1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二日(木曜日)
午後一時五十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 加藤シヅエ君
理事
仁田 竹一君
早川 愼一君
重盛 壽治君
木島 虎藏君
委員
入交 太藏君
岡田 信次君
川村 松助君
一松 政二君
山縣 勝見君
高木 正夫君
三木與吉郎君
内村 清次君
小酒井義男君
片岡 文重君
三浦 義男君
国務大臣
運 輸 大 臣 三木 武夫君
政府委員
運輸大臣官房長 山内 公猷君
運輸大臣官房会
計課長 梶本 保邦君
運輸省自動車局
長 真田 登君
運輸省鉄道監督
局長 植田 純一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
説明員
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会開会の件
○公聴会開会に関する件
○自動車損害賠償保障法案(内閣送
付、予備審査)
○運輸一般事情に関する調査の件
(昭和三十年度運輸省関係予算及び
日本国有鉄道の予算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/0
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001・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) これより運輸委員会を開会いたします。
まず、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
本院規則第三十六条に基き、地方道路税法案について大蔵委員会と、地方道路譲与税法案について地方行政委員会と、それぞれ連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/1
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002・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
ただいまの決議に基き、委員長は大蔵委員会及び地方行政委員会に申し入れることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/2
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003・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 次に、公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
自動車損害賠償保障法案は一般的関心及び目的を有する重要案件でありますので、利害関係者及び学識経験者等から意見を聞いて、審査の参考に資するため、公聴会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/3
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004・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。
公聴会の日時、問題、並びに公述人の数及び選定、その他手続等は、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/4
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005・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、自動車損害賠償保障法案について、公聴会開会承認要求書を議長に提出することといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/5
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006・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 次に、自動車損害賠償保障法案について、政府委員より補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/6
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007・真田登
○政府委員(真田登君) 自動車損害賠償保障法案の概要について説明いたします。
最近におきまする自動車運送の発達には、まことに目ざましいものがあります。その両数について見ましても、終戦の年には約十四万二千両にまで激減したものが、僅か十年後の二月末におきましては約百三十四万両に達し、戦前最高の昭和十三年の約二十二万両に比べまして、六倍をこえようという盛況を示すに至っておりますが、今後ともこの勢いはいささかも衰えるきざしをみせようといたしておりません。このような膨大な両数が、今日目のあたりにごらんになる通りの自動車交通の輻輳ぶりをもたらすに至ったのであります。
しかしながら、これとともに、諸般の事故防止対策の強化徹底にもかかわらず、自動車事故はおおむね車両数の増加に比例して激増の一途をたどっておりまして、まことに憂慮すべき事態に至っているのであります。これを自動車事故件数についてみますと、二十八年は六万二千百九件、二十九年は七万四千五百六十件で、戦前最高の両数をこえて三十一万両に達しました。二十四年の実績に比べまして、二十八年が三・一倍、二十九年が三・七倍という増加率を示しており、また、死傷者数について見ますと、二十八年が五万八千九百十七人、二十九年が約七万二千五百人で、二十四年の実績に比べまして、それぞれ、三・二倍、四倍という増加率を示しているのであります。すなわち、昨今では、昼夜を通じまして一時間に約八件の事故が発生し、これによりまして約八人の犠牲者を産むに至っているのであります。
自動車事故の対策といたしましては、一般国民における交通道徳の高揚、警察における交通取締の強化、運輸省における自動車検査の充実等その防止対策の強化徹底が何よりも必要であることは、今さら申し上げるまでもありません。私ども関係者といたしましても、今後とも、事故防止対策の強化徹底によりまして、悲惨な事故を未然に防止するよう努力する所存であります。
しかしながら、一方におきまして、まことに遺憾なことでありますが、ある程度の自動車事故発生は、不可避な現象を呈していることを否定することもできないのであります。産業革命によってもたらされた機械文明の高度の産物ともいえます自動車が、生産社会はもとより私どもの消費生活にまでも深く浸透して参りました昨今におきましては、その高速度化、大型化および輻輳化によりまして、国民のすべてが日夜自動車に接し、その危険にさらされているからであります。
諸外国におきまして、自動車事故による被害者を救済するため、自動車損害賠償保障制度がつとに確立を見ましたのも、このような事情のもとにでありました。最初の立法例は一九〇八年にオーストリアにおいて見られ、その後一九三〇年代にかけて各国において成立を見るに至ったのであります。
本法案は 諸外国の立法例にならいまして、自動車損害賠償保障制度を確立し、不可避的な自動車事故による被害者の保護に万全を期そうとするものでありまして、去る第十六国会におきまして改正されました道路運送法の第百二十五条の二の規定の趣旨にも沿うものであります。
以下、本法案の要点について御説明いたしたいと存じます。
本法案は、七章九十一ヵ条及び附則から構成されておりますが、これを大別いたしますと、第二章にあります賠償責任を適正にするための規定と第三章から第五章までにあります賠償能力を確保するための規定との二つになるのであります。
第一章は、本法案の目的と定義とを規定するものであります。
第一条の規定は、本法案の目的を規定しております。道路運送法第百二十五条の二の趣旨に従い、自動車による人身事故における損害賠償を保障する制度を確立することによりまして、被害者の保護をはかるものであることを宣明するものでありますが、同時に本制度が反射的効果として自動車所有者側の経理的基礎の安定をもたらし、自動車運送の健全な発達にも資するものなることをも規定するものであります。
なお、本法案におきましては人身事故のみを対象とし、物的事故を対象から除外しておりますのは、制度の漸進的実施を期したものであります。
第二条の規定は、本法案における用語の定義を規定するものであります。
第一項は、本法案の対象とする自動車が近路運送車両法による自動車であり、スクーターまでも含まれることを規定しており、第二項は、本法案中に使用される運行とは、道路運送車両法による運行と異なり、道路の内外を問わないことを明示しております。
第三項の保有者とは、保険契約に関する規定において用いられる用語でありますが、第四項の運転者とか正当な権原がなくて自動車を使用する者と対照的な概念でありまして、自動車の所有者や賃借人が通常これに該当するものであります。
第四項の運転者とは、保有者に対照した概念であります。助手を含みますが、保有者みずからが運転する場合は含みません。
第二章は、自動車による人身事故の場合におきまして、保有者等自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償責任を適正にいたしますために、民法の特例を設けるものであります。現行民法によりますと、被害者は故意または過失が加害者側にあることを自分の方で証明しませんと、第七百九条による損害賠償を受けられないことになっておりますが、先にも触れましたように、自動車事故の発生が不可避的なものと観念せざるを得なくなった現状におきましては、被害者の保護をはかるために必ずしも衡平なものといえなくなって参ったのであります。ここにおきまして、自動車事故と同じく、高度の機械文明が不可避的にもたらすものといえます工場災害及び鉱害に対し、つとに採用されております無過失責任主義にならいまして、自動車事故に対しても、その賠償責任を無過失責任主義へ接近させることにしたのであります。
第三条は、これを規定したものでありまして、保有者その他自己のために自動車を運行の用に供する者は、人身事故に対して、自己及び運転者に故意過失がなく、同時に被害者または第三者に故意過失があったことを証明できない限り、賠償責任を負うことにしているのであります。本条によりまして、挙証責任及び責任の主体に関しまして、民法の特例が設けられるわけでありますが、最近における判例を見ましても、訴訟法的にはすでにこのような線に近ずいている模様であります。
自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償責任につきましては、第三条の特例のほかは、すべて民法の規定によるのでありまして、慰謝料に関する第七百十条及び第七百十一条、共同不法行為に関する第七百十九条等すべて運用されることになります。第四条は、この旨を規定しております。なお、運転者の損害賠償責任につきましては、現行通り、民法の規定によることにいたしました。
第三章は、自動車側に常時賠償能力を確保するための措置の骨幹をなす強制保険制度につきまして、主として大陸法系の例にならい、規定するものであります。
第一節は、自動車損害賠償責任保険の締結強制について規定しております。第五条は、強制保険の実体規定でありまして、自動車はこの法案で定める責任保険に付保されているものでありませんと、運行の用に供してはならないことにしております。ただし、第十条にありますとおり、国、会社、都道府県等の自動車に対しましては、賠償能力の点から法律において、適用を除外いたしますし、また政令により国際慣習から外交官等に対しても適用しないことにいたしております。
第六条は、強制保険の保険者を定めるものでありまして、すでに任意の自動車損害賠償責任保険を運営している民間保険会社及び外国保険事業者にこれを行わせようとするものであります。なお、本保険の事業運営につきましては、第三節において厳重な監督規定が置かれております。
第七条から第九条までの規定は、強制保険制度の励行をはかるための措置であります。これによりまして、原則として自動車は、今後、道路運送車両法による自動車検査証と道路交通取締法による運転免許証とのほかに、本法案による自動車損害賠償責任保険証明書をも備えつけなければ運行の用に供してはならないことになり、また、道路運送車両法による自動車登録、検査その他の処分を受けるについても、同証明書の提示が必要となるのであります。
第二節は、強制保険の契約についての商法の特例を規定するものであります。
第十一条は、商法第六百二十九条の規定を本保険について具体化したものでありまして、第三条の規定による賠償責任の発生を保険事故とし、保有者およびこれと不真正連帯債務の関係にある運転者を彼保険者にする旨を明記しております。本保険の保険金額は、第十三条の政令で業態別車種別に定めますが、ただいまのところ、一人当り死者三十万円、重傷者十万円、軽傷者三万円、一事故当り三十万円ないし百万円という試案を持っております 。
第十四条は、商法第六百四十一条の特則であります。現行法によりますと、保険契約者または被保険者の悪意による場合はもとより、重大な過失による損害についても保険会社は免責になるのでありますが、これでは被害者の保護に万全を期せられませんので、保険の範囲外であります悪意の場合についてのみ免責とし、重大な過失による場合その他いかなる場合にも免責を認めないこととしたのであります。これによりまして、現行のように保険約款に各種の免責条項を設けることも認められなくなるわけであります。なお、悪意による場合にも、あとで申し上げます通り、別途被害者の救済策を講じてあります。
第十五条及び第十六条は、賠償責任が確定した場合におきまして、被害者に迅速確実に賠償が行われるようにするための規定であります。第十五条の規定によれば、被保険者は被害者に賠償の支払いをしなければ、保険金の支払いを請求することができないこととなり、第十六条の規定によれば、被害者は、被保険者に対してでなくても直接保険会社に対して賠償を請求する道が開かれるのであります。この場合におきましては、保険契約者または被保険者の悪意による場合にも支払われることにいたしておりますが、保険としては免責事項に属しますので、政府に対して補償を請求することができることにしております。
第十七条は、賠償責任がいまだ確定しない場合におきまして、被害者が、当座の出費にあてるため、賠償額の一部を保険会社から仮渡金として支払われる道を開くものであります。仮渡金の額は、ただいまのところ、保険金額の四割ないし一割を予定しております。
なお、仮渡金を支払ったあとにおきまして、保有者に賠償責任が発生しなかったことが判明しましたときは、保険事故には該当しませんので、悪意による場合と同様に、政府に対して補償を請求することができることにいたしております。
第十八条は、被害者の保険会社に対する賠償の直接請求権及び仮渡金請求権が、社会保険における保険金請求権にも比すべき地位にありますので、これに差押禁止の措置を講ずるものであります。
第二十条は、商法第六百四十四条に規定されております契約締結時において申込者が告知すべき重要な事実等の内容を、簡明に法定するものでありまして、この告知義務違反による解除の要件を明確にするものであります。
第二十一条及び第二十二条は、保険責任に空白が生ずることを防止するための規定であります。第二十一条は、商法第六百四十五条の特則でありまして、現行法によりますと、ハイヤー、タクシーの車を自家用車といつわったりして、契約締結時における告知義務に違反したときには、将来にわたって保険会社は解約することができ、解除前に事故が発生しても免責にされたおりますが、これでは被害者の保護に欠けることにもなりますので、この場合においても損害を填補することにするものであります。
第二十二条は、商法第六百五十六条及び第六百五十七条の特則でありまして、現行法によりますと、自家用車がハイヤー、タクシーに変ったりして、保険期間中に危険が増加または変更したときには、保険契約が効力を失い、または保険会社が契約を解除することができることになっておりますが、これではやはり被害者の保護に欠けることにもなりますので、本保険については、このような場合には当然に新たな危険に対応する保険契約に変更されたものとみなすものであります。
以上が本保険契約についての商法の特例でありますが、本保険も責任保険の範疇に属しますので、第二十三条によりまして、このほかの事項について商法のうち損害保険の総則を適用することにいたしております。
第三節は、強制保険の保険事業について、保険業法、損害保険料率算定団体に関する法律および外国保険事業者に関する法律の特例を規定するものであります。
第二十四条は、保険会社に対し本保険の引受義務を課するものでありまして、自動車側に付保を強制いたします措置に対応するものでありますが、保険料の支払がない場合等正当な理由がある場合には拒絶できることは、当然のことであります。
