1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十五日(水曜日)
午後二時一分開議
出席委員
委員長 松山 義雄君
理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君
理事 木村 俊夫君 理事 畠山 鶴吉君
理事 山本 友一君 理事 青野 武一君
理事 中居英太郎君
有田 喜一君 伊藤 郷一君
關谷 勝利君 中嶋 太郎君
濱野 清吾君 堀内 一雄君
松田 鐵藏君 井岡 大治君
下平 正一君 山口丈太郎君
小山 亮君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 吉野 信次君
出席政府委員
運 輸 技 官
(港湾局長) 天埜 良彦君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 權田 良彦君
中央気象台長事
務代理 吉村 順之君
委員外の出席者
運輸事務官
(港湾局倉庫課
長) 大森 重義君
日法国有鉄道参
与
(運転局長) 竹内 外茂君
専 門 員 志鎌 一之君
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四月二十四日
白棚鉄道開通促進に関する請願(鈴木義男君紹
介)(第二〇八一号)
自動車泥除備付に関する請願(井出一太郎君紹
介)(第二〇九九号)
飯山、新井間の鉄道敷設に関する請願(井出一
太郎君紹介)(第二一〇〇号)
道路運送法の一部改正に関す請願(床次徳二君
紹介)(第二一〇一号)
同(高橋等君紹介)(第二一〇二号)
鳥居駅廃止反対に関する請願(八木一郎君紹
介)(第二一〇三号)
港湾運送行政調査に関する請願(正木清君紹
介)(第二一二五号)
京都市内東海道線を高架式に改築の請願(關谷
勝利君紹介)(第二一二六号)
身体障害者の無賃乗車に関する請願(鈴木周次
郎君紹介)(第二一二七号)
猫崎先山頂上に航路標識灯設置の請願(有田喜
一君紹介)(等二一二八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
倉庫業法案(内閣提出第一五一号)須賀川駅構
内における貨車衝突事件に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/0
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001・山本友一
○山本(友)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。
委員長が所用がございますので、御指名によりまして理事である私が委員長の職務を代行いたします。
陸運に関しての質疑の通告がありますので、これを許します。青野武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/1
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002・青野武一
○青野委員 鉄道監督局長と運転局長に私はお尋ねしたいと思います。それはきょうの新聞を見てみますと、四月二十四日、きのうですが、夜中の二時四十分ごろ、東北本線須賀川駅構内の福島県須賀川市栄町付近で、五十一両連結の大宮発青森行下り急行貨物列車がトラックと衝突をいたしまして、かなりひどい転覆の仕方をしておりますが、新聞の報道によると機関車の機関士が非常に大きなけがをした、それからトラックの運転手が死んでおる、こういう記事でございましたが、これは一体どこに原因があるか、私どものような多少専門的立場にあるものが考えますと、かなり常識的に考えても、どういうところにこの転覆の原因があったかということはおぼろげながらわかりますが、一般の国民はまた国鉄が大きな事故を起した、洞爺丸、紫雲丸、その他踏み切り等で大きな事故を起すと、すぐ国鉄当局の失態ではないかといったような先入観を持って、そういうように早急に判断をしたがるものであります。でありますから、この衝突転覆の原因がどこにあったか、それは列車は、御承知の通りカーブで、駅の近くになっておりますから、かなりスピードを落しておったことは新聞の記事にもありますが、トラックが飛び込んできたところに機関車が衝突をした、こういうことは常識で判断すればすぐわかることですが、ややともすると国鉄側に何か大きな失策があったのじゃないかと考えやすいものですから、その原因について集めました情報に基いて一つお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/2
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003・權田良彦
○權田政府委員 昭和三十一年四月二十四日、昨日でございますが、二時四十分に東北線の須賀川駅構内で今お話しになりましたような事故がございました。この踏み切りは第四種で、踏切番がついてない、また警報機もついていない踏み切りでございますが、ただいままで判明いたしております原因は、この一五一列車という貨物列車でございますが、五十一両の貨車を連結いたしまして進行をいたしておりましたところ、ここを通ります直前に、左側からトラックが踏み切りに入ってきたのを発見いたしまして、急停車手配をとりましたが、これが及ばなかった。従いまして左側から参りましたトラック運転者が、踏み切りで一たん停止せずに直前横断をいたしまして、その直前横断を発見いたしまして急停車手配をとりましたが及ばず、これと衝突した、こういう実情がただいままでのところ判明いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/3
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004・青野武一
○青野委員 これは死亡者が一名くらいの限度にとどまりましたことは不幸中の幸いでありますが、負傷者あるいは死亡者の応急処置、それから復旧作業等がもうほとんど完成されておると思います。新聞の記事の報道によりますと、国鉄職員、これは現場職員ですが大体百名、地元の消防団から二百名、自衛隊が五十名、合計三百五十名の諸君が復旧のために非常な努力をしておるということが書いてございましたが、それらについて復旧は何時ごろに完成したか、それから機関車の横倒しあるいは貨車等が脱線したり転覆しておりますし、それに従ってレールとかまくら木、そういうものの損害が相当あると思います。機関車あたりはどの程度の損害であるか、あるいはまくら木、レール等、それから貨車、そういうものを大体見積りまして、どの程度の損害額が今度の惨事で出るだろうか。それと重ねて御質問申し上げますが、スピードの点とカーブの関係はどうであったか、それはトラックが直前横断をやったために急停車をして応急処置をとったとおっしゃいましたが、これは普通の場合とは違いまして、一ぺんずっとゆるいカープを通って、そして須賀川駅の近くでありますから相当スピードは落しておることは、われわれも常識で判断できるのですが、そこをトラックがどっと直前横断をやった、急停車をすれば勢いその急停車自身が五十一両の貨車転覆の大体の原因になったのじゃないか、こういうことも考えられるのですが、カーブとスピードの関係、それから今度の場合は別といたしまして、将来こういう転覆事件は防止できないのかどうか、不可抗力に類するかどうか、これがもし急行の場合、客車であった場合に、一体この惨事の大きさはどうなっておるか、それはおそらく文字通り阿鼻叫喚の惨状を呈しておるのじゃないかと思うのです。これはトラックの運転手が死亡して機関車の機関士が一人重傷を負うた程度でとどまっておりますけれども、これが十二、三両連結した客車で、しかも急行なんかであった場合に一体どういう惨事が生まれるか、そういうことを考えますと、将来こういったような転覆事件の防止ができないものかどうか、今日の国鉄の技術においてどういうことになるかということを私はお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/4
