1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十二日(火曜日)
午後一時五十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 加藤シヅエ君
理事
仁田 竹一君
早川 愼一君
木島 虎藏君
委員
岡田 信次君
川村 松助君
黒川 武雄君
一松 政二君
高木 正夫君
内村 清次君
片岡 文重君
平林 太一君
三浦 義男君
国務大臣
運 輸 大 臣 三木 武夫君
政府委員
運輸大臣官房長 山内 公猷君
運輸省自動車局
長 眞田 登君
運輸省航空局長 荒木茂久二君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
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本日の会議に付した案件
○自動車損害賠償保障法案(内閣送
付、予備審査)
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001・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) ただいまより運輸委員会を開会いたします。
自動車損害賠償保障法案を議題といたします。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/1
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002・早川愼一
○早川愼一君 自動車損害賠償保障法というのは、法案の性質から見ると、社会保険というような意味が非常に多分に含まれておるのですが、一体政府はどれくらいの負担をしているか、一つ御説明願いたいのです。また、どういう負担になるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/2
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003・眞田登
○政府委員(眞田登君) 政府が出しておりますのは、一つは、この保険について再保険をいたします事務費でございます。それからもう一つは、保障事業と申しますか、引き逃げとか、その他加害者が保険に入っていなかったとか、そういったときのための保障事業に国の車両数に応じて醵出しているもの、この二つに対して出しておるのでありますが、その金額は、事務費の方が千八百三十九万六千円でございまして、それから保障事業の醵出が七百九十七万円と、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/3
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004・早川愼一
○早川愼一君 事務費の内容はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/4
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005・眞田登
○政府委員(眞田登君) 職員の給与の関係が百二十八万九千円、これが十四名でございます。これはこの八月から始めるという予定にしておりましたために、八カ月分の給与でございます。それからこれらの職員に関係する手当とか、あるいは超過勤務手当、そういったものがございます。なおこの事業のために常用の人夫と申しますか、それを四十人認められておりますので、そういったものを全部合せますと、今申しました千八百三十九万円になるわけであります。なお、これに伴う庁費その他もこの中に含んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/5
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006・早川愼一
○早川愼一君 そういたしますと、今の数字で金額はわかりましたが、全体の、何といいますか、保険に対する政府の負担の割合というものは、どれくらいになるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/6
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007・眞田登
○政府委員(眞田登君) 全体の負担と申しますか、これは再保険をいたしますために必要な経費としては全部でございます。純保険料に対して保険会社が付加いたします付加保険料、これは概数を申し上げますと、純保険料約四十億というふうな計算が出ておるわけでございます。それの一割七、八分程度を付加保険料として考えておりますのですが、それを国がまた再保険いたしますときには、その付加保険料に該当する部分は全然見ないで、純保険料に相当するものの六割を国で再保険する。もしこの再保険が、他の保険会社あるいはプール機構その他でやります場合には、その事務費がまた付加保険料としてかかってくる。こういうことになるわけでありますので、その部分だけは国が持っていく、こういう形になっております。保険会社に予定しておりますところの付加保険料は、かりに一割七、八分と見ましても、七、八億から十億近い金になるわけであります。国の再保険の場合は、非常にその点少い金額にしか見積っていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/7
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008・早川愼一
○早川愼一君 ただ、この法案自体の性質が、強制保険というような含みが非常に多いのです。従って、一種の社会的な救済的な保険としてこういう制度をしかれるには、国が負担される部分が非常に少いように思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/8
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009・眞田登
○政府委員(眞田登君) 国がこれについて負担をいたしますと、二つの考え方があるわけでございます。一つは、保険料の一部を国が持つかどうかという問題、それからもう一つは、保険料を持たないにしても、保障事業のごときは社会保障的な色彩が非常に強いのだから、この部分については国が持ったらどうか、こういう二段の考え方があるわけでございます。私たちといたしましては、最初これが強制保険であって、しかも現状では二、三〇しか入っていないものを一〇〇%保険をやるのだから、何とかして国である程度のものを見ていただきたいということでスタートしたわけでございますが、外国の例なども比べてみますと、保険料について国が負担しておりますものは、外国の例では今のところないわけでございます。従いまして、これについては私たちの主張もなかなか通りにくかった。また保障事業につきましては、最初せめて国が三分の一くらい持ってくれないかということでお話をしておったのでございますが、いろいろと予算の関係上、だんだんと減らされまして、結局国の車両数に応じてまず出そうということにきまったわけでありますが、この点につきましては、私たちも何とかして国の援助が出ることが望ましいということは十分考えておりますので、今後も一そう努力いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/9
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010・早川愼一
○早川愼一君 次にお伺いしたいのは、この保険から除外されているもの、つまり地方公共団体であるとか、あるいは国の自動車とか、こういうものについては、除外されている理由はどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/10
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011・眞田登
○政府委員(眞田登君) この制度の目的が被害者の保護ということに欠けることのないようにということが第一の目的でございますので、そういった点から、国その他の公共団体等は十分な賠償能力がある、従って、それを適用しなくてもその被害者の保護に欠けるところはないというふうに考えたわけでございますが、ただ、国、それから公社、都道府県と、その範囲がそこにとどまっておりますのは、最初国と、公社はこれは国に準ずるものということで考えておったのでございます。それから地方公共団体につきましては、自治庁とも御相談いたしたのでございますが、府県についてはよろしいと。しかし市町村についてはいろいろと、大きい所もあり小さい所もある、これを区切ることはむずかしいので、これは大きなところはあとで出て参ります自家保障という方面でやらせればいいではないか。その自家保障を認めるのについても、一般の会社その他について認めるよりも、もう少し条件を緩和すると申しますか、車両数についての条件あるいは積立金額、そういったものについて、公共団体というものとしての特異性を認めて、ある程度緩和して自家保障をやらせる。そうすることによって、現在そういった自治団体の市町村についても除外を認めてほしいという希望がありますものも、望みが達せられるのではないか、こんなふうにわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/11
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012・早川愼一
○早川愼一君 しからば、今被害者の保護ということが、救済ということが主たる目的である、従って国その他公共団体においては、十分その保護においては欠けることがない、また一面本法案で自家保険ということも認められておる、こういうことですが、それならば、自家保険を認める大体の基準といいますか、考え方はどういうところに置いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/12
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013・眞田登
○政府委員(眞田登君) 自家保険を認めますのは、一定の車両数を持っておると申しますか、危険の分散が可能な程度の車両数を持っておりますことと、それから自家保障を希望しております者の経理的な基礎が確実と申しますか、損害賠償を適切に行い得るものと認め得る場合、それから許可を受けようとする者の使用する自動車が事故を頻発する危険がないと申しますか、過去においてそういった事故をあまり起さなかった優秀な車の所有者であるというふうなことを条件にいたしますし、なお、被害者の保護に欠けるようなことが生じた場合はいつでもそれを取り消す、というふうな考え方をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/13
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014・早川愼一
○早川愼一君 それについて、何か政府の方では、三百両くらいの両数がなくちゃいかぬとか、何かそういうような今までに構想を発表されたものがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/14
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015・眞田登
○政府委員(眞田登君) 私たちの持っております試案と申しますか、この範囲の者から申請があった場合にはよくその申請の内容を調べて許可するかどうかきめたいという場合の、その車両数でございますが、それはトラックとタクシー、ハイヤーについては大体三百両見当、それからバスにつきましては百両見当、こういう車を持っている者から申請が出てきた場合に、具体的にその内容について審査をしなければならない、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/15
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016・早川愼一
○早川愼一君 その場合には、たとえば数会社が共同して一定の人員に達するというようなことも考えのうちに含んでおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/16
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017・眞田登
○政府委員(眞田登君) 一定の車両数に達するまで少数の車を持っている人たちが集まって、組合的なものを作って、これで自家保障を認めてほしいという希望についてどう考えるかという御質問だと思うのでありますが、確かに車をある程度集めますれば、危険の分散ということは可能になって参るのでありますが、現在の組合、あるいはそういったことで集まる組合が、十分基礎の強固なものであると申しますか、賠償能力を担保する力があるかどうかという問題がそこに生じてくるわけであります。もう一つは、その保険関係の仕事は多分に技術的な事務を必要といたしますので、この制度をできるだけ早くかつ円滑にやりたいといいますのに、最初の出発の際には不適当ではないかというので、今後この制度がだんだんとなじんで参りました場合にはそういったことについても研究して参りたいということで、最初の出発には組合的なものは認めないことにしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/17
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018・早川愼一
○早川愼一君 保険料率に高いとか安いとか、だいぶ批判があるのですが、最初のことでありますから、もちろん、どういうような実績になるかわからぬのですが、もしかりに一年やってみた経験によって、料率の変更ということは時々改訂される意思があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/18
