1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月十六日(木曜日)
午前十時十六分開議
出席委員
委員長 徳安 實藏君
理事 大島 秀一君 理事 荻野 豊平君
理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君
理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 伊東 隆治君
大高 康君 久野 忠治君
志賀健次郎君 中村 寅太君
二階堂 進君 廣瀬 正雄君
山口 好一君 今村 等君
楯 兼次郎君 中島 巖君
山下 榮二君 山田 長司君
出席国務大臣
建 設 大 臣 馬場 元治君
出席政府委員
建設政務次官 堀川 恭平君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
建 設 技 官
(住宅局長) 鎌田 隆男君
委員外の出席者
専 門 員 西畑 正倫君
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二月十五日
名木沢川に砂防工事施行に関する請願外一件(
田中角榮君紹介)(第六八二号)
小川原沼総合開発促進に関する請願(小笠原八
十美君外二名紹介)(第六八三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
道路整備特別措置法案(内閣提出第二三号)
日本道路公団法案(内閣提出第二四号)
建設行政に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長 これより会議を開きます。
道路整備特別措置法案、日本道路公団法案を一括して議題とし、質疑を行います。質疑は通告順にお許しすることにいたします。瀬戸山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/1
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002・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 私は、ただいま上程されております二法案について、きわめて事務的な問題でありますけれども、私に疑問になっているところを逐条的にただしておきたいと思います。
まず日本道路公団法案の方から入ります。第九条に、総裁、副総裁、理事、こういう人たちの職務が規定されておりますが、第九条の第二項に、副総裁の職務権限を規定してあって、それから第三項に、理事の職務権限が規定してございます。ところが、第二項の場合の副総裁は「総裁が欠員のときはその業務を行う。」、それから第三項の理事の場合は「総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。」、こういうふうに字句の使いわけをしているのでありますが、わからないわけではありませんけれども、何か理由があってそういうふうな字句の使いわけをしておられるかどうか、多少意味が違うのかどうかということをお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/2
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003・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 第九条の第二項は副総裁の職務をきめておりますし、第三項は理事の職務をきめております。第二項において、総裁に事故があるときは副総裁がその職務を代理することになっておりますし、総裁の欠員のときは、その職務を行うとなっております。第三項の理事についても、同様に規定してあるわけでございますが、総裁、副総裁ともに事故があるときは、その職務を代理する。それから、総裁及び副総裁がともに欠員のときはその職務を行うという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/3
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004・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 それはその通りなんですが、これは小さな問題でありますけれども、何かいわれがあるのかどうか、私はただしておきたいのでありますが、一方には「総裁が欠員のときはその業務を行う。」とあり、その次には「総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。」という言葉が使ってありますが、何かその意味が違うのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/4
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005・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 初めの方の「業務」はミスプリントでございまして「職務」でございます。私の方では直ちにこの誤まりを正しまして、法制局で正誤を出したと承知いたしておりましたが、まだいっておりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/5
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006・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 スプリントで正誤表が出ておるということであれば、それで了解いたします。
次は第十三条でありますが、これも小さな問題でありますけれども、法律の体裁上どういうお考えであるかということをお尋ねしておきます。第十三条は「役員の解任」ということでありますが、第二項に一、二と掲げて、「一心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。」「二職務上の義務違反があるとき。」、こういうときにはその役員を解任することができるとなっております。立法例でもそういうことがたびたびあると思いますが、この第二号が、「職務上の義務違反があるとき」とありますから、それを全部やめさせるということもいけない、そういう考慮の上の立法であるかどうか、私どもは心身の故障のため職務の執行にたえないと認められるものはやめてもらわなくちゃ、そんなものを俸給を払って公団の役員にしておくわけにはいかない。「解任することができる」とあるが、解任するかしないかは総裁あるいは建設大臣の考慮にまかせるということでありますか、それはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/6
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007・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 お尋ねの第二項第二号の「職務上の義務違反があるとき。」という点でありますが、義務違反があったら全部やめさせるというふうには考えておらないわけであります。それぞれの事情を判断して解任するという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/7
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008・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 先ほど申し上げましたように、第二号の「職務上の義務違反があるとき」ということは、これはいろいろなケースがあると思います。でありますから全部これを義務違反という名目のもとにやめさせるということも実情に沿わない点があると思いますから、それは了解するのでありますが、第一号の場合は、そういう自由裁量の余地はないように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/8
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009・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 第一号につきましては自由裁量の余地がないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/9
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010・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 次に第十五条でありますが「代表権の制限」この規定は逐条の説明を聞いておりませんからお尋ねするのでありますけれども、「公団と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。」これはすべて法人にはそういう規定があるのでありますけれども、ちょっと明確を欠いているような気がいたすのでありますが、どういう趣旨であるかということをお尋ねするのであります。というのは、たとえば公団と総裁との間に利害が相反する場合、あるいは公団と総裁、副総裁ともに利害が相反する場合、または理事も含めて全部相反する場合があると思います。あるいはその一つの場合もあると思うのですが、この条文の書き方からすると、どれと相反してもすべて監事が公団を代表することになるのかどうか。もう一度繰り返しますと、これは五人以内の理事とありますから、その理事の代表権には制限があると思いますが、何か一人にそういう理由があれば全部そういう場合には監事が代表するのかどうか。ちょっとこの条文の書き方が明確でないように思いますので明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/10
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011・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 この十五条の規定は監事以外の役員の代表権に対する制限についての規定でございます。公団と総裁、副総裁または理事との利益が相反する事項につきましては、これらの役員はすべて代表権はないものとして、最も公平な立場にある監事が公団を代表することとしたのであります。これは副総裁及び理事は総裁の任免にかかりますから連帯することがよろしいと考えたわけでございます。代表権を持つ理事と利益が相反しました場合には、やはり監事が公団を代表するというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/11
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012・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 ただいまの御説明では、副総裁、理事は総裁が選任することになっておりますから連帯というような言葉を使われましたが、私が確かめておきたいのは、公団の総裁と公団との間の利害が相反する、こういう場合には全部の副総裁、理事も代表権を失うのかどうかということと、もう一つはある一人の理事と公団との利害が相反する場合、そういう場合においても総裁以下その他の理事も全部代表権がなくなるという百趣旨であるかどうか。今お話によりますと連帯というようなお話がありましたから、全部代表権がなくなるというように聞えたのでありますが、そういうように解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/12
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013・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 全部代表権がなくなるとは考えておらないわけでありまして、利益が相反します場合の理事なり総裁が代表権を失うことになるわけであります。全部失うのではなくて、代表権の残ることが考えられますので、代表権を持った理事は公団を代表することができると考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/13
