1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十九日(金曜日)
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議事日程 第四十九号
昭和三十年七月二十九日
午後一時開議
第一 畑地農業改良促進対策審議会委員の選挙
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●本日の会議に付した案件
健康保険赤字克服の根本対策に関する決議案(山下春江君外六名提出)
輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
日程第一 畑地農業改良促進対策審議会委員の選挙
歯科衛生士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
歯科技工法案(内閣提出、参議院送付)
優生保護法の一部を改正する法律案(参議院提出)
北海道における国有林野の風害木等の売払代金の納付に関する特別措置法の一部を改正する法律案(綱島正興君外三名提出)
昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案(綱島正興君外七名提出)
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案(芳賀貢君外三十八名提出)
日本学校給食会法案(内閣提出)
女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案(参議院提出)
昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案(鈴木直人君外七名提出)
昭和三十年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案(内閣提出)
金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案(内閣提出)
午後六時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/1
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002・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、山下春江君外六名提出、健康保険赤字克服の根本対策に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/2
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003・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
健康保険赤字克服の根本対策に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。越智茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/4
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005・越智茂
○越智茂君 私は、衆議院各派を代表いたしまして、ただいま議題となりました健康保険特別会計の赤字克服対策確立に関する決議案について趣旨弁明をいたします。
まず最初に、決議案の案文を朗読いたします。
健康保険赤字克服の根本対策に関する決議案
健康保険特別会計の赤字はおびただしいものがあるにもかかわらず、今年度予算においては応急対策を講じたにすぎず、完全な処理が行われておらず、保険財政の前途は深憂にたえないものがある。
政府は、速かに赤字解消の根本対策をたて、社会保険制度の擁護とその発展に努むべきである。
右決議する。
健康保険は、逐年発展し、社会保険の中核として重きをなすに至り、今やその適用を受ける人員は、政府管堂において千二百六十万人、組合管掌において千二十万人、その給付に要する経費の年額は、政府管掌において約三百三十三億円、組合管掌において約三百八十七億円に上り、国民健康保険と相待って、わが国医療事業の大宗を占めているのであります。しかるに、このうち特に政府管掌健康保険は年々急激に増大する医療費の増加の趨勢に悩み、その結果、昨年度末においては、健康保険特別会計にはついに四十億円の赤字を生ずるに至ったばかりでなく、本年度においても約六十億円の赤字を見込まれるに至った次第であります。もとより、これがおもなる原因は、受診率及び入院率の増大、新薬、特に抗生物質の施用による医療費の増加等、医療の普及及び医学の進歩による医療内容の向上の結果ではおりますが、いかなる原因に基くにいたしましても、健康保険財政の赤字は保険経営の基礎を脅かす重大事であることは間違いございません。社会保険の中核である国民医療に重大なる役割を持つ健康保険の危機は、一大社会問題として、決して看過することは許されないところでございます。
されば、政府においても、昨年以来鋭意これが対策に努力をいたして参ったようでありまするが、いまだ完璧を期するにはほど遠いものがあるのであります。すなわち、健康保険特別会計の本年度予算においては、年度末までに生ずる赤字の見込みは約百一億円に対し、保険料率引き上げによって二十六億円、国庫補給金によって十億円、国庫借入金が六十億円、計九十六億円の歳入増を見込んだほかに、なお不足額五億円を標準報酬等級改訂によって捻出することといたし、これがために健康保険法の改正を今国会に提出されたのであります。
しかしながら、この赤字処理方式を見まするに、借入金六十億円は後年度において処理しなければならぬものになっておりまして、赤字の繰り越しと見るべきものでありますから、この六十億円は明らかに今年度末の同会計の赤字そのものであるわけであります。しかして、前年度末の赤字は四十億円でありますから、これを差し引いても、なお二十億円は純粋に今年度において生じた赤字であり、しかも、これが未処理のまま後年度に繰り越されるものであります。従って、この対策は、全く今年度の経理を糊塗する弥縫策にすぎません。健康保険の赤字に対する根本対策としては全くなっていないと断ぜざるを得ないのであります。かつ、また、健康保険の赤字対策といたしましては、赤字の原因が支出の増大にある以上、単に歳入を増して支出に合わせるだけでは足らず、根本的に支出の増大を抑制する措置を講じなければならないのが当然であるのにもかかわらず、このための有効的措置が何ら伴っていないことは、この政府案の最大の欠陥であります。従って、われわれは、これらの欠陥を是正する根本的なる赤字対策の確立こそ健康保険を擁護するに欠くべからざる喫緊の要務であると考える次第であります。
もとより、根本対策として考えられる事柄にはいろいろの対策がありましょう。政府は、すみやかに調査を進め、一日も早く完璧なる方策を立てられたいのであります。特に、支出増大抑制のための患者の一部負担と、健康保険の擁護を通じて社会保障の前進を期するための国庫負担の少くとも一割以上の定率化は、根本対策としては不可欠のものであり、必ずすみやかに実現する旨川崎厚生大臣も明言されておるのでありますから、政府はこの言明を急速に具体化せられるよう強く要望いたしまして、本決議案の趣旨弁明とやたします。
何とぞ御賛同あらんことを希望いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/5
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006・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/6
