1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十九日(火曜日)
午前十時五十六分開会
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委員の異動
七月十五日委員田中啓一君辞任につ
き、その補欠として白井勇君を議長に
おいて指名した。
七月十八日委員野溝勝君及び井村徳二
君辞任につき、その補欠として小林孝
平君及び鶴見祐輔君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長
青木 一男君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
土田國太郎君
平林 剛君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
白井 勇君
藤野 繁雄君
宮澤 喜一君
片柳 眞吉君
小林 政夫君
前田 久吉君
岡 三郎君
天田 勝正君
松澤 兼人君
中川 幸平君
最上 英子君
木村禧八郎君
政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵省主計局法
規課長 村上孝太郎君
大蔵省主税局税
関部長 北島 武雄君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省銀行局特
殊金融課長 加治木俊道君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会開会の件
○小委員の補欠選任の件
○補助金等に係る予算の執行の適正化
に関する法律案(内閣送付、予備審
査)
○資金運用部特別会計法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○国民金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/0
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。
まず連合審査会に関する件についてお諮りいたします。去る十五日決算委員会より本委員会に付託されております補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案について、連合審査会を開かれたい旨、委員会の決議を経て申し入れて参りました。本法案の提出に至りました経緯等にかんがみ、この際、右申し入れ通り決算委員会と連合審査会を開くことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/1
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002・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。なお、連合審査会の日時等は両委員長の協議により決定いたしたいと存じますので、これは委員長に御一任願いたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/2
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003・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、小委員補欠選定の件についてお諮りいたします。去る六月二十二日森下委員の委員辞任につき、小委員に一名欠員を生じましたので、その補欠を互選いたしたいと存じますが、前例により委員長より指名することに御一任いただきたいのでございますが……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/3
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004・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。それでは小委員に松沢委員を指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/4
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005・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案を議題とし、政府より提案の理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/5
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006・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) ただいま議題となりました補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
国の歳出予算は、国民から徴収された税金その他貴重な財源でまかなわれており、厘毛たりといえども、これが不正、不当に支出されるがごときことは許されないのでありまして、政府におきましては、常に、これを公正かつ効率的に使用するように努めている次第であります。
しかしながら、昭和二十八年度決算検査報告によれば、不当事項として二千二百余件が指摘され、そのうち支出に関係するものが千四百余件であり、このうち約九割近くを占める千二百余件は補助金に関するものでありまして、累年その件数は増加の一途をたどってきた現状であります。その内容は、事業費について過大に積算したり、不実の積算をしたものや、設計通りの工事を施行しなかったり、自己負担を免れたり、はなはだしいのは架空の工事や二重の申請をして国庫補助金等の交付を受けたもの等があります。補助金等が国の歳出予算の約三割を占めている現在、これらの補助金等に係る予算の執行の適正化をはかることは、喫緊の要請であり、今回、ここにこの法律案を提案した次第であります。
この法律案は、補助金等の交付の申請、決定その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することによりまして、補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止等をはかるとともに、他面補助金等の交付を受ける者に対する不当な取扱いを防止する等の措置を講じ、もって、補助金等に係る予算の執行の適正化をはかることを目的とするものであります。
以下、この法律案の主たる内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律の適用を受ける補助金等とは、補助金、負担金、利子補給金及びその他国が相当の反対給付を受けないで交付する給付金であって政令で定めるものとし、補助金等に関しまして他の法律又はこれに基く命令に特別の定めのない限り、この法律によることといたしているのであります。
第二に、補助金等の交付の申請及び決定につき必要な手続を明確にいたしました。すなわち、補助金等の交付の申請及び決定の手続を規定するほか、決定に際し必要な条件を付することといたしますとともに、交付決定後に天災地変等特別の事情により補助事業の全部又は一部を継続する必要がなくなった場合等において当該交付決定の全部もしくは一部の取り消し又は決定の内容もしくはこれに付した条件の変更ができることとしております。
第三に、補助事業等または間接補助事業等の遂行に当っては、常に善良な管理者の注意をもって遂行すべき業務を課するとともに、補助事業者等の提出する報告等により必要がある場合には、当該補助事業等を適正に遂行すべきことを命で、また必要に応じ一時停止を命じ得ることとし、更に事業完了後は必ず実績報告を徴し、その審査及び必要に応じて行う現地調査等により補助金等の額を確定することといたしているのであります。なお、補助事業等により取得した財産等につきましては、補助金等の交付の目的に反する使用、処分等を原則として禁止することといたしているのであります。
第四に、補助事業者等または間接補助事業者等が補助事業等または間接事業等に関し、法令等に違反し、また補助金等もしくは間接補助金等の他の用途への使用をした場合には、補助金等の交付の決定の全部又は一部の取消をすることができることとし、この取り消しがあった場合ですでに補助金等が交付されているときはその返還を命ずることとし、右の返還命令があったときは加算金を納付させることとし、返還金を納期日までに納付しないときはさらに延滞金を納付させることとするとともに、これら返還金等の納付がない場合には、他の補助並等の交付を一時停止しもしくは他の補助金等と未納付額とを相殺することができることとし、さらに、これら返還金等の徴収に当っては国税徴収の例によることができることとしているのであります。
第五に、偽りその他不正手段により補助金等の交付を受けまたは間接補助金等の交付もしくは融通を受けた者、あるいは、補助金等もしくは間接補助金等の他の用途への使用をした者等に対し、所要の罰則規定を設けているのであります。なお、地方公共団体に対しては、その団体の性格上、団体自体には罰則を適用しないことといたしているのであります。
第六に、右のごとく補助事業者等に対し相当厳格な規律をもって臨むことといたしたのでありますが、他面補助金等を交付する側においてもその取り扱いをより適正にするため、補助金等に関する事務その他補助金等に係る予算の執行に関する事務に従事する職員に対し、事務を不当に遅延させたりまたは必要な限度をこえて補助事業者等もしくは間接補助事業者等に対し干渉してはならない義務を課したほか、補助金等の交付の決定その他の処分に不服のある地方公共団体に対しては、不服申立の道を開くことといたしているのであります。なお、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社に対しましても、この法律を準用することといたしているのであります。
以上、この法律案の提案の理由及びその概略を申し述べた次第であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/6
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007・青木一男
○委員長(青木一男君) 主計局法規課長から補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/7
