1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月十三日(火曜日)
午前十一時四十一分開議
出席委員
委員長 佐々木秀世君
理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君
理事 野澤 清人君 理事 藤本 捨助君
理事 滝井 義高君
植村 武一君 小川 半次君
荻野 豊平君 亀山 孝一君
川崎 秀二君 久野 忠治君
小島 徹三君 田中 正巳君
田子 一民君 中村三之丞君
中山 マサ君 八田 貞義君
林 博君 亘 四郎君
赤松 勇君 阿部 五郎君
井堀 繁雄君 岡本 隆一君
栗原 俊夫君 多賀谷真稔君
堂森 芳夫君 長谷川 保君
八木 一男君 山口シヅエ君
中原 健次君
出席国務大臣
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
厚生政務次官 山下 春江君
労働政務次官 武藤 常介君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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三月十三日
委員菅野和太郎君、草野一郎平君、中村梅吉君
及び多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
小川半次君、荻野豊平君、林博君及び三宅正一
君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員荻野豊平君辞任につき、その補欠として草
野一郎平君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十二日
身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案(
内閣提出第一一五号)
性病予防法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一六号)
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第一一九号)
社会福祉事業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一一四号)(予)
へい獣処理場等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一二〇号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
労働保険審査官及び労働保険審査会法案(内閣
提出第四八号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(八木一男君外十二名提出、衆法第四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/0
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001・佐々木秀世
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
労働保険審査官及び労働保険審査会法案を議題といたします。本案につきましては、前会質疑を終了しておりますので、直ちに討論に入ります。討論の通告があります。順次これを許可いたします。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/1
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002・岡本隆一
○岡本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっている労働保険審査官及び労働保険審査会法案に対しまして、反対の趣旨を説明いたしたいと存じます。
本法案の趣旨とするところは、従来都道府県労働基準局ごとに設置されておりましたところの労使、公益三者構成の労働者災害補償保険審査会を廃して、これを労働保険審査会と置きかえ、さらに中央に政府が国会の同意を得て任命する三名の委員よりなる労働保険審査会を設けまして、これを労災保険並びに失業保険の異議の審査機構とせんとするものであります。勤労にいそしむ者がその職場において不慮の災害にあい、あるいは業務上の原因に基いて傷病に倒れた場合、その傷病者もしくは遺家族等の生活が保障さるべきであることはもちろんでありますが、時として、その傷病が果して業務上の理由に基くものなりやいなやの判定はきわめて困難な場合があります。しかも個々の労働者にとっては諸種の身体的な機能障害が起り、再び従来の労働につくあたわざるに立ち至った場合には、その傷病に対する補償の有無は、まさに死活の問題となって参ります。従って、従来労働基準監督署の決定した労災補償の保険給付に対し、不服の申し立てをなす者が年間三千件を越し、さらに第一審たる審査官の決定に不服を申し立て、第二審の都道府県審査会の審査を受ける者が二百件に達しております。これは災害傷病等に倒れた貧しい勤労者にとって、労災補償がいかに命のかてとして大切なものであるかを物語るものであります。自乗審査に対する不服申し立てにして、その傷病が業務上の理由に基くものなりやいなやを判定することのきわめて困難な場合に、これを明らかにするためには、事故発生当時の現場目撃者を初め、使用者、治療を担当した医師その他の療養関係者、家族等多数の人々の意見を徴さなければ、公正な判定を下すことはできません。従来の都道府県労働審査会は、かかる場合きわめて親切にこれら事件関係者について、よく事情を調査し、また異議申立人の意見もよく聞いて、きわめて民主的に公正に運営されておったのであります。なるほど異議申請者の多くは、必ずしもその言い分の正しいもののみではありません。むしろこの申請の言い分に無理のある場合が多いことも聞いております。しかしながら、だからといって大勢のうちのただ一人といえども審査の粗漏のために当然補償されるべき災害、傷害が補償されることなくして、まじめな勤労者が当然の権利を失って飢えに泣くようなことがあってはなりません。