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014・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 これは局長にお願いしておきますが、重要な法律問題になると思いますので、法制局とよくお打ち合せになって、この条文の解釈をこの次の委員会でけっこうでありますから明らかにしていただきたい。先ほど、そういうお考えであったかどうかわかりませんけれども、副総裁、理事は総裁が選任するのであるから連帯というような言葉がちょっと出ましたのでそういう感じもするのです。しかしそうかといって理事は何人きめられるかわかりませんが、法律上五人の理事をきめられる可能性がありますけれども、そのうちの一人と公団との利益が相反するということで、総裁以下全部の役人の代表権が直ちに公団の監事に移るということもどうかと思いますから、その点は一つ法制局とよくお打ち合せなさって、はっきりした回答をこの次にお願いしておきます。
それから非常にこまかいことばかりでありますけれども、第十九条の業務の範囲の第三号に、「その利用について料金を徴収することができる自動車駐車場の建設及び管理を行うこと。」、これについてはこの前の提案理由の説明のときにも別に予定しておるところはないというふうなお話がありましたが、問題は有料道路に関する規定でありますから、現在行われておる、あるいは将来行わんとする計画のところは——最後に私は資料をお願いしますけれども、私どもの常識では現在行なっておるいわゆる有料道路についてこういう問題が必要であるかどうかということについて、はっきりした考えを持ち得ないのであります。そこで第三号の場合ももちろん起り得る可能性はあると思いますが、現在と将来についてどういうお考えを持っておられるかということと、もう一つは、最初にこの原案を作っておられる場合に、これは公団の経営の問題にもかかってくると思うのでありますが、こういうもののほかに、ガソリンスタンドを建設するとかいう話もあった。そういうことが今度提案された法案には削除されております。こういうものは、交通の便利とそれから公団の経営にかかってくると思いますので、そういうものが削られておる事情について御説明を願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/14
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015・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 有料駐車場の問題でございますが、前回御説明申し上げましたときに、ただいま具体的な計画は持っておらないということを御説明申し上げたわけでございますが、しかしこの有料腕車場の建設、管理ということは、現在民間企業として他の事業の付帯業務として行われておる場合を除きまして、企業採算の上から大して有利な事業ではないので、実際に行われていない状態であります。ところが大都市における交通はますます輻輳の度を加えておりますし、有料の自動車駐車場、有料でなくても自動車駐車場の設置ということは強い要望になってきておるわけであります。そこでこの公団も、直接有料道路とはつながらないわけでございますけれども、これらの大都市における自動車駐車場の問題を解決することが適当であろうというふうに考えまして、これを業務の一つに入れたわけであります。ただいま具体的な計画はございませんけれども、考えられますのは、東京、大阪、京都等におきましてこれらの有料自動車駐車場が要望されておるのが数カ所ございます。これらの問題につきまして今後具体化していきたい考えであります。
それから給油所の問題でありますが、お話のようにこの法案を作る途中におきましては、給油所を付帯業務にしたいという考えがございました。しかしこの給油所は自動車交通のために必要なものでございますが、給油所を公団みずからがやるということは、公団が強い公共的な性格を持っておりますので、適当でないという法制局の意見もございまして、給油所を設けないというの、ではありませんが、公団みずからは設けない、これは民間に設けさせるという考え方でこの業務の範囲からは除いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/15
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016・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 この第三号の場合は、ちょっと考えると、有料道路に関連して、有料の自動車駐車場の建設、管理、こういうふうにも見えるのでありますが、今の局長の説明で明らかになったのでありますけれども、これは必ずしも有料道路と関達することなく、むしろこれと関連することは少くて、今自動車のはんらんで困っておる大都市において有料駐車場の建設を公団がやる道を開いた。これは私は非常にけっこうだと思うのです。そういうふうに理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/16
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017・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 さようでございます。ただ有料道路と付帯して設けられます有料自動車駐車場も考えには入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/17
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018・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 この三号の活用は将来非常に多いと思います。御承知のように、これは前から問題になっておるわけでありますが、東京あたりはせっかく一生懸命になって道路を整備されても、その三分の一、ときによっては三分の二は自動車の駐車場になって、一般交通の用を阻害しておることは私が申し上げるまでもないことであります。こういうことにも一つ力を入れてもらって、自動車の有料駐車場を大いに計画して推進されることを望んでおきます。御承知のように、日比谷公園の地下ガレージを作ろうとか、あるいはビルの下にガレージを作ろうとか、たびたび問題になっておりますけれども、一つも具体化いたしておらない。その反面においては、ただいま申し上げましたように自動車のために人間が困るというような状態でありますか「ら、この点は、今何らの計画はないとおっしゃいましたけれども、大いに計画を立てて強力に推進されることを望んでおきます。
もう一つは、先ほど御説明がありましたが、給油所と申しますか、ガソリンスタンド等を有料道路の場合に建設することは、いわゆる公共性に必ずしも一致しないからというような法制局の意見であった。そういうことでその点を削除いたした、こういうお話でありましたが、なるほど公団が給油所を作って油の販売を業務とするということは、これはときによってはいわゆる民間事業の圧迫とかなんとかということも問題になると思います。しかしながら現在行われておる程度の有料道路でありますれば、何も橋をかけたらそこに給油所を作らなくちゃならぬということは、今の感覚の有料道路ではないと思いますけれども、しばしば問題になっておりますように、たとえば縦貫道路、これは二の次にいたしましても、名古屋—神戸間の有料道路を作ろうということで、この前の委員会でもアメリカに調査を頼んでおるとかいうような建設大臣のお言葉でありましたが、そういう場合には油を売らなくても、やはり給油所ぐらいの設備をしておくというのが、有料道路を作る概念のうちに入るのではないかと私は思いますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/18
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019・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 お話のようにガソリンスタンドは道路にくっついた必要な施設でございます。そこで高速道路などを設置いたします場合には、ガソリンスタンドは当然作らるべきでございますが、その施設としては有料道路におきましても給油所を考えて施設いたしていきたいと考えております。ただ油を売るというようなことは、公団自体の業務には考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/19
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020・徳安實藏
○徳安委員長 ただいま大臣がお見えになりましたから、建設行政について調査を進めます。瀬戸山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/20
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021・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 それでは大臣は参議院との関係でお忙しいそうでありますから、私は法案についての質疑はあとに譲りまして、大臣に一つだけお尋ねをしておきます。というのは御承知の通りに今政府は行政機構の改革ということでいろいろ研究を進められておるようでありますが、このこと自体については、私どもは行政機構の大改革をして、新しい日本の政治の根本的な改革をした方がいいという考えを持っておりますので、その問題については何も異議をさしはさむところはありません。ところが私どもはその内容を詳しく知りませんから、ただ新聞その他の情報によってお尋ねをし、大臣の所信を確かめておきたいのでありますが、いろいろ伝えられておりました行政機構の改革、あるいは予算局をどうするとか、その他大規模な行政機構の改革が構想に上って、それが伝えられておりました。ところが最近だんだんそれが例の通り先細りになって、とどのつまりは、具体的に申し上げると建設省と自治庁を一緒にして内政省というようなものを作ろうかという案が進められておるやに承わっております。それにも相当の理由があると思うのでありますけれども、私どもは先ほども申し上げましたように、行政機構の改革ということは非常にむずかしい問題でありますが、むずかしい問題でありますから、やるのであれば大英断をもって、そうしてなるほど国の行政が従来よりも躍進を遂げるというような形において、行政機構の改革をすべきであると思っております。そういう根本の問題を前提といたしまして、今いわゆる建設省と地方自治庁を一緒にしてという、そういう考え方のもとにおける行政機構の改革ということは、私どもはどうしても考えられない。そこで大臣にお尋ねをいたしておきたいのは、私どもは今日まで、何も建設省の肩を持つとかなんとか、そういうしみったれた考え方でなしに、敗戦後の日本がこれからほんとうに生まれ変るのだという考え方から、常々申し上げておることでありますけれども、国土の建設としうものをできるだけ急速に、できるだけ進歩的にやらなければ日本の復興あるいは進歩というものはないのだという、そういう信念のもとに今日まで建設行政に多少関係いたしてきております。従って建設行政の機構についても、今の建設省だけの機構ではそういう意味の行政機構としては不満足であるから、少くとも国土建設に関係するものはこれを統合して、そうして大規模な建設行政を推進しなければならないものであるという確信を持って今日まで来ております。こういうことを申し上げると非常に失礼でありますけれども、たとえば明治維新から日本が相当の躍進を遂げたときにも、鉄道の敷設にいたしましてもあるいは道路、港湾の建設にいたしましても、その間において先人があれほどのものを築いたということは偉大な努力であって、日本の発展の一大基礎をなしておる。今日なるほど敗戦後財政がきわめて貧困でありますから、やむを得ないといえばやむを得ないのでありますけれども、三十キロ、四十キロの鉄道を建設することでさえも現代の日本人にはできないという状態でありますが、明治維新から数十年のうちに日本のあの全鉄道を築いた偉大な力というものは、日本の躍進の基礎であります。国道その他全部そうであります。今日国道を一千キロ築いたということは私聞いたことはありませんが、そういうところに目をつけないでおいて、ただ何かの省を二つ合せればそれで政治がうまくいくなどということは絶対承服はできません。たとえば前のドイツにいたしましても、イタリアにいたしましても、あれほど躍進したのは国土建設というものが非常な力をいたしておったということはどなたも御承知の通りです。今日共産圏の新中国とかあるいはソ連とかは、自然改造というくらいに道路や鉄道あるいは港湾、いわゆる国土の開発、国土の建設というものに全勢力を打ち込んでおります、国の進歩するときにはそういう政治をするものなのです。この根本の思想を離れて行政機構を今のような構想で考えられるということについては、少くとも私は絶対に承服ができないという自信と信念を持っておりますが、大臣の所信を伺っておきたいのです。非常に妙なたとえをいたしますけれども、お互い個人の場合でも三代目にはつぶれる。三代目の孫の時代になると、日本の全部じゃありませんけれども、大体日本の家庭は衰微していきます。初代には金はなくとも一大躍進を遂げるような決意と計画と努力をして、一家の繁栄をはかる。