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008・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) ただいま提案理由の説明をいただきました補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案の補助的な説明をさしていただきます。
この法律案は、すでに御承知と思うのでございますが、第十七回の国会におきまして参議院の予算委員会で、予算の不正不当支出防止に関する決議という決議が成立いたしまして、その決議によりまして、何らかこの膨大なる、補助金の執行の適正化についての措置をしなければいかぬという国会の御意思に基きまして、昨年十九国会に提案されたいきさつを持っております。十九国会におきましては、衆議院の大蔵委員会において審議未了になりまして、引き続き、継続審議ということに相なったわけでございますが、昨年の臨時国会当時におきまして、一日の余裕もなく通常国会に入りまして、そのために継続審議の規定の適用がなくて、そこで審議が打ち切られたわけでございます。廃案になったわけでございます。
そこで政府といたしましては、この国会におきまして、もう一度この法案の御審議を願いたいというわけで提案いたしたわけでございます。十九国会におきまして提案いたしました法案と、本国会におきまして提案いたしましたものとの間にはさほどの差はございません。いろいろ表現の巧拙の問題で表現のし方を改めました点と、あとは罰則につきましてある程度の変更をいたしたということでございます。
われわれがこの法案を提案するに至りましたその理由といたしましては、先ほど申し上げましたこの十七国会における参議院予算委員会の決議というものが重要な因子になっておるわけでございますが、政府といたしましても、従来三千億になんなんとする補助金というものの執行につきまして、会計検査院その他世上におきましても、いろいろ新法律の点についての問題がいろいろ論議されて参りまして、何とか執行の適正化をはかりたいということで考えて参ったわけでございます。
この法案の目的といたしておりますのは、そういうふうな経緯から、この補助金の執行につきましてはもちろん、法案に盛られましたこと以外、たとえば査定を厳重にするとかいろいろなことによって、執行についての適正を確保するという努力も必要でございますが、さらにそれに加えて、この法案によりまして補助金を通じて、公金と申しますか、国民の血税というものによってまかなわれる公けの金というものに対する認識というものを、ここではっきりさせようというふうな考えを持っておるわけでございます。
これを具体的に申しますというと、たとえば本法案の二十九条におきましては、従来の刑法におきます詐欺あるいは背任というふうなものの一種の特別法的な規定になっておりますが、従来の詐欺というような観念から申しますというと、人を欺罔して獲得した財物といいますか、財を自分の私腹を肥やすために使うというのが従来の観念でございます。補助金につきましては欺罔して補助金をたくさん獲得するということは、たしかに同じ条件でございますが、それが村のためあるいは町のためということになりますと、いわばそれが多数の団体のためにやったんだから、決して悪くないじゃないか、むしろ一種の英雄視される、これは私は新聞の論評にそう書いてあるので申し上げるのであります。そうした一種の社会通念と申しますか、そういうふうな補助金に対する考え方が従来あったわけでございます。従って補助金に対してはできるだけたくさんふっかける。あまり過ぎて返えせと言われれば、もともとだという、そうした観念が通念としてびまんしております条件下におきまして、いかに補助金を官僚の方で、あるいは行政部の万で目を皿にしていたしましても、何万件という言わば補助金件数につきまして、一々神さまのごとく明快なる判断をくだすわけに参りませんで、どうしても適正ならざる補助金の交付というものが行われるわけでございます。従って補助金の執行の適正化を確保するためには、補助金を申請する、補助金を使う方が、必要にしてかつ最低限の補助金というものが、最も正しい補助制度のあり方となるのだ、それ以上の補助金を取るということは、たとえ村のため、町のためでも反公益的なんだ、反社会的なんだという認識をはっきりさせていただいて、その結果、申請する万もある程度自粛していただくというふうな、そういう雰囲気にならなくては補助金の執行の適正化というもりは確保できないのではなかろうかということを、われわれは考えておるわけでございます。本法案の二十九条以下に刑事罰の規定が三条ばかりございますが、この刑事罰の規定も決して地方公共団体の理事者等を縄付きにするというのではないのでありまして、こうしたはっきりした刑事罰というものによりまして、パブリック・ファンドと申しますか、公けの金に対する観念をはっきり改めていただきたい、はっきり補助金というものは国の一部に対して国がたとえば国家的な見地からとの意義を認めて、一定の補助を一定の条件、一定の目的に交付するものでありますので、そうした条件なり目的なりに反するところの補助金の使用なり獲得なりということは、これはそれ自体反公益的なんだという認識をはっきりさしていただきたいという意味から、本法案におきまする取締法規及び刑事罰の規定ができ上っておるわけであります。いわばわれわれの気持といたしましては、その補助金に対する、パブリック・ファンドに対する一般の認識をはっきり改めるということがこの法案の第一の目的でございまして、それ以外に何ら罪人をさくさん作るとか、そうしたいわゆる刑事罰の規定から通常予想される効果をねらっておるわけではないのでございます。それから第二には、これに対しましてさらに従来も補助金の不正な使用あるいは補助金の不適正な執行というものについては、いわば交付する側にもいろいろ問題があるのではなかろうかというふうなことも、前十九国会においていろいろ問題になっております。これに対しまする規定といたしましては罰則に、たとえば二十四条あたりの規定でございますが、補助金の交付に関しては不当に遅延さしたり、あるいは不当な条件をつけて干渉したりしてはいけないというふうな規定がございまして、交付する側におきましても、もしこの二十四条の規定に違反するごとき不当干渉等の事実があるならば、たとえば刑法第百九十三条の職権乱用罪にもなりましょうし、あるいは公務員法十二条によるところの懲戒処分の原因にもなるでありましょう。こういうふうなことによって、交付する側においても、せっかくの血税が十分な資金的効果を発揮するように、適切な時期に適切な額が交付されるということに努力しなければならんという規定があるわけでございます。その他十九国会におきましては単価の問題がいろいろこの法案の審議につれて出ております。たとえば国の補助金の単価というものが非常に少ないのです。そのために結局員数をごまかすというふうなことになるのではなかろうか。こういうふうな御意見がたくさんあったようであります。昭和三十年度の予算を組みます際には、この点につきましてもいろいろ反省をいたしまして、この補助金の単価について問題がございますのは、われわれが会計検査院の報告等に徴してみますというと、大体人件費の補助関係にある程度そういう問題があったように思うのでありますが、約八万人の補助職員がございますが、その約半数の四万人に近いものについて、補助金の単価も、昭和三十年度の予算を編成いたしまする際に、単価の増加と申しますか。適正な単価に組み直しております。いわゆる事業費につきましては、すでに会計検査院の報告等で御存じであろうと思うのでありますが、どうも事業費は単価の問題ではなくて、与えられた事業費についての補助金を利用いたします場合に、その補助金をできるだけ有効に使うと申しますか、八割の補助金で二割が自己負担というのを、八割の補助金だけは全部やってしまって、二割の自己負担はまるまる出さんで済むようにというような、そういう考え方から八割の中に圧縮する結果、粗悪工事にならざるを得ないような単価になるという事例はままございますけれども、その他大体事業費については国の単価が不適正なというよりは、自分の負担を免れるために、手を抜くような工事をする。そういうふうな事例が多いようでございまして、われわれは十九国会に、この法案に関連いたしまして、いろいろ御意見をいただきました補助金の単価の問題につきましては、大体人件費に関するものではなかろうかというふうに考えておりますが、その点につきましても、昭和三十年度の予算の編成に際しましては考慮いたしております。
こういうふうなものがわれわれの法案のねらいでございまして、何よりもこの補助金を交付し、申請する、この両者の間にその資金であるところの国民の血税というものを最も有効に生かさねばならぬという、またそれを有効に生かさないことは、きわめて反社会的あるいは反公益的な行為であるという、はっきりした認識といいますか、道義観念の確立ということを、この法案はねらっておるわけでございます。
この法案の中身について簡単に御説明をいたしますが、全文三十三条からなっておりまして、六章に分れておりますが、第一章につきましては、先ほども提案理由の説明の中でございましたように、まずここで「補助金等」というこの法律案の対象にするものは何かということの定義がいたしてございます。補助金、負担金、利子補給金というふうなものが並んでおりまして、その他相当の反対給付を受けないで国が給付する金銭というふうに書いてございますが、いわゆる反対給付なしに交付する、補助金というのが、これがいわば非常に乱用に流れるということから、単に名義が、あるいは予算の科目が委託金あるいは交付金となっておりましても、ここにいう実質的な反対給付を受けない金銭の給付という、補助金と同じような実体を持っておりますものについては、すべてこれを本法の対象にするのだ、こういうことが定義してあるわけでございます。ただ、たとえば負担金などという費目の中には、もちろんそれに相応するところの事業、あるいは事務をやってもらうと申しますか、反対給付を受けるような負担金もございますので、そういうふうな実質論から申しますというと、たとえ負担金となっておっても、この本法の精神からははずして差しつえないいというふうなものもございますが、そういうふうなものについては二十七条でございますか、二十七条によって具体的にこの法律の一部にこの法律の一部をまた別に適用しないこともできるというふうな形になっております。要は実体的に反対給付を受けないで交付する補助金あるいは国からの金銭という、それが一番こうしたぶんどり主義の対象になる何ら義務を負わない金銭であるという点から、その執行が乱用されやすいという点から、そうした弊害が起りやすいものを名称とその実体の両面からつかまえるように定義してあるわけでございます。本法の対象になります補助金、負担金、利子補給金等々を元にする事業、あるいはこれによって受けるところの利益というふうなものについて、その次に補助事業あるいはその主体となるものについて補助事業者というふうな定義が、ここにずっとしてあるわけでございます。利子補給金が特にここで特記されておりますのは、御存じのように、外航船舶の建造融資利子補給というふうな、現在の実体的な補助制度の中身における利子補給制度というものが大きな予算上の制度を占めておるということがら特記しておるわけでございます。