これら生死の関頭に立つ傷病者にとっては審査会の決定がただ一つの頼みの綱ともなっているわけでありまして、これに対して自分の言い分を十分に申し立てる以外に彼らにとって頼むところはありません。かかる意味において現在の労災保険審査会の運営は、労使、公益代表の三者構成によってまことに親切であるというべきであります。ところで政府は今般本法律案を通じ、多数の異議申請を審査するに当ってその処理に一貫性を持たせる必要ありとの理由のもとに、この審査機構を中央に一本化せんといたしております。かくては労働者にとって審査会は全く手のとどかぬ遠いところに持ち去られることになりまして、審査は当然きわめて形式的な全くの事務処理に終ってしまうことになります。試みに本法施行に伴う予算を見ますとき、特別職の委員に対する報酬として月額平均一人九万四千円ずつ、三名分二百八十二万円の巨額が計上されているのに対し、事務費の十カ月分わずかに百十三万円でありまして、これをもってしてはとても親切な調査や温情のこもった審査等のできようはずがありません。この予算はどう考えても委員さんのための審査会であって、審査のための委員会であるとは考えられません。ここではおそらく傷病者が手を合せ念じる心のこもった申請書も一片のざら半紙として情ようしゃなく紙くずかごに捨て去られていくことでありましょう。私どもは近ごろおもしろい商売を発見いたしました。委員会屋という商売であります。試みに社会保障年鑑を独り居のつれづれに見ておりますと、同じ人が数え切れないほどのたくさんのもろもろの委員を兼ねております。たとえば元内務省保険局長官であった清水玄さんでありますが、この人は社会保障制度審議会委員、社会保険審議会委員、七人委員会委員、労働者災害補償保険審議会長、失業保険審議会委員、市町村職員共済組合審査会長、労災協会会長、船員保険会会長等数えるにいとまがありません。また大蔵省給与局長でありました今井一男さんを見ますと、社会保障制度審議会委員、中央社会保険医療協議会委員、社会保険審議会委員、臨時医療保険審議会委員、七人委員会委員長、共済組合連盟理事長、非現業共済組合連合会長、労働金庫理事長等、まことにたくさんの委員をやっておられます。赤木朝治元内務省医務局長あるいは川西実三元内務省社会局保険部長、これらの人もたくさんの委員をやっております。労働保険審査会の委員には人格高潔な学識経験者をもって充てるということを労働大臣は言っておられますが、功なり名遂げたお役人はみんな学識経験者といたしまして、それぞれの委員会、審議会の委員に配置されております。そしてこういう委員会屋さんによりまして各種の委員会が運営されるからいずこも同じとなりまして、勢い官僚的な保守的なにおいがふんぷんとしてくるのであります。私は、このことは将来日本の社会保障制度の機構の改革に際しまして大いに考慮すべき問題であると思うのであります。そして今度の委員会も同じような委員会屋さんによって占められ、きわめて保守的な官僚的な運営が行われることがないように私は念願いたしております。
かくて本法案の施行されますときには委員会は雲の上に運び去られ、勤労者は当然の権利を主張し得る機会を奪われ、審査は一片の事務的処理に堕して、傷病に悩む労働者の福祉は踏みにじられ、当然受けるべき権利としての労災保障を失って、窮乏にあえぐ犠牲者も出てくることでありましょう。制度は常にすべての人の仕合せを願うものでなくてはなりません。労災保険の精神は労働者の基本的人権を守り、勤労者がよし傷つき倒れることありといえども、憲法に規定された最低の文化的生活を保障せんとするところにあります。労働者から災害補償に関する異議申し立ての機会を万里の遠くに運び去って、その口を封じ、不幸なる犠牲者を招来せんとするがごときことは、まさに制度の改正にあらずして改悪であります。
日本社会党は以上の理由をもって、本法律案に対し強く反対するものであります。政府及び自民党の諸君は、みずからの非人情的な方策をよく反省し、いさぎよく本法律案を撤回されんことを要望して、私の反対討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/2
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003・佐々木秀世
○佐々木委員長 大坪保雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/3
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004・大坪保雄
○大坪委員 私は自由民主党を代表のまして、この労働保険審査官及び労働保険審査会法案に賛成の意見を申し述べます。
本法案は第一に従来の労災保険については第一審、第二審ともに都道府県ごとに設け、失業保険については第一審、第二審ともに労働省に設置せられてきましたが、ことに労災保険については中央の審査機関がないために審査が区々となり、運用に欠くる点が少くなかったので、これらを統合して中央に労働保険審査会を設け統一ある運用をはかろうとしたものであり、第二に従来の労災保険審査会及び失業保険審査会はいわゆる三者構成をとっておるのでありますが、準司法的のものでありますから、また迅速をとうとぶために社会保険の例にならい、公益委員をもって構成したものであること、第三に従来の実情から見て手続を合理的に整理したもので、保険行政の上から見てまことに時宜に適した改正であると存ずる次第であります。社会党の懸念しておられる三者構成の点については、地方の審査官の審査に際しても、また中央の審査会においても労使代表の意見を十分に述べしめ、実質的に三者構成の機能を発揮せしめることとなっておるのであります。この際私どもはさらにこの上に、政令にそれぞれの手続を定めて、これが民主的運営をはかる上に十分留意されることを当局に希望いたしまして、本案に対しては賛成をいたす次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/4
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005・佐々木秀世
○佐々木委員長 中原健次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/5
