1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月三日(土曜日)
午前十一時三十九分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 笹本 一雄君 理事 中崎 敏君
理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
今松 治郎君 臼井 莊一君
内田 常雄君 大倉 三郎君
大森 玉木君 加藤 精三君
菅 太郎君 椎名悦三郎君
篠田 弘作君 島村 一郎君
首藤 新八君 鈴木周次郎君
田中 角榮君 田中 龍夫君
田村 元君 中村庸一郎君
野田 武夫君 淵上房太郎君
坊 秀男君 前田 正男君
松山 義雄君 南 好雄君
宮澤 胤勇君 山本 猛夫君
伊藤卯四郎君 加藤 清二君
多賀谷真稔君 帆足 計君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
総理府事務官
(経済企画庁長
官官房長) 酒井 俊彦君
総理府事務官
(経済企画庁調
整部長) 小山 雄二君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(通商局長) 板垣 修君
通商産業事務官
(企業局長) 徳永 久次君
通商産業事務官
(重工業局長) 鈴木 義雄君
通商産業事務官
(軽工業局長) 吉岡千代三君
通商産業事務官
(繊維局長) 小室 恒夫君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 川上 爲治君
建設事務官
(計画局長) 町田 稔君
委員外の出席者
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 秋山 武夫君
専 門 員 越田 清七君
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三月三日
委員阿左美廣治君、椎名悦三郎君、篠田弘作
君、田中龍夫君、野田武夫君、前田正男君、松
岡松平君、松本俊一君、森山欽司君、帆足計君
及び水谷長三郎君辞任につき、その補欠として
加藤精三君、松山義雄君、山本猛夫君、宮澤胤
勇君、大森玉木君、田村元君、坊秀男君、今村
治郎君、臼井莊一君、田中稔男君及び小松幹君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小松幹君辞任につき、その補欠として平田
ヒデ君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二日
繊維工業設備臨時措置法案(内閣提出第八三
号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
石油資源開発株式会社への国家投資に関する陳
情書
(第二六二号)
離島振興法に基く事業促進に関する陳情書
(第二六五号)
離島振興法適用地域の漁港防災事業に対する国
庫補助率引上げの陳情書
(第二六六号)
対馬特定地域の総合開発促進に関する陳情書
(第二九三号)
貿易行政の改善等に関する陳情書
(第二九四号)
商工組合中央金庫の拡充強化に関する陳情書
(第二九五
号)
長崎県に中小企業金融公庫支店設置の陳情書
(第三一五号)
電気料金の地域差調整に関する陳情書
(第三三〇号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
百貨店法案(永井勝次郎君外十二名提出、衆法
第三号)
百貨店法案(内閣提出第七〇号)
繊維工業設備臨時措置法案(内閣提出第八三号
)
通商産業の基本施策に関する件
日本経済の総合的基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
東北興業株式会社法の一部を改正する法律案に
ついて建設委員会に意見
申入れの件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/0
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
去る二月二十四日本委員会に付託されました永井勝次郎君外十二名提出にかかる百貨店法案を議題とし、審査に入ります。その趣旨の説明を求めます。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/1
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002・永井勝次郎
○永井委員 ただいま議題となりました百貨店法案の提案理由を御説明申し上げます。
今日、百貨店問題は単に大規模小売業者たる百貨店対中小規模の小売業者との問題だけではなく、卸売業者、メーカー並びに広く一般消費者にも関係の深い問題となり、経済的影響のみならず社会的にも甚大な関係を持つに至ったのであります。戦前旧百貨店法が制定された当時の百貨店経営は、主として高級購買力を対象としていたようでありますが、戦後は一般中小企業と同じ広範囲な大衆購買力を対象とするようになったのであります。また売り場面積について見まするに、戦前の最高であった昭和十三年の百二十五万三千平方メートルに対し、昨年四月現在では、百三十九万三千平方メートルに増加いたしました。さらに引き続き主要百貨店の拡張工事は進められており、このままに放置すれば、一般中小規模の小売業者に死活の影響を与える結果となり、社会的問題としても無視できなくなって参ったのであります。
そこでわが社会党は去る廿二国会において百貨店法案を提出し、両院の賛同を得て一日も早く百貨店の過度な拡張競争と不公正な活動を規制しようとしたのでありますが、百貨店の利益に重点を置いて考慮する自由、民主両党の反対によって審議未了となったのであります。その後引き続いて百貨店は新築、増築にますます拍車をかけ、昨年末の売り場面積は百四十一万平方メートルに達し、戦前の最高をさらに一一%上回る増加を示すに至ったのであります。しかも、拡張工事は昼夜兼行、今もなお強行されているのであります。また百貨店の経営実態を見まするに、小売業者の対象たる大衆購買力への割り込み、加うるに百貨店相互間の競争の激化によつて、販売関係においても仕入れ関係においても、独占禁止法にそむく営業行為がますます多くなりつつあるのであります。従いましてこの際公正取引委員会の百貨店に対する特殊指定を主体といたしまして、単独立法を制定し、百貨店の営業行為の範囲並びに基準を明らかにして、無用な経済秩序の混乱や社会的悪影響を防止する必要があるのであります。
政府はわが社会党の百貨店法案の提出に刺激され、かつは世論の圧力に押されてやむなく同名の法案を提出するに至ったのでありますが、その実質は、拡張し尽された既存百貨店の利益を確保せんとするものであり、流通過程の秩序を公正に整えようとするものではないのであります。よってここに再び本法案を提出し、御審議をわずらわさんとするものであります。何とぞ慎重御審議の上早急実現のために御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/2
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003・神田博
○神田委員長 次に、同じく去る二月二十四日本委員会に付託されました内閣提出にかかる百貨店法案を議題とし、審査に入ります。その趣旨の説明を求めます。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/3
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004・石橋湛山
○石橋国務大臣 このたび提出いたしました百貨店法案について、その提案の理由と法案の概要とを御説明申し上げます。
最近わが国の経済は一般的に正常化して参りましたが、商業界における競争は内外にわたって激甚をきわめ、往往にして国家全体の利益に反する状況にありますことは、はなはだ遺憾な次第であります。その中において外国貿易に関する分は、前々国会において成立を見ました輸出入取引法の改正によりこれを規制する道がある程度開けましたが、国内における商業、ことに小売業における販売競争についても、この際何とか規制を行う必要が痛感いたされる次第であります。ことに小売業界において大きな位置を占めております百貨店業の間には、店舗の新設、拡張、常業時間の延長等によりまして、無制限に事業活動の拡大を行う傾向があるばかりか、その販売面においても、また積極的な販売方法の採用による競争がとみに激甚を加えていることが認められるのであります。このような百貨店業者の競争は、さらに小売業全般の過当競争を誘発いたすとともに、中小規模の商業者の事業活動を圧迫し、わが国商業全般の正常な発達をはばむことにもなるおそれがあります。
このような状況において、中小商業の健全な発達を期するためには、中小商業者の組織化とそのサービスの改善等経営の健全化とを促進し、中小商業者自身の実力を涵養することが最も必要であることは申すまでもありませんが、しかし百貨店業者のあまりに急激なる進出は、中小商業者の健全なる発達をはかる余地をさえ失わしめる懸念がきわめて多いのであります。これはわが国の労働人口等の実情から考えましても捨てておけないところだと考えます。従って、一方におきましては、百貨店業が一般消費者に与える便益は十分これを尊重いたしますと同時に、百貨店業の事業活動の無制限の拡大を規制し、これによって中小規模商業者にまた適当なる事業活動の機会を確保することが目下の緊急事であると信じます。本法案は以上の理由によりまして、百貨店業の事業活動に対し所要の調整を加える目的をもって作成いたしたものであります。
本法案の概容について御説明申し上げますと、第一に、本法案の適用を受けます百貨店業の定義といたしましては、まず物品販売業であることであります。その中には、物品の加工修理業をも含むことにいたしております。そこで、物品販売業を営むための店舗のうちに、同一の店舗で床面積の合計が六大都市におきましては三千平方メートル以上、そのほかの都市におきましては、千五百平方メートル以上のもの一つ以上を含むものを百貨店業としております。
第二に、百貨店業を新規に開業する場合には、通商産業大臣の許可を受けなければならないものとしております。
第三に、既設の百貨店業者がさらに店舗を新設し、またはその床面積を増加しようとする場合には通商産業大臣の許可を受けなければならないものとしております。これらはいずれも百貨店業者がその事業活動を拡大することとなりまして、中小商業者に影響を与える場合が多いからであります。
第四に、これらの許可の申請に対する許可の基準といたしましては、百貨店業の事業活動が中小商業の事業活動に影響を及ぼし、中小商業者の利益を著しく害するおそれがあると認めるときは、許可をしてはならないものとしております。申すまでもなく、これらの許可申請にかかる事項は、すべて地方的なものでございますので、従って地方によってそれぞれ事情を異にいたします。そこで許可の基準といたしましては、このような一般的な規定の仕方が適当であると考えた次第であります。
第五に、通商産業大臣は、許可または不許可の処分をしようとするときは、学識経験者で組織される百貨店審議会の意見を聞かなければならないものとし、さらに百貨店審議会がその意見を定めようとするときは、少くとも許可申請にかかる店舗の所在地の商工会議所の意見を聞かなければならないものといたし、通商産業大臣が最も公正にしてかつ実情に即した処分を行い得るようにした次第であります。
第六に、百貨店業者は、毎日、政令で定める閉店時刻以後及び毎月、政令で定める日数は、その店舗において顧客に対し営業をしてはならないものとしております。これは、百貨店業者の営業時間ないし日数の増加は、実質的には、店舗の拡張と同様であって、中小商業者に特に大きな影響を与えるからであります。しかしながら、地方の事情その他特別な事由ある場合においては、百貨店業者は政令で定めるところにより、通商産業大臣の許可を受けて、閉店時刻を延長し、または休業日数を短縮して営業できるようにし、実態に即した運営をする考えであります。
第七に、通商産業大臣は、百貨店業者の出張販売、顧客の送迎その他の営業に関する行為について特に必要があると認めるときは、その百貨店業者に対し、必要な勧告をすることができるものとし、また通商産業大臣は、勧告をしたときは、その内容を公表しなければならないものとしております。これは、百貨店業者のこれらの営業行為が実質的に百貨店業者の事業活動を拡大し、その結果、中小商業の維持育成を困難に陥れ、商業の健全な発達を阻害するおそれがあるからであります。勧告した場合に、特にその内容を公表する義務を通商産業大臣に負わせましたのは、この公表によって実効の確保をはかった次第であります。
以上のほか、合併、許可の取り消し、報告の微収、聴聞、異議の申し立て、罰則に関し、所要の規定を設け、また経過措置といたしましては、この法律の施行の際、現に百貨店業を営んでいる者は、許可を受けたものとみなすものとし、さらにこの法律の施行の際、現に百貨店業の店舗とする目的で、新築、増築、または改築の工事を施行している建築物を使用して百貨店業を営もうとする者が、この法律の施行の日から三週間以内に許可の申請をしたときは、中小商業の事業活動に及ぼす影響とその工事の施行の程度とをあわせ考慮して許可するかどうかを決定するものとした次第であります。
この法律案の内容は、おおむね以上の通りであります。
何とぞ慎重御審議の上、御可決せられるようお願い申し上げる次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/4
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005・神田博
○神田委員長 次に昨二日本委員会に付託されました繊維工業設備臨時措置法案を議題とし審査に入ります。
まずその趣旨の説明を求めます。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/5
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006・石橋湛山
○石橋国務大臣 繊維工業設備臨時措置法案につきまして、その提出理由及びその概要を御説明申し上げます。
繊維産業は、わが国民の生活上欠くべからざる衣料の供給をみたすと同時に、輸出産業としてもまた第一位を占める重要産業であります。しかるに、近年わが繊維製品の輸出数量が急増し、その価格がまた過当競争により乱調を呈する傾向があるのに対しまして、国際的批判がきわめて強く、ために先般ガット加入の際における欧州諸国の三十五条援用問題、米国における日本綿製品の輸入阻止運動など、まことに遺憾な現象を見るに至りましたことは御承知の通りであります。これをこのままに放置いたしますことは、今後の輸出貿易及び繊維産業の発達のために著しい悪影響を及ぼす懸念があります。もちろん、欧米におけるかような動きは、先方の誤解等に基くところも少くありませんから、わが国としては、その誤解等を解くことに努力することが必要であります。しかしそれにいたしましても、わが方もまたできる限り相手国の産業経済界を過当に刺激しない方策をとることが肝要であると信じます。政府は、かような見地から、従来・より輸出行政面において貿易体制を整備し、輸出品の価格、品質の規制を行うとともに、生産行政面においても中小企業安定法の発動あるいは行政勧告によって生産調整を行う等の方法を用い、もって輸出貿易及び産業の健全な発展に努めて参りました。しかし今や繊維産業に関しては、輸出面における過当競争等の根源となっている過剰設備問題を解決し、産業構造の根本を改善することが焦眉の急であることを痛感されるに至りました。ことに注意すべきことは、わが繊維産業が中小企業によって構成せられる割合がきわめて大きく、特に織布等の加工部門においてはその生産者のほとんどが小規模業者でありまして、それらが全国に散在して、わが国中小企業の中でも生産上、雇用上重要な一部門をなしております。しかもこれらの中小企業は、数年来の継続的な不況に悩んでおりまして、自立不能の状態に立ち至っているものが少くありません。従って中小企業の根本対策としても、また繊維産業における過剰設備問題の解決が必要となって参りました。
この過剰設備問題は、繊維産業の今後の運命を決する重大案件でありまして、合成繊維などの育成対策との調整をはかる必要もありますので、政府は、昨年八月閣議決定をもって繊維産業総合対策審議会を設置し、このための総合対策を諮問したのであります。同審議会は、学識経験者、業界人、労働者代表等数十名よりなる委員をもって構成されまして、その後、右の諮問に対して、慎重に審議を進めて参りました結果、さきごろ政府に対し、繊維工業設備の調整などに関する法律の制定を必要とするとの答申を提出したのであります。よって政府は、この答申の趣旨に従い、さらに検討を重ねました結果、ここに成案を得ましたので、これを法案として上程することにいたしたのでございます。
本法案は、繊維製品の生産及び輸出の正常な発展に寄与するため、繊維工業設備に関する規制を行い、繊維工業の合理化をはかろうとするものでありまして、全文四十九条よりなっておりますが、その骨子は次の通りであります。
まず第一に、本案には繊維工業設備の登録制を実施することを規定しています。すなわちこの登録によりまして、現有設備の実情を正確に明らかにし、各業種における設備の過不足に応じて、設備の今後の転換及び新増設を調整するのに必要な資料を得たいと存ずるのであります。ただし、本法によって登録を実施する業種は、さしあたり各種紡績業及び染色加工業であります。織物業につきましては、現在中小企業安定法の命令に従って行なっている設備登録によっていく方針でありまして、本法の適用から除いてあります。登録の対象となります設備は、紡績業における精紡機及び染色加工業における織物幅出機でありまして法律に定められた繊維製品の製造または加工を行おうとする者は、その使用する精紡機または織物幅出機について業種ごとに登録を受けなければなりません。
第二に、本法施行後におきましても、昭和三十五年度の繊維製品の需給を参酌しまして、設備が不足である業種があるときは、その不足の範囲内で、今後新増設される設備の新規登録を行な、て参ります。その際には、原則として設置計画の段階で申請を受け付けまして、定められた数の範囲内で調整して仮登録を行い、設備の完成を待って登録を行います。
第三に、過剰設備の処理ですが、本法による登録制を適用する業種及び中小企業安定法の命令に従って登録を行う業種のうち、昭和三十五年度の繊維製品の需給を参酌して過剰設備を処理する必要があると認められるものにつきましては、処理すべき設備の数を定め、その業種に属する事業者に対し、廃棄、格納、転換、その他の方法によって過剰設備を処理するための共同行為を実施すべき旨、通商産業大臣は指示することができます。この指示に基いて事業者が行う共同行為については独禁法の適用を除外することになっています。
第四に、本法の運用に当っては、繊維関係の事業者のほか、関連事業者、繊維関係労働者、一般消費者などに影響するところが少くありませんので、本法中の重要事項を審議するため、学識経験者、消費者代表、業界人、労働者代表など繊維工業に学識経験のある者よりなる審議会を設けて、この審議会の活用によって本法実施の適正をはかりたいと思います。
以上が本法案の骨子でありますが、なお本法による過剰設備の処理に関する共同行為をいたします際に、設備の売却を希望する事業者のために、調整組合連合会その他適当な民間機関において、その買い上げを行う必要があると思われます。その場合、買い上げに要する資金は、原則として残存設備からの分担金でまかなうものといたしておりますが、しかし織物業のごとく、中小企業者が大部分である業種につきましては、業界だけでこれを負担することは困難かと考えられます。よって政府として、その設備処理に必要な経費の一部を補助するため、昭和三十一年度の予算案に一億二千万円の補助金を計上してございます。この補助金の運用によって、織物業に対する本法の適用に際しては、十分な効果を上げ得ることを期待しておる次第であります。
最後に、本法の実施に伴って繊維産業の設備の近代化がおくれ、あるいは、ひいて繊維機械工業に対して好ましからざる打撃を与えないため、繊維工業設備の入れかえ等を極力促進する考えであります。また、過剰設備の処理に伴って労務者の急激な失退職を招くことは、極力避けなければならないので、設備の処理の程度、方法等につきましては十分慎重を期し、適正な実施をはかって参りたい所存でございます。
何とぞ御審議の上、御協賛下さらんことをお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/6
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007・神田博
○神田委員長 この際、首藤新八委員より議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。首藤新八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/7
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008・首藤新八
○首藤委員 私は本委員会が、ただいま建設委員会で審議されております東北興業株式会社法の一部を改正する法律案に関しまして、建設委員会に意見の申し入れを行うよう提案いたしたいと存じます。本案につきましては、去る二月二十八日以来三回にわたりまして、建設委員会と連合審査会を開き、長時間にわたり検討がなされたのでありますが、この際本案が当委員会の所管とも関連いたし、各委員諸君におかれましても、重大な関心を持っておられるものと考えますので、本委員会の立場から、建設委員会に何らかの意思表示をするよう取り計らわれたいと存ずるのであります。すなわち、建設委員会におきまして、本案を議決される際に、「政府は、東北興業株式会社の事業遂行並びに運営に関し、国土総合開発の一環である東北地方の開発に、最も適当と認められる計画及び方法をもって、これを推進するよう指導監督すべきである。」これを明確にされるよう善処方を強く要望いたしたいと存じます。つきましては、当委員会の決議をもって、この旨建設委員会に申し入れを行うよう、取り計らわれんことを動議として提出いたしたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/8
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009・神田博
○神田委員長 ただいまの首藤委員の御提案に関して質疑の通告があります。これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/9
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010・多賀谷真稔
○多賀谷委員 動議の提案者に質問いたしたいと思いますが、この要望申し入れの中に「最も適当と認められる計画及び方法をもって」、こういう字句がございますが、これはあくまでもセメント事業計画を前提として、そのセメント事業計画の範囲内において、あるいは具体的な計画及び方法、たとえばシャフト・キルンの方法を改めるとか、そういった範囲のものであるかどうか、さらにセメント事業計画そのものの変更を含めての意味であるかどうか、お尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/10
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011・首藤新八
○首藤委員 御質問は全くごもっともでありますが、私たちは、ただいまここでセメントでなければいかぬとも考えていないし、またその他の方でも東北の地理的な事情あるいはその産業の将来というような点に深く思いをいたして、慎重な検討をいたして、そうしてその結果決定した事業を遂行するということが好ましいという考え方で、この附帯決議案を作ったのであります。従ってこの文書から見ますと、きわめて漠然たるようなお感じを持つかもしれませんが、ただいま申し上げたような趣旨であります。しかも所管は建設委員会並びに建設省でありますから、この程度のことを申し入れておきますならば・多分われわれの期待に沿うよう善処するであろう、かような考え方を持っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/11
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012・多賀谷真稔
○多賀谷委員 再度御質問いたしますが、今首藤委員からのお話によりますと、われわれはセメントでなければいかぬとも考えていないしという発言がございました。これはきわめて重大な発言でございます。と申しますのは立法提案の趣旨というものは、セメント事業の計画書が出されて、その上において審議がされたわけであります。そこで今からセメント事業そのものの変更を認めるということは、立法の趣旨と全く相反するものであり、国会の審議権をみずから放棄するものである、かように考えるわけでありますが、この点をいかがお考えになるでありましょうか、御質問いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/12