二代目はそのできた金を守るのにきゅうきゅうとして、進歩は一つもありません。三代目になるといよいよ工夫、研究どころの騒ぎじゃない、金を守ることさえもできなくて、つぶれていく、私は国の政治においてもやはり同じことだと思う。私こういうことを言っては失礼でありますけれども、今の政治はただ金の計算をするのが政治のように考えられている。もちろん金の計算をしなければ財政は立ちませんし、それも大切なことでありますけれども、ずっと世界の歴史を見ると、新興国あるいは躍進の国は、いかなる国でも全部国土の大建設を基礎にしておる。また国土の大建設を基礎にし、人類が立っていく諸般の基礎を確立していく政治に全力を集中しなければ、決してその国の躍進はできないと私は思う。アメリカは今日あれほど世界に冠たる勢力を持っておりますけれども、これも御存じの通りあの開拓精神から、今二、三百年しかたっていませんが、あのアメリカの国土開発の大偉業の結果が、今日あれほどのアメリカの経済力と申しますか、国民生活の発展を来たしておると私は思っております。今の日本の政治のような考え方ではとうていよその国、隣の中国にも及びません。中国は共産主義のどうのこうのと言われておるけれども、あの偉大なる精神と、あの決意は、十年、三十年の先は期して待つべき政治をやっておると私は思う。敗戦国の日本がこれから世界に太刀打ちしていこうというについては、こういう大政治を確立するための行政機構を作らないで、役所二つくっつけて、それで行政機構改革がなったなどということを考えられたのじゃ、私は大へんだと思っております。多分ほかの委員諸君も同じような考えを持っておられると思いますが、この際一つ大臣の所信を承わって、大臣はこの行政機構の改革、今の具体的問題についてどういうお考えを持っておられるか、もしその所信を同じくされるということであれば、失礼でありますけれども、職を賭してでもこの大事業に海進されんことを希望いたすのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/21
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022・馬場元治
○馬場国務大臣 行政機構改革の問題についての御意見でありますが、行政機構を改革する、その必要があるという場合に、しからばどういう改革をやるのか、いかなる心がまえで行政改革に臨むべきか。私はただ部分的な離合集散をはかるということでは、ほんとうの行政改革の目的を達成することはできないと思います。国政全般にわたって総合的に十分あらゆる方面から勘考いたしまして、現在の機構よりもこういうふうに改めた方がはるかに効果的であり、国家国民のためであるという強い確信を得ましたる場合においてのみ機構の改革をすべきであって、みだりに思いつきで小手先の行政機構いじりをやるということは、百害あって一利なしと考えております。
そこで建設省に関係する問題でありますが、これも私正式の機会に聞いた話ではないのであって、ただいわゆるうわさを聞くにとどまるのでありますが、今うわさせられております建設省並びに自治庁の合併論、これも一つのうわさであります。いま一つは、国土省的なものを作ったらいいじゃないか、こういう意見も聞かれるようであります。私はただいま瀬戸山さんの御意見にありましたように、ただ三つの機構を機械的にくっつけるというだけでは意味がないと思います。むしろ国土の建設を主体とし、全責任をもって現在の急務でありまする国土建設を担任すべき国土省的なものを作る、それがはるかに合理的であり、かつ効率的であると、かように考えております。ただ申し土げておき」たいと思いますのは、いわゆる行政改革の案というものが現在行政審議会で問題になっておるようでありまして、その問題になっておりまする点のうちに、たとえば予算の制度をどうするかとか、従って内閣自体の制度をどうするかとかいったような問題、あるいは貿易省を置くべきかどうか、あるいは交通省と、さらに建設省に関係のあるものといたしましては、自治庁と建設省を一緒にした内政省といったような構想があるやに聞いております。これが審議会の答申になり、さらに検討されることになる機会があるかもしれませんが、私は以上
の考え方をもって進みたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/22
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023・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 大臣もほぼ同様なお考えを持っておられるということでありますから、一応安心をいたします。ただいま御承知のように、審議会の職務権限でいろいろ検討しておられるのでありますから、それは御自由でありますが、いずれ内閣全体の問題であり、また国会の問題でありますから、どうか一つ今の御所信を貫かれることを希望いたしまして、私は大臣に対する質疑を終ります。ほかの点に対してはあとで質疑をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/23
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024・廣瀬正雄
○廣瀬委員 前回に引き続きまして、住宅問題について若干御質疑いたしたいと思うのであります。大臣は御就任後まだ日が浅いので、いわば住宅問題につきましては、しろうとであられます。しろうとの面観が私は正しいと思うのであります。さようなお立場から御意見を伺いたいと思うのでありますが、本年度の四十二万戸の住宅目標並びに明年度の四十三万戸の目標の中には、民間建設の住宅でありますとか、あるいは増改築というのが戸数に入っているのであります。しかもその戸数が公的資金で建てる住宅よりも数が多いというようなことになっているのであります。明年のことは仕方がないと思うのでありますけれども、かような住宅の戸数に対する考え方というものが正しいかどうか、私は決して正しい考え方ではないと思うのであります。来年までは仕方がないといたしましても、将来は住宅政策につきまして、さような無理をして戸数に数えるというような考え方を是正なさろうとするお考えがあるかどうか、まずそれを承わりたいと思うのであります。
それから住宅の建設につきましては、将来不燃耐火の建築を促進奨励しなければならないということは当然だと思うのであります。私先般中田、ソ連、ヨーロッパを回って参りましたが、外国では一階は商店、二階は事務所、三階以上は住宅と、ほとんどさような例になっているのでありまして、日本におきましても、さような方向にだんだん考えが進んできたようには承知しておりますけれども、もう少し強力に不燃性の住宅を建てるということを、政府当局におきまして強くお考えを願いたいと思うのであります。木造の住宅は何と申しましても、極端に言えばスラム街を作る状態なのでありまして、さような不燃耐火の建築を将来強力に推進奨励するという御方針があるかどうか、承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/24
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025・馬場元治
○馬場国務大臣 住宅計画に民間の自力建築を入れることはどうであろう、こういう御意見であります。これは四十二万戸あるいは四十三万戸と申しまして、別に政府で全部作るのだと思わせたいといったような、一種のごまかしで申し上げているわけでは決してないのでありまして、御承知のように現在の住宅不足の実情にかんがみて、十年計画で住宅難を解消したい、かような考え方から、それに必要な住宅はどれだけあればよろしい、政府で作るものと民間で作るものと合せて、この程度でもって十年計画を完成しよう、こういった総合的な考え方から、官民合せまして、三十年度は四十二万戸、三十一年度は四十三万戸という数字が出ておるのであります。世界列国におきましても、今言ったような考え方から、年間どれだけの住宅が必要であるかというようなことを考えまして、民間自力をもあわせ考え、加えて発表しておるのであります。その中に、特にお話がありました増築などを戸数に勘定するのもおかしいじゃないかという御意見、これはある意味においてまことにごもっともな点があると思います。ただ増築をいたしまして、今まで雑居しておった人たちが、その増築の部分に入ることによって住宅難の一部が解消するといったような意味で増築を計上いたしたのでありますが、お話のように、この発表の仕方についてはさらに考うべき余地があると思いますので、なお検討してみたいと考えるのであります。
住宅の不燃化につきましては、これは全く仰せの通りでありまして、特に欧米列国を御視察になった廣瀬さんにはその感が特に深くおありになるであろうと思うのであります。災害が非常に多く、地震国と言われており、火災の多い日本におきましては、特に耐震耐火の建築を増すことが必要であることは申し上げるまでもありませんので、そういう意味におきまして不燃率の上昇をはかることに努力いたしておりますし、三十一年度の予算にも現われておる次第であります。釈迦に説法であろうと思いますから多くは申し上げませんが今後とも不燃率の上昇につきましては一段の努力を払って参る所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/25
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026・廣瀬正雄
○廣瀬委員 住宅の固定資産課税の問題でありますが、本年から御承知のように住、宅公団のにはかかっておりますし、来年は公営にもかかるということになっております。この課税の問題「つきましては馬場大臣並びに鎌田住中局長が非常に奮闘されまして、かなり有利に話が進んでおるということを承わっておるのであります。ところが公営住宅に税金がかかるということにたりますれば、その課税は当然家賃にはね返って参るわけでございます。従ってこれは住宅政策にとりましてはかたり大きな問題だと思うのでございます。つまり住宅政策を貫くか、あるいは地方財政の健全を貫くかということになってくると存ずるのでありまして、私ども日本の住宅政策を推進したければならないという立場から申しますれば、公営住宅には当分課税をしたいがいいという結論が出ますけれども地方財政の関係等もありまして、関係大臣、局長等の御奮闘によってああいう程度に落ちついたことを承わっておるわけでございます。これはある意味におきましてはやむを得ないかと存じておるのであります。ところが第一種には評価額の五分の二の課税である。ところが御承知のように第一種には鉄筋の住宅と木造の住宅があります。それで鉄筋は大体二倍程度の建築費が九かりまして、従って家賃も倍額程度になっているわけでございます。ところが木造と鉄筋の課税を同率に持っていくということになりますれば、家賃に強く響いて参るのであります。従って鉄筋コンクリートの耐火住宅を奨励いたしております日本といたしましては、同じ一種でございましても、木造と耐火住宅と同率に課税するということにつきましては考えなくちゃならぬと思うのであります。たとえば鉄筋につきましては三分の一の課税をする、木造につきましては二分の一の課税をするというようなことにいたしまして、全体といたしまして第一種を二五分の一、つまり五分の二の課税対象にするというような方策でも講ぜられないものかというように考えるのでありまして、このことにつきまして大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/26
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027・馬場元治
○馬場国務大臣 固定資産税につきましては、何とかしてこの対象にならないようにいろいろ折衝いたしたのでありますが、御承知の通りに三公社、その他にも課税をする、そうでなければ地方財政の運営ができないというような急迫した時代になって参りまして、住宅に対しましても固定資産税を幾ばくか負担しなければならないという事態になったことは残念な次第でございます。お説の通りに第一種の鉄筋、これは建築費も相当かかります。従いましてそれを基礎といたしました固定資産税もまた金額か張るということになります。それが家賃にはね返ってくるということも考えられますので、お説の通り押しなべて全体としてかような率でとどまるようにマネージいたしまして、不合理なことのないように取り計って、事実においてさような方向に持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/27
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028・廣瀬正雄