第三条には「関係者の責務」というふうに書いてございまして、先ほど私が申し上げました、いわば補助金行政をめぐる交付するもの、あるいは申請するものともに、公正かつ効率的な使用に努めなければならぬということを各省各庁の長に対する訓示的な形としてここに書いてあるわけでございます。それから二項は、それを受ける方の立場から、やはり同じように先ほど申し上げましたような補助金に対する道義的観念と申しますか、その執行の適正化に努めるように、同じような訓示規定があるわけでございます。
第四条は「他の法令との関係」というものに関する規定でございますが、補助金に関する法律の中には特別に、たとえば生活保護法のごときは、生活保護法自体の補助制度というものに、いろいろ違反した場合に五万円以下の罰金とか、三年以下の懲役とか、いわば特別な補助制度については特別な罰則のあるものはございます。これはいわばこの補助金の適正化に関する法律案が補助制度に対する一般的な取締り法規、あるいは実体法規であるのに対しまして、さらにそういう特別法的なもので取締り法規的なことを規定しておるものもございますので、そういうものについては、まずそうした特別法が優先的に適用があるのだということを書いてあるわけでございます。
その次の第二章は、これはいわゆる従来まで各行政官庁の補助制度の実体としていろいろまあ各省まちまちにやって参りました補助金の交付の行政に関しまする制度をここで統一しよう、そしてはっきりした形でもって法定しようというふうな趣旨から、従来たとえば補助指令というふうなことでここに書いてございます補助金の交付の決定という行政処置と、さらにその次の補助金の交付の付款と申しますか、交付の条件というふうなものを一緒くたにして、いわゆるまあわれわれは俗語として、補助指令ということを言って参ったのであります。それをここではっきりとそれぞれの行為について、それぞれ統一的な行政制度として規定しようということでございます。
第五条は交付の申請をする、まあ従来も補助金の申請者というものは同じようなことをやっておったわけでございますが、ただここではこの申請者としては補助事業等の目的、内容、経費、その他必要な事項、その他各省各庁の定める書類というふうに、申請書の様式というものをこまかく規定しておるわけでございます。
その次は申請されましたときに、これに対して各省各庁の長が交付の決定をいたすわけでありますが、その交付の決定については書類等の審査のみならず、必要に応じて現地調査をやってきめなければならないというふうなことが書いてございます。そうしてその目的、内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤まりがないかどうかということをよく審査して、補助金等を交付すべきものと認めたときには、すみやかに補助金の交付の決定をしなければならない。交付の決定という行政行為によって、はっきりと行政官庁の意思を出さなければならぬ、こういうふうに書いてあるわけでございます。ただその場合に各省各庁の長の立場から申請内容を変更して、補助金等の交付の決定をする必要のある場合には修正を加えて交付の決定をすることもできるというのが第二項の規定でございます。
第七条は従来の補助条件と申しますか、補助金を交付しますときに、補助金は交付するが、そのかわりこういう条件に従わねばならぬということを補助指令に従来も規定しておった場合もあったわけでありますが、それを次の第七条におきまして、はっきりとこういうふうな補助金等の交付の条件については規定しなければならぬということが書いてあるわけでございます。たとえば補助事業に要する経費の配分の変更、たとえば工事費と事務費というふうな配分、当初申請書にはもっともらしく書いてあって、あとで工事費を削って、酒を飲むという場合にはそれは各省各庁の長の承認を得なければならぬという条件が規定してあるわけでございます。それから次の締結する契約に関する事項、これは前金払いとか、部分払いとかいうふうなものにつきましても、あらかじめこの補助金の交付の際の条件として付さなければならない。まあ以下こまかいことになりますので、省略いたします。
こうした条件をつけまして、交付の決定をいたしますと、その決定の通知ということをやって、はっきり申請者に対する意思表示をするというのが八条であります。
第九条は行政官庁から交付の決定を受けたけれども、その決定を受けた条件、その他から見るというと、自分の考えと違うから、もう補助金は要らぬということで、申請書の取り下げをしたいという場合には、申請の取り下げができるということが書いてあるわけでございます。従来の観念から申しますと、補助金はもらい得でありますから、こういうふうに良心的に申請の取り下げということの規定は一体必要であるかどうかという疑問も起るかと思うのでありますが、もしこの法案に関しまして、先ほど申し上げましたように、補助金というものに対する一般の御認識というものが改まれば、こういうことも論理的に当然あり得るということから規定しておるわけであります。
その次は十条の決定の取り消しという規定でございます。決定の取り消しにつきましては、第十条とそれからあとに出てきます第十七条との二カ条が決定の取り消しという行政行為を規定しております。この二つの取り消しはそれそれ違っておりまして、第十条の方の決定の取り消しは、これは何ら申請者その他に悪いところがなくて、決定を取り消すと申しますか、たとえばある提防の補助金の交付の決定をした。その後その上流に大きなダムを作るという計画ができて、そのダムを作れば、下の堤防をそう補強する必要がないというようなことになりますと、国の資金的な効率としては、下の堤防補強の補助金をやめまして、それ以上に金がかかりましても上流にダムを作ることの方が必要なんです。下流の村、あるいは町にしましても、上流にダムができて、洪水のおそれがなければ、もちろん堤防の補強をする必要がない、そういうふうな事情の変更がございましたときに、国といたしましては一度決定しました補助金等の交付の決定処分を全部または一部取り消しまして、そうしてその場合に、もし補助事業等のうち、すでに経過した期間にかかわる分があれば、これはもちろん取り返すわけには参りません。あるいはまた下流の万の堤防補強の工事を中止することによって、たとえば請負業者に違約金を払わなければならぬというような場合には、そういう特別に必要になった事務または事業に対しては、政令の定めるところによって、新しい補助金を交付するというような善後措置を講ずることによりまして、国全体といたしましては、地方の利害も生かし、かつもっと資金効率の高い補助制度に切りかえるというふうなことができるような規定になっておるわけでございます。これが第十条の方の規定であります。
これに対しまして第十七条の方の取り消しの方は、これは補助金を交付いたしましたけれどもその交付の条件に違反したり、要するに従来の不正使用と申しますか、補助金の目的に反して使用するような場合に、そうした補助金交付のときの諸条件に反するということでは、国といたしましては補助の理由がなくなるわけでありますから、そうした場合に補助金の交付の決定処分を取り消すというふうなことになるわけでございます。これが第二章の補助金等の交付の申請及び決定に関する規定でございます。
第三章はこれは補助金をいよいよ事業者等が使います場合に、その執行についてのいろいろな取締り法規及び使ったあとにおいて、産業が済んだあとにおいて、国といたしましてもその締めくくりをつけ、補助金の精算をいたす必要がありますので、そうした補助事業の済みましたあとのいろいろな措置について規定がしてあるわけでございます。
条十一条は、補助金を交付いたしました場合に、その補助金の遂行をいたします場合、補助金の交付の決定の内容及びこれに付した条件、あるいはその他法令に基く各省各庁の長の処分に従って補助事業等を行わなければならない。いやしくも補助金等を他の用途へ使用してはいけないということが書いてあるわけでございます。第二項の方は、間接補助金についての同じような規定でありまして、ともに善良な管理者の注意をもちまして、自分の金と同じように、補助金につきましても最も適正な執行をしなければならぬということが書いてあります。
第十二条は、その遂行をいたします場合に、その中間の状況報告をしなければならぬということであります。
第十三条は、これはちょっと変った規定でありますが、各省各庁の長は、補助事業者等が提出する報告等、あるいは実地に見聞いたしました場合にも同じことでありますが、実際に補助事業者などは善意か悪意かわかりませんが、補助金を使って事業をしているが、どうもそれが交付の決定の内容、またはこれに付した条件に従っておらぬというふうに認めます場合には、交付の条件なり、交付の目的に沿うように使いなさいということを命ずることができるようになっております。その上きかないときには、さらにやっておる仕事を一時遂行を停止しろというふうなことを命ずることができるようになっております。で、この二項の命令に違反いたしますというと、第三十一条によりまして、刑事罰がかかることになりまして、六カ月以下の懲役、三万円以下の罰金というふうになっておりまして、いわば補助金事業というものを、その中途において誤まりありと認めたときに、これを矯正することができるような規定でございます。
それから第十四条は、補助事業が済みました場合に、その実績についての詳細な報告を出さねばならぬということであります。この実績報告によりまして、第十五条で補助金の額の確定がされて、交付すべき補助金が幾らであるかということの最後的な決定がなされるわけであります。この第十四条の実績報告というものは、従来も当然なされておるはずのものでありまして、ここではっきり規定をいたしまして、この規定に違反して実績の報告をしないと、第三十一条で同じく六カ月以下三万円以下の罰則にかかることになっております。で、これはいわばパブリック・ファンドの補助を受けてやった仕事というものが、一体どうであるかということの最後の締めくくりをするわけでありまして、非常に重要な報告でございますので、この十四条の実績報告をしない場合には、先ほど申し上げました三十一条の罰則がかかるということになっております。
第十六条は、「各省各庁の長は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合において、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合しないと認めるときは、当該補助事業等につき、これに適合させるための措置をとるべきことを当該補助事業者等に対して命ずることができる」、いわば先ほどの十三条は途中において補助金事業の目的に合致しないときにこれを矯正する措置でありましたが、十六条におきましては、すでに補助事業が一応済んだ後でも、もし補助行政の目的に反しておると認めるときには、これを適応させるような措置をとるべきことを命ずることができるというふうになっておるわけであります。