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019・眞田登
○政府委員(眞田登君) 仰せの通り、最初の出発の際には、これで絶対確実だという数字を出すことは非常にむずかしいだろうと思います。で、一年たってもし剰余が生じた場合には、それを何かの形で、たとえば事故のなかった人の褒賞というふうな趣旨も加味してお返しをするということなのでありますが、ただ、保険の経理そのものは、二年くらいをまとめてやると申しますか、割合長い目で見ないと、一年くらいで見ても必ずしも正確な数字が出ないというようにも聞いておりますので、もちろん保険料の改訂については必要のつど行わなくちゃならないと思っておりますが、非常に短期間で結論を出すことがむずかしいのではないかしらぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/19
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020・早川愼一
○早川愼一君 さらにお伺いしたいのは、国が再保険されるということがきまりましたけれども、これを保険会社、損保会社、在来の保険会社に扱わせるという考え方は、何か特別な必要があってそういうふうになったのですか、必ずしもそうしなくてもできるということは考えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/20
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021・眞田登
○政府委員(眞田登君) ただいまの御質問は、この制度の保険を保険会社に扱わせるということについての御質問だと思うのであります。先ほど組合保険についてもお話し申し上げましたように、この保険事業というものが技術的な要素が多分に要求される事業でありまして、今回の保険のように、年間百万をこえる契約と、六万件をこえるような事故が発生いたしまして、そういったときには、この事務を処理いたしますのにはやはり相当熟練した所でやっていただかないと、その円滑な運営がむずかしいのではないか、そういうふうに考えまして、現在の保険会社の技術等のいい所を利用したい、こういうふうに考えたのでありまして、これにつきましては、最初相互保険的なことはどうかというような話もずいぶん出たのでありますが、現実にやって参りますのには、新しい組合式なものを作るよりも、むしろ保険会社を利用してやらした方が、計算にして誤りがなければ、事務的に保険料が安くなるのではないか、こんなふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/21
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022・早川愼一
○早川愼一君 それについてお伺いしたいのは、たとえば代理店というようなものを組合とか業者の団体にまかせられるようなことは、法案上差しつかえないようになっておるのですか。それは認められておるのですか、認められておらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/22
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023・眞田登
○政府委員(眞田登君) この代理店につきましては、法案にもございますように、自動車の健全な発達を目的として組織する団体というもの、「その他」というような条項が入っておりますが、これは現在代理店を行なっておる人を排除するということを法案に書くことはあまり芳ばしくないということで、「その他」というものが入ってございますが、実際には自動車関係の団体の方々に代理店をやっていただくというつもりでございますし、なお大蔵省の方でもそれについては了解いたしておりまして、実際に代理店契約を結びますときに、そういった団体から申請があったら必ず認めるということについて、覚書を交換してもよろしいという話まで出ておりますので、御趣旨に沿うようになると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/23
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024・早川愼一
○早川愼一君 もう二、三点ですが、こまかい話になりますけれども、今度の制度が実施されますと、保険に対してないものは運行を禁止されるというようなふうに伺っておるのですが、そうしますと、たとえば自動車の販売業者が現在は一括して保険に入るとかいうような便宜があるのですが、個々の商品について保険に入らないと、たとえば自動車を顧客の所へ、買い主の所へ見せに行くという場合でも、保険に入らなければ商品を動かすことができないと、そういう場合の何か特別措置が考えられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/24
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025・眞田登
○政府委員(眞田登君) ただいまのメーカーあるいはディーラーの車についての保険の問題でございますが、車がどんどん売れてゆきますような場合には、一般の保険をかけて、そうして売った場合には、その買い取った人がそのまま車を使えるということで、保険料の受け持ちをどちらがやるかという問題になるわけでありますが、ただ、多数の車を常時扱っておりますメーカーあるいはディーラーにつきましては、自家保障の道も開かれると思います。また、それを一般の保険会社にかける場合にも、商品としての自動車というような範疇でも設けまして、それについての保険料の額あるいはその期間の問題といったことについても、特別の例を設けて参ったらよいのじゃないかと、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/25
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026・早川愼一
○早川愼一君 それは、保険料率をきめられるときに、何かそういうような特別な措置を設けられるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/26
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027・眞田登
○政府委員(眞田登君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/27
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028・早川愼一
○早川愼一君 大臣がお見えになりましたから、最後にちょっと……。
さっき自動車局長にはお伺いした点ですけれども、この制度は自動車の事故によって不測の損害を受けた通行人に対する保障ということが主題になり、しかも法案自体が一応社会保障制度の一種と、こう受け取っておるわけですが、それにしては、国の負担が非常に少いように思う。従って、またこれを強制保険を受ける方の側でいいますると、何だか強制されておるという点において、若干政府がもう少し負担されていいという声が非常に高いのですが、それに対する大臣のお考え方はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/28
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029・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 早川委員の御指摘のように、これは予算折衝の場合に、再保険の事業費だけしか負担していないわけです。もう少し財政的負担をふやそう。まあ五、六件運輸省が大蔵省に折衝して、最後に残った一つになったわけでございます。しかし、なかなか成功しませんでした。しかし将来これはどうしても、やはり社会保障的な色彩を帯びておる強制保険でございますから、財政的負担は財政の許す限りこれは増額していきたいという方針でございます。来年度の予算等についても考えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/29
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030・早川愼一
○早川愼一君 大体終りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/30
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031・木島虎藏
○木島虎藏君 この法律が施行されると、事故が起きたときに賠償の交渉をするのは、従来と同じように、加害者なんですか、あるいは保険会社が加害者に代理して折衝するというようなことが考えられておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/31
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032・眞田登
○政府委員(眞田登君) 実際の場合に、直接被害者と加害者との間でお話し合いする場合もございますし、この法案では被害者が保険会社に対する直接請求権も認められておりますので、直接保険会社の方へ行って折衝するということも起るわけでございまして、必ず保険会社がかわってやるというふうにはきめていないわけでございます。ただ、直接参ります場合には、加害者の証明書その他を被害者が持っていくとかなんとかいうふうな手続を必要とするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/32
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033・木島虎藏
○木島虎藏君 そうすると、原則的には加害者と被害者が折衝をして、そうしてその折衝がらちがあかぬときに、被害者の方が保険会社に請求すると、こういうことになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/33
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034・眞田登
○政府委員(眞田登君) それは、そういう意味で保険会社へあとから行くというわけではありませんので、直接お話し合いになって話がつかない場合には、この法案にもございますように、仮渡し金としてきめております額の支払いを受けて、そしてあとはなおお話を続けるなり、訴訟なりということでございます。当事者同士の話のつかないのを保険会社に持っていく、というわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/34
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035・木島虎藏
○木島虎藏君 そうすると、前回でしたかお聞きしました、大体の一件で三十万円とかなんとかいうようなあの額ですね、あれは保険支払いの最高限度であって、実際の賠償の問題は関係ないわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/35
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036・眞田登
○政府委員(眞田登君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/36
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037・木島虎藏
○木島虎藏君 そうしますと、実質的には慣行として、だんだん、今内定されておるような三十万円とかなんとかいうような最高額が最低額になるおそれはないでしょうか。その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/37
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038・眞田登
○政府委員(眞田登君) その点は、いろいろと最近の国鉄の事故とかその他で、だいぶむしろ実質的な賠償額が上ってくる傾向にありますが、今までのわれわれの方で三十万円と一応定めましたのは、今までの事故で大体、特別の非常に被害者泣かせの場合は別といたしまして、普通では二十万ないし三十万というのが前例になっておりますので、その三十万というのをまあ最低と申しますか、保険として払う最高なんですが、付保額としてはこれを限度としたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/38
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039・木島虎藏
○木島虎藏君 そうしますと、先ほど早川委員のお話がありましたように、この法律が社会保障的な性質を持っているので、今のように限度が、賠償の額がある程度上ってくるということは、被害者の方から見るといいことでしょうが、全般的に見て、額が上ってくるということは、加害者の地位にある者の負担が何かふえるような感じがいたしまして、やはり政府の補助といいますか、そういうものの程度が将来問題になるのじゃないかと思いますが、どういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/39
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040・眞田登