第二十五条は、保険料率の認可基準を設け、その算定に当りましては、適正原価主義をとり、営利目的の介入を許さないことにしております。この措置は、本保険運営におきましても最も重要なものでありまして、保険会社を保険者としながらも、本制度の社会保障的色彩にかんがみまして、保険運営において非営利性を確保しようとするものであります。
第二十八条は、保険約款および保険料率に関する大蔵大臣の処分につき、運輸大臣の同意制を設けたものでありまして、保険行政と自動車行政との調整をはかっているのであります。
第三十条は、本保険の代理店につきまして特に法律的神位を付与し、強制保険制度の円滑な実施を期したものであります。
第四節は、自動車損害賠償責任保険毎議会の設置を規定するものであります。本案審議会は、強制保険の運営の民主化をはかりますため、大蔵大臣の議間機関として本保険に関する重要事項を調査審議し、及びこれらに関し必要と認める事項を関係大臣に建議するものでありまして、第三十四条および第三十五条に規定しておりますように、関係行政機関の職員四人、学識経験者三人、自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者二人並びに保険事業に関し深い知識及び経験を有する者二人総計十一人の委員をもって組織するものであります。
第五節は、強制保険に対して行う政府の再保険事務について規定するものであります。本保険が、自動車側に付保を強制したり、保険会社に引受義務を課したりして、社会保障的色彩が濃厚なものであることにかんがみまして、その保険運営につきましては、国が介入することが適切と考えられますし、また、本保険につきましては、保険会社は引受義務を課せられたり、保険料率の算定に営利目的の介入を許されなくなりますので、その保険運営につきましては、その危険の一部を国が負担する国営再保険の形態が望ましいと考えられるのであります。
第四十一条は、再保険の当然成立制を規定し、第四十二条及び第四十四条は、本再保険事業が元受保険の六割を比例再保険すべき旨を規定するものであります。
第四十三条は、再保険料率に関する規定でありますが、再保険料は、元受の純保険料の六割を予定しております。
第五十条は、本再保険特別会計に対します一般会計からの繰入方法でありまして、業務費を国庫負担すべき旨を規定しておりますが、本年度予算案としましては、千八百三十九万六千円を計上いたしております。
このほか、本再保険事業に関しましては、農業共済再保険、漁船再保険、輸出再保険、木船再保険等政府の再保険事業における例にならいまして、第四十八条の免責、第五十一条の審査の請求等種々規定いたしております。
第四章は、強制保険制度の例外的方法としまして、アメリカの例にならい、自家保障制度について規定するものであります。
第五十五条は、強制保険制度の特例を認めるものでありまして、多数両数の所有者で資力信用あり、事故率の少い者が第五十六条の許可基準に適合して運輸大臣の行う自家保障の許可を受けますと、付保することなしに自動車を運行の用に供することができる道を開いております。これらの者の賠償支払能力につきましては、保険にかけることを強制しなくても本法案の目的を達成することができると考えられるからであります。
自家保障者は、第五十七条により、保険のかわりに賠償支払準備金の積立を強制されますとともに、これに見合う資産については、流動性を担保するように第五十八条によって規制を加えられることになるのであります。準備金の積立額は、おおむね強制保険の純保険料を基準として算定する予定であります。
第六十条の先取特権及び第六十一条の仮渡金の制度は、自家保障者における被害者の保護に万全を期したものでありますが、仮渡金を支払った後において、賠償責任が発生しなかった場合における政府補償につきましては、強制保険の場合と同様であります。
第六十六条は、許可の取消しを規定しておりますが、特に引き続き自家保障者たることが被害者の保護に欠けるおそれがあると認めるときをも要件とし、本制度をきわめて厳格に運用しようとするものであります。
第五章は、強制保険又は自家保障制度によっても保護し切れない被害者に対して行います政府の保障事業について、規定したものであります。
第七十二条は、保障事業の業務を規定するものであります。業務といたしましては、ひき逃げ事故又は正当な権原がなくて使用した者もしくは付保義務違反者による事故の被害者に対して保険金の支払いに相当する金額を填補いたしますことと、さきに申し上げましたように、保険契約者または被保険者の悪意による場合の賠償額の支払いと、賠償責任がなかった場合の仮渡金の支払いとに対しまして、保険会社に補償することとの二つの分野があるのであります。なお、保障事業の窓口業務につきましては、第七十七条によりまして、保険会社に委託する道を開いております。
第七十三条は、保障制度が各種保険制度によっても救済し切れない被害者に対する最終的救済措置であることにかんがみまして、社会保険による給付との調整等を規定したものであります。
第七十六条、第七十八条、第七十九条及び第八十二条は、保障事業の財源について規定するものであります。
第七十六条は、代位権又は返還請求権の設定によって填補額を回収する道を開き、第七十八条は、保険会社自家保障者等に賦課金を課し、第七十九条は、義務違反者から過怠金を徴収するものであります。第八十二条は、保険事業に対する国、外交官等の自動車に対する賦課金相当額及び業務費の国庫負担について規定するものであります。保障事業は、再保険特別会計において再保険事業と合せて経理されることになりますので、国庫負担額は、一般会計から再保険特例会計に繰り入れられることになりますが、本年度予算案としましては、七百九十七万円を計上いたしております。
第六章は、各章にわたる事項について補充的に規定するものであります。
第八十三条は、再保険事業及び保障事業の業務を運輸大臣が管理することを規定し、第八十四条は、自家保障制度、保障事業及び保険証明書等の提示に関する権限を委任する道を開くものであります。なお、運輸大臣は、本法の運用に当りましては、被害者と直接交渉する場合が多いので、第八十六条におきまして、特に被害者の保護に欠けることのないように努めるべき旨を規定いたしております。
第七章は罰則であります。
第八十七条から第八十九条までの規定は、強制保険制度及び自家保障制度の励行をはかるための罰則を整備するものでありますが、第五条は賠償能力を確保するための措置の骨幹をなす実体規定でありますので、違反行為に対しては特に体刑に処することにしております。
第九十条は両罰規定であり、第九十一条は、保険業法の例にならい、保険事業関係の違反行為に対し、過料に処するものであります。
附則は、施行期日、他の法律の改正及び経過措置について規定するものであります。
附則第一項は、施行期日について規定するものでありまして、審議会、再保険の引受け等は八月一日から、完全実施は十月一日からを予定しておりますが、発足に際しての事務処理の円滑化のために、さらに適切な措置を検討中であります。
附則第四項は、保険業法の改正でありまして、保険会社における強制保険の四割の保有分につきまして共同計算を可能にするため、独占禁止法の適用除外の措置を講ずるものであります。
附則第五項は、印紙税法の改正でありまして、強制保険の契約証書等を免税とするものであります。
附則第六項から第十一項までの規定は、完全実施の予定日であります十月一日前に任意に締結された自動車損害賠償責任保険と今回の強制保険との間の調整措置であります。すなわち、十月一日前に締結された旧契約の旧契約者は、強制保険を締結したときは第六項によって旧契約を解除することができ、その場合には、第七項によりまして、法定の解約返戻金が支払われることになります。また、旧契約と強制保険とを併存させる場合には、強制保険がまず、填補し、なお不足額があるときに旧契約による填補が行われるものといたし、これに伴って起ります旧契約の危険の減少に対しましては、保険料減少額の返還または保険金額の増額の方法によって調整することにいたしております。
なお、本法案による再保険事業及び保障事業の実施につきまして、一般会計から合計二千六百三十六万六千円の繰入れを伴う予算案は、既に御審議を受けており、また、これを経理するための自動車損害賠償責任再保険特別会計法案も本法案とともに提出されております。
以上によりまして、自動車損害賠償保障法案についての御説明を終りますが、何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/7
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008・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 本法律案に関する質疑は、次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/8
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009・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/9
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010・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 次に、運輸一般事情に関する調査中昭和三十年度運輸省関係予算及び日本国有鉄道の予算に関する件を議題といたします。
御質疑のおありになります方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/10
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011・内村清次
○内村清次君 五月二十四日の本委員会におきまして、十河国鉄総裁からごあいさつをいただきました。十河新総裁の当委員会におきまするごあいさつの内容を承わり、また、その他新聞紙上におきまして、あるいは五月二十一日の国鉄職員に対するごあいさつ、就任の御方針、こういう点を総合いたしまして、新総裁といたしましては、当面しておる国鉄の諸難関を突破されるために非常なる御決意をもって御就任なさいましたその気持が、よく私たちにはわかるわけでございます。この御就任の決意からいたしまして、私たちもまたその生の大半におきまして国鉄に職を持っておりました者といたしましても、ぜひこの当面する国鉄の諸難関を突破して、国民の鉄道、公共企業体としての公共性を発揮して、一にはまたいろいろな問題を早急に一つ解決していただきたいという気持がいたしております。
そこで、実は二十四日の委員会におきまするごあいさつは、まだ具体的な問題に対しましては入っておらなかったようでございまするからして、その就任に際しまする運輸大臣の特に新総裁に希望せられました項目につきましては、当委員会でただすことができたわけであります。第一点は、国鉄の当面の綱紀の粛正を、これを解決してもらいたい。また将来における綱紀の粛正に対しましても、十分なる粛正の実が上るようにしてもらいたい。それから機構の再検討をして機構の改革を考えてもらいたい。第三点におきましては、国鉄の財政の窮乏に対するところの経営の合理化に対しての問題、第四点は紫雲丸の善後処置の問題であったと運輸大臣は言っておられるようでございます。この点は総裁といたしましては運輸大臣の要望に対しまして、この四点に対してどういうお考えであるかということも、あとで一つ御答弁をお願いしたい。
同時に、私は十河新総裁が当委員会やその他の席上で言われました国鉄一家という言葉、それからまた国鉄の大家族主義というそのお言葉、この意味が並立いたしまして、国鉄一家という言葉には、これは総裁の気持といたしましては、どうもこの言葉の中に含まれておる意味というものが、あまり世論の芳ばしくないところの評判である。と同時に、大家族主義という、ずっと昔の総裁である後藤新平が言っておられましたような言葉は、非常にこれを賞揚されておられるようでありまするが、この両立いたしました、また並立いたしましたこの問題を、一体どういうふうなことでその指導方針にしておられるかどうか。この点からまずお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/11
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012・十河信二
○説明員(十河信二君) 私新米でありまして、まだ部内の事情もよくわかっておりません。従って、私の申し上げますることは抽象的で、具体的になりかねると思います。その点はあらかじめ御了承を願いたいと思います。
私は就任に当りまして、まず第一番に考えましたことは、どうしても事故をなくしなければならぬ。事故を未然に防止することが、自分に課せられた最大の責務であるというふうに感じました。いかにすれば事故を防止することができるか。事故にはいろいろな原因がありますが、大体において私は、大きな原因の一つは、物的にも人的にも無理をする。無理をなくしなければいかぬということが大きなポイントじゃないかと考えております。しかしながら、日本が現実に今日置かれておる状態は、無理をしなければならぬような状態にある。この無理をしなければならぬような状態に直面して、しかも事故をなくするということは、非常にむずかしい問題であります。そこで私はこういう無理な仕事を引き受ける者は、まず第一番に心が非常に落ちついて、なごやかで、平静でなければいかぬ。そういう心的状態に置かれるようにするためには、家庭、家族、鉄道職員を送り出しておる家族が、鉄道職員に十分な慰安、休息を与え、そうしてはつらつたる精神でもって職場に出かけてゆくことが、いわゆる後顧の憂いなく、愉快にはつらつたる元気をもって仕事に着手するということが非常に大切なことじゃないか。そうすれば、多少の無理も何とかうまく切り抜けてゆくことができるんじゃないか。これが私どもが教えを受けた後藤新平先生の大家族主義の根本精神だと思うのであります。多数の従業員自身が一大家族であるがごとくに、親が子を思い、子が親を思うように、お互いに辛苦をともにし、責任を分ち合っていくというのみならず、その従業員を包容しておる家庭までがこれに協力をする、これが大家族主義だと思うのであります。そういう家族主義を私はもう一度一つ職員の間に呼び起したいということを考えておるのでございまして、綱紀の粛正と申しましても、一番もとは道義の確立、道義の確立のまたもとは家庭生活が正常であるということじゃないかと思うのであります。そういう点から申しましても、私は今申し上げましたような大家族主義というふうなものが今日のこの国鉄の再建に最も根本的な、基礎的要件じゃないか、こう考えてこの点を目下つとめて強調いたしておる次第でございます。
なお、私は先だってごあいさつの際にも申し上げておきましたが、われわれ国鉄に職を奉じておる者が、国鉄をいわゆる国鉄一家の私有物であるかのごとくに考えておるような間違った考えを持っておる者があっては大へんだ。国鉄は本来国民のものである。国民の国鉄を、国民のために国民にかわってわれわれが運営をおあずかりしておるのである。国民の声はでき得る限り聞かなければいけない、それにこたえなければいけないということを考えております。これがまた綱紀を粛正する大きな手段になりゃしないか。それにつきまして、私自身陣頭に立って実践躬行することが必要であるとこう考えまして、私は毎朝登庁いたしますと直ちに、広報係員をして前日の国民の声を、私自身も注意して見ておりますが、さらに専門のそういう係の者をして調べさしまして、その要点を私に報告し、これに対してはこういう回答をしたい、これに対してはこういう処置を講じたい、こういうことを研究したいというふうなことを相談をして、措置を講ずることに取り計らっておるような次第であります。
これが今やっております、御質問に対する私のお答えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/12
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013・内村清次
○内村清次君 ただいまのお言葉は、十分に私の質疑の意味がおわかりになっておるかどうかという点で、私もまた質問の要領が悪かったのではないかとも思われまするけれども、私が尋ねようとするのは、第一点におきましては、運輸大臣の指導方針と申しますか、要望と申しますか、この点は十分総裁といたしましてお聞きになった。この要望は十分今後の施策において実行するというお考えがあるかどうかということが、第一点です。
第二の点は、この国鉄一家、国鉄一家という意味は、ちょっとまた総裁のただいまの御答弁は、ただ国鉄一家ということは国鉄全体を私有財産的に考えてはいけないという、そのことで御答弁なされておったようですが、国鉄一家ということと大家族主義という問題は、どういうふうにこれをわれわれは考えていいかどうか。ややもいたしますると、国鉄を国鉄一家の私有財産的に考える、そういうことではいけない、国民の鉄道であるから、国民に対して十分なる鉄道本来の仕事をやっていかなければならない、こういうような考えですが、大家族主義は、ただ職員が朝出るときに非常に家族も一緒となって気持よく出ていくというような、こういう精神形態を大家族主義と、こうおっしゃるのか、この点の解明が私たちはどうもまだはっきりいたさないわけです。この点が一つ。
