1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十一日(木曜日)
午後二時五十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 江田 三郎君
理事
秋山俊一郎君
白波瀬米吉君
三浦 辰雄君
戸叶 武君
千田 正君
委員
青山 正一君
池田宇右衞門君
大矢半次郎君
重政 庸徳君
関根 久藏君
田中 啓一君
飯島連次郎君
溝口 三郎君
森 八三一君
亀田 得治君
清澤 俊英君
東 隆君
棚橋 小虎君
鈴木 強平君
委員外議員
松岡 平市君
衆議院議員
鈴木 善幸君
政府委員
農林省農林経済
局長 大坪 藤市君
農林省農業改良
局長 小倉 武一君
水産庁長官 前谷 重夫君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
法制局側
法 制 局 長 奧野 健一君
説明員
農林省農林経済
局金融課長 和田 正明君
林野庁林政部長 奥原日出男君
通商産業省軽工
業局建材課長 川田 博通君
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本日の会議に付した案件
○水産業協同組合法の一部を改正する
法律案(衆議院提出)
○森林法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査の件
(砂利採取法案に関する件)
(日本海外移住振興株式会社法案に
関する件)
(農薬による漁業被害に関する件)
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001・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
最初に砂利採取法案の件を議題にいたします。本法律案につきましては、去る七月十四日の委員会において審議せられたのでありますが、その際砂利採取の許可を与えるとき、その後において公益保持上支障のある事態が発生した場合は、採取権の存続期間であっても、その許可を取り消す等の条件をつけたい、かかる事態に備えてあらかじめ行政的な措置を講じておくべきではないかとして、かような措置に対する政府の明確な方針が求められておったのでありまして、ここで右に関する政府の方針を明確にしておきたいと存じます。なお水産業に与える影響につきましても問題とせられておりましたから、右について政府当局の答弁を求め、続いて本法律案の取り扱いについて御協議願いたいと存じます。
それではちょっとその前に重政委員の方から発言を求められておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/1
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002・重政庸徳
○重政庸徳君 砂利採取につきましては、従来から河川の床が下って取り入れ用水に支障を来たすというような例も少くないようであります。この際法案が出るということになれば、いわゆる公共の用に供するそういう施設を行う場合には、いわゆる私どもは権利を、まあしろうとで考えると、権利を取得しておくがいいではないか、あえて場所を買収したり、あるいは土地収用法を適用したりというようなことをする必要はないのではないかというような考え方もあるのであります。なおまた農地の方面から行きますと、時がたつにつれて砂利の価格が非常に上ってきた場合には、農地に施設する場合に、公共物を施設をする場合に、その砂利の値まで補償しなければならぬ、賠償せねばならぬというようなことは、これは非常に不都合なのじゃないか、また国家としても非常に損失を招くのじゃないかというところに、非常に疑点を有しておるのであります。これに対してどういう方法を講じて、そういう障害のないように、憂いのないようにいたされますか。この点をはっきり承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/2
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003・川田博通
○説明員(川田博通君) お答え申し上げます。ただいま御質問の点の、河川内の砂利の採取を許可する場合でございますが、この点に関しましては、河川法第二十条に規定がございまして、その中に六項目掲げてございますが、そういう六項目に該当する場合には、取り消すことができると明白に規定してございます。でただいまのお話の場合のような場合は、第二十条の、たとえば三号でございますと、「河川ニ関スル工事ヲ施行シ又ハ許可ヲ与ヘタルモノノ外ニ工事、使用者ハ占用ヲ許可スル為ニ必要ナルトキ」。それから第六号に、「公益ノ為必要ナルトキ」、この場合は地方行政庁は許可を取り消し、もしくはその効力を停止し、もしくはその条件の変更等をすることができるということが規定されてございます。それから農地の場合でございますと、もちろん農地法に基きまして、農地からそのまま許可もなしに砂利を掘るということは現在も許されておりませんし、今後はただいま議題になっております砂利採取法がたとえ成立いたしましても、農地法の許可が要るわけでございますが、さらにさら地とか、あるいは農地を適法に許可を受けて掘る場合には、これを単に権利確保というような目的だけで採石権等を設定いたしました場合は、採石法の十六条四号で、通産局長が行政的に譲渡を決定する規定がございます。それからもう一つは、その場合対価とか、支払時期、支払方法等を決定することになるのでございますが、その対価を定めるに当りましても、私たちの考えでは、採石権がたとえございましても、一応さら地の地価が、具体的に申せば、近傍類地の地価を基準といたしまして、その地価の何パーセントというふうに、採石権を考える。従ってそのトータルにおきましては、所有権と大体地代は変らない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/3
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004・重政庸徳
○重政庸徳君 お話のようにそういう状況が生じたら取り消すことができるというように規定にはなっておるのでありますが、実際問題としてなかなか認可したらば、それを権利を設定したのみにとどまるというようなことが相当明らかに推察できる場合においても、なかなかその権利の取り消しを今までやらないというようなことで、今の規定もなかなかこれはそう工合よく運用できるものとは私は考えないのですが、そういうことになると、あるいは関係のそういう施設及び施設等に関係のある省から申し出があった場合においては、すみやかにやっていただくよりほかに方法がない。その点を何か関係省と一つ打ち合せて何かこしらえるという必要はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/4
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005・川田博通
○説明員(川田博通君) この砂利採取法の実施に関連いたしましては、採石法の第九条で採石権を設定する場合、あらかじめ通産局長の許可を受けて協議してやる、これは申し合せとか、あるいは形はどういうことになるかわかりませんが、そういうことで運用いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/5
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006・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 私は水産の立場からお尋ねするのですが、この砂利採取が普通露出しておる、水面から出ておるところで採取される場合には大した影響はないと思いますけれども、この許可の期間が相当長くなりますというと、その許可を受けたいわゆる区域内の砂利を相当とって行きますと、水底にまで及んで、水底の浅瀬の所の砂利をとるようになってくるのじゃないか。そういたしますと、これが非常に山の中の奥の方ならばともかくも、おそらく砂利を採取するのは河口の方が多いと思う。これらの砂利のある所は魚族の非常に産卵場になる。ところで卵を生んだものが、たとえばアユのごときはそういう所で卵を生むというと、それが孵化すると、海に下って、春先に上って来る。その産卵場をひっかき回すことになりますと、繁殖上非常に不利になる。従って私は先般来水産庁にそのお尋ねをしたのであるが、水産庁はどういうものであるか、一向大した影響はない、こういうことを言っておられる。私は非常にこれは不可解であると思う。非常なこういう長い期間を、期間をきめてありませんけれども、従来通りでいいのじゃないか、それをことさらに権利化されることになるのですが、そうして三年間あるいは五年の期間を与える必要がどこにあるのかという感じを持つのですが、そういう場合に、どういう措置をせられるか、水産資源保護法という法律もありますけれども、うっかり許可してしまえば、それをあとから取り消す、先ほど来お話があるように取り消すと言っても、なかなか取り消せるものじゃない。そういうことをどういうふうに扱われるか、それに課長は、あなたの発言に対しては責任を持たれますか、今後の処置について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/6
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007・川田博通
○説明員(川田博通君) お答え申し上げます。前国会砂利採取法として参議院に参りましたときに、この砂利採取法の第十一条でございますが、その条文の中に企業の合理的な経営を維持して許可するという文字がたしかございましたが、今度提案になりました法律案では、その点を改正いたしまして、単に「砂利採取業の経営を考慮してこれをするものとする。」というふうに修正してございます。これはわずか文句の上では簡単な修正ではありますが、内容は企業の合理的な経営を維持すると申しますと、非常に長期かつ膨大な許可という観念を持たせるのではないかと思いますが、今度この法案が成立されましたならば、実は私どもでは建設省当局と相談いたしまして、許可の期間につきましてもある程度の標準を示したい。その標準と申しまするのは、大体手掘り採取業者が一カ月、機械採取業者が一年、この期間を単位にして許可を考慮する。と申しますことは、今まで二週間とか三週間とか非常に短い許可で零細な業者が困っていた。そういたしまして、かなり距離の離れた土木出張所でございますとか、許可を受ける所に、そのたびごとに日参して更新してもらうというようなこともあったのでございまして、そういう点の不便なことを若干でも除きたいという気持でございます。先生の今おっしゃいました三年ないし五年ということは、私たちのほうでは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/7
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008・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 それは建設省とか農地局はいいが、水産庁はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/8
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009・川田博通
○説明員(川田博通君) 実は漁業の問題につきましても、もちろん漁業権が設定されておりますところに採取の許可をいたしませんし、採石権を設定するというようなことも不可能でございますので、もちろん私たち、もしこの法律が通りまして、これに基く通牒とか方針を出します場合には、この場合そもそも公益優先ということを建前にいたしておりますので、もちろんこうした面を優先して考えたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/9
