1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月四日(水曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長代理理事 荻野 豊平君
理事 瀬戸山三男君 理事 前田榮之助君
理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 伊東 隆治君
大高 康君 木崎 茂男君
久野 忠治君 仲川房次郎君
中村 寅太君 二階堂 進君
廣瀬 正雄君 松澤 雄藏君
松永 東君 今村 等君
盾 兼次郎君 中島 巖君
山下 榮二君 山田 長司君
吉田 賢一君
出席政府委員
運 輸 技 官
(港湾局長) 天埜 良吉君
建設政務次官 堀川 恭平君
建設事務官
(大臣官房長) 柴田 達夫君
建設事務官
(計画局長) 町田 稔君
委員外の出席者
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建設事務官
(河川局次長) 浅村 廉君
建設事務官
(河川局水政課
長) 国宗 正義君
専 門 員 西畑 正倫君
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四月四日
委員安平鹿一君辞任につき、その補欠として吉
田賢一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員吉田賢一君辞任につき、その補欠として安
平鹿一君が議長の指名で委員に選任された。
三月三十日
都市公園法案(内閣提出第一三二号)(参議院
送付)
四月三日
県道路線認定基準の緩和に関する請願(櫻内義
雄君紹介)(第一八〇九号)
阿閇村の海面埋立工事促進等に関する請願(石
橋政嗣君紹介)(第一八一〇号)
同(八木昇君紹介)(第一八一一号)
の審査を本委員会に付託された。
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三月三十日
公共事業費の削減反対に関する陳情書
(第四三七号)
海岸法制定に関する陳情書
(第四六三号)
宅地の国家管理に関する法律制定の陳情書
(第四六五号)
災害復旧費増額に関する陳情書
(第四六六号)
県道坂元都城線の改修工専促進に関する陳情書
(第四六七号)
南海震災による地盤変動対策確立に関する陳情
書(第五
二九号)
上五島縦貫道路工事促進に関する陳情書
(第五三〇号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
都市公園法案(内閣提出第一三三号)(参議院
送付)
海岸法案(内閣提出第一五二号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/0
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001・荻野豊平
○荻野委員長代理 これより会議を開きます。
都市公園法案を議題とし、審査を進めます。本案に対しましては予備審査の段階におきましてすでに質疑を尽しております。この際質疑討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/1
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002・荻野豊平
○荻野委員長代理 御異議なしと認めます。さよう決します。
都市公園法案を採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/2
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003・荻野豊平
○荻野委員長代理 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
なお報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/3
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004・荻野豊平
○荻野委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/4
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005・荻野豊平
○荻野委員長代理 次に海岸法案を議題といたしまして、審査を進めます。
質疑の通告があります。これを許します。三鍋義三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/5
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006・三鍋義三
○三鍋委員 本法案は多年地方民が、そしてまた地方公共団体が、早く提案され、それが成立されることを熱望しておったのでございますが、このたび政府提案によりましてこれが日の目を見ようとする段階に至りましたことは、同僚委員諸君とともに心から喜びにたえないのでございます。しかしこの内容を検討してみますと、必ずしても私たちの期待に沿うものではございません。しかしそれが出たということは、私たちの期待に大へんに沿うものでありまして、これは足らないところは漸次また改正して、よりりっぱなものにしなければならぬという考えを持っております。つきまして若干この内容について御質問を申し上げたいと存じます。
まず第十八条でございますが、この法案を見ますと途中からでございますが、「あらかじめその占有者に通知して、他人の占有する土地若しくは水面に立ち入り、」この点でございますが、この「あらかじめその占有者に通知して、」これは通知するだけでいいのか、本人の承諾を得なくてもいいのかという、そういう疑点であります。次に「又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。」この「特別の用途のない」といったのはだれが認定するのか、こういう点であります。
続きまして「あらかじめ通知することが困難であるときは、通知することを要しない。」これはどういう意味をいっているのか。通知しなくてもいいとは一体どういうことか。
第二項でありますが「前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地若しくは水面に立ち入ろうとするときは、立入の際あらかじめその旨を当該土地又は水面の占有者に告げなければならない。」ただ告げておけばよいのか、本人の承諾を得なくてもいいのかという疑点であります。
築五項におきまして「第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置賜又は作業場として一時使用しようとするときは、あらかじめ当該土地の占有者及び所有者に通知して、その者の意見をきかなければならない。」これはただ聞きっぱなしでいいのかという疑問であります。
第六項におきまして「土地又は水面の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。」これは正当の理由のある場合は拒むことができるという解釈になるのでありますが、これと第一項の「あらかじめ通知することが困難であるときは、通知することを要しない。」黙って人っていい、黙って入って作業をやられた、知らないうちにやられたのに対してどうしてこれを正当な理由があるとかないとか、この立場でこれを拒否するとかしないとかいうことができるか、こういうところに矛盾があるように考えます。
以上、この項目を見まして私の感ずることは、何か権力者が上から人民を見下して、ぐずぐず言うとためにならぬぞ、こういった思想が露骨に現われているように思うのであります。これはやはり所有者の基本的権利を尊重するという法律の立場から、こういう点を修正する必要があるのではないか、こう思うのです。ほかの法律を調べてみますとやはり大体こういう書き方をしているのでございますけれども、こういう点は民主主義の現在の世の中におきまして、法律用語としては適切ではないように考えるのですが、御所見を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/6
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007・浅村廉
○浅村説明員 ただいま三鍋委員からの御質問に対しましてお答え申し上げます。実はこの海岸法を立案いたしまするに際しまして、一般の方々の権利を不当に侵害することのないように慎重なる考慮をめぐらしておるのであります。ただいま御質問のございました第十八条につきましては、実はほとんど同文の規定が昭和二十七年に成立いたしました道路法におきましても設けられてあるのでありまして、特に海岸について不当に権利を侵害するような考え方は毛頭持っておりません。そこでまず御質問の第一点の通知という点でございますが、もちろんこれは協議ではございませんので通知と書いてございますから、立ち入るということを通知するということで足りるのでございますけれども、しかしながら運用上はなかなかそう簡単には参りませんので、この第一項とそれから第六項の規定とのかみ合せによりまして、立ち入ろうとする方は通知をする。それから立ち入られようとする方は正当の理由がない限りこれを妨げてはいけないということになっておりますので、両方の規定のかみ合せによりまして円滑に運用いたし得るものと考えております。
次に特別の用途のない他人の土地というものの認定でございますが、もちろんこれは立ち入ろうとする側がまず判断をいたしまするが、しかしながら特別の用途があるかないかということは、これは客観的にだれでも判断し得る程度のことであろうかと考えられます。現在放置してあるようなものは、だれが見てもこれは放置してあるのでありまして、決して現在ある種の用途に当てておるものを、立ち入ろうとする側におきまして、特別の用途に供しておらぬというような一方的な判断を加えて、立ち入りを強行するというようなことは考えておらないのでございます。
それから同じく第一項の「あらかじめ通知することが困難であるとき」とはいかなる場合であるかというお尋ねでございますが、これはその土地を占有いたしております者がだれであるかわからない、かような場合が間々ございます。そのような場合には通知をすることができませんので、このような例外を設けております。あるいはわかっておりましても現在どこに住んでおるのかわからない、住所が不明な場合もございましょう。そのような場合に、実際問題といたしまして通知が困難でございますので、これはもうやむを得ぬ。そのように長らく土地を離れ、あるいは占有者がだれであるかということすらわからないということは、すでに権利を放棄しておるというような事実上の状態にあるのでありまして、これはどうもどこまでも追究して通知をするというわけにも参りませんので、そのような規定にいたしておるのであります。
それから第二項におきまする「立入の際あらかじめその旨を当該土地又は水面の占有者に告げなければならない。」という趣旨も第一項と同様の意味であります。一々承諾ということまで念には念を入れて書いてはございませんけれども、大体この十八条の規定の全体が念には念を入れて、決してその権利を強行するというような気持でなく、非常に急ぐ場合でありましても、一定の手続だけはとってやるようにということを其、いてありますので、そのような意味で占有者に告げるということでも、ずいぶんにこれは念には念を入れて設けられておる規定であると考えております。
それから第五項、これはその意見を聞かなければならないということは聞き放しであるかというお尋ねでございますが、これも大体今まで申し上げましたような趣旨からお察しを願いたいのでありまして、意見を聞くということは、決して一方的に聞き放しで、切り捨てこめんだというような考え方を持っておりません。十分にその意のあるところをそんたくして判断をしてやって参りたいという趣旨でございます。
それから最後の点は第六項と第一項の関係、つまりあらかじめ通知することが困難であるときは通知をすることを要しないと書いてありながら、六項の義務を課するということは何か条文上変ではないかというお尋ねではなかったかと存じますがこの第一項のただし書にあります「通知することが困難であるとき」と申しますのは、占有者がだれであるかわからない場合、占有者が住所が不明である場合等に限られておりますので、この第六項の規定に該当するような場合が考えられないのであります。これを拒もうというものがいないのでありまして、あるいは妨げられたとするものがない状態でありまして、一項と六項の適用において矛盾を生ずるような事態は私どもは考えておらないでございます。大体御質問の点にお答え申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/7