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006・中原健次
○中原委員 ただいま議題となっております本法律案に反対の意見を述べたいと思います。
この法律案はその扱わんとするところ、労災におきましては当該負傷、疾病、死亡等の事故の業務上あるいは業務外の認定、その決定、障害補償費の支給につきましては特に障害等級の決定、平均賃金の決定あるいは保険給付の制限事由の有無の決定、また失業保険におきましては被保険者の資格の得喪の確認、失業の認定等、これらきわめて重要な事項についての審査の申請にかかわる重要な事柄を扱う機関でありますだけに、この審査会を構成する委員あるいは審査官の決定に関しましては、これらの被保険者側の利益を滞りなく十分反映せしめるに足るだけの性能を持つ機関でなければならぬと考えるのであります。しかるにこの審査会の委員に関します場合、政府の説明によれば公益的立場にある学識経験者のみによって構成せる機関が審査をし、なおかつ採決をするということが妥当である、このように打ち出しておるのであります。果してそれがその言うがごとき純粋性をこのような学識経験者と称するものの中から期待するととができるだろうか、残念ながら私どもはそのことを期待することができない。審査し、採決する機関の妥当性を確保するためには、従来の経験を積み重ねて参りましたごとくに、いわゆる三者構成による機関にその審査をゆだねるということがせめても妥当適正な結果を期待することができるのではなかうか、しかるにその主張に対して一顧も与えない今回の措置は、特に被保険者の側から断じて承服のできない事柄であろうかと考えるものであります。そのような被保険者側の声に多少の心を用いたものでもあろうかと考えられます制度に、いわゆる参与制の採用があると思います。この参与制というのはなるほど一応被保険者のそのような期待に何らか心を用いたかのごとくに見せつけなければならないと考えての措置であろうと考えるが、これはその審査に当ってただ一応耳を寄せる程度の機能を持たせるにすぎないと思う。従ってさまでの期待をその機関に寄せることは困難であろうかと考えるのであります。そして審査の統一と適正化を強調し、その強調の中に政府の意図するものが何であるかを想像することができるのでありますが、このようなことでは被保険者側の利益を今後どのようにして保障するかについてはなはだ遺憾なきを得ないものを感ずるのであります。
なお第二点といたしましても、いわゆる第一審の段階、その一審の段階はほぼ現行の制度をそのままにしたと称しておりますけれども、この際労働保険審査官の身分の問題を思いますと、これは全く労働大臣の下僚をもってこれに当らしめ、従って労働大臣の指揮下に属する者をもってその任を全うせしめようとしておるのであります。従ってこのようにいたしましては、この審査官の身分が安全に保障されておらないだけ、それだけその職能は依然として官僚統制の根を深く張る以外に方法がない。つまりねらいはやはりそこにあることを思わしめるので、はなはだ遺憾であります。少くともこのときに当って、この審査官の身分の問題についてそのようなこだわりのないものに保障することが必要であったと考えるのであります。かれこれ思うてみますと、今回のこの法案のねらいとするものは、被保険者側の立場に立って事を判談しょうという立場からではなくて、あくまで強力に打ち固めた官僚支配統制、そのことを容易ならしめようとするのねらいがはっきりとうかがわれるものでありまして、はなはだ遺憾ながらとのような立法措置に対しまして賛成することができないものであります。一言反対の要旨といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/6
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007・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で討論は終局いたしましたが、ただいま中川委員より先刻の岡本委員の討論中、不穏当と認められる発言があるとの申し出がありましたので、速記録を調べまして、もし不穏当の点がありましたら委員長において適当の処置をいたしたいと思いますので御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/7
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008・岡本隆一
○岡本委員 議事進行について。私は今の討論の中で一言片句たりとも不穏当と思われるようなことは発言した覚えはありません。すべて私の真心からほとばしり出る言葉をもって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/8
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009・佐々木秀世
○佐々木委員長 岡本君に申し上げます。不穏当であるかないかは速記録を調べた上と申しておりますから、速記録を調べた上適当な処置をいたしたいと思います。
これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/9
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010・佐々木秀世
○佐々木委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお本案に対する委員会報告書の作成等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/10
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011・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議ないものと認めそのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/11
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012・佐々木秀世