○政府委員(眞田登君) これは被害者と加害者の立場、両方から考えなければいけないわけでありますが、現在の自動車事故の実情を見ますと、大体において被害者が泣き寝入りをしておるという形のものが多いようでございます。今後だんだんと上っていけば、加害者の方の負担がふえるからということで、国が受け持つという、直接にはそういうことにならないと思うのであります。
で、その保険料の補助の話が、先ほど出ましたように、ある程度国で負担したらどうかという問題がございますのですが、大体被害者と加害者の間でお話し合いできまる金額に対しまして、それの保険料の一部を国が持つと申しますと、その一つ一つについて国がタッチしない限り、内容に関与しない限り、保険料の補助ということの算出が非常にむずかしくなる。そういう意味からも、技術的にも非常にむずかしい問題が生じてくる、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/40
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041・木島虎藏
○木島虎藏君 今のお話のようだと思いますが、一般の社会のトラブルをなくすためには、何かそういう事故があったときに、一手で引き受けて一切解決するような代行機関が、保険会社等にそういうものが将来でき上ることが必要だと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/41
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042・眞田登
○政府委員(眞田登君) たとえば海難審判庁のようなものはどうだというお話があったわけであります。ただ、現在の海難審判庁というのは、処分その他をきめる所でございまして、この民事的な賠償額をどういうふうにきめるかという機関にはなっていないのです。これについては法務省あたりとも御相談し、警察関係ともいろいろ相談をしたのですが、どうも現在のところそういった、一般の司法機関以外にこういったものを設けることは考えていないと、こういう話なんですが、われわれといたしましても、できるだけそういったものが早くきまることが望ましいので、過渡的に仮渡し金という制度で、将来の問題として研究さしていただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/42
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043・木島虎藏
○木島虎藏君 今の話は公けの機関のようなお話でございますけれども、私の言うのは、経済的といいますかね、そういう紛争の処理を保険会社のようなものが、そういうものがかわってやるというふうになれば、非常に、公的色彩がなくて、加害者の方の代理としてやれば、非常にトラブルがなくなるんじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/43
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044・眞田登
○政府委員(眞田登君) そういうふうになりますと非常にけっこうなことだと思いますが、保険会社等が今後この自動車を扱っていきます上において、相当事務量がふえて参りますので、そういったものを作ろうという方向に進むのじゃないかと思いますが、なお研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/44
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045・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) ほかに御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/45
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046・岡田信次
○岡田信次君 第十条の「その他政令で定める者」というのは、どういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/46
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047・眞田登
○政府委員(眞田登君) これは外交使節とかあるいは使節の車とか、行政協定に基いております駐留軍の車、そういったもののことをいうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/47
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048・岡田信次
○岡田信次君 そうすると、さっき早川委員からもお話があったんですが、五大都市とかいう、ああいう大きな市ですね、これは五十五条、五十六条の自家保障の許可を申請すれば、大体行っちゃうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/48
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049・眞田登
○政府委員(眞田登君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/49
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050・岡田信次
○岡田信次君 初めからそういうことを申請すれば行っちゃうということがわかっておるものだったら、第十条の方に入れたらどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/50
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051・眞田登
○政府委員(眞田登君) これは建前の問題でございますが、五大都市と同じように、車の両数だけから申しますと、五大都市と同じぐらいの車を持って、そして非常に信用のある会社なんかもあるわけであります。車を持って事業を営んでいるとかいないとかいうことは、自家保障の方で考えるべき問題でありまして、県の方はそう車をたくさん持っておるわけでもないので、ただ車を持っている持っていないという問題でなしに、賠償能力があるかないかというそういった性格の面から、適用除外の方は考えておるのでございまして、自家保障の方は、多数車を持っておって自分の所でそれを、自家保障をやっても、十分危険の分散も可能だし、被害者に迷惑をかける結果にならないという意味で、自家保障を認めようという考え方のものですから、その除外とが適用、自家保障を認めるということの考え方の見方が違うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/51
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052・岡田信次
○岡田信次君 もう一つ、さっき木島君も言ったのですが、保険会社がこういうトラブルが起きた場合に、全部引き受けてやるというふうには、むずかしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/52
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053・眞田登
○政府委員(眞田登君) むずかしいというわけではございませんので、外国なんかではそういったふうな非常に簡素化された手続をとっておるようでありますので、今後はそういった方向に進むべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/53
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054・岡田信次
○岡田信次君 ドイツでは、一九三九年にこの強制の自動車賠償制度ができた。私は実は一九三四年に行ったときに、強制じゃないのだけれども、普通の自動車の保険に入ったけれども、全く、何か事故を起しても保険会社が全部やってくれるという、全然加害者というか、被害者の方には何のトラブルもなかった。非常に便利なものですが、こういう強制保険を設けるからには、やはりそういうトラブルは全部保険会社がやってくれるのだということになると、みんな喜んで入ると思うのですがね。それは、ぜひ今後その方向に進むようにお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/54
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055・眞田登
○政府委員(眞田登君) 研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/55
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056・高木正夫
○高木正夫君 委員長にお尋ねしたいと思うのですが、私これから質問申し上げることは、直接この法案に関する問題ではないんですが、間接的には非常に関係があると思いますが、幸い大臣がお見えになっておりますので、そういう点を質問してよろしいかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/56
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057・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 大臣が今日お時間はたっぷりあるそうでございますから……。
仁田委員、前のことに関して何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/57
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058・仁田竹一
○仁田竹一君 そうしますと、保険料を一体だれが払うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/58
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059・眞田登
○政府委員(眞田登君) この法案の精神から申しますと、車の保有者が支払うというのが原則だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/59
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060・仁田竹一
○仁田竹一君 なかなかそれはむずかしいことですが、実際にはその金はどこから出ますか。実質上自動車の保有者の負担になるのですか、あるいは他に転嫁することによって、その金が生じてくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/60
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061・眞田登
○政府委員(眞田登君) 御質問の意味がよくわからないのですが、結局、たとえばそこに働いている労働者の負担になりはしないかというふうな御質問かとも存ずるのですが、この法案にだれが保険料を支払うということを書きますことは適切でないという各方面の意見がございまして、ただ車に保険をかけていないと運行できないというふうな書き方をしたわけでございますが、われわれのこれを作りました、立案をいたしましたときの気持は、保有者が当然これを持つような考え方でやるべきだというふうに考えておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/61
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062・仁田竹一
○仁田竹一君 タクシー、トラックもそうですけれども、一定の料金は認可制度だと思いますが、その認可制度の査定標準の中に保険料というものを加味する場合でありますか、加味するつもりでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/62
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063・眞田登
○政府委員(眞田登君) 現在でも、運賃の原価計算の中には、保険料として含まれているわけでございます。ただ、その保険料が、物的事故に対し、あるいは人的な事故に対して、いろいろのものの全部をカバーするだけの金額になっているかどうか、こういう点には問題があると思いますが、キロ当り三十銭とか四十銭というふうな金額が加味されまして、キロ当りの車両当りの経費が、たとえばバスならば六十円ならば六十円というふうにきめられているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/63
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064・仁田竹一
○仁田竹一君 保険料率が運賃の査定に入っているということでございますが、にもかかわらず、それが保険に加入しておらないのだと思いますが、それが何か刑法上の問題になりますか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/64
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065・眞田登
○政府委員(眞田登君) 保険料というふうに申し上げたので、ちょっと誤解があったかと思いますが、事故賠償に充てる費用として運賃料金の原価計算の中に見込んである、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/65