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005・竹内外茂
○竹内説明員 お答えいたします。最初にお話のございました復旧の時間等につきまして申し上げますと、上り線は昨日の十八時二十五分に復旧をいたしております。下り線はけさの六時三十分に復旧をいたしております。この復旧は非常に時間的に長うございまして、非常に御迷惑をかけた点が多いのでございますが、たまたま電話報告によってこの実情等を見ますと、約四十メーターくらいのところに貨車約十両がくしの歯のようになっておりまして、これをはずして片づけるということに非常に手間をとりました。従いましてその間輸送といたしましては連絡のバス等を利用いたしまして徒歩連絡をいたしたのでございますが、こういった大きな事故の復旧になりますと、レッキング・クレーンと申しまして貨車そのものをつり上げるものがございます。これがたまたま郡山附近の長町からそれを取り寄せて復旧にかかったのであります。多数応援いただきましたのでございますが、その応援できる範囲と申しますのは、そこの本物を取り片づけますまでの下準催とか、あるいは荷物のおろしとか、そういうものにかかりまして、本格的に復旧いたしましたのはこのレッキング・クレーン到着後のことでございます。
それから第二問のカーブについてのお話でございますが、現場は六百メートルのカーブでございます。われわれの鉄道のカーブの制限速度と申しますのは九十キロになっております。ところがこの列車は速度の関係で、五十一キロと推定されておりますが、この五十一キロの速度で非常制動をとって参りますと、約三百メートルぐらいはどうしても制動にかかるのでございまして、この点今度の事故の防止には少し距離が短か過ぎましてうまくいかなかったことが考えられるのでございます。なお原因について詳しく当時の状況等を調べたいのでございますが、機関士が何分にも重傷で入院中でございますので、その点本人の自供等がございませんので十分の調べをまだいたすわけには参っておりませんが、現場の事情からいろいろと推察して申し上げておるような次第でございます。
それから第三点の損害額でございますが、新聞には約一億円とかあるいは六千万円とかいう言葉がありますが、これは目下仙台の管理局におきまして現場に急行いたしまして損害額、まくら木の破損状態あるいは車両の転覆復旧状態といったものを調査いたしておりますので、私の方で追って調査が完了いたしましたら御報告いたしたいと思います。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/5
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006・青野武一
○青野委員 これはくだらぬ質問に類するかもわかりませんが、たとえば貨車の転覆等によりまして——何しろ夜中のことでありまするから紛失等はないとは思いまするが、五十一両の貨車はからではなかったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/6
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007・竹内外茂
○竹内説明員 身入りが多うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/7
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008・青野武一
○青野委員 結局荷物とか貨車に積んでおるいろいろな品物等の紛失等がなかったか。それから今お答えになられましたように大体の推定損害額一億円というか、そういったものは新興陸送株式会社ですか、宮城県の瀬峰町日通支店に運送中の新車のトラックが衝突したと書いてありますが、新興陸送株式会社に対して国鉄側は損害賠償の要求ができるのかどうか。それから大事な点でありまするが、これは技術的な問題になりまするからあるいは具体的な御答弁ができないのじゃないかと思いますが、客車の場合のことを考えると非常に事が重大であり、将来に相当な不安をわれわれは持ちまするが、こういったようなトラックが一台乗り込んできて、直前横断をやって機関車がそれに乗りかけて三十メートルばかり引きずっていった。それがために機関車が転覆する、引いておった貨車が転覆した。客車の場合には大へんなことになる。再三申し上げておりますが、これは極力スピードの点やカーブの点を考慮して、ある程度こういう転覆事件というものは防止できるのかどうか、今の国鉄の技術で。そういったような個所は全国で相当あるのですか。その貨物自動車が飛び込んできて機関車と衝突をして急停車をいたしたためにこういう惨事がその都度起るようでは、非常に不安を持たなければなりませんが、そういう点についてこういったような衝突転覆事件というものが技術的にある程度の防止ができるのか、防止ができないとすれば全然頭から不可抗力であるか、この点が、衝突転覆事件について広く国民に公式に発表しておかないと、非常な誤解を招くおそれがあると私は考える。今申し上げましたように新興陸送株式会社に対して損害賠償の要求ができるのかどうか、荷物、貨物の紛失あるいは破損したというようなものを総合計いたしまして、まくら木、レールの取りかえ、あるいは貨車の損害、機関車の修理費、横倒しになった以上は機関車も——新規に作れば三千何百万円という金額ですが、おそらくボイラーなんかも相当な故障があるであろうし、いろいろな個所の修繕費が要ると思いますが、そういったようなものが、御答弁によると大体一億円程度だと言っておりまするが、そういったものを含めてどの程度の金額が損害賠償として、トラック会社に要求ができるのかどうか、それを一つお尋ね申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/8
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009・權田良彦