○廣瀬委員 明年度の公庫住宅、公団住宅の資金の構成が非常にむずかしくなっておるようでありまして、公庫は従来の蓄積を食ってやっと明年だけしのげるという状態ではないかと思います。公団にいたしましても本年度一般会計六十億円、明年度の産業投資特別会計から十五億円を出しますものをプールいたしまして、やっと家賃四千三百円が維持できるというような状態のようでございます。来年まではやっとそんな状態でしのげますけれども、明後年以後はどうしても両方ともかような基礎の弱い資金構成では運営ができないと思うのでありまして、将来は資金構成がかなり大きな問題として考えられなければならない懸案だと思うのであります。本年度から公団を作りましたけれども、資金構成等におきまして政府の方針が朝令暮改で確定しないというようなことでは、公団の住宅政策につきましても非常に案ぜれますので明後年以後の資金構成につきましていかようなお考えを持っていらっしゃるか、大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/28
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029・馬場元治
○馬場国務大臣 公庫並びに公団の資金構成につきましては全くお話の通りであります。三十一年度までは無理をいたしましても何とかやっていけそうでありますが、その後、すなわち三十二年度からの経営ということには非常な困難を伴うのであります。そこで資金構成の問題でありますが、これは根本的に政府の方針を立てまして、財政当局としても検討を重ねまして、お話のように資金構成が絶えず動くようでありましては、経営その他困難な面がたくさん出て参りまして、住宅政策の根幹を動かすようなことになっては相なりませんので、資金構成については今後財政当局ともよく協議をいたしまして、はっきりした資金構成を立てたい、かように考えております。ただいまのところ具体的にどういう構成になるというところまでは参っておりません。今後の検討に待ちたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/29
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030・廣瀬正雄
○廣瀬委員 公団は元来大都市の周辺に衛星都市を作ると申しますか、町作りをするというのが建前であろうかと考えるのであります。現在さような方向に使命を果しつつあるかどうか、住宅協会の建てますところの住宅建設と競合するというような事実はないかどうかということにつきまして承わりたいと思います。
またさらに町作りをするということになりますれば、総合的、集団的な計画が必要だと思うのでありまして、たとえば公園でありますとか、運動場でありますとか、洗濯場でありますとか、あるいは学校でありますとかいうような建設も、当然公団住宅の建設には一緒に考えられなければならない、一緒に実行されなければならない問題だと思うのでありますが、そういうようなことにつきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/30
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031・馬場元治
○馬場国務大臣 公団の住宅と住宅協会との競合はないか、これはまことにごもっともな御心配でございまして、これにつきましては、県それから住宅協会それから公団、この三者の間に緊密な連絡をとり、協議をいたしまして、競合の起らないように絶えず注意をしながら進めておる次第であります。
いわゆる町作りについて、ただ住宅を建設するだけでは足りないのであって、都民の生活の総合的な解決をはからなければならぬから、小公園その他学校等についても考慮しろという御意見、これはまことにその通りでなければならぬと思います。従いまして子供の遊び場であるとか小さな公園みたいなもの、そういうようなものはぜひ公団が町作りをやりまする場合に設備を整えて参りたい、かように考えております。なお学校につきましては、これは建設省だけの関係でありませんので、関係省庁とも十分協議をいたしまして、公団が町作りをいたします場合、当然これに伴わなければならぬ学校等については遺憾のない措置を講じて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/31
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032・廣瀬正雄
○廣瀬委員 前回の国会におきまして三鍋委員から切実な御意見の開陳がありまして、今東京都におきまして学生の住居が非常に困窮している、難渋をきわめている。これは何とか早急に救済してやらなければならない大きな問題である。住宅建設の推進に関連いたしまして、かような学生の住居の問題をぜひ取り上げてもらいたいというような御要望があったように記憶いたしておるのでございますが、私は文部省の予算は拝見いたしておりませんのではっきりしたことは承知いたしませんけれども、この問題につきまして、当時の大臣は何とか解決策をはかることに努力したいというような御答弁があったのでありますが、その後の状況を承わらしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/32
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033・馬場元治
○馬場国務大臣 学生が東京に遊学いたしておって、その住居に困るという状況は、もうしばしば耳にいたすところであり、われわれの身近いところでも、そういうことに困っております学生がたくさんおるようでございます。これは何とかいたさなければならぬと考えまして、三十一年度も三十年度に引き続き学生寮の建設をやりたい、かような考えで予算にも計上いたしております。これは文部省が一割、政府で全体の二分の一、その残りを学生の出身の府県で負担をする、こういう形において学生寮の建設を進めて参ることに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/33
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034・廣瀬正雄
○廣瀬委員 非常に小さい問題でありますので、住宅局長に御答弁を願いたいと思います。
ただいま日本の住宅政策は三本建でやっておるのでございますけれども、家賃が安いというような点から申しましても、また一般会計から支出いたしております明年度の予算におきましては、唯一の対象になっておるのでありますが、さような考えから申しましても、三本建の中におきましては、公営住宅が何といっても主流をなすべきものだと考えておるのであります。ところがその主流をなすべき公営住宅が、明年度は四万八千戸ということに表面はなっておりますけれども、実は本年度の繰り越しが二千戸ありますので、四万六千戸ということになるわけであります。かような状態であれば、果してこの前の国会におきまして、われわれが議決いたしました三カ年で十五万五千戸を建設するという計画の遂行ができるかどうかということにつきまして、大へん心配をいたしておるわけであります。前回の国会で、私は経済自立五カ年計画との関連におきまして、住宅建設の年次計画をお尋ねいたしましたが、今度は公営住宅を三カ年で十五万五千戸建設するということに関係いたしましてのお尋ねといたしまして、さような計画を変更せずに進み得るというお見込みがあるかどうか承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/34
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035・鎌田隆男
○鎌田政府委員 公営住宅の三十一年度の計画は、ただいまお話のような状態で、戸数におきまして確かに三十年度より若干減少いたしております。そこで第二期の三カ年計画、これは昨年の国会で御承認をいただきました三カ年計画との関連でございますが、この三カ年計画は、お話のように十五万五千戸の御承認をいただいております。今のところ」の二年を加えましたものが九万六千戸、こういうことになりまして、十五万五千戸をやるためには、三十二年度非常に増加をしなければならぬ、その差五万六千戸ばかりになりますが、そういうことに計算上なるわけであります。三十二年度におきましては、十五万五千戸に達するような戸数をぜひわれわれとしては計上できるように努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/35
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036・廣瀬正雄
○廣瀬委員 まことに心もとない御答弁でございまして、私も心配になりましたけれども、今日の段階といたしましてはさような程度でいたし方ないかと存じます。
大臣がお急ぎのようでありますから、もう一点だけお尋ねいたしたいと思うのでありますが、大臣はこの前の委員会で、三鍋委員の質問であったかにお答えになりまして、六坪住宅というものはやめたいと思っておったけれども、国民の要望がまだあるようだから、少しばかり残すことにしたというようなお話でございました。私もさようかと存ずるのであります。しかしお金の余裕ができましたならば、私どもは六坪住宅というものはやめてしまった方がいいように考えるのでありまして、国民の要望があると申しましても、今戸数で非常に窮迫しておりますので、狭い住宅でも仕方がないというような考え方であると思うのでありまして、将来国家財政の事情が許せば六坪住宅はなくする、さような御見解を持っていらっしゃるかどうか、くどいようでありますけれども、私からもこの一点をお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/36
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037・馬場元治
○馬場国務大臣 まったく御意見の通りでありまして、財政が許しますならば六坪住宅などというものはやめて、なるべく広いものを作りたいのはやまやまなんであります。ただ今日の場合、なるべくたくさんの住宅を作りたい。私、都民の皆さんの意見も直接聞いてみましたが、一面においては坪数を広げてもらいたいという意見、いま一面においてはちょうどこれと対照的な意見でありますが、狭くてもかまわない、極端に言えば粗末でもかまわぬから戸数を多くしてもらいたい、この相対立した二つの意見が相当強く出て参っておるように感じます。そこで六坪住宅につきましても、三十一年度には国会の御要望にかんがみまして、減らすには減らしましたけれども、なお千六百六十戸ばかり残すということにいたした次第であります。お説の通りに、これはやむを得ざる方途に出たものにすぎませんので、財政が許しますならばもっと坪数を広げまして、ああいうものは設けないようにいたしたいというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/37
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038・徳安實藏
○徳安委員長 関連質問の申し出がありますからこれを許します。三鍋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/38
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039・三鍋義三
○三鍋委員 大臣がお急ぎのようでございますから、簡単に関連して質問さしていただきます。民間の自力建設は、本年度は二十四万五千戸、明年度は二十五万二千戸、この問題につきましては、私先般御質問申し上げた以上もう質問の余地がない問題であって、いわゆる国民を欺く一つの表現である、こういう工合に申し上げまして深、く触れなかったのでありますが、私は先般も申し上げましたけれども、これは政治家に対する信頼を国民に持たせるという点から考えましても、また自由民主党さんが政権を担当されまして、そして偽わりのない政治を行なっているという、そういう立場からいたされまして、今後この表現に対しましてはやはり正直なところをやっていただきたい、このように考えるのでございます。これは要望でございます。
先ほど廣瀬委員から学生寮の問題を取り上げていただいたのでございますが、今年も文部省で三千万円くらい予算措置をしておるようでありまして、地方公共団体分を合せて三億くらいを見込んでおられるのでありましょうが、そこで私がお願いしたいのは、地方公共団体の負担分です。これはやはり地方は非常に建ててやりたいし、また予算措置に非常に困っておる。結局無理をして帯付金を集めておるようでございます。この寄付に応じられる人はどういう人々であるかというと、やはり会社とか地方における財政上豊かな人あるいはそういった地位の人、こういう方にすがって集められておると思います。その結果どういうことになるかといいますと、結局建った場合に、そこへ入り得る学生はどういう人が対象になるかというと、これらの人の息のかかった、これらの人が推薦された学生、その中にはもちろん貧困な気の毒な学生もありましょうけれども、えてしてこれが取り上げられた趣旨に反する、何とかそのうちの経済で遊学せしめ得る、そういう学生が対象になって、ほんとうに私が本会議で切実に訴えたアルバイト学生、四畳間に三千円も四千円も払って、昼間は重労働に服し、そうして晩は夜間大農あるいはその他の学業に励んでいる、こういう最も主体となるべき学生がおろそかにされているのじゃないかという心配を多分に持っておるのでございますけれども、これは建設省としてそれをとやこう差し出がましいことは言い得ないと思うのですが、しかしこれはこの対策が立てられた趣旨からいたしましても、文部大臣とよく御協議下さいまして、この寮へ入り得る学生の適正化、こういった問題につきまして十分御配慮をお願いいたしたい。これに対する大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/39