いま一度これは端的に解明していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/13
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014・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は先刻の御質問でいろいろおあげになったその中で、まず綱紀粛正のことについて答えろというふうに解釈しまして、今申し上げたようなお答えをしたのであります。
運輸大臣からお示しになりました四ヵ条は、もとより私全部を、これを実行するつもりで決意をいたしております。まだ就任早々で実があがっておりませんで、はなはだ恐縮でありますが、もちろん着々実行していくつもりでおります。
それからいわゆる国鉄一家というものは、ちょっと具体的にどういうものか私にもよくわかりかねますのですが、私はこういうふうなことを想像いたしておるのであります。たとえば、工事をするにしても、国鉄にいたものが退職してどっかの会社に入っておると、その会社でなければ国鉄の工事はできない。物品を納入するについても同様だ、あるいは国鉄の土地を借りるについても同様だ、というふうなことが世間で国鉄一家と称して非難されておるのじゃないかと思うのであります。そういうことは私は断じてやらせない。すべて国鉄本位、国鉄の利益になるように、国民のためにはかって利益になるような処置を講ずる。国鉄一家と国鉄の大家族主義をはき違える、いわゆる国鉄一家を国鉄の家族主義と心得て間違った方向に進んでおる者のないように、固く戒めておるような次第であります。国鉄一家ということがどういうことをいうか、その点がはっきりしないものですから、あるいは御質問に当らないかもしれませんが、その点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/14
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015・内村清次
○内村清次君 あえて私がその点をまず第一に質問いたしますことは、新総裁は、先ほど私からも申しましたように、また総裁自身もごあいさつになったように、非常なる御決心をもって御就任なさっておる。今後の難関を突破して国民の鉄道にする、公共企業体の全責任を負っておいでになるという上について、この国鉄大家族主義という言葉を、これを強調していくという言葉が出てきたわけです。私も三十年前には、確かにまだ鉄道の中に入りまして、そうしてもう当時はすでに十年くらいたっておりました。総裁からずっと参りまして、鉄道の大家族主義というものはどういうものであるかという実態も私は感じてきました。ただ、先ほど総裁が一例をあげて、出勤前に家族も朗らかに見送っていく、あるいはまた当人も朗らかな気持で職につく、そういう平和な心理状態で職につくことは、これはどなたが考えましても当然なりっぱなことです。そうありたいのです。私たちはそういたしまして、やはり一番危険な状態にこの職をとっている者といたしましては、当然その心境で当りたいのです。当りたいのですが、そのことは総裁が鉄道大家族主義でいくというその言葉の中の中核にほんとうにきておるだろうかどうかということが、第一点、気ずかわれるのがそれでございまして、その大家族主義の弊害から、私たちはその当時におきましても相当これは職制的にも押えつけられてきたのです三言うべきことも言うところの機関もなかった。そういうような平素の不満と申しまするか、決してこれは、不満がよごれた不満でなくて、正しい不満を言うべき機関もなかった。そういうようなことを内蔵して、ただ上から押し付けられて、大家族主義に呻吟をして約二十年間。これを今また総裁が唱道せられていることは、私たちはその点で非常に危惧の念を持っているのです。私はやはり当然この国鉄自体の当面の難関を突破するには、まだやるべきことはたくさんあると思うのです。やはり内においてはこれは何といたしましても、融和が第一点でございましょう。融和をはかるためにば、平素のいろいろの諸要求に対しまして、これは業務面といわず、あるいはまたは労務の管理の面といわず、諸要求に対しまして一つ一つ誠意をもって解決することでございましょう。ほかに向いましては、当面する諸問題を一つ一つ熱意をもって、やはり総裁の御決意をもって当っていくことでございましょう。こういうようなことをなされないで、ただ大家族主義のみを唱道しておいでになるとすれば、私は必ずどこかに打ち当る面が出てくると、こう思うのです。この点に対しまして、総裁の大家族主義はどういうふうな根底からお考えになっておるか、その点をいま一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/15
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016・十河信二
○説明員(十河信二君) 私の解しているところでは、国鉄はどうも官僚主義であって困るという非難が多いように思っております。官僚主義はいわゆるセクショナリズムなんです。このセクショナリズムが事務の合理化を妨げ、能率を下げ、ひどくなると事故を起すのであります。一例を申し上げますると、運転をする、運転をするというときには、一番大切なことは、線路の状態がどうなっておるか、信号がどうかということが、これが非常に大切なんです。ところが、線路の方は路線の係がいる、信号の方は電気だ、運転は運転だ、これが別々になって、セクショナリズムになっているというところに、どうも運転の混乱が起り、事故の原因があるのじゃないか。それではいけない。おやじが外で働いている。このおやじが外で十分に職責を全うするためには、内にいる女房がいわゆる内助の功を全うしなければならぬ。こういうふうに融和して初めておやじの職責を全うする。初めて運転が、路線や電気と協調して、一体となって安全確実な輸送ができるのじゃないか。こういうことを考えまして、私はそういう家族主義を強調いたしているのでありまして、別に昔の民法のごとく、家長が家族に強制をするというふうな考えは毛頭持っておりません。現に私は、国鉄四十五万、そのうち四十万人が組合を組織しておられる。これらの組合の人とひざを突き合せて、セクショナリズムにならないようにひざを突き合せて話し合いをしよう。先刻御質問の中にもありましたように、それらの人の意思が十二分に経営の中に取り入れられるようにということで、もう数回、組合の現場でまっ黒になって働らいておられる方々と、私は談合をいたしております。幹部との談合よりか、その方に実は重点を置いているような次第でありまして、私の家族主義と申しまするのは、決して家長が家族を強制する、上から押えつける、かくのごとき古い家族主義ではないのであります。その点は御了承をいただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/16
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017・内村清次
○内村清次君 この点はまた考えの違い方もあるし、また私が体験をいたしましたときの体験と、また当時は上司にあられたところの総裁の地位からくる家族主義の体験とは、あるいはそこに違いもございますし、感じも違いますから、この点はまだ不十分ではございますけれども、私の質問に対しまする御答弁としては不十分とは考えますが、しかし今後の総裁のいろいろな面に対する御施策のうちから、私たちもこれを十分正しく批判していきたいと思います。
ただ、私がここでお伺いいたしますことの一点は、先だって総裁は国鉄労働組合や機関車労働組合と初会見をなさった。いいことであると存じます。当然順序としてなされることであると思うのです。しかしその中に、国鉄は現在は謹慎中であるからして、すべての問題も、これはいろいろな問題があろうとも、それは差し控えるべきだ、というようなお言葉を言っていらっしゃるようです。これはどういう意味でございましょうか。私はこの点で、大家族主義の流れというものがやはり、内輪の問題は全部状せておいて、そうして御無理、ごもっともで従っていきなさい、こういう気持がそこに現れておりはしないかということが、ちょっと気にかかっておりますからして、この点の意味をどうか一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/17
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018・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は、もちろん全従業員の利益のためにも、ますます努力いたしたいと思うのであります。しかしながら、いかんせん、今日のごとく国鉄は何か怨嗟の的になっておるようなときには、私がいかに努力をいたしましても、私の声は通らないかもしれぬ。そのことは諸君十分承知しておってくれ。そうでないと、自分の努力が足りないというので、諸君が不満を起されては、これはどうも仕事に支障をきたす。こういうことを考えましたから、自分は極力努力をする、努力をするが、今日残念ながら自分の声は世間に通らないように思うから、そのことはどうかあしからず了承してもらいたいということを、私家族に向って言うように従業員に話をした次第でありますから、別に他意があったわけではないのでありますから、どうぞ御了承を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/18
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019・内村清次
○内村清次君 端的に聞きますと、就任された新総裁といたしましては、いろいろの諸問題を一応腹蔵なくお聞きになることが必要だろうと思う。その過程におきまして、いろいろ総裁としてやらるべき新方式がそこに確立されると思うのですよ。あるいは耳の痛い問題も出てくるでございましょう、いろいろな要求部面が……。ところが、それを総裁としてはお考えになることが必要でしょうが、そういうことは聞く耳はあるのだということに解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/19
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020・十河信二
○説明員(十河信二君) もちろん、さように御了承を願いたいと思います。現に、私は一日中疲れてへとへとになっておりますが、一昨晩のごときも、七時に帰りまして、食事をして、八時から十時四十分まで、労働組合の諸君と全くひざをつき合わして、打ち解けて、いろいろと困っておること、苦しんでおる状態、その他のことを伺ったような次第であります。これは私がただ考えておるだけでなく、すでに、わずかやったのは一回ですけれども、そういうことも実行をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/20
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021・内村清次
○内村清次君 国鉄の経営関係に対しまして、ただいま最高の機関としては経営委員会というのがあります。この経営委員会の拡充強化の点に対しても御発言があったようです。これは総裁といたしましては、しかもまたその内容の点においても、組合からの代表も一名はぜひ入れたいというようなことも言っておられるようですが、まず改組をしてその強化をしていくという御方針であり、あるいはまたは組合代表を入れるという御方針でありますかどうですか。そう承わってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/21
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022・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は、おのれの不徳、おのれの微力というものをよく反省いたしております。私は、とうてい今日のこの難局を背負うに足るだけ自分に力があると思っておりません。そこで、何とかして私に力をつけてくれるような組織、機構を作っていただきたいということが、何をおいても第一に、私は政府当局あるいは国会の方々にお願いをしなければならぬことだと、こう考えまして、機会のあることにそれをお願いしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/22
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023・内村清次
○内村清次君 その気持はわかり、ますが、たがいま申しました、私が質問いたしましたような形の経営委員会を、御希望なさっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/23
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024・十河信二
○説明員(十河信二君) その通りであります。現在経営委員会の委員は、御承知の通り五人おられます。いずれもお忙しい重要な職責を持っておられる方々でありまして、私を十二分に助けてやろうというおぼしめしがあってやって下すっておられることと、私は確信しておりますが、何分にもお忙しい方々でありますから、私はでき得るならば、私を専心没頭して助けていただけるような人をお願いできるならば、これに越したことはないと——また私は代表としてこの経営委員会に参加しておりますが、労働組合の側からの代表者も一人入っていただいた方が、先刻お話のあったように、組合に何にも知らせないで上から圧迫するというような御疑念をなくするためにも、これは必要じゃないかと、こう考えまして、私は皆さんにお願いいたしているのであります。私のお願いが許されるかどうかは、それは私に権力がありませんから、わかりませんが、お願いすることは、私は声をからしてお願いしているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/24
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025・内村清次
○内村清次君 この点また大臣にもお尋ねしなくてはなりませんが、実はこの国鉄の当面の経営状態、あるいはまたは特にその中に包含されておりまする財政の問題につきましては、これは相当な、何と申しますか、危機の様相があるようです。分解いたしましてもたとえば施設面におきましてもそうでございましょう。あるいは鉄道の負債となるべきところの問題に対しましてもそうでございましょう。あるいはまたは特に再評価関係の国鉄資産の問題に対しましても、相当問題が残っている。あるいは国鉄の職員給与の問題に対しましてもそうでございましょう。こういつた一つ一つ分解して見ましても、相当内に包含しましたところの赤字の危機がありますのに、収入面においては、これは行く先は非常に心もとないようでございます。政府の政策からきている問題でございましょうが、また特に国鉄だけのサービスの面からくるところの乗客の招致というような、あるいはまたは貨物の誘致というような問題を、これを最善の方法でやるといたしましても、相当に行く先は細っているように考えます。そこでまず一つ一つ総裁といたしましては、これを早く合理化をしていくと、しかもまた黒字の状態に、総裁の昔の状態、黒字の状態に一つしていくというような御方針は、もうお立てになったと思いますが、要するに、私はこれは三十年度の特別会計予算、これでその解決の第一歩が踏み出される御自信ありますか、どうですか。これはまた大局的な御答弁にして、あとは先ほど申しましたような諸点に対しまする御方針がありましたならば、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/25
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026・十河信二
○説明員(十河信二君) 遺憾ながら、今日私まだ、財政の具体的現状をつぶさに検討するだけの余裕を持っておりません。今お申しつけのような計画は、私には立っておりません。でありますから、その具体的のことを申し上げかねますですが、私は先刻も申し上げましたように、すべて人的にも物的にも無理をすることが事故の原因だ。財政的に無理をすれば、どこにそのしわ寄せがくるかと申しますると、人件費はワクがちゃんときまっておって動かせない。そうすると、物件費。物件費のどこを一体押えるかと申しますると、補修費を押える。従って、修繕すべき個所を修繕しないで運転をしなければならぬ。そこに事故の原因が起ってくると私は考えております。かって私が国鉄に在職しておりました当時、補修費は大体経費の総額の二割二、三分か四分くらい割り当てておったように記憶いたしておるのでありますが、今日伺ってみますと、それは二割くらいになっておる。ここに私は無理のしわ寄せがきておる。この無理のしわ寄せが、やがて事故の原因になるのじゃないかと、心ひそかに、非常に不安な気持を抱いて一日を過しておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/26