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010・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 それは優先はいいのですが、あなた方が建設省に相談した、建設省では水産保護の問題にはおそらく理解がないと思う、わからないと思う。従って川の砂利採取については、建設省はもちろんでありますが、やはり漁業を担当している水産庁にも協議して意見を聞いてもらうということでなければ、われわれは安心してこれに賛成するわけには行かないのです。今のお話を聞くというと、水産庁という問題がちっとも出てこない。先ほどもお話がありましたように、衆議院は通過してきましたが、衆議院の水産委員会は、実は知らずにおったらしいのです。この水産庁関係は別に条文にはないかも知れませんが、あなた方の取扱いの上においてそういうことを協議して、少くとも河川に関する限りは水産庁とも協議をするという御意思があるかどうか。またそうすべきであるかどうか、その御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/10
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011・川田博通
○説明員(川田博通君) 採石権を設定いたしますような場合、これは通産省が単独できめられますような場合には協議してしかるべきだ、かように存じております。ただ河川のことで許可を下しますのは建設省関係でございますので、建設省関係につきましてはただいまはっきり申し上げかねますので、いずれ建設省ともよく協議したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/11
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012・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 そうしますと河川に関する場合は、この法律ではやらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/12
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013・川田博通
○説明員(川田博通君) この法律に規定してございますのは河川法その他の法令に基いて許可を下す場合に、この第一条の規定でございますが採取業者の立場も考えて下さいというような規定の仕方になっておりますので、従って許可を下す元はあくまで建設省関係、都道府県、それぞれ地方行政庁ということになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/13
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014・青山正一
○青山正一君 今の秋山委員の質問に関連して御質問申し上げたいと思いますが、たとえばあなた方が召し上っているところのサケとかマスとかというものは、産卵場所は河川である、あるいは今召し上っているところのアユもそうなんです。そういった点に、いわゆる現在の砂利採取というやつが非常に影響があるわけなんであります。そこで水産庁との関係をいろいろ話合いをつけて行かなければいかぬじゃないか、あるいは水産資源保護法とも直接関係があるんじゃないかという理屈があるわけなんです。そこで今かりに川がはんらんした、そして川の流れが変った、そういう場合に許可がたとえば一年ならともかく、二年なり、三年なり長い許可という場合において、直接砂利採取をやっておる。その権利化されたるそういうようなものを、そういう商売をやっておるお方によってこういったものが影響を受けやせぬか、その点をこちらは心配しておる。それであなたの方の採取の方と水産の方の関係は、よほど考えてやってもらわなければいけぬ、こういうわけなんです。それに対する御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/14
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015・川田博通
○説明員(川田博通君) 河川の砂利採取の許可の場合ですが、第十一条に、「河川法その他の法令(条例及び規則を含む。)の規定に基き砂利採取業者に対し砂利の採取又は払下の許可をするに当っては、当該行政庁は、河川等の管理上その他公益の保持の上に支障がある場合を除き、砂利採取業の経営を考慮してこれをするものとする。」という規定がございまして、河川等の管理上その他公益の保持の上に支障のある場合は、そういうことは考えないのだということをはっきりうたってございます。でございますから、その産卵に影響があるとか、漁業権に支障を来たすというような場合には、もちろん採取そのものを禁止いたす場合が多いでありましょうし、禁止するのが普通だと存じますが、かりに何か例外的な場合に許可するに当っても、そう長期間はそういうことを考慮してはいけないのだということをこの十一条にうたってございます。実例といたしましてもたとえば福井県あたりでは、アユの産卵期に区域をきめて採取の禁止をやっておりますし、滋賀県でもシジミ保護のためやはり採取の禁止をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/15
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016・青山正一
○青山正一君 毎年水害とかそういうものがあるわけなんです。ほとんど川の流れというものは変るわけなんです。そういった場合において、たとえばこういった許可を受けた人のために、そういった影響を受けますか、どうですか、その点はどうですか、これを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/16
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017・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ちょっと速記をとめて。
午後三時十三分速記中止
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午後三時三十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/17
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018・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 速記をつけて。
水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題にいたします。昨日の申合せにより直ちに討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/18
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019・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/19
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020・森八三一
○森八三一君 私はただいま議題になっておりまする水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして原案に賛成の意を表するのであります。がしかし本法の実施につきまして、農林水産関係団体との間にいろいろの摩擦競合等を招来する憂いがないとは保しがたいのでありますので、以下申し上げまするような付帯決議を付したいと思いまするので一応その案を朗読いたします。
水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
政府は、本法の施行に当つて、水産業協同組合共済会の行う共済事業と農業団体の行う共済事業とが、半農半漁地域において相互に摩擦競合を起すことのないよう、事前に適切な措置を講ずべきである。
右決議する。
以上の決議を付して賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/20
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021・東隆
○東隆君 私は水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして賛成の意を表します。それと同時にただいま森君からの発案になります付帯決議案に対しましても賛成をいたします。この際私は審議の過程を通しまして希望を申したいことがありますので、そのことを申し添えます。それは水産業は農業と同じように原始産業でありまして、天災その他によって非常に影響をされるところが多いのであります。従って農業における農業災害補償法と同じように、漁業にも災害補償に関するところの制度ができ、そうしてこれは場合によっては全部国家補償、こういうような形、あるいは十分に大きく国家が補償をするという形でもって、一つの共済制度が確立されなければ、ほんとうの漁家の経済の安定というようなことが望まれないわけでありますから、従って漁家の、漁村の社会保障制度ともいうべき社会保障に関するところの制度を、すみやかに立案をする必要がある。政府はすみやかに立案をすべきである、こういうことを希望をいたしまして本案に賛成をいたします。同時に付帯決議案に賛成をするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/21
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022・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 私は本案に賛成をするものでございますが、本案の現在のねらいとするところは、いわゆる厚生共済と申しますか、関係組合員の生命に対する保障をしようというねらいであるのであります。しかしながらこの改正法案そのものは、必ずしも厚生施設に限っておりませんので、先ほど来問題になっておりまするところの漁獲に対しましても、あるいは漁具に対しましても、今後この法律によって自主的にやれることになるのでありますが、厚生保険と申しますか、いわゆる生命保険に類するものにつきましては、まず私どもとしましては可能性あり、十分やれると思いますが、その他の漁具あるいは漁業の保険につきましてはなお非常に研究を要する問題がありまして、かりにこういうものをいきなり実施しました場合は、その実施主体が弱体化される、それがために非常な危険に瀕するということになりますと、他の事業にまで影響を及ぼすことに相なりまするので、その実施につきましては当局は十分の指導をして、しかしてその実施に当らしめるということの御注意をお願いいたしまして、本案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/22
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023・千田正