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013・首藤新八
○首藤委員 ただいま申し上げました通り、セメントが好ましくないという断定はいたしていないのであります。ただ常識的に考えて、あるいは不適当ではないかという考え方を持っておりますけれども、その点は所管の建設省並びに委員会で十分検討してもらったならば、何らかの結論が出るだろう。かりにセメント工業をやるにいたしましても、さらに慎重な検討炉行われるであろう、また行われてしかるべきだという考え方から、要するに念を入れた上に念を入れてもらいたいという考え方でこの附帯決議を出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/13
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014・加藤清二
○加藤(清)委員 関連して。東北地方の開発については、私どもも人後に落ちるものではございません。非常に熱心に相なっております。ところがすでにこの附帯決議にもうたわれておりますように、「開発に最も適当と認められる計画及び方法をもって、これを推進するよう」、これは結局はどういうことかといえば、現在提案されている具体的計画案なるものが適当でないということである。すでにこのことは、過ぐる合同審査会において再三審議された結果、明らかな事実である。あの計画たるやずさんきわまりないものである。それに国家が金を貸すとか、あるいはこれを援助するとかというようなことを早急にきめなければならないという理由が私どもにはわからないわけでございます。従ってもし附帯決議をつけるとするならば、最も適当なというような抽象論でなくて、最も適当な具体案ができるまで慎重審議されるようにということが、最も適当ではないかと私は思うわけでございます。そこで承わりたいのは、なぜこれほどずさんな法律に国家の貴重な金を投入することを急がなければならないかの理由を承わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/14
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015・首藤新八
○首藤委員 なぜこの具体案が完了しない前に急がなくてはならないのかという御質問でありますが、これは主管が建設委員会でありまするから、商工委員会としてはかれこれ申し上げる筋ではないと思います。従いまして、商工委員会といたしましては、先ほど来申し上げております通りに、慎重の上にも慎重を期して、そして国費を乱費しないように、最も適当な工業がほんとうに東北地方のために発展するようにと、こういう希望を申し上げることは当然であり、これ以上出ますことはいささか打き過ぎになるというり考え方から、多少抽象的ではありますけれども、この程度で御了承願いたい、かように存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/15
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016・多賀谷真稔
○多賀谷委員 再度御質問いたしたいのですが、私たちはこの法案を賛成をして通過さすということになりますと、やはり不満ではありましても今の事業計画というもの、計画の内容はいろいろありましょう。具体的な内容はずさんであるということは指摘された通りでありますが、根本的にセメント事業をやるという前提に立って法案を審議し通過させなければならない。ですから、セメント事業という根本的な計画が変更をされる。そしてその変更をすることを白紙委任によって政府に認めるということは、どうも了承できない。いやしくも政府がこの事業をやりたいといって、そうしてこの元利その他償還について債券を発行しこれを政府保証する、こういう提案をする以上は、計画をはっきりして、少くともずさんであってもその計画の範囲内においてやってもらわなければ困る。その計画を変更してもよろしいというような意味の含まれておる白紙委任をわれわれはするわけにはいかないのです。これは立法府として、われわれはみずからの審議権を放棄するわけには、どうしてもいかない。そこで私は、やはり通過をさすということになれば、一応よくても悪くてもセメント事業をやる。そうしてそのセメント事業の計画が思うようにいかないということが予想されるならば、新しい事業をやろうとするならば、やはりあらかじめ国会の審議を必要とする、かように考えるわけであります。そこでセメント事業の変更をされるという場合には、国会のあらかじめの審議並びに承認が必要である、こういうように考えるが、一体白紙委任をされるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/16
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017・首藤新八
○首藤委員 この決議案は、セメント事業の変更を断定するものではありません。ただ先般来の審議の過程におきまして、セメント工業に対するもろもろの意見が提案されましたから、これらの意見を尊重いたし、さらにその他の面においても十二分に慎重を期してもらいたい、そうして最後の決定をしてもらいたいという要望でありまして、決してセメント事業そのものを変更するとは考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/17
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018・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ですから否定はされておりませんけれども、セメント事業計画の変更を含める、こういうところに私たちは重大な附帯決議の意義があなたの方にはおありになるように考える。それはわれわれはどうもふに落ちないわけです。ですから、政府が出した以上、その計画がうまくいきそうにない、こういう予想をされた場合は、おそらくその計画はされぬでしょう。そういう場合には次の計画をされるというように、計画の変更がある場合には、当然国会にあらかじめの審議があってしかるべきである、こういうように考えるわけです。ですから私は政府が一応この法律案によって実行されようとするけれども、セメントではうまくいかない、こういう場合にはあらかじめ国会の承認を必要とする、こういう意味を含んでおるかどうか、かような点についてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/18
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019・首藤新八
○首藤委員 お説のように今日までの審議過程におきましては、セメント工業が計画されていると思います。従ってもし慎重検討の結果、セメント工業があくまでも不適当である、しかも他に好適な事業があるというような段階になりまして、そうして事業を変更するということになりますれば、当然国会の御審議を願うという順序になると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/19
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020・永井勝次郎
○永井委員 本件が建設委員会にかかって、商工委員会がこれに合議を申し入れたということは、本来は東北興業そのものは建設委員会にあるが、今回提案された内容は産業経済に重要な関係があって、性質からいって、当然これは商工委員会にかけるべきである、こういろ立場からこれは合議を申し入れて、三回連続合同審査をやったわけであります。従って現在わが委員会として、この提案された議案に対して意見を述べるには、議題になったセメント産業がいいか悪いか。もし不十分であるとするならば、その点についてどういう点が注意しなければいけない、こういうところはこういうふうに直さなければいけない。そうしてまた附帯決議で、かりに事業そのものの内容について不十分であるというならば、十分であるように審査して修正するなり、あるいは修正の余地がないならば、これを返して、もう一度十分に企画を立てて出直せ。こういうのが現在わが委員会にかけられている任務の範囲であって、その範囲をこえていろいろな意見を述べるということはできないと思うのでありますが、委員長はどのようにこれを計らっているか。セメントの企業がいいか悪いか、その内容がどうであるかという検討なのであります。その検討の議題外にわたって当委員会がいろいろの意見を述べるということは、これは越権ではないか、議題の範囲をこえているものではないかと思うのですが、委員長はこの取り計らいをどういうように考えておりますか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/20
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021・神田博
○神田委員長 委員長よりお答え申し上げます。ただいまの永井君のお尋ねにつきましては、委員長といたしましては、委員会で御審議になった議案でございますので、委員長はこれを、たとえば動議であれば動議を採決する。それが、委員長の任務であって、この内容についてとかくの意見を申し述べることは委員長の任務でないように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/21
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022・永井勝次郎
○永井委員 とんでもない。メイ答はメイ答でも、迷う方の迷答弁だ。それならばどういう議案を出しても委員長は機械的にその議案を通しましょうか。委員長はロボットじゃないのだから、この提案された議案が本委員会として正当に取り上げられるものかどうかという質的吟味の上に立って、これは議事進行なのか、ほかの動議なのか、あるいは新しい提案なのか、それぞれの議事の規定に従ってこれを処理していくという、これが委員長の任務である。その重要な、提案された内容が何であるか、これは取り扱うべき範囲であるかどうかという、こういう質的吟味をするのが委員長の仕事ではないのだという迷答弁に至っては、ただあぜんたらざるを得ないわけですが、重ねてそのようなお考えであるか。このごろは訂正したり陳謝するのがはやっておりますから、今のところならまだおそくはありません。すみやかに反省して、訂正するところは訂正してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/22
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023・神田博
○神田委員長 永井君のただいまの御質疑にお答え申し上げます。委員長といたしましては、議題外にわたるものにつきまして、あるいはまた議題外につきましては、もとより御注意申し上げ、また阻止もいたさなければなりませんが、ただいまの首藤君の動議は議題と考えておりますので、これはどうしても取り上げなければならない。そこでこれを取り上げて意見をまとめました結果を建設委員会に申し入れる。本件に関する限りは審議権は建設委員会でございまして、当委員会といたしましては、合同審議をした結果についての意見を委員会として取りまとめて申し送る、こういう段階でございまして、永井委員から委員長に対して大へん友情をお示しになられて、この点についてはまことに感謝いたしますが、委員長といたしましてやっている職務については、御指摘なさったような御心配は皆無だ、こう考えておりますので、御安心願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/23
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024・永井勝次郎
○永井委員 重ねて言っておきます。この附帯決議は、提案されたセメント産業は、計画も非常に不十分である、そのやり方も十分でない、こういった内容なんです。そうすると、不十分であるままに答申をするということは、これは職務怠慢ではないでしょうか。もし何月何日までにこれを上げなければならぬという時間的な制約があるならば、その中においてもっと内容を吟味すればいいのであって、それができなければ、できないということを答申すればいい。内容を吟味しないで、不十分であるままに答申するということは、委員長の本件に対する取扱いとしてははなはだ怠慢であるし、曠職のそしりを免れない。そういうことをあえてするならば、われわれは心ならずも不信任を出さなければならない、こういうことになる。これは不十分であるというならば、もっと吟味すればいい。どういうところが不十分なのか、これを明確にすることが、本委員会に負荷された責任であると思う。そこで委員長の現在のお考えは非常に迷っておりますから、その場において十分本件の取扱いを吟味願いたいと思う。
提案者に対してお尋ねしますが、これは不十分であるというままに答申をしよう、こういうのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/24
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025・首藤新八
○首藤委員 先ほど来申し上げております通り、本案の所管は建設委員会であります。従って建設委員会でない本委員会が、これに決定的な結論を出してかれこれ申し上げることは、私は行き過ぎだと思います。従ってあくまでも主管の建設委員会に結末はつけていただく。ただこちらとしては希望意見を述べる、この程度が妥当である、こういう考え方から、抽象的ではありますが、かような決議案を作ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/25
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026・永井勝次郎
○永井委員 よけいなことはいいのですが、この委員会に付託された、セメントの企業が不十分であるというお考えであるのかどうか、これをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/26
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027・首藤新八
○首藤委員 私個人としては、このセメント工業は必ずしも適当でないと思いますけれども、これはあくまで私個人の意見であります。建設委員会としては、委員全般の意見を総合して最終的な決定を出すと思います。従っておっしゃる通り、商工委員会が決定的な申し入れをするということは行き過ぎだ、勢いこの程度にしなければならぬという考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/27
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028・永井勝次郎
○永井委員 行き過ぎも行き足りないのも別問題であって、これは附帯決議としてあなたの方から出された。これは自民党の案として出されたので、私は自民党にお尋ねしているのであって、首藤さん個人の意見を聞いているのではない。そこでこの案に対して、不十分であるなら不十分である、それならそれで附帯決議なり答申の内容が違ってくると思う。行き過ぎといっても、このセメント企業が提案されたのに、よけいなことを考えている、これは行き過ぎになります。だからそういう行き過ぎではなくて、セメント工業がどうだ、不十分ならば、この委員会でわれわれはもっと審議しなければならぬと思っておるのですが、審議が不十分なままに答申するということは委員会の怠慢ですから、これは許されないと思います。自民党ひとりの責任でなくして、当委員会の共同の責任になりますから、こういうことは許されない。十分に審議した結果結論が出てこなければいけない。その結論は、やはりセメント企業に対してどうであるか、可否の考えを出すのが当委員会の責任であると思うのですが、不十分なままに、いいか悪いかの結論を出すことが行き過ぎであって、案の内容を審議未了のまま、未確定のまま出すのが、これが正当な措置だ、こういうふうにお考えになるかどうか、重ねて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/28
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029・首藤新八
○首藤委員 審議の経過から見て、連合審査がなお不十分だとは私は考えておりません。しかも時間的に早くこれを通過させたいという建設委員会の強い要望があるわけであります。従って、審議が不十分だとは考えませんが、少くとも三回開きました連合審査の結末といたしまして、おのずから結論が出ておると思いますが、これは先ほど申した通りに、こちらとしてこれこれの事業をやるべきである、あるいはセメント工業をそのまま推進すべきであるというような結論を申し上げることはいかがかという考え方から、かような文字を使っておることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/29
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030・永井勝次郎
○永井委員 こういう禅問答のようなことをしても内容が検討されませんが、当商工委員会の自民党の関係の人は、セメント企業には反対であるという意向を持っている。それから建設委員の方は、セメント企業を提案し、予算がついていることであるから、何とか東北振興のためにこれを使っていきたい、こういう意向である。そこで両者の意見が対立しているので、自民党の村会議を開いた結果、こういうえたいの知れないような附帯決議をつけて向うに回して、そうしてわれわれの聞き及んでいるところでは、既設のセメント会社がこの新設には非常な反対で、猛烈な働きかけをした、その要望をいれて、セメントはつぶす、そうしてこの予算はセメントの予算でこれを審議して、そうしてとの附帯決議によっていつの間にかカーバイドに切りかえよう、そういう話し合いと、そういう取引があるのだということをわれわれは聞き及んでいる。まさか議会の舞台においてそのような取引、そのような陰謀のようなものが行われることはあるまい、これよ明朗に正々堂々と論議が尽されていかなければならぬものであるから、陰の取引は別とし出て、少くとも審議の舞台を通してまさかそういうことが、行われるものでないとわれわれは信じていたのでありますが、われわれはそういう風聞を聞いているので、その前提条件としてこういうものが出てきたのではないか。しかも多賀谷君の質問に対して、セメント産業は不適当だと思うから、セメントでなく、ほかのいろいろなものを含めて計画をするというようなことになりますと、これはうわさがほんとうではないかという心配を持つわけであります。でありますから、この際議会の名誉のためにもそういうことをはっきりしておかなければならぬと思うので、これは具体的に明確にお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/30
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031・首藤新八
○首藤委員 セメント業界の反対によってこの委員会が動かされたのではないかといううわさが飛んいる、さようなことは全然ないことをこの機会にはっきり申し上げておきたい。しかも今計画されております東北興業のセメント事業は、月二万トンの生産であります。年二十四万トンであります。現在日本のセメントの生産量は千五百万トンの能力、需要量が千百万トンでありまして、二十四万トン前後の生産がこの需給関係には何らの影響も及ぼすものではありません。これが二〇%にも上るならば多少の影響はあると思いまするが、二%以下であります。かような微量なものは、日本のセメント業界の需給関係に何らの影響を与えるものではありません。セメント工業が反対しようが賛成しようが、そんなことは一向関係ないのであります。ただ私たちはこのセメント工業の実態が、本質的に考えていいか悪いかということを、先般来討議いたしたのであります。しかしながら、それだからといって、ここで商工委員会が所管委員会でないにもかかわらず、結論を出すということは、これはいかにも行き過ぎである。従って行き過ぎにならない範囲内において善処してもらいたいという考え方が、この決議案になっておるのでありまするから、永井君が申されるところの明確にせよということは、これは委員会の性格として私は困難だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/31
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032・永井勝次郎
○永井委員 セメント業界の運動によって動かされたかどうかということについては、これはわかりません。しかしセメント業者が猛烈な運動をしたことだけは事実です。それによって自民党が動いたか動かぬかということは、これは私はわかりませんが、そういうことは全然ないというお話でありましたけれども、そういう運動のあったことは事実であります。それからまたカーバイドに切りかえようという話がいろいろ出ておることも事実であります。こういう二つの事実を照らし合せて、こういう不明確なものが出てくるということに対しては、われわれは心外なわけで、単なる附帯決議として看過できないわけであります。そこで建設省当局にお尋ねをいたすわけでありますが、建設省当局は通産関係委員から、ずさんである、広範な範囲において計画の立て直しをやれ、そして十分に方法等についても考慮せよという、こういう答申を受けて、そういう上に立って今後どういう予定でこれを進めていく考えであるか。これは建設委員会でも大体この附帯決議は予定しているようでありますが、この国会で附帯決議が通った場合、セメント企業を引っ込めるつもりか、あるいはセメント企業の中で十分計画を充実するというお考えであるのかどうか、ここで伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/32
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033・町田稔
○町田政府委員 附帯決議が正式に国会において御決議になりました暁には、御決議の御趣旨に十分沿うようにいたしまして、建設省としては東北興業の指導監督を特に厳重にして参りたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/33
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034・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 私はこの附帯決議の問題で多く時間をとろうとは思っておりませんけれども、この附帯決議をつけること自体に非常な疑問を持っております。と申しますのは、連合審査の場合に、私質疑応答を伺っておりまして感じたのは、東北興業がセメント事業をやるということについてのその性格が明らかになっていないのです。と申しますのは、つまり東北を開発するために国家が援助、協力の立場からこの事業をやるのか、いわゆる損得なしに国家の援助、力によってやらすのか、あるいはこのセメント事業で利益を上げる、いわゆる独立採算の営利事業であるかどうか、この二つの点が明らかになっていないのです。それからいま一つは、資金の問題についても、開発銀行はこれに非常な調査を要するということを言って、資金を与えるに相当時間を要すると言っておるのであります。そうすると社債か、いわゆる政府の援助の裏書きか、そういう点についても明らかになっていないです。それから先ほどから多賀谷君、永井君から言っておりますように、とかくわれわれの耳に入ってくるのは、セメント事業をやるということでこの計画をして、資金を得るならば、あるいはその他のものをやろうと建設省は考えておるということが盛んに伝わっておる。そういう疑問もあるのです。だからそういう点を私はわれわれの関係でもないこの委員会で今これを論議しようとは思っておりませんが、もし附帯決議を本委員会からつけるとするならば、その重大なる数々の問題について、それをまとめて附帯決議をつけるということなら、附帯決議の意義があると思います。ところが、そういう数々の重大な疑問を持っておる問題についてかくあるべしという附帯決議ではなくて、この附帯決議は、これは全くわかりません。何のことを言っておるのか。セメント、カーバイドあるいはその他に切りかえてもいいような意味のこともある。私が先ほど多賀谷君の質問に対して首藤君が答えられた点で非常に重要であると思う一点は、もしセメントといって他に切りかえるような場合には、国会において、われわれのもとにおいてこれを十分審議をする、そうして国会の議決を経なければならないというような意味のことを言われた。これは私は非常に正論であると思っております。だからもし附帯決議をつけられるとするなら、先ほどから申した重大な点でございます、首藤君が多賀谷君に答弁された、そういう内容等を含んだ附帯決議をつけられるなら、附帯決議の意義があると思う。だから少くともこの問題は、商工委員会と建設委員会とが連合審査をしたのでありますから、附帯決議をつけるに当っても、やはり全会一致の形で附帯決議がつけられるような順序を踏まれることが正しいと思うのであります。ただ自民党の方から一方的にこれを出して賛成しろと言われても、われわれは賛成できません。附帯決議をつけられるなら、連合審査も満場一致でやったのでありますから、従って附帯決議の内容についても事前に自民党と私ども社会党の代表者の間において附帯決議の案文を作って、そうして附帯決議をおつけになるなら意味がわかります。私は附帯決議をつけるなら、そういう意味においてつけられるように、委員長が手配をされることを要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/34