第四章におきましては、第三章において規定してありますように、補助金の遂行をいたしまして、それが実際に補助金の本来の目的に使われてないという場合に、いわば国としては財政的に、財産的にそれだけの損害を受けたということでありますので、それの是正と申しますか、決定を取り消した場合に、その取り消した補助金については、これを一定の手続によって返還させるということが書いてあるわけでございます。
まず第十七条、先ほどの第十条に対しまして、いわゆる補助目的以外にその補助金が使われておる。正しくないことに補助金が使われておるという場合の取り消しの規定でございます。で、この取り消しの規定によって取り消されました補助金については、十八条によって補助金の交付の決定を取り消した場合において返還をしなければ、ならぬということが書いてございます。その返還の命令については、一定の期限を定めて返還を命じなければならぬということがこの十八条の規定でございまして、十九条におきましては、返還をさせる場合に、一定の条件に従って延滞金を取るという、あるいは加算金を取るという規定でございます。で、またこの返還の命令に応じなくて補助金も返さないというときには、当該地方公共団体につきまして同じような、あるいは当該補助金の受領者と申しますか、補助金の受領者に対しまして、同種の事務または事業についてさらに交付すべき補助金がある場合には、その交付すべき新たな補助金の交付を停止するということによりまして、いわばこれは一種の留置権みたいなものでありますが、返還を確実ならしめるというようなわけでございます。返還につきましては、すべてこの強制執行について国税徴収の例によって簡単にされ得るように第二十一条に徴収の規定がついております。これが第四章の規定でございます。
第五章におきましては、これは雑則で、いろいろな規定がここに入っておるわけでございますが、二十二条は財産の処分の制限、これは補助金という形においては、従来の今まで規定されました規定で十分抑えられるわけでありますが、それが一たび物なり他の財産に変った場合には、その処分をあまり勝手にやりますというと、結局補助金の交付目的に反することになりますので、そういう点についての、補助金によって獲得した財産の処分の制限を二十二条に規定しておるわけでございます。
それから二十三条におきましては、この補助金の執行の適正化を期するために関係の職員がいろいろな検査をしたり、あるいは報告を受けたり、あるいは質問をすることができるというふうな規定がついておりまして、これによってこの二十三条に、調査と申しますか、そういう権限をはっきり確立して、その調査に、あるいは検査に対して拒否をした場合には、三十一条の罰則にかけるということによって、補助制度の現在の執行が一体どうなっておるかということをはっきりと十分に関係職員が調べることができるというふうな基礎を確立しておるわけでございます。
それからその次の二十四条は、先ほど申し上げましたように、補助金の制度というものは、申請するものもさることながら、補助金を交付する側においても、一定の公正なる立場において交付しなければならぬということから、二十四条には補助金を交付する職員に関する訓示的な規定がついておるわけでございます。
二十五条は、この補助金に関するいろいろな不服の問題がありましたときに、不服の申し立てをすることができるということが書いてございます。
それから二十六条は、これはまあ大した規定ではないので、機関委任ができるという規定でございます。
二十七条は先ほど申し上げました適用除外も二十八条は施行命令についての規定でございます。
第六章の罰則、これが一番大きな問題になるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十九国会において提出しました法案と今度の法案と相異なりますところは大体三カ所ございます。
一カ所は、まず二十九条の偽わりその他不正の手段によって補助金等の交付を受けた場合には、十九国会に出しました法案では十年以下となっておりましたのを、ここで五年以下としたわけでございます。それから第二項として従来は未遂罪を罰するような規定がついておりましたが、この新しい法案では未遂罪の罰則規定を除いたわけであります。
それから第二点は第三十条の「三年以下の懲役」と書いてございますが、これが十九国会に提出しました法案では五年以下となっております。
それから一番最後の第三十四条の規定という、これは現在はないわけでございます。これは申請書に不実な記載をした場合において行政罰を科するという規定でありました。この規定を削っただけであります。
なぜそういうふうな改正をしたかという問題でありますが、先ほど申し上げましたように、われわれの考え方といたしましては、この補助金の執行適正化の法案の非常な大きなといいますか、一番大事な問題は、先ほど申し上げましたような、いわゆるパブリック・ファンドと申しますか、国の金、これはもともと国民の血税から出ておるわけでありますが、そうしたものに対する観念をはっきりさして、そうして補助金に対する、いわば道義的な社会通念というものを正しく確立していただきたい、こういうふうな趣旨から出ておるわけでありまして、そういう意味から申しますというと、必ずしもここにございますような偽わりの手段によった補助金の交付が必ず詐欺と同じような刑に処せなければならない、詐欺と同じような罪人を出さなければならないというような必要はないのでありまして、要するにそうした反社会的な、反公益的な行為であるという、いわば道義観念を確立していただくというような点からして、あまり重い罰則をつけることによりまして、かえって補助制度の本来の効果というものを、地方公共団体の理事者等に与える脅怖心からそれを負わすということも得策ではない。要するに問題はあるべきところに、正しい補助金に対する見方というものを確立するという、しかもそれによって補助金制度というものがきわめて円滑に行われていくということが必要なのでありまして、そうした必要以上の畏怖を与える、あるいはそれによって萎縮させるというような反作用によりまして、かえって補助金制度というものが円滑にいかないということも考慮いたしまして、今申し上げましたような刑事罰の軽減をしたわけであります。
それから行政罰の方の不実の記載というようなこの規定を削りました理由のものは、これはたとえば五十メートルの堤防を作りたいという申請を出した。実際に、土木技術から言うと三十メートルで済んだというときに、一体その二十メートルというものがほんとうに悪意から出たものであるか、それとも技術的な判断が不十分であったということによってそうなったのかいろいろ問題があると思うのですが、そうなると、単なる不実の記載というだけでもって、すべてを行政罰の対象にするということは、いわば先ほど申し上げましたような申請する側の自由な自分の考え方を披瀝させるという面から見ると、いかにも危険な規定であるという説も一方にございましたので、そういう点から、この行政罰の三十四条を削ったわけでございます。簡単でございますが、以上この適正化法案のこまかい説明を申し上げたわけでございますが、何分非常に複雑な法律でございまして、表現もややかたいところもございますので、詳細には、またいずれ質問を受けまして御説明をすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/8
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009・西川甚五郎
○西川甚五郎君 政務次官に伺いますが、この法案は参議院の決議案になり、また第十九国会において審議未了になって再びここにお出しになったのでありますけれども、会期はもうあと十日であります。しかして村上法規課長の話によりますと、修正点は三カ所である、こういう法案をなぜ今国会にお出しになったか、それの理由伺いたい。
それともう一つ伺いたいのは、果して政府がこの法案を成立することをほんとうに望んでおられるのか、あるいは外から何かの圧力があってこの法案が延びたのか。さらにただいま聞きますと、各議員に対して相当反対の陳情がもう法案が出ん先からきておる。こういうような圧力が議員に相当地方からやってきておるということで、政府、与党がこれをお出しになるのをよほど躊躇しておられたと思うのですが、あるいはこれをもって、この法案出して、ゼスチュアとしてお出しになるのであれば、われわれ審議する必要はない。われわれこれだけのたくさんの法案が山積しておるのに、しかも今日このようなむずかしい問題、なおさら今後は米に対する減税問題、ああいう問題も出ましょうし、相当大きな問題もあるのに、この法案を今ごろお出しになって、十九国会にお出しになった法案と同じような法案をお出しになるその理由をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/9
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010・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) この補助金等に関する法律につきまして、大へん提案のおくれましたことは私ども申しわけなく存ずるわけであります。実は私どもといたしましては、十分御審議の期間を置いて御審議を願えますように早く出したいというふうに考えておったわけでございますが、政府部内に多少この問題につきましての異論もございまして、それを調整するのに時間がかかりまして、このようにおそくなりましたことは大へん申しわけなく思っております。ただ、ただいまお尋ねがありましたように、政府としては出しただけで通す意思もないのじゃないかというようなお尋ねでございますが、実はこの問題につきましては、政府として、どうしてこういう法律をもってやらなければ、先ほど未提案の説明を申し上げあるいは補足説明を申し上げた際にしばしば繰り返して申し上げたような補助金にかかわるいろいろな不正の問題等も、もちろんこれは政府側の十分気をつけなければならない面もありますが、やはりこういう法律を成立させていただかなければならぬというふうに考えておりまして、大へん御審議の期間が短かくなりましたことは申しわけないのでございますが、ぜひとも御審議をいただいて、この法律案を成立させていただきたい、こういうふうに念願するものでございます。