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040・馬場元治
○馬場国務大臣 御質問は二点にわたっておったようであります。
第一点は、住宅建設計画の戸数がごまかしではないか、こういう御意見であります。これはしばしば申し上げました通りに、住宅不足の解消策として、十年計画を立てまして、その十年計画の結果に基く数字がかような数字に相なっておるのであります。そうして民間自力建設の戸数を計上いたしますることも、これは政府がやるという工合に国民にとらしめようというような考えでは毛頭ありませんので、これを発表いたしまする場合にも、公営住宅が幾ら、公庫が幾ら、公団が幾らということをはっきり明示をして発表をいたしておるのでありまして、決してごまかすつもりでかような数字を発表いたしておるわけではございません。世界列国の住宅政策を見ましても、一年に所要の住宅戸数幾らということでかような発表をいたしておるのが慣例でございまして、決して悪意を持ってかような発表をいたしておるのではないということを御了承賜わりたいと思います。
第二点は、学生寮の問題でありますが、これは建設費について約三億見込んでおることはお説の通りであります。うち二分の一を公庫の方で、文部省が一割、その残余の部分を学生の出身関係の協会その他で出しておる、こういう実情なのであります。いわゆるアルバイト学生などという人たちが冷遇されはしないか、寄付を多く出した人がとかく中心的な存在になって、そこにおもしろくないことが起りはしないか、こういう御心配でありまして、まことにごもっともな御心配であると思います。これは地元県の協会なんかが十分考えなければならぬ点であると思いますし、文部省との関係もございますので、御意見を体しまして関係各方面とよく連絡を保って、さような御心配のないように善処して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/40
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041・徳安實藏
○徳安委員長 逢澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/41
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042・逢澤寛
○逢澤委員 ただいまの廣瀬委員や大臣の御答弁の中でも、例の六坪住宅のことでありますが、私どもも最低の住宅を最も将来性のある、できるだけ完全なものにいたしたいということは同感であります。しかしながらこれをよくするためには金額が高くなるから相当の量を滅さねばならぬ、ここに非常な難点があるということを最近において耳にしております。五千戸も減さねばならぬという波紋が出てきております。金額を多くするからには戸数を減さねばならぬ。いいものはほしいけれども、いいものを作るとすれば数が少くなる。すると絶対数の数の要るところでは、もう悪いものでもやむを得ない、住むに家のないものとしてみれば、六坪最低住宅でもやむを得ないという感じが非常に出ておる。これに対して地方の小都市ではこの感じが非常に違うということが発見できておる。地方の小都市になりますと、六坪の悪い住宅でも、家のないものはそれに住みたいということになる。それがただいまのお話によりますと、千六百戸ぐらいは六坪住宅もやむを得ないということを聞き欲して、若干緩和したのでありますが 五千戸減されるということになると、地方は非常に影響を受けることになる。五千戸をかりに五十の都市に割るとすれば、一都市に対して百戸すつが減ってくるということになる。百戸の小住宅が減るということは、地方にとって非常な打撃になるということを申し出てきておるのです。そこで質をよくするということは同感であるが、同時に相当量の小住宅が地方に分布ができない、こういうことに対しては相当のお考えをいただきたい。このお考えに基いて千六百戸はやむを得ないから作りたいという御所見とは存じまするが、私どもの考えでは千六百戸では少し少いのではないか。せめて五千戸を減すといっておったものの半分ぐらいにはしてもらいたいのだ、こういうような希望を持っておりますが、これに対する大臣の御所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/42
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043・馬場元治
○馬場国務大臣 この問題につきましては、昨年の国会でも坪数を引き上げるようにという御要望が非常に強かったように承わっております。そこでその国会における御要望は、どこまでもこれに聴従しなければならぬという考えを基本的に持っておる次第でございます。しかるところ一面御説のように、小さくてもよろしいから、できるだけ数を多くしてもらいたいという要求もまた、無視することのできない一面の強い要求であるということを感知いたしましたので、従来、三十年度は御承知の通り六坪住宅を四千三百戸だったと思うのでありますが、やっておったのでありますが、国会の要望にこたえる意味において、これを大幅に減額いたしますと同時に、一面ただいまの御意見のような御要望もありますので、それにこたえる意味におきまして、千六百戸の六坪住宅を残すということにいたしたのであります。この点につきましては、国会の要望を尊重しなければならないのと、一面そういった御意見もありますところから、財政の都合等とも勘案いたしまして、実は非常に苦慮いたした点であります。どうかさよう御了承賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/43
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044・廣瀬正雄
○廣瀬委員 明年度の公庫住宅の建設計画を見ましても、賃貸住宅が非常に少い。ところが地方の要望はなかなか賃貸住宅が強いというように私は考えております。かような点にも、前回私が申しましたように大蔵省的な考え方が非常に入っているじゃないかというように思うのであります。これにつきましては、その費目から一部転換いたしまして、実効においては賃貸住宅について地方の要望をできるだけいれてやるという意思があるかどうか、この点を承わりたいと思います。
第二には、分譲を明年度はことごとく十二坪にいたしておるのであります。果してさようなことで消化ができるかどうか。東京都におきましてはほとんど売れないのじゃないかと思っておるのでありまして、このことにつきましても当局の御意見を承わりたいと思います。
次に宅地造成につきましても非常に要望が多いのでありますが、明年度は予算が少いのであります。かようなことで果して宅地造成が促進できるかどうか、大へん心配いたしておりますが、御意見を承わりたいと思います。
それから公庫の融資率につきましては、前国会におきましてもこれを引き上げなくちゃならないということを、私ども強く要望いたしておったのであります。さようにしたいという当局の御答弁でありましたけれども、明年度の予算におきましては五%しか上げていない。しかもその五%の引き上げというのは、実効におきまして本年度と全く同じだということになっております。さようなことでは頭金が東京などでは三十万円ないし五十万円はかかり、地方におきましても二十万円ないし四十万円かかるというようなことでありまして、結局公庫住宅の建設ができないということになるわけであります。将来いかようになさろうとしておるか、御意見を承わりたいと思っております。
次に公庫の職員の処遇というものが、新しくできました公団の職員と比較いたしまして不均衡に安いというようにいわれております。果してその内容はどうでありますか。内容につきましての御説明を承わり、またそれについてのお考えがありましたならばそれもあわせて承わりたいと思います。
次に公庫住宅につきまして、鋼材住宅と申しますか、軽量鉄骨住宅と申しますか、これは日本のような地震の多い、火災の多い状態から考えまして、ぜひとも取り上げてもらわなくちゃならない問題ではないかと思いますが、かような耐火的な住宅につきましてのお考えはどうであるか、承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/44
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045・鎌田隆男
○鎌田政府委員 公庫の三十一年度の予算につきましてのお尋ねでございますが、分譲住宅の方の数をふやしまして、賃貸住宅の方を減らしました理由を率直に申し上げますと、それは賃貸住宅の方は何といいましても公庫の貸付で各協会が実施いたしますので、その頭金が地方団体の出資を要するわけでございます。そういうようなわけで、地方財政にかなり響きを与えておることも事実でございます。そういうような関係から、分譲ですと頭金を即金でやりまして、あとの七割五分の分を長期で出せるというようなことで、地方の協会も割合に資金的な困難なしに事業ができると言っているのでございます。そういうような関係で、住宅の方を若干減らしまして、分譲を増加いたしたのでございますが、実際上実施に当りまして、各公共団体が、作っております協会に出資ができるというような事情になりますれば、この分譲と賃貸との区分というものは、則に科目を変えるとかそういうような問題ではございませんで、この中の融通において適宜にやって参りたい、こういうように考えておる次第でございます。
それからその次の分譲の坪数が減ったのではないかというお尋ねでございますが、分譲の坪数は三十一年度とほぼ同様に木造の場合十二坪、耐火構造の場合に十五坪というような基準でやっております。ただ若干そこで戸数の増減があるのでございますが、この点は三十年とほぼ同じような基準にいたしておるのでございます。
それから土地の造成事業でございますが、土地の造成事業の公庫の今回の予算におきましては、三十年度より若干減少いたしております。これは要望は非常に強いのでございますが、これを減らしました理由は、公団との関係におきまして、公団の宅地造成事業の関連を見たのでございますが、大団地の、たとえば一万坪以上の大団地、そういうものの開発事業は公団にやってもらった方が便利じゃないか。そ必からそれより小さい都市に、もよりの宅地を造成していくというのは、住宅金融公庫からその市町村なりあるいけ県に貸し付けまして、その事業でやった方が工合がいいじゃないか、そういうように考え方を分けまして考えました関係から、大団地の造成は公団の方にやってもらうというような関係から多少減っておりますが、公団の方の宅地造成も着々進んでおりますので、それの関連においていろいろ考えたことでございます。
それから融資率の点、これは非常に大きな問題でございまして、昨年の当委員会におかれましても非常に問題にされまして、この融資率を法律一ぱいに上げろというお声がありましたことは承知いたしております。ただ本年はその法律の線より約五%下っておりますことははなはだ遺憾でございます。災害その他やむを得ざる事情のような場合にはこれを五%ぐらい上げるようにいたしたい。実際問題としてそういうような措置を今年度もとりたい、こういうように考えておる次第でございます。また明年度以降はどうかということもお尋ねの中にありましたが、明年度以降のことについて今お約束することも困難ではございますが、われわれといたしましてはできるだけ法律に定められておるような融資率にいたしたい、こういうふうに考えてはおる次第でございます。
それから公庫の職員が公団の職員と給与が非常に逢うがどうか、こういうお尋ねでございますが、公団の職員は国家公務員ではございませんで、御承知のように特殊法人の職員でございます。それから公庫の方は多少成り立ちの歴史的に違ったところからスタートいたしておりますので、現在のところ公庫職員は国家公務員でございます。そこで賃金ベースにおきまして若干の相違はございます。ただ現在ありますところの公団、公庫をずっと見渡してみますと、住宅金融公庫のみが国家公務員というようなことになっておりますので、はなはだ他との均衡を欠いておるという事情はございます。そこで今度の国会にその身分切りかえの法律の改正案を提出いたしたいと存じておりますので、後刻御審議願いたいと考えておる次第であります。