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008・三鍋義三
○三鍋委員 ただいまの御説明によりまして、この条項の趣旨がよく了解できたのでございますけれども、得てして現場で作業する場合に、その法律の真の意味を十分理解せなくて、理解しておっても理解せないような顔をして強行するといったような場合が、やはり現実の問題として多くあるのではないかということを考えるのでございます。そういう点から御質問申し上げたのでございますが、こういう法律のこの条項の精神というものはやはり尊重して、現場における作業を実施するように配慮をされなければならないものである、このように考えるのであります。
次に第二十六条についてでありますが、主務大臣の直轄工事に要する費用の点であります。新設または改良に要する費用の負担は二分の一となっておるのであります。これを河川法あるいは道路法についてみますと、いずれも直轄工事の場合は三分の二ないし四分の三の負担率となっているのであります。ところが河川法道路法と同じように、——この河川、道路と何ら関係のない海岸法に基く海岸工事のみが二分の一の国庫負担となっているのはどういう理由によるか、私たちの考えといたしましては、当然やはり四分の三ぐらいにいたさなければならない、このように考えるのでございますが、これを修正される御意思はないかどうか、また二分の一ときめられたそのいきさつをお承わりしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/8
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009・浅村廉
○浅村説明員 道路法におきましても、河川法におきましても、国が直轄工事をやります場合には、国の費用の負担は三分の二ということになっております。従いまして海岸法の立案に当りましても、私ども当初三分の三という案で財務当局とも折衝いたしたのでございまして、種々折衝を重ねた結果、このようなところに落ちついておるのでございますが、そのいきさつにつきまして、あるいは二分の一であることが必ずしも不適当ではないという点につきまして、立案に当りました者といたしまして若干御説明申し上げたいと思います。実は河川及び道路につきまして直轄工事をなし得る場合は、必ずしも河川なり道路なりの全体に対して行い得るようにはなっておらないのでございますす。なわち河川につきましては河川法を適用する河川についてだけ直轄工事が行い得るということになっております。私どもが予算で補助をいたして河川工事をやったり直轄工事をやったりいたしておりますが、河川川で対象にいたしております河川は、必ずしも河川法を適用しておる河川ばかりではございませんので、河川法を準用しておる河川につきましても、工事の実施あるいは指導監督をいたしております。そこで河川法を適用する河川についてだけ直轄工事を行い得るということになっておるのでございます。道路につきましては、一級国道、二級国道、都道府県道、市町村道等種類がございまするが、直轄工具を行い得る対象は一級国道及び二級国道に限られておるというような関係になっております。しかしながらこの海岸につきましては、たとえば一級海岸、二級海岸というようなものはございませんので、すべて一般的に海岸というものを対象にいたしております関係上、その二つの、道路河川両方の考え方をそのまま用いまして、直ちに三分の二の国の負担率というものを適用するのは、いささか行き過ぎではないかという議論が非常に強く出たのでございます。これはまことに一応もっともでありまして、海岸については道路法、河川法のごとくしぼっておりませんので、この点がやや考え方が広がっておるという点も考えられます。そこで二分の一という線でいいんではなかろうかと考えた点が第一点でございます。
次は、海岸と申しますのは、もちろんこれは国土保全上非常に重要な対象物でございまして、河川、道路に何ら劣らない、あるいはそれ以上の重要度合いがあるのでございまするが、しかしながら、この海岸工事というものは、その利益を受けるものが都道府県、つまりその地方に非常に関係しておるのであります。地方に関係する度合いというものが他のものに比べまして非常に強い。もちろん河川につきましても同様でございまするが、河川はその一県のみならず他の数県、上から下までいろいろ関係を持っておりますが、海岸というのはその一つの公共団体に非常に密接な関係を持っておる対象物でございまするので、そういう意味からも地方の負担を道路、河川の場合と比べまして、やや高くしてもいいのではないか。逆に申しますれば、国の負担率はやや低めにしても、むしろバランスがとれるのではなかろうか、こういう考え方が第二点でございます。
それからもう一点は、直轄工事の場合でなく、現在法律はございませんが、予算上補助をいたしております。その補助率がいろいろございまして、あるいは四割あるいは極端に申しますと一割五分というような補助率を用いているところもございます。そのように河川等と比べまして、補助率の面においてもやや低めになっておりますので、その辺からバランスをとって考えまして、現状を踏襲するという考え方に立脚いたしております以上、直轄工事につきましては二分の一が国の負担率としては適当でなかろうか、現在この制度はございませんので、この法律ができませんと国の直轄工事というものは行い得ませんが、しかし制度として認めまする以上は、二分の一が妥当ではなかろうか。このように考えまして、財務当局とも数次にわたる折衝を重ねました結果、私どもといたしましては、これでけっこうであるということで、このような原案で御審議を願う段階に相なったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/9
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010・三鍋義三
○三鍋委員 ただいまの御説明で、政府の意図が大体了解できたのでございますが、次の質問と関連をしてあとでもう少し聞きたいと思います。第二項の終りの方、「当該海岸保全施設を管理する海岸管理者の属する地方公共団体の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都府県に分担させることができる。」この項目でありますが、どういう基準で分担させるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/10
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011・浅村廉
○浅村説明員 このような考え方は、海岸法ばかりではございませんので、河川法、砂防法、道路法等におきましてもそれぞれ同様の規定が設けられておるのでございます。これはまだ具体的にどのような基準で、どのように他の府県に持たせるかということについては決定いたしておりません。ただいま案をいろいろ練っておるところでございますが、過去の海岸災害の実績等を参考にいたしまして、たとえばこの施設がこわれたらばどのような範囲で被害を受けるであろうかというようなことを想定いたしまして、逆に考えまして、その施設ができればこのような危険のある所が守られるということから、他の府県にもその範囲が及んでおれば、そのような観点から、幾分かを隣の県に持ってもらうということもあり得ることであろうと思います。十分研究をいたしまして、適切なる基準をもってこの条文の運用をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/11
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012・三鍋義三
○三鍋委員 次に第二十七条でありますが、海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設または改良に要する費用の負担の割合であります。これは政令で定めることになっておるのでありますが、どういう負担率を考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/12
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013・浅村廉
○浅村説明員 第二十七条についてのお尋ねでございますが、実は国がその一部を負担すると書いてございますので、ここに負担率を明らかにいたしたかったのでございます。原案といたしましては、負担率を明らかにしたものを原案といたしたかったのでございますが、現在海岸につきましては、予算補助といたしまして相当の金が予算面に計上されまして、補助金という名称で地方公共団体に交付されております。これを今回は海岸法の改正に当りましては、海岸に関する事務がもともと国の事務である。これを機関委任という形で地方公共団体に一部委任するのであるという考え方をとりましたので、補助という名前を用いませんで、負担という表現にいたしました。これは道路法、河川法におきましてもそのようになっております。実質上は補助金という名前で予算は組みましても、法律的に申しますれば負担金であるという形になっております。そこでこの点は、これは政令でこれから書き表わさなければならない問題でございますが、現状を踏襲しよう、この海岸法を出すのでございますが、補助率、負担率については現状を踏襲していきたいということでございまして、私どもといたしましては、もちろん欲をいえばきりはありませんけれども、海岸法が出ることにおきまして、海岸管理の責任体系が非常に明らかになってくるというような大きな利点もございますし、あれもこれもというわけに参りませんので、この負担率につきましては、現在の補助率を踏襲いたしまして、そのまま用いて参りたいと考えております。この補助率、あるいはここで申し上げますれば負担率につきましては、おおむね五割でございますが、場合によりましては四割もあり、あるいは三割もあり、一割五分もございます。これは非常に具体的に申し上げますとこまかくなりますので、省略いたしますが、いろいろな率がございますので場合々々によって書き分けまして、その率を踏襲して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/13
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014・三鍋義三
○三鍋委員 次に二十三条についてお尋ねいたしますが、海岸保全施設の整備に関する基本計画を作成する、こういうことになっているのでございますが、この整備基本計画とは一体具体的にどういう程度の内容のものであるのか、言ってみますならば、五カ年あるいは十カ年計画あるいはそれに伴う予算も明示されるのかということ、この点をお聞きしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/14
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015・浅村廉
○浅村説明員 第二十三条の整備基本計画につきましては、これはたとえば海岸整備五カ年計画といったような、年度割ができたところの予算のある程度の裏づけあるところの計画というようには考えておりません。もちろんそのようなものも法律において規定ができれば大へんけっこうなことでございましょうが、ただいまの段階におきましては、たとえば河川につきましてもなかなかそのようなことができない状況でございまして、海岸法案の一条といたしましてそのようなコンクリートなものを規定することはできなかったのでございます。しかしながらこの規定は非常に意味のある規定でございまして、現在海岸について関係いたしております建設省のほかに農林省、運輸省、これらにおきまして工事をやっておりますが、必ずしも相互の連絡がございません。主務官庁においてもしかり、あるいは第一線におきましてはなおのことかしりでございまして、いろいろの計画が随時予算を伴って実施されておるのでございます。これはいかに考えてもおもしろくないことであるということから、何か一つの見通しというもの、このような形で海岸を整備していくのであるというような見通しを、第一線の行政の責任者であります都道府県知事において作成いたしましてかりにその通り参らぬ事情がございましても、とにかく一つの見通しというものを作っておくことが何より必要でございます。そのような意味でこの整備基本計画というものを考えております。もちろん都道府県知事が独断できめるのではございません。関係の海岸管囲者に協議してきめることになっております。そのような観点からは、具体的な点にわたる条項も、必ずしも予算を拘束した何カ年計画といったようなものになるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/15
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016・三鍋義三