そうしてまたこの法律案を出しますにつきまして、外部的ないろいろな問題があったかというお話でございます。もちろんこれらが出されるというようなことにつきましての外部的な動きもあったようでございますが、政府は別にそうした外部の動きによってこの法律案の提出を渋っておったという事実はございませんことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/10
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011・青木一男
○委員長(青木一男君) 内容に関する質疑は次回に譲りますが、資料の要求がありますれば、この際お述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/11
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012・小林政夫
○小林政夫君 この法案に該当する三十年度予算の補助金、負担金、利子補給金、その他相当の反対給付を受けない給付であって政令で定めるもの、これは全部項目別にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/12
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013・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 実は補助金等と称するのは一冊の本になっておりまして、この中でこの反対給付のないものだけを選び出せとおっしゃるならば、その本にしるしでもつけまして差し上げてみようかと思っておりますが、これくらいの厚さの本であります。それからまだ昭和二十九年度分しかできておりません。昭和三十年度分はまだ印刷になっておりませんので、何だったらそういう形ででも一つ御審議を願おうかと思っておりますが、何百種類となくございまして非常に膨大なものであります。それを一つずつについて区分けをしていくというのは、ちょっとなかなか手数を要するわけでございます。さらにそれを印刷するということになりますと、ちょっと時間がございませんので、そういう便法でもとろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/13
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014・小林政夫
○小林政夫君 その本の内容はどういうふうになっておるのですか、補助金の性質、それから補助割合とか、法令自体よりもそういう内容が書いてあるものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/14
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015・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 補助金の予算科目と、金額と、それから法律的な根拠のあるものはその根拠、こういうような程度のものだったと思います。金額が二十九年度と二十八年度と二段くらいございましたか、そういうふうなものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/15
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016・木村禧八郎
○木村禧八郎君 こういう資料を出してもらえませんかね、たとえば失業対策費補助とか、それからまあ児童保護とか、生活保護、いろいろありますね、その場合に地方負担分があって、地方で負担しきれないために国からもらった補助金だけで、あるいはまた当然きめてある補助率による補助を地方が出さないでやるという事例が相当にあるのではないかと思うのですね、そういうものを知る資料を出してもらいたい、作れませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/16
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017・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) これは会計検査院の千何百件という批難事項はほとんどそれに類するものであります。会計検査院の二十八年度の検査報告をお聞きになりますと、あすこに少くとも災害関係あるいは公共事業費関係については、今おっしゃいましたような事例がずっと並んでございますが、あれを二つの表にいたすわけでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/17
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018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういう形でなしに、不正不当支出というのじゃなくて、これはこの中に入るのかどうか、たとえば国が補助を与えるでしょう、当然地方は負担しなければならんのを負担しないで、国のだけでやっちゃって、これは公共事業でも相当あると思うのですが、あれは会計検査院のあれでわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/18
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019・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/19
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020・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それからこういうことを知りたいのです。私は失業対策二十二万といわれるでしょう。今度は百六十何億地方が出す、だから地方が出さなければ二十二万収容できないですね。ところが地方がそれを出さないために二十二万を収容できない。また二十九年度あたりはそういう事例があったと思います。そのためにそういうようなことを、失業対策ばかりじゃなく、公共事業その他に対する資料かなんか、その傾向的なものでもいいでしょう、そういうものを作って出してもらえませんか、できたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/20
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021・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) それは私の方で何かいい資料でございますかどうかわかりませんが、出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/21
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022・小林政夫
○小林政夫君 さっきの方はくれるのですね。きょうじゅうぐらいに下さい。いや、これはぜひ上げようと思っているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/22
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023・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) それはもうとにかく探して持って参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/23
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024・山本米治
○山本米治君 各省各庁の外郭団体というものが補助金とある程度の関係があると思うのですが、外郭団体の一覧表というものがありますか、これを作っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/24
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025・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 現在行政管理庁の方で外郭団体の調査をしております表がございます。私の万から行政管理庁に申しまして取り寄せますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/25
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026・天田勝正
○天田勝正君 こういう資料は出していただけませんか。補助金を申請する場合よりも、むしろどうも與える方の側に不正というか、手落ちというか、そういうものが初めからどうも想定されるものがあると思うのです。たとえば二重査定なんかは明らかにその部類に属すると思います。現にその査定を受けておる同じ場所を次に査定をするというのは、その場所だけを見てもどうもおかしいというふうに感じなきゃならんと思うのだけれども、今説明を聞くとそういうのがさかんにあるのです。会計検査院の批難事項もずいぶんそれはあるように私らも聞いておるわけですが、そういうものが今不明のものもありましょうが、不明のものは仕方がないとして、わかったものだけの資料は、そう長い期間でなくて作れませんか、一つ相談ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/26
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027・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 補助金の不正使用と申しますか、これについての実際の資料はわれわれとしては会計検査院からいただくのが大部分です。私も拝見しました中には、建設省と農林省と両方からもらっているという例がたしか批難事項として述べておりますが、会計検査院ではその関係だけでどれくらいの例が集められますか、私の方から至急会計検査院とも打ち合せまして、どの程度の資料ができますか、一つか二つの例だけならばあまり資料としての価値がないのであります。どれくらいの例が集まりますか、一つ努力してみますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/27