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066・仁田竹一
○仁田竹一君 今度強制加入することによって、運賃が高くなるというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/66
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067・眞田登
○政府委員(眞田登君) この強制保険だけで高くなるというふうには、われわれは考えておりません。先ほど申しましたように、たとえば、かりに年一万円の支払いをいたしましても、一日三十円でございます。これが一日に百キロ走りますと、もう三十銭というようなことになるのでありまして、それが値上げする限界のところに来ておりますと、たとえば、ガソリン税も上った、あるいは人件費も上ってきたということで、いろいろな要素が加味されたために、運賃値上げという問題は生ずることもあるわけでありますが、ただこの保険だけで運賃を値上げするというふうには、われわれは今のところ考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/67
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068・仁田竹一
○仁田竹一君 そういたしますと、従来の運賃の中に、すでに、保険料という言葉はお取り消しになりましたが、損害賠償に充てるべきものが入れてあるということですが、今度強制保険をしたために、運賃が安くなるということはけっこうですけれども、高くなるような原因は作らないと考えてようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/68
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069・眞田登
○政府委員(眞田登君) これだけで運賃値上げの理由にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/69
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070・仁田竹一
○仁田竹一君 それならそれでけっこうですが、車両数の、トラック、ハイヤーが三百台ですか、三百両ですか、バスが百両以上あります者は、特殊の取扱いとして自家保険ができると、こういうようなことがあるそうでございますが、自治体のような無限責任、ある意味におきましては無限責任といたしましての自治体は別といたしまして、有限責任である会社の場合は、たくさんの車両を持っておるものは資本金は多いわけですが、一両の車を持っておれば一両だけの資産を持っている、しかも会社自体は法的に有限責任である。従って、車両をたくさん持つておるからその者が非常に賠償能力が多いとは、私ども考えません。それだけに、車両によって、資本金と平均しておりますまいけれども、およそそういうことになりましょう。従って、事故の場合も、車両の多い者はたくさん事故を起すわけなんでありますから、有限責任でありまする以上、資本が大きいから、あるいは車両をたくさん持っておるから、その者だけを特殊な取扱いにして差しつかえない、こういうふうにお考えになっております理由を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/70
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071・眞田登
○政府委員(眞田登君) 先ほど申し上げましたように、車を多数持っているというのは条件の一つでございまして、この程度以上の車を持っている会社は一応担保力があるということを推定するわけでありますが、なお、そういった車の両数を持っていることによって、危険の分散がある程度可能になるわけでございます。そのほかに、その会社が過去において事故についての成績がよろしいとか、被害者に対して迷惑をかけたことがないといったようなことをも調べまして、その条件が全部そろった場合に初めて自家保障を認めたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/71
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072・仁田竹一
○仁田竹一君 危険の分散ということは私よくわからぬのでありますが、台数が多いと危険の分散になるのですか。一個々々の自動車そのものが事故を起す場合は、同じなんでありますが、一つのものが百台持つから百で割るというのではありません。百台の車が全部事故を起し得ることもあり得るわけですが、ちょっと納得がゆきませんが、事故の分散というのはどういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/72
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073・眞田登
○政府委員(眞田登君) お話の通り、百台が全部事故を起すということもあり得ると思います。しかしながら、一台持っておりますと、それに対して保険料を積み立てたところで、もし事故を起せば全然役に立たない、そういう危険があるわけでございまして、従って、車ができるだけ多ければその危険が起るのも、百両について一台ぐらいは起るというふうな計算から見ますと、平均化されて起ってくる。で、極端なことを申しますと、百三十万なら百三十万という車についての事故率から計算した保険その他の金額なものでございますから、百両や三百両で、そういったものについての同じような計算で保険料を積み立てて十分か、というような議論も成り立つわけでありますが、大体これは特別の何か大数の法則とかいう法則から出てきた計算によりますと、大体百両の場合には、この算出しました保険料の二倍くらいを積み立てれば、九〇%は事故が起った場合に対する賠償能力が確保される。三百両ぐらいの場合は、大体一倍半の額を積み立てればその賠償額が確保されるであろう、こういうふうな計算が出ているようであります。やはりたくさん車があった方が事故が——事故と申しますか、危険が平均して起るという言い方の方が正しいかもしれませんが、一両持っていて事故が起った場合に比べますれば、百両持っていて平均して事故が起った方が危険が少いと、こういうふうに言えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/73
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074・仁田竹一
○仁田竹一君 これは少し話がまた、はずれると思いますが、船の方ですが、大きな例を申し上げますと、関西汽船等は何万トンという船を持っておりますが、十トンか二十トンの小さい船も同じように入ってくるのですが、今の議論から申しますと、大きい船会社の方は非常に損害が少いというのですが、事実は逆なんですね。船というやつは、一そうつぶしちゃうと、たくさん人を殺しますから、事情は違いますけれども、大体相通ずるところがあると思いますけれども、私はただいまおっしゃる理屈は必ずしも納得ができません。今の理由以外に、何かそういうふうなものはこの場合に除外例を設けて自家保険にする理由が、今の理由以外にありますか、その数字以外に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/74
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075・眞田登
○政府委員(眞田登君) 自家保障をある程度の車を持っておるものに認めることは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/75
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076・仁田竹一
○仁田竹一君 自家保障ですか、自家保険ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/76
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077・眞田登
○政府委員(眞田登君) 自家保険という言葉がどうも正確でないということで、法制局その他と打ち合せしました際に、自家保障というのがよかろうということで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/77
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078・仁田竹一
○仁田竹一君 両方加わるわけですね、自家保険の場合と自家保障の場合と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/78
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079・眞田登
○政府委員(眞田登君) 一般に言われております自家保険という言葉が、それは自家保険というのはどうもおかしいということで、自家保障という言葉にしようではないかといって、直したわけであります。先ほどからもお話にも出ましたように、被害者の保護ということが確保されるならば、できるだけ強制させぬことが望ましいには違いありませんものですから、国のような場合は、賠償能力があるから、問題なしに除外する。しかしながら、一応適用があるものと考えておっても、相当な両数を持っておって、またしっかりした会社等であるならば、被害者の保護において欠けるところがない。それならば、そういうものについてわざわざ強制しなくてもいいではないかということが、自家保障を認めようとする考え方なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/79
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080・片岡文重
○片岡文重君 先ほど仁田委員からですか御質問があった、保険料の負担を保有者に限るといこことを明記したい理由を、もう一度一つ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/80
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081・眞田登
○政府委員(眞田登君) この法律の建前上、だれが保険料を負担するかということを規定するのは無理があるということで、はっきり掲げなかったわけでありますが、しかしこの法律の精神から見まして、保有者たる会社等が負担すべきものと考えられますので、本法が施行されるようになりましたならば、十分行政指導をやって参りたい、こういう考え方でいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/81
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082・片岡文重
○片岡文重君 どうも今の御説明は、今までの各委員からの質問に対しての御答弁の内容を重複されたように私は思うのですが、私のお伺いしたいことは、率直に申し上げると、たとえばタクシー会社等における運転手がこの保険料を負担せしめられるということは、特に今日の情勢では明らかだと思うわけです。で、事業者がこれを負担するということの方が、むしろ少いんじゃないかと思われる。しかし法の建前がこうだからという立法者のお考えでもって、法の運用もしくはその解釈はまた別途になされるわけですから、事業者としてはやはり事業者として一番経済的な面をとるに相違ないということになれば、今日の情勢からいえば、当然ーー当然という言葉は当るかどらかわかりませんけれども、おおむね運転手に課せられるのではなかろうか。従って、もし保有者が原則として負担すべきであるということであるならば、その点をもっと明確にこの法文の上にうたうべきじゃないかというわけですが、それでは非常な支障があるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/82
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083・眞田登
○政府委員(眞田登君) この法律の建前が、事故の被害者の保護ということに重点を置いて考えておるわけでありまして、いわゆる労働立法的な色彩のものとは考えていないわけなんでありますが、実際に、お話がありましたように、法律に書いても書かなくても、実際の運用の面ではその当事者同士の話し合い、あるいは力関係というふうなものが非常に大きな結果になってくるというふうに考えておるわけでありまして、どうもそういうふうにしまして、もし保有者が負担しなかったらまた何か処罰するというふうな規定まで添えなくちゃならないというようなことになりますと、非常にこの法律の建前からいうと、ちょっと無理があるんじゃないかというのが、法制局あたりの意見なんであります。私たちの方でも、これは実際の指導その他、経営者等の考え方をそういった正しい方向へ持っていく、努力によってやっていきたい。この法案で書くことはどらもあまり適当じゃないというふうな考え方で来ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/83
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084・片岡文重