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027・内村清次
○内村清次君 まだ具体的な御答弁を承わらずに残念ですが、先ほど私が言いましたように、この三十年度の予算で、そのいろいろな問題を包含しておるところの第一年度を、総裁就任の第一年度を突破することができるというお見通しがついておるかどうかという点ですね。それから施設の面やあるいは償却の問題、あるいは利子の問題、それから給与の問題、こういう問題に対しまして、鉄道の経営の合理化という問題を一つ一つ具体的にどういう御方針をお立てになりましたでしょうかと、こう聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/27
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028・十河信二
○説明員(十河信二君) 今お答えいたしたつもりでありますが、そういう具体的の一つ一つの方針は、遺憾ながら、今日まだ立っておりません。従って、私は確たる見通しを持っておりません。それで今申し上げましたように、毎日不安な気持で、どうか事故がなくてうまくやっていってくれればいいがと思って、一日出勤いたしておるような現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/28
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029・内村清次
○内村清次君 その点は非常に私たちも不安に考えます。その総裁のお言葉を開いていますと、ますます不安になる。
ただ、そこで運輸大臣にお尋ねいたしますが、これはこの前の委員会のときに聞きました鉄道の経営に対するところの経営調査会ですか、これを至急に発足するということでございましたが、これはそのまま直ちに発足いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/29
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030・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 明日あるいは明後日くらいに発令をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/30
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031・内村清次
○内村清次君 そのとき私も、この運輸大臣の考え方は、当面急いでしかもけっこうであると申しましたが、ただ一つ、私はそのときに忘れたことがございました。それは、この委員の中は大体民間人を多くするというお話であったようです。しかもまた運輸省の関係は、何といいますか、手続その他、あるいはまたは補助委員的な考え方にやるというお話があったのですが、当面の主体でありまする国鉄の方は委員の中に加わっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/31
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032・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 国鉄の幹部、労働組合、そういうものもお入りを願うことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/32
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033・内村清次
○内村清次君 ああそうですか。けっこうです。私はその点を希望したかったのです。鉄道が被告の状態になっては私はいかない。もちろん、当面鉄道の問題に対してお世話を——お世話とうと、言葉が語弊になるかもしれませんけれども、とにかく国鉄の財政、経営の状態を真剣に考えていこうという真意が委員会にあります以上、これはやはり被告の態度ではいかないからして、十分とその委員の中に加えていただいて、労組もあるいは当局者の方も加えていただいて、十分とここで、大臣の言われましたように、最低六ヵ月以内には結論をお出しになって、そうしていかれることが私は当面の問題ではないかと存じております。そうでないと、ただいま総裁のお言葉を聞いておっても、一日々々ただ出勤して——もちろんこれは相当な熱意を持って、部内の関係から十分と検討はなさっておるとは私は考えます。考えますけれども、これは早急にどうするという問題に対しまして、あるいは総裁自体は、現在の法規の状態の中においては、準禁治産的な資格で、手を伸ばそうとしても伸ばされないところが、法律的に支障があると思うのです、私たちは。その点で十分御同情はしておりますが、まあ一日も事故がないようにというお気持も十分察しますが、要は、やっぱりこういうような委員会を政府部内に置きましても、国鉄の内部におきましても早急に確立してもらいたいと思う。この点は運輸大臣もただいま明言されましたからして、その発足と同時に、十分な御検討を私は希望いたしておきます。
あと質問がございますが、関連質問があるそうですから、ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/33
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034・小酒井義男
○小酒井義男君 私は、本日の委員会で、運輸一般事情の調査ということではありますが、やはり三十年度予算の問題が中心に質疑されると思いますので、国鉄関係の質問事項は相当ありますけれどもこれは後日に譲らしていただいて、予算関係、先ほど総裁の答弁の中に関連して一点お尋ねをして、あまり私の方だけ質問しておったのでは御迷惑かと思うので、他日に譲りますが、総裁は先ほども、補修費が非常に足りないから事故が起るのじゃないかという心配があるという発言があったのです。それに関連して、運輸大臣に私お尋ねしたいと思うのですが、やはり本年度も新線建設の計画があるようなんです。新線建設は、これは必ず必要な緊急を要する新線が建設の対象になるべきだと思うのですが、新線建設に対して、私は必ずこれからできる新線は、当分の間は赤字路線だ。そういう赤字路線をどんどん建設していくことによって、国鉄の経営に負担がかかっていくのではないか。現存の既設の路線の改良補修ということがそのために犠性にされるというようなことになっていったのでは、新線はたくさんふえていくが、輸送の安全度というものはそこから少くなっていくということが考えられるのじゃないかと思うのですが、そういう点で、大臣として新線建設を重点的にやるべきか、そうでなしに、既設路線の改良補修に当面は重点を置くべきか、こういう点について私は問題があるのじゃないかと思うのです。それについて私の方の地方で、もう一年も前にでき上った路線が、そのままほうってあるような所があるのです。そんな必要のない所だったら、それよりもほかに重点的な予算の使い方がある。たとえば、たびたびやかましく言われておる定点観測などの問題でも、国民全体の上において非常に重要な必要なことがある。そういうことを先きに国としては取り上げるべきでないかというふうに私は考えておる。新線建設に関する考え方についても、それと現在の国鉄の既設路線の安全度を高めていくということについて、その関連性について、大臣はどういう考えを持っておられるか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/34
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035・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 今御指摘の改良補修か、あるいは新線か、これを二者択一的に考えれば、やはり現在の段階においては改良補修ということに重点をおくべきだと私は考えるのであります。しかしながら、新線というものが、全然新線というものは将来これはやらぬのだというわけにもいくまいし、いろいろ国土計画、あるいはまた産業政策の見地から、どうしてもこの新線はやらなければならぬという必要な路線も出てくると思います。そういう点で、私が今考えておるのは、今後の新線計画については少し構想を新たにして、出直したい。今までは御承知のように、新線は大体当分の間はペイしない、それでもやはり高い金利で新線を建設しておる。こういうことになれば、国鉄の経理の改善というものは、新線がふえるたびに悪化するわけです。そこで今後の新線というものは、別の構想で新線を考えていきたい。
しかしながら、私に引き継がれておる問題があるのです。それは三十線の新線を、一昨年ですか、鉄道建設審議会でも御決定になりまして、そこでそれを七線ばかり完成して、二十三線残って、それを引き継いでおるわけです。私自身としても、これをいかにすべきかという問題についていろいろ考えた。しかしながら、すでに工事にも出して、工事も始まっておるわけなんです。全然始まっていない所もございますが、相当手をつけておる。そこでもしそれを、全然新線をここで打ち切るということになれば、解約金の問題も起ってくる。全くマイナスの金じゃないか、解約金というものは。しかも地方はその鉄道ができますれば、これは国鉄の方からいえば赤字といっても、また社会的にそれから受ける便益というものは、単に国鉄のそろばんだけで考えられない非常な社会的な利益もあるわけですから、今のところは二十三線というものはやはり解決していきたい。すでにこれは審議会を通ってやっておるのですから、これを今さら、この新線をやめてしまうのだということでなくして、二十三線というものは解決をして、その後の新線というものは今までのような方式で、金利の高い金を借りて新線をやるということではやっていけないから、今後の新線はこれは、非常な必要の度合いというものも厳重に検討すると同時に、その資金についてもやはり新しい構想で今後の新線は考えていく、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/35
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036・小酒井義男
○小酒井義男君 大臣、どうですか、現在の新線は、すでにきまっておるのでも、再検討するというお考えはありませんですか。たとえば道路によって、バスと貨物自動車で事足りるような路線というものがないかどうかということです。そういうものがあれば、高い建設費をかけてそうして新線の建設をやることは、私は必要ないと思う。一度きまったからそれを引き継いでやるというのでなしに、私はきまったものでも一応再検討をすべきではないかと思うのですが、そのお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/36
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037・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはやはり、今全然着手していないような一つの路線についていろいろ検討する場合も起ってくるとは思いますが、今さしあたりとしては、こういうものが鉄道建設審議会で諮問も経て決定もしているというようなことなので、まあ非常にこれはいろいろな点から考えてみて、この際これはやるべきでないという重大な理由が起らない限りは、その審議会できめた路線を中止するというような決定を行うべきでない。地方も非常な期待をしておるわけですから、だから、もし今この新線はやめた方が国のためであるというような、そういう理由があれば、これを建設審議会にも御相談をしたいと思います。相当な重大な理由がなければ、やはり今まできめた新線の計画というものは取りやめるべきでない。しかし理由があれば、国のいろいろな財政事情等とにらみ合して検討する場合もあり得ると思います。今はこれを審議会にかけて直ちに検討するという意思はございませんが、そういうことが将来においてあり得る場合も、それは起り得ると考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/37
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038・内村清次
○内村清次君 そこで、新総裁に私も今日は具体的に質問したいと思いましたけれども、質問の過程におきまして、まだ十分御検討の必要があるようでございまするからして、その大綱だけ、あと一、二点お伺いいたしておきます。
総裁もこれは外でよく御存じであったと思いますが、公共企業体に移行いたしましてから、その労働組合の関係というものが、公共企業体の関係労働組合の法律をもちまして、今賃金の問題に対しましても、労働条件の問題に対しましても、この法律の第一条によって、当事者は平和的に解決をするためには最善の努力を払わなくてはならないということで、今日までその問題が推移されてきておるのです。ところが、残念にいたしまして、私たちも、この委員会におきましても、その仲裁裁定になりました事項につきましても、当時の政府のお考え方によりまして、仲裁裁定が十分履行されないという事態があります。国会もまたその法律に従いまして、関与をいたしておった経過がございます。私たちはこの問題は、先ほど総裁が心配しておられるように、内部的な一番市要な要素になってきておりまして、この融和的な解決がなされない限りにおきましては、これは出勤前におけるところの家族の心理も、あるいは当人の心理も、決してこれは平和的な心理ではないことを心配するのです。だからして、当面といたしまして、この仲裁裁定、あるいはまた調停委員会の調停に対しましては、これは新総裁といたしましてもどういうお考え方でお臨みになるか。これは抽象的にはなりますが、しかしその抽象的な問題からその御精神だけを承わって、具体的には当面すでに問題があるはずです。この問題に対しまして、調停委員会が出したところの調停の問題も、仲裁委員会のあっせんの問題もあるはずです。こういうような問題を十分新総裁は聞いておられますかどうか。またその腹案がなされておるかということに対しましても、つけ加えてぜひ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/38
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039・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は一応はそういう問題があるということを聞いておりますが、残念ながら、今日私自身の腹案は、こういうふうにしたらよかろうという腹案はまだ持ち合せておりません。私はもちろん、調停委員あるいは政府、国会のおきめになったことは、でき得る限りこれは忠実に実行していきたいという考えは持っております。それ以上に、具体的にこれをどうするかというふうなことは今日まだ腹案を持っておりませんで、お許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/39
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040・片岡文重
○片岡文重君 最初に、大臣に一つお尋ねいたします。国鉄の方がきょうは見えておられるのですから、大体国鉄関係についてちょっとお尋ねしたいのですが、総裁が最近更迭されたわけですけれども、この国鉄総裁がかわられたということは、洞爺丸、紫雲丸等の責任をとられておやめになりたということだけなのであるのか。それとも、国鉄の経営についてこの際総裁を新たにして、心機一転、再スタートをするというようなお考えでもあって、この機会を利用されたのか。そういう点はどうも、総裁のおられる前ではなはだ御答弁にもどうかと思いますが、一つお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/40
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041・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 長崎総裁が辞職されました経緯は、紫雲丸事件に責任を感じて長崎総裁が辞表を出されました。これを受理することが適当であるという政府の判断に基いて、その辞表を受理したのであります。従って、国鉄総裁更迭の第一の動機は、まさしく紫雲丸事件に対して長崎総裁が責任を感じてやめられたということでございますが、時やはり同じくして、国鉄はこの際国鉄の信用を回復し、経理を建て直すこれは時期であるという点で、それが直接の動機になって総裁の更迭が行われたのではございませんが、時を同じくして、そういう大きな使命が十河新総裁に課せられたことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/41
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042・片岡文重