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007・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。(拍手)
この際厚生大臣から発言を求められております。これを許します。厚生大臣川崎秀二君。
〔国務大臣川崎秀二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/7
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008・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま御決議になりました健康保険の赤字対策につきましては、本年度予算において一応の責任ある措置を講じたのでありますが、御趣旨の通り、これをもって足れりとせず、社会保障の中心課題であります健康保険制度の将来の健全なを発展をはかるためには、根本的施策の緊急性を感ずる次第であります。従って、この意味におきまして、学識経験者よりなる七人の委員に委嘱いたしまして、ただいま抜本的対策を考究してもらっておりますが、今秋早々には答申を得る運びになっていますので、その具体的対策の上に立ち、政府の成案を得て、御趣旨を尊重し、根本的解決をはかる所存でございます。(拍手)
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輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/8
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009・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。参議院から、内閣提出、輸出入取引法の一部を改正する法律案が回付されました。この際議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/9
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010・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。輸出入取引法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/12
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013・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 畑地農業改良促進対策審議会委員の任期が来たる八月十二日をもって満了いたしますので、その後任者の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/13
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014・長谷川四郎
○長谷川四郎君 畑地農業改良促進対策審議会委員の選挙については、その手続を省略し、議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/14
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015・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、議長は、畑地農業改良促進対策審議会委員に
赤城宗徳君 笹山茂太郎君
永山忠則君 有馬 輝武君
松平 忠久君
を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/16
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017・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、歯科衛生士法の一部を改正する法律案、歯科技工法案、参議院提出、優生保護法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。歯科衛生士法の一部を改正する法律案、歯科技工法案、優生保護法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事山花秀雄君。
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〔山花秀堆君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/19
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020・山花秀雄
○山花秀雄君 ただいま一括して上程になりました三法案について御報告を申し上げます。
まず、優生保護法の一部を改正する法律案について申し上げます。
改正の要旨は、受胎調節のために必要な医薬品に限り、また受胎調節の実地指導を受ける者に限って当分の間実地指導員が必要な医薬品の販売ができる道を開いて、受胎調節の実行を容易にし、その効果を高めようとするものであります。
本案は、七月十四日予備審査のため本委員会に付託せられ、同二十五日本付託となり、提出者より提案理由の説明を聴取し、審査に入り、本日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、各派共同提案による修正案が提出せられ、自由党の大橋委員よりその趣旨の説明がありました。その要旨は、本法案の性質にかんがみ、本法の有効期間を昭和三十五年七月三十一日までに限定せんとするものであります。
ついで、討論を省略し、修正案並びに修正部分を除く原案の他の部分を一括して採決に入りましたところ、本案は全会一致修正案及びこれを除く原案の他の部分通り可決すべきものと議決した次第でございます。
次に、歯科衛生士法の一部を改正する法律案について申し上げます。
改正の要旨は、歯科衛生士が、看護婦または准看護婦と同様、歯科診療の補助業務をも行うことができることとするとともに、主治の歯科医師の指示があった場合のほか、診療器械を使用し、また歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないこととしたことであります。
本案は、五月二十三日予備審査のため本委員会に付託され、六月二十三日提案理由の説明を聴取し、七月十五日本付託となり、本日質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、本案は全会一致原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
次に、歯科技工法案について申し上げます。