○千田正君 ただいま提案されておりますところの水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対しましては、原案に賛成すると同時に、また森委員から出されました付帯決議にも賛成するのでありますが、特に東議員から申されておりますところのこの漁網及び漁獲に対するところの保障の一環としての共済制度の確立ということは、ぜひやっていただきたい。ということは、申すまでもなく原始産業は近代産業に押されがちである。最近の情勢を見ましてもことごとく、あらゆる点において日本の政府の施策が近代産業に移行されて、農業、漁業というような原始産業はだんだん後退する一途にありますので、この政策の対象としては、どうかして一日も早く確立したこうした共済制度を持たなければならない。ことに漁業においては農業よりもさらに跛行的な存在である。農業の方においては十分に収穫物に対するところの、農産物に対するところの共済制度はしかれておるにかかわらず、漁民の最も不安定であるところの漁獲ことに漁網という問題に対しては、これは財産と同じものでありまするから、これに対するところの災害のような問題が起きたときにおいて一ぺんに財産を失う、こういうような漁家経済の最も必要な面におけるところの政策が欠けておるのではないか、こういう点からいたしましては、私も東君と同様一日もすみやかに漁網、漁獲等に対する共済制度の確立を要望いたしまして、この案に賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/23
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024・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/24
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025・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。水産業協同組合法の一部々改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/25
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026・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に討論中に述べられました森君提出の付帯決議案を議題といたします。森君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/26
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027・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 全会一致と認めます。よって森君提出の付帯決議案は全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/27
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028・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
次に本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
秋山俊一郎 白波瀬米吉
三浦 辰雄 戸叶 武
千田 正 青山 正一
大矢半次郎 重政 庸徳
関根 久藏 田中 啓一
森 八三一 亀田 得治
清澤 俊英 東 隆
棚橋 小虎 鈴木 強平
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/28
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029・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 次に森林法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/29
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030・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/30
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031・亀田得治
○亀田得治君 この森林法の一部改正の中で、百二十三条に総代会の規定がありますが、現行法では百二十三条の第六項がありまする関係上、たとえ総代会が一定の組合について設けられましても、第百十条による年一回の定期総会、これは必ず開催しなければならないということに非常に明確になっておるわけであります。ところがこの一部改正によりますと、この第六項を削除してしまう、こういうことになっておるのでありますが、ところが第百十条は、理事に対する義務規定として、ちゃんとそこで明確に、年一回の定期総会の開催を義務づけておるわけですから、この削除いかんにかかわらず、第百十条によって必ず一同の定期総会は開かなければならぬのじゃないかというような疑問があるわけであります。そういう必要がないのだ、百二十三条の特別の事項以外の簡単な総会であれば、特別の事項がないような場合には見送ってもいいのだというふうに解釈できるのかどうか、その辺の見解を一応参考に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/31
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032・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) お答えいたします。ただいま御指摘の百二十三条によりますと、ある特定の施設組合は総会にかわるべき総代会を設けることができることになっておりまして、何らの他に規定がなければ、総会の招集にかえて、総代会をもってこれにかえることができると一応解釈できるのでありますが、百二十三条の六項の関係から、百十条に規定する通常総会だけは総代会をもってはかえられない、要するに通常総会はどうしても理事は開かなければならないという制約があるわけでございますが、このたび改正案によりますと、第六項というものがかわるわけであって、なくなるわけでありますから、そうなりますと、総会にかわるべき総代会で総会のやるべき事項をやれるというふうに解釈できるのではないか、そこでこの百十条の毎事業年度一回通常総会を招集しなければならないというこの趣旨は、毎事業年度の事業計画の設定であるとか、あるいはまた毎事業年度内における借入金の最高限度でありますとか、あるいは百十六条の決算書類の承認というようなものは、この通常総会で大体やるべき事柄であろうと考えられるのであります。ところがそれらの事項は百二十三条の第五項によりますと、総代会でもやり得るということになっております。言いかえれば、百二十三条の五項のただし書きで、どうしても総会でやらなければならない事項、たとえば定款の変更であるとか、そういったような特別決議を要するような事項は、総代会でやれないということになっておりますが、そういう総代会でやれないとされる事項ではございませんから、総代会でもやり得る事柄でありますから、実質的に見ましても、通常総会にかえて総代会でもってやれる、言いかえますれば、理事は通常総会を開かなければならないという百十条の義務がないことになるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/32
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033・亀田得治
○亀田得治君 農林当局にちょっと聞いておきたいのですが、大体今の解釈で、条文の解釈として私も了承いたします。そういたしますれば、この百二十三条の第六項を削除することは、やはり森林組合にとっても実際上の運営についての大きなやはり変革になってくるわけなんです。で、提案者等の説明を聞きますと、たとえば協同組合等においても、この改正案のようになっておるのだというようなことをよく言われるのですが、私はここに非常に一つのやはり疑問を持つのです。このいろいろな組織法が民主化の方向をたどって改正されて行く場合には、私はまあそれは一ぺんやってみたらよかろうという感じを持つのでありますが、これは逆でありますから、非常に厳密にこれは考えるわけなんですが、一つの農業協同組合がこうだから森林組合がこうだとか、あるいは森林組合がこうだから共済組合はこれでいいとか、そういう議論はこれは私はちょっと飛躍しておると思うのですね、といいますのは、協同組合法における総会にかわる総代会の規定、そうして百二十三条の第六項のような規定というものは、協同組合にはない、第六項のような規定は。しかしないのは、これは何も昨年の協同組合法の改正でなくなったのではないのです。協同組合法が制定されてずっとそれできているのです。それで、その当時というのは、数年間というものは、森林法においてはこの施設組合の場合には必ず年一回の通常総会は開かなきゃならぬ、こういうふうに規定がきまってきているわけなんですね、初めから。だから、昨年協同組合で取れたから今度取るのだと、そんな比較論じゃないのです。で、私はそういうふうに違うのは、やはり団体に応じて必要な規定として設けられてきているのだ、そう思うのですよ。だから、総代会で決議できない特別事項にいたしましても、農業協同組合の場合と森林組合の場合と、あるいはまたはすでに改正案として出ておる共済組合の場合と皆範囲が違うわけなんですね。これはただ違うわけじゃないでしょう。やはりおのおの団体の性格、それに応じてこれは出てきている。私はそういう立場から考えると、この山林地帯なんというものは、何といったってこれは民主化の一番おくれている所なんです。だから、そういう場所においては、たとえば農業協同組合の場合においては、こういう第六項のような特別規定がなくても、やはり森林組合のような場合には第六項はやはり存置すべきじゃないか。これを取らなければならぬというが、非常に具体的にこの被害といいますか、そういうものがもう実際に実証されてくるのであれば、これはまた別なんですが、どうも不便のようだからこれを取ってくれ、それだけでは私はいかぬように実は感ずるのです。それでほんとうにそういうことであれば、一体なぜ農業協同組合の方はずっと数年間こういう第六項のような特別規定がない、森林法だけなぜこういうようにほうっておいたか、それほどこれがじゃまになるものなら……。で、私はまあ農林省なんかのほんとうの腹はどこにあるか、だからこの点よくわからない。それで私はこの一部改正では、たとえば選挙の方法とか、いろいろな点について相当民主化の方向と逆の傾向がここに出てきているわけなんです。だから、それもまあ提案者の気持なり考え方は大体わかるから、やむを得んかとも思うのですけれども、そういうことをするのであれば、少くとも一方では年一回の総会だけは必ずそのかわりやれ、これでやはり押えることがつり合いがとれるのじゃないかと思うのですね。それで一たんやってみて、なおかつこの第六項が非常に障害になって運営上困るというなら、そのときに私は改正してもいいと思う。だから、今の段階ではどうもこれをすぐ取ってしまって、それで果して合理的かどうか、どうも実体的な感じが出てこない。その辺のところを一つ忌憚のない考え方というものを表明してもらいたい、ちゃんと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/33
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034・奥原日出男
○説明員(奥原日出男君) 農林省が現行の森林法を運用いたして、この会議制についてどういうふうに考えておるかということについて申し上げたいと思うのであります。