○三鍋委員 主管が多岐にわたりますからなかなかむずかしい点であると思いますけれども、私もやはりこの条項は非常に意味のある条項であると思いますし、またそれがこの海岸法が作られた大きな意味を含んでいると考えるのでございますが、やはりそういう一つの具体的な計画が持ち得るように計画されていくことが型ましいと考えるのであります。
次に第四十条についてでありますが、これはなかなかめんどうなところであると思います。各主務大臣をきめておられるのでありますが、この四号の場合のように主務大臣が農林建設の両大臣となっている事業に対しまして、両者のそごを来たさないように、円滑に遂行できるように、あらかじめ両者が協議して決定するということになっておるのであります。これは具体的には一体どういうふうに行うのであるか、この点一つ十分理解できるように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/16
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017・浅村廉
○浅村説明員 実はこの海岸法立案に当りまして一番苦心が払われましたのは、この四十条関係の問題ごでざいます。主務大臣がどのようにきめられるべきであるかということが問題の中心点でございまして、そこで運輸省、農林省とも再三再四折衝を重ねまして、その結果このような形で意見の一致を見たのでございます。第四十条の第一項第四号の農林大臣及び建設大臣と書いてございます点は、この点確かに問題が若干不明確であるという御意見があろうと思います。これは農林省との間に、権限をどのように線を引くかということで実に苦心をいたした点の現われでございまして、これは第一項の第三号とも関連がございますが、ごく簡単に申しますと、この海岸法は都道府知事が海岸保全区域を指定いたすのでございます。その指定した区域の中で海岸保全施設の整備を行うのでございますが、その区域をながめました場合に、現に農林省において土地改良法という法律によって仕事をしておるもの、あるいは土地改良法によりまして一定の手続をすでにとって、近々工事を実施することの決定をいたしておるもの、このようなものは既得権として農林大臣の所管ということにいたすということにいたしたわけであります。ところが土地改良法によらずに、単に農地保全ということで農林省において海岸工事を相当にやっておられます。この問題は事実として私どもは尊重しなければならないのでありますが、かような区域には建設省も従来から入り込んで相当の工事量を持っております。従いましてさような区域につきましては、これをただ法律上農林大臣あるいは建設大臣と単独の大臣に割り切るわけに参らないのであります。非常に複雑に入り組んでおりまして、それぞれ理由があって伝統的にやっておるのでありますから、これはいつそのこと農林大臣及び建設大臣というふうに、両大臣の所管ということにいたして、ただこれでは何のことかわかりませんので、実際に当りましては農林大臣が専属で所管をする区域、建設大臣が専属で所管する区域と、行政運用上の扱いといたしましてはどちらの大臣がまず責任を負うのであるかということを、なお農林省とも詳細にわたって協議を進めまして決定をいたしたいと考えております。なお第一線で工事をやっておりますものは、建設省で申しますれば都道府県の土木部であります。農林省の方からいえば都道府県の農地部でございますが、そのようなところではすでに一つのルールによりまして、工事をさして問題もなく実施いたしておりますので、そのようなものとも十分意見をかわしまして、そうして一定の基準を至急作成したいと考えておりますし、またこの基準が別にむずかしいものではなく作成できる見通しができておりますので、今その作業を急いでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/17
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018・三鍋義三
○三鍋委員 この四十条は非常に苦心された点であろうと思うのでありますが、その点はよくわかるのであります。従来は、この海岸の保全の問題の険路はやはりここにあったと考えるのであります。そういう点から、もう少しすっきりしたものを期待しておったのであります。そう一ぺんにりっぱなものができないことはわかりますので、今後この法案を適用いたしまして、順次すっきりしたものに改善せられていくことを心から期待しておるものであります。
それではもう一つこれに関連してでありますが、港湾あるいは漁港にかかる海岸保全区域以外の海岸が相錯綜するような場合、こういう場合の一撃がうまくいくでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/18
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019・浅村廉
○浅村説明員 ただいまの御質問の点は漁港区域、あるいは港湾区域以外に何か海岸について現在やっておりますものと、この海岸法の起用とがうまく参るかどうかという点であったかと思いますが、海岸法の運用につきましては現状を尊重いたしまして、とにかく無理のないように保全を全うして参りたいという点を主眼といたしておりますので、かような趣旨はこの第二項にも現われておりますし、私ども運用に当りましては慎重な注意をもちまして当って参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/19
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020・荻野豊平
○荻野委員長代理 前田榮之町君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/20
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021・前田榮之助
○前田(榮)委員 私がまず第一にお尋ね申し上げたいのは、海岸法制定に関する立法形式の問題であります。
海岸法の制定については、建設省においてもずっと古くからいろいろ意図されておられまして、大へん関係各店との折衝に骨を折られたことは今御答弁にもあった通りでありますが、最初はこの海岸法については、海岸保全法という名称を付して御研究になり、立案しようとされたことがあると私は思うのであります。私の古い記憶にはそう思っておったわけであります。それを今度海岸法として制定されたことは、河川法との関連でそういうことになったのとはないかと想像するのでありますが、立法計画をされたいきさつ、こういう関係をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/21
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022・堀川恭平
○堀川政府委員 ただいまの立法に対するいきさつについてお答え申し上げます。
海岸の管理に関する基本法の制定に着手いたしましたのは、昭和二十五年でありまして第十国会に海岸保全法案を提出すべく建設省において諸般の準備を進めてきたのでありますが、関係者間の調整がつかず、遂に提案の運びに至らなかったのであります。その後参議院において議員立法として第十五国会に提案されましたが、この法案も関係各省の調整がつかなかったために審議未了となったのであります。しかしながら連年発生する海岸災害の実情にかんがみましてこれに関する法制的処置を早急に整備すべき必要性を痛感いたしまして、建設省におきましては、昨年秋から再度海岸法案の立案に着手いたしまして、関係省と意見の調整に努め、最近に至り農林省と運輸省の関係各省との間にまず大体意見が一致いたしましたのでこのたび提案した、こういういきさつになっております。
それから法案名のことでありますが、参議院におきまして議員立法として第十五国会に提案されました法案名は、海岸保全法案となっておりましたが、次の理由によりこれを海岸法と改めた次第であります。この法律は、国土の保全上重要な海岸についてはそのすべてに適用されるものであり、海岸の管理に関する基本法たる実質を備えていることが一つであります。
その二は、この法律には海岸の工事取締り等の行政管理に関する規定のみならず、公共用財産の管理に関する規定を設けられており、その事務量は少くないということであります。
その三は、公けのものの管理に関する基本法の名前は、河川については河川法、道路については道路法とされており、これらの法律名との関係上、海岸についても海岸法とすることが適当ではないかと考えたのであります。
その四は、公共物管理法または海岸の総合開発に関する法律等の、海岸に関する一般的管理法または開発法が制定される場合を考えまして、本法案における管理を中心に立案されなければならない実質を備えていることであります。
第五は、海岸における国土保全に関する行政は、産業の基盤の確立と民生の安定、文化の交流等の基本的な前提であることであります。
その六は、本法案は港湾区域、港湾隣接地域、漁港区域、干拓堤防等の存する区域、その他の海岸をすべて包括する一般法であるので、海岸法の名を適当と認めた次第であります。
第七は、参議院の提案にかかる海岸保全法に対して、本法案はその内容を多少一変したという感があったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/22
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023・前田榮之助
○前田(榮)委員 その次にお尋ね申し上げたいのは、今三鍋委員から質問された第四十条の問題であります。本法におきましても、また河川法におきましても、大体形式は同じ形式をとっておられると思うのでありますが、この法文の中には主務大臣に云々という事項がたくさんあります。そこで主務大臣というものを四十条できめられておるのでありますが、このきめ方が私はおかしいと思う。この定め方はまず第一に四十条の一に、港湾の区域というものについて運輸大臣を主務大臣としておる。それから漁港については農林大臣というようなことをきめていく。第五に、「前各号に掲げる海岸保全区域以外の海岸保全区域に関する事項については、建設大臣」でありますから、第四十条の書き方は運輸大臣、農林大臣ときめて、あとの残りのすべては建設大臣だ、全体から申し上げますと建設大臣の主管する区域が大半であって、部分的なものが一、二、三とこういうようにきめられてあるのであります。それよりも、海岸の管理は、これこれを除くほかは建設大臣をもってする、こう第一に大きく主務大臣をきめて、そして主務大臣の建設大臣が管理するのが適当でないものはこれこれでなければならぬ、こういうように法文はきめられなければならぬと私は思う。ところがそうきめますと、なかなか運輸省や農林省から小言が出るからというので、つまり各省のなわ張り争いといいますか、そういうものからくるこそくな手段できめられる。そういうことは立法府におるわれわれとしては、まことに遺憾千万なことであると思う。私はきめられた経過を聞くのではなしに、立法の本質から申し上げますとそうでなければならぬと思いますが、この点に対する御意見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/23
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024・浅村廉
○浅村説明員 ただいまの御質問はまことにごもっともでありまして、そのような形で立案されるのが最も普通の場合であるということは私どもも十分考えております。しかしながらただいまお話のありましたように、運輸省、農林省等に折衝の過程において非常に譲った結果、このような表現になっておるというわけではございません。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、すべて現状を維持していく、現状の建前を踏襲するということで各省の海岸保全に関する権限の調整を行なったのであります。決して建設省だけが力んで、日本全体の海岸を全部うちの責任で保全するという必要もございません。農林省には農林省としての工事もあり、管理区域もある。運輸省におきましてもまた同様の立場で、従来から工事をやっておるということでありますれば、すべて力を合せまして国土保全を全うして参りたいというのが私どもの念願でございます。法律がないために管理の体系が不分明であって、何だか割り切れないままに推移するということが一番いけないことであるということから出発いたしまして、現状を尊重の上条文を整備して参りました結果、このように書くのが一番立法上も正確であるという結論に到達いたしました。結局は建設大臣が、国土保全という立場におきましては一番重要な立場にあるのでございますが、建設大臣が全部所管するということは言えませんので、まず明らかになるものだけを明らかにいたしておきまして、そうして、大きく建設大臣というものが国土保全の責任を持って現われて参るという形をとりますのも、立法形式上やむを得ないということになりましたので、このような表現になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/24