改正の要旨は、第一に、歯科技工士については現在何ら法的規制が加えられておらず、その技術内容も千差万別で、国民の歯科医療を確保する上に欠ける点が多いので、新たに歯科技工の資格を定め、その免許は都道府県知事の行う試験に合格した者に対して都道府県知事が与えることとしたことであります。第二に、歯科医師または歯科技工士でなければ業として歯科技工を行なってはならないこととしたことであります。第三に、病院または診療所内において患者の治療を担当する歯科医師の直接の指示に基いて行う場合のほか、歯科医師の指示書によらなければ業として歯科技工を行なってはならないこととしたことであります。第四に、歯科技工所につきまして、開設の届出義務、管理者の設置義務、広告の制限等、必要な規制をすることとしたことであります。本法案は、六月二十一日予備審査のため本委員会に付託せられ、同二十三日提案理由の説明を聴取し、七月十五日本付託となり、審議に入りましたが、慎重を期するため、本日特に文教委員会と連合審査会を開き、歯科技工士試験の受験資格に関する学校、養成所の問題について質疑を行い、さらに引き続いて開かれた本委員会において、質疑終了の後、討論を省略して採決に入りましたところ、本法案は多数をもって原案通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/20
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021・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案中、優生保護法の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正でありまして、その他の一案の委員長の報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/21
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022・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/22
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023・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、綱島正興君外五名提出、北海道における国有林野の風害木等の売払代金の納付に関する特別措置法の一部を改正する法律案、綱島正興君外七名提出、昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、芳賀貢君外三十八名提出、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/24
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025・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
北海道における国有林野の風害木等の売払代金の納付に関する特別措置法の一部を改正する法律案、昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員長綱島正興君。
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〔綱島正興君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/25
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026・綱島正興
○綱島正興君 ただいま議題となりました昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案その他二法案について、一括して御報告申し上げます。
まず、昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案につきまして御報告いたします。
本年六月及び七月に東北並びに北海道を襲いました水害によって、その保有している米麦が流失、埋没もしくは腐敗等により、あるいは水害により著しい減収により、飯用食糧にも事欠く農家が多数生じている状態でありますが、御承知のごとく、東北、北海道とも、一昨昭和二十八年及び昨二十九年の両年にわたり、冷害によりまして激甚な被害をこうむりまして、被害農家の疲弊はなはだしく、創痍なおいえておりません折柄、本年の水害を受けたのでございます。従って、この際、これら飯米不足の被害農家に対しまして飯用食糧確保の方途を講じまして、安んじて生業に精励することができるようにいたす必要がございますので、昭和二十八年六月及び七月の大水害、または同年並びに翌二十九年の冷害等の場合にとられました米麦の売り渡しの特例措置にならいまして、政府所有の米穀、麦及び麦製品を特別価格で売り渡し、もって被害農家の再生産確保に寄与いたす目的をもって本法案が提出いたされたのであります。
本法案は七月二十五日付託、同二十七日提案理由の説明があり、二十九日に政府当局に質疑を行い、引き続き吉川農林政務次官より本案の趣旨については異議がない旨の内閣の意見が述べられた後、討論を省略して採決を行いましたところ、全会一致をもって本案は可決すべきものと決定いたしました。
次に、北海道における国有林野の風害木等の売払代金の納付に関する特別措置法の一部を改正する法律案について御報告いたします。
昭和二十九年の暴風雨により北海道に生じた国有林の未曽有の風害木の処理につきましては、おおむね三年間に整理する計画でありますが、特にその消化面におきまして今なおはなはだ低調な状態でありますので、風害木の需要を喚起する意味から、現行特別措置法を改正して風害木の用途面の拡大をはかるため、本案が提出されたのであります。すなわち、広く全国の一般災害復旧に対し風害木の売り払いを行うこと、買受機関に都道府県及び日本住宅公団等を加え、範囲を拡大すること、現行法の期限を一年半延長すること等の措置を講じようとするものであります。
本案は、七月二十八日付託となり、二十九日提案者を代表して提案理由の説明があり、同日、井出委員より、地方公共団体が公共用等以外の施設資材についてもその代金支払いの責任を負うこととした規定を削除し、また、都道府県に対する資材の円滑な流通を促進ずるための規定を加えることを内室とした修正案が提出されて、この修正案及び原案を一括採決の結果、修正案の通り修正議決されたものでありすす。
次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について御報告いたします。
御承知のごとく、東北、北海道は本年六月及び七月の水害により農林水産業施設に多大の被害をこうむったのでありまして、昭和二十八、二十九年の両年にわたり冷害を受けて困窮はなはだしい一般農家にとりましては、現行の国庫補助をもっていたしては十分なる復旧が不可能でありますので、この際これら農地等の復旧事業に対する補助の程度を高める措置を講ずるため本案が提出されたのであります。すなわち、現行法では一カ所の工事費十万円以上のものに対して補助することになっておりますのを、七万以上に改め、補助範囲を拡大するとともに、補助率を引き上げたものであります。
本案は、七月二十九日付託、同日提案理由の説明があり、引き続き政府の意見を求めた上、討論を省略して採決に入ったのでありますが、この間の詳細は速記録に譲ることといたします。
採決の結果は、全会一致をもって本案は原案通りこれを可決すべきものと決した次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/26
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027・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案中、北海道における国有林野の風害木等の売払代金の納付に関する特別措置法の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正でありまして、その他の二案の委員長の報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案とも委員長報告の通り決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/28