なるほど現行の森林法におきましては、農業協同組合の現行規定と異なりまして、当初より百二十三条第六項の規定を置いておったのでありますが、しかし現在の会務の現状、及び町村合併に伴いまして、必ずしも町村合弁をすれば森林組合が合併をするべきであるという指導方針はとっておりませんが、しかし会の仕事の運営の上においては、行政区画に漸次そろえて行くということが便利であるのが実際でありまして、従って森林組合の区域が今後ますます広くなって行く、こういうふうな見通しという二つの観点から、現行の総会及び総代会制度をながめて見ますと、総会を成立させるということに現在においても非常に苦労をいたしております。従って、今後区域がさらに広くなりますれば、やはり総代会をもって総会にかえるということをいたさざるを得ないのではないかと、かように考えざるを得ない現在の実情でございます。しかしながら、山村の民主化——山村と申しましても、純粋な、全然農業を欠いた山村というものはあり得ないのでありまして、要するに農山村の形をいたしておるのでございますが、その農山村の民主化ということにつきましては、われわれも今後とも一そうの努力をいたして参らなければならないと考えております。しかし会議の形態といたしましては、会議の運営上どうしてもこういう修正をして参りたい、またこういう修正をいたしましても、百二十三条の五項のただし書にもうたっておりますように、役員の任期の問題、あるいは総代の任期の問題等の関連から、総会も少くとも二、三年に一回は必らず開かれざるを得ない実情であるのでありまして、われわれの指導上においては、できる限り総会を開くような指導をいたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/34
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035・亀田得治
○亀田得治君 結局ただいまの考え方を聞きましても、町村合併に関連して、森林組合が大きくなり、非常に総会の招集が実際上困難になるのではないか、これは単なる想像なんですね。私は森林組合が大きくなればなるだけ、いろいろな利害関係の違った人がまたそこに加わってくるわけですから、ずっと端っこにおる組合員から言うと、ある意味ではだんだんその意見が反映したくなるおそれがあるわけです。だから、そういう面をとらえてみますと、大きくなるということは、組合の運営を能率的にやらなければならぬという面と、組合の事業が進行するにつれて各組合員の意見が反映せぬようなことになるといかぬという点を同時に考えなければならぬのです。総会等において集まりが悪いというのは、これは総会のやり方が悪い。非常にためになるような総会の開き方をすれば、これはどんどん集まってくるでしょう。十分いろいろな森林組合の事業について興味が持てるような、たとえば、あらかじめわかりやすい言葉で、今年の事業計画はこうだ、計画はこうなんだ、立案者としてはこことここに実は問題があるのだ、この点を考えて一つやって来てくれぬか、そういうやり方をしてごらんなさい。これはだれでもどんどんやって来ますよ。だからそれは理由にならない。総会が持ちにくくなるとか、そういうことは、やはり機構が大きくなればなるほど、一方では個人々々の権利を侵しちゃならない、こういうことを重要なこととして考えて行かなければならぬ。だから、一体第六項があるために、もううちの組合はとてもやりきれませんと、何かそんな陳情でも具体的にあったんですかいな。あったんならそれを聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/35
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036・奥原日出男
○説明員(奥原日出男君) 現在の第六項が残っておる限りにおいては、現状においても、また今後町村合併等で区域が広くなればなおさらのこと、会務の運営上非常に困るという陳情は非常に強くわれわれは承わっております。また今度の改正案の衆議院の議員提案としてお取り上げになりました背景には、われわれはそういう民間の森林組合関係の団体の非常な強い希望というものが反映した結果、議員側においてもお取り上げになった、こういうふうに側面的に承知をいたしておりまするような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/36
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037・亀田得治
○亀田得治君 それは森林組合の特定の人からそういう陳情があったかもしれぬが、それでは、森林組合を構成しておる個々の組合員に参考のために二、三意見を聞いてみた、そういうととがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/37
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038・奥原日出男
○説明員(奥原日出男君) われわれ仕事の上におきまして、森林組合の組合員とも、不断に、東京においてのみならず、それぞれの地方において接触を持っておる次第であるのでありますが、そういう役員という肩書きを持っておらない個人の側におる方も、どうも総会というものに対してあまり出席の意欲が旺盛でないというふうな組合員一般の態度から、どうも総会を招集するのに困難をするということをこぼしておられるのを承知をいたしております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/38
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039・亀田得治
○亀田得治君 非常に民主的な活発な組合であるならば、総代会という形式でもまだいいです。総代を通じて意見を反映して行くから……。ところが、今あなたのおっしゃったような、はなはだ民主的でない組合がこういう制度をとってごらんなさい。どんどんこれはボス的な組合になってしまう。そういう心配が必ず的中すると思う。大体農林省がそういうことを考えておるんなら、あなたの方でなぜ一体これを出さないですか。議員から出してくるのを待っている。だから、何もそれほど必要とも考えていないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/39
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040・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/40
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041・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/41
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042・奥原日出男
○説明員(奥原日出男君) ただいま亀田先生から御指摘のありましたように、こういう改正によりまして森林組合自体がボス化するということはわれわれとしても厳に慎しまなければならないことであるのでありまして、われわれも指導の上におきましてはできる限り総会制というものを行わせるように努力をいたして参り、そのために必要ないろいろな援助もいたして参りたいと考えるのでありますが、ただ制度の問題といたしましては会の現状が先ほど来から申し上げましたような状況であり、これは森林組合というものが、現在団体としての経済活動の個々人の頻度というものが、非常に長い年数の間に一回経験するだけであるというふうな事情もありまして、なかなか会に対する認識が不十分であります。それらにつきましても今後とも十分啓蒙には努めたいと存じまするが、そういう実情から見まして、現状においては制度としてはこういう改正はやむを得ないのじゃないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/42
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043・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ほかに御発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/43
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044・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明かにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/44
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045・東隆
○東隆君 私はただいま提案をされております森林法の一部を改正する法律案に賛成をいたします。そこで私は今回の改正によって総代会に切りかえられるわけでありまして、そのために総員の出席をするような機会が非常に少くなってくるわけであります。従ってそのことによっていろいろな弊害が起きて参ると思いますので、指導的な立場において総会にかわるような組合員の大会というようなものを、やはり一年に一回くらいは開いて、そうして森林関係のいろいろなことについて意識を高揚する、こういうような機会を作ることが、これが非常に大切なことだと考えますので、指導の局に当るものはそういうような機会を作ることを極力一つ指導をするように、この点留意されたい、こういう希望をつけまして賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/45
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046・亀田得治
○亀田得治君 これは私は残念ながらやはり賛成しなければならぬようでありますので、特に発言はやはりしておかないといかぬと思います。それは、こういう総会にかわる総代会という制度が協同組合、共済組合あるいは森林組合に、だんだんはやってきているわけですね、私はこの点について農林当局なんかが、やはり法律がそういうふうになるのであれば、実質的な農政面において重大な私は責任を感じてもらわなければいかぬと思うのです。この点は決してこの百二十三条の六項をたとえはずすとこういうことになったからといって、百十条の総会はもういいのだ、こういうふうな印象を与えるようなことがあったら、私は大へんだと思う。だからどうしてもその点を、一つ法律ができましても十分全国に徹底するように、こういうふうに農林当局に強く希望して、もしそういうことがうまく実際上行われぬようであれば、再び元のように戻すというふうな決意を私ども持っておる、こういうふうなことを付け加えまして賛成しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/46
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047・清澤俊英
○清澤俊英君 大体本案に対しては、私は亀田君と同じくこの際は衆議院で全部賛成しているから賛成します。やむなく賛成しますが、提案理由の説明にありますごとく、大体実態が、総会等を持つことができない、こういうことが中心になっているのでありますが、それは距離の関係もありますし、経済的の観念もないなどといいますけれども、こまかしい農民ほど経済観念はひどいのであります。だが、この総会等に出てみましても、現実は自分の意思を申し述べるだけの機会が実際与えられない。こういうことになるのです。出ても出ないでも同じことなんだから、おれは出ないのだ、これが実態だと私は思う。大体私はそう解釈しております。そうしてみますれば、その実態の上に立ってだんだん総会から総代会にかえ、それをまた選任制にまで変える、こういうことになれば、それを強化することであって、決して一番おくれている日本の農村を、民主化のガンだといわれている農村を、ますます痩弊因憊に陥らせる根源をなすものであると思う。私は絶対に反対したいのでありますが、たまたま衆議院から通ってきましたから、一応試みてみますし、こういうような重圧が加えられる場合には、あるいはこれに対する反撥心が、そういうものをはねのける薬となるかとも考えますので、そういう点において賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/47
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048・三浦辰雄