○片岡文重君 法案に書くことが適当でないというお話であるならば、この法案には非常に政令が多く出てくるようですけれども、その政令の中にでも、その手続として、あるいは施行法的な性格を持たせて、その点を明らかにすべきじゃないか。力関係等でこれを処置せしめるということは、多数の車を持ち少くとも自家保障できるような企業者であれば、これはそういう、今私が申し上げているようなことはないかも知れない。問題は、かえって中小の企業にそういう危険があるんですから、その場合に、力関係あるいは団体交渉、それによってこの問題を処理せしめれば、そういう小さな会社では労働組合を組織することすら許されない、もうほとんど団結権などというものは認められておらないのが現状なんですから、そういうところに力関係でこれを解釈せしめようとする、あるいはこれを監視せしめようとするようなことは、望まれないのではないか。従って、やはり立法の際にその点については紛争の起らないようにしてやるべきではないか、こう考えますが、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/84
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085・眞田登
○政府委員(眞田登君) 私たちもそういった場合に、力関係等でやるというふうなことは決して望ましくないことでありますので、たとえばこの法律が施行されました後に、この法律についていろいろ各方面へ、会社関係とかあるいは陸運事務所等へ、この法律に関連していろいろの通達をすることになっておりますが、そういったときにできるだけ、今お話がございましたように、実際に働いている人たちが負担しないで済むような方法をとるようにということは十分伝達して参りたいと、こういうふうに考えておりますが、今の政令、省令というふうには参らないかもしれませんが、通達その他では指導の方法があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/85
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086・片岡文重
○片岡文重君 その次に伺いたいのは、この自動車事故による損害賠償のときに、バスの一事故当り百万円、それから乗用車の場合は三十万円、死者の場合です。従って、これは一事故当りですから、たとえばバスの場合に、一人なくなったという場合には百万円もらえるのですか、それともやはり三十万円、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/86
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087・眞田登
○政府委員(眞田登君) この一事故当り、それから一人当りについて、いろいろとわれわれもその後研究しておったのでありますが、一人当りにつきましては、死は三十万という数字は今のところ変えておりません。そうしてお話のございましたような場合には、その死者が一人の場合には三十万円ということでございます。なお、バス一事故当りについて百万円と申しておりましたのですが、いろいろと研究しました結果、バスなんかの事故の場合は、百万円ではとても補い切れない場合も出て参りますので、これを保険料にしてそう大きくならないならば、むしろ一事故当りの総額の方ははずしてはどらかということで研究しておりましたのですが、今までのところでは、大体五%から一〇%ふえる程度で上の制限ははずせるのではないか、こんなふうな計算が出ておりますので、われわれとしては上の制限をはずす方向にきめていきたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/87
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088・片岡文重
○片岡文重君 その一事故当りの最高額百万円のワクをはずして、一人当りにされるということであるならばけっこうですが、それは一人当りということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/88
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089・眞田登
○政府委員(眞田登君) 一人当り幾らというだけになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/89
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090・片岡文重
○片岡文重君 それでしたらけっこうです。
その次に一つ伺いたいのは、これはむしろ大臣にお伺いした方がいいと思うのですが、自動車損害賠償責任保険審議会というものが、この法律によると、設けられるということになっておりますが、これは、審議会の内容とするものが保険に関する問題であるとかということで、大蔵省に設置をせしめて、「大蔵大臣の諮問に応じて」ということになっておるようですが、この自動車に関する所管は、運輸省としてやっておる。この場合に、運輸大臣としてはこの審議会に対して何ら意見を申し述べ、あるいは容喙をするようなことはできないのかどうか、その点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/90
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091・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは、やはり保険の方が大蔵大臣の管轄になっておりますので、審議会は保険料率、保険約款等のみがこの審議会の諮問事項になるわけです。しかし、これはきめる場合には、大蔵大臣が運輸大臣と連絡することになっておりますし、審議会にも代表として運輸次官が出ることになっておりますから、これはいろいろ不都合は起らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/91
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092・片岡文重
○片岡文重君 審議会に対しての委員として運輸省の次官が加わる、従って連絡にそごは来たさないというお話で、それはもうわかりましたが、次にこの委員の中に、関係行政機関以外に求められる委員が七人ということになっておりますが、この七人の中には、現実に自動車運行の業務に携わっておる運転手というものの代表、労務者側の代表、こういうものは全然加える意思はないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/92
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093・眞田登
○政府委員(眞田登君) まあ自動車関係の組合の代表の方とか、あるいは運転手の方々という人が、もしこれに入るといたしますと、第一号にあります「学識経験のある者」が三人、この経験者として、あるいは「自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者」この二人のうちに加わることになっております。で、先ほどもお話ししましたように、この所管は大蔵大臣でございますので、大蔵大臣が運輸大臣の同意を得て決定するということになります。で、この御趣旨の点はよくわかりましたので、今後そういった選考の際によく相談いたして参りたい、こういうふうに考えております。
で、入ってはいけないとか、入れるのだということは、別にきまっておるわけではないのでありまして、この前にわれわれの方の法律の関係で道路運送協議会、これも別に何も書いてございませんのですが、労働関係の方々も入っている局が、全局九つのうち、四カ所か五カ所ぐらいあります。その場所、その局の実情に応じて、入っていただいているようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/93
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094・高木正夫
○高木正夫君 この法案は、先ほどのお話のように、社会保障的性質を帯びている、被害者の完全なる保護をはかる。大へんけっこうだと思うのでありますが、委員長のお許しを得たので多少脱線しますが、同時に、事故をなくするという方面の施策がどの程度までお考えになっておるか。ややもすると、この法案が出たために事故がふえるというような心配をなさる向きもあるようでありまするが、これは同時にというよりも、まずその方が先にやらなければならぬ問題だと思うのですが、この際特にこの法案を出すときに、事故を将来どういうようにしてなくするか。これは大へんむずかしい問題だと思うのですが、どういうようなことを当局でお考えになっておるか、それは大臣でなくて局長でもけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/94
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095・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは、最近交通事故が頻発しますので、交通事故防止の委員会を内閣に置きまして、そうしていろいろこの問題について各関係者が寄りまして、結論も——結論といっても全体的な結論じゃないのですが、こういうふうにしたらよかろうといういろいろな案も出て、それに対してまあすぐ実行のできるものは実行をするということで、内閣としてもこの問題を真剣にとり上げておるわけでございます。まあ、こういう法律ができても、ひいたところで、あとは面倒を見てくれるのだということで、これで事故が非常にふえるというようには考えないのであります。これはやはり、まあ何と申しますか、その国民の一つの、そういうふうには考えない国民の良識があるわけですから、こういう法案によって事故が——まあ直接事故には関係がないわけで、事故を防止することを目的とするもので私はないと思う。間接にはいろいろ事故がない場合の保険料率等に対しての配慮はございますけれども、直接にこの法案が事故の防止を目的とするものではございませんで、やはり事故を防止するためには、別の一つの事故防止の対策を考えなければならぬ。しかし、この法案ができたからといって、安心して事故が起る、そういうふうにまあ国民の民度を軽べつしたくはない、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/95
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096・高木正夫
○高木正夫君 内閣にそういうものができるということは、まことにけっこうだと思うのですが、これはだいぶ範囲が広いのじゃございませんか。特に私の申し上ぐるのは、自動車に関して事故をなくするというような方策が、自動車局あたりではできているのじゃないか、そういう点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/96
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097・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは交通事故防止対策本部というものができているのですが、いろいろ検討しているのは、やはり自動車のことが多いのですね。やはりいろいろな事故がほかにも起るけれども、やはり今問題になっておるのは、自動車の事故というものがいろいろ総計的にも多いものですから、そればかりではむろんございませんけれども、主としてそこで検討を加えておる。ここにパンフレットもございますが、踏み切りなどの問題もございますが、主としては自動車事故というものが対象になっておるわけであります。もう少し詳細に自動車局長から説明を補足してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/97
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098・眞田登
○政府委員(眞田登君) 今お話にございましたように、事故の対策というのは非常にいろいろの面から考えなくてはならないと思います。で、かつ、その自動車の所管その他について一度お話を申し上げましたことがございますように、権限官庁というものがだいぶ分れておるわけです。従いまして、この対策本部ではお互いがなわ張りを捨てて、できるだけ話し合おうじゃないかということでやったわけであります。
運輸省の直接の所管で事故防止の一番目的になりますことは、車両の整備でございます。これがまず第一でございますが、これが間接的には、たとえば事業の免許を乱発し過ぎると、競争が激しくなって、そのために事故が起る。あるいは運転手の採用その他について相当慎重にやらないと、あまり素質のよくない運転手が入ってくるというような間接的な面がございます。またその運転手等に関する労務管理の問題で、しっかりした労務管理ができていないと、事故を起す原因になる。そういったことにつきまして、それではどういうふうにするかという問題になりますと、たとえば労務管理の問題につきましては、労働基準法を厳格に実施すべきである、あるいは休養施設を設けるべきであるというふうなことで、われわれの運輸省の関係とそれから基準局の方と、両方からこれについて善導してゆきたい、こういう話であります。なお、たとえば旅客を輸送する自動車の運転手は、昔やりました就業免許のような制度でやって、上級免許と申しますか、もう少し厳格な基準によって免許したらどうかということも出ているわけであります。現在では政令でしたかで、一年の経験のある者、それから二十才以上でなければ、旅客を運ぶ自動車の運転はできないというふうになっておりますが、これらをもう少し引き上げてはどうかというふうなことを、運転手の面からは考えておるわけでございます。
それから現在、たとえば東京都内におきましてのタクシー等でごらんになりますように、非常に無理な運転をしている。その基礎は、固定給が非常に少くて、歩合給的なものが非常に多い。従って、無理してでもかせがなければならないという状態になっております。そういった給与制度をもう少し直して、固定給をせめて六〇%以上にしてはどうかというふうな面もあるわけであります。いろいろと、街頭の信号保安設備をどうするかといったような問題もあるわけでありますが、問題の根本といいますか、事故の一番大きな原因が、今のところでは、運転の不良と申しますか、運転の操縦誤りが非常に多いわけでありまして、その運転操縦誤りをもたらしているところのそのもう一つの原因が一体何であるかということが、一番問題になるわけであります。そういった面で、特に労務管理が皆さんでやかましく言われております。