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029・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、日本学校給食会法案、参議院提出、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/29
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030・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/30
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031・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
日本学校給食会法案、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員長佐藤觀次郎君。
〔佐藤觀次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/31
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032・佐藤觀次郎
○佐藤觀次郎君 ただいま上程になりました日本学校給食会法案及び女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案につきまして、文教委員会における審議の過程及びその結果を御報告申し上げます。
日本学校給食会法案は内閣の提出で、その要点を簡単に申し上げますと、学校給食用物資の買い入れ、売り渡し、供給及び学校給食の普及充実に関する業務等を行うことを目的とする日本学校給食会なるものを特殊法人として設立せんとするものでありまして、その取り扱う物資、資金の増大が予想せられるがために、その役員に対する国家の監督権を強化し、一、役員は文部大臣の任免制とすること、二、事務費は国の補助金によること、三、給食用物資に関する文部、農林の両大臣の権限、四、現存財団法人日本学校給食会を本会に吸収解散せしめることなど、所要の規定を設けております。
本法律案は、去る五月二十八日委員会に付託され、以来慎重に審議を重ねて参りました。本委員会の審議に当りましては、三宅正一君、野原覺君、辻原弘市君、永山忠則君等からきわめて熱心な質疑が行われ、一、学校給食の現況、二、学校給食と余剰農産物受け入れについて、三、学校給食と新生活運動について、四、給食用物資の不良品払い下げ問題など、細部にわたって検討が加えられたのであります。さらにまた、七月二十日には、国産品による学校給食の振興及びこれと密接な関連を持つ酪農産業の振興について政府は即時適切な措置を講ずべきであるとして、本委員会及び農林水産の委員会でひとしく全会一致の決議がなされたのであります。これらの詳細については速記録によって御承知願いたいと存じます。
かくて、七月二十九日に至りまして質疑を終了、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案について申し上げます。
本法律案は木村守江君外六名の提出でありまして、その要点を簡単に申し上げますと、国、公立の小、中、高等学校等に勤務する女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合において、一、国及び地方公共団体は学校教育の正常な実施を確保するため必要な財政的措置を講ずるよう努めること、二、その休暇中当該学校の教育職員の職務を行わせるため、任命権者は、学校教育の正常なる実施が困難となると認める期間を任用の期間として、臨時的に校長以外の教育職員を任用すること、ただし、都道府県が給与負担をする市町村立学校における臨時的任用の期間認定は、市町村教育委員会と都道府県教育委員会とが協議して決定することなど、所要の規定を設けております。
本法律案は、去る七月二十二日委員会に付託され、以来各委員は慎重に審議を重ねて参りました。
かくて、七月二十九日に至りまして質疑を終了、自由党永山忠則君から本案に対する修正案が提出されました。
その修正案の要点を申し上げますと、臨時的任用について必要な事項の一切を市町村教育委員会と都道府県教育委員会との協議事項とするために、第四条第二項中「臨時的任用については、その任用の期間は、同項の規定にかかわらず」とあるうち、「その任用の期間は」を削除することであります。
ついで、修正案を含めた本法律案について、討論を省略して採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案は起立総員をもって全会一致可決せられました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/32
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033・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。日本学校給食会法案の委員長の報告は可決、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案の委員長の報告は修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/33
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034・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/34
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035・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、鈴木直人君外七名提出、昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/35
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036・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/36
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037・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事加賀田進君。
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〔加賀田進君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/37
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038・加賀田進
○加賀田進君 ただいま議題となりました昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の御報告を申し上げます。