○片岡文重君 そうしますと、大臣は先般の就任後の御挨拶の中で、現在の国鉄に対する大臣の監督権はきわめて微弱である、従って、国鉄法を改正しても大臣の監督権を強化しなければならない、それでなければ責任は持てないというような意味の御意見であったと考えますが、この紫雲丸の事件に責任をとって長崎総裁がおやめになるということについて、それを受理するが適当であると考えて受理せられたその大臣は、現在の国鉄法下においては監督が十分なすことができないから、責任をとる、もしくは責任を考えるということはあり得ない、もしくはそこまでは自分としては考えない、ということなのかどうか。その大臣の責任をどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/42
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043・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私はしばしば、本会議等におきましても、運輸大臣として非常な責任を感じておるということを言明いたしまして、また国民にも、運輸大臣という立場において深く遺憾の意を表して参ったのであります。従って、責任を感じておるわけでございます。そのために、その責任をどういう形において果すことが適当であるかということについて、私自身にいろいろ考えさせられるこれは大きな課題であったわけです。現在私の心境としては、十河新総裁とともに協力して国鉄を再建する、そうして事故のごときああいう事件を再び繰り返さないように、またそういう消極面ばかりでなくて、まあ今日だけ国鉄の信用が失墜したときはないと私は思う。これは非常な長い伝統を持って、国民から親まれた国鉄の時代というものもあったわけです。今日は非常に国鉄に対する世間の批判もきびしい。そういう非常に不信用な状態になっておる国鉄の信用を国復して、そうしてこの国鉄の経理の面等に対してもこれを軌道に乗せる、こういうことで新総裁とともに運輸大臣が全力を尽すことが、私の国民に対しての責任を果す道である、こうまあ考えて、私は微力をいたしておる次第なんでございます。責任は十分に感じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/43
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044・片岡文重
○片岡文重君 総裁は責任をとるためにやめさせなければならぬ、大臣は責任をとるために事故再発を防ぐ方途を考えるということが大臣の責任であると、こういうふうに私ども考えられるのですが、事故再発を防止するということが大臣の責任であるならば、総裁もまたその事故再発を防止し、そして起った事故に対する最善の措置を尽してその職を辞せしめるということが、理屈としては同じじゃないかと思うが、この点、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/44
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045・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それはおのおの各人の、そういう場合の処置に対する各人の主観にもよると思います。御指摘のように、いろいろ全部跡始末をしてそうして責任をとられる方法もありましようし、あるいは跡始末は新総裁にゆだねて責任をとるというとり方もあるでしょう。ただ、それは長崎総裁が辞表をお出しになった、それに対して政府としてはその辞表を、本人がいろいろあの事件の直後でございますから非常な責任を国民に感じてお出しになった、その気持を生かすことがその場合適当であるということで、政府がこれを受理したわけでございまして、その辞表の出し方が早過ぎたとかあるいはおそ過ぎたとかいうような御批評はありますけれども、長崎総裁があのときお出しになった、それを政府がいろいろな状態から考えて、受理するのが適当であるという判断で受理したということ以外には、みな各人のいろいろなものの考え方のこれは問題に触れて参りますので、それは私からいろいろ付度して申し上げる限りではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/45
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046・片岡文重
○片岡文重君 その答弁には別に納得はできませんが、次に移ります。
最初長崎総裁がおやめになって、次代の総裁として大臣は強く財界から、現に活躍しておられる有力な実業人を起用したいということで、お骨折りになったと伺っておりますが、それにもかかわらず、現に財界で活躍しておられる方々で、せっかくの三木運輸大臣の誠意をもってしても、引き受け手がなかった。これはどういうところにその原因があるとお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/46
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047・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これもまた他人のいろいろな考え方、どういう意味で国鉄総裁に就任することをいろいろちゅうちょするかという理由は、私は聞きません。しかし思うに、やはり今日の国鉄というものが外から見ると、これは大へんな仕事である。ある意味において、敗戦日本のすべての縮図というものが国鉄かもしれない、一切のものが。日本のいろいろな悪い条件というものが、国鉄の、まあ日本のいろいろ悪条件を象徴するような状態になっておる、従って、これが全然国鉄というものに対して、経験のない人が、国鉄の総裁に就任をして、これを建て直すということの容易ならぬことを思い、国鉄総裁というものに対しては皆さんがちゅうちょされるような点があったのだと、こういうふうに私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/47
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048・片岡文重
○片岡文重君 申し上げるまでもなく、国鉄は世界最大の企業だと称せられておるのですから、たとい今日赤字の状態になっていようとも、日本の敗戦の縮図のような困難な情勢におかれていようとも、少くとも血気盛んな実業人で、大いになすあらんとするような方々であるならば、この際世界最大の一つの企業を引き受けて、画期的な立ち直り方をしてやろうというくらいの気概のある実業家は、一人や二人は私は日本におると思うのですが、それがなお引き受け手がなかったというには、やはりそれだけの私は大きな理由があったと考えるのですけれども、大臣はただ、主観的な相違といいますか、判断で、そこまでは忖度するわけにはいかぬ。別に今大臣がいろいろ言われた以上の理由は見当らぬと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/48
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049・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) この際に私が申し上げておきたいと思うことは、私ができるだけ財界の人をという考え方の根底の中には、それは最近の国鉄がいろいろな問題があって、それが全部国鉄の側の責任とは申せないような事件もございましょう。とにかく、しかし最近の国鉄というものが信用を失墜しておることは事実なので、こういう最近のそういう信用を失墜した時代に、国鉄に関係を持っておったような人でない方が国鉄を再建をするためには便利であろうと、こういう考え方から、そういうことを申しておったのでございます。一度国鉄に席を置いた者は全部、国鉄総裁としてこれは不適当であるというような考え方ではない。最近のいろいろな問題が起ったときに、多少の関連性を持って言われたような人々が、やはり国鉄総裁におなりになることは適当でない。そういう点で、全部、鉄道の関係者を全部これはいけないというような理由は持っていない。そういう理由はなり立ち得ないのであります。最近のそういう問題に関連を持った人が適当でない、こういうことでございますために、十河新総裁が——これは三十年も前に国鉄におられた。そのときの国鉄というものは、私は先ほども申したように、とにかく国民から親しまれ、信用も持っておった。こういう時代にその国鉄に席を置かれておったわけでございますので、ある意味において鉄道の大先輩として、国鉄に対する愛着はあるいは部外の者よりも強いかもしれない。その大先輩が、おそらく御本人にすれば、今さら国鉄総裁に引き出されることも御迷惑でしょう。しかし大先輩として、今日の国鉄の状態は見るに忍びないものがあるに違いない。そういうことで、十河新総裁に御就任を願って、そうして国鉄の信用を回復していただくようにすることも、これはある意味において、非常に今日の国鉄としては、そういう考え方もこれは国鉄再建のために好ましいのではないか。まあそういういろいろな見地から、政府は検討の結果、十河新総裁の就任を求めたわけでございます。もうだれもみな断ってしまって、そうしてもう人選難に陥って、十河氏に就任を要請したというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/49
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050・片岡文重
○片岡文重君 財界人が国鉄を引き受けなかった理由というものは、むしろ国鉄内部の複雑、あるいは国民から怨嗟の的になっておるということではなくて、よしんば国鉄経営を引き受けようという意気をもってしても、現在国鉄に伸ばされておるところの政府の監督権——国鉄の経営者というものが全くひじ、ひざをゆわえられて、わずかに手先、足首だけを動かし得るような状態におかれているようなこういう機構では、引き受けてもやっていけないというところに、私は財界人が引き受けなかった理由があると思うのですけれども、大臣はそういう点についてはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/50
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051・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 国鉄が非常に縛られて……縛られてない面もございます。しかし予算の面から申しますと、それはお話のような点がありましょう。予算はちゃんと組まれて、しかも運賃等については自主的にきめる権限がない、こういう点を御指摘になれば、今の形容詞が当るでありましょう。
そこで、私どもが今回国鉄の経営に対する調査会を置こうということも、公共企業体というものが、これは本来は公共企業体というものは、相当な自主性を持って、そうして一つの官営事業でない、民間事業の長所を取り入れて公共企業体が経営をするところに、公共企業体の妙味があるのだと思います。それが、しかし一面においてなぜ公共企業体というものが健全に発達しないかというと、国鉄側にも責任がある。いろいろな問題が次々に起ってきて、国民に対して不明朗な印象を与えておる。今国鉄一家などということは、決してこれは国鉄をほめる言葉ではない。非難をする言葉としてそういう言葉が使われている。こういう事実から見て、国鉄の経営というものに対して国民が全幅の信用を置いていないというところに、公共企業体というものの、これがあり得べき姿に発達しない私は原因があると思う。本来は、公共企業体というものは、いろいろな面においても、相当な自主性を持つべきものであります。そうでなければ、なかなかこれは、官営から公共企業体にした意義というものは失われてくる。しかし残念ながら、国民がどうもやり方に対して信用せぬ、こういうことになってくると、むしろ国民感情からすれば、運輸大臣の監督権を強化せよ。あるいは国会における世論の底流の中には、そういう声が強いと思うのであります。そういう点で、何としてもまず第一番には国鉄の信用の回復をするということが、これは大きな問題でありますし、また公共企業体というものを健全に一つの企業の形態として発達さすためには、このあり方についても検討の要がございます。そういう点で今回、国鉄の調査会はこういう問題についても掘り下げて検討をしてみたい。これは単に、ただ公式論的に、今の公共企業体のあり方が間違っておるだけだということでは、問題が解決できない。その間には、今まで公共企業体としてやってきた数年の歴史の中にも、その公共企業体の方向を曲げた原因があるのだということを考えざるを得ないということで、こういう問題についても検討を加えたい、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/51
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052・片岡文重
○片岡文重君 そうしますと、大臣の考えでは、まだ現在の国鉄法では縛り方が足らぬとおっしゃっておられますが、そういうお考えですと、何ですか、国鉄法の改正について具体的な案はすでに立案されておるですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/52
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053・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 具体的な案については検討を加えておりますが、たとえば十河総裁がお持ちになっておる、私も、内村委員があとで御質問があると言っておったんですが、経営委員会の問題についても私も同感であります。ただ、まあ労働組合、これは率直にいって、今日の労働組合が経営に参加する一つの、それだけの能力といいますか、そういうことに対しては、一まつの不安を私は持っておる。これはやはり日本の労働組合が、何と申しますか、じみちな労働組合が、自分たちの労働条件の改善よりも政治的な一つの闘争、こういうものに対して非常な関心を持っておる状態、これは必ずしも労働組合ばかりが責めらるべきではなくして、日本の政治のあり方も問題であったのでしょう。しかし、とにかくこれが、世界各国の労働組合運動に比べて、日本の労働組合運動が政治偏向されることは事実である。こういうことで、経営委員会の中に果してその目的を達せられるかどうかということに一まつの不安がありますが、しかしながら国鉄のような企業体には、これは建前としては当然に労働組合の代表者が入るべきものである。そういうことでなければ事故の防止と申しましても、これはなかなか幹部だけでできるものでなくして、むしろ労働組合がそういうふうな末端に至るまで、交通機関に対する責任感を自覚して事故防止というものに対して協力をしなければ、できるものではないので、一つの原則の考えとしては私も同感であります。そういう点で、また一面において、経営委員会をもう少し強化しなければならない、今のは片手間で名誉職的なものであるということに対して、これを強化すべしという考え方も、私も同感であります。こういうことで、やはりそういうふうなことになって参りますれば、国有鉄道法の改正を伴わなければならぬ問題で、まあ小さな、財産権の管理等についても不備が確かにあるんです。
こういうものについてはまあ用意もできておりますが、現在のところでは、せっかく調査会もできるから、そういうものとにらみ合わして、小出しの改正ではなくして、やるときにはその調査会の意見も徴して、そうして国有鉄道法というものに対して、もう、そう再々改正というような必要のないようなことをしようかということで、現在できておる小出しの改正、これを本国会に提出するというまだ決意はしていないのでありますが、調査会の進行とにらみ合せて考えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/53
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054・片岡文重
○片岡文重君 私は、今の国鉄法のままで経営委員会をいかに強化してみたところで、あるいは審議会とか何々委員会というものを幾つ作ってみたところで、これはある場合には屋上屋を重ねることにもなるし、あるいは厄介な小じゅうとをさらに作り、経費を乱費するだけであって、そう効果の上ることはないと、私はあえて断言してはばからない。それよりも、むしろこの際、あなたがそういう御意見でおられるなら、今度の紫雲丸事件についても当然、経営委員会の諸君がもっと責任を感ずべきなんですよ。一体経営委員会に参加しておられる方々は、紫雲丸事件についてただの一回も、国会なりあるいは国鉄なりに、陳謝の意を表しておるかどうか。責任を感じておるかどうか。全然そういうことは私は伺っておらない。むしろ国鉄経営については、法をいじるよりもこの経営委員会等におけるあり方をもっと検討すべきだというのが、一つの意見。それからもし国鉄法を改正するならば、資金の面とかあるいは経理運営の面について、もっと国鉄の経営者が自由に企業家としての立場から処置できるような方法に改善すべきであって、これ以上縛ったのではもう国鉄は決して成り立っていかないと、私はそう思う、そこで大臣もごらんになっておられると思うのですが、臨時公共企業体合理化審議会の答申にも、企業努力の効果が経営者の意図に基かない不経済線の不利な事由で相殺されるとうことが、ここにはっきり述べられておる。この事をもってしても、政府は国鉄を縛るということよりも、むしろいかにしてそういう社会的な国家的な意義と使命を果しつつ国鉄の経営面について面倒を見ていくかということに、もっと重点を置いて考うべきだと思うのですが、その点は、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/54
