1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十三日(木曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 綱島 正興君
理事 井出一太郎君 理事 白浜 仁吉君
理事 松浦 東介君 理事 鈴木 善幸君
理事 中馬 辰猪君 理事 稲富 稜人君
赤澤 正道君 安藤 覺君
伊東 岩男君 石坂 繁君
小枝 一雄君 原 捨思君
足立 篤郎君 田口長治郎君
松山 義雄君 赤路 友藏君
淡谷 悠藏君 井谷 正吉君
石田 宥全君 楯 兼次郎君
芳賀 貢君 伊瀬幸太郎君
佐竹 新市君 中村 時雄君
日野 吉夫君
出席政府委員
農林政務次官 吉川 久衛君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房総合
開発課長) 庵原 文二君
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 和田 正明君
農 林 技 官
(農業改良局特
産課長) 徳安健太郎君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
専 門 員 徳久 三種君
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六月二十二日
委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として田中
織之進君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員川俣清音君辞任につき、その補欠として矢
尾喜三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被
害農家に対する資金の融通に関する特別措置法
案(内閣提出第一二八号)
積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正
する法律案(松浦東介君外四十一名提出、衆法
第一九号)
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001・綱島正興
○綱島委員長 これより委員会を開きます。
前会に引き続きまして昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案を議題といたし、質議を続行することにいたします。質疑の通告がありますからこれを許します。淡谷悠藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/1
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002・淡谷悠藏
○淡谷委員 この四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案に対する修正案、この表記と内容との違いについては、昨日もいろいろ質問いたしましたが、これに対する答弁がさまざまに食い違って今日に継続されております。昨日申し上げました通り、東北地帯一帯の凍霜害は、五月に入ってから重点が置かれておりまするし、特に果樹に対する凍霜害のあり方というものは、一般農作物と違いまして、一カ月あるいは一カ月半、二カ月と経過してからその被害実情がはっきり現われてくるようになっておるのでございまするが、この法案では事実上五月の凍霜害並びにこれによって受けたその後の凍霜害の顧慮が払われておるかどうか、もう一ぺんはっきりしたお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/2
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003・吉川久衛
○吉川政府委員 お答えを申し上げる前に、昨日私の答弁のうちに、実は事務当局との連絡不十分なために、御審議に御迷惑をわずらわした点をおわびをいたしておきます。淡谷委員に最初お答えを申し上げたような考え方の方が正しくあったことをあとで発見いたしましたので、その点御了承をお願いいたします。
ただいまの御質問に対するお答えといたしましては、御指摘の通りに考えておりますから、そのように御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/3
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004・淡谷悠藏
○淡谷委員 最初のお答え通りといたしますると、やはりこの表記の通り、内容も四月及び五月の凍霜害、水害等となるべきがほんとうと思いますが、これは後ほどまた修正案のときに申し上げたいと存じております。ただし、この字句の修正をいたしますと、当然またこの中にもありました予算の額なども変化を起すだろうと思いますが、昨日これに対して次官の御答弁がございまして、拡大する点についてはまた補正等によって何とか処置する。特に果樹は今申し上げました通り、新潟県その他の県の例を見ましても、当初のさまざまな調査や見通しとはとうてい比べものにならないほど莫大な被害の実態が今日現われて参っております。こういう点についていかような顧慮が払われておるか、さらにまたお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/4
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005・吉川久衛
○吉川政府委員 あとからはっきりするものにつきましてはそれ相応の措置をとるつもりでございます。淡谷委員の御質疑の中に、果樹と特におっしゃったその果樹の被害は、ここの表題に関係を持つものだけと解してよろしゅうございますか、逆に私の方から念のためにお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/5
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006・淡谷悠藏