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028・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう一つ、これはずいぶんめんどうなことだと思うのですが、やはり補助金適正化の効果を上げるために、予算を出すときに、これはあなたの万の関係じゃないかもしれませんですが、目の小目を出してもらえるとだいぶ違うと思うのです。ところがたとえば漁港補助というでしょう。どこのとこだかさっぱりわからないのです。だから積算のときの小目を出してもらうと、われわれ検討をするのに非常に違ってくると思うのです。これはおかしいとか……。ところが今の予算の出し方では、おかしいとかおかしくないとか、さっぱりわからないのです。それを機会があったら何かそういう資料を資料として出せるかどうか、それを検討してみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/28
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029・青木一男
○委員長(青木一男君) ただいま資料の要求がありましたが、極力できるだけすみやかに提出を希望します。
それから先ほど連合審査の件御承認を得ましたが、さらに決算委員長が先ほどこの席へ見えまして、特に決算委員会の全体の空気として、ぜひこの法案の今期内促進をはかりたい、これは大蔵委員も協力してくれという申し込みがありました。委員長といたしましては全然同感である。これは十七国会における本院の予算委員会の全員一致の決議に端を発しておるのであって、その後の会計検査院の報告によれば、ますますその敵が大きいことはわかってきておるのでございますから、結局これは一つ成立を参議院としては要望するわけでございますから、決算委員会と協力してこれはぜひともすみやかに成立を期したいと考えます。さように決算委員長には答えておきました。なお決算委員長とともに、衆議院の議事促進についても話し合いをしたいと思いますから、この点もあらかじめ御了承を得ておきたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/29
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030・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。――別に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/30
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031・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/31
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032・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/32
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033・青木一男
○委員長(青木一男君) 多数であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は慣例により、委員長に御一任願いたいと存じます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/33
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034・青木一男
○委員長(青木一男君) それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 山本 米治
土田國太郎 平林 剛
岡 三郎 宮澤 喜一
岡崎 真一 天田 勝正
中川 幸平 最上 英子
白井 勇 青柳 秀夫
木内 四郎 片柳 眞吉
藤野 繁雄 小林 政夫発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/34
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035・青木一男
○委員長(青木一男君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は衆議院において修正されておりますので、この際右の修正点について便宜政府当局の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/35
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036・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) 衆議院において御修正になりましたが、それは過般の民主、自由両党による予算修正にからみまして、国民金融公庫に対しまして、政府原案といたしましては、二十億、政府出資をいたすことになりましたのを、これを十五億削りまして、五億の出資にいたしまして、その十五億は資金運用部資金の方から出すという形になりましたために、公庫の資本金が政府原案では二百十五億となっておりましたのを、二百億に修正に相なりました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/36
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037・青木一男
○委員長(青木一男君) 質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/37
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038・藤野繁雄
○藤野繁雄君 恩給担保の貸付ですが、「国民金融公庫が行うし恩給担保金融に関する法律」によって見ますると、その第二条第一項で第一号、第二号、第三号というようなふうに区別されておるのであります。それで現在国民金融公庫が貸付けておられるのは、この今申し上げた第二条第一項の第一号、第二号、第三号のいずれにも貸しておられるのであるか、どうか、またその貸付の件数、金額はどういうふうになっておるのであるか、おわかりであったらば承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/38
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039・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 御質問の第一点、いずれに貸しておるかということでありますが、全部に貸す建前になっております。また現在の実績でも出しております。ちょっとこの分類が適当であるかどうか、的確な資料がないので、便宜国民金融公庫の方で分類しております。分類に従って御説明申し上げますが、恩給法による国庫支弁ですが、これが何だかまだ資料として整っておりませんが、二十九年五月から三十年五月までの実績を申します。だから十三カ月になるわけであります。十三カ月の実績でございますが、恩給法による国庫支弁の恩給の担保貸し、恩給を担保にして貸したものが三万五千八百二十七件、二十二億八千三百万円、これは累計になります。それから恩給法及条例による地方費支弁、これは町村の恩給組合の方はまた別に掲げておりますので、市で条例で出しているもの、それから府県の条例で出しているもの、それから恩給法に基いて地方費で出しているもの、かって国の官吏であった者が該当するのですが、これを対象にした恩給、これが一万一千四百十件、七万五千百万円。それから遺族年金が六百八十四件、三千万円。それから共済組合、これは官庁職員の共済組合、それからかって陸海軍にありました共済組合もあるわけでありますが、その年金を担保にしまして金融しましたものが一千二百二十九件、八千万円。それから町村の職員の恩給組合で出しております年金、これを担保にしまして貸しましたものが百三十四件、九百万円。
こういうふうになっております。合計で四万九千二百八十四件、三十一億五千三百万円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/39
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040・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今の御説明によってみますというと、市町村及び共済組合のようないろいろな方面にも出しておられるようなんでありますが、実際からすれば、こういう面に出しておられる金額が非常に少いうらみがあるのであります。従って地方においては恩給を主たる目的としている貸金業者、恩給担保の貸付をするようなものが多くて、非常に困っているような現在の状況であるのであります。たとえてみますならば日本恩給株式会社というようなもの、その他こういうふうな会社がいろいろあろうと思うのでありますが、こういうふうな会社の現在の内容はどういうふうなものであるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/40
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041・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 一種の貸金業者ということでありますが、検査権を発動して調べれば、直接の関係を調べられないこともないと思いますが、たまたま現在は私の手元にそういうことを調査した資料がございません。そういう会社があることは私も承知いたしております。
それからちょっと先ほどの、誤解を招くといけませんので説明を補足いたしておきますが、なるほど町村職員恩給組合年金の担保金融、共済組合年金の担保金融は非常に絶対額が少いようでありますが、この同じ期間、若干ずれておりますが、二十九年五月から三十年四月までのちょうど一年間の申込実績が出ております。こういったものと貸付の実績を比べますと、比率を申し上げますと、国庫支弁の恩給担保金融は、これをかりに貸付比率というふうに考えますと、貸付比率が申し込みに対して五六%、それから恩給法及び条例による地方費支弁のものが五九%、それから遺家族年金が三八%、共済組合年金が三六%、町村職員恩給組合年金の分が四五%、全部を平均しますと大体五五%になっております。パーセントの上から若干は落ちておりますけれども、不当にこれを差別的に待遇しているということはもちろん意識もいたしておりませんし、実績の上でもそう大きな開きは比率の上から見ますとないというふうに言えるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/41