それからもう一つは軽量鉄骨その他の新構造法のものを公庫ではどういうふうに考えておるかということでございます。それは最近こういう建築構造法がいろいろの進歩を遂げて参りまして、耐火性能が非常に優秀なものがだんだんできて参っております。そこで公庫の現在の貸付の基準では、木造とその他これに類するようなその他の構造、それから簡易耐火構造、それから耐火構造、この三本建になっております。ただ簡易耐火構造というものの定義が、公庫法に定められておりますのが、外壁耐火構造というようなことで一本にしぼられておりますために、全体が不燃性の構造でできておる住宅は、その範疇に入らないというまことに不合理な点がございます。そこで今回先ほど申しました職員の身分切りかえと同時に、その構造の、簡易耐火構造というものの定義の変更を同時に法律改正案でお願いいたしたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/45
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046・廣瀬正雄
○廣瀬委員 公庫につきましては大体わかりましたが、公団につきまして一点お尋ねいたしたいと思うのでございます。それは先刻申し上げましたように、明年度の予算は資金の構成が苦しくなっておるようでございますが、これにつきましては、借りかえというようなことが大きな問題になると思うのでありまして、どういうような方法で借りかえをなさって運営をされるお考えでございますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/46
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047・鎌田隆男
○鎌田政府委員 公団の資金構成でございますが、三十一年度の資金構成は三十年度と若干変ったのでございますが、三十年度の資金構成が考えられました根拠は、民間の借入金を家賃その他の回収金で返し得る限度がどのくらいか、つまり資金繰りの上からどういうふうにしたら公団の資金繰りがうまくできるかという観点から、民間の借入金の割合を定めまして、その残りは政府の出資なり低利資金をちょうだいしたい、こういう考え方、つまり資金繰りの上から出た資金構成でございます。三十一年度には若干この考え方が変りまして、三十年度、三十一年度と両方プールして利回り計算をしまして資金コストが何分になるか、その資金コストで建設する費用、ずっと長期に償還するにはどのくらいの家賃になっていくか、こういう計算をいたしまして、昨年と同様の家賃、約四千二百円程度に押えるためには、何分の利回りにすべきであるか、こういう考え方から出しておるわけでございます。その利回り計算つまり資金コストの上から見ますと、四千二百円でいくという見通しを得ましたので、こういう資金構成にいたしたのでありますが、ただコストだけでいいますと、資金の年限の問題があるわけでございます。政府出資金は年限はございませんが、借入金はみな年限がございます。ところが回収金の方は鉄筋コンクリートの貸家のごときは、何十年償還——五十年償還あるいは六十年償還、七十年償還というふうに非常に長期の回収になるわけでございます。そこで資金繰りが、七年で借り入れました民間資金ももう少し長く、年限の方をずっと延ばして考えませんと、その利回りの資金コストだけからいったのでは不工合が生ずるわけでございます。そこで今お尋ねの民間資金の借りかえということが生じて参るわけでございますが、この方法につきましては、今大蔵省その他ともいろいろ検討を重ねておりますので、どういう方法でということをここですぐ申し上げることはできませんが、この資金の借かりえということは、通常、普通に行われているごとでもありますし、資金の借りかえという考え方はあり得ると私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/47
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048・徳安實藏
○徳安委員長 それでは法案の審議を継続いたします。瀬戸山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/48
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049・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 それでは先ほどに続きまして、日本道路公団法案について、もう少しただしておきたいと思います。
第三十条でありますが、これは道路公団が施行する新設、改築その他災害復旧、これに対して予算の範囲内で政府はその事業に補助金を出すことができる、こういうことでありますが、具体的に言うと、どういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/49
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050・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 第三十条は第十九条の第一号というのは、新設、改築に要する費用でございます。それから第二号は災害復旧についてであります。それで災害復旧についてまず申し上げますと、災害復旧は公団がみずからの費用でやらなければなりませんが、それに対しては政府が経費の一部を補助することができるようにいたしたものでございます。それから新設、改築につきましては、具体的に三十一年度におきましては、二十億が交付金として入れられておりますが、これは法律的には補助金でございます。これは新設、改築に対して交付されるわけでございまして、このことをさしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/50
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051・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 あとでお尋ねするのでありますが、この附則の第十二条に、例の通称ガソリン税の道路財源の法律の特例を設けられております。これによると、その経費の一部を公団に対し補助することができる、こういうふうになっております。今話を聞くと、第三十条でもやはり公団に対して三十条の規定によって補助することができるようになっておる。私は非常におかしいような気がするのですが、まず第一番に、災害に対して補助する。これは補助しなければならぬこともあると思います。そうすると、その根拠は例の災害国庫負担法の規定によって、有料道路に補助されるつもりか、何か別に補助の規定をこしらいられるのか、あるいは三十条によって適宜補助されるのか、その点が一つ。今二十億は交付金になっておるが、これは補助金、これは附則の十二条に関係があるといいますが、こはれはどういうことなのですか。これは道路整備特別措置法案に関係があるのでありますが、これはあとでお尋ねしますけれども、その点だけを今のところ簡単に御説明願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/51
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052・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 災害復旧に要する費用につきましては、災害復旧国庫負担法に基かずに、この法律によって補助することができるようにする考えでございますが、補助の規定につきましては別に審議されるはずでございます。それから新設、改築に対します補助は、この附則の十二条の道路整備費の財源等に関する臨時措置法の特例によって行われるものでございますが、この十二条によりますと、道路整備五カ年計画にかかわる道路に関する工事で、公団が実施するものに要する経費の一部として公団に補助するわけでございます。公団が実施いたします有料道路につきましては、このうち五カ年計画にかかわる道路の工事があるわけでございますので、そういった意味から公団に補助することができるようにしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/52
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053・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 どうもその点が私はまだ明瞭に、なるほどという気持にならないのであります。先ほど災害に関する補助は別に審議を求めるというお話でありましたが、何か法律でも改正されるのか。御承知の通り今まで有料道路の制度は——今度この二つの法案によって新たに改正しようというのでありますが、今までの有料道路は、大体借入金をもって道路を建設し、その償還のためにいわゆる料金を取っておる。実際問題としてはなかなかその計画通りにはいっておらないところもありますけれども、しかし建前としてはそういうふうになっておる。ところが今度の場合は災害に対して補助する。今の災害国庫負担法でこういうものを補助されてはたまったものではないのであります。今のお話では別にそういう法案を出されるか何か知りませんが、審議を求めると言われましたが、その点をもう少し明確にお答え願いたい。
もう一つは、この二十億は補助金だ。附則の十二条には二十億とは書いてないが、予算と見合うとそういうことになっておる。それがこの三十条の資金になつおると思うのであります。一級国道、二級国道あるいは府県道もしくは指定市の市道に対して一部を補助することができるとなっておりますが、この補助の割合などというものは、何か法律できめられるかどうか。二十億で、ただで作って料金を取るというわけにはいかないのです。これはあとでお尋ねしますが、現にやっている有料道路は、一級国道、二級国道あるいは府県道、市道というわけではないと思うのであります。なるほど附則の十二条にはそういうものに対する財源として補助するというふうになっております。この三十条と十二条とは多少性質が違うと解さなければならないと思います。が、三十条の場合、ただ一部を補助するということで、あるいは国道の場合は三分の二とか、あるいは四分の三とか、いろいろあるわけでありますが、そういう規定がなしに、これで適当に補助するということですが、災害に関しても同じことでありますが、この点はどういうふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/53
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054・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 この三十条の経費の一部補助ですが、先ほどこの点については審議を進めるということを申し上げましたが、別に法律を出すつもりはないのでございます。三十条によって経費の一部を補助したいと思うのでありますが、この補助率等につきましては、予算措置として今後大蔵省とも折衝いたさなければならない問題であります。
それから十二条の臨時措置法の特例でございますが、これは言われますように、現在やっておりますのは一級国道、二級国道に限ってはおらないわけであります。また今後新たにやるものも主として一級国道、二級国道にいたしたいとは考えておりますが、また場合によれば都道府県道あるいは指定市の市道が出て参るわけでございますが、これらのもののうち、五カ年計画に計画されておった道路の関係の工事につきましては、臨時措置法の特例として、この新設、改築に対する経費の一部を補助いたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/54
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055・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 どうも私の方が血のめぐりが悪いのかもしれませんが、災害に対して補助すると言われますが、法律を改正あるいは新たに補助の法律を出す考えはないが、何か審議をされる——補助率などについての審議でありましょうが、一体この災害に対して補助する財源と申しますか、予算措置はどこから出てくるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/55
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056・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 これは、現在国有鉄道の災害に対しても国は補助をいたしておりますが、それと同じような趣旨で公団の災害復旧に対しても、それに要する経費の一部を補助いたしたい考えでございます。その財源は別の一般財源から充てるように私どもの方は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/56