○淡谷委員 四月及び五月の凍霜害は、果樹の被害の実態から申しまして、今日に至ってはっきり被害がわかってきておるのでありますが、当初の見通しよりははるかに大きくなってきたのでございます。これは被害のこの要因は四月及び五月になっておるのでありますが、調査はおそらく六月以降に被害額が出てくるだろうと思う。こういうものに対する御処置はどうなさるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/6
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007・吉川久衛
○吉川政府委員 この法律の中で同様の措置をとる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/7
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008・淡谷悠藏
○淡谷委員 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/8
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009・石田宥全
○石田(宥)委員 関連して……。時期の問題については御答弁があったわけでありましたが、この文章によりますと、凍霜害というふうに限定されておるわけであります。昨日もちょっと触れたわけでありますが、果樹の場合のごときは、明確に凍霜害というものに限定されますと、その適否が非常に疑問が起るわけであります。いわゆる凍冷害と申しますか、低温障害というようなことがいろいろ重なり合って、結果において重大な被害を及ぼすというような関係がございまするが、この凍霜害というものは、今申しまするようにいわゆる低温障害であって凍霜害等をも含むところの被害、こういうふうに理解してよろしいかどうか、この点を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/9
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010・吉川久衛
○吉川政府委員 冷温の場合の強度のものを凍害と考えておりますので、御指摘の通りに解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/10
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011・中馬辰猪
○中馬委員 連して御質問を申し上げます。去る六月十八日及び十九日の南九州一帯を襲いました豪雨によりまして相当な被害が出たわけであります。特に数字をもって申し上げまするならば、二十一日十四時現在までの判明せる被害状況は、鹿児島県だけでも、死者三名、行方不明一名、負傷十八名、住家全壊二十一戸、半壊二十八戸、流失十七戸、その他床上侵水九十三戸、床下侵水四千三百六十三戸、がけくずれ百八十五カ所、田畑の冠水が二千八百十七町歩であります。それから土木の被害が二千百万円、耕地の被害が一千六百五十四方円、農作物は特に被害が甚大でございまして、一億五千万円の多きを数えておるわけであります。合計いたしまして二億一千九百七十九万円と相なっておりまして、これは今後も増大する見込みであります。特に農作物の被害のうちで蔬菜が二千八百万円、桑園が四百万円、果樹が三千五百万円、水稲苗しろが二千万円、カンショ一千九百万円、タバコ六百万円、その他三千八百万円、合計一億五千万円という巨額の数字に上っておるわけであります。私どもといたしましては、ただいま御審議中のこの資金の融通に関する特別措置法案に対する修正案をさらに修正いたしまして、お願い申し上げたいと思っておるのであります。けれども、はなはだ遺憾なことには、まだ今後ともふえる見込みでありますので、正確な数字をただいまこの法案の中に織り込むことは技術的に不可能かと思いますが、しかし国会の会期も現在のところではあと一週間しかないわけであります。従って私どもは、もし国会の会期中に新しい正確な数字が農林省に出てきたような場合においては、当然この法案を修正いたしまして出さなければならぬと考えております。さらにもし国会の終了後でなければ新しい数字が出てこないような場合においては、政府においてはどのような措置をとられる意向でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/11
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012・吉川久衛
○吉川政府委員 お話のような災害のありましたことを農林省は承知をいたしたので、熊本の農地事務局をしてその調査に当らせておりますし、また県の方からも、はっきりした数学ができれば御報告があろうかと思います。これらのものを調査をいたしまして、結論が出ました場合には、これが立法措置を要するような対象事項であるということがはっきりいたしました場合には、この会期中に間に合えば、ただいま御審議いただいておりますこの法律の一部改正ということで措置をいたしたいと考えております。もし国会の会期中に間に合わない場合にはこの法律に準じた措置をとりまして、次の国会において立法措置をいたしまして、遡及してその法律によって措置をしたという形をとる考え方でございます。今期の報道によりますと、関東地方のひょう害等もございますので、これらも同様な措置をとる考えでおりますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/12