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025・前田榮之助
○前田(榮)委員 私は前にも申し上げましたように、かくなった経緯からくる形式についてお尋ねを申し上げておるのではないのであって、現段階においてはかようにならざるを得なかったということは、御説明を聞くまでもなくそうであろうぐらいのことは想像いたしておるのであります。ただこの法律の骨組みともなるべきものは、海岸の管理者を明確にして、この保全を適切に行うというところにあるという観点からしますと、ここがこの立法の大黒柱とも言うべき主軸なのであります。その主軸が文章上に不明確になっておる点を私は非常に遺憾に思っておるのでありますが、これは議論にわたりますから、そのくらいにしておきます。従って私は、その点は今の御説明では不満であるということであります。
それからその次にお尋ね申し上げたいのは、旧憲法時代の日本の海岸の管理については、いわゆる海軍が管理しておった部面がある、運輸省でもなければ農林省でもない海軍。そこでこれは私らからお尋ねするのはちょっとおかしいので、これは自民党に言ってもらうのがちょうど適当なんだと思いますが、今の海上自衛隊が管理すべきところがあるのではないか、それからまた将来そういうものができてくるのではないか、それをこの法律ではどう取り扱うべきか、一つそれをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/25
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026・堀川恭平
○堀川政府委員 お答えいたします。現在のところそういうことは一向に考えておらぬのであります。そういうことはありませんという事実だけをお答えいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/26
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027・前田榮之助
○前田(榮)委員 考えておらぬということは、どうもおかしい。考えておらぬという意味ではないお心持じゃないかと思いますが、現在そういう種類のものの管理いたしておる実物がない、こういうことであるのか。もちろん旧海軍と今日の自衛隊とは比較にならないものでありますから、現在ではそうであるかもわかりませんが、しかしたとい自衛のためとはいいながら、すでに海上自衛隊も持って、そしてそこにはそれぞれの港湾を必要といたしておることだけは間違いない。ただ大きいか小さいかの差であろうと思う。従って、現在ないといたしますならば、これらのものが管理すべき海岸というものが必ず生まれると思うのですが、そういうおそれなしとお考えになるのでしょうか、一つその点のお見通しといいますか、考え方をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/27
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028・堀川恭平
○堀川政府委員 前にも申し上げましたように、現在はそういう例は一つもありません。今後におきましても、われわれ政府といたしましては、そういう考えは毛頭持っていないということを申し上げて一向差しつかえない、かように考えております。絶対にそういうことはあり得ないということを私責任を持って申し上げてもいい、かように前にも申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/28
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029・前田榮之助
○前田(榮)委員 その次にお尋ね申し上げたいのでございますが、これは三鍋君からも質問があった事項でありますが、漁港やあるいは港湾、こういう明確にされておる地域あるいはその地域の付近、こういうものは管理者、主務大臣が明確になりますが、そうでない地域で従来から問題になって参りましたのは、いわゆる普通の海岸で、しかもこれが農地等の問題から、いろいろ農林省との関係があって、管理が錯綜いたしておる点であります。これらの点を、ただ所有権やその他の関係できめられておるようでありますが、もう少しこれを具体的に明確にしてはどうかと思うのでありますが、ただ行政上の実際から、いろいろ建設大臣と農林大臣との相談の上で行われる部面も出ておるようであります。四号に「農林大臣及び建設大臣」というように、いわば二またかけておる点もあるようでありますが、この点やはりこの法律をせっかく作る上からは、日本全国の海岸について明確にすべきではないかと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/29
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030・浅村廉
○浅村説明員 この点につきましては先ほども申し上げたのでございますが、私どもこの海岸法を立案するに当りまして、各省との所管の点を明らかにするというのが一番大きな問題でございまして、運輸省との間におきましては、港湾法による港湾区域というものが骨組みになりまして、行政上はっきりした区域というものが一応存在するために比較的問題の解決は楽でございましたが、農林省との関係におきましては、事業は土地改良法によって実施をいたしておりますもののほかに、予算上の補助によりまして実施をしておるものが相当にございますために、何々の区域という、たとえば土地改良区域といったような明確な行政上の区域がございませんので、その権限の調整に非常に骨が折れたのでございます。そこで土地改良法によって現在実施をしておるものあるいは土地改良法によって一定の手続をへて実施をすることがすでに決定をいたしておるもの、このようなものに関係する区域は、主務大臣が農林大臣であるということを四十条の第一項の第三号に明らかにいたしました。ここまでは非常にはっきりしておるのでございますが、今お尋ねの第一項第四号つまり農林省のあるいは建設省の現在やっております区域で農地の保全のために事業が実施されておる区域という、至ってあいまいな区域がございます。この場合にどちらの大臣がもっぱらそれを所管する主務大臣になるかということは、なかなか簡単に割り切れるものではございませんので、先ほどもちょっと触れましたがこの権限つまりどの区域をどちらの大臣がもっぱら所管をするかということは、現在事業を実施いたしておりますところの都道府県の土木部あるいは農地部と十分に意見をかわしまして、むしろ第一線においてその区域を両方が相談の上きめて、そうして建設、農林両大臣に相談を持ってくるというような形にいたして、そうして実施においてそごを来たさないようにはっきりきめて参りたい。従いまして法律上の扱いといたしましては「農林大臣及び建設大臣」とこのように書かざるを得なかったのであります。しかしながら実際の仕事をやっていきまする際に支障を来たしてはなりませんし、また一般の方々にどちらの役所が主務省であるのかわからないでも困りますので、運営に当りましては十分に、その決定の結果を周知徹底いたしまして、遺憾のないようにいたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/30
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031・前田榮之助
○前田(榮)委員 最後にお尋ね申し上げたいのは、第二十六条の補助金の問題であります。これも三鍋委員からも触れられた点でありますが、今日の地方財政は御承知のごとく赤字財政を長年続けて参りまして、日本の行政上の一大問題になり、当議会でも地方行政委員会等において、この問題が非常に大きく取り上げられたことは御承知の通りであります。従ってこの二分の一の補助負担を国がいたしたいといたしましても、大部分の地方公共団体におきましてはあとの地方負担にたえられないところがたくさんあることは御承知の通りであります。従ってせっかく予算をいただいて、補助をこれこれやってはどうかという建設省の親心を地方が受けましても、地方では赤字財政を続けておるために負担にたえられないところが当然できてくるのであります。従って建設省がお考えになったような海岸保全が適切に行われない結果になるおそれもあるのでありますが、これらに対しましては特別な処置がとられなければならぬと思うのであります。もちろんこれは将来河川やその他の関係と同じように、国庫が三分の二ないし四分の三に補助率を引き上げなければならぬことは当然でありますが、さしあたり今年度といたしましては、すでに予算も通過いたしておる今日でありますから、いかんともしがたいという情勢に追い込まれておるのであります。まことにこれは残念千万なことでありまして、それについて地方負担にたえられない地方については、やはり建設省としては、自治庁と相談するとか何とかして、それに適当な交付金等で補うとか何とかいう処置を行わなければならないと思うのでありますが、そういうことについての御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/31
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032・堀川恭平
○堀川政府委員 この二十六条の補助規定の問題につきましては、お説の通り、私の方もこの法案を作るときに大蔵関係とよく相談いたしたのであります。しかし御承知のように次長から申し上げましたように、全部が直轄というような格好になっておる関係上、ほかの国道たとえば第一級、第二級国道とかあるいは直轄河川とかいうような関係のものと違う一般的のものになっておるからということで、やむを得ず二分の一で妥協いたしたのであります。そういう関係で今後もこれに対して努力いたしたい、かように考えております。なお今申されたように、貧弱町村でお困りのところは自治庁とよく連絡して、私の方もあっせんしてやるとかいうことで、努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/32
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033・荻野豊平
○荻野委員長代理 吉田賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/33
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034・吉田賢一
○吉田(賢)委員 簡潔にお伺いいたしますので、簡潔に御答弁願いまして時間を節約したいと思います。
第一に伺いたい点は、本法案とさきに成立いたしました砂利採取法との関係についてであります。この場合第八条の一項一号、土石の採取について、この場合採取業者が採取しようとするときには、許可権者はどこになるのですか。一つ区別してお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/34
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035・浅村廉
○浅村説明員 ただいまの点にお答え申し上げますが、砂利採取法の第十一条、第十二条に許可の関係が規定されております。はなはだこまかくなっておそれ入りますが、ちょっと申し上げますと、砂利採取法の第十一条の許可というのは、これは河川法であるとか、今回御審議願っております海岸法であるとか、こういう公物管理の法律の取締りという考え方からいたすところの許可でございます。この海岸法による許可は、海岸法の主務大臣においていたすわけでございます。がしかし、第一線においては海岸管理者が行うことになるわけでございます。それから砂利採取法の第十二条、これは許可でなく、権利の設定でございますが、これはもちろん所管外でございまして、通産大臣の所管事項であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/35
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036・吉田賢一
○吉田(賢)委員 はっきりいたしかねたのでありますが、そうすると砂利採取業者が海岸保全区域内において土石、砂利を採取せんとするときには、これは海岸管理者が許可権を持つ、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/36