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042・木村禧八郎
○木村禧八郎君 当初二十億円出資のはずであったのを、十五億金融債に振りかえることによって、国民金融公庫の負担分はどのくらいふえるか、三十年度の当初予算では二十億支出ということになったわけですね、そこでそれを金融債にすれば金利がつきますから負担がかさむわけですね。三十年度はそれでいいとしても、今度それが三十一年度、後年度にやっぱり影響を持ってくるのじゃないかと思いますが、その関係はどうなるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/42
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043・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 実は私の方もそういった点は心配しまして、一ぺんはじいてみたのですが、今日は持ってきませんでしたが、今後も同じように出資は期待できないというように、できるだけ要求しますけれども、どうなるかわかりませんので、一応出資がほとんどない、大体この借入金でまかなわなくてはならぬといったことを前提にしまして、たしか私の方ではじいてみましたのは、二年先まで大体百億ぐらいずつ資金が供給される、全部資金運用部からの借入でまかなう、そういう計算をしてみたのでありますが、大体大丈夫であります。別に現在の金利、今度九分六厘に下げましたけれども、九分六厘に下げて計算しましても、なおかつ赤字が出るようなことはございません。国庫納付金が若干減るかという程度であります。ちょっと今数字を持ってきませんでしたが、はじいてみたところはそういうことであったようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/43
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044・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その数字を聞いているので、あなたの方は大丈夫だという計算……、それをあとで資料として出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/44
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045・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/45
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046・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ただ問題になるのは、これまで出資金であるために、貸し倒れなんかになった場合の用意に、金利負担がないということがプラスになって、そういったものの準備になったわけです。それが今度一応金融債に振りかえることによって、金利をつけるのですが、利下げをしても大丈夫だというのですが、今度は貸し倒れその他に対する、そういう準備というものに対する不足ということになるわけです。そういう点今後あの出資に期待できないという前提でやっていく、大体金融債によって準備をまかなうということになれば、相当変ってくると思うのです。それは今数字がなければ意味がないのですが、しかしそういう影響は全然ないというの下すが、今まで出資金を金融債に振りかえて何ら影響はないのですか、そうは言えないと思うのです。ですから金利を下げるにしても下げる分が少くなる、もっと条件を緩和するはずであったのが緩和できなくなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/46
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047・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) 出資が借入金に変るために国民金融公庫に相当影響のあることは、これはお話しの通りだと思います。数字はあとで申し上げますけれども、とにかく影響はございます。ただ加治木課長からも申しましたように、そういう前提においてもなお最近その金利を引き下げて、九分六厘といたしまして、国民金融公庫としてはやっていけるという見通しは立てております。しかし国民金融公庫の特殊な性質からいたしまして、私どもといたしましても、今後全然政府出資を断念するというようなことは考えずに、できるだけ政府出資にもある程度のものを求めていくという方針をもって進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/47
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048・木村禧八郎
○木村禧八郎君 あとで、では数字を出していただくことにして、三十年度は一応それでおっつくかもしれませんけれども、三十年度以後においては相当問題になるということは、さっきもあなたの方で御答弁になったように、これは大蔵省でもずいぶん問題にならなければならぬはずですよ、三十年度は一応ついても、三十一年、後年度において。ですから、それは数字がなければしょうがないので、それを資料をいただいてから質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/48
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049・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/49
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050・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今資料がなければ質疑をするわけにいかんです。これは国民金融公庫だけじゃないのですよ。ほかの公庫についてみんな問題になるのですよ。ですから数字を求めているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/50
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051・青木一男
○委員長(青木一男君) では、しばらく待ちます。先ほど留保した答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/51
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052・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 便宜三十年度の方から申し上げますが、これは実は私の方で予算に見積りましたときと違いまして、最近の実績をとりまして、それで実際の収入見込み、支出見込み、また別途立てておるのであります。それから八月一日から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/52
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053・木村禧八郎
○木村禧八郎君 予算と違うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/53
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054・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 金利を引き下げましたので、その予算と違いまして、予算、あれは普通の貸し出しが九分九厘六毛ではじいておりますが、われわれの方では九分六厘ではじいて、全部新らしい実績と新らしい金利表を前提にいたしましてはじき出しておりますので、予算の数字とちょっと違っておりますが、その点は一つ御了承を願いたいと思います。収入は予算の数字と比較せずにこちらのはじいたなまの数字だけを申し上げますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/54
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055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 予算と比較して言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/55
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056・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 予算は三十三億五千九百万円になっておりますが、われわれの方ではじきましたのは、新らしい最近の収入実績を勘案いたしますと、若干成績がいいようでありますので、三十五億七千百万円、それから支出は、こまかく申し上げますと、手数料が五億五千二百万円、これは予算の方です。これが五億五千六百万円、それから支払い利息は十三億三千二百万円、これは出資額を減らしましたときに補正いたしておりますので、予算をすでに補正しておりますので、われわれの計算と変りありません。それから事務費は八億五千二百万円、これは変っておりません。それから予備費の一億は、われわれは実行計画としては半分くらいは使わずに済むように一応計算してみたのでございます。そうしますと、差額、利益が予算では五億六千四百万円……、予備費は一億計上しておりますが、これは半分は実際上使わずに済むだろうという計算で、五千万円だけ実際に支出に見込んであるわけであります。そういたしますと、五億六千四百万円の利益は予算ではなっておると思うのでありますが、八億一千万円という収支差額が出るのであります。このうちから例の貸し倒れ準備金千分の十五を積みますと七億一千四百万円、予算は四億五千五百万円、一応積算の基礎はそういうふうに見たのでありますが、その場合は千分の十五一ぱいに見ていなかったのであります。そういたしますと、特に千分の十五、一ぱいに計算すると、七億一千四百万円となり、なおかつ国庫に納付いたしますものが約一億ばかり剰余が出るという計算になるのであります。それから先ほど申し上げましたように今後二百億程度さらに資金がここ両三年の間に増額される、しかもそれはできるだけわれわれは出資に、期待いたしますが、かりに一銭も出資がなかった場合を想定して、全部運用部からの借入金でまかなうという計算をやってみたのでありますが、それを平年度計算でやりますと、総収入が五十三億七千三百万円になります。総支出が五十億三千万円、これはこまかく申し上げますと、事務費が十二億九千六百万円、手数料が八億三百万円、そうして支払利息が三十七億八千百万円、予備費は少し規模が大きくなりましたので、五〇%くらいふやし、一億五千万円くらい見込む、そういたしますと、今申し上げましたように、総収入が五十三億七千三百万円でありますから、三億四千三百万円ばかりなおかつ剰余が出るのであります。ただ貸し倒れ準備金はなおこれに見込んでおりませんから、貸し倒れ準備金をどうするかという問題がございますが、実は三十年度末に先ほど言った七億一千四百万円を積みますと、貸し倒れ準備金の差額が残高で十九億一千七百万円に達するのであります。三十年度末の貸し出し総残高は三百七十一億三千四百万円であります。十九億一千七百万円というものと三百七十一億三千四百万円とを比較して、パーセントを見ると、約四%くらいになるのであります。