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013・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと委員長からお尋ねをいたしますか、ただいま修正整備さるるようなお話で、四月、五月の凍霜害だということで資金源が四億五千万ときまつておりますのが、淡谷委員の御意見では、実情に応じ予算を増額する意思があるかどうかというような御質問があって、そういうつもりであるという旨の政務次官の御返答であったようでありますが、国会法の五十七条の三によれば、委員会は「法律案に対する修正で、予算の増額を伴うもの若しくは予算を伴うことになるものについては、内閣に対して、意見を述べる機会を与えなければならない。」という規定がございますが、一応この法案の審議といたしましては、予算は四億五千万が限度になっておるということにきめておかれて、さらに増額を伴う場合は、それぞれ手続を経て修正を新たにまたなさるおつもりでございますか、それとも何らかの行政措置でできるようにしなっておるのでございますか、その点政府当局及び質問者両方の御意見、御意思を伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/13
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014・吉川久衛
○吉川政府委員 本日最初に御了解を願っておきました通り、私が事務当局との連絡が不十分だと申し上げたうちには、四億五千万円の算出の基礎について連絡が不十分であったということをも意味していたわけでございます。従いまして、今までありました災害の割合を基準といたしまして、今回の被害を乗じまして、出たものが四億五千万円を相当下回っております。従いまして青森県の場合は四月の中に入っていたのでございますが、五月に起ったような被害についても十分そのワクの中で措置できるということが調査の上発見されましたので、淡谷委員にも御了解を願ったような次第でございますので、この問題については、この表題通り中味は、裏づけは十分ございますから、委員長の御質疑の点は問題はないのではないかと思います。ただ今後起るところの被害に対しましては、このワクの残りで処理できるものはしなければなりませんが、それをオーバーするものにつきましては、政府としてあらためて提案をいたして御審議願う、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/14
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015・淡谷悠藏
○淡谷委員 大体ただいまの御答弁で私も了承いたしまするが、再々申し上げておきました通り、果樹の被害は原因が四、五月にございましても、実際被害があるかないかは二カ月後に至って判明する場合が相当ございますので、その間万全を尽してさまざまの措置を講じましても、なお救い得なかった災害などは、六月に入ってから判明する県がたくさんございます。これもすでに四月及び五月に十分に対策がとれたからといったことじゃなく、新しく出てきた被害として、ただいま次官が答弁された通り、事後の措置においてされるというわけでございましたから、それで私の方でも了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 法律の内容について若干お尋ねいたしますが、先ほどの吉川政務次官の御答弁によりますと、四、五月に生じた凍霜害、ひょう害あるいは水害等をこの法律の対象にするというお話でございましたが、六月分は今後法律の改正等に期待するというお話ですが、被害の実態から見て、水害の場合にはこの法律案の第二条に規定をしただけでは完全な救済はできない。これによりますと、農作物あるいは春蚕繭等の平年収穫高の百分の三十以上の減収、それから損失願は平年の総収入の百分の十以上を規定しておるわけであります。ところが水害等をこうむった場合は、たとえば肥料であるとか、種子であるとかそういうものが浸水等によって流失したり、使用にたえなくなるような損ともいうのがあるわけです。これはやはり耕作土の損害と判断することはできるわけです。それからまた六月災害等になりますと、麦等の収穫物を収納しておったものが水害によって価値を失うような被害を受ける場合もある。これはその収穫物の減収とはまたちょっとケースが違うようなことになる。今までの前例からいいますと、たとえば昨年昭和二十九年の四月、五月の凍霜害等による災害の特殊立法については、この中には風雪水害等も包括して、凍霜害等によるという表題でこれは取り扱っておるわけです。その場合においては、さらに第二条の中で、耕作上の損害が百分の十を上回った場合においては、町村長の認定によってこの対象にするということが規定されておる。今度の場合にはこれが削除されたような形で提案されておるわけでありますが、こういう水害等によって生じたそういう耕作上の損害に対する措置というものは、この法律の中において、あるいは六月水害等における改正案の場合においては、前例に従ってどういうような措置をとるかという御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/16
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017・吉川久衛
○吉川政府委員 ただいま提案をいたしております法案の表現で不十分なところを水害の場合に修正をしていただき、かっただいま問題になっておりますような点については、解釈上で同様の措置がとれると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 今の御説明ちょっと抽象的なんですが、災害対策については、吉川政務次官はすでに昭和二十八年、二十九年と、農林委員会において練達の士なんです。今まで既往における法律の中においてはそういう条項を明らかにして災害対策を立てておった。今回はそういうものを抹殺しても、解釈上の問題で処理ができるというお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/18
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019・吉川久衛