○權田政府委員 お答えを申し上げます。こういった事故の場合に、国有鉄道が事故を起した原因者に損害賠償の請求ができるかどうか、これはできる建前になっておりまして、今までの例でも、明白に事故原因が向う側にあって、その過失に基いてなした者に損害賠償を請求いたし、また損害賠償をとりました事例もございます。今回の場合は先ほどお答え申し上げましたように、なお詳細にその原因その他を調査中でございまして、この調査の結果を待たなければ相なりませんのと、また損害額その他につきましても、今先生の御指摘のように紛失いたしました荷物があるとすれば、そういうこともやはり損害額に相なりまするので、十分そういう点も取り調べました上で、この事故の原因が全く向う側にのみありますれば、そういった意味で在来の例にならって適当なる補償措置が講じ得ると思いますが、この点は今具体的な須賀川の事件についてどうするかということを調査中でございますので、調査の結果を待ってから国有鉄道をして適当に措置せしめたいと存じております。なおお尋ねのいろいろな客車の場合、技術的な問題もございますので、運転局長からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/9
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010・竹内外茂
○竹内説明員 それでは最初に客車の場合にこういう事故が起きて、大きな結果となりはしないかというお尋ねでございますが、これは貨物列車と同様のこういったことが起り得る可能性がないとは申し上げられません。ただ貨車等におきましては、木製車が多うございます。しかも積み荷をしたものと空車のものと雑然と入っておりますので、この被害の程度というものはかなり大きくなっております。しかしながら客車におきましては車体が鋼製化されておりますので、まあ結果的には同じチャンスとしましてもこれほどは大きくならぬと思いますが、御心配の点は確かにございます。そこでこの踏み切りのこういった事故を防止することができないかどうかという御質問でございますが、現在の踏み切りには、三種類の踏み切りがございまして、一つは第一種踏み切りと私どもが呼んでおりますが、これは踏切警手がおりまして、遮断機を上げ下げしておりますものが第一種踏み切りでございます。この数が約三千でございます。それから第三種踏み切りと申しますのは、警報機がついておりまして、列車が接近をいたしますと、赤の警報が点滅をいたします装置でございます。これが全国で約千七百ございます。そのほかのものは、いわゆる一間以上程度の踏み切りにおきましては、線路に近づくところに警報といいますか、これから先百メートルほどのところに線路があるということを表示して、線路のところには、バッテンをつけました装置がございます。これはしかし自動的に何も作用をいたすものではございません。これを四種と呼んでおりますが、一間以上のものが全国で三万六千ございます。その他作場道と称しますが、一間以下のものを合せますと、私この数字をちょっとはっきり記憶いたしておりませんが、約八万近くございます。そういうふうな実情でございますが、これに対しましてこういった須賀川の踏み切りは今の一間以上のものでございまして、第四種の踏み切りで、いわゆるバッテンの警告標がついておるものでございます。これは交通量の基準がございまして、一応この交通量の基準以上になりますと、今の踏み切りのベルといいますか、点滅さしたり、三種にしたり四種にしたりすることになります。こういうふうにいたしますれば、第三種の場合はトラックの運転手の方で無謀に走りますと事故を起しますが、踏切警手をつけましたものは、踏切警手の間違いでもない限りは事故を起さないことになります。これを完全に除去しようとしますれば、立体交差にいたしまして、道路と線路と縁を切ってしまう、こういう方法がございます。従いまして、こういうことでわれわれといたしましては、この踏切事故の増加傾向にかんがみまして、こういった設催を次々順序に応じて作っておるような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/10
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011・青野武一
○青野委員 その点はよく了解することができました。しかし踏み切りにそういった点滅器であるとか、それから警手が立ち番をしておるとか、それから警告標がずっと何百メートルか手前にあるといったような程度で——大体自動車の運転手が鉄道線路の踏み切りにかかった場合は、ちょうどバスの車掌あたりが、汽車が今来ておらないということはもうわかり切っておることで、右も左も汽車の姿が見えないのにもかかわらず、一つの習慣として一たん女の車掌がバスからおりて、そして笛を吹いて、大丈夫だ、とにかく前進して下さいといったように、一つの習慣をつければこれは絶対安全でしょう。今回の場合は、目撃者の話によっても、結局トラックが直前横断をしてとまらなかった、それが最大の原因になっておるというように私どももはっきりしたことは、検察庁なり警察当局がお調べになって、これが損害賠償の重大なる基礎になってくると考えられるのですが、結局国鉄の責任ではなかったとしても、こういう問題については、将来事故を防止する上から相当研究を要するのではないか。それは金に糸目をつけずに立体交差にすれば、ドイツのようにあるいは欧米先進国のようにやれば、それは事故を防止することができるが、さて今の場合に、全国でこの事故のあったような踏み切りが、今お話を聞くと八万からあるという。今までに事故のなかったということが不思議であります。あるいは酒を飲んだり、とにかく自分の第六感でもって、今列車は来ていないのだ、こういう考えでもってさあっと通り抜ける運転手もあるのです。それが来たために五十一両の貨物列車がとにかく転覆するということは、かなり大きい衝動を受けたに違いないと思うのです。御承知の通り、カーブを右の方に回っていく場合には、右側の線路はある程度勾配をつけて低くなっている。逆に左の方に回っていく場合に、左の方を低くしないと、これはそのたびに転覆することはわかっておる。ところが一定の速力を出してそのカーブをずっと通っていく間は、そのレールの敷き方というものは勾配は安全ですが、直前を横断するトラックをよけようとして急停車をする場合にはやはりそこに無理があるのです。やはり技術的には、そういう勾配を普通の速度で通っておる間は安全だが、急停車をしたという反動、線路が勾配になって、大きなカーブに線路が敷いてあるところで急停車をすれば、一ぺんにその反動でひっくり返るということは、これは私ども多少技術的な点を研究しておりますから、これは五十一両の列車が全部転覆したとは思いませんけれども、そういうところにも原因がある。なるべくトラックを大破しないように、乗っている運転手、助手あたりにけがのないようにという考え方から急にブレーキをかけて、急停車したことと思いますけれども、こういう点についてもやはり技術的に、その道の専門家の諸君が将来かなり具体的に研究していただかないと、全国で八万ヵ所もあるところに将来またこういうような問題が起っては大へんだと私は考えるわけであります。