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037・浅村廉
○浅村説明員 砂利を採取しようと考えております者が、まず許可を受けなければならないのは海岸保全区域内でありますれば、海岸管理者の許可を受けなければならない建前でございます。その関係はこの砂利採取法の第十一条にも関連を持って規定されておりまして、第十一条を読んでみますと、「河川その他の法令の規定に基き砂利の採取若しくは払下の許可をし、又は許可の取消若しくはその効力の停止若しくはその条件の変更をするに当っては、当該行政庁は、河川等の」——これは海岸も含むわけであります。「管理上その他公益の保持の上に支障がある場合を除き、砂利採取業の運営を考慮してこれをするものとする。」つまり海岸法による許可は必要でございまするが、許可をする立場にある海岸管理者は、河川等、海岸等の管理上その他公益の保持の上に支障のある場合を除いて、砂利採取業の運営を考慮してこれをするものとするということが砂利採取法の方に規定されております。それからまた砂利採取業者というのは取締り、つまりしてはいけないことをやってよろしいという許可のほかに、一つのこれは権益として認められるべき筋合いのものでございますので、これは砂利採取法の第十二条に、別に「当該行政庁の承認を受けなければならない。」と書いてございますので、これは別のものでございましてこれは私の方の所管ではございませんが、通産省の方の所管事項として定められておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/37
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038・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そういたしますると、これは二段になるのでありますか。第一、海岸保全区域内において砂利を採取せんとする場合には、本法案の第八条の一項の一号に基いて、海岸管理者の許可を受くることと、それから第二段において、それがもし砂利採取を営業とする者であるならば、それの当該行政庁の許可を必要とする、こういう三段になるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/38
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039・浅村廉
○浅村説明員 ちょっとただいま申し上げましたことを訂正いたします。砂利採取法を十分勉強してなかったために間違ったことを申し上げましたが、砂利採取法の第十二条は通産省の所管ではなくて、これは権益の設定であるという意味合いから、やはり海岸管理者の承認という意味合いでございます。従いまして砂利を採取しようとする者は三段の規制を受けるかどうかという点でございますが、まず海岸を保全する地方の行政庁が砂利を取っていいかどうか、大体砂利はあまり取ってもらっては困るのであります。しかしながら砂利採取業として事業をやりたいということもありますので、その場合に取っていいかどうかということを、これは海岸保全上考えなければならないのでありまして、よければ許可をするという、そういう意味の許可は必ず必要でございます。それから一定の期間一定の区域で砂利採取業という業を富むということは、これはまた別の意味合いのものでございまして、一つの業として営むということは法律上はこれは別個の管轄のものでございますから、砂利採取法の第十二条というのが設けられておりまして、私どもとしては決して同様のことを二重に規制するという意味合いには考えておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/39
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040・吉田賢一
○吉田(賢)委員 くどくなるようでありますけれども、同一のことを二重に規制するかどうかが質問の趣旨ではないのでありまして、単に土砂を海岸保全区域内から採取する場合、それが業者でない場合には本法第八条によって海岸管理者から許可を受ける。もしその出願者が採取を業とする場合には、さらにそのような身分を持っているというだけに、砂利採取法第十一条によって当該行政庁の許可を必要とする、こういう趣旨なのでございますか、こういうのが質疑の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/40
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041・浅村廉
○浅村説明員 ただいまお尋ねの問題、少しく私ども考え違いをいたしておりましたが、第十一条の許可は海岸法でいうところの許可をいうておるのでありまして、砂利採取法の十一条で許可を受け、別に海岸法の第八条で許可を受けるということになっておりません。海岸法の第八条にいう許可をそのまま砂利採取法の第十一条に持ってきまして、それに対してこういうことをしろといっておるのであります。これは一つのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/41
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042・吉田賢一
○吉田(賢)委員 さようでありますか。そうすると、業者にあらざる場合には本法によって、業者である場合は本法並びに砂利採取法によって、いずれも許可官庁は当該海岸管理者である行政庁、こういうことになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/42
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043・浅村廉
○浅村説明員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/43
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044・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そういたしますと、第八条の一項の海岸管理者と、砂利採取法十一条の当該行政庁というのは、これは同趣旨でありますか。その内容を一応御説明を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/44
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045・浅村廉
○浅村説明員 これは同じものでございます、ちょっとわかりにくいかと思いますが、海岸法第八条におきまして海岸管理者が許可をいたします。砂利採取法の十一条は、その許可をするに当りましてこういう心がけでやらなければならない、つまり公益上、あるいは海岸施設の管理上支障がある場合を除いて、砂利採取法の運営を考慮してこれをしなければいかぬ、こういうことを申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/45
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046・吉田賢一
○吉田(賢)委員 その内容を言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/46
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047・浅村廉
○浅村説明員 これは砂利採取業を営んで、継続して砂利を取りたいと考えております者の出願に対して、海岸管理の責任を持っております海岸管理者が許可をするに当っては、まず公益ということ、国土保全をしなければならない海岸施設の重要性というものを建前に上げまして、まずその公益性を十分考えなければならぬ、公益上支障があるものを許可することはできない、こういう趣旨を明らかにいたしております。そして砂利採取業の運営を考慮してやらなければならぬ。つまり両方の面から非常に行き届いた十一条の規定がございますので、公益上必要がなければみだりに意地の悪い取締りをしてはいかぬ、砂利採取業も仕事であるから、十分その立場を尊重してやらなければならぬ、これが砂利採取法十一条で述べているところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/47
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048・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そうしますと、この両条文は許可権者が同一であるといたしますと、これは御説明下さったように海岸管理者である。本法における海岸管理者は第五条一項、二項によりまして都道府県知事または市町村長になるようであります。そういたしますと、砂利採取法十一条にもあるように、一定の場合は市町村長が許可する、こういうことになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/48
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049・浅村廉
○浅村説明員 海岸法に規定しております海岸管理者は、ただいまお話がございましたように都道府県知事、市町村長あるいは漁港管理者の長、港湾管理者の長というものを規定しておりますので、都道府県知事だけが許可の権限を持つのではございません。区域によりましては市町村長あるいはその他の者が許可権者になって出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/49
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050・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そうしますと業者が採取せんとする場合には、今お述べになりました都道府県知事、市町村長その他団体の長でありますか、要するに本法第五条に規定されてあるすべての管理者がその許可の権限を有する、こういうふうに解していいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/50
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051・浅村廉
○浅村説明員 具体的な場合にはそのうちのどれか一人がその権利者になるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/51
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052・吉田賢一
○吉田(賢)委員 さきにお述べになりました公益性と土砂採取との関連でありますが、この場合土石の採取については、一方ですでに砂利採取法が法律になっております。なるほど同法十一条によれば公益保持に支障ないようにというのが許可方針の考慮事項になっておるようであります。しかし許すべからずという規定はない。そうすると税金を払って土砂を採取するというのは一つの個人の営業の自由であるから理由もつくでしょう。一方土砂の採取によりまして海岸の侵食が生ずることは明らかである。そういった場合もしくは土砂の採取が海岸の侵食の一つの間接の原因をなしているというような判断をせられる事情にある場合におきましては、許可をしないということで、積極的に処分することも可能であるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/52
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053・国宗正義
○国宗説明員 お尋ねの御趣旨の、公益に支障がございます場合には許可いたさないという場合もあるわけでございます、なお今の御質問の御趣旨に関しまして、海岸保全上支障があるような場合の砂利採取の許可に際しましては、砂利採取法自身におきましても、公益が優先する趣旨の規定を数カ所置いておるわけでございます。まず公益の保護に必要である場合におきましては、防止のための必要な措置を命ずることを規定いたしております。そうして砂利採取の、先ほどから議論になっておりまする十一条においても、河川法その他の法令におきましても、公益上河川等の管理上その他公益の保持の上に支障ある場合を除きとありまして、公益に支障がある場合、河川管理に支障がある場合には許可をいたさない趣旨をとっておるわけであります。さようにいたしましてなお公益上の調整をはかる規定を置き、さらに海岸法におきまして公益に支障がある場合、つまり第十二条の二項の第二号におきまして海岸保全上著しい支障が生じた場合におきましては必要な処置を海岸管理者においてとれることを規定しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/53