本法案は、去る六月及び七月北海道その他の地域に発生した大水害による被害の結果、地方税等の減免及び徴収猶予による歳入不足を生じ、あるいは各種の災害対策費を負担した地方公共団体に対し、これらの財源不足を補てんし、またはその財源に充てるため地方債を起すことができる特例を認めようとするものであります。本案は、本二十九日提案理由の説明を聴取、討論を省略して採決の結果、全会一致可決いたしました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/38
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039・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/39
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040・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/40
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041・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、昭和三十年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案、金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案、右二案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/41
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042・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/42
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043・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
昭和三十年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案、金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事春日一幸君。
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〔春日一幸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/43
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044・春日一幸
○春日一幸君 ただいま議題となりました昭和三十年度米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案外一法律案について、大蔵委員会の審議の経過並びにその結果について御報告を申し上げます。
まず、昭和三十年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案について申し上げます。
本法律案は、昭和三十年産米穀については生産者からの事前売り渡し申し込みにより集荷を行うこととしたのでありますが、この制度によって所要数量を確保することに資するため、事前売り渡し申し込みに基いて政府に対して米穀を売り渡した者の昭和三十年分の所得税を軽減しようとするものであります。
その内容を申し上げますと、玄米一石当り平均千四百円を非課税とすることとし、このため、昭和三十年九月末日までに売り渡された米穀については一石当り二千四百円として六十キログラム当り九百六十円、同年十月十五日までに売り渡された米穀については一石当り千八百円といたしまして六十キログラム当り七百二十円、同年十月末日までに売り渡された米穀については一石当り千五百円として六十キログラム当り六百円、昭和三十一年二月末日までに売り渡された米穀については一石当り千二百円として六十キログラム当り四百八十円を非課税とすることとしようというのであります。なお、政府の説明によりますれば、以上の措置により、昭和三十年度において二十九億円程度の減収が見込まれておりますが、一方において米価の引き上げによる増収が見込まれますので、同年度予算に計上いたしました程度の税収はおおむね確保できる見込みであります。
審議の結果、本日質疑を打ち切り、討論を省略して、直ちに採決に入りました。しかるところ、全会一致をもって希望条件付で可決されたのであります。
なお、希望条件は次の通りであります。
三十年度事前売渡制度実施に当り、集荷の状況にかんがみ予約締切期日後の買入分に対しても優遇措置を講ぜられたい。
次に、金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、日本経済の自立とその健全な発展に資するため、金融機関の資金の運用を調整して、緊要な長期産業資金の調達を円滑にすることを目的として立案されたものでありまして、まず第一に、銀行その他の金融機関の資金の運用に関しまして、従来大蔵大臣が随時行政指導を行なってきたものを、この際勧告を行うことができることとしております。第二に、大蔵大臣は、金融機関の預金等が増加した場合は、その一定割合に相当する金額を、金融債、いわゆる公社債、緊要な長期産業資金の調達のための社債、国債、地方債等の保有の増加に充てなければならない趣旨の命令をすることができることといたしております。第三に、大蔵大臣の諮問に応じて金融機関の資金の運用に関する基本方針を審議し及びこれに関し必要と認める事項を建議する機関として、大蔵省に各界の権威者をもって組織する金融機関資金運用審議会を設置することといたしております。
本法案につきましては、大蔵委員会に付託されてより慎重に審議を続けましたが、本日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、本案は起立多数をもって原案の通り可決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/44
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045・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより採決に入ります。
まず、金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/45
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046・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に、昭和三十年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/46
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047・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
明三十日は、会期終了日でありますから、午前十時より本会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X05019550729/47
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