そこで運輸大臣にもお願いしたいのは、十分具体的に緻密に警察なり検察庁あたりが出向いてお調べになった資料を基礎にして、あるいはこういうことであったという真相を発表するし、また一面には、荷主あるいは輸送を託された小荷物の所有等に損害を賠償せねばならぬ場合がありますれば、当然この新興陸送株式会社のトラックを所有しておる会社にその要求をすることになりますが、果して一億幾らの損害が——まあ一億円とかりに言っておりますが、どの程度の金額が損害賠償に値するかわかりませんけれども、それらの一切の資料は官憲の調査によってそれがはっきり固まって、その上に立って、その資料に基いてそういうような手段、方法が講じられることだと思うのでありまするが、この機会に国鉄側としては、今回は一たんトラックは停止しなければならないものが停止をせずに、列車が驀進してくるときにその直前を横断したために起った事故であるということを——やはり北海道の洞爺丸の沈没事件とか、紫雲丸で相当の犠牲を出した沈没事件とか、その他踏み切りで進駐軍あたりの不注意によって静岡県のある踏み切りではまた問題を起している、そういったようなことを考えると、この機会に公式な見解を広て国民に発表する必要があると思う。ただ単に運輸委員会で実はこうでありましたということでなく、とにかく何らか公式の発表をなさって、国民全体の誤解を一掃する。また国鉄でやった、国鉄の貨物あるいは列車、船に乗るたんびに何か事故を起しておる、こういうように不安な気持を植えつけるということは——将来国鉄の経営の合理化あるいは国鉄を十分発展せしむるために国民の協力を求める、国民のまた世論を尊重して合理化のできる範囲は合理化していく、そうして経営の合理化と同時に、三十七万の国鉄職員に対しては、ほんとうに自発的に労働意欲を荷揚させるという一点からいってみても、やはり国民の支持を受けなければだめですから、国民に不安を与えておいたのではいかぬ、また青函連絡船のことを申し上げるようでございますけれども、あの青函連絡線の航路に、それを横切って東の方で浮流機雷を発見したということだけで、それに乗らない者はいいのです、不安を持つだけならまだその程度でいいのですが、直接にその船に乗ってかじをとる船長あるいは機関を受け持っておるところの機関士あたり、あるいは甲板とか中で作業をしておる国鉄の職員は、非常な不安を覚えているわけです。その不安をどうして除去してやるかということも、非常にこの問題と一緒に重大なんです。だから将来適当な機会に運輸大臣なり国鉄総裁がとにかく公式に国民に、今度の問題はこうこうこういう事情によって起きた惨事である、気の毒ではあるけれども死亡者一名にとどまり、また機関士が重傷を負うた程度にとどまったことは不幸中の幸いであったけれども、将来はこういうことのないように、われわれもまた大いに研究して注意をしたい、しかし今回の事件は、列車が走ってくるのに、一時停車をするのを、その直前を横切ろうとしたので、驀進をしてきたためにそのトラックの上に列車が乗って、約三十メートルほどトラックを引きずったために、トラックの上に乗った列車が転覆した、その反動で引っぱっている五十一両の列車が、それぞれ荷物を積んでいたために転覆していろいろ珍事を起し損害を起したけれども、将来はこういうことがないようにということを、公式にぜひこういった運輸委員会の席上なりまた別の機会に、適当な日に国民に向ってそういう真相を発表していただきたいということを私は考えておるのですが、運輸大臣はどうお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/11
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012・吉野信次
○吉野国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、御意見の趣旨に沿うように私ども善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/12
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013・山本友一
○山本(友)委員長代理 濱野清吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/13
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014・濱野清吾
○濱野委員 運転局長にお尋ねしますが、カーブは何メートルですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/14
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015・竹内外茂
○竹内説明員 六百メートルです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/15
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016・濱野清吾
○濱野委員 勾配は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/16
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017・竹内外茂
○竹内説明員 勾配は千分の三・三だと思います。千メートル行きまして三メートル上る程度の勾配で、これは下り勾配であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/17
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018・濱野清吾
○濱野委員 これは下り列車ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/18
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019・竹内外茂
○竹内説明員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/19
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020・濱野清吾
○濱野委員 そうすると須賀川の駅の構内にあるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/20
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021・竹内外茂
○竹内説明員 駅の構外でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/21
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022・濱野清吾
○濱野委員 構内に入ろうというところですか、ちょっと図面を見せて下さい。——そこで、これには対向転轍機はついておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/22
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023・竹内外茂
○竹内説明員 構内にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/23
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024・濱野清吾
○濱野委員 対向転轍機の制限速度は何メートルですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/24
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025・竹内外茂