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054・吉田賢一
○吉田(賢)委員 もし公益の保持に支障があるかないかが問題になった際は、すなわち公益保持上これは許可できないという具体的問題があります場合、その公益上の支障があるかないかということの判断はたれがするのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/54
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055・国宗正義
○国宗説明員 当該海岸保全区域を管理しております海岸管理者が公益上の支障の有無を判定いたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/55
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056・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そういたしますと、これは仮定的なことになりますけれども、公益上支障があるないということで、たとえば府県知事とさらに具体的な管理者であった場合の町村長などに意見の相違でもありましたなら、これは上級下級の関係もないはずでありますし、また主務官庁と地方の市町村などの間に意見の相違でもあります場合、そういう場合も要するに海岸管理者の判断が尊重されていく、こういうことになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/56
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057・国宗正義
○国宗説明員 お尋ねのような場合におきましては、まず当該海岸区域の保全に責任を持っております当該海岸管理者、市町村長である場合は市町村長、府県知事の場合は府県知事が一応全面的に責任を負うわけでございます。なおさような場合の上級庁との判断の相違についてのお尋ねに対しましては、まず今の第七条の規定による許可を得られぬ場合におきましては、本法案の第三十九条の規定によりまして主務大臣に、今の市町村長の場合でありましたならば、建設大臣に訴願する道を開いておるわけであります。さようにいたしまして市町村長が行います許可等につきまして著しく不当である、その他違法であるという場合につきましては、一般的に主務大臣は地方自治法の規定に基きまして市町村長はこの事務についても監督いたすことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/57
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058・吉田賢一
○吉田(賢)委員 この法律によりまして、海岸とは一体何をさすのか、具体的に尋ねたい点は、河川が海に注ぐような個所は海岸に属するかどうか、こういう点をはっきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/58
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059・浅村廉
○浅村説明員 河川につきましては、河川法上河川区域というものがきめられることになっております。この法律は河川区域とははずして海岸保全区域というものを決定するという建前になっておりまして、その海岸保全区域を指定するのは都道府県知事であります。つまり都道府県知事が海岸保全上必要ありと認めて、海岸保全区域というものを必要な海岸について指定をいたします。これは幅のあるものでありまして、そこで区域がきまりますれば、その区域の中において海岸保全施設を整備いたします。また必要な取締り制限等を行う河川区域と海岸区域というものは重複しない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/59
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060・吉田賢一
○吉田(賢)委員 ちょっと私には知識がないのでありますが、この河川法上の河川区域というものは地方行政長が認定する、こうなっておりますが、おそらくこれかと思うのでありますが、実際の日本の河川区域は地方行政長が認定しておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/60
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061・浅村廉
○浅村説明員 河川法上さような建前になっておりまして、当然地方行政長、つまり都道府県知事におきましてその責任を持っておるわけであります。実際上の運用につきまして必ずしも完璧な事務の整理ができておるかどうかという点につきましては、私ども監督の立場にあるものといたしまして常に監督もいたしますし、また現地につきまして調査もいたしておりますが、制度といたしましては、この上区域というものは河川につきましてきまっておるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/61
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062・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そうしますると具体的に行政長が認定しておらぬところがありとするならば、まだ河川区域はきまっておらぬ、そういうことが一つあると思います。
それからさらに河川法による河川区域は河川法適用の河川であって、本法の海岸というのは河川法の適用のない河川の海水との接触面も考慮されるべき対象になるかと思うのですが、その関係はどうなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/62
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063・浅村廉
○浅村説明員 この法律の第三条でその点は一応法律的には明らかにいたしておるのであります。ちょっと読みますと、「都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、防護すべき海岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができる。ただし、河川法第一条に規定する河川、同法第四条に規定する河川の支川若しくは、派川若しくは同法第五条の規定によって同法が準用される水流、水面若しくは河川の区域」ずっと省略いたしまして、「については、指定することができない。」とございます。この意味は、河川法適用河川、河川法準用河川というものが現在河川法の運用によってきめられておりまして、それについてはそれぞれの区域というものが制度上きまっておる。そういう区域については重ねて海岸区域の中に保全区域というものを指定する必要がないから、指定することができないと書いてございます。もしそういう区域がなければ、そこは当然海岸保全区域として指定いたすことができるのでありまして、河川区域と海岸保全区域との関連というものは、この第三条において明らかにいたしておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/63
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064・吉田賢一
○吉田(賢)委員 消極的にはわかるのでありますけれども、これは私の知識の欠乏かもわかりませんが、積極的に海岸とは一体何をさすのでしょうか。この法律を見ますと、第二条で海岸保全施設の定義が出ておりますが、海岸の定義が出ていない。積極的には海岸とは何をさすのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/64
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065・浅村廉
○浅村説明員 海岸とは何をさすかということは、実はこの法律には特に明らかにいたしておりませんで、この法律は何を目的とするのかということをまず第一条に書いて、「津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護」するためにこの法律を作るのであるということをうたいまして、海岸の考え方は一般の常識に待つという法の体系にいたしております。従いましてこの法律は日本全体の海岸線について適用になるのでありますが、実際の動き方といたしましては、まず海岸保全区域というものが、都道府県知事に指定をいたされまして、その区域の中において、行政上の権利が行われていく、こういう考え方になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/65
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066・吉田賢一
○吉田(賢)委員 海岸の定義は定めないで、常識に待つというのは私は立法技術としましていかがかと思うのであります。やはり目的を明らかにするために、従って海岸とは何であるか、そこで河岸保全施設とは何だ、こういうことにしてこなければ、法律の観念が明確にならないと思います。常識によってきめていくということになると、勢い第三条の河川法等からくる他の法律によって制約を受けて、その自余の分ということになるのでありますが、どうも常識の乏しいものにおきましては、はっきりしないのであります。立法技術的には、私はやはり明確にし得るものであろうと思いますので、できるなら海岸とは何をさすのか、こういうことを立法手続の段階において明らかにしておかれる必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/66
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067・浅村廉
○浅村説明員 ごもっともでございまして、海岸というものは何かということを明らかに書ければ一番はっきりしたものになると思います。ただ立案に参画したものといたしましては、災害復旧の法律が現在でございます。題名は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、非常に長い名の法律でございますが、その中に洲岸という言葉をやたらに用いておりまして、海岸に災害が発生した場合には、一定の基準によって国が高率の国庫負担を行うということになっております。この場合海岸というものを特に定義はいたしておりませんので、やはり海岸ということは、かような土木上の単純法規からいたしますれば、海岸にありますところのいろいろな施設をさす、こういうふうにいきなり考えまして、特に海岸というものの定義はいたしておりません。この法律におきまして海岸とは何かということを特に明らかにいたさなかったのは、非常にその定義がむずかしいと申しますか、法律にはっきり書き分けるということが非常にむずかしい。要するに海岸でありまして、その海岸を国土保全上の見地から守っていくということを、第一条にはっきり目的として掲げれば、まず一応この法律の性質は明らかになる。しかも行政上の運用といたしましては、ただばく然と対象を取り締ったり、整備したりしていくのではなくて、海岸保全区域というものを指定するということを第三条に明らかにいたしております。つまり海岸について、はっきり定義をしないかわりに、常識と先ほど申しましたが、大へん失礼な申し方でございましたが、要するに法律にはそこに書けなくても、第三条で海岸保全区域というものを明からにして、それを行政上の取締りの対象にする、あるいは区域内の施設を整備するということにいたしますれば、決して法律の運用上不明確な点はないというようなことで、かような立案形式にいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/67
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068・吉田賢一