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035・神田博
○神田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/35
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036・神田博
○神田委員長 それでは速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/36
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037・小笠公韶
○小笠委員 ただいま首藤委員から動議として提出いたされました附帯決議案に対しまして、追加の動議を提出いたしたいと思うのであります。
まず首藤委員提出の附帯決議案を要望事項案といたしまして、「政府は、東北興業株式会社の事業遂行並びに運営に関し、国土総合開発の一環である東北地方の開発に、最も適当と認められる計画及び方法をもって、これを推進するよう指導監督すべきである。」、この項の次に、「今回提案の事業計画の変更を必要とする場合は、あらためて国会の承認を受けるべきである。」を追加せられたい。
本追加動議は、説明するまでもなく、本政府の提案はセメント事業計画をもって提案されたのでありますが、その内容を見ますとき、なお慎量検討する要ありと考えるのでありますが、われわれは、その点においてなお衆知を集めて、この事業の完成を期待はいたすのでありますが、もし万一われわれが合理主義の上に立って、この事業がうまくいかないという見通しがついて、他の事業に転換するような場合には、今回の国会にこの法案を持って参りましたように、あらためて国会に十分お諮りを願いたい、こういうような趣旨であります。
以上追加の動議の説明を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/37
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038・永井勝次郎
○永井委員 ただいま附帯要望害の内容について説明がありましたが、これに賛成するに当ってわが党の立場をはっきりしておかなくてはいけないと思うのであります。わが党は、東北振興という後進地域の開発については、それがセメント企業ならセメント企業そのものの採算とか企業の成立要件とかいうことだけを考えないで、全体の総合的な立場からこの必要性というものを考えていかなければならない、その意味においてセメント企業は賛成である、こう思うのであります。だからそういう見地に立って内容の検討なり実施の方法なりについて検討すべきものがあれば検討すべし、こういう趣旨であります。もしそれが非常にいけないということであるならば、やみからやみで取引するということでなくて、あらためて審議すべきものである、こういう趣旨でわれわれはこの提案されたセメント企業を実行すべきであると思っているのでありますから、これを明らかにしてただいまの要望に賛成を表しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/38
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039・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。東北興業株式会社法の一部を改正する法律案について、本委員会の意見として首藤君の提案せられました事項の次に、さらに小笠君の提案せられました第二項を加えて、これを建設委員会に申し入れるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/39
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040・神田博
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/40
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041・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいま御決定になりました要望事項につきましては、御趣意に沿いまして政府は十分今後の善処をいたすつもりでありますから、そのことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/41
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042・神田博
○神田委員長 暫時休憩いたします。
午後一時六分休憩
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午後二時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/42
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043・神田博
○神田委員長 休憩前に引き続き会議を、開きます。
この際お諮りいたします。総会燃料対策及び地下資源開発に関する小委員長より石油資源開発株式会社及び石炭鉱業製備事業団の事業運営状況等の調査のため、次回の小委員会において当該会社及び事業団の役員からそれぞれ説明を聴取いたしたいので、参考人の出頭を求められたい旨の申し出があります。小委員長の申し出の通り参考人の出頭を求むることとし、参考人の選定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/43
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044・神田博
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
前会に引き続き通商産業大臣、経済企画庁長官及び公正取引委員会、委員長の主管事項の説明に関する質疑を継続いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/44
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045・中崎敏
○中崎委員 私は通商産業行政全般に関する質疑を行いたいのでありますが、すでに予算案も衆議院を通過したことでありまするし、だいぶ時日もたっておりまして、何だかもうすでに多少ずれたような感じもあるのでございまして、勢いこの経済五カ年計画とかあるいは通産行政の基本に関するような問題を一応抜きにいたしまして、大体具体的な問題を中心にして二、三の質疑を試みたいと思います。
まず通商に関する問題についてお聞きしたいのでありますが、通産大臣はこの委員会における通産行政施政方針の演説の中において、まず今後における貿易自由化と国際競争の激化の趨勢に対処し、商社機能の強化をはかる必要があるが、これがため輸出承認品目の整理、自動輸入承認品目の拡大云々と言っておるのでありますが、この輸出承認品目の整理、自動輸入承認品目の拡大の点については大体どういうふうな方向にやろうとするのか、具体的な一つのアウトラインと申しますか、そうした大体の方向を示してもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/45
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046・石橋湛山
○石橋国務大臣 事務的にはただいま検討中でございますので、一々の品目について討議をしておる状態でございますから大体申し上げますと、方針としてはぜひ貿易自由化の大勢に順応して、AA制の思ひ切った拡大をやりたいということを方針として検討しておるのでありますが、しかし先般も何かの機会に申し上げましたように、実際にその個々のものに当ってみますといろいろの支障が実はありまして、戦時以来いわば保護統制のもとに育ってきたというのが日本の産業の現状であります。農業においても同様であります。でありますから、たとえば農産物との競合の問題あるいは国内においても機械その他におきまして、中小企業の生産品との競合の問題というのが出てくる。従って思い切って自動承認制にして、自由に外国の品物を入れるということにも、実際の国内の産業政策上急激にはやりにくい点が非常に多いのであります。それをどうして打開するかということについて今検討しております。なるべく大した故障でない限りは思い切って踏み切ってみたい、こういうのが大体の考えで、その方向へ進めておりますけれども、実際にどれほどの成果が得られますか、これは今ちょっと申し上げかねるくらいの状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/46
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047・中崎敏
○中崎委員 考え方としてAA制の思い切った拡大ということは一応あり得るかと思うのでありますけれども、実際においては今通産大臣が言われるように国内の産業そのほかあらゆる面において大きな摩擦といいますか、支障があるということもまた事実でありまして、従って私たちはAA制をいかなる程度において、いかなる範囲において拡大されるかということについて重大な関心を持っておるようなわけであります。元来AA制を拡大するということは、必要な価格において必要な物資が必要なところから輸入できるということには一応なると思うのでありますが、現在のごとく世界の貿易そのものが依然として一種の国家管理みたような形において強く行われておる状態において、やたらにAA制を振りかざして、そうしてこれを大幅に緩和するというふうな考え方は適当ではないではないかというふうに考えておるのであります。たとえば朝鮮事件勃発直後において、政府の指導方針も誤りました。民間の側においても過去の夢を追うて、そして一挙に思惑的な取引を大幅にやったところに商社の大打撃があり、さらに日本の経済にも大きな打撃を来たしたのでありますが、こうしたようにこのAA制をまた拡大するということは、やがてはまたその二の舞を演ずるようなことも考えられる。そうしてたとえばアメリカなどに対する輸出にいたしましても、日本の品物が少し輸出が盛んになりかけると、いきなりアメリカの方ではこれに制限をかけてくるというふうな状態において、政府も全くてこずっておるという実情があると思うのでありますが、アメリカさえもそういうふうな実情である。ことに日本が輸入の金額、数量等においても莫大な量に達する、しかも輸出がやや伸びかけると頭からそれを押えてかかるというふうな、こういう政策をとっておるときにおいて、いわんや他の国においてはもちろんそれ以上のものがある。今回イギリスともさらに通商協定の更改の話を進めておられると思うのでありますが、この点についてまずAA制の拡大、それから具体的にイギリスとの通商協定を進める上において、どういう関連性があるのかをあわせて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/47
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048・石橋湛山
○石橋国務大臣 中崎君の指摘された通り、今は世界の貿易が、全体として大体双務協定のような形になっておりますから、英国との関係も、特に英国へ日本品を大いに輸出しようとするのには、やはり向うのものもそのかわりに買ってやらなければならぬというようなことでありますので、たとえば英国と、そういうふうな一つ一つの国をとりますと、AA制でグローバルに、どこからでも安いところから輸入するということも困難な事情があります。従って日英貿易の関係から申しましても、大胆なAA制はとりにくいということが起る、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/48
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049・中崎敏
○中崎委員 そこで一応考え方といたしましては、いかなる場合においてAA制というものを採用するのが妥当であるかを概略申し上げますと、まず原料の輸入、しかも国内において十分に生産されないで不足しておるところの原料品の輸入は、一応AA制として考えていくのに適当なものであるのではないかというふうに考えておるのであります。さらにまた今度は製品の輸入については、原則として国内のものを使うべきであって、製品の輸入は原則として行うべきじゃない。ことにぜいたく品などの、そうして不急不要の物資などの輸入というものは、AA制でやるべきではないというふうに考えるのでありますが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/49
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050・石橋湛山
○石橋国務大臣 考えようによっては、中崎君の御指摘のような考え方も成り立つんですが、そうばかりもいかぬと思うんですね。原料にしましても、たとえばさっきのお話の国の関係で、綿花をどこから入れるか、AA制にすれば、一番安い綿花がメキシコから入ってくる、ブラジルやなんかは買えないというようなことが起るでありましょうから、そういう点からいっても、また現に国内でもって、繊維品にある程度の制限をしなければならぬというような場合に、原料を自由に入れたら、国内の生産界にも影響が起るというようなことがありますので、原料だから一がいにAA制がよろしいということも言えませんし、また製品の場合も同様だと思うのであります。ものによっては、製品でもAA制によって入れてもいいものがあるのじゃないか。大体ぜいたく品だからといって、むやみにこれを押えますと、例のバナナとか、時計というようなものと同じように、いろいろな悪影響を生じますから、場合によったらそういうものでもAA制で入れていいものがあるんじゃないかと思うので、実は今非常に複雑であります。そういうわけでありますから、一つ一つの品目について検討して、できるだけ自由化の方向へ持っていくという、まことになまぬるい行き方になってはなはだ残念でありますけれども、そういう方向で今検討しておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/50
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051・中崎敏
○中崎委員 私申しますのは、原料ならば何もかも一切無制限に、手放しに輸入しろというわけじゃない。概して、たとえば原料、加工品、製品、半製品というふうなものを一応考える場合において、ことに国内において十分に間に合わないような原料品であるならば、一応このAA制の対象としては格好なものであるのではないかということを言ったのでありまして、いろいろな制約があるから、そのほかのものでも全部AA制とするというのでありませんが、一応原料品というものは、AA制の一つのワク内に入れる対象となる格好のものではないかということを言うているのであります。
それから今度は、同じ原料物資の中においても、たとえば砂糖のごときは、これはほとんど外国から輸入を仰いでいるものでございますが、これにつきましては、この前の国会において、特定物資の輸入臨時措置法案の内容に盛られたものが提案されておったのであります。今国会におきましては、特定物資輸入臨時措置法案として提案されておりますものの中に、バナナ、パイナップルカン詰その他の品物としてあるのでありますが、どうしたことかこの砂糖の輸入に関するものは、この法案から取り除かれているようでありますが、これは一体どこにその理由、原因があるのかを明らかにしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/51
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052・石橋湛山
○石橋国務大臣 この前にも砂糖は別にしておりまして、バナナ等は特殊物資として、これは委員会の関係から申しますと、通産省の所管事項として商工委員会の御審議をわずらわしたのです。砂糖の方は、砂糖価格安定ということも含めまして、農林委員会へかかっているというようなわけでありまして、この前も取扱いが別でありました。今回は、バナナ等については前会と同様に御審議をわずらわすことにいたしておりますが、砂糖については、御承知のように関税及び消費税を課することによって、その差益を吸収して価格の調節をし、輸入の数量の調節をする、こういう方針でありますので、特別に砂糖に関する法案は提出されないことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/52
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053・中崎敏
○中崎委員 砂糖とそれからバナナ、パイナップル等は、この前の国会においては、なるほど別々の法案として出されておりました。しかしその趣旨は、ことにこの国会に出された特定物資輸入臨時措置法案の提案理由の中には、途中からでありますが、「国内における需給の不均衡が生じ、これら物資を輸入すれば通常の利益以上の利益が生じてくるのはやむを得ないと考えられるのであります。しかしながらこのような異常な利益は、外貨資金の割当によって反射的に生ずるものでありまして、この全部を関係業者に帰属させることば適当でないと考えられますので、政府としてはこの利益の一部を国庫に納付させて、これが有効な活用をはかることとし、本法案を提案いたした次第であります。」とあるのです。この趣旨からいいますと、砂糖といえどもこれに全然漏れない。全くこれと同一趣旨であるべきであるが、これが別の法案としてでも、同じような考え方の上に立って、この国会に提案される考え方があるかどうかをお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/53
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054・石橋湛山
○石橋国務大臣 今お読み上げになりました通りの趣旨のことを申し上げたつもりでありますが、砂糖につきましては、これはバナナやパイナップルのカン詰と違いまして、考えようですけれども、これは国民の生活必需品とも見られるわけです。従って、価格はなるべく安いことがむろん望ましいのであります。ただ問題は、以前には砂糖も外貨の関係から相当しぼったと思いますが、最近は必ずしも外貨の関係から砂糖の輸入をしぼるという必要もあまりないと思います。しかし、国内の例のサツマイモ、澱粉、あめ、あるいはまたテンサイ糖もあるかもしれませんが、とにかく国内の農産品との価格の問題で、砂糖があまり安くなり過ぎると、今のサツマイモ等の値段が下る、そうすると農村が非常に困るというようなところから困難性があるのであります。そこで今度はその問題は、つまり農産品との価格の調整は関税等によってこれを行う。数量についてはその農産品との価格の調整が行える限りにおいて制限はあまり置くまい、相当多量に入れられるだけ入れて、そうしてできるだけ砂糖の値段を低いところで安定させよう、こういう考えになりましたから、従ってこの前に出しました砂糖の法案、または今度も出しておりますバナナ等のように特別にひどい差益をそこに生ずる、その差益を特別の法律によって国家が吸収しなければならぬというような必要はなくなった、こう考えられますので、そこで砂糖だけは今度はこの前のような法案は出さないことにしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/54
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055・中崎敏
○中崎委員 昭和三十年度における砂糖の輸入価格差益は、おそらく七十億円見当と見込まれておったと思うのであります。言いかえますと、少数の砂糖輸入業者、これは大部分が大きな製糖会社でありまするが、これが七十億円に及ぶ膨大な利益を不当に占めるがゆえに、それに対して、それ以上にあるのですが、七十億円の範囲において国家がその差益を吸い上げるという趣旨であったのであります。ところがこの七十億円は一体どこへいったのか。さらにまた同じ趣旨からいえば、本年度においても七十億に匹敵するような砂糖業者の独占といいますか、特別の不当利得が見込まれるのは当然でありますが、それがこのままに放任されるというか、措置が講ぜられないで、全部不当に砂糖業者がまた利益をむさぼるという結果になるのを見のがすということになるのであります。この点についても、今の農産品の価格と同じ価格の振り合いを見るということは、今度の場合に限ってではない、去年の場合にもやはり考えられた上での措置だと思うのでありますが、その点についてどうも納得がいかないので、さらに説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/55
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056・石橋湛山
○石橋国務大臣 本年度七十億円と考えましたのは、砂糖に加えてバナナその他を入れまして、全部の差益を国家に吸収し得るものが大体七十億円というふうに考えたのですが、今申し上げますように、三十一年度においては農産物との価格の調整は関税によって行う。それで輸入数量はできるだけ入れるというのです。この前も御記憶のように、国会であの法案炉審議未了になりましたあと、ちょっと砂糖の価格が上りましたので、それを調節するために十万トンほど輸入をふやしましたら、たちまち暴落をして、今度暴落だといって大騒ぎをするようになった。砂糖会社としてもその結果は赤字になったというような状況を呈しました。従って輸入数量を少し調整さえすれば、今おっしゃるような砂糖によってはなはだしき不当な利益を砂糖会社あるいは輸入業者に与えるということはないと思います。それで三十一年度においては、先ほどから申し上げますように、農産物の価格との調整は関税によって行う、そしてその限りにおいて砂糖はできるだけふんだんに輸入して価格を安く安定させる、従って本年度のような差益は出てこない、出てこさせないようにするという考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/56
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057・中崎敏
○中崎委員 そのかわりに、今度は砂糖の消費税を設けた。そうして砂糖の値段を消費者に転嫁する。そうして砂糖価格の値上げになるということなんです。言いかえますと、今までは砂糖業者があまりにうまい汁を吸い過ぎておったので、これを政府の方で、これは不当利得であるから一部分を国家にとるという考え方の上に昨年法案が出された。ところが今度はどうしたか、砂糖業者の動きがあったか、それは知りませんが、そうしたような政治的な含みも多分にあると世の中で広くいわれておるのであります。そうしたような影響をもあわせて受けて、砂糖業者への利得はそのままにしておいて、そうして逆に消費税という形において大衆には転嫁をして、値段だけはやはり劣らずつり上げていっている、こういう結果になっておると思うのでありますが、その点消費税をつけてまで砂糖業者を保護しなければならぬのかどうかということをあわせて聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/57
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058・石橋湛山
○石橋国務大臣 私の知る限りにおいては砂糖会社と何らの関係もございません。消費税は決して砂糖会社に利益を与えるためのものではないので、先ほど申しますように、農産物価との関係がありますので、それを関税と消費税で調節しようというわけであります。農産物を保護するためにある程度砂糖の消費者が負担をしなければならぬということはまことに残念でありますが、これも今の場合やむを得ませんから、そこでそういうことで調節をするというだけです。これによって砂糖会社に特に便益を与えるというような考えは毛頭持っておりませんし、また消費税によっては便益を与え得ないと思うのです。そういうことだと私は了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/58