○竹内説明員 対向転轍機はございますが、列車の入りますところは直で、カーブはございません。そうして単線区間でありまして、列車が出てくるところはカーブはあります。従って下り列車の進行するところは速度の制限はあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/25
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026・濱野清吾
○濱野委員 対向転轍機はないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/26
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027・竹内外茂
○竹内説明員 ありますけれども、つまりポイントの部分が直線になっておりますから、速度制限はございません。しかし列車の出てくるところは曲線でありまして、カーブがありますと、そのカーブに応じて五十五キロなり何なりの速度制限がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/27
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028・濱野清吾
○濱野委員 構内通過速度は何キロですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/28
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029・竹内外茂
○竹内説明員 これは規定では、今のところ旅客列車もここを通りますので、八十五キロくらい、貨物列車ですから大体五十五キロから六十キロくらいの程度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/29
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030・濱野清吾
○濱野委員 構内の速度はきまっているはずですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/30
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031・竹内外茂
○竹内説明員 構内の速度はポイントの種類によって違いまして、八十五キロで押えておるのもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/31
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032・濱野清吾
○濱野委員 私のところでも実は汽車へぶつけて国鉄に御迷惑をかけているのですが、しかしそれは列車が規定の速度で走っておりましたからこういう事件にはならなかったのだが、私の聞きたいことは、結論的に申し上げますれば、なるほどこれは事故はトラックが起したけれども、しかしこうした大きな転覆脱線の起きるゆえんのものは、夜中のことらしいから、速度制限をせずに相当の速度で運転しておったのではなかろうかという疑いが起きてくる。そこでこれがいい悪いは別問題として、真実を告げたがよろしい。いやしくも議会で御答弁をなさる場合は、真実を告げて、将来に対処することがいいのではないかと私は思います。そこで、こうして新聞にも出ております。新聞の写真を見ますと、これはどうも速度が出過ぎている。下り勾配で、そうして六百メートルカーブがあって、そうしてこれが通過の貨物列車であって、トラックがひっかかってからみ合った、トラックだけは三十メートル引きずったといっておる。激突して停車するまでの距離、一体何メートルくらいで停車しましたか。トラックを三十メートル引きずったという記録は新聞にも載っておりますけれども、どこでとまったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/32
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033・竹内外茂
○竹内説明員 踏み切りから列車の機関車が転覆してとまりましたところまで、これは私はっきり調べておりませんが、図面から推察いたしますと、大体百二十メートルくらいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/33
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034・濱野清吾
○濱野委員 そこで人をひいてもトラックをひいても、からみ合ってとまる場合はあると思うのです。われわれの経験からいきますと、人をひいても二十メートルやそこらはからみ合ってとまる場合もあります。ですが、トラックは三十メートルで離れた。しかしとまったのは、機関車が転覆した場所は何メートルですか、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/34
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035・竹内外茂
○竹内説明員 この図面で大よその推定をいたしまして百二十メートルくらいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/35
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036・濱野清吾
○濱野委員 そうしますと、一五一列車が牽引しているものは貨車が五十一両、激突して百二十メートルでとまった。そうしますと、あなたの方で計算すると、この列車は大体時速何キロで走っているかという数字が出るはずですね。大体出ましょう。たとえば五十一両のうちに空車が幾らあって盈車が幾らあって——運転局長の方では大体数字が出ると思うのです。どうしてもこれは制限運転速度を超過した運行をしておったのではないかという疑いがあるわけですね、私どもから見れば。その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/36
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037・竹内外茂
○竹内説明員 お答えいたします。これにつきましては、ぶつかりましてから機関車のとまった位置までの距離も技術上判定の何になりますけれども、この区間の通過の時分あるいは機関助士の供述によります、蒸気をどの程度にあけておいたか、あるいはスピードは何キロくらいであったか、あるいは車掌もおりますので、そういったものも調べまして、現地では技術的にそういった速度を推定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/37
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038・濱野清吾
○濱野委員 それはすぐわかるでしょうからあれですけれども、この新聞を見ますと、これは朝日新聞ですか、これによりますと、特に速度はゆるめていたという記載があるわけですね。「直線コースから右にカーブして須賀川駅を通過するので速度はゆるめていた。」
〔山本(友)委員長代理退席、委員長着席〕