それからもう一つは、道路との関係における車両の問題でありまして、現在ではわれわれの方で免許いたしますときには、道路管理者の意見を聞いてやっております。何分にもバスの発達初期と申しますか、交通機関が少かった所は、あるいは非常に不便な所は、無理をしてでも通ってもらいたいというふうな気分が手伝いまして、道路管理者としても、何とか通ってもよろしいという返事をされる場合が非常に多かった。そのために、現在では相当無理な所を車が通っているのではないかということから、公安委員会の意見を聞いてみたらどうかという話になりまして、これは法制上にはそういったことはないわけでありますが、現実に東京都ではわれわれの下部機構であります陸運局が公安委員会の意見を聞いております。実際にそういった連絡によって運用しているわけであります。そういったことについては今後大いに連絡を持ちたいという希望意見があります。
いろいろ問題があるわけでありまして、ちょっと説明が雑駁になりましたが、そういったような問題についてお話し合いをしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/98
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099・高木正夫
○高木正夫君 大へん詳細にわたって御説明願いまして、非常に満足いたしておるわけでありますが、私の考えでは、結局根本問題は企業の経営の組織問題であろうと思います。結局、経営者が行き詰まって参りますと、それが労務者の給与に関係して参る。それがしわ寄せして、それでだんだんと窮屈となり、特にタクシーはいい例だと思う。これはもう、タクシーを大臣に言うことは何かもしれませんが、これは危険千万なんです。警視庁があれだけ取締りをなさっても、実におそろしいくらいのスピードで、スピード違反をやることは何かというと、結局経営というか、待遇の問題にかかってくるわけであります。これが私は重大な、大きな原因だと思う。今日は実はその話を申し上げたかった。
そういうことは何で来ているかというと、これは自動車行政に関する限り、はなはだ脱線して相済まぬわけですが、従来の政府のやり方が非常に私はなまぬるい。ほかの交通関係の事業に比べまして、これだけ重要な公共性を持ったものを等閑に付しているのではないか。これはたびたび今までも申し上げたので、また自動車かと言われますので、まあ遠慮しておったわけですが、三木大臣は非常に御理解があると思いますので、あえて申し上げるわけなんですが、特に自動車行政、バスにしても、トラックにしても、タクシーにしても、今日完全に、実に気息えんえんたるものがあるわけです。運賃はあれできめられておる。そうして税金の方はどうかというと、これは私が説明するまでもないと思う。これだけの自動車に関する重課税をとっている所はないと思う。しかも、それが公共的仕事で国民経済に重大なる影響のある貨物運送においても、御承知の通り、鉄道輸送の約三倍に及んでいる。これは国民経済に及ぼす影響はきわめて重大だと思う。今日までそれに対する施策は何かと申し上げると、ほとんど監督行政のみ——といったらはなはだ失礼ですけれども、まあ監督行政だけで、助長行政はほとんどないのじゃないか。しかも今度は、先ほどもどなたか質問なさった通りに、これは強制保険だ。ごくわずかの、ほとんどわずかの保険料だと思うわけですが、これが運賃に、先ほど局長がおっしゃった通り、影響はほとんどしないと思うのですが、これさえ業界では問題になるくらいに、意気沈滞いたしておるわけです。これをこのままほうっておいていいのかどうかという問題なんですが、まあそれらに対する御感想といいますか、今急にといっても無理でしょうが、どういうふうな御感想ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/99
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100・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 高木委員も御承知の通り、タクシー料金をめぐりまして、なかなか何カ月か悩まされて、そうしてこのタクシー業界の実態について私も関心を持たざるを得なかったのです。非常に業態自身が、今御指摘のように、苦しいもんですから、非常に競争が激甚で、まあそれがフェアのコンピテーションというよりか、競争が度を越したようなことになるわけで、これはどうしても一般の市民生活に影響をもつわけでございまするので、何とかタクシー企業というものをもっと安定のあるものにしなければならない。業界自体についてもいろいろ対立が激しいのです。業界自身がしのぎを削るわけです。こういう点で、業界自体の対立の激しいようなことで、プラスになる面というのは少いのですから、こういう業界自体のあり方についても検討してもらいたいということを、強く言っているのです。またこれは直接の補助なんかをこういうものに与えるべき性質のものではないと思うのですが、融資などやはり去年から開銀の融資もなくなって、こういう点で、金融的な面で、あるいはまた税の面についても、検討する余地が私はあると思うのです。こういう点で、何と申しますか、こういうタクシー企業というものを安定した一つの企業とするためには、まあいろいろ考える余地があるということで、今何をするかという結論は出ておりませんけれども、やはり運輸省としても考える必要がある。今の点では、監督行政と申しますか、助長していく面にいろいろ考える余地があるのじゃないかということを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/100
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101・高木正夫
○高木正夫君 私は今、タクシー業はこれは例にあげただけでありまして、およそ道路運送に関する全般の自動車について、たとえば税金の話でも先ほどちょっと申し上げたわけですが、普通の事業税のほかに自動車税というのがある。これなんかは悪税で、それから関税はもとより、それから道路負担金もありますし、いろいろな、五種か六種ぐらいの税が来ているわけであります。それがなかなか立ちいかぬのです。それに今度のガソリン税、やはりこれは一応道路税として二千円かかる。まあ課税の対象には最も都合がいいから、大蔵省としてはそれをすぐにつかまえるのだが、受ける方はなかなか大へんですよ。現に申し上げたタクシー業だけでなく、道路運送に関係する自動車業者は非常に影響甚大だ。そこを何とか救済できないのか。もとよりこれは補助金とかそういうような問題じゃないが、台数の問題とか実施上許さないという問題もありましょうが、私が希望を申し上げたいのは、ちょっとお話がありました通り、融資面といいますか、これは往年私がここでお願いいたしまして、それが動機になったのかどうか知りませんが、開銀の金が出たことがあります。ところが、これは比較的大業者で有力な所に、十社ばかり出たくらいであります。それはほんとうに申しわけ程度で、この程度じゃだめだと思うのです。それよりも、もっと簡単に一つ方法を考えていただくことが一番自動車行政としては適切じゃないか、こういうふうに思うわけであります。
現在銀行もあるし、中小企業金融公庫もあるし、行けるのじゃないかというお話があるかもしれないが、ほかの農業関係から水産関係は、すべての面においてその点は非常に行き届いているわけであります。ひとり自動車業界においては、その点はもうほとんど何もないと言っても私はいいと思う。これは実際の衝に当ってやっておる人を見てみますと、たとえば中小企業の問題にしましても、組合組織さえもないし、またあれば、あってもなかなか容易ではない。普通銀行では絶対にトラック業者などは相手にいたしません。また中小企業にしても、これをものにするまではなかなか並み大ていのことじゃない。だから、新しい機関をこしらえるまで、これはぜひそういうものを組合か何かの簡単な方法で、交通関係の者だけの何をこしらえていただくと私はいいと思いますが、そこまでいかぬにしても、すでにある機関に、運輸大臣あたりから大臣同士の話で折衝していただいて、もう少し簡単に融資ができるような方策を講じてもらうのがいいんじゃないかと、これによって非常に危機に瀕しているものが立ち上ることができるのじゃないかと、そういうように私は考えるのですが、それについて一応お考えを伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/101
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102・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) お話の通りだと思います。ほかにもいろいろ金融機関が、各種の産業部門で金融機関との結びつきがあるわけですが、こういう交通機関に対しては、御指摘の通り、少い。今中小企業金融公庫など、これは私、話してみたいと思っております。何か、御希望のすべてには応じられないにしても、しかし、こういう交通事業に対して、車をかえたりする場合に、新車等に、こういう場合に少し融資のワクをもらえないか。中小企業金融公庫などに十分一つ話してみることにいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/102
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103・一松政二
○一松政二君 今の高木さんのタクシーの問題は、これは私、ひとり交通運輸だけの面じゃないと思う。金融の問題もむろんあると思うけれども、いわゆる日本の中小企業のこれは一つの模型図であって、お互いに競争が激しいからそういう状態になるのであって、その気息えんえんとして競争していれば、今度はそれにある程度の注射をすれば注射をしたで、また競争するようになる。それで競争状態というものは、私はほとんど永久に消えぬのだろうと思うのですが、世間が景気のいいときには幾らか皆の乗り手が多く、タクシーの料金も上り、あるいは自動車の乗り手もあるということで、しばらく浮き上ってくるけれども、また世間が寒い風が吹いてくると、みんなふところが締って、そういうところに落ちる金が比較的少くなる。そこで競争が激しくなるので、これはもしこれを安定せしめようとすれば、私は二個か三個のいわゆる大合同をやってしまって、そうして競争のある程度の禍根を断つか、これを自由企業でやっている限り、また自由企業でなければならぬでしょうが、まあアメリカなどは多分あれは非常に組合が発達しているのかなんかで、一つの組合、トェンティス・センチュリーとか、イヤローキャブですか、ああいう一つの組合になって強硬にやっているので、そうして運転手が歩合いで働いているようですが、そう運賃の競争もしないし、むやみに突っ走ることをやらない。日本人の習性というのか、外国貿易においても国内の貿易においても、貿易業者といわず、内地の業者といわず、お互いに競争して気息えんえんなんです。これはひとり私はタクシー業者のみではないと思う。だから、その日本人全体の悪い面ですか、いい面の欠点の面が現われるわけですが、それが今日の状態をなしているので、これは運輸行政だけではないだろうと私は思うのですが、中小企業安定法の考えで、ある程度こをしぼっていくか何かというのも一つの考え方でありましょうし、金融だけでは私は片づかぬと思う。
私は一つの問題は、今のような名義を貸すような、ある程度以上のタクシーじゃなければ許さぬというのも私は一つの弊害が伴っておるということは、これは自家用の一台か二台か持って、気をつけて運転する運転手だったら、今のような猛烈な競争とそれから乱暴な走り方はしないで、人を大事にするが、車も大事にする。昔はそうであって、私どもも二十四、五年前か二十年前くらいには、いわゆる円タクが五十銭になり、五十銭のやつを三十銭に値切って、おもしろがって乗った時代もあるのですが、そのときもやはり今のようなスピードを出す問題もありましたけれども、しかしそのときには警視庁限りのもので、二台か三台の運転あるいは一台の自家用運転手というものを認めておりましたから、今ほど激しくはなかったのじゃないかと思うのですが、私は運輸大臣に質問するというよりも自分の意見を申し上げるという格好になって、高木さんの問題に関連してこれは非常な重大問題であるが、これは運輸大臣にひとり私は求めることそれ自身が非常に無理な気がすることであって、私もちょっと頭に浮びながら、質問ともつかず、意見ともつかず、申し上げておるわけなんですが、ほとんどこれはもう海外に行ったら、日本の貿易は競争して、こんなことじゃ国がつぶれるというのは、異口同音の貿易業者の嘆息なんですが、これが町に現われている姿がタクシー図だと思うのですよ。これをひとりタクシーの施政の面からだけではやはり助からないのじゃないか。何かもう少しお互いにこれを日本人として考えなければならぬのじゃなかろうか。結局は、つまり仕事の種類が少くして人間多しという問題にあるいは帰着するかもしれませんが、国家の救済融資だとかだけでは私は片づかない問題じゃないかと思うのですが、運輸大臣はどうお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/103