○吉川政府委員 できるという解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、今までは必要がなかったということになるのですか。参考までに申し上げますと、昭和二十九年四月、五月及び六月における凍霜害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の中の第二条の中に、こういう事項が入っておるのです。「又は風雪害によって損失を受けた農業者にあってはその耕作上の損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の十以上である旨の」云々とありますが、この二条にはこれが落ちておる。単なる凍霜害の場合においてはこれは必要がないと思いますけれども、水害等の場合においては、当然この条項によらなければ、これは統計調査部等においても経営上の実損害の把握はできない部面だと私は考えておる。特に六月水害等がこのあとに控えておるわけです。その場合には、水害を主体にしての法律案を作るということになれば、これは当然論議さるべき事柄になると思う。そういう場合において、四月、五月の水害においては、これをことさらに取り落しておったのではないかという問題が派生的に生ずると考えるので、今から提案者におかれては、細心の注意を払って万遺憾なきを期された方がいいのではないかということを御指摘申し上げるのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/20
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021・和田正明
○和田説明員 ただいまの芳賀さんの御質問にお答え申し上げます。非常にこまかいことになりますが、先ほど政務次官が申されましたように、六月以後の災害につきましては、被害の実態がはっきりいたしました上で、この法律に所要の金額のみならず、その他の点でも所要の改正を加えまして、措置すべきものは措置いたさなければならないと思うのでありますが、現在問題になっております五月分水害の実感につきましては、各県から事情を聞いたのでございますが、昨年の春の凍霜害等の場合の法律の場合のように、耕作上の損失額が云々という規定をしいて入れないでも、原案の範囲で処置ができるというふうに県庁側も申しておりますので、あえて加えなかったのでありまして、過去の規定が不要であったとかなんとかいうことではないわけであります。六月以後この法律案の措置として必要な事態が生じます場合には、当然そういう規定も含めた改正案を御審議いただくことになる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 四、五に対してはいらないというわけですね。それは府県当局との話し合いでそういうことはいらぬということなのですか。法律を作る建前は、たとえば地元出身の議員であるとかあるいは当該府県の意向を聞いて、そのつど作るのじゃなしに、これはやはり普遍的な平等性を持つたものが法律の趣旨なのですから、たとえば損害の認定の場合でも、まだ圃上に使わない肥料を納屋や何かに貯蔵してある、あるいは種が置いてあるというのが、水害によって浸水したり何かして使用に耐えなくなったような場合には、その年度の耕作上の損害であるということが指摘できるわけです。これによるとただ作付をして、地上にある農作物の収穫量が大体三割以上減収になるという見込み、それから損失額が一側以上になる。これは減収による損失額ですからね。それ以外の損害額というものはこの二つの項目の規定で救済することができるというのですか。どういう方法でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/22
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023・和田正明
○和田説明員 私の説明の言葉が足りませんでしたために大へんあれでございますが、たとえば北海道の五月の水害については、都庁の人からいろいろ事情を聞きますと、今おっしゃるように、たとえばまいた種がある程度芽が出ておったということを申しておりますので、それが流れたというのであればまき直す種を購入するという経費が必要なわけであります。農作物が流れたと理解していいというふうに現実問題として判断をしただけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 そういう場合もあるし、四月の場合には、たとえば北海道を例にとれば融雪水害みたいなことになる。この時期にはまだ圃上に種をまいておらぬ。肥料も使つておらないで一定のところに貯蔵してある。そういうものを使わない前に水害によって損害を受けるということはあり得ることなのです。それから六月水害等の場合においても、収穫してしまったものが水害によって価値を失うという場合も出てくる。これは収穫の面から見た場合は、やはり平年作を十分取ったかもしれない。取り上げたものは、水害によって農作物の販売の値を失う場合も実例としては出てくるのですよ。ですからそういう点は、法律の中においては細心の注意を払って規定しておいて、そのふるいから落ちてしまうものはこれは取り上げる必要はないのですから。どうですか農林次官、これはどうしても必要があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/24
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025・吉川久衛
○吉川政府委員 畑にまきつけてしまったようなものについては、水害だからといって掘り出して退避するとかいうような措置は非常に困難だから、おっしゃるような措置がとれると思いますが、肥料その他の生産資材を備蓄しているところが災害をこうむったという場合に、これは水害の条件にもよりますけれども、通念的にどこかへ持ち出して安全地帯に移すとか何とか措置も講ぜられるのではないかというので、実はこちらの考慮の中に入っていなかったのでございますが、すでに耕地にまきつけたものについては、これは解釈上法に表現がなくても、当然御指摘のような措置をとるつもりでいたのでございます。その他の点につきましては一つ委員の皆様の御判断によって、政府としてはこれは別にこだわらないつもりでございますが、修正の機会に御勘案をいただいてけっこうだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 今の農林次官の説明によると、災害というものは当然予見して、それに対応する措置を講じておくのが当りまえだ、だから水害がある場合には、事前に浸水するようなところから退避さしておくのが当然じゃないか、それが通例であってまごまごして退避できないような状態に置くことは本人の重大なる過失である、というのですか。