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057・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 そうすると、一般の災害と同じように、かりに災害があれば、有料道路についても予備費から補助する。さしあたり予備費から出しておいてやる、こういう同じやり方なんですか。今までの有料道路についてもそういうふうなことを考えておられたか、あるいはやっておられたか。それはどういうようになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/57
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058・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 今までの有料道路につきましては、これは道路法の道路としてやっておるわけでございますから、災害国庫負担法の規定によってやられたわけでございます。今度公団ができまするので、公団については前に申し上げましたように、国鉄と同じような補助の仕方を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/58
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059・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 これはほかのところにも規定があるのでありますが、大きな災害などあって、有料道路の料金徴収の期限が切れても、場合によれば建設大臣の認可を得て災害復旧をやって、さらにそれに対する料金を徴収することができるという規定がほかにあります。そういう規定を設けながら、こうやって補助するという規定——補助するのはいいのか悪いのか検討を要しますが、大体私どもの考えでは、今の道路建設が非常に遅れている。道路財源については、御承知のように、ガソリン税を縛りつけて道路の建設を促進するということでやっておる。ところがそういう、いわゆる五カ年計画の道路の建設でも、その財源によってもなおかつ非常に遅れますから、思う通りに進捗しない。そこでまた別途の方法を考えて、そういう道路以外のところに別な財源を考えて、いわゆる有料制によってその建設費はあとで償還をするという、いわゆる融資の方法をもって道路の建設を始めよう、この二本建によってできるだけ早く日本の道路の建設整備をやろう、こういう趣旨で特別会計をもって今日まできたということは、よく局長御承知の通りであります。こういうふうになってくると、五カ年計画の一般財源による道路の整備と、こういう特定道路と申しますか有料道路による道路の整備が非常に紛淆を来たしてくる。財源においてもすでにそういう格好になっております。またこのやり方についても、そういう導火線をここに作るような気がするのでありますが、これは全然普通の財源の措置、国家財政ではできないことを、有料道路の制度によって、これを使用する方々から道路建設の資金を長い期間に償還してもらうという方法で、こういう道路網を、五カ年計画以上の道路を整備しよう、こういう考え方であったと私どもは承知いたして、今日までこういう法律に関係してきたのでありますが、ちょっと感じが違うようでありますが、そこはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/59
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060・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 考え方といたしましては、申された通りに私どもも考えておるわけでございますが、有料道路につきましては、新設改築の費用が、償還するものであり、料金によって償還し得るものを採択しておるわけでございます。しかし今度公団がやろうと考えております仕事につきましては、もし公団ができない、あるいは有料道路という制度がなかったといたしますと、当然五カ年計画に入れて実施しなければならないものがあるわけでございます。そういうものがありますので、そういう道路につきましては、ガソリン税も入れて建設するというふうに考えておるわけでございますが、そういたしますと、そのガソリン税につきましては、これは料金の対象とならない資金でございますから、全体としては料金が安くなってくるという形で現われてくるわけでございます。お話のように紛淆を来たすおそれが全然ないとは申せませんが、かたがたこのような方法で日本の道路を早く整備していきたいという趣旨に出でておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/60
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061・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 そちらのお考えはわかりましたが、それならば災害について、あるいは新設、改築についてその補助率などというものは、この有料道路の場合についてどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/61
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062・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 この補助率等につきましてはまだ具体的に決定いたしておりませんが、今後この三十条の二に基きまして、この補助率等を定めて参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/62
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063・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 その点については、これは法案審議中でありますから、こういう問題も相当明確にしてもらわないと、法律はなかなか通らないと思っております。その点はこの法案審議中に大体の構想を明らかにしていただきたい。
それから、これは先ほど関連して触れておきましたが、附則の十二条であります。これは先ほど申し上げたように、例の道路整備費の財源等に関する臨時措置法の特例ということになっておりますが、御承知のように、道路財源を確保して道路の整備をできるだけ早くしなければならないということで、例の揮発油税を全部道路の整備費に回すという法律を作っておることは、これは今さら申し上げるまでもないことであります。ところがここで特例を設けられて、やはり有料道路の公団の仕事についても、いわゆる五カ年計画について充てる財源の一部をこの有料道路公団の方に補助する。これは最初補助じゃなかったと思いますけれども、これは補助するということになっております。ちょうど住宅政策において、公営住宅と公団住宅、こういうふうになってきておる。しかしこれは逆になっております。住宅政策では、公営住宅で半分は国が補助をして早く家を建てようということである。ところがそれは個人の利益を相当はかるのであるから、補助金みたいなことはしないで、家賃で償還する家を建ててやればいいんじゃないか、こういうことで金融公庫ができ、三十年度から公団住宅というものにだんだん切りかえつつあるというのが今の財務当局の考え方です。ところが道路については逆で、今まで有料道路は、特にその道を使用する人たちが便利であるから、ほかにも使用する道路があるけれども、特に新たに作った道路を使用すると非常に便利であるから、その便利料をとって、便利な道を作ってやろうというので、いわゆる有料道路の制度を作った。ところが今度は住宅の場合とは逆に、これに補助金を出そうという考えのようでありますが、これはさっきも触れましたけれども、全然今までの構想とは違っておる。それを使った方がすべての場合に有利であるから、有利なだけはあなた方が料金を出しなさい、こういう制度で、普通ならばできない道路を、利用する人たちが長い間に資金を出し合って作るというのが有料道路の制度だと私は思う。ところが今度の道路整備特別措置法によると、その構想がくずれてきておると思うのです。これは先ほど局長のお話もありましたが、道路整備費の財源等に関する臨時措置法をこういううふなことで破っていいということを道路局長は真剣にまじめに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/63
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064・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 特別措置法の規定は、このガソリン税を五カ年計画に充てるということになっております。五カ年計画の整備を促進するためにガソリン税が充てられるわけでありますから、この金を有料道路の方に回すということは一つの矛盾があるようには考えられますが、今後実施されます有料道路のうちで、この五カ年計画で計画しておったものも取り上げられていく場合がありますので、そういう場合につきましては、このガソリン税を充てましても、結局その道路を利用する者が安い料金で利用できることになるのであり、また実現が早くなるのでありますから、その関係におきましては、またこのような措置もやむを得ないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/64
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065・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 この問題は、きょうはこれ以上は申し上げないことにいたしておきますが、ただ私がここで申し上げておきたいことは、これに対してはお答えは要りませんが、附則の十二条によって、その一部を補助することができる。こういうふうなあいまいな規定を置いたのでは、ガソリン税の、いわゆる臨時措置法というものの精神は骨抜きになるということを局長はお考えおき願いたい。少くとも、もしこの法律の第十二条の規定を生かしておこうというのであれば、ガソリン税収入あるいは予算額の何。パーセントというくらいのめどをつけておかなければ、御承知のようにいつもやられますぞということを一応ここで警告を申し上げて、この問題はあとで研究することにいたします。
次に道路整備特別措置法案、これは現行の法律を多少変えて、ほとんど体裁は同じようになっておりますが、第三条が現行の措置法とは多少表現が違っております。というのは、先ほども触れたところでありますが、問題は、この公団はどういう道路を一体有料道路としてやるかという根本の問題に第三条は触れていると思うのです。ここへ社会党の楯委員も見えておりますから多分あとで触れられると思いますが、私はあらかじめその問題にも触れて明らかにしておきたいと思いますが、一級国道、二級国道あるいは指定市の市道、今までの法律にはこんなことは書いてありませんでしたが、これには書いてある。これは先ほどの附則十二条にもあるいは三十条にも触れてくると思いますけれども、次の委員会には必ず出してくれるように要求しておきますが、現在の有料道路の実態、これは一級田道、二級国道指定市の市道、あるいはその進捗状況、あるいは全体計画、それともう一つ、これは確定的なものではありませんが、今各地方で問題になっているところの、公団の仕事としてやらなければならない、またやり得べきものという予想の資料、それらを次の機会にぜひ出してもらわなければ、この法律の最終の審議は終らないと思いますから、それをこの際要求しておきます。
また、ここで問題になってくるものに例の縦貫道路の問題があります。この前の委員会でもちょっと触れたと思いますが、縦貫道路の一環としての名古屋—神戸間でありますか、ああいう道路、こういうものはいわゆる公団でやられる趣旨のものであるかどうか、この点はこの法律自体ではまだ明らかになっておりません。一級国道、二級国道、都道府県道または指定市の市道というふうに限定されているということは、私から言うと一種のカムフラージュだと思いますが、現在もこういうものでないものもやっておられるのですか、この点は一体どういうふうに調整をされるつもりか。あるいはまたどういう見当をつけてこの公団法を作り、また同じ名前でありますけれども、なぜ前のものは廃案にして新たにこの整備法を出されたか、その点を一つお考えをお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/65
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066・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 前の特別措置法を廃止いたしまして、新たに道路整備特別措置法を作りました理由を申し上げます。