朝日新聞の写真を見ますと、倒れ方がいかにもひどいのですね。これは列車を引いて相当の速度で走って、そうして激突して、直ちに制動機をかけたかかけないか、直ちに制動機をかけるような場合にこういう現象が起きるわけで、ばっと当ってからしばらくの後に制動機をかけた場合は引きずっていく。要するに事故の起きた現場から機関車の先端までの距離というものがずっと長くなるけれども、これは相当短かい。短かいだけにこういうふうな横倒し脱線の現状の出ることは、物理学的に見て非常な速度で行っていることは間違いない。これは私の質疑の内容や運転局長さんの答弁を解いて、物理学的な事実によってこういう写真が出てくると思うのです。私の願いは、なるほど根本的にこうした事故を排除するためには、立体交差をすることも必要であろうし、あるいはまた踏切番を全部つけることも必要であろうけれども、国鉄の現状ではそういうこともできないでありましょう。ほんとうに安全運転、安全輸送を国鉄が実行するならば——速度の問題だけはよほど考えてもらわぬと、国民が非常な迷惑をこうむると思うのです。この場合、局長さんは職務上その速度は出ていなかったろうという推測のようでありますが、私どもの感じでは、計算をしてみませんからわかりません。本人の供述でも、必ずしもその供述によって真実だと判定することはできないと思うのでありますが、大体こおきましてこの速度が大きかったのじゃないか。先ほど局長さんのお話では、制限速度は九十キロというのですが、貨物列車で九十キロですか。要するに駅構内に貨物列車が入る場合、制限速度は九十キロという規定がおありになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/38
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039・竹内外茂
○竹内説明員 制限速度は一般旅客列車の速度のことを申し上げまして、貨物列車は最高速度が六十五キロになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/39
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040・濱野清吾
○濱野委員 そうしますと、それはここで論議しても、お宅の方ではまだ実際の内容はよくわからぬでありましょうけれども、私にも非常に疑義ができるのですが、後日事故の原因を十分究明されるのでありましょうから、そうした問題を総合的にお知らせ願いたいと思います。私はどう考えても、最近若い運転士がとんでもない速度を出して運転する傾向がある。私は青年時代その方の経験者ですから、たとえば大宮構内あたりに急行列車に乗って入っていくにしても、あるいは対向転轍機のある大きな駅に入っていくにしても、あるいは複雑した路線が構内にあって、そうしてたくさんの信号を見きわめて進入する場合でも、若い運転士が乗っているときが一等こわいのです。実際ふまじめな若い運転士が乗って、大宮あたりの構内に突入するような場合は、果して自分の列車の信号であるかどうかときどき迷う場合があるのです。それから速度を誤まる場合もあるのです。そういうようなことで、駅構内に入って……(「そんなむちゃなことはない」と呼ぶ者あり)ある。それはどこの機関区、どこの路線かわからぬが、私どもは東京周辺の列車の運行をしておったのでありますが、大宮構内が一等わかりにくい。単線やその他地方の運転をしている人たちの経験はどうか知らぬが、東京近傍の大宮、ことに田端の構内の信号などはちょっと眠い目をしていると、信号の誤認がすぐ起きる。転轍機を割ったり、それからとんでもない脱線をしたり、ことに私の経験によると「上野を出て大宮の構内に入るときが一等こわい。無数の信号機がある。そしてその列車によって自分の信号がどれであるかということの判定にちょっと迷うことが多いのです。そういう信号でさえも非常に誤認しやすいこともあるし、また非常に的確に認識することが困難な場合があるのですから、夜間運行で通過列車の速度を規定通りにするということは、なかなか困難であろうと推測しているのです。ところが若いうちは元気がありますから、飛行機とでも競走したいような気持にかられるものです。ですからこの事故は少し速度が出過ぎておったのじゃないか。規制されている速度で運転しておれば、そうして激突したほどのものでありますから、すぐ気がつくはずであります。ショックが大きくきますから、居眠りしておっても気がつくはずであります。この貨車が脱線し、あるいは転覆した現場の写真を見ると、これは普通の速度ではないように感ぜられる。実際こういう事故が起きるからこそ、列車の運転速度を十分守ってもらうことがどうしても必要だ。そうすれば現に事故が起きても、これほど大きくならずに済むであろうし、あるいは傷害を受けるようなこともできずに済むのじゃなかろうか。列車でも自動車でも、時間と空間を征服して高速度をもって走るものは、何といっても速度が大事だが、また速度が事故の一番大きな原因になってくると思う。この場合は、局長さんは合法的な説明をしていらっしゃいますけれども、いずれ計算していけばわかることです。われわれもさんざんこれでいじめられたのですから、どういう供述をしようと、計算をすれば物理学的に一つの答えが出るはずでありますから、その答えの出たのを適当な機会に将来のわれわれの一つの知識として御報告を願いたい。それと同時にこの機会に、運転関係における速度の問題は、あなたの方から十分制限速度を守るように通達をして、こうした事故が小さく救えればけっこうな話だと考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/40
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041・竹内外茂
○竹内説明員 ただいまお話の点につきまして、ここはタブレット区間でございますので、タブレットをとりますためには、どうしても五十キロ以下ぐらいでありませんととれません。そういった関係、いろいろの観点からこういう速度を出したのでございますが、お説の点、技術的、物理学的にいろいろ検討いたしますことは、これを専門家に託してやるつもりでございます。それから制限速度の厳守については、たびたび注意を喚起いたしておりますが、なおよく注意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/41
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042・濱野清吾
○濱野委員 タブレット区間でもそういう説明は工合が悪いと思うのです。私は宇都宮にいて、宇都宮——白河間は御承知の通りタブレット区間でありますが、左の腕がちぎれるような速度で飛ばした経験があるのです。理屈は抜きにして、やはり何といっても、速度の制限というものはあらゆる角度から割り出したものですから、それを局長さんの方で十分下の方に通ずるような措置をとってもらいたい。最初から制限速度で運転しておったろうという前提のもとに立って、局長さんがお答えになります気持はわかりますけれども、それでは事故は減りません。タブレット区間だから制限速度は越えないであろうというような考え方は大へんな間違いです。私どもはタブレット区間でも助士の左の腕が切れるような速度で運転した経験もあるのですから、今なら私どもはやりませんけれども、二十六、七のときには、えてやりたがるものなんです。ですからその点はどうぞ十分御注意願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/42