災害というものはその度合が大きければ大きいほど、人為でなかなかそれを避難することはできないものです。小さい災害の場合においては、何もことさらにこれを災害として取り上げて法律で救済する必要なんかないわけです。少くとも国が法律を作って救済しなければならぬという場合においては、人力ではなかなか処理できない災害だからこそ、こういう法律が適用されるのだと考える。ですから率直にこれは一つの立法上の手落ちであったとお認めになるとすれば、委員会が協力して修正を行うのにやぶさかでないわけですが、その意のあるところを説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/26
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027・吉川久衛
○吉川政府委員 ただいまお答え申し上げたような考え方であったのでございまして、解釈で芳賀委員の御指摘の点は十分措置できるというように考えていたのでございます。その他の肥料等の生産用資材については実は考えなかったのであります。水害等の場合には、山津波とか何かと違いまして予見できますし、相当の準備の時間等もありますから、まあ避難できるのじゃないかというような考え方であったのでございます。もしこの政府の考え方が不十分であるといたしますならば、どうぞ十分お考えの上で御修正の際に御処理を願えればけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/27
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028・芳賀貢
○芳賀委員 私がこの点を指摘しているのは、そういう種類の被害は、御承知の通り農業災害補償法等の対象にはならないわけですね、備蓄した肥料とか収穫物が損耗したというような場合はですね。ですから何らかの面でそれらの実損害も救済してやる配慮というものが当然必要ではないかということで、繰り返して申し上げたわけです。その点が御了解願えれはけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/28
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029・吉川久衛
○吉川政府委員 不可抗力によるものは、当然災害によって生じた損害に対する手当でございますから、考慮のうちに入ってしかるべきであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/29
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030・淡谷悠藏
○淡谷委員 関連。今の芳賀委員の質問に対する御答弁で、大体趣旨は了解いたしましたが、どうも今度の法案は非常に技術的に粗末だったと思うのです。昨日私指摘いたしました通り、表題と第一条の目的とが違っておる。しかもこの表題には「四月及び五月の凍霜害、水害」と入っておる。第一条の目的にも、「凍霜害若しくは水害」となっておる。第二条の定義になってから急に水害というものが削られておるのであります。そうしますと、表題と第一条第二条がそれぞれに合わないという粗漏さを発見されております。ただいまのような御答弁であれば、むしろさまざまな疑点を避けるために、やはり第二条の定義においても、一行目の「凍霜害」の次には水害を入れ、三行目の「凍霜害」の次にも水害を入れて、今の御趣旨がはっきりと字句の上にも現われるように処理した方がいいと思うが、そういうふうにするお考えはないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/30
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031・吉川久衛
○吉川政府委員 実は数日前の本委員会の理事会でこの問題を御審議をいただきましたときに、中馬委員等の非常に御熱心なお話がございまして、そうして水害ということをはっきり打ち出せ、こういう御注意がございまして、それでこれは印刷上の訂正でこの点を直していただいたわけでございます。政府の考え方は、秋には水害が多いものでありますから、その場合と表題を区別するために、春には水害を落して「等」としたわけでございます。ですからただいまの芳賀委員、淡谷委員の御指摘の点も、この「等」のところで一つ御了解を願えれば幸いに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/31
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032・淡谷悠藏
○淡谷委員 ちょっと今の御説明で食い違っておると思うのですが、表題には水害と入っておるのです。第一条にも水害が入っておる。だからやっぱりこれを合せるためには、第二条の定義にも水害を入れた方がいいのではないか。表題と第一条、第二条がそれぞれ内容が違うとあれば、とてもこれでは完全なる顧慮を払われた法案とは思えない。その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/32
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033・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと委員長から発言します。第一条に「昭和三十年四月の凍霜害若しくは水害又は同価五月のひよう害」とあってその下に(以下「凍霜害等」という。)とカッコがございますから、「凍霜害若しくは水害」ここまで加えたものをこの法律では凍霜害等というふうに読むようにしてあるのかと理解しておるのでございますが(「おかしい」と呼ぶ者あり)ちょっと法文としてはおかしいけれども、そう読めぬこともないようでありますが、立案者はそういうふうに解したのとは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/33