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104・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 結局、今一松委員のお話のように、仕事が少いということですね。それでいろいろな分野に業者が非常に、まあ過剰なくらい業者がきておるという、裏を返せば人口問題ということでしょうが、そういう点でタクシー業自体が、その他の企業と切り離して、これだけが安定するということは、御指摘のように、むずかしいとは思いますが、ただ免許の抑制などによって、ある程度のやはりこれは安定したものにしていかなければならぬわけです。まあそういうふうな交通機関の調整という面も、これは運輸省の運輸行政の一つの面だと思います。何分にも仕事が少いので、ちょっと資本があればできますからね、タクシーなどは次第にこう無制限に入ってきて、それが共倒れのような状態になるのですから、ある程度免許は抑制していく措置を政府はとらざるを得ない。抑制された一つのワク内において、交通業者に対してはこれは救済的なことはむろんできません。これは救済するといえば、あるいは交通業だけを特に区別して扱うという理由が乏しいものですから、ただ、中小企業金融公庫などで融資のできるだけワクを、ほかの企業にもそういうワクをとっておるわけですから、タクシー交通事業にもそういうある程度のワクをもらう。あるいは税金等にも、今高木委員の御指摘のように、これはかけやすいから何重にも税金がかかっている。この間に合理化の余地がないか。こういう問題が、必ずしもこれでもう交通事業が非常に安定した企業としての基礎を築くとは思われませんが、今よりかは少しでもよくしたいという意欲は運輸行政として持たなければならぬ問題で、本質的には、一松委員の御指摘のように、日本全体としての大きな問題で、その一環として考えないと、これだけを取り出して、この企業だけの安定は非常にむずかしいのだという御意見には、全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/104
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105・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) ほかに御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/105
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106・一松政二
○一松政二君 私は鮫洲の車両検査所、または運転手の新免許を申請する所へ行ったところが、あそこには毎日毎日、新しい運転手の免許申請者が山なすごとくいるわけです。やはりこれも一つの職業を求めておるので、免許を制限することになれば自動車の台数を制限することになる。私は事実自分で驚いたくらい、毎日大へんな人が免許を申請に行っているのですが、一方に台数の制限が起れば、これらは一応運転手にでもなって、多少技能を修得してそれで生活の道を求める者の口をふさぐことに実はなるのだから、さっきの議論を繰り返すみたいなようですが、そうなると、運転手があまり多くなれば、今度は運転手同士がお互いに身分を競争してくることになるから、運転手の免許をやるのも制限しなければならぬかという問題まで考えてみなければならぬ。そうすると、また、せっかく運転手にでもなつて、いわゆる失業救済なり国家保障に依存せずに、自分で額に汗して食おうと思って運転手になるのを、その口までふさぐという問題が起るから、堂々めぐりするような格好になるかもしれませんが、やはりこれを切り開いていくにはどうしても新規に、私はあえて失業救済とかいうような銘を打ったのではだめであって、新しく国家を、ともかくたった四つの島になったのだから、この四つの島の山を、あるいは森林を、あるいは原野をもう少し見直して、これによって日本の人口をそこへ収容するというような大きな開発を考えなければ、個々の面の小さなところをようじの先でつついたようなことをしても、どこの部分もみな詰まってしまうと思うのだ。それではお互いに精力を消耗するだけであって、国力としては伸びないと思う。だから、どうしてももっと根本的な国家再建のことを考えるように、一つ政府においてお考えになってはどうかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/106
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107・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) やはりわれわれが行政をやってみましても、そういう問題で行き詰まるのです。今の交通事業だってそうです。やはりいろいろな、今免許制の問題で運転手のお話があったのですが、やはり雇用面が拡大されて、そして至るところ仕事があると、必ずしもタクシーならタクシーをやらなくても、ほかに仕事があるということでないと、問題の解決にはならぬ点がございます。そのためには、やはり政府においても六カ年計画等を立てておるのですが、これは単に一政党の課題ではなくして、日本の大きな課題ですから、皆さんの衆知を集めて長期の経済計画を立てて、それで今御指摘のような資源の開発であるとか、新規の産業を培養するとか、あるいはそういう上に立って輸出貿易の増進であるとか、とにかく局面を大きく展開しなければ、なかなか個々の問題が解決のできない局面に日本が立ってきておるという認識は、一松委員と認識を同じくするものでありまして、これはやはりこれを切り開かなければ、個々に問題を解決しようとしても、どの問題の背後にも同じような日本経済の一つの矛盾というものが横たわっておるものですから、そういう点で一段と鳩山内閣は勉強しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/107
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108・仁田竹一
○仁田竹一君 私のは非常に小さい問題ですけれども、はっきりしなくちゃならぬと思うのですが、保険料は自動車の所有者が負担することが原則になっているようでありますけれども、最も事故の大きいのはバスあるいはハイヤーですが、これらの運賃の査定の中に、従来とも保険料に切りかわるべきものが入っておった。これはしかし保険料として入っておったわけではないので、事故損害の意味において何パーセントかが入っておった。今度強制加入にすることになれば、今度は当然保険料としてはっきりしてしまうわけです。言いかえると、実は法の精神は自動車所有者が負担することになっているけれども、実はこれはハイヤー、バスに関する限りは乗客が出しておる、こういう結論になってきますので、従って、先刻来御答弁の中にありましたような、負担は自動車所有者が負担するということは、一貫をしない。しかもその大部分の事故はバス、ハイヤーに起きておるというように考えますが、従って、運賃査定のときの料金の中に入っておりまする損害に対する料率の金額と今度加入すべき保険料率との差が、どのようなのか。またこれらは自動車の所有者でなくて、乗客が自分の保険を払っておるのだと、こういうふうに私は考えざるを得ないと思いますが、その点についての御意見を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/108
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109・眞田登
○政府委員(眞田登君) 運賃の原価計算の中に入っておるから料率を払っておるというお話でありますが、やはり事業者としては、その事業をやっていく上でどれだけの支出があってどれだけの収入があるということで、その払っておりますものが支出ということになるわけでありまして、やはりこれは乗客に転嫁されておるということは言い得ますが、実際に支払うのは事業をやっておる人だということになるのでありまして、その点はほかにも、そういったことからいうと、事業をやっておる人は全部他人の負担でやっておるのだという結論になってしまうのではないかと思うのであります。
なお、今度の保険料と今まで原価計算の中に入っておりました事故賠償に充てる費用との比較の問題でございますが、例をタクシー、ハイヤーの二十七年にとってみますと、これが全経費のうち二%という数字になっております。で、車キロ当りと申しますか、車が一キロ走りますのにどのくらいの経費が要るか、これが三十円三十五銭。それに対して事故賠償のために六十三銭支払ってきたという数字でございます。今度のやつで参りますと、たとえば一万円よりちょっと出ますが、一万円といたしまして、約一日に三十円で、タクシー、ハイヤーのうち、タクシーのごときは一日三百キロくらい走るのが珍しくないわけでありますから、三十円にして一キロ当り十銭ということになるわけでありまして、今度の強制の保険によるキロ当り負担額というのは、もし一年中その三百キロずつ走っておると——これは実際には一年中そう走るわけではございませんが、そんな単純な計算でいきますと、十銭くらいになる。現在まででも、事故賠償金として六十三銭くらいは払っておるということでございまするので、それほど大きな影響は与えないのではないかと、こんなふうに考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/109
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110・仁田竹一
○仁田竹一君 そうすると、よくわかりませんが、保険料率とお客さんからとる金と、どっちが多いのですか。あなたの方で運賃料金を査定するときに加えておりまする損害賠償に当る金額と、それから今度の保険料率と、金額の差ですね。多いか少いか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/110
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111・眞田登
○政府委員(眞田登君) 原価計算のこまかい方の表を持ってきておりませんので、これはタクシーだけの分の原価計算でして、車キロ当り経費を三十円五十八銭と見ましたときのやつですが、そのときに六十三銭車キロ当り見ておる。従いまして、今度の強制の分はちょっと大ざっぱな計算でいきまして、一日かりに三百キロ走るとすれば、十銭くらいだ。ですから、今度の強制による分は、今まで事故賠償金として計算しておったものに比べて、割合に少い、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/111
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112・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) よろしゅうございますね。ほかに御質問は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/112
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113・一松政二
○一松政二君 ちょっと、自動車局長にごく小さな問題について、かねがね聞こうと思っていたのだけれども、いなかと都会地とのタクシーの料金の開きが非常に大きいと思うのだ。これはつまり、お客さんが少い、需要度が少いという観点からだけよりほか、僕らは考えられないのだが、そういうことでああいう料金を判定してあるのか、どういうわけなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/113
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114・眞田登
○政府委員(眞田登君) いなかでのタクシー運賃は、最初の二キロが幾らと定めておりますのが高いのは、仰せの通り、利用度が少いから、一日中待機していても利用してもらえるのがごく少い。従いまして、東京では一日三百キロなら三百キロ走りまして、四五%なり五〇%としますと、まず百四、五十キロは実際に乗ってもらえる。しかしながら、地方ではそれだけのお客が乗らない。そうしますと、ガソリン代とか修繕費の一部のようなものは、そのキロ程に応じてとれるわけでありますが、人件費とか車の償却費、そういったものは車が動いても動かなくても必要になるわけでございます。従って、固定費の部分が割高になる、こういうことになる。そのために、東京付近といなかとは多少タクシーのキロ当りの運賃が違ってきている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/114
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115・一松政二
○一松政二君 まあ概念的に、大体そういうことは一応正しく考えられるけれども、これはまたなかなかむずかしい問題で、いなかといったってーー今の東京の運賃は一体これは六大都市ですか、一応それを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/115
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116・眞田登
○政府委員(眞田登君) 東京、大阪は大体同じ。京都も大体同じであります。また神戸も同じで、名古屋あたりは少し割高の所があるようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/116
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117・一松政二
○一松政二君 私の郷里へ帰ったときでも、あるいはこの間博多で乗ったときでも、自動車の利用度が割合に高いのだ。それをまた区別をつけるということもなかなか困難だろうが、やはり自動車はひっぱりだこで、けっこう繁昌して、いなかには珍しいくらい新しい新車などがずいぶん入っている。だから、こいつは割合に、東京ではしのぎを削ってやいやい言っているが、いなかでは割合にのんびりと今の料金でエンジョイしているのだなという気がしているのです。どうも、私は常にいなかへ旅行したときには、どうも東京でタクシーに乗らないおかげで、いなかへ行くとえらい高い気がしちゃって困っているのだけれども、それはそうですか。今のキロ当りの固定資産の負担が高くなるということが一応考えられるけれども、これはまたいなかに競争があってほしいと思うのだが、いなかにはほとんど競争はありませんね。東京の人がいなかへ行ったらよさそうなものだと思うのだが、いなかの人が東京に来ても、東京の人はなかなかいなかへ行かない。困ったものだ。これ以上の説明もできますまいから、この問題は一応打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/117