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043・松山義雄
○松山委員長 これより倉庫業法案を議題といたしまして、質疑を行います。井岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/43
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044・井岡大治
○井岡委員 資料をお願いしまして本日資料の配付を受けたわけですが、この資料で資本金等について、戦前あるいは資産の再評価、こういうものが明確になっておりませんので十分なことはわかりませんが、こうして見ますと、かなり中小企業者が多くございます。しかも大体先般申し上げましたように、中小企業の方に非発券業者が多い。そこで実は第五条の四号の問題と、第十三条の二項の問題に関係してくるわけですが、第五条四号では一応の基準を示しております。ところが十三条の二項の二の問題で、「当該業務を適確に遂行するに足る資力信用を有すること。」こういうことになって参りますと、果していわゆる第五条四号の規定に適合できるかどうか、こういう点が非常にむずかしいようになって参ると思うのですが、この点についての関係をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/44
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045・天埜良彦
○天埜政府委員 ただいまの第五条の四号でございますが、この四号は大体「運輸省令で定める基準」という点でございますが、これも資料でお配りをしてあるような基準で一般倉庫としまして運営をしていきます上の、確実な保管をするのに最低の基準を示しておるわけでございまして、これに対してはそれほどむずかしいことではないというふうに考えます。
それから十三条の二項でございますが、「当該業務を適確に遂行するに足る資力信用を有すること。」これは発券の許可基準でございます。この点につきましては相当調査をいたしませんと、必ずしも簡単にはいかないのじゃないかというふうに考えますが、その点と今の五条の関連については、それほどでなくてもこの基準に適合するようにいけるというように、行政指導でいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/45
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046・井岡大治
○井岡委員 そこでもう一度もとに戻ってお尋ねするわけですが、先般もお伺いいたしましたように、法律の目的はやはり発券業者に全部がなってもらう、こういうことが法律の目的でございます。ですからなるほど五条と十三条の二項の二の関係は一応分離されたとしても、やはり目的が発券業者になってもらうという前提である場合、かなりこの問題が重要なウエートを占めてくるのではないか、こういうように考えますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/46
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047・天埜良彦
○天埜政府委員 お話の通りでございまして、倉庫業であるからには発券をできるものであるべきだというのが根本の観念でございます。それでそのようにいたして参りたいのでございますが、直ちに倉庫業の営業許可権即発券ということになりますと、在来の小さい業者で許可にならないというものができて参りますと、実際上非常に困難がありますので、まず第一段といたしまして倉庫の第五条による設備の方の基準によって、その限度まで、設備の欠けるものがある場合にはこれを直していくような行政指導をして、第二段として発券のできるようないい営業状態に持っていまたいというような考えで、この法案が成り立っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/47
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048・井岡大治
○井岡委員 そこでもう一つお尋ねいたしますが、今ほとんどの業者が発券をしておらない。従ってこういう法律があらためて出される理由が生じてきたと思うのですが、問題はやはり発券をするように行政指導をしていかないと、非発券のところにえてしてダンピングが行われておる。そのために倉庫業の秩序が非常に破壊されているように思うのです。従って先ほど申し上げましたこの三点の関係というものは、現段階において一度にそういうことをやることは困難であるとしても、少くとも、やはり逐次発券業に切りかえていくというように考えていただかないと、せっかく作った法律そのものが再び空文にひとしいような状態になるのではないか、こういうように思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/48
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049・天埜良彦
○天埜政府委員 お話の通りでございまして、この法案もただいま申しましたように、発券に最後の目的は持っていきたいということで、前にも御答弁申し上げましたように、行政指導によりなるべく早い機会に倉庫営業者はすべて発券できるようにいたしたいという考えで進んでおります。実は発券業者がただいまのところ比較的少いという原因につきましては、前回にも申し上げましたように、発券の必要のない貨物がかなりございまして、そのような関係で発券業者の少いという点もございますが、逐次ふえて参っております。これは現在までのところでございますと、発券するように慫慂するということはなかったのではございますが、今後は発券の資格のある者は発券を進んでするようにというような行政指導もいたしまして、倉庫業者たる者は発券の一日も早くできるように進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/49
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050・井岡大治