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034・和田正明
○和田説明員 先般の理事会であったかと思いますが、表題については「凍霜害、水害等」という言葉を入れたわけでありますが、法律の中につきましては特別実態に変化はないわけで単なる法律技術として略します場合にはなるべく短かい言葉を使うというだけのことで、何も他意はございません。委員長のおっしゃられた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/34
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035・淡谷悠藏
○淡谷委員 いろいろ委員長の周到な御注意もございましたが、これはこの法案の上から見ても、第二条の定義も水害と加えてお差しつかえないと思いますが、特に差しつかえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/35
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036・和田正明
○和田説明員 別々凍霜害、水害等と書いて差しつかえがあるということではないので、ただ法律技術の問題として、こういうこまかな言葉を略すときは最も簡単な言葉を使うということで、法制局の方でこういうふうに使う慣習になっておるというだけのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/36
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037・淡谷悠藏
○淡谷委員 ただいま金融課長から御説明がございましたが、あらためて次官に伺います。第二条の定義に水害等を入れて差しつかえないとしたならば、これを入れるか、もしくははっきり次官の答弁によって「以下「凍霜害等」という。」ということを確認されたらどうか。凍霜害の中に水害も含めるか。私の意見としましては非常に無理な組み合せであって、これは第一条の目的にも水害を出し、表題にも出したのですから、二条の定義にも疑点なしに水害といった方がむしろ法文としての体裁をなすのではないか。いかがでございますか、次官からもう一ぺん、はっきりした御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/37
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038・吉川久衛
○吉川政府委員 第一条の目的の場合に、これは一つの法律の技術の問題でございまして、精神は淡谷委員の御指摘の通りでございますから、なるべく御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/38
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039・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと速記を中止して。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/39
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040・綱島正興
○綱島委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/40
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041・楯兼次郎
○楯委員 災害関係に関連して。この法案とは少し間接的になりますが、全国的にも関係が多いので農林当局にお伺いしたいと思いますが、実は昨年度タマネギの種子が非常に少くなったというので騒いでおりましたが、八方手を尽した結果植付をやりました。ところが、初め国内産の種子であるということで植付をいたしたのでありますが、本年度百%の抽苔を来たしまして収穫皆無、こういう個所が全国的にたくさんあるわけです。そこでお伺いをいたしたいのは、この種子を調査をいたしました結果、アメリカ産のエキセル種ということが判明をしたわけであります。この種子の取扱い方について農林当局はどのようなお考えをもってやられたかという点を、まず第一にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/41
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042・徳安健太郎
○徳安説明員 ただいま御質問のタマネギの種子の問題についてお答え申し上げます。昨年御承知のように非常に、天候が不順でありまして、タマネギの採種が非常に減りまして需給関係が悪かったので、一部種苗業者がタマネギの種子を輸入いたしております。これにつきましては、実は私の方では輸入いたしたという情報を得ましたので、さっそく各種苗業者につきまして大体の数量を調べました。それからいま一つは、八月の中旬に各県に対しまして、外国産のタマネギは春まきであれば抽苔はしないけれども、秋まきをした場合には非常に抽苔する危険性があから注意しろという通達を各地方庁に出しております。その後私の方の試験場で試作いたしました結果につきましても、十一月の末に各県に一応通達しております。ところが今御指摘の通り、本年になりまして外国産タマネギの百%抽苔という問題が起りましたので、目下種苗業者と生産者との間のいろいろ賠償問題等につきまして、われわれの方も具体的に入りまして、各県を通じて折衝いたして、その善後策を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/42
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043・楯兼次郎