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118・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) ほかに御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/118
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119・片岡文重
○片岡文重君 ちょっと自動車のことで伺いますが、今地域差の問題が出ておるようだけれども、十三条に保険料率の等級というわけですか、たしか十三条だったと思いましたが、この「責任保険の保険金額は、政令で定める。」こういうことになっています。この政令の内容は、もう試案が作られておるのかどうか。作られておるのならば、大ざっぱに一つ説明してほしい、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/119
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120・眞田登
○政府委員(眞田登君) 保険金額と申しますのは、先ほど申しました一事故当りの、あるいは一人当りの金額のことでございまして、これにつきましては、先ほどちょっと触れましたが、死者につきましては三十万、それから重傷については十万、軽傷については三万というのを、一応の予定に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/120
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121・片岡文重
○片岡文重君 先ほどの御説明では、大ざっぱにこういうことになったと、今のような御説明であって、特にバスやなんかの大型乗用車によって起った死傷に対しても、一人一事故だというような御説明であったのですが、その場合の大よその、何といいますか、見当といいますか、それもただし一人一事故、ハイヤーでやろうがあるいは自家用車でやろうが、とにかく死者は三十万だ。大型バスでやろうが、これも三十万だ、こういうことであれば別ですけれども、そういうふうに理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/121
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122・眞田登
○政府委員(眞田登君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/122
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123・片岡文重
○片岡文重君 ああそうですか、それじゃけっこうです。
それからもう一つ、この五十七条の場合でしたかに、自家保障者は結局省令で定める金額を支払準備金として積み立てなければならないということになっておりますが、これは大きな事業者になると相当の金額になると思いますけれども、この準備金に対しては、免税とかあるいは経費に繰り入れるとか、そういう点についての考慮が払われているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/123
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124・眞田登
○政府委員(眞田登君) 自家保障者にとって大きな負担になるというお話でございますが、これは保険金とし支払った場合に相当な金額になるわけでありまして、払わないで積み立てるという場合に、これを損金に算入するかしないかという問題がございますが、これはまあどっちが得か損かということでいろいろ議論があったのですが、保険に入りました場合は、事故が起っても起らなくても、その金は全部保険会社へ入ってしまう。そうしてまあほかの事故に引き当てられるわけですが、ところが、自家保障でやりますと、事故が起れば、あるいは保険に入った方が得だと思うような大きな事故が起って、大へんな損失を招くことがあるかもしれませんが、逆に起らなかったという場合には、全部が残るわけであります。それに対して、全部を損金に算入して税をかけないということにいたしますと、何か大きな事業者にだけ便宜を与えておるという印象を与えますものですから、当然利益を出しておるというような優秀な会社でなければ自家保障も認めないので、おそらくこの保険がなければ、四二%なりの法人税がかかってくるであろう。それはやはり税金として支払っていただきたい。損金に算入することは現在のところ考えたくない、こういうふうな気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/124
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125・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/125
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126・岡田信次
○岡田信次君 大臣にお伺いいたしたいのですけれども、例の国土総合開発縦貫自動車道路ですか、これに関する法案が衆議院に出ておるようですが、大臣は日本の交通政策全体からお考えになって、この問題をどういうふうにお考えになっておるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/126
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127・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) あれはまあ各派の共同提案になっておりますが、私は党人として、私らの党も賛成したのであります。でき得べくんば、ああいう問題は経済審議庁などでいろいろ、何本もああいう道は作るわけにはいきませんから、一体日本の交通政策上、あるいは雇用の拡大にはやはり公共事業というものが中心になりますから、雇用の拡大、交通政策の見地から、非常にいろいろ専門家の意見も徴して、経済審議庁あたりでああいう問題を取り扱ってもらいたいというのが、私の個人の意見でございます。そうして一つの大きな、金額にしましても、あの道路でも七千億円ぐらい要るわけであります。これは非常に大きな一つの投資になるわけであります。そしていろいろな案があるわけでありますから、あの線一本の案だけでなくしてほかにも案があるわけでありますから、そういうふうな手続をすることがいいのではないかと思っておりましたが、国会に各派共同提案で出ました以上は、これはやはり国会の審議にゆだねるよりほかにはない。個人的な見解は、私はそういうふうに従来も思っておったのであります。これはすぐできる問題でありませんから、いろいろな見地から慎重に経審あたりで案を立てるべき問題である、こう考えておったのですが、国会でそういう順序になりましたから、国会の御審議にゆだねるよりこの問題は今方法があるまい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/127
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128・岡田信次
○岡田信次君 運輸大臣は、とにかく日本の交通の全体を所管しておられるのですから、あれがまあ何年先にできるかわかりませんが、私は相当遠い先のことと思いますが、まず実現した場合に、日本の交通界にも非常な大変改が起ると思いますので、今後海、陸、空を通じた全体の交通政策の上から、十分慎重に一つ大臣としてお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/128
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129・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) ほかにございませんか。——ございませんければ、委員長からちょっと一点だけ自動車局長に伺いたいのでございますが、第十条に除外例のことがございまして、その中に、駐留軍と、国際慣習から外交官等に対しても適用しない云々とございますけれども、現にけさ韓国代表部の自動車が数名の死傷者を出したというようなことも新聞に出ておりまして、この法案の被害者の立場を保護するという建前から申しますと、この場合は、こういうような除外例を認められている車による被害というものが相当多いと思うものでございますから、これが除外されているということになりますとたとえばけさの新聞に出ていたような事故はどういうふうに取り扱われるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/129
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130・眞田登
○政府委員(眞田登君) 今までの国際慣習と申しますか、そういったものから、外交官の車は除外するということになっておりますので、この法案でもその例にならったわけでありますが、そういった外交官の車による被害というものについては、何も賠償関係を除外するというつもりではないのでありまして、もちろん普通の手続によって賠償されることをわれわれは希望しておるわけでございます。ただ国際慣習として、そういうものに対して強制という形をとることが適当でないのではないかということから、除外したのでございますが、外交官の場合などは、もっと一そうその国際的な信義を重んじて、妥当な賠償がされるものと私たちは希望しておるわけであります。
この法案では、一般の方法によりましたものですから、きょうの事故等についてどうであるかということにつきましては、ちょっと私としても早急の御返事をいたしかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/130
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131・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 先ほど岡田委員の御発言にもあったのでございますけれども、外交官の自動車あるいは駐留軍の車なんかは、被害者に対して賠償能力は持っているわけだろうと思うのでございますけれども、被害者はこういうような場合には特に弱い立場に置かれまして、とてもこういうところと直接折衝をして取ることはなかなかできませんし、あるいは調達庁でございますか、外務省でございますか、どっかの正規の手続を経て要求するというようなことになりましても、これはもうおそろしく長引いてしまって、結局は入院しなくてはならないとか、お葬式を出さなければならないとか、そういうことに間に合わないということに今まではなっておったわけでございますから、やはりこの法案のどっかに、被害者の立場を考慮するという面を強く強調なさるなら、さっき岡田委員が提案されたような事故処理機関というようなものが、どうしてもその間に一つ置かれることが必要なんで、それがない場合には、これはこのせっかくの法案はちょっと片手落ちのような面が、弱い被害者の立場からいうとあるのじゃないかと思うのでございますから、そういうようなことについて、当局としてもっと具体的にどういうふうにするというようなお考えはないのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/131
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132・眞田登
○政府委員(眞田登君) 外国の例などを見ておりますと、大体営業車などは、たとえば一万ドルの保険をかけないと営業を開始できないというふうな形でやっておりますし、大体が保険に入っているのが実情のようでございまして、そういう意味で、大体外交官の車も任意保険に入っているというのが通常の状態ではないかしらと思われるのでありまして、これにつきましてなおよく調べまして、そしてこういったことについて、入っていないような場合がかなりあるようでございますれば、何か別途被害者の救済のための方法を考えてみたいと思いますが、この点につきましては、なお実情をよく調べさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/132
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133・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) では、この次までに、今日の、けさの新聞に載っていた韓国代表部の問題がどういうふうに取り扱われているかということについて報告をしていただきたいと思いますから、お願いいたします。
ほかに御質疑はございませんですか。——それでは今日はこれで質疑は終了したものと認めて、今日はここで一応、残余の質疑は次回に譲ることといたしまして、今日はこれで散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02419550712/133
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