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059・中崎敏
○中崎委員 砂糖の価格はその後においてまた動いて出るようでございますし、ことに砂糖会社の株が最近になってまたまた上っている。言いかえれば、国会においてああいうことになったので、砂糖会社は不当な利益を吸い上げられるような心配がなくなったというふうなことも多分関連しておると思うのでありますが、現に三割、四割の高率の配当も続けられておるというようなわけでありまして、独占的な立場にある。こういう資本家は、国家の保護によっていわゆる輸入数量を思う存分に少数の手に独占できるという、その恩恵によって三割も四割もの高率の配当が続けられておる。こういう事態から安心感も入ったと見えて、最近において株価が相当に上っておるのでありますが、これは明らかに今回のこの措置を反映しておるものだというふうに考えておるのであります。バナナ、パイナップルのカン詰等も、こういう措置を講ぜられたために全度一部分値が上りそうな格好にある。これは不急不要なもので、なければなくても過ごせるものであるかもしれぬけれども、一面においてまた一つの嗜好品であるということも言えるのであります。こうした措置によってバナナ等が不当に高い値段で大衆に売りつけられる。ところが砂糖だけは逆に消費税という形において、砂糖業者だけの利益は残したままにおいて措置されておるというところはどうしても割り切れない。砂糖についてもバナナ、パイナップル等にしても同じような歩調で、むしろこうした特別の法律的措置をやらないでも処置ができるのではないか、それがむしろ割り切れてすっきりしていいのではないかと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/59
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060・石橋湛山
○石橋国務大臣 バナナのごときもAA制なんかで自由に入れればもっと価格も下りましょうし、また例の差益もなくなるのでありますから、できればそうもいたしたいと思って研究もしたのでありますが、しかしバナナは何といってもなくてもいいもので、ほかのものをおいてバナナをAA制にするのもいか炉であろうかというようなことから、今はまだAA制にいたしません。従ってかなり輸入数量をしぼっておりますから差益が出る。そこで先般いろいろうるさくて閉口したのです。ああいうものをしぼって曲るということは種々なる弊害が生じまして困ります。この間やむを得ず競争入札にしたというようなことからえらい値段が出てきておりますが、これはどうもしようがないのです。とにかく輸入品をしぼっておる限りは何か弊害が現われる。できるだけそういうことがないように、何もかも自由に入れられるような時期が早く来ることを通産大臣としては切望しておるのでありますが、今のお話の砂糖のごときは、繰り返して申し上げますように、全く農産物との関係、もう一つは台湾とかなんとかいう双務協定の貿易の関係も実はありますが、自由にすれば、もうキューバ糖もみんな入ってきて、台湾との貿易はなくなってしまうというような懸念もありますので、対外関係もありまして、かたがた残念ながら今のような制度をとっておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/60
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061・中崎敏
○中崎委員 どうもよくわからないのですが、たとえば、全部じゃないですけれども、バナナもパイナップルも台湾から輸入する、砂糖も台湾から輸入する、そうすると同じ双務協定の立場から言えば、同じ立場に賄いて措置すべきじゃないか。この前の国会みたように、砂糖もバナナも、法案は違うけれども、同じ趣旨のもとに特別の措置を講じて差益を国家に吸収する、ところが同じような使命を持ったものが、今回は特別な措置が別々に講ぜられるというところに割り切れない点があるのであります。今申しますように、このバナナにしても、輸入の数量についてある制限を設けると同時に、さらにその差益をまた国家で吸収するというところの、ややこしい手を二回も打つから、ますます煩雑になる。それなら砂糖についてもやはり同じようなことを二度もやったら、非常に大きな国家の収入にもなるし、大きな砂糖資本家だけに甘い汁を吸わせるということにもならぬで、すっきりしていいのではないかと思うのでありまして、勢いやめるなら両方ともやめる、やるのなら両方ともやるというような措置がいいんじゃないか、ということをお聞きしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/61
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062・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説ごもっともの点があると存じますが、たださっきから繰り返して申しますように、来年、三十一年度からは砂糖は数量の上においてはあまりしぼらないつもりなんです。できるだけ数量は入れよう、ただ農産物の価格の調整だけを関税及び消費税でやろう、こういうのが建前でありますから、バナナと違うのです。バナナやパイナップルについては、今これを自由にふんだんに入れるという時期ではまだあるまい、こういう判断から、これはやはり為替の上で相当しぼりますから、特別の差益が出る、こういうことになりまして、砂糖の方は差益が出ないはずなんです。これはやってみて、それでもやっぱり出たということが事実において——いろいろマーケットの関係がありますから、絶対にそういうものは出ないということを言い切ることが果してマーケットの上で言えるかどうかわかりませんが、まあ理論的と申しますか、私どもの見当としては、そういう特別の差益を出さない、こういうのが見当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/62
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063・中崎敏
○中崎委員 私第一に、砂糖はいわゆる国民の生活必需品とでもいうべきものと思うのでありますが、これが投機の対象に供せらるるということは非常に遺憾です。米とか塩とかいう類のものは、幸いにして国家管理のもとにおいて投機の対象に供せられていない。不幸にしてこの砂糖のみが投機の対象に供せられておる。こういうことは非常に遺憾です。従ってこの砂糖の輸入を、たとえば百万トンあるいは九十五万トン、百五万トン、いずれにしても国民の生活に必要な数量が輸入されるのは当然のことと思う。そして、これは砂糖の輸入数量を制限しておったから価格差益を吸い上げるというのじゃなしに、輸入数量というものは、やはり一応食糧として必要な範囲を策定して、そのほか多少為替の関係等も考えられないことはないでしょうけれども、一応国家の政策として十分にその数量は調整し得た。それなのにかかわらず、価格差益の法律案をこの前の国会に出したのだから、今度に限ってこれをやめるという趣旨は、どうしても私にはわかりません。ことにあの価格差益の場合においても、砂糖業者の精製の加工料、工賃というものは、適正な利潤を加えて、そして安定していくのだという考え方に立っておる。それにもかかわらず、業者がやっきの猛烈な反対をして、その業者の動きに動かされて、ああいうふうなことをされたといわれており、全く不明朗きわまるものである。天下の政治を私して、そうして一党一派のために政治が行われておるといわれても、何ら弁解の余地がないのじゃないかというふうに考えるのでありますが、そういう意味において、たといこの価格差益が出ようと出まいと——全然出ないということはありません。取引所にちゃんと相場を立てて、投機の取引の対象になっておるがゆえに、当然差益が出てくる、これは言うまでもないことである。そういう意味合いにおいて、私はむしろ一応そうした適正な利潤を、ことに生活必需品だし、食糧であるがゆえに、一応国家としてこれを適正に管理するのだ、規正するのだという考え方があっていいと思う。そういう意味においては、今の価格差益のあのやり方というものは一つの筋の通った行き方である。しかし他にも砂糖の国家管理というふうな方法もあります。いずれにしても、一歩前進をして、現在のままでないところの方法によって、明朗にしかも大衆の生活の安定を期していくのだという考え方の上に立って、もう一度この砂糖の問題が考え直されないかどうか、ということをお聞きしてみたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/63
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064・石橋湛山
○石橋国務大臣 この前の国会に砂糖についてのああいう法案を出しましたのは、過渡期の処置としまして、とにかくあのときにはまだ自由に十分に砂糖を入れ得るかどうかということに疑問がありましたので、ある程度しぼられなければならないのじゃないか、しぼるとすれば差益が出る、これは今まで通りです。それより前は、御承知の通りリンク制でもって、ある種の輸出品のカバーとして砂糖をつけておったのであります。それをやめた当座でありますから、一つの過渡期の制度としてああいうものをやろう、こういうことになりましたが、本年度の予算を編成する場合においては、もはや砂糖のようなある程度の生活必需品について、為替をわざわざしぼって輸入量を減らすという必要はないと認めましたから——これは農産物の関係がなければ、それこそAA制くらいでやってちっとも差しつかえないと思うのでありますが、まあ農産物の関係がありますから、そこまでいき得ませんけれども、しかし価格の調整を租税によっていたしました。その上は数量については必要なだけ入れる、従って差益は理論上出てこないので、昨年この前の国会で出したような法案はこれを必要としない、こういう観点から今回は出さなかったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/64
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065・中崎敏
○中崎委員 多分三十年度における砂糖の輸入予定量は、当初九十五万トンであったと思う。それが十万トン追加されて百五万トンになったと思うのであります。これで一体、砂糖の需給が十分であるという考え方の上に立って、百五万トンというものが三十年度における国民生活法上必要な砂糖の量であるというふうにお考えになっておるのかどうかをお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/65
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066・石橋湛山
○石橋国務大臣 新年度の輸入につきましては、いずれ外貨予算も編成いたしますので、そのときになお検討して砂糖の数量をきめますので、本年度においては、とにかく九十五万トンをお話のように十万トン昨年の秋ふやしました。それでまず大体需給関係は何とかやっていけるもの、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/66
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067・中崎敏
○中崎委員 もしそうだとすれば、砂糖の価格は一定でなくちゃならぬわけですが、実際においてはどんどん浮動しており、すなわちそれが依然として取引の対象となり、そうして思惑の上に立っての取引がされておるということは明らかである。言いかえると、そこに価格の差益が十分出てくる余地がある。であるから、こういうふうなものに対しては、依然として差益吸収の方法を講ぜらるべきものであるというふうに考えるのでありますが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/67
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068・石橋湛山
○石橋国務大臣 輸入量に制限をつけないとすれば、国家として、特に差益が出るものと認めてそれを吸収する特別な制度を設けるということは間違いであろうと思います。ただしかしながら、どんな商品でも、輸入量が相当安定をしており、あるいは生産量がきまっていましても、その日々月々の状況で、ある程度の価格の動きがあるということは、あらゆる商品に免れぬことであります。ただ砂糖は、どういうわけでああいうものができたのか私もよく知りませんけれども、砂糖については特別に取引所があります。今までは輸入を相当しぼって制限しておる。制限しておるああいうものに、ああいう定期取引所みたいなものがあるということは少しおかしいとも私は思っております。これは農林大臣ともしばしば話しておるのでありますが、ああいう取引所というものが果して適当であるかということは検討する余地があると考えて、実は話し合いはじておるのであります。取引所があれば、自然そこでいろいろな相場がわずかなちょっとしたことで、会社がどうしたああしたということで、動くということもありますから、あるいは取引所というものが原因で相場を動かすという力をなしておるかもしれません。これはなお検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/68
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069・加藤清二
○加藤(清)委員 それに関連して。実は今の三品市場の答弁でございますが、砂糖のように、輸入が外貨で制限されているものが三品市場に上場されているということについてはおもしろくない状態も出来るから、これは検討する余地があるというふうに解釈してよろしゅうございますか。そういう意味でおっしゃったのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/69
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070・石橋湛山
○石橋国務大臣 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/70
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071・加藤清二
○加藤(清)委員 それじゃお尋ねしますが、通産省の考え方は、この問題に対していつ変ったのでございますか。大臣が変ったから変った、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/71
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072・石橋湛山
○石橋国務大臣 いつ変ったと言われると困りますが、私はそう考えておるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/72
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073・加藤清二
○加藤(清)委員 これは大事なことですから、お尋ねするが、そうすると大臣は、任期中にそれを変えるだけの意思がありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/73
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074・石橋湛山
○石橋国務大臣 変えるか変えないかは、今まだお答えできません。しかしとにかくあそこらに一つ問題があるということだけは気づいておりますから、農林大臣ともその問題は話をしておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/74
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075・加藤清二
○加藤(清)委員 その問題点はどういうところでございますか、と申して聞かなければならぬことは、この三品市場に、制限されたる物資が、しかも生活必需物資が上場されて、その結果価格をつり上げたり、つり下げたり、資本の力によって消費者にまでも悪影響を及ぼすということについては、これは当然市場に上場されることそれ自体に誤まりがあるから、これは経済が自由になるまでは延期さるべきであるという意見を、かってその商品の取引所法がここで上程されました折に、私はこんこん言うたことを覚えておる。ところがいやそういうものではないということで、さきの大臣はこれを許し、拡大されたわけなんです。ところがもしそれを原綿や原毛にまでも適用されたならば、とんでもないことが起きますよと言うたら、いやそれには及ぼさないのだ、そうして新三品だけは原料までで、三品市場だけは原綿、原毛はやらずに、織物と糸だけにしておくのだ、こういうお話だった。ところが今あなたのおっしゃっておられますのは、原料部門です。つまり砂糖といえば、原料部門なんです。これを改革しなければならぬとお気づきになっている点は、趣旨は賛成なんであります。従って問題点があるとおっしゃるならば、どこに問題点があって、どこを改良しようとしていらっしゃるのか、その点を一つはっきりしていただきたい。そうなりますると、繊維産業ももっと安定になります。あなたが安定しようと考えていらっしゃる繊維産業が一そう安定して参りますから、ぜひ一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/75
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076・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは専門家の加藤君からいろいろお教えを請いたいのですが、とにかく輸入数量を制限して、これは率直に言いますと、ああいう市場があれば、通産大臣が相場しようと思えばできる、そういうような取引所というものはちょっとおかしいと思うのです。けれどもこれはいつできたか、私は歴史を知りません。だからしてその歴史をよく調べまして、その上で善処すべきものなら善処したい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/76
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077・中崎敏
○中崎委員 こうした問題が起りますのも、一つには砂糖が自由になっておるからです。そこで現在米は国家管理となっておるようでありますが、ことに砂糖の場合にはほとんど大部分が、九五%までが輸入であるだけに、結局これを国家で管理すること非常にやすやすとできるのではないか。ことに少数の砂糖会社のもとさえ押えておけばできるはずであります。そこでそうしたことも含めて、砂糖に関する問題をもう一度再検討していくようなお考えがあるかどうか。そうすると勢い取引所に関する問題も解決つくのではないかと思うのですが、それを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/77
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078・石橋湛山
○石橋国務大臣 御質問は、砂糖専売あたりをねらっての御質問と思いますが、今のところでは、私は専売までいくつもりはございません。今のやり方で砂糖の輸入をできるだけ自由にさえすれば、十分目的を達し得る、こう思っております。めんどうな弊害の往々にして起りがちな専売制度をとるという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/78
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079・中崎敏
○中崎委員 もしそうだとすれば、砂糖を取引所に上場する問題の可否について検討する余地がないじゃないか。言いかえれば、自由市場の品物として相当広く、多くの数量がある一般的なものを取引所の対象から禁止するとか除外するとかいうことが一体考えられるかどうか、それをもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/79
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080・石橋湛山
○石橋国務大臣 これはほんとうに商品の輸入、輸出が自由であれば、取引所というものはぜひ必要である。取引所がなければ商売ができないのでありますから、取引所は必要だと思いますが、ただ今ここでしぼっているわけじゃございませんが、何といっても砂糖というものを輸入するかしないか、どれだけの数量を入れるか、百万トンにするか、九十五万トンにするかということは、政府がきめるのでありますから、供給量が変化するものを、一方において自由な取引市場を置いて、そこで相場を立てるということは、矛盾は確かにある、こう思いますから、その矛盾については一つ検討してみる必要がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/80
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081・中崎敏
○中崎委員 先ほど大臣は、砂糖については必要な数量は輸入するんだ、ある意味において手放しの自由とは言わぬにしても、大体そういう考え方の上に立ったら、価格差益も出てこないというふうなことを説明しておられましたが、今度は政府がいろいろな意味において手かげんもするんだというようなことになってみると、何だか前後の論旨が一貫しないようであります。しかしこの問題にばかりかかっておられませんので、一応問題を残して次に進んでみたいと思うのであります。
そこで大臣は、最近においてはしょっちゅうAA制を大幅にやるやると言われるのでありますが、私たちは国内産業育成の上に立って、ことに日本経済の自立というようなことを考えておる立場からいたしますと、気になって気になってしようがないんです。もう何ですか、石橋さんがまた野放図に手放しに例の調子でやられるのじゃないかというような気持もして、国内産業育成の上に重点を持って考えておるわれわれにとっては非常に気になります。そこでAA制の問題についてもう一度聞いてみたいのでありますが、この国内の産業を育てる上において、障害となるような場合には、AA制は原則としてやらない、それはもっとも程度による、何でもかんでも全然障害がないとは言わないが、程度にもよるのでありますが、国内の産業の育成をまず大きく取り上げて、その上に立ってAA制をやるのだという考え方があるのかどうか。ことに日本の工業水準はおくれておりますから、ものによっては外国の品物、原料あるいは製品も輸入してきて、国内の同じような事業の育成をせなければならぬ。言いかえれば、引き水といいますか、それを一つの模範にして刺激材料にするような場合もあり得るし、あるいは国内において、現在の段階においては非常に値段が高過ぎる、五割も八割も十割も高い。これはどうしてもある期間はこれを輸入しなければ全般に影響があるということならば別だけれども、そうでないのに、ただ外国の品物はある程度安いからどんどんAA制で輸入させるとか、あるいは国内産業にはあまり重点を置かないで、どんどんAA制でやるのだというふうなことを考えられると非常に困る。そこで原則として、国内において育てておる産業の製品については、AA制をやる場合に、そこに大きな制約というか考え方を十分に置いてもらう必要があるということを私は言わんがために先ほどああいうことを前置きしたのでありますが、この点についてのお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/81
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082・石橋湛山
○石橋国務大臣 むろん国内産業の育成ということは大きな眼目でありますから、これをはずすわけにはいきません。しかし国内産業の育成ということはそう単純なことではないと私は思います。というのは、何でも温室に入れておくような育て方は、ほんとうの国内産業の育成になりませんから、そういう意味においては、ある程度思い切った輸入をすることも必要であるし、また一面からいえば、国内産業の育成のためには輸出をどうしてもする必要がある。それをするのにはどうしても輸入をしなければならない。たとえば先ほどお話の日英の関係にいたしましても、日本の生産品を大いに輸出したいと思うなら、やはり英国の品物も入れてやらなければならない。ところが英国の品物は、非常に広いスターリング地域となりますと原料品も相当ありますが、しかしやはりイングランドということになりますと、実際においては日本の国内産業と相当衝突するものが大部内なんです。毛織物、機械、自動車というようなもので、まことに処置に困っておるわけでありますが、しかしそれでも何とか入れられるだけのものは入れるように努力しなければならない。そうしないと日本の産業がほんとに伸びないと思います。そういうようなことで、これは理論的に割り切れば簡単に割り切れるかもしれませんが、実際問題としては割り切れない問題が至るところに生じますので、これは一つ大きな観点から日本の産業を育成するという立場をとりまして、できるだけ輸出入は自由にするという方向をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/82