○楯委員 今の御答弁では、取扱い方について注意をせよ、こういうような通牒なり注意を喚起されたということを言っておられますが、どうも結果論になりまするけれども、アメリカの種は全然不向きである、どんな手当をいたしましても、これは玉にならない、こういうことがはっきりしておるわけです。こういう種子に対して、注意くらいのことでは非常に手抜かりではないか、こういうように私は考えますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/43
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044・徳安健太郎
○徳安説明員 今申し上げましたのは、実はアメリカから入れましたタマネギの中でも、抽苔しないでうまくいった例もあるわけであります。従いまして、全部だめだということは、われわれとしてもいえなかったので、とにかく八月の中旬に、非常に危険であるから、そういうものを買うのはなるべく差し控えろ、それからもし買う場合には種苗業者とよく契約をして、そしてもしそれが外国産の場合には、損害賠償等の点についても十分考えてやってもらいたいということを忠告してやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/44
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045・楯兼次郎
○楯委員 アメリカ産でもそういうことはない、そういうことをおっしゃっておりますが、その相違はどういうところから来たかという点が一点と、私の方に陳情をいたしておりまする農家は、国内産の種子である、こういうことで購入をしておるわけです。こういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/45
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046・徳安健太郎
○徳安説明員 ただいまの問題につきましては、これは農産種苗法によりまして、タマネギの種子については、種苗業者は保証票をつけることになっております。その保証票には、やはり国内産の何々品種、発芽率幾らということをつけるわけでありますが、その保証票の違反ということがあるわけであります。これにつきましては、私の方で告発という手もとるわけでありますけれども、告発いたしますと非常に長引きますし、できれば種苗業者と栽培業者との間で解決をつけて、賠償金を取るなり、あるいはその他の方法を講ずる方が得策ではないかと思いまして、実は今そういう方法で、私の方で、現地の生産者と種苗業者との間に入りまして、いろいろ善後措置を講じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/46
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047・楯兼次郎
○楯委員 業者は国内産であるということで販売をしておるわけです。その間に何も契約とか協定というものはないと私は思います。従って業者に対して措置するということでは、農家は救われないと思います。
それからいま一つ私が強調したいのは、特に岐阜県の地方におきましては、稻作の換金作物として、農家のほとんど半数近い金額を上げておるわけです。ただここで措置するという程度では、被害農家は救われないと私は思います。一例を申し上げますると、岐阜県の本巣郡という所では一千万円の損害である、こういうことがいわれておりますので、一つこの救済について具体的な対策をもう一回御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/47
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048・徳安健太郎
○徳安説明員 ただいま御指摘の岐阜県の問題につきましては、参議院の方の農林水産委員会などでも御指摘がありましたので、実は先日私の方の園芸班長を現地へやりまして、この数日中に県から実際の被害報告なり、それからそういう現地の調査が参りますので、それによって、もちろん種苗業者の賠償の問題と同時に、何か営農資金的なものを考えていきたいということで、これはここ数日中には具体的な数字が出て参ると思いますので、それによって処置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/48
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049・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/49
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050・綱島正興
○綱島委員長 速記を始めて下さい。
この際淡谷君から発言を求められておりますから、これを許します。淡谷悠藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/50
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051・淡谷悠藏
○淡谷委員 昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案に対する修正の動議を提出いたします。すなわち、
昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案の一部を次のように修正する。
第一条中「昭和三十年四月」を「昭和三十年四月及び五月」に改める。
第二条第一項中「百分の十以上である旨」の下に「又は水害によるその耕作上の損失額がその者の農業による平年の総収入額の百分の十以上である旨」を加える。
以上二項にわたって修正の動議を提出いたします。よろしく御審議の上御決定あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/51