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055・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) やはり国鉄は純然たる株式会社としての感覚ではいけないと思います。これはどうしたところで、採算ばかりを中心にして、そういうことになってくれば、交通機関というものが、これは極端にいえばやめてしまったらいいのだ、東海道などの幹線以外はもうやめてしまったらいいのだということが、採算ばかりいえばそういうことになるのですが、そうもいかない。それは地方の民間にまかしたらいいじゃないかという世論もありましょうが、民間だって、そういう線は困って、国会の御承認を得て補助金などを出している地方もあるわけですから、公共企業体というもののむずかしさは、公共的な一つの要請と、また独立採算的な私企業的な一つの要請を、どう調和するかということであって、両方の極端な結論は間違っている。これは調和というところに公共企業体の使命もあれば、またむずかしさもある。それをどう調和するかということ、だからそういう点からも、新線などはやめてしまったらいいという御議論は、それは傾聴すべきものだと思います。しかし、今やはり一方において、地方のいろいろな人口の分布状態からして、利用度が少いといっても、もうその地方の人々は、いろいろな点からいって、恵まれませんよ。都市であれば税金なども多いし、しかし地方の弱体な府県というものは、文化的にも必ずしも均衡がとれていない。それを鉄道なんかはずしてもいいのだということになれば、非常に都市と地方との文化的な懸隔が出てくる。そういう点は国全体が、交通機関というものの国民生活における大きな意義を考えて、これはやはり赤字がある程度出ましても、これをやっていく必要がある。しかし今はあまりにも極端に過ぎると私は思います。ほとんど黒字路線というものがなくて、それ以外はみな赤字だという状態は、是正したいと思います。適当な機会に是正をする。赤字路線もある部分はやむを得ないが、大部分の路線がペイするのだという経営にすることが健全な姿で、これはやはり近いうちにそういうことを考えなければならね。しかしその前提には、今言われた国鉄内部の経営の合理化など、やはり国民感情とすれば、経営の合理化というものに対していろいろやってみて、これ以上は仕方がないというところで、運賃の改正等も行うことが、国民感情としてはそういうことをやはり今日は求めていると思いますから、そういうことなら、公共企業ばかりでなしに、調査会も六ヵ月という期間を区切ってやっておるのでありますから、そういうような面も含めての、国鉄に対しての経理の立て直しを早急にやりたいと考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/55
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056・片岡文重
○片岡文重君 大体、大臣の言われた前段の御意見は私同感ですけれども、赤字線をやめようとか、新線建設をやめようというようなことは反対なんです。むしろ赤字線をどんどんサービスをよくしてやるべし、それから新線も、要求のある所はどんどんやるべし。これはやはり文化施設ですから、どんどんやらなければいかぬのです。そういうことをやるのが国鉄の仕事なんです。だから、そういう点についてはいささかも遠慮せずに、どんどん建設費を投下しておやりなさい。
きょう私は中央線に乗りましたけれども、半車の二等車の中に扇風機がついている。窓をあければ寒さを感ずるぐらいの中に、もう扇風機がついている。しかも三等車の方は、もう上着を脱いでも暑いぐらい超満員なんです。結局、じゃあ、国鉄のためにどっちが役に立っているかというと、あの半車に乗っているお客さんは、結局三等車にお立ちになっているお客さんの利益でおそらくまかなわれていることになるでしょう、大半の経費は。こういう、何といいますか、片寄ったサービスでなしに、やはり国民全体が文化施設を均霑するように、たとい僻遠の地といえども、あるいは赤字路線地区といえども、やはり全部が文化的な施設に十分に潤うことのできるようにやってやらなければならぬ。そういう仕事はやはり国家の補助がなければ、めんどうがなければできないのですから、国鉄としては、赤字線も新線もどんどんおやり下さい。これは積極的にやるべきだと思います。
ただ、その際に、経営合理化審議会が指摘しているように、それを国鉄の現在の機構の中で、しかもそれを国鉄に負担をさせてやるのみならず、定期運賃のごときは、これは、私が申し上げるまでもなく、国鉄の専門家がここにお見えになっているのですから、よく御承知のはずです。ほとんど経費すらまかなうことができないような状態で定期旅客を輸送している。こういう当然国家が負担をしてやらなければならないような面について、なおめんどうをみようともしないで、しかもその間のやりくりをしようとすれば、そのやりくりをすら禁止しているような状態に置かれている。これをどうするのか。こういう面をもっと緩和して、国鉄の経営者が、そういう列車を運転すれば運転するほど赤字になっていく、こういう現在の状態。もっとすっきり考えれば、今日ここでかりに政府が大英断をもって、ここに国鉄が今しょっているところの千億からの負債を全部たな上げする、もしくは皆済する。そうしてその他の赤字は全部解消してしまって、ここに赤字一銭もなし、そこでスタートしなさいと言われても、今日の機構で、しかも今日の運賃をもってすれば、二年か三年もすれば、また数百億の赤字は当然に出てくるはすです。こういうことをいつまでもやっていけば、当然、国鉄自身が食いつぶし経営をやっているのだと指摘している、国鉄から発表している幾つかの種類の資料を拝見しても、国鉄は至るところで、ほとんどページことに、食いつぶしだ、食いつぶしだといって悲鳴を上げている、こういう状態に経営を続けていかなければならない。その経理方法といいますか、機構というものについて、政府はもっと考慮して、抜本的な措置を講じてやるべきではないか。
そういうことを私はお尋ねしているのですが、大臣の国鉄法改正は、むしろ逆に、一そうこの赤字を助長せしめ、もしくはこの経営を一そう窮屈ならしめるように、いわゆる合理化していこう、こういうふうに私には考えられるのですが、そういう点について、大臣は——つまり、そういう点というのは、経理の自由といいますか、自主性といいますか、そういう点について具体的に政府としてめんどうをみる、あるいは自主的に、十分経営能力さえあるならばこれを黒字に立て直していくことができるというような方法をとってやるお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/56
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057・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私が申し上げているのは、これ以上に国鉄を縛りあげていこうというのではないのです。国鉄の現状は、これは早急に何とかしなければならぬ状態であります。そういう点で、だらだらと長い将来のことでなくして、近く国鉄の経営の面についても、国鉄が成り立っていくような収支のバランスが、ある程度の減価償却もやって、そうして改良補修などの工事も、まあ日本のことでありますから、これは各方面に理想的なことはできない。しかしまあ最小限度のそういう点には、国鉄としての要求は満たし得るような状態に、合理化と運賃の改定等をもあわせて考えて、国鉄の経理の立て直しをやりたい、こういうことを申し上げておるので、監督権の強化というのが私の考えておる考え方の中心題目ではないのです。むしろ将来は、片岡委員の御指摘になるように、公共企業体というものを生かすためには、自主性を持たしていくということが、あり方としては、その方法として私は誤まりはないと思います。ただしかし、なぜそういうふうな——国会なんかにおいても、片岡委員は御理解のあるいろいろお言葉がありましたが、また必ずしも経理についても、国鉄に対して自由にしてやれという御議論が国会多数の意見だとは私は思わない、委員会に出ておって。(片岡文重君「それはわからない」と述ぶ)そういう点でございますから、そういう点ではやはり、一方においては、国鉄自身としても経営の合理化というものに対してできるだけの工夫をする。あれだけの大きな世帯ですから、やはりこれを私企業的な感覚でやれば、相当なやはり経営の合理化もできるのじゃないか。そればかりではカバ一できません。それはやはり運賃の改定も伴わなければならない。そういう国鉄側自身の努力、あるいはそれをカバーする国として、やはり国鉄というものに対しての、これを立て直すための国の側としても考えなければならぬ問題が幾つもあるわけです。両方がお互いに国鉄の再建ということにおのおのその職務を通じて努力し合なければ、これは一方的に政府だけが悪いのだという論も私は賛成いたしかねるのであります。こういう点で国鉄の再建をはかりたい、こういうことを申し上げておるので、監督権の強化ということが国鉄を再建する道だということは私は申し上げていないのでございますから、そういう点を誤解のなきように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/57
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058・片岡文重
○片岡文重君 それじゃ、監督権を強化するということではないのだということでありますと、国鉄法の改正についても、現在は具体案は持っておらないが、小出しの改正をする意思はないがということになると、大きな根本的な改正を行うという意思をお持ちになっておるようですが、その点は経理の面において、もしくは資金調達の面において、あるいは国鉄運営の回において、根本的な改正を行う意思を持つ、この法の上においてそういう意思を持つ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/58
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059・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) やはり、たとえば経営委員会というもの——総裁あるいは私などの申しておることは、相当経営委員会の性格が変ってきている。これはやはり大きな改正として根本的なそういう性格を持たしてくれば、まあ今はとにかく専任しておるわけではないのですから、職業を持った人が一週間に一回集まってそうしておやりになっておる。これが経営委員会が専任ということになってくると、よほど性格も違ってくる。まあ一例をあげればこういうことでございます。監督権の問題については、たとえば財産権、財産の処分などについては、不備な点がある。これは片岡委員、おきらいかもしれませんが、こういう点ではやはり運輸大臣の監督権をもう少し完備したものにしていいと私は思う、財産の管理については。あるいはまた(片岡文重君「それは規定でたくさんです」と述ぶ)また一つの交通政策に関係するもの、たとえば電化を一体今度はどこにするか、電化をどの区域にするかというようなことは、これは運輸大臣がやはり相談にあずかるべき性質のものである、内閣としてのやはりいろいろな交通政策などの見地から。そういうことで、私が今考えているのは、何もかも小さいところまで監督権を強化してできるものじゃありません。そんなものはすべきでない。あの大きな国鉄の経営に対して運輸大臣か監督権をそんなにむやみに持たしたら、困るのは運輸大臣であります。そんなことはできるものじゃない。だから、国の交通政策として運輸大臣も関与したらいいというような大きな問題で、そうしてそれが日本国有鉄道法などにおいて不備なような点があれば、これは改正するかもしれない。しかし全体として、もう何も小さいことまで運輸大臣が関与するという考えはないし、できるものじゃない。それは公共企業体としてすべきでない。まあしかし全然公共企業体というものが現在の段階において政府と無関係というわけにはいきませんから、まあ法三章的な監督規定というものは必要である。現在の場合においてなるべくこれは自主性を持たすような方向に公共企業体というものは育成することが、建前としては本筋である。こういうことでございますので、決して全体としての国鉄に対する考え方が監督権の強化によって象徴されておるという考え方はないということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/59
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060・片岡文重
○片岡文重君 大臣はあんまり国鉄法をごらんになっておらないようですから、一つ今度見て下さい。あなたは監督という章だけをごらんになっておって、あとはお読みになっておらない。これは一ぺージから、運輸大臣並びに政府、大蔵大臣が関知しなければ、許可もしくは認可しなければ、動けないようにできておる。それを一つ勉強していただきたい。
それから今度は国鉄総裁にちょっとお尋ねしますが、今、大体大臣のお考えのほどはよくおわかりになったと存じますが、私どもも大へん失礼でございますが、老躯をひっさげて、赤字になやみ、そうして大きな事故によって国民の怨嗟をかっておるという国鉄で、しかも部外からは学閥によって幹部は動きがとれない、労働組合は強力である、いろいろと施設は老朽化しておるということで、ほとんどこれぞといって喜んでいただけるようなことのないようにさえ言われているところの国鉄に、あえて総裁として御就任になられたことは、まことに御苦労さまだと私どもは存じます。しばしば機会あるごとに、就任の御決意をお述べになっておられるところを伺いますと、なみなみならぬ御決意の模様であり、先ほど内村委員の御質問に対しても積極的に御意見をお述べになられました。私どももその積極的な御決意に対しては敬意を表するにやぶさかではないのでありますが、しかし今日の国鉄の状態は決して、十河総裁がかつて御在職になられた当時の国鉄ではないと存じます。ことに国鉄運営の面においては、先ほど来私申し上げましたように、非常な制約を受けております。従って、これの運営についてはいろいろと困難な点が多々あると存じますが、これについてこれらの点も含めて、今運輸大臣は国鉄法を根本的に改正をする御意思も、時期はともかくとして、お持ちになっておられるようであるし、また財産権等に対するお考えも今お述べになられた。これについて、総裁としてはどういうふうにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/60
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061・十河信二
○説明員(十河信二君) 今お話のありました通りに、私の以前に在職いたしておりましたときと、外部の事情もまるで違っております。内部の事情もまた根本的に変っております。非才、老躯をひっさげてとうていこの大任を果すことはできないと、私は御辞退申し上げたのでありますが、再三の御推薦で、かつまた私がたびたび申し上げまするように、国鉄に対して非常な愛着を感じておりますので、何とかできるだけのことをしたい、こう考えまして、就任に際して大臣にも強くお願いをいたしたのであります。先刻片岡委員のお話にありました通り、私は微力であります。微力でありますが、私を助ける機構、人事等によりまして、もっと国鉄に自主性を与えて下さらなければ、とうてい私はその大任の一端をも果すことはできないということをお願いいたしたのでございます。大臣から今皆さんにお話のありましたように、大臣はすでにそういうことに御着手になっておられる、特別な組織を作っておられるということでありまして、それで私もお受けをして、最後の御奉公として微力をささげたいということでやっておるような次第であります。いろいろ具体的なことは何にもまだ確たる腹案も持っておりませんが、ただ自主性をもっと与えてほしいということを大臣に強くお願いいたしまして、また皆さんにもぜひ力強い御援助をいただきたいということを、この際お願い申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/61
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062・片岡文重