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083・中崎敏
○中崎委員 今輸出を盛んにするためには輸入をしなければならないということはわかっております。ところが製品を輸入してきて製品を輸出してもしようがない。言いかえますと輸入ということは、輸出する品物を作るに必要な原料の輸入が主たるものである。だから私が言うように、原料の輸入については原則的にある程度AA制を認めてもよいのであるが、しかし製品の輸入は困る。国内において中小企業などがしきりに一生懸命やっておるのにそういうものをどんどん圧迫して、安いから、特別にもうかるからというので外国の製品をどんどんAA制で入れられては困る、それを言っておるのです。そこで今私が言うように、輸出のために輸入をする場合は、主として原料もしくは輸出のための半製品ということにして、それにさらに国内においてある部分の加工をするというふう血程度のものが原則になるのではないか、こういうことを聞いておるのでありますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/83
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084・石橋湛山
○石橋国務大臣 一応ごもっともな説と思います。原料、半製品の輸入はできるだけふんだんに自由にする、これだってなかなか衝突がありますが、できるだけやるということはその通りと思います。しかし製品でもそうでもないと思います。たとえば機械にしても、外国から機械が入ってくる、日本の機械も出る、こういうことになると思います。だから機械は日本で全部作るのだ、外国の機械は入れないのだというふうに考えられる必要はないと思います。ですから同じ紡績機械が向うから入るかもしれない、こっちからも出るかもしれないというような状況になるのが私は理想的だと思います。そこまで日本の産業の基礎がかたくなって初めて日本の産業というものは育成されたと言えるのであって、ただこういうように障壁を設けてそうして保護したのでは結局いけないと思います。ただそこまで持っていくのに、急激なことをやれば非常な波乱が生じますから、急激なことのできないところに実際の政治としての悩みがあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/84
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085・中崎敏
○中崎委員 今の日本の産業経済のあり方でありますが、言いかえれば日本というものは、いわゆる仲介貿易などとして介在する余地は非常に少いのではないか。従いましてこれだけ多い人口で資源の少い国を充実して、何とかしてやっていこうと思えば、やはり国内におけるところの加工業を中心にやっていかなければならぬと思う。ですから製品というものは原則的には国内において育成するのが基本である。たとえば機械の輸入についても、技術水準が低くてどうしても日本の機械では間に合わないということであれば、何もかも一つも輸入してはいけないというのではないけれども、ややこれで間に合うのだ、もう一息入れてやったら間に合うのだというのであれば、むしろそういうものを助長すべきである。それをどんどん輸入してやれば、勢い育ちかかったところの工業もつぶれてしまうのではないか、こういうことを言うのでありまして、輸出も大事であるけれども、まず国内の産業を育てて、そしてそれが健全に伸びていったところにさらに輸出の余力もできてくるのだ。こういう考え方の土に立ってAA制の拡大などを手放しに考えられては困るのだということでありますからして、この趣旨を一つ了承願いたいと思います。
次に原料の輸入の場合におきましても、ことにAA制によって輸入する場合においては、同時に国内における中小企業者の立場をもあわせて考えてもらわなければいけないのではないか。たとえば牛脂でありますが、牛脂の輸入についてこれをAA制にするとかしないとかいうふうなことも問題になっておるようであります。ところが御承知のように、牛脂というものは主として石けん原料に使われるのでありまして、現在日本においては中小の石けん業者を入れると三百数十くらいあるのではないかと思うのであります。
〔委員長退席、小笠委員長代理着席〕
ところが一ぺんにAA制にされることになると、大きい石けん屋さんだけがどんどんのさばって、しかもそれだけ中小の人たちがだんだん圧迫されるというようなことになるおそれがある。そこでこうした中小の石けん屋さんは、たとえば協同組合というふうな方法などをもって指導して、そういうものが健全にやっていけるような態勢を作りながらAA制に移行していくのだというようなことがあわせ考えられて、これが中小企業対策にもなり、また油脂行政全般の一応の使命を果すことになるのではないかと思うのであります。この点について牛脂に対する当局の考え方並びに最近の動きを一つお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/85
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086・吉岡千代三
○吉岡政府委員 結論的に申しますと、ただいま御指摘になりましたような趣旨において、今後逐次AA制を実施いたしましても差しつかえないような時期のできるだけ早くなるようにということで通商局とも打ち合せをしております。大体ただいまの見通しでは、まず一年くらいはいろいろそのための準備が必要じゃないか、こういうことで、業界の方もその趣旨は了承されているように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/86
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087・中崎敏
○中崎委員 ここ一年間にできるだけこれら中小企業者の資金面における隘路、そのほか技術指導、設備の近代化等についても指導されて、これら中小業者たちがとにかく曲りなりにも安定したベースにおいて今後業を営まれるように一つ最善の配慮をお願いしたいと思うのであります。
次に商社の育成についてでありますが、自民党内閣並びに政党の動きにつれて漸次最近大資本家的な形態が強く現われているようであります。そこでそういうような商社が大きくなればなるだけ中小のたくさんの人間が圧倒されてしまう、これは明らかな事実でありますか、ことに国際貿易の場合においては、一つの信用のある商社があることが一面において必要であると思うのでありますが、一面においてそれだけ中小企業的な立場を持つ多数の人たちが犠牲にされるおそれがあると思うのです。そこで最近における実情を見ますと、これら商社の資産の内容も、朝鮮事変当時の大きな打撃から立ち直って、相当に充実してきておるようでありますし、勢いまた大きな商社の統合、いわゆる経済力集中排除法等の廃止によって、財閥的なものあるいはこれに準ずるような大きな資本家的な業者が増してきておるようであります。これにあまりに国家の保護が強過ぎて、これがあまりに独占的な強い形になっていくこともまた考慮しなければならぬ問題だと思うのでありますが、この点について政府の方に、最近における一般の傾向並びに将来の方針についてお聞きしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/87
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088・石橋湛山
○石橋国務大臣 中崎君の御質問の中にありましたように、貿易についての商社は相当信用があり資力がある必要がありまして、あまりに小さな商社がたくさん出て、至るところで過当競争に陥るということは、これは国家全体のためにとらないところだと思います。しかし、そうかといって中小の商社を無軌道につぶしてしまうというような方針はむろんとれませんから、そこでこれらの商社は、十分太刀打ちができるように、できるだけ統合するとかいうような方法でやってほしい、こう思うのであります。中小業者を救うという点はごもっともですが、そうかといってこれをただむやみに救って、それで結果がいいかというと、これは共倒れになってしまうということであります。その辺実際問題として非常に取り扱いのむずかしいところでありますが、できるだけ適当な指導をして、中小をも生かしながらしかも貿易上に支障を起さないように、こういうことを念願しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/88
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089・中崎敏
○中崎委員 私の言わんとするところは、政府の方で大商社の大きくなることを急ぐの余り、またそういうものの利益を一方的にはかられるの余りに、その余波を食ってといいますか、勢いのおもむくところ、中小企業的な人たちが犠牲にされることが非常に多い。そういう意味において、政策的にもこの点は十分に配慮してもらいたい。たとえば輸入物資の割当等についても、輸入してもうかるだけ、やはり輸入が潤沢にやれない。勢い大きな商社的な立場を持っている人があの手この手で強力に食い込んでいって、多数の割当を取っていく。ところが中小企業的な立場のものは、政治力も弱ければ経済力、信用力も薄い。勢いそのそでの下にしかれてしまうというような形になってきて、その犠牲がだんだんはなはだしくなるのではないかと私は心配しておる。中小企業の輸出入については一段と配慮を払うとともに、さらに物資の割当等についても、組合強化の上に立って、たとえばしっかりした組合の体系が整えばこの範囲の割当ができるのだ、さらにこの範囲において引き上げてやれるのだというふうな行政指導をやられる必要があると思うのでありますが、これらの点についてどういうふうにお考えになるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/89
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090・板垣修
○板垣政府委員 ただいまのお話の中で、政府側が大商社に特別の利益を与えているというような点、それは全く誤解でありますから申し上げたいと思います。むしろ今は、ことに輸入の割当などにつきましては、あまりに公平にやり過ぎているという点について問題があるわけでありまして、そのために何百とある商社に過去の実績によって均分して割り当てております。従って、わずか数千万円、数量で言いますと二トン、三トンという割当まであまりに細分化されているという点に実は問題があるのでありまして、割当につきまして政府が特に特別のフェーバーを大商社に与えるということはございません。ただ問題は、大商社はどうしても過去の輸出入実績が多うございます。従って、均分で割り当てをする場合多いということはありますけれども、特別に大商社が中小商社よりたくさんもらっているという事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/90
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091・加藤清二
○加藤(清)委員 関連。まことに奇妙な御答弁を承わるものでございます。実は大を生かして小を殺すという答弁がなされれば、なるほどあなたのおやりになっていることはその通りでございます、とこういうふうに私は黙って引き下ろうと思ったのですが、いや、そうではなくして、むしろ中小を助け過ぎておって大の方を助けていないとおっしゃるならば、私はここで、まことにおそれ入りますが、反論を具体的にいたさなければならぬのでございます。まず第一番に、先ほど大臣もおっしゃいましたように、商社の一番大事なものは信用力でございます。外国の政府なりあるいはバイヤーなりエージェントなりから受ける日本商社の信用度、これが問題でございます。おそれ多い話でございますが、大臣さん、こっち見て下さい。これは大事な話ですから……。ついせんだってのことに、あなたたちは外貨の保有を商社にお認めになったはずでございます。一体外貨の保有を中小にお与えになりましたか。すべてこれ二社、五綿、先般の七社だけではありませんか。これはやがてどういう結末を生ずるかといえば、受け取った商社は、おれらは政府から公認されているのだ、こういう材料に使います。また外国から買い付けに来て曲るバイヤー、エージェント、あるいは出先における支店等で、買付に来た相手方の買い手は、あなたのところは政府から認められたればこそ外貨をいただいたんである、だからあなたはよろしい、こう言うでしょう。ところが、もらった商社が多いかもらわない商社が多いかというと、はなはだ失礼ながらもらわない商社の方が多いのでございます。それで、出先においても内地においても、これが目下商社のもらわなかったところにとっての頭痛の種であり、もらったところにとってはまるでこれはカモがネギを背負ってきたようなもので、大黒様がえびす様を連れて来られたようなもので、まことにけっこうな策であると喜んでいるわけである。こういうことをしておきながら、大臣はただいま中小の商社を生かすと、こうおっしゃった。そういうことであるならば、私はここで具体策を承わりたい。中小商社をどのように生かす具体策を立てていらっしやるか。ちょうどただいまアメリカのジョンストンが来ておられます。日本にアメリカの映画をたくさん買わしたいがためでございます。さるところでパーティーが行われたことも私は聞いております。やはりここで自国の映画の宣伝をなさっていらっしゃるようでございます。しかしながら、この映画を購入する権限、これは一体いかようになっているかと調べてみますと、この割当がまた大きいところはどんどんふえるようにできているが、小さいところはますますジリ貧になるような方式がちゃんととられている。この問題はいずれあとで審議するということになっておりますので、その折に私は詳細にデータを持って臨むつもりでございますが、時間を与えられさえすれば私今ここでもやります。暗誦しておるのですから。またこういう調子で、その他の割当にしてもすべてがこうなんです。もう一つ言いましょうか。この間うち私が大臣にお尋ねしておるトルコ問題はいかがでございます。あれは小さいのにお許しになりましたか。大きい商社だけが金比羅で七社会談をやって、それだけにお許しになっていらっしゃるでしょう。一体具体策はと尋ねられたら、大きいものは生かすが小さいものはジリ貧に追い込んでいくのだ、まさか大臣はそんな気持はなかったでしょうが、結果としてそうなっておる。そういう数字が現われるような割当方式があちらにもこちらにもとられておる。この具体的事実をもってしても、なおあえて大臣は、いやそうじゃないと抗弁ができますか。できるならばいかに中小を育てようとしておるか、いやいるかでなくしていかに育てあげてきたか、将来またどのようにこれを育てようとしていらっしゃるのか、その具体策をはっきりとここに明示していただきたいものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/91
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092・石橋湛山
○石橋国務大臣 中小企業というものは、商社だけじゃございませんが、政府だけの力でこれを育てるとかなんとかいうのでなくて、中小商社みずからがみずから助けるということをやっていただかなければいけないと思うのです。この間の外貨割当も決して無理なことをしておるとは思いませんが、そうかといって何百という商社に全部外貨をやるというところまで今来ておりません。この間の割当でも、一社当りの割当が非常に少いのです。まだまだあんなことではいけないと思う。もっと自由に外貨を持たせるようにしたいと考えます。これはすぐにことしからやるわけにいきません。いろいろな事情でいきませんので、第一段としてあの程度にとめたのです。中にはあれをテコにして商社の整理をすればいいというような議論も、世の中にないではないのです。しかしながらわれわれはそれをとりませんで、とにかく年に一千万ドル以上の取引高があって、それから海外に支店とか出張所を持っているというような一つの標準声作りまして——それはそれだけの努力を今までしておるのですから、そういうものには外貨の保有を認める、従って今のそれ以下の人でも、取引高が一千万ドルなら一千万ドルの人でも、線に入ればいつでも保有を認める、かように考えております。それ以外にはやりようがないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/92
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093・加藤清二
○加藤(清)委員 過去の割当方式が全部そういうふうになって、あとは与えるといっても四捨五入方式で削ってしまったり、あるいは全然ゼロにしたりなさるものだから、大きい方はますます大きくなり、小さい方はますます小さくなって、この結果は期せずして、あなたの思考せざるとせざらんとは別問題として、結局小さいものを圧迫する結果が生じてきておる、こういうことなんです。そこであなたがほんとうに中小を生かすとおっしゃるならば、具体策を承わりたいと言うたら、はしなくも大商社に外貨を保有させる基準だけをお答えになったようでございまするが、そのお答えは裏を返せばそれは大を生かして小を圧迫する、こういう答えなんです。事実なんです。うそだとお思いなさったら証人をここへ喚問して答えさせてごらんなさい。ちゃんとそう答えます。だから、それでは大臣がいつも言うところの中小を生かすとかあるいはお宅の方の党の選挙の公約であるところの、中小企業を指導育成助長しますという言葉とは違う結果が生じてきておるでしょう。だからそれではいけないでしょう、当初はそんな気持じゃなかったでしょう、また投票した人もそんな気持じゃないはずです。だからここではっきりと具体策を示していただきたい、こういうのが私の希望なんですが、具体策が出ますか出ませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/93
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094・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは中小規模の企業者に適当な仕事とそうでないものとがあると思います。中小企業者は中小企業者として経済的に十分成り立つような仕事をやっていただかなければならぬ。そういう貿易において年に一千万ドルの取引きも今までないというような商社が、お話のように数から言えば非常にたくさんある。それを全部許して、そうしてそれがみんな競争に出ていいとも、おそらく加藤君は言われないだろうと思います。ですからそれはどこかに線を引くことはやはりやむを得ない。どこかに線を引くときに、そこにある程度の無理も起ります。けれども必ずしも中小企業者が貿易に従事しなければならないというのではないと私は思う。ですからそれはそれで一つ生きる道を探していただかなければならぬし、また政府としてもいろいろの——御承知のように工業方面等においては、大して大きなものではないと言われれば言われるが、ある程度の助成策もやっております。ですから決して中小企業者をわれわれは見殺しにするとか、あるいはその育成を閑却しているというのではなくて、できるだけのことはしているつもりであります。しかしあらゆる面のあらゆるところに出てくる中小業者を現にあるままの姿でこれをすべて何とかしろ、こう言われても、これはおそらくどなたがおやりになってもできないだろうと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/94
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095・加藤清二
○加藤(清)委員 関連でございますからもうこれでやめますが、そうすると大臣の答えでは、事貿易に関する限りは中小は助けることができない、具体策はない、こういうお答えでございますか。
それともう一点は、中小といえども私は貿易の場合に大きな貢献をしておるという事実をここで申し上げてみたいと思うのです。貿易でも何でもそうですが、大きくなったら何でもできるというふうに考えたらとんでもない間違いなんです。そういう誤解をしている人がたくさんあるようでございまするが、それは具体的事実を知らざる一般論であってとんでもない大間違いを犯している。たとえば去年アメリカへ綿製品が伸びた伸びたとこういう。あの伸びたブラウスは一体だれが作っておる、だれが輸出したのです。これは中小企業の仕事なんです。中小企業でやったからああいう仕事ができた。もしあれが中小企業の手先の仕事でなくて、コンスタントにさっとできるものであったならば、アメリカと競争はできないはずなんです。オートメーションでできるものだったら絶対にできない。日本の中小企業が手先の仕事の人たちの技術をうまくより集めて輸出してこそ初めて輸出が振興できる。これが逆にできなかったおかげで東南アジアの綿の輸出は、去年二億スクエア・ヤール減ったじゃないですか。なぜ減ったか、これは国の規制と商社の規制があったからです。どうして大きいやつだけ生かして小さいやつにやらせぬとそういう結果が生ずるか、すなわち東南アジア諸国ではロットが小さいんだ、注文の量が小さいんだ、それからまた柄物が多いんだ。柄物でない無地の三桃級だったら工場でどっと作って大きな商社に委託してどうんと輸出したらいいでしょう。ところが柄物はあなたのネクタイと同じなんです。大きな工場でできるものじゃない。小さい工場で小さい人数の人が、一生懸命に技術を加えたその生地が売れていくのだ。これとコネクションのあるのは大きな商社じゃない。小さい工場であり小さい商社なんだ。これが苦心さんたんして輸出の道を開いたればこそ、終戦後ああいう状態におきながらなお繊維の輸出は綿において十三億スクエア・ヤールも伸びていったんです。ここをあなたは考えてもらわなければ困る。こういう功績が下積みにされてしまって、輸出が上った実績は大商社の功績であるかのごとく考えられたらとんでもない大間違いだ、特に小さければこそ専門にその仕事をやっておるという商社もあるわけです。陶器のごときはみなそうなんです。大きな商社がそれを扱いますか、そうやって出た黒字が累積され、累積されて、ことしは黒字超過ということになってきた。大きな商社のやっていることは何ですか。先ほど同僚中崎さんの言われたように、大量に買い込んでどんともうかる砂糖だとかバナナとか、そういうものだけを扱っているじゃないですか。黒字をかせいだものは一体何であるかを一度分析してデータを出してもらいたい。そうすればあなたの考え方が違いであるということがはっきりしてくる。私は何もうそを言っているのじゃないのです。具体的事実をつかみ、その具体的事実の中に坤吟している方々の代弁をここでやっているだけの話なんです。大臣のこれに対する所信、それから将来これを一体殺すか生かすか、一言でよろしい、殺すか生かすか、はっきりお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/95
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096・石橋湛山
○石橋国務大臣 加藤君のお話、今のブラウスを作ったりなとしている人たちが中小企業者であるということは、私もよく知っております。また日本の輸出品の非常に大きな部分がいわゆる中小企業者、むしろ零細企業者によって作られているということは、これは事実でありますから、むろん間違いのないことであります。これらの人の活動があるから日本の輸出も伸びるということも、これは間違いがありません。それから場合によっては、小規模の商社がいわゆる専門店的にやはり信用を得て海外へ出ておるということもあります。けれども、これは専門店的の商社でありましよう。ですから、これが総合商社というような形で、商社が、それも少数ならいいですけれども、非常に多数の商社がむやみに海外へ出ていくということは、必ずしもそれらの人のためにも利益にならないし、全体としても利益にならない。従ってこういうものを救うには、ある程度輸出入組合法なども、そういう中小規模の商社が共同をして輸出入の業務を営む場合には役に立とうと思うのでありますけれども、とにかくそれらはそれらとして、やっていくならいくような仕組みをぜひ作らなければならぬと思うのでありますが、現在においては、貿易関係の中小規模の非常に多数の商社をどうして維持していくかという、実は十分なる方策が講ぜられてないことは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/96
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097・中崎敏
