本的に検討して、あるいは遊興と飲食を区別するとか、あるいは税率を地方の実情に合致せしめるがために、可及的にこれを引き下げ、同時にこれが円滑なる徴収をはかっていく、こういうふうな問題がきわめて熱心に検討せられたのであります。ことに政府部内におきまして、今回提案せられなかったのでありますけれども、ある程度遊興飲食税の合理化に対する政策も立て、領収書制度を基礎として税率の引き下げ、徴税の確保というようなことを意図せられておった事実があるのであります。これらにつきましても、政府関係官の説明を聴取いたしまして、いろいろ検討を加えた次第であります。かようにいたしまして諸般の問題点につきまして御検討を願ったのでありますが、結局のところ各党の意見というものは次のようになったのであります。
すなわち社会党左右両派におかれましては、地方税全体につきまして詳細な検討を遂げられまして、次に申し上げますような修正の御意見の御開陳があったのであります。以上この社会党右左両派の御意見を御披露申し上げたいと存じます。
まず第一に道府県民税であります。1、所得割についてその課税総額を算出するための標準となる率を昭和三十一年度以降引き上げることを取りやめ、現行通り百分の五に据え置くものとすること。2、給与所得者について税額控除制をとるものとし、所得税額を課税標準として市町村民税を課する市町村において、道府県民税の所得割の課税総額を算出するための率を所得税額に乗じて道府県民税の所得割額を決定する場合においては、給与所得にかかる所得割については所得税額に右の率を乗じ得た額から、その百分の十に相当する金額(この金額が四百円をこえることとなる場合においては四百円とする。以下本号において同様とする。)を控除した後の額を所得割額とするものとし、同一者について給与所得と給与所得以外の所得とがあるときは、当該者の所得税額に右の率を乗じて得た額から、当該額を給与所得の額と給与所得以外の所得の額とによって按分して求めた給与所得にかかる額の百分の十に相当する金額を控除した後の額を所得割額とするものとし、昭和三十年度分の道府県民税から適用すること。
二、事業税。個人事業税の基礎控除の額は、昭和三十年度分の事業税から年十二万円とすること。
三、遊興飲食税。課税方式の適正化のため公給領収証制度を含む自治庁原案をとるものとすること。
四、自動車税。揮発油に対する税負担の引き上げを取りやめる場合には、揮発油を燃料とする自動車以外の自動車の税率の引き上げを取りやめること。
五、市町村民税。1、所得税額を課税標準として所得割を課する場合の標準税率は、これを昭和三十一年度以降引き上げることを取りやめ、百分の十三に据え置くものとすること。2、課税総所得金額については、「総所得金額から基礎控除のみをした金額」とすることができる旨の規定を削り、昭和三十一年度分の市町村民税から適用するものとすること。給与所得者について税額控除制をとるものとし、課税標準額に税率を乗じて得た額から、その百分の十に相当する金額(この金額が千円をこえることとなる場合においては千円とする。以下本号において同様とする。)を控除した後の額を所得割額とするものとし、同一者について給与所得と給与所得以外の所得とがあるときは、課税標準に税率を乗じて得た額から、当該額を給与所得の額と給与所得以外の所得の願とによって按分して求めた給与所得にかかる額の百分の十に相当する金額を控除した後の額を所得割額とするものとし、昭和三十年度分の市町村民税から適用すること。
六、固定資産税。1、標準税率を百分の一・二に引き下げ、昭和三十年度分の固定資産税から適用するものとすること。2、大規模償却資産に対する市町村の課税限度額については、人口三万人以上の人口段階をさらに次のように分類するとともに、当該大規模償却資産の価額の十分の五が次の課税限度額をこえるときは、十分の五の額を課税限度額とするものとし、昭和三十年度分の固定資産税から適用すること。三万以上五万未満の市、六億五千万円。五万以上十万未満の市、九億円。十万以上、三十万未満の市、十二億円。二十万以上の市、十五億円。
七、たばこ消費税。税率を道府県たばこ消費税にあっては百分の十、市町村たばこ消費税にあっては百分の二十に引き上げ、昭和三十年九月一日以降に売り渡される製造たばこの分から適用するものとすること。
八、国民健康保険税。課税限度額を現行三万円から六万円に引き上げ、昭和三十年度分の国民健康保険税から適用するものとすること。
以上が日本社会党左右両派の諸君から提出せられましたところの御意見であります。
民主党の方におかれましては、ガソリン税、地方道路税等に関連いたしまして、ガソリンに関する税率の引き上げが行われないという場合におきましては、この地方税法中のガソリンを消費しない他の自動車の税率の引き上げについては、これを取りやめるということの御意見があっのであります。
自由党の意見といたしましても、やはり民主党と結論においては同様でございます。ただ自由党といたしましては、今回の地方税法の改正に対しましては、今日地方の財政状況がはなはだ逼迫いたしておる際で、できるだけ地方に財源を付与しなければならぬ時期でございますので、このたびの地方税法の一部改正に対して、改正の結果大きな赤字が出るということは避けなければならぬというのを基本の態度とせられたのであります。そういうふうな関係でもありまするし、同時にまた積極的にいろいろ修正をしますと、ただいまの赤字の問題も起りますが、すでに予算も成立していることでもあり、財政計画に重大な影響を与えるような修正も慎しまなければならぬというようなことから、いろいろ意見もございましたが、結局するところは地方税法の一部改正案に対しましては、だたいま民主党の御意見として申し述べました通りに、自動車税の引き上げをやめるということにとどめたような次第であります。さような御意見の開陳があったのであります。
小委員会といたしましてはただいま申し上げましたような経過並びに結果でありまして、社会党左右両派の御意見と民主党並びに自由党との間の意見とは、いろいろ話合いをいたしましたけれども、遂に一致するに至らなかったのであります。しかし各委員におかれましても、政府の現行地方税制に対する認識、長官は本案の提出に当りましては、地方税制は安定をしておるかのごとき御説明があったのでありますけれども、私どもは必ずしもそう考えない。この現下の地方財政の立て直しをはかりますためには、当面の対策はもちろんのことでありますけれども、さらに根本的に地方税制全般にわたって検討を加える必要があるというのが、私は各委員さん方の一致した御見解であったかと承知するのであります。なおまた先に申し上げましたところのいろいろ地方からの要望その他、今回の地方税に対する各方面の陳情なり要望において現われました事項、特に先ほど御紹介申し上げましたようないろいろな問題点につきましては、政府においても十分に検討を遂げ、なるべくすみやかに具体的な結果を出してほしいというお気持と同時に、われわれ地方行政委員会といたしましても、これらの問題については根本問題であると同時に、今後さらに研究を遂げる必要がある。これも各委員さん方の一致した御見解であったように承知いたすのであります。
以上簡単でございましたが、小委員会の経過並びに結果につきまして御報告を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/51
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052・大矢省三
○大矢委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。
午後一時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X04719550723/52
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