○吉田(賢)委員 最後に聞いておきたいのは、この海岸法は海岸保全を目的としておられる、これはまことに私どもけっこうなことだと思うのであります。ところで今伺いますと、いわゆる河川区域に属するものは本法の対象にならぬ、私ども技術屋さん、専門家などに聞いたところによりますと、日本の河川におきましては、河川の河川区域、河川のないしはやや上流に属する河川敷地の土砂を、業者が多量に採取するために、海へ土砂が流れて出ない。海へ土砂が流れて出ない場合に、その海は海岸地帯は海流が相当激しいときに、海流が岸壁を侵食していく。従来河川の土砂が海へ流れて入って、それでもって海岸がやや侵食を免れておる。ところがやや上流におきましてでも土砂の採取が激しい結果が、だんだんと海岸侵食ということになる、こういうような場合がしばしばあるように実は聞いておるのであります。ところがこの法律によりますと、河川区域には別の法律に待たねばならぬので、海岸保全の目的を達するために、この法律によって端的にそのような侵食を来す原因になるような土砂の採取を禁止する、こういうことを規定することが首尾一貫するのではないかと思うのです。おそらくは海岸の土砂をとる方が公益上よいかあるいは公益上とることが悪いかということについては、いろいろと事情は違ったものがあるだろうと思いますが、今私が指摘いたしましたような実例の場合には、どうもこの法律では規制ができぬということになると思うのであります。もっともさきに述べました砂利採取法の許可方針の第十一条によれば、公益上の考慮が十分払われるようでありますけれども、もともと砂利採取法というものは、立案者の国会における御説明を聞いてみましても、読んでみましても、大体において砂利業者が保護されるような趣旨が多分にあるわけです。そういたしますると、海岸を保全しようという本法が、砂利採取法に優先して海岸の保全を期するということをしなければ、二つの法律があって、一方の法律は業者を守る法律、一方のこのたびの法案は海岸を守る法律、この二者の利得が相反するような場合、この法律で河川の砂利採取については手が届かないということになりますと、海岸保全の目的を達せない、こういうふうにも実は心配するのでありますが、これは運用適切であるならばこういうことは杞憂に終るかもしれませんが、やはり法律でありますから、一つの問題についてどちらが優先するかというようなこともあるいは起ってこないとも限りませんけれども、今私が述べましたような問題のときには、この法律よりも砂利採取法が優先して行われるということになって、海岸保全の実が上らぬということを実は心配するのでありますが、これに対する当局の御所見はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/68
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069・浅村廉
○浅村説明員 簡単にお答えいたします。まず第一点の河川法との関係でございます。河川法で河川区域ときめられたものを海岸保全区域に二重に指定しないと申しましたのは、決して河川のことを考えないという意味ではございませんので、河川法も海岸法も主として国土保全を目的とする基本法典でありまして、対象物を異にするだけでございます。従いまして対象物を異にするいろいろ規定をいたしておるわけでございまして、河川法は御存知のように 建設大臣が主務大臣で運用いたしておる法律でございます。もちろん川の水が海に入るのでございまして、川の砂が海に出て参るのでございますから、河川法の取締りあるいは工事の実施というものと、海岸法による取締りあるいは工事の実施とは、非常に密接な、一体となって分かつことのできない関連性を持つものと思います。法律的には別々に河川法は河川、海岸法は海岸という国土保全の立場から守っていくという建前からできておりまして逆用においてはそのような関係になっておりまして、御心配のような事態のないように十分運用もできますし、またいたして参りたいと考えております。
なお砂利採取業との関係は、先ほども申し上げましたように、公益上支障がない場合に許可をするのであるという大方針は、これは海岸法でなくして砂利採取法の十一条に明らかに規定されております。私どもといたしましても、単に一つの事業のために国土保全の立場がくずされるということは困りますので、これは十分に公益を優先するという建前におきまして許可をして参りたい。行政運用上に当って、さらに一そう注意をいたしまして遺憾な事態が発生しないようにいたして参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/69
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070・荻野豊平
○荻野委員長代理 中島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/70
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071・中島巖
○中島(巖)委員 だいぶ時間も迫ったようで、ごく簡単に質問しますが、明確に御答弁をお願いしたいと思います。
先ほど同僚委員から、運輸省の関係並びに農林省の関係について質問し、そうして政府委員からこれに対する答弁がありましたが、どうもこの辺がはっきりといたしませんので、重ねて質問いたしたいと思うのであります。この海岸法を見まして、大体におきまして、現在までこの法案ができなかったことはむしろ不思議と思うくらいでありますけれども、この法案の内容に非常に不明確なところがあるのであります。それで港湾法との関連でありますが、港湾法の中には港湾区域というものがはっきりとうたわれておる。従いまして、先ほど次長の答弁をお聞きいたしますと、この部面ははっきりいたしておるが、農林省関係の方ではっきりせぬとかいうような答弁をされておりましたが、またただいまの吉田委員の賛同に対する答弁においては、河川区域とこの海岸保全区域とは区域によってはっきりと明確になっておる、かような答弁でありました。そこで港湾区域とこの海岸保全区域とは錯綜することなくして常にはっきりしておるものかどうか。それから農林省でやっておるところの農地改良区域と申しますか、農地改良事業の区域とこの海岸法によるところの海岸保全区域とは、やはりはっきりと一線が画さるべき性質のものであるかどうか、この点お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/71
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072・浅村廉
○浅村説明員 まず第一点でございますが、港湾区域とこの法律によるところの海岸保全区域とは重なるのか重ならないのかという御質問でございます。これは重なるという扱いでございます。しからば河川区域と海岸保全区域と重ねない、なぜ港湾区域と海岸保全区域は重ねますかという御疑問が当然あろうと思います。これはこの法律の趣旨から御説明申し上げたいと思いますが、海岸法は国土保全を唯一の目的とした法律でございます。河川法も国土を保全する、つまり災害から国土を守っていく、こういうことを目的にいたしておる法律でございます。これは完全に目的が合致しておりまして、重ねるということは全く意味がないことなりであります。対象物が河川であり、対象物が海岸であれば、それぞれ区域を分けてそれぞれの行政を行えばいいのであるという考え方で重ねないということにいたしました。港湾区域はこれは少し問題がありまして、港湾区域というのは港湾法という法律で規定をされている区域でございます。これは単に国土を保全するというだけではございません。むしろ第一の目的は、港湾という一つの施設を整備していくために必要な区域を港湾区域として定められております。しかしながら、国土保全的な考え方が全然ないかといえば、決してそんなことはない。港湾区域を指定するからには、当然港湾のみならず、その背後地も守るということでできているのでございます。従って主としては港湾施設の維持、機能の保持という目的でございますが、国土保全的な見地からの考え方もそれに加わっているという意味合いで、つまりかような意味の二通りの目的を持っておりますから、これは完全にはずすという性質のものではない。これは当然重ねていい。つまり港湾機能だけを保持するという性質も持っておりますので、そういう意味合いのものに対しては、海岸保全区域というものは重なっていい。しかしながら、重ねっぱなしで両方で勝手なことをやられたのではかないませんので、四十条の第一にあげましたように、だれが主務大臣になるか、あるいはだれが海岸保全区域の管理者になるかということを明らかにいたしたのでありまして、どのようにしたかと申しますと、海岸保全区域と港湾保全区域とが重なります場合には、港湾区域に関する部分につきましては、これは港湾区域ぴったりではございません、港湾区域について若干広がりもございましょう、少しくその背後地の港湾区域でないところも含めますけれども、とにかく港湾区域と考えられるところは、港湾の管理者の長が海岸管理者になって、運輸大臣が主務大臣で、この海岸法の運用をやっていく。そうすると、港湾法も働き、海岸法も働くのかといいますと、確かに両方働きますが、二つの法律から同じ許可を二重に取らなければならぬのでは困りますので、そういう関係については、特に港湾については港湾法で許可を得たものは海岸法では許可は要らない、ということを海岸法ではっきり規定いたしております。そういう関係で非常にわかりにくいことでございますけれども、法律的に申しますと、一応筋を立ててそのように考えております。なお農林省の問題は、土地改良法という法律が唯一の法律でございます。それは港湾法による港湾区域といったようなはっきりしたものがございませんので、ただ土地改良法による土地改良事業をやっているというだけでありまして、区域は別に法律ではさまっていないのでございます。ただ土地改良区その他が事業を実施いたしておりますので、おのずからその区域については明らかでございましょうけれども、法律上は特に区域というものはございません。従って重ねる、重ねないという問題はここにはないのでありまして、海岸保全区域というものはどこにでも指定をされていくのであります。しかしながらその中に土地改良法による事業をやっているところがある。しからばそういうところは建設大臣が主務大臣でやったのではこれはまた混乱をいたしますので、せっかく土地改良事業をやっているのですから、やっているものがその事業と海岸堤防管理をやる。これを監督しているところの農林大臣がその監督をやっていく。こういうような考えでありまして、なかなかそれだけで前り切れない点もございますからして、若干この法律にも協議をしてきめるとかいろいろございますけれども、筋はそのようにいたして法案ができ上っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/72
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073・中島巖
○中島(巖)委員 よく御説明はわかりましたし、私もそう考えておったのでありますが、土地改良区あるいは港湾区域などは海岸保全区域と重なる、これは当然だと思うのであります。そこでこれは法文についての質問ではないのですが、実は私ことし一月、九州の工業地帯である洞海湾などを視察しましたが、法的に見まして建設省と運輸省の調整がなかなか至難な場所である。従って港湾設備なんかもその関係で非常におくれて、北九州の工業を阻害しているというように感じたのでありますけれども、まだこの法案そのものを見ますと、こういうようなことが画然と法の中に盛ってないというような感じがするのであります。そこでこの法案の説明の中の第十三の、海岸管理者と申しますか、海岸保全施設に関する監督の項があるのでありますが、これは河川法によるところの第二十条の項目と同じものと見なしていいかどうか。この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/73
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074・浅村廉
○浅村説明員 海岸法におきましては海岸管理者が海岸の保全の責任を負いまして、取締り監督の行政をいたして参るであります。河川法におきましては、河川管理者がやはり国土保全の立場から、河川について同様の趣旨で取締り監督行政等を行なって参るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/74
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075・中島巖