現行法は、建設大臣の行う有料道順の新設または改築及び料金の徴収、都道府県及び市の道路管理者の行う有料道路の新設または改築及び料金の徴収、並びに道路管理者が行う有料道路の整備に対する資金の貸付について規定されているのでございますが、現在の国及び地方公共団体の財政の事情にかんがみまして、かつ今後の交通行政に則応ずるために、民間資金の活用による有料道路整備事業の拡充をはかるために、有料道路の総合的管理を行う機関として新たに日本道路公団を設立することにいたしたわけでございますが、また道路管理者の行う有料道路についてもその制度を序続せしめたいという考え方から、現在の道路整備特別措置法を改正いたしますよりも、新たに道路整備特別措置法を設けた方がよろしいと考え、全文を改正することをやめまして、新たに道路整備特別措置法を設けたわけであります。今度の特別措置法で公団の実施いたします有料道路は、一級国道、二級国道、それから国の利害に特に関係のある場合には都道府県道または指定市の市道ということにしておりますが、これは国の幹線を早く整備いたしたいという考え方から、一級国道、二級国道に力を入れておるわけでございます。
そこでこの有料道路になし得る条件でございますが、これはもとの法律が三項ございまして、第一項、二項は、新たな法律と同様であります。三項にはこの道路の新設、改築に要する費用が償還を要するものであるということが、一つの条件に加わっておったわけでありますが、公団の資金というものは主として償還を要する資金をもって充てられておりまして、これは自明のことでありますので、三項は除いたのでございます。
そこで先ほどお話のございました縦貫自動車道との関係でございますが、この法律では道路法にいう道路を実施いたすことにいたしておりますので、道路趣送法に規定いたします自動車道はこれに含まれないわけでございます。ただこの法律では、一級国道、二級国道につきまして、条件にはまるものは有料道路となし得るわけでございますから、新たに一級国道あるいは二級国道が設けられて、それがこの条件にはまるといたしますと、これは有料道路としてこの公団が実施し得るわけでございます。たとえて申し上げますと、名古屋—神戸間、これが自動車道であるということになりますと、これはこの公団の実施の範囲外でありますが、これが一級国道であり、しかも有料道路の条件にはまるという場合には、この公団が実施し得るわけになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/66
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067・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 先ほども申し上げたように、資料をいただいてからでないと、ちょっと質疑がピントをはずれるかもしれませんが、先ほど局長のお話では、必ずしも一級国道、二級国道、いわゆる都道府県道、市道でないものも現在有料道路でやっていると言われたように私は思います。その点を伺うのと、もしそういうものがあったら、一体この法律ではどういう、ふうにまかなっていかれるつもりか、その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/67
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068・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 現在の法律ではそのようにきめておりませんで、指定市の市道以外の市道でもやり得るようにはなっておりますが、実際に行なっておりますのは一級国道、二級国道、都道府県道でございまして、ここの第三条にきめる以外の塩退路については実施いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/68
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069・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 そうすると、今大体やっておるのは府県が多いと思いますが、そういう現在進行中のものはどういうふうに公団との関係をやられるか。というのは、この第八条に、先ほどもお話がありましたように、公団というのは建設大臣——建設大臣といいますか、国がくらがえをしたような格好になっている。そのほかに八条には、さらに都道府県にもそういうものができるという道を開いております。開いておることは非常にいいのでありますが、しかしそれに対する資金の裏つけというものは全部ここでオミットしてありますから、八条についてやり得るとは書いてありますが、どこにも資金の裏づけをせぬことにしてありますから、実際上は私はやらないと思う。その点はどういうように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/69
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070・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 道路管理者が有料道路を新設、改築し得る道を残してございますが、これは現在の道路法におきましても、渡船あるいは橋につきましては有料にし得ることになっておるわけでございます。これらの道をふさぐことも本意でございませんので、このように道路管理者がやり得る道を開いておるわけでございますが、道路管理者が、たとえば公団のやるような有料道路を実施しようと思いましても、これにつきましては資金の裏づけがないわけでございますから、その面では実施できないわけでございますが、先ほど申し上げましたような、渡船でありますとか橋梁につきましては、現在も道路管理者の行なっておるのがございますので、この法律におきましてもその道を残しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/70
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071・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 道を残しておられるのはけっこうなことだと私申しておるのですが、現在都道府県がやっておる、まだ未完成な道路がたくさんあります。それは一体この公団とどういう関係になるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/71
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072・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 これは経過規定を設けまして、現在都道府県が貸付を受けて実施いたしております有料道路につきましては、公団が原則としてその債権債務を引き継ぐことにいたしております。従いまして、現在工事中の都道府県の実施いたしております有料道路は、公団が全部引き継いで完成させるということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/72
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073・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 そういうことになると思っておりましたが、そこで問題は、それじゃ公団の陣容と申しますか——公団の陣容については何も資料がありません。公団を作られる——総裁、副総裁、理事五人、監事二人ぐらいは法律に表われておりますが、どのくらいの機構の、どのくらいの人員の公団を作られるのか。全国の道路を作るようなそれだけのスタッフを持った公団を作られるのか。あるいは各県の現在やっておられる有料道路には相当金もつぎ込み、人員もつぎ込んでおられると思いますが、そういうものも全部公団が協議ので引き継いで——これは道ができさえすればいいんですから、借金をして道を作るばかはございません。みんな公団にまかせると思いますが、そのときに公団の人員はどのように考えられるか、それを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/73
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074・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 まだ具体的に申し上げる段階にはなっておりませんが、大体の構想は、主たる事務所を東京に置きまして、支所を東京、大阪、名古屋、福岡に配置いたしたいと考えております。こういたしますと、大体の人数は七百人から八百人程度になろうかと考えております。なお本部の組織といたしましては、総務、経理、計画、業務、工事の五部程度を設けたい考えでございます。なおただいま具体案を作りまして、大蔵省と折衝を始めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/74
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075・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 その点はこれから案を立てられるといいますが、問題は、現在やっておりますところまで公団の職員の方々が行かれてやられるのか、ときによっては、現在やっておる——北海道は知りませんが、府県に委託と申しますか、そういうやり方もやられるのか、それとも全部公団の職員でやられるような膨大な機構を作られるのか、その点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/75
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076・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 公団は国または地方公共団体の工事の委託を受けられるようになっておりますが、公団が国に委託する場合につきましては、建設省の設置法を改正いたしまして、国が委託を受けられるようにいたしたいと考えております。また地方公共団体につきましては、地方公共団体に特に委託を禁止する条例がなければ、地方公兵団体に委託することも考えたいと思っております。実際問題といたしましては、関門国道などは建設省に委託いたしたい考えであります。と申しますのは、関門国道はすでに完成の時期に来ておりますし、ここで機構を変えることは適当でないと考えますので、これなどは委託をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/76
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077・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 時間もだいぶ経過いたしましたので、あと一点だけ小さな字句の問題でありますから、ただして後刻に譲ることといたします。第六条の「道路管理者との協議等」という項目の中に、公団は、道路が一級国道または二級国道であるときは当該道路の管理者、これは都道府県知事でありますが、これと協議する、それからその次に「都道府県道又は指定市の市道であるときは、あらかじめ、当該道路の道路管理者の同意を得なければならない。」こういうふうに使い分けをしておられるのですが、これは何か意味があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/77
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078・富樫凱一
○富樫(凱)政府委員 一級国道、二級国道は国の営造物でございます。公団が有料道路として実施いたします場合には、建設大臣の認可が要るわけでございますから、一級国道、二級国道については道路管理者とも協議をいたすことにいたしております。また都道府県道または指定市の市道である場合には、これらの道路は都道府県なり指定市の営造物でございますので、この場合には道路管理者の同意を得なければならないことにいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/78
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079・徳安實藏
○徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日午前十時より開会いたします。
これにて散会いたします。
午後零時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X00719560216/79
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