○中崎委員 いろいろ問題はたくさんあるわけでございますけれども、時間の関係で先を急ぎますが、一、二もう少し聞いておきたいのであります。
まず、外貨割当等について、これは国家の規制を受けている。これについては、最も適正を得ないというと幾多の問題も起るし、国民経済の士に立っても障害もあると思うのです。そこで、割当の適正を期するという上に立って、まず実績主義というものがある一面においては妥当であるし、一面においては妥当でないと思いますが、そうした問題について、今後一体どういう方針で取り組んでいくかということを一つ考えてもらわないと、非常に重要な問題の解決にならぬと思う。そこで、これはただ外貨の割当だけに限られませんが、さらに輸出入貿易全体を通してもう少し強力な機構を作って、そうして最も適正に、公正にこれが扱われるような処置を一つ講ずべきだと思いますが、その機構の上について何らか一歩前進するような考え方を一体持っておられるかどうかを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/97
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098・石橋湛山
○石橋国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がはっきりしませんので、失礼ですけれどももう一度お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/98
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099・中崎敏
○中崎委員 さらに具体的に言いますと、たとえばこの輸入物資の割当等についても、一つのたとえば審議会とかいうふうな機関を設けて、適正にこれを割当するようなことが必要であるのじゃないか。さらにはまた、各省間のつながりをとる上において、ただばらばらに、下っぱといってはおかしいですが、事務官程度の連絡だけでなしに、もう少し基本的な、各省に通ずるような問題を検討する上に、何らかのそうした機構を作って、そうしてこれが有機的に動くような、そういう体制を作るように、さらに強化するような考え方があるかどうかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/99
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100・石橋湛山
○石橋国務大臣 輸入外貨の割当等につきましては、御承知のように、今までもこれは実際設備だけで割り当てるということは、ある意味において合理的でありますが、また非常な弊害がある。そこで最近においては、それと商社割当と両方で調整していこうというような方法で、設備だけでなく一般的にある部分商社割当をいたしまして、だれでもその商社から必要な原料なり何なりが入手できるというような方法を講じて、なるべく弊害の少いように努力いたしております。
なお、全体の貿易についての少し基本的な問題の各省の連絡というようなものについては、今度の行政機構改革の中で考えられておるようでありますから、その報告を待ちましてなお一つ考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/100
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101・中崎敏
○中崎委員 商社割当などということは非常にやっかいな問題でありまして、また工場ごとの設備割当についても、一々適正にそれぞれの工場に行って調査することはなかなかできるものじゃないでしょうから、これもなかなかむずかしいのですが、しかしその割当を誤れば幾多問題が新しく発生する。たとえば最近といいますか、この近いうちに新聞などに出ておるのを見ても、相当この割当も問題をはらんで、幾多の疑獄、汚職の問題が生まれておる。これは官庁機構全体を通じて、概して必ずしも腐敗、涜職がないとは言いませんけれども、やはり一番こうした利害の伴う実体を持ったところにこうした問題が起りやすい。従って適正を期して、一面産業経済の上に立って妥当な行政を行うと同時に、一面において汚職、涜職の源泉であるところのこうした機構にある程度のメスを入れるといいますか、適正にこれを運用するような、そういう体制が一面においてとらるべきじゃないか。そういう意味において、たとえば国の予算というものは一切国会を通じて、そうして審議の対象になっておるのだが、外貨予算、輸出入の物資等のものについてはほとんどこうした問題が組織的に、計画的に取り上げられていない。こうしたようなものについても、大まかな点についてもう一歩国会においてこうした問題と取っ組むというような、こういう考え方もあっていいのじゃないか。そういう意味合いにおいて、まずこの機構の拡充強化ということが必要であるというふうに考えておるのだが、この点についてもう一度お尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/101
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102・石橋湛山
○石橋国務大臣 割当制度というものはいずれにしましてもまたやっかいなものであり、どうもうまくいかないものなんです。だから、なるべく割当制度というものは必要ないような世の中に早くしたいものだと考えておる。ところが、そうすると先ほど中崎さんからお話があったように、国内産業をどうするというようなことから、まさにジレンマに陥っているわけであります。
外貨予算の話がありましたが、これはこの前も、昨年でありましたか一昨年でありましたか、そういうお話がありましたが、これは外貨予算は、本年度のある時期なりにどれだけの砂糖を入れる、どれだけの鉄を入れる、どれだけの何を入れるというような大まかなワクを作るのであります。これは国会の審議にかけろというお話が前にありましたが、そうするとどうも日本がことし何を幾ら買うんだということを、全く手のうちを世の中へ示しておいて商売をすることになりますので、これはどうも考えものだと思うのです。(「全部向うに筒抜けに知れているよ」と呼ぶ者あり)まあそれはそうでしょうけれども、しかしながら、いくら押えたってそれがおのずからどこかで漏れるといえば漏れるけれども、国会の審議にかかって国会の議事録に出るのとはまた違うと思うのであります。ですから、これは公正とか明朗とかいう点からいえば何もかも国会へ持ち出すのがいいと思いますけれども、商売のことでありますから、どうもそう簡単に国会に持ち出して御審議をわずらわすというところまでなかなか私としては踏み切り得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/102
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103・中崎敏
○中崎委員 一々こまかく国会で審議しろと私は言っておりません。しかし大体大まかな線においてもう少し基本的な、さらにまた大きな線が——一体国の、ただ二十四億がどうとか、いや二十億がどうとかいうふうなことでなしに、もう少し突っ込んだある程度のことがわかってもいいのじゃないかと思うわけであります。ことに今砂糖の問題がありましたけれども、たとえば日本において一カ年間百万トンの砂糖の輸入を必要とするというのは常識です。これがたとい外国に発表になろうと、砂糖の値段がそう上ったり下ったりするとは考えられません。また大部分の物資が長い間の統計を通じて、大体において各国それぞれ専門的な立場で検討しておるのでありますから、それはもう国会において審議するせぬにかかわらず明らかになることだと私は思う。従ってそれは大きな問題にならぬので、もう少し別個に何らかの理由があって——ほんとうに国会で審議せよというのじゃないのですが、ある程度のことは国会に知らしてもいいのじゃないかということを言うたわけなのであります。いずれにしましてもこの問題は、もう少し機構そのものをさらに充実強化されて、そして公正に適正にやられることが必要であるということだけは曲げないということを主張いたしておきます。
次に電気のことについてお尋ねしたいのであります。言うまでもなく電気は独占的な事業として国の産業の上においてもきわめて重大なウェートを持つのでありますし、またその政策いかんというものは国民生活の上にも直接大きなところの影響力を持つものであります。そこでまず電気料金の問題についてでありますが、これはこの三月をもって終るところの料金の制度が四月一日から改正されるといいますか、何らか新しい方向で考えられなければならない段階に立ち至っておるということは、これは国会の論議を通しても明らかであるのであります。そこで三割頭打ちとかなんとかいうふうなことで、一応昨年度はきまったのでありますが、さらにあのときには、税金並びに金利等もあわせて考えて、料金値下げの方向にいくのだということを、前通産大臣からもこの国会において言明されておったのであります。そこで最近になりますと逆にやや物価が少し上っていくのではないかというふうな心配も持つようになったのでありますが、そういうやさきにおいて、逆に私たちは昨年の公約に従って、少くとも国民生活の上に大きな影響のある電気料の値下げについて大きな期待をしておるのだが、一体これは今どういう状況にあるのかをお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/103
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104・石橋湛山
○石橋国務大臣 電気料金は下げたいことは山々でございますが、まだどうも電気料金改訂の時期に、いろいろの関係からなっておりませんので、とりあえず今回は今日のままを継続するつもりでおります。少しも変えずに継続したい、かように考えて陥ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/104
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105・中崎敏
○中崎委員 そうすると国会において政府から言明された電気料の値下げの方向にいくのだということと違うのであります、従って努力の足りない点があると思うのでありますが、そういうことの責任を私たちは明らかにしてもらいたい。と同時にどこにそういう問題の隘路があるか、あわせて一つ御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/105
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106・石橋湛山
○石橋国務大臣 こまかいことはいずれ当局から御説明申し上げてもよろしいと思いますが、私大ざっぱなお答えをいたしますと、今御承知のようにまだ電力開発の途中でありまして、これからなお開発のために相当の国家資金をつぎ込まなければならぬというような状況にございますので、この際電力料金を改訂する——むろん絶対に上げさせないつもりでおりますが、ここで各会社に多少の余裕ができたからといって、その余裕によって電力料金を下げるのはまだ時期尚早だ、もう少し様子を見たい、かように考えておりますから、下げたいという意思は変えておりません、変えておりませんけれども、現状においてはまだ下げるというところまでいかない、今の料金をそのまま維持して安定さしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/106
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107・中崎敏
○中崎委員 言うまでもなく電気は独占事業であると同時に公益事業なのであります。あるいは租税措置の点からいうても、さらに膨大なる国家資金をこれに投じておる点から見ても、さらに金利などの点から見ても、さらに事業に競合を許さないという立場からいうても、莫大なるところの国家的な恩恵に浴しておるところの事業であります。しかも国民大衆の生活並びに国の経済の上に大きな影響のある電気料、電力料等の問題であります。そうしたような、このいわば世襲的な独占的な事業が一割二分の配当をやっておるようでありますが、これは現在の段階では少し高過ぎるのじゃないか。かつては八分の配当を継続しておったような時代もありました。一時金融調達が非常に困難で、しかも開発にどんどん金が必要である、こういう段階のときにはまだしも考えられぬことではありませんが、最近におけるところの金融情勢、ことに今後の見通しの上に立ったところの金融情勢から見て、一割二分の配当は高いので、これをさらに圧縮して料金引き下げの方向に進むべきではないか。ことに昨年度においては未曽有の水に恵まれた状況等もあって、相当大きなところの利益金が蓄積されておる。おまけにあらゆる租税措置等によって、これらの独占的事業が相当大きな蓄積を残しておるという状態になっておる今こそ、この料金の引き下げをして、そして真に国の経済の健全な方向と同時に大衆の生活の向上に努力すべき時期であるというふうに考えておるのでありますが、この点についての御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/107
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108・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいまの見通しによりますと、先ほども申し上げましたが、電力の需用はまだまだ急激に増加する見込みでございます。従ってここで電力の開発を油断することがどうしてもできないのであります。でありますから、各会社ともお話のように幸いに最近水の関係がよかった等のことから蓄積ができましたが、しかしその蓄積は決して社外には分散させないのでありまして、すべてこれは償却に充て、従って新建設の資金として使っておるのであります。それから株式の配当一割二分が多いかどうか、今後もう少し日本全体の金利が下りますればまた様子が違ってくると思いますが、現状においては一割二分くらい配当しなければ、たとえば増資をするということに対して困難がまだあろうと思いますし、急激に今までの配当を変えろということも事業の運営上いかがかと思いますから、やはりもう少し様子を見たい。全体の電力の問題についてはずいぶん長いこと検討しておるのでありますが、いろいろまだ不安の要素が多いものですから、これをもう少し見きわめまして全体の料金あるいは配当その他の問題を決定したい、かように考えて鋭意——決して油断はしておりませんで、常に検討を加えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/108
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109・中崎敏
○中崎委員 最近における電力会社の発行しておる社債などの様子を見ましても、売れ行きが活発で、ほとんど発行した日に売り切れるというくらいに非常に売れ行きがいい。言いかえれば金利の基調も非常に下ってきているし、先の見通しもそうであるし、従ってまたさらに社債などの金利を下げても十分に売れるし、そしてまた銀行の借り入れ等についても金利の引き下げ等があって、電力会社の資産の内容、収益の内容も十分に好転するし、同時にそれとあわせて一部ある意味における金利とでもいうべき配当金についても、それ相応の引き下げをすることは当然の成り行きだと思うのでありますが、これは大体この年内においてこれから一期、また次の期の見通しになるのでありますが、そういう時期までに何らかの配慮を払うだけの考え方があるかどうかを開きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/109
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110・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は金融及び金利の前途については大体楽観をしておりますが、これは私の個人的見解であります。今どうして日本の金融がこういうふうにゆるいかというと、これは本年の輸出が思いのほかに伸びまして、その輸出の身がわりの円が国内に流れ出ておる。日本銀行の貸し出しが減ったというのも、その身がわりは何であったかというと大体貿易の金であります。日本銀行が今持っておる外貨、一年間に——本日の数字は知りませんが、ついこの間ちょっと見ましたところでは、千七百億円ぐらいは日本銀行が外貨を保有しておる。これは輸出の身がわりであります。そのほかに外貨証券の手持ちがある。そういうことで通貨がとにかく二千億円以上日本銀行から出た。それが日本銀行の今までの貸し出しに舞い戻ったということで金融の緩和を来たしておると思うのであります。これはなお私は続くと思っておりますし、なお続かせたいと思っておりますが、これは世間で言いますように、本年度の輸出が果してどうなるかということに対して、相当疑惑を抱いている人もありますから、やはりもう少し様子を見ないと、この金融の状況が果してこのまま続くかどうかということもなかなか言い切れないのであります。今は過渡期でありますから、もう少し猶予をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/110
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111・中崎敏
○中崎委員 それは一応お預けといたしまして、電気については莫大な国家資金などが投入されておるのであります。現に開銀の三十年九月末の融資だけでも千八百五十一億円の膨大な額に上っておるのであります。ところで都市ガスの事業に対しましては、二十九年の十二月末における残高たった七億五千万円、これはなるほどスケールなども違うのでありますけれども、ことに私たちは木材合理化の角度からできるだけ木材資源を節約して、そうしてガスによってこれをかえていくべきであるという考え方の上に立って、国会においても商工委員会においては小委員会を設けて、熱心にその方策に努力を払っておるのであります。これは閣議においてもこの方針が数回にわたって決定されておるというような状態であります。それにもかかわらず、ただ七億五千万円程度のスズメの涙のようなこの政府融資ではとても追いつかないと思うのでありますが、これに対してはどうしてまま子扱いをするのか。そのほか開銀の金だけでなしに、いろいろな法人税あるいは固定資産税などの点についても言えることでありますが、どうしてこんなまま子扱いをするのか。将来一体どういうようにしようとするのか、それをお聴きしておきたいのであります。
〔小笠委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/111
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112・石橋湛山
○石橋国務大臣 別段今までガス事業をまま子扱いをしておったわけではございませんけれども、何しろ電気の開発等を急激にやらなければならぬということに注意がやや集中しましたから、従ってそのほかの事業については、電気ほどの注意を同時に払うことができなかったという関係が確かにあったと思います。しかしガス事業は、石炭の関係を考えましても、今のお話の木材節約の関係から申しましても、ぜひともこれは大いに奨励しなければなりませんので、通産省としては、これをやるつもりで、地方のガス会社に対しては補助金を出しますとか、あるいは融資をあっせんしますとかいうことによって、本年度からはガス事業の普及にもっと力を注ぎたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/112
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113・中崎敏
○中崎委員 次に電気業者の固定資産税に関する問題でありますが、電力会社の固定資産について、各市町村においてこれが財源として固定資産税をかけておることは御案内の通りであります。ところでこれに対しまして、これはおそらく全国の電力会社だと思うのでありますが、電力会社が一定の固定資産の価額の標準率だけを払って、各市町村においてその標準率以上に一般の住民に対してかけているところの税率のものを払わない。一方的に電力会社が市町村に対して標準率だけの計算をして払っておる。市町村において財源として一般の住民にかけておると同じような税率、たとえば島根県の場合をとってみますと、昭和三十年度の標準率は、固定資産の価額の百分の一・四であったという、それが二十九年度は百分の一・五だっというのであります。ところが各市町村においては、それだけではどうしても財源がやれぬので、一・四ないし一・五の標準率を上回って、たとえば最高百分の二とかいうような税率をかけておる。あるいは一・八とかいろいろ区別はあるのでありますが、最高百分の二までの税率をかけておる。ところが電力会社は、一方的に標準率であるところの一・四なり一・五だけの計算をして、残りの差額を払わないで滞納しておるというのであります。それがために各市町村では二十九年度、三十年度の二カ年間でも、島根県の場合においても、たとえば三十数カ町村がそれがために約八百万円の穴があいておる。それだけ払わないで滞納しておる。そこでお見かけの通りに町村の財政はその一定の収入がなければやっていけないわけでありますが、そういうふうに財政が危機に瀕しておるのにかかわらず、ほおかむりをしてこれを顧みないというわけでありますが、一体通産省はこれに対してどういうふうに考えておられるかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/113
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114・川上爲治
○川上政府委員 今の問題につきましては、全国の市町村につきましてそういう事例があるというふうには私は聞いていないのですが、ただ島根県におきましてそういう問題がありまして、私の方から中国電力に対して注意をいたしまして、税率を市町村できめましたならば、やはりそれに服して払うようにすべきであるということを言ってあります。しかし何かその間にいろいろな事情があるようでありますので、私の方でもいろいろ調べておるのでありますけれども、これが非常に不当な税率でなければ、私の方としましては当然払うように指導いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/114
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115・中崎敏
○中崎委員 不当な税率でなければということでありますが、言いかえれば十四なり一・五の標準率が適当であって、それをこえたものは不当であるというふうにお考えになるのかどうかをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/115
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116・川上爲治
○川上政府委員 一・四とか一・五というのは具体的な問題になりますけれども、私の方としましては、その程度のものについてとやかく言っておるのではないのでありまして、二%あるいはそれ以上というような問題になりますれば、これは全国の各市町村との関係もありますので、私どもの方としましては、やはりなるべく全国の比率とにらんで、そういう程度ならば払うべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/116
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117・中崎敏
○中崎委員 たとえば全国に比べてかりに高いものがあった、こういうような場合においては、あなたの方で査定して、これは高いということで払わぬでいい、こういう指導をされるつもりでありますかどうか。もともと地方財政というものは、政府の機関であるところの地方自治庁において、当然その承認をとってこれが予算として実行されていかれるわけであります。ことに固定資産税の税率等については、もちろん自治庁の承認の上に立っている。従って政府としては、その市町村が一年間の運営をやっていくためにはそれだけのものが必要であるということを認めてやらしておるはずなんだ。それが適当であるかないかということを決定するところの権限が、通産省におありなのかどうか、お聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/117
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118・川上爲治