○佐々木委員長 次に八木一男君外十二名提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審議に入ります。まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/12
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013・八木一男
○八木一男委員 ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について、その趣旨及び概要について御説明いたします。
日雇労働者健康保険制度は、同法が昭和二十年七月成立、翌年三月給付開始以来、日雇労働者の疾病負傷時等における医療並びに生活の保証を行う制度として漸次その実効をあげつつありますが、成立時における本院厚生委員会の附帯決議または数次の社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会の答申で指摘されておりますごとく至急に改善を要するものが多いのでありまして、この状態は成立後二回の改正を経た今日においても、その改正が小幅のものでありましたため変りはないのであります。
すなわち療養の給付は現在一カ年まででありまして健康保険よりはるかに短期間に限定されておるわけでありますが、このようなことは本法の被保険者が健康保険の被保険者よりもはるかに結核等の長期疾病に羅病しやすい悪環境にあると推定されることを考えますとはなはだ当を得ておらないのであります。
次に現金給付は埋葬料、家族埋葬料、分べん費、配偶者分べん費等一時的なものに限られて、傷病手当金、出産手当金、保育手当金、配偶者保育手当金等の継続的現金給付がないことが、大きな欠陥とされております。特に傷病手当金のないことは発病休業の際、直ちに無収入の状態に陥る日雇労働者にとって致命的なものであり、家族の生活を守るために診療を受けなかったり、また、診断の結果安静を必要としながら就業したりして病気を悪化させる場合が少くなく、全く仏作って魂を入れずといった結果になっているのであります。
さらに現在の保険給付を受ける要件は、事故発生前二カ月間に二十八日以上、あるいは前六カ月間に七十八日以上保険料を納入していることになっているわけでありますが、地域的、時期的には一カ月の就労平均が十三、四日になることもある日雇労働者の実態から見ますときに、この要件ははなはだ過酷でありまして、ちょっとした家庭上の事故等によりまして非常に不運な被保険者は常々まじめに保険料を納入しておりながら保険事故の際に診療が受けられない場合に立ち至るのでありまして、至急改正の要が痛感されるのであります。また本法の適用される被保険者は職安に働く自由労働者あるいは土建労働者の人々等でありますが、同様の労働条件にありながら適用を受け得ない人達、あるいは山林労働者、つき添い看護婦の人たちも相当あるのでありまして、適用拡大の必要も従前から指摘されているのであります。
最後に以上の欠陥をなくすための改正を保険給付に対する国庫負担の大幅増率によって実現すべきことは日雇い労働者の生活実体、各審議会等の答申等よりして当然のことと考えられます。本改正案は以上の理由によってそれぞれに対応した改正を実現しようとするものでありまして、その内容の概案は左の通りであり、その施行に要する経費は約十六億七千万円の見込みであります。
第一に、療養給付を一カ年より二カ年に延長いたしたいと考えております。
第二に、これから申し上げるような継続的現金給付を新設いたしたいと考えておるわけでありまして、その第一は傷病手当金であります。傷病手当金を、一級の被保険者に対しましては一日百四十円、二級の被保険者に対しましては一日九十円という単価をもちまして九十日間まで支給するわけでございます。その第二は出産手当金でございまして、その単価は傷病手当金と同様でございまするが、産前産後の四十二日ずつ、すなわち合計八十四日間を支給いたしたいと考えておるわけでございます。その第三は保育手当金並びに配偶者保育手当金でございまして、これは一カ月二百円の金額をもちまして六カ月間支給することにいたしたいのでございます。
次に保険給付の受給要件を緩和いたしたいわけでございまするが、これにつきましては現在二カ月二十八日、六カ月七十八日の保険料納入済みのいずれかの一方を満たせばよいことになっておりまするが、その要件を、二カ月二十八日、六カ月六十日の保険料を納めておればよいということにいたしたいと考えるわけでございます。特に分べん費、出産手当金、保育手当金等の被保険者が婦人であって、みずから出産をする場合におきましては、四カ月二十八日、六カ月四十八日というように、一般の場合よりも要件を緩和いたしたいと考えているわけでございます。
第四に、認可による被保険者という条項を新しく設けまして、厚生大臣の保険を取り扱うことについての認可を得た労働組合の組合員であるという要件によって本法の被保険者になり得る道を開きたいと存じているわけでございます。これによりまして、先ほど申し上げましたような、特に本法の適用を必要とする人たちにこの保険適用の道が開けると信ずるものでございます。
第五に、国庫負担は現在保険給付の一割でありますのを五割にいたしまして、その国庫負担をはっきりと法文に明文をうたいたいと考えているわけでございます。
以上がこの法律案を提出いたします趣旨並びにその内容でございます。何とぞ慎重御審議下さいまして、すみやかに満場一致御可決下さいますことを心からお願いを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/13
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014・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で説明を終りました。本案に対する質疑その他につきましては後刻に譲ることといたします。
本会議散会後まで休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X01919560313/14
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