○井岡委員 そこで少くとも現在非常に重要な物資である農産物、いわゆるお米あるいは綿花、こういうものはほとんど政府の方から指定をしてきている。しかしこれはほとんどみな発券業に切りかえていかないと、いわゆる山間の倉庫その他の中小企業はそのためにたとえば運送業と兼業している。そこに倉庫秩序の乱れている原因がかなり多く散見されるわけです。従ってそういう問題は、なるべく現在のところは発券にするに足らない物資を扱っているということではありますが、しかしながらそうかといって、これを怠っているということになると、繰り返して申し上げますように、兼業をして、そうして倉庫代を取らないでやっていく、こういう格好で非常に乱れている。一方では指定をされてどんどんいいものだけをとっていく、残ったところはやっていけない。そのために今申し上げたようなことをやる。同時にまた、それから来てほかの中小企業は荷がないものだから、なおダンピングしている。こういう格好があらゆるところで見受けられます。たとえば私はこの間十八日に大阪で七、八軒回ってみたわけですが、口をそろえてそれを言っている。それではお前のところはどうなのか、こういうふうについてみると、その点については明確に答弁はしないけれども、かなりそういう問題が顕著に現われてきている。ですから先般も申し上げましたように、法律の目的が、少くとも適正なる運営と倉庫証券の円滑なる流通をはかるということでありますから、一気に解決するということは困難であっても、逐次そういうふうにやっていくというようにしないと、せっかくこしらえたものがだめになるし、同時にまたそのためにお互い必要以上に競争をする、こういうことになるのではないか、こう思うのです。従ってこの点を十分御注意をいただきたいと思うのです。同時にその指導の仕方等についても、具体的な御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/50
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051・天埜良彦
○天埜政府委員 今の点、全くお話の通りでありまして、地方においては間間そういう点のあるうわさも聞いておりました。この点につきましての指導については、倉庫業界その他も通じまして、またわれわれの方の出先の倉庫関係の者も集めまして、そういうような御趣旨の点よくわかりますので、指導をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/51
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052・井岡大治
○井岡委員 そこで先般金融措置であるとか、あるいはまた固定資産税の減額を行うというようなお話があったのですが、第五条の四項を満たすためには、やはりいろいろのあっせんをしておられるようでありますが、私はまだ十分でないと思うのです。同時に、現在の国の財政的基盤から考えても、そうむやみやたらにそういうことができるものではない、限度がある、こういうように考えてくると、果してあなた方が言われておる附則の第三条の第二項に、この法律の施行の日から二年以内に同条の云々と書いてありますが、できるかどうかというと、私は今の状態では、あなたの方からいただいたこの資料の中から見てもこれはとうてい不可能だと思うのです。そうなって参りますと、いわゆる中小企業というものは漸次整理をされ、統合されて、みずからの職業を奪われていくということになりはしないかと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/52
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053・天埜良彦
○天埜政府委員 中小企業に対して金融措置を講じておるという点は、前会にも申し上げましたように、逐次ふえて参ってきております。私どもが今特に考えなければならないことは、この法律が施行されまして、この第三条によって二年間となっておりますが、実はこれは公布の日から起算して六ヵ月を経過した日からしますと、実際は二年半あるのです。この二年半の間にもし許可のおりないようなものがある場合に、これを何とか救う手段を考えなければならぬ、これが一番の先決問題でございます。この点につきましては、あらゆる努力を傾倒したいと思っておりますが、実はこのことにつきまして、この前そういう倉庫があった場合に、保管の物品に応じてこれはきめるのだからということも申しました。しかしまずそういうことを除きまして、一応の雑貨をみな入れ得るようにするという基準で考えて参りますときに、この前、側壁の面坪当り約二千円かければできますということを申しましたが、あれは相当質のいいものでございまして、七センチ半の厚さの鉄鋼モルタル塗りというようなことでございますので、この最低の基準でありますならば、坪当り千円でも合格する基準になりますので、その程度でも何とかして金融措置を講じたいというふうに考えております。その程度で参りますならば、この第三条の基準で何とかいけるのじゃないかというふうに私どもは考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/53
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054・井岡大治
○井岡委員 私は意地の悪いことを言うと、今のことでは少し納得ができないのです。ということは、やはり第一条の目的を満たすためには、いわゆる荷が軽いとかどうとかいうことでなくて、どの倉庫も重要物資が預かれるようにならなければいけない。そうでしょう。ですから、そういう立場からいくと、簡易にやって、まあまあということでは、発券業者にはなれないのです。いわゆる倉庫としての体裁、あるいは倉庫営業としての基準というものは満たされたとしても、十三条の二項にいっている発券の許可云々からくると、これはなかなかそういうことにならない。そこにやはり問題がある。ですから、せっかく行政指導をしてそうして逐次発券業者に切りかえていくというお考えであるならば、まあまあでなくて、できるだけの方法をとってやるということがまず必要じゃないかと思うのです。ですから、せっかくの港湾局長さんのお話ではございますが、そこの点については少し私は了解がしかねるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/54
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055・天埜良彦
○天埜政府委員 今の点私の申し上げ方が悪くて、まあまあというような言葉を使いましたので、誤解があったと思うのでございますが、この設備、構造の基準につきましては、今のニセンチで坪当り千円のものでこれは倉庫として十分間に合うということでありますので、その点は倉庫発券に関しても何ら差しつかえないということになるのでございます。その点どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/55
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056・井岡大治
○井岡委員 大体皆さんでいろいろ御検討なさったことでございますし、私自身まだもう少しその点について申し上げたい点もございますが、いずれにいたしましても、中小企業の諸君が一番心配をしていることは、五条の四号の問題と、十三条の二項の問題と、それからいわゆる二年間という問題に、果して自分たちが十分運輸省の期待するようなことができるかという、この点を非常に心配をいたしております。ですから私はその点について特別の考慮を払っていただくようにお願いをして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/56
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057・松山義雄
○松山委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X03119560425/57
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