○川上政府委員 私の方としましては、そういう権限はありません。ですから、ある市町村におきまして、標準よりも高く税率を変えたいという場合におきまして、電力会社の間におきまして、いろいろ問題がありましたならば、その電力会社の事情をよく調べました上で、できればなるべく安い税率にしてもらうというような交渉はもちろんいたすわけでございますが、私の方で勝手に査定をしてこれを県あるいは市町村に押しつけるというようなことはいたしません。もちろん税率につきましては、二%以上でありましたか、あるいはそれ以上でありましたか、これは自治庁で認可制度にたしかなっていると思うのですが、自治庁ともよく連絡をとりまして、そういう場合におきましては措置をとりたいと考えております。たださっきの一・四%とかあるいは一・五%という標準の税率が非常に高いので、これをやめてくれというようなことは、私はちょっとこれはおかしいのじゃないか。何か特別な事情があるのではないかというふうに考えまして、いろいろ調査もしておるのですが、どうも私はそういう標準税率の程度であるならば、これは当然払うべきだというふうに考えています。そういうふうな指導もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/118
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119・中崎敏
○中崎委員 私が申し上げますのはこういうことです。言いかえますと、市町村では固定資産税をとらなければ市町村はやっていけない。従って税法に従って一定の率をその町村において法の範囲において予算を立てて、そうして政府の承認をとってこれを実行しているわけです。従って百姓といえども、商人といえども、一市民といえども、その中にいるところの市町村民というものは一定の基準に従って固定資産については税金を払っている。従って電力会社に対して特別の高いところの税率をかけるということならば、これは妥当でないと思う。ところが住民と同じように、そうしてその財政をまかなうために税法の範囲内においてやっているものについては、これは当然払うべきであると思う。その標準が一・四であろうと、認められている範囲であるならば、すなわち百分の二までは当然これは払うべきである。それで今度はかりに百分の二・五をその町村の特別の事情でかけたとすれば、それを自治庁が認めればそれは有効だから、認めた範囲においては二・五といえども払わなければならぬと私は思うのであります。この点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/119
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120・川上爲治
○川上政府委員 そういうふうに税率が決定されておりますれば、これは当然私は払うべきものだというふうに考えておりますが、島根県の問題につきましては、私の方でいろいろ一ぺん聞いたのですが、どうもはっきりしないものがありましたので、もう一ぺん調査をして、そういうことがありますれば、私の方で払うように指導いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/120
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121・中崎敏
○中崎委員 この点については、ただ島根県だけでございませんので、中国電力管下の中国六県全部であります。あるところでは強引に押しつけられて、たとえば一・四の標準だから一・四しか払わぬぞといって、泣き寝入りしたというところもあるそうであります。ところが中国六県の市町村会などもやはり不当であるというふうな決議をされておるし、あなたの方の通産省に照合してみたところが、それは不当であるというところの回答が来ているということも文書に書いてある。自治庁も同じように、中国電力のやり方は不当である、だから滞納をやるべきでない、払うべきであるという回答が来ていると言いますが、それがいまだに実行されておらないで、もう昭和二十八年、二十九年、三十年ですから、町村では実際に困り抜いているのです。そこで責任あるところの答弁と同時に対策を今尋ねているわけなんでありますが、いずれにしても、今日、三年もたっているのにまだこれから調査するというようなことは適当でないと思う。すみやかに一つこの問題については調査されて、そうしてあなたの方から回答しておられるようなことが正しいならば、すみやかにこれが措置を講ぜられると同時に、国会においても一つその報告をすみやかにやってもらいたいと思う。この点について大臣に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/121
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122・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話のように自治庁が許可をし、正当に作られた税率なら、これはもうそれに服従するのは当然であります。どういうわけで二十八年から三年間払っておらないか、私事情は知りませんが、よほど何か事情があるのではないか。今局長が申しましたのは、そういうような事情があるらしいということで調べているのですが、さっそくそれは調べまして、——通産省が何もそういうことを調べなくても当然払うべきもので、通産省から何も指令することはない。われわれの方へ相談がありましたら、中部電力としては当然払うべきものだということは言うべきでありますし、あるいは中部電力にはそういう忠告もいたしましょうが、これは何も通産省が介在しなくても、当然とれるものだから、市町村はとったらよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/122
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123・中崎敏
○中崎委員 その大臣の答弁はきわめて不誠意きわまるものです。大体において公益事業として、全責任をもって監督する立場にある者が——しかも国家の機関であるところの町村の財政が実際上運営できない、三ヵ年もこういう状況が続いている。とったらいいと言うが、それなら実力をもってとりますか、どうすればいいんです。訴訟なんかみんなやって、ハチの巣をつついたような状態において、そうして争うことはいいのですか。監督の立場にある人が何という無責任なことを言うのですか。しかも民間同士のことではないのだから、こういう問題については一つ責任をもって善処しますと言うのが当然のことだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/123
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124・石橋湛山
○石橋国務大臣 むろんお話の通りですけれども、しかしながら実際おかしいのです。どういうわけで一体そういうことが起っているのか、私には理解ができないのです。自治庁で許し、そうして当然とるべき税がとれない。それだから通産省に持ってきて通産省に指導しろというのも、何かおかしな気がするからそう申し上げたのです。決して無責任に申し上げたのではありません。これはどういう事情であるか、中部電力にさっそく聞き合わして、注意をいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/124
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125・中崎敏
○中崎委員 だから財政部長を要求しておいたのです。自治庁の答弁を要求します。それまで僕は議事を進めない。まず第一に、今申しましたように、全県三十三市町村で八百万円の滞納になっておるのでありますが、結局において、半期間に何十億円という利益を上げている独占会社が、こういう横暴きわまることをやっておるがゆえに、われわれは黙って見ておられないのだ。あなたたちは理解に苦しむようなことを平気で言っておる。またこれなんか見てごらんなさい。標準税率以上は出さぬということを言っている。勝手に自分が出さぬという。こういうふうな一方的なことを独占事業がやるから監督官庁はもう少し監督して、こういうふうな行き過ぎのないようにやりなさいということを言っているのだ。だから自治庁の長官を呼んで下さい。その回答をはっきり聞くまでは、僕は待っています。
それでは次に質問しますが、漁業権の補償に関する問題であります。また島根県のことで恐縮なんですが、例の江川のある発電の工事がやられたために、御承知の通りにあの大きな中国の江川の沿岸においてアユとか何とか淡水漁業に従事してる漁民、七千名くらいおるでしょうか、アユの生産高は相当なものですが、これによって自分の生活を立てておった人がたくさんある。ところがそれがせきをとめられたため、全然アユが上ってこなくなって重大なる生活上の脅威を受けておるわけです。そこでこれに対して電力会社に対する漁業権の補償の問題がだいぶ起っておるのでありますが、元来通産省としてはこうした漁業権などの問題が起ったような場合において一体どういうふうな指導、処置を講じておられるのかお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/125
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126・川上爲治
○川上政府委員 そういう問題につきましての補償は、これは当然適正に払うべきだというふうに私の方としては指導いたしております。これは補償につきましては、特に閣議決定の要綱がありまして、その要綱によりましてやっておるわけなんですが、今お話の問題については適正に補償すべきであるというふうに指導いたしております。私は今の具体的な問題につきましてはよく聞いておりませんが、もし調べた上で、当然これは補償すべきであるということでありますれば、私の方としては補償するように指導いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/126
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127・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 関連して。私の質問事項は何点かあるのです。しかし時間の関係もあるししますので、これは後日、法案なり、その他関連事項の場合にお伺いすることにして、きょうは保留しておきたい、こう思うのです。
ただ一点だけ大臣にはっきりしておいてもらわなければならぬというのは、さっき電力の料金のとき、今までのまま三十一年度もやって、もう一年延ばすということを簡単におっしゃっておりましたが、あれは大臣、そう簡単にあなたがここでおっしゃるようなわけにいかぬ。去年ちゃんと国会の議決によって、もし三割頭打ちをさらに延ばす場合は料金の改訂と見なすのであるから、従って国会にも諮り、公聴会も開いて、その上できめるということに国会のここで満場一致の議決になっている。そういう国会の委員会の全会一致の議決をあなたが無視して、それらに対する何らの弁明、説明もなくして、このまま延ばしましょうということは、電力会社が非常に不況にでも立っているならともかくも、さっきから中崎君の言うように非常な好況になっておる。だからこれをこのまま延ばしますぞというと、石橋通産大臣は電力会社のこの好況をさらに援助するということになるから、とかくの疑惑を受けるおそれもあります。同時にまたわれわれの全会一致の議決を無視することにもなりますから、その辺のことについて、あなたが一年延ばしますぞと勝手に言うことは、大臣といえどもこれは許容れないことになっている。われわれの審議権を一体どうするつもりか、それを一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/127
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128・川上爲治
○川上政府委員 さっき大臣からお話がありましたが、大体現状のままでずっと続けていきたいということなんですが、私の方としましても頭打ちの問題につきましては現状のまま続けていきたいというふうに考えております。
それから水火力調整金につきましては、これは四月一ぱいで期限が切れるわけなんですが、これは廃止したいというふうに考えています。今の頭打ちの問題につきましては実はいろいろ電力業界とも相談をしたのですけれども、まだ最後的に、ではよろしいというようなところまでいっておりません。たとえば、電力会社の中でも非常に収支の悪いところが実はあるわけなんですが、そういうところにおきましては、頭打ちの制度につきましてはやめてもらいたいというような意向が相当強いのでありまして、実は大臣からも先般そういう地区の人を呼んで、いろいろ現在の産業界の情勢、あるいは電力全般の問題について話をされまして、協力を願ったのですけれども、まだ最後的に、でわよろしいというようなところまで実はきておりません。現在いろいろ工作中でございます。
それから公聴会とかそういう手続の問題につきましては、昨年のこの委員会でもいろいろ問題があったようでございますが、私の方の事務的な解釈としましては、これは当時の事務的な解釈でございまして、現在もそれでいいではないかというふうに考えているのですが、やはりこれは第何条でありますか、ただし書きによりまして、特別なケースにつきましては通産大臣の認可を受けて、それをやってもよろしいというようなことになっておりますので、私の方としましては、こういう問題につきましては、どちらかといいますと、特別なケースの中に入るのじゃないかというふうに考えまして、これは昨年のこの委員会で前の公益事業局長から説明があったと思うのですが、そういう解釈で実は考えておるわけなんです。そういう解釈と同時に、また一面において、業界の方で最後的によろしいというところまでまだきていないわけでございまして、実は大臣からもお話のありましたことは、そういう方針でぜひいきたいということをおっしゃったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/128
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129・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 川上さんの答弁も去年の委員会の議決を忘れておられると私は思う。なお、そうなれば、いろいろ私は論議をしなければならぬが、時間の関係で私きょうは質問しないことにしておるからしないのですが、いずれそのうちにいたします。
あなたがそういうことをおっしゃられるから、一つ記憶を思い起さすように私は申し上げたい。今の頭打ちの改訂等の問題、今あなたのおっしゃった問題については、本委員会において、今後かかる一方的な行政措置をなさず、聴聞会等の諸手続をすべきであると商工委員会で全会一致議決採択されて、これに対して石橋通産大臣はこう答えておる。本決議を尊重いたしますと、立って言明されておる。これは速記録にある。だから大臣もお忘れになっておることはない。こういうことになっておるのでありますから、一つ川上さんにも伺い、なお大臣にも明らかにしておいていただきたいが、そういろ手続等の問題において延長しなければならぬ、変えなければならぬというような場合においては、本委員会の議決に基いて公聴会、聴聞会等を開いてやられるということが、この委員会の議決を尊重される結果になるわけです。それを無視しておやりになるということは、本委員会全会一致の決議ですから、そのまま見のがすわけにはいかなくなります。この点についてこれを無視するのか、そういう手続をやはり尊重して踏まなければならぬとお考えになって陥るのか。その点だけ一つ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/129
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130・石橋湛山
○石橋国務大臣 公聴会その他を開くことを、あえてはばむわけではございませんが、私はただこういうふうに解釈しておったのです。何かこれから料金の変更でもやるというなら、これは委員会の御決議の通り公聴会等の手続をしなければならぬが、ただ現状をそのまま維持するので、変更ではない、変更でなければわざわざそういう公聴会等の手続をとる必要はないのじゃないか、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/130
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131・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 あなたは事ここに至ったからというので、一方的解釈でやろうとしておられる。つまり頭打ちは三月三十一日まで、こうなっておる。それ以後は、そのままやるか変えるかという場合は改訂ということになっておる。それを改訂と認めずにそのままということはあなたの一方的解釈もはなはだしいのであって、三月三十一日までの頭打ちをそのままやるのも改訂、さらにこれを別個にするのも改訂、いずれにしても改訂であるから、従って決議を尊重する意味においては当然われわれにそれらを報告されるなり、聴聞会等をおやりになって、そしてわれわれの決議に対してこれを尊重する態度を明らかにされなければならぬ、私はこう解釈するのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/131
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132・石橋湛山
○石橋国務大臣 なるほど伊藤君の言われるようにそういう解釈もできようかと思います。なお一つ研究いたしまして十分委員会の御意思を尊重するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/132
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133・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 それではこれはいずれ後日やることにして、きょうはお預けにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/133
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134・神田博
○神田委員長 次は加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/134
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135・加藤清二
○加藤(清)委員 委員長の命によって、時間がないようですから私簡単に二、三お尋ねしたいと思います。その前に今伊藤同僚委員のおっしゃられたことと同じことを私は聞きたいのです。大臣はここで約束されたことをほんとうに実行されますかされませんか、こういうことです。しごく簡単なことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/135
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136・石橋湛山
○石橋国務大臣 約束したことは実行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/136
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137・加藤清二
○加藤(清)委員 もう一つ。本委員会で全会一致決議されたことについては実行することだとお考えになりますか、聞きおく程度のことだとお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/137
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138・石橋湛山
○石橋国務大臣 聞きおけという御決議もありましょうし、また実行しろという御決議もありましょうから、それは御決議に従ってやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/138
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139・加藤清二
○加藤(清)委員 ありがとう。そこでお尋ねしますが、あなたの言われる早急という言葉は一カ月でございますか。半年でございますか、一年でございますか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/139
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140・石橋湛山
○石橋国務大臣 これは心理的の問題で、気持でございますから、早急でありましても急いでも足が動かぬこともございますから、(笑声)早急のつもりであっても、はたから見ると非常にのろいカメの子の早急とウサギの早急みたいな違いがある場合もありましょうと思いますけれども、早急というたから、これは幾日だとかなんとかいうことはちょっと申し上げかねるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/140
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141・加藤清二
○加藤(清)委員 大体習慣というものがございます。経済であれば商習慣というものがある。そこで手形を振り出す場合でも三〇とか六〇とかせいぜい九〇とか、どんなに延べても半年とか、それ以上になりますと約束を実行しない、こういうふうに一般人は解釈するのです。その場合一体あなたはどうされるか。そういうふうな問答ではわからないかもしれませんから、あなたの御記憶を呼び起すために私は例をあげてだんだん質問したいと思います。ほんとうは今後の問題についてもたくさん聞きたいことがあるけれども、そんなことを何べん聞いてみたってこれがから念仏になったら何もならない。そこで過去において約束されたことの第一にトルコ問題があるわけであります。これはすでに一年と一カ月を要しております。早急に実行する・君の言う通り悪いところがあったら早急に改善するとおっしゃいました。ところがそれはどうかというと、一年間ほっとかれた。その結果は日本とトルコとの間に結ばれました半年間六百万ドルの行き来の貿易はほとんどゼロであった。ほとんどというよりも、買うは買ったけれども売るはワン・ダラーも出ていない、こういう事実がございます。その原因は那辺にあるかを私はここで説明をすることを差し控えます。説明の内容を詳細に申し上げればとんでもない事件が飛び出しますので、私はそういうことを言いたいのではなくして、ただ輸出振興をしたいがための一念から申し上げるのですから、それは差し控えます。要は、これを一年間ほっておいてようやくこの間代表を送られたようで、その代表も帰ってきたようでございますが、一体いつの日にどのようにこれを実行に移されようとしているのか、そうしてこれをあなたの一枚看板であります拡大貿易論にどのように近づけようとなさっていらっしゃるのか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/141
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142・石橋湛山
○石橋国務大臣 トルコ問題も決して捨てておいたわけではないし、早急に解決する手はずをやっておったのですが、事実相手方もあることでありますし、いろいろな事情もありまして、最近まで延びておる。しかし今お話がありましたように、ミッションも出し、すでに帰ってきております。そのことについては通商局長が来ておるはずですからそれからお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/142
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143・加藤清二
○加藤(清)委員 要旨をとって聞いているのですから、一年間ほっておいたことについて努力するであったり、向うの相手もあることだからなんて、そんなことを言ってはいけません。向うは一生懸命早くこれを解決しよう解決しようと言っている。それをこっち側からそれはいけませんいけませんという文書が交換されて偽る。相手があるのは当りまえです。その相手は急いでおる。にもかかわらずこっちが引き延ばしておった、それだけの話なんです。そういう事実を知っておって聞いているのですから、そういうふうに答えられてはいかぬです。これと同じようなケースがまだほかにもあるから、それでこういうことをやられては困ると思う。あなたの看板がにせ看板だということになっては大へんなんです。跡目相続の筆頭に数えられているあなたがそれでは困るでしょう。あなたは新聞記者諸君から最高の点数八十点をもらっている大臣です、私もあなたを一番尊敬しているのだ。だからあなたのその信用度を今後一そう深めるためにも、これはほんとうに早急にやってもらわぬと困るわけです。そこで、一体時期はいつやられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/143