御案内のように、金融機関の貸し倒れ準備金累計限度は年々の積み立てでなく、累計で積み立てる最高限度があるのでありますが、最初は貸し出し総額に対する三%ということになっておるのであります。三%で十分かどうかというもちろん詳論の余地はありましょうが、これは税法できめられておる限度でありますから、できるだけ厚く積むにこしたことはないでありましょうが、国民金融公庫の現在までの貸し出しの内容及びその回収の実績等を見ましても、大体金融機関並みに積めばすでに十分ではないかと思うのであります。そうしますと無限にやはり千分の十五の貸し倒れ準備金を積まなければならないという要請は必ずしも出てこないのであります。従ってまあ剰余が出た程度を積んでいくということで足りるのではないかと思うのでありますが、われわれはさらに今の計算は事務費や手数料等を今後勉強しない、今まで通りやっていく、なんぼ資金量がふえても今まで通りのベースで事務費なり手数料なりを掛けていくという前提ではじいたのが今の計数であります。事務費は約五%程度節約できるのではないか、手数料も今よりも二割程度下げるとしても決して無理な形ではあるまい、今の手数料は大体金融機関の手取り実収額の半分近くが金融機関に手数料として残るようになっておりますが、果してそれだけやらなければ向うの金融機関を満足せしめないかどうか、もう少し勉強できる余地があるのではないか、二割程度は勉強できるのではないかという計算を一応してみたのであります。事務費は五%くらい節約させる、手数料も二割ぐらい下げていく、予備費は一億五千万円見込んでおりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/56
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057・青木一男
○委員長(青木一男君) 説明はもっと簡単に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/57
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058・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) それを計算いたしますと、支出の総額が四十七億二千百万円、従って六億五千二百万円の剰余が出るということになっております。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/58
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059・木村禧八郎
○木村禧八郎君 委員長に伺いますが、政府当局が詳しく説明するのに対して委員長が制約を加えることができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/59
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060・青木一男
○委員長(青木一男君) 質問を伺っておったら数字についての質問でございましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/60
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061・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ですから、詳しく丁寧に答弁されているのに、委員長がわざわざそれに干渉されるというのはどういうことですか。(「議事の促進のためですよ」と呼ぶ者あり)非常に、不満です。それに政府委員が本来なら準備してくるべきじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/61
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062・青木一男
○委員長(青木一男君) 私はあなたの御質問は数字を尋ねられておったから、数字を答えられたらいいので…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/62
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063・木村禧八郎
○木村禧八郎君 委員長が一々干渉する必要はない。(「議事進行」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/63
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064・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に御発言がないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/64
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065・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/65
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066・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は本案に反対であります。
最初政府は国民金融公庫に対する出資を二十億予定しておりましたが、自由党と民主党の修正協定によって、そうして全体として予算については財政投融資百五十五億をやめて、金融債百四十一億、国鉄公債四十五億発行することにしたわけです。そうしていわゆる地固め予算というものをこの線からくずしているわけで、しかも中小金融あるいは農林漁業、そういうものは本来資金の蓄積が乏しい。従ってどうしてもこれはなるべく低利の、あるいは金利のつかないことが一番望ましいのですが、そういう政府出資をなるべく多くして、そうして金利を引き下げる、あるいはもっと手数料を引き下げるということが望ましいわけです。今の政府委員の説明によれば、金利も多少は下げる、手数料も下げるようでありますけれども、元来ならばもっとそういう農林漁業あるいは中小企業については金利を引き下げるべきであります。ところが今度は政府出資を金融債あるいは預金部の借り入れに転換していくということは、これまでの中小金融あるいは農林漁業というものの政策の大きな変化がきているわけです。こういう点については、この民自両党の修正からきているのであって、これは一種の金融インフレへの移行であると思う。そうして一般会計の方の財源が行き詰まってきて、金融インフレの方に移行していく、そういう政策の一環であって、この結果としては、私は中小金融あるいは農林漁業金融、その他蓄積の乏しい、そうして非常に長期低利の金をその方面に向けなければ、そういう事業の安定あるいは育成はできないにもかかわらず、さかのぼればこの防衛費の増強からだんだんそういうふうに一般会計の方が逼迫してきまして、それを国鉄の公債発行あるいは金融債の発行というようなインフレ的な方向に持っていく一環の政策であります。そういう点から私はこの法案に賛成することができない。
これが私の反対理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/66
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067・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/67
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068・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。国民金融公庫法の一部を改正する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/68
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069・青木一男
○委員長(青木一男君) 多数であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は、慣例により委員長に御一任を願いたいと思います。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 山本 米治
土田國太郎 平林 剛
岡 三郎 天田 勝正
藤野 繁雄 中川 幸平
最上 英子 白井 勇
青柳 秀夫 片柳 真吉
小林 政夫発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/69
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070・青木一男
○委員長(青木一男君) 次回は明後二十一日午前十時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02919550719/70
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