○片岡文重君 それからちょっと大臣に、一つ忘れましたが、伝えられるところによると、運賃改正について閣議で何かお話し合いをされたとかいうことですが、運賃改正について何か政府としては考えておられるのかどうか、その点承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/62
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063・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはどうしても、将来運賃の改定はしなければならぬ時期が来ると思いますが、今年中運賃を改正する意思はありません。これは明年度はやはり検討すべき課題になってくると思います。今年度は政府は運賃の改定はしないという方針であります。運賃の改定について閣議で問題になったことはありません。ただ、全体としての経済情勢の判断から、政府は今年度は、昭和三十年度は、三十年内においては運賃の改定はしない方がいいという決定を行いました。しかしこれは、そんならどういうふうに運賃を将来改定するかというようなことは、まだ多少の時間もございますから、閣議の話題になったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/63
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064・内村清次
○内村清次君 関連して……。ただいまの運賃改定の問題ですが、新総裁が就任の際に御発表になっておる問題では、運賃改定を何か簡易な方法で改定ができるような方法にしたい、こういう言葉があるようです。これは運輸大臣にもあわせてお聞きいたしますが、運賃改定は法律をもちまして国会において決定をするようになっておりますが、それの簡易な方法というと、どういう御腹案がありますか。またそういう希望がありますかどうか。あるいはまた運輸大臣のその点に対する御所見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/64
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065・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 今片岡委員のお持ちになっておる公共企業合理化審議会の答申の中に、運賃は国会の承認を経ないで政府できめられるようにしたらどうかというのがあるのです。これは非常に、将来の公共企業体というもののあり方として一つの考え方だと思います。その考え方が、しかしこれはなかなかどうすべきだと私は言い切れない、私自身としては。運賃というものが国民生活に与える重要性から考えまして、この問題を合理化審議会の答申のように国会の決定からはずしてしまえということには、たしかに公共企業体自身のあり方として示唆に富むものがあることを認めます。しかし今直ちに私はそういうことを、その方が適当だというようなそういう考え方にはなっていないのであります。この問題も調査会等においてよく検討してみたい。この運賃決定の問題などをどうすべきか今の場合には運賃の決定が容易にできませんわね、こういう国会中は。そういうところに公共企業体としてもなかなかやりにくい点もある。しかし一方において、運賃というものが与える国民生活への影響を考えてみると、これはなかなかすぐにこの方が正しいと言いきれる問題ではなくして、この問題は検討すべき課題の一つだ。どういうふうにして運賃を決定することが公共企業体のあり方として正しいかということは、これは先ほど申し上げた調査会などの大きな課題の一つにしたいと、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/65
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066・内村清次
○内村清次君 国鉄総裁に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/66
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067・十河信二
○説明員(十河信二君) 私も、今運輸大臣からお話のあったように、審議会で皆さんがお集りになって御検討になった結果が、ああいう答申案が出ております。また皆さんのお手元に多分差し上げてあることと思いますが、国鉄の出しておりまする資料によりましても、外国の例もいろいろな経過も経てそういうふうになっておることでありますから、私はこういうことの方がいいんじゃないか、こう思って、ああいう談話をいたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/67
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068・一松政二
○一松政二君 議事進行。公共企業体の問題を論じたり、あるいは国鉄の経営を論じたりすれば、これは何日あっても私は尽きないと思います。それで私の意見を述べたいし、あるいは質問もしたいと思いますけれども、本日はもうすでに四時二十分過ぎておりすす。(「まだ早いぞ」と呼ぶ者あり)どうかこの程度で今日は一応打ち切っていただいたらどうか。皆さんにお諮りを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/68
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069・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) じゃ、ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/69
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070・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 速記を起して下さい。
片岡委員の質問を継続して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/70
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071・片岡文重
○片岡文重君 大臣に最後に一つお尋ねいたしますが、かつて、前国会でありましたか前々国会でありましたか、議案として上程されるまでにはあるいは至っていなかったかもしれませんけれども、この百億をこえる国鉄の利子の支払について、政府でこれを補給したらいいじゃないかということで、たしか利子補給法のような、これはそういう名前でなかったかもしれませんけれども、そういうような措置をとることを提案したことが、議員から提案されたことがあったと思うのですが、時たまたま造船の利子補給問題等がやかましかったために、これをそのままにしてしまったと私は記憶しているのですが、国鉄等の利子補給についてはやはりこの際考うべきではないか。そういう点で、政府としてはそういう措置をとることについて考えてみられたかどうか。お考えになったとすれば、どういう方法でそういう措置をなさろうとするか、その点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/71
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072・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それは提案になったようなことはございません。話題にしばしば、この国鉄の利子が百億円となるということで、そういう話題があったということはございます。議員立法にせよ、提案になりたような事実はありません。これはやはり今後の国鉄の経営を立て直していく上において、利子というものは将来どうすべきかということは課題の一つになる、まあ経営を今後立て直していくためにいろいろ議題になる措置だと思いますが、政府が国鉄の利子を補給するために、閣議でこれを話したということはございません。新線などについていろいろそういうふうな考え方というものが話題になったことはございますが、国鉄全体の利子を補給するということが、具体的な閣議の話題になったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/72
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073・岡田信次
○岡田信次君 私は、先ほどの小酒井委員の質問に関連して、きょうは一つだけ簡単に大臣の御所見を伺いたいのですが、大臣は先ほど新線建設について、現在着手中と申しますか、提案中の二十三線がすんだら新しい構想でもってやりたいという御答弁があったのですが、しかし提案中の問題を解決するためには、まだ相当の金が要る、年月も要るというのですから、せっかくそういう新しいお考えがあるなら、今直ちにそういう新しい構想を進めるというお考えはないのかどうか、またそのお考えをお進めになるのには何か今日支障があるのかどうか、その点だけお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/73
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074・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) こういう問題が起ってきているのです、漆生ー油須原線の問題が。これはしかしまだ話題に上っているだけで、これは少しも具体的な問題ではないのです。だから、もしも鉄道建設というものが、ただいま政府の非常な要請から——いろいろな要請があると思いますが、どうしても鉄道建設をしなければならぬという問題が起ってきて、そうしてその資金というものが、現在の国鉄の予算のワク内においてその資金を出す必要のないような場合には、これは鉄道建設審議会におかけして御相談をしたいと考えておりますが、今しかし二十三線という問題がございますから、それを経済スピードでやるためにも、現在の予算というものが非常に少い。だから、そこでまた新線をほかに手をつけるというようなことは、今までの建前ではこれはできません。だから、もしそういう必要が、いろいろな必要が起って、そうして国会も御承認になるようなことならば、これは全然今までの新線建設とは考え方を変えた新線建設の方法によらなければ、従来のような方法であったならば、今まで鉄道建設の二十三線残っている線をきめて、またその上に新線をやっていくというようなことでは、これはなかなか鉄道建設審議会でも御承認にならないだろうと思います。だから、今後別の新線建設というものは、もし二十三線が片づかないうちにやるというような場合があれば、これは考え方を新たにした新線建設でなければなるまいと——むろん二十三線が片づいた後には、これまた新線建設ということも必要が起ってきましょう。それにしても、今までのようなやり方で、あまりペイしない新設を高い金利を払ってやるような方法は、これは考えなければならぬ、こう考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/74
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075・岡田信次
○岡田信次君 私は、この際さらに新しい線をやったらどうかというのではなくて、現在の二十三線に対しても、建設審議会でたびたび建議をしたように、大臣も言われるいわゆる新しい構想に組み変えられる。率直に申し上げますれば、政府が投資をするなり、政府の金でやるというふうな道を講じられたらどうかということを、お伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/75
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076・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは鉄道建設審議会なんかでもしばしば、これからの新線建設は政府出資にせよという御決議があったわけなんです。そういうことも、今年度の予算においてもそういう考え方を運輸大臣としては持って、予算折衝にも当ったのです。なかなかそれが実現をしなかった。それは何かというと、まあ大蔵省の予算査定の方針というものが、新線建設に対しては非常に消極的な査定の方針をとっておったわけですから、だから、もういろいろ折衝した後に二十五億くらいになって、初めは問題にならなかったのです。そういうことで、それをまた建前を変えて、今度は政府出資でみなやるのだという、金額があまり少くても、これは解約金の問題も起ってきますから、金額をふやすことに努力したわけです。建前を今度は全然切りかえて、政府出資にするという交渉まで——話し合いがつくようなことにはならなかったのですが、しかし将来は二十三線についても、鉄道の新線建設については、岡田委員の御指摘のように、これは考えなければならないと思っております。これは一つ、今後新線建設をどうしていくかということは、国鉄の経理を立て直すこれは重要な課題の一つになる。そういう場合に、今までのようなやり方でなくして、全部政府の出資ということも有力なる意見の一つである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/76
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077・木島虎藏
○木島虎藏君 今のお話で、政府出資であろうと、あるいは国鉄が何ぼか持とうと、とかく新線建設が問題になるのは、建設費に対して輸送量が少くて、ペイせぬというところだろうと思うのです。そこで荷主、旅客の面からいいますと、荷主からいえば、貨車が直通して、山の奥から都会まで、あるいはその売り先まで、どこか途中の線路のあるそこまでまっすぐ行けばいい。旅客からいっても、直通の切符を買って安全に輸送してもらえばいい。こういうことからいうと、輸送方法なり、いろいろなそういうことを、別の角度から考えてやるということも必要じゃないかと思うのです。だから、政府の出資にしようがすまいが、これは国民としては同じです。ですから、そういう観点から、新しい技術の分野で研究するということは、お考えにならぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/77
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078・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) そういうことについて、いろいろ御意見を聞く場合があるのですよ。それを、従来のようなやり方でなしに、鉄道建設の構想を変えたらどうだという御意見も承わるのですが、これはなかなかやはりいろいろな技術的な面もありまして、将来やっぱり検討をしなければ——これはいろいろな御意見の中には、まあトロリー・バスみたいな考えをしたらどうだというような、そういう考え方の御意見を承わる場合がある。これは十分にやっぱり検討をすべき課題の一つだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/78
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079・高木正夫
○高木正夫君 やはり関連した質問でありますが、大臣は、本質的に考えましてね、今日のような新線のああいう場合に、私どもは考えて、各国の例から見ましても、もう一度鉄道を敷くというようなことは時代おくれだ。十分の一の費用で済む道路でいい。そうしてバスとトラック、しかもそれは両端から両端まで行ってしまう。アメリカの発達を見ましてもそうなっておるわけで、そういうふうな方針に切りかえていくのがいいのじゃないか。国民経済全体から考えて、そうするのが本質的にいいのじゃないかというふうに私どもは考えるわけです。ただ、雪国だとか、特殊のどうしても鉄道でなければいけないという所は格別ですが、そうでない所は、もう道路運送によるのが本体じゃないか。大体日本は少し鉄道に重点を置き過ぎて今日まで来てい過ぎると思うのですがね。今にしてその方針を変えてしまってやる方が適当じゃないかと、私は考えるわけです。あなたの御所見を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/79