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144・板垣修
○板垣政府委員 早急という言葉が非常に正確な日数を意味するならば、ちょっと簡単に申し上げられませんが、今度はできるだけ早く解決できると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/144
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145・加藤清二
○加藤(清)委員 それからもう二つ、ここで決議されたことで行われていないことがあるのです。これはだいぶ前に行なったのですが、どうしてくれますかね。ほかでもないのですが、お気づきにならぬかもしれませんから申し上げますが、映画の上映館がございます。ここは衛生設備、防火設備が悪い、便所の位置等のおかげでエロも行われるからぜひ一つこれを早急に改善しろという通知が本省から各映画館に回っておるのでございます。しかしこれは厚生省からでございます。それで映画館主としては、それはごもっともだ、ぜひ直そうというので銀行へ金を借りにいきましたところ、丙種になっております。もうけた金は全部歩合制度で上へ上へと吸い取られて、やがてこれが蓄積円の基礎と相なっておるようでございます。そこでせめて何とか手当をしてやろうじゃないかということになって、大蔵委員会においては中小企業金融公庫から金を貸し出せ、こういう決議が行われましたのは、すでにこれは一年になっております。それ以後この委員会においても、なるほど中小企業のことはここで扱うべきだ、中小企業金融公庫のことは通産委員会のことだというので、本委員会においても全会一致をもって決議を見たのでございます。そのときに大臣はまことにありがたい御決議をいただきましたので取り急ぎこれに対して実行方、善処方に努力いたしまする旨のごあいさつがあったことをあなたは思い起されたでしょう。あれからすでに半年以上過ぎておりまするが、一向に事務的には進捗していないようでございます。これは一体どこに原因があるのか、あるいは決議というものはほごと同じようなものなのか、いずれでございましょうか、承わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/145
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146・石橋湛山
○石橋国務大臣 融資の問題であったと思いますが、これは中小企業金融公庫等でできるだけ融資するように言っておるのでありますが、これは金を貸すのですから、そうここですぐにというわけにはいかないだろうと思います。今その事情を一つよく調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/146
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147・加藤清二
○加藤(清)委員 原案は、中小企業庁で作るのでございますよ。それからその原案が中小企業金融公庫の方へ回付されて、ここで相談されて、そうしてあの規定されている現在の十八業種は十九業種になるということなんですよ。それ炉行われてないのです。事務的操作なんです。こんなものはしごく簡単なものなんです。それを何かむずかしいことのようにお考えのようでございまするが、今までの例からいきますると二カ月は要していない。従って私は二カ月ぐらいはやはり事務的にはかかるだろう。だからそう急にと言ったって、何もきょう決議したからあしたしなければけしからぬなどというようなことを言うておるのではございません。従って今ここで決議されてから、もうあなた半年の余になっていますよ。それが、何ら手がついていないでしょう。そのことをあなたは御存じでしょう。これはどういうことなんですか。あなたのサゼスチョンは中小企業庁や中小企業金融公庫には全然及ばねい、こういうことですか。中小企業庁長官がかわられてからでもすでに二カ月以上たっていますよ。前の長官の時代のお話なんです。これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/147
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148・石橋湛山
○石橋国務大臣 今、事情はよくわかりませんから、中小企業庁等を調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/148
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149・加藤清二
○加藤(清)委員 調べた結果、私の言う通りになっていたらどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/149
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150・石橋湛山
○石橋国務大臣 それはできるだけ御趣旨に沿うようにいたしましょう。ただ映画館というものの融資対象が、果してうまくいくかどうかということはなかなか問題があるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/150
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151・加藤清二
○加藤(清)委員 私の言うておるのは、相手が借りにきてからの話じゃないのです。ただここで決議されたことが大臣の命によって通産省に実行に移されているかいないかということを聞いておるのでございます。それが行われていない。調査してとおっしゃいますが、そういう言葉は私は今まで何回も大臣から聞いていますが、それがまたぞろ一年も二年もほうっておかれますというと、今度通産大臣が総理大臣になってしまわれたら、これはとんでもないことになる。行われないことになる。だからあなたが調査して私の言った通りになっておったらどうしますか、こういうことを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/151
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152・石橋湛山
○石橋国務大臣 ですから、まだそういうことが行われておらなかったら、一つあなたの御趣旨が十分通るように中小企業庁を指導いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/152
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153・加藤清二
○加藤(清)委員 つまり決議を即時実行する、こういうことですね。——決議を即時実行する、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/153
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154・石橋湛山
○石橋国務大臣 つまり映画館を中小企業金融公庫の融資対象にするということが問題でしょう。その融資対象にするということについては、ここで必ず融資対象にいたしますともちょっとお答えしかねるのでございますから、中小企業庁でどうして今まで延びておるか調べてからお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/154
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155・加藤清二
○加藤(清)委員 だから私は最初に聞いておかなければいけないのです。それでは本委員会の満場一致の決議をほごにしてお返しになるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/155
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156・秋山武夫
○秋山説明員 ただいま途中から入りまして御趣旨がよくのみ込めないかもしれませんが、映画館に対する中小企業金融公庫の融資の問題は、従前からいろいろ問題がございまして、すでに大蔵委員会でも通産委員会でも御決議がございましたので、私どもの方もその方向へ大蔵省と累次折衝を重ねてきたわけでございます。実は御存じの通り大蔵省の方から市中融資を抑制するという趣旨の通牒が出ておりまして、その抑制せられました対象には映画館も含まれておるというようね形のものが現に生きておるようなことになっておったのでございます。従ってこれを廃止せず、すなわち市中融資を疎通せしめる措置を講ぜずして、直ちに国家資金を出すということは多少われわれとしても踏み切りがたい点もございまして、その方の折衝が長引いておった事情にあったわけでございます。最近話し合いもつきまして、同時にその方の解決もするという運びになりましたので、実はこれは政令で指定をいたすわけでございますが、その政令の指定案も用意してございます。すでに法制局へも一応下相談をいたしておりますが、何分実は法制局はちょうど法案審議の時期に入って参りまして、法案の審査で手をとられておりましたために、政令の方が大へんおくれておるという事情にございます。手続的におくれたことは申しわけないのでありますが、間もなくこれは実施をいたす予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/156
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157・加藤清二
○加藤(清)委員 秋山振興部長の答弁は、私は額面通り受け取って拝受いたしましょう。ところが、私がお尋ねしておるのは、大蔵委員会で決議をされてから、すでに一年有余たっておる、こちらで決議されてからは半年余もたっておる、そこで今日に至ってあなたは、決議は尊重し実行するとおっしゃっていらっしやるのだから、一体いつの日にこれが実行できますというくらいのことは、今聞かしてもらわぬと、ここでまたぞろ即時やるとか、しばらく待ってからやるではこれはちょっと引き下れといったって引き下りにくいのです。ですからいつの日にできますか、こういうことを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/157
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158・石橋湛山
○石橋国務大臣 今振興部長が言いますように、すでにその準備ができておるのでありますから、今度こそ急速だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/158
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159・加藤清二
○加藤(清)委員 もう一点、今日の経済界の大きな問題となっておること、すでに御存じの通りでございますが、普通新聞には私の知る範囲では二十四回出ております。その問題をお尋ねいたします。それはほかでもございませんが、日本の綿製品のアメリカ向け輸出が多過ぎるということで、大臣はこれだけは大急ぎで——ほかのことは一年も二年もほうっておきながら、このことだけは取り急ぎ行われたようでございます。もうぱっぱっぱっと、二ヵ月たたぬうちにすぱっと制限をなさったようでございますが、その制限の目的は一体どこにあったか。おそらくこれはアメリカの同業者の声をやわらげようというところに問題があったじゃないかと思いまするが、あなたの実行された目的はどこにあったのでございましょうか、簡単でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/159
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160・石橋湛山
○石橋国務大臣 はなはだ皮肉の御質問でありますが、これは国内の方は少しはがまんを願ってもいいが、対外関係は急がねばならぬということもありましたので、あれはある程度割合に早くいったでありましょう。目的はあなたのおっしゃる通り、アメリカの世論——これは世論が合理的であるか合理的でないかという議論はありますが、合理的にせよ非合理的にせよ、とにかく世論がごうごうといたしておりますので、その世論を鎮静させる一つのチャンスを与えるためにああいう処置をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/160
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161・加藤清二
○加藤(清)委員 その目的は達成されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/161
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162・石橋湛山
○石橋国務大臣 完全に達成されたかどうかということになるとまためんどうでありますが、とにかくある程度達成されたと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/162
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163・加藤清二
○加藤(清)委員 ところがアメリカの国会において、ただいま日本の綿製品を制限してもらいたいとの法律が上程されているようでございますが、とれでもって目的は達成されたとお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/163
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164・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話のように、さような法案が上程されていることも事実でありますが、同時にアメリカには日本側がこれだけ努力しているのだから、そういう法案を通過させることはよろしくないという動きも相当あります。またアメリカの政府はそのつもりで相当努力していると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/164
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165・加藤清二
○加藤(清)委員 私の思っていた答弁をしていただいて、まことにありがたい。今あなたの御答弁になったアメリカ政府当局やアメリカの有識者や一般国民の方々は、決して日本の綿製品がアメリカに輸出される、つまり向うでいえば輸入されることを拒否していたわけではない。あなたのおっしゃった通りのことは、わが方が制限しない前から行われていたんです。そこを私は前にあなたに訴えたことがあったのです。にもかかわらず内地の制限だけはされた。ところが向うの国会には依然として同じ動きが同じように行われているということなんです。これに対してあなたはどのような手を、どのようなPR運動を行われたか。これはさきにPR運動を行うべきであるという結論のもとに私は申し上げましたところ、それはその通りだ、だから一生懸命やる、こうおっしゃった。その後どのように行われたかを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/165
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166・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは日本人の商工会議所等も動いておりますし、また内地から当業者もミッションを出しまして、いろいろのことをやっておるのであります。それから今の動きはいかにも正しい、アメリカの世論、またアメリカ政府は、貿易自由化の観念から申しましても、日本の綿製品を特に輸入制限するというようなことは不合理であるということは、これはもうむろんよく知っておりますから、あなたのおっしゃる通り、初めからそういう考え方で努力していることは事実であります。しかしこの事実、この努力、向うのそういう有識者ないし政府の動きを動きやすからしめるということは、日本からも手伝ってやらなければいけないのでありまして、その動きを日本が援助するという意味におきまして、日本が相当思い切った輸出制限をしたということは効果を持っておるものと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/166
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167・加藤清二
○加藤(清)委員 はかりがたい効果でございますので、私はこの際、もう時間がないのですから簡単にその点だけを申し上げておきますが、アメリカの綿業界の不況、これは事実でございます。しかしその不況が日本の綿製品が輸出されたからであると断定する人があったとするならば、これは誤まりもはなはだしいものでございます。綿業界の不況は、一番大きいのはアメリカの綿業政策であります。アメリカの綿生産者を助けるために二重価格で買い上げているというところのアメリカの綿業政策が一番の原因でございます。そのほかまだあるのだけれども急ぐから簡単に端折りますが、決して日本から輸出された量あるいは品物あるいは値段これが相手方に大きな刺激を与えたのではないということを、この際大臣は日本の国民にもはっきりさせるべきではないかと思うわけでございます。なぜかならば、アメリカの農務長官やあの病気のアイゼンハワーまでが、この問題に対しては、日本の綿製品を拒否するがごときことはいけないことであるというので、上程された法律を拒否の挙に出ておるのでございます。この恩義に感じてでも、なお原因をはっきり究明して国民に訴えると同時に、大臣はアメリカ国民にもその原因のあり場所を認識していただくことが最も肝要ではないか、こう私は思うわけなんです。
そこで簡単に数字を申し上げまするならば、日本から輸出されたところの去年の輸出量は一億三千万スクェアといいますけれども、これはアメリカの綿生産量に比較すれば、わずか百分の一にすぎないのでございます。向うから買い入れたものとこちらから売ったものとの比較をとってみますると、去年は十七分の一である、おととしは二十四分の一なんです。ことしこそややふえたのでありまするが、アメリカから買い入れまする原綿の量と、それを加工してアメリカへ輸出いたしました日本の綿製品の量とを比較いたしますると、ここに二十分の一、三十分の一という比率が出てくるのでございます。大臣、ここは大事なところなんです。御存じですか。これが相手方にもしそれ影響を与えたとするならば、好影響こそ与えておるけれども、悪影響の材料にはならないということは——先ほど首藤新八さんが何とおっしゃったか。あなた聞いてみえたでしょう。セメントをこれから東北興業で作ります、これは二十万トンでございます。十分の一にもなりません、従いましてこの程度のものであれば絶対に影響はないと考えます、こうおっしゃった。その通りなんです。ところで十分の一で影響を与えなければ、二十分の一はもっと少いはずでございます。百分の一はもっともっと少いはずでございます。それでもってアメリカのような大企業を持った、あの大きな資本力を持った国に対して、百分の一の日本の材料が悪材料になったなんということは、だれしも考えられないことなんです。輸出輸入の総バランスを考えても、五億の買い越しは慢性的になって、これを解消する意味においても、あなたは、もっともっとアメリカへ輸出を振興してしかるべきなんです。にもかかわりもせず、わずか百分の一ばかり出たからというので禁止の態度に出てきたということは、大臣の拡大均衡論が一体どっちを向いているのかということを疑いたくなってくるわけなんです。しかもきのうきょう聞くところによれば、きょうの新聞でもジョンストンは日本が外国から買うわずか百二・三十本の映画のうちの八割以上はアメリカから買ってくれということを要望しておられるようでございます。総消費量の八割をはい買いましょうという日本政府が、どうしてアメリカ国民の全消費量の二百分の一にも足りないところの日本の綿製品を禁止しなければならぬのか、ここをはっきりと、あなたの拡大均衡論はどっち向きであるか、どっち向きで赤字を解消するのか、この点をはっきりと答弁願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/167
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168・石橋湛山
○石橋国務大臣 御趣旨は全然同感でありまして、それと同様のことを私は機会あるごとに、アメリカに申しておる。決してそれに異議はありません。しかしながらそれにもかかわらず、さっき申したようにアメリカの世論が誤まっておるとはいえども、日本の綿製品がやや急速に伸びたということに対してごうごうたる非難を浴びせてくる。さきにはガットの問題でも三十五条を援用する国々が欧州にたくさん現われたということは、いずれもこっちから申せば不都合でありますが、向うの政治あるいは社会情勢からこれまたやむを得ない事情でありましたろう。従ってこれを鎮静するには、ただ理屈だけ言っておったんじゃだめだ。日本側としてもできるだけ手を打たなければならぬのです。そこでその手の一つとして、あなたの非難される輸出制限の方法も講じた、これは御趣旨のことは常に私は申しておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/168
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169・加藤清二
○加藤(清)委員 今答弁が聞けないのは非常に残念に思いますが、アメリカの大統領までが日本の綿製品を買わないというようなことは、日米通商航海条約上もしかりだし、この友好関係の上にかんばしくない結果をもたらすことに相なるから、これは行わるべきでないというところの発言を公聴会においても議会においても発表されているのです。それに相呼応するのはあなたのおっしゃった通り当然のことなのだ。この機に、アメリカの国がこのような法律を提出しているというのは、これは国民に不幸をもたらす基であるということをはっきり日本国としてもあちらにアッピールすべきである。しかも日本のような品質のよろしい低コストの綿製品を拒否するということは、シャットアウトすることはアメリカ国民に与えられる恩恵を削減することである。このことはやがてアメリカ国民に不幸をもたらす原因になる、こういうことを向うの経済学者も述べ、大臣も述べ、農林大臣のごときは、この挙に出ればやがてはアメリカの原綿を生産しているファーマーに対してずいぶんと影響があるから、これはやっちゃいけないとうがった答弁をしておられるのです。従って日本国においてもこれと相呼応する一番いいチャンスじゃないかと私は思う。ほんとうにあなたが努力されるならば、よろしいジョンストンさん、映画は買いましょう、そのかわり綿製品くらいは買って下さいよ、材料はあなたの方のものでござんすよくらいの話し合いはやられてもしかるべきじゃないかと私は思うのです。ぜひ一つ今後輸出制限でなくして、輸出振興、あなたの言う振興に一そうの御努力が願いたい。とかく日本政府は輸出振興と口に言いながら、実はブレーキをかけることのみ多くして、実際に輸出振興に努力するということは遺憾ながら目に見えてこない。アメリカの方から何か言われると、買う方ははい買いましょう、幾らでも余剰綿花を買いましょうというておきながら、ちょっと何か言われると、ははあそれから作ったものはまあ売ることはやめましょうとブレーキをおかけになる、これでは独立日本とはいいながら、あまりにもみじめ過ぎるじゃないか、やがて来たるべき首相の跡目相続をされんとする通産大臣は、この際は腕のよさをはっきりと内外に宣明されるべきではないか、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/169
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170・石橋湛山
○石橋国務大臣 御高説は十分拝聴しましたが、その通りにやっていますよ。ジョンストンとも偶然その話をしました。ただしあなたのように映画を入れてやるとは言いません。映画を入れないが、綿製品を買えと言ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/170
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171・神田博
○神田委員長 理事会の申し合せによる時間が参りましたので、これにて石橋通商産業大臣、高碕経済企画庁長官、横田公正取引委員会委員長の産業経済一般に関する説明に対する質疑を終了することにし、なお個々の調査事件につきましては、理事会にお諮りした上で、必要に応じ質疑をいたすことにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X01119560303/171
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