○三浦辰雄君 私は今の議題の森林法の一部改正法律案は賛成をいたします。けれども、これは先ほど来議論がありますように、なぜ一体こういった手続だけをするかという問題がある。このことは確かに国自身がこの森林に対する保護法ともいうべき森林法について、みずから変えなければならないのでありますが、一体こういう変態的な形が議員さんの立法でできたということは、私はすみやかに国としては直さなければならない森林法の中に幾つかの問題がある、それがなかなか結論に達しないということがあるのだということを指摘しなければならない。今総代会制度をめぐって民主化等の問題がございましたが、終戦前まではいわゆる強制の加入であった。そうしてその後においてこの組合というのは三年間という長い間、時のGHQとの間に森林の持つ公益性からして、強制にすべきかあるいは協同組合の制度にすべきか、あるいは強制の組合と協同組合の任意の組合と二つを立てて行くべきかという非常な議論が長い間かわされまして、とうとうGHQの当時の結論としては、二本立にしたらどうかということに三年後になった。そこで政府としてもいろいろ考えた結果、協同組合という一つの法律にしたのであるが、前身が前身でありますために、零細な五反歩以下の山林所有者諸君もことごとくそのまま看板を塗りかえて今日まできているのが森林組合の実態です。従って総会等に対しての無関心とか流会といったようなことから、このことが出てきたので、私はこの法律自身については改正は当然であり、これはやむを得ないと思うのだが、この機会に私は制度というものを、この組合というものを、さらに分析して、こういった益性の非常に強い、そうして集まって初めて一つの機能を発揮する森林の組合においては、強制加入組合というものと、政府のいわゆる代行機関ではありませんが、公益性を認める立場への協力をしてもらう建前の組合というものと、ほんとうに協同組合というものの精神に徹したいわゆる経済をやって行く組合という二本立にするかどうか。もしそうでなくて、今のような協同組合で行くならば、こういった経済性の非常に薄い林業についての団体について、もう一段考えを強くしなければならない、その結論を早く得るということが当然だと思う。それからもう一つの問題は、森林法は非常にやかましいことを言っておる、いわゆる公益、国土の保全に関係があるということで、森林法の基本計画というものは、農林大臣がこれを定めまして、そうして府県にその旨を言って行く、その中にはあるいは幼令林を皆伐してはならない。あるいは幼令林については育林上必要な週期的間伐をしなければならない。皆伐した跡地には伐採後二年以内に造林すること。急傾斜地における森林を皆伐してはならない。もっとやかましいことをずいぶん言って、五カ年間のワクを定めて、これを地方庁では都道府県知事はさらにその実施計画というものを毎年作って、そうしてその通りやらせようとしている。そうして伐採の継続、あるいは毎年の伐採量の均等化というようなことについて必要な制約をさせておるのでありまして、さらに植林の義務あるいは伐採の届出、伐採の許可制ということで縛っておるのでありまするが、しかし現実の問題としては、毎年似たような伐採をしろ、そういうようにやって行かなければいかぬぞということを政府が言っていながら、出すに必要な林道の経費とか、そういうものはさっぱりよこさない。だから五年計画であそこの山を切らなければいかぬということになっておるが、道がないから切れぬ、こういうことになりまして、この第二章の営林の助長及び監督なんぞという言葉に当る内容は一つも載っていないという問題も取り上げて、私は根本的に森林法改正に、政府はこの機会に一段と力を入れていただきたい、こういう希望をつけまして賛成を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/48
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049・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ほかに御意見もないようでございますので、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/49
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050・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。森林法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/50
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051・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 全会一致であります。よって本法案は全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/51
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052・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
秋山俊一郎 白波瀬米吉
三浦 辰雄 戸叶 武
千田 正 青山 正一
大矢半次郎 重政 庸徳
関根 久藏 田中啓一
亀田 得治 清澤 俊英
東 隆 棚橋 小虎
鈴木 強平
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/52
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053・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 議題に追加して、日本海外移住振興株式会社法案の件を議題にいたします。この件につきましては本日午前の外務委員会との連合審査の経過にかんがみて、外務委員会に申し入れをいたすことについてお諮りをいたしたいと思います。まず文案を朗読いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/53
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054・安樂城敏男
○専門員(安樂城敏男君) それでは朗読いたします。
昭和三十年七月二十一日
参議院農林水産委員長 江田三郎
参議院外務委員長 石黒忠篤殿
日本海外移住振興株式会社法案に関する申入
わが国海外移民の中心は、既往におけるように今後においても農業移民にあることは言うまでもないことと考えられますが、既往における政府の移民政策は外務農林両当局の統一を欠き、内外に諸種の問題を引き起しており、今回移民政策を大きく飛躍せしめんとする本法律案に対しては、当委員会は重大な関心を払つているのであります。
しかるに本法案に関し、貴委員会と当委員会との連合審査によって御
了承の通り、当会社の業務方法、事業計画、資金計画及び収支予算についてはいまだ何らの決定をも見ていないのみならず、依然として両省間の見解に統一を欠いており、わが国農業移民の将来について真に不安なきを得ないのであります。
つきましては、本法毎案が成立して施行せられる運びになります際は、外務農林両省は、法第十条の業務方法、第十二条の事業計画等について相互に緊密な連絡の行われるよう、法案の修正その他適切な措置がとられ、おのおのその特性を活用して海外農業移民が十全の成果を達成することができますよう、貴委員会の特別の御措置を願いたく
右当委員会の総意を以て申し入れいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/54
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055・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 右申し入れについて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/55
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056・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それではさよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/56
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057・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 先ほど採決いたしました水産業協同組合法の一部を改正する法律案の付帯決議に対して、水産庁長官から発言を求められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/57
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058・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、この改正に当りまして、水産業協同組合共済会の行う共同事業と農業団体の行う共同事業とが半漁半農地域において摩擦を起さないように十分な措置をとれ、こういうお話でございました。われわれといたしましてはこの御趣旨に従いまして、これを実施する前に、関係団体及び関係局と十分連絡いたしまして、相互に、同じ協同組合の内部におきまして摩擦相剋のないように十分注意いたしたいと思います。
なお、その際にいろいろ希望意見がございましたが、その点についても十分に私といたしましては研究いたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/58
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059・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 次に農薬による漁業被害の件を議題にいたします。この件につきましては先般の委員会において問題として農林省に対してその対策を要求しておりましたところ、本日その回答がありましたから重ねて問題にいたすことにいたします。まず農林省当局から説明を聞くことにいたしますが、この件につきまして議員松岡君から委員外発言が求められておりますが、これを許可して御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/59
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060・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それではこれを許可することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/60
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061・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 先般当委員会におきまして有明海域におきまする農薬の水産物に対する被害の問題につきまして御質問があったわけでありますが、この問題につきましては、漁業関係といたしましては、根本的には水産動物に無害の農薬を使用するか、あるいはまたその防除方法を講ずるということが根本的には望ましいわけでございますが、これにつきましては後ほど申しますように、十分の調査をいたさなければなりませんので、そういうふうな調査を続けていたしたいということで、具体的に調査等につきまして計画を立てたわけでございます。
なお、これと並行いたしまして、水産庁といたしましては直ちに有明海に面します関係四県の主務部課長及び水産試験場長とこの問題について協議しました。水産庁といたしましては、現在の段階におきましては、これの漁業の転換といたしまして、耕耘整地並びに作澪というふうなことによりますノリ及び貝類の漁場の造成ということが一つの大きなテーマである。同時に投石及び魚礁による沿岸魚介類の増殖が、一本釣り等の転換に貢献するだろう、こういう問題を中心に協議いたしますと同時に、その対策の重点といたしましては、御承知のように水産につきましては鮮魚介を主とします第一種兼業漁家と、農業を主とします第二種兼業漁家とがございますので、その対策の重点を、鮮魚介及び第一種兼業漁家に対して向けるようにいろいろ調査いたしましたのであります。