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052・綱島正興
○綱島委員長 この際ただいまの修正案について御異議その他御質問等がございますればこれを許すことにいたします。御異議、御質問等はございませんか。——ないものと認めます。
これより修正案、原案を一括して討論に付するわけでありますが、別に討論の通告もありませんので、この際討論を省略して直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/52
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053・綱島正興
○綱島委員長 御異議なしと認めます。それではこれより採決いたします。
まず修正案について採決いたします。修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/53
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054・綱島正興
○綱島委員長 起立総員。よって本修正案は可決されました。次にただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/54
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055・綱島正興
○綱島委員長 起立総員。よって昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案は、修正案のごとく修正すべきものと決定しました。なお本案に関する委員会の報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/55
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056・綱島正興
○綱島委員長 御異議なしと認め、さように取り計らうことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/56
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057・綱島正興
○綱島委員長 次に積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法案の一部を改正する法律案の提案者よりの提案理由の説明を求めます。松浦東介君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/57
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058・松浦東介
○松浦(東)委員 ただいま議題となりました積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
御承知のように、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の対象となります地帯はいずれも積雪寒冷がはなはだしく、かつ耕地の利用率が著しく低い所で、自然的社会経済的に恵まれないところでありますが、国民食糧の供給地としてきわめて枢要な地位を占め、この地帯に包含される約二百二十六万戸の農家中の約百十五万戸の供出農家によりまして、全国の供出量の約六〇%になってきたのであります。従いまして、この地帯の農業生産の基礎条件を整備し、その生産力を高め、食糧増産をはかることは、ただにこの地帯の農業経営の安定と農民生活の改善となるばかりでなく、国民経済の発展に寄与するところがきわめて大でありますので、昭和二十六年三月本法の制定を見た次第であります。
本法施行以来、農業振興計画に基きまして土地改良、耕種改善、家畜導入、営農施設の整備等、農業振興に関する各種の事業を極力促進いたし、この地帯の農家の要望にこたえて参ったのであります。しかしながら過去四カ年間の実績を見ますと、土地改良は団体営灌漑排水事業で約十四万町歩、耕地整備事業で約十二万五千町歩、総合助成施設は四百町村、水田裏作の増加面積は四万四千町歩、家畜の増加約十七万頭に及び、相当の実績をあげて参りましたものの、その進捗度はまだ全体計画のおよそ約三〇%にすぎないのでありまして、今後なおなすべき事業が多々残されているのであります。
かてて加えまして、米穀管理制度の将来等を考慮いたしますと、この地帯の農業経営の改善、農業生産力の向上はますます緊要を加えて参りますので、本法の有効期限をさらに五ケ年延長いたしまして、各般の関係事業をさらに促進し、本法制定の所期の目的を達成するようにいたしたいと存じます。
以上が本法案を提出した理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X02919550623/58
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059・綱島正興
○綱島委員長 本法案に対する質疑はこれを後日に譲りたいと存じます。なお、この際農林省に申し入れをしておきますが、さきに佐竹委員の御希望によりまして資料の提出を求めております広島の信連に関する調査資料、主として農林省の調査書及び農林省に対する答申書、その他これに関するもろもろの資料の提出を求めてあったのでありますが、農林省ではこれを提出することの困難な事情があるのではなかろうかと思われるような態度がございますので、理事会等にも諮りまして、できればもっと簡易な方法でと存じましたけれども、理事会では、正当な理由がない限りこれを即座に提出するようにという決定でございます。なお、正当な理由があって提出を拒む場合は、その旨を文書をもって委員会に回答するようにとの希望もございますので、その旨お含みの上すみやかに妥当な処置をとられて、資料の提出が願われるように御処置願いたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会
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