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080・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それはそうだと思いますね。今やっぱり、次第に道路、バスの時代に移りつつあると思います、傾向は。ただ、しかしまだ鉄道も必要だとする所もあるのですね。ことに資源開発などの面から見ますとですね、やはり鉄道を必要とする所がある。ことに北海道なんか私はそうだと思います。まだやっぱり鉄道が必要です、ああいう所は。そういう点で、平坦部で、将来やはり自動車輸送の方が便利なような場合も非常に多いと思います。だから、一がいに今の鉄道というものがどこもかしこも必要だとは思いませんが、しかしあるいは資源開発、あるいは国土計画、そういう面から見て、鉄道を敷くという要請がもう全然時代おくれだとは、私はまだ思わない。もう少しやっぱり必要な個所もある。そういう点が、御指摘のように、まあ道路を作ったりして、バスやトラックで行ける所は、確かに道路による方が便利なことは多かろうと思う。ただ、奥地や、そういう資源開発の見地から見てですね、鉄道というものが相当敷かれなければならぬような余地のある所も残っておる、こう思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/80
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081・高木正夫
○高木正夫君 まあ大体、私も、先ほど申し上げたように、どうしても鉄道でなければならぬ所があると思うのですね、北海道の奥地の開発など。しかし今の新線の予定線といいますか、いろいろそういうような希望が出ておりますが、それなんかにはほとんど道路で間に合う所があるのじゃないかと思う。そこの再検討が必要じゃないかと思う。先ほど言われた通りの考えを持つわけなんです。どうしても鉄道でなければならぬ所は、鉄道を敷かなければならぬ。そうでない所が多々あると思うんです。その方が多いんじゃないかと思う。そこを一つ御一考願うわけにいかぬか、こういうことです。これは方針の問題になるわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/81
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082・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それは、二十三線残っておる中にも、そういう検討の必要な線もあるでしょうね。それは確かにあると思います。まあしかし、なかなか鉄道というものが、地方の愛着というものは大へんなものなんです、鉄道に対して。そうして長い歳月かかって、ようやく建設線に入った、今調査費も出ていろいろやっておるということで、私も合理的に考えたら、もう二十三線のうちでも再検討するという理屈はごもっともだと思いますが、もう一面から考えると、そういうことでようやく建設線に入ってですね、鉄道のできるのを待ちわびている人のことを考えてみますと、よほど重大な理由で、とればどうしても道路を作る方がいい、これはこの鉄道というものは損をして効果がないというような理由になったらごもっともだと思いますが、相当な理由がないと、やはり一つのきめたという既成事実というものは、なかなかやっぱりこれをもとへ返すということは困難ですね。あまりとらわれ過ぎておるかもしれません、私の考えが。しかし、これはなかなか容易でない。まあ慎重にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/82
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083・高木正夫
○高木正夫君 まあ、だんだん掘り下げますと、これは政治問題にもなってくると思うんです。しかしながら、そこまで国民全体のことを考えてやられるか、政治の動きによってやるか、そこはどちらが重点になるかという問題に帰着するデリケートなものになりますが、私これ以上は申しませんが、まあその辺は十分よく御検討いただくのがいいんじゃないかと考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/83
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084・岡田信次
○岡田信次君 私も、今高木委員が言われた、鉄道と道路といいますか、鉄道と自動車とがそれぞれの分野を守るということには、大賛成なんですが、ただ高木委員が言われたように、鉄道を敷くよりも十分の一の費用で道路ができるというのは、これはとんでもない間違いですよ。高木委員はどんな道路をお考えになっておるかしりませんが、いやしくも自動車が通る道路を作るには、鉄道建設以上の金がかかるということです。それはたとえば、例を申しますならば、今問題になっておる東京ー神戸間の弾丸道路にいたしましても、これは二千五百億、あるいは三千億と称されておる。ところが、一方東海道線を複々線にする費用は、これは電化を含めても一千億かからない。そういう点を十分お考えになって、この貧乏な国にはいずれが得なのか、おのおの長所を発揮するように運輸大臣としてはお考え願いたいということを申し上げるだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/84
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085・一松政二
○一松政二君 運輸大臣は、鉄道の今の赤字あるいは経営について、まあ来年ぐらいは運賃を改定しなければならぬ段階に到達するだろうという大体のお見通しをお述べになられましたが、今さっき高木委員からも話があった通り、結局バス、トラックとの競争になるわけです。それで、これがまあアメリカなどの例によっても、道路が発達すればするほど、荷物がトラックに流れて、ドア・ツー・ドアでやっているものですから、バルキイの大きい大量の貨物だけが鉄道に残ってしまって、負担力のあるいいものは全部トラックへ流れる傾向が多分にあるわけです。それが運賃が上れば上るほど、そういう問題が私はクローズ・アップしてきて、ただ運賃を上げただけで私は鉄道の経営がよくなるというのは、私は多大の疑問を持っております。運賃が安いんだから赤字が出ているんだという考え方が、非常にまあ、大臣じゃないんですが、一般的に国鉄の関係者に非常に強いようですが、国営鉄道といわれると、税金とかいろいろな問題、それから利息か百億というけれども、私設鉄道だったらもっと配当もせなければならぬし、借入金の利息の高いやつを払わなければならぬのに、国鉄はそういうところからも全部免除されておるのじゃないか。それで経営が悪いのだという意見もあるのです。私は運賃はおのずから限度があると思うのです。それの引き上げだけで私は解決つかぬのじゃないかという考え方で、これは別に大臣から答弁をお求めしません。ただ御参考のために私は関連で申し上げておきたいと思いますから、御参考になればと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/85
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086・仁田竹一
○仁田竹一君 今道路の問題が出ましたが、連絡船でございますけれども、大体鉄道が連絡船をやります場合は、鉄道でなくてはいかぬだろうと常識的に考え得るようなももをおやりになるのは、これは当然だと思います。たとえば北海道とか、九州とかいうようなものがありますけれども、国鉄がやったために非常に民間の業者を圧迫する。ひどいのはいろいろ政策を用いて、率直に申し上げますと、大畠−小松のごときは、非常に民間で惜しがっているやつを無理して政策的に取り上げてしまって、国がやっている。しかも大畠の方の相手の、あれは何島ですか、大島の方に鉄道があるならばいいが、大島の方には鉄道はないのです。こちらに山陽線があるだけです。一方に鉄道がないのに、その間の連絡を、しかも民間がやっておったものを取り上げてしまって、そうして鉄道がやる。そのために、地方のある会社はほとんど倒産に近いような状態になっているわけです。私たち地元のものは、鉄道が連線になれば、これにこしたことはありません。その点非常に地方の業者が困っているような実情がありまするし、あるいはまた例の仁堀線ですが、非常な赤字をがまんして三十年以上の古船をもって運航しておるわけです。紫雲丸等に比べますと、一そう危険な状態です。瀬戸内海は波が穏かではありますけれども、おそらくあの船は三十年、四十年以上の船だと思いますけれども、そんな船をもっていても、他に幾らもその間には民間航路があるわけです。民間航路がある中を無理して、地方の代議士あたりが運動しますと、それにつけるというふうなことがありますから、あの例の青函連絡と紫雲丸で、おそらく鉄道は必要以外の連絡線をやるべきものじゃない、こういうふうな考え方が強いと思うのですが、このように必要でない上に、例の大畠−小松の問題だとか、仁堀線というものに対して、こんなばかげたことはやるべきじゃないという問題が出ると思いますが、当然鉄道でやるべきものだと常識的に考えられるのは別問題といたしまして、相手の鉄道のないところへ鉄道連絡が走っておる。しかも従来の民間のものを取り上げてやっている。こんなものはもとの民間に返してやるとかというふうなお考えは持っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/86
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087・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 今私も、お話のあるまで知らなかったのです。今事務当局の話では、これは検討の余地がある、今お話のように、これは御指摘のところは検討の要があるということでございまして、これは検討をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/87
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088・木島虎藏
○木島虎藏君 先ほど一松委員からお話がございました運賃の話ですが、運賃のことをお考えになる前にはぜひ、荷主としまして包装料、小運搬、積み込み料、それから鉄道の上、全部を考えて、ぜひ検討していただきたいと思います。たとえば、今専用線がございまして、そして専用線のある工場はその点は非常に利益である。日本の多数の中小企業の大部分のものは、専用線がないところが、専用線をつけようとすると大へんな費用です。ほとんどつかないでしょう。ですから、専用線にかわるものを今諸外国が盛んにやっておりますが、ああいうものをお考え願う。それから包装費をいかに軽減するかということをもう少し真剣にお考え願って、汽車の上の運賃を上げるだけでなくて、片一方でそういうものを下げて、全体としては国鉄の利益になり民衆の利益になるというふうでなきゃ、運賃値上げはなかなか国民感情としてはうまくいかんのじゃないかと思ったのですが、大臣はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/88
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089・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 非常に参考になる誤意見を承わって……。よく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/89
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090・片岡文重
○片岡文重君 今の運賃の前の問題に明達するのですが、先だって本会議の際に私は、運輸省として海陸の不当な二重投資になるような今日の交連状態を一日も早く解消して、もっと有機的に国家経済の上から見ても利益になるような方法を考えるべきじゃないか。そのためには、運輸省が中心となって、海陸空三位一体となって、この国家の交通を支配できるような具体的な計画を立てるべきじゃないか。もはやそういう段階にきているだろう。それに対してどういうことを政府は考えておられるのか、こういう御質問をいたしましたときに、きわめて同感であるから具体的に検討してみる、こういう御答弁であったのです。それはその後どういうことになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/90
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091・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはお話の通り、今やそういう時代だと思います。飛行機も非常に発達して参りまして、それで今運輸省の方としても、あまり大仕掛けなものではございませんが、官房長が中心になって海陸空の交通調整に対して検討を加えているわけでございます。これは確かに将来の大きな問題だと思います。今後この問題はどういうふうにやっていくかということは、これは運輸省じゃなくて、政府全体でのやはり問題だと思います。交通の調整、総合、確かに大きな問題の一つであるということで、まあ将来これを大きく取り上げる下準備と申しますか、官房長のところで調整問題の検討を加えております。名前は交通政策連絡会議という会議をもって、やっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/91
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092・片岡文重
○片岡文重君 今の御答弁でけっこうですが、ただ、この問題は非常に大きな問題であって、おっしゃる通り、運輸省だけの手には負えないと思います。それをあえて官房長の御手腕をどうこうというのじゃないのですが、もっとやはり確実な大きな組織で真剣になって取り組まなければ、非常に大きな困難な問題だと思いますので、一つの官制をお作りになるなりして、本腰を入れるようにして一つやっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/92
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093・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 運輸省におきましては、交通というものは戦後個々の交通機関を強化するという段階になっておりまして、大体現在におきましては、戦前の状態に御了承のように返って参りまして、今後新しくどう交通網を日本全体に考うべきか、その場合に国家経済的に、個々に交通機関として鉄道を敷くのがいいか、あるいは道路によるべきか、そういったものが、官といわず民といわず、与えられる資本というものが、国民の経済の上に及ぼしてくるという見地から言いますれば、交通手段を与えることが最小の費用をもって最大の効果を上げるかという見地からスタートいたしまして、実は私ども集まりまして、まだ御指摘のように非常に小さなものでございますが、一応調査をいたしまして、将来この機関を大きなものに作り上げていきたい。そのためにはまだ全然新しい、恥かしいものでございますが、そういった面の交通の研究が日本においては非常に少いのでございまして、その根本的な資料をまとめるための今会議を持っているわけでございまして、将来大きなものに発展していきたい、さように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/93
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094・一松政二
○一松政二君 今のこの整備のときに一つ希望があるのは、陥りやすい一つの統制思想で、そうして競争というものがまた切磋琢磨する例になって、お互いに進歩発達してきた。それがまたひいて国民経済にいい影響を与えることが多いのですが、乱立は避くべきであるけれども、何かこう一つ一つが、もうそこがあればほかのものは要らぬようなことでないように、ものをお考えにならないと、たとえば建設省で道路が狭いからバスの幅を狭くするというような時代逆行的な、私は進歩に逆行するような事情に陥らないように、一つお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/94
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095・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) それでは、残余の御質疑は次回に譲りまして、今日は散会することにいたしてよろしゅうございますか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/95
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096・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 今日はこれにて散会をいたします。
午後五時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X01219550602/96
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