その結果といたしまして、各県それぞれ具体的な事情に基きまして資料を検討して対策を立てる必要があるということになりまして、至急に有明海の調整事務局におきまして、現地で各県がそれぞれの具体案を持ち寄りまして相談いたしまして、そうして四県におきまする具体的な計画を作成いたしまして、そうして水産庁に提出する、かように相なったわけでございます。
なお農薬によります被害の調査研究につきましては、二十九年度におきまして、農林省におきまして農薬の水産動物に及ぼす影響についての調査に着手いたしまして、九州大学及び佐賀県水産試験場における研究報告もございますので、さらにこれを組織的に行うことといたしまして、農林省の試験場、大学、県の農業試験場、並びに水産試験場に応用研究費を交付いたしまして、緊密なる連携のもとに調査をいたすことにいたしたわけでございます。
まず人畜、水産動物等に対する害作用稀薄にして、しかも分解すみやかな農薬の探索をいかにすべきか、毒物の流出防止法とこれが稲の成育に及ぼす影響、毒物の吸着剤、または分解促進剤の探索、水田、河川、海水及び泥土中の毒物の分布及びその後の変化、農薬の水産動物その他の生物に対する毒性、並びにこれが微量化学分析法等を主要議題として調査研究をすることにいたしておるのでございます。なおこれに基きまして、これらの試験を施行いたしまする打ち合せを行うために、急速関係者の参集を求めておる次第でございます。同時に実施上におきましては、できる限り水産動物に問題の起るおそれのある地方に対しましては、害虫防除上差しつかえのない限りはBHC粉剤、DDT乳剤等の使用をする。あるいは農薬散布直後の水の流出を防ぐよう潅排水管理に注意を喚起するとか、使用済みの容器につきまして、取扱い基準に規定いたしました方法によりまして、焼却または埋没する被害の防止につきましては、もちろん指導をいたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/61
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062・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/62
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063・松岡平市
○委員外議員(松岡平市君) 大へん暑く、おそくなった際に委員外の発言のお許しを願って、大へん委員各位に御迷惑をおかけしますが、ごく簡単なことについて一、二ただいまの水産庁長官の説明を確実にしておきたいと思います。先般私この委員会におきましてお尋ねした際には、有明海のある種の漁獲の著しい減少といえども、これが農薬の影響であるかどうかということについては未決定だと、こういうことのままで論議を終っておったと思います。ただいま水産庁長官の御説明を聞いておるというと、相当に農薬の影響であるかもしれぬということを濃厚に危惧しておられると私たちは推察できるわけでありまするが、これはいろいろな関係がありまして、十分自信を持たなければ、役所としても有明の著しい漁獲の減少というものが農薬の影響、もっぱら農薬の影響であるということを御断定になることは困難だろうかと思うのでございます。が、しかし私たちは少くとも有明海の一部魚族の減少、非常な激減というものは、農薬の影響に違いない、かように確信しております。そのわれわれの確信がうそである、あるいはこれは当らぬものであるという結論をすみやかに出すようにしていただきたい。そういう結論を出さずに、ただそうかもしれぬから、BHCの使用がどうだとか、水の何とかいうことは、はなはだ卑怯な態度である。少くとも今まで二十八年以降の漁獲の著しい減少というものは、これの影響であるという疑いが十分あるということを言明されて、そしてこれに対する対策を講ずるとおっしゃらなければ、私たちはその点について原因がわからぬのに、その農薬についていろいろ御心配になる必要はないと思う。まず一つ農薬の影響であるということを御確認を願いたい、こう思うのでございますが、その点について水産庁長官としてはどうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/63
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064・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) その点につきましては、私も最初に申し上げましたように、研究テーマといたしましては、その問題を取り上げておるわけでございます。水田、河川、海水等の中におきます毒物の状況、変化、それから水産動物に対してどういうふうに影響しておるかということを結論を出すために研究いたすわけでございまして、ただその研究をいたすことと並行いたしまして、やはり使用上の注意、これは先ほどもお話がございましたように、断定はできませんが、農薬の影響ということが相当考えられるということは、この前も申し上げておるわけでございます。そういう影響が考えられる場合におきましては、この調査研究と並行して、使用上の注意もいたしたい、かようなわけでございます。お話のようにその原因をはっきりさす、それがそうであるならばその点をはっきりさすという趣旨におきましても、検査をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/64
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065・松岡平市
○委員外議員(松岡平市君) ぜひ一つ、いずれにいたしましても私はこれは単に有明海だけの問題ではなくて、他にも影響のある問題でございますので、現在使用されているパラチオン剤というものが、淡水、あるいは海水における、特に沿海漁業等にどういう影響を及ぼすか、及ぼさないかということについては、一つ政府で責任のある解決を、一日もすみやかに出していただきたい。これは有明海のような、ただいまお話しになった事柄とは別にして、私要望いたします。
それからその次に、先ほど関係四県の県庁の責任ある責任者に具体的の案を作成さしておるのだ、こういう御答弁でございましたが、それはそれぞれの府県からこれの対策について具体案を提出いたしますれば——もちろんそれらの案の適当でないもの等もありましょうが——大体そういう案については関係当局、政府におきましてはこれを承認して、予算的措置を講じてやるということは御決定であると了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/65
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066・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) われわれもこの問題は重視いたしておりますので、さっそく具体的に府県にその対策を、具体的対策についての提出をお願いいたしたわけでございます。水産庁といたしましては、これはその計画が出ましたならば、これの実現についての全幅の努力をいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/66
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067・松岡平市
○委員外議員(松岡平市君) これは予算に関係のことでございます。それぞれの関係四県におきましても具体的案を、別に架空の、あるいは実行不可能な具体的案を出すと私は考えませんが、いずれにしましても、従来政府がかような場合におきましては予算等の関係等を顧慮した結果だと思いますけれども、現地の希望計画というようなものをいろいろと、いろいろな方面から、率直にいえば難くせをつけて、予算をそういう面に使わせないということが間々見られるやに、われわれは考えております。この問題に関しましては、先般の当委員会における農林大臣の御言明もあり、さらにまた引き続いて衆議院においてははっきり農林大臣みずから、必要であれば予備費等もこのために使用するのだということを進んで言っておられるので、この問題に関しましては、現地の具体的対策に対して、ぜひ一つ水産庁初め農林当局は十分なる考慮をお加え下すって、予算的措置を講じていただきたい、かように希望いたしまするが、これは先ほど来私が申し上げますように、農薬の影響であるかどうかということは一応問題外として、現在の二十八、二十九年の漁獲の激減対策としてお考えになっておることである、こういうふうに私は考えます。従ってこの対策とは別に、もしこれが農薬の影響であるということが明らかになった場合には、少くとも従前の漁獲減少、激減の結果こうむった損害については、政府はいかようなる御措置をお考えになるかということを、この際一応、この間農林大臣にも一応確かめましたが、その点は必ずしも農林大臣の御答弁は明確でなかったし、私もまたこれに対していろいろなことを考慮して追及いたしませんでしたが、こういうことについて、私はこの対策いかんによっては、さらにあらためてこれが農薬の影響であるということを明らかにし、と同時に、それらの従来こうむった損害に対しての補償というような問題も提起しなければならぬかと、かように考えますので、さような場合には政府といたしましても当然適当なる措置はお講じになるはずであるとは思いまするが、特に対策をお立てなさるこの機会に、対策の如何によっては、そういう問題も起り得るのだが、その点については、政府はいかようにお考えになっておられるかということを明らかにしておきたいと思います。水産庁長官の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/67
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068・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申し上げます。
われわれといたしましては、調査をいたしますと同時に、それと並行いたしまして不漁対策を講ずるわけでございます。調査の結果によりまして、そうしてどういうふうな措置を講ずるか、われわれとしてもできる限り努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/68
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069・松岡平市
○委員外議員(松岡平市君) 最後に私は国民の一人といたしまして、特に関係県の県民の一人といたしまして、かような問題、政府が米の増産のために奨励して使われた農薬の影響の結果、一方漁民がこうむった損害というようなことで軽々しく農薬の使用の禁止を叫んだり、あるいはその結果起った補償というようなことを私は政府に要求するというようなことは、なるべくしたくないと考えるものでございます。そのためには特にかような事態、先ほど来の水産庁長官の御答弁にも相当農薬の影響であるということは濃厚に、それを私は危倶しておられるやに考えまするので、そういう補償問題等が将来惹起せぬでもいいだけの、一つ十分な対策をこの機会にお考えを願いたい。別段御答弁は要求いたしません。ぜひ、それまで御考慮の上、この対策については特別な御配慮をお願い申し上げたい。希望を申し上げまして私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/69
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070・清澤俊英