○中島(巖)委員 そこで海岸施設に対する監督警察というような意味合いのことを第十二にうたってあると思うのですが、そこで河川法の二十条にその項目をうたっておるわけです。ところが水力電気の岡係なんかについて見ましても、その当時においては許可していい条件であったので許可いたしましても、後日に至って非常に土砂が堆積して上流地方に被害を及ぼす、あるいはわずかの河川に水利権を与えたために数千町歩にわたるところの農地灌漑が、その水があればできるというような場所も、これによって許可を与えたために阻害されているというような場合に、河川法第二十条においては、公益のために必要なる場合においてはこれを取り消すことができるというようにはっきりうたってあるにもかかわらず、これらが実施されたことは現在までかってない、こういうような状態なんです。そこで海岸法案における第十二におきましては、監督警察というような点について微温である。これでは困る。先ほど吉田委員が言われましたけれども、当時としては土砂採取をしてもいい条件であったにもかかわらず、幾年か後においては状態が変って、非常に公益上有害なものとなって取り消しをせねばならぬという事態が、現在の河川法と同様に生れてくるものと私は予想するのであります。この第十二の状況では非常にこれは不備なものであると考えているのですが、御意見はいかが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/75
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076・浅村廉
○浅村説明員 第十二条におきましては監督処分と損失補償を規定いたしておりますが、今お話のございました一回その許可を受けたものが、後日に至ってむしろ取り消した方がいいという事態を生じました場合には、その第十二条の第二項によりまして取り消し処分その他ができることになっております。これ以上の強い手段というものは立法上考えられないのでありまして、これにつきましてもなおこの第四項に損失補償というものを伴うように規定してあります。一ぺん許可をいたしますと、そうやたらに都合によって取り消すというわけにも参りませんので、取り消しができる、取り消しはできるがしかしながら正当な損失補償だけは考えなければならぬ。こういう建前で公益優先という問題とそれから一般の権利の既得権の保全という問題とを調和さしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/76
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077・中島巖
○中島(巖)委員 いずれにいたしましても河川法の二十条と比較してみても監督警察という大事な部門でありますので、もう少し強力な法案にしておかないと将来に悔いを残すことになる、こういうように私考えるわけでありまして、この点一言申し上げておくわけであります。そこでお尋ねいたしたいのは、管理者には都道府県知事あるいは市町村長がなるわけでありますが、管理者がこの海岸区域に対するところの責任者であるかどうか、この点に対してどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/77
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078・浅村廉
○浅村説明員 海岸管理者が海岸保全区域の中の行政につきましては第一の責任者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/78
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079・中島巖
○中島(巖)委員 これは河川法とも共通する問題なのでありますが、この海岸の工事などにおいて、かりに被害をこうむったものが国家賠償などによって請求する場合におきましては、結局この管理者を相手どって請求することになるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/79
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080・浅村廉
○浅村説明員 管理者を相手に請求をいたすことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/80
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081・中島巖
○中島(巖)委員 そこで実際問題としましては、河川管理者の知事なりあるいは海岸管理者の知事なり市町村長なりがこれらの工事をやるというような場合におきましては、建設省に対しまして一々お伺いして、それによってやるわけでありまして、結局実際の責任者は建設大臣にある、こういうように今までの例がそうなっておるわけであります。そこでこの問題と関連いたしてほかの例を申し上げますれば、たとえばダムの災害などによりまして数億もしくは数十億の損害があった、こういうような場合に国家補償をする場合において、やはり訴訟の相手方は河川管理者である県知事を相手どることになるかどうか、この点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/81
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082・浅村廉
○浅村説明員 法律上河川につきましては河川管理者つまり地方行政長、海岸法におきましては海岸管理者、主としては都道府県知事でありますが、そのようなものが責任者ときめられておりますように、まずさような問題を処理いたさなければならない責任は、第一におきましてはそのような人たちであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/82
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083・中島巖
○中島(巖)委員 そこで重要港湾の区域の管理者は大体港務局というものが設置されてこれが管理しておるわけでありますが、この重要港湾なんかが海岸保全地域になった場合の管理者と、この港務局との関連についてどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/83
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084・浅村廉
○浅村説明員 港湾区域に海岸保全区域を重ねることができることは先ほど申しました通りであります。重ねますが、管理者を一本にいたしませんと今お話のように重要港湾については港務局が管理をしておるので、別に知事が管理者になるのでは、関係が非常にごちゃごちゃいたしますので、港湾区域内においては港務局が海湾管理者であれば港湾管理者の長であるつまり港務局の長がこの海岸法でいう海岸管理者である、こういうふうにこの法律はぎめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/84
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085・中島巖
○中島(巖)委員 そこで問題になるのは、結局この海岸保全という意味において、あるいは築堤なり浚渫なりせんければならぬ。そこで予算が伴うわけです。ところが私の知っておる限りでは、たとえばこの法案にもあるように、二分の一が国で、二分の一が地元と申しますか地方公共団体というようなことになっておりますけれども、この港務局においては予算はありますけれども、起債とかそういう能力はない。従って財源の関係は地方公共団体に仰がなければならぬ。しかしながら管理者は港務局であるというようなことで、ここに非常な摩擦と申しますか、予算の執行上困難が生じてくる。これは先ほど申しました洞海湾の例においてもはっきりとそれが出て、非常に困っておるわけであります。これらの調整はどういう方法でやられるお考えであるか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/85
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086・天埜良吉
○天埜政府委員 今の点港務局におきましてはお説の通りでありまして、現在まだ起債を港務局に対して許可いたしておりません。従って溶務局の構成をしておる公共団体に起債を許可しておるというような状態でございますが、これでは非常に工合が悪いので、港務局に対しても起債の許可ができるように鋭意折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/86
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087・中島巖
○中島(巖)委員 この点は実際問題として非常に重要な点でありますので、ことに北九州といわず、各地の重工業地帯の港湾は、おそらくひとしくそういうものかと思うのです。従って港務局におきましても起債のできるように建設省から大蔵当局へ話をしまして、そうして実際問題としてこういう法案ができても——管理者が起債の能力がない。そして財源を持っておらぬ、これが実情でありますので、この法案が生きるように特段の御配慮をお願いいたしたいと思うのであります。
そこで最後にお伺いいたしたいことは、この海岸法ができても、問題は予算の点でありますけれども、現在までこれらに対する国の補助なり何なりにおいて、年間どのくらいな金が出ておったか、そうしてこの法案が成立した暁において、来年度はどんな予算を組む考えであるか、第三点といたしましては、現行の建設省予算の範囲内でまかなう考えであるか、あるいはこの港湾施設に対しましては、大蔵省に対して新たに予算を要求する考えであるか、この三点について御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/87
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088・浅村廉
○浅村説明員 建設省の所管の分につきましてはお答えを申し上げて、大体お察しを願いたいと思いますが、建設省の所管の予算につきましては、昭和三十一年度の予算面に計上されました金額は、二十億八千万円でございます。内訳はいろいろございまして、海岸堤防を修築するために組まれました予算が二億五千万円、災害復旧に抱き合せまして工事を実施するという災害復旧助成事業費が十五億六千万、それからその他が二億六千万程度、合せまして約二十億八千万、このような予算が計上されております。もちろんこの法律と予算とは直ちに直接関連はございません。これは道路、河川ともに、法律がありましても、予算は大蔵省と毎年度の予算折衝できめて参るのでありますから、直ちに予算が飛躍的にふくれるかということは、私ども何とも申し上げかねるのでありますが、しかしながら予算折衝のときにいつも問題になりますのは、関係各省の要求がどうも統一がとれておらぬ、これは大蔵省がいうところを率直に申し上げますれば、そういうことを申しております。というのは、結局所管がはっきりしないので、国土を保全するという見地から少しくみな大きく手を広げて考えますために、どうも予算編成において問題が起るということになります。今回このような法律が出ますれば、さような問題は全然なくなりまして、事務当局といたしましては非常に強力な予算要求が財務当局へできるわけであります。法律があるとないとでは、ものの考え方につきましても、重要度の認識につきましても非常に変って参ると思いますので、この法律が出ました暁には、そういう意味で相当に予算の増額が期待できるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/88
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089・中島巖
○中島(巖)委員 予算関係についてはいずれまた建設行政一般のときの質問に譲ることにいたしまして、今の答弁でははなはだ満足できないのでありますが、時間も経過いたしましたので、私の質問はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/89
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090・荻野豊平
○荻野委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/90
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091・荻野豊平
○荻野委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。本案に対する討論採決は次会に譲ることといたします。
本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。
午後零時五十三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404149X02119560404/91
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