○清澤俊英君 長官出ておられますから、ちょっとついでにお聞きしますが、今新潟県と富山の海で、何か南洋方面の毒を食べた魚が暖流か何かに乗って来て非常にとれる。これを食べると非常な中毒で、ほとんど漁業は一カ所では停止しており、もう魚屋も全部商売をやめているような状況で、非常な混乱に陥っておりますが、本庁の方にそういう報告は入っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/70
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071・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ちょっと私の方では耳にいたしておりませんので、新潟には水産庁の研究所がございますから、さっそく研究所に照会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/71
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072・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ではこの件につきましては以上の質疑応答でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/72
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073・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それでは次に農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題にいたします。御質疑の向きは御質疑を願います。なお、昨日の委員会におきまして資金源からの資金コストの問題について資料の要求をいたしておりましたが、資料として提出しなくても、口頭でも御答弁願えれば先にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/73
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074・和田正明
○説明員(和田正明君) 昨日委員長から御質問のございました公庫の過去の滞り貸償却引き当金の積立状況でございますが、二十九年末までに四億九千七百二十八万百六十一円九十銭の積立をいたしております。本年度は昨日お配りをいたしました資料の通り約〇・一七%程度の積立が見込まれますので、この通り参りますれば、さらに一億七千五百万円程度の積立ができまして、過去の分と合せて約六億八千万円程度になるわけであります。なお昨日、過去において滞り貸しの償却に充てた金額はまだないというふうに申し上げましたが、私の記憶違いでございましたので、その点は訂正をさしていただきますが、二十八年度に三百五十二万円、二十九年度に三百三十六万円、合計六百八十八万円の償却積立金を取り崩しをいたしております。これはもちろん帳簿上こういうふうに処理をいたしましたわけで、債務者に対してはなお引続き債権の取り立てを続けております状況でございます。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/74
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075・大矢半次郎
○大矢半次郎君 正誤表がその後出されておりますが、その正誤表の前段の「農林漁業金融公庫法第十八条第一項第八号資金の指定告示案中『又は漁業協同組合』は、『、漁業協同組合又は同法第十九条第一項の規定により農林漁業金融公庫がその業務の一部を委託した金融機関』の誤り。」となっておりますが、その御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/75
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076・大坪藤市
○政府委員(大坪藤市君) 今回個人施設に対しまして融資をいたしまする場合に、当初は組合を経由する組合員でなければならぬという観点に立っておりましたが、今回の審議の次第によりまして、特に合成繊維漁網等を加えるということに大蔵省と話がつきまして、その結果漁業協同組合、あるいは一般の農業協同組合にも、組合に加入しない組合員が、組合だけを経由機関とすると、借り受けができない場合が起きてくるというような状況でありますので、これを改めまして、銀行等の一般の金融機関、これはすでに公庫で指定いたしておりまするが、この金融機関を通じて借りられるというふうにその範囲を拡大いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/76
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077・大矢半次郎
○大矢半次郎君 今のお話では、この合成繊維漁網等、この関係でそういうふうにされたということでありまするが、漁業協同組合、あるいは農業協同組合中にも、非常に弱体でありまして従ってその組合員でも、これを経由して借りるのはむずかしいという場合が起きるのじゃなかろうかと思いますが、そういう場合には、やはり組合員であっても他の金融機関を経由して借りるということはできますかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/77
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078・大坪藤市
○政府委員(大坪藤市君) 漁業協同組合が改正いたしましたおもなる理由でありましたが、そういうふうに一般の金融機関からも借り得るということにいたしましたので、漁業組合同様一般の農業協同組合におきましても借りられる、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/78
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079・東隆
○東隆君 今の経済局長の発言は、協同組合金融の側から考えると大へんらち外に出る、従って大へん問題が伏在していると思いますが、私はこの公庫法の改正は、やはり農地制度の改正と関連をしてやるべきであるという点は、これは私は評判がわるいようですから、これは引っ込めます。(笑声)しかし、この公庫法そのものを農山漁村の金融という面に限って見たときに、非常に問題があると思う。元来農村金融は、これは協同組合金融に私は重点を置いて行かなければならぬと思う。その際に、この公庫法ができたことによって、農村金融のうちの長期の金融というものは、これは完全にここにまとまってしまった。従って今の協同組合金融系統機関を通しては、実はこの公庫法によってそうしてやるよりほかに方法がなくなって、そうして自分の所に蓄積をしておってそうして有効な長期の方面に回し得るものも、実は半端の金になってしまっておる。私はこれは非常に農山漁村のいろいろな経営方面に対するところの資本の投下の面において大きなこれは災いをしておると思う。この点が一つあるわけです。従ってこれは当然協同組合金融を通して大きく長期金融もなされるようにするためには、この公庫法を廃止して、そうして大きく国家の財政投融資を農林中金等に移すべきがこれが当然だと思うのです。これが私は農山漁村の金融を一本化して強固なものにする方法だろうと思う。この公庫法によって非常に官僚化してきて、そうして一々金融というような生きた面が、官僚によって私は相当災いをきれると思う。この点は私は大きくわれわれは考えなければならぬ点だと思うのですが、しかしこの点は私は今回はあまり多くを申し上げませんが、今度の食糧の予約制度というものを通して、前渡し金の問題が一つ、それから春の農業手形制度がこれが農民が農業手形を通じて短期金融だけでなくて、長期金融の対象になるようなところのものを非常に扱っておるというような理由によって、大分減額をされておる。農業手形の貸付が減額をされておる。従ってその面が私はおそらく農林漁業金融公庫法の中の第十八条の業務の範囲の項の第八号ですか、八号の中にそれが盛られておる。従ってこの八号はこれはどういうような形でもって中心的にやらなければならぬかというと、これはやはり協同組合を通してやるということを原則としなければいかぬ。協同組合を通して貸付をするのだということを原則にしなければならぬ。個々のものを対象にして公庫が貸付をするというような、そういうようなことは、これはなかなかできるものではない。大きなものについては、別な条文によって明らかにされている。従ってこの第十八条の第一項の第八号ですか、ここに規定をされておるような事項というものは、これは農業手形を日本銀行が大分制限を加えて、そうしてその金額を削り、そうして農村に対する長期金融をほとんどあれによって締め上げてしまった。そのことを考えてそうしてここのところにそれが出てきたのだと、こういうように考えておる。たとえば動物資本を入れるにしても、農機具を入れるにしても、ことごとく公庫から仰ぐよりほかに財源がない。従ってこれはそういう面に大きく動かすためにこの改正を行われておると、こういうように私どもは理解をしておる。それを、個人的な面に、個人を通してそうして個人に貸付するのだ、こういうように開きますと、これは協同組合金融をますますこわしてしまう。そうして銀行金融というような形がどんどん現われてきて、そうしてこの公庫法をこしらえることによって農山漁村の金融をますますこわして行くような、そういう形ができてくる。その点で私は、先ほど経済局長が大矢さんに対する答弁をきれましたけれども、あの中味は私は非常に残念なものだと思う。私は最初にあなたがお答えになったように、協同組合を通していろいろな農業の施設その他に対する資本の投下、それに対するところの必要な資金は共同組織を通して流すのだ、この建前をはっきりさせて、そうしてやって行かなければ、農山漁村の金融の強大をわれわれは考えておるのですが、そいつはこわれてしまう、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/79
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080・大坪藤市
○政府委員(大坪藤市君) 農村の金融が農業協同組合系統機関を通じて行われたということは、全く先生のお話しの通りわれわれもさように考えておるわけであります。従いまして今回の個人施設につきましての融資につきましては、ほとんど大部分のものが組合を通じて流れて行くと思うのであります。この点につきましては中金等ともよく相談をいたしたのでありますが、ほとんど大部分のものは信連を通じて行くということに相なると思うのであります。ただ農業協同組合の場合におきましても、ごく例外的に組合員でないもの、あるいは組合に加入いたしておりましても、いわゆる信用事業を行なっていないようなものもありまするし、特に漁業者の場合には組合に加入していない、あるいは組合に加入しておりましても、当該漁業協同組合が信用事業を行なっていない場合が非常に多いのでありまして、そういう場合には、これは例外としていわゆる一般の金融機関も貸付の経由機関として行く、これはまさにやむを得ない例外の取扱いであるのでありまして、本筋の取扱い方といたしましては、御意見の通り協同組合系統機関を通じてやって行くようにわれわれといたしましても指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/80
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081・東隆
○東隆君 私は今の経済局長の答弁である程度了解いたすのでありますが、しかし個人に貸付をするという範囲は、これは協同組合組織を私は破る面が非常に多いと思う。たとえば協同組合が弱体だからおれは入らないのだ、だから協同組合を通して借りない、こういうような横車を押すような人、農村の中の組織の中によう入り得ないような人、そういうような人に優先的に金融をせられるというようなことがあれば、これは農山漁村の組織を完全にこわす、従ってそれは例外だと、こう申しますけれども、しかし案外そういうようなのが実は金を借りておると思うのです。借りられる力があると思う。従ってそういう面については相当に、たとえば協同組合等と合議の上で借りるということは、これはめんどうでしょう。めんどうでしょうけれども、何かそれについてのいろいろな、十分な調査、そうしてそういうような個人的な、個人借り入れの場合におけるところの制限とか、そういうようなものが考えられなければ、これは非常に協同組合組織をこわし、かつ非常に害毒を流すような資金の融通面が現われてくると思う。これは十分お考えを願って、そうして施行の上において一つ誤まりのないようにしていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/81
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082・大坪藤市
○政府委員(大坪藤市君) 普通の銀行等の金融機関を指定することによって、それがかえって協同組合の金融組織と申しますか系統にひびが入るというような、そういうふうにそれを逆用するというような形は、まことに好ましくないことだと思うのでありまして、この点につきましては、これを運用いたしまする中金並びに指定金融機関等にもそういうことのないように、一つ十分にその趣旨を徹底いたしまして、協同組合金融の系統をあくまで利用するという本質を厳に守って行きたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/82
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083・関根久藏
○関根久藏君 こまかい問題ですが、農林漁業金融公庫法第十八条第一項第八号の資金指定告示、このなんですが、そのうちのしまいの方の一の、農舎とずっとあるのですが、三に、今非常に品質改善のために回転まぶしが使用されておる。これは数年の耐久力を持っておる。蚕具という名前がついているうちでも機械というようなものもある。多分これは、蚕具というのは回転まぶしも含んでおると思うのですが、その点をお聞きしたい。
それから次の「主要農産物又は輸出農作物の生産の維持増強に必要な施設」、これには桑園の植付、新値、改植等のことも対象になると思うのですが、その点お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/83
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084・大坪藤市
○政府委員(大坪藤市君) 第一点の回転まぶしの点は当然貸付の対象に入るものであります。第二点の問題は、これは施設ということでありますれば入るのでありますが、いわゆる農地の改良というようなことになりますと、これは別ワクになるのじゃないかと思うのでありまして、ここの対象にはちょっと入りにくいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/84
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085・関根久藏
○関根久藏君 農地の改良の方には入るわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/85
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086・大坪藤市
○政府委員(大坪藤市君) これは業務範囲の第一の、「農地又は牧野の改良、造成又は復旧」に必要な経費といたしまして、その中に桑園の改良を含む、こういうふうに相なっております。その中に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/86
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087・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 他に御発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/87
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088・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否々明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/88
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089・森八三一
○森八三一君 私はただいま議題になっております農林漁業金融公庫法の一部改正につきまして原案に賛成をいたすのでありますが、この際以下申し上げます四つの希望につきまして、政府当局に、誠意をもって善処されんことを強く要請いたしたいと思います。
その第一点は、農林漁業者の経済の現況並びに農業協同組合なり漁業協同組合の実態というものから考えまして、今回の業務拡大の措置が講ぜられましたことは、当面の措置としては一応うなずけるのでありますが、今後農林漁業金融の本来のあるべき姿はどういうものであるかということについて、よく御検討をいただきまして、かえって金を貸すことによって農林金融に混乱を招来するということがありましては非常に残念なことでありますので、そういうような点について抜本的な研究を遂げられまして、将来遺憾なき対策を確立されたいと思います。
第二点は、今回の改正は、しはしば質疑を通して明らかになりましたように、原則として漁業協同組合なり農業協同組合を通して貸付を行う、まあ例外的なものはございますが、原則はそういうことでありますので、その主体たる単位協同組合がしっかりしておりませんと、組合員がいかに熱情を込めて要請をいたしましても、この恩典に浴するということは非常に困難な場合を招来すると思うのであります。つきましては、それぞれの協同組合の強化育成につきまして、この機会にさらに一段と力を注がれまして、この法律の改正の趣旨が十分に零細漁民、零細農民に恩典を及ぼされまするように処置をされたいと思います。
なお、協同組合が強化されましたといたしましても、従来の例に徴しますると、その資金の借り受けにつきましては非常に手続が複雑多岐であります。その応接に混迷、疲れてしまうというような場合がしばしばあります。のみならず、その当時の計画といたしましては、当然合理的に償還等もできるという建前にはなっておりましても、農林漁業等はいずれも天然を相手にする原始産業でありますので、長期にわたりまする間には、いろいろの支障が巻き起ってくるのであります。そういうような資金の融通に対しまして、そのときどきの協同組合の役員は、個人の一切の資産を担保に提供しなければ、すなわち個人保証等の手続をとらなければ資金の借り受けができないというような建前が堅持されているのであります。資金の運営についてまじめに遺憾なきを期し、最善の管理者の注意を払って行くということについては私も当然であると思いますが、借り受け主体たる農林漁業者のその事業の本質にかんがみまして、仕事の始末をいたしておりまする役員の諸君が、個人の責任を追及されるということになりますると、そこに問題が伏在してくるのであります。そういう点につきましても十分遺憾なき措置が講ぜられますように善処を希望するのであります。
第三点は、十八条第一項第八号の資金の用途につきましては、指定告示案として一応例示されておりまするが、その中に「主要農作物又は輸出農作物」という抽象的包括的な表現をされているのでありますが、この法律の改正の趣旨にかんがみまして、ほんとうに困っておりまする零細漁民、農民、林業者が救われまするように、用途の拡大についても御研究をいただきたいと思います。特に温室のようなものであるとか、あるいは木炭の関係等につきましても範囲が及ぶように考慮を求めるものであります。
第四点は、そういうことになりますると、おのずから資金の額が相当に充実されなければならぬと思います。今回の改正はわずかに資金量が七億円ということでありまして、おそらく法律の改正は見ましても、渇望している農漁民諸君の期待にこたえるということには非常にほど遠いものであろうと思いますので、今後さらに一層資金量の充実確保、並びに対象がいずれも原始産業でありまして、利潤と追求して一るような立場に置かれているものではありませんので、低利なものでなければならぬと思います。資金量の充実確保と同時に、金利の飛躍的低下をはかるということについて最善の努力をされますことを希望いたすのであります。
以上四点を希望いたしまして賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/89
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090・青山正一
○青山正一君 ただいま提案になっておりますところの農林漁業金融公庫法の一部改正法案に賛成いたします。
ただ問題になる点は漁業の面でありまして、たとえば農林漁業金融公庫法第十八条第一項第八号資金の指定告示に二項といたしまして「合成繊維漁網綱」とありますが、これはむしろ第十八条に五号の三を新設して「合成繊維漁網綱取得に必要な資金」という項目を加えるべきだと思うのであります。というのは、この合成繊維の対象となるものは、その八割までが定置漁業とか、あるいはまき網漁業の個人経営者であります。間接的には漁業協同組合には関係があるにいたしましても、直接漁業協同組合と関係の薄いこの個人の業者に、いま少しく恩典を与えるためには、十八条の五号の三を新設すべきではないかと信じております。しかしながら協同組合が転貸の形式をもって幾分か個人業者を擁護している意味から、将来五号の三を新設してはっきりしていただくよう希望しまして、この法案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/90
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091・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/91
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092・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/92
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093・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては慣例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/93
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094・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
秋山俊一郎 白波瀬米吉
三浦 辰雄 戸叶 武
千田 正 青山 正一
大矢半次郎 重政 庸徳
関根 久藏 森 八三一
亀田 得治 清澤 俊英
東 隆 棚橋 小虎
鈴木 強平発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/94
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095・江田三郎
○委員長(江田三郎君) なお、明日はこの前御相談いたしました日程によりまして繭糸関係と農災法の関係になっておりますが、審議の都合によりましては即日採決をいたすこともあろうかと存じますから、あらかじめ御了承願いたいと思います。
本日はこれで散会いたします。
午